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【今日のストレス 明日の病気】仕事で大失敗が発覚!突然、激烈な咳…病院へ


「喘息持ち」の人にとって平穏な生活とは、発作がない毎日。日頃の治療がうまくいっていれば穏やかな日々を送れるが、時に静寂を破って発作が襲い掛かることがある。背後に見え隠れするのはストレスの影…。

 若い頃から気管支喘息を患っており、今も定期的に病院に通院中。きちんと服薬しているので、ここ数年は大きな発作もない。

 ところがある日、異変が生じた。きっかけは仕事上の大チョンボ。出したつもりの請求書が、数カ月にわたって彼の引き出しの中で眠っていたため、部門の年間の売り上げに影響する額の入金が、期をまたいでしまうことになったのだ。

 引き出しから請求書を見つけたMさんは顔面蒼白になり、膝から崩れ落ちると咳き込み出した。

少々芝居がかっている。しかし、その咳たるや、周囲の者が呆気にとられるほど激烈なもの。四つん這いになって、涙とよだれと、鼻水を垂らしながらゲッホンゲッホンする彼を、遠巻きに眺める社員一同…。

 同僚が会社の車で病院へ搬送。吸入薬を使ってようやく落ち着きを取り戻した時には、全身が汗びっしょりだった。

 「強烈なストレスから気管支が狭まったことでの発作でしょう」と分析するのは、神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科医長の萩原恵里医師。

普段は安定していても、精神的な抑圧から急激な発作に見舞われることがあると説明する。

 「気管支の太さは自律神経の支配下にあり、副交感神経と交感神経のバランスが取れていれば安定しています。しかし大きなストレスが加わると、バランスが崩れて気管支が一気に狭まることがある。これが発作の原因です」

 普段は治療でコントロールできていても、急激なストレスは発作を誘因する危険性があるということだ。

 「病院で使ったのは気管支拡張作用のある吸入薬と思われます。Mさんのような人は、これを携帯すべきでしょう」と萩原医師。

 ちなみに彼が抱え込んでいた請求書は、上層部レベルの話し合いで、期内の支払いが認められた。発作を起こす前に、上司に相談すればよかったのに…。

【今日のストレス 明日の病気】「かみ合わせ」そのわずかな“違和感”が全身に不定愁訴引き起こす


何事も「しっくりする」のはいいものだ。恋愛関係、仕事関係、労使関係…。相対するものが違和感なく調和のとれた関係を構築すると、ストレスは生まれない。

どうやら同じことが、「歯の関係」にも言えるようだ。

 Aさん(54)はさまざまな不定愁訴に悩まされてきた。頭痛、腰痛、肩や首のこり、めまい、不眠、そして歯の痛みや歯ぎしり、顎(がく)関節症…。

これらがストレスとなってイライラは募り、深酒する。まさに負のスパイラルだ。

 ところが、ひょんなことから、状況は一変する。

ある部分をわずかに修正する治療をしただけで、あらゆる症状が消えてしまったのだ。その「ある部分」とは「歯」だ。

 Aさんの不定愁訴の原因は「かみ合わせの悪さ」から来るものだった。

 かみ合わせが悪いと、本人は気付かなくても脳はそれをストレスと感じてさまざまな症状を引き起こす。

まさにAさんの諸症状がそれだったのだ。

 「人間の脳は、100マイクロメートルのかみ合わせが変化しただけでも違和感を覚えるもの。

わずかなかみ合わせやあごのズレもストレスと感じ、これが続くと全身に影響が及ぶことがある」と語るのは、東京都渋谷区にある片平歯科クリニックの片平治人院長。続けて解説する。

 「かむという行動は脳神経と特に深い関係があり、脳の全領域の中で“口の運動や感覚”が占める割合は全体の2分の1近くにも及びます。

そう考えると、かみ合わせの不具合が全身の症状を引き起こすということも納得できるのでは」

 これらの問題を解決するには、咬合(こうごう)面をわずかに削るか、反対に専用素材を盛りつけたりしてかみあわせを調整する。

あるいは就寝中にマウスピースを装着してズレたあごの位置を矯正(きょうせい)する方法もある。今回Aさんは、マウスピースを付けて寝るだけで治ってしまった。

 歯と脳の関係修復に成功したAさん。

今年は、それより前から冷え込んでいた夫婦関係の改善に乗り出す決意だ。夜ごと隣で眠る妻に、和平実現に向けた協議を呼びかけるAさんだが、今のところ妻の反応はない。

そんな時くらいはマウスピースをはずせばいいのに。 

【胸焼け】と【胃痛】が起こる病気


●胸焼けや胃痛が起こるのはなぜ?

一般的に、「胸焼け」や「胃痛」が起こるのは、胃酸の分泌が過剰になって、胃の粘膜が荒れたり、胃液が食道に逆流したりすることが原因です。

これは、暴飲暴食や刺激の強いものの食べ過ぎ、ストレスによる自律神経の乱れなどによっても起こるので健康的な人でも、胸焼けや胃痛がすることは、そう珍しいことではありません。

しかし、ある程度の期間、継続して頻繁に起こる場合は、胃腸の病気の可能性があります。

●胸焼けと胃痛が起こる病気

胸焼けや胃痛が起こりやすい病気には、次のようなものがあります。

【胃潰瘍・十二指腸潰瘍】
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、胃酸や消化酵素によって、粘膜が消化されることによって起こる病気です。

一般的に、胃潰瘍の場合は、食後しばらくしてから胃が痛むことが多く、十二指腸潰瘍の場合は、空腹時や夜間に上腹部が痛むと言われています。

ただし、どちらの場合も、症状が進行していると、食後や空腹時といった時間に関係なく痛むこともあるようです。

【慢性胃炎】
慢性胃炎は、その名の通り、慢性的に胃が炎症を起こしている状態のことで、日本人の成人の約半数がかかっているといわれています。

自覚症状がない人も多いようですが、自覚症状がある場合は、食後に上腹部に鈍い胃の痛みがあったり、胸焼け、ゲップ、胃もたれなどを感じたりすることがあるようです。

【機能性胃腸症(機能性ディスペプシア)】
胃痛や胸焼け、胃の不快感などの症状が続くにもかかわらず、内視鏡検査で胃の粘膜を観察しても、何も異常が見当たらないことがあり、これを「機能性胃腸症(機能性ディスペプシア)」といいます。

かつての胃酸過多症や神経胃炎なども、これに含まれます。

主にストレスや過労などによって、自律神経のバランスが乱れ、胃の機能が低下することで起こると考えられています。

●検査で原因をはっきりさせよう

ただし、胃痛が起こる病気は、ほかにもたくさんあり、中には、緊急を要するものもあります。症状が長引いていたり、激しい痛みが起こったりするときは、検査を受けて原因を明確にし、適切な治療を受けましょう。

(この記事の監修: 五本木クリニック 院長 / 桑満おさむ 先生)

【今日のストレス 明日の病気】健忘症(下) 「考える」ことで予防・改善を


前回はストレスが誘発する物忘れについて書いた。今回は「ストレスのせいと思っていたら、じつは違った」というケースの物忘れ。同じ「健忘症」でも、少しばかり深刻な内容だ。

 Cさん(34)は、ある精密部品工場で働く臨時のアルバイト作業員。高校は出たものの定職に就くこともなく、この年になった。

途中、何度か警察のご厄介になったこともあるが、今は悪い仲間との付き合いも断ち、真面目に働いている。

 そんなCさん、最近、深刻な「物忘れ」に見舞われている。上司から仕事の説明を受けても忘れてしまい、同じことを何度も聞いて煙たがられる。

「メモをしろ」と言われてメモをするのだが、メモしたことを忘れ、また尋ねる。

 当人は「疲れのせい」と気にしていなかったが、会社から連絡を受けた親が心配して病院に連れて行かれた。

画像診断では異常は見つからなかったが、問診やテストを受けた結果、「若年性健忘症」と診断された。

 「単純作業の人に多く見られる健忘症で、最近増えています」と語るのは、大阪厚生年金病院内科の鈴木夕子医師。その特徴を次のように説明する。

 「20-30代で起きる健忘症で、画像上は異常がない点で、心因性健忘症と似ています。

原因として強いストレスもありますが、もう一つ、“頭を使わない”ことも大きな要因とされます。

自分の頭で考えたり計算したりせず、パソコンや電卓任せの仕事をしていると、リスクが高まるようです」

 心因性健忘症と同様、若年性の物忘れも決定的な治療法はない。

ただ、頭を使って脳に刺激を与える、つまり「考える」ことは、予防だけでなく症状改善にも役立つ可能性があると鈴木医師は言う。

 「本を読む、新聞を読む、そしてわからない言葉があれば人に聞くのではなく辞書で調べる-。

パソコンや携帯電話が普及するまでは当たり前にやっていたことが、若年性健忘症から脳を守ってくれます。

早い話が“人任せ”“機械任せ”が一番危険です」(鈴木医師)

 60代後半なら「年のせい」とあきらめもつくが、30代でこんな症状が出たら要注意。

予防のためにも、仕事帰りには新聞を読みましょう。

【胸焼け】に効く薬って、どんなもの?


●胸焼けの薬ってどんなもの?

胸焼けは、胃酸が食道に逆流することで起こりますが、こういった症状が起こる病気を総称して、「胃食道逆流症(GERD)」といいます。この胃食道逆流症の治療に用いられる薬には、2つに大きく分けられます。

胃酸の分泌を抑制して逆流を防ぐタイプと、胃酸が逆流しても粘膜が傷つかないようにするタイプです。そこで、それぞれの薬にどんなものがあるのかを見ていきましょう。

●胃酸の分泌を抑制して逆流を防ぐタイプ

●プロトンポンプ阻害薬(PPI)「プロトンポンプ」とは、胃酸を分泌する壁細胞にあり、胃酸の主成分である塩酸をつくっている分子です。「プロトンポンプ阻害薬」は、このプロトンポンプの働きを阻害することで、胃酸の分泌を抑制します。

胃食道逆流症を治療する第一選択薬として利用され、胃酸分泌抑制薬である「H2ブロッカー」よりも、効果がはるかに高いと言われています。

●H2ブロッカープロトンポンプが塩酸をつくるためには、いくつかの物質からのシグナルが必要になります。そこで、それらの物質の中でも、特に重要な役割を果たす「ヒスタミン」からのシグナルをブロックすることで、胃酸の分泌を抑制します。

H2ブロッカーは、プロトンポンプ阻害薬に比べて効果が弱く、毎日連続して利用していると効果が徐々に低下します。このため、プロトンポンプ阻害薬を補完する薬として用いられることが多いようです。

●逆流しても粘膜が傷つかないようにするタイプ

酸中和剤(制酸剤)胃酸を中和して、胃酸の働きを弱め、食道粘膜が傷害されるのをやわらげる薬です。

速効性がありますが、効果が1時間ほどしか持続しなかったり、便秘や下痢などの副作用が出やすかったりします。このため、プロトンポンプ阻害薬を使用し、たまに胸焼けの症状が現れた場合などに用いられます。

胃粘膜保護薬食道の粘膜を保護することで、逆流してきた胃酸から食道を守る働きがあります。

ですので、胸焼けの症状を一時的に抑えるために用いられることがありますが、胃食道逆流症への有効性が認められていないので、保険は適用されません。

(この記事の監修: 吉井クリニック 院長 / 吉井友季子 先生)

忘年会後の【胸焼け】を一発解消する方法


●胸焼けの応急処置に牛乳を

胸焼けは、胃酸が胃から食道へ逆流したときに起きますが、このときの応急処置として、牛乳を飲むという行為が効果的です。

なぜならば、牛乳を飲むことで、逆流した胃酸が洗い流されるだけでなく、食道の粘膜に牛乳の膜が貼れ、胃酸の刺激から食道を守ることができるからです。ただし、牛乳の温度が冷た過ぎたり、熱過ぎたりする飲み物は、食道や胃を刺激してしまいます。なるべく常温で飲むようにしましょう。

食道粘膜を保護する効果はありませんが、食道を洗い流すだけなら、常温の水でも構いません。「だったらお茶でもいいのかな?」と思う人もいるかもしれませんが、お茶には注意が必要です。

お茶の多くには、胃酸の分泌を促進するカフェインが含まれているので、かえって胸焼けが起きやすくなる傾向にあります。麦茶や杜仲茶など、カフェインを含まないお茶もありますが、成分表記が分からない場合は、水を飲んだほうが無難でしょう。

●チューイングガムで胸焼け予防

唾液は、中性の粘液を含んでいる液体なので、胃酸を中和する作用があります。

胃酸の逆流は、食後に起こりやすいので、胸焼けしやすいときは、食後にチューイングガムを噛んで、唾液の分泌を活発にしましょう。唾液の分泌が活発になれば、逆流した胃酸を中和できるだけでなく、食道を洗浄することもできます。

●胸焼けが辛くて休憩したいときは

胸焼けが辛いときは、思わず机に突っ伏したり、横になって休憩したくなったりする人もいるかもしれません。しかし、胸焼けが起こるということは、食道と胃の境目で逆流を防いでいる「下部食道括約筋」がゆるくなっている可能性があります。

そんなときに、前かがみの姿勢になると、胃が圧迫されて、食道への逆流が起こりやすくなります。

また、横になるときも、食道と胃が同じ高さになると、逆流が起こりやすくなるだけでなく、逆流物がそのまま食道の中に停滞してしまいます。横になるときは、背中に座布団などを敷いて、上半身が少し高くなるようにしましょう。

(この記事の監修: 吉井クリニック 院長 / 吉井友季子 先生)

【今日のストレス 明日の病気】イボ痔 薬も手術も進歩してます 恥ずかしがらず専門医に


肛門を他人に見せるのが恥ずかしくない人はあまりいない。ましてそこにイボなどがあれば、そっとしておきたいと思う気持ちもわかる。でも、それを気にし過ぎてストレスをためたのでは意味がない。

そのストレスが、イボを育ててしまうこともあるのです。

 Rさん(42)が肛門の内部、それも出口の近くに“何か”があることに気付いたのは半年前のこと。排便後に水で洗浄し、紙で拭いたときに指が触った。小指の先ほどの小さな突起物が肛門から顔を出していた。プヨプヨと柔らかく、痛みはない。

 しかし、それ以降、Rさんは気になって仕方ない。

 「これが世にいうイボ痔(じ)なのか。困ったな…」

 心配性のRさんは悩んでしまった。お医者さんにお尻を見せるのは恥ずかしいし、上司が昔イボ痔の手術をして、「死ぬほど痛かった」と話していたことも不安を助長させる。

 「怖がることはありませんよ」とやさしく語り掛けるのは、東京・赤坂見附にある「マリーゴールドクリニック」院長の山口トキコ医師。イボ痔とその治療法について、次のように解説する。

 「痛みや出血などの症状がなければ、様子を見て大丈夫。ただ、便秘などでいきんだりすると、その反動で出血したり、痛みが出ることもある。それでも薬で対応できることが多いので、まずは受診してみてください」

 では、どんな時に手術になるのだろう。

 「イボが大きくなって肛門から出てくるようになると、手術が必要になることがあります。

ただ、今は切除するばかりではなく、痔核(じかく)に薬剤を注入して小さくするALTA療法や、ゴム輪でイボを縛って壊死(えし)させる方法など、痛みの小さい治療法があります。切除するにしても、昔に比べると切る範囲が小さくなったので、“死ぬほど痛い”なんてことはありませんよ」

 山口医師によると、痔を気にしてストレスをため、それが原因で痔が悪化することもあるという。

 そもそも痔の専門医にとって、Rさんの小さなイボなんて珍しくもなんともない。恥ずかしがっていないで、早く診てもらったほうがいいですよ。 

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【今日のストレス 明日の病気】自殺…“最後の決断”する前に心療内科に相談しよう


1億総ストレス時代。誰もが心を病んでいる。時には「死にたい」と思うこともある。そんなピンチを乗り越えるには、当人だけでなく、周囲の的確なサポートが大きな役割を果たすことになる。「死」が絡む相談は、するほうも、されるほうも、命がけなのだ。

 Iさん(44)は、心療内科のクリニックに通院中。病名は「鬱(うつ)」だ。

 2カ月ほど前、彼は大学時代の友人から相談を受けた。居酒屋で会って話を聞くと、仕事がうまくいっていないらしく、会社では冷や飯を食わされているらしい。おまけに奥さんとの関係も悪化しており、会社にも自宅にも居場所がないと嘆く。

 「死にたいよ…」とつぶやく友人に、かける言葉も見つからず、「そう言わずに元気出せ」と励まして、その日は別れた。

 しかし2日後、友人は本当に自殺してしまった。奥さんと、まだ中学生の娘を残して。

 Iさんは自分を責めた。「助けを求めてきたのに、俺は適当にあしらってしまった…」

 今度はIさんが「死にたい」とつぶやくようになってしまった。

 夕刊フジ月曜連載「心の健康相談室」でおなじみ、横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長の山本晴義医師は、「死にたい」と相談を受けたときの対応を、こうアドバイスする。

 「まず、『よく話してくれた』と感謝の意を示す。その上で相手の立場に立って話を聞く、つまり“傾聴”に徹するのです。この時、『そんなこと言うなよ』と否定したり、『死んだら家族はどうなるんだ』などと説教するのはご法度です」

 とはいえ、突然相談されたときに、うまく受け答えできるかといわれれば、誰だって自信はないだろう。そんな時には心療内科の受診を勧め、プロの力を借りる方向に導いてあげることが大切だ。

 山本医師が24時間無料で行っているメール相談(横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンターのHPから送信可)や、厚労省が運営するサイト「こころの耳」なども役に立つ。

 「最後の決断」を下す前に、こうしたサービスがあるということを、まずは知っておきたい。 

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【今日のストレス 明日の病気】下痢型過敏性腸症候群 地味にがんばる小腸がダメージ受け消化不良


ストレスで下痢になる人は多い。その代表格が「下痢型過敏性腸症候群(IBS)」。多くの人は大腸の問題と思い込んでいるが、じつはその手前にある“小腸”が後天的な機能不全に陥っている可能性もあるという。

 小腸は、臓器の中でも目立たない存在だ。同じ消化管でも、胃や大腸はストレスがかかるとすぐ悲鳴を上げる。食道なども、飲み過ぎや肥満で胃酸の逆流を受けては救助を求めてくる。そのたびにお父さんは、消化薬を飲んだり制酸薬を飲んだり忙しい。

 一方、小腸は全長約6メートルと腸管の中でも最も長いにも関わらず、お父さんに手を焼かせることはない。「生まれてから1度も、小腸のことなど考えたことなどありません」という人は多い。

 同様に医療界も、小腸のことを「よくわからないヤツ」と、あまり目をかけないできた。その証拠に、胃カメラは十二指腸まで、大腸内視鏡は大腸の入り口の盲腸あたりまでしか見ない。まん中の小腸については、「あそこはウチの営業範囲じゃないんで…」と、うやむやにしてきたのだ。

 そんな不遇の臓器・小腸に、ついに光が当たる時代が訪れた。カプセル内視鏡だ。ごくんと飲めば1秒間に2回閃光(せんこう)を走らせ、隅々まで撮影するこのカメラの登場により、小腸の知られざる苦難が見えてきたのだ。

 日本におけるカプセル内視鏡の第一人者、獨協医科大学の中村哲也教授が語る。

 「精神的なストレスがかかると、小腸が十分に栄養を吸収できなくなることがあるようなのです。その結果、食べた物の消化が悪くなって下痢になる。下痢型IBSと思われている中には、じつは小腸のストレスによる機能低下が原因となっている可能性があるのです」

 従来、小腸にはめったに「がん」はできない-といわれてきたが、カプセル内視鏡の普及で、結構小腸にもがんができることが分かってきたと中村教授は指摘する。

 小腸は、長い苦難を耐え忍んできたのだ。小腸に感謝しないと、罰が当たって下痢になりますよ。 (長田昭二)

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【知りたくもない!?カラダの不思議】スッキリ目覚める方法 朝に「お楽しみ」を作ろう


仕事や学校があるときには、何度起こされてもなかなか起きられない。また、目覚ましをいくつもかけても、無意識のうちに止めてしまっているし、スヌーズ(再アラーム機能)も効果なし。

 にもかかわらず、遊びのときになると、誰に起こされるでもなく、目覚ましもかけず、自然とスッキリ目を覚ますという経験はないだろうか。

 「朝が弱い」と言いつつも、遊びのときだけ起きられるのは、結局、普段怠けているだけなのだろうか。ロフテー快眠スタジオの睡眠改善インストラクター・矢部亜由美さんに聞いた。

 「脳は寝ている間に記憶が整理され、定着するという性質があります。寝ている間も脳は働いているわけで、実際、怠けているかどうかはともかく、起きられるかどうかの理由としては、無意識に優先順位があるのかもしれません」

 ただし、「楽しみなことがあると早く目を覚ます」人がいる一方で、「楽しみ過ぎると、前夜に寝付けなくなる人」も「気がかりなことがあると、夢に見てしまったり、途中で目覚めてしまったりする人」もいて、それぞれ自覚的ではないだけに、難しいところではある。

 そんななか、やっぱり理想は「楽しみで目が覚める」こと。とはいえ、仕事がある日は、なかなかそうもいかないのが現実だ。

 「遊びのときだけ起きられるという人は、平日でも、朝にお楽しみを用意するといいかと思います。たとえば、ケーキやデザートなどを用意しておき、『朝起きたら食べる』と決めると、気持ちよく目覚めるかもしれませんよ」

 夕食後にデザートをとる習慣がある人も多いが、夜に食べるのは太る原因にもなるし、「朝の楽しみ」にすれば目覚めのきっかけにもなり、一石二鳥だ。

 また、金曜の夜などは、翌日仕事が休みだという解放感から、つい夜更かししてしまいがちだが、これは生活のリズムを崩す原因になるそう。

 「金曜夜に、録画しておいたビデオなどをまとめて観るという人も多いですが、これも『土曜の朝のお楽しみ』にしてみると良いと思います」

 「起きたら〇〇できる」というお楽しみ設定は、寝るモチベーションにもつながる。ぜひ取り入れてみては?

一日の疲れを取るはずの睡眠で、逆に疲労を背負い込んでいる人がいる。原因は「いびき」。当人はぐっすり眠っているはずなのに、実はいびきが邪魔して深い睡眠が得られていない。その背景には、やはりストレスがあったのだ…。 


何かと腹の立つことの多い世の中。イライラが体に悪いことなど百も承知で腹を立てざるを得ないのが、ストレス社会に生きるサラリーマンだ。でも、結果として血圧は上がる一方。あわれ血管はボロボロ…。 

 今回の主人公は、とある中堅企業で課長を務めるUさん(43)。学生時代には合気道部で活躍したというだけあり、常に冷静沈着。実は単に口下手なだけなのだが、周囲が「クールな人」と思ってくれているので、その路線で行くことにしているだけ。

 ところが、そんなUさんの部署に昨年配属された課長補佐が問題だった。

常務の縁故で入ったボンクラで、仕事はできないくせにアイデアだけはポンポン思いつく。その大半は現実味に乏しいものなのだが、その斬新さが若い社員たちの心をつかんで離さない。いつしか課の実権は課長代理が握ってしまい、Uさんは“お飾り課長”になってしまっていた。

 ボンクラが司令塔では業績は下がるばかりだが、その責任だけはUさんが負うことになる。常務の遠縁だけに強く言えないUさんは、一人歯を食いしばって耐えるのみ。

 そんな状況で受けた定期健診。血圧を測ると、「上が190」という、とんでもない数値に跳ね上がっていた。昨年までは130を超えたことのなかった彼にとって、これは驚くべき高値である。

 「ストレスが原因の高血圧症でしょう」と分析するのは昭和大学医学部循環器内科講師の木庭新治医師。

精神的なストレスで交感神経が活性化し、血圧が上がることを「ストレス下高血圧」と呼ぶ。これだけでも立派な病気だが、これを放置すると命に関わる危険な状態を招きかねない。

 「腹を立てたり落ち着いたりを繰り返すたびに血圧は乱高下します。この“変動”が血管によくない。

通常、血管を流れる血液は固まらないようにできていますが、ストレスは血圧を上昇させ血管に負担をかけるだけでなく、血液凝固因子の働きも高め、血栓ができやすくなるのです」

 ストレスは食生活の乱れも助長する。この状況で彼がロースカツ定食の大盛りをヤケ食いでもしようものなら、心臓発作は目の前だ。今こそ合気道の精神で、心を鎮めてほしいところなのだが…。 

【今日のストレス】口のねばつき 心の疲れが生む渇…


疲れたりストレスがたまると、舌がねばねばして滑舌(かつぜつ)が悪くなる。人によっては、何を言っているのか分からなくなることも。背景には自律神経の乱れがあるようなのだが、ちょっとした“舌の運動”で改善できるのだ。

 Cさん(50)はもともとあまり滑舌がいいほうではないが、ストレスがたまるとその“症状”は一層ひどくなる。特に朝起き抜けの「口のねばつき」はひどく、口角から泡を吹き出しながらモソモソいうばかり。

 「ストレスで交感神経が緊張状態になり、唾液の分泌が抑制されるので、口の中がねばつくことがあります」と話すのは、東京都渋谷区にある片平歯科クリニックの片平治人院長。加えて他の原因にも言及する。

 「残業続きで体内リズムが後退すると、特に起床時の口腔(こうくう)乾燥感が強まる傾向にあるのです」

 不眠やうつ症状で睡眠薬や精神安定剤を服用していると、副作用で口が渇くこともあるという。「心が疲労すると、“口唇封鎖不全”から口が開きやすくなる。そうなると口呼吸の上に呼吸が浅くなり、口のネバつきもひどくなる」

 対策として片平院長が勧めるのが“舌上げ”だ。

 「まず、舌の先を上の前歯の裏側にある膨らみ(切歯乳頭)に付けます。この状態で唾をゴクッと空飲みすると、口の中が陰圧になり舌が自然に上あごに張り付くようになる。この時、かみしめないように注意します。

その感覚がわかりにくい人は、ミントキャンディーを舌と上あごの間で溶かしてみてもいい。ミントの刺激で気分もスッキリします。舌は下でなく上を意識する。心も上向きになるかもしれません」

 他にも、日常的に腹式呼吸を実践することで、副交感神経は活性化され、ストレスの負担軽減につながるという。

 口が渇けば口臭もひどくなるし、かぜなどの感染症にも弱くなる。いいことなど1つもない。何より大人のくせに口を開けていると、それだけでばかに見える。

 Cさんは考えた末に、夜はマスクをして寝るようになった。口は開けていても、ばかではなかったのだ。 (長田昭二)

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【今日のストレス 明日の病気】健忘症 心因性は脳の血流不足 まずぐっすり眠ること


「言った」「言わない」のもめ事はよくあることだ。いずれ証拠が出てくれば解決する。しかし、原因が「健忘症」だとそうもいかない。精神的なストレスが招く健忘症、最近増えているそうです。

 Kさん(45)の悩みは「健忘症」。そう話すと、周囲の仲間は「俺もあるある」と同調するが、Kさんとしては「お前らの物忘れとはレベルが違うんだ!」と腹立たしくなってくる。

 Kさんはフリーの編集者。最近は本業の仕事が少なく、出版社や編集プロダクションの下請けで、校閲や簡単な翻訳などの仕事もしている。

 景気が悪いので、来る仕事は絶対に断らない。たった一人で仕事をしているので、仕事がいくつか重なると、てんやわんやの忙しさとなる。そして健忘症は、決まってそんな時に発症する。

 「資料が宅配便で届いて、自分で受け取ってハンコも押しているのに、受け取ったことを忘れてしまうんです。後で『送った』『届いていない』のトラブルに発展し、探してみると古新聞の束の中から出てきたりして…」

 仕事に影響が出るような物忘れは心配だ。病院で脳の検査を受けたが、異常はない。「ストレスのせいでしょう」と言われて帰ってきたが…。

 「記憶障害を伴う病気はいくつかある中で、最も頻度が高いのが健忘症。Kさんは心因性健忘症と思われます」

 大阪厚生年金病院内科の鈴木夕子医師は、そう指摘する。

 画像診断で脳に異常があれば別の病気が疑われるが、Kさんの場合はそれが否定されているので、心因性健忘症の疑いが濃いという。

 「原因ははっきりしないものの、精神的なストレスで脳の血流が不足して、一時的に脳が栄養不足状態になることで起きる症状。特効薬はないけれど、ストレスが積み重なって起きることが多いので、それを発散することが先決。

睡眠不足も発症要因の一つなので、ぐっすり眠れる睡眠環境を整えることも大事です」と鈴木医師。

 ストレス解消には「適度な運動」もオススメだが、きまじめなKさんは「運動しなければ」と新しいストレスを作りかねない性格。少し仕事をセーブして、温泉にでも行ったほうが治りは早そうなのだが、自営業はそれができないんだよね。

どうぞ素敵な夢を・・・


世の中には、余計なことをしてストレスを抱え込む人がいる。いわば自業自得なのだが、“苦痛”であることは確かだ。周囲の理解も得られずに、ただもんもんと苦しむ日々。それを人は「自業自得」と呼ぶ。

 Yさん(45)は、大手IT企業の部長さん。普段はいい人なのだが、1つだけ悪い癖がある、「女癖」だ。若い頃からほれっぽい性格で、女性と見れば片っ端から口説いて回る。その大半は相手にされないのだが、たまに引っかかる女性もいる。

 昨年久しぶりに引っかかったのは人妻だった。人目を忍ぶ逢瀬は楽しかったが、相手の夫にバレた。巨額の慰謝料を請求されて、現在係争中だ。

 そんなYさん、最近は体調がすぐれないらしい。弁護士から伝わって来る情報は芳しくないものばかり。そのたびにおなかと背中が痛む。病院に行ったら「十二指腸潰瘍ですね」と診断された。

 昔からストレスと十二指腸潰瘍の関係は知られてきたが、そのメカニズムはどんなものなのか。JCHO大阪病院内科の鈴木夕子医師が解説する。

 「十二指腸や胃の表面は、胃酸のダメージを受けないための防御機能が備わっていますが、その仕組みが破綻すると、自分の胃酸でやられてしまう。アルコールやピロリ菌などが原因になることもありますが、ストレスも要因の1つです」

 鈴木医師によると、みぞおちや背中の痛みが特徴的で、特に空腹時に痛くなって食後は痛みが治まるのが特徴。診断には胃カメラが最適だが、こうした特徴的な症状を訴えていれば、大抵の場合それだけで見当がつくという。

 「重症化すると吐血や下血、さらに悪化すると穿孔(せんこう)と言って十二指腸に穴が開くこともある。まあその時には、救急車を呼ぶ騒ぎになりますが」(鈴木医師)

 とりあえず胃酸の分泌を抑える薬を処方されて、今はおとなしくしているYさん。しかし、潰瘍が治ればまた悪さをすることがわかっているだけに、周囲の誰も同情してくれない。結果としてヤケ酒を飲んで、またおなかが痛くなる。彼のこの悪循環は、途切れることがなさそうだ。 

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【今日のストレス 明日の病気】季節性鬱病 食欲と眠気の秋!? 原因は日照時間


春眠暁を覚えず-とはいうが、秋になると眠くなる人がいる。「季節性鬱(うつ)病」とよばれるこの病気、一般的な鬱病とは様子が異なるようだ。とはいえ、鬱病であることには変わりない。それが新たなストレスを生み出すことにもなる。

 Yさん(43)はこの数年、秋になると気分がふさぎ込む。物思いにふけるというなら「秋だからね」と理解もできるが、そんなレベルではないようだ。どんなに寝ても眠気が取れず、昼間は甘いものが手放せなくなる。当然体重も太るので不健康だ。それがストレスとなり、またヤケ食いに走る。

 Yさんのこうした症状は毎年10月頃に始まり、春の訪れを感じる頃には治まっていく。秋冬限定の鬱症状なのだ。

 じつはYさん、この症状が「季節性鬱病」という病気によるものだということを知っている。昨年の今頃、あまりに調子が悪いので内科を受診して診断されたのだ。

 それにしても聞きなれない病名だ。千葉県野田市にあるキッコーマン総合病院院長代理の三上繁医師に解説してもらおう。

 「秋から冬にかけて発病し、春になると自然に治る鬱病です。普通の鬱病が不眠と食欲不振を招くのに対して、“季節性”は過眠と食欲増進という逆の症状を示すことが多いのが特徴。特に炭水化物や甘いものを欲しがる傾向が強く、Yさんのように冬だけ太る人が少なくない」

 なぜそんなことになるのか。三上医師が続ける。

 「日照時間が短くなるこの時期は、脳内のセロトニンの分泌量が低下し、“冬眠モード”に切り替わるのです。ところが“夏モード”になじんでいる体がこの変化についていけなくなると、そのひずみが“鬱症状”を引き起こす-と考えられています」

 一番の治療法は日光浴。特に屋外での運動が効果的だが、重症の人には、高照度光療法という医学的アプローチもあるという。

 夕方になると自らオフィスの窓際に陣取り、目に涙を浮かべて西日を浴びるのが日課のYさん。どうせなら頑張って早起きして、朝日を浴びたほうが健康的だと思うのだが…。 (長田昭二)

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【今日のストレス 明日の病気】メニエール病 耳鳴り伴うめまいうつ症状の併発も


 「ストレスでめまいなんて当たり前じゃないか!」と怒ってはいけない。1日や2日のめまいならいざ知らず、何日も続けば、それが元で働けなくなることもあるのだ。こうなると立派な病気。「メニエール病」が最たる例だが…。

 Mさん(35)の悩みは“めまい”。数カ月前から仕事が忙しくて、早出と残業の連続。土日返上で働いているうちに、目の前がグルグル回る症状に襲われるようになった。

 2週間を過ぎても症状は続き、いつも耳鳴りを伴い、最近は聞こえも低下してきたので病院を受診。検査の結果「メニエール病」と診断された。

メニエール病とは、耳の入り口から外耳、中耳と続く一番奥の「内耳」という場所で、内リンパ液という液体が過剰にたまることで起きる病気。なぜこのリンパ液が増えるのかは分かっていないが、その要因の1つとして「ストレス」の存在が指摘されているのだ。

 横浜市立みなと赤十字病院耳鼻咽喉科部長で、めまいに関する著書も多い新井基洋医師に聞いた。

 「めまいは軽視できない症状。1カ月以上続くとうつ症状が併発することも珍しくなく、生活時間帯に発症すると仕事もできないことにもなります。きちんとした治療を受けるべきです」

 メニエール病は国の「難病指定」を受けている病気だが、症状を軽快させる工夫はあると新井医師は言う。それは「水をたくさん飲むこと」だ。

 内耳のリンパ液が過剰になって病気が起きているのに、水を飲むなんて逆じゃないか-と考えてしまいそうだが、新井医師はこう説明する。

 「水をたくさん飲むと、内リンパ液をためる働きを持つ抗利尿ホルモンの分泌が抑えられ、脳は貯水をしなくていいと判断する。結果として内耳の水ぶくれが治まっていくのです」

 男性なら1日に1・5リットル、女性でも1・2リットルの飲水が目標だ。早めに「めまい外来」などの専門外来を受診して、適切な治療を受けることが重要だ。

 「めまいくらい…」なんて甘く見ていると、エライ目に遭いますよ。 

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【今日のストレス 明日の病気】リストラ、子供や夫婦の将来… 不安で“不眠”に!


心配事で眠れない-。誰にも経験のあることだが、それにだって限度がある。何カ月も睡眠不足が続けば、あちこちに影響が出るのも当然のことだ。放置することなく、早目の診断、治療が必要なのだが…。

 Kさん(50)は加工食品メーカーに勤めるサラリーマン。会社はこのご時世、ご多分に漏れず業績が悪く、いつ自分のクビが飛んでもおかしくない状況だ。

 高卒で入社して以来、この道一筋で生きてきた。いまさら他の仕事に就いても、やっていける自信などない。それでも確実に忍び寄るリストラの影に、眠れない夜を過ごしているのだ。

 半年ほど前から眠れなくなり、かかりつけの内科医に相談すると睡眠導入剤を処方された。

 しかし、大学と高校に通う2人の子供や、自分たち夫婦の将来を考えると目は冴えるばかり。連日午前3時や4時まで悶々と過ごすことになる。

 当然、日中は眠くて仕方ない。集中力が落ちてミスも起きる。リストラ対象だけにヒヤヒヤものなのだが、夜、布団に入るとまた眠れない。睡眠不足が蓄積されていく…。

 「単なる睡眠不足ではなく、“うつ”による症状を疑うべきでしょう」と語るのは、本紙月曜連載「心の健康相談室」でおなじみ、横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長の山本晴義医師。続けて解説する。

 「強いストレスで交感神経が刺激され、副交感神経が支配する眠りに入るのを妨げているものと思われます。体は眠りを欲していても、一種の興奮状態にあるのでなかなか眠れないのでしょう」

 睡眠導入剤が効かないことについても山本医師は、「うつによる不眠には、睡眠導入剤だけでは効果が不十分のことがある。原因に沿った治療が必要なので、心療内科や精神科などで、うつに対する全般的な治療を受けたほうがいい」と指摘する。

 体は疲労困憊なのに眠れずに、さらに疲労を重ねていくという悪循環。放置すれば自殺という最悪の結末だってありえないことではない。悪い流れを断ち切るためにも、まずはメンタルの専門医に相談すべきなのだ。

【今日のストレス 明日の病気】下肢静脈瘤 ボコボコのふくらはぎ立ち仕事の人は要注意


ふくらはぎに静脈が浮き上がる「下肢静脈瘤(りゅう)」。脚がむくんだり、重く感じられるなど、不快な症状に悩まされることになる。そして、毎度おなじみストレスは、こんな脚の症状まで引き起こすというのだから恐ろしい…。

 Yさん(54)はそば屋の経営者。本店と支店の2店舗を構え、忙しい日々を送っている。社長とはいえ、そばも打てばレジにも立つ。零細企業の社長は大変なのだ。

 当然ストレスも多い。店の経営や家計の不安もさることながら、妻が更年期を迎えたようで、不機嫌が慢性化しているのだ。家に帰っても会話もない。最近は店が終わると1人行きつけの居酒屋に行っては痛飲する。

 そんなYさんのふくらはぎに「瘤(こぶ)」ができた。痛くはないが、気味が悪い。「何だろう?」と妻に見せたら、「病気じゃないの?」と心配してくれた。まだちょっとだけ愛が残っていたようだ。

 「病院行ったら?」

 わずかばかりの愛情が発した妻の言葉に従って病院を受診すると、即座に「下肢静脈瘤です」と診断された。本当に病気だったのだ。

 「下肢静脈瘤とは、脚から心臓に向けて血液を押し上げていくための“弁”が機能不全に陥り、静脈内で血液が鬱滞(うったい)する病態。血管が皮膚の表面に浮き上がったり、脚が重く感じられるなどの症状が出ます」と語るのは、新宿血管外科クリニック院長の阿部吉伸医師。その背景にストレスの存在を指摘する。

 「ストレスがかかると血圧が上昇し、動脈硬化が進行しやすくなるため、静脈の“弁”が壊れやすくなるのです。

また、精神的な抑鬱で飲酒過多や喫煙量が増えると脱水から血液がドロドロになりやすく、これも下肢静脈瘤の原因になる。ストレスと静脈瘤は、意外に関係が深いんですよ」

 レーザーで血管をふさぐ治療法が主流だが、早期であれば脚を強く締め付けるストッキングで症状を抑えることも可能だ。

 「Yさんのような立ち仕事の人は、特にリスクが高いので要注意です」(阿部医師)

 手術を受けることになったYさんを、奥さんも心配している。病気の不安よりも、奥さんが親切にしてくれることがうれしくて、そばを打ちながら鼻歌なんか歌っているらしい…。ヘンな人だ。 (長田昭二)

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【今日のストレス 明日の病気】貧血 自律神経が十二指腸に損傷 鉄分を正常に吸収できない


毎月生理が訪れる女性に「貧血」が多いことは、お父さんだって知っている。しかし、精神的なストレスがかかると貧血のリスクが高まることは、知らないだろう。じつはこれ、女性でも知っている人が少ないようだ。

 OLのJ子さん(34)は、日頃から貧血によると思われる症状に悩んでいる。慢性的に疲れが抜けない。化粧でごまかしてはいるが、じつは顔色もよくない。朝、起き抜けの“めまい”はほぼ必発で、大人になってから「スッキリした目覚め」の経験など記憶にない。

 女性なので生理に伴う貧血は十分考えられるし、彼女自身その対策には余念がない。好きではないが2日に1度はひじきの煮物を食べ、3日に1度はレバーを食べる。それ以外にもサプリメントで鉄分を補給するなど、かなりの「鉄子」っぷりだ。

 それでもストレスがたまると貧血症状は顕著になる。耳鳴り、頭痛、動悸(どうき)、息切れ…。同僚の男性社員も心配はしているのだが、変に心配して声をかけてセクハラ認定を受けるのも怖い。皆、遠巻きに見守るばかりだ。

 「長く続くストレスが貧血を増悪させる可能性は、確かにあります」と語るのは、湘南東部総合病院院長の市田隆文医師。その仕組みを解説してもらう。

 「急性胃炎での出血による貧血もあるが、慢性のストレスで自律神経のバランスが崩れると、“腸”がダメージを受けます。胃や大腸が不調をきたすことは知られていますが、じつは十二指腸も損傷を受けている。そして、口から摂取した鉄分の大半を吸収するのが、この十二指腸なのです」

 ストレスで十二指腸の働きが弱くなり、鉄分を正常に吸収できなくなった結果、貧血を招くこともあり得るという。J子さんのケースがまさにそれなのだ。

 市田医師が付け加える。

 「むやみにサプリメントなどで過剰に鉄分を補給すると、肝臓に負担がかかって肝障害の原因になる危険性が高まる。とくにC型肝炎の場合は肝硬変やさらに発がんのリスクが大きくなるので、注意が必要です」

 J子さんがまずすべきことは、ストレスを解消して、十二指腸の吸収を回復させること。そうすれば、自然に鉄分も補充され、貧血も治まっていくはずだ。その日が1日も早く訪れることを、同僚一同が首を長くして待っている。 

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【今日のストレス 明日の病気】ビタミンB群欠乏症 急激ストレスで脳酷使 豚肉が精神的抑鬱状態に効く


 疲れが取れない、集中力が出ない、眠れない…。サラリーマンには当たり前の症状だが、どれもストレスが関係している。しかも、ある栄養成分を補充することで、ウソのように改善することもあるというのだ。

 Hさん(31)は、大手不動産会社の財務部に勤務する経理マン。学生時代から成績優秀で、会社に入ってからも周囲から一目置かれる存在だ。

 ところが、そんな彼に不幸が襲う。父親が心筋梗塞で急死したのだ。故郷に帰って葬儀を済ませ、落ち込む母を慰めながら、今後のことを妹と話し合った。母も心配だが、相続やら何やら、面倒なことがすべて長男のHさんの身に降りかかってきた。

 元来、仕事や学業には積極的になれる彼も、それ以外のことには興味が湧かない。東京に戻ってからも「実家のこと」がストレスとなって苦しむようになった。

 寝つきが悪くなり、寝ても夢を見るので眠りが浅い。悪夢を見ることも増え、眠ることが怖くなってしまった。仕事にも集中できず、ミスが増えた。食欲も出ず、休んでも疲労が取れない。どうすればいいのか…。

 「ビタミンB群欠乏症の可能性があります」と語るのは、「新宿溝口クリニック」院長の溝口徹医師。急激なストレスで脳を酷使すると体内のビタミンB群が大量に消費され、Hさんのような症状が出ることが多いという。

 「健康な人の睡眠は、たまに“いい夢”を見る程度。眠るたびに夢を見たり、頻回に悪夢を見るようであれば、精神的な抑鬱状態と考えるのが自然でしょう」

 サプリメントでビタミンB群を補充すれば次第に回復していくが、溝口医師は「豚肉を食べるのが一番です」と話す。豚肉はビタミンB群の宝庫。食事からビタミンB群を取るなら、豚肉の右に出るものはないという。

 そういえば最近、食欲不振で食事ものどを通らない日々を送っていたHさん。今夜あたり、トンカツでもショウガ焼きでもいいから、豚肉を食べてみましょうよ。まずは自分の元気を取り戻すことが先決。天国のお父さんもきっと心配してますよ。 

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【今日のストレス 明日の病気】心筋梗塞は「90分」が生死分ける 忙しくても健康管理を


メタボを放置すると、いずれ大変なことになる-。それは分かっていても、なかなか真剣に対処できないのが世のサラリーマンだ。しかし、放っておいたときに大きなストレスに襲われると、取り返しのつかないことにもなりかねない。

メタボは早めに治しましょう。

 Sさん(48)は典型的な“メタボ体質”。168センチの身長に対して体重は81キロ。BMI(肥満指数)は28・7と、基準値の25を大きく上回っている。

 加えて健診のたびに高血圧を指摘され、中性脂肪や悪玉コレステロールも高値安定だった。

 それでも彼が健康管理に真剣にならずにいられたのは「仕事が忙しい」という大義名分があったから。

 化学原料の商社に勤める彼はこの数年、まともに有給休暇を取ったことがない。海外出張が多く、長期出張から帰国したら、そのまま会社に戻り、何日も自宅に戻らないこともあった。

 そんな生活に嫌気がさし、2年前には妻も出ていった。自暴自棄になり、「健康管理などクソくらえだ」とうそぶいていた彼の心臓を、悲劇が襲う。

 会社で残業中に強烈な胸の痛みに襲われ、救急車で病院へ。検査の結果は「心筋梗塞」。急遽(きゅうきょ)心臓カテーテル治療が行われ、一命は取り留めたものの、落命してもおかしくない状況だったのだ。

 「もともと動脈硬化があるところにストレスかかると、血圧が急激に高まったり、血管がけいれんすることで心筋梗塞を招くことがある。

メタボの人にとって、ストレスが“トリガー”の役割を果たすことがあるのです」と語るのは立川相互病院副院長で循環器内科医の田村英俊医師。過労死の多くはSさんと同じケースをたどるのだとか。

 「Sさんは運よく助かりましたが、発作から90分以内に治療ができるかどうかが生死を分けることになる」と田村医師。周囲に人がいる会社で発作が起きたから救急車を呼べたが、誰もいない自宅だったら、孤独死する可能性が高かったのだ。

 退院したSさんは、さすがに反省したらしく、真剣にダイエットに励んでいる。体重も徐々に下がりだし、見た目にもスリムになった。

 「痩せると俺も意外にイケるクチだよな…」

 鏡に向かってつぶやくSさん。イケるかどうかは知らないが、早く新しい女房をもらったほうがいいですよ、心臓のためにも。 

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【今日のストレス】歯の痛み 酷暑要因で歯ぎしり虫歯でなく“摩耗痕”


「歯の痛み」といえば、普通は虫歯を疑うものだ。しかし、虫歯じゃなくても歯が痛くなることがある。精神的な抑圧状態が続くと、なぜか歯が痛くなる人がいる。その不可思議なメカニズムをひもとくと…。

 Wさん(33)は1週間ほど前から歯に痛みを感じるようになった。右の奥から3-4本目あたりが痛い。

初めは市販の痛み止めでしのいでいたが、妻から「子供じゃないんだから歯医者さんに行ってきなさい!」と叱られて、渋々会社の近所の歯科医院を受診した。

 ところが、虫歯は見つからなかった。見つかったのは、「ファセット」とよばれる“病態”だった。

 「ファセットとは、歯にできる“摩耗痕”のこと。強い歯ぎしりをしている人に見られます」と語るのは、Wさんを診察した東京・大田区にある平和島駅前歯科医院の下山忠明院長。Wさんの歯痛の原因を、ストレスではないかと推測する。

 「精神的なものも含めさまざまなストレスにより、夜間睡眠中に無意識のうちに食いしばったり、歯ぎしりをする人がいます。これが原因で歯に痛みが生じているのでしょう」

 ファセットは歯科医が口の中を見ればひと目でわかるという。ほんのわずか(歯を研磨する程度)の咬合調整でかみ合わせが改善し、症状も改善していくことが多いが、ひどい時には睡眠中にマウスピースを装着することで歯を保護することもある。

 ちなみにWさんの歯痛は、下山院長ご推察の通り、ストレスだった。しかし、そのストレスは小欄でよくある会社や家庭でのゴタゴタではない。彼のストレスは「熱帯夜」だったのだ。

 少々メタボ気味のWさんは汗っかき。彼にとってこの夏の酷暑は耐え難い苦しみだ。

ところが彼の奥さんは大のクーラー嫌い。うだるような暑さの寝室で、スヤスヤ眠る女房を尻目に、深夜までうちわを駆使してわずかな涼を求めるメタボ亭主。美しい夫婦愛ではあるが、そのストレスが回り回って“歯”に現れたというのだから哀れな話だ。

 Wさんは眠れぬ深夜、自分の歯の保護のために「ストップ・ザ・温暖化」を真剣に考えているという。いつか環境庁から表彰されるといいのだが。 

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【今日のストレス】新プロジェクトで疲労→“戦闘ホルモン”が作用し血糖値上昇!


医者の言うことを聞かずに不摂生を続けて病気が悪化したなら自業自得だ。

しかし、言いつけ通りに清く正しく生活してきたのに、数値が悪化したのでは、神も仏もあったものではない。でも、時にストレスはそんないたずらをする。

 Yさん(50)は、数年前から糖尿病の治療を受けている。ただ、根がまじめで、医師の言いつけを順守する。

外食は極力避け、妻の作る和食中心の質素な食事に終始する。酒も飲まず、朝は欠かさずウオーキング。誰の目にも「健康的な生活」を実践してきた。

 ところが最近、どういうわけだか血糖値が高い日が続いている。

 思い当たることと言えばストレスが浮かぶ。最近スタートしたある作業で、得意先から無理難題を押し付けられている。何しろまじめなYさんは、無理とわかっていても手を抜けない。見た目は健康的でも、精神的には疲弊しきっているのだ。

 「ストレスは血糖値を高める大きな要因の1つ」と指摘するのは、大阪市淀川区にある糖尿病専門医院「ふくだ内科クリニック」院長の福田正博医師。そのメカニズムをこう解説する。

 「人間の体はストレス状態に陥るとアドレナリンが分泌され、体を守ろうとする。この時、別名戦闘ホルモンと呼ばれるアドレナリンは、血圧や心機能を上げて、肝臓を刺激しブドウ糖を血中に放出し筋肉にエネルギーを送ろうとする。

糖尿病状態でインスリンの作用不足のために血中の糖が筋肉に取り込まれにくいので、結果として血糖値が上昇するのです」

 ストレスがかかると飲酒量が増えたり、甘い物に手が出がち。これも血糖値を悪くする大きな原因。だが、糖尿病患者としては優等生のYさんのように、仕事のストレスそのもの以外に血糖値上昇の理由は見当たらないケースもよくあるという。

 「高血糖が続くようなら一時的にインスリンを投与し、膵臓(すいぞう)を休ませることも視野に入れて考えますが、まずはストレスをなくすべき。現代社会ではなかなか難しいですけどね」と福田医師。

 始まったばかりのプロジェクトは秋まで続く。それまでYさんの膵臓(すいぞう)はもつのだろうか…。

【今日のストレス 明日の病気】急性大動脈解離 カッとなって血圧上がり血管壁が裂け胸に激痛が


ストレス症状というと、胃痛や下痢、肩こりや頭痛など、「つらいけれど、死ぬことはない」というものが多い。しかし、中には生命の危険に直結するストレス症状もあることを忘れてはいけない。

 Tさん(52)は会社の部長職。その日は朝から会議に出ていたが、昼少し前に“異変”は起きた。

 興奮すると激高するタイプのTさん。その時も議論が白熱し、声も大きくなり始めていたときに、突然椅子から落ちてうずくまった。胸が猛烈に痛いのだ。

 尋常ならざる様子を見たスタッフが救急車を呼び、病院に担ぎ込んだ。

 緊急CT検査の結果「急性大動脈解離」と診断され、すぐに心臓血管外科に運ばれ手術が行われ、どうにか一命をとりとめることができたのだが…。

 そもそも急性大動脈解離とはどんな病気なのか。大森赤十字病院心臓血管外科部長の田鎖治医師に解説してもらう。

 「一言でいえば、大動脈の血管壁が裂けてしまう病気です。

先天的な要因から起きることもありますが、多くは高血圧と動脈硬化が原因。そこに強い精神的なストレスが加わると交感神経が刺激され、一気に血圧を高めて血管壁が裂けてしまうことがあるのです」

 何とも恐ろしい話だが、症状に特徴はあるのだろうか。田鎖医師が続ける。

 「この病気には、心臓に近い上行大動脈から裂ける“A型”と、心臓から比較的離れた大動脈で裂ける“B型”の2種類があり、それぞれ症状に特徴がある。

A型は最初に胸に激痛が走り、徐々に痛みが背中に向けて移っていくのに対して、B型は最初に背中が痛くなり、その後腰に向けて移動していくことが多い」

 TさんはA型だった。

 田鎖医師によると、裂けるだけ裂けてしまうと、まれに痛みが治まることがあるという。しかし、治療を受けずに48時間放置したときの死亡率は50%。様子を見ている余裕などないのだ。

 幸いにも職場復帰を果たしたTさん。医師の言いつけに従って、「怒らない、怒鳴らない、興奮しない」の「三ない運動」を実践しているとか。

 それがストレスにならなければいいのだが。

【今日のストレス 明日の病気】オジサンの肌トラブル「脂漏性皮膚炎」 睡眠不足などが引き金


“老い”を感じる瞬間は色々あるが、睡眠不足によるダメージの強さも中高年にはつらいものがある。しかも、影響が“皮膚”に出ることも。今回はそんなオジサンの肌のトラブル・脂漏性皮膚炎についての物語。

 今回の主人公はTさん(47)。会社が早期退職者を募る情報もある中、いつ自分の肩がたたかれるのかと戦々恐々の毎日だ。

 家に帰れば女房は、そんな疲れ切った亭主の相手をするのはうんざりと言わんばかりに冷たい対応。最近はTさん、寝室からも締め出されて、リビングの隅に布団を敷いて寝させられている。

 床暖房もない冷たいフローリングの上に横たわり、夜な夜な涙を流す。眠れない夜が続く。

 そんな彼に新たな悩みが加わった。顔が赤くなり、おでこや鼻の周りの皮膚の表面がポロポロと落ちるようになった。席に座っておでこを擦ると、机の上にフケのような皮膚のかけらが舞い落ちる。

ふと気づくと、嫌悪感をあらわにした女子社員が見つめている。彼女の口が「うわっ、きったね~!」と動いたのがわかる。読唇術などできなくても、わかる…。

 「恐らく脂漏性皮膚炎でしょう」と語るのは、虎の門病院皮膚科の大原國章医師。中高年の男性に多い症状という。

 「皮膚に付着する常在菌が悪さをして炎症を起こす病気。普段は免疫系の働きで問題は起きないが、ストレスで免疫力が落ちると炎症を起こすことがある。睡眠不足は発症要因の中でもメジャーな部類ですよ」

 抗炎症薬で炎症を抑えたり、常在菌を攻撃することで菌が悪さをできないようにすることもある。

 「まずは強力な薬を使ってガツンとたたくのがコツ。弱い薬を細々と使っても、燃え盛る火事にコップの水をかけるようなもの。かゆいから掻く、掻いて悪化、悪化してまた掻く、という悪循環を断ち切ることが、まずは先決です」

 皮膚の症状の悪循環も断ち切りたいが、その元のストレスの負の連鎖も断ち切りたい。しかし、残念ながらその兆候は見られない。女子社員の冷たい視線にさらされ、今日もTさんの机の上には、おでこの皮膚が舞い落ちる。ハラハラと…。

【今日のストレス 明日の病気】仕事が忙しくなるとつい…「ドカ食い」に注意


腹が減っては戦はできぬ-とはいうが、腹がいっぱいになっても戦にも行かずに寝ていれば、そりゃ太るのも無理はない。しかし、なんでストレスがたまると食べたくなるんでしょうね…。

 フリーライターのAさん(47)は、以前から太り気味だった。しかし6年前、一念発起でマラソンを始めたことからウエートロスに成功。80キロ台中盤だった体重は、「もう少しで60キロ台」とまでに減少した。

 ところが、彼には悪い癖がある。仕事が忙しくなると、いわゆる「ドカ食い」をするのだ。

 朝から深夜まで仕事をして、寝る前に缶の発泡酒を1本飲む。それくらいは世間も許してくれるだろう。しかしそれではおさまらない。夕食の残りがあればチンして食べる。それがなければカップラーメンを作って食べる。

それもなければ、ご飯を炊いたりスパゲティを茹でたり…。深夜に手の込んだ料理をする中年男は不気味だ。さっさと寝たほうがいい。

 「ストレスがたまると、食欲が出るのは仕方のないこと」と話すのは千葉県野田市にあるキッコーマン総合病院院長の久保田芳郎医師。その背景には血糖値とホルモンが関係しているという。

 「ストレス状態が続くと副腎から副腎皮質ホルモンが出てストレスと闘おうとします。これが長期に及ぶと副腎皮質ホルモンが枯渇してしまい、免疫力が低下してくる。

一方、ストレスがあると副腎髄質からはアドレナリンが分泌され、エネルギー代謝に影響して血糖値は低下。体は血糖値を上げようとして食欲が高まるのです」

 ストレスによる欲求とはいえ、そこで我慢できない心の弱さが、肥満へと後戻りさせるのだ。

 「できれば我慢すべきですが、どうしても食べたいのであれば、血糖値が上がるのを待ちながら、ゆっくり食べること。そうすればあまり量を食べないうちに満腹感が訪れて、食べ過ぎることはありません」(久保田医師)

 Aさんと付き合いの長い仕事関係者は、彼の体形で「今、忙しいか、そうでないか」の見分けがつくという。ずいぶんわかりやすい体質だが、決して羨(うらや)ましくはない。

【今日のストレス 明日の病気】狭心症の男性が口論、心臓発作の引き金に!


短気は損気-というが、腹を立てるのと引き換えに命を失うほど大きな損はない。ストレス解消の方法は人それぞれだが、ケンカでの発散は、やめたほうがよさそうだ。 

 Kさん(54)には、少し前から会社の階段を駆け足で登った時に胸が詰まるような感じがあった。しかし、すぐに症状は収まるので、仕事の忙しさも手伝って「見て見ぬふり」を決め込んでいた。

 その日も夜の9時過ぎまで会議が長引き、デスクに戻ってからも同僚と議論は続いた。話し合いは平行線をたどり、次第にエスカレート、最後には口論にまで発展する。

 Kさんは熱くなると止まらなくなるタイプ。両手で机をたたきながら激高したその時、突然、胸に激痛を感じてうずくまった。異変を察した同僚がすぐに救急車を呼び、病院へ。心電図や血液検査の結果、「急性心筋梗塞」と診断された。

 「狭心症の人がストレスを引き金に急性心筋梗塞に至る典型的な例」と説明するのは、東京・葛飾区のイムス葛飾ハートセンター・田鎖(たぐさり)治院長。

 「急激なストレスは自律神経に作用して血圧を高める。加えて消化器系の吸収が悪化するため、血中コレステロールも上昇する。もともと狭心症なら、悪化して急性心筋梗塞になるリスクは高まる。以前から労作時の胸の症状が見られただけに、狭心症だった可能性は大きい」

 すぐに心臓カテーテル治療が行われた。発症から処置室に入るまでにかかった所要時間は1時間15分。

 「心筋梗塞の治療は時間との勝負。発症から6時間以内の治療完了が理想だが、早ければ早いほど治療成績はよくなる」(田鎖医師)。Kさんのケースは理想的だった。

 カテーテルで冠動脈の狭窄を確認し、その場でバルーンを膨らませて血管を拡張。血流が再開すると、再狭窄を防ぐステント(金網)を装着して治療は無事に終了した。

 10日ほどのリハビリを経て退院したKさんは、2週間の自宅療養を経て職場復帰を果たした。

 これで一件落着と言いたいところなのだが、一つ問題が残った。Kさんの口論相手である。自分のせいで相手を死のふちに追い込んだことを気にして、憔悴(しょうすい)している。次は彼の心臓が心配だ。

【今日のストレス 明日の病気】発熱 解熱剤が効かずに仮病扱い 真面目な人に出やすい症状


人間に起き得るストレス症状はさまざまあるが、ただでさえ暑いこの時期に勘弁願いたいのが「発熱」だ。電力不足のご時世に、その“熱源”を有効利用できないものだろうか-。

 「発熱」「微熱」などという症状は、うら若き乙女がかかってこそ美しいもの。たとえ若くても男の熱は暑苦しいだけで、周囲の同情は得られない。Iさん(24)はまさに、そんな悲劇の主人公。

 どういうわけだか、彼は仕事が忙しくなると熱が出る。大した熱ではない。37度をちょっと上回る程度なのだが、平熱が35度台前半の彼にとって、この体温はそれなりの苦痛を伴う。

 初めは心配していた同僚も、仕事が立て込むたびに赤い顔をしてふさぎ込む彼に、最近はあきれ顔。あちこちから「都合よく熱を出せるものだ」とか「仮病だろう」というささやき声も聞こえてくる。彼に罪がないだけに気の毒なのだが…。

 そんなIさんに「ストレスで発熱することは実際にあります」と助け舟を出すのは、千葉県野田市にあるキッコーマン総合病院の三上繁院長代理。その仕組みはこうだ。

 「人はストレスを感じると交感神経の働きが活発になり、体温が上がるようにできています。つまり、感染症などによる発熱とはメカニズムがまったく異なる。抗炎症剤や解熱剤を飲んでも、ストレス性の発熱には効果はありません」

 当然、医療機関で血液検査などを受けても異常は見つからない。では、どこで判断するのか。

 「炎症による発熱時には悪寒が走りますが、ストレスが原因だとこれがない。また、炎症性の発熱が長引くと食欲不振で眠くなるが、ストレス性の時には逆の症状になることが多い。これも仮病扱いされる原因です」

 対処法はあるのか。三上医師は「この症状がストレスによるもの」という事実を受け入れ、適度に休息を入れることで状況は改善するという。

 「根がまじめな人に出やすい症状。仕事に対して7割程度の力で取り組む姿勢を持つだけでもだいぶ違います」

 一見ペースダウンに見えても、熱で休むよりいい。「これも治療だ」と割り切ることが、克服への第一歩なのだ。

【今日のストレス 明日の病気】ぼうこう炎 性交時での感染が多く女性の方がリスク高い


男性より女性のほうがリスクの高い病気はいくつかあるが、その代表格とされるのがぼうこう炎だ。

ぼうこうの痛みや悩みに対する意識には男女間での温度差が大きく、よほど気を使ってあげないと、もうサセてもらえなくなる。デキる男は、女性のぼうこうを気遣うものなのだ。

 中小企業の経営者・Yさん(60)は、見た目も性格も豪放磊落(らいらく)。顔はつねにオレンジ色に上気し、目はギラギラと怪しい光を放っている。

地声もデカく、豪快な笑い声は安普請の社屋を揺るがす。実際に見たわけではないのだが、毎晩鶏のモモ肉を貪(むさぼ)り食っているようなイメージの人だ。

 もちろんアッチのほうもお強い。EDとは無縁で、60の大台に乗った今も、薬ナシで連投可能。夫婦円満で結構なことなのだが…。

 「女房がね、ヤッた後でアソコが痛えって言ってね、ヤラしてくんねえんだよ」

 何とも下品な表現ではあるが、奥さんをいたわるYさんのやさしさが伝わってくる(こないか?)。

 この状況を専門医はどう見るか。岡山市北区にある「よこやま腎泌尿器科クリニック」院長の横山光彦医師に解説してもらう。

 「おそらく、ぼうこう炎だと思われます。男性に比べて女性は尿道が短いので、バイ菌がぼうこうに到達しやすい。Yさんの年齢から察すると、奥さんは更年期の可能性がある。そんなストレスから抵抗力が下がると、膣のバリア機能が低下して、炎症を起こしやすくなるのです」

 横山医師によると、ぼうこう炎の症状は、頻尿や排尿後の痛み、残尿感など。原因はいろいろと考えられるが、性交時に感染することが非常に多いという。

 「多くは抗生物質で治りますが、抵抗力が下がれば再発を繰り返すこともある。特にストレスはためないように注意すべきだ」と横山医師は呼びかける。

 「早く治んねえかなぁ…」と心配そうな表情を見せるYさん。風俗や浮気に走らないところは立派だが、ハナクソをほじるのはやめなさい。そんな汚い指で触ったら、治るぼうこう炎も治らなくなりますよ。

【今日のストレス 明日の病気】斜頸 首が回らない原因は借金苦による心身症


 「借金で首が回らない」という表現があるが、今回は「借金したくて首が回らなくなった人」のお話。中小企業の経営者にとって、これは決してひとごとではない。いつ病院に行っても恥ずかしくないよう、首を洗って待っていたほうがいいかも…。

 Hさん(64)は社員15人ほどの医療品問屋の社長さん。温厚で実直な人柄で、取引先にも、従業員からも慕われている。

 そんなHさんの「首」に、ある朝、異変が起きた。目が覚めた瞬間から動かなくなってしまったのだ。寝違えたのかと思ったが、丸1日経っても治らない。仕方なく整形外科を受診して、いろいろと調べてもらったが、骨にも筋肉にも異常は見当たらなかった。

 医師から「ストレス性のものかもしれない」と紹介状を持たされて受診したのが、本紙毎週月曜連載「ドクター山本の心の健康相談室」でおなじみ、横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長の山本晴義医師だった。

 「斜頸(しゃけい)という症状で、首を左に傾けた状態で固まっていました。いろいろと話を聞く中で、会社経営が非常に厳しい状況だという悩みが出たんです。不眠傾向もあるようなので、精神安定剤と睡眠導入剤を処方して様子を見ることになりました」(山本医師)

 その後も首は曲がったままで、人に呼ばれると体ごと向きを変えて返事をしなければならない。実直な性格ゆえ、生返事ができない彼にとって、何ともつらい日々が続いていた。

 そんなある日、1本の電話が状況を一変させる。受話器を置いて2-3分後、気付いたら首が縦横自由にグルグル回るようになっていたのだ。

 「電話の相手は銀行。難航していた融資話にOKが出たというのです。つまり彼の斜頸は、心因的な症状だったのです」

 そう語る山本医師は、こう解説する。

 「精神的抑圧が身体的症状を引き起こす“心身症”の一種です。Hさんの場合は首に出ましたが、肩や腰など全身のどこに起きても不思議ではない。今回はそこに目を付けて心療内科に紹介した整形外科医のファインプレーです」

【今日のストレス 明日の病気】急性ストレス反応 情緒不安定から強烈な吐き気 寝て体力回復を


夫婦が離婚したとき、ストレスで受ける精神的・身体的ダメージは男性のほうが大きい。頭を切り替えて人生を楽しむ女性を横目に、男性はいつまでもふさぎ込む。落ち込みたくて落ち込んでいるわけではないのに、その姿がさらに女性の反感を買うようで。

 Aさん(48)は離婚した。原因は妻の浮気。しかも浮気相手はAさんもよく知る人物だった。芸能界でも最近似た話があったようだが、この道ではAさんのほうが先輩だ。

 浮気がバレてからの妻の行動は早かった。発覚した週末には家を出て、不倫相手の家に転居。Aさんの留守中に少しずつ荷物を運び出し、2カ月後には離婚届を突き出した。あまりにスムーズな流れに、Aさんは茫然(ぼうぜん)としたまま署名なつ印し、気付いたときにはバツイチになっていた。

 以来Aさん、情緒不安定が続いている。突如襲いかかる不安と寂しさは、集中力の欠如、頭痛、下痢、食欲不振、吐き気、不眠、そして言い知れぬえん世観をもたらす。特に「吐き気」は強烈で、実際に吐いてしまうことが何度もあったという。

 たまりかねて心療内科を受診すると、「急性ストレス反応による神経衰弱状態」と診断された。

 「離婚、しかも配偶者の浮気が原因という、人生でそう経験することのないショッキングな出来事に立て続けに見舞われたら、おかしくなるのも当然」と語るのは、東京都新宿区にある吉村クリニック院長で心療内科医の吉村英樹医師。続けてこう説明する。

 「急性ストレス反応の症状の出方は人さまざま。Aさんの場合は消化器症状が強く出ていますが、胃や腸は内臓の中でも特にストレスに弱い。ヤケ酒に走ると、さらに症状を悪化させるだけ」

 吉村医師は、「寝るのが一番」と指摘する。

 「起きていれば嫌なことを考えてしまう。睡眠導入剤を使ってでも寝て、体力を回復させるべき。補助的に精神安定剤や漢方薬などを使うこともあるが、早く次の恋愛を始めるのが最良の薬です」

 Aさんは今日も涙目で吐き気をこらえている。

 「吐くとさっき飲んだ胃薬も出ちゃってもったいないから…」

 何とも気の毒な人だ。大丈夫。きっとそのうちにいいことありますよ。

【今日のストレス 明日の病気】奥歯の痛み 歯ぎしりで象牙質露出 知覚過敏状態


ビールを飲みながら奥歯でピーナツをかんだ瞬間、激痛が走った-。せっかくのリラックスタイムにも関わらず、全身から冷や汗が湧き出てくる。じつはそんな奥歯の痛み、原因に精神的な悩みが隠れていることがあるのだ。奥歯の痛みは、睡眠中に作られているという…。

 その痛みをUさん(33)が初めて感じたのは、会社で昼食の仕出し弁当を食べていたときのこと。最後に梅干しを奥歯で噛んだ時、「ズッキーン!」という衝撃が走ったのだ。

 「すわ、虫歯か?」と歯科医院に駆け込み、診察を受けると、上下の奥歯が擦り切れていた。歯科医師から下された診断は「歯ぎしりによる歯の摩耗」。歯の表面を覆うエナメル質が削られ、知覚過敏になっていたのだ。

 「精神的なストレスから睡眠中に食いしばったり歯ぎしりをしたりして、奥歯が削られてしまうことがある」と語るのは、東京都調布市にある「松浦歯科クリニック」院長の松浦敬史歯科医師。これを放置すると、内部の象牙質が露出してしまい、激痛に拍車がかかることになるという。

 しかし、そもそも人はなぜストレスがかかると歯を食いしばるのか。松浦院長はこう説明する。

 「諸説ありますが、最近の学説では、食いしばることでストレスを解消しようとしているのではないか-といわれています。グッと食いしばったあとの解放感は、スポーツの後の爽快感に似ていなくもない。無意識のうちに、奥歯を鍛えようとして、逆に痛めつけているわけです」

 この場合、睡眠中に歯ぎしり防止用のマウスピースで、歯を保護することになる。しかし、これは対症療法であって、元のストレスを解消しない限り、歯ぎしりや食いしばりを本質的に止めることはできない。

 「比較的神経質なタイプに多い症状」と松浦院長が指摘する通り、Uさんも繊細な神経の持ち主。それだけに日頃たまったうっぷんが、深夜に奥歯への重圧となってあらわれるのだろう。

 苦虫をかみつぶすような表情でマウスピースをかみつぶすUさん。やはり本質的な解決にはなっていないようだ。

【今日のストレス 明日の病気】浅い眠りに苦しむ人々 体内時計の調節が必要だが、まず医師に相談


精神的なストレスが不眠を引き起こすことは知られている。その一方で、いったんは眠れてもすぐに起きてしまう-という人もじつは多いのだ。深い眠りにつけずに苦しむ人々…。その悩みは果てしなく深い。

 OLのK子さん(32)は、長く付き合っていた同じ職場の男性と別れたばかり。周囲もそれを知っていて、気を使ってくれるだけに居心地が悪い。

 彼女のストレス症状は「眠り」に現れた。といっても、眠れないのではない。ベッドに入って明かりを消して、目を閉じていると眠りに入ることはできる。ところが、変な時刻に目が覚めてしまい、そこから先は眠れなくなってしまうのだ。

 「変な時刻」とは午前2時とか3時とか…。結果として寝不足となった彼女の肌は荒れ放題。目の下は黒ずみ、その上のくぼみの奥からのぞく目には生気のかけらもない。

 「統計上も不眠の訴えは男性よりも女性に多い。特にストレスからの不眠によく遭遇する」と語るのは、東京都中央区にある「トルナーレ内科外科」の松浦裕史院長。続けてこう解説する。

 「ストレスが自律神経に働きかけることが原因。その結果、交感神経と副交感神経のバランスが崩れて不眠という症状になる。変な時刻に目が覚めてしまうのは、体内時計が狂っていることが考えられます」

 体内時計の調節には、毎朝早起きして朝日を浴びることを習慣づけるのが効果的。しかし、彼女の場合は早起きどころの騒ぎではない。まずはぐっすり眠ることが何より先決だ。

 「カウンセリングで話を聞いてもらうことでスッキリして改善する人もいます。しかし、それで効果が見られないときは、睡眠導入剤や抗不安薬で、深い眠りを確保することも考えるべきです。いずれにしても、1度医師に相談することをお勧めします」(松浦医師)

 いまは幽霊みたいだが、「元は美人だった」と周囲の評価も高いK子さん。元カレを見返すためにも、まずはぐっすり眠って英気を養いましょう。 

【今日のストレス 明日の病気】ドライマウス、セールストークに支障 口臭も放置すると口内がただれ出血


よく使われる表現に「緊張で唾をゴクリと飲み込む」というのがある。しかし実際にはそれほどの緊張ではないのかもしれない。本当に緊張の極みに立つと、口の中は乾燥する。飲み込む唾などありゃしない…。

 営業職のHさん(29)は、根っからのアガリ症。最近は後輩を引き連れて得意先回りをしているのだが、その後輩からショッキングなことを言われて落ち込んでいる。

 「先輩、口臭がひどいっスよ」

 自分でも気づいていた。しかし客先、特に重要な得意先になればなるほど緊張してしまう。

 Hさんの場合、緊張は「口の渇き」という症状となってあらわれる。舌の表面は干上がったダムのよう。唇の裏は歯の表面にへばり付き、引っかかってしゃべりにくい。

 そして何より気になるのが口臭だ。先方が出してくれるお茶を飲めばいいのだが、相手が「どうぞ」と言わないのに口を付けるわけにもいかない。緊張を隠そうとしゃべればしゃべるほど聞き取りにくくなり、一帯には口臭が漂う。

 「ドライマウスを放置すると、口臭の他にも口内のただれやひび割れ、出血を引き起こすこともあります」と語るのは、JCHO大阪病院内科の鈴木夕子医師。そのメカニズムをこう解説する。

 「緊張やストレスがかかると、脳の視床下部から唾液の分泌を抑えるホルモンが出ます。一時的なものなら構いませんが、常態化すると問題が出る。3カ月以上続くと“ドライマウス”と診断されることになります」

 解決策は「ストレスを避ける」に尽きるが、Hさんの場合はそうもいかない。そこで鈴木医師がアドバイスする。

 「手っ取り早いのはペットボトルのスポーツドリンクを持ち歩き、こまめに口を潤すこと。それ以外にもあめやガム、梅干しなども効果的。逆に避けたいのはパンやクッキーのような水気を吸い取る食品の摂取。

また同じ水分でもカフェイン入りや炭酸系の飲み物はドライマウスを助長させてしまうことがあるので控えたほうがいいでしょう」

 鈴木医師によると、大きなストレスが背景にある場合は、抗鬱剤を服用することで改善することもあるとか。

 訪問先の会社から出てくるたびに「俺、臭う?」と後輩に尋ねるHさん。かなりストレスが大きそうだ。一度心療内科を受診したほうがいいですよ。

【今日のストレス 明日の病気】「ストレスと便秘」後編 女性に多い腸内悪化…うつ発症も


前回は「下痢」について書いたが、今回は反対の「便秘」。出るべきものが出ないと機嫌も悪くなり、そのストレスがまた便秘を招く。まさに悪循環。負の連鎖を断ち切るのに役立つのが、あの“菌”というが…。

 今回の主人公は、埼玉県に住む主婦のB子さん(37)。2年前に結婚し寿退社。今のところ子供はおらず、できる気配はない。というより、作る気配がないのだ。

 2つ年下の亭主は、以前からフワフワしたところはあったのだが、結婚から半年もしないうちに浮気が発覚。早速、離婚を視野に入れた話し合いが持たれたが、夫とその両親がそろって頭を下げたことから、この時ばかりは和解した。

 ところが、どうやらここに来て、またもや亭主の動きが怪しい。

 それまでめったになかった泊まりがけの出張が多くなった。しかも、生き先が前橋とか宇都宮とか、日帰りで行ける所ばかり。出張旅費も精算しておらず、自腹で泊まっているのが見え見えだ。

 ケータイを盗み見れば一発で悪事露見となりそうだが、彼女にとってはそれも怖い。2度目となると、今度は本当に離婚になる可能性が高い。

 今さらバツイチとなって婚活する気力もない。知らぬフリを決め込んでいたほうがいいのか…と悩むうちに、彼女の腸は排便機能を停止してしまった。

 3日4日は当たり前。1週間もロクに出ないことさえある。出るのはオナラとため息ばかり。

 「ストレス性の腸の不調は、男性は下痢、女性は便秘が圧倒的に多い」と語るのは、「脳はバカ、腸はかしこい」(三五館、1260円)という著書もある人間総合科学大学教授の藤田紘一郎医師。

 「腸内細菌のバランスが崩れていることが考えられます。B子さんにとって“いい腸内細菌”が少ないと、腸の状態が悪くなり便秘を引き起こすだけでなく、幸福感をもたらす神経伝達物質を作る機能も低下するので、“うつ”になる危険性も高まります」

 そう語り、乳酸菌を摂取し、腸内環境を向上させることを勧める。

 「マウスの実験では、同じストレスを受けても、腸内細菌が豊富だとストレス反応が抑えられると分かっています。まずは積極的に乳酸菌を摂取して、腸の健康を取り戻すことが先決です」

 アホな亭主とかしこい腸。どっちを大切にすべきかは明白ですよ。

【今日のストレス 明日の病気】低血糖、打ち上げ後トイレで失神 お酒の飲み過ぎにご用心


酒を飲んで気持ちよく酔っ払っていたら、いつの間にか意識をなくしていた。暖かくなるこの時期だからよかったものの、冬場だったら凍死していたかも。特に糖尿の気(け)があるお父さんはお気を付けいただきたい。

 Uさん(53)はこの2カ月ほど、不眠不休の忙しさだった。

任されていたプロジェクトもようやく一段落となり、仲間うちでのささやかな打ち上げに参加。解散後は行きつけの小料理屋に立ち寄って、静かにウイスキーの水割りを飲んでいた。

 日付が変わる頃に店を出た。大通りに出てタクシーをつかまえようと思ったが、外は意外に寒かった。

急な尿意を催して、公園の公衆トイレに入ったところまでは覚えている。いや、排尿しながら「やれやれ…」とため息をついたのも覚えている。

 しかし、次の記憶は救急隊に呼びかけられているところだった。

 じつはUさん、トイレの中で倒れているところを、たまたまUさんのあとにトイレに入ってきた人に発見され、その人が救急車を呼んだのだ。病院に担ぎ込まれて、いろいろと調べた結果、下された診断は「低血糖」というものだった。

 「急激に血糖値が下がることで、吐き気や徐脈、発汗、動悸などさまざまな症状を示すことがあります。ひどい時には意識が遠のいたり、Uさんのように失神してしまうことも」と語るのは、

千葉県野田市にあるキッコーマン総合病院院長の久保田芳郎医師。糖尿病の人が薬を服用した後に低血糖の症状を引き起こすことがあることは知られているが、

それ以外にも一過性の高血糖に反応してインスリンが過剰に分泌されたときや、アルコールが原因で血糖値が急速に低下することもあるという。

 「先に挙げた症状から低血糖が疑われたときは、あめでも砂糖でも何でもいいから、急いで糖分を摂取すること。低血糖を経験したことのある人は、同じことを繰り返さないためにも、暴飲暴食、特にアルコールの過剰摂取を避け、睡眠と休養を十分にとることが重要です」(久保田医師)

 事件以来、Uさんは、奥さんからビニールの小袋に入れられた角砂糖を持たされ、スーツのポケットに入れている。周囲からは「猿回しの猿だね」と陰口をたたかれているが、行き倒れになるよりははるかにマシですよ。 

【今日のストレス 明日の病気】ランナーに増える“疲労骨折”!無理して走ると逆効果


相変わらずのマラソンブーム。本来健康にいいはずのランニングだが、それには限度がある。無理して走り過ぎると、逆に健康を害することも…。今回はそんな「行き過ぎランナー」が疲労骨折をするまでの物語。

 Aさん(47)は走歴5年のオヤジランナー。ダメ元で応募した東京マラソンに当選したことをきっかけに走り出した、典型的なにわかランナーだ。

 しかし、“にわか”も5年続くと立派な趣味だ。当初84キロもあった体重は、今では60キロ台前半で推移し、それに応じてタイムも徐々に短くなってきている。

 今年は奮発して暮れのホノルルマラソン参加を決めたAさん。夏から走り込み強化に努め、9月の総走行距離は220キロを超えた。ちょっと無理し過ぎだが、当人は「走らないとストレスになるんですよ」と、アスリート気取りだ。

 そんなAさんの左の足の甲に痛みが出た。症状は「走ると痛い」から「歩くと痛い」に進展し、一週間後には「何もしなくても痛い」に増悪。整形外科を受診し、エックス線検査を受けたところ、足の中指の中ほど、

甲のあたりの骨が“コブラの頭”のように膨らんでいるのが見えた。診断は「疲労骨折」だ。

 「ランニングブームを背景に、患者は増える一方です」と語るのは東京・板橋区にある「常盤台らいおん整形外科」院長の小崎直人医師。「走らなければ…」という強迫観念を背負い込むタイプに多く見られると警鐘を鳴らす。

 「エックス線で骨が膨らんで見えた時点でしっかり休養を取れば、1カ月程度の安静でランニング再開も可能ですが、無理して走り続けるとポキンと折れてしまい、こうなると2-3カ月は走れなくなります」

 超音波治療で治療効果を高めることは可能だが、それでも無理は禁物。小崎医師は、走り過ぎだけでなく、ランニングフォームに問題があることも多いと指摘する。いずれにしてもホノルルマラソンまで2カ月を切っている。

30万円近い旅行代金は払い込み済み。出場できるのか、あきらめなければならないのか…。彼のストレスは貯まるばかりだ。

【今日のストレス 明日の病気】骨盤疼痛症 尿道の奥がうっすら痛み残尿感や違和感の症状も


「骨盤の痛み」と聞くと「前立腺がんか?」と驚く人もいるだろう。しかし、必ずしもがんとはかぎらない。

ストレスが原因で骨盤内に痛みや不快感を催すことがあるのだ。ストレスは人の感覚を敏感にする。そこからさまざまな「痛み」も生まれてくるというのだが…。

 今回の主人公は、市役所勤務のMさん(44)。長らく総務課に勤務していたが、昨年の異動で税務に転属してきた。

以前は直接市民と接することの少ない部署だったので、内向的な性格のMさんもストレスを感じることはなかったが、今は違う。朝から晩まで市民と顔を合わせる毎日。

なかにはモンスターチックな人もいて、内気なMさんはアップアップだ。

 そんな彼が異変に気付いたのはひと月前のこと。尿道の奥のほうにうっすらとした痛みを感じたのだ。それまでそんな部分を意識したことさえないだけに、痛みの震源地が分からない。

ネットで調べて「泌尿器科の領域だろう」とアタリをつけて受診すると、骨盤疼痛(とうつう)症という診断が下された。

 「精神的なストレスから起こることもある症状の1つ。痛みの他に残尿感や違和感程度の症状を示すこともある」と話すのは、兵庫県丹波市にある松下泌尿器科医院院長の松下全巳医師。そのメカニズムを解説する。

 「ストレスは神経の“閾値(いきち=刺激の最小値)”を変動させ、それまで気付かなかった痛みや違和感を持つことがある。

何らかの病気を疑って前立腺やぼうこうを調べても異常がなく、しかもストレスがかかっているときにこの診断が下りることが多い」

 松下医師によると、前立腺肥大症の治療に用いられるα-1ブロッカーという薬が効果を示すことも多いというが、根本のストレスが解消されなければぶり返すことも少なくない。

 Mさんは治療を始めてまだ1週間。効果の検証はこれからだが、検査で悪い病気が見つからなかったことでの安心が大きく、症状はすでに解消に向かっているという。

 それにしても、ストレスで頭やおなかが痛くなるという話はよく聞くが、「尿道の奥のほう」まで支配下に置いているとは…。ストレス、恐るべし。

今日のストレス 明日の病気】緊張状態で始まる「空せき」 解消できなければ心療内科的な治療が必要


“あがり症”の人にとって、人前でのスピーチほどつらいものはない。しかし、役職が上がれば、どうしてもその機会は増えてくる。そんな緊張状態で始まる“空せき”。ただでさえつっかえつっかえのスピーチにせきが混ざるから、何を言っているのかわからない…。

 Kさん(38)は昨年から部門のマネジャーに昇格した。日本的にいえば「課長」だ。部下は10人。小なりといえども管理職となり、意気揚々のはずだったのだが、出足からつまずいた。

 昇進直後に部下が結婚し、披露宴で乾杯の音頭を取ることになったのだ。しかし、人前で話すのが大の苦手なKさん。

開会前からせきが止まらなくなった。水を飲んでもむせてしまい、テーブルは水だらけ。わずか1分ほどのスピーチもせきがひどくて収拾がつかず、乾杯用に持っていたグラスからこぼれたビールでマイクの周りはビチャビチャだ。

 以来、前にもましてスピーチ嫌いになったKさんだが、今年中に結婚を予定する部下が4人もいる。それを考えただけでせきが出る-。

 「心因性の咳嗽(がいそう、せきのこと)ですね」と語るのは、JCHO大阪病院内科医の鈴木夕子医師。ストレスが引き起こすせきなので、病院で検査をしても明らかな異常は見つからない。しかし、見つける手掛かりはあると鈴木医師は言う。

 「起きているとき、特に仕事中にせきが止まらなくなるものの、夜間や就寝中には止まるのが特徴。気管支炎や肺炎であれば、夜間でも就寝中でも関係なくせきが出るので、ここが重要なポイント。


加えてストレス性のせきは、乾いた“空せき”なので、たんを伴うCOPD(慢性閉塞性肺疾患)とも区別がつきやすい」(鈴木医師)

 対策は「原因となっているストレスを取り除くことに限る」というから、これが一番難しい。ストレス発散がうまくいかない場合は、心療内科的な治療が必要になることもあり、Kさんもその公算が大きそうだ。

 「6月には結婚式が2回もあるんです」と、せき込みながらも器用にため息をつくKさん。そんな上司にスピーチを頼まなければならない部下たちのストレスは、大丈夫だろうか…。

【今日のストレス 明日の病気】過呼吸症候群の処置「ペーパーバッグ法」今はNG 息を吐くことに意識を向けて


新入社員が闊歩(かっぽ)するこれからの時期。新人には新人のストレスもある。「これも社会人の証し」などと言ってもいられない。的確に見抜いてやらないと、自分のクビが危ういぞ。

 1年前、ある大手企業の新人研修でのこと。新入社員同士のY子さんとK子さんが口論になった。Y子さんは入社試験でトップクラスの成績。

一方のK子さんは学生時代から弁論部で活躍した才女。最初は議論だったのだが、双方熱くなるうち口論に発展していく。するとY子さんは言葉が出なくなり、呼吸が荒くなっていったのだ。

 「息が苦しいと言い出したので119番通報しました。救急車が到着する頃には顔面蒼白(そうはく)で息も絶え絶えでした」と語るのは、その場にいた別の同僚。

 搬送先の病院では血液検査やエックス線検査をしたが特に問題はなく、「過呼吸症候群」という診断が下された。

 慶應義塾大学病院救急科の林田敬医師が解説する。

 「強いストレスを受けた時に出る症状の1つで、若い女性に比較的多い。呼吸が荒くなると苦しさを感じ、苦しいから吸おうとするが、思うように吸えなくてパニックに陥る。

呼吸困難以外にも、頭痛やめまい、手先や口のまわりのしびれ、さらには失神などの症状を示すこともあります」

 この時、体内では二酸化炭素が減っているので、以前は紙袋で口をふさぐ「ペーパーバッグ法」という処置が取られることがあったが、今はNGだ。

 「紙袋で口をふさぐと、低酸素で脳症を起こすリスクがあるのです。それよりも、患者は“息を吸いたいのに吸えない”ということでパニックになっているので、『ゆっくりでいいから息を吐きなさい』と誘導するほうが効果的。

症状がひどい時には抗不安薬などを投与することもありますが、“息を吐くこと”に意識を向けられれば、快方に向かっていきます」

 一晩入院したが翌日には帰宅。その後研修にも復帰した。K子さんとも仲直りし、今では一緒に食事に行く間柄だ。

 気の毒なのが、研修の責任者だった当時の人事部長。管理責任を問われて飛ばされてしまった。今となっては彼のストレスが心配だ。出向先の子会社で、呼吸困難になっていないだろうか…。
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