あなたの健康はお金で買えますか・・・? ■狭心症・心臓病・心筋梗塞・動脈硬化・臓器移植
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その痛みは疲れだけではない!? 心臓病に直結する“肩こり”のシグナル(2)

プラークというのは、冠動脈の血管の内膜にコレステロールや脂肪などの物質と血中のマクロファージ(体内に侵入する異物を捕食、消化する清掃細胞)という物質が沈着、血管内部にへばり付いたもの。

 近年、このプラークが崩壊しやすいものと、そうでないものがあることが判明している。プラークが柔らかく、プラークにマクロファージや炎症細胞が多いと崩壊しやすくなる。ただ、どういう人に崩壊しやすいプラークが多いかの詳細は、解明されていない。

 そのため、自分の状態を確かめられないことになるが、急性冠症候群が疑われる症状があれば、すぐに対策を講じる必要がある。

 東京社会医療研究センター理事の丸岡博之氏はこう説明する。

 「私の知り合いで、肩の痛みで心電図を撮ったら心筋梗塞が判明、結果、心臓破裂の重症だったことがあります。急性冠症候群の特徴的な症状は、胸痛や息切れです。

もちろん肩凝り、歯痛、腹痛、腕の痛みなどの症状を訴える人がいますが、今まで感じたことがない痛みがあった場合、循環器科のある病院で診察を受けることをお勧めします」

 また、丸岡氏はもうひとつポイントを挙げる。それは“発汗”だという。冠動脈の狭窄(きょうさく)で、心臓のポンプ作用が弱まると、交感神経が心臓を動かそうとシグナルを出すと、交神経が優位に立ち、激痛がともない汗も出る。

 これは不安定狭心症からくる症状だが、「症状が弱い」「しばらくして治った」という時も油断できないという。この病気は、対処が遅れると心筋梗塞に繋がるし、さらに対処が遅れれば死に至る。

 「心筋梗塞の治療は近年、長足の進歩で技術は向上しています。早い段階で病院に運ばれれば、一命を取りとめる率は高く、病院内の死亡率は6%と低い。つまり、心筋梗塞の死亡の半数以上は“院外死”なのです。

病院には早く行けば行くほどいいということ。心筋梗塞の発症から詰まった血管を再灌流(さいかんりゅう=再開通)するまでの時間によって、治療効果は大きく異なります」(同)

 丸岡氏によると、最近の報告でも、150分の再灌流と90分以内の再灌流では、院内死亡するリスクは150分の再灌流の方が1.7倍も高い。カテーテル治療などによる再灌流は、搬送時間を含め120分以内が理想だと考えられているという。

 「救急車で病院に運ばれても、検査やカテーテル治療、手術の準備などで、120分などは、あっという間に過ぎてしまいます。もちろんこの間に、救急救命士が、血栓溶解薬を静脈内投与し動脈を開こうとすることがありますが、とにかく体に異変を感じたら即通報。これが急性冠症候群から身を守る最高の手段です」

 いずれにしても、冠動脈はコレストロールなどが沈着すると動脈硬化を起こしてしまう。冠動脈が塞がると、心筋の一部への血液供給が大きく減少し、閉塞の位置と量に応じて、不安定狭心症、心臓発作(心筋梗塞)が起きる。

これで冠動脈が血栓によって詰まり、血液が2~3分以上遮断されると心臓の組織が壊死し、死を呼ぶ冠性症候群が引き起こされるわけだ。

 「肩や腰などの痛みが“いつもと違う”と少しでも感じたら、理屈抜きに、病院で検査を受けてほしい」
 と、丸岡氏は重ねて強調する。

その痛みは疲れだけではない!? 心臓病に直結する“肩こり”のシグナル(1)

加齢で誰もがリスク上昇

 肩凝りの原因に、狭心症や心筋梗塞、心臓突然死といった危険な心臓疾患が含まれる場合があることを、ご存じだろうか。専門家はこれらの病を「冠性症候群」と総称するが、一歩誤れば死に直結するだけに、「単なる肩凝り」と油断してはいけない。

 まず、こんな一例を紹介しよう。埼玉県に住む会社員のTさん(49)は、20代の頃から肩凝りがひどく、半分慣れきっていたところもあった。しかしある日、電車に乗るため駅の階段を駆け上がると、左肩が強く痛んだという。

 残業続きだったこともあり、Tさんは「疲れが溜まっただけ。運動不足もあるかもしれない」ぐらいに思っていた。その後も何度か左肩が痛む時があったが、とくに気にせずにいた。しかし3カ月後、Tさんは心筋梗塞を起こしたのだ。

 胸の辺りが痛むようなサインが出たわけではないが、専門医には「放散痛」という説明を受けた。つまり、心臓とはかけ離れた部位に肩凝りの症状が出たというわけだ。

 厚生中央病院循環器内科の担当医は説明する。
 「内臓には、さまざまな神経系統があります。痛みはそこを伝わって生じるので、思わぬ場所に現れることが少なくないのです」

 心筋梗塞の前兆は、狭心症である。Tさんのように、階段を駆け上がるような、ちょっとした動作でも症状が表れるわけだが、本来は胸の中心部辺りに痛みが出るものが、違うところに出ていた。

 「狭心症の場合、左肩や顎などに痛みが出て、心筋梗塞の前兆とも言われます。典型的な訴えは前胸部の真ん中あたりに圧迫感、焼けるような痛み、締め付けられるような感じを受けます。

いずれも胸の周辺で異常を感じるものですが、肩や顎あたりの痛みだと、肩凝りや歯痛と勘違いするケースが少なくありません」(循環器内科担当医)

 狭心症は、高血圧、喫煙者、肥満の人にリスクが高いといわれ、少なくともそれらに該当するなら、左肩の肩凝り、左側の歯痛が起きた場合は要注意。しかし、狭心症の症状は長く続かない。

せいぜい数分から20~30分で症状は消えるが、厄介なのは歩行や階段の上り下りなど負荷の掛かる運動によって、何度も症状が表れることだ。こういった時には、循環器内科の受診をする必要があるという。

 また冒頭で記したように、不安定狭心症や心筋梗塞、心臓突然死などの病は「急性冠症候群」の総称で呼ばれる。病名が違っても原因が同じであれば対策も同じというわけだが、その理由はどこにあるのか。

 「この急性冠症候群は、全ての人にリスクがあり、とくに加齢とともに高まります。さらに喫煙者に加えて、糖尿病や高血圧、脂質異常症の病気を持っている人はリスクがより高い。

加齢で誰もが血管が老い、プラークや血栓ができやすくなります。ですから、喫煙などの要因がゼロでも、リスクはゼロではありません」(前出・循環器科担当医)

声枯れ・胸焼けはご用心!「胃食道逆流症」

最近、声が枯れたり、喉が痛かったり、咳が止まらなかったり、胸焼けが気になったりしませんか? もし食後や起床時に症状が強いなら、胃食道逆流症の可能性があります。

喉や食道に、違和感はありませんか?
少し太り気味のAさんは良く食べ良く飲む生活。カラオケが大好きです。検診でも引っかかった事はなくて健康には自信があります。しかし最近、いくつかの症状が気になっています。カラオケに行ってないのに声がかすれたりするのです。

以下のチェック項目で、あなたにも当てはまるものがありませんか?

□ <声> かすれる・滑りが悪い・高い声が出にくい
□ <喉> 何かが詰まったり、引っかかったりした感じ
□ <喉> ちくちくした感じ・イガイガした感じ・痛い
□ <飲み込み> 物が飲み込みにくい・物を飲み込む時に痛い
□ <胸焼け> 胸やけ・胸が痛い
□ <咳> 咳が続く
□ <その他> 嘔吐しそうになる。
□ <その他> 口の中が酸っぱかったり・苦いことがある。

Aさんの症状は声・喉・胸焼け・咳・口の中などで起きています。Aさんは、これらの症状が一日の中では、食後に強くなる事に気がつきました。また起床時にも強くなる事にも気がつきました。

これらの症状を引き起こすのが胃食道逆流症です。

原因:胃液の逆流で食道が溶けている!

胃には、食物を溜めて置く役割と、胃液中の胃酸で飲み込んだ食物中の細菌を殺す役割があります。

胃自体は粘液で守られているので大丈夫ですが、もし胃液が食道に逆流してしまうと、粘液で保護されていない食道は溶けてしまいます。逆流を防いでいる通常の機能がふとしたことで低下すると、胃液の逆流が起こってしまうのです。

胃液で溶けると食道の動きは悪くなり、場合によっては食道自体が狭くなってしまうこともあります。ですから胸焼けが起きたり、物が飲み込みにくくなったりするのです。

口の中が酸っぱく感じるのは、胃液の逆流が原因です。もし苦く感じるとしたら、十二指腸から苦味がある胆汁が胃に逆流し、それがさらに胃から口まで逆流したためと考えられます。

安倍総理も悩まされた潰瘍性大腸炎とは…症状・治療法

潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜がただれて下痢や出血、腹痛をきたす原因不明の病気です。潰瘍性大腸炎とクローン病を包括して炎症性腸疾患と呼びます。炎症の部位は、直腸から連続的に口側に広がり、大腸全体まで及ぶこともあります。症状が良くなる「寛解」と、悪くなる「再燃」を繰り返すことが特徴です。

どの年齢層でも発病する可能性がありますが、10代後半~30代前半に好発します。潰瘍性大腸炎の患者数は1970年以降急激に増加傾向にあり、2011年現在で、潰瘍性大腸炎の特定疾患医療受給者数は13万人と報告されています。

解消性大腸炎の原因
潰瘍性大腸炎の原因はまだわかっていません。しかし、最近の研究では、「遺伝的な要因」、「食べ物や腸内細菌、化学薬品などの環境因子」、「免疫の異常」の3つが重なり合って発病すると考えられています。食生活の欧米化もこの病気が増加している要因のひとつとされています。

潰瘍性大腸炎の症状・診断基準

潰瘍性大腸炎では、血便や軟便・下痢、腹痛、発熱などの症状を認めます。このような症状が続いたり繰り返したりする場合は潰瘍性大腸炎が疑われます。

感染性腸炎など他の疾患でも似たような症状がみられることがあるため鑑別診断が必要です。内視鏡検査と組織検査で潰瘍性大腸炎に特徴的な所見があるかを確認します。注腸X線検査を行うこともあります。血液検査なども含めて総合的に診断します。

潰瘍性大腸炎の治療……薬・手術
現在のところ、この病気を完治させる治療法はありません。しかし、適切な治療によって病気をコントロールすることは可能です。活動期には病変範囲と重症度を把握し、それに応じた治療法を選択して速やかな寛解導入を図ります。

1)潰瘍性大腸炎の内科的治療法・主な薬

■5-アミノサリチル酸(ASA)製剤
潰瘍性大腸炎の基本薬です。従来からのサラゾスルファピリジン(サラゾピリン)やその副作用を軽減するために開発されたメサラジン(ペンタサやアサコール)という薬が用いられます。経口薬の他、肛門から腸に直接薬を注入する注入薬があります。軽症ないし中等症の活動期潰瘍性大腸炎の寛解導入に有効です。寛解期の再燃予防にも有効とされています。

■副腎皮質ステロイド薬
経口ASAで効果がない場合は、ステロイド薬の内服や注入療法が用いられます。経静脈的に用いることもあります。活動期潰瘍性大腸炎の寛解導入に有効です。寛解維持には効果がないため、基本的に寛解状態になれば徐々に減量し、最終的に中止します。

■白血球除去療法
潰瘍性大腸炎では、免疫が自分の腸を絶えず攻撃してしまうために、炎症が続いて腸が傷ついてしまうと考えられています。活性化している白血球(攻撃して悪さをしている白血球)を人工透析と同じような方法で体外に取り出し、フィルターにかけて除去し体内に戻します。

■免疫調節剤
6-メルカプトプリン(ロイケリン)、アザチオプリン(イムラン)、最近ではシクロスポリン(サンディミン)やタクロリムス(プログラフ)という薬が用いられます。過剰な免疫反応を調節する薬です。ステロイド薬が無効の患者さんやステロイド薬が中止できない患者さんの治療に用いられます。

■抗TNFα受容体拮抗薬
インフリキシマブ(レミケード)やアダリムマブ(ヒュムラ)という薬が用いられます。炎症を起こすタンパク質(サイトカイン)のひとつTNFαを阻害します。他の治療法では十分な効果が得られない患者さんが対象となります。

2)潰瘍性大腸炎の外科的治療法・手術

潰瘍性大腸炎の大半は内科的治療でコントロールできますが、内科的治療で十分な効果がなく、日常生活が困難になるなどQOLが低下した例、内科的治療治療で重要の副作用が発現、または発現する可能性のある例は手術適応とされています。手術は大腸の全摘が基本になります。最終的に人工肛門になる方はごくわずかです。

潰瘍性大腸炎の食事と薬物療法のポイント

強い炎症が起こっている場合は、絶食になることもありますが、症状が落ち着いている状態であれば、絶対食べてはいけないという食品はありません。ただし、脂っこい食物や香辛料・アルコールなどの刺激物は控えるようにしましょう。暴飲暴食を避け、バランス良く食べることが食生活の基本です。

食事に気を付けることはもちろん必要ですが、食事内容に過度に神経質になるより、薬物治療を確実に行うことがさらに大切です。

潰瘍性大腸炎は症状が落ち着いても、再び症状が現れる、再燃の可能性は常にあります。1/3~1/2の患者さんは1年以内に再燃を起こすと推察されています。薬の服用をやめてしまえば再燃の可能性は高くなりますので、症状がなくても医師の指示通りに薬を飲み続けるようにしましょう。

潰瘍性大腸炎と大腸がんとの関係

病変の範囲が長い潰瘍性大腸炎では、長い年月でみると、大腸がんの発生率が普通の人よりも高くなることが知られています。診断から10年で2%、20年で8%、30年で18%に大腸がんの合併を認めます。

潰瘍性大腸炎に合併するがんは、普通の大腸がんと形が少し異なり見つけにくいこともあります。担当の先生と相談して、定期的に検査をうけましょう。

潰瘍性大腸炎の際の妊娠と出産

潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患であるだけで不妊率は増加しません。多くの報告があり一定の見解は得られていませんが、寛解期に妊娠した炎症性腸疾患の再燃率は、非妊娠者と同等です。

ただし、炎症性腸疾患が活動期の妊娠では2/3の患者さんで活動性が持続、うち2/3が悪化するという報告があるため注意が必要です。

炎症性腸疾患では3か月以上の寛解維持期間をおいて妊娠するのがいいでしょう。もしも、妊娠中に悪化しても、治療を受けながら無事に出産することは可能です。主治医に相談し、きちんと治療を受けながら妊娠を継続させましょう。

炎症性腸疾患治療薬の多くは、治療に有効であれば安全に投与できるというのが近年では主流となってきています。主治医とパートナー、家族が話し合って、計画的に出産を行うのが理想的です。


潰瘍性大腸炎の医療費の助成制度

潰瘍性大腸炎は国が指定した「特定疾患治療研究事業」の対象疾患になっています。潰瘍性大腸炎と診断された場合は、所定の申請手続きを行い認可されると、潰瘍性大腸炎に伴う医療費の助成を受けることができます。医療機関や保健所で相談して下さい。

カリスマバイヤー藤巻参院議員襲った「大動脈瘤破裂」の怖さ

結いの党の藤巻幸夫参院議員(享年54)が15日、出血性ショックで死去した。

 伊勢丹のカリスマバイヤーや福助社長などファッション業界で知名度を上げ、12年12月に比例で繰り上げ当選。政治家としてはまだこれからだった。昨年12月のみんなの党分裂劇までは、元気そのもので病気の気配など
全くなかったという。

■年明け以降、国会に姿を見せず

 結いの党関係者がこう言う。
「クリスマスの頃に急性すい炎で倒れ、入院したそうです。以降、国会に顔を見せることはありませんでした。党内で何度か<お見舞いに行こう>と話しましたが、ご家族から<面会できる状態ではないので>とのことでした。

ただ数日前、藤巻さんの秘書が<状態はいいです>と言っていたので、春には復帰できるかと思っていたのですが…」

 死因の出血性ショックを招いたのは大動脈瘤破裂だったようだ。大動脈は、心臓から拍出された血液を全身に届ける血管で、直径2~3センチ。体の中で最も太い血管が破裂するのは、高血圧が原因といわれている。

「血管が高血圧によるプレッシャーを受けていると、劣化するところができてきます。それで、弱くなった部分に、水風船のような瘤(こぶ)ができる。水風船にどんどん水を注入すれば破裂します。

それと同じように、臨界点に達した動脈瘤が破れて出血するのが、大動脈瘤破裂です。瘤が破裂したら致死率は9割に上る。瘤が小さいうちに見つけて、治療できるかが生死の分かれ目です」(東京都健康長寿医療センター・桑島巌顧問=高血圧外来)

■昨年末、急性すい炎で入院

 生活習慣病の一つである高血圧は、暴飲暴食や飲酒、喫煙、過労、睡眠不足、ストレスが悪化要因になる。そのうちのいくつかが重なって、ただでさえ高い血圧が一時的に急上昇すると、大動脈瘤が破裂する。

そこが、臨界点だ。生前の藤巻氏は日焼けして健康そうに見えたものの、メタボ気味だったから、暴飲暴食の気があったかもしれない。それを裏づけるのが、昨年末に急性すい炎で入院したことだ。

「急性すい炎は、脂っこい食事や過度の飲酒を何日も繰り返すと、発症します。大動脈瘤破裂と急性すい炎は、まったく異なる病気ですが、それぞれのリスク因子が重なり合うのです。

12月の入院から“面会謝絶状態”だったそうですから、急性すい炎も重かったと推測できます」(桑島氏)

 藤巻氏が経営するデザイン会社がうまくいっていなかったという話もある。ストレスが頂点に達していたのか。

慢性的な胃の痛み…原因はストレスではない

仕事もプライベートも何かと忙しい30代。しかし、「忙いから」と健康を疎かにしていると、気がついたときには「すでに時遅し」となりかねない病気にかかってしまうことも。

日常生活で見過ごしがちな“体の異変”を察知できるかが大事になるのだ。各分野の専門医の警告と、体が発する“サイン”に耳を傾けるべし!

◆みぞおちや背中に痛みを感じる、ストレスで胃が痛くなる、四六時中、胃薬が手放せない ⇒ 十二指腸潰瘍、胃ガンの可能性

ストレス過多の現代人にとってまず心配したいのは、心労などに過敏に反応しがちな胃や十二指腸の病気。そこで、菅原医院の院長・菅原正弘医師に、これらの臓器の病気について聞いてみた。

「やはり多いのは、食後に胃の痛みが出る胃潰瘍や、空腹時にみぞおちに痛みを感じる十二指腸潰瘍です。空腹時、みぞおちに痛みを感じる人は要注意です。

これは潰瘍部のただれた粘膜を胃酸や食物が刺激することも関係しています。場合によっては背中側に痛みが出たり、食欲不振や胸やけなどを感じることがあります」

 こういった兆候がありながら放っておいて悪化してしまえば、胃や十二指腸に穴が開いてしまうこともある。その場合、激しい痛みや嘔吐が起こり、緊急手術する必要も出てくるのだとか。 

また、胃潰瘍と十二指腸潰瘍は、急性の場合は食生活の改善やストレスの軽減などで治るのだが、慢性となると話は違う。

「慢性的な胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、体内にいるピロリ菌が原因になっていることが多い。その場合、菌を取り除かない限り根本的には治りません」

 と語るのは、消化器病を専門とする麻布医院の院長・高橋弘医師。

「ピロリ菌は、胃の中に生息する菌で、胃の内壁を傷つける性質があります。例えば『ストレスを感じると、胃がすぐに痛くなる人』などは、ピロリ菌の保菌者である可能性が高いんです。実はストレスで胃が痛いのではなく、ピロリ菌のせいで胃が弱くなっていることが考えられます」

 その場合、いくらストレスを減らしても胃の痛みは取れない。そして、潰瘍で済めばまだマシで、場合によってはさらなる恐怖が待ち受けていることも。

「胃ガンです。ピロリ菌保菌者が胃ガンになる確率は1年で1000人に1人程度。しかし、胃粘膜の萎縮が進んだ萎縮性胃炎でピロリ菌保菌者は、1年で400人に1人が胃ガンになる可能性があります。

そして、あまりに萎縮性胃炎が進行すると、胃の粘膜が荒れすぎてピロリ菌すら棲めなくなってしまいます。

そうなると、1年で80人に1人という非常に高い割合で胃ガンになると言われています。でも、一度ピロリ菌を取り除いてしまえば、もうこの菌により胃・十二指腸潰瘍になる可能性はなくなるし、胃ガンになる可能性もぐっと減ります」(高橋医師) 

 ちなみに、ピロリ菌の除去は1週間ほどの投薬で終了するという。すぐ胃が痛くなる人、胃薬が手放せない人は将来のリスクを減らすためにも根本的な治療が必要かも

最新の心臓病治療 (1) 経カテーテル大動脈弁治療(TAVI)

大動脈弁狭窄(きょうさく)症は、左心室の出口にある大動脈弁が徐々に硬くなって開きにくくなる病気で、高齢者の弁膜症で一番多いと言われています。

心臓が収縮しても出口が十分に開かないので、重症になると血液が全身に行き渡らず、胸痛、息切れ、全身倦怠(けんたい)感、失神などさまざまな症状が出てきます。

ゆっくり進行するので症状が出るまで長い年月がかかるのですが、症状が出始めると急速に病状が悪化し、数年で死に至ると言われる怖い病気です。

 唯一の根本的な治療法は、外科的に開胸して傷んだ弁を人工弁に取り換える大動脈弁置換術で、手術がうまくいけばほとんどの方が元気になります。

そのため高齢の患者さんにも積極的に手術を行っている施設が多く、その成績も良好です。しかし、年齢や合併症のため手術のリスクが高くなり、従来の開胸手術を受けられない患者さんが3割以上いると言われています。

 このように手術の適応にならないハイリスクの患者さんに対して、足の付け根や小さく開けた胸の傷からカテーテル(細い管)を血管内に挿入し、狭くなった大動脈弁を風船で拡張したあと人工弁を留置する経カテーテル大動脈弁治療(TAVI:Transcatheter Aortic Valve implantation)が2002年にヨーロッパで始まり、世界中でこれまで7万人以上に行われてきました。

 日本でもようやくこの秋に保険償還され、健康保険診療下にこの新しい治療を行うことができるようになりました。大きく胸を開き心臓を止めて弁を取り換える従来の手術法とくらべ、TAVIは症例によっては足の付け根の血管に入れたカテーテルを通して全ての操作が終了するので、

体の負担が非常に小さく、これまで手術不可能と診断されたリスクの高い患者さんに対する有効な治療として注目を浴びています。

 さらに欧米では、過去に生体弁による人工弁置換術を受け、生体弁の劣化によって弁の交換が必要になった患者さんに対し、古くなった弁は残したままその内側にTAVIによって新たな人工弁を留置する治療(Valve in Valve)も行われています。

生体弁の耐久性は年齢にもよりますが15年程度といわれていることから、1回目は開胸手術で大動脈弁を植え込み、2回目は胸を切らずにTAVIで弁を入れるという考え方も可能になってくるかもしれません。

 この治療法の対象になるのは、高齢または合併症のため、従来の開胸手術ができないと専門医が診断した重症大動脈弁狭窄症です。

リスクの低い患者さんに対しては、現時点では外科手術による大動脈弁置換術の方が人工弁をしっかり固定できる(人工弁を心臓組織に糸で縫合固定するため)こと、TAVIで植え込んだ生体弁の長期の耐久性がまだわかっていないことなどから、これまでの外科手術が第一選択となります。

榊原病院では通常の胸骨切開による大動脈弁置換術以外にも、胸骨を切らずに右胸の小さな傷から手術を行う低侵襲大動脈弁置換術(ポートアクセス手術)も行っており、これらの手術とTAVIのどちらが安全に行えるか慎重に検討して適応を決定しています。

 近年の医療機器の技術開発のスピードには目を見張るものがあり、狭心症に対するカテーテル治療、大動脈瘤(りゅう)に対する血管内ステントグラフト治療に続いて、弁膜症に対しても血管内治療が可能な時代となりました。

体に優しい治療が今後増えていき、一人でも多くの患者さんが最新の治療の恩恵を受けることができるよう願うばかりです。

最新の心臓病治療(3) 低侵襲心臓手術

低侵襲心臓手術とは、通常大きな胸骨正中切開で行う心臓手術を、できるだけ小さな切開で行うものです。以前は胸骨を3分の2ほど切開して手術する「胸骨部分切開」がメーンでしたが、最近は、肋骨(ろっこつ)と肋骨の間(肋間)を5〜10センチほど切開して手術する「肋間小開胸」での手術が多くなってきました。

 肋間小開胸の手術では胸骨を切らないため、出血が少なく、細菌感染のリスクも激減し、術後の運動制限もほとんどありません。そのため、早期リハビリが可能となり、早期退院、早期社会復帰が可能になります。

また女性では、傷口が乳房に隠れるため、美容的にも非常に満足度の高い手術です。

 心臓病センター榊原病院では肋間小開胸での低侵襲心臓手術を2005年から開始しました。13年には年間100例を突破し、13年末までで420例を超える低侵襲手術を行ってきました。この症例数は、慶応大学病院に次ぐ、本邦第2位の症例数となります。

 2005年に低侵襲心臓手術を開始した時は、美容を目的とした若年女性の先天性心疾患(心房中隔欠損症)手術がメーンでした。

その後僧帽弁疾患まで適応を拡大し、07年には日本で初めて肋間小開胸で大動脈弁疾患の手術を行いました。その後も努力を重ね、10年には日本で初めて大動脈弁と僧帽弁の同時手術も行っています。

 2012年までは、早期社会復帰を目的とした比較的若年者の手術がメーンでしたが、12年9月の新病院移転を機に、高齢者でも積極的に低侵襲手術を行う方針としました。

特に、高齢女性で多い大動脈弁狭窄(きょうさく)症に対しても、「出血や感染などの術後合併症を予防する」ために肋間小開胸で手術を行うことが多くなっています。

実際に新病院移転後は、大動脈弁手術の半数以上が70歳以上の高齢者でした=図2参照。そして、12年末から左肋間小開胸での冠動脈バイパス術(2本以上)も開始し、心臓手術のかなりの部分で低侵襲手術を行う技術がそろいました。

 大変素晴らしい低侵襲心臓手術ですが、なかなか日本全国に広まらないのは理由があります。まず、小さな切開からの手術なので、手術難易度は格段に上がります。

また、術者だけが慣れていても手術にならないので、サポートする外科医、麻酔科医、手術室看護師、人工心肺技師すべてが手術を深く理解しておく必要があります。

そして、ささいな事が大きなトラブルにつながってしまうので、手術中はいつも以上に細心の注意を払わねばなりません。高い技術、深い経験、そして盤石のチームワークがなければ、安全に低侵襲心臓手術を行うことはできません。

心臓病センター榊原病院では、これまでさまざまな工夫を追加し、高齢者でも安全に低侵襲心臓手術を行うことができるようになりました。

 心臓病センター榊原病院でも2013年末から経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)を行えるようになりました。

ただ、カテーテルが通る動脈の損傷、不整脈によるペースメーカー植え込み、人工弁の周囲に隙間ができて血液が心臓に逆流するなどの問題があり、TAVRも完璧な低侵襲治療とは言えません。

人によってはむしろ、通常の人工弁置換術の方が安全な場合もあります。通常の手術、肋間小開胸による低侵襲手術、カテーテルで行うTAVR、どの治療が最も安全なのかを判断し、その人にとってベストの治療法を今後も提供してゆく予定です。

最新の心臓病治療(4) 最近の冠動脈ステント治療

狭心症、心筋梗塞という病名を聞いたことがあるでしょうか。心臓を栄養する血管(冠動脈)に動脈硬化が起こった結果、冠動脈が狭くなったり、閉塞することによって起こる病気です。

現在これらの病気に対して行われる治療方法としては、(1)飲み薬による治療(2)外科的に狭くなった血管の先に新しい血管をつなぐ冠動脈バイパス手術(3)手足の動脈からカテーテルという管を入れて行うステント治療―などがあります。今日はその中で、最も一般的に行われているステント治療について説明します。

 ステントとは金属でできた円筒形の網のことで、材質はステンレス、コバルトクロム合金などが使用されています。直径は2・25ミリから4ミリ、長さは8ミリから38ミリ程度とさまざまなバリエーションがあり、冠動脈の大きさ、長さに合ったものを使用します。


このステントは、治療前には冠動脈を広げるバルーン(風船)の外側に小さく畳んだ状態で装着されていますが、バルーンを広げることでステントも一緒に大きくなって冠動脈を広げるという治療です。

その後、バルーンは冠動脈の中から回収され、ステントのみが冠動脈内に留置されるという仕組みになっています。

 このステント治療が日本で一般的に行われるようになったのは1990年代半ば以降からと比較的最近です。

ステントはバイパス手術に比べて、傷口が小さく、治療時間、入院期間などの患者さんへの負担が非常に少ないこともあって、全世界的に大きく普及することとなりました。しかし、そのステント治療には「再狭窄(さいきょうさく)」といわれる大きな問題点がありました。

 再狭窄とは冠動脈ステント治療後、6〜8カ月くらいの間にステント内側が新生内膜といわれる組織によって覆われ、冠動脈が再度狭くなってしまう現象を指します。

その場合にはバルーン、ステントなどで再度治療を行う必要が出てきますが、この再狭窄はステント治療の20〜30%と比較的高率に起こるため、ステント治療の弱点とされてきました。

その「再狭窄」を克服するために開発され、最近よく使用されるようになってきているのが薬剤溶出ステントです。

 薬剤溶出ステントは従来型ステントの表面に免疫抑制剤が塗られており、その薬の作用でステント内に起こる新生内膜、ひいては再狭窄を予防するという構造になっています。

この薬剤ステントを使って治療を行うと、再狭窄は5〜10%以下と劇的な治療効果があることがわかり、以前にはバイパス手術しか治療の選択肢のなかった重症の狭心症、心筋梗塞にまで薬剤ステント治療が行われるようになってきています。

 しかし、この薬剤ステントを使えば狭心症、心筋梗塞の治療すべてが完了するというわけではありません。その主たるものが飲み薬の継続期間です。

ステント治療後には冠動脈が血の固まり(血栓)で詰まらないようにする予防薬(抗血小板剤)を飲む必要がありますが、薬剤ステントで治療した患者さんの場合は、通常型ステント治療よりも長期間にわたってこれらの飲み薬の継続が必要となります。

再狭窄の減少か、飲み薬の必要な期間か、従来型ステントと薬剤溶出ステントとの選択は、年齢、冠動脈の状態、もともとの病気などをみて総合的に判断する必要があると考えています。

 また、近い将来にはステントの素材自体が生体内で時間とともに溶けてなくなってしまう、生体吸収型ステントも使用可能となる予定で、ステント治療も時とともにより安全で、効果が高いものに変わってきています。

最新の心臓病治療(5) 円熟期を迎えた大動脈瘤ステントグラフト治療

大動脈瘤(りゅう)に対するステントグラフト(SG)治療が保険医療として2007年に認可されてからすでに7年経過しました。その間にSG自体がかなり進化し、さらにSGの種類も増えています。最近は、より安全で確実な治療ができるようになってきました。

それに大きく寄与したのはIT技術の進歩です。具体的には(1)CT(コンピューター断層撮影)技術の進歩(2)ハイブリッド手術室の進化です。

 (1)超高速CTの出現と、コンピューターによる画像処理技術(3D化)の進歩により高解像度3DCT画像を瞬時に作ることができ、より緻密な術前診断がつくようになりました。

 (2)ハイブリッド手術室の進歩は特筆されます。ハイブリッド手術室とは、高性能血管撮影装置を常備した手術室のことをいいます。10年に初期型ハイブリッド手術室システムが発売されましたが、この3年間にかなりな進歩をとげており、3年前とは別物といっていいぐらいです。

X線透視画像と3DCT画像のフュージョン(融合)による3Dナビゲーションシステム、高解像度大型モニターシステムなどにより従来では考えられなかった、ほとんど造影剤を使用しないSG治療も可能です。

さらに2方向透視装置を用いた立体透視の導入により、手術時間の短縮も図れ、手術時間は30分以上短縮して1時間~1時間半程度になりました。

 また、診断、治療技術の向上により、従来なら困難とされた大動脈瘤に対してもSG治療ができるようになってきました。一方、7年経過して、SG治療のトラブル(動脈瘤の再発)も多数発生し、その限界もある程度わかってきました。

 心臓病センター榊原病院においては07年からの7年間で約1600例の大動脈瘤治療を行ってきました。

そのうちの約600例はSG治療、残りの約千例は開胸あるいは開腹での手術(オープン手術)治療となっています。全国でも屈指の治療経験数です。現在、SGとオープン手術の比は2対3程度となっています。

最近になり、SGに対する世界中からの多数の学術論文やわれわれの約15年の経験から、SG治療に適する大動脈瘤の形態、治療効果、再発の有無がある程度わかってきました。

 確かにSG治療はうまくいけば体の負担はかなり小さく、従来のオープン手術を必要としないという点では画期的な技術です。

しかし、たくさんの症例のSG治療を詳細に検討すると、腹部大動脈瘤のSG治療は再発率が20%前後有ること、弓部大動脈瘤に対するSG治療ではオープン手術より明らかに治療時の脳梗塞(合併症)発生率が高いことなど、意外とトラブルの発生率も高いことがわかってきました。

SG治療に適さない患者さんにSG治療を行うと、トラブル発生率が上がり、治療によってかえってQOL(生活の質)を下げることもあります。そのような事実を知って個々の患者さんに最も適した治療方針を決めることは重要です。

 治療経験数や治療設備による施設間の治療成績の格差が存在するのも事実です。経験数の多い施設では医師だけでなく、看護師、技師など医療従事者の経験値も高く、より良い、高度なチーム医療が可能です。

高度なSG治療には外科医、麻酔科医、看護師、臨床工学技士、放射線技師など6~8名が1チームとして治療を行う必要があります。

 治療を自動車レースにたとえると、自動車技術の進化により自動車自体が高性能となりました。しかし、運転するのはドライバーであり、さらにそれを支えるサポートチームが必要です。いくら高性能車であってもそれを乗りこなす技術がないと高速でコーナーは曲がれません。

高性能車(医療機器)と技術の高いドライバー(医師)とサポートチーム(看護師、技師など)がすべてそろっていないと自動車レースでいい成績は残せません。経験と知識とマンパワーが重要だと言えます。(心臓病センター榊原病院 吉鷹秀範上席副院長=心臓血管外科)

最新の心臓病治療(5) 円熟期を迎えた大動脈瘤ステントグラフト治療

 よしたか・ひでのり 高松高、香川医科大(現香川大医学部)卒、同大学院修了。1991~92年の2年間、循環器内科医として約千例の心臓カテーテル検査、治療を経験。その後、大阪の国立循環器病センターで心臓血管外科医としてスタート。96年から心臓病センター榊原病院に勤め、2002年心臓病血管外科部長、05年から副院長、12年から上席副院長。

悩ましい「脳の老化」進行を防ぐ2つの方法とは

患者520万人、予備群まで加えたら1000万人近い人が、さらにその家族まで加えたら数千万人の人が悩み苦しんでいるかもしれないという「認知症」。今からできることはないのか。どうすればいいのか。

2017年1月14日に芝浦工大で行われた「脳の老化ってどんなこと?~からだのサビが認知症を引き起こす!~」と題する福井浩二先生(芝浦工業大学システム理工学部教授)の公開講座には、定員を超える受講生が集まっていた。

■「脳の老化」は切実な悩み

「歳を取ったなあ」とつくづく感じる第一の身体の部分が、目だ。

筆者は新聞の字が読めなくなり、メガネ(もともと近視)を外したほうがよく見えると気がついた。だが、かなり紙面に顔を近づけなければならず、そのうちパソコンの字も見えなくなってきた。これでは仕事にさしつかえると、遠視用のメガネを作った。

顔も老けた。多くの女性たちが鼻の脇から口に向かってのびる「ほうれい線」が濃くなって老け顔に見えると悩んでいるようだが、男もそこは同じ。鼻の脇の陰影は日増しにくっきりとし、すぐ横のほっぺたも垂れ下がり始めた。放っておけば岸信介や佐藤栄作(ぜひGoogleで画像検索してみてほしい)級のブルドッグ顔になってしまう、いや、もうなっていると、慌ててジョギングを始めたが、続かないのが情けない。

これらは目に見える老化だ。自覚症状もある。だが、見えない老化もある。身体の中、とくに脳の老化は目に見えず、自覚も難しい。これだけ高齢者が増え、現実に認知症など「脳の老化」が問題になれば、もう他人ごとではない。

現実に自分の身体はあちこちガタガタだ。頭にガタが来てもおかしくはない。かつては物忘れのひどさを自虐ギャグとして笑い飛ばしていたが、それも若いからできたこと。最近は、まあ大丈夫ですか?と周りの人が真顔で心配してくれる。

そんな現実を直視せねばという一大決心(?)のもと、向かったのが芝浦工業大学の講座「脳の老化ってどんなこと?~からだのサビが認知症を引き起こす!~」(2017年1月)だった。

■老化とは酸化、とくに激しいのが脳の酸化

芝浦工大と聞けば電気や機械の世界を想像するが、教壇に立った福井浩二先生は生命科学科の教授だ。

システム理工学部生命科学科は2008年に設立されたまだ新しい学科で、福井先生も40代の精鋭の研究者だ。「脳の老化」の世界で多くの実績をあげる学者でありながら、ご自分の薄くなってきた頭を笑いのネタにできる尊敬すべき先生だ。定員100名を超える受講者が押しかけ、満杯になった会場で講座は始まった。

福井先生の話をひとことで表現すれば、「老化とは酸化である」ということだ。歳を取るごとに身体の細胞のあちこちが酸化して蓄積していく。それが老化だ。酸化の身近な代表例が金属のサビだろう。「身体がサビ付く」という表現があるが、まさにその通りのことが起こっているわけだ。

中でもサビの一番ひどいところが脳だ。もともと脳の細胞は酸化しやすい物質でできている。それに加え、考えることはもちろん、身体中の機能を司る脳は休みなく働き続け、酸素消費量は身体のどの部位よりも多い。人間の脳は体重の2%だが、酸素消費量は身体全体の4分の1を占める。その結果、他の身体の部位に比べ、脳の酸化は激しくなり、その結果、脳の老化を招くことになる。認知症をはじめ脳の病気の原因になる。

■生理的老化は避けられないが、病的老化は阻止できる

それでは「脳の老化」を防ぐにはどうすれば良いのか。誰でもできる方法が2つあるという。

(1)抗酸化成分の含まれる食事を摂る

抗酸化成分とは、具体的にはカテキン(お茶に含まれる)、ポリフェノール(ウーロン茶、赤ワイン)、そしてビタミンCやビタミンEなどだ。食事をとおしてきちんと摂れば、身体の中で酸化の進行を防ぐことができる。

(2)規則正しい生活をする

もうひとつ大事なのが、規則正しい生活をすること。生活のリズムの乱れは、身体の代謝機能やホルモン、神経のバランスを崩す。食事として摂るべき上記の抗酸化成分以外にも、人間は身体の中に酸化を防ぐ成分がある。それらを存分に働かせるためにも、無理をせず、規則正しい生活することが一番だという。

講義中、福井先生が何度か強調するのが「老化とは避けられないもの」ということだ。ちまたでは「若返り」や「アンチエイジング」が流行り、まるで老化してきた道を逆戻りできるようにも聞こえるが、そんなことはあり得ない。

希望が打ち砕かれるようだが、話には続きがある。「生理的老化」により人間は必ず老化し、寿命を迎える。それはどうしようもない。だが、老化にはもうひとつ「病的老化」がある。これがあるから本来、生きられるのが妨げられ、寿命を縮めてしまう。「病的老化」を防げば、「生理的老化」で定められた寿命を全うできる。

では、「生理的老化」だけならば人間はどれほど生きられるのか。

講義で紹介されたのが、122歳まで生きたフランス人女性の例だ。日本でも1960年代は150人ほどしかいなかった100歳超の人(センテネリアン)が、2016年9月現在では6万5千人まで増えたという。栄養をしっかり摂り、生活環境が良くなったことで「病的老化」が減り、ここまで人の寿命が延びたのだ。

講義の前半では長寿の記録や統計などの事実が地道に積み上げられ、後半では身体(特に脳)が酸化する仕組み、そしてそれを防ぐ方法へと話が移っていくに連れて、初めは「まさか? あり得ないだろう」と思えた100歳超の寿命が現実味を持って迫ってくるから不思議だ。将来、本当に誰もが100歳以上を生きる時代が来るのかもしれない。

抗酸化成分を摂ることや、規則正しく生活することも、決して目新しい話ではない。だが、体系だった福井先生の話により、それがいかに大切なことか、改めて実感できた。

この日、隣の席で受講していた50代の女性は「健康については本当にいろいろな情報があふれていて、何が本当なのかわからず振り回されていました。こうして専門家の先生のお話を伺えると、自分で判断できますね」と語っていた。

心臓や肝機能にも影響 侮れない“冬の便秘”の脅威(2)

 加えて、何らかの要因で肝臓が弱っている場合についてこう述べる。 「便秘が続くと有害物質が血管を通って脳に達し、肝性脳症を起こす危険すらあります。もちろん便秘や“宿便”と言われる現象が続くと、肝臓障害の“終着駅”と言われる肝硬変のリスクが高まり、肝細胞の再生が不能となる。何日間も便が出ないときは1人で悩まず、医療機関の診断を受けるべきなのです」

 人間の腸の中には、驚くことに、普通の人でもただでさえ日常排泄される便以外の“宿便”を3~5キロ持っていると言われるため、注意しなければならない。

 別の専門家は「我々医者は“宿便”という言葉は使いません」と言う。 「近い意味では“滞留便”があります。胃や腸の働きが、生活習慣や食事内容の乱れなどが原因で便が停滞し、腸のぜん動運動が弱まります。そして肛門から出す排泄便が詰まる。これが滞留便であり、宿便という表現になります。ですから、便秘になるとかなりの量の便が溜まっていることになります」

 厄介なのは、この排泄されない滞留便が腸内の悪玉菌を増やし、いわゆるオナラも発生する点だ。オナラは尻から出るだけでなく、腸から血液に吸収され、さらに肺に送られて「口臭」として発せられるほか、「体臭」となって現れるというからショッキングだ。
 こうしたことから、排便をコンスタントにしたいと願い、医者に便秘薬を処方してもらう人も多いが、外出先にも持参しなければならなくなると大きなストレスとなる。

 「そのストレスも体にとってはよくない。交感神経が優位になり、神経伝達物質のアドレナリンが大量に分泌されるからです。アドレナリンは心拍数を増加させたり、血流を増やし、血管を収縮させるため、血圧が上昇する。それだけで心臓の負担も増えるし、ウイルス性肝炎やアルコール性肝炎への危険を高める結果となるのです」(専門医)

 そうした流れが、便秘のため腸内発酵で生じる毒素が体外に出なかったり、滞留便による毒素が腸粘膜より吸収されてしまうなど、腸内細菌叢が悪玉菌優位の状態となり、悪玉菌が出す毒素が大量に門脈(胃や大腸、膵臓などで吸収されたものを運ぶ血管)から肝臓に入る。こうして肝臓の働きが低下すると、処理されるはずの毒素が静脈血に入り、全身の細胞代謝に障害を引き起こすという。

 そうならないためにも、まずは便秘を予防すること。対策として管理栄養士の前田和子氏は、「普段から食物繊維が多く含まれる野菜や玄米と言った食品を積極的に摂ってください」と、食生活改善への取り組みを勧める。

 「便秘が増えると言われる冬場なら、シメジやエノキ、シイタケなどのキノコ類や、ゴボウ、白ネギ、春菊、白菜などの野菜をたっぷり使った鍋料理がお勧め。また、乳酸菌が豊富なヨーグルトや納豆などの発酵食品も効果的です。肝臓機能が低下している人は、ビタミン不足になりやすいので、ビタミンと繊維質を同時に摂れるミカン、リンゴなどの果物を毎日食べること。便秘防止と肝機能向上の一石二鳥につながり、有効な手段だと思います」

 さらに便秘と脂肪肝の両方を防ぐ近道は、やはりウオーキングなどの無理のない運動で腸を刺激することだ。

心臓や肝機能にも影響 侮れない“冬の便秘”の脅威(1)

 「寒い日が続くと汗をかかなくなるので、水分を摂取する回数が減る。さらに暖房器具を長時間つけっ放しにしていることも多く、空気も乾燥しているため脱水状態になりやすい。このように体内の水分が減ると、便秘になりやすくなるのです」(健康ライター)
 成人は通常、1日1回の排便があるが、便秘症となると数日に1回程度と少なく、間隔も不規則で水分含有量も低下している。そのような状態で何とか排便しようとトイレでいきむと、心臓に大きな負担がかかるという。軽くいきんだだけで、最大血圧が60~70㎜HG以上アップするという報告もあるため、決して甘く見ることはできない。

 都内で総合クリニックを経営する医学博士・久富茂樹院長はこう言う。

 「冬は普段すごしている場所に比べ、トイレの室温が低い場合が多いので、ただでさえ血圧が上がりやすい。心臓にトラブルがあって、普段から薬を服用している患者さんは、さらに注意が必要です。しかも、心臓の治療に使われる薬には、副作用として便秘を起こすものも多いですからね」

 慢性心不全の治療などで使われる利尿剤は、体内の水分を尿として強制的に排泄させようとする。すると、減少した水分を補うために大腸からの水分吸収が促進され、大腸内の水分が減って便が硬くなり、便秘を引き起こす。

 「加えて、心臓の負担を軽減させるために水分摂取制限が行われている場合も多いので、さらに便秘になりやすい状態に陥る。ただ、便秘といっても症状の現れ方や排便回数には個人差があり、専門家に言わせても明確な定義があるわけではありません」(前出・健康ライター)

 人にもよるが、3日間の便秘でお腹が重く感じ、下剤などを飲む人もいれば、さらに長い人では1カ月便秘という人もいる。その場合、便は黒っぽく、コロコロした便になることが多い。また、排便が2~3日に1回で、それが硬くても軟らかくても何の苦痛も感じない場合もある。

 2008年の日経新聞に、便秘に関してこんな内容の記事が掲載され注目された。

 〈肝機能の低下に、一見関係がなさそうな便秘が拍車をかけることはあまり知られていない。国内に3000万人の患者がいると言われる脂肪肝になると、肝硬変、肺がんなどにつながる恐れもあり、便秘の悪影響を無視するわけにはいかない。肝臓をいたわりながら便秘も防ぐには、食事内容を含め生活習慣をどう改めればよいのか研究する必要があるのではないか〉

 昭和大学病院総合内科の外来担当医がこう説明する。

 「便秘には当然、生活習慣が大きく関わってきます。そのため食事の質や内容、そして運動などについても認識を高める必要がある。また病気に関しても、心臓の病はもちろん、体外に排出されるアンモニアなどの有害物質(毒素)が肝臓に運ばれ、そこに滞留した場合、胃や腸、肝臓に負担をかけることになります」

診断で異常なしでも発症 心筋梗塞「早期発見」のポイント

 前回は、心筋梗塞のリスク要因について紹介した。一方で、心筋梗塞のリスク要因に全く該当していなくても、突然、発症することがある。どんな場合が危険なのか?

 日本人の死因は、第1位ががん、第2位が心筋梗塞を含む心疾患だ。がんについては、「誰もが発症する可能性がある」と認識している人は多いだろう。

 しかし、心筋梗塞については「自分は大丈夫」と思っている人が結構いるのではないか? もしその理由が、「やせている」「健康診断などで数値はいずれも正常」「たばこもアルコールもやらない」といったものなら、その“自信”は撤回した方がいい。

「心筋梗塞には主に4つのリスク要因がありますが、それらは“なりやすさ”を示すもので、該当しないことが“心筋梗塞にならない”の証明にはなりません」

 こう指摘するのは、東海大医学部付属病院循環器内科・伊苅裕二教授だ。

 心筋梗塞のリスク要因は、脂質異常症、糖尿病、高血圧、喫煙習慣の4つだ。脂質異常症にはLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪が関係しているが、心筋梗塞のリスクを上げるのは、LDLコレステロールが高い場合になる。

■動脈硬化のリスク要因がなくても……

 ところが、心筋梗塞を起こした患者には、脂質異常症も糖尿病もなく、血圧は正常範囲で、喫煙習慣もない人がいる。

「こういった人の心筋梗塞は、動脈硬化とは関係ないものだと研究で分かってきました」

 では、何が問題になっているのか?

 ひとつは「冠攣縮性狭心症」だ。狭心症には、階段を上がるなど動いている時に症状がある「労作性狭心症」と、寝ている間など安静時に症状がある「冠攣縮性狭心症」がある。後者は「安静時狭心症」とも呼ばれる。

「労作性、冠攣縮性、ともに心筋梗塞の前兆ですが、『労作性』が4つのリスク要因によって動脈硬化が進行した状態で表れるのに対し、『冠攣縮性』は心臓に酸素などを送る冠動脈が一時的に痙攣を起こして収縮し、血流が途絶えた時に表れます。先に述べたように、動脈硬化とは関係ありません」

 つまり、動脈硬化につながるリスク要因がなくても冠攣縮性狭心症は起こり、それが心筋梗塞につながるケースも少なくないのだ。

■寝ている時に苦しくなる

 これに早く気づくポイントは、「寝ている時をはじめ安静時に胸の苦しさ、重み、息苦しさなどはないか?」になる。ただし、5分ほどで血流が再開通して症状が消えるので、病院で検査しても、画像などでは何も分からない。

「冠攣縮性狭心症で積極的な治療が必要とされるのは、頻繁に症状が出て日常生活に支障が出る場合です。特に失神も起こっているようなら、胸の苦しさが起こってからではなく、すぐに病院で調べてもらった方がいい。患者の訴えから冠攣縮性狭心症を念頭に置き、検査や治療を行います」

 動脈硬化と関係ない心筋梗塞には、もうひとつ「冠動脈解離」がある。冠動脈の中膜が裂けて血流が途絶える。動脈硬化が原因の心筋梗塞は、平均65歳で発症する男性が多いが、冠動脈解離は30~40代の女性に多い。

 こちらは前兆がなく、健康診断の結果からは全く分からない。残念ながら、積極的な予防法がなく、「心筋梗塞らしき症状が出たら、様子を見ないで速やかに病院へ」が重要になる。「こんな年齢で心筋梗塞になるはずがない」という思い込みは禁物だ。

死亡率がぐんと下がる可能性 「心筋梗塞」の正しい予防策

死亡リスクのある心筋梗塞の多くは予防できる。東海大学病院循環器内科・伊苅裕二教授に聞いた。

 心筋梗塞はリスク要因を減らし、症状が見られればすぐに病院を受診することが対策の基本になる。リスク要因は、脂質異常症(特に高LDLコレステロール)、糖尿病、高血圧、喫煙習慣だ。

 しかし、予防策としてまだあまり知られていないことがある。まずは、LDLコレステロールを下げる薬として認可されている「スタチン」の使い方だ。

 日本では、基本的にLDLコレステロールが高くなければ適用外。ところが心疾患が死因の第1位である米国では、「糖尿病があればスタチン」とガイドラインで定められている。

「糖尿病治療でヘモグロビンA1cを基準値以下にしても、心筋梗塞の予防にはなりません。有効なのは、あくまで腎不全などの糖尿病合併症に対してです」

 糖尿病であることそのものが、心筋梗塞のリスクを上げる。そして、これまでの研究で「心筋梗塞のリスクを下げる」と結果が出ているのがスタチンなのだ。

「循環器内科医は、スタチンを『LDLコレステロールを下げる薬』というより『心筋梗塞予防の薬』と考えています」

 これは、心筋梗塞の2次予防にも通じる。

 心筋梗塞を一度起こすと、近いうちに2度目を起こしやすく、死亡率は極めて高い。そのためスタチンの中でも作用の強い薬を用いて、厳格にLDLコレステロールの数値を下げる。

「しかし、LDLコレステロールが基準値よりはるかに低い心筋梗塞患者も珍しくありません。こういった患者への対処が長年の議論でした」

 これに関して、最新の研究では「もともとLDLコレステロールが低い場合も、心筋梗塞の2次予防にはスタチンを用いたほうが再発率が低い」との結果が出ている。

「スタチンを最大量投与しても、LDLコレステロールは50(mg/dl)前後までしか下がらず、身体への影響はありません」

■不安定狭心症はより注意が必要

 あまり知られていない心筋梗塞の予防策の2つ目は、心筋梗塞の前兆である「狭心症」への対処だ。

 狭心症は、心筋(心臓を構成する筋肉)に酸素と栄養素を運ぶ冠動脈の内側が細くなり、心筋への血流が悪くなった状態。症状の出る場所やその強さ、内容は人それぞれだが、「動くと主に胸が苦しくなる(胸ではなく、歯痛、腹痛、胸のむかつきなどと表現する患者もいる)」「休むと5分ほどで治る」が特徴だ。

 狭心症には、安定狭心症と不安定狭心症があり、後者は2割弱が1カ月以内に心筋梗塞を起こす。だから、不安定狭心症はより注意が必要だ。

 不安定狭心症は、狭心症の発作の頻度が増えたり、安静時にも起こすようになった時に疑う。厄介なのは、安定狭心症から不安定狭心症への移行が患者の自己申告でしか判断できない点だ。

「感度の高い検査を行っても、異常なしと出ることは珍しくありません」

 ある狭心症の患者は、「胸が苦しくなる頻度が増えたようだが、問題ない。不安定狭心症ではないと思う」と伊苅教授に言った。狭心症を調べる負荷心筋シンチグラフィーでは異常なし。数日後にCTの予約を入れたところ、その日が来る前に心筋梗塞を起こした。

「狭心症で、少しでも症状に変化が見られれば主治医に伝えてください。検査結果が異常なしでも、不安定狭心症が考えられれば、カテーテルを用いた治療(PCI)を行い、心筋梗塞への移行を防ぎます」

 心筋梗塞に対する知識が徹底すれば、死亡率はぐんと下がると考えられている。

【心臓外科医が解説】エビ中・松野莉奈さんを襲った「致死性不整脈」とは?

■18歳アイドルの急逝…死因は致死性不整脈
「私立恵比寿中学」のメンバーとして活躍中であったアイドルの松野莉奈さんがこの2月8日に急死されました。松野さんの溌剌とした元気さを知る誰もが耳を疑うような出来事でした。その後、死因が致死性不整脈であったことが発表されました。

以下は松野さんの死因を報道する毎日新聞からの抜粋です。

『●松野莉奈さん急死 死因は致死性不整脈の疑い 事務所発表

毎日新聞2017年2月10日 18時18分(最終更新 2月10日 20時01分)

アイドルグループ「私立恵比寿中学」のメンバーで8日未明に死去した松野莉奈(りな)さん(当時18歳)の死因について、所属事務所は10日、致死性不整脈の疑いと発表した。

松野さんは体調不良のため、7日に大阪で開かれたコンサートへの出演を取りやめ自宅で療養していた。8日未明に容体が急変、東京都内の自宅から救急車で搬送されたが、病院で死亡が確認された。

私立恵比寿中学は女性8人組。「ももいろクローバーZ」の姉妹グループとして活動していた。』

18歳という若さで、しかも元気に活躍しておられた松野さんを突然襲った致死性不整脈というのはどういう病気なのでしょうか。詳細はこの記事をお書きした時点では公表されていないため、わかる範囲で考えてみます。

■致死性不整脈とは
そのまま放置すると意識消失から突然死に至る危険性が高く、緊急治療を必要とする不整脈を致死性不整脈と呼びます。多くの場合、心室頻拍や心室細動を指します。

心臓の動きが極端に速くなるか遅くなるタイプの不整脈で、こうなると心臓が脳や全身に血液を送れなくなり、血圧がうんと低くなり、ゼロになることさえあります。血液が行き届かないことで脳の正常なはたらきがやられてしまい、死に至る病気です。致死性不整脈の8割は速くなるタイプで2割が遅くなるタイプと言われています。

■心臓の動きが速くなるタイプの致死性不整脈の種類
心臓の動きが速くなるタイプの致死性不整脈としては、毎分100~200回拍動する「心室頻拍」や毎分300回以上も拍動する「心室細動」が代表的です。

●30秒以上続くと危険な「心室頻拍」
心室頻拍のうち30秒以上続く持続性心室頻拍では、松野さんのような突然死を起こす恐れがあります。しかし30秒は続かない、非持続性心室頻拍でもトルサード・ド・ポアント(Torsade de Pointes)という不整脈などでも、後述の心室細動に移行することで突然死の原因になることがあります。

心室頻拍を引き起こす原因として、心筋梗塞、拡張型心筋症、肥大型心筋症、心サルコイドーシス、心臓弁膜症、ある種の先天性心疾患、催不整脈性右室心筋症(右室異形成症)、左室緻密化障害、心筋炎、その他が知られています。これらの多くがいのちにかかわる重症です。

こうした原因がない、つまり原因不明の心室頻拍を「特発性心室頻拍」と呼びます。この中に、右室または左室の流出路から信号の出るタイプと、左室の心室中隔側から出るタイプがあります。特発性の多くは比較的良性ですが、それでも数%以下の人たちは突然死しますので油断は禁物です。

●最悪の不整脈である「心室細動」
心臓の動きが速くなるタイプの致死性不整脈のもうひとつのタイプが心室細動です。心室細動は最悪の不整脈です。というのは心室がぴくぴくと高速で動くため、血液を送るという心臓本来の仕事ができなくなるからです。実質、血圧はゼロとなり4分以内に脳死となってしまいます。いきなり心室細動になる場合と、上記の心室頻拍を経て心室細動になる場合があります。

心室細動の原因としては、心筋梗塞や心筋症などが知られています。

しかし今回の松野さんの場合のように、特に目立った異常や持病などがなく、一見健康な状態から心室細動になることもあります。心筋梗塞や肥大型心筋症で心房細動から心室細動へ移行することもあります。

■心室細動に見られる「一過性」と言われるタイプ
前述の30秒続かない心室細動を起こすことで知られているのが「トルサード・ド・ポアント」です。短時間で自然に心室細動が止まるため、意識を失ったり倒れたり、全身の痙攣を起こしても、すぐに元に戻ります。かつてはてんかんと間違われたものです。しかし時に本物の心室細動になり命を落とすため油断できません。

原因としてQT延長症候群があり、生まれつき心筋の異常で起こったり、後天的に薬の副作用やカリウムの低下などでも起こることがあります。

■同様に突然死を引き起こす「ブルガダ症候群」
もうひとつ、同様に突然死を引き起こす心臓の病気として、「ブルガタ症候群」というものもあります。かつてぽっくり病と言われたもので、中年男性が夜中などに心室細動を起こして突然死してしまう怖い病気です。日本人に多い傾向があり、運動時より安静時に起こります。心電図検査である程度わかりますが、これまでに失神発作を起こしたひとや家族に突然死の方がおられる場合は要注意です。

■震災後に増えた「たこつぼ型心筋症」も心室細動の原因に
また、左室がたこつぼのような形になる「たこつぼ型心筋症」は、中年以後の女性に多く、強いストレスが原因のひとつと考えられています。熊本地震後の被災生活中にこの病気が増えたという報道がありました。

これは数か月で治りますが、発症後しばらくは上記のトルサード・ド・ポアントから心室細動、そして突然死に至るリスクがあるため、油断できません。

■心臓の動きが遅くなるタイプの致死性不整脈の種類
代表的なものは「房室ブロック」で、洞不全症候群が続きます。これにより心臓を動かす電気信号が途中で止まり、心臓の動きが極端に遅くなります。つまり心臓が止まってしまうのに準ずる状態です。そこから本当に心臓が止まったり心室細動に移行して死亡してしまったりすることもあります。

房室ブロックの原因として考えられるのは心筋梗塞、先天性心疾患、心筋症、サルコイドーシスその他があります。

■これらの致死性不整脈の治療法
原疾患がある場合はその治療をできるだけ行うとともに、抗不整脈剤を使うことが大切です。専門医の診察を受け、必要に応じて入院、精密検査ののち方針を立てるべきかも知れません。

薬としてはアミオダロン、ソタロールなどのIII群抗不整脈薬がよく使われます。β遮断薬やワソランなども活躍します。副作用に注意しながら使うことも大切です。

薬だけでは効果不十分な場合、ICD(植込み型除細動器)あるいはCRT-D(除細動機能付き両室ペースメーカー)が役に立つことがあります。突然死しやすい状況の方に有用です。たとえば器質性心疾患があって持続性心室頻拍を起こしたときや、非持続性心室頻拍でも心機能低下しているとき、あるいは心室細動発作で救命された方などですね。

ICDやCRT-Dは致死性不整脈を治しても発生そのものを予防できるわけではないためカテーテルアブレーションを使って発生を抑える治療が行われることがあります。これにより特発性の心室頻拍に対しては90%以上治すことができますが、器質性の心室頻拍にはそれほど効きません。この場合は原疾患の治療も必要です。

心臓の動きが遅くなるタイプの致死性不整脈はペースメーカーを装着すれば治ります。脳などがやられるまでに治療すれば元気になることができます。

■結局、松野さんの場合はどうだったのか
公式に発表されている情報が少ないため推察の域を出ませんが、心臓外科医としての経験から考えると、ずっとお元気で失神発作などもなかったのであれば、特発性心室頻拍、あるいはブルガダ症候群などの可能性もあったのかも知れません。

私が一点だけ気になるのは、亡くなる前日に体調不良で自宅で療養しておられたという報道があることです。もしこの時に不整脈が出始めていたのであれば、あるいは心筋炎やその他の急な疾患が起こっていたのであれば、そのタイミングで自宅療養ではなく病院に行っていただいておれば違った結果になったのではないか……という思いも残るのです。しかしこれも結果論でしかありません。ましてそれまで健康に何の不安もなかった方であれば、ご本人も急ぎの受診の必要性を感じるのは難しかったろうとも思います。しかしこのようなケースは誰の身にも起こりうることなのです。いつもと違う不調を感じられた時には、大げさと考えずに受診することを考えていただければと思うのです。

■突然死の悲劇を防ぐ方法は…
前述のように突然死の原因には肉体的ストレスや精神的ストレスが関連するものも含まれるため、不整脈をお持ちの方にはストレスを溜め込まない工夫が有用でしょう。

体調が悪いときにはあまり我慢せずに病院を受診するのも予防に役立つかも知れません。

そして、年齢や性別、持病の有無に関わらず、不整脈が起こることは誰にでもありえます。もしも突然意識がなくなったり心臓が止まるなどの事態が起こった時に、周りができることをしっかりやること。その準備を持つことが、いつ誰の身に起こるかわからない不整脈から、お互いを守ることにつながります。具体的には心肺停止に対するBLS(一次救命処置)講習を受けておくとか、とくにAED(自動体外式除細動器)の使い方を練習しておくなどですね。

そしてご自分が心肺停止になったときに、これらの対策は当然自身に行うことはできません。学校、職場、地域などでお互いを助けるために使える準備をしておくことが、強力な安全策になるでしょう。 最後になりましたが若くして亡くなられた松野莉奈さんのご冥福をお祈りします。

がんよりも怖い 「急性心筋梗塞死」から逃れる3つの方法

1月は心臓の悪い人にとっては危険な季節だ。心臓病で亡くなる人は、1月が最も多く、次いで2月、12月、3月だという。年間数十万人が倒れ、4万人近い命を奪う心筋梗塞はこの時季とくに注意が必要で、その発症率は夏の1.5倍に上る。無事に春を迎えるにはどうすればいいのか? 血管内治療の権威で東邦大学医療センター佐倉病院・臨床生理機能学の東丸貴信教授に聞いた。

■「がんよりも怖い」といわれる理由

「急性心筋梗塞は、心臓を取り巻いて酸素や栄養を送り込む3本の冠動脈のいずれかが詰まり、血流が減ってその先の心筋が壊死する病気です」

 それは強烈な痛みとなって表れる。心臓が締め付けられるような激しい痛みが肩や上腹部、左腕などに広がり、30分以上続く。息苦しさや冷や汗、悪心、発熱を伴うことも。ただ、糖尿病や高齢者の中には痛みを脳に伝える神経が異常をきたしていて無痛のケースもある。

 喉のひきつれ、左肩や胃、奥歯・顎の痛みなどの前触れがあるといわれるが、誰にでも起こるわけではない。発症時の平均年齢は男性が65歳、女性は75歳だが、30代以降は注意が必要だ。

 この病気が「がんよりも怖い」といわれるのは手当てする時間的余裕がなく、死んでしまうからだ。実際、発症1時間以内に半数以上が死亡する。原因のほとんどは心室細動と呼ばれる不整脈だ。

■カギを握るのは「蘇生術」「病院搬送」「狭心症治療」

「心停止から1分以内なら90%以上の確率で蘇生できますが、5分過ぎると50%以下に急落します。119番通報して救急隊員が到着するのに8分ほどかかることを考えれば、普段から病院や消防署、日赤などが主催する講習会などに参加して、人工呼吸や心臓マッサージなどの蘇生術を学んでおくことが大切です」

 そのうえで1時間以内に循環器疾患の専門病院に搬送することが生き残りの絶対条件になる。

「急性心筋梗塞の病院内での14日以内死亡率は5%以下。病院に到着さえすれば助かるチャンスは膨らむので、不安な人は病院を決めて受診しておくことです。発症から完全な治療までの理想時間は30分以内です。それでも発症から2時間以内、遅くとも6時間以内にカテーテルで冠動脈を広げる治療をすれば、少なくとも死亡率を下げることは可能です」

 ただ、地域によって救急医療の体制が不十分なところがあるのは知っておいた方がいい。搬送が遅れることで治療に支障をきたし、言語障害や半身不随など重い後遺症を残してしまうこともある。14日以内死亡率が20%を超える病院もある。

 予防として、日頃から心筋梗塞のリスクを高める「生活習慣病」(高血圧、肥満等)の治療、「暴飲暴食のストップ」「バランスのとれた食事の摂取」に励むのは当然だが、重要なのは狭心症を治すことだ。

「血管が狭くなり、心筋に血流や酸素が送り込まれなくなって発症する『狭心症』は2通りあります。動脈硬化で冠動脈の内腔が狭くなり、坂道や階段など心臓に負担がかかると起きる『労作性狭心症』と、睡眠中や安静時に突然、冠動脈がけいれん発作を起こす『冠れん縮性狭心症』です。急に前者の症状が出たり、回数が増すと、『不安定狭心症』と呼ばれ、『心筋梗塞』に移行する可能性があるのです」

■1分以上続く不穏な胸の痛みがあれば病院へ

 狭心症は締め付けられたり、チクチクするような胸周辺の痛みを伴うが、我慢してはいけない。

「狭心症か否かなんて考える必要はありません。1分以上続く不穏な胸の痛みを覚えたらすぐ病院に行き、診察を受けましょう。それが『心筋梗塞』予防につながります」

 ではこの時季、「心筋梗塞」の発症リスクを下げるにはどんなことに気をつければいいのか?

「寒いと人は体温を維持しようとして血管を収縮させます。急に寒くなると血管は狭窄しやすい細さになるのです。マラソンや散歩、ゴルフなどでいきなり寒い外に飛び出してはいけません。外で運動するときは、事前に十分なウオーミングアップをしましょう。寒いお風呂場はとくに危険です。脱衣場、衣服を脱ぐ前に、ファンヒーターなどで部屋を温めておく。温泉、とくに野天風呂に入るときは要注意です」

 寒ければ体を温め、胸に違和感があれば病院に行く。無理をしないことが命を守ることにつながることを覚えておこう。

“心臓にいい”スポーツは?目からウロコの健康と運動の最新研究

健康のためにスポーツを行なっている人は多いが、具体的にどのように心身の健康に資しているのか。スポーツの具体的な“効能”について、昨今いくつかの研究が報告されている。

■運動がメンタルに及ぼす6つの効能

 WHOは成人および中高年に対して、週に少なくとも150分の運動を推奨している。毎日するなら20分程度、週5日なら1日30分といった具合になる。

 運動は心とカラダの健康に欠かせないものということになるが、健康情報サイト「The Active Times」では、運動がメンタルの健康に寄与している6つのポイントを紹介している。

○ストレスの低減
 健康調査研究NPOの「ADAA」によれば、継続的な運動がストレスの解消に繋がることが証明されているという。さらに運動は疲労感の低減と、全体的な認知機能の向上をもたらすためのきわめて有効な手段であるという。

○脳機能の向上
 運動は脳の機能を直接活性化し、能力が最大限発揮できる状態にする。また運動を日課にすることで認知症やアルツハイマーの発症リスクを下げる。

○疲労回復
 継続的な運動は筋力と持久力を高めると共にカラダのエネルギーレベルを上げて疲れにくい体質を形成する。米メイヨークリニックによれば、運動によって酸素と栄養素が体組織へ効果的に運搬され、循環器系(特に心臓と肺)の働きが良好になり、日々の活動のためのエネルギーを増やしてくれるということだ。

○不安障害とうつの症状を和らげる
 気分がすぐれない時に部屋でジッとしているのは最悪の選択であり、そういうときほど運動をすべきであるという。運動でうつが緩和されることは科学的に証明されており、その鍵を握っているのが幸福感に関係があるといわれている神経伝達物質・エンドルフィンだ。運動によって脳内でエンドルフィンの分泌が盛んになることでメンタルの健康に保つことができる。

○集中力の増進
 運動は生産性の向上と集中力の増進をもたらす。継続的な運動によって脳内神経伝達物質の分泌が活性化し記憶力、集中力、明晰さといった脳機能が高まる。

○自信の高まり
 運動で得られる充実感や達成感、さらにはダイエットの成功などを体験することで、自分の意志や能力への自信を深められる。さらに運動を続けるモチベーションにもなり、正のサイクルが形成される。

 以上が運動がもたらす具体的なメンタルヘルスへの効能だ。何を期待して運動を続けるのか明確にしてみることで、運動が継続しやすいものになるかもしれない。

■ランナーの脳は“高速”

 最新の研究では、ランニングが脳内の情報伝達能力を向上させていることが指摘されている。楽器を演奏するのと同じくらい、走ることで脳内の各機能の接続を太く早くするということだ。

 アリゾナ大学の人類学研究チームが先頃、神経科学系学術誌「Frontiers in Human Neuroscience」で発表した研究は、ランニングなどの繰り返し運動(repetitive task)は、脳の各部位の結合をより密接にし、より同調した動きを可能にすることを指摘している。これは楽器を演奏するミュージシャンにも見られる特徴であるということだ。

 研究チームは、クロスカントリーのランナー11人の脳と非アスリート11人の脳をMRI(磁気共鳴画像撮影)を使って比較分析した。より正確な比較ができるよう、どちらのグループも年齢は18~25歳に限定し、体型のBMI値もほぼ同じで教育水準も同程度の者を揃えた。

 安静時において何らの課題も行なわない状態で2グループの脳の活動と構造を分析したところ、ランナーの脳は機能的接続性(functional connectivity)に優れていることが判明した。たとえば、計画立案や意思決定、マルチタスクの能力と深い関係にあるとされている前頭皮質の機能的接続性がランナーの脳ではきわめて高かったのだ。

 これまでの研究で、脳の機能的接続性と楽器演奏などの複雑な動きを伴う運動の関係性は指摘されていたのだが、それと同じようにランニングなどの繰り返し運動でも機能的接続性を向上させられることが示唆されることになった。

 機能的接続性のメカニズムはまだよくわかっていないのだが、脳震盪や脳梗塞などの脳へのダメージでその機能が損なわれることが確かめられており、また加齢による認知機能の低下やアルツハイマー病などでも機能的接続性の機能が低下することがわかっている。

 したがって中高年以降も運動の習慣を持つことで、認知機能の衰えをなるべく食い止められることが指摘されてくる。運動の習慣を持つことは心身のためのみならず、脳のためでもあったのだ。

■“心臓に良い”スポーツ種目は?

 メンタルヘルスのための運動、脳のためのランニングと、最新の研究で具体的な示唆が得られることになった。では、アメリカ人の死因の1位であり、日本でもがんに次いで2位の心臓疾患のリスクを低減する具体的なスポーツ種目はどれか? 新たな研究で、心筋梗塞などの心疾患リスクを大幅に下げるスポーツが特定されている。恐らく多くの人にとっては意外な競技種目が挙げられたのだ。

 英・エディンバラ大学、豪・シドニー大学をはじめとする国際的な合同研究チームによって先頃「British Journal of Sports Medicine」で発表された研究では、スポーツ競技を6種類のカテゴリに分け、それぞれの健康への影響を分析している。

 6つのカテゴリとはそれぞれ、エアロビクス、サイクリング、フットボール、ラケット競技、ランニング、水泳である。そしてこれらのスポーツのどれかをある程度本格的に続けている平均年齢52歳のイギリス人8万306人(男性46%、女性54%)の9年間に及ぶ健康データを分析した。ちなみにこの9年間の間に8790人が亡くなっており、そのうち1909人が心筋梗塞などの循環器系疾病が死因であった。

 そしてそれら循環器系疾病で亡くなった人々が行なっていたスポーツ種目を分析することで、逆に“心臓に良い”スポーツ種目が浮き彫りになったのだ。どのスポーツが心疾患リスクを下げるのか、研究の結果は以下の通りである。

●心疾患リスク低減率57%:ラケット競技(テニス、バドミントン、卓球など)

●心疾患リスク低減率41%:水泳

●心疾患リスク低減率36%:エアロビクス

 サイクリング、フットボール、ランニングについては有意な心疾患リスク低減は認められなかったということだ。そして何はともあれ、心疾患と循環器系疾患のリスクを低減するスポーツとしてラケット競技が頭ひとつ抜きん出ているという、なかなか意外(!?)な結果が今回判明したのである。

 今年のリオ五輪での日本人選手の活躍も後押ししてか、日本でテニスやバドミントン、卓球の人気はかつてないほどの盛り上がりを見せている。人気にあやかって将来の健康のために“便乗”してみても良いのかもしれない。

命を脅かすことも…間違いだらけの「心不全治療」

心不全の患者やその家族は、現在の治療が適切かどうかを見直したほうがいい。そのままでは、早晩「死」が待っているかもしれない。

 心不全は4つの段階に分類されるが、ここで取り上げたいのは「難治性心不全」といわれる重症度が最も高い段階だ。

「心不全の治療をすべて行ったが、どれも効かずに進行し、悪化する。生命予後を保証できない段階です」

 こう話すのは、富山大学第2内科・絹川弘一郎教授。難治性心不全に至ると、残された打つ手は「心移植」になる。

 しかし、心移植にはドナーが必要になる。待機年数は平均3年半といわれているが、どんどん延びている。現在登録した場合で5年以上、10年後では7年以上も待機しなければならないといわれる。

 そこで行われるのが、心移植までの「橋渡し(ブリッジ)」と呼ばれる治療だ。強心薬と補助人工心臓がある。強心薬は補助人工心臓や心移植が実現するまでの、そして補助人工心臓は心移植が実現するまでのブリッジになる。

 ブリッジは、いわば「治療の過程」なので、患者の状態に応じて適切なタイミングで治療を切り替えていかなくてはならない。しかし、患者や家族はもちろん、医師も認識していないケースが少なくないのだ。具体的に挙げよう。

■薬物治療は短期で「薬」も、長期は「毒」に

(1)強心薬の慢性投与は予後を悪くする

 難治性心不全に対し、強心薬は一定の効果をもたらす。しかし、短期投与という条件がある。

「慢性投与が予後を悪くすることは研究で明らかです。静注強心薬の慢性投与では、1年以内に9割が死亡または補助人工心臓が必要との結果が出ています」

(2)心原性ショックがあればPCPS

 難治性心不全の中でも、補助人工心臓の必要性が緊急な場合と、そうでない場合がある。

「最も重症度の高い心原性ショック(急激に心臓の機能が低下)が起こった場合、生命維持のために直ちに機械的補助を行わなくてはなりません」

 機械的補助の方法はいくつかあるが、日本では大抵の病院にあり速やかに使えるのが「PCPS(経皮的心肺補助法)」。この機械を血管に挿入して心臓の働きを補う。しかし、長期的には使えないため、数日程度でPCPSの挿入を外せなければ、補助人工心臓へ切り替える。

(3)年2回以上の心不全入院に要注意

 前述の通り、難治性心不全の段階になれば、心移植、あるいは補助人工心臓しか手がない。

「しかし、申し込みにはさまざまな手続きが必要とされ、急いでやっても1カ月はかかります。この手続きに手間取っている間に患者さんの容体が悪くなり、補助人工心臓が間に合わなかったケースもあるのです」

 だから主治医は、患者が難治性心不全の段階ではないかどうかを的確に判断しなくてはならない。その指標として、最も注意すべきポイントが「1年間に2回以上の心不全入院」だ。

「2回以上は尋常ではない。治療が行き詰まっている、つまり難治性心不全だと認識すべきです」

 ここまでに挙げた(1)~(3)について、「循環器内科医ならば知っているはず」と思うかもしれない。しかし、絹川教授は疑問を投げかける。

 たとえば、PCPSは地方では実施例が極端に少ない。強心薬を慢性的に投与されている患者もいる。1年間に2回以上心不全の入院を繰り返していても「このままでは命の危険がある」と医師がしっかり説明していないうえ、補助人工心臓を扱う病院がまだまだ少ない事情もあり、患者や家族は「では、様子を見ます」となってしまう。

「1年に2回以上の入院患者の場合、強心薬の治療だけでは1年間で半分ほど亡くなっています。一方、補助人工心臓で8割が生存している。この差は非常に大きい」

 正しい知識こそが、自分の身を守る。

不整脈ってなに? 自覚症状はある? 不整脈があるとどうなるの?

心臓の脈の打ち方が乱れる不整脈。自分では自覚症状がないのに、人間ドッグで指摘されて初めて気づく人も多いのが現状です。治療が不要なものから、手術が必要なものまであるので、正しい知識を身につけて対処しましょう。

脈の動きがバラつくことで症状が

心臓は、1分間に50~100回ほど収縮して、身体中に血液を送っています。この心臓が生理的に働く理由は、心臓の右上にある洞結節(どうけっせつ)という部位が、心臓の中に弱い電気を流し、心臓を動かしているためです。この心臓の中の電気の乱れを総称して不整脈と言います。

この電気の乱れとは、洞結節で電気が発生しない、または別の場所から電気が流れてしまうこと。すると、心臓が正しく収縮しなくなるため、それにより症状が現れてくるのです。

不整脈に多い症状は、心臓の鼓動がすごく早くなったり、遅くなったりするもの。脈が早くなる症状を「頻脈」と言い、ドキドキしたり、胸痛や圧迫感を感じることもあります。逆に、脈が遅くなる「徐脈」の場合は、血液循環が悪くなり、全身の倦怠感やめまい、ふらつきなどを感じます。さらに脈が飛ぶ「期外収縮」というものも。ちなみに、胸痛があると、狭心症や心筋梗塞を疑う人もいますが、これらの痛みは不整脈の場合よりももっと長く続きます。

ただ、不整脈はまったくの無症状の人も多く、健康診断で初めて指摘される人も多いのが現状です。ほかに異常がなく、健康診断で不整脈だけ見つかった場合は、病気と関係のない不整脈だったという場合が多く報告されています。

気をつけたい不整脈とは?

不整脈の原因として一番多いのは、年齢や体質によるもの。1~2日間心電図を記録すると、中年以上の人はほとんどが、毎日1~2個は不整脈が見つかるもの。加齢、ストレス、睡眠不足、疲労でも不整脈は起こりやすくなります。また、心臓の病気があると不整脈が起こりやすくなるほか、高血圧、肺に病気がある人、甲状腺異常のある人もこれにあたります。

気をつけたいのは、急に意識がなくなったり、失神する場合です。この場合、一時的に心臓が止まっているか、極度の頻脈が起こっている状態が考えられます。失神症状が起こった時は、直ちに病院を受診しましょう。

また、体を動かす時に、強い息切れを感じ、脈拍数が1分間40以下の場合。脈が遅すぎて、心不全を起こしている可能性が。こういった場合は、ペースメーカー治療が必要になる場合があります。突然動悸が始まり、突然止まるのも要注意。多くは、1分間の脈拍数が150~200になり、息苦しく、冷や汗がでます。この場合は、ほかの病気の検査をした後、薬での治療となります。

さらに、年をとると10人に1人の割合で「心房細動」という、心臓の心房の中で電気が空回りして、脈が速くなる状態が起こります。これ自体は命に関わることはありませんが、心臓のなかに血の塊ができて脳梗塞を起こしやすくなるため、血をサラサラにする薬をのんで脳梗塞の予防をします。

治療法はめざましく進化!

現在では、不整脈で死に至ることはなく、治療法が進化し、ほとんどが治せるようになっています。徐脈の人は、ペースメーカーを体内に取り付けると、普段と同じ生活ができるように。手術も局所麻酔ですみます。頻脈には、頻脈の原因になっている心臓の筋肉の一部を焼く「カテーテルアブレーション」という方法が。手術は、細い管を足の血管から入れて行います。ほかにも、症状によっては、薬で治すこともできるようになっています。自分の不整脈の種類を知り、大きな発作が起こる前に一度、医師と相談してみましょう。

心筋梗塞で起こりうる合併症

心筋梗塞が恐れられている理由には、合併症にもあります。実際にどのような合併症があるのかを見ていきましょう。

左室破裂(さしつはれつ)

心破裂(しんはれつ)という心臓に穴が開いてしまう状態の一種。「左室破裂」は心臓の左室と呼ばれる壁が虚血によって壊死(えし)したところに力が加わって損傷した状態です。

特徴

心筋梗塞を発症してから24時間以内または1週間以内にもっとも多く発症する合併症です。心筋が脆弱になってできた穴から血液が漏れだし死に至る可能性が高く、手術の成功率も高くはありません。

症状

比較的早い段階で、突然の呼吸困難と血圧の低下が認められた場合、左室破裂が疑われます。

傾向

近年では心筋梗塞の治療や予防にあたって血栓ができるのを防ぐ(血液をサラサラにする)薬を使う機会が増えていますが、このことが左室破裂のリスクを上昇させているという指摘もあります。血液が固まりにくくなることで血管のつまりが改善される一方、「傷を塞ぐ」という本来の機能が弱められることで、出血のリスクが高まってしまうと考えられています。

診断と治療

超音波検査で心臓の周囲に血だまりができていることを確認します。漏れ出した血液によって心臓が圧迫されている状態は心タンポナーデと言われ、カテーテルを用いて圧迫している血液を抜き取る必要があります。小さな傷であれば止血剤で対応できる場合もありますが、ほとんどの場合、心臓を停止させて行う大規模な手術が必要となります(手術中は人工心肺装置を用いて血液の流れを確保)。

近年では心内膜パッチを使って亀裂を塞ぐ方法も採用されています(詳細は心室中隔穿孔の項目をご覧ください)。

心室中隔穿孔(しんしつちゅうかくせんこう)

心臓の内部にある心室を仕切る壁が損傷した状態を指します。仕切りが機能しなくなることにより、体内を循環させるために送り出す血液が心臓内で逆流します。

特徴

心筋梗塞を発症して1週間以内と比較的早い段階で発症します。左室破裂との違いは損傷が心臓の内部で起こるため、血液が心臓の外に流れ出すことはなくポンプ機能もある程度保たれるため、処置をするまでに一定の猶予があります。しかし、いつ状態が悪化するかわからないためやはり緊急手術となります。

症状

比較的早い段階で胸の痛みとそれに続く呼吸困難、血圧の低下が認められた場合は心室中隔穿孔を疑います。これらの症状は左室破裂と比べるとゆっくりと進行する傾向が見られます。

診断と治療

超音波検査で右心室へ血液が流入していることを確かめます。聴診で雑音が認められることによって診断することも可能です。以前は破れた隔壁を縫い合わせていましたが、近年は「心内膜パッチ」による治療が主流になっています。心内膜パッチは心臓を包む膜を用いて穴をふさぐ方法で患者さん自身の組織を移植するため負担が少なく、手術の成功率は8割以上まで伸びています。

乳頭筋不全(にゅうとうきんふぜん)

乳頭筋不全は左心室の僧房弁を支える乳頭筋が虚血によって壊死し、弁の機能が失われた、あるいは低下した状態です。

特徴

急性例では心筋梗塞を発症して2日、慢性例では1週間程度での発症が一般的です。

左心房と左心室を隔てる弁が十分に機能しなくなるため、左心室内の血液が左心房に逆流し、心機能の低下や不整脈を起こします。

症状

・急性

乳頭筋が完全に断裂した場合、急性心不全をおこします。突然の呼吸困難からショック状態まで一気に進行し致死率も高くなります。

・慢性

乳頭筋が完全に断裂しない場合は比較的穏やかな症状となります。胸の痛みや呼吸困難が現れますが、弁の機能が温存されていれば息切れ程度で済む場合もあり、適切な治療を受ければ助かる可能性は十分にあります。

診断と治療

超音波検査によって逆流の有無などを確認します。急性例では弁の修復や人工弁への置き換えが行われます。慢性例でも対処法は同じですが、冠動脈のバイパス手術で対応可能な場合もあります。

左心室瘤(さしんしつりゅう)

左心室瘤とは、左心室の壁が虚血によって薄くなることで収縮力が低下し、心臓のポンプ機能が十分に働かなくなる状態を指します。

特徴

左心室の壁が圧力に耐え切れずに膨らみ、瘤(こぶ)ができます。心筋の断裂を伴わないため、左心室瘤そのもので死に至る可能性は低いと言えます。ただし、左室破裂を起こした場合はこの限りではありません。回復後は不自由なく暮らせる場合も多いのですが、不整脈を起こしやすい状態ですので心不全を起こし死に至るケースもあります。

症状

息切れ、動悸、胸の痛みなどが現れます。

診断・治療

超音波検査、CT検査、造影検査等、心臓の形を画像で確認することで診断を行います。重症例では瘤の切除を行います。多くの場合、服薬や生活改善で対応することができます。

虚血性心筋症(きょけつせいしんきんしょう)

左心室の壁が虚血によって弱くなり拡大した状態のことです。収縮力が落ちることにより心臓のポンプ機能が低下します。左心室瘤とは違い、瘤ができるほどではありません。

特徴

心筋梗塞の合併症の中では予後が良好で、社会復帰も十分に可能です。左室破裂の心配もほとんどありませんが、やはり不整脈から心不全に至る事もありますので注意が必要です。

症状

息切れ、不整脈、胸の痛みなどが現れます。

診断・治療

左心室瘤と同じく画像による診断が一般的です。治療は投薬や生活改善のほか、必要に応じて冠動脈バイパスや危険な不整脈を伴う場合ペースメーカーの装着が行われる場合があります。

心筋梗塞や脳梗塞は「セルフ脈診」で予防せよ!

一般社団法人国際統合治療協会では「セルフ脈診」の啓発活動を開始した。年齢が高くなるほど、リスクが高まると言われている「心筋梗塞」や「脳梗塞」。同協会では無症状の場合もあり、事前に防ぐために「セルフ脈診活動」を啓発していくとしている。

【1日1回は脈を診て、自分で心筋梗塞・脳梗塞を防ぐ!】

セルフ脈診のやり方は、上の写真のように親指側の手首で脈を診ることが基本。手首親指側を2本の指で軽く触れ、起床時か、就寝前に必ず1日1回脈をとる習慣を身につけることも大切だ。正常な場合、定期的にトントントンと一定のリズムで脈を感じられるが、不整脈がある場合、脈が速くなる、遅くなる、ときどき飛ぶなどの症状が出る。

またリズムが全くバラバラで、脈の強さや弱さもバラバラの場合、心筋梗塞や脳梗塞の原因となる危険な不整脈の可能性がある。セルフ脈診をしていて、気になる脈の症状が出た場合は、医師へ相談しよう。毎日自分の脈を診ることで、心筋梗塞や脳梗塞、脳血栓などの危険な状態をいち早く察知することができる。脈のセルフチェックを行なって、自分で自分を守ろう。

■注意すべき脈とは・・・

絶対性不整脈と呼ばれる脈。速く、分かりにくく、不定期でいつ来るか分からない脈のことを言う。絶対性不整脈の原因は、心房細動。心房細動とは心房の収縮がむやみに速く、ブルブルふるえるようで、通常の収縮をしない状態をのこと。この速い心房の収縮は、心室全体にに伝わるわけではなく、不規則に伝わることで、脈も不規則になるもの。心房細動が急に起こると、動悸や胸が苦しく感じることもあるが、この状態が長期間にわたる場合は、だんだんと、慣れてきて、自分では症状を感じなくなることもある。この状態が、実はとても危険なのだ。

心房細動がおき、絶対性不整脈になると、心房自体が震えるようにしか動かないので、血がよどんで塊ができやすくなってしまう。その結果、心房に血栓(血の塊)ができ、それが血流にのって脳などの動脈に流れ込んで、ふさいでしまうことがある。これを塞栓症と呼び、脳であれば脳塞栓症を起こす可能性が高まる。心房細動であれば、将来起こりやすい脳梗塞の予防が必要になるため、近くの医療機関を受診して正確な不整脈の診断をしてもらうことが必要だ。

■セルフ脈診のすすめと生活上の注意・・・

生活上の注意は、期外性収縮や他の不整脈と同様に、酒の飲み過ぎ、睡眠不足、過労、ストレスなどを避けること。日ごろから朝起きた時の「セルフ脈診の習慣」を身につけることで、重篤な病気を防ぐことができる。自分で脈をチェックし、「異常があれば受診する」を徹底しよう。

狭心症、脳梗塞リスクも高く 夏バテに潜む低血圧を侮るな

「肩こりがする」「体がだるい」「頭や目が痛い」「食欲がない」「手足が冷たい」――。この時季、「夏バテ」とひとくくりにされている症状の中には、「低血圧」が原因で起きているものがある。夏は血管が広がり、一年で最も血圧が低くなる。あなたの体調不良は血行不良が招いているのかもしれない。サラリーマンの病気に詳しい、弘邦医院(東京・葛西)の林雅之院長に聞いた。

「低血圧」にはいくつかの種類がある。病気によるもの(二次性)、原因が分からないもの(本態性)、急に立ち上がったときに起こるもの(起立性)などだ。このうち、肩こりや疲労感、頭痛などの症状が表れるものが本態性低血圧だ。

「安静時の収縮期血圧(上の血圧)が100㎜Hg未満のものをいい、日本人の1.7~7%が該当するといわれています。そのうち10~20%に自覚症状があります。とくに夏場は“体がだるい”“肩こりがひどい”“手足が冷たい”などを訴えて病院に来て調べてみて、初めて自分が低血圧だと気がつく人も多いようです」

 実際、浜松医科大学心療内科を6~8月に受診し、「なんとなく体の調子が悪い」と訴えた人を調べたところ、4割が「低血圧」だったという。

「低血圧を侮ってはいけません。放っておくと不整脈や狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などのリスクが高くなります。最新の研究では、糖尿病の人の低血圧は死亡リスクが上がることも分かっています」

■休息とスタミナ料理だけでは治らない

 それにしてもなぜ、夏場に低血圧の症状が出る人が多いのか?

「自分では低血圧に気がついておらず、一般的に血圧が下がる夏に自覚症状が出るのでしょう。そもそも、低血圧は発見しづらい病気です。病院で血圧を測定すると、緊張感からか本来の血圧よりも20~30㎜Hg高くなることが多い。そのため高血圧は発見されても、低血圧は見逃されてしまうのです」

 また、低血圧の診断は単に100㎜Hg未満というだけでなく、あおむけに寝た状態と立った状態でそれぞれ複数回血圧を計測し判断する医師もいる。そのため、なかなか診断されないという。

「夏は冬に比べて一般的に血圧が5~10㎜Hgほど低い。喫煙者や肥満の人はその差がさらに大きい。寒い時季に血圧を測って、“自分は正常だ”と思い込んでいる人も多いのです」

 低血圧を改善するにはどうすればよいのか?

「血圧を維持しているのは、血液を送り出す心臓の強さと、送り込まれた血液を送り返す末梢血管のしなやかさです。それをコントロールする自律神経の乱れを正すことが大切なのです」

 それにはまず、規則正しい生活を心がけること。とくにいつも同じ時間に起きることが大切だ。

「副交感神経優位から交感神経優位に変わる『寝起き』を一定にすることで、自律神経を鍛えることができます。朝、シャワーを浴びるとさらに効果的です。また、夏場は知らず知らずのうちに汗を大量にかいています。通常より2~3グラム以上多めに塩を取る必要があります。味付けの濃い食べ物を取って、塩分不足に注意しなければなりません」

 ウオーキングなどの運動も必要だ。しかし、炎天下に野外で活動することは、中高年にとっては災いのもと。プールでの水中散歩や室内でのスクワットなどがお勧めだという。

 この時季の体調不良を「夏バテ」と決めつけてはいけない。ゴロゴロしてスタミナ料理を食べるだけでは解決しないこともある。覚えておこう。

専門医に聞け! Q&A 心房細動治療と抗凝固薬

 Q:心房細動でワーファリンを服用していますが、出血のリスクがあるし、飲みたくありません。カテーテル・アブレーションで治るでしょうか。他によい方法がありましたら、併せて教えてください。
(50歳・出版社編集部勤務)

 A:心房細動は不整脈の一種で、心臓の心房という部分がこまかく痙攣したように震える状態になります。そのため、心臓内に血液がよどみ、血栓ができる場合があります。その血栓が原因で脳梗塞を引き起こすこともあります。

 カテーテル・アブレーションは、痙攣が起こる部分の心筋組織を焼灼します。完治する可能性がある手術ですが、心房細動が2年以上続いている場合は複数回カテーテル・アブレーションを行わなければならないことがありますし、再発も多いです。

 しかも、治療前にはワーファリンの服用量を厳格にコントロールすることが必要です。コントロール不良だと、治療時に脳梗塞を引き起こすリスクが増します。しかし、完治が期待できるので、まずは主治医に相談しましょう。

●凍結乾燥ミミズ含有サプリ
 この焼灼術が適用外の場合、ワーファリンなどの抗凝固剤を服用することとなります。この薬を服用すると出血しやすくなります。
 私の病院にめまいで受診した患者さんに、念のためCTを撮ったところ小脳に出血が見られました。不審に思い聞くと、ワーファリンを服用しているとのこと。同様の例はもう1人体験しています。

 興味深い論文が去年、日本東洋医学会雑誌(66巻4号)に載りました。動脈硬化のある高齢者が凍結乾燥ミミズ含有サプリメントを飲んだところ、頸動脈のプラーク(血栓)が退縮したというのです。

 中国ではミミズは地竜と呼ばれ、古来、中風(脳梗塞や脳出血)を治すとされます。このサプリには出血の危険はなさそうです。
 心房細動と診断され、医師にワーファリンや新しいタイプの抗凝固剤を服用しないと判断された人には、このサプリはよいかもしれません。

 ただし、抗凝固剤を服用せず、このサプリを利用する場合、自己責任であることも忘れないでください。

牧典彦氏(小山病院院長)
自律神経免疫療法(刺絡)や加圧トレーニング、温熱療法、オゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を実践。小山病院(大阪市東住吉区)院長。

危険な心房細動に高治癒率の「高周波ホットバルーン療法」

 心臓の上部にある心房部分が、1分間に350回以上もさざ波のように不規則に動くのが心房細動(しんぼうさいどう)だ。自覚症状がないことも多いが、不整脈や動悸、息切れ、倦怠感などの症状が起こることもある。

 また、心房内の血液の流れに淀みが生じることで血栓ができ、脳に血栓が飛んで重症の脳梗塞を起こし、半身まひや死に至ることもある。心房細動は過労やストレス、睡眠不足、飲酒・喫煙、加齢、脱水などが誘因で発症すると考えられている。

 葉山ハートセンター(神奈川県三浦郡葉山町)の副院長で不整脈センター長の佐竹修太郎医師に話を聞いた。

「心房細動の発生源の多くは、心房と肺とのつなぎ目の4本の肺静脈の根元付近であることがわかってきました。遺伝的に接合部が弱い人が、長年の過労やストレスなどを受けると根元が膨れ、心房細動が起こります」

 心房細動による不整脈では、まず薬物治療を行なう。薬剤が効かなくなったり、投与期間が長くなると電極カテーテルによる高周波焼灼術が行なわれる。大腿動脈から先端に電極が付いたカテーテルを挿入し、発生源に高周波を流して部分的に焼灼し、固める治療だ。これは肺静脈口周囲の心房筋を少しずつ焼灼するので、治療に長時間かかる。

 また、直接組織に通電するので、70℃以上になり、線維組織の融解(ゆうかい)や近くを通る食道壁に孔(あな)があき、食道穿孔(せんこう)など重篤な合併症も5%程度起こる。

 この4月、佐竹医師が開発した高周波ホットバルーン治療が保険収載された。カテーテルを心房中隔に穿刺(せんし)して心房に挿入するところまでは従来と同じだ。

 新治療はカテーテルの先端に高周波通電用電極が設置されていて収縮拡張可能なバルーンが取り付けられている。肺静脈口付近で生理食塩水を入れてバルーンを拡張させ、患部に密着させて通電するとバルーン内の電極が熱を帯び、周囲の生理食塩水の温度が上がる。センサーで電極中心温度が70℃になるよう設定すると接触面が60~65℃になる。

「高周波発生器は、周波数1.8MHzのものを使用します。生理食塩水10ccでバルーンは25ミリに膨らみ、20ccで33ミリまで膨らみます。通電すると電極の上部のみ熱くなるので、振動を送ってバルーン内を攪拌し、温度が均一になるようにします。20~30秒で接触面温度が60~65℃になり、組織を熱凝固することができます」(佐竹不整脈センター長)

 通電時間1分で1ミリ、3分で2ミリ焼灼できる。肺静脈に合わせてバルーンの大きさが調整可能で、1回の通電で広範囲が熱凝固できる。4つの肺静脈に通電しても、治療時間は約30分と従来に比べてかなり短い。

 臨床研究で500例に実施、重篤な合併症は1例もなかった。治癒率も発作性心房細動で94%と高く、心房細動の標準治療にと期待されている。

プリプリの「Diamonds」で命を救え! 正しい心臓マッサージ法とAEDの使い方

目の前で突然、人が倒れた。呼びかけたが反応はない。そんな時はどうすればいいか。プリンセス プリンセスの「Diamonds」(ダイアモンド)を思い出しながら心臓マッサージすることを推奨する医師がいる。

迷っている場合じゃない

2015年10月、日本蘇生協議会は、意識や呼吸のない人への対処法を示した「蘇生ガイドライン」を5年ぶりに改訂した。心臓マッサージの速さについて、2010年度版では速さの目安を「少なくとも1分間に100回以上」としていたが、今回の改訂では「100~120回/分」と上限を設けた。

しかし1分間に100~120回の間で、と言われてもピンとこない。心臓マッサージをする際は、同程度のテンポの曲を思い浮かべるのがよいとされている。そこで、ガイドラインの改訂に関わった京都府立医科大学救急医療学教室講師の山畑佳篤氏は、プリンセス プリンセスの「Diamonds」を推奨。関係者に許可をとり、替え歌をつくってYouTubeで公開している。歌詞には心臓マッサージの方法とAED(自動体外式除細動器)の使い方の手順が盛り込まれているので、覚えておくといざというとき役に立ちそうだ。

実際に、倒れた人を見かけたとき、どのように対応すればよいのだろうか。まずは肩をたたいて大きな声で呼びかけ、反応を確かめよう。反応がなく、呼吸をしていなければ心停止の可能性がある。また、一見呼吸をしているように見えても、しゃくりあげるような異常な呼吸は要注意だ。「死戦期呼吸」と呼ばれ、心停止直後の人に多く見られる。

次に、大声で助けを呼び、119番通報とAEDの手配を依頼しよう。その際、「誰か、お願い!」ではなく、「そちらのメガネをかけた方」など、明確に指名することが大切だ。手配をしてもらっている間に心臓マッサージを開始する。

改訂版のガイドラインには、倒れた人が心肺停止の状態なのか判断に迷っても、「心肺停止でなかった場合の危害を恐れずに、ただちに胸骨圧迫を開始」と明記されている。1分1秒が命に関わるのだ。迷っている場合ではない。

ひじを伸ばし、胸骨の下半分に両手を重ねて置き、体重をかけて「強く、速く、絶え間なく」押し続けよう。強さは「胸が5㎝ほど沈む深さ」が目安だ。心の中で(声に出してもかまわないが)「Diamonds」を歌いながらリズムに合わせて押すといい。絶え間なく押し続けることが肝心だ。疲れたら速やかに、誰かと交替しよう。

心肺蘇生は誰にでもできる

AEDが届いたらふたを開け、電源スイッチをON。AEDは心臓がけいれんし、血液を送り出すポンプ機能を失う「心室細動」という状態になったとき、電気ショックを与えて正常な働きに戻すための医療機器だ。成人の心肺停止の多くは心室細動によって引き起こされるという。

電源を入れると音声ガイドが流れる。ガイドに従い、倒れた人の洋服を脱がせ、電極パッドを指定された位置に貼る。パッドを貼っただけでは電気ショックは作動しないので、慌てて離れなくても大丈夫だ。自動診断が行われたのち、「心停止」であるとAEDが判断すると、電気ショックの指示が流れるようになっている。電気ショックが必要と判断されたら、誰も倒れている人に触れていないことを確認して、ショックボタンを押そう。

電気ショックが済んだら心臓マッサージを再開し、救急隊に引き継ぐか、呼吸が回復するまで続ける。なお、AEDによって電気ショックの必要がないと判断された場合は、電極パッドをはずして心臓マッサージをする。

「Diamonds」の替え歌のサビの部分で、山畑氏は「心肺蘇生は誰にでもできる。命を救うために身につけよう」と呼びかけている。倒れている人を前に、「助けられなかったら」「事故が起きたら」と、心臓マッサージやAEDの利用を躊躇することもあるだろう。しかし、何もせずにAEDの使用が1分遅れると、救命率が7~10%程度下がると言われる。また、大人と子どもでは対処法も異なる。

最近では、お笑い芸人の前田健さんが路上で倒れ、通りかかった医大生らが心臓マッサージやAEDで蘇生を試みたが、残念ながら2016年4月26日に虚血性心不全で亡くなった。結果的には救えないケースもある。しかし、目の前で人が倒れたとき、落ち着いて最低限の処置ができるよう、心肺蘇生の方法を日ごろから心得ておきたい。

心肺蘇生のガイドラインは、日本蘇生協議会のウェブサイト(http://jrc.umin.ac.jp/)で公開されている。プロのバンドが演奏したという「Diamonds」の替え歌はこちら(https://www.youtube.com/watch?v=B0B6J3rj6Xc)で聴ける。消防訓練などに参加し、心肺蘇生の流れを一度は体験しておくことをお勧めする。

決して他人事ではない「心臓突然死」の原因とメカニ

心臓突然死は、文字通りそのひとの命をある日突然奪ってしまう恐ろしい病気。毎年、全国で何万人単位の方が犠牲になっています。心臓突然死の原因について理解し、心臓突然死の予防に役立ててください。

■心臓突然死とは
突然死とは、ある日突然症状が出て、24時間以内に死亡してしまうこと。ケガや交通事故などの外因死は除きます。平成6年度の旧・厚生省の研究によれば、突然死全体では就寝中がもっとも多く、次いで入浴中、休養・休憩中、排便中に多く起こりっていると報告されています。

突然死の6割以上の多くを占めるのは心臓が原因となる「心臓突然死」。総務省消防庁が発表した調査結果によれば、平成19年に救急車で運ばれた心肺停止状態の患者は10万9461人。このうち、5万9001人は心臓が原因でした。現在問題となっている自殺者の数が年間3万人という点と比較しても、決して少なくない数だと分かると思います。

この心臓突然死の原因の大半が、虚血性心疾患です。狭心症や心筋梗塞などの、心臓に血液を送る冠動脈が詰まる疾患です。

プロ野球の巨人と阪神でかつて投手として活躍した小林繁さんが2010年1月に突然死されましたが、小林さんの死因も心筋梗塞でした。

心臓突然死の主な原因として、以下の4つが挙げられます。

■心臓突然死の原因1:虚血性心疾患などの病気
胸がしめ付けられるような症状が5分以上続くときには要注意です。しめつけられる痛みもさまざまなタイプがありますし、体を動かすときに起こるものや夜や明け方の安静時に起こる危険なタイプもあります。心筋梗塞の多くは、狭心症を起こさない程度の軽い動脈硬化プラーク(脂肪を含んだ袋)がストレス等が引き金となって突然破裂したり裂けたりし、その袋のある血管に血栓が詰まることで発症することが知られています。

心筋梗塞の発作は朝方にピークがあることが知られています。なお症状は胸以外に頚や腕に出たり、ときには上腹部にでることさえあります。

仕事中や歩行中、安静時、トイレ、就眠中などに突然倒れて失神し、意識がなくなることもあり危険です。

また冠動脈が正常であっても心臓に血液が送られなくなる状態、たとえば悪性の不整脈や高血圧による心肥大、弁膜症なども狭心症・心筋梗塞と同じ状態になることがあり、心臓突然死の原因になります。

弁膜症の中では大動脈弁狭窄症や大動脈弁閉鎖不全症が代表的です。

■心臓突然死の原因2:不整脈
不整脈、つまり心臓の脈の乱れによって突然死が起こることがあります。その原因として以下が挙げられます。心電図や24時間心電図、さらに血管ごしに心臓まで管を入れるカテーテルを用いた精密検査などによって診断が確定します。経過や症状は大変参考になりますが、それだけでは確定診断は難しいです。

●QT延長症候群
心電図でQT間が長くなる病気で、致命的な不整脈である心室細動が起こることがあります。

●運動によって起こる心室頻拍
心臓の信号を伝える神経である刺激伝導系のなかでヒス束の線維に異常が生じ、心筋の興奮が連続して起こり心室頻拍にいたります。

●WPW症候群
刺激伝導系の正常経路以外に、病的な経路・副伝導路があり頻拍発作が起こります。

●完全房室ブロック
刺激伝導系のどこかの部位に障害が起こることをブロックと呼び、心房と心室の間の伝導が遮断されることを完全房室ブロックと言います。心停止を起こすことがあります。

●洞不全症候群
心臓の自然のペースメーカーとも言える洞結節に異常が起こり、重い徐脈や失神に至ります。

心臓突然死全体の8~9割で心室細動が関与しています。心室細動の原因として心筋梗塞が最も多く、そのほかに心筋症や冠動脈疾患、ブルガダ症候群などが挙げられます。

■心臓突然死の原因3:スポーツ
スポーツの最中に突然死が起こることがあります。スポーツそのものが悪いのではなく、何らかの隠れた心臓病が原因であることが多いと言われています。実際、厚生科学研究・村山班報告では、1984年からの5年間のスポーツ中の突然死は645名(男545名、女100名)でこのうち、心臓病による死亡が7割以上を占めていました。

スポーツ中に起こる心臓突然死の原因は年齢によって異なります。

たとえば中高年では、

・冠動脈疾患:全体の8割を占めると言われます
・心筋症
・心室瘤破裂
・弁膜症(大動脈弁狭窄症や閉鎖不全症その他)

などが報告されています。皇室の高円宮さまがスカッシュの最中に突然死されたのを覚えている方もいると思いますが、宮さまはある種の心筋症を患っておられたと報じられています。心筋症の中でも心臓の出口がせまくなる閉塞性肥大型心筋症(HOCM)は要注意です。

若年者では、

・肥大型心筋症
・冠動脈奇形
・弁膜症
・冠動脈疾患

小児では、

・心筋炎
・肥大型心筋症
・先天性心疾患
・弁膜症
・川崎病による冠動脈瘤

などが報告されています。

スポーツ心臓という言葉があります。激しい運動に順応するために心臓の筋肉が肥大することです。これは前述の高血圧や心筋症による肥大とは異なり、自然な現象なので、スポーツ心臓そのものが突然死の原因になることはなさそうです。

スポーツで心臓突然死が起こる場合は、もともと心臓病がありそれに気がついていなかっただけで、スポーツが間接的に引き金になったと考えられています。

■心臓突然死の原因4:心不全
心不全が心臓突然死の原因となることがありますが、それは心筋梗塞や不整脈がらみであることが多いです。

■(参考)心臓以外の突然死を招く病気一覧
心臓突然死以外にも突然死を引き起こす疾患があります。参考のために、主な突然死を招く病気一覧原因を挙げます。

1.くも膜下出血
2.脳内出血
3.急性大動脈解離
4.肺動脈血栓塞栓症
5.気管支ぜんそく
6.消化器疾患(肝硬変その他)

など。

最近では、プロ野球の読売巨人の木村拓也さんが試合中にくも膜下出血で倒れ、緊急入院したものの、そのまま帰らぬ人となったというケースが記憶に新しいところです。アジアで幅広い人気のあった台湾の歌手テレサ・テンさんは気管支喘息が原因で突然死されたといわれています。また、作家の立松和平さんが急性大動脈解離でお亡くなりになりました。病院での治療がある程度間に合って突然死は免れましたが、結局突然死に準じた状況でした。

参考:心臓外科手術情報WEB
(http://www.shinzougekashujutsu.com/)

文・米田 正始(All About 心臓・血管・血液の病気)

“超悪玉”を生む中性脂肪 心筋梗塞のリスクも倍以上に

予備軍も含めると患者数は3千万人以上といわれる脂質異常症。“ドロドロ血”が動脈硬化の直接の原因ではないなど、コレステロールと中性脂肪の複雑な代謝のしくみが明らかになってきた。

 東京都在住の田畑保子さん(仮名・63歳)は1年前、駅の階段を上りきったところで息苦しくなり、救急車で昭和大学病院に運ばれた。心臓に酸素と栄養を送る冠動脈が狭くなる狭心症の発作だった。適切な処置で事なきを得たが、脂質異常症があったため同大東病院の糖尿病・代謝・内分泌内科を受診することになった。

 田畑さんの検査値は、空腹時の中性脂肪値が260、総コレステロール(TC)が230、LDLコレステロール(LDL‐C)が143、HDLコレステロール(HDL‐C)が35だった。同科主任教授の平野勉医師は次のように話す。

「田畑さんのように、LDL‐Cはそれほど高くなくても中性脂肪が高い場合、LDL‐Cが小型化して“超悪玉コレステロール”と呼ばれる『スモールデンスLDL』になり、血管壁にさらに入り込みやすくなっていると考えられます」

 中性脂肪とTCがともに高い人は、TCだけが高い人よりも心筋梗塞のリスクが2倍以上になるという報告もある。

 中性脂肪自体は血管壁に蓄積することがないため、動脈硬化の直接の原因にはならない。しかし過剰になったLDL‐Cを小型化する、善玉のHDL‐Cを減らすなど、いわばLDL‐Cの後押しをして動脈硬化をすすめてしまう。「どちらも基準値より少し高め、そういうケースがもっとも注意が必要といえるでしょう」(平野医師)

 実際に、体質的に中性脂肪が数千まで上がるような脂質異常症があるが、そういったケースでもLDL‐Cが基準値より低ければ動脈硬化はすすまず、心筋梗塞のリスクは健康な人と変わらないのだという。

 高コレステロール血症と高TG血症の両方がある場合も、まずスタチンを用いてLDL‐Cを下げる。

「動脈硬化の“主犯”であるLDL‐Cを減らすことが、第一の目的になります」(同)

 田畑さんはストロングスタチンを1カ月服用してTCが160まで低下。HDL‐Cは40に上昇した。現在も服薬を続け、狭心症の再発を防いでいる。

 薬の効果が十分でない場合は、高TG血症の治療薬を併用するが、現在使われている「フィブラート系」の薬は腎機能が低下している人には使えない。また、スタチンと併用すると筋肉の障害などの副作用が出る可能性がある。その点を改良した新薬「ペマフィブラート」が現在、臨床試験を終えて発売に向けて申請をおこなっている。

「LDL‐Cが130~140だと経過観察のこともあるでしょうが、中性脂肪200以上をともなうなら、医師に相談して治療を検討してください」(同)

40代から注意 心房中隔欠損症に負担減のカテーテル治療

 心臓は右心房と右心室、左心房と左心室の4つの部屋に分かれている。右心房と右心室には全身を巡った静脈血が戻り、左心房と左心室からは肺で酸素をもらった動脈血が全身に向かって流れていく。通常は左右の心房と左右の心室の間には壁があり、静脈血と動脈血が混じらないようになっている。

 ところが、右心房と左心房の間の壁に孔(あな)が開いているのが心房中隔欠損症(しんぼうちゅうかくけっそんしょう)、心室に孔が開いているのが心室中隔欠損症だ。心房中隔欠損症は、先天性心疾患の約45%を占めており、約1000人に1人の割合で見つかる。慶応義塾大学病院循環器内科の福田恵一教授に聞いた。

「生物はもともと1心房1心室でしたが、進化の過程で2心房2心室になりました。人間も胎児の初期は1心房、1心室ですが、途中で左右に分かれ孔が塞がり、2心房2心室になります。この胎児のときに心房で塞がるべき孔が塞がらなかったのが、心房中隔欠損症です。1次孔欠損と2次孔欠損、静脈洞欠損があり、成人になって一番多く見つかるのが、2次孔欠損です」

 1次孔欠損と2次孔欠損は、胎児の成長過程で孔が塞がる順番の違いで、1次孔は孔が大きく子供時代に発見され、手術となる。2次孔欠損は患者の7割と一番多く、成人になって発見される。無症状で40代になる頃から動悸、息切れ、疲れやすさ、むくみなどの症状が出てくる。

 心房中隔欠損症で怖いのは、心房細動や奇異性脳塞栓を起こす危険性があることだ。心房に孔が開いていると、血液は左心房から右心房に流れることが多い。たまに咳や深呼吸の際に、右心房から左心房に血液が流れることがある。

脚に血栓ができて飛ぶと肺に流れ肺塞栓(はいそくせん)になるが、右心房から左心房に血液が流れているときには、血栓が大動脈から脳に流れ、脳塞栓が起こる。これが奇異性脳塞栓だ。

 心房中隔欠損症の確定診断は、心エコーで行なう。胸の上からの超音波ではなく、食道内に内視鏡を入れて心臓の裏側から超音波でみる経食道心(けいしょくどうしん)エコーも登場し、孔の位置や大きさ、血液の流れなどが鮮明にわかる。

「心房中隔欠損症の治療として、慶応病院では2011年からカテーテル治療を取り入れ、年間約70症例と全国で一番多く実施しています。脚の付け根からカテーテルを挿入し、右心房から左心房に入れ、孔のそばでアンプラッツァーという形状記憶合金製の傘を2つ開き、挟むように孔を塞ぎます。時間とともに周囲に血管内皮ができ、完全に孔が閉じます」(福田教授)

 患者の負担をより軽くするために、脚から挿入する心腔内心(しんこうないしん)エコーで治療を行なうこともある。経食道心エコーでは全身麻酔が必要だったが、心腔内心エコーは局所麻酔で治療が可能だ。

脚の傷は数㍉程度で術後ほとんど目立たなくなり、入院は3泊4日と短く、退院後すぐに職場復帰が可能だ。ただし、カテーテル治療は、直径38ミリを超える大きな孔や、孔が大動脈に近い場所では使えず、手術となる。

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心臓だってウコンでアンチエイジングできる!?

年を取ると「男らしさ」は失われていく。残念なことだが、いつまでも若い頃の外見・体力・健康は保てない。それを防ぐにはどうすればいいのか? この連載では第一線で活躍する専門家たちに、「男のアンチエイジング」の最先端を解説してもらう。

今回のテーマは「心臓のアンチエイジング」。あるひとつのスパイスに含まれる成分がさまざまな効果を発揮することが分かってきた。それはクルクミン。心不全の進行も抑えるというクルクミンについて、順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学の堀江重郎教授と、静岡県立大学薬学部分子病態学分野の砂川陽一助教に解説してもらう。

 いよいよ4月。花見や新人歓迎会などで酒席が増えるこの季節、ウコンのお世話になっている人も多いだろう。ウコンがアルコールの分解を速めることは医学的に確認されており、悪酔いや二日酔いを防ぐ効果は広く知られるようになった。

 その有効成分はクルクミンという黄色の色素成分。カレーが黄色いのも、ウコンにクルクミンが入っているためだ。その効果は肝機能改善だけではない。驚くべき効果が次々と明らかになり、アンチエイジング医学界で注目を集めている。

 まず、がんに対する効果。すい臓がんが改善した(Clin Cancer Res. 2008 Jul 15;14(4):4491-9)など、多く

の報告がある。京都医療センター整形外科診療部の中川泰彰部長たちによって、変形性膝関節症に対する効果も報告された。患者に1日180mgの高吸収型クルクミン(セラクルミン)の投与を8週間続けた結果、痛みの強さを示すVASスコアが低下したという(J Orthop Sci. 2014 Nov;19(6):933-9)。

 脳に対する効果も研究が進んでいる。クルクミンは脳内のセロトニンを増やす抗うつ作用がある(Psychopharmacology(Berl)。2008 Dec;201(3):435-42)。

また、アルツハイマー病は脳にアミロイドβ(ベータ)というたんぱく質がたまることで起こるが、クルクミンはこのアミロイドβがたまりにくくする(J Pharmacol Exp Ther.2008 Jul;326(1):196-208)。実際、毎日ウコンを使ったスパイス料理を食べるインドでは、アルツハイマー病の発症率が米国の4分の1しかない。

 ウコンには鉄が多く含まれているので大量にとると害があるが、クルクミン自体は安全性が高く、少々とりすぎても危険はないとされている。

 なぜクルクミンがこれほど幅広い分野で効果を発揮するのか。最大の理由は「強い抗炎症作用にある」と、順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学の堀江重郎教授は説明する。

 「がんやアルツハイマー病をはじめ、多くの病気が炎症から引き起こされる。クルクミンはNF-kBという生理活性物質の働きを抑えることで体内の炎症反応を抑える」

 最近は心臓に対する作用も研究されている。クルクミンによって、心不全が改善する可能性が高いというのだ!

心不全の進行を抑える効果は薬と同じ!?

 心臓病で亡くなる人は想像以上に多い。厚生労働省の平成26年「人口動態統計」によると、心臓病はがんに続いて日本人の死因第2位。年間20万人近い人が亡くなっており、2014年に亡くなった人のうち、実に15.5%を占める(下グラフ参照)。

 そのベースにあるのが心不全だ。

 ちなみに、心不全というと「心臓が止まること」(心停止)と誤解されることも多いが、そうではない。また、そういう名前の病気があるわけでもない。心不全とは「心臓のポンプ機能が低下し、全身に血液をうまく送り出せなくなった状態」と静岡県立大学薬学部分子病態学分野の砂川陽一助教は定義する。

 心不全には、心筋梗塞などで起こる急性心不全と、心臓弁膜症や心筋症などで起こる慢性心不全がある。慢性の場合はすぐに死ぬことはないが、むくみや息切れが起こるようになり、日常生活に支障を来す。砂川助教によると、「高齢者が心不全を起こすと、そのまま寝たきりになってしまうことも少なくない」という。

 心不全の原因のひとつが、心筋(心臓の筋肉)が厚くなる心肥大だ。心筋細胞の核の中にP300というたんぱく質があり、これが活性化することで心肥大が進む。メカニズムははっきりと分かっていないが、クルクミンにはこのP300の活性化を抑える働きがある(J Biol Chem. 2004 Dec 3;279(49):51163-71)。

 砂川助教たちは高血圧のラットと心筋梗塞のラットにクルクミンをのませ、心不全の進行を抑える効果を確認(J Clin Invest. 2008 Mar;118(3):868-78)。その効果は血圧を下げて心不全を予防する医薬品(エナラプリルマレイン酸塩)に匹敵したという(Cir J. 2010 Aug;75(9):2015-9)。
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カレーは辛いほうがいい?

 その後、心肥大の患者を対象にした臨床試験も行われた。患者を2グループに分け、一方に1日60mgのセラクルミン、もう一方にプラセボ(偽薬)を半年間投与した結果、セラクルミンのグループは心臓の固さを示す指標が明らかに改善した。つまり、「心臓の筋肉が柔らかくなった。ポンプ機能が改善することで、心不全が改善する可能性がある」と砂川助教。臨床試験は現在も継続中だという。

 心臓を柔らかくして肥大を抑えるということは、“心臓のアンチエイジング”と呼んでもいいだろう。クルクミンの効果が、またひとつ発見されたわけだ。

 食事からクルクミンをとろうと思ったらカレーライスが最適だろう。クルクミンは吸収されにくいのが欠点だが、「カレーのようにスパイシーなものを食べると血流が良くなって、腸から吸収されやすくなる。なるべく辛いカレーを食べたほうがいい」と堀江教授はアドバイスする。

 体内の炎症を抑え、がんや心不全といった命にかかわる病気を予防してくれる可能性を秘めたクルクミン。飲み会の前後に限らず、辛いカレーやサプリメントで、積極的にクルクミンを補給しよう!

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狭心症の再発防止へ 期待のシナジーステントシステム

心臓の動脈が狭くなり、血液が詰まるのが原因で起こる狭心症の治療として行われているステント治療。血管に金属でできた網目状の筒を埋め込み、血液の通り道を確保する手術法だ。この治療の課題とされているのが、再び患部が血栓で詰まってしまう再発への対処だ。その再発を防ぐ画期的な製品が開発されたという。

 【課題残すステント治療】

 寒さが緩んで活動的になるこの時期、朝方に運動したときなどにぎゅーっと締め付けられるような胸の痛みを覚えたら、狭心症の疑いがある。この発作が心筋梗塞を誘引すれば、命に関わる危険性もあるだけに、早めに手当てする必要がある。

 狭心症治療でもっともポピュラーなのがバイパス手術とステント治療。とりわけ、開腹せずにすむステント治療は入院期間も短く患者の負担が少ないとあって、圧倒的に支持されてきた。1990年代にステント治療が始まって以来、治療を受けた国内の患者数は20万人を超えるという。

 ただし、ステント治療にはいくつかの課題が残されていると指摘するのは、東邦大学医療センター大橋病院循環器内科の中村正人教授。

 「ステント治療法がはじまった初期段階では、せっかく広げた動脈がまた狭くなってしまい、再発する例が20~30%もあったんです」と中村教授は解説する。再発の原因は、ステントを入れた部分で血管内膜が過剰に増加して再狭窄を起こしてしまうことにある。

 その問題を解消すべく登場したのが、いま最も利用されている二世代型「薬剤溶出型ステント」である。これには再狭窄防止薬剤が浸み込んだポリマーがコーティングされており、その薬剤が少しずつ血管壁に溶けることで、血管が詰まるのを防ぐという。これにより、治療効果が劇的に高まり、再発は5~10%に減少したという。

しかし、再発をゼロに近づけるためにはもう一つクリアしなければならない課題があった。薬剤溶出後に残ったポリマーが血管内の炎症を引き起こし、それが血栓をつくる要因となっていた。

 「それを予防するために、血液をサラサラに保つ投薬治療を永続的に続けなければなりません。これが患者には大きな負担となっているんです。とくに高齢者など血管が弱くなっていると、薬の副作用で大出血を起こすこともあります」(中村教授)

 【三世代型への期待】

 そんな治療現場にあって、今、にわかに注目を浴びているのが、ボストン・サイエンティフィックジャパンが発売した「シナジーステントシステム」だ。

 ステントのコーティング剤に生体吸収性ポリマーを用いることにより、術後4カ月後には生体内に吸収されてなくなるという特性を持つ。加えて、ステントの厚みを従来の半分にして血流の滞留を起こりにくくしたという。

 「血栓リスクが低減されるということは、術後の投薬期間も短縮できることになり、患者負担も軽減されます」(ボストン・サイエンティフィックジャパン、野島栄一氏)

 三世代型ステントとして期待が寄せられるシナジーステントシステム、臨床データの収集も始まっており、新製品の優位性が明らかになってきているという。

 さらに、中村教授はステントの未来像を次のように語る。

 「ステントそのものは永久に体内に残りますが、将来的にはステント自体も生体吸収性を持たせた素材が開発されるかもしれません」

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心臓病は「日本人の死因2位」!心臓に負担をかける10の習慣

厚生労働省の発表によれば、平成25年に心臓疾患で亡くなった人の数は19万6,723人。これはがんに次ぐ第2位の死因です。若者にも増えているといわれる心臓疾患ですが、ちょっとしたことが心臓に負担をかけていることをご存知ですか?

インドの健康情報サイト『the Health Site』が、心臓に負担をかける10の習慣を公開しました。もしかしたら、知らないうちにしてしまっていることがあるかも……。

■1:乱れた食生活

ファストフードや加工食品の過剰な摂取は心臓への負担大。また、単純な食べすぎも心臓にはよくありません。さらに気をつけなければならないのが、塩分の過剰摂取。あまりしょっぱくなくても、何気なく食べるスナック菓子には意外に多くの塩分が含まれています。

■2:毎日デスクの前に座りっぱなし

デスクの前に1日座りっぱなしでは、どうがんばっても運動不足になります。

筋肉や心肺機能が衰えるのももちろんですが、デスクに向かって座っていると、ついついなにかつまんでしまいがち。カロリーが消費されないうえに、余分なカロリーまで摂取してしまいます。

■3:喫煙

たばこが体に悪いことはいうまでもありませんが、心臓疾患を患う喫煙者は依然として増え続けているようです。たばこは心臓だけでなく、全身に悪影響を及ぼします。健康を考えるなら、早めに禁煙しましょう。

■4:急なアルコールの摂取

適度な飲酒は問題ないという説もあるものの、急なアルコール摂取は心臓に負担をかけます。アルコールは血管を広げる作用があるので、心拍数が上がってしまうのです。一気飲みなどはもってのほかです。

■5:いびきをかく

意外なことですが、いびきも心臓に負担をかけている場合があります。いびきをかく人には動脈が硬化している人が多いため、心臓に負担がかかりやすいのです。

■6:急な運動

運動が体にいいのはもちろんですが、急な運動は命にかかわります。心臓に急に負担がかかり、最悪の場合は心臓麻痺に陥って死に至ります。必ずていねいに準備運動を行いましょう。

■7:ストレスの多い生活

ストレスも、間接的にではありますが、心臓に負担をかけます。大きなストレスを感じると心拍数が上がる他、体を動かしたくなくなるので運動不足にもなったり、過食してしまったりするのです。

■8:ひとりでいることが多い

社会と関わりを持たずにずっとひとりでいることも、長い目で見ると心臓にはあまりよくありません。気分の落ち込みがひどくなると、心臓にもよくないといわれているのです。

■9:虫歯がある

無関係に思えますが、虫歯になると、心臓疾患になるリスクが上がります。血中に流出した虫歯菌は、血液を固まりやすくするため、血圧が上がりやすくなるのです。

■10:体のサインを見逃している

もっとも危険なのが、体のサインを見逃すこと。心臓病は命にかかわることが多い病気です。少しでもいつもと違うことがあったら、速やかに医療機関を受診しましょう。早期発見がなにより重要です。

意識しなくても、毎日動いてくれている心臓。体を支える大事な臓器ですから、きちんといたわって、健康を保ちましょう。

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命にかかわる心臓疾患...なりやすい人の特徴は?「心臓病リスク」をチェックしてみよう

大動脈解離や心タンポナーデといった循環器の病名がニュースに取り上げられる機会が増えています。

狭心症や心筋梗塞、不整脈、心不全など、心臓に関する病名は聞いたことがあるものの、実際にどういった症状なのかを調べたり、自分と心臓病との接点を考える機会はあまりないのではないでしょうか?

もしかすると、あなたはすでに心臓病を発症しやすい状態になっているかもしれません…! まずはかんたんなチェックで、心臓病を発症する危険性がないか、チェックしてみましょう。
チェックスタート!
【注意すべき症状パート(全6問)】
□ 階段をのぼったときなどに胸を締め付けるような、または、押されるような感じがある
□ 階段をのぼったときなどに胸の違和感や冷や汗、顎の違和感を覚える
□ 朝起きたときや、安静時に胸のしめつけや違和感を覚える
□ 目の前が真っ暗になったり冷や汗が出たことがある
□ 突然意識を失ったことがある
□ 数えられないほど脈が速くなってしまったことがある

ひとつでも当てはまったら結果の「1. 【注意すべき症状パート】に当てはまるものがあった方」へ

当てはまらなかった場合は下の【心臓病リスクパート(全12問)】のチェックへ進んでください。


【心臓病リスクパート(全12問)】
□ 女性で55歳以上、男性で45歳以上である
□ 血縁者の中で心臓の病気がある人がいる
□ 喫煙している
□ 高血圧と言われている (収縮期血圧140㎜Hg以上、拡張期血圧90㎜Hg以上)
□ 肥満である (BMI25 以上、ウエストが女性90㎝以上、男性85㎝以上)
□ 糖尿病、または境界型の糖尿病と言われている
□ 高コレステロール値と言われている (総コレステロール220mg/dL以上 あるいは 悪玉コレステロール(LDL)140mg/dL以上)
□ 中性脂肪値が高いと言われている
□ 善玉コレステロール(HDL)の値が低いと言われている
□ 精神的ストレス、肉体的ストレスを感じている
□ 腎臓の病気を指摘されている
□ 脳梗塞や末梢血管の病気(閉塞性動脈硬化症など)になったことがある


12問のうち、当てはまるものが5つ以上あった場合は「2. 【心臓病リスクパート】で当てはまるものが5個以上だった方」へ、

それ以外の方は「3. 【心臓病リスクパート】で当てはまるものが4個以下だった方」へ進んでください。
1. 【注意すべき症状パート】に当てはまるものがあった方

【要注意】心臓の病気の可能性が高いです。

現在あなたは心臓の病気(狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全など)と考えられる症状があります。

一度循環器科で診察を受けましょう。狭心症、心筋梗塞、不整脈などの病気は命にかかわることもありますので、早めに診断や治療をうけて、実際に重症な症状をおこすことを未然に防ぎましょう。

高血圧や脂質異常症、糖尿病、腎臓のご病気などの持病がある方はその治療をきちんと行うことが心筋梗塞や心不全のリスクを減らしてくれます。喫煙している方は禁煙しましょう。そして、規則正しい生活や適度な運動、ストレスをためないよう日常生活でも工夫をしてみてください。
2. 【心臓病リスクパート】で当てはまるものが5個以上だった方

【注意】心臓の病気の可能性があります。

あなたは心臓病のリスクが高いと考えられます。

高血圧、脂質異常症、糖尿病、腎臓のご病気などある方は、治療をきちんと行うことが心筋梗塞や心不全のリスクを減らしてくれます。

健康診断での心電図で異常を指摘された場合や、ご家族を突然死で亡くされている方は、必要に応じて循環器科で精密検査を受けましょう。
3. 【心臓病リスクパート】で当てはまるものが4個以下だった方

【特に問題なし】心臓の病気の可能性は低いでしょう。

あなたの現在の心臓病のリスクはそれほど高くありません。

日常生活においては、規則正しい生活や適度な運動、ストレスをためないようにすることが心臓病予防に効果的と考えられます。喫煙している方は禁煙することがリスクを下げることとなります。
一言アドバイス
いかがでしたか?

心臓病は命にかかわる重大な疾患ですので、その兆候を早めに察知することが重要です。

また、そのリスクは生活習慣に起因するものが多いです。まずは【心臓病リスクパート】にあてはまるものから少しずつ改善していけるとよいですね。

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年間7万人死亡の心不全 知っておきたい最新知識

日本人の死因第2位である心疾患。その中で死亡者数トップが、年間約7万人が亡くなる「心不全」だ。仕事のストレスや日頃の不摂生にも耐えて休まず動き続ける心臓が悲鳴を上げた時、どう対処すればいいのか。知っておきたい心不全の最新知識を紹介する。

 心不全とは、心臓のポンプ機能が低下して全身に十分な血液や酸素を送り出せなくなる状態をいう。主に高血圧や心筋梗塞、心筋症、弁膜症などに起因し、その“末期症状”として考えられている。それ以外にも糖尿病や肺炎、腎不全などの複合的な要因で発症する。

 中でも突然胸を抱えて苦しみ、最悪の場合には突然死に至る「急性心筋梗塞」は、心不全の大きな原因になるだけでなく、直接の死因としても年間約4万人が命を落としている。

 急性心筋梗塞は心臓自身に酸素と栄養を送り込むための血管(冠動脈)が詰まり、血流が途絶え心筋が壊死することで起きる。目黒通りハートクリニック院長の安田洋氏はこう語る。

「急性心筋梗塞発症後1時間以内に病院に到着しなければ3~5割が死に至るといわれる。一方で、1時間以内に治療を開始できれば95%は助かる。焦らず迅速に対応し、一刻も早く患者を病院へ連れていくことが重要です」

 目の前で大切な人が胸の苦しみを訴えうずくまった時、まずすべきことを順を追って解説する。

■周囲に助けを呼べる人がいないか確認する

 急性心筋梗塞の発作が起きると、ひどい場合は胸に“焼きごてを当てられたような激痛”が10分から2時間ほど続く。

 痛みに悶える人を目の前にするとどうしても気が動転してしまうが、まずは落ち着いて周囲に手伝ってくれる人がいないかを確認する。

 心筋梗塞に対する応急処置を行なう際は、協力者の有無は重要な意味を持つ。自分が応急処置にまわる場合は、協力者に救急車を呼んでもらう。協力者がいない場合はまず119番してから、応急処置に移る。

■冷や汗(脂汗)をかいているかどうかを見極める

 患者が胸の苦しみを訴えた時、それが急性心筋梗塞によるものかどうかの大きな判断材料が「冷や汗」だ。

 心筋梗塞で全身に血液を送る能力が低下すると、血管が収縮するとともに汗腺も収縮して暑くなくても汗がでる。その他、酸素や栄養が不足するためにショック症状を起こして失神したり、血圧の急激な低下でふらつき、嘔吐や失禁したりすることもある。

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脳梗塞の30%が患う 心臓の悲鳴“心房細動”を防ぐ(1)

 脳卒中には、脳出血や、くも膜下出血といった血管が破れるものと、脳梗塞など血管が詰まるものとの2種類がある。

 日本ではかつて脳出血が多かったが、主な原因となる高血圧の管理が進み、栄養状態も良くなり血管が破れにくくなったことで、その割合が下がった。しかし、一方で増えたのが、脂質異常や糖尿病の人に多い脳梗塞。現在では、脳卒中のうちの約60%が脳梗塞となっている。

 脳梗塞は、脳の血管が詰まって発症するが、動脈硬化と、不整脈など心臓が原因のものに大きく分けられる。後者については、心臓の上部にある心房(左房にある肺静脈付近)が、痙攣したように激しく動く心房細動を起こし、それが一つの引き金となっていることが分かっている。

 こんな例がある。東京・杉並区の男性(68)は昨年11月、銀行で用事を済ませ外に出た際に、足元がふらつき上手く歩けなくなり、道端にしゃがみ込んでしまったという。ふらつきは数分間で収まり、普通に歩けるようになった。しかし、1週間後、今度は自宅で倒れたのだ。

 今度は喋ることもできず、右手と右足が動かない。家族に付き添われ大学病院に行ったところ、診断結果は脳梗塞で、直ちに治療が始まった。検査の結果、この男性の場合も心房細動を起こしていたという。

 「重症化せずに済んだのは、心臓が原因と分かり、血液が固まるのを防ぐ抗凝固薬を適切に使うことができたからです」
 と、治療にあたった神経内科の教授は語っている。

 発症後、早めの治療だったことに加え、幸い詰まった血管が細く悪影響があまり広がらなかった。そうしたことから、この男性は軽い会話ができる程度までに回復し、治療経過も順調で12月上旬には退院できた。

 男性は、話し方に多少の後遺症を残しながらも「健診も受けて健康には自信があった。よもや自分が脳梗塞になるとは思わなかった」と語っている。

 この、脳梗塞を引き起こす原因で最も怖い心房細動は、心臓で血液がよどみ、流れにムラができて固まりやすくなる状況で起きる。
 
ある脳神経外科医は、こう説明する。
 「血の固まり(血栓)が血管の中を通って脳に運ばれ、脳梗塞を起こすのです。血栓は時に指先ぐらいの大きさになることもあります。これが脳の太い血管を塞ぐと重症化する。心房細動は、突然発症するとドキドキする、

気持ちが悪くなるなどの症状が出ることもありますが、慢性になると気が付かない場合も多い。健康診断の心電図で偶然、発見されることもあるほどです」

 これにより脳梗塞を発症すると、7~8人に1人は死亡すると言われている。
 「つまり、いかにして脳梗塞を防ぐかが、心房細動の治療の最重要ポイントになります」
 と語るのは、都立多摩総合医療センター・心臓血管外科の大塚俊哉部長だ。

内科医に聞く。若年性心筋梗塞って予防できるの?「脂質を抑えて喫煙を控える」

女優の天海祐希さんが45歳で軽度の心筋梗塞(しんきんこうそく)になり入院したという報道が記憶に新しいところです。心筋梗塞は50代以上の男性に多いというイメージですが、30代や40代の若い年代でも気を付けた方がいいのか、ふと不安になりました。

若年性心筋梗塞の初期症状や予防法について、大阪府内科医会副会長で泉岡医院院長・内科医の泉岡利於(いずおか・としお)先生にお話を伺いました。

■血糖値が高い人とヘビースモーカーは要注意

――心筋梗塞は比較的年齢の高い人が発症するイメージがあったのですが、天海さんのようなアラフォー、あるいは30代以下の人でも発症する可能性はあるのでしょうか?

泉岡先生 心筋梗塞とは、心臓に栄養を送る冠動脈が詰まり、心臓の筋肉の一部が壊死(えし)する病気です。最悪、死に至るケースもあります。

心筋梗塞を最も多く発症するのは、60代~70代の男性で、原因には、脂質の多い食事、高コレステロール、糖尿、喫煙などが挙げらます。女性ホルモンが多い閉経前の女性は一般にはなりにくいのですが、若くして発症する人は特に、糖尿病や血液中に含まれる脂質が高い脂質異常症と喫煙者の場合が多いです。

――若年性の場合は、遺伝の可能性もあるのでしょうか?

泉岡先生 「家族性の体質遺伝」という言い方をしていますが、例えばご家族にコレステロールが高い人がいた場合、高校生という若さでもコレステロールが高く、若いときに心筋梗塞を発症しやすい人はいます。

心筋梗塞は脂質の影響を大きく受ける病気です。いま、食事が欧米化しているので、若年性の心筋梗塞はこれから増えていくと言われています。

■前兆を感じたらすぐに病院へ

――天海さんの場合は、「激しい体のだるさ」を訴えたそうですが、心筋梗塞の初期症状を教えてください。

泉岡先生 さまざまな例、データがあって一概には言えませんが、発症した人の50%前後が何らかの前兆を感じているようです。心臓なので「左胸」が痛むと思っている人が多いのですが、実は心臓は体の中心部にあり、胸の「真ん中」が痛みます。それで胃の痛みと勘違いする人も多いようです。背中が痛む場合も、中心部です。

激しい痛みや吐き気があれば病院に行かれると思うのですが、前兆として5分から30分程度でおさまる胸の痛みの場合、我慢していればその後は何ともなくなるので、病院に行かない人がほとんどです。この場合が要注意です。

その後、大きな発作が起こることがありますので、突然強い胸の痛みを感じた場合は、たとえすぐに治まったとしても、一度医療機関を受診してください。

――心筋梗塞を発症しないように、若いうちから日頃の生活で予防することはできますか?

泉岡先生 心筋梗塞をはじめとする心臓病は、がん、脳卒中と並んで「三大生活習慣病」と呼ばれており、生活習慣の影響を大きく受けます。脂質の多い食事と喫煙はできれば控えるようにしてください。飲酒はほどほどに、規則正しい生活を心がけて、睡眠をしっかりとりましょう。

また、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動も有効です。インナーマッスルを鍛えるようなストレッチを同時に行うとさらによいでしょう。

ストレスも心筋梗塞と深い関係があると言われています。「小さなことをあまり気にしない性格の人に比べると、几帳面で完璧主義の人の方が発症しやすい」というデータもあります。

さらに、急に重いものを持ち上げたり、信号の変わり目で突然走りだすなど、急激に血管に負担をかける行為は、突発的な心筋梗塞を引き起こしやすいので、できれば避けてください。

――それらの予防法をすぐにでも実践します。ありがとうございました。

脂質と喫煙が大きな原因となるという若年性心筋梗塞。「若いうちは軽い症状ですんでも、やがて、加齢とともに無理を重ねて発症することが多い」(泉岡先生)とのことです。日頃の食生活や生活習慣で予防するのとともに、30歳を過ぎたら年に一度は心電図の検査を受けるようにしましょう。

監修:泉岡利於氏。医学博士。内科医、大阪府内科医会副会長。医療法人宏久会泉岡医院院長。
泉岡医院 大阪市都島区東野田町5-5-8  JR/京阪電鉄京橋駅中央出口から徒歩7分
TEL:06-6922-0890 http://www.izuoka.com/

むくみがサイン?うっ血性心不全とは?

少し専門的な病名の「うっ血性心不全」。

「心不全」は聞いたことがあっても、この病名は知らない方が多いのではないでしょうか。今回は、この意外と知られていない「うっ血性心不全」について医師に伺いました。

■ うっ血性心不全のメカニズム&原因
<メカニズム>
心臓は、全身の隅々まで血液を送るポンプのような役割をしています。このポンプとしての役割がうまく果たせず、必要な血液量を全身に送り出せず血液がうっ滞してしまうものを「うっ血性心不全」と呼んでいます。

<原因>
心筋梗塞などのいわゆる虚血性の心疾患に伴うものが多いのですが、心臓に余分な負荷のかかってしまう高血圧や、不整脈、心臓弁膜症や心筋症、先天性の心臓の病気などさまざまなものが挙げられます。

■ 気になる症状とは……
症状としては、体循環(全身に血液を送り出す血液循環・)への血液供給を担当する左心系に問題が生じるか、肺循環(肺においてガス交換を行う経路)への血液の供給を行う右心系に問題が生じるかで異なります。

<左心系の障害>
全身の臓器の血流が少なくなり、肺にうっ血が生じて胸水が溜まったり、動いた時に呼吸が苦しくなったり、咳が出たりすることがあります。

<右心系の障害>
下腿にむくみがでたり、肝臓が腫れたり、静脈が怒張したりすることも。ただ、多くは体循環の障害か、両方の経路に問題が生じているといわれています。

■ 慢性か急性によっても症状が異なる
また、発症が急速であるか、緩徐であるかによって慢性心不全と急性心不全とに分けられます。

<慢性心不全>
動いた時に呼吸が苦しい、食欲がない、動悸や易疲労感、あるいはむくみによる体重の急激な増加や寝ている時の呼吸困難などが起こる可能性もあります。

<急性心不全>
慢性心不全と同様の症状が一気に起こり、気を失ったり呼吸困難のために会話ができなくなることもあります。

■ 心不全になってしまったら……
多くの場合一生この病気と付き合っていくことになり、生活では弱っている心臓に負担をかけないために、次のことを注意して生活そのものを改善しなくてはなりません。
・減塩
・禁煙
・節酒
・体重管理(病状に応じて医師の指導の下行う)
・心臓の状態に合わせた適切な運動
・過剰なストレスを避ける

■ 医師からのアドバイス
これらの心がけは、心不全をお持ちでない方も心臓を労わるために大切なことですから、若いうちから気をつけていきましょうね。

心停止の6割の人に「前触れ」症状

心筋梗塞などで、突然、心停止となった人のうち、6割の人が、倒れる前に「胸の痛み」や「息苦しさ」などを、感じていたり、訴えたりしていた、という調査結果がまとまり、調査した京都大学などの研究グループは、「心停止を疑わせる前触れの症状なので、すぐに救急車を呼んでほしい」と話しています。

この調査は、京都大学や大阪市消防局の研究グループが行ったもので、倒れるところを目撃され、救急車で搬送された18歳以上のケースについて詳しく分析しました。

その結果、心筋梗塞など心臓の病気が原因で心停止となった1042人のうち61.8%の644人が、倒れる前に何らかの症状を感じたり、訴えたりしていたことが分かりました。

具体的には、息苦しさを感じた人が27.6%、胸の痛みを感じた人が20.7%、一時的に気を失った人が12.7%などとなっています。また、前触れ症状があった人の40.2%は、倒れる3分以上前に、これらの症状を経験していました。

研究グループの西山知佳さんは、「1分でも早く病院で処置を始めたら、救命率が高くなるので、『胸の痛み』や『息切れ』といった心停止を疑わせる症状があったときには、すぐに救急車を呼んで病院に行ってほしい」と話しています。

30代でも発症の可能性あり? 若くても油断禁物な「心筋梗塞」その原因とは

若い世代の人でも心筋梗塞による突然死を発症する、というショッキングなニュースをよく耳にします。

一体、なぜそのような事態を引き起こしてしまうのか、未然に防ぐことはできないのか、このことについて、医師に詳しく教えていただきました。

そもそも心筋梗塞ってどんな病気?

心筋梗塞とは心臓に酸素や栄養を供給する冠状動脈が詰まることによって心臓の細胞が死んでしまう病気のこと。この冠状動脈の詰りが短時間であれば、心臓の細胞は気絶程度で回復しますが、長時間詰待ってしまうと細胞は死んでしまいます。

心臓の細胞は再生できませんので、細胞が死んでしまった部分は動きが悪くなり、心不全や不整脈、あるいは心臓の弁の機能低下が引き起こされます。さらに、ひどい場合では心臓に穴があいてしまうこともあります。これらを防ぐためには、なるべく早めに冠状動脈の血流を再開通する必要があります。

若い世代の心筋梗塞の原因とは

動脈硬化を起こす高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙などは徐々に起こるものですが、元々高脂血症や糖尿病の素因がある人がヘビースモーカーで高脂肪食を過度に取るだけでなく、慢性的な睡眠不足やひどいストレスがあったことが若くても心筋梗塞が起こりうる原因だと推察されます。

最近は食生活が欧米化し、高脂肪食を取る機会が増えました。その上、睡眠不足やストレスが多くなっていますので、心筋梗塞が若い世代に増えてきています。また、日本は喫煙に対しては寛容な国で、タバコも海外に比べて安価で簡単に手に入りますので、喫煙の影響も無視できないと思います。

予防&改善法とは

ストレスを減らすことは中々難しいので、睡眠時間を十分に取り、禁煙し、食生活を改善することで心筋梗塞をある程度は予防、改善することができます。具体的には高脂肪食を避けてバランスの良い食事をするように気をつけて下さい。特に家族に高血圧、高脂血症、糖尿病などの動脈硬化の原因となる病気を持っている人がいる場合は注意して下さい。

若い世代でも油断は禁物なのだ!

心筋梗塞は動脈硬化が原因でおこる病気ですが、必ずしも中年から高齢者だけの病気ではありません。若い世代でもヘビースモーカーでバランスの乱れた食事や睡眠不足、過労、ストレスの多い生活を続けていると知らないうちに動脈硬化が進んで突然心筋梗塞を発症することがあります。

医師からのアドバイス

若い世代でも年に1度は健診を受けて自分の状態をチェックすることが大切です。万一何か動脈硬化のリスクとなることが認められれば、適切な治療を受けるようにして下さい。この点を注意していけば、若くて心筋梗塞になるリスクを減らすことができるでしょう。

補助人工心臓で生活、年間1104万円かかる…人工透析は688万円

重症の心臓病の患者に対し、補助人工心臓を使って救命治療を行い、1年間日常的な生活を送るのに必要な医療費を大阪大の田倉智之教授(医療経済学)のグループが試算した。

 1人当たり1104万円だった。腎臓病への人工透析は同688万円で、それよりは高いが、研究グループでは、心臓移植を受けられず、他に治療法がない患者に適応拡大しても公費支出が許容できる金額としている。

 ポンプ機能が衰えた心臓を助ける補助人工心臓は、自宅で生活ができる小型の植え込み型の使用が心臓移植の待機患者のみに保険で認められている。

現在、移植の対象外となっている65歳以上の患者などへの適応拡大を目指した臨床試験(治験)が来年にも行われる見込み。

 研究グループは、補助人工心臓を使った37人と人工透析を受けた29人のデータを分析。治療によって1年間健康に暮らせる指標(QALY=クオリー)の計算式を使い、必要な1年間の医療費を算出した。

 現在、人工透析患者数は約30万人、補助人工心臓の患者数は約200人。医療費の大部分は保険など公費でまかなわれている。補助人工心臓の適応拡大が認められれば、患者は毎年数百人ずつ増えるとみられる。

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