あなたの健康はお金で買えますか・・・?
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【血圧を下げる新常識】今すぐ食生活の見直しを!高血圧と2型糖尿病の合併で高まるリスク

 血圧が高いことに加えて血糖値が高いと、厳格な血圧コントロールを医師から指示されることがある。診察室で測る血圧は140/90(単位・mmHg以下同)以上が高血圧。145/95の人は、心筋梗塞といった心血管病リスクは「低リスク」と位置付けられている。ところが、同じ血圧数値でも、生活習慣病の2型糖尿病を合併していると「中リスク」になってしまう。2つが合わさるとどれほど危険なものなのか。

 糖尿病などの生活習慣病の治療や研究を長年行っている東京慈恵会医科大学附属病院糖尿病・代謝・内分泌内科の坂本昌也講師が説明する。

 「海外の研究報告で、心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患になるリスクは、健康な人と比べて、高血圧症だけならば3倍、2型糖尿病だけならば2~3倍、動脈硬化を進める高脂血症は4倍です。この3つが合併していると32倍に跳ね上がるのです。2型糖尿病の人は、高脂血症を合併していることが多いため、高血圧を伴う場合には、血圧を厳格にコントロールする必要があります」

 海外の別の研究報告では、2型糖尿病患者で血圧が正常な人に対し、高血圧症を合併している人の死亡率は高かった。2型糖尿病と高血圧症は、どちらかひとつでも悪いが、ダブルではさらに死亡リスクを押し上げるのだ。国内の高血圧症の人は約4300万人、糖尿病は予備群の人も加えると2000万人以上と推計されている。だが、「少しぐらい数値が高いだけだから」と食生活の見直しをせず、治療も受けていないという人もいるだろう。

 「国内の40歳以上の約7割の人は、メタボ健診で何かしらの異常が見つかるといわれます。あまりにも数が多く、しかも、生活習慣病による自覚症状は乏しいため、放置してしまう人がいるのです。しかし、その先に虚血性心疾患などのリスクが待ち受けていることを、より多くの方に知っていただきたいと思います」

 坂本講師によれば、高血圧症と2型糖尿病になっていると、50代や60代で心筋梗塞や脳卒中にならなくても、将来、認知症を発症するリスクが高まるという。国内では、寝たりきりにならずに自立した生活を過ごせる健康寿命は、平均寿命より約10年短いと報告されている。健康長寿を実現するならば、「ちょっと高い」数値の段階で、食生活の改善に取り組むことがなによりだ。

 「働き盛りの世代は、ストレスを抱えているため、食生活の改善が難しいのですが、今がんばったことは、10年後、20年後の健康につながると考えてみてください」

 あっという間の10年。今すぐ食生活を見直そう。 (安達純子)

認知症発症予防を始めよう 「コエンザイムQ10」でリスク低下

 認知症は特別な病気ではありません。医学的にみれば、極めて普通の病気。つまり「誰でもなりえる病気」なのです。

 しかし「一番なりたくない病気」であることも確かです。認知症は「治らない」との認識が一般的ですが、早期発見で発病を遅らせることは可能です。「予防」も非常に重要となります。そこにサプリメントの出番があるのです。

 可能性のあるサプリとして、以前にイチョウの葉、EPA・DHAなどのオメガ3脂肪酸とならび、コエンザイムQ10のこともお話ししましたね。また、意外なことに高カカオチョコレートの効果にも触れました。

 コエンザイムQ10から、新しいことを交えて復習をしましょう。2014年、コエンザイムQ10と、認知症リスクとの関連を調べた研究が筑波大学から報告されました。血中コエンザイムQ10が高いほど、認知症リスクが低いことが分かったのです。老化を防ぐ作用があり、体内でも産生されていますが、加齢とともに減少してしまいます。そこで「健康寿命」にかかせないサプリとの位置づけがされています。

 実は、認知機能障害が出る20年前から、徐々にアミロイドβやタウといった異常タンパク質がたまっていき、脳の神経細胞が壊れ減っていくことで認知症は発症してしまいます。「最近の出来事を忘れてしまう」という症状から始まることが多いのですが、記憶をつかさどっている海馬(かいば)と呼ばれる部分に最初に病変が起こるためです。

 たまった異常タンパク質は溶けないと思われていましたが、ある程度は溶かせられ、異常タンパク質の脳細胞への沈着を遅らせる物質も分かってきました。コエンザイムQ10もその1つ。認知症は、約20年間という長い年月をかけて発病しますが、今からでも遅くないのです。認知症発症予防を今日から始めたいものです。

 ■栗原毅(くりはら・たけし) 医学博士。栗原クリニック東京・日本橋院長。前慶応大学特任教授。「血液サラサラ」という言葉を提唱し、著書やメディア出演などを通じて予防医療の大切さを訴えている。

「さみしい男性」要注意、孤独は健康リスク

人はひとりでは生きていけない――。昭和の流行歌やアニメ映画の挿入歌は、時代を先取りしていたのかもしれない。孤独を重大な健康リスクととらえ、その対策を社会的課題とする考え方が欧米などで広まりつつある。日本では孤独をポジティブにとらえる向きもあり、特に中高年男性の孤立化が指摘されている。その原因や問題点について、コミュニケーション戦略が専門で欧米の事情に詳しい岡本純子氏が解説する。

◆孤独を美化するニッポン社会

 この記事を読む方の多くが、健康で長生きするためにいろいろと気を使っているのではないだろうか。食べ過ぎないようにする、運動をする、お酒を控える……。しかし実は、たばこより、肥満より、飲酒より、大気汚染より、食品添加物より、健康を蝕(むしば)んで寿命を縮めるものがある。それは「孤独」だ。

 「えっ!」と驚く人が多いかもしれない。昨今の日本は「孤独のすすめ」「孤独のグルメ」「ソロ活」「ぼっち」など、孤独をポジティブにとらえる書籍や論調であふれかえっている。「どうせ、死ぬときは一人」「孤独を楽しめ」「一人で生きていく強さを身に着けるべき」といった考え方に共感する人も少なくない。

 孤独とは本来、「頼りになる人や心の通じ合う人がなく、ひとりぼっちで、寂しいこと(さま)」を意味する。つまり、「孤」(=みなしご)のように、誰にも頼ることができず、精神的に「孤立」し、苦痛を覚える状態を指すわけだ。しかし、日本では「独立」して「独自」の時間を過ごすこと、積極的に一人の時間を楽しむことが、孤独ととらえられている節もあるようだ。

 つまり、本来の「孤独」ではなく、「個独」の意味にとらえられることが一般化している。英語では、ポジティブな意味合いの「Solitude」(個人が能動的・自発的に一人を楽しむこと)と、ネガティブな「Loneliness」(自らの意思に反して、疎外感や孤立感を味わうこと)は区別されているが、日本語では、その二つがごちゃ混ぜになり、「孤独」が美化され、礼賛されているきらいがあるように感じる。

◆「孤独は現代の伝染病」…英米豪などで危機感

 もちろん、誰でも一人で思索を巡らせ、内省する時間は必要だ。性格が外向的か内向的かで、孤独の与える影響は異なる。しかし、本来の意味での「孤独」、主観としての疎外感が人間にポジティブな影響をもたらす――という考え方は世界的に見ると、きわめて稀(まれ)だ。むしろ、孤独は今、世界の多くの国々で、「現代のエピデミック(伝染病)」ととらえられており、アメリカやイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、インドなど、多くの国のメディアでそのまん延が危惧され、喧伝(けんでん)されている。

◆アルコール中毒に匹敵、肥満の2倍のリスク

 今年1月、イギリスで「孤独担当大臣」というポストが新設され、日本でも話題となった。筆者はこの問題をテーマにした新著「世界一孤独な日本のオジサン」(角川新書)の取材のため、3か月前に渡英し、「孤独対策」の最前線をのぞいてきた。

 イギリスでは、主に民間のNGO団体などが中心となって、孤独な人を減らすための活動が幅広く展開されている。孤独な高齢者向けの365日、24時間対応のヘルプラインや中高年が集まるサークル活動、地域を挙げてのランチパーティーなど、新たな「縁」や「絆」を結び、仲間を作るための取り組みが次々と試行されている。

 なぜ、これだけ熱心に対策が行われているのか。それは、医学や社会学などの専門家たちの間で、孤独はまさに「万病のもと」と考えられているからだ。

 権威ある多くの研究が、孤独がうつ病や、心臓病や認知症などを含む精神的・肉体的な病気のリスクを高めると結論付けている。アメリカでは、孤独のリスクは〈1〉1日にタバコ15本を吸うことに匹敵する〈2〉アルコール中毒であることに匹敵する〈3〉運動をしないことよりも高い〈4〉肥満の2倍高い――という研究結果もある。

 それだけではない。「孤独は冠動脈性の心疾患リスクを29%上げ、心臓発作のリスクを32%上昇させる」「孤独度が高い人がアルツハイマーになるリスクは、低い人の2.1倍」「社会的なつながりを持つ人は、持たない人に比べて、早期死亡リスクが50%低下する」など、健康への負の影響を示す研究結果が欧米で次々と発表されている。

◆深刻な中高年男性の孤独

 海外では、このように「孤独の脅威」に注目が集まっているが、日本では、国も人々もメタボやがん対策などに力を入れても、この深刻なリスクファクターに関心を向けることはあまりない。

 実に皮肉なことだ。というのも、少子高齢化が最も進む日本は、世界に冠たる「孤独大国」だからだ。2035年には全世帯に占める「一人暮らし」の割合は推計で37.5%に達する見通しで、中でも中高年男性の孤独は深刻だ。

 OECD(経済協力開発機構)の2005年の調査によれば、「友人や同僚もしくはほかの人々と時間を過ごすことのない人」の割合は、日本の男性が16.7%、と21か国の男性の中で最も高かった。平均値の3倍に近く、スウェーデン人男性の約1%、アメリカ人男性の約4%などと比べてもずば抜けた水準だ。

 非婚化が進む日本では、男性の生涯未婚率は2020年には26.0%(女性は17.4%)、2030年には29.5%(女性は22.5%)まで上昇し、男性の約3人に1人は生涯独身という時代を迎えようとしている。老後の孤独も深刻だ。日本の高齢単独世帯の調査で、「親しい近所づきあいはしていない」と答えた人は、女性が39.1%だったのに対し、男性は半数を大きく上回る63.9%に上った。

 なぜ、日本の中高年男性はこれほどまでに孤独になりやすいのか。そこには、社会的・文化的環境、つまり「コミュニティ」などの外的な要因と、男性特有の「コミュニケーション」の問題などの内的要因の二つがある。それらが複雑に幾重にも絡み合い、「オジサン」たちをがんじがらめに縛り付けている現状がある。

◆セーフティーネットのない「無縁社会」

 「コミュニティー」という観点で見ると、世界中で都市化や核家族化が進み、地縁・血縁の希薄化による「無縁社会」化が進んでいる。日本においては、そうした従来の「縁」を補完するべき「ソーシャルキャピタル」(社会関係資本)が極端に乏しいことが、事態を悪化させている。

 ソーシャルキャピタルとは、家族以外のネットワークや、ボランティア、地域活動への参加などといった社会や地域における人々の信頼関係や結びつきを表す概念だ。隣近所や知人、親戚、職場の同僚などとの付き合いや、スポーツや趣味等への参加などの「付き合い・交流(ネットワーク)」と言い換えられるが、日本はこの値が際立って低いのだ。

 イギリスのレガタム研究所の2017年版ランキングによると、日本のソーシャルキャピタルランキングは世界149か国中、101位。先進国の中では最低で、カンボジア、ルワンダ、イラン、ニカラグア、ザンビア、ガーナなどを下回った。地縁や血縁に代わる新たなセーフティーネットとなるべきソーシャルキャピタルのない近代化によって、孤独に追い込まれる人が急増している。

◆会社とプライドが男を孤立させる

 日本の特殊な労働文化が、孤独化に拍車をかけている面もある。

 長時間労働の繰り返しで友人や趣味などを作る暇もなく、汗水たらして働き続け、気がつくと退職の日を迎える――という人も少なくない。かつては就業人口の半数に満たなかった「会社勤めのサラリーマン」が今の日本では9割を占め、多くの人が定年で自動的に会社システムから「強制退去」という憂き目にあう。

 特に、日本のサラリーマンは、転職することなく、一生、同じ会社で働き続けることが美徳のように考えられてきた。高齢になってから、40年近く住み慣れた「家」を急に追い出されるのに似た恐怖感や絶望感は、例えようのないものだろう。

 「『仕事が生きがい』というわけではない」。そう考える人にも、職場はやりがいやプライド、仲間、居場所を提供してくれていた。そのすべてを定年で失ったら、「自分は認められていない」「必要とされていない」…そんな思いにとらわれるだろう。残されるのは、自分が「透明人間」になってしまったような寂しさと、満たされぬ承認欲求だけかもしれない。

 特に男性は、「プライド」という厄介な代物に縛られがちだ。年功序列制度という「タテ社会」の中で、役職が上がるにつれ「男のプライド」という風船を少しずつ膨らませていく。職場という戦場で、武装して戦い続けるうちに、身にへばりついた鎧(よろい)は外すことができなくなり、「名刺」や「肩書」なしのコミュニケーションが難しくなる。

 今の中高年の多くが、「男は男らしく」、つまり、「男は自立し、ストイックであるべき」という“マッチョ信仰”の影響を受けて育ったことも、男性が他人と胸襟を開いて関係性を築いていくことを難しくしている一因だろう。

◆「話すだけ」が苦手な男たち

 もう一つの要因である「コミュニケーション」についても指摘したい。人とつながるために欠かせない力だが、日本の「忖度(そんたく)」文化は、「言わなくてもわかる」という暗黙の了解のもとに成り立っている。

 特に日本の男性は、女性と比べてコミュニケーションのハードルが高い人が多い。話すこと自体を目的とする女性に対して、男性は目的を達成するために話す傾向が強い。地球が滅びるまで、面と向かって営々と話し続けることができる女性同士に対し、男性同士はスポーツやゲーム、お酒など、何らかの介在がないと話しづらいという側面がある。

 「孤独」は人生100年時代の大問題だ。早々と人間関係を整理し、人生の店じまいをするよう勧める声もあるが、退職後に30年も40年も、人と付き合わず、引きこもったり、「終活」を続けたりするわけにもいかないだろう。

 定年後の長い時間に必要なのは「これからも元気にはつらつと生きていくための活動」ではないだろうか。そのためには、40代、50代のうちから、孤独について考え、人や社会とのつながりの大切さを見直す必要がある。もちろん「一人」の時間は極めて大切だ。しかし、過度な「おひとり様」信仰が、真の「孤独」への導火線となる可能性も忘れてはならない。
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