l.dtd"> あなたの健康はお金で買えますか・・・? ■がんへの備え・治療費など


明らかに症状悪化…治療の変更を/肺がん治療最前線

<オプジーボだけじゃない(12)大江裕一郎>

 肺がん治療30年のスペシャリスト、国立がん研究センター中央病院の大江裕一郎先生(57)が、最新の肺がん治療を教えてくれます。

【オプジーボ、キイトルーダはいつまで続けるの?】

 免疫チェックポイント阻害薬のオプジーボ、キイトルーダともに発売間もない薬であり、分かっていないことが数多くあります。その1つが、これらの薬をいつまで継続する必要があるか、です。

 これまでの治験では、オプジーボの場合は効果がなくなるまで継続、キイトルーダの場合は効果がある場合は2年間継続すると取り決められていることが多かったです。しかし、効果がなくなるまで、もしくは2年間、本当に継続する必要があるかは、残念ながら分かっていません。

 オプジーボ、キイトルーダともに副作用で投与を中止した患者さんでも、投与中止してから長時間効果が継続することが報告されています。また、オプジーボを2年で終了しても、その後、多くの患者さんで効果が継続することも報告されています。効果の得られた患者さんには、必ずしも効果がなくなるまで薬を継続しなくても良いのではないかと考えられています。

 オプジーボ、キイトルーダを投与後に一時的に、がんが増大する患者さんが、数%いると言われています。通常の抗がん剤ではこのようなことはなく、がんが大きくなった場合には直ちに投与を中止するのが普通です。しかし、免疫チェックポイント阻害薬の場合には一時的な腫瘍の増大なのか、本当に効果がないのかを見極める必要があります。

 患者さんの症状が悪くないにもかかわらずがんの増大がある場合には、もう少し治療を継続してみて1~2カ月後に再度CT(コンピューター断層撮影)などで評価することもあります。それでもさらにがんが大きくなっている場合や明らかに痛みなどの症状が悪化している場合は、治療の変更が必要です。

 ◆大江裕一郎(おおえ・ゆういちろう)1959年(昭34)12月28日生まれ、東京都出身。57歳。東京慈恵会医科大学卒。89年から国立がんセンター病院に勤務。2014年、国立がん研究センター中央病院副院長・呼吸器内科長に就任。柔道6段。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本体育協会公認スポーツドクターでもある。

がん予防の基本は「毎日の睡眠」にあり


◆よい睡眠は健康のもと

ちょっと疲れたなぁと思った時や、風邪気味の時など、「今日は早く寝よう」と心に決めて帰宅することはありませんか? 私たちは、本能的に、睡眠が健康維持、体調管理のために良いことを知っているのだと思います。

では、がんの予防にとって、睡眠はどのような意味を持つのでしょうか? 知っているようで意外と知らない、睡眠とがんの関係についてお話しします。
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◆交感神経と副交感神経

自律神経という言葉は、みなさんご存じだと思います。自律神経には交感神経と副交感神経という2つのタイプがあります。

交感神経は、いわば、緊張の神経。昔は戦いの時に活性化された神経ですが、今で言うと、仕事や試験に臨むときに活発になる神経です。もう1つは、副交感神経。これは、リラックスがキーワードの神経で、腸管の運動を促進させる働きもあります。

自律神経とは、読んで字のごとく、自ら律する神経ですから、私たちが特に意識しなくても、勝手に、交感神経と副交感神経のスイッチを入れ替えていきます。

よく、一仕事終えてふと気がつくと、お腹が「ぐるる」と鳴って急に空腹を感じることがありますが、これは、まさに、交感神経から副交感神経に入れ替わったことによるものです。通常は、この交感神経と副交感神経のスイッチが1日の中で適宜入れ替わっていくことで体のコンディションは整えられていきます。

そして、睡眠は、このスイッチに大きな役割を果たしています。
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◆睡眠不足と自己免疫力

睡眠とは、言ってみれば、リラックスの極致です。すなわち、交感神経から副交感神経へとスイッチを入れ替えることで、ゆっくりと休むことができます。

副交感神経が働いているときには、NK細胞やヘルパーT細胞といった、免疫に関わる細胞が活性化すると考えられています。これらの細胞は、がんのもととなる「ミスコピーの細胞」を見つけ出し消去していく働きを持ちます。

また、睡眠の質と量とが十分ではないと、1日のリズムの中で、交感神経の過緊張状態が続くことになります。交感神経の過緊張は、老化や遺伝子損傷の原因となる活性酸素の発生を招きやすいと考えられています。すなわち、細胞のミスコピーを誘発しやすいということができます。

◆がん予防の観点から考える睡眠

すなわち、がん予防の観点からは、良い睡眠というのは、交感神経と副交感神経のスイッチを適宜入れ替えていくことで、自己免疫力の維持と、活性酸素発生の抑制というメカニズムによって、広い意味でのがん予防につながると考えることができます。適正な睡眠時間は、個人差があると考えられていますが、やはり、6~7時間程度を念頭におきながら、起床後の熟睡感も目安にされるとよいと思います。

また、その一方で、人間にはサーカディアンリズム(概日リズム)と呼ばれる生まれつき持っているリズムがあります。簡単に言うと、夜明けとともに交感神経を活性化させて活動し、日没とともに副交感神経へスイッチを入れて休息するというリズムです。

24時間化が進む私たちの社会では、どうしても、昼夜逆転がおこりやすい環境になってきています。しかし、人間も自然の一部であるということも考えて、やはり日付が変わる前には床につき、朝気持ちよく目覚めるというリズムを確保しておくことは、大切なことだと思います。

【カラダの不思議】“ダメンズ”生み出す女性の共通点は?

「私って男運がなくて」、「いつもダメンズ(ダメな男)ばかりにつかまっちゃう」なんて言う女性がときどきいる。

 でも、そうした場合、いわゆる「ダメンズ好き」という傾向があるだけでなく、実はその女性と一緒にいることによって、「男がダメになる」ケースも意外とあるんじゃないだろうか。

 例えば、ある女性にとって「ダメンズ」でも、他の女性と付き合った途端、案外優しくなったり、マメになったりするケースもある気がする。

 「ダメな男を好き」なつもりはなくとも、知らず知らずのうちに「男をダメにしてしまう女」というのもいるのではないかと思われるのだ。

 その場合、女性にはどんな共通点があるのだろうか。「モテるデート」(あさ出版)など、男女の心理に関する著書を多数持つ、心理コーディネーターの織田隼人氏に聞いた。

 「男性をダメにしてしまう女性は『男性にストレスを与え過ぎる』か、『男性にストレスを与え過ぎない』女性です」

 一見、真逆のことに見えるけど、具体的にどんな違いがあるのか。

 「『男性にストレスを与え過ぎる』というのは、男性を縛る女性です。こちらはわかりやすいですよね。縛られることで女性に従うだけになり、思考停止になり、自発性も失われ、ダメな人間になってしまいます」

 男性を縛り付けてダメにしてしまうというのはよくわかるが、逆に「ストレスを与えない」ことがダメというのは何故なのか。

 「男性にストレスを与えない女性は、『何でも世話してあげる女性』です。この場合も男性は『楽なので自分から動こうとしない』、『だらけてしまう』状態になり、どんどんダメになってしまいます」

 そういえば、ときどき子持ちの奥さんが、自分のダンナを「ホントに男ってバカだから」、「いつまでも子供なんだから」などと言いつつ、「うちの長男」なんて呼ぶのを耳にすることがある。

 「何もできない男」であることをどこかで、かわいいと感じている時点で、女が男を立派なダメンズにしてしまっている可能性もあるのかも。

【がんへの備え】ストーマ保有者に“経験”伝える 「日本オストミー協会」が支援活動★大腸がん編(8)「支援団体」

これから一生、人工肛門とうまくつき合っていけるのか-。直腸がん手術などで、おなかに人工肛門を造設した人の不安は退院してから始まる。そんなストーマ(人工肛門や人工膀胱〈ぼうこう〉)保有者を支援する活動をしている全国組織「日本オストミー協会」を紹介する。

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 病気治療でストーマを造設した人を「オストメイト」という。同協会は1969年、オストメイト団体として設立され、3年前に公益社団法人に移行した。現在、会員数は約1万人、人工肛門と人工膀胱の保有者の割合は7対3だ。

 17年前、直腸がんでオストメイトになった猪口義武事務局長が、活動内容を説明する。

 「会員は支部の所属になり、活動も支部が主体になります。主に、自治体からオストメイトの社会適応訓練事業を受託して、日常のストーマ管理や皮膚ケアなどのノウハウを伝える講習会、医師や皮膚・排泄(はいせつ)ケア認定看護師を招いた講演会などを行っています」

 例えば、講習会参加者の中には、家庭での入浴時にストーマ装具なしで浴槽に浸かると腸管からお湯が入ると思い込み、5年間シャワーしか浴びていなかった人もいたという。

実際には、装具なしでも腹圧でお湯が入ることはない。温泉などの公共施設の入浴も装具を付けていれば湯船に浸かっても問題はない。

 「先輩オストメイトが体験談を語ったり、相談にのるピアサポートも大事な活動のひとつです。ノウハウだけでなく、同じ境遇の仲間同士の共感できる会話は非常に勇気づけられます」

 行政への制度改善の要請、年6回の会報発行、全国総会も毎年開催され、3年ごとにオストメイトの実態調査もまとめている。

 「何に一番、困るか。生活上、抱える問題や悩みの調査で最も多いのは、高齢や寝たきりになって自分でストーマ管理ができなくなった場合、どうするかの不安です。

介護士やヘルパーさんたちにもストーマ装具の管理、ケアの知識を習得してもらうシステム作りが必要だと思っています」

 3年前の東日本大震災時には、被災したオストメイトの半数が予備のストーマ装具を避難所へ持っていけなかったと回答。各支部では、自助の一つとして、自分の使っているストーマ装具を地域の避難所に預けてもらえるよう勧めているという。

【DATA】公益社団法人・日本オストミー協会
・本部住所=東京都葛飾区東新小岩1の1の1 トラスト新小岩901号
・(電)03・5670・7681
・FAX03・5670・7682 ※HPにも問い合わせフォームあり
・支部=都道府県・指定都市に61支部
・会員数=約1万人
・年会費3600円


【がんへの備え】大腸がん編「直腸がん手術」 局所再発抑制へ2つの治療法

結腸がんと同じく直腸がんも粘膜にとどまるがんは内視鏡治療で、それより深く進めば手術になる。開腹手術と腹腔鏡下手術が行われているが、いずれも直腸がん手術は技術的難度が高い。どんな手術が行われるのか、北里大学医学部外科の渡邊昌彦教授に聞いた。

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 「結腸がんに比べて手術が難しくなるのは、直腸は肛門に近いだけでなく、骨盤の奥の方にあるからです。周囲に排尿や性機能をつかさどる神経が張り巡らされていて、それをできる限り損傷しないように手術する。技術レベルの差によって、術後の患者さんのQOL(生活の質)に影響してきます」

 さらに、進行した直腸がんでは、結腸がんには見られない「局所再発」が問題になるという。

 「再発のうち13-15%に、切除した直腸の近くに転移する局所再発が起こる。直腸がん手術では、これを抑えることが非常に重要です」

 しかし、進行直腸がんの治療や特に局所再発の制御には、世界的な標準治療がなく、治療法が2つに分かれる。

 「日本では、側方リンパ節を取り除く拡大郭清が大腸癌研究会によって推奨されています。一方、欧米や韓国では拡大郭清はしない。手術前に抗がん剤を投与し、がんとその周囲のリンパ節に対し放射線を照射した後に手術を行う術前化学放射線療法が主流です」

 どちらの治療法でも局所再発率を10%以下に抑えられるが、一長一短がある。拡大郭清は排尿や性機能の障害が起こりやすい。神経を触らない術前化学放射線療法は障害が出にくいが、手術までの治療期間が3カ月以上必要で抗がん剤や放射線の副作用を伴う。

 「標準治療の結論が出ないのは、いずれの治療法も生存率が変わらないからです。ただ、術前化学放射線療法をやっている当院のケースでは、術前治療で2-3割の人のがんが消えています」

 直腸がん手術は開腹か腹腔鏡かだけでなく、拡大郭清か術前療法かでも施設によって選択肢がマチマチ。説明をよく聞いた上で治療法を選ぶ必要があるので注意しよう。

 直腸がんと言えば、人工肛門のイメージもあるが、現在では、ほとんどの施設で肛門括約筋を切除しない温存手術が行われている。

 「肛門を残せるかどうかは、がんの位置、大きさ、深さ、特に肛門括約筋との関連性などから検討します。通常、深さが筋層にとどまり肛門の縁から4センチ以上奥にあるがんであれば、ほぼ100%、肛門が残せます」 

【がんへの備え】大腸がん編(5)「結腸がん手術」 リンパ節診断で再発可能性を判断

大腸がんは、肛門に近い「直腸がん」と、それより奥の「結腸がん」に大別され、転移の恐れがある進行がんでは手術内容が異なる。結腸がんでは、どのような手術が行われるのか。北里大学医学部外科の渡邊昌彦教授に解説してもらった。

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 開腹手術と腹腔鏡下手術は、開腹するかどうかの違いだけで手術の内容は変わらない。がんが5層からなる腸壁の内側から2番目(粘膜の次)の粘膜下層より深く浸潤すると転移(特にリンパ節)の可能性が出てくるので手術の対象になる。

 「転移には、腸壁の血管からがん細胞が入り込み他臓器へいく『血行性転移』、リンパ管に入り込んで節々のリンパ節に順繰りに転移していく『リンパ行性転移』、がん細胞が腸壁を破って腹膜内に散って増殖する『腹膜播種(はしゅ)』がある。がんの手術は、大腸がんに限らず、がんの原発巣を切除し、リンパ節への転移を予防的に取り除くリンパ節郭清(かくせい)を行うことが基本になります」

 大腸の長さは1・5-2メートル、うち直腸は15-20センチほど。結腸は広範囲に切っても問題が起こりにくいため、結腸がん手術では病巣を中心に20-30センチ程度切除し、残った腸管をつなぎ合わせる。

 「リンパ管は大腸の動脈と並走していて、腸壁に近い所から1-4群のリンパ節があり、転移の多くはこの順番で起こります。切除する範囲は転移の有無にかかわらず、がんの場所や進行度によって系統的に決められています」

 結腸から出ていく血液は細い静脈から太い静脈(門脈)を通り肝臓へ流れている。そのため結腸がんでは、最初に転移する場所は肝臓が多い。その転移・再発の可能性も、リンパ節郭清の病理診断である程度まで分かるという。

 「リンパ節転移があれば、血管内にがん細胞が入っていてもおかしくない。つまり、リンパ節に転移するほど悪性ならば、肝臓や肺に転移する可能性が非常に高い。そういう場合には、再発予防で術後に半年から1年、抗がん剤を投与する術後補助化学療法を行います」

 転移・再発は1年以内が最も多く、8割は3年以内に起こるという。

 「最初から他臓器へ転移している大腸がんのIV期では、治療として化学療法や放射線療法を行い、切除できるようになれば切除します。とにかく外科で切除できなければ根治を望むことは難しいからです」

【がんへの備え】ピロリ菌感染、なるべく早く除菌治療を 子供への感染予防も★胃がん編(2)「ピロリ菌の除菌」

胃がんが発症しやすくなる“萎縮性胃炎”の原因はピロリ菌。検査(呼気や血液、便、尿など)で感染が分かれば、まずは除菌が大事。

元国立がん研究センター中央病院・内視鏡部長で日本橋大三クリニック(東京)の斉藤大三院長に、除菌治療の効力を聞いた。

 ピロリ菌の感染者は若い世代では年々減少している。一方、懸念されるのは、定年退職して毎年受けていた職域検診がなくなる世代の人たちだ。

 「会社に勤めていれば嫌々でも検診を受ける。だが、胃がんの発見が増えるのはちょうど定年前後の年齢。その世代は、ピロリ菌の感染率がまだ高いので要注意です」

 年齢別の大まかな感染率は、低くなった現在では年齢から5-6を引いたパーセンテージと言われる。40歳なら35%、60歳なら55%ぐらい。

 感染者は、ピロリ菌を抗生物質で退治する除菌治療を早く受ければ、早いほど胃がんの発症は抑えられる。ただし、勘違いしてはいけないのは、除菌でそれまであった胃がんのリスクがなくなるわけではないこと。

 「除菌しても、初めからピロリ菌がいない人と同じリスクに改善するわけではない。胃粘膜が萎縮していれば、除菌で進行はある程度止められるが、胃粘膜は元には戻らない。胃がんのリスクも進まないが、そのまま残る」

 ピロリ菌の感染は、2歳をピークに5歳までに主に親からうつると考えられている。完全に胃がんを予防するなら、出生前から親のピロリ菌対策が必要という。

 「母親は出産前までにピロリ菌を検査して、感染していれば除菌する。父親は出産後2年以内ぐらいまでにはチェック。そうすれば子供の胃がん予防につながります」

 除菌治療は、2種類の抗生物質と胃酸抑制薬の3剤を1日2回朝夕食後、1週間服用する。

 「徐々に耐性菌が出てきているので、今、最初の除菌成功率は70%ぐらい。除菌できなかった場合、抗生物質1種類を変えた二次除菌では90%以上が除菌できます」

 ピロリ菌の除菌治療は、今はまだ胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍など5つの適応症がなければ全額自費。薬代は抗生物質の用量で若干異なるが、1週間分で5000-6000円(10割負担)ほどかかる。

 「除菌は若い年代にやった方が有効性は高い。胃がんのリスクはなくなるわけではないが、胃粘膜がきれいになるので、がんが発見しやすくなる。

血液検査で胃粘膜の萎縮を示すペプシノゲンとピロリ菌感染が陽性なら、まず除菌、そして必ず内視鏡検査を受けてもらいたい」

【がんへの備え】大腸がん編(4)「腹腔鏡下手術」 早い回復、合併症リスクも低く

内視鏡治療が可能なポリープや極めて早期の場合を除き、大部分の大腸がんの治療は手術になる。近年、開腹手術よりも身体への負担が少ない腹腔鏡下手術が急速に普及しつつある。メリットとデメリット、どんな大腸がんに適応されるのか。日本の大腸内視鏡下手術のパイオニア、北里大学医学部外科の渡邊昌彦教授に聞いた。

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 大腸がんは、肛門に近い直腸にできる「直腸がん」と、それより奥の結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)や盲腸にできる「結腸がん」に大別される。

 「今や腹腔鏡下手術は、結腸がんの治療では標準治療として認められつつあり、日本や韓国の医療機関の普及率は50%くらい。多くの施設で行われています」

 腹腔鏡下手術は、おなかに小さな孔(あな)を数カ所開け、そこから腹腔鏡や手術器具を挿入して、モニター画像を見ながら手術を行う。

 「傷口が小さく、痛みが少ない。腸ぜん動の回復が早いので手術の翌日から食事ができ、1週間ほどで退院できます。さらに術後の合併症である腸閉塞(へいそく)が起こりにくいのも大きなメリットです」

 結腸がんに対する腹腔鏡下手術が先に普及した理由は、直腸は肛門に近く、ぼうこうや性機能の自律神経に囲まれているので手術が難しいからだ。

 しかし、技術に習熟した外科医のいる病院では、すでに進行結腸がんはもとより、直腸がんにも適応しているのが現状だ。

 「国内の最新データでは、大腸がんの腹腔鏡による手術件数はざっくり年間3万件。そのうち1万4000件は直腸がん手術です。当院では、他臓器に広範囲に浸潤した進行・再発大腸がん以外の結腸がんや直腸がんは腹腔鏡でやっています。開腹も腹腔鏡も治療成績に違いはありません」

 腹腔鏡下手術のデメリットは、開腹手術よりも時間がかかる場合があることや治療費が高くなること。最も気になるのは、施設によって技術に差があることだ。病院を選ぶとしたら何を目安にするといいのか。

 「日本内視鏡外科学会では、腹腔鏡を用いた手術を安全に普及するために指導医を認定する『技術認定制度』を設けています。ホームページに認定取得者一覧があるので、どの施設が内視鏡外科に力を入れて取り組んでいるのか、ひとつの目安になると思います」

 ちなみに腹腔鏡下大腸切除の技術認定医の審査には、毎年200人近くの医師が認定取得を目指して応募するが、合格率は約20%という。


「告知」の有無…がん患者と支える家族の本音とは?

医療情報サイト・キューライフが25日、このたび3回目となる『がん情報の入手・利用に関する実態調査』の結果を発表した。

20~80代の合計2210人のがん患者とその家族を対象に実施したアンケートのなかで、「治療を続けても今後の見通しが厳しい」状況に直面した場合、医師に望むコミュニケーションの姿を聞いたところ、患者の75.9%、家族の69.7%が【数字をありのまま】伝えてほしいと回答。より正確な情報を希望しているといえそうだ。

 一方、同設問の回答では少数派となったが「厳しい見通しであることを伝えて欲しくない」(≒本当のことを言わないで欲しい)という意見もあり、人それぞれに希望する形は違う。

「治療をしても見通しが厳しい」状況を主治医から伝えられると仮定した時、どのような配慮を医師に望むかという設問でも、「感情的な言葉はやめて」、「ドライに、淡々と伝えて」、「機械的に/事務的に言って」という声もあった。

 また、同調査では患者自身よりもその家族が「がんに関する情報」不足を感じていることも浮き彫りに。患者の48.5%が与えられた情報(※下記参照)に対して【おおいに足りている】【やや足りている】と充足を感じているのに対し、家族は約半数の25.0%。【まったく足りていない】の回答と比べると、患者10.4%に対し家族19.2%と約2倍だった。

※病気そのものについてだけではなく、検査、治療、予防、医療機関、医師、費用、経済支援、治験、家族協力、社会復帰、コミュニケーション、心理、統計など、関連する情報すべてを対象とする。

「がん治療で見通し厳しい時は数字で教えてほしい」患者74%、家族69.7%

月600万人が利用する日本最大級の病院検索サイト、医薬品検索サイト、医療情報サイトを運営する総合医療メディア会社の株式会社 QLife(キューライフ/本社:東京都世田谷区、代表取締役:山内善行)は、2012年「がん情報の不足感」実態調査報告書(後半編)を発表した。

これは20~80代の合計2,210人のがん当事者(がん患者1,574人、家族636人)の協力を得て実施したもので、「治療を続けても今後の見通しが厳しい」状況で医師に望むコミュニケーションの姿を聞いた。それによると、患者の75.9%、家族の69.7%が「数字をありのまま」伝えてほしいと回答。

ただし少数派といえども「厳しい見通しであることを伝えて欲しくない」(≒本当のことを言わないで欲しい)人も存在する。また、人によって正反対の要望を持っていることが少なくないことがわかった。

例えば、あえて「感情的な言葉は止めて」「ドライに、淡々と伝えて」「機械的に/事務的に言って」と希望する患者や家族もおり、必ずしも患者の心情に寄り添う姿勢が好まれるとは限らない。

なお、同調査は厚生労働科学研究費補助金(第3次対がん総合戦略研究事業)『国民のがん不足感の解消に向けた「患者視点情報」のデータベース構築とその活用・影響に関する研究』(研究代表者:京都大学大学院医学研究科・中山健夫教授)の一貫で行われたもの。

【がんへの備え】がんに備えて情報収集!3大情報源の活用を

がんに関する情報を知りたいとき、どうすればいいのか-。国立がん研究センター(東京・築地)・がん対策情報センターの若尾文彦センター長は「まずは、次の3大情報源を利用してみてもらいたい」と勧める。

 【インターネット】

 ウェブサイト「がん情報サービス」(ganjoho.jp)には、同センターが発信する情報がすべて集約されている。

 「がんへの向き合い方、各種がんの解説、統計、診断・治療法、緩和ケアや地域の専門病院の検索など、さまざまな情報を調べることができる“がん情報の入り口”です。科学的に現時点で最も信頼できる最新情報を随時更新しています」

 同センターが発行する印刷物も無料でダウンロードできる。一般向けだけでなく、医療関係者の情報源にもなっている。

 【がん相談窓口】

 全国397カ所にあるがん診療連携拠点病院の「相談支援センター」も貴重な情報源だ。医療機関によっては「医療相談室」「地域医療連携室」「よろず相談」などの名称で呼ばれているケースもある。

その病院にかかっている患者や家族でなくても誰でも利用可能だ。

 「高齢者など自分でネットが見られない人は、代わりに知りたい情報を調べてもらえます。情報を取るだけでなく、看護師やソーシャルワーカーなどが対応してくれるので、がん全般について何でも相談でき、しかも、電話でも相談できます」

 相談支援センターには、がん対策情報センターが発行する冊子も置いてある。各種がんの説明(34種)、小児がん(11種)、がんと療養(5種)、社会とがん(2種)があり、持ち帰り自由だ。

 ネット検索ができなくても、近場の相談支援センターの所在を知りたい場合は、平日10-15時に「患者必携サポートセンター」((電)0570・02・3410)に問い合わせれば教えてくれる。

 【ガイドブック】

 がん対策情報センターは、患者に必要な情報を“患者必携”として昨年3月、ガイドブックにまとめた。書名は「がんになったら手にとるガイド」(学研メディカル秀潤社・税込1260円)。

がんと診断されてから行うこと、自分らしい向き合い方、療養生活のヒントなどを分かりやすく解説している。

 がん治療後に再発が見つかった人向けの患者必携本には、患者の手記を多く盛り込んだ「もしも、がんが再発したら」(英治出版・788円)がある。2冊とも「がん情報サービス」からダウンロードする場合には無料だ。

 がんは2人に1人がなる病気。3大情報源を上手に活用してもらいたい。

【がんへの備え】発見しにくく進行が速い 大腸がん編(2)「陥凹型がん」

早期大腸がんには、病変が隆起したり平坦(へいたん)など、さまざまな形のタイプがある。中でも悪性度が高く怖いのが、病変がへこんだ陥凹(かんおう)型がん。

大腸内視鏡検査20万例以上の実績をもつ昭和大学横浜市北部病院・消化器センター長の工藤進英教授に、特徴を聞いた。 

 陥凹型大腸がんは、1977年に日本人医師によって発見されたが、当時の内視鏡の性能ではへこんだ病変を見つけるのが難しく、「幻のがん」と言われていた。

工藤教授は、その陥凹型の多くのがんを世界で初めて発見・治療し、高性能内視鏡の開発にも力を注いできた。

 「陥凹型の早期がんは、便潜血検査、直腸造影検査、CT検査でも見分けることはできません。腸壁のわずかな色調の変化だけなので、色素を散布して拡大内視鏡で調べないと分からないのです」

 がん病変が隆起しているタイプであれば、便が通過する時に触れるので出血する。しかし、へこんでいる陥凹型は便に血が混ざることはない。

自治体の大腸がん検診で行われている便潜血検査では陰性(正常)の結果が出てしまう。大腸がんの典型的な初期症状の「血便」も起こらない。

 しかも、陥凹型が怖いのは、ポリープががん化するような隆起型とは違い、小さくても進行が速い点だ。

 「陥凹型が見つかる確率は200例中に1例程度と少ないですが、進行がんに行くメーンルートであると同時に、転移する可能性が非常に高いことも分かってきました。

粘膜の下に浸潤するスピードが速いので、たとえ毎年、内視鏡検査を受けても陥凹型では、発見された時点ですでに進行がんの場合があります」

 陥凹型がんの見落としを減らし正確に診断するため、工藤教授と内視鏡メーカーが共同開発したのが「拡大内視鏡」。現在、100倍率の内視鏡が普及している。

 「以前は病変の大きさや形、色調などでがんの疑いを判断し、病変組織を取ってきて顕微鏡で病理診断していました。それが今は拡大内視鏡を使えば、内視鏡検査中にがんの鑑別や深達度などの診断が正確に行うことができます。陥凹型の早期発見には、拡大内視鏡が欠かせません」

 ちなみに昭和大学横浜市北部病院では、世界に先駆けて450倍率の超拡大内視鏡が使われている。今や大腸がん対策の課題は「陥凹型がんの早期発見」に的が絞られているという。

 次回は、つらくない大腸内視鏡検査の施設選びのポイントを取り上げる。

【がんへの備え】胃がんのリスク、血液検査で分かる!“ABC分類”とは?

がんの中で最も罹患(りかん)数が多く、年間死亡数第2位の胃がん。今は血液検査で発がんリスクが分かる。元国立がん研究センター中央病院・内視鏡部長で日本橋大三クリニック(東京)の斉藤大三院長に、胃がんのリスクを調べる“ABC分類”の特徴を聞いた。

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 胃がんの早期発見にはX線や内視鏡での定期検査が欠かせない。しかし、これまで胃がん検診の受診率は20%未満。受けてもらいたい人が受けていないのが、実情だ。

 「ABC分類は胃がんを見つける検査ではありません。ハイリスクの人を見つけ出す“ふるい分け”の検査。将来、胃がんになる確率が高いかどうかを調べます」

 発症しやすい人の胃の状態は分かってきている。ピロリ菌に感染して、長年かけて胃粘膜が薄くなって萎縮(いしゅく)する“萎縮性胃炎”を持つ人。胃がん患者のほとんど(98%)に見られるという。

 「血液検査で、ピロリ菌の感染を調べる“ピロリ抗体”と、胃粘膜の萎縮具合を調べる“ペプシノゲン”の血中濃度を測定します。2つの検査の陽性(+)、陰性(-)の組み合わせで、A~C群の3つのグループにリスク分けされます」

 最もリスクが高いのが、すでに胃粘膜の萎縮が進んでいるC群。萎縮性胃炎がひどくなるとピロリ菌は胃の中で住めなくなるので、ピロリ抗体が陰性でもペプシノゲンが陽性ならC群と考えられる。

 2番目にリスクが高いのが、ピロリ菌の感染はあっても、まだ萎縮が少ないB群となる。

 「C群の人が毎年、内視鏡検査を受けるのは、確実に早期発見につながります。ただし、A群の人は胃がんになるリスクが極めて低いということであり、“胃がんにならない”のではないので油断は禁物」

 リスク群に合わせた内視鏡を受ける間隔は、一般にはA群は最低5年に1回、B群は2-3年に1回と言われる。しかし、その間隔で安全と言い切れるエビデンス(科学的根拠)はない。唯一言えるのは、A群とB群の人は、毎年続けて内視鏡を受ける必要はないということ。

 「ABC分類は、C群の人を見つけて内視鏡を毎年受けてもらうための検査。内視鏡が嫌ならX線でもいいから、毎年受けてもらいたい」

 次回は、ピロリ菌の除菌治療を取り上げる。

【がんへの備え】大腸がん編(1)「腸相」 内視鏡で腸の状態を見極める

「大腸がんは40代から急増し、60代でピークを迎える。この期間を『大腸がん年齢』といっています」と話すのは、昭和大学横浜市北部病院・消化器センター長の工藤進英教授=写真中央。どんな人のリスクが高く、どれくらいの間隔で検査を受ければいいのか。早期発見のポイントを聞いた。

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 毎年、新たに大腸がん(直腸がんと結腸がん)と診断される人数は約11万人(2008年データ)。男性では3番目、女性では2番目に多いがんだ。

 「大腸がんになりやすい主なリスクは、(1)40歳以上(2)家族歴(3)肥満。40代以降は一度、大腸内視鏡検査を受けて、自分の『腸相』を診てもらうべきです。その結果で、どれぐらいの間隔で次の内視鏡検査を受ければいいか判断できます」

 腸相とは、大腸がんになりやすい腸かどうか、大腸の顔つきのこと。大腸がんの発生には、良性のポリープ(腺腫)の一部が、がん化するものと、正常粘膜から直接がんができるタイプ(平坦型や陥凹型)がある。

 「大腸ポリープは40-50%の人にあり、50代ではほとんどの人が持っています。良性は取る必要はないですが、数が多いかどうかでリスクが違う。ポリープが出やすい人はがん化しやすく、平坦・陥凹型も出やすいので毎年検査した方がいい」

 遺伝性で数千のポリープができる家族性大腸腺腫症の人は、半年や4カ月に1回、内視鏡を行う必要がある。潰瘍性大腸炎の人も、がんの発生率が高いので毎年やった方がいい。

ポリープがなければ主治医と相談し、内視鏡は数年おきでいい場合もある。ただし、親兄弟が大腸がんを経験していると発症リスクが高くなるので要注意だ。

 「肥満が悪いのは、背景に高脂肪・高カロリーの欧米型食生活や運動不足があるからです。実は大腸がんが最も多いのは大都市ではなく、青森県と秋田県です。これは車社会の影響で、運動量が著しく減少している影響と考えられます」

 欧米型食生活の影響は、発症部位の変化に見られる。もともと日本の大腸がんは直腸がんが多かったが、1980年代頃から結腸がんの増加が目立ち、欧米型の発症に近づいているという。

 「大腸内視鏡検査が重要なのは、便潜血検査など他の検査法では平坦・陥凹型の早期発見ができないからです。進行がんでは3分の1は助からない。内視鏡で自覚症状のない早期のうちに見つければ9割は助かります」

 次回は、悪性度の高い陥凹型がんの特徴を解説してもらう。 

医師は自分や家族ががんになった時、どんな治療をするのか?

医者だって人間。どんなに気をつけていても、病気になることはある。しかし、もし医者ががんになったとき、私たちとは違う治療を受けるとしたら、あなたは何を思うだろうか? 怒り狂いたくなっても、まずは落ち着いて、その理由を知ろう。『医者は自分や家族ががんになったとき、どんな治療をするのか』(アスコム)は、医者ががんになったときに選択する治療法を通して、自分に合った治療や自分に合った行き方を選択できるようにすることの大切さを考えさせる一冊である。

 がんのような生命に関わる病気の治療に関する書を読むたびに個人的に思うのが、患者も病気や治療法に関してある程度の知識が必要だということ。でないと、自分と合う医者、信頼できる医者かどうかが見抜くことができず、医者の治療方針を丸呑みせざるを得なくなることになりかねないからだ。知識がないばかりに、「自分には合わない」「信頼できない」と気づくのが遅れたら、不幸だと言わざるを得ない。自分の人生は最後まで自分で責任を持ちたいなら、このような事態に陥ることを望まないはずである。

 本書に込めた著者のメッセージは、「がんは生命や人生に関わる病気であり、医者任せにするものではない」。より良く生きるためには、病気との向き合い方に主体性が問われる。

■抗がん剤の限界

 がんの治療で思い浮かぶものといえば、化学療法(抗がん剤、ホルモン剤など)、外科手術、放射線療法の三大療法だろう。このうち抗がん剤については、驚くことに本書では、医者は自身や家族ががんになったとき、抗がん剤を使いたがらないという現実を指摘している。それは、抗がん剤ではがんは治らないと思っているためだ。

 医者である著者も、「抗がん剤で治せるがんは限られており、リバウンドなどの『限界』もあります、医者たちが『抗がん剤では、がんは治らない』と考えてしまうのも、仕方ないかもしれません」(第1章 p25)と、抗がん剤の限界を認めている。「なのに」というか「だから」というか、現実は、

「抗がん剤が実際に効くかどうかは、投与してみなければわかりません。それぞれの抗がん剤が、どのような人、どのような状態のがんに効くかがわかれば、抗がん剤の効果はもっと高くなるはずです。しかし現時点ではそれはわかっておらず、ある意味ではやみくもに抗がん剤を投与しているのです」(第1章 p23)といった具合。医者を全面的に信頼して治療を受け入れるのが怖くなり、背筋がゾッとしてくる。

■切られ損になることもある手術

 ならば、外科手術はどうかといえば、外科医も外科手術の限界を知っており、場合によっては自身や家族ががんになったとき、手術を拒否するケースがあるという。そのことを本書では事例で紹介しているが、怖いのは後遺症。次のように言及している。 「まず身体に傷が残りますし、がんの種類や進行状況によっては、せっかく手術をしても『がん細胞を取り残す』可能性があります。また手術や全身麻酔は患者さんの身体に大きな負担をかけ、体力を消耗させ、ストレスによって免疫力が低下するおそれがあります。肺炎や出血、縫合不全、肝臓・腎臓・心臓の障害、感染症などといった合併症や、後遺症のリスクも避けられません」(第2章 p64)

 がんと診断されたとき、日本では外科医ががん治療全体を担当することが多いことから、最初に外科手術をすすめられることが少なくない。しかし、後遺症からもわかるように、外科手術は必ずしもベストな選択ではなく、後遺症についても事前にすべて、丁寧に説明しているわけではない。また、手術が切られ損で終わることも。本書には、進行した咽頭がんの患者が、主治医から外科手術をすすめられて咽頭を全摘し、あとで化学療法の存在を知って後悔するというケースも少なくない、という記述があるが、このような切られ損は、患者のQOLを奪い不幸にするだけだ。

 切られ損を防ぐためには、著者は医者、患者それぞれに、すべきことがあると指摘する。それは次の通りだ。 「医者は、たとえ『外科手術の方が確実に治せる』『できるだけ切っておいた方が安心だ』と思ったとしても、ほかに可能性があるならば、きちんと患者さんにそれを提示し、メリットとデメリットを説明するべきです。 また『切られ損』を防ぐためには、患者さんもセカンドオピニオンを受けるなりしてしっかり情報を集めたうえで、治療方法を選択した方がいいでしょう」(第2章 71ページ)

 医者は患者の病気を治すことに全力を挙げるが普通である。しかし、病気を治すには、患者も全力を挙げないとダメなのだ。家族の協力を得ながら、自分に合う医者や治療法を探す努力を惜しんではいけない。

■医者ががん患者になったら絶対拒否する治療法を患者にすすめる理由

 しかしながら疑問なのは、医者はなぜ、自身やその家族ががんになったときに絶対拒否するような治療法を、患者にはすすめること。この矛盾に対する答にたどり着くキーワードが、第3章で示されている、「病院経営」と「エクスキューズ医療」の2つである。 がんに関わる手術、薬剤などの診療報酬点数が高めに設定されていることから、病院は手術を行なったり抗がん剤などを投与すればするほど儲かる。点数に反映されない手術の丁寧さ、患者さんの希望への寄り添い具合などは二の次になっている病院も少なくなく、何が何でも手術件数を増やすことに躍起になっているところもあるとのことだ。著者も、

「誰でも安く医療が受けられる日本の医療保険制度は、世界に誇れる優れたものです。しかし運用面ではいくつか問題を抱えており、それが『患者さんにとってメリットがない』『患者さんが望まない』治療が行われる、一つの要因になっているといえるでしょう」(第3章 93ページ)  と憂う。患者に医療を提供し続けるには収益を上げなければならないが、営利に偏重するのは、患者のためにならない。病院経営はさじ加減が難しいことがわかる。

 一方、「エクスキューズ医療」とは著者オリジナルの言葉で、医者が自分を守るために患者やその家族への言い訳のために行なう医療を指す。あとで訴えられないようにしたり、問題が起こったときに責任を問われないようにするために、日本の医者は「診療ガイドライン」に従った治療しかしないケースがほとんど。そして、「エクスキューズ医療」には2つの弊害があるという。

 1つ目の弊害は、患者も一人の人間であるということを医者が忘れてしまうこと。「患者さんには一人ひとり個性があり、がんになった原因も体質も事情も、まったく違います。本来であれば、がんになった原因を探ってそれを取り除いたり、患者さんの価値観や希望に添った治療を行ったりするべきなのです。ところが、患者さんをみてガイドラインを参照するのではなく、がんという病気の進行度だけをみて、ガイドラインに患者さんをあてはめてしまう医者が、とても多いのです」(第3章 p100-101)と著者も指摘する。

 2つ目の弊害は、「診療ガイドライン」に書かれている治療以外に目を向けなくなること。ガイドラインでは、三大療法以外は「エビデンスレベルが低く、おすすめできない」とされていたり、まったく触れられていないこともある。これは患者からすると、個性や価値観に合う治療法があるかもしれないのに、それらを知る機会と提供される機会がないということを意味する。

 しかし、病院や医者、看護師に対して理不尽な要求を突きつけたり不満をぶつける「モンスターペイシェント」の問題もあり、医者が「エクスキューズ医療」に走らざるを得ない現状には、ある程度の理解は必要だ。患者がエクスキューズ医療を受けないようにするには、「医療訴訟を起こされるのではないか」という医者の不安を取り除くことを考えた方がいい。

 そのために著者がすすめるのが、念書を書くこと。「もし一般の患者さんが主治医の治療方針を受け入れることができず、自分で治療内容を選択したいと思った場合は、主治医に『たとえ何か問題が起こっても、先生にはご迷惑をおかけしません』とはっきり伝えるなり、ご家族の名前を明記した念書を書くなりすることをおすすめします」(第3章 p103)と強調する。念書を書くには覚悟が必要だが、同時に、病気や治療法に対する知識をある程度学び、これからどう生きて行きたいかということを明確にしていないとできない。よりよい医療を受けるには、患者にも求められることがあると理解した方がよさそうだ。

『医者は自分や家族ががんになったとき、どんな治療をするのか』
アスコム 刊/川嶋朗 著
1100円+税

<ムッシュかまやつさんも闘病>早期発見が困難な「すい臓がん」、回避すべきリスクは?

早期発見は難しいとされている「すい臓がん」、何か対策はあるのでしょうか?

すい臓がんは<患者数≒死亡者数>

ムッシュかまやつさんがすい臓がんのため亡くなりました。スティーブ・ジョブズさん、坂東三津五郎さん、竹田圭吾さん、九重親方…これまで多くの著名人も、すい臓がんで亡くなっています。 日本では年間約3万8000人がすい臓がんと診断され、年間約3万3000人が亡くなります。患者数と死亡者数がほぼ同数である事からわかるように、発見後の治療が非常に難しい、悪性度の高いがんです。

すい臓はトウモロコシを横にしたような形で、胃の裏側に左右に横たわるようにあります。消化に欠かせない多くの消化液が分泌されており、また血糖値を調節するインスリンやグルカゴンといったホルモン分泌も行っている、非常に重要な臓器です。
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5年生存率が極めて低く、多くが「余命数カ月」

国立がん研究センターによると、がんと診断された全ての人の5年相対生存率は、男女計で62.1%でした。 一方、すい臓がん患者全体の5年生存率は、わずか7%に留まっており、他のがんと比較しても極めて低い数値です。すい臓がんが“がんの王様”などと表現される所以です。その理由は、すい臓がんの早期発見は極めて難しいことにあります。初期のすい臓がんでは、ほとんど症状が現れません。そのため、発見された時点ですでに進行していることが多々あります。すい臓がんと診断されるのと同時に余命宣告されるケースも珍しくなく、その場合は多くが「余命…数カ月以内」となります。
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人間ドックでの早期発見も難度高い

一般的な人間ドックで行われることが多い「腹部のエコー検査」ですが、それで早期発見出来ないのでしょうか?すい臓がんは腫瘍の大きさが2cm以下の早期に発見しなければなりません。しかし、すい臓の周囲には多くの他の臓器があり、また胃のガスの影響等ですい臓がはっきり見えないこともあります。腹部エコー検査で早期発見できる可能性は、1%以下というデータもあります。

手術出来るのは20%の患者さんだけ

すい臓がんの治療の中で、最も治療効果が高いものは外科手術です。基本的には、ステージ0期~3期までと4期aの一部は外科手術が選択されます。4期aの1部や4期bでは手術が適用されず、化学療法や放射線療法を施します。ステージ4期の1部まで手術出来るから、多くの患者さんが手術の適用になるかというと、そうではないのです。実は、すい臓がんと診断を受けた患者さんの80%以上がステージ4期なのです。すい臓がんは早期発見が難しく、また進行も速いため、手術可能な時期に発見できるケースが少なく、手術できるのは全体のおよそ20%程度に留まります。
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手術出来たとしても90%は再発・転移

手術によって、がんをすべて切除できたとしても、約90%の患者さんが3年以内に再発・転移するといわれています。その理由は、すい臓はインスリンなどホルモン分泌する臓器なので、血管を通じて周囲のリンパ節や遠くの臓器に、早い段階で遠隔転移しやすいからです。また、すい臓周辺は内臓や血管、胆管などが複雑に入り組んでいるため、手術でどんなに丁寧に病巣を摘出しても、医師も気づかないほど小さながん細胞が散らばって残っていることもあるのです。
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リスク回避の努力を!

早期発見が難しく、また早期発見して手術しても再発率が高い…となると、予防する方法が知りたいところです。ところが、現在 すい臓がんを防止するための確立された方法はありません。ただ、すい臓がん発症のリスクを高くする要因はわかっています。

◇家系にすい臓がん患者
◇高齢(90%以上が55歳超)
◇糖尿病患者(リスク1.8~2.1倍)…すい臓がん発症後に、糖尿病が悪化する患者さんも8%程度います。
◇慢性すい炎患者(リスク4~8倍)…慢性すい炎と診断されたら、定期的なすい臓がんチェックを受けましょう。

◇喫煙(リスク2~4倍)
◇多量飲酒(8年以上で1.2倍)…8年以上にわたって大量の飲酒を続けた場合は、すい臓に負担がかかり、発症リスクが1.2倍になるとされています。

◇肥満(BMI 30以上→1.8倍)

…これらのリスク要因が2つ以上ある場合は、特にリスクが増加します。まずは飲酒・喫煙・肥満に注意しましょう。飲酒しながら喫煙する人のリスクは、そうでない人の10倍とも言われています。

■高山哲朗先生 監修 平成14年 慶應義塾大学医学部卒業。
慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉社会保険病院を経て、平成24年 わたクリニック副院長。
医学博士。日本内科学会認定医。日本消化器病学会専門医。日本消化器内視鏡学会専門医。日本医師会認定産業医。
東海大学医学部客員准教授。予測医学研究所所長



ハムやソーセージでがんになる? 過剰反応の前に正しい知識を

◆タバコ並みに有害!? ソーセージと大腸がんリスクの関係は?

2015年10月、世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)が、ハムやソーセージなどは、製品の加工段階でがんにつながる物質が生成されると指摘し、「加工肉を1日50g摂取すると大腸がんのリスクが18%も増加する」と発表しました。そのうえで、加工肉の発がん性評価について、タバコやアスベストと同じく、5段階中もっとも高いレベルであるグループ1に分類。また赤身肉は、人に対しておそらく発がん性があるとするグループ2Aに判定しています。

一方で、IARCの評価の基となったデータによると、全世界地域での赤肉摂取量はおおむね1日50~100gで、1日200g以上という地域もありました。一方、日本はどうでしょうか? 2013年の国民健康・栄養調査によると、日本人の1日の加工肉摂取量は平均13g、同じく赤肉は50gでした。これにより、日本は加工肉や赤肉の摂取量が世界でもっとも低い国のひとつだと分かります。

ところで、50gの加工肉といえば、ハムなら3~4枚、ソーセージなら2~3本に当たります。ソーセージ2~3本で大腸がんのリスクが18%も増加するとすれば、それは毎日の食生活にたいへんな影響を与えます。この報告は日本はもとより、世界中で大きな衝撃を持って受け止められたのです。

今回のIARCの報告は、日常の食事に非常に大きく関連するショッキングな指摘だったことから、その後、各国から多くの反論が出ました。このためWHOは後日、「この報告は、加工肉を食べないように要請するものではない」と改めて発表しています。
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◆平均的な食生活をする日本人には影響なし

日本国内のがん研究では、加工肉や赤肉とがんとの関係について、どのような結果が出ているのでしょうか。

2011年に国立がん研究センターが発表したデータがあります。国内の45~74歳の男女8万人を対象に、赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについて1995年から2006年までの10年以上にわたって追跡調査したものです。

その結果、豚や牛の肉を1日80g以上食べるグループでは、25g未満しか食べないグループと比べると、女性で結腸がんのリスクが高いことが示されました。男性では、肉全体の摂取量がもっとも多いグループでリスク上昇はみられましたが、赤肉ではとくに関連は示されませんでした。さらに、加工肉については男女ともに、摂取量と発がん性の関連は見られなかったとの結論を出しています。

国立がん研究センターは、IARC/WHOの発表を受けて、「大腸がんの発生に関しては、日本人の平均的な摂取の範囲であれば赤肉や加工肉がリスクに与える影響は無いか、あっても小さい」と声明を出しています。

少なくとも日本人に関しては、一般的な食生活を送っているかぎりは、いままで通りハムやソーセージ、赤肉を食べていても問題ないということです。

◆過剰反応にご注意を! 適量の肉は健康のためにも必要

ただし、加工肉や赤肉を過剰に摂り過ぎれば、大腸がんのリスクを上げる可能性があることに変わりはありません。世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)が2007年に示した報告書では、赤肉の摂取量を週に500g未満にするよう推奨しています。

一方で、肉には良質なたんぱく質やビタミンB、鉄、亜鉛など、健康に欠かせない成分が多く含まれています。これらが不足すると、体調不良や鉄欠乏性貧血などの病気を引き起こす可能性があります。肉類は食べ過ぎてはいけませんが、適量を食べることは人間の体にとって大切なのです。

いずれにしても、日本人の平均的な肉類摂取量は欧米人よりかなり少ないのですが、戦後から現在までつづく「食習慣の欧米化」によって、肉の摂取量は増加しています。それに合わせて大腸がんも増加傾向にあるので、注意は必要だといえるでしょう。

毎日の食事では、塩蔵品を控え、野菜・果物を積極的に摂り、熱い飲食物を避けるようにすることです。さらに適度な運動を生活習慣に加えることで、上手にがんを予防していきましょう。

監修:今村 甲彦

「身内のがん告知」に立ち会うとき気をつけるべきこと

いまや2人に1人ががんにかかる時代。身内にがん患者がいるのも当たり前で、健康な人が末期のがん告知に立ち会う機会が増えている。まして、現在の日本は生まれる人より死ぬ人が多い多死社会だから、今後、その回数が減ることはないだろう。そのとき、がん患者となった身内にどのような言葉をかけ、接すればいいのか? 「死にゆく患者(ひと)と、どう話すか」(医学書院)の著者で、日本赤十字社医療センター化学療法科の國頭英夫部長に聞いた。

■医師が伝える3つのこと

 多くの患者は「がん」と言われて、頭の中が真っ白になる。結局、自宅に戻ってから立ち会った家族に、「先生は何とおっしゃっていたっけ?」と聞き直し、改めてその家族の口から告知を受けるケースが少なくない。

「ですから、私はがん告知の際、3つだけに絞って伝えるようにしています。(1)がんという病気ではすぐには死なない(2)しかし、このがんは治らない(3)自分が主治医として責任を持つ――です。これを誤解のないよう、生きる希望を失わないよう話すことを心がけています。この3つが伝われば、まずは十分です」

 専門用語を並べて説明する医師もいるが、素人が詳細を理解するのは無理。告知に立ち会った人ががん患者に聞かれたら、「自分もよく分からなかった」と正直に言っていいという。

「ただ、余命宣告は別です。余命1年なら1年という言葉だけが独り歩きしてしまい、『1年半は絶対に無理だが、半年や9カ月は保証された』との誤った考えを持たれる恐れがあります。これはどちらも間違いです」

 そもそも、余命というのは一般的には「生存期間中央値」と呼ばれるものを指し、平均値とも違う。これを素人が理解し、人に正確に伝えるのは不可能。そもそも、病状も治療法も違う患者の死を予測できるはずもない。

「余命1年と言われたら、その意味は『過去の治療法を行った過去の患者さんの半分が1年以上生きたという統計数字で、これから治療を行うあなたの予測ではない。ただし、その間に何かあったらいけないので、長期ローンなどはしない方がいい』という程度に伝えていただければよいと思います」

■「頑張れ」はいけない

 (2)については、まず「治るというのは死なないことではない」と伝えることが大切だという。

「人間は必ず死にます。治ったがん患者の多くは別のがんになります。次の病気で死ぬとき、元の病気が再発していなかったら『治っていた』と判定するわけで、死なないことではないのです。だから『治るか、治ったかどうか』に、それほどの意味はありません」

 それを踏まえたうえで、がん患者には次のように話すとよいという。

「『治らない』というのは、この病気はあなたの『持病になる』ということです。高血圧も糖尿病も治りません。その証拠に皆、薬を飲んでいる。持病持ちというのは通院したり、食事制限したり、薬を飲んだりと生活が制限されてうっとうしいものですが、喘息や高血圧と同じように付き合っていかなければなりません」

 信頼できる医師に診てもらうのとそうでないのとでは、治療効果に大きな差が出ることは科学的にも証明されている。

「(3)については、ご家族から患者さんに『この先生が責任を持って治療すると言うのだから、信じてついていきましょう』と言っていただきたいですね。そのためには疑いの段階でかかりつけ医に相談して、『ここなら』という病院を紹介してもらい、検査の間に信頼関係を築き、告知の段階では『任せられる』と判断できていればいい」

 逆にやってはいけないのは「頑張れ」と口にすることだ。

「言葉をかける方は励ましのつもりでも、言われた方は、『頑張っていないから病気が進んでいるとでも言うのか!』と腹立たしく感じますし、自分だけが頑張らされるというような、孤独感や孤立感を持ちかねません」

 がん患者は、病気への不安から理不尽な怒りや悲しみを周囲にぶつけてくるがそれは気持ちを整理していく過程であることが多い。遮ったり、考えを変えようとするのも正しくない。

「あくまでも患者に寄り添うこと。患者さんの質問は、時に答えが欲しいのではなく、『応えてほしい』『話したい』という気持ちであることを知っておいてほしい」

いい人は癌になりやすい? ガンを起こしやすい性格とは

誰もが恐れる病気である「ガン」。「性格」が、このガンのリスクを高めることを明らかにした人がいます。アメリカの心理学者リディア・テモショックとサイエンスライターのヘンリー・ドレイアです。

 彼らは150人以上のメラノーマ(悪性黒色腫)患者を面接し、その約4分の3に次のような共通の性格的特徴があることを認めました。

□1. 怒りを表出しない。過去においても現在においても、怒りの感情に気づかないことが多い。
□2. ほかのネガティブな感情、すなわち不安や恐れ、悲しみも経験したり表出したりしない。
□3. 仕事や人づきあい、家族関係において、忍耐強く、控えめで、協力的で譲歩を厭わない。権威に対し従順である。
□4. 他人の要求を満たそうと気をつかいすぎ、自分の要求は十分に満たそうとしない。極端に自己犠牲的になることが多い。

※『がん性格 タイプC症候群』L・テモショック、H・ドレイア著、岩坂彰、本郷豊子訳(創元社)より引用

 この4つの特性からも見てわかるように、いわゆる「いい人」タイプです。

 彼らは、アメリカ人医師のフリードマンとローゼンマンが定義した「タイプA」(攻撃的、仕事熱心、苛立ちやすい性格で、虚血性心疾患のリスクを高める)、タイプAと対極的な「タイプB」(感情を素直に表現でき、リラックスしてうまくつきあえる性格)と比較し、このガンのリスクを高める性格を「タイプC」と定義しました。

■「いい人」はストレスをためやすい

 テモショックとドレイアの説によると、タイプCは、人つきあいによって非常にストレスをためやすい面があります。

 他人に失礼なことを言われても、嫌な感情を口に出しません。自分より他人の意見を優先させ、いつも協調的に接します。また、怒りやネガティブな感情を表出せず、それに気づかないこともあります。

 タイプAと違っていつも雰囲気が良く、他人ともトラブルを起こすことは少ないのですが、素直な感情を心の奥で抑圧しているために、ストレスは確実にたまります。それが免疫防衛機能に影響し、ガンへのリスクを高めると考えられています。

 みなさんも、悲しいときや残念なときに、その素直な感情を否定し、「落ち込んじゃダメ」と無理に明るくしていませんか? また、他人に合わせすぎて、どこか心が疲れていませんか? ひょっとしたら、その性格がガンのきっかけをつくっているかもしれません。

 そんな人は、もっと自分の気持ちに素直になり、リラックスできる人間関係のなかで自分を解放してみましょう。すると、ストレスをためずに、長生きできるかもしれませんよ。

昔より患者が増加?知らないとマズイ「がん」のリスク

日本人の死因の第1位であるがんで、3人に1人はがんで亡くなっている状況です。日本人は、一生のうちに、2人に1人は何らかのがんにかかるといわれています。

特に高齢者の病気のようにみえますが、がんと診断される人は45歳から急に増え始め、50歳から70歳にかけて上昇し続けるのです。

がんというのは特別な病気のようですが、実は人間誰しも患者になるリスクがある身近な病気なのです。

■全ての人ががんのリスクがある!

人間の体は細胞からできています。正常な細胞は必要に応じて増えたり減ったりします。がんは、普通の細胞から発生した異常な細胞のかたまりで、3,000~5,000は健常人でももっているのです。

通常自分の免疫によってがん細胞を消すのですが、生き残ったがん細胞は身体の指令を無視して増殖を繰り返し、やがて、かたまりとしてのがんに成長、大切な臓器の働きを壊していくのです。

■昔よりがん患者が増えた理由

近年がんが増えてきたように思われがちですが、日本人が長寿であることが一番の理由とされています。
それは、がん発生率が年齢とともに増えるということにあります。つまり多くの人ががんになる年齢まで長生きするようになったのです。

それに加え、昔では発見できなかったがんが、今は技術の進歩で発見することができるようになったというのも理由のひとつです。

■立証済み! がんと生活習慣の関連

がんにならないようにすることは不可能ですが、予防することはできます。すでに生活習慣と関連が有るとされているがんが国立がん研究センターから発表されています。

[がんとの関連が確実と判定された項目]

(1)飲酒:口腔、咽頭、喉頭、食道、肝臓、乳房

(2)喫煙:口腔、咽頭、喉頭、肺、食道(扁平上皮がん)、膵臓、腎盂、膀胱

(3)肥満、過体重:食道(腺がん)、結腸、直腸、乳房(閉経後)、子宮体部、腎臓

[おそらくがんとの関連が確実と判定された項目]

(1)塩蔵品および食塩:胃

(2)熱い飲食物:口腔、咽頭、食道

がんになるリスクだけではなく、予防になるという根拠も勿論あります。運動することで結腸がんのリスクを低めたり、野菜と果物で口腔、食道、胃、結腸、直腸の各がんのリスクを低めたりと予防が関連づけされています。

生活習慣の中で“禁煙、肥満の改善、過度な飲酒をやめる”ことは多いにがん予防になりそうですね。

しかし無謀な減量をしたり、イライラしながら禁煙、禁酒をしたりすると、それが身体にもっと大きなストレスになることも有りますので、計画を立てて実践してみてはいかがでしょうか。

医療ライターが体験 「がん治療」後悔しない3つのポイント

医療ライターの佐々木真理さん(47歳)は、2012年7月に乳がんが見つかり、翌13年4月に手術を受けるまでに、納得のいく医療を求め、3つの病院、8人の医師を受診した。

「がんといえばネガティブなイメージを持たれることが多いが、信頼できる主治医と二人三脚で治療に臨めたら不安も少なく希望を持てる」と話す佐々木氏に、経験から得た「がん治療で後悔しないポイント」をインタビューした。

 私は家系にがん患者がひとりもいなかったため、がん宣告を受けた時はショックが大きすぎ、自分に合う病院、医師を積極的に探そうという気持ちは、少しも湧いてこなかったんです。

 ところが出会った医師が、あまりにコミュニケーション能力に欠けていた。なぜその治療が必要なのかを聞いても、ろくに答えが返ってこない。

 私の場合、検査時に針を動脈に誤って刺され、乳房が腫れ上がるという経験もしたのですが、担当医らは「医療ミス」とは認めず、「ケガ」程度の軽い認識でした。

・3つの病院、8人の医師を受診して見えてきたことは

患者のためではなく、すべて医師の都合で物事が進んでいるようにしか思えませんでした。大げさではなく、「このままでは医師に殺される」というほどの恐怖を感じ、自ら主治医を探さなくてはと行動に出たのです。

 結果的に信頼できる医師に出会え、納得のいく医療を受けられたのですが、だれもががんになる可能性のある時代、ぜひ皆さんに知っていただきたいことは次の3つです。

 まず、「信頼できる医師に会えるまで探し続ける。駄目と思ったら、次、次と進む」です。

 早期のがんはオペ終了後は治療もなく定期検診のみになりますが、再発や転移のリスクを想定するという意味では、健康な体づくりを目指す“長期戦”になります。「がんを取ったら終わり」と捉えず、どんなことでも相談でき、真摯に応えてくれる主治医を見つけることが特に大事なのです。

 次に、「信頼する人を通して情報を得る」です。インターネットからは、がんの治療法やいい病院・医師などについて、さまざまな情報が得られます。しかし、あまりに多すぎ、真偽の判断も難しく、かえって惑わされると私は思いました。

・3つの病院、8人の医師を受診して見えてきたことは

ただし、口コミは非常に重要。私は信頼できる友人や知人にがんの経験者を紹介してもらい、がんと付き合っていく上での参考にしました。
 ちなみに、がんの手術で3週間入院したのですが、同室の患者さんたちとも仲良くなり、今でも情報交換をしています。

 さらに、「医師に説明を求める時は作戦を練る。できれば第三者同伴で」です。医師探しの中で私が強く感じたのは「なぜがん治療は、外科医が主治医なのか」ということ。

外科医は切った張ったが好きな人種。とにかく手術がしたいのです。そんな彼らは、手術の必要性を説明する能力に欠け、前述のように、コミュニケーション能力が不十分。ダイレクトに質問しても、通り一遍の返事しかない。

 だから私は、病理検査をもとに、可能な限り数値などの客観的要素を示した回答になるよう、医師との面談の前には質問を幾通りも用意しました。

その答えをメモし、分からないことがあれば調べ、それでも疑問があれば再度質問する。メモを取る自信がなければ、ICレコーダーなどで録音するのも手です。

 患者がいてこそ、医師の存在価値がある。不信感を抱いているのに医師の言いなりになったり、「ま、いいか」と諦める弱者にだけはならないように積極的に動くべきなのです。

ガンになりやすい食べ物「加工肉」

発がん性のある食物がよく取りだたされていますが、その中でも最も発ガンリスクが高い食べ物を紹介しましょう。

1遺伝子組み換え生物
遺伝子組み換え生物は別名GMOと呼ばれ、育てるときに化学物質が使われていることもあり、これらのGMOのせいで、ガンである腫瘍(しゅよう)がものすごいスピードで大きくなることが証明されています。

特に気を付けたほうがいいのはとうもろこし、大豆、そしてキャノーラです。地元で育てられたオーガニックの食材を使うようにしましょう。

2加工肉
ハムやベーコン、ソーセージなどの加工肉には多量の塩分と保存料が使われており、発がん性が高いです。

3電子レンジで作るポップコーン
レンジでチンして作るポップコーンに使われている化学物質は、不妊症のリスクを高めるほか、肝臓や睾丸(こうがん)、膵臓(すいぞう)のガンのリスクを高めます。

4炭酸飲料
炭酸飲料に使われている砂糖や化学物質、着色料により、体が酸化され、ガンの細胞が育ちやすい環境が出来上がってしまいます。

5ダイエット食品
ダイエット食品に最も使われているアスパルテームという人工甘味料は、先天性欠損症やガンの原因になることが多くの研究で発表されています。そのほかにも、スクラロースやサッカリンが使われている人工甘味料にもリスクがあります。

6養殖サーモン
養殖されているサーモンは、ビタミンDが欠損しているだけでなく、難燃剤や農薬、抗生物質など多くの発ガン性化学物質で汚染されていることが、米アルバニー大学の研究で発表されています。

以上ですが、やはり人工的な化学物質が主な原因であるようですね。食物はなるべく加工されておらず、オーガニックな野菜や肉を自分で調理して食べるようにしたほうがよさそうですね。

【がんへの備え】意識保ったまま呼吸を楽に 緩和ケア編(8)「終末期の鍼灸」

大人ニキビは女子の敵!ホルモンバランスでできてしまうニキビは、いったんできてしまうとなかなか消えません。ここではインド式「ニキビ撃退法」をご紹介します。ナチュラル好きなアナタは必見!

普段の「化粧水」「美容液」「にきび薬」をこのステップに置き換えよう!

STEP1:「化粧水」はキュウリ液!
ミキサーにかけたキュウリジュース大さじ2杯に、牛乳とレモン汁を少し加えるだけで化粧水が完成。いつもの洗顔後に適量をコットンにつけてパッティングしよう。混合肌にぴったりだそうですよ。

STEP2:「美容液」はローズウォーター
バラの花びらを数時間お湯でゆでると、お湯にバラのエッセンスが豊富に出て来ます。たったそれだけで質の高い天然美容液の完成!化粧水の後に適量を手に取って、染み込ませるように顔を手で押し当てて。ニキビに効果的なだけではなく、バラの香りに包まれて幸せな気分になれちゃいます。

STEP3:「にきび薬」はターメリックと乳清のペースト
乳清(ホエー)は簡単に言うと、ヨーグルトの汁の部分。プレーンヨーグルトをキッチンペーパーで包み、重りを乗せて一晩置いておけば翌朝には乳清が絞り出ています。

この乳清は、飲用するとお肌にうれしい効果が現れる健康ドリンクでもあるのです。ターメリックパウダーを乳清でペースト状にするだけで「にきび薬」の完成!寝る前につければ朝には赤みが引いているはず。

ニキビ用のフェイスケアは確かに効果的だけれど、化学物質が多いイメージが強いですよね。この方法ならナチュラルにニキビ対策ができるので、ナチュラル派女子にはぴったり!気になる方は今スグに試してみて。

進行がんと診断されたときに気をつけること

■いきなりの緊急事態

 毎日、いろいろと忙しく生活している中で、自分の体調のことがちょっと後回しになることはよくあります。そういった状態が長く続いたり、症状が耐えきれなくなったりして飛び込んだ病院で、思わぬ病気が発見されるケースも、残念ながら存在します。それが、がんで、しかも進行したものであったとしたら……? 私ができる精一杯のアドバイスをまとめてみました。

■事実と憶測をきちんと区別する

 医師の診断が進行がんであったときに、私のような医療従事者も含めて、平静を保てる人はおそらく一人もいらっしゃらないでしょう。ほとんど情報がなかった時代と異なり、最近ではインターネットという協力な武器がありますので、さまざまな情報を瞬時に手に入れることができます。

 しかし、これは「情報の洪水」という状況を起こしかねません。また、周囲の方も親切心からさまざまなアドバイスをしてくださいますが、これが情報の洪水に拍車をかけることもあります。このようにあふれかえる情報の中には、信憑性が低いもの、単なる憶測にすぎないものも少なからずあります。まずは、事実と憶測を区別して、冷静に今何がおこっているのか、何が事実なのかということを把握していただければと思います。

■主治医を主軸に据える

 今の患者さんの状態を一番知っているのは、がんの診断までこぎ着けてくれた主治医です。「隣の芝は青い」ということわざもありますが、大変な病気が発覚すると、もっと他によい先生がいらっしゃって、その先生にかかれば状況は一変するのではないかと考えるのも当然のことです。

 しかし、一番患者さんのことを知っているのは主治医です。他の医師の意見を求めることはセカンドオピニオンとして通常行われていることです。「青い鳥」ではありませんが、まずは、目の前の主治医とじっくり話をしていくことが重要であると思います。

■患者さんの希望は?

 患者さんご本人が本当に望んでいることは何でしょうか? 闘病生活の中では、できるだけ悔いを残さないことが重要だと思います。とくに、健康食品やサプリメント、各種療法などがんに対する補完代替医療については、患者さんの希望があれば、できるだけ実現できるように工夫していくことがよいと思います。

 もちろん、極端に高価なものや、医学的にどう考えても無理があるというものは、人道的にも止めなくてはなりませんが、そのようなことを医療従事者になかなか相談できないのも事実です。ただ、日本の補完代替医療のほとんどをサプリメントや健康食品が占めているという統計もあります。私はぜひ、街の薬局の薬剤師にも相談してみていただきたいなと思います。

 安心できる品質のものがそろうだけでなく、医師から処方されたお薬との飲み合わせなどもきちんとチェックしてくれます。何より、ご本人、そして、ご家族が納得できる治療を進めていくことが重要です。

■受け入れがたい事実を受容する過程を知る

 自らの生命の終わりのような、通常は到底許容できないような事実が目の前に出てきたときに、人はさまざまな反応をします。精神科医のエリザベス・キューブラー=ロスは、その著作『死の瞬間』の中で、死という事実を受け入れるまでの段階として、否認・怒り・取引・抑うつ・受容という段階を経ると著しました。

もちろんこのような段階をとらない場合もありますが、このような理論を知っておくことで、患者さんとのコミュニケーションもずいぶん変わってくるのではないでしょうか。

 いずれにしても、まずは落ち着いて、主治医の先生に相談することが大切です。

ベストセラー医者に聞く。転移しない「ガンもどき」って何ですか?

日本人の死因の上位にはガンがきます。ガンに関して独自の理論を提唱されている先生がいるのをご存じでしょうか。ガンには「本物のガン」と「ガンもどき」があるというのですが……。

95万部を達成した『医者に殺されない47の心得』(アスコム刊)などの著作で有名な、慶應義塾大学 医学部 近藤誠医師の提唱する理論は独自のものです。

近藤先生によれば、ガンは「転移する本物のガン」と「転移しないガンもどき」に分けられるというのです。

近藤先生にお話を伺いました。

――先生は「ガンもどき」という考え方を提唱されていますが、「ガンになった」といっても2種類あるとお考えなのでしょうか?

近藤先生 私はそう考えています。「本物のガン」と「ガンもどき」です。本物のガンは転移しますが、ガンもどきは転移しません。

――検診などで見つけた時点でどちらかは分かるのでしょうか?

近藤先生 その時点でどちらなのかは推測になります。しかし、検診などで見つかるもののほとんどは「ガンもどき」です。

――転移するものとしないものはどうしてあるのでしょうか。

近藤先生 ガン幹細胞からガン細胞が作られるのですが、そのガン幹細胞の段階で転移する性質があるものと、転移しない性質のものがあると考えます。つまり二つに一つです。

よくいわれる、「ガン細胞が途中から転移する性質のものになる」と考えるのが間違っているのです。転移するガンは最初から転移する「本物ガン」で、ガンもどきであるのなら、それは最初から転移しない「ガンもどき」なのです。

――この考え方は、先生の経験から導かれたものなのでしょうか。

近藤先生 海外では「比較試験」を行った論文があります。例えば、大規模なガン検診を行い、「肺ガンを見つけるグループ」と「肺ガンを見つけないグループ」に分けて、ガンを見つけたグループで治療を行い、見つけないグループとガン死率を比べてみるわけです。この両グループではガン死率に有意な差はないのです。

――つまり、どういうことなのでしょうか。

近藤先生 早期検診をしてガンを発見し、治療を行っても行わなくても、その差は見られないということです。

――今の医学的常識とはずいぶん違っているようですが……。

近藤先生 本当はそうなのですよ。私は、ガンもどきを治療しようとして、器官を切除したりすることの方に害があり、むしろ寿命を縮めていると考えています。

私は150人以上の、ガンと認定された患者さんの治療に当たってきました。乳ガンと判定された患者さんで(その患者さんはガンもどきだったのですが)、その後乳房を切除することなく、23年以上、現在も生存されている例もあります。

――先生のお考えですと、ガン検診などはあまり意味がないのでしょうか。

近藤先生 そうです。発見されたガンが「本物」でも「もどき」でも、器官切除で寿命は延びず、損をします。

――先生のお考えはずいぶん他のお医者さんと違っているようですが、怒られたりはしないですか?

近藤先生 『あなたの癌は、がんもどき』という著作を発表していますが、反論はありませんでした。最近、「ガンもどき」という用語を使う専門家も増えております。

いかがだったでしょうか。

近藤先生の「ガンもどき」という考え方は、医学界で広く受け入れられているとはいえません。どちらかといえば「異端」とされているようです。

みなさんは、どう思われますか?

【がんへの備え】緩和ケア編(7)「針きゅう治療」 副作用少なくQOL向上

緩和ケアの一環として、針きゅう治療を取り入れるがん患者が増えている。どんなケースで利用されるのか。元国立がん研究センター中央病院・緩和ケア科のしんきゅう師で、無量光寿庵はる治療院(千葉県市川市)の鈴木春子院長=写真=に聞いた。

 ◇ 

 国立がんセンターに在籍した17年間に行った針きゅう治療は、1300人以上。現在、がん患者に対する緩和ケアは新座志木中央総合病院(埼玉)と同院で行っている。

 「針きゅう治療は副作用が少なく、どんな治療法とも併用できます。それに、発病から終末期に至るまで、がんの進行状況に関係なく治療できるのが大きな利点です」

 緩和の対象は、体の痛みやしびれ、むくみ(リンパ管浮腫など)、吐き気、呼吸困難、体のコリなど多岐に渡る。乳房再建手術でやせる必要がある患者に、耳ツボダイエット(満腹中枢へ刺激)を行ったこともあるという。

 「体の痛みの8-9割はモルヒネで取れますが、中にはモルヒネが効きにくい抗がん剤の副作用による痛みなどもあります。そのような場合に、針きゅうによる緩和ケアがよく用いられます」

 例えば、乳がん、肺がん、胃がんなどで使われる抗がん剤「パクリタキセル」の副作用。患者の約30%に手足に痛みやシビレ(神経障害性疼痛)が現れ、うち5%前後は、症状が6カ月以上続く難治性といわれる。

 「『手袋・靴下型の痛み』と言われ、手先や足の裏がしびれて痛むので、物が持てない、ボタンがかけにくい、手すりなしでは階段を使用できないなど、生活に支障が出ます。抗がん剤が効いていても続けられなくなるので、針きゅう治療を併用する。その後もしびれが残るような患者さんの中には、定期的に針きゅうを続けている方もいます」

 薬の副作用では、他にも抗がん剤「TS-1」による下痢や味覚異常。痛みを取るためのモルヒネ自体の3大副作用(吐き気、便秘、眠気)の症状軽減にも有効という。

 針きゅう治療の効き目の程度には個人差があるが、最も大きな効能はリラックス効果。がん闘病中のイライラや不安などの精神的苦痛を和らげることで、間接的にも体の痛みの緩和につながる。

 「患者さんの多くは『気持ちがよくなり元気が出る』という。針きゅうは血行を改善して全身に作用するので、食欲、睡眠、便通を良くします。QOL(生活の質)が向上し免疫力が高まるのも、針きゅう治療の特徴です」 

近藤誠氏がん放置療法に医師反論「医療否定本に惑わされるな」

近藤誠氏著『医者に殺されない47の心得』が100万部

突破のベストセラーとなっているが、医師の中には、近藤氏が提唱するがん放置療法を否定する人も少なくない。日本尊厳死協会副理事長でもある長尾クリニック院長・長尾和宏医師と、翻訳業の傍らボランティアでがん患者の相談に乗っている藤野邦夫氏の2人は、共著となる新刊『がんの花道』(小学館)で、近藤氏による「早期発見、早期治療は意味がない」という主張に真っ向から反論している。

 * * *

長尾:最近、慶應義塾大学医学部放射線科の近藤誠先生が、がんの早期発見、早期治療は意味がないなどと複数の書籍で書いておられますが、私はそれは絶対に違う! と思っています。

早期発見、早期治療はいくらでもあります。実際、私は早期発見して、早期治療した結果、助かっている患者さんをたくさん診ています。

 逆に、一部のそうした本で書いてあるような、手術はしない、放置すればいい、という主張を信じて、手術さえすれば助かったのに亡くなっていかれた患者さんもたくさん見てきました。

同様に、抗がん剤は効かないと抗がん剤治療を否定する主張を信じて、最初は抗がん剤治療を拒否していた患者さんが、後からやっぱり抗がん剤治療を始めているケースも見かけます。

このケースでは、「どうせやるなら、もっと早くからやっていればよかった」と患者さんは後悔されています。そのようにして失われた時間は本当にもったいないですね。

 こうした医療否定本というべき書籍が、医療界に一石を投じようとする意図は理解できます。しかし、残念ながら書いてあることの全部が正しいとはとても思えません。正解も大間違いも混在しているのが実態だと思います。

こうした医療否定本を鵜呑みにして、助かる命をみすみすなくされないか、私はそれを心配しています。

藤野:早期発見の意味がなければ、ますますがんで苦しんで亡くなる人が増えますよ。近藤さんたちの説を信じて、定期検診や検査を受けなくなる蛮勇の持ち主は少ないでしょうが、

心配な点は、もともと定期検診や検査を受けたくない人たちが、やっぱり受けなくていいんだと納得してしまうことです。そのような影響が出るとすれば、発言者の社会的責任には大きいですね。

 現在、薬物療法のおかげで、がん患者が元気で暮らせる生存率は大きく伸びています。薬は病気を治すためだけにあるのではなく、追いつめられた患者の病状を改善し、生きる希望を与える効力も持つのだと私は思います。

 さらに問題は、正統派のがん医療にたずさわる医師たちが、医療否定本にあまり反対しないことです。かれらはバカバカしいとあざ笑っているようですが、それは患者や一般市民に対する怠慢です。医師の特権意識がマイナスに作用しています。

長尾:本来、医者は患者さんを助けるのが仕事ですから、どうやったら助けられるかを日々模索して診療をしているわけです。そりゃあ、早期発見、早期治療でも亡くなる患者さんはいます。

しかし、早期発見、早期治療で治る患者さんもいれば、残念ながら亡くなるにしても、現代医療、特に緩和ケアの恩恵を受けて、残された時間をご家族と快適に過ごされる患者さんもたくさんおられるのです。

 ですから、私は、患者さんやご家族には、ぜひとも勉強をして賢くなっていただきたいと思います。そうすれば、医療否定本に惑わされずにすむと思います。

医療の現状を知って、進歩を知って、また欠点も知って、上手に「医療のいいとこ取り」を目指して使っていただくのがいいのではないかと私は思うのです。

藤野:がんを治療せずに放置しろという近藤誠さんの説は、健康で心に余裕のある人が読めば面白いのでしょうが、病気で追い詰められた治療中の患者や家族が読むと、混乱させられるか不安になるだけではないか私は危惧しています。

給付金がもらえない!? 「上皮内がん」は、がんではないの?

今「がん」に関する情報があふれています。芸能人でもがんを公表する人がいるため、ある意味、よく聞く病気になりました。しかし、情報があふれているゆえに、本当に正しい情報はなんなのか……迷う人が多いのも事実です。そこで、がん患者さんに日々接している現役の国立病院の内野三菜子医師が、がんの主治医に聞きにくいようなことや、知っておいたほうがいいことなどを解説した本『身近な人ががんになったときに役立つ知識76』を発売。この連載では、その本の中から気になるところを紹介していきます。

■上皮内がんというのはステージ0のがん

Q 上皮内がんは、がんではないの?

「上皮内がん」というのは、がんのステージでいえば「0期」のがんです。
「がん」というのは、正式には「悪性新生物」といいます。そして「上皮内がん」は、正しくは「上皮内新生物」と呼ばれるもので、細胞内でがんができた場所の違いから「悪性新生物」=(がん)とは区別されています。

 臓器は、何層もの細胞が積み重なって作られていますが、臓器の表面にある「上皮」の下に「基底膜」という薄い板のような膜があり、臓器の深部の細胞と区切られています。人間の体は、この上皮と基底膜で守られているので、上皮部分にがん細胞ができても、一定期間は上皮内にとどまっています。これが「上皮内新生物」で、がん細胞が深部まで入り込んでいないので、「非浸潤がん」ともいいます。

 上皮内新生物は、体のほかの部位に転移がなく、がん化した細胞を完全に取り除ければ治る可能性が高いので、比較的簡単な局所切除などで済むのが一般的です。

 一方、がん化した細胞が基底膜を超えて、「間質」という部分まで広がってくると「悪性新生物」になります。がん化した細胞が基底膜を破って臓器の深部まで入り込んでくると、がんが周囲に染み出るように広がりだします。この状態は「浸潤がん」とも呼ばれます(ただし、すべての悪性新生物が上皮から臓器の奥のほうへ浸潤していくプロセスをたどるわけではありません)。

がん保険によっては
「上皮内がん」はがんと認められない!?

「上皮内新生物」でも「悪性新生物」でも、医師はどちらとも「悪性の細胞」であると説明します。その説明を受けた患者さんも「自分はがんだ」と判断するでしょう。ところが、民間の保険会社が販売している「がん保険」には、上皮内がんをがんと認めていない商品もあり、診断給付金(がんと診断されたら100万円、など最初にまとまってもらえるお金)の受け取りをめぐって大きなトラブルに発展することもあります。

 がん保険に加入しているのであれば、自分の保険の約款を確認して「上皮内がん」が、どのような扱いになっているかを確認しておきましょう。

A 「上皮内がん(上皮内新生物)」も「悪性新生物」もがんです。しかし、民間のがん保険では、その保険会社によってがんと認められない場合も。

私が『身近な人ががんになったときに役立つ知識76』を
出版した理由

 はじめまして。「がん」の治療にあたっている内野と申します。現在、最も多い死因は「がん」となり、2人にひとりは生涯のうちに何らかのがんにかかるといわれています。日々、患者さんとお話しさせていただいている中で、女医で話しやすいからか、治療そのものだけでなく、それにまつわるさまざまな悩みをおうかがいします。

 たとえば「治療の用語の意味がよくわからなかった」、「痛みや辛いことなど、正直に伝えたほうがいいのか」、さらに「仕事やお金の心配がある」などです。医師側もゆっくりと説明する時間が取れないこともあり、がん治療に対する知識を補うもの、そして「こんなこと先生に聞いていいのかな」と迷ったときに活用できるような本があれば…と思いからできたのがこの本です。

 通常、がん治療は、担当の医師が病気の症状を書いた「病状説明書」を渡して、それをもとにがんの進行具合、推奨される治療方法、治療のスケジュールなどを説明します。ですから、治療中の疑問や辛いことなど何でも、まずは担当の医師に相談して解決していただきたいのですが、それだけでは不安なときなどにはぜひ、この本をぜひ活用してほしいと思います。

内野三菜子(うちの みなこ)
東京都出身。国立国際医療研究センター国府台病院 放射線治療室長。聖マリアンナ医科大学放射線科、埼玉医科大学国際医療センター放射線腫瘍科を経て、カナダ・トロントのプリンセスマーガレット病院放射線腫瘍科にて、日本人初のクリニカルフェローとなる。並行してトロント大学オンタリオ教育研究所(大学院)医学教育学にて修士号取得。帰国後、国立国際医療研究センター病院を経て、現職。日本医学放射線学会専門医(放射線治療)、がん治療認定医

【上手な死に方を考える】「がん終末期」宣告…患者は何をするべきか

 医師から“終末期”と宣告された時、がん患者は何をすべきなのか。

 「家族とよく話し合って、自分の希望を共有しておくこと。準備すべきことは、いろいろありますが、希望の共有さえきちんとできていれば、話し合った通りになるかどうかは別としても、納得につながる」と語るのは、東京医科歯科大学医学部附属病院がん相談支援センター相談員で医療ソーシャルワーカー(MSW)の山田麻記子さん。

 ここでいう「希望」とは、治療や場所の選択、どんなことをして過ごしたいか、そして、死後のこと。しかし、山田さんはこうもいう。

 「実際に終末期になってしまうと、冷静に話し合うことが難しくなるものです」

 これまで小欄で繰り返し書いてきたとおり、終末期に至っても、がん性疼痛の治療をきちんと行えば、普段通りに近い日常生活を送ることができるケースは多い。そうした状況では、患者も家族も「病状悪化」を想定して話し合うことを避けようとするもの。「まだしばらくは大丈夫だろう」という希望的観測にすがり、大切な話を先送りにしてしまう。しかし、これが危険だと山田さんは指摘する。

 「それまで体調が安定していた人が急速に身体機能が低下して、そのまま亡くなることが多いのが、がんの特徴。そう考えると、元気なうち、話ができるうちにきちんと希望を家族に伝え、お互いに理解しておくことが何より重要になってきます」

がんの終末期には、身体機能が低下してくる兆しが見えることがある、と山田さんは指摘する。

 「昨日より少し調子が悪いと感じる、先週より横になることが増えた、公共交通機関での通院が難しくなった-などの“変化”があれば要注意」

 最期を病院の緩和ケア病棟で過ごすにしても、申し込みから入院までは1カ月程度の期間を要する。在宅を選ぶなら介護ベッドや福祉用具のレンタル、何より在宅医療を受けるための手続きなど、療養環境を整える必要がある。いずれも「今日頼んで明日から」とはいかないのが実情だ。

 物事すべてに「段取り」があるように、死にゆく道筋にもそれはある。そして、その準備は、死を間際にしてからでは間に合わない。

 元気なうちに死の準備をしておく-それは人生を有意義なものとして完結させる最後の仕上げであり、残していく家族に後悔をさせないための、最後の思いやりなのだ。 

【医者にもらった薬は大丈夫?】「がんと闘うな」の悪影響と進歩した抗がん剤治療の現状

がんという病気には依然、“死刑宣告”に近い負のイメージがつきまとう。加えて、約20年前に出た近藤誠医師の著書『患者よ がんと闘うな』の影響を引きずってか、今も抗がん剤治療にネガティブな印象を持つ人が多い。いわく、「効かない」「身体がボロボロになる」などだ。

 近藤本の影響を嘆き、『医療否定本の嘘』などを上梓してきた、日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科部長の勝俣範之医師は、次のように言う。

 「抗がん剤は、確かに“劇薬”です。投与量を間違えただけで患者を死に追いやる危険性もある。しかし、適切に使えば10年間、普通の生活を送られたステージ4の人もいます。抗がん剤治療の進歩で、がんとの“よりよい共存”ができる時代になっているのです」

 実際、1980~90年代は有効な抗がん剤が少なく、抗がん剤の副作用に苦しめられる患者も多かった。しかし、2000年代に入って、がん細胞だけを狙い撃つ分子標的薬、最近では高額薬価で話題のオプジーボなどの免疫チェックポイント阻害薬が登場するなど、抗がん剤は長足の進歩を遂げている。

 問題は、薬を扱う医師の側にある。

 「分子標的薬などの新しい薬は副作用が少ないと言われるが、従来の抗がん剤と同様、使い方を誤れば副作用死のリスクが生じます。抗がん剤の専門医である腫瘍内科医に薬物治療を任せるべき。しかし、日本ではその数が圧倒的に不足しています」と勝俣医師は指摘する。

米国では、1万5000人ほどの腫瘍内科医がいるのに対し、日本ではようやく1000人に到達したばかりだ。わが国で抗がん剤の印象が悪いのは、専門ではない医師が、薬の使い方を十分把握しないまま投与し、副作用対策も万全ではなかったことが原因として挙げられる。

 「副作用による死亡は、抗がん剤の種類にもよりますが、3~20%もある。感染症は特に注意が必要です。腫瘍内科医は副作用に対して最大限の対策を行い、患者の生活の質(QOL)を高めていくとともに、副作用死を限りなくゼロに抑え込んでいきます」(勝俣医師)

 抗がん剤を使うべきではないと判断・提案できるのも、腫瘍内科医の特性なのだという。一般の医師より抗がん剤の使用量が少ないというデータもあるほどだ。

 「今は、使用すべき患者に抗がん剤が使われず、使用すべきではない患者に投与されているような現状も見られます。抗がん剤治療のあり方を社会全体で見直していくことが必要です」と勝俣医師は語気を強める。

 長年、がんと「闘う」「闘わない」といったレベルで議論されてきたわが国のがん医療。そこから脱却し、信頼できる医師と出会えたときに、がんとの「よりよい共存」という抗がん剤治療の新たな可能性が開けてくる。 (吉澤隆弘) =おわり

専門医に聞け! Q&A 末期の肺がんの選択肢

 Q:去年の職場の健診では異常なしでしたが、今年の健診で左の肺に影があると指摘されました。専門医で検査したところ肺がんで、進行しており手術はできず、「このまま何もしないと半年の命で、抗がん剤をして上手くいけば2年もつ」と言われました。
 
抗がん剤治療を受けるかどうか、早急に決めなければならないとのこと。自覚症状もなくピンピンしているのに、半年の命なんて信じられません。パニック状態です。アドバイスをお願い致します。(65歳・印刷会社嘱託)

 A:晴天の霹靂でさぞ驚かれ、困惑されていると思います。よく考えて、1カ月以内に当面の方針を決める必要があります。多くの人は医師の勧め通り抗がん剤治療を受け、辛い入退院を繰り返されます。

 しかし、たとえばカナダなどの先進国では、何もしない選択肢も医師から示され、そうされるがんの患者さんも相当数おられると聞きます。その場合も、医師を含めた医療緩和チームがきっちり経過観察をし、フォローしていく体制ができていると思われます。
 一方、日本では、抗がん剤治療を望まない場合、医師にホスピスを勧められることが多いでしょう。

●よりよい最期のための選択
 しかし、がん治療の基幹病院では、治療するなら専門医、しないなら緩和ケアの専門医と分業となっている場合が多いのです。誰もが、緩和ケアへいきなり行くのは抵抗があるでしょう。以前、進行肺がんで、治療をしない選択をした患者さんがいました。在宅酸素療法を行い、私が週1回、診察に行っていました。いよいよ身体がしんどくなって本人がホスピスへの入院を希望し、入院後、数週間で亡くなりました。

 自分の人生の最期をご自身でプロデュースし、妻と自宅で多くの時間を過ごされた、まさに人生の達人でした。抗がん剤治療を受けると、平安な時が持てない場合が少なくありません。ご質問の方も、人生の最期をどう過ごすか、後悔のないよう選択されることを祈念いたします。 なお、現代医学以外の療法もいろいろあります。そういう方法を選択するのも、人それぞれの生き方によります。

牧典彦氏(小山病院院長)
自律神経免疫療法(刺絡)や加圧トレーニング、温熱療法、オゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を実践。小山病院(大阪市東住吉区)院長。

どんな「がん」にも共通する“危険信号”とは?

■世に様々な「がん」はあれど……
がんは、体の中の様々な臓器にできる可能性があります。

「ということは、早期発見のために注意すべき初期症状も多種多様になるということ?」と疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、がんの特性を考えれば、多くのがんにとって共通の初期症状の特徴があります。

ここでは、がんの早期発見に役立つ「がんに共通の危険信号」について、お話ししたいと思います。

■出血、もしくは血が混じる
がん細胞は急速に増殖するので血管が非常に豊富です。これらの血管は、「新生血管」と呼ばれ、がんの増殖には欠かせない大量の酸素と栄養素をがん細胞に届ける役割をします。

この新生血管は、通常の血管と少し構造が異なり血管壁がもろく、ちょっとした物理的刺激で破綻し出血します。食道や胃、大腸などの消化管では、食べ物や便が通過するときの刺激で、がんの表面から出血してしまいますし、気管や気管支では、怒責による血圧の上昇でも出血します。

そうなると、当然のことながら、便や痰に血が混じってきますし、症状が進行した場合には、血液そのものが、下血や喀血となって出てくることがあります。腎臓がんの症状のひとつは、「無症候性血尿」と呼ばれ、特に痛みもないのに、尿に血が混じるというものですし、女性の場合には、不正出血といって月経周期とは関係なく出血があることは、子宮がんの可能性も考えなくてはなりません。

いずれも、体から血液そのものや血液が混じったものが出てくるということは、通常では見られない現象です。

もちろん、何の心配もない場合もありますが、がんの初期症状の可能性も少なからずあると考えておいた方がよいでしょう。

■管が詰まることによる症状
がんは、その増殖によって固いできものを形成していきます。このできものが大きくなるにしたがって、通過障害をきたす場合があります。

たとえば、大腸では、がんによって管が細くなり、便が詰まってしまうことがあります。また、少しわかりにくいかもしれませんが、肝臓や膵臓からの消化液の流れが、膵臓にできたがんによって閉塞してしまうこともあります。尿の流れが妨げられるような位置にがんができると、腎臓から尿がうまく流れない状態になってしまいます。

これらの結果、腸閉塞や、皮膚が黄色くなる黄疸、水腎症と呼ばれる腎臓が腫れてしまう状態を引き起こすことがあります。

これらはいずれも、ある程度の進展によって起こってくることが多いですが、できた場所と状態によっては、初期症状のひとつとして見られることがあります。

■がんの早期発見のために
今回ご説明したように、出血や閉塞といった症状は、がんの部位によらず共通のものですので、ぜひそのような症状が出た場合には、医療機関を受診し、先生に相談してみられることをお勧めします。

それとともに、もうひとつ、気をつけていただきたいことがあります。

極めて非科学的なのですが、私自身が患者さんとお話ししていて感じるのは、「何となく、いつもと違う感じがした」とか、「今回はまずい、と思った」といった風に、患者さんご自身が、「何か」を感じられていることも多いということです。

もちろん、心配しすぎる必要はありませんが、こういった第六感も、時と場合によっては、早期発見の隠れた特徴かもしれません。

症状にしても、直感にしても、もし、気になることがあれば、ぜひお近くの医療機関にご相談くださいね。

干物もケーキもNG!? がんを予防する“食”にまつわる正しい知識4選

【ママからのご相談】
3歳と6歳の子どもがいます。最近、芸能人の方でがんを告知して闘病に励んでおられる方が複数いらっしゃいます。その影響もあり、がん予防のことを真剣に考えるようになりました。検診はもとより、 それ以外でも普段の生活で気をつけることってありますか?

●A. 食生活の正しい知識を身につければ高い確率で予防できるそうです

こんにちは。ライターのakiです。

今や2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなる時代です。

1年間でインフルエンザにかかる確率よりも生涯でがんにかかる確率の方が高いそうです。

そう考えると、とても身近で他人事ではない病気だということがわかります。

でも、正しい情報に基づいた予防法に取り組めば9割は予防できるとも言われています。

今回は、その主な情報を“食”に絞ってQ&A形式で紹介したいと思います。

●Q:「焦げた焼き魚」と「ステーキ」。がんを引き起こすのはどっち?

A:答えは「ステーキ」です。

一般的に魚の焦げはがんを引き起こすと言われています。でも、それ以上に危険なのは実はステーキなどの赤身肉 なのです。

日本人はそもそも米・魚を食べる人種。動物性の肉や脂肪は腸内で分解しにくく、発がん性のある悪玉菌を増やしてしまうのです。

魚の焦げは食卓にのぼる程度の量であればさほど問題はないそうです。タンパク質を取るならやはり魚にしたほうがいいでしょう。

むしろ、肉中心の食生活をしている人は注意が必要です。

どうしてもやめられないという人は、腸内を善玉環境に変えるヨーグルトを日常的にとるようにするといいそうです。

●Q:がんを予防できる野菜=生キャベツを毎日食べてたらいいんですよね?

A:答えはNOです。

“デザイナー・フーズ・プログラム”という、がん予防の可能性のある食品をアメリカがん国立研究所がまとめたデータがあります。

その中で、最もがんを予防する食品として、

・キャベツ
・にんにく
・しょうが
・にんじん
・セロリ
・大豆

などが挙げられました。

でも、毎日キャベツばかりを食べているとがんを予防できるかというとそうではありません。

日本人は「これがいい」と思うとそればかりを食べる習性があります。

でも、同じものばかりを過剰摂取すると、ある部位・部分にばかり負担をかけ続けることになり 、それが逆にがんを誘発してしまう可能性もあるそうなのです。

どれだけ健康に良いものでも、毎日同じものを食べ続けるとリスクが伴います。

いいものをバランス良く。野菜ならばいろんな種類のものを織り交ぜる食生活を心がけるようにしましょう。

●Q:「ソーセージ」や「ハム」などの加工食品は避けたほうがいいんですよね?

A:答えはYESです。

子どもが大好きな「ソーセージ」と「ハム」。お弁当にも欠かせません。

でも、これらには“亜硝酸ナトリウム”というピンクの発色を促す添加物 が含まれており、発がん性が高いのです。

どうしても食べたい人は、「無添加」もしくは「無塩せき」と表示されているものを選びましょう。

そのほかにも、砂糖の代わりに使われている合成甘味料の「アスパルテーム」「スクラロース」「アセスルファムカリウム」「サッカリン」なども要注意です。

また、ジュースや食品などに赤や緑といった色をつける着色料「赤色3号」「緑色3号」「青色1号」「黄色4号」などにも強い発がん性が認められています。

色がきれいで甘いものは、子どもたちが好むものばかり。注意が必要です。不自然に色が鮮やかなものや合成甘味料は控えるようにしましょう。

●Q:「干物」と「ケーキ」。がんを誘発するのはどっち?

A:答えはどちらもです。

要は、塩辛いものと甘いものどちらも健康には良くないということです。中でもがんにおいて圧倒的に問題となる調味料は“塩”です。

干物は一見カルシウムが取れて栄養満点なイメージがありますが、とにかく塩分が多いので要注意。

厚生労働省が塩漬けにした魚や干物、たらこなどの塩蔵食品は胃がんリスクが高まるという研究結果を公表しているくらいです。

塩は刺激が強く、胃をはじめとする内臓の細胞を傷つけます。目に海水が入ったとき痛いですよね? それぐらい塩の刺激は強烈なのです。

そして傷ついた体内細胞が修復作業をしようとしているときにエラーが起こると、がん細胞に変異してしまうのです。

日本人は味噌汁、漬物、塩蔵魚類(めざし、塩鮭、干物、塩辛、練りウニ、たらこ、いくら)を好む傾向にあるので、塩分を取りすぎていると感じる人はただちに控えるようにしましょう。

一方で、ケーキなどの甘いものも危険です。なかでも白砂糖はカルシウムを奪う働き があります。

カルシウムは胃がんや大腸ガンの発生や増殖を抑える効果があるので、甘いものを過剰に摂取していると自然にがんリスクが高まることになるのです。

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以上です。これらはまだほんの一部ですが、とりあえず

・バランス良くいろんな種類の野菜を食べる
・タンパク質は魚中心にする
・できるだけ添加物や保存料のあるものを避ける
・塩分や糖分を控える

これだけでもずいぶん変わってくると思います。食事に関して裁量があるのは主婦のみなさんです。

ぜひ今一度ご家族の食生活を見直してみてはいかがでしょうか。

【参考文献】
・『がんにならないのはどっち?』秋津壽男・著

4位熱い物の食べ過ぎ!「がんリスクを上げるNG習慣」知らなくて驚いた1位は

中高年の死因としてトップに挙げられる“がん”。誰しもが注意すべき病気ですが、そのがんを自ら招いてしまう日々の悪習慣を、あなたは把握できていますか?

そこで今回『WooRis』では、公的機関により、“がんリスクを高める”と言われているNG習慣をリストアップし、全国に住む500人の男女に対して、「がんリスクを上げると聞いて、驚いたものは?(複数回答可)」と尋ねてみました。

その結果をランキング形式でご紹介します。みなさんにとって「うそ、知らなかった!」という習慣が含まれているかもしれません。ぜひともチェックしてみてくださいね。

■第5位:「受動喫煙」(18.4%)

第5位は、「受動喫煙(他人の煙を吸う)」(18.4%)。

女性のための医学事典『ウィメンズ・メディカ』(小学館)によれば、喫煙者が吸い込む煙(主流煙)以上に、たばこの先から立ち上る煙(副流煙)の方が、有害物質を多く含んでいるのだとか……!

世界保健機関(WHO)によっても、他人のたばこの煙(副流煙)を吸い続ければ、肺がんリスクが“確実に”高まると言われています。

家族に喫煙者がいる場合は、十分に注意したいですね。

■第4位:「熱い飲食物の食べ過ぎ」(19.0%)

第4位は、「熱い飲食物の食べ過ぎ」(19.0%)でした。

世界がん研究基金によれば、熱い飲食物を口にしすぎると、食道がんのリスクが高まる可能性が大きいそうです。

ちなみに“飲み物=食道がんリスク”という話が出ると、“マテ茶”を連想する人もいるかもしれません。

しかし、念のため補足しておきますが、マテ茶そのものが問題なのではありません。特別な茶器を使い、熱いままお茶を飲み込む本場の喫茶スタイルが、がんのリスクを高めているのです。

日本マテ茶協会からも、そのあたりの事情が詳しく発表されています。いずれにせよ、熱い飲食物は適度に冷ましてから口にしたいですね。

■第3位:「運動不足」(20.0%)

第3位は「運動不足」(20.0%)。

とはいえ、運動不足そのものが、がんのリスクを積極的に上げるわけではありません。逆に運動がリスクを“下げて”くれるため、運動不足は避けた方がいいと言う話です。

運動に関しては世界保健機関(WHO)や世界がん研究機関が、結腸がんのリスクを“確実に下げる”と発表しています。

さらに閉経後の女性の運動に関しては、乳がんリスクも下げてくれる可能性が大きいとされています。

逆に運動不足によって太ってしまうと、食道がん、結腸がん、直腸がん、乳がん(閉経後)、子宮体がん、腎臓がんなどのリスクが“確実に上がる”とされています。

運動不足はその他の生活習慣病の引き金にもなりますので適度な運動を日常に取り入れたいですね。

■第2位:「赤肉の食べ過ぎ」(20.6%)

第2位は、「赤肉の食べ過ぎ」(20.6%)が挙げられました。

世界がん研究機関によれば、赤肉の食べすぎは大腸がんリスクを高めるとされています。

国立がん研究センター(日本)が約8万人の日本人を対象に行った大規模調査でも、赤肉をよく食べる女性ほど、結腸がんリスクが高くなっていると示されました。

ちなみに同調査では、1日に約80g以上の赤肉を食べている女性は、がんリスクが高まるそうです。適度に魚を食べるなどして、主菜が肉に偏らないように心がけたいですね。

■第1位:「ハムやソーセージの食べすぎ」(21.8%)

第1位には「ハムやソーセージの食べすぎ」(21.8%)が選ばれました。

世界保健機関(WHO)によると、ハムやソーセージの“加工肉”の食べすぎによって、結腸がん、直腸がんのリスクが高まる可能性は大きいのだとか……。

上述した日本の国立がん研究センターが行った大規模な調査でも、日常的に加工肉を多く食べている男性について、結腸がんリスクが上がっていることが確認されています。

その量は、1日に19g程度。ハムだと1枚10g程度、ソーセージが1本20gですから、「毎日食べてる!」という人は要注意です。

日本人の食習慣で考えると、毎日は食べないのでは?と思われますが、加工肉は何より便利な食材ですからお弁当などでヘビロテしている主婦は多いはず。加工肉を使わない簡単レシピを知っておいて損はなさそうです。

以上、がんのリスクを上げると聞いて、多くの人がびっくりするNG習慣を紹介しましたが、いかがでしたか?

ちなみに第6位には「肥満の放置」(17.6%)、第7位には「飲酒」(15.6%)が挙げられていました。

どちらも公的な機関から、“確実”に各種のがんリスクを高めると注意が出されています。併せて注意したいですね。

がん治療で脱毛・肌くすみ、外見ケアで気持ち前向き かつら選びなど指南

病気の治療のためと分かっていても、抗がん剤や放射線などによって髪の毛が抜けたり、肌が黒ずんだりくすんだりするのはつらい。これらの副作用に悩むがん患者を支援するため、肌を明るく見せるメーク術やかつら選びを指南するなどの取り組みが広がっている。働きながら治療を受ける人も多く、見た目のケアは患者の精神面を支える上でも重要だ。

 9月中旬の午後、がん研有明病院(東京・江東)。明るい光が差し込むデイルームで、がん患者の女性(37)がプロの手によってメークを受けていた。見ていた医師やボランティアから「きれいね」と声が上がる。鏡をのぞき込んだ女性の顔から笑みがこぼれた。

 「久々にフルメークをすると別人みたい。やっとここまで回復したと実感できた」。女性は1年前に子宮がんを患って入院。抗がん剤治療で髪と眉毛、まつげが抜けた。「眉毛ひとつであっても、女性らしさが失われたような気がして、鏡を見たくない日もあった」
 
この日、同病院が開く患者の外見ケアのための「帽子クラブ」で化粧品メーカーのハーバー研究所(同・千代田)の広森知恵子さんに、まつげが抜けた時の自然なアイラインの入れ方を教えてもらった。上まぶたの目尻の際から内側に1センチ描く。「まつげがない時に知っていたら、もう少し自分の気持ちが前向きになっていたかも」と振り返る。

 「帽子クラブ」の活動は2000年から。メーキャップだけでなく、かつら選びへの助言や髪の脱毛を隠す帽子の編み物教室を定期的に開く。参加費は無料で、ボランティアが活動を支える。婦人科の副部長で同クラブの代表を務める医師の宇津木久仁子さんは「外見が病気の前と変わると自信が無くなり、知人が面会に来ても会いたくなくなる。メークなどで普段通りの自分になることで治療にも前向きになれる」と話す。

 今年から月1回、男性向けの会を設けており、他の病院の患者でも参加できる。肌の簡単な手入れや、眉毛の描き方などを講習する。「がんの治療をしながら仕事している男性にとっても外見は気になるはず。ちょっとしたコツで元気に見せられると知ってほしい」(宇津木さん)。来年から爪のケアも始める計画だ。

 がん患者が戸惑う外見の変化は何か。日本対がん協会(東京・千代田)と資生堂は女性のがん患者にアンケートを実施。治療前からの変化で気になるのが(1)肌のくすみ、色素沈着(20%)(2)眉・まつげの脱毛(17%)(3)頭髪の脱毛、爪・指先の変化(それぞれ15%)だった(グラフ参照)。

 資生堂は06年に東京・銀座にライフクオリティービューティーセンターを設け、やけどの痕などを隠すメークレッスンを実施している。13年からはがん患者への対応も始めた。患者にも協力してもらい、治療中の不便なことや悩みを基にアドバイスを1冊のパンフレットにまとめた。肌を明るく見せるには「くすみ対策用ファンデーションやオレンジ色の下地を使うとよい」と同センターの小林智子さん。

 眉毛が完全に抜けてしまうと、もとの位置が分からなくなることも。そういう時は「人さし指、中指、薬指の3本をアイホールにあて、指先1本分上にあたるところが大体の位置」と教える。同センターに通う主婦の角田万木さん(55)は卵巣がんの治療の副作用で眉や髪の脱毛に悩み、精神的にも落ち込んだ。だが「ここで化粧をしてもらって表に出る勇気が湧いた。外出すれば季節の花を見て感動したり、外食したりして気分転換になる。メークのおかげ」と言う。

■正しいケア、手引きに 国立がん研究センター

 国立がん研究センターアピアランス支援センターは8月、外見の変化への対処法に関する専門家の見方を書籍「がん患者に対するアピアランスケアの手引き」(金原出版)にまとめた。「治療中の美容について科学的根拠もないまま広まっている。正しい情報を」と野沢桂子センター長。店で「高価な医療用かつらでないと髪が生えない」と言われ、信じてしまう人もいたという。実際には「おしゃれ用でも問題なく、つけ心地などで選べばよい」。

 美容に関する対処法を6段階で評価。例えば薬の副作用で手足が痛み赤く腫れた時に保湿薬を塗るのは「科学的根拠がある」、肌のくすみ予防にビタミンCを取ることは「科学的根拠がなく勧めない」など。「手引き書は注意点も示している。『勧められない』などと無い限り、美容法を取り入れて構わない」(野沢センター長)と話す。

がん診療、「余命」が当たらないわけ

 「あなたの余命は6か月です」

 がんと診断され、このように医師から言われた患者さんがいます。

 『がんで余命○か月』と、よく耳にしますが、実際のところはどうなのでしょうか?

 今回は、余命に関するさまざまな誤解について、述べたいと思います。(勝俣範之=日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授)


◆余命は当たらない

 「余命6か月と言われたけど、1年も生きています」
 「余命3か月と言われたけど、半年過ぎても元気です」

 こういった話も、聞いたことはないでしょうか?

 医師から言われた余命というのは、このような形で間違っていることがよくあります。

 医師が考える、医師が言う余命は正確なのでしょうか?

 医師が考える余命が正確かどうか、医学的に検証した報告があります。

 42の研究をまとめたシステマティックレビュー(信頼できる医学研究をまとめたもの)によると、進行がん患者さんに対する医師が推測する余命は、非常に不正確であった、ということです(1)。

 医師が推測するがん患者さんの余命は、ほとんどが医師自らの経験によるものです。もしかすると、非常に経験のある医師だったら、患者さんの余命をバッチリと当てられるのではないかと思われるかもしれません。

 この研究では、そのような“患者さんの余命を正確に当てられる医師がいたかどうか?”まで詳しく解析していますが、そのような医師は見つけ出せませんでした。

 このシステマティックレビューには、我々が行った研究も含まれています(2)。国立がん研究センター中央病院で治療を受けている進行がん75人の予後(その後の経過)について医師が事前に予測できたかを調べました。実際の患者さんの予後は、生存期間中央値で120日だったのですが、正確に予測できたのは、約3割でした(2)。

 28%の医師が予後を短く予測し、36%の医師が予後を長く予測していました。

 つまり、国立がん研究センターに勤務している専門医でも、がん患者さんの余命を3割しか当てられなかったということを示しています。

 私も25年間、腫瘍内科医をやっておりますが、25年の経験をもってしても、余命予測に関しては、まったく不可能だと思っています。

 ある患者さんで、がんが進んできているので、余命が3か月くらいと思っていても、実際には急激に悪化して、1か月で亡くなることがあります。

 逆に、別の患者さんでは、余命が3か月くらいだろうと思っていましたが、抗がん剤を 止や めることによって、1年以上元気でいらっしゃいました。

 また、抗がん剤がすごく効いて、何年も生存された方もいらっしゃいます。

 このように、たとえ経験を積み重ねた医師であったとしても、正確な余命予測は難しいということがわかると思います。

◆余命予測が困難な理由とは?

 余命予測がなぜ難しいかというと、進行がん患者さんであっても、ほとんどの方は亡くなる最後の数か月くらい前までは元気でいられるからです。

 多発臓器転移があっても、とくに症状がないことはよくあることです。また、もしがんによる症状があったとしても、適切な対症療法によって抑えることができます。

 図は、疾病による亡くなるまでの全身状態の違いを示しています(3)。

 がん患者さんの場合は、亡くなる少し前までかなり全身状態が良い状況が続きますが、いったん症状が出てきますと、急激に悪化して亡くなります。

 その状態を、“坂道を転げ落ちるように”と表現することがあります。少し前までは元気にしていたのに、ここ数日間で、体力が急に落ちたように感じる、食欲がなくなってきた、歩くのもやっとになった、などと症状が進んでいくことがあります。

 一方、脳卒中や心不全などの慢性疾患の場合は、全身状態が徐々に悪化していきます。時々、状態の悪化、回復を繰り返し、入退院をすることがありますが、図のように、なだらかに全身状態が悪化していきます。その期間は、何年もかかることがあります。

 すべての患者さんがこのパターンになるとは言えませんが、おおよそ、このような感じと考えていただければよいです。

 がん患者さんの全身状態は、亡くなる最後まで良好な場合が多いため、予後予測が難しくなるのだと思います。

 実際、私の患者さんで、亡くなる2週間前までテニスをされていた方もいました。

 余命予測のうち、医学的に極めて短期的な予測は可能であるという研究結果があります。

 「PPI(Palliative Prognostic Index)」と呼ばれる緩和ケアの専門領域で使用される予後予測ツールがあります(4)。

 がん患者さんの全身状態、経口摂取(口からものを食べる)、浮腫(むくみ)、呼吸困難、せん妄(意識がもうろうとすること)などの症状を数値化し、点数が高い患者さんでは、3週間以内に死亡する確率を85%の精度(特異度)で予測できるというものです。

 つまり、全身状態が悪くなり、食べられなくなり、むくみも出てきて、呼吸困難や、周囲の状況がわからなくなり混乱に陥るような状況になっている患者さんの余命はいくばくもないということを示しているのですが、このような状況になれば、誰だって、長くはないと思われるのではないでしょうか。

 進行がんであっても、症状のない状態で余命予測を行うのは、医師にも難しく、患者さんも自覚症状が乏しいので、余命と言われても“こんなに元気なのに、まさか”と、実際にはなかなかピンとこないのだと思います。

◆緩和ケアの進歩と誤解

 現在では、緩和ケアの進歩によって、がん患者さんのいろいろなつらい症状を抑えられるようになりました。

 そのため、緩和ケア病棟の平均在院日数は年々減少しています。以前は、末期がんの患者さんは長く病院に入院していたものですが、2000年には、平均在院日数30日未満の緩和ケア病棟が8%であったのに対し、2011年には、24%まで増えています(5)。

 一般的に、緩和ケア病棟・ホスピス病棟のイメージとして、
 “ホスピス=死”
 “ホスピスに入院したらすぐに死んでしまう”
 と思われているのではないでしょうか。

 最近の緩和ケア病棟の役割は、こうしたイメージとは大きく異なっています。

 緩和ケア病棟の役割は、
 “がん患者さんのつらい症状に専門的に対処するところ”

 であるということです。

 末期がん患者さんのケアをすることも、もちろん含まれますが、適切な緩和ケアを受けることによって、症状が落ち着いたら退院も可能となります。

 つまり、現代では、“緩和ケア病棟に入ったら、すぐに死んでしまう”のではなく、
 “症状が落ち着いたら、退院もできる。できるだけ入院せず、在宅で過ごすことができる”
 ようになっているということなのです。

 海外では、既に緩和ケア病棟・ホスピス病棟の役割は、“急性期緩和ケア病棟”となり、患者さんの症状が改善した時点で、在宅へと移られます。がんの患者さんが終末期を迎える場所は、海外では、在宅が中心となっているのです。

 これに対して、日本では、がん患者さんが亡くなる場所は、80%以上が病院となっています(緩和ケア病棟が8%、自宅が8%)(5)。

 このことは、一般人に対する終末期ケアに関するアンケート調査(6)で、病院で最期を迎えることを希望しているのは5%(緩和ケア病棟が49%、自宅が38%)であるのに対して、大きく 乖離(かいり)しています。

 日本のがん患者さんの亡くなる場所として病院が多い原因は、緩和ケア病棟が少ない、在宅との連携ができていない、なども考えられますが、予後予測が難しいということも一つになっていると思います。

 患者さんご自身も、最期まで比較的全身状態が良く、元気であることが多いので、
 “こんなに元気なのに、すぐに亡くなるとは思えない”
 “まだ元気だから、ホスピスなどは考えなくともよい”
 と思ってしまうのではないでしょうか。

◆最善を期待し、最悪に備える

 これまで学んできたように、進行がんであっても、がんの症状は最後まで出ることは少なく、最後の数か月まで元気でいられること、ただし、いったん症状が出始めると、“階段を転げ落ちる”ように悪化していくことがある、ということです。

 がんになると、主治医から、予後・余命や緩和ケアについて説明を受けることがあるかもしれません。そのような際には、大変ショックを受けられるかもしれません。

 また、今後の見通しのことについて考えることは、不安も大きいと思います。

 もし、主治医から、予後・余命について言われたとき、緩和ケアについて話されたとき、まずは、むやみに恐れないでほしいと思います。

 そのような場合でも、次のように考えてみてはいかがでしょうか。

 “自分がこの先どれだけ生きられるのかは、誰にも決められない。医師でもわからないし、医師に決められるものでもない”

 “がんは、急に悪化することがあるかもしれないが、長く共存できるかもしれない”

 “がんに対しては、適切な緩和ケアを受けることで、つらい症状は抑えることができる。終末期が近くなっても、適切な緩和ケアを受ければ、最期まで元気でいられるし、苦しむことはない。”

 “いずれ、がんの症状が悪化してくることがあるかもしれないが、それまでは、あせらず、あわてず、あきらめず、自分らしく、自分ができることをやっていける”

 “最善を期待し、最悪に備えることが大切”

 あきらめるのではありません。最後まであきらめないで、自分らしく過ごす方策が必ず見つかることと思います。

いざ宣告を受けた時あなたは… がんの「生存率5年」を考える(1)

 「私が医者になった頃は、“がん宣告”はおろか、余命宣告など、できようがありませんでした。肺がんの場合は『肺真菌症ですね。肺にカビが生える病気です』と言い、胃がんの場合は『胃潰瘍です』と言って手術するのが当たり前でした。

とは、ある医療関係者。しかし時を経て、最近では“がん宣告”は当たり前。そのステージ(進行度)から治療法まで伝え、さらに目安となる“生存率”まで知らせるようになった。だが、「生存率、余命ほどアテにならないものはない」と言うのは、昭和大学病院呼吸器外科のベテラン医師。

 「理由は、末期でどうやっても助からない場合を除き、統計通りに人が死ぬわけがないからです。それでもやはり生存率は、患者にとって一番重要な指標であることに違いはありません。がんという病気の性質上、他の病気のような“完治”はありませんが、一応の目安とされますからね」

 そして、その生存率の中でも「5年生存率」が最も重要になるという。例えば、5年間再発も転移も見られず順調であれば、その先もほぼ病状に変化が見られず問題ないと考えているからだ。

 では、「5年生存率」とは、そもそも何を意味するのか。
 「がんと診断された人のうち、5年経過後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらいになるかということです。ただし、中には再発せずに生存している人と、再発しても生存している人が含まれている。つまり“治療開始から5年後に再発していようがいまいが、生存している人の割合”を言います」(健康ライター)

 ここで、「なぜ1年生存率や3年生存率ではなく、『5年生存率』という期間が使われるのか」といった素朴な疑問が湧く。 前出の呼吸器科の医師が再び説明する。 「多くのがんでは、治療によりがんが消失してから5年経過後までに再発がない場合を“治癒”とみなしているからです。

ちなみに、ここで言う再発とは、治療によって取り除いた後の検査で残ったがんが、再び見つかる大きさになることを言う。体内にがんがあっても小さすぎて見つからない、つまりがんが潜んでいる段階の場合は、再発とはいいません」

 治療で取り除くことができず残ったがんは成長が早く、多くは5年以内に検査で見つかる大きさになるという。
 「取り除いた場合は、ほぼすべて5年以内に発見され再発となり、それ以降は再発することはほとんどない。そのため5年という期間が使われているのです。

こうしたことから、『5年生存率』は、治療により、がんが治る割合と言えることもできます。ただし、再発していても治療から5年後生きている人も含まれるので、その点は覚えておく必要があります」(同)

小林麻央もすがる「高額ガン先進医療」最前線(1)最先端な治療に対する高額な費用

 乳ガンに侵された小林麻央の「闘病ブログ」にアクセスが殺到し、多くの応援メッセージが寄せられている。だが、詳しい容態や治療法については伏せられたままだ。そこで、これまで多くの芸能人がすがった「ガン先進医療」の最前線をレポート。すると、驚きの治療効果と超高額な費用を目の当たりにしたのだ。

 9月1日、乳ガンで闘病中のフリーアナウンサー、小林麻央(34)が新たにブログを開設して話題を集めている。

 スポーツ紙デスクが言う。

「ファンから励ましのコメントが多く寄せられている一方で、海老蔵一家の財政を心配する声も上がっています。現在、麻央さんが入院しているのは大物政治家や芸能人御用達の大病院で、VIP向けの特別個室になれば1泊10万円以上します。高額な入院費に加え、これまで海老蔵さんが麻央さんの先進医療に使った額は5000万円以上と言われており、今も仕事に専念せざるをえない状況。14年の秋にガンが発覚してからは、ろくに休みを取っていません」

 一般家庭ではとうてい捻出できない高額医療費をつぎ込んでいるというのだ。

「麻央さんの闘病ブログは多くのメディアで取り上げられた。アクセス数は順調に伸び続け、その広告収入は月に400万円を下らないと言われています。高額治療を受けるうえで、大きなサポートになるはず」(前出・スポーツ紙デスク)

 闘病ブログでは、金髪のカツラをかぶった自身の画像をアップするなど、病と向き合う姿をつづっている。長年ガン治療に携わってきた、外科医で世田谷井上病院理事長の井上毅一氏はこう見立てる。

「麻央さんの写真を見ましたが、目の回りのくぼみ方や顔色の悪さが気にかかりました。懸念されるのは骨への転移。乳ガンは骨転移が起きやすく、痛みを伴うため、療養生活に大きな悪影響を及ぼしかねません」

 今年6月に開いた会見で、海老蔵は「進行性の乳ガン」と公表したが、詳細な病状については明かされなかった。

 都内の大学病院に勤務する内科医が語る。

「炎症性乳ガンである疑いが強い。皮膚が赤くなって熱を持ち、炎症を起こしているように見えるため、こう呼ばれるのです。しかし実際は皮膚炎ではなく、ガン細胞が乳房のリンパの流れをブロックすることによって、皮膚に症状が出てしまうのです。乳房の下には、網の目のように張り巡らされたリンパ管があり、この中にガン細胞が詰まって、リンパ液の流れが停滞し、炎症や腫れを引き起こしてしまうのです」

 麻央は9月4日付のブログにこう記している。

〈私は痛み止めを飲むのが嫌で、でも、癌の痛みで限界を感じて、ようやくようやく薬を飲んだとき、身体の痛みが和らいで、なんだかわからないけれど、「許されていく」感覚がしたのです〉(ブログより)

 この「痛み止め」について、医療ジャーナリストの村上和巳氏が解説する。

「モルヒネに代表される鎮痛剤を死が近い末期患者だけに処方していたのは昔の話。現在では、痛みがあるなら治療の早い段階から服用するケースが常識です。痛みを取り除くことによって、抗ガン剤や放射線といった治療の継続効果を上げる狙いがあります」

 ガンとの闘いは、まさに正念場を迎えている。

 前出・内科医は、現在の麻央の闘病スケジュールをこう推測する。

「抗ガン剤の投与については週1日で、その合間を縫って自宅に戻り、海老蔵や子供たちと接して英気を養っているのではないでしょうか」

テロメライシンのがん治療 革新的な薬、20年ごろ実用化目指す

岡山大病院消化器外科 藤原俊義教授

 岡山大医歯薬学総合研究科が独自開発したウイルス製剤「テロメライシン」が、従来のがん治療を根本から変える可能性を秘めた革新的な薬として注目されている。食道がんなどで体力的に手術ができない人を主たるターゲットに、開発者の藤原俊義消化器外科学教授を中心とするグループが研究を進めている。藤原教授にこれまでの成果や実用化のめどなどを聞いた。

―テロメライシンはどういう効果が見込めますか。

 がん細胞のDNAは放射線治療によりいったん損傷されても修復されてしまうのだが、テロメライシンはがん細胞のDNAを修復させるタンパクを破壊するので、放射線治療の効果をより高める。また、がん細胞をつくる元となるがん幹細胞を死滅させる効果もある。これを無くすことができれば限りなく再発のリスクを減らすことができる。

 ―テロメライシンを開発しようと思ったきっかけは。

 米国のがん治療の中核施設であるMDアンダーソンがんセンターに留学していた1991年、無害化した風邪ウイルスの一種「アデノウイルス」に、「p53」というがん抑制遺伝子を組み込み、病巣に注入する遺伝子治療を開発したのがそもそもの始まり。がんが遺伝子の病気であることが明らかになってきたころで、遺伝子を使ったがん治療は理にかなっていると考えた。

 ―99年春、その技術を用いて岡山大病院によるウイルス製剤の独自開発に向け、肺がんを対象に国内初の遺伝子治療(臨床研究)を始めました。

 まずは安全性を考慮してアデノウイルスが体内で増殖しないように遺伝子操作して、臨床研究をした。15人に治療をして11人に効果が見られた。最終的に全員が亡くなったが、アデノウイルスの安全性が確認できたので、今度はがん細胞の中で増殖するように遺伝子操作した「テロメライシン」を2002年に開発した。

 ―日本よりも手続きが早い米国で臨床試験をしたそうですね。

 06年から臨床試験を開始した。最初の第1相試験はがんの種類を問わず、固形腫瘍に対する安全性を確認した。次のステージである第2相試験は食道がんに絞り効果を調べる計画だったが、リーマン・ショックが起き、ウイルス製剤を製造する岡山大発のバイオベンチャー企業「オンコリスバイオファーマ」の運営資金が厳しくなり、臨床試験がストップした。13年からは岡山大病院に舞台を移し、まずは食道がんで体力的に手術や抗がん剤治療が不可能な人を対象に、放射線療法と併用した臨床研究に取り組んでいる。

 ―食道がんをターゲットにした理由は。

 体力的に手術や抗がん剤治療ができないケースが、他の消化器系がんよりも多いためだ。岡山大病院では白川靖博准教授らの食道チームが胸腔(くう)鏡を使った低侵襲手術を積極的に進めているのだが、それでも食道がんの手術は大がかりになることがある。また、冒頭に申し上げたように、テロメライシンは放射線の効果を強める作用があることが私どもの研究で分かっているが、食道がんはその放射線治療の適応となることが多い。

 ―これまでの成果を教えてください。

 テロメライシンの投与量を、レベル1~3の3段階に設定。13年11月、投与量が最も少ないレベル1からスタートし、現在はレベル2に入った段階だ。レベル1では7人に投与し、5人に腫瘍の縮小が確認でき、2人は効果が見られず亡くなった。腫瘍が縮小した5人のうち3人はがん細胞が完全に消失していた。うち1人は離れた部位への転移再発で死亡したが、2人はお元気で、現在は治療をしていない。レベル2は計3人、投与量が最も多いレベル3では計6人に投与し、18年度内に終了する予定だ。

 ―新薬として承認される見通しは。

 この基礎研究と並行して、保険適用を目的とした治験をし「テロメライシン」の効果を実証しなければならない。大学などで行う臨床研究の質は向上しているが、治験ではさらに厳しい安全性やデータ管理が求められ、より多額の資金が必要となる。13年に東証マザーズに上場して資金力が回復している「オンコリスバイオファーマ」を主体に治験をし、20年ごろの実用化を目指す。また、食道がんのほか、骨肉腫、胃がんや大腸がん、膵臓(すいぞう)がんにも効果があることも基礎研究で突き止めており、食道がんの次はこれらの治験も進めていきたい。

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町2の5の1、(電)086―223―7151)

 テロメライシン がん細胞への遺伝子の運び役(ベクター)となるアデノウイルスに、細胞ががん化した時に活性化する遺伝子・テロメラーゼを遺伝子改変し組み込んだもの。がん細胞に感染すると、1日で10万~100万倍に増え、がん細胞を破壊する。正常の細胞は破壊しないので、従来の放射線治療や抗がん剤治療に比べ、副作用が格段に少ないという。

 ふじわら・としよし 岡山大学医学部卒、同大大学院医学研究科修了。2010年4月から同大学院医歯薬学総合研究科教授。現在、副病院長と低侵襲治療センター長を併任。日本外科学会理事・代議員、日本癌(がん)治療学会理事・代議員、日本がん治療認定医機構理事、日本臨床外科学会評議員・岡山県支部長、日本遺伝子治療学会理事・評議員など務める。55歳。

「がん生存率」 多くの人が誤解し混乱する代名詞

一般に医者が患者に告げる「余命」の数字は、その人の残りの寿命を指すわけではない。ある病気の「生存期間中央値」なるものを告げるケースが大半で、患者の病状を斟酌して決められるものではない。

「がん生存率」も多くの人が誤解している代名詞だ。現在、がん治療の現場で最も広く用いられているのは「5年生存率」だ。がん治療を始めてから5年後に生存している人の割合を示したものだ。千葉県がんセンター研究所・がん予防センター部長の三上春夫氏がいう。

「全国がん(成人病)センター協議会の最新調査では、全部位・全ステージのがんの平均5年生存率は69.1%となっています。約7割の人が5年経過した後も生きている。ただし、このデータが示しているのはそれだけです。誰がこのデータに当てはまるか分からないし、あくまで参考値として見るしかない」

 このケースも余命宣告における生存期間中央値と同じく、問題は多くの患者が「死へのカウントダウン」と捉えてしまっているところだ。

 例えば、胃がんのステージIIIでの5年生存率は45.5%だが、多くの患者は“自分も5年後に5割以上の確率で死ぬ”と考えてしまうという。

 町田実さん(仮名・66)の妻は3年前、膵臓がんと診断された。その時、医師から「すでにステージIVで、外科手術は不可能な状態。抗がん剤治療しか選択肢はない。5年生存率は7.7%です」と告げられたという。

「“苦しい抗がん剤治療を続けても5年も生きられない”と悲観した妻は、通院をやめてしまい、怪しげな民間療法に頼るようになったのです。“これでがん細胞が消えた人がたくさんいる!”と嬉しそうに話し、勧められるままに高額の“エネルギー水”のようなものだけを口にするようになった。

 結局、告知から1年も経たずに妻は亡くなりましたが、西洋医学を否定して痛み止めも飲まなかったので、最後は苦痛にのたうち回りながら死んだ。安らかな最期を迎える方法はいくらでもあったと思います」

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