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生理の量や日数や周期がバラつき出したら、閉経間近のサインです【産婦人科医・高尾美穂】

生理の終わり方は、人それぞれです。

閉経の仕方は十人十色で、本当にいろいろなパターンがあります。たとえば、徐々に経血量や日数や回数が減っていって、気付いたら閉経していたというのは、特に困ることがないので、ラクなケースです。

また、閉経が近づいても、生理や体調に特に変化がなく、ある日、閉経していたことに気づくというのは、最もハッピーなパターン。生理があったときにも生理痛などもなく、あまり生理に困らなかった人に多いようです。

その一方で、閉経前に今までと生理の状況が変わって、困ってしまうケースも多々あります。

たとえば、生理の間隔がバラバラになって、突然生理が来たと思ったらすぐに終わってしまうといったことは、よくあるパターンですが、いつ生理が来るかわからないので、経血で服を汚してしまわないかと常に心配になって、困ってしまうものです。

閉経前には、経血量が増えることもあります

閉経前に、昼でも夜用ナプキンをしないといけないほど経血量が増える場合もあります。これは、エストロゲン分泌が乱高下する際に、子宮内膜が厚く準備され、一気に大量の月経血として出てしまうためです。

ただし、経血量が異常に増える場合、子宮筋腫や子宮腺筋症などの病気があることもあるので、婦人科で検査を受けるのがおすすめです。

閉経のさまざまなパターンを知っておけば過度な不安を防げる

また、しばらく生理が来なくて、もう閉経したのかな?と思っていたら生理が来て、それを最後に、結果的に閉経したというようなパターンもあります。

これは、卵巣機能が低下すると排卵が起こらず、子宮内膜は厚みが出てきているのに手放すきっかけを得られないため、結果的に、ある日一気に出てしまうことがあるからです。

このように、生理の終わり方にはいろいろなパターンがあります。起こりうる可能性をある程度、知っておけば、〝これって私だけ?〟と過度に不安にならなくて済みます。

誰にでも起こることなので、この時期はそういうものだと認識しておきましょうね。

ただし、ばらついていると思っていた生理が、実は子宮体癌による出血だった、というケースはまれなことではありません。更年期世代は、婦人科へ受診をおすすめしたい年代とも言えます。

取材・文/和田美穂
イラスト/Shutterstock

昼でも夜用ナプキン、血の塊が混じる……その生理は正常? それとも「過多月経」?

理の出血量は人によって違うと言われますが、だれかと比べにくいことだけに、一人で悩んでいませんか? どれくらい多ければ「過多月経」というのか、原因や治療法はどんなものがあるか、婦人科医が解説します。

生理中や生理が終わったころの「貧血症状」に注意
過多月経とは生理の出血量が多い状態を言います。

・健康診断で毎年貧血を指摘される
・毎回生理の時に貧血症状が出る
・生理の血に塊が混じる
・日中でも夜用のナプキンが必要になる

これらに心当たりはありませんか? 1つでも当てはまるなら「過多月経」の可能性があります。

正常な月経量は20~140 mLと定義されています。つまり、生理期間中に合計140mL以上の出血があれば過多月経となりますが、自分の生理の量を知ってる人なんてほとんどいないのではないでしょうか。月経カップを使用している方はだいたいの量は分かるかもしれませんが、使用している方はまだまだ少ないでしょう。

目安として、生理の時にゼリーのような血の塊が出る場合や、ナプキンを2時間毎に交換しなければならない場合は月経量が多い可能性があります。

生理中や生理が終わった頃に立ちくらみやめまい、だるさなどの症状が出る場合は、過多月経により貧血になっていることもあります。このような場合は、婦人科で診察を受けた方がいいでしょう。

子宮に異常がある場合と、ない場合がある
そもそも生理の出血は、子宮の内側にある子宮内膜が剥がれる際に血管が傷つくことによって起こります。この出血は、子宮の筋肉が収縮することにより血管が締められ、さらに凝固系と呼ばれる身体の止血システムで止まります。

子宮の収縮の程度や凝固系による止血時間には個人差があるため、特に異常がなくても止血にかかる時間が長くなればそれだけ出血量は多くなります。また、子宮内膜ポリープや子宮筋腫、子宮腺筋症などの病気が原因で過多月経になることもあります。

ピルやミレーナは、月経過多と生理痛を同時に改善
子宮筋腫などの異常がない過多月経の場合は、止血剤やピルなどのホルモン剤の内服、前回紹介したミレーナを子宮に留置することで生理の量を減らすことができます。過多月経の場合は生理痛が強いことも多い傾向がありますが、ピルやミレーナを用いれば生理痛も同時に改善させることができます。

子宮内膜ポリープや子宮筋腫、子宮腺筋症などの異常がある過多月経は、止血剤やホルモン剤、ミレーナでは出血量を減らない場合もあります。その場合は手術が必要となります。

子宮内膜ポリープや子宮の内側にせり出ているタイプの子宮筋腫であれば、子宮鏡というカメラで子宮の中を覗きながら切除することができます。この手術の場合は下半身麻酔や麻酔が不要な場合もあり、お腹を切らずに患部を切除することができます。

子宮の筋肉に埋まっているタイプの子宮筋腫や子宮腺筋症は、全身麻酔による手術が必要となります。多くは腹腔鏡といってお腹の中をカメラで覗きながら手術を行います。お腹に数カ所小さな傷が残るだけですので、手術後の痛みなど身体に負担が少ない手術になります。

ただ、子宮筋腫が大きかったり、数が多かったりすると開腹手術となる場合もあります。子宮筋腫や子宮腺筋症の手術には、子宮ごと切除する場合と子宮を残す手術があります。

今後、妊娠を希望される場合は子宮を残す手術を行いますが、出産時に子宮破裂のリスクが高くなるため帝王切開術を行うことになります。また子宮筋腫や子宮腺筋症は再発する可能性があり、再度過多月経が起こることがあります。

うまくいけば生理の出血をかなり減らせる治療法も
全身麻酔での手術は避けたいという方には、「マイクロ波子宮内膜アブレーション手術」(MEA)という方法もあります。子宮内膜をマイクロ波で壊死させて薄くし、生理の出血量を減らすという方法です。

子宮筋腫や子宮腺筋症がある場合でも処置を受けることができます。うまくいけば生理の出血をかなり減らすことができます。ただし、妊娠を希望される方には行うことができません。

生理の量が多いかどうか自分で判断することはなかなか難しいものです。前述のように、生理の血に塊が混ざったり、2時間毎にナプキンを替える必要がある方や、健康診断でいつも貧血を指摘される方は過多月経の可能性があります。過多月経の方は生理痛がひどいことも多いですので、一度、婦人科で相談してみてください。

山中 章義(やまなか・あきよし)/婦人科医・医学博士/茶屋町レディースクリニック副院長
滋賀医科大学医学部医学科卒業。滋賀医科大学附属病院にて初期臨床研修を修了後、滋賀医科大学産科学婦人科学講座に入局。関連病院で研鑽を積みつつ、大学院にて子宮内膜症・子宮腺筋症の研究を行い医学博士号取得。現在は大阪駅に程近い茶屋町レディースクリニックにて生理痛や生理に伴う症状で困っている多くの患者の診療にあたっている。

これって更年期の影響? 40~50代で増える中途覚醒、その対策とは

「更年期」という言葉が当たり前に使われるようになったが、「更年期/更年期症状/更年期障害」という言葉を混同している人はまだ多い。更年期は閉経の前後5年間を指し、期間が判明するのが実は閉経後だ。産婦人科医でイーク表参道副院長の高尾美穂さんによると、40代に入ったら「更年期に差しかかっている」ということを念頭に置くことが大切だという。

前回記事に引き続き、高尾さんに話を聞いた。今回は「更年期が原因だ」と誤解しやすい「睡眠にまつわる問題」について。

■睡眠時の中途覚醒=更年期の症状とは限らない

――昨今、睡眠時間が短い人は、肥満や糖尿病、高血圧、メタボリックシンドロームになりやすく、うつ病を発症するリスクが高いなど、睡眠と健康の関係が注目される中、更年期障害と睡眠の問題への関心も高まっています。更年期は睡眠に関わるのでしょうか。

高尾美穂氏(以下、高尾) 睡眠が足りないことが、高血圧、糖尿病、認知症、女性は乳がん、男性は前立腺がんなどの発がん、そしてメンタルダウンといった病気の大きなリスク因子になることがわかっています。ただ、これを解消するにはまず、睡眠の重要性を理解し、トータルの睡眠時間を確保する強い意志を持つ必要があります。

不眠には寝つきの悪い「入眠障害」、眠りが浅く途中で何度も目が覚める「中途覚醒」、早朝に目が覚めてしまう「早朝覚醒」、ある程度眠ってもぐっすり眠れたという満足感(休養感)が得られない「熟眠障害」の4つのタイプがあります。これらが夜間に1カ月以上にわたって続き、日中に倦怠(けんたい)感、意欲低下、集中力低下、抑うつ、頭重、めまい、食欲不振などが続いていると認められると、不眠症と診断されます。

ただ、日本人の働く世代の場合、トータルの睡眠時間の確保がまずできていません。National Sleep Foundation(米国国立睡眠財団)では、昼夜合計の睡眠時間を働き盛りの18~64歳でも7~9時間必要と定義しています[注1]。ところが日本はOECD加盟国の中でも睡眠時間は最下位です[注2]。

こうした睡眠時間を確保した上で、日中起きている時間帯にまったく眠くならないのが、十分な睡眠が取れているという状態。電車で座ったら眠くなるようでは足りていないわけです。睡眠時間が足りなければ起きている時間のパフォーマンスは落ちますし、眠いから変な時間に昼寝もする。すると寝つきが悪くなるという悪循環で、不眠症のグループに入っていく可能性があります。

日本の女性の場合、働いて子育てをして介護をして…と役割が多いことが指摘されており、男性より女性のほうが睡眠時間を確保できていません。特に更年期の世代は役割が多いだけでなく、実は20代、30代、40代と積もり積もってきた睡眠不足も大きいわけで、これらがメンタルダウンに大きく影響を及ぼしていると言っても過言ではないでしょう。

[注1]「How Much Sleep Do We Really Need?」https://www.sleepfoundation.org/how-sleep-works/how-much-sleep-do-we-really-need

[注2]OECD(経済協力開発機構)の「Gender Data Portal 2019」の調査では日本人の睡眠時間はOECD加盟国中最下位

更年期症状の対策には大豆製品が有効? そうとは限らない理由を医師が解説

「更年期には大豆イソフラボンがいい」とか「エクオールが効果的」と聞いたことはありませんか? そもそも大豆イソフラボンやエクオールとはどういうものなのでしょう。 漠然と知っている栄養素がどのように体に作用し、どんな効果が期待できるのか、産婦人科医の高尾美穂さんの著書『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】』(世界文化社)から紹介します。

* * *

大豆製品が好きな人は更年期症状が軽い?

大豆や大豆製品を積極的にとっている人は、そうでない人と比べて更年期症状が軽いというデータがあるそうです。特にホットフラッシュや肩凝りといった不快症状に効果があるといわれています。さらに、目尻のシワの改善など美容効果も期待できると聞くと、思わず身を乗り出したくなってしまいますね。

大豆には美容効果も?(Ph/Photo AC)© 8760 by postseven 提供 大豆には美容効果も?(Ph/Photo AC)

女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボン

大豆イソフラボンが女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをするというのを聞いたことがあるかたは多いと思います。更年期の不調はエストロゲンの分泌量が減っていくのが原因ですから、同じような働きをする大豆イソフラボンを摂ると症状が改善することが期待できます。

ただし、高尾さんによると、大豆イソフラボンは、そのままでは効果が出ないことが最近の研究でわかってきたそうです。

大豆イソフラボンが変換されるエクオールに効果!

腸内でイソフラボンから作られるエクオールがカギ!(Ph/Photo AC)© 8760 by postseven 提供 腸内でイソフラボンから作られるエクオールがカギ!(Ph/Photo AC)

実は大豆イソフラボンではなく、大豆イソフラボンを材料に腸内細菌の働きで作られるエクオールという成分に効果があるのだといいます。このエクオールが女性ホルモンと似た働きをして、更年期症状を和らげてくれるのだそうです。

ちなみに食品に含まれる大豆イソフラボンの量は、納豆1パック(50g)で36.8mg、豆乳200mlで51.1mg、豆腐200g(3/2丁)で40.6mg、きな粉大さじ1(7.5g)で20.0mgだといわれています。

約半数の人がエクオールを作れないという事実

更年期の女性の味方となるエクオールですが、実はエクオールを生み出す腸内細菌は、すべての人の腸の中にいるわけではないと高尾さんは語ります。

腸内でエクオールを作れるのは中高年女性の約5割

日本人の中高年女性でエクオールを作れるのは、約5割だといわれています。あとの約5割の人は、せっかく大豆製品を食べても自力でエクオールを産生することができないそうです。

検査キットで簡単にわかるエクオール産生能

エクオールが作れる体質かどうかは簡単に検査できる!(Ph/Photo AC)© 8760 by postseven 提供 エクオールが作れる体質かどうかは簡単に検査できる!(Ph/Photo AC)

自分がエクオールを作り出せるかどうかは、尿検査で簡単にわかるのだそうです。手軽な検査キットが売られていますので、気になる人は調べてみるとよいでしょう。ただし、産生能(自力で作り出せる人) がある人でも、直近で大豆製品を摂取していないと低いレベル結果が出ることがあるので、検査の数日前から積極的に納豆や豆腐などの大豆製品をとるようにするといいそうです。2回ほど検査すると、より正確な結果が出るといわれています。

この検査では尿中のエクオール量を5段階で評価し、3段階のLevel. 3以上であればエクオール産生能があるとされます。理想的なエルオール生性能は、Level.4以上とのことです。

エクオールを作れない人はサプリで補うことも

検査でエクオールが作れないとわかった人や作れても量が低い人は、大豆から作られたエクオールのサプリメントも市販されているので検討してみるのもいいでしょう。

低脂肪で良質なたんぱく質として優れる大豆食品

大豆食品を摂って健康的な生活を!(Ph/Photo AC)© 8760 by postseven 提供 大豆食品を摂って健康的な生活を!(Ph/Photo AC)

大豆食品は大豆イソフラボンを含むというメリット以外に、低脂肪で良質のたんぱく源としても優れています。高尾さんは、エクオールが作れない人も、健康のために毎日バランスよく食べることを推奨しています。

具体的には、1日50~75mgのたんぱく質を摂ることが目標とされているというので、たんぱく質食材の1つとして積極的に食事に取り入れるのがおすすめです。

◆教えてくれたのは:産婦人科専門医・高尾美穂さん

産婦人科医の高尾美穂さん© 8760 by postseven 提供 産婦人科医の高尾美穂さん

女性のための総合ヘルスクリニックイーク表参道副院長。医学博士。スポーツドクター。ヨガドクター。東京慈恵会医科大学院修了。同大学附属病院産婦人科助教を経て2013年より現職。「すべての女性によりよい未来を」をモットーに、医療・ヨガ・スポーツの3つの活動を通じ、専門的な知識をわかりやすく伝える啓蒙活動に精力的に取り組む。テレビや雑誌、イベントなどで幅広く活躍するほか、YouTube「高尾美穂からのリアルボイス」を毎日更新。著書に『超かんたんヨガで若返りが止まらない』(世界文化社)など。

更年期のサインとは?親の介護がきっかけも。医師が教える更年期のための準備

イライラや神経過敏が増えて、もしかして更年期?と不安になることはありませんか? 女性がよりよく歳を重ねていけるよう“転ばぬ先の杖”を提供したいと語る、産婦人科医・高尾美穂さんの著書『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】』(世界文化社)から、更年期の始まりについて学びます。

40歳を過ぎたら更年期の準備をすることが大切

「更年期は閉経の前後5年間を指しますが、実際に閉経してみないと自分がいつから更年期に入ったかはわかりません」と高尾さんは語ります。

「更年期の始まりは、最後の月経から5年逆算してわかるものです。日本人の平均的な閉経年齢は50歳~51歳の間で、個人差がありますから40歳を過ぎたら『もう更年期の不調もありえるかも?』と考えて準備しておくことが大切です」

更年期の始まりのサインは月経不順

更年期に入っていることを示すもっともわかりやすいサインは、月経周期の乱れだと高尾さんはいいます。

規則的だった月経が何か月もこなかったり、逆に半月くらいできたり、経血量が以前より増えたり減ったりと人によって乱れ方はさまざまなのだそうです。心あたりがある人は、そろそろ更年期の始まりかもしれません。

疲れや老化を感じ始めることも

月経不順のほか、若い頃にはあまり感じることのなかった疲れや老化を意識し始めるのも更年期に入ったサインなのだと高尾さんは語ります。

だるさや疲れやすさ、肩凝り、イライラ。以前より感情の起伏が激しくなったり、太りやすくなったりするなど、フィジカルとメンタルの両面で不安定になりがちなのだそうです。また、白髪や老眼の悩みが出てくるのもこの頃だといいます

体、心、環境の変化が更年期症状を引き起こす要因

女性の40代は、人生の成熟期であり曲がり方でもあると高尾さんはいいます。

キャリアを積み重ねた人が体力の衰えで若い頃のように頑張りがきかなくなることもあるし、晩婚・晩産で出産した40代が、育児に邁進するケースも珍しくありません。一方で、子供が思春期に差しかかって反抗期を迎えたり、成長した子供が自立して夫婦2人だけの生活に戻る人もいます。親の介護が始まるケースもあるでしょう。

このような環境の変動が、更年期症状を引き起こす大きな要因なのだそうです。

女性のための総合ヘルスクリニックイーク表参道副院長。医学博士。スポーツドクター。ヨガドクター。東京慈恵会医科大学院修了。同大学附属病院産婦人科助教を経て2013年より現職。「すべての女性によりよい未来を」をモットーに、医療・ヨガ・スポーツの3つの活動を通じ、専門的な知識をわかりやすく伝える啓蒙活動に精力的に取り組む。テレビや雑誌、イベントなどで幅広く活躍するほか、YouTube「高尾美穂からのリアルボイス」を毎日更新。著書に『超かんたんヨガで若返りが止まらない』(健康美活ブックス)など。


【医師監修】思考を妊活から解放しよう|不妊で悩む女性のためのヨガとセルフケア#1

© Interspace.Co.,Ltd.

不妊で苦しい時の「心のケア」について考えよう

結婚したら子どもはきっと自然と授かるもの。男の子、女の子、どっちがいいなか?ふたり欲しいな。人それぞれ「理想の家族」のイメージを持っています。

そろそろ子どもが欲しくなり妊活をスタートしたものの、なかなか授からない。「まさか自分が不妊???」と思い始めたときから見る世界が変わり始めます。不妊治療に足を踏み入れると「妊娠したい!」「一日も早く結果を出したい!」と焦ったり、「本当に妊娠できるのかな・・・」と不安になったり、妊娠に向けてあらゆる方法をトライするようになります。

そのとき注意したいのはメンタルヘルスです。感情は月経周期のバイオリズムに比例して「期待」と「不安」に揺らぎ、ストイックになるあまり視野が狭くなったり、治療を優先して「心」は置き去りになり、深刻な状態になっていることに気づかないケースもあります。

国立成育医療研究センターの調査では「体外受精などの高度不妊治療を受ける女性の約半数が治療開始初期の段階ですでに軽度以上の抑うつ症状があり、不安の高まりや QOL の低下が見られる」という調査報告が出ています。

「ストレスが妊娠によくないことは理解していても、どう対処すればいいか分からない」と相談を受けることがありますが、リラックスしましょう、と言われると「妊娠するためにリラックスしなくては!」と力が入ってしまうのです。過度の緊張状態は呼吸を浅くし、体をこわばらせ、気力、体力を奪い、さらに妊娠を遠ざけてしまうのではないかと感じています。

思考を妊活から解放するには?

妊娠のことで頭がいっぱいになっているときは、自分でもがんばっていることに気づきづらいものです。何かに没頭して気持ちを妊活から解放する時間を持つことも心を守るひとつの方法です。

そんなときおすすめしたいのはヨガです。はやる気持ち、何とか現状を変えたい気持ちを、体を動かして昇華させてから思考を妊活からリリースして心の状態を整えていきましょう。

妊活 ヨガ© Interspace.Co.,Ltd. 妊活 ヨガ

それでは、妊活・不妊治療中の心身をバックアップするヨガはどんなことが期待できるのでしょう。

体(フィジカル)面で期待できること

  • 基礎体力向上
  • 冷えの改善
  • 体幹(インナーマッスル)強化
  • デトックス効果
  • 体のバランス調整
  • 血流促進 など

心(メンタル)面で期待できること

  • 不安や焦りの緩和
  • リラックス効果
  • 睡眠の質の上昇
  • 妊娠に必要なホルモン分泌の促進
  • 生理痛の緩和 など
 

生理周期に合わせて無理なく取り入れる

排卵前(卵胞ホルモン)© Interspace.Co.,Ltd. 排卵前(卵胞ホルモン)

【卵胞期】月経~排卵 ホルモンはエストロゲンが分泌

月経が終わり、排卵に向ける時期は体が軽くなり代謝が高まります。じんわり汗をかく程度の運動量で体も心もリフレッシュ。生殖器官と密接に関わる腰のケアを重点的に行い、普段の姿勢から意識して体のバランスを整えましょう。

排卵後(黄体ホルモン)© Interspace.Co.,Ltd. 排卵後(黄体ホルモン)

【黄体期】排卵~次の生理または妊娠 プロゲステロンが分泌

体に水分をためやすく気分が敏感に。過剰なストレスは妊娠に必要なホルモン分泌を阻害するため、ゆったりした呼吸を取り入れながら、体を気持ちよく伸ばすポーズ・呼吸・瞑想法などの体と心をゆるめる練習で休息する時間をつくります。

 

女性の一生に欠かせないセルフケア

もちろん「妊娠」だけのために行うのではありません。

「妊娠」 → 「出産」 → 「産後」→「更年期」→「シニア」と続く心身のケアです。妊娠したらマタニティヨガではなくて妊活中からセルフケアをおすすめしたいです。

 

ライター/わたなべまさよ

妊活ヨガセラピスト(不妊ピアカウンセラー・ヨガ講師)不妊体験者を支援するNPO法人Fineスタッフ。長期の不妊治療で心と体のバランスを崩したところ、毎日実践したヨガで回復。その後妊活をサポートする側にシフトし、自治体、病院などで講演やヨガとカウンセリングを併用した妊活ヨガセラピーを行っている。「おやすみ前のリラックスヨガ」22時から20分間Zoomで土曜日をのぞく毎日開催。LINE登録で1ヶ月体験無料。詳しくはホームページ まで

医師監修/一倉絵莉子先生

産婦人科医(六本木ヒルズクリニック)日本産科婦人科学会専門医、日本女性医学学会会員。日本大学医学部卒業。川口市立医療センター、北里大学メディカルセンター産婦人科等に勤務。

わたなべまさよ

不妊ピアカウンセラー・ヨガ講師・不妊体験者を支援するNPO法人Fineスタッフ。長期の不妊治療で体と心のバランスを崩したときに毎日実践したヨガで回復。その後妊活をサポートする側にシフトし、自治体、病院などで妊活講座の講師やヨガとカウンセリングを併用したヨガセラピーを行っている。

激しい生理痛を引き起こす子宮内膜症 原因や症状、セルフチェック

つらい月経痛・生理痛を引き起こす「子宮内膜症」とは

子宮内膜症とは

月経・いわゆる生理のある女性の10人に1人が発症するといわれる「子宮内膜症」は、生理と深い関わりがあります。子宮の内膜を覆う子宮内膜は毎月、妊娠に備えて増殖して厚くなり、妊娠しないと血液とともに月経血として体外に排出されます。これが生理です。

子宮内膜症とは

ところが、月経血が子宮内を逆流して、卵巣の表面、直腸やぼうこうと子宮の間などの子宮以外の場所に小さな固まりになって付着することがあります。そうした状態が続くと、子宮内膜に似た組織(子宮内膜症組織)が増殖して「子宮内膜症」を発症します。月経血の逆流は、90%以上の女性に起こっていますが、必ず子宮内膜症になるわけではありません。現在のところ、子宮内膜症を発症する人としない人のどこに違いがあるのかははっきりしていません。

子宮内膜症の2大症状は「痛み」と「不妊」

子宮内膜症の主な症状は「痛み」と「不妊」です。痛みや不妊は日常生活や仕事に大きな影響を及ぼすだけでなく、その方の人生にも関わる大問題です。自分は大丈夫と思い込まず、まずはご自身でセルフチェックすることが大切です。

子宮内膜症の症状セルフチェックとリスク

子宮内膜症の症状とリスク

子宮内膜症の症状をセルフチェックしてみましょう。子宮内膜症では、「激しい生理痛」「以前より生理痛がひどい」「痛み止め(鎮痛薬)が効きにくい」「痛み止め(鎮痛薬)の量が増えた」「生理のとき以外にも腹痛がある」「排便時に痛みがある(排便痛)」「なかなか妊娠しない」などの症状が現れます。1つでも当てはまると子宮内膜症の可能性があります。

子宮内膜症は月経血の逆流が原因であるため、生理の回数を多く経験するほど発症のリスクが増えます。そのため、最近の「初経の低年齢化」「初産年齢の高齢化」「妊娠・出産回数の減少」もリスクになります。

子宮内膜症の影響1 強い生理痛や腰痛

子宮内膜症の影響

子宮内膜症が発症した場所では、子宮内膜症組織が増殖することで出血や炎症を繰り返します。そのような炎症は、子宮を強く収縮させるプロスタグランジンという物質の分泌を増やし、強い生理痛の原因になります。また、子宮内膜症組織と子宮周辺の臓器の癒着による引きつれや炎症によっても痛みが起こります。そのような痛みは、内臓の神経を介して伝わるので、下肢部全体の痛みや腰痛として感じられます。また、子宮内膜症組織が直腸と子宮の間にできると、排便痛や性交痛が生じます。

子宮内膜症の影響2 不妊

子宮内膜症でも、軽症であれば自然に妊娠できます。しかし、子宮内膜症によって卵管の周囲に癒着が起こると、卵管が卵子を取り込めなくなって、受精ができなくなります。また、癒着がなくても炎症があるだけで子宮の周囲の環境が悪くなり、妊娠しにくくなると言われています。さらに、卵巣に子宮内膜症ができる「卵巣チョコレートのう胞」不妊と関係があります。

卵巣チョコレートのう胞 不妊と卵巣がんの関係は?

卵巣チョコレートのう胞

卵巣にできた子宮内膜症組織から出血した血液が卵巣内にたまり、水分が吸収されて濃縮して古くなると、溶けたチョコレートのようになるのが、卵巣チョコレートのう胞です。卵巣チョコレートのう胞になると、卵巣で卵子が育ちにくくなったり、卵巣と卵管の癒着によって卵管の動きが悪くなったり、排卵した卵子を取り込むことができなくなったりするために、不妊になる可能性が高まります。

また、卵巣チョコレートのう胞は、卵巣がんの発生にも関係しています。子宮内膜症はもともと良性ですが、卵巣がんを発生する可能性が約1%*あるとされています。卵巣がチョコレート様の内容液にさらされる期間が長いほど、また年齢が高くなるほどがん化する可能性が高まります。
※kobayashi H,et al.Int J Gynecol Cancer.2007

子宮内膜症の治療のポイント

子宮内膜症 治療のポイント

治療の優先順位は、自分のライフステージによって変わります。例えば、未婚ですぐに妊娠を希望しない人であれば、痛みの緩和治療が中心となります。妊娠・出産を希望する場合は、痛みの緩和とともに妊娠率の向上のための治療を行います。高齢の場合や、妊娠・出産を希望しないのであれば、痛みの緩和とともに卵巣チョコレートのう胞のがん化を予防する治療を検討します。

目的別の治療法1 痛みをとりたい

目的別の治療法1 痛みをとりたい

痛み止め(鎮痛薬) 漢方薬

一般的に痛み止め(鎮痛薬)と漢方薬を使用します。ただし、病気の原因ではなく、症状の治療なので、子宮内膜症の進行を抑えることはできません。

ホルモン療法

子宮内膜症の病巣を治療するためには、まず低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(低用量ピル)や、黄体ホルモン薬を用います。使用することで月経の量が減り、生理痛も軽くなります。

低用量ピルは、生理痛に対して健康保険の使用が認められているため、子宮内膜症が明らかではない初期の段階から使うことができます。低用量ピルや黄体ホルモン薬は、排卵は抑えますが、血液中のエストロゲンの濃度は低くならないので、若い女性でも長期間にわたって使用することが可能です。これらのホルモン薬でも痛みが改善しない場合には、卵巣機能を止めて閉経状態にするGnRHアゴニストが必要になることもあります。

手術

ホルモン療法でも痛みが治まらない場合は、子宮内膜症組織ができている部分を取り除いたり、臓器と臓器の間に癒着している子宮内膜症組織を剥がしたりするなどの手術を検討します。手術をしても、生理がある間は高い確率で再発しますので、手術後にホルモン療法を行って再発を予防します。

目的別の治療法2 妊娠・出産したい

目的別の治療法2 妊娠・出産したい

痛み止め(鎮痛薬)や漢方薬で痛みをおさえながら、できるだけ早く妊娠することを目指すことになります。ただし、結婚して1年以上たっても妊娠に至らない場合や、高齢で早期の妊娠を希望する場合には、卵管周囲の癒着を剥がしたり、正常な卵巣の組織を残して卵巣チョコレートのう胞を取り除くなどの手術を検討します。手術の後に妊娠しない場合には、不妊治療を行います。

目的別の治療法3
卵巣チョコレートのう胞のがん化を防ぎたい

目的別の治療法3 卵巣チョコレートのう胞のがん化を防ぎたい

がん化する心配がそれほどない若い人はホルモン療法を行いますが、卵巣チョコレートのう胞が急激に大きくなったときには手術を検討します。また、40歳以上になって、卵巣チョコレートのう胞が4cm以上の場合、手術を検討します。妊娠を希望する場合は、病巣部だけを切除して卵巣は残します。状態によっては卵巣ごと切除することもありますが、もう1つの卵巣が残っていれば妊娠は可能です。

妊娠を希望しない場合、がん化する危険が高まる40歳以上の人、癒着がひどい人、手術後に再発した人などは、卵巣ごと切除することがあります。

激しい生理痛や不妊などの症状があれば受診を

「子宮内膜症」は、強い痛み不妊などの症状によって生活に大きな支障を及ぼしますが、適切な治療をすることで改善できる病気です。早期の子宮内膜症であれば、副作用の少ない薬物療法で対応できますが、進行すると手術も必要になります。子宮内膜症の症状に1つでも当てはまるものがあるときには、我慢せずに、できるだけ早く産婦人科婦人科を受診しましょう。

更年期のメンタルヘルスを健やかに保つために|更年期からのホルモンバランスを整える3つの知恵


ホルモンと幸福感の関係

ホルモンは私たちを幸せにするために重要な役割を果たしています。ホルモンバランスが整っていれば、心は平和で満足感に満ちています。けれども、ホルモンバランスが崩れると、ストレスを感じたり、イライラしたり、落ち込んだりすることがあります。更年期は、多くの人が精神的に不安定になる時期であり、それはホルモン値の変動と関連している可能性があります。しかし、これらの問題や症状を薬やホルモン療法で解決しても、根本的な問題には対処できません。アーユルヴェーダの観点からみると、ホルモン値の乱れは、すでに身体と心の中に存在するアンバランスの結果なのです。しかし、これらのバランスの乱れを自然に解消することは可能です。

更年期におけるホルモン値の変化

更年期になると、卵巣から分泌されるエストロゲンとプロゲステロンの量が減り、ホルモンの分泌量が自然に変化します。それを補うために、副腎と脳が十分なエストロゲンを供給するようになります。

しかし、副腎や脳が消耗していると、卵巣からの変化に容易に対応できません。そうすると、体内のストレスが高まり、免疫力や活力の素である「オージャス」が減少します。最終的には私たちを消耗させ、メンタルヘルスにも影響を及ぼします。では、なぜこのようなバランスの乱れが起こるのでしょうか。

アーユルヴェーダでは、ホルモンバランスの乱れやメンタルヘルスの問題の多くは、消化の火である「アグニ」の弱さが関係していると考えられています。

ホルモンバランスは腸内環境にも影響するので、消化がうまく機能していればホルモンバランスも安定します。つまり、アグニ(消化の火)の働きが、ホルモンのバランスを整えることにつながるのです。そして、ホルモンのバランスは、精神の安定につながります。

では、ホルモンバランスを整えるためにはどうすればよいのでしょう?

ホルモンバランスを整えるために最も重要なことは、アグニ(消化の火)をケアすることです。ここでは、消化機能を高め、ホルモンバランスを整え、健康で明晰な心を楽しむための3つのヒントをご紹介します。

1. 自然のリズムに合わせる:

人間には、太陽の自然の光に反応する体内時計があり、これを「概日リズム」と呼びます。太陽が昇ると、体の機能が活動的になる様々なホルモンが分泌されます。また、夜になると、体は徐々に休息と回復モードになります。そのため、夜10時までに寝て、朝6時までに起きると、1日の中で最もエネルギーを使うことができ、心身ともに最高の癒しを得ることができます。

2. 呼吸法、瞑想、ヨガのアーサナの実践:

ストレスはアグニ(消化の火)を乱し、オージャス(生命力と免疫力)を奪います。日常生活の中で、自分のためのリラックスできる時間を作りましょう。

3. 寝る前の電子機器の使用を避ける:

電子機器の使用は、私たちの概日リズムと重要なホルモンの分泌を乱します。テレビやスマホなど心を麻痺させるような行動を控えましょう。

私たちのメンタルヘルスは、体内のホルモンのバランスに直接関係しています。ホルモンのバランスは、健康的な消化機能と関係しています。ホルモンのバランスを保つためには、消化のケアをする必要があるのです。

更年期は、ホルモンの変化が自然に起こる人生の一時期ですが、だからといって、精神的にも肉体的にもネガティブな影響を受けることはありません。身体と心のバランスが整っていれば、人生の新たなステージを楽しく、楽に、穏やかに迎えることができます。アーユルヴェーダとヨガは、更年期以降の人生を楽しく過ごすためのツールを提供してくれます。

マイラ・リューイン

アーユルヴェーダとヨガを30年以上学び実践する。何千人ものクライアントが本来の自然なバランスのとれた健康を取り戻し、依存症や摂食障害、自律神経失調症をはじめとする数々の問題を克服するのを支えてきた。ニュージーランドを拠点とするHale Pule アーユルヴェーダ & ヨガの創設者・代表として、この2つの変容の科学を学び癒しを得るための幅広い機会を提供する。その内容は、アーユルヴェーダ・ヘルス・コンサルテーションからヨガ・アーユルヴェーダ指導者養成コースにいたるまで多岐にわたる。栄養学とアーユルヴェーダの2方面からコンディションづくりをサポートする食事と、ヨガのクラスが愉しめる今最も注目のコンセプトショップ「THE_B」にて、アーユルヴェーダメニューを監修。

更年期の悩みに!あずきに含まれるイソフラボンが効果的なワケと一緒にとりたい食材

更年期など多くの人が抱えている女性ならではの悩み。薬に頼りたくないという人は、食事の内容を意識することから始めてみてはいかがでしょうか。女性の健康は、女性ホルモンによって大きく影響を受けます。

年齢とともに分泌が減っていきますが、女性ホルモンのバランスを整えるには、あずきに多く含まれているイソフラボンが有効なのだそう。

そこで、医師・石原新菜さんが監修を務める『血圧・血糖値を下げる!やせる!煮あずきパワー』(宝島社)で“あずきパワー”について学びましょう。あずきなどの豆類に含まれるイソフラボンの効果や、あずきと合わせて効果アップが期待できる食材、そして、おすすめレシピを紹介します。

女性ホルモンの減少が関わる疾患などをあずきでケア
更年期障害などの婦人系疾患や、骨粗しょう症、認知症には、女性ホルモンの減少も関係しています。

◆女性ホルモンの代わりにイソフラボンが働く

女性ホルモンが減少すると生理不順や更年期障害などの婦人科系の疾患のほか、骨からカルシウムが溶け出すのを防ぐ作用のあるエストロゲンの不足によって骨粗しょう症のリスクも高まります。

あずきや大豆などの豆類に多く含まれているイソフラボンは、植物性のエストロゲンとも呼ばれ、不足した女性ホルモンの働きをカバーしてくれる栄養素です。

◆イソフラボンは女性ホルモンの調整にも活躍

女性ホルモンが過剰になった場合は婦人科系のがんのリスクが上がりますが、イソフラボンは女性ホルモンと同様の働きをするだけではありません。

女性ホルモンのバランスを整える作用があるため、女性ホルモンの減少からくる病気には女性ホルモンの代わりになり、女性ホルモンの過剰からくる病気には女性ホルモンを減らすことで予防する働きをします。

◆ホルモンバランスを整える食材
あずきと組み合わせるのにおすすめの食材が、血行を促し、婦人病に効くと言われている大根の葉や婦人科系疾患を予防するのに効果的なごぼうです。ごぼうには女性ホルモンの分泌を促し、体を温める効果があります。そのほか、おからや豆腐、豆乳などの大豆製品も合わせて積極的にとるといいでしょう。

「あずきたっぷり麻婆豆腐」のレシピ
こちらは豆腐を使い大豆からもイソフラボンを摂ることができます。ほてりやのぼせの改善が期待できるレシピ。

◆《材料》(2人分)

塩あずき…1/4カップ 豚ひき肉…70g 白ねぎ…10cm しょうが…1かけ 絹ごし豆腐…1丁 小ねぎ…少々 ごま油…小さじ1 赤とうがらし(好みで)…1本 花椒(好みで)…小さじ1 水…1/2カップ 片栗粉…大さじ1~2(同量の水で溶く)
【A】酒…大さじ1 オイスターソース…大さじ1 しょうゆ…大さじ1

※塩あずきは、150g分の乾燥あずきをゆでたものに、小さじ1/4の塩を加えて混ぜたもの。

◆《作り方》

【1】白ねぎとしょうがはみじん切りにする。絹ごし豆腐は軽く水気をきり、食べやすい大きさに切る。
【2】フライパンにごま油を熱し、中強火で白ねぎとしょうがを炒める。香りがたったら豚ひき肉を入れ、全体をほぐしながら肉の端がカリッと焼けて香ばしい香りがしてくるまで炒める。

辛いのが好きなかたは、種をとった赤とうがらし、花椒も加えてよく炒める。
【3】【A】で味つけをし、水を加える。煮たったら豆腐と塩あずきを加え、ふつふつとしてきたら水溶き片栗粉でとろみをつける。器に盛り、小口切りの小ねぎを散らす。

◆教えてくれたのは:イシハラクリニック副院長・石原新菜さん

いしはら・にいな。医師。日本内科学会会員、日本東洋医学学会会員、日本温泉気候物理医学会会員。1980年生まれ。2000年帝京大学医学部に入学し、2006年の卒業後は同大学病院で2年間の研修医期間を経て、父・石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法などにより、種々の病気の治療にあたっている。著書に『病気にならない蒸しショウガ健康法』(アスコム)など。

レシピ考案/田内しょうこ

痛み止めを飲みすぎるとクセになる?医師に聞く生理痛のリアル

不調を抱える人も多い、生理。でも、その悩みは人によってさまざまです。ここでは、意外と知らない基本知識などについてご紹介。生理のお悩みについて、産婦人科医の宋美玄さんに教えてもらいました。

生理の悩みはさまざまです(※写真はイメージです)

女性の体の悩みに寄り添う「フェムテック」って?
それまでは一人で抱えたりすることが多かった女性特有のお悩み。昨今、新しい常識があるようです。

●女性の健康の悩みに応えるフェムテックが目指していること
フェムテックとはFemale(フィメル/女性)とTechnology(テクノロジー)をかけ合わせた言葉で、女性の体の悩みを解決するための商品やサービスのこと。ヨーロッパ発の概念ですが、ここ数年日本でも注目を集め、生理周期の管理アプリから、生理を快適に過ごすためのアイテム、妊娠・出産にまつわるオンライン健康相談サービス、更年期のホルモン検査キットなど、さまざまな商品が話題になっています。

【ESSE読者がフェムテックで解消したいと思う悩み】
読者500人にアンケート(複数回答可)を取ったところ、解消したい悩みの上位は生理のときの不快感、更年期障害についてでした。

・生理痛や生理の不快感 232人 ・更年期障害 174人 ・生理周期の不順 79人 ・性交痛や性交時の違和感 41人 ・とくになし 18人

【フェムテックは幅広い領域をカバー】
生理/月経カップや吸水性ショーツ、オーガニックコットンナプキンなど

更年期障害/不調軽減のための漢方薬、サプリメント、オンライン更年期相談サービスなど

産後ケア/オンライン健康相談サービス、骨盤底筋トレーニング商品、サプリメントなど

妊娠・不妊/月経周期管理アプリ、妊活のための子宮口キャップ、葉酸サプリメントなど

セクシャルウェルネス/性交痛軽減アイテム、ジェル、セックストイなどのセルフプレジャーアイテム

●生理に関する悩み
生理にまつわるESSE読者の悩みに、産婦人科医の宋美玄さんが答えてくれました。
今さら聞けない?生理の基本

Q.痛み止めは飲みすぎるとクセになる?
A.ガマンはNG! 痛みを感じたらすぐ飲む方が効きめが早い! 健康な人であれば月に数回飲む程度はまったく問題ないので、無理せず薬に頼って。薬を飲んでから効くまでに時間がかかるため、痛みを感じたらガマンせず、早めに飲みましょう。

Q.出産や加齢でどんな変化が起きる?
A.生理痛などが軽くなるといわれているが、逆のことも。 一般的には生理が軽くなるといわれますが、重くなることも珍しくありません。困難を感じたら迷わず受診を。ピルの処方や、ミレーナなどの避妊リングで症状を軽減できます。

Q.経血量はどのぐらいが普通?
A.1周期の量には個人差が。多いときには要注意! 標準的な量は1周期の合計で20~140ml。人によっては周期でばらつきがある場合もあります。ナプキンが1時間もたないなど量が多い場合は疾患の恐れもあるので、婦人科へ。

Q.生理前の気分の落ち込みやイライラへの対処法は?
A.妊活中でなければピルの服用も考えて! 生理前の不調はホルモンバランスの影響なので、妊活中でなければ婦人科でピルを処方してもらうのも一案。予定をつめすぎずリラックスしたり、漢方薬を服用するのも効果的。

<撮影/取材・文/ESSE編集部>

●教えてくれた人 【宋美玄さん】
丸の内の森レディースクリニック院長、ウィメンズヘルスリテラシー協会代表、産婦人科医、医学博士。さまざまな女性の体の悩み、妊娠・出産、セックス、女性の性などについて女性の立場からの啓蒙活動を行う。

私の生理、大丈夫?量や血のカタマリなど…受診の目安って?【産婦人科医が教える、今どき生理の基本#4】

第4回目は、生理のときの血のカタマリや経血の量のお話。

生理の出血は「かさぶたがはがれる」のと同じ?

カタマリがあっても、当たり前

カタマリで気にすべき目安は“500円玉以上”

量が多い“過多月経”、その判断基準は?

産婦人科医 高尾美穂

知らなきゃダメ!生理中に食べてはいけないもの・いい食べ物・摂りたい栄養素

【管理栄養士が解説】生理中に食べてはいけないもの、だめな食べ物・いい食べ物はあるのでしょうか? 生理中の生理痛だけでなく、生理前後の体調不良に悩む方は少なくありません。体調に合わせて上手に食べることも大切です。生理中に避けるべき食べ物、積極的に摂りたい栄養素・食べ物について解説します。


生理痛の原因・症状……食べ物で悪化・軽減することはある?

 女性なら誰でも毎月起こる生理。「その度、辛い思いをしている」という人も少なくありません。食事で生理の不快感を和らげる方法はないのでしょうか?


毎月起こる生理(医学的に正しくは「月経」「月経痛」ですが、一般的に「生理」と呼ばれることが多いため、以下「生理」「生理痛」と表記します)。生理前後の不調や生理痛などは、多くの女性が経験したことがあると思いますが、生理痛が起こる仕組みを説明できる方は少ないのではないでしょうか?

実は生理痛のメカニズムはまだ明らかになっていません。生活習慣と関連しているという説もありますし、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの不足や過剰、ビタミンB群の欠乏症など、諸説あります。近年、最も有力視されているのは、なんと男性ホルモンのアルドステロン分泌過剰説。ただし、エストロゲン、プロゲステロンのどちらが分泌を亢進しているのか不明であるなど、はっきりしない部分が残されているのです。

また、特に出産を経験していない女性の場合、子宮頚管が硬く内膣が狭いため、凝血が通過する際に痛みを訴えたり、子宮の個人差によって経血がスムーズに排泄できずに子宮内に滞りがちになってしまうことで、腹痛や腰痛を招いたりすることもあるといわれています。

今回は管理栄養士としての知識から、生理中の食べ物、食生活の注意点とポイントを解説します。


生理中に食べてはいけない食べ物・生理痛を悪化させる食べ物

このように、生理中はホルモンバランスや体の物理的な状態が通常時と異なっています。このような時に避けたほうがよい食べ物は以下のようなものが知られています。

体を冷やす食べ物
アイスクリーム、冷たい飲み物など、体が冷えて血流が悪くなり、経血がスムーズに排泄されず生理痛を悪化させてしまうことがあります。

■糖類の多い食べ物
クッキーやキャンディー、ケーキなど砂糖を多く含む食べ物はホルモンバランスが崩れて、生理痛がひどくなる恐れも。少しでガマンするか、フルーツ類を食べるようにしましょう。

■インスタント食品 
生理中に限らず、食べない方が望ましいのですが、添加物が多いため血流が悪くなり、生理痛が悪化すると考えられています。特に生理中は避けた方がよいでしょう。

■カフェインを多く含む飲み物
コーヒーや濃い緑茶、紅茶などのカフェインを多く含む飲み物には体を冷やす作用があります。体が冷えると生理痛が悪化しやすいので、ご注意を。
 

生理中に控えるべきダメな飲み物……飲酒・アルコールで貧血リスクも

生理中でも女子会やデートの誘いがあったら、参加したい気持ちもあるでしょう。もちろん、気分転換に参加するのもよいと思いますが、アルコールを飲むことで血流が促進され、経血量が増えてしまうことがあります。

経血量が増えることで貧血を起こしてしまうリスクがありますので、いつもよりも飲酒量は控えめにすることをオススメします。
 

生理中によい食べ物・栄養素……ビタミンB群・亜鉛など

生理中に積極的に摂りたい栄養素についてもお話ししましょう。

■ビタミンB群 
ビタミンB群にはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ナイアシン、ビオチンの8種類があります。これらのビタミンは体内で複雑に連携しあって働いています。どれか1つということではなく、日頃からまんべんなく摂取することが望まれます。これは生理中も例外ではありません。ビタミンB群は植物性食品に含まれているものが多いですが、ビタミンB12は動物性食品にしか含まれていません。動物性食品は太る、動物性食品はエストロゲンの分泌が増加して生理痛がひどくなる、などと考えて避けすぎると逆効果になります。気を付けてください。また、妊娠を希望している方にとっては、葉酸は特に大事な栄養素になります。詳しくは「男性もシニアも摂るべき葉酸…脳梗塞・認知症予防にも」をご覧ください。妊娠前から積極的に摂取するようにしてくださいね。

■亜鉛
不足すると「味覚障害」になることが知られている亜鉛ですが、ビタミンB6と協力してホルモンを活性化させる働きがあります。亜鉛は、貝類、赤身の肉、レバーなどに多く含まれています。

■カルシウム・マグネシウム 
カルシウムとマグネシウムが減少すると、イライラしやすくなると言われています。生理中の不快感で上位を占めるのは「憂鬱になる」「イライラする」「怒りっぽくなる」「無気力になる」などが挙げられます。これらを解消するためには、カルシウム、マグネシウムの力を借りるのが一番です。

カルシウムは牛乳などの乳製品に、マグネシウムは大豆製品や緑の野菜に多く含まれています。栄養素ではありませんが、「食事回数」が少ない人は、イライラなどの「気分の不快」を訴える人が増えるという統計もあるそうです。特に毎日、朝食を摂らない人は、イライラしたり、落ち着かないなど負の感情が強くなる人が多くなるようです。ちなみに、その研究では、睡眠習慣と生理中の気分の不快に関係はなかったとのことですから、しっかり食事を摂ることがいかに重要かお分かりいただけると思います。
朝食は、学業成績を上げたり、幸せな気分になったりと、よいことがいっぱいです。詳しくは「朝食抜きは絶対NG!その理由と朝食習慣化のコツ」「朝食効果は心の健康にも!朝ごはん習慣で幸福度UP」をご覧ください。ぜひ、朝食習慣を身につけるようにしてください。

毎月のことと分かっていながら面倒にも感じてしまう生理ですが、女性の営みとして大切なものでもあります。ぜひ、食生活などにも気を付けながら、快適に乗り切りたいものですね。

女性に多い膀胱炎(ぼうこうえん)の症状・原因・治療法

【医師が解説】働く女性や更年期の女性に多い膀胱炎。トイレを我慢したり、冷えやストレスを溜めたりすることで悪化するケースもあります。膀胱炎の症状・原因・治療法について、分かりやすく解説します。


女性に多い病気・膀胱炎の症状とは

膀胱炎はその名のとおり、尿をためる臓器である「膀胱」の粘膜に炎症が起こる病気で、大体は細菌によるものです。「女性の5人に1人は膀胱炎」という報告もあります。

特徴的な症状は「頻尿」と「痛み」。具体的には、

  • トイレに行ったばかりなのに、またトイレに行きたくなった
  • トイレに行っても行っても、まだ尿が残っている気がする
  • 尿の終わりに痛みがある

などの症状が特徴です。また、尿が白く濁ったり血が混じることもあります。熱は普通は出ません。

ただ、これは急性の膀胱炎の症状。慢性化すると、症状自体は急性膀胱炎ほど激烈ではなくなりますが、尿に白い浮遊物が混じったり、なんとなくすっきりしない感じがずっと続くといった症状になります。
 

膀胱炎の原因・女性に膀胱炎が多い理由

膀胱炎の原因は女性のカラダの構造や、冷えや疲れなどが挙げられます。まず、女性は尿道が4~5cm程度と男性に比べて1/3くらいの短さなので、細菌が逆行して膀胱に辿りつきやすいのです。

菌の種類としては自分の便の中にいる大腸菌が最多。また、女性は男性に比べて尿道口が肛門に近いので、いっそう細菌が膀胱に入るリスクが高まります。

もともと膀胱粘膜には細菌に対する防御力が備わっているので、普通、膀胱に細菌が入ってもすぐには膀胱炎にはなりません。しかしトイレを長時間我慢して膀胱が伸びきったり、長時間にわたって冷えたりすると、膀胱内の血流量が減って、防御機構が弱くなり、細菌が繁殖して膀胱炎になりやすくなるようです。ストレスなどで疲れて免疫力が落ちることでも、膀胱炎を発症しやすくなります。

更年期の女性に多いことも知られていますが、一因として、ホルモンの減少により、膀胱粘膜が薄くなり粘膜の下の組織が出血しやすくなるためなどといわれています。
 

膀胱炎の治し方・対処法

■水分をたっぷり取る
水分を取って尿量を多くすることで、細菌を早く体外に出すことができます。

■おなかを温める
冷えると症状が悪化するため、なるべくおなかを温めることも大切。

■病院に行って抗生物質を服用する
尿検査で菌の種類を調べてもらいましょう。前述したとおり、膀胱炎の菌は大体決まっているので、その菌を殺すための抗生物質を処方してもらい、数日間きちんと飲めばたいてい治ります。

また、2~3日で症状が軽快するのでその時点でお薬を飲むのを止めてしまいがちですが、細菌をある程度死滅させないと、再発を繰り返す可能性が高くなるので、きちんと処方された日数服用するようにしましょう。

より具体的な治療法、再発予防法については、「膀胱炎・尿道炎の治療法・予防法」をご覧下さい。
 

膀胱炎の再発予防法・注意点

膀胱炎は再発しやすく、「疲れると症状が出る」といったことが続くこともありますので、再発が気になる人は無理をしすぎないように気をつけましょう。

また、子宮筋腫など婦人科系の病気や、膀胱結石、尿道狭窄、膀胱がんなどの泌尿器科系の病気が隠れていることもあるので、あまりにしつこい場合は病院で相談してくださいね。

【知っておくことで予防できる】40代更年期以降、女性ホルモン「エストロゲン」不足が招く病気とは?

更年期に女性ホルモンのエストロゲンが減少すると、これまでのエストロゲンの恩恵に預かれなくなり、さまざまな病気や症状が起こりやすくなります。更年期障害はその代表ですが、それだけではありません。

エストロゲンの分泌が減少することで、骨、血管、泌尿生殖器、脳の病気、生活習慣病にかかりやすいので注意が必要です。更年期から注意すべき病気について紹介します。知っておくことで予防ができます!

エストロゲンの減少は骨に影響します!
まず、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が減ることで注意したいのは、骨量の低下です。エストロゲンは、骨からカルシウムが減らないようにする働きがあります。そのため、更年期になってエストロゲンが減少すると、骨密度が減り、骨粗鬆症になりやすくなります。若いときに、無理なダイエットをして骨量が減っている人は特に、要注意です。更年期になったら、定期的に骨密度測定をしておくことが大切です。

悪玉コレステロール、動脈硬化にも関係!
また、エストロゲンには、コレステロールの増加を抑えたり、血管へのダメージを減らし、動脈硬化をガードしたりする働きもあります。更年期前の女性が男性に比べて、生活習慣病になりにくいのは、エストロゲンのおかげだったのです。

ですから、エストロゲンの分泌が減少することで、LDL(悪玉)コレステロールが増え、動脈硬化になりやすくなります。更年期以降にかかりやすい生活習慣病は、心臓系と血管系。エストロゲンには脂肪を燃やす働きがありますが、エストロゲンが減少する閉経後は、太りやすく、やせにくい状態になります。

また、血圧が上がり、脂質異常症にもなりやすくなります。その結果、脳梗塞、脳溢血などの脳血管障害や狭心症、心筋梗塞などの心疾患を起こしやすくなるのです。

エストロゲンの減少がさまざまな病気を招く
このように、更年期になってエストロゲンの分泌が減少すると、エストロゲンの恩恵に預かれなくなります。エストロゲンのバリアが解けるため、さまざまな病気や症状が起こりやすくなるのです。

この時期に起こる不調が更年期症状だと思って、我慢をしていたら、病気によるものだったと言うことがあります。不調を感じたら、まず婦人科を受診して、それが更年期によるものかどうかをきちんと確認することが大切です。同時に、骨粗鬆症や生活習慣病もチェックしてもらうとよいでしょう。

また逆に、エストロゲンは良い作用だけではありません。長期間、エストロゲンが分泌され続けていると、子宮体がん、乳がんの発生率も急上昇します。更年期以降に、子宮体がんや乳がんが増えるのは、これまでのエストロゲンの分泌の積み重ねであるともいえるのです。

閉経後は、こんな病気にご用心!
閉経してエストロゲンの分泌が減少することによって、起こりやすい症状や病気をあげます。今から予防できることもありますので、リスクを知って対策を立てましょう。

◆骨粗鬆症
骨からカルシウムとたんぱく質が抜け、骨がスカスカになり折れやすくなる病気です。50歳前後の更年期から増え、60代後半では約半数の女性が骨粗鬆症と言われています。エストロゲンには骨を維持する働きがあり、これが低下することで発症しやすくなるのです。予防にはカルシウム、ビタミンDの摂取が大切。女性ホルモン補充療法(HRT)は骨粗鬆症の予防に有効です。*1

◆子宮下垂、骨盤臓器脱(子宮脱など)
子宮下垂は、子宮の位置が腟の中まで下がってきている状態。子宮脱は、子宮が腟の入り口まで下がったり外へ出てきてしまう状態です。子宮以外にも骨盤内の臓器が下がってくるのが骨盤臓器脱です。

特に、閉経後、子宮を支える骨盤底の筋肉が弾力を失い、緩んでしまうために起こりやすくなります。肛門や腟を引き締める骨盤底筋体操やトレーニングを行ない、予防することが大切です。*1

◆GSM (Genitourinary Syndrome of Menopause=閉経関連泌尿生殖器症候群)
閉経による女性ホルモンの分泌の低下によって生じる尿路生殖器の萎縮などの変化や、それに伴う不快な症状です。GSMは慢性で、かつ進行していく病態で、閉経以降の女性の約半数が罹患していると言われています。

症状は、外陰部の乾燥、灼熱感、かゆみのような外陰部の皮膚症状や、排尿困難感、頻尿や尿意切迫感、繰り返す膀胱炎などの尿路系症状。さらに性交痛、オーガズム障害、性交後出血といった性機能に関する症状もあります。外陰部、腟の保湿や骨盤底トレーニングほかさまざまなケアや治療法があります。*2

◆うつ症状
エストロゲンが低下すると、脳の神経細胞の力も低下してしまうため、精神状態も不安定になります。閉経すると、不眠、脱力感、憂うつなどのうつ症状が増強されます。更年期によって低下した女性ホルモンを補充するホルモン補充療法(HRT)でも改善できます。 *1

◆関節リウマチ、シェーグレン症候群
いずれも自己免疫疾患のひとつで、膠原病の一種。40代以降の女性に発症することが多く、原因はわかっていません。関節リウマチは関節に炎症が起き、関節がこわばり腫れて痛くなる病気。シェーグレン症候群はドライアイ、ドライマウスが起こり、鼻や腟などの粘膜も乾燥します。膠原病を専門とする内分泌内科などで治療をします。*1

◆糖尿病
女性は、更年期以降に増える病気です。エストロゲンが低下すると、中性脂肪、LDL(悪玉)コレステロールが増えやすくなり、血糖値、HbA1c値も上がり、糖尿病に繋がります。糖尿病の原因は、遺伝的体質、肥満、カロリー過多の食生活、運動不足、精神的ストレス。運動と食生活で肥満予防を心がけることは重要です。更年期障害の治療に使う女性ホルモン補充療法(HRT)には、中性脂肪を増やさない作用があります。*1

◆腰痛
骨を維持する働きをもつエストロゲンが減少することで、腰椎に負担がかかり、腰椎の軟骨が変化し、椎間板変性症などにかかりやすくなります。また、中性脂肪が増え、腰周りの筋肉が弱くなることも腰痛を起こす要因です。体重を減らし、骨や筋肉を鍛えることも大事。女性ホルモン補充療法(HRT)には、骨や筋肉を強くしたり、中性脂肪を抑えるなどの作用があります。*1

◆肩関節周囲炎(四十肩、五十肩)
肩関節周囲の組織が変化して炎症を起こします。エストロゲンの分泌の減少と老化で、骨や軟骨、筋肉が弱くなってきたことにより起こることが多い症状です。急な痛みには、冷やして安静にして、湿布薬や痛み止めで様子をみます。痛みが治まったら、ストレッチなどの運動を日ごろから心がけましょう。

◆動脈硬化症
血液中のコレステロールや中性脂肪が血管の壁に付着して、血管が狭くなったりもろくなったりして血液が流れにくくなることで起こります。更年期以降は、エストロゲンの分泌が減少することで、コレステロールや中性脂肪が増えやすくなるので注意が必要。

予防のために食生活に気をつけ、運動を心がけることが大切。更年期障害の治療で女性ホルモン補充療法(HRT)を行っていると、動脈硬化予防に有効というデータもあります。*1

◆高血圧症
更年期を迎えると、これまで正常血圧だった人も、高血圧になることが少なくなりません。エストロゲンの分泌の低下により、血管を守っていたバリアが解けたり、自律神経の働きの低下、肥満やストレスなども原因となります。

高血圧は動脈硬化の進行を早め、脳や心臓の循環障害も起こします。適度な運動と塩分に気をつけた食生活が大事です。できれば、生活習慣の見直しでコントロールします。*1

◆脂質異常症
血液中の脂質であるコレステロールや中性脂肪などが増加し、正常範囲を超えた状態を脂質異常症と言います。脂質異常症は放っておくと、動脈硬化、脳梗塞、脳出血、狭心症、心筋梗塞などの生命にかかわる重大な病気を起こします。エストロゲンが減少する更年期以降は、くれぐれも肥満にならないように要注意です。特に、動物性脂肪、糖質、アルコールの摂り過ぎ、運動不足には気をつけましょう。*1

◆乳がん
乳がんの原因には、女性ホルモンのエストロゲンが深くかかわっていることが知られています。初潮年齢が低い、閉経年齢が遅い、出産経験がない、初産年齢が遅い、授乳経験のないことなどが関係します。飲酒、閉経後の肥満、身体活動度が低いこともリスクに。また、体内にエストロゲンを加える経口避妊薬(OC)、閉経後のホルモン補充療法(HRT)は乳がんのリスクを若干、高めます。その

ほか、乳がんや卵巣がんになった血縁者が複数いる(遺伝性乳がん卵巣がん症候群の可能性)、良性乳腺疾患にかかったことがある、マンモグラフィで高濃度乳房であることも、乳がんのリスクを高めます。40歳から2年に1回の乳がん検診と、月1回のセルフチェックが大切です。*3

◆子宮体がん
子宮体がんは、エストロゲンの刺激が長期間続くことが原因で発生する場合と、エストロゲンとは関係ない原因で発生する場合があります。約8割は、エストロゲンの長期的な刺激と関係していると考えられています。エストロゲンが関係している子宮体がんには、肥満、閉経が遅い、出産経験がないなどの人に、リスクが高くなります。また、乳がんの治療でタモキシフェンという薬剤を使っていたり、ホルモン補充療法(HRT)も、子宮体がんのリスクになるとされています。40代から増え、50歳から60代が最も多いがんです。*3

◆卵巣がん
近年、増加傾向にあり、40代から増加を始め、50代から60代でピークを迎え、その後は次第に減少します。卵巣がんの原因には、複数の要因が関係していると言われています。

また、卵巣がんの約10%は遺伝性によるものと考えられていて、BRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子変異が発症する危険性を高めることがわかっています(遺伝性乳がん卵巣がん症候群の可能性)。

ほかには、排卵の回数が多いと卵巣がんになりやすいと考えられているため、妊娠や出産の経験がない人や、初経が早く閉経が遅い人は、発症するリスクが高くなる可能性があります。低用量ピルの使用は予防になると言われています。*3

これらの病気の予防や早期発見のためにも、更年期の不調は、無理したり、我慢したりせず、つらい不調は婦人科を受診して、早いうちにケアすることが大事。もちろん、運動や食事で、生活習慣病などの予防的対策をとることもおすすめです。喫煙、肥満などにも注意が必要です。また、がん検診も大切、20歳からは子宮頸がん検診、40歳からは乳がん検診を定期的に受けましょう。

*1 『プレ更年期から始めよう』(かもがわ出版)
*2 『もう我慢しない! 更年期からのおしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)
*3 国立がん研究センターがん情報サービス

ライター/増田美加
女性医療ジャーナリスト。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。 新刊『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)が話題。

更年期は「隠れいびき」に要注意。【疲れない睡眠のコツ】

イラストレーション・松元まり子 文・佐野由佳、小沢緑子

その日の疲れはその日のうちにとることが、 疲れをためないための鉄則。 その早道のひとつが、睡眠の質を高めること。 眠り方のコツを、東京 疲労・睡眠クリニックの梶本修身さんに聞きました。

更年期は「隠れいびき」に要注意。

© クロワッサン オンライン

いびきをかいているか、自分ではなかなかわからないもの。同居の家族やパートナーに聞くほか、スマートフォンのアプリを使っても調べることができるので試してみましょう。

ここで注意したいのは、女性に多い「隠れいびき」の存在。ガーガーと、はっきりわかる音が出ていなくても安心はできません。

女性は閉経を迎えると女性ホルモンの分泌が減り、咽頭部の筋肉がゆるみやすくなって、いびきのリスクが高まります。

また、女性はもともと肺活量が少ないために脳への酸素供給が不足しがちで、いびきの音も小さい傾向が。スースーと、ただの寝息のように聞こえる音が実はいびきで、脳が激しい酸素欠乏の状態に陥っている場合もあるのです。

電車やタクシーに乗るとすぐ眠くなったり、起床して4時間後にもう睡魔がくるような症状があれば、隠れいびきで睡眠の質が落ちている可能性も。

寝る姿勢を横向きにする、深い呼吸を心がけるなど、自分の睡眠を見直してみましょ

監修 梶本修身 さん (かじもと・おさみ) 東京疲労・睡眠クリニック院長

1962年生まれ。医学博士。2016年、「一人でも多くの疲労に悩む人を救いたい」と、東京疲労・睡眠クリニックを開院。穏やかな物腰と的確な診察が信頼を集めている。著者多数。

『Dr.クロワッサン 新装版 疲れないコツ』(2019年7月29日発行)より。

閉経後の“おばあさん化”は骨粗しょう症のせい!? 骨を強くする生活習慣[医師 監修]

骨骨(コツコツ)はじめる骨ケア

骨粗しょう症の年代別有病率

(c)宝島社

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教えてくれたのは……松村圭子先生

ホットフラッシュや心の不安定に…「更年期症状」を救うフェムテックの最新|STORY

★ 汗がドバッと出たり、気持ちが不安定に…「更年期症状」を救う!

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◯ 教えてくれたのは…ランドリーボックス代表 西本美沙さん

その汗や暑さは「ホットフラッシュ」かも!? 更年期に起こる汗問題を詳しく解説

2021夏、ヴィーナス期の汗問題/ヴィーナス期の代表的な症状「ホットフラッシュ」とは?]

今年も猛暑の予想です! それに加えて不織布マスク必須の日常、ヴィーナス期(更年期)特有のホットフラッシュなどで人気雑誌『GLOW』読者世代では汗問題がより深刻に……。そもそもヴィーナス期の女性を悩ませる「ホットフラッシュ」とはどういうものなのでしょうか。くわしく解説します。

<暑い、寒いにかかわらず上半身がカーッと暑くなる>

女性ホルモン量が減り始めるヴィーナス期には、様ざまな不調が起きることがあります。この不調は不眠や皮膚・粘膜の乾燥、イライラや不安感など細かくあげたら100以上もあるといわれていますが、なかでも特徴的なのがホットフラッシュ。自分以外の人が暑さを感じていないのに、不意にデコルテから首、顔、頭にかけてカーッと暑くなり、比較的短時間でおさまるというもの。体温調節を担っている自律神経が乱れることで起きる症状です。

<症状は人によって様ざま!>

「寝ている間にホットフラッシュが起きることが多く、汗でパジャマがぐっしょりぬれて着替えなくてはならないことも」

「冷房がガンガン効いたオフィスにいるのに、全身がうっすら熱気に包まれている感じがするんです」

「頭の汗がすごくて顔にしたたってくるので、ハンカチタオル数枚と扇子が手放せません」

「もともと冷え体質のせいか、私のホットフラッシュは『あったかい』と感じる程度。でも、いつもとは明らかに違うのがわかります」

<対処方法:ひどいホットフラッシュはガマンしないで婦人科へ!>

バスタオルが必要なほど大量の汗をかく、仕事中に他の人がふつうにしているのに自分だけ汗をかくのが嫌、汗をかいたあとに体が冷えるなど、ホットフラッシュで困っているならぜひ婦人科で相談を! 女性ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬などで治療できます。ホルモン値を測る検査をすると、ほてりの原因がホットフラッシュかどうかもわかります。

穏やかな更年期への移行するための3つの食生活のヒント【アーユルヴェーダに学ぶ】

更年期は、人生における自然な流れです。けれども、私たち女性は、それを恐れるようになっています。それは単に、加齢を示しているからではありません。むしろ、女性たちが体重増加、ほてり、膣の乾燥、性欲減退、不安、睡眠障害などの不快な症状を経験しているためです。

実際、更年期の症状は非常に一般的であるため、医学界は、閉経に至るまで、つまり閉経前後期のゆらぎの時期を表す新しい用語として、定義されるようになりました。更年期と閉経前後期に関連する症状は、ドーシャの乱れと消化不良の結果であると考えられ、主に不健康な食生活とライフスタイルの選択に起因しています。

更年期の不調を招くと考えられる3つの原因
1.ニンニク、玉ねぎ、唐辛子などの辛くてスパイシーな食べ物、発酵食品、塩分の過剰摂取はすべて、消化の障害や体の過剰な熱を引き起こします。

2.多くのことをやり過ぎる。

私のクライアントの多くは、何事もやり過ぎる傾向にあります。つまり、彼らは常に1日中動き回っていて考えすぎています。これは睡眠を妨げ、結果として十分な休息が取れないと、不安や倦怠感を引き起こし、コーヒー、お茶、チョコレートなどの刺激物に手を伸ばす原因となりますが、これはさらに神経系を消耗させてしまいます。

3. 不健康な食習慣による悪影響が、体内に蓄積されると体重増加を招き、栄養が適切に処理されずにエネルギーレベルが低下します。

穏やかな更年期への移行を体験するための3つの食生活のヒント

1. 食べる前に感謝の言葉を唱えて、食べ物と食事のプロセスに敬意を払いましょう。食べ物を飲み込む前に固形物がなくなるまで十分によく噛みます。

2. 最適な消化を手にするために、間食や料理を作るときに味見をするのをやめて、規則正しく1日3食きちんと食べましょう。

3. 最高の休息と癒しのために、夜は午後10時までに寝て、朝は午前6時までに起きて、1日を通して満ち足りたエネルギーを感じましょう。

更年期は、私たちが可能な限り心から自分の人生を生きて、ゆっくりと人生のプロセスを楽しむときに穏やかで優雅に迎えることができます。

マイラ・リューイン
アーユルヴェーダとヨガを30年以上学び実践する。何千人ものクライアントが本来の自然なバランスのとれた健康を取り戻し、依存症や摂食障害、自律神経失調症をはじめとする数々の問題を克服するのを支えてきた。

ニュージーランドを拠点とするHale Pule アーユルヴェーダ & ヨガの創設者・代表として、この2つの変容の科学を学び癒しを得るための幅広い機会を提供する。その内容は、アーユルヴェーダ・ヘルス・コンサルテーションからヨガ・アーユルヴェーダ指導者養成コースにいたるまで多岐にわたる。

栄養学とアーユルヴェーダの2方面からコンディションづくりをサポートする食事と、ヨガのクラスが愉しめる今最も注目のコンセプトショップ「THE_B」にて、アーユルヴェーダメニューを監修。

「月経の有無と女性性とは無関係」更年期の心と体を軽くする心得【人気鍼灸師のアドバイス】

月経のあるなしと女性性は無関係。脱・子宮の神聖化!
月経がなくなると女性じゃない、産めなくなると女性としての価値がなくなる……。更年期にそんなイメージをいだいている人は少なくないはず。実は、こわい、辛い、女性性が失われるといった強いネガティブイメージが、更年期のイライラ感やうつっぽさの引き金になることがあります。まずそのイメージを改めてみましょう。

「閉経を女性性の喪失と結びつける考え方は、月経や月経に関わる子宮を神聖化しすぎるからではないでしょうか。確かに子宮は命を宿してはぐくむ、女性しか持ちえないものではありますが……。言ってみれば人間以外の哺乳類もみんな持っている単なる臓器ですし、体の構造的な男女の差を象徴するものではあっても男女の本質に関わるものではないですよね。特に神聖化する必要はないということ。月経も要は卵子を受け止める子宮内膜が使われなくなり、廃棄される現象。つまり出てくるのは廃棄物なんです!だから過剰なイメージを持たないで、食事、入浴、排泄と同じレベル、生活サイクルの一つと考えていいのではないでしょうか」(若林理砂先生)

女性としての幕が下りるような感覚が根強くある閉経についても、考え方次第でネガティブイメージを一変できます。

「現在、日本人女性の平均年齢は87.45歳です。初潮を迎えるのは平均12歳、閉経するのは平均50歳。そう考えると、閉経後の人生は約37年もあるんですね。しかも初潮を迎えるまでの12年をプラスすると月経がない期間は49年になります。月経が止まると女性じゃなくなると言うけれど、そもそも月経がある期間よりない期間のほうが長いんです。月経のあるなしや子どもを産む産まない程度のことは、女性性にはなんの関係もありません。もちろん、月経があるかないかで女性性が増えたり減ったりすることもありません。閉経を迎え、生殖可能な期間を終えても女性であるという連続性になんら変わりはなく、生まれたときから死ぬまで女性は女性、あなたはあなた。それを忘れないでくださいね」(若林理砂先生)

そもそもこうした概念の根底には、「若い=美しい」という日本独特の美の基準があるのでは。男女は同じように年を重ねるのに、男性は年齢が増すほど渋くてかっこよくなると言われ、女性のエイジングには「劣化」のイメージがつきまといます。しかし成熟した女性には若いときにはない魅力が備わっているもの。室町時代、世阿弥という能のトップスターが書いた『風姿花伝』という本には、花の種類はさまざまあると記されていて、年を取ると衰える「時分の花」と「まことの花」があると。まことの花は年を取っても散らずに残る花。人生の時々で咲かせる花は違っていいし、最高に美しいまことの花を咲かすために今を懸命に生きれば、年齢を重ねることへの恐怖心から解放されるはずです。

ホルモン充填療法でも解決しない心の不安定さの原因とは
ホルモン充填療法により、気分が優れないないなどの精神的な不調が改善する率は3割から5割程度です。イライラ感や重たい気分の原因は、かならずしも女性ホルモンの量に起因するとは限りません。

「精神的な症状をはじめ関節の痛み、頭痛、吐き気などは自律神経失調症と呼ばれるもので、ストレスであったり、前途したような更年期に対するネガティブイメージが起因している場合があります。更年期は大人の思春期です。10代で迎えた思春期に経験したのは、なんとも言えない焦燥感や何を言われてもイライラする感覚、それに対して上手く対処できない自分への苛立ち……。大人の思春期で味わう不安定さも類似するものがあり、まずは閉経=女性性の喪失という刷り込まれたイメージから自分を解放し、その先の人生を前向きに捉え、ストレスを軽減することが自律神経失調症から楽になる手立てとなります」(若林理砂先生)

教えてくれたのは…若林理砂先生
臨床家。鍼灸師。2004年に東京目黒区にアシル治療室を開院。2019年には「養生が一ヵ所で全部賄える場所」を目指して東洋医学や武術を学ぶStudio Libraを治療室に併設し、東京都品川区に移転オープン。心と体の自由を獲得する養生を主旨とし、古武術をもとに編み出した身体技法も好評。東洋医学に関する著書を多数出版。
ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。

「顔がほてるのに手足は冷たく、ずっとイライラ」と訴える48歳女性…ストレスで増悪する更年期症状に良薬は?

森本昌宏「痛みの医学事典」

不定愁訴として扱われることが多く

「星状神経節ブロック」で交感神経の緊張緩和

東洋医学では“血の道症”

家庭や社会環境の影響大 一人で悩まず

森本 昌宏(もりもと・まさひろ)

大阪なんばクリニック本部長・痛みの治療センター長。  1989年、大阪医科大学大学院修了。医学博士。同大学講師などを経て、2010年、近畿大学医学部麻酔科教授。19年4月から現職。日本ペインクリニック学会専門医、名誉会員。日本東洋医学会指導医。著書に『ペインクリニックと東洋医学』『痛いところに手が届く本』ほか多数。現在、大阪市北区の祐斎堂森本クリニックでも診療中。

閉経は寂しい?それともホッとする?閉経前に訪れる「心と体の変化」にどう向き合うべきか

閉経は「寂しい」?それとも「ホッとする」?
閉経について感じていたことが、40代と50代のときでは、変化したと実感しています。順調に生理があった頃は、毎月使っている生理用品とサヨナラなのかと寂しさを感じていました。

ところが今は真逆で、不安定な生理に悩まされ「早く閉経したい」と思うようになり、寂しさもすっかり消えました。まわりの同年代はどうなのか気になり聞いてみると、「とくに何も感じない」「早く終わって欲しい」など自分と似た答えや、閉経を迎えた方は「解放されて嬉しい」といううらやましい声や、「もう一人くらい子ども産んでおきたかったな」という方も。閉経に関する感じ方は、人それぞれですね。

これらは閉経前後の方に聞いているので、もっと時間が経過すれば、また違った意見もでてくるのでしょう。現代の女性は生涯450回も月経があるといわれているので、さすがにそろそろ終わって自由にさせてくれ、と思います。閉経は一年以上月経がないこと。

閉経と判断できた時点で、これだけの生理の回数をこなした自分に「お疲れ様でした」と労いの言葉をかけたいくらいです。生理用品の出費がなくなる喜び、ムレや締め付けで苦しかった生理用ショーツとお別れできる幸福感。経血でシーツを汚さないかと夜中にトイレに起きる煩わしさもなくなる。他にも妊娠する心配がないなど、皆さんそれぞれの解放感があるかと思います。

新たに浮かび上がった2つの悩み
それから皆さん共通して悩みが2つ上がりました。それは見た目の変化と健康の不安。通勤電車の窓に映る自分の顔に「これは私?」と別人並みの疲れ顔に驚いたと知人談。「閉経近くから女性は独特の老けた感じがでてくる」といった意見もありました。

エストロゲンの分泌の低下によりお肌の水分やコラーゲンが減ることで、肌の乾燥や弾力が低下して見た目に変化がでやすくなるせいかと思います。他には白髪が増えはじめた、老眼が進行したなど、自分自身で気づく変化が、寂しさを感じさせるようです。

健康の不安では、疲れやすくなり、体力もなくなったから、運動をはじめるべきか考え始めているという方も。健康に気を付けているが、比較的健康意識が高い先輩方から乳がんになった、骨量が減ったなど、と聞き不安にもなるそう。年を取るのは問題ないけど、健康的に過ごしたい、それにはどうすればよいのか、という課題が浮かび上がりました。

これまで私たちの健康を支えてくれたエストロゲンは、生殖機能以外にも骨の代謝や自律神経系、心血管系、脂質代謝、脳機能系、肌や粘膜をみずみずしく保つなど、その役割は多岐にわたります。閉経以降はエストロゲンの支えを失うので、その分バランスのとれた食事や運動などの改善が求められます。また健康管理をしていても、乳がんや子宮体がんなどの病気のリスクも高まります。

自己管理できること、医療機関での定期的な検診で管理できること、を両立させて、この年代以降の健康管理が成り立つのだと感じます。

女性の誰もが「いつか生理が来なくなる」と、心の準備があるかと思います。でも目に見える自分の変化や体力の衰えは、たとえ覚悟をしていても、多少なりとも驚きがあることも。顔の美容に関しては専門外なのでよくわかりませんが、閉経して落ち着くとイキイキしたお顔に戻る方を見かけるので、女性ホルモンの変化が著しい閉経前後が一番印象が変わる時なのかもしれません。

閉経以降の健康維持は、エストロゲンからバトンタッチを受けて、自分が中心となって行なっていきましょう。健康管理や病気のリスクの理解、体力に合わせた活動量の見直しなどを、自分が主体となって行うーー今までにない生き方のスタート地点ではないでしょうか。

体の変化を理解して、上手に管理しながら健やかに過ごしたいですね。今回は更年期症状について触れませんでしたが、女性ホルモンの影響を受けやすい時期ですので、不調がなくても必ず定期的に婦人科を受診するように心がけて下さい。

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。日本性科学会会員。性と健康を考える女性専門家の会 理事。デリケートゾーンブランドYourSide、潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛について情報発信を行う。幅広い性交時の痛みに関する情報サイト「Fuan Free (ふあんふりー)」を運営。

母に「生理で下着を汚すのは恥ずかしい」「生理中の女性は穢れ」と言われた私が33歳の今、思うこと

1987年生まれのライター・姫野桂さんが、自らの生理体験について振り返りつつ、「生理の貧困」にも繋がる女性特有の出費の多さについて問題提起します。姫野さんの初エッセイ『生きづらさにまみれて』(晶文社刊)より一部抜粋。

初潮が来て嬉しい!?
2018年、それまでは強くタブー視されていた生理についての価値観が覆される小山健さんの漫画『生理ちゃん』(KADOKAWA)が大ヒットした。生理を擬人化し、ユーモアたっぷりに、かつ分かりやすく説明している漫画だ。生理は女性には毎月来るもので身近な存在だが、男性にとっては未知なる現象であり詳しく知らない人も多い。

現に、私が交際してきた男性も生理の仕組みについてよく知らなかったし、知人の旦那さんは「理由は分からないけど毎月股から血が出るもの」と思っていたらしい。

ここで生理の仕組みについて改めて説明したい。健康な女性の子宮は妊娠に備え、日々子宮の内膜が厚くなって精子の受け入れ体制を整えている。この内膜が赤ちゃんを包むベッドになるのだ。しかし、受精しなかった場合、この内膜は古くなって剥がれ、体外へ排出されていく。

これが生理だ。この排出作業は子宮が収縮しながら行われるので、腹痛や腰痛が起こる場合が多い。この痛みが生理痛だ。この生理痛も個人差があり、痛みを感じない人もいれば、嘔吐してまともに食事もできず、救急車を呼んだことのある人までいる。

私の場合、生理前は便秘気味になり、生理になった途端下痢気味になる。なので、子宮が収縮している痛みなのか腸の痛みなのかどちらか分からずトイレに駆け込むこともある。元彼に「生理の痛みは下痢の痛みに近い」と伝えたとき、時おり下痢気味で悩んでいた彼は「毎月1週間も下痢の痛みが続くなんて」と身震いしていたものだった。何はともあれ、ほとんどの女性は生理時、何かしらの不調を抱えている人が多いのだ。

小5のときに初潮が来た。生理については早い段階から母親から習っていたので、学校の休み時間にトイレに行ってパンツに薄茶色のシミがついていたことから、すぐにこれは生理だと確信した。大嫌いな担任教師だったがとりあえず「パンツに血が付いています」と報告。教師は保健室に行くよう指示し、私は保健室で養護教諭に生理用ショーツとナプキンをもらって処置をした。

正直、生理が来たことは嬉しかった。オシャレをしてもいい大人に近づいたのだ。これを人に言うと割と驚かれるのだが、その日は学校から帰宅して「ただいま」のすぐ後に父に「生理が来た!」と伝えた。すると父はスーパーの惣菜売り場で赤飯を買ってきて、その日の夕飯はいつもの男の手料理のおかずと赤飯が並んだ。母は私の洗濯物のショーツのオリモノの量が多いことから、近々生理が来ることを予想していたらしい。

ピル服用に怪訝な顔をしていた母
しかし、生理が原因で母に怒られることはかなり多かった。まだ慣れていないのと、経血量が多い体質だったのですぐに漏らしてしまう。そのたびにショーツや布団を汚し「これは恥ずかしいことである」と怒られた。神社に参拝する際も生理中の女性は「穢れ」なので鳥居をくぐれず鳥居の外を通るように言われた。

生理が始まってすぐは周期が安定せずに突然来ることが多く、それで私はショーツを汚していた。いつ来るのか分からないので、ならば毎日生理用ショーツを履いてナプキンをしていれば安心だと毎日生理用ショーツを履き始めたら、これまた洗濯をしていた母から見つかり「蒸れるでしょうが!」と怒られた。

昨年、初期の子宮内膜症が見つかったため今はピルを服用している。高校の頃や会社員時代は生理痛で授業や会社を休むこともあったため、今はピルが便利過ぎて子どもがほしいと思うまではずっと飲んでいたい。大学生の頃も生理痛解消のためピルを飲んでいたが、母は「薬で身体をコントロールするなんて」とピル服用に怪訝な顔をしていた。

私の重い生理痛もピルのせいだと思い込んでいた。母は本来なら性教育を行う養護教諭であるが、地方ということもあり、まだまだピルや生理に関して情報がアップデートされていなかったのだ。ちなみに今はさすがに30歳を越えた大人になったので、生理に関して母が干渉してくることはない。

女性特有の出費が高過ぎる
女性は男性に比べて、生きているだけでお金がかかる。まず、セキュリティ面で問題なさそうな物件を選ばないといけない。オートロックの物件になるだけで、家賃が1万円ほど上がる。Twitterのアンケート機能で、都内に住む私と同い年の女性を対象に物件調査をしてみた。

物件を選ぶ際、最も重要視する点について(投票数38票)、「家賃」と答えたのが32%、「セキュリティ面」が29%、「日当たりや綺麗かどうか」が26%、「その他」が13%となっており、多くの人が家賃面とセキュリティ面を気にしていることが分かる。

また、都内に住む同い年の女性に家賃はいくらか、アンケートを取ってみた(投票数43票)。「6万円以下」が19%、「6.1万円~7万円」も同じく19%、「7.1万~8万円」が28%、「8.1万円以上」が最も多く34%となった。家賃は月の手取りの3分の1以下に抑えないと苦しいと聞くが、仮に月の手取りが24万円程度だとすると、それなりに高い家賃の部屋に住んでいる人が多いのだ。

同い年で都内で一人暮らしをしている人へ向け、月の出費のアンケートも取ってみた(投票数77票)。結果、「10万円以下」が18%、「11~15万円」が最も多く34%、「16万~20万円」が21%、「21万円以上」が27%となっている。みんな、家賃と光熱費、食費や交通費、美容費、交際費などを含めるとカツカツなのではなかろうか。

女性特有の出費が、毎月の生理用品やピル代。これもTwitterでアラサー女性にアンケートを取ってみた。「生理用品代やピル代を負担に感じていますか?」という問いに(投票数268票)、「負担に感じている」が84%、「特に負担だとは思わない」が16%で、8割以上の女性が生理用品代に何かしら不満を抱いている。

男と女、生きていく上でなぜこんなに出費に差があるのか
2019年10月の消費税増税の際、食品は税率8%のままだったが、生理用品を含むその他の生活用品は10%まで上がってしまった。私は増税までの間にちょこちょこドラッグストアを廻り、生理用品を買い溜めした。

私はいつも、1パック30コ入りの2パックセットで298円の激安ナプキンを購入しており、一度の生理で1パックちょっと使う。私はこの激安ナプキンでも平気だが、少し高い敏感肌用のナプキンでないと生理期間を快適に過ごせない人も多いのではないだろうか。そういう人は生理用品の負担がさらに増えることになる。

増税前にナプキンの買い溜めをした私であるが、現在は子宮内膜症治療のために生理が3カ月に一度しか来ないタイプのピルを飲んでいる。生理痛が重くてピルを飲んでいる人もいるだろう。このピル代も他の先進国に比べると高い。アメリカなどではピルはドラッグストアなどで安価で簡単に手に入るが、日本では個人輸入を除き、処方箋が必要だ。私は治療用のピルで保険が適用されているが、それでも3カ月分で7950円もする。

女性は社会的マナーとしてメイクを強いられる場面も多い。いわゆる「就活メイク」なんてのも、まさに女性がメイクを強いられることの象徴だと思う。プチプラコスメからデパコスまで値段はピンキリだが、化粧品も消耗品であり、女性に必要なものである。

女性にはムダ毛処理問題もある。地道にカミソリ処理をしている人もいるが、今は美容サロンや美容皮膚科・外科も安くなっているため、サロン脱毛や医療脱毛をしている人も少なくない。私も医療脱毛済みの一人だ。過去に脇、両肘下、両膝上、両膝下、VIOを脱毛し、合計30万円ちょっとかかった。

女性は必要最低限の社会生活を送り、外見を保つための出費が多過ぎるように思う。男性は外見を保つために何をやっているのだろう。ヒゲ剃りと、健康を害すほどの肥満体型の人はジム代、薄毛に悩む人は育毛剤代といったところだろうか。しかし最近は男性のヒゲ脱毛も増えていると聞く。そういえばバンドマンの元彼もヒゲ脱毛に通っていた。

男と女、生きていく上でなぜこんなに出費に差が出るのであろうか。それなのに、男女では収入の格差がある。30代女性の平均年収は300万円を切って280万円台だ。私も会社員時代、内勤の事務職ということもあり年収が300万円弱だった。今は家事や育児に積極的な男性も多いが、家事育児のために残業と収入が少ない職を選ばざるを得ない女性もいる。

女性手当のようなものを付ける等、男女の収入格差をなくす方法はないのだろうか。それか、男性の育児休暇が当たり前になって、男性が育休を取ったからといって出世できないということがないよう、男女ともに家事や育児を気にせず、同じだけの給与をもらって働き続けられる環境を企業側が整えてほしい。

『生きづらさにまみれて』(晶文社)姫野桂:著
『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)大ヒットのライター・姫野桂さん、待望の初エッセイ。毒親傾向のある両親に育てられた子ども時代、スクールカースト底辺の中高時代、ヴィジュアル系バンドの推し活と恋に青春を捧げた大学時代、発達障害の二次障害の双極性障害や摂食障害に苦しんだ就活やOL時代、ライター転身後に受けたモラハラ……「自己肯定感超低い女子」33年間の軌跡。

17年耐えた生理痛、受診したら 医師「痛みがあることは普通じゃない」 我慢し続けた11歳の記憶

お腹が痛くて爆発しそう。漏れていないか不安。たくさん寝たはずなのに、仕事中いつの間にか眠っている……。

月に一度やってくる生理中、体調不良に悩まされてきた私(28)が病院を受診すると、「子宮内膜症」という診断を受けました。ずっとがまんしている体の不調、当たり前だと思っていませんか?「生活に支障が出るような生理痛は、普通ではない」と医師は話します。

月に1度「人生で一番の痛み」
生理中の体の不調は、人それぞれ。
私の場合は、出血が始まると、「今月もヤツが来たな」と殺気立った気分になります。毎回つらすぎるからです。

最も苦しんだのは、腹痛です。大きな事故や病気を経験したことのない私にとって、「人生で一番の痛み」でした。

たいがい、生理が始まる前日か、始まった後の二日目くらいまでの間に、突然起こります。
ちくちくした不快感とともに、下腹部の臓器が破裂する寸前まで膨張したかと思えば、逆に強く握られ、ひねられているような感覚が繰り返されます。

トイレの中で、便座の上に前のめりになり、頭を抱え、気をそらすために「痛い、痛い、痛い」とつぶやき、20~30分ほどで激痛が過ぎるのをひたすら待ちます。
まさに死闘です。

耐えて、耐えて、脂汗まみれ
仕事中や人と会っている時に始まると、大変です。
痛みに耐えることしか頭にないので、話を聞いているふりをしながら、ほとんど上の空で相づちを打っていました。終わる頃には、全身脂汗まみれ。

「ちょっと今、お腹が痛いので」と伝えるほうが誠実な気もします。でも、鎮痛剤を飲んで少ししたら普段通りに戻ることが多いので、「仮病だったと思われたら嫌だな」と考えてしまい、できませんでした。生理が来てから17年の間ずっとそうしてきたので、耐えることが当たり前になっていました。

スカートにシミが…高校時代のトラウマ
痛みの他にも心配なことがありました。漏れてしまう恐怖です。

高校生の時、授業を受けた後に黒板の文字を消していると、友達が小声で「スカート、汚れてるよ」と教えてくれました。
焦って見ると、グレーの生地に、薄茶色のシミが広がっています。座っていた椅子の表面にも、血をこすった跡がありました。
少し前に「多い日用」のナプキンをつけたはずなのに……。

移動教室での授業だったため、座っていたのは私の椅子ではなく、男子の友達の椅子でした。
別の教室から戻り戸惑っている彼に「ごめんね」と謝り、恥ずかしさで逃げ出したい気持ちを抑えながら、湿らせたティッシュで椅子を拭きました。

以来、1時間ほど連続で座った後に立ち上がる時は、必ず椅子の表面を確認するのが習慣になりました。
思えば、出血が多いほうだったのだと思います。貧血気味だったのか、立ち上がった瞬間にふらつくことも、ここ数年で増えていました。

ほかにも、デスクワーク中に眠ってしまうほどの強い眠気、熱っぽさとだるさ……。心身への影響は、数え切れないほどでした。

「もしや…?」語る中での気づき
ここ数年、メディアなど色んなところで、「生理について語ろう」という動きが生まれています。私自身も、そうした記事を読んだり、友達と生理について話したりする機会が増えました。

そんななかで、気づきました。私、もしや生理が重い方なのでは?

がん検診のついで 受診してみたら
2020年12月、自治体から知らせが来た子宮頸がん検診で、産婦人科を受診しました。
その「ついで」と考え、予約の電話で「生理痛がひどいので、相談したい」と話しました。

緊張しながら迎えた当日、生理中の症状を聞いた後にエコーで子宮を見た医師は「子宮内膜症ですね」と言いました。当たり前だと思っていた生理痛は、病気だったの?思ってもみない診断でした。

子宮内膜症とは
日本産科婦人科学会によると、「子宮内膜症」とは、子宮の内側にできるはずの子宮内膜やそれに似た組織が、子宮の内側以外の場所で発生し、発育する疾患です。

代表的な症状としては「痛み」があり、「不妊」の原因になることもあります。

患者の約90%に生理痛がみられ、患者のうち妊娠を希望する人の30%に不妊があると考えられています。

また、卵巣の子宮内膜症性のう胞は長い年月を経ると、まれにがん化することもあるといいます。

「生活に支障が出る痛みは病気」
産婦人科医の太田寛さんに話を聞くと、ひどい生理痛がある人は、それだけで「子宮内膜症の可能性が高い」といいます。

「生活に支障が出る痛みは、普通ではない。痛み止めを飲んでいる時点で、病気です。生理痛で苦しんでいる人には信じられないかもしれませんが、生理痛がほとんど無い女性もいるのです」

そして「今の痛みをほぼゼロにする解決法があるということを知ってもらいたい」とも呼びかけます。

子宮内膜症は、生理が来る度に進行し、症状が悪化する病気です。

様々な治療法がありますが、太田医師は、若い人には低用量ピルを勧めています。この薬によって、生理が来る回数を減らして、悪化を防ぐことができます。

これから妊娠を希望する予定がない人は子宮を摘出することもあるといいます。

「子宮を取り出すなんて何か体に悪いことが起こるのではないかと思う人もいますが、生理痛や出血で苦しんでいる人にとっては、子宮を取ることでその苦しみから解放されて、とても楽に暮らせるようになったという人が多いです」

いろいろな薬なども開発されたため、個人の状況やライフプランに応じた治療法を選ぶことができるそうです。

患者数「昔より増えている」
私の場合は、いずれ妊娠・出産したいと考えているのと、生理中の症状をなくしたいとの思いから、低用量ピル(LEP)での治療を選びました。
最大で120日間連続で薬を飲みます。その間、生理は来ません。

これで、1年に来る生理の回数は、月1度の12回から、3回にまで減らすことができます。

妊娠・出産をすれば2年ほど生理が止まります。よって、10代後半から20代にかけて数人の子どもを産んでいた時代に比べて、現代の女性は妊娠・出産の時期の回数が減り、生涯の生理の回数が増えているといいます。

そのため、「子宮内膜症の患者数は増えてきている」と太田さんはいいます。

内診恐れず「早めの受診を」
太田さんは、生理痛などがあればできるだけ早く、中高生のうちに病院を受診することを勧めています。

「早めに対処して治療することによって、不妊症や慢性の腹痛など、将来のトラブルを防ぐことができます」

さらに、薬で病気の進行や生理中の症状を防ぐことはできても、病気がなかった状態に戻すことはできないといいます。

「『内診が不安』といって婦人科の受診は敷居が高いと思っている人も多いかもしれません。必ず内診をするわけではないので、その不安も安心して打ち明けてほしい」と話します。

エコーを膣から入れる内診をすれば、病気の状態を細かく見られますが、症状によっては必須ではないそうです。

「特に中高生の場合は、まだ生理が始まって数年しか経っていないので、見逃して困るような病気があることはほとんどありません。もし内診を提案されても、断って大丈夫です。『生理痛がひどい』ということなら、内診しなくても、『子宮内膜症の疑い』や『月経困難症』として、ピルを処方できます」

太田医師によるとピルの値段は、月経痛のある人には保険適用され、1カ月分で1000~2400円ほど。

副作用として挙げられる「血栓症」のリスクは、服用していない人の1万人当たり年間1~5人に対して、年間3~9人と少しあがりますが、妊娠中や分娩後の人よりは低いといいます。

耐え続けることもなかったのに…
私が低用量ピルの服用をはじめて約半年。生活の質が劇的に変わりました。生理痛に振り回されることはもうありません。痛みがない日常が当たり前になってはじめて、これまでの生活の中で、無理をしている時間がどれほど長かったのか気づきました。
一度生理を起こした時も、血の量や症状が大きく減りました。もう前の生活に戻りたくありません。

もしもっと前に病院に行っていれば、授業を早退することも、大学受験の筆記試験中にトイレに駆け込むことも、痛みで取材に集中できなくなることもなかったのに……。
そんなふうに後悔する気持ちもあります。

体調のほかにも変わったことがあります。
診察のたびに、「何でも聞いて」と言ってくれるかかりつけの婦人科の医師との出会いです。小さな不調でも相談できる環境ができ、安心感を得られるようになりました。

あのとき勇気を出して診察してもらってよかったと思いました。

17年 がまん続けた理由
そもそも、17年もの間、私はなぜ痛みを放置し続けたのでしょうか。
それは、「生理が来ている人はみんながまんしているもの」と思い込んでいたからです。

私が初めて生理になったのは、11歳の夏。
その日も、腹部が割れるような生理痛がありました。トイレに駆け込み、数十分痛みに耐えては、トイレから出る。そんなことを1時間ほど繰り返していました。

当時、そんな私を見かねて、母が言いました。「毎月そうなっていたら、学校も行けないし、会社で働けないよ」
たしかにそうだ、と感じました。痛くても、きっとみんな、耐えて過ごしている。

子宮内膜症と診断され、母にこれまでのことを説明したとき、「そんなにつらいとは知らなかった。私はそこまで生理でつらかったことはない」と驚いていました。

17年前の子煩悩だった母に、悪意は全くありません。ただ単に、「生理中の一人一人の痛みが違う」ということを知らなかっただけでした。そして私も、20代後半になるまで、「生理痛はがまんしなくていい」という考え方を知る機会はありませんでした。

「生理を語る」の先に
「生理について語る」という動きが広がってから、生理に関する情報に触れる機会が増えました。私が「自分の生理痛は重いのでは」と気づけたように、大切なことだと思います。

そして語ったその先に、あともう一歩、これまで痛みや不調に耐えていた人が「受診」という行動に進んで症状が楽になったら、もっといいなと思います。いまの「マイナス」の状況が当たり前ではなくなり、「ゼロ」からの生活ができる人が増えるように願っています。

患者数は男性の2倍!女性の「大人ぜんそく」予防5カ条

「自分の呼吸が正常かどうかを、いちいち意識しながら生活をしている人は少ないと思います。でも実は、気がつかないうちに“ぜんそく”になっているかもしれないのです……」

そう語るのは、大阪はびきの医療センターの亀田誠先生。

「一度試しに、意識しながら呼吸をしてみましょう。まず、しっかり口を閉じて、鼻から息を吸ってみてください。そして次に、鼻からゆっくり吐いてみてください。楽にできますか?もし息のしづらさを感じるようであれば、鼻づまりがあるということです。このように少し意識するだけで呼吸の変調を確認できます。ふだんからせきが出やすい、息がしづらいことがあれば大人ぜんそくの可能性があります」

一般的には“子どもがかかる病気”というイメージがあるぜんそくだが、近年は大人になってから発症するケースが増えているという。『平成26年度厚生労働省患者調査』によれば、ぜんそく患者数は10代後半には急激に減少するが、30代以降は再び増加。なんと女性患者は男性の2倍以上に!ぜんそくは大きく分けて、特定のアレルゲン(アレルギーの源)によって発症する「アトピー型」と、アレルゲンが特定できない「非アトピー型」があるという。

「子どものぜんそくはアトピー型が多く、多くの場合は大人になるまでに治ります。それに対し、大人になってから発症するぜんそくは非アトピー型が多い傾向にあります。なんとなく息苦しく、夜中にせきのために何度も起きてしまうなどの兆候が現れることが多いようです。大人ぜんそくが近年増えている原因ははっきりしていません。生活スタイルの変化や、PM2.5や黄砂など、大気中のさまざまな有害物質も関係しているのではないかと考えられています」

代表的な症状は、深夜から早朝にかけ、喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼーという音)が出て、息苦しくなるというもの。その時間帯は気道が狭くなる傾向があり、発作が起こりやすくなるのだ。大人ぜんそくは治りづらく、悪化しないようにコントロールしながら生涯ずっと付き合っていかなくてはならない。

「治療も進歩しているとはいえ、いまでも毎年1,000人を超える人々が、ぜんそくで亡くなっています。疑いがあったら、面倒がらずに早めの受診を心がけてください」

“これくらいの症状は大丈夫だろう”と過信し、放置すると、命を落とす危険もあるのだ。そこで亀田先生が、大人ぜんそく発症を予防するための生活習慣改善5カ条を教えてくれた。

【1】体重を増加させない

大人ぜんそくの患者数は女性のほうが多い。とくに35〜45歳では倍以上になっている。

「発症した中高年女性の多くに、肥満傾向が見られます。そもそも肥満は、脂肪の鎧を着て生活しているようなものです。呼吸に関係する筋肉も働きづらくなりますし、呼吸器にも負担がかかります。肥満タイプの患者さんには薬も効きづらく、重篤になりやすいのです。体重の増加が気になってきたら腹八分目を心がけ、肥満ひいては、ぜんそくの発症を予防しましょう」

【2】好きな運動を毎日コツコツ行う

ぜんそく予防のためには有酸素運動も効果的。

「少し息が弾む程度の運動を1日30分ほど行うのが理想です。『今日も頑張ったなぁ』とニコニコ笑顔で終えるぐらいを目安にして」

【3】香水は控えめに

「香水やネイルカラーは気道を刺激し、せきを誘引することがあります。せきが出やすい人は、たばこの煙だけではなく、お香やアロマオイルなどにも注意したほうがよいですね」

【4】呼吸でストレスのコントロール

「ぜんそく患者のなかにはストレスで症状が悪化する方がいます。その前段階で、緊張すると、せき込みやすいという方もいると思いますが、発症予防のためには、ストレスのコントロールが重要で、“呼吸を整える”ことにより、比較的簡単に実践できます。呼吸の整え方は、1.鏡の前で胸を開くことを意識して、姿勢を正す。2.口を閉じ、ゆっくり鼻から息を吸い、鼻から吐き切る。鼻呼吸をすると、のども乾燥しづらくなるというメリットもあります」

【5】小まめに掃除を

「ぜんそくを誘発するアレルゲンの8割をハウスダストが占めています。『ヤケヒョウダニ』『コナヒョウダニ』などのチリダニ科のダニで、人間のアカやフケを食べて生息しています」

寝具、とくに布団はダニの温床となるので、天気のいい日は天日干しをして、湿気をとるよう心がけること。床もできれば毎日掃除機をかけ、カーペット部分はとくに念入りに!

5カ条を実践して、自分と家族を“大人ぜんそく”から守ろう!

つらい生理痛我慢はNG、自分でできる“婦人科検診”とは

「この20〜30年で女性のライフスタイルは大きく変わりましたが、日本人女性の平均的な閉経年齢は50歳前後とほとんど変わっていません。女性の体に大きな変化が起こる、閉経前後の5年といわれる更年期を、どう健康に乗り切るかが大切です」

そう語るのは、伊豆美レディスクリニックの坂本伊豆美院長。乳がん、子宮がんなど婦人科医の坂本先生が続ける。

「女性ホルモンは、排卵だけでなく、コレステロールや中性脂肪の調整、脳や心臓、血管の機能の調整など、女性の健康を支えています。

そんな女性ホルモンの分泌量が減る更年期以降は注意が必要。健康診断、人間ドック、がん検診を利用するのはもちろん、つね日ごろから、体が発しているSOSのサインに耳を傾けましょう」

そこで、とくに40歳以上の女性が気をつけるべき病気のセルフチェック法について解説してもらった。

【子宮がん】月経期間以外の不正出血には要注意

「月経期間以外に出血を起こす不正出血は、ホルモンバランスの乱れによるものもあり、病気が原因ではないケースも少なくありません。しかし、40歳を過ぎてからの不正出血は、不調のサインと思ったほうがいいでしょう。とくに子宮がんは、ほとんどの場合、生理以外の出血を伴います。

しかも40代以上の女性は、それまでの経験や知識から『ホルモンのバランスが崩れているだけ』『月経周期が乱れただけ』などと軽く見たり、ごまかしたりしてしまいがち。

とくに生理だと思っていた出血が、ダラダラと長く続くような場合は、すぐ婦人科で検査を受けてください」

【子宮内膜症】つらい生理痛をずっと我慢はNG

「子宮内膜症にかかっていると、月経時に下腹部がひどく痛むことが多いのですが、『生理痛なんて誰にだってある』と我慢してしまう女性が少なくありません。また、生理が終わったり、閉経したりすればおさまる『一時の病気』と考え、2〜3日寝込むことでやり過ごそうとする人もいます。でも、子宮内膜症は、一生の問題と考えて、対処したほうがいいのです」

子宮の内側にあるはずの子宮内膜が、卵巣、腹膜など子宮の内側以外の場所にでき、つらい月経痛を伴う子宮内膜症。その“不調のサイン”は、鎮痛剤を飲んでもおさまらない下腹部の痛み。ひどい生理痛がある場合は、我慢せずに医療機関に相談を。

【乳がん】しこりがないか丹念に触って確認

乳がんは早期発見が重要。だが、初期の段階では、痛みなどの自覚症状がない。そのため、乳房にしこりがないか確かめるしかないという。

「しこりの大きさが500円玉くらいあれば、だれでも探しあてられるのですが、そこまで大きく進行してしまったら、リンパ節への転移などが疑われ、乳房の全摘手術などをしなければならなくなっていることも考えられます。

だから、できるだけ1円玉の大きさくらいまでで、しこりを見つけてください。

そうすれば、病巣の部分切除などですむことも多く、術後の生存率も上がってきます。毎月1回、生理直後の乳房が軟らかいときに、一生懸命探してください。たとえるならば、肉まんの中に小さい梅干しの種を探す感覚。デコボコしていて、形や硬さはさまざまです。見つけたらすぐに、専門医を訪れてください」

「更年期」症状には意外な危険が…この症状は何科に行くべき!?

「そもそも更年期とは、卵巣機能が低下して、ホルモンのバランスが崩れる閉経の前後約10年間。一般的には45〜55歳の10年をいいます」

そう話すのは、よしかた産婦人科副院長の善方裕美先生。二十数年にわたり更年期世代の女性を診察し続け、その悩みに伴走してきた。

『だって更年期なんだもーん』シリーズ(主婦と生活社)の著者・監修者でもある。自身も更年期世代、ど真ん中だという善方先生が、更年期の基礎知識を教えてくれた。

「この時期に現れるさまざまな心身の不調を“更年期症状”、その不調が日常生活に支障をきたすほどになることを“更年期障害”といいます。

卵巣の寿命により女性ホルモンが減少し自律神経のバランスも乱れることから、ほてりや動悸をはじめ不快な症状が起こります」

不調には、性格や社会的な環境面も大きく影響する。

「“まじめ”で“完璧主義”“神経質”な人ほど、更年期の症状が悪化しがち。『ま、いいか〜』と楽観的な人のほうが症状が軽くすむようです」

大事なのは、早めにクリニックを受診すること、と善方先生。

「まずは自分の症状の場合、どの科に行けばいいかを知りましょう。のぼせ、ほてり、発汗、ホットフラッシュと呼ばれるカーッとのぼせるような症状は、婦人科または内科で大丈夫です。

イライラ、憂うつ、不眠などの精神神経症状の場合、更年期はうつ病を発症しやすいこともあるので、心療内科や精神科をおすすめします」

え?更年期って全部婦人科じゃないの?

「更年期障害の症状は、いろいろな病気にリンクしていることもあるので、症状の奥にほかの病気が隠れていないかどうかを、ちゃんと見極めることが大切です。

何科がいいかわからなかったり、全体的な相談をしたいときは、婦人科でもいいのですが、その場合も、ほかの科での詳しい検査をすすめられたりします」

次を参考に、自分の症状から、行くべき科を見つけてみよう。

【のぼせ、ほてり、発汗(血管運動神経症状)】

→婦人科または内科へ

【イライラ、眠れない、憂うつ、不安感が強い(精神神経症状)】

→心療内科、精神科へ

【頭痛、頭が重い、耳鳴り(頭の症状)】

→頭痛外来、脳神経外科へ

【手足のしびれ、こわばり(末梢神経系)】

→神経内科へ

【肩こり、腰痛、関節痛(運動器系)】

→整形外科、ペインクリニックへ

【トイレが近い、尿もれ、性交痛(生殖・泌尿器系】

→泌尿器科、性交痛は婦人科へ

【肌の乾燥、かゆみ(皮膚の症状)】

→皮膚科(女性器のかゆみなら婦人科)へ

【のどの違和感、おなかの張り、便秘(消化器系)】

→消化器内科へ

【動悸、息切れ(循環器系)】

→循環器系、または内科へ

【ドライアイ、目の疲れ(目の症状)】

→眼科へ

【めまい、耳鳴り】

→耳鼻咽喉科へ

【だるい、疲れやすい、冷え、匂いが気になる、物忘れが多い、指が太くなった、太りやすいなどの全身症状】

→内科、婦人科へ

「最近では『先に脳のMRI検査をしましたが、問題なかったです』というふうに、専門の科で診てもらってから、婦人科に来る人も増えています。事前に専門の科の検査を受け、ほかの疾病がないことがわかっていると、婦人科としても、更年期の症状として処置や治療がしやすいんです。

ただ、性交痛や性器のかゆみなど、女性特有の悩みは婦人科を受診してください」

“生理がうつる”原因はニオイ!?更年期障害はアロマでラクに!

ニオイの刺激によって、女性の心や体に影響を及ぼす女性ホルモン、エストロゲンの分泌が上昇することが科学的に判明したという。

「体内のエストロゲンは妊娠などで一時的に増えることがありますが、年齢とともに減少していきます。更年期障害はエストロゲンの減少によるもの。最近では、仕事や人間関係のストレスなどによって更年期障害が30代で始まってしまう人が増えているんです。

いっぽう、60代ごろになってから始まる人も増えてきていて、幅広い年代の女性の悩みとなってきています」

そう語るのは、日本アロマ環境協会と共同で研究発表をした、長崎大学大学院教授の篠原一之先生。更年期障害の主な症状は、のぼせ、冷え、眠れない、元気がない、肩こり、めまいなど。暑くもないところで急に汗が噴き出てくるホットフラッシュなどもよく知られている。

「女性ホルモン剤の投与で、これらの症状は改善できます。ただ、薬を飲まずに体の内側から自然に増やすことができたら、そのほうがもちろん、手軽ですよね」(篠原先生・以下同)

たしかに、更年期のつらい症状が、ニオイをかぐだけで軽減できるなら、すぐに試したい。

「もともと私は女性のうつ、不安の原因になるホルモンを専門に研究しており、ホルモンがフェロモンによって増減することを、海外メディアに多数発表しています。フェロモンとは、その人自身から出る“ニオイ”のこと。

母乳のニオイが赤ちゃんのストレスホルモンを下げたり、赤ちゃんのニオイが母親の脳を活性化したりすることが、すでに研究で明らかになっています。また、『生理がうつる』というのも、フェロモンがほかの女性の月経開始を促すんです」

“生理がうつる”は本当だった!

「ニオイにはすごい効果があるんです。また、週に3日ほど男性と添い寝すると、男性のフェロモンが女性ホルモンに影響し、生理周期が安定するという研究結果もあるんです。

この結果は更年期治療にも効果的だと考えましたが、人間のフェロモンを治療に使用するのはさすがに難しい。そこで、代わりになるものを探し、アロマにいきついたんです」

今回の実験では、更年期障害が現れ始める40代の女性15人が10種(イランイラン、オレンジ・スイート、カモミール・ローマン、クラリセージ、ジャスミン、ゼラニウム、ネロリ、フランキンセンス、ラベンダー、ローズオットー)の精油(アロマオイル)を20分間、吸入。吸入前と吸入後の睡眠中のエストロゲン量を比較した。

その結果、ゼラニウムとローズオットー、2種類の精油をかいだときにエストロゲンが上昇した。つまり、精油のニオイをかぐと、エストロゲンがアップすることが数値的に証明されたのだ。

では、どのようにしてアロマのニオイを生活に取り入れるのが効果的なのだろうか。

「わずか20分吸入しただけで体内のエストロゲンが増えたということは、即効性があるということになります。更年期障害の症状であれば、イライラしたり、めまいがしたりと、心や体に不調を感じたとき、すぐにかぐのが効果的だといえますね」

外出時でも、症状が出たときにすぐ対処できるのはうれしい。ハンカチなどに数滴垂らして持ち歩き、直接鼻に当てたり、ハンカチをパタパタとあおいでかぐのがおススメだ。

実験のように20分間かぎ続ける必要はなく「いい香りだな」と思える程度でいいそう。また、アロマスプレーも効果的。スプレー容器に精油、無水エタノール、精製水を一緒に入れておき、空中にシュッと漂わせてみよう。

ただし、エストロゲン増加のためには、以下の注意点があるという。

「精油は単品で使うのがおススメです。アロマセラピーではブレンドして使うことも多いですが、その結果、お互いの効果を弱めてしまう組み合わせがあるからです。

エストロゲンの分泌を促すことを目的とするなら、ゼラニウムかローズオットーのいずれかを単体でかいだほうがいいですね。ローズオットーは高価なので、ゼラニウムがもっとも取り入れやすいでしょう」

アラサー世代女性が“婦人科に行くべき”大事な7つのこと

妊娠前でも、結婚前でも!【婦人科に行っておく】を忘れずに

結婚が決まってからでは遅い! 転ばぬ先のチェック
ブライダルチェックは結婚後すぐに妊娠したい人だけがするものと思っていませんか?? それは大きな誤解です。今回は将来的に妊娠したい人も、そして、まだ結婚が決まっていない人も知っておくべき、“プレコンセプションケア=妊娠前ケア”について紹介します!

お話を伺ったのは|対馬ルリ子先生

産婦人科医・医学博士。対馬ルリ子 女性ライフクリニック銀座院長。周産期学、ウィミンズヘルスを専門とし、産婦人科に加え、内科や乳腺外科などと連携して行う総合女性医療を提唱。著書も多数!

20歳をすぎたら、まずは2年に1回は婦人科検診を!

日本では、結婚が決まってから初めて産婦人科に行くという人も多く、トラブルさえなければ妊娠するまで一度も行ったことがないという人も少なくないのが現実。「今、日本の産婦人科学会などでも話題になっているのが、プレコンセプションケア=妊娠前ケア。


皆さん、結婚が決まってから必要と思われるかもしれませんが、15歳からかかりつけの産婦人科医がいて健康相談&検診を行うフランスや、学校でピルの処方をするというイギリスをはじめ、先進国の間では10代からの婦人科的なケアが当たり前で、日本はとても後進国なんです。


今のカラダのことだけではなく、将来の人生を見据え、仕事のキャリアアップや、妊娠、出産、育児と仕事の両立などを考えたうえで、妊娠したいと思ったタイミングにスムーズにできるように準備をしておくことが大切です」と対馬ルリ子先生。

そのうえで、アラサー世代は今すぐプレコンセプションケアを始めるべき、とも。「20歳をすぎたら、まずは2年に1回は婦人科検診を。そのほか、貧血や甲状腺の病気、膠原(こうげん)病、性感染症などのチェックや、栄養状態を見直しておくことが大切です」。


対馬先生のクリニックでは、それらがまるっとできる「プレママドック」をラインナップ。今、同じようなことが健診センターでもできるようになりつつあるけど、近くにはない、メニューが充実していないというなら、下記を参考に婦人科や内科などをハシゴしてチェックしておくのも、オススメです。

《DATA》対馬ルリ子 女性ライフクリニック銀座「プレママドック」(¥91000)予約制
子宮頸がん検診をはじめ、性感染症のチェック、超音波などによる子宮や卵巣、乳腺のチェック、血液を調べての甲状腺機能やホルモン、心臓や腎臓の状態チェック、膠原病やリウマチの有無など妊娠や出産にかかわる全項目をチェック。

例えば、こんなことを調べておくと安心!

□感染症や女性ならではの病気はないか
子宮頸がんや乳がんのほか、月経血が子宮内に逆流して癒着し、ひどくなると様々な不調を起こし、卵管を詰まらせて体外受精が必要になる子宮内膜症や、子宮筋腫、卵巣嚢腫などの有無、ハート形や2つあるなどの子宮の奇形はあらかじめ確認しておく必要あり。またクラミジアやトキソプラズマは感染していると流産しやすかったり、肝炎などは赤ちゃんに感染するリスクも。

【対馬先生コメント】
結婚に関係なく、このチェックは毎年しましょうね。
.
□妊娠が継続しにくい要素はないか
妊娠すると、とくに心臓や腎臓に大きな負担がかかるため、ここの機能に問題があると妊娠は難しくなることが多い。また、リウマチや膠原病などの自己免疫疾患があると流産を繰り返したり、20~30代の女性に多い甲状腺の病気、バセドウ病があると流産、早産のリスクが高くなり、母体の命の危険も。そのほか、血小板の数が少ないと出産時に輸血を考える必要がある、などが明らかに。

【対馬先生コメント】
治療できるものも多いんです。だから、まずは知ることが大事!
.
□妊娠前に受けておくべき予防接種はないか
妊娠中(とくに妊娠初期)に風疹にかかると、胎児も感染し、耳や目、心臓などに障害を及ぼす可能性が。また、麻疹にかかると重症化しやすく、流産、早産、死産の頻度が上昇。今までかかったことも予防接種を受けたこともない人はもちろん、「子供の頃にかかった」「予防接種を受けた」と思っていても抗体が得られていないケースもあるのできちんと確認し、必要に応じて予防接種を。

【対馬先生コメント】
風疹などは妊娠中にかかると胎児にも影響が出ます!

【すぐ産みたい人】も【今はまだ産まない人】もみんなにとって大事な7つのこと

その1:まずは3週間。 自分の体を知る一歩を
「生理があると油断しがちですが、生理があっても排卵していない場合もあります。それをセルフでチェックできるのが基礎体温表。妊娠をまだ考えていなくても、たまの出血が排卵によるものだったり、イライラしがちなのが生理前に起こるPMSの症状かも、というのがわかるうえ、基礎体温表をつけて受診すれば、ドクターとのコミュニケーションもスムーズ。今はアプリと連動型のタイプもあり、簡単。自分の体調管理もできて面白いので、ぜひ!」

平均10秒で5分後の体温を予測できるので、忙しい朝でも大丈夫。スピーディに検温でき、そのままくわえ続ければ実測検温も可能。さらにBluetooth通信やNFC通信の機能を搭載しているのでデータをスマホに簡単に転送でき、アプリ「カラダのキモチ」や「WM(わたしムーヴ)」にも対応。グラフでの確認やデータ管理も楽々。

その2:気軽に相談できる場所を見つけましょう
予約なしで行ける 「ドロップイン」クリニックも
産婦人科というと予約をきちんととる必要があったり、待ち時間が長いイメージがあるけど、「もっと女性が妊娠や避妊をプランニング&コントロールできるようサポートしたくて新宿伊勢丹の中に開業しました」という対馬先生のところをはじめ、予約なしでも気軽に立ち寄れるクリニックもあり。貧血の原因として子宮筋腫や子宮内膜症が隠れていたということも多いので、気になったら迷わずGO!

《DATA》対馬ルリ子 女性ライフクリニック 新宿クリニック
リング選びのついでに立ち寄れる伊勢丹内クリニック。問診をメインとし、月経トラブルや、ピルや緊急避妊薬の処方のほか、貧血やダイエットの相談もOK。
住所:東京都新宿区新宿3-14-1 伊勢丹新宿店 B2F 休み:月(月曜が祝日の場合は翌日)

その3:パートナーと産む時期を話し合うこと
海外では10代の頃からカップルで避妊方法を選んだり、性感染症のチェックをするのが当たり前。男性もひとりで赤ちゃんの面倒が見れるようにトレーニングするというけど日本ではまだまだ。「結婚や子供をつくることを決めたら、ブライダルチェックや健診に一緒に行ったり、女性の体について学ぶセミナーを一緒に受講するのがオススメ。また、いつ子供が欲しいのか、そのためには何を準備しておくかを話し合っておくといいですね」

その4:遅く産む予定ならそれなりの準備が必要
他の先進国ではきちんとライフプランを立てて、プレコンセプションケアをし続けるのが常識。学業や仕事で今はまだ、でもいずれは子供がほしいという場合は、ホルモンキープも視野に入れて定期的に婦人科を訪れ、ピルの処方を受けるそう。そして、自分でタイミングを決めて出産。さすが! と思うけど、これは私たちにもあてはまること。キャリアアップもしたいし、夫とのふたりだけの時間も大切にしたいなどの理由で妊娠をまだ先と考えているなら、前もって産婦人科で相談をするのがベター。

その5:正しい避妊を覚えましょう
“コンドームは避妊具ではない”というのを知っていますか? 「コンドームの目的は性感染予防がメイン。きちんと装着していても年間約15%も避妊に失敗するのが実情で、世界的には避妊といえば、ピルの内服か、皮膚に埋め込むインプラント、3ヵ月に1回注射するインジェクションが主流。確実性が高く、失敗率は1%以下なので、今すぐの妊娠を望まないなら、コンドームに頼らず、ピルなどの検討を!」

その6:自己流ダイエットは不妊のもと
「アラサー世代はダイエットなどの影響もあり、栄養状態が悪い人がとても多く、急激に体脂肪が減ることで、脳が飢餓状態と判断して排卵がストップしているケースも。疲れやすくなるうえ、骨や筋肉も弱りやすい状態に」と対馬先生は指摘。また、葉酸や鉄分、カルシウムなどは妊娠中だけではなく、妊娠の4ヵ月前からとっておく必要あり。つまり、栄養面もきちんと整えておくことがセルフでできる妊娠前ケアと心得て!

その7:妊娠はトライしてみないとわからない!
「妊娠を目指して1年で約80~85%、2年目で90%が妊娠。つまり2年目まで待っても5%しか妊娠率は上がらないから、1年間トライして妊娠しなかったら不妊治療に切り替えるほうが◎」もちろん、妊娠しやすいか、妊娠が継続できるカラダかは、ブライダルチェックでわかるけど、「実際に妊娠できるかどうかや、いつ妊娠するかは、やってみないとわからない」と対馬先生。だからこそ、いつ妊娠してもいいように準備をしておくのが正解!
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\パートナーと同じくらい自分の体も大切に/

妊娠、出産のみならず、避妊の心配やときには中絶も含め、今の日本ではすべて女性が背負い、自分だけのことと捉えがち。もちろん男性側の理解と協力が必要であり、まだまだ難しい面はあるかもしれないけど、ふたりが望むタイミングで子供を産めるようにすることは、あなただけではなく、産まれてくる子供、そして生涯のパートナーとなる彼のためにも、大切なこと。ぜひふたりで妊娠前ケアに取り組み、幸せな家庭をつくってほしい、そうwithは願っています。

「人類史上異常」に月経回数が増えて…女性の不調に思春期から備えるべき理由

更年期障害の対症療法としてはホルモン補充と漢方がメジャーだ。女性の場合、思春期から低用量ピルを使って、ホルモンとうまく付き合っていく方法もある。 AERA 2019年12月9日号から。

 ドコモ・ヘルスケアが昨年、45~55歳の「更年期世代」と35~44歳の更年期より若い世代向けに実施したアンケートでは、自覚症状があり、女性更年期障害簡易チェックで51点以上、つまり「受診の必要あり」となった人は4割。だが「気にはなるけど、病気じゃないし」「婦人科はおっくう」と受診をためらう人が多いようで、実際の受診率は更年期世代でも2割に満たない。

 でも、つらい症状があるなら、我慢せず「更年期外来」のある婦人科医を訪ねよう。受診すると医師は、詳しい問診と種々の検査で、更年期障害なのか、更年期障害とよく似た症状を見せる甲状腺疾患や精神疾患など他の疾患なのかを評価する。

 更年期障害と診断された場合、有力な選択肢の一つとなるのがホルモン補充療法(HRT)。のぼせ、発汗などの症状はエストロゲンの低下が直接関連しているので、エストロゲンを補う治療は非常に有効だ。

 腕や太ももに塗るジェルやおなかに貼るパッチ剤、あるいは内服薬の3種類がある。子宮がある女性の場合、エストロゲンだけでは子宮体がんのリスクを上げてしまうため、プロゲステロンを必ず併用する。子宮を摘出した女性にはエストロゲンのみを使う。

 心配する人が多い乳がんのリスクについては、2016年に七つの国際学会がまとめた「HRTに関する国際的コンセンサス」はこう明記している。

「1千人の女性に1年間HRTを行っても、乳がんになるのは1人未満。生活習慣や肥満、アルコール摂取などの一般的な要因によるリスクの上昇と同等かそれ以下だ」

 ただ、年に1度は乳がんや子宮がんの検診を受け、異常がないかチェックすることは必要だ。

「もちづき女性クリニック」理事長で、獨協医科大学医学部産科婦人科特任教授の望月善子医師は、「HRTは高脂血症や骨粗しょう症の予防、皮膚のコラーゲン量の維持などにも効果がある」と話す。ホットフラッシュなどは早ければ1、2週間で改善することもあり、8割の患者が2カ月で軽減したとの報告もある。

愛知医科大学産婦人科の若槻明彦教授によると、HRTは大腸がんや、胃がん、食道がんなどのリスクを低下させる効果も報告されているという。更年期以降の健康維持のためにも治療の有力な選択肢と言えるだろう。

 30代でまだ更年期ではないが、更年期同様の症状が見られる人もいる。例えば、「冷えのぼせ」がつらいという検査技師の女性(32)の場合、症状が出始めたのは30歳から。冷房が利いた部屋でも首から上は汗が噴き出す一方、手足は氷のように冷たい。検査のために患者さんに触れる時は、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 イライラもひどくなり、以前なら同僚の気が利かなくても「私がやればいいや」とおおらかでいられたのに、最近は「ちぇっ」と舌打ちしながらこれ見よがしにやってしまうことも。

 この女性は医師からピルの服用を勧められた。ピルはHRTと同じホルモン剤。経口避妊薬として知られるが、実は更年期と似た症状の改善にも有効だ。ただ女性は以前、月経不順で処方されたピルで強い吐き気に襲われた経験があり、今回、服用には二の足を踏んでいる。そうしたケースについて、「よしの女性診療所」の吉野一枝医師はこうアドバイスする。

「胃薬や吐き気止め、漢方などと併用するとか、半錠から始める方法もあります。ピルを使い慣れて微調整ができる医師に相談してみてください」

 更年期障害には漢方療法もある。主に使われる「婦人科3大漢方薬」による治療は、「HRTと効果について有意な差はない」という報告も。西洋医学では治療法がないような慢性的な痛みやイライラといった症状に効果的とされる。

 前出の望月医師は、「多彩な症状を呈する更年期障害に漢方が効くケースは多い」と話す。特に「イライラして腰も痛い」というように、心身の複数の症状が同時に出るケースには有効だという。

 3大漢方薬の使いわけは、東京都千代田区の若草漢方薬局の店主で管理薬剤師の吉田淳子さんによると、

「仕事が多くて頭痛や冷えがあるという症状なら、加味逍遥散(かみしょうようさん)。ストレスが原因の症状に効く他、幅広い人に使える」

 一方、むくみが出て、梅雨時季にウツウツするという人には当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)。のぼせたり、青あざや静脈瘤ができやすいタイプなら、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)。子宮に血がたまるのを改善させるため、子宮筋腫の人に使うこともある。

 ここまで紹介したHRTや漢方はすでに出ている症状への対症療法だが、女性はホルモンバランスの変動とのつきあいが思春期から始まる。吉野医師は、「特に女性医療は予防が大切。月経が始まったら低用量ピルを服用することも是非考えてほしい」と話す。

 中高生から?と思うかもしれないが、同医師によると妊娠・出産の予定もないのに排卵と月経を繰り返すことは、卵巣に大きな負担をかける。そもそも現代の女性は、子どもを10人近く産んでいたころの女性に比べて、生涯に経験する排卵・月経は9~10倍に増えているという。

「人類史上では異常事態です」(吉野医師)

 排卵・月経回数の増加は、子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣がん、子宮体がんが増える原因にもなっているという。

 低用量ピルを服用すると、薬の作用で2種類の女性ホルモンが低めの安定した状態をキープするので、卵巣は起きずに眠った状態になる。薬を休むと出血するが、量は少なく、通常の月経より期間も短い。月経痛、貧血からも解放され、ホルモンが安定することで生理前と後で体調や気分も一定でいられるようになる。月経周期を自分でコントロールできるようになるため、受験やスポーツの大事な大会などに差し障ることもなくなる。吉野医師は言う。

「女性ホルモンは男性ホルモンに比べて変動が大きく、それによって起こる健康問題も深刻です。思春期からうまくホルモンバランスを調整する術を持っておくことは、その先の長い人生を健やかに生きるためにも、とても大事なこと。娘さんがいる女性は是非、母娘で一度婦人科に相談してみてください」

女性の50代後半から60代は「老年期」への移行期。体だけではなくメンタルも要注意!

「50代後半から60代はポスト更年期から老年期への移行期です。症状が一段落しても、安心せずに。行うべきことはたくさんあります」と話すのは、美容家・オーガニックスペシャリストの吉川千明さん(60歳)。さまざまな更年期の不調にみまわれ、向き合ってきた彼女の体験談は、これから更年期を迎える女性にとってもおおいに参考になるはずだ。

30代後半からすでに、仕事の重圧と多忙さからプレ更年期の症状に悩まされてきた吉川さん。そして「45歳からの本番更年期でも、あらゆる不調を体験しました。更年期症状はさまざまですが、私の場合、なぜか最も一般的なホットフラッシュだけはなく、それ以外のすべてを体験した感じ(笑)」

ひどい肩コリ、冷え、動悸、不眠、肌あれ、喉やデリケートゾーンの乾燥、頻尿、尿もれ、中耳炎…。しかし、そんな体の不調だけではなく“心の不調”もつらかったという。

「メンタルにきたのには参りました。会社では経営者としてしっかりした人間を演じ、家では夫婦間に亀裂が入っていました。その後、離婚をするのですが、そのことでまた自分を責めて、このままでは本格的なうつになると思いました。体はますます冷え、頻尿や尿もれにも悩まされました」

心理テストを受けたところ、やはり過度なストレス状態。これらを解消するために、リラックスする漢方薬を飲んだり、ヨガなどの運動療法、アロマテラピー、そして初めてカウンセリングも受けたそう。

「特に離婚前後、プロのカウンセラーに話を聞いてもらうことで、混乱した思考がずいぶん整理され、心が軽くなりました。もっと自分の心を大切にしなければ…と思いましたね」

そして大きな救いになったのが、HRT(ホルモン補充療法)だったという。
「更年期は、卵巣から卵がなくなり、女性ホルモンが低下した体の状況に、脳が混乱している状態。そこに女性ホルモンを少しだけ補ってあげることで、脳が納得して、心身の調子がすごくよくなりました。試しに一度やめてみたことがあるのですが、とたんに気持ちが暗くなりました。女性ホルモン、恐るべしです(笑)」

【更年期ケア生活・日中編】「サングラスで目を紫外線から守る」ことが大切な理由

自律神経を整える最強の過ごし方をマスターすれば、更年期不調を軽減することにつながる! 日中の過ごし方ポイントは「ランチに出かける際の紫外線対策、イミダペプチドを含む食品で疲労回復。交感神経をいったんオフにする適度な昼寝で自律神経の負担を減らす」こと。東京疲労・睡眠クリニック院長 梶本修身さんに詳しく教えてもらった。

サングラスで目を紫外線から守ることが、自律神経の疲労を防いでくれる!

【12:00 サングラスで目を紫外線から守り自律神経の疲労を防ぐ】
日中に心がけたいのは紫外線対策で、特に大事なのが目のガード。

「紫外線が目に入ると角膜で活性酸素が大量に発生し、炎症反応が脳から全身に伝わります。すると自律神経が高ぶって一種の臨戦態勢になり、自律神経の疲弊のもとに。外出時は、サングラスや日傘などで目を紫外線から守りましょう。サングラスは紫外線をほぼ100%カットするものを」(梶本先生)

【昼食にはイミダペプチドを含む食品をとって疲労を回復】
昼食でとりたいのは、イミダペプチドを多く含む鶏胸肉。

「紫外線やストレスなどさまざまな原因で体内で活性酸素が発生すると、自律神経にダメージを与え、疲労も招きます。そこでとりたいのが、イミダペプチド。鶏胸肉に多く含まれる成分で、活性酸素を無力化して酸化ストレスを軽減し、自律神経のダメージを防いで疲労の回復を促します。鶏胸肉を1日100g食べると効果的」

【13:00 昼寝をして、フル稼働していた交感神経をいったんオフに
「人間の生体リズムでは、お昼過ぎに眠くなるのは当たり前なので、可能なら昼寝をしましょう。交感神経をいったんオフにすることで、自律神経の負担が減ります。ただ、夜の睡眠を妨げないよう30分以内に収めること。昼寝前にコーヒーなどのカフェインをとると、その覚醒作用が効きはじめる20~30分後にすっきりと目覚められます」

次回、続いて夕方にかけての過ごし方のポイントを紹介しよう。

話を聞いたのは 梶本修身さん
1962年生まれ。東京疲労・睡眠クリニック院長。医学博士。医師。大阪大学大学院医学研究科博士課程修了。2003年より産官学連携「疲労定量化および抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者を務める。著書に『すべての疲労は脳が原因』(集英社新書)シリーズなど

大人の女性の身体が変化する「35歳、42歳、49歳」の対策

「昔から東洋医学では、女性の体は7の倍数の年齢に変化するといわれています。それは体が老化することを意味します。7の倍数はあくまで目安ですが、現代は昔より成長が早く、実際には年齢が前倒しで体のピークを迎えています。

そして35歳ぐらいからは個人差が大きくなります。大切なのは、その年代ごとに体の状態を把握し適切なケアをしていくことです」

そう話すのは、日本薬科大学学長の丁宗鐵(てい むねてつ)先生。今回は、女性の体が変化する「35歳、42歳、49歳」のケアを丁先生に教えてもらいました。

【35歳 激動期】
この時期は女性ホルモンの減少があってもまだ女性ホルモンは残っています。女性ホルモンを効率よく巡らせ、活性化させましょう。

ダイエットはスリムになることが目的ではなく、あくまでも体の循環をよくするためと考えること。必要以上の食事制限をしたり、過激な運動は禁物。

欠かせないのが良質な睡眠。夜はゴールデンタイムといわれる午後10時~午前2時までに寝て、早起きしましょう。女性ホルモンを活性化するだけでなく、脂肪を燃焼させることができるのでダイエット効果もさらにアップ!

食事のおすすめは繊維質の多いものや発酵食品。スパイシーな食材。山いもや大豆、ごぼう、玉ねぎなどを漬け物にしたり、カレーに入れたり、キムチなども意識して食べましょう。

夜はおかずだけにして炭水化物は控えること。ワイン、ビール、日本酒などのお酒は太る原因なのでNG。

【42歳 情動期】
この時期は女性にとって人生の節目。白髪が目立ち始め、肌の乾燥やかさつき、体力の衰えも感じるようになります。体は徐々に更年期に向かっていきます。

精神的な充実感がないとストレスから食欲過多になり太ることに。趣味をもつ、気の合った仲間とコミュニケーションをとるなど、心の充実も含めたケアが必要です。

体の代謝が落ちてくる時期なので冷えすぎると肥満にも。ふだんから腹巻きをして下腹部を温める、薄着はしないなど工夫すること。また、夏場はシャワーですませる人が多いのですが、湯舟につかって体を温めましょう。

食事のオススメは、サバ、サンマ、イワシ。それらに含まれているEPAやDHAは血液中の中性脂肪値やコレステロール値を低下させ、血流をよくします。

唐辛子やカレー粉などの香辛料を使ったスパイシーな食事も代謝をアップさせます。ただしこの時期から代謝が落ちてくるので、食べすぎは禁物です。

【49歳 更年期】
女性にとって更年期は誰にでも訪れます。この年代で大切なのは食事やライフスタイルなど日常生活を見直すこと。無理をせず、すべてにおいて8割ぐらいにペースダウンするのがポイントです。

筋肉や骨を強化するためにも日光を浴びながら、軽い全身運動や散歩を楽しみましょう。適度なエクササイズは不眠解消にも。また、インナーマッスルを鍛えるためには、横隔膜を動かすカラオケなどもオススメです。

食事は、肉や魚(特に小魚)などの良質のタンパク質をとり、塩分は控えましょう。ドリンクは豆乳や豆乳ヨーグルトなどがオススメ。

腸も弱ってくるので、肉や魚も発酵したもの(干物や塩分を抜いた粕漬け、豚肉の味噌漬けなど)を。この時期からは1日2食が理想的です。

【重だるい生理痛の改善に】骨盤まわりの血流を促す寝たまま簡単ヨガ|妊活にも

生理の仕組み

生理の時に子宮内膜からプロスタグランジンが産生されます。プロスタグランジンは子宮の筋肉の収縮を促し経血を排出しますが、プロスタグランジンの産生が過剰になると子宮収縮が強くなり、それに伴い子宮の血流も低下します。そのため下腹部から腰部にかけての痛みが強くなります。

ストレスも生理痛の原因に

心身への強いストレスを感じると、“闘争と逃走の神経”とも呼ばれる交感神経が優位に働きます。すると体が緊張した状態になるので血管が収縮し、生理痛を強める原因になってしまうのです。生理期間中は体と心を緩めることを意識して過ごしましょう。

【生理痛の改善に】寝たまま簡単ヨガ

太ももの付け根を動かすことで、鼠径部を通る血管の流れを促し、骨盤内のうっ血を改善していきます。ゆっくりと深い呼吸と共に行うのがポイントです。

やり方

1.うつぶせで左脚を横に開く/股関節と膝は90度くらい曲げる(5呼吸ホールド)

股関節が辛い場合、曲げた脚の下に毛布などを入れて調整しましょう© 股関節が辛い場合、曲げた脚の下に毛布などを入れて調整しましょう 股関節が辛い場合、曲げた脚の下に毛布などを入れて調整しましょう

2.脚はそのまま、上体をあお向けにする(5呼吸ホールド)

腕のポジションは、肩や胸が楽なところで© 腕のポジションは、肩や胸が楽なところで 腕のポジションは、肩や胸が楽なところで

3.右脚も同様に行う

4.あお向けになり、手で膝をサポートしながら股関節を回す(内回し/外回し5回~10回ずつ)

太ももの付け根から、ゆっくり回しましょう© 太ももの付け根から、ゆっくり回しましょう 太ももの付け根から、ゆっくり回しましょう

5.両膝を抱きしめて、左右にゆらゆら揺れる

腰まわりを優しくマッサージ© 腰まわりを優しくマッサージ 腰まわりを優しくマッサージ

▼動画で動きを確認▼

骨盤内の血流をよくすることは、生理痛の改善の他、妊活にもよい効果があると考えられています。生理中だけでなく、体と心を緩めるツールとしても、ぜひ日常に簡単ヨガを取り入れてみてください。

※生理痛が重く日常生活に支障をきたす場合は、病気が原因となっている場合もあります。気になる症状がある場合は婦人科を受診しましょう。

医師監修/柴田和恵先生

大学卒業後、一般外科を経て産婦人科医として診療にあたる。プライベートでは1児の母。ヨガが趣味でマタニティヨガの資格を持つ。日本産科婦人科学会専門医。

のぐちかなこ

専業主婦からヨガ講師へ。大手ヨガスクールにて全米ヨガアライアンスの講義(RYT200/RPYT85)及びヨガレッスンを年間1,000時間以上担当。2018年に独立し〈あんどYOGA〉を立ち上げる。現在もヨガインストラクターの養成に携わりながら、特に産前産後に関するヨガや新米ヨガインストラクターサポートに力を注いでいる。オンライン講座も多数開催中。プライベートでは三姉妹の母。あだ名はかーちゃん。Instagram:@kaacyan123

憂鬱だった「私の生理」が変わった|私が月経血コントロールを習得して得られた嬉しい変化とは

生理中の快適さだけじゃない月経血コントロールの恩恵

わたしが月経血コントロールをはじめてまず変わったのは生理が楽しみになったこと。

月経血コントロールに出会う前の10代~20代前半は、寝ている間に経血でベッドを汚してしまったり、鎮痛剤もかなり強いものしか効かず、生理前にもPMS(月経前症候群)の不調が多くありました。月の半分以上は月経にまつまるサイクルで、身体も心も調子が悪いという日々。なかでも生理前に食べ過ぎて太り、生理痛で食べれなくなるというPMS症状による体重変動や肌荒れがもっともつらかったものです。何とかしたいと思い、ヨガや様々なボディワーク、整体、栄養の勉強を深めて栄養士の資格もとりました。そんな探求の日々で月経血コントロールと出会いました。

はじめはわたしも「そんなことできるの?」と思っていましたが、自分の身体やこころの状態によって、上手にできる月や失敗する月を経験しながら実践していく中で、体質改善や身体作りをしていく大きなモチベーションとなりました。

そして経血の状態や自分の身体について、生理が来るたびに向きあうきっかけが生まれ、食事や生活習慣、運動の強度や内容などを体調や状態にあわせて変化させていくことで、こころと身体によりよい変化が生まれました。

以前はとても難しかった食との向き合い方も、生活のリズムを整ることや身体作りに加え、必要なものを食べ不要なものや自分に合わないものはとりすぎないように心がけていく過程で、身体とこころが欲するものを必要な分だけ食べることが身に付き、体重の変動で身体やこころが大きくゆらぐこともなくなりました。

股関節周辺や骨盤底をきちんと整える身体作りの過程で、若いころよりも脚の筋肉の付き方が変わり、脚のラインが美しくなったと言われるようになり、20代の頃は絶対手放せなかったファンデーションも必須ではなくなりました。

痛みやイライラに耐えてやり過ごしていた生理前や生理期間、その「憂鬱でしかなかった時期」が、毎月自分の身体をみつめてよりよくなるきっかけになる、楽しみな期間になるなんて思いもよらなかったです。

月経処置は様々なものがあって布ナプキンでも紙ナプキンでも自分で自分が快適だなと思うものを選んでいければよいと思いますが、その選択肢のひとつとして月経血コントロールを知ってもらえる機会ができたらよいなと思います。以下に月経血コントロールについてよくいただく質問をいくつか紹介します。

Q.経血をためて身体に負担はないの?

「月経血コントロールって身体に負担はないの?」「仕事が忙しくてあまりトイレにいけないので溜めておきたいけど、それはできる?」という質問を時々受けますが、どちらも答えは「いいえ」です。

もちろん尿と一緒で無理に我慢したら負担がかかると思いますが、月経血コントロールは好きなだけ無理に締めあげて溜めておくわけではなく、経血がたまってきたらトイレに出しに行くので身体に負担はありません。また、日中は何度かトイレに出しに行く必要がありますので好きなだけ溜めておけるというものでもありません。

Q.寝ている間はどうするの?

よい睡眠が得られているときは自律神経でいうと副交感神経優位になっていて内臓はゆるんでいますし、身体を起こしているときのように子宮などの下腹部の臓器や骨盤底に重力がかからないので上達してくると寝ている間は溜めておけるようになります。

但し、いままでたくさんの方に指導してきて稀に「日中はすべてトイレで出せるようになりコントロールできるようなってきたが、就寝中のみできないので夜はしっかりナプキン必須」という生徒さんもいらっしゃったので、個人差があります。睡眠の深さの他、寝具などの影響や寝相の影響も受けるので無意識化のコントロールについての方が難しい方もいますが、私がお伝えしている方の中では日中よりもリラックスしている就寝中の方が先にコントロールできるようになる方のほうが多いようです。

Q.月経血コントロールは誰でもできるの?

月経血コントロールの上達(ナプキンにほぼ落とさないなど)には、姿勢をはじめ、心身のゆるみ(しなやかさ)だけでなく、生活環境からも影響をうけるので、身体作りや日々の身体のケアを続けることが必要です。ただ身体に不調がない方などは少しコツをつかむだけでも、生理の快適さはUPします。例えば同じ経血量の場合でもトイレで経血を出せる量が増え、ナプキンに経血がつく量の配分が減ります。

「布ナプキンは漏れそうで怖すぎる!」と言っていた方が布ナプキンを安心して使えるようになったり、紙ナプキン派もトイレである程度経血を出す習慣ができると、ナプキンがきれいな時間が増えるので取り換える回数が減るというレベルであれば、きちんと練習していけばほとんどの方が上達していけます。

ただ、産後の身体の回復期に靭帯などが伸びきってしまった、無理なダイエットをして必要な筋力やバランスが崩れている場合や適性体重よりも過体重や極度の低体重で筋力がない場合などは、上達が難しい傾向にあります。

とはいえ、そういう場合は身体作りが無駄なのかといえばそうではありません。伸びきってしまった靭帯などは残念ながらもとには戻らないのですが、その分筋肉の状態をよくすることは身体にとってむしろ健康な状態の方よりも更に必要で、骨盤底やお腹の奥など股関節周辺の適切な筋力を育てたり、身体のこわばりをほどいていき、運動の習慣をつけていくところから根気よく身体作りをしていくことは尿もれなどの身体の不調を緩和するためにもおすすめしたいです。

実際、産後女性の中でくしゃみだけでなく少し走るだけでも尿漏れがあった方や逆転のポーズをすると何をやっても膣に空気が入ってしまっていた方が月経血コントロールやそのためのの身体作りを続けていたらその過程で改善し、生理も快適になったという方からの声もあります。

月経血コントロールの上達にもつながる身体作りについては女性のためのヨガ協会で月経血コントロールヨガやWomen’sAwarenessYogaなどの講座でお伝えしています。WAY-TOKYOでは骨盤底の機能を高めるための整体(内臓・骨盤底ケアforwoman)やパーソナルや少人数制ヨガクラスなどがあります。月経血コントロールについてのお話会(親子参加は小学生以下無料)を定期的にオンラインで行っていますので質問や興味があれば参加してみてください。こちらの連載コラムでもいくつかワークやポーズを紹介していきますので練習にとりいれてみてくださいね。

※1時間でナプキンからもれてしまうほどの経血量や急に痛みが増したような場合は子宮筋腫や内膜症、もっと大きな疾病が隠れていることもあるので、セルフケアやボディーワークだけでなく定期的に病院で検診することもおすすめします。

仁平美香

月経血コントロールヨガ、産後ママのためのメンテナンスヨガ、体軸ヨガ講師養成スクールティーチャー、セラピスト、栄養士。一般社団法人日本ホリスティックヘルスケア協会理事。女性のためのヨガ協会代表。女性のためのイベントYOGAWOMANにて講師を担当する他、企画運営にも携わる。「カラダをゆるめてこころを整えるはじめての月経血コントロールヨガ」「医師もすすめる血管美人ヨガ」等著書多数。雑誌・WEB等コラム監修も行う。

生理の問題が日本で動いた。意思決定層に女性が増えれば、社会は「生きやすく」なる

生理をめぐる社会状況が激しく動いている。そう、多くの女性が悩まされる「生理」だ。

変化の背景に、政治や経済の世界でようやく女性が意思決定権を持ち始めたという状況があるのではないか。

若い世代のSNSでの発信や悲鳴を課題として受け止め、世の中の環境作りをして、施策へとつなげる女性たちに、取材を通じて出会った。

見えてきたのは、意思決定層に女性が増えることが、社会の様々な場所にある「生きづらさ」を解消することにつながるのではないか、ということだ。

生理は「恥ずかしい」もの。貧困状態では後回しに…

人によって異なるものの、生理は多くの女性が40年近く付き合うもので、非常に身近でありながら、なかなか語られる事が少ない。タブー、といってもいいだろう。コンビニで生理用品を買うと紙袋に包んでくれる。「持っているのを見られたら恥ずかしいだろうから」という配慮からと思われる。

女性のエンパワーメントを掲げる国際NGOプラン・インターナショナルが今年、日本国内の15歳から24歳までの女性2000人に生理についての意識調査を行った。女性が生きやすい社会をつくるためには生理の問題を直視して支援につなげる必要があるという問題意識からだ。

その結果、「生理用品の購入をためらったことがある・購入できなかった」と答えた割合は回答者の約36%。理由としては、「収入が少ないから(11%)、「生理用品が高額だから」(9%)「恥ずかしいから」(9%)などだった。

また、生理が依然としてスティグマ(恥とみなされること)であることも見て取れる。プランはすでにイギリス、アメリカでも同様の調査を行っているが、類似の結果だった。貧困に苦しむ人々が生理用品を買えない、どうしても後回しになる、というのは「Period Poverty」(生理の貧困)と呼ばれるが、日本でも同じ事が起きていると裏付けられた。

世界から遅れてきた日本の生理をめぐる問題

世界では生理にまつわる取り組みが一足も二足も早く始まっていた。

アメリカでは、生理用品は生活必需品と見なされず課税対象になっている州が多かったが、これに対して女性や若者たちを中心に、生理用品への課税、いわゆる「タンポンタックス」をやめるように声をあげる動きが2015年ごろから広がった。

今ではカリフォルニア州など複数の州で税率の引き下げや廃止がなされており、学校での無償配布が始まっている州もある。また、2020年に英スコットランドは、すべての人に生理用品の無償配布を決め、話題になった。

しかし、日本では…。

アーティストのスプツニ子!が男性が生理を疑似体験する「生理マシーン、タカシの場合。」を発表したのは2010年。世の課題を敏感にかぎとり、先取りして話題になったが、そのあとも日本社会で議論はあまり深まってこなかった。

動く民間企業。「生理はなかったことにされてきた。でも…」

だが、ここにきてようやく歯車が動き出した。

生理用品メーカーとして最大手のユニ・チャームはナプキン・タンポンブランドの「ソフィ」を擁する。そのブランドマネージャー、長井千香子さんは2019年「#NoBagForMe」というキャンペーンを仕掛けた。社会の生理に対するタブーを減らすため、生理用品を買うときに包んでくれる紙袋を「いらない」と言う選択肢を後押ししよう着想されたものだ。ハヤカワ五味さんや菅本裕子さんなど、女性起業家やインフルエンサーらがプロジェクトに関わった。

日本ではこれまで、タンポンの使用者が伸びてこなかった。思わず手に取りたくなる素敵なパッケージにすれば、購入する人も増えるかもしれないし、生理をタブー視する風潮に疑問を投げかけられるかもしれない。

実際、一般の人たちによる投票キャンペーンでもっとも人気のあったデザインが商品になると、18〜24歳の若年層のタンポン使用が1年で約20万人増加したという。SNSでは「パッケージがかわいい」、「タンポンを初めて使った」などの反響のなかで、「男性にも生理を理解してほしい」という声があった。

こうした反響も後押しとなり、長井さんらは男性にも生理のことを知ってもらおうと、さまざまな企業にむけて生理教育を始めたり、タブーをなくしていくための様々取り組みに継続的に取り組んでいる。

「今まで生理はなかったことにされていた。黙って我慢するのではなくて、もっと快適になるよう声をあげられる社会になるといいと思います」(長井さん)

伊勢丹新宿店では2021年の2月から3月にかけて、女性の身体と心の健康に焦点をあてた期間限定店をオープン。ナプキン代わりに使う人が増えている吸水ショーツなどを置き、非常に好評だった。企画したのはバイヤーだった桑原麻友子さんだ。桑原さんは「百貨店のようなオープンで誰でも訪れることができる場でこそ、女性の生き方を変える多様な商品を提案することに意味があると思う」と言う。

そして政治家も動き始めた

生理をめぐる問題で無視できないのは、若い世代の動きだ。大学生らで作る団体「#みんなの生理」は2019年、生理用品の軽減税率を求めて署名活動を起こした。2021年2月には生理用品にまつわるアンケートをして、約20%が過去1年以内に「金銭的理由で生理用品の入手に苦労したことがある」と答えた。

その声を受けて、政治も動いた。2021年3月の参議院予算委員会で公明党の佐々木さやか議員や立憲民主党の蓮舫議員がこの問題を質問したのだ。対策を迫った蓮舫議員に、菅義偉首相は「(対応にあたるNPOの)活動を少しでも後押しできればいい」と答えた。そしてコロナ禍の女性支援の交付金の使途の中に生理用品の無料配布が含まれることになった。

蓮舫議員がこの問題を取り上げたようと考えたきっかけは、10代の女性を支援する団体の活動現場に出かけたことだった。貧困に苦しむ女性たちと、それを支える女性スタッフたちを目の当たりにして、「政治家の自分ができることをやろうと思ったのです」と蓮舫議員は語る。

生理の問題は、女性が意思決定層にいる意義を再確認させる

ここまで日本で生理をめぐる状況が動いたのはなぜか。

それは、政治や経済といった社会の要職、意思決定層に女性が就くようになったからだろう。

前述したユニ・チャームの長井さんや、伊勢丹の桑原さんは40歳。自らの権限を持って組織の中で生き生きと活躍している。

政治の世界でも数はまだまだ少なすぎるものの、蓮舫議員のように党の幹部を務め、影響力を持つ女性が出てきた。若い人たちがSNSなどで声をあげたり、行動するのに対して、それを受け止める素地がようやく出来てきた。これまでの男性中心社会では置き去りにされていた問題が可視化され、解決に向けて動くことが可能になってきたのだ。

生理をめぐる動きは一つ一つがそれぞれ意義深い。だが一番肝心なのは、社会構造の変化こそが、問題を解決に向かわせているという点だ。

日本はジェンダーギャップ120位、G7最下位。

こうした結果を受けて「女性の議員や管理職を増やそう」というと、「性別は関係ない」「数値目標は逆差別だ」などの反論がある。

しかし、生理関連の急速な進展は、政治や経済など社会のさまざまな層で女性が意思決定に関わることで、生きづらさが解消される人が増えると示しているのではないだろうか。

これは、永田町・霞が関だけの狭い意味での政治ではなくて、広い意味での政治ーー生きやすい社会システム作りーーでもある。生理は社会の構造変化の象徴なのだ。

女性の病気を改善させる可能性がある「野菜」の選び方

冬から春への季節の変わり目。体の不調を感じたときは、「薬」の前に「野菜」を試してみませんか? ここでは、近年の研究成果から明らかになった、野菜が持つ薬事効果を紹介。副作用なし、おいしく安全な“新しい処方箋”をお届けします!

「近年、食べ物に含まれる各種成分が人にどのような影響を及ぼすのか、最先端の科学技術を用いた研究が著しく進んでいます。これまでは“民間伝承”と思われてきた野菜が持つ薬事効果がつぎつぎに立証されているんです」

こう話すのは、薬剤師で薬学博士の田村哲彦先生。たとえば刺身のツマとして使われる、しそ。古くから生魚を食す際に殺菌効果があるといわれてきたが、成分のペリルアルデヒドに抗菌・防腐作用があることが実証されたばかりか、せきを鎮める効果も動物実験によって明らかに。

「食べ物に含まれる薬効成分を“機能性成分”と呼びます。今回はその成分が多い野菜に注目。現在、科学実験で効果が実証されているものを紹介」(田村先生・以下同)

■女性の病気を改善させる可能性がある野菜

【冷え性】しょうが

成分のジンゲロンが血液の循環をよくし、内臓の働きを活発にすることで冷え性を予防。

【月経不順】ごま

成分の不飽和脂肪酸やビタミンなどが生理が遅れ気味、経血量が少ないなどの症状を改善。

【月経痛】にら

男女の生殖器の働きを活発にする成分を含み、子宮のうっ血を解消し月経痛を軽くする。

【不妊症】よもぎ

中国では「妊娠を促す」薬草として有名。血液の循環を促し子宮そのものの働きをよくする。

【更年期障害】ほうれん草

成分のβ-カロテンやルテインが更年期特有の動悸やのぼせ、イライラといった症状を緩和。

田村先生は40年前から、こうした食べ物の薬事効果に注目。西洋医学と東洋医学の両方を学び、病気の予防や治療に食べ物をうまく取り入れる健康法「食治」を研究してきた。

紹介した野菜は最近ではほぼ一年中、手に入るものばかりなので、常に欠かさず食べることが可能だが、田村先生は、「ただ野菜に含まれる機能性成分を効果的に取るには、選び方にコツがあります」と話す。そこで田村先生に選び方のコツを教えてもらった。

(1)色の濃いものを選ぶ

「機能性成分は野菜の色素成分に含まれているものも多い。色が濃いものはそれだけその成分を多く含んでいる証拠」

(2)切り口が黒ずんでいないものを選ぶ

「野菜の鮮度も含有量に影響します。なるべく新鮮な野菜がおすすめです」

(3)水耕栽培より土で育ったものを選ぶ

「病気に効く成分は、大地の生命力を野菜を通していただくものと思います。しっかり大地に根を張って育った野菜のほうが栄養素も豊富です」

野菜が持つ数々の薬効。薬嫌いの人だけでなく、この自然の恵みをぜひあなたも試していただきたい。

これってまさか更年期!?「まだまだ先のことだと思っていたのに」ママたちを悩ませる体の変化と症状

更年期といえば、40代後半から50代にかけて閉経後の症状と思っていませんか? まだまだ先のこと…かもしれませんが、年齢と共に理由のわからない体調不良はよくあることです。30代から「更年期?」と疑われるような症状に悩まされたママたちもいます。

具体的な体験談をまとめてみたので、若いママたちが「これからの自分の体」について考える〝きっかけ〟にして頂けたらと思います。

「これって更年期?」先輩ママたちの体験談
▽更年期ではなかったけど…

35歳を過ぎた頃から、だるい、疲れる、やる気がなくなるといった感じで仕事も育児も何とかこなしている感じに。そのうちに偏頭痛もはじまり、市販薬でごまかしながら半年以上過ごしました。歳の離れた姉に相談したところ、更年期が早くくることもあるから、と言われ、ひとまず婦人科を受診。

ホルモン量の測定などで簡単に診断はつき、私の場合は「自律神経失調症」つまりは、明確な原因はないけど全体的に体調管理がうまくいってないってことでした。

結局、更年期ではありませんでしたが、病院へ行けば、症状にあわせた薬も処方してもらえるし、何に気をつければいいのかも指導してもらえます。先生に「早く来てよかったね、このまま、うつ病になったり、他の大きな婦人病が隠れていることもあるから」と言われて、ホッとしました。

また、いずれくる更年期についても詳しく説明してもらい、しかも私の体調を考慮して「こんな症状が出たらすぐいらっしゃい」と言われ、それだけで心の負担が大きく減りました。不安をなくすというのは、毎日の生活をこなす中でとても大切だと感じた出来事でした。(Mさん/37歳)

▽閉経前に更年期のような症状が出た

生理が間遠になり、それまでかなり正確な周期だったのが、いつの間にか「あれ、3カ月近くない」で、ちょっと出血があったりして2週間目くらいにまた生理っぽい感じになったり。かと思うと5カ月近くなかったり。その時は量が普段の倍くらいでビックリしました。その頃、今まで一度もなかったのに歩いている途中でドクドクと胸が波立つようになって一瞬パニックになりました。

すぐに総合病院の循環器科へ。精密検査をしましたが特に悪いところはなく、私の症状を聞いていたドクターから「もしかしたら更年期の始まりかも、婦人科を受診してみて」と言われました。

婦人科のヒアリングと検査の結果「これから閉経期にかかるところで、体調が上下する時期。実は完全に閉経しなくても、その過程で更年期のような症状が出る女性は多いんですよ」と言われました。理由がハッキリしたら気持ちもスッキリしたというか、

しょうがないなと思って、今はまだ積極的な治療はせず、「そういう年齢だから無理をしないでやっていこう」と生活全体を見直しました。我慢せず、体のSOSに耳を貸して、ひどい更年期にならないよう、のんびりやっていこうと思っているところです。(Nさん/44歳)

▽まさか、これって若年性更年期障害?

30歳過ぎてから、めまいやふらっとすることがあって、疲れかなぁと思いつつ、サプリメントとか適当にとっていました。それから、何もしていないのにカーッと上半身に血が集まるような感じで熱くなったり、めまいもいっこうに改善しないので義姉に相談していたら(看護師です)、それ、もしかして更年期かもね、と言われてビックリ。まだ30代ですから! でも彼女の意見を聞いて、念のため、婦人科へ行きました。

すると「いわゆる若年性の更年期症状かも」って! 「閉経の前後10年間」は更年期の始まりでホットフラッシュやめまいが起きる人もいる、30代でも似たような症状が出る人もいると。

そう言われてみると、生理が全然きていないと思い出し、愕然としました。あまりに忙しくて「生理がきてない」ことも「もともと生理不順だから」と気にしていなかったのですが、さすがに半年ないのは長い…。結局、経過観察でしたが1年すぎても生理は戻らず、様々な検査の結果、早発閉経と診断され、ホルモン治療を行っています(Sさん/32歳)

辛かった体調不良を経験したからこそ伝えたい
▽更年期・婦人病に強い先生がいる病院へ行って下さい!

私は40代半ばから、ホットフラッシュ、動悸、めまい、ひどい肩こりが始まり、サプリ飲んだりヨガを始めてみたりとアレコレやりました。でも、そのうち頭痛も激しくなり、仕事にも支障をきたすようになってしまいました。

更年期かも?と思い、近くの産婦人科を受診しましたが、そこはこの辺りでは有名な豪華なサービスつき産科で有名なところ。お腹の大きい、元気な若いママたちの間で診察を待つのは余計に気持ちがダウンしました。先生は良い人でしたが、更年期については通りいっぺんの説明と「病気じゃないからね、ゆったり過ごして」というだけ。

症状がひどくなり、仕事も退職、家にひきこもるような生活になり、心配した母親が「私も更年期の症状がひどかった」と言って、専門の外来に連れていかれました。そこで検査をしてもらい、まずは漢方薬で様子見しながら、ダメならホルモン療法で、とステップを追うように治療法も説明してくれて、ようやく体の不調がおさまっていきました。

思えば2年近く寝たり起きたりで家族にも苦労や心配をかけました。でもどうしても起きられないほど辛かったんです。もっと早くから、更年期の体調不良に詳しいところで相談していら、と思います。そんな症状になる前に、若いママたちにも「何となくおかしい」と思ったら、面倒がらずにきちんと受診して欲しいと思います。(Oさん/47歳)

▽生理不順でも相談するのが大事

生理不順がひどくなり、「え、もう終わり?」ということもあれば、夜何度も起きて取り替えないとならないくらいの量のこともあり、しかも生理の時期以外にもだるさやのぼせ、些細なことでもイライラするといった感情の起伏も激しくなって、なんでもないことで大泣きしてしまったことも…。

総合病院で相談すると、産婦人科でも特に更年期の治療を専門にしている先生を紹介されました。先生に「みんな更年期って50歳前後と思っているけど、実際に30代後半から女性ホルモンの量は減り始めるし、この年代は育児と仕事の両立につい頑張ってしまいがちで、ストレスとか、寝不足から体調不良になる人は多いんですよ」と言われ、思い当たることばかりでハッとしました。

月経前後に体調が悪くなる症状なのか、更年期の始まりなのかを慎重に判断してくれて、私の場合は「女性ホルモンのバランスが乱れている状態」とわかりました。いわゆるホルモンを補うような本格的な更年期の治療ではなく、まず生活習慣を見直し、漢方薬で体調変化をサポートする治療法を先生と相談しながら選びました。

私の姉は更年期の症状がひどく、最後は軽いうつ病になっていました。そうなると完治するまで非常に長い時間がかかり、家族もとても大変そうでした。だから、予防というより「早いうちから女性の体はホルモンバランスが変化しながら、体調も変わってくる」と心構えしておき、あわてずに対処していくのが大切です。

熱心ではない先生や、詳しくない産婦人科医にかかると「しょうがないよね、更年期だから」で終わったり、逆にすぐにホルモン補充治療を行われたりするので、しっかり女性の体の変化について話せる先生を見つけるのが最善です。生理不順とか生理痛で悩んでいるなら、ずっと「体の変化」を共に考えてくれる相性の良い先生を30代のうちから見つけて下さい、そうすれば本当の更年期も怖くありません。(Hさん/39歳)

頑張りすぎずに「体の変化」に寄り添って生きよう!
いわゆる「プレ更年期」「プチ更年期」は、30代の女性なら誰でもかかる可能性があります。とかくストレスが多い年代ですが、「いや、自分は大丈夫! まだまだ!」と子育てと仕事に追われて、ガクンと体調を崩すまで頑張ってしまいがち。

なんとなく疲れやすい、前よりも肩こりがひどくなった、と症状自体は軽い時に、一度病院で検査を受けたり、自分の生活を見直してみるのも良いようですね。

どの人にも共通していたのが「婦人科の病気、更年期に詳しい先生を見つけること、きちんと体調の変化について相談できる先生と話し合いながら治療法を考えていくこと」が大事という点です。今、どこも悪くないとしても「そういうこともあるかも」と少なくとも念頭に置いておきましょう。

お母さんが元気で笑顔なのが、家族にとっての幸せです。なかなか想像もできないでしょうが、実際に更年期の症状が出ると周囲の理解も得られなかったり、ひとりで抱え込んでどんどん悪化してしまうことも珍しくありません。

女性の体は、年齢と共に大きく変化していきます。あっさり通り過ぎる人もいれば、そうでない人もいます。どうか、自分の体の声を逃さず、あなたの体を大切にしてあげて下さいね。

(まいどなニュース/BRAVA編集部)

1週間前からイライラ、始まれば下腹に激痛…月経のつらさ、症状に応じた薬で和らげる

常喜眞理「女のココロとカラダ講座」
 20歳代後半のWさんは今日から月経が始まり、下腹部痛がつらく、体調が悪いと来院された。これまでは市販の鎮痛薬を内服して痛みをやり過ごしてきたが、昨日は月経が始まる直前で精神的にも不安定になってしまい、仕事中に起こったちょっとしたトラブルで、涙があふれてしまったという。

 来院時もその時の様子を説明するだけで感情が高ぶり、涙ぐんでいた。アップダウンする感情そのものもつらいのだが、感情を爆発させることで周囲に与える影響を考えると一層つらいという。

女性検診、欠かさずに
このような状態は女性なら少なからず、思い当たることもあるだろう。Wさんは学生時代から月経による体調不良が多く、月経前の1週間は気分の落ち込みやイライラ、便秘などに悩まされ、月経が始まってから数日はひどい下腹部痛や下痢、頭痛が起こり、そんな状態が月の半分に及ぶこともあるという。社会人になってからは仕事が忙しくなり、簡単に仕事を休むわけにもいかず我慢を重ねていたようだ。

 婦人科検診は会社の健診で年1回受けており、子宮内膜症など婦人科系の病気はないということだった。今後も年1回は乳腺と子宮・卵巣の女性検診を続けるようアドバイスした。

月経調節や気持ち沈める薬を
 月経前症候群(PMS)の対処方法は人ぞれぞれだ。医療で対応できる方法はいくつかに限られる。イライラする気持ちを沈める抑肝散加陳皮(よくかんさんかちんぴ)や、加味逍遙散(かみしょうようさん)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) といった漢方薬、月経を調節する女性ホルモン薬、イライラをやり過ごす時だけ内服する抗不安薬の処方だ。もちろん単独で治療することも可能だし、組み合わせることもできる。

 よく漢方は長く飲まなければ効果が出ないと思われるが、そうではない。ただし薬との相性も分からないので、試すならまずは月経前2週間内服してみよう。ホルモン系の治療薬は1か月単位で性ホルモンに影響を与えるものなので、少なくとも1か月以上試してみる必要がある。他に肩こりや不眠に対応する薬を組み合わせることもできる。

腰とおなかを温めて
 いずれも根本治療ではないが、つらい時期を乗り切る助けになる。ただやみくもに続けることはお勧めできないので、使い方ややめるタイミングは医師と相談してほしい。腰や下腹部を温めること、温かい飲み物を飲んで消化管をリラックスさせることも大切だ。つらい症状は1人で抱え込まないで、婦人科やかかりつけの内科で相談してみよう。

常喜 眞理(じょうき・まり) 家庭医、医学博士
 1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医、内科学会認定医、日本医師会認定産業医。院長を務める常喜医院(内科、皮膚科)での診療のほか、慈恵医大新橋健診センターでは診療医長として健康診断(人間ドック)の内科診察を行い、婦人科や乳腺外科の診断を担当する。様々な大手企業の産業医でもあり、職場におけるメンタルヘルスのサポートを長年行っている。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。現在、BS-TBS「Together」に準レギュラー出演中。

これってまさか更年期!?「まだまだ先のことだと思っていたのに」ママたちを悩ませる体の変化と症状

更年期といえば、40代後半から50代にかけて閉経後の症状と思っていませんか? まだまだ先のこと…かもしれませんが、年齢と共に理由のわからない体調不良はよくあることです。30代から「更年期?」と疑われるような症状に悩まされたママたちもいます。

具体的な体験談をまとめてみたので、若いママたちが「これからの自分の体」について考える〝きっかけ〟にして頂けたらと思います。

「これって更年期?」先輩ママたちの体験談
▽更年期ではなかったけど…

35歳を過ぎた頃から、だるい、疲れる、やる気がなくなるといった感じで仕事も育児も何とかこなしている感じに。そのうちに偏頭痛もはじまり、市販薬でごまかしながら半年以上過ごしました。歳の離れた姉に相談したところ、更年期が早くくることもあるから、と言われ、ひとまず婦人科を受診。ホルモン量の測定などで簡単に診断はつき、私の場合は「自律神経失調症」つまりは、明確な原因はないけど全体的に体調管理がうまくいってないってことでした。

結局、更年期ではありませんでしたが、病院へ行けば、症状にあわせた薬も処方してもらえるし、何に気をつければいいのかも指導してもらえます。先生に「早く来てよかったね、このまま、うつ病になったり、他の大きな婦人病が隠れていることもあるから」と言われて、ホッとしました。

また、いずれくる更年期についても詳しく説明してもらい、しかも私の体調を考慮して「こんな症状が出たらすぐいらっしゃい」と言われ、それだけで心の負担が大きく減りました。不安をなくすというのは、毎日の生活をこなす中でとても大切だと感じた出来事でした。(Mさん/37歳)

▽閉経前に更年期のような症状が出た

生理が間遠になり、それまでかなり正確な周期だったのが、いつの間にか「あれ、3カ月近くない」で、ちょっと出血があったりして2週間目くらいにまた生理っぽい感じになったり。かと思うと5カ月近くなかったり。その時は量が普段の倍くらいでビックリしました。その頃、今まで一度もなかったのに歩いている途中でドクドクと胸が波立つようになって一瞬パニックになりました。

すぐに総合病院の循環器科へ。精密検査をしましたが特に悪いところはなく、私の症状を聞いていたドクターから「もしかしたら更年期の始まりかも、婦人科を受診してみて」と言われました。

婦人科のヒアリングと検査の結果「これから閉経期にかかるところで、体調が上下する時期。実は完全に閉経しなくても、その過程で更年期のような症状が出る女性は多いんですよ」と言われました。

理由がハッキリしたら気持ちもスッキリしたというか、しょうがないなと思って、今はまだ積極的な治療はせず、「そういう年齢だから無理をしないでやっていこう」と生活全体を見直しました。我慢せず、体のSOSに耳を貸して、ひどい更年期にならないよう、のんびりやっていこうと思っているところです。(Nさん/44歳)

▽まさか、これって若年性更年期障害?

30歳過ぎてから、めまいやふらっとすることがあって、疲れかなぁと思いつつ、サプリメントとか適当にとっていました。それから、何もしていないのにカーッと上半身に血が集まるような感じで熱くなったり、めまいもいっこうに改善しないので義姉に相談していたら(看護師です)、それ、もしかして更年期かもね、と言われてビックリ。まだ30代ですから! でも彼女の意見を聞いて、念のため、婦人科へ行きました。

すると「いわゆる若年性の更年期症状かも」って! 「閉経の前後10年間」は更年期の始まりでホットフラッシュやめまいが起きる人もいる、30代でも似たような症状が出る人もいると。そう言われてみると、生理が全然きていないと思い出し、愕然としました。

あまりに忙しくて「生理がきてない」ことも「もともと生理不順だから」と気にしていなかったのですが、さすがに半年ないのは長い…。結局、経過観察でしたが1年すぎても生理は戻らず、様々な検査の結果、早発閉経と診断され、ホルモン治療を行っています(Sさん/32歳)

辛かった体調不良を経験したからこそ伝えたい
▽更年期・婦人病に強い先生がいる病院へ行って下さい!

私は40代半ばから、ホットフラッシュ、動悸、めまい、ひどい肩こりが始まり、サプリ飲んだりヨガを始めてみたりとアレコレやりました。でも、そのうち頭痛も激しくなり、仕事にも支障をきたすようになってしまいました。

更年期かも?と思い、近くの産婦人科を受診しましたが、そこはこの辺りでは有名な豪華なサービスつき産科で有名なところ。お腹の大きい、元気な若いママたちの間で診察を待つのは余計に気持ちがダウンしました。先生は良い人でしたが、更年期については通りいっぺんの説明と「病気じゃないからね、ゆったり過ごして」というだけ。

症状がひどくなり、仕事も退職、家にひきこもるような生活になり、心配した母親が「私も更年期の症状がひどかった」と言って、専門の外来に連れていかれました。そこで検査をしてもらい、まずは漢方薬で様子見しながら、ダメならホルモン療法で、とステップを追うように治療法も説明してくれて、ようやく体の不調がおさまっていきました。

思えば2年近く寝たり起きたりで家族にも苦労や心配をかけました。でもどうしても起きられないほど辛かったんです。もっと早くから、更年期の体調不良に詳しいところで相談していら、と思います。そんな症状になる前に、若いママたちにも「何となくおかしい」と思ったら、面倒がらずにきちんと受診して欲しいと思います。(Oさん/47歳

▽生理不順でも相談するのが大事

生理不順がひどくなり、「え、もう終わり?」ということもあれば、夜何度も起きて取り替えないとならないくらいの量のこともあり、しかも生理の時期以外にもだるさやのぼせ、些細なことでもイライラするといった感情の起伏も激しくなって、なんでもないことで大泣きしてしまったことも…。

総合病院で相談すると、産婦人科でも特に更年期の治療を専門にしている先生を紹介されました。先生に「みんな更年期って50歳前後と思っているけど、実際に30代後半から女性ホルモンの量は減り始めるし、この年代は育児と仕事の両立につい頑張ってしまいがちで、ストレスとか、寝不足から体調不良になる人は多いんですよ」と言われ、思い当たることばかりでハッとしました。

月経前後に体調が悪くなる症状なのか、更年期の始まりなのかを慎重に判断してくれて、私の場合は「女性ホルモンのバランスが乱れている状態」とわかりました。いわゆるホルモンを補うような本格的な更年期の治療ではなく、まず生活習慣を見直し、漢方薬で体調変化をサポートする治療法を先生と相談しながら選びました。

私の姉は更年期の症状がひどく、最後は軽いうつ病になっていました。そうなると完治するまで非常に長い時間がかかり、家族もとても大変そうでした。だから、予防というより「早いうちから女性の体はホルモンバランスが変化しながら、体調も変わってくる」と心構えしておき、あわてずに対処していくのが大切です。

熱心ではない先生や、詳しくない産婦人科医にかかると「しょうがないよね、更年期だから」で終わったり、逆にすぐにホルモン補充治療を行われたりするので、しっかり女性の体の変化について話せる先生を見つけるのが最善です。

生理不順とか生理痛で悩んでいるなら、ずっと「体の変化」を共に考えてくれる相性の良い先生を30代のうちから見つけて下さい、そうすれば本当の更年期も怖くありません。(Hさん/39歳)

頑張りすぎずに「体の変化」に寄り添って生きよう!
いわゆる「プレ更年期」「プチ更年期」は、30代の女性なら誰でもかかる可能性があります。とかくストレスが多い年代ですが、「いや、自分は大丈夫! まだまだ!」と子育てと仕事に追われて、ガクンと体調を崩すまで頑張ってしまいがち。

なんとなく疲れやすい、前よりも肩こりがひどくなった、と症状自体は軽い時に、一度病院で検査を受けたり、自分の生活を見直してみるのも良いようですね。

どの人にも共通していたのが「婦人科の病気、更年期に詳しい先生を見つけること、きちんと体調の変化について相談できる先生と話し合いながら治療法を考えていくこと」が大事という点です。今、どこも悪くないとしても「そういうこともあるかも」と少なくとも念頭に置いておきましょう。

お母さんが元気で笑顔なのが、家族にとっての幸せです。なかなか想像もできないでしょうが、実際に更年期の症状が出ると周囲の理解も得られなかったり、ひとりで抱え込んでどんどん悪化してしまうことも珍しくありません。

女性の体は、年齢と共に大きく変化していきます。あっさり通り過ぎる人もいれば、そうでない人もいます。どうか、自分の体の声を逃さず、あなたの体を大切にしてあげて下さいね。

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