あなたの健康はお金で買えますか・・・? ■更年期・老化・尿失禁・頻尿・便失禁・尿路結石・加齢臭
fc2ブログ

「腰痛持ちなら、内もも鍛えて」 整骨院院長オススメの「ギックリ腰の予防体操」が家でできてありがたかった

 多くの人が苦しむギックリ腰。テレワークの導入により家でパソコンを前に仕事をする人も増えたが、一方で、長時間座っているために腰痛に悩んでいるという人も多いのではないだろうか。

ギックリ腰はどのような原因でなってしまうのか、その予防法などについて、神戸市須磨区・須磨パティオにある「ゆう鍼灸整骨院」院長の井手久貴さんに話を聞いた。

【写真】「ヒップアップ+内モモ筋運動」両モモでボールを挟む姿勢を、真横から

「ギックリ腰は正式には『急性腰痛』と呼ばれ、急激に発症する動けなくなるような腰痛全般を指します。様々な原因がありますが、だいたい全身の疲労がピークに達したときに起きやすく、おなか周りの前後左右の深層にある背骨を支える筋力のアンバランスにより引き起こされていると考えられています」(井出さん)

 ゆう鍼灸整骨院ではギックリ腰に対して、次のような処置を行っているという。

「私は筋力が弱っていることを『さぼり』、筋肉が緊張していることを『がんばり』と呼んでいます。例えば腰が丸くなっている人は、腰を反らす背中側の筋力がさぼり、一方で体を前方から支える股関節周囲の筋肉ががんばっている状態となります。筋肉が疲労を起こすので、結果として股関節周囲の痛みが出ます。

逆に反り腰の人は、体前面の股関節周囲の筋肉がさぼり、腰を反らす筋肉が優位になりがんばるので、結果として背中側の腰痛となります。当院では独自の『ゆう式さぼり筋運動療法』を行っていますが、これはさぼり筋を鍛え、がんばり筋をゆるめるという運動療法です」

 痛みがある場合、腰と離れた手足の関連する筋肉を動かして腰のさぼり筋を刺激し、早い人だと即座に痛みが半減することもあるとのこと。また、痛みがとれた後でも継続して施術を行うと、反り腰や丸腰に改善がみられるそうだ。

 井手さんに、自宅で簡単にできる腰痛予防の体操についても聞いた。

「腰が丸くなると脚はガニ股になるのですが、これは腰と内モモの筋肉は同時に筋力低下する(さぼる)ということなんです。ですので、内モモの筋肉を鍛えると腰痛予防に効果的です。以下の運動をすれば、ギックリ腰予防をしながらヒップアップ効果も期待できます」

●ヒップアップ+内モモ筋運動
・仰向けで寝た状態で膝を立てて、両モモでボールを挟む(ボールがなければ枕などでも代用可)
・お尻を持ち上げると同時に両モモでボールをギュッと挟む
・しっかりお尻を上げたまま5秒間キープ
・これを10回ほど続けて行う

 来院者で1番多い症状はやはり腰痛だそうで、2番目に膝痛、その次は首・肩関節痛。その他、スポーツによる関節・筋肉痛で来る人もいるが、「ゆう式さぼり筋運動療法」はそのすべてに適応可能だという。痛みの施術だけでなく、O脚やガニ股、ぽっこりおなかなどのプロポーションも変化させることができ、さらにはスポーツ選手のパフォーマンスアップにもなるという。

とっても痛い「尿路結石」にならないためには……?

僕は40代半ば。幸運にもこれまで大きな病気になったことはない。しかし、周囲にいる同年代の友だちを見ていると、割といろいろな病気になったりしているようだ。

男性も女性もなる尿路結石

最近、同い年の友だち(男性)が、尿道結石になった。

とんでもなく痛かったようだ。

話を聞くだけでも痛い。薬を飲んで石を細かくして排出する治療を行っていたようだが、結局石は出ないまま。痛くはなくなったようで、現在は元気に酒を飲んでいるようだ(あんまり飲むな)。

この尿道結石。正確には「尿路結石」と言う。
尿の通り道である腎盂(じんう)、尿管、膀胱、尿道に石ができることで尿の通り道を塞ぎ、痛みだけでなく合併症なども引き起こすものだ。

『スーパー図解 尿路結石症』(坂本善郎・著/法研・刊)によると、2005年実施の日本尿路結石症学会による全国調査では、上部尿路結石(尿路結石の約96%にあたる)の年間罹患率が人口10万人あたり134人。1995年の約1.6倍となっている。

また、生涯罹患率は男性が15.1%、女性は6.8%。意外と罹患率が高い病気なのだ。

一番簡単な予防策は“一日2リットルの水分補給”

尿路結石の主な原因は、カルシウム不足。しかし過剰摂取も結石ができやすくなる。また、遺伝的な要因も大きいとされている。

その他、動物性たんぱく質や動物性脂肪、塩分、果糖などの過剰摂取による肥満も要因だ。

つまり、ファストフードやコンビニ、外食などをメインにしていると、尿路結石になりやすいということだ。

効果的な予防法は、水分をしっかりとること。

さまざまな研究によって、1日の尿量が1リットル以下では結石形成のリスクが高まり、2リットル以上ではかなり軽減できることがわかっています。

(『スーパー図解 尿路結石症』より引用)

水分といっても、なんでもいいわけではない。糖分が多く含まれる清涼飲料水やジュースはダメ。アルコール類にはシュウ酸やリン酸、糖分が多いものもあるため結石の原因になる。オススメは水道水、ミネラルウォーター、麦茶、ほうじ茶ということだ。

また、一度に大量に飲むのではなく、コップ1杯程度の水分を小分けにして飲むのがいいようだ。

結局規則正しい生活が一番

そしてもうひとつが、規則正しい食生活。
朝昼晩と三食しっかりと食べること。もちろんメニューにも気をつける。肉は脂分が少なくなるように茹でたり蒸したり焼いたりし、野菜を多く摂取する。

お酒は控えめにして、スナック菓子や果物もほどほどに。そして運動も効果的ということだ。

結局、健康的な食生活と適度な運動というのが、尿路結石の予防には一番いいということになる。

これは、尿路結石に限ったことではない。あらゆる病気の予防に共通したものだろう。

寝るのは明け方、食事は1日1回か2回。好きな言葉は「食べ放題」。お酒は毎日は飲まないが、朝まで飲んでいることもしばしば。

こんな生活をしていたら、尿路結石どころかもっと重大な病気になってもおかしくない。少しは健康的な生活を送る努力をしないと、取り返しのつかないことになってしまうかもしれない。

世の不摂生な生活を送っている中年男性諸君。
とりあえず、1日2リットル水を飲むことから始めよう。話に聞くだけで痛い尿路結石に、なるべくならないために。

頻尿の原因となる病気の種類

頻尿の原因となる病気のうちいくつかをご紹介します。よく知られているものも、あまり一般的に名前が知られていないものもあります。

頻尿の原因となる病気

頻尿は、朝起きてから日中に8回以上、睡眠時に1回以上、1日のうちで合計10回以上トイレに行くことが一つの目安になります。頻尿の原因として考えられる病気と、頻尿が症状のひとつとしてみられる病気には以下のものがあります。

膀胱炎

頻尿になる病気としてもっとも知られているのが、膀胱炎ではないでしょうか。膀胱炎は、大腸菌などの細菌が尿管から膀胱内へ入り込んで増殖し、膀胱の粘膜に炎症を起こすことが原因です。原因となる細菌は、健康な状態であれば尿と共に体外へ排出されますが、体調不良やストレスによる免疫力の低下などで排出されずに膀胱内に留まり、膀胱炎を発症します。男性よりも女性のほうが尿道が短いため、より膀胱炎になりやすい傾向にあります。頻尿、残尿感、下腹部痛、排尿痛、発熱、尿の変化などが症状としてみられます。

過活動膀胱

膀胱内に尿が十分溜まっていないにもかかわらず、膀胱が自分の意思とは無関係に収縮することで、急に、かつ我慢ができないほど尿がしたくなる(尿意切迫感)病気です。トイレに間に合わない(切迫性尿失禁)こともあります。日本における過活動膀胱の患者数は800万人以上とされています。原因としては、加齢や前立腺肥大などが考えられますが、はっきりしないケースも少なくありません。

膀胱がん

膀胱がんには、

・表在がん:膀胱の中に向かって発達し、筋層に達していない

・浸潤がん:膀胱の壁の内部へ向かい、筋層にまで達する

・上皮内がん:上皮の中に広がる。浸潤がんへと変化する

という3タイプがあります。50歳以上の方に多く、男女比は3:1で男性により多く発症します。原因として、染料や化学薬品の一部、たばこ、特定の鎮痛薬などが挙げられますが、ほとんどは原因不明で発症します。膀胱がんでもっとも多い初期症状は、痛みを伴わない血尿ですが、頻尿や残尿感なども引き起こします。

前立腺肥大

60歳の男性の半数以上にみられる、男性特有の病気です。膀胱の下部、尿道を囲むように存在する前立腺が、男性ホルモンによって肥大し、尿道がせまくなることで排尿しにくくなります。症状には主に、残尿感や尿の勢いが途切れるといったものがありますが、頻尿もその一つに含まれます。

糖尿病

体内で血糖値を調節しているインスリンというホルモンがうまく働かなくなることで、血液中のブドウ糖の濃度が高いままの状態が続くのが糖尿病です。病気の初期には自覚症状はほぼありませんが、進行するに従い、喉の渇きや疲労感といった症状と共に、頻尿や多尿が現れます。頻尿は、濃度が高くなったブドウ糖を尿として体外へ大量に排出しようとしたり、高血糖の状態による神経障害が起きたりすることで発症します。

子宮筋腫

子宮にできる腫瘍で、30代から40代に多く成人女性の20%に筋腫があるともいわれるほどポピュラーな病気です。腫瘍自体は良性ですが、筋腫が大きくなることで月経異常や貧血などを引き起こします。また、子宮の周囲にある臓器にも影響を与え、頻尿や排尿痛などを発症することもあります。

子宮脱

加齢で女性ホルモンが低下したり、出産などで骨盤底筋がゆるんだりすることで子宮が下がって体外に出てしまう病気です。子宮脱は40代後半から60代の女性に増えていて、症状としては、頻尿や尿漏れ、不快感、便秘、腰痛などがあります。

老化防止には1日4000mg必要!覚えておきたい「ビタミンC」きほんのき

◆壊血病に俺はなる!?
ある皮膚科医が、企業から「ビタミンCを積極的に摂ると、体にどう作用するのか」という実験を頼まれたという。

被験者は日常的にフルーツを摂取している20代のビジネスパーソン20名。故に皮膚科医は「ビタミンCは充分に足りているはずで、これ以上摂っても水溶性のビタミンCは尿から排泄されてしまうだろう」と考えた。

ところが、結果的に20名中18名が「肌がツルツルになった」「キメが細かくなった」「ニキビが治った」「毛穴が小さくなった」という美肌祭り状態!

これに驚いた皮膚科医は、個人的な実験を試みた。上記20名とは別の、20代のビジネスパーソン25名の血中ビタミンC濃度を測ってみたという。

血液100ml中、ビタミンCは1mg必要だといわれている。ところが、25名中17名が0.8mg以下で、壊血病(ビタミンC欠乏による疾患。皮膚や歯肉からの出血、貧血、衰弱等)一歩手前の0.3mgしかない人も……。

◆ストレスで体内のビタミンCはガンガン消費される
一般的な食生活において、これほどビタミンCが欠乏する要因はストレスだという。ストレスを受けると、体内に過剰な活性酸素が発生。

それを消去しようとしてビタミンCがガンガンに消費されてしまうから。それほどビジネスパーソンのストレスは相当なものなのだ。

さらに、ビタミンCのほとんどは内臓で消費されるから、皮膚に到達するのは極わずか。

厚生労働省が推奨している1日に摂取すべきビタミンCは、成人男性で90mg。これは、病気にならないための必要最小限の量。見た目の男前度をアゲるには、もっと積極的にビタミンCを摂るべきだ!

ちなみに、食品100g当たりでビタミンC含有量が高いのは、赤ピーマン170mg、黄ピーマン150mg、アセロラジュース120mg、パセリ120mg、キウイフルーツ69mg、レモン果汁50mg。意外にも、フルーツより緑黄色野菜のほうがビタミンC含有量多し。

だから、フルーツを毎日摂取していた被験者たちの血中ビタミンC濃度が低かったのかもしれない。

◆若さを保つために必要なビタミンCは1日4000mg
アンチエイジング専門医は「健康維持ならビタミンCは1日2000mg必要です。さらに、老化防止には4000mgが必要量」と説く。

この量を摂るには、食品だけでなくサプリメントも必要だ。でも、ビタミンCを大量摂取すると、尿路結石や腎臓結石ができやすいと言われている。

そこは大丈夫なのだろうか? アンチエイジング専門医の回答は「血液が弱アルカリ性なら、結石はできにくいのです。酸性になるとできやすくなりますが、普通の食生活を送り、1日4000mg程度の摂取量なら問題なし」とのこと。

◆マグネシウムもストレスで尿から大量流出!
さらに、マグネシウムもビタミンC同様、精神的ストレスを受けると体内で欠乏してしまう。細胞が分裂するためにも、また細胞が分化して角層(皮膚のいちばん上にあるバリア機能)になるためにも、マグネシウムは必要なミネラル。

このマグネシウムは、皮膚のバリア機能が弱いアトピー性皮膚炎や敏感肌の人ほど必要とされる。なぜなら、マグネシウムが足りないと、細胞がうまく分裂できず、バリアも構築できないためだ。

ストレスを受けると、マグネシウムは尿からどんどん排泄されてしまう。すると、血液中のマグネシウムを一定量に保つため、細胞の中からマグネシウムが移動。

その細胞のマグネシウム不足を補うために、今度は骨からカルシウムとマグネシウムが移動、という悪循環に。だから、ストレスで骨は弱くなり、皮膚も乾燥してしまうことに。

◆海藻の乾物はモバイルできるスーパーミネラル
成人男性が1日に摂取すべきマグネシウム量は340~370mg。食品100g中、マグネシウムが多く含まれているのは、あおさ3200mg、青のり1300mg、ワカメ1100mg、とろろ昆布520mg。

そう、海藻の乾物が含有量ダントツなのだ。しかも軽いし持ち運び便利。例えば、ランチタイムのカップ味噌汁にあおさを入れると、手間いらずで風味アップ、しかもマグネシウムはガッツリ補給。

イライラしやすい職場や環境でも、ストレス耐性をパワーアップして乗り切ろうじゃないか!

どうやったら頭痛持ちを治せるの?頭痛を起こさない5つの方法とは?「蛍光灯の光が原因」

事務所での、午後のコメカミの痛みと眼の疲れは、部屋の蛍光灯が大きく頭痛に影響していると、頭痛の専門家Dixon医師は語ります。この頭痛を起こさないためには、机を自然光が当たるところに近づけることだそうです。

1.蛍光灯
蛍光灯のちらちらした光は、眼精疲労と頭痛を引きこします。残念ながら、自分の机が自然の採光から遠い位置にある人は、せめて机上にランプを置くと効果的だそうです。

2.アルコール
つい飲みすぎて、翌日の午前中はずっと頭痛が!なんて嫌ですよね。二日酔の頭痛は、アルコール摂取の副作用と脱水症が原因です。急に飲みすぎたり、大量に飲む際は、必ず水分をいっしょに取ることが必須です。また飲むのなら、薄い色の飲み物を選ぶと良く、赤ワインや黒ビールには、チラミンと呼ばれる頭痛の種となる成分が含まれています。

3.睡眠不足
日頃から睡眠を充分にとらない人は、頭痛持ちになりやすいそうです。睡眠は、血糖値を安定させる作用があり、とても大切です。充分に寝ない人は、エネルギーを活発にするために、よく食べる傾向にあり、血糖値の揺れを起こし頭痛を呼び寄せてしまいます。

たとえ、一日一杯でも、コーヒーのカフェインには、痛みを取る作用を増加させる力があります。

4.お腹の脂肪
最新のアメリカのリサーチによると、お腹の脂肪がポッコリついた人は偏頭痛を引き起こしやすく、肥満は慢性頭痛にも関連しています。体重を減らすことが肝心と言えましょう。

5.加工肉
そして最後は、不健康な食べ物ばかりを食べている人は、「ホットドック頭痛」と呼ばれています。たとえば、加工肉のハム・フランクフルトなどに含まれる亜硝酸塩添加物には、頭痛を起こす作用があります。

頭痛持ちで悩んでいる人は、これら5つを頭に入れて注意してみることをお勧めです。

寿命が短く!?男性更年期は人生の夕暮れ

 6月になりました

 衣更えの季節ですね

 この「更」という漢字、新しく変える、という意味と「夜」という意味もあるようです。

 そこで「更年期」という言葉を考えてみましょう。

 文字通りに取ると、人生が新しく変わる時期、という意味ですね。実はこの言葉は明治時代に作られたようですが、当初から現在の意味すなわち生理(月経)が終了する(閉経)前後の女性を指していました。この女性の更年期は、現在では、閉経の前後5年以内と定義されています。女性は生殖可能期間が終了すると、いわゆる女性ホルモンであるエストロゲンが低下し、ほてり、うつ、頭痛、めまいといった不定愁訴が起こることがあります。この期間は長くても10年間ということですね。

◇男性の場合は60歳以上の20%

 では、女性は「更年期」でどう人生が新しく変わるのでしょうか?

 今、中高年の女性は大変元気です。子育てから解放されて、趣味や友達との旅行、美容にエクササイズと忙しく毎日を楽しまれている方が多くいます。家庭という巣を離れてより視野が広くなっているといえるかもしれません。

 実は更年期が終わっても女性の男性ホルモン(テストステロン)はあまり変化しません。一方エストロゲンは大きく下がりますので、男性ホルモン型の脳に変化していく、つまり冒険、社会、競争といったテストステロン領域で活発に活動していくと言えるのです。

 最近「男性更年期」という言葉も耳にします。女性の更年期のような不定症状が出る時期、といいましょうか。実際、更年期症状は男性もホルモンの低下、すなわちテストステロンの低下によって生じることが多いのです。

 しかし、女性と男性の大きな違いは、男性ではテストステロンが下がり、更年期症状が出るのは60歳以上の20%くらい、だれもが通る道ではありません。また女性の更年期のように期間限定ではなく、ただ待っていてもちっとも改善しないのです。

◇テストステロンを増やす心がけを

 人生の知恵と知識を蓄えた中高年男性が、人生の仕上げをしていく時期に、この「男性更年期」は社会活動を妨げる大変なじゃまをします。さらに男性ではテストステロンのレベルが下がると、生活習慣病やがんのリスクが高まり寿命が短くなってしまいます。

 そういうことから、男性の更年期の「更」は、「深更」といったことばに残っている「夜」という意味の方がふさわしいかもしれません。ですから、男性更年期は人生の夕暮れ、ともいえます。

 女性は新しくチャレンジするのに、男性は人生の夜、というのでは男性に救いがありません。

 女性の健康支援を象徴する言葉に「ウィメンズヘルス」という言葉があります。社会的弱者としての女性の健康を積極的に支援することを意味していますが、いまこの超高齢社会において男性にも活躍してもらうのには、「ウィメンズヘルス」の対になる「メンズヘルス」が必要です。国際保健機構(WHO)では、世界の国々に「メンズヘルス」を推進するよう働きかけています。日本でも日本Men’s Health医学会と男性医学を専門とする医師が男性の健康支援に取り組んでいます。

 テストステロンが減らない、むしろテストステロンを増やす生活を日々心がけて、人生に夜が来るのはもっと先にしましょう!

◇堀江重郎(ほりえ しげお) 順天堂大学大学院教授。泌尿器科医
1985年、東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得し、国立がんセンター中央病院などを経て、2012年より現職。男性更年期障害などを対象とするメンズヘルス外来にいち早く取り組み、男性をはつらつとさせる医学を研究する。ロボット支援手術ダ・ヴィンチのトップランナーとしても知られる。

尿失禁のトホホに肛門筋トレ<10歳若返る!鎌田流健康塾(32)

 医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

 ◇ ◇

 中高年になると、男女ともにトホホと頭を抱えたくなることがある。尿失禁である。

 中高年女性で多いのは、くしゃみやせきなどをした瞬間、ちょっとモレてしまうタイプの失禁。中高年男性では、トイレで排尿した後、尿道に残っていた尿がタラタラ出て、パンツをぬらしてしまうことが多い。50歳以上の3~4割の人が、このチョイ漏れを経験しているという。

 尿道の長さは女性が3、4センチなのに対して、男性は20センチととても長い。しかし、その間には前立腺という臓器があって、年齢とともに大きくなり尿道を圧迫してしまう。その結果、尿が長い尿道に残ってしまうのだ。

 男性のタラタラ漏れを防ぐには、どうしたらいいか。排尿の後、オチンチンをよく振ること。振り終わったら、こう丸と尿道の間のところに尿が残ることが多いので、ここを圧迫してやる。

 本格的な対策としては筋トレで予防するしかない。細いズボンをはくイメージで真っすぐに立つ。おなかをぐっと締め、おへそに力を入れて姿勢をキープする。腹筋と背筋を緊張させて筋トレになる。同時に、このとき肛門も締める運動を10回ほど繰り返すといい。肛門の周辺にある骨盤底筋群が鍛えられ、尿漏れを防ぐ効果が期待できる。

 尿失禁はだれにでも起こりやすいものだが、本人にとってはショックな出来事である。なかには、自信を失って、旅行や外出をあきらめてしまう人もいる。

 しかし、今は、アテントのスポーツパンツなどといった超薄型の衛生用品も出ている。それらを上手に活用しながら、チョイ漏れなんかに心が負けないことが大事だ。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。

頻尿・尿もれの主な原因は過活動膀胱 症状の程度を知るチェックシート

過活動膀胱症状チェックシート© NEWSポストセブン 提供 過活動膀胱症状チェックシート

 睡眠中に尿意を催して何度も目が覚め、外出時でも、頻尿の不安に悩む人は多い。その原因の多くは「過活動膀胱」によるものである。過活動膀胱とは、膀胱に十分に尿がためられなくなる症状をいう。

 正常な膀胱は尿がたまると風船のように膨らみ、一定量に達すると収縮して尿を排出する。しかし、過活動膀胱になると十分に尿がたまっていないのに膀胱が収縮し、尿意を催してしまう。その原因は加齢により尿道を締める尿道括約筋や骨盤底筋が衰えたり、膀胱が硬く小さくなったりしてしまうためだ。

「成人の正常な膀胱は150~200ml程度で尿意を感じ始め、約300mlを過ぎると我慢できなくなりますが、過活動膀胱になると少しの量で尿意を感じ、我慢できなくなってしまうのです」(日本大学医学部附属板橋病院 高橋悟病院長)

 過活動膀胱の症状は男女ともに40歳を過ぎた頃から現われ、高齢化とともに悪化する場合もある。しかし、加齢による尿トラブルも、適切なトレーニングやふくらはぎのマッサージ、生活習慣の見直しで予防し、症状を改善することができる。

※週刊ポスト2022年1月28日号

【TBS系「健康カプセル!ゲンキの時間」】頻尿・尿漏れ侮るなかれ…専門医おすすめ尿トラブル改善法

〈11月21日(日)TBS系 午前7時から CBC制作〉

 頻尿や尿漏れなどの尿トラブルに悩んでいる人は中高年の約7割にも。今回は、尿トラブルについて徹底リサーチ! 原因や改善法を専門医が紹介する。ゲストはタレントの藤井隆。

●「1日に何度もトイレに行ってしまう」頻尿の原因と対策

<頻尿の原因>

<ドクターおすすめ改善法!「膀胱訓練」>

●男女の頻尿の原因と対策

<ドクターおすすめ対策法!「スクワット」>

●放っておくと命の危険も!?「夜中の頻尿」原因と対策

<夜中のトイレの原因の1つは「ふくらはぎ」!?>

<ドクターおすすめ対策法!「弾性ストッキング」>

●ふとした時に襲ってくる「尿漏れ」の最新治療

<たった20分で尿道が蘇る!?女性専用の最新尿漏れ治療法>

 放送10年目を迎えた「健康カプセル!ゲンキの時間」。メインMC・石丸幹二、サブMC・坂下千里子のコンビで、毎週身近な健康問題と改善方法を紹介する。

尿トラブルを週1度経験している人は500万人以上。深刻な症状になる前にトレーニングで自己改善

「せきやくしゃみをしたり、大声で笑った拍子に《ちょいもれ》」「突然尿意を感じてトイレにかけこんだものの、間に合わなかった……」。加齢とともに、こうしたトラブルが増えてきます。深刻な症状になる前に、自分で改善したいものです

筋力の低下でもれやすくなる

排尿のトラブルの中でも、もっとも多いのが《ちょいもれ》 です。

「笑ったり荷物を持ち上げたりして、お腹に力が入ったはずみに尿がもれてしまうことを『腹圧性尿失禁』といいます。人には言えないと悩んでおられる患者さんは多いのですが、日本で腹圧性尿失禁を週に1度以上経験している女性は500万人以上いるというデータもあり、決して珍しい症状ではありません」

そう説明するのは、日本大学医学部附属板橋病院院長の高橋悟先生です。女性は男性より尿道が短いため、もともと尿がもれやすいうえ、年齢とともに筋力が衰え尿道がゆるみやすくなることが尿もれの原因だそう。

「膀胱を下から支え、尿道を締める役割をする骨盤底筋や、尿道を外側から締めている尿道括約筋の筋力が加齢とともに低下。すると、何か圧がかかった拍子に尿がもれてしまうのです」(高橋先生。以下同)

年齢を重ねると、尿もれだけでなく膀胱そのものの柔軟性も低下し、頻繁に尿意をもよおすという問題も出てきます。

「膀胱の柔軟性がなくなると、尿を溜められなくなり、少しの尿でも外に出そうとして膀胱が収縮。それでも尿道を締められれば、尿意はがまんできるのですが、尿道が締まりにくくなっていると、膀胱の収縮を抑えられず、頻繁に尿意を感じるようになります」

尿意が抑えられないと、早めにトイレに行っておかなくてはという意識が働いて、回数が増えてしまうことに。

「正常な排尿の間隔は3~4時間ごとに1回、頻度は1日5~7回。それ以上になると、いわゆる頻尿の可能性があります。気になる人は自分の排尿回数を記録してみましょう」

症状が進むと、尿意を感じた時にがまんできずにもらしてしまう「切迫性尿失禁」になることも。

「切迫性尿失禁は一度経験するとショックが大きく、また起こるのではないかとの不安に苛まれる人が少なくありません。恐怖から外出を控えがちになるなど、日常生活に影響が出るケースもあります」

トレーニングでがまんする力を鍛えて

排尿トラブルを予防するには、膀胱回りの筋力トレーニングが有効です。

「骨盤底筋と尿道括約筋は、『骨盤底筋トレーニング』で鍛えられますし、尿意をがまんする『膀胱訓練』で膀胱の柔軟性を取り戻すことができます。また、肥満は骨盤底筋のゆるみに直結するため、BMI値が25以上なら、体重を5%減らすことを目指してダイエットしましょう」

© 婦人公論.jp© 婦人公論.jp

トイレの回数が気になる人は、日中の水分摂取を控えてとアドバイス。

「食事以外の1日の水分摂取量は、1000~1500mL、もしくは、『体重(kg)×20~25mL』を目安にしましょう。また、夜、トイレに起きると、それをきっかけに眠れなくなって、睡眠不足や睡眠の質の低下を招くこともあります。こうした夜間頻尿の対策には、寝る前の水分摂取をできるだけ控えること。さらに、就寝前までにウォーキングなどの運動や入浴でできるだけ汗や尿として水分を排出しておくようにするとよいでしょう」

次からは、排尿トラブル対策を詳しく紹介します。

<排尿トラブルを予防する>

トレーニング&生活習慣

1)《締める》《がまんする》力をアップ

「骨盤底筋トレーニング」で尿もれ対策をしましょう。

「このトレーニングでは、骨盤底筋と尿道括約筋を鍛えます。最初は、筋肉の動きを意識しやすいあおむけの姿勢で行いましょう。慣れてきたら、いすに座ったり、立ったまま行ってもOK。2~3ヵ月間、毎日続けて」(高橋先生。以下同)

頻尿対策には、「膀胱訓練」が有効です。尿意を感じた時にトイレに行くのをがまんすることで、膀胱に溜められる尿の量を増やします。

「排尿間隔が4時間程度になることを目標に、少しずつ時間を延ばしていきましょう」

【骨盤底筋トレーニング】

© 婦人公論.jp

1)あおむけになり、リラックスした状態で手を体の横に置く。膝を立て、足を肩幅に開く

2)瞬間的に締める「速筋」と、持続的に締める「遅筋」の両方を鍛える。まずは、遅筋のトレーニング。肛門と膣、尿道をすぼめるように締め、おへそのほうへ引き上げるようにイメージしながら、そのまま10秒キープする。5~10秒間の休憩をはさみ、10~20回繰り返す

3)次に、速筋のトレーニング。肛門と膣、尿道をすぼめるように締め、おへそのほうへ引き上げるようにイメージしながら、1~2秒ずつ3回、強い力で締める。5~10秒間の休憩をはさみ、10~20回繰り返す

4)2と3を1セットとし、1日に4~6セット行う。数回に分けて行ってよい

【膀胱訓練】

© 婦人公論.jp

1)尿意を感じたら、いすに座り排尿をがまんする

2)1~2分経ったら、トイレに行く。尿意には波があり、波が強い時はもれやすいので、弱まった時に行くのがコツ

3)慣れてきたら、少しずつ時間を延ばしていく

2)排尿回数と間隔を把握しよう

自分が1日に何回排尿しているか把握していますか? ちょっと多いかも? と気になる場合は、排尿回数を記録してみてください。

「排尿時刻を記録し、どのくらいの間隔でトイレに行っているのかを確認してみましょう。夜、トイレに起きた時刻も忘れずに記録を」

3)水分を控えて、冷えにも注意

「利尿作用のあるコーヒーや紅茶、緑茶、アルコールは控えめに。また夜間頻尿対策として、水分摂取は就寝2~3時間前までに済ませるようにしてください。冷えも大敵ですので、カイロや腹巻きで腰回りを温めるといいでしょう」

© 婦人公論.jp

4)むくみ解消で、夜間頻尿を予防して

下半身のむくみは夜間頻尿を引き起こします。

「むくみが気になる人は、ふくらはぎを適度に締めつけてむくみを防ぐ『弾性ストッキング』を着けて日中の排尿を促しましょう。朝、起きてから夕方までの着用がおすすめです」

コロナ禍の運動不足とストレスが女性の尿漏れリスクを高めてしまう

コロナ禍の運動不足が招く意外な体の不調が「尿漏れ」だ。日本泌尿器科学会専門医で、女性医療クリニックLUNA理事長の関口由紀医師に対策を聞いた。

 尿漏れには種類がいくつかあるが、女性に多いのは「腹圧性尿失禁」「切迫性尿失禁」「混合性尿失禁」。

「腹圧性尿失禁は咳や大笑い、重いものを持つなどの動きで尿漏れするもの。切迫性尿失禁は尿が十分にたまっていなくても膀胱が収縮してしまうために急な尿意に襲われ、トイレに間に合わずに漏らしてしまう。混合性は、腹圧性と切迫性の尿失禁の症状が表れるものです」

 そもそも女性は尿漏れを起こしやすい。まず女性の尿道は、男性に比べて短く下向きで、腹圧に負けやすい。次に、筋肉量が少なく、子宮や膀胱、直腸を支える骨盤底筋群の筋力が低下しやすい。さらに、妊娠・出産が骨盤底に損傷を与える。

「また近年、注目を集めているのがGSM(閉経関連尿路生殖器症候群)です。女性ホルモンの分泌が低下して起こる泌尿生殖器症状で、かつては老人性膣炎と呼ばれていましたが、2014年に新たな概念として提唱されました。閉経後の女性の50%に何らかの症状があるといわれています。50代になってGSMになると骨盤底の皮下組織のコラーゲン量が減少し、尿漏れや頻尿が悪化します」

 尿漏れは、女性ならだれもが起こしてもおかしくない。特に筋力や女性ホルモンの分泌が低下する更年期以降はなおさら。コロナ禍の運動不足とストレスが加わるとリスクは一層高くなる。

「尿漏れを悩んで家にこもるようになり、筋力がより低下し、尿漏れがより起こりやすくなる悪循環に陥っている方も少なくありません」

■セルフケアで対策

 関口医師が、尿漏れ改善に有効な方法として勧めるのが毎日の骨盤底筋のトレーニングだ。いくつか方法があるが、一例として、「立ったまま、おしっこやおならを我慢する要領で膣を締め、息を吐きながら骨盤底全体を持ち上げる→ゆっくり緩める」を繰り返す。「締める→緩める」の時は全身をリラックスさせて腹筋に力を入れない。医師が監修した骨盤底筋トレーニングがインターネット上で紹介されているので、それらを参考にするのもいい。

 締める感覚がわからないままに行うと効果が薄れるので、その感覚をつかむために、あおむけになり、指の第1関節までを腟に入れ、締めたり緩めたりする。腟が指に吸い付く感覚があれば正しく締められている。

「GSM対策もぜひ行ってください。デリケートゾーンが萎縮して乾燥するため、保湿剤を指につけ、第1関節から第2関節辺りまでを膣に入れて塗る。保湿剤は、肌が特に弱くなければ日々のボディーケアやフェースケアに使っているもので構いません。かゆみが出る場合はデリケートゾーン専用の保湿剤があるので、それを使ってください」

 尿漏れ対策は、セルフケアが効果を発揮する。

「3カ月間、正しい骨盤底筋トレーニングとデリケートゾーンの保湿を続ければ症状がかなり改善します。それでも80%の満足を得られなければ、女性の尿漏れを診ている医療機関を受診してください」

 健康保険適用の治療では、薬物内服治療、膀胱ボトックス注射(過活動膀胱による尿漏れに保険適用)、尿道の下面にテープを埋め込む手術があり、健康保険適用外では、服を着て椅子に座るだけで骨盤底筋を鍛えられる磁気刺激療法、膣の緩みを改善するハイフ療法、フラクショナル炭酸ガスレーザー療法などさまざまな治療法がある。

 とにかく、ひとりで悩まないことだ。

骨盤底筋が弱まると尿もれしやすい?弱まる原因とトレーニング(医師監修)

骨盤底筋とは

骨盤底筋はなぜ弱まってしまう?

妊娠・出産

更年期・閉経

肥満

便秘

骨盤底筋が弱まると、尿もれを起こしやすくなる

軽度の尿もれは、骨盤底筋トレーニングで改善が期待できる

監修者プロフィール

“難治性おねしょ”責めたら逆効果 「本人のせいではない」家族は理解を

おねしょが止まらない「夜尿症」が疑われる小学生は5~10%いる。ぼうこうの小ささなどが原因で、本人の意志や努力とは無関係だが、家族に怒られたり笑われたりして自尊心が傷つけられ、学力低下や無気力につながる恐れもある。夜尿症のうち治療しても改善しない「難治性夜尿症」について、さまざまな研究が進んでいる。

 おねしょは多くの場合、4歳ごろで自然に止まる。5歳以降で月1回以上のおねしょが3カ月以上続くときは「夜尿症」が疑われる。利尿を抑えるホルモンの分泌が悪かったり、ぼうこうが小さかったりする子どもがなりやすい。

 日本夜尿症学会がまとめた資料によると、夜尿症は小学校低学年で約10%、高学年で約5%、中学生で1~3%おり、まれに成人しても続く。多くは生活習慣の見直しやホルモン薬の投与で治るが、それでも改善しない難治性夜尿症が数%いると推定されている。

これについて、北九州市小倉北区のまつもとクリニックが行った治療法が3月、英医学誌に掲載され、注目されている。

 松元透院長は2018年、「おねしょをしない日がない」と通院していた12歳の男子に、睡眠障害が関わっている可能性があるとして不眠症治療薬「スボレキサント」を処方した。すると11カ月間の夜尿の頻度が3分の1に。薬をやめるとほぼ毎日おねしょをする状態に戻ったという。

 この薬は睡眠が極端に深い人には、逆に深さを和らげる作用がある。男子はぼうこうに尿がたまると目が覚めるようになり、トイレに行くことができたと松元院長はみる。「夜尿の精神的ダメージはいじめによるものよりも大きい」とも指摘されており、不登校や無気力を招きかねない。松元院長は「本人のせいではないと、まず家族が受け入れることが大切だ」と話す。

 スボレキサントは子どもには推奨されておらず「適応外使用」に当たるが、厚生労働省によると、医師が必要と認めれば処方できるケースもあるという。

 同学会によると、ほかに漢方薬や抗うつ治療薬が効いたとの報告もあるが、いずれもどんな患者に効果があるのか、解明できていない。副作用の見極めも必要で、夜尿症治療薬として一般化できるかは今後の研究次第という。 (壇知里)

「成長には差 ゆっくり待って」 北九州市保育士会が園児調査

 北九州市保育士会は、認可保育所の保育士を対象に、園児1万2163人のおしっこに関するアンケートを行い、冊子にまとめた。4歳を過ぎた子どもの9割がトイレに行くまでおしっこを我慢できている一方で、残り1割は尿意を伝えることができなかったり、伝えても間に合わなかったりした。同会は「子どもは発達のスピードに差がある。成長をゆっくり待つことが大切」と分析している。

 アンケートは、「小学校でお漏らしをする子どもがいる」との報告を受け、おしっこをコントロールする習慣を身につけてもらうために何ができるか探ろうと2014年に実施。2~6歳児の排尿回数や時間、エピソードをたずね、今年1月「おむつにさよならする日」と題してまとめた。

 4歳未満では、女児は尿道が男児より短いため、尿意を伝えても間に合わない割合が8%ほど高かった。4歳を過ぎると排尿の機能や感覚が成人並に発達し、差がほぼなくなった。また入所期間が1年未満の子どもは平均2歳10カ月でおむつが取れたのに対し、6年以上の子どもは平均2歳6カ月で取れていた。

 「保育所は丁寧に排尿トレーニングを行っているが、家庭環境を考えて、より細やかに対応する必要がある」と分析。小学校では休み時間にトイレに行くため、トイレの間隔を長くしていく練習も大切としている。

「これまでの常識は間違い」尿もれを本当に治す“胸郭呼吸”

「ここ数年、『膣トレ』で生理不順やPMS(月経前症候群)が改善される、妊娠しやすくなる、尿もれが治る……などあらゆる女性の体の悩みが解消されるといわれてきましたが、それは真っ赤なウソ。骨盤底筋を鍛えてもホルモンバランスは整ったりしませんよ。

間違った情報が出回っているんです。筋肉を鍛えても、女性ホルモンなど内分泌系にはまったく関係ないし、尿もれも止まりません」

こう緊急提言するのは、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(ブックマン社)などの著者で知られる婦人科医で医学博士の宋美玄先生。

「膣トレ」は骨盤の底にある骨盤底筋を鍛えるのが基本だが、骨盤底筋というのはひとつの筋肉の名称ではなく、腸骨尾骨筋や坐骨尾骨筋など、たくさんの筋肉の集合体。正しくは骨盤底筋“群”といい、表層部分と深層部分に分かれている。

「ヒトは二足歩行のため、骨盤底筋群がなければ便や尿が体内から出てきてしまいます。これらがもれないように締めているのが表層部分、膀胱や子宮などの臓器を支えているのが深層部分です」

骨盤底筋群は尿や便が下りてきたときのセンサーの役割も担っている。この筋肉が硬くなったり傷ついたりしていると、センサーが働かず、尿もれや便もれにつながるのだ。また、

骨盤底筋群は深層部分が締まっているときは、表層部分はゆるむ構造になっている。逆もしかりで、相互に締まったりゆるんだりする拮抗筋だ。

「恥骨直腸筋は骨盤底筋群の表層部分にあたります。表層筋ばかりギュッギュッと締めていたら、奥はゆるみっぱなしになってしまいます。膣の締まりをよくするには、骨盤底筋群全体を鍛える必要があるんです」

骨盤底筋群全体を鍛えれば、尿もれや便もれを予防でき、膣全体の締まりもよくなる。そのためにもっとも有効なのは、正しい姿勢で呼吸することだと宋先生は語る。

「骨盤底筋群は、呼吸する際に上下する横隔膜と、しなやかなくびれを作る肋骨部分の腹横筋と連動して動いています。

横隔膜、腹横筋、骨盤底筋群に囲まれた部分をインナーユニットといい、骨盤底筋群をしなやかにするための重要なポイントです。正しく呼吸すれば、自動的に骨盤底筋群が鍛えられるのです」

正しい呼吸法とは−−まず、背筋を反ったり丸めたりしないよう、上に向かってまっすぐに伸ばす。すると肋骨が広がって横隔膜が上がる。この横隔膜と骨盤底筋がもっとも離れた状態で呼吸すると、横隔膜がきちんと上下し、自動的に腹式呼吸になる。

「背中が丸まっているとインナーユニットが潰れた状態になり、横隔膜がきちんと上下しません。呼吸補助筋だけを使う浅い呼吸になり、横隔膜が動かないため、骨盤底筋群も動かない。

骨盤底筋群は使えば使うほど厚く強くなっていく筋肉です。使わないと、萎縮して硬くなり、ダメージを受け、尿もれにつながります。背筋を伸ばして呼吸するのを意識するだけで、表層も深層も含め、骨盤底筋群全体が収縮したり緩和したりして、しなやかな状態を保てます」

息子家族と同居の独り身男性 気を遣いすぎてトイレ我慢、健康問題に

両親がそろって亡くなることは滅多にない。どちらかが旅立ち、「おひとり」になった親の世話は子供の務めと思われがちだが、そこには様々な落とし穴がある。

 歌手の湯原昌幸氏(74)と歌手・女優の荒木由美子氏(61)夫婦は、1983年に結婚するも、挙式のわずか2週間後に湯原氏の母が倒れて、新婚ながら介護生活が始まった。その時、湯原氏は「環境の変化」が与える影響の大きさを思い知らされた。

「当時お袋は66歳でひとり暮らしをしていましたが、結婚を機に同居することにしたんです。そうしたら血栓が飛んで倒れて、入退院を繰り返すようになりました。同居による環境の変化があってか、体調は悪化し、精神的な浮き沈みが激しくなった。

僕と怒鳴り合うことも多く、間に入った由美子は思ってもいなかったかたちの新婚生活となり、家庭崩壊の寸前までいきました。今考えれば、無理な同居は避けるべきだったのかもしれません」

◆同居のストレスで認知症が進行

 血のつながった親子でも、同居によって様々な軋轢が生じる。互いに「遠慮」を強いられるからだ。母の死後、ひとり身になった父と同居した元会社員(72)が振り返る。

「銀行員だった父は生真面目な性格で、同居を始めてからも常に私や妻に遠慮して、心が落ち着かなかったようです。朝が遅い私の家族と違い、早寝早起きが身についていた父は、生活のリズムの違いにも戸惑っていました。

 大問題はトイレで、気を遣って大便や夜中のトイレを我慢し、自律神経のバランスが崩れて便秘気味になった。それでもなお気後れしてか、わざわざ外出して近所の図書館のトイレを使っていたら、ストレスも重なり腸閉塞から大腸がんを発症して、同居から3年ほどで亡くなりました。妻ともどもこんなことなら同居ではなく近くで暮らせばよかったと後悔しました」

 ストレスの溜まる同居をきっかけに、認知症が進行したケースもある。母の死後、父と同居した元教員(66)が言う。

「内弁慶の父は、同居を始めてから私の妻に遠慮しっぱなし。食卓にフライものが並ぶと気を遣っておいしそうに食べながら、あとで『本当は刺身が食べたかった』とボソッとつぶやく人で、平日の日中は妻と二人きりになるので会話に困っていた。何より汚れた下着を妻に洗濯させることを躊躇していました。

 その後、我慢ばかりの生活だった父のまだらボケが始まり、認知症と診断されたので施設に入れました。まだボケが少なかった頃の父が『介護までは絶対にお前の嫁には頼めない』と語ったことが心に残っています」

◆親の行動に「関与しない」姿勢

『老後はひとり暮らしが幸せ』の著者で、高齢者の生活満足度調査を行なってきた医師の辻川覚志氏(つじかわ耳鼻咽喉科院長)は、「安易な同居は失敗のもと」と語る。

「まったく別の世界に住んでいた者が共同生活を始めるのだから、同居で問題が生じるのは当然です。しかも現在は高齢化で同居の親の面倒を見る期間が長くなるとともに、子供世代の忙しさが増していて、トラブルが発生しやすい土壌があります」

 親の老後を心配するなら、むしろ「関与しない」という姿勢が有効だと辻川氏は続ける。

「ある程度の年齢を迎えた人は“これからは自分のやりたいことをやろう”と考えます。しかし、同居で子供や嫁への遠慮が生じると、やりたいことのできないストレスを内に抱え込むことになり、健康悪化のもとになる。だから子供世代は、なるべく親の行動に関与せず、何事も見て見ぬふりをして、本人の意思で行なわせることが大事です。それが認知機能の低下を防ぐことにもつながります」

  高速・高機能・高安【エックス公式サイト】

オトナ女子の4割が経験…“ちょびモレ”はどうして起こる?

「くしゃみをしたり、重いものを持ったときなど、自分の意思ではないところでおしっこがもれてしまう“ちょびモレ”を経験しているオトナ女子は、じつは4割もいるんです」

こう語るのは、女性医療クリニック・LUNAグループの理事長の関口由紀先生。デリケートな問題だけに人に相談できず、生理用ナプキンなどでその場しのぎをしている人も多いそう。

また、夏は薄着になるので、においを気にして出かけるのをひかえてしまう人もいるという。

では、どうして“ちょびモレ”してしまうのか? 関口先生が解説してくれた。

■おなかに力を入れたときに……「腹圧性尿失禁」

「骨盤底筋と呼ばれる筋肉には、3方向から尿道を締める役割があります。この筋力が弱まると、おなかに力を入れたとき、反射的に尿道がキュッと締める本来の動きができなくなり、尿モレしてしまうのです。

ちょびモレがはじまるきっかけとして妊娠・出産が多いのは、骨盤底筋が胎児の頭で圧迫されたり、娩出によって損傷されるから」(関口先生・以下同)

■突然ガマンできなくなる……「過活動膀胱」

「通常、脳はある程度、尿がたまってから排せつの指令を送り、膀胱が収縮します。しかし、膀胱が柔軟性を失うと、尿がそれほどたまっていなくても強い尿意をもよおすようになり、尿を排出してしまうことに。

また、体が急に冷えると膀胱が収縮しやすいので、この季節は特に、屋内外の寒暖差によってもちょびモレが引き起こされます」

■精神的なもの

「モレてしまうかも……という不安からくる『神経性頻尿』という症状も考えられます。また、子どものころ『すぐにトイレに行きなさい』と言われた習慣やトラウマから頻繁にトイレに行く人は、膀胱が過敏になり、ちょびモレ体質になっている可能性も。『モレても平気!』くらいに考えられれば、ストレスがないぶんリスクも軽減します」

まずは原因をさぐり、生活習慣をちょこっと見直すことから始めよう。

2千万人の女性が悩む「軽失禁」の防止グッズを試してみた

「尿もれは介護が必要な後期高齢者や中高年のみならず、妊娠や出産を機に20〜30代の若い女性でも起こる症状です。どの世代でも起こりうることで、決して特別な問題ではありません」

そう教えてくれたのは、産婦人科医の宋美玄先生。宋先生が診察している出産前後の患者のなかでも、尿もれや頻尿に悩む女性は多いという。

「女性の4割を超える2,000万人以上が悩まされているといわれているのが、『腹圧性尿失禁』です。女性は男性より尿道が短いため、急に立ち上がったり重い荷物を持ち上げたとき、せきやくしゃみをしたときなど、おなかに力が入ったときに尿がもれてしまいがち。

加齢や妊娠・出産により、尿道括約筋を含む骨盤底筋という筋肉が緩んでしまうと起こります。骨盤底筋の緩みを改善すれば、軽い腹圧性尿失禁は改善しますよ」(宋先生)

急に尿がしたくなり、我慢できずにもれてしまう「切迫性尿失禁」に悩む女性も多い。外出時や電車などに乗車中に、急に尿意をもよおしトイレに行きたくなるのだから、困ったものだ。予兆がない尿意におびえ、旅行やスポーツなどの楽しい活動を遠慮する人さえいるという。

そんな尿もれに悩む女性のSOSに呼応し、軽い尿もれ「軽失禁」ケア用品市場は拡大している。’16年度の販売金額は約300億円。前年比110%の伸びだ。そこで、軽失禁の専用ケアグッズを、軽失禁に悩む本誌記者(35)が実際に試してみた!

使いきりの吸水ライナー、吸水ナプキンは、「チャームナップ 吸水さらフィ」(ユニ・チャーム)や「ロリエ さらピュア」(花王)など、吸水量ごとに多くの商品が出ており、手軽にドラッグストアで購入できる。各メーカーが設定している1回の平均排尿量は約150ccだと把握しておこう。

ショーツが少し湿るくらいの軽失禁の人には2〜10cc、ショーツがかなりぬれて量や頻度が気になる人は20〜100cc、ショーツがびっちょり濡れて洋服も汚してしまう人は120〜300ccをチョイスするのがベターだ。ちなみにおむつタイプは150cc(1回分)か300cc(2回分)のものが多い。

記者はこれまでおりもの用のライナーで代用していたが、夏は汗もかくため、ライナーがすぐに湿り、ムレてしまっていた。しかし、吸水ライナーに替えると、汗も含む水分の吸収力がよく、表面もサラサラで快適だ!もっと早くに出合いたかった!!宋先生も、きちんと軽失禁の専用ケアグッズを使ったほうがいいと指摘する。

「生理用品は月経血をゼリー化して閉じ込める構造なので、水分を受け止めるのに向いていないんです。殺菌・消臭効果や通気性なども専用ケアグッズのほうが優れています。基本的には1回もれてしまったら交換しましょう」(宋先生)

おむつタイプで人気の「リリーフ 超うす型 まるで下着」(花王)は店頭では見つけられず、インターネットで購入。かなり薄手の作りでモタつきなどもなく、パンツルックでも外から見てまったくわからないのはすごい!しかも、ピンク、ブルー、ラベンダー、アイボリーと4種類のカラー展開。使用頻度が高ければ、色を選ぶ楽しみもある。

インターネットで軽失禁用の布パッドも発見し、購入。北欧系のオシャレな柄とポップな色使いのかわいいパッドがたくさんあり、選ぶのも楽しい。ナプキンで肌がかぶれてしまう敏感肌の人にもオススメだ。しかし、マメではない記者には、洗濯するのが面倒くさかった……。

最後に、ガードルにチャレンジ。締めつけが強すぎると、ムレて肌がかゆくなるかもと不安だったが、丸1日外出時にはいていても、まったく問題なし!骨盤回りがギュッと締められ、尿道から尿がもれないようサポートされている安心感もある。吸水パッドつきなので、この1枚だけはけばOKだ。おなか回りもスッキリ。これはいいかも。

尿もれに悩む人は、一度試してみてはいかが?

40代から急増する夜間頻尿 第二の膀胱ふくらはぎが原因かも

「寝る前には必ずトイレに行ってから寝るようにしているのに、40代半ばごろから必ず夜中にトイレに起きるように……。いったん起きてしまうと、目がさえてしまい朝までぼんやりすることも。日中に猛烈な眠気に襲われ、仕事中に居眠りしてしまったこともあり、本当に困っています」

そう語るのは都内に住むA子さん(50)。最近では最低でも一晩に1回、多いときでは3、4回行くことがあるという。

40代に入ると、おしっこが「出にくい」、「近い」、「夜中にトイレに行きたくなる」といった悩みを持つ人が少しずつ増えてくる。そのなかでも断トツなのがA子さんのような「夜間頻尿」。

夜中に起きて1回以上トイレに行く人は、40代以上では約4,500万人いるといわれている。加齢とともにその人数は増え続け、50代で約6割、60代以上になると約8割の人が夜間頻尿に悩んでいるという。

「夜間頻尿の定義は、就寝後、排尿のために一晩に1回以上起きること。そして、そのために眠りが浅くなり、昼間に眠気が襲ってきたり、夜間トイレに行くときに転倒したりなど、日常生活に支障をきたす状態をいいます。夜間にトイレに起きてしまう人は意外と多く、8割以上の高齢者は夜間頻尿にあてはまります」

そう解説するのは、国立長寿医療研究センター副院長で泌尿器科が専門の吉田正貴先生。夜間にトイレに起きることは、単に「面倒くさい」だけでは済まされない問題があるという。

「日常生活のなかにどれくらい困っていることがあるのか。が治療の対象になるポイント。夜中に何回起きても困っていることはない、という人は治療の対象にはなりません。しかし、夜中に2回以上トイレに起きると、QOL(生活の質)が低下して困ることが多い、といわれています」

夜間頻尿の多くは、同時に「夜間多尿」であることが多く、1日の尿量の3分の1が就寝中に出ていると夜間多尿となる。

通常、昼間に比べて夜間の尿量は減るのだが、加齢により夜間の尿量を減らす「抗利尿ホルモン」の分泌量が低下したり、尿を濃縮する腎臓の機能が衰えたりすることで、夜中に作られる尿が増えてしまうのだ。

そして、もう1つ。夜間頻尿の大きな原因が意外なところにあることがわかってきた。

「私たちの体は体内の水分量を一定に保つため、食事や飲み物などで摂取した分を、主におしっこに変えて排出します。昼間に立ちっぱなしだったり、長時間座ったままだったりなど、同じ姿勢で過ごしていると、重力によって体の水分が下肢にたまります。さらに、加齢とともに血液を循環させる機能が低下することで、足の水分が血管から漏れ、ふくらはぎにたまってしまうのです」

夕方以降になると「足がパンパンにむくむ」というのはこれが原因。日中に摂取した水分がふくらはぎにたまってしまうことから、“ふくらはぎは第2の膀胱”と呼ぶ人もいるという。

こうしてふくらはぎにたまった水分が、横になったときに再び血管に戻り、血液中の水分を減らそうとして、夜間におしっこが作られてしまうと考えられている。

トイレで用を足したとたんに…「排尿失神」のメカニズム

【専門医が教える パンツの中の秘密】

夜、ビールなどを大量に飲んだ後、トイレで尿を出したとたんに失神を起こすことがあります。これを「排尿失神」といいます。排尿が失神の引き金(誘因)になることがあるのです。

「失神」とは、脳全体の血流が一時的に低下することで起こる意識消失(気を失う)を指します。通常、数分以内(多くは1分以内)に意識は回復して、後遺症などはありません。

失神は、心臓病や不整脈が関与して起こる「心原性失神」、起立したときに交感神経がうまく働かず起こる「起立性低血圧」、副交感神経が過度に働いて脳血流が低下する「反射性失神(神経調節性失神)」の3つに大きく分けられます。

また反射性失神には、過労・痛み・精神的不快感などが引き金になる「血管迷走神経失神」、日常のある特定の動作のときに起こる「状況失神」、頚部(首)の圧迫や首を回したり伸ばしたりすることが誘因になる「頚動脈洞失神」があります。

そして排尿失神は、反射性失神である状況失神のひとつです。

状況失神は、排尿以外にも「排便」「飲み込み」「せき」「吐く」「息こらえ」などの動作も誘因になります。

反射性失神は「副交感神経が過度に働いて起こる」といいましたが、これは「迷走神経反射が過剰に反応して起こる」と言い換えることができます。「迷走神経」とは、頚部・胸部内臓と腹部内臓の一部を支配する副交感神経のことです。

■原因は迷走神経の過剰な働き

自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経は血圧を上げたり、心拍を上げたりする働きがあります。副交感神経は逆に血圧を下げたり、心拍を下げたり、消化管の働きを活発にする働きがあります。通常は交感神経と副交感神経がバランスを保って心身の機能を調節しています。そして「迷走神経反射」は、交感神経の働きが高まった後に起こる、自律神経のバランスを保つ生命の防御反応です。

これを排尿失神が起こるメカニズムで説明するとこうなります。

ビールなどを大量に飲んで膀胱(ぼうこう)に尿が充満すると、反射的に血管収縮(交感神経が働く)が起こります。そして排尿をすると迷走神経反射(副交感神経が働く)によって血管が拡張します。

ところが迷走神経反射が過剰に反応すると、血管の拡張が強過ぎて血圧が下がり過ぎて失神してしまうのです。

反射性失神には有効な薬はありません。トイレで失神すると、便器で顔や頭部を強打する危険性がありますので、十分注意しましょう。

(尾上泰彦/「プライベートケアクリニック東京」院長)

【40代の尿トラブル】頻尿・尿漏れ・膀胱炎に!お助けアイテム10選|美ST

1:着圧下着もスタイリッシュにいつでも膣トレと骨盤ケア

2:1日10分座るだけ。骨盤底筋をキュッと刺激してもれ防止

3:はいているだけで一日中骨盤底筋エクササイズ

4:イスや車の座席に置くだけで骨盤底筋を刺激してくれる

5:自分の骨盤底筋力がわかる画期的なエクササイズグッズ

6:吸収量や肌ざわり、形状など豊富なラインナップから選べます

7:自律神経やホルモンのバランスを整えて予防や改善に

教えてくれたのは……王子クリニック 泌尿器科/乳腺外科 副院長 酒井伊織先生

教えてくれたのは……女性医療クリニックLUNA心斎橋 女性泌尿器科 院長 二宮典子先生

教えてくれたのは……ユニ・チャーム株式会社 企画本部 広報室 渡邉仁志さん

教えてくれたのは……Holistic Wellness Store This is 365 登録販売者 大林悠紀さん

「フワちゃん」が漏らす理由は「腹圧性尿失禁」か 医師が解説

「24時間テレビ」で、タレントのフワちゃん(26)が失禁した。前代未聞の大失態か“確信犯”か? しかしそれはウケ狙いなどではなく、抗えない自然現象だったのである。

 カラフルなショート丈トップスにお団子頭。いまや、彼女をテレビで見ない日はない。民放の芸能デスクによれば、

「テレビ出演数が昨年上半期の5から107に急増しました。今年の上半期ブレイクタレントランキングでも、吉本芸人などに交じって堂々4位です。いまでは『東京ガールズコレクション』にも出るほどです」

 そんな彼女は、「24時間テレビ」の当日、「スペシャル募金ルーム」にいた。本編と並行してネット生配信するためのブースで、MCの指原莉乃などと共演していたのだが……。

〈生配信中に笑いすぎておしっこ全部漏らして放送止まりました本当にすみません/記念すべき24時間テレビ初出演の思い出リアルタイムで黒歴史になった〉

 フワちゃん自身はSNSでそう説明していたが、実は、オモラシはこれが初めてではない。以前、テレビなどで中学校時代からだと告白していたし、今年の元日も、〈いろいろあって新年あけて10秒でおしっこ全部もらしたさいあく〉と悔しそうな表情をSNSに載せている。2019年2月には、〈わらいすぎておしこもれた〉と床掃除をする模様をアップしていた。そしてファンからは〈膀胱の病気か何かかな?〉などと気遣う声が書き込まれ――。

骨盤底筋エクササイズ

 症状や治療の有無を彼女自身に聞きたかったが、

「その件は、あらためてお話しする話でもないと本人が申しておりまして」

 マネージャー氏がそう言うので、「女性医療クリニックLUNAネクストステージ」の中村綾子(りょうこ)院長に聞く。

「彼女は腹圧性尿失禁(ふくあつせいにょうしっきん)かと思われます。笑いすぎなどでお腹に力が入り、尿が漏れてしまうのです。女性に多い症状で、週1回以上経験している女性は国内におよそ500万人以上。日本排尿機能学会の調査結果から推定すると、尿のトラブルで悩む男女は1千万人以上いるとされます」

 フワちゃんが特別というわけではなさそうで、

「放置しても、これが原因で亡くなることはありません。しかし、尿トラブルは“クオリティオブライフ疾患”とも呼ばれ、生活の質が著しく低下するおそれがあります。少し歩いただけで漏れるケースもあり、尿漏れパッドが手放せなくなる。臭いを気にして、家から出なくなる人もいます。結果、精神的なストレスを抱えてしまうのです」

 では、どう対処すべきか。

「尿道も膣も、骨盤の底の骨盤底筋に支えられています。腹圧性尿失禁を含め、尿トラブルはこの筋肉の緩みや傷みが原因であることが多いので、まずは骨盤底筋を鍛えるエクササイズをお勧めします。軽く足を開き、背筋を伸ばして立つ。そしてお腹やお尻を動かさず、肛門と膣、尿道を締めたり緩めたりする。これを2、3回繰り返すのです」

 こうした簡単なエクササイズは数種類あるといい、

「それらを行えば、尿トラブルの8割は改善できます。このエクササイズの次が投薬、手術というステップで重い症状も治せます。とにかく、専門医にかかれば、症状の改善が見込める病気だということを分かっていただきたいですね」

 フワちゃんがもしこの症例だったら、ユーチューブでエクササイズを披露する手もあるのでは?

頻尿・尿漏れ・膀胱炎はすべて自分で治せる! 名医が教えるマル秘トレーニング

 日本人女性は平均50~51歳で閉経を迎え、その前後5年ずつが「更年期」にあたる。女性ホルモンの分泌が乱れ、自律神経のバランスも崩れてさまざまな不調が現れる。「尿トラブルに悩む人が増えるのもこのころです」というのは、女性泌尿器外来の関口由紀さん。

「女性ホルモンのエストロゲンが減ることで、血流量やコラーゲンが減少し、尿道機能が低下します。骨盤底筋の筋量も減るので、頻尿や失禁などを起こしやすくなります」

 現在58歳のOさんも、こう悩みを打ち明ける。

「突然、我慢できないほどの尿意におそわれるので、外出が怖くなって……。最近は引きこもりがちです」

 なんともタメ息が出そうな話だが、セルフケアで大きく改善したり、予防することが可能だという。名医が伝授する秘策、ぜひ試してみて。

悩み1. 頻尿でトイレが近くて不快
 健康な人の排尿回数は、日中は3~8回、夜間は0~1回。それ以上の場合は、頻尿である可能性が高い。

「頻尿の主な原因となるのが、“過活動膀胱(ぼうこう)”です。最近では患者さんが増加傾向にあり、40歳以上の8人に1人、12・4%が発症しており、そのうちの6割以上に尿失禁も見られています」と関口さん。過活動膀胱の原因は十分に解明されていないが、加齢による排尿機能の低下、排尿をコントロールする骨盤底筋の衰え、ストレスなどが考えられている。中でも重大な原因は“骨盤底障害”だ。

「骨盤部の靱帯(じんたい)や筋肉が弱くなったり損傷を受けることで、膀胱、尿道、腸、子宮などが本来の位置よりも垂れ下がってしまうことをいいます。すると、神経が過敏になり、尿が十分にたまらないうちに強い尿意が起こるなど、膀胱が不安定になります」

 自宅でくつろいでいる場合はなんでもないのに、初対面の人と会うときや会議を控えていたりするとトイレに行きたくなる……。そんな人は“神経性(心因性)頻尿”が疑われる。

「トイレに行きたくなったらどうしよう、と思うだけでも尿意を感じる人が多いです。これは、骨盤底筋や膀胱の異常によって起こるのではなく、あくまで精神的なもの。尿意を我慢しても身体に悪影響を及ぼすことはありません」

2~3か月で、約70%の人が改善
 過活動膀胱タイプの人におすすめなのが骨盤底筋を鍛える“骨盤底筋トレーニング”。これは、すべての尿トラブル対策として有効で、尿漏れや膀胱炎などにも効果的。

「膣と肛門を締めたりゆるめたりする運動です。身体を大きく動かす必要がなく、電車の中や座っているときなどに、人知れずできるので、日に数回、実行してほしいですね」

 2~3か月で、約70%の人に尿トラブルの改善がみられたという。

 神経性頻尿タイプの人に加えておすすめなのが、“膀胱訓練法”。

「トイレに行きたくなってもすぐに行かずに、少しだけ我慢するトレーニングです。尿意を我慢しているうちに、尿をたくさんためられるようになり、排尿回数を減らしていくことができます」

【膀胱訓練法のやり方】
 尿意を感じたら、5分我慢することからスタート。1週間ほど続けて、無理なくできるようになったら10分我慢、それを1週間~1か月継続。次は15分……とのばしていく。

「最終的にトイレの感覚が3時間ほどになれば成功ですが、無理は禁物。時間をかけてゆっくり実践を」

悩み2.トイレが間に合わない…尿漏れ
 頻尿よりも深刻な悩みとなりがちなのが尿漏れ。衣類を汚してしまうのが怖くて外出を控えたり、においが相手に伝わらないかと常に不安だったり。日常生活の質を大きく下げてしまう症状だ。尿漏れの主なタイプとしては、まず“腹圧性尿失禁”がある。

「大笑いや咳をしたとき、重い荷物を持ったときなど、腹圧がかかると漏れてしまうタイプ。成人女性の3~5人に1人が悩んでいるとされています」

 その大きな原因が、妊娠・出産。妊娠中は大きな子宮を支えるために骨盤底筋に多大な負荷がかかり、出産時には骨盤底筋や靱帯が必ず損傷してしまう。

「出産前後に尿漏れを起こす人は少なくありません。けれども9割以上は出産後1年以内に治る。1年たっても尿漏れがあるなら、重い“骨盤底障害”である可能性が高いです」

 1年以内に尿漏れが治っても、更年期前後で、潜在していた骨盤底障害が顕在化し、再び尿漏れが起こることが多い。

 さらに深刻なのが“切迫性尿失禁”タイプだ。突然、強い尿意が起こり、あわててトイレに駆け込んだが、下着を下ろす前に尿が漏れてしまう、というような人がそれ。主な原因は、頻尿でも説明をした“過活動膀胱”で、過活動膀胱の人の約6割が切迫性尿失禁をともなっている。

「元凶は下支えする骨盤底筋の衰え。膀胱が不安定になり、尿をもらしてしまいます」

 前述した骨盤底筋トレーニングに加え、ピフィラティスという体操も積極的に行うことで、改善が見込める。

「膀胱炎や膀胱結石、膀胱がんなどの病気がある場合も、尿意切迫感が起こりやすくなります。この場合は、原因となる病気の治療が必須です」

「骨盤底筋トレーニングを正しく行えば、約7割の方の頻尿・尿漏れが改善します。でも、うまくできないという方や、切迫性尿失禁などの重い症状の方におすすめしているのがピフィラティスです」

 これは骨盤底筋に加えて、その周辺の筋肉も鍛えることができるエクササイズ。身体をリズミカルに上下するパルス運動という動きを取り入れることで、従来の骨盤底筋エクササイズよりも35・7%も筋肉の収縮がアップ!

 1日5~10分行うことで、過活動膀胱の人の約80%が、手術が必要とされた重度の腹圧性失禁の人の約70%が、大幅に症状が改善したというデータもある。

悩み3. 50代からも増加する膀胱炎
 尿道から細菌が入り、膀胱の粘膜が炎症を起こすことを“急性細菌性膀胱炎”といい、排尿時に痛み、残尿感などの症状がある。性交渉が原因となることが多く、20代女性に多くみられる病気だが、50代でも増加してくるという。

「閉経後、エストロゲンが減少すると、細菌の繁殖を防ぐ自浄作用の力が弱くなります。疲労で免疫力が低下すると、細菌が増殖して発症しやすくなります」

 予防のためには肛門を清潔に保ち、疲れをためず、疲れているときは性行為を避ける、などを心がけて。医療機関で処方された抗菌薬を服用すれば3~7日で細菌はいなくなる。

「痛みや違和感が消えたら、前述の膀胱訓練を行って。膀胱炎後に起こりやすい過活動膀胱を予防することができます」

「膀胱炎かな?」と医療機関で尿検査をしても、細菌が見つからない場合は、“間質性膀胱炎”が疑われる。

「膀胱の“間質”という場所に炎症が起こる病気で、一般的な膀胱炎と似た症状があり、頻尿の悩みもともないます」

 これは、膀胱の内側の粘膜が弱まり、たまった尿が膀胱の間質という場所にしみこむことで炎症が起こるもの。

「原因ははっきりとわかっていません。対症療法として抗うつ剤や抗アレルギー薬、また膀胱を拡張する治療法などを行います。私のクリニックでは同時に膀胱訓練法も行います」

カフェインは避けるのがベター
「パンツを汚したくない、いつもきれいでいたい……そんな気持ちから1年中、おりものシートをしたり、排尿のたびにウォシュレットをするような人は要注意です」と関口さん。膀胱炎のほか、頻尿、尿もれなどの下半身の病気を招きやすくなるのだという。

「本来、外陰部は湿っているのが正常な状態。これを嫌ってカラカラにしようとすれば、陰部は傷つきやすく、細菌が繁殖しやすくなります。おりものシートなどの化学繊維も、外陰部に負荷をかけがちなので、使用は最小限におさえましょう」

 また尿トラブルを抱えている人は、膀胱の粘膜が弱い傾向にあるので、粘膜を刺激するようなカフェインも避けたほうがベター。利尿作用も高いので、水分のほとんどをコーヒーや紅茶で摂取しているような人は頻尿を招く場合も。

「美容を意識して、水分を過剰にとる人がいますが、膀胱に過剰な負荷がかかるので気をつけてください」

【生活習慣を改善して尿トラブルを遠ざけよう】

 尿トラブルのカギともいえる“骨盤底筋”とは、骨盤内にある膀胱や腸、子宮、卵巣、膣などの臓器を、落ちないように支えている筋肉群のことを指す。加齢とともに衰える傾向があるが、出産経験や生活習慣も大きく関係してくる。

「妊娠出産は骨盤底筋を大きく傷つけます。1年ほどで傷は癒えるのですが、出産経験がない人に比べれば、痛みやすい傾向に。猫背やそり腰などの人も腹圧を高めて、骨盤底筋に負担がかかりがちです」 

 姿勢を正し、おなかに負荷がかかりそうなときは、骨盤底筋を締めて、さらに上にグッと引き上げるよう意識して生活するのがポイント。

【骨盤底筋を衰えさせる悪習慣に注意!】
1.猫背
 背中が曲がっておなかに腹圧がかかり、骨盤底筋に負担をかけてしまう。
2.反り腰
 胸を前に突き出し腰をそらせた姿勢。腹圧が高まり、骨盤底筋への負担は大。
3.腹筋運動(足を伸ばして行う場合)
 腹圧が大きく高まり、骨盤底筋を下に押し下げる原因となる。
4.トイレで反り返った姿勢でいきむ
 背筋を伸ばしていきむと、骨盤底筋まで下に押し下げる。前屈みの姿勢がおすすめ。
5.重い荷物を持つとき
 おじぎをするように持ち上げるのではなく、ひざを曲げて、腰を落として持ち上げて。
6.電車で間仕切りに寄りかかって座る
 座るときに背筋が伸びていないと、呼吸のたびに骨盤底筋に腹圧がかかってしまう。

(取材・文/樫野早苗)

【PROFILE】
関口由紀さん ◎女性医療クリニックLUNAグループ理事長。女性泌尿器科医。婦人科・女性内科・女性泌尿器科・乳腺科・皮膚科などを総合的にみる「女性医療クリニック・LUNAグループ」を展開。著書に『自分で治す!頻尿・尿もれ』(洋泉社)など。

加齢黄斑変性の医者選び 「画像診断機器」の有無で判断を

 近年、患者数が急増しているのが加齢黄斑変性だ。50歳以上の約2%に病状がみられ、高齢になるほど発症率が高まる。東京女子医科大学眼科学教室教授の飯田知弘医師が指摘する。

「加齢黄斑変性は、網膜の中心部で“視覚の中枢”と呼ばれる『黄斑』が損傷して、ものが歪んで見えたり、視力が低下してぼやけたりする病気です。視野の中心が黒くなって見えなくなることもある。進行すると視力が急激に低下して、最悪の場合は失明します」

 欧米では成人の失明原因第1位。日本でも視覚障害の原因の第4位で、国から難病に指定される。治療は手術ではなく薬物療法が中心となる。

「特に近年進歩したのは、『抗VEGF薬』を目に注射する治療法です。眼球内の硝子体に直接注射することで、トラブルのもととなる新生血管の発生や成長を防ぎます」(飯田医師)

 抗VEGF抗体は保険適用で、片目約5万円の注射を1か月ごとに3回打つのが一般的だ。治療は早く始めるほど効果が大きくなるが、この病気は早期発見が難しい。

「加齢黄斑変性は片目ずつ進行するため、一つの目が発症しても片方が見え方をカバーして発見が遅れます。たまに片目でものを見て、“ゆがみ”や“ぼやけ”があったら受診すべきです」

早期発見して失明を避けるには、ここでも「医者選び」が重要だ。

「最近は画像診断が格段に進歩し、『光干渉断層計(OCT)』を使えば黄斑の異常を高い確率で検知できます。OCTは高額ですが、意識の高い専門医なら導入しているところも多い。導入しているかHPで確認できるクリニックも多く、分からなければ直接電話で確認するのもいいでしょう。

 加齢黄斑変性の初期は自覚症状も少なく、視力検査や眼底検査では見逃されることもある。気になる症状が出たら、まずはOCTのある眼科を選んで受診してください」(飯田医師)

 ひとつ選択を間違えただけで、日常生活に多大な支障が出る目の病。老後生活を“暗転”させないためにも、「本当に頼れる医者」の見つけ方を知っておきたい。

つらい更年期障害、入浴法と食事術でこんなにも改善

『ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり・発汗)』『肩や首のコリ』『腰・手足のしびれ』『イライラするなどの精神障害』など更年期障害につらい症状に悩まされている人は多い。更年期障害のそれぞれの症状に応じた個別のアプローチは有効だ。なかでも日常生活ですぐ実践できるものを紹介しよう。

 おっとりした人でも、更年期には興奮してイライラしやすくなったり、不安でたまらなくなったりする。

 東邦大学医療センター大橋病院婦人科の高橋怜奈医師は、メンタルの不調に対し「更年期は必ず終わる」という心の余裕が必要だと指摘する。

「ホルモンバランスは薬でコントロールできますが、精神面の不調に対しては、心の持ちようが大きく影響します。とりわけ大事なのは、“あまり気にしない”こと。イライラしたり不安になっても“更年期は必ず終わるもの”だと心に刻んで、なるべくストレスを感じない生活を心がければ、メンタルの不調は落ち着いていくはずです」

 更年期は一生続かない。「出口」を信じてリラックスすることを心がけたい。

 更年期障害で最も多いといわれるホットフラッシュ(のぼせ・ほてり・発汗)には「運動」が効果的だ。

「ホットフラッシュは血流のバランスが悪くなって、血が頭部に上ることで生じるため、運動をして血流をよくすれば緩和できます。ただし過度の負荷や“やらなくちゃ”というプレッシャーが心身の負担を増して、症状が悪化する恐れがあります。決して無理はせず、ピラティスやヨガなどの軽い運動を行えば充分です」(高橋さん)

 首や肩のコリは「入浴」によって改善する。成城松村クリニックの松村圭子院長はこう語る。

「38~39℃のお湯に10分ほど浸ると、血の流れがよくなります。半身浴か全身浴かは、リラックスできる方で構いません。シャワーだけで済ませるのではなく、湯船につかる習慣を身につけてください」

 入浴が苦手なら、肩の力を抜いて2~3回ゆっくりと首を回すだけでも効果がある。手足や腰の冷えには「食材」で対応する。よしかた産婦人科副院長の善方裕美医師はこう解説する。

「体を温める食材を積極的に摂ることをおすすめします。にんじん、大根、ごぼうなどの根菜類は体を冷やしてしまう水分が少なく、血行を促進させるビタミンを多く含んでいます。体が温まって代謝が上がり、冷えをやっつけられます」

 ほかにも食べておきたい食材は多い。

「かぼちゃや小松菜などの緑黄色野菜に含まれるビタミンEは、ホルモンバランスを整えます。また更年期に上昇して血管の老化を招くコレステロール値を下げるため、DHAやEPAを豊富に含む青魚をたくさん食べたい。精神を安定させる神経伝達物質・セロトニンを作るのに必要な鉄分は、意識して摂取しないと不足しがち。おすすめの食材は今が旬のかつおです」(松村さん)

 天然の食材で補えない部分は、サプリメントが助けになる。

「最近の研究で、大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝されてできる『エクオール』という成分が、更年期障害を和らげると注目されています。ですが残念なことに、日本人の約50%はエクオールを作る腸内細菌を持たないといわれている。エクオールを含んだサプリメントを摂取することをおすすめします」(善方さん)

 更年期障害の克服で大切なのは道筋を間違えないこと。暗いトンネルをヌケた先には、明るい未来が待っている。

70%以上が知らない!? 老化をもっとも促進させる現象「糖化」とは

“糖化”という言葉を聞いたことがありますか? 糖化とは、”体内のコゲ”をつくる原因で、食事中の糖が体の中のタンパク質と結びつき、AGE(終末糖化産物)を発生させる現象です。

このAGEがシワやたるみ、シミやくすみなどの老化現象につながるだけでなく、血管をも老化させ、心筋梗塞や脳梗塞などさまざまな病気につながる恐ろしい現象なのです。

しかし、AGE測定推進協会が実施した調査によると、70%以上の人が糖化という言葉を聞いたことすらないという結果が出ています。

今回は、これからの新常識、糖化について3つのポイントをご紹介します。

■毎日15キロ以上のジョギングは体を老化させる

「健康のために運動を」というのは正しい考え方なのですが、過ぎたるは及ばざるが如し。
ジョギングもやり過ぎると逆に体を糖化させてしまいます。

毎日15キロ以上ジョギングをしているというストイックなランナーは注意しましょう。

逆に、適度な運動はAGE発生の抑制につながります。
食後1時間が血糖値上昇のピークなので、それまで20~30分ほどの少し汗ばむくらいのウォーキングがオススメです。

■血糖値上昇を防いでAGEを抑える

食事から入ってくる糖が多ければ多いほど、体内でAGEは発生しやすくなります。よって、血糖値が上がりにくい食事を心がけることが大事です。

一つは低GI値の食品。たとえば、白米を玄米に、パンを全粒粉小麦のパンなど、より加工度の低い、自然のままのものをチョイスすることで食後の血糖上昇が抑えられます。

また、食物繊維も積極的にとりたいところ。こちらも糖の吸収を抑え、血糖値の上昇を緩やかにする効果があります。

■AGEの多い食品を避ける

AGEは体内で生成されるものとは別に、もとから食品に入っているものもあります。
特に、揚げたり焼いたり炒めたりした動物性の食品に多く含まれます。

ステーキ、トンカツ、焼き鳥などや、ポテトチップス、フライドポテトは要注意。
特に糖質制限をされている方は多くとっている人もいるので確認しましょう。

いかがだったでしょうか。
体の外側も内側も老化させ、病気の原因にもなる糖化は、これからの新常識になっていくはずです。

ぜひ今のうちから知識を持って実践していきましょう。

更年期に詳しい医師にかかれば症状がウソのように消える

【更年期を知って夫婦円満】

 生活に支障を来す更年期障害のような症状があって受診しても、いつまでも症状が改善されない場合は、クリニックを替えてみて下さい。残念ながら、婦人科の医師でも更年期症状に詳しくない医師もいます。更年期を専門とする詳しい医師の手にかかれば、起き上がるのもつらかった症状がウソのように消えてしまうことは珍しくありません。

 更年期障害が生じるほどの症状についての治療には、ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、サプリメントと3種類あります。HRTは、減少した女性ホルモンを補充するもの。更年期障害のほとんどの症状を早く改善させることができます。ただし、乳がん、子宮体がん、血栓症などがある人は受けられません。

 漢方薬は、更年期障害のさまざまな症状を改善させます。HRTとの併用も可能で、途中で切り替えるのも可能。知人のS子さん(52)も、漢方薬から始め、閉経後、骨量が下がったので、骨量を維持できるHRTに切り替えました。サプリメントで注目を集めているのが、HRTに似た作用のエクオール。大豆のエストロゲンによく似た成分です。本来、大豆食品を食べると特定の腸内細菌によって腸内でエクオールが産生されます。ところが、日本人女性の半分は、その腸内細菌を持っていません。

 HRTと漢方薬などは費用の3割負担の保険適用があるので、薬価で1000~数千円(処方薬により個人差あり)。サプリメントはそれがないので、ほかの治療と比べるとやや高めで、月平均4000円前後(商品による)の費用となります。しかし、食品なので手軽に始められ、HRTが受けられない人にもできるのが利点です。

 3つの治療のほか、うつ症状が強い人には精神薬やカウンセリングなどを取り入れます。運動や食事の改善は大切ですが、気力が低下している時にはハードルが高いので、順番を決めず、気軽にできることから始めましょう。

(小林ひろみ/メノポーズカウンセラー)

人には言えない「尿もれ」 その原因と進化する“対策”

30代の女性で3人に1人が経験しているという「尿もれ」。男性も50代の3人に1人が経験したことがあるといい、多くの人が悩んでいる症状です。尿もれの原因や対策は…?

30代女性で3人に1人が経験 なぜ起きる?

松本麻衣子アナウンサーがまず訪ねたのは、ドラッグストアです。

「パッドになっているものもありますし、ショーツタイプのものも」(松本麻衣子アナウンサー)

スギ薬局・新大阪宮原店(大阪・淀川区)では、大人用おむつの隣に尿もれケア専用商品のコーナーが大きく作られていました。

「年々、商品数だったり売り上げは増えてきています。売り場も大きくしていっています」(スギ薬局 迫西克行さん)Q.どういう方が購入されますか? 「50代以降の女性の方が多いですけど、30代の方とかも購入される方が増えています」

30代の女性でも3人に1人が経験している(※ユニ・チャーム調べ)という「尿もれ」。そもそも尿もれはなぜ起きるのでしょうか?大阪・心斎橋にある「女性医療クリニックLUNA心斎橋」で、女性泌尿器の専門家・二宮典子先生にお話をうかがいました。二宮先生は、開業して3年で約2000人の尿もれに悩む女性を診察したということです。

「出産で失禁をするのは『腹圧性尿失禁』とよく言われます。これは40代以降の女性に非常に多い疾患です」(女性医療クリニックLUNA心斎橋 二宮典子院長)

「腹圧性尿失禁」とは、せきやくしゃみ、重いものを持った時など、お腹に力が入った時に起きる尿もれのこと。女性の尿もれの多くはこのタイプだといいます。原因は、骨盤の下の方、骨盤底にある筋肉の緩み。女性は出産や女性ホルモンの低下などでこの骨盤底の筋肉が傷つきやすく、その結果、お腹に強い力=腹圧がかかったときに尿道をうまく締められなくなり漏れてしまうのです。一方で、男性も他人事ではないそうで…

「骨盤底筋は『俺は男だから痛まない』とはなかなかいかなくて、慢性的に咳をしている人や、でっぷり太っている人はお腹を上からぐっぐと抑える圧力が非常に大きい。そういった腹圧をかけることを日常的にしている方は、骨盤底筋が傷みやすいということになります」(二宮典子院長)

尿もれはその症状や原因から、大きく4つに分類されます。出産をした女性に多い「腹圧性尿失禁」の他に、急に尿意をもよおし我慢できずに漏れてしまう「切迫性尿失禁」。尿が出ず、溜まりすぎて漏れ出てしまう「溢流性(いつりゅうせい)尿失禁」。そして、身体運動機能の低下などで服を脱ぐのが間に合わず漏れてしまうという「機能性尿失禁」の4つです。

Q.尿失禁というのは誰にでも起こり得る?
「歳をとったら、同じ生活をしていると必ず骨盤の筋肉も含めて筋肉は弱くなります。ですので、出産しているしていないにかかわらず、(体の構造的に)女の人は放っておいてぼんやりしていたら、尿が漏れちゃう危険性を常にはらんでいるんですね。もしいま失禁が起きていなくても、一生涯気をつけておいて欲しいですね」(二宮典子院長)

進化するケア商品 男性用市場も拡大

軽い尿漏れから重症のものまで尿もれ関連の商品を数多く手がけるユニ・チャーム(東京・港区)を訪ねました。現在約80種類の商品を販売しています。いま力をいれているのは、パッドやライナーといった「軽い尿もれ」に対応した商品です。ほんのちょっとの量からしっかりとした量まで、さまざまな吸水量に対応した商品を展開しています。

「尿もれで悩んでいる方の半数ぐらいが(専用品を)使われてはいるんですけど、まだ半数の方は使っていないので」(ユニ・チャーム 阿戸瑛理子さん)

Q.生理用ナプキンとは違う?
「全然違います。製品の構造がまったく違い、使用感もまったく違うので、やはり尿もれに悩んでいる方は専用品を使っていただくことが良いかと思います」

尿ケア専用品と生理用ナプキン、どのくらい違うのか実際に比較してみます。10ccの水をかけると…見た目は両方とも吸収しているように見えますが、触ってみると…

「全然違う。生理用ナプキンはかえりがあります、手に水分を感じます。尿ケア専用品はさらさらです」(松本アナウンサー)

違いの理由は、尿ケア用品に使われている「吸水ポリマー」。水分をしっかり固めて戻らないようにするのです。なかでも、3年間で市場が3倍と大きく拡大しているのが、50代の3人に1人が悩んでいるという男性用商品です。一見、女性用と変わりませんが…

「男性はやはり使い方に慣れていないので、使い方がしっかりと載っています。男性の尿もれに合わせた設計になっています」(ユニ・チャーム 阿戸瑛理子さん)

改善のカギを握る!?「骨盤底筋」

多くの人が悩まされている尿漏れですが、その症状によっては、予防・改善をすることができるといいます。特に「腹圧性尿失禁」では、軽症の場合、骨盤底の筋肉を鍛えることで尿もれを改善することができるそうです。

「女性には誰しもが一生ずっとやってねというふうにお伝えしますが、男性の方においても骨盤底を鍛えるというのは、尿道とか前立腺の血流がよくなりますので」(女性医療クリニックLUNA心斎橋 二宮典子院長)

そこで、二宮先生が勧めるのが「ピフィラティス」という運動。これは、アメリカの泌尿器科医が尿もれ改善のために考案したもので、科学的根拠に基づき骨盤底筋に良い動きを厳選、アレンジしたトレーニング方法です。ゆっくりした動きとすばやく腰をはね上げる動きの組み合わせで、骨盤底筋を意識することなく、自然と鍛えることができるというのです。ただ、症状によってはトレーニングだけでは改善されない場合などもあるので、早めに医療機関を受診することが重要だということです。

(2月1日放送 MBSテレビ「ちちんぷいぷい」内『私たちスルーできないっ!!』より)

◎専門医に聞け! Q&A 過活動膀胱(尿意をコントロール出来ない病気)

Q:尿意を頻繁にもよおし、我慢ができないし、我慢すると漏れることもあります。その割に出る尿の量はあまり多くありません。泌尿器科で診察を受けたところ、過活動膀胱だと言われました。薬の服用だけでは治らないそうです。何かよい対策法はありませんか。
(65歳・アルバイト)

A:私たちの体は、膀胱に一定の量の尿が溜まるまで尿意を覚えない仕組みになっています。過活動膀胱は、その膀胱の機能が低下しており、尿意をコントロールできません。

 尿意が切迫し、我慢することができず、我慢しようとすると漏らしてしまいます。頻繁に尿意をもよおしますが、尿の量は多くありません。

 過活動膀胱は女性に多いのですが、男性にもみられます。40代くらいに始まり、年代が上がるにつれて増えます。50代以上では男性のほうがやや多いと言われています。

 前立腺肥大症や脳、脊髄神経の病気などによって起こる場合もありますが、多くは特発性、つまり原因不明です。ストレスが関係することもありますが、加齢とともに膀胱の機能が低下していることが多いようです。

●ローラーで会陰を刺激

 治療には薬物療法もありますが、最近注目されているものに、会陰をローラーでマッサージする方法があります。

 会陰(俗に言う、蟻の門渡り)は、男性では陰嚢と肛門の間、女性では陰裂下端と肛門の間の部分です。手でさわると柔らかい感じがしますが、この部分は内部に腹腔内の臓器を下から支える筋肉(骨盤底筋)が存在しています。

 ここを軟質ローラーで刺激します。東京都健康長寿医療センター研究所が行った臨床試験の結果、やさしく、ゆっくりと皮膚上でローラーを転がす刺激を就寝前に1分間行うと、過活動膀胱がある人では夜間の頻尿が0.6回減少することが分かりました。

 骨盤底筋が刺激され、膀胱機能が回復すると考えられます。軟質ローラーでなく、硬いローラーでは効果は得られません。

 この方法は新しい治療方法として注目されています。試してみてください。軟質ローラーは、前出の研究所が開発した製品が販売されています。

**************************************
山口康三氏(回生眼科院長)
自治医科大学卒業。眼科医、漢方内科医。食事、運動、睡眠などを改善する生活改善療法を指導し、眼科の病気や生活習慣病の治療に成果を挙げている。日本綜合医学会副会長。

「尿タンパク」は陰性でも…糖尿病の人が追加するべき検査

【検査数値 裏読みナナメ読み】

 尿タンパクは、おなじみの検査でしょう。タンパクの有無を調べる定性検査とタンパクの量を調べる定量検査があって、定性検査は陽性(+)と陰性(-)で判定し、陰性が正常。定量検査は、1日100㎎/デシリットル以下です。

 消化管で吸収された水分や栄養素などは血液の流れにのって全身をめぐります。

 その途中で腎臓にある糸球体のろ過装置を通過。そこで老廃物や余分な水分が取り出されたのが尿のもととなる原尿です。原尿には、体に必要な電解質やタンパク質なども含まれています。尿細管という排水管を通る際、そういう必要な成分や水分が血液中に取り戻されるのです。

 その仕組みが再吸収。健康な人なら尿にタンパク質が漏れることはありません。ですから、尿タンパクは陰性が正常なのです。

 ところが腎炎や尿路感染症、尿路結石、膀胱炎などで腎機能が低下すると、タンパク質が尿に漏れることがあります。その場合は病気の発見に役立ち、それぞれの治療に結びつける手がかりになるのでいい。激しい運動や発熱、女性なら生理や妊娠、精液や膣分泌液の混入などそれほど深刻でないこともありますが、そうだと分かれば問題ありません。

 では、陰性だから大丈夫かというと、そうでもないのです。

 糖尿病の合併症のひとつの糖尿病腎症だと、尿タンパクの定性検査で陰性であるにもかかわらず、アルブミンというタンパク質がわずかに含まれていることが少なくありません。その状態を放置すると、糖尿病腎症が悪化し、腎不全を起こし、人工透析を余儀なくされます。

 糖尿病の人は、尿タンパク検査だけでは不十分ということです。そこで欠かせないのが、わずかなアルブミンも検出できる「尿中微量アルブミン」を定期的に受けることが無難でしょう。

 腎不全を招く病気はいくつもありますが、その1位が糖尿病腎症。糖尿病の人は3割ほどが糖尿病腎症を合併しているといわれますから、決して油断できません。

 糖尿病で「尿中微量アルブミン」を調べたことがなければ、すぐに受けることをおすすめします。

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)

ビタミンC摂取で陰性に 尿潜血で「2+」以上は膀胱がんか

【検査数値 裏読みナナメ読み】第5回

 年を重ねると、尿のトラブルに悩まされます。そのひとつが、血尿です。今回は、尿潜血検査についてご紹介します。「-」は異常なし。問題なのは「±(偽陽性)」と「+(陽性)」で、「+」の数が多いほどよくありません。

 メタボ傾向の今井和夫さん(45歳=仮名)は、尿酸値が7.2㎎/デシリットル(正常値は7未満)のほか脂質などもやや高め。そのための治療で受診しています。昨年、会社の健康診断を受けたら、尿潜血検査の結果が「+」だったと話してくれましたが、自覚症状がなく、放置。それから1カ月後、慌てた様子で電話がかかってきました。

「腰から背中の辺りが明け方からものすごく痛くて。吐き気もひどく、会社に行けないんです。どうすればいいですか」

 健康診断の話やこれまでの受診記録から心当たりがありました。尿路結石です。総合病院の泌尿器科を紹介し、受診していただきました。

 石の成分はカルシウムやシュウ酸、尿酸などいくつもありますが、ほとんどは腎臓の中の腎盂で作られます。その大きさによって、尿として排出される間にどこかにひっかかったりして痛みを伴うのです。泌尿器科では石を砕いて排出させる治療などが行われます。話を聞くと、案の定、結石性腎盂腎炎だったといいます。

 一般に結石を伴わない腎盂腎炎や膀胱炎は女性が圧倒的で、男性は少ない。尿道に感染した大腸菌などが逆行して炎症を起こすのですが、この病気は、性的行為の影響を少なからず受け、膣と尿道が近い上、女性は尿道が男性より短いため感染しやすいのです。パートナーの女性がよく発症する場合は、行為後のシャワーが無難でしょう。

 男性は結石による尿潜血だけ注意すればいいのかというと、そうではありません。特に「2+」以上は要注意で、膀胱がんや腎がん、前立腺がんなど悪性腫瘍を疑って速やかに精密検査を受けることをお勧めします。膀胱がんは、「2+」以上で診断されるがんの中で最も多いのですから。

 蛇足ですが、ビタミンCを多く含むジュースやサプリを摂取すると、本当は陽性なのに、陰性になることがあります。尿潜血検査前のビタミンC摂取は禁物です。

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)

知らないとダメ 500万人が悩む「便失禁」 保険で症状を改善できる

「トイレに間に合わず“大”を漏らしてしまった」「気が付いたら、パンツに茶色いシミがついていた」――。
 便を漏らしてしまう「便失禁」に悩む人は全国に500万人いるという。

 便失禁は、通常の排便とは別に、便をしばしば漏らしてしまうこと。2つのタイプがある。便意は感じるが、排便を我慢できずにトイレにたどり着く前に便を漏らしてしまう切迫性便失禁と、知らないうちに漏れている漏出性便失禁だ(以下、切迫性と漏出性)。

「切迫性は比較的若い人に多く、漏出性は高齢者に多い。切迫性と漏出性のどちらもある人もいます」と言うのは、東京山手メディカルセンター(旧・社会保険中央総合病院)大腸肛門病センターの山名哲郎部長だ。

 肛門を締める肛門括約筋には、意識的に締める外肛門括約筋と、無意識に締める内肛門括約筋がある。切迫性は「外」が、漏出性は「内」が、うまく働かない。

 原因はまず、肛門括約筋の外傷。自然分娩による会陰裂傷、複雑痔ろうや直腸がんの手術などが関係している。次に、神経系の異常。これに関係しているのは、脊髄損傷などの脊髄の障害や、認知症など脳の障害。

「しかし、実際に多いのは、これらの異常がない健康な人の便失禁。高齢者はその傾向が強い。加齢による肛門括約筋の衰え、肛門の感覚や直腸の便意の感覚の低下などが考えられます」

 切迫性、漏出性どちらにも共通した治療法は、「便を整える」こと。

「夜は水分や酒を控える、食物繊維の摂取を心掛ける、適度な運動をする、便意を感じたらすぐにトイレに行くなど、排便に関する生活習慣を見直してもらいます」

 尿道、肛門、膣を締めたり緩めたりする骨盤底筋体操も行うが、一般的には、これだけでよくなる患者は少ない。そこで、下痢止め効果のあるロペラミドと、便の硬さを調整するポリカルボフィルカルシウムの2種類の薬を用いた治療が行われる。

「さらに、切迫性便失禁は、筋電図のセンサーをおしりに刺し、モニターを見ながら骨盤底筋を鍛える『バイオフィードバック療法』を行います」

■欧米では20年前から行われている。「仙骨神経刺激療法」

 これらによって便失禁が改善するのは、6~7割。治療成績を上げるため、これまで欧米を中心に、足の筋肉を肛門に巻きつけて電気で刺激する治療法や、人工的な肛門括約筋を用いた治療法など、さまざまな試みが行われた。

しかし、どれも有効性にバラつきがあり合併症もあるなどの理由で、日本で行われることはなかった。

 ところが今年4月、新たな治療法が保険適用になった。「仙骨神経刺激療法」だ。排便に関する神経に持続的に電気刺激を与え、便失禁の症状を改善する。欧米では20年ほど前から行われてきた。

「体外からの電気刺激を一定期間行って、十分な治療効果が見られたら、心臓ペースメーカーのような装置をおしりに埋め込み、治療を継続します。

便失禁の症状が完全になくなる治療ではありませんが、日本で行われた臨床試験で、仙骨神経刺激療法開始後、6カ月で、1週間の便失禁の回数が半分以下に減少した患者さんが約8割いました」

 山名部長は「仙骨神経刺激療法は画期的な治療法ですが、そこまでやらなくても、専門医の治療を受けて便失禁が改善される方はかなりいます。何年、何十年とひとりで悩んでいる人もいます。とにかく、病院を受診してほしい」と言う。

 茶色いシミに怯えずに済む日がやってくる。

人には言えない「大人のおねしょ」の治し方

「尿もれ」に悩んでいるかたは意外と多いかもしれません。特に、くしゃみをしたり、大笑いしてお腹に力を入れたときに少量の尿がもれてしまう、いわゆる腹圧性尿失禁については、妊娠・出産経験のある中年以降の女性は、かなり高い確率で悩んでいると聞きます。

尿もれを、食べるものに気を付けることで少しでも改善できたらいいですよね。今回は、尿もれ改善に効果が期待できる、または避けたほうがいい食べ物について、医師に話を聞きました。

尿もれ改善に効果的な食べ物

まず、尿もれの原因のひとつとして、女性に多い便秘や冷え性があります。
そのため身体を温めたり、便秘を解消したりするはたらきを持つ食べ物は、尿もれに効果的だと考えられます。

【便秘に効く食材】・ドライプルーン
・バナナ
・リンゴ
・ヨーグルト
・野菜類

【冷え性改善に効果がある食材】
・しょうが
 うどんや甘酒に入れたり、紅茶に入れたりしても体が温まり、美味しいものです
・ニンジンなどの根菜類
 体を温め、冷えを解消してくれる効果が期待できます

冷え性改善には、生姜やニンジンを温かい鍋物やスープなどで摂るほうが、体を温める効果は高くおすすめです。
飲み物も、冷え性のかたは、冷たいものでなく室温、あるいは温かい飲み物がいいでしょう。

【その他】
・ぎんなん
 膀胱の付近の筋肉を強くする効果があるといわれています。
・山芋
 滋養強壮作用でも知られています。積極的に摂取すると元気が出るといわれています。
尿もれに悩む人が避けたほうが良い食材
尿もれに悩んでいる人ができれば避けたほうがいい食材は、膀胱に刺激を与えてしまうものです。

・コーヒーや濃い目の緑茶
 利尿作用でも知られるカフェインを多く含有します。
・アルコール
 できれば控えたほうがいいです。
・極端に酸っぱい果物(レモンなど)
・香辛料
 激辛カレーなどは、尿もれが気になる場合、頻繁にとることは避けたほうがいいです。

【医師からのアドバイス】
尿もれに何らかの形で影響を与えると思われる食材は、身近にいろいろあります。

なお、尿もれを防ぐのに効果的な食べ物だからといって、摂りすぎて体重が増加してしまうおそれがあります。体重増加は尿漏れによくない影響を与えるので、気をつけましょう。

尿もれに効果的な食べ物、避けるべき食べ物って?

「尿もれ」に悩んでいるかたは意外と多いかもしれません。特に、くしゃみをしたり、大笑いしてお腹に力を入れたときに少量の尿がもれてしまう、いわゆる腹圧性尿失禁については、妊娠・出産経験のある中年以降の女性は、かなり高い確率で悩んでいると聞きます。

尿もれを、食べるものに気を付けることで少しでも改善できたらいいですよね。今回は、尿もれ改善に効果が期待できる、または避けたほうがいい食べ物について、医師に話を聞きました。

尿もれ改善に効果的な食べ物

まず、尿もれの原因のひとつとして、女性に多い便秘や冷え性があります。
そのため身体を温めたり、便秘を解消したりするはたらきを持つ食べ物は、尿もれに効果的だと考えられます。

【便秘に効く食材】・ドライプルーン
・バナナ
・リンゴ
・ヨーグルト
・野菜類

【冷え性改善に効果がある食材】
・しょうが
 うどんや甘酒に入れたり、紅茶に入れたりしても体が温まり、美味しいものです
・ニンジンなどの根菜類
 体を温め、冷えを解消してくれる効果が期待できます

冷え性改善には、生姜やニンジンを温かい鍋物やスープなどで摂るほうが、体を温める効果は高くおすすめです。
飲み物も、冷え性のかたは、冷たいものでなく室温、あるいは温かい飲み物がいいでしょう。

【その他】
・ぎんなん
 膀胱の付近の筋肉を強くする効果があるといわれています。
・山芋
 滋養強壮作用でも知られています。積極的に摂取すると元気が出るといわれています。
尿もれに悩む人が避けたほうが良い食材
尿もれに悩んでいる人ができれば避けたほうがいい食材は、膀胱に刺激を与えてしまうものです。

・コーヒーや濃い目の緑茶
 利尿作用でも知られるカフェインを多く含有します。
・アルコール
 できれば控えたほうがいいです。
・極端に酸っぱい果物(レモンなど)
・香辛料
 激辛カレーなどは、尿もれが気になる場合、頻繁にとることは避けたほうがいいです。

【医師からのアドバイス】
尿もれに何らかの形で影響を与えると思われる食材は、身近にいろいろあります。

なお、尿もれを防ぐのに効果的な食べ物だからといって、摂りすぎて体重が増加してしまうおそれがあります。体重増加は尿漏れによくない影響を与えるので、気をつけましょう。

50代以上の男性3人に1人が経験!? すぐできる尿の“ちょい漏れ”解消法①

 トイレで尿を出し切ったはずが、後で漏れてパンツにシミが…。そんな中高年男性の「尿漏れ」の悩みを解消するには、どんな対策が必要なのか。関西地方で観光ガイドのボランティアをしている男性のCさん(68)は2年ほど前、外出間際に自宅でトイレを済ませ、ふとズボンを見て驚いた。

 太もものところに縦に2、3筋、尿で濡れた跡があり、色が変わっていた。すぐに着替えて出かけたが、ショックだった。以来、用を足した後は、毎回、1分間は便器の前から動かず、尿漏れに細心の注意を払っている。「初めての“失敗”を思い出すと今でも恥ずかしく、情けない。なので妻はもちろん、周囲の誰にも明かしていない。お客様を連れた外出中でなくてよかったが、今後を考えると不安。最近は尿漏れを防ぐ商品の広告が目に付きますが、自分の老化を認めるようで、とてもじゃないが買えません」(Cさん)

 これは、医学的には「排尿後尿滴下」といい、50代以上の男性では3人に1人が経験しているとも言われる症状だ。 男性は女性に比べて尿道が長く、尿道にとどまった尿の一部が衣服を整えた後に漏れ出すことがある。これで自尊心を傷つけられる人もいるのだ。 東京都の会社員男性(47)は、1年ほど前から突然襲ってくる激しい尿意を我慢できなくなった。仕事で取引先へ出向く前などは何度もトイレに行く。それでも過去に1度、トイレに間に合わず漏らしてしまい、ズボンに出来た大きなシミをコートで必死に隠した。

 事情を知る同僚に「女性用のパッドを使う人もいるらしいよ」と耳打ちされたこともある。「試してみたいが、自分では恥ずかしくて店頭で買うことが出来ない」と、まだ買ったことはないという。悩みを抱えたまま、神経をすり減らしているようだ。 なぜ「尿漏れ」が起きるのか。その原因を専門家に聞いた。「全身の筋肉の中で、尿漏れに最も関係するのは骨盤の下にある骨盤底骨です。そこにある骨盤底骨筋は内臓を正しい位置にキープするため下から支えている大事な筋肉だが、加齢や運動不足などで、筋肉が弱まると尿漏れを引き起こします。年齢を重ねると骨盤底骨筋が弱くなるために、膀胱が勝手に動いてしまう過活動膀胱になりやすいんですね」

 こう答えてくれたのは、東京都健康長寿医療センターの桑島隆彦顧問だ。この他にストレスや運動不足などの原因で、尿漏れを起こすことがあると指摘する。この病気は、命にかかわる重大病ではないので研究はあまりされておらず、医者にかかっても具体的な解決策を提示されることは少ないといわれる。しかし、専門家の中には排尿後の尿滴下の相談をよく受ける人もいるという。

 東京・目黒区で泌尿器科医を20年務める専門家は、尿漏れ対策を次のように教えてくれた。「最近はそうした患者さんが増えています。すぐにできる解決策として『会陰部指圧』と『陰茎引き上げ』の2つの方法を患者さんに薦めています。まず『会陰部指圧』というやり方ですが、ペニスの根本の“袋”と肛門の間にある会陰部を、人指し指と中指の腹で下からグッと突き上げる。ズボンの上からでいいので、排尿後2~3回繰り返す。これで効果が不十分なら、次に『陰茎引き上げ』を試す。

排尿後、ペニスの先を上に向けて体に引き付け、亀頭を20秒間ほどキュッと押さえる。20秒間でうまくいかなければ、30秒から1分間押さえる。パンツの中にしまってズボンのチャックを閉め、ズボンの上から亀頭をしっかり持つやり方でもいいのです」2つ(「ペニスを上に向ける」「亀頭を押さえる」)がセットになって効果を発揮するので、必ずどちらも行う。20秒から1分間押さえた後は、ペニスを通常通り下に向けてパンツの中にしまえばいいという。 なぜ、この方法が有効なのだろうか。原因を知れば納得できる。

50代以上の男性3人に1人が経験!? すぐできる尿の“ちょい漏れ”解消法②

 男性用の尿失禁商品も効果的

「排尿後尿滴下の原因を『尿の振り切り方が足りない』と思っている人が多いのですが、そうではありません。尿道周囲の筋力が弱い事が原因です。尿をする時は、尿道が広がり、排尿後は尿道周囲の筋力が収縮して尿道がしぼむ。この筋肉収縮によって、尿道に残っている尿が膀胱に押し戻される。しかし、尿道周囲の筋力が弱いと、膀胱に戻るべき尿がそのまま尿道にとどまることになり、ペニスをパンツにしまってから流れ出してしまうのです。『会陰部指圧』はちょうど尿の戻りがうまくいかずにたまっているあたり(球部尿道)を刺激するので、尿が外へ出たり、膀胱へ戻りやすくなるというわけです」(専門家)

 尿失禁といえば、長らく女性の悩みと捉えられてきた。男性専用品が出てきたのは5年ほど前からだが、今では主要メーカー5社の製品がそろっている。 各社は「ちょい漏れ対策などと呼んで宣伝に力を入れている。生理用品から発展した女性用をベースにしているが、男性は下着の中で尿の出口が動いてしまうのが特徴だ。製品の形は様々で、メーカーの試行錯誤の後がうかがえる。

 ユニ・チャームは尿の吸収量別に20㏄~200㏄まで4種類を揃え、現時点でシェア1位。幅広い扇形を前に装着するのは陰茎の動きをカバーするためだ。同社の調査では、これまで尿漏れに悩む男性は女性用で代用したり、ちり紙・ハンカチで対処したりしていた。発売後1年で、市場規模は3倍に拡大したという。 関係者は「いずれ男子トイレにも、汚物入れが置かれるのが当たり前になってほしい」と期待する。

 花王は吸収量50㏄で長さが36センチあり、「1枚で夜までOK」と安心を強調する。さらに男性が買いやすいようにと、数年前からパッケージのデザインを改良し、機能の情報も加えた。男性の4割は通販で購入。店頭で買う人の7割は女性で、家族などが代理で買っているようだ。

 東京都リハビリテーション病院の鈴木康夫部長(泌尿器科)は、尿漏れの危険性についてこう語る。「尿漏れの一種である『溢流性尿失禁』は、尿を出せずに膀胱に残る大量の尿が溢れ出す現象で、放っておくと命に関わることがあります。膀胱内の尿が細菌に感染し、それが尿管から腎臓へ逆流する腎盂腎炎を起こし、腎不全の原因にもなります。目に見える血尿は、膀胱がんや結石が原因であることが少なくありません」たかが尿漏れと軽く考えず、医療機関にしっかりと診察してもらうべきだ。

◇つらい男性の頻尿  前立腺肥大でダブルパンチ

 夜、何度も目が覚め、トイレに行く。昼間でも、若い時よりも排尿が終わるまでの時間が長く、爽快感もない。目的地に着くまでに何度も公衆トイレに寄らなければならず、いつしか外出を避けるようになる。頻尿(過活動ぼうこう)は生死に関係がないとはいえ、生活の質(QOL)に大きく影響する病気だ。 ,一時期から、女性の過活動ぼうこう症が注目されたが、これは女性だけの問題ではない。東京慈恵会医科大学泌尿器科学主任教授の頴川晋氏は、男性の方がよりつらいケースも多いと言う。「前立腺肥大症と過活動ぼうこう症が、ダブルパンチとなる」からだ。

 ◇尿道を圧迫
 前立腺=用語説明= が肥大していると、尿道が圧迫される。水道のホースの詮を締められているような状態になり、尿の勢いが衰える。もっと尿を出そうとしてぼうこうの筋肉がグッと収縮する。「圧迫の度合いが強いと、収縮する癖がつく。言ってみれば、筋肉がもりもりのぼうこうになってしまう」。通常は400 cc以上の尿がたまった段階で如意を我慢できなくなる。しかし、収縮癖のついたぼうこうでは、そのずっと前に尿意を我慢できなくなる。トイレに行ったばかりなのに、すぐにまたトイレに行きたくなる。「さらに男性の場合は、残尿という問題がある」と、頴川教授は指摘する。「100%の尿がたまっているとすると、子どもはすぐに尿が出る。ところが、ぼうこうが前立腺に押さえ付けられていると、70%しか尿が出ない。だから、トイレに行く回数が増える」。頴川教授が「ダブルパンチ」と言うのは、この点だ。

◇まず薬で治療
 前立腺肥大症は、4 0 歳以上の男性の約8 割に見られる。治療が必要となる人はその2~3 割と考えてよい。「前立腺肥大症は生き、死にに関わる病気ではなく、患者のQOLを良くすることが目標だ。ただ、同じ年代で前立腺がんになる人もいる。専門としない医者がリンパ節に転移するがんを見逃すケースもないわけではない」 前立腺肥大症の治療は一般的には内服薬から始める。昔は即効性に乏しい薬しかなかったが、1 9 9 0 年代にアルファブロッカーという薬の登場で状況が変わった。「高血圧の薬として開発されたが、高血圧に対しては全く効果がなかった」。

ところが、この薬を飲んだ患者の尿が出やすくなった。頴川教授は「血管の筋肉は緩まなかったが、尿道の筋肉は緩んだ。ひょうたんからこまだ」と笑う。 一方、ぼうこうの筋肉が勝手に縮んだりする過活動ぼうこうに関する研究が進み、過活動をコントロールする薬も出てきた。「私の若い頃に比べて、この分野の治療効果は格段に進んだ。患者にとって有効な選択肢が増えた」

 ◇ 9 7歳で手術も

 しかし、薬には限界もあり、手術が次の選択肢となる。「前立腺が非常に大きくなると、薬による治療では無理だろう。残尿が非常に多くて、外科的に前立腺を切り取らなければならないケースもある」。手術である以上、100% 安全というわけではないが、前立腺肥大症の手術のリスクは決して高くはない。頴川教授が手掛けた最高齢の患者は9 7歳。尿が出なくなって、にっちもさっちもいかなくなったので手術に踏み切ったと言う。
 
そこまでいかなくても、手術を望む患者もいる。前立腺の肥大はストップすることがない。5 年後、1 0 年後により症状が重くなることを考え、あまり年を取らないうちに手術を受ける。「手術を受けるメリットとデメリットのバランスを考え、個人の価値観やライフスタイルに応じて選択してほしい」と、頴川教授は説明する。

 ◇頻尿の目安は?
 では、実際にどのような状態になったら、どのような医療機関を受診すればいいのだろうか。前立腺肥大では、最初から手術という事例は少ない。ただ、治療が長期に及ぶことも多いので、自宅や職場の近くなど、通院しやすい場所に

ある泌尿器科を、まずは受診してみよう。
 「国際的な診断基準などによれば、就寝中2~3回、トイレに起きる、あるいは1日の排尿回数が8回以上、というのが頻尿の目安となる。しかし、それ以下の回数であっても日常生活や仕事に玖支障を感じているような場合は、受診を考えてほしい」東京慈恵会医科大学医学部講師やJR東京総合病院泌尿器科部長を経て、東京都杉並区で開業している「荻窪駅前クリニック」吉田正林院長は、受診の目安についてこう話す。

 前立腺肥大の診察は問診と下腹部の超音波工コー検査、排尿後のぼうこう内の残尿量など。「前立腺が肥大してくると、ぼうこうとの境界がW字型になってぼうこうに突出したり、尿道を圧迫したりしているのが分かるので、エコーの画像を見せると患者自身も一目で分かる」と吉田院長は言う。前立腺の肥大は加齢と共に進行するので、治療は就寝前の利尿作用のあるアルコールやカフェイン飲料や過剰な水分の摂取を控えるなどの生活習慣の改善と、前立腺肥大症の治療薬から始まり、ぼうこうの過剰な活動を抑制する内服薬の服薬を加えることもある。

薬の効果は比較的早めに出るが、「症状が改善した」といって通院・服薬を中断すると、ほとんどの場合で症状が再発する、といわれている。 吉田院長は「症状が我慢できないなら、一生、治療を続ける必要がある。症状が一時的に改善されて治療を中断する人もいるが、このクリニックでは、治療を始めた人の3人に2人は通院治療を続けている」と話す。

◇用語説明 前立腺
 精嚢(せいのう)につながり、ぼうこうの下にある男性特有の臓器。栗のような大きさ、形状をしていて、内側に取り囲まれるように尿道が通っている。(了)

みんなの尿漏れに効く食材/ドクター森田豊の健康法

<ドクター森田の「健康になりなさい!」(16)>


 自分の尿意とは関係なく尿が漏れてしまうのが、尿漏れです。これには夜間に何度もトイレに行きたくなる「夜間頻尿」の症状を伴うことがあります。実に4500万人が悩んでいるとされています。

 55歳以上の男性の5人に1人が、これにかかっているといわれます。加齢などによって起こる「軽い尿漏れ」は、男性特有の前立腺のトラブルや、男性の尿道が女性に比べ長いために起こる排尿後尿滴下(はいにょうごにょうてきか=尿道に尿が残る)などにより尿の切れが悪くなることから、多くの男性が経験をしています。しかしながら男性の尿漏れは、これまであまり取り上げられなかったためか、女性に比べ泌尿器科を受診することが少ない傾向にあり、軽い尿漏れは「恥ずかしいもの」と捉え、1人で悩む人が多いようです。

 「最近3カ月以内に尿漏れを経験したか」を聞いたところ、50歳代以上の男性では「経験したことがある」が30%と、約3人に1人は経験していました。また、「月に1回以上の『軽い尿漏れ』を経験したことがあるか」についても、50歳代男性の6人に1人が経験していました。

 女性では-。40歳代~70歳代女性の人に言えない秘密を尋ねると、第1位に「尿漏れ」がランクインしました。こちらも3人に1人が経験しており、決して珍しい症状ではないのです。出産を経験したり、加齢によって生じることが多いとされています。

 そこで対策ですが、頻尿に効くといわれる食材があります。「山芋」と「銀杏(ぎんなん)」です。前者は1日60グラムが効果的。マグネシウムが多く含まれていて、尿道括約筋などの筋肉の収縮を整える働きがあるといいます。山芋は日本固有の食品で、火を通した方が良いという意見もあるようです。

 後者の銀杏も、頻尿の改善にはよく出てきます。筋肉の収縮を促すマグネシウムを豊富に含み、排尿の際に働く筋肉を強くします。血行を促して頻尿を改善することから特効薬といわれ、古来より生薬として親しまれてきました。冷えからくる頻尿にも効果的。1日5、6粒を目安に食べましょう。

 ◆森田豊(もりた・ゆたか)1963年(昭38)6月18日、東京都生まれ。秋田大医学部、東大大学院医学系研究科修了。米ハーバード大専任講師を歴任。現役医師として活躍すると同時に、テレビではコメンテーターのほか、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)など人気番組の医療監修も数多く務める。著書は「今すぐ『それ』をやめなさい!」(すばる舎)「ダイエットはオーダーメイドしなさい!」(幻冬舎)「ねぎを首に巻くと風邪が治るか?」(角川SSC新書)など。気分転換は週2回のヨガ。

あまりの激痛が走り七転八倒 夏場に多発する「尿路結石」に注意!(2)

再発防止には食事指導が必要

 東京・杉並に住む結石患者の内海孝明さん(58=仮名)。通院先の医師から、尿成分の分析結果を踏まえ、再発予防に向けた食事指導を受けた。「卵や肉や魚の内臓はなるべく避けて、野菜をたくさん摂るように心掛けるように言われました。結石を抱えてから2年ほどになりますが、石は本当に痛い。あの痛さを思い出しては気を付けています。でも、食事指導を受けてから、結石ができる頻度が減りました」

 この話からも分かるように、食事指導を受けることが再発防止に必要なのだ。

 内海さんが食事指導として受けた食品の中には、ホウレンソウやタケノコといった、結石の原因となる「シュウ酸」を多く含む野菜もあった。しかし、それらとカルシウムを多く含む食品を一緒に摂れば、腸で吸収される前に結合して多くが便として排出される。

 また、尿が濃くならないように、食事以外に1日2㍑以上の水分を摂ることも大切だ。

 さらに結石が溶けやすいように、尿をアルカリ化する海藻や果物などをなるべく多く摂り入れることで、再発のリスクを下げることが可能なのだ。 生活習慣病の改善運動に取り組む管理栄養士・前田和美氏は、尿路結石の再発と食事指導の関係性についてこう説明する。

 「日本尿路結石症学会のガイドラインによりますと、男性患者のおよそ200人を対象に食事指導と再発率の関係を調査した案件があります。そこには水分を多く摂る事だけを指導した場合、3年後で7割が再発していたそうです。しかし、それに食事指導を加えると、3年後で2割、8年後でも4割ほどの再発率に留まっています」

 尿路結石は、再発を繰り返していると腎臓の機能が低下してしまうので、予防には食事やライフスタイルの見直しがとても大切になる。今では多くの泌尿器科医が食事指導に取り組んでいて、患者の6割が指導を受けているという。

 「結石予防のポイントの多くは、肥満症や高血圧といった生活習慣病を防ぐ注意点とも重なります。患者の大部分を占めるカルシウム結石や尿酸結石は、高カロリーや高脂肪の食生活が原因の一つとされ、患者の中には糖尿病や脂質異常などを抱える場合も多い。尿路結石の種類によっては、少数ですが、生活習慣では遺伝的な原因が強かったり、特定の薬の多用が原因になったりして、治療法も違う。そういうことからも、石が出たら泌尿器科に持ち込んで分析してもらったほうがいいですね」(同)

 いずれにしても七転八倒の痛みを体験したくなかったら、医師の下でしっかりとした治療を受けるべきだ。

あまりの激痛が走り七転八倒 夏場に多発する「尿路結石」に注意!(1)

 たった数ミリの石が詰まることで、激しい痛みを伴う「尿路結石」。日本人男性の7人に1人、女性の15人に1人が一度は経験するという厄介な病気だ。特に今年のような猛暑が続くような時は要注意。ある統計によると、気温の上昇と比例して尿路結石の患者が増えるという。それは、大量の汗をかくと尿が濃縮されて結石が大きくなり、尿路で詰まりやすくなるからだ。

 尿路結石は、尿路系に沈着する結晶の石のこと。もしくは、その石が詰まったことで起こる症状のことをいうが、結石の位置によって呼び名も違ってくる。 「腎盂」や「腎杯」もあれば、「腎臓結石」、さらに尿管に下がってくれば「尿管結石」、尿道に引っ掛かっていれば「尿道結石」。また、サンゴのような形をした腎臓内の大きな結石は「サンゴ状結石」となる。

 これらを総じて「尿路結石」と呼んでいる。それではなぜ、この尿路結石は激痛を伴うのか。東京社会医学研究センター理事、村上剛氏はこう語る。

 「結石の痛みというのは、【痛みの王様(king of pain)】といわれるほど激しいもので、人によって、脇腹や背中辺りから発する痛みは倒れ込むほどの衝撃があり、七転八倒して病院に運ばれる患者さんも多い。結石というのは、腎臓の奥にある乳頭という場所で作られます。それがある程度の大きさになると、そこからはじき出され、入管に落ちてくることで痛みを感じるようになるのです。結石が移動する際に尿管が直接刺激されて出る痛みもありますが、激しい痛みは腎臓の内圧が高まることで起こります。尿管の直径は広がっても5ミリ程度で、それよりも大きな結石は尿管のどこかに詰まってしまう。尿管が塞がれているのに腎臓では尿が作られるため、尿管の上流に尿が溜まっていく。そうなると腎臓の被膜が伸ばされ、そのときに激痛が起きるのです」

 では、尿路結石の治療はどうするのか。結石の大きさが5~6ミリ程度なら利尿剤や尿管拡張剤を服用し、水分を多く摂るなどして自然に排石させる。しかし、7ミリ以上の結石や1カ月以上も排出されない場合は、外科治療が一般的だ。日本尿路結石症学会などのガイドライン作りにもかかわった医学博士の内浦尚之氏はこう説明する。

 「主に腎臓で出来た石は、尿管に落ちてくる。それを専用の装置で体外から衝撃波を当てて石を砕くESWL(体外衝撃波砕石術)という方法が1980年代半ばに国内に導入されて以来、治療の主流になってきました。それまでの手術と比べて患者の負担は大きく減りましたが、衝撃波で他の組織を傷つける心配が残ります。結局、これまで砕いた石の破片は、自然に出てくるのを待つしかなかったのです」

 ところが、数年前に内視鏡を使ったTUL(経尿道的尿管砕石術)という治療法が広まってきた。これは、尿道から細い管を入れて、その先端に付いたレーザーで石を粉砕、そのまま結石片を回収して、体外に取り出すというもの。しかし、石の大きさ次第で誰にでも適用できるわけではないという。

 だが、石を確実に取り除けるTULは患者の満足度が高いといわれており、早くから導入している金沢医大病院では、ESWLとTULの治療数を比べると、TULのほうが上回っているというのだ。

 また一方で、自然排石を早める新薬の治験が進められている。専門家によれば、海外では効果が認められ、国内でも3年以内には、10ミリ以下の結石なら自然排石ができる見込みだという。 このように激痛を伴い、ひどい症状の場合は手術も必要な尿路結石。さらに、半数近くが再発するともいわれている。もし、なってしまった場合、再発を予防するためにはどうしたらいいのだろうか?

尿もれに試してみたい、やさしい効き目の漢方薬

尿もれに悩むかたは多くいらっしゃいます。
特に、妊娠や出産を経験した女性はインナーマッスルのひとつ骨盤底筋群がゆるみ、くしゃみをしたり、大声で笑ったりしたとき、少量の尿がもれてしまう腹圧性尿失禁になりやすいものです。

そんな尿もれを緩和させるための選択肢のひとつに、漢方薬があります。今回は尿もれでの漢方薬の使用について、医師に聞きました。

西洋薬が合わない人の悩み
尿もれでお悩みの人の中には、泌尿器科に行って西洋薬を処方されたけれど問題に行き当たった場合もあるのではないでしょうか。

・今一つ効果が上がらない
・持病で飲んでいる薬と相性が悪い
・副作用が強かった
・薬というケミカルな印象のものを飲み続けることに抵抗がある

このような悩みを感じている人に、一度検討していただきたいものが『漢方薬』です。

尿もれの悩みに適用される漢方薬とは?
尿もれに適用される漢方薬は、何種類かあります。
市販の薬なども含まれていますので、聞きおぼえのある薬もあるかもしれません。

≪尿漏れ改善に挙げられる漢方≫
・牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
・八味地黄丸(はちみじおうがん)
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
・五淋散(ごりんさん)
・竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)

漢方薬の特徴を知りたい!
【メリット】・
飲み合わせも西洋薬に比べると複雑ではない
・副作用が比較的少ない
・自然のものというイメージがあり、抵抗が少ない

漢方薬は粉薬や顆粒状で、独特の味のものが多いです。
しかし最近では、錠剤に加工するなど、飲みやすく、携帯に便利なように作られています。錠剤の漢方薬は独特の薬草臭さが苦手な方にも飲みやすくなっています。

【デメリット】
漢方薬も薬です。飲み合わせの善し悪しや副作用もあります。毎日飲み続けなくてはならない、という点は西洋薬と同じです。

漢方薬の考え方
漢方薬は、西洋薬のように「ピンポイントで悪いところを改善する」ものではありません。
長い期間、少なくとも数カ月の単位で飲み続けることで、体質の全体的な改善を図るものです。ひとつの症状を改善すると同時にほかの症状も改善していく考え方です。

漢方薬は知識のある治療者のもとで体質をしっかり把握し、それぞれの身体に合った漢方薬を処方してもらうことが大切です。例えば、同じ慢性的な頭痛や腹痛、尿もれなどに対する薬でも、体質が暑がりか寒がりか、体力があるかないかなど、個人によって処方される薬が異なってきます。

【医師からのアドバイス】
医師は基本的に、西洋医学の過程を修めた専門家です。漢方薬の処方に関しては、得意とする医師とそうでない医師がいます。特に漢方薬による治療を希望する場合は、医師が漢方による治療を積極的に行っているか、受診前に確認しておくといいですね。
おススメサイト!
最新記事
★★互助会推薦★★
QRコード
QR
admax
="">
カテゴリ
ランキング
ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ