あなたの健康はお金で買えますか・・・? ■ストレス・逆流性食道炎・食欲不振・憂鬱(ゆううつ)
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「口元だけ笑ってみる」アカデミー賞を獲得した名女優も実践していた、ストレスを軽くする方法

『ローマの休日』『ティファニーで朝食を』などの代表作を持つ名女優、オードリー・ヘプバーン。口角がキュッと上がったチャーミングな笑顔が印象的です。

その笑顔は、彼女が日ごろから行っていた習慣によって生まれていました。彼女はとくに楽しくないときでも、せめて口元だけでも笑っていようと心がけていたのです。

彼女は幼少期、第二次世界大戦によってすべてを失いました。父親はナチズムに傾倒し家族を捨て、彼女は母親とともにオランダへ移住。しかし、オランダもドイツの侵攻を受けるなど、決して安全ではありませんでした。

過酷な少女時代を乗り越えるために彼女が編み出したのが「楽しくないときでも、せめて口元だけ笑う」という習慣だったのです。

誰かに教えられたわけではなく、口角を上げると、不思議とストレスが和らいでいくのを感じたそうです。

アメリカ・カンザス大学のタラ・クラフト教授らは、170人の大学生を「無表情」「つくり笑顔(口角だけを上げる)」「本物の笑顔(口だけでなく目周辺の筋肉も使う笑顔)」の3グループに分け、ストレスのかかる作業をさせる実験を行いました。その結果、「本物の笑顔」を浮かべている学生のストレス値が最も低かったのですが、口角だけ上げる「つくり笑顔」を浮かべた人も、「無表情」の人よりストレス値が低いことがわかりました。たとえ心の底から笑っていなくても、口角を上げるだけで、ストレスを軽減させることができるのです。

ストレスが和らいでいき、加えて、いつもにこやかな表情を見せる彼女は、知らず知らずのうちに成功を呼び込んでいきました。

戦後はモデルとして生計を立てながらロンドンへ。舞台劇『ジジ』のブロードウェイ公演で主役を演じると、それがウィリアム・ワイラー監督の目に留まり、『ローマの休日』の主役に大抜擢されます。それが世界的女優へと駆け上がる足がかりになったのです。

「本物の笑顔」ではなく「つくり笑顔」でも、ストレスが軽くなるばかりか、対人関係においてプラスイメージになり、いつの間にか成功を呼び込みます。

いつでもどこでもできる「つくり笑顔」を、試してみてはいかがでしょうか。

「母親がストレス」と感じるのはなぜ?脳科学が解き明かす意外な理由

子どもがいくつになっても、何かと自分の言う通りにさせたがる…。そんな母親をもってしまった場合、年末年始などのたまの機会にしか会わないとしても、言葉の刃にいちいちストレスを感じてしまう人も多いでしょう。


著書『母のトリセツ 』(扶桑社刊)のなかで、「母親と自分のコミュニケーションにおいて、互いの傷をできるだけ少なくするアイデア」を提示する脳科学者の黒川伊保子さんは、「母親のいうことを鵜呑みにしなくていい」と語ります。その理由はなぜなのでしょうか? 教えてもらいました。


母親が子どもに常識を押しつけるべきではない理由

小さい頃、常に自分とともに時を過ごす母親は絶対的な存在です。それゆえ、多くの人の頭に刷り込まれるのが、「親は正しいもの」という考え方です。ただ、これに対して、「仮に善意の言葉であっても、親の言うことはじつはあてにならない」と語るのは、脳科学者の黒川さん。今回はその根拠について語ってもらいました。

●親と子は身体的にも大きく違うもの

「親は誰でも、『自分の正解』が『世界の正解』だと信じて、良かれと思って、それを強要してきます。ただ、じつはそれは大きな間違いです。なぜなら、人間は脳や体の使い方が違えば、考え方が全然違うからです」

たとえば、体の使い方ひとつとっても、その違いは歴然としています。

「人間には、指先に力と意識が集中するタイプと、手のひらに力と意識が集中するタイプがいます。驚いたとき、上体を上げる(ひょんと跳び上がる、または、肩を上げてすくめる)人もいれば、上体を低くする(肩を低くして身構える、または、のけぞりながら後ずさる)人もいます。実は、前者が指先に力と意識が集中するタイプ、後者が手のひらに力と意識が集中するタイプと、まったく違う体の使い方をしているのです」

その理由は、腕や足にある骨の使い方にあります。人間の腕と脚には、人差し指につながる太い骨(橈骨、脛骨)、薬指につながる骨(尺骨、腓骨)が存在します。手のひらや足の裏の確度を変えるなど、なにかの動作を開始するとき、これらの骨を回旋させる必要があるのですが、二つの骨を同時に回旋させると、バランスが取れなくなるので、どちらかを優先して回旋させることになります。どちらに骨を回すかで、体の動きは変わってくるのです。

「このとき、人差し指側の骨の回旋で動作を始める人と、薬指の回旋で動作を始める人がいます。さらに、回旋の向きにも中指側に回旋するタイプと、親指または小指側に回旋させるタイプの2種類がいます。体幹と手足のコントロールは、小脳が担当しているのですが、そう考えると、小脳のコントローラが都合4種類あるといえますね」

●親子でタイプが異なる場合は厄介です

人差し指を中指側に回旋させて動作する人は、驚いたとき、上体がひょんと上がるタイプと肩を上げて固まるタイプがいます。人差し指を親指側に回旋させる人は肩を下げて身構え、薬指を小指側に回旋させる人はのけぞります。

「人差し指を中指側に回旋させる2タイプは、指が中央にまとまり、指先に意識と力が集中する『指先』派。親指側・小指側に回旋させる2タイプは、指が広がるので、手のひらに意識と力が集中する『手のひら』派。このタイプは生まれつき決まっていて、一生変わりません。親と子で、これが違うとけっこう厄介です。親と子はこれが揃うとは限りません」

●扇子の使い方でわかる、指先タイプと手のひらタイプ

一見、些細に感じる体の使い方ですが、このタイプが違うだけで、日常の動作は大きく変わります。たとえば、扇子の使い方でも、その違いは大きく分かれるのだとか。

「指先タイプは、ものを扱うとき、指先を使うので、自然に手首をよく回します。手の構造上、指先を全方位に動かすためには、手首を自在に動かす必要があるからです。手首を自由にするために、ひじはあまり体側から離しません。このため、扇子で顔を仰ぐときは、ひじを体側につけて固定し、手首を使って、比較的高速でパタパタと仰ぐことになります」

一方、手のひらタイプの動かし方は?

「手のひらタイプの場合は、ものを扱うとき、手のひらを添えるので、ひじをよく動かします。手のひらをあらゆる方向に使うためには、ひじを自由に動かす必要があるからです。そのため、扇子は、ひじを体側から離して、ひらひら仰ぐことになる。高速ではありませんが、強い風を起こせるので、涼しさに遜色はありません」

また、縄跳びの縄の回し方や逆上がりの仕方も、どちらのタイプになるかで、その差は異なります。

「指先タイプは、ひじを体側につけて固定し、縄跳びを手首で回します。手首で反動をつけて、縄を跳ね上げるように回すのです。一方の手のひらタイプは、ひじを身体から離し、ひじの反動をつけて、縄を振り下ろすようにして回します。このため、長縄跳びで、異なるタイプの二人が両端を持つと、縄がしなって、なかなか安定しません。鉄棒にしても、指先タイプは、みぞおちを鉄棒に近づけて、手首の反動で、くぃっと逆上がりします。手のひらタイプは、身体を鉄棒から離し、ひじの遠心力で、ぶんっと回ります」

さて、あなたの場合はいかがでしょうか?

●自分と違うタイプの親からの指導は、子どもにとって大きなストレスに

ここでお伝えしたい大切なポイントは、人によって体の使い方は大きく違うということ。そのため、その人の体の使い方を無視した「これが正しい」という指導は、逆にマイナスの効果を与えかねないのです。

「子どもに縄跳びや逆上がりを教えるとき、違うタイプの指導者がやり方を細かく強要すると、その子はけっしてうまくできません。その結果、『運動音痴』というレッテルを貼られてしまうのです。これと同様で、自分とタイプの違う親に、『何かのやり方』を強要されるのは、かなりのストレスだし、危険でさえあることが、想像できると思います

これは運動に限った話ではありません。ものの片づけ方、ことの進め方、勉強や趣味の好みに至るまで、脳には「確固たる癖」があります。また、親と子でそれが一致することが少ないのだとか。仮に母親と意見が合わない場合、それは母親の脳と体の使い方が、自分のものとは異なる証拠なのです。

「ことばの発音をする、便座に座る、二足歩行する…。こうした赤ちゃんのときに獲得する生活習慣にはあまりバリエーションがないので、当然鵜呑みにしていいのですが、本当は、箸の持ち方くらいから、『親の正しさ』も怪しくなります。

縄跳びや逆上がりに至っては、親の言うことが自分に合っているのかどうか、吟味したほうがいい。小学生ともなれば、子どもは、親の“弊害”をブロックしなければなりません。ましてや大人になってからは、親や先生や上司の言うことを鵜呑みにして、できない自分を責める必要なんて、まるでありません」

「やる気がどうしても出ない…」仕事のストレスを回避する、3つの鉄則

写真はイメージです Photo:PIXTA© ダイヤモンド・オンライン 提供 写真はイメージです Photo:PIXTA

ストレスを回避する

三つの方法

 仕事上でストレスを感じている人は、とても多いと思います。たとえば、バーンアウトシンドローム(燃え尽き症候群)は、意欲を持って働いていた人が、燃え尽きたかのように意欲をなくして、会社や社会に適応できなくなってしまう状態です。

 そこで私は経営者に対して、ストレスをコントロールするための三つの方法をアドバイスしています。

 1番目は、「自分でコントロールできないことには悩まない」ことです。

 ストレスが一番かかるのは、自分でコントロールできないことに悩むこと。分かりやすい例を挙げると、明日雨が降るかどうかで悩むこと。天候はコントロールできないので、大きなストレスがかかります。仕事に置き換えれば、相手に決定権があることで悩むこと。どんなことになるのかは自分で決められないのですから、悩めば悩むほどストレスが増すだけです。

 悩まないための対処法は、「自分でコントロールできることに全力を尽くす」ことです。明日の雨が心配なら折りたたみ傘を用意しておけばいい。相手に決定権のあることでも、自分で事前にやれることはたくさんあるはずです。それをしっかりやる。その逆で、自分でやれることをやらずに、自分でコントロールできないことに悩むからストレスがかかるのです。

 2番目は、「言い訳をしない」。

 言い訳は、自分を正当化したいという意識が働き、多分にうそを含んでいることが多いもの。うそは他の人に分からなくても、自分の深層心理に残るといわれています。言い訳をせずに、素直に「申し訳ありません」と謝ることができる人はストレスがたまらないのです。

 経営者の立場で、組織のために、どうしても言い訳をしなければならない場面はありますが、ほとんどの過ちや失敗の非は自分にあるので、率直に「申し訳ありません」と言うことがストレスを避ける方法です。

時には自分を

甘やかそう

 3番目は、「時には自分を甘やかせる」です。

 真面目過ぎる人は、多くの仕事を抱え込んで余裕を失いがちです。いっぱいいっぱいの状態もストレスの原因となるので、(常にではなく)時には自分を甘やかすことが大事です。家族や友人と過ごす時間をつくったり、体を休めて健康管理することも必要です。

 ただし、仕事を完全に忘れると逆にストレスがかかることがあります。松下幸之助さんは、「体は休めても、心は休ませない」と話しています。厳しいようですが、経営者はお客さま、従業員、社会に対する責任があります。言い方を変えれば、経営をずっと考えていられない人は経営者には向きません。

「体は休めても、心は休ませない」状態で働き続けると、ストレスがたまり、いずれバーンアウトしてしまうのではないか。そんな心配をする人もいるでしょうが、私が知る経営者で、バーンアウトした人を見たことがありません。その理由は、やはり「仕事が好きだから」です。

 仕事が好きなら、楽でない仕事でも楽しくできて、ストレスの原因にはなりません。

 なぜなら、人は好きなことには熱心になれるものだからです。ディズニーランドが好きな人は、ディズニーランドで遊ぶことがストレスになることはありません。同じように仕事が好きな経営者は、仕事がストレスになることはないのですが、遊びと異なることが一つあるます。

 仕事では、高い志を持ち、「なれる最高の自分」を目指すことが大切です。以前、イエローハットの創業者・鍵山秀三郎さんに話をうかがった時、孟子の名言「志は、気の帥なり」を教えてもらいました。高い志をしっかりと持てば、気力はそれに従って湧いてくるという意味です。好きな仕事をしている経営者の場合、高い志を持って仕事に邁進(まいしん)している限り、燃え尽きることはないはずです。

(小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶)

独り言はストレス解消に効く?効果的な独り言のポイントは|臨床心理士が解説

独り言が、ストレスへの対処に役立つ?

皆さんは、独り言を言うことはありますか?独り言を言うと聞くと、あまり良いイメージを持てない人もいるかもしれません。ところが、この独り言がストレスや不安の軽減に役立つというデータがあるのです。

2014年米国のミシガン大学で独り言に関する、とある研究が行われました。ストレスな状況を与えられた時に、Aのグループの人たちは、1人称(わたし、僕など)で自分に話しかけること、Bグループの人たちは2人称(あなた、君など)で自分に話しかけるということを行いました。

その結果、2人称で自分に話しかけたBグループの人たちの方が、明らかにストレスや不安が小さくなったのです。この実験の結果から、自分に話しかける言葉の内容よりも、代名詞を変えて、2人称(あなた、君)で話しかける方がポジティブな変化が起きやすいということが分かりました。2人称で自分に話しかけることによって、自分自身の行動や感情との間に距離を取ることができ、より自分自身を客観的に捉えることができるのです。

ストレスや不安を軽減するセルフトークをやってみよう!

2人称で自分自身に話しかけることを【セカンドパーソン・セルフトーク】と呼びます。その有効なやり方をご紹介します。

【セカンドパーソン・セルフトークのやり方】

①    ストレスや不安を感じた時に、鏡を見ながら自分に話しかける文章を考えます。例えば、『あなたはなぜそんなに怒っているの?』『君がそんなに悩むことないよ』といったような感じです。

②    鏡の前に立ち、自分のことを見ながら、①で考えた文章を自分に言い聞かせるようにします。

③    何度か話しかけ、自分の不安などネガティブな気持ちが変化したか観察してみましょう。もし変化がなければ別の声かけをしてみます。その時に変化が見られなくても大丈夫です。また別の機会に試してみましょう。

ストレスや不安を抱えた時、誰かに相談できれば良いですが、それが難しいこともあるでしょう。そんな時こそ自分が自分の味方になってあげられたら心強いですよね。辛いと感じた場面でぜひ活用してみてください。

南 舞

岩手県出身。多感な思春期時代に、臨床心理学の存在を知り、人の心に丁寧に寄り添っていくカウンセラーの仕事に憧れを抱く。臨床心理学、心理カウンセリングを学ぶために、大学院まで進み、「臨床心理士」資格を取得。現在は教育、企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとは学生時代にヨガスタジオの受付のアルバイトをしていた時に出会う。ヨガを始めたことで、身体が自由になっていく感覚に楽しさを感じたこと、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じ、ヨガ講師になることを決意。普段のクラスでは、呼吸と身体を繋げ、人と比べず、自分らしくいれるようなヨガの時間を提供できるよう心がけている。

【感情の波に巻き込まれないために】ポイントは五感にあり?心の専門家・臨床心理士が解説

ストレスを減らし、平静さを取り戻す秘訣は?

私たちが不安や怒りなどのネガティブな感情に襲われている時、意識が向いているのは起きてしまった【過去】の出来事や、まだ起きていない【未来】のことではないでしょうか。これらのことを全く考えないのは難しいかもしれませんが、ずっと考え続けていると、激しい感情が湧いてくるばかり。場合によっては、日常生活にも影響を来たすことも。そういった感情に飲み込まれず、距離を置くためのキーとなるのが【現在】に意識を向けること。つまり、『今・ここ』を見ていくことです。今起きている現在に意識を向けている間は、過去や未来が生み出す不安や抑うつ、怒りなどの激しい感情の波に飲まれて思いがけない行動を取ったり、逆にがんじがらめで動けなくなることから私たちを守ってくれます。そして、現在に意識を向けるのに有効なのが【五感に集中する】ということ。多くのストレス研究の中で、五感に意識を向けることがストレスやネガティブな感情を減らしてくれることに役立つということが分かっています。そこで有効なのが、【ファイブセンス・カウントダウン】というワークです。

ファイブセンス・カウントダウンをやってみよう!

ファイブセンス・カウントダウンとは、五感(視覚・触覚・聴覚・嗅覚・味覚)に次々と意識を集中させていくという方法をとることで、ストレスやネガティブな感情を低減させてくれる、心理学的なワークです。『今・ここ』に集中するというと難しそうに聞こえますが、五感に意識を向けていれば、意外と簡単にできますよ。

【ファイブセンス・カウントダウンのやり方】

視覚:周囲を見て、目に入ったものを5つ声に出して言ってみます。その特徴もしっかり見てみましょう。

触覚:目をつぶって、手が届く範囲のもの4つに触れます。触れたものがどんな感じがするか、観察してみましょう。

聴覚:目をつぶって、聞こえてくる音を3つ探します。聞こえてくるその音に意識を向けましょう。

嗅覚:目をつぶって、鼻から息を吸い、匂いを2つ感じ取ってみます。その匂いがどんな感じがするか、意識を向けてみます。

味覚:身近にある食べ物や飲み物、1つを口に入れます。その味や食感に意識を向けてみましょう

ネガティブな気持ちがゼロになるわけではなくても、少しでも気持ちが楽になり、また日常生活に戻れるようになることが大切です。強いストレスや感情に襲われた時こそ、すかさず自分の五感をフルに活用して、『今・ここ』に意識を集中させて行きましょう。

南 舞

岩手県出身。多感な思春期時代に、臨床心理学の存在を知り、人の心に丁寧に寄り添っていくカウンセラーの仕事に憧れを抱く。臨床心理学、心理カウンセリングを学ぶために、大学院まで進み、「臨床心理士」資格を取得。現在は教育、企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとは学生時代にヨガスタジオの受付のアルバイトをしていた時に出会う。ヨガを始めたことで、身体が自由になっていく感覚に楽しさを感じたこと、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じ、ヨガ講師になることを決意。普段のクラスでは、呼吸と身体を繋げ、人と比べず、自分らしくいれるようなヨガの時間を提供できるよう心がけている。

「逆流性食道炎」で胸やけ、胃もたれ… NGな食事・習慣は?

写真はイメージ=123RF© NIKKEI STYLE 写真はイメージ=123RF

この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!

【問題】胸やけやげっぷ、胃もたれなどの症状が出る「逆流性食道炎」の特徴として、以下のうち間違っているものはどれでしょう。

(1)胃と食道の間でバルブのような働きをする「括約筋」の機能低下が主な原因

(2)炭酸水とレモンを使ったお酒「レモンサワー」はリスクを上げる

(3)食後すぐ左側を下にして寝ると逆流が起きやすくなる

■答えと解説

正解(間違っているもの)は、(3)食後すぐ左側を下にして寝ると逆流が起きやすくなる です。

逆流性食道炎に詳しい、国立国際医療研究センター病院・消化器内科診療科長の秋山純一さんは、「逆流性食道炎は、胃食道逆流症(GERD)という胃液や胃の中のものが食道に逆流する病気の1つ。主な症状として、みぞおちの上が焼けるように痛くなる胸やけ、酸っぱいものが口にこみ上げる呑酸(どんさん)、げっぷ、胃もたれなどが挙げられます」と解説します。

胃酸や胃の内容物が逆流することで食道に炎症が起きるわけですが、その逆流はどのようにして起きるのでしょうか。

「胃酸や胃の内容物の逆流が起こるのは、胃と食道の間の『噴門部』にあって、逆流を防止するバルブのような働きをする『括約筋』の機能低下が主な原因です。この部分を、『下部食道括約筋(LES)』といいます。一般的に、食べ物が入ってくると噴門が開き、それ以外は閉じているので、胃酸や胃の内容物が逆流することはありません。しかしさまざまな原因で括約筋の動きが鈍くなると、逆流が起こります」(秋山さん)

健康な胃と逆流が起きる胃の違い

原図=123RF© NIKKEI STYLE 原図=123RF

そして、括約筋の動きが鈍くなる原因の1つが、「食べ過ぎ」です。「食べ過ぎると、胃の中の圧力が上がり、下部食道括約筋が緩み、それによってげっぷが出ます。その際に空気と一緒に胃酸などが逆流するのです。これを『一過性LES弛緩(しかん)』といいます」(秋山さん)

秋山さんは「特に脂っこい食事が好きな人は注意が必要」と付け加えます。「脂っこい食事をすると、消化を助けるために胆汁の分泌を促進させるコレシストキニン(CCK)というホルモンが分泌されます。このホルモンに下部食道括約筋を緩める作用があるのです」(秋山さん)

そのほか、アルコールも逆流性食道炎の原因になるという。「アルコールそのものに下部食道括約筋を弛緩させる作用があるといわれています。特に、ビールやスパークリングワイン、ハイボールのような炭酸を含んだアルコールは、胃が膨らみ、げっぷが出やすくなるので要注意。また、柑橘類や酸っぱい果物なども、胃酸の分泌を増やすため逆流の原因になります。したがって炭酸水とレモンを使ったレモンサワーは好ましくないということになります」(秋山さん)

さらに、「飲んですぐ寝てしまう人」は気を付けたほうがよさそうです。「お酒を飲んで、いい気持ちになると、すぐ横になる人も少なくないと思いますが、これもまた逆流が起きる一因になります。特に、右側を下にして横になる『右側臥位(そくがい)』は逆流が起こりやすくなるといわれています」(秋山さん)

右を下にして横になると逆流しやすくなる

図版制作:増田真一© NIKKEI STYLE 図版制作:増田真一

げっぷを誘発する炭酸系のお酒を飲み、下部食道括約筋を弛緩させる脂っこいおつまみを食べ、酔っぱらって右側臥位で寝るとトリプルでダメージがあるということになります。

この記事は、「『レモンサワー』は胃酸逆流の大敵!?」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100015/032600082/(葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト)を基に作成しました。

[日経Gooday2021年11月1日付記事を再構成]

イライラする夫に話しかけても拒絶され…ストレス過剰に「そばにいるだけ」が有効な理由

産業医・夏目誠の「ストレスとの付き合い方」

35歳の夫、硬い表情で無口

心配して話しかけるのは、実は自分の不安解消

見守りこそ、サポートに

身近な人は、つながりや安心感を提供できる

セロトニンとオキシトシンの働き

イヌにも寄り添う効果が

ストレスの原因は、誰の課題?

寄り添い方を工夫する

【精神科医が教える】イライラ、焦り、怒り、不安が無意識に落ち着く、簡単すぎる行動習慣

職場や家庭、SNSなどで、その場の感情に任せて相手に怒りをぶつけてしまい、後悔したことはありませんか。発端はささいなことだったのに、ぶつけてしまった怒りが人間関係を傷つけ、その後、取り返しのつかない大事に発展することも少なくありません。

そんな失敗をしないために必要な、怒りをうまくコントロールして日々を平和に穏やかに過ごすコツを教えてくれるのは、精神科医の伊藤拓先生です。

20年以上にわたり、のべ5万人を診てきた先生の著書『精神科医が教える 後悔しない怒り方』から再構成して紹介します。

歩き方のテクニックで怒りを抑える
怒りの感情のコントロールは、考え方や行動を変えてアプローチしていくだけが手段ではありません。体からアプローチすることによって自分の感情を制御していくことも可能なのです。

ここでは、身体感覚からアプローチして怒りをコントロールしていくスキルを取り上げていきましょう。

現代では、とても多くの人が「せわしいテンポ」「速いテンポ」で動いています。

おそらくみなさんもイライラしているときや焦っているとき、無意識のうちに行動のテンポが速くなっているのではないでしょうか。

しかし、怒り、焦り、不安などを感じているときにせかせかと速いテンポで行動していると、気持ちもどんどん前のめりに突き進んでしまい、怒りなどの感情がよりいっそうふくらんでしまいがちなのです。

なかでも注意してほしいのが、「歩く速さ」です。

歩行スピードは自律神経と連携していて、速く歩いていると興奮モードの交感神経が高まり、ゆっくり歩いているとリラックスモードの副交感神経が高まってくるようになっています。これは、怒り、焦り、不安などの感情にとらわれそうなときも、せかせかと歩くのをやめて意識的にゆっくりと歩くようにすれば、副交感神経が刺激されて気持ちをリラックスさせられるということ。ですから、自分の気持ちが揺れたり感情が乱れたりして焦っているようなときこそ、ゆっくりと歩くことを心がけるべきなのです。

怒りでキレそうなときやイライラが爆発しそうなときには、スローモーションのようにゆっくり歩くようにしてみてください。そうすれば、気持ちもゆったり静まって、いつもの落ち着きを取り戻せるはずです。

呼吸で自律神経をコントロールする
呼吸は自律神経をコントロールできるもっとも手軽な方法だと言っていいでしょう。

本来、自律神経は自分の意思ではなかなかコントロールできないもの。でも、呼吸の速さを調整すれば、自力でコントロールしていくことが可能なのです。

つまり、浅くて速い呼吸をすれば、自律神経を興奮モードの交感神経優位にシフトすることができ、ゆったりとした深い呼吸をすれば、自律神経をリラックスモードの副交感神経にシフトすることができるのです。

ですから、忙しさのせいで焦っているようなときや、思うようにいかないことにイライラしているようなとき、目の前の相手に怒りがふつふつと湧いてきたようなときには、意図的に深くゆったりと呼吸をするようにすれば、心身をすみやかにリラックスモードにシフトすることができるわけです。

自律神経が副交感神経優位に切り替わると、心身が落ち着くだけでなく、血流がよくなったり血圧や心拍数が下がったりといった効果も期待できるようになります。

ゆったりとした深い呼吸は、心だけでなく、体にも健康的な余裕をもたらすのです。

益子直美「私はバレーボールが嫌いだった。50歳で心房細動が見つかって気づいた、選手時代からのストレス」

© 婦人公論.jp 婦人公論.jp
高校3年生の時に全日本代表メンバーに選ばれ、女子バレーボール人気を牽引。引退後もスポーツキャスターとして活躍していた益子直美さんを襲ったのは、高齢者に多いとされる不整脈の一種、心房細動でした(構成=平林理恵 撮影=藤澤靖子)
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【写真】病室で夫の山本雅道さんと過ごす益子さん

脈拍が速くなり、ふっと意識が遠のいた
心房細動が見つかったのは、50歳の時です。「まさか心臓が悪かったなんて!」と、ただただびっくり。というのも、元アスリートというプライドもあり、自分の健康を疑ったことがなかったのです。

思い当たる節がなかったわけではありません。プロ自転車選手の夫に勧められて42歳の時に競技用の自転車に乗り始めたのですが、心拍数がすぐ上がることが気になっていました。

平坦な道でも毎分160超え、坂を登れば200超え。時には気が遠くなることも……。でも、「更年期かな」「老化現象だろう」「若いころに体を酷使しすぎたツケかも」など、それらしい理由を並べてごまかしていました。

病院に行ったきっかけは、4年前、これまでにないほど大きな発作が起きたから。ある日、福岡での仕事を終えた私は、翌朝のテレビの生放送出演に備えて夜のうちに東京に戻り、渋谷のホテルに泊まることにしていました。ところが飛行機に乗っている最中に急に脈が速くなり、ホテルに着いても治まらない。次第に息が苦しくなって、ふっと意識が遠のきました。

ハッと気づいて怖くなり、救急相談センターに電話をして症状を話すと、「すぐに救急車を差し向けます」と言われて。でも、そうすると生放送に穴を空けてしまう。一瞬迷い、結局近くの救急病院の連絡先だけ教えてもらって電話を切ったのです。

その後は、姿勢を変えたり、冷やしたり、腹式呼吸をしたり……。症状が落ち着いたのは明け方4時でした。

どんなに頑張っても体力がつかなかった現役時代
早朝、なんとか仕事をこなして病院へ駆け込みました。検査の結果は心房細動。心房という心臓の上部が小刻みに震え、動悸やめまいを引き起こす不整脈の一つです。なんと先生は、「若いので手術しましょう」とおっしゃる。「ええ! 私、若くないです」と言ったら、この病気は70代の高齢者がなるんです、と(笑)。つまり心臓の老化現象のようなものなのだとか。

いつから発症していたのかはわかりません。ただ、ショックを受けた半面、そういうことだったのか、と納得する自分もいました。

実は現役時代、どんなに頑張っても体力がつかなかったのです。試合ではフルセットもたないので、途中メンバーチェンジをして休ませてもらっていました。私の心臓はあの時から悲鳴をあげていたのでしょう。

担当医からは、放置すると血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まると説明を受けました。そこで勧められたのは、脚のつけ根からカテーテルを心臓まで送り込み、患部の心筋を焼き切る「ホットバルーンカテーテルアブレーション」という治療。膨らませた風船が当たった部分を一気に焼くことができるので、時間もかからず負担は最小限。私はこの手術を受け、数ヵ月に1度の検診で経過を見ることになりました。

心房細動は再発しやすい病気なので、発症リスクを生活から取り除く必要があります。遺伝など先天的な要因は仕方がないとして、ストレス、飲酒、睡眠不足を避けるように、と先生に言われました。

ストレスが心臓に悪い――これは、自転車を始めて心拍計をつけるようになった私が日々実感していることでした。緊張したり精神的な負担を感じると、心拍数がぐんと上がるんです。これでは私の心臓が悪くなるのも無理はないな、と思いました。

なぜなら、私にとっての最大のストレスは、若いころから打ち込んできたバレーボールそのものだったから。病は、これまでの自分の生き方を振り返るきっかけになったように思います。

円形脱毛症になり、マジックで地肌を塗りつぶして
バレーボールをやりたいと思って始めたのは私です。でも25歳で引退する時、バレーが大嫌いになっていた。監督に怒鳴られたり叩かれたりするのが当たり前だった時代、怒られたくない一心で頑張っていました。本来、自分で考え工夫することが必要なのに、言われた通りのプレーしかせず、それも思うように決まらない。いつも監督の機嫌をうかがい、失敗するのが怖くて「私にトスを上げないで」と本気で願っていたのです。

当時は円形脱毛症になり、マジックで地肌を塗りつぶして隠していました。流れる汗が黒くなるから、バレないよう練習着は白から黒に替えて。お腹も毎日下していました。

ずっとバレーをやめたくて、ようやく迎えた引退の日の夜は本当に嬉しくて。心底安堵したのか、驚くほどぐっすり眠ったことを覚えています。翌日には、下痢もウソのように止まりました。

でも引退後の仕事は、当たり前ですが、バレーボールに関係するものが多かった。試合の解説者、レポーター、ほかにも元バレーボール選手としてバラエティ番組に出していただいたり。そのころひどくなっていったのが片頭痛です。

前兆で光が見えたと思ったら、激しい頭痛と吐き気で動けなくなる。この症状が、バレーにかかわる仕事が入るたびに出てしまいました。生放送中にバタッと倒れてしまったこともあります。どうして一生懸命やってきたことがストレスになるのか、やめてもなお、と悲しかったですね。

旅番組のロケでは、自分が美しい花を見ても心が動かないことに気づかされました。現役時代は勝った負けたで一喜一憂していたら心がもたないので、感情が動かないようにコントロールしていたのです。

それを引退後も引きずっていて、ディレクターに「益子さん、この花に触れてください」と言われて初めて、ああ、花が咲いていたのね、と気づく始末でした。
45歳の誕生日で不妊治療を卒業
転機が訪れたのは、45歳の時。私は40歳で結婚したのですが、夫との子どもがほしくて42歳から始めた不妊治療が、精神的なプレッシャーになってしまって。45歳の誕生日で卒業するのが夫との約束だったのに、受精がうまくいかず、内緒で治療を続けよう、とまで思っていました。

でも、思い詰めた私に夫は「もう終わりにしようよ」と。45歳の誕生日、約束通り体温計も基礎体温のグラフも薬も、全部捨てました。「今日で終わり」と確かめ合って、二人で生きていくことを決めたのです。

とはいえ、そんなにスパッと割り切れるものでもありません。しばらく悶々としていたところ、湘南で不動産会社を経営している友人夫婦に、「気晴らしに遊びに来たら」と招かれました。

そこで出合ってしまったんです。今住んでいる湘南の家に。それまで家を買おうなんて思ったこともなかったのに、庭に桜や柿やみかんの木があるこの古い家を訪れたら、すごく癒やされて。その帰り道で、「あの家がほしい」と夫に頼みこんでいました。不妊治療に区切りをつけたいという気持ちもあったし、東京での生活に限界を感じていたのかもしれません。

湘南に引っ越して、本当によかったと思っています。環境も気候もよくて、日曜大工で家に手を入れたり庭木の世話をしたり、夫と海岸まで自転車を走らせたり。当時は心臓の病気に気づいていなかったので、引っ越してから自転車に乗る機会が増えました。100マイル(160km)サイクリングイベントに夫と参加して完走できた時は、嬉しかったですね。

160km走るとなると、私にとっては「試合」も同然。攻略法を練らないと気が済みません。それで、事前に160kmを何本か走って練習したい、と夫に相談したんです。すると彼は呆れたように、「練習で完走しちゃったら、イベントで何の感動もないよ」と。

「練習するな、楽しもう」。その言葉を信じて、80kmしか走ったことのない状態で参加しました。苦しくてたまりませんでしたが、すごく楽しかった。スポーツ本来の楽しさを知ることで、バレーボールの呪縛から少しずつ解き放たれていった気がします。体調もすこぶるよくなって、いろいろなことがうまく回り出していきました。

ところが2015年、大学のバレーボール部の監督を引き受けたころから、また調子が悪くなってしまって。二十数年ぶりの現場復帰で気持ちは前向き、やる気もありました。それでも「勝たせなければ」というプレッシャーは大きかった。大学へ車を走らせていると動悸が激しくなり、結局Uターン。そんな状態が続いていたある日、先ほどお話しした不整脈の発作を起こしてしまったのです。

私は、精神的な負担が体にダイレクトに出やすい体質なのでしょう。考え方によっては、その素直な体のおかげで心臓の病気に気づくことができたとも言えます。

監督が怒ってはいけないバレーボール大会を始めて
病気になり手術をしたことで、私自身、大きく変わりました。まずは生活習慣。不規則だった生活は、日の出とともに起きて早めに休む生活に。毎日飲んでいたお酒も、量をぐんと減らしました。庭に梅の木があるので、毎年梅酒を仕込んで楽しんでいます。そうすると、量は少なくても、満足感でいっぱいになるんです。

また、ストレスを上手に解消する方法はないかと考えた結果、学ぶこと、知識をつけることが一番だと気がつきました。具体的には、怒りをコントロールする「アンガーマネジメント」、短い言葉でやる気を引き出す「ペップトーク」、本番で実力を発揮する手法を学ぶ「スポーツメンタルコーチング」――といったものです。

もともとこれらに興味を持ったのは、15年からスタートした「益子直美カップ小学生バレーボール大会」がきっかけです。この大会は、監督が怒ってはいけないルール。子どもたちが心からスポーツを楽しめる環境をつくりたくて始めたものでした。

ある時、参加チームの監督から「怒らないなら、どう声をかけたらいいの」と聞かれたのですが、具体的に答えられなくて。その時から少しずつ勉強を始めていたのです。

頼れるところは頼って、楽しんだほうがいい
そして、50歳を過ぎて心臓の病気が見つかったことで、自分自身のストレスと向き合うことになった。自分のために改めて学び、知識が身につくと、自分をコントロールできる自信がついて。それが安心や体の健康にも繋がるのだと、ようやく実感としてわかるようになってきました。

今は、無理して頑張る人から、肩の力が抜けた人に変わってきているのではないかな。以前は人から頼まれると無理をしてでも引き受けてしまうタイプでしたが、近ごろは身に余ると思ったらほかの人を紹介できるようになりました。

趣味の自転車も、夫が電動アシスト付きのマウンテンバイクをプレゼントしてくれたので、変わらず楽しめています。「元アスリートなのに、電動に頼るなんて邪道だわ」と思ってしまうのがかつての私。それが「頼れるところは頼って、楽しんだほうがいいんじゃない?」と考えられるようになった。これ、すごい進歩です。(笑)

55歳、これからやりたいことがたくさんあります。その一つが、威圧的な指導が根強く残る日本のスポーツ界を、現場から変えていくこと。私はバレーボールが嫌いになってやめてしまったけれど、バレーがなければここまで成長できませんでした。だからこそ、少しでも役に立ちたい。その夢を叶えるために、まだまだ健康でいないといけないなあと思う日々です。

運動不足はストレスを招く!? 日常でできる簡単解消法7選

あなたは日頃から運動していますか? 昔はしていたけど、大学生になってからめっきりやらなくなったなぁ……なんていう人も多いはず。でも、たかが運動と侮るなかれ。一説では肥満よりも体に悪いと言われるほど、運動不足は体に色々な悪影響を及ぼすのです。一見なんの関係もないと思えるようなストレスも、実はその原因に運動不足が関係していることも……。そこで今回は、運動嫌いの人でも始めやすい、日常生活の中でできる運動不足解消法をお教えします。

■家事をがんばってみる

実は、家事は見た目以上にカロリー消費になる立派な運動。洗濯や片付け、アイロンがけ、皿洗いといった日常の単純作業だけでも、30分行えば約35キロカロリー消費できます。家事をする際は、立ったり座ったりを繰り返しながら窓拭きをしてみたり、電気をこまめに消すためによく歩くようにしたり、床掃除をモップでなく雑巾で行ったりすると、さらに効果が倍増しますよ!

■電車やバスでは立つようにする

電車やバスに乗るときには、座らないで立つようにしましょう。立っているだけで消費カロリーは座っているときの2倍にもなるのです! 立つだけでエネルギー消費にもつながり、脂肪が燃焼され、血液の循環がよくなるので、少しくらい疲れていても立つことをオススメします。でも、もたれかかって立つとその効果は半減。つり革につかまって、しっかりと自分の足で立つようにしましょう。

■1駅分歩こう!

電車やバスで立つことに慣れたら、今度は1駅早く降りて歩く距離を増やしましょう。1駅の区間で10分歩いたとしても、往復で20分。わざわざ時間をとらなくても、1日20分のウォーキングが可能になります。これを週5日行うと、合計1時間40分歩いていることに。朝から歩くと体も温まり、やる気も出てきて一石二鳥!ですよ。

■移動には階段を使う

移動の際は、エレベーターやエスカレーターを使わず、階段で移動するようにしましょう。ジムに行かなくても、日常生活の中で繰り返し階段を上り下りするだけでかなりの運動効果があるんだそう。階段が目についたときには、迷わず階段を選択するようにしましょう。細かいようですが、毎日少しずつの積み重ねが大事です。

■なんでも「つま先立ち」でやってみよう!

普段の生活の中ですることを、つま先立ちになってやりましょう! たとえば歯を磨いたり、料理を作ったり……それらの家事を、つま先立ちで行うのです。その際、脚に力を入れないようにして、お腹とお尻に力を入れるようにするとダイエットにも効果的。さらにつま先立ちをしている間は深く呼吸することも意識しましょう。腹式呼吸を行うことで、脂肪の燃焼効果をアップすることもできるのです。

■座ったままエクササイズしよう!

試験勉強中など、机から離れられない……なんていうときにもできる簡単エクササイズがこれ。デスクに向かって背筋を伸ばし、膝を軽く上下させるだけでも効果的な腹筋運動になります。このとき、膝と膝をくっつけて行えば更に効果大。次に、両手をデスクの手前側に置き、デスクを下にギュッとゆっくりと押してみましょう。これで腹筋、胸筋、腕の筋肉まで鍛えることができます。定期的に体を動かすことは気分転換にもなりますので、気づくたびにくり返し行うようにしましょう。

■スクワットを習慣にしよう!

スクワットは、足だけでなく腹筋や全身の筋肉を鍛えるのに有効な筋トレ。なんと、スクワット15回分は腹筋の500回分にも相当するんだとか! さらに、筋肉をしっかりと使うことで基礎代謝が上がり、太りにくい体にも近づけます。スクワットは毎日のいろいろなシーンに取り入れることができますが、特に歯磨きのときは鏡で自分の姿勢が見えるのでおすすめ。その他にも、料理中やテレビを見ているとき、洗濯物を干すときなど、自分の気づいたときに数回行うだけでもかなりの効果が期待できます。

「1駅分歩く」や「階段を使う」などはよく言われていることなので、実践しているという人も多いかもしれません。でも、まだまだ日常の生活の中で意識して「ながら運動」を行うことで運動不足を解消できるポイントはいくつもあります。運動するのが面倒、嫌いという人にこそ実践してほしい運動不足解消法。わざわざ運動するのは面倒くさくても、ふだんの移動や家事などの際にちょっと工夫するだけで運動不足が解消できる!と思えば、がぜんやる気が出てきませんか!?

※参考サイト
・WELQ
https://welq.jp/11137
・運動不足を今すぐ解消!誰でもできる☆3段階に分けた具体的なアプローチ!
https://welq.jp/4935

貯金はしてるけどストレスも「貯めてる」人の実例3つ

■貯金と同時に、ストレスを「貯め」ちゃうことに注意!
「手取り月収は少ないけど、この1年で100万円貯まった」「もう500万円に到達した」「がんばって、1000万円になった」……取材をしていると、たくさんの貯蓄のツワモノさんに出会います。

そのがんばりには、もう感服しきりなのですが……ときどき「生活があまり楽しくなさそうな人」もいるのです。お金だけでなく、ストレスも「貯めて」いて、幸せではなさそう……。果たして、それはお金を貯める目的に合っているのでしょうか。

そこで、お金も貯めつつストレスも「貯めて」しまっている例を3つ紹介。解決策もお伝えします!

■「人に会うとお金がかかるので、自宅にこもります」……Aさん(27歳・女性)
人に会ってご飯を食べたり、お茶をしたり、一緒に映画やライブ、旅行などに行ったりするとお金がかかるもの。500万円の貯蓄があるAさんは、「せっかく貯めたお金を使ってしまうのがもったいない」と、人と会うことをできるだけ避けているそう。

平日はお弁当を持っていって自分の机でランチを食べ、会社が終わったらすぐに一人暮らしの家に帰って自宅で夕飯。週末は自宅で過ごすようにしているといいます。

そんな話をしているうちに、「時々無性に人に会いたくなるけど、人に会うとお金がかかるから我慢してて……。あ、私、全然遊んでないですね」とご自分で気付いた様子でした。

●解決案
一生懸命に貯蓄している人は、「我慢すれば使わずに済むお金」に敏感になり、むやみにセーブしてしまいがちです。

でも、考えてみましょう。そもそもお金を貯める目的は、「楽しい人生にするため」ではないでしょうか。

人と会いたくないのなら、会わなくてもいいと思いますが、人と会いたいのに「お金がかかるから避けている」のなら、使いすぎない程度にお金を使ってもいいと思います。

そこで、「1週間あたりに使っていいお金は5000円」などと、金額を決めてみてはいかがでしょうか。お弁当づくりは素晴らしいので続けるとして、平日仕事帰りに友達とご飯を食べて1800円、週末に友達と映画を見にいって、お茶をして3000円……などと、合計金額を考えていきましょう。これなら、予算オーバーもないので怖くありません。

週5000円なら、1カ月あたりの支出は2万円アップですが、普段貯蓄をしっかりできている人なら大丈夫。会いたい人に会って「人生を楽しむためのお金」と考えましょう。

■「洋服はアウトレットでしか買わない」……Bさん(25歳・女性)
Bさんはファッションが大好き。でも、デパートで買うと洋服は高いし、300万円の貯蓄を減らしたくないし、今の貯蓄ペースを崩したくないから、なるべくアウトレットで買っているのだそうです。ただ、遠くのアウトレットまで高速バスに乗っていくことが多く、「1日がかりなんです」と笑います。

「アウトレットは行ってみるまで、どんなものがあるかがわからなくて、欲しいものがない場合も。でも、せっかく交通費を払って時間かけてきたのに、手ぶらで帰るのはもったいないから、何着か買ってしまいます。1着が安いから、つい手に取っちゃって……」とのこと。

家に帰って手持ちの服とあわせてみると、似たような洋服だったり、冷静になってみるとあまり似合わなかったり。「買ったけど着ていない」というものが何着もあるのだそうです。

●解決案
アウトレットは郊外にあることが多く、旅行気分で行く方も多いですね。交通費と時間をかけてやってきたので、Bさんのように「せっかく来たから買おう」と、あまり欲しくないものも買ってしまいがちです。

もし、「欲しいものがなかったら、買わない」と考えられる人ならいいですが、Bさんは違うようです。それなら、アウトレットにわざわざ行かずに、最初から好きなブランドのショップで買う方が、貯蓄も満足度もアップするのではないでしょうか。

出費が増えそうで不安なら、年間の洋服代の予算を考えておけば安心です。年間10万円(または20万円、30万円……)などと決めておき、そのなかで洋服の購入をやりくりしてみましょう。

じっくり考えて買うようになれば、たんすのこやし服を買わないようになり、その分お金が浮きます。ハイブランドの洋服を買えるようになり、「好きな洋服を買えない」というストレスも軽減するはずですよ!

■「食材のメインは豆腐かモヤシ、あとは見切り品です」……Cさん(23歳・女性)
一人暮らしながら年間に100万円も貯蓄するCさんは、自炊をがんばっています。「メインは豆腐かモヤシです。安いですから。あとは見切り品を必ず狙います」とのこと。

でも、同じ食材ばかりで飽きてしまって、他のものもいろいろ買いたいな……と思いながら、スーパーでモヤシか豆腐が目に入ると「あっちの方が安いし」と、牛肉や魚を手にするのをやめ、豆腐を買うのだそう。

「本当は食べるのが好きだから、いろいろ買いたいけど、年間100万円貯めているのはキープしたいんですよね……」

●解決案
Cさんは、まず、食材がかなり偏っていることが心配です。今後体調を崩してしまったら、節約や貯蓄どころではありません。せっかく今健康なので、それをキープしていきたいですよね。

また、食べることが大好きなら、なおさらいろいろな料理にチャレンジしたいはず。豆腐やモヤシなどはお手頃価格ですし、もちろんいいと思いますが、飽きるほど続けていると、ストレスが「貯まって」しまいます。

例えばこんなふうに変えてみてはいかがでしょうか。一人暮らしで年間100万円貯めているのはすごい! ですが、それを80万円程度にダウンして、残りの20万円を年間の食費アップに使ってみるのです。1カ月あたり1万6000円程度です。それなら、好きな食材も買えますし、ストレスからも解放されるはず。なにより栄養が取れれば、健康を維持でき、楽しい毎日を過ごせると思います。

また、他の項目(通信費、被服費、保険料等)もしっかり見直してみると、年間20万円程度は浮くかもしれません。今まで通り年間100万円の貯蓄のペースを守りながら、好きなものを食べられるようになれば、さらに幸せですよね!

いかがでしたでしょうか。きちんと貯蓄できている人こそ、「貯蓄しなきゃ」という意識が高く、無理をして出費をお抑えこんでしまいがちです。貯蓄と自分の幸せ、両方のバランスがうまく取れているかを、時々振り返ってみてくださいね!

緊張、ストレス、疲れ…精神科医が教える実は私たちに“味方”なマイナス要素

「しっかり休憩を取っているのに疲れが取れない」

「工夫しているのに集中力が続かない」

毎日の仕事を効率よくしたいのに、なかなか思うようにいかない人がほとんどなのではないでしょうか。

もしかしたら、あなたのアプローチが合っていないのかもしれません。

「日々を最適化することによって、あなたの仕事や人生は、もっと楽に、もっと楽しくなる」と精神科医でSNSでも信頼を集めている樺沢紫苑さんは言います。

私たちが取るべき最適な行動とは一体…。

著書『行動最適化大全』より、脳科学・心理学の観点から意外と知らない体事情をお届けします。

1.緊張は私たちの味方
多くの人は、「緊張するとパフォーマンスが下がる」と思っていますが、それは脳科学的に間違いです。

適度な緊張によって、集中力を高め、脳を研ぎ澄ます脳内物質、ノルアドレナリンが分泌されるので実は私たちのパフォーマンスを高めるのです。

つまり、緊張は私たちの「敵」ではなく「味方」なのです。

だから「緊張してきた」=「パフォーマンスが高まってきた」ということで、喜びましょう。

そこで、「緊張してきた」場合は、「ワクワクする!」「ワクワクしてきた!」と言ってください。

言語情報は、緊張の発生源である「扁桃体(へんとうたい)」を鎮静します。

この時、絶対に「緊張してきた」と言ってはいけません。

ある研究によると、カラオケの前に「ワクワクする!」と言うと得点が15%上がり、「緊張する」と言うと得点が5%下がりました。

つまり、言葉を換えるだけで、パフォーマンスは20%も変わるのです。

「緊張してきた」と言うほど、自らの緊張に注目してしまい、余計に緊張を高めるのです。

おまじない的な言葉は、実際に効果があるのです。

緊張したら、「ワクワクする!」を口ぐせにしてください。

2.ストレスは健康に悪くない
ストレスは健康に悪くないというと驚く人も多いでしょう。

「ストレスは健康に悪い」というのは、社会の常識のように思いますが、アメリカのスタンフォード大学の最新の研究では、ストレスが健康に悪いという思い込みが強い人ほどストレスの影響を受けやすく、「考え方」でストレスホルモンの分泌が変わるということがわかっています。

ストレスは、仕事や人生において必ず生じるものです。

多少のストレスがあっても、心配することはありません。

これを理解するだけで、ストレスの影響はかなり減らせます。

重要なのはストレスの大、小ではなく、夜間にストレスがかかっているかどうかです。

日中、ブラック企業のようなところで働いていたとしても、帰宅してから、仕事のことは忘れて、のんびりとリラックスして過ごす。

そうすると深い睡眠に入れるので、ストレスの大部分と身体的な疲労は解消されます。

しかしながら、多くの人は「会社での失敗」を引きずり、不安や心配事を抱えながら、緊張した状態で眠りにつきます。

すると交感神経(昼の神経)が優位になり、睡眠も深まらず、身体の疲れがとれません。

このように、夜間にストレスがかかることが最も健康に悪いのです。

昼はバリバリ働き、帰宅してからリラックスして過ごし、グッスリと眠る。

これが「ストレス」の最適化の基本です。

3.疲れがアイディアを作る
アイデアが出やすい場所というのがあります。

それは、「創造性の4B」といわれるBathroom(入浴中、トイレ)、Bus(バス、移動中)、Bed(寝ているとき、寝る前、起きたとき)、Bar(お酒を飲んでいるとき)の4つです。

この4つの場所での共通点は、「何もしていない」「リラックスしている」ということ。

つまり、必死にアイデアを絞り出そうとするのではなく、ボーッとしているときに、意外とよい発想は生まれるということです。

アメリカのアルビオン大学の研究では、疲れているときの方が創造力のエネルギーが20%増えているという結果が出ました。

アーティストやテレビ業界の人は、夜中にアイデアが出やすいといいますが、それも疲れているときだと思います。

疲れると脳の「論理的縛り」が外れ、「常識」や「こうあるべきだ」から外れた、奔放で自由なアイデアが生まれやすくなるのです。

また、「発想力」「創造性」の源となる脳内物質アセチルコリンは、昼よりも夜に活発化します。

だから昼に会議室でアイデア出しをしても、ちっともよいアイデアが出ないのは当然なのです。

4.疲れたときに運動は効果的
疲れているときに運動すると身体によいのです。

というと、「そんなバカな」と思う人も多いでしょう。

しかし、最近は「積極的休養」(アクティブレスト)が注目されています。

疲労した状態で、積極的休養群(運動)と消極的休養群(横たわる)の血中乳酸量を調べたところ、積極的休養群の方が、疲労回復のスピードが2倍も速くなったという研究結果があります。

運動するとなぜ疲労が回復するのでしょうか。

その答えは以下の5つです。
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1.成長ホルモンが分泌される
2.睡眠が深まる
3.血流が改善し疲労物質が押し流される
4.ドーパミン、セロトニンが整い精神的疲労が回復する
5.コルチゾールが低下しストレスが発散される
出典 行動最適化大全
--------------------
このような機序で、脳と身体の疲労回復が進むのです。

サラリーマンの場合、デスクワークによる疲労は、肩まわり、首まわりの筋肉の局所的な疲れです。

しっかりと全身の筋肉を使った有酸素運動をすることで、成長ホルモンが分泌されたり、血流改善効果が得られたりと、局所の疲労が回復します。

アスリートは、毎日ハードなトレーニングをしますが、翌日に疲れを残しません。

なぜならば、たっぷりと成長ホルモンが分泌されるので、バッチリ疲労回復をするためです。

運動強度としては、やや強度の高い(中強度)有酸素運動を30~45分。

筋トレと組み合わせると、さらに成長ホルモンが分泌されます。

ほどよい疲れと、気持ちの良い汗が流れるくらいの運動がいいでしょう。

仕事帰りにジムに寄って汗を流す。

そこには、運動による気分転換、運動不足解消、ダイエット効果だけではなく、「疲労回復」という極めて重要な効果が隠されていたのです。ただし、寝る前2時間以内に運動すると、交感神経を優位にするのでよくありません。

ストレスが原因で起こる「めまい」 繰り返すたびに治りにくくなると専門医

めまいを引き起こす病気として知られているのが、ストレスが原因で起こる「メニエール病」や、脳卒中だ。それぞれに特有の症状があり、治療法も異なる。治療のあともめまいが慢性化することがあり、注意が必要だ。

*  *  *

 めまいのなかでも、耳の病気により起こる「末梢性めまい」の原因としてよく知られるのが「メニエール病」だ。

 メニエール病は、内耳にある三半規管や耳石器、蝸牛などの器官を満たしている内リンパが過剰に増えることで、内耳がむくんだ状態(内リンパ水腫)になる病気。東邦大学医療センター佐倉病院耳鼻咽喉科教授の鈴木光也医師はこう話す。

「内リンパ水腫の原因には諸説ありますが、大きな要因といわれるのがストレスです。睡眠不足や食事などの生活習慣も関係するといわれます」

 この病気では、回転性のめまいが数十分から数時間続き、難聴や耳鳴り、耳が詰まる感じ(耳閉感)などの聴覚症状を伴うことが多い。めまいの発作は繰り返し起こるが、頻度は人により異なる。症状を「繰り返すこと」がメニエール病の診断基準のひとつであるため、初回の受診で診断されることはなく、症状の経過をみながら診断していく。

「メニエール病は、めまい発作を繰り返すたびに治りにくくなり、難聴が進んでいく傾向があります。そのため、なるべく早い段階で適切な治療をすることが大切です。ストレスや生活習慣などの原因を取り除くことも必要です」(鈴木医師)

■運動療法により予防効果も

 メニエール病の治療では、めまいや吐き気などの症状が強い急性期には安静にし、内耳の血液循環をよくする「抗めまい薬」や、炎症を抑える「ステロイド薬」、吐き気止めや抗不安薬などによる薬物療法をおこなう。症状が落ち着いたら、内耳のむくみをとるための利尿薬などを投与して経過をみることが多い。

 薬物療法で改善しない場合の保存療法として、「中耳加圧療法」が2018年に保険適用となった。この治療法では、耳の奥に圧力をかけ、内リンパの排出をうながすことで内耳のむくみを解消し、めまいの改善を図る。

 薬物療法や中耳加圧療法で改善しない場合は手術が検討される。メニエール病の手術には、たまった内リンパを排出させる手術、鼓膜の奥に薬物を注入する手術、めまいの原因となる前庭神経を切除する手術などがある。

「治療はまず薬物療法から始めます。一般的には8~9割の人が手術以外の保存療法で経過をみていくことになります」(同)

 治療によりめまい発作が治まった後にふらつきなどの症状が残る場合は、リハビリとしての理学療法がすすめられる。メニエール病に限らずめまい全般に有効とされ、目を動かさずに頭を動かす運動や、目を左右、上下に動かす運動などを、医師の指示に従っておこなう。

「目と耳は協働して、からだのバランスを保っています。運動により、バランスを保つ機能を強化することで、めまいの改善や予防につながることが期待できます」(同)

■中枢性めまいは随伴症状に注意

 脳の病気により起こる「中枢性めまい」は、頻度は少ないものの生命に関わる「危険なめまい」といえる。その原因となる病気が「脳卒中(脳出血・脳梗塞など)」だ。なかでも、めまいの症状がみられるのは小脳や脳幹で起こる脳卒中とされる。小脳や脳幹は、スムーズな運動やバランス維持に欠かせない部分で、障害されることでめまいが起こると考えられる。

 中枢性めまいを見分ける重要な特徴が、めまいと一緒に起こる「随伴症状」だ。中枢性めまいでは、急激に起こるめまいに加え、

・ものが二重に見える

・話すときにろれつが回らない

・片側の手足がしびれる

 などの症状がみられる。横浜市立脳卒中・神経脊椎センター副病院長で脳卒中・神経疾患部門長の城倉健医師は、こう話す。

「急にめまいが起こると誰でも不安になりますが、まずは落ち着いて上記のような症状がないか確認しましょう。なければ中枢性めまいの可能性は低いといえます。余裕があれば、そっと立ち上がってみましょう。末梢性めまいでは、目を見開いたり、足をふんばったりしてからだの感覚を総動員すれば、脳がめまいを代償するので、なんとか立てるものです。しかし中枢性めまいでは、脳が障害されるために代償がきかず、がんばっても立つことが難しくなります。随伴症状がひとつでもみられたら、一刻も早く救急車を呼んでください」

 脳卒中と診断された場合は、血管を詰まらせている血栓(血のかたまり)を溶かすための薬物療法や、カテーテルを血管に挿入して血栓を取り除く血管内治療、出血している場合には止血する治療などをおこなう。

 本来は、原因となる病気が治れば、めまいも改善することが多い。しかし、原因疾患が治癒した後にもめまいの症状が残る「慢性めまい」が近年注目されている。慢性めまいは、通常のめまいと異なるメカニズムで生じている可能性もあり、原因や治療についてさまざまな研究がおこなわれていると城倉医師は話す。

「慢性めまいに悩む人は少なくありません。当院でもめまいの病態と原因を把握した上で、原因に応じた治療をおこなっています。慢性めまいでも、『年のせい、あるいは後遺症だから仕方がない』とあきらめず、相談していただきたいと思います」

(文・出村真理子)

※週刊朝日2021年7月16日号より

5人に4人が「何らかの精神的な問題」を抱えた経験がある【科学で証明!本当に信用できるストレス解消法】

【科学で証明!本当に信用できるストレス解消法】#29

人生って、なんだかややこしいですよね。思ったようにうまくいかず、気分がめいるなんて日常茶飯事。比べてはいけないと分かっていても、隣の芝生が青く見えてしまい、自分の現状に対して不安やイライラが募ってしまう。うまくいかないから、人生なのかもしれません。

「どうして自分はダメなんだろう」「なんでみんなのようにできないんだろう」――。そんなことを考えてしまうこともあると思います。アメリカのデューク大学のシェーファーらは、「人間のほとんどが、一生のうち一度は精神を病む」と唱えています。つまり、落ち込んだり、気がめいったりするのは、人間である以上当たり前。疲れてしまうのは、誰にだってあることなのです。

約1000人を対象としたシェーファーらの調査(2017年)は、とても興味深い結果を教えてくれます。生まれてから中年期に至るまでの精神面での健康を追跡し記録していったところ、83%が「何らかの精神的な問題を抱えた経験がある」と回答したそうです。

5人に4人が精神的な問題を抱えた経験があるのですから、「どうして自分はダメなんだろう」と過度に自己を責める必要などありません。自分だけではなく、周りの人もへこんだ経験を抱えていると考えれば、少し気持ちが楽になるはず。自分のペースで、落ち込んだ気持ちを浮上させればいいのです。

一方、何らかの精神的な問題を抱えた経験がない17%未満の人たちとは、どんな人なのか気になるところです。生活に余裕のある人、お金をたくさん持っている人、あるいは高い知性を持ち優秀な企業に勤めている人……などを想像しがちですが、そうではありません。それらの人たちに共通している点は次の2つでした。

1つは、精神疾患を経験したことのある家族がほとんどいない点。もう1つは、当人のもともとの性格で、たとえば幼少期に自己統制にたけていたり、多くの友人に囲まれていたという点でした。前者は変えられない事象ですが、後者は変えられる事象です。気持ちさえあれば、誰だって友人を増やせます。

ただし、当コラムでも触れたように、単に友人を増やすのではなく、あなたが心を開ける理解者をつくることが肝要です。親友をつくる――その過程があなたの気持ちに安らぎを与えてくれる良薬となり、深く沈んだ気持ちを引き上げてくれる力となります。

また、日本が心の病を骨折や風邪などと同じように扱う成熟した社会になることも重要でしょう。リンネ大学のヤングビストらが行った研究(2016年)では、「精神を病んでいる人に、毎月50ユーロ(約6500円)を9カ月間“投与”したところ、不安やうつ症状が減り、人間関係や生活の質が向上した」という研究結果もあるほどです。

現代社会において心の闇と貧困や格差が密接につながっている証左ともいえます。それだけに、心にゆとりをもたらす程度のお金を支給するだけで社会は変わるかもしれない。ほんの少しのお金、そして寄り添う気持ちがあれば、人は再浮上できるのです。どうぞ忘れないでくださいね。

(堀田秀吾/明治大学教授、言語学者)

ストレスとは異なる、「燃え尽き症候群」の兆候7つ

ストレスは、押し寄せては引いていくもので、うまく折り合いをつけるのはそれほど難しくない。それに、ストレスの原因となっている状況や人物はたいてい、突き止められるものだ。ストレスを抱えていても、いったんすべてが落ち着けば気分が改善するだろうと、先々を考えることができる。

一方、燃え尽き症候群(バーンアウト)という問題に、研究者兼コーチ兼ライターとしての立場で取り組んでいる筆者から言わせてもらうと、燃え尽き症候群について真っ先に知っておくべきポイントのひとつは、自覚するのは非常に難しいということだ。燃え尽き症候群は、こっそりと忍び寄って来て、少しずつ進行していくからだ。

つらい日が数日続いた程度では、燃え尽き症候群にはならない。また、ストレスとは異なり、燃え尽き症候群になると、何の希望も見えないような気持ちになる。かつての自分は消えてしまい、残っているのは、身体的にも精神的にも燃え尽きたあとの残滓と、自分の抜け殻だけだ。

仕事による「燃え尽き症候群」と「ストレス」には違いがあり、それぞれについて、適切なタイミングで介入する必要がある。そして、その違いを正確に見きわめて備えなければ意味はない。以下では、燃え尽き症候群になったときに表れる一般的な兆候を説明しよう。

1.睡眠時間が減る

燃え尽き症候群の初期に見られる一般的な兆候は、睡眠時間の減少と不眠症だ。実際、米国立睡眠財団によれば、睡眠時間が頻繁に6時間を切るようになるのが、燃え尽き症候群の最もわかりやすい兆候のひとつだという。そうした初期の兆候が進行し、やがてはチャンスや人、仕事に対して「ノー」と言わないことが習慣になっていく。

2.状況に圧倒される

ToDoリストに並んだタスクをいくら片づけても終わりが見えず、合間にひと息ついたり、気分転換したりする暇もなく、孤立無援だという気持ちがぬぐえないなら、あなたは圧倒されているのかもしれない。

筆者は、2021年6月はじめに書いた記事で、職場で自らのニーズや権利を主張し擁護する重要性を説いた。パンデミック期間中には、仕事量の多さに圧倒される人が大幅に増加している。

3.疎外感がある

燃え尽き症候群の人はしばしば、精神的あるいは身体的に孤立している。筆者が最近、コーチングを担当していた米東部の名門大学法学部卒の女性は、居場所がないのは「実力がない」せいだと自分を責めていた。根拠のない思い込みで苦しむのはよくあることだが、心痛むことだ。こうした疎外感は、ストレスと燃え尽き症候群を分ける顕著な特徴だ。

4.極度に疲れている

燃え尽き症候群になって、身体的、精神的、感情的、社会的に負担を強いられた状態が続くと、エネルギーは枯渇する。かつての自分なら難なくできたことが、できなくなってしまうのだ。指をパチンと鳴らせば魔法が起きて、仕事用のツールやシステム、手順がすべてスムーズに動き、便利で頼れるものに早変わりし、負担が取り除かれればいいのに、などと夢想したりする。

動画メッセージアプリ「Voodle」が公表したハイブリッド勤務に関する報告書では、パンデミックが発生して以来、「Zoom/Slack疲れ」に悩まされていると回答した人は77%に上った。また、リモートワークへの順応で最大の壁となったのは、人とのつながりが減ったことだという結果が出ている。この点もまた、疎外感につながっている。

5.自分を非生産的、非効果的だと感じる

長時間労働による影響については、実感できる人は多いだろう。しかし、自分への期待が大きいタイプは、自分の生産性や有効性が最大限に発揮されていないと感じると、自分に対してイライラしてしまう。こうした状態は悪循環につながるが、その循環を断つことは可能だ。

6.喜びを感じられない

無力感や、極度の疲労を感じる状態が続き、シニカルな態度が増えていけば、人はおのずと、人生のほぼあらゆることに喜びを見出せなくなっていく。ストレスを抱えているときは、自分の好きなことに興じれば気分が安らぐはずだと考えられる。けれども燃え尽き症候群の場合は、そんな余計なことをしている暇はないし、それで自分が元気になることなどない、という囁きが聞こえてくる。

7.不安やうつ状態

最初は心配や、あるいはなんらかの緊張状態として始まるが、慢性的な仕事のストレスはそのうち、不安感やうつ状態に変わっていく。ストレスは、人間に役立つ場合もある。しかし、燃え尽き症候群の場合は違う。燃え尽き症候群による生産性の喪失は、年間で1兆ドルと驚くような額に上っている。

最後に、コーチとしての筆者から、みなさんに質問がひとつある。あなたは、正当な助けを得ようとしていなかったり、あるいはそのためのお金を出し渋っていないだろうか。何か問題を感じていたら、それが悪化する前に対処するようにしよう。

マイクロソフトが毎年実施する調査「Work Trend Index」では、41%の人が、仕事を辞めようと考えていると回答した。また、過重労働だと回答した人は54%、極度の疲労を感じていると回答した人は39%だった。今こそ、状況を変えるべきときだ。

“コロナ離婚”を避けるために考えたい”夫婦の距離感”と”イライラ解消法”

今回、WEBオリジナル企画「主治医の小部屋」で取り上げるのは、新型コロナウイルスの影響によるテレワーク(在宅勤務)への切り替えがきっかけで起きた家庭内トラブルについてのお悩みです。同番組のレギュラー・姫野友美医師に、“コロナ離婚“を避けるために考えたい夫婦の距離感、イライラの解消法などについて伺いました。

通勤に使っていた時間を夫婦で有効活用して

Q:40代女性です。コロナ禍で夫がテレワークになり、1年になろうとしています。「コロナ離婚」なる言葉も誕生しましたが、私たちも決してその例外ではなく、三度の飯を要求され、一緒にいる時間が増えたことで互いの主張がぶつかることもしばしば。そのうち家事のやり方にまで口出しされるように...。

「会社に行けばいいのに!」「もう離婚したい」などと考える毎日が続き、イライラしてしまいます。子どももいるので離婚は避けたいのですが、日々どんなメンタルで過ごせばいいのか......姫野先生、何か良い対処法はないでしょうか?

―― コロナ禍でこういった話をよく耳にするようになりましたが、解決に結びつくような具体的な対処法はあるのでしょうか。

「テレワークになって、仕事中は物音を立てただけで怒られるから、掃除機もかけられない、ペットボトルもつぶせない、洗い物もしにくい...ようやく夫の仕事が終わってよしここから!と思うと、今度はお酒を飲みだしてしまいそちらに気をとられる...。結局、家のことが何もできないと嘆いている女性も多く、皆さん本当に大変ですよね。相談者がイライラしてしまう気持ちもわかります。

対処法としてすぐにできることは2つあります。1つは空間を分けること。生活と仕事の空間が一緒になるとどうしてもプライベートがなくなってしまうので、うまく棲み分けをするようにします。ただ、日本家屋は居住スペースが狭く、部屋数がたくさんあったり、独立した仕事部屋のあるご家庭は少ないと思います。

その場合、たとえばロールカーテンをする、ついたてをする、家具を少し動かしてスペースを作るなど、まずは1つの空間を物理的に分ける工夫をしてみましょう。押入れを改造してみるのもいいと思います。

さらに、ご主人が会議をしている最中は、買い物に行くなど外出するようにする、反対にご主人が気分転換で散歩に出たときに家事をするなど、室内と屋外で棲み分けるというのも1つの方法で
す。

2つ目は、時間を分けること。何時から何時までは仕事の時間、何時からはプライベートな時間ときっちり分けるようにします。そしてプライベートな時間は何をしてもよい時間と決め、音を立ててもOKというルールにしておきます。その際、今まで通勤にかかっていた時間がいらなくなった分、家事に当てるよう提案してみるのもおすすめです。一緒に、あるいは分担して家事をすれば “自分だけが家事の負担が増えてしまった“ という気持ちにもなりにくくなります。

家屋の事情で日本ではテレワークが根づくのは難しいかもしれませんが、まずはこの2つ、“空間を分ける“ “時間を分ける“ ことを意識するようにしてみてください」。

―― 朝・昼・晩の食事の問題も毎日だと苦痛に感じてしまいますね。

「そういうときは、朝食づくりの段階で昼のお弁当も一緒に作ってみてはどうでしょう。私も朝、昼と夜の2回分のお弁当を作ったりするのですが、こうしておけば昼食を用意する手間がなくなります。お弁当ならいつどこで食べるかはお互い自由にできます。それぞれ好きなときに好きな場所で食べて、洗い物は後で二人ですればよいのです。

家にいる時間が長い今の状況は、考えようによっては家事がいかにマルチタスクであるか、煩雑で細かい作業が多いか、ということを夫にわかってもらうよいチャンスなのだと思います。これをきっかけに共同作業・分担作業を進めて、1人でも生きていける人に仕立て上げるのもいいと思いますよ(笑)」。

家での食事で気をつけたいのは糖質過多

―― 40代になると自身の体の変化からもイライラしやすくなりそうですが、食生活で心がけたほうがいいことはありますか。

「イライラの原因の1つはセロトニン不足です。セロトニン合成には鉄やタンパク質、ビタミンB群が必要なのですが、40代の方なら今の年齢まで25年くらい生理があるわけですから、かなり鉄欠乏になっています。そうなるとセロトニン合成ができなくなってくるんですね。

セロトニンが足りなくなるとイライラしたり神経過敏になりやすくなり、何かちょっと言われだけでもカッとなったり、落ち込んだりするようになります。鉄やタンパク質、ビタミンB群は意識してしっかりと補うことが大切です。

逆に、糖質を摂るとイライラが強くなります。1日3回家で食事をするようになると、だいたい昼食は麺類などになって炭水化物が増えるんですね。それによって血糖値が変動しやすくなり、食後に強い眠気が起きたり、気分もアップダウンしやすくなったりします」。

―― 血糖値をなるべく安定させるにはどうしたらいいのですか。

「糖質を減らして、タンパク質と脂質を摂ることです。タンパク質は血糖値を若干上げますが、脂質はまったく上げません。食事のバランスをタンパク質と脂質を中心にして糖質を減らしていくと、血糖が安定してくるので、脳も安定してきます。

―― こういった相談事でイライラしているのは女性が多いという印象ですが、何か理由があるのでしょうか。

「この相談ではそれぞれの家庭の事情もあり、何が正解ということにはなりませんが、もともと女性は男性に比べてセロトニン合成が少ないので、イライラしやすいんですね。性周期によって生理前にはエストロゲンの分泌が減り、それに伴って脳内のセロトニンの分泌も減少します。生理前になるとイライラするのはそのためで、怒りっぽくなったり、やたらと甘いものが食べたくなったりするのです。女性にはそういう体質があるのだと理解して、工夫するしかありません。

セロトニンを増やすには朝日を浴びたり、リズム運動をしたりするのが効果的です。リズム運動というと特別なことのようですが、同じような動作を繰り返すことと考えるとわかりやすいかもしれませんね。たとえばウォーキングやサイクリング、坐禅の呼吸、窓拭き、編み物などもリズム運動です。イライラしたら窓を拭くようにすれば、家もきれいになって一石二鳥ですね(笑)」。

―― 姫野先生、ありがとうございました!

【姫野友美医師 プロフィール】
1954年 静岡県生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。
九州大学医学部付属病院心療内科、Mayo clinic Emergency Room (U.S.A)Visiting Clinician、都立広尾病院、東邦大学大橋病院麻酔科、木原病院、テーオーシービル診療所などを経て、2005年ひめのともみクリニック開設、2006年日本薬科大学漢方薬学科教授就任。「女の取扱説明書」(SBクリエイティブ)、「心療内科に行く前に食事を変えなさい」(青春出版社)、「心療内科医が教える 疲れとストレスからの回復ごはん」(大和書房)など著書多数。近著に「認知症になりたくなければラーメンをやめなさい」(講談社)。

※この記事は姫野友美医師の見解に基づいて作成したものです。
※「主治医が見つかる診療所」より

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顔面神経麻痺、大腸がん、胃がん、目の異常…不調の要因は夫へのストレス

時間に追われる毎日を送っていたあの頃。無理することが当たり前という生活に、気がつけば体が悲鳴を上げて──(「読者体験手記」より)

◆あてがない以上、自分で稼がなくては

ああ、よく働いた。時々思い出しては自分をほめたり後悔したり。70歳になり、来し方を振り返ると、いつも誰かのために働いてばかりだった。それが知らず知らずストレスと病のもとをためていたのかもしれない。

25歳で結婚し、子どもを3人産み家事育児に専念した20代。夫は薄給の上、夫の親はすでに亡く、私の親も事情があり一切頼ることはできなかった。末っ子の次女が幼稚園に入るのを機に内職を始めた。少しでもスキマ時間を利用してお金を稼ぎたかったのだ。1万円足らずのために納期に間に合わせようと徹夜もした。

その後、子どもの成長に合わせ、配達などの仕事も始めダブルワークに。子らは3人とも別々のスポーツに夢中になり、なにかと物入りで、週末は試合の世話に駆け回る。睡眠時間も短く、いつもコマネズミのように動いていたと思う。

5人きょうだいで唯一の男である夫は、田舎の冠婚葬祭の費用を一手に担っている。嫁の私は顔も知らない親戚の台所の手伝いに駆り出された。体力も気も使い、帰宅しても疲れ果てて寝つけず、睡眠導入剤を飲んだことも。

やり切れぬ思いをぶつける場もなくストレスは蓄積される。だが、無理をすることに体も少しずつ慣れていったのだろう。

◆極度のストレスから顔面神経麻痺に

口下手な夫は、不満があると突然、家具に当たり散らした。原因がわからず家族はおびえ、私は40歳を過ぎた頃、極度のストレスによる自律神経の乱れから顔面神経麻痺になった。

顔半分の麻痺は表情を奪い、日常の家事はできたが食事はこぼし、歯磨きも会話も不自由で情けなかった。仕事も断念するしかなかったが、しかしこんな形で神様が休みをくれたと開き直るのも、我ながら早かった。

一度、子どもの進学で費用がかさむことを夫に相談したら、私の親に借りればと一言。期待はしていなかったが愕然とし、この時、心の中で夫を見限った。もう、自分が何とかするしかない。

顔面神経麻痺は1年かけて快復、その後私は、働き方改革を実行することに。ダブルワークをやめ、それまでの収入より少しでもプラスになる営業職へと転職した。

新しい営業の仕事はやりがいがあり、時間もある程度は融通がきく。自宅に立ち寄り夕食を作れた日は、残業もできた。自分のペースでこなし、何より結果を出せば収入に跳ね返ってくる達成感があった。

やがて子どもたちも進学し、気持ちに余裕ができた。恋の予感にドキドキしたのもこの頃である。しかし悲しいかな、稼がねばの思いは脳に強くインプットされていて、仕事優先の日々は変えられない。貧乏性になっていたのだ。

◆「病気知らずの元気な母さん」のはずが

60代半ばのことだった。健康診断で初期の大腸がんが見つかる。青天の霹靂だった。さいわい内視鏡手術で入院もしないで済み、転移もなかったので家族には告げなかった。

そして2年後、健康診断を担当したかかりつけ医からすぐ来るようにとの連絡が入る。胃の内視鏡の結果が悪かったにちがいない。案の定、ポリープを調べたらがん細胞が見つかり、ただちに大学病院へ行くようにとのことだった。

1ヵ月後に入院・手術となった。内視鏡で大丈夫といわれたが、術後の検査でリンパへの転移が懸念され、退院2週間後に再入院し、開腹手術を受けた。この2度の入院手術は心身へのダメージが強く、手術後も痛みや不具合があり、管につながれたベッドの上で落ち込んだ。

胃の術後ゆえ食事制限もあり、痩せ気味の私の体重はさらに激減し、あっという間に体力はなくなった。酒も飲まず偏食もせず、運動もして健康的な生活をしていたつもりの自分が、ステージIIの胃がんとは。いつ日常を取り戻せるのか、不安で不眠に悩まされた。

成長し、家を出た子どもたちが遠方から駆けつけ、付き添ってくれたのは心強かった。これまで病気知らずの「元気な母さん」だったので、子どもたちもショックを受けたようだ。

発熱や痛みでしばらく体調が悪く、体にメスを入れるしんどさは、これほどつらいものかと思った。克服したというにはほど遠く、定期的に検査を受け、結果を聞きに行くたびにドキドキである。少しの体の不調にも再発の2文字が浮かんでしまう。

◆またもや試練が訪れる

やっと日常を取り戻した1年後、またもや試練が訪れた。今度は眼科。定期検診で眼球の異常を告げられたのである。硝子体(しょうしたい)に穴が開き手術が必要とのこと。コロナでピリピリしている猛暑のなかでの入院だった。

部分麻酔での手術は怖く、術後は10日間の安静。痛みこそないが、うつぶせ寝の闇の中で過ごすのは不安だった。さらに視力が完全に回復するまでひと月近くかかったのである。

大腸がんから5年経過して安心したのもつかの間、2度の胃がん手術、そして1年後の目の手術と、病気のオンパレードのこの数年。病は音もたてず静かに忍び寄ってくることを実感した。

人生100年とは言うが、70歳まで生きて、この先は誰かの世話になる日もくるのだろうか。人に迷惑をかけずにこの世を去りたいが、寿命ばかりは決められない。何かと生きにくいこの頃だが、命あることに感謝して、ただ日常を生きていくしかないのである。

※婦人公論では「読者体験手記」を随時募集しています。

知ってるだけでストレスゼロ! 仕事が10倍楽になる スプレッドシートの 必殺ショートカットキー「H」の秘技

コロナ感染者が増える中、リモートワークの長期化は避けられない情勢だ。ビジネスパーソンも「リモート強者」と「リモート弱者」に二極化しつつある今、あなたは「リモート強者」か? それとも「リモート弱者」か?

そんな時、心強い味方が現れた。
ITビギナーから絶大な信頼を得ている平塚知真子氏だ。

平塚氏は、Googleが授与する資格(Google認定トレーナー/Google Cloud Partner Specialization Education)を2つ保有する国内唯一の女性トレーナー経営者。初の単著『Google式10Xリモート仕事術──あなたはまだホントのGoogleを知らない』が発売たちまち3刷が決定。日経新聞にも掲載された。

「10%改善するより10倍にするほうがカンタン」というGoogle急成長の秘密「10X(テンエックス)」で成果を10倍にする「10X(テンエックス)・10(テン)アプリ」をフルカラーで初公開。

“日本一のマーケッター”の神田昌典氏(マーケティングの世界的権威ECHO賞・国際審査員)が「全部無料! こんな使い方、あったのか」と大絶賛。曽山哲人氏(サイバーエージェント常務執行役員CHO)が「想像以上に知らない機能があった」、三浦崇典氏(天狼院書店店主)が「Google全70アプリのうち10アプリを使いこなして仕事を劇的に変える解説書。

リアルよりも成果を上げる術を伝える“リモート強者”への指南書」というノウハウとはどんなものか。では、“リモート弱者”が“リモート強者”になる、誰も教えてくれなかった方法を紹介しよう(6回限定公開「リモート効率劇的UP! Google式10X仕事術」動画はこちら)。

★質問
 もしかして、すべてのシートをまとめて検索って、できませんか?

 顧客管理に表計算アプリ「Google スプレッドシート」を使い始めました。

 電話での問合せの際、できるだけスピーディに当該案件を見つけたいのですが、シートが複数あって時間がかかっています。もっといい方法はないでしょうか?

 表の中から目的の文字列や数値を一瞬で発見するにはどのようにすればいいでしょうか?

☆回答
「スプレッドシート」ならショートカットキー[Ctrl]+[H]で横断検索が可能

 たくさんあるシートをそれぞれ確認していくなんて、電話しながらでは緊張してしまいそうですね。

 実は、一瞬にしてスプレッドシート 全体からキーワードで検索できる技があります。

 しかも面倒な操作を一瞬で片付けられる「ショートカットキー」を使ってみましょう。

 まさにリモート強者の必殺技、あなたにもすぐ、Google スプレッドシート でできます!

 [Ctrl]+[H]キーを押す(Windows OS/Chrome OSの場合)
 [command]+[H]キーを押す(Mac OSの場合)

 発見の「H」と覚えましょう。

 すべてのシートを横断的に検索できます。

 また、チェックを入れるとなんと「数式内」の数字も文字列も検索できます。

 使っているけど案外知らない Google アプリの活用テクニック。

「知っていれば得」ではなく、もはや「知らないと大損」です!

 Google ツール で10Xする方法に興味があれば、ぜひ拙著『Google式10Xリモート仕事術』で、そのヒントを見つけてみませんか? よろしければぜひご活用ください(セミナー案内はこちら)。

「老ける」ストレスと「若返る」ストレスの差とは

心身を若く健康に保つには、運動などで適度な「負荷」をかけることが有効ですが、メンタルにもある種の「ストレス」を与えることも有効だといいます。サイエンスライター・鈴木祐氏に、最新のデータをもとにした「老けるストレス」と「若返るストレス」の違い、体を若返らせる「快いストレス」の与え方などを解説してもらいました。

※本稿は『不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる』(かんき出版)より一部抜粋・編集したものです。

■ストレスはないに越したことはない?

健康と若返りには、「苦痛」と「回復」のサイクルが必須です。

自分の心と体へ意図的にダメージを与え、心身が受けたダメージを徹底的に癒やす。この2つのフェーズを繰り返すことによって、生まれながらに持つ心身の若返りシステムが働き出すことがわかっています。

例えば、体に負荷をかける「運動」や、野菜に含まれるポリフェノールなどの「毒物」が健康に作用するのも同じ原理です。

このように、苦痛と回復を与えることで効果を得られるのは肉体だけではありません。メンタルにストレスを与えることも有効です。

が、そう言われて、抵抗感を抱いた方もいらっしゃるかもしれません。

「ストレス社会」と呼ばれる現代において、いま以上の負荷をメンタルにかけたくないと感じるのは自然な話。仕事で疲れ切ったあとは、ただただ心身を休めたいと思う人が大半でしょう。

医師が警告「自粛生活のストレスで体のニオイがきつくなる」

「洗濯する衣類からまるでぞうきんのようなイヤなニオイが漂ってきたので、夫のシャツのせいかと思ってつまんだら、原因は自分のシャツだった……」 ショックを受けたという都内在住の主婦Aさん(50)のように、最近読者世代を中心に“汗のニオイ”で悩む人が増えている。

「本来、汗はサラッとしたものでニオイはあまり気にならないのですが、運動不足やエアコンの効いた室内で過ごして汗をかく機会が少ないと、ベタついた濃い汗をかくようになります。湿気が多い梅雨から夏にかけては汗が蒸発しにくく、細菌が増殖しやすくなります。皮膚の表面でベタついて、“ぞうきん”や“ドブ川”のようなきついニオイを発散させるのです」

臭う汗の原因をそう解説するのは、内科医でイシハラクリニック副院長の石原新菜先生だ。特にこの夏は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う自粛生活によるストレスが汗を臭くしているという。

「本来、汗には体温を一定に保つ役目があって、体温が1度高くなると、私たちの体は汗をかくことで体を冷やそうとします。汗が蒸発するときに、気化熱で体温を奪って蒸発していくのです。サラサラしたいい汗は汗腺のうち『エクリン腺』から出るものですが、『アクポリン腺』から出るベタついた濃い汗が、きついニオイの正体です。血液内に余分な栄養分があるとアクポリン腺から汗が出て、拭いてもニオイが取れにくくなります。これに疲労や加齢、ストレスなどが重なるとニオイはさらにきつくなります」(石原先生・以下同)

コロナ禍による疲労・ストレスによってきつくなる汗のニオイ。まず自分の汗の状態をチェックしてみよう。次のチェックリストで3つ以上あてはまると「いい汗」をかけていない可能性が高い。

【「疲労臭」を招く習慣チェックリスト】

□ まわりの人と比べてあまり水分を取らない
□ 夏場でも冷えをよく感じる
□ あまり汗をかかないほうだ
□ 汗をかくと肌がベタつく
□ 肉や脂っこい料理が好き
□ 日々ストレスを感じている
□ 夜、眠れないことがよくある
□ 春、秋もエアコンを使っている
□ ほとんど運動をしていない
□ 入浴はシャワーで済ませる

最近はマスクをする機会が増えて嗅覚が鈍くなっていることから、ニオイに気がつきにくいこともある。夏真っ盛りの時期だからこそ、「いい汗」をかいておく必要があるという。

「女性は更年期をむかえるころになると、生理がないことで体内の老廃物が増える傾向があります。そこに便秘、過食、脂分の取りすぎなどが加わると血液中に余分な栄養素が残り、汗として出やすくなってしまうのです。ベタついた汗を出さないためにも、まず食生活の改善が大切です。肉や脂っこい食事が多い人は、野菜をたっぷり食べるように切り替えましょう」

ストレスからくる肌荒れについて、君島十和子さんに予防法と解決策を伺いました

美と健康のお悩み相談室
美容&健康のコラム連載。今知りたい気になる話題から、すぐに試せるテクニックなど、美容と健康のプロが皆さんのお悩みに答えます。

【お悩み】緊張やイライラが続くと肌が荒れてしまいます
仕事や人間関係のストレスで肌荒れが起きます。いい対処法はありますか。

【回答】気持ちを上げる術を持ち、自律神経と腸内環境を整えて
美容家として注目を集め、常に美しくあることを求められる君島十和子さん。ストレスからくる肌荒れについて、ご自身の予防法と解決策を伺いました。

自己肯定感で好循環サイクルをつくり出す
「心のモヤモヤやストレスは細胞の老化、劣化を早めるだけですので、まずはその元凶を分析します。それが自分ではどうしようもない物事の場合は1秒でも早く忘れるようにしています。

解決できる問題なら、なるべく早く解決策を見つけます。周りの人に相談しながら、自分にできることに集中します。一歩一歩前進し、解決に近づいていくステップで自己肯定感が高まると、いいホルモンが分泌されるように。肌トラブルの防止につながると思います」

好きなものを身の回りに
「お気に入りの服を着たり、好きな香りをかいだり、音楽を聴いたり。好きなクッションをぎゅっと抱きしめるのでもいい。気持ちがふわっと軽くなることをして、自分で自分の機嫌をとります」

ストレスに強い腸内環境に整える
「ストレスと腸内環境と肌がリンクしているのはよく知られていること。ストレスと無縁ではいられないので、普段から腸内環境を整えて、ストレスが肌に影響するのを防いでいます。腸内善玉菌を増やすヨーグルトや、善玉菌のエサになる食物繊維とオリゴ糖を含む食品を食べます。あとは水分をたくさんとりね」

副交感神経を優位にする心がけを
「自律神経のバランスが整うと、腸の働きが良くなります。意識的に複式呼吸をしたり、ゆったり過ごす時間をもつことで心と体をリラックスさせ、副交感神経を働かせます。生活のリズムを整えることも意識しています。朝起きてすぐ、ほんの一瞬でも太陽の光を浴びると体内時計がリセットされて、一日のリズムが整います」

肌荒れが悪化する前に皮膚科に相談を
「いつものスキンケアで手に負えないような肌トラブルが発生したときは、跡にならないよう、早い段階で皮膚科で診てもらいます。飲み薬や塗り薬、状態によっては注射や点滴などで回復を促します」

君島十和子/Towako Kimijima
1966年生まれ。モデルとして活躍した後に女優に転身。結婚を機に芸能界を引退。現在は化粧品ブランド「FTC」のクリエイティブディレクターを務める。ブランドの顔であるとともに、数々の化粧品をプロデュース。年齢を感じさせない美しさと、他の追随を許さない美へのこだわりをもち、多くの女性の注目を集めている。

生きづらさ解消のヒント!? 「繊細な人」に見られる4つの特性「DOES」を解説|医師監修

人の目や周囲の評価を過剰に気にしてしまい、そんな自分に生きづらさを感じている方もいることでしょう。実はそうした生きづらさの根っこにあるのは、ある4つの特性だと言われています。繊細な人が持ち合わせているというこの4つの特性は、複雑に絡み合うことで悩みの種を生み出します。 しかし、それらの特性をきちんと理解することで生きづらさの改善につながることをご存じでしょうか。自分をきちんと見つめることが、生きづらさ解消のヒントになるかもしれません。

4つの特性「DOES」は「繊細な人」の悩みの根幹になっている

繊細な人が必ず持っている4つの特性「DOES」は、すべての繊細さの源。 悩みも生み出しますが、使い方次第で長所にもなり得ます。

「DOES」とはこんな特性

基本的に、4つの特性は連動して働きますが、どれか一つの特性が突出して色濃く出る場合もあります。 <Depth of processing>

●考え方が複雑で、深く考えてから行動する 繊細ではない人と同じものを見ても、より多くのことを感じ、深く徹底的に情報として処理します。物事の本質を見抜く半面、考えすぎて仕事が遅い原因にもなります。 <Overstimulation>

●刺激に敏感で疲れやすい 刺激を過剰に受けやすいため、多くの刺激によって神経が高ぶります。騒々しい場所や、人混み、パーティなど、刺激と情報にあふれた場所にいると心身ともに疲れます。 <Empathy and emotional responsiveness>

●人の気持ちに振り回されやすく、共感しやすい 他者に起きたことを自分に起きたことのように感じる神経「ミラーニューロン」の働きが活発で、他者の感情の浮き沈みに敏感。いち早く周りの人が抱えている感情に気づきます。 <Sensitivity to subtleties>

●あらゆる感覚が鋭い 五感が敏感に働くため、ちょっとした物音やきつすぎる香水のにおいなどが気になります。第六感も鋭く、直感力も高いので、物事の些細(ささい)な変化も見逃しません。

「DOES」はうまく生かせばほかの人よりも秀でた才能になる

HSPの名づけ親であるアーロン博士によると、先述のとおり、繊細な人には「DOES」と名づけた4つの特性があるといいます。これは、英語で表した4つの特性の頭文字を取ったもので、「ダズ」と読みます。 「DOES」は連動し合って、HSPの繊細さのもとになっています。いわば、悩みの根源であるといってもいいでしょう。一方で「DOES」は欠点にもなりますが、うまく生かすことができれば、ほかの人よりも秀でた才能になるといえます。5人に1人の特殊な能力を持っているとわかれば、それをプラスに生かさない手はありません。


人によっては、「DOES」から生まれる悩みに対して自分なりに工夫して上手に折り合いをつけていたり、試行錯誤(しこうさくご)を重ねながら「DOES」を自分の才能としてポジティブに活用したりしています。 彼らは、自分自身の特性である「DOES」を理解したからこそ、折り合いをつけたり、強みに変えることに成功しました。 このことからも、繊細な人の悩みの克服には、「DOES」を深く理解していくことが第一歩といえます。

4つの特性の強弱には個人差がある

アーロン博士は、「DOES」のうち、「1つでも当てはまらないものがあればHSPではない」と定義しています。 たとえば、4つのうち3つが当てはまっていたとしても、1つは当てはまらないと感じるなら、HSPではないということになります。 HSPは良くも悪くも環境に影響を受けやすいため、その人が置かれた環境によって、4つの特性の強弱には個人差があり、悩みの重症度も人それぞれです。巻頭のチェックテストでHSPにあてはまらないと判定を受けたとしても、環境などによって繊細な特性が薄まった可能性もあるため一概にHSPではないと否定はできません。 ただ、そこまで深く悩んでいないのであれば、自分にHSPのレッテルを貼ったり、繊細さを意識しすぎないということも大切です。

教えてくれたのは……

新宿ストレスクリニック 名古屋院院長 本 将昂(もと・まさたか)先生 【Profile】 精神保健指定医。日本精神神経学会認定精神科専門医。 2011年、京都大学医学部卒業。京都大学医学部附属病院精神神経科、大阪赤十字病院精神神経科、関西青少年サナトリューム、新宿ストレスクリニック 梅田院勤務を経て、2018年8月より新宿ストレスクリニック 名古屋院院長に就任。患者一人一人の悩みと向き合うていねいなカウンセリングと診療に定評がある。 新宿ストレスクリニック(https://www.shinjuku-stress.com/) 新宿ストレスクリニック 名古屋院(https://www.shinjuku-stress.com/clinic/nagoya/)

(抜粋) TJ MOOK『「繊細な人」の心がすーっと楽になるヒント』 監修:本 将昂 構成・文 大橋美貴子 イラスト モリナオミ 編集 入江弘子 ※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

イライラ、気が散る、例えようのない焦燥感が続くとき

キレやすい人にもいろいろなタイプがあります。元々キレやすい傾向がある人もいれば、最近それが出てきてしまっている人もいるでしょう。いずれにせよキレてしまえば、その間本来の自分を見失ってしまいます。場合によっては何らかのトラブルの原因になってしまうかも知れません。

 実際、多くの方が「キレたらいけない。なるべくその場は我慢して無用の波風を立てないようにしよう」といった事が念頭にあると思います。でも、このご時世ですからストレスのレベルは、かなりのものではないでしょうか?

誰しもそれがあるレベルを超えれば、普段とは違う自分になる可能性があるでしょう。

 そこで最近キレやすい傾向がある人に向けて、日常生活上、深刻な問題が生じないように精神医学的なアドバイスを詳しく述べたいと思います。

■最近、声を荒げてしまった事はないですか?

 いつも平常心でいる事ができれば、それはまさに理想の姿ですが、達成するのは時になかなか難しいものです。もし以下のような事に心当たりがあれば、普段の自分を失いやすい状態にさらされているかもしれません。

□イライラが強い、あるいは気が散りやすく、やるべき事に充分集中できない
□他人の言動に敏感に反応しやすくなっている
□何かネガティブな事が起こると、それに気がとらわれやすく、なかなか気持ちの切り替えができない
□予期せぬ事が起こるたびに普段ならしない失敗をしてしまいがち
□あせりや焦燥感が強くなっている

 こうした折、例えば、誰かに何かの拍子で足を踏まれてしまったとしましょう。たとえ相手がワザとではないと分かっていても、場合によっては、つい怒りの声をあげてしまうかもしれません。

とりあえずその場はトラブルなしで済んでも、皆口には出さないだけで、周りの目はなかなか厳しいものです。

 本人は、自分のイライラが周りにネガティブな印象を与えた事に意外と気付いていません。しかしその場で生じた問題を拡大させないためにも、自身の衝動をしっかり認識する必要があります。

もしこうした事に心当たりがあれば、今の自分に危機感を持つきっかけにしていきましょう。

■イライラし過ぎる場合、負のスパイラルには要注意!

 ご自分がイライラしやすくなっている事にもし気付いたら、まずその現状をはっきり把握しておきましょう。

具体的にはそれはいつ頃から始まったのか? どんな状況でイライラが強まるのか? そして、そのことが原因で日常生活に何か問題が起きていないか、しっかり見分けたいものです。

仕事や勉学の能率はそれまで通りで、対人関係においても特に問題が生じていない場合は、イライラ気味になっていたとしても日常生活の範囲内でしょう。

しかし、ちょっとした事で声を荒げてしまうようになっていたら、イライラのレベルはかなり深刻です。何らかの対処をすぐ考えたいところです。

イライラがこのように深刻化する原因としては、まずストレスが考えられます。例えば仕事の量が多すぎる、あるいは仕事のプレッシャーが強すぎる、休養が充分取れていない、あるいはプライベートで辛い事があった、そして場合によっては体調がすぐれない事もイライラしやすい原因になっているでしょう。

 こうした事は1つひとつがかなりのストレスになり得るもので、複合化すれば大変なレベルになってしまいます。イライラしやすい人はそれが負のスパイラルを生み出す可能性があるのです。

 例えば上記のように人前で声を荒げてしまえば、その場の人間関係はギスギスしてくるでしょう。それ自体も、大きなストレスになる可能性があります。

そして冴えない気持ちを晴らす手段として、ギャンブルなどが普段以上にやりたくなってしまうかもしれません。

こうした事は自分が抱えている問題を解決しませんし、依存症につながるリスクもあります。負のスパイラルを生み出しやすい……といった事には充分注意が必要です。

■事態を認識したら危機感を持つ事、それが最重要です!

 イライラしやすい、あるいはキレやすい傾向は人のパーソナリティの一面でもあります。他人の目からは問題がある事が一目瞭然でも、自分ではなかなかそれを認識しにくい場合もあるでしょう。

そして場合によっては、キレる事自体がその人のストレス解消の手段になっていることもありますし、簡単に変わることはできないかもしれません。しかし、対処の第一歩はそれをしっかり認識することです。

 また、ご自分の周りには、平常心を維持する事に優れている方がきっといらっしゃるのではないでしょうか? そうした方をお手本にするのもいいと思います。

 最後に、最近普段の自分ではないようにイライラしてしまう……といった場合は、うつ病など心の病気の可能性にも注意したいところです。

イライラしやすい、キレやすいといった事もそうですが、一般に何らかの精神症状が一週間以上持続していて、なおかつ、こうした症状が原因で日常生活に深刻な悪影響が現われている場合、心の病気の可能性も考えられるという事は皆さま、どうか頭に置いておいてください。

ストレスで下痢に…予防に白菜が○でキムチが×の理由とは

通勤中のサラリーマンが脂汗を流して、漏れるかも……。下痢止めのテレビCMで描かれたような経験は、誰しもあるはず。下痢と便秘は、相反する症状ながら、どちらも腸の動きとストレスが影響していて、過敏性腸症候群(IBS)という病名でくくられる。人事異動などでストレスが増すこの時期は、特に悪化しやすい。

「腸内細菌には、善玉菌と悪玉菌がいます。下痢も便秘も、悪玉菌が優位で、善玉菌を増やすことは効果的です。ところが、その善玉菌も過剰に増えると、やっぱりよくない。発酵食品のヨーグルトや納豆、キムチなどはIBSの改善を期待して積極的に摂取する人がいますが、その過剰摂取で下痢になることが少なくありません」

 こう言うのは、腸内細菌に詳しい東京医科歯科大名誉教授の藤田紘一郎氏だ。

 ヨーグルトでおなじみの乳酸菌やビフィズス菌が善玉菌で、健康なら全体の20%。大腸菌やウェルシュ菌などが悪玉菌で、大体10%。残りの70%は日和見菌で、善玉にも悪玉にもなる。  IBSの患者数は1200万人と推計され、男性に多い下痢型が29%、女性に多い便秘型が24%で、残りは混合型。これらの人は日和見菌を含めて悪玉菌が優位になっているという。崩れたバランスを改善する食品としてFODMAP食が注目されている。

 厄介な下痢を食事で改善するにはどうするか。藤田氏に聞いた。

「FODMAP食は、発酵性の糖質のことです。『O』はオリゴ糖、『D』は二糖類、『M』は単糖類、『P』はポリオール。オリゴ糖は豆類や小麦、玉ネギ、二糖類は牛乳やヨーグルト、単糖類は蜂蜜や果物、ポリオールは人工甘味料に含まれます。下痢の人がこれらを取り過ぎると、過剰な善玉菌が小腸から大腸に移行し、大腸が刺激されて下痢になったり、お腹がゴロゴロしたりするのです」

 ちなみに「F」は発酵性を意味する英語の頭文字で、「A」は「and」だ。2014年に提唱されたFODMAP食は世界中に広まり、藤田氏も専門家として実験したという。

「私も昨年の秋、朝晩にヨーグルトを取って下痢に悩まされました。実はFODMAP食には、高FODMAP食と低FODMAP食があります。米国の研究で、高FODMAP食を取り過ぎると、善玉菌の過剰で下痢が悪化することが分かったのです。善玉菌といえども取り過ぎは禁物。低FODMAP食に変更すれば、1~2カ月ほどで症状は改善します。私も1カ月半ほどでよくなりました」

 高FODMAP食と低FODMAP食のうち、主な食品は〈別欄〉の通り。こうしてみると、「善玉菌を増やすためのヨーグルト」「朝ご飯はキムチか納豆」といった“健康常識”が間違いだったように思える。 「間違いではありませんよ。悪玉菌が多い人が、その改善に摂取するのはいい。しかし、過剰摂取で善玉菌が増え過ぎるのは問題です。たとえば、白菜は善玉菌のエサとなる食物繊維が豊富。それが原材料のキムチは、発酵によって善玉菌活性がさらに増し、過剰な力が悪さをする恐れがあるということ。私も今は納豆もヨーグルトも取っていますから」

 気になる人は、低FODMAP食を試してみるといい。

◇高FODMAP食
 牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム、プロセスチーズ、カッテージチーズ、クリームチーズなど。
 納豆、豆類、玉ネギ、ネギ、ニラ、ニンニク、ゴボウ、キムチ、サツマイモ、マッシュルーム、カリフラワーなど。
 ラーメン、パスタ、うどん、そば、ピザ、お好み焼き、大麦、小麦、パン、小麦粉など。

◇低FODMAP食
バター、ラクトフリー製品、カマンベールチーズ、モッツァレラチーズ、パルメザンチーズなど。
ナス、トマト、ニンジン、ピーマン、ホウレンソウ、カボチャ、ジャガイモ、レタス、タケノコ、白菜、キャベツなど。 
米、シリアル、ビーフン、グルテンフリー食品、米粉など。

大人も危険 スマホでのストレス解消が引き起こす目の病気

子供を外で遊ばせたいが、今年の夏はとくに暑く、熱中症が心配だ。ついつい子供が室内でスマホのゲームに熱中しているのを認めている。そんな大人も多いのではないか。しかし、子供が近距離で液晶画面に集中し続けるのは危険だ。近視だけでなく外斜視を発症する可能性がある。

 モノを見たときに両目が同じ方向を向いていない状態を斜視という。片方は正面を向いているが、もう一方は意識しないと別の方向に向いてしまう。

「あいつどこ見ているんだ」

 幸子さん(仮名、42歳)は夫から指摘され、11歳になる息子の目の異変を確信した。うすうす気になっていたが、片方の黒目が外側を向いていた。息子を近所の眼科に連れて行ったところ「間欠性外斜視」と診断された。普段、両目の向きは正常だが、時折、右の目が外側にずれるという。医師から「生まれつき外斜視の傾向があった人の中には目が疲れると外斜視になる人がいます。息子さんはスマホや携帯用機器でゲームを長時間やっていませんか?」と尋ねられた。

「確かに、息子はテレビゲームが大好き。中学受験のため塾通いを始め、そのタイミングで連絡がつきやすいようにスマホを買いました。それで拍車がかかったようです。毎日、数時間スマホゲームでストレス解消していました」(幸子さん)

 小さい液晶画面を長時間見続けるのが良くないと言われた幸子さんは、スマホの代わりにタブレットを購入。ゲームも連続30分以内に決め、努めて遠くを見るよう息子と約束した。その後、子供が外斜視になることはなく、イライラした様子も見られなくなった。

■視力低下が進んで失明する危険も

 斜視は日本人の2~3%に見られ、時々、外斜視状態になる「間欠性外斜視」と常に外斜視状態の「恒常性外斜視」の2通りある。「日本神経眼科学会」理事で「清澤眼科医院」(東京・江東区)の清澤源弘院長が言う。

「眼球は『外直筋』など6本の筋肉で支えることで眼球を自由に動かせるのです。斜視でなければ両目の方向はほぼ同じですが、筋肉や神経、視力の異常などによって片方の眼球だけが別の方向を向くことがあるのです」

斜視の中には「隠れ斜視」と呼ばれる「斜位」もある。斜位は普段、両眼視はできているものの、片目を覆い隠してもう片方の目に合わせる手がかりを奪うと、目の位置が上下左右にずれてしまう状態を言う。

「外斜視や外斜位の人は、両目を内側に寄せて見ることが苦手です。スマホを見る人の多くは20センチ以内に近づけて画面を見ます。それだけ強烈に目を内側に寄せるのですが、やがて片方の目が内側に目を寄せることに耐えられなくなる。視線が外側に遊んでしまうのです」(清澤院長)

 結果的に、片方の目だけで画面を追うことになり、眼精疲労の症状が表れる。不自然な姿勢を続けることによるストレスが重なりイライラしてくるという。

「人は左右の目で見ることで遠近感や立体感を感じている。斜視を放っておくと、両眼視が難しくなって遠近感が得られなくなる。そればかりか、片方の目ばかり使うため、使われない方の目の視力が衰えてきて、弱視になり視力が低下、失明することもあります」(清澤院長)

■大人でも発症する

 問題はこうしたスマホ斜視のリスクは、子供に限らず大人にもあることだ。

「斜視は目を動かす筋肉や神経が未発達な子供に多いのですが、大人も発症することがあります。斜位の人は意識すれば両目でモノを見ることができます。そのため、筋力が強いうちは問題が表れなくても、加齢で筋力が弱まると目の疲労がたまりやすくなり、筋力の弱い方の目が外側にずれてしまうのです」(清澤院長)

 中には単に目が外側にずれるだけでなく、モノが二重に見えると訴えることがあるという。

「麻痺性斜視と呼ばれるものです。目の動きに関係する動眼神経、外転神経、滑車神経のいずれかが麻痺を起こし、関連する筋肉の働きが妨げられると起こります。糖尿病などの生活習慣病が引き金となり発症する場合もあります。ただ、モノが二重に見える場合は、脳内の血管が詰まって眼球運動に関係する神経の麻痺を発症していることもあるので、早めに受診することが重要です」(清澤院長)

斜視と判断されると、子供の場合は矯正用のプリズム眼鏡などを使用する。レンズにプリズムを組み込むことで目が外側に向いて見える見え方を変える特殊な眼鏡だ。それでも矯正が難しい場合は眼球を動かす筋肉を短くしたり、位置を変えたりする手術も検討される。

 斜視は子供の場合はいじめにもつながり、大人でも余計なハンディと感じることもある。早めに専門家に相談した方がいい。

6割が仕事ストレス…セルフケアのコツは「N・H・K」!

◆6割の人が仕事に関する強いストレスを感じている

職場で働くみなさん、最近ストレスを感じていますか? 厚生労働省が5年に1度行う『労働者健康状況調査』によると、「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスがある」という労働者は近年、約6割で推移しています。

ストレスを抱えながら労働を続けていると、心の負担が増え続け、うつ病などの心の病のリスクも高まってしまいます。心の病になると、継続的な治療や休職療養などが必要になる場合もあります。この状態を予防するためにも、自分の健康を自分で守る――つまり心の「セルフケア」を常に意識する必要があるのです。
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◆心のセルフケアのポイントは「ストレスへの気づきと対処」

厚生労働省では平成12年に「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」を策定し、(1)セルフケア、(2)ラインによるケア、(3)事業場内産業保健スタッフ等によるケア、(4)事業場外資源によるケアという職場における4つのメンタルヘルスケアの推進の重要性を発表しました。

なかでも、労働者自身が実行する「セルフケア」については、自分のストレス状態に気づき、ストレス対処への知識を持ち、実施することが必要であるとされています。

このセルフケアの有効な手段の一つに、「ストレスチェック」の利用があります。ストレスチェックとは、労働安全衛生法により従業員50人以上の事業場に年に1回以上義務化されている制度(平成27年12月施行)です。このチェック結果から自分自身のメンタルヘルスの状態を知り、状態によっては産業医との面談を行うことが望ましいとされています。.

◆自覚しにくいストレスはストレスチェックで!

セルフケアの実行にあたりストレスチェックの利用が勧められているのは、ストレス状態は自覚しにくいことと関係しています。自分では「まだ大丈夫」と思っていても、長時間残業や過剰なストレス下で働いていると心身の健康は既に限界を超え、うつ病などの心の病に罹患している可能性もあるのです。

過労状態が続いていくと心身が過剰なストレスに適応し、無理が効いてしまう時期があります。これを「抵抗期」と呼びます。抵抗期には心身が過剰に興奮しているため、睡眠時間を削っても無理が効いて頑張れてしまうのです。

しかし、その後急速に抵抗力が低下し、うつ病などの心の病が発症することも少なくはありません。したがって、ストレスチェックなどを利用して定期的に自分の心の状態を把握する習慣は、大切なことなのです。

◆眠る・話す・気分転換…「N・H・K」を意識してストレスをセルフケア!

セルフケアには、ストレスチェックなどで自分のストレス状態に気づくとともに、ストレスへの対処を積極的に行っていくことも重要です。ストレスケアにはたくさんの方法がありますが、メンタルヘルス不調に陥らないためにお勧めしたいのが、「N・H・K」の実践です。各ポイントについて解説しましょう。

■N…「眠る」
1日に6時間以上はぐっすり眠ることを心がけましょう。ちなみに、1日8時間労働の人が1日4時間を超える残業を続ける月が続くと、月の時間外労働時間が80時間を超える月が増えます。

複数月にわたって時間外労働時間80時間が続くことを「過労死ライン」と呼びますが、このラインを超えると、1日6時間の睡眠時間を切る可能性が高くなり、脳血管疾患や心疾患の発症リスクが高くなるとされています。

残業が多い方は、睡眠時間が6時間以上とれているかどうか、よく振り返ってみましょう。

■H…「話す」
少しでも「いつもと違う感じ」を自覚したときには、仕事に関わるキーパーソン(上司など)に相談したり、周囲の人やストレスの専門家(産業医、カウンセラー等)と話すようにしましょう。

上司や周囲の人と話すことによって、その人のストレスサインに気づいてもらうことができ、メンタル不調の早期発見につながりやすくなります。また、専門家と話すことで、心の病の可能性をアセスメントしてもらうこともできます。さらに、話をする行為そのものが、ストレス解消になります。

■K:「気分転換をする」
気晴らしや趣味など、何らかの楽しみの対象を持つことです。特に、時間に追われている人やワーキングマザーなどは、気分転換の手段を見失っていることが少なくありませんか? 週に1回程度の短時間でもよいので、自分を癒し、イキイキさせる時間を作ってみましょう。 散歩、おいしいものを食べる、ストレッチをする、手芸などの手ごろなものでよいのです。自分なりの楽しみを見つけてみましょう。

以上のようなN・H・Kのバランスを心がけていくと、心が疲弊しにくく、メンタルヘルス不調に陥りにくくなります。ぜひ日頃のストレスケアにこの3つのポイントがバランスよく導入されているかどうか、振り返ってみてください。
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大美賀 直子(精神保健福祉士・産業カウンセラー)

働き過ぎで潰れないために。体や心が発する5つの警告サイン

ストレスというのは徐々に人間を蝕んでいくものです。自分の体や心が発する警告のサインを見逃さないように、常日頃から気をつけなければなりません。

働き過ぎの兆候なんて、自分でも簡単に気付くと思っているかもしれません。長時間労働、朝起きるのが辛い、疲れやダルさが取れないなどは、間違いなく働き過ぎのサインです。しかし、そのような状況に身を置くと、人間の体も心も、おかしなことに少なくともしばらくは適応しようとするものなのです。

労働時間が少しずつ長くなり、プレッシャーが徐々に増大していくと、ある日突然どこかに行ってしまいたくなる(もしくは消えてしまいたくなる)気持ちになるかもしれません。燃え尽きてしまうと、誰かや何かを恨むようになったり、体や心の健康が損なわれてしまいます。

スケジュールやストレスレベルが異常になり始めた時の、警告サインに早めの気付くことができれば、そんな状態に陥らないようにすることもできます。自分が壊れてしまう前に何とか軌道修正をしましょう。

ジェットブルー航空の会長兼、スタンフォード大学ビジネススクールで長年教授として教えるJoel Petersonさんは、肩書だけでも忙しそうな人を見分けられると言います。そ

んなPetersonさんは、最近LinkedInのコラムで「働き過ぎの兆候」をリスト化して公表しました。その中からいくつかをご紹介しましょう。

1. 人に対する態度が悪くなってきた

エネルギーレベルが急速に落ちたり、頭や心が崩壊する前であれば、他人に愛想良くすることができなくなっていることに気付くかもしれません。Petersonさんのアドバイスは「ウエイターやキャビンアテンダント、予約デスクの人などを叱りつけているのに気付いたら要注意です。そのような時は、できるだけお礼を言うようにした方がいいです。大変な仕事をしている人を励ますように心がければ、自分も元気になっていきます」

2. いつも気が焦っている

頭の中にアイデアが溢れているのは素晴らしいことですが、頭の中で四六時中ハムスターが回し車を回っているような状態になっていませんか? 

ただ、意外にも、ストレスの原因は気を張っている状態で長時間過ごすことが原因ではありません。実際には、ほとんどの人は、同じことを何度も何度も繰り返すことでストレスを感じます。「できるだけ気を張らないようにと思っているかもしれませんが、本当はその反対です」とPetersonさんは警告しています。

気が焦ってグルグルと同じことを考えていることがあるかもしれません。そんな時は、気持ちをリセットする時間を取り、優先順位をきちんと考え、頭がリフレッシュした状態で問題に取り組むことができるようにしましょう。

3. 自分が可哀想だと感じる

正直に答えてください。あなたが先進国で働いているなら大きなストレスを抱えているでしょうが、地球上の最悪の状況からは遠く遠く離れているはずです。働き過ぎている時は、自分が恵まれていることを忘れてしまいがちです。このような視点や感覚を忘れないようにしましょう。

Petersonさんは次のようにコメントしています。「大事にされていないと感じるのであれば、環境を変えましょう。もしくは、最低でも自分の態度を変えましょう。可哀想にと自分を憐れむのではなく、いっそのこと、自分よりも大変そうな人に何か施す方法を見つけてみましょう。その過程で、自分はなんて恵まれているんだと感謝の気持ちが湧いてくるはずです」

4. 今を生きていない

この逆であれば、どこかで聞いたことある映画のタイトルみたいです。「過去の栄光を思い出している。もしくは、目標が達成できるまで本当の人生を歩くことはできないと思っている。どちらも、今を生きていないことを表しています。このような習慣がさらにストレスにつながります。今を生き、会話や会議や人間や挑戦など、ストレスとなりそうなものを楽しみましょう。そうすればストレスは減ります」

5. 何かと遅れ気味

どんなにストレスが無くても(もしくはあっても)、時間にルーズな人というのはいますが、普段の自分以上に遅れることが増えてきたら、それはおそらく働き過ぎの警告サインです。「会議やイベントには5分前に着くと心に決めましょう。それから、遅刻しないようにするために、5分前に着くと周りの人に宣言します」

不安、イライラ…「イヤな感情」ってなくせるの?

◆毎日が「イヤな感情」に包まれていませんか?

人間、生きていれば不安がいっぱい!「この仕事、私にできるかな?」「試験に落ちたらどうしよう……」「私の老後、大丈夫かしら?」。こうした身近な不安だけでなく、日本経済や天変地異などの大きな不安まで、私たちは不安にまみれて生活しているものです。

また、生きていればイライラもいっぱい! 今朝の夫の言葉にイラッ。子どもがしでかした粗相にイラッ。満員電車にイラッ。道でぶつかった人にイラッ……。イライラの要因をいちいち書き出していたら、ノートはいっぱいに埋め尽くされてしまいます。

こうした不安やイライラなどの「イヤな感情」がなければ、どんなに楽になるだろうと思いますが、そもそも感情をなくすことはできるのでしょうか?

日本の伝統的な精神療法の一つに、「森田療法」があります。これは、20世紀初頭に森田正馬という精神科医によって考案された療法で、神経症の治療に定評があります。この森田療法で感情との付き合い方について、考えてみましょう。
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◆感情は「自然現象」――だからなくせない!?

西洋医学では、症状は主に「治すもの」「コントロールするもの」と考えられてきました。したがって「不安で仕方がない」「イライラして落ち着かない」といった精神症状も、薬によって気持ちを鎮め、マイナスに捉えがちな認知を修正するという「コントロールするための治療」が行われます。

しかし、東洋医学の森田療法では、症状は自然に湧き起こるものであり、なくすことはできないと考えます。つまり、精神症状につながるような不快な感情も自然の現象として起こっているため、そのまま体験すればいいという考え方です。

実際、不安を感じたときに「気を強く持たねば」と言い聞かせたり、イライラしているときに「もっと落ち着いて」と言われたりすると、ますますその感情が気になって、不安やイライラが強くなってしまう――そう感じる人は、少なくないと思います。

一方、感情は変えられないのだから、そのままにしておけばいい――こう考えるとどうでしょう? 肩の力がす~っと抜けていくように感じられませんか? これが森田療法の考え方なのです。

◆感情には5つの「法則」がある!

また、森田療法の概念のひとつに、5つの「感情の法則」があります。感情との付き合い方の参考になるので紹介しましょう。

1. 感情はそのままに放任し、またはその自然発動のままに従えば、その経過は山形の曲線をなし、ひと昇りひと降りして、ついには消失するものである
(感情は山形を描くようにいっとき湧き上がるが、いずれは下がってなくなっていくものだ、ということ)

2. 感情はその衝動を満足すれば、急に静まり、消失するものである
(感情が湧いたときの衝動を満たせば、ストンとその感情が静まり、なくなっていく、ということ。とはいえ、いっときの衝動で行動を起こすと、後悔や自己嫌悪が生まれてしまうもの)

3. 感情は同一の感覚に慣れるに従って鈍くなり、不感となるものである
(その感情に慣れてしまうと、鈍くなって何も感じなくなる、ということ)

4. 感情はその刺激が継続して起こるときと、注意をこれに集中するときに、ますます強くなるものである
(その感情を刺激し続けたり、その感情を気にしたりしていると、ますます強く感じられる、ということ)

5. 感情は新しい経験によってこれを体得し、その反復によってますます養成されるものである
(感情は新しい経験にともなって起こり、それが繰り返されればますます強くなる、ということ。新しいことをやっていくうちに、新鮮な感情が育まれるもの)

このように「感情の法則」では、感情は自然に湧きあがり、意志の力ではどうにもできない。とはいっても自然に消えていくのだから、イヤな感情は刺激せず、そのままにしておきましょうと伝えています。
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◆「気分本位」ではなく「目的本位」の行動を

また森田療法では、そのときどきの感情に振り回され、気分によって物事を決めたり、選択するなど「気分本位」の行動をとるのではなく、何をしたいのか、何をやるべきかに基づく「目的本位」の行動をとることを勧めています。

たとえば、「あの人が苦手だから、この学校に入りたいけどやめておこう」は気分本位の選択ですが、「この学校でこれを習いたいから、参加しよう」は目的本位の選択です。「あがってしまうから、結婚式のスピーチを断ろう」は気分本位の決断ですが、「お祝いの言葉を伝えたいから、スピーチを引き受けよう」は目的本位の決断です。

このように、自然論に基づきながらも合理的な考え方をとるところが、森田療法がビジネスや教育を始め、医療を超えたさまざまな分野で取り入れられている所以だと思います。イヤな感情にとらわれやすい人は、ぜひ森田療法を学び、生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?
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大美賀 直子(精神保健福祉士・産業カウンセラー)

眠れない、食べられない…不安が強すぎるときの対処法

◆ニュースを見ただけで不安……強い不安症状にどう対処する?

私たちの日常に、不安は付き物かもしれません。職場や家庭、自分自身の健康など身の回りのことはもちろん、テレビや新聞の報道やインターネットなどでの話題がきっかけで、不安感に囚われてしまうこともあるかもしれません。

大きな災害や事故の報道を見れば、自分の身にそうしたことが起こったらどうしようと不安になる方もいるでしょう。国内の事件・事故だけでなく、ミサイル、テロ、紛争などの国際情勢を伝えるニュースから、将来のことを考えると不安で眠れない、食欲がわかない、といった強い不安に陥ってしまう方もいらっしゃるようです。

不安は私たちの日常生活の行動に様々な、時にかなりネガティブな影響を与えます。ここでは精神医学的な面から、自分一人では予防・対策がしきれないような出来事に対する「不安」に対し、どのように向き合い対処すべきかについて、詳しく解説してみたいと思います。.

◆健康や命を守るためにも必要な「不安」という感情

私たちは「不安」という感情から、行動を変えることが多くあります。「こっちの路地は何だか暗くて不安だから、大通りを迂回して帰ろう」「病気にならないか不安だから、健康に気を使おう」など、日常的な小さなことでも、私たちが日常をより安全に無事に生きていく上でも、不安は必要な感情です。

また、人は時に理由もなく、漠然とした不安を感じて行動を変えたりすることもあります。「第六感」などと呼ばれることもありますが、「何となく嫌な予感がして」「虫の知らせか気持ちがざわついて」といった理由のわからない不安感から行動し、結果的に助かった……というような逸話は、科学的な証明は難しいものの実際にあるようです。

このように小さな不安感から行動したり、理由のない漠然とした不安感から行動を変えたりすることがあるほどですから、実際にこの世界で誰かの身に起きた災難などを具体的に見聞きすれば、他人事とは思えず、もし自分の身に起こったら……と強い不安を感じてしまうことがあることも、無理のないことかもしれません。

いずれにしても、私たちが不安を覚えるのは、多くの場合、自分の身に何らかの「危険」が降りかかる可能性を感じたときです。実際に、何らかの危険が迫っていて、何かしらの行動を取ることで不安が解消でき、結果的に危険を回避することができるのであれば、それがベストでしょう。

しかし、中にはどう考えても100%の解決策がない、いつ来るかわからない地震などの自然災害や、個人の努力や備えだけでは不可抗力な事件・事故もあるものです。可能性としては低くても、それらに巻き込まれる可能性に過剰に不安を感じすぎて、日々続く人生の基本である日常生活がままならなくならないようにしたいものです。

◆日常生活に支障が出る不安症状とは

一般的に、不安感が高まってくると、不安に対する心身の反応として、以下のような不安症状が現われやすくなります。

・頭痛がする
・呼吸が速く、浅くなる
・緊張感が強まる
・脈拍が速くなる
・心が落ち着かない

これらの自律神経系の症状が出現するときは、アドレナリン、ノルアドレナリンなどの、いわゆる「ストレスホルモン」も関わっていることが多いです。これらの反応自体は特別なものではなく、問題視する必要のない生理的な反応ですが、場合によってはこれらが深刻化してしまうこともあります。

もし何かしらの不安に囚われ、発作的に強い不安症状が起きる「パニック発作」が現われているような場合、すぐに精神科的な治療を開始することが望ましいです。しかし、パニック発作は実は当人にとっては、あたかも心臓発作が起きたかのような体験として感じられます。

原因が心臓などの器質的なものではなく、脳の神経生理学的な機能によるものだとは、なかなか気付きにくい面があります。 まずは、精神的なパニック発作というものがあること、そして自分自身はもちろん、周りにそういった症状の方がいた場合、精神的なものである可能性もあることは、ぜひ知っておいていただきたいと思います。
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◆不安が強すぎる場合、まずは日常的なストレスの原因を考える

自分でも不安が強いと感じる場合、まずはその原因となりやすい、日常のストレスに注意すべきでしょう。 毎日、多くの方が何かしらのストレスを感じることがあると思いますが、もし気分が常に晴れず、重苦しい気持ちが日々続くようになっていれば、心身に何らかの問題が現われている可能性もあります。「不安が強まる」という自覚症状はその一つです。強いストレスは精神的な不調だけでなく、身体面にも、おなかの調子の悪さや頭痛などを引き起こすことがあります。

これらのストレス症状と不安症状には重なり合う部分があります。もし不安だけでなくストレスが強いならば、何がその要因になっているかをはっきりさせ、解決の糸口を探りたいものです。また、その際、同じ要因でもそれが生み出すストレスのレベルにはかなりの個人差があることにも注意していただきたいです。

◆不安の原因が「不合理な思考」にあることも……

不安が強くなり過ぎる場合、その原因がストレス以外のこともあります。何らかの精神症状が関わっている可能性です。たとえば、頭のうちで膨らむ不安の内容が現実にそぐわない、何か不合理な内容になっている場合です。たとえば、通り魔事件のニュースを見た後で外に出ると、同じような危険人物がすぐ近くにもいるような気がして不安でたまらなくなり、外出もままならなくなるような場合です。

可能性はゼロではないものの、現実的に考えれば可能性としては高くない、現実にそぐわない被害的な思考に偏ってしまっている可能性もあります。もし自分に何か危害を加えようとしている人物がいるという観念が強まれば、不安感はさらに強まっていくかもしれません。こうした問題が生じる場合、精神疾患の可能性の他にも、脳内に何らかの器質的な変化が生じている可能性もあります。

また強い不安には、飲酒時のアルコール、喫煙時のニコチンなど、脳内に作用する物質が関わっていることもあります。不安が強い状況に対しては、適切に対処する必要があります。漠然とした不安感を落ち着かせようと、アルコールの量が増えたり、タバコの本数が増えたりしている場合には、特に注意が必要です。

これらの脳内に作用する物質は、依存症の原因物質になりやすいです。依存症の原因物質は、一般にその効果は一時的です。そして、アルコール、ニコチンなどその多くは不安症状を引き起こす原因になる可能性もあります。不安な気持ちを軽くしようと、飲酒・喫煙の頻度や量が増していけば、かえって不安症状が強まりやすいこともぜひ知っておくべきことでしょう。

以上、ここでは日常の不安に関して、精神科的な対処が望ましい場合を中心に詳しく解説しました。ポイントは日常生活に影響がどの程度現われているかがです。たとえば、「海外の大地震のニュースを見て、ネットでも関連情報ばかりを検索してしまい、不安になりすぎて、食事が喉を通らない……」といった場合、「その原因となる報道から少し離れて冷静になるよう意識する」「防災グッズの備蓄など、できる範囲の対策をして、毎日の暮らしを大切にする」など、現実的にできることをしながら、健康的な日常生活を保つことは大切です。

もしこうしたときの対応や不安感の強さについて、誰かから指摘されるようなことがあれば、ゆっくりそれを考えてみることも必要かもしれません。
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中嶋 泰憲(医師)

職場で強いストレスを感じるときの対処法

一億総活躍が唱えられる昨今、対処すべきストレスとして真っ先に挙げられるのは職場ストレスかもしれません。特に、他の人は平気そうなのに、自分だけつらい…と感じる場合、ストレスへの対策法を一度見直してみた

うつ病を引き起こすこともある職場ストレス
働く人の多くが感じている職場ストレス。日々、複数の案件を処理し、時に発生するトラブルに対処するだけでも大変なものですが、これに職場の人間関係などで問題があるとまた深刻さが増してしまいます。

もちろんストレスが全くない仕事というものはほぼないでしょうから、同僚や家族に愚痴をこぼしたり、ちょっとしたリフレッシュをしたりすることで気分転換ができるストレスであれば、気にしすぎることはありません。しかし、体に吹き付ける冬の北風のような手強いストレスは無視してはいけません。場合によっては、心の風邪とも呼ばれる「うつ病」の発症につながる可能性もあります。過度のストレスは、普通の精神状態の自分なら絶対にしないような問題行動を起こす原因になってしまうこともあるのです。

今回は職場のストレスを深刻に悪化させないためにも知っておきたい、精神医学的な基礎知識を解説します。

職場で「自分だけ余裕がない」と感じるときはどうすべき?
最初にお伝えしたいのですが、ストレスに対する抵抗力にはかなり個人差があります。こう書いてしまうと、うつ傾向が出始めている方や責任感の強い方は、「耐えられない自分が悪い」「自分のストレス耐性が低いのが悪いんだ」と自責の念につなげてしまいがちですが、そうではありません。逆に辛そうな人に「他のみんなが大丈夫だから、お前も頑張るべきだ」と無理強いしてはいけないのです。あくまでも個々人で違って、全員に同じストレス耐性を強いるべきではないことを頭に入れておかなくてはなりません。

もし、「何で自分だけこんなにつらいんだろう…」と思ってしまう場合、まずは周りを落ち着いて見てみることをオススメします。自分がつらくて仕方がないのに、同じ職場で同じくらいの業務量を抱えている人が平気そうに見えるときは、自分とその人との違いを少しひいたところから見てみましょう。

個々人のストレス耐性に違いがあることは先述の通りですが、ひょっとしたら、その方は何かしらのストレス対策がうまく機能しているのかもしれません。例えば、食事の量や栄養バランスにしっかり気を配っていたり、睡眠時間だけは十分確保できていたり、あるいは定期的にある程度の運動習慣があってリフレッシュの術をもっていたり……。

その方が独身の場合、稼いだお金を使う目的として何かしら没頭している趣味があるのかもしれませんし、週末は友人同士で集まってストレスを効果的に発散させているかもしれません。既婚であれば、家に帰れば家族でくつろげる時間があるのかもしれませんし、子供の成長など、つらい仕事を頑張る上での励みになっていることがあるのかもしれません。また、人によっては、特にそういった趣味や家庭などの拠り所がなくても、「とにかく頑張り続けて、周りから仕事で認められたい!」といった強い目標があって仕事のモチベーションになっていることもあります。

いずれの場合も何かしらの要素があることで、同じようなストレスを受けていても、精神的な疲弊が少なく済んでいる可能性があります。それにひょっとしたら、あなたから見れば平気そうに見えている職場の方も、実際の心の内では、同じレベルのつらさを抱えていることもあるものです。

もし同じ職場の多くの人が心身に不調を現すような状況になっていれば、そのストレスの根本的な原因をいかに削減し、解決していくかが第一です。個々人が精神論で耐えるにはあまりに厳しい状況でしょうから、その職場が全体的な改善をしていくべきでしょう。しかし、やはり周りはどう考えても辛くなさそうなのに、自分だけが高いストレスを溜めているようだ…という場合、その要因を考えてみることも有効です。

考えるべきは「自分にとって適切なストレス対処」ができているか
ストレスやその解消法に対する考え方は人それぞれ。かなり違いがあるものです。仕事への不満やつらさを相談しても、「○○なら文句など言わず、黙って我慢しろ」という考え方の人もいれば、「そんな職場はさっさとやめて、自分に合ったところを見つけるべきだ」というアドバイスをする人もいるでしょう。「うちに帰って一杯やれば、そんなことどうでもよくなるよ」という意見もあるかもしれません。

これらが適切な対処になるか否かは、本当にケースバイケースです。同じ対処でも、ある状況ではそれが正しくても、ある状況では非常に間違った対処になる可能性もあります。休日の過ごし方がみんな違うように、適切なリフレッシュの仕方、ストレス解消法は人によって違います。みんなで集まってワイワイと騒ぐことがストレス解消になる人もいれば、そういった集まりに強いストレスを感じる人もいるのです。まずは、自分が本当にリラックスできる適切なストレス解消法は何なのかを考えて、ストレスが溜まってきてつらいと感じたときに、多少無理をしてでもそのリフレッシュ法を意識的に実行していくことが大切です。

危険な誤ったストレス対処法は避けること
ストレス対処法は人それぞれ、と書きましたが、一つだけ注意すべき点があります。それは、「精神医学的に、はっきり誤った対処法」は避けるべきだということです。なぜなら一時的に気が紛れても、事態が悪い方向に向かう「依存症」に移行してしまう可能性が高いためです。

例えば、上記で紹介した「うちに帰って一杯やれば、そんなことはどうでもよくなるよ」というアドバイス。人によっては少し粋な印象を受けるかもしれませんが、精神医学的には絶対に避けるべき対処法の1つです。重苦しい気持ちを軽くしたり、嫌な事を忘れて眠るために飲酒に頼る習慣がついてしまうと、結果的にアルコール依存症のリスクが高くなってしまいます。

アルコールが体に入ったあと、私たちが感じる効果は基本的にはアルコールの中枢神経系への抑制効果です。アルコールの効果で脳内の緊張が取れれば、確かに気持ちが楽になるかもしれませんが、その効果は一時的なものです。ストレスを生み出す問題自体が何も解決できていなければ、すぐに気持ちは元に戻り、アルコールを求める気持ちが再び強まってくる可能性があります。また、アルコールの長期過剰摂取の弊害として、日常、抑うつ感やイライラ感が強まりやすいことも挙げられます。睡眠に関しても睡眠構造を悪い方向に変化させやすく、睡眠障害の原因にもなりやすいのです。このように問題が増えてしまうことで、アルコールを求める気持ちはさらに強まりやすく、悪循環に陥るケースは少なくないものです。

もちろん依存症のリスクがあるものはアルコールだけではありません。買い物や薬物、セックス依存症など、依存にはさまざまな形があります。依存症についてもっと詳しく知りたい方は、「依存症に関する記事一覧」もあわせてご覧ください。これらのリスクを避けることも頭におきつつ、ぜひ自分に適したストレス解消法を見つけていってください。

ストレスと向き合うべき?目を背けるべき?

◆ストレスをもたらす問題と向き合うことで「ラクになれるか否か」が判断基準

ストレスマネジメントというと、「ストレスをもたらす問題をどう解決したらいいか」対策を練る等、積極的に関わるイメージがありますが、実は、問題から目を背け、遠ざかってしまったほうがいい時もあります。その見極め方をお伝えします。

「成長を感じたり、ワクワクしたりしながら、自分にしかできない意味ある仕事をしたい」と思っているのに、現状は、変化のない平凡な日々を送り、「このまま年だけとっていくのか」と虚しさを覚えている、とします。

こうした場合には、「希望と現状とにギャップがあるのが問題だ」ということに気づき、「では、どうすればギャップを縮めることができるだろう?」と建設的に考え、実際に行動に移すことで、理想に近づくことができます。

もし問題解決に向けての行動をとることが難しくても、

●「私は自分の能力がもっと活かせるポジションで働きたい」と友人に心の奥に溜まっているモヤモヤする気持ちを話す
●「平凡な日々って、別の見方をすると、安定しているとも言える。そう考えると、今の状態は悲劇のない、幸せな状態と言えるのかもしれない」と捉え方を変え、今ある幸せに気づく

といった方法もあります。

このように、自分の認知(物ごとの捉え方)や行動を変えることで「ラクになれること」「自分である程度、コントロールできること」は、向き合ったほうがよい問題です。
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◆捉え方を変えても行動してもラクになれない時は……?

しかし、生きていれば、自分ではどうしようもないことも起こります。

たとえば、災害で、愛する息子を失った場合。

「どうして息子が死ななければならなかったのか?」「なぜ自分ではなく息子だったのか?」といった想いが湧いても、その問いに対する答えはどれだけ建設的に、楽観的に考えようとしてもわからないし、そのことを考えれば考えるほど、苦しくなる。問いかければ問いかけるほど、虚しさが増す……。

そうした「答えのない」「問題が大きすぎてどれだけ考えてもわからない」「ラクになれない」問題に対しては、あえて一旦、問題から目を背けることが、重要です。

「今、ここ」に意識を向けるために呼吸瞑想をしたり、残された家族との時間を大切にしたりして、自分を苦しくさせる「なぜ」の質問についてはできるだけ考えないようにすることも、ストレスマネジメントなのです。

そして、時が経つのを待つ。

人によっては、「息子のいない生活」という状況を生きるなかで感じ方が変わり、現実と向き合い、少しずつ受け入れられるようになることもあります。また「何のために、自分は生き残ったんだろう」という意味を考えることで、単に生き残ったことに焦点を当てていた状態から、「息子の死を無駄にしないために防災活動に取り組もう」と前に進む人もいます。

◆仕事でも「逃げたほうがよい」場面がある

災害のような非日常の悲劇でなくとも、仕事の場でも、同様です。

たとえば、ハラスメントやそれに近い継続的な嫌がらせ行為。相手への接し方を工夫しても改善されず、職場のハラスメント対策も機能せずに相談場所もなく、弁護士に連絡する気力も湧かない(あるいは、連絡しても状況が改善しなかった)といった、「もうどうしようもない」と感じる場合。

そうした時は、「ストレス要因となる攻撃的な人からは距離を置く」、場合によっては、「自分を守るために休職・退職する選択も必要となる」ことを覚えておいてください。「心のセルフケア」の選択肢を多く持ち、時と場合によって使い分けることができると、ストレスとうまくつきあえるようになります。
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蝦名 玲子(保健学博

職場で強いストレスを感じるときの対処法

◆うつ病を引き起こすこともある職場ストレス

働く人の多くが感じている職場ストレス。日々、複数の案件を処理し、時に発生するトラブルに対処するだけでも大変なものですが、これに職場の人間関係などで問題があるとまた深刻さが増してしまいます。

もちろんストレスが全くない仕事というものはほぼないでしょうから、同僚や家族に愚痴をこぼしたり、ちょっとしたリフレッシュをしたりすることで気分転換ができるストレスであれば、気にしすぎることはありません。しかし、体に吹き付ける冬の北風のような手強いストレスは無視してはいけません。場合によっては、心の風邪とも呼ばれる「うつ病」の発症につながる可能性もあります。過度のストレスは、普通の精神状態の自分なら絶対にしないような問題行動を起こす原因になってしまうこともあるのです。

ここでは職場のストレスを深刻に悪化させないためにも知っておきたい、精神医学的な基礎知識を解説します。

◆職場で「自分だけ余裕がない」と感じるときはどうすべき?

最初にお伝えしたいのですが、ストレスに対する抵抗力にはかなり個人差があります。こう書いてしまうと、うつ傾向が出始めている方や責任感の強い方は、「耐えられない自分が悪い」「自分のストレス耐性が低いのが悪いんだ」と自責の念につなげてしまいがちですが、そうではありません。逆に辛そうな人に「他のみんなが大丈夫だから、お前も頑張るべきだ」と無理強いしてはいけないのです。あくまでも個々人で違って、全員に同じストレス耐性を強いるべきではないことを頭に入れておかなくてはなりません。

もし、「何で自分だけこんなにつらいんだろう……」と思ってしまう場合、まずは周りを落ち着いて見てみることをオススメします。自分がつらくて仕方がないのに、同じ職場で同じくらいの業務量を抱えている人が平気そうに見えるときは、自分とその人との違いを少しひいたところから見てみましょう。

個々人のストレス耐性に違いがあることは先述の通りですが、ひょっとしたら、その方は何かしらのストレス対策がうまく機能しているのかもしれません。例えば、食事の量や栄養バランスにしっかり気を配っていたり、睡眠時間だけは十分確保できていたり、あるいは定期的にある程度の運動習慣があってリフレッシュの術をもっていたり……。

その方が独身の場合、稼いだお金を使う目的として何かしら没頭している趣味があるのかもしれませんし、週末は友人同士で集まってストレスを効果的に発散させているかもしれません。既婚であれば、家に帰れば家族でくつろげる時間があるのかもしれませんし、子供の成長など、つらい仕事を頑張る上での励みになっていることがあるのかもしれません。

また、人によっては、特にそういった趣味や家庭などの拠り所がなくても、「とにかく頑張り続けて、まわりから仕事で認められたい!」といった強い目標があって仕事のモチベーションになっていることもあります。

いずれの場合も何かしらの要素があることで、同じようなストレスを受けていても、精神的な疲弊が少なく済んでいる可能性があります。それにひょっとしたら、あなたから見れば平気そうに見えている職場の方も、実際の心の内では、同じレベルのつらさを抱えていることもあるものです。

もし同じ職場の多くの人が心身に不調を現わすような状況になっていれば、そのストレスの根本的な原因をいかに削減し、解決していくかが第一です。個々人が精神論で耐えるにはあまりに厳しい状況でしょうから、その職場が全体的な改善をしていくべきでしょう。

しかし、やはり周りはどう考えても辛くなさそうなのに、自分だけが高いストレスを溜めているようだ……という場合、その要因を考えてみることも有効です。

◆考えるべきは「自分にとって適切なストレス対処」ができているか

ストレスやその解消法に対する考え方は人それぞれ。かなり違いがあるものです。仕事への不満やつらさを相談しても、「○○なら文句など言わず、黙って我慢しろ」という考え方の人もいれば、「そんな職場はさっさとやめて、自分に合ったところを見つけるべきだ」というアドバイスをする人もいるでしょう。「うちに帰って一杯やれば、そんなことどうでもよくなるよ」という意見もあるかもしれません。

これらが適切な対処になるか否かは、本当にケースバイケースです。同じ対処でも、ある状況ではそれが正しくても、ある状況では非常に間違った対処になる可能性もあります。休日の過ごし方がみんな違うように、適切なリフレッシュの仕方、ストレス解消法は人によって違います。みんなで集まってワイワイと騒ぐことがストレス解消になる人もいれば、そういった集まりに強いストレスを感じる人もいるのです。

まずは、自分が本当にリラックスできる適切なストレス解消法は何なのかを考えて、ストレスが溜まってきてつらいと感じたときに、多少無理をしてでもそのリフレッシュ法を意識的に実行していくことが大切です。

◆危険な誤ったストレス対処法は避けること

ストレス対処法は人それぞれ、と書きましたが、一つだけ注意すべき点があります。それは、「精神医学的に、はっきり誤った対処法」は避けるべきだということです。なぜなら一時的に気が紛れても、事態が悪い方向に向かう「依存症」に移行してしまう可能性が高いためです。

例えば、上記で紹介した「うちに帰って一杯やれば、そんなことはどうでもよくなるよ」というアドバイス。人によっては少し粋な印象を受けるかもしれませんが、精神医学的には絶対に避けるべき対処法の1つです。重苦しい気持ちを軽くしたり、嫌なことを忘れて眠るために飲酒に頼る習慣がついてしまうと、結果的にアルコール依存症のリスクが高くなってしまいます。

アルコールが体に入ったあと、私たちが感じる効果は基本的にはアルコールの中枢神経系への抑制効果です。アルコールの効果で脳内の緊張が取れれば、確かに気持ちが楽になるかもしれませんが、その効果は一時的なものです。ストレスを生み出す問題自体が何も解決できていなければ、すぐに気持ちは元に戻り、アルコールを求める気持ちが再び強まってくる可能性があります。

また、アルコールの長期過剰摂取の弊害として、日常、抑うつ感やイライラ感が強まりやすいことも挙げられます。睡眠に関しても睡眠構造を悪い方向に変化させやすく、睡眠障害の原因にもなりやすいのです。このように問題が増えてしまうことで、アルコールを求める気持ちはさらに強まりやすく、悪循環に陥るケースは少なくないものです。

もちろん依存症のリスクがあるものはアルコールだけではありません。買い物や薬物、セックス依存症など、依存にはさまざまな形があります。これらのリスクを避けることも頭に置きつつ、ぜひ自分に適したストレス解消法を見つけていってください。
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中嶋 泰憲(精神科医)

不公平過ぎる!? 妻が溜めこむ家事ストレス

◆妻が溜めこむ家事ストレス……不満の原因は夫婦間の「不公平感」

夫婦の愛情と平和をかき乱す原因……その筆頭に挙げられるのが毎日の「家事」。例えば妻側に次のような不満があると、夫婦げんかの種が絶えなくなりがちです。

・「共働きなのに、なぜ私だけこんなに家事をやらないといけないの?」
・「どうして洋服をたたむのが雑なの? 掃除機のかけ方が雑なの?」
・「なぜごみを捨ててくれないの? 玄関掃除もしたことがないし……」
・「排水口もトイレも。汚いところの掃除は、私ばっかり!」
・「家事がこんなに溜まってるのに、自分だけのんびりして! どうして気づかないの?」

毎日の家事へのストレスが積み重なっていくと、新婚当初に盛り上がっていたパートナーへの愛情は急速に冷えていってしまうもの。なぜなら人間は、自分の“インプット(投入)とアウトカム(報酬)”が他者のそれと等しいかどうかを計算し、公平になるように行動する生き物だからです。これを心理学では「公平理論」と呼びますが、家事にまつわる夫婦間の不満もこの理論によって理解すると、分かりやすくなります。
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◆男女で家事への意識や感性、スキルに差がある原因は?

公平理論を説明する前に、「なぜ女性は男性より家事ストレスを溜めやすいのか」について少し考えてみましょう。個人差はありますが、一般的に女性は男性より「家事」への関心が高く、家庭内の細々としたことに気づきやすい特性があります。それには、個性や養育環境、文化が影響しています。

たとえば、女の子は幼い頃から「シルバニアファミリー」や「リカちゃんハウス」などの“おうち遊び”に親しみやすく、遊びを通じて家事のやり方や家庭の切り盛りへの関心を深めていくことが多い傾向があります。そして、母親も「女の子だからちゃんと家事ができるようにしてあげたい」という意識で、家事を教えていくことが多いようです。

これに対し、男の子はどうでしょうか? 男の子も幼児前期には女の子同様、“お母さん的なもの”への愛着が強いため、ままごとにも関心を持ちます。しかし、その関心は成長と共に薄れ、戦隊ものなどの戦いごっこやゲーム、虫や鉱物、鉄道、車など、家事・家庭とは少し違った遊びや物事に関心を向けていく傾向が多いものです。

そして親も息子のこうした個性を理解すると、無理に家事を教えようとは思わなくなり、家事の力を磨く機会は減っていきます。

繰り返しますが、もちろんいずれの場合でも個人差はあります。しかし大きな傾向として、このような背景があることは無視できないことでしょう。

◆妻側の「家事の不公平感」は無くせない? その理由とは

こうした異なる生育環境を持つ男女が恋をして結婚すると、その日から“家事”が始まります。終わりなく毎日繰り返される食事の支度、掃除、洗濯、2人分の買い物……さらに子どもが生まれると育児の負担も加わり、家族が増えるほど家事の負担も大きくなっていきます。

新婚当初は熱愛の効果で、「愛する人のために家事ができること」に喜びを感じるでしょう。その熱愛は残念ながら日を追うごとに冷めていくことが多いのですが、一方で家事は減ることはなく、果てしなく続いていきます。すると、家事への意識、感性、スキルがもともと高い方、つまり多くの場合は妻の方に「どうして私ばっかりやっているの?」という不公平感が生じます。

そして、この不公平感が解決できないと、やがては相手への「不信感」、さらには「憎しみ」へと発展してしまうことが少なくないのです。

公平理論で考えると、家事ストレスによる妻の不公平感を拭い去ることは、相当に難しいと言わざるを得ません。

かつての時代の妻は、「家事は大変だけど、夫も家族のために頑張って働いてくれるから、愚痴を言ったら罰が当たるわね」「女にはよい就職口が少ないから、夫に私の分も働いてもらわなくっちゃ。家では私が夫を支えて、これが女性の幸せね」といったように、妻側がほとんどの家事を負担していても、「夫婦はそれぞれの別のタスクを分担しているから公平だ」と考え、自分に言い聞かせることもできたかもしれません。

しかし、現代の妻は、こうした理屈づけによる公平感の埋め合わせをしにくい状況にあります。

なぜなら、現代では、女性と男性には平等な教育・雇用の機会が与えられており、男性と同様の知性、ビジネスの感性、スキルを女性側も身につけているからです。それだけではありません。2018年に成立した働き方改革法によって、女性がライフステージに合わせて柔軟に働き続ける制度、女性管理職の登用、同一労働同一賃金などの制度がスタートしました。

つまり、家庭の都合によって女性が諦めずに働ける制度が、これから飛躍的に充実していくのです。この背景には、そうしなければ、少子高齢社会が進展する日本を支えられないという事情もあります。

このように男女が共に働き、ワーク・ライフ・バランスを目指せる社会が現実になっているのに、一方が相変わらず家事への意識、感性、スキルが低いままでいたらどうなるでしょう? もう一方の不公平感が爆発して離婚がさらに増えるか、疲弊して燃え尽き症候群に陥る女性が増えてしまうかでしょう。


◆ワーク・ライフ・バランス実現には夫の「家事力」向上が不可欠

そうしたなか、働き方改革が追い風となり「生活できるだけの収入」を得られることへの自信を持つことによって、「家事をしない夫からの脱出」を本格的に目指す妻が増えても不思議ではありません。

男女共にワーク・ライフ・バランスを実現できる社会に変わる今、家事は「気づいた方がやればいい」「得意な方がやればいい」といった感覚では、家庭と仕事の両立は成り立ちません。家庭の切り盛りも職場のチームワークも、基本は同じです。

メンバーがお互いにコミットし、チームの中でできることを主体的に探す、予算内で生産性を高める方略をディスカッションしながら見つける。社会が変わる中、こうした意識が家庭人としても社会人としても必要です。

パートナーは人生の最後まで残るいちばん大切な人間関係。お互いに、縁あって一緒になった相棒を末永く大切に思いあえるようになるためにも、「家事」を通じてきずなと信頼を築ける関係を目指していきませんか?
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大美賀 直子(精神保健福祉士・産業カウンセラー)

イライラしたらこれ!気軽に摂れて「ストレスを解消する食べ物」9種

日々のストレス発散はどのように行っていますか? 買い物をする、カラオケに行く、お酒を飲む、など様々な発散方法があるでしょう。しかし意外に知られていないのが、食べ物でのストレス発散です。

そこで今回は、アメリカ女性のライフスタイルを紹介するサイト『AMERIKANKI』の記事を参考に、“ストレス発散できる食べ物9種”をご紹介します。

■1:玄米

玄米には体に必要なビタミンB群が豊富に含まれています。調理の仕方によっては、玄米でも美味しく食べることができるので、ストレスなどによる身体の不調を感じたら、積極的に摂るようにしてください。

■2:ほうれん草

ほうれん草には、ビタミンA、C、そしてB群、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが豊富に含まれていて、身体が感じるストレスを減らしてくれるといいます。

■3:サーモン

サーモンは、幸せを感じると分泌されると言われている、脳内化学物質“セロトニン”の分泌を促し、同時に、興奮した時に分泌される“アドレナリン”などの働きを正常化し、ストレスを軽減してくれるそうです。

■4:緑茶

緑茶には、ポリフェノール、カテキン、フラボノイドといった身体によいとされる成分が多く含まれており、心と身体をホッと落ち着かせてくれる効果があります。

■5:アボカド

アボカドには、タンパク質、ミネラル、ビタミンEやCが豊富に含まれており、身体が感じるストレスレベルを大幅に下げてくれるそうです。さらに、血中のコレステロールを下げてくれたり、心臓病のリスクを下げてくれたりするなどの働きもあります。

■6 : ブルーベリー

ブルーベリーには、ビタミンEとC、マグネシウムが豊富に含まれています。そして、不眠症やうつ病に効果があるといい、ストレスをやわらげる働きもあります。

■7 : オレンジ

オレンジには、ビタミンC、A、B群が豊富に含まれており、ストレス、心臓病予防に効果を発揮します。新鮮なオレンジジュースを毎日一杯飲むことをおすすめします。

■8 : ダークチョコレート

ダークチョコレートは、マグネシウムや、ストレスを軽減してくれるミネラルが豊富に含まれており、疲労感を軽減してくれたり、イライラを抑えてくれたりします。

■9 : アーモンド

アーモンドには、ビタミンEやB2、マグネシウムなどが含まれていますが、なんといっても食物繊維が豊富です。アーモンドはおやつなどに簡単に食べることができます。ストレス軽減のためにアーモンドを摂取することを、覚えておいて損はないでしょう。

以上、 “ストレスを発散できる食べ物9種”をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?

気軽に摂れるものが多く、何よりも“食べることでストレス発散”ができるなんて、嬉しいですよね。さっそく今日の食事やおやつに取り入れてみてください。

不安、イライラ…「イヤな感情」ってなくせるの?

生きていれば「イヤな感情」はつきもので、イヤな気持ちを消す技術を知りたい人も少なくないでしょう。でもそもそも、こうした負の感情をなくすことはできるのでしょうか? 森田療法をもとに、感情との上手な付き合い方を考えてみましょう。

毎日が「イヤな感情」に包まれていませんか?

人間、生きていれば不安がいっぱい! 「この仕事、私にできるかな?」「試験に落ちたらどうしよう……」「私の老後、大丈夫かしら?」。こうした身近な不安だけでなく、日本経済や天変地異などの大きな不安まで、私たちは不安にまみれて生活しているものです。

また、生きていればイライラもいっぱい! 今朝の夫の言葉にイラッ。子どもがしでかした粗相にイラッ。満員電車にイラッ。道でぶつかった人にイラッ……。イライラの要因をいちいち書き出していたら、ノートはいっぱいに埋め尽くされてしまいます。

こうした不安やイライラなどの「イヤな感情」がなければ、どんなに楽になるだろうと思いますが、そもそも感情をなくすことはできるのでしょうか?

日本の伝統的な精神療法の一つに、「森田療法」があります。これは、20世紀初頭に森田正馬という精神科医によって考案された療法で、神経症の治療に定評があります。この森田療法で感情との付き合い方について、考えてみましょう。

感情は「自然現象」――だからなくせない!?

西洋医学では、症状は主に「治すもの」「コントロールするもの」と考えられてきました。したがって「不安で仕方がない」「イライラして落ち着かない」といった精神症状も、薬によって気持ちを鎮め、マイナスに捉えがちな認知を修正するという「コントロールするための治療」が行われます。

しかし、東洋医学の森田療法では、症状は自然に湧き起こるものであり、なくすことはできないと考えます。つまり、精神症状につながるような不快な感情も自然の現象として起こっているため、そのまま体験すればいいという考え方です。

実際、不安を感じたときに「気を強く持たねば」と言い聞かせたり、イライラしているときに「もっと落ち着いて」と言われたりすると、ますますその感情が気になって、不安やイライラが強くなってしまう――そう感じる人は、少なくないと思います。

一方、感情は変えられないのだから、そのままにしておけばいい――こう考えるとどうでしょう? 肩の力がす~っと抜けていくように感じられませんか? これが森田療法の考え方なのです。

感情には5つの「法則」がある!

また、森田療法の概念の一つに、5つの「感情の法則」があります。感情との付き合い方の参考になるので紹介しましょう。

(1)感情はそのままに放任し、またはその自然発動のままに従えば、その経過は山形の曲線をなし、ひと昇りひと降りして、ついには消失するものである
(感情は山形を描くようにいっとき湧き上がるが、いずれは下がってなくなっていくものだ、ということ)

(2) 感情はその衝動を満足すれば、急に静まり、消失するものである
(感情が湧いたときの衝動を満たせば、ストンとその感情が静まり、なくなっていく、ということ。とはいえ、いっときの衝動で行動を起こすと、後悔や自己嫌悪が生まれてしまうもの)

(3) 感情は同一の感覚に慣れるに従って鈍くなり、不感となるものである
(その感情に慣れてしまうと、鈍くなって何も感じなくなる、ということ)

(4) 感情はその刺激が継続して起こるときと、注意をこれに集中するときに、ますます強くなるものである
(その感情を刺激し続けたり、その感情を気にしたりしていると、ますます強く感じられる、ということ)

(5) 感情は新しい経験によってこれを体得し、その反復によってますます養成されるものである
(感情は新しい経験にともなって起こり、それが繰り返されればますます強くなる、ということ。新しいことをやっていくうちに、新鮮な感情が育まれるもの)

このように「感情の法則」では、感情は自然に湧きあがり、意志の力ではどうにもできない。とはいっても自然に消えていくのだから、イヤな感情は刺激せず、そのままにしておきましょうと伝えています。

「気分本位」ではなく「目的本位」の行動を

また森田療法では、そのときどきの感情に振り回され、気分によって物事を決めたり、選択するなど「気分本位」の行動をとるのではなく、何をしたいのか、何をやるべきかに基づく「目的本位」の行動をとることを勧めています。

たとえば、「あの人が苦手だから、この学校に入りたいけどやめておこう」は気分本位の選択ですが、「この学校でこれを習いたいから、参加しよう」は目的本位の選択です。「あがってしまうから、結婚式のスピーチを断ろう」は気分本位の決断ですが、「お祝いの言葉を伝えたいから、スピーチを引き受けよう」は目的本位の決断です。

このように、自然論に基づきながらも合理的な考え方をとるところが、森田療法がビジネスや教育を始め、医療を超えたさまざまな分野で取り入れられている所以だと思います。イヤな感情にとらわれやすい人は、ぜひ森田療法を学び、生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?

アラフォー男子とアラサー女子に訪れるリセット衝動

男の40歳前後、女の30歳前後は仕事もプライベートも節目の時期。この不安定な時期には、思いがけない「リセット衝動」が現れることも。ゴーギャンと桐野夏生著作を例にとり、解説します。

43歳ゴーギャンはなぜ妻子を捨てて旅立ったのか?

19世紀フランス、ポスト印象派の巨匠ポール・ゴーギャンと言えば、「タヒチ」を舞台にした野性的な絵画で有名ですが、このゴーギャン、実は今で言う「ミドルエイジ・クライシス」(中年の危機)の象徴的存在だということをご存じでしょうか?

そもそも彼は画家になる前、現在で言う証券会社の社員として、何不自由ない生活を送っていました。家庭も順調で、奥さんと5人の子どもに囲まれた生活。絵画は趣味で描いているにすぎませんでした。しかし、19世紀後半、株式市場の暴落を経験して心境が一転、ゴーギャンは30代半ばでサラリーマンを辞めて画家となり、さらに妻子も捨てて43歳のときにタヒチへと渡ったのです。

このように、中年期になって急にすべてを捨て、自分の理想を果たしたいと葛藤する気持ちを「ゴーギャン・コンプレックス」と言います。

中年男子の心を揺るがす仕事と家庭の事情

中年期は精神的に成熟し、安定した年代だと考えられてきましたが、実は多くのプレッシャーや迷いに揺さぶられる時期なのです。公私ともに無我夢中で駆け抜けるのが20代、結婚して家庭を築き、職場でも第一線の仕事を任されるのが30代。ところが、40代では仕事も家庭も、状況がガラリと変わります。

まず、仕事では管理的、統率的な役割を期待されて責任が増えます。こうした業務に適合できない場合には無力感や挫折感を覚え、年齢的に求人の少ない状況では「ここでやるしかない」というプレッシャー、「できるだろうか」という不安、「こんな毎日で終わっていいのか」という迷いも渦巻きます。

また、家庭ではそろそろ子どもの手がかからなくなる頃。親のすねをかじりたがるのは金銭面くらいで、子どもは自立を目指して親から精神的に距離を置くようになります。夫婦関係も変わってきます。結婚当初はアツアツだった夫婦仲も40代にもなれば、空気のような存在になります。情熱やときめきとは、だいぶ離れた境地にいることにため息が深くなる頃です。

転機を迎えたとき、人は思いがけない夢を見る

こうした不安定な心情のなかにいると、ふっと極端な理想や夢の虜になるものです。思いもよらぬ異業種へ転身して夢だった店を開いたり、山奥で炭焼き職人になったり、陶芸家修行、アウトドアガイド、帰農というように自然に返る人もいます。ゴーギャンもまさに、同様の心情の中で理想を求めてタヒチへと旅立ったのでしょう。

ただし、築いてきた生活を捨てて理想へと旅立つ人の先には、順調な人生が待っているとはかぎりません。

ゴーギャンの絵画は存命中にはほとんど評価されず、タヒチでの孤独と貧困の生活の中、『われわれはどこから来たのか、われわれは何者か、われわれはどこに行くのか』という意味深な傑作を残して自殺を試み(未遂に終わる)、6年後に死去します。ミドルエイジ・クライシスを経て人生をリセットした人のうち、かなりの数の人が、ゴーギャンのように生活苦の末の孤独へと進んでいるのも、また現実でしょう。

『玉蘭』に見る「女子版ゴーギャン・コンプレックス」

ところで女性の場合、男性に比べれば中年期での急激な人生転換への衝動は、少ないのではないかと思います。結婚して家事と子育てに追われていると、「人生のやり直し」にまで気持ちを向かわせる余地はなく、生活を捨てる勇気も到底わかないのかもしれません。

しかし、結婚適齢期と呼ばれる30歳前後に突入した独身女性の場合、事情は異なります。結婚への選択を迫られるプレッシャーや仕事への挫折感、不安感、迷いの中から、理想へと駆り立てられる逃避行動が起こりやすくなるものです。

東京でのキャリア生活と恋愛に疲れた女性が突然会社を辞め、中国での留学生活の中で波乱の人生を経験する小説『玉蘭』(桐野夏生著、文春文庫)は、その象徴的な作品でもあります。ライフステージの変化期に突入した不安定な心情の中から、すべてをリセットして海外に逃避し、軌跡も前途も壊してしまいたくなる主人公有子の衝動的な行動には、多くの女性からの共感が集まりました。

タヒチへと旅立ったゴーギャンも、中国へと旅立った『玉蘭』の有子も、考える暇もなくがむしゃらに走ってきた人生がチェンジする端境期に、現実から遠い世界へと旅立つ欲求が生まれています。

結婚を考える時期、仕事での立場や役割が変わる時期、子育ての荷が降りる時期、そして、体力や性機能の衰えを感じる時期……たとえばこんな端境期には、男性の手にも女性の手にも、迷宮からの「招待状」が思いがけず届くのかもしれません。そのとき、あなたならどんな答えを出しますか?

ストレスが原因で顔がテカる…リラックスするには?

◆肩こりに悩み、顔のテカり・脂っぽさが気になることも

鏡に写った顔を見て、「何だか鼻がテカテカ脂っぽいなぁ……」と感じる日はありませんか? 女性の場合、顔のテカりはお化粧のノリにも影響しますよね。顔の皮脂分泌が増える原因は様々ですが、実は、肩こりが起きやすい状況と顔のテカりには、意外な共通点があります。脂っぽいテカテカ顔と肩こりにどのような関係があるのか……。それに関係しているのは日常のストレスです。
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◆ストレスが強いと悪化しやすい肩こり症状

仕事のミスや対人関係の悩み、休みが取りにくく心も体も安らげない状態が続くと、毎日の緊張感からストレスがたまってしまいます。ストレスが強く、頑張らなくてはと気を張っている状態は、体を活動的に機能させる「交感神経」が優位な状態です。

交感神経優位な状態が続くと、リラックスモードへの切り替えが上手くできなくなり、体調を崩してしまうことが増えます。体に出る具体的な影響としては、背骨を支える筋肉の緊張が解けないことで、首、肩周りの筋肉が凝り固まり、肩の力が抜けにくくなってしまうということがあります。リラックス状態を促す副交感神経も乱れてしまい、肩こりも悪化しがちです。.

◆ストレスが原因で顔のテカり・脂っぽさが悪化することも

上記のような、肩こりが起こりやすい「交感神経優位」の時、交感神経支配である立毛筋(りつもうきん)の収縮が起こります。これにより促進されるのが、皮脂の分泌です。肩こりがツラくなりがちな自律神経の乱れが生じた際に、同時に顔の脂っぽいテカテカが目立ちやすいのはこのためです。

立毛筋には、本来、体温を保つという役割があり、皮脂にも肌を守る大切な働きがあります。しかし、交感神経優位になりリラックスできない状態が続くと、肩こりが悪化したり、顔のベタつきが不快に感じることが増えてしまうかもしれません。
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◆肩こり予防・テカり予防には、ゆっくり休息が一番

皮脂の分泌は午前よりも午後に多いと思います。もし、朝目覚めた時に普段よりも顔が脂ぎってベタつき、鼻がテカテカしているような場合は、肩こりになりやすい、または悪化しやすい可能性があります。「緊張が解けにくいコンディション」であると考え、心と体を追い込まないように、一日の過ごし方を考えてみるのがよいでしょう。

すでに肩こりが酷く、痛みが気になっているケースでも、それがストレスとなり皮膚の脂っぽさに繋がることがあります。肩こり症状のつらさが和らぐように、早急に対処して、不快感や痛みを感じる頻度を減らすことを目指してください。

◆肩こり・テカり対策に! 緊張をほぐすリラックス体操

自律神経の働きが乱れている可能性がある人や、肩こり、顔の脂っぽさが気になる人は、肩周りや背中をリラックスさせ自律神経のバランスを整いやすくすることが大切です。筋肉のコリも和らぎ肩の力が抜け、気持ちがホっと落ち着くようゆっくりと動かしていきましょう。. 鼻で空気を吸い込みながら、両耳と両肩を近づけるように、肩を3秒間すくめます。すくめた両肩の間に頭をぴたりとはめ込むようなイメージです。

2. 口からゆっくりと息を吐きながら肩の力を抜きましょう。「1」「2」を3回繰り返します。

3. 左右の肩先に指を当てたまま、左右の肘を交互に大きく円を描くように動かします。腕の付け根と肩甲骨を意識して、可能な限り大きく肘を動かしましょう。(左右1セットを3回。反対回しも同様に)

4. 最後に鼻から空気を吸い込みながら、両手を天井方向へ挙げ背スジを伸ばしましょう。口からゆっくりと息を吐きながら力を抜き腕を下ろしましょう。(1~3回)

体操によるリラックス法の他にも、顔のテカテカが気になる間は、甘いものや油を多く使ったメニューを控えるなど、食事内容を気をつけたり、ストレス解消につながるべく「自分の時間」を大切にする、睡眠時間をしっかり確保するなども有効です。できることを少しずつ取り入れてみてはいかがでしょうか。
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檜垣 暁子(カイロプラクティック理学士)

フラストレーションの解消法…平常心に戻るための行動

◆フラストレーションを感じた時に何を考えているか……傾向を分析しよう

フラストレーションに陥ったときに、そこからイライラを止められなくなる人もいれば、早めに平常心に戻れる人もいます。

ではそもそも、「フラストレーション」とは何でしょう? 人間にはたくさんの欲求がありますが、それが満たされない状態をフラストレーション(欲求不満)と呼びます。フラストレーションは、誰にでも訪れる自然な心の状態です。しかし、フラストレーションに伴う不快な感情が長引いてしまう人には、次のような傾向がよく見られます。心当たりはありませんか?

・やりたいことが果たせないと、イライラして仕方がない
・自分の生き方や生活に対して、よく愚痴を言う
・他人の人生や生活を、うらやましく思うことが多い
・現在の人生や生活を投げ出し、リセットしたくなる
・決めたとおりに物事が進まないと、イライラして仕方がない
・ささいなことにも苛立ち、不満を感じやすい
・怒りや不安な気持ちは、すぐに誰かに聞いてもらいたくなる
・思い通りにならないと、不安になりやすい
・欲しい物が手に入らないと、なかなか諦められない・気分転換や気持ちの切り替えは、苦手な方だと思う

以上のようなことに心当たりの多い方は、フラストレーションとのつきあい方を見つめ直してみるとよいかもしれません。
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◆合理的ではない方法で解消すると、さらに不快感は募る

フラストレーションに伴う不快な気分が長引く人の中には、フラストレーションを感じた時にさらに次のような行動をしていることがあります。

・物に当たり、蹴ったり投げたりする
・怒鳴る、けんかをする
・衝動的に買い物をしたり、大量の飲食をする
・他人にすぐに電話をする、長文のメールを送る
・爪を噛む、髪を抜く、身体に傷をつける

これらは、フラストレーションを解消するための行動ですが、合理的な解決に結びつかない方法です。これらの行動が増えると、自他を傷つけ、さらに自分を苦しい心境に追い込んでしまいます。では、ついこのような行動をとってしまう場合、どのように改善したらよいのでしょう?

◆フラストレーションに強くなるためにおすすめしたい4ポイント

フラストレーションを乗り越えていく力を「欲求不満耐性」と呼びます。この耐性は子どもの頃からの積み重ねだと言われていますが、何歳からでも、意識次第で強くすることができます。では、欲求不満耐性を高めるためには、何を意識したらよいのでしょうか? 以下の4つのポイントをお勧めします。

・不快な感情をいったんぐっと抱える
・状況が好転することを期待して、少し待つ
・合理的に解決できる方法がないか、考えをめぐらせる
・衝動的にではなく、気持ちを落ち着かせてから他人に相談する
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◆受容体験と考え方の幅を広げて、フラストレーションに強くなる

そして、前述の4つの行動をスムーズにとれるようになるには、次の2つの体験をすることをお勧めします。

一つは、ありのままの感情を受容される体験です。生きているうちには、不安や苛立ちが募って物事を冷静に考えられなくなる局面も訪れます。そうしたときに、その感情をありのままに受容してもらうと、感情が落ち着き、冷静に物事を考えることができます。ただし、「今すぐに」話を聞いてもらうことを要求しても、欲求不満耐性は強くなりません。いったん感情を抱え、考えを整理してから話すことが大切です。

こうして冷静になった後に他人から意見をもらうと、視野と考え方の幅が拡がり、フラストレーションをためずに合理的に対処する行動を身につけやすくなります。
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◆緊張が高まったら息を吐く……フラストレーションに強くなる呼吸法

フラストレーション耐性を高めるためにもう一つお勧めしたいのが、呼吸法です。

イライラや不安の感情が高ぶったときには、まず大きく息を吐いてみましょう。このようなときには呼吸が浅くなり、そのことでさらに緊張感が増すという循環の中にいます。大きく息を吐くと、不快な感情に伴う緊張感も吐き出されます。そして、大きく息を吐くと大きく息を吸うことができます。フラストレーションを感じたときには、ぜひこの呼吸法を繰り返し行ってみてください。不快な感情から楽になり、冷静な自分に戻ることができます。この呼吸法を意識的に行えるようになると、フラストレーションに強くなります。

このように、フラストレーションに根本から強くなるには、感情の受容体験をし考え方の幅を拡げること、そして、呼吸法というリラクゼーション法を行うことが効果的です。ぜひ、これらのポイントを参考にしてみてください。
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大美賀 直子(精神保健福祉士・産業カウンセラー)

ストレスが原因で起こる「心身症」とは?

◆ストレスが原因で起こる心身の反応3段階

ストレスが溜まると、体調を崩したり、思わぬ病気になったりするものです。ストレスと心身は、どのようなメカニズムで結びついているのか、ご存知でしょうか?

ストレスを受け続けると、心身には次の3つの反応の時期が訪れます。それぞれの反応の段階についてご説明しましょう。

1. 警告反応期
ストレスを受けると、一時的に体の抵抗力が下がり、体の活動性が低下します。しかしその後、心身の抵抗力がぐんぐん上昇し、敵襲に備えるかのような状態になり、活動的になっていきます。

2. 抵抗期
さらにストレスが続くと、そのストレスに適応するために体の高い抵抗力が維持されます。体が活動的になるため、休息を減らしても精力的に働けるようになったりし、ストレスに強くなったように感じられる時期です。

3. 疲弊期
2の「抵抗期」に適度な休息をとるなどして、ストレスと体調管理のバランスをとらないでいると、ストレスに適応するエネルギーが枯渇してしまいます。すると、ついには心身がダウンし、さまざまな病気を発症してしまいます。
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◆心身を支える3システム……自律神経系・内分泌系・免疫系

私たちの体には3つのシステムが存在し、連携をとりあって健康を支えています。

■自律神経系
意思とは関係なく、内臓のさまざまな働きを調節するシステム。緊張したときに働く交感神経と、リラックスしたときに働く副交感神経がある。

■内分泌系
ホルモン分泌をつかさどるシステム。ホルモンは内臓の働きをコントロールしたり、発育や新陳代謝を促すなど、体にとって重要な働きを担う。

■免疫系
細菌やウイルスなどのように、体に侵入してくる異物と闘い、体を守るシステム。

ストレス刺激を受けたとき、これらのシステムは相互に影響を与え合いながら、体全体のバランスを一定に保とうとしています。この働きを「ホメオスタシス」(生体の恒常性)といいます。

しかし、ストレスが長く続くとどうなるでしょう。緊張状態が持続することにより、まず自律神経系のバランスが乱れます。そして、自律神経系に異変が生じると、この神経と連絡をとりあって動いている残り2つのシステム(内分泌系、免疫系)の動きにも影響し、ホメオスタシスが乱されてしまうのです。このとき、心身の病気が起こりやすくなります。

では、ストレスによって引き起こされやすい体の病気には、どんなものがあるでしょう?

◆「心身症」とは……ストレスが原因で起こる病気

ストレスなどの刺激を受けて、体に現れる病気のことを「心身症」といいます。心身症に含まれる病気はさまざまであり、病気に対応する診療科も多岐に渡ります。

代表的な病気と、それぞれに対応する診療科を挙げてみましょう。

■内科(胃腸科、呼吸器科、循環器科など)
気管支ぜんそく/胃・十二指腸潰瘍/過敏性腸症候群/本態性高血圧 など

■耳鼻咽喉科
メニエール病/難聴/アレルギー性鼻炎 など
■神経内科
緊張性頭痛/めまい など
■整形外科
全身性筋痛症/慢性関節リウマチ など
■皮膚科
アトピー性皮膚炎/円形脱毛症 など
■産婦人科
月経前症候群/月経困難症/更年期障害 など
■泌尿器科
ED/夜尿症 など
上記は一例です。この他にもたくさんの心身症があります。
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◆心身症は何科? まずは症状で受診し病気の原因検査を

これらの症状に心当たりがあれば、まずは体に出ている症状にあわせた各専門科(胃腸科、呼吸器科、耳鼻咽喉科、婦人科、泌尿器科など)で診察を受け、症状の原因を調べてもらいましょう。症状のベースに、体の器質的なトラブルないか、原因を特定するためです。専門科で原因が分からない場合や、専門科の治療を続けても効果が見られない場合には、心身症の可能性も考えられるので、心療内科の受診を検討してみるといいでしょう。

心身症の場合、体の症状だけを治療しても、改善しません。体の症状を緩和しつつ、症状の原因となるスストレス状態をケアしていくことが必要になります。そのためには、必要な治療を受けつつ、心の持ち方を見直したり、適度に休息を取り入れて心身を休めるなどして、心身に負荷をかけすぎない生活を心がけることが、とても大切です。
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大美賀 直子(精神保健福祉士・産業カウンセラー)

ストレスが自分でわからない!?「失感情症」とは

◆自分の感情がわからない「失感情症(アレキシサイミア)」とは

毎日忙しく、かなりのストレスがかかっているはずなのに、自分の「つらさ」をはっきり自覚できない。「最近、疲れてない?」「無理しているように見えるよ」などと言われても、ピンとこない。自分は無感情で、あるいは感情が薄いのかもしれない……といった症状に気づいた場合、「失感情症」(アレキシサイミア)の可能性があるかもしれません。

「アレキシサイミア」とは、米国の精神科医、シフネオスが提唱した概念であり、自分の感情を意識できず、感情を言葉や態度によって表現しにくい状態を意味します。「失感情言語化症」「失感情表現症」などと呼ばれることもあります。

失感情症の状態にある人々は、過剰なストレス状況下にあっても、つらい感情を意識しにくいため、状況を改善させたり、周りに助けを求めたりせず、頑張り続けてしまうことがあります。

その結果、身体に負担がかかってしまい、胃潰瘍や潰瘍性大腸炎、狭心症、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などの「心身症」(心理的因子が影響して発症する身体疾患)を発症することが少なくありません。
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◆ストレスが自覚できず、心のつらさが「体の病気」に……

失感情症によって心身症を発症すると、胃の痛みを感じて「胃腸科」へ、咳が治まらないので「呼吸器科」へ、というように、まず身体疾患の専門医を受診することが多いです。

しかし、身体疾患を治療しても、原因となる「ストレス」をコントロールしない限り身体疾患は完治せず、軽快しても再発を繰り返してしまうことが少なくありません。こうしたなか、医師から心療内科を受診することを勧められる方もいます。

また、身体疾患が完治しないため、ドクターショッピングを繰り返したり、治療をあきらめているうちに状態が悪化し、入院治療などの本格的な治療が必要になってしまうこともあります。それでは、失感情症にどのようにアプローチしていくべきかを考えてみましょう。
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◆失感情症の克服法・治療法・アプローチ法

失感情症の状態にある人々は、自分の感情を自覚しにくいため、心療内科でも治療が進みにくいことが少なくありません。

医師やカウンセラーに感情を聞かれても、自分の感情が分からないので答えようがない、事実については詳細に述べるが、「そのときにどう感じたの?」と質問されると答えられない、胸襟を開いた会話ができないため医師やカウンセラーとの間に信頼関係を築けない、こうした状況が生じやすいためです。

したがって失感情症の方は、言語によるカウンセリングのみでは、表面的な会話に終始しやすく、治療効果が上がりにくい場合があります。

自分の内面に目を向けようとせず、感情に気づくことを回避している現状では、感情の言語化を促してもうまくいかないものです。そのため、まずは身体にアプローチし、ストレスを癒していく方法が採用される場合が多いようです。たとえば、自己催眠法である「自律訓練法」を行ったり、呼吸法などのリラクセーションを試みて、心身の緊張を解消するという方法です。

失感情症は、人によって原因が異なります。幼少期のトラウマや親子関係に端を発している場合、長い時間をかけてその心の傷を癒していくアプローチが有用になることもあります。いずれにしても、身体症状がなかなか改善せず、感情を意識しにくい場合には、心療内科やカウンセリング機関を利用して、相談されるといいでしょう。
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大美賀 直子(精神保健福祉士・産業カウンセラー)
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