あなたの健康はお金で買えますか・・・? ■風邪くしゃみ・・頭痛・片頭痛・肺炎・味覚障害
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風邪をひいたら出血に注意! 抗凝固剤の服用者はリスク増

【医者も知らない医学の新常識】

新型コロナウイルス感染症の流行以来、風邪の怖さが再認識されるようになっています。「風邪は万病のもと」というのは決して間違いではなく、熱や咳(せき)などの症状以外にも、体全体に大きな変化をもたらすのです。そのひとつが血液の出血傾向です。風邪の時には胃腸や脳などの出血が、他の時期より起こりやすくなることが知られています。

特に注意が必要なのは、脳梗塞などの予防のために、血液をサラサラにする薬を服用している場合です。そうした患者さんでは、いったん出血すると血が止まるのに時間がかかり、出血がより重症化するケースが多いからです。以前から、こうした患者さんが風邪をひいた時期には、出血が多く起こることは知られていました。しかし、それが風邪自体のためなのか、風邪の時に使用される薬の影響であるのかについては、正確なことが分かっていませんでした。

今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という一流の医学誌に、血液をサラサラにする抗凝固剤という薬を服用している患者さんが、どんな時に重症の出血を起こしたかを検証した論文が掲載されています。それによると、風邪をひいて2週間以内の時期には、それ以外の時期の2倍以上、重症の出血が起こっていたのです。その影響は、風邪の薬を飲まない人でも同じように見られていました。風邪の時には、出血など風邪以外の症状にも注意する必要がありそうです。

(石原藤樹/「北品川藤クリニック」院長)

「片頭痛」はなぜ薬を飲んでも良くならないのか? 専門医に聞いた

写真はイメージ© 日刊ゲンダイ ヘルスケア 写真はイメージ

頭痛には、検査をしても異常が見つからない一次性頭痛と、くも膜下出血や脳腫瘍などの症状として起こる二次性頭痛がある。

二次性頭痛は命に関わることもあるが、一次性頭痛はそうではない。しかし、QOL(生活の質)を著しく下げ、社会的損失を招く。

この一次性頭痛の代表的なものが、推定患者数約1000万人の片頭痛だ。

日本頭痛学会専門医で仙台頭痛脳神経クリニック院長の松森保彦医師が言う。

「患者さんが困っている慢性的な頭痛は、大半が片頭痛。私の外来でも、頭痛が主訴の患者さんの約8割が片頭痛です」

片頭痛は、「ズキズキ」「ガンガン」といった脈打つような強い痛みが引き起こされる。

体を動かすと痛みが増悪し、寝込んだり、吐き気や嘔吐などを伴うこともある。

発生メカニズムとして有力視されているのは「三叉神経血管説」。脳に何らかの刺激が加わり、三叉神経の末端からCGRPという神経ペプチドの一種が放出され血管が拡張し、強い痛みが引き起こされる。CGRPは三叉神経周囲に炎症も起こし、疼痛シグナルとして大脳皮質で「痛み」として知覚される。

「頭痛専門医は一般的に『国際頭痛分類』の診断基準にのっとって片頭痛を診断しますが、専門医以外になると、必ずしもそうではないのが現状です」

よくあるのが、片頭痛の過小評価だ。

受診時には片頭痛の症状のピークを過ぎているため、患者さんがつらさを訴えても、「大した頭痛じゃない」「ある程度薬が効いているなら、それでいいでしょ」となってしまう。

激しい頭痛が生じている段階で受診しても、画像診断でくも膜下出血や脳腫瘍といった二次性頭痛が否定されると、「ただの頭痛でよかった」となり、やはり過小評価につながりがちだ。

■誤診されているケースも

緊張型頭痛と間違えられて診断されることも。

緊張型頭痛は、長時間のパソコン作業やデスクワークで、首や肩の筋肉が緊張して血流不良で起こる。

「肩凝りがあると伝えると、『肩凝り=緊張型頭痛』と診断する医師が、専門医以外では多い。実は片頭痛だったり、片頭痛と緊張型頭痛を合併している患者さんはたくさんいます」

緊張型頭痛は、運動、ストレッチ、入浴で血行が良くなると改善するが、片頭痛では逆に悪化することもある。

片頭痛と正しく診断されない弊害はQOL低下や社会的損失を招くだけではない。

「痛みを鎮めるために頭痛薬を頻繁に服用していると、薬剤の使用過多による薬物乱用頭痛が生じます。市販薬だけではなく、医師から処方された薬でも起こります」

薬物乱用頭痛は、脳が痛みに敏感になり、通常は感じないレベルの刺激でも強い痛みとして感じるようになった状態。薬が効かなくなり、効いても短時間しか効果が持続しない。

月に10日以上、頭痛薬を服用しているとリスクが高くなる。

日常生活に影響を与える頭痛があるなら、片頭痛を疑い、頭痛専門医がいる医療機関を受診すべきだ。

片頭痛の治療薬は、鎮痛薬、片頭痛専用薬、頭痛を予防する薬などさまざまな種類があり、頭痛の程度や頻度に応じた処方がなされる。頭痛がいつ出たか、どのように出たかを記す頭痛ダイアリーなどをチェックし、頭痛の出やすいタイミングに応じた薬の飲み方の指導も専門医は行う。

「今年4月と8月に、片頭痛の原因物質に直接作用する新しい予防薬も発売された。従来薬とはメカニズムが違い、従来薬が効かなかった頭痛患者さんにも、かなりの効果が期待できます。どの薬を服用しても良くならない患者さんには、この新薬を使う手もあります」

片頭痛は、専門医とともに向き合えばコントロールできない病気ではない。日本頭痛学会のホームページに、同会の認定頭痛専門医一覧が掲載されている。

コロナでもインフルでもない重症化する風邪「スーパーコールド」とは?

 コロナとの闘いの期間が延びれば延びるほど、“ニュー・ノーマル”な暮らしも続いていく。だが、徹底した感染対策を取っていれば、絶対の安心を得られるわけではない。むしろ、その対策によって、新たな恐怖が音もなく私たちの体に忍び寄っている。

「急に冷え込んだせいか、風邪をひいてしまって。はじめのうちはちょっとだるい程度だったんですが、徐々に熱も上がり、強烈な頭痛に咳も止まらなくなって……。コロナかもしれないと思って検査を受けたんですが、結果は陰性でした」(A子さん・50代女性)

 つらい症状は2週間以上続いた。それでもくだされた診断は「風邪」だった。

 こんな「重症化する風邪」が外国で大流行し、ついに日本にも上陸し始めている。しかも、コロナ対策を徹底してきた人ほど重症化リスクが高いというのだ。

 遠く海の向こうのイギリスでは、いち早くワクチンの接種をスタートし、2回接種者が多くを占めるようになった7月、コロナに関する規制が全面解除され、全世界に先駆けて「ウィズ・コロナ」に大きく舵を切った。

 スポーツ観戦では大声をあげ、パブは連日酔客で賑わった。マスクを着用する人も大幅に減った結果、現在、1日5万人以上の“感染再爆発”という深刻な状況になっている。

 その一方で、10月頃から、次のような症状を訴える人が増えているという。

「誰かが私の喉をピンで刺しているような、耐えられない痛みがある」

「咳が止まらず、食事がとれないどころか、まったく寝ることもできない」

「3週間ほど風邪の症状が続き、4週目には回復するどころか咳が人生でいちばんひどい状態になりました。もうどうしようもない」

 なかには全身を倦怠感に襲われ、「体中を厄介な“虫”が這いつくばっている」と表現する人もいるほどだ。

 だが、その人たちも冒頭のA子さん同様、診断結果はコロナではなく「風邪」だ。

 イギリスの大手薬局のウェルファーマシーによれば、直近の咳や風邪薬の売れ行きが前年に比べて倍増している。

 また、NHS(イギリスの国民保険サービス)によると、風邪やインフルエンザ、咳に関する相談ダイヤルへの問い合わせが急増。想定を超える問い合わせに、回線はパンク寸前だという。

 イギリス国民を不安に陥れた重症化する風邪。その正体が「スーパーコールド」だった。

免疫の記憶が薄まっていく

 正式な病名ではなく俗称だが、主な症状は、喉や胸の痛み、頭や体の痛み、鼻水、疲労感など。一般的な風邪の症状と変わらないが、とにかく“重い”。また、罹患する人の年齢はバラバラで、症状が悪化すると最悪の場合「致死性の肺炎」に至るとの懸念がなされている。医療ジャーナリストの室井一辰さんが語る。

「イギリス現地では、“普通の風邪がいつの間にか重大な疾患につながっている”と報じられています。しかし、風邪ウイルスが強毒化したというわけではないようです。

 目を向けなければならないのは、ウイルスではなく、私たちの体。もっと言うと免疫機能です。長く続くコロナによる自粛生活に伴い、この2年間で人々の免疫が弱まった。その結果、感染症に対する抵抗力が落ちていると捉える方が正しい」

 手洗い、うがいを徹底し、何かものに触れればアルコール消毒。常にマスクを装着し、外出も極力避ける。コロナ禍で私たちが徹底してきた非日常的な対策は、いまや常識となった。

「その対策によって、コロナウイルス以外にも、私たちが普段生活している中で触れてきたウイルスと接する機会が激減。皮肉にも、それがスーパーコールドを生んだ、と考えられます。

 コロナも含め、風邪、インフルエンザなどのウイルスに一度感染すると、体内にあるメモリー細胞がそのウイルスを記憶します。そして再び同じウイルスに感染したとき、メモリー細胞が活性化し、強い免疫応答を示すので、ウイルスに対抗することができる。

頭痛の原因は塩分不足による脱水かも! 医師が教える「塩分の正しい摂り方」

食欲が増すシーズン。たくさん食べると、塩分を摂りすぎる恐れもあります。その一方で、塩分を控えすぎるのもカラダによくありません。ではどうすればいいの? 適正量は? 医師の解説と、塩分調整に役立つ市販フード&ドリンクもご紹介します。

塩分は摂りすぎるのも、控えすぎるのもNG! 医師が解説

© ananweb 提供

秋は美味しいものが目白押しで食欲が増す季節。たくさん食べてしまいがちですが、知らず知らずのうちに塩分を多く摂りすぎる恐れも。顔や全身のむくみが気になるという人は、塩分過多を疑ってみるといいかもしれません。一方で、塩分は控えすぎるのもよくなく、脱水リスクがあるといわれています。塩分過多と塩分不足、それぞれのリスクを知っておきましょう。

塩分過多によるリスク

塩分過多は、一般的に知られているように、病気のリスクがあります。厚生労働省のe-ヘルスネットによると、おもに食塩として摂取されるナトリウムを摂りすぎると、むくみや口の渇きのほか、高血圧・胃がん・食道がんのリスクを高めることが報告されているといいます。

塩分不足によるリスク

塩分不足もリスクがあります。「教えて!『かくれ脱水』委員会」副委員長で、医師の谷口英喜先生によると、体内の塩分が不足すると、体内の水分を外へ排出して塩分濃度を調節しようとするため、カラダは水分不足になり、脱水症状を起こす恐れがあるといいます。

運動で大量に汗をかいた後はもちろん、冬でも、暖房の部屋は体温が上がり、乾燥するため、脱水しやすい環境といえます。さらに、ここ2年ほどは自粛生活で運動量が減っていることから、水分をためこむ筋肉が少なくなっている人も多く、気づかないうちに脱水を起こしているかもしれません。

実際、熱っぽい、倦怠感がある、理由はわからないけれど頭痛がする、カラダが痛いなどの日々感じるちょっとした不調の症状は、脱水症状の可能性もあると谷口先生はいいます。

朝食を抜いて、水も飲まずに出かける人もいるかもしれませんが、そうするとカラダの水分と塩分が不足して脱水を起こしやすいことから、カラダが最も水分吸収しやすい、経口補水液や経口補水液ゼリーなどを摂ってから出かけるといいそうです。

日々、塩分調整を

このように、塩分は摂りすぎもよくなく、控えすぎるのもよくありません。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、一日の食塩摂取量の目標は、18歳以上は男性7.5g未満、女性6.5g未満です。これを目安にして適量を意識することが大切です。塩分を摂りすぎたと思ったら減らす、不足していると感じたら適度に摂る、などの塩分調整をしましょう。

塩分調整に役立つ市販のフード3選

自炊をあまりしないという場合、塩分を調整するには、市販の食品選びが大切といえそう。そこでライターが見つけた、塩分調整に役立つフード&ドリンクを3つ紹介します。

1. 経口補水液のゼリーを朝食代わりに

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大塚製薬「オーエスワンゼリー」200g ¥205(税込)※編集部調べ

経口補水液のゼリータイプです。経口補水液は、熱中症などの脱水時に推奨される飲み物で、カラダに水分を吸収しやすい形で成分が配合されています。このゼリーの、100g当たりの食塩相当量は0.292gとわずかですが、水分をカラダに吸収するのにちょうどいい量といわれています。脱水ぎみかも、と思ったら、口にしてみるのもいいかもしれません。朝食がどうしても食べられないというときに、摂取しておくのもいいでしょう。

2. たまには食塩不使用のカレーも

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ヤマモリ「休塩日のカレー キーマ」希望小売価格 ¥378(税込)

自宅でのランチで便利なのがレトルトカレー。たまには、ランチに食塩をオフするときがあってもいいかもしれません。そんな塩分調整の助けになるのがこのカレーです。

「休塩日のカレー」の名の通り、食塩不使用なので、塩分を気にせず食べられます。フレンチシェフの松嶋啓介さんが監修しており、「減塩」ではなく「食塩を一切使用しない」ところまで振り切ることによって、一つひとつの素材の繊細な味わいを際立たせ、より美味しさや満足感を感じられるカレーになっています。食材自体の持つうまみで美味しく仕上がっており、優しく奥深い、高級感を感じる味わいです。

味は鶏肉のうまみや玉ねぎの甘み、トマトの酸味とコク、10種類のスパイスの香りと刺激が美味しさを引き立てる「キーマ」と、バターと生クリームのコク、鶏肉のうまみ、玉ねぎの甘み、トマトの酸味とコクを感じる満足感の高い味わいの「バターチキン」の2種類。

塩に頼らず、素材本来の深みのある味を感じながら、自分のペースでしっかりと噛んで味覚と向き合う丁寧な食事を実践できそうです。

3. 進化系減塩冷凍食品で簡単夕食

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エバートロン「DESALT FOOD 食べたことない ブリの照り焼きステーキ」(塩分50%カット)¥1,620(税込)

夕食は、魚や肉などのおかずを食べたいけれど、自炊はしたくないというときに便利なのが、冷凍食品。減塩を考えたいときにはこの進化系の減塩冷凍食品を選んでみるのもよさそうです。

このブリの照り焼きステーキは、食材本来の水分を美味しく保つ最新冷凍技術を用いているほか、料理人が理想とする通常の醤油、ソース、タレを使いながらも、独自の脱塩技術で塩分だけを抽出してカットしているので、美味しさがキープされています。

塩分50%カットと80%カットの2種類があり、それぞれ食塩相当量は0.4gと0.2gなので、安心して食べられそうです。

塩分は摂りすぎも、控えすぎるのもNG。うまく調整しながら、バランスの良い塩分量を目指しましょう。

Information

教えてくれた人…谷口 英喜先生

「教えて!『かくれ脱水』委員会」副委員長 医師。「済生会横浜市東部病院」患者支援センター長、周術期支援センター長、栄養部部長。専門は麻酔・集中治療、経口補水療法、体液管理、臨床栄養、周術期体液・栄養管理など。

出典

厚生労働省 e-ヘルスネット「ナトリウム」

©Detry26/Getty Images

文・椎原茜

「こたつで寝ると風邪をひく」って本当?根拠はある?

昔から「こたつで寝ると風邪をひく」という話はよく耳にします。確かに、こたつで寝て風邪をひいた経験のある人もいるでしょうし、逆にこたつで寝ても平気だという人もいるでしょう。こうした伝承の真偽を少し考え直してみたいと思います。

「こたつで寝ると風邪をひく」ということを示した、明確な根拠はないが・・・
そもそも「こたつで寝る」という行動が、「風邪」という結果を引き起こすかどうかをしっかりと確認しようと思ったらどうするか。たとえば同じ年齢で似たような生活をしている人たちを集めて、「こたつで寝るグループ」と「布団で寝るグループ」とにランダムに分け 、それぞれのグループからどのくらい風邪をひく人が現れたか・・・といったデータを集めて比較しなければわかりません。

しかし、そのような 研究はこれまでに行われたことはないため 、「こたつで寝ると風邪をひく」という話に、明確な科学的根拠はありません。しかし、だからといって「こたつで寝ても風邪をひく」という話は全くの嘘っぱちかというと、そうとも言えません。そこには、多少の“確からしさ”が含まれていることも事実です。

たとえば、こたつで寝るときと布団で寝るときの姿を想像してみてください。真冬であれば、多くの人は掛け布団にくるまって寝ると思いますが、こたつは構造上、そんな被り方はできません。どうしても肩や上半身はこたつの外に出てしまいがちです。昔は今ほど気密性・断熱性の高い家ではありませんでしたので、そのような格好で寝ていては、身体が冷えて風邪をひいてしまうことも多かったでしょう。

あるいは、暖房機能のついたこたつの内部は、普通の布団よりも温度が高くなります。こたつで寝入ってしまった後、だんだん熱くなってきて汗をかいて、こたつから出てきてしまう・・・そしてこたつの外で汗が冷えて風邪をひいてしまう、ということも考えられます。

こうした多くの経験談から、「こたつで寝ると風邪をひく(ことがある)」という教訓が生まれたと考えることはできるでしょう。

「こたつでよく寝てしまう人」の生活も想像してみる
では、気密性や断熱性に優れた現代の家に住む日本人でも「こたつで寝ると風邪をひく」ことはあるのでしょうか。確かに、部屋全体が暖かければ、先述のような理由で風邪をひくことは少ないと考えるのが妥当でしょう。それでも、布団で寝るのに比べると“身体の温度変化が起こりやすい”という点で、身体に負担をかけやすい傾向にあるのは変わらないでしょう。

また、現代人で考える場合、「こたつで寝ると風邪をひく」というより、「こたつでよく寝るような生活をしている人は風邪をひきやすい」という要素も考えられます。そもそも、人間は通常は布団やベッドで寝るものです。

それが「こたつで寝てしまう」ということは、それだけ疲れが溜まっているということを意味します。また、こたつは元々寝る目的では作られていませんので、寝返りをうった際に机の脚に身体をぶつける等をして、途中で目が覚めてしまうことも多々あります。

さらに、こたつが置いてあるのは通常リビング等ですので、照明や遮音などの観点から、寝室よりも“眠るのに適さない環境”にあると考えられます。こうした場所での睡眠は質が低下し、睡眠不足の要因にもなります。

つまり、「こたつでよく寝る人」は、「いつも布団で寝る人」に比べて、疲れ気味だったり、生活が不規則だったり、睡眠が不十分だったりする傾向にあることになります。こうした要因を抱えている人が風邪をひきやすいのは、ある意味当然とも言えるでしょう。

わざわざ「こたつで寝る」必要はない
上記の通り、「こたつで寝る」ことが「風邪」の直接のリスクになるかどうかについて、確たる根拠はありません。しかし、昔からの教訓として、「こたつで寝る」という行為、身体をより激しい温度変化にさらすことになるという点、寝室にある布団以外の場所で眠ることが睡眠の質低下に繋がると考えられる点などを考慮すると、あながち間違いとも言えません。

もし「こたつで寝る」ような機会が増えている人は、気付かないうちに疲れを溜め込んでしまっている可能性も含めて、一度しっかりと睡眠環境を整えることを考えてみましょう。

執筆:薬剤師K 調剤薬局勤務、薬剤師10年目

【ここまで進んだ最新治療】副作用が少なく効果が長続き、片頭痛の予防治療注射薬が続々 東京頭痛クリニック・丹羽潔理事長が解説

【ここまで進んだ最新治療】副作用が少なく効果が長続き、片頭痛の予防治療注射薬が続々 東京頭痛クリニック・丹羽潔理事長が解説© 産経新聞社 【ここまで進んだ最新治療】副作用が少なく効果が長続き、片頭痛の予防治療注射薬が続々 東京頭痛クリニック・丹羽潔理事長が解説

 こめかみがズキズキと脈打つように痛み、生活に支障をきたすことが多い「片頭痛」。治療は、頭痛発作が起きたときに痛みを鎮める「急性期治療」と、頭痛の頻度や程度を抑えるための「予防治療」に大別される。

 急性期治療は、「非ステロイド性抗炎症薬」や片頭痛の特効薬「トリプタン製剤」などの薬が使われる。予防治療はこれまで「降圧薬」「抗てんかん薬」「抗うつ薬」などの内服薬を片頭痛の予防薬として使ってきた。

 それが今年に入り、片頭痛の予防治療に特化した「CGRP関連薬剤」という注射薬(3剤)が次々と登場している。どんな作用があるのか。「東京頭痛クリニック」(東京都渋谷区)の丹羽潔理事長(にわファミリークリニック院長)=顔写真=が説明する。

 「片頭痛発作は、何らかの刺激によって三叉神経から放出される『CGRP』という物質によって引き起こされると考えられています。CGRPが神経の受容体と結合すると、血管を過度に拡張させて痛みが生じます。また、CGRPには炎症を起こす物質を神経周囲に出現させ、痛みを増強させる作用もあります。CGRP関連薬剤は、これらの働きをブロックする薬になります」

【ここまで進んだ最新治療】副作用が少なく効果が長続き、片頭痛の予防治療注射薬が続々 東京頭痛クリニック・丹羽潔理事長が解説© 産経新聞社 【ここまで進んだ最新治療】副作用が少なく効果が長続き、片頭痛の予防治療注射薬が続々 東京頭痛クリニック・丹羽潔理事長が解説

 片頭痛予防治療のCGRP関連薬剤は、今年4月に抗CGRP抗体製剤の「(商品名)エムガルティ」が、今年8月に抗CGRP抗体製剤の「(商品名)アジョビ」と、抗CGRP受容体抗体製剤の「(商品名)アイモビーグ」が発売されている。

 「抗CGRP抗体製剤」は、CGRPに薬剤(抗体)が結合して、CGRPが神経の受容体と結合するのを抑制する薬。一方、「抗CGRP受容体抗体製剤」は、薬剤(抗体)が神経の受容体と結合し、CGRPが血管の受容体と結合するのを抑制する薬になる。

 「CGRP関連薬剤の適応は、従来の予防薬で効果が不十分な患者さんになります。この抗体製剤の有効成分であるモノクローナル抗体は、分子量が大きく脳や肝臓、腎臓に入らないので副作用が少なく、効果が長続きするのが特徴です。また、片頭痛発作を半減させる効果を早期に得られることから、薬物の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)の対策にもなると言えます」

 3剤は皮下注射で「おなか」「うで」「もも」などに打つが、投与間隔が若干違う。エムガルティは初回2本打ち、その後1カ月おきに1本打つ。アジョビは1本を4週おき、もしくは3本を12週おきに打つ。アイモビーグは、1本を4週おきに打つという用法だ。当面は外来投与だが、将来的には自己注射になることが見込まれている。

 ただし、ネックは薬代が高いこと。どれも3割負担で1本1万3000円前後になる。 (新井貴)

「汗をかく」ことで風邪は治らない? 米医師が発熱時のメカニズムと対処法を解説

熱が出ると体が熱く、ムカムカと嫌な気分で、できるだけ早く治ってほしいと思うだろう。それは当然のことだ。

そこで、熱を早く下げるには「汗をかいて追い出す」のがベストだと人が言うのを聞いたことがあるのではないだろうか。つまり、重ね着をしたりブランケットをかぶったりしてうずくまるとか、サウナに入ってさらに汗をかくというものだ。そうすれば、ズンバのクラスやガーデニングに戻ることも、いつでもこの“悪魔“を退治することができると。

汗をかいて熱や感染症を追い出すというのは魅力的な話だが、期待通りになるかといえば、それは神話だ。医師たちは、そんなことをするよりも、じっと待ったほうがいいとアドバイスする。それには、いくつか理由があるようだ。

ところで、発熱とは?
「熱は免疫システムが機能しているというサインです。仕事をしているのです」と言うのは、フロリダ州ジャクソンヴィルのメイヨー・クリニック家庭医療のティナ・アードン医師。体は体温を上げてウイルスや細菌を「燃やそう」とする。高温だと生き延びるのが難しいからだ。

そして、感染を起こしているものが免疫システムによって火がつけられると、熱によって生じた汗を通し、体温の一部はひとりでに下がる。毛穴からでる液体である汗が空気に触れて蒸発し、体温を下げる助けをするのだ。「体にはうまく体温を調節する機能があり、その一部が汗をかくというプロセスなのです」と彼女。

ならば、もっと汗をかいたほうがいいのでは? とも思うが、答えはノーだ。

発熱や感染を「汗をかいて追い出す」ことができない理由
「ウイルスや細菌感染は、汗を通して何となく逃げるという誤った考え方があります」とアードン医師。「それは間違いです。インフルエンザにせよ新型コロナにせよ、感染症が体液を通して体から出ていくことはありません。余計に汗をかいても発熱は改善しないのです」と彼女。

「汗をかいて追い出す」ことで症状を悪化させる可能性も
風邪やインフルエンザ、食あたりになると、弱って無気力になり、水和した状態を保つのが難しくなるため、水分を出す量を増やすと症状が悪化するだけだ。「それどころか、もっと汗をかかせると、害を及ぼす可能性があります」とアードン医師。

「脱水症状は大きなリスクですが、間違いなく熱中症のリスクにさらす可能性があります」

また、熱が出た時はあまり食べたり水分を摂ったりしていないかもしれないし、下痢で水分を失っているかもしれないとノヴェッラ医師は指摘。

脱水症状を起こしているだけでなく無理に汗をかくと、体の水分バランスと神経機能を維持するのに不可欠な塩分が不足する可能性がある。

バランスが悪くなると、血圧や筋肉の機能に影響を及ぼすのだ。「ほとんど最悪の気分になるわけです」と彼。

論理的ではない
熱を取り除くというのは冷やすということ。ブランケットにくるまるのは正反対のことをやっている。「体温を下げようと考えて、故意に上げているのでは筋が通りません」とノヴェッラ医師。

だから、汗をかく目的は、それが蒸発する時に体を冷やすことで、それは熱で体が自然にリラックスした後に起こる。ウイルスを攻撃するために体温が急上昇し、その後、汗をかいて平熱に戻す、という考え方だ。

そのプロセスを、人工的に体温を上げてもっと汗をかくことによって阻害するのは、「冷えて、心地よくなり、全体的に具合が良くなる」というプロセスを遅らせるだけだ。

しかも、それを何の理由もなくやっていることになる。「汗が熱やウイルスを撃退する」ことはないからだ(上記参照)。もちろん、もっと汗をかこうとして脱水症状を起こすと回復をかなり遅らせてしまう。

では、なぜ多くの人は「汗で熱を追い出そう」とするのか?
人は、たとえ効果がなくても「汗をかいて熱を追い出そう」とする。それはいいアイデアだと聞いているし、「間違いだ」と信じる情報がないからだ。それなりの人数がこうしたアドバイスを聞けば、「“誰でも知っていること”になります」とノヴェッラ医師。

そして、それが常識のようになると、効果があると期待し、おそらくプラシーボ効果で「いくらか補強されるのです」と彼は言う。

他に大きな理由としては、多くの人は具合が良くなるよう何かしたいものだということがある。「問題が生じると、特に健康問題に関しては、人は能動的になりたがります」とノヴェッラ医師。「何かするより、しないほうが難しいのです。何もしないのがベストな時でもそうです」。

医師ですら、この癖に陥ることがあると彼は言う。待つのがベストだと示すエビデンスがあっても、「治るのを待っているだけでは満足感が得られない」のだ。

この神話は厄介だ。というのも、汗で“毒素”を外に出すことができる(また、出すべき)という考え方があるからだ。ウエルネスのサークルなどではよく繰り返されている。それも間違っていると、Science-Based Medicineの創業者&エグゼクティブエディターで、イェール大学医学部臨床神経学准教授のスティーヴン・ノヴェッラ医師は言う。

「汗は、体から何かを除外する時に用いるメカニズムのひとつ」だが、主要なものではないと彼は言う。不要な化学物質や薬物をろ過する役目を主に担っているのは腎臓や肝臓だ。それに、ウイルスや微生物は毒素ではない。だから、「汗をかくのは、体が感染を撃退する手段ではないのです」と彼。

では、発熱にはどう対処すべき?
腑に落ちないかもしれないけれど、エビデンスからはほとんどの場合、熱はまったく治療すべきではないことがかなりはっきりしている。

「熱は体が感染症を撃退する手段です。一般的に、風邪やインフルエンザ、ウイルスによる感染症であれば、積極的な治療をすべきではありません」とノヴェッラ医師。

その代わり、自分が心地よく感じ、脱水症状にならないためのことをするといいが、感染を燃やす仕事は熱に任せるよう、アードン医師は言う。

「特に子どのに関しては、熱恐怖症に苦労します」と彼女。それが急いで薬で熱を下げようとすることにつながるのかもしれないと言う。大人にも子どもにも、いつ、どのように熱に対処すべきかというガイドラインがあるが、アードン医師は、特定の体温で区切って、それを超えたら積極的に熱を下げるべきだという考え方には反対だ。

「患者によるのです。私は102F(約39度)あっても元気で話ができる人より、101F(約38度)で食べたり飲んだりできず、いつもの状態ではない患者のほうが心配ですね」と彼女。

そこで、こうすればいい。もし、熱で体が熱く、眠ることや食べること、飲むことができず、ウイルスから回復するのを助けるのに十分な水分や栄養、睡眠がとれない場合は、治療することを考える。

その場合、「タイレノールやイブプロフェンが非常に役立ちますが、熱を完全に解消することがゴールではないかもしれません。患者の気分が良くなり、睡眠をとり、水を飲めるようになることのほうが大事です」と彼女は言う。

発熱で医師に電話すべき場合は?
生後3ヵ月以内の赤ちゃんが100.4F(38度)以上あったら、小児科医に連絡をとろう。大人の場合は、熱が数日間下がらず原因不明の場合は、医師に電話しよう。それ以外は、さまざまな要因によるとアードン医師は言う。

だから、疑問がある場合は、とにかく医師に連絡を。子どもは大人より高熱が出る傾向があり、怖くなるが、免疫システムが大人より頑強だからだと、アードン医師は言う。

「私は熱で電話をもらってもまったく苦になりません。水を飲んでいますか? おかしな行動をしていませんか? 話をしていますか? など、適切な質問をするチャンスになりますからね」

とはいえ、ウイルスや細菌が原因と思われる通常の熱が出た場合は、ゆっくり休めば、数日後には回復するはずだと彼女はアドバイスしている。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです

喉の違和感に「風邪かな」 匂いがわからず確信に変わった コロナ自宅療養体験談【前編】

新型コロナウイルスが国内でも流行り始めて1年半余り。9月1日、国内で確認された感染者は累計で150万人を超えた。コロナの感染も「明日は我が身」になりつつある。8月中旬、感染した東京在住のtelling,の女性編集部員(32)も、2週間にわたり自宅療養となった。発症から自宅療養が終了するまでを振り返る。

はじめは軽い咳だった
8月11日、在宅勤務中、都内の自宅でパソコンに向かって編集作業をしていた私は喉に違和感を覚えた。痰は出ないが、喉がイガイガして乾いた咳が出る。体温は36.2℃の平熱で、咳もかなり軽かった。前日にエアコンを付けっぱなしで薄着で寝てしまった。「夏風邪を引いたのかな」

一人暮らしで週に数回自炊している私は、念のため不織布マスクを二重につけ、この日もいつも通り近所のスーパーに行った。体調が悪くても食べられる、うどんや野菜、納豆など体にやさしい食材と、のど飴、経口補水液、ゼリーなど購入して帰宅した。

在宅勤務を徹底、外出は9割近く減
telling,編集部は、昨春の1回目の緊急事態宣言が出たときから在宅勤務を徹底してきた。最長で3カ月間、全く出社しなかったこともある。

この夏も2回会社に行っただけ。単身者向けの1K8畳のマンションの1室に閉じこもり、人との接触は極力避けて暮らしてきた。誰とも会わず、会話しない日々が続き、精神的なバランスが崩れそうだったため、休日は近所を散歩したり、たまに友人と食事に行ったりすることもあった。そ

れでも人混みを避け、ウレタンと不織布のマスクを重ねてつけて、手指消毒や手洗いを徹底。ワクチンは未接種だったが、在宅勤務などで外出は9割近く減らし、できる限りの感染対策をしてきたつもりだった。

そして翌日――。全身がだるくて起き上がることすら、しんどかった。午前中から昼にかけては在宅で仕事ができたものの、夕方以降はパソコンを置いているデスクに座っていられないくらい、だるくなった。咳は出るけど、熱は36.8℃。

「週末まで症状が続いたらPCR検査を受けようかな」

そう思い午前中、発熱相談センターに電話したが、ニュースで報じられている通り、なかなかつながらない。リダイヤルを押し続け36回目。やっとつながり、熱と症状を伝えると「こちらではコロナかどうか分からないので、近くの医療機関でPCR検査を受けてください」と言われ、いざというときに検査を受けられる近くの医療機関の連絡先を3カ所教えてもらった。

もし、風邪じゃなくてコロナだったら。最初に異変を感じた11日に発症していたとすると、その2日前に会った友人には迷惑をかけるのではないか。「濃厚接触者」の定義は今、何日前までに会った人なのだろう……。仕事で直近会った人はいないが、会社に報告して休まなければならない。そうすると同僚に負担をかけることにもなる。

考えれば考えるほど、風邪だと思いたかった。

食欲はあるものの料理する気が起きず、夕食はデリバリーで定食屋さんからハンバーグ弁当を注文。マンションのオートロックを解錠して、玄関前に置いてもらった。いつもは美味しく食べられていたのに、この日は匂いが感じられず、脂っこい食感だけがした。疑いが確信に変わった。


予約でいっぱいだった発熱外来
厚生労働省のサイトでは、濃厚接触者について「感染者から、ウイルスがうつる可能性がある期間(発症2日前から入院等をした日まで)に接触のあった方々について、関係性、接触の程度などについて、保健所が調査を行い、個別に判断する」としている。つまり、11日の咳が出始める2日前に会った友人は、濃厚接触者になる可能性が高かった。

連絡すると、「ちなみに今のところ私は、体調崩してないよ」とのこと。逆にかなり私のことを心配してくれて、「何か必要な物があったら買いに行くよ」とまで言ってくれて、ありがたかった。

13日は、慢性的にある肩や首の凝りが、いつも以上にだるく感じた。マッサージを受けたいくらい辛かったが、コロナの疑いがある中で外出はできない。加えて、太ももの裏やふくらはぎなどに、普段はないズキズキとした痛みを感じた。

金曜日は週末に向けてやらなければならない仕事がたくさんあるのだが、オンラインの編集会議になんとか出る以外のことは、ほとんどできなかった。その夕、ひどい頭痛に耐えきれず、家にあった痛み止めを服用し、少し収まった。

14日は土曜日だったので検査を受けようと、発熱相談センターで教えられた内科のクリニックに連絡。発熱外来は予約がいっぱいだと告げられ、「コロナ疑いの患者がそんなに多いのか」と驚いた。

PCR検査、必要な唾液が思うように出ず

PCR検査を受けられたのは日曜日。クリニックの10席ほどある待合室は、密を避けるためか3人しかいない。私のほかにいたのは、20代くらいの男性と30代くらいの女性。手指消毒と受付を済ませた後、ソーシャルディスタンスを保つために指定された席に座り、呼ばれるのを待つ。看護師の女性は全身白い防護服を着ていた。

10分ほど待って診察室に呼ばれた。いつからどのような症状が出ていたのかを医師に説明。その場で測った体温は36.0℃と低めだったが、「症状からは、風邪かコロナか分からない。唾液をとって検査をしましょう」と言われた。

PCR検査は、鼻の奥の分泌物か唾液を採取する方法があることは知っていたが、なんとなく「鼻から行うものだろう」と思っていた私。唾液で検査することを考えず、出かける直前に歯磨きをしてしまっていた。医師に聞くと「10~15分前くらいの歯磨きは検査に影響しないですよ」とのこと。

診察終了後から、検査する部屋に案内されるまで口の中に唾液をためておくよう指示された。検査する部屋では試験管のような形をしたプラスチック容器を渡され、底から1センチくらいに記された「5」の目盛りまで唾液を入れなければならなかった。

十分な唾液が思うように出ず5分程度かかったが、私より前からいた男性は苦戦しているよう。看護師から「全然足りないですよ」と声をかけられていた。

「検査結果は明日電話で伝えます」と告げられ、処方された咳止めとカロナール(解熱鎮痛剤)を6日分もらい、帰宅。

「明日の仕事は休まなきゃいけないかな」。ぼんやりと、そう考えながら、ベッドで寝て過ごした。

◆後編へ続く

「風邪に抗生物質は使わない」病院が増えてきた理由

風邪をひいて病院を受診すると、以前はよく抗生物質(抗菌薬)が処方されていたのに、最近はそういった病院が減ってきています。これは何故でしょうか。 ※この記事は医師監修のもと、作成しております

Q.風邪をひいた時は、抗生物質(抗菌薬)を飲んだ方が良いですか?
A.基本的に、抗生物質は要らない。
風邪は、基本的にその大部分がウイルスの感染症です。抗生物質は細菌を退治する薬ですが、ウイルスには何ら作用しません。そのため、風邪の時に抗生物質を飲む必要はありません。

ウイルスの感染症である「風邪」に、細菌を退治する「抗生物質」を使っても、効果はない

風邪の原因となる病原体の90%以上は、アデノウイルスやライノウイルスなどの「ウイルス」です1,2)。そのため、もし風邪を薬で根本的に治療しようと思ったら、これらのウイルスに作用する「抗ウイルス薬」を使う必要がありますが、残念ながらそういった薬はまだ世の中に存在しません(※風邪薬も、あくまで症状を抑えるために使う対症療法の薬です)。

抗生物質は「ウイルス」ではなく「細菌」を退治するための薬なので、風邪の人が抗生物質を飲んでも、特に何も効果は得られません3)。それどころか、下痢や軟便といった副作用に悩まされる4)だけの可能性もあり、薬を使うメリットはほとんどありません。そのため、風邪をひいた時には、抗生物質はむしろ使わない方が良いのです。

※同じ感染症でも原因となる病原体が全く異なるため、それぞれの病原体に合わせたタイプの薬を使う必要があります(例:ウイルス→抗ウイルス薬、細菌→抗生物質(抗菌薬)、真菌→抗真菌薬、寄生虫・原虫→抗寄生虫・原虫薬)。

昔は「肺炎」の予防に使われていたが、害の方が大きいということがわかってきた
昔は、風邪が悪化して肺炎になってしまうのを防ぐ目的で、風邪の段階から抗生物質がよく使われていました。事実、風邪をひいた4,000~12,000人に抗生物質を投与することで、1人の肺炎を防げる5,6)、というくらいの効果はあるようです。

しかし、これだけの人に抗生物質を飲ませると、副作用で下痢をしたり、アレルギーを起こしたり、重い副作用で救急外来を受診しなければならないような人7)が、大勢出てきてしまうこと、さらに、抗生物質を使い過ぎると、薬が効かない危険な「耐性菌」を生み出す原因にもなることが、近年明らかになってきました。

つまり、風邪の人に抗生物質を使うという方針は、肺炎になってしまう人を1人減らせる代わりに、もっとたくさんの人を薬の副作用で苦しませ、危険な耐性菌を増やしてしまうことに繋がってしまうのです。

つまり、薬を使うメリットよりデメリットの方が上回ることが色々な研究結果としてわかってきたため、最近は「風邪に抗生物質を使わない」のが主流になっています。

抗生物質をむやみに欲しがらないで
「風邪の時には抗生物質を飲まないといけない」と勘違いしている人は多く、病院でも患者からの希望によって、医師がしぶしぶ抗生物質を処方してしまうケースは少なくないようです8)。しかし、風邪の時に抗生物質を飲んでもほとんどメリットはありません。むしろデメリットの方が大きいので、飲まない方が良いでしょう。

医師から、抗生物質を使った治療が必要(細菌による感染症)だ、と診断された場合を除き、むやみに抗生物質を欲しがらないようにしましょう。

頭痛専門医が教える「脱・鎮痛剤」プロセス 睡眠時間の見直しが重要

 薬を服用するストレスやリスクから患者を解放する“断薬”。しかし、「なにをどうすればいいのか」と疑問を持つ患者は多いだろう。そこで今回は頭痛治療などで使われる鎮痛剤について、「断薬に至るプロセス」を専門医に詳しく指南してもらった。

「頭痛外来」がある秋葉原駅クリニックの大和田潔院長は、25年間、頭痛診療に携わってきた。

 転院してきた患者の多くが、「頭痛を抑えたいから、もっと強い鎮痛剤はありませんか」と訴えるという。大和田院長のもとを訪れた35歳男性Aさんもその一人で、初診時には鎮痛剤を月に20回、片頭痛の治療薬を15回、さらに頭痛予防薬や抗うつ剤までも服用していた。

「頭痛は大きく分けて、脳血管の拡張による片頭痛と肩こりなどによる緊張型頭痛の2種類あり、Aさんは両方が混在していた。原因は不明とされ、両方に対応するために多くの薬が漫然と処方されていたのです。

 Aさんの睡眠時間は4時間で通勤に1時間半かかり、仕事も残業続きでした。頭痛治療で睡眠時間の確保は極めて大事です。『通勤時間を短くできないか』と話したところ、職場近くの会社所有の住居に引っ越せました。これで通勤時間が20分に短縮され、睡眠時間が大幅に増えたのです」

 翌月には頭痛の回数が減り、2~3か月後には鎮痛剤は月7回、片頭痛の治療薬は5回に減らすことができた。現在は鎮痛剤を月に2~3錠飲む程度にまで減ったという。

「頭痛治療では断薬はゴールではなく、少量の鎮痛剤で安定して日常生活が送れればゴールです。月2~3錠でスッキリするなら問題ないでしょう。多量の鎮痛剤を飲んでいるときは頭痛がいったん治まるものの、ボンヤリ重い感じが残ります」

 この男性のように3~4種類も処方されていると、1か月の医療費が5000円を超える。金銭面でも減薬、断薬するメリットは大きい。

 ただ、大和田院長は「内科的アプローチだけでは改善できないことがある」と言う。

 45歳の男性Bさんは、1日中頭痛に悩まされ、不眠ややる気が起きないなど別の症状も出ていた。

「精神疲労やうつの一つの症状として頭痛を発症していると判断しました。そこで“メンタルのクリニックを紹介しますから、連携して治療しましょう”と提案したところ、ご本人も納得した。

 昔、うつを患ったことを内科医の私には言いそびれていて、『頭痛と昔のうつが関係するとは思っていなかった』と言っていました。精神科医との連携で症状が改善する人も多い。ミスを減らす意味でも脳外科、婦人科や整形外科などと連携した治療を心がけています」

【プロフィール】
大和田潔(おおわだ・きよし)1965年生まれ。東京医科歯科大学大学院医学部医学科卒。頭痛専門医。東京医科歯科大学臨床教授を経て、2007年に秋葉原駅クリニックを開院。著書に『知らずに飲んでいた薬の中身』など。

「体にいい」も逆効果…「頭痛によくない」食品と食べ合わせ

仕事帰りにバーに立ち寄り、チーズやサラミ、オリーブオイルをたっぷり使ったアヒージョをつまみながら、赤ワインをグビグビ……。ありがちな光景だが、「頭痛」にとっては最悪のパターンだ。東京女子医大脳神経外科客員教授の清水俊彦氏が言う。

「片頭痛に代表されるような一次性頭痛は、脳の血管が広がって血管の周囲にある三叉神経が刺激されることで起こります。三叉神経からは炎症を起こす物質が放出されるため、さらに血管が広がって三叉神経を刺激する悪循環となり、激しい痛みを発症するのです。

血管を広げて血流をよくする作用がある食品は、健康にいいと言われていますが、頭痛にとっては好ましくありません。痛みを起こす引き金になったり、症状を悪化させてしまうのです」

 頭痛持ちはもちろん、普段はなんでもない人でも、“頭痛によくない食品”を摂取しすぎると痛みを引き起こす要因になりうる。頭痛を誘発しやすい食品を清水氏に挙げてもらった。

■赤ワイン

 赤ワインやロゼワインには、血管拡張作用がある「ポリフェノール」が豊富に含まれていて、頭痛を誘発しやすい食品の代表といわれる。また、オリーブオイルにもポリフェノールが多く含まれている。

■チーズ

 同じく血管拡張作用がある「チラミン」という物質が豊富に含まれている。とりわけ、長期間熟成させたチェダーチーズなどの高級チーズにはチラミンが多い。チーズや上記のオリーブオイルをたっぷり使ったイタリア料理を食べる時は気をつけたい。

 また、バターやヨーグルトなどの発酵乳製品、赤ワインやビール、チョコレートにもチラミンが多く含まれている。他にも、みかん、オレンジ、グレープフルーツ、レモンなどの柑橘(かんきつ)類、タラコ、スジコ、そら豆、鶏レバーなども多い。居酒屋やバーで一杯飲む時は、食べ合わせに要注意。

■ハム、サラミ、ソーセージ

 発色剤として使用されている亜硝酸ナトリウムに血管拡張作用がある。

■食品添加物

 うま味調味料に使われることが多い「グルタミン酸ナトリウム」も血管を広げる。中華料理、加工食品、スナック菓子が好きな人は気をつけたい。

■ダイエット食品

 アミノ酸の一種である「アスパラギン酸」に血管拡張作用がある。脂肪の燃焼を助けるサプリメントなどに多く使われている。

「こうした食品を口にしただけで、必ず頭痛が起こるわけではありません。しかし、食べる量や回数が多かったり、重複して食べすぎたり飲みすぎたりすれば、それだけ頭痛を引き起こしやすくなります」

■季節や体調が絡む最悪パターンも

節の変わり目や天候不順による気圧や気温の変化、ホルモンバランスや生活リズムの変化も頭痛を引き起こす要因になる。そうした危険因子がいくつも重なっているタイミングで頭痛を誘発する食品を食べれば、さらにリスクが高くなる。

 また、休日は日頃のストレスから解放され、ただでさえ血管が緩んでいる。そこに寝すぎが加わると、さらに血管が拡張して頭痛を起こしやすくなる。寝すぎて頭が痛くなるのはそのためだ。

「週末に居酒屋やバーで頭痛を誘発する食品をたくさん飲食した後、休日は昼まで寝ているというパターンは最悪です。危険因子が2つ以上重なれば、まず間違いなく頭痛を引き起こします」

 片頭痛に悩んでいる人はもちろん、そうでない人も日頃から“頭痛によくない食品”を意識しておきたい。

片頭痛の放置が招く 「脳過敏症候群」危険度チェックリスト

日本では840万人が「片頭痛持ち」だといわれている。適切な対処をせずに放置していると、深刻な状態になりかねない。

 片頭痛は〈脳の興奮〉によって起こる。脳が外的な刺激に敏感に反応し、脳の血管が広がって血管の周囲にある三叉(さんさ)神経が刺激され、激しい痛みを発症する。

 たかが頭痛ぐらい……などと甘く考えて鎮痛薬でごまかしたり、痛みを我慢してやり過ごす行為を続けていると、〈脳の興奮〉がどんどん蓄積され、さらに深刻な症状を招く。頭痛治療の第一人者で、東京女子医大脳神経外科客員教授の清水俊彦氏は言う。

「興奮状態を放置したままにしておくと、脳はちょっとした刺激でも興奮しやすくなり、ささいなことで頭の痛みを感じるようになります。

年をとると、脳が興奮しても加齢による動脈硬化で血管が広がりづらくなるため、痛み自体は感じなくなってきます。しかし、脳の興奮状態は鎮まらないまま慢性化し、〈脳過敏症候群〉に移行する危険があります」

脳過敏症候群は、10年に日本頭痛学会、11年に国際頭痛学会で清水氏らが提唱した新しい病状だ。

脳過敏症候群になると脳の働きが混乱し、頭の中で雑音が鳴り響くような耳鳴り頭鳴(ずめい)、立っていられないようなめまい、頭重(ずおも)感、不眠といった深刻な症状が表れる。

 物忘れが激しくなったり、イライラして攻撃的になったり、奇行を繰り返す場合もある。認知症、うつ、パニック障害だと思われていた人が、実は脳過敏症候群だったというケースもあるという。

 片頭痛を抱えている人は、対処を誤ると脳過敏症候群に移行する可能性がある。そうなる前に、まずは片頭痛を放置せずに早い段階で適切な治療を行うことが大切だ。

「片頭痛には特効薬であるトリプタン製剤が効果的です。脳の血管の拡張や三叉神経から放出される炎症物質を抑え込み、脳の興奮も鎮めます。片頭痛が起こり始めたらなるべく早く使うことが大切で、痛みを我慢してはいけません。

既往症によってはトリプタン製剤を使用できない患者さんもいますので、〈たかが頭痛で医者にかかるなんて〉とは考えずに診察を受けること。将来の脳過敏症候群の予防につながります」(清水氏)

脳過敏症候群に移行しているかどうか心配な人は、以下の診断基準(案)をチェックすべし。

①過去に片頭痛などの慢性頭痛の既往がある
②2親等以内に片頭痛などの慢性頭痛を持つ者がいる
 いずれかに当てはまる人のうち、日常生活に支障を来す程度の下記の症状を3項目以上満たす人は、脳過敏症候群になっている可能性が高い。
①片側または両側性の頭鳴
②不眠
③不安の増強
④高次脳機能の一時的障害(物忘れなど)
⑤頭重感
⑥浮動感を伴うめまい

「脳過敏症候群まで進んでしまった人は、抗てんかん薬や抗うつ剤などを使って脳の興奮状態を鎮める治療を行います。しかし、数十年かけてこびりついた脳の興奮状態を元に戻すには数カ月から数年かけた長期にわたる根気強い治療が必要になります」(清水氏)

 将来、深刻な症状に悩みたくない人は、片頭痛を放置しないこと。
 我慢は美徳ではないのだ。

鼻水が止まらない…スッキリ止める方法は?


風邪や花粉症にかかると止まらなくなる鼻水。何回鼻をかんでもスッキリせず、困っている人も多いと思います。鼻水はいったいどこから来るのでしょう? 鼻水を止める薬の副作用についても、詳しくご紹介します。

まずは鼻水を作る3つの器官について確認しましょう。
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◆体調が良いときの鼻水は「涙」

鼻水の元の一つは涙。資源の再利用が叫ばれていますが、体が行っている水分の再利用の一つが、目を潤した涙を鼻腔に流すことです。目の表面が乾かないように瞬きする度に、涙腺から少量の涙が鼻腔に流れ、鼻腔の内側を乾燥から守るのです。

もちろん、通常の涙の再利用では鼻水にはなりません。鼻をすするほどの量になるのは、感激したときなど、涙腺からの涙が極端に増加してしまった時に起こります。
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◆分泌物の貯蔵庫? 顔の奥に広がる鼻腔

鼻(鼻腔)の入り口は指がやっと入るくらいの大きさですね。一般的に鼻として認識する部分はそんなに大きくありません。それなのに鼻水がキリなく出てくるのはなぜでしょう?

実は鼻腔の奥は、上顎から目の下の空間へと広がっています。横から見ると結構広い空間です。上記の涙だけでなく、この空間では粘膜から分泌物が作られ、鼻水の成分を作っています。体調に異常があり分泌物が増加すると、鼻の穴からあふれて鼻水になります。

通常、この分泌物は呼気に湿気を与えて鼻腔から咽頭、喉頭、気管の乾燥を防止するのに役立っています。鼻腔の上の部分は臭いを感じる細胞があって脳神経の臭神経につながっています。鼻腔の後ろの方には中耳とつながっている耳管があります。.

◆鼻腔の外側に広がる、複雑な副鼻腔

鼻は一見シンプルな作りに見えますが、鼻腔を取り囲んでいる「副鼻腔」は複雑な構造の空間です。

鼻腔とつながっているので、この副鼻腔の分泌物も鼻水の元となります。副鼻腔は誕生した時は未完成でX線写真ではっきり写りませんが、子供の成長とともにX線写真で確認できるようになります。副鼻腔炎では、鼻水よりも鼻づまりや咳、頭痛のような他の症状も伴います。

つまり鼻水は、涙腺・鼻腔・副鼻腔の3箇所の分泌物がそれぞれ混じりあって作られるものなのです。

◆鼻水はどこから湧いてくる? 鼻水は簡単には止まりません!

鼻水は、涙腺・鼻腔・副鼻腔からの分泌物が合わさった物です。涙腺、鼻腔、副鼻腔での全ての原因が、それぞれ取り除かれないと鼻水は止まらない事になります。

感動した時に涙腺からあふれた涙はティッシュやタオルで吸い取る事によって減らすことが可能です。同じく、鼻腔で増加した分も、鼻をかむ事によって一時的に減らすことが可能です。

一方、身体の不調が原因で副鼻腔からあふれてくる鼻水は、涙腺からの涙のようには出し切れません。副鼻腔が複雑な上に、鼻腔の空間も大きいので、ここから出続ける分泌物はスッキリとは止まりません。何回鼻をかんでも全部出し切ることは不可能なのです。.

◆唯一の救世主!? 鼻水を止める薬・抗ヒスタミン剤

花粉症の場合、残念ながら原因となる花粉の時期が終わるまで鼻水は止まりません。一方、いわゆる鼻風邪ウイルス(例:ライノウイルス)が原因の場合は、数日間で治まります。どうしても止める必要があるなら、薬に頼るしかありません。

式典など人前で鼻をかめない場合、最終的に鼻水を止めるために、免疫反応を一部止めるという方法があります。鼻水を増加させている炎症に関係した物質のヒスタミン作用を止めるのが一番手っ取り早い方法です。

ちょっと専門的になりますが、ヒスタミン作用を受けるのは、以下の3つの受容体です。

・H1受容体 : 鼻や目の痒み、鼻水や涙に関係する受容体
・H2受容体 : 粘液の分泌、特に胃液の分泌に関係する受容体
・H3受容体 : 中枢神経の興奮・覚醒に関係する受容体

鼻水や涙を止めるには、H1受容体に対する抗ヒスタミン剤が有効ということになります。市販の風邪薬に入っている抗ヒスタミン剤には鼻水を止める作用があります。
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◆眠気は避けられない? 鼻水を止める薬の副作用

一方、抗ヒスタミン剤は頭を覚醒させるH3受容体の作用を妨害してしまうので、副作用として眠気がおこります。車を運転する場合は居眠り運転の原因となって危険です。鼻水はガマンして、薬の服用は控えるようにしましょう。

風邪薬はキャベツで効果ゼロに!「市販薬」のアブない飲み方

「市販薬は効き目が弱く、少しくらい間違って飲んでもたいしたことはないとタカをくくっている人もいます。それは大きな間違い。市販薬にも病気を治す『作用』がある半面、食事や飲み物などと体内で反応し、思いもよらない『副作用』を招くことがあります」

こう話すのは、東京薬科大学教授を経て、現在、日本くすり教育研究所代表理事を務める加藤哲太先生。そこで、いまの季節、服用することが多い市販の風邪薬を中心に加藤先生に解説してもらった。

「これから紹介する症例は必ず起きるというものではありません。ただいつこの副作用が起こるとも限りません。いままで間違った飲み方をしても大丈夫だったのは、運がよかっただけかもしれません。今後の自分の体を守るために知っておくことが大切です」(以下コメントは加藤先生)

■風邪薬はキャベツで効果がなくなる

「解熱鎮痛成分としてアセトアミノフェンが含まれている風邪薬は、キャベツに代表されるアブラナ科の野菜と相性が悪く、効き目が落ちてしまう場合があります」

キャベツや白菜、小松菜、ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜などに含まれるグルクロン酸という成分が、くせもの。

「この成分はアセトアミノフェンを代謝し、尿として体外に出してしまう働きがあります。このため、この成分を含む風邪薬の効きが悪くなるのです」

■酢と胃腸薬、解熱鎮痛薬で脳症になることも!

「市販の胃腸薬や解熱鎮痛薬には、アルミニウムを成分として含んでいるものが少なくありません。アルミニウムは長期に取り続けると、アルミニウム脳症と呼ばれる認知症に似た症状を起こすことがわかっています」

通常、市販薬に含まれるアルミニウムは99%以上、そのまま体外に排出されるため、心配はないが、酢といっしょに服用した場合は別だ。

「酢や梅干しに含まれるクエン酸にはアルミニウムを小腸で吸収されやすくする働きがあり、そのまま体内に残ってしまう危険性があるんです」

とくに腎臓が悪く、透析療法などを受けている人はアルミニウム脳症を起こす危険があるので、この飲み合わせは避けなくてはいけない。

■コーラで風邪薬を飲むと頭痛が起きる!

「風邪薬や解熱鎮痛薬の多くには眠気を抑えたり、効果を高めるために、カフェインという成分が配合されています。カフェインは取りすぎると、脳神経が過剰に刺激され、頭痛やめまい、動悸などの症状が出る。コーラやコーヒーといったカフェインを含む飲料といっしょに服用すると、この過剰摂取になる恐れがあるのです」

カフェイン飲料というと、コーヒーや紅茶が有名。しかし350mlのコーラにはカップ1杯のコーヒーより多い40~60mgのカフェインが添加されているという。

「ほかにもぜんそくの薬や酔い止め、眠気防止薬など、カフェイン飲料と飲み合わせると危険な薬はたくさんあります。薬は水で飲むこと」

【これは使える】家系ラーメンを食べると風邪がすぐ治る?

地域によっては気温が10度を下回ることがあるほど、2015年も寒い季節に入ってきた。風邪をひかないよう厚着をしたりマスクをする人も多いと思うが、どうしてもひいてしまうという人もいるはず。

そうなると風邪薬を飲んだり栄養のあるものを食べたり、早めに寝るなどして対処するしかない。「温かいお茶を飲む」や「ネギを首に巻く」などさまざまな民間療法はあるものの、本当に効果的なのかは不明だ。

だが、ラーメンマニアのAさんによると、『家系ラーメン』を食べることで風邪がシャッキリポンと治ってしまうらしい。風邪のときの食事としては適していない気がするが…。


しかしAさんは自信ありげにこう語るのだった。家系ラーメンには、意外にも“風邪に効くとされる食材”がタップリ入っているんですよ。それに注文の仕方によっては消化を助けたり、体が弱っているときに必要な栄養をさらに摂ることが可能なんです!

人によって効き目はさまざまだと思いますが、僕は「風邪ひいたかな?」と思ったら、すぐに行きつけの家系ラーメン店へ行くことにしているです。風邪薬飲むより100倍効くので、記者さんもぜひ試してみてくださいよ!ふむふむ。


それでは試しに行ってみようじゃありませんか! ということで風邪もひいていないのに、近所の家系ラーメン店へ行きAさんに聞いたトッピングと注文方法をすることにした。

結果から言うと「コレは風邪にメチャ良さそう!」という感想しか無かった。それではトッピングを紹介する前に、なぜ家系ラーメンが風邪に効果的な食べ物なのか? まずはそこから説明したいと思う。

■なぜ家系ラーメンが風邪に効果的なのか?
家系ラーメンのスープは、豚骨や鶏ガラの成分をこれでもかと抽出した、とろみのあるものがほとんど。そのスープには炎症を抑えるアミノ酸の『グリシン』と『プロリン』が豊富に含まれている。


アメリカではチキンスープを風邪のときに飲むこともあり、ミネラルやコラーゲンも含まれているので風邪のときに必要な栄養素を一杯で摂取することができるからだ。では、お次にお勧めのトッピングをご紹介。

■トッピングについて
・ほうれん草:風邪に有効とされる『ベータカロテン』や、『ビタミンC』が豊富なため、重要度大。


・ねぎ:『ビタミンC』以外にも体を温める成分『アリシン』が含まれているため、重要度大。


・温泉卵:抗菌作用のある『リゾチーム』が含まれており、たんぱく質など栄養も満点。ゆで卵にするとリゾチームの効果が無くなってしまうが、それでもぜひ食べておきたい。


・ニンニク・ショウガ:食べ終わったあとも体を温めてくれるため、入れるとさらに良い。ショウガは普通のラーメン店にはあまり無いが、家系ラーメン店は置いてある店が多い。


最後は「こうすれば風邪でも食べられる」という注文方法をお教えしよう。

■注文方法について
「麺柔らかめ・味薄め・油抜き(少なめ)」が良い。こうすれば油や濃いスープにより胃ももたれず、お粥などと同じ感覚で食べられるからである。家系ラーメンというとガッツリ系なイメージがあるが、注文で自由に味を変えられるため、頼み方によっては普通のラーメンよりあっさりと食べることだってできるのだ。

確かに食べたあとも、体はポカポカで胃もたれもしなかった。風邪をひいていなくても寒い時期にピッタリの注文方法だと思ったので、冬場は特にお勧めしたい。ラーメンなんて代表的ジャンクフードは風邪の時にとんでもない! という常識を覆す一杯であった。この記事は効能を保証するものではないが、もし風邪気味かな? と思う人がいたらぜひ試してみてほしい。

性格でわかる「頭痛」になりやすい人、なりにくい人 3万4000人の調査研究を読み解く

第一三共ヘルスケアが2011年に実施した調査によると、過去1年間に頭痛を感じた人800名のうち、約4人に1人が週に1回以上もの頻度で頭痛に悩まされているという。また同調査では、「頭痛によって損失したと感じる時間」は1日にあたり約2時間半に上るという結果も出ている。

 薬を飲むほどではないが、我慢するうちに集中力が下がり、些細なことにイライラしてしまう。そんな頭痛と向き合うことが日常になっている人も多いことが、この調査から分かる。だが当然、頭痛には無縁という人もいるわけで、その違いを“性格”の面から分析した研究がある。

■日本人とアメリカ人でも同じ

 フランスのモンペリエ大学やアメリカのフロリダ州立大学などの研究者らは、頭痛と性格の関連を探るべく、アメリカと日本の16歳から107歳までの約3万4000人を調査し、昨年、その結果を発表した(「Personality and Headaches: Findings From Six Prospective Studies」)。

「過去1ヵ月間に頭痛を経験したか」などの質問とともに、神経症傾向、外向性、開放性、協調性、勤勉性といった性格傾向を測定するというものだ。その結果、性格と頭痛の関係では、性別を問わず日本とアメリカで同じ傾向が見られたというのである。

■頭痛になりやすい性格

「研究によると、『神経症傾向』のある人は頭痛になりやすいことが分かりました。感情が不安定で落ち込みやすく、不安や怒りを感じやすい神経質な人に頭痛持ちが多いというのは、なんとなく納得できるかもしれません。一方で、『外向性』と『勤勉性』が高いほど、一過性の頭痛が起こりにくいという傾向も明らかになったのです」

 と解説してくれるのは、早稲田大学文学学術院教授で、パーソナリティ心理学が専門の小塩真司氏である。

「頭痛になりにくい」性格なんて聞いた試しがないが……。「外向性」とは、活動的で刺激を求める傾向のことで、簡単にいうと人間関係に前向きで友達が多い人といったところだろうか。そして、まじめで目標を達成しようとする傾向を示す「勤勉性」が高い人も、頭痛になりにくいというのである。

「『外向性』と『勤勉性』が高い人については、ストレスの低さや睡眠の質の高さとの関連を示す別の研究があります。つまり、これらの性格を持つ人は、頭痛の原因となるストレスや睡眠不足に悩まされる人も少ないということでしょう。また、『外向的』で『勤勉性』の高い人は、太りにくい人が多いとされています。そして、肥満の傾向がある人は頭痛になりやすいという研究もあります」(同)

 アメリカのジョンズホプキンス大学が2013年に発表した4000人を対象とした研究によると、普通体重の人に比べて肥満の人では片頭痛に悩まされるリスクが約1.8倍に上ることが分かっている。太っていればいるほど、頭痛を起こしやすいのである。

つまり「外向的」で「勤勉性」が高い人は、スリムな体型を維持しやすいこともあって、体型の面からも頭痛になりにくいというわけだ。「ストレスに上手く対処できるなど感情面でも、活発で太りにくいという健康面でも、『外向性』が高い人は頭痛になりにくいのです」(同)

デイリー新潮取材班

また風邪ひいてない?「ウイルス感染しやすい家」危険要因3つ

風邪やインフルエンザ、ウイルス性の胃腸炎……。さまざまな感染症が流行するこの季節は、普段よりも体調管理に気を使う必要があります。しかし、どういうわけか「頻繁に体調を崩してしまう」という人もいますよね。もしかしたらそれ、生活環境と関係があるのかも……。そこで今回は、ウイルス感染しやすくなる家の環境についてお話していきたいと思います。

■1:湿ったタオル
手や顔を洗った後に使用する洗面所のタオル。「替えどきがわからない」「汚れていないような気がする」などの理由から、数日間同じものを使い続ける人も少なくないのでは?しかし、いくら見た目が汚れていないからといって、湿ったタオルを長時間放置するのは、細菌を増殖させることにつながるので絶対にNG! そんなタオルを使っていては、細菌を手に移すことになります。”タオルが湿ってきたら交換する”という習慣をつけましょう。

■2:フタを閉めていないトイレ
ノロウイルスやロタウイルスといったウイルス性の胃腸炎が流行する今の季節。感染を予防するために、手洗いが重要だということはみなさんご存知のとおりなのですが、トイレの環境や使い方にも注意が必要なのです。なんでも、便器のフタをせずに水を流した場合、微生物が最大約26cm飛び散り、90分間空中を漂うという研究結果もでているそう。これでは、水を流すレバーや便座、トイレットペーパーにウイルスが付着して、感染を広げることになってしまいますよね。水を流すときは、便器のフタを閉めてからにしましょう。

■3:乾燥した部屋
空気が乾燥していると、ウイルスが活発に動きだします。また、このような環境で過ごすことで喉や鼻の粘膜も乾燥し、ウイルスが体内に入りやすくなってしまいます。換気をしたり、加湿機能付き空気清浄器を使ったりして、空気をキレイに保つこと・適度な湿度を保つことを心がけましょう。「対策をしているつもりなのに、体調を崩してしまう……」という人は、上記の項目に心当たりがあるのでは? ツライ体調不良に苦しむことがないように、生活環境にも気を使うようにしたいものですね。

風邪対策、のどのイガイガに!プロポリス配合のどスプレー【山本浩未のメイクのメ】

ヘア&メイク・アーティスト、山本浩未さんの『女性セブン』での人気連載をお届け。今回は山本さんが、風邪対策におすすめのアイテムを教えてくれました。

◆のどスプレーを習慣化して風邪を防ぐ

寒くなってくると、新型コロナウイルスはもちろん、インフルエンザや風邪も心配ですよね。ますます除菌や殺菌、免疫力アップに気を配らなきゃ。昨年の年末、北海道に旅行したときになんとなく風邪っぽかったところ、一緒にいた友人が「のどスプレーがいいですよ!」と教えてくれました。彼女いわく、冬にのどスプレーを習慣化したら、風邪をひかなくなったんですって。そのときはピンときませんでしたが、マスクをしていてもさまざまな感染症が気になる今年は、のどスプレーに注目しています。

そんななか最近愛用しているのが、山田養蜂場の『プロポリスリッチスプレー』です。プロポリスは樹脂や植物の新芽から作り出され、ミツバチはプロポリスを使って巣の中を清潔に保ったり、巣を外敵から守ったりしているそう。のどスプレーで摂ることで、のどから入ってくるウイルスを殺菌してくれる効果があるほか、フラボノイドやビタミン、ミネラル類が豊富で免疫力アップも期待できます。

さらにカリン、緑茶、カンゾウエキスといった天然由来成分を40種類も配合しているので、季節の変わり目や乾燥が気になる季節の強い味方になってくれます。何よりこのスプレーは味がいい!(笑い)

◆のどのイガイガやリフレッシュしたいときにも

以前、体調が悪いときにある人からプロポリスの原液をすすめられたんですが、しびれるような独特の味がするので、慎重にのどの奥にスポイトで1滴落とすようにして摂っていました。確かに体調はよくなりましたが、味が強烈だったり摂り方が面倒だったりで、いつのまにか続かなくなっていたの。でも、これは手軽なスプレータイプ。味もマヌカハニーやペパーミントが入っていて、ちょっと口がさみしいときにシュッとするとプロポリスキャンディーをなめているよう。プロポリス独特のクセはありますが、続けているうちに好きになっちゃった!

昔から健康効果がいわれているプロポリスの製品はいろいろありますが、スプレータイプはウイルスが侵入しやすいのどを守るという意味でも、今年こそおすすめ。さらにのどをケアすることで、のどから腸までつながる「体の内側の皮膚」のケアもできます。内側の皮膚の入り口であるのどのアンチエイジングで、内と外両方の皮膚が健康になれば、きれいの循環が作れますよ。

もちろん、のどがイガイガするときやリフレッシュしたいときにシュッとするだけでのどが落ち着いて安心できます。のどスプレーはこの冬、携帯にもおすすめですよ!

◆健康維持に欠かせない成分たっぷり!手軽なスプレータイプ

ブラジル産プロポリスを従来品より20%増量。マヌカハニーやカンゾウエキスなど、健康維持に欠かせない天然成分を40種類配合。プロポリスリッチスプレー 30ml 3700円/山田養蜂場
https://www.3838.com/kenko/item/11888/

※女性セブン2020年12月17日号
https://josei7.com/

◆山本浩未(やまもとひろみ)
ヘア&メイク・アーティスト。1964年生まれ。今すぐ実践できるメイクテクニックと親しみやすいキャラクターで、同世代からの支持も厚い。最新刊『たるみはメイクでなくせます!「3本の線」で顔を建て直す』(小学館)も好評。

かぜ薬、65%が誤解 ウイルス倒さず、正しく服用を

市販のかぜ薬について、使用者の65%が「ウイルスを倒す効果がある」と誤解していることが武田コンシューマーヘルスケア(東京)の調査で分かった。気温の低下でかぜが流行しやすい季節になっており、同社は「正しく服用しないとかぜが長引く可能性がある」(マーケティング部の上西宏一マネジャー)と指摘し、症状に合わせた服用を呼び掛けている。

 調査は昨年12月にインターネットで実施。市販のかぜ薬が細菌やウイルスを倒すかどうか聞いたところ、30%が「すべての薬に当てはまる」、35%が「一部の薬に当てはまる」と回答。正解の「このような薬はない」は35%にとどまった。

 市販薬は喉の痛みや鼻水、発熱などを抑える成分を配合しているが、ウイルスを倒す効果はない。撃退するのはあくまで人体で、薬は「免疫機能を発揮できるように症状を抑えて体力が奪われないようにする」(同)のが主な役割だ。

 医療機関で処方される抗生物質に対しても、誤解が多い。国立国際医療研究センター病院が今年8月に実施した調査では、約半数が「ウイルスをやっつける」と誤解しており、効果がないと正しく認識していた人は2割を切った。

 同病院の具芳明医師は「念のために抗生物質を出しておくという治療法が適切だと長く考えられてきた」と、背景を説明する。近年では抗生物質の乱用で、耐性を持つ菌が生まれる問題も起きているが、処方を求める患者もいるため医療現場はなかなか変わらないという。

 調査では抗生物質の効果について、3割超が分からないと回答した。具医師は「市販薬でも処方される薬でも、どう作用するのか、自分の体に入れるものなので積極的に知ってほしい」として、啓発活動を進めている。 

「おでこにピッ!」非接触型体温計は正確なのか検証した

顔や手首などで体温を測る非接触型体温計の信頼度は?© NEWSポストセブン 提供 顔や手首などで体温を測る非接触型体温計の信頼度は?

 コロナが流行して以来、日常となったのが、店や公共施設の入り口での「検温」だ。様々な体温測定機器があるが、どれほど信頼できるのか──。

「早朝に冷たい風の中を歩いた後も、夜にしこたま酒を飲んでから測っても、表示されるのは36.2℃だった。アルコールを飲めば体温が上がるのでは? これって本当に正しい体温なのか?」

 50代の週刊ポスト記者が、ある商業施設にあったスマホタイプの体温計の“判定”に疑問を持ったことからこの企画は始まった。

 新型コロナ感染対策として、飲食店や各種公共機関の入り口で検温されるようになって久しい。よく目にするのが、額などに近づけて測定する「ハンディタイプ」と、顔認証システムと検温モジュールを組み合わせた「スマホタイプ」だ。

 来場者はこれらで体温を測定し、発熱症状があれば入場を制限される。ただし、街の声を集めてみると、正確に運用されているのか、首をかしげたくなる証言も──。

「前髪が邪魔だからということで、手首の内側を測られた。それでもOKなの?」(30代女性)

「8月、炎天下を歩いた後にスポーツジムの入り口にあったスマホタイプで測ったら、38.2℃と表示された。でもスタッフから“暑い日はみんなこうなっちゃうんで”とそのまま通された」(40代男性)

 本誌・週刊ポストではこれらの疑問に答えるため、市中に出回る商品を集めて検証実験を行なった。

 調査したのはハンディタイプとスマホタイプを3機種ずつ。ハンディタイプは、都内の某大手家電量販店で売れ筋上位3種(A・B・C)を選択。

 スマホタイプは、AI顔認証技術の研究開発を行なっている株式会社トリプルアイズに協力を得た。同社が研究開発用に所有している中国製のスマホタイプ(D・E)2点と、比較のためトリプルアイズ社製の機器(F)の提供を受けた。中国製のD・Eはどちらも中国の大手通販サイト「アリババ」で売れ筋上位のものだ。

 場所は弊誌編集部の会議室。被験者は20~60歳代の男女5人だ。同じ条件下でそれぞれ5回ずつ測定を行なった。ハンディタイプの1機種については額だけでなく、手首の測定も可能とする仕様だったため、どちらも測定した。

“手首測定”は要注意

 まずは測定結果(別掲表)をご覧いただきたい。同じ人物でも、検査をする機器によって測定結果に少しずつばらつきがある。

 それに対して、同一機種であれば、各人5回の測定結果に大きな差は出なかった。ただし、ハンディタイプの一部には、時折35℃前半など極端に低い結果が出る場合があった。また同一機種で額と手首を測定した場合、手首のほうが低く出る傾向があり、その差は最大1.4℃だった。

 以上のような結果を踏まえ、早稲田大学人間科学学術院体温・体液研究室の永島計教授に話を聞いた。

「熱を持つすべての物質はその表面から赤外線を放出しています。非接触型の体温計はこの赤外線の量を測り、それを温度に換算して体温を推定しています。

 メーカーによって体温の算出方法に若干の違いがあるため、機器ごとの測定結果にばらつきが出るのは不思議ではない。また同じ機器でも測る距離や角度が少し違うだけで測定の結果に大きな変化が生じます」

 同じ機器で額と手首を測定した場合、結果が異なるのはなぜなのか。

「人の体表の温度は、場所によって大きな違いがある。一般的に、身体の中心から遠い部分ほど、その表面温度は低くなり、推定される体温は低くなる傾向がある。多くのメーカーが額での測定を推奨しているのに手首で測定すれば、大きな誤差が生じます」(同前)

外気温の影響は「大」

 今回の調査で最も驚かされたのが、スマホタイプD社の結果だった。

 5人が、それぞれが5回ずつ、合計25回測定したが、そのうち7回が36.5℃で、あとはすべて36.6℃であった。他の体温計で測定すると5人の体温はそれぞれ異なるのに、なぜかDで測った時だけは、5人の体温がほぼ同じになってしまったのだ。何度測っても結果は同じに。一体なぜなのか。

 試しに50℃ほどのお湯に浸したタオルで額を温めてから再びDのスマホの前に立ってみると、今度は『測定不能』という表示が。

 AI顔認証検温器の研究開発をするヒューロン株式会社の趙俊来代表が「あくまで推測ですが」と前置きしたうえで次のように指摘する。

「タブレットで顔認識をする装置は以前から存在しました。新型コロナの蔓延により、非接触型の体温計の需要が急激に伸びたため、顔認識用の機器に無理やり温度測定モジュールを載せたものが粗製乱造されたのだと思います。

 そうした機種の中にはご指摘のような“不具合”ともとれる検査結果しか表示しないものも一部あるようです」

 また、非接触型体温計には、ハンディタイプ、スマホタイプともに共通の“弱点”が存在するという。トリプルアイズ社の担当者が言う。

「非接触型体温計には外気温に影響されやすいという性質があります。炎天下で皮膚が熱せられれば体温も高く出がちで、冬に皮膚が冷やされれば体温も低めに出やすい。この問題をどうクリアしていくかが今後の課題です」

 体温測定法について詳しい医学博士の相原弼徳氏が語る。

「正確な体温を測りたければ、腋の下や舌の下などに入れる接触型の体温計を使用するほうがいい。とくに高齢者は体温が低い傾向にあるので、腋窩(腋の下)体温計などで日常的に検温し、自身の平熱を把握しておくことが肝心です。 あなたがよく行く施設の非接触型の精度は果たして──。

日常のちょっとした工夫で頭痛を減らす、座りながらでOK・1回3分の「頭痛体操」

美と健康のお悩み相談室

美容&健康のコラム連載。今知りたい気になる話題から、すぐに試せるテクニックなど、美容と健康のプロが皆さんのお悩みに答えます。

【お悩み】頭痛のセルフケアはありますか?

慢性的な頭痛ですが、薬に頼りすぎるのも避けたいです。セルフケアの方法はありますか?

【回答】1回3分の頭痛体操を習慣にしてください

慢性的な頭痛に悩まされている人は多いでしょう。頭痛専門医の五十嵐 久佳先生の著書『頭痛女子バイブル』から、おすすめのセルフケアをご紹介します。 「頭痛には大きく分けて「片頭痛」と「緊張型頭痛」の2つの種類がありますが、共通しているのは、いずれもストレスと関係があることです。手抜きができず、根を詰めてしまえば、肩がこり、筋肉がぎゅーっと収縮して血流が悪くなります。すると、頭痛は起こりやすくなります」

まずはストレスをためないこと

「とはいえ、2つの頭痛にはちょっと違いがあります。緊張型頭痛は、強いストレスがかかっているときに起こりやすく、たいていの人が、リラックスしたり、ストレスがなくなると痛みがやわらぎます。対して片頭痛では、ストレスから解放され、「やれやれ」とホッとしたときに、頭が痛くなる人が多いのです。 詳しい理由はまだよくわかっていません。でも、いずれにしても自分なりのリラックス方法でストレスをためないことが、頭痛を軽減するための得策といえそうです」

薬に頼らず1回3分の「頭痛体操」を日課に

仕方なく、鎮痛薬に頼っているという人もいると思いますが、特に、仕事を休めないからと週に2日以上鎮痛薬を飲んでいる人は、脳がより痛みを感じやすくなり、よけいに頭痛が起こりやすくなってしまうため、注意が必要だそうです。 「薬に依存しなくても、日常のちょっとした工夫で、頭痛は減らしたり軽くしたりすることができます。その手段のひとつとしてオススメしたいのが、1回3分の“頭痛体操”です」 この「頭痛体操」には、次の3つの効果が期待できます。 ・頭痛のモト、首や肩のこりを解消してくれる ・脳の痛み調節系によい刺激を送り、片頭痛の予防になる ・緊張型頭痛では、痛みそのものをやわらげる STEP1もSTEP2も簡単な動作ですぐにできますから、毎日の習慣にしてみてください。ただし、片頭痛の発作中や、激しい頭痛のあるとき、熱があるときは体操は控えてくださいね。


「頭痛体操」を実践!

ステップ1 腕を振る体操(2分)

首まわりの筋肉のこりをやわらげて頭痛予防。基本姿勢は、体の軸を意識し、顔を正面に向けて頭を動かさないように。

ステップ1 腕を振る体操(2分)

両肩を大きく左右に回す。軸を意識して肩を回転させ、首の筋肉をストレッチ。 【椅子に座ったままでもできる!】 両足をそろえて顔を正面に向けたまま、左右の肩を交互に前に突き出すように回す。

ステップ2 肩を回す体操(6回)

肩のこりを改善して頭痛予防。緊張型の発作時にも!基本姿勢は足を肩幅に開き、ひじを軽く曲げる。

ステップ2 肩を回す体操(6回)

両腕を内側へ回す。リュックサックを背負うようなイメージで。

ステップ2 肩を回す体操(6回)

両腕を外側へ回す。洋服を脱ぐようなイメージで。

五十嵐 久佳/Hisaka Igarashi 頭痛専門医として患者の話を丁寧に聞き、一人ひとりの症状に合った治療、服薬指導を行う。日本頭痛学会の理事を務めながら、頭痛専門医の育成、頭痛医療の研究と成果を国内外に発信している。

誰か助けて頭が割れる!薬が効かない頭痛…原因はまさかの更年期?|更年期の新習慣「漢方」Q&A

とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなったり、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの?など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。

実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?

私の不調にも漢方が効くのか知りたい!どうすれば根本解消できるの?

そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。

10回目のテーマは、「頭痛」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の監修医である、漢方医の木村好珠先生に教えてもらいました。

1.「もっと処方して」薬漬けの毎日…頭痛がひどくてうつになりそう
ユウコさん 41歳女性主婦の方からご質問を頂きました。

「3年ほど前からしばしば頭痛に悩まされるようになり、ここ1年は特に悪化しています。ロキソニンは効かず、頭痛用の特別な薬を飲むと頭痛は収まるのですが、月に10錠までと総合病院で言われました。しかし、月に10錠では足りません。色々な薬を処方してもらって、全て試しましたかダメでした。

もう、毎日頭が痛いので鬱にでもなりそうです。家族にも「薬漬け」って言われるし、仕事の能率も下がってしまって、毎日で嫌になります。

色々な医療機関に行きましたが、これといった回答は得られませんでした。更年期障害のひとつに頭痛があるという話も聞きましたが、私の年齢だとまだ早いですよね?何か深刻な病気が隠れているんじゃないかと想像すると、怖くなります」

ご質問ありがとうございます。頭痛で辛いのに薬も効かないとなると、とても不安になりますよね。

頭痛は、更年期に生じる代表的な症状のひとつです。一般的に、閉経に伴って不調が起きることを更年期障害と呼びます。

しかし最近では、まだ閉経ではない年代(30代後半~40代前半など)でも、更年期障害と同じような症状に悩まされるケースも増えています。これが「プレ更年期」と呼ばれる状態です。

今回はこのような頭痛の原因や改善方法についてお伝えします。

2.更年期、プレ更年期の頭痛。原因はホルモンバランスの乱れ!
更年期やプレ更年期の不調は、卵巣の老化による女性ホルモンの減少や、ストレスが原因です。ホルモンバランスの乱れによって、体温や汗を調節する自律神経が不安定になり、不調を引き起こしてしまうのです。

女性は月経の度に血(血液)を消耗するため、更年期になると血が不足し、血から栄養を与えられる気(生命エネルギー)の量や巡りが悪くなり、気血の巡りが悪くなると水(水分)も滞ってしまいます。

東洋医学的な頭痛の原因としては、「不通則痛:通ぜざれば則ち痛む」とあるように気・血・水の流れが滞ることによって痛みが起きたり、「不栄則痛:栄えざれば則ち痛む」とあるように気・血の不足により痛みが生じると考えられています。

3.更年期に悩む人が取り入れるべき4つの習慣
更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。 効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。

ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。

3-1.我慢で対処しない
よく、外来で「更年期は、何年か経てば治るし、どうしようもないから我慢します…」という方を見かけます。しかし、閉経前後にかけて長い方は約10年付き合っていかなければなりません。

特に更年期は40代後半から多くの方が経験するもので、まだまだバリバリ活躍したい年齢だと思います。そんな時、更年期を我慢したままで、本来の力が発揮出来ない…というのは勿体ない。完璧に抑えることは難しくても、症状を和らげることは可能です!なので、まずは我慢しないこと。辛い症状は辛い、と言いましょう。

3-2.体質に合った食材を摂る
よく大豆製品がいい、というのは聞いたことがあると思います。これはその通り。そもそも、更年期は女性ホルモンの低下によるホルモンバランスの崩れから来る症状です。大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンの一つであるエストロゲンと似た構造式をもっており、この急激な女性ホルモンの低下を助けてくれる作用があります。

また、薬膳で考えると、疲れやすく身体を温める力が弱い&水がだぶつきやすい人を腎陽虚タイプと呼び、ストレス・イライラ・憂鬱など情緒が不安定になりがちな人を肝鬱(かんうつ)タイプと呼びます。

前者は、むくみやすく、疲れやすい人。食材としては、やまいもや長芋、黒胡麻、黒きくらげなど黒い食材、そしてくるみなどナッツ類がいいでしょう。

後者のイライラがつのるタイプには、紫蘇や柑橘系の果物、蕎麦など気の巡りが良くなる食材がいいでしょう。

3-3.運動を習慣にする
更年期に対し、適度な運動をすることも大事です。生活に有酸素運動を取り入れることで、更年期の重症度が下がったという実験結果もあります。

また、運動は骨に刺激を与え、閉経後に多発する骨粗鬆症の予防にもなりますので、更年期の方には特におススメです。年齢を重ねる毎にどうしても代謝は落ちるので、無理をしない程度の運動は、心身の健康、そして美容にも効果的ですね。

ただし、強度が強い運動は、睡眠前には避けましょう。疲れてそのまま眠れる…と思う方もいらっしゃいますが、逆に体が興奮状態になり、眠りを妨げる可能性があります。就寝前はストレッチやヨガなど心拍数をあげすぎないものをオススメします。

3-4.漢方薬で体質を改善する
更年期の不調には漢方薬もよく使われています。

一般的に、漢方薬は自然にある植物や鉱物などの生薬を組み合わせて作られており、西洋薬よりも副作用が少ないと言われております。また、症状の緩和、苦痛を和らげるための対症療法ではなく、体質の改善に働きかけることで根本的な解決を目指すので、同じ症状を繰り返したくないという思いに応えてくれます。バランスの取れた食事や運動などを毎日続けるのは苦手という方も、症状や体質に合った漢方薬を毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。


<頭痛に悩む更年期女性におすすめの漢方薬>
・色白で浮腫みやすく、元々あまり体力に自信の無い方:当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)女性三大処方のひとつ。婦人科系に悩む方にはよく処方します。この処方は頭痛だけでなく、更年期症状に悩んでいる方の色々な症状に適応します。

・梅雨の時期や台風など、天候に左右される頭痛がある方:五苓散(ごれいさん)水分の調整作用がありますが、西洋薬の利尿剤のように無理やり水を排出するのではなく、体のなかの水分量の過不足を整えるといったイメージの漢方です。ちなみに、二日酔いにも効果があり、オススメの飲み方としては、五苓散と黄連解毒湯をダブルで使うと、かなり効果が期待できます。

・どの漢方を飲んだらいいか分からないという方、吐き気を伴った頭痛がある方:呉茱萸湯(ごしゅゆとう)頭痛の代表的な漢方です。体を温めながら頭痛を治します。呉茱萸はあまり美味しくありません。しかし漢方は面白くて、自分に合う漢方だと何となくスルっと飲めてしまいます。

ただし、漢方薬を選ぶ際には自分の体質に合ったものを選ぶ事が大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用がおきることもあります。購入時には、できる限り漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談ください。

お手頃価格で不調を改善したい、という方には、「オンラインAI漢方」などの、スマホで気軽に専門家に相談できるサービスもおすすめです。

4.セルフケアと漢方薬を組み合わせて、充実した毎日を!
「更年期にはまだ早いかな?」と思うような年代の方でも、プレ更年期として更年期と似た症状を感じる方は多くいます。更年期、プレ更年期による頭痛である場合、通常の頭痛の治療だけでなく、更年期の治療を同時に行うことで、より効果的に治療することができる場合もあります。もちろん、他の病気の可能性も否定できないため、一度神経内科や婦人科を受診すると安心です。

また、更年期の症状には漢方による体質改善も効果的です。漢方薬は一人一人の体質や症状に合わせた薬を選ぶ必要がありますので、専門家に選んでもらうようにしましょう。

自分に合ったセルフケアや漢方を生活に取り入れて、安心して毎日を楽しみましょう!

<この記事を書いた人>
漢方医/精神科医 木村好珠
渋谷金王坂クリニック非常勤医、一般社団法人国際統合治療協会理事 医学部在学中より東洋医学を学び、精神科と東洋医学科が充実している慶應大学病院での勤務を経て、西洋薬の即効性等と漢方薬の根本的な治療をバランスよく使い分ける事を信条とする。渋谷の漢方内科で非常勤医として勤務する傍ら、テレビや雑誌、インターネットテレビ、Webメディアなどで、精神疾患、心理学、生活習慣病など様々なテーマを精神科医・漢方医の立場で解説も行う。オンライン漢方サービス「あんしん漢方」監修医の1人。

葛根湯は飲むタイミングが大事って知ってた? 効かないのはその飲み方が原因かも

 風邪に効く漢方薬といえば葛根湯(かっこんとう)が有名ですが、葛根湯は飲むタイミングに注意が必要って知っていましたか? S子さんとT美さん、2人の症状を通して、風邪のときに飲む漢方薬について見てみましょう。

S子「うーん、なんだかゾクッとするなー。風邪ひいたかも」
T美「大丈夫? 最近流行ってるからね」

S子「やっぱり学生のころとはちがうね。疲れが溜まるとすぐ体調に出ちゃう」
T美「そうだよね。私も1カ月前にひいた風邪がまだ治らないよ」

S子「そういえばT美、ずっと咳してるよね。大丈夫?」
T美「うん。もう熱は下がったんだけど、咳だけ長引いていて……。いつも行く病院で漢方薬もらおうかなって思ってるんだ」

S子「え、漢方薬? 効くの? 私、先月風邪ひいたときに薬局で葛根湯買って飲んだんだけど、全然効かなかったよ」
T美「飲む時期が悪かったんじゃない? 葛根湯って飲むタイミングが決まっているみたいよ。よく知らないけど……」

S子「そうなのかなぁー?」
T美「私、今日の会社帰りに病院行くつもりだけど、S子も一緒に行く? 会社の近くだよ」

S子「うーん、せっかくだから行ってみようかな。どうせなら早く治したいし。でも葛根湯を処方されたら、『効きませんでした!』ってはっきり言う!」
T美「あはは。まぁ、それはそれでいいんじゃない? じゃあ帰り、待ってるね」
S子「うん、あとでね!」

そんなわけで、仕事帰りに直接病院に向かった2人。診察していただくのはいつも通り丸山綾先生です。まずS子さんから診察室に入りました。S子「こんにちは。T美の紹介で初めて来ました。風邪のひき始めっぽいんです。忙しい時期なので悪化させたくなくて」
丸山先生「ちょっと熱を測ってみましょう。……37.5度、少しありますね。風邪かも?と感じたのはいつからですか?」

専門医に聞け! Q&A 夏風邪に_効く漢方薬

Q:毎年夏に風邪を引きます。のどが痛み、微熱が続きます。症状は急激ではないし、さほどひどくありません。しかし、長引くので仕事に支障が出て困ります。夏風邪に効果的な漢方薬はありませんか。ちなみに、慢性の病気はありませんが、体力はあまりないほうです。_(50歳・弁理士)

A:冬の風邪と夏の風邪は違います。西洋医学的には、冬の風邪と夏の風邪では、風邪の原因となるウイルスの種類が違うことが明らかになっているようです。 漢方では、冬の風邪は寒さによる邪(寒邪)によって起こるととらえています。引き始めにゾクゾク寒気がします。冷えた風邪で、これにもっともよく用いる漢方薬が葛根湯です。邪は病気を引き起こす原因です。

 一方、夏の風邪は暑さが邪(熱邪)となって発症すると考えています。暑いために汗をかき、水分がたくさん出て、熱がこもり、その熱が邪となるわけです。

●漢方の「桔梗石膏」が効く

 夏風邪の症状は、のど痛、微熱、だるさが特徴です。冬風邪のように、ぞくぞくする寒気はありません。症状は緩やかに進みますが、長引き、なかなかすっきりしないのも特徴です。ご質問の方の症状は、まさに夏風邪のそれです。 夏風邪を引きやすいのは、ご質問の方のように体力がない人です。もともと体力がない人が、夏の暑さで汗をかいて体内の水分のバランスが崩れ、さらに体力が低下し、熱邪に負けて発症するのです。

 夏風邪に効く漢方薬で、オススメは「桔梗石膏」です。桔梗と石膏を配合しており、体力のない人に適しています。桔梗は、喉の痛みを取る作用が優れているし、熱を散じるし、肺にもよい働きをします。石膏は、熱冷ましの妙薬で、咳止めの効果もあります。夏風邪かなと思ったら、この漢方薬を早めに服用するとよいでしょう。桔梗石膏は健康保険適用のエキス剤があります。

 なお、ご質問の方は体力がないことを自覚されているようですが、暑い夏に戸外で運動はしないようにしてください。ますます体力を低下させてしまいます。

岡田研吉氏(研医会診療所漢方科医師)
東邦大学医学部卒。ドイツ留学中に東洋医学に関心を持ち、帰国後、国立東静病院で漢方を学ぶ。独自の漢方処方で

体温計、わきに挿す理由 猛暑でも正確なの?意外と知らない測り方の正解 今日から使える「平熱の出し方」【#コロナとどう暮らす】

新型コロナウイルスによって、検温の回数が増えたという人も多いと思います。意外と知らないのが、体温計の正しい使い方です。そもそも、なぜわきに挿すのか? 平熱はどうやって出す? 猛暑の夏場でも、正確に測ることはできるの? こうした疑問に答えるための知識を持っていると、微妙な体調の変化を、一層つぶさにとらえることができるようになるかもしれません。気になった記者が、メーカーに聞いてみました。(withnews編集部・神戸郁人

四季を通じて使えるのが体温計
ウイルスの流行前、熱を測る機会といえば、体調を崩したときくらいだった筆者。スギ花粉が舞い始めた頃から、体調管理のため、日常的に体温計を使い始めました。今では歯をみがくのと同じく、すっかり起床後の習慣になっています。それからはや3カ月以上が経ち、季節は梅雨まっさかりです。ただ部屋で過ごしているだけでも、湿気のためにじわりと汗ばみます。私は今も在宅勤務を続けていますが、冷房をつけていなくては、仕事すらままなりません。

本格的な夏を迎えれば、更に高温多湿になるでしょう。そんな状況下で、間違いのない検温を続けられるのだろうか――。一抹の不安を抱き、体温計の製造・販売を行う、医療機器メーカー「テルモ」(本社・東京都渋谷区)の担当者を頼りました。まず気になるのが、「夏場の暑さは結果に影響するのか?」ということです。広報室の松田みのりさんに疑問をぶつけてみると「結論から言えば、季節性の要因が、数値に異常をきたす可能性は低いと思います」との答えが返ってきました。なぜでしょうか?

松田さんによると、体温計は一般に(1)気温10~40℃(2)湿度30~80%の環境で使うよう推奨されているそう。日常的な場面で、この範囲を逸脱するのは考えづらいかもしれません。また人間が、外気によって体温が変わりにくい恒温動物である点も、根拠の一つです。

わきに挿すのは、汗を拭き取ってから
熱中症の場合も、検温が不可欠

ところで冒頭、「毎朝起床後に検温している」と書きました。一日の始まりに体の状態を把握しておくのが目的です。松田さんからは「大事な心がけですが、もう少し検温データを増やすと、より安心と思います」との言葉が。この点についても確認していきましょう。松田さんいわく、体内の温度は早朝が一番低く、活動量が増える夕方にかけてピークを迎えます。そのため時間帯によって、測定値に違いが出てしまうのです。自分自身の体温のトレンドを知るためには、起床時・午前中・午後・夜の4回測るのが望ましいといいます。

それぞれの数値差が、1℃以内に収まっていれば正常と言われているそう。ちなみに、いわゆる「平熱」は人によって異なるので「あらかじめタイミングごとの体温を知っておくと、体調の変化がわかりやすくなります」(松田さん)。そしてこれからの季節に心配なのが、熱中症かもしれません。特に注意すべきは、運動後などに体内から熱が放出されず、こもってしまう状態です。更に体温が上がると「うつ熱」と呼ばれる症状が出て、ふらつきや頭痛が起こる場合もあります。

「特に体温の調節機能が比較的弱い、幼い子どもやお年寄りの場合、しっかり熱を測った上で手当てすべきだと思います」と、松田さんは話しました。

「非接触型」体温計の正しい使い方
ちなみに最近、おでこなどに近づけて用いる、「非接触型」と呼ばれる体温計をよく目にします。商業施設への入店時などに、お客さんが熱を測ってもらっている場面に遭遇した、という人もいるのではないでしょうか?

製造元企業の一つ「日本精密測器」(本社・群馬県渋川市)では、主に医療や介護の現場に納品。価格帯は1万2千円程度と高価ながら、ここ数カ月で製品に関する問い合わせが増えたそうです。同社の製品は、距離センサーを搭載しています。電源を入れ、4センチほどの距離からおでこにかざすと、皮膚の表面から出ている赤外線を検知する仕組みです。体に密着させる必要がなく、わずか数秒で結果が出る点が特長といいます。

同社の担当者によると、非接触型の体温計は、額に汗をかいていたり、前髪がおでこにかかっていたりすると、正しく計測できない恐れがあるということです。「細かい仕様は異なりますが、利用上の注意点は、他のメーカーの体温計ともおおむね共通していると思います」。担当者は、そのように話しました。

思っていた以上に奥が深い、検温の世界。毎日元気に過ごすためにも、取材で得た情報を意識しながら、自分の体と向き合っていきたいと考えています。この記事は朝日新聞社とYahoo!ニュースによる連携企画記事です。新型コロナウイルスが身近に存在する日常のなかで、生じた疑問や不安、変化について考えていきます。

チョコ、ワイン、チーズに注意。頭痛を招く食べ物リスト

そんな時は食べ物を見直すと良いかもしれません。健康系サイト「薬剤師ネット」によると、「頭痛は、体内に取り入れる食べ物をコントロールすることで予防できることがある」とのこと。そして「頭痛を引き起こしやすい食べ物と、その反対に、頭痛を予防してくれる食べ物」があるというのです。

頭痛を起こしやすい5つの食べ物

サイトによると、頭痛を引き起こしやすい食べ物は次の5つです。

・チーズ
・チョコレート
・ワイン
・ピーナツバター
・ピクルス

どれも身近な食材ばかり。これらに含まれているのは「チラミン」という物質です。「チラミン」は身体に蓄積されると血圧を上昇させ、頭痛や吐き気を誘発する原因になるのだそう。バレンタインシーズンで食べる機会が増えそうなチョコレートは、摂取すると「チラミン」の働きによって血管が収縮します。 その後「チラミン」の効果が切れた時に血管が拡張し、ここで頭痛が発生しやすくなります。

ワインは「チラミン」 とアルコールの合わせ技で、血管拡張がさらに起こりやすくなります。頭痛持ちなのにチーズとワインの組み合わせが好きな人は、要注意かもしれません。

もちろんそれぞれに栄養分や美容効果もあり、食べるのをやめるには惜しい食材。食べ合わせや量に注意しながら、おいしく取り入れたいものです。

頭痛を予防してくれる3つの食べ物

反対に、頭痛を予防できるのは次の3つの食べ物です。

・ホウレンソウ

片頭痛患者の3~5割は「マグネシウム」不足が原因という報告があるそう。そのマグネシウムを豊富に含んでいるのがホウレンソウです。「マグネシウム」は血小板の凝集を防いだり、血管の収縮を抑える効果があります。つまりホウレンソウは、頭痛を防ぐにはもってこいというわけです。

・ウナギ

ウナギには「ビタミンB2」が含まれており、過酸化脂質を分解する作用が頭痛に有効です。毛細血管の流れがスムーズになり、脳に栄養源であるブドウ糖が供給されやすくなって、頭痛が改善するというメカニズムなのだそう。

・スイカ

頭痛の原因のひとつとされる脱水症状の改善には、「水分」と「ミネラル」の補給が効果的。スイカには特に多くの「水分」と「ミネラル」が含まれています。水分とミネラル、ビタミンB2、そしてマグネシウム。 これらの要素をしっかり身体に補給して、頭痛に負けない毎日をおくりましょう。

専門医に聞け! Q&A 夏風邪に_効く漢方薬

Q:毎年夏に風邪を引きます。のどが痛み、微熱が続きます。症状は急激ではないし、さほどひどくありません。しかし、長引くので仕事に支障が出て困ります。夏風邪に効果的な漢方薬はありませんか。ちなみに、慢性の病気はありませんが、体力はあまりないほうです。_(50歳・弁理士)

A:冬の風邪と夏の風邪は違います。西洋医学的には、冬の風邪と夏の風邪では、風邪の原因となるウイルスの種類が違うことが明らかになっているようです。 漢方では、冬の風邪は寒さによる邪(寒邪)によって起こるととらえています。引き始めにゾクゾク寒気がします。冷えた風邪で、これにもっともよく用いる漢方薬が葛根湯です。邪は病気を引き起こす原因です。

 一方、夏の風邪は暑さが邪(熱邪)となって発症すると考えています。暑いために汗をかき、水分がたくさん出て、熱がこもり、その熱が邪となるわけです。

●漢方の「桔梗石膏」が効く

 夏風邪の症状は、のど痛、微熱、だるさが特徴です。冬風邪のように、ぞくぞくする寒気はありません。症状は緩やかに進みますが、長引き、なかなかすっきりしないのも特徴です。ご質問の方の症状は、まさに夏風邪のそれです。 夏風邪を引きやすいのは、ご質問の方のように体力がない人です。もともと体力がない人が、夏の暑さで汗をかいて体内の水分のバランスが崩れ、さらに体力が低下し、熱邪に負けて発症するのです。

 夏風邪に効く漢方薬で、オススメは「桔梗石膏」です。桔梗と石膏を配合しており、体力のない人に適しています。桔梗は、喉の痛みを取る作用が優れているし、熱を散じるし、肺にもよい働きをします。石膏は、熱冷ましの妙薬で、咳止めの効果もあります。夏風邪かなと思ったら、この漢方薬を早めに服用するとよいでしょう。桔梗石膏は健康保険適用のエキス剤があります。

 なお、ご質問の方は体力がないことを自覚されているようですが、暑い夏に戸外で運動はしないようにしてください。ますます体力を低下させてしまいます。

岡田研吉氏(研医会診療所漢方科医師)
東邦大学医学部卒。ドイツ留学中に東洋医学に関心を持ち、帰国後、国立東静病院で漢方を学ぶ。独自の漢方処方で生活習慣病等に成果を上げている。著書『さらさら血液が長生きの秘訣』など多数。

葛根湯は飲むタイミングが大事って知ってた? 効かないのはその飲み方が原因かも!

 風邪に効く漢方薬といえば葛根湯(かっこんとう)が有名ですが、葛根湯は飲むタイミングに注意が必要って知っていましたか? S子さんとT美さん、2人の症状を通して、風邪のときに飲む漢方薬について見てみましょう。

S子「うーん、なんだかゾクッとするなー。風邪ひいたかも」
T美「大丈夫? 最近流行ってるからね」

S子「やっぱり学生のころとはちがうね。疲れが溜まるとすぐ体調に出ちゃう」
T美「そうだよね。私も1カ月前にひいた風邪がまだ治らないよ」

S子「そういえばT美、ずっと咳してるよね。大丈夫?」
T美「うん。もう熱は下がったんだけど、咳だけ長引いていて……。いつも行く病院で漢方薬もらおうかなって思ってるんだ」

S子「え、漢方薬? 効くの? 私、先月風邪ひいたときに薬局で葛根湯買って飲んだんだけど、全然効かなかったよ」
T美「飲む時期が悪かったんじゃない? 葛根湯って飲むタイミングが決まっているみたいよ。よく知らないけど……」

S子「そうなのかなぁー?」
T美「私、今日の会社帰りに病院行くつもりだけど、S子も一緒に行く? 会社の近くだよ」

S子「うーん、せっかくだから行ってみようかな。どうせなら早く治したいし。でも葛根湯を処方されたら、『効きませんでした!』ってはっきり言う!」
T美「あはは。まぁ、それはそれでいいんじゃない? じゃあ帰り、待ってるね」
S子「うん、あとでね!」

そんなわけで、仕事帰りに直接病院に向かった2人。
診察していただくのはいつも通り丸山綾先生です。まずS子さんから診察室に入りました。

S子「こんにちは。T美の紹介で初めて来ました。風邪のひき始めっぽいんです。忙しい時期なので悪化させたくなくて」
丸山先生「ちょっと熱を測ってみましょう。……37.5度、少しありますね。風邪かも?と感じたのはいつからですか?」

チョコ、ワイン、チーズに注意。頭痛を招く食べ物リスト

急にやってくる頭痛は困りもの。でも薬にはあまり頼りたくない......。

そんな時は食べ物を見直すと良いかもしれません。健康系サイト「薬剤師ネット」によると、「頭痛は、体内に取り入れる食べ物をコントロールすることで予防できることがある」とのこと。そして「頭痛を引き起こしやすい食べ物と、その反対に、頭痛を予防してくれる食べ物」があるというのです。

頭痛を起こしやすい5つの食べ物

サイトによると、頭痛を引き起こしやすい食べ物は次の5つです。

・チーズ
・チョコレート
・ワイン
・ピーナツバター
・ピクルス

どれも身近な食材ばかり。これらに含まれているのは「チラミン」という物質です。「チラミン」は身体に蓄積されると血圧を上昇させ、頭痛や吐き気を誘発する原因になるのだそう。

バレンタインシーズンで食べる機会が増えそうなチョコレートは、摂取すると「チラミン」の働きによって血管が収縮します。 その後「チラミン」の効果が切れた時に血管が拡張し、ここで頭痛が発生しやすくなります。

ワインは「チラミン」 とアルコールの合わせ技で、血管拡張がさらに起こりやすくなります。頭痛持ちなのにチーズとワインの組み合わせが好きな人は、要注意かもしれません。

もちろんそれぞれに栄養分や美容効果もあり、食べるのをやめるには惜しい食材。食べ合わせや量に注意しながら、おいしく取り入れたいものです。

頭痛を予防してくれる3つの食べ物

反対に、頭痛を予防できるのは次の3つの食べ物です。

・ホウレンソウ

片頭痛患者の3~5割は「マグネシウム」不足が原因という報告があるそう。そのマグネシウムを豊富に含んでいるのがホウレンソウです。「マグネシウム」は血小板の凝集を防いだり、血管の収縮を抑える効果があります。つまりホウレンソウは、頭痛を防ぐにはもってこいというわけです。

・ウナギ

ウナギには「ビタミンB2」が含まれており、過酸化脂質を分解する作用が頭痛に有効です。毛細血管の流れがスムーズになり、脳に栄養源であるブドウ糖が供給されやすくなって、頭痛が改善するというメカニズムなのだそう。

・スイカ

頭痛の原因のひとつとされる脱水症状の改善には、「水分」と「ミネラル」の補給が効果的。スイカには特に多くの「水分」と「ミネラル」が含まれています。

水分とミネラル、ビタミンB2、そしてマグネシウム。 これらの要素をしっかり身体に補給して、頭痛に負けない毎日をおくりましょう。

痛み悩みの相談室 頭痛は症状で病院を選ぶ

季節の変わり目となる春先は、気温や気圧の変化、花粉症、環境の変化など、頭痛の原因となる心身のストレスが1年の中でも貯まりやすい時期です。人間の頭には脳など重要な器官が集中しているので、脳神経外科や神経内科、眼科、耳鼻科、形成外科、口腔外科など、頭に関わる専門科はたくさんあります。

 しかし、頭痛の原因には、くも膜下出血、脳出血、脳炎、高血圧脳症、急性・慢性硬膜下血腫、片頭痛、群発頭痛、側頭動脈炎、緑内障など様々なものがあるので、どの科を受診すればよいのか迷うところです。急を要さない場合は、まず、脳の専門家である神経内科を受診してみましょう。

 緑内障のように目に症状がある時は、眼科も同時に受診してみてください。また、首から後頭部が痛む頭痛や頸部痛は、緊張性頭痛・筋緊張性頭痛といい、整形外科の領域となる場合があります。一方で、脳出血、脳梗塞(脳の血管が詰まって脳が壊死になる症状)、くも膜下出血(脳内の血管が破裂する症状)は合わせて「脳卒中」といいますが、この場合は急を要します。

 急に強い頭痛が起きた時は、脳の専門病院や脳神経外科がある、できるだけ大きな病院で早急に受診してください。治療が早いほど、後々の後遺症のリスクを減らすことができます。

 整形外科の筋肉性や末梢神経性の頭痛は急がないので、脳に問題がなければ、その後に受診することで構いません。

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井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPはhttps://ijiri.jp

なぜ風邪は繰り返してしまう?免疫がつかない理由と正しい風邪対策

◆知っているようで知らない「風邪」……ウイルスや細菌が原因


古くは「風の邪気によって起こる病気」と考えられ、病名がつけられた「風邪」。医学的には、空気の通り道である気道の感染症を指し、主に上気道とよばれる鼻、口、のどにウイルスなどが感染し、炎症を起こす「急性上気道炎」のことをいいます。風邪を起こすウイルスは非常に数が多く、代表的なものを挙げても、ライノウイルス、RSウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルスなど様々。

ウイルスではなく細菌が原因で上気道炎が起きることがあり、その場合も「風邪」と診断されます。いずれの場合も、原因となるウイルスや細菌と特定された場合は、より正確な感染症の名前で診断されます。例えば、いわゆる風邪症状でも、インフルエンザウイルスが原因ならインフルエンザ、アデノウイルスが原因ならアデノウイルス感染症、溶連菌が原因なら溶連菌感染症、といった具合です。

その意味で、風邪とは主にウイルスで起こる上気道炎のことで、そのウイルスを特定することが困難な場合に風邪と呼ばれる、ともいえます。風邪は主にその症状によって診断されます。


◆風邪の症状……発熱や咳など

・発熱
・咳
・鼻水、鼻づまり
・のどの痛み

これらのうち、いずれかの症状を満たすと、まずは、風邪、感冒と診断します。しかし風邪をこじらせると、急性気管支炎や急性肺炎になることもあります。これには、ウイルスが下気道まで炎症を起こしてしまった場合と、ウイルスによって免疫や気道の防御機能が低下したために細菌感染を起こしてしまった場合があります。肺炎の場合、重症化すると、酸素を十分に取り込めない呼吸困難を起こすこともありますので、肺炎予防は非常に大切です。


◆風邪の原因……非常に多種類のウイルス・特効薬もなし

それでは、風邪にはなぜ何度もかかるのでしょうか? 風邪の原因となるウイルスや細菌の多さは前述したとおりですが、中でも年齢を問わずに風邪の原因となる代表ウイルスは「ライノウイルス」です。一言でライノウイルスといっても、実に100種類以上のタイプがあります。そのため、一度かかっても抗体が働きにくいことがあるのです。

これに対してRSウイルスの場合は主に2種類のみですが、一度かかっても気道の免疫が働きにくいといわれています。年齢を重ねると症状は軽症化するようですが、何度も感染してしまいます。アデノウイルスの場合は、一度かかると抗体による防御がある程度は働きます。人に感染するコロナウイルスは7種類(風邪を起こす4種類と重症肺炎を起こすSARS(重症急性呼吸器症候群)とMERS(中東呼吸器症候群)、そして2019年末から流行しているCOVID-19)。パラインフルエンザウイルスは4種類で、何度でも人に感染します。

つまり、風邪の原因となるウイルスは、まずその種類が非常に多いのです。そして免疫がつきにくく、何度でも繰り返しかかる性質のものが多いので、一度かかっても何度も繰り返しかかってしまうことになります。さらに、風邪対策や治療の難しいところは、多くのものにワクチンも特効薬もない点です。風邪と診断された場合、抗菌薬は直接の効果はありません。ただし、溶連菌、マイコプラズマが原因である急性上気道炎も風邪と診断される可能性があります。溶連菌、マイコプラズマと診断された場合、抗菌薬には効果があります。いずれにしても何度も風邪症状に悩まされるのは避けたいもの。免疫のつけようがない風邪に対して、どのように対策をするのがよいのでしょうか?


◆効果的な風邪予防法・対策法


何よりも上気道へのウイルス感染を防ぐことにつきますが、言うは易く、行うは難しです。しかしやはり基本が大切です。要はウイルスが体内に侵入するのを防ぐことが大切なので、水際対策として、手洗いとマスクは重要です。ウイルスが体内に侵入したら、まずはウイルス量を減らす意味で、うがいも1つの方法ですし、自分の自然免疫を維持しておくことで初期にウイルスの増殖を抑え、発症を抑えたり、軽症で済むようにすることもできます。

自然免疫を維持するには、これもまた基本的なことですが、規則正しい生活、十分な睡眠で体調を維持し、ストレスを減らすこと。これらによって自律神経を整えることができ、自然免疫を維持することができます。もし風邪の症状がひどくなってしまった場合は、その症状に応じた対症療法を行います。咳がひどい場合は咳を減らす鎮咳薬、痰を出しやすくする去痰薬、鼻水を抑える抗ヒスタミン薬、発熱があれば解熱薬などの薬を飲むことです。これらの成分は、主に市販の感冒薬にも含まれています。

また、免疫が低下してしまう環境というものもあります。例えばですが、気温が下がると、体温が下がったり、ウイルスの感染する期間が長くなったりします。湿度が下がると気道の防御が低下し、また、咳やツバの飛散する距離が広がることなどあります。そのため、自分のいる居住環境を整えることも、風邪予防のためには有効といえます。

身近な病とはいえ、風邪は万病のもと。風邪がなかなか治らない、特に2週間以上、咳、鼻水、鼻づまりが続くような場合は、ぜひ医療機関を受診するようにしましょう。


▼清益 功浩プロフィール

小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院にて小児科診療に従事。論文発表・学会報告多数。診察室に留まらず多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。 清益 功浩(医師)


かぜに抗生物質や抗認知症薬他、日本は世界的に時代遅れの面

 超高齢化社会をむかえる日本では、健康志向が高まっている。病原菌はマスクで完全防御。家に帰ったらうがいをして、歯磨きは厳選したお気に入りの歯磨き剤でしっかり行う。サプリメントを欠かさずのみ、水素水のペットボトルを持ち歩く…。しかし、これらの行為、すべて自己満足の「気休め」だったとしたら…?

 医師が処方する薬や、ほどこす治療にも最新の知見や世界の常識に照らし合わせるとほとんど意味がないものも存在する。

◆抗認知症薬

 高齢化とともに罹患者が増える認知症。65才以上の5.1%、85才以上の17%に認知症治療薬が処方されているが、実はほとんどの場合、効果は期待できない。実際、フランスでは2018年6月に「効果不充分」という理由で保険適用外となっている。

◆かぜに抗生物質

 かぜをひいた時に処方される抗生物質も、世界の医療では時代遅れになっている。

 医療経済ジャーナリストで『絶対に受けたくない無駄な医療』などの著書がある室井一辰さんが解説する。

「かぜはウイルス感染によって起きるもので、細菌を殺す抗生物質を投与しても意味がない。それどころか、耐性菌の出現の危険もある。日本だけの傾向で“とりあえず薬を出す”医療の典型です」

◆降圧剤

 70代以上になると女性の方が男性よりも多く服用している高血圧の薬も多くの場合「気休め」であるという。薬学博士の生田哲さんはこう言う。

「200mmHg以上と非常に血圧が高い状態であれば死亡リスクの低下につながりますが、中程度の高血圧ならば死亡率は変わらないのにもかかわらず、血圧の数値だけを見て処方されているのです」

◆抗コレステロール薬

 60才以上の女性の4人に1人以上がのむという抗コレステロール薬でも同様の構造がある。

「コレステロール値を下げるためにスタチンという薬がよく使われますが、さまざまな調査によって死亡率の低下につながるといえないことが明らかになっているうえ、横紋筋融解症などといった、重い副作用が起きることもあるのです」(生田さん)

◆腰痛・関節痛治療

 多くの人が悩む腰痛や関節痛治療にも“気休め”があった。腰痛には手術や薬などさまざまな治療法があるが、実は腰痛の8割は原因不明だとされる。

「だから手術をしても痛いまま、という場合も少なくない。人工関節も同様で、術後必ずよくなるという保証もない。加えて、変形性膝関節症の治療において、インソールと呼ばれる中敷きを履いて治す方法もあるが、これはアメリカの学会が行った臨床研究によって効果がないことが明らかになっています」(室井さん)

 一生懸命、健康対策をしても“気休め”では意味がない。きちんとした情報のもと、選びたい。


冷えや風邪の引き始めにおすすめ、スリランカの葛根湯「サマハン」

いきなりゾクッとくる寒気。これは風邪の引き始めかも……? そんな時、「サマハン」があるととっても便利。スリランカでは今でも月間300万杯飲まれている、絶大的な信頼のある飲みものです。千年以上愛されてきたアーユルヴェーダ・ティーは嬉しい効果がたくさん!アーユルヴェーダの考えからセレクトされたスパイスは、カラダを温め、活性させるスパイスがたっぷり。

風邪や咳止めだけでなく、
・ 生理不順
・ アンチエイジング
・ 花粉症
・ 眠気
・ 低体温
・ 疲労緩和
にも効果があると言われています。
さらにノンカフェインなのでお子様や妊婦さんにもOK。

何個知ってる?14種類ものスパイス、天然100%
サマハンには14種類ものスパイスがたっぷり。

ウィッシュヌクランティ、シリテーク、ファルスカルンバ、ジンジャー、 アダトダ、バッバーダガム、イエローベリードナイトジェイド、 ロングペッパー、ジャヴァガランガル、ブラックペッパー、クミン、アジョワン、コリアンダー、リコリス

聞いたことのないものの方が多いのではないでしょうか?

味はかなりピリリと刺激的ですが、リコリスときび糖の甘みもあるので意外と飲みやすいのです。

監修:アーユルヴェーダ・アドバイザー、ARYURVIST 三野村なつめさん南インドやスリランカを数度訪れた後アーユルヴェーダ・ライフスタイルアドバイザーの資格を取得。コスメブランド「ARYURIVST」やレシピとスパイスがセットになった「整えごはん」を立ち上げる。

長引く咳は「咳ぜんそく」や「副鼻腔炎」の可能性も 呼吸器内科医に聞く今、気を付けたい症状と対処法

寒暖差の大きい日が続き、日を追うごとに寒さを感じるようになった今日この頃。乾燥も気になる季節になってきた。この時期は風邪をひきやすくなるが、実は風邪以外にもさまざまな症状が原因で、呼吸器科や耳鼻咽喉科を受診する患者が増えるという。東京・中野の「仁友クリニック」院長で、祖父の代から呼吸器科内科医として、しつこい体の不調の改善に取り組む杉原徳彦医師に今、気をつけたい症状と対処法などの話を聞いた。

治りにくい咳に悩む人が増えている 単なる風邪ではないケースも

 杉原医師によると、秋から冬にかけては、咳や鼻水、鼻づまりで、呼吸器科や耳鼻咽喉科、内科を受診する人が急増するという。梅雨時期から秋口にかけて増えたダニが死に、その死骸や大量発生した糞によるアレルギー症状が出たり、ブタクサによる花粉症の症状が出たりするからだ。さらに、ここ数年は治りづらい咳に悩む人が増えている。そうした症状に悩んでいるのは、男性より女性のほうが多いのが特徴で、実は意外なところに原因があると指摘する。

 昨年、咳、鼻水、鼻づまりなどに悩んでいたものの、いつのまにか症状が消えた人や、病院にかかったが治療を途中でやめてしまった人で、今年も症状が出ている人は注意が必要だ。原因は、風邪やダニアレルギー、ブタクサアレルギーではなく、実は「咳ぜんそく」や「慢性副鼻腔炎」という場合があるからだ。そして、原因を見極めきちんと治療をしないと、気管支ぜんそくに進行したり、手術でも完治が難しくなったり、味覚障害や嗅覚障害、視力異常になったりするというのだ。

 風邪の後などに咳が3週間以上続いた場合は、まず咳ぜんそくを疑い、呼吸器科を受診してほしい、と杉原医師はいう。レントゲン検査などで結核や肺がんなどのチェックをしたあと、気管支拡張薬と吸入ステロイドを併用して咳の治療を始め、たいていは1~2週間以内に効果を実感できる。そこで治療をやめず、医師の指示に従って2か月~半年ほど治療を続けることが最も大切だ。途中で治療をやめると咳は再発し、再発を繰り返すと気管支の気道はどんどん厚く硬くなり、治りにくくなるというのだ。

 そして、その治療をしても症状が改善しない場合は、慢性副鼻腔炎を疑ったほうがいいだろう。「副鼻腔」とは鼻の穴の奥にある“骨に囲まれた小さな8つの部屋”で、鼻の穴につながっている。慢性副鼻腔炎は、このつながり部分や副鼻腔内で炎症が起きて症状が現れる。濃いネバネバした鼻水が喉に落ちてきたり、鼻づまりで頭がボーッとしたり、頭痛が起きたりする症状が目立つが、風邪に似ているため症状だけでは判断が難しく、CT検査でわかる場合が多い。ただ、副鼻腔炎と判明しても、病院では「治療の必要なし」と軽症の診断をされ治療をされない場合もあるという。もし、あなたの症状が改善しない場合は、セカンドオピニオンを受けることも視野に入れたほうが良いだろう。

 一般的に、慢性副鼻腔炎は飲み薬と点鼻薬の併用で、症状は2週間ほどで改善するそうだ。しかし、副鼻腔内の細菌を完全に取り除くのは難しく、炎症性の物質を取り除く治療法などを、3か月~年単位で行う必要があるという。根気のいる治療だが、副鼻腔炎を放置していると睡眠時無呼吸症候群や、進行すると呼吸困難になる慢性閉塞性肺疾患(COPD)といった恐ろしい病を併発しやすいといわれる。ぜひ、きちんと専門医を受診して治療してほしい。

咳、鼻水、鼻づまりの予防には「寒さ」と「乾燥」への対策を

 では、この時期、咳や鼻水、鼻づまりを、どう予防すればいいのだろうか? 杉原医師いわく、咳ぜんそくや気管支ぜんそく、慢性副鼻腔炎を発症している人はもちろんのこと、発症していない人も、「寒さ」と「乾燥」の対策は徹底してほしいという。お手軽で最も効果的なのはマスクだ。冷えて乾燥した空気が体内に入るのを防ぐことができるので、日中はもちろん睡眠中もしたほうがいいという。締めつけられるのが苦手な人は、軽くて柔軟に顔にフィットするポリウレタンマスクを試してみてはいかがだろうか。

 また、乾燥する時期は室内に塗れタオルをかけたり、加湿器を使用したりするのも有効だ。加湿器で部屋の湿度を50~60%に保つと良い。実は部屋の中に水槽を置くのも、部屋の湿度をあげるのに一役かうという。ドライアイの人は鼻も乾燥していることが多いので、“涙活“もオススメしたい。思いっきり笑ったり泣いたりすることで、副交感神経のスイッチを入れ、免疫力が下がるのを防ぎながら目や鼻を潤すことができる。

 温かい服装を心がけることも大切だ。寒さが本番に入る前は「我慢できる」と、つい薄着で過ごしてしまうが、冷たい空気を鼻から吸うだけでも鼻の調子を崩してしまう。「ちょっと暑いな」と感じるぐらいの服装が、鼻のためにはちょうどいいという。眠るときは体をきちんと温める寝具を使うことを心がけたい。明け方にかけて気温が下がっていくので、寝入りばなは温かすぎるぐらいのほうが、明け方にはちょうどよくなるからだ。

11月に入り日に日に気温が低くなるにつれ、気になるのが家族みんなの風邪予防。防寒はもちろんのこと、マスクでのどを守ったり、手洗い・うがいを徹底するなど、しっかり手を打っておきたいところ。日々の食事に薬膳効果のある食材を取り入れるのもおすすめなんです!今月は風邪に焦点を当てたレシピをご紹介していきます。1週目は、お味噌汁でできちゃう簡単風邪対策レシピです!

11月に入り日に日に気温が低くなるにつれ、気になるのが家族みんなの風邪予防。防寒はもちろんのこと、マスクでのどを守ったり、手洗い・うがいを徹底するなど、しっかり手を打っておきたいところ。日々の食事に薬膳効果のある食材を取り入れるのもおすすめなんです!今月は風邪に焦点を当てたレシピをご紹介していきます。1週目は、お味噌汁でできちゃう簡単風邪対策レシピです。
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◎風邪って実は今がいちばん引きやすい季節!

空気の乾燥が目立ってくる季節は、風邪をひきやすくなる季節でもあります。風邪予防で大切なことは、空気の乾燥によって弱まりがちな「免疫力」を高めることです。
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◎乾燥と免疫力の関係って?

私たちの肌は、常に一定の潤いを保っています。これは「肺」が呼吸するリズムによって毛穴が開閉し、そのタイミングで毛穴から水分がでているから。かさぶたやささくれなどの表皮をはがすと、体からはなれたとたんに固く乾いたものに変わるのはそのためです。中医学(中国で受け継がれている伝統医学)では、こうした体の表の「潤い」と、体の表を覆う「気」というエネルギーによって保たれるとされています。秋の深まりや冬の訪れとともに空気が乾燥すると、これらによる免疫システムが手薄になることから、風邪をひきやすくなるのです。

以下のような症状が当てはまる方は、もしかしたら風邪をひきやすい状態かもしれません。

■気の不足サイン
□息切れしやすい
□発声に力がない(声が出にくい)
□冷えがち
□便秘、下痢しやすい
□食が細く、胃もたれしやすい

■潤い不足サイン
□皮膚、のど、鼻に乾燥がある
□コホコホと乾いたような咳が出る
□秋冬になり便秘気味だ
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●“辛味(しんみ)”の発散力で風邪を弾き飛ばそう

薬膳では食材のもつ「味」にも働きがあるとされます。風邪予防に効果的なのは、「辛味(しんみ)」。外に向けて発散する力を持っていて、毛穴を開いたり、体の表にやってきた悪いものを勢いよく弾き飛ばす!イメージですね。 辛味の代表といえば生薬としても使われている「生姜」。 他にも、ねぎ、ニラ、大葉、わさび、にんにく、玉ねぎ、かぶ、パクチー、ししとう、春菊、バジルなどがあります。

今回は、生姜を効かせた味噌汁をベースに、具は「気」を作る食材と、体を潤す食材を使っていきます。

【1】かぶとカリカリベーコンの味噌汁

●材料(2杯分)

★生姜味噌汁のベース(3つ共通):おろし生姜…小さじ1、だし汁…2カップ、味噌…大さじ1~1と1/2

かぶ(中サイズ)…1個
ベーコン…1枚(ハーフサイズなら2枚)
玉ねぎ…1/4個
無調整豆乳…50ml

●作り方

1.かぶは葉を2センチ残して6等分のくし形きりにする。葉の間に汚れが溜まっていたらつまようじなどでかき出しながら洗う。玉ねぎは薄切りにする。ベーコンは5ミリ幅の細切りにする。

2.鍋にベーコンを入れ、弱火でカリッとするまで炒める。残りの材料すべてとだし汁を入れ沸いたら蓋をし、弱火で5分煮る。豆乳を加え、生姜と味噌を溶いて器に盛る。

■レシピのポイント
豆乳は分離しやすいので入れたら沸騰させないこと

■キー食材!
「気」を補う食材:かぶ
「潤い」を補う食材:ベーコン

【2】ニラ玉と豆腐の中華風味噌汁

●材料(2杯分)

★生姜味噌汁のベース(共通):おろし生姜…小さじ1、だし汁…2カップ、味噌…大さじ1~1と1/2

ニラ…1/4束
卵…1個
絹豆腐…1/4丁
ごま油…小さじ1/2
豆板醤(お好みで)…小さじ1/4

●作り方

1.ニラは3センチ幅に切る。卵は溶いておく。

2.鍋にだし汁を沸かし、溶いた卵を回しいれる。ニラを入れ、豆腐はスプーンで大きくすくって入れる。1分ほど加熱したら、ごま油を加え、生姜と味噌を溶いて器に盛る。(辛いのが好きな人は豆板醤を加えてもおいしいです)

■レシピのポイント
卵を入れるときは、温度が下がりやすいのでだしをしっかり沸かしながら入れましょう

■キー食材!
「気」を補う食材…豆腐
「潤い」を補う食材…豆腐、卵

【3】山芋ときのこの味噌汁

●材料(2杯分)

★生姜味噌汁のベース(共通):おろし生姜…小さじ1、だし汁…2カップ、味噌…大さじ1~1と1/2

山芋…4センチ
えのき…1/3株
しめじ…1/3株
小ねぎ(小口切り)、白すりごま 適量

1.山芋は皮を剥き、1cm厚さのいちょう切りにする。きのこは石附を落とし、えのきは長さを3等分に切り、しめじは小房にほぐす。

2.鍋にだし汁を沸かし、(1)を入れる。沸いたら蓋をして弱火で5分煮る。生姜と味噌を溶いて器に盛り、小ねぎとすりごまを散らす。

■レシピのポイント
すりごまを乾煎りすると香りがさらによくなります。

■キー食材!
「気」を補う食材…山芋、しめじ
「潤い」を補う食材…山芋、豆乳、白ごま

●齋藤菜々子プロフィール

料理家・国際中医薬膳師。IT企業で営業を経験後、料理家のアシスタントを務め独立。日本中医学院にて中医学を学び国際中医薬膳師を取得。「今日からできるおうち薬膳」をモットーに、身近な食材のみを使ったつくりやすいレシピにこだわり、家庭で毎日実践できる薬膳を提案している。東京・自由が丘にて料理教室を主宰。
教室情報はInstagramにて。

「帯状疱疹たいじょうほうしん」2つのサインが現れたら…3日以内に病院へ

 昨年、帯状疱疹を発症した漫才コンビ「ハイヒール」のモモコさんは最初、「おたふく風邪かな?」と思ったそうだ。受診した内科医は「風邪かなぁ?」。それほど帯状疱疹は、症状の出始めでは分かりづらいケースがある。中野皮膚科クリニックの松尾光馬院長に注意すべきことを聞いた。

 帯状疱疹を見逃さないためのポイントは症状の出方だ。

 最初は、「ピリピリと刺すような」「皮膚の奥がズキンとするような」などの痛みが起こる。

 特徴的なのは、体の片側に見られること。目の上、胸、お腹に多い。

 1週間くらいの間に、赤いポツポツした発疹が出てくる。それらは数日ほどで水ぶくれになる。

 発疹がどれほど広がるかは人それぞれだが、大体1週間ほどすると拡大が治まり、その後1週間ほどでかさぶたになる。さらに1週間ほどするとはがれ落ちる。

 皮膚のブツブツは帯状疱疹に限った症状ではないが、「①痛みから発疹②症状が出ているのが体の片側」の2つの項目を満たすなら、速やかに皮膚科を受診すべきだ。

「痛みのみの段階では、医療機関を受診しても、たとえ皮膚科であっても帯状疱疹かどうか判別できない。しかし発疹が出ていれば、帯状疱疹の診断は難しくありません」(松尾院長=以下同)

 帯状疱疹そのものは命に関わることは少ない。人によっては自然に治ってしまう。

 しかし帯状疱疹が厄介なのは、「帯状疱疹後神経痛」という後遺症のリスクがあることだ。発疹は治ったのに、痛みだけが残る。前述のモモコさんもそうだった。帯状疱疹後神経痛のつらさを「骨折より、出産より痛いですよ」と話している。

「帯状疱疹は、水ぼうそうのウイルスである水痘帯状疱疹ウイルスが原因で発症します。子どもの頃に水ぼうそうにかかって治っても、ウイルスは脳や脊髄の感覚神経節に潜んでおり、免疫力が低下した時に活性化して、帯状疱疹を引き起こす。初期の炎症による痛みは鎮痛薬や抗ウイルス薬で抑えられますが、帯状疱疹の炎症で神経細胞や神経線維が変性すると、帯状疱疹後神経痛という痛みに変わるのです」

■治療が遅れると長期にわたり痛みが続く後遺症が

 帯状疱疹の治療が遅れると、神経の変性が広範囲に及びかねない。神経は一度変性すると元に戻らないため、完治を目指す治療ではなく、対症療法として抗てんかん薬、抗うつ薬、医療用麻薬などを用いる。

 数週で痛みが治まる人もいれば、数カ月で日常生活に支障がない程度まで痛みが抑えられる人もいる。

 しかし、複数の薬を組み合わせたり、種類を変えたりしているのに、2年以上経っても帯状疱疹後神経痛が続く人は、完全に治るケースはまれだ。

 10~20年も通院している人もいるという。

 では、対策はどうすればいいのか? 

 前述の通り、発疹が出たら極力早く皮膚科を受診することだ。

「発疹が出て3日以内の治療がベスト。出張中や旅行中であっても、その地で皮膚科を探して受診した方がいい」

 さらに検討した方がいいのが、帯状疱疹予防用のワクチン接種だ。

 欧米では10年以上前から帯状疱疹予防として用いられてきた水痘ワクチンが、日本でも2016年から50歳以上に対して認められている。

「14年に小児水痘ワクチンが定期接種化されて以降、水ぼうそうの流行が激減しています。そのため今後、帯状疱疹の激増が予想される。水ぼうそうにかかった子どもと接すると、水ぼうそうのウイルスに対する免疫機能が高まって帯状疱疹のリスクを下げるのですが、それが今後は期待できないからです」

 帯状疱疹は水ぼうそうにかかったことがある人なら、誰でも発症の可能性があることを考えると、ワクチン接種で予防をしっかりした方がいい。帯状疱疹後神経痛が出てから後悔しても遅い。

専門医に聞け! Q&A 夏風邪に_効く漢方薬

Q:毎年夏に風邪を引きます。のどが痛み、微熱が続きます。症状は急激ではないし、さほどひどくありません。しかし、長引くので仕事に支障が出て困ります。夏風邪に効果的な漢方薬はありませんか。ちなみに、慢性の病気はありませんが、体力はあまりないほうです。_(50歳・弁理士)

A:冬の風邪と夏の風邪は違います。西洋医学的には、冬の風邪と夏の風邪では、風邪の原因となるウイルスの種類が違うことが明らかになっているようです。 漢方では、冬の風邪は寒さによる邪(寒邪)によって起こるととらえています。引き始めにゾクゾク寒気がします。冷えた風邪で、これにもっともよく用いる漢方薬が葛根湯です。邪は病気を引き起こす原因です。

 一方、夏の風邪は暑さが邪(熱邪)となって発症すると考えています。暑いために汗をかき、水分がたくさん出て、熱がこもり、その熱が邪となるわけです。

●漢方の「桔梗石膏」が効く

 夏風邪の症状は、のど痛、微熱、だるさが特徴です。冬風邪のように、ぞくぞくする寒気はありません。症状は緩やかに進みますが、長引き、なかなかすっきりしないのも特徴です。ご質問の方の症状は、まさに夏風邪のそれです。

 夏風邪を引きやすいのは、ご質問の方のように体力がない人です。もともと体力がない人が、夏の暑さで汗をかいて体内の水分のバランスが崩れ、さらに体力が低下し、熱邪に負けて発症するのです。 夏風邪に効く漢方薬で、オススメは「桔梗石膏」です。桔梗と石膏を配合しており、体力のない人に適しています。

 桔梗は、喉の痛みを取る作用が優れているし、熱を散じるし、肺にもよい働きをします。石膏は、熱冷ましの妙薬で、咳止めの効果もあります。 夏風邪かなと思ったら、この漢方薬を早めに服用するとよいでしょう。桔梗石膏は健康保険適用のエキス剤があります。 なお、ご質問の方は体力がないことを自覚されているようですが、暑い夏に戸外で運動はしないようにしてください。ますます体力を低下させてしまいます。

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岡田研吉氏(研医会診療所漢方科医師)
東邦大学医学部卒。ドイツ留学中に東洋医学に関心を持ち、帰国後、国立東静病院で漢方を学ぶ。独自の漢方処方で生活習慣病等に成果を上げている。著書『さらさら血液が長生きの秘訣』など多数。

「のどが痛いときは“鶏のから揚げ”が効く」説に共感続出...それって本当?医師に聞いてみた

から揚げ食べたら声が出た…

食欲をそそる香りにあふれ出る肉汁...一口食べれば思わず笑顔になる。
そんな食品、みんな大好き「鶏のから揚げ」にまつわる推測が、Twitterで反響を呼んでいる。
それが、のどが痛いときは「鶏のから揚げ」が効く!?というものだ。

きっかけは、漫画家・えいくら葛真さん(@ikurakoikura)が5月23日に投稿したつぶやき。

ある声優が話した「から揚げで声が出る」というテクニックを実践したところ、のどの痛みが引いて声が出るようになったという。
.
「そうだと思っていた」なぜか共感多数…

この投稿はTwitterユーザーの反響を呼び、4万以上のいいね、11万以上のリツイートを記録している。(5月31日現在)そして、驚くべきはその反応。「そうだと思っていた」「バレてしまいましたね」と同調する意見が相次いだのだ。

「ライブ前に食べる」という実体験も寄せられ、「から揚げは薬だった...?」「船に乗る前に食べると船酔いしない」といった“から揚げ万能説”まで登場。フライドポテトやカレーパンを推す人もいたが、「油はのどに良いはず」という認識は共通していた。実は今回のような話、歌手や声優からもたびたび出ていて、のどを調子を整えるために油っぽい「お肉」や「豚骨ラーメン」を好んで食べる人もいるほどだ。

おいしい料理を楽しみ、それがのどに良いのなら、まさしく一石二鳥…でもやっぱり半信半疑だ。
医学的には果たしてどうなのだろうか?日本大学医学部の耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野で診療准教授を務める、中村一博さんに聞いてみた。

のどに良い効果は...ありません

――鶏のから揚げでのどの痛みが引くことはありますか?

鶏のから揚げにのどの痛みをひかせる作用はありません。
たまたま、食べたあとのタイミングで痛みが和らいだのではないかと推測します。

――のどに良い影響を与えることは考えられますか?

考えにくいです。むしろ、悪影響を与える可能性があります。硬い衣は、のどの粘膜である「咽喉頭粘膜」を傷つけます。扁桃摘出手術をした患者への食事指導では「から揚げなどの硬い揚げ物は食べてはいけません」と指導する医師もいるほどです。

――歌手や声優などが、油っぽい食事を取ることについては?

油っぽい食事をしても、のどに良いことはありません。歌手や声優さんも、のどにトラブルが起きなければ医療機関に来ないケースが多いため、民間療法のような形で一人歩きしてしまっているのではないでしょうか。

辛いものや味が濃いものは避けて

――のどに良い食事・飲み物はある?

咽喉頭粘膜の保護には十分な水分が必要です。水分不足で湿度が失われると、粘膜が機能しなくなり、声が出なくなったり痛みを感じます。甘い水分は糖分の過剰摂取になりますので、ミネラルウォーターや緑茶など、無糖の飲料を飲むと良いでしょう。

――逆に避けた方が良い食事・飲み物はありますか?

偏った食生活や刺激物は避けた方が良いでしょう。極度に辛いものはのどを傷つける原因に、味が濃いものは声帯がむくむ原因となります。硬いものを硬いまま飲み込むのも、のどを傷つけるのでいけません。食事は普段の10倍くらいの時間をかけ、ゆっくりとかんで食べてください。

のどの調子を保つには、炭水化物、脂質、たんぱく質、繊維質を摂取できるバランスの良い食生活が大切です。肉、魚、野菜と主食を、薄味でバランスよく食べるよう心がけてください。塩分が多いと、体内の水分バランスに悪影響がおよんで声帯がむくむので注意しましょう。

――のどの調子が悪い人に呼びかけたいことはありますか?

ネットの情報などで自己判断せず、専門医の受診を受けることをお勧めします。耳鼻咽喉科だけでも、耳の専門医、鼻の専門医、咽喉頭の専門医がいるので、専門の医師に相談しましょう。歌手や声優など、のどを使う仕事の方であればなおさらです。

残念ながら、から揚げや油分がのどに良い影響を与えることは考えにくいようだ。「これが良いのでは」と思って食べたものが症状を悪化させる可能性もあるので、のどの調子が悪いときは、素直に医師の診断を受けることをお勧めしたい。

専門医に聞け! Q&A 風邪の解熱に_効く漢方薬

Q:春風邪を引き、熱が出たため病院にかかり、PL配合薬を服用したら尿が出なくなりました。救急車で病院に行ったところ、膀胱に1リットル以上の尿がたまっていて、導尿してもらいました。風邪の発熱を下げるのによい薬はありませんか。_(75歳・無職)

A:PL配合薬は、風邪の解熱によく効きます。しかし、アレルギーがある人、前立腺肥大で尿閉が起きたことがある人や、その傾向がある人は適用外で服用できません。アレルギーはどの年代にも起きますが、尿閉は高齢男性に見られます。高齢の男性は生理的に前立腺肥大があり、それがこの薬の抗コリン作用によって、さらに尿道が圧迫され尿閉に至るのです。

 ご質問の方は、このケースでしょう。抗コリン作用による症状は他に口渇、便秘、頻脈などがあります。これらの症状がひどい場合も服用できないことになります。

●葛根湯と小柴胡湯の合剤

 私は風邪の発熱には漢方薬の合わせ技で対抗しています。風邪によく使われる漢方薬に、葛根湯があります。実は葛根湯に配合している生薬の麻黄にも抗コリン作用があります。PL配合薬より容量は少ないのですが、副作用の恐れがないわけではありません。 そこで、普通1日3回服用する葛根湯を2回に減らし、その代わり小柴胡湯を併用します。2つの漢方薬の合剤で、1包ずつ朝晩飲みます。

 実はこれは、柴葛解肌湯(さいかつげきとう)という漢方処方を健康保険の効く漢方エキス製剤2つの合わせ技で作っていることになります。柴葛解肌湯は、健康保険適用のエキス剤はありません。この合剤は、熱が出たり引いたりする状態(往来寒熱)によく効きます。先日、原因不明の熱で来院した高齢男性は、2つの病院で検査しても正常なので経過観察となっていました。

 寒気がした後に38度の熱が日に2、3度出て、倒れそうになると訴えていました。そこで、この合剤を処方したところ軽快しました。往来寒熱という病態にピタリと効いたのです。この合剤を服用すると2~3日で熱が下がる方が多いです。ご質問の方は、この漢方薬のことを覚えておきましょう。

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牧 典彦氏(ほほえみクリニック院長)
自律神経免疫療法(刺絡)やオゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を実践。ほほえみクリニック(大阪府枚方市)院長。牧老人保健施設(大阪市北区)顧問。いきいきクリニック(大阪市北区)でも診察。

いつもと違う頭痛に注意…の“いつもと違う”とはどんな状態?

頭痛は日本人の4人に1人が経験しているといわれます。しかし、誘因や症状はさまざま。風邪や二日酔いによる頭痛、あるいは、片頭痛のような慢性頭痛は、命に別条はありませんが、命取りとなるような重篤な病気が隠れている頭痛もあります。

 頭痛は「一次性頭痛」と「二次性頭痛」の2種類に大別されます。一次性頭痛は、原因となる病気がない頭痛のこと。これが、いわゆる「頭痛持ちの頭痛」といわれる緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛などの慢性頭痛です。

 一方、二次性頭痛は、くも膜下出血や脳出血などの頭部血管障害、頭部外傷、脳腫瘍、感染症(髄膜炎)、緑内障など、脳や体に原因となる異常があり、それにより引き起こされる頭痛。放置すると命に関わるものがある、怖い頭痛です。

 質問にある“いつもと違う”とは、一般的に二次性頭痛を指します。具体的には、「今までになく、症状が強い」「突然激しく起こる」「痛みが急に強くなる」「徐々に痛みが増強する」「38~39度の発熱、首の痛みを伴う」「手足のしびれやマヒ、言葉のもつれ(ろれつが回らない)を伴う」「けいれんを伴う」「意識がもうろうとなる」「痛すぎて意識を失う」「全く目を開けられない」などです。

 これまでに経験したことがない頭痛だ、と感じたら、すぐに病院を受診するようにしてください。

 さらに、50~60代で次の項目のいずれかに該当する場合は、二次性頭痛の可能性がより高い。何をおいてもすぐに病院へ行くべきです。その項目とは、①高血圧や糖尿病などの生活習慣病を持っている②くも膜下出血になった家族がいる③血液をサラサラにする薬であるワルファリンやNOAC(新規抗凝固薬)を飲んでいる④高齢者や認知症がある方⑤病院に全く行ったことがない・行くことが少ない方――などです。 (次回は3月12日発売号掲載)

▽国際医療福祉大学熱海病院検査部部長。日本臨床検査医学会認定臨床検査専門医・臨床検査管理医

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