生理中の快適さだけじゃない月経血コントロールの恩恵
わたしが月経血コントロールをはじめてまず変わったのは生理が楽しみになったこと。
月経血コントロールに出会う前の10代~20代前半は、寝ている間に経血でベッドを汚してしまったり、鎮痛剤もかなり強いものしか効かず、生理前にもPMS(月経前症候群)の不調が多くありました。月の半分以上は月経にまつまるサイクルで、身体も心も調子が悪いという日々。なかでも生理前に食べ過ぎて太り、生理痛で食べれなくなるというPMS症状による体重変動や肌荒れがもっともつらかったものです。何とかしたいと思い、ヨガや様々なボディワーク、整体、栄養の勉強を深めて栄養士の資格もとりました。そんな探求の日々で月経血コントロールと出会いました。
はじめはわたしも「そんなことできるの?」と思っていましたが、自分の身体やこころの状態によって、上手にできる月や失敗する月を経験しながら実践していく中で、体質改善や身体作りをしていく大きなモチベーションとなりました。
そして経血の状態や自分の身体について、生理が来るたびに向きあうきっかけが生まれ、食事や生活習慣、運動の強度や内容などを体調や状態にあわせて変化させていくことで、こころと身体によりよい変化が生まれました。
以前はとても難しかった食との向き合い方も、生活のリズムを整ることや身体作りに加え、必要なものを食べ不要なものや自分に合わないものはとりすぎないように心がけていく過程で、身体とこころが欲するものを必要な分だけ食べることが身に付き、体重の変動で身体やこころが大きくゆらぐこともなくなりました。
股関節周辺や骨盤底をきちんと整える身体作りの過程で、若いころよりも脚の筋肉の付き方が変わり、脚のラインが美しくなったと言われるようになり、20代の頃は絶対手放せなかったファンデーションも必須ではなくなりました。
痛みやイライラに耐えてやり過ごしていた生理前や生理期間、その「憂鬱でしかなかった時期」が、毎月自分の身体をみつめてよりよくなるきっかけになる、楽しみな期間になるなんて思いもよらなかったです。
月経処置は様々なものがあって布ナプキンでも紙ナプキンでも自分で自分が快適だなと思うものを選んでいければよいと思いますが、その選択肢のひとつとして月経血コントロールを知ってもらえる機会ができたらよいなと思います。以下に月経血コントロールについてよくいただく質問をいくつか紹介します。
Q.経血をためて身体に負担はないの?
「月経血コントロールって身体に負担はないの?」「仕事が忙しくてあまりトイレにいけないので溜めておきたいけど、それはできる?」という質問を時々受けますが、どちらも答えは「いいえ」です。
もちろん尿と一緒で無理に我慢したら負担がかかると思いますが、月経血コントロールは好きなだけ無理に締めあげて溜めておくわけではなく、経血がたまってきたらトイレに出しに行くので身体に負担はありません。また、日中は何度かトイレに出しに行く必要がありますので好きなだけ溜めておけるというものでもありません。
Q.寝ている間はどうするの?
よい睡眠が得られているときは自律神経でいうと副交感神経優位になっていて内臓はゆるんでいますし、身体を起こしているときのように子宮などの下腹部の臓器や骨盤底に重力がかからないので上達してくると寝ている間は溜めておけるようになります。
但し、いままでたくさんの方に指導してきて稀に「日中はすべてトイレで出せるようになりコントロールできるようなってきたが、就寝中のみできないので夜はしっかりナプキン必須」という生徒さんもいらっしゃったので、個人差があります。睡眠の深さの他、寝具などの影響や寝相の影響も受けるので無意識化のコントロールについての方が難しい方もいますが、私がお伝えしている方の中では日中よりもリラックスしている就寝中の方が先にコントロールできるようになる方のほうが多いようです。
Q.月経血コントロールは誰でもできるの?
月経血コントロールの上達(ナプキンにほぼ落とさないなど)には、姿勢をはじめ、心身のゆるみ(しなやかさ)だけでなく、生活環境からも影響をうけるので、身体作りや日々の身体のケアを続けることが必要です。ただ身体に不調がない方などは少しコツをつかむだけでも、生理の快適さはUPします。例えば同じ経血量の場合でもトイレで経血を出せる量が増え、ナプキンに経血がつく量の配分が減ります。
「布ナプキンは漏れそうで怖すぎる!」と言っていた方が布ナプキンを安心して使えるようになったり、紙ナプキン派もトイレである程度経血を出す習慣ができると、ナプキンがきれいな時間が増えるので取り換える回数が減るというレベルであれば、きちんと練習していけばほとんどの方が上達していけます。
ただ、産後の身体の回復期に靭帯などが伸びきってしまった、無理なダイエットをして必要な筋力やバランスが崩れている場合や適性体重よりも過体重や極度の低体重で筋力がない場合などは、上達が難しい傾向にあります。
とはいえ、そういう場合は身体作りが無駄なのかといえばそうではありません。伸びきってしまった靭帯などは残念ながらもとには戻らないのですが、その分筋肉の状態をよくすることは身体にとってむしろ健康な状態の方よりも更に必要で、骨盤底やお腹の奥など股関節周辺の適切な筋力を育てたり、身体のこわばりをほどいていき、運動の習慣をつけていくところから根気よく身体作りをしていくことは尿もれなどの身体の不調を緩和するためにもおすすめしたいです。
実際、産後女性の中でくしゃみだけでなく少し走るだけでも尿漏れがあった方や逆転のポーズをすると何をやっても膣に空気が入ってしまっていた方が月経血コントロールやそのためのの身体作りを続けていたらその過程で改善し、生理も快適になったという方からの声もあります。
月経血コントロールの上達にもつながる身体作りについては女性のためのヨガ協会で月経血コントロールヨガやWomen’sAwarenessYogaなどの講座でお伝えしています。WAY-TOKYOでは骨盤底の機能を高めるための整体(内臓・骨盤底ケアforwoman)やパーソナルや少人数制ヨガクラスなどがあります。月経血コントロールについてのお話会(親子参加は小学生以下無料)を定期的にオンラインで行っていますので質問や興味があれば参加してみてください。こちらの連載コラムでもいくつかワークやポーズを紹介していきますので練習にとりいれてみてくださいね。
※1時間でナプキンからもれてしまうほどの経血量や急に痛みが増したような場合は子宮筋腫や内膜症、もっと大きな疾病が隠れていることもあるので、セルフケアやボディーワークだけでなく定期的に病院で検診することもおすすめします。
仁平美香
月経血コントロールヨガ、産後ママのためのメンテナンスヨガ、体軸ヨガ講師養成スクールティーチャー、セラピスト、栄養士。一般社団法人日本ホリスティックヘルスケア協会理事。女性のためのヨガ協会代表。女性のためのイベントYOGAWOMANにて講師を担当する他、企画運営にも携わる。「カラダをゆるめてこころを整えるはじめての月経血コントロールヨガ」「医師もすすめる血管美人ヨガ」等著書多数。雑誌・WEB等コラム監修も行う。