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【今日のストレス 明日の病気】ニキビ 疲れがホルモン分泌に影響

ニキビや吹き出物といったものは、青春時代の象徴。若いうちなら許されるが、いい年こいたオジサンは許されない。しかし、好きでニキビを作るオジサンもいないわけで、それなりの理由があるのだ。その理由の一つに「ストレス」がある。

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 Fさんは、40歳になった今でも時々、おでこやアゴなどにニキビができる。べつに不潔にしているわけではない。どちらかといえばオシャレでキレイ好き。行ったことはないが、メンズエステなんかにもちょっと興味があったりする。

 そんなFさんの顔にニキビができるのは、決まって疲れがたまったり、精神的な抑圧が強い時。当人は「ストレスのせい」とため息をつくが、いくらストレスでもニキビまでは作れないのでは?

 「いえ、作れます」と明言するのは、形成外科医で再生医療支援企業・セルバンクの代表取締役を務める北條元治医師。その仕組みを聞いた。

 「精神的なストレスがかかると、副腎皮質ホルモン、別名“ステロイドホルモン”が多く分泌され、その影響で感染しやすい状態になるのです。当然皮膚もダメージを受けやすくなり、細菌に感染して炎症を起こすと“ニキビ”となるのです」

 ちなみに「ニキビ」というのは俗称で、医学的には「尋常性●(=やまいだれに挫のつくり)瘡(ざそう)」というたいそうな病名を与えられた立派な皮膚疾患。どう対処すればいいのか。

 「ニキビで医療機関を受診する人は少ないと思いますが、教科書的に言えば、抗生物質の軟膏(なんこう)を使って治療します。市販の汎用(はんよう)性のある殺菌消毒軟膏などは使わないほうがいいですね」

 抗生物質の軟膏を使えばとりあえずニキビは治るが、ストレスがかかれば当然また再発する。

 日々、鏡を凝視し、皮膚の隆起の有無を確認しては一喜一憂するFさん。そんな性格だからストレスがたまるんだけどね…。 

【今日のストレス 明日の病気】緊張すると汗びっしょり…「ほてり」の原因は“男性更年期”

ただでさえ湿気の多いうっとうしい季節に、顔から蒸気を上げて、オフィスの湿度を高めるお父さんがいる。なにゆえ顔がほてるのか-。背景には「年齢」と「ストレス」の微妙な関係が存在していた。

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 Kさん(48)は、緊張するとすぐに顔が赤くなり、全身からは大量の汗が噴き出す体質。若い頃はそんなこともなかったのだが、40代も半ばに差し掛かったあたりから、この症状が顕著に現れるようになってきた。

 会議や結婚式など、人前でしゃべらなければならない時などは、頭のてっぺんから滂沱(ぼうだ)の汗が流れ落ち、あっという間にシャツはビショビショ。それが恥ずかしくて、また汗をかく。

 Kさんの「緊張スイッチ」がひとたび「オン」になると、どんなに寒くても、あるいはクーラーが効いていても、一瞬にして全身がほてってしまう。なぜなのか。

 「男性ホルモンが減っている可能性があります」と語るのは、順天堂大学医学部附属浦安病院先任准教授で、メンズヘルスクリニック東京にも勤務する泌尿器科医の辻村晃医師。その仕組みを聞いた。

 「女性の更年期ほど急激ではないものの、男性ホルモンも加齢に伴い徐々に低下します。それに伴いホルモンバランスが崩れると、“LOH症候群”という、いわゆる“男性更年期”の症状を見せることがあるのです」

 辻村医師によれば、もともと男性ホルモンが減少しているところに、強い緊張や精神的なストレスが加わると、ホルモンバランスが大幅に乱れることから、体温調節ができなくなり、「ほてり」という症状につながるという。

 「テストステロンという男性ホルモンが減少している場合は、これを注射やクリームを塗って補充することで改善が見込めます。男性ホルモンが減少すると、ほてり以外にも疲労やED(勃起不全)、さらには鬱症状を見せることもあるので、気になる場合は、男性更年期に詳しい泌尿器科医に相談することをお勧めします」と辻村医師。

 ただでさえ蒸し暑いこの時期。ストレスから来る汗だけでも、止めておきたいものだ。

【今日のストレス 明日の病気】眼精疲労 昇進の重圧や異動で症状悪化

 長時間のパソコン仕事。ふと気づくと目がショボショボし、肩がコリコリ…。典型的な「眼精疲労」だ。単に目を酷使しているだけでなく、精神的なストレスがあると、目の疲労は増悪する。モノ言わぬ目の悲鳴に、今こそ耳を傾けるべきなのだ。

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 今年春から大手IT企業の部長に昇格したIさん(50)は、毎日会議の連続。会議室では資料を読み、自席に戻ればパソコンの画面を凝視し、彼の目は休まることがない。

 しかも、部長になってからはストレスも大きい。偉くなって初めてわかる上役の苦労が、すべて目の疲れとなって現れているようなのだ。

 「目に疲労を感じて、それでいて炎症などの器質的な異常がない場合、眼精疲労と診断されます。疲労以外にも肩こりや頭痛などの周辺症状、あるいは集中力の低下などを訴える人もいます」と語るのは、東京都渋谷区にある「みさき眼科クリニック」院長の石岡みさき医師。

 目の疲れを訴えて眼科を受診した場合、視力検査をした上で、眼鏡やコンタクトレンズを使っている場合は、度があっているかを確認。ドライアイなど目の異常がない場合に「眼精疲労」という診断が下される。

 「同じ眼精疲労でも、例えばパソコンを使う仕事なのにパソコン用のメガネを使っていない人は、まず専用の眼鏡を使うことが先決。そうした要因もなく、それでも厳然と目の疲れがある場合は、薬を使って目の疲労を和らげることになります」(石岡医師)

 しかも、その背景にストレスが存在するケースは少なくないという。

 「希望しない職場に配置転換されたことで、必要以上に目に負担がかかっている人は少なくない。逆に、希望の職場に異動したり、仕事を辞めた途端、目の疲れも消えてしまう人もいる」というから、ストレスの力はばかにできない。

 「ビタミン配合の目薬などで様子を見ますが、基本は目を休ませてあげること。でも、Iさんのような人に限って、寝る直前までスマホを見ていたりするんですよね…」と石岡医師。

 日が暮れたら夕刊フジを読むくらいにして、目にも休息を与えましょう。 

【今日のストレス 明日の病気】異常ないのに胸が痛い、動悸がする ストレス由来の「心臓神経症」

 胸が痛い、動悸(どうき)がする…。これほど人を不安にさせる症状もないが、あわてて病院に行くと、特に異変は見つからない。じつはこれ、「心臓神経症」というストレス由来の症状なのだ。気にする人はどこまでも気になるこの症状。気分転換が一番のクスリなのだが…。

 今回の主人公は専業主婦のC子さん(43)。夫は一流商社に勤務し、有名中学に通う一人息子は成績優秀。はたから見れば何ひとつ不自由のなさそうな生活なのだが…。

 ある日彼女は動悸を感じた。次第に胸が痛くなる。症状は1時間ほどで消えたが、たびたび同様の症状に見舞われるようになる。

 夫に相談すると「狭心症じゃないか?」と言われて怖くなった彼女は病院を受診。心電図やエックス線、心エコーなどの検査をしたが異常は見当たらず、下された診断は心臓神経症-。いったいどんな病気なのか。

 「心臓そのものには異常はないけれど、精神的な不安やストレスが原因で心臓に何らかの症状が出るものです。人によっては激痛に近い痛みを感じることもあります」と語るのは、新座志木中央総合病院副院長で循環器内科医の新井富夫医師。続けてこう解説する。

 「その人の性格や発症時の環境などによって症状の出方はさまざま。“異常ナシ”という結果に安心できればいいが、不安が消えない人は冠動脈CTや心臓カテーテルなど、さらに高度な検査に進むこともまれにあります」

 新井医師によると、男性よりも女性に多く見られる傾向があるとのこと。C子さんのような専業主婦の場合、ストレスがあると家に閉じ籠もってマイナス思考になりがちなので、1日に1回外出するように心がけるだけでも予防効果があるという。

 「人によっては安定剤を出すこともありますが、これはつらい時だけ飲む頓服(とんぷく)薬。お守り代わりに持っているだけでも不安は小さくなるものです」(新井医師)

 女房のストレスに亭主はなかなか気付かない、いや、積極的に気付こうとしないものだ。しかし、倒れられて一番困るのも亭主だ。たまには奥さんの胸に耳を当て、ちゃんと動いているか確認しましょう。嫌がられるだろうけど…。 

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【今日のストレス 明日の病気】うっかりミス 「鬱のシグナル」かもしれない

普段なら目をつむってもできるような簡単な作業で何度も失敗する-。実はこれ、鬱症状の可能性があるのだ。「心ここにあらず」が常態化したままで過ごすのは危険だ。鬱のシグナルを見逃すな。

  Tさん(40)は、何事も計画通りに進めなければ気が済まない完璧主義者。仕事のスケジュール管理が鉄壁なのは当然だが、出張帰りの新幹線が2分遅れたといっては腹を立て、大相撲の取り組みが延びて6時のニュースの開始が3分遅れたといってはイライラする。

 そんなTさんだけに、仕事上でミスをする確率はゼロに近かったのだが、ここに来て凡ミスを連発中。請求書を関係ない会社に送る、自分が進行役の会議の日程を間違える、上司の山本さんを「田中さん!」と呼んでしまう、祝日なのに会社に行こうとする、トイレで「大」をしたあと流すのを忘れて出てきてしまう…。

 「鬱病になりかけている可能性がありますね」と語るのは、宇都宮市にある冨塚メディカルクリニック院長の冨塚浩医師。「30~40代の働き盛りによく見られる症状です。一種のガス欠状態で、つねにトップスピードで頑張り続ける人に起きやすい。

悪化すると眠れなくなったり、会社に行くのがいやになったりすることもある」というから穏やかではない。

 冨塚医師によれば、状況によっては抗鬱薬を使った治療が必要なケースもあるが、その前に試してみる価値のある取り組みがあるという。

 「カラオケで大きな声で歌ったり、適度な運動をすることで、エンドルフィンという脳内の神経伝達物質が出て、ストレスを和らげてくれます。あるいは景色のいいところでボーっとするのも効果的。何も考えずに風景を眺めることで、頭の中に詰まっていることが抜けていくものです」

 自分が立てたスケジュールで縛り付けてきた彼の頭と体は、強いストレスで身動きが取れなくなっている。

 ここで一度自由に解き放してあげましょう。そうすれば余裕が戻って、再び質の高い仕事ができるようになるし、大相撲だって楽しめますよ。

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【今日のストレス 明日の病気】胃酸がのど元まで逆流する「呑酸」 ストレス&肥満の解消が不可欠

ストレスで込み上げてくるのは、怒りや悲しみだけではない。胃から食道に込み上げてくる「胃酸」があるじゃないか。この「込み上げてくる胃酸」を「呑酸(どんさん)」という。のんきな名前を与えられたものだが、胃も食道も、こいつのおかげで大変なのだ。

  Sさん(45)は、のど元まで込み上げてきたものを飲み込んだ。この「酸っぱいもの」の正体は胃酸。最近頻繁にSさんの食道を逆流してくる。

 若い頃から疲れがたまったり、ストレスが多い時にこの症状を自覚することが多かった、と彼は言うのだが…。

 「たしかにストレスがこの不快な症状を引き起こすことはあり得ます」と語るのは、千葉県野田市にあるキッコーマン総合病院院長代理の三上繁医師。続けて解説する。

 「胃酸がのど元まで逆流することを“呑酸”と呼びますが、以前は逆流性食道炎という病気の症状とされてきました。近年は食道に『炎症』がなくても呑酸が起きることがわかってきたことから、“胃食道逆流症”という新しい病名が付けられています」

 胃食道逆流症の症状には、呑酸の他に、胸焼けやげっぷ、のどの違和感、胸のつかえ-などがあるという。

 逆流する原因は食道と胃の境目にある下部食道括約筋という筋肉が緩むことによるものだが、ストレスがかかると胃酸の分泌が促されるので、呑酸のリスクが高まるのだ。

 「肥満体型の人は内臓周囲にたまった脂肪の圧力で括約筋の締まりが弱くなる傾向がある」と三上医師は指摘するが、たしかにSさんのおなかはメタボ腹。ストレスと肥満のダブルパンチで、食道と胃の境目は形骸化してしまい、自由通路と化している。

 「プロトンポンプ阻害剤に代表される胃酸抑制作用のある薬を2週間使って、効果があれば胃食道逆流症と診断されます。食道がただれている場合も、この薬で胃酸を抑えれば修復可能ですが、ストレスと肥満の解消は不可欠」と三上医師。

 体を締め付ける服や寝る前の食事を避けるなどの対策も、呑酸予防には効果的。ストレスでつらいのは分かるけれど、胃や食道まで巻き添えにしないようにしましょうね。

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【今日のストレス 明日の病気】増える女性の薄毛 仕事のストレス、暴飲暴食が追い打ち

昼間のテレビを見ていると、女性向けかつらのCMが頻繁に流れていることに気付く。それだけ需要も大きいのだろう。女性の場合、頭髪の薄さが及ぼすメンタルへのダメージは男性の比ではない。薄毛が招くストレスは深刻だ。

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 首都圏に住むH子さん(37)は、絵に描いたようなキャリアウーマン。都内の名門女子高から単身渡米し、アメリカの大学を卒業後、日本の中堅PR会社に入社した。クライアントの評価も高く、社内でも一目置かれる存在だった。

 得意先の1つからの誘いを受けて、広報部次長の肩書で移籍したのが1年前。華麗なる転職に見えたのだが…。

 地方に本社を置くこの会社で、彼女の勤務する東京支社はあくまで「支社」に過ぎない。何をするにも本社にお伺いを立てる必要があり、想像以上に面倒だった。

 得意の英語をちりばめたプレゼンも、マスコミとの華やかなお付き合いも、支社の中では空回りするばかり。孤立するのに時間はかからなかった。

 そして気が付くと頭頂部の地肌が目立つように…。

 「女性の社会進出を背景に、薄毛に悩む女性は増えている」と語るのは、東邦大学医療センター大橋病院皮膚科教授の向井秀樹医師。続けて解説する。

 「女性の髪の密度は25歳、太さは30歳でピークを迎え、以降は薄くなっていく。これにストレスが加わると、自律神経やホルモンバランスが乱れるため、血流不足から髪の毛の栄養不足を招き、薄毛のリスクが高まります」

 向井医師によると、女性の場合は過度なダイエットやストレス由来の暴飲暴食も抜け毛を助長する要因になることが多いという。

 「H子さんの場合、これから更年期を迎えるため、女性ホルモンの減少でさらに髪の毛がダメージを受ける可能性がある」と注意を呼びかける。

 更年期は避けられなくても、ストレスを上手に回避できれば、毛根のダメージも最小限に抑えられる。

 浴室の鏡に映る頭の地肌を凝視しながら、H子さんはいま、「転職か、結婚か」と、人生の行く末を真剣に考えている。

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【今日のストレス 明日の病気】緑内障 生真面目な人ほど発症リスク

 放置すれば失明に至る危険性の高い緑内障。しかし、無症状で病気が進むため、気付いたときには手遅れになっているケースも少なくない。しかも、ストレスが原因で悪化することもあるという。症状がないうちに、きちんと手当てをしたほうがいい。

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 IT企業に勤めるUさん(35)は、コンタクトレンズを作るために訪れた眼科医院で、予想もしない診断を下された。緑内障である。

 「眼底検査を受けたところ、眼圧が30を超えており(正常値は10-21mmHg)、視神経が障害を受けていたんです。このまま放置すれば、数年後には失明する可能性もあると言われてゾッとしました」

 通常は40歳以上で見つかる確率が高まる緑内障だが、最近はUさんのような若い世代の緑内障が増えている。背景にストレスの存在を指摘するのは、彩の国東大宮メディカルセンター眼科科長の平松類医師。その仕組みを解説してもらう。

 「視神経に付いている血管は非常に細く、ストレスで血管が収縮すると弱っていく。だからストレスがある人は緑内障のリスクが高まるのです」

 同医師によれば、ストレスをためやすい生真面目で神経質な人は、眼科医の間では「緑内障気質」と呼ばれるほど、その関連性は高いという。Uさんもまさにその気質を兼ね備えた、心配りのできる神経の細やかな人だ。

 治療法は、眼圧を下げる作用のある目薬を使う、眼球の中を流れる“房水”という水の排泄(はいせつ)を促す処置を施す-などで、大半は目薬でコントロールが可能だ。

 しかし、この病気は治療で「元に戻す」ことはできないので、定期的に眼科を受診し、眼圧を測定し、目薬を使い続けることで病状の悪化を防ぐ必要がある。これを怠ると病気は再び進行を始め、失明という最悪の事態を招くことになりかねないのだ。

 平松医師は言う。

 「ストレスが原因で緑内障が悪化している人は、元のストレスを軽減することで緑内障の進行が止まる人もいます」

 病気が見つかったことはショックでも、見方を変えれば、非常にラッキーだったともいえる。治療さえきちんと受ければ失明はほぼ確実に避けられる。あとはポジティブに考えられるかどうかの問題なのだ。

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【今日のストレス 明日の病気】異常が見つからない「胸痛」 平日だけチクチク…血圧が関係?

 悩み事やつらいことに接したときの状況を「胸を痛める」と表現するが、ストレスを抱えたときに本当に胸が痛くなることがある。いろいろと検査をしても異常が出ない胸の痛み…。裏で暗躍しているのは、やはりストレスなのだ。

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 「胸の痛みを訴えて受診するサラリーマンは少なくありません。しかも、痛むのは平日だけで、休日は症状が出ないケースが多いのです」と語るのは、池袋大谷クリニック院長で呼吸器内科が専門の大谷義夫医師。詳しく解説してもらった。

 「胸の痛みといえば、心臓や肺などの重要臓器の病気を疑わないわけにいかないので、その検査は行います。しかし、症状が出るのが平日限定、チクチクするとか違和感がある程度の軽症の場合、ストレスに起因する症状であるケースが多いのも事実です」

 血液検査、心電図、エックス線やCTなどの画像検査をしても異常が見られない場合は、ストレスによるものが多いとのこと。特徴は、検査で「異常なし」とわかったそばから症状が消えていく-という点だ。

 大谷医師によると、精神的ストレスが胸の痛みを引き起こすメカニズムははっきりしていないものの、ストレス状態が血圧を高めることと何らかの関係を持っている可能性はあると指摘する。

 「私も24時間血圧モニターを使って診察中の自分の血圧を計測したことがありますが、診察中は夜間の診察が終わった時間より収縮期血圧(最高血圧)が50mmHgも高く出ました。心電図の上での変動も見られましたが、冠動脈MRIの結果は“正常”でした。ストレスにさらされている多くのサラリーマンの体にも、同様のことが起きていると考えるのは決して間違ったことではないと思います」(大谷医師)

 もちろん、胸痛のすべてがストレスのせいではない。実際に心筋梗塞や狭心症、また肺炎や肺がん、胸膜炎などの重大疾患が見つかることも多いので、きちんと調べることが重要だが、検査で「異常なし」と診断されたら、まずはひと安心したほうがいい。「悩み」が引き起こす症状は、「悩まないこと」が何よりの治療法なのだ。

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【今日のストレス 明日の病気】ぜんそく 自律神経の乱れが呼吸器に影響

緊張をほぐすためにせき払いをする人がいる。年配の紳士などのせき払いには、一種の貫禄がうかがえたりもする。一方、緊張するとせき込んで、目を白黒させる人もいる。この場合漂うのは、貫禄ではなく不安…。ストレスとぜんそくの関係は密接だ。

 ◇

 Wさん(38)は、10年前にぜんそくと診断された。真面目に治療を受けているので普段は症状を押さえ込んでいるが、それでも時々強烈なぜんそく発作に襲われることがある。

 その発作の出方には特徴がある。場所は会社に限られ、もう何年も自宅でせき込んだことはない。平日、特に週の初めや忙しい時にせき込む傾向があり、ひどい時には呼吸困難に近い状態に陥ることもある。

 「Wさんのような人は多いんです」と語るのは、池袋大谷クリニック院長で呼吸器内科が専門の大谷義夫医師。背景にストレスの存在を指摘する。

 「精神的なストレスが自律神経のバランスを崩すと、さまざまな臓器にダメージを及ぼしますが、ストレスの影響で呼吸器が引き起こす代表的な症状が“せき”なのです。ぜんそく持ちの人が発作に襲われると、過換気になって冷たくて乾いた空気が気道や肺に入り込みます。その結果、呼吸が困難になり、パニック状態に陥ることもあります」

 大谷医師によると、本来ぜんそくのせきは「深いせき」が特徴なのだが、こうしたケースで出るせきは浅いことが多いという。

 それでも、落ち着いて吸入ステロイド薬や気管支拡張薬を使えば症状は安定するはずなのだが、ストレスとパニックのダブルパンチでそれどころではなくなる。

 「南の島にでも移住して、のんびり過ごせれば治るのですが」と苦笑する大谷医師。こうした患者には、お守り代わりに精神安定剤を処方することもあるという。

 「日本のぜんそく患者500人を対象に行った発作の要因に関する調査(複数回答)があり、7割が『かぜ』、約6割が『天候』による影響を訴えていますが、続く3位に4割の人が『疲労・ストレス』を挙げています」(同医師)

 Wさんは今、旅行代理店からもらってきたハワイのパンフレットを凝視している。

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【今日のストレス 明日の病気】てんかん発作 睡眠を取り、疲れをためないことが大切

 交通事故などのニュースで時折話題になる「てんかん」。脳の異常な電気信号で興奮し、意識障害を起こす病気だ。しかし、てんかんの患者が常に発作に見舞われているわけではない。ストレスを減らし、疲労をためないことで、安定した日常を送ることは可能なのだ。

 ◇

 Hさん(40)は、8年前に突然自宅で意識を失い、病院に担ぎ込まれた経験を持っている。検査の結果「てんかん」と診断されたが、投薬治療が功を奏し、その後は発作もなく安定した状態が続いていた。

 ところが昨年、てんかん発作を会社で起こした。当時は仕事が忙しく、深夜までの残業が続いていた。

 「持病にてんかんを持っている人は、ストレスや疲労、睡眠不足で発作のリスクが高まる」と語るのは、朝霞台中央総合病院(埼玉県)脳卒中・てんかんセンター・センター長の久保田有一医師。続けて解説する。

 「ストレスがてんかん発作を引き起こす機序(きじょ=しくみ)は分かっていません。ただ、ストレス状態が続くと脳が酷使され、疲労に対する閾値(いきち=限界の最小値)が下がるのは事実。また、睡眠不足も脳を疲れさせるので、それらの要因が複合的に絡み合って発作に結びつく可能性もあります」

 幸いにもHさん、その発作の時も、事情を知っている同僚が救急車を呼び、大事には至らなかった。

 「“てんかん”というと、当人はもとより、周囲がネガティブに考えてしまいがちですが、患者自身がきちんと治療を実践し、周囲がこの病気の正しい知識を持っていれば、必要以上に恐れることはありません。病気に対する理解を深めることが何より重要」と久保田医師は強調する。

 その発作以降、Hさん自身も仕事をため込まないように注意し、職場でのサポート体制も充実した。以来発作もなく、投薬を続けている以外は、他のスタッフと変わらない生活を送っている。

 病気の「ある一面」だけを見ると差別の温床にもなりかねない。しかし、病気は誰の身にも起き得る危険性がある。そのことを患者も、その周囲も知っておくことが重要なのだ。

【今日のストレス 明日の病気】良性発作性頭位めまい 過労で三半規管のバランスが乱れ

「目が回るほど忙しい」という表現があるが、忙しすぎると本当に目が回ることがある。実際には「忙しさ」に伴う「ストレス」が原因なのだが、人によっては立ち上がれなくなったり、吐いたりすることもあるという。

 「みんなが不眠不休で頑張っている中で倒れてしまって…」とうなだれるのはCさん(35)。ある専門誌の記者だ。

 ただでさえ人手不足で忙しい職場だが、夏と正月に特大号を出すため、毎年6月と12月は猛烈な激務となる。

 その夜も会社に泊まり込む覚悟だったが、なぜか集中力が出ない。そのうちに気分が悪くなり、トイレに行こうと席を立つと、強烈なめまいでうずくまった。はうようにしてトイレに行き嘔吐(おうと)。結局その夜は仕事にならず、応接室のソファに横になったまま朝を迎えた。

 そのまま病院を訪ね、検査の末に下されたのは「良性発作性頭位めまい」という診断だ。

 「脳神経外科の外来を受診する初診患者の中で、めまいを主訴とする人のウエートは大きい」と話すのは、日本赤十字社医療センター脳神経外科の野村竜太郎医師。Cさんの病気について解説する。

 「耳の三半規管の中に“耳石(じせき)”という砂がある。頭が向きを変えたり傾いたりするたびにこれが流れます。この耳石の動きを脳の前庭神経が感じ取ってバランスを取る仕組みなのですが、その機構が乱れると“めまい”という症状が出るのです」

 野村医師によると、ストレスや過労、あるいは気候や気圧の変化が、めまいを引き起こすこともあるという。

 治療法は対症療法で、酔い止めや吐き気止めが処方されることが多いが、野村医師はめまい治療における「漢方薬」の存在感の大きさを唱える。

 「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)や半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)などの薬が効果を示すことが多いのです」

 いずれにしても、検査を受けて「良性」と診断されたら、いつまでも心配せずに、ひと安心したほうがいい。早く不安をなくすことがストレスを減らし、結果としてめまい解消につながるのだ。 

【今日のストレス】甘く見てはいけない「胃潰瘍」 煙たがられる神経質な男が胃カメラ飲むと…

 「胃が痛い…」。ストレスに苦しむサラリーマンの常套(じょうとう)句だが、なぜストレスで胃が痛くなるのか、それを放置するとどうなるかを知っているサラリーマンは意外に少ない。「どうせ胃潰瘍」と甘く見ていると、もっと痛い目に遭いますよ。

 Kさん(35)は、かなり神経質な人。仕事はキッチリこなすが、事が自分の思い通りに進まないと、すぐにイライラする。意に沿わない指示を受けると、上司の前でも露骨に不満そうな態度を取るので、周囲からも煙たがられてイライラの拡大再生産。夜な夜な荒れて酒を飲む。

 当然、胃も荒れ放題なのだが、「胃が痛いくらいで医者に行けるか」と、見て見ぬふりを決め込んできた。ところが、大学の先輩が胃がんで命を落としたことから急に心細くなり、生まれて初めて胃カメラを飲んだところ、「胃潰瘍」と診断されたのだった。

 「典型的な胃潰瘍のケース」と話すのは、東京都渋谷区にある渡辺七六クリニック院長で内視鏡専門医の渡辺七六医師。Kさんのケースを次のように分析する。

 「精神的ストレスがかかると内臓の血液が少なくなる。これにアルコールの摂取量が増えたり、食欲不振や食事時間が不規則になるなどの要因が重なると、空腹の時間が長くなって胃酸の濃度が高まる。これが胃潰瘍のできるメカニズムです」

 幸いにもKさんは胃酸分泌抑制剤と粘膜防御剤の服用で事なきを得た。しかし、渡辺医師によると、胃に穴が開いたり十二指腸潰瘍などで腸がひどく変形したりして食べたものが通りにくくなっている時などは、手術になるケースもあるとのこと。

 「胃潰瘍が胃がんに進展することは通常ないものの、ストレスが多い人は免疫力が下がっているので大病をしやすい。日常生活でオンとオフの切り替えをしっかりする、ゆっくり入浴する、休日は趣味に興じる、そして睡眠をしっかり取るなどの取り組みが重要です」と警鐘を鳴らす。

 そもそもKさんみたいなイライラ人間がいると、周囲にもストレスが伝播するもの。胃潰瘍の二次被害が出ないことを祈るばかりだ。

【今日のストレス 明日の病気】33歳女性、目覚めたら「右眉ない!」 ストレスで抜け毛

バブルの頃、女性の眉毛は黒々としていた。それが今では、まともに生やしている女性は皆無に等しい。ならば眉毛はいらないのかと言えば、そうでもないらしい。あってもなくても困る眉毛。今回はそんなお話です。 

 商社勤務のH子さん(33)はその日の朝、顔を洗って鏡を見た瞬間、目を疑った。右の眉毛だけがきれいに抜け落ちているのだ。自分で抜いたわけではない。その証拠に左の眉はちゃんとある。ならば誰かが抜いたのか。

 「ストレスが抜いたのでしょう」と語るのは東邦大学医療センター大橋病院皮膚科教授の向井秀樹医師。続けて解説する。

 「精神的なストレスで円形脱毛症ができることは知られていますが、脱毛の対象は頭髪とは限りません。眉やまつ毛、ひげが抜け落ちることもあります」

 確かにH子さんのストレスは大きかった。やる気のない上司と、自分のことしか考えない同僚、実績の伴わない自信家の後輩たちに囲まれながら、自分自身のキャリアアップも考えなければならない立場。

 加えて5年間、付き合った彼氏と別れたばかりと、公私ともに泥沼状態が続いている。不眠や生理不順も常態化し、お肌だって荒れ放題。多少のストレス症状なら驚かない彼女だったが、さすがに眉毛が抜け落ちたのはショックだったようだ。

 「ストレスが抜け毛を誘因するメカニズムはわかっていません。精神的な抑圧から自己免疫異常の状態に陥った結果、生じる症状の1つとして“抜け毛”がある-というのが現状での医学的説明となる」と向井医師。

 ストレスで交感神経が刺激され、末しょう神経や毛細血管が収縮すると、毛髪の育成が妨げられる。彼女の眉毛も、そうした一連の流れに巻き込まれたと考えるのが自然だ。

 せめてもの救いは、周囲に彼女の眉毛が抜け落ちたことに気付くほどのデリカシーを持った人間が皆無だったこと。

 「片方だけじゃ釣り合いが取れないから」と、左の眉毛も完全にそり落し、毎朝ペンで人工眉を描き込む彼女の努力を、評価する者はいない。眉毛再生の道は険しい…。

【今日のストレス 明日の病気】インフルエンザに「絶対にかからない」男が高熱に倒れた悲しい事情

“自信”との付き合い方は大切だ。まったくない人には大きな仕事はできないが、過剰に持つ人にも大切な仕事は任せられない。特に健康に関しては、“適度な自信”がよろしいようで-。

 Jさん(45)の口癖は、「俺はカゼを引いたことがない」だった。カゼだけじゃない。

インフルエンザが流行しても「絶対にかからない自信がある」と、マスクはおろか、うがいも手洗いもせずに強がっていたし、「水虫なんて生涯無縁」と言っては、会社では元は誰のだったかもわからない汚いサンダルを履いている。

 その自信がどこから来るかは知らないが、確かに入社以来「病欠」はなかった。馬と鹿はカゼを引かない、なんてことをいうが、やはりJさんは馬や鹿なのでは…などと噂されていた昨年の春先、異変は起きた。突然の高熱に倒れたのだ。

 診療所に行くとインフルエンザと診断され、4日ほど会社を休んだ。それだけではない。ちょうど1年後の今年の3月にも、2年連続のインフルエンザがJさんを襲ったのだ。

 実はJさん、2年前に離婚し、かわいい一人息子は元妻が引き取った。その寂しさがストレスとなって、彼の体を弱らせていたのだ。

 「インフルエンザウイルスが体内に入ってきた時、健康であれば免疫細胞が素早く反応して撃退してくれますが、ストレスがあると攻撃が遅れたり、攻撃力そのものが低下してしまう。

つまり免疫力の低下が感染症のリスクを高めているのです」と説明するのは、東京都中央区にある「ヨシダクリニック・東京」総院長の吉田憲史医師。インフルエンザは命を奪うこともあるので、油断は大敵と警鐘を鳴らす。

 「10月後半から11月に入ると、そのシーズンに流行しそうな株を使ったワクチンが準備されます。2年連続でかかったからといって、今年かからないという理由にはなりません。

それよりもストレスによる免疫力の低下を憂えるべきなので、今年こそワクチンを接種すべきです」(吉田医師)

 ワクチンは接種してから効果が出るまで1週間程度の期間を要する。根拠のない自信は捨てて、早めの対策を講じたほうが身のためですよ。

【今日のストレス 明日の病気】ストレスで吐き気…胃潰瘍の可能性も!

嫌なことがあると「吐き気がする」という表現はあるが、中には本当に吐いてしまう人もいる。強烈なストレスが引き起こす吐き気や嘔吐…。じつはストレスに対する防御反応の一つなのだ。 

 Fさん(28)は、気の弱いタイプ。いつも委縮しているからなのか、仕事上のミスも多い。そのたびに上司に叱られ、常にストレス満載だ。

 上司の前でこうべを垂れ、謝罪しているうちに吐き気をもよおしてくる。我慢できればいいが、できないこともある。最近では彼が叱られていると、周囲の人間はカラのゴミ箱にビニール袋をかぶせて、彼の近くに設置する。

 「万一の時はココにね」という合図なのだが、一体どうしたものだろう。

 「生体外から加わったストレス因子に対する防御反応の一つのあらわれ」と語るのは、「世田谷井上病院」理事長の井上毅一医師。世界で初めて「ストレス学説」を説いたモントリオール大学実験医学研究所のハンス・セリエ教授に直接指導を受けた経験を持つ井上医師は、その時の話を交えて次のように解説する。

 「生体外から何らかの圧力がかかって、その結果として体内にひずみ現象が生じた状態をストレスと呼ぶ。これは寒さや騒音、痛みなどさまざまだが、緊張もその一つ。これに対して体は防御反応を示すが、その一つが“嘔吐”なのです」

 さらに井上医師は、消化管への影響も懸念する。

 「吐き気というのは胃潰瘍の初期症状であることも少なくない。じつは精神的なストレスだけではなく、器質的な要因でも胃に急性びらんや潰瘍ができることがあるんです。

広範囲のやけどをした人にカーリング潰瘍、頭を強く打った人にクッシング潰瘍といって、生体が強度なストレスを受けると、数時間から数日の間に胃潰瘍を発症することがある。

Fさんの場合は“叱られる”という精神的なストレスですが、常態化していれば潰瘍ができている可能性は捨てきれない。胃の内視鏡や超音波検査で、一度確認したほうがいい」

 そんな時に「酒でストレス発散だ」なんてやっちゃうと被害は拡大するばかり。飲むなら酒ではなく、胃カメラを-。

【今日のストレス 明日の病気】体のシビレに神経質になりすぎないで~

「し~びれちゃった、し~びれちゃった」と喜んでいたのは植木等(古いね…)。普通の人はしびれが出ると「悪い病気か?」と恐れるものだ。しかし、恐れるにも限度がある。あまり神経質になりすぎると、それがストレスになって歯止めが利かなくなるぞ…。

 Kさん(34)は心配性。カゼを引けば肺炎を、下痢になれば大腸がんを、咳が出れば肺がんを、二日酔いで頭が痛いだけでもクモ膜下出血を疑いたがる。病気に関してはつねに人の一歩も二歩も先を見据えていると言えなくもないが、まあ面倒なタイプの紳士である。

 そんな彼の左手に“しびれ”が出た。ピリピリと弱くしびれる。

 「これはもう脳梗塞に違いない!」

 普通の人にはできない「悲痛な笑み」を満面に浮かべて病院の脳神経外科を受診したが、画像検査の結果は「異状ナシ」。

 そんなはずはないと食い下がる彼をふびんに思った脳外科医は、整形外科に紹介した。「厄介払い」だったが…。

 整形外科で首の画像を撮ったが「異状ナシ」。しかし、整形外科医はやさしかった。肩から胸にかけての筋肉が硬直していることを見て取った医師は、これが原因で“しびれ”が出ているのだろうと結論付けたのだ。脳梗塞とは似ても似つかぬ原因だが、一応診断が下りたのでKさんは満足だ。

 「脳神経外科で診断が付かずに整形外科に回ってくる患者は少なくない。特に神経質な人は、ストレスから筋肉が硬直して、末梢にさまざまな症状を出すことがあります」と話すのは、川崎市麻生区にある麻生総合病院スポーツ整形部長の鈴木一秀医師。

 対策としては運動療法が第一選択だが、Kさんのようなタイプの人には筋弛緩剤やビタミン剤などを出し、「薬をもらった安心感」を複合的に利用して症状を緩和していくこともあるという。

 「元のストレスが解消しないと、なかなか根治に至らない。場合によっては心療内科的な治療が必要になることもあります」と鈴木医師。

 そんなKさんの振る舞いに、職場の仲間がしびれを切らしていることに彼は早く気付くべきだ。

【今日のストレス 明日の病気】キャリアウーマンを襲った“手先の冷え”の正体

社員50人ほどの運輸会社の総務部に勤務するY子さん(43)。商業高校を卒業して入社以来、恋愛やファッションにウツツを抜かすことなく、仕事一筋、会社一筋に生きてきた、スジの通ったキャリアウーマンである。

 肩書こそ「主任」だが、社長の信頼は極めて厚く、実質的な経理部長としてカネに関する全権を掌握する、まさに“金庫番”だ。

 彼女の“冷え”が始まったのは半年ほど前。業績不振からリストラが断行され、経理部門のパートの女性が2人辞めていったのが発端だ。Y子さんも細かな業務を受け持つようになり、朝は1時間早く出社し、夜は10時過ぎまで残業するようになった。

 ひとり暮らしの彼女は食生活も乱れ、気付かぬうちに体型もふくよかになってきた。それでも会社の制服は従来通りのサイズなので、なんとなくパッツンパッツン。それはそれで色っぽいという意見もなくはないのだが…。

 「ストレスで肩や鎖骨周囲の筋肉が緊張し、腕から指先に至る血管が圧迫されて“冷え”を起こしている可能性があります」と語るのは、川崎市麻生区にある麻生総合病院スポーツ整形外科部長・鈴木一秀医師だ。

長時間のパソコン業務、しかも姿勢が悪かったりすると、こうした症状は顕著に出やすい。加えて鈴木医師は女性特有の“ある事情”を指摘する。

 「男性と違って女性は、下着の締め付けが血流にダメージを与えることがある。体型に変化があるときは要注意です」

 彼女の“パッツンパッツン”を見てニヤニヤ笑っていた連中は猛省すべきだ。

 それにしても、春だというのに使い捨てカイロを手放せない彼女がふびんでならない。誰か彼女の手をやさしく握って温めてくれる男性が現れないものだろうか…。

【今日のストレス 明日の病気】ストレス解消で酒…急性膵炎に注意を!

ストレスを抱えるサラリーマンにとって、最も手っ取り早い解消法といえば「酒」だ。飲み過ぎは体に悪いと知りながらも、ついつい手が出る“命の水”。しかし、それが逆に命取りになることもあるのだ。

 その日Tさん(54)はゴキゲンだった。2カ月間に及ぶ不眠不休の忙しさから解放され、久しぶりに仲間と飲みに行った。夕方6時前から始まった宴は店を2度3度と変えながら続行し、お開きとなったのは午前2時を回った頃だった。

 したたか酩酊し、タクシーでご帰還。しかし、その途中から異変が始まる。腹痛である。

 家に着いて布団に入っても、痛みは増すばかり。しまいには身動きとれぬ状態に陥り妻を起こして救急車を呼んでもらう。

 かつて経験したことのない猛烈な痛み。腹と言わず背中と言わず、体の真ん中が焼けるように痛む。病院に着くころには失神寸前だった。

 各種検査を経て下された病名は「急性膵(すい)炎」。あわれTさんは、そのまま入院となってしまった。

 「急性膵炎の原因はいくつかあるが、最も多いのがアルコールによるもの」と語るのは東京医科大学病院消化器外科講師の永川裕一医師。そのメカニズムをこう解説する。

 「お酒で刺激されることによって膵臓で分泌される消化酵素が活性化し“自己消化”といって、膵臓自身や周囲の組織を溶かし始めることがある。臓器が溶けだしているのだから、痛いのも当然です」

 入院してまずは禁食。点滴で栄養とタンパク分解酵素阻害剤という薬を入れ、あわせて雑菌による感染を防ぐための抗生物質も投与される。Tさんの入院も1カ月に及んだ。2カ月の激務で疲労困憊だったTさん。膵臓も疲れ切っていたのだろう。

 代休を取って温泉に行くつもりだったが、入院騒ぎでそれもオジャンになってしまった。しかし永川医師は警告する。

 「急性膵炎を繰り返していると慢性化することがあり、膵がんのリスクが高まります。また急性膵炎だけでも命を落とす危険性があるので、予後の管理は重要です」

 ストレスから解放されたうれしさはわかるが、くれぐれも飲み過ぎにはご注意ください。

【今日のストレス 明日の病気】虫歯じゃないのに歯が痛い!ストレスを疑え

歯が痛くて歯科医院に行ったのに、レントゲン写真を撮っても虫歯は見つからない。見た目に異常がないのに、歯が痛む。「非定型歯痛」と呼ばれるこの病態、ストレスの影響が強く疑われる。

 Oさん(46)はこの数カ月、面倒な仕事に悩んで顎(あご)を抑えていた。

普通はストレスがのしかかると頭を抱えるものだが、彼は歯が痛いので顎を抑えていたのだ。左の上の一番奥の歯が強く痛む。何かの拍子にうっかりその歯で硬いものを噛んだりすると、心臓がドキンとするほどの痛みが全身を襲う。

 会社の近くの歯科医院に行ったが、特に問題はないという。以前そこで虫歯の治療をしてもらい、その時に、いま痛みが出ている歯も治療してもらったのだが、今回はエックス線写真を撮っても異常は見つからないという。

 どうにも納得できないOさんは、別の歯科医院に行ってみたが、やはり虫歯などの異常は見つからない。ならばこの痛みは何なのかと尋ねたら、「非定型歯痛」の可能性があるとの答えが返ってきた。

 聞きなれない病名だが、この病気について東京・葛飾区にある「ゆうデンタルケア」の佐藤裕介院長が解説する。

 「器質的に異常がないものの、精神的なストレスから引き起こされる歯の症状です。ストレスにさらされると、血中に含まれるカテコールアミンというホルモンが増加します。すると歯の周囲の血管に悪影響を及ぼし、歯に痛みが出ることがあるのです」

 佐藤院長によると、こうした「原因不明の歯の痛み」を訴える人の多くが、過去に歯の治療を繰り返して受けているという特徴があるという。

 「その際の刺激を脳に伝える神経回路が、痛みの伝達を記憶しており、ストレスが加わることで神経回路が混乱をきたして歯の痛みという症状を引き起こす-という“神経因性説”が有力視されています」

 繰り返すが、この場合は歯や歯茎には問題がないので、削ったり薬を詰めたりという一般的な歯科処置では痛みは引かない。いわゆる慢性疼痛の一種なので、抗うつ剤が効果を示すこともあるが、まずはストレスを取り除くことが先決だ。

【今日のストレス】物忘れの不安 人の名前が出てこない…ひょっとして認知症?

よく知っている人の名前が出てこない、大事なものをどこにしまったかを思い出せない…。誰にでも経験のあることだが、連続すると、“認知症”などという不穏な言葉が脳裏をかすめ、少々不安になってくる。あなたの物忘れ、大丈夫?

 Hさん(58)は、自他ともに認める心配性。何をするにも用意周到、準備万端を心掛け、実践しているのだが、いざ事が始まると不安にさいなまれて、そわそわするタイプ。

 先日も大事な取引先との会議では、前夜遅くまで部下のそろえた資料を入念にチェック。当日は最初のあいさつだけすればOKという状況だったにもかかわらず、先方の名前を度忘れしてしまい、そこからはシドロモドロになってしまった。

 「その人の名前は関口さんなのですが、関根さんか関本さんなのか、わからなくなってしまったんです。何度も食事している仲なのに…」

 そう肩を落とすHさんは、不安に突き動かされるようにして、クリニックの“物忘れ外来”を受診した。念のためMRIで脳の画像検査も行ったが、結果は“シロ”。安心した途端、物忘れもしなくなったというのだが。

 「精神的に追い詰められたことで、単純な物忘れをすることは珍しいことではありません」と語るのは、東京都渋谷区にある「番町診療所表参道」院長で、「物忘れ外来」という専門外来も担当している山田正文医師。ストレスと物忘れの関係を次のように解説する。

 「例えば、何でもない時は周りがよく見えている人でも、ストレスがかかることで視野が大幅に狭くなることがあります。慌てて探し物をすると、視野には入っているのに見えていないような状況と同じことが、記憶においても起きるのです」

 山田医師によると、自分で「認知症?」と疑う人の大半は、認知症ではないとのこと。本当の認知症は自分で認めようとしないので、周囲が病院に連れて行くにもてこずることが多いという。

 おでこにメガネを引っ掛けておきながら「メガネはどこだ!」と慌てるお父さん。人ごとではありませんよ。

【今日のストレス 明日の病気】過度の“自分磨き”がアダ!足の指の爪に激痛

デキるビジネスマンは身だしなみに気を遣う。とはいえ、それにも限度がある。足の爪の手入れのし過ぎが、「陥入爪」という病態を作り出すことをご存じだろうか…。

 いわゆる“自分好き”のYさん(30)。髪は週に1回美容院で整え、メンズエステにも頻繁に通う。決して高くない彼の給料の大半は、内面ではなく外見の「自分磨き」に費やされる。

 「爪」だってそうだ。2日に1度は爪切りで切って、ヤスリで丁寧に磨き上げてニヤニヤする。

 ところが、そんな彼の足の親指の爪が、エライことになっている。爪の両端が内側に曲がり込み、指の肉に食い込んでいるのだ。出血して化膿して、痛みは増すばかりだが、見た目第一のYさんは、苦痛を顔に出さない。痛みに耐えて歩くさまは周囲の笑いを誘うのだが、それに気付かず気取って歩く。一歩一歩、爪の角が確実に親指の肉に食い込んでいく。痛そう…。

 状況改善を図るべく、彼は暇さえあれば脚の爪を切るのだが、事態は悪化するばかり。どうすればいいのだ。

 「陥入爪という病態で、すごく痛いんですよ」と話すのは、東京・板橋区にある「常盤台らいおん整形外科」院長の小崎直人医師。続けて解説する。

 「陥入爪とは、爪の角が軟部組織に食い込んで炎症を起こした状態。よくある症例としては、巻き爪の状態で歩いて爪が食い込む→痛いので爪を短く切る→切った爪が伸びる時に軟部組織に刺さって化膿する-というもの。爪を切れば切るほど悪化していくのです」

 対策は、爪を伸ばすこと。しかし、陥入爪になる人の多くは、「短く切らなければ」と思い込んでいる。その思い込みが事態を悪化させるのだ。

 爪の両端にチューブを装着したり、爪の先端に形状記憶合金のワイヤーを付けて陥入を防ぐ治療が取られるが、最悪の場合は爪の両端を根元まで切除して爪を細くする手術が必要になることもある。

 「爪切りのし過ぎが原因なのに、手入れをしないとストレスになる神経質な人に多い病態」と小崎医師。確かに足の爪を切る時のYさんの表情は、恍惚そのものだ。

妊娠すると、乳首が黒ずむ…!?乳首黒ずみ対策!

なぜ乳首が黒くなるの?

妊娠をすると、それをきっかけに「乳首が黒ずんで見える」とおっしゃる方が多くいます。

妊娠すると(出産後も)乳首が黒ずんでしまう原因とは一体何でしょうか?乳首の黒ずみは、「メラニン色素」という黒い色素が関係しています。

黒ずみは、赤ちゃんを育てるための体の反応だった

出産後、お母さんは赤ちゃんにオッパイをあげることになりますが、赤ちゃんのオッパイに吸い付く力はかなり強く、その吸引力に乳首が負けないようメラノサイトというメラニン色素を作る細胞が活発に働き、出産後の授乳に備え乳首周辺のメラニン色素を生成するように働きかけます。

そのため、妊娠中から出産後にかけての女性の乳首は黒ずんで見えるケースが多いのです。

妊娠による、乳首の黒ずみは一過性のもの!?

ちなみに、妊娠中に起こる乳首の黒ずみは一生続くものではないのでご安心下さい!一時的なものですので、授乳期間が終われば徐々に元の色に戻るといわれています。

しかし、体質によっては、元の色に戻りにくい方もいるようです。

なかなか黒ずみが改善されない人におくる、集中ケア

授乳期間中は、赤ちゃんに1日に何回も授乳をしなければならないので乳首ケアはなかなかしにくいと思いますが、理想は授乳後には毎回乳輪周りにワセリンなどの保湿剤を使用して徹底的に保湿をすること。

授乳前には清浄綿などで優しく拭き取ってあげれば、赤ちゃんの授乳にも問題ありません。

しっかり保湿は、授乳中のひび割れにも効果あり

毎回乳輪をしっかり保湿してあげることで、ヒフが柔らかくなり黒ずみが目立ちにくくなるだけでなく、赤ちゃんの吸引力に負けて乳首がひび割れてしまうことを防ぐ効果もあります。

【今日のストレス 明日の病気】口腔乾燥症、味覚異常や舌の痛み…胃腸障害の引き金にも

肌が乾燥する季節。ただでさえ年とともにみずみずしさを失っていくお父さんの肌は、もはやプラスチックのよう。しかし、さらに水不足に悩まされている部位がある。“口の中”だ。ただしこれ、必ずしも冬のせいとはいえそうもない-。

 Uさん(45)はシステム開発企業の中間管理職。一般的にいうところの“次長”にあたる肩書。最近悩まされているのが、パワハラ。といっても、Uさんが被害を受けているわけではない。

得意先に出向している彼の部下が、その会社のスタッフから圧力を受けて困っているという案件がたびたび舞い込む。

 そのたびに上司のUさんは先方に出向き、相手の顔色をうかがいながら是正勧告をしなければならない。仕事の内容はデジタルなのに、やっていることはアナログだ。

 これには非常に神経を使う。部下はかわいいが、仕事を頂戴している立場。そんなことを繰り返すうちに、いつしか何を食べてもおいしくなくなってしまった。早い話、味覚がまひしてしまった。

 「ストレスで口の中が乾燥したことによる二次的症状の可能性があります」と指摘するのは、東京都中央区にある二宮歯科医院の二宮健司院長。

 「精神的ストレスから神経や分泌腺の機能が低下し、唾液が出にくくなって口の中が常時乾燥した状態になることがあります。その結果、味覚の異常や舌の痛みなどの症状を招くことになる。多くは口臭も伴い、放置すると胃腸障害などを引き起こすこともあります」

 精神的ストレス以外にも、食生活の変化や薬の副作用、さらには加齢現象として口の中が乾くこともあるが、Uさんのケースは“ストレス性”が濃厚。

 「歯科領域での対処法としては、保湿効果の高いヒアルロン酸配合の保湿剤を使った治療や、洗口剤で口をすすぐなどの方法がありますが、原因のストレスが解消されない限り根本的な解決は難しい。上手に気分転換ができれば、それだけでも症状が和らぐのは珍しいことではありません」(二宮院長)

 口の中だけではなく、全身の水分が枯渇してしまったUさん。今では悔しナミダも出やしない…。

【今日のストレス 明日の病気】会社を出ると突然元気に…職場不適応症  

会社にいる時だけ病人のように元気がなくなるが、一歩会社を出ると元気ハツラツ…。そんな都合のいい病気があるのかと言われそうだが、ストレスはそんな病気も作り出す。今回のテーマは、「職場不適応症」。

 Jさん(27)は明るい青年だった。同僚からの人望も厚い。そんな彼に変化が生じたのは春のこと。人事異動で地方の支社からやって来た上司とウマが合わないのだ。

 前の上司は若くて仕事もバリバリこなすスポーツマン。Jさんら若手とも腹を割って話すタイプだったが、今度の上司は2年後に定年を迎える年配者。常に不機嫌で、着任した途端、職場の雰囲気は暗転した。Jさんにとって、このムードは耐え難いものだ。

 ある時、小さなミスをしたJさんは、上司に1時間近くも叱られた。同僚の前でネチネチと嫌味を言われ、以来、彼は会社にいる時だけ頭痛、吐き気、微熱などの諸症状に悩まされることになる。

 「典型的な職場不適応症と思われます」と語るのは、小紙月曜連載中の「心の健康相談室」でお馴染みの横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長・山本晴義医師。職場不適応症とは、いわゆる適応障害の一種。ストレスとの関係が大きいという。

 「職場内の人間関係や忙しさなどが引き金となり、さまざまな症状を引き起こす。その症状は多様で、Jさんのような身体症状もあれば、無断欠勤や万引きなど、反社会的行動に及ぶこともあります」

 特徴は「発症の契機」がハッキリしていること。Jさんで言えば、上司に叱られた一件だが、改善の余地はあるのだろうか。

 「ストレス源から遠ざかれば症状も消えます。だから休日は元気になり、時には仮病扱いされることもあるのですが、まずは上手なストレス解消法を見つけること。Jさんの場合は、同僚や仲間も多いようなので、仕事帰りに一杯やりながら愚痴を聞いてもらうだけでも効果が期待できます」と山本医師。

 どうせ2年後には上司はいなくなるんだし、Jさんの人生はその先のほうが長い。酒を飲んで愚痴をこぼしているうちに、2年なんてすぐに過ぎてしまいますよ。

【今日のストレス 明日の病気】奥歯の痛み、ストレスから…就寝中の“食いしばり”で頭痛も

歯が痛ければ「虫歯?」と考えるのは当然のこと。しかし、歯の痛みの原因はさまざまだ。いくつもの要素が重なり合って、最終的に“歯の痛み”という症状に行き着くこともある。“とっかかり”にストレスがあることも…。

 最近左下の奥歯が痛むJさん(34)。近くの歯科医院で診てもらったが、特に虫歯や歯周病などの問題は見当たらない。それでも痛みは終日続き、特に朝起きた時には頭痛を伴う痛みに進展していることもある。

 「ストレスから来る“食いしばり”が関係しているのかもしれません」と語るのは、「デンタルクリニックアレーズ銀座」(東京・中央区)の中村茂人院長。朝起きた時に痛むのは、就寝中、歯ぎしりをしている可能性があるという。

 「精神的なストレスがかかっていると、交感神経が優位になって口の周囲の筋肉が硬直する。自然に食いしばる状態になるのです」と中村院長。

 スポーツやケンカの時、無意識のうちに歯を食いしばるのと同じ現象が、起きていても寝ていても無意識のうちに口の中で続いているのだ。

 確かにJさん、会社では同期の中での昇進競争真っ盛り。伝わってくる情報によると、やや劣勢…。疲れ果てて家に帰れば、奥さんとの関係悪化で離婚の話し合いが進行中。これでストレスがかからないほうがおかしいというもの。

 「食いしばりのダメージは奥歯に出やすいものの、片側だけだったり両側に出たり、人によっては前歯に痛みが出ることも。その延長線上に頭痛などの不定愁訴が出ることは珍しくありません」

 まずはあごの状態を調べて、必要に応じて食いしばりによるダメージを軽減するマウスピースを作るなどの治療が必要になるが、なかには面倒なケースもあるという。

 「痛みを脳が記憶してしまうと、治療によってかみ合わせを治しても、原因のない(取り除いたはずの)難治性の痛みだけが残ってしまうこともある。そうなるとメンタル面からのサポートが必要になってきます」

 今のところ出口の見えないJさんの悩み。とりあえず、かみ合わせに理解のある歯医者さんに相談してみたら?

【今日のストレス 明日の病気】女子がいっぱい!でも決算期は体調壊す

ストレスが万病のもとであることは確かだが、中にはストレスを理由に仕事をサボろうとする輩もいる。「忙しくなるとかぜを引く」というSさんの物語。さてこれは、本当のかぜか、はたまた仮病なのか…。

 Sさん(33)は、大手企業の財務部に務めるサラリーマン。3年前に営業部門から異動してきた。

 一日中、得意先を回っていた営業時代と違って、今は朝から夕方まで会社を出ることがない。よく言えばアクティブ、悪く言えば落ち着きのない彼にとって、向いているとはいえない職場だ。

 ただ、いいこともある。女性スタッフが多くて華やかなのだ。ノリのいい女子社員もいて、それはそれで楽しい。

 しかし、決算期は状況が一変。フロア全体が戦闘態勢に入る。普段はセクハラ気味の会話にも応じてくれる女子社員も、目を三角にして仕事に打ち込む。静まり返ったフロアで、Sさんは鬱屈するばかり。

 すると、なぜか彼はかぜを引く。普段は元気なのに、年に2度の決算期になると、世間で流行していなくても、かぜを引くのだ。周囲からは「仮病じゃないの?」なんて声も聞こえてくるが…。

 「そういうことも考えられないことではありません」と語るのは、熊本市にある表参道吉田病院総院長の吉田憲史医師。ストレスとかぜの関係を、次のように分析する。

 「精神的なストレスが高まると交感神経が緊張し、白血球が増える。すると急性の炎症症状が起きやすくなります。かぜの原因ウイルスは私たちの身の回りにいくらでもいるので、ストレスで免疫力が下がれば感染もしやすい。そうした条件が重なれば、かぜを引いても不思議ではない」

 そんな吉田医師の声が聞こえたのか、Sさんは「仮病じゃないから抗生物質を出してもらわなきゃ」とうれしそうに病院に行くのだが、吉田医師は「抗生物質はかぜをこじらせて肺炎などにならないために処方するもの。Sさんの場合は、ストレスを解消するほうが先決でしょう」と指摘する。

 決算がストレスの原因なら、異動の願いを出すべきだが、女性に囲まれた職場も捨てがたい彼にはその決断も難しい。出るもストレス、残るもストレス…。そんなSさんを雇っている会社が一番のストレスなのだが。

【今日のストレス 明日の病気】ストレスが引き起こす「飛蚊症」 女房との口げんかで普段は隠れてる症状が…

 Aさん(65)は中小企業の経営者。ご多分に漏れず忙しい毎日だ。

 そんなAさん、半年ほど前から飛蚊症に悩んでいる。気が付くと視界の下の方を、黒い点がゆっくり動いているのだ。

 気にならない時はまったく気にならないのだが、気にし出すと黒点の存在感が増してくる。

 特に気になるのがストレスを抱え込んだ時だとAさんは言う。

 「朝っぱらから女房と口げんかをした日などは、一日中“蚊”が飛んでいることもあるんです。でも、好きなゴルフに興じている時に“蚊”を意識することはありません」

 やはりストレスが原因なのだろうか。

 「その可能性はあります」と答えるのは、東京都港区にある「梶田眼科」院長の梶田雅義医師。そのメカニズムを解説してくれた。

 「飛蚊症の原因を悪い順に挙げて行くと、外傷やかゆくて掻いたりした刺激によって起きる網膜裂孔(れっこう)、糖尿病網膜症や高血圧などが原因となる網膜硝子体出血、そして加齢に伴う硝子体の融解によって起きる硝子体混濁など。

いずれもストレスから発症することは考えられないものの、実際には普段から飛蚊症があるのに、ストレスがかかった時だけその症状を自覚する-ということはあるようです」

 Aさんもその可能性が高い。梶田医師によると、ストレスが強い時には、いろいろと異常を探すような動作が多くなるので、正常な生理現象でも異常現象として捉えてしまうことがあるという。

Aさんにとって、夫婦げんかはそれだけ重要な問題ということ。60代も半ばになって、仲のよろしいことでございます。

 それより気になる治療法だが、梶田医師はこう説明する。

 「加齢による飛蚊症に治療法はありません。本来見なければならないものに意識を集中すれば、自然に飛蚊症は感じなくなります」

 日々の仕事にもゴルフ並みの集中力が出せればいいのだが…。 

【今日のストレス 明日の病気】脂質異常症-キケンな“ドカ食い”

人間ドックで採血検査を受けたFさん(37)は、届いた検査成績を見て驚いた。中性脂肪(トリグリセライド)値が350もあるのだ。半年前に受けた会社の定期健診では145と標準値だったのに、たった半年で倍以上に跳ね上がるとは…。

 社会人になって以来、毎年の健診で血液検査の値が標準値を超えたことはなかった。なのになぜ今回は中性脂肪だけが突出したのか。

 思い当たるフシがないわけではない。業績の伸び悩みに伴い、彼の収入も伸び悩んでいる。一方で子どもの小学校入学などの余波を受けて、彼の小遣いは減少傾向だ。

 そんな時に会社近くに定食屋が開店した。500円でご飯とみそ汁は3杯までおかわり自由。この不況下になんという良心的な店だろう。彼は連日ここに通い、「もったいないから」という理由でたとえ腹が減っていなくても可能な限りご飯を腹に詰め込む作業を日課としていたのだ。

 当然体重は増えるしウエストも拡大。ズボンは買い替えを余儀なくされ、結果として不経済なのだ。

 「とにかく昼食を見直すべきです」と指摘するのは大阪大学附属病院教授で循環器内科が専門の山下静也医師。業績不振や家計の不安などのストレスがFさんのような“ドカ食い”という症状を呼び込み、脂質異常症やメタボリックシンドロームに至るケースは非常に多いと警鐘を鳴らす。

 「コレステロールや中性脂肪などの脂質に関連する数値は2-3週間もあれば一気に悪化する」という山下医師。半年も続けていれば“倍増”は当然の結果だったのだ。

 しかし、そうはいっても腹は減る。ただでさえ不景気なサラリーマンから昼飯を取り上げるのはあまりにも酷な話だ。

 「昼食を抜く必要はありません。とりあえず“おにぎり2個”に変えましょう。そもそもドカ食いは、急いで食べるから満腹感が訪れる前にたくさん食べてしまう点が問題。ゆっくり食べればおにぎり2個でも十分に満腹感は得られます」

 家からおにぎりを持って行ったほうが家計にとってもありがたいはず。“ムダを省いてスリム化”は、健康のためにもお財布のためにも重要なのだ。

【今日のストレス 明日の病気】あごのズレ 無意識に歯を食いしばりすぎて様々な症状

Dさん(38)は4人きょうだいの末っ子で唯一の男。いまだ独身で、相手が現れる気配もない。同居する両親のプレッシャーが年々強まるなか、じっと歯を食いしばって耐えている。いつしか食いしばりすぎてあごがズレていた。

 見た目にはわからない。でも、1年前に虫歯の治療で訪れた歯科医院で指摘され、あごの治療を行ったところ、色々な症状が次第に消えてきたのだ。その症状とは、肩こり、耳鳴り、片頭痛、鼻づまり…。

 どれもうっとうしい症状だが、それで仕事を休むとか寝込むといったことはない。片頭痛の時に痛み止めを飲むくらいで、あとは我慢してやり過ごしていた。よもやそれがあごのズレによるものとは思ってもみなかったし、原因がストレスだなんて想像もしていなかった。

 「歯の治療で来た患者さんの歯やあごの状態からストレスが分かることは珍しくありません」と語るのは、千葉県松戸市にある加藤歯科クリニックの加藤嘉哉再生医療センター長。その理由をこう解説する。

 「精神的な抑圧がかかると、日中や特に睡眠中に無意識のうちに食いしばることがある。かみ合わせが少しズレているところに長期的に食いしばることが続くと顎関節を含め、下顎全体がズレた状態で周囲の筋肉も過度の緊張を続けることになるのでさまざまな症状を引き起こしかねない。

Dさんが感じていた諸症状は、どれもかみ合わせの不具合が原因として起こりうるものが多く、中にはひざや腰にも影響が及ぶケースもある」というから、ばかにはできないのだ。

 歯科医院でマウスピースを作ってもらい、寝るときにはそれを口に入れるようになったDさん。徐々にではあるが、症状は和らぎ、特に片頭痛はそれ以降一度も起きていない。

 しかし、マウスピースをしないで寝ると、やはり翌朝はあごに疲労を感じるという。歯ぎしり自体は治っていないのだ。

 「原因のストレスがある以上は“食いしばり”は止まっていないはずなので、根本的な改善のためには、まずそちらの問題を解決することが重要」と加藤センター長。

 マウスピースをくわえてまで耐え忍ぶより、とりあえずお見合いでもしてみたらどうですか? すべてがきれいに解決するかもしれませんよ。

【今日のストレス 明日の病気】味覚が消える?うつ病の典型的初期症状  

Eさん(29)の元気がないのはこの半年ほどのこと。昨年の人事異動で彼の上に来た次長とのソリが合わないのだ。あまりの落ち込み方を心配した仲間たちが食事会に誘ったのだが、そこで驚愕の事実が判明した。強いストレスで彼の味覚は失われていたのだ。

     ◇

 Eさんと次長の不仲は誰が見ても明らかだ。真面目で曲がったことを嫌うEさんに対して、次長は“いい加減”を絵にかいたような男。部長からの指示に対して、自分では何もせずに部下に丸投げ。それでいい結果が出ないと部下のせいにする。

 しかもおべっかを遣う連中には甘い顔をして、お世辞を嫌うEさんのようなタイプには徹底的に冷たくする。いまの次長が来てから部署の雰囲気は明らかに悪化した。

 中でも「反次長派」の急先鋒と見なされるEさんへの嫌味は増すばかり。最近では出社するのさえつらいと思うようになった彼を心配した仲間たちが、食事会を開催してくれたのだが…。

 「僕の大好きな中華料理屋があって、みんなそれを知っているのでそこに誘ってくれたんです。ところが何を食べてもおいしくない。体調が悪かったのかと思って、翌週カノジョと2人でもう一度行ってみたけれど、やはり旨くない。要は、味がわからなくなっているんです」

 「辛い」「甘い」といった基本的な味覚はあるが、「おいしさ」を感じないなんて、そんな気の毒な話があるのだろうか。横浜相原病院院長の吉田勝明医師が解説する。

 「うつ病の典型的な初期症状。うつの早期では、食欲不振や不眠とともに、喜びや快楽、興味の消失という特徴的な症状が出やすい。“おいしさ”も快楽の一種。好きなものを食べてもおいしくないということは、大きなストレスによって味覚が消失していると考えられます」

 このまま我慢すれば、うつまっしぐらだが、そんなEさんがいま、一つだけ期待していることがある。秋の人事異動だ。

「地方でも海外でも構わないから、俺をどこかに飛ばしてくれ!」

 彼の満願成就を願ってやまない。

【今日のストレス 明日の病気】味覚が消える?うつ病の典型的初期症状

Eさん(29)の元気がないのはこの半年ほどのこと。昨年の人事異動で彼の上に来た次長とのソリが合わないのだ。あまりの落ち込み方を心配した仲間たちが食事会に誘ったのだが、そこで驚愕の事実が判明した。強いストレスで彼の味覚は失われていたのだ。

     ◇

 Eさんと次長の不仲は誰が見ても明らかだ。真面目で曲がったことを嫌うEさんに対して、次長は“いい加減”を絵にかいたような男。部長からの指示に対して、自分では何もせずに部下に丸投げ。それでいい結果が出ないと部下のせいにする。

 しかもおべっかを遣う連中には甘い顔をして、お世辞を嫌うEさんのようなタイプには徹底的に冷たくする。いまの次長が来てから部署の雰囲気は明らかに悪化した。

 中でも「反次長派」の急先鋒と見なされるEさんへの嫌味は増すばかり。最近では出社するのさえつらいと思うようになった彼を心配した仲間たちが、食事会を開催してくれたのだが…。

 「僕の大好きな中華料理屋があって、みんなそれを知っているのでそこに誘ってくれたんです。ところが何を食べてもおいしくない。体調が悪かったのかと思って、翌週カノジョと2人でもう一度行ってみたけれど、やはり旨くない。要は、味がわからなくなっているんです」

 「辛い」「甘い」といった基本的な味覚はあるが、「おいしさ」を感じないなんて、そんな気の毒な話があるのだろうか。横浜相原病院院長の吉田勝明医師が解説する。

 「うつ病の典型的な初期症状。うつの早期では、食欲不振や不眠とともに、喜びや快楽、興味の消失という特徴的な症状が出やすい。“おいしさ”も快楽の一種。好きなものを食べてもおいしくないということは、大きなストレスによって味覚が消失していると考えられます」

 このまま我慢すれば、うつまっしぐらだが、そんなEさんがいま、一つだけ期待していることがある。秋の人事異動だ。

「地方でも海外でも構わないから、俺をどこかに飛ばしてくれ!」

 彼の満願成就を願ってやまない。

【今日のストレス 明日の病気】出張先でお尻洗えない!シャワートイレ症候群

前回、ウォシュレットのない生活でストレスになった人の話を書いた。お尻を洗うことに神経質になりすぎたことが原因だったが、今回の話はちょっと違う。世の中にはどうしてもウォシュレットが必要な人がいる。そう、“痔主”の皆さんだ。

     ◇

 前回は、子供のころからウォシュレットに慣れていた人が、独身寮に入って初めて経験する「お尻を洗えない生活」にストレスを感じて肛門の周囲がかゆくなる-という話だった。これは多分に精神的な要素が大きい。要は“馴れ”の問題だが、今回紹介するNさん(56)の場合は深刻だ。

 Nさんのイボ痔は30年モノ。普段はおとなしく、よほどの不摂生でもしない限りご主人様に迷惑をかけることもない。彼もそんなイボちゃんを愛しており、日々ウォシュレットで肛門周囲の清潔を心がけている。

 ところがNさん、数年前から仕事の関係でたびたび中国に出張するようになった。会社指定のホテルにウォシュレットはない。年に3-4回、一週間ほどの出張だが、そのたびに出血を招く。

 「痔のある人にとって、ウォシュレットの存在意義は大きい」と語るのは、東京・港区にあるマリーゴールドクリニック院長の山口トキコ医師。患部の清潔を保つだけでなく、 “温水で温める”ことに意味があるという。

 「日頃から温水で患部を温めているとうっ血を防げるので、症状の安定化に役立つ。Nさんのお尻もそれで普段は落ち着いていたのでしょう」

 最近は出張が近付くとストレスで便秘になり、排便痛にも拍車がかかる。加えて現地の紙は硬い。ウエットティッシュを持参するのだが、イボちゃんのご機嫌はナナメだ。

 「せめて浴槽のお湯に浸かって、患部を温めるだけでも違います。あとは夏でも腰にカイロをあてるなどして、お尻を冷やさないようにすることで、症状悪化を防ぐことは可能です」(山口医師)

 帰りの飛行機に乗るときには、肛門に女性用ナプキンをあてるのが「毎度のこと」になってしまったNさん。いっそのこと山口先生にお願いして、切ってもらったほうがいいんじゃないの? 自分のためにも、イボちゃんのためにも…。

【今日のストレス 明日の病気】起き抜けに見舞われる頭痛、原因は睡眠にあり   

Nさん(33)は、起き抜けに頭痛に見舞われる。それでも無理して出社すると、いつしか痛みはキレイに消えている。やれ安心と気を抜いていると、翌朝はまた頭痛…。そりゃストレスにもなりますわな。

 Nさんの頭痛が始まったのはふた月ほど前のこと。起きたら頭が痛かったので、市販の頭痛薬を飲んで出勤。すると会社に着くころには頭痛も治まって、仕事に支障をきたすこともなかった。

 その後も同様の症状が出ることはあったが、薬を飲んでも飲まなくても昼頃には痛みも消えるので、気にしないでいた。

 しかしそんな折、妻から意外なことを指摘される。睡眠中に呼吸が止まっているというのだ。いわゆる睡眠時無呼吸症候群。これが頭痛に関係しているのだろうか。

 「関係している可能性は大きい」と語るのは日本歯科大学新潟病院睡眠呼吸障害・いびき診療センター長の河野正己歯科医師。睡眠中に呼吸が止まることで血圧が高くなった結果として早朝の頭痛という症状が現れることがあると指摘する。

 「この頭痛の発症メカニズムは二通り。一つは呼吸停止に伴う血圧上昇。これは起床後に徐々に血圧が安定していくに従い痛みも落ち着くもので、概ね昼ごろには痛みが消えることが多い。もう一つはやはり睡眠中の無呼吸で酸欠状態になり、血中に炭酸ガスが貯まることで起きる頭痛。これは起きて正常な呼吸に戻れば痛みも消えます。深呼吸でもすれば一発解消です」

 河野センター長の話を聞く限り、Nさんの頭痛は血圧上昇によるものと思われる。手術、マウスピース、鼻マスク式呼吸器の装着など睡眠時無呼吸症候群の治療を行うことで症状改善は可能だ。

 最近では起き抜けの頭痛を恐れるあまり、夜もなかなか寝付けないNさん。そのストレスは甚大だ。そして彼の睡眠中は、いびきと無呼吸時の呻き声で奥さんが寝不足になる。夫婦そろって青い顔。当然夫婦仲も良くない。

 Nさんが夫婦円満を取り戻すためには、睡眠障害のクリニックの受診が急務。それがストレス解消の近道でもあるのだ。

【今日のストレス 明日の病気】動悸 毎夜、寂しい一人寝襲う不安

Uさん(37)は2カ月前に離婚していまは一人暮らし。3LDKのマンションを引き払って、学生が済むようなワンルームマンションで一人迎える夜は寂しい。その寂しいUさんの胸を、毎夜“動悸”が訪れる。ドクン、ドクンとやってくる-。

     ◇

 別れた妻に未練のあるUさん。会社から帰ってコンビニ弁当を食べ、することもないので早々に布団にもぐり込む。電気を消して暗闇の中、考えることは楽しかった日々のことばかり。そんな時にアイツはやってくる。

 「ドクン、ドクン…」

 はっきり音が聴こえるほど大きな心音。

 「こんなに大きな拍動をしていて、俺の心臓爆発するんじゃないか?」

 不安で眠れなくなり、いつしかまた別れた妻のことを考える。結局いつまでたっても眠れない。

 「ストレスによる動悸でしょう」と語るのは、大阪府立急性期・総合医療センター・心臓内科部長の奥山裕司医師。

 同医師によると、医学的にいう動悸とは、「不快感を伴って意識される心拍」と定義されるという。つまり、不快感がなければ、たとえ心拍を意識しても、動悸ではないのだ。

 「ストレスによる動悸には大きく二種類。精神的なプレッシャーから交感神経が活性化して、心拍が強くなって感じるものと、心臓自体に変化はないのに、神経が過敏になっていて、いつも以上に心拍を強く感じてしまうもの。前者は超音波検査でわかることもあるが、いずれも心機能や冠動脈に問題がなければ心配はありません」(奥山医師)。

 中には動悸だけでなく、心拍がスキップする「期外収縮」という現象を感じる人もいるが、これも検査で心筋症などの病気が見つからなければ安心していいという。

 「期外収縮は1日に年齢の数くらいはおきてもおかしくはない。これが連発してフラッとするようなことでもなければ、心配はいりません」

 こんなときは、仕事に打ち込むとか、趣味に没頭するとか、何か違う方に意識を向けるのが一番なのだが、いまの彼にそうした前向きな思考は期待できない。

 まあ、命に別条はないようなので、気が済むまで悩みなさい。泣きなさい。それが青春だ…37歳。

【今日のストレス 明日の病気】五十肩もどき 40~50代でおこる原因不明の症候群

Iさん(52)は病気好き。色々な症状を敏感に察しては病院に行き、医師の診断をもらって喜ぶヘンな人だ。そんな彼がいま凝っているのが「五十肩」。凝るのは肩だけにしてほしいのだが…。

【五十肩という病名は“便利”】

 “病気自慢”は迷惑だ。酒の席でも血圧が高いとか胃潰瘍だとか得意げに話すばかり。こちらが興味を示さないと「証拠を見せましょう」などといって刺し身の皿をどけてまで薬を見せびらかす。

 Iさんもそんなタイプだから、周囲に疎んじられる。唯一の仲良しだった同僚が子会社に移ってしまい、彼はいま孤独だ。そんな彼を、五十肩という病気が襲った…らしい。

 「棚から書類を取ろうとしたら腕が上がらなくてね。以来秘書の女の子が付きっきりで(笑)」

 Iさんに秘書などいない。勝手に秘書にされている女性職員が気の毒だ。

 早速病院で診察を受けたが特に問題はない。医師は「年齢的に五十肩なのかもしれませんね…」という消極的な診断だが、Iさんは満足気だ…。

 「本当の意味での五十肩とは違うようですね」と語るのは、昭和大学藤が丘リハビリテーション病院整形外科の鈴木一秀医師。

 五十肩とは40-50代でおきる原因不明の症候群。一定の可動域を超えて腕が動かなくなるもので、初めは痛みを伴うが、徐々に痛みは引いていく。

 では、なぜ鈴木医師はIさんの症状が五十肩ではないと見るのか。

 「Iさんを診た医師も、五十肩とは思っていないはず。診察結果と患者の訴えが合致していないことは珍しくなく、そんな時に五十肩という病名は便利なんです。おそらく精神的なストレスのひずみが、肩に症状として出ているのでしょう」

 鈴木医師によれば、蓄積されたストレスが一つの“表現”として痛みになることはよくあることで、肩は特にその痛みを起こしやすい場所なのだという。

 Iさんに関して、鈴木医師の診立ては当たっていた。久しぶりに例の元同僚と会い、一杯やって帰る電車の中で、彼は無意識のうちに吊革につかまっていた。旧友との再会がよほどうれしかったのかな? 本当はさびしかったんですね。

【今日のストレス 明日の病気】歯茎の腫れ、唾液減り口腔内環境悪化…歯周病の危険

Tさん(23)のストレスの元凶は2年上の“先輩”。初めは優しかったが、次第に本性を現し始めた。今ではTさんの健康を害する存在になり、その影響は彼の“歯茎”に出てしまったのだった。

 「入社したばかりで何もわからなかった時に親切にしてもらい、それでこちらも心を開いて接していたんですが…」

 しかし、そんな先輩の実態を知るのに長い時間はかからなかった。要は“使えないヤツ”。新米のTさんにできる仕事もロクにできず、最後は「手伝えよ」と後輩に押し付ける。

距離を置こうとすると、今度は「お前は先輩を何だと思っているんだ」とか「社会人としての常識がない」などの子どもじみた非常識メールを携帯に送ってくる。しかも、深夜や早朝に…。

 そんなある日、Tさんは自分の歯茎が赤黒く腫れてきたことに気付いた。母親が歯科衛生士だったので、子どもの頃から歯磨きだけは徹底して叩き込まれてきたTさん。今も虫歯は1本もないのだが、なぜか歯茎が腫れて出血さえする始末。

 「おそらくストレスが原因で歯茎が炎症をおこしているのでしょう」と語るのは、千葉県松戸市にあるしらゆり歯科医院の功刀初穂院長。放置すれば歯周病に発展する危険性もあるという。

 「ストレスで交感神経優位の状態が続くと、唾液の分泌量が減って口の中が乾くようになります。唾液は本来、口腔内の自浄作用を担っているので、これが減ると口の中の衛生環境は一気に低下するのです。

歯茎の腫れだけでなく、たとえ虫歯を治療しても、強いストレスのためにたった1カ月で再発する人もいるほど、ストレスと口腔衛生は関係が深い」と功刀院長。

 根本的な対策はストレスを取り除くことに限るが、それでも対処法はあると功刀院長はいう。

 「ストレスのある人は無意識のうちに早食いになっていて、噛む回数が少ない。これを意識的に増やす(30回以上)ことが大切。頬や顎の下を押すようなマッサージも、唾液を分泌する腺が刺激されて効果的です」

 長年守ってきた歯の健康を、1年足らずで崩壊させるとは…。げに恐ろしきはストレス、いや、先輩か?

【今日のストレス 明日の病気】前歯が見えない!コンプレックスから内向的に

ストレスの元というのは百人百様。はたから見れば「そんなことがストレスになるの?」というようなことで、人生をかけて悩んでいる人がいる。

Mさん(23)の悩みは“前歯”。といっても出っ歯ではない。「前歯が見えない」ことがストレス源だったのだが…。

     ◇

 陰では「お面」とあだ名されていることも知っている。会社で笑ったことなどほとんどないし、そもそも必要以外の会話もしない。人と話をしないから表情も変わらない。「どうせ俺はお面だよ」とつぶやくのも心の中。

 いずれにしても、心を閉ざしていた彼の悩みは、「前歯が見えない」というもの。前歯はあるのだが、乳歯の頃から寸足らずで、永久歯になってからも伸びが足りない。

会話をしていても笑顔を作っても、前歯が上唇の陰に隠れて見えないのだ。

 笑った時に前歯が見えないと、いきなり口の中が見えてしまっておじいさんのような風貌になる。だから高校までのあだ名は「じいさん」だった。

 「じいさん」にしても「お面」にしても、あまりといえばあまりな呼び方だ。心を閉ざすのも無理はない。

 「こうした悩みを抱えている人は非常に多い」と語るのは、東京・銀座にあるノブデンタルオフィスの北原信也院長。前歯の見え方一つで、人の性格は大きく変わってくるという。

 「前歯が見えないだけでなく、いわゆる出っ歯、欠けている、色が汚いなど、前歯の形状のコンプレックスが大きなストレスとなり、性格を内向的にしてしまうケースは少なくない。

しかし、歯科矯正をはじめ、最近ではラミネートベニアという歯にセラミックの薄いプレートを貼り付ける審美治療もあり、キレイに修正することができる。

治療することで前歯に自信が持てると、笑顔になれるので性格が明るくなるだけでなく、発音や咀嚼機能も改善できる」と北原院長。言われてみれば、Mさんは舌ったらずな喋り方。それも彼を無口にさせる要因だ。

 審美治療というと見た目のことばかりを考えがちだが、実際には機能や性格の改善にも大きく関係する。Mさんのような人は、本気で考えてみるべきだろう。

【今日のストレス 明日の病気】顎関節症で顔全体が…睡眠中の歯ぎしりで強い負担★こめかみの痛み  

「最近ここが痛むんですよ」と言って、Oさん(45)は左のこめかみを指で押さえる。じつは断続的に襲う「非常に不愉快な痛み」にも、ストレスの関与が指摘されるのだが…。 

 気付いたのはひと月ほど前。左のこめかみを起点とするじわーっとした痛みに顔全体が襲われるようになり、時には仕事の中断を余儀なくされることもあるという。

 「顎関節症の典型的な症状の一つですね」と語るのは、東京都葛飾区にある「ゆうデンタルケア」の佐藤裕介院長。その症状の裏にあるストレスの存在も指摘する。

 「こめかみは“開口筋”という筋肉に支配されていますが、これが緊張状態に陥ることで痛みが出ます。その原因として“側頭筋”という筋肉が硬くなっていることが考えられ、その大元となるのが顎関節症なんです」

 Oさんには心当たりがある。こめかみの痛みが始まる半年ほど前から、朝起きると口が大きく開けられないことがたびたびあった。おちょぼ口でトーストを食べる冴えない中年男は、じつは顎関節症だったのだ。

 「顎関節症の多くは睡眠中の歯ぎしりや、歯を食いしばることであごの関節に強い負担がかかることでおきる。精神的なストレスとの関係は小さくありません」

 これも彼には心当たりがある。この数年、仕事が忙しい上に周囲から色々な野暮用を頼まれることが多く、頼まれると断れない性格の彼は、肉体的にも精神的にも疲れ切っていた。夜の寝つきも悪くなり、やっと寝ても歯を食いしばってストレスと闘っていたのだ。

 「寝るときはマウスピースをする、患部をレーザーで温めて血行をよくする、

筋弛緩剤などで筋肉をやわらげる-などの治療法がありますが、左側が痛むときはできるだけ右側の歯で噛む、あるいは右側を下にして寝るなどの工夫をするだけでも症状緩和につながります。痛みが出たらこめかみをマッサージして、血行促進を心がけてください」(佐藤院長)

 いま、Oさんの夢は、大きなハンバーガーに大口開けてかぶりつくことだという。おちょぼ口でそんなせつない夢を語られても、ねえ…。

【今日のストレス 明日の病気】「心筋梗塞」泥酔して寝た後に襲ってきた激痛

それは明け方のことだった。泥酔して寝てしまったYさん(40)。胸に突然の激痛を発し、そこから生死の境をうろつくことになる。彼を襲ったのは心筋梗塞。ストレスは時として、人の命まで奪いかねないのだ。

 Yさんは印刷会社の若社長。4年前に病に倒れた父の会社を受け継いで頑張ってきたが業績は伸び悩み、青息吐息。もともと酒は強くないが、飲まないと眠れない。最近は二日酔いの連続だった。

 その夜も取引先と飲んでいたが、景気の悪い話に終始して帰宅。何杯か水を飲んで、そのまま布団に潜り込んだのが午前2時。衝撃の発作はその3時間後にやってきた。

 かつて経験したことのない激痛で目を覚ましたが、痛くて苦しいだけで何もできない。ただただ七転八倒するだけだ。

 異変に気付いた妻が救急車を呼び、到着までの間は119番の指示に従って心臓マッサージ。かけつけた救急隊がAEDによる除細動を行い、病院に送り込んだ。

 検査の結果、下された診断名は「心筋梗塞」。すぐに血管内治療が行われ、幸運にも寸でのところで命拾いできた。

 もともと動脈硬化の気(け)はあったが、よもやこの年で心筋梗塞を経験しようとは思ってもみなかった。しかし、彼のようにストレスフルな人は要注意。日本赤十字社医療センター循環器科部長の池ノ内浩医師が解説する。

 「ストレスによって血管の内膜の細胞機能が低下すると、普段は出ている一酸化窒素(NO)が出にくくなることがある。NOはけいれんを防止する働きを持っており、基礎疾患に動脈硬化を持っていると心筋梗塞のリスクが高まります」

 池ノ内医師によると、血管内に血栓ができると血流を塞いで心筋梗塞になるが、血栓がなくても血管が急激に収縮するため狭心症を引き起こすことがある。こうなるとストレスも命がけだ。

 無事退院を果たしたとはいえ、彼のストレスが消えたわけではない。

 「時々、あのまま死んでしまったほうがよかったんじゃないかって思うんです。ただ、同じ死ぬにしても、あの激痛だけは御免ですが…」

 気の毒に、新しいストレス源が一つ増えただけのようだ。
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