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ドライバーは知っておきたい これが大動脈解離の“兆候”だ

クルマを運転中に心臓トラブルが発生し、そのまま暴走して周囲を巻き込む死亡事故がまた起こった。自分はもちろん、他人を犠牲にしてしまわないためにも、“サイン”を知っておきたい。

 3日、兵庫・尼崎市でデイサービス施設の送迎用ワンボックスカーが暴走し、4人が死傷する事故が起こった。尼崎北署の調べによると、運転していた58歳の男性は大動脈解離による病死だった。事故前に発症して、意識を失っていた可能性が高いという。

 1年前の同じ2月、大阪・梅田の繁華街でクルマが暴走して11人が死傷した事故でも、運転していた51歳の男性は大動脈解離を発症していた。いずれも50代で、同じ病気が暴走死傷事故につながったのだ。

 大動脈解離は、心臓から全身に血液を送り出す大動脈が突然裂けてしまう病気で、突然死するケースも少なくない。心臓に近い位置で解離が起こると、心臓や脳への血流が障害されて死亡リスクがさらに高くなる。50代以降に多く、中高年男性10万人のうち9~16人がかかるといわれている。決して珍しい病気とはいえないだけに、他人事ではない。

 血管内治療の権威で東邦大学医療センター佐倉病院・臨床生理機能学の東丸貴信教授は言う。

「大動脈解離は、高血圧が基礎疾患にある人、自分の両親や祖父母、兄弟といった近い家族に心血管疾患の既往歴がある人に多く見られます。冬はただでさえ血圧が上がりやすいうえ、クルマを運転する場合は車内と屋外の気温差が激しく、血圧が一気に変動して血管の負担が大きくなりやすい環境です。渋滞などによるストレスも受けやすく、これも血圧に影響を与えます。高血圧だったり、心臓疾患の家族歴がある人は、いつ自分が大動脈解離を起こしてもおかしくないと自覚して、定期的な検査や血圧のコントロールをしっかり行うことが予防の大前提になります」

 大動脈解離は、発症すると引き裂かれるような強烈な痛みがあるのが典型的な特徴で、9割以上の人が痛みを訴えるという。しかし、発症するまではそれほど自覚症状がない場合が多い。そのため、それまで元気だった人が突然、大動脈解離を起こして亡くなってしまうケースが起こる。まずは、日頃からの予防が重要なのはそのためだ。

■痛みや違和感が長く続く

 ただし、運転中に大動脈解離を発症して突然死したり、そのまま周囲を巻き込む事故を起こさないようにする手立てはある。

「大動脈解離が起こった場合の痛みは、比較的長く続くのが特徴です。心筋梗塞につながる狭心症による痛みの多くは30分以内に治まりますが、大動脈解離は30分以上続くケースが多い。解離が始まった場所が心臓より上に位置する上行大動脈にあると、持続的な胸痛があり、痛みは喉元から背中にまで広がっていきます。解離が下行大動脈の開始部分に起こる場合は、突然の背部痛から腰の方まで痛みが進行していき、解離が腹部大動脈まで及ぶと『全身を移動しているような痛み』を訴える患者さんもいます。いずれにせよ痛みがある時間が長いので、その段階で対処すれば突然死を防ぐ可能性が高くなる。死亡リスクが高い上行大動脈の解離でも、発症後24時間以内に手術をすれば80%、48時間以内で50%が助かります」

 また、軽い解離が起こった場合は、焼けつくような感じ(灼熱感)や圧迫感、手足のしびれ、めまいが生じるケースもあるという。

「運転中に胸や背中にいつもとは違う痛み、違和感を感じ、それが数分間続くようなら、すぐに運転を中断した方がいい。様子を見て治まらないようなら、早めに循環器科を受診してください」

 こうした“サイン”は大動脈解離だけでなく、急性心筋梗塞など突然死の可能性がある心臓疾患と共通している場合も多い。大事故を防ぐためにも覚えておきたい。

高齢者に多い「大動脈弁狭窄症」 症状なく進行…早期発見重要

心臓の弁の一つである大動脈弁の開きが悪くなり、血液の流れが妨げられてしまう「大動脈弁狭窄(きょうさく)症」。加齢に伴い、弁が硬くなることが原因で起こることが多く、高齢化により患者数が増加している。無症状の期間が長いが、進行すると突然死につながる恐れもある。専門家は「動悸(どうき)や息切れを感じたら、早めの受診を心がけてほしい」と話している。(油原聡子)

 ◆人工弁の手術

 東京都北区の無職、伊藤清一さん(90)は今年5月、階段を上ったときに胸が苦しくなったり、食事の後に胸焼けがしたりするようになった。不安に思い受診すると、大動脈弁狭窄症と診断された。

 医師からは、「重症なので早期に治療しないと突然死や心不全の可能性がある」と告げられた。「突然のことで驚いた。知らないうちに症状が進んでいてショックでした」と伊藤さんは振り返る。

 8月にカテーテルで人工弁を留置する手術を受けた。経過は良好だという。伊藤さんは「胸の重苦しさがなくなった。高齢でもできる治療法があってよかった」と話す。

 ◆加齢が原因

 心臓内には血液の流れを一方向にするために4つの弁がある。肺で酸素を受け取った血液は、左心房、左心室を経て、大動脈弁を通り、大動脈に送られる。この大動脈弁の開きが悪くなるのが大動脈弁狭窄症で、「心臓弁膜症」の一つだ。

 大動脈弁狭窄症のなかでも特に多いのが、動脈硬化のような変化が原因で起きるケース。東京ベイ・浦安市川医療センターの渡辺弘之・ハートセンター長は、「加齢により新陳代謝が悪くなり、大動脈弁が石灰化して硬くなってしまう」と説明する。

 日本では、65歳以上の大動脈弁狭窄症の罹患(りかん)率は2~3%で、患者数は65万~100万人と推定される。

 主な症状は動悸や息切れ、胸痛、呼吸困難など。進行すると、心不全や突然死につながる可能性もある。渡辺医師は「ゆっくりと進行するので無症状の期間が長く、あまり運動をしない高齢者は症状に気づきにくい」と話す。

 ◆自然治癒せず

 大動脈弁狭窄症は、自然に治ることはない。慶応義塾大医学部循環器内科専任講師の林田健太郎医師は「自覚症状が出たときにはすでに重症化しているケースが多い。進行する前に、治療を受けることが大切」と指摘する。

 聴診と心臓超音波検査で診断がつく。症状が軽い場合は、服薬で症状を緩和したり、心臓にかかる負担を軽減したりする。

 「症状が重く、根本的に治すためには手術が必要」と林田医師。従来の外科手術は、心臓と肺の機能を代行する「人工心肺」を使い、胸部を開いて心臓を切開し、悪くなった弁を人工弁に取り換える。ただ、高齢者には負担が大きく、持病がある場合など手術が難しい人も少なくなかった。

 そこで最近、注目を集めているのが経カテーテル大動脈弁治療(TAVI)だ。脚の付け根や肋骨(ろっこつ)の間からカテーテルを入れ、折りたたまれた状態の人工弁付きの編み目の筒(ステント)を心臓に運び、人工弁を留め置く治療法だ。高齢者や、持病があって開胸手術が難しい人が対象。体への負担が少ないため回復も早く、入院期間も1週間程度と比較的短い。

 林田医師は「TAVIにより、ハイリスクの高齢患者も治療ができるケースが増えた。早期に治療した方が心臓の機能回復が早いので、早期発見が大切」と話している。

生活習慣がカギ。動脈硬化とは、動脈の老化現象?

動脈硬化とは、簡単にいうと、動脈の老化現象のことですが、具体的には血管で何が起きているのでしょうか?また動脈硬化の原因や、動脈硬化が恐れられる理由についてもご紹介していきます。

動脈硬化とは

動脈は、心臓から送り出される血液とともに、酸素や栄養を全身に運ぶ、パイプの役割を担っています。また動脈自身も、収縮や弛緩することで、血液がスムーズに流れるように、手助けをしています。このため動脈は、しなやかさと弾力性に富み、簡単に詰まったり、破れたりしない強さを持っているのです。

ところが動脈硬化が進行すると、動脈の弾力性が失われて硬くなったり、動脈内に悪玉コレステロールや脂肪などが沈着し血管内が狭くなり、血液が流れにくくなります。動脈硬化は、「血管の老化現象」なので、年齢を重ねれば、誰でもある程度は避けられません。しかし、その進行スピードには個人差があり、危険因子を多く持っている人ほど、早く進行してしまいます。

動脈硬化を早める原因

動脈硬化の主な危険因子には、次のものがあります。

脂質異常症

「脂質異常症」は、血液中に悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪が増えすぎたり、反対に善玉(HDL)コレステロールが少なすぎたりする状態です。

そもそも動脈硬化、中でも特にアテローム性動脈硬化では、血液中に増えすぎた悪玉コレステロールによって、血管の内皮(血管の一番内側を覆う細胞でできた層)が傷つけられ、そこから悪玉コレステロールが入り込んで、脂肪でできたドロドロのお粥のような塊(プラーク)をつくることで起こるので、悪玉コレステロール値が高いほど、動脈硬化のリスクが高まります。

また中性脂肪の増加は、「超悪玉コレステロール」といわれる小型LDLコレステロールを増やしたり、肥満を引き起こしたりするため動脈硬化の危険性が高まります。さらに善玉コレステロールには、血管壁にたまったコレステロールを回収する役割があるので、善玉コレステロールが少ないと、余分なコレステロールが回収されなくなってしまいます。

高血圧

「高血圧」で、血圧が高い状態が続くと、血管の内皮が傷つけられて、血管内にコレステロールが入り込みやすくなり、内皮に本来備わっている動脈硬化を防ぐ機能が失われ動脈硬化が進行します。

糖尿病

「糖尿病」は、血糖値が慢性的に高くなる病気で、高血糖状態が続くと、インスリンの働きが低下し血液中に脂質が増えます。それだけではありません。高血糖状態が続くと、血管の内皮の動脈硬化を防ぐ機能が損なわれたり、活性酸素によって脂質が酸化したりするため、動脈が傷つきやすくなり、動脈硬化が進行します。

肥満

肥満で内臓脂肪が過剰にたまると、血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪が増え、動脈硬化のきっかけをつくることになります。それだけでなく、内臓脂肪が多い状態を放置していると、高血圧や高血糖を呼び寄せ、動脈硬化を加速させてしまいます。

タバコ

タバコの煙に含まれる「一酸化炭素」は、善玉コレステロールを減らし、血管の内皮を傷つけます。また「ニコチン」は、血管を収縮させるので、高血圧を招きます。

動脈硬化が怖い理由

動脈硬化は厄介なことに、当初は自覚症状がほとんどありません。また、血管の中は目で見て確認できないので、存在を証明するのも簡単ではありません。しかし、そのまま放置していると、動脈硬化がどんどん進行してしまい、血液の流れが悪くなり命に関わる事態に陥ることもあります。

動脈硬化によって引き起こされる主な病気には、次のものがあります。

狭心症、心筋梗塞

心臓に血液と友酸素や栄養を供給する「冠動脈」に動脈硬化が生じると、「狭心症」や「心筋梗塞」が起きます。狭心症は、冠動脈が狭くなって血流が悪化し、心臓が一時的に酸欠状態になることです。心筋梗塞は、冠動脈が詰まって血流がほとんどなくなり、酸欠のために、心筋の一部が壊死してしまった状態です。特に心筋梗塞は、突然死を招くこともある危険な病気です。

脳梗塞

脳の血管に動脈硬化が起こり、血栓が詰まって、脳細胞が酸欠で壊死してしまうのが「脳梗塞」です。ろれつが回らない、言葉が出てこない、半身の麻痺といった症状が出現します。たとえ命が助かっても、後遺症が残るケースも多いです。

閉塞性動脈硬化症

脚の血管が、動脈硬化で狭くなったり詰まったりして、血流が悪化するのが「閉塞性動脈硬化症」です。主な症状は歩くときの足の痛みですが、進行すると足先が壊死してしまい、最悪の場合は、足の切断が必要になります。

腎臓の病気

腎臓の血管に動脈硬化が生じると、腎機能が低下し、腎臓の病気になります。腎臓は、血液をろ過して尿をつくる臓器なので、腎機能の悪化が進むと、人工透析か必要になります。

大動脈解離 背中に鉄板乗せ潰されるような痛みも

一般的には、死ぬとき瞬間に一番痛い死に方として急性心筋梗塞があげられるが、同じ循環器疾患の中で、それに次いで死亡率が高い大動脈解離も痛みは匹敵する。

 心臓から血液を全身に運ぶ動脈の中で、最も太い大動脈の内膜に裂け目が生じ、猛烈な痛みを引き起こす。3年前、急性大動脈解離を発症し、奇跡的に生還した岡本慎二氏(56・仮名)の話だ。

「妻との日課だった早朝の散歩中、突然、胸から背中にかけて、体を真っ二つに引き裂かれるような激痛が走ったのです。思わず、その場にうずくまり、すぐに気を失いました」

 妻が119番通報し、ショック状態で病院に運び込まれた岡本氏。幸いにも3時間に及ぶ手術は成功したが、動脈の一部は人工血管に置換された。

 経過は良好だというが、医師からは「奇跡的に血管に裂け目ができただけで済んでいた。もし破裂していたら出血死だった」と告げられたという。

 この大動脈解離の痛みについては、岡本氏が表現した「体が引き裂かれる」以外に、「背中に重い鉄板を乗せられ、体がぎゅーっと潰されるような圧迫感がある」との声もあるという。

 医療関係者の間で「キング・オブ・ペイン(痛みの王様)」と呼ばれるのが急性膵炎である。

 膵臓がつくる膵液(消化液)に含まれる酵素が膵臓の細胞を溶かし壊死させる過程で、鈍く重い痛みが生じる。成人男性でも、のたうち回り、泣き叫ぶこともあるという。重症化すると、多臓器不全で死に至るケースもある。発症頻度は男性が女性の2倍だ。

「腹部を鈍器で抉るような痛みが走ると言われてます。あまりの激痛に気を失う患者も多く、以前、運転中に急性膵炎になった患者は突然の激痛にハンドルも握れなくなり気絶してしまった。交差点の真ん中で急停車したのですが、大事故に至らなかったのが不幸中の幸いでした」(医療ジャーナリストの富家孝氏)

夜中に目が覚める…? 中途覚醒で血液ドロドロの動脈硬化の危険増大

寝つきが悪い、朝までぐっすり眠れないという悩みは、高齢の方からよく聞く話だ。実際、年を取ると眠りにつくまでに時間がかかるようになるという。また、深い睡眠が減少し、不眠症にも陥りやすくなる。

 しかし、「年を取ったから仕方がない」「たかだか睡眠」などと甘く見てはいけない。ときに、重大な病気引き起こす可能性があり、こうした睡眠の変化にも気を配る必要があるというのだ。ある研究によると、夜中に頻繁に目覚めてしまう状態だと、動脈硬化や脳卒中が起こるリスクが高まると判明した。

□高齢者の中途覚醒と脳内血管への負担の関係

 カナダのトロント大学、米シカゴにあるラッシュ大学の共同研究チームは、睡眠の途切れが脳血管への強い負担になるか、さらに、血管の詰まりが原因となる病気の発症と関係があるのかを調査した(※1)。


 この研究に参加してもらったのは、平均年齢90歳の男女315人。睡眠の質や1日の活動レベルを記録するために、24時間の観測を1週間続けた。そして、参加者の死後に脳を解剖し、動脈硬化をはじめとする脳の血管障害や血管の詰まりの症例数を調べた。
□頻繁な中途覚醒で半分以上が血管に重度のダメージ

 研究の結果、睡眠が何度も中断されて断片化されるほど、脳の表面を覆う大脳皮質の下で血管の詰まりが発生し(※1)、重度の動脈硬化が発症する確率が27%上昇した。また、睡眠の断片化によって睡眠が中断された回数は、1時間で平均7回ほどだった(※2)。

□なぜ中途覚醒・断片的な睡眠が血管に悪影響を与えるのか?

 主導研究者のアンドリュー・リム医師は、夜中の中途覚醒で血管がダメージを受ける理由について、「睡眠が途切れることで脳への血液の循環が悪くなるため」だと話す。事実、高齢者が1時間で2回目覚めるごとに、脳が酸素を失う割合が30%上昇したと、実験中に確認された(※3)。

 今回の研究の特質上、睡眠の中断が血液の循環を阻害するのか、血液循環の悪さにより頻繁に目覚めてしまうのか、はたまた、中途覚醒を引き起こす別の原因があるのかを特定することはできない。

 今後、この点においてさらなる研究が行われ、いずれ判明される可能性は十分にあるが、研究を待たずとも、質の高い睡眠が健康に重要なことはご承知のとおり。適度な運動や健康的な食事をはじめ、きちんとした生活習慣を身に付け、良質な睡眠を得られるよう、今から心掛けたい。

ガンダム脚本家が大動脈解離に…大動脈解離ってどんな病気?

「機動戦士ガンダムSEED」シリーズなどを手掛けた脚本家の両澤千晶(もろさわ・ちあき)さんが大動脈解離のため亡くなったという報道がありました。

石原裕次郎さんや藤田まことさんも発症した大動脈解離とは、どのような病気なのでしょうか。

医師に詳しく聞きました。
Q1. 大動脈解離とはどのような病気なのでしょうか。
大動脈は3つの層から成り立っています。
この3層のうち真ん中の層の膜(中膜)に血液が流入して、ぴったりくっついているべき大動脈の層がはがれてしまうことを大動脈解離といいます。

本来あるべき3層構造が崩壊した大動脈はもろくなり、症状が悪化した場合は大動脈が破裂してしまうこともあります。

また解離が進んだ部位によっては心筋梗塞を招いたり、心タンポナーデを起こすこともある病気です。
Q2. 大動脈解離の症状はどんなものですか。
大動脈解離を発症した9割以上の患者さんに強烈な胸や背中の痛みが見られるといわれます。一方で何の前触れもなく突然死する場合もあるといわれています。

大動脈解離を発症すると手足への血流が悪化し、四肢の痛みが起きることもあります。
心不全のような症状が現れることもあると知られています。

解離が起こると、血圧が大きく上下する場合があります。
Q3. 大動脈解離になったときの治療について教えてください。
大動脈解離は大きくStanford AおよびStanford Bの2通りに分けられます。

≪Stanford A≫
上行大動脈(※1)に解離が達しているもの。

≪Stanford B≫
上行大動脈に解離が達していないもの。

このどちらに分類されるかでその後の経過は大きく異なります。Stanford Aの場合のほうが致死率が高いとされていますが、どちらであっても回復する可能性はあります。

治療としては、どの部位で解離を起こしたかなどによっても異なります。緊急手術が行われることも多いです。

(※1:上行大動脈とは、大動脈の中でも左心室を出て胸腔の上方へ向かう部分です。)
Q4. 大動脈解離になりやすい人と気をつけることを教えてください。
大動脈解離が起こりやすい要因に加齢や動脈硬化、高血圧などが挙げられます。
外傷や妊娠もきっかけとなることがあり、マルファン症候群など生まれつき血管の壁が弱くなる病気をお持ちの方も注意が必要です。

≪予防として気を付けること≫
予防としてできることは、大動脈解離になりやすい原因のひとつとなる動脈硬化や高血圧などをできるだけ発症させないことです。
そのためにも塩分や脂肪分の多い食事や、運動不足、肥満などを避け、ストレスをためすぎないことが大切です。

Q5. 妊娠中に発症するリスクがあるのは本当ですか。
妊娠中は、大動脈解離のリスクが平常時よりも高くなると考えられています。
母体に増えるホルモンの作用により、大動脈壁に変化が起こるためです。

特に、妊娠後期や出産後に起こりやすいと考えられます。
この時期は血圧コントロールなどに気をつけて「おかしいな」と思ったらすぐ医師の診察を受けることが大切です。

最後に医師からアドバイス
大動脈解離や心筋梗塞などを含め、循環器系のトラブルは一刻を争うことが多いものです。

いつもとは異なる強い胸の痛みなどを感じたら、軽視せず循環器内科などを受診するといいですね。
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助かった患者に共通点 大動脈瘤で死なない3つのポイント

大動脈瘤破裂は、致死率が非常に高い重大病だ。昨年11月に急死した俳優の阿藤快さんの死因も大動脈瘤破裂だったと報じられている。知っておくべきことは何か? 心臓血管外科と循環器内科を中心とした高度専門治療を行う「ニューハート・ワタナベ国際病院」の渡邊剛総長に聞いた。

 大動脈瘤は、動脈硬化で大動脈が硬くなり、コレステロールがたまって血管が瘤のように膨らんだ状態をいう。

 この瘤が大きくなって破裂するのが、大動脈瘤破裂だ。大動脈は心臓から出ている太い血管で、高い圧力で全身に血液を送っている。そのため破裂すると大量出血となり、脳、脊髄、肝臓、腎臓など重要臓器への血流が障害される。破裂した場合の致死率は80~90%にも上るといわれている。

【早期発見には?】

 大動脈瘤破裂で命を落とさないためには、とにかく「破裂を避ける」ことだ。

「大動脈瘤は、いったんできると縮小しません。大きくならないようにするしかない」

 だから早期発見がカギになる。大動脈瘤が神経を圧迫し、声がかすれるなどの症状が出ることはあるが、それはまれで、ほとんどが無症状だ。

「患者さんの多くは、別の検査時に偶発的に大動脈瘤が見つかっています。声がかすれるなど“いつもと違う症状”があれば病院で原因を調べることはもちろん大切です。しかし、他の疾患のリスクも高くなる50歳以降に大動脈瘤破裂が増えることを考えると、健康診断や人間ドックなどの検査を定期的に受けることが、結果的に大動脈瘤の早期発見につながりやすい」

 最適の検査はCTだ。大動脈瘤がある人は、血圧や悪玉コレステロール値が高い人が多い。どちらも高い人は、より注意が求められる。

【発見されたら?】

 大動脈の直径は胸部で約3センチ、腹部で2センチ。

「2倍以上の大きさになると破裂のリスクが高いので手術の対象です。それより小さければ経過観察になります。血圧が上昇すると大動脈瘤が大きくなるので、血圧を120以下に下げながら見ていきます」

 残念ながら大動脈瘤を縮小させる薬はない。

【治療で重要なポイント】

 大動脈瘤の治療には、血管にカテーテル(細い管)を挿入して人工血管を患部に装着する「ステントグラフト内挿術」と、外科手術で人工血管を縫いつけて埋め込む「人工血管置換術」がある。

 後者で、渡邊総長が実施しているのが「体温を32度に保ち手術を行う方法」だ。

「人工血管置換術では、体温を低く下げた方が脳梗塞などの合併症を起こしにくいと考えられ、かつては20度程度、最近では25~28度に保つのが主流です。しかしそこまで体温を低くすると、脳の血管が縮んで脳梗塞を起こしやすいという研究報告があり、最も安全に手術が行える体温として、私は32度に保っているのです」

 32度のグループ23人と、25度のグループ27人で比較した研究では、前者の方が手術時間が2時間以上短く、出血量が少なく、入院期間が短かった。手術の合併症で起こる脳梗塞は、32度のグループは0人だったが、25度では5人いた。

「ただし、32度では30分以内に血管の吻合を終えないと肝臓や腎臓などの臓器にダメージを与える。30分以内に終えようと思ったら、高い技術が要求されるため、なかなか普及していません」

 大がかりな手術だけに「どの治療を、どこで受けるか」も重要事項であることは間違いない。大動脈瘤の治療を受けるなら、少なくとも病院の手術件数と治療成績は事前に調べるべきだ。

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ハーブの有効活用で不調をケア

寒さと乾燥でどうしても体調を崩しがちなこの時期。自分なりに予防策を練っている人も多いはず。そんな生活のなかに、ハーブをうまく取り入れてみてはどうだろう。
 
「え!? ハーブ!? 今さら!?」と思う人もいるかもしれない。そう、別に新しいハーブでもなんでもない、多くの人がハーブティーなどで活用しているハーブだ。 
 
でもこのハーブ、上手に活用できていなかったり、意味もよくわからず飲んでいる人が少なくない、と指摘するのは呼吸器・アレルギー内科専門医でハーブ医療のスペシャリストでもあるいりたに内科クリニックの入谷栄一先生。

「ハーブというとナチュラルで体に優しいというイメージを持っている人がほとんど。体にいいからとハーブティーを飲んでいる方も多いでしょう。その捉え方では、単なる嗜好品です。でももう少し目的を持って、セルフケアや予防策のために活用すると“メディカルハーブ”になります。

実はハーブはむやみやたらに摂ってはもったいない。不調に合わせて、それに合うものを飲む。医師が調合したものでなくても、自分でブレンドしたものでも“目的を持って飲む”ということが大切なのです」 
 
そのためには、不調とハーブに対する知識が必要になるが、そんなに難しいことではないという。ただひとつ、大きな注意点があるそうだ。
 
「これは代替医療によくある注意点ですが、ハーブですべてを治そうと現代医療を否定してしまうのはよくありません。不足している点を補うというのが正しい考え方。また、ハーブに向いている症状と向いていない症状があります。

風邪やストレス、不眠ケアには向いていますが、疾患の種類によってはハーブではケアできないものもあります。医学的な治療や薬を否定せず、“ハーブで底上げ”“予防に役立てる”という気持ちで使用するのがオススメです」
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風邪には自家製「葛根茶湯」

今の時期、最も予防したい風邪。入谷先生のオススメは、ハンドメイドの葛根湯だ。 
 
「ハーブというと西洋のものだけと思いがちですが、漢方もハーブと大きくは変わりません。呼び名が違うだけで同じ素材だったりすることもあります。葛根茶湯は、自家製だと甘味やとろみを調節できるので、おいしくいただけて体も温まります。

私自身、2年前から飲んでいますが、ほとんど風邪を引かず、予防策になっているようです。本来含まれている麻黄と芍薬は医薬品なので入手できませんが、紅茶で代用できます」 
 
葛根茶湯
 
【材料】
葛(量はお好み)、スライスして干した生姜4枚、ナツメ1個、シナモン1本、リコリス(甘草。最初は少なめで)、紅茶(1ポットで小さじ約2杯)
 
【作り方】
葛はとろみが出るので好みで量を調節。リコリスは甘味があるので、これも好みで量を調節する。ナツメは割って細かくする。材料をすべてブレンドして200mlの熱湯を注ぎ、約5分蒸らしてから飲む。

疲労回復の「ビタミンC」

「なんだか疲れが取れない、疲れが溜まって仕方がないというときは、ビタミンCをたっぷりと補給するといいでしょう。ハーブは、ビタミンCを摂取できるのが利点です。クエン酸とビタミンCを豊富に含むハイビスカスとローズヒップをブレンド。どちらも細かく砕いたほうが、ビタミンCとクエン酸の抽出がよくなります」 
 
ハイビスカス×ローズヒップのブレンドティー
 
【材料】
ハイビスカスとローズヒップは1:1の同量で。各2gぐらいが目安。
 
【作り方】
200mlの熱湯を注ぎ、約5分蒸らしてから飲む。
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不眠には「カモミールベース」

「眠りにはカモミールがいい、と以前からいわれますが、特にジャーマンカモミールがおすすめです。ジャーマンカモミール単体を牛乳で煮出して飲むといいでしょう。

また、ジャーマンカモミールをベースにして、精神を落ち着けるパッションフラワーなどをブレンドするのも手。ジャーマンカモミールは、煮出し立ては甘味が出ておいしいのですが、時間が経つと苦みが立ってしまうので、時間をかけずに飲み切ってしまうのがポイントです」 
 
ジャーマンカモミール×パッションフラワーのブレンドティー  
 
【材料】
ジャーマンカモミール2g、パッションフラワー1g

【作り方】
200mlの熱湯を注ぎ、約3分蒸らしてから飲む。

俳優・阿藤快さんを襲った「大動脈瘤破裂」、なりやすい人の傾向と治療法とは

俳優の阿藤快さんが、「大動脈瘤破裂胸腔内出血」で亡くなったことが報じられています。かねてより「背中が痛い」ということを周囲に漏らしていて、病院を受診して薬を処方された矢先の出来事だったそうです。これが病気の前兆だったのかもしれません。大動脈瘤破裂という病気について、解説しましょう。
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◆「大動脈瘤」ってどんな病気?

動脈とは心臓から血液を全身に送る血管のことですが、なかでも「大動脈」は心臓から発してほかの動脈に分岐するまでの太い血管のことを指します。

動脈瘤とは、血管壁がもろくなることで血管が膨らんでしまう病気で、一部がポッコリ膨らむものから、血管全体が太く膨らむものまでさまざまです。

そのほとんどが、高血圧と動脈硬化によって血管の壁が薄くなり弾性を失うことで起こるものです(内膜の亀裂=解離、血管の炎症、感染、生まれつき血管壁がもろい、といったケースもあります)。

手足など、動脈があればどこにでもできる可能性はあるのですが、もっともよく発生するのが、腹部(腹部大動脈瘤)、次に胸部(胸部大動脈瘤)という心臓近辺から背部にできるものです。
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◆自覚症状は?

この病気のやっかいなところは、多くの場合、無症状であることです。膨らみが大きくなってくれば、ほかの臓器を圧迫する感じや、ふくらんだ血管の拍動が伝わってくる感覚があります。また、背中や胸の痛みを訴える人もいます。

しかし適切な処置が間に合わないと破裂を起こします(大動脈瘤破裂)。ひとたび破裂すれば、無自覚だった症状は一変、相当な痛みを伴います。

まだ一部が破裂した状態で出血が軽ければ、救急搬送されて助かる場合もありますが、相当量の出血をともなえば、血圧が急降下してショック状態に陥ります。道端などで突然倒れてそのまま亡くなってしまった、という場合に多いケースです。
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◆どんな検査でわかるの?

胸部大動脈瘤の場合は、胸部レントゲン検査で発見される場合があります。さらに確実な検査をするにはCT検査、血管造影検査などが用いられます。一方、腹部大動脈瘤の場合は、レントゲン写真での診断は難しく、こちらは、CTや血管造影検査が有効です。

正常な大動脈径は、胸部は約2.5cm、腹部は約1.5cm~2.0cmです。大動脈瘤では、この血管の太さが1.5倍~2倍程度になると治療が必要です。

多くは、破裂をさせないように薬(降圧剤)を使用することですが、腹部で4~5cm以上、胸部で5~6cm以上になると、動脈瘤部位の血管を人工血管に置き換える手術(人工血管置換術もしくはステントグラフト治療)が必要となります。部位や状態によってその判断はケースバイケースです。
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◆なりやすい人はどんな人?

第一の原因は「高血圧」です。血管に常に高い圧がかかりやすいので、排便などでいきみを加えた瞬間にできてしまうこともあります。高脂血症などで動脈硬化を起こしやすい人は、血圧、コレステロール値、血糖値などをきちんと管理・コントロールすることが大切です。そのためには、食事や運動、飲酒や喫煙習慣を見直しましょう。

また、糖尿病、その他の循環器病、家族に動脈瘤を発症した人がいるという場合も、将来のリスクを認識しておきましょう。少しでもおかしいな、と思ったら「心臓外科」、「心臓血管外科」、「血管外科」のある大学病院や地域の総合病院を受診しましょう。

監修:坂本 忍(医学博士)

阿藤快さんを襲った大動脈瘤破裂、防ぐためには? 「60歳過ぎたら一度CT検査を」

11月16日に死去していたことが報じられた俳優、阿藤快さん。突然の死は大動脈瘤(りゅう)破裂胸腔内出血によるものという。

健康そのものに見えた阿藤さんだが、テレビの医療系番組で心臓の血管が詰まっていると指摘されたり、背中の痛みを訴えたりしていたという。専門家は「背中の痛みは大動脈瘤破裂の典型的な症状。痛みに気付いたら内科や心臓血管外科を受診してほしい」と呼び掛ける。

 所属事務所やこれまでの報道によると、阿藤さんは13日までメールで仕事の打ち合わせをしていたほか、マンションの管理人が同日に外出する阿藤さんの姿を見かけている。

しかし、69歳の誕生日だった14日に事務所が送ったお祝いメールに返信がなく、15日の仕事にも姿を見せなかった。このため、親族らが阿藤さんの部屋へ行ったところ、布団の中で眠るように亡くなっていたという。現在は一人暮らしだった。

 亡くなったのは誕生日の14日とみられるが、前日まで外出もできるくらい元気で、普通の生活を送っていたことがうかがえる。

 死因とされる大動脈瘤破裂胸腔内出血は、心臓から出ている太い血管(大動脈)にできた瘤(こぶ=大動脈瘤)が破れ、突然死することも多い病気。

東京ベイ・浦安市川医療センター(千葉県浦安市)の渡辺弘之・ハートセンター長は「破裂するまで(痛みなどの)症状がないことも多く、また破裂した後には治療が難しい。救急車で運ばれても助からないことも多い」と話す。

 大動脈は、通常直径20ミリから30ミリ程度の太さがあり、50ミリから60ミリになると大動脈瘤と呼ばれる。原則的に症状が出ないが、背中や胸、肩や腰などに痛みが出ることがある。声がかすれる人もいる。

 阿藤さんは9月ごろから背中の痛みを訴え、舞台の共演者らにマッサージをしてもらっていた。タレントの大林素子さんには、10月に2回病院へ行ったことも打ち明けている。

渡辺センター長は「背中や腰の痛みは筋肉痛や神経痛と区別がつかないことも多いが、60歳以上で背中に痛みを感じたら内科や心臓外科を受診してほしい」と勧める。

 大動脈瘤の原因は、血管の老化現象である動脈硬化であることが多い。喫煙や高血圧、糖尿病など動脈硬化を促進する生活習慣や病気があると、大動脈瘤になる可能性が高くなる。

 阿藤さんは、何年か前に出演したテレビ番組で「心臓の血管が詰まっている」と指摘され、血圧が少し高かったとも報じられている。また、10年前にタバコはやめたとされるが、60歳ぐらいまで喫煙していたことで、動脈硬化が進んでいた可能性がある。

 阿藤さん自身が、リスクを認識していたかどうかは不明だが、大動脈瘤が破裂する前に何らかの対応ができなかったのだろうか。

 大動脈瘤は、CT(コンピューター断層撮影)で見つけることができる。川崎幸病院川崎大動脈センターの山本晋センター長は「ほかの病気の検査でCTを撮ったときに、大動脈瘤が見つかる人が多い。

大動脈瘤が見つかったら、手術して人工血管を移植するか、カテーテル手術などの治療を受けることもできる」という。

 大動脈瘤は、加齢に伴う病気ともいえる。60歳を過ぎると半数以上が高血圧となるだけに、血圧を高める要因とされる塩分の過剰摂取にはとくに注意が必要だ。

 大動脈瘤の有無を調べておくのも有効。山本センター長は「60歳を過ぎたら、一度はCT検査を受けてほしい。

検査で何もなければ安心だし、大動脈瘤がみつかったら治療を検討すればいい。大動脈瘤はすぐにできるわけではないので、次の検査は5~10年空けてもかまわない」と話している。

意外に少ない!?大動脈疾患に緊急対応できる病院

心臓や血管の病気で緊急を要するものといえば、まず心筋梗塞が思い浮かびます。加えて、大動脈瘤や大動脈解離といった急性大動脈疾患も、並んで緊急対応を必要とする疾患です。

この急性大動脈疾患は、救急搬送において心筋梗塞より厄介といえます。緊急手術には循環器内科だけでなく、心臓血管外科が必須となるため、対応できる医療機関が限られているためです。東京都の救急体制がどのようになっているか、見ていきましょう。

◆急性大動脈疾患の発生率は急性心筋梗塞の約3分の1
東京都CCU連絡協議会によると、2013年の東京都における急性大動脈疾患の救急施設への入院患者は年間で1650例。

その内訳は急性大動脈解離1260例、大動脈真性瘤390例となっています。急性期(30日)の死亡率は急性大動脈解離が15%、大動脈真性瘤が31.3%です。

急性心筋梗塞と比較すると、急性大動脈症候群の発生率は約3分の1で、そのうちの約半数は24時間以内の手術を必要とします。

◆東京都の「急性大動脈スーパーネットワーク」
急性大動脈疾患は死亡率が高く、時間がたつにつれてリスクが大きくなる「時間依存性」の性格を持っています。迅速に対応できる医療機関が限られていることから、病院選択が救命に大きく影響すると考えられます。

こうした問題に対処すべく、東京都では、循環器内科と心臓血管外科の連携による緊急医療体制を持つ医療機関のネットワークづくりを推進しています。

2010年11月にスタートした「急性大動脈スーパーネットワーク」は、12施設の「緊急大動脈重点病院」と26施設の「緊急大動脈支援病院」から構成されています。

このネットワークを活用することで、救急隊は対応可能な医療機関を迅速に選択することができます。効率的な患者搬送と適切な外科治療等による死亡例の減少に貢献するものといえます。

◆緊急大動脈重点病院と緊急大動脈支援病院
緊急大動脈重点病院と緊急大動脈支援病院はいずれも多数の実績を持ち、救急隊に対して優先搬送が推奨されています。

緊急大動脈重点病院は急性大動脈疾患の入院・手術を毎日24時間受入可能な病院で、緊急大動脈支援病院は急性大動脈疾患の入院・手術を優先的に受入可能な病院です。

急性大動脈スーパーネットワークが急性大動脈疾患の救急対応をサポートするものであるのに対し、東京都CCUネットワークは急性心筋梗塞の救急対応をサポートするものとして1978年に組織されています。

心臓救急に携わる主要医療機関は71施設(平成25年4月1日)となっています。それに比べると、38施設の急性大動脈スーパーネットワークはまだまだ少なく、その背景には心臓血管外科が必須であるなど、求められる条件の厳しさがあります。

急性大動脈疾患のなかでも大動脈瘤は時間をかけて進行し、破裂に至ります。予防のためには定期的な健康診断が有効です。急性大動脈解離につては予防が難しいとされていますが、動脈硬化や高血圧を予防することでリスクを小さくできます。

また、自分の家族が突然この病気に襲われたとき、どの病院なら対応できるのかをあらかじめ調べておくとよいでしょう。

<参考>
東京都CCU連絡協議会
http://www.ccunet-tokyo.jp/index.html
監修:坂本 忍(医学博士)

突然死のリスクが高かった!大木凡人さん、緊急入院した大動脈解離、手術後の生活は…

タレントの大木凡人さんが、今年1月に大動脈解離で手術を受けていたことがわかりました。
胸の痛みを自覚していた大木さん、同月19日にトイレに入って立ち上がったところを、強烈な痛みが襲い、同月21日に緊急手術。

心臓左の大動脈が約60センチも破れていたのです。

◆40~70歳に多い重大な疾患
大動脈解離とは、大動脈の壁に亀裂が入り、壁が内膜と外膜とに分離されてしまう病気をいいます。

突然発症することが多く、その場合は、急性大動脈解離といい、急性心筋梗塞と並んで、すぐに対処が必要な循環器の重大な疾患です。裂け目に血液が勢いよく流れ込み、大動脈壁に偽の血流路が形成されてしまいます。

大動脈解離は、女性よりも男性に3倍多くみられ、大動脈解離を起こす人の約4分の3は、40~70歳です。

◆どの動脈が詰まるかによって、症状が異なる大動脈解離
急性大動脈解離が起こった時は、突然の激しい胸の痛みや背中の痛みがあり、救急車を呼ぶことになります。その痛みは激痛で、引き裂かれるような痛みと表現されます。

動脈の壁が分離されるために、背中の肩甲骨の間に激痛が走り、手足に激しい痛みが突然に現れてくることもあります。

大動脈解離は、高血圧がある人に起こりやすく、解離が進行すると、大動脈から分枝している動脈の分岐部がふさがれてしまい、血流が遮断されることがあるのです。

そのさい、どの動脈が詰まるかによって症状が異なります。脳動脈が塞がると脳卒中になり、心臓への冠動脈が塞がると心臓発作が起こります。

また、腸へ血液を供給する腸間膜動脈が塞がると、突然の腹痛が生じますし、腎動脈が塞がると腰痛が起こります。

◆突然死のリスクは高い!
急性大動脈解離は、適切な治療を受けないと突然死する危険が高く、専門的な病院で集中的に治療を受ける必要があります。

とくに、大動脈解離は日本人に多い疾患で、循環器疾患による突然死では、心筋梗塞に次いで、2番目に多い死因とされています。

死亡する人の多くは、大動脈解離が発生してから2~3時間後です。したがって、心拍数と血圧を下げることで、解離が広がるのを抑えることができます。

◆致死率・生存率について
大動脈解離で治療をしなければ、約75%の人が2週間以内に死亡します。治療した場合、大動脈解離が心臓にもっとも近い部分に起きた場合は70%、より離れた部位に起きた場合は、90%の人が生存し、退院することができます。

最初の2週間を乗り越えた人の5年生存率は60%、10年生存率は少なくても40%です。大動脈解離は、加齢に伴って多くみられます。高齢者では高血圧が原因で起こります。

◆医師はほぼ全員に手術をすすめる
心臓に最も近いところから数cmほどの大動脈解離に対しては、医師はほぼ全員に手術をすすめます。心臓から離れた部位での解離では、普通は手術をせずに薬物療法を続けます。

しかし、解離によって動脈から血液が漏れ出している場合や、脚や腹部の臓器への血流が途絶えている場合、ないしは解離が拡大している場合は、手術が必要になります。

手術中の死亡リスクは、心臓に近い部位の大動脈解離では、約15%です。

◆手術後、その後の生活
大動脈解離を起こした人の、その後の生活は、生涯を通して血圧を低く保つようにしなければなりません。

医師は、後で起こる合併症に注意が必要ですが、最も重大なのは、新たな解離の発生や弱くなった大動脈での動脈瘤の発生、大動脈弁からの逆流の増加です。

これらの合併症は、手術による修復が必要になります。

◆発症後の日常生活での諸注意
手術時の傷の治りや筋肉痛には個人差があります。筋肉痛は、半年~1年ほどでなくなります。手術をしたとき切断した胸骨は、胸骨ワイヤーで固定しています。

術後半年くらいは胸部をねじるような運動、ゴルフなどは避けたほうがいいでしょう。

暖かい所から急に寒い所へ出ると、血管が収縮して、血圧が上がります。特に冬場は、室内と外気との差をなるべく少なくするようにしましょう。外出時には、マスクやマフラー、手袋などで肌の露出を少なくします。

お風呂に入るときは、寒くないように脱衣所や洗い場も暖かくしてから入浴します。熱いお湯は心臓に負担がかかりますから、40度位の、ややぬるめのお湯がいいでしょう。

排便時、いきみの時間が長いと血圧が上がります。スムーズな便通を心掛けるように、便秘予防をしましょう。毎日、規則正しい生活を送り、休養を十分に取り、疲れを残さないようにしましょう。過重労働、夜更かしは、くれぐれも禁物です。

運動は、病状によって個人差があるので、医師に相談して、どの程度動いていいかたずねてください。タバコを吸っている人は、すぐに禁煙しなくてはなりません。お酒は、日本酒ならば1合程度ならば可です。

食事は、バランスのとれた食事をすることで症状が抑えられます。

さて、大木凡人さんは、再検査の結果が今月22日に出るようです。仕事復帰はそれからの検討となるといわれています。いつまでも変わらない素敵な笑顔を、また見せてほしいですよね。

<執筆者プロフィール>南部洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師株式会社とらうべ社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー。

<監修>
監修医:岡本 良平(東京医科歯科大学名誉教授)

高所、閉所恐怖症などの「限局性恐怖症」治療方法はあるの?

「高所恐怖症」や「閉所恐怖症」など、「○○恐怖症」という言葉は一般でもよく使われており、「○○が苦手」といった程度の感覚を指して使われることも多いですね。しかし、実は「~恐怖症」というのはれっきとした精神疾患名です。

現在は、さまざまな恐怖症をまとめて「限局性恐怖症」と呼び、「不安障害」のカテゴリーに分類しています。今回は、この限局性恐怖症について説明します。

◆日常生活に支障をきたすかどうかが分かれ目
限局性恐怖症の特徴は、他人にとっては何でもないものごとが、本人にとってはすごく怖いという点です。子供の頃に感じた恐怖感が大人になっても残る場合と、たまたま経験した恐怖がきっかけで、それ以降に恐怖症になる場合とがあります。

恐怖症は、それを回避したり耐えたりするなどしてやり過ごせる場合は特に問題視する必要はないでしょう。しかし、恐怖症の症状によって日常生活に支障をきたす場合は、治療によって症状を押さえながら、克服していくことを目差します。

◆恐怖症の5つのタイプ
何を恐ろしいと感じるかは人によってさまざまで、細かく挙げていくとキリがないほどです。しかし、おおむね次の5つのタイプに分けられます。

限局性恐怖症の患者は、このような特定の対象や状況に対して、理由なく激しい恐怖を抱き、気分が悪くなる、吐き気やめまいに襲われる、パニック状態になる、失神してしまう──などの症状に悩んでいます。

●動物型
犬・猫・ヘビ・ネズミなどの小動物や、クモなどの昆虫を恐れる

●自然環境型
高所、嵐・雷・水など自然のものを必要以上に恐れる

●血液・注射・外傷型
注射や血を見ることを怖がったり、ケガを恐れたりする

●状況型
公共の輸送機関(飛行機や電車)、橋の上など高所、エレベーターのような閉所など、特定の状況がきっかけで恐怖が生じる

●その他の型
窒息・嘔吐・病気に罹ることを恐れる、大きい音、仮装した人に対する子供の恐怖など

◆患者でなくても多い恐怖症
限局性恐怖症の生涯有病率(一生に一度は発症する確率)は、日本人の場合3.3%程度、欧米では10%程度と言われています。男女比では女性が2倍、特に動物型・状況型・自然環境型で女性が高い割合を占めています。

また、発症年齢については、小児期と20歳代半ばの2つの時期にピークがあります(参考:『今日の精神疾患治療指針』医学書院)。しかし、実際には限局性恐怖症の患者はもっと多いが、治療を受ける人が少ないだけという見解もあります。

理由は、一度怖い思いをしても、それ以降はそれに近づかない回避行動をとるケースが多いからです。

例えば、ヘビに対して異様な恐怖を感じる人は、ヘビが出そうな場所に近づかないことは、都市部に住んでいる場合はさほど難しいことではありません。

◆恐怖症の治療
不安や恐怖の発作が一度起こると、似た状況になった場合に再び発作に襲われるのではと不安になることを「予期不安」と言います。恐怖症の人は、前述したように予期不安によって対象を回避し、耐えている場合が多いのです。

けれども、それでは対応できない場合もあります。例えば、飛行機恐怖の人が海外に営業に行かなければならないとか、高所恐怖の人が高層ビルにオフィスを構えざるを得なくなった、などです。

実際に、こうした不可避的な状況に追い込まれて治療を受ける人が多いようです。恐怖症の治療では、抑うつや不安の症状が顕著であれば薬物療法を受けながら、病気への理解を深めたり、精神療法が実施されています。

患者さんに十分な治療意欲が認められれば、軽いものから段階的に恐怖対象にあえて直面して、これを克服していく「暴露療法」も用いられます。また、予期不安を軽減するために「リラクゼーション」も効果的です。

●執筆者プロフィール:山本恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長

カビの生えた食品を絶対食べない方がいい理由

今年も残すところ3ヶ月となった。少々気が早いが、正月の風物詩ともいえる餅は、カビが生えても食べられるのだろうか?

削りとれば大丈夫なんて説も耳にするが、表面に見えるころには、深さ3cmほどまで菌糸が達しているので、決して安全とは言い切れない。発ガン性の高い毒を放ち、肝臓や腎臓に深刻なダメージを与えるカビも存在するので、安易に口にすると後悔することになりそうだ。

■表面のカビは「氷山の一角」

食中毒や病気などでひとを脅かすものにウィルス、菌、カビがあり、どれもバイ菌として扱われがちだが、性質は大きく異なる。

・ウィルス … 単独では増殖できないため、ひとの細胞を利用する

・菌 … 単独で増殖可能。ひとの細胞に侵入したり、毒素で破壊する

これに対し、真菌(しんきん)とも呼ばれるカビは菌糸(きんし)と胞子で構成され、ある意味で植物に近い性質をもつ。食品やヒトに付着すると、根のような菌糸(きんし)を延ばし、枝分かれさせながら内部に侵入してゆく。

栄養分を吸収し、運搬するのが目的だ。菌糸によって得られた養分は、やがて種に相当する胞子を生み出す。キノコが「かさ」から胞子を放つのも同じ真菌のグループだからで、こうして仲間を増やしているのだ。

カビの生えたパンや餅は、食べられるのか? 表面のカビを取り除けばOK、少しなかまで削り取れば大丈夫など諸説を聞くが、かなり怪しい。ひとめで「カビ」が生えているとわかる段階になると、食品の内部は菌糸だらけになっているからだ。

成長したカビは、

・基底(きてい)菌糸 … 「根」に相当する、食品内部の菌糸

・気(き)菌糸 … 「茎」の役割を果たす、表面の菌糸

から構成される。気菌糸と胞子を見て「カビが生えた!」と気づくパターンが多いが、胞子は種や実のようなものだから、充分に栄養を吸収し成長した証拠でもあるので、内部「基底菌糸だらけ」と考えるべきなのだ。

カビの生えた餅を切断すると、表面から3cmほどの深さまで菌糸が入り込んでいたとのデータもある。水分が多く柔軟性のあるパンなら菌糸は餅以上に広がりやすいので、たとえ表面のカビを除去しても、基底菌糸のかたまりを食べるようなものだから、食中毒が起きて「当たり前」なのだ。

■カビた食品でガンになる!

カビが生えた食品は、なぜ危険なのか? 無害なものもあればおいしさを増すカビも存在するが、強烈なカビ毒を放つものも少なくないからだ。

食品に利用されるカビの代表例は、

・コウジカビ(アスペルギルス属) … みそ、しょう油など

・アオカビ(ペニシリウム属) … ゴルゴンゾーラなどのブルーチーズ

・カワキコウジカビ(ユーロチウム属) … かつお節

などで、古くから食品に利用されている。魚肉が材料のかつお節が木のように固くなるのは、表面についたカワキコウジカビが水分を抜いてくれるからだ。

ただし同じ「属」でも、成長過程で強力な毒を放つものもいる。アスペルギルス属が生み出すアフラトキシンや、ペニシリウム属が放つオクラトキシンだ。

アフラトキシンは、アスペルギルス・フラバスによって作り出される発ガン性の高いカビ毒で、急性でも肝細胞の壊死(えし)や腎障害、慢性化すると肝臓ガンを引き起こす。飼料に混ざって乳牛に取り込まれると、体内でアフラトキシンが生成され、乳に混ざる危険性がある。

オクラトキシンはアスペルギルス属やペニシリウム属の一部のカビから生み出され、やはり腎疾患やガンの原因になることが確認されている。同じ「属」でも不健康な菌が存在するので、色や見ためで判断するのは極めて危険だ。

■まとめ

・カビは根のような菌糸を延ばし、食品などから養分を吸収する

・表面にカビが見えたころには、内部は菌糸だらけになっている

・発ガン性の高い毒を放つカビも少なくない

アフラトキシンは、紫外線をあてると青く光る。

心配なひとは、ブラックライトで照らしてみると良いだろう。

動脈硬化を手軽に検診 今、注目のABI検査とは?

先ごろ歌手の安西マリアさんが亡くなった。死因は急性心筋梗塞。心筋梗塞や脳梗塞は自覚症状がなく、ある日突然発症するケースが多いため、検診での早期発見が肝心。

しかしMRIやCT、人間ドックなどは高額な上に時間がかかる。そこで今、注目されているのがABI検査だ。

 糖尿病の家系であるのに加え、ヘビースモーカーの鈴木正さん(50)=仮名。わが身に不安を持っていたが、仕事に追われ検診に行く時間がないと嘆いていた。

しかし、50歳を迎えついに重い腰を上げて検診に行き、医師に糖尿の気と喫煙者であることを告げると、動脈硬化を見つけるABI検査なるものを勧められた。

 さぞかし時間を要するのではと憂鬱になったが、所要時間はわずか5分との説明を受けた。それくらいなら出勤前に済ませられる。鈴木さんにとっては医師の紹介であれば保険も効くというのも好都合だった。

 「ABI検査は、上腕と足の血圧比を出すことで末梢(まっしょう)動脈疾患を見つけるものです。服を着たままで受けられますし、痛みもありません。

特に50~69歳の喫煙者や糖尿病患者、あるいは70歳以上の方は、1度は検査を受けた方がよいと学会で推奨されています」(岩手医科大学、森野禎浩教授)

 末梢動脈疾患とは、手や足の動脈硬化。50歳から69歳で喫煙者、あるいは糖尿病を患っている男性に多く、ひどいと壊死(えし)することもあるという。

この検診は末梢動脈疾患の可能性を探るだけでなく、脳梗塞や心筋梗塞の気があるか否かの判断にも役立つという。

 「手や足の血管に詰まりがあるということは、心臓や脳の血管にも同様の症状が現れている可能性があります。

事実、末梢動脈疾患患者の43・8%が冠動脈疾患か脳血管疾患のどちらか、あるいは両方を合併しているという研究データがあります」(森野教授)

 この検査で末梢動脈疾患とわかれば脳梗塞や心筋梗塞を疑っての精密な検査を受けるなどの対策が打てるわけだ。しかし医師の間でも末梢動脈疾患の理解は進んでいないと森野教授は続ける。

 「糖尿病患者を対象にABI検査を行ったところ、7・6%の方に末梢動脈疾患が見つかり、その75%以上がそれまで末梢動脈疾患という診断をされていませんでした。潜在患者は300万人以上いるといわれています。

現状では医療現場の認識も薄いですから、一人一人が検査の重要性を理解することが大切でしょう」

 検査装置自体は病院と名のつく大抵の施設の循環器内科や内科に導入されているという。

 「最近では個人クリニックでもABI検査装置を導入しているところがありますので、まずはかかりつけ医に聞いてみるのがいいでしょう」(末梢動脈疾患の治療薬を扱うサノフィ株式会社、染田育久シニアプロダクトマネージャー)

 動脈硬化はサイレントキラーと呼ばれ、知らず知らずのうちに病状が進行する。それに待ったをかけられるABI検査、ぜひとも受診したい。

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