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七転八倒の激痛からどう逃れる!? 尿路結石の最新治療と予防法(1


 のた打ち回るような痛みを伴う「尿路結石」は、尿路系に結石が付着する病気だが、放置すれば腎臓がやられ、腎臓摘出の憂き目に遭う。この絶望的な状態をどう防ぐのか、徹底検証してみたい。

 「地獄の痛み」
 お笑いコンビ『笑い飯』の西田幸治さんは、2年前に尿路結石で舞台を休んだが、そのときの激痛をこう表現した。他にも「金玉に針を刺したよう」とか、「股間にドッジボールが命中したときのよう」などと例えられることもある。

とにかく尿路結石の痛みは激烈で、まれに失神する患者もいるほどだ。

 尿路結石は、日本人男性の11人に1人が発症するというデータがある。国際医療福祉大学三田病院の尿路結石破砕治療センターに勤める担当医は、次のように語ってくれた。

 「正しい知識を持っている人は少なく、とんでもない状態になってから来院することが珍しくありません。前兆として分かりやすい症状は血尿ですが、色は真っ赤とは限らないのです。

コーラ色のこともあれば、朝一番にトイレに行ったときのように、やや濃い目の尿のときもあります。普段と違う色の尿が毎回続く場合は、発作の前触れと考えた方がいいでしょう」

 次は鈍痛だ。一般的に結石発作は、悶絶するような痛みを伴う。そのため、鈍痛ならたいしたことがないと思いがちだが、それは大きな間違いである。

 「結石発作の痛みというのは、石が尿管に落ちて動いたときに、尿管を傷つけて起こります。ところが、石が大きいと尿管内で動かず、痛みが起こらない。動いたとしても、そろりそろりとした動きで、鈍い痛みしか生じません。見過ごしやすい鈍い痛みの方が、要注意なのです」(前出・担当医)

 実は結石が大きいほど、体に与えるダメージは大きい。流れをせき止められた尿が停滞し、腎臓に溜まって「水腎症」を起こしやすくなる。最悪の場合、腎臓を摘出する結果ともなる。

 よく知られる通り、腎臓は2つある。1つ摘出しても命に別状はないが、疲れやすくなり、体の無理が利かなくなるなど、確実に日常生活の質は下がる。

 鈍痛は“背中の違和感”として表現されることが多い。共同クリニックの田口修医院長はこう言う。

 「ベルトの少し上の背中周辺に、突っ張ったような感覚があるという表現です。また、結石が膀胱付近まで下りてきて、痛みが生じている場合は、太ももの付け根や睾丸の辺りに鈍痛を感じます。併せて、残尿感や頻尿感を訴えるケースも多くなります」

腸内環境改善にコースメニューで「菌活」 生活習慣病予防などの効果期待



FC2 Analyzer体にとって良い働きをする菌を、積極的に摂取する「菌活」という言葉を耳にするようになった。食生活の欧米化により、古くから日本人になじみのある菌や、食物繊維の摂取量が減り、おなかの不調を感じている人が増えていることが背景にあるとみられる。

菌活のためのコースメニューを提供する飲食店も登場している。(兼松康)

 ◆2つのポイント

 「コメなどの穀類や日本伝統の発酵食品を食べなくなるなど食生活の変化により腸内環境が悪化している人が増えている」と指摘するのは、医学博士で管理栄養士の本多京子さんだ。

 腸は免疫機能を担っており、腸のスムーズな働きは免疫力の強化につながる。

よい菌と共存し、腸内環境を整えることは、生活習慣病予防や肥満抑制などの効果が期待できるとされる。そのため、体によい菌などを食べる菌活に取り組む人が増えているという。

 本多さんによると、菌活のポイントは2つある。

 体によい作用をもたらす細菌などの微生物「プロバイオティクス」とそれを増やす「プレバイオティクス」の働きだ。

 プロバイオティクスの代表的なものは漬物やヨーグルトなどに含まれ、腸内細菌のバランスを改善する乳酸菌やビフィズス菌。プレバイオティクスはタマネギやキャベツ、豆類、牛乳などに含まれるオリゴ糖と穀類や豆類に含まれる食物繊維で、プロバイオティクスを増やすとされる。

 プロバイオティクスとプレバイオティクスを同時に摂取することにより腸内細菌のバランスがよくなるという。ただ、「よい菌を体内に取り入れても、2、3日すれば排出されてしまう。継続的に摂取することが大切です」と本多さんはアドバイスする。

 ◆大豆発酵のテンペ

 健康や美容の観点から、菌のパワーに注目する女性も多い。平成22年に菌に関心を持つ女性らによって設立された「菌美女会」。酵母や乳酸菌などの働きを利用した発酵食品に関する勉強会やイベントを開催し、会員数は約200人に上る。

 最近、同会で人気なのがインドネシア発祥のテンペ菌を用いた大豆発酵食品「テンペ」。植物性タンパク質やミネラル、食物繊維を含み、米国ではヘルシー志向の人たちの間で肉の代用品として注目される。

 また、夏の暑さ対策として、麹菌などで造るみりんをかき氷のシロップとして使うのがお勧めという。

 同会とのコラボレーションで開発されたメニューが食べられる飲食店も登場している。東京都渋谷区のオーガニック料理「炭bio」とカフェ「CRECELA(クレセーラ)」は今年5月、同会とのコラボレーションで「菌活コースメニュー」(4580~4860円)を発売した。

 エリンギなどのきのこのほか、テンペ、ココナツの樹液を発酵させたしょうゆ風味調味料のココナツアミノといった菌活食材を使用。同会事務局の袖山洋子さんは「菌の効果や組み合わせを考え尽くしたフルコース。エステ感覚で食べてほしい」と話している。

 自宅でも気軽に菌活する方法はある。本多さんは「忙しい人はきのこ類を冷凍して常備し、レトルト食品の煮豆や根菜の煮物などとだし汁で煮込むと簡単に体によい菌と食物繊維がバランスよく食べられる」とアドバイスしている。

 ■長寿日本一の長野県 菌類の摂取多い

 調査会社のネオマーケティング(東京都渋谷区)が今年5月、全国の20歳以上の男女3200人を対象に実施した調査で、平成22年の厚生労働省「都道府県別生命表」で平均寿命全国1位の長野県が他都道府県に比べ、きのこなど菌類の摂取が多いことが分かった。

 調査によると、きのこを1日に1回以上食べている割合は20%で、他の都道府県の平均11.7%を大きく上回った。納豆やチーズを1日1回以上食べる人の割合も高く、「菌活」が自然と定着しているようだ。

同県は「菌類を子供の頃から摂取する」と回答した人も70.1%に上り、全体の55.5%を大きく上回った。

おいしい減塩メニューで生活習慣病予防も 日本の食卓になじみのあるレシピがずらり


「塩分量だけを変えて、味や調理法は今まで通り」という画期的な「減塩水」を考案した、料理家で栄養士の小田真規子さんが料理監修を行ったレシピブック『ラクうま!

減塩水レシピ』(宝島社)のプレスセミナー(2015年4月17日スタジオナッツ)へ行ってきました。

「減塩水」はどのような調味料で、どのように活用できるのか?についてレポートします。

◆一番しょっぱく感じるのは、塩分15%の醤油、塩分13%の味噌、12%の塩水、2%の塩水、の中ではどれ?

壇上に、用意されていたのが、4つの小さな透明のコップに、塩分15%の醤油、塩分13%の味噌、12%の塩水、2%の塩水、が入ったものでした。

濃度から見れば、15%の醤油が一番しょっぱそうに思いましたが、なんと、濃度が低めの12%の塩水が一番しょっぱい。

なぜかというと、醤油や味噌は麹を発酵しているので、甘味や風味もあって、塩気が弱まって感じるのだそう。そして、2%の塩水ですが、これもしっかりと塩気を感じました。

海に行くと、「海水飲んじゃった!しょっぱい!」と言いますが、海水の塩分濃度は3.4%ほどです。ちなみに人間の生体の塩分濃度は0.9%なのです。

普段の調理で、塩、醤油、味噌と調味料を使っていると、いつの間にか海水よりもしょっぱい味付けになっていたんだな、ということが分かります。

◆プロの料理家でも一番難しい調味料の計量が、「塩」
レシピでは、塩はだいたい「小さじ1/2」や「ひとつまみ」といった表現が多く、目分量で入れてしまい、人によって変わってしまいます。

小田さんも、「塩は液体と違って非常に計りづらい。ほんのちょっとの計量ミスで味の差が出てしまう、難しい調味料」と話していました。

一時、塩ブームで岩塩や精製していない塩がたくさん出回っていましたが、粒の大きさや精製度合いでも濃さが変わってきてしまいます。「減塩水」を作る場合は、精製塩を利用することがおすすめ。

「減塩水」とは、あらかじめ塩を水に溶かした塩水のことです。下味付け用と、仕上げ用の2種類を使い分けます。作り方は精製塩を計量スケールで正確に測るだけでとっても簡単。

・濃い減塩水の12% 下味付け用
 精製塩12gと水100ccをプラスチックの保存容器に入れてよく振る

・薄い減塩水6% 仕上げ用
 精製塩6gと水300ccをプラスチックの保存容器に入れてよく振る

12%の濃い減塩水を用いることで、小さじ1で0.6gの塩分になり、1g以下の塩分を計ることが可能になるのです。6%の薄い減塩水は小さじ1で0.1gの塩分になります。

◆日本の食卓になじみのある豚汁、ポテトサラダ、さばの味噌煮など4品を実演

お肉やお魚に塩を振りますが、一箇所に固まってしまったり、なかなか染みこまず、思ったよりもたくさん使っていて気になることはありませんか?液体状の塩である「減塩水」を下味に使えば、まんべんなく広がり、染み込みやすいのです。

さばの味噌は、さばに濃い減塩水をからめて染みこむまでそのままに。魚の臭みを取るために濃い減塩水が染みこんださばをボールに入れ、熱湯を縁に沿わせて静かに入れて1分待ちます。

その間に作るタレに薄い減塩水を使います。ボウルからさばをすくい、冷水の中でそっと汚れを落として水気をふき、タレと一緒に煮立たせます。

塩分量は合計で1人あたり1.4gですが、試食すると、しっかり味が付いていました。これで、通常の調理より2.3gも塩分を減らすことができます。

その他、豚汁は薄い減塩水の方だけ使って1.9g減塩、ポテトサラダも薄い減塩水の方だけ使って0.6g減塩。どれも、見た目には減塩しているとは思えず、香り良く食欲がそそられました。

レシピ本にはコロッケ、ハンバーグ、ほうれん草のゴマ和え、親子丼など日本の食卓になじみのあるメニューが掲載されています。「いつもと変わらないことが減塩を長続きさせるコツ」と小田さんは話していました。

過熱しても味が変わらないのがの良いところ。 「減塩水」を用いて「塩をコントロールする」ことで、簡単に減塩ができます。今年の健康診断に向けて、「減塩水」を日々の料理に取り入れてみてはいかがでしょうか。

冷たいお茶漬けや冷製パスタが生活習慣病や便秘の対策に!? FC2 Analyzer



FC2 Analyzer冷たい炭水化物が生活習慣病対策になる!? 意外な食の健康法を教えてくれたのは、岐阜大学教授の早川享志さん。

「ご飯を冷やすことによって、生活習慣病や便秘解消の効果が高まるというのは、炭水化物が冷えた時だけ、レジスタントスターチという成分ができるから。レジスタントスターチとは、小腸で消化されにくいでんぷんの一種で、食物繊維とよく似た性質を持っているのです」(早川さん。以下、「」内同)

 通常、温かいご飯を食べると、胃を通り小腸で消化吸収されるが、ご飯を冷やすとレジスタントスターチが作られるため、小腸で消化吸収されずに大腸まで到達する。

「食物繊維には、便をやわらかくする水溶性と便の量を増やす不溶性の2種類があります。

一般的に水溶性の食物繊維が不足しがちなのですが、レジスタントスターチはそのどちらの作用も持ち合わせているのが特徴です。また、腸内で善玉菌のエサとなって善玉菌を増やすので、腸内環境を整えてくれる効果もあるのです」

 さらに、血糖値の上昇を抑える働きも確認されている。

「レジスタントスターチを摂取すると、血糖値の上昇を抑えて、脂肪を溜め込む働きをするインスリンの分泌を抑えます」

 レジスタントスターチは実はご飯だけにできるわけではない。じゃがいもなどのいも類のほか、豆類(大豆は除く)、パスタなども同様だ。

「それらを冷蔵庫で冷やして2~3時間後から増えはじめますが、再加熱すると戻ってしまうので温めずに食べる必要があります」

 これからの季節なら、冷たいお茶漬けや冷製パスタ、冷蔵庫で冷やしたポテトサラダなどがおすすめ。

 体によいといっても、食べすぎると糖質の摂りすぎやカロリーオーバーになるので、食べすぎには注意が必要だ。

生活習慣改善が逆効果になることも…「禁煙」と「ヨーグルト」


健診でメタボリックシンドロームを指摘され、生活習慣を改善しようと意気込んでいる人もいるだろう。だが、やみくもに張り切ると逆に健康を害するなんてことになりかねない。
 
 禁煙すると血糖値の状態が悪化する――。英国の医学誌にこんな研究結果が発表された。英国人の2型糖尿病患者1万692人を対象に調査したところ、禁煙に成功した患者は、禁煙後1年間のHbA1c(基準値5.6%未満)が以前より0.21%上昇。

その後、喫煙者と同レベルに低下するまで3年かかったという。これは、禁煙後の体重変化とは関連していなかったから驚きだ。

 11年前、喫煙習慣がある日本人の2型糖尿病患者を対象に同様の研究を行った「飯野内科」(福岡県筑紫野市)の飯野研三院長はこう解説する。

「私が行った研究では、2型糖尿病患者25例のうち、1年間禁煙に成功した15例はHbA1cが7.2%から8.2%まで悪化し、拡張時血圧も69㎜Hgから76㎜Hgに上昇しています。

そうした悪化は禁煙後1年間続きました。英国の研究と同じく体重増加は関連していませんが、禁煙前のBMI(肥満度)や中性脂肪とは関係が認められた。

つまり、メタボを合併する糖尿病患者=インスリン抵抗性が強い患者は、禁煙後に血糖値が悪化しやすいのです」

 飯野氏は、いまも多くの糖尿病患者を診察している。

 禁煙指導にも取り組んでいるが、禁煙後に血糖コントロールが悪化するケースは少なくないという。

「そのため、糖尿病患者はまず食事や運動による治療を強化し、血糖と血圧をより良い状態で安定させることを優先しています。禁煙は血糖と血圧が安定してから始めます。また、肥満の糖尿病患者に対しては、減量後に禁煙を開始するようにしています」

 もちろん、喫煙はさまざまな疾患のリスク要因になり、一時的な血糖コントロールの悪化よりも不利益は多い。が、禁煙をする前に、自分の血糖と血圧の状態をしっかり把握しておきたい。

 健康にいいといわれる食品の代表ともいえるヨーグルト。乳酸菌やビフィズス菌が腸内環境を整え、便秘や下痢を改善したり、インフルエンザやノロウイルスへの感染を予防したり、花粉症やアトピー性皮膚炎に効くとうたった商品もある。

たしかに、さまざまな健康効果があるのは間違いないが、一方では弊害も出ているという。糖尿病専門医で「しんクリニック」(東京都大田区)の辛浩基院長は言う。

「最近、健康のためにヨーグルトを食べ始め、脂質や血糖の状態が悪化する患者さんが増えています。それまでは、LDL(悪玉)コレステロール値が130~150㎎/dlで正常だったのに、ある時から急に180~200㎎/dlにまでハネ上がる。

これはおかしいと思って〈最近、何か始めましたか?〉と尋ねると、〈ヨーグルトを毎日食べ始めました〉という患者さんが目立つのです。糖分が含まれているヨーグルトを食べ始めて、血糖値が悪化する患者さんもいます」

 乳製品であるヨーグルトには、乳脂肪分という脂質が多く含まれている。無糖のものでも100グラム当たり3グラム。

白米は0.5グラムで、食パンは3.8グラムだから意外に多い。また、100グラム当たりのカロリーも60キロカロリーあり、加糖タイプなら倍近くハネ上がる。

「体に良さそうだからといって、1日に何個も食べれば脂肪分やカロリーの過剰摂取を招きます。加糖タイプや果物を加えて食べている人は、血糖コントロールも悪化させてしまうのです」

 ヨーグルトには“弱点”もあるのだ。

働く世代が陥りやすい食事の5大悪習慣と改善策


自分の役割や目標も見つかり始め仕事が乗ってくる30代、責任ある立場となって部下の指導や外での付き合いも増える40代。現役世代は何かと忙しいものですが、ついつい仕事を優先して、おろそかになりがちなのが「食事」です。

時間やお金にも!?余裕がないと、お腹さえいっぱいになればいい、という考えで食事を済ませる人もいます。

食に関心や時間をかけている余裕なんてない、とい人も多いかもしれませんが、私たちが今日もこうして活動できるのは、身体を支えている「食」があるからです。

ここでは、働く世代のみなさんにありがちな食生活の問題点について解説します。今日は少しだけ立ち止まって、振り返ってみませんか?
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◆忙しい人の食生活の問題点

日々忙しく働く男性に多い食生活には、以下のような特徴があります。何が問題でどのような解決策があるか、みてみましょう。

●単品メニューが多い
食事は、食品の品目数が少ないほど栄養素の欠乏が心配されます。

主食(ご飯、パン、めんなどの穀類)だけで構成された食事は「済ませる」食事には手っ取り早くて便利ですが、主菜(肉や魚、卵、大豆製品などを使ったおかずの中心となる料理)と副菜(野菜などを使った料理)がそろった定食メニューを選ぶようにすると、多様な食品をバランスよく摂取することができるでしょう。

●飲酒量が多い
古くから「酒は百薬の長」などといわれますが、これらはあくまでも適量と適切な飲み方を守った場合ですよね。ではその量とはどのくらいなのでしょうか?

お酒の適量には個人差がありますが、医学的には、純アルコール量で1日20~25g程度とされています。とくに肝機能、血圧、脂質などの健診結果が基準よりも高い場合は、意識して適量を心がけましょう。

<適量とされる1日の飲酒量の目安>

●夕食が遅い
昼食を12時台に食べて、夕食が21時以降、となる人も多いことでしょう。これは昼と夜の食事時間が空きすぎていること、就寝までの時間が短いことが問題です。

対策として、夕方18時頃におにぎりやサンドイッチなど炭水化物を食べておき、21時以降(就寝3時間前)はヨーグルトや野菜スープなど、脂質が少なく消化がよいものを摂るとよいでしょう。

●朝食抜き
朝は食べる気がしないからと、「朝食を食べない」人は多いようですね。ですがちょっと待ってください。少し自分の生活について振り返ってみましょう。

昨晩、夕食は何時に摂りましたか?23時にラーメンを食べた? それでは朝になってもお腹が空きませんね。

また朝は早く起きられないので朝食を摂る時間はない、という人もいるでしょう。どうして朝は起きられないのでしょうか?午前2時までスマホをいじっていた・・?当然ですよね。

朝食を食べなかったら、エネルギー不足のまま午前中を過ごすことになります。特に脳は大量のエネルギーを必要とするので、会議に集中できなかったり仕事でミスしてしまう原因ともなりえます。

今まで朝食を食べる習慣がなかった人は、簡単です。まず朝食を食べましょう。野菜ジュースとバナナとヨーグルト、そんな簡単なものでもいいですから、まずは朝食についての意識を持つ、ということが大事です。

●喫煙
食後の一服が欠かせない人、または食事を摂る時間がないので代わりにたばこを吸いに行って紛らわす。こんな人も多いかもしれません。タバコは食生活とは切っても切れない習慣です。

ニコチンは一種の神経毒であり、神経の活動を低下させるので喫煙者にとっては「やすらぎの一服」ですが、たばこの煙の中には約1500種の科学物質があるといわれ、発がん物質も数十種類確認されています。

喫煙の害については、世界各国で多くの報告があり、日本では2002年に健康増進法が改正されてからは公共の建物の中は禁煙となりました。

厚生労働省国民健康栄養調査によると、平成25年の成人喫煙率は、19.3%で、性別にみると、男性32.2%、女性8.2%であり、男女ともに10年間で減少傾向にあります。喫煙は「百害あって一利なし」。禁煙を心掛けましょう。

◆悪習慣の改善が未来の自分を左右する

その他、生活習慣病につながる食習慣には運動不足、塩分の摂りすぎ、食べ過ぎなどがあり、合わせて注意が必要です。

体力も仕事も充実する活動的な20代~60代は、ストレスや疲労とも常に戦っているはずです。自分の身体の管理は二の次になりがちですが、良くないと思う習慣は早めに少しづつ改善していきましょう。

食生活・健康面で自己管理できている男性はかっこいいです。自己管理能力が高いということは、仕事面でも役立ちます。食生活の影響は、数年後、数十年後の自分のあり方を左右します。少しずつ初めてみませんか。

●執筆者プロフィール:田口絢子(たぐち・あやこ)
茨城県生まれ。管理栄養士、糖尿病療養指導士、ソーシャルスキル協会認定健康栄養カウンセラー。都内4か所の病院で給食・栄養管理経験を経て独立。栄養相談、献立作成、食と健康に関する記事の執筆、栄養学翻訳などを行っています。

知って選んでパワーいだだき!生活習慣病予防で「摂るべき雑穀」は…


私たちが生きていくためには、さまざまな栄養素が必要です。なかでも不足しがちなのが、“鉄”と“カルシウム”。

今、「サプリメントで補おう」と思ったそこのあなた! その前に、アレを試してみませんか?

今回は、ビューティーフードアドバイザーの筆者が、鉄・カルシウムを豊富に含む雑穀と、生活習慣病予防のために取り入れたい雑穀についてお話していきたいと思います。

■1:貧血を予防

女性に多い“貧血”。貧血を予防するためには、血流を良くして冷えを改善すること、ヘモグロビンの成分となる鉄分の豊富な食材を食べることがポイントになります。

【オススメの雑穀】

(1)大豆・・・鉄分、タンパク質

(2)あわ、ひえ・・・鉄分、ビタミンB1、B2、カルシウム

■2:骨密度低下を予防

妊娠や出産、授乳、閉経後、カルシウムは大量に失われます。

すると、骨の中に細かい穴が開いた“骨粗しょう症”になってしまうことも……。カルシウムは、吸収率が低く、毎日排出されてしまう栄養素。しっかりと摂取する習慣を持ちたいものです。

【オススメの雑穀】

(1)アマランサス・・・カルシウム、食物繊維、マグネシウム、リン、カリウム

(2)大豆・・・カルシウム、マグネシウム、大豆イソフラボン、食物繊維

■3:糖尿病を予防

食生活の欧米化により、生活習慣病に悩まされる人が急増しています。

糖尿病もそのひとつ。糖尿病を予防するためには、体を温めて血糖を燃焼させたり、食物繊維が豊富で糖質の吸収を防いでくれる食材を摂取したりするのがオススメです。

【オススメの雑穀】

(1)玄米・・・レジスタントスターチ

(2)大豆・・・カルシウム、マグネシウム、大豆イソフラボン、食物繊維

雑穀は、お米に混ぜたり、茹でてサラダ・スープに加えたり、スイーツの生地に加えたりと、取り入れやすいのが特徴です。食事の栄養バランスを整えるために、活用してみてはいかがでしょうか。
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医師が「生活習慣を改めるのに、遅すぎるということはない」と断言するワケ。「高齢者=人生の終わりに向かって枯れていく時期」ではない


厚生労働省が発表した「簡易生命表(令和4年)」によると男性の平均寿命は81.05年、女性の平均寿命は87.09年だそうです。健康寿命はこれよりも更に短い結果となっています。健康寿命を延ばして、できるだけ長く日常生活を制限なく過ごすためには…。医師の森勇磨先生は「健康寿命を延ばすのに、それほどお金は必要ありません」と言っていて――。

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【書影】健康寿命を延ばすためにできることを医師が解説!『その選択が健康寿命を決める』

これから健康格差時代がやってくる?

効果と安全性が確認された後でも、幹細胞治療を始めとする再生医療に保険が適用されることはないと思います。つまり、誰もが安価で受けることはできない可能性が高いということです。

特に「不老長寿」すなわち「若く健康でいたい」という願望のために安く受けられることはないでしょう。

公的健康保険は病気を治すために使うものであり、原則として若返りのための医療には適用されません。

では、がんなどの病気の治療としてならどうでしょう。これはエビデンスが確立すれば、将来的に保険適用になる可能性があります。

そうなると、考えられるのは健康格差の拡大です。お金持ちは大金を使い、様々な再生医療、先進医療を受けてピカピカに若返り、病気をしても細胞ごと入れ替える。そうでない人たちは年相応に老化し、死んでいく。そんな社会がやってくるかもしれません。

健康寿命を延ばすのに、それほどお金は必要ない

実際に「医療インバウンド」として、日本の先進医療を海外の富裕層に提供する動きも出てきています。

健康格差が広がると、自由診療を受けるほどの余裕のない人が現状より若返ることは難しくなります。

ですから、自分のできる範囲で病気を予防・治療していくことになると思います。それが、健康寿命を延ばすことにつながるのではないでしょうか。

健康寿命を延ばすのに、それほどお金は必要ありません。人それぞれの価値観に合わせて生活を見直していけばいいのです。

もしも病気がわかったとしても、大難を小難に抑え、寿命までの楽しい時間を長引かせることができます。

また、再生医療にも限度はあります。遠い未来はわかりませんが、現時点で高齢者を若者に戻せる治療はありませんし、完全に病気を防ぐことも、すべての病気を治すこともできません。

再生医療が万能だとは思わないでください。

生活習慣を改めるのに遅すぎるということはない

現在、日本では65歳以上を高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼ぶことが定義づけられています。ただ、私自身に置き換えたとして、65歳になった瞬間に「ああ、老人になったなあ」と思うことはないと思います。

要は気の持ちよう。そもそも、年齢に関しては、普段の生活の中で、自分が何歳になったと考える必要もないのではないでしょうか。

社会的な充足感も同様です。定年退職をしたからといって、社会と断絶するわけではありません。また、やることがなくなるわけでもありません。

何歳であっても新しいことにチャレンジすることはできます。

それまで仕事や育児といった忙しさの中でできなかったことを始める時期が、たまたま定年を迎えた65歳だったと考えるべきでしょう。

高齢者=人生の終わりに向かって枯れていく時期と考えるのは間違いだと私は考えています。

中高年になるまで破天荒に生きてきた人の中には、「この年まで好き放題に生きてきたから、いまさら健康を気づかっても遅い」と開き直る人がいます。

しかし、生活習慣を改めるのに、遅いということはありません。実際に50歳で禁煙した後、肺がんのリスクが下がるというデータもあります。

後悔しながら過ごす人生は楽しいものではない

確かに数十年以上、喫煙や深酒、不摂生を繰り返したことのハンディキャップはあります。一度衰えた体の機能―たとえば糖尿病でダメージを受けた腎機能や、喫煙で傷めた肺機能が元通りの健康な状態に戻るかと言われたら、答えはNOです。

それを可能にするために研究が進められているのが再生医療ですが、前述のように、現実味はありません。

けっしてだらしない生活をしていたわけではないのに、生活習慣病にかかることもあり得ます。ただ、だからといってこれまで通りの生活をしていたら、体の状況は悪くなるばかり。

そうしているうちに、まるで時限爆弾が破裂するかのように大病を患い、大ダメージを負うのです。

ですので、できる限り大ダメージを負ってから後悔することがないようにしましょう。後悔しながら過ごす人生はけっして楽しいものではありません。

「このままではよくないかな」と思い立ったときに悪習慣を断ち切ってください。

※本稿は、『その選択が健康寿命を決める』(マイナビ出版)の一部を再編集したものです。

ドロドロ…冬に滞る「老廃物を一掃する」最強ドリンクは●●●茶!


体の代謝活動が鈍ってくるこれからの寒い季節。血行も悪くなり、汗、尿、便の排泄も滞りやすく、老廃物が停滞しがちになります。そうは言っても、多くの美容情報や健康番組などから得た知識を取り入れ、デトックスに励んでいる人も多いと思います。

しかし、大体いつも同じ情報でマンネリ化していませんか?

そこで今回は、デトックスドリンクの中でもかなりマイナーだけど、凄いパワーを秘めたお茶についてご紹介しましょう。

■ゲルマニウムと同じ効果!? ●●●茶とは

そのデトックスドリンクの秘密は、冬が終わった直後の“春の伝統”に隠されていました。

昔から、ひな祭時には、よもぎを使った草餅が供えられていますよね。よもぎの色と香りを楽しむほかにも、「よもぎは浄血に優れている」と言われ、長い間親しまれてきたそうです。

では、「浄血に優れている」とは一体どういうことなのでしょうか? よもぎについて調べてみたところ、ゲルマニウム並みのデトックス力があることがわかりました。とくによもぎの主成分の1つ”葉緑素”の働きとして、以下が挙げられます。

・抗アレルギー作用

・貧血予防と改善効果

・殺菌作用

・免疫力アップ

・コレステロール値を下げる効果

デトックス力があると有名なゲルマニウムも、実は葉緑素になります。そして、様々なルートを介して体内に取り込まれてしまうダイオキシンや、有害ミネラルなども吸着して排出させる解毒パワーも持っているようです。

■医師も太鼓判の効果!

また、血液生理学の森下敬一医学博士も、よもぎの葉緑素について以下のように述べています。(以下、ホームページ『食べもの健康法』より引用)

葉緑素は胃腸や肝臓の機能を高めることによって、造血作用、解毒作用を大いに高める。その上葉緑素は直接、血液中の毒素と結びついて、それの中和解毒をはかる。だから、よもぎは慢性病全般に有効で、特に胃腸病、高血圧に卓効をあらわす。

まさによもぎの主成分でもある葉緑素は、万能だということが伝わってきますよね。とくに現代人は何かと肝臓が疲れやすくなっているので、これは嬉しい効果。

また、草もちはなかなか食べないという人でも、今はよもぎ茶が多く販売されています。

よもぎ茶でこれらのパワーを吸収し、デトックスすれば、健康効果だけでなくダイエットにも役立ちます。近所の薬局やよもぎ蒸し店に置いてあるはずなので、是非見つけて飲んでみてください。

この冬は、いつものデトックス法に合わせて、よもぎのパワーも取り入れてみませんか?

「糖尿病」「高血圧」「肥満」「脂肪異常」は“死の四十奏”生活習慣病を回避する食事法(2)


まずは野菜を摂る

 最近では、佐野氏と同じぐらいの年齢で亡くなっている有名人が多い。安西マリアさん(急性心筋梗塞・享年60)や蟹江敬三さん(胃がん・享年69)、大滝詠一さん(解離性動脈瘤・享年65)などがいる。

もちろん、問題は塩分だけではない。しかし、食生活のあり方、運動不足、ストレス、飲酒、喫煙、睡眠(質の悪い)など、いずれも生活習慣病に結びつく生活の質に問題があったのでないか、と指摘する声が多いのも確かだ。

 とくにこの中で問題になるのが、食生活のバランスの悪さと運動不足。前出の内浦医博は言う。

 「やはり食生活での“食べ過ぎ”は『過ぎたるは及ばざるがごとし』ではありませんが、便利な時代だからこその悩みかも知れません。簡単に食べ物が手に入り、交通機関の発達により日常生活の中で動くことが減っている。

運動不足も重なって、太るから動かないのか、動かないから太るのか…そんなスパイラルから抜け出せないという悲壮な声も聞きます。強い意志で生活改善に取り組まないと、間違いなく糖尿病などを発症する生活習慣病に陥ります」

 厚労省の「国民健康・栄養調査」でも、約900万人が糖尿病とされる。予備軍を含めると2200万人以上、成人の5人に1人が糖尿病か、その予備軍というわけだ。

 大学病院の元管理栄養士で料理研究家・林康子氏はこう指摘する。

 「食事を摂る場合、カロリーが満たされればいいと思っている人はあまりいないでしょうが、栄養は多いほどいいと思い込んでいる人は意外に多い。ご飯は少なく、おかずは沢山がいい。つまり栄養が一番! と信じ込んでいる人が多いのです。

しかし、エネルギーになるもの、体の体調を整えるもの(体の毒素を排泄するもの)、細胞を元気にするもの、などを考えてバランスよく摂るのがいいのですが、どうしても偏りがちになります。私はどのような場合でも、野菜をしっかりと摂ることをお薦めしたい。

カロリーを摂れば摂るほど、代謝するために多くのインスリンが必要になる。このことで、食べ過ぎと糖尿病の因果関係がはっきりすると思います」

 最新の研究では、例えば糖尿病と診断された時点で「血液中の糖分をエネルギーに転換したり、筋肉に溜め込むのに必要なホルモンのインスリンを作り出す膵臓のβ細胞が、50%破壊されている」とされている。

 このβ細胞は一度壊れると元に戻らない。早い人では、この時はすでに心筋梗塞や脳梗塞などの合併症の症状が起きている可能性があるという。

 もし糖尿病と診断されたら、すぐに食事や運動、薬などのあらゆる手段で治療を受ける必要がある。
 いま一度、自分の体と向き合ってはどうだろうか。

「糖尿病」「高血圧」「肥満」「脂肪異常」は“死の四十奏”生活習慣病を回避する食事法(1)


今や国民病といわれて久しい「生活習慣病」。それは特定の呼称ではなく、生活習慣が主な原因となる多くの疾患群の呼び名でもある。

 厚生労働省は、このうちの、がん、脳卒中、心臓病を3大成人病とし、これに急増中の糖尿病を加えた疾患への対策転換に力を注いできた。これにより日本は世界で一番の長寿国に認証されたが、半面、糖尿病などの合併症や後遺症に苦しむ高齢者の数が急増しているのも現実にある。

 同省は、これら生活習慣を主因とする疾患群も「生活習慣病」とし、改めて一次予防に重点を置く対策に乗り出している。その代表は、「肥満症」、「脂質異常症(高脂血症)」、「高血圧症」、「糖尿病」の四つが挙げられ、医療機関では、これらを“死の四重奏”と称して警戒の目を向けている。

 ある専門家が説明する。

 「国民の喚起を促すための呼称ですが、単独でも病気のリスクは高く、複数となると軽度であっても相乗効果によりリスクが高まる。とくに肥満症、メタボリックシンドロームは深刻な疾患と捉え、予防と対策に努めています。

肥満は、生活習慣病の糖尿病やすい炎、高血圧、脂質異常など多くの病気の原因になるため放置できない症状なのです」しかし、肥満症だけを捉えている訳ではない。前に触れた“四つの病”は、いずれも食生活に関係している。

メタボリックシンドロームをはじめ高脂血症、糖尿病は、栄養の問題を抜きに予防や改善は語れない。現在、予防医学では疾患の「一次予防」が最重要視されている。一次予防とは、病気にならないように気を付けることを意味する。

 これまでは、定期健康診断や人間ドックなどで病気を早期に発見し治療するという「二次予防」に重点が置かれてきた。しかし今では、健康的な食生活や生活習慣を確立することで病気の発症そのものを防ぐ「一次予防」がメーンに挙げられるようになった。

 日本成人病予防協会の健康管理士・長岡正氏はこう警鐘を鳴らす。

 「考えれば、自然界において自分で自分の身体を悪くするようなことをしている動物は、人間だけではないでしょうか。たばこ、暴飲防食、夜更かし…。なぜ我々は不健康な生活をやめないのか。

不健康を示すデータは至る所にあるし、患者さんも周囲にたくさんおられる。健康でいたいという気持ちと努力さえあれば、予防環境は整っていると思うのですが…」

 今春、ラーメン店『支那そばや』の店主で“ラーメンの鬼”としてテレビ番組にも多く出演していた佐野実氏が、多臓器不全で亡くなった(享年63)。佐野氏は糖尿病を患い2月中旬から入院していたが、病室でも『支那そばや』のラーメンを口にしていたという。

 ラーメンは子供からお年寄りまで愛される国民食といえるが、健康的にはどうか。6年前には、新横浜のラーメン博物館広報担当だった武内伸氏も、48歳の若さで肝硬変で亡くなっている。3食ラーメンの生活を送っていた“ラーメン王”だった。
 
「ラーメンの特徴はカロリーの高さと塩分の多さ。塩分の過剰摂取は、高血圧やがんにつながると医学的にも証明されています。それを無視した食生活を続けていれば重篤な病になります。好物のラーメンとはいえ、やはり控えめに食べるのがいいでしょうね」(医学博士・内浦尚之氏)

減らしたい・やめたい 「生活習慣病の薬」との付き合い方


厚労省のワーキンググループが高齢者に適正に医薬品を使うための初の指針案をまとめたが、高齢者に限らず「薬を減らしたい・やめたい」と思っている人は多いだろう。生活習慣病の薬との付き合い方を、茅ケ崎メディカルクリニック・柘植俊直院長に聞いた。 処方する薬で飲んではいけない薬はない――。これが柘植院長の基本的な考え。とはいえ、薬の量は最小限であるべき。柘植院長が実施している方法は次の通り。

■高血圧

「何が血圧を高くしているのか? 問診や検査で原因を探ります」高血圧には、原因がはっきりしている「二次性高血圧」と、原因が絞り込めない「本態性高血圧」がある。二次性高血圧の除外が重要で、多いのが睡眠時無呼吸症候群(SAS)。SASによる4年後の高血圧発症リスクは健常者の2・9倍とのデータもある。

「見逃されがちなのが、飲酒した夜だけSASがひどくなるケース。酒の飲み方を変え、眠りの質をよくすることで“今すぐ薬”とならない場合もあります」 数ある降圧薬の中で、最初にチョイスするのはCa拮抗薬だ。血管拡張作用が強く、安定した効果が得られる。“嫌な副作用”がなく、臓器障害を併発している高齢者にもよい効き方をする。 「血圧の下がり方を見て、薬の追加を考えます。最初から2剤、3剤と出すことはありません」

■糖尿病

 新薬が続々と出ているのが糖尿病だ。 「糖尿病薬を選ぶポイントは、低血糖を起こしにくく、太りにくい。低血糖の死亡例も報告されており、高血糖より怖いと考えています」従来から日本の医療現場でよく使われていた薬がSU薬。 血糖降下作用が強いものの、低血糖を起こしやすく太りやすい。長期間使い続ければインスリンの分泌が悪くなる。

「そのためSU薬の処方には注意が必要です。特に、他の糖尿病薬との併用は低血糖のリスクを高めるので要注意」 古い薬だが、近年改めて評価が高まっているのが、インスリン抵抗性改善薬ビグアナイド。 「低血糖を起こしにくく太りにくい。膵臓にも負担をかけません」

■脂質異常症

「LDLコレステロールが高い人に効く『スタチン』と、中性脂肪が高い人に効く『フィブラート系』の併用は、原則的に私はしないようにしています。横紋筋融解症という副作用が生じやすくなるからです」  ただし、脂質異常症でLDLコレステロールが高い場合、薬を使わないと数値が下がりづらい。スタチンは投与するが、中性脂肪に関しては、まずは食生活改善で対処する。

「脂質異常症は基準値を超えれば必ず薬、とはいえない側面があります。たとえば、LDLコレステロールと中性脂肪の両方が高ければ、心血管障害のリスクがより高い“超悪玉”と捉え、すぐに薬物治療を開始すべき」しかし、喫煙習慣やほかの生活習慣病がないなど、心血管疾患のリスクが少ない患者さんでは、基準値を超えていても薬がまだ不要の場合がある。

■痛風・高尿酸血症

 尿酸排泄促進薬と尿酸生成抑制薬の2タイプの薬がある。 「尿酸排泄促進薬のうちベンズブロマロンは効き目が強く、日本ではよく使われている薬です。しかし重篤な肝障害の報告があります。また尿路結石ができやすいということもあり、こちらを選択する場合は、少量から使い始めます」痛風発作を一度でも起こしたら薬はマスト。発作前は患者の状態によってまちまちだが、「使ったり使わなかったりして尿酸値を上下させるのがよくない。痛風を起こしたことがなく、ただ尿酸値が高めというだけでは勧めないケースも少なくありません」という。

専門医に聞け! Q&A 運動で尿酸値を低く保つ


Q:尿酸値が8.5ぐらいあり、高い状態が続いています。少しメタボ気味です。痛風の発作が気になりますが、尿酸値を下げる薬も飲んでいません。好きなお酒はやめたほうがよいのでしょうか。(46歳・住設会社勤務)

 A:尿酸値を上げる要因に、カロリーの摂取過多と肥満、肉や魚の内臓類などプリン体を多く含む食品の摂り過ぎなどが挙げられています。

 また、お酒は尿への尿酸の排泄を抑えるので血中尿酸値が上昇します。ビールは、そのものにもプリン体が多く含まれ、痛風持ちにはやっかいな存在です。

●運動で減量しよう
 実は私は、10年ほど前、40歳過ぎで痛風発作を一年間に3回ほど繰り返し起こしました。その痛みは激烈です。あまりの痛さで恐ろしくなり、その数年後に一年半ほど禁酒しました。そして、運動を日課にしました。

 一年半禁酒したのち、恐る恐る飲んだ梅酒のソーダ割りから成長して、今や立ち飲み屋に行けば5杯はアルコール飲料を注文するもとの体質に戻りました。

 夜は必ず飲みますが、以前と唯一違うのは、ビールは極力、生の中ジョッキ一杯にとどめていることです。飲酒後はラーメンを食べたくなりますが、食べるのは3カ月に1回と決めています。夕食は炭水化物(ご飯)は食べず、お酒と副食のみで肉は制限していません。

 53歳の今、体重は78kgから10kg減り、68kgです。高尿酸血症の薬は飲まず、尿酸値は4.9で、痛風の発作は起きていません。このように、私は食事制限をあまりせず、運動によって体重をコントロールすることで尿酸値を低く保てています。私の個人的体験ですが、ご質問の方も試してみてはどうでしょうか。

 生活では、早寝早起きをお薦めします。生活も健康も、寝ることと働くことがセットで成り立っています。早起きしてジョギングなどの運動を日課にすると、生活も健康も変わってきます。

 なお、ビール以外にも日本酒、葡萄酒などの醸造酒は痛風持ちにはカロリーオーバーとなり、発作の原因となります。

とりあえず一杯のビールの後は焼酎、ウイスキーを水割りで飲み(ストレートは咽頭がんや食道がんの危険がある)、計5杯までとしてください。とはいえ飲酒を勧めているわけではないですから、その点は誤解なきように。

牧典彦氏(小山病院院長)
自律神経免疫療法(刺絡)や加圧トレーニング、温熱療法、オゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を実践。小山病院(大阪市東住吉区)院長。

尿路結石=激痛ではない? 大きいものほど無症状な場合も


尿路結石は男性の7人に1人、女性の15人に1人が生涯のうちにかかるとされる。近年、石の大きさや患者の状態、希望に合わせて、いくつかの手術を組み合わせる治療がおこなわれるようになり、成果を上げている。

 尿路結石は、腎臓や膀胱でできた結石が、上部尿路(腎臓~尿管)や下部尿路(膀胱~尿道)にたまったり詰まったりする病気だ。約96%が腎臓でできた結石が原因の上部尿路結石で、その9割以上をカルシウム(シュウ酸カルシウム)結石という石が占める。

 石ができる原因はまだ不明だが、脂肪分の多い食事、暴飲暴食、生活習慣病、水分の摂取不足、遺伝など、多くの因子がかかわって発症すると考えられている。

 石が腎臓内にとどまる間は腰のあたりが重い、または違和感がある程度で、無症状のことも多い。しかし移動して尿管に詰まると背中や腰周辺の激しい痛み、発熱などが起こる。強い痛みに救急車で運ばれるケースも少なくない。X線検査、CT(コンピューター断層撮影)検査、超音波検査、尿検査などで診断する。

 石が10ミリ未満で症状が軽ければ、排石促進薬を用いるなどして経過観察することもあるが、1カ月たっても自然排石されない場合や、10ミリ以上の石には、石を砕いて排石する。それには次のような治療がある。

▼ESWL(体外衝撃波結石破砕術)
 皮膚の外から衝撃波を当てて石を小さく砕き、尿といっしょに排泄させる。皮膚にも体内にも傷をつけず麻酔も入院も不要なので、からだへの負担は少ない。しかし石の大きさが10ミリ未満に限られることが多く、硬い石は砕けないことがある。また、砕かれた石が自然排泄されるのを待つので時間がかかることもある。

▼TUL(経尿道的結石破砕術)
 尿道から直径約2ミリの内視鏡を入れ、レーザーを石に当てて砕き、バスケット鉗子というかご状になったワイヤで包んでつまみ出す。尿管の途中までに用いるr-TULという硬性鏡(まっすぐで曲がらない)と、f-TULという、それより奥の尿管や腎臓に用いる軟性鏡(胃カメラのように曲げられる)がある。おもに大きさ10~20ミリ未満の結石に適用される。入院は3~4日程度。

▼PNL(経皮的腎砕石術)
 背中に直径約1センチの孔を開けて硬性鏡を入れ、腎臓に到達。超音波などで石を砕き、バスケット鉗子でつまみ出す。石の大きさや硬さを問わずおこなうことができる。他の方法に比べてからだへの負担は大きい。入院期間は約2週間。

 近年、二つの方法を組み合わせて、より患者の状態や要望に沿った完治治療がおこなえるようになってきた。

 石が腎臓の中で結晶のように大きく固まったものが、「サンゴ状結石」だ。サンゴ状結石があると尿の流れが悪くなり、腎臓が腫れて「水腎症」を起こしてしまう。30ミリ以上という石もめずらしくなく、PNLをおこなうことになる。

 しかし、PNLは硬性鏡を用いるので、内視鏡が届かない場所が生じる。そのため2回、3回とPNLを繰り返したり、一度に2本内視鏡を入れるなど、からだへの負担が大きくなることが多かった。最近、このデメリットを補うために、PNLとf-TULを組み合わせたミックス手術が実施されるようになってきた。

 順天堂大学順天堂医院泌尿器科の磯谷周治医師は次のように話す。

「石を残すと、また大きくなって、水腎症を再発させるリスクが高くなります。負担が小さく、石を残すことの少ないミックス手術は有効だと考えられます」

 二つの手術を同時におこなうため、他の手術に比べて医師の数も多く、手術時間は約2時間になる。また、手術の合併症として、腎臓からの出血や感染による発熱などが起こり得る。合併症を抑え、排石率を上げるために、術前にはCTの3D画像などを用いて綿密にプランニングする。

 ミックス手術は腎臓のほかに尿管にも結石があるケースにも適している。

 磯谷医師が2年前に診た50歳の男性は、右の腎臓に約30ミリのサンゴ状結石と尿管にも数カ所、石があった。通常なら2回以上の手術が必要になるが、一度のミックス手術で入院は12日間、合併症もなく、すべて排石することができたという。

「石の性質や場所によっては、ミックス手術でも2回手術が必要なむずかしいケースもあります。しかし医療機器も技術も進歩しています。今後は排石率がさらに向上し、一度の手術ですむケースが増えてくるでしょう」(磯谷医師)

 F-TULを複数回おこなうことで、サンゴ状結石を排石する治療法もある。
 堀亮二さん(仮名・42歳)は4年前、人間ドックで腎臓に大きな結石があることがわかり、国際医療福祉大学三田病院を紹介された。右の腎臓に45ミリの石があり、水腎症も起こしていたが、自覚症状はなかったという。

 尿路結石症診療ガイドラインでは20ミリ以上の結石はPNLでの治療が基準となっている。しかし堀さんを診た同院尿路結石破砕治療センター長の荒川孝医師は、仕事をできるだけ休みたくないという要望を考慮して、f-TULを複数回おこなう治療をすすめた。

 f-TULの入院期間は2泊3日と短くてすむ。堀さんは、1回目の手術で約50%を排石できた。しかし尿路結石のほかに、中性脂肪値や尿酸値が高く肥満もあって、治療が必要な状態だった。尿路結石は生活習慣病の一つといわれるほど、生活全般の影響を受けやすい。高尿酸血症や脂質異常症も悪影響を及ぼすとされている。堀さんは2回目の手術を待つ間に、これらの病気の治療を開始した。

 そして1回目の手術から4カ月後、2回目を実施。さらに取りきれなかった石については10ミリ未満の小さなものだったので、2カ月後にESWLをおこなって完全に排石することができた。発症から4年たつが半年ごとの定期検診は欠かさず、再発もない。生活習慣病も徐々に改善されている。

「ESWL、TUL、PNL、それぞれの適用を見極めて柔軟に組み合わせることで、安全により高い効果を得ることができます。適切な治療を受けるために、ぜひ尿路結石を積極的に診ている泌尿器科を受診してください」(荒川医師)

 尿路結石の再発率は5年間で約45%といわれる。再発予防には生活習慣の改善に加え、1日2リットルの水を飲むことがすすめられる。麦茶やほうじ茶でもOKだ。

「尿路結石は良性疾患ですが、大きいものほど無症状です。気づかずに水腎症が進行すると、たとえ排石しても腎機能がもとに戻らないこともあります」(同)

 尿路結石=激痛と思い込まず、結石があると言われたら、無症状でも一度は尿路結石を専門とする泌尿器科を受診して、自分の石がどのような状態なのかを把握し、必要ならば治療を受けることが大切だ。

以前は「高脂血症」と呼ばれていた「脂質異常症」。一体どんな病気?



FC2 Analyzer今や生活習慣病の代表選手とも言える、高脂血症。高脂血症とは血中のコレステロールや中性脂肪が多すぎる状態のことです。

コレステロールと聞くと動脈硬化の原因となる悪者のように思われがちですが、コレステロールにはHDL(善玉)とLDL(悪玉)とがあり、HDLは逆に血管に蓄積したコレステロールを取りのぞいてくれる働きがあるので、問題なのは血管壁に取り込まれて蓄積するLDLの方です。

つまりHDLに関しては少ない方が危険であることから、「高脂血症」という呼び方は不適切とされ、2007年からは代わって「脂質異常症」と呼ばれるようになりました。

◆脂質異常症の特徴とは?

本来私たちの血液にはコレステロールの他にも中性脂肪、リン脂肪などといった脂質が含まれており、これがホルモンや細胞膜の材料となったりエネルギーの貯蔵庫として働いたりしています。

つまり私たちの体になくてはならないものであり、血液中の脂質を常に一定に保って健康な状態を維持できるように肝臓が働いているのですが、体外から入ってくる脂質の量が多くなりすぎると肝臓の調整機能が追いつかなくなり、

血中のLDLコレステロールや中性脂肪が多くなりすぎたりHDLコレステロールが少なくなってしまったりするのです。

この状態が長く続いた場合に、脂質異常症と診断されるわけです。診断基準としては、血液中の総コレステロールが220mg/dl以上、中性脂肪が150mg/dl以上、LDLコレステロール140g/dl、HDLコレステロールが40mg/dl未満とされています。
.
◆脂質異常症の主な原因とは?

生活習慣病と呼ばれている通り、脂質異常症の原因の多くは不健康な生活習慣によるもので、特に肉類や油物中心の食事や暴飲暴食、アルコール摂取などの食習慣が大きく関係しており、加えてタバコや慢性的な運動不足によって疾患に拍車がかかります。

しかし遺伝的なものが原因である場合も珍しくなく、バランスのとれた適切な食習慣と運動習慣を維持しているにもかかわらず、脂質異常症をかかえる人もいます。

このような遺伝的な原因による脂質異常症を、「家族性高コレステロール血症」と呼びます。

生活習慣による脂質異常症の場合はほとんど自覚症状がありませんが、家族性高コレステロール血症の場合には、アキレス腱が厚くなるアキレス腱肥厚や手筋が黄色く盛り上がる手掌線状黄色腫といった症状がみられることがあります。
.
◆脂質異常症にならないために

脂質異常症の予防は、やはり健康的な生活習慣を身につけることです。特に中性脂肪とLDL(悪玉)コレステロールを減らす食事を心がけましょう。同時に血液をサラサラにする海藻類や玉ねぎなどを積極的に摂ってください。

また有酸素運動を並行して行うことで一層予防効果が高まります。

以前は「高脂血症」と呼ばれていた「脂質異常症」。一体どんな病気?


今や生活習慣病の代表選手とも言える、高脂血症。高脂血症とは血中のコレステロールや中性脂肪が多すぎる状態のことです。

コレステロールと聞くと動脈硬化の原因となる悪者のように思われがちですが、コレステロールにはHDL(善玉)とLDL(悪玉)とがあり、HDLは逆に血管に蓄積したコレステロールを取りのぞいてくれる働きがあるので、問題なのは血管壁に取り込まれて蓄積するLDLの方です。

つまりHDLに関しては少ない方が危険であることから、「高脂血症」という呼び方は不適切とされ、2007年からは代わって「脂質異常症」と呼ばれるようになりました。

◆脂質異常症の特徴とは?

本来私たちの血液にはコレステロールの他にも中性脂肪、リン脂肪などといった脂質が含まれており、これがホルモンや細胞膜の材料となったりエネルギーの貯蔵庫として働いたりしています。

つまり私たちの体になくてはならないものであり、血液中の脂質を常に一定に保って健康な状態を維持できるように肝臓が働いているのですが、体外から入ってくる脂質の量が多くなりすぎると肝臓の調整機能が追いつかなくなり、

血中のLDLコレステロールや中性脂肪が多くなりすぎたりHDLコレステロールが少なくなってしまったりするのです。

この状態が長く続いた場合に、脂質異常症と診断されるわけです。診断基準としては、血液中の総コレステロールが220mg/dl以上、中性脂肪が150mg/dl以上、LDLコレステロール140g/dl、HDLコレステロールが40mg/dl未満とされています。
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◆脂質異常症の主な原因とは?

生活習慣病と呼ばれている通り、脂質異常症の原因の多くは不健康な生活習慣によるもので、特に肉類や油物中心の食事や暴飲暴食、アルコール摂取などの食習慣が大きく関係しており、加えてタバコや慢性的な運動不足によって疾患に拍車がかかります。

しかし遺伝的なものが原因である場合も珍しくなく、バランスのとれた適切な食習慣と運動習慣を維持しているにもかかわらず、脂質異常症をかかえる人もいます。

このような遺伝的な原因による脂質異常症を、「家族性高コレステロール血症」と呼びます。

生活習慣による脂質異常症の場合はほとんど自覚症状がありませんが、家族性高コレステロール血症の場合には、アキレス腱が厚くなるアキレス腱肥厚や手筋が黄色く盛り上がる手掌線状黄色腫といった症状がみられることがあります。
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◆脂質異常症にならないために

脂質異常症の予防は、やはり健康的な生活習慣を身につけることです。特に中性脂肪とLDL(悪玉)コレステロールを減らす食事を心がけましょう。同時に血液をサラサラにする海藻類や玉ねぎなどを積極的に摂ってください。

また有酸素運動を並行して行うことで一層予防効果が高まります。

生活習慣病改善にはまずコレステロール値をチェック!



FC2 Analyzer生活習慣病は、その名の通り不健康な生活習慣によって起こる疾患です。ですからその治療法の基本となるのはその生活習慣を改善することであり、これには食習慣の改善と運動が欠かせません。

ここでは生活習慣病を改善方法について簡単に解説します。

◆生活習慣病を改善するには?

食事療法と運動療法はあらゆる生活習慣病でどんな病院へ行っても必ず勧められる治療法です。しばらくの間医師の指導の下、食事療法と運動療法を行い、血糖値や血圧、コレステロール値が目標値に達するまで様子を見ます。

この場合の目標値とは、他の生活習慣病の合併を抑えることができる程度の値ということです。例えばコレステロール値の基準値は220mg/dl以下とされていますが、実際には各人の持つ「合併症の危険度」によって目標値は異なります。

まずは自分のLDL(悪玉)コレステロール値を確認しましょう。LDLコレステロールは「総コレステロール値-HLD(善玉)コレステロール値-中性脂肪÷5」で算出することができます。

これを踏まえて糖尿病や腎臓病、脳血管障害などの有無、年齢、血圧などといった危険因子がいくつあるのか確認することで、自分自身の目標コレステロール値を知ることができます。これは病院やセルフチェックのできるサイトなどで調べることができます。
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◆規則正しい食事が基本

具体的な目標値を設定したなら、実際に食事療法と運動療法に入ります。

発症している生活習慣病の種類によって気をつけるべき食材というものはありますが、基本的には特別な食事というよりは、過食を避け、バランスの取れた規則正しい食事を心がけることが大切です。

具体的な食事内容や1日の摂取カロリーについては医師の指導に従ってください。

また運動療法ではウォーキングや水泳などの有酸素運動を1日30分以上、週に180分以上を目安にすることが勧められています。その際の注意事項としては、準備運動と終了後のストレッチ、無理をしない、運動中に不快な症状が出たときは医師に相談すること、などが挙げられます。

また心筋梗塞や心不全、狭心症などの疾患を持つ人や血圧が高すぎる人、腎機能が低下している人など、運動療法が適していないと判断された場合は、実施することができません。
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◆毎日血圧測定をしましょう

また、食事療法と運動療法に並行して、毎朝血圧測定をしましょう。血圧測定のコツは起床後の最も平穏時に、毎朝同じ条件で測るということです。飲み物や朝食は血圧測定後に摂るようにしましょう。正常値は125/80mmHg未満ですが、血圧は条件次第で変動するため、基準値を外れたからといって病院に駆け込む必要はありません。

オヤジでも免疫力が高まる10の生活習慣


私たちの身体では1日5000個の癌細胞が生まれ、5000個やっつけている。そのディフェンスの要は免疫細胞だ。つまり「免疫の衰えは万病の素」といえる。

 免疫力が衰えるオヤジ世代にとって、「免疫アンチエイジング」は果たして可能なのか?

『免疫力をあなどるな!』 (サンマーク出版)の著者であり、がんワクチン「バクセル」の開発をするテラ社・代表取締役の矢崎雄一郎医師に話を聞いた。

「私たちの健康を左右する、司令官役の免疫細胞を樹状細胞と言います。私はこの樹状細胞をわかりやすく“ボス細胞”と呼んでいます。有能なボス細胞作りを心がけることで飛躍的に免疫力は高まり、老化防止と健康促進を同時に叶えてくれるのです。

人間の身体は60兆個の細胞があり、新陳代謝によって常に新しいものに入れ替わる。歳をとっても、ボス細胞のおかげで、健康に生きられているんですよ。」

 加齢で衰える免疫力も、日ごろの行い次第で免疫アンチエイジングできるようだ。では、どうすれば有能なボス細胞に生まれ変わらせることができるのか? 矢崎医師にポイントとなる生活習慣を上げてもらった。

・朝食を抜かない

・野菜2:肉1のバランスで、多種多用な食品を摂る

・最高の健康食は「納豆キムチ」

・1日1杯の味噌汁を飲む(味噌汁のほか、ヨーグルトなどの発酵食品を含む)

・喉が渇く前に、水を飲む

・過度な除菌、抗菌をしない

・1日2回、歯磨きをする

・1日10分でも仮眠をとる

・ツラいと感じる運動は3日でやめる

・寝る前のスマホは厳禁。初恋を思い出しながら寝る

 いかがだろうか? これならば明日からでもできそうじゃないか! どれも中庸かつ明日からできる生活改善である。要はバランスが大事。どちらかに偏る極端な健康法はどれも眉唾であると矢崎医師は語る。

 筆者には10番目の「寝る前のスマホは厳禁。初恋を思い出しながら寝る」がもっとも難易度の高い生活改善であったが、

「それは交感神経と副交感神経の兼ね合いであり、スマホやPCのブルーライトを浴びると、交感神経を過剰に刺激し、自律神経を崩します。初恋のようなポジティブなイメージを持ち、リラックスして副交感神経を優位にするのが大事です」(矢崎医師)

 初恋は思い出したくもない悲しいものだったが、今夜から副交感神経を高める楽しいことを夢想しながら床につきたいと思う。

プロフィール●矢崎雄一郎
医師。テラ株式会社代表取締役(http://www.tella.jp/)。1972年長野県生まれ。東海大学医学部付属病院外科医、東京大学医科学研究所細胞プロセッシング寄付研究部門研究員を経て、2004年にテラ社を設立。免疫療法のひとつ樹状細胞ワクチン「バクセル」の研究開発で注目を浴び、バイオベンチャーとして異例の早さでJASDAQ上場を果たす。大学病院を含む全国34の契約医療機関と提携。現在、「バクセル」の薬事承認に向けて準備中。近著に『ハグレ医者』(共著)、『免疫力をあなどるな!』など。

本人の全死亡原因の約60%!?生活習慣病の原因と症状


日かつて「成人病」と呼ばれていた生活習慣病。現在では、その原因が加齢だけでなく不健康な生活習慣の積み重ねによって引き起こされていること、また子供であっても発症し得るものであることから、「生活習慣病」に改名されました。

ここでは生活習慣病の原因と症状について簡単に解説します。

◆生活習慣病とは?

生活習慣病とは、糖尿病、癌、痛風、動脈硬化、高血圧、脳卒中、さらには肥満、骨粗鬆症、そして脂肪肝などが挙げられます。

厚生労働省の「平成23年人口動態統計」によると、がん、心疾患、脳血管疾患など、これら生活習慣病による死亡率は日本人の全死亡原因の約60%を占めていると言われています。

生活習慣病の原因はその名の通り生活習慣にあり、それを改善することで予防することが可能です。食習慣・喫煙・過度の飲酒・ストレス・運動不足は生活習慣病の5大原因とみなされており、特に食習慣は最も大きな要因となっています。

日本の高度経済成長期に急激に食習慣が欧米化し、それまでの野菜や魚介、穀物を中心とした和食から肉類、乳製品など動物性脂肪の多い食事になったことで肥満が増え、癌や糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病が増加したのです。

さらに運動不足によって肥満に拍車がかかりますし、ストレスによって血圧や血糖値が上昇、免疫力が低下してがんや感染症にかかりやすくなったといわれています。
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◆生活習慣病は自覚症状がない?

高血圧や糖尿病、肝臓病などは自覚症状に乏しく、気が付かないまま放っておいたために、心疾患や脳卒中といった危険な疾患を引き起こし、重篤な事態になってしまうことが少なくありません。

まずは、自分の生活習慣を見直し、生活習慣病になりやすい生活スタイルになっていないかチェックしてみましょう。その上で、各疾患に見られる症状が自分に当てはまるかどうかを確認してみてください。

例えば、高血圧の場合、自覚症状として動悸やのぼせ、頭痛、イライラ、眩暈、肩・首の凝り、耳鳴り、手足の痺れなどが見られることがあります。

糖尿病の場合は喉の渇きや全身のだるさ、体重の減少、多尿、目のかすみ、皮膚の化膿やかゆみなどといった症状が見られます。

肝臓は70%が壊れるまで異常が見られない「沈黙の臓器」と言われていますが、疲れやだるさ、食欲不振、腹水、手掌紅班、顔が土色になるなどの症状が見られたなら病院で検査してもらいましょう。

また高脂血症、糖尿病、高血圧、内臓肥満の4つは合併して発症することが多いと言われています。それによって動脈硬化を引き起こし脳梗塞や心筋梗塞など起こしやすくなるため、これら4つのうち、2つ以上が該当する場合は特に注意が必要です。

どんな薬よりも効果のある生活習慣改善法 【いつも体調がすぐれない! 悪しき生活習慣への警告】


働き盛りの世代は健康意識が高く、メタボ対策なども進んでいます。しかし、意識だけが高くてもお肉大好き、飲み会皆勤では、健康改善は遠い話。これに仕事のストレスが加わると、日に日に体調は悪化していきます。生活習慣について、医師・岡田定先生に伺いました。

食事で一番大事なことは腹八分目
病気を早期発見して薬を飲むよりも、人間ドックを定期的に受けることよりも、健康長寿をめざすために大切なことがあります。それは生活習慣です。食事、喫煙、アルコール、運動、睡眠、ストレスの6つを見直し、改善するだけで、快適な生活を手に入れることができるのです。それぞれの改善ポイントを紹介します。

「6項目の中でもっとも重視すべきは食事であり、食事で一番大事なことは、満腹ではなく腹八分目に抑えておくことです。肥満の方は、お腹いっぱい食べないと満足できないという状態から、腹八分目で心地よいと思えるように変える必要があります。もちろん、現代では多くの方が糖質をとりすぎていますから、食べる量と同時に糖質を減らす努力もすれば、目に見えて体重が減り、生活も楽しくなっていきます」

働き盛り世代は肉の食べ過ぎにリスクあり
30代になったら、特に肉のとりすぎにも注意が必要です。

「若いからといって、明らかな肉のとりすぎはNGです。肉を多くとった方は、野菜を多くとった方よりもがんになりやすく、動脈硬化を起こしやすいことは、たくさんの研究により証明されています。植物性の食材は体によく、動物性の食材をたくさんとると体に悪いというのは大原則として知っておくべきですね。

適量であっても、肉を食べる時は脂身を食べないなどの工夫が大切です。例外的に、高齢者はフレイル予防として肉をたくさん食べることもおすすめしますが、それを若い頃から習慣化すると、生活習慣病になりやすいといえます」

6つの中で最悪な習慣が喫煙です。

「たばこに起因する健康被害は、がん、動脈硬化による脳梗塞や心筋梗塞、慢性の肺疾患(COPD)と実に様々です。高齢になって酸素療法が必要な方のほとんどは、たばこが原因といわれています。ただ喫煙者に危険を警告しても、事の重大性を認識されないのは残念です。『あなたが倒れたら家族が大変なことになる』といってもわかってもらえません。

医療者としてはすぐにでも禁煙外来を受診していただきたいですね。もう一つのアルコールは、適量をたしなむ程度であれば影響がなく、健康にプラスになる部分もあります。問題は毎日大量に飲んでいる方ですね。

休肝日という言葉が一般に浸透していますが、これは肝臓を休ませる日というより、1日でも2日でも飲酒をやめることで、トータル量を減らしてもらおうという意味あいの方が大きいのです。さらにアルコールは依存症も危険ですね。1日たりとも飲酒がやめられない方は外来治療の受診をおすすめします」

運動は有酸素的なウォーキングと体操の2種類。体操は筋トレ系とストレッチが大事です。

「ウォーキングは最低でも1日8000歩などといわれますが、何歩歩くかより、歩く習慣をつけることが遥かに大切です。1日1000歩でも、とにかく外に出ることが大事。ウォーキングで気分がよくなることを実感できれば習慣化でき、自然と歩数も増えていきます。嫌だと感じてしまったら止めてしまいますので、楽しく続けてください。

働き盛りの年代の方は、可能な距離であれば、最寄り駅の一駅前で降りて自宅まで歩いたり、駅や会社では極力階段を使うこともいいですね。あくまで私見ですが、朝ウォーキングをしますと、頭の回転もよくなり仕事もはかどります。小さくてもいいから、まずは一歩を踏み出すことが大事です」

ストレスは受け止め方で負担が激減
睡眠時間も多くの方が不足気味。日本人の眠りに対する誤った価値観が改善を阻む要因になっています。

「頑張るイコール睡眠を削る、と思ってる方がいかに多いことか。そんな生活を続けていたら、体を壊し、病気になりやすくなってしまいます。実は世界一平均睡眠時間が短いのは日本の女性で、特に都内在住者は6時間を切っているといわれています。適切な睡眠時間は6時間から9時間で、7時間台の睡眠が一番長生きできるというデータもあります。仕事などをして残った時間を睡眠にあてるのではなく、まずは睡眠時間をとって、それ以外を仕事や自分の時間に充てるスケジュールで生活していただきたいですね」

6つ目のストレスについては、受け止め方を変えることで、ストレスの度合いを減らすことが可能といいます。

「アスリートでも周囲の大きな期待がストレスになってつぶれてしまう選手もいれば、期待されていることを楽しむことで好成績につなげる選手もいます。例えばレベル10のストレスがあったとして、Aさんは5ぐらいにしか感じないのにBさんにとっては20に感じることもあります。要は受け止め方でストレスは大きくも小さくもなるということです。ストレスは自分を奮い立たせるメッセージ、あるいは自分に役立つことと受け止め方を転換できれば、大きなストレスを抱えることもなく、ストレスがプラスに転じることにつながります」

認知症は生活習慣による病気。自分の身を守るために必要なこと【いつも体調がすぐれない! 悪しき生活習慣への警告4】に続きます。

お話を伺ったのは……岡田 定 先生
現・医療法人社団 平静の会 西崎クリニック院長
前・聖路加国際病院血液内科・人間ドック科部長

1981年大阪医科大学卒業。聖路加国際病院内科レジデント、1984年昭和大学藤が丘病院血液内科、1993年からは聖路加国際病院で血液内科、血液内科部長、人間ドック科部長を歴任。2020 年より現職。血液診療に関する著書も多く、現在までに30冊以上を上梓している 取材・文/安藤政弘

5コ当てはまれはリスク大! 生活習慣で知る「口臭リスク」


「人間の五感のうち“臭い”だけは、“好き・嫌い”で記憶が刻まれます。たとえば、何年かぶりに嗅いだ臭いであっても、過去に会った人や出来事を瞬時に思い出すことがあります。その感情は直感的に“好き”か“嫌い”か。だからこそ臭いに関する悩みは深く、時として対人恐怖症にさえもなりうるのです」

そう語るのは、口臭専門の歯科医で中城歯科医院の院長・中城基雄先生。日本歯科医師会が行った歯科医療に関する調査(’16年)によれば、じつに8割以上の人が「自分の口臭について不安を感じたことがある」と回答している。

舌に残った食べかすをエサに増殖する“口臭発生菌”。唾液には口の中を掃除する役目もあるのだが、唾液が出ないと口臭はさらにきつくなる。そこで、生活習慣でわかるあなたの「口臭リスク」チェックリストを紹介。口臭の原因となりがちな生活習慣は次のとおり。

【「口臭リスク」チェックリスト 】

□スマートフォンを1日2時間以上操作する
□ストレスや緊張を感じやすいほうだ
□人と会話をする機会が少ない
□口の乾き、粘つきをしばしば感じる
□ダイエットのために食事制限をしている
□食べるのが速いほうだ
□朝食はあまり食べない
□便秘や下痢をしがち(おなかの調子がよくない)
□野菜があまり好きではない(食物繊維が不足しがちだ)
□コーヒーやエナジードリンクなどを1日に複数回飲む

当てはまる項目が多い人は注意が必要だ。〈0〜1個〉口臭リスク小・その調子で口腔内を清潔に。〈2〜4個〉口臭リスク中・体調を崩したときに口臭が発生する可能性が。毎日のケアを徹底して。〈5個以上〉口臭リスク大・生活習慣の見直しが必要。毎日のケアと歯周病予防も忘れずに。

口臭発生菌は臭いの原因となるほか、毒素を発生することもあり、歯肉から毒素が全身に回ると、さまざまな病気を引き起こすという。「毒が心臓にいくと心内膜炎、子宮にいくと子宮内膜症となり、糖尿病も悪化させます。そのほか、早産、未熟児、不妊などの原因にもなります」(中城先生)

自分の生活習慣を見直して、口臭リスクとおさらばしよう!

冬の「かくれ冷え」に注意!頭痛、むくみ…チェックリストで見直しを


体を温めて冷えを解消する「温活」。自己流で行っている人も多いと思いますが、じつは“かくれ冷え”が潜んでいることも! 医師の石原新菜さんと、漢方師の櫻井大典さんに、正しい温活法や効果がアップする方法を教えてもらいました。

“かくれ冷え”チェックリスト

“かくれ冷え”をチェック!あなたはペンギン?それともアルパカ?
まずは日頃の過ごし方をチェック! 体を冷やし気味なペンギンと、温活バッチリのアルパカ。あなたはどちらに当てはまりますか?

●<体を冷やし気味>ペンギンの特徴
冷たい飲み物やアイスが好き。セーターが苦手で、常に薄着。冬場は寒いので家にこもりがちで、入浴は手早くシャワーのみ。

●<温活バッチリ>アルパカの特徴
ぽかぽかアルパカ

飲み物は常温か、温めて飲むのが基本。重ね着が大好きで、いつもぬくぬく。散歩が日課で、お風呂はゆっくり湯船につかる派。

【かくれ冷えチェックリスト】
客観的に体が冷えていないか確認しましょう。 普段冷えている実感がなくても、チェックリストのうち、ひとつでも当てはまるものがあれば、「冷えている」可能性があります。

□いつも肩がこっている □いつもだるい、疲れやすい □頭痛に悩まされている □こめかみにはり・痛みがある □目の下のクマが消えない □腰痛がある □足がむくみやすい □足がつりやすい □手足の指先が冷たい、しもやけになりやすい □便秘がち、または下痢がち □月経痛が強め

●寒い冬の不調の多くは冷えが原因かも!
冬は体の不調を感じやすい季節。体が冷えると血流が悪くなり、肩こりや頭痛、腰痛の原因になります。また、上のチェックリストにある症状も要注意。

「不調があるなら、冷えている可能性大。自覚がない“かくれ冷え”のこともあります」と、医師の石原新菜先生。 「冷えて血流が悪くなると、酸素や栄養、水分を臓器に運ぶ血の流れが滞るので、臓器にも不調が出やすくなります。ほうっておくと、生理痛や生理不順、便秘、膀胱炎などにつながることも」

また、漢方師の櫻井大典先生は、「漢方では、“温める”というよりも、“冷やさない”ことを大切にします」と話します。 漢方には“養生”という考え方があり、その時季に合った食事や習慣で、体調を整えます。冬場に元気に過ごすポイントは、なるべく素肌の露出を減らし、体温より低い飲食物をとらないこと。

「普段から冷やさないように生活するだけでも十分です。体を温める食材は、体質によっては合わない場合も。体調に合わせて無理せず取り入れてみてください」

●気づかないうちにこんなところが冷えている!
手足の先が冷たくなっているときは気付きやすいですが、意外な部分も冷えているかもしれません。パソコンやスマホに触れる時間が長い人は要注意です。

・手足の先
手のひら、足の裏にはたくさんの毛細血管があり、体が冷えると、それ以上体温を逃がさないように、手足から放散される熱を止める。そのため、血行が悪くなって冷たくなる。

・肩
パソコンやスマホなどに没頭すると、頭を首だけで支える姿勢になり、血行が悪くなって冷える。

・目の周り
パソコンやスマホなどによる眼精疲労に加え、冬場は冷えて血行が悪くなることが多い。クマの原因に。

・首
「三つの首」ともいわれる、首・手首・足首。筋肉や脂肪が少なく、血管が肌の表面近くにあるので、熱を奪われやすい。

・おなか
臓器がたくさん入っているおなかは、冷えると内臓の働きも落ちてしまう。反対に温めると内臓が活性化し、代謝が上がって血流もUP。

・腰
自律神経を整える「骨盤内臓神経」があり、温めると臓器が活性化する。

・手首
・足首
<イラスト/ハルペイ 取材・文/ESSE編集部>

●教えてくれた人 【石原新菜さん】
イシハラクリニック副院長。漢方医学、自然療法、食事療法により治療を行う。冷えのほか、女性のセルフケア、ダイエットなどについての著書多数

【櫻井大典さん】
年間5000人以上の相談を受ける漢方専門家。著書に『まいにち漢方』(ナツメ社刊)など。Twitterで発信する、わかりやすい漢方&養生の情報も人気

【医師に聞く】生活習慣病予防のために、先生が実際にやっていることを教えて!


生活習慣病予防のために、お医者さんご自身はどんなことを実践しているかは気になるところ。食べたほうがいいもの、食べないほうがいいものなどの食生活から、生活習慣について、河西内科循環器科クリニックで院長として地域医療に貢献していらっしゃる河西院長に、お話をうかがいました。

[この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]

【この記事の監修医師】
河西 研一先生(河西内科循環器科クリニック 院長)
金沢医科大学医学部卒業、医学博士。いくつかの病院での研鑽を経て、横浜市磯子区の林内科医院に勤務。2002年からは副院長に就任。2005年、熱海市に河西内科循環器科クリニックを開業、現在に至る。1989年に慶應義塾大学理工学部機械工学科を卒業後、バブル期に会社員を経て金沢医科大学医学部に編入学という異色の経歴を持つ。2018年11月に、専門性の高いクリニックが複数入るクリニックビルの事実上のオーナーとなり、日本初の多施設共通受付・自動会計システムを導入するなど、医療を通じて様々なことにチャレンジしている。

たばこはNG、酸化した油は避けよう

編集部:
先生が生活習慣病予防のためにやっていらっしゃることは何でしょう。

河西先生:
だいたいの医者は、不養生なんですけどね(笑)。まず、私は循環器科が専門ですから、たばこは吸いません。たばこは、生活習慣病にとって最も悪い習慣です。患者さんにも禁煙をすすめています。また、たばこの煙がある環境にも近寄らないよう気をつけています。そのため、喫煙可能なお店には、できるだけ行かないようにしています。

編集部:
分煙のお店はどうでしょうか?

河西先生:
分煙ではだめなんです。仕切りで仕切ったとしても、空気中の有毒物質の数はあまり変わりませんから。また、車の中でたばこを吸う人がいると、最悪です。北京の、ほとんど先が見えない光化学スモッグの中よりも、有毒物質の数が多いといわれています。車内を換気すればいいと思うかもしれませんが、窓を開けてもほとんど変わりません。

編集部:
食事で気をつけていらっしゃることはありますか?

河西先生:
酸化した油を避けることですね。よく、スーパーやコンビニで揚げ物が売られていますが、それをもう一度電子レンジで温めたものが身体にはよくありません。揚げたあと、時間がたっているだけならまだましです。しかし、それを再加熱すると、油が酸化して、血管の動脈硬化を進めてしまいます。ですから生活習慣病を予防するためには、酸化した油は禁物ということです。

編集部:
揚げたてなら大丈夫ということですね。

河西先生:
新しい油を使っているてんぷら屋さんで、揚げたてを食べるのは、そんなに問題はありません。ただし、何回も使い回しをしている油は、酸化していますから気をつけたほうがいいですね。

編集部:
油の種類ではどうでしょう?

河西先生:
体にとっていい油もあります。たとえば魚の脂はいい油です。常温で固まるか固まらないかが、体にとっていい油かどうかの目安です。お肉を焼いて冷えると脂が固まりますが、魚の脂は焼いて冷めても固まりませんよね。患者さんにも、そのように説明しています。

編集部:
常温で固まる油はどうしてダメなんでしょうか?

河西先生:
常温で固まる油は、体を酸化させてしまうため、動脈硬化の原因になります。ですからお肉は、霜降り肉よりは赤身のほうがおすすめです。市販の油は、どれも大量にとるわけではありませんから、とくにダメなものはありません。油の種類を選ぶより、酸化したものを避けることが大切です。


Medical DOC

ナッツを積極的に摂取

編集部:
生活習慣病予防のために、積極的に食べているものはありますか?

河西先生:
ナッツ類は、診療の合間などに、積極的に食べるようにしています。そもそも好きということもありますけど……。ナッツには抗酸化作用の高いビタミンEが豊富に含まれていますから、動脈硬化を防ぐ働きがあります。アメリカの心臓病学会では、ナッツが心臓病にいいという研究結果も出ていて、食べることが推奨されています。ナッツであれば、種類は何でも構いません。

編集部:
ナッツは太ることが心配です……。

河西先生:
以前はナッツは高カロリーだから食べると太る、という誤解もありましたが、最近はナッツを食べている人のほうが肥満や心臓病の人が少ないということがデータで証明されているんですよ。

編集部:
食事で、ほかに気をつけていらっしゃることはありますか?

河西先生:
よく言われていることですが、たん白質、脂質、炭水化物の栄養をバランスよくとることです。さらには、野菜を積極的にとることです。わかりやすい目安としては、1日30品目以上食べることと、手のひらいっぱいの野菜を食べること。あとは、アルコールの飲み過ぎには気をつけています。

日常生活の中で意識して歩くこと、ストレス解消もポイント

編集部:
運動はされているのでしょうか?

河西先生:
忙しくて運動のための時間をつくるのは難しいので、できるだけ歩くようにしています。患者さんにも生活習慣病予防や改善のために、運動はおすすめしています。

編集部:
忙しい中で1日1万歩はなかなか難しいのではないですか?

河西先生:
時間がなくて運動できないという人も、私のようにできるだけエスカレーターなどを使わず歩くと、結構歩数を稼げるものです。万歩計をつけて、職場と自宅の往復を歩いたり、職場でも階段を使うようにしたりしていると、1日1万歩近くはいきます。今は携帯電話にも万歩計がついていますから、万歩計をチェックするようにすると、今日はあと1000歩頑張って歩こう、など目標にもなりますのでオススメです。

編集部:
生活習慣でほかに気をつけたほうがいいことはありますか?

河西先生:
できるだけストレスをためないことです。ただ、ストレスは数値に表すことができないので、気をつけるのがなかなか難しいことではあります。本人がストレスと思っていなくてもストレスのこともありますし、いいストレスはある程度は必要ですし……。ただ、安静時に原因もなく胸がドキドキするというのは、明らかに悪いストレスです。

編集部:
ストレス解消の方法はどうしていますか?

河西先生:
ストレスを解消する方法としては、趣味があれば、趣味に没頭することはよいことだと思います。私は趣味をする暇がないので、ストレス解消はお酒を飲むことぐらいでしょうか(笑)。ただ、お酒はあくまでも適量を目指しています。

編集部:
睡眠不足は生活習慣病に悪影響を及ぼすのでは?

河西先生:
睡眠は、よく睡眠時間にこだわる方がいらっしゃいますが、時間よりも質が大切です。睡眠には、深い眠りのレム睡眠と浅い眠りのノンレム睡眠が1~2時間ぐらいのサイクルで繰り返されます。質のいい睡眠であれば、基本的には2サイクルで十分です。2サイクルの時間は人によって違いますが、大体4時~5時間ぐらいです。あとは浅い眠りのノンレム睡眠が続き、夢はこのときにみます。

編集部:
質の良い悪いは判別できるのですか?

河西先生:
質のよい睡眠がとれているかどうかの目安は、日中眠くて困るかどうかです。仕事中眠くなって気づいたら寝てしまうくらいだと、困りますよね。そんな人は、睡眠の質が悪いということになりますから、睡眠の質をよくする方法を工夫しましょう。


編集部まとめ


河西先生の、動脈硬化を専門とする医師の立場から、「血管の動脈硬化を進行させないこと」を目指した食生活や生活習慣について、わかりやすく解説くださいました。


・生活習慣として最もよくないのが「喫煙」、さらには「たばこの煙を吸う環境にある場所に行くこと」。たばこの有害物質は、光化学スモッグの中にいるよりも多いということに驚きました。また、車の中でたばこを吸うと、換気をしても有害物質はほとんど減らないため注意が必要です。


・食事は酸化した油を避けること。とくに、冷めた揚げ物を再加熱することが、動脈硬化にとっては最悪で、揚げ物はできるだけ新しい油で揚げたてを食べるのが良いようです。体にとっていいのは魚の油で、積極的に摂取を。肉は、霜降り肉より赤身を選びましょう。


・積極的に食べたほうがよいものは、ナッツ類です。ビタミンEが豊富で抗酸化作用が高く動脈硬化を防いでくれます。


・生活習慣では「運動を積極的にすること」「ストレスをできるだけためないこと」「質のいい睡眠をとること」を心掛けましょう。


【生活習慣病撃退レシピ】酸味が爽やかに変身! 疲労回復期待できるクエン酸が豊富「夏みかんドレッシング」


 友人が自家菜園で育てている夏みかん。毎年この季節になると「食べきれないから」とゴロゴロ大量におすそわけしてくれます。でも夏みかんって、そのまま食べるとツーンと強烈な酸っぱさがあるんですよね。

 というわけで今回は、夏みかんを使ったフレーバードレッシングに挑戦してみます。

 夏みかんの栄養と言うとあまりピンとこないかもしれませんが、実はクエン酸が豊富。普通のみかんの2倍も含まれているそうです。

 クエン酸は体内の酸性物質をエネルギーに変えてくれるので、血液をきれいにしたり、免疫力を高めてくれたり、疲労回復効果が期待できるんですよ。加えて、強い抗酸化作用を持つビタミンC、腸内環境を改善する食物繊維もたっぷりです。

 ドレッシングにすることで、夏みかんの強い酸味がほどよく爽やかに変身! ほのかな甘みも感じられるようになります。今ならではのドレッシングをぜひお試しくださいね。

【材料】
 夏みかん 1個
 玉ねぎ 1/4個
 はちみつ 大さじ1
 粒マスタード 大さじ1
 米油 大さじ3
 塩 小さじ1/4
 黒こしょう 少々

 【作り方】
 1 夏みかんは半分に切り種を取り除いて絞る。
 2 玉ねぎはすりおろす。
 3 材料全てを混ぜ合わせる。

 ■今坂佳美(いまさか・よしみ) 1975年生まれ、静岡県浜松市在住。料理研究家で珠算指導者。二男一女の母で、ボートレーサー故ガッツ今坂の妻。

見た目の老化にも影響!内臓のコゲ&サビつき具合がわかる「内臓年齢診断」


先生によるとちょっとした生活習慣が生む、体の「コゲ」と「サビ」が、内臓の老化をぐんと早めていくというのです!

「コゲ」とは糖化のこと。体を構成しているたんぱく質が食事でとった糖と結合し、体温で温められて、食品を加熱した際のコゲと同様の反応が起こります。そして「サビ」は酸化。紫外線などで発生する活性酸素が細胞の質や機能を低下させ、鉄や皮をむいたりんごを放置した際のサビと、同様の反応が起こります。

若さを保つためには、酸化と糖化を防ぐことが大切。まず、あなたの内臓の「コゲ」「サビ」進行度を、生活・食事・見た目から調査! 下の項目から、当てはまるものにチェックをしてみましょう!

【生活チェック】

□ストレスを感じることが多い
□恋をしたり好奇心がわいたりすることが減った
□喫煙の習慣がある
□ハードな運動をしている
□1日中ほとんど座っている
□体調を崩しやすくなった
□夜中に目を覚ますことが増えた

【食事チェック】

□甘いものや炭水化物をよく食べる
□朝食は食べないことが多い
□食後のシメにスイーツ、飲みのシメにラーメンを食べるのが好き
□野菜はあまり食べない
□つい食べ過ぎてしまう
□夕食後はすぐ寝てしまう
□お酒が弱くなってきた

【見た目チェック】

□シミやくすみが気になってきた
□肌のハリやツヤが失われてきた
□シワやほうれい線が目立つ
□まぶたがよくむくむ
□フェイスラインがたるんできた
□抜け毛が増えた
□髪にハリ・コシがなくなってきた

あなたの内臓年齢は?

上のテストで当てはまった項目の数の合計が、あなたの内臓年齢の目安。

■チェックの数が0~ 4個:10代後半5~6個:20代前半7~8個:20代後半9~10個:30代前半11~12個:30代後半13~14個:40代前半15~16個:40代後半17個以上:50代以上

いかがでしたか?
実年齢より内臓年齢が高かった人は、「内臓年齢下げテクニック」で、内臓を若返らせて。

■食べて内臓年齢下げテクニック■食事は「食物繊維」からとる

コゲ防止に食事は野菜やきのこ、海藻など食物繊維の多いものから食べ始めて。
「食物繊維が胃腸の中で水分を含んでゲル化し、消化・吸収を遅らせて、血糖値の急上昇を防ぎます。その後は肉や魚などたんぱく質が多いもの→主食など糖質が多いものの順に食べると、さらに血糖値が上がりにくくなります」(森田先生)

カフェイン飲料をとる

手軽にとれる飲みものでも、内臓を若返らせることが可能。
「お茶やコーヒーに含まれるカフェインには、コゲの進行を防ぐ働きが。また、カモミールティーにも同様の働きがあることが実証されました。食生活の中に上手にとり入れてみましょう。ただし、がぶ飲みは胃腸に負担をかけるのでNGです」

酸化を防ぐ栄養素をとる

サビ対策にはサビを防ぐ働きをもつ、抗酸化物質をとるのがおすすめ。
「抗酸化物質にはブロッコリーや玉ねぎに豊富なポリフェノール、しそやかぼちゃに豊富なカロテン、かんきつ類やカラーピーマンに豊富なビタミンC、アーモンドや魚卵に豊富なビタミンEなどがあります。サプリメントを活用してもOK」

監修/森田祐二、取材・文/室川円香

生活習慣病 数値が下がったら治療を続けるか止めるか


 生活習慣病をはじめ、高齢者がかかりやすい病気の治療にはさまざまな場面で二択が現われる。

 たとえば、降圧剤は「一度飲み始めると、一生飲み続ける必要がある」とされるが、多量の降圧剤を飲み続けると、血圧が低下しすぎてふらつきや転倒を起こしたり、心臓の収縮機能が弱まる怖れがある。

 高血圧治療が専門で新潟大学名誉教授の岡田正彦医師は、「降圧剤をすぐに止めることは難しいが、減薬なら可能です」と指摘する。

「適切な食事と運動といった生活習慣の改善などで血圧が適切にコントロールできているなら、降圧剤の量を減らせないか医師に相談してみるべきです。

 複数種類の降圧剤を飲んでいる高齢者は少なくないため、絶対量を減らすことが理想。医師とともに、“ここまで減らしても正常値の血圧を維持できる”という最終ラインを見極めることが何より重要です」

 ただし「心臓病など合併症がある場合は、急に降圧剤を止めると症状を悪化させる可能性がある」(岡田氏)ので、あくまで医師の指導のもと段階的に量を減らしていくべきだ。

 降圧剤とは違い、すぐに“止められる可能性がある薬”が「高コレステロール治療薬」だ。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が指摘する。

〈目からウロコの健康術〉 生活習慣病のリスクを高める「脂肪肝」の脅威


 師走の真っただ中。忘年会や新年会と「飲みすぎ」や「食べすぎ」に要注意のシーズンに突入する。

 飲みすぎが肝臓にダメージを与えることを知らない人はいないと思うが、その第一歩となるのが「脂肪肝」だ。放置すれば肝炎につながり、肝硬変や肝がんのリスクが高まる。肝臓を傷めやすい時期だからこそ、いかに守るかは重要である。

 肝臓は、代謝や解毒、消化を促す胆汁を作るなど、さまざまな働きをしている。酒を多量に飲むと肝臓での中性脂肪の合成が高まり、その結果、肝臓にそれが溜まって『脂肪肝』になる。

 健康な肝臓の脂肪は3~5%だが、脂肪肝になると30%以上に増え、肝臓の働きを妨げる。酒の飲みすぎはよくないが、酒を控えめにしても脂肪肝という人がいるから注意が必要だ。

「人間ドックの調査では、3割以上の人が脂肪肝による肝機能異常があると報告されています。それは、多量飲酒というよりも食べすぎの事が多い。国内では、食べすぎによる非アルコール性脂肪肝が2000万~3000万人いると推計され、その人たちは、少量のアルコールでも肝機能を悪くしやすいのです」

 こう説明するのは、東京都健康長寿医療センターの桑島恒彦顧問だ。

 前述したように、近年は飲みすぎより食べすぎによる「脂肪肝」の人が増化している。このような人が、忘年会などで飲酒をした場合、少量でも肝機能にダメージを与えるため、それを防ぐには、日頃から食生活を見直して肝機能を守ることが大切だ。

 ではどんな食事、食材がいいのか。新潟大学病院元管理栄養士で料理研究家・林康子氏はこう語る。
「言われるところの脂肪肝は、肝臓で脂肪酸の合成が高まると生じます。その合成量を減らすと報告されているのは、青魚などに含まれる不飽和脂肪酸の1つ、エイコサペンタエン酸(EPA)です。緑黄色野菜と青魚を食べると、肝臓に炎症が起こりにくく、脂肪肝予防にも役立ちます」

 そして林氏は、さらにこう説明する。
「肝臓を守るには、ご飯などの炭水化物を控えて、サバの味噌煮、ほうれん草やニンジンなどの緑黄野菜をたっぷりと食べるとよいでしょう。ただ、脂肪肝になっている人は、これらの栄養素だけでは足りません。特に食べすぎでなっている人は、足の筋力が低下している人が多く、筋肉に役立つ栄養素も取り入れて、体を動かすことが重要になります。一般的に筋肉量の減少と筋力の低下は『サルコペニア』と診断されます。30代以降、加齢に伴い筋肉量は1~2%ずつ減少するため、運動と食事で強化しないとサルコペニアに陥りやすいと言われます」

 一方、『ダイナペア』と診断される場合は、筋肉量は維持されているが、筋力が低下した状態だという。体内の脂肪は、筋肉でエネルギー代謝されるが、その機能が低下すると脂肪が溜まりやすくなる。
「骨格筋を画像検査により解析してみると、サルコペアでは、筋肉のすき間に脂肪が溜まって映し出されます。いわば霜降り肉のような状態で脂肪筋と呼ばれます。結果として、同じ運動をしてもエネルギー代謝が悪く、体内に脂肪が溜まりやすくなるのです」(専門家)
少しの運動を継続して行う

 筋肉を正常に保つためには、前出の林氏が説明しているように、ご飯などの炭水化物は半分程度に減らし、青魚や緑黄色野菜、肉類、キノコ、ヨーグルトなど、肝臓と筋肉を守る食材を十分に摂ること。

 なお、肉類などに含まれるロイシンは、筋肉に取り入れやすいため、筋肉強化に役立つ。ただし、食べすぎは厳禁だ。

 だが、そうは言っても、飲食の機会が増えるこの時期に、食事量を控えるのは難しい。そこで、体を動かすことが重要になるのだが、「運動をしなければ」と思うとストレスになり、逆効果になってしまう場合もある。それでは、どうすればいいのか。
「運動はストレスを感じると長く続きません。楽しみながら取り組み、長期間にわたって継続することで、脂肪肝はもとより健康維持のために寄与していると考えてほしい」

 こう語るのは、理学療法士・向坂義弘氏だ。
「医師から“運動をしなさい”と言われると、運動習慣のない人にとってはストレスになる。特に年末に向けて仕事などでストレスが溜まりやすい状況では、ストレスを感じる運動には取り組む気にはなれないでしょう。ですから、少しの時間で取り組める簡単な方法で行う。ハードな運動を1時間して、翌日は全くしないよりも、毎日10~20分、少しの運動を継続して行うほうが脂肪肝の解消につながります。筋肉と肝臓には、“筋肝連関”と言われる臓器間のネットワークがあり、筋肉を毎日こまめに動かすことで脂肪肝の改善、予防になるのです。また、脂肪肝が改善すると筋肉の質もよくなります。体重が減らなくても、軽い運動を続けることで筋肉の脂肪が燃焼されて筋肉の質が高まると、肝臓に溜まった脂肪も燃焼されるのです」(向坂氏)

 また、社会医学研究センターの村上剛医師はこう説明する。
「脂肪肝が進行してNASH(非アルコール性脂肪肝炎)になると、病気としての意味合いが強くなり、治療も難しくなる。脂肪肝の人は生活習慣が偏っている場合が多く、糖尿病、高血圧、高コレステロール血症などを合併していることもあります。ですから、その他の病気を予防するためにも、食習慣や運動などの生活習慣を見直していかなければなりません」

 また“食事制限”と言う考え方もあるが、村上医師は「極端に食事を抑えると体内にある脂肪は肝臓に運ばれ、体は痩せても肝臓には脂肪が溜まっている状態になります。このような背景から、ダイエットのしすぎによって逆に脂肪肝を進行させてしまうことになります。このあたりも、専門家の意見を聞く必要がある」という。

 ただ、やはり運動は必要。毎日、少しの運動を心がけていると、運動強度が少しずつ上がってくる。週に2~3回は、息が上がるような強度の高い運動を10分程度行うことも、脂肪肝の予防に役立つのだ。

 生活習慣の見直しと運動、この2つをうまく連動させて、怖い「脂肪肝」を撃退しようではないか。

汗疹(あせも)をかきむしるのを止める方法


●寝ている間にかきむしっていませんか?

近年、大人にも増えている汗疹(あせも)。ブツブツとした水泡や丘疹が密生するため見た目の悪さも気になりますが、さらに困るのが「かゆみ」です。

患部を掻いてしまうと、さらにかゆみが増すことにつながります。また肌の組織を掻き壊すことにより細菌が侵入して、二次感染を起こすこともあります。

●寝ている間にかきむしっていませんか?

近年、大人にも増えている汗疹(あせも)。ブツブツとした水泡や丘疹が密生するため見た目の悪さも気になりますが、さらに困るのが「かゆみ」です。

患部を掻いてしまうと、さらにかゆみが増すことにつながります。また肌の組織を掻き壊すことにより細菌が侵入して、二次感染を起こすこともあります。

脂性肌の原因はココにあった!「間違った洗顔」度チェック

このようにかゆくてもなるべく掻かない方がよいことを知っている方は、昼の時間は意識的に掻かないように努力されているかもしれません。

しかし就寝中にはうっかりかきむしってしまい、翌朝ヒリヒリとした痛みを感じることもあるのではないでしょうか。そこで、就寝中のためのあせも対策として有効な方法をご紹介します。

●汗疹(あせも)が出来る仕組み

そもそも汗疹(あせも)はどのようにして出来るのでしょうか。まず原因となるのは大量に汗をかくことです。

汗が排出される汗管という道が閉塞した状態になると、汗は皮膚の外に出ることができずに皮膚の内側に漏れ出して、小水疱・小丘疹を出現させます。じつは、これ自体にかゆみはありませんが、湿疹を併発した場合にかゆみを伴います。

●発汗を抑え、肌をサラサラに保つ

あせもの予防には、なるべく発汗を抑えることと、肌の通気性をよくすることが大切です。寝る前にシャワーで流す、タオルで拭くなどしてしっかり汗を取り除きましょう。

肌をサラサラの状態に保つためには、天花粉・ベビーパウダーなど、市販のパウダー類をあせもが発生しやすい部位にはたいておくことも有効です。

また、寝ている間は出てしまった汗を拭くことができないので、通気性のよいメッシュのパッドなどを敷いて、肌との接着面が蒸れないように工夫しましょう。適切にクーラーを使用し、汗が出にくい室温が維持されるように設定しておくことも有効です。

さらに、すでにあせもが出ている場合は、必要に応じて弱ステロイド軟膏を塗布するなどしてかゆみを抑制しましょう。冷たいシャワーや保冷剤、濡れタオルなどで幹部を冷やすことも、かゆみの抑制には有効です

健康診断で異常がないのに体調が優れない…原因は“汚血”?


頬にはほうれい線が深く刻まれ、髪のボリュームは減り、アゴまわりにはでっぷりと肉が乗る……ある日、鏡を見て気づく中年男の現実はあまりに悲惨だ。

SPA!は医療の現場に立つ美人女医45人を取材。30~40代の男性が若さを保つための秘訣や女性に嫌われる要因について、頭のてっぺんからつま先まで教えを請うた。

◆健康な体は健康な毛細血管から!汚血を短時間で吸い出す施術法
●武田安代先生(青山からだのクリニック・皮膚科/アンチエイジング)

ただでさえ加齢によって体のあちこちにガタがきているのに、それに加えて不潔なのは言わずもがな。

「爪や肌、髪の毛がフケだらけなど、いい大人にもかかわらず周囲の人に生理的嫌悪感を抱かせるような人は、不摂生以前の問題かと。

お腹が出ていたり薄毛だったり、見た目に難があれば特に清潔感は必須です」(内科医)というアンケートの回答が、核心を突いている。「嫌われない」のではなく、「愛される」中年ボディを目指すなら見た目の清潔感だけでなく、さらに一歩踏み込み細胞レベルで老廃物を浄化する治療に目を向けるべきだ。

「メディカルカッピングで『瀉血』すると、毛細血管に滞る老廃物や二酸化炭素を含む『汚血』を短時間で除去することができます。

飲酒や喫煙、不摂生をしている方の血はドロリと粘性が高く、それらが毛細血管の血流を妨げ、体内で不必要なゴミ捨てが正しくできていない状態。それが瀉血によって改善されると、体の末端まで酸素や栄養素が届き、細胞を活性化させるので体が若返ります」(武田安代先生)

⇒【写真】はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=620390

体内の血管の99%を占める毛細血管は、加齢により減少する。そのため中年になると血流が悪くなり、冷えやのぼせ、むくみが起きるのだ。

これがひどくなると高血圧を招き、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞のリスクが高くなるばかりか、臓器に十分な酸素、栄養が送れなくなると糖尿病や腎不全を引き起こす。また、筋肉や靭帯、軟骨への血流が滞ると肩こりや腰痛の原因に。とにかく血流の悪化は万病のもとというわけだ。

この治療では背中や足の毛細血管を、カッピングによって皮膚表面近くまで引き上げ、特殊な細い針で瀉血する。血流がよくなることはもちろんだが、自律神経のバランスを整えることで、慢性的な疲労や倦怠感、うつ気分などの改善にも効果があるそうだ。

「車はマメなオイル交換をすることで長く走り続けます。人間も同じで体内を駆け巡る血液は、まさにエンジンオイル。健康診断などで異常がないのに体調が優れない。若い頃はこんなはずじゃなかったと感じる人に特におすすめです。

血管内をスムーズに血流が流れる状態を保つことが健康や若返りの条件だと考えています。女性では不妊症が改善した方もいますね」

 目から鱗のメディカルカッピング。究極のアンチエイジングだ。

「胆石」を放置するとこんなに怖い…胆のうがん発症の恐れも


成人の10人に1人は持っているといわれているのが胆石だ。健康診断や人間ドックで指摘されたことがある人も多いだろう。“持っている”だけでは特に症状がないので甘く見てしまいがちだが、放置したばかりに後悔先に立たず……ということがある。どう対処すべきか、杏雲堂病院肝臓内科・小尾俊太郎部長に聞いた。

 胆汁の成分が固まってできる胆石には、その成分によって、コレステロール結石とビリルビン結石に分けられる。

「コレステロール結石は、胆石の全体の8割を占めています。成分は名前の通りコレステロールで、高カロリー、高脂肪の食生活が要因になります。ビリルビン結石は逆に、極端な低脂肪・低カロリーなど低栄養で胆のうが収縮せず、胆汁が停滞してできたもの。ビリルビンカルシウムが原料です。以前はビリルビン胆石が日本人に多かったのですが、食生活の欧米化で、今はコレステロール胆石が増えています」

 胆のうは脂肪の消化を助ける胆汁を濃縮してためる臓器だ。脂肪を含む食事をすると、胆のうが収縮して、胆汁と食べ物が混ざる。冒頭の通り、胆石を持っていても、胆のうにとどまっているだけでは症状はない。

「ところが、胆のうが収縮した時に胆石が動き、胆のうの出入り口がふさがれると、胆のうが腫れあがり、場合によってはのたうち回るほど激しい腹痛や背部痛に襲われます。さらに胆のうで細菌が繁殖し、胆のう炎を引き起こします」

 急性胆のう炎を起こすと、入院して絶食をし、胆のうに針を刺して膿(うみ)を取る。さらに抗生剤を投与される。これで症状はいったん治まるが、ほとんどの場合、急性胆のう炎を一度起こすと、何度も繰り返す。そして、慢性胆のう炎に至る。

 胆のうの壁が厚くなり、胆のうで最も警戒しなくてはならない胆のうがんがもしあったとしても、発見されにくくなることもある。

「胆のう炎の痛みは、胆石が胆のうの出入り口をふさいでいるのが起因ですから、ポロッと外れれば、痛みは消えます。だから、自然によくなったという人もいます。しかしこういう人も、やはり繰り返す恐れがあるので、病院での検査が必要です」
 さらに、胆のう炎を起こさず、無症状であっても胆石を持ったままでいると、胆のうがんのリスクが上がるという指摘もある。特に、40代以上の女性はリスクが高い。“痛みも何もないから大丈夫”などと思わないことだ。

 また、小さい石でも安心できない。小さい石は、胆のうから吐き出され、細い総胆管や膵管(すいかん)をふさぐことがある。特に総胆管や膵管が障害を受けると生死にかかわることがあるので注意が必要だ。

「胆のう炎の症状は、右上腹部痛、背部痛に加え、発熱、吐き気、黄疸(おうだん)などです。黄疸は尿が赤くなったことで気付くことが多いです。総胆管に石が落ちた場合や膵管が石でふさがれた場合、緊急で治療しないと手遅れになります」

 もちろん、胆石を持っている全員が胆のう炎になるわけではない。多くは無症状で、胆のう炎を起こす確率は数%だ。

「治療法としてはまず、胆石を溶かす薬を飲む方法があります。半年から数年といった長期間にわたる治療で、効果も100%ではありません。胆のう炎を繰り返す場合や胆石が胆のうに充満しているような場合、手術が検討されます」

我慢や努力は一切なし 楽してできる「生活習慣病」予防


 楽に生活習慣病対策ができれば、それに越したことはない。運動嫌いでおいしく食事をしたいという人でもできる方法を紹介しよう。

 ペダルをこぐのをモーターが補助してくれる電動アシスト自転車(以下、電アシ)は、疲れにくく体力がない人も使いやすい。普通の自転車と比べて発進や坂道、向かい風の際のふらつきが少なく、安全性の向上にもつながる。

 だから普通の自転車より電アシの方が活動量が低いかと思いきや、「実はあまり変わりません」と言うのが、自転車や電アシに詳しい「三井住友トラスト基礎研究所」の研究理事・古倉宗治氏だ。

 身体活動の強度を表す単位(運動によるエネルギー消費量が安静時の何倍か)をメッツという。

「厚生労働省の身体活動基準」によると、自転車は4・0メッツ、電アシは3メッツで、65歳以上の高齢者では、自転車こぎを1日40分(片道20分)週5回行えば健康維持に役立つ。

「電アシではそれよりやや長めがいいでしょう」(古倉氏)

 同程度のメッツである「こまめに歩く」「階段を使う」「週2回はジムに通う」などが無理なら、電アシで活動量を増やしてはどうか? 買い物や通勤に役立てれば、一石二鳥だ。

「ひざの負担が体重の3割しかかからないのもいい。ジョギングは体重の5~6倍、ウオーキングは2~3倍、負担がかかります」(古倉氏)

 なお、電アシは“アシストし過ぎる電アシ”が最近問題視されている。自転車安全基準への適合を示すBAAマーク付きのものを選ぶべき。

■物足りなさゼロの減塩法

 管理栄養士・浅野まみこ氏は、時間がなくコンビニ活用が多いタクシー運転手への糖尿病予防の食事として定食を意識したメニュー構成とともに、「温かい汁物を加える」ことを提案。満足度を上げ、食べ過ぎや間食を防ぐ。これは、サラリーマンにも適している。

「コンビニで選ぶなら、たとえば豚しゃぶサラダ、シャケのおにぎり、そして海苔の味噌汁。炭水化物は一つにします。メインの豚しゃぶサラダは加工の少ない料理を。味噌汁で満足感を得られます。温かいお茶でも結構です」(浅野氏)

「弁当の方が“定食”では?」と思う人もいるだろうが、弁当では食べたくないおかずも、もったいないからと食べることになる。自分自身で定食を作る方がベター。

 減塩を心掛けているが味気なくて続かない、という人には、この方法だ。

 慈恵医大病院栄養部の赤石定典氏(管理栄養士)が説明する。

「ゆで卵の表面に塩を振れば、舌に最初に塩が乗り、塩分が少なくてもしっかり塩味を感じる。舌が最初に塩味を感じる場所に塩分を付けるのがポイントです」(赤石氏)

 ほかの料理でも応用できる。刺し身は表面積の少ない角っこに醤油を付け、そこから舌に乗せる。焼き魚は食べる直前に塩を振ると、少量の塩でOK。焼く前に振ると魚に染みこんでしまい、食べる時、物足りない。

 赤石氏によれば、醤油↓味噌↓ソース↓ケチャップ↓マヨネーズの順で塩分量が減る(同量で比較した場合)。どの調味料を使うか迷ったら、塩分量が少ない方を選ぶのも手だ。

「また、和食が続くと塩分摂取量が増えます。昼を和食にしたら夜は洋食、というふうに変化をつけるといい」(赤石氏)

 どれか一つでもいい。早速始めよう。

カイロ「ツボ貼り」で冷え性撃退!


服を重ね着しても寒さがしのげない時、便利なのが使い捨てカイロ。最近では肩、腰、足元用など、部位別のカイロも登場していますが、冷えたところにただ貼るよりも、ツボを意識すると体を温める効果がより高まるという話があるようです。

そこで、翁鍼灸治療院の翁孟進院長にくわしい話を聞きました。

「使い捨てカイロは鍼灸師が使うお灸より温度は低いものの、その代わりに使えますよ。適切なツボに当てて1~2時間ほどゆっくり温めれば、体はポカポカになります」(翁院長)

では、どんなツボを温めるといいのでしょうか。

「全身の冷えに効果があるのが『風門(ふうもん)』です。首を曲げた時に一番でっぱる骨から、2つ下にある骨の両脇にあります。東洋医学では、風邪はこのツボから入ると考えられており、風門を温めることは風邪の予防や頭痛、肩こりにも効き目があります。

このツボに加えて、おへそから指4本分下にある『関元(かんげん)』を一緒に温めてあげると、体の内側から温まってきます」(同)

さらに、部位ごとの“冷え”に悩まされている人には、以下のツボを温めるのがおススメなのだとか。

「腰の冷えには『命門(めいもん)』と『腎兪(じんゆ)』です。命門はおへそのちょうど真裏。腎兪はその命門から指2本分外側にあります。腎兪を温めると、生命力や活力の源である『腎』の働きが高まり、免疫力も高まります」(同)

足先や足首の冷えを感じる時は、足の内側のくるぶしとアキレス腱のあいだのくぼみにある「太谿(たいけい)」や、外側のくるぶしから指5本分上にある「陽輔(ようほう)」というツボを温めるが効果的なのだそう。

「体が冷えると気の流れが悪くなり、病気になりやすくなります。

特に男性はお腹を下すことも多いですが、そんな時は、みぞおちとへそのあいだにある『中脘(ちゅうかん)』や、背中のほぼ中央の背骨から指2本分外側にある『脾兪(ひゆ)』というツボを温めるのが効果的です」(同)

なお、今回紹介したツボは、主に男性向けのもの。同じツボでも男女で効果が異なることもあるのでご注意を。

地肌に直接貼らない、就寝時には使用しないなど、カイロの基本的な使い方に注意しつつ、試してみてはいかが?

生活習慣病は「いつ食べるか」を意識して予防する


健康のために「何を食べるか」に気を付けている人は多い。たしかに、体にいい食材を意識して摂取することも大切だが、「いつ食べるか」に気を配れば、より健康的になれるという。 人間の体には、一定時間ごとに生命リズムを刻む体内時計が備わっていて、日周リズム(サーカディアンリズム)、週周リズム、月周リズム、年周リズム(季節性リズム)、90分リズム(ウルトラディアンリズム)の5つの体内時計があるといわれている。

 県立広島大名誉教授で、東北女子大教授の加藤秀夫氏(時間栄養学)は言う。

「体内リズムは、体温、血圧、睡眠、運動などの生命活動や、心身のコントロールをつかさどっていて、健康・栄養管理や、病気の予防・治療にも応用されるようになってきています。近年、食事が体内リズムの形成に影響することも分かってきました。体内時計のリズムの刻み方に合わせて適切に食事を取ることが、効果的に栄養素を取り入れることにつながり、健康づくりに役立つのです」

 動脈硬化、糖尿病、高血圧などの生活習慣病は、心筋梗塞や脳梗塞といった突然死を招く病気の原因になる。そんな生活習慣病も、「いつ食べるか」を意識すれば、予防につながるという。

■肥満

 肥満は生活習慣病の大敵だ。人間は食事をすると消化のためにエネルギーが消費され、体熱を発する。これは「食事誘発性体熱産生」と呼ばれ、熱産生が高ければそれだけ有効にカロリーを消費していることになる。

 加藤教授は、食事パターンがエネルギー代謝に与える影響について実験を行った。朝食、昼食、夕食で計1800キロカロリーを摂取。メニューは同じにして量を調整し、①「朝2(400キロカロリー)、昼3(600キロカロリー)、夕4(800キロカロリー)」②「朝3、昼3、夕3」③「朝4、昼3、夕2」の3グループに分けて、熱産生を計測したところ、最も熱産生=エネルギー代謝が高かったのは、②「朝3、昼3、夜3」のグループだった。

「朝食を多く取る方が良さそうな気がしますが、起きたばかりで、まだ消化機能が準備できていない朝に多く食べるのは効率が良くないのです。とはいえ、朝食は重要で、人間は朝食を食べることで日周リズムのずれをリセットしています。また、朝食を抜くと、熱産生量が80~100キロカロリー程度減り、逆に深夜に食べると、40~50キロカロリーの脂肪が蓄積されるといわれています。就寝前は、エネルギーの消費力を高める『オレキシン』の分泌が低下しているため、食べたものを体内でうまく利用できず、余った栄養素が脂肪組織へ貯蔵されるためです」

■血糖値

 糖代謝にも体内リズムがあり、食後血糖値は朝8時ごろから夜8時ごろにかけて正常に維持され、夜遅くなるほど血糖値が高い状態が続く。夜は糖代謝を行うインスリンの働きが悪くなるのだ。

「糖尿病患者に朝食を増やして夕食を減らす生活を続けるよう指導したところ、過去1~2カ月の平均血糖値を示すHbA1cが10%程度だった患者さんが、1年後には正常値の7%近くまで回復しました。時間はかかりますが、きちんと朝食を食べ、夕食を腹八分目まで減らすだけで、血糖値を下げることができるのです」

 肥満予防と同じく、夕食は就寝4時間前までに済ませ、どうしても遅くなるときは2時間前で量を2分の1、1時間前なら4分の1に抑えたい。

■高血圧

「血圧も、体内リズムによってコントロールされています。塩分は人間にとって重要な栄養素ですが、高血圧の患者さんは減塩する必要があります。3食のうち、いつ減塩すると塩分の排泄能力が高いのかを調べたところ、夕食後が最も高くなりました。3食すべてで塩分を制限しても続きません。朝と昼は減塩し、夕食は緩めるのが効率的です」

生活習慣病の改善に日本酒が効く!? 適量摂取はカラダにいい!


今、日本酒が人気だ。日本酒関連のイベントは盛況で、有名銘柄の中にはなかなか購入できないものもある。「日本酒が肌にいい」という話は当コラムでも以前紹介したが、左党の多くが気になるのは“日本酒を飲む”ことの健康面への影響の方だろう。実際、「日本酒は糖質が多いから……」という理由で悪者にされることもある。日本酒は健康に悪いのだろうか、それともいいのだろうか――。そこで今回は、日本酒を“飲む”面での健康効果についてまとめた。

 今は、まさに空前の「日本酒ブーム」の真っただ中にある。特に、純米酒、純米吟醸酒は人気で、製造量はそれぞれ前年比109.4~120.1%増と伸びている(平成26酒造年度のデータ、国税庁)。「新政」「十四代」などの有名銘柄に至っては、なかなか購入できないものもある。最近は、週末には各地で日本酒イベントが行われるほどの過熱ぶりだ。

筆者は長年、酒のイベントを主催・運営したりしているが、盛り上がり方は数年前の比ではない。女性の愛飲家も増え、今年の「酒―1グランプリ」に至っては、女性客が半数を超えていた。今や時代をけん引するのは女性。日本酒はこれからますます伸びていくことが予想される。

 杜氏(とうじ)や蔵人など「日本酒に携わる人は肌がキレイ」といわれてきた。日本酒を肌につけていた芸者は確かに色白で、肌のきめが細かい人が多い。日本酒には“美肌効果”があり、つけて良し、お風呂に入れて良し、と大いに効果が期待できる。
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日本酒パワーの秘密は豊富なアミノ酸

 だが、「日本酒を飲む」ことの健康面への影響はというと、少し雲行きが怪しくなる。実際、日本酒は悪者にされてしまうことが多々ある。「日本酒は糖質が多いから、糖尿病や高血圧の人は本格焼酎を飲んだほうがいい」と信じている人が多いのではないだろうか。なかには「医師から指示された」という人も……。ちまたではこんな噂がまことしやかに流れており、日々、日本酒を飲んでいる筆者としては不安になる。何より愛する日本酒が悪者にされてしまうのは胸が痛んで仕方ない。

 果たして、日本酒は健康にいいのか、悪いのか――。今回はこれを確かめるべく秋田大学名誉教授、老健・ホスピア玉川の施設長を務め、日本酒をこよなく愛する滝沢行雄先生にお話を伺った。滝沢先生は、長年日本酒と健康について研究しており、「1日2合日本酒いきいき健康法」(柏書房)などの著書も多く出している。

 滝沢先生にお会いして、まず驚いたのは、その肌の美しさ。御年83歳になる先生の肌は、ツヤツヤで、老人性色素斑がないのだ。縦に刻むような深いシワもなく、手や腕の内側も張りがあり、見惚れてしまうほど。「毎日1.5~2合の日本酒を飲む」という滝沢先生。これはやはり日本酒の美肌効果だろう。日本酒、恐るべし……。

日本酒パワーの秘密は豊富なアミノ

 では日本酒の健康効果についてはどうなのだろう? 単刀直入に聞いてみた。すると、「日本酒には栄養価に富む微量成分が多く含まれています。これらには抗酸化作用や生活習慣病の予防などが期待できます。毎日『適量を』飲むことは健康面にいい影響を及ぼします」(滝沢先生)と心強い回答をいただけた。

 「日本酒にはアミノ酸、有機酸、ビタミンなど、120種類以上の栄養成分があります。なかでもアミノ酸の含有量は他の酒類に比べダントツの1位で、このアミノ酸こそが本格焼酎やウイスキーをはじめとする蒸留酒にはない、日本酒の健康効果の鍵を握っているのです」(滝沢先生)

 「命の源」ともいわれるアミノ酸。日本酒には体で生成することができない必須アミノ酸であるリジン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシンの他、運動時のエネルギー源になるアラニン、内分泌・循環器系機能の調整や成長ホルモン分泌の刺激をするアルギニン、免疫機能の維持や消化管の保持をするグルタミン酸など、さまざまなアミノ酸がバランスよく含まれている。なかでも注目すべきはアミノ酸が2つ以上結合したペプチドの量で、醸造アルコールを添加しない純米酒に一番多く含まれている。
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「糖尿病だから日本酒はダメ」は過去のもの

 「日本酒から発見された活性ペプチドは、糖尿病患者のインスリンの感受性を改善し、高血圧や動脈硬化といった心疾患のリスクを軽減させます。『糖尿病だから日本酒は避ける』という考えはもはや過去のものです。今や糖尿病学会においても、血糖コントロールが良好、合併症がない状態であれば、1日約1合(純アルコール換算で25グラム)の日本酒の摂取を許可しています」(滝沢先生)

 滝沢先生によると、「ペプチド以外にも、日本酒に含まれるアルギニンも糖尿病への効果が期待できると考えられる」という。“国民病”ともいわれる糖尿病は、インスリン作用の不足によって血糖値が上がり、高血糖の状態が続く疾患だ。厳しい食事制限があり、特に糖質の多い日本酒は「悪」とされていたのに、「日本酒は避ける」という考えは過去のものになっていたとは! これは初耳の人も多いのではないだろうか。

 量は制限されているものの、これまで日本酒を我慢してきた糖尿病患者にとっては朗報である。また、ありがたいことに日本酒のアミノ酸は「糖尿病をはじめとする生活習慣病全般に効果が期待できる」と滝沢先生は話す。

 「グルタミン酸、システイン、グリシンから成るトリペプチド(グルタオチン)は、抗酸化作用があり、動脈硬化を起こした血管中に蓄積した悪玉コレステロールを除去し、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患を予防する効果があります。コホート研究においても既に結果が出ていますが、糖尿病しかり、適正量の飲酒であれば、生活習慣病を予防することが期待できるのです」(滝沢先生)

日本酒は、学習、記憶能力の改善にも効果

 適量さえ守れば、まさに「百薬の長」となる日本酒。さらには加齢に伴うさまざまな症状にも、その効果が期待できる。まず挙がるのは老化、老人性認知症についてまわる記憶障害である。

 「ヒトの学習機能は、バソプレッシン(バソプレシン)という大脳にあるホルモンの神経伝達によって行われます。この神経伝達物質が正常に働かなくなると記憶障害が起こってくるのです。これが老人性認知症の発症に関係しているのではないかと考えられています。日本酒から発見されたペプチド(プロリン特異性酵素)は脳に広く存在しており、バソプレッシンなどを調整し、学習、記憶能力を改善させることがわかっています」(滝沢先生)。日本酒から発見された3種のペプチドは欧米でも話題になっているという。

西日本の方が肝硬変、肝がんが多い

 滝沢先生は、肝硬変や肝がんと飲酒の関係について、興味深い研究結果を発表している。一般に、肝硬変や肝がんはお酒を多く飲む人に多いと思われているが、肝硬変や肝がんによる死亡率を地域別に表示すると、西日本で高く、東日本で低いという傾向が戦後一貫して見られるという。

 上の図は1969~1983年にわたって行った追跡調査から示された「肝硬変の性別都道府県別標準化死亡比」の分布図だ。肝がんについての分布図でも同様の傾向がみられる。よく飲まれているお酒の種類は、西日本では本格焼酎が多く、東日本は日本酒が多い。滝沢先生は、「西日本では男女とも焼酎の消費量が多く、東日本では清酒の消費量が多いという地域差が戦後一貫して見られています。他の要素も考えられますが、この違いが要因の一つになっている可能性があると考えられます」と話す。
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日本酒ががん細胞の増殖を抑制

 滝澤先生は、日本酒に含まれる微量成分の中に、がん細胞の増殖を抑制する効果があることも実験的に確かめている(「公衆衛生」58,437,1994)。実験では秋田県の純米酒(加熱処理を行っていない生酒を使用)を、ヒトの膀胱がん、前立腺がん、子宮がんの各細胞に加え、24時間培養し、がん細胞の変化を観察した。すると64倍に薄めた日本酒ではがん細胞の90%以上、128倍に薄めた日本酒では50%以上の細胞が死亡または壊死するという結果が得られた。

 「同じ実験をウイスキーやブランデーなどの蒸留酒で行ったところ、日本酒と同様の効果は見られませんでした。蒸留酒と醸造酒である日本酒との大きな違いはアミノ酸の有無です。日本酒に含まれる低分子量のアミノ酸による効果と考えられます。また、清酒中に含まれるグルコサミンに抗がん性を示すナチュラルキラー細胞の活性を高めることもわかっています」(滝沢先生)

1日当たりの適量は?

 がん、認知症、糖尿病……現代人を悩ますさまざまな病気への効果が期待できる――。日本酒を愛飲していれば健康で楽しい老後を送れそうだ。

 しかし、「ただ飲めばいいというものではありません。肝心なのは飲む『量』です。飲み過ぎてはいけません」と滝沢先生はくぎをさす。では、どのくらいがベストなのだろうか。 「健康づくりの要諦は、日本酒1日1~2合です。休肝日を設ける必要はありません。1週間の総量が1日あたり2合程度に収まればいいでしょう。なお、日本アルコール健康医学協会でも、飲酒全般の適正酒量を2合としています」(滝沢先生)

 滝沢先生自身も休肝日はなく、毎晩、純米酒を1~2合程度楽しんでいるという。また「食べながら飲み」、かつ「ほろ酔い程度で杯を置く」ことが、日本酒の健康効果を享受することができるポイントだ。古くは貝原益軒の「養生訓」にも、その効能が出ている日本酒。いずれにしても過ぎたるはなお及ばざるがごとし。飲み過ぎにはくれぐれも注意しよう。

◇  ◇  ◇  

滝沢行雄(たきざわ・いくお)
 秋田大学名誉教授。1932年長野県生まれ。1962年新潟大学大学院医学研究科卒業、医学博士。1964年同医学部助教授、1973年秋田大学医学部教授。1995年国立水俣病総合研究センター所長、同センター顧問、秋田大学名誉教授。長年日本酒と健康について研究している。

食物繊維だけはNG! 管理栄養士に聞く、便秘改善のための正しい食事法とは?


下腹部が張る、痛い、いつもよりオナラがくさい、イライラする、ニキビができる……。便秘が続くほど、さまざまな不調に悩みます。改善のために、食物繊維が豊富な野菜だけを食べるという方法も耳にしますが、「食物繊維だけでは便秘は改善できません。便秘の原因や様子に応じた食材を選ぶ必要があります」と話すのは、管理栄養士の西山和子さん。詳しいお話を聞いてみました。

■便秘の原因は、ぜん動運動不足、腸内環境の悪化、ストレス

「便秘とは、長時間、便が腸内に止まって排便が困難なことですが、具体的には、およそ3日以上便通がない、便が硬い、量が少ない、残便感があるなどの状態です」と言う西山さんは、次のように説明を続けます。

「運動不足、水分や食物繊維の不足、腹筋力の低下、極端なダイエットなどがもとで、大腸内の便を運ぶためのぜん動運動が十分に行われずに、便を押し出す力が弱まることが原因となります。

また、イライラや不安感などのストレスがたまると、胃腸の運動、呼吸、血圧、神経伝達など体の機能を調整する自律神経のバランスが崩れるため、便秘になりがちです。

このような便秘になりやすい習慣は、腸内環境の悪化にもつながります。そうなると腸内には善玉菌よりも悪玉菌が増えることになり、悪循環になります」

■食物繊維が豊富な食材だけを食べるのは間違い

「便秘改善には、食物繊維を食べればよい」とのイメージがありますが、西山さんはこうアドバイスをします。

「食物繊維は、大きく分けて、穀類や豆類などに含まれる『水に溶けにくい不溶性食物繊維』と、果物や海藻類などに豊富な『水に溶ける水溶性食物繊維』の2種類があります。どちらも、体内で消化されずに腸内細菌のエサとなり、その分解物でわずかにエネルギーを得られます。

不溶性食物繊維は、水分を含むと、ふくれて大腸で便のカサを増やします。すると腸が刺激されて、ぜんどう運動が活発になり、排便を促します。

水溶性食物繊維は、水分を含むとヌルヌルと粘りが出て腸内をゆっくりと移動しながら、たまった便を吸着して体外へ運びます。

どちらも便秘の改善に働きかけるのですが、一方で、タンパク質やビタミン、ミネラルなど体に必要な栄養素の小腸からの吸収をさまたげます。そのため、食物繊維が豊富な食材だけを食べていると、栄養不足となる可能性があります。便秘の状態や原因に応じた食事をすることが重要です」

■便秘の原因別に、食材を選ぶ

具体的にどのような食事法をすればいいのでしょうか。西山さんに挙げてもらいましょう。

(1)一過性の便秘を改善したい

食物繊維を豊富に含む、玄米、こんにゃく、バナナ、いも類、果物、野菜、きのこ、海藻類などを意識して食べるとよいでしょう。また、炭水化物であるごはんやパン、めん類といった主食を抜かずに食べましょう。炭水化物は水分を補給することにもなるため、抜くと便秘が悪化しやすくなります。

また、大腸内の便をスムーズに運ぶために、1日にオリーブオイルをスプーン小さじ1杯、あるいは油脂の多い食品のゴマを小さじ1杯程度、ナッツ類10粒などを食べましょう。

(2)慢性的に便秘が続く

水溶性食物繊維を含む食材や、腸内の善玉菌のエサとなるものをとりましょう。具体的には、リンゴやミカンなどの果物、らっきょう、メカブや納豆などのネバネバ食材などです。また、発酵食品のヨーグルトやチーズ、ぬか漬けなども、腸内環境を整えるためにおすすめします。

(3)ストレスに心あたりがある

自律神経のバランスを整えながら、お通じを改善します。ワカメやヒジキなどの海藻類、果物、いも類に含まれる水溶性の食物繊維をとって少しずつ排便を促します。

また、副交感神経を優位にしてリラックスできるよう、おなかを温める食事をしましょう。たとえば、おかゆ、味そ汁、湯豆腐、鍋料理、ホットミルクやハーブティーなどの温かいドリンクです。

さらに西山さんは、1日の食物繊維の摂取目標量について、こうアドバイスをします。

「食事摂取基準では、19グラム程度と示されていますが、きっちりとその量を計ることは難しいので、毎食小鉢2つ分の食物繊維が豊富な煮物や酢の物などのメニューと、1日に手のひらに軽く乗る量のフルーツ、たとえばバナナ1本、リンゴ1/2個、イチゴ10個などを食べるといいでしょう。

もちろん、主食、主菜、副菜が揃う栄養のバランスが整った食事と、こまめな水分補給が基本です」

■まとめ

自分の生活を見つめ直して便秘の原因を考え、それに応じた食事であるように、また、食物繊維について正しい知識を得て、炭水化物や油脂を抜かないこと、野菜や海藻類の小鉢メニューとフルーツを食べるといった食生活を実践するようにしましょう。

(岩田なつき/ユンブル)
取材協力・監修:西山和子氏。糖尿病専門・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)にて管理栄養士、糖尿病療養指導士。糖尿病、生活習慣病、メタボリックシンドロームの患者さんを対象に、パーソナルな食事指導にあたる。『専門医が考えた糖尿病に効く「腹やせ」レシピ』(福田正博洋泉社)の監修担当。また、食生活に関する記事の執筆、監修多数。

知らぬ間に悲鳴を上げている… 生活習慣病が原因の慢性腎臓病(1)


 慢性腎臓病とは、「腎臓の働きが健康な人の60%以下に低下」、「蛋白尿などの尿異常」の双方、あるいは、どちらかの状態が3カ月以上続く状態を指す。進行すれば慢性腎不全となり、人工透析も必要になる。

さらに、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる事態に陥る可能性もある病だが、その重大さに気が付かない人も多い。というのも、一般的な症状として、むくみや疲労感が挙げられるだけで、「たいした病状じゃないし問題ではない」と考えてしまいがちだからだ。

 昭和大学病院血液センター腎臓内科の担当医はこう説明する。 「慢性腎臓病は、例えばネフローゼ症候群(尿で多くの蛋白が多く出てしまうために血液中のタンパクが減少し〈低蛋白血症〉、結果むくみが起こる)などの疾患がある場合、進行していなくても、むくみなどの分かりやすい症状が出ることがある。ところが、今増えているタイプは、それが全く出ないケースがほとんどなのです」

 理由は、生活習慣が関係しているからだという。
 高血圧、糖尿病、脂質異常症、痛風、高尿酸血症といった、血管にダメージを与える生活習慣病。これらを放置すると動脈硬化が進み血液の流れが悪くなる。

 「腎臓には200万個とも言われる糸球体(毛細血管でできた微細な球状の組織)があるが、これが動脈硬化の進行によって壊れてしまう恐れがある。糸球体は血液の中にある老廃物をろ過する、

尿を作る腎臓の働きには欠かせない組織。そのため糸球体が破壊されると尿中に蛋白が漏れるようになり、腎機能が落ち、慢性腎臓病の状態になる。そうなると、自分の腎臓だけでは老廃物のろ過ができなくなるため、その機能の代替として人工透析が必要になってしまうのです」(健康ライター)

 つまり、病気の過程では分かりやすい症状が出ないということなのだ。 腎臓病に詳しい池上内科循環器内科クリニックの矢谷哲也医師は言う。 「実は、成人の10人に1人が透析を必要とする腎不全の予備軍と言えます。

こうしたCKD(腎障害が慢性的に持続している病態の総称)の怖いところは、透析に至るリスクとなる以前に、心臓や血管に負担を与え、心筋梗塞や脳卒中の発症を高める点です。心不全で入院する患者の70%以上が、中程度以上のCKDを合併していたという研究報告もあるほどです」

 このCKDは、ほぼ無症状で進行し、腎機能が正常の45~30%未満になって初めて、むくみや高血圧が現れるという。しかも、人工透析直前まで分かりにくいことがあるため、早期発見は健診で見つける以外に方法がない。

 恐ろしいのは、一度壊れた糸球体は元に戻らないため、慢性腎臓病を完治させる手段がないということだ。腎機能の低下が15%未満になると末期腎不全と診断される。人工透析となれば、週3回の通院で行う血液透析や、在宅で行う腹膜透析を一生続ける、または健康な腎臓を完全移植する腎移植しかない。

 「人工透析によって、腎臓が健康になって元通りの生活に戻れるということはない。慢性腎臓病で最も重要なことは、早い段階で腎機能の低下に気付き、生活習慣を早期に変えると同時に、薬物治療などで、それ以上機能が落ちないようにすることなのです」(同)

40男の“冷え”を解消! 蒸ししょうがで代謝UP


体の冷えは代謝を落とし、肥満の原因にもなるため、男性にとっても見逃せない症状。一般的に「冷え性は女性特有のもの」というイメージの人も多いかもしれないが、最近は冷え性の男性も増えてきているという。そこで、おすすめしたい食材がしょうが。特に、蒸して乾燥させたしょうがしょうがには体を温める効果が高く、基礎代謝が落ちてくる40男のダイエットの強い味方にもなってくれるはず。蒸し乾燥しょうがの具体的な摂り入れ方について、しょうが専門レストラン「祝茶房紅拍手」オーナーの森島土紀子さんにお話を伺った。

■■今回のアドバイザー
生姜料理専門店オーナー 
森島土紀子さん

1953年生まれ。1992年、アパレルショップ「仕事着屋しょうが」をオープン。1994年に店舗の半分を改装し、「生姜料理しょうが」を始める。しょうがを使ったメニューが評判となり、現在「生姜料理しょうが」「生姜軟骨料理がらがら」「祝茶房紅拍手」(すべてしょうが料理専門店)の3店舗を経営。2011年に高知県で初のしょうが料理専門店「林のヤモリ」をプロデュース。元祖“ジンジャーラ”としてテレビや雑誌などで幅広く活躍。

■しょうがの辛味成分が代謝をUPさせ”冷え”を解消

森島さん「生のしょうがには辛味成分である『ジンゲロール』が含まれており、殺菌作用があることで知られています。ジンゲロールは熱が加わると体を温める効果のある『ショウガオール』という成分に変化。この成分を摂り入れることで、体が深部から温まり代謝を促すことができます。

また、ショウガオールには血行促進や抗酸化作用も認められているため、アンチエイジングや健康面に気を使う40代の男性にこそ積極的に摂り入れてほしい食材といえるでしょう」

■蒸し乾燥しょうがはオイルに漬けて保存すると使い勝手も◎

森島さん「ただし、生のしょうがだとかえって内蔵を冷やしてしまうので、体を温めるなら熱を加えたしょうががおすすめです。特に、しょうがは蒸した後で乾燥させると『ショウガオール』が格段に増えるため、効果も高まります。『蒸し乾燥しょうが』の主な作り方は、皮のままスライスしたしょうがを蒸し器で15分ほど蒸し、天日で1日乾燥させるだけ。それを、いつもの料理や飲み物に加えれば効率的にショウガオールを摂ることができるでしょう。

また、蒸し乾燥しょうがはオリーブオイルか胡麻オイルに漬けておけば長持ちし、使い勝手も良くなります。このオイル漬けをパスタやドレッシング、炒めものなどに加えれば手軽にしょうがを摂り入れられますし、料理も美味しくなること請け合いです」

■湯船にしょうがを入れると凝りにも効く!

森島さん「肩や腰が凝っている人は実は体の冷えが原因かもしれません。そのような方にはしょうがを入れたお風呂もおすすめ。体の外から凝った箇所をじんわり温めてくれます」

■最後にアドバイザーからひと言

「蒸し乾燥しょうがを保存するときは、カビが生えないように清潔な瓶を使いましょう」

尿路結石とは…?初期症状と日常生活の注意点


◆尿路結石症とは……腎臓結石、尿管結石、尿道結石など

尿路結石症とは、『尿路結石症診療ガイドライン第2版2013年版』によると、「尿路結石全体の96%が上部尿路といって腎臓、尿管の結石です。男性2.4:女性1と男性に多い病気です。肥満や高尿酸血症、メタボリック症候群のある方、ご家族に尿路結石のある方がやはりできやすい」と解説されています。

◆尿路結石症の症状……脇腹や背中の強い痛みなど

腎臓結石、尿管結石などを含む「上部尿路結石」の症状は、結石のある左右どちらかの脇腹や背中、下腹部の痛みや冷や汗、血尿です。典型的なのは、「疝痛発作(せんつうほっさ)」という発作的な激痛で、夜間に痛みが出てどんどんひどくなり、耐えられずに救急外来にかけこんだり、大変な病気かもしれないと救急車を呼んで救急外来に運ばれるケースも少なくありません。ひどい痛みが出る前に、前兆のような軽い痛みを感じられる方もいます。

目に見える血尿は、ある方もない方もいます。結石があっても痛みも血尿もないという方ももちろんおられます。 頻度は少ないのですが、膀胱結石や尿道結石などの「下部尿路結石」の症状は、流れている尿が途中で詰まったり、血尿が出たりすることがあります。

◆尿路結石症の検査法・診断法

尿路結石症の検査法は、簡単な順に、ゼリーを塗って器械を当てて腎臓や尿管を見る「超音波検査」、レントゲンを使って身体の輪切り、縦切りを見る「CT検査」です。 超音波検査は簡便なのですが、腎臓と上の方の尿管もしくは膀胱の周辺しか見えないという欠点があります。結石がつまって腎臓と尿管がふくれる「水腎症」という状態は超音波検査でわかります。

CT検査は結石の有無や周囲の様子がよく見えるのですが、医療被曝の心配もわずかながらあるため、基本的に妊婦さんは避けた方がよいですし、やみくもに連続して撮るのは考えものです。KUBと呼ばれる普通の腹部レントゲンを撮ることもあります。

結石の場所や腎臓、尿管の様子を調べるのと別に、尿検査や血液検査もすることが多いです。血尿の有無や元々の腎機能、結石ができやすくなる他の病気がないかどうかを調べます。

◆尿管結石の治療法

結石があり、位置がわかったら、あとはどんな治療をするかになります。

まずは痛みの治療です。ガイドラインでは「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が第一選択である」とされています。もちろん、NSAIDsのアレルギーやひどい腎機能の低下がないことが使用の前提になります。治療において大切なポイントを以下にまとめます。

■排石するまでしっかり通院を
自然に出る結石の場合は2~4週間おきに外来に通院して、結石の位置の変化を見ます。しっかり結石が体外に出ることを「排石」と言いますが、これを確認するのが大事です。体外に出た結石は可能なら拾って病院へ持っていきましょう。結石の種類によっては予防できる結石があります。

■結石を溶かすことは可能か
よく、結石を溶かす薬はないでしょうかと聞かれます。厳密には結石が「尿酸結石」であると初めから分かっている場合には、溶解療法を行うことがあります。しかし、ほとんどの患者さんは〇〇カルシウム結石といった、カルシウム系の結石を作ります。残念ながら、カルシウム系の結石を溶かす薬はないのが現状です。

過去に尿酸結石にかかったことがあり、腹部のレントゲン検査に映らない結石の方の場合は、溶解療法を検討してもよいかもしれません。(腹部のレントゲン検査でうつらなくても、CT検査では結石はうつります)主治医の先生と相談してください。通常は排石の促進作用のあるとされる薬剤を痛み止めと一緒に処方されることが多いです。

◆尿管結石がある場合の自宅での生活の注意点

尿が少なく、濃くなるような「脱水」の状態になることを避け、水やお茶など甘くない水分を1日1.5~2L程度を目安に少しずつとるようにしましょう。じっとしていることを避け、なるべくよく動くことも大切です。

痛みが出てきた場合は、痛みがひどくなる前に処方された痛み止めを使ってください。まだ我慢できるかなという程度で早めに痛み止めをつかうのがコツです。38度以上の高熱がでるときは、感染など別の病気が起きている可能性が高いので、かかりつけの医療機関にご連絡ください。飲酒は、アルコールが分解されるときに体の中の水分が使われるので、控えめにし、水やお茶など水分もしっかりとりましょう。

◆尿管結石が自然排出されない場合

ガイドラインでは「尿管結石の場合、10mmを超えた結石で、1ヶ月以上結石が自然に出ない場合は治療をすすめる」とされています。ただし、妊婦さんや極端に太った方、抗凝固薬剤を飲んでいる方を含め出血傾向を持っている方、お子さんなど、例外の方がいます。 「腎結石では10mm未満、10mm以上~20mm未満、20mm以上で治療法が分かれ」ます。また、サンゴ状結石といって、サンゴや鹿のツノのようにごつごつした大きな結石の場合は後述のPNLという治療が推奨されています。
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◆尿管結石の手術治療法……各方法・リスク・費用

結石の位置や大きさによって治療法は分かれます。また、患者さんの年齢、体の状態はもちろんですが、その病院の持っている器械の種類により、できる治療の選択肢も変わります。それぞれの治療により結石の無くなる率、治療期間、合併症のリスク、費用などが異なります。よく説明をきいて、納得してから治療を受けられることをおすすめします。

■体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
専用の手術台に寝て、痛み止めを使って、レントゲンや超音波検査で結石の位置を確認しながら、衝撃波を結石にあてて細かく割って、尿と一緒に結石が出るのを待つ治療法です。大きな結石の場合は複数回繰り返すこともあります。レントゲンで見えない結石では上手に割れないこともあります。また、皮膚からの距離が遠くなると結石の排出率が下がります。日帰り、もしくは入院で行います。

■経尿道的結石破砕術(TUL)
全身麻酔もしくは腰椎麻酔で尿道を通して内視鏡を結石の近くまでもっていき、レーザーもしくはリソクラストと呼ばれる破砕器具で結石を直接砕きます。砕いた結石を体外もしくは膀胱まで、バスケット鉗子という結石をつまむ器械で移動させることもあります。麻酔をかけるので2泊3日以上の入院が通常必要です。

■経皮的結石破砕術(PNL)
全身麻酔で行います。腎臓もしくは上部尿管にある比較的大きな結石が対象になります。「腎ろう造設」という腎臓に穴をあける処置を行ってから、その穴を通して内視鏡をいれ、レーザーもしくはリソクラストと呼ばれる破砕器具で結石を直接砕きます。砕いた結石を体外に、結石をつまむ器械である鉗子類で取り出すことができます。麻酔をかけるので2泊3日以上の入院が必要になります。腎ろう造設に伴う出血や他の臓器損傷のリスクがあります。

■開放手術(実際に体を切開して結石を取り出す手術)
以前は切石術といって多く行われてきましたが、前述の内視鏡を使った手術が多くなり、現在では数は減っています。腹腔鏡を使った手術を行う場合もあるようです。

■結石と似た病気・間違う可能性のある他の病気
尿路結石と同じような、腰の痛みを起こす他の病気もあります。例えば解離性大動脈瘤、急性腰痛症、膵炎・胆石症・胃潰瘍などの消化管疾患などです。CT検査で尿管内の結石や水腎症が確認できれば、痛みの原因が他の病気の可能性は低くなります。

◆結石治療後の注意点・再発防止・予防法

結石が体外に自然排出されたり、治療を受けて結石がない状態になったりした場合も、安心はできません。結石の発作を起こした方の半数が、5年で再発すると言われています。再発をなるべく起こさないためにどうしたらよいでしょうか。

ヨーロッパの泌尿器科学会のガイドラインがよくまとまっています。このガイドラインでは結石の症状で医療機関を受診後、結石分析ができた人、できなかった人で分け、その後に採血検査や画像検査などで再発リスクの高い、中等度、低いに分類します。そしてリスクの高低に応じてその後の診療の方針を決めます。日本では保険診療で認められていない検査項目もあるので、そのまま日本で行うことはできませんが、一般的な予防の方法は参考にしてもよいでしょう。

それによると、よく水分を取ること(日本のガイドラインでは尿量で1日2リットルを目安にとされています)、食事は野菜や線維をしっかりとること、塩分や動物性たんぱく質をとりすぎないこと、肥満がある場合はBMI(ボディマス指数:身長と体重の関係から算出される、ヒトの肥満度を表す体格指数)を適正な範囲に近づけること、日常的に身体を動かすことなどが推奨されています。

私が外来で尿路結石症の患者さんとお話ししていると、お仕事や生活スタイルの都合で、これらの予防法とは程遠い生活をしている方が多くいらっしゃいます。生活を急に大きく変えるのは難しくても、できる範囲で少しずつご自分の生活を見直されてはいかがでしょうか。
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小内 友紀子(泌尿器科医)

ヨーグルトはNG!? 「腸の毒だし」を妨げる食べ物


腸内環境を整えるのに、食物繊維や発酵食品がいいと聞きますが、取りすぎることでかえって便秘を引き起こしてしまうこともあるというのが、マハシリ南青山プライムクリニック院長の蓮村誠先生。

消化しにくい繊維質は、コロコロ便には逆効果!?

著書『腸の毒出し』によると、アーユルヴェーダでは消化力(アグニ)を弱らせてしまう食習慣が、便秘を引き起こすことがあるといいます。たとえば「水をたくさん飲むといい」という考えに対して、「腸が冷えて消化の火は弱くなる」と蓮村先生。また、繊維質をたくさんとるのもNG。あらゆる便秘を解消するとは限りません。むしろ一般的な便秘は悪化させてしまいます。

繊維質は多量の水分を吸収する性質があるため、大腸でヴァータが乱れ、何日も出ない、便がコロコロと硬いといった、いわゆる便秘症状には逆効果。すでに腸内が乾燥しているため、便秘はさらにひどくなってしまいます。

(「腸の毒出し」P.100より引用 )

とくに玄米は消化しにくく、きのこ類にいたってはアーユルヴェーダでは神経系を乱す食品と考えられ、基本的には食べないのだとか。

ヨーグルトは毒素になりやすい!?

さらに、乳酸菌が腸に良いイメージのあるヨーグルトもおすすめできないといいます。乳酸菌は、たしかに消化を助けてくれるもの。しかし、ヨーグルトは非常に消化しにくい食品なのです。(中略)日本人の腸には負担が大きく、未消化物=毒素となってしまいます。せっかくのヨーグルトの特徴を生かしきれないばかりでなく、消化力を乱し、腸を弱めてしまうのです。

(「腸の毒出し」P.97)

同様に、納豆などのネバネバした食材も消化に良くないのでおすすめできないそう。ほかにも酵素ドリンクなど冷たい性質のものも、消化力を弱めてしまう原因に。

乳酸菌を摂りたいときはラッシーで

とはいえ、冷蔵庫にあるヨーグルトを無駄にすることはありません。取り方次第では腸にいいものに変わります。それが、ヨーグルトを水で割って作る飲み物、ラッシーです。ミキサーにヨーグルト1に対して水を3〜4の割合で入れて撹拌するだけ。クミン、ジンジャーなどのスパイスを追加するとさらに効果的です。もちろん、水は常温で! 食欲がないときでもすっきりと飲みやすいので、レシピを覚えておくと良さそうです。

生活習慣病予防の本命!抗酸化作用が期待できる「カロテノイド」を摂取する4つのコツ


最近、よくテレビや雑誌などで目や耳にする栄養成分がある。例えば、トマトに含まれる「リコピン」や、にんじんなどの緑黄色野菜に含まれる「βカロテン」などだ。これらは、主に抗酸化作用が期待できる「カロテノイド」と呼ばれる栄養成分。しかし、他にも種類があるため、その名称や効果などは混乱しがちだ。そこで、カロテノイドと呼ばれる成分それぞれの効果と含まれる主な食材について、管理栄養士の監修の下にまとめた。普段の食生活に活用してみよう。

■カロテノイドとは何か?

厚生労働省の定義によれば、カロテノイドは「動植物に広く存在する黄色または赤色の色素。大きくカロテン類とキサントフィル類に分けられ、強い抗酸化作用を持つ」とある。「活性酸素の発生を抑え、取り除く作用」を持っているのだ。そのため、いわゆる生活習慣病の中でも、過酸化脂質が引き起こす「動脈硬化」、「がん」、老化などの予防効果が期待できるという。将来、健康的に長生きをするためには、カギとなる成分といえそうだ。そこで、管理栄養士のMayuさんに、カロテノイドの効果とその主に含まれる食材を伺った。

■カロテノイドを賢く摂取するコツは?

前ページの表で、それぞれのカロテノイドがどのような働きがあり、どのような食材に多いのかが分かった。では、これを普段の食生活に上手く活かすにはどうすればいいのだろうか。管理栄養士のMayuさんに、カロテノイドを賢く摂取するコツを4つ教えてもらった。

●質の良い油と組み合わせて吸収率アップ

「カロリーカットのために、サラダにはノンオイルドレッシングを使用する方は多いでしょう。でも、カロテノイドを摂取するなら、ぜひエクストラバージンオリーブオイルや亜麻仁油、えごま油などの『質の良い油』と組み合わせてみてください。よりカロテノイドの吸収率がアップします」

●カロテノイドを含む食材の保存は「暗所」で

「カロテノイド色素は、普通に加熱することや、酸には強いですが、長時間加熱したり、光や空気にさらしたりしてしまうと、酸化して食材の色も退色してしまいます。退色するということは、カロテノイドの量が減ってしまうということです。例えば、にんじんを切るとまな板に色が移りますよね。そんなまな板を、天気のいい日に外に出し、日光に当てると、オレンジ色がなくなります。その理由は、『光に当てると退色する』という性質があるからなのです。

よって、カロテノイドを含む食材は、冷蔵庫など、直接光が当たらないところで保存すると、鮮やかな色を保つことができ、カロテノイドも失われにくくなります。例えば、鮭の切り身であれば、キッチンペーパーとラップでくるんでチルド室に保存すると、保存性がアップしますよ」

●「湯通し」で鮮やかに!カロテノイドをキープ

「カロテノイドを含む食材は、光だけでなく、長時間の空気にさらすことでも酸化し、退色してしまいます。そこでおすすめなのは、食材を買ってきたら早めに「湯通し」をすること。酸化を進めてしまう『酵素』の働きが失われ、鮮やかな色を保つことができます。つまり、カロテノイドがキープできるということですね」

●色の濃いものを選ぶ

「色が濃ければ濃いほど、カロテノイド色素がより多く含まれています。スーパーなどで選ぶときは、できるだけ色の濃いものにしましょう」カロテノイドを含む食材は、比較的身近なものが多い。その保存方法や選び方などに配慮して、その色素を意識して摂取してみよう。

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