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生命保険、結局最も安い商品は?難しい保険商品選び、比較・検討時のコツとは?


「インターネット生命保険は保険料が安い」このように語られる機会は多い。

 それでは、「ネット生保の中で、どこの保険料が安いのか」について、ご存じだろうか。筆者は過去に何度か、ネット生保の保険料比較記事を書いているので、過去に調べた保険料を引き出しながら、現時点での保険料比較をしてみたい。

 今回ご紹介するのは、楽天生命保険、オリックス生命保険、アクサダイレクト生命保険、ライフネット生命保険の4社。比較するのはいずれも、定期保険に当たる商品である。オリックス生命をネット生保に含めることには異論があるかもしれないが、ネット生保と肩を並べるくらい通販型保険の保険料が安いので、ここでは含めて紹介している。

 保険料を比較する条件は、40歳男性で、死亡保険金額は2000万円、保険期間は10年のケースである。まずは、楽天生命が「楽天生命ラブ」を発売した2013年5月時点における月額保険料を見てみよう。

「楽天生命ラブ」は、それまで最安だったオリックス生命の「Bridge」を抜いて、いきなり第1位となった。

1位 楽天生命「楽天生命ラブ」…4580円
2位 オリックス生命「Bridge」…4601円
3位 アクサダイレクト生命「カチッと定期」…4740円
4位 ライフネット生命「かぞくへの保険」…4910円
(13年5月時点)

 その後、14年3月にアクサダイレクト生命が「カチッと定期」をリニューアルして、「カチッと定期2」を発売。新商品の登場により、「カチッと定期2」が第1位に躍り出る。

1位 アクサダイレクト生命「カチッと定期2」…4510円
2位 楽天生命「楽天生命ラブ」…4580円
3位 オリックス生命「Bridge」…4601円
4位 ライフネット生命「かぞくへの保険」…4910円
(14年3月時点)

 さらに、14年5月にライフネット生命が保険料の改定を行ったことで、最安ランキングは再び変動。5月以降現時点に至るまで「かぞくへの保険」が最安になっている。

1位 ライフネット生命「かぞくへの保険」…4498円
2位 アクサダイレクト生命「カチッと定期2」…4510円
3位 楽天生命「楽天生命ラブ」…4580円
4位 オリックス生命「Bridge」…4601円
(14年8月現在)

●掛け捨て保険は比較検討するべき

 ここまで見てきたように、13年5月から14年5月までのわずか1年間で、最安保険料ランキングは3回も変動している。そして、今後も変動は起こることが予想される。

 ネット生保の保険料引き下げ競争は、消費者にとっては好材料といえるだろう。そんな中で気になるのは、ネット生保以外の保険会社の保険料である。大手生保などは、定期保険を単体で販売していないのが一般的だし、同じ条件で保険料比較ができない商品も多い。そこで、商品としては販売していないが、定期保険部分の保険料だけを参考価格として教えてもらったところ、2倍くらいの差が出ている商品もあった。

 保険商品は「同じ条件で比較できる商品」が少ないため、消費者は「保険料単価」を比較して、保険を選べる機会は多くない。とはいえ、掛け捨ての保険こそ、掛け捨てる部分の保険料は安いほどよいはずだ。

 保険商品や保障プランを選ぶときは、ひとつの商品で保障内容を検討するだけでなく、他社のできるだけ似た条件の商品を探し出し、保険料を比較してみる習慣をつけることも大切だろう。

急増中の有料老人ホーム「住宅型」とは? FC2 Analyzer



FC2 Analyzer高齢者の住み替え先の一つである有料老人ホームのうち、ここ10年ほどで急増しているのが「住宅型」だ。

 全サービスが施設内で提供される「介護付き」と異なり、自宅にいるのと同様、介護は外部のサービスを自分で選んで利用する。系列の事業所を使うことが多いが、地域のデイサービスや、訪問リハビリなどを使えることもある。

介護サービスを利用した分だけ料金を払うため、介護の必要性が高くなると、費用は高額になりがちだ。

 もともと「宅老所」だったところが「住宅型」として届け出たケースも多く、居室数が9戸未満など、小規模な施設が多い。食事はほとんどの施設で提供され、掃除やゴミ出し、健康管理、通院付き添いなどの生活支援サービスも7~8割のところで提供されている。

 費用は、介護付きよりも安め。一時金ではなく、毎月支払う形式が多い。

 介護付きの場合は、入居者数に対する介護・看護職の配置基準があるが、住宅型にはないため、サービスの内容や質はまちまちだ。注意して選びたい。

介護費用の「平均額580万円」は目安にしかならない 「いくら必要か」ではなく「いくらまでならかけられるか」を重視すべき


値上げラッシュに先の見えない年金制度、ささやかれる増税計画と、あらゆる角度からあおられ続ける老後のお金の不安──。そんな老後資金のうち、残しておくべき「必要最低限のお金」として重視すべきなのが「介護費用」だ。

【表】老後の必要経費はいくら? リフォームや介護、葬儀でかかるお金の概算

 一般的に、介護費用は一人あたり平均総額580万円かかるといわれているが、介護費用の平均額は人によって大きく異なる。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんは言う。

「生命保険文化センターのデータでは、月々の介護費用が8万3000円で、住宅改修や介護ベッドなどの一時的費用が74万円。これを介護期間の平均である5年間続けると合計580万円になるという計算です。

しかし、介護費用は“どこで介護されるか”で大きく異なる。介護期間は同じ5~6年程度でも、在宅介護の平均費用が358万円なのに対し、施設介護は平均853万円です。さらに、特養などの公的な介護施設なら平均773万円ですが、民間の介護つき有料老人ホームなら1000万円以上にもなります」

 あらゆるものが値上がりしているいま、介護施設も例外ではない。昨年に比べ管理費は7570円、食費は4810円アップしており、平均額はあくまでも目安にしかならない。

「在宅介護のつもりでいても、後からやっぱり施設に入りたいと感じたり、公的介護施設に入ろうと算段していても空きが出ず叶わないこともあります。介護に関してはいくら必要なのかではなくいくらまでならかけられるのかを重視して、元気なうちから情報収集をしておいてください。

 一般的に男性は70~75才、女性は75~80才から要介護状態が増えてきます。まだまだ元気だと思っていても、介護は突然やってくるものです」(黒田さん)

リフォームにお金をかけて施設入居費用がなくなる本末転倒

 施設の情報収集や入居前のシミュレーションが欠かせない一方で、在宅介護に備えた自宅のリフォームに大金をかけるのは賢明ではない。プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんが解説する。

「いくらリフォームにお金をかけても、健康状態が悪化して自宅が“終の棲家”ではなくなる可能性は充分に考えられます。リフォームにお金をかけすぎて、施設の入居費用がなくなっては本末転倒です」

 自宅のリフォームは、介護保険が適用される「最低限」の範囲内で充分。例えば、廊下や玄関、トイレ、浴室の手すりの取りつけなら、1本5000~1万円で済む(工事費用は別途)。

「段差解消のためのスロープの設置は5万~7万円、開き戸を引き戸にする工事は7万~10万円もかかります。介護ベッドなどもわざわざ購入する必要はありません。介護保険でレンタルできる上、レンタルの方が最新式を使うことができます」(黒田さん)

老後資金で「早めにお墓を買う」落とし穴

 介護やリフォームにかかるお金は早めに検討した上で老後資金から確保しておくべき一方で、お墓にかかるお金については、老後資金から捻出してはいけない。相続・終活コンサルタントで行政書士の明石久美さんはこう語る。

「早いうちにお墓を買っても、毎年管理料がかかるケースもあり、お墓そのものも経年劣化していきます。

 また“見晴らしのいいところで眠りたい”と高台や海のそばにお墓を買う人もいますが、供養するのは残された家族です。お墓参りに行きづらい場所に買っても、誰も来てくれなくて持て余してしまう場合も少なくありません。お墓は自分たちが亡くなってから、家族に買ってもらうのがいちばんです」

※女性セブン2023年11月30日・12月7日号

定年後に月謝2万円の「フラダンス」を始める予定です。年金は月額11万円なのですが、生活できますか?


月額11万円の年金だけで生活するのは厳しい

まず老後に、単身者が月額11万円の年金収入だけで、生活していくことはできるのかを考えていきましょう。

総務省統計局の「家計調査年報(令和4年)」によれば、65歳以上の単身無職世帯での1ヶ月当たりの平均収入は13万4915円です。対して、支出(消費支出と非消費支出の合計)は15万5495円となっており、毎月2万円程度の不足が生じています。月額11万円の年金収入だけの場合、不足分は4万5000円程度になります。

また消費支出だけに限れば、1ヶ月の平均は14万3139円となり、そのうち趣味にかけるお金に該当する「教養娯楽」が占める割合は全体の10.1%で、金額にすると1万4000円程度です。

そもそも、月額11万円の年金収入のみでは生活が厳しくなることが予想されるため、趣味の習い事に毎月2万円を使うことは、現実的ではないといえます。

ただし、配偶者や子どもが生計を維持しているケースなど、生活費について今すぐ心配をする必要がない場合は、2万円程度であれば、趣味に回しても大きな問題とはならないでしょう。

フラダンス教室の月謝で2万円は高い?

老後に習い事を始めること自体は悪くはありません。特に単身者の場合は、定年後は人と会う機会や外出の頻度が少なくなることもあり、社会とのつながりを保つだけでなく、体力を維持するための適度な運動としても、老後に始めるには、フラダンスはちょうどいい趣味といえます

とはいえ、月額11万円の年金からねん出することを考えると、やはり2万円の月謝は高いといわざるを得ないでしょう。フラダンス教室であれば、5000円から1万円以内の月謝で通える教室も、探せば見つかるはずです。

友人と一緒に通いたいとか、特定の先生に教わりたい、近場にほかに教室がないといった事情があれば別ですが、特にこだわりがなければ、なるべく月謝の安いところを探したほうが、少ない負担で長く通い続けることができます。

老後の生活を維持しながら2万円の月謝を払っていくには?

老後の趣味にかける支出として、毎月2万円がどうしても必要という場合は、老後資金について確認してみてください。年金収入だけでは生活が厳しくても、不足分を十分にカバーできるだけの老後資金があれば、問題はないからです。

不足する生活費をカバーして、さらに趣味などに使う分を上乗せするために、例えば毎月10万円を貯金から切り崩すという場合、必要な老後資金は年間で120万円となり、老後の生活を65歳から90歳までの25年間と仮定すると、総額では3000万円になります。

上記は一例ですが、もし老後資金が十分ではないという場合は、生活費の不足と趣味の支出をまかなうために、老後も就労を続けるほうが現実的です。

統計による平均的な支出を基にすると、月額11万円の年金収入だけでの生活では「教養娯楽」の支出を含めて毎月5万円近くが不足することになります。また、趣味の月謝が2万円であり、支出の割合としては多めになることを考えると、年金以外に毎月6万円程度の収入を、就労で得る必要があります。

まとめ

定年後、月額11万円の年金のみで生活する予定の場合、趣味の習い事の月謝で2万円は、大き過ぎる支出といえます。

統計上の平均的な支出を参考にする限り、不足分をまかなえるだけの老後資金が用意できていないときは、老後も就労して、まずは生活を安定させて、そのうえで余裕のある範囲で、趣味にお金をかけるべきでしょう。

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年) 家計の概要 図2 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2022年- (18ページ)

執筆者:柘植輝

「老後貧乏」にならないために、50代で「1000万円」貯めていれば足りますか?みんなどれくらい貯蓄してるの?


50代の平均貯蓄額はいくら?

金融広報中央委員会が公表している調査結果の資料を基に、50代の平均貯蓄額を確認していきましょう。

まず、単身世帯の場合は表1の結果になっています。

表1

一方で、2人以上世帯の場合は表2のような結果となりました。

表2

(表1・表2ともに金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」を基に筆者作成)

単身世帯に比べて2人以上世帯の貯蓄額が多いのは、夫婦共働きの家庭だと貯蓄に回せる額が大きくなることが大きな理由として考えられます。

老後に必要な資金はどのくらい?

老後の生活に必要な資金はどのくらいなのかを確認し、今ある貯蓄で、老後資金として足りるのかを考えてみましょう。

今回は、総務省統計局が実施した家計調査(令和4年)を参考に、多くの方が定年を迎える65歳以上を例に挙げてご紹介します。資料によると、1ヶ月あたりの実収入は年金を含めて24万6237円です。

これに対して、1ヶ月の支出は食費や住居費・水道光熱費など生活に必要な消費支出と、税金・社会保険料などの非消費支出をあわせて26万8508円となっています。

実収入から支出を引くと1ヶ月に2万2271円が不足することになり、年間で26万7252円もの費用が足りなくなってしまいます。

例えば65歳で定年を迎えたのち、100歳まで35年間、生きると仮定すると、最低でも935万3820円が必要ということになります。

1000万円貯めておけば「老後貧乏」にはならずに済む?

上記の計算通りであれば、50代で1000万円の貯蓄があれば老後の備えとしては充分でしょう。

しかし、受けとれる年金の金額や、老後の生活に必要な資金には個人差があることはもちろん、急な病気やけがにより、出費がかさむリスクも考えると、必ずしも1000万円が安心できる金額とは限りません。

いずれにしろ、早いうちからしっかりそなえておくことで老後への不安を解消できるでしょう。

老後貧乏にならないための対策を考えておこう

年金や貯蓄だけでは足りず、老後の生活が苦しくなることを「老後貧乏」といいます。50代は子育てもひと段落して、老後のことを考え始める時期でもあるため、この機会に同世代の方々の平均貯蓄額や、老後に必要な資金について確認してみるのがおすすめです。

「老後貧乏」にならないためには、今後どのような対策が必要になるのかを考えてみるとよいでしょう。

出典

[金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査」 [単身世帯調査]

](https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/tanshin/2022/22bunruit001.html)

[金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」[二人以上世帯調査]

](https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2022/22bunruif001.html)

[総務省統計局 家計調査年報(家計収支編) 2022年(令和4年)結果の概要 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支

](https://www.stat.go.jp/data/kakei/2022np/pdf/summary.pdf)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

急増中の有料老人ホーム「住宅型」とは?


高齢者の住み替え先の一つである有料老人ホームのうち、ここ10年ほどで急増しているのが「住宅型」だ。

 全サービスが施設内で提供される「介護付き」と異なり、自宅にいるのと同様、介護は外部のサービスを自分で選んで利用する。系列の事業所を使うことが多いが、地域のデイサービスや、訪問リハビリなどを使えることもある。

介護サービスを利用した分だけ料金を払うため、介護の必要性が高くなると、費用は高額になりがちだ。

 もともと「宅老所」だったところが「住宅型」として届け出たケースも多く、居室数が9戸未満など、小規模な施設が多い。食事はほとんどの施設で提供され、掃除やゴミ出し、健康管理、通院付き添いなどの生活支援サービスも7~8割のところで提供されている。

 費用は、介護付きよりも安め。一時金ではなく、毎月支払う形式が多い。

 介護付きの場合は、入居者数に対する介護・看護職の配置基準があるが、住宅型にはないため、サービスの内容や質はまちまちだ。注意して選びたい。

介護術ユマニチュードに注目


誰でもできる「ユマニチュード」 認知症の人に劇的変化

 ユマニチュードというフランス発の介護術が注目されている。認知症の人が劇的に変わるのだ。

 会場に女性の叫び声が響いた。

「なにをするの!?」

 今年5月、東京都内で開かれた第15回日本認知症ケア学会。スクリーンに映しだされた映像では、看護師2人が認知症の高齢女性の体をシャワーで洗おうとしていた。女性は水が冷たいと必死に訴え、助けを求めて声の限りに叫ぶ。お湯は温かい。もちろん乱暴にもしていない。

 ところが、フランス生まれのケアメソッド「ユマニチュード」を学んだ看護師が入浴介助をすると、女性は別人のように穏やかにシャワーチェアーに座り、お湯を浴びている。そして、「さっきはね、怖かったの」と看護師に心情を語った。

 認知症があって、攻撃的になっていた人が穏やかさを取り戻す。寝たきりで、話しかけてもほとんど反応しなかった人が問いかけに答え、笑顔も生まれる。

 ユマニチュードが奇跡のような変化を生むのは、根底に「人とは何か」「ケアする人とは何か」という哲学があるからだ。

 ユマニチュードの基本の柱は「見る」「触れる」「話す」「立つことを援助する」の四つ。

「見る」は、同じ目の高さで正面から、顔を近づけて長く(0.4秒以上)、見つめる。視野が狭まっていることもある認知症の人が、見つめられていることが分かるように。

「触れる」ときは、広い面積で触れる。手首をつかむなど狭い面積だと、痛みや驚きを与えてしまうからだ。優しく、ゆっくり、少し重みをかけるようにして安心感を与える。

「話す」ときは、やわらかな抑揚と低めの声で話す。嫌な気持ちにならないよう、ポジティブな言葉を選ぶ。入浴や着替えなどで触れるときは、反応がなくても黙って行わない。実況中継するように、次にすること、今していることなどを、溢れるほどの言葉で話しかけながら行う。

「立つことを援助する」のは、寝たきりでは筋力も認知機能もみるみる衰えてしまうからだ。

 暴言や暴力など、認知症の行動・心理症状と呼ばれるものは、認知機能が低下して状況の理解がスムーズにいかないために、恐怖や不安を感じて自分を守ろうとしている「表現」というのが、認知症ケアの考え方だ。

 ユマニチュードの柱は、ケアする人が認知症の人の恐怖や不安を取り除き、絆をつなぐコミュニケーションの基本ともいえる。だから、ケアする人が認知症の人を脅かす存在にならずに済む。しかも、習熟は必要だが、意識すれば誰でも実践できる。

40歳のおひとりさま女性、老後対策どうしたらいい?



40歳のおひとりさま女性、老後対策どうしたらいい?
40歳のおひとりさま女性、老後対策どうしたらいい?© ファイナンシャルフィールド

独身世帯の金融資産の平均保有額はどのくらい?

金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査 [単身世帯調査] (平成19年以降)」 によると、40歳代独身世帯 (単身世帯) の金融資産平均保有額は657万円、中央値53万円です。

保有額の割り合いをみると、図表1のように、金融資産非保有の人が35.8%ともっとも高く、次に100万円未満の人が14.8%という結果になっています。しかし、7.7%は1000〜1500万円未満、5.9%が3000万円以上となっているなど、40歳でも保有額に大きな違いがあることがわかります。

【図表1】

(金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)」より筆者作成)

独身世帯の金融資産の平均保有額はどのくらい?

金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査 [単身世帯調査] (平成19年以降)」 によると、40歳代独身世帯 (単身世帯) の金融資産平均保有額は657万円、中央値53万円です。

保有額の割り合いをみると、図表1のように、金融資産非保有の人が35.8%ともっとも高く、次に100万円未満の人が14.8%という結果になっています。しかし、7.7%は1000〜1500万円未満、5.9%が3000万円以上となっているなど、40歳でも保有額に大きな違いがあることがわかります。

【図表1】

(金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)」より筆者作成)

老後の独身女性の平均月額生活費は?

老後の独身女性の平均月額生活費について、総務省統計局 「家計調査 家計収支編 2人以上の世帯 年報 年次 2022年」 では図表2のように伝えています。

【図表2】

(総務省統計局 「家計調査 家計収支編 2人以上の世帯 年報 年次 2022年」 より筆者作成)

40歳独身女性が老後資金を貯める方法とは?

40歳独身女性が老後生活を迎えるまで、20年程度はあるため早いうちから資金を貯めておくとよいでしょう。老後資金を効率よく貯める方法は以下のとおりです。

__・そもそもの年金受給額を増やす

・個人年金保険を活用する

・年金を受けとる際は繰下げ受給を選ぶ__

それぞれの方法について解説します。

そもそもの年金受給額を増やす

老後生活の大きな収入源となる年金受給額を増やすことができれば、その分だけ余裕ができます。

例えば、60歳を過ぎても厚生年金に加入すれば、老齢基礎年金と合わせて受けとることができる老齢厚生年金を増やせます。老齢厚生年金は、厚生年金保険料を払い続けることで受給額を増やせる仕組みだからです。

また、第1号被保険者、または任意加入被保険者が定額保険料に月額400円の付加保険料を加算して納付すれば、付加年金 (200円×付加保険料納付月数) を受けとれます。

そのほかにも、年金の納付済期間が40年に満たないなど、老齢基礎年金の満額受給ができない場合は、60歳以降に国民年金へ任意加入して年金を納付すれば、老齢基礎年金の受給額を増やせます。

個人年金保険を活用する

生命保険会社などが取り扱っている個人年金保険を活用してみるのも、老後資金を貯めるための方法の1つです。60歳や65歳までの一定年齢まで保険料を積み立てて、契約時に決めた時期から積立金をもとにした年金、または一時金を受けとれます。

「確定年金」 「有期年金」 「終身年金」 の3種類あり、年金の受け取り期間や、死亡した際に遺族が受けとれるか、または受けとれないかといった点に違いがあります。

年金を受けとるときに繰下げ受給を選ぶ

通常、65歳から受けとりが可能な年金ですが、繰下げ受給によって66歳以降75歳までの間に遅らせて受けとれば、年金受給額を増額できます。年金の受け取り開始時期を1ヶ月遅らせた場合の増減率は0.7%です。70歳0ヶ月まで繰り下げれば42.0%、最大の75歳まで繰り下げれば84.0%の増額率が適用します。

また、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方の受給権がある場合は、どちらか一方のみ繰り下げるという選択も可能です。

安心した老後生活を過ごすためには早いうちからの対策が重要

おひとりさま生活を楽しみながらも、老後生活で困らないためには、早いうちから資金を増やすための対策を検討しておきましょう。早ければ早いほど資金を貯める期間は長くなりますから、安心できる老後生活を迎えられる可能性が高いです。

老後生活にどのくらいのお金がかかるのかを把握したうえで、定年退職後も働く、または個人年金制度の利用や、繰下げ受給などの方法を検討してみてください。

出典

総務省 統計局 「家計調査 家計収支編 2人以上の世帯 年報 年次 2022年

日本年金機構 任意加入制度

日本年金機構 年金の繰下げ受給

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

独身者の「介護への備え」、どのくらいの額が必要か?


おひとりさまの老後には、現役時代には見えにくい落とし穴がある! それも踏まえた、お金&老後対策は必須です。

男性の3.5人に1人、女性は5.6人に1人が生涯未婚と、独身者は急増中ですが、税金や社会保険などの制度は結婚して子どもがいる人を中心に設計されており、知らずにいると独身者は損をする可能性も。

独身者と家族持ちとでは、本来お金についても老後対策についても「気を付けるべきポイント」が違います。独身者がひとりで楽しく自由に生きていくためにやっておくといい50のことを税理士の板倉京氏が著した「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、一部を抜粋して紹介します。

独身者は家族持ちよりも介護費用が掛かる可能性

 要介護状態になってしまった時、独身者は家族持ちよりも多くの費用が掛かる可能性があります。理由は、介護をお願いできる身内が近くにいないから。

 その分、身の回りの世話をお願いしたり施設に入る可能性が高くなるからです。また、介護費用も家族をあてにできず、自分で用意しなくてはいけない、という問題もあります。

 とはいえ、要介護状態になると公的介護保険を使えるようになります。基本、かかった費用の1割負担(所得によっては2割・3割負担)で介護サービスを受けることができます。

 介護に必要なお金の目安は次の図表の通り。ただし、この金額は在宅介護を含めた平均です。介護施設に入居する場合には、1か月に9~15万円程度かかりますし、民間の有料老人ホームなどは毎月30万円程度かかることも。

民間の介護保険が不要な貯金額の目安は

 民間の介護保険に加入するかどうかは、貯蓄額や公的年金で自分が望む介護の費用が賄えるのかを考えて決めるといいでしょう。

 具体的には、介護費用に充てられる預貯金が300~500万円ある人や公的年金が月額20万円以上ある人、介護を頼める親族などがいる人は、民間介護保険に加入する必要性は低いといえるでしょう。

 介護保険は商品によって違いの大きい保険です。中には医療保険の特約としてつけられるタイプもあります。一概に保険料が安いといった理由で選ぶことなくどういった保障が必要なのかを見極めないと、「保険料の払い損」になってしまうことも。

 違いは様々ありますが、外したくない条件は「保障期間は一生涯保障が続く終身タイプ」であることと「支払基準が公的介護認定の要介護2、できれば1で支払われる」ことです。「掛け捨てか貯蓄型か」については、独身者であれば断然「掛け捨て」がおすすめです。「貯蓄型」とは、介護保険として支払いがなかった場合に、死亡保険や年金などの形で支払う保険をいいますが、介護の保障は一生涯必要ですから、年金として受け取る可能性は低く、死亡保険を残す必要のない独身者にとっては、ただ保険料が高いだけの保険になってしまうからです。

 *本記事は、独身者向けのお金&老後対策を書いた、板倉京著「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、抜粋・編集して構成しています。

【自動車保険ガイド】事故時に頼れる「損保コールセンター」を見極める“3つのポイント


お盆休みが近付き、予定を楽しみにしているというドライバーも多いのでは? 

外出先で万が一、交通事故に遭ってしまった場合、保険加入者が最初に連絡するのは、基本的には加入中の保険会社のコールセンター(事故受付センター)となるが、その際に頼れるコールセンターの特長とは? 3つのポイントからみていこう。

ポイント1:事故受付での聞き取り力とアドバイス力がある

 損保コールセンターの役割には「事故受付」があり、事故の状況を正確に聞き、その後の対応をアドバイスする役割を担っている。

ここで、契約者の疑問や不安に感じていることをしっかりと聞き取り、警察への連絡や被害者へのケアなど、事故現場で必要となる対応方法まで、いかに的確に説明できるかどうかは、最重要視したいポイントだ。

ポイント2:代車の手配、医療機関への連絡…スムーズな初期対応を実施できる

 コールセンターでは、被害者への連絡や、自動車の搬送が必要であればレッカー車および代車の手配、医療機関・修理工場への連絡といった「初期対応」も実施する。

円滑に保険金の支払いに進むためには欠かせない業務とあり、これがスムーズに進むか進まないかは、コールセンターの信頼度につながるといっても過言ではないだろう。

ポイント3:ミスなく迅速に保険金の支払いにつなげるための多様なサービス提供

 ミスのない迅速な保険金の支払いは、保険加入者として損保に最も期待したいところだ。

たとえばチューリッヒ保険では、事故受付のコールセンターと、営業や契約の保全を担当しているコールセンター(カスタマーケアセンター)が同じ場所にあり、事故受付時に契約関連の手続きが必要な顧客に対して、ワンストップでサービスの提供が可能となっている。

 事故に遭った直後のドライバーは、経験のない出来事に気が動転し、どのように対応したら良いかわからない人がほとんど。

そのため、コールセンターの事故対応力とは、事故に遭った契約者のパニックと不安をいかにスムーズに解消し、迅速な保険金の支払いにつなげていくかに他ならない。加入中の保険会社が上記のポイントを備えているかどうか。

保険加入前には、各社のWebサイトやコールセンターに関する口コミをしっかりチェックしてから加入するのが賢明かもしれない。

「介護=長男の妻」は過去 泥沼「きょうだい介護」の現実


昨日まで仲睦まじかったきょうだいが、親の入院などを機に「誰が介護するか」で、むき出しの本音をぶつけ合う――。「きょうだい介護」は、時に、お金の問題のほか、なすりつけ合いや被害者意識などが火種になって、一触即発の“戦争”につながる。

 介護保険相談員をしている埼玉県在住のミヨ子さん(71・仮名)は16年前に、認知症の母を在宅で7年ほど介護した末、看取った。4姉妹の3番目。父の他界後、母に認知症の症状が表れ始めたころは、いちばん近くにいた次姉が世話していた。だが、母は萎縮していた。

その姉に少しでも大声を出されると、ぶたれないように構える姿勢をとるのだ。見かねたミヨ子さんが、姉が旅行に出かける際に「試しに預かるから」と申し出て、親や子どもを説得し、自宅に引き取った。

 ちょうど年末で、正月準備に忙しい時期だった。

「餅がつき上がると、母が『まだやわらかいね。もう一晩寝かせると、包丁できれいに切れるようになるね』と。認知症になっても何もできなくなるわけじゃない。母の残っている能力を引き出すよう、姉にも受容の心で向き合ってほしいと思いました」(ミヨ子さん)

 旅行から戻った姉が迎えに来ると、今度は母が「帰らない」と言いだし、そのままミヨ子さん一家と暮らすことに。母の年金や財産はすべて次姉が管理し、ミヨ子さんはわずかな金を渡されたが、母をデイサービスに通わせたり母の衣類を買ったりしているうちに半年後、夫の給料を支出が上回り、家計が赤字に陥った。

 母と同居を始めて以降、次姉とはぎくしゃくし、他の姉妹も含め、「お金がほしい」と訴えても難しいと思った。そこで、他人の介護体験談が書かれた本の内容の一部などを便箋30枚ほどにまとめ、姉妹全員に送った。すると次姉が毎月5万円を送金するようになった。ただ、これは母の年金から捻出されていた。

 母が残り少ない時間を自分らしく過ごせるよう、ミヨ子さんは部屋に仏壇を置いた。次姉と暮らしていたころは「線香の火でボヤ騒ぎになるのは困る」と撤去されていた。

「人は悲しくなると手を合わせたくなるけど、母もそうでした。そんな時間まで奪うのはかわいそうで」(同)

 焼き鳥に使う串を緑色に塗り、先を赤く染め「最近は便利なお線香があるのよ」と母に渡した。すると母は「あら、いいわね」と目を細め、亡き父の位牌を拝んだ。たまに訪れる次姉にも「仏壇に手を合わせてから帰りなさい」と促した。

 最近、遺産で両親の永代供養を済ませたが、姉妹の確執は今も続く。

「介護もせず、経済的な負担もしなかった姉や妹が少ない遺産の分け前をいまだ求めてくることに、憤りを感じています」(同)

 介護を巡り、きょうだいがもめる原因は何なのか。1996年設立の、遠距離介護をする人を支援するNPO法人「パオッコ」理事長で、『70歳すぎた親をささえる72の方法』(かんき出版)などの著書がある太田差恵子さんが分析する。

「もめるポイントは大きく分けて『誰が介護するのか』と『お金』の2点。昔なら『家を相続する子どもが親の介護もする』と暗黙のうちに決まっていましたが、長男の妻が面倒を見る風潮は薄れるなど、確実に変わってきている。だから、いざ介護に直面したときに『誰がやるのか』でトラブることが多いのです」

社内の制度使えずアルバイト…介護の現実


会社に制度があっても実際はなかなか使いづらい──。年間10万人が介護で離職するという現実がある。体験者の話を聞いた。

 日用品の同じものをどんどん買ってきたり、お風呂を沸かしすぎて熱湯にしたり。母の異変に気づいたのが4年前だった。長男の金井隆彦さん(26)は当時、金属加工会社に就職して1年目。毎日、まだ着なれない黒やグレーのスーツを着て出社していた。

 母の邦子さん(58)は、家を切り盛りし、家族に尽くし、父(59)に文句ひとつ言ったことがなかったような人。

それなのに、父に嫉妬の妄想のようなものをぶつけるようになった。総合病院を受診したところ、認知症の疑いを指摘され、追って検査入院をすることが決まっていた。そんな矢先、隆彦さんの勤務先に父から電話が入った。

「家が火事だ」

 邦子さんが日中、コンロの火をつけたまま外出し、自宅は全焼。その後に診断結果がわかった。邦子さんは、前頭側頭型認知症(ピック病)だった。

 家が丸焼けになってからは、一家で父の社宅に緊急避難した。隆彦さんと4歳年上の姉と父、母以外の家族3人がフルタイムで会社に勤務していたため、どうしても日中は、母ひとりになった。

隆彦さんは、邦子さんが社宅からどこかに出かけたと職場で報告を受けた時、「もう、家族の誰かが母につきっきりでみるしかないんじゃないか」と思った。

 家族それぞれが、変わりゆく邦子さんとどう向き合うか、試行錯誤の連続だった。突然怒り出す邦子さんに、父は声を荒らげた。騒ぎながら玄関の鍵を開け出ていく母の後を、隆彦さんは追いかけ、本人の気の済むまでいっしょに歩いた。

そんなことを続けるうちに、隆彦さんが精神的不調に陥った。会社を一日、二日と休むうちに、もう会社に足が向かなくなった。隆彦さんがうつ病と診断されたのは火事から2カ月後。2011年1月、「自分の体調不良」を理由に傷病休暇をとることになった。

 隆彦さんは休暇中も、母につきっきりで介護した。月に1度は出社するように言われていたため、久々に職場を訪れると、対面でこう告げられた。

「入社間もないのに、お金(傷病手当金)をもらって休んでいるのはおかしいよね」

 何も言えなかった。その後、父が隆彦さんの会社に呼ばれ、「戻る見込みがないのなら、この先のことも考えて、自己都合で辞めたほうがよいのでは」と会社側から切り出された。

障害のある子の年金保険料、納付猶予の対象年齢は拡大


■親と同居の40代低所得者に対応

 障害のある子供を抱える親の将来への不安は強い。障害年金を受けられるかどうか、年金保険料を納めるかどうか-。将来を見通せないため、思い悩む。子供になるべく多くの財産を残してやりたい親心に解はない。読者のお便りから2つのケースをお伝えする。

 東京都内に住む林祥子さん(70)=仮名=には障害のある20代の娘がいる。生まれて間もなく障害が分かり、医者から「20歳まで生きるかどうか」と言われた。

だが、運良く合併症は起こさず、地域の小学校に通い、特殊学校に通った。決まったルートなら1人で目的地へ行けるから近所の散歩はできるし、通学もできる。しかし、普段と違うことが起きると対応できない。状態が比較的良かった分、障害年金の受給対象にはならなかった。

 娘が20歳になったとき、林さんの元に国民年金保険料の支払いを求める用紙が届いた。放置しておいたら担当者がやってきて、本人が支払えない場合は代わりに納めてほしい旨を伝えられた。林さんには年に400万円のアパート収入と月に6万円の年金収入があり、一定以上の所得があるからだ。

 年金制度では、本人に収入がなければ保険料が免除される。全額免除から保険料の一部を納める部分免除まで、所得によって段階がある。手続きをすれば未納や未加入にはならず、年金額にも一部反映される。だが、同居の親(世帯主)の所得が多いと対象にならない。

 林さんは、娘が保険料を納めなければならないことに納得がいかない。「病気の平均寿命から考えても、老齢年金を受け取れるはずがない。この先、1人暮らしは無理だから、私の収入は娘の将来の生活費として貯蓄したい。それでも、年金保険料を払わなければならないのでしょうか」

 だが、障害年金を受けられなかった時点で、林さんの娘は「年金制度上の障害者」には当たらない。

 林さんは結局、娘のために「若年者納付猶予」の手続きをした。この仕組みはもともと、景気低迷の中で就職できず、低所得のまま親と同居する若者が増えたことからつくられた。このため、親に所得があっても保険料納付が猶予される。

 ただ、免除と違って、将来の年金額には反映されない。年金を得ようと思う場合は納付が必要。未納と違って、10年までさかのぼって保険料を納められる。

 現在の対象者は20代。しかし、景気が上向いても正規雇用につながらず、30代に入るケースも多い。中高年の非正規雇用も増加しており、先の国会で年齢の拡大が決まった。平成28年7月からは対象範囲が「50歳未満」になる。

 ■法定免除、納付申し出には不利益も

 埼玉県に住む石川和夫さん(78)=仮名=には、障害年金を受ける息子がいる。

 息子が適応障害と診断されたのは19歳のとき。息子が20歳になってからは、石川さんが代わりに国民年金保険料を欠かさず納めてきた。将来、少しでも多く年金が受け取れるように保険料に上乗せする「付加年金保険料」も納めた。

 その後、状態が悪化した息子は年金の障害認定を受け、障害基礎年金を受け始めた。同時に、保険料を納めないで済む「法定免除」になった。障害基礎年金を受け続けるなら、保険料を納めても老後の年金額は増えないからだ。

 だが、石川さんは障害基礎年金を受けながら、納付申し出をして保険料を納めようかと悩む。「将来、障害が良くなれば、障害年金は止まってしまう。その場合は、保険料を納めていた方が年金を多く受け取れる。だが、障害年金を受け続けるなら、保険料は払い損になる。納めずに息子の生活費として貯金した方がいいだろうか…」

 病状の見通しは医師によって異なる。石川さんは「障害年金を受け取れなくなるほど改善するとは思えない。だが、良くなると思って暮らしていくもの。生きていくというのは、そういうことだと思う」と言う。

 公的年金は万が一の対応が手厚い。事故や病気に備えては遺族年金や障害年金がある。全額免除や法定免除なら、保険料を納めなくても老後の基礎年金の半額分が受け取れる。手厚いだけに、それを満額にするために、保険料を納めることが見合うかどうかは微妙だ。

 一方で、法定免除の対象者が納付の申し出をすると、不利益もある。申し出をしたのに納付が滞ると、未納扱いになってしまう。

 障害の度合いが良くなるかどうかは分からないし、医療技術がどう進歩するかも分からない。だが、免除なら、納めなかった保険料を過去10年にさかのぼって追納できる。

 ある社会保険労務士は「納めるか納めないかは治る可能性次第だから、どちらがいいとも言えない。だが、法定免除は10年の追納が可能だから、当面は貯蓄し、障害が改善して障害年金が止まった時点で追納する方法もある」と話している。

入り損? がん保険で給付金が出ない4つのケース


■せっかくがん保険に入っていたのに……!

 がん保険に加入していれば、がんになったときには「確実に」まとまった額の給付金が受け取れると思ったら大間違いです。がんになっても給付金がもらえないこともあるのです。

 どのようなケースだと受け取れない可能性が高いのか、一般的ながん保険の注意点についてまとめてみました。

■1. がん保険の保障内容が現在の治療方法と合っていない

 がん保険に加入していれば、がんになって治療したときには、治療費等の経済的負担を回避したり軽減したりすることができます。しかし、がんの治療方法は時代とともに変わってきており、ひと昔前のがん保険と今の治療方法にズレが生じてきています。

 がんの治療方法には主に「外科的療養」「放射線療養」「化学療養」があり、昨今は入院しない通院による治療が増えています。もし、治療方法が通院による抗がん剤治療だけだったら、がん入院給付金もがん手術給付金も受け取れません。

 また、がん保険には、がんと診断されたら給付金を受け取れる「がん診断給付金」という保障がありますが、ひと昔前のがん保険では、がんと診断されても入院を開始しないと給付金を受け取れないものがあります。つまり、通院による治療だけだったら、がん診断給付金は受け取れないのです。

 がん保険の保障内容は、多様化した治療方法のいずれにも対応できるようなものにしておきたいところです。

■2. 先進医療保障が付いていない

 先進医療にはがん治療に関する医療技術が多く含まれています。がん保険のパンフレット等でよく目にする「陽子線治療」と「重粒子線治療」は、治療費が自己負担分で300万円前後もしますが、実施件数は年々増えています。

 最近のがん保険にはがん先進医療保障が付いていて、治療費の大部分をカバーできますが、ひと昔前のがん保険には付いていない可能性があります。給付金を受け取れないことで治療方法の選択肢が狭まってしまうのは避けたいところです。

■3. がん保険に入った直後の一定期間は保障されない

 がん保険の基本的なことですが、保険期間の始期から90日間の「不担保期間」があります。この間は、契約手続きが完了していても保障されません。

 保険期間の始期とは、がん保険の申込書に必要事項を不備なく記入・捺印し、健康状態の告知書を記入し、さらに第1回目の保険料支払いまで全て完了したタイミングです。ここから約3カ月間は、保険料は支払うものの、がんになっても保障されないのです。

■4. 健康状態についてウソの告知をすると保障の対象外に

 がん保険に限ったことではありませんが、申込時には健康状態についてありのままに告知しなければなりません。告知をせずに加入してがんになった場合、給付金を請求しても受け取れない可能性があります。

 がん保険の場合、医師による診査ではなく、告知書への記入が一般的です。告知書で質問される項目は、過去がんになったことがあるか、もしくは健康診断結果について等です。たとえば、直近の健康診断で医師から胃ポリープを指摘された場合、良性で治療の必要がなくても記入は必要です。

 がん保険に加入するだけで安心せず、ときどき保障の内容も確認を。上記のケースにあてはまるようであれば、保険を見直すなど改善しておきましょう!

年金 60才からの任意加入が得


年金 60才からの任意加入や繰り下げ受給で老後マネー防衛を

ここ最近、年金に関するニュースが増えている。というのも、厚生労働省が6月、5年に1度行う公的年金の『財政検証』の最新版を発表したためだ。この『財政検証』は年金の“健康診断”ともいわれ、将来もらえる年金額が世代別に詳しく記されている。ただ、その複雑さゆえに誤解も多く、正しい知識を知らずにいると、損をしてしまうことも。

 ではすでに年金を受けとっている60代以降の年金は、いつから、いくら減るのか。

「年金を一律で減額調整する『マクロ経済スライド』は来年4月から毎年1回行われます。経済状況に左右されますが、だいたい毎年1%ずつ減ると思っていいでしょう」

 と話すのはニッセイ基礎研究所年金総合リサーチセンター・中嶋邦夫主任研究員。つまり、単純計算すると月額20万円の年金を受け取っている人は月2000円、年間では2万円強が減る計算に。

「減額調整は、おそらく28年後の2043年まで続く見通し。この間、ずっと1%程度ずつ減るわけです。10年後には年間20万円程度の目減りが待っています」(中嶋さん)

 現在65才の夫婦が受け取っている月22万円の年金は、75才になるころには月20万円になる試算。今ギリギリの生活をしている家庭の場合は、完全に赤字に転落してしまう。

 そして、『マクロ経済スライド』には、もうひとつややこしい点がある。年金額は毎年1%程度ずつ減っていくのだが、見た目の金額は変わらない、むしろわずかながら上がることもあるというのだ。これはいったいどういうことか。

「これまでの年金は、たとえば、物価が2%上がると、受給額も2%増える形で調整されてきました。しかし、来年4月からは、1%の減額調整が行われます。つまり、物価が2%上がるとき、年金額は物価に対して約1%減るので、言い換えれば見た目の金額は約1%上がるのです」(中嶋さん)

 国の社会保障審議会委員で年金問題に詳しいファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんは、まさにここが落とし穴だと言う。

 年金は、保険料を払った期間が長いほど、もらえる年金額が高くなる。通常、年金は20才から60才までの40年間保険料を納めるが、40年間に達していない場合は、60才以降も5年間だけ追加で納めることができるのだ。

「たとえば、国民年金に5年間任意加入した場合、保険料の総額はおよそ91万5000円。これに対して、年金は月額8050円増やすことができます。年間では9万6600円の年金アップ。75才まで10年間年金を受け取れば、約96万円の増額になる計算で、支払った保険料よりもお得になるのです」(井戸さん)

 井戸さんがすすめるのが、年金の『繰り下げ受給』だ。年金は、受給開始を65才から66才に1年遅らせる(=繰り下げる)と、受給額を8.4%増やすことができる。最大で70才まで受給開始を遅らせることができ、受け取る年金額は43%もアップする。

「女性は、男性より平均寿命が長い。夫が先立った後を考え、妻の年金を繰り下げで増額しておくのがおすすめ」(井戸さん)

 ちなみに、受給開始を早める『繰り上げ受給』は損になることが多い。60才から受給すると、65才から受け取る場合と比べて年金額が30%も減ってしまうのだ。

パート主婦の驚きの年金保険料試算


パート1200万人が対象 月5万8000円以上稼ぐと手取りが減る

現在の制度では、厚生年金に加入している夫を持つ主婦(パート含む)は『第三号被保険者』となり、年収が130万円以上にならない限り、自分で年金保険料を納めなくても、老後は年金を受け取ることができる。

 だが、この"優遇"があるために、年収130万円を超えて働くことをセーブする女性も少なくない。そこで国は、年金の"支え手"を少しでも増やすため、パート主婦にも保険料を負担してもらおうと計画している。

「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾さんはこう語る。

「今回の財政検証では、月5万8000円以上の収入があるパート主婦に厚生年金に加入してもらおうという試算が出ています。対象は1200万人におよびます」

 もし、実現した場合、パート主婦が払う保険料はいくらになるのか。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんが計算してくれた。

「仮に、月8万円をパートで稼いでいた場合、給与から天引きされる年金保険料はおよそ月6850円。年間では約8万2000円の負担になります」

 一方、保険料を払う分だけ、年金額は増える。 「15年間払い続けた場合、年金は年間7万8900円増やすことができます」(井戸さん)

 一見、もらえる年金額(年間7万8900円)より負担額(年間8万2000円を15年)のほうが多そうだが、受給が16年目以降になると、元はとれる計算に。

 だが、夫の扶養を外れることになるので、年金保険料以外に健康保険料も自分で払う必要があり、月8万円の収入ならば手取りは1万円近く減ってしまう。家計のために働きに出ているのに、約2日分の給料が飛ぶのはつらい。

かといって、5万円以下に抑えて働けば、貯蓄に回せる部分はなくなる…と、悩ましいが、「老後の備えができる」と前向きにとらえ、働く時間を増やして手取り減収分をカバーするのが得策といえそう。

認知症の人のケア さまざまな介護の工夫


・プロの経験と勘に学べ

 認知症ケアの良い事例を集め、本人も家族も少しでも楽になれる方法を探ろうと、介護の「エキスパート」らが2月、都内でケアの工夫を話し合った。認知症はちょっとした工夫や声の掛け方で穏やかに暮らせる面もある。画期的な解決方法はないが、ケアのヒントをお伝えする。(佐藤好美)

 2日間の会議に参加したのは、高齢者施設や病院、グループホームなどで日々、認知症の人の介護にあたる専門職ら約20人。認知症の人の生活の支障を挙げ、その対応策を出し、良いケアを共有する試みだ。この日は軽度~中等度の認知症の人が対象。

 「衣類の整理ができなくなって部屋が乱雑になって…」

 「たんすを半透明のクリアケースに変えて、引き出しに『パンツ』『靴下』と書いたら、うまくできるようになったケースがありました」

 「あ、なるほど」

 「中が見えると、あることが分かって安心する。物盗られ妄想もなくなりましたね」

 主催したのは、筑波大学医学医療系精神医学教授の朝田隆氏らのグループで、厚生労働省の研究事業の一環。朝田教授は「認知症の人は洋服の着方、脱ぎ方が分からなくなったり、ドアの開け閉めができなかったりと、生活上、さまざまな支障が生じる。今まではプロの経験と勘でケアがされてきたが、誰がやってもうまくいく介護フォーマット(型)のようなものができないかと考えてきた」と言う。

きっかけは、朝田教授が診察に当たる中で家族から「どんな介護がいいのか、誰も教えてくれない」と言われたこと。「優れたケア方法をマニュアルとして整備し、そこに脳科学としても何ができるか工夫をこらしたい」

 会議では、さまざまな工夫が出された。どれも経験によるアイデアだから、誰にでも有効かどうかは分からない。しかし、難しい技術は不要で、試してみられるものばかりだ。

 ケアの工夫以外に、専門職からは「周囲の人が片目をつぶって見逃してくれれば」という声も出た。服を脱いだ後が多少乱雑でも、食器の使い方が奇妙でも、たいしたことではないと思えれば、ぶつからずに済む。

 許容範囲は人によるし、積年のしがらみもあれば、ゆったりした対応は難しいかもしれない。しかし、リストを見ても、できなくなったことを、できるようにさせる方法はない。周囲の環境を本人の状態に合わせる工夫ばかりだ。

 朝田教授は今後、こうした工夫や手法をまとめ、全国的に1千人規模で試行して有効性を確かめる。「どのレベルの認知症の人にどのようなケアが有効かを調べ、確実性を詰めていきたい」と話している。

 □財布を持たせる おやつ真っ先に出す

家族も生活に工夫を凝らして 「やってみないと分からない」

 過去に本紙生活面「ゆうゆうLife」に登場した家族も生活に工夫を凝らしている。

 千葉県に住む原幸子さん(66)=仮名=は以前、認知症の母親(90)に怒鳴ったり怒ったりしかできなかった。「同じ話を何度も聞かされ、『さっきも聞いたよ』と言うと、本人も顔が引きつるし、私も引きつる。少し気持ちに余裕ができたとき、『そうなの?』って、初めて話を聞くみたいにしたら、お互いに落ち着いて話せるようになりました」

 「お金がない」「あいつが盗った」などの「物盗られ妄想」もあったので、以来、10万円の入った財布を持ってもらった。家計を支えていた母が生活苦を忘れられないのではないかと思ったからだ。同時に小遣い帳に使途や残額を書かせ、時折、「この間、美容院に行ったね」などと確認することにした。以来、「お金がない」と言わなくなった。

 「これだけあれば大丈夫と思うみたいで、うれしそうに数えています。逆に、使ってなくなる額だと、不安になったのかもしれません」

 おやつは真っ先に母に出す。好きでなさそうな物も、「どう?」と勧める。言わずに食べると、「自分たちだけでこっそり食べた」となりかねないからだ。「対応を変えたら、気持ちよく暮らせるようになった。でも、何がいいかは、やってみないと分からない。あの手この手です」と話している。

平均的老後過ごすには「年金+α」必要 退職金や貯蓄で補完


ぜいたくしなければ、老後は年金だけで暮らせるはず──多くの人が抱くそんな希望を、今の国の年金はかなえてくれるのだろうか。

 答えは「NO」だ。年金だけで老後の生活をまかなおうと楽観視していると、いざ年金生活が始まったとき、思っている以上に生活が困窮してしまうことになる。

 今の高齢夫婦世帯(夫65才以上、妻60才以上)の家計を例に考えてみよう。2013年の総務省『家計調査』によると、高齢夫婦世帯の1か月の年金収入は平均で22万円程度なのに対し、出ていく支出は1か月で約27万円。

つまり、老後に平均的な暮らしをすると、毎月5万円もの赤字になってしまうのだ。“年金博士”として知られる社会保険労務士の北村庄吾さんは、こうアドバイスする。

「最新の『財政検証』をみると、年金額はさらに減っていくシミュレーションが示されています。

月5万円の赤字を、生活費の節約で穴埋めしようにも限界が。老後の“年金貧乏”を避けるために、安定した収入がある現役時代に対策を立てておくことが必須です」

 さらに北村さんは続ける。

「年金はあくまで老後の生活のベースとなるお金。生活の保障を約束しているものではありません。平均的な老後を送るためには、“年金+α”で考え、足りない部分を退職金や貯金で補完する意識を持ちましょう」

「終活」ブームで継続率95% 高齢者に人気の保険とは?


少額の保険料で手軽に入れる“コンビニ”感覚の保険が人気だ。大型の補償はないが、「ペット保険」や「レスキュー保険」など、これまで保険会社が取り扱ってこなかったニッチ(すき間)で、趣味や生活に密着した保険がたくさんある。

 一般的な生命保険や損害保険に比べて保険料が安く、保険期間も1~2年と短い「ミニ保険」(正式名称は少額短期保険)。手軽に入れるため、コンビニ保険とも呼ばれている。

保険契約数も順調に伸び、12年度は約537万件。08年度と比べると約65%増となっている。なかでも高齢者に人気なのが、「終活」保険だ。

「葬儀費用ぐらいは家族に迷惑をかけず、自分で用意しておきたい」……そんな「終活」のための保険だ。

「終活のための保険 葬祭費用あんしんプラン」(NP少額短期保険)は葬儀費用、火葬場費用などの費用に使える死亡保険金30万円(1口)が支払われる。

 現在、保険契約者数は約1万8千人。60~70代が7割を占めるという。保険期間は1年だが、継続して契約する人の割合は95%。

「継続契約の場合は保険金請求の翌営業日に保険金をお支払いするため、お通夜にも間に合います」(同社広報担当)

 また、最近では「孤独死」などが社会問題となり、独り暮らしの高齢者がアパートなどで死亡し、何日もたってから発見されるようなことも起きている。

 とくに気温の高い夏場に死亡した場合は畳などもすべて取り換えなくてはならず、修復に高額の費用がかかるときもある。「住まいるキーパー」(アクア少額短期保険)は入居者が孤独死した際の部屋の復旧費が30万円まで補償される。

年金「逃げ切り組」と呼ばれる団塊の世代 実は逃げ切れない


〈知っていますか? 「国民年金」って、実は…お得・安心・便利〉

 これは厚生労働省と日本年金機構が作ったパンフレットの表紙に躍るフレーズだ。特に若者たちに「年金の素晴らしさ」を伝えたいのか、ポップなデザインでまとめられている。

 表紙をめくると、次のような文句が並んでいた。

〈メリット1 老後をずっと支える終身の年金(中略)メリット5 国民年金は経済の変動にも負けません〉

 オイルショックに端を発する「狂乱物価」が始まった1973年、年金には「物価スライド制」が導入された。将来、物価が上昇したらその分だけ受給額もアップさせて実質的な水準(受給額の価値)を保つというもので、役人たちは長い間それを年金制度の長所として喧伝してきた。

 が、彼らがアピールする〈メリット〉は大嘘だ。

 そこで、あらためて年金博士として知られる社会保険労務士・北村庄吾氏監修のもと、将来の受給額をシミュレーションした(厚労省試算は賃金も物価も上昇するというバラ色の未来を前提に見かけの受給額が水増しされているが、ここではわかりやすくするため現在価値に換算した)。

 シミュレーションの結果、〈老後をずっと支える〉〈経済の変動にも負けない〉というフレーズが嘘だとハッキリわかる。

 ここでは試算で判明した衝撃的な数字を見ていこう。

 現在40歳の一般的サラリーマン(生涯の平均年収500万円)は、25年後の65歳時には月額16万8000円を受給する。

 ところが受給開始5年後の70歳時には15万3000円へと減らされてしまう。年を重ねるほど受給水準は下がっていき、80歳時には12万9000円、100歳まで長生きすればわずか9万2000円と、半額近くに減ってしまうのだ。

「逃げ切り組」と呼ばれた団塊の世代も毎年削られていく。

 現在65歳の世代(生涯の平均年収500万円)は、月額22万3000円受給している。それが80歳時には19万円へと約15%も減り、100歳になれば13万4000円までカットされる。

 毎年削られていく分、受給総額も本誌前回試算よりさらに減少することになる。現在40代以下の世代では総額で1000万円以上の受給カットも当たり前だ。

 以上はサラリーマン世帯(厚生年金加入者)の夫婦合計額である。

 自営業者で国民年金しか入っていなければ受給額はもっと少なくなるし、夫婦のどちらかが亡くなるとさらに半分になってしまう。「国民年金しか入っていない人は100歳になったら月々3万円」といったことも起きる。

 しかも年金からは介護保険料が天引きされる。年金だけでは老人ホームに入ることはおろか、食費や光熱水費すらままならない地獄のような生活が待っているのだ。

もらえる年金、現在賃金の○割!?


6月3日に厚生労働省が公表した公的年金の財政検証の結果は、衝撃的な内容だった。財政検証は5年に1度行われ、様々なケースを想定しながら将来受け取れる年金水準を試算するもの。今

回の検証では、労働参加率や運用利回り、実質賃金の伸びなど、楽観シナリオから悲観シナリオまで8つのケースで試算した結果が示された。

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世間の注目が集まったのは、低成長な経済を前提とした3つのケース。この場合、将来給付水準(所得代替率)は、政府が下限と定める5割を下回った。

所得代替率とは現役世代の手取り賃金に対する年金給付の割合のことで、2014年度見込みは62.7%だ。

ただし、一定の経済成長や労働参加率が確保できなければ、将来の所得代替率が5割を維持できないことは前回財政検証と同じで“想定どおり”。最も悲観的なシナリオでは、何もしなければ将来の所得代替率は35〜37%と5割を大きく割る見込みになった。

本当に衝撃的だったのは、今後の法改正に向けた「オプション試算」の内容のほうだ。

特に、基礎年金保険料の拠出期間を現行の40年から45年に延長し、個人選択制の繰り下げによって受給開始年齢を66歳以上(標準は65歳)にした場合の試算に注目が集まった。

最も悲観的なシナリオでも、年金保険料の拠出期間を5年延長すると、所得代替率は47.9%にハネ上がる。さ

らに受給開始年齢を66歳に繰り下げると52.5%、以降、67歳57.2%、68歳61.9%、69歳66.8%、70歳71.7%という内容だ(自動給付削減機能のフル発動も同時実施という前提)。

最悪の経済状況が長期間続いても、将来世代が68歳以降まで働くことのできる環境があれば、現在の高齢者と同等以上の年金受け取りが可能ということだ。「そんな年まで働きたくない」という意見もあろうが、少子高齢化の厳しい現実を前にどう受け止められるだろうか。

「年金生活者支援給付金制度」って何ですか?いくらもらえる?


老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。

そんな年金初心者の方の疑問に回答します。今回は、年金生活者支援給付金制度について解説します。

Q:年金生活者支援給付金制度って何ですか?

「年金生活者支援給付金制度とは何ですか? お金に困っていたらもらえるんでしょうか? 2023年はいくらもらえますか?」(70代)

A:公的年金等の収入額が、一定基準よりも少ない人に支給されます

年金生活者支援給付金は、公的年金等の収入額が一定基準よりも少ない人の年金に上乗せされて支給されるものです。消費税の増税分が活用されています。

年金生活者支援給付金は、老齢生活者支援給付金(収入によっては「補足的老齢年金生活者支援給付金」)、障害年金生活者支援給付金、遺族年金生活者支援給付金の3種類があります。

老齢生活者支援給付金(収入によっては「補足的老齢年金生活者支援給付金」)は、老齢基礎年金を受け取っている方が対象となりますが、所得制限があり、次の要件をすべて満たしている必要があります。

(1)65歳以上の老齢基礎年金の受給者

(2)同一世帯の全員が市町村民税非課税

(3)前年の公的年金等の収入金額(障害年金・遺族年金等は含みません)とその他の所得との合計額が88万1200円以下

(3)に関して、前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が78万1200円を超え88万1200円以下の場合は、一定割合を乗じた「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

補足的老齢年金生活者支援給付金は、老齢年金生活者支援給付金の要件をあと少しで満たせずに支給されなかった人と、老齢年金生活者支援給付金の支給を受けた人との間で、所得の逆転が生じないようにするためのものです。

支給される老齢生活者支援給付金は、次の【1】と【2】の合計額となります。給付額は毎年度改定があり、令和5年度は以下の計算式で算出します。

【1】保険料納付済期間の受給額(月額)=5140円×保険料納付済期間/480カ月

【2】保険料免除期間の受給額(月額)=1万1041円×保険料免除期間/480カ月

例えば、納付済月数が60カ月、全額免除月数が240カ月の場合を上記計算式で算出すると、老齢生活者支援給付金の支給額は月額6164円となります。

【1】5140円×60カ月/480月≒643円

【2】1万1041円×240カ月/480月≒5521円

<合計>【1】643円+【2】5521円=6164円(月額)

給付金を受け取るには、年金生活者支援給付金請求書の提出が必要です。初めて老齢基礎年金を請求する人には、老齢基礎年金の請求書に給付金請求書が同封されます。

すでに基礎年金を受給しており、新たに受給要件を満たすことになった方へは、簡易な請求書(はがき型)が、9月ごろから順次発送されます。届いた人はもらう権利がありますので、請求しましょう。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。

国民健康保険料より安い? 高い? 「国民健康保険組合」の費用・加入条件などの特徴を解説


「国民健康保険組合」の概要

日本の医療保険は、大きく職域保険と地域保険に分けられます。

職域保険としては、

__●民間の会社員を対象とした「健康保険」

●公務員や船員などを対象とする「共済組合」や「船員保険」__

などがあります。

地域保険としては、

__●市区町村が運営主体の「国民健康保険」(以下、「国保」という)

●特定の職種ごとに設立された「国民健康保険組合(以下、「国保組合」という)__

があります。

個人事業主やフリーランスの方の多くが加入している医療保険制度は、国保です。市区町村が運営する国保は、居住地で加入資格が得られますが、国保組合は、地域だけでなく、職業や業種によって加入資格が得られる点が大きな特徴です。

国保組合には、医師、歯科医師、薬剤師、弁護士、税理士、理・美容師、建設業界、食品業界など、さまざまな業種の国保組合があります。

一般的に国保の保険料は地域によって負担額に差がありますが、所得が多くなるほど負担も大きくなります。

ところが国保組合に加入した場合は、次項でご紹介するメリットのように、国保よりも保険料が安くなるケースがあります。業種や条件が合えば、国保組合への加入を検討してみてもいいでしょう。

なお、法人事業所の事業主や従業員の場合、健康保険が強制適用となるため、国保組合には加入できません。

「国民健康保険組合」のメリットとは

国保は前年の所得で保険料が決まるため、収入が多ければ多いほど保険料も高くなります。

一方、国保組合に加入すれば、収入に関係なく保険料が一定になることが最大のメリットといえます。

例えば、Webデザイナーやグラフィックデザイナー、イラストレーター、コピーライター、カメラマンなどを対象にした、「国保組合」のひとつである「文芸美術国民健康保険」(以下、「文美国保」という)に加入すれば、負担額は以下のようになります。

__●組合員 1人月額 2万1100円

(医療分 1万6400円 後期高齢者支援金分 4700円)

●家族 1人月額 1万1600円

(医療分 6900円 後期高齢者支援金分 4700円)

●介護保険料 1人月額 5200円

(満40歳から64歳までの被保険者)__

「文美国保」に加入するには、特定の団体に所属する必要があり、「文美国保」の保険料に加盟団体の入会金・会費を足した金額と、国保の保険料を比較するといいでしょう。

家族や、満40~64歳までの介護保険被保険者の人数によっては、一般の「国保」の方が「文美国保」よりも保険料が安くなる場合もあります。ただ、単身者であれば「文美国保」の方が安くなる可能性が高いといえます。

個人事業主やフリーランスの場合、毎年の収入が一定していないこともあるため、保険料が一律の「国保組合」に加入していれば、支出面で安心といえるでしょう。

「国民健康保険組合」のデメリットとは

国保組合のデメリットについて解説します。

被扶養家族の保険料もかかる

会社の健康保険や協会けんぽの場合は、被保険者の扶養家族には保険料がかかりませんが、国保組合には「被扶養者」という概念がなく、家族も被保険者として保険料がかかります。

家族の人数によっては、一般の国保の方が保険料が安くなる可能性があります。

減免措置がない

収入が少ない場合でも保険料は固定のため、国保のように減免などの措置はありません。収入が少ない場合は、国保の方が保険料が安くなる可能性もあります。

加入条件が厳しめ

文美国保の場合、

__●日本国内に住所がある

●Webデザイナーやグラフィックデザイナー、イラストレーター、コピーライター、カメラマンなどのクリエーティブ職に従事するフリーランスである

●日本ネットクリエイター協会、日本イラストレーション協会などの、組合加盟の各団体の会員である__

の条件を満たす必要があります。

また、後期高齢者の方(75歳以上の方、または65歳以上75歳未満で広域連合より認定を受けている障害者の方)は加入できません。なお、加盟団体に入るには、入会金や毎年の会費の支払いも必要になります。

まとめ

国民健康保険組合の概要、メリット・デメリットについて解説しました。

収入に関わらず保険料が一定なのは、個人事業主やフリーランスの方にとって大きなメリットになりますが、

__●家族の人数分の保険料が必要

●収入が少なくても国民健康保険のような減免制度がない

●加盟団体の入会金・年会費を払う必要がある__

などのデメリットもあり、保険料が一概に安くなるとはいえません。

国民健康保険組合加入を希望する場合、メリットとデメリットを比較して選択することをおすすめします。

出典

文芸美術国民健康保険組合

厚生労働省 国民健康保険の保険料・保険税について

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

「国民年金保険料」は高くなっている?保険料ともらえる年金の推移を解説!


国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満全員が加入する

国民年金は、日本国内居住の20歳以上60歳未満の方は全員加入します。学生や専業主婦(夫)などで一定の要件を満たせば保険料の納付は免除されることもありますが、制度への加入は必須です。

会社員は基本的に厚生年金にも加入しており、国民年金をベースに年金が上乗せされています。会社員は国民年金と厚生年金両方に加入しているイメージです。年金への加入は、図表1のように第一号被保険者から第三号被保険者までに区分され、受け取る年金や支払う保険料が異なります。

【図表1】

筆者作成

原則65歳から年金を受け取るが、変更も可能

年金は原則65歳から受け取りますが、受取開始時期を60歳~75歳に変更できます。受取開始時期を早くすれば毎年の受給額は減り、遅くすれば受給額は増えます。

例えば、受給開始を75歳からにすれば、毎年の年金受給額84%の増額が可能です。

国民年金保険料の計算方法

毎年納める国民年金保険料は、年によって変動します。平成16年度に決まった保険料額に対して、物価や賃金の伸びに応じて保険料を調整しています。

具体的な保険料の計算式は以下の通りです。

毎年度の国民年金保険料額=平成16年に決められた保険料額×保険料改定率(*1)

*1 保険料改定率=前年度保険料改定率×物価変動率×実質賃金変動率

国が厳密な計算の上で制度を運営しているため、将来年金がもらえなくなるという考え方はあまり現実的ではありません。

国民年金保険料と年金額の推移

直近10年の国民年金保険料と年金額の推移を解説します。まず、国民年金保険料の推移は図表2の通りです。

【図表2】

日本年金機構「物価変動率等で計算された実際の保険料額」を基に筆者が作成」

図表2の通り、保険料は増加傾向にあります。

直近10年の国民年間受給額は図表3の通りです。保険料を満額納付した際に、65歳から受給できる年金を示しています。図表3の通り、受給年金額は大きく変動していないことがわかります。

【図表3】

「小田原市HP よくある質問と回答 質問:老齢基礎年金の金額を教えてほしい(過去の年金額も教えてほしい)」における回答の表『老齢基礎年金(満額)の推移』および「日本年金機構HP 令和4年4月分からの年金額等について」を基に筆者作成

年金の上乗せを自分で作ろう

国民年金の仕組みや推移について解説しました。また、年金に頼るだけでなく、自分で老後に備えることも必要です。

iDeCoやつみたてNISAなど、老後資金を用意するお得な仕組みを国が用意しているので、ぜひ利用を検討してみてください。

老後を見据えて、若いうちからコツコツ資金を準備することがポイントです。

出典

日本年金機構 国民年金はどのような人が加入するのですか。

日本年金機構 年金の繰上げ・繰下げ受給

日本年金機構 国民年金保険料の額は、どのようにして決まるのか?

日本年金機構 国民年金保険料の推移

令和4年4月分から年金額等について

小田原市 老齢基礎年金の金額(満額)を教えてほしい(過去の金額も教えてほしい)。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

こんな夫婦が「老後破産」に陥る!どんな共通点がある?


老後資金は現役時代からコツコツと貯めねば老後破産する恐れがある。家計を守っていくためには、夫婦で話し合ったり協力したりすることが大切といえよう。老後破産しやすい夫婦の特徴にはどのようなものがあるのだろうか?実例を交えて見ていこう。

■老後資金はどうする?夫婦の金銭感覚の違いに要注意

家計を守っていくためには、夫婦で話し合ったり協力したりすることも大切だ。ただ、なかにはそれがうまくいかず、金銭感覚の違いが浮き彫りになって離婚にまで発展してしまう家庭もある。Sさんの例を見ていこう。

●老後が不安な妻、楽観的な夫

Sさんは節約や貯金に対する意識が高く、老後が不安でコツコツと貯蓄に励んでいる。

一方の夫は、基本的にお金に無頓着な浪費家タイプ。貯金は苦手で、手元に現金があるとつい気が大きくなって知人や友人におごるなどして使ってしまう。最近ではSさんが知らないうちに、友人に教えてもらった競馬にもお金を使い始めたようだ。

夫婦共働きで人並み以上の世帯年収があったSさん夫妻は、いわゆる「夫婦別財布」で、これまでお互いの支出や貯金額をなんとなくしか把握してこなかった。

しかし、妊娠をきっかけに「もっとお金のことをちゃんとしよう」と思ったSさんは、今後は自分が家計管理を主に担当して、お小遣い制にしようと夫に提案した。すると、思いがけず夫の猛反対にあってしまう……。

風水的に金運ダウン?玄関に置くべきではないモノ3選

■銀行員は見た!老後破産する夫婦としない夫婦の決定的な違い

「老後資金は足りるのだろうか……」、このように不安に思っている人も多いだろう。老後資金を現役時代から計画的に準備しなければ、老後破産してしまう恐れがある。老後破産する夫婦としない夫婦の決定的とは?

●お金に関してオープンに会話できているか

お金に関してオープンに会話ができない夫婦は老後破産しやすいといえる。収入や貯蓄がどれくらいあるかお互いに理解できていないと、期待しすぎて、蓋をあけたら全然貯蓄できていないというケースも考えられる。

●老後の年金額を理解しているか

夫婦合わせてどれぐらいの年金をもらえるか把握しているだろうか。老後の収入を把握しておくことは非常に大事だ。

年金を多く見積もりすぎ、老後生活がはじまってから年金だけでは足りないことに気付くようでは、老後破産に陥ってしまう。

マイナンバーカードを保険証代わりにすると損?知っておきたい3つの注意点

●浪費癖があるか

老後の収入は年金に限られる人が大半だろう。収入が限定されるため、浪費癖がある方は注意が必要だ。

文/編集・dメニューマネー編集部

阿川佐和子さん 介護の悩みを周囲に話した方がいい理由「やっぱり我慢して喋らないよりも…」


作家の阿川佐和子さんが4日、NHK「あさイチ」(月~金曜前8・15)に生出演。「介護の悩みを周囲に話した方がいい」と思う理由を語った。


 番組では「阿川佐和子さんと考える“仕事”と“介護”」と題して、親の介護について職場で相談ができない人の悩みや、介護と仕事の両立などを取り上げた。

 認知症の母親を介護した経験をもつ阿川さんは、「私は更年期障害の状況とか、今介護が大変だとか。そういうのをどっちかというとお喋りだから言う方で」とした上で、「そうすると若い人たちは実感がないから“あ、そういうものなんですか。

どうすればいいでしょうね”っていう風になると思うけど。だんだん話していれば巻き込んでいけるし」と話した。

 さらに、介護の悩みを周囲に話した方がいいと思う理由については「中には“私も(同じ)経験をしたことがある”とか言う人たちもいると、そこで共通認識、やり取りできるから私はやっぱり我慢して喋らないよりも、“大変なのよ!”っていう風にした方がいいと思いますけどね」と語った。

貯金がなくて老後が不安…知っておいて損しない、老後に役立つ公的制度を解説


老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金

年金収入を含めた所得額が一定の基準額以下の年金受給者を対象に、生活を支援するために年金に上乗せして支給される「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金」(以下、年金生活者支援給付金)があります。

年金生活者支援給付金を受け取るには、下記の3つの要件をすべて満たしている必要があります。

__●65歳以上で老齢基礎年金を受けている

●世帯全員の市町村民税が非課税となっている

●前年の年金収入を含む所得額の合計が88万1200円以下__

支給される金額は国民年金の保険料納付済期間などに応じて計算され、令和4年度は月額5020円(納付免除期間に基づく場合は1万802円)が基準となっています。

また、対象と見込まれる方には年金生活者支援給付金請求書が送られてくるため、申請する場合は必要事項を記入して、最寄りの年金事務所に提出します。

老後に受け取れる年金が老齢基礎年金のみで収入が少なく、年金生活者支援給付金の対象となる場合、申請手続きをすることで不足する収入をカバーできます。

高齢者住宅リフォーム補助金

老後は、自身や家族の介護が必要になることもあります。在宅介護のために、高齢者が居住する住宅でバリアフリー化などのリフォーム工事が必要となる場合、自治体による補助金を受けられることがあります。

対象の要件や補助金額などは自治体で異なることもありますが、例えば神奈川県横須賀市では、65歳以上の方が居住している、または所有者であるなど条件を満たす住宅の場合、対象のリフォーム工事費用について、一律10万円を補助する制度が用意されています。

住宅のリフォームを行うには、それなりにお金がかかることが想定されるため、特に老後で取り崩せる貯金が少ないケースでは、こういった制度を利用して負担を減らすことができます。

生活困窮者自立支援制度

「生活困窮者自立支援制度」とは、生活の困りごとや不安や悩みの相談をはじめ、就労支援や家計改善のアドバイスなど、日常生活で困窮する方を支援する制度です。

老後の生活で経済的に困難な状態に陥ったときに、申請できる公的制度の紹介を受けられたり、住居を失う恐れがある場合は一定の条件の下、家賃相当額の支給を受けることもできます。

詳細については、お住まいの自治体へお問い合わせください。

高額医療・高額介護合算療養費制度

「高額医療・高額介護合算療養費制度」は、同一世帯での、国民健康保険の自己負担額と介護保険の利用者負担額の1年間(8月から翌年7月)の合計が自己負担限度額を超えた場合、超えた分の金額が支給される制度です。

例えば住民税非課税世帯では、医療保険や介護保険で支出した年間の自己負担額のうち、限度額となる31万円を超えた部分について、支給を受けることができます。

高額医療・高額介護合算療養費制度の適用には申請が必要です。自治体によっては、該当する可能性が高い方に申請を勧めるお知らせが届くこともありますが、不明点などについては、お住まいの市区町村役場へご相談ください。

生涯現役支援窓口

老後のお金に関する不安は、働くことでもある程度は解消できます。

ハローワークでは、再就職を目指す高齢者の中でも、65歳以上の方を重点的に支援する「生涯現役支援窓口」を設置しています。

主な特徴として、高齢者の採用に意欲的な求人の紹介やニーズに応じた情報提供、高齢者に合わせた求職活動の指導や職場見学といった各種サービスが行われています。

貯金が少なく、年金収入だけでは生活が不安定な場合、老後もこういった支援を受けて働くことも必要となるでしょう。生涯現役支援窓口の設置場所など、詳しくはハローワークのホームページをご確認ください。

老後の不安は公的制度を頼ることで解消できる場合もあります

老後の備えが不十分であったり、現役時代より収入が減少して生活が困難な状況になったりした場合、公的制度による支援を受けられることがあります。

また現在、老後の生活に不安を感じている人は、今からでも貯金などの準備をできるだけ進めるとともに、老後に頼れる制度についても知っておくようにしてください。

出典

[日本年金機構 老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要

](https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/shienkyufukin/rourei.html)

[日本年金機構 年金生活者支援給付金

](https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/shienkyufukin/20190805.html)

[日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について

](https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2022/202204/040103.html)

[横須賀市 横須賀市の高齢者住宅リフォーム補助金

](https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/4821/sumai/documents/koreisya_chirashi.pdf)

[厚生労働省 生活困窮者自立支援制度

](https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059425.html)

[厚生労働省 お金、仕事、住宅など、生活に関するお悩みはこちらの窓口にご相談ください。

](https://www.mhlw.go.jp/content/000936284.pdf)

[横浜市 高額医療・高額介護合算療養費制度

](https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/kokuho/iryo/kogaku/high-cost-kaigo.html)

[厚生労働省 「生涯現役支援窓口」のご案内

](https://www.mhlw.go.jp/content/000913336.pdf)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

「老後破産」しないための5つのルールって?


退職後の生活はどんなイメージ?

定年退職をすると、大きく支出が減ると思っている人は多いようです。 でも、本当にそうでしょうか? 身についた生活の質というのはなかなか落とせないものです。今の生活費の、少なくとも7割くらいはかかると考えましょう。

また、最近は晩婚カップルも多いですし、子どもが成人する前に定年を迎える人も珍しくありません。住宅ローンが終わっていなかったり、賃貸だと、現役時代と生活費が変わらない場合もあります。

さらに、「人生100年時代」といわれる今、長生きは幸せなことではありますが、「老後、貯金が底をついてしまったらどうしよう」という不安は、若い人でもお持ちです。老後安心して暮らすために、今からできることがあります。ぜひ、次のことを実行して老後破産を回避しましょう!

ルール1. 自分がもらえる年金額を知る

50歳以上の人は、ねんきん定期便やねんきんネットを確認することで、自分が将来どのくらいの年金がもらえるのか、おおよそ知ることができます。

50歳未満の人は、その時点までの加入実績に基づいた金額が記されています。これから働き続ければ、年金額は増えますので、いたずらに不安にならないことですが、受給金額を知る簡易的な方法をお教えしましょう。老齢厚生年金は、「ねんきん定期便の金額+60歳になるまでの年数×年収×約0.0055」で計算します。

老齢基礎年金は、1年保険料を納めると2万円増えると考えます。年金受給が20年以上後なら、厚生年金(サラリーマン)で現役の平均手取り年収の0.3倍程度と考えましょう。

ルール2. 老後に使える生活費がどのくらいなのかざっくり知る

50歳未満の人は、図にある「人生設計の基本公式」を使って計算することで、老後の生活費がどのくらいになるか考えてみてください(「老後生活費率」は現在の生活費の何割で生活をするのかを仮定して計算します)。

人生設計の基本公式(出典:記事「あなたの必要貯蓄率は?人生の中での「お金」の考え方」)© All About, Inc. 人生設計の基本公式(出典:記事「あなたの必要貯蓄率は?人生の中での「お金」の考え方」)

この式で求められる「必要貯蓄率」は、生涯の平均手取り年収をベースに算出していますので、時々の必要貯蓄額は、「現在の手取り収入×必要貯蓄率」として、手取り収入の変化と共に変化していくと考えて構いません。これが、人生設計の基本公式の基本的なアプローチです。

たとえば、「必要貯蓄率=20%」の人が、現在の手取り年収220万円なら、「220万円×20%=44万円」となり、毎月、約3.6万円の貯蓄が必要になります。手取り年収が400万円になれば、「400万円×20%=80万円」で、毎月6.6万円の貯蓄が必要です。

その時々の手取り収入に対して「必要貯蓄率」を守っていけば、老後の生活費は、たとえ100歳まで生きたとしても確保できることになります(老後年数を100歳までとして計算した場合)。

▼50歳以上の人は、「老後設計の基本公式」で計算!

50歳以上の人は、「老後設計の基本公式」を使ってください。積み上げた貯蓄から、老後、毎年取り崩せるお金はいくらかを計算できる式です。60歳時点を想定して計算します。

「老後設計の基本公式」© All About, Inc. 「老後設計の基本公式」

「未年金年数」というのは、年金をもらわない期間です。65歳から受給するとすれば、「未年金年数」は、60歳からの5年間になります。「保有資産額」は、例えば、今後運用が上手くいって資産額が増えれば、プラスに反映します。

大体の老後生活費の目安がつけば、いたずらに不安を持つこともなくなりますし、対策も講じられます。皆さんもぜひ、計算して見てください。

少々厳しい老後が想定されるならば、働く期間をもう少し伸ばし、年金受給を70歳まで繰り下げることをご検討されるとよいでしょう。繰下げ請求は、月単位で行うことができ、1カ月繰り下げると0.7%増加します。

増額率=(65歳到達月から繰下げ申出月の前月までの月数)×0.007

たとえば、年金額120万円の人が、70歳まで繰り下げると42%増えて約170万4000円になり、これが一生涯受け取れます。早く死亡して年金を受け取れないと損と考える人もいますが、年金は損得ではなく、長生きしたときの大きな助けになるのだと考えるべきです。

ルール3. 効率的な置き場所でお金を増やす

年金だけで生活費をカバーするのは難しいならば、不足分をこれから作っていかなければなりません。個人型確定拠出年金(iDeCo)やつみたてNISA、NISAなど税制優遇の大きい場所で、効率的にお金を増やしていきましょう。

ほぼ全ての国民が使うことができるiDeCoは、掛金が全額、所得控除され、さらに住民税の負担減にもなります。運用益は非課税です。受け取り時も、現在のところ、公的年金等控除や退職所得控除の優遇があります。

お金にも働いてもらい、将来インフレになっても購買力を減らさないようにお金を増やしていきましょう。今、拠出する毎月の1万円は、老後に使えるお金を毎月1万円増やすことになるのです。

ルール4. 退職までに住宅ローンを終わらせる

住宅ローンの支払いが定年後も続くという人も少なくありません。そして、退職金を、住宅ローンの大きな返済資金源と考えている人が多いのですが、これはとても危険です。退職金は、リタイアメント後の生活費として考えましょう。

ルール5. 不要な保険は解約する

人生の中で、何度か生命保険の保険金額を減らす、または解約するタイミングがあります。家を買ったときは、多くの人が機構団体信用生命保険特約制度(団信:加入者に万一のことがあった場合、残りの住宅ローンがなくなる保障制度)に加入するので、その分、必要保障額は少なくなります。

また、子どもの独立は、ひとまず親としての責任が終わったということで、必要保障額が減少します。必要がなくなれば躊躇せずにやめましょう。

ある程度預貯金があれば、医療保険の必要性も低くなります。もしものためにお金を使うより、その分を、老後資金として、貯蓄、運用する方が将来のために役に立ちます。

今、外貨建て保険やトンチン保険などが熱心に販売されていますが、高コストの商品がほとんどです。お金を効率的に増やしていくには、ふさわしくありませんので、慎重に考えましょう。

文:岩城 みずほ(ファイナンシャルプランナー)

慶應義塾大学卒業。フリーアナウンサー、セミナー講師、生命保険会社勤務を経て、2009年にFPとして独立。30~40代の教育費を含む家計の見直し、資産運用の相談を多く受けている。DCプランナー・日経新聞読み方講師としても活躍。

摂食障害やうつ病になった場合、障害年金は申請できる?


心の病は長引くことがある?

厚生労働省が発表している「病院報告(令和4年1月分概数)」によると、精神病床における平均在院日数(入院から退院までの期間の平均)は299.8日となっており、一般病床の平均在院日数である17.2日よりも圧倒的に長くなっています。

会社員などの方であれば、病気やけがで連続した3日間を含む4日以上の、給与が支払われない休業をした場合、直近1年間の標準報酬月額を基に算定した金額が最大で1年6ヶ月、健康保険から傷病手当金として支給されます。

一方、個人事業主の方などが加入している国民健康保険には、傷病手当金がないので注意が必要です。

うつ病などで長期の治療を経ても十分に回復せず、日常生活や仕事に支障が生じる状況が続いた場合は、精神の障害がある方として障害年金を受給できる可能性があります。

障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金の2種類がありますが、以下でそれぞれの受給要件や年金額について確認していきます。

障害基礎年金の受給要件

障害基礎年金の受給要件として、国民年金加入期間のほか、20歳未満または日本在住の60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間に、障害の原因となった病気やけがの初診日があることが必要です。

また障害基礎年金は、障害認定日に障害等級表の1級または2級に該当している方が対象です。

障害認定日とは、初診日から1年6ヶ月が過ぎた日、または1年6ヶ月以内に病気やけがが治った(症状が固定された)日のことをいいます。

保険料の納付についての要件もあり、初診日の前日時点に、初診日が含まれる月の2ヶ月前までの被保険者期間で、国民健康保険料の納付済期間と免除期間を合計した期間が3分の2以上を占めている必要があります。

ただし、2026年3月末までは、初診日が65歳未満であれば、初診日が含まれる月の2ヶ月前までの1年間で保険料の未納がなければ、保険料の納付要件は満たしたことになります。

障害厚生年金の受給要件

障害厚生年金の受給要件は、厚生年金保険の加入期間中に障害の原因となった病気やけがの初診日があることです。

保険料の納付要件は前述の障害基礎年金と同じですが、障害厚生年金では障害の状態について、障害認定日に障害等級表の1級から3級に該当している方が対象となります。

なお、初診日から5年以内に症状は治ってはいる(症状が固定されている)ものの、障害厚生年金の受給対象となる状態より軽い障害が残っており、障害等級表で定められた障害状態である場合には、障害手当金(一時金)が支給されます。

障害基礎年金の受給額

障害基礎年金の受給額(令和4年度)は以下のとおりです。

__1級:97万2250円+子の加算額

2級:77万7800円+子の加算額__

__子の加算額:2人までは1人につき22万3800円、3人目から7万4600円

子の要件:18歳になった年度末までの方、および20歳未満で障害等級1級・2級に該当する方__

障害厚生年の受給額

障害厚生年金の受給額(令和4年度)は以下のとおりです。

__1級:報酬比例部分の年金額×1\.25+配偶者加給年金額

2級:報酬比例部分の年金額+配偶者加給年金

3級:報酬比例部分の年金額(最低保障額 58万3400円)__

__障害手当金(一時金):報酬比例部分の年金額×2(最低保障額 116万6800円)

配偶者加給年金額:22万3800円(65歳未満の生計を維持する配偶者がいる場合に加算)__

なお、障害厚生年金の1級・2級に該当する方は、障害基礎年金も合わせて受給できます。

障害年金の認定基準

日本年金機構の「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」には、精神の障害として「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」「気分(感情)障害」「症状性を含む器質性精神障害」「てんかん」「知的障害」「発達障害」が記載されています。

障害の程度についておおまかにいうと、上記のうちで日常生活に常に援助が必要な状態を1級、日常生活に著しい制限を受ける状態を2級、労働に著しい制限を受ける状態を3級としています。3級に該当しない場合で労働に制限を受ける状態は、障害手当金の対象になる可能性があります。

摂食障害で障害年金は受け取れるのか

摂食障害は、前述した障害認定基準にその病名の記載がないため、障害年金支給の対象にはならないと考えられます。

しかし、摂食障害の原因として前述した障害があるケースでは、対象になる可能性があります。

障害年金の認定は線引きがあいまいなこともあるため、日本年金機構の「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」を参考にするとともに、医師や社会保険労務士などの専門家に、自身の状態が障害年金の対象になるのか否かを相談する必要もあるでしょう。

うつ病で障害年金は受け取れるのか

厚生労働省のホームページによると、うつ病は気分障害の1つとされています。

気分障害は前述の障害認定基準に記載されているため、一定の条件を満たせば障害年金を受け取れる可能性があります。

まとめ

ここまで解説したとおり、精神障害のすべてが障害年金の対象になるとは限りません。また、自身が加入している年金制度や障害の程度によって、受給できる障害年金の種類と受給額が変わります。

制度の内容を把握し、受け取り損ねがないように気をつけましょう。

出典

厚生労働省 病院報告(令和4年1月分概数)

日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 8節/精神の障害

厚生労働省 みんなのメンタルヘルス総合サイト うつ病

厚生労働省 みんなのメンタルヘルス総合サイト 摂食障害

日本年金機構 障害年金ガイド 令和4年度版

日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン

執筆者:遠藤功二

1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)

年払いだと5%も割安に! プロが伝授「得する保険の入り方


保険とは、万が一に備えて入るものだが、「入り損」という結果になることが多いのも事実。そこで、「保険は損するもの」という視点で考えた、保険のプロの“結論”を伝授。保険は「入り方」がすべてです――!

 

保険金を受け取るということは何らかの不幸やトラブルが起きたということです。どんなに高額な保険金を受け取っても、それに見合うものではありません。いちばんいいのは、何も起きないこと。この場合、支払った保険料は掛け捨てになることもあります。つまり、得する保険というのはもともとないのです」

 

こう話すのは、長年ムック『よい保険・悪い保険シリーズ』の監修者を務め、“保険のプロ”として知られる長尾義弘さん。

 

「ただ、ここだけの話ですが、お得に保険に加入する方法というのはあるんです」

 

そんな“保険のプロ”だけが知っている得する入り方を、長尾さんに伝授してもらおう。

 

【入り方・1】保険料は年払いにする

 

「保険料には通常、月払い、半年払い、年払いの3通りがあります。年払いにして、いっぺんに1年分をまとめて払うと、3~5%保険料が割安に。一度に支払う金額が高額になるので厳しい家庭も多いでしょうが、可能なら年払いがおすすめです」(長尾さん・以下同)

 

【入り方・2】保険料はクレジットカード払いにする

 

「さらに保険料を銀行の口座引き落としではなくクレジットカード払いにすれば、カードのポイントがつきます。還元率のよいカードで年払いにするのがもっともお得な支払い方でしょう」

 

【入り方・3】生命保険・地震保険の税金控除を忘れない

 

税金の申告をする際に、生命保険と地震保険に加入していれば、年間に支払った保険料に応じた額の所得控除が受けられる。

 

「会社員・公務員の人は、勤務先から年末調整の書類を渡されるので、これに記入して提出すればOKです。自営業の人などは毎年、確定申告をしないといけません。ちなみに’12年1月以降に契約した生命保険では、年間8万円を超えて支払うと、4万円の所得控除が受けられます」

 

地震保険の場合は、保険料が5万円以下の場合は全額、5万円を超える場合は5万円が控除される。

 

「どちらも申告しないと損になりますので、年末調整時や確定申告時に忘れないように注意してください」

 

【入り方・4】無料の付帯サービスをフル活用せよ

 

「保険会社ではいざというときの保険金だけでなく、じつはさまざまな無料サービスを提供しています。サービス名や内容は保険会社によって異なりますが、多くの保険会社が実施しているサービスが次のようなものです。とくに『24時間電話健康相談サービス』は深夜に急に子どもや高齢者の具合が悪くなったときなどに対処法を教えてくれたり、誤飲したときの対処法なども電話で相談できるのでたいへん便利。ほかにも『介護相談』や『人間ドック』の割引に加えて、スポーツクラブやレジャー施設の割引などの優待サービスを行っている保険会社もあります。自分の契約している保険の付帯サービスを確認して、積極的に活用しないと損ですよ」


■保険に加入すると受けられる「無料サービス」一覧

 

〈多くの保険会社が付帯〉

24時間電話健康相談サービス:深夜や土日でも相談ができるので利用価値が高い。
セカンドオピニオンサービス:がんだけでなく、ほかの病気でも受けることが可能。

 

〈保険会社により付帯しているサービス〉

ドクターオブドクターズネットワーク:日本全国の名医を紹介してくれるサービス。なかなか受診できない名医を紹介してくれる場合もある。
メンタルヘルスサービス:心理カウンセラーが電話や面談で、精神的な悩み、心の問題について、相談に応じてくれる。
介護相談:介護の悩みを電話や面談で相談できる。
人間ドック:人間ドックを利用するときに割引が受けられる。
スポーツクラブ・レジャー施設の優待サービス:各施設を利用するときに優待割引が受けられる。

 

【入り方・5】持病がないうちに加入する

 

「持病とひと口に言っても、心臓病から高血圧や糖尿病、高コレステロールで薬を処方してもらっているといったものまでさまざま。がんなどの病気は予期できませんが、40代で体重が増加しているなど、高血圧や糖尿病の予備群という自覚があったら、診断される前に保険に加入することで、保険料を安くすることができます」

 

もしこうした生活習慣病と診断されると、一般的な生命保険や医療保険に加入しにくくなり、「持病があっても入れます」とうたっている引受基準緩和型保険に加入しなければならなくなる。

 

「最近は引受基準緩和型保険で保険料が比較的安いものも出ていますが、それでも通常の医療保険などと比べて1.5倍ほど割高。健康なうちに加入するほうがいかに得かわかると思います」

 

【入り方・6】出産を希望している人は妊娠前に加入する

 

「最近は“妊婦さんでも入れる”保険というのが発売されていますが、出産時のリスクをふまえて、通常の医療保険は妊娠がわかると加入することが難しくなります。これから出産を計画している女性は、実際に妊娠がわかる前に医療保険に加入しておくことで、出産前後の思わぬ医療費の出費に備えることができます。そしてもう出産は考えないという時期に解約してはいかがでしょうか」

 

【入り方・7】禁煙を2年間してから加入する

 

「近年、死亡保険や医療保険には『リスク細分型保険』といって、健康であれば、保険料が割引になるサービスがあります。『健康』の条件は保険会社で異なりますが、代表的なものを見ると、非喫煙で血圧、BMIが基準内であれば、保険料が半額になる商品も。非喫煙の条件は通常、禁煙期間は2年間(1年間という保険もある)。がんばって禁煙を2年間できれば、契約内容は同じで安い保険料で加入することができ、お得です」

 

こんなにあった得する保険の入り方。ぜひ保険の新規加入や見直しの際に活用してみよう。

 

【PROFILE】長尾義弘

ファイナンシャル・プランナー。「お金」をテーマに幅広く執筆し、『NEWよい保険・悪い保険2022年版』(徳間書店)の監修などで活躍

【在職老齢年金】4月の年金制度改革で「47万円」がポイントに 支給停止基準緩和の詳細と計算式を解説


60歳以降も会社員などで厚生年金に加入しながら、老齢厚生年金を受給している方がいらっしゃいます。

このように厚生年金に加入しながら受給する老齢厚生年金在職老齢年金といい、 給与や賞与の額と年金の受給額の合計が一定以上になると、全部または一部の年金が支給停止となるのです。

2022年4月からの年金制度改革による法改正により、60歳から65歳未満の在職老齢年金の支給停止になる基準が変更になりました。

今回は、この年金制度改革での見直しにより有利になった在職老齢年金について、分かりやすく解説していきます。

2022年4月から在職老齢年金がどのように変わったのか

在職老齢年金は、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が一定額を越えると、年金額の一部または全額が減額されます

2022年3月までの在職老齢年金の支給停止基準は、60歳から65歳未満の在職老齢年金と、65歳以上の在職老齢年金で計算の仕組みが異なっていました。

もちろん、65歳以上の在職老齢年金の支給停止基準よりも、60歳から65歳未満の在職老齢年金の支給停止基準の方が厳しかったのです。

しかし、2022年4月からの年金制度改革により、60歳から65歳未満の在職老齢年金の支給停止基準が、65歳以上の在職老齢年金と同じになりました。

すなわち、現在の在職老齢年金の支給停止基準は、年齢にかかわらず同じです。

在職老齢年金の支給停止基準額の計算式

在職老齢年金は、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額に応じて、年金額が以下のように支給停止されます。

老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下の場合

年金額は減額されず、老齢厚生年金は全額支給されます。

老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超える場合

支給停止額(月額) = (基本月額+総報酬月額相当額-47万円) × 1/2

支給停止基準額の基になる基本月額とは、老齢厚生年金の年額を12で割った金額です。(加給年金は除く)

総報酬月額相当額とは、 標準報酬月額に、直近1年間の賞与額を12で割った額を足した金額です。

このように、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下なのか、47万円を越えるかによって、老齢厚生年金が減額されるのか、減額されずに全額受給できるかが変わってきます。

厚生年金に加入しながら、老齢厚生年金を受給している方が、年金額を減額されないためには、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を越えるかがポイントになります。

そのため、合計額が47万円を越えないように働くのも、1つの方法です。

制度改正で年金額が増えた人も多い

2022年4月からの年金制度改革による法改正により、年齢により異なっていた在職老齢年金の支給停止になる基準がなくなりました。

このことにより、60歳から65歳未満で在職老齢年金を受給していた方は、支給調整される基準がゆるやかになったため、年金額が増えた方も多くいるのです。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)

「老後貧乏」に陥らないために!大事な考え方3つ


老後貧乏に陥らないためには、どのような考え方を持つとよいのでしょうか。今回は、運用のノウハウやお金の貯め方ではなく、考え方についてお話しします。

その1:お金が足りないことをポジティブにとらえる

30代、40代の人たちが将来、受け取ることのできる公的年金は、減ってしまう傾向にあります。それゆえ、セカンドライフの生活資金を公的年金だけに頼るのはNG。年金が足りないと思うと、不安が募る人も多いのではないでしょうか。

まずは毎年、誕生月には「ねんきん定期便」が送られてくると思いますので、最低限、確認してください。「ねんきん定期便」に書かれている金額ではまったく足りないと思うかもしれませんが、いくらもらえるのかがわかります。年金の不足分を貯めればいい、とポジティブにとらえることが大切です。

また、住宅ローン等の負債があり、将来お金が足りなくなりそうという不安がある場合は、今のうちに、どうすればいいのかを考えておきましょう。なるべく早く完済する方法を考え、必要以上に借り入れを増やさないことが大事です。負債額が減ってくると不安も減ってきて、前向きに考えることができるようになります。

その2:健康を意識した生活を送る

リタイアメントプランなどを立てて、将来に備える人は少なくありません。ただし、その中で金額として見積もりにくいのが病気にかかってしまったときの出費です。

よく、「イザというときのためにお金を貯めている」という人がいますが、貯まったお金を切り崩すのには勇気が必要になってきます。若いときよりも年齢を重ねた方が病気になるリスクは高まってきますが、将来の病気にかかるお金を意識してしまい、「いま」を楽しめないのはナンセンスではないでしょうか?

病気などのイザに備えるためには、医療保険や介護保険を活用して保険で安心を買うのも一つの方法だと思います。

保険はできるだけシンプルにする風潮がありますが、必要以上に減らすのは危険です。医療保険に入れば、死亡時や病気、ケガしたときに保障が得られます。老後の医療費を保険でカバーするとしても、その保険料は「いまを楽しむための投資」と考えればいいのではないでしょうか。

そして、健康を意識した生活を送りましょう。食生活を見直すことも大切ですが、長く続けられるスポーツを始めるのもいいかもしれませんね。

趣味にお金を使うのは無駄に思えるかもしれませんが、健康維持のためのスポーツへの費用なら、病気にかかってからお金を使うよりも楽しんで使えますし、長い目でみると有意義な投資になるハズです。

その3:将来に備えた人間関係を構築する

お金を持っていても、老後貧乏になってしまうケースは考えられます。それはネットワーク、人間関係がまったく構築されていない場合です。

年齢を重ねるとできることは限られてしまいますし、誰かに頼りたいことも増えてきます。もちろん、近くに家族が住んでいれば助けてもらえるかもしれませんが、近くにいないときには、自分で考えて行動しなければなりません。

男性で多いのですが、現役のときには仕事関係の人としかつきあわず、セカンドライフを迎えたときには、自分の周りには頼れる人や仲良く過ごす人が1人もいない……というような人は要注意です。

お金と人間関係は、遠いように思うかもしれませんが、サービスはお金で買える時代とはいえ、長年のつきあいのある人たちに助けてもらうのとは意味が違ってきます。また、友達同士や気心の知れた相手、普段からつきあいがある人と、さまざまなことを経験をすることで、セカンドライフが豊かになるものです。

年齢を重ねるほどに、友達作りは難しくなります。今のうちから仕事以外でつきあいのできる人を作ってみましょう。

文:飯田 道子(ファイナンシャルプランナー)

金融機関勤務を経てFP(CFP、1級FP技能士)を取得。独立系FPとして、各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などを行っている。金運アップやポジティブお金など、カラーセラピーと数秘術を取り入れたアドバイスも得意。

定年退職後の生命保険、どうやって考える? 想定すべきリスクとは


定年退職後に生命保険を見直すべき理由

定年退職後には、収入の減少や子どもの独立などライフスタイルが大きく変わります。また、年齢を重ねて健康面で変化を迎えるときでもありますので、これまでとは異なる生命保険で、健康面のリスクに備えておきたいものです。

ここでは、老後を迎える前に知っておきたい、定年退職後に生命保険を見直すべき理由について紹介します。

入院受療率が上がる

定年退職後は加齢によって体力が落ち、病気やけがのリスクが高いです。厚生労働省の「平成29年(2017)患者調査」によると、65歳から入院受療率が上がり、そのなかでも75歳からは急激に上がることが分かります。

入院によって金銭的負担が大きくなってしまうと、生活を圧迫してしまうこともあります。万が一のリスクに対応できるよう、老後の入院費などをカバーできる生命保険で備えておきましょう。

介護で公的保険を超える負担も想定される

定年退職後しばらくすると、介護が必要になることも想定しておいたほうがよいでしょう。

日本では40歳に達したときから介護保険への加入が義務付けられていて、必要に応じて給付を受けられます。しかし、公的介護保険は現物給付であり、介護の度合いによって負担割合や支給限度額が定められています。もし公的介護保険以外の介護サービスを平行して利用するならば、負担が高額になることも少なくありません。

そのような介護の負担に備えられるよう、介護への備えができる保険への加入を検討してみてください。

定年退職後のリスクと必要となる生命保険の内容とは

定年退職後には現役で働いていたころとは異なる内容の、さまざまな健康上のリスクが想定されます。老後に健康上のリスクとなりやすい内容に合わせて生命保険を見直して、対策するのが望ましいです。

ここでは、定年退職後に多くの人に起こることが想定されるリスクと、老後のリスクに対応できる生命保険について見ていきましょう。

入院や手術に備える生命保険

上記のとおり、厚生労働省の「平成29年(2017)患者調査」で、定年退職する年齢のころに入院受療率が上昇することから、病気やけがのリスクが上がることが分かります。

70歳以上になると健康保険の負担割合が下がりますが、入院が長引くなどの理由から、負担が大きくなることも多いでしょう。また、入院に必要な費用のなかには、差額ベッド代など健康保険の対象とならないものもあります。

このような公的保障で賄えない部分を補い負担を少なくするために、生命保険で備えておきましょう。

介護や認知症への補償を想定した生命保険

高齢になると介護が必要になることや認知症になってしまうリスクもあるでしょう。そうなった場合、想像以上に負担が大きくなることも多いので、介護が必要となるときのために備えておきましょう。

ただし介護や認知症に備える保険は、加入できる年齢の上限に気をつけてください。

死亡保障は死亡後に必要な金額を賄える金額に見直す

定年退職後には、子どもが就職して子育てが一段落している人も多いです。そのため、現役世代のような高額の死亡保障は必要ありません。そこで、死亡保障を下記の支出に対応できる金額に抑えられるよう見直しましょう。

__●葬式代

●配偶者や家族の生活費

●相続対策(相続税など)__

死亡保障の金額を下げれば、保険料の負担を抑えられるので、その分介護や医療への備えに回すということもできます。

定年退職後の生命保険は老後に必要な内容に見直そう

定年退職後に生命保険の見直しが必要な理由は2つあります。1つは高齢になると入院受療率が上がる点、もう1つは介護で負担が大きくなることが想定される点です。

どちらも公的な保険は利用できますが、カバーしきれない部分もあります。そこで、いざというときに備えられるよう、早めに生命保険を見直すとよいでしょう。

生命保険を見直す際、入院費の備え、介護や認知症への備えができるものを選ぶとともに、死亡保障の見直しも必要です。自身の葬式代や家族の生活費、相続対策に必要な支出をカバーできるよう、金額を見直してみましょう。

出典

厚生労働省 医療費の自己負担 医療費の一部負担割合について

厚生労働省 第67回 社会保障審議会介護保険部会資料 参考資料1 利用者負担

厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム サービスにかかる利用料

厚生労働省 平成29年(2017)患者調査の概況 受療率

公益財団法人生命保険文化センター 公的介護保険で受けられるサービスの内容は?

協会けんぽ 高齢受給者証

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

年金の額が同じでも、住む場所によって手取りが変わるって本当?


年金の平均受給額

厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和2年度の老齢厚生年金(厚生年金)の平均受給額は月14万6145円です(国民年金含む)。

また、老齢基礎年金(国民年金)受給者の平均受給額は5万6358円でした。近年の老齢厚生年金(国民年金含む)の平均受給額は、図表1のとおりです。

【図表1】

出典:厚生労働省 令和元年度、令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況

上記のとおり、老齢厚生年金の平均受給額は14〜15万円程度になります。

年金から引かれるもの

老齢厚生年金や老齢国民年金の振り込まれている金額は、額面から住民税や国民健康保険料などの税金や保険料が天引きされた金額です。

年金は老後生活を支える大切な収入となりますので、年金からどのような税金・保険料が天引きされるのか把握しておく必要があります。ここでは、年金から引かれる税金や保険料について見ていきましょう。

所得税

次のような場合、年金に対して所得税がかかります。

__

・65歳未満で年金収入が108万円以上ある

・65歳以上で年金収入が158万円以上ある

__

基礎控除(48万円)と公的年金等控除(65歳未満、130万円未満:60万円、65歳以上、330万円未満:110万円)があるからです。そのため、65歳未満の場合は年金が月額9万円、65歳以上の場合は月額13万5000円までの方は所得税がかかりません。

住民税

65歳以上で老齢基礎年金の老齢年金・退職年金を受給していて、年間の受給額が18万円以上の場合は住民税が天引きされます。

住民税は、所得割額と均等割額で構成されており、年金収入から公的年金等控除額や社会保険料控除額などを差し引いた金額に住民税率を掛けて、調整控除額を引いて所得割を求めます。均等割は一律の金額です。

国民健康保険料

65歳以上75歳未満で老齢基礎年金の老齢年金・退職年金、障害や死亡を理由とする年金を受給していて、年間の受給額が18万円以上の場合は国民健康保険料が天引きされます。

国民健康保険料は、医療分(基礎賦課額)、支援分(後期高齢者支援金等賦課額)、介護分(介護納付金賦課額)を合算して算定される仕組みです。所得割額と均等割額で構成されており、計算方法や料率は市区町村で異なります。なお、75歳以上になると後期高齢者医療保険料へと移行します。

介護保険料

65歳以上で老齢基礎年金の老齢年金・退職年金、障害や死亡を理由とする年金を受給していて、年間の受給額が18万円以上の場合は介護保険料が天引きされます。

65歳以上の方は第1号被保険者です。介護保険料は、基準額に所得で段階的に設定された割合を乗じ、算定します。段階や基準額などは市町村ごとに条例で定められています。例えば、東京都大田区では、1〜17段階まであり、基準額×0.25〜3.55が介護保険料です。

後期高齢者医療保険料

後期高齢者医療制度は、75歳以上の方や一定の障害がある65歳以上の方を社会全体で支える仕組みです。

75歳以上または65歳以上75歳未満で後期高齢者医療制度に該当し、老齢基礎年金の老齢年金・退職年金、障害や死亡を理由とする年金を受給していて年間の受給額が18万円以上の場合は、後期高齢者医療保険料が天引きされます。

後期高齢者医療保険料は所得割額と均等割額で構成されています。東京都内の所得割額は所得金額×9.49%、均等割額は被保険者1人あたり4万6400円です。

住む場所で社会保険料が異なるため年金手取り額も変わる

老齢厚生年金や老齢基礎年金は額面から税金や社会保険料が天引きされます。

まず、住民税は住んでいる場所により異なる場合があります。国民健康保険料・介護保険料・後期高齢者医療保険料も、住んでいる場所によって料率や基準額が異なります。そのため、年金の額面は同じでも、住んでいる場所によって手取り額に差が生じます。

社会保険料が安い地域に住めば、年金の手取り額を増やすことが可能です。これから引っ越しの予定があり場所が決まっていない方は、このことを参考にしてみてください。

このように、住んでいる市町村によって年金の手取り額が異なるということを知っておくのもよいでしょう。

「親の老後資金が不安!」40~50代の子どもが知っておくべき「公的制度と備え」について


65歳以上の貯蓄金額の平均

厚生労働省の国民生活基礎調査(令和元年)によると、1000万円以上の貯蓄がある高齢者世帯は、全体の33.8%でした。一方、貯蓄がない、もしくは100万円未満であると答えた人の割合は、全体の20.9%に上ります。高齢者世帯の5分の1は、老後の資金が不足しているといえるでしょう。

老後の生活資金が厳しい場合の公的制度

老後の生活資金が不足する場合は、公的制度を利用することも検討しましょう。高齢者が受けられる公的制度は、主に生活保護制度と高額医療・高額介護合算制度の2つあります。

生活保護制度

生活保護制度は、生活するお金に困っている人に対して支援を行うことで、「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」(厚生労働省)ための国の制度です。生活保護を受けるためには、貯蓄がある人や不動産や土地を持っている人は、まず売却して生活費を賄わなければいけません。ほかにも、扶養義務者になる子どもからの援助が受けられる場合は、受給の対象外になります。

生活保護制度の扶助内容は、困っている内容に応じて、生活費が不足する場合の生活扶助や、賃料の支払いの困った場合の住宅扶助などがあります。制度を利用するためには一定の基準を満たす必要があります。利用を検討している方は、住んでいる地域の福祉事務所で一度、相談してみましょう。

ただし、生活保護を受けていると入居できる老人ホームが限られてくるほか、年金を受給している場合は生活保護が減額されるなどの制約があるため注意しましょう。

高額医療・高額介護合算制度

医療費や介護費が負担になっている場合は、高額医療・高額介護合算制度が利用できるかもしれません。これまでは医療費の自己負担上限枠と介護費の自己負担上限枠がそれぞれ別に設定されていたのに対し、合算することで利用者の負担を軽くできるのが特徴です。

医療保険者と介護保険者の双方が、自己負担額の比率に応じて費用を負担します。介護保険者は市町村にあたるため、自治体の保険年金課保険係に相談してみましょう。

親が老後の資金不足にならないための対策

老後資金が尽きないよう、事前に備えて欲しいと考える人も多いでしょう。親の老後資金が不安な場合、老後を迎える前に行える対策例を紹介します。

任意後見制度を利用

今は親が元気だが将来に不安があるという方は、「任意後見制度」の利用を検討しましょう。任意後見制度とは、現在は判断能力に問題ないものの、将来的に認知症や障害など自己判断能力が低下したときに備えて、代わりに契約行為などを行う人を選任しておく制度です。親が健康なうちに任意後見人指名することで、親が認知症になったときに銀行管理や不動産売却、遺産分割などを行えるようになります。

親が任意後見人を選任することで、事前に親の財産を把握でき、老後、判断能力の低下した親が財産を使い込まないよう管理できます。また、資金が足りないときは資産の売却を行うことができます。

介護施設への入所手続きや病院の入院手続き、介護保険の契約などは、本人または任意後見人である必要があります。事前に任意後見人を選任しておくと安心です。

資産運用をすすめる

年老いた親が生活資金不足に陥る前に、少しでも早く資金の用意を進めておきましょう。貯蓄だけでなく、iDeCo(イデコ)や投資信託など、資産運用の話をするのも有効です。始める年齢が遅ければ遅いほど、リスクの小さい商品を選ぶことになるため、なるべく早く資産運用を始めましょう。

老後資金について話し合って備えよう

40代、50代の方にとっては、親が老後に直面する問題が深刻化してきます。中でも生活資金は、子どもである自身の生活にも関わってくるため、事前の対策や公的制度を把握しておくことが重要です。一度親と話し合い、対策を練っておきましょう。

出典

厚生労働省 国民生活基礎調査(令和元年)の結果から グラフでみる世帯の状況

厚生労働省 生活保護制度

厚生労働省 高額医療・高額介護合算療養費制度について

厚生労働省 任意後見制度とは(手続の流れ、費用)

執筆者:丸山希

2級ファイナンシャルプランニング技能士

“幸福な80代”を迎えるために「老後資金1000万円」を確保する方法


 転倒による骨折や配偶者の介護──たとえ健康な体を保つために努めていても、いつ何が起きるかわからないのが80代だ。日本の平均寿命の最新の統計を見ると、女性は87.74才、男性も81.64才と過去最高を更新している。人生100年時代を考えると、「先立つもの」が強い味方になるだろう。

【表】歳を重ねるほど経験を生かして稼げるバイト一覧

 人生の終盤の過ごし方「ラストプランニング」の専門家として多くの高齢者の相談に乗るファイナンシャルプランナーの岡本典子さんが言う。

「幸福度の低い80代に共通するのは強い不安感です。老いや孤独への不安は解決が難しいですが、経済的な悩みであれば老後資金を備えておくことで解消できますし、経済的な不安がなくなることで老いへの不安が軽減される人も少なくない。80代をどう過ごすかは人それぞれでしょうが、最低でも80才時点で、夫婦でいざというときのために1000万円の老後資金を確保しておきたい」

 ファイナンシャルプランナーの澤木明さんも「80才時点で、1人あたり1000万円の預貯金が目安」と話す。

「2019年に金融庁が、65才時点で2000万円必要だと発表しましたが、この金額には介護資金は含まれていません。80才になれば、介護費用を考えておく必要があります。在宅と特別養護老人ホームなら1000万円が目標です。実際、私は母の介護費用に1000万円かかりました。これくらいの預貯金があれば子供に負担をかけず、自分も安心して過ごすことができます」(澤木さん)

第二の財布が心の安定を作る

 確かに、1000万円の貯蓄があればゆとりある心で80代を迎えられるだろう。しかし、そこに至るまでの長く険しい道のりはどうしたら乗り越えられるのか。岡本さんは「貯蓄体質」の大切さを力説する。

「少額であっても、毎月一定の額を貯金することから始めてほしい。現役時代から毎月天引きで積み立てていくのが理想ですが、55才から始めたとしても20年間しっかり貯蓄すれば75才時点でまとまった額が手に入ります。投資であれば最長20年までの運用益が非課税になる『つみたてNISA』がおすすめです」(岡本さん・以下同)

 岡本さんは定額の積み立てと並行して、普段の収支は2つの口座に分けて管理することを推奨する。

「『毎月の収支用』と『いざというときの備え用』の2口、口座を作ってください。年金などの収入や、食費や光熱費などの支出は、前者の口座でしっかり管理する。それとは別に、若い頃から貯めてきた金融資産や退職金は“第二の財布”として運用する。病気の治療費や家のリフォーム代、家電の買い替え費用や趣味に使うお金などは、ここから出してください。この口座を充実させることで、気持ちに余裕が生まれます。いざというときに自由に使えるお金があるという安心感が、心の安定につながるのです」

老後に収入を増やすための“ちょい働き”

 資産の運用と並行して、収入を増やす方法も模索したい。澤木さんは老後の“ちょい働き”をすすめる。

「60才から70才までアルバイトをして月8万円、年収100万円近く稼ぐことができれば、10年で約1000万円を貯めることができます。コンビニやレストラン、ファストフード店など高齢者を積極的に採用している職場は少なくない。働くことで貧困を防げるうえ、人と接するので孤独にもならない。生活のリズムもできて健康にもいい。人生の3大不安要素である貧困・孤独・病気を解消できます」(澤木さん)

 実際に、仕事を持っている高齢者ほど幸福度が高いという研究データもある。

 自身のスキルを生かし、仕事を通じて社会貢献することは80才を超えてからの人生に大きな影響を与える。そのことを身をもって体現するのが、87才で現役最高齢アナウンサーの押阪忍さんだ。

「家で原稿を読んでくるから、スタジオに入ったら即本番。それがぼくのプロ意識です」

 明朗な声でそう話す押阪さんは、74才で大腸がん、82才で腹部大動脈瘤と2度の大病を経験したが、見事回復し、メインパーソナリティーを務めるラジオ番組『ワンポイント・フィットネス』は、今年30周年を迎える。

「特にがんになったときはショックを受けましたが、早く仕事に復帰したい一心で、“何くそ、負けないぞ”と思いながら懸命に治療しました。仕事のスケジュールに穴をあけたくなかったから、がんも大動脈瘤も、手術をしてすぐに復帰しました」(押阪さん・以下同)

 87才の現在も、一日でも長く現役を続けるために、食や運動にも気を配っている。

「1日3食摂りますが、油っこいメニューは控えて、腹八分目を心がけています。たんぱく質を摂取するために1日1回は豆腐を食べるようにしています。散歩は毎日コツコツと、1日3000歩を目標にしています。植物が好きなので、道ばたに咲いた花を見るのが何よりも楽しい。皆さんも少しの時間でもいいから外に出て、四季に触れてみてください」

 仕事のための努力によって「80才の壁」を越えることができるのだ。

※女性セブン2022年6月2日号

50、60代からの老後資金準備。「出費のコントロール」で差がつく


老後の暮らしで不安なことは? と聞かれて、「お金」と答える方も多いのでは? 50~60代にもなると、すぐ目の前に迫りつつある老後のお金問題…。まずはどんなことから手をつけたらいいのでしょうか? 今のうちからやっておきたいことを、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに聞いてみました。

老後のためのお金の使い方。出費をコントロールする習慣を

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老後のお金を計画的に使うためにも、習慣づけておきたいのが出費の記録。

「家計簿は手間」という人へのおすすめが、畠中さんが考案された「貯金簿®」です。また、老後の思わぬ“落とし穴”になりがちな特別支出に関しても計画的に備えましょう。

●貯金簿®で資産を管理する

出費の管理に、今すぐ始められて老後もずっと役に立つのが下の表の「貯金簿®」。

© ESSE-online

「貯金簿とは預貯金や投資商品、住宅ローンの残高などを一覧にしたもの。3か月に一度、残高を更新して、増えていればOK、減っていればすぐ出費を見直す対策がとれます。貯蓄の増え具合で準備できる老後資金を予想したり、リタイア後は減り具合に敏感になって老後破産を防ぐ効果も」

●特別支出の使いすぎを防ぐ

年金生活はボーナスがないため、固定資産税などの特別支出は貯蓄から出すことになります。

「無計画に使うと貯蓄がどんどん減ってしまうので、今から特別支出を記録して必要な額を把握して。義理だけのお中元やお歳暮は退職を機にやめるなど、出費を見直すことも大切です」

【見落としがちな特別支出と備え方】

<医療費>先進医療希望の人は、費用準備がマスト

高齢になると発症しやすいのが白内障や歯槽膿漏など。多焦点レンズの手術やインプラントの費用を見積もって準備しておくと安心。

<家電・クルマの買い替え>買い替え時期を予想し、計画的に備える

家電は種類ごとに購入年と金額をリスト化し、クルマは何歳まで乗るかを考えて逆算して、それぞれの買い替え時期と必要な資金を予想。

<住宅リフォーム>リフォームする場所ごとに予算を立てる

キッチンやトイレの取り換え、一軒家なら外壁の補修なども必要に。いつ頃、いくら必要か見積もって備えておくと安心。

<介護>自宅か施設か、方針を決めて介護に備える

最期まで自宅か、高齢者施設に移るか、方針を決め、必要な費用を準備。施設入居希望なら、元気なうちに見学に行くのもおすすめ。

<子どもへの援助>子ども1人あたりの額を決めておく

結婚や家の購入で援助するなら、1人あたりいくらと決めて備えて。無計画な援助で子ども同士に差が出ると、トラブルになるので注意。

●住宅ローンの残債はどうするべき?

残債が多い人は、退職金で完済すると老後資金が乏しくなりがち。

「退職前に、繰り上げ返済や返済額増額で軽減しましょう。月の貯蓄額が5万円なら、老後資金の貯金は2万円に、残り3万円は繰り上げ返済用の貯金や返済額の増額に回して」

お金の管理は苦手…という声もありますが、使えるお金を知っておくことと、いざというときの備えだけは万全にしておくと、老後の安心感が違います。今回の記事を参考に、ぜひ家計の見直しをしてみてください。

こんな人は要注意!「老後破産」に陥りやすい人の特徴


「老後破産」しやすい人の特徴とは?

“老後資金は、最低でも3000万円必要”――。そんな定説が語られていますが、必要な額は人によってさまざま。老後を考えるには、まず自分にとっての必要額をざっくり見積もることが大事です。

ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに、シンプルな見積もり方法から「老後破産」を防ぐスキルまで、老後の描き方を指南してもらいます。

* * *

――“まとまった老後資金が貯められそうもない”と不安に陥る人にとって、「老後破産」は現実味を帯びた言葉となっています。実際、「老後破産」しやすい人には、どういった特徴があるのでしょうか?

畠中さん:まず、「3000万円以上の貯金がないから老後破産する」ということではありません。逆に、3000万円から5000万円くらいの貯金は、ちょっとのミスでお金が底をつくということもあり得ます。子どもや孫にどんどんと使ってしまう人などはその典型ですね。

逆に、老後資金はそんなに貯まっていなくても何とかなる人は、柔軟に老後を考えられる人です。コンパクトな暮らしに移行するには、これまでと価値観を変える必要がありますが、こだわりが強すぎると難しい。

住む場所にしても、“この家以外絶対にダメ”とか“介護は絶対家じゃないと”など譲れないことが多い人は、お金があっても駄目になることもあります。

――「老後破産」を避けるには、柔軟性をもって現実に対応していく力が必要だということですね。そのほか、踏まえておくべきスキルがあれば教えてください。

畠中さん:自分に合った情報を集めるスキルも欠かせません。料理ができない人が良い素材ばかりを集めたところで宝の持ち腐れになるのと同じで、自分の力量に見合った情報をキャッチする。

今はインターネットでいくらでも情報が得られる便利な社会ですが、だからこそ情報の海で溺れている人も少なくありません。

とにかくたくさんの情報を持ってきたものの、逆にどうしたらいいか分からなくなってしまうというのは、特に若い方に多くみられます。自分に必要な情報を的確に取りに行くという能力は、特に老後には重要です。

どう暮らしたいか、どこまで許容できるのかを決めておく

――“一般的な例”ではなく、“自分に見合った情報”をキャッチするスキルを身に付ける。そのためには、自分の状況をしっかり把握して、どんな風に暮らしていきたいかをイメージしておかなくてはいけませんね。

畠中さん:だからこそ、まずは自分の暮らしで“いくら赤字が発生するのか”を算出しておくことが大事なんですね。そして、どう暮らしたいか、自分はどこまで許容できるのかを決めておく。そうなれば取捨選択もしやすいですし、持っているお金が少なくてもなんとかなるケースが多いんです。

どうしたいのか選べないという人は、“どっちが嫌か”で考える。人は「どっちがいいですか?」と聞くと決めきれないけれど、「どっちが嫌ですか?」と聞くとすんなりと決められるものです。

――今後、さらなる高齢化社会が進み、生涯未婚者も増えていくといわれます。“超高齢化社会&おひとり様増加”で、時代のニーズに合ったサービスも出てくるでしょうか。

畠中さん:もちろんそう思いますよ。いつの時代も、その時代背景に合った現実的なサービスが生まれています。

例えば、私が初めて高齢者施設の見学を行ったのは、2002年です。当時は、入居費用が高額で家を売らないと入りにくかったのですが、今は入居一時金ゼロのプランを提示しなければいけないことになっているので(東京は例外規定)、家を売らなくても入れるところだらけに変わっています。

さらに数十年後には、その時代に生きる人に合わせた価格帯に変わってくるでしょうね。ですから、今の制度だけで全てを考えて不安になりすぎないことです。

葬儀にしても、ずいぶん変わりました。一般的な葬式代は平均200万円といわれていますが、なかなか準備できない人もいます。

例えば、「サン・ライフ・ファミリー」や「あんしん少額短期保険」のような少額短期保険会社なら、自分の葬儀まで行ってくれる契約が可能ですし、金額に応じた葬儀をしてくれる。こうしたサービスなども知っておくと、おひとり様で老後を迎えるにしても安心ですよね。

自分がどう生きたいのか、そしてどういう最期を迎えたいのかまでイメージして調べておけば、かかるお金も分かるし、必要なお金も分かります。

教えてくれたのは……畠中雅子さん

ファイナンシャル・プランナー。大学時代からフリーライターとして活動し、出産後にマネー分野を専門とするライターとなりFP資格を取得。新聞・雑誌・WEBなどに多数の連載やレギュラー執筆を持つとともに、セミナー講師、講演などを行う。「教育資金作り」「生活設計アドバイス」「住宅ローンの賢い借り方、返し方」「オトクな生命保険の入り方と見直し方」などのテーマを得意としている。

生涯独身で過ごすために必要な金額は?住宅、医療、施設…生活費以外に備えておくべきこと


ファイナンシャルプランナーとして活動する中で、お客様から「もう、このまま独身かもしれないので……」といった相談を受けることが多くなりました。ライフプランのモデルが身近にいないこともあり、誰に相談したらよいかわからないそうです。生涯独身で過ごすことを考えると、高齢者向けの施設や高齢者医療費など、将来に向けてそれなりの準備が必要となりそうです。

増加している未婚率

では実際、どれくらいの方が生涯独身で過ごすのでしょうか。国立社会保障・人口問題研究所が発表している「人口統計資料集(2022)」より、未婚率の推移をみていきましょう。

男性は、1980年に2%台になってから加速度的に上昇傾向となり、2020年には28.25%と4分の1を超えています。女性は男性よりも低いものの、2000年に5%台になってから上昇を続け、2020年の生涯未婚率は17.81%と約2割という結果になっています。男女とも1970-1980年頃に増加がはじまり、2000-2010年頃に急増しました。

また、同研究所の「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」によると、25~34歳男女の独身理由として、「適当な相手にめぐり合っていない」「必要性を感じない」があげられたほか、経済的な理由も多く見受けられました。

未婚率の増加は経済の潮の変わり目や、女性の社会進出など多様な生き方の選択肢が増えていることの現れかもしれません。

生涯独身で過ごすための計画の立て方

あくまでも参考にはなりますが、総務省の「家計調査年報(家計収支編)2020年」によると、2020年の単身世帯における月の生活費は、150,506円というデータがあります。いつまでどのように働くかにもよりますが、65歳から90歳まで同じ生活水準を維持しようとすると、約4,500万円の資金が必要となります。国からの受け取れる年金は一人ひとり違うので、手持ちの資産と老後のためにいくら不足しているかを計算し、生活を維持していけるよう計画を立てましょう。

老後の生活を考える上で、固定費としての支出も大きく、住み替えなども難しくなってくる住まいの確保は、慎重に検討すべき項目のひとつになります。また、再雇用や年金の受け取り方法、セカンドライフに入ってから亡くなるまでのライフイベントや、病気で入院したり、介護施設に入るなど不測の事態への備えを盛り込むべきです。

住宅購入を検討する場合は、病気や介護で一時的に働けなくなったことを想定し、頭金を払っても1〜2年は収入が減っても対応できるよう、数百万円単位で貯金が残るか、また返済期間中も将来必要な資金に向けての貯蓄を続けられるか、定年時に退職一時金で完済もしくは、65~70歳まで働くことができるかなどを踏まえてマネープランを検討していきましょう。

「殖やすお金」はどう作る?

最近、資産を運用して「殖やす」ことに目を向けた資産形成に注目が集まっています。急速な少子高齢化の進行により、年金、医療、介護等の社会保障制度が薄くなっていくなか、自助努力の準備はかかせません。

投資を検討する上で考慮すべきことは、「最終的にいくら手元に残るのか?」です。殖やすことはもちろん、手数料や税金など手元から離れていく内容についても理解しておくことがポイントになります。そこで、運用で得た利益に対して税金がかからない「つみたてNISA」を選択肢としてご紹介します。

株や投資信託など、お金に働いてもらったことで得られる利益からは、通常20.315%の税金が引かれます。低金利のため、あまり意識することはないかもしれませんが、預貯金の利子からも20.315%の税率が引かれています。例えば、普通預金口座で10円利息が付いたとしても、約2円引かれて、手残り約8円となります。それに対してつみたてNISA口座は、得た利益に対して税金がかからない非課税口座となります。

参考までに実際に運用したら、税金はどのくらい引かれてしまうものなのか、グラフにまとめました。

生涯独身で過ごすために必要な金額は?住宅、医療、施設…生活費以外に備えておくべきこと
© MONEY PLUS生涯独身で過ごすために必要な金額は?住宅、医療、施設…生活費以外に備えておくべきこと

筆者作成

増えた分以上に引かれることはありませんが、せっかくリスクを取って得られた利益から、増えれば増えた分だけ多くの税金が引かれてしまいます。つみたてNISA口座は、年間40万円、月約3.3万円の積立ができ、最長20年が非課税期間となり、税金が引かれませんので、効率よくお金を残せることになります。

貯蓄から資産形成へ

超低金利環境が長引いた結果、預金では資産が増えることはなく、欧米諸国との金融資産格差が大きく拡大してしまいました。下図は、米国、英国、日本における個人の金融資産残高の推移になります。過去20年でこれほどまで差がついてしまいました。

出所:金融庁「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議」説明資料(平成29年2月3日)より
© MONEY PLUS出所:金融庁「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議」説明資料(平成29年2月3日)より

資産が増えないことは、国民生活が豊かにならないうえに、財布のヒモがしまることで経済全体を停滞させる要因となります。そこで、先述のNISAやiDeCoといった税制優遇制度を通して「お金が手元に残りやすい仕組み」を準備することで、預貯金に偏っている家計資産が投資性の資産に動いていくことが期待されています。

しっかりライフプランを考え、実現のために資産形成を進めていけば、例えライフプランと違う選択をすることになった場合でも、それに合わせて計画を立て直すこともできます。どのように生きていきたいかで選択肢はさまざま、備えあれば憂いなしですね。

女性の老後リスク「少ない年金」「長生き」「介護」。老後生活安定のため<年金増額>を実現する3つのポイントとは


厚生労働省の発表によれば、2020年の日本人の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳。その男女差は6.10年となり、前年より0.06年広がりました。つまり、女性の多くは「おひとり様」になる可能性が高いと言えるのかもしれません。しかし老後を支える柱の一つ「年金」の受給額を考えれば、男性より少ないケースも見られ、女性ほど老後資金は不足しがちとも言えます。お金にまつわる情報を発信しているファイナンシャルプランナー・長尾義弘さんによれば、年金の受給額を増やすために気を付けるべきポイントが3つあるそうで――。

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【図】長寿時代に合った老後資金準備法は「貯蓄」「年金」、どっち?

老後のお金に関しては女性のほうが高リスクと言えるワケ

「人生100年時代」と言われ、みんな長生きをする時代になりました。この傾向は女性も男性も一緒です。

しかし、老後に関しては、女性のほうがより問題は大きいといえます。なぜなら、男性に比べて多くのリスクが待ち受けているからです。

主な要因として、次の3つがあげられます。

●年金が比較的少ない

●男性より長生き

●健康寿命と寿命の差が大きい

もちろん、これらは男性にも降りかかってくる問題ではあります。ですが、リスクが高いぶん、女性はいっそう念入りに準備しておく必要があるのです。

こうしたリスクに対処するためのキーワードは「お金」です。備えが足りないと、長い老後を苦しい状態で過ごすことになりかねません。

リスク(1)受け取れる年金額がそもそも少ない

高齢になれば年金がもらえます。では、いったいどのくらいの額を受け取れるのでしょうか。

女性の厚生年金の平均受給額は約11万円です。それに対して男性は約17万円。約6万円もの開きがあることに驚いたかもしれません。

その理由は、出産や育児のために、女性は仕事に就いている期間が短いことがひとつ。さらに、そもそも男性に比べて平均賃金が低いのです。厚生年金の受給額は加入期間や収入によって変わりますから、受け取る年金が少なくなってしまうわけです。

さらに、ずっと専業主婦だった人は基礎年金だけになります。基礎年金の受給額に男女格差は少ないものの、女性の平均受給額は約5万円です。

夫婦の年金を合わせればなんとか生活できますが、一人になったあとはかなり厳しいと思います。というのも遺族年金は、夫の年金が丸ごと入ってくるわけではないからです。

一般的に女性の年金は少ないのが現状です。「年金があるから老後は大丈夫」などと思っていると、痛い目に遭うかもしれません。

リスク(2)男性より長生きする確率が高い

2020年の平均寿命を見ると、男性は81.64歳、女性は87.74歳です。女性のほうが6年ほど長く生きています。これが何を意味するかわかるでしょうか。

『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(著:長尾義弘/河出書房新社)
© 婦人公論.jp『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(著:長尾義弘/河出書房新社)

生きていれば、必ずお金がかかります。どんなに切り詰めても、支出を0円にはできません。つまり、男性よりも長生きするぶん、多くのお金が必要になってくるのです。

夫婦二人で歩んできても、最後は女性が一人暮らしになる可能性は高いでしょう。一人になったあとは、あなたが自分で生活を支えていかなければならないのです。

シングルだから関係ない? いいえ、長生きリスクはどなたにも当てはまります。

2060年には、女性の平均寿命が91歳まで延びるとも予測されています。「女性は100歳まで生きることが当たり前」の時代は、すぐそこまで迫っています。100歳まで生きるとなったら、それだけ生活費もかさむでしょう。

高齢単身者の平均的な生活費は、月に約15万円と言われています。それを何十年分も用意しなければならないのです。

リスク(3)平均寿命と健康寿命の差が12年もある

「健康寿命」という言葉をご存じでしょうか。これは健康上の理由で何らかの制限を受けることなく、日常生活が送れる時間をいいます。

図1:女性の老後に待ち受けている大きなリスクとは?(図:『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』より)
© 婦人公論.jp図1:女性の老後に待ち受けている大きなリスクとは?(図:『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』より)

人生の最後まで健康でいられればいいのですが、そううまくいくとは限りません。実際、健康寿命と平均寿命の間には差があります。男性は約9年、女性は約12年です。

12年、もしくはそれ以上の年月を、不具合を抱えながら過ごさなければならないのです。

また、男性に比べ、女性は高齢になるほど認知症を発症するリスクが高くなることがわかっています。つまり、介護の可能性も高まるわけです。

介護が必要になった場合は公的介護保険が使えますから、介護サービスは原則1割の自己負担で受けられます。それでも、介護のための自己負担は確実に増えます。調査によれば、介護にかかる費用の総額は約800万円ともいわれています。

さらに、有料老人ホームへの入居を希望すれば、自己負担はもっと大きくなるでしょう。なお、特別養護老人ホーム(特養)など公共の老人施設は、要介護の条件があります。

豊かな老後を送るためには年金が有効

女性の老後がいかにリスクに満ちているか、おわかりいただけましたか。こうした不安を軽くするためには、お金の備えが最強の武器となります。

「わかった。できるだけ老後資金を貯めるわ!」

その姿勢はとても大事です。

しかし、十分に使っても余りが出るほど、潤沢に貯められるケースは少ないのではないでしょうか。

仮に1500万円の老後資金があったとしても、毎月6万円ずつ取り崩せば、21年で底をつきます。65歳から使いはじめたら86歳まで。平均寿命にも届きません。おまけに、あなたはもっと長生きするかもしれないのです。何千万円貯めればいいのかと思うと、気が遠くなるでしょう。

そこで考えたいのが年金です。

老後生活のなかで、もっとも大きな収入は公的年金です。しかも、生きている限り、ずっと受け取ることができます。100歳だろうが110歳だろうが、年齢制限はありません。長生きする可能性の高い女性にとって、これは最大のメリットです。

たとえば、65歳からの年金が毎月10万円だとすると、100歳までに4200万円を受け取れます。おそらく老後資金より年金の受給額のほうが多くなるでしょう。

年金の受給額を増やすには

すべてを自分で準備する必要はないのです。年金で足りない分を、貯めていた老後資金で補うという考え方をします。したがって、年金の受給額は多いに越したことはありません。

「女性は受給額が低いんでしょ。だったら、年金なんて当てにならないじゃない!」と思われるかもしれません。それはこのまま何も手を打たなければ、の話です。

やり方しだいで、年金の受給額を増やすことができます。その大きな柱は次の3つです。

●給料を上げる!

●長く働く!

●受け取る時期を遅らせる!(繰下げ受給をする)

年金は老後生活の要です。しくみを知って上手に活用し、受給額を増やしましょう。それが安定した暮らしにつながっていくはずです。

※本稿は、『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。

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