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【これで私は助かった!】歯医者で命拾い!早期の舌がん見つかる

歯の治療に行ってがんが見つかるなんて、なかなか考えにくい。しかし、口の中の小さな異変に一番気づきやすいのは歯科医師だ。歯の治療や健診で歯科を受診することは、「口の健康」を考える上でも重要なのだ。

 ■曽我肇さん(59歳=仮名)のケース

 若い頃から年に一度は歯科健診を受けていました。いま通っている歯科医院は妻が見つけてきた所。40代半ばの先生が一人で切り盛りするクリニックです。説明が非常に丁寧なので、「歯のかかりつけ医」として通院するようになりました。

 ずいぶん前に右下奥の歯に入れた“かぶせ物”が合っていないようで、気になっていたんです。気が付くと舌でその部分を擦るのが癖になっていました。

 しばらくすると食事中にそのかぶせ物が取れたので歯科医院を受診したら、舌の右裏側に、1センチほどの口内炎のようなものがあると指摘されました。それにしては痛みもなく、その時は気にしていなかったのですが、翌週受診すると、「舌の裏側の病変が僅かに大きくなっているようだ」と言うんです。

 心配なので口腔外科で診てもらってほしいとのことで、大学病院の口腔外科に紹介状を書いてくれました。

 大学病院に行って、組織検査や画像診断の結果は「きわめて早期の舌がん」。いまなら手術で取り切れるとのことで、すぐに入院して手術を受けることになりました。

 手術は無事に成功し、術後1週間で退院。しばらくは痛みが残ったものの、1カ月もすると普通に食事もとれるようになりました。自分では少し舌足らずなしゃべり方になった気がするものの、周囲の人は「気にならない」と言います。

 心配したリンパ節転移もなく、今後も定期的な検査は必要ですが、執刀医は「まあ大丈夫でしょう」と言っており、自分としても安心しています。

 それにしても、自分でも気づかないような舌の裏の小さな病変を見つけ、躊躇(ちゅうちょ)せず大学病院に送ってくれた歯科の先生には、本当に感謝しています。

 あの時に見過ごされていたら、今ごろは生きていなかったはず。歯医者さんで命拾いをするとは、思ってもみませんでした。

 ■専門医はこう見る

 片平歯科クリニック(東京・渋谷区)院長・片平治人歯科医師

 舌がんや歯肉がんなどの「口腔がん」の診断と治療は口腔外科や耳鼻咽喉科の領域ですが、その病変を一番発見しやすいのは、日頃から口腔内を診ている歯科医師なのです。

 しかも、がんを疑って受診する患者を診るのではなく、歯科治療の際に見つけることから、がんであっても「早期」、あるいは「前がん病変」の段階で発見できることも珍しいことではありません。

つまり、定期的に歯科健診を受けることは、単に虫歯予防、歯周病予防だけでなく、口腔がんの早期発見の意味でも重要な役割を担っているということができるのです。

 特に近年は、「歯周病と糖尿病や動脈硬化」などに代表される、歯科疾患と全身疾患の関連性が指摘されるようになり、歯科と医科が連携して全身を診ていく必要性が叫ばれています。

 今回の曽我さんは偶然、別の治療の際に舌がんを見つけましたが、この“偶然”の機会を増やすためにも、年に一度と言わず、最低半年に一度は歯科健診を受けられることをお勧めします。

【これで私は助かった!】おしっこが赤い…“膀胱がん”の場合も

ある日突然おしっこに血が混じって出てくれば、大抵の人は驚く。しかし、ただ驚くだけではいけない。積極的に検査を受けることで、命を脅かす危険な病気を撃退することが可能なのだ。今回はそんな「膀胱がん」のお話です。

 ■山口聡さん(57歳=仮名)のケース

 自宅では「便器の周りが汚れる」と女房に怒られるので、恥ずかしながらおしっこをするときも便器に座ってしていたんです。だから自分のおしっこの色をしみじみと見るのは、自宅以外のトイレ。最初に異変に気付いたのも居酒屋のトイレでした。

 おしっこの色がなんとなく赤いんです。紅茶のような色合いです。でも、その時は酔っていたし、居酒屋のトイレが暗かったこともあって、あまり気にしていませんでした。

 翌日会社のトイレでおしっこをしていたら、昨夜より鮮明に赤い。鉄さびのようなドス黒い赤で、「これはえらいことだ!」となりました。

 会社近くの病院の泌尿器科を受診して症状を話すと、内視鏡による検査を受けることになりました。そして検査の結果、驚いたことに「膀胱がん」と診断されたのです。

 血尿が出たのだから何かの病気だとは予想していましたが、それ以外に痛みなどの症状はなかったので、がんと聞いたときは本当に驚きました。

 ただ、組織検査の結果、「表在性」といって、がんが筋層にまで達していないことがわかったので、おなかを切らずに内視鏡でがんの部分を削り取ることができました。

 驚いたのはそのあとです。再発予防のため、膀胱の中にBCGを注入する治療が行われたのです。BCGなんて、結核予防のために子供にうつワクチンだと思っていたのですが、よもや 膀胱がんの再発予防に効果があるとは知りませんでした。

 でも、おかげで術後2年が過ぎた今も再発も転移もなく、先生からも「たぶんこのまま行けるでしょう」と明るい見通しが示されています。

 あれ以来「汚れるよりも安全第一」と、家でも立ちションを実践していますが、女房も文句を言わなくなりました(笑)

 ■専門医はこう見る

 日本大学医学部泌尿器科学系主任教授・高橋悟医師

 膀胱がんの最も特徴的な症状が「血尿」です。色の出方はさまざまですが、明らかに普段と違って赤っぽい色の尿が出たら要注意です。普段から自分の尿を観察している人であれば、1リットルのおしっこに1ccの血液が混じっただけでも「おや?」っと感じるものです。なので、日頃からおしっこの色には注意をしておくべきでしょう。

 山口さんもそうですが、早期の膀胱がんであれば、内視鏡手術が可能です。そして、術後にBCGを膀胱に入れて再発を防ぐ方法も、一般的な治療法といえるでしょう。

 ご存じのようにBCGは結核を予防するワクチンですが、これを膀胱内に投与すると、「細菌」の存在を確認した免疫細胞が攻撃をかけ、もし取り残したがん細胞などが残っていても、一緒に攻撃してくれるのです。

 通常は週に1度の投与で6~8週間続けますが、その後は3~4カ月に1度の検査で状況確認。2年経っても再発転移がなければ一安心、5年経ってOKなら無罪放免となります。

 そのためにも、術後のフォローアップは面倒がらずに続けてください。

【これで私は助かった!】頭痛の正体は上咽頭がん!耳鼻科の先生に感謝

頭痛や鼻づまりといった「珍しくない症状」が、じつは命に関わる重大疾患のシグナルであることもある。いちいち気にしすぎるのもよくないが、気にしなければ早期発見は難しい。ここに病気治療の難しさがある。

 ■丸山敬造さん(71歳=仮名)のケース

 若い頃から姿勢が悪く、緊張型頭痛という肩こりから来る頭痛に悩まされていました。

ところが、それとは少し質の違う頭痛を感じるようになったんです。以前から高血圧の治療でかかっていた近所の内科医院で相談すると、いわゆる「痛み止め」が処方されたのですが、ほとんど効果はありませんでした。

 そうこうするうちに花粉症シーズンを迎え、毎年その時期だけかかる耳鼻咽喉科を受診。その時に医師との何気ない世間話の中で頭痛の話をすると、「念のため」と、鼻の検査を兼ねて頭部MRIを勧められたのです。

頭痛の原因がわかるかもしれないし、何よりその手の大掛かりな検査を受けたことがなかったこともあり、受けてみたところ、鼻の奥に広がっているがんがあることがわかりました。上咽頭がんです。

 がんは「斜台」とよばれる頭蓋骨の底の部分を侵して、その向こう側の脳に達しようとしていました。

 地域の基幹病院に送られて精密検査の結果、手術はせずに放射線と抗がん剤による治療が行われることになりました。

 がんがあることがわかってから気付いたのですが、少し前から「鼻づまり」という症状もありました。でも、まさかそれががんによるものとは思わず、「カゼが治りきらないのだろう」程度の軽い気持ちだったのです。

 幸運にも治療は成功し、がんはほぼ無力化することができました。あの嫌な頭痛も治まり、定期的な検査は必要ですが、2年たった現在も再発や転移は見当たりません。

 それにしても、あの時耳鼻科の先生と世間話をしなければ、いまごろは命を落としていたことでしょう。画像検査を勧めてくれた耳鼻科の先生には本当に感謝しています。

 ■専門医はこう見る

 福内ペインクリニック頭痛外来(東京・新宿区)院長・福内靖男医師

 上咽頭がんは比較的予後の悪いがんで、特徴的な自覚症状もないことから早期で見つけることが難しいがんの一つです。

 がんが脳神経まで到達してダメージを及ぼしていると、頭痛、めまい、難聴、視力の低下や視野の欠損、鼻づまり、味覚障害、嚥下困難などが見られることがあります。

 しかし、長く通院している患者さんならまだしも、頭痛や鼻づまりなどの症状だけで、すぐにこの病気を見つけ出すのは困難といえるでしょう。その意味で、丸山さんが耳鼻科医に相談する機会に恵まれたことは、非常にラッキーだったといえます。

 いわゆる片頭痛の「拍動性の痛み」や、緊張型頭痛の「ハチマキを締め付けられるような痛み」など、頭痛持ちの人が普段感じる症状とはタイプの異なる症状を感じたときは要注意。

 また、そうした異質な痛みが長期間にわたって持続し、徐々に増強する。そして「従来は効果があった薬」が効果を示さない時は、上咽頭がんに限らず、何かしら別の原因が生じていることを疑うことも大切です。

【これで私は助かった!】歯科治療後の高熱…細菌性心内膜炎を疑え!

雑菌はさまざまな経路で体内に侵入してくるが、意外な経路もある。例えば歯科治療だ。虫歯治療や抜歯の際に、歯肉や歯の髄から細菌が入り込み、全身に回って悪さをすることがある。

その代表的な例が「細菌性心内膜炎」。早期発見のポイントは、歯科治療後の高熱だ。

 ■寺田真一さん(32歳=仮名)のケース

 歯科医院で親知らずを抜いた1週間後、突然38度台の熱が出たんです。抜歯直後も発熱がありましたが、その後平熱に戻っていたので、それとは関係なくかぜを引いたのかと思っていました。

 内科の診療所で抗生物質が処方されましたが、1週間経っても熱が下がらない。それどころか血尿まで出てきたので、驚いて再度受診したんです。

 すると先生は「もしかしたら…」と、聴診器で心臓の音を聴き、「雑音が聴こえる」とのことで超音波検査を受けました。

 すると、心臓の僧房弁という、血液を送り出す弁が機能不全を起こしていて、菌のかたまりが付いていることがわかったのです。発熱はかぜではなく、繁殖した菌に対しての炎症反応によるものだったわけです。

 病名は「細菌性心内膜炎」。すぐに病院に送られて入院し、1カ月間にわたって点滴による抗生物質の投与が続きました。

 点滴を入れて2日後には熱は下がりましたが、その後も少しずつ抗生物質の量を減らしながら、血中の菌の量や炎症反応の有無を調べる治療が続き、ようやく退院できたのは40日後でした。

 入院が長期化しましたが、早い段階で診断が付いただけでもラッキーでした。心臓の異常に気付かずに放置したり、別の治療を続けていたら、僧帽弁が壊れて心不全を起こしたり、壊れた弁が脳に飛んで脳梗塞を起こす危険性もあったのです。

 きっかけは、抜歯の際の雑菌混入。私の場合は今後も同じことを繰り返す危険性があることがわかったので、今後歯科を受診する際には必ず事前に抗生物質を服用するように注意されています。

 ■専門医はこう見る

 三好クリニック(東京・港区)院長・三好俊一郎医師

 抗生物質で熱が下がらない時、薬の種類を変えてさらに経過観察をすることが多いのですが、この医師はすぐに心臓の音を確認しています。これで弁の異常を疑うことができるのです。

 心臓の弁が機能不全を起こしていると、その部分で血液が逆流し、菌の温床となります。菌が増殖すると炎症反応が起き、その一環として熱も出るのです。

 この「細菌性心内膜炎」で入院すると、内服薬とは桁違いの量の抗生物質が点滴で投与されます。経口だと腸内細菌も死んでしまうので、下痢を起こしやすくなるのですが、点滴だと腸に影響なく大量投与ができ、安全かつ効果的に菌を減らしていくことができるのです。

 歯科治療の際に体内に菌が入り込む危険性は以前から指摘されており、歯科医師の中にも予防のために、歯科治療前後の抗生物質投与や、心臓に基礎疾患を持つ人には、歯科治療前に循環器科の受診を勧める人もいます。

 歯科治療に限らず、「血を見る治療」の際には、菌が侵入する危険性があるので、直後の発熱には十分な注意が必要です。

【これで私は助かった!】ぎっくり腰と思ったら…解離性大動脈瘤

「腰痛で死ぬところだった…」。といってもぎっくり腰でショック死しかけたというのではない。腰痛と思っていたら、じつは動脈が裂けて瘤ができていたのだ。これが破裂したら本当に命取りになる。寸でのところで食い止めた人の報告だ。

 ■茂本勝昭さん(56歳=仮名)のケース

 夜中に突然背中の下のあたりに激痛が走ったんです。最初はぎっくり腰かと思ったのですが、寝ている最中にぎっくり腰になるとは思わなかったので、不思議でした。

妻が車で救急病院に連れて行くというのですが、とても車の座席に座れる痛みではない。近所の手前、躊躇(ちゅうちょ)はしたものの、救急車をお願いしました。

 市民病院で整形外科の医師が当直だったので、そこに担ぎ込まれたのですが、どんな姿勢をとっても痛みが引かない。加えて次第に血圧も下がってきたので、造影CTを撮ったら、下行大動脈の内膜が剥がれて“瘤”ができていたんです。

 すぐに循環器科の医師が呼ばれて緊急入院。集中治療室で面会謝絶、絶対安静を言い渡されました。トイレもベッド上で行う生活が1カ月近くも続きました。

その後の安静状態を確保した上での薬物治療が功を奏して緊急開腹手術は免れることができましたが、医師から「知らずに放置していたら、動脈瘤が破裂して病院にたどり着く前に死んでいた」と言われてゾッとしました。

 後日、血管内にステントグラフトと呼ばれる金網で血管壁を内側から保護し、裂けた血管の中や瘤の中に血液が流れ込まないようにする血管内手術を受け、いまは通常の生活を送っています。

 それにしても、ぎっくり腰のつもりで病院に行って、動脈の治療を受けるとは驚きました。そして何より、「腰痛」という症状から解離性大動脈瘤を見つけ出して循環器の専門医を呼び出してくれた整形外科医の眼力には本当に敬服しています。

 ■専門医はこう見る

 総合新川橋病院(川崎市川崎区)整形外科・平出敦夫医師

 大動脈のうち「下行大動脈」とよばれる血管は、背中から腰の近くを走っているので、そこに解離がおきると「背部痛」や「腰痛」という症状が出ることがあります。

 一般的な腰痛発作とは質の異なる激痛となることが多く、茂本さんのように「どんな姿勢をとっても痛みが引かない」という点が最大の特徴です。

逆にぎっくり腰や椎間板ヘルニアのような腰痛には、「痛みが和らぐ姿勢」があるので、受診時の医師にはその違いを見極める診断力が求められることになるのです。

 もう一つ解離性大動脈瘤の症状の特徴として、「痛む個所が移動していく」というものがあります。

これは血管の解離(裂け目)が進んでいることを示しており、より緊急性が高い状態といえます。こうした状態に血圧の低下などが重なって見られるときには、躊躇せずに救急車を呼ぶべきです。

 一方、椎間板ヘルニアに代表される慢性の腰痛は、身体の動きに伴った鈍い痛みが特徴です。このように、原因がハッキリしているときは、救急ではなく通常の外来を受診してください。もちろん救急車は使わずに…。

【これで私は助かった!】子供が視力検診で集中力がない…弱視の恐れも

出産直後の赤ちゃんの目はほとんど見えないが、次第に鮮明になって8歳くらいで視力が完成する。この「視力の成長」が不完全な状態が「弱視」だ。事が幼児期の問題だけに、親や周囲が気付かないと、その後の人生にも大きな影を落とすことになる。

 ■成瀬篤夫さん(仮名)のケース

 次女が3歳児検診で視力を測った時、妻が「上の子より明らかに集中力がない」と洩らしたのがきっかけでした。絵本を読んでいても30秒とじっとしていられないんです。

歩き出してからも、お姉ちゃんの時より転ぶ回数が明らかに多い。視力は右が0・5で左は0・8でしたが、妻の発言から眼科受診を勧められ、再検査の結果「弱視」と診断されました。

 よく見えるほうの目をパッチで隠して、見えにくいほうの目だけでぬり絵をしたり絵本を読んだりする訓練を1日のうち数時間程度行い、常にメガネをかけます。子供にメガネは気の毒でしたが、当人は面白がってすぐに慣れました。

 治療を始めて半年もすると、両目の度数はほぼ揃ってきたのですが、そこでメガネをやめると元に戻る危険性が高いとのことで、メガネはそのままにしました。

 中学に入る頃にはメガネがトレードマークになっていて、本人に外す気がない。そのまま大学も出て就職。「メガネ美人」などとおだてられて5年前に結婚。今は1歳の女の子の母親です。

 いま彼女の視力は両方とも2・0。弱視は克服できています。

 ■専門医はこう見る

 総合新川橋病院(川崎市川崎区)眼科・河西雅之医師

 視力の発達を障害する原因として先天的な白内障などによるものと、強い屈折異常や斜視によって脳が正常に画像処理ができていない弱視があります。成瀬さんのお嬢さんは後者の弱視ですね。

 弱視の治療は開始時期が早ければ早いほど治療成績も高まります。その意味で、3歳児検診で見つけられたのは、非常に理想的なケースと言えるでしょう。

 特に幼児の場合、「自分の目が見えにくい」という意識がありません。本人にとっては、その視力が当たり前なので、特に不満もないのです。それだけに周囲がよく観察していないと見過ごしてしまいがちです。

 成瀬さんのお嬢さんが受けた治療は標準的なもので、特にメガネは重要です。元が軽い遠視だと、思春期の頃にメガネを外せるケースもありますが、多くは大人になってから目が疲れやすくなるので、可能な限りそのままメガネを使い続けることが推奨されます。

とりわけ女の子の場合、メガネをかけることにご両親として気掛かりな点があるようですが、最近はファッション性に優れたメガネも多いので、昔に比べて拒否反応を示す人は減ってはいます。

 いずれにしても、将来のことを考えて、眼科医と十分に話し合って治療方針を決めていくことが大切です。

【これで私は助かった!】動悸、息切れで検査したら…心臓弁膜症だった  

動悸(どうき)、息切れ、めまい…。現代人なら誰もが経験のある何気ない症状の陰に、命を脅かす恐ろしい病気が隠れていることがある。「年のせい」と甘く見ていると痛い目に遭う。長生きしたければ、早目早目の対策が不可欠だ。

 ■土井秀嗣さん(57歳=仮名)のケース

 いまのマンションに住んで20年。駅まで15分ほど歩きますが、20年も住んでいるので慣れっこになっていました。

 ところが少し前から、この距離が体にこたえるようになってきたんです。しかも急速に…。仕事で疲れた夜だけでなく、朝会社に出かけるときにも、駅に着く前に息切れがする。電車に乗って落ち着くと、ドキドキと動悸がするのを感じるんです。

 この“動悸”は夜寝るときにもあって、ベッドに入って電気を消したあとも、自分の心臓の音が聞こえるくらいハッキリ感じる。年齢的にもメンテナンスが必要かと考えて、病院に行きました。

 心電図を撮って、聴診器で心臓の音を聴いた医師が「弁膜症の可能性がある」という。そこで検査入院をして心エコーと血管内に細い管を入れて内部を見るカテーテル検査をしたところ、左心室から大動脈に通じるところの弁が壊れていることがわかったんです。心臓から血液を送り出す機能が大幅に低下しているとのことで、手術を受けることになりました。

 痛みもなく、自覚症状と言っても動悸や息切れくらいしかなかったのに、よもや心臓の手術を受けることになるとは驚きました。

 壊れた弁を取り除き、代わりに人工的に作った弁を設置するという手術を受けて、無事成功。術後10日ほどで退院し、自宅で数日休んだのちに、仕事に復帰しました。好きなゴルフはしばらく禁止されていますが、命が助かったんだからそれくらい我慢できます。

 些細(ささい)な症状からこんな大病が見つかったことで、あれ以降体調管理には気を使っています。薬もきちんと飲んでいるし、食生活も野菜中心に変えました。変な言い方ですが、病気をしたおかげで長生きできそうな気がしています(笑)。

 ■専門医はこう見る

 埼玉東部循環器病院(埼玉県越谷市)心臓血管外科部長・田中佐登司医師

 全身の臓器から静脈を経て心臓に戻ってきた血液は、右心房から右心室に送られ、一旦肺に行った後、再び心臓に戻って、左心房から左心室を経て、全身に送られていきます。

 この時、心臓の内部での流れを制御するために各部屋の出入り口に「弁」が設けられています。

 加齢や動脈硬化などが原因となって、この弁が故障したり、本来の役割が果たせなくなるのが「心臓弁膜症」。心臓のポンプ機能が低下して、放置すると不整脈や心不全、多臓器不全などを招いて死に至る重大疾患です。

 症状としては土井さんの感じた動悸や息切れなどがありますが、中には「めまい」を訴える人もいます。

 いずれも忙しいサラリーマンが見逃してしまいがちな症状ですが、循環器系の治療を専門とする医療機関で検査をすれば、早期発見、早期治療が可能なので、思い当たる症状があれば、早目に受診すべきです。

 動脈硬化や糖尿病などのリスクを抱えている人は、定期的に心臓ドックを受けるなどして、重症化を防ぐ取り組みが必要です。

【これで私は助かった!】無痛検査でスキルス胃がん発見!九死に一生

早期診断、早期治療の普及により、以前に比べて死亡率が減少している胃がん。しかし、それは統計上の話であって、がんにかかれば命の保証はない。今回はそんな胃がんの中でも最もタチの悪い「スキルス胃がん」から生還した人の物語。

 ■白川勉さん(30歳=仮名)のケース

 私の場合は本当に偶然が重なったとしか言いようがありません。

 仕事の付き合いで酒を飲むことが多く、その上にプライベートでもほぼ毎日飲んでいました。学生時代からタバコも切らしたことがなく今、思えばいつがんになってもおかしくない生活だったと思います。

 それでも少々飲み過ぎた時期があり、胃のもたれや痛みを感じるようになりました。会社の先輩に相談すると、胃カメラ検査を受けたほうがいいと言われたのですが、それを父に話すと「お前みたいな若造ががんになるはずがない。受けるだけ無駄だ」と笑われました。

 しかし、先輩は20代で胃がんにかかって命を落とした知り合いがいたと言って強く勧めます。無痛検査なら苦しまずに受けられると言うので、先輩の顔を立てるつもりで受けてみたんです。

 受けてみて驚いたことが二つあります。一つは本当に苦しくなかったこと。そしてもう一つが、胃がんが見つかったことです。しかも「スキルス胃がん」という、胃がんの中でも非常に治療成績の悪いタイプのがんです。

 ネットで調べて愕然とし、一度は諦めかけたのですが、検査をした医師の紹介で大学病院に行き、かなり大掛かりな手術を受けたところ、助かることができたのです。

 執刀医も、私の運の良さを繰り返し強調するばかりで、自分の手術のウデよりも、胃カメラで早期発見してくれた医師の眼力に感心していました。

 手術を受けて4年が経ちますが、再発転移はありません。もちろん酒もタバコもやめましたが、面白いのは、会社の仲間たちまで、そろってタバコをやめてしまったのです。

 「胃カメラなんて必要ない」と笑っていた父が、今では毎年、春になると私と一緒に胃カメラの検査を受けています。お腹に大きな手術痕ができましたが、それを見るたびに、命の大切さと早期発見の重要性をしみじみ実感しています。

 ■専門医はこう見る

 渡辺七六クリニック(東京都渋谷区)院長・渡辺七六医師

 胃がんにはいくつかタイプがありますが、中でもスキルス胃がんの予後の悪さは突出しており、白川さんが一度は諦めかけたのも頷ける話です。

 そんなまさに“崖っぷち”から白川さんが生還できたのは、彼自身が「素直だった」ことが大きな要因といえます。彼のお父さんがそうだったように、20歳代の若さで胃がんになるなんて、普通は考えません。

それでも、先輩の勧めに従って検査を受け、がんが見つかった後も医師の紹介する大学病院で手術を受けた-。ある意味「素直にレールに乗った」ことが、彼を生還させたと言えるでしょう。

 実際問題として、この若さで胃がんが見つかることは稀です。しかし、だから放置していいというものでもないのです。

 血便などの明らかな症状が出てからでは取り返しのつかないことも少なくありません。喫煙や飲酒などのリスクがあり、しかも気になる症状がある時は、年齢に関係なく一度は検査をしておくべきです。

「カサンドラ症候群」とは? 夫の“発達障害”に悩む妻が増加中

夫の言動に不満を抱かない妻などいないだろう。ただ、その言動の原因が先天的な脳の病気にあるとしたら──。ここ数年で知られるようになった「大人の発達障害」。「知的障害や言語障害を伴わない自閉症」と定義されるアスペルガー症候群を代表とする自閉症スペクトラム障害(ASD)などがその一例だ。そんな夫と暮らす妻たちが抱える状況や心身の不調を指す「カサンドラ症候群」という言葉がインターネット上などを中心に広まっている。
 
 こうした状況のなか、同じ悩みを抱える、ASDの人のパートナーである妻たちが支え合う「自助グループ」も生まれつつある。東京都多摩市を中心に活動する「ハーンの妻達」は、代表のSORAさん(53)自身、ASDの夫(58)がいる。11年前、ASDの長男と同じ医療機関で診断された。

 夫はお金の管理ができず、自分の会社を二つ倒産させ、SORAさんが働いて家計を支えた。女性問題を起こしたことも。

「夫に悪気はなく、反省もしない。苦労の連続でたくましくならざるを得ず、女性としての幸せと自信を失っていきました」

 ASDへの認知や理解が進むのはいいが、周りから「障害者の夫に理解がない妻」と見られるのではないかと、誰にも打ち明けられない。そんな孤立感がパートナーを苦しめ、心身をむしばんでいく。

「同じ立場の人たちが集まって、自分だけじゃないと知り、気持ちを切り替えられる居場所があれば」と13年に自助グループを立ち上げ、参加者は現在までにのべ200人を超えた。悩みを打ち明け相談する情報交換会のほか、心身の不調を未然に防ぎ、妻が自分の力で回復する方法を考える体験型のワークショップがメーンだ。「夫婦関係を立て直したい」「つらいけれど何とかしたい」という妻たちが多く集う。

「ASDはわかりにくい障害。夫が自覚をしないまま、対応の仕方がわからない妻が全部を背負うには限界がある。夫婦が向き合って解決に向かうために、第三者の介入が必要だと思う」(SORAさん)

 専門外来を持つ昭和大学附属烏山病院(東京都世田谷区)の加藤進昌病院長も言う。

「ASDは先天的な障害で治ることはない。だが障害を本人が受け入れ、基本的な会話のルールや家族や社会との適切な向き合い方を学習、体験すれば、コミュニケーションが円滑になる可能性はある」

 昭和大学附属烏山病院では診療の場に家族を同席させ、対処策を助言することも。またASDの診断を受けた人対象の「発達障害専門プログラム」を実施している。1年かけてコミュニケーションを学んだり自己理解を深めたりし、生活や仕事をしやすくするのが目的。だが、同院のように大人のASDを対象とした医療施設や支援体制はまだ数少ない。

 発達障害の夫(52)との波乱の家庭生活を赤裸々につづり、シリーズ累計10万部を突破したコミックエッセー『旦那(アキラ)さんはアスペルガー』の作者・野波ツナさんが訴える。 「ASDへの理解が広まってほしいと願うと同時に、家族も何らかの困りごとを抱えている状況にも目を向けてほしい」

自閉症の人生:それはあなたが考えているものとは違う

Doctor Stu's Science Blog:コーヒーカップがカチンと鳴る音が、時計台が鳴る音より大きい世界を想像してみてください。道行く人のつぶやきが、ワールドカップの歓声より大きいところを想像してください。

あるいは、電気スタンドが太陽より明るかったり、腐った魚の匂いが一日中つきまとったりするのを...。これが感覚過敏の世界です。
自閉症にはさまざまな種類がある

自閉症の人生がどんなものか、ちょっと想像できないでしょう。「自閉症」と聞くと、1980年代の映画「レインマン」でダスティン・ホフマンが演じたキャラクターを思い出すかもしれません。

彼は社会的ひきこもりで、知的には天才でした。あるいは、叫んだり、体を揺すったり、頭を振り続けている哀れな子どもをイメージするかもしれません。

過度に単純化されたこうしたステレオタイプは、自閉症がいかに多様性に富んでいるかを示しています。自閉症とはひとつの状態ではありません。状態の「スペクトル」なのです。

これが、自閉症が「自閉症スペクトル障害(ASD)」と呼ばれようになった理由です。英国では100人に1人がASDと診断されています。つまり、あなたの知り合いでの中にも自閉症の人がおそらくいます。たとえあなたが気づいていないかったとしても。

自閉症の人は馬鹿ではありません。ちょっと見ただけでは自閉症の人を見分けることはできないでしょう。自閉症は「隠れた能力障害」とも呼ばれます。この症状をよく表している言葉です。

自閉症の人の中には、学習障害やコミュニケーション障害を抱えてる人もいます。しかし、高い知性を持ち、仕事で成功している人もいます。映画みたいな特殊な能力を持った人は非常にまれです。

ASDのすべての人に共通することは、社会生活の困難さです。人の言葉を文字通りに受け取ってしまったり、しぐさの意味を理解できなかったり、場の雰囲気が読めなかったりします。

自閉症の人の多くが、世界を全く違ったように経験しています。「感覚過敏」に苦しむ人たちもいます。すべての感覚が極限まで敏感になり、ちょっとした音、目に入る情景、匂いが、苦痛に満ちた大混乱を引き起こします。

子どもが自閉症的「かんしゃく」を起こすのは、注意を引くためではありません。突如として苦痛の固まりとなった世界から、なんとか逃れようとする痛ましい試みなのです。

彼らが見ている世界は違うと認め、尊重する

自閉症は、一生にわたる症状です。治療法も原因もわかっていません。

しかし、自閉症の人たちが生きやすくなるために、私たちができることはたくさんあります。アスペルガーと呼ばれるタイプの自閉症をもつルーシーという女性の例を見てみましょう。

彼女は、学問的な才能に恵まれた女性です。厳格な日課を持ち、興味の対象は限定され、身体的に不器用で、社会的困難を抱えています。ある日、彼女は病院を訪れました。

看護師による問診を受けたあと、「外で座ってお待ちください。医師がすぐに参ります」と告げられました。

ルーシーさんはその言葉を文字通り受け取りました。数時間後、病院の守衛が発見したとき、彼女は待合室ではなく、病院の外にある公園のベンチに座っていました。

ルーシーさんの事例が示すように、自閉症の人に対して、シンプルで明確な言葉を使えば、誤解の多くは避けられます。彼らは、無口で、無作法で、思いやりのない人間に見えるかもしれません。

しかし、大抵は、社会のエチケットが身についていないだけです。

パニック的な攻撃性、暴言、異常な行動は、恐怖というよりは痛みの表現です。自閉症の人にとって、世界を別の視点で見ることは大変難しいことです。そ

して、私たちができる最良のことは、世界を別の視点で見ることです。自閉症の人が生きている世界は、私たちが感じている世界とは違うことを認め、そのことを尊重するのです。

「自閉症」と診断されたら?対処法は治療法はどんなのがあるの?

脳の発達障害から起こる「自閉症」。現在、自閉症の詳細なメカニズムは解明されていないため、根本的原因を取り除く手術や具体的治療法はありません。

では、自閉症と診断されたら、その後どのような治療を受けるのでしょうか?
ここでは、自閉症の対処法・治療法を紹介します。

◆社会生活を送るためのトレーニング

自閉症の主な症状のひとつ、「コミュニケーション能力の欠如」については、社会生活を送る上でハンディキャップとなります。コミュニケーション能力のレベルを向上させる対策として、自閉症の症状をトレーニングで目立たなくさせる方法がとられています。

繰り返してしまう反復行動や自分のパターンをやめさせたり、社会のルールを教えます。

小さな目標を少しずつクリアしていきます。専門の精神科医などの指導のもと、親や家族が愛情を持って根気良く日々を積み重ねていくことが何よりのトレーニングとなります。
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◆薬物治療は慎重に

自閉症の症状の中で、「多動性」や「儀式的行為」、「自傷行為」などの症状を緩和させるために、薬物治療が用いられます。投与期間は、数か月~数年間にわたることがあります。

ただ、小さい子どもには、薬の分量や副作用が異なるため、慎重に使用されなければなりません。また、薬物治療をしても、自閉症そのものを治すわけでなく、あくまで補助的な治療、症状を緩和する意味合いで使用されます。
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◆症状によっては改善の可能性も

IQ70以上の高機能自閉症アスペルガー症候群の場合、知的レベルが一定なので、5~7歳までに言語でコミュニケーションできるように成長していれば、社会生活を送る上でのハンディキャップは軽減される可能性もあります。

また、幼児期に自閉症と診断されても、成長するにつれて症状が改善される場合があります。ただ、環境や行動の変化になかなか対応できないなど、改善されにくい症状もあります。
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◆誤解される病気を支えるのは家族

自閉症の子どもは、一見健康に見えるため、周囲から「しつけがなってない子」と誤解されてしまうこともあります。
自閉症を取り巻く環境は、少しずつ改善されてきてはいるものの、正しい理解を得るにはまだまだ時間を要するのも事実です。

そんな厳しい現実の中で、自閉症の子どもが社会生活に適応していくためには、家族や周囲の協力が必要不可欠です。
ママをはじめ、自閉症の子どもを持つ家族は強いストレスを抱え、孤立してしまうこともあります。

専門の小児科医や精神科医を見つけ、自閉症とはどのような病気なのかをきちんと理解し、コミュニケーションをとる努力を積み重ねていくことが大切です。

いまだメカニズムが解明されていない「自閉症」。原因と症状って?

首がすわって、腰がすわり、つかまり立ちをして、やがて歩き出す。

子どもの体の成長を目にすることはうれしいものです。でも、言葉やコミュニケーション能 力の遅れは、その子の個性なのか、それとも何かの病気なのか、判断が難しいもの。

「もしかして自閉症かもしれない」と心配するママもいるでしょう。
ここでは、自閉症の原因と症状を紹介します。

◆自閉症は出生前から

自閉症はその言葉から、何かのトラブルがきっかけで自ら心を閉ざしてしまったという印象を持たれがちですが、自閉症は先天的な病気です。現在、自閉症の病気発症のメカニズムは解明されていませんが、脳機能の違いが原因と考えられています。

出生後に何か大きなショックを受けて、自分の殻に閉じこもっているという間違った解釈をされることもありますが、幼少期の体験や親の子どもへの接し方とは無関係です。
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◆症状の特徴

自閉症の主な症状は、「対人交渉の質的問題」と「コミュニケーションの質的問題」、そして「イマジネーション障害」です。通常3歳までに顕著に表れます。 抱っこされたい素振りも見せず、目で合図を送らない、笑わないといった兆候があります。

日本自閉症協会によると国内の自閉症患者数は約36万人。男性に多く、女性の約4倍を占めます。軽度の症状の患者まで含めると、「100人に1人はいる」という説もあります。

◆対人交渉の質的問題

自分と相手の関係を正しく理解できず、不適切な行動をとります。人見知りせずに、誰にでも平気で抱っこされたり、両親や家族が自分にとって大切な存在だと理解できません。反対に、ママだけに極端に依存する子などもいます。
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◆コミュニケーションの質的問題

言葉を発しても意味のない言葉使いやオウム返しをします。言葉の発達の遅れよりも、言葉の偏りや奇妙さが自閉症の診断のポイントとなります。
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◆イマジネーション障害

環境の変化や相手に合わせて臨機応変に対応することが苦手なので、自分の行動パターンが変わることに強く固執します。特定の動作を繰り返したりするのも特徴です。不測の事態が起きるとパニックを起こしてしまうこともあります。
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◆厳しく叱る前に

自閉症の重傷度を定める上で指標となるのが、知的レベル。約8割近くの自閉症患者の知的レベルはIQ70以下。ただ、計算や記憶など特異な分野で能力が高 く、症状が軽度の自閉症もあります。

近年は早期発見から、知的障害を伴わない高機能自閉症「アスペルガー症候群」の報告が増えています。一見正常に見えるため、家族でも自閉症だと気付かずに、厳しくしつけをしてしまう恐れがあります。

ひとりひとりの個性があるように、その子に合った成長のスピードがあります。でも、もしママが少し心配な様子が見て取れたら、小児科医に相談しましょう。

パニック障害体験談■ 医師の診断とその後の症状

特定の場所やシチュエーションの中で突然不安な気持ちになったり、体調に変化が出るなどして、その場から逃げだしたくなったりします。例えば電車の中や自動車の運転中等、拘束された環境で症状が出やすくなります。

私がパニック障害と診断されたのは2年前でした。

■ 経験したパニック障害の症状への道のり

◎ キーンという耳鳴り、耳閉感

はじめは聞こえたり消えたりの繰り返しでしたが、ついに四六時中症状がでるようになってしまいました。

◎ ふわっとするめまい

いつもエレベーターか小型の船に乗っている感じでした。

◎ 自動車の運転が怖くなる

耳の不快感、めまいから、自動車の運転が怖くなってしまいました。

◎ 買い物に出掛けたくなくなる

レジで並ぶのが辛く、買い物中、急な腹痛、動悸に見舞われてしまいました。

◎ 医師の診察中にパニック発作

呼吸が苦しくなり、手が震え、動悸に見舞われるようになり、ここで診断がつきました。

・自動車の運転ができなくなってしまいました。

・「こんなはずではないのに」という気持ちから、毎日泣いてばかりいました。

耳鼻咽喉科及び脳神経外科にて頭部MRIの診断は異常はありませんでした。突発性難聴でもありませんでした。内科にて心電図をとりましたが、異常はありませんでした。

◎ ふりかえると……

耳鳴りを経験する半年ほど前から就活をしていました。結婚後ということで正社員では採用が決まらず、毎日ハローワークのウェブサイト、派遣会社のウェブサイトをチェックしていました。大変焦っていたのは確かです。

気のおけない人達との飲み会で突然不安感に見舞われ、呼吸しづらくなってしまい、途中で失礼したのもその頃でした。

■ 医師の診断とその後の症状

診断されたクリニックが内科だった為、主人のすすめでその後メンタルクリニックで診察を受けなおしました。困った症状を訴えているその最中にも呼吸が苦しくなったり、手が震えたりした為、診断がつきました。

はじめのクリニックで処方された抗不安薬を服用していましたが、メンタルクリニックでセロトニンをコントロールする目的でセロトニン再取り込み阻害薬である抗うつ薬(ルボックス)を処方されるも体に合わず、丸2日間起き上がれない等不具合が出ました。

現在は抗不安薬と漢方薬で精神神経症状の様子を見ている状況です。メンタルクリニックには月1回受診しています。少しずつ行動範囲を広げるべく、努力中です。

余談になるかも知れませんが、月経困難症(傷みがひどい)のため、経口避妊薬で月経をコントロールしています。

自動車の運転も、長距離でなければ気にならなくなりました。毎日スーパーのチラシをチェックして買い物にも行けるようになりました。レジで並ぶのも気になりません。

■ おわりに

◎ 異変にきづいたらどうする?

「めまいが続く」「眠りに異変が出てきた」「耳鳴りが続く」等、いつもと違う体の異変に気づいたら、早めにメンタルクリニック等、こころの状態を診てくださる方に相談するのがいちばんです。

◎ やっぱり、食事、運動、休養に留意する

仕事漬けで食事がおろそかなのに、運動が好きでジム通い……が筆者の若い頃の日常だった気がしています。長い間、自分が知らないうちに自分を傷つけていたのでは?と考えています。

バランスのよい食事を欠食せず、軽く汗ばむくらいの運動をし、ぐっすり眠る。これができればいつの間にか心から笑える日が来る!と信じて日々過ごしています。

◎ ストレス対策を見つけておく

ストレスフルの状態が普通になっている方、多くないでしょうか? 交感神経優位になっていませんか?自分に合った、ストレスの解消方法を見つけておき、できるだけ早くケアする事をおすすめします。

参考までに筆者は、腹式呼吸をゆっくり行うようにしたら、少しずつですが、落ち着いてきた気がしています。

自閉症の女の子は男の子よりも症状を隠すのが上手

広く知られるようになった「自閉症」。あなたは自閉症についてどれほどの知識がありますか?

自閉症とは社会性に乏しく、他人とコミュニケーションを取る能力が極めて低い症状のことをいいます。子どもが自閉症になるケースも多く、それを小児自閉症と呼びます。

ロンドンカレッジ大学の研究によると、女の子の方が男の子よりも自閉症の症状を隠すのが上手で、周りが彼女が自閉症だと気づく確率は男の子のそれと比べてかなり低いことがわかりました。

研究では3500人以上の子どもを対象に1990年代に行われたものを再検証しました。子どもに4つの感情を表現してもらいます。

怒った顔、悲しい顔、幸せな顔、怖い顔です。絵を見たり、特定の指示に合わせてこれらの表情を作るのですが、自閉症の子どもは悲しい顔をするべき時に、ニコニコ笑ってしまうケースなど、指示をきちんと受け止められないケースが多かったそうです。

しかし、その中でも女の子の方が男の子よりも上手に指示に従うことができることが明らかになりました。

研究に従事したコターリ博士は、男の子はその表情で自閉症であるかないかの判断が比較的簡単だが、女の子の方がうまく相手とコミュニケーションができてしまうので、たとえ自閉症でもそうではないと判断されるケースが多いと述べています。

気をつけないと自閉症で苦しんでいる子どもを問題ないと判断してしまうことになってしまいます。

私たちの身近にも自閉症のお子さんを抱えている方がいるでしょう。自閉症を抱える子どもの親になるということは、私たちが思う程簡単なことではないのです。

当事者ではない私たちが、子どもたちの行動だけを見て、自閉症だとかそうではないとか簡単に判断しないように注意したいですね。

自閉症の女の子は男の子よりも症状を隠すのが上手

広く知られるようになった「自閉症」。あなたは自閉症についてどれほどの知識がありますか?

自閉症とは社会性に乏しく、他人とコミュニケーションを取る能力が極めて低い症状のことをいいます。子どもが自閉症になるケースも多く、それを小児自閉症と呼びます。

ロンドンカレッジ大学の研究によると、女の子の方が男の子よりも自閉症の症状を隠すのが上手で、周りが彼女が自閉症だと気づく確率は男の子のそれと比べてかなり低いことがわかりました。

研究では3500人以上の子どもを対象に1990年代に行われたものを再検証しました。子どもに4つの感情を表現してもらいます。

怒った顔、悲しい顔、幸せな顔、怖い顔です。絵を見たり、特定の指示に合わせてこれらの表情を作るのですが、自閉症の子どもは悲しい顔をするべき時に、ニコニコ笑ってしまうケースなど、指示をきちんと受け止められないケースが多かったそうです。

しかし、その中でも女の子の方が男の子よりも上手に指示に従うことができることが明らかになりました。

研究に従事したコターリ博士は、男の子はその表情で自閉症であるかないかの判断が比較的簡単だが、女の子の方がうまく相手とコミュニケーションができてしまうので、たとえ自閉症でもそうではないと判断されるケースが多いと述べています。

気をつけないと自閉症で苦しんでいる子どもを問題ないと判断してしまうことになってしまいます。

私たちの身近にも自閉症のお子さんを抱えている方がいるでしょう。自閉症を抱える子どもの親になるということは、私たちが思う程簡単なことではないのです。

当事者ではない私たちが、子どもたちの行動だけを見て、自閉症だとかそうではないとか簡単に判断しないように注意したいですね。

【これで私は助かった!】ボケかなと思ったら“肝性脳症”だった!重大疾患の前兆を見逃すな  

人間、年を取ると色々な症状が出てくるもの。まして多少の痴呆がある人は、周囲がよほど注意していないと、その症状がボケなのか、あるいは内臓疾患によるものなのかの区別がつきにくい。高齢者に多い「肝性脳症」も、そんな病気の一つだ。

 ■豊岡一志さん(仮名)のケース

 父(79)は若い頃は大酒飲みで、60代前半で肝機能障害を指摘されました。5年前には肝硬変と診断され、それ以降は年齢的な衰えから量は減ったものの、毎晩何かしらのアルコールを口にしない日はありませんでした。

 最近は痴呆が出始め、コミュニケーションはおおむね問題ないものの、物忘れは顕著になりました。昔のことは覚えているのに、新しい知り合いや、昨日や今日の出来事をきれいに忘れる感じです。

 そんな数カ月前のこと、父が母に反抗するようになったのです。酒好きでも優しい性格で、特に母を怒鳴りつけたりすることは絶対になかった父が、声を荒らげて母を怒鳴りつけたり、口答えをするようになったのです。私も私の女房も驚きましたが、母は冷静でした。

 「これはボケじゃない。何かおかしい!」

 そう感じた母は、父が肝硬変の治療で通院しているかかりつけ医に相談。医師も不審に思い、脳のMRIなどの検査をしたところ、「肝性脳症」であることがわかったのです。

 少し前に腹水がたまり出したので利尿剤を使っていたのですが、それが効きすぎていたらしく、尿として排出されるべき老廃物が脳に流れてトラブルを起こしていたというのです。

 たまたま早期で見つかったからよかったものの、放置すれば昏睡(こんすい)に陥り、そのまま肝不全で命を落とすこともあると聞き、冷や汗が出てきました。

 ひと月ほど入院して点滴治療を受けた父は、痴呆の症状はそのままですが、以前の「母には優しい父」に戻っていました。

 怒鳴りつけられながらも、「ボケとは違う」と感じて医師に相談した母の冷静さに、夫婦の絆を感じさせられた思いです。

 ■専門医はこう見る

 キッコーマン総合病院(千葉県野田市)院長代理・三上繁医師

 肝硬変になるとアルブミンという血清タンパクの濃度が低下します。すると血液が薄まって水っぽくなり、血管壁を通過して外に漏れ出してしまいます。この現象が脚などで起きると「むくみ」、おなかで起きると「腹水」となります。

 肝硬変の人でアルブミンの値が落ちてくると、余計な水分を体内にためないようにするため利尿剤を使うことがありますが、その効果が強すぎると、血中の不要な物質が蓄積されて、その一部が脳にも流れていく。

そこで脳がダメージを受けるのが「肝性脳症」です。

 初期症状としては「ちょっとリアクションがおかしい」「話がかみ合わない」といった感じで、これは痴呆の症状に似ています。

これが進展すると命に関わる状態になるので、豊岡さんのお母さんが見抜いたのは見事としか言いようがありません。

 もう一つ特徴的な症状に「羽ばたき震戦」といって、手の先がピクピクと震えるものがあります。

 肝機能が悪い人が利尿剤を使った後、急に性格が変わったり、手の先の震えが見られる時は、すぐに主治医に相談して下さい。特に痴呆の症状がある人は、その判別が難しいので、注意深い観察が不可欠です。

【これで私は助かった!】大疾患後の後遺症はあきらめずに解消!

運よく重大疾患から逃れることができても、直後に別の重大疾患が控えていることは珍しいことではない。中でも「後遺症」が残った時は、簡単にあきらめるのではなく、できることから解消していく姿勢が重要だ。

 ■杉山哲哉さん(61)=仮名=のケース

 58歳の時、自宅でくつろいでいる時に脳梗塞で倒れ、病院に担ぎ込まれたんです。

発症から血栓溶解剤を投与するまでの時間が短かったことと、リハビリがうまくいったこともあり、会話に多少不自由な点は残ったものの、概ね滞りなく日常生活を送ることができるまでに回復しました。

 ただ、一つ気になっていたことがあったんです。それは「食事の時に、何となく飲み込みにくい」という点。といっても、飲み込めないわけではなく、「スムーズではない」といった感じ。

時々むせることはありましたが、「脳梗塞をやったんだから、まあこんなものなのだろう」という“あきらめの気持ち”があったのは事実です。

 ところが、次第にこの症状がひどくなり、人前で食べるのが恥ずかしくなってきました。主治医に相談すると耳鼻咽喉科の医師を紹介され、検査の結果、のどの知覚が低下していて、「嚥下障害」があることがハッキリしました。

 そこで、飲み込むことの訓練をすることになったのですが、せっかく脳梗塞から生還したのに、また別のリハビリをしなければならないことが情けなくなり、最初はあまり真剣になれなかったんです。

ところが、一つコツをつかむと、意外にあっさり飲み込める。というより、むせる、吐き出す-という「失敗」がないことがうれしくなって、次第に耳鼻科に通うのが楽しくなってきました。

 今では人前での食事も恐くなくなり、食べる量も増えてきました。見た目にも健康そうに見えるようで、数年前に大病したことがウソのような気さえしています。

 ■専門医はこう見る

 山川耳鼻咽喉科医院(東京都港区)院長・山川卓也医師

 嚥下障害のきっかけはさまざまで、のどの骨の形の変形や、神経の病気が原因で「飲み込み」が悪くなることもあります。

 嚥下機能が低下することで受けるダメージは想像以上に大きく、食べることへの意欲の低下が食欲不振を招き、栄養状態を悪化させます。

そうして免疫力が低下したところで飲み込みに失敗すると、誤嚥(ごえん)性肺炎を招いて生命の危険さえ背負い込むことにもなりかねません。

事実、寝たきりの高齢者の場合、死因のかなりの割合を誤嚥性肺炎が占め、その大元に嚥下障害があることは珍しいことではないのです。

 ですから「飲み込みにくい」「食べる時に困難感が生じる」場合は、早めに対策を講じるべきです。

 嚥下障害の改善策はさまざまで、その人の症状に応じた対応が求められますが、放置して治ることはありません。あごを落とす姿勢を取る、首のポジションを変える。

のどの片側の機能が落ちている時は、麻痺している側の声帯を指で押さえることで飲み込みやすくなることもあります。

 また、舌の知覚が落ちて嚥下機能が落ちている時には、氷をなめることで舌の知覚を取り戻す訓練もあります。

 人間にとって「食べること」は生きるための基本中の基本。この行為に自信や興味を無くすことは、生きることへの意欲を無くすことに直結します。少しでも違和感があるなら、耳鼻咽喉科に相談されることをお勧めします。

【これで私は助かった!】飛行機の長旅で胸に痛み!肺血栓塞栓症だった  

飛行機に乗るときは、落ちる心配よりも自分の血管の心配をすべきだ。水も飲まずに長時間じっとしていれば、血液がドロドロになるのは自明の理。これが冠動脈で詰まれば狭心症や心筋梗塞、肺に飛べば肺血栓塞栓症。いずれも命取りだ。

 ■野本肇さん(44歳=仮名)のケース

 海外出張で2週間ほどアメリカに行ってきたときのこと。ニューヨークを拠点として、国内のあちこちに出張していました。かなり遠方への出張もあり、一日の大半を飛行機かレンタカーの中で過ごす毎日。すべての日程を終えて成田行きの飛行機に乗ったときにはヘトヘトでした。

 NYから成田までは14時間ほど。とにかく疲労が激しく、窓際の席だったこともあり、食事以外はほとんど眠り続けました。たまに目が覚めたらビールを飲んでまた眠る-の繰り返しです。

 異変は成田に着いてからのこと。入国手続きのあたりから何となく息苦しくなり、胸が痛むような症状が出始めたんです。迎えに来た妻の運転する車の中でそのことを話すと、「恐いから病院に寄ろう」と言います。

でも激痛ではないので、私は一度家に戻って様子を見てもいいと思ったのですが、次第に息苦しさが増してきたので、妻の意見に従って病院に直行。検査の結果、「肺血栓塞栓症」と診断され、すぐに血管内治療で血栓を取り除く処置が取られました。

 幸いにも私の場合は血栓が小さく、症状も小さかったのですが、それだけに見逃したら危険でした。放置して大きな血栓が飛んだら、命を落としていたはずです。医師から「命拾いをしたね」と言われて、冷や汗が流れました。

 その一件以来、当面飛行機を使う出張は見合わせていますが、新幹線の中でも、ビールを飲まずに水を飲み、通路側の席を予約して1時間ごとにデッキに出て屈伸運動をするように心がけています。

 ■専門医はこう見る

 大阪厚生年金病院(大阪市福島区)鈴木夕子医師

 以前は「エコノミークラス症候群」という名前で知られた病気ですが、席種に関係なく起こり、また入院中の患者のような「寝たきり状態」の人にも多く発生する病気なので注意が必要です。

 最近は震災の影響で「車の中での生活を余儀なくされている人」にもリスクが高いことから話題になりました。

 身動きのとりにくい環境下で、十分な水分摂取ができないことで、脚の静脈の血流がうっ血し、血栓ができる(深部静脈血栓症)。この血栓が血管壁から剥がれて血流に乗って流れていき、心臓を通り過ぎて肺の血管で詰まると「肺血栓塞栓症」となります。

 治療法は野本さんが受けたカテーテル治療の他、血栓溶解剤の投与や外科的手術などがありますが、いずれも早期診断が求められるので、病院に直行した奥さんの判断は正解です。

 今回は小さな血栓だったので事なきを得ましたが、血栓ができるリスクを持っていることがわかったので、今後も長時間の移動の際にはいま実践されていること以外にも、弾性ストッキングというふくらはぎを締め付けるストッキングの着用や、脚をまっすぐのばして血栓ができにくいようにするなどの工夫が重要です。

【これで私は助かった!】“若年性アルツハイマー”早期発見&対応が大事!

老後の不安の代名詞ともいえる「認知症」。しかし、この病気が襲うのは、老後ばかりとは限らない。働き盛りの背後に忍び寄る若年性アルツハイマーには、早期発見と的確な対応が不可欠だ。

 ■石川精一さん(56)=仮名=のケースM

 大手精密機器メーカーの基幹工場で総務部に務める石川さんは、安全管理の指導を担当するセクションの課長代理。真面目一徹で、支店内の各部門からの信頼も厚い。

 そんな石川さんに異変が起きたのは2年前のこと。毎月、彼が責任者としてまとめている月報に、ミスが目立つようになってきたのだ。

 自分では何度も確認したつもりなのに、ミスがなくならない。そのうち、自分の仕事に自信を無くして、ふさぎ込むようになってしまった。産業医が「うつ症状が見られる」と判断し、心療内科を受診したが改善しないまま半年が過ぎた。

 産業医は月に一度、石川さんと顔を合わせているのに、どうも話が噛み合わない。そこで「念のため」と頭部のMRIを撮ってみたところ、海馬にアルツハイマーの所見を確認。若年性アルツハイマーだったのだ。

 認知症に詳しい内科医に紹介され、病気の進行を遅らせる薬を処方。事態を知った会社では、関係する職員に事情を説明し、石川さんの勤務が続けられるサポート体制を敷くことになった。

 こうした取り組みが総合的に効果を発揮し、石川さんは徐々に明るさを取り戻し、病気は緩やかに進行してはいるものの、業務に支障が出ることも、石川さんがふさぎ込むような事態も回避することができている。

 家族は「定年まで勤められるかどうかはわからないが、早期で認知症を発見し、温情ある措置を講じてくれた会社に感謝しています」と話している。

 ■専門医はこう見る

 クリニックうしたに(宮崎市)院長・牛谷義秀医師

 認知症というと高齢者の病気と思われがちですが、実際には若い世代でも一定数の患者がいます。ただ、若いということで認知症を疑わず、うつやストレス性の症状と判断されて、正しい治療が受けられないケースも決して少なくありません。

 そんな中で、石川さんの若年性アルツハイマーを疑い、画像診断をした産業医の判断は見事と言えます。

 サラリーマンにおける認知症の初期症状としては、「それまでできていた仕事ができなくなる」という特徴的な傾向が見られます。去年より今年、先月より今月、確実に仕事の質が低下しているようなら要注意。それまで当たり前のようにこなしてきた仕事が、何日かかっても終わらないような状況が見られたら、年齢に関係なく認知症を視野に入れて考えるべきでしょう。

 もし認知症と診断された時は、周囲の理解と情報の共有化が重要になってきます。周囲が仕事を分担してサポートするだけでなく、組織として見守るという姿勢が不可欠です。

 その上で、仕事が不可能となった場合も、障害年金的な公的扶助の制度があるので、家族が会社と連携しながら「それからの人生設計」を考えていく必要があります。

 認知症と診断された時点で人生を悲観するのではなく、「この時点で何をすべきか」を考えることが大切。そのためにも「早期発見」は意味のあることなのです。

【これで私は助かった!】血液検査で肝機能が低下…がん見つかる

「沈黙の臓器」と言われる肝臓。病気になっても症状を出さずに頑張り続け、いよいよ症状が出た時には手遅れになっていることの多い重要臓器だ。そんな肝臓のがんの前段階には、慢性肝炎と肝硬変があるのだが…。

 ■平野幹夫さん(56)=仮名=のケース

 きっかけは市の健診で受けた血液検査でした。30年前に脱サラして以降、健康診断なんて受けたことがなかったのですが、結果としてそのツケが回った形になってしまいました。

 他の項目は問題なかったのですが、肝機能だけが悪かったので、病院で詳しく調べてもらうと、2センチほどのがんが見つかったのです。

 肝臓に刺した電極の先からラジオ波を流す治療でがんは焼灼(しょうしゃく)したのですが、これで私がC型肝炎に感染していたことが判明したのです。

 実際にはC型肝炎が慢性化し、その後、肝硬変に移行したのちに、がんができていたのでした。

 そこでがん治療のあとに、抗ウイルス薬による薬物治療が始まりました。発熱や倦怠感などの副作用が出て、治療から逃げ出したくなることもありましたが、なんとか頑張って続けた結果、ウイルスを消すことに成功しました。

 しかも、肝硬変ということで諦めていた肝機能の方も、どういうわけか少しですが改善してきたのです。

主治医によると、肝硬変まで進んでいても、治療をきちんと受けて節制をすると、少しは肝臓が柔らかくなることがあるそうで、自分の体のことながら、勉強になりました。その後も定期的に検査を受けていますが、これまでのところ、がんの再発はありません。

 自分の健康に目を向けなかったことの代償として、今では私が、周囲の友人に会うたびに「健診を受けろ」と勧めて歩いています。

 ■専門医はこう見る

 キッコーマン総合病院(千葉県野田市)院長代理・三上繁医師

 肝炎ウイルスに感染していることがわかっていれば、定期的なチェックを受けることになります。そうでないと感染に気付くきっかけがなく、平野さんのようなケースをたどることがあります。

 そんな中で、早期がんで見つかり、治療が奏功してがんも、またC型肝炎ウイルスの排除も成功したとのこと。非常にラッキーなケースと言えるでしょう。

 C型肝炎ウイルスへの感染源は、医療環境が不衛生だった時代の注射、手術、輸血、あるいは医療機関以外でのイレズミなどが主たるルートです。

 感染すると急性肝炎を発症します。この時の症状の出方は個人差が大きく、高熱から感染がわかることもあれば、比較的症状が軽いと「カゼ」と間違えて、そのまま治療が受けられないこともあります。

 こうなると、その先で肝炎ウイルスへの感染を知るチャンスはなかなかなく、平野さんのように病気が進んでから肝機能の低下を招き、初めて気付くことにもなりかねません。今、50歳代以上で、先に挙げたような感染リスクの経験を持つ人は、十分な注意が必要です。

 ただ、病気が見つかってからの平野さんの対応は見事です。抗ウイルス薬の治療は人によって副作用が強く出ることがあるのも事実ですが、見事に克服されたようです。

 これからも定期的な検査の受診を怠らず、がんの再発予防に留意してください。

視線を合わせない自閉症の特徴、乳幼児期から確認

他人と視線を合わせないという自閉症の特徴は、乳幼児期の段階から確認できるかもしれないとする米研究チームの論文が、6日付の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。今回の研究では、生後2か月という早期からこの特徴が確認された。

 目を合わせることを避ける傾向は、長らく自閉症の特徴の一つと認識されてきたが、これを早期診断の手段とする可能性は追究されてこなかった。

 研究チームは視線追跡技術を用いて、乳幼児110人を誕生から2歳になるまで調査した。保育士に扮した俳優が、ゲームをしながら話しかけるビデオを見せて、視聴している乳幼児たちが俳優の目を見ているかどうかを観察した。その結果、13人が後に自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断された。

 ASDと診断された子どもたちについて、論文の共著者で米エモリー大学(Emory University)医学部のウォーレン・ジョーンズ(Warren Jones)氏はAFPの取材に対し「2歳になるまでに、母親の目を見る度合いが着実に減っていった」と説明した。この兆候は生後6か月以内でも確認され、生後2か月でみられた乳児もいたという。

 今回の研究では、視線を避ける傾向が人間の発達の早い段階で表れるということに加え、ASDの子どもは最初から他人と目を合わせないのではなく、徐々に視線を合わせる回数が減っていくことも突き止めた。

「この2つの要素により、将来的にASDの治療は、初期段階から介入する方法へと劇的に変わる可能性がある」と、米マーカス自閉症センター(Marcus Autism Centre)の所長で論文共著者のアミ・クリン(Ami Klin)氏は語る。 

 自閉症の治療法はないが、これまでの研究から早期の行動療法によって自閉症の子どもたちの学習能力やコミュニケーション能力、社会性などが向上することが分かっている。

 世界保健機関(World Health Organisation、WHO)によると、ASDと診断される子どもは160人に1人の割合だという。

「なんだ「なんだか不調…」自律神経を整えたければ「まず笑え!」の理由とは?か不調…」自律神経を整えたければ「まず笑え!」の理由とは?

自律神経が乱れたことによって引き起こされる。その病の名は「自律神経失調症」

だるい、すぐ疲れる、食欲がない、下痢、便秘、体が冷える、常にイライラ、やる気が出ない、肩こりがひどい……これらは自律神経が乱れたことによって引き起こされる。その病の名は「自律神経失調症」。耳にしたことがある人も多いだろう。
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“笑い”は日本人の死因の1~4位までを予防する!?

自分で意識しなくても、環境に応じて身体の状態を自動的に調節してくれる神経が「自律神経」。ストレスの多い現代、この自律神経がうまく機能しなくなってしまったことによって、多くの人が苦しめられている。とはいえ、これらは今すぐ命にかかわるような深刻なものではなく、毎日の中で「なんかツラい」「どうにもツラい」程度で流してしまうようなレベルのもの。これこそ、「自律神経失調症」の特徴なのだ。

ということならば、私たちに不調をもたらすこの自律神経をどうすれば整えられるのか、というお話なのだが、実は改善になによりうってつけの行動があるという。落語家で医学博士の立川らく朝さんが勧めるのが、「笑うこと」だ。

実は“笑い”は自律神経失調症だけでなく、日本人の死因の1~4位を占めるガン、虚血性心疾患、肺炎、脳血管障害まで予防することが医学的に証明されているのだ。

笑いは身体をリラックスモードにモード変換してくれる

では、具体的にはどうすればいいのだろうか?

「簡単なんです。笑うんですよ。じつは笑うと副交感神経が活発になり、交感神経よりも優位な状態になることがわかっています」(立川らく朝さん)

笑うだけで、リラックスモードを司る副交感神経が活発になり、ストレスモードで働く交感神経優位によって引き起こされていた様々な体の不調が改善する。そしてあなたの笑顔はきっと、あなた自身だけでなく周りも笑顔にしていくだろう。……なんて単純でオイシイ話だろうか。

交感神経、副交感神経の関係性など、自律神経にまつわる詳しいことは立川らく朝さんの著書『落語で不調を改善! 笑って自律神経を整える』に書いてある。漠然とした不調に悩む人はぜひとも一読して、付録のCDを聞いてみてほしい。大笑いして、不調なんて吹き飛ぶはずだ。

侮れない“古くて新しい病気”「結核」を疑う4つの初期症状(2)

 しかし一方で、WHO(世界保健機関)が2013年に推定した資料によれば、世界で860万人が毎年新たに発症し、年間130万人が死亡。さらに結核治療薬が効きにくい多剤耐性結核の推定患者数は45万人で、年間約17万人が命を落としているという。

 結核感染者全体が減少傾向にある中で、この多剤耐性結核菌による死亡者だけが4年前より2万人以上増えているのだ。

 「そのためWHOは、“多剤耐性結核菌への対応の不備は、公衆衛生上の危機に当たる”として警告、治療薬の供給体制などを緊急に整える必要があると強調しています。

日本でも死亡原因で1位から後退したとはいえ、新規の患者は年間約3万人。これは、WHOが警告しているように抗生物質が効かず、治療法がない感染が拡大しているからだと思います。

ハイリスク集団として、結核の“高蔓延国”からさまざまな目的で日本に入ってくる外国人にも目を向けなければならなりません」(前出・医療ジャーナリスト)

 日本における結核の現状は、全国に蔓延していた時代から、都市部を中心とした高齢者に集中する時代に変わってきた。

 「現在の高齢者は、若い頃に結核流行時を経験している人が多い。“一度患うと感染しない”といった説もあるようですが、体力や免疫力が低下したときに、眠っていた菌が再び目を覚まして発病するとも言われている。

逆に、若い世代は未感染のため菌を吸い込むと感染しやすく、比較的早い時期に発病します。ましてや、2万人を超えたとされるHIV感染者ともなると、体力が落ち込んでいるために結核菌に侵されやすく、命取りになる可能性が高くなります」(同)

 専門家の間では、「HIVと結核の合併は今後、大きな問題となる危険性を孕んでいる」と警戒感が強まっている。

 では、どうしたら結核から逃れられるのか。重要なポイントは、
 (1)睡眠を十分にとる。
 (2)適度な運動をする。
 (3)好き嫌いなくバランスの取れた食事を摂る。

 そして、次のような症状がある場合、専門医を受診すべきだという。
 (1)2週間以上の長引く咳。
 (2)痰が出る。
 (3)微熱が長引く。
 (4)倦怠感が長く続く(体がだるく活力がない)。
 (5)体重の減少。

 東京社会医学研究センターの大畑保氏は、次のように指摘する。

 「抗生物質が効かない結核が増え始め、感染の拡大につながっていることに加え、注目すべきは若い医師が結核を見逃してしまうケースが多々あること。日本では結核患者数が減ったことで、疑わない医師が増えているのです。

また、めったに診ないので経験が積めない。結核は検査しても見つけにくいこともあるし、症状が風邪に似ているために放置される場合もありますので注意が必要です」

 “古くて新しい病気”とも呼ばれる結核。その落とし穴が、意外にも身近に存在することを意識しなければならない。

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侮れない“古くて新しい病気”「結核」を疑う4つの初期症状(1)

 日本の新規結核羅患率は、人口10万人当たり16.1人(2014年・厚労省調べ)で、実は10人以下の欧米先進国に比べ患者数は多く、世界の中では依然として“結核の中蔓延国”とされている。

 2013年10月、東京・八王子の40代の男性教諭が肺結核の発病に気づかず授業を続けていたため、他の教諭や生徒など15人が結核に感染した。

また同月、滋賀医大に勤める30代の女性看護師が患っていることも判明。さらに徳島県の開業医が発病していることも分かり、改めてその脅威を知らされる事態となった。

 そもそも、なぜ結核は発生してしまうのか。
 東京医療センター呼吸器科の外来担当医は、こう説明する。

 「結核とは、“結核菌”という細菌が引き起こす“おでき”のようなものと考えていいでしょう。最初は炎症から始まり、患った場所が肺であれば肺炎のような症状が出ます。さらに悪化すると組織がダメになって化膿に似た状態になります。

肺結核では、この状態がかなり長く続き、レントゲンなどに映る影の大半がこの時期の病巣です。その後、組織がドロドロに溶けて咳やクシャミと一緒に気管支を通って肺の外へ出され、病巣は空洞になる。

ポッカリと空いた空洞なので、空気も肺からの栄養も十分にあり、結核菌には絶好の住家となって、菌がどんどん増殖するのです」

 そして担当医はさらに、その怖さを説く。
 「増殖した菌は肺の他の部分に飛び火したり、リンパや血液の流れに乗って他の臓器に対し悪さを始めることもあります。

こうして、結核は肺全体、全身に拡がり、最後には肺の組織が破壊され、呼吸困難や他の臓器不全を起こして命の危機を招くことになります。ですから、咳や痰やクシャミが2週間以上続いたら、まず医療機関に診てもらうことが大事です」

 このように、結核が厄介なのは全身の至る所に病を作るという点だ。冒される臓器としてはリンパ節が最も多く、特に多いのが首の脇が腫れるもので、昔は“瘰癧”と呼ばれた。

また、骨や関節にもできる。中でも背骨の脊椎カリエス、腎臓の腎結核が多く見られ、腎結核の場合は膀胱などを巻き込むこともよくあるといわれる。

 「その他、咽頭、腸、腹膜、眼や耳、皮膚、生殖器にまで広がることもあり、中でも最も怖いのは、脳に至ることです。結核菌が血管を通って全身にばらまかれ、脳を包んでいる膜(髄膜)にたどり着き、そこに病巣を作る。

現在では、全身に結核菌がばら撒かれる粟粒結核の場合、早く発見できれば助かりますが、髄膜炎では治療が少しでも遅れると3分の1近くが命を落とし、治っても脳に重い後遺症が残る可能性があるのです」(健康ライター)

 また、あるベテランの医療ジャーナリストはこう語る。
 「結核で多くの人が亡くなっていた時代、死因は肺の大部分が結核菌に破壊されるケースと、腸の結核で栄養が取れずに死亡するケースとで、ほぼ半々でした。

それが特効薬『ストレプトマイシン』などが登場し、結核菌による炎症の発達を止める効果を上げ、その後の病気の進行を抑えて治療への道筋をつけたのです」

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【これで私は助かった!重大疾患の前兆を見逃すな】腰を曲げた方がラク…脊柱管狭窄症かも

長く歩けない、腰が曲がってきた-。いずれも「年のせい」と考えてしまいがちだが、こうした症状の背景に「脊柱管(せきちゅうかん)狭窄症」という疾患が隠れていることがある。早めに治療することで「健康な腰」を取り戻すことも可能なのだ。

 ■山本善治さん(60=仮名)のケース

 私の場合、腰が曲がるというより、曲げたほうがラク-というのが本当のところでした。ゴルフが唯一の趣味だったのに、この1年ほどは腰の痛みに加えて、300メートルも歩くと脚にしびれや痛みが出るようになってきたこともあって、ゴルフから遠ざかっていました。

 そんな時、会社の同僚から「一度病院で検査したほうがいい」と勧められたんです。彼は長く腰痛に苦しんでいましたが、椎間板ヘルニアの手術を受けたところ、それまでの痛みがウソのように消えてしまったという経験の持ち主。私も治療前後の彼を知っているだけに、彼の忠告には説得力がありました。

 整形外科を受診し、MRIで 腰の画像を撮ったところ、私の痛みは脊柱管狭窄症によるものということがわかったのです。

 脊椎を形成する椎体という骨の穴が小さくなり、中を通る神経が圧迫されて痛みが出ているという。私の場合は内視鏡手術で改善が見込めるとのことなので、手術を受けることにしました。

 手術は全身麻酔で1時間半ほど。術後の痛みはほとんどなく、手術翌日から歩くことができました。1週間で退院し、その後は外来通院。リハビリで簡単な体操指導を受けながら、1カ月後には普通にゴルフができるまでに回復していました。

 痛みが消えてしまうと、それまでの苦痛がいかに煩わしいものだったかがよくわかります。それはゴルフだけでなく、仕事をしていても集中力がまるで違うので、手術後は仕事がはかどるんです。

 今では周囲で腰痛に悩んでいる人がいると、同僚がそうしてくれたように、私も「検査したほうがいいよ」と勧めて歩いています(笑)。

 ■専門医はこう見る

 麻生総合病院(川崎市麻生区)脊椎脊髄病腰痛センター長・森下益多朗医師

 脊柱管狭窄症の早期に出る症状は、脚のしびれや痛み、まっすぐ歩けない、腰をかがめるとラクになる-というもの。いずれも「年のせい」で片付けられやすい症状なので、放置して悪化させてしまう人も少なくありません。その意味で、山本さんはお友達の勧めで治療の機会を得ることができたのだから、ラッキーだったといえます。

 脊柱管狭窄症は、早期であれば手術によって生活の質を大幅に向上させることが可能です。山本さんのように、あきらめていたスポーツを再開できた人も大勢います。

 一方で、放置して悪化させてしまうと、単なる痛みやしびれ以外にもさまざまな神経症状が出る危険性があります。頻尿や残尿感、ひどい場合は大便を漏らしたり、反対に排泄ができなくなる「排尿、排便障害」を引き起こすこともある。こうなると手術をしても劇的な改善は難しい。早めの診断と治療が不可欠です。

 山本さんが受けた内視鏡手術は、手術のキズ口も小さいので入院期間が短く、術後の回復も早いというメリットがあります。ただ、脊椎疾患での内視鏡手術ができる医師が日本ではまだ多くないので、病院のホームページなどで調べてから受診するといいでしょう。

【これで私は助かった!重大疾患の前兆を見逃すな】“喘息”を甘くみてはダメ!命落とすことも

がんや心臓病、脳卒中と較べると、何となく軽く考えられがちな「喘息」。しかし、いまも日本では毎年2000人が喘息発作で命を落としている。呼吸困難の末の死ほどつらい最期もない。甘く見るのは禁物だ。

 ■永井伸一さん(仮名=55)のケース

 若い頃から「喘息持ち」で、過去にはかなり深刻な発作も経験しました。しかし、治療がうまくいったこともあり、近年は小さな発作はあるものの、いわゆる「大発作」に見舞われることはなくなっていたんです。

 馴れというのは恐ろしいものです。昔あれほど苦しんだはずなのに、しばらく遠ざかっていることで根拠のない自信が湧いてきて、処方されている吸入薬の使用をサボることが増えていたんです。

 サボっても大きな発作が起きないことから、いま思えば愚かなことなのですが「治ったのか?」とさえ考えるようになっていました。

 そんなある日の明け方、久しぶりに大発作が来ました。慌てて隣で寝ている妻を叩き起こしたのですが、過去の私の大発作を見て知っている彼女は「比較的軽い症状」と判断したのです。

 これはあとで聞いた話ですが、以前私が繰り返していた大発作の時は本当に苦しそうに呼吸をしていたのに比べてこの時は呼吸が小さく、「ゼーゼー」言うこともないので、大したことはないと思ったというのです。

 でも実際にはその逆で、肺に空気を吸い込めないから呼吸が小さくなっていたのです。冗談ではなく、本当にこのまま死んでいくのかと思うほどの苦しみでした。

数分後、顔色が青くなってようやく異変に気付いた妻が救急車を呼び、何とか助かったのですが、「それほど苦しそうに見えなかった」という妻の言葉を聞いて、あらためて恐怖を感じたものです。

 私の病気を知っている妻だから救急車を呼んでくれましたが、事情を知らない人しかいない時ならどうだったわかりません。以来、私は「喘息発作で呼吸ができません。救急車を呼んでください」と書いた紙を肌身離さず持ち歩いています。もちろん吸入薬もサボることはなくなりました。

 ■専門医はこう見る

 大阪厚生年金病院(大阪市福島区)内科・鈴木夕子医師

 気管支喘息の「大発作」が継続する状態を「喘息重積発作」と呼び、放置すると致死的状況に至る重大な局面です。救急車で病院に運び込まれても、診断が遅れたり的確な治療がされなければ命の保証はありません。

 喘息という病気はきちんと治療をすれば必ず治る病気なのに、喘息発作で死亡する人が絶えないのは、患者や家族が正しく病気を理解せず、「甘く見る」ことに根源的な問題があるのです。永井さんのような「喘息のベテラン」でさえこうした経験をするのですから、この問題は非常に根深いものと言えるでしょう。

 周囲で喘鳴(呼吸に伴うゼーゼー、ヒューヒューという音)が小さい、咳や痰を伴う、顔色や手先が青くなったり冷たくなる-などの症状を伴う喘息発作を起こしている人がいたら、躊躇せずに救急車を呼んでください。そして喘息持ちの人は永井さんのように「緊急医療カード」を身に付け、周囲に状況を知らせる工夫をすべきです。

 助かるはずの年間2000人を確実に助けるためにも、患者と周囲の理解が重要なのです。

【これで私は助かった!】子供が視力検診で集中力がない…弱視の恐れも

出産直後の赤ちゃんの目はほとんど見えないが、次第に鮮明になって8歳くらいで視力が完成する。この「視力の成長」が不完全な状態が「弱視」だ。事が幼児期の問題だけに、親や周囲が気付かないと、その後の人生にも大きな影を落とすことになる。

 ■成瀬篤夫さん(仮名)のケース

 次女が3歳児検診で視力を測った時、妻が「上の子より明らかに集中力がない」と洩らしたのがきっかけでした。絵本を読んでいても30秒とじっとしていられないんです。歩き出してからも、お姉ちゃんの時より転ぶ回数が明らかに多い。

視力は右が0・5で左は0・8でしたが、妻の発言から眼科受診を勧められ、再検査の結果「弱視」と診断されました。

 よく見えるほうの目をパッチで隠して、見えにくいほうの目だけでぬり絵をしたり絵本を読んだりする訓練を1日のうち数時間程度行い、常にメガネをかけます。子供にメガネは気の毒でしたが、当人は面白がってすぐに慣れました。

 治療を始めて半年もすると、両目の度数はほぼ揃ってきたのですが、そこでメガネをやめると元に戻る危険性が高いとのことで、メガネはそのままにしました。

 中学に入る頃にはメガネがトレードマークになっていて、本人に外す気がない。そのまま大学も出て就職。「メガネ美人」などとおだてられて5年前に結婚。今は1歳の女の子の母親です。

 いま彼女の視力は両方とも2・0。弱視は克服できています。

 ■専門医はこう見る

 総合新川橋病院(川崎市川崎区)眼科・河西雅之医師

 視力の発達を障害する原因として先天的な白内障などによるものと、強い屈折異常や斜視によって脳が正常に画像処理ができていない弱視があります。成瀬さんのお嬢さんは後者の弱視ですね。

 弱視の治療は開始時期が早ければ早いほど治療成績も高まります。その意味で、3歳児検診で見つけられたのは、非常に理想的なケースと言えるでしょう。

 特に幼児の場合、「自分の目が見えにくい」という意識がありません。本人にとっては、その視力が当たり前なので、特に不満もないのです。それだけに周囲がよく観察していないと見過ごしてしまいがちです。

 成瀬さんのお嬢さんが受けた治療は標準的なもので、特にメガネは重要です。元が軽い遠視だと、思春期の頃にメガネを外せるケースもありますが、多くは大人になってから目が疲れやすくなるので、可能な限りそのままメガネを使い続けることが推奨されます。

とりわけ女の子の場合、メガネをかけることにご両親として気掛かりな点があるようですが、最近はファッション性に優れたメガネも多いので、昔に比べて拒否反応を示す人は減ってはいます。

 いずれにしても、将来のことを考えて、眼科医と十分に話し合って治療方針を決めていくことが大切です。

【これで私は助かった!】不妊の診察のはずが…脳に腫瘍みつかる

病気に気付くきっかけはさまざまで、別の病気や症状で病院を受診したことから意外な病気が見つかることもある。今回は「不妊」という症状から「脳の病気」が見つかったという女性の話。

 ■広瀬由美子さん(33歳=仮名)のケース

 27歳で結婚して、2年間頑張ったのですが子宝には恵まれませんでした。特に後半は生理不順が続いたり、赤ちゃんを産んだわけでもないのにおっぱいが出たり、最後には生理が完全に止まってしまったりと、明らかにおかしな状態でした。

 不安になって産婦人科を受診。血液検査の結果、ホルモンの値に異常が見つかりました。プロラクチンというホルモンの値が異常に高く、これが不妊の原因になっている可能性が出てきたのです。

 医師が、「念のため脳の写真を撮りましょう」と言うのです。ホルモン異常で生理不順になるのはわかりますが、なぜ脳の写真を撮るのか不思議でしたが、指示に従って頭のMRI検査を受けると 驚いたことに脳の下垂体に腫瘍が見つかりました。

 放置すると危険だというので、脳神経外科で手術を受けました。手術は成功し、入院は10日ほどで済みました。その後はホルモン剤など何種類かの薬を飲んでいますが、生理も戻ってプロラクチンの値も正常範囲内に収まるようになりました。

 1年後、待ちに待った妊娠が分かり、翌年無事に女の子を出産。現在も母子ともに健康に過ごしています。

 ■専門医はこう見る

 中崎クリニック(横浜・神奈川区)院長・中崎浩道医師

 不妊から下垂体腫瘍が見つかるケースは意外に少なくありません。不妊治療が専門の医師であれば、ホルモンの値から判断して、早い段階で下垂体腫瘍を疑います。

 プロラクチンは本来、妊娠や出産時に多く分泌されて、生理を止めたり、母乳の分泌などに関与します。

つまり、妊娠前にはあまり必要のないホルモンなのですが、下垂体に腫瘍ができると、妊娠前でもこれが異常に分泌されて、広瀬さんのような症状を引き起こすことになるのです。

 下垂体は数種のホルモンを分泌する器官なので、腫瘍化する細胞の種類の違いによりホルモン異常もいろいろで、中でもプロラクチン産生、腫瘍末端肥大症(巨人症)、クッシング病が有名です。

また下垂体の近くを視神経が走っており、腫瘍がここに影響すると視野が欠損したり、腫瘍からの出血で失明する危険性もあります。

 プロラクチン産生腫瘍の場合、腫瘍が小さければ手術も難しいものではなく、予後も比較的良好な病気です。術後は妊娠、出産も可能です。そのためにも早期での発見が重要。2年以上の不妊が続くときは、まず産婦人科や不妊外来を受診されることをお勧めします。

【これで私は助かった!】“マイコプラズマ肺炎”に注意!集団感染の危険性も

冬は感染症のリスクが高まる。移したり移されたり-。お歳暮と違って、病気のやり取りは迷惑なだけだ。今回はそんな感染症の代表格で現在大流行している「マイコプラズマ肺炎」についてのお話です。

 ■望月圭介さん(35)=仮名=のケース

 初めは咳から始まったんです。といっても“から咳”で、痰を伴うような重いものではなかったので、あまり心配していませんでした。ちょうどその頃は仕事上の小さなミスが重なって、ストレスもたまっていたんです。恐らくそうした疲れによるものだろうと、甘く見ていたんです。

 ところがその翌日の朝、高熱が出たんです。38度を超える熱なんて過去にあまり経験がなく、さすがに会社を休んで病院に行きました。

 症状を話すとエックス線撮影をすることになり、それも医師の指示で最優先の超特急で検査が行われたのです。有難い半面、「重病なのか?」と不安もわきました。

 エックス線画像を見て医師は「やっぱり肺炎ですね」とつぶやき、すぐ入院の手続きを取るように言われました。

 たしかに症状はつらかったけれど、まさか入院するとは思いませんでした。躊躇したものの、医師に強く勧められて、そのまま入院。その後は1日1回の抗生物質の投与をするだけで、あとは安静を保つだけ。徐々に回復し、1週間後には退院して職場復帰も果たすことができました。

 退院する時に医師から、「望月さんの病気はマイコプラズマ肺炎といって、人に移す危険性のあるタイプの病気。入院しないで、中途半端な状態で会社に行っていたら、集団感染の感染源になっていたかもしれませんよ」と言われて、ゾッとしたものです。

 そして、直後にプロ野球選手がこの病気に集団感染したというニュースを知って2度ビックリ。あの“から咳”で周囲に感染を拡大させてなかっただけでも、ラッキーだったと思っています。

 ■医師はこう見る

 神奈川県立循環器呼吸器病センター(横浜市金沢区)呼吸器科医長・萩原恵里医師

 マイコプラズマ肺炎は、小児を含む比較的若い人(10~30代が中心)に多く見られる感染症。初期症状は咳と熱で、特に望月さんに見られた“から咳”は特徴的な症状の1つです。

 原因となるマイコプラズマは、私たちの周囲に普通にいる微生物。感染力は決して強いわけではありませんが、感染した人の免疫力に反応して発症するので、免疫力の高い、若くて元気な人でも症状が強く出るケースがあります。

 通常は症状の出方やエックス線画像など、マイコプラズマ肺炎を予想させるいくつかの要因が重なったところで、治療を始めます。基本は抗生物質の投与と安静で、1週間から10日程度で軽快していきます。

 この時、発症早期と回復したあたりで血液検査をして、マイコプラズマの抗体価が上昇していることが確認できると、最終的な確定診断ができます。ただ、実際には診断時には病気も治っていることがほとんど。望月さんが退院間際に詳細な説明を受けたのも、そうした状況によるものと思われます。

 かぜと間違えて放置すれば重症化することもある上、会社や家庭内で感染を拡大する危険性もあったことを考えると、すぐに入院処置が取られたことは、結果的に良かったと言えるでしょう。

 これからの時期、咳が出たり、している人を見かけたら、十分な注意が必要です。

【これで私は助かった!】“糖尿病”の早期治療で九死に一生!

重大疾患に関与する症状は色々あるが、中には症状を示さない病気もある。その代表的な病気が「糖尿病」。何も言わず、苦痛を訴えることなく、弱っていく膵臓。気付いた時には取り返しのつかない事態に陥っているのだ。

 ■岡田亮介さん(35)=仮名=のケース

 学生時代はサッカー部。体力だけは自信があります。ストレスはあるものの、若い頃と食欲は変わらず、カゼ一つ引いたこともありません。それが、会社の健診で受けた血液検査で、「ヘモグロビン・エー・ワン・シー(HbA1c)」が9・0と出たのです。

5・8以上は糖尿病の危険性大(今年4月からは「国際標準値・NGSP」という基準に変わり、6・2以上だと糖尿病が疑われる)というのに、はるかに上回る数値です。「要入院」を言い渡され、2週間の教育入院を経験しました。

 3食ともカロリー制限食ですが、10日もすると慣れました。それより驚いたのが、いきなりインスリン注射を始めたことです。「インスリン注射は最後の手段」と思ってたのでびっくりしました。

 医師の説明では、糖尿病の早期でインスリンを使うことで、膵臓の機能回復を助け、いずれはインスリンを使わなくてもよくなるケースもあるとのこと。「打ち始めたら死ぬまで続ける治療」と思い込んでいたので、拍子抜けした気分でした。また、インスリン注射は思ったより痛みも少なく、打ち方も簡単でした。

 退院後もインスリン注射、食事療法、運動療法を続けていたら、3カ月後にはHbA1cが7台まで低下。インスリン量もどんどん減り、半年経った現在は6台前半で推移しており、医師からも「もうすぐインスリンはやめられるだろう」と励まされています。

 知らずに放置していたら、壊疽(えそ)や失明、果ては動脈硬化から命を落とす危険性さえあっただけに、運よく見つかり、的確な治療を受けられたことに感謝しています。

 ■専門医はこう見る

 池田病院(兵庫県尼崎市)院長・池田弘毅医師

 岡田さんのように若い頃に激しいスポーツをしていた人も糖尿病には注意が必要です。学生時代と比べて運動量が減っているのに、食べる量は減りにくい。岡田さんも「食欲は変わらない」と言っているように、肥満になりやすい環境が整ってしまうのです。

 しかも糖尿病の場合、自覚症状がないこともあり、自分では病気にかかっている気がしないまま、水面下で静かに病気が進行してしまうことになりかねないのです。

 ただ、岡田さんの受けた治療は的確なものであり、特に高血糖による悪循環を断ち切るために、早期の段階でインスリン注射を始めたのは、適切な治療だと言えます。

 高血糖状態が持続しているとわかったら、まずは疲弊している膵臓の機能を回復させる必要があります。そのためにはインスリンを投与することで膵臓を休ませることが大事。これに食事療法や運動療法、さらに適切な薬物療法を組み合わせることで状態は好転し、体重が減ればそれだけ膵臓への負担も軽減でき、結果としてインスリンから離脱できることも多いのです。

 岡田さんのように、「インスリン注射は最後の手段」と思い込んでいる人は少なくありません。より早期からのインスリン治療が、血糖を改善するのみならず、糖尿病自体の状態も改善し、インスリンから離脱できることもあることを、多くの人に知ってほしいですね。

【今日のストレス 明日の病気】出張疲れでひくカゼ 緊張解け免疫力下がり帰宅後に…

行楽の秋である。旅も物見遊山でほっつき歩くならいいが、仕事が目的の出張となると話は違ってくる。窓外の紅葉を眺める余裕もなく、新幹線の中で資料を読むだけの旅-。旅情も何もあったものではない。

 Mさん(35)は、それほど出張が多いというわけでもない。年に2、3度、1泊か2泊の国内出張に出かける程度。しかし、その出張のあとで、必ずと言っていいほどの確率で、かぜを引くのだ。

 「家族や友人との旅行ではそんなことはないのに、会社の出張だと必ず体調を崩すんです」と不思議がるMさん。しかし、その裏には意外なストレスの影が見え隠れする。

 「出張中は適度な緊張感が免疫力を高めているのです」と語るのは、大阪厚生年金病院の鈴木夕子医師。さらに詳しく解説してもらおう。

 「よく“忙しいとかぜを引かない”といいますが、出張中がまさにそれ。人は多忙になると、肉体的にも精神的にも追い込まれて集中力が高まり、交感神経が優位になります。

これにより身体中心部の血液循環がよくなり、体温が上昇。結果として免疫力が高まるのです。そして、出張中もこれと同じ状態が体の中では起きているのです」

 年中出張しっぱなしの人ならその生活が常態化してしまうが、年に2、3回のMさんにとって、出張は「非日常」。しかも片時も仕事が頭から離れない中で、体は無意識のうちに緊張状態に置かれているということなのだ。

 「出張先から自宅に戻ると、緊張が解けて免疫力が下がり、身近な現実世界のストレスに負けて、かぜを引くのでしょう」(鈴木医師)

 家族や友人との旅行では体調を崩すことがないのも、そうした旅行中は緊張をしないから。肉体面ではともかく精神的なストレスは感じていない。当然、旅行中に体が負う緊張感は小さく、免疫力の上がり下がりもない-ということなのだろう。

 そんなMさんは近々、常務のお供で3日ほど出張の予定が組まれている。これはストレスの宝庫であり、考えただけでぐったりしてくるという。今回は、出張前から寝込みそうだぞ。

【これで私は助かった!】肛門から出血…“結腸がん”からの生還

火のないところに煙は立たないとはいうが、異常のないところに出血はしないのが人間の体。「これくらいの出血」と甘く見ていると、命を失いかねない事態に至ることもあるのだ。今回は「S状結腸がん」から生還した人のストーリー。

 ■遠山真一さん(54)=仮名=のケース

 きっかけは「肛門からの出血」でした。いぼ痔を持っているわけではないのですが、子どもの頃から便秘になると出血することがあり、この時も切れ痔だろうと思っていたのです。

 ただ、切れ痔の時は排便時やシャワートイレを使った時に痛みを感じるのが常だったのですが、この時はそうしたことがなくて、何となく嫌な予感がないわけではなかったのですが、あまり深刻に考えたくなかったので、敢えて無視することにしたです。

 ちょうどその時期に会社の健診があり、便潜血検査で陽性反応が出ました。私は「切れ痔のせい」と思っていましたが、医師から強く勧められたので、大腸内視鏡検査を受けたのです。

 すると、直腸からS状結腸にかけていくつかのポリープが見つかり、その中に「顔つきの良くないポリープ」があるという。今度は市民病院を紹介されて、内視鏡による手術を受けることになったのです。

 ただの痔だと思っていたものが大ごとになってしまい、さすがに戸惑いましたが、なってしまったものは仕方ありません。手術は無事終わり、ポリープもすべてきれいに切除できました。

 その時点では悪性か否かは不明でしたが、その後の組織検査で、やはりがんであることが判明。結果として命拾いをした形となりました。

 変に「肛門からの出血」に慣れていたことが災いしたのですが、たまたま会社の健診があったので助かりました。医師からは、今後は年に一度は大腸内視鏡検査を受けるように言われており、その必要性を強く感じているところです。

 ■医師はこう見る

 マリーゴールドクリニック(東京都港区)院長・山口トキコ医師

 肛門からの出血を「痔のせい」と決めつけるのは危険です。まずは医師の診断を受けて、ハッキリさせることが重要です。

 確かに痔による出血であるケースは少なくありません。しかし、「痔だと思う」と言って受診した人の中から、一定の割合でがんが見つかるのも事実。自己判断はリスクが大きすぎます。

 腸管の中でも、肛門に近い直腸やS状結腸からの出血は比較的鮮やかな血が出るので、ご本人が気付くこともあります。こうした症状の場合は、触診や大腸内視鏡検査で確認します。

 直腸付近の異常であれば、いぼ痔の有無はハッキリするし、がんがある場合も医師が指で触って確認できることが少なくありません。遠山さんの場合はS状結腸に複数のポリープが見つかったとのことですが、肛門疾患や消化器科の医師であれば、ポリープの形状からある程度の悪性度を推察することができます。遠山さんを診た医師の言う“顔つき”がそれです。

 S状結腸がんも直腸がんも、進行した状態だと大掛かりな手術になりますが、早期なら内視鏡手術で切除可能。ほんの数日の入院で済んでしまいます。そのためにも早期発見が重要であり、出血のような症状を見逃さないことが不可欠です。

 もう一つ、近年の洋式便器とシャワートイレの普及で、自分の便を見ない人が増えており、これもがんの発見を遅らせる要因となります。排便は重大疾患の発見につながる最初の糸口でもあります。必ず一目確認する癖を付けたいものです。

自律神経が乱れると、 あらゆる不調があなたを襲う…

自律神経が乱れると、 あらゆる不調があなたを襲う……動悸、めまい、頭痛、下痢、便秘、倦怠感、憂鬱症状……。

自律神経の乱れによって引き起こされる症状は、多岐にわたります。最大の特徴は、自覚症状があるにも関わらず、病院で検査をするも、異常が見当たらないということ。原因として考えられているのは、 ストレス、生活リズムの乱れ、環境の変化、女性ホルモンの影響などといわれています。

そもそも、自律神経というのは、交感神経と副交感神経の2つの神経からなります。

交感神経とは?:
「走る」「息をする」「勉強する」「食べる」「緊張する」など、 活発に行動するときに強く働く神経のことです。

副交感神経とは?:
「睡眠中」「リラックスしている状態」など、安静時に強く働く神経のことです。

自律神経失調症のひとつ「過敏性腸症候群」に注意!
この自律神経の乱れともっとも密接な関係にある臓器が胃腸。

本来、胃腸というのは副交感神経が優位なときに強く働きます。つまり、体の機能が正常であれば胃や腸が活発になるのは、睡眠中など安静にしているときということ。

ところが、強いストレスを受けると、安静時ではなく活動中(本来交感神経が優位でなくてはならないとき)に副交感神経が優位になってしまうことがあるのです。それが、胃腸の不調に繋がっているといわれています。

例えば、出勤時の電車の中や会議、といった心理的ストレスがかかると腹痛や下痢になる……といった話をよく耳にすると思います。それは、ストレスにより自律神経の機能が乱れたことで、引き起こされているのです。

この状態が、慢性的に続いてしまったケースが近年増加傾向にある「過敏性超症候群」。特徴は、精密検査をしても、身体的にはまったく異常が見当たらないのに、下痢や便秘といった不快な症状が1ヶ月以上も続くことです。

治療としては、習慣や食生活、心理的な治療を組み合わせた、総合的な対処が必要になります。

最近では内服薬などもありますが、大切なのは一人ひとりの事情を鑑みた総合的なケア。その中でも特に重視されているのが、心理的ストレスを和らげること。趣味や運動などを通して、日常の中でこまめに気分転換するようにしましょう。

過敏性腸症候群と似たような症状は、他の病気でも現れます。下痢や便秘が続く、という人はまずは精密検査を行いましょう。自己診断はせず、医師の診断のもと適切なケアを行ってください。

【今日のストレス 明日の病気】口角炎 不条理な客の応対が続くとおちょぼ口に?  

家電量販店に勤務するTさん(38)は、若いころからストレスがかかるたびに「口角炎」に悩まされてきた。唇の脇がひび割れて、いずれ裂けてくる。「特に冬場は多いんです」と嘆く彼はいま、おちょぼ口だ。

 これまで何度となく口角炎を経験してきたが、その痛みや煩わしさに慣れることはないという。

 「ものを食べたり飲んだりするときはもちろん、アクビや大笑いをしただけでも強い痛みが出るんです。

一番つらかったのが歯医者さんに行ったとき。さすがに痛くて口を大きく開けられないので、診察をキャンセルして帰ってきたこともあります」とうなだれる。

 彼の口角炎ができるのは、決まってストレスがかかった時。特に彼にとってのストレス源は、不条理な客だ。

 「クレジットカードが預金不足で使えないといっても、『客を信用できないのか!』と怒鳴られたり、商品がモデルチェンジすると『なんで勝手に変えるんだ!』と激高したり。そんなこと僕に言われてもねぇ…」

 不思議なもので、その手の客が一人来ると、その日はクレームが連続する。そして翌朝、彼の口元は裂けている…。

 「精神的な抑圧によって交感神経が緊張状態になり、唾液の分泌量が減ることでさまざまな症状を起こすことになりますが、口角炎もその一つ。

人によっては唇だけでなく舌が乾いてひび割れることもあります」と語るのは、東京・渋谷区にある片平歯科クリニックの片平治人院長。要はストレスから来るドライマウスが原因だったのだ。

 同じストレス性の症状でも、狭心症や突発的な下痢などと比べれば、口角炎など軽いもの。でも、客商売のTさんにとっては、“話しづらい”という症状は重大な問題だ。

 片平院長は、「当面は薬剤軟膏を塗り、刺激物をさけて、口を大きく開けないこと。口の中の粘膜や舌に異常があればカンジダ症を疑う場合もあるが、そもそも口腔は全身の健康状態を反映しやすい場所。栄養と睡眠を十分に摂り、ストレスをためない工夫が大切」と話す。

 Tさんのひょっとこのような口元が、笑顔で広がる日はくるのだろうか。

【これで私は助かった!】高血圧を甘く見てはダメ!突然死も!重大疾患の前兆を見逃すな

高血圧を持病にする人は少なくない。その「仲間の多さ」から危機感を持ちにくいことも事実。しかし、この病態はあらゆる血管障害の土台となる。甘く見ていると、突然死を引き起こすことにもなりかねない。

 ■高村勲さん(50)=仮名=のケース

 以前から会社の健診で血圧が高めだとは指摘されていましたが、あまり気にしていませんでした。程度の差はあれ、「高血圧」って珍しい病気じゃないし、サラリーマンなら病気の一つや二つくらい持っていて当たり前と思っていたんです。今思うと、本当に恥ずかしい話です。

 ちょうどその時期は大きなプロジェクトが佳境を迎えていて、残業が続いていました。ただ、私自身は仕事が趣味みたいなところがあって、残業や休日出勤をストレスと感じることはなかったのですが、体はストレスと思っていたようです。

 夕方4時頃、会議を終えて自分の席に戻り、パソコンを立ち上げたところで「ドカン!」と来ました。頭をハンマーで殴られたような衝撃があり、頭を抱え込む以外、何もできないのです。

痛みはそれまで人生で経験したことのない激痛。とにかく何もできません。

 近くにスタッフはいるのですが、私の席は位置的にうずくまるとパソコンの画面の陰になる場所で、気付かれにくい。「助けてくれ」どころか「おい」と簡単な言葉を発することすら、できません。「ウー、ウー」と唸るのが精一杯でした。

 後で聞くと、すぐスタッフが異常に気付き、救急車を呼んでくれたそうですが、私は「なぜ気付かないんだ…」と途方に暮れるほど長い時間が過ぎたような気がしました。

 救急車で病院に搬送され、検査の結果「クモ膜下出血」。それでも血管内治療ができそうだとのことで、すぐに手術室に入り、血管内の破裂した動脈瓜生内にコイルを充てんする治療が行われました。

 手術は成功し、半年ほどのリハビリを受けましたが、幸いにも処置が早かったことから大きな後遺症は残らず、今は元気に仕事に復帰しています。救急車を待つ間、本気で死を覚悟しただけに、今元気でいることがうそのようです。

それからというもの、血圧を下げることに真剣に取り組んでいますが、もっと早くこの危険に気付いていれば-と後悔し、反省する毎日です。

 ■医師はこう見る

 東京共済病院(東京都目黒区)脳神経外科・渡邊玲医師

 クモ膜下出血は脳の動脈瘤が破裂して血管から脳内に血液が流れ出る病気。死に直結する重大疾患で、十分な注意が必要です。

 症状は高村さんのような「ハンマーで殴られたような激痛」が典型的ですが、必ずしもそうとは限りません。出血が微小な場合、もっと弱い頭痛程度しか感じないこともあります。

 ただ、経験した患者の話を総合すると、片頭痛や緊張型頭痛、また、かぜを引いて熱が出た時のような頭痛とは明らかに異なる質の痛みだったと言います。

従って高村さんのような激痛であればもちろんですが、比較的弱い頭痛であっても、それまでに経験のないタイプの頭痛に見舞われた時は要注意と考えるべきでしょう。

 脳動脈瘤は、破裂する前に処置をしておけばクモ膜下出血を防ぐことができます。しかし、脳動脈瘤があるだけでは症状はありません。脳ドックなどで画像診断をしない限り、未破裂脳動脈瘤を見つけることはできないのです。

 高血圧を指摘されている人は留意し、ドックなどを利用して積極的に予防に努めることをお勧めします。

【これで私は助かった!】頭痛の正体は上咽頭がん!耳鼻科の先生に感謝   

頭痛や鼻づまりといった「珍しくない症状」が、じつは命に関わる重大疾患のシグナルであることもある。いちいち気にしすぎるのもよくないが、気にしなければ早期発見は難しい。ここに病気治療の難しさがある。

 ■丸山敬造さん(71歳=仮名)のケース

 若い頃から姿勢が悪く、緊張型頭痛という肩こりから来る頭痛に悩まされていました。ところが、それとは少し質の違う頭痛を感じるようになったんです。以前から高血圧の治療でかかっていた近所の内科医院で相談すると、いわゆる「痛み止め」が処方されたのですが、ほとんど効果はありませんでした。

 そうこうするうちに花粉症シーズンを迎え、毎年その時期だけかかる耳鼻咽喉科を受診。その時に医師との何気ない世間話の中で頭痛の話をすると、「念のため」と、鼻の検査を兼ねて頭部MRIを勧められたのです。

頭痛の原因がわかるかもしれないし、何よりその手の大掛かりな検査を受けたことがなかったこともあり、受けてみたところ、鼻の奥に広がっているがんがあることがわかりました。上咽頭がんです。

 がんは「斜台」とよばれる頭蓋骨の底の部分を侵して、その向こう側の脳に達しようとしていました。

 地域の基幹病院に送られて精密検査の結果、手術はせずに放射線と抗がん剤による治療が行われることになりました。

 がんがあることがわかってから気付いたのですが、少し前から「鼻づまり」という症状もありました。でも、まさかそれががんによるものとは思わず、「カゼが治りきらないのだろう」程度の軽い気持ちだったのです。

 幸運にも治療は成功し、がんはほぼ無力化することができました。あの嫌な頭痛も治まり、定期的な検査は必要ですが、2年たった現在も再発や転移は見当たりません。

 それにしても、あの時耳鼻科の先生と世間話をしなければ、いまごろは命を落としていたことでしょう。画像検査を勧めてくれた耳鼻科の先生には本当に感謝しています。

 ■専門医はこう見る

 福内ペインクリニック頭痛外来(東京・新宿区)院長・福内靖男医師

 上咽頭がんは比較的予後の悪いがんで、特徴的な自覚症状もないことから早期で見つけることが難しいがんの一つです。

 がんが脳神経まで到達してダメージを及ぼしていると、頭痛、めまい、難聴、視力の低下や視野の欠損、鼻づまり、味覚障害、嚥下困難などが見られることがあります。

 しかし、長く通院している患者さんならまだしも、頭痛や鼻づまりなどの症状だけで、すぐにこの病気を見つけ出すのは困難といえるでしょう。その意味で、丸山さんが耳鼻科医に相談する機会に恵まれたことは、非常にラッキーだったといえます。

 いわゆる片頭痛の「拍動性の痛み」や、緊張型頭痛の「ハチマキを締め付けられるような痛み」など、頭痛持ちの人が普段感じる症状とはタイプの異なる症状を感じたときは要注意。

 また、そうした異質な痛みが長期間にわたって持続し、徐々に増強する。そして「従来は効果があった薬」が効果を示さない時は、上咽頭がんに限らず、何かしら別の原因が生じていることを疑うことも大切です。

【これで私は助かった!】手術しても頭に痛み…脳脊髄液減少症を併発

一つの症状に対して、原因疾患も一つとは限らない。複数の病気が複合的に一つの症状を起こしていることもある。今回は「頭痛」から始まった奇跡の生還の物語。

■野口朋広さん(39歳=仮名)のケース

 頭全体を支配する痛みが始まったのは2年前のこと。頭痛薬を飲んでも効かないし、日に日に痛みが強まってきたので病院の脳神経外科を受診。検査の結果「慢性硬膜下血腫」と診断されました。

 脳と頭蓋骨の間に血がたまる病気で、放置すれば死に至ることもあるが、手術をすれば治るとのこと。そこですぐに入院し、手術を受けることになりました。

 手術は無事成功し、術後は痛みも消えて喜んでいたのですが、3日後に痛みが再発。検査すると血腫が再発しているとのことで再手術。しかし終わると数日でまた痛み…。

 3回目の再発時に、主治医は「別の原因を考えたほうがいいかもしれない」と言って、別の病院の脳神経外科を紹介されました。行った先は東京・乃木坂の山王病院。

脳神経外科の高橋浩一先生の下で検査を受けたところ、「脳脊髄液減少症」を併発していることがわかったのです。

 脊髄から何らかの理由で脊髄液が漏れ出す病気で、これが脳の状態を悪化させているとのこと。そこで私自身の血を抜いて、背中の脊髄周囲にある“漏えい部”に注入し、脊髄液の漏れをふさぐ治療を受けました。

 この処置の後に元の病院で4回目の手術を受けたところ、今度は完全に症状が消え、それ以降再発もなくなりました。

 頭の痛みから始まった治療で、よもや背中に処置をされるとは思ってもみませんでしたが、それで完治したのだから、やはり脊髄液の漏れが原因だったのでしょう。

 人の体は意外なところでつながっていることを、自分の身をもって勉強した次第です。

■専門医はこう見る

 山王病院(東京・港区)脳神経外科・高橋浩一医師

 硬膜下血腫の再発を繰り返す人から脳脊髄液減少症が見つかるケースは少なくありません。ただ、脳脊髄液減少症という病気そのものの認知度が低いため、医師がその疑いを持たないケースがあることも事実です。

 脳脊髄液が減少すると、頭蓋の中の脳の位置が全体的に下がってきて、血腫ができやすくなる。野口さんも言う通り、慢性硬膜下血腫の手術そのものは決して難しいものではないので、それで何度も再発する場合は、他に原因があることを疑うべきなのです。

 脳脊髄液減少症は、造影MRIで診断できる場合があります。

野口さんの受けた治療は「ブラッドパッチ法」といって、その名の通り、患者自身の血液で脊髄液の漏れをふさぐ治療法。日本ではまだ健康保険が適用されておらず、そのため国内でこの治療を行っている医療機関は限られます。

最初にかかった医師が脳脊髄液減少症についての情報を持っていないと、なかなか診断にさえ結びつかないケースが出てくるのが実情です。

 一方の硬膜下血腫は、初めは頭痛から始まり、進行すると意識が遠のいたり“ボケ”に似た症状が出て、最終的には呼吸機能などが悪化して死亡する重大疾患。手術が簡単だからといって、再発を放置するのは危険です。

 硬膜下血腫を繰り返す場合は、自分から他の病気の存在を疑ってみるべきでしょう。

【これで私は助かった!】定期検査で長生き!肺がん見つかり早期手術

前回、肺がんの中でもタバコに影響されやすい扁平上皮がんのケースを紹介したが、今回はもう一方の「腺がん」。喫煙の有無に関係なく発生するという、恐ろしい存在なのだが…。

 ■藤川百合子さん(54)=仮名=のケース

 7年前に乳がんが見つかり、手術をしました。ステージIIでしたが、がんはきれいに切除でき、リンパ節転移もありませんでした。術後も定期的に検査を受けていますが、先生も「ほぼ大丈夫でしょう」と言うので、安心していたんです。

 ところが、3年前に定期検査を受けたところ、CT画像で胸に影が写ったんです。同じ胸でも今度は肺です。精密検査の結果、肺の中葉に直径3センチほどの腺がんがあることがわかりました。一度は助かったと思っていただけにショックでした。

 それでも紹介された呼吸器外科の先生が、「直径3センチほどなので、手術で何とかいけると思います。我々も頑張りますから藤川さんも頑張りましょうよ!」と気合を入れてくれたのが、とても励みになりました。

 手術は胸腔鏡というカメラを使って行うもので、傷跡もほとんどわからない小さなもの。前回の乳がんの手術もそうでしたが、最近の手術は本当に見た目にはわからない程度の傷で済んでしまうのが不思議で、この年になっても、女性としてはありがたいことです。

 がんはきれいに切除できて、その後は補助療法で2年ほど抗がん剤を服用していましたが、それも終わり、今は3カ月に一度の定期検査に行くだけです。

今回も術後の経過は良好で、乳がんともども、どうにか克服できそうな気がしています。

 タバコも吸わない私が、よもや肺がんになるとは思っていませんでしたが、考えようによっては乳がん術後の定期検査をちゃんと受けていたおかげで早期発見できたわけで、何が幸いするかわかりません。

 二度も救われた命ですから、これからも定期検診をきちんと受けて、長生きしてやろうと思っています。

 ■医師はこう見る

 群馬大学附属病院(群馬県前橋市)呼吸器外科講師・清水公裕医師

 肺がんは、腺がんも扁平上皮がんも、早期では特徴的な症状が出ることは、ほとんどありません。つまり肺がんを症状のみを頼りに早期で見つけることは、非常に難しいことなのです。

 エックス線検査で見つかることもありますが、がんの性状やできた場所によっては見つけることが難しく、CTでしか見えない肺がんも少なくありません。

そのため、今回のように別の病気の治療や、治療後の経過観察での肺のCT撮影で、偶然写りこんで見つかることが時々あります。

 藤川さんがラッキーだったのは、肺のがんが「手術可能」な段階で見つかったこと。手術ができるということは、根治の可能性があることを示唆します。

しかも胸腔鏡で切除できたのは、比較的早期の肺がんであり、加えて胸腔鏡手術が可能な専門施設で治療を受けられたことも、技術的な面で幸運だったと言えるでしょう。

 世間には、タバコを吸わなければ肺がんにはならないと思い込んでいる人がいますが、誤りです。特に腺がんは、非喫煙者にも普通にできるがんで現在、増加の一途を辿っています。

特に、日本人を含めたアジア圏の女性に多く、今後も、高齢化とともに増加することが予測されます。

 今回のように定期的な肺の検査を受ける機会が無い人は、きちんと検診を受ける以外に、早期発見への有効な手立てがないのが実情です。通常の検診はもちろん、人間ドックでも肺のCT撮影をオプションで選ぶなど、積極性な検査の受診が重要です。

【これで私は助かった!】40代で肺がん…血の混じった痰で発見  

がんも早期で見つければ治せる時代になった。しかし、必ずしも早期で見つけられるとは限らない。特に肺がんは早期で症状が出にくく、よほどのことでもない限り、症状を頼りに早期がんを見つけるのは困難なのだ。

 ■下村亮介さん(44)=仮名=のケース

 きっかけは「咳」でした。風邪かな、とも思ったのですが、熱も出ないので様子を見ていました。すると湿った咳が2日ほど続いたところで、血の混じった痰が出たのです。それも鮮やかな赤ではなく、どす黒く明らかに不健康な痰でした。

 そこで会社近くの病院に行って検査を受けると、「がんの疑いがあるから」と大学病院に紹介状を書かれたのです。

 高校時代からタバコを吸っていたので、いずれ肺がんになる覚悟はあったのですが、まさかこの年齢で来るとはショックでした。そして、大学病院に紹介された時点で、半ば諦めてもいました。

 大学での精密検査の結果はやはり“クロ”で、扁平上皮がんという喫煙由来の可能性が高い進行度II期の肺がんとのこと。目の前が真っ暗になりましたが、先生が「ダメ元で手術をしてみよう」と言うので、賭けてみることにしたのです。

 2カ月ほど抗がん剤治療を受けて、がんを小さくしてから手術を受けました。幸いにもがん組織は取り切れたのですが、再発転移の危険性は残ります。

術後2年間再発を予防するための補助療法として経口の抗がん剤を飲んでいましたが、今はそれもやめて、術後4年目。月に一度の検査を続けていますが、ありがたいことに今のところ再発・転移は確認されていません。

 もちろんタバコは止めました。というより、がんと宣告された時点で、吸う気が失せてしまったのです。ならば、がんになる前に止めるべきだったのですが、そこが愛煙家の弱いところです。

 先生からは、あと1年再発がなければ完治と言われていますが、一度は諦めた命です。これからは用心に用心を重ねて、健康第一で生きていこうと思っています。

 ■医師はこう見る

 広島大学病院(広島市南区)呼吸器外科教授・岡田守人医師

 下村さん自身も考えている通り、非常にラッキーなケースと言えます。まず、早期の肺がんを「症状」から見つけるのは非常に困難なので、これを頼りにするのは危険です。

咳や血痰から肺がんが見つかった場合、ほとんどが進行例のため、半分以上が手術不能です。

 また、タバコと関連がある扁平上皮がんは、中枢型が多く、エックス線の画像で見ても位置的にちょうど心臓と重なってしまうので、見つけにくいという点もネックです。早い話が、タバコは吸わないに越したことはないということです。

 肺がんの8割以上は扁平上皮がんと腺がんの2つのタイプが占め、喫煙の影響を受けやすい扁平上皮がんに対して、腺がんは喫煙の有無に関係なくできるがん。

そして近年、比較的若い女性を中心に増加傾向です。以前はこの2つのタイプはほぼ同頻度だったのに、今では腺がんが圧倒的に多いのです。

 下村さんのように、喫煙者は常に肺がんを意識していますが、そうでない人はあまり肺がんについて心配しない傾向にあり、これもまた早期発見を遅らせる原因となります。

面倒がらずに、定期的な健診は欠かさず受けるようにしましょう。

【これで私は助かった!】“眼精疲労”が引きこもりにつながる

いわゆる“引きこもり”の原因はさまざまだが、「目の症状」が元で、外部との接触を避けるようになるケースもあるという。今回はそんな「眼精疲労」が招いたケースだ。

 ■寺岡真さん(23)=仮名=のケース

 せっかく入った大学でしたが、どうにも興味が持てませんでした。無理して授業に出ても、次第に目が疲れて焦点が合わなくなる。常に頭が重く気分が悪く、吐いてしまうことさえありました。

 特に目の疲れがひどく、眼科に何度か行きましたが検査の結果、「異常なし」だったり、「ドライアイ」だったり。点眼薬をもらっても大して効果はなく、次第に眼科にも学校にも足が遠のくようになりました。

 結局、大学は中退し、1年半ほど“引きこもり”の状態だったのですが、父親が同僚から紹介された眼科医がいるから、もう一度だけ診てもらおうというので、仕方なく受診しました。

 すると今度の先生は、「メガネが合っていない」と言い、メガネの処方箋を書いてくれたんです。メガネなんてショップで作るものだと思っていたので、眼科医が処方することに驚きました。

 その処方箋通りのメガネをかけて、出された昼用と夜用の2種類の点眼薬を使っていたら、見る間に視界がクリアになり、ほんの1-2週間で、長く続いていた頭の重さ感がウソのように消えたんです。

 それまで目が疲れるのでテレビなど絶対に見なかったのですが、久しぶりにテレビを見る気になり、しかも全然疲れない。本当に驚きました。

 精神的にも元気になってきたので、今年の春から理美容の専門学校に通い始めました。つらかった大学時代とは正反対の、楽しい学生生活を満喫しています。

 ■医師はこう見る

 梶田眼科(東京都港区)院長・梶田雅義医師

 寺岡さんのようなケースは、意外に少なくありません。眼精疲労に詳しい医師でないと、正確な診断や治療に行きつかないこともあり、ドライアイや、ひどい時には「気のせい」と言われ、放置するうちに悪化してしまうことがあるのです。

 寺岡さんの場合は眼精のバランスを崩すところまで進行してしまったようです。

 目の症状というのは自分にしか、わからないもの。その症状や不快感を周囲、特に医師に理解してもらえないと、精神的な不安が自律神経にダメージを及ぼしてしまうのです。その意味で、最後に正しい診断と治療技術を持った医師に巡り合えたことは幸運だったと言えるでしょう。

 眼精疲労の原因は、目の内にある水晶体を支える毛様体という筋肉が疲弊して、ピントの調節機能が低下した状態。そこで、夜間は毛様体筋を休ませ、日中は活動性を高める点眼薬を使うことで、機能回復を図る治療が行われます。

 寺岡さんはメガネを換えたようですが、もしかしたら隠れ斜視(斜位)があったのかもしれません。これに気付かず、合わないメガネをかけ続けていると、外眼筋も常に頑張っていなければならなくなり、眼精疲労が回復に向かうことはないのです。

 眼精疲労はさまざまな要因で引き起こされますが、最近はスマートフォンが引き金になるケースが増えています。スマホは画面にタッチして操作する構造上、従来の携帯電話に比べ画面の位置が目に近く、それだけ毛様体筋と外眼筋の負担を大きくしています。

 眼精疲労を「単なる目の症状」と軽く考えていると、深刻な精神症状を引き起こすことにもなりかねないだけに、十分な注意が必要です。

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