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花粉症シーズンが終わってからも怖い「合併症」の深刻度 FC2 Analyzer



FC2 Analyzer記録的な寒波の影響で、今年は花粉の飛散量が過去10年で2番目に少ない。しかし、これから気温が上昇すると、一気に急増するとみられている。花粉症だけでなく、その合併症にも注意が必要だ。

 目がかゆくて涙がボロボロ、くしゃみが止まらず鼻水もズルズル……。ただでさえ厄介な花粉症だが、その花粉症がさらなる病気を引き起こすケースも多い。花粉の季節が終わってからも深刻な症状に悩みたくなければ、注意しておく必要がある。

 まず「副鼻腔炎=蓄膿症」に気をつけたい。鼻の周辺にある骨の空洞部分に鼻水やうみがたまり、炎症を起こす病気だ。耳鼻咽喉科の専門医で「慶友銀座クリニック」(東京・東銀座)の大場俊彦院長は言う。

「花粉症によるアレルギー性鼻炎が続くと、粘膜が腫れて空洞から鼻へのルートが潰れてしまいます。そうなると、鼻水の流れが悪くなったり、空洞部分にうみがたまって炎症を起こし、副鼻腔炎になります。

粘り気のある鼻水が止まらなかったり、鼻づまりが改善しないだけでなく、炎症が広がると頬、おでこ、目の周りが痛くなることもあります。嗅覚に障害が出て、ひいては味覚にも悪影響が出ます」

 花粉症の治療をしているのに、鼻水や鼻づまりが長引く場合は、花粉症ではなく副鼻腔炎を疑ってみた方がいい。抗生物質による治療が必要だ。

■コンタクトと目の間に花粉が入り込んで…

 近年は花粉症が引き起こす「口腔アレルギー症候群」も増えている。花粉症の人が、花粉とよく似たアレルゲンを持つ特定の果物や野菜などを食べることにより、口や喉にアレルギー症状を引き起こす。

水疱(すいほう)ができたり、かゆくなったり、腫れたりする。重症の場合、呼吸困難や意識障害などが表れるアナフィラキシーショックを起こすケースもある。

 人によって原因物質が異なるが、メロン、モモ、キウイ、リンゴ、オレンジ、トマトといった食品を食べて症状が表れたら、すぐに食べるのをやめることだ。

 目の合併症も甘く見てはいけない。杏林大学医学部杏林アイセンターの山田昌和教授は言う。

「目のかゆみ、充血、目やにといった花粉症の症状は、目の粘膜に花粉というアレルゲンが侵入して起こるアレルギー性結膜炎です。症状が重くなると、『春季カタル』を発症するケースもあります。

重篤なアレルギー性結膜炎のことで、激しい目のかゆみや痛みで目を開けられなくなる人もいる。

角膜に大きな傷ができたり、濁りが出て視力が落ちてしまう場合もあります。もともとアトピー性皮膚炎の患者さんが花粉症によって発症するケースが多いので、注意してください」

 また、コンタクトレンズを使用している人は、レンズと目の間に花粉が入り込んで角膜を傷つけ、表層角膜炎になるケースもあるという。花粉の季節はメガネにしておいた方が無難だ。

 腰もしっかりガードしたい。花粉症によってくしゃみを連発したり、頻繁に思い切り鼻をかむことで腰に想像以上の負担がかかり、ぎっくり腰や腰痛を悪化させる人もいる。あぐらなど腰に負担がかかる姿勢のままくしゃみをすることはなるべく避け、腰痛持ちの人は日頃から腰周辺の筋肉をほぐしておく。

 花粉は“万病のもと”なのだ。

あの健康食品もNG!? お腹の調子が悪くなる危険な食べ物15個


便秘が続いたと思ったら、突然お腹を壊したり、膨満感が常にあったり……といったお腹の不調を抱えていませんか。もしかしたら、その症状は”過敏性腸症候群”かもしれません。

過敏性腸症候群は、現在では10人に1人が悩んでいると言われています。精神的な緊張から起こると言われていますが、実は原因は精神的なものだけでなく、食べ物も大きく影響しているのです。

もしかしたら、お腹に良いと思って食べていたあの食材が、過敏性腸症候群を引き起こす原因になっているのかもしれません。アメリカの健康情報サイト『Activebeat』をもとに、過敏性腸症候群が避けるべき食材を15個ご紹介します。

■10人に1人が悩んでいる過敏性症候群とは?

過敏性腸症候群は、腹痛を伴う下痢や便秘をくり返すのが特徴です。ストレスによって自律神経のバランスを崩すと、腸の動きが盛んになり過ぎたり、痙攣したりするようになります。そして下痢や便秘の症状になります。つまり、ストレス性の、典型的な腸の病気です。

■お腹の調子が悪化する15個の食べ物

(1)ファーストフードやピザ

ファーストフードやピザには添加物や気付かない部分で大量の脂肪分を使っているので、避けましょう。

(2)フライドポテト

揚げ物が良くないので、ベイクドポテトに変更しましょう。

(3)辛い食べ物

唐辛子や腸に刺激を与える辛い物は摂取するのはやめましょう。

(4)アルコール

アルコールが過敏性腸症候群を悪化する事も多いです。

(5)コーヒー

カフェインは下痢を引き起こすので、なるべく避けましょう。

(6)アイスクリーム

腸を冷やす事で過敏性腸症候群を悪化させる可能性が高いので避けましょう。

(7)ミルクとクリーム類

ミルクやクリームはお腹の不快な症状を悪化させる危険性が高いので避けましょう。

(8)チーズ

クリームチーズ、マスカルポーネチーズのようなクリーミーなチーズは避けましょう。食べるなら堅いチーズを選択するようにしましょう。

(9)バター

バターの脂肪分が過敏性腸症候群を悪化させます。

(10)レンズ豆

レンズ豆は膨満感を引き起こすので症状を悪化させます。

(11)豆

栄養価が高く、お腹に良いとされている豆が過敏性腸症候群には合いません。

(12)トウモロコシ

食物繊維は豊富ですが、糖分が高いので、痛みを伴う膨満感がある時は避けましょう。

(13)ピーマン

消化が悪いピーマンは膨満感、不快感、胃痛を引き起こすので摂取を避けましょう。

(14)キャベツ

胃が痛んだり、ガスが貯まりやすくなるので避けましょう。

(15)ブロッコリー・カリフラワー

食物繊維は多いですが、ガスが発生する事が多いので、もし食べる際は蒸して食べましょう。

いかがでしたか? 過敏性腸症候群の人は脂肪分、乳製品、辛い物に特に気を付けたほうが良さそうですね。しかし、ピーマンは意外ですよね。お腹に良い物よりも、悪い物を避けたほうが簡単にお腹の調子を整える事ができそうです。皆さんもぜひ実践してみて下さいね。

朝が憂うつ…花粉症「モーニングアタック」の実態とは?


3月に入り、日増しに春らしい気候となってきましたね。ただ、心地よい陽気とはうらはらに、「今年もついにこの季節がやってきたか……」と憂うつな人も多いのでは? そう、春といえば“花粉症”の季節です。

あなたは花粉症対策として、何か心がけていることはあるでしょうか? “外出時のマスクの着用”や“帰宅時のうがい手洗い”などは、もはや定番の対策ですが、実は就寝前に、花粉症の最悪な症状をおさえるコツがあったのです。

■風邪と花粉症の違い

「去年まではなんでもなかったのに、今年はなんかムズムズする。もしかして……」という方もいらっしゃるでしょう。まずは、風邪と花粉症(アレルギー性鼻炎)の違いについて、ご紹介します。

症状が引き起こされる原因として、アレルギーによる場合はアレルゲンに暴露されて、風邪の場合はウイルスを排除するため、という違いがあります。たいていは以下の表のような違いによって見分けることができます。


■花粉症の症状が最悪になるタイミングは“起床時”だった

では、1日のうちで、花粉症の症状が出やすいタイミングを確認しておきましょう。

エスエス製薬株式会社が実施した「花粉症に関する実態調査」によれば、およそ4割の人が「起床時」に花粉症の症状がひどくなると回答。また、一番ひどいタイミングについても尋ねたところ、「特に決まっていない」(24.8%)という人を除くと、やはり「起床時」(22.4%)と答えた人がもっとも多かったのです。

朝、起きた瞬間に鼻水やくしゃみが止まらない。そのせいで、寝覚めの気分は最悪だし、化粧も決まらないし、朝のスタートダッシュがうまくいかない……そんな悩みを抱えている人が少なくないようです。

■花粉症の“モーニングアタック”はなぜ起こる?

上のアンケート結果にも見られた、起床時に花粉症の症状がひどくなる現象を“モーニングアタック”といいます。

一体なぜこのような現象が起きてしまうのでしょうか? モーニングアタックの主な原因は、起床時の一時的な自律神経の乱れ。起床時に自律神経が副交感神経優位から交換神経優位へと切り替わる際に、鼻は刺激に過敏になります。

こうして感覚が過敏になった鼻を室内の花粉やハウスダストが直撃して、発作的な鼻炎症状が起きてしまうというわけです。

■長く続く薬を就寝前に飲むことで翌朝のイヤな症状をストップ

こうしたモーニングアタックを抑えるためには、夜に服用するタイプの鼻炎薬を活用することがオススメです。とはいえ、「鼻炎薬を飲むと眠くなったり、頭がボーッとしたりするからなるべく頼りたくないんだけど……」という人も多いかもしれませんね。

たしかに、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状を緩和する抗ヒスタミン薬を飲むと、成分が鼻だけでなく脳にも働きかけてしまい、眠気や集中力の低下を招くことがあります。しかし、近年主流になっている第2世代抗ヒスタミン薬ならば、成分が脳に入りにくいため、従来の鼻炎薬の気になる副作用が現れにくいという利点があるのです。

以前は病院に行って処方してもらわなくては手に入らなかった薬が、薬局やドラッグストアで買えることができるようになっています。薬剤師さんに、眠くなりにくい薬や1日中効果が続く薬をリクエストして、賢く花粉症に対処しましょう。

花粉症が猛威をふるうこの時期には、毎朝くしゃみ・鼻水が止まらなくてもう最悪! そんなモーニングアタックに悩まされている人は、効果が長続きする薬の就寝前の服用を試してみてはいかがでしょうか?

スギ花粉のエキスを舌下に入れる免疫療法 今春から保険適用



FC2 Analyzerスギ花粉症は、スギ花粉によって起こるアレルギー疾患の総称だ。日本人の4人に1人が花粉症といわれ、2~4月はくしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみや倦怠感などを訴える人が急増する。主な治療は症状を緩和する対症療法で、花粉のシーズンが終わるまで患者はじっと耐えるというのが現状だ。

 花粉症の根治療法として注目されるのが、アレルゲン免疫療法(減感作〈げんかんさ〉療法)だ。

1911年に世界で初めてイネ科植物の花粉アレルギー患者に対して用いられたもので、アレルギーの原因である花粉のエキスを皮下注射し、徐々に濃度を上げていく。身体にアレルゲンを与え続けることで、花粉は無害なものだと身体に認識させ、過剰なアレルギー反応を起こさないようにする。

 日本医科大学附属病院耳鼻咽喉科・頭頸(とうけい)部外科の大久保公裕部長に話を聞いた。

「皮下注射によるアレルゲン免疫療法は効果があったので、もっと手軽に飲み込む方法による研究が開始されました。しかし、食物アレルギーには効果があったものの、花粉アレルギーには効果がありませんでした。

そこで花粉症に対する方法として研究されたのが、舌下(ぜつか)免疫療法です」

 花粉は鼻から入り、鼻の奥のアデノイドにある免疫装置に付いて、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状を起こす。花粉エキスを舌下に入れると、直接アデノイドに届き、そこから首のリンパ節に移動する。

リンパ節のT細胞が毎日アレルゲンに接することで、身体にとって安全なものと認識してアレルギー反応を起こさなくなる。

 この治療で使用されるスギ花粉エキスは、通常のアレルギー検査の2000倍もの高濃度のもの。これを1日1回舌下に滴下(てきか)し、2分間そのままの状態を保った後に飲み込む。

その後5分間は、うがいや飲食を控える。治療開始は少量、低濃度で投与し、2週間かけて徐々に増量する。3週目以降は、同じ量と濃度を維持して最低2年間継続する。

 スギの花粉症に対する舌下免疫療法は、今年春には保険承認される予定だ。花粉症シーズンを避けて、治療は6月以降にスタートし、最低2年間継続することがポイントだ。

やっちゃダメ!花粉症を悪化させてしまう「NG習慣」5つ


花粉症の方にとっては、辛い季節、スギ花粉の飛散のピークは2月下旬から3月初めとなりそうです。

さらに、日本気象協会の花粉予測によると、今春の飛散量は昨シーズンに比べて全般に多い見込み。例年以上に花粉症対策に力を入れる必要がありますね。

そこで今回は、花粉対策として、“生活習慣でやってはいけないこと”をご紹介します。

■花粉症を悪化させる生活習慣5つ

(1)疲れやストレスを溜めこむ

ストレスが溜まると、ちょっとした花粉に対しても体が過剰に反応するようになります。体が疲れているときは無理せず休養し、リズム感ある生活を心がけましょう。

(2)睡眠不足

睡眠不足で体力が落ちていると、症状が悪化することがあります。花粉シーズンは特に、十分な睡眠をとるよう意識しましょう。

(3)運動不足

運動不足は、体力低下に繋がります。すると、免疫バランスも崩れ、花粉に対して過剰に反応することがあります。適度な運動を心がけましょう。

(4)インスタント食品、ファストフード、スナック菓子などの食事

添加物の多い食品や脂っこい食事は、アレルギーを引き起こす要因になりますので、控えましょう。

(5)飲酒・喫煙

特に、お酒の飲み過ぎは鼻づまりの悪化に繋がりますので、気を付けましょう。

なぜこれらの生活習慣がいけないのかというと、自然免疫力がさがってしまうからなんです。花粉症の症状は、体力が落ちて免疫バランスが崩れると、悪化しやすいと言われています。 

花粉症の初期治療法として、症状が悪化する前から薬を服用する方もいらっしゃいますが、やっぱり日頃の生活習慣から、花粉症を悪化させない体を作ることが大切なのです。

■プロバイオティクスが免疫バランスを調節してくれる

でも、つい寝る時間が遅くなったり、外食が続いたりしてしまうこともありますよね。

そういったとき、自然免疫を上げるためにやるべきなのは、プロバイオティクス、つまり生きた微生物で人体によい影響を与えるものを食べることだと言われています。

これは、科学的にみて根拠がはっきりしていることです。

代表的な食品として、ヨーグルトや乳酸菌飲料などがあります。また、乳製が苦手な方は、カプセルや粉末などのサプリメントもありますので、手軽に摂取することができますよ。

森永乳業研究所が行った花粉症の症状改善作用を調べた臨床試験では、ビフィズス菌が入っていないヨーグルトと比べて、ビフィズス菌入りのヨーグルトを食べた人で症状が軽減されたという試験結果もある、とのこと。

免疫力アップのために、ビフィズス菌入りのヨーグルトを選んでみるのもいいですね。

花粉症の季節…お世話になる「保湿ティッシュ」、ヒリヒリ感が少ないのは?



FC2 Analyzer3月上旬はスギ花粉の飛散量がピークに達する時期。花粉症の人にとって、つらい季節で、一日中、鼻水が止まらず、はなをかみ続けている人もいるのでは?

 そんなとき、お世話になるのがティッシュです。しっとりやわらかな肌触りの保湿ティッシュを使っている人も多いでしょう。保湿ティッシュはグリセリンなどの保湿剤を塗布することで空気中の水分を取り込み、しっとりとした肌触りを与えたものです。

 最近は保湿ティッシュもさまざまな種類が出ています。

そこで、高級なタイプ(高級保湿、1枚当たり約0・9円)、比較的安価なタイプ(汎用(はんよう)保湿、同約0・6円)、従来の非保湿タイプ(同約0・4円)を同じメーカーでそろえ、比べてみました。

保湿ティッシュの特長であるしっとり感は水分率、やわらかさは剛軟度、滑らかさは平均摩擦係数で評価しました。

 水分率は温湿度を一定に保った部屋にティッシュを一晩以上放置した後、105度で2時間乾燥し、どのくらい水分を含んでいたか算出しました。

非保湿に比べ、高級保湿は1・5倍、汎用保湿は1・25倍程度水分を多く含んでいました。やはり、しっとり感は高級保湿が最もあるといえそうです。

 剛軟度は45度の斜面を持つ水平台からティッシュを押し出し、斜面に接したときの長さで評価しました。やわらかいものほど押し出される長さが短くなります。

高級保湿と汎用保湿は同程度、非保湿はこれらよりかたいという結果でした。やわらかさは保湿と非保湿で違いがあるといえそうです。

 平均摩擦係数は3タイプで差がありませんでした。

 今回の評価から、はなをかんだりメークをしたりと肌に使うなら、やはり保湿ティッシュが向いていそうです。はなをかむ機会が多いときには、よりしっとりとした肌触りの高級保湿タイプの方が肌のヒリヒリ感を抑えられるでしょう。(エフシージー総合研究所 美容科学研究室 www.fcg-r.co.jp)

花粉症の人 トマト、メロン等食べてアレルギー反応示す例も FC2 Analyzer


厚生労働省の報告書によれば、日本人の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患しているという。だが、意外とアレルギーについての正しい情報を知っている人は少ないのでは?

 花粉症の本格シーズンを前に、アレルギー情報に関するウソ・ホントを厚生労働省の花粉症対策などを担当している医学博士の大久保公裕さんに聞いた。

 スギ花粉症持ちで、なぜか生トマトを食べる度に唇がピリピリするという人も。アレルギーがある人は、特定の果物や野菜が食べられなくなるというのは本当だろうか? 実は、花粉症と果物などの食物アレルギーには“深い”関係があるという。

「例えば、スギやヒノキの花粉症がある人は、トマトを食べると花粉を吸い込んだ時と同様に、口がかゆくなったり、のどに違和感が出たりと、アレルギーの症状が出る可能性が高いんです」(大久保さん、以下「」内同)

 これは、スギ花粉とトマトのタンパク質の構造が酷似しているため。花粉に反応する抗体が、特定の果物や野菜にも同様に反応してしまうのだ。

「シラカバの花粉症ならりんごやもも、さくらんぼ。ブタクサの花粉症ならバナナやメロン、すいか。イネ科の花粉症ならセロリ、メロン、トマトに同様の反応が見られることがあります」

 卵が大好きで、毎日1、2個食べるのは当たり前。ところが、同じものを食べ続けたから卵アレルギーになったと言う人もいるが…。

「ひとつのものだけを過剰にとると、抗体が増え、アレルギーを起こしやすくなるのは事実」

 花粉症も、長年花粉を吸い込み続けることで、体内でアレルギー反応を起こすIgE抗体が作られ、コップの水があふれるように突然、発症するのだ。

「食べ物も同じです。もちろん、絶対に発症するわけではありませんが、可能性は上がるので好物もほどほどにしましょう。アレルギーを発症しにくくするためにも、多種多様な食べ物をバランスよく食べるように心がけてください」

意外な盲点!花粉症の人は「まつげに付着する花粉」に気をつけて


寒さのピークを超え、暖かくなってくると花粉の飛散量が増加します。毎年春になると、「目のかゆみやツーっと垂れてくる鼻水のせいでメイクが崩れる……」という方も多いのではないでしょうか。それなのに、”まつげに付着する花粉”を放っておくなんて、もってのほか!

そこで今回は、まつげに付着する花粉の対処法についてお話していきたいと思います。

■1:マツエクをつけない

まつげにボリュームや長さがあると、その分花粉が付着する量が増えます。その結果、かゆみで目をこすって、マツエクが取れたり、角膜に傷をつけてしまうこともあるのです。花粉シーズンはマツエクをやめて、自まつげを育てることに専念するのもいいのでは?

どうしてもマツエクをつけたい方は、かゆみが出やすい目頭と目尻を避け、いつもより細いエクステをつけてもらいましょう。

■2:花粉防止専用のメガネをつける

外出時は、まつげに花粉がつかないように、目もとを覆う形になっている花粉防止専用のメガネや、サングラスをつけましょう。

■3:帰宅したらドライヤーの風をあてる

帰宅をしてから洗顔、入浴をするまでに時間が空く日は、目もとにドライヤーの風をあてて、まつげについた花粉を落としましょう。

■4:洗濯物は室内干しにする

せっかくクレンジング、洗顔で目もとの花粉を落としても、外干しをして花粉が付着したタオルを使って顔を拭いていては、意味がありません。

花粉シーズンは、洗濯物を室内に干すのが賢明です。

■5:かゆみが出たら冷やす

すでにかゆみが出てしまった時は、冷やしたタオルをまぶたにのせ、数分間あてておけば治ります。

花粉シーズンはまだまだ続きます。早い時期から対策をとっておき、目もとの炎症を回避してメイクを楽しみたいものですね。

意外な食べ物が引き金に!花粉症を悪化させちゃうNG食品5つ


3月に入り、いよいよ花粉症全開のシーズンになってきましたね。クシャミや鼻水、目のかゆみ、湿疹など、「もうなんとかして〜っ!」と苦しんでいる方も多いのではないでしょうか?

マスクや手洗い、うがい、毎日の掃除機がけなどは、すでにみなさん実行しているかと思いますが、実は思わぬところにも、花粉症を悪化させる原因が潜んでいたのです。

イギリス国立医学研究所のハーブ療法家、デビッド・ホフマン氏によると、私たちが日常食べている食べ物の中に、花粉症を悪化させる食品が存在するというのです。 

そこで今回は、英語圏の情報サイト『Common Sense Homesteading』『Allergic Living』『PALEOLEAP』などを参考に、花粉症を悪化させるという5つの食品についてお伝えいたしますね。

■1:乳製品

牛乳やチーズ、ヨーグルトといった乳製品は、食物アレルギーや花粉症の引き金になりやすいといわれています。

牛乳の代わりに豆乳を飲んだり、コーヒーに入れるミルクを植物性のものに変えたりするとよいでしょう。あるいは、緑茶にはアレルギーに良いフラボノイドがたくさん含まれているので、牛乳の代わりに緑茶を飲むのもよいでしょう。

■2:穀物、炭水化物

穀物や炭水化物などに含まれる”グルテン”は、ホルモンのバランスを崩したり、免疫構造を弱めることがあるのだそうです。そのため、鼻水などの粘液を増加させ、アレルギーを悪化させるとのこと。

花粉症の季節にはこのような食材は極力避けて、代わりにキャベツやタマネギ、トマト、フルーツなどの、フラボノイドを含む食品を多くとるようにしましょう。

■3:タマゴ

タマゴも、乳製品と同じく、食品アレルギーを起こしやすい食材の代表ですが、最近の調査では、食品アレルギーが引き金となって花粉症を引き起こすケースが増えているとの結果が出ています。

タマゴや乳製品の代わりに、アレルギーに効く”オメガ3脂肪酸”を含む、シーフードがオススメです。

■4:砂糖

砂糖には、粘液の分泌を促す成分が含まれていて、これがアレルギー症状を悪化させる可能性があります。

甘みを足したいときは砂糖よりも、カリウム・マグネシウム・亜鉛など天然の抗酸化作用成分が多く含まれたハチミツがおすすめです。

■5:揚げ物、精製食品

揚げ物や精製食品(白砂糖、白小麦粉、白米)も、粘液の分泌を促し、アレルギーを悪化させます。

揚げ物など、料理で肉を使うときは、できるだけ放牧飼育されたものを選ぶとよいとのこと。あるいは、麹などの発酵食品には抗酸化作用かがあるので、肉を塩麹で漬けてから調理するなどの工夫も役に立つようです。

以上、花粉症を悪化させる5つの食品についてご紹介しましたが、いかがでしたか? 少し食生活を変えるだけで、花粉症が楽になるなら、試してみる価値はありますよね? 

それともう一つ、ターメリックやシナモン、ニンニク、マスタードなどの調味料もアレルギー症状の改善に効果があるとのこと。調理の際にこういったスパイス類を意識的に使ってみてはいかがでしょうか?

子供も花粉症? 花粉症の低年齢化の理由と見分け方


■花粉症は「大人の病気」ではない

 Q:うちの息子は2歳です。鼻水がずっと出て止まらないので小児科にいったら、「花粉症です」と言われました。以前、「小さい子供は花粉症にはならない」と聞いたことがあるので信じられません。そんなことがあるのでしょうか? 教えてください。

 A:お答えします。花粉症の知識と対処法でも触れたように、花粉症をはじめとするアレルギーは、アレルゲンに触れれば触れるほど発症しやすくなります。

そのため、以前はスギ花粉が大量に飛散するようになってから何度もスギ花粉に接触した大人に多く、子供、特に小さな子供は花粉にそれほど接触しないため、花粉症の発症は少ないと言われていました。

 ところが最近の調査では花粉症の低年齢化が進み、2~3歳ごろから花粉症になる子供がいます。その理由は、スギ花粉が最近増加傾向にあるため小さいころから大量に花粉を吸い込んでいること、そして花粉とともにアレルギーを悪化させるさまざまな要因の影響が考えられています。

特に小さな子供の場合、症状をうまく伝えられず、花粉症が放置されるケースもあるとか。長期間にわたって症状が続くと、集中力がなくなったり成長面でも好ましくありません。「花粉症かな?」と思ったら、早めに医師の診察を受け、対策を考えることをお勧めします。

■花粉症でも、くしゃみ・鼻水が出るとは限らない?

 花粉症の症状というと、どんなものを思い浮かべられるでしょう? すぐに思い浮かぶのは、くしゃみ・鼻水・鼻づまりではないでしょうか?

 ところが、2~3歳の小さい子供の場合、これらの症状が出てこないこともありますので注意が必要です。花粉のシーズンに、下のような症状があれば「花粉症?」と疑う必要があります。

・鼻づまり(鼻をすする・いびきをかく)
・咳(花粉症で咳が出ることがあります)
・目や鼻をよくこする
・顔をしかめる
・目の周りが赤くはれる

 これらの症状に気づかれたら、医師の診察を受けたり、花粉症の予防・治療法を参考に対策を考えましょう。

症状もピタリ 花粉症の「眠気」とおさらばのオススメ薬


花粉症の記者は今、日中眠くて仕方がない。

「花粉症の薬は、花粉が飛散する前から飲まないと効き目がよくない」と取材で何度も聞いているので、すでに薬を飲み始めているからだ。

「比較的眠気が少ないものを」と医師に伝えて処方してもらっているが、それでも眠い。あまりにつらいので、一度、薬を飲むのをやめたことがあった。すると、花粉が飛散し始めた途端、くしゃみの連発と鼻詰まりによる息苦しさで、日々が地獄のようだった。

 また、市販薬で花粉症の時季だけ何とか対処しようとしたこともあったが、効き目がイマイチなのに、眠気が強く、これまた地獄のようだった。

 仕事に悪影響が出そうな眠気が、毎年3月と4月の2カ月間続く。何とかならんかと思っていた記者に、「眠気の副作用がなく、ピタリと花粉症の症状を止める方法」を教えてくれたのが、自身もひどい花粉症だという「石井クリニック」(埼玉・北浦和)の石井泰憲院長だ。その方法を紹介しよう。

「花粉症の薬は何種類もありますが、ほとんどに抗ヒスタミン剤が含まれているので、どうしても眠気が生じます。しかも、花粉症の症状が出る前から飲まなくてはならないのがナンセンス。

私も使っていて、患者さんにも勧めているのは、漢方薬の小青竜湯です。即効性があり、眠気などが起こらない」

■「必要な時だけ」でOK

 石井院長は泌尿器科専門医であり、漢方専門医だ。患者の大半は主に泌尿器科疾患を抱えている人だが、花粉症のシーズンになると、「耳鼻咽喉科で処方されている薬では、眠くて仕方がない。効き目も弱い。

ほかにいい薬はないか」と相談されることが非常に多い。そういう時は小青竜湯を勧め、さらに「毎日飲むのではなく、朝のニュースで流れる花粉症の飛散量情報をチェックし、今日はマズイと思ったら飲むように」とアドバイスするという。

「私や患者さんの経験から、小青竜湯は、服用して10~15分ほどで効いてきます。保険適用になっているのは1日3包ですが、1日6包くらいまでなら、副作用の心配はありません。

まず1包服用し、効き目が弱いと思ったら、さらに1包追加する。昼も同じです。夕方以降は、花粉の飛散量はぐっと減りますから、症状が出なければ服用しなくていい」

 雨が降っている時も、夕方以降と同様に花粉の飛散量は少ない。

「飲むか飲まないか、朝の花粉飛散量情報で決められるのが、小青竜湯のいいところです。花粉症が治る病気なら薬を早めに飲み始めるなどの対策もいいが、現在は対症療法しかない。それに合っているのが小青竜湯なのです」

 鼻詰まりには一般的にはステロイドが入った点鼻薬が処方されるが、石井院長は血管収縮作用の成分を含む「ナシビン」という点鼻薬を勧める。

「鼻詰まりは、鼻の中の炎症で血管が拡張して起こる。それを収縮させるのがナシビンです。小青竜湯と同様に、即効性があります。昔からある薬なので、ステロイドが入った点鼻薬と比べてはるかに安い。そのため、耳鼻咽喉科ではあまり処方されない傾向があるようです」

 石井院長は花粉症で薬を服用したが、眠くて仕事にならなかった経験があるという。それがきっかけで、眠くならず、効果の高い薬を探すようになった。行き着いたのが、小青竜湯とナシビンなのだ。

 今年はこれでいくか。

眼科医に聞く、花粉症の「目のかゆみ」対策。水道水や洗眼液はNG。では何で洗えば?


毎年この時期になると多くの人を悩ませる花粉症。今年の花粉は2月上旬から飛びはじめており、3月中旬には多くの地域でピークを迎えるそうです。

目がかゆくてしかたがないとき、どのようにケアすればいいのでしょうか。道玄坂糸井眼科医院院長の糸井素純先生に伺いました。

■花粉を洗い流すなら「使い切りタイプのソフトコンタクト用点眼液」

「目がかゆいからといって、目をこすると刺激でかえってかゆみが悪化したり、目を傷つけたりする恐れがあります。また、『花粉を洗い流したいから』水道水で何度も目を洗うこともおすすめしません。目を保護している涙の成分を洗い流し、目が傷つきやすくなってしまうんです」(糸井先生)

洗眼液で目を洗うのはどうでしょうか?

「市販の洗眼液は防腐剤がしっかり入っていることが多く、目に負担をかけるため、できれば避けたほうがいいですね。どうしてもつらい場合は使い切りタイプのソフトコンタクトレンズ用点眼液がおすすめです。

1回分ずつパッケージされ、防腐剤が入っていないため、目に負担をかける心配もありません。1回分で、目の表面についた花粉を十分洗い流すことができます」(糸井先生)

ただし、同じ目薬でも「目をすっきりさせるタイプ」は避けたほうがいいそう。

「 “すっきりクールタイプ”など清涼感のあるさし心地をうたっているものは、目をすっきりさせるための成分が刺激となり、長期に使うと慢性の炎症の原因となることがあります。

市販の目薬を使う場合は花粉症用のものを選ぶのが鉄則です。ただし、かゆみは花粉症ではなく、目の乾燥(ドライアイ)が原因という可能性も考えられます。

また、耳鼻科や内科で処方された目薬が合っていないケースもあります。目薬をさしても症状が軽減しない場合は、早めに眼科を受診することをおすすめします」(糸井先生)

■コンタクトレンズは「1日使い捨てタイプ」がおすすめ。メイクの方法も見直したい

気になるのがコンタクトレンズを使用している場合の花粉症ケアです。「花粉のシーズンはコンタクトレンズをつけず、メガネをかけたほうがいい」ともよく聞きますが、「メガネをかけたくない」「ライフスタイルを変えたくない」という女性は少なくありません。

「大切なのはコンタクトレンズを清潔に保つことです。ハードコンタクトの場合はレンズについた花粉が残らないよう、こすり洗いをしてから、しっかりすすぎます。

ただ、ていねいに洗っても汚れを完全に取り去るのはなかなか難しいものです。花粉の多い時期だけ1日使い捨てタイプのコンタクトレンズを使うのも手です。

使い捨てタイプであれば、1日ごとにレンズが新品になるので常に清潔な状態をキープしやすく、花粉症対策に役立ちます」(糸井先生)

また、何げなくしていたメイクが刺激となり、目のかゆみが増すこともあるとか。

「とくに気をつけたいのが、目のまわりで使うマスカラやアイラインです。マスカラを選ぶ場合は涙や目薬で溶けて目に入らないよう、ウォータープルーフタイプを選ぶのがポイント。アイラインは目の粘膜を覆わないようにまつげの生えぎわは避けましょう。

また、まつ毛についたファンデーションやフェイスパウダーが目薬をさすときに目に入り、刺激になってしまうことも。目薬をさす前にメイクをおとせるとベストですが、難しい場合はしっかりと目を開け、メイク成分が目薬と一緒に流れ込まないよう気をつけましょう」(糸井先生)

「花粉症」で一番つらいのは起床時 「モーニングアタック」の対策は?


春めく陽気とともに、花粉症の季節が近づいてきた。憂鬱になる人も多いだろうが、この鼻炎の症状の程度が1日の中でも時間帯によって差があることをご存じだろうか。

アレルギー用薬「アレジオン10」を販売するエスエス製薬が2013年12月におこなった調査によると、花粉症に悩む人が「症状が一番ひどい」と感じるのは、「朝の起床時」である場合が多いことがわかった。

■眠くなりにくい抗アレルギー薬も登場

「特に決まっていない」という人を除くと、症状が一番ひどいと感じるのは「起床時」が22.4%でトップ。起床時はたいてい屋内にいることを考えれば、少々意外な結果だ。この理由を、エスエス製薬は「自立神経のバランスの乱れが主な原因と考えられています」と説明する。

自律神経が夜間の副交感神経から日中の交感神経に切り替わるときに、両者のバランスが一時的に乱れてアレルギー症状が出やすくなるそうだ。

この「モーニングアタック」(朝の発作的な鼻炎症状)を軽減するには、夜に服用するタイプのアレルギー専用の鼻炎薬を服用することが重要という。

ただ、こうした抗アレルギー薬には、成分である抗ヒスタミン剤がもたらす「眠気」という副作用のイメージがついてまわる。朝に効果が出るよう服用することに気のひける人も多いかもしれない。

しかし最近では「第2世代抗ヒスタミン薬」というのが主流になっていて、その中でも「非鎮痛性」とされるものは、抗ヒスタミン薬の成分が脳に入りにくくなっている。

抗アレルギー薬にありがちな集中力や判断力、作業能率の低下いった状態になりにくいものもあるという。

眼科医に聞く、花粉症の「目のかゆみ」対策。水道水や洗眼液はNG。では何で洗えば?


毎年この時期になると多くの人を悩ませる花粉症。今年の花粉は2月上旬から飛びはじめており、3月中旬には多くの地域でピークを迎えるそうです。

目がかゆくてしかたがないとき、どのようにケアすればいいのでしょうか。道玄坂糸井眼科医院院長の糸井素純先生に伺いました。

■花粉を洗い流すなら「使い切りタイプのソフトコンタクト用点眼液」

「目がかゆいからといって、目をこすると刺激でかえってかゆみが悪化したり、目を傷つけたりする恐れがあります。また、『花粉を洗い流したいから』水道水で何度も目を洗うこともおすすめしません。目を保護している涙の成分を洗い流し、目が傷つきやすくなってしまうんです」(糸井先生)

洗眼液で目を洗うのはどうでしょうか?

「市販の洗眼液は防腐剤がしっかり入っていることが多く、目に負担をかけるため、できれば避けたほうがいいですね。どうしてもつらい場合は使い切りタイプのソフトコンタクトレンズ用点眼液がおすすめです。

1回分ずつパッケージされ、防腐剤が入っていないため、目に負担をかける心配もありません。1回分で、目の表面についた花粉を十分洗い流すことができます」(糸井先生)

ただし、同じ目薬でも「目をすっきりさせるタイプ」は避けたほうがいいそう。

「 “すっきりクールタイプ”など清涼感のあるさし心地をうたっているものは、目をすっきりさせるための成分が刺激となり、長期に使うと慢性の炎症の原因となることがあります。

市販の目薬を使う場合は花粉症用のものを選ぶのが鉄則です。ただし、かゆみは花粉症ではなく、目の乾燥(ドライアイ)が原因という可能性も考えられます。

また、耳鼻科や内科で処方された目薬が合っていないケースもあります。目薬をさしても症状が軽減しない場合は、早めに眼科を受診することをおすすめします」(糸井先生)

■コンタクトレンズは「1日使い捨てタイプ」がおすすめ。メイクの方法も見直したい

気になるのがコンタクトレンズを使用している場合の花粉症ケアです。「花粉のシーズンはコンタクトレンズをつけず、メガネをかけたほうがいい」ともよく聞きますが、「メガネをかけたくない」「ライフスタイルを変えたくない」という女性は少なくありません。

「大切なのはコンタクトレンズを清潔に保つことです。ハードコンタクトの場合はレンズについた花粉が残らないよう、こすり洗いをしてから、しっかりすすぎます。

ただ、ていねいに洗っても汚れを完全に取り去るのはなかなか難しいものです。花粉の多い時期だけ1日使い捨てタイプのコンタクトレンズを使うのも手です。

使い捨てタイプであれば、1日ごとにレンズが新品になるので常に清潔な状態をキープしやすく、花粉症対策に役立ちます」(糸井先生)

また、何げなくしていたメイクが刺激となり、目のかゆみが増すこともあるとか。

「とくに気をつけたいのが、目のまわりで使うマスカラやアイラインです。マスカラを選ぶ場合は涙や目薬で溶けて目に入らないよう、ウォータープルーフタイプを選ぶのがポイント。アイラインは目の粘膜を覆わないようにまつげの生えぎわは避けましょう。

また、まつ毛についたファンデーションやフェイスパウダーが目薬をさすときに目に入り、刺激になってしまうことも。目薬をさす前にメイクをおとせるとベストですが、難しい場合はしっかりと目を開け、メイク成分が目薬と一緒に流れ込まないよう気をつけましょう」(糸井先生)

眼球を取り出して洗いたい! 花粉症の目のかゆみ、どうすればよくなる?


女性の多い、とあるオフィス。ここは、いつも和気あいあいアットホームな雰囲気。でも、やはりそこは働く女性ゆえのお悩みが。仕事のストレスやデリケートなカラダの悩みが尽きないお年ごろ。

女同士だから話せる悩み満載のヒソヒソトークに、あなたも共感するかも!?

V美「こんにちは。よろしくお願いします。U子と同じで花粉症なんですが……」
丸山先生「ちょっと症状が重そうですね。目はかゆい?」

V美「すごくかゆいです。鼻もつまるんですが、目がかゆいのがツラくてそれどころではない、というぐらいです」
丸山先生「ちょっと目を見せてください。……まぶたと眼球の結膜が充血していますね。点眼薬などは使っていますか?」

V美「眼科でもらったアレルギー性結膜炎の点眼薬を使っています。毎年、この点眼薬でだいぶ楽になるんですが、今年はいつもより効かなくて……」
丸山先生「ほかに気になるところはありますか?」

V美「いつもより喉が渇く気がしますが、それ以外は特にありません」
丸山先生「ふむふむ……」

V美さんの体質や体の悩みをまとめると……

・毎年花粉症で目がかゆくなる

・眼科でアレルギー性結膜炎の診断。点眼薬をもらっている

・今年は点眼薬をしてもかゆみがある。涙も出る

・目の周囲がむくんでいる

・鼻もつまるが、目がかゆくてそれどころではない

・いつもより喉が渇く気がする

・もともと体力はあるほうで、病気といったら花粉症くらい

初期症状はそっくり! 花粉症と風邪の見分け方


花粉症の初期症状は風邪と似ていて、気付いたときには重症化していることも......。花粉症と風邪の見分け方をご紹介します。

大人になってから突然発症することもある、花粉症。現在、4人に1人が花粉症とも言われています。初期症状が風邪に似ていることもあり、対策が遅くなることもあるそうです。そんな、花粉症と風邪の見分け方はこちら。


とくに花粉症に表れる症状


1、くしゃみ

立て続けに何回も出る。風邪では、あまり立て続けには出ない。

2、鼻水

透明でさらさらしている。 風邪では、初めはさらさらでも、数日で黄色くなってネバネバしてくる。

3、鼻づまり

両方の鼻がつまり、鼻で息ができないこともある。風邪では、比較的症状は軽い。

4、目のかゆみ

目がとてもかゆく、涙が出ることもある。風邪では、目のかゆみはほとんどない。

「シオノギ製薬」より引用

どれも風邪に近い症状ばかりですが、目のかゆみなら、早い段階で気付けそうですね。

「花粉症になるはずがない、なりたくない」と思っていると、自己判断で風邪だと決めつけてしまいそうですが、対処が遅れると症状が悪化してしまうことも。おかしいなと感じたら、早めに病院に行った方が良さそうです。

本格シーズンはすぐ 花粉症は自覚症状が出る前に「目薬」を


大雪の影響か、例年に比べて花粉症に苦しむ人は少ないように見えるが、本格的な花粉シーズンはこれから。苦しみたくなければ、自覚症状の出ていない今こそ、対策が必要だ。

 花粉が目に入るとすぐに目がかゆくなると思っている人がいるが、間違いだ。花粉が破裂(ハッチアウト)して中のタンパク質が飛び散り、それが涙に溶けて結膜で何段階もの化学反応を繰り返す。その刺激で肥満細胞からヒスタミンが分泌されてかゆみが起きるのだ。

「だからこそ、花粉症で目がかゆくなる人は、化学反応が繰り返される前、つまり、症状が出る前に目薬をさすことが大切なのです」

 こういうのは東京都眼科医会学術委員の眼科専門医で「清澤眼科医院」(東京・南砂)の清澤源弘院長だ。

「自覚症状のない、早い段階で目薬をさすことで、かゆみの程度を軽減させ、かゆくなる時期を遅くできます。本来はかゆみが出始める2週間前から予防的に目薬をさすことが望ましいのですが、目のかゆみが出ていない人は今から始めてもある程度の効果は望めるでしょう」

 問題はどんな目薬を使うかだ。

 そもそも花粉症による目のかゆみを止めるには2つの手法がある。

 ひとつはヒスタミンブロッカー。肥満細胞などに貯蔵されているヒスタミンが遊離、体のさまざまな部分にアレルギー症状を起こす前に、ヒスタミンをブロックする方法。もうひとつはアレルギーに関連する化学伝達物質の遊離・放出を抑制する方法だ。

 その両方の働きをするとして登場したのが参天製薬の「アレジオン」だ。

「眼科専門医の間で話題ではありますが、値段が高いという難点があります。ですから、それぞれの作用を持った2種類の目薬を使うという方法もあります」(都内の別の眼科専門医)

 また、目薬は酸性とアルカリ性の強さを示すpH(0~14)が7に近いほど、花粉が涙の中に入ったときにハッチアウトされにくい。 目薬のpH表示にも気をつけよう。

 すでにかゆみが出た人はどうすればいいのか?

「フルメトロンやリンデロンといったステロイド入りの点眼薬を併用すれば、とりあえずのかゆみは止められます。ただし、眼圧が高くなりやすいので白内障、緑内障の人は注意が必要です」(清澤院長)

 人によっては花粉症からドライアイになり、いっそう目がかゆくなり、充血することがある。
 原因のひとつはまつげの縁にある数十個の分泌腺で、涙の表面を覆う油脂成分を分泌する、マイボーム腺が詰まるためだ。

「これを解消するには目を温めて、ベビーシャンプーなどでまぶたを洗い、シャワーをかけることです。まぶたの清潔操作をすることは大切です。ただし、目そのものを洗うことはお勧めしません。

眼球の表面はムチン、水、脂でつくられていて、眼球を守っています。目を洗うとその保護的な膜が壊されるからです。最近、水泳の後に目を洗うことが奨励されなくなったのもそのためです。それより、花粉予防のメガネやマスクをする方がいいでしょう」(清澤院長)

 また、花粉症の人はシーズン中はコンタクトをやめた方がいい。

「花粉を角膜ですりつぶしてしまうコンタクトはやめましょう。ハッチアウトが増えるからです。花粉によるかゆみがなくなるまでメガネにすることをお勧めします」(清澤院長)

8割以上がニセモノ!? 危ないサプリをどうやって見分ける?



FC2 Analyzer健康を維持するために必要な栄養素を効率よく摂取できるサプリは、いまや我々が生活していくなかで欠かせない存在になっている。しかし、市販されているサプリ151品目のうち、129品目がニセモノだと知ったらどうだろう?

8月24日に発売された『そのサプリ、危険です! 本物サプリの正しい選び方』(柴田 丞/経済界)によると、サプリの中には恐ろしいものや危険なものもたくさんあるというのだ。

一体、どんな危ないサプリがあり、どうすれば見分けられるのだろうか。同書から紹介しよう。

 サプリを買うときに、まず参考にしてしまうのが宣伝文句。だが、それが落とし穴らしい。そもそも、サプリは医薬品とは違うので「○○に効く!」とか「○○○がすぐに治る!」「これを飲めば血液がサラサラに!」といったように、効能や効果をダイレクトに謳うことができない。

しかし、平成23年5月に東京都福祉保健局が発表した情報によると、「販売店で購入した製品では、88品目中75品目」「インターネット通信販売で購入した製品では、63品目中54品目」に不適正な表示・広告が見られたというのだ。

世間に出回っているサプリのなんと8割以上で、不当な表示や広告といった虚偽記載が行われていたということになる。

 また、サプリには多くの添加物も使われている。たとえば、形を作るための「賦形剤」や、錠剤を固めるノリのような役割を果たす「結合剤」、錠剤を体内で崩壊させ成分を吸収しやすくするための「崩壊剤」、製造過程において錠剤が機械にへばりついたりしないようにするための「滑沢剤」などがそれだ。

しかも、市販のサプリの場合、この添加物が50%から多いものになると90%を占めるなんて情報も。そうとは知らない人々が、体にいいと思ってサプリを摂取すればするほど、同時に添加物も取り込むことになっていたのだ。

 実は、そんな添加物の量を見分ける方法もある。パッケージに書かれた「1錠あたりの質量」をチェックして「栄養成分の含量」を引けばいいのだ。

しかし、多くのメーカーがこのような計算をされることを嫌がるので1錠の質量を記載していないそう。これでは、危険なサプリを避けるのも一苦労だ。

 さらに、サプリには合成と天然のものがあるのだが、特に合成ビタミンには注意が必要だ。これは用量や用法を守って服用しなければならない。ビタミンを補うためにと用量や用法を守らずに大量に摂取してしまいがちだが、天然か合成かの違いだけで体に与える影響は大きく変わってくる。

そして、もちろん天然の方が望ましいのだが、天然ならなんでもいいわけでもない。2008年にはサプリの原料に使われた「マカ」が放射線照射されていたとして、商品を回収する騒ぎが起きた。

日本ではビール会社や化粧品メーカーのように、原料を仕入れてサプリを作っているところが多いので、原料に関しては把握できていないこともある。

 こんなにたくさんの危険なサプリが出回っている現状だが、それでも食事だけで補えないものや体内で作れないものを摂取するためにはサプリに頼るしかないという面もある。

だからこそ、こういったチェックポイントを押さえながら151品目の中にある本物の22品目を見抜く力を身につける必要がありそうだ。

子どもにジュース1本は飲ませすぎ!「1日の砂糖摂取量」の上限とは


ジュースは子どもの大好きな飲み物の1つですよね。しかし、ジュース1本を飲むだけで、1日分の砂糖の摂取量を超えてしまうって知っていましたか?

というのも昨年、WHOが「砂糖などの糖類は一日に摂取するカロリーの5%未満に抑えるべき」という指針を発表しました。

それに加え、厚生労働省より、健康対策の一環として2020年までに、たばこ、酒、砂糖などへの課税強化を求める提言案がでているのです。

課税は嫌ですが、まずは肥満や虫歯の予防のため、WHOの砂糖の摂取量指針、“カロリーの5%未満”というのはどれくらいなのか管理栄養士の筆者がご紹介します。

■摂取するカロリーの5%ってどれくらい?

今回制限対象となっている糖類は、砂糖に多い二糖類と、ジュースやお菓子に多い単糖類です。これらを摂取するカロリーの5%以内にすれば肥満や虫歯を防げるということですが、実際どれくらいが5%にあたるのでしょうか。

(1)幼児・高齢女性

幼児や高齢女性は平均的に1,500kcal/日ほど摂取しています。そうすると、18gの砂糖が1日の上限量。

子どもが大好きなオレンジジュースやいちごオレはコップ1杯(200ml)飲めば、1日の量に達してしまいます。ましてや、500mlペットボトルでは上限をあっという間に超してしまいます。

(2)小学児童・成人女性・高齢男性

小学生や成人女性、高齢男性は平均的に2,000kcal/日ほどを摂取しています。そうすると、25gの砂糖が1日の上限量。

炭酸ジュースでコップ1杯、アイスクリームは半カップ(100g)で1日分の砂糖が摂れてしまいます。ショートケーキを1個食べれば、簡単に上限量を超してしまいます。

(3)中学児童・成人男性

中学生や成人男性は平均的に2,500kcal/日ほど摂取しています。そうすると、31gの砂糖が1日の上限量。

炭酸ジュースはコップ1.5杯飲めるものの、500mlのペットボトルでは上限量を越してしまいます。350mlの缶ジュースでさえ、少々上限量を超してしまいます。

■子どもが大好きなあの調味料にも糖類がたくさん!

お菓子に砂糖が多く使われていることはよくご存知かと思いますが、実は普段使う調味料にも砂糖が使われているものが多くあり、知らず知らずのうちに糖類をとっていることがあります。

例えば、子どもが好きなオムライスやナポリタンに使う“ケチャップ”。大さじ1杯でおおよそ角砂糖1個分、4gの砂糖が含まれています。

オムライスにはケチャップが50gほど使われるので、幼児や高齢女性はオムライスを食べただけで1日分の糖類を摂取したことになります。

さらにナポリタンには、ケチャップ60gに砂糖も加わるので、小学児童、成人女性、高齢男性の1日分の糖類が摂れてしまいます。

他にも、すし酢やドレッシング、みりんなどにも糖類が含まれているので、調味料の使いすぎにも気をつけたいですね。

■子どもにオススメのおやつ

しかし、子どもも大人も、おやつは楽しみでもあります。食べたいときは、糖類の少ないものを選んで食べるようにするのがオススメです。

カルシウムの補給にもなるチーズや無糖のヨーグルト、顎を鍛えるナッツ類やシリアルバー、玄米クッキーなど、糖類が少ないお菓子もたくさんあります。

ご家庭で砂糖の量を調整して手作りのお菓子や、果物を絞って果汁ジュースを作るのもいいですね。

いかがでしたか? 今回はこれから税金がかかるかもしれない糖類についてご紹介いたしました。

昔は砂糖は贅沢品とされ、砂糖消費税が課されていましたが、平成の消費税導入とともに廃止された税金です。

肥満が問題となっている昨今は、健康リスクに対して砂糖税がかかってくるかもしれません。

健康のためにも、今から5%以内の糖類摂取を心がけるのもいいですね。

痛みが出始めたらすぐに服用ーーメーカーに聞いた「鎮痛剤」の正しい飲み方


© 女性自身

頭痛や生理痛に苦しむ女性の味方となる鎮痛剤。だが、使い方を誤ると、十分な効果が得られない場合も。ワクチンの副反応対策で身近になった薬の正しい使い方を知ろうーー。

コロナ禍による精神的ストレスや、テレビ・スマホによる肩こりや首こり、マスク習慣などが要因となり頭痛に苦しむ人が増えているという。さらにワクチンの副反応への対応で、ふだん使っていなくても鎮痛剤を使ったという人も多いだろう。

「ワクチンによる副反応が出た場合に、手軽に購入できる鎮痛剤で頭痛や発熱などの症状をやわらげることは問題ありません。しかし、副反応が出る前から予防的に鎮痛剤を飲むのは避けるべきです。『薬物乱用頭痛(正式名称・薬剤の使用過多による頭痛)』の第一歩になりかねません」

そう語るのは、慶應義塾大学医学部の元教授で、湘南慶育病院の鈴木則宏院長だ。頭痛研究の第一人者である鈴木先生が薬物乱用頭痛について解説する。

「市販されている鎮痛剤は大きくわけて、エヌセイズ(NSAIDs)と呼ばれる非ステロイド性抗炎症薬と、アセトアミノフェンの2種類ありますが、薬物乱用頭痛はこれら鎮痛剤を常用して起こる慢性頭痛です。鎮痛剤は頭痛以外にも腰痛や歯痛などさまざまな痛みに対して常用されますが、薬物乱用頭痛は片頭痛や緊張型頭痛を抑えようと鎮痛剤をひんぱんに服用している人に生じます。薬物乱用頭痛のメカニズムはよくわかっていませんが、頭痛を抑えようと薬を飲んでいるのに、その薬によって頭痛が慢性化。さらに薬に頼ってしまうという悪循環を招いてしまうのです」

一般的にアセトアミノフェンの鎮痛剤よりも、即効性と効き目が高いといわれるエヌセイズの鎮痛剤。ワクチンの副反応への対応で使われることが多いのも、このタイプの鎮痛剤だ。

エヌセイズの鎮痛剤「ロキソニンS」を販売している第一三共ヘルスケア・マーケティング部のブランドマネージャー土合桃子さんは仕組みを次のように語る。

「エヌセイズは、痛みの原因物質である『プロスタグランジン』の産生を抑制する働きがあります。『即効性がある』『頭痛・発熱に効く』という特徴がある一方、胃酸から胃を守る粘液分泌なども抑制するため、腹痛や胃部不快感などの副作用が出ることもあります。ロキソニンSは胃への負担が少ない特徴も持ち合わせていますが、もし症状が出たら注意が必要です」

鎮痛剤の購入者の8割以上が女性で、購入目的の72%が頭痛への対応だという。薬物乱用頭痛については、どのような警鐘を鳴らしているのだろうか?

「市販の鎮痛剤は、定められた用法・用量を守って使用することを前提でつくられています。まず、それを守っていただくこと。そして、正しく服用しているのに痛みが治まらなかったり、1カ月の服用日数が10日以上になったりする場合は、病院を受診していただくように発信しています。また予防的に服用はしないことも呼びかけています」

どう使うと、効果的なのか。

「鎮痛剤は痛みそのものをなくすのではなく、あくまでも痛みの原因物質がそれ以上産生されないようにするもの。原因物質が体の中で増え過ぎると、鎮痛剤を服用しても効果が実感しにくくなることもあるので、痛みを感じたらすぐに使用するようにしてください」

正しく使えば、苦しい痛みを軽減してくれる鎮痛剤。次のポイント5を守って、症状が出たら迷わず使おう。

■鎮痛剤を使うときの5つのポイント

【1】予防的に鎮痛剤を服用しない

痛みが出てから服用する。痛みは我慢せずに、すぐに服用する。

【2】定められた用法・用量を守る

服用する錠数、次に服用するまで空ける時間を守る。

【3】月に10日以上鎮痛剤は飲まない

頭痛が月10日以上ある場合は、医師の診察を受けよう。

【4】頭痛日記(服用薬・痛みの症状)をつける

痛みの出るタイミングや原因がわかる可能性がある。

【5】痛みが治まらなければ、頭痛専門医を受診する

重病の場合もあるので要注意。

これが鎮痛剤との上手な付き合い方だ。

市販薬でも流通する「解熱鎮痛薬」の副作用 胃潰瘍や腸閉塞に注意


歳を重ねるごとに重くのしかかってくる“多剤併用”の問題。厚生労働省によると、75歳以上の4割以上が「5種類以上」の薬を飲んでおり(2020年)、加齢により薬の代謝などの機能が衰え、体内に留まりやすくなる高齢者ほど多くの薬を飲んでいる現実がある。

 多剤併用は身体への負担が大きいため、薬を減らしたい人は多いだろう。だが、患者自身の判断で安易にやめる薬を決めるのは、現在の症状の悪化を招きかねず危険だ。そこで普段、患者に薬を処方する立場にある医師に、「飲みたくない薬」「飲まない薬」を聞いた。

 腰や膝、筋肉などに痛みがある時や、発熱時に服用する機会が多い解熱鎮痛薬。市販薬としても流通するロキソプロフェンナトリウム水和物やジクロフェナクナトリウムなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、その効果の高さから処方を求める患者が多い。

 しかし、国際医療福祉大学病院内科学・予防医学センター教授の一石英一郎医師は、消化器内科の立場から副作用の問題を指摘する。

「昔から非ステロイド性抗炎症薬は副作用のNSAIDs潰瘍(胃潰瘍)を起こすことで知られています。

 薬の作用で炎症が少なくなる反面、胃の粘膜が傷付きやすくなる。腰痛などで処方されたロキソプロフェンを飲み続けた高齢の患者さんが、腹痛を訴えて来院したこともある」

 また、厚労省は2016年、同薬の添付文書の「重大な副作用」に〈小腸・大腸の狭窄・閉塞〉を追加するよう指示を出している。

「厚労省によると、3年間で5人に副作用と見られる腸閉塞などの症状が出たそうです。死亡例はないものの、因果関係が否定できないとされる。

 今後、もし必要なら、私は同じ解熱鎮痛薬のアセトアミノフェン製剤を服用するつもりです」

※週刊ポスト2021年12月17日号

日本製ジェネリック薬の「降圧剤」を飲まなくなった医師の見解


日本製ジェネリックを飲まなくなった理由は?(永井敦医師)© NEWSポストセブン 提供 日本製ジェネリックを飲まなくなった理由は?(永井敦医師)

「とりあえず薬を出しましょう」。不調を感じて病院を受診した際に、多くの人がそう言われた経験を持つのではないか。このような“とりあえず”の処方には注意が必要だ。国際医療福祉大学病院内科学・予防医学センター教授の一石英一郎医師が言う。

「薬には、現在の症状を改善し緩和する効能などのメリットと、新たな症状が生じる副作用のデメリットが必ず存在します。その両方を天秤にかけ、患者にとってのベネフィット(利益)が副作用のリスクに勝る時だけ、薬は飲まれるべきで、服用を始める際には慎重な検討が必要です」

 厚労省によると、75歳以上の4割以上が「5種類以上」の薬を飲んでおり(2020年)、加齢により薬の代謝などの機能が衰え、体内に留まりやすくなる高齢者ほど多くの薬を飲んでいる現実がある。

 こうした「多剤併用」は身体への負担が大きいため、「薬を減らしたい」という人は多いだろう。だが、患者自身の判断で安易にやめる薬を決めるのは、現在の症状の悪化を招きかねず危険だ。

 そこで普段、患者に薬を処方する立場にある名医に、「飲みたくない薬」「飲まない薬」を聞いた。

薬を替えて気づいた降圧剤の「苦味」

 川崎医科大学附属病院病院長の永井敦医師は持病に高血圧があり、降圧剤のカルシウム拮抗薬(アムロジピンOD)を飲んでいる。

「もともとは日本製ジェネリック薬を飲んでいましたが、2020年に相次いで発覚したジェネリック製造会社の不正問題を受けて、海外製の(先発薬と原薬や添加物、製造方法などが同じ)オーソライズドジェネリック薬に切り替えました。

 するとまったく苦味を感じず、飲みやすかった。唾液で溶かすOD錠は苦味があるとものすごくつらい。服用後に食事をしてもまだ苦味が残っていた日本製ジェネリックはもう飲みたくないですね。苦味を感じなくなるだけで薬への抵抗感が消え、QOLが改善します」

 永井医師には、ほかにも飲みたくない薬がある。

「ロキソプロフェンナトリウム水和物(非ステロイド性抗炎症薬)は解熱鎮痛薬として一時的に飲むのは問題ないですが、腎機能障害や腎不全の副作用があることから、長期で漫然と飲みたくありません。

 また、総合かぜ薬の非ピリン系感冒剤はかなり眠気が来るので、服用後は運転などができないうえ、男性の場合、前立腺肥大症があると排尿障害が出たりするので飲みません」

※週刊ポスト2021年12月17日号

薬と健康食品・サプリの併用リスク ウコンやセサミンにも注意が必要


 身体の不調を治すために飲んでいるはずの「薬」が、「一緒に口にするもの」によっては “毒”にもなる。複数の医療機関や薬局にかかることで、薬の組み合わせ次第では効き過ぎてしまったり、思わぬ副作用が出たりするケースがある。健康の維持・増進目的で摂取するサプリや健康食品にも、薬の作用を強めたり、反対に弱めてしまうものがある。


「サプリは薬ではないから大丈夫だろう」と自己判断し、患者から医師に報告しないことが多い。国際医療福祉大学病院内科学・予防医学センター教授の一石英一郎医師は、こんな体験をしたという。


「60代男性患者に胃カメラで生検中、出血がダラダラと止まらなくなりました。男性は抗血小板薬のアスピリンを服用中でしたが、生検程度で血が止まらなくなることはありません。よく聞くと、イワシのサプリ(EPA)を一緒に飲んでいるとわかった。EPAと抗血小板薬を併用すると、血をサラサラにする作用が増強され出血のリスクが高まります。男性は、『サプリは申告する必要はないと思った』そうです」


 日本健康食品・サプリメント情報センターの宇野文博理事は「サプリは食品だから関係ないという誤解がいちばん怖い」と語る。「サプリや健康食品が身体に効く=作用しているのであれば、医薬品との相互作用を考えなければなりません。しかし、日本では医薬品とサプリの相互作用について細かいチェックができていないのが現状です」

セサミンでふらつく

 同センターは約1200種類のサプリや健康食品について、成分の有効性や安全性、医薬品との相互作用などの科学的根拠について研究論文をもとに統計的な評価をし、サプリと薬の「危ない飲み合わせ」をまとめている。


 危険度が低いものから「併用禁忌」のものまで様々だが、コンビニやドラッグストア、通販などでお馴染みのサプリも多い。


「肝臓に良い」と言われ、成分入りのドリンク剤などが広く利用されているウコンは、抗凝固薬・抗血小板薬との併用で出血のリスクが、糖尿病治療薬との併用で低血糖のリスクがある。


 疲労回復や老化防止など、さまざまな健康効果を期待して摂取されるコエンザイムQ10は、降圧剤との併用で血圧が過度に低下する恐れがある。ゴマに多く含まれる酵素で人気サプリのひとつであるセサミン。老化予防のために飲んでいる人が多いが、こちらも同様に降圧剤との飲み合わせには注意が必要だ。銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘氏が語る。


「セサミンには血圧を下げる効果が期待されますが、降圧剤と併用すると過度に血圧が下がりすぎてしまいめまいやふらつきなどの原因になる可能性があります」関節痛などに悩む人が症状緩和を期待して摂取するグルコサミンには、抗凝固薬(ワルファリン)との併用で出血のリスクがある。


「グルコサミンはワルファリン製剤との併用で薬の作用が強まり出血のリスクが高まると報告されています。また、EPAやイチョウを含むサプリと抜凝固薬を併用すると胃潰瘍や脳出血による小さな出血でも血が止まらなくなるリスクが高まります。


特に手術時にサプリの摂取状況について医師らに伝えないと、血が止まりにくくなり命に関わることがあります」(医薬情報研究所エス・アイ・シー取締役で薬剤師の堀美智子氏)誰もが手軽に購入できるサプリだけに、医師への相談はこまめにしたい。

意外と危ない「薬と食事」の組み合わせ グレープフルーツ、リンゴに注意


「薬と薬」、あるいは「薬と健康食品・サプリ」の飲み合わせ次第では、思わぬ副作用が出ることもある。一方で、「薬と日常の食事」にも、注意すべき組み合わせが存在する。

 

アルコール類は薬の服用中は摂取しないよう指導されることが多い。例えばビールは、解熱鎮痛剤の非ステロイド性抗炎症薬との飲み合わせで潰瘍や出血のリスクが高まる恐れがある。同じくワインは、ベンゾジアゼピン系抗不安薬との飲み合わせで過度の眠気が引き起こされるリスクが高い。


 また一般的に健康なイメージのある食品にも、薬との併用でリスクが指摘されるものがある。特に危険なのがグレープフルーツだ。降圧剤(カルシウム拮抗薬)、脂質異常症治療薬(スタチン系)、ベンゾジアゼピン系抗不安薬など多くの薬との相性が悪く、いずれも薬の作用を過度に増強する恐れがある。医薬情報研究所エス・アイ・シー取締役で薬剤師の堀美智子氏が語る。


「グレープフルーツには薬物代謝酵素(CYP3A4)の働きを阻害する成分が含まれています。これを食べると薬の代謝分解が抑制され、結果、何倍もの薬を飲んだのと同じ状態になり、薬の作用・副作用が強まります。特にカルシウム拮抗薬や一部のスタチン系薬、一部のベンゾジアゼピン系抗不安薬の処方時には『食べないように』とされています」


 見落とされがちな点として堀氏は、「和製グレープフルーツとも呼ばれるぶんたん(ザボン)のほか、スウィーティ、ジャクソンフルーツにも同様のリスクがあるので注意が必要」という。

リンゴで血糖値に異変

「健康に良い」食品にも注意が必要だ。ミネラル豊富なコンブ、健康ジュースとして飲まれるノニは、それぞれ降圧剤のACE阻害薬、ARB薬との併用で高カリウム血症のリスクがある。


 納豆などの原料で植物性タンパク質が豊富な大豆は、糖尿病治療薬と合わさると薬の作用が増強して血糖値が過度に低下する恐れがあるため、「一緒に摂取する際は慎重に様子を見てほしい」(銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘氏)という。


 長澤氏が「厄介だ」と指摘するのがリンゴだ。糖尿病治療薬チアゾリジン薬の服用中は血糖値を上昇させる恐れがある。


「糖尿病治療薬の服用時は、糖の吸収を抑える働きをする食品との併用で血糖値を下げてしまう低血糖のリスクに注意が必要ですが、反対に、リンゴのように血糖値を上昇させて薬の作用を妨げるものもあります。薬を飲んでも血糖コントロールが上手くいかない方は、食べ物の影響を受けている可能性があるので、積極的に医師や薬剤師に質問すべきでしょう」(長澤氏)


コーヒーと一緒に飲むと危険な薬 体への影響も解説


健康をめぐる最新のエビデンスや、様々な情報が各国で報じられています。この記事では、M3 USAが運営する米国医師向け情報サイトMD Linxから、米国医師から特に反響の大きかった健康トピックスを翻訳してご紹介します。

※この記事は、M3 USAが運営する米国医師向け情報サイトMDLinxに2021年1月23日に掲載された記事「Danger:Don’t mix these meds with coffee」を自動翻訳ツールDeepLで翻訳した記事となります。内容の解釈は原文を優先ください。

最近では、コーヒーが健康に良いことを示す証拠が数多く発見されています。しかし、この人気のある飲み物をすべての人が安全に飲めるわけではありません。特定の薬を服用している人は要注意です。コーヒーやその他のカフェインと一緒に飲むと、悲惨な副作用が出るものもあります。

私たちの多くは朝の一杯を楽しんでいますが、研究によると、コーヒーはさまざまな薬に悪影響を及ぼす可能性があります。

ここでは、コーヒーと相互作用する8つの薬と、両方を摂取した場合の影響を紹介します。

エフェドリン
エフェドリンは、神経系の働きを活発にする刺激物です。充血除去剤や気管支拡張剤として、呼吸困難の治療に使用されます。また、低血圧、過眠症、月経異常などの治療にも使われます。

コーヒーに含まれるカフェインも興奮剤であるため、エフェドリンとコーヒーを組み合わせることは非常に危険です。メイヨー・クリニックの健康専門家は、両方の消費が高血圧、心臓発作、脳卒中、または発作につながる可能性があるため、2つの混合に対して助言しています。

抗糖尿病薬
RXList.comの記事によると、コーヒーと相互作用する抗糖尿病薬には、グリメピリド(Amarylとして販売)、グリブリド(DiaBeta、Glynase PresTab、Micronase)、インスリン、ピオグリタゾン(Actos)、ロシグリタゾン(Avandia)、その他多くの薬があります。

コーヒーは、個人によっては血糖値を上昇させ、抗糖尿病薬の効果を打ち消してしまう可能性があります。コーヒーを好んで飲む糖尿病患者は、血糖値を注意深くモニターする必要があり、これらの影響を考慮して薬の投与量を変更する必要があるかもしれません。

テオフィリン
テオフィリン(テオ24、テオクロン、ユニフィルなどの名称で販売されている)は、息切れや喘ぎを症状とする喘息、気管支炎、肺気腫などの治療に用いられます。本剤はキサンチン系薬剤であり、筋肉を弛緩させ、気道を広げ、刺激物に対する肺の反応を改善する作用がある。

メイヨー・クリニックによると、コーヒーに含まれるカフェインはテオフィリンと同様の影響を体に与えるため、この2つを組み合わせることで薬の効果が高まり、吐き気や動悸などの副作用も出やすくなるといいます。また、コーヒーはテオフィリンを体外に排出する速度を低下させるため、投与量の変更が必要になることもあります。

フェノチアジン系薬剤
フェノチアジン系薬剤は、統合失調症などの精神疾患の治療に用いられる薬剤群です。フルフェナジン(パーミチル、プロリキシン)、クロルプロマジン(ソラジン)、ハロペリドール(ハルドール)、プロクロルペラジン(コンパジン)などがある。フェノチアジン系薬剤は、重度の吐き気や中等度から重度の痛みを伴う患者さんなど、一部の患者さんの焦燥感を和らげるために使用されることもあります。

コーヒーに含まれるタンニンは、これらの薬と結合し、体内での吸収を妨ぎます。この相互作用は、薬を服用してから1~2時間以内にコーヒーを飲んだ場合にのみ発生しますが、これらの患者には慎重なモニタリングが必要です。

抗凝固剤
アスピリン、クロピドグレル(プラビックス)、イブプロフェン(アドビル、モトリンなど)、ナプロキセン(アナプロックス、ナプロシンなど)、エノキサパリン(ロベノックス)など、血液の凝固を遅らせるために使用される薬です。

健康専門家は、血液凝固を遅らせる可能性のあるコーヒーとの併用に注意を促しています。これらの薬とカフェインを混ぜると、過度の出血やあざができる可能性が高くなるとRXList.comは指摘しています。

三環系抗うつ剤
これらのうつ病治療薬には、アミトリプチリン(エラビル)とイミプラミン(トフラニール、ジャニミン)が含まれます。これらの薬は、神経伝達物質であるノルエピネフリンとセロトニンの濃度を高め、神経伝達物質であるアセチルコリンを抑制することで、脳内の化学物質のバランスをリセットし、うつ病の症状を和らげることができると考えられています。

しかし、コーヒーに含まれるタンニンが薬と結合し、体内への吸収量を制限することで、このプロセスを阻害する可能性があります。専門家は、三環系抗うつ薬の効果を確実にするために、服用後1~2時間以内はコーヒーを控えるようにアドバイスしています。

喘息治療薬
アルブテロール(プロベンティル、ベントリン、ボルマックス)、メタプロテレノール(アルペント)、イソプロテレノール(イスプレル)など、βアドレナリン作動薬は、喘息の治療に用いられます。これらの薬剤は、気道周辺の筋肉を弛緩させることで作用しますが、不安、震え、動悸、心拍数の増加などの副作用を引き起こす可能性があります。

コーヒーとβアドレナリン作動薬を同時に摂取すると、前述のような副作用を引き起こしたり、悪化させたりすることがあります。

避妊用医薬品
避妊薬の例としては、エチニルエストラジオールとレボノルゲストレル、ノルエチンドロンなどがあります。避妊薬は、体がカフェインを通常のように素早く分解するのを妨ぎます。その結果、コーヒーと一緒に避妊薬を服用すると、神経過敏、頭痛、速い心拍などの副作用が生じる可能性があります。

上記に加えて、コーヒーはビタミン剤との相互作用もあります。これらの相互作用については、MDLinxで詳しく説明しています。

他の薬との相互作用や健康上の問題がない限り、適量のコーヒーには利点もあります。いくつかの研究では、認知能力の向上、脂肪燃焼効果、運動後の回復、さらにはパーキンソン病やアルツハイマー病のリスク低下に関連しています。最近の研究では、コーヒーが慢性肝疾患のリスクを低減する可能性も示唆されています。

医師が「私はのまない」と宣言する要注意な市販薬


医師がのまない市販薬一覧

「毒にも薬にもなる」という言葉がある。病気やつらい症状を治してくれる「薬」でも、効き目が強いがゆえに、服用の量や仕方を間違えたり、個人の体質と合わなかったりすることで、逆に体調を悪化させる「毒」にもなる。薬に精通する医師たちは、どんな薬に注意しているのだろうか。


◆ロキソニンをのんで「黒い便」が出たら要注意

 頭痛や生理痛などの時につい頼りたくなるのが、痛み止め。代表的な薬である「ロキソニン」には否定的な声が複数あがった。新潟大学名誉教授の岡田正彦医師はこう話す。


「主成分の『ロキソプロフェン』は鎮痛効果がある半面、胃が荒れやすいので、病院では胃薬を一緒に処方します。市販品は胃を荒らさない工夫がされているというが心配は残る。自分ではのみません」(岡田さん)


 健康増進クリニック院長の水上治さんも胃粘膜のダメージを心配する。

「『ロキソニン』をのんで黒い便が出たら、胃から出血している疑いが。すぐに医師に相談してほしい」


◆H2ブロッカー胃腸薬で食中毒になるリスクも

 胃を守り、消化を助けてくれる胃薬も、ものによってはかえって胃を弱めてしまう。水上さんは「H2ブロッカー胃腸薬」をあげる。


「ちょっとした胃痛や消化不良の時、胃酸を抑える『H2 ブロッカー』を配合した胃薬をのむのは、避けた方がいい。胃酸が減ることによって消化力が落ちるうえ、殺菌力も弱まる。


その結果、食中毒を起こすリスクさえある。胃潰瘍になってしまったならともかく、少し胃が悪くなったからといってのむ薬ではありません」


 女性の強い味方であるはずの便秘薬も、選び方次第ではかえって悪化の原因になる。東邦大学医療センター大橋病院・婦人科の高橋怜奈医師はこう話す。


「私は『刺激性の便秘薬』は第一選択としては服用しません。大腸を刺激し、腸のぜん動運動を促すため即効性はありますが、その一方で依存しやすくなってしまう。


慢性的に服用すると腸の自然な動きがなくなってしまい、最終的には、薬なしでは便はおろかガスも出なくなる。この状態になってしまうと治療はかなり難しいでしょう」


 下痢止めも「基本的にはのまない」と回答する医師がいた。渋谷セントラルクリニック院長の河村優子さんが言う。


「ノロウイルスやO-157だった場合、薬で下痢を止めると、ウイルスがいつまで経っても体外に出ていかない。これらの病気が原因ではなかったとしても、極力、食事内容を見直したり、漢方薬を使ったりして治療します」

医師がのまない処方薬一覧

薬の「多剤処方」 医師から“漫然処方”されてないかを知るチェックリスト


「医師から漫然処方されていないか?」危険度チェックリスト

「医師から漫然処方されていないか?」危険度チェックリスト


 日本病院薬剤師会が公開した『多剤投薬の患者に対する病院薬剤師の対応事例集』(2018年2月)には、「医師の漫然投与」による多剤処方への対応事例が紹介されている。


 同事例集は、全国48の病院から多剤投薬への対応事例を収集し、33の事例を精査・分類したもの。主に入院により集中的に取り組まれた減薬の成功事例を知ることができる。


 70代の男性(別表症例)は誤嚥性肺炎で入院した際に4種類の糖尿病治療薬など計15種類の薬を日常的に服用していた。さらに脂質異常症治療薬と抗凝固薬を飲み合わせるなど、危険な飲み合わせが複数確認されたことで「断薬」に取り組んだ。


『知ってはいけない薬のカラクリ』の著者、谷本哲也医師(ナビタスクリニック川崎)が言う。


「服用していた4種類の糖尿病薬はそれぞれ他の糖尿病薬と組み合わせることで低血糖リスクが高まります。脂質異常症薬のスタチン系薬とワルファリンは併用すると抗凝血作用が増強され出血が起きやすくなる場合もある。実際、服用中にワルファリンが効きすぎて消化管出血や脳出血などで救急搬送される方がいます」


 その他、「併用注意」とされている抗不安薬と抗精神病薬も処方されるなど危険な飲み合わせが複数あった。減薬の結果、薬は入院時の15種類から9種類になったという。前出・谷本医師が言う。


「病気に合わせて薬が決まる現代医学では、複数の病気に単純に処方していくと、どうしても薬の種類が増えてしまいます。臓器別、専門別に細分化されすぎている現在の診療体系の問題もある。本来は、一人の患者さんの“全体”を診て最適な処方を決めるのが理想です」


 医療の構造的問題とも言えるが、そうした危ない処方に患者はどう対策できるのか。その一助とするべく、銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘氏監修のもと、「漫然処方チェックリスト」を掲載した。長澤氏が解説する。


「10項目のうち、3つ以上当てはまる人は要注意、5つ以上当てはまる人は減薬を検討する必要があるでしょう。


【1】の『常時、6種類以上の薬を飲んでいる』は一時的にではなく『常時』であることがポイントです。


【5】の『医師の問診時間が極端に短い』の目安は、診療時間が2~3分と非常に短い場合。患者さんの状況に合わせて正しく処方できているとは思えません。


【10】の『セカンドオピニオンを相談したら嫌な顔をされた』場合は減薬に取り組む際に、薬の見直しの足枷になる可能性があるので注意が必要です」相手(医師や漫然処方)を知り、己を知ることから、健康を蝕む「多剤処方」との戦いが始まる。


日本病院薬剤師会が「医師の漫然処方」と判断した70代女性患者の事例

ジェネリック薬「どれも一緒」と考える人の大誤解 患者が積極的にメーカーを指定する時代が来る


 先日、診察室で患者さんから次のような質問を受けました。

 「先生、この前薬局に行ったら、薬剤師さんから「ジェネリック薬でいいですか?」って聞かれたけれど、ジェネリックって本当に大丈夫なんでしょうか」

 高橋英樹さんや黒柳徹子さんなどがテレビのCMでジェネリック医薬品を奨めているのを視聴して、ジェネリックという言葉に聞き覚えのある方は多いかもしれません。が、その意味はよく知らないという人もいるでしょう。

 さらに、最近ジェネリック医薬品メーカーの不祥事が相次いでいるため、安全性に不安を持つ人もいるでしょう。今回は、「ジェネリック医薬品とのつきあい方」についてお話しします。

そもそもジェネリック医薬品とは
 ジェネリック医薬品とは、後発医薬品のことをさします。新薬(先発医薬品)として開発された薬が特許出願日から20年という特許期間が過ぎると、審査を受けた上で他の医薬品メーカーから同じ有効成分の薬の発売が可能となるのです。

それらが後発医薬品とかジェネリック医薬品と呼ばれます。また、ジェネリック医薬品の中でも新薬のメーカーから承諾をうけた上で他のメーカーがつくっているオーソライズド・ジェネリックというものもあります。

 ジェネリック医薬品は、2005年に数量ベースで32.5%というマイナーな存在でしたが、2020年9月時点で78.3%まで成長(厚生労働省『令和2年薬価調査結果』)。すでにメジャーな存在ということができます。また、ジェネリック医薬品への転換がより進んでいる米国では90%を超えているのです。

 わが国で、なぜジェネリック医薬品がこんな短期間に増えたのでしょうか。それは、厚労省が医療費の抑制のために、その普及を強力にすすめてきたからです。新薬から価格の安いジェネリック医薬品に置き換え、医療費を抑えようとしてきたのです。

 そもそも新薬の開発には数百億円から数千億円という莫大な資金が必要となるため、その開発費が上乗せされて価格が設定されています。新薬メーカーは特許で守られた20年間はその薬を独占的に販売でき、開発費を回収することができます。そして、特許が切れるとジェネリック医薬品が登場するのです。

 ジェネリック医薬品の価格は、販売当初は原則として先発医薬品の約半分に設定され、その後も市場価格の調査から薬価を改定され続けます。そのため、先発医薬品の価格の2割程度になる製品もあります。

 ジェネリック医薬品が市場で増えることになれば先発医薬品の価格も低下し、結果として薬価全体が下げられます。また、ジェネリック医薬品への置き換えが進まない薬品では、一定の率で先発薬品の価格が下げられることになっているのです。

ジェネリック医薬品の品質は?
 ジェネリック医薬品が承認される前には、① 規格試験(原薬・製剤の品質確保)、② 安定性試験(加速・長期保存)、③ 生物学的同等性試験(溶出試験、ヒトBE試験)などが実施された上で厚生労働省が審査します。

さらに、国際的に医薬品の品質の保持のためにGMP(Good Manufacturing Practice;医薬品の製造管理及び品質管理の基準)が整備され、厳しい基準が設けられているのです。

 このような厳しい審査があることや、最近は新薬のメーカーがジェネリック医薬品をつくったり、ジェネリック医薬品のメーカーに東証一部上場企業も増えたことから、私自身、患者さんに「ジェネリックでも大丈夫」とお話ししてきました。

 ところが、自信を持ってそのように回答できなくなるような事件が2020年12月から2件立て続けに起きてしまったのです。

 一つは、ジェネリック医薬品メーカーの小林化工が製造販売した薬で、真菌症(水虫やいんきんたむし、カンジダなど)に対する感染症治療薬「イトラコナゾール錠50mg」に、睡眠薬であるリルマザホン塩酸塩水和物が混入した事件です。

 結果として、二人の高齢の方が亡くなられ、車の運転中に事故をおこした人が38人もいて、他にも健康被害の報告例も多数あったのです。

 もう一件は、ジェネリック医薬品メーカーの日医工が10年以上も前から国が承認していない工程で医薬品を製造していたことが富山県の抜き打ち検査で判明し、2021年3月に業務停止命令が出され、全社の製品の販売が24日間停止となる事件です。

 幸い、この事件では健康被害は報告されていないのですが、わが国の三大ジェネリック医薬品メーカーであり、東証一部の会社で起きた不祥事であり、わが国のジェネリック医薬品に対する信頼を大きく損なわせることになりました。今回の事件で、製造工程でも、出荷前の品質チェックの面でも、長年にわたって省令が遵守されていなかったことが明らかになったのです。長期間にわたり、監督機関も十分にチェックできていなかったのです。

 ジェネリック医薬品メーカーは数多くありますが、名前がよく知られた信頼性が高いと考えられていた二社でこのような事件がおきたことは、わたしにとっても衝撃的なことでした。

ジェネリック医薬品と新薬では効果に差があるのか
 ジェネリック医薬品の普及は、欧米が先行してきました。そのため、欧米ではジェネリック医薬品の安全性や信頼性に関する論文も多く発表されています。

 例えば、循環器で使用する多くの薬やてんかんの薬ではジェネリック医薬品と先発医薬品とでは同等の効果と安全性があり、両者に差がないと結論する論文があります(注1,2)。

 しかし、抗がん剤の使用においては、結論が異なります。インドでつくられたジェネリック薬品は開発途上国で問題がおきているが、欧米諸国や日本など監視の厳しい国では大きな問題は起きていないと報告されています(注3)。このことは、監視の厳しい国でなければ、ジェネリック医薬品の安全性は低いことを意味します。そして、この論文では、日本は監視の厳しい国とされていますが、今回の二つの事件により、実はそうではないことが判明してしまったのです。

 また、治療指数が小さい安全性の低い薬ではジェネリック医薬品に安全上の問題が起きていることが報告されています。(注4)

*治療指数:薬を投与した動物の半数が死亡する「半数致死量」を、投与した動物の半数に最小限の効果があらわれる「半数効果用量」で割った数値。治療指数が大きいほど、致死量に達するまでに多くの用量を必要とするため、安全性が高いとされる

 さらに、腎移植後に使われる免疫抑制剤では、すべてのジェネリック医薬品が、先発品と同等の相対的生物学的同等性を有するわけでなく、有効性と安全性に関するエビデンスは決定的でないと報告されています。そして、治療指数が小さい薬品においては、ジェネリック医薬品の承認に、より厳しい規制要件が必要と結論とされています(注5)。

 抗生物質でも治療指数が小さいものでは、生物学的同等性に問題があると報告されています。有効性の評価で、抗生物質によって結果に大きなばらつきがあり、同じ成分の抗生物質であっても、すべてのジェネリック医薬品が同等ではないのです。薬剤成分、不純物のレベルなど、あらゆるレベルで違いがあることが報告されています(注6)。

 このように、今回の二つの事件のような、単に製造工程の間違いや管理の不良から起きる問題だけではなく、治療指数の小さい薬品でのジェネリック医薬品の使用には根本的に慎重さが求められているのです。

ジェネリック医薬品との付き合い方
 ジェネリック医薬品は、慢性病の時代、高齢化社会での医療費の抑制のために必要不可欠なものであるとわたしは考えています。そのために、ジェネリック医薬品の有効性と安全性に対する不安を払拭させていかなければなりません。

 一番大切なことは、製薬メーカーが体制を整えることにより市場に出ているジェネリック医薬品が全て安全・安心なものすることです。しかし、そうなっていない現実があるから、その対処を考えておかなければいけません。

 そこで、大切になるのが、監督官庁の厳しい査察です。これがなければ、ジェネリック医薬品の安全性は確保できないのです。

 次に、医師が薬剤を処方するときに注意が必要となります。処方箋上で単にジェネリック医薬品でもよしとしてしまえば、ジェネリック医薬品の中で、どのメーカーの製品が患者の手に渡るのかが解りません。患者さんが訪れた院外薬局にたまたま備えられているメーカーの製品が出される可能性が高いのです。同じ院外薬局で会っても、今月と先月では違うメーカーの製品になっているかもしれないのです。

 その対処としては、ジェネリック医薬品の中で、「品質が信頼できるメーカー」、「患者が今まで継続して使用している製品」をと指定することができます。今後は、そのような自衛策を考えなければいけないのかも知れません。

 「○○メーカーのジェネリック医薬品の信頼性が高い」といった情報を患者さんに届けることも必要かも知れませんが、そんな情報を実は誰ももっていないのです。今回のような事件が起きてしまうと、大きい会社や歴史のある会社が安全とは言い切れず、どのジェネリック医薬品メーカーが信頼できるのかは誰も確かなことは言えなくなってしまいます。

 結局のところ、患者さんにはジェネリック医薬品の選択にももっと積極的に参加してもらうことが必要になります。今まで製薬メーカーの選択は、医師または薬局の薬剤師に任されてきました。そして、ジェネリック医薬品の販売が伸びたのも、薬局や医療機関に対してジェネリック医薬品を出すことにインセンティブを与えてきたためでもあります。

 今後は、院外薬局でたまたま在庫のあるジェネリック医薬品をもらうのではなく、患者さんに製薬メーカーの選択に積極的に参加してもらう時代が来ると思います。患者さんは、どのジェネリック薬品のメーカーのものにして欲しいとか、今までと同じメーカーのものにして欲しいなど、ジェネリック医薬品のメーカーを指定する権利を行使することになるでしょう。

 先発薬からジェネリック医薬品にスイッチしたときには、その効果や安全性について、医師だけでなく患者さんも意識的になるべきだと思います。つまり、自覚症状のあるものでは、その変化により患者さんは効果を判定できます。血圧の薬であれば、家庭での血圧測定によりその効果をモニターできます。患者さん自身ではその効果をモニターできないものであれば、診療所での検査でその効果を確かめることが必要となります。

 薬によっては、その血中濃度を測定したり、その効果の指標を測定したりすることもあるのです。スイッチ後の再診までの期間は短くした方がよいでしょう。そして、効果だけでなく安全性についても、医師も患者も切り替え当初には特に慎重になるべきなのです。

 ジェネリック医薬品を使うことが普通の時代となったからこそ、その使用について、医療者も患者も、より慎重にならなくてはならないのです。

降圧剤の多剤併用リスク 高カリウム血症を引き起こすと最悪心停止も


 服用している薬が多すぎると、「組み合わせ」によって“飲めば飲むほど不健康になるリスク”が増していく。実際に処方された患者の事例から、医師・薬剤師が一緒に飲んだら危ない「あの薬」と「この薬」の組み合わせを解説する。


 日本病院薬剤師会は2018年2月に『多剤投薬の患者に対する病院薬剤師の対応事例集』を公開。同会は多剤投薬の実態調査の一環として、全国48の病院から対応事例を集積し、内容を精査・厳選したうえで33の事例を詳細に紹介している。


 そのなかから「降圧剤」に関するケースを見ていく。『事例集』の〈漫然投与に対する対応〉という分類のなかに、過去に急性汎自律神経失調症や総胆管結石などを患って複数の医療機関を受診していた80代男性(別表の症例)の例が紹介されている。免疫治療のために病院を訪れた際に多剤処方の実態が判明した。

漫然投与されていた80代男性患者の事例

降圧剤を4種類服用することになっていた80代男性患者の事例

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 医師から漫然と処方されていると思われる薬が多く見られ、降圧剤だけでARB、ACE阻害薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬の4種類が処方されていた。さらに抗てんかん薬や胃腸薬、便秘薬などのほか、ビタミン剤や漢方薬など実に計30種類もの薬を服用していたという。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎医師が指摘する。


「降圧剤はそれぞれ、別のタイプと一緒に飲むことで効果が増強されます。それが奏功することもありますが、80代で4種類もの降圧剤を併用すると効きすぎるリスクが高い。血圧低下により胃粘膜への血流が減って吐き気や腹痛、食欲不振などの症状が出るほか、心臓が多くの血液を送り出そうと強く働いて動悸や息切れが起こることがあります。


特に高齢者は脳への血流が減少してめまいや立ちくらみを起こし、転倒事故のリスクが高まります。転倒による骨折から寝たきりになる恐れもあるので、さらに注意が必要です」

 

この症例にはさらに“危ない組み合わせ”が潜んでいた。

『知ってはいけない薬のカラクリ』(小学館新書)の著者で内科医の谷本哲也氏(ナビタスクリニック川崎)が問題点を指摘する。「類似の作用を持つ降圧剤のACE阻害薬とARBの併用は、腎機能障害や高カリウム血症を引き起こす恐れがあり、高血圧学会のガイドラインでも推奨されていません。


腎機能が低下すると血中カリウムが体外に十分排出されず、高カリウム血症に陥るリスクがあるのです。不整脈の原因となる高カリウム血症は、最悪の場合は心停止してしまう病なので、特に腎機能が低下しやすい高齢の方は十分な注意が必要です」降圧剤との併用で注意すべき組み合わせは、上記の症例以外にもある。

降圧剤の「危ない組み合わせ」一覧

降圧剤の「危ない組み合わせ」一覧

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 例えば、サイアザイド系利尿薬と、皮膚炎や肝機能を改善させる薬であるグリチルリチン製剤(漢方薬の甘草にも主成分が含まれる)を組み合わせると「低カリウム血症」が出やすくなる。


「併用すると血清カリウム値が低くなりすぎることがあります。わずかに低下しただけなら無症状ですが、重症化すると手足の脱力や痙攣、筋肉の麻痺を起こし、高カリウム血症同様、不整脈を起こすこともあります。血液中のカリウム値は、高すぎても低すぎても体に害があるので要注意です」(谷本医師)


 同様に、β遮断薬と血糖値を下げるための糖尿病治療薬(インスリンなど)の組み合わせでは、こんな危険があるという。銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘氏が語る。「放置すれば死に至る『低血糖』症状の発見を遅らせる恐れがあります。


糖尿病の患者さんは、薬で血糖値が下がりすぎ、低血糖の初期症状である眠気や動悸、頻脈が生じた場合はすぐにブドウ糖を飲むように医師から指示されています。しかし、頻脈を抑える効果があるβ遮断薬は、低血糖の初期症状を隠してしまうことがある。発見が遅れる可能性があるため注意が必要です」

8割以上がニセモノ!? 危ないサプリをどうやって見分ける?


健康を維持するために必要な栄養素を効率よく摂取できるサプリは、いまや我々が生活していくなかで欠かせない存在になっている。しかし、市販されているサプリ151品目のうち、129品目がニセモノだと知ったらどうだろう?

8月24日に発売された『そのサプリ、危険です! 本物サプリの正しい選び方』(柴田 丞/経済界)によると、サプリの中には恐ろしいものや危険なものもたくさんあるというのだ。

一体、どんな危ないサプリがあり、どうすれば見分けられるのだろうか。同書から紹介しよう。

 サプリを買うときに、まず参考にしてしまうのが宣伝文句。だが、それが落とし穴らしい。そもそも、サプリは医薬品とは違うので「○○に効く!」とか「○○○がすぐに治る!」「これを飲めば血液がサラサラに!」といったように、効能や効果をダイレクトに謳うことができない。

しかし、平成23年5月に東京都福祉保健局が発表した情報によると、「販売店で購入した製品では、88品目中75品目」「インターネット通信販売で購入した製品では、63品目中54品目」に不適正な表示・広告が見られたというのだ。

世間に出回っているサプリのなんと8割以上で、不当な表示や広告といった虚偽記載が行われていたということになる。

 また、サプリには多くの添加物も使われている。たとえば、形を作るための「賦形剤」や、錠剤を固めるノリのような役割を果たす「結合剤」、錠剤を体内で崩壊させ成分を吸収しやすくするための「崩壊剤」、製造過程において錠剤が機械にへばりついたりしないようにするための「滑沢剤」などがそれだ。

しかも、市販のサプリの場合、この添加物が50%から多いものになると90%を占めるなんて情報も。そうとは知らない人々が、体にいいと思ってサプリを摂取すればするほど、同時に添加物も取り込むことになっていたのだ。

 実は、そんな添加物の量を見分ける方法もある。パッケージに書かれた「1錠あたりの質量」をチェックして「栄養成分の含量」を引けばいいのだ。

しかし、多くのメーカーがこのような計算をされることを嫌がるので1錠の質量を記載していないそう。これでは、危険なサプリを避けるのも一苦労だ。

 さらに、サプリには合成と天然のものがあるのだが、特に合成ビタミンには注意が必要だ。これは用量や用法を守って服用しなければならない。ビタミンを補うためにと用量や用法を守らずに大量に摂取してしまいがちだが、天然か合成かの違いだけで体に与える影響は大きく変わってくる。

そして、もちろん天然の方が望ましいのだが、天然ならなんでもいいわけでもない。2008年にはサプリの原料に使われた「マカ」が放射線照射されていたとして、商品を回収する騒ぎが起きた。

日本ではビール会社や化粧品メーカーのように、原料を仕入れてサプリを作っているところが多いので、原料に関しては把握できていないこともある。

 こんなにたくさんの危険なサプリが出回っている現状だが、それでも食事だけで補えないものや体内で作れないものを摂取するためにはサプリに頼るしかないという面もある。

だからこそ、こういったチェックポイントを押さえながら151品目の中にある本物の22品目を見抜く力を身につける必要がありそうだ。

降圧剤 医師が教える健康のための「減薬」や「断薬」の注意点


 多くの日本人が、「生活習慣病」の治療薬と長い付き合いをしている。厄介なのは、複数の基礎疾患を抱えた人の「多剤併用」だ。内科医の谷本哲也医師(ときわ会常磐病院)が解説する。

「何種類もの薬を同時に飲む多剤併用の問題は、その組み合わせによって薬の効果が強まったり、反対に弱まったりする場合があることです。一般的には、6種以上の薬の服用で副作用リスクが高まると言われます」

 近年は多くの専門家が多剤併用リスクに警鐘を鳴らしている。2015年、日本老年医学会は「高齢者に対して特に慎重な投与を要する薬物のリスト」を作成。同リストをもとにした医師向けの「適正処方の手引き」(日本医師会)では、薬の主成分を指す「一般名」に加え「商品名」が追記されている。今回はそのリストを掲載した。各分野の断薬の名医の解説とともに参照してもらいたい。谷本医師は言う。

「高齢になると肝臓や腎臓の機能が低下し、代謝や排泄の能力が下がります。それに伴って副作用が生じるケースが増加する。どんな薬にも言えることですが、年齢を重ねた人ほど医師との適切なコミュニケーションを取り、体調を確認したうえで、減薬や断薬を考えたほうがいい」

 健康のための「減薬」や「断薬」とはどういうものか。臨床現場で実践する断薬の名医たちの知見を参考に考えていく。

 いまや国民病とも言われる「高血圧」の治療薬である降圧剤は「一度飲んだらやめられない薬」のイメージが強い。しかし、坂東ハートクリニック院長の坂東正章医師は「医師の指導のもとで正しいプロセスを踏めばやめることは可能だ」と語る。その第一歩として坂東医師が掲げるのは「正確な数値の把握」だ。

「高血圧患者の多くが正しく血圧を測れていません。朝なら朝食前、夜なら就寝前の排尿後に、自宅で計測する家庭血圧が実態に近い数字。計測は椅子に座って腕帯を心臓の高さにし、無理のない姿勢で行ないます」

 同クリニックでは血圧の測り方を指導後、降圧の目標値を決めて治療を進めている。

「たとえば降圧目標が家庭血圧で135/85mmHgの患者さんなら、130未満が3日間続いた時点で薬を減らす。その後、家庭血圧が120台で安定すれば通院の必要はありません。同時に、患者自身が血圧上昇の原因を見極め、食事などの生活習慣改善を進めることで、 “薬に頼らない状態”を目指します」(坂東医師)

「飲み忘れ」で薬が増える
 銀座泰江内科クリニック院長の泰江慎太郎医師は、こんな高血圧患者を断薬に導いた。

「血圧が180/100mmHgと非常に高く、別のクリニックで降圧剤を4種類処方されていた50代前半の男性です。

 まずカルシウム(Ca)拮抗薬2種とアンジオテンシンII阻害薬(ARB)1種を配合剤1種に変えました。他に比べて効果が低いと判断した利尿薬は中止し、その代わりナトリウムの排泄に役立つカリウムを多く含む野菜や果物の摂取を指導しました」

 睡眠指導もあわせて行なった結果、男性の血圧は4か月後に130/80で安定。さらに薬を配合剤からARBに変えると、4か月後には上が120まで下がり安定した。

「ここでARBの処方も中止して、最終的には薬をゼロにすることができました」(泰江医師)

 降圧剤では「似た薬効を持つ薬が何種類も処方されることがある」と指摘するのは秋津壽男医師(秋津医院院長)だ。

「ある80代の男性は、降圧剤や血栓予防薬など1日10種16錠が処方されていた。似た降圧剤を3種も服用していたので2つに絞り、同様に薬効が近い血栓予防薬2種を新薬1種に見直すなどして5種5錠まで減らしたが、数値は悪化しなかった」

 獨協医科大学病院腎臓・高血圧内科の石光俊彦医師は、「飲み忘れ」による服用の乱れが症状悪化を起こすと指摘する。

「降圧剤は服薬率(患者が指示された薬のうち実際に服用した割合)の低下により脳卒中などの発症リスクが高まります。多剤処方の患者さんは薬を正しく飲めないせいで症状が安定せず、逆に薬が増えていく場合が多い」

 そうした患者には減塩や減量など生活習慣改善をまず指導したうえで、血圧の記録を課すという。「血圧を記録することで薬の飲み忘れを防ぐことができ、それで数値が改善すれば、薬を減らすことができます」(石光医師)

 年齢によって「“卒業”を考えてもいい」という医師もいる。新潟大学名誉教授の岡田正彦医師だ。

「高齢者施設では多い人になると20種以上の薬を飲んでいる人もいる。何十年も漫然と飲み続ける人もいますが、風呂上がりや排便後に血圧が急激に下がって転倒事故を起こす事例がとても多い。年齢を重ねて血圧が高くなるのは自然な現象で、薬で無理矢理下げるのはかえって有害と考えます」

※週刊ポスト2021年8月27日・9月3日号

医薬品や医薬部外品などたくさん分かれる薬の種類、ちゃんと定義は知っていますか?


季節の変わり目で風邪をひくなど体調を崩されている方も多いのではないでしょうか。薬局に薬を買いに行くと、同じ用途のものでも数が多過ぎてどれを買えば良いのか分からない……なんてことはありませんか?

数の多さに加えて、「医薬品」から「医薬部外品」「一般用医薬品第1類」などの種類に分かれており、更に何を買えば良いのか分からなくなるかもしれません。もちろん分けられているのには意味があり、薬事法という法律でしっかり定められています。

では、どのような基準でこれらの区別がされているのでしょうか。よく見かけるのに、実はあまり知られていない薬の種類分けについて解説して行きます。

■「医薬品」の定義

簡単にいうと、配合されている有効成分の効果が認められており、病気の治療や予防に使われる薬のことです。医薬品の正確な定義は、薬事法で以下のように決められています。

1.日本薬局方に収められているもの。

2.人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされているものであつて、機械器具、歯科材料、医療用品及び衛生用品(以下「機械器具等」)でないもの(医薬部外品を除く)。

3.人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされているものであつて、機械器具等でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く)。

医師が処方する薬だけでなく、薬局で買える風邪薬、胃腸薬、目薬、滋養強壮剤などの市販薬も医薬品に含まれます。医薬品は、さらに副作用リスクに応じ、要指導医薬品、一般用医薬品第1類~第3類に分類されています。

■「要指導医薬品」の定義

副作用リスクが特に高く薬剤師の対面による情報提供や指導が必要な要指導医薬品は、薬剤師による対面販売が必要で、インターネットや電話、カタログ等による販売(特定販売)ができません。

販売側から購入者へカウンター越しに医薬品を手渡す陳列方法によることが必要です。

■「一般用医薬品第1類」の定義

薬剤師による対面販売の他、インターネットや電話、カタログ等による販売も可能です。

要指導医薬品と同じく、販売者から購入者へカウンター越しに医薬品を手渡す陳列方法が必要です。

■「一般用医薬品第2類、第3類」の定義

薬剤師以外に、登録販売者による対面販売も可能です。登録販売者とは、薬の販売に関する資質確認のための都道府県の試験に合格し、登録を受けた者をいいます。

インターネットや電話、カタログ等による販売も可能です。

■「医薬部外品」の定義

医薬部外品とは、医薬品に準じるもので、効果・効能が認められた成分は配合されているが、予防に重点を置かれたものが対象です。

薬用歯磨き剤、制汗スプレー、薬用クリーム、ベビーパウダー、育毛剤、染毛剤、入浴剤、薬用化粧品、薬用石けん等が含まれます。

■医薬品に関する広告規制について

医薬品には、様々な広告規制が課せられており、承認を要する効果効能の表示や、誤解や誇張した効果効能の表示、効果を保証するような表現等が規制されています。

市販の風邪薬などを見ると、どれも断定的広告を記載していないのは、消費者の誤解と濫用等のリスクを回避しようとする薬事法の規制によるものです。

もし薬局に行く時は、以上の事を念頭に入れて行くと選びやすくなるでしょう。もちろん、お店にいる薬剤師に聞くのが安心ですね。

病院での医薬品とは違うの…?「PMS」に効く市販薬について


薬局などで買えるPMS(月経前症候群)治療薬は、病院で処方されている薬とはどこが違うのでしょうか。

PMSのための治療薬は最近まで市販されていなかった

はっきりPMS治療薬と表示されていて、かつ消費者が直接買うことができる薬は、最近まではありませんでした。そのため、PMSの症状が軽度であれば、薬店などで購入できる漢方薬やサプリで症状を抑えていたという人も多いでしょう。

しかし、症状がひどくなると、そのようなセルフケアだけでは対処できず、病院を受診することになります。大半の婦人科医はPMSと診断すると、低用量ピルなどを処方しますが、低用量ピルは病院でしか処方できず、PMSの治療薬を入手するには病院に行かなくてはいけませんでした。

医療用医薬品ではなく、市販薬として日本初登場

日本で販売されるようになったPMSの市販薬の主成分は、西洋ハーブのチェストベリーです。チェストベリーはヨーロッパの薬局方という公定書にはすでに収録されており、PMSに有効性があるとされています。

日本では医師はまだチェストベリーを使用していないのですが、安全性の高さなどから、薬局などで販売するPMSの市販薬の成分としては使用を許可されました。

健康食品と医薬品の違い

チェストベリーは、すでに健康食品として店頭やインターネットなどでも販売されています。そのため、チェストベリーという名前を以前から耳にしていた人もいるのではないでしょうか。

医薬品としてのチェストベリーは、臨床実験などの厳しい検査を通過してきたものであり、その品質、有効性、安全性などが厚生労働省に確認されています。それに対し、一般的な健康食品(特定保健用食品や機能性表示食品を除く)は、国の確認や許可なく市場に出すことができます。

そのため、健康食品の品質は、メーカーによってバラつきが発生している可能性があります。また、健康食品は、パッケージの効能効果などの表示方法に、多くの制限が設けられています。

要指導医薬品

チェストベリーを主成分としたPMSの市販薬は「要指導医薬品」とされています。これは普通の医薬品と何が違うのでしょうか。

要指導医薬品は、使用に十分な注意を要し、薬剤師の説明、情報提供を必要とする薬として、他の医薬品と区別された薬です。医薬品の中でも、第2類医薬品と第3類医薬品は、薬剤師がいなくても販売登録者がいれば販売できます。一方、要指導医薬品や第1類医薬品に分類された薬は、薬剤師のいない店頭に置くことはできません。

また、その店に薬剤師が勤務していても、薬剤師が不在で説明や情報提供が受けられない場合は、要指導医薬品に該当する薬の購入はできません。

チェストベリーはホルモンに影響を与えるため、妊娠中の安全性は確立されていません。また、併用を避けるべき薬剤などもありますので、薬剤師に現在の状況を説明してから購入するようにしましょう。

気軽に買える「睡眠改善薬」について、専門医が「できれば使わないで」と顔をしかめる理由


睡眠改善薬は服用した翌日の昼になっても眠気が残る
4月から新年度がスタートし、特に環境が変わった人はこの1カ月、睡眠に悩んでいないだろうか。日々、強い緊張にさらされ、熟睡感が得られないことがしばしばあるかもしれない。

たとえば翌日に大事な仕事を控えている、でもどうしても眠れないとき、安易に市販の睡眠薬(睡眠改善薬)を服用するのはどうだろうか。

「それは“失敗のもと”ですね」

と、秋田大学大学院医学研究科の三島和夫教授が指摘する。

「市販の睡眠改善薬は、服用した翌日の昼になっても眠気が残り、パフォーマンスが低下しやすいのです」

まず知っておきたいのが市販の睡眠改善薬と、医療機関で処方される睡眠薬は全くの別モノであること。睡眠改善薬として代表的な「ドリエル」には抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン塩酸塩)が含まれており、もともとはアレルギーを抑える薬効成分が眠気を引き起こす“副作用”を利用している。

「抗ヒスタミン剤というのは、脳の中で最も強い覚醒物質であるヒスタミンをブロックして眠気をもたらします。たとえ血液中の濃度が低くなっても、脳への作用が残ってしまうので、長時間眠気やパフォーマンスの低下が起きるのです」(三島教授)

自分の「最適な睡眠時間」を知るにはどうすればいいか
大阪回生病院睡眠医療センター部長の谷口充孝医師も、「市販の睡眠改善薬というのは、それほど“いい薬”ではない」と話す。

「医師であれば抗ヒスタミン剤をかゆみが強いときには使いますが、睡眠薬としては処方しないものです。一般的には安全性が高いから市販薬となるわけですが、睡眠薬の場合はそうでもありません。しかも市販の睡眠改善薬に含まれる抗ヒスタミン薬には、抗コリン作用もあります。これは、記憶に関連するアセチルコリンの働きを抑える作用で、そういった作用を含む薬剤を服用すると、認知症のリスクが上昇するというデータもあるのです」

一時期の不眠であれば、「仕方ない」とわりきることも必要だ。「睡眠負債」という言葉がブームになり、“寝不足は悪いもの”という意識が広まった。だが、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の櫻井武教授によると「睡眠不足が多少続いても、その後に十分な睡眠をとればリセットできる」という。

「睡眠負債の定義に関して、みなさんが理解されているような、通常の睡眠が足りない、(睡眠時間の)“負債”という考えもあります。一方で、“睡眠圧”という意味もあるのです。長い時間活動するほど睡眠圧が強くなって、その“圧”によって眠れる。睡眠圧という意味なら、睡眠負債があるからこそ眠れるという側面もある」

「睡眠の質を高めること」を目標にするのではなく、「日中の覚醒」に目を向けることが大切、と櫻井教授は言う。

「睡眠の目的は睡眠自体ではなく、目が覚めた後の覚醒のクオリティを高めること。たしかに睡眠は大切ですが、その内容や時間を意識しすぎると、こだわりが生まれ、脳が覚醒して『眠れない』ことにつながります」

電車などの居眠りでは「夜の睡眠」の不足は補えない
巷の情報に振り回されず、自分の最適な睡眠時間を知っておこう。

昼間、眠気に襲われず本来の作業がしっかり行えれば、あなたの睡眠時間は足りている。逆に日中に眠くて仕方がない、または休日にいつもの起床時間より30分以上遅く起きてしまうのであれば、睡眠時間が不足している。

寝不足であれば「昼寝」で補いたいが、20分以内に起きること。「睡眠慣性」といって、深い睡眠に入って脳の機能を落とすと、覚醒に時間がかかり、昼寝後の目覚め感がかえって悪くなる。

「夜間の睡眠にも支障が出ます」と、櫻井教授。

「睡眠は、浅いステージから深いステージへと移行します。最も浅いステージはほんの数分で終わり、次のステージも10分程度。寝つくのに5分かかるとして、ここまでで合計20分程度。そのあとは深いノンレム睡眠になります。昼寝でそこまで入ってしまうと、脳は本来の7時間かけて行う睡眠のモードになってしまうのです」

電車などの居眠りであっても、長時間眠らないように気をつけたい。

「眠れない」と悩む人が普段から心がけたい3ポイント
さて、短期間の不眠であれば気にしなくていいが、週半分以上の不眠があり、それが3カ月以上続く場合は「不眠症」に陥っている可能性がある。かかりつけ医に相談しよう。

医療機関で処方される睡眠薬は4つ――「ベンゾジアゼピン系」「非ベンゾジアゼピン系」「メラトニン受容体作動薬」「オレキシン受容体拮抗薬」――があるが、そのうちベンゾジア系・非ベンゾジア系は依存性があり、長期間服用するのは望ましくないことを知っておきたい。よく眠れるのが“いい薬”ではないのだ。

「メラトニン受容体作動薬」「オレキシン受容体拮抗薬」などの依存性が少ない、新しいタイプの薬を使ったり、薬の減量・卒業を視野に入れて治療を勧めてくれるのが心ある医師だ。あなた自身も将来的に睡眠薬を飲まずに眠れることを目標にしよう。

眠れないと悩むなら、普段の生活習慣で心がけたい点が3つある。

1つめは、「寝る場所」の認識だ。櫻井教授は15分眠れなかったら居間に戻る(布団から離れる)ことを勧める。

「苦労なく眠れる人は気にする必要はありません。でも眠れなくて悩んでいるなら、寝室で“寝れない体験”を繰り返さないこと。眠くてしょうがなくなるまで寝室にはいかない。寝つけないなら一旦寝室を離れて、居間で好きなことをし、また眠くなったら寝室に戻る。それを繰り返せば眠気がたまり、必ず眠れます。“寝室で眠れた”という成功体験を積むことが大切です」

「寝酒」はNGだが、「軽い晩酌」ならOK
2つめは、「朝起きる時間」を決め、毎日それを守ること。

「たとえ寝つきが悪い日があっても、多少寝不足でも、同じ時間に朝の光を浴び、食事を取ることで体内時計のリズムが正確に刻め、夜に眠くなります」(谷口医師)

3つめは、「寝酒」を避ける。

「アルコールを飲むと寝つきはよくなりますが、睡眠薬代わりに飲んでいると依存性が高くなって、飲む量が増えます。寝酒でなく晩酌ならOK。できれば夕食とともに20時ごろまでにお酒を終え、4時間くらい空けてから眠るといいですね」(三島教授)

最後に、年とともに人は多くの睡眠時間を必要としなくなるが、現役世代で急に不眠症状が出てきた場合、背景に「うつ」が隠れていることもある。また日中にしっかり起きていられないようなときは、過眠症や睡眠時無呼吸症候群などの疾患の可能性、そのほか、高血圧や心疾患、逆流性食道炎、糖尿病などの生活習慣病も不眠に影響することを知っておきたい。

※プレジデント誌はエスエス製薬に「ドリエル」の認知症リスクについて電話で問い合わせたが、「回答までに時間を要するため、今回の質問については回答を控えさせていただきます」と答えるだけだった。

---------- 笹井 恵里子(ささい・えりこ) ジャーナリスト 1978年生まれ。「サンデー毎日」記者を経て、2018年よりフリーランスに。著書に『週刊文春 老けない最強食』(文藝春秋)、『救急車が来なくなる日 医療崩壊と再生への道』(NHK出版新書)、『室温を2度上げると健康寿命は4歳のびる』(光文社新書)など。新著に、プレジデントオンラインでの人気連載「こんな家に住んでいると人は死にます」に加筆した『潜入・ゴミ屋敷 孤立社会が生む新しい病』(中公新書ラクレ)がある。 ------

有名薬の発売後の副作用情報が一般患者に届きにくい理由


 知ってそうで知らない薬の副作用リスクがある。一般に医療用医薬品の副作用は「医薬品添付文書」でチェックできる。問題は、薬の発売後に新たに発覚して「追加」として記載される副作用が多いことだ。

「発売後に高齢者や合併症のある患者などが幅広く服用することで、初めて副作用が出現するケースが多くあります」(医療ガバナンス研究所理事長で医師の上昌広氏)

 発売後に薬を処方した患者に副作用が出たら、その薬を製造した製薬会社や医師などが厚労省所管のPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)に報告する。ここが医薬品と副作用の因果関係などを精査し、製薬会社への照会などを経て、厚労省が「医薬品添付文書の改訂」を製薬会社に指示する。

 問題はこの情報がなかなか患者に届かないことだ。

「追加された副作用の情報はPMDAのホームページで順次公開されますが、多忙な医師はそのすべてを把握しているわけではありません。一般患者にもほとんど周知されていません」(上氏)

 医薬品はリスクを上回る利益がある場合に使用されるため、発売後に新たな副作用が出た薬を服用しても、必ずしも患者の健康を害するわけではない。だが、中には重篤な副作用もあり、体力が低下する高齢者ほど副作用が生じるリスクが高まる。特に服用する機会の多い薬はあらかじめ副作用を把握しておきたい。

本誌・週刊ポストは、国内の売上高上位100薬品(2016年度決算・日刊薬業調べ)と、高齢者の使用頻度が高い薬のうち、この4年間で副作用が「追加」された薬54種類をリストアップした(関連記事〈副作用が新たに見つかった有名薬、54種類全実名リスト〉参照)。「有名薬」の新たな副作用を紹介する。

◆心筋梗塞に意識障害

 処方薬の場合、薬局で渡される薬の説明書に、すべての副作用の説明は記載されていない。追加された副作用を確認するには、PMDAのホームページで最新の医薬品添付文書の改訂情報を閲覧する必要がある。

 高血圧の治療薬(降圧剤)である「アイミクス」(2016年度の医薬品国内売上高で88位)は、添付文書の「重大な副作用」の欄に、「無顆粒球症」が追加された。医薬情報研究所の取締役で薬剤師の堀美智子氏が解説する。

「白血球の働きが弱まり、感染症にかかりやすくなる。発熱や食欲不振などかぜのような症状が特徴です」

 高血圧と並ぶ生活習慣病の代表、糖尿病の治療薬・SGLT2阻害剤でトップシェア(2017年12月時点)の「スーグラ」は、重大な副作用として「脱水」が追加された。

「この薬には血液中の糖を尿中に排出するため尿量が多くなり、脱水症状になりやすい。脱水すると血液が粘着性を帯び、心筋梗塞やせん妄など意識障害が出ることがあります」(堀氏)

スーグラには、「ケトアシドーシス」という耳慣れない副作用も追加された。

「血液中の糖が利用できなくなり、体内の脂肪がエネルギーに利用されて、めまいや倦怠感などが生じます。重度の場合は意識障害や昏睡を引き起こすこともあります」(堀氏)

 脱水、ケトアシドーシスとも危険な副作用である。

 脳卒中・心筋梗塞の治療薬では「イグザレルト」に「血小板減少」が加わった。

「血小板減少が生じると血液が固まりにくく、血が止まらなくなる。鼻血が出たり、皮膚に内出血ができることもあります」(堀氏)

 血が止まりにくくなる薬だけに、他の薬との飲み合わせにも気をつけたい。

「痛み止め薬を服用すると、腎機能が低下する。薬の成分が腎臓から適切に排出されず、脳内出血などのリスクが高まる」(堀氏)

 胃潰瘍薬の「プロマック」には、「銅欠乏症」が追加された。

「プロマックが含有する亜鉛によって、同じ吸収過程を持つ銅の吸収が阻害される怖れがあります。銅が欠乏すると貧血を起こすことがあります」(堀氏)

 過度に怖れる必要はないが、服薬にはこうした「意外な副作用」を伴うことを自覚しよう。

ロキソニンSやオロナインH軟膏らに新たに加わった副作用


 知っているようで知らない薬の副作用リスクがある。一般に医療用医薬品の副作用は「医薬品添付文書」でチェックできる。問題は、薬の発売後に新たに発覚して「追加」として記載される副作用が多いことだ。

 発売後に薬を処方した患者に副作用が出たら、その薬を製造した製薬会社や医師などが厚労省所管のPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)に報告する。ここが医薬品と副作用の因果関係などを精査し、製薬会社への照会などを経て、厚労省が「医薬品添付文書の改訂」を製薬会社に指示する。だが問題はこの情報がなかなか患者に届かないことだ。

 そこで本誌・週刊ポストは、国内の売上高上位100薬品(2016年度決算・日刊薬業調べ)と、高齢者の使用頻度が高い薬のうち、この4年間で副作用が「追加」された薬54種類をリストアップした(関連記事〈副作用が新たに見つかった有名薬、54種類全実名リスト〉参照)。

 リストアップされたものは医師の出す処方薬(医療用医薬品)である。しかし、処方薬で副作用の改訂指示があった場合、同成分の市販薬(一般用医薬品)も改訂するよう指示される。

 多くの人が服用している市販薬にもこの4年で新たな副作用が追加された。注意したいのは、市販薬は購入時に同封されている「使用上の注意」の中の「相談すること」という項目に新たな症状が追加されることだ。これが“副作用”を意味する。

「文書の形式が違うため『相談すること』という項目に症状が記載されますが、ここに追加された症状は医療用医薬品と同じく、薬の副作用という意味です」(PMDA企画調整部広報課)

 2016年3月に「使用上の注意」を改訂したのは解熱鎮痛剤の「ロキソニン」だ。同じ成分である市販薬の「ロキソニンS」も同様に指摘を受けた。医薬情報研究所の取締役で薬剤師の堀美智子氏が解説する。

「『相談すること』の欄に『小腸・大腸の狭窄・閉塞』が追加されました。いわゆる腸閉塞のことで、最初は下痢が生じ、その後に激しい腹痛や吐き気が起きます。ガスや便が出なくなったら危険信号です」

 腸閉塞は放置した場合、死に至ることもある。

 風邪の諸症状に効く薬として知られる「ベンザブロックLプラス」の場合、同成分の処方薬に副作用が追加されたわけではなく、この薬単独で「急性汎発性発疹性膿疱症」が追加された。

「高熱とともに全身が赤くなったり、赤い斑点や白っぽい膿みのようなぶつぶつが出現します」(堀氏)

切り傷ややけど、しもやけや水虫などに効く「オロナインH軟膏」は、同成分の処方薬「ヒビテン・グルコネート」、「デスパコーワ」などに2017年10月、「ショック(アナフィラキシー)」が追加されたのを受け、同じ副作用の明記を指示された。急激に生じるアレルギー反応で、口や手足の痺れから始まって次第に脈が弱くなり、血圧が急低下し、放置すると意識を失う怖れがある。

 しかし、本誌が6月20日に薬局で購入したオロナインH軟膏の添付文書に「ショック(アナフィラキシー)」の文言はなかった。これについて製造販売元の大塚製薬工場は、「既に改訂後の添付文書を封入した製品を製造、出荷していますが、店頭の製品がすべて添付文書改訂後のものに置き換わるには時間を要することになります」(総務課広報担当)と説明する。

 販売されている薬には、新たに追加された副作用が記載されていないものも存在しているということだ。

 処方薬の場合でも、本誌記者が6月21日に薬局で受け取った鎮痛剤であるボルタレンの説明文書には、この4年間で追加された〈消化管の狭窄・閉塞〉に関する記載がなかった。処方薬に関する副作用の記載は各薬局に任されており、すべての副作用が明記されることはほとんどない。

 ロキソニンSは第1類医薬品、オロナインH軟膏とベンザブロックLプラスは第2類医薬品に分類される。

 同じ市販薬でも第1類医薬品は薬剤師が居なければ購入できず、第2類医薬品は薬剤師または登録販売者がいれば購入できることになっている。つまり、第2類医薬品は薬剤師経由で副作用を知ることなく使用する可能性が高い。

◆薬剤師を活用

 このように副作用の最大の問題は、一般患者への周知が遅れていることだ。医療ガバナンス研究所理事長で医師の上昌広氏が解説する。

「すべての副作用を説明したら患者が不安になって薬の服用を拒否するかもしれず、それを避けるために医師が事細かな副作用の説明を行なわない傾向もあります」

 活用したいのは薬剤師だ。

「ほとんどの薬局はPMDAに登録していて、製薬会社からも随時情報が来るため、説明文書には書いてなくても薬剤師はアップデートされる副作用情報を把握しています。有害事象よりも圧倒的に効果が高いのが薬です。副作用を怖がりすぎるのではなく、副作用の情報には注意し、服用後に副作用が疑われる症状が出たり、少しでも不安に感じることなどがあれば、迷わず薬剤師に相談してほしい」(前出・堀氏)

 過度ではなく“適度”に怖れるためにも、新たな副作用の情報を知っておきたい。

たった1錠が体調を大きく左右することも「薬の選択」の重要性


 どんなマスクをつけて、どこまで消毒するか。巣ごもり生活やリモートワークはどのレベルまで実施するか。新型コロナウイルスは常に私たちに「選択」を迫ってくる。

しかし「自分の体を守るため、自分で考え行動する」ことはコロナに関係なく、重要だ。特にどんな薬をのむかはあなたの体調を左右する大切な選択。「替える」勇気を持つことが、命を守る第一歩になる──。

 現在、年を重ねるほど薬を服用する割合は増え、65才以上の3割が「6種類以上の薬」を処方されているというデータもある。しかし、都内在住の主婦・上原裕子さん(61才・仮名)はその効能に違和感を覚えている。

「血圧の薬をのんでいますが、なかなか数値が安定しません。そのうえ、最近ふらふらするようにもなったし、体調がよくなる気配もない。このままのみつづけていいものなのか、だけど勝手にやめることもできないし、悩みはつきません」

 こうした状況に警鐘を鳴らすのは、銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘さんだ。

「高血圧や糖尿病など生活習慣病の薬は特に全身に作用するため、体調に大きく影響します。薬の効き方には個人差があり、副作用も出る。長年続く不調の原因が、実はのんでいる薬にあったということは少なくありません」

 長澤さんによれば処方薬の種類を替えただけで、悩まされてきた不調があっという間に消えたケースも珍しくないという。

「そのうえ製薬の世界は日々、飛躍的な進化を遂げています。同じ症状を抑える薬でも、より高い効果が得られるものや、服用回数が少なくてすむものが新たに出ている場合も多いのです」(長澤さん)

 あなたがいまのんでいる薬はもう“替え時”かもしれない。

降圧剤の副作用で歯茎に影響

 罹患者数は4000万人。70代以上の女性の過半数がのんでいるといわれる降圧剤。その種類はさまざまで、大きく分けると「ARB」「ACE阻害薬」「カルシウム拮抗薬」「利尿薬」「β遮断薬」の5つに分類される。ナビタスクリニック川崎の内科医・谷本哲也さんはこう解説する。

「なかでも一般的なのは血管細胞にカルシウムが流入するのを防ぐことで血管の収縮を抑制する『カルシウム拮抗剤』です。昔から定評があり安価で取り入れやすい一方、頭痛や動悸、便秘などの副作用があり、まれに歯茎が腫れることもある」(谷本さん)

 心当たりがあるならば、ほかの種類に替えるのも手だろう。

「加えて降圧剤全般に言えるのは服用後、一時的に血圧が下がりすぎて、ふらつきが起こる場合があること。特に高齢の場合は同じ薬をのんでいても、代謝が弱ったり体力が落ちたり、暑い日に脱水症になったりすることで、ある日突然ふらつきが起こることも。それにより、転倒して頭を打ったり骨折したりすると、そのまま寝たきりになってしまう可能性もあるため、充分に注意してほしい」(谷本さん)

 また、降圧剤は、必ずしも5種類のうち1種類のみが処方されるわけではないことも知っておきたい。

「複数の薬を併用したり、1つに混ぜた『配合剤』が処方されることも多い。配合剤は1錠のむだけで高い効果が得られるのがメリットですが、副作用が出たときに、どの成分が原因か特定が難しく、問題が起きたとき調整がしづらい。そのため最初から配合剤を使わず、単剤を使って様子を見ながら調整するのが一般的。本当に配合剤を使うべきかどうかの見極めは、しっかりするべきです」(谷本さん)

糖尿病には画期的な新薬が

 高血圧と並んで多くの罹患者がおり、その数は2030年には世界で5億人を突破するといわれる糖尿病も、薬で症状が左右される病気の1つだ。

「糖尿病治療で最も一般的な『SU薬』はインスリンの分泌を促進し、血糖値を下げる薬ですが、その作用の強さゆえに食欲がなく食事量が減ってしまったときなどに低血糖を起こしたり、体調が悪くなることが少なくありませんでした。しかし、ここ数年で糖尿病のメカニズムの研究は大きく進み、新しい薬も増えているのです」(長澤さん)

 糖尿病の専門医・有楽橋クリニック院長の林俊行さんは2021年から服用が開始された新薬に注目している。

「これまで注射剤しかなかった『GLP-1受容体作動薬』の内服薬が登場しました。この薬は血糖値を下げるだけでなく、体重の減少や脂肪肝の改善も期待できるため、目に見える効果が大きく、患者の治療へのモチベーションも上がります。注射に抵抗があった人や、自分で注射を打つのが困難だった人も使用できるようになり、選択の幅が広がりました」

 この新薬も含めて、現在、糖尿病の主な内服薬は8種類。糖尿病の原因はインスリンを分泌する力が弱い、インスリンの働きが悪い、あるいはその両方など人によってさまざまなので、症状に合った薬を選ぶことが大切になる。

 また、高齢者の場合は、認知症リスクや薬ののみ忘れにも警戒が必要だという。

「薬の副作用で低血糖を繰り返すことで、認知症の発症を誘発する可能性があります。高齢者や腎臓機能が低下している人の場合、低血糖を起こしやすいSU薬をなるべく減らす、ほかの薬剤に変更するなどの選択肢も視野に入れた方がいい。

 また、糖尿病患者は血圧やコレステロールの薬も服用している割合が高く、内服薬が増えてしまいがち。種類が多くなるほどのみ忘れのリスクが高まりますが、なかには薬をのみ忘れて数値が悪化したことでさらに内服薬が増えてしまう悪循環に陥る人もいます。服用する薬を減らす、のむタイミングを揃えるなどの工夫も大切です」(林さん)

もの忘れ外来に気をつけろ

 薬ののみ忘れは糖尿病に限らない。日本調剤の調査によれば1か月以上同じ薬を処方された人のうち半数は、のみ忘れの経験があるという。

「のみ忘れを防止し、患者の負担を減らすため服用回数を減らすことができる薬も登場しています。たとえば骨粗しょう症の薬は毎日服用するタイプのもののほか、月1度で済む薬もあります」(長澤さん)

 こうした「もの忘れ」が頻繁に起きる認知症も、適切な薬を選び、体に合った使い方をすれば、その症状を最小限に留めることができる。 

 処方される薬は認知症の種類によって異なり、認知症全体の6割を占める「アルツハイマー型認知症」に使用されているのが、抗認知症薬と呼ばれる「コリンエステラーゼ阻害薬」と「NMDA受容体拮抗薬」だ。

 前者は記憶力や学習能力に関係する神経伝達物質・アセチルコリンを分解する酵素の働きを抑制することで、アセチルコリンを増やす。

 多くの認知症患者を診察してきたシニアメンタルクリニック日本橋人形町院長の井関栄三さんは、認知機能障害の程度に加えて、患者の性格によっても薬を使い分けることが重要だと語る。

「コリンエステラーゼ阻害薬には、『ドネペジル』と『ガランタミン』、貼り薬の『リバスチグミン』の3種類があります。最もよく使われるのがドネペジルで、記憶障害の進行を抑えるほか、注意力が高まる、意欲が出るといった効果も期待できる。ただし、もともと短気な性格の人が服用すると、その傾向に拍車をかけて怒りっぽくなったりすることがあり、一人ひとりの性格や傾向をみながら処方することが必要です」(井関さん)

 これらは認知症の初期にのむ薬で、進行すると「NMDA受容体拮抗薬」が追加されるか、単独で使用されることが多い。

「認知症は脳全体にかかわる病気であり、さまざまな要素が関連している。薬だけで目に見えて症状が改善するわけではありませんが、薬によって家族を困らせるような行動・心理症状を改善できることもある。私は抗認知症薬に加えて、抗不安薬や抗うつ薬、抗精神病薬など、複数の薬を少量ずつ合わせるなど、患者の年齢や症状によって使い分けています」(井関さん)

 つまり薬の特性をよく知り、かつ患者の状態をしっかり把握してくれる医師のもとで服用しなければ、症状は改善しづらいということ。

「近年は専門医でない医師が『もの忘れ外来』を標榜している場合も増えており、患者に合わない薬を間違って処方しているケースも見受けられます。もし症状が改善しないのであれば、病院のホームページなどで医師の経歴や所属している学会をチェックしてみてください」(井関さん)

 専門性が高い病気の薬でなくとも、使い分けによって差が付くケースもある。

「頭痛や腰痛、生理痛などに処方される鎮痛剤も、医師がきちんと使い分けてくれるかは重要です。

 たとえば痛みが軽度のときは副作用が少ないアスピリンを使い、局所にはっきりとした強い痛みがあるときはロキソプロフェン、それでも抑えられないときやひどい歯痛はジクロフェナクナトリウムといった形で使い分けます。ただ、ジクロフェナクナトリウムは副作用が強く、普段遣いにはしない方がいい」(長澤さん)

薬を替えたいときはストレートに

 1錠の薬を替えるだけで、これほど症状に変化があるならば、替えない手はないだろう。しかし、自由に購入できる市販薬とは違い、処方薬は医師の判断で提供されるもの。専門家の知識と経験をもとに処方された薬を「替えてほしい」と切り出すのには勇気がいるかもしれない。しかし谷本さんは「ストレートに伝えるべき」とアドバイスする。

「のんでも体調が改善しなかったり副作用に悩まされたりしている場合は理由とともにはっきり伝えてほしい。特に体の状態は患者本人にしかわかりません。

 たとえばふらつきは外からではわかりづらいので、自覚症状を詳しく医師に説明すること。ただし『この薬はダメだ』という全面的に否定するような言い方ではなく、『副作用が気になる』とか『ほかの薬を試したい』といった伝え方をするといい。

 担当医に聞いてもらえないようなら、別の医師にセカンドオピニオンをもらってもいいでしょう」(谷本さん)

 自分の体を守れるのは自分だけだということを、あらためて思い出してほしい。

※女性セブン2021年6月10日号

プロテインの摂り過ぎで体のニオイがきつくなるのはなぜ? 専門家が解説


体臭発生のメカニズム プロテイン摂取による体臭の問題
アスリートをはじめ、スポーツをする人にとって欠かせないのがプロテイン。手軽に摂取できるため、飲んでいる人も多いのではないでしょうか。ただ、プロテインを過剰摂取すると体臭がキツくなってしまう可能性があるそうです。その原因は何なのでしょうか。神戸大学医学部客員教授の寺尾啓二先生に詳しい話をうかがいました。

<プロテインの摂取で体臭がキツくなる?>

プロテインは筋肉を増強してスポーツパフォーマンスを向上させるためには欠かせません。しかし、プロテインを摂り続けていることで、体臭がキツくなったと自分でも感じている人が多くいます。その原因はタンパク質の過剰摂取による腸内環境の悪化です。

<タンパク質の過剰摂取>

プロテインやコラーゲンなどのタンパク質を過剰摂取すると、タンパク分解酵素によってアミノ酸やペプチドに分解されなかったタンパク質は体内には吸収されず、小腸から大腸に移行されます。この未吸収のタンパク質、ペプチド、アミノ酸は、大腸で悪玉菌のエサになって腐敗産物のアンモニアに変換され、大量に吸収されます。

この腸内環境悪化によるアンモニアの大量生産が体臭の原因なのです。通常は、アンモニアは肝臓において尿素回路によって尿素に無毒化され、尿として排出されます。しかしながら、肝機能に異常がある場合や大量のアンモニアを処理しなければならない場合には、アンモニアは尿素変換されきれず、汗の中に混じって体臭となってしまうのです。

●腸内で発生したアンモニアが体臭となるメカニズム

《アンモニア→尿素回路(オルニチン回路)→尿素→尿から排出》

アンモニアは腸管から吸収されて体内に入ると、肝臓において尿素回路によって再び尿素に変換されて無害化し、尿と一緒に排出されるために、本来なら気になるほどのニオイにはなりません。

《アンモニア→尿素回路(オルニチン回路)→血管→汗に混ざり体臭となる》

大量のプロテインを摂取していると、腸内で発生するアンモニア量が増え、体内に大量に吸収され、肝臓では完全に処理しきれなくなります。さらに肝臓の機能が低下すると、尿素回路が働かず、アンモニアは肝臓から血液中に移行して体内をめぐり、その結果、汗のニオイ成分となります。

<体臭を感じたら肝機能不全や肝性脳症の危険も>

このように過剰なプロテイン摂取や肉の食べすぎは腸内環境を悪化させ、体内にアンモニアが増えることで体臭を感じるようになります。体臭が気になるだけならいいのですが、肝臓への負担が増しているので肝機能不全や、アンモニアが血液を通して脳に達することで生じる肝性脳症の危険があります。肝性脳症を発症すると意識障害、異常行動、羽ばたき振戦などの神経症状が現れ、最悪の場合は死に至ります。

<腸内環境の悪化はおならのニオイでわかる>

このようにタンパク質を摂りすぎると大腸では悪玉菌が増殖し、腐敗産物が増加するという腸内環境の悪化を招くのですが、その腸内環境の悪化を知るための簡単な方法があります。自分のおならのニオイを嗅ぐことです。もしおならが臭いなら、腸内環境はよくありません。タンパク質から変換された腐敗産物の中に含まれる硫化水素やメチルメルカプタンといった揮発性硫黄化合物が、そのニオイの原因です。

タンパク質の摂取は筋肉をつくるうえで欠かせないのですが、タンパク質を摂取する際は腸内環境の改善を考えて、必ず、α-オリゴ糖などのプレバイオティクスを一緒に摂るようにしましょう。α-オリゴ糖でしっかりと腸内環境が整うと、おならが臭くなくなるはずです。

教えてくれたのは……寺尾啓二 (てらお・けいじ)さん
【PROFILE】
1957年、岡山県生まれ。86年、京都大学大学院工学研究科博士課程修了。ドイツのワッカーケミー社勤務を経て、2002年に株式会社シクロケムを設立。環状オリゴ糖に関する数々の研究成果は、グループの販売会社である株式会社コサナのヒット商品にも活かされており、11年からは株式会社コサナの代表取締役社長も兼任。06年、東京農工大学客員教授。12年4月から神戸大学医学部客員教授、神戸女子大学健康福祉学部客員教授。19年10月からモンゴル国立大学応用科学工学部客員教授。

(抜粋)
書籍『最新科学で証明された 超効率的に筋肉をつける最高の食事術』
著者/寺尾 啓二

サプリと市販薬の組合わせNG例、ウコン・DHA・プロポリス他


健康のためにサプリメントを日常的にのんでいるという人も多いだろう。そして、同時に頭痛や肩こりといった日常的に起こる症状を和らげるために、市販薬をのんでいる人も多いはず。しかし、何の気なしに市販薬とサプリメントを同時に服用することで、まさかの副作用を起こすこともあるのだ。

 そこで、市販薬とサプリメント・健康食品の代表的な「危険な組み合わせ」を紹介する。

※監修/生田哲さん(薬学博士、米カリフォルニア大学など海外の研究機関で生命科学の研究にあたる)

◆『解熱鎮痛剤』と組み合わせると危険なサプリメント・健康食品

【EPA】
アスピリンやイブプロフェン、ロキソプロフェンといった、血液をサラサラにする成分を含んだ解熱剤は、血液を固まりにくくする作用のあるEPAとのみ合わせると、効果が強まって、内出血などを起こしやすくなる。

【DHA】
 EPA同様、DHAには血液を固まりにくくする作用が。アスピリンやイブプロフェン、ロキソプロフェンといった、血液をサラサラにする成分を含んだ解熱剤と併用すると、効果が強まり、内出血などを起こしやすくなる。

【マグネシウム】
 血液をサラサラにする効果がある成分含有の解熱鎮痛剤と、血流を促進させるマグネシウムを併用すると、出血しやすくなる。軽い打撲でもひどい青あざができることがある。

【イチョウ葉エキス】
 イチョウ葉エキスにはフラボノイドなどが含まれ、血を固まりにくくする。アスピリンやイブプロフェン、ロキソプロフェンといった成分を含む解熱鎮痛剤にも同様の作用があり、血流がよくなりすぎてしまい、止血しづらくなる。

【ノコギリヤシ】
 ノコギリヤシは、血流を改善して前立腺肥大にも効果があると謳われている。血液を固まりにくくする作用のあるアスピリンやイブプロフェン、ロキソプロフェンと一緒にのむと、効果が増強して出血リスクを高めてしまう。

【プロポリス】
 抗酸化作用や糖尿病予防などによいとされるプロポリスは、肝臓で薬が代謝されるのを阻害する可能性が。また、イブプロフェンやロキソプロフェンなどの副作用である胃腸障害、発疹などを増強する恐れもある。

【グルコサミン】
 軟骨のすり減りを抑えて関節の動きを滑らかにし、関節痛を改善する効果が期待されるグルコサミンだが、アセトアミノフェン配合の解熱鎮痛剤と一緒に摂取すると、効果が弱まることがある。

◆『肩こり改善の市販薬』と組み合わせると危険なサプリメント・健康食品

『ウコン』
 筋肉の緊張を緩める作用のあるクロルゾキサゾンは、ウコンと併用すると、吐き気や体温低下などの副作用が起こる可能性がある。

日本は世界有数の“薬服用大国”、薬剤師が警告する「飲み続けると危ない薬」


 日本は世界有数の薬服用大国だ。OECDの調査によると、1人当たりの薬剤費支出総額はアメリカに次ぐ2位(2018年度)。特に高齢者の多剤服用が目立つ。

厚生労働省の調査では、75歳以上の40・3%が5種類以上の薬を処方されており、7種類以上の処方があった人も23・9%いた(令和元年度社会医療診療別統計 院外処方より)。

薬の種類が増えていく理由
「飲む必要のない薬を飲み、逆に体調不良に陥っている高齢者が多すぎます」

 と、薬剤師の宇多川久美子さんは警鐘を鳴らす。高血圧症だった60代男性は、禁煙や食事の改善により、長年飲み続けていた降圧薬をやめることができた。

「いつも午前中はだるかったのに、薬をやめてからは朝すっきり起きられるようになりました」と笑顔で話す。

 また、糖尿病でインスリン注射が欠かせなかった80代女性は、「もう一度、友達と気兼ねなく旅行をしたい」という思いをきっかけに、生活習慣や食生活を徹底的に見直した。今では見事に脱インスリンを果たし、糖尿病の症状も出ていない。

「保険制度のもとでは、薬を処方することで医師も薬剤師も利益を得ます。本当に必要な薬であれば問題ありませんが、“僕はこの薬は飲まないけど、患者には出すよ”という医師がいるのも現実なのです」(宇多川さん、以下同)

 例えば、高血圧症など生活習慣病の薬は、症状を抑えるにすぎない。完治することはないので、ずっと飲み続けるしかない。血圧を下げる薬に、コレステロール値を下げる薬、最近では睡眠薬なども高齢者に処方され、薬の種類はどんどん増えていく。

 また、日本では1つの症状について複数の薬を飲むことも当たり前になっている。
例えば、眠れずに悩む高齢者に、寝つきのよくなる睡眠薬が処方されるとする。

「薬のおかげで寝つきはよくなったんですけど、今度は朝早く目が覚めてしまって……」と患者が訴えると、これまでの睡眠薬に加え、また新たな睡眠薬がプラスされる。結局、睡眠薬だけで2種類を飲むことになる。

「このような処方が日常的に行われていますが、アメリカでは、1つの症状につき1つの薬が基本です」

 薬はたった1つでも副作用がある。数が増えるほどに、薬の組み合わせによる相互作用で、重篤な副作用が起こる危険性は増す。だがそのリスクはあまり知られていない。

受診控えで死者数が減少する事例も
「副作用の症状は頭痛や倦怠感など、さまざま。最悪の場合、死に至ることもあります。トロント大学の研究報告によると、アメリカでは、処方薬の副作用で年間約10万6000人が死亡しています。ちなみに、アメリカでは処方薬は1人4剤までというルールです。それでも、これだけの死亡数が報告されているのです」

 日本では、処方薬の副作用による死者数の統計はない。その一方で、気になるデータがある。厚生労働省の人口動態統計によると、新型コロナウイルスが猛威をふるう中、2020年度の国内の死者数が11年ぶりに前年を下回ったというのだ。

「約15年前、財政破綻した夕張市でも似たような現象が起きました。夕張の市立病院がなくなり、高齢者を中心とした患者たちは病院を利用するとなると市外へ行くしかありませんでした。通院の機会が減るなか、不思議なことに夕張市民の死亡者数は減少したのです。コロナ禍の“受診控え”が目立つ今と、似た状況だと感じます。過度な医療や過剰な服薬は、必ずしも高齢者の健康にとってプラスとはいえないのです」

 そもそも、なぜ高齢者の多剤服用は危険なのか。

「薬を飲むと、その成分は肝臓で分解・解毒され、排出されます。しかし高齢者は加齢により肝機能や腎機能が低下しているため、若者に比べて薬の成分が体内に長時間とどまりやすくなっています。ただでさえ薬の影響を受けやすいのに、それが多剤になれば、副作用のリスクが大きくなるのは当然です」

 加齢によって見られる、記憶障害やふらつきなどの症状も、実は薬の副作用で起きている場合があるという。

「これを『薬剤起因性老年症候群』といいます。便秘や食欲低下などの比較的軽いものから、せん妄、抑うつ、排尿障害まで、さまざまな症状が見られます」

 この問題に対し、厚生労働省は2019年に『高齢者の医薬品適正使用の指針』を発表した。多剤服用の中でも特に害のあるものを「ポリファーマシー」と呼び、高血圧治療薬や糖尿病治療薬、認知症治療薬などジャンル別に、具体的な薬剤名を挙げて注意を促している。

「血圧を下げる降圧薬は、10年、20年と飲み続けている人も珍しくありません。しかし、厚労省の指針では、記憶障害やせん妄など脳への影響が指摘されています。降圧薬は血液循環の圧力を弱める作用があるため、脳へ届ける血液量が減って酸欠状態となり、このような副作用が起こりやすくなるのです。因果関係はまだ不明ですが、長期の服用が認知症を引き起こすという研究もあります」

 日本では、約4000万人が高血圧とされ、降圧薬の市場規模だけでも1兆円に上るといわれている。

「診断や処方せんの基準となる血圧値の分類は、日本高血圧学会が示す『高血圧治療ガイドライン』で定められています。ただし、男女の別や身長、体重などの個体差は考慮されていないのです」

 基準値から少しでもはずれたらすぐに薬を飲む“悪習”は、高血圧症に限らない。

「コレステロールや中性脂肪の値が高いと、心疾患のリスクが高まるといわれています。ですが、これらの値を下げる脂質異常症治療薬についても、厚労省が注意喚起しています。特に75歳以上の後期高齢者においては、筋肉痛や消化器症状、糖尿病の副作用が指摘されています。なかには、筋力が低下し、四肢がまひする深刻な副作用が生じたケースもあったんです」

手軽に入手できる処方せんに問題が
 総合病院の薬剤師として勤務経験のある宇多川さんは、世界に誇る日本の皆保険制度も、皮肉なことに多剤服用を生み出す一因だと話す。保険適用では一般的な処方薬の個人負担額が数百円程度と安く、患者の懐が痛まないからだ。

「高いものじゃないし、とりあえずもらっておけば安心」という考えが患者の意識にあり、薬に対する抵抗感が低い。最近では「こんな症状があったらお医者さんへ相談!」などのCMも頻繁に見受けられ、ますます処方薬がお手軽な印象になっている。

「一時期、過活動膀胱や逆流性食道炎などの薬がCMに登場しました。これらは抗コリン系薬と呼ばれ、アセチルコリンという神経伝達物質の働きを抑える作用があります。実は厚労省が注意喚起している薬のひとつなのです」

 パーキンソン病治療薬や抗うつ薬の一部にも抗コリン系薬がある。また、市販の風邪薬や抗うつ薬、花粉の時期には欠かせない抗ヒスタミン剤にもアセチルコリンを抑える、抗コリン作用のある薬がある。なぜ危険なのか。

「日本では、2025年には3人に1人が罹患するといわれている認知症。初期の段階では、脳内のアセチルコリンが減少することがわかっています。そのため、いま広く使われている認知症改善薬では、脳内のアセチルコリンを増やす作用があるのです」

 この認知症治療薬を服用している人が、抗コリン作用のある風邪薬や、抗うつ薬を飲むとどうなるのか。

「かたやアセチルコリンを増やす作用、かたや減らす作用と、身体の中はもはやパニックです」

 ここに飲み合わせの怖さがある。患者が飲んでいる薬を医師がすべて把握し、患者側もお薬手帳で処方薬をきちんと管理していれば避けられる事態かもしれない。かといって、飲み合わせだけ気をつければいいわけではない。冒頭で触れたように、薬は単独でも必ず副作用があるからだ。

「比較的新しい薬を長期にわたって服用した場合、将来どんな副作用が生じるかはわかりません。認知症の一因が脳内のアセチルコリンの減少にあるのなら、抗コリン系薬を長期間飲み続けることが、なんの影響もないと言い切れるでしょうか。1週間だけ飲んだ風邪薬が、将来の認知症につながるとは思いません。

 ただ、過活動膀胱やうつ病など、簡単にやめられない治療薬を何年も続けた先の影響を想像してみることは大切です。先進国において、なぜ日本で認知症患者の割合が高いのかも考える必要があるでしょう」

薬との付き合い方でいちばん大切なこと
「すべての薬が悪いわけではなく、本当に必要な薬は上手に活用すべきです」と宇多川さんは強調する。

「生活習慣病に限っては、薬は必要ありません。まずは生活を見直し、自分で治す心構えを持ちましょう。ただし、すでに服用している薬を勝手にやめることは危険。必ず主治医に相談してください」

 できるだけ薬に頼らない生活を送るには、遠慮がちでNOと言えない“日本人的”な考え方を改めることも大切だ。

「医師にわずらわしく思われたくないという気持ちを捨て、うるさい患者になるべきです。気兼ねせずに、薬を飲む理由を聞き、やめたり減らしたりしたければその意思を伝えてください。コロナ禍では、自分の身体は自分で守るということがこれまでにも増して重要だと感じています」

 新型コロナウイルスのワクチンをめぐる騒動についても、同じことがいえそうだ。

「遺伝子組み換えで作られたmRNAワクチンを、人類は初めて接種します。安全性については医師や専門家でも意見が分かれますが、未知のものなので誰にも結論は出せません。だからこそ、自分で考えて決めることが大切なのです」

 最近では接種の遅ればかりがクローズアップされ、安全性など本当に重要な議論が尽くされていない印象だ。

「私は60代ですが、現時点でワクチン接種の意思はありません。今後、子どもをつくる可能性のある若い世代は、より注意が必要とも考えています。ただし、基礎疾患がある方はコロナで重篤化する可能性がありますので、打つメリットのほうが大きいケースもあります。薬もワクチンも、年齢や既往歴を鑑みて、リスクとメリットを比較する点は同じです。そのうえで、最終的な結論は自分で出しましょう」

 コロナ禍の今こそ、薬との付き合い方を真剣に考えるときだ。

うだがわ・くみこ
薬剤師。医者や薬への依存から脱却し、病気にならない、病気を治す啓蒙活動を行っている。新著に『薬剤師が教える 子どもから大人まで「飲み続けると危険な薬」』(PHP研究所刊)(取材・文/植木淳子)
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