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インフル・花粉症… 免疫力向上で撃退


インフルエンザに花粉症…。体が不調になりがちな時期が続く。対策グッズを活用し、ウイルスやアレルゲンを防ぐ対策とともに、人の体が本来持つ「免疫力」を高めることも大切という。(戸谷真美)

 ◆本来持つ防御力

 近年、ヘルスケアの分野で「免疫力」という言葉を多く耳にするようになった。「『免疫』には大きく分けて、自然免疫と獲得免疫がある。自然免疫力が落ちると獲得免疫力も落ちる。インフルエンザワクチンの効果を高めるには、自然免疫の力を高めるのが大切」と話すのは、東京医科歯科大の藤田紘一郎名誉教授(感染免疫学)だ。

 自然免疫は体にもともと備わる防御力で、昆虫なども持っている動物の基本的な力。白血球に含まれるナチュラルキラー細胞(NK細胞)やマクロファージ(貪食細胞)などの働きによるもので、体に入ってきた病原体と直接戦う「前線部隊」(藤田名誉教授)だ。

 一方、獲得免疫力は感染などによる抗体の力。例えば、「子供の頃、はしかにかかると、その後はかかりにくい」といった後天的な力を指す。抗体は白血球中のB細胞によってつくられるが、基になる情報はマクロファージからもたらされる。つまり、自然免疫を担う細胞の活性が落ちると、獲得免疫の力も落ちてしまうという。

 ◆現代は低下傾向

 藤田名誉教授によると、人が本来持つはずの自然免疫力が現代では衰えがちだという。「清潔志向が高まり、過度に微生物を排除していることや食生活の変化、ストレスなどで自然免疫力は低下している。特にストレスはNK細胞の活性を弱める」。こうした環境に加え、免疫力は加齢によって落ち、20代をピークに50代でおよそ半分になるとされる。

自然免疫の力を高めるためには食生活と生活リズムの改善が不可欠だ。藤田名誉教授は「ストレスを完全に避けるのは難しい。だが、生活習慣の改善はできるはず」と話す。花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギーも、自然免疫力を上げ、獲得免疫のバランスを整えることで症状を軽減できるという。

 食生活ではタンパク質をきちんととることが大切。特に高齢者では不足しがちで、他に疾患がなければ積極的にとりたい。

 抗酸化、解毒作用があり、マクロファージにも含まれるグルタチオンは、シスチンやテアニンといったアミノ酸を同時にとることで合成が進む。シスチンは鶏などの肉類や卵、大豆製品に、テアニンは緑茶などに含まれる。

 藤田名誉教授は「食事や生活習慣を見直すことで自然免疫力の回復はすぐに実感できる。実践してほしい」と話している。

                   ◇

 ●「現代型免疫低下」のチェックリスト

 □しっかり眠っても疲れがとれない

 □口内炎やヘルペスができやすい

 □どことなく、しゃきっとしない

 □風邪がなかなか治らない

 □花粉症やアトピー性皮膚炎の症状が悪化した

 □大切なイベント直前に体調を崩した

 □季節の変わり目に体調を崩した

 □久しぶりに激しい運動をした後、風邪をひいた

 ※当てはまるものがあれば「免疫力低下」の可能性がある(東京医科歯科大 藤田紘一郎名誉教授監修)

「ちょっとしたインフルエンザかもしれない」お医者さんのおもしろ発言



FC2 Analyzerつらい風邪の症状、早く治したいならやっぱり病院で見てもらうのがベストですよね。しかし、その病院で「ええっ?」という思いがけない体験や、ちょっとびっくりな光景を目にしたことなんてありませんか?

 ありそうでなかなかない、そんな病院でのちょっと珍しい体験を女性のみなさんに伺ってみました!

■インフルエンザ疑惑

・「明らかにインフルエンザなのに体温が低すぎて風邪と判断された」(30歳/団体・公益法人・官公庁/技術職)

判定の基準があるとは思いますが、ちょっと肩すかしを食らった気分になりますね。

・「『ちょっとしたインフルエンザかもしれない』という謎の診断をされた」(30歳/機械・精密機器/事務系専門職)

「ちょっとした」って言われても……。インフルエンザはインフルエンザではないんでしょうか?

■いろいろとスムーズなお医者さん

・「大人になって行くようになったかかりつけの内科医だが、聴診器を当てたりしないので服を脱ぐ必要がなく、喉をのぞいて扁桃腺で判断し、『塗っていいですか?』と、喉の内側の患部に直接ぐりぐりと薬を塗る。

かなり痛いしオエッとなってつらいのだが、早く治るというので我慢」(29歳/食品・飲料/販売職・サービス系)

これは女性にうれしい病院なのでは!? 脱がなくていいうえに早く治るなんて最高です。

・「40度近い熱があると受付で伝えたら、明らかに混んでるのにすぐに奥の空き診察室へ通され、横になって診察順番待ち。ほどなく診察してもらい、横になったままお会計&薬を出されて『お大事に~』。混んでたはずなのに滞在時間は15分だった」(32歳/電機/秘書・アシスタント職)

これはインフルエンザなど、感染すると厄介な病気の可能性があったために隔離されたのかもしれませんね! いずれにせよ、早く終わってラッキー!

■点滴中に……

・「私が点滴を打っているときに、診察室へ来た患者さんが、『体調が悪いので、ユンケル黄帝液を3本ずつ飲んでいるのに、よくならないんです』と言っていたのを聞いた。おかしくて笑いをこらえていたら、点滴の針がずれてしまって痛かった」(29歳/医療・福祉/専門職)

きっとこれまでもユンケル黄帝液で乗り越えてきたのでしょう!

■この人は!

・「自分の前の順番の人が芸能人だった」(30歳/建設・土木/事務系専門職)

その人が誰かにもよりますが、しばらく話のネタにできそう。

いかがでしたか? みなさんのお話から察するに、なかなか個性的な先生や患者さんが、世の中にはたくさんいるようです。病院は人が集まる場所なだけに、さまざまな出来事が起きているようですが、クスッと笑えるようなハプニングなら大歓迎ですよね!

ノロウイルスも怖い時期…「腹巻き」で感染性胃腸炎が防げるのは本当か?



 新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大が続いていますが、気温が低く乾燥した日が多い冬は、ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎にも注意しなければいけません。この感染性胃腸炎の予防策の一つとして、「腹巻き」が挙げられるそうです。腹巻きをしておなかを温めると腸内の温度も上昇し、それが体の抵抗力をアップさせ、ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎を防ぐという理屈です。実際に効果はあるのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。

腸内温度上昇で抵抗力アップ

Q.「腹巻きをすることでノロウイルスによる感染性胃腸炎を予防できる」というのは、少しとっぴな考えのようにも思えますが、何らかの根拠があるのでしょうか。

市原さん「腸内の温度を含め、体温が上がると免疫力が高まるといわれています。人間の体は感染症にかかったときに発熱して体温を上げ、細菌やウイルスと戦います。こうした考え方が、腹巻きをしておなかを温め、腸内の温度を上げると免疫力がアップすると考えられるようになった一因ではないでしょうか」

Q.なぜ、腸内の温度が上昇すると免疫力が上がると考えられているのですか。

市原さん「腸内には多くの免疫細胞が存在し、最大の免疫器官といわれています。体全体の免疫細胞や抗体の60%が腸に集中しており、腸内の温度が上昇することで血流が増し、免疫細胞の機能が上がると考えられるからです」

Q.腸内の温度が何度くらいであれば、最も体の抵抗力が高まるのでしょうか。

市原さん「体の免疫機能は、腸内などの深部体温が37度前後であるときに最もよく働きます」

Q.腸内の温度上昇と免疫力の関係は、医学的にも証明されているのですか。

市原さん「実は現在の医療の素地となっている西洋医学では、腸内の温度を上げると免疫力が高まることを証明した具体的な研究がなく、『医学的根拠がある』とは言えません。

ただ、東洋医学では、胃腸の冷えが免疫力の低下につながると考えられています。西洋医学でも、低体温療法を行うと感染症にかかりやすくなることが知られています」

Q.結局のところ、腹巻きをすることでノロウイルスなどによる感染性胃腸炎を予防することはできるのでしょうか。

市原さん「腹巻きをすることで体温が上がり、免疫力がアップするとすれば、ノロウイルスなどの感染症にかかりにくくなる可能性はあります。東洋医学の考えでいけば、冷えが免疫力を下げるので、冷えないよう腹巻きなどで温めることはよいでしょう」

Q.腹巻きはインフルエンザや風邪など、他の病気の予防に対しても効果があるのではないかという声があります。実際に効果があるのでしょうか。

市原さん「腹巻きが、インフルエンザや風邪などの感染症対策になるというデータはありません。しかし、腹巻きを着けないよりは着けた方が、体温が上がるでしょうし、免疫力が落ちにくくなる可能性はあります」

Q.温かい食べ物や飲み物を取ることも、腸内の温度を上昇させることに役立つといわれています。本当でしょうか。

市原さん「はい、役立ちます。温かい食べ物や飲み物を体内に取り入れることで体温や腸内の温度も上昇します」

オトナンサー編集部


「自己肯定感の低さ」に苦しむ人生から脱するための処方箋


若い世代だけでなく中高年にも、「自己肯定感が低い自分は、ダメ人間なのではないか」「どうしたらもっと自己肯定感を高められるのだろう」と悩む人が少なくないようだ。

そんな悩める人たちを本当に救おうとしているのか、あるいはカモにしようとしているのか、自己肯定感を高めるためのコツを伝授する本がちまたに出回っている。でも、数十年にも及ぶ長い人生経験を通して培われてきた自己肯定感が、そんなに急に変わるものではない。

すぐに高まるようなものなら、またすぐに崩れてしまいかねない。では、どうしたらよいのだろうか。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

日本では成功者でさえ自己肯定感は高くない

 自己肯定感の低さに悩む人は、どうしたらいいのだろうか。ここで目を向けたいのが、世間で活躍している人たちでさえ、自己肯定感が明らかに高いわけではない、ということだ。

 自己肯定感の低さに悩む人たちは、「(何らかの点で)うまくいっている人は自己肯定感が高いもの」と思い込んでいる。仕事でも人間関係でも、うまくこなしている周囲の人たちはみんな自己肯定感が高いのだと思い、極端な場合は、「こんなに自己肯定感が低いのは自分だけだ」と落ち込む。しかし、それは大きな勘違いだ。

 世にいう成功者、たとえば分かりやすいのは著名なアスリートだが、そうした成功者たちは、「自分はすごい」「自分に満足」というように自己肯定をしているかといえば、決してそんなことはない。

 何かの大会で優勝した個人や優勝チームの主将のインタビュー場面を思い出してみよう。私たち日本人の多くは、ほとんど自画自賛するようなことはなく、「今回は、たまたまコンディションがよくて、結果としてうまくいきましたけど、自分なりの課題も見えてきたので、そこを克服するように頑張っていきたいと思います」というように、

謙虚な姿勢を示し、運が良かったということを口にしたり、今後の課題を口にしたりするものだ。「どうなるか、不安はあったんですけど、とにかく全力を尽くそうと思って臨みました」などと、不安だった心の内を吐露する人もいる。

 多くの国民が注目するヒーローインタビューを受けているトップアスリートでさえ、とても謙虚な姿勢を見せ、自己肯定感の高さをあからさまに示すようなことはない。

 たとえば昨年の東京五輪で、400メートル個人メドレーと200メートル個人メドレーで金メダルを取り、日本競泳女子初の五輪2冠を達成した大橋悠依選手は、本番まで1カ月を切ったある日、大学時代から師事する平井伯昌コーチに、「五輪に出ても決勝に残れません」と吐露したという。

もともと大橋選手は自己肯定感が低かったといい、引退をほのめかす発言は一度や二度ではなく、五輪が近づくと不安が急速に膨らんでいったという。平井コーチの助言で何とか迷いは消えたものの、金メダルを取れるとは一瞬も思わなかったそうだ(読売新聞オンライン2021年7月26日付記事より)。

 これほどの成功者でも自己肯定感が高いわけでなく、むしろその低さにあえぎながらトレーニングを積んできたのである。ふつうに暮らしている人の自己肯定感が高くなくても、何ら問題はないはずだ。

海外と比べるのは日本人の悪いクセ

 それなのに、なぜ自分の自己肯定感の低さを気に病む人が多いのか。それはメディアもいけないのだが、やたら「海外はこうだ。それなのに日本人は……」といった論調が世の中に出回っているからだ。

 たとえば内閣府は、2013年に「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」を実施しているが、「私は自分自身に満足している」という項目を肯定する比率は、アメリカ86.0%、イギリス83.1%、ドイツ80.9%、フランス82.7%など欧米諸国は8割を超えているのに対して、日本は45.8%と極めて低く、半分に近い比率にすぎない。

 同じ内容の調査を2018年にも実施しているが、「私は自分自身に満足している」という項目を肯定する比率は、アメリカ86.9%、イギリス80.0%、ドイツ81.8%、フランス85.8%と欧米諸国は前回同様8割を超えているのに対して、日本は45.1%と相変わらず極めて低く、欧米諸国の半分に近い比率になっている。

 さらに、内閣府が2019年に実施した「子供・若者の意識に関する調査」には、「いまの自分に満足している」という項目があるが、これを肯定する比率は40.8%にすぎず、6割が今の自分に満足していないことになる。

 このようなデータを引き合いに出して、「日本人も欧米並みに自己肯定感を高めなければならない」などと思ってしまう。そして、褒める教育を推奨するなどさまざまな試みが行われているにもかかわらず、欧米との歴然とした差は一向に縮まる気配がない。

自分たちの生き方を認めるところから始まる

 欧米人と日本人の心のあり方には違いがあって当然なのだ。そもそも欧米の人々は、自分たちの振る舞い方や心の持ちようが日本やアジアの国々と違うからといって、自分たちのやり方を変えなければなどと思うだろうか。文化が違うのだと思うだけだろう。

 ここで大切なのは、自分に安易に満足せず、自分はまだまだ未熟でダメだと思うのが向上心のある日本人の姿なのだということに気づくことである。

 日本はそういう文化なのである。欧米のように、虚勢を張ってでも自信満々に見せ、偉そうに振る舞わないと、軽く見られて生きていけない社会ではない。無理に自己肯定し、人を押しのけて自分を押し出さなくても生きていける社会なのだ。欧米のように自己肯定感が高くないとバカにされるようなことはない。むしろ謙虚さを持っている方が適応がスムーズになり、心の奥底に本当の自己肯定感が培われていくのである。

自分の現状に満足できないからこそ成長できる

 日本に生まれ育った私たちは、前述の国際比較調査のように、「すべての点で自分に満足している」などの項目を肯定する気になれるだろうか。そんな傲慢な態度は取れないと思い、「そんなことはない」とこの項目を否定すると、自己肯定感が低いとみなされてしまう。

 実際、私の研究仲間の田中道弘が行った調査では、「全体的には自分に満足している」という自己肯定感を測る項目を否定した人たちに、その理由を尋ねると、「自分に満足してしまったら、今後の成長が望めない」などの前向きな回答が非常に多かった。

 そうなると、自己肯定感の低さは向上心がある証拠とみなさざるを得なくなる。このように自己肯定感に関しては、専門的な研究者の間でもさまざまな疑問が提起されているのである。

 漠然と自己肯定感が高くないといけないと思い込まされている人が多いようだが、自己肯定感が高いというのはどんな心理状態を指すのかをきちんと理解できていないまま踊らされているともいえるのだ。

自己肯定感が高まる生き方とは

 そもそも人を成長に導く自己肯定感というのは、あからさまに自己肯定する欧米式のものだけではない。謙虚に振る舞い、不安を感じながら、今の自分を乗り越えようと努力する。そんな姿勢が、私たちにとっての本当の自己肯定感につながっていくのではないか。

 トップアスリートのインタビューを見れば分かるように、いくら成果を出し、称賛されたところで、不安は消えず、新たな課題が次々に浮上する。そんな不安を払拭すべく課題に取り組むことで力がつき、じわじわと自己効力感が培われていく。スポーツでなく仕事でも同じだ。褒められるとすぐ喜び、自己肯定感に酔っているような人が、最終的な成功者になるのはまれなことではないだろうか。

 こうしてみると、自己肯定感を高めよう、そのためにはこうしよう、といった言葉に安易に乗せられるのは危険だと分かるはずだ。現状を単に肯定すればいいとか、今の自分に満足すべきというようなことではないのである。

 大切なのは、今目の前にある課題に没頭すること。そうしているうちに、本当の自己肯定感を適度に感じられるようになっていくはずだ。

【ノロウイルス】アルコール消毒では不十分 流水手洗いが重要


 今回はノロウイルス感染症の「感染対策」についてお話しします。

 新型コロナウイルスのパンデミックにより、いまや日常的に行うようになったアルコール消毒ですが、消毒に用いる70%エタノールは幅広い細菌とウイルスに有効とされています。

 ウイルスには「エンベロープ(envelope)」と呼ばれる外膜を持つものと持たないものがあり、エンベロープの有無が消毒薬抵抗性に大きく関与しています。

エンベロープはその大部分が脂質でできていて、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスなどエンベロープを持つウイルスは、エタノールのほかにせっけんや台所用洗剤といった界面活性剤でも破壊することが可能です。

 では、ノロウイルスはどうでしょうか。実はノロウイルスはこのエンベロープを持っていません。

そのためアルコール消毒への抵抗性が高いことが知られているのです。類縁ウイルスの実験結果などから、アルコール消毒が完全に無効というわけではなく、「効きにくい」といったところが正しいのではないかと考えられています。

 前回お話ししたように、ノロウイルスの感染経路には接触による2次感染もあります。アルコールでは不十分となると、どのように対応すればよいのでしょうか。私は流水による手洗いを併用することも大切ではないかと考えています。

 流水手洗いは、手指に付着した細菌やウイルスを物理的にかなり洗い流せることが知られています。食事前やトイレから出た後、特に身近に嘔吐や下痢の人が出てしまった場合などには、流水手洗いを行ってからアルコールによる手指消毒を行うとよいと考えます。

最近は、pHを酸性にすることでエンベロープを持たないウイルスにも有効性を高めたアルコール製剤なども販売されているので、活用されるのもよいでしょう。

 次回は、実際にご自宅などが汚染された際の嘔吐物の処理方法について説明します。

日本を襲う想定外の「新型インフレ」、29業種の資源高リスク


世界経済が新型コロナウイルスの猛威から回復する中で表面化した資源高。その構造を読み解くと、日本がこれまで想定していなかった“新型”インフレへの「扉」が開いた可能性がある。(マーケット・リスク・アドバイザリー代表 新村直弘)

資源価格とエネルギー価格の

同時上昇が日本に大打撃

 今市場で懸念されているインフレは、鉱物資源を中心に発生すると同時にエネルギー価格も上昇する新たな展開が考えられる。しかも、この“新型”インフレは中長期的に継続し、日本に大打撃を与える可能性がある。

 その未曽有のインフレを引き起こす要素となるキーワードは三つだ。「中国・インドの人口増加」、「米中対立」、そして「脱炭素」である。順を追って説明しよう。

脱炭素は商品の需給バランスを歪め

価格上昇をもたらす

 まずは「中国・インドの人口増加」だ。世界1位、2位の人口を誇る中国とインドは、総人口に占める生産年齢人口(15~64歳)の割合が増え続ける「人口ボーナス期」に入っている。

 人口ボーナス期では、近代化を目的としたインフラ投資が加速することが多い。高速道路や新幹線などを整備し、日本が高度経済成長を果たしたのも人口ボーナス期だった。人口ボーナス期の中国とインドでは、鉱物資源の需要が増加する公算が大きい。これは、資源価格の上昇に直結するだろう。

 インフレを引き起こす次のキーワードが、「米中対立」だ。米国のトランプ前大統領に続き、バイデン大統領も中国に対する厳しい姿勢を崩していない。つまり米政権が共和党だろうと民主党だろうと、米中対立は続いていく見通しだ。

 米中対立が続けば、米中経済のデカップリング(分断)により、親米・親中経済圏がそれぞれ構築される可能性がある。言い換えれば、ある企業が親米・親中経済圏でそれぞれビジネスを展開する場合、米国と中国の基準に合わせたサプライチェーンの構築を求められるかもしれないのだ。

 かねて予想していた通り、村田製作所の中島規巨社長は、メディアでのインタビューで、親米・親中経済圏でそれぞれサプライチェーンを整備する意向を示している。

 村田製作所のように、他の企業でも米国と中国で「二重」の設備投資が必要になる可能性は低くない。こうした動きは需要増加につながり、資源価格の上昇を招くだろう。

 そして大きな問題を引き起こしかねないのが、最後のキーワード「脱炭素」だ。

 脱炭素とは、経済合理性がなくとも環境負荷が低ければ、これまでエネルギーとして用いてこなかった商品を強制的に活用することともいえる。そうした商品は従来の用途とは別にエネルギーとしての需要が立ち上がるため、需給バランスを著しくゆがめ得る。

 その代表的な資源は、電気自動車(EV)のバッテリーに用いるニッケルやコバルト、リチウムだ。そのほかバイオ燃料に使うパーム油や大豆油、石炭火力発電所で燃料として混ぜられるアンモニアなどが挙げられる。これらの商品は、脱炭素で需要が増加すると見込まれ、価格上昇が予想される。

 とはいえ脱炭素が進んだとしても、化学製品などの原料としての原油や石炭について、一定程度の需要は残るとみられる。ただし、石油輸出国機構(OPEC)に加盟しない国では、脱炭素のあおりを受けて積極的な上流投資が手控えられるだろう。

 これにより、OPECのシェアが上昇し、原油価格のコントロールが容易になることが考えられる。原油の販売量が減少するとなれば、競争相手がいなくなったOPECは原油価格を引き上げるだろう。

 また資源国では、すでに「資源ナショナリズム」のような動きが強まっている。世界最大の銅生産国チリでは、銅鉱山のロイヤリティー・フィー(権益)の引き上げが検討され、コバルトの世界最大生産国コンゴ民主共和国でも、中国企業が関与していた鉱山権益に関する契約を見直す方針を示した。インドネシアはEVに使用する資源の輸出を制限する意向を表明している。

 まとめると、脱炭素をきっかけに資源の生産者側の“支配力”が増す可能性がある。そうなれば価格の絶対水準は上昇し、かつ生産者側の思惑によって価格が乱高下しやすくなる。さらに異常気象の発生によっても価格は乱高下する。

コストプッシュ型のインフレは

全業種に影響を及ぼす

 これまで述べた「中国・インドの人口増加」「米中対立」「脱炭素」による資源価格の上昇は、日本にコストプッシュ型のインフレを引き起こす可能性が高い。日本は国内で消費する、あるいは加工して輸出する商品の原材料を輸入に頼っている。そのため、コストプッシュ型のインフレは日本経済に大きなダメージを与えかねない。

 特に海外市況の影響を受けやすい原油や石炭を用いる業種は、コスト負担が重くなる。また輸入品を加工して販売する二次市場、三次市場が存在するため、いずれにせよ資源価格の上昇によるインパクトは大きい。

 例えば原油からナフサをつくり、さらにエチレンやベンゼンといった石油化学基礎製品を製造し、さらに加工して誘導品を生産、その後、様々な産業に用いられるといった具合である。発電のために用いられるLNGや石炭も、発電した先に電力市場という市場が存在している。

 では具体的にどういった業種が影響を受けるか。弊社でエネルギーがコストに占める比率を業種ごとに試算したところ、下図の通り、資源価格の影響を受けない業種はないと言っても過言ではないことが分かった。特に電気やガスは製造業・非製造業を問わず用いられているため、全業種に影響が及ぶといってよい。

 これまで日本企業は資源価格の上昇リスクに対して、相見積もりを取って価格を削ったり、設計を変えて使用数量を減らしたりしてコストを抑えてきた。企業の原料・燃料調達コストは「数量×価格」で決定されるため、数量を小さくすることで全体のコストを抑制するというわけだ。

 しかしこの手法が有効なのは、価格水準がさほど動かない場合に限られる。例えば、数量を10%削減しても価格が20%増加すれば、全体のコストは8%増加してしまう。そのため今後はこうした数量のマネジメントを行うと同時に、価格の変動リスクについてもマネジメントする必要が出てくる。

 商品市場の代表銘柄である原油や銅の価格変動性は、すでに高まっている。欧米では先物や金融商品を用いて価格変動のリスクヘッジをしている企業も多いが、数量削減に加えてこうしたツールを使うことも選択肢の一つだ。ただ、実際に行う場合は、事前にリスク量の測定や体制づくりを行う必要がある。実際に価格が上昇した後では打てる手が限られるからだ。

資源価格の上昇は

私たちの家計をじわじわと痛める

 企業が自社で価格変動リスクを制御できたとしても、リスクから100%解放されるわけではない。最終的にはコスト上昇分が、最終消費者に転嫁されることが予想される。つまり、値上げである。資源価格の上昇が、ボディーブローのようにじわじわと私たちの家計を痛めるだろう。

 消費者が最も直接的に影響を受けるのが、原油や天然ガスの価格上昇に伴う電気やガソリンなどエネルギー価格の上昇だ。

 脱炭素に伴う資源高で“副作用”も考えられる。EVのバッテリーの原材料であるニッケル、コバルトなどの価格が上昇すれば、EVが消費者にとってさらに「高根の花」になることもあり得る。

 脱炭素の動きが継続すれば、企業側は脱炭素に向けた設備投資が必要になる。脱炭素に関するコストは、最終的に消費者へ転嫁されることになるだろう。政府が温室効果ガス削減を抑制する目的で、炭素税を導入した場合は国民負担になる可能性も有り得る。原油価格が上昇することで化学製品の価格が上昇し、それペットボトル、弁当のトレイ、洗剤や洋服に用いる合成繊維の価格上昇にもつながることが想定される。

 また、発電燃料として用いられるアンモニアが従来の市場の需給を逼迫させて化学肥料の価格を押し上げた場合、家畜の餌となる穀物類の価格上昇にも飛び火し、肉類の価格への影響も無視できない。

 このほか再生可能エネルギーの発電燃料として活用される大豆油やパーム油などは、もともと食用に使うため、油脂類の価格が上昇することもあり得る。

 脱炭素による副作用が引き金となり、インフレが現実のものとなった場合、国民負担は増加するだろう。その時、「脱炭素はここまで国民が負担をしてまで行うことなのか」という声が上がる可能性がある。しかし、脱炭素の動きが全くなくなることは考えにくい。

 日本はこの20年近くデフレに悩まされてきた。しかし、今後は誰も経験したことのないインフレを迎えるかもしれない。企業も消費者も「高い水準で資源価格が乱高下する世の中」を想定し、事前に対策を練っておく必要がある。

昨シーズンは流行しなかったが…今年もインフルエンザワクチンを接種した方がいい理由


コロナ下で昨シーズンはほとんど流行せず

季節性インフルエンザのワクチン接種が10月に入り始まっている。新型コロナウイルス感染症が大流行する一方で、昨シーズンはインフルエンザの流行はほぼみられなかった。新型コロナのワクチン接種も進む中、インフルエンザのワクチン接種についてはどう考えたらよいのか。

日本感染症学会インフルエンザ委員会は9月28日付で「2021―2022年シーズンにおけるインフルエンザワクチン接種に関する考え方」として、「インフルエンザワクチンの積極的な接種を推奨」するとの考えをウェブサイトに公表した。

感染対策が効果 ウイルス干渉の可能性も

 昨シーズンは、インフルエンザの流行がほとんどみられなかった。その理由について同委員会では、新型コロナ対策として手指衛生やマスク着用、3密回避、国際的な人の移動の制限などが行われたことが、「インフルエンザの感染予防についても効果的」であったと考えられるとした。

 また、インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスの間に、あるウイルスが流行すると別のウイルスが流行しない「ウイルス干渉」が起こった可能性もあるとしている。

社会全体の集団免疫がなく

 今シーズンの流行を予測する状況として、南半球のオーストラリアでは昨年同様に極めて少数であることから、今冬の北半球でも流行が起きないとも考えられるものの、アジアの亜熱帯地域のバングラデシュやインドでは夏季などに流行を認めており、「小流行を繰り返すことで、これらの地域でウイルスが保存され、今後国境を越えた人の移動が再開されれば、世界中へウイルスが拡散される懸念」があるとしている。

 さらに、昨シーズンにインフルエンザにかかった人が極めて少数だったため、社会全体の集団免疫ができていないと考えられることや、英国では昨年流行がなかったために例年の1.5倍の流行の可能性があるとして接種を呼び掛けていることなどを踏まえ、同委員会は「インフルエンザワクチンの積極的な接種を推奨します」としている。

新型コロナワクチンとは2週間空ける
 日本では現在、新型コロナウイルスのワクチ
ン接種を2回終えた人は約6割で、現在も接種が進められている。新型コロナのワクチンとその他のワクチンは、原則として同時には接種できない。「互いに、片方のワクチンを受けてから2週間後に接種できる」とされている。

同委員会では、新型コロナのワクチン接種がまだの人は、「まずそちらを優先せざるを得ないかと思われ」るが、並行してインフルエンザワクチンの接種も検討してほしいとしている。(田村良彦 読売新聞専門委員)

水痘、麻疹…接種しているか確認したい「感染症」ワクチン


南風が吹いて20度近いポカポカ陽気の日があるかと思えば、翌日は冬に逆戻りするというように、寒暖の差が激しくなる。特に一日の最高気温と最低気温の差が10度ほどになる日は、体温調整が難しくなり、冷え性の人は、肩こり、腰痛、食欲不振、めまい、頭痛といった症状を起こしやすくなる。

「心臓疾患、脳血管障害など命にかかわる症状を起こしやすい冬に比べて、春は重篤な症状を起こす病気は多くありません。しかし、新しい生活が始まり、生活リズムが変わることで、ストレスを受けやすくなる。

頭痛やめまいなど、『仕事を休むほどではないけれど、調子が悪い』といった、体調不良に見舞われることが多いのです。また、高齢者は外出先で足を取られて転倒することもあるので、桜がきれいだからといってよそ見しないで(笑)、足元にも気をつけましょう」

そう語るのは、『「正しい時間の使い方」が、あなたの健康をすべて左右する』(東洋経済新報社)の著者で、石黒クリニック(岐阜県岐阜市)の石澤源之院長。

ゴールデンウイークを過ぎるころになると、さらに気温が上がり、それに伴って、熱中症や食中毒などにかかりやすくなる。また、紫外線量が増えると免疫力が低下して麻疹(はしか)や風疹といった感染症にかかることもあるので、要注意だ。

風疹は、患者の7割が大人の男性で、近ごろは職場内で集団感染するケースも多い。感染してもほとんどの人は1週間から10日で回復するが、妊娠初期の女性が感染すると子どもに難聴などの障害が出る恐れがある。

『新装版 小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』(内外出版社)の著者で、さくらが丘小児科クリニック(東京都世田谷区)勤務の森戸やすみ医師が言う。

「特に東南アジアなどに長期滞在した人が感染して、国内に持ち込むケースが最近は多発しています。予防接種法で風疹のワクチンが男女ともに定期接種となったのは1979年4月2日生まれから。生まれた年代によって、ワクチンを接種していない世代があります。自分や家族がどの世代に入るか、確認しましょう」(森戸医師)

一度も予防接種を受けていない38歳11か月以上の男性と、55歳11か月以上の女性は感染するリスクが高まる。また、予防接種を受けてから時間がたつと、再びかかることもあるという。

麻疹(はしか)は、現代の先進医療を受けたとしても、1,000人に1.5人が死亡する恐ろしい感染症。ワクチンが定期接種になったのは、’79年10月から。それ以前生まれの人で、今まで麻疹にかかったことがなければ、感染のリスクが高まるので注意が必要だ。

水痘(水ぼうそう)は、水痘帯疱疹ウイルスによって起こる。厚生労働省によると、日本では年間100万人が発症し、4,000人程度が入院。20人程度が死に至るという。’14年10月から、1歳の誕生日の前日から3歳の誕生日の前日まで定期接種が始まった。

「感染症の定期接種の時期がわからないときは、小児科医に相談してください」(森戸医師)

世界的疫病から学ぶ インフルエンザに収束なし、流行病として定着


 最初の緊急事態宣言(2020年4月)から1年あまり。新型コロナウイルスは収束するどころか、いまや“第4波”が本格化しつつある。このパンデックはどうなるのか、過去の疫病から学ぶことも多い。


 過去にまん延した世界的疫病といえば、人類史上最大の感染症と言われた「スペインかぜ」が知られている。いまから約100年前(1918年)に世界中で流行したスペインかぜには当時の世界人口の3割近くに相当する約5億人が感染し、死者数は4000万人といわれている。


このスペインかぜと同様、過去にパンデミックを引き起こした感染症は「インフルエンザ」が多い。1957~58年に流行した「アジアかぜ」もスペインかぜと同じ「A型インフルエンザ」の亜型だ。1957年2月下旬に中国の一部地域で発生し、3月には中国全土に広がった。5月には日本に感染が拡大。その後WHOはパンデミックを宣言した。


 日本では5月に第1波の流行後、夏には感染者・死者ともに減ったが、秋を迎えた10月以降に第2波を迎えた。ワクチンは1957年8月に米国で、11月には日本でも使用可能になった。東京慈恵会医科大学教授の浦島充佳医師(予防医学)がいう。


「この頃からインフルエンザワクチンが実用化された。日本でもワクチンが普及し始めた1958年の春先には流行が下火となり、1年足らずで感染は収まった」厚労省の「人口動態統計」によるインフルエンザの死亡者数の推移によれば、アジアかぜが流行した1957年は7735人と大幅に増加したが翌年には1975人に減少。しかしその後も毎年死者は出ている。


「インフルエンザのウイルスに本当の意味での“収束”はありません。ワクチンや治療薬ができてパンデミックが収まっても、流行病として定着し、常に一定の感染者は出るのです」(浦島医師)約10年後の1968年にはまた小さな波が訪れる。これは「香港かぜ」と呼ばれた新型のA型インフルエンザの影響だ。「香港かぜは発生段階でワクチンが製造できました。それが影響したのか、日本で大きな流行は見られなかった」(浦島医師)


インフルエンザによる死亡者数の推移など

インフルエンザによる死亡者数の推移など

 

記憶に新しいのは2009年に発生した「新型インフルエンザ」だろう。豚のインフルエンザに端を発したこのウイルスは全世界で28万人超が死亡したとされる(米CDC推計)。日本では2009年5月に初めて感染が確認され、夏以降に感染が爆発。半年後の11月には累計感染者数が900万人を超え、1年後には2000万人を突破した。


 その後、新型インフルは発生から10年以上経ったいまでは最もポピュラーな“型”として現在まで感染が続いており、年ごとに増減はあるものの、東京都の調査では毎年感染が確認されている。

※週刊ポスト2021年4月30日号

日本国内のスペインかぜの感染者・死亡者数の推移

日本国内のスペインかぜの感染者・死亡者数の推移

8割の人が自信がない?ウイルスや細菌から身を守る除菌対策とは


毎年この季節になると、風邪やインフルエンザ、ノロウイルスが大流行しますよね。通勤中の電車内や、多くの人が集まるオフィスで、マスクをして具合が悪そうにしている方を見かけると、「大丈夫かな……?」と心配になってしまうのでは? ですが、さまざまなウイルスが飛び交う今の時期は、人の心配をしている場合ではないのです!

そこで今回は、全国の20~69歳の男女を対象に行った除菌に関するアンケート(株式会社ネオマーケティング調査)の結果をもとに、みなさんの除菌事情と対策をひも解いていきたいと思います。

■意外と多い!「除菌は必要ない」派

1月後半に、大阪府では1医療機関あたりのインフルエンザ患者数が30人を超え、「警報レベル」に達したとの発表(国立感染症研究所の調べ)があったことからも、ウイルスによる感染症は他人ごとではありません。

それなのに、「あなたは普段、除菌対策をしていますか。家庭内と屋外でそれぞれお答えください。」という質問に対して、屋内では約6割の方が、屋外では約8割の方が、1年を通じて除菌対策をしていないことが明らかになりました。では、除菌対策をしない理由は何なのでしょうか。

その理由は、屋内、屋外共に「家庭内で除菌対策は必要ないと思っている(42.6%)」「除菌対策が面倒(42.3%)」ということ。

なかには、「家庭内はきれいにしているから」「病院に行ったときなど、特に気になったときだけ消毒している」という方も……。とはいっても、「今後、除菌対策は行いたい」と回答した方が6割超いることから、除菌対策の重要性に気が付いているということもわかりました。

そこで気になるのが、除菌対策をしている方が、ウイルスから身を守るためにどのようなことを実践しているのかということ。

■手洗い、うがい、マスク使用……これって正しいの?

除菌対策をしているという方が普段行っているのは、「手洗いうがい(91.2%)」「除菌スプレー(66.8%)」「マスクの使用(64.3%)」なのだそうです。これなら、比較的簡単に取り入れられるし、費用もかからないのでいいですよね。

ですが、このように除菌対策をしていても、それが間違えた方法だと逆にウイルスを増殖させてしまうこともあるので、正しい方法で行うことが重要です。

除菌対策をしている方に、「あなたは、自分が行っている除菌対策は正しいと思っていますか。」と尋ねたところ、なんと「正しいかどうかわからない」と答えた方が、85.4%もいたのです。

これらの結果から、”簡単にできる””費用がかからない”それでいて、”正しい方法”の除菌対策があれば、より多くの方が進んで実践すると思いませんか? そこでオススメしたいのが、『クレベリン』なのです。

■超簡単!置くだけでウイルスを除去『クレベリン ゲル』

テレビCMでもおなじみの『クレベリン』は、ウイルスや菌を99%除去できる“二酸化塩素”を主成分とした製品。スプレータイプや置くだけタイプがあるのですが、特にお手軽なのが、後者の置くだけで空間に浮遊するウイルス、菌、ニオイを除去してくれる『クレベリン ゲル』です。

風邪やインフルエンザ、ノロウイルスは冬だけのものだと思いがちですが、春や夏にも感染報告が寄せられることもあるので、通年で除菌対策を行う必要があります。自宅のリビングや寝室、トイレに『クレベリン ゲル』を置いておけば、手間や面倒にならずに除菌対策ができますよね。

ツライ感染症にかかってから後悔することがないよう、これを機に、除菌対策を見直してみてはいかがでしょうか。

歯科医に聞く。インフルエンザで歯が、歯ぐきが痛い!口も臭い!これって何で?


インフルエンザが流行、蔓延していますが、インフルエンザがきっかけで、歯ぐきが腫れてうむ、痛むことがあるのをご存じですか? 歯学博士で口腔衛生がご専門の江上歯科(大阪市北区)院長・江上一郎医師に詳しいお話を伺いました。

■免疫力の低下が原因

「歯ぐきが炎症を起こして腫れ、それが原因で歯も痛い、口臭がする、歯ぐきから出血するということがありますが、これは実は、歯周病の症状なんです。

初期段階では自覚症状がない人が多いのですが、風邪をひいた、インフルエンザにかかった、睡眠不足や疲れたときなど、免疫力が低下しているときには悪化することがあります。20代、30代にも多い症状で、歯周病菌が歯の組織内に侵入して感染し、菌が出す毒素で歯ぐきがうみ出すわけです。

インフルエンザウイルスがむし歯を直撃するという報告はありません。ですが、インフルエンザにかかるということは免疫力が低下している状態なので、歯周病の初期の人がインフルエンザや風邪をきっかけに、歯ぐきも歯も痛い、口臭がするといった症状が現れる可能性は大いにあります」と江上医師。

免疫力が低下して、インフルエンザウイルスと歯周病菌に同時に攻撃されたということでしょうか。

「そういうことです。歯周病は、その人の全身の状態と密接に関連します。前から進みつつあった歯ぐきの腫れを放っておいた場合、インフルエンザによる熱や疲労が原因で、それまで表面化していなかった歯周病菌が活動し始めることがあるのです。

体力が衰えていると日ごろから持っている悪い部位や病気が悪化するのはよくあることで、むし歯や歯ぐきが痛み出すのもその一つです」(江上医師)

■鼻やのどの炎症が、歯ぐき、歯の痛みを引き起こすことも

歯が浮く、やや痛むという経験がある人は多いでしょう。筆者は鼻をかんだときに歯ぐきが痛むことがあります。市販の鎮痛剤を飲んでごまかしていますが……。

「前から歯肉炎を持っていて、疲労でそれが痛み出すのでしょう。近いうちに鎮痛剤ではごまかしきれなくなりますよ」と江上医師は断言し、鼻やのどの炎症が歯と歯ぐきの痛みにつながることについてこう話します。

「インフルエンザや風邪をひくと、副鼻腔炎(ふくびくうえん。鼻のまわりにある骨に囲まれた空洞の炎症。慢性の場合は蓄膿・ちくのう症とも呼ぶ)になる人が多いのですが、同時に上の奥歯が痛むことがよくあります。

階段の昇り降りをすると歯の根の方から痛む、顔をおさえると痛いなどの症状ですが、この原因は、副鼻腔炎だけの場合と、副鼻腔炎プラス歯肉炎の場合とが考えられます。

後者の場合、鼻をかむという刺激が引き金で、上あごの空洞が炎症を起こすわけです。症状は重く長引き、完治までは耳鼻咽喉科と歯科の両方にかからざるを得なくなります」

鼻と歯の痛みが同時に起こるとそれは痛いでしょう。のどの痛みも重なるのでしょうか。
「当然、のどの炎症、へんとう炎、咽頭(いんとう)炎も、副鼻腔炎と歯の痛みを誘発します。ですから、上の奥歯が痛いと来院された患者さんには、特に冬場は、『インフルエンザは大丈夫でしたか』、一年を通しては『風邪はひいていませんか』、『アレルギー性鼻炎はありませんか。

のどはどうですか』などと聞いてから治療にかかります」(江上医師)

■口の中が不潔だとウイルスがとどまりやすい

江上医師は、「口の中が不潔だとインフルエンザにかかりやすい」と、次のように説明します。
「インフルエンザは口や鼻から感染します。歯磨きやうがいをあまりせずに、口の中がネバネバしたまま放っておくと、むし歯や歯肉炎のもとになる菌が繁殖し、そこにインフルエンザウイルスが混じって滞留しやすくなるという説があります。

口の中は雑菌が多いのですが、健康なときは、だ液が菌を洗浄し、また、菌を飲みこんで胃酸でウイルスを不活化させています。不潔なときや免疫力が低下しているときは、その機能が劣るわけです。

『口の中のケアを実施した人とそうでない人のインフルエンザ発症率を比較すると、前者のほうが発症率が10分の1になった』、という報告もあります」

予防する方法はあるのでしょうか。

「しんどいときは、水で口をゆすぐだけでもいいので、少しでも口の中を清潔にしておきましょう。

また、日常で、歯が浮く、歯ぐきから出血する、歯ぐきが腫れるなどの症状があれば、確実に歯周病を持っています。風邪をひく前に、元気で体力があるときに治療をしておくことが予防につながります」と江上医師。

インフルエンザで高熱が出ると、すぐには歯科に行けません。泣きっ面にハチとなる前に、歯磨きやうがいで口の中を清潔に保ち、また異変があれば早めに治療しておきたいものです。

『コロナ&インフル』対策には免疫力アップがポイント!?


気温が下がり空気が乾燥するこれからの季節。今年は、インフルエンザの流行に加え、新型コロナウイルス(以下、COVID-19)の感染拡大も気になるところです。各国の製薬会社や研究機関、病院などはワクチン開発や治療方法の模索を続けていますが、安心で安全で、確実に効果が見込める薬や治療などは、まだ見つかっていません。

多くの不安を抱えながら迎える冬を乗り越えるために、私たち一人ひとりができること。マスク着用や手指アルコール消毒、三密の回避などに加えて、「免疫力を高める」ことも、大きなポイントとなりそうです。サプリメントを製造するファーマバイト社(アメリカ)のスーザン博士に、免疫への働きが注目されている栄養について、年齢とともに不足しがちな栄養やサプリメントの選び方についてお話を伺いました。

風邪、インフルエンザ、COVID-19に負けないために
風邪を引きやすい人、インフルエンザにかかりやすい人。風邪を引いてもすぐに治る人、長引く人…。その違いはどこにあるのでしょうか。いろいろな要因があり、生活環境なども影響しますが、そのひとつには「免疫力」があると考えられています。生物学的に説明すると、免疫力とは「身体が感染症や病気にかからないように自らを守る力」のことで、免疫力が高いと、感染症や病気などにかかる可能性が低くなると言われています。

 感染症や病気にかからないような身体を作ること。もし、細菌などが身体に入ってしまった場合でも、負けない身体を作ること。私たち人間は、水面下、つまり無意識のうちに健康を保とうとし、そのために必要な機能を兼ね備えています。例えば、皮膚は細菌の侵入を防ぐための第一の予防線です。胃が酸性であるのは、消化器官に存在する良性なバクテリアを感染から守り、悪性のバクテリアとのバランスと取る役割を担っていると言われています。 では、免疫力を高めるためには、何が必要なのでしょうか。

免疫力とビタミンD
健康的な身体を維持するためには、バランスの取れた食事、質の高い睡眠、適度な運動が必要とされています。たんぱく質や炭水化物、脂質、そして各種ビタミンはどれも必要な栄養素ですが、免疫アップに特に重要な栄養素として注目されているのがビタミンDとされています。以前から、ビタミンDはカルシウムのバランスを整え、骨を丈夫にする働きがある栄養素として知られていましたが、最近では、免疫機能を高める役割を担っているのではないかという報告もされるようになったそうです。

ビタミンDを多く含む食材と摂取方法
 ビタミンDを得る方法は、食べ物やサプリメントから摂る方法と、日光を浴びて紫外線に作ってもらう方法があるとされています。動物性食品としては魚介類や卵類、植物性食品としては海藻類やきのこ類に多く含まれていると言われていますが、比較的に限られた食品にしか含まれていないことから、現代人には不足しがちなビタミンとされています。※摂りすぎは高カルシウム血症、腎障害などを招く恐れがあると言われています。各商品の摂取容量は販売元の説明書などを読み必ずお守りください。

年齢とともに不足しがちな栄養とサプリメントの選び方
サプリメントを製造するファーマバイト社(アメリカ)のスーザン博士は、「50歳以上の女性の多くは、加齢により免疫系や健康な骨作りを担っている栄養素が不足している傾向にあります。年齢に関わらず、19歳から30代の若い世代の男女ともに、多くの栄養素・ビタミンが推奨されている1日の摂取量を下回っています。」と、現代人は健康や免疫力を高めるために必要な栄養素が不足していると話す。

「身体の各機能はつながっているため、栄養だけでなく、睡眠、ストレスなども免疫力を低下させることがあります。人の身体は眠っている間に、細胞の再生や回復を行なうため、睡眠は免疫力に大きな影響を与えますが、疎かにしがちです。また、ベジタリアンは、亜鉛を多く含む動物性の食材をあまり摂取していないため、亜鉛不足の可能性もあります。サプリメントで補助しながらも、ビタミンA、亜鉛、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEなどの各栄養のバランスを考え、必要な量を考えて十分に摂取することがとても大切です。サプリメントを服用して効果を感じている方は、サプリメント以外にも、健康的な生活習慣を維持しています。」と、スーザン博士は続けた。

『コロナ&インフル』対策のひとつとしてご紹介しましたが、自分自身や大切な方の健康を守るために、身体と向き合い、食生活や睡眠、運動習慣など見直してみてください。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません

「緑茶うがい」でインフルエンザは予防できる?


 インフルエンザの流行シーズンが近づきました。予防にはワクチン接種が基本ですが、その他の予防策としてマスクの着用、手洗い、うがいなどが行われています。

「緑茶でうがいをするといい」という話も聞くことがあります。本当でしょうか?

 緑茶には「カテキン」が含まれており、実験室での研究ではインフルエンザウイルスの活性を抑えることが報告されているようです。とはいえ、実際に人が行った場合の効果はどうなのでしょう。

 緑茶によるうがいが、インフルエンザ感染症をどれだけ予防できるか検討した論文は2014年5月、科学や医学分野で有名な「プロス・ワン」という学術誌に掲載されました。

 この研究は11年12月~12年2月のインフルエンザ流行期に、静岡県の高校生757人を対象としたもので、「1日3回、緑茶でうがいするグループ」(387人)と「1日3回、水でうがいするグループ」(370人)にランダムに振り分け、インフルエンザの発症を比較しました。


研究期間中、インフルエンザ発症は、緑茶でうがいをしていたグループで4・9%、水でうがいをしていたグループで6.9%と、緑茶でうがいをしていたグループで31%低い傾向にありました。しかしながら、統計的に明確な差はありませんでした。

 この研究では対象となった高校生が緑茶か水か、自分がどちらのグループに割り当てられたのか知っており、緑茶うがいをしていたグループはより予防意識が高まった可能性を考慮すると、実際にはほとんど差がない可能性もあります。

 そもそも「インフルエンザの予防にうがいが有効な手段なのか」という議論もありますが、風邪予防の観点も含めれば、現時点では水でのうがいが費用対効果に優れるといえそうです。


インフル、風邪に無防備な冬の「口呼吸」 寝不足、口臭の原因にも…無意識な口の開きを知るチェックリスト


 「近頃、風邪ばかりひいている」「朝起きたら、のどが痛い」……。そうした人は、無意識に「口呼吸」をしているかもしれない。口呼吸は、睡眠不足など不調につながるほか、口臭やいびきなどの気になる症状とも関係が深く、特に冬は、インフルエンザなどの感染症も招きやすくなる。どうすれば健やかな呼吸を保てるのか、帝京大学ちば総合医療センター耳鼻咽喉科の鈴木雅明教授に聞いた。(聞き手・梅崎正直 ヨミドクター編集長)

男性に多いが、閉経後の女性にも

――就寝時の口呼吸を自覚している人は5割近いというネットアンケート結果(ウーマンウェルネス研究会実施)もあり、多くの人が気にしているようです。口呼吸になりやすいのは、どういう人でしょうか。成人では、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔(びくう)炎があったり、ウイルス性の鼻炎に繰り返しかかったりして、鼻がつまりやすい人。炎症がなくても、鼻中隔彎曲(わんきょく)症の人は口呼吸になりやすいですね。また、病的に太っている人、姿勢が悪い人も口が開きやすくなります。

――年齢や性別では?

 比較的、若い人が多いのですが、寝ている間に限れば、高齢になるほどいびきをかいて、口呼吸になりがちです。メカニズムは完全にはわかっていませんが、男性の方が多い。女性では閉経後に多くなることから、女性ホルモンが関わっているとも言われています。

――口呼吸そのもので受診する人は少ないと思うのですが、患者さんはどのような症状を訴えてくるのでしょうか。

 お子さんでは、「鼻息が苦しそう」などと親が心配し、連れてくることもあります。鼻の疾患のほか、上咽頭にアデノイド(咽頭扁桃)の肥大がある場合も口呼吸になります。大人は、鼻づまりのほか、いびきや睡眠時無呼吸で来院されることが多いです。

風邪引きやすく、朝のだるさ、口臭の悩みも

――口呼吸をしていると、健康上、どのような問題が起きやすいのですか。

 人間は本来、鼻呼吸で、鼻は高性能な加温加湿器の役目を果たし、気道を保護します。また鼻には、ウイルスや不純物を取り除く粘膜繊毛運動機能があります。口呼吸だと、そうした防御機能が働かず、外気がダイレクトに気道に入ってくるため、風邪などにもかかりやすくなる。 また、寝ているときに口が開くと、舌根が沈下し、いびきや睡眠時無呼吸につながります。睡眠の質も悪く、朝のだるさ、昼間の眠気などを訴える人もいます。また、口臭に悩むケースも多いです。

冬の低温乾燥に注意 鼻の通り良くする工夫を

――寒いこの季節、特に気をつけることは?

 外気が低温乾燥になると、鼻の機能が十分に働かず、鼻づまりになることも多い。また、こうした環境ではウイルスが活性化し、インフルエンザなどに感染するリスクが高まりますから注意が必要です。

――口呼吸を予防するのには何をすればいいのでしょう?

 とにかく鼻の通りを良くすること。点鼻薬を使うとてきめんに効くのですが、市販薬には様々な成分が含まれていて、ひんぱんに使用するとかえって鼻炎につながります。できれば受診をして、処方薬を使ってほしいですね。また、部屋の加湿をして乾燥を防ぐこと。鼻を加温加湿すると、通りが良くなるというデータもあるようです。お子さんに行うことが多いのですが、鼻の片側を押さえて、ゆっくりと鼻呼吸をするトレーニングもあります。鼻は一度通ると持続するので、寝る前に行うと効果的です。

 就寝時には、口唇の両端に「ハの字」の形にテープを貼って筋肉が緩むのを抑え、口を開かなくする方法もあります。いびき対策には、あごを押さえるチンストラップや、マウスピースを使う場合もあります。そして、就寝時と外出時には、マスク、できれば蒸気温熱マスクの着用をお勧めします。
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唇が荒れて赤くなっていたら…

――口呼吸になっていることに、自分では気がつかないこともあるそうですが……。

 無意識に口呼吸をしていることは多い。特に就寝時は、自分でコントロールできません。朝起きて、口が乾いていたり、のどが痛かったりする場合は、口呼吸になっているかもしれない。唇が乾燥して荒れ、赤くなっていることもあります。私が歯科医の先生と一緒に作ったチェックリストがあります。

〈口呼吸チェックリスト〉
・口の中が乾きやすい
・集中している時、無意識に口が開いている
・唇が荒れている・乾いている
・鼻づまりがある
・いびきをかく
・起床時に口の中が乾燥している
・起床時にのどが痛い
・起床時に口臭がある
・寝ている間によだれが出る

 一つでも当てはまるなら、口呼吸になっている可能性がありますので、お気を付けください。

すずき・まさあき/ 帝京大学ちば総合医療センター教授
1989年、東北大学耳鼻咽喉科に入局。2002年、同科院内講師。04年、帝京大学耳鼻咽喉科講師。准教授を経て、12年から現職。

かぜとは違う症状に気づける!? インフルエンザ予防5つのポイント


今シーズンは、早くもインフルエンザが全国的な流行期に入りました(国立感染症研究所、発表)。例年より数週間~1ヵ月早い流行で、すでに警報が発令されている地域もあります。インフルエンザを予防するにはどうすればいいでしょうか?

今回はイシハラクリニック副院長・石原新菜先生に「インフルエンザの予防法」についてお話を伺いました。

インフルエンザとかぜの違いは?

体がだるくて、熱っぽくて、寒気が......これってかぜ? それともインフルエンザ? 感染を防ぐためにも、どのように見分ければいいのでしょうか。

「かぜの90%はウイルス、10%が細菌が原因です。インフルエンザウイルスは、かぜの他のウイルスと比べて非常に感染力が高く、症状が激しいのが特徴です」(石原新菜先生、以下同)

【インフルエンザの症状の特徴】
・38℃以上の高熱
・関節が痛い
・急激に症状が現れる
(人によっては下痢なども)

このような症状が出たときは、インフルエンザの疑いあり。医療機関で診察を受けましょう。

インフルエンザ予防5つのポイント

【ポイント1】手洗い2回+アルコール消毒1回でノロウイルスも予防!

「外出時にはマスクを着用、そして指先やツメの間までしっかり洗う正しい“手洗い“と、“アルコール消毒“をこまめに行いましょう。
特に外出後の手洗いは1回だけではなく2回! この季節はノロウイルスも流行します。アルコール消毒はかぜやインフルエンザのウイルスには有効ですが、ノロウイルスには効果が低いのです。ノロウイルスには次亜塩素酸(漂白剤などに使われている)の消毒が有効ですが、それでは手が荒れてしまいます。石けんなどを使ってしっかり2回の手洗いで、ノロウイルス感染も予防しましょう」

【ポイント2】うがいは紅茶がオススメ!

「帰宅後は、必ずうがい! 水より、紅茶がオススメです。
インフルエンザウイルスの表面にはトゲ状の突起があり、そのトゲで喉や鼻などの呼吸器粘膜に取り付き、体内に侵入していきます。紅茶に含まれる紅茶ポリフェノールは、そのトゲを無力化し、粘膜に取り付く力をなくす能力を持っています」

うがいに使う紅茶は温かくても冷たくてもOK! 缶やペットボトルなどの紅茶はポリフェノールの量が少ないので、出がらしでもいいので茶葉でいれたものがベター。

また、石原先生オススメの紅茶ドリンクも紹介。すりおろしたショウガを大さじ1杯程度紅茶に入れる「ショウガ紅茶」は、紅茶の効果に加え、ショウガの成分ショウガオールにより免疫力がアップし、インフルエンザなどの予防にも繋がります。

【ポイント3】部屋の温度は22~25℃、湿度は50~60%

「寒く、乾燥した環境でインフルエンザが流行します。その逆にするため、室内の温度は22~25℃、湿度は50~60%が理想です」

【ポイント4】入浴は40℃のお湯に15分肩までつかる

「かぜのひき始めや、発熱しても37℃台であれば、お風呂に入ったほうが体も温まり、免疫力もアップします。また、浴室の温かく湿気を含んだ空気を吸い込むことにより気道の繊毛細胞も活発になるので、ウイルスを排出しやすくなります。ただし、熱が高い時は入らないでください」

【ポイント5】睡眠は7時間以上

「睡眠時間が6時間未満の人は、7時間以上の人に比べて、4.2倍かぜにかかりやすいといわれています。睡眠時に体は修復、回復をはかっているので、睡眠時間が短いと免疫力が落ちてしまいます。
また、頭寒足熱が基本! 腹巻などで、お腹を温めることが大事。臓器を温めると、代謝も上がり、血行もよくなり、全身を温めることができます」

最後に、石原先生が実践している「予防法」を紹介します。
「普段から良く寝る、お風呂も毎日入る、そしてバランスの良い食事。野菜をたくさん摂ることができるから、毎日鍋でもいいぐらい! ネギは、殺菌作用、体を温める、免疫力アップの効果が。ニンジンは、ベータカロテンがビタミンAに変換されて作用し、粘膜の免疫力アップ。キノコ類のビタミンDも免疫力をあげてくれます。白菜はビタミンCが豊富なので、煮込みすぎずシャキシャキ感を残しましょう。これにショウガもいれたら最強! あとは、お腹を冷やさないように、腹巻も必需品ですね」

早くも猛威をふるうインフルエンザ。しっかり予防し、免疫力をアップして、負けない体を作りましょう。

※この記事は石原新菜医師の見解に基づいて作成したものです。

取材協力:石原新菜先生。医師。「イシハラクリニック」副院長。父・石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。ヒポクラティック・サナトリウム副施設長、健康ソムリエ講師としても活動。著書は『病気にならない蒸し生姜健康法』(アスコム健康BOOKS)、『「体を温める」と子どもは病気にならない』(PHP研究所)など30冊以上。韓国、台湾などアジア圏で翻訳出版されている。

インフルエンザのリスクを低下させる三つの習慣


医師・海原 純子:インフルエンザの流行が懸念されています。北海道では積雪も始まり、日本列島はこれから本格的な冬を迎え、日照時間も減少します。寒いと、どうしても部屋にこもりがち。そうした環境が、インフルエンザ感染のリスクを上昇させます。

 予防接種や手洗い、マスク、せき・くしゃみマナーのほかに、日常生活で簡単にできる効果的なインフルエンザ予防法を三つ、ご紹介します。

 ◆ビタミンDが重要

 ビタミンDは、気道粘膜に作用して、ディエンシンというタンパクを分泌させます。これが天然の抗インフルエンザ薬として作用し、インフルエンザウイルスの気道粘膜への感染を防ぐとされています。 ビタミンDの血中濃度が下がると、ディエンシン分泌が低下し、インフルエンザウイルスの感染を許してしまうのです。

 ビタミンDは、皮膚が太陽の紫外線を受けることで皮下脂肪から合成されます。ですから、日に当たる機会が少ないと、合成することができず、血中濃度は低下します。冬場、戸外に出る機会が減ったり、日照時間が短くなったりで、血液中のビタミンD濃度は低下しやすくなります。

 ◆昼食時は戸外へ

 長袖の服を着て、日焼け止めを塗ることで、冬場、血液中のビタミンDは、夏場の半分に低下するといわれます。こうした血液中のビタミンD低下が、インフルエンザにかかるリスクを高めてしまうといえそうです。1日のうち、紫外線量が一番多いとされるお昼に、戸外に出るなどしてはいかがでしょう。お弁当を買いに外に出る、ランチを外に食べに行くなど、昼休み、部屋に閉じこもらず、戸外に出る機会をつくるのがお勧めです。

 とにかく、冬場は日差しを浴びてほしいと思います。上気道感染の予防にビタミンDが有効という臨床研究報告もありますから、冬場の日光浴はインフルエンザ予防のポイントといえそうです。
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 ◆小まめに部屋を換気

 企業の総務の方などがオフィスでインフルエンザ予防対策をする場合、大事なのは、換気の大切さを社内に伝えることです。 特に、一つの大きな部屋で、机を並べて仕事をしているような環境ですと、集団感染が起こりやすくなります。

 寒くなると、窓を閉め切ることが多いと思いますが、時々、空気を入れ替えることが大切です。産業医として職場巡視をしていると、部屋の中に入った途端、空気がよどんでいることが分かるときがあります。こうした環境は非常にリスクが高いのです。

◆人にうつしそうなら休む

 自分の体調に違和感が起きた場合や、家族がインフルエンザにかかって、自分も何か変だと感じたときは、早退したり、自宅での仕事に切り替えるなどの対策が大事な感染予防になります。 というのは、インフルエンザは発症1日前くらいから感染力があるといわれているからです。

 不顕性感染といって、熱が高くならないインフルエンザもあります。明らかに症状が出て、熱が出る前に、すでに感染力があるわけですから、このことを知ってほしいと思います。 「体調が悪くても、頑張って職場に来るのがいい」「熱くらいで休むな」という風潮の企業。こういう企業は、最近は少なくなったと思います。それでも、先日の台風や大雨の時にも、出社しないといけないような意識がまだまだ残っていて、残念です。

 社内全体で「人にうつすリスクがあるときは休む」のが常識といった雰囲気づくりと理解が必要かと思います。

ストレスが多い人ほどインフルエンザに?対策の新習慣は?


インフルエンザの流行が早まったという報道もあるなか、先日行われた花王のヘルスフォーラムで、どんな人の感染リスクが高いのか、感染予防に役立つ習慣などの発表が行われました。ごろの生活の中で覚えておきたい予防法を紹介します!
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休めない状況の人ほど感染症のリスクが高い

フォーラムの始めには、スポーツ選手のコンディションについて研究している、枝 伸彦先生(国立スポーツ科学センター スポーツ研究部 研究員)から、アスリートの免疫と感染症の関係についての講演がありました。健康的なイメージがあるアスリートですが、実は大事な試合や本番前に風邪をひきやすいのだとか!
 
ハードなトレーニングやプレッシャーによって高疲労、高ストレス状態になると、免疫低下を引き起こし、結果的に感染症のリスクが高まるという結果が出ているそうです。そこで現在では、大切な試合で最高のパフォーマンスをするために、免疫状態をチェックしたり、疲労をためない練習プログラムにするなどの対策がとられているのだそう。

そのほか、ヨガなどのリラクセーションや、ビタミンA、Dといった栄養補給などでいい免疫状態を保つ工夫がされているそうです。
 枝先生によると、試験期間中の学生や受験生、育児中のママ・パパも高疲労、高ストレス状態になりやすく、免疫低下による感染症リスクが高いとのこと。 免疫機能を下げない工夫と、手洗い、うがい、適度な加湿など日ごろの生活習慣でいいコンディションに整えていくことが感染症対策のカギと解説してくれました。

感染症予防の新習慣は「のどバリア」を高めること

フォーラムでは、手洗い、うがい、加湿など、それまでの感染症対策と並ぶ、新しい予防方法が紹介されました。その要となるのが「のど」。「のどの奥の粘膜はウイルスの感染する部分であり、同時に体内に入れないようにするための最後のとりで。のどの『粘液』、『だ液』、『線毛運動』の3つの機能を高めることで、口から入ったウイルスや細菌のバリアとなります」と花王㈱パーソナルヘルスケア研究所の山本真士さん。のどのバリアを高め、感染症予防となる新習慣3つを詳しく紹介します。

1 「粘液」保護のためにカテキンをのどにとどまらせる

以前から、緑茶などに含まれるカテキンには、抗ウイルス作用があるといわれてきました。そこに着目した花王の生物科学研究所と静岡県立大学薬学部は、共同研究によって、カテキンにとろみをつけると、のどに長くとどまりやすくなること、また、継続してとろみをつけたカテキンをとることにより、風邪やインフルエンザなどウイルスや細菌の感染が原因となって起こる急性上気道炎の発症が低下することを確かめました。

以下、家庭でできる「カテキンをのどにとどめる工夫も2つ発表されたので紹介します。

1つめ 緑茶を飲むときはひとくちずつこまめに飲むこと

2つめ カテキンにとろみをつけてのどにできるだけ長く留めること

2に関しては家庭で作れるレシピも公開されました。

●家庭でできるカテキンをのどにとどめる工夫

材料:煎茶パウダー1g、はちみつ大さ

じ1、水500ml、糸寒天2g

作り方:鍋に水を入れて熱し、沸騰したら残りの材料を加える。糸寒天が溶けるまで混ぜながら加熱してできあがり。
※妊娠中は緑茶は1日1杯程度に。カフェインのとりすぎに注意をしましょう。
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2 「だ液」をたくさん分泌させるために炭酸の刺激を利用する

だ液の中でも、舌下腺や顎下腺から分泌されるだ液には、インフルエンザに対する防御効果が期待できる成分が多く含まれていることが判明。さらに、炭酸の発砲刺激によって、そのだ液の分泌が促されることも確認されたそうです。

炭酸発泡レシピも紹介されました。

●しゅわしゅわはちみつジンジャーグミ

材料:【グミ】粉ゼラチン10g、水大さじ4、はちみつ大さじ2、おろししょうが大さじ1/2
【しゅわしゅわパウダー】グラニュー糖小さじ1~2、クエン酸小さじ1/2、重層小さじ1/2

作り方:①耐熱容器にゼラチンと水を入れ、電子レンジ(500W)で約15秒加熱する。温まったら混ぜて溶かす。②はちみつ、しょうがを加えて混ぜ、シリコン型に流し入れる。③冷蔵庫で20分ほど冷やし固め、方から外す。しゅわしゅわパウダーの材料を混ぜ、食べる直前にグミにまぶす。
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3 「線毛運動」をアロマの力で活性化する

のどや鼻などの粘膜にある「線毛」は、一定方向に動くことで(線毛運動)、ウイルスや細菌などの異物をのどから外へ排出する働きがあります。蒸気や香りの作用が、この機能を活性化するという報告も。今回のフォーラムでは、温熱蒸気とユーカリの香気を同時に吸入することで、鼻の中の黄色ブドウ球菌を減少したことが発表されました。

●家庭でできるのどの加温加湿の工夫

洗面器にお湯をはり、その蒸気を吸う。

※妊娠中のアロマオイルの使用には妊娠時期や種類によって注意が必要なものもあるので、専門家に確認してから使用しましょう。

インフルエンザの予防には、予防接種の接種が第一ですが、手洗いやうがいなどに加えて、普段の生活でできる感染症対策が増えるのはうれしいですね。とくに妊婦や育児中の人はストレスが多いもの。できることから取り入れられたらいいですね。

インフルエンザ予防接種はいつ受けるのが正解?補助金があるって本当?


今年もインフルエンザのシーズンがやってきます。インフルエンザはウイルス感染によって発症しますが、感染力も強く症状も重いので、できるならかかりたくない病気ですよね。

そのためにはまず予防接種を受けることが重要。流行の時期から考える効果的な接種の時期、お得に受ける方法など、インフルエンザ予防接種について説明していきます。

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早くも流行の兆しのインフルエンザ 接種すべき時期は?

2019年9月、早くも沖縄や静岡、長崎などでインフルエンザでの学級閉鎖が行われました。これらのことから患者の集計が始まって以来過去最高の患者数を出した昨シーズンに引き続き、今年も大流行するのではないかといわれています。インフルエンザの予防接種は、発症はもちろん、感染拡大や重症化に一定の効果が認められているので、ぜひ受けておきたいもの。

それではすぐに接種を受けたほうがいいのかといえば、そうでもありません。インフルエンザワクチンの効果が持続するのは約5ヶ月。もし10月中旬に接種すると、まだ流行が続いている3月中旬に効果がなくなってしまうことが考えられます。だからといって12月になって接種すると、ワクチンがウイルスに対し効果を発揮するのに2週間ほど時間が必要なので、流行り出したときに間に合わなかったということにもなってしまいます。

厚生労働省によるとインフルエンザは例年12月~3月に流行するため、11月中旬以降~11月下旬に接種するのがよいといえるでしょう。

小さな子供や妊娠中の女性、予防接種はどうしたらいい?

インフルエンザの予防接種後、接種した場所に赤みや腫れ、痛みなどが数日間出ることがあります。この反応を副反応といい、接種を受けた人の5~10%に起こります。また、ごくまれに、ショックやアナフィラキシーなど強い反応が出ることもあります。

乳幼児などの小さな子供、妊娠中の女性、高齢者などは、この副反応が心配という人もいるようです。この場合、予防接種をどう判断したらよいのでしょう?

乳幼児(6ヶ月~3才未満)

6ヶ月以降の子供なら接種可能。インフルエンザにかかった場合、大人より重症化しやすいといわれていますので積極的に受けるようにしましょう。2回の接種が推奨され、1回接種後2~4週間あけて2回目を接種します。卵アレルギーなどがある子供は事前に医師に相談してください。

妊娠中の女性

ワクチンの胎児へ影響は認められておらず、妊娠中にインフルエンザ感染すると重症化する可能性が高いので接種が推奨されています。ただ、アレルギー体質の人は妊娠中に副反応が強くなる可能性があるため、事前に医師に相談してください。

高齢者

65歳以上の高齢者の場合、インフルエンザによる症状が重症化しやすいという報告があり、予防接種が推奨されています。同じくアレルギーのある方は医師にご相談ください。

それでも心配・・・という人には、扱っている病院は少なく取り寄せになりますが、副反応の原因ともいわれる保存料が入っていないワクチンもあります。もし興味があれば、病院に相談してみましょう。

そのほか発熱している、重篤な疾患がある、インフルエンザ予防接種でアナフィラキシーを起こしたことがあるという人は接種できません。また接種後15分間は、アレルギー反応が出ないか観察の必要があります。

インフルエンザ予防接種で補助金が出ることも

健康保険から補助金が出るケース

各企業の健康保険に加入の場合、会社によっては被保険者だけでなく被扶養者も補助が出るところがあります。各健康保険組合の内容を確認してください。申請には医療機関の領収書などが必要なので必ず保存を。

*中小企業に多い協会けんぽでは、助成金制度はありません。

自治体から補助金が出るケース

高齢者や乳幼児、生活保護世帯などは自治体から補助金が出る場合があります。各市区町村の広報誌やHPなどをチェックしてください。

どのケースにも当てはまらないときは、安く接種できる病院を探してみましょう。インフルエンザの予防接種は任意なので、病院によって料金が異なります。ちなみに、同じ理由(任意)から予防接種は課税対象。消費税がプラスされます。

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知らないと損をすることもある、インフルエンザ予防接種。しっかりチェックして、流行のシーズンに備えましょう。

インフルエンザになったら…医師が語る“正しい対処6カ条”


 インフルエンザの大流行はピークを過ぎたと言われていますが、まだ安心はできません。実際に罹患したとき、あるいは疑わしいときの考え方、対応は今思っていることで正しいでしょうか?兵庫県芦屋市の松本クリニックで日々診察にあたっている松本浩彦院長が、医師からみた“正しい対処法”を紹介します。

 【1・学校で流行ってるから…】

 学校で流行っているから検査してくれ、と子供さんを連れて来ないで下さい。インフルエンザは発熱してから検査しないと意味がないんです。潜伏期間中も検査は陰性です。発熱後、最低3時間を経過しないと検査は陰性です。直後でも判定できるという機器はありますが、やはり精度は低く発症後3時間は必要です。

 【2・発症前に薬が欲しい】

 うつったかも知れないから薬をくれと言って来ないで下さい。予防効果があるとされるタミフルは「ウイルスの増殖を止めるもの」ですので、予防的投与には賛否があります。発症して初めて真価を発揮しますので、お気持ちは判りますが、効果はあまり期待しないで下さい。

 【3・家族がインフルだから…】

 お姉ちゃんがインフルエンザだったからと言って弟さんを連れて来ないで下さい。潜伏期間は感染してから3日~4日です。さらに解熱後(平熱に戻って)48時間は感染性がある、つまり他人にうつします。これらから計算すると、家に一人でもインフルエンザの患者が出れば、家族全員、1週間の警戒が必要となります。

 【4・隔離は必要か】

 インフルエンザに罹っていると判って家に帰ってから、その人を隔離しないであげて下さい。病院に来る前に家中でウイルスをばらまいています。病院で感染が確認されてからでは手遅れです。インフルエンザウイルスはたいへん強い感染力を持っており、家族に一人インフルエンザの人が居れば、誰もが全く安心できません。

 【5・痛くない検査って…】

 簡易検査キットは鼻か喉の奥に綿棒を突っ込みます。これ、かなり痛いです。でも避けて通れません。大人も子供も乳幼児も、泣いてでも我慢して下さい。「鼻に棒を突っ込まないで検査して下さい」などと、無茶は言わないで下さい。私だって、やりたくてやってる訳ではないのです。ごめんね、と心の中で謝ってるんです。

 【6・陰性=安心って本当?】

 検査キットで陽性でなかったとしても安心はしないで下さい。まだ潜伏期間のうちに検査しただけ、ということも十分にありますし、検査キットの信頼性も90%程度です。やはり患者さんの症状が、診断にいちばん重要となります。

インフルエンザの登校・出社停止期間「基本ルール」を知っていますか?医師が説明


インフルエンザにかかった場合、みなさんが一番心配されるのが、いつまで学校・仕事を休まねばならないか、ということでしょう。会社の場合は解熱後48時間を過ぎれば、他の人にうつすことがなくなるので出社可、としているところが多いようですが、業種によって、医療・介護とか飲食などのお仕事の場合、出社可能と判断するには厳密な計算と診断書を必要とすることもあります。

 学校で出席停止解除を認定するには、文部科学省による学校保健安全法に基づかねばならずもっと厳密です。法令では、インフルエンザ出席停止期間は「発症した後5日を経過」し、かつ、「解熱した後2日」で、最低「発症した後5日を経過」するまでとなります。このあたりがややこしいのです。

【1】「発症した後5日」について

(a)発症の取り扱い:「発熱」のみを症状とする。発熱以外の症状「関節の痛み」等は含まない。

(b)発症日の取り扱い:発熱が始まった日を基準とする。(病院受診時に、医師に発症日を相談・確認することが必要)

(c)日数の取り扱い:発症した日は0日目として、翌日から起算。発症した日(発熱が始まった日)は0日目なので含まない。

【2】「解熱した後2日」について

 日数の取り扱い:解熱した翌日から起算。解熱した日は含まない。

 解熱は36℃台とする。

 その後は解熱した日によって出席停止日が順次延長されていきます。

 1日目、2日目で解熱しても、登校できるのは6日目です。発症日(発熱した日)は0日と計算するので混乱しやすいですが、担当医とよく相談してください。

 私立の学校の場合、出席許可証もしくは出席停止解除証明書(どちらも同じですが)など、医師の発行する証明書がなければ登校できないところがほとんどですが、診断書料をとる先生もいらっしゃるため、たとえば阪神間の公立校では原則不要となっています。

 ◆筆者プロフィール 松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

「隠れインフル」って何? 感染症のプロが「インフルの俗説」を一蹴


インフルエンザについて、高熱が出ない「隠れインフル」の流行や、感染者が紅茶を飲むと菌が死滅する、など諸説が流れています。果たして、これらは正しいの?まだまだ猛威を振るうインフルに、私たちはどう対処すればいいの?感染症のエキスパート、神戸大学医学部感染症内科の岩田健太郎先生にお話をうかがいました。

「隠れインフル」って何?

――「隠れインフル」という言葉をよく聞きますが、何なのでしょうか。

岩田健太郎先生(以下、岩田): 「隠れインフル』などという概念はありません。インフルエンザウイルスに感染して、あとは発症しない人と、発症しても軽症の人、そうでない人といろいろな人がいるというだけの話です。軽めの症状でインフルエンザに診断される人はいますが、「隠れインフル」と呼ぶ必要もないし、特別扱いする根拠もありません。

――症状がない、もしくは軽症であれば、病院に行かないのでは?

岩田: 軽めの症状でも病院に行く人はいます。インフルエンザには、迅速検査といって鼻の奥に長い綿棒を入れて粘膜を採って検査する方法があるのですが、病院によっては、激しい咳や高熱が出ていなくても検査することがあるんです。しかも、この迅速検査をしても、(インフル感染があったとしても)5割~6割の確率でしか分からないんです。

――軽症の人と重症の人では、治療法は変わるのでしょうか。

岩田: 症状が軽ければ、治療薬の効果は相対的に下がり、副作用リスクは相対的に上がります。重症ならば逆になります。一般に、インフル薬を飲んでも、薬を飲まない人に比べて症状が出る期間が1日ほど短くなるだけなんです。やみくもに薬を飲むのではなく、効果と副作用について考えたほうがいい。症状が軽いのに、わざわざ副作用のりスクを取る必要はないでしょう。家で寝ていたらいいんです。

症状が軽ければ、外出してもいいのか

――インフルエンザでも症状がひどくなければ、通勤や通学をしてもいいのでしょうか。

岩田: それほど症状がひどくなければ通勤や通学をしても構いませんが、周りに配慮してマスクや手洗いは必要です。中等度以上の症状がある場合は、家でゆっくり休んだほうがいいでしょう。もちろん、感染のリスクをゼロにしたいなら、通勤も通学もしてはいけません。

――外出する場合、マスクはしたほうがいいのでしょうか。

岩田: たとえ軽症でも、咳やくしゃみをすると飛沫(しぶき)が飛んで感染することがあります。インフルエンザウイルスに感染している人は、マスクをしましょう。ただ、健康な人が予防のためにマスクをしても、効果は期待できません。

かかりやすい人とかかりにくい人がいる?

――感染しやすい人としにくい人がいるのでしょうか。

岩田: 非常に太っている人の場合、感染しやすいというデータはありますが、理由は分かっていません。かかりにくい人がいるわけではありませんが、持病がある人や免疫抑制剤を使用している人、幼児や高齢者、妊婦、ぜんそくなどの呼吸器疾患を持っている人は、重症化しやすいのです。

――ワクチンの予防効果はあるのでしょうか。

岩田: ワクチンには、その年に流行すると予測された4つの型が入っています。その予測が外れることはあまりありません。10月から12月にかけて接種するのが望ましいです。流行してから慌てて打っても、火が燃え広がってから消火器を持って、火消しに行くようなものです。

諸説は本当なのか

――紅茶を飲むとウイルスが死ぬという説があるのですが。

岩田: それは根も葉もないデタラメです。紅茶でインフルエンザが治るなら、医者はみんな使っています。

――予防にはマイタケがいいという説はいかがでしょうか。

岩田: 紅茶もマイタケも、そうした民間の俗説は、あまり信用しないほうがいい。まともな情報はあまり面白くないので誰も飛びつきませんが、そうした物語は魅力的に思えるんです。簡単に金持ちになれる方法とか、信用しないほうがいい。

――正しい情報をみつける方法はありますか。

岩田: 雑誌やテレビ、ネットの情報に影響されないこと。情報は自分で管理するという意識も持つことが大事です。ガセネタに飛びついてだまされても、それは自己責任です。情報の取捨選択は自分でやるものであって、簡単に手に入ると思わないほうがいいんです。相対的に英語の情報は、信用度の高いものが多い。「Pub Med(パブメド)」で検索したり、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)のホームページを見たりするといいでしょう。

※Pub Med:医学、ライフサイエンスに関する文献のデータベース

●岩田健太郎(いわた・けんたろう)先生 プロフィール
島根県生まれ。1997年島根医科大学卒業。2004~09年亀田総合病院(千葉県)。08年から神戸大学大学院医学系研究科・医学部微生物感染症学講座感染治療学分野教授、神戸大学都市安全研究センター感染症リスクコミュニケーション分野教授。米国内科専門医など。著書に『もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典』(朝日新聞出版)ほか

インフルエンザの疑いがある発熱。「市販の解熱剤」を飲まない方がいい理由


インフルエンザの患者が急増、警報レベルに

インフルエンザの患者が急増している。厚生労働省は18日、1月7日~1月13日までの1週間に全国約5000か所の医療機関から報告されたインフルエンザ患者が1医療機関当たり平均38.54人に上ると発表した。

「どうしても病院に行けない…」そんな時の対処法も

大流行の発生・継続が疑われる「警報レベル」とされる30人を今季初めて上回った。 前週の18年12月31日から19年1月6日までの報告数が16.30人だったのと比べて2倍以上の増加。 全国推計で約163万人の患者が医療機関を受診したとしている。

このようにインフルエンザが猛威を振るう中、注意してほしい点がある。高熱がある場合でも、病院で検査をしてもらわない限り、インフルエンザなのか、発熱を伴う風邪なのか、見分けることはできない。そういう時、忙しいなどの理由で病院に行くのを後回しにし、常備している解熱剤や解熱剤を含む風邪薬を飲みたくなるものだが、もしインフルエンザに感染していた場合、命にかかわる病気を引き起こすリスクがあるのだという。そのリスクや、どうしても病院に行けない場合の対処法について、薬剤師の宇多川久美子さんに聞いた。
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インフルエンザ脳症を発症するリスクが高い

――インフルエンザの疑いがある発熱のとき、市販の解熱剤は飲んではいけない?

まず、前提として、発熱をしたときに解熱剤を飲む必要があるかどうかを考える必要があります。

熱が高いと、下げないといけないと考えてしまいますが、熱が高くなることには理由があるんです。

インフルエンザウイルスには免疫力を高めないと戦えません。
免疫力を高めるためには体温を上げる必要があり、39度まで体温を高めて、インフルエンザウイルスと戦える状態にしています。
そのため、熱が高くても、そのまま高くしておいた方が、解熱剤を飲むよりも治りが早いんです。

だから、解熱剤を飲むことはおすすめしません。そして、基本的には、市販の解熱剤は飲まない方がよいです。

――それはなぜ?

市販の解熱剤の多くは、NSAIDS(非ステロイド性抗炎症薬)に分類され、これは、発熱の原因がインフルエンザの場合、インフルエンザ脳症を発症するリスクが高いと言われているからです。

――やはり、インフルエンザの疑いがある発熱のときは、まずは病院に行くべき?

そうですね。
薬局ではインフルエンザかどうかの判定はできませんから。
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どうしても病院に行けない場合の対処法

――では、どうしても病院に行けない場合はどうすればいい?

薬局の薬剤師に、「インフルエンザかもしれないけれど、何を飲めばいい?」と聞いてください。そうすると、「タイレノールA」や「ラックル」などの安全性が高い「アセトアミノフェン」製剤を出してくれますので。

インフルエンザの疑いがある発熱の際には、慌てて市販の解熱剤を飲まずに、まずは病院へ。どうしても病院に行けない場合は、市販の解熱剤でも「アセトアミノフェン」製剤のように安全性が高いものはあるが、自分の判断で買うのではなく、薬局の薬剤師に相談してから買ってほしい。

インフルエンザの発熱に使ってはいけない解熱鎮痛剤とは


【市販薬との正しい付き合い方】第4回

 OTC医薬品の中で解熱鎮痛剤を購入するときの注意点として、「名前が同じであっても、成分が違うものがある」ということを[ロキソニン]を例に挙げて前回お話ししました。

 今回は、解熱鎮痛剤を使用する際の注意点についてお話しします。解熱鎮痛剤の多くは「NSAIDs」(非ステロイド性抗炎症薬)に分類される薬で、抗炎症作用、解熱作用、鎮痛作用があることから、頭痛や風邪のときの熱さましとして用いられています。効き目が強く、即効性があるため、多用されている市販薬といえます。

 風邪などで高熱が出ることで熱性痙攣のリスクもありますから、解熱するのは悪いことではありません。しかし、発熱の原因がインフルエンザや水疱瘡などのようにウイルスであった場合、逆にNSAIDsを用いて熱を下げると思わぬ事態を招くケースがあります。「インフルエンザ脳炎・脳症」や「ライ症候群」(インフルエンザや水疱瘡などによって起こる急性脳症や肝臓への脂肪沈着といった症状)が起こる場合があるのです。

「インフルエンザ脳炎・脳症患者中のジクロフェナク(ボルタレンなど)を使用した患者は、解熱剤を使用しない患者と比較して死亡の危険が14倍高かった」という調査結果も報告されています。

 こうしたリスクの高い発熱時の対応は、NSAIDsではない解熱鎮痛剤を用いることが推奨されます。「カロナール」(アセトアミノフェン)は抗炎症作用が極めて弱い(ない)解熱鎮痛剤で、インフルエンザなどのウイルス感染による発熱の際は有効とされています。NSAIDsの使用ができない(または推奨されない)小児や妊婦にも比較的安全に使えます。

 解熱鎮痛剤はよく使う薬であるがゆえに見落とされがちになりますが、お話しした注意点を気に留めて使用してください。

(神崎浩孝/医学博士、薬剤師)

会社、家庭で集団感染しないために インフルエンザにかかった後の“正しい対応”



寒い季節になると、必ずと言っていいほど話題になるのが「ブラック企業のダメなインフルエンザ対策」。真偽はさておいて、Twitter上には「インフルなのに、出社しろと言われた」「言う通りにしたら、感染者が続出」といった投稿が毎年のように現れます。

【まとめ】画像1枚で分かる「かかった後のインフルエンザ対策」

 では、反対に「インフルエンザにかかったときの“正しい対応”」とは、どのようなものなのでしょうか。厚労省が推奨する対策などをまとめてみました。
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「インフルエンザ“かも”」の段階で休んで、早めに病院へ

 インフルエンザは例年、12月~3月ごろに流行。「38℃以上の発熱が比較的急速に現れる」「倦怠感、関節の痛みなどの全身症状」といった症状が特徴とされていますが、ちょうど風邪もひきやすいシーズンですから、「もしかしたらインフルエンザ?」と判断に迷うことも少なくないでしょう。

 厚労省は「かかったかもしれない」段階で、以下のような対応を勧めています。

・人混みなどへの外出を控え、無理して通学、出勤しない
・安静にして休養、睡眠
・十分な水分補給
・せき、くしゃみが出る場合は、マスク着用などで飛沫感染対策(「咳エチケット」として啓蒙活動)
・具合が悪ければ、早めに医療機関へ行く
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「発症後、12時間待たないと検査できない」は本当?

 インフルエンザでは「症状が出てから、12時間以上たたないと検査できない」といわれることがあります。これについては、各種医療機関が「検査キットの性質上、発症から“ある程度の時間”が経過しないと、実際には感染していても陰性と出てしまう可能性があるため」などと解説しています。

 しかし、使用機材の違いなどもあり、この“ある程度の時間”は医療機関によってマチマチ。「24時間以上」「6~12時間程度」とされている場合もあります。

 なお、抗インフルエンザウイルス薬は、発症から48時間以内に服用しないと十分に効果が出ないといわれており、いずれにせよ「無理せず、早めに病院に行ったほうが良い」という点は変わらなさそうです。

※抗インフルエンザウイルス薬には「発熱が現れる期間が1~2日間短縮する」「鼻、のどからのウイルス排出量が減少する」という効果があるとされています

家族などへの感染を防ぐには

 感染力の強いインフルエンザでは自分の治療だけでなく、周囲にうつさないことも大切。そのためには、以下のような対策がとれるそうです。

・なるべく家族との接触を避けて、静養する
・1時間に1回程度の換気(短時間でも可)
・せき、くしゃみが出ているあいだはマスク着用(不織布製マスクが良い)
・マスクは正しく着用する(鼻からあごまで覆うなど) 
・鼻水、たんが付着したティッシュは、すぐにごみ箱へ

 ちなみに、「マスクは、風邪やインフルエンザの予防にならない」といわれることがありますが、さいたま医療センターによると、看病中など「せきやくしゃみのしぶきを直接あびる可能性がある場合には効果がある」とのこと。
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外出や出勤・通学はいつまで控えるべき?

 解熱後もインフルエンザウイルスは体内から排出され、厚労省は「熱が下がったあとも、2日程度は他の人にうつす可能性」があるとしています。

 また、せきやくしゃみなどの症状が続いている場合には、不織布製マスクを着用するなどの配慮をした方が良いとのこと。
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「治癒証明書」は必要?

 一部企業では、インフルエンザの治癒後、出勤を再開する際、医師による「治癒証明書」「陰性証明書」の提出が求められることが。厚労省はこれを「望ましくありません」と否定しています。

 その理由の1つは「医療機関に過剰な負担がかかる」というもの。また、そもそもインフルエンザ“ではない”と診断することが困難なのだそうです。

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◆主要参考文献
・インフルエンザ(総合ページ)(厚生労働省)

専門医に聞け! Q&A ★口腔からインフルエンザを予防


Q:毎年のようにインフルエンザにかかり、会社を休んでしまいます。うがい、手洗いを励行していますが、あまり予防効果はないようです。予防するために何かよい方法はないでしょうか。アドバイスをお願いします。
(24歳・証券会社勤務)

A:インフルエンザ予防の有効な方法として、私がお勧めするのは口腔内を清浄に保つことです。
 口腔内にはいろいろな細菌が棲息しています。これらの細菌は、インフルエンザウイルスを粘膜に侵入しやすくする酵素を出すため、口腔内を不潔にしているとインフルエンザに感染しやすくなるのです。

 インフルエンザウイルスは、口腔内細菌が出す酵素を介して増殖します。インフルエンザの治療薬にタミフルやリレンザがありますが、これらはこの酵素の働きを妨げることでウイルスの感染拡大を防ぎます。

 ところが、落合邦康・日本大学歯学部細菌学講座教授の研究グループによって、口腔内の細菌が多いと、タミフルやリレンザを投与しても、ウイルスを抑えられないことが確認されています。

 一方、奈良県歯科医師会の調査によると、介護施設で歯科衛生士が高齢者に対しブラッシングや舌磨きの指導を実施したところ、通常の歯磨きをしていた施設に比べてインフルエンザ発症率が10分の1に激減することが示されています。

●唾液の分泌を促進しよう
 虫歯や歯周病があれば、治療しましょう。歯周病による炎症もウイルス感染を促進させます。そして、日々の歯磨きを励行するとともに、舌の苔も取りましょう。加えて、口を「あー、いー、うー」と動かし、最後に舌を「べー」と出す「あいうべ体操」もお勧めです。

 口の体操「あいうべ」は唾液の分泌を促進します。唾液には抗菌作用があるので、口腔細菌の繁殖を抑制する効果があります。

 唾液の分泌を促進するもう1つの方法として、よく噛むことがあります。ペットボトルのお茶を飲みながら食べると、あまり噛まなくなります。お茶は食後に飲むようにしましょう。

本綜合医学会副会長。
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今井一彰氏(みらいクリニック院長)
山口大学医学部卒業。東洋医学などさまざまな医療を駆使し、薬を使わずに体を治していくという独自の観点に立って治療を行う。日本初の靴下外来も設置。

解熱剤の安易な乱用は危ない…インフルエンザなどの重症化招くことも


風邪、インフルエンザで苦しんでいる人が近くにいませんか。ひとまず解熱剤に頼るケースもありますよね。しかし、過ぎたるはなんとやらです。兵庫県伊丹市の「たにみつ内科」で地域のホームドクターとして診察を続けている谷光利昭院長は、解熱剤の乱用に注意を促しました。

 ◇   ◇

 そういえば、伊丹の地で開業して10年8カ月になりますが、私は一度も風邪や病気で休んだことはありません。「●●は風邪をひかない!」と言われている通りかもな?と自嘲していましたが、考えてみると医師という仕事が大きく係わっているのかもしれません。

 まず、医学の知識が他の職業の人たちよりは豊富にありますので、少し体調に不具合があると、知人に診察してもらい投薬治療をうけます。これが最も大きなポイントかもしれません。あとは、車で通勤しているために細菌、ウィルスに暴露しにくい。院内ではマスクを可及的に着用していますが、患者さんからのウィルス、細菌の暴露はかなりのものになると思います。そういった少量の暴露が身体の中で、細菌やウィルスに体する抗体を作ってくれているのかもしれませんね。

 最近は風邪をひいた際、薬局で市販薬を飲み続けて重症化して来院される人をよく診察します。その患者さんの免疫能力が高ければ、それだけで治癒することも多いのですが、そうではない高齢者、乳幼児の患者さんは、くれぐれも気をつけて頂きたいものです。

 まだまだ、インフルエンザは流行しています。市販薬を飲み続けて来院され、発熱などの症状はないけれども、身体が異常にしんどい、ひどい頭痛がするなどのインフルエンザの症状を伴って来院される患者さんは多いんです。その際に「熱がないのにインフルの検査をしないといけないの?」と怪訝(けげん)な顔をする患者さんもおられますが、理由を説明して検査をすると、インフルエンザ陽性の結果が出るケースは少なくない。市販薬であれば、問題が大きくなる可能性はまだ低いのですが、医療機関でもらった強い解熱鎮痛薬を自己判断で飲んだために、感染症が重症化してからようやく病院に来られる患者さんが結構おられるんです。

 第一次世界大戦中に世界で大流行して、死者数が4000万以上とも言われているスペイン風邪(インフルエンザ)についても、ある種の解熱剤を大量に使用したことが、死者が増加した原因の一つという説があります。苦しくて不安になってくるので、高熱を緩和したいという気持ちはよくわかりますが、安易に解熱剤を乱用することは危険です。くれぐれも、そうなさならないようにお願いしたいのです。

 インフルエンザ以外でも、肺炎、溶連菌感染症、尿路感染など重症化すると命に関わる疾患が、この手の薬剤を使用したために隠れて見えなくなることもあるのです。繰り返しにはなりますが、安易に市販薬、手持ちの残薬で経過を見ないで、調子が悪ければ速やかに信頼できる医師と相談することをお勧めします。

インフルエンザ 1週間の推定患者数は急増、年明けは第2週以降に本格的な流行時期に入っていくと予想


薬局サーベイランスによると、2018/12/17~12/23(第51週)のインフルエンザの推定患者数は、341,407であり、前週の値(129,964)の約2.6倍の大幅な増加となりました。第42週以降10週間連続して増加が続いています。休日明けの12月24日の1日当たりの推定患者数は39,148と連休中であったことを反映して平日の患者数よりも少ない数となっています。また、今週(第52週)からは学校等の冬期休暇の時期に入るため、推定患者数の増加は鈍化し、横ばい傾向となることが予想されます。

◆都道府県別情報
 各都道府県別の第50週の人口1万人当たりの1週間の推定受診者数をみると北海道、三重県、奈良県、愛知県、岐阜県、福井県、熊本県、富山県、鹿児島県、大阪府の順となっていて新潟県を除く46都道府県で前週よりも患者数の増加が見られました。

◆年齢群別情報
 2018/9/3~9/9(第36週)から12/17~12/23(第51週)までの累積の推定患者数は659,263であり、2018年10月1日現在の人口統計を元にした累積罹患率は0.52%でした。年齢群別での累積罹患率は5~9歳(2.64%)、10~14歳(1.82%)、0~4歳(1.23%)、15~19歳(0.63%)、30~39歳(0.53%)、40~49歳(0.48%)、20~29歳(0.42%)の順となっていて、14歳以下が流行の中心である状態が続いています。

◆ウイルスの型
 国立感染症研究所感染症疫学センターの病原微生物情報によると、今シーズンこれまでのインフルエンザ患者由来検体から検出されたインフルエンザウイルス(373検体解析)は、A/H1pdm が71.3%と多く、次いでA/H3(A香港)亜型26.5%、B型2.2%の順となっています。

 先週(第51週)のインフルエンザの推定患者数は約34万人と急増しました。今後第52週、2019年第1週とインフルエンザの流行は横ばい傾向となり、冬季休暇明けの第2週以降に本格的な流行時期に入っていくことが予想されます。今後ともインフルエンザの患者発生状況には注意が必要です。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

専門医に聞け! Q&A ★歯周病とインフルエンザ


Q:糖尿病と歯周病があります。血糖値はたいていよい数値を保っており、歯周病も落ち着いています。しかし、血糖値が上がると歯周病も悪くなります。最近、歯周病の人はインフルエンザにかかりやすいと聞きました。本当でしょうか。
(46歳・水産仲卸業)

A:歯周病の人がインフルエンザに感染しやすいことは、日本大学の落合邦康特任教授のグループが報告しています。それによると、歯周病菌が作る酵素によって感染しやすくなるといいます。その酵素はウイルスが体内へ入るのを助けるようです。
 ご質問の方の場合、糖尿病でもあるとのことですが、糖尿病があると感染症にかかりやすいことが分かっています。ですから、歯周病だけでなく、糖尿病によってもインフルエンザに感染しやすいわけです。

●糖尿病も感染リスクを高める
 しかも、歯周病と糖尿病には深い関係があります。糖尿病の人は歯周病になりやすいし、歯周病が悪化しやすい傾向があります。また、歯周病は糖尿病を悪化させることが分かっています。

 血糖値が良好に保たれると、歯周病もよい状態に保てます。歯周病が改善してくると、血糖値もよい状態が保たれます。

 このように糖尿病と歯周病には深い関係があるのです。

 歯周病の細菌は、この他にも関節リウマチ誤嚥性肺炎などとの関連が明らかになっていますし、アルツハイマー型認知症や心臓疾患、ウイルス性感染症、さらにアルコール性脂肪肝などとの関連も指摘されています。

 また、糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、白内障、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症などの合併症を引き起こします。

 基本は血糖値を正常範囲に保つことですが、歯周病についても定期的に歯科医院にかかり、よい状態に保つことが大事です。

 そして、インフルエンザ予防のためには、歯をよく磨いて口腔内を清潔に保ちましょう。歯磨きは、起床後の何も飲食しないときと、就寝前に行うことが基本です。

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山田 晶氏(歯科医師)
骨盤療法(ペルピックセラピー)で著名。日本歯科大学卒業。歯科の領域から骨盤のゆがみに着目。骨盤のゆがみを自分で取る方法として、腰回しの普及に努めている。やまだ治療院顧問。

インフルエンザワクチン接種 ウキウキ気分の接種が効果大


【役に立つオモシロ医学論文】

 インフルエンザの予防に欠かせないのがワクチン接種です。日本で使用されているワクチンは、鶏卵で増殖させたインフルエンザウイルスを不活化することによって製造されています。ワクチンを接種すると、不活化されたインフルエンザウイルスが体の免疫細胞によって認識され、ウイルスに対する抗体(免疫)がつくられます。この抗体が感染から守ってくれるのです。

 ところで、免疫の機能は人の行動状態や心理的要因に影響を受けることが示唆されてきました。例えば、睡眠時間や身体活動量、栄養状態、ストレスなどが免疫機能に影響を及ぼしているといわれています。そして、これらはワクチンによる抗体の獲得においても影響を及ぼしている可能性があります。

 人の行動や心理状態がインフルエンザワクチンの有効性にどのような影響をもたらすかを検討した研究論文が、米国精神神経免疫学会誌2018年1月号に掲載されました。

 この研究は、65~85歳の高齢者138人を対象に、インフルエンザワクチン接種の2週間前と接種後4週間にわたり被験者の心理状況や行動を調査し、ワクチン接種後の抗体量との関連を検討したものです。

 解析の結果、ポジティブな気分と、抗体の上昇度に統計学的にも意味のある関連性が認められました。特にワクチン接種当日におけるポジティブな気分と抗体の上昇度には強い関連が認められています。他方で、睡眠や栄養状態、身体活動量と抗体の上昇度に関連性は認められませんでした。

 注射をウキウキ気分で受けるというのも難しいかもしれませんが、少しでも前向きな気持ちでワクチン接種を受けることで、より免疫力が高まるかもしれません。

(青島周一/勤務薬剤師。「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)

家族へのインフルエンザ感染対策・うつらない方法


【医師が解説】家族の一人がインフルエンザにかかると、次々に家庭内感染して、一家総倒れになってしまうことがあります。自分や家族の健康はもちろん、学校や職場、地域でのインフルエンザ拡大を防ぐためにも、まずは家庭内でのインフルエンザ感染予防に努めましょう。

家庭内での拡大を防ぐために、まず、どのようにしてインフルエンザに感染するのかを知っておきましょう。

インフルエンザのウイルスは、患者の咳やくしゃみで出るしぶき(飛沫)、鼻水などに含まれています。そのため、主な感染経路は「飛沫感染」です。患者の咳やくしゃみによってウイルスがばら撒かれ、周囲の人がそれを吸い込むことで感染します。また、ウイルスを含んだ飛沫が付着したものや、ウイルスがついた手で触れたものなど、ウイルスに汚染されたものを触った手を介して、目や口、鼻の粘膜から感染します。

体内に入ったウイルスは、発症してから3~7日間、患者の体から排出されていきます。つまり、熱が下がって症状が軽くなってもウイルスがいなくなったわけではなく、ウイルスはまだ体内にあり、体から出つづけているのです。ですから、症状が軽くなってもすぐに外出したりはせず、療養を続けることが、感染予防という点でもとても重要になってきます。

学校保健安全法では、子どもがインフルエンザと診断された場合、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日間(幼児は3日間)を経過するまで」登校しないことと定めています。つまりこの期間内では、インフルエンザの感染を広げるリスクがあるということなのです。

看病では十分な水分摂取と負担の少ない食事を

家族がインフルエンザにかかったとき、看病する人はどんなことに注意すればよいでしょうか。まず、医師から処方された薬は、正しく最後まで飲みきらせること。症状が軽くなったからといって、服薬を自己判断で止めたりしてはいけません。そのうえで安静にし、十分な睡眠をとらせることです。高熱で汗をかくと水分が不足しがちになるので、水分はたっぷりとらせるように。スポーツドリンクや経口補水液など、吸収のよいものをペットボトルやストローつきカップなどに用意し、枕元に常備しておくとよいでしょう。

食事は、やわらかくて消化がよく、口当たりのよいものを用意してあげてください。おかゆや雑炊、うどんなどは胃への負担が少ないのでおすすめです。

家族のインフルエンザにうつらない方法・うつさない方法

家族間での感染を防ぐために大切なのが、家の中の環境です。別の部屋に隔離した方がよいのか心配される方が多いと思いますが、可能であれば、患者の部屋は専用とし、他の家族の部屋とは別にしましょう。ただし、患者が子どもの場合は目を離さないようにしてください。患者専用の部屋が用意できない場合は、看病をするとき以外は、患者から常に1~2m以上離れるように。患者がいる部屋は、1日に数回、窓を開けて換気をします。また加湿機を使うなどして、部屋の湿度は50~60%を保つようにしてください。

看病をする家族は、できるだけ決まった一人に限定するのがよいでしょう。ただし、喘息などの慢性呼吸器疾患、心臓病、糖尿病、妊娠中の人は免疫力が弱く感染のリスクが高いため、看病役をするべきではありません。

患者の咳が続いている間は、患者も看病役もマスクを着けて、少しでも感染確率を下げられるよう気をつけること。マスクを外している時に、咳やくしゃみをする場合は、ティッシュペーパーやタオルなどで口を覆ってください。また、看病をする人は、患者の世話をした後は必ず石鹸と流水で30秒以上手を洗いましょう。患者自身も、できるだけこまめに手洗いをすることが大切です。

これら以外にも、患者が使ったタオルは家族で共用しない、患者がよく触るドアノブや家具、室内の電気のスイッチ、便座、トイレのレバーなどは、アルコールまたは塩素系消毒薬でふき取るようにします。こうしたことを徹底することで、効果的な感染予防を行うことができます。

どちらが危険?予防接種を受けるvs受けないリスク


◆予防接種副作用での訴訟や死亡事故……ワクチン接種は危険?

2011年3月、Hibワクチン、肺炎球菌ワクチンを含む予防接種後の死亡例が報告され、ワクチン接種が一時中止されました(2018年現在はすでに再開されています)。

ワクチンとの明確な因果関係は認められないという結論が発表されましたが、これから予防接種を予定されている方は不安を感じるかもしれません。これから予定している予防接種は受けずに、病気になってしまった場合に考えよう、という方もいるかもしれません。

ワクチンを受けるべきか、やめるべきか、冷静な判断ができるよう、ワクチンの副作用と、ワクチンを受ける意味、ワクチンを受けない場合のリスクについて、基本的なことを理解しておきましょう。
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◆予防接種を受けないリスク……病気感染による後遺症・死亡例

まず、「ワクチンを受けない」という選択についてですが、これは医療者としては感染するリスク、感染させるリスク、感染して重症化したり、重篤な後遺症を残すリスクをあまりに無視した考えではないかと感じます。

以前問題になった「Hibワクチン」ですが、定期接種がスタートする前は、毎年600人の子供がHibによる髄膜炎になっており、死亡する子供は約15人、発達の遅れなどの後遺症が残った子供が150人発生していました。

フィンランドの報告によると、Hibワクチンを接種した約9万7000人の子供にHibによる全身の重症感染症が起きた例は0でした。Hibワクチンを接種していない子供のうち、42人がHibによる全身の重症感染症になると推定されています。

また、アメリカのデータでは、肺炎球菌ワクチンによって、肺炎球菌による重症例である侵襲性肺炎球菌感染症の年間発症率が平均95.2例/10万人から平均22.6例/10万人と約4分の1に減少しました。ワクチン接種が感染リスクを下げている事は確かです。髄膜炎に罹ってからの発見が遅いと、死亡率も後遺症を残す率も上がってしまいます。そして、髄膜炎の早期発見は簡単ではありません。

副作用のリスクを理解することはもちろん大切ですが、受けるリスクと同じように、受けなかった場合のリスクの高さを冷静に考えなければなりません。

もちろん、ワクチンは医薬品で、他の薬と同じように、副作用・副反応を完全に0にすることはできないという事実は知っておかなくてはなりません。100%予防効果があり、副作用リスクがゼロのワクチンがあれば理想ですが、副作用の確率がごくごくわずかなワクチンであっても、多くの人に接種すれば個々人で反応が異なる可能性は残ります。

薬がすべての人に同じだけ効くとは限らないように、全人類の体質に同じように適した万能のワクチンというのもないのです。

また、ワクチンには水銀が入っているから人体に有害だと考える方もいるようですが、これはワクチンに入っている「チメロサール」と、細胞毒性のあるメチル水銀の危険性とを混同されているように思います。ワクチンに防腐剤として含まれている水銀は、日常的な食事から体内に入っている水銀の量よりもはるかに少ないものだと正しく知っておく必要があるでしょう。

◆ワクチンの副作用・副反応は? 予防接種のリスク

ワクチンによって異なりますが、予防接種後の副作用として多いのは接種部位の腫れや赤くなったり、しこりができたりすることです。不活化ワクチンの方が腫れやすくなります。全身症状としては、発熱、不機嫌、眠くなるなどの副作用が見られます。

■接種部位の腫れ
Hib:44%
肺炎球菌:70~80%
初回DPT:5%
2回目以降DPT:30~40%

■接種部位のしこり
Hib:18%
肺炎球菌:60~70%
初回DPT:20%
2回目以降DPT:30~40%

■発熱          
Hib:2.5%
肺炎球菌:20%前後
初回DPT:1%
2回目以降DPT:4%            

Hibワクチンや肺炎球菌ワクチンの日本での治験の段階では重篤な副作用で接種を中止した例は見られませんでした。また、頻度が不明ですが、アナフィラキシーというアレルギー反応が過剰に起こって、蕁麻疹、喘息、呼吸困難などの症状が出ると命に関わることもあり、要注意な反応です。

アメリカでは肺炎球菌ワクチン接種後に117名の死亡がありましたが、90%はワクチンとの因果関係はなく、10%は不明で、現在もワクチンは継続されているため、肺炎球菌による侵襲性肺炎球菌感染症の発症は低いままです。

平成23年3月8日時点の報告では、Hibワクチン、肺炎球菌ワクチンを含む接種後の死亡例においては、基礎疾患を有する例が3例、基礎疾患を有しない例が2例でしたが、明確な因果関係は無いと推定されています。基礎疾患を有する子供がHibや肺炎球菌に感染すると、重症化する可能性があります。
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◆そもそも「何のために予防接種を受けるのか」?

予防接種とは、その名の通り、病気を予防するために行う医療行為です。主に深刻な感染症予防のために行われ、感染症にかかるリスクを大幅に下げることを目的としています。

細菌やウイルス、カビなどが、例えば肺に入ると炎症を起こし、呼吸をしにくくしたり、髄膜に侵入すると、痙攣を起こして、脳へのダメージが起こり、体が正常に機能しなくなってしまいます。ヒトからヒトに感染する病原体をワクチンを使わず野放しにすることは、社会的にも非常に大きなリスクなのです。

感染力や罹患率、致命率が高い天然痘を例として挙げると、世界保健機構(WHO)では1958年世界天然痘根絶計画が立てられました。その当時、世界で発生数は推定で約2000万人、死亡数は400万人でした。

ワクチンの接種率を上げるとともに、天然痘の患者を見つけ出し、患者周辺に天然痘ワクチン(種痘)を行って天然痘を封じ込めることで、1977年ソマリアにおける患者発生を最後に地球上から天然痘はなくなり、その後、1980年5月にWHOは天然痘の世界根絶宣言をしました。

ワクチンによって、病原体を無くすことができるのです。

◆予防接種を受けない人が増えると大流行のリスクも上がる

天然痘や麻疹、風疹、おたふく風邪など治療薬がない病気に罹った場合、病原体に対して自分の免疫力だけで抵抗しなくてはなりません。予防接種では、弱めた病原体の全部または一部を体に入れて、免疫細胞に記憶させます。病原体を一度少しだけ侵入させることで免疫がつき、その病気に罹りにくくなります。

また、病原体の感染力や病気を起こす力を弱めているため、安心して使用出来るようになってはいるものの、生ワクチンであるため軽い症状を起こすこともあります。

もちろん、細菌に対する抗生物質はありますが、最近では抗生剤が効かない細菌も増えているため、ワクチンがより大切になってくるのです。

感染症の中でも、一緒にいるだけで感染する感染症は、大流行しやすく危険です。麻疹の場合は空気感染しますので、1人が発症すると周りの10人が感染、インフルエンザの場合は飛沫感染しますので、1人から2~3人に感染すると言われています。このような病原体の場合は、自分だけでなく、周りへの影響を減らすためにもワクチンが大切なのです。
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◆病気別に見る予防接種を受けなかった場合に発生するリスク

ここまで読まれても、「周りのためにも大切と言われても、ごく稀であれ死亡リスクがあるものをわざわざ受けるなんて!」と考える人もいるでしょう。それではさらにいくつかの具体的な例を見ながら、「予防接種を受けなかった場合」におきうるリスクを考えてみましょう。

■麻疹感染による死亡・後遺症
感染力の強い麻疹(はしか)は、間質性肺炎などによる死亡率も高い病気です。しかも、麻疹ウイルスによっておこる「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」になると、麻疹ウイルスが持続して脳に感染し、数年以上経ってから発症し、徐々に脳炎が進行して神経症状が悪化し、最後は数年で死亡してしまいます。

SSPEに一度罹ると、有効な治療方法はなく、進行を完全に止めることはできません。SSPEは自然に麻疹に罹ると10万に1人起こりますが、一方、最近の研究で、麻疹ワクチンの副作用ではSSPEは発生していません。

MRワクチンを受けなかった場合、麻疹について言えば、まだ接種率の悪い1950年頃から2001年までは数十万人の発生と数千人が麻疹で死亡していました。

しかしワクチンの接種率が良くなったこともあり、2003年頃より数万人の発生と数十人の死亡があり、現在、2回接種を行うようになったことで、麻疹の患者そのものの発生を1000人以下にすることができました。さらに発生率を減らすためには接種率は95%以上を保つ必要があると言われています。

それに、自分が麻疹になると、周りにも麻疹ウイルスをばら撒いてしまいます。社会的な大流行を防ぐためにもワクチンは大切なのです。もし麻疹に感染してSSPEになった時、「ワクチンをするのはイヤだったから仕方がない」と運命を受け止められるのでしょうか?

■風疹が流行し、先天性風疹症候群が増える
今でも、風疹は時々流行しています。なぜでしょうか? 風疹ワクチン対象が生まれた年によって異なっているために、ワクチンをしていない世代が感染し、感染拡大の危険が残っているからです。

昭和37年4月1日以前に生まれた人は、風疹ワクチン定期接種をしていません。昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれの人は、女性のみ中学校で1回、風疹ワクチンを定期接種しています。つまり、昭和54年4月1日以前に生まれた男性は一度もワクチンを受けていない可能性が高いのです。過去の定期接種が将来の流行に影響する例の1つと考えられます。

風疹が流行して、妊娠初期に風疹に罹ると胎児に先天性風疹症候群を起こす可能性が出ます。先天性風疹症候群に対する治療方法は残念ながらありません。

■ムンプス難聴(おたふく風邪による難聴)
おたふく風邪による難聴もおたふく風邪に罹った1000人に1人起こってしまい、一旦難聴になると治りにくいので問題になっています。現在任意接種のために接種率が悪く、毎年のように多くの患者が発生し、全国3000医療機関による実数だけで20万人発生していますので、実際におたふく風邪患者はその数倍あって、その数に比例して難聴患者も増えています。

■日本脳炎によるてんかんや発達の遅れなどの後遺症
日本脳炎1960年代半ばまでは毎年数千人の患者がありましたが、ワクチンの普及とともに減少し、現在は年間数人の患者発生を見るだけとなりました。脳炎になってしまうと治療方法がなく、感染者の実に50%にてんかんや発達の遅れなどの後遺症が残ってしまいます。

もし、この世の中にワクチンが1つもなければ、感染症による死亡率はかなりの数になっていたと推定されています。さらに深刻な後遺症が残る可能性まで含まれると、ワクチン接種で多くの人の命が救われ、後遺症などの苦しみを避けることができていると分かると思います。

伊達政宗が右目を失明した天然痘は、ワクチンのおかげで撲滅できた病気のひとつです。誰も感染する人がいないため、今は天然痘ワクチンを受ける人はいません。逆に、病原体が存在する以上はワクチンによる予防が大切なのです。

◆問題が指摘されていたポリオ生ワクチンも不活化ワクチンに

ただし、やむをえない副作用のリスクを超えて、問題が指摘されたワクチンも過去にはありました。ポリオ生ワクチンの接種です。生ワクチンを接種することで、450万人に1人がポリオを発症してしまっていたのです。ポリオの生ワクチンは2011年まで行われていましたが、自然のポリオ発症が見られない国でポリオ生ワクチンを使っている国は日本ぐらいでした。

2011年時点では、ワクチンによるポリオ発症の危険を負いたくないからと、ポリオワクチンを受けないのも危険でした。周りの人がポリオ生ワクチンを受けた際に、その便を介してワクチンのポリオが毒性を持った状態で感染し、ポリオを発症してしまう可能性があったためです。2012年9月に不活化ワクチンが登場し、現在は生ワクチンは中止され、不活化ワクチンのみになりました。

ワクチンに対する過剰反応によって、ワクチン後進国のままになってしまうことは避けなければなりません。
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◆まとめ:ワクチン接種の意味と行政の行方

最後にもう一度、ワクチンの役割をまとめてみましょう。

■自分も周りも守るために必要なワクチン
MRワクチン、水痘ワクチン、おたふく風邪ワクチン、BCG、ポリオワクチン、インフルエンザワクチンなど

■自分を守り、ある程度周りも守るために必要なワクチン
Hibワクチン、肺炎球菌ワクチンなど

■感染リスクは低いが自分自身を守るために必要なワクチン
日本脳炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、A型肝炎ワクチンなど

副作用の少ないワクチンを、任意接種ではなく全て定期接種で行っていくのが、ワクチン接種の最終的な理想形でしょう。そして、ごく少数とはいえ、起きうる万が一の副作用に対しては手厚い基金を作り、速やかに広く救済する制度も求められます。定期接種での副作用の救済ですら、非常に時間がかかってしまっているのが現状なのです。

そして、副作用などの情報をしっかりと公開し、接種する側もワクチンについての正しい知識をできる限り冷静に得ること。ワクチンの必要性は一人一人が考えていかなければならない問題なのです。

最後に、私は小児科医として日々ワクチン接種も含めた小児対応を行っておりますが、自分の子供にはその当時できるワクチンはすべてしてきました。余談ですが、3種混合ワクチンの集団接種会場で水痘に感染してしまったため、水痘ワクチンだけはしていません。医師としての経験も含め、私自身は親として子供の病気を防ぐことができるなら、できる時にしてあげたいと考えています。
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清益 功浩(医師)

命の危険も! インフルエンザ流行に備えるQ&A


今年もインフルエンザのシーズンが近づいてきた。昨シーズンはワクチン不足などが問題になった。今シーズンも油断は禁物。専門家に対策を聞いた。

●流行はいつぐらいから?
 国立感染症研究所によると、昨シーズン(2017~18年)の流行の始まりは早く、11月下旬で一昨年と同じ。その前の15~16年シーズンは少し遅く、1月上旬になって始まった。東京都医師会の感染症予防検討委員会の委員などを務める永井英明さん(国立病院機構東京病院臨床研究部長)は、今年についてこう見る。

「昨シーズンのように早まっている実感はなく、例年どおりではないでしょうか。当院で診ているのは成人ですが、インフルエンザでの受診はまだありません。例年12月に入ってから患者さんが増え始め、1、2月にピークを迎えます」 ちなみに、沖縄はすでに流行期入りの目安を超えている。旅行や仕事で訪ねる場合はしっかり予防を。

●予防接種はいつ打つ?
 インフルエンザの株(タイプ)はいくつかある。永井さんによると、ここしばらくの流行株はA型の「H3N2」と「H1N1pdm09」、B型の「ビクトリア系統」と「山形系統」だ。 一般的にインフルエンザワクチンは、WHO(世界保健機関)が毎年3~5月に推奨株を発表。そのなかから専門家が有効性などを協議し、使う株が選ばれる。今年は前述した株でワクチンが製造される。

「ワクチンの接種はできれば11月中、遅くとも12月上旬にはすませたい。打って体に抗体(免疫)ができるまで、2~4週間かかるからです。接種回数は原則として13歳以上は1回。100%予防できるわけではありませんが、症状は軽くてすむ。これは特に高齢者にとって大きな利点です」(永井さん)

 実は接種した株と実際に流行した株が違っても、効果はある程度期待できることが研究で明らかになっている。 インフルエンザワクチンについて、国はすべての65歳以上の高齢者へ接種を呼びかけているが、接種率は5割程度しかない。「米国では9割接種を目標とし、スーパーの横にブースを設けたり、ドライブスルーで受けられるようにしたりしています。日本では接種しやすさを工夫しておらず、啓発活動が足りていない。元気だから大丈夫だろうと“打ち控え”する高齢者も多いのです」(同)

●今年はワクチンは不足しないの?
 昨年はワクチンの製造過程で培養が思うように進まず作り直したため、供給不足に陥った。12月に入っても接種できない人が多く、ニュースになった。

 では、今年は大丈夫かといえば、そうとも言い切れない。永井さんは「実は今年も供給のスピードが遅い」という。 厚生労働省の資料によると、12月中旬の見込み供給量(累積、製造量)は2660万本に上るが、永井さんは「供給の時期が問題だ」と指摘する。

「当院ではワクチンは例年並みの確保ができず、接種開始時期が遅れました。一昨年と同様の供給量になるのは12月初旬です。最終的な予定供給量は十分かもしれませんが、例年のような供給スピードではなく、なぜこんな状況になっているのかまったく解せません」(同)これに対し厚労省は、供給スピードの立ち上がりが遅れたことを問題視していない。

「ワクチンは鶏卵の中で株を培養することで製造されるため、工程の一部に不確定な要素が含まれます。今年の見込み供給量は、昨年を除く過去5年の平均使用量より多く、医療機関が仕入れるまで少し時間がかかるかもしれませんが、12月中旬までには十分な量が供給されると考えています」(健康局健康課)

 予防接種を打ちにいく際は、事前に医療機関などに問い合わせるか、ホームページなどで確認したほうがよさそうだ。

●インフルエンザが持病を悪化させることも?
 意外と知られていないのが、高齢者にとって非常に危険な病気であること。インフルエンザによる入院や死亡は、年齢が高くなるほど増える。「インフルエンザが肺炎の二次感染を起こすこともあり、健康な高齢者でも気を付ける必要がある。それ以上に問題なのは持病がある高齢者。COPD(慢性閉塞性肺疾患)や糖尿病などを悪化させ、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす要因になります」(永井さん)

 例えば、動脈硬化がある人がかかると、全身に生じた炎症反応や脱水によって血栓ができやすくなる。その結果、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まる。炎症が起こった気道に他の細菌などが感染すれば、肺炎や敗血症といった致命的な病気にかかる恐れもある。「大事なのは予防。高齢者で持病がある人は予防接種は必須。手洗いやうがいを励行し、流行が始まったら大勢が集まる場所は避けましょう」(同)

●症状が軽い人もいる?
 インフルエンザというと、高熱や筋肉痛、咳(せき)といった症状を思い浮かべる。だが、典型的な症状を伴わず、鼻風邪程度の症状しか現れないこともあるという。 今は簡易診断キットがあるため、罹患(りかん)しているかどうか確認しやすい。永井さんの外来でも、「症状は軽いけれど念のため」という患者に検査をすると、A型やB型が見つかることが少なくないそうだ。

「症状が軽い人は、予防接種を受けたか過去に同じインフルエンザにかかるなどして、抗体をすでに持っている可能性が高い。実はそういう人が仕事などで外出し、感染源になる可能性は否定できません」(同) 鼻水や咳程度でもエチケットとしてマスクをし、手洗いをすること。マスクは予防ではなく、感染させないためにするものだ。

●高齢者施設などの入居者の注意点は?
 毎年、ニュースになるのが高齢者施設での集団感染。有料老人ホーム・介護情報館館長の今井紀子さんは、施設によって対応に温度差があると打ち明ける。「まず自立型と介護型とで異なります。自立型の場合は基本的に元気な高齢者が入居している。施設側に予防接種の強制力はなく、するかしないかは本人の判断。しっかりした施設では、打てる医療機関はここというように予防接種の具体的な案内をしています」

 介護型では予防接種がリスクになる入居者もいて、打ちたくても打てないこともある。入居者が認知症を患っている場合は、シーズン前に家族に予防接種をしてもよいか尋ねる承諾書が送られてくることが多い。また入居者の家族が連れていって、医療機関で接種させる例もあるそうだ。

「施設での集団感染のきっかけは、面会に来た家族らがウイルスを持ち込むこと。面会時にマスクや手指の消毒をするルールがなくても、気配りとして対策は取ってください。もちろん症状があるときの面会はNGです」(今井さん)今回のQ&Aを参考に、早めの準備と十分な対策を取ってほしい。

秋冬に流行、感染力が強い…RSウイルス感染症の症状と治療&予防法


◆RSウイルスの感染経路・潜伏期間

RSウイルスのRSは「Respiratory Syncytial(=呼吸器の合胞体)」の略。ウイルスが感染すると、呼吸器の細胞が合わさって1つになるため、そう名づけられました。少し長い名前ですが、「パラミクソウイルス科ニューモウイルス属」のウイルスで、麻疹ウイルスなどと同じ種類でメタニューモウイルスに似ています。ノドや気管支などの呼吸器に感染します。

・感染経路……飛沫感染、手指を介した接触感染。最初に鼻に感染することが多いです
・潜伏期間……感染してから発症するまでの潜伏期間は2~8日。典型的には4~6日
・感染期間……ウイルス排泄期間は7~21日と長いため、感染が広がりやすいです

汚染されたカウンターでは6時間、手についたウイルスは約30分感染する力を持っているため、かなり感染力が強いウイルスと言えます。
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◆RSウイルス感染で起こる細気管支炎

1歳ぐらいまでの小さな子ども、特に、早く生まれた低出生体重児や心臓に病気を持っている子どもの場合、細気管支炎につながって呼吸がしにくくなる呼吸困難を起こす可能性があり、重症化しやすいです。さらに、肺に病気を持っている人の場合も重症化します。

細気管支炎は、肺に近い気道(細気管支)にRSウイルスが感染し、様々な症状を起こす病気。

代表的な症状は次の通り。

・水のような鼻汁
・鼻づまり
・ひどい咳、むせるような咳
・呼吸数が多くなる多呼吸や肋骨の下がへこむ陥没呼吸などの呼吸困難
・呼吸をさぼる無呼吸

細気管支炎では38.5℃以上の発熱は少ないですが、咳がかなりひどいのが特徴です。
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◆学童・大人のRSウイルス感染は肺炎のリスクも

小学生以上の学童や成人の場合、RSウイルスは鼻から感染し、風邪程度でおさまることが多いです。時に、気管支炎を起こし、喘鳴を起こす気管支炎や肺炎を起こすことも。その場合は、38℃以上の発熱が5日程度続いたりします。

気管支喘息の子どもでは、RSウイルスに感染すると、喘息発作が誘発されます。

◆RSウイルス感染症の検査・診断法

細気管支炎の診断は、胸部X線で行います。肺に空気がたまり気味になるので、肺が黒く写ります。気管支炎も肺炎も、胸部X線で診断できます。

RSウイルス感染かどうかの診断は、鼻に綿棒を入れてこすり、試薬を使ってその綿棒からRSウイルスを検出されるかを見る方法で行います。ちょうどインフルエンザの検査に似ていて、結果が出るまでは30分程度。しかし、この検査は、1歳未満の乳児、パリビズマブの投与を必要とする子どもと入院中または入院を必要としている患児しか保険では認められていません。

そのため、医療機関で外来検査の場合は、医療機関が負担していることが多いのです(これについては、改善が要望されています)。 血液検査でRSウイルスに対する反応である抗体があるかを検査することもありますが、これは結果が出るまでに数日かかります。
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◆RSウイルス感染症の治療法

RSウイルスに感染した場合、残念ながら特効薬はありません。ミルクの飲みが悪い場合は輸液をしたりします。咳に対しては、気管支を拡げる薬、痰を切りやすくする薬、炎症を抑えるステロイドが使われたりします。

呼吸状態が悪くなると、人工呼吸器をつけて、呼吸を助けてあげる必要があります。特に、早く生まれた低出生体重児や心臓に病気を持っている子ども、一部のダウン症の子どもの場合は重症化するので、予防が大切。予防のためには、パリビズマブ(シナジス)という薬が使われています。パリビズマブ(シナジス)は、RSウイルス粒子表面のあるタンパク質を特異的に結合する免疫グロブリンで非常に高価な薬です。3kgの赤ちゃんで使うと1回約8万円弱になります。RSウイルス感染の流行期の前に、1ヶ月ごとに5回筋肉に注射します。

また、RSウイルス自体に効果があると言われているリバビリンという薬がありますが、日本では残念ながら使用できません。ウイルスを抑える作用はあるのですが、症状や重症度の改善はないと報告されているためです。

ロイコトリエン受容体拮抗剤(オノン、キプレス、シングレア)は、元々、気管支喘息で使用されている薬ですが、RSウイルスによる細気管支炎の回復期に咳や喘鳴の遷延を防ぐとの報告があります。しかし、私自身も検討しましたが、細気管支炎の急性症状を軽くするというデータは出ませんでした。

◆RSウイルス感染症の予防法

家族全員で手洗いをしましょう。そして、親子ともに、風邪をひいた人との接触はなるべく避けるようにします。特に1歳以下の乳児にいかに感染させないようにするかが重要なポイントです。

特に、RSウイルス流行期(10月頃から2月頃)には、次のような場所、行動を避けましょう。

・受動喫煙の環境
・人の出入りが多い場所
・保育所の利用
・乳幼児と兄姉(学童、幼稚園児)との接触

タバコの煙は、子どもの気道を刺激するため、咳症状が悪化し、喘鳴を起こしてしまいます。また、感染後の症状悪化だけでなく、健康時にも気道の状態を悪くしてしまうため、感染するリスクも高くなると考えられます。

また、感染しやすい乳幼児の寝室は他の風邪を引いている家族と別にした方がいいでしょう。というのも、大きな子ども、大人は風邪程度ですむため、RSウイルスが感染していても自覚症状が出ないことが多いためです。

さらにRSウイルスは何度も感染してしまいます。感染を繰り返すことで、大人は症状が軽くなりますが、子どもの場合は最初の感染がひどくなり、さらに喘息になるリスクが高いのです。小さい頃にRSウイルスに感染すると、喘息になりやすいという報告があります。喘息を防ぐためにもやはりRSウイルス感染に対する予防が第一でしょう。
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清益 功浩(医師)

注射は必要なし 経鼻インフルエンザ生ワクチンの基礎知識


 インフルエンザワクチンというと、「痛い」「腫れる」「怖い」という注射のイメージが強く、嫌がる子供たちも多い。しかし、注射なしのインフルエンザワクチンがあるのをご存じか。欧米で普及している「フルミスト」だ。

一時、米国では推奨を取りやめたが、今年から復活。日本でも一部の医療機関で話題になっているという。日本では未承認のワクチンだが、患者の希望に応じて医療機関が個人輸入して使用している。どんなワクチンなのか? 「北品川藤クリニック」(東京・品川)の石原藤樹院長に聞いた。

「フルミストは鼻の中に吹き付けるスプレー式の弱毒性のインフルエンザ生ワクチンです。注射による通常のインフルエンザワクチンは、生後6カ月以上13歳未満では1シーズンに2回の接種が推奨されています。1回目の接種から4週間ほど空けて打つとブースト(免疫増幅)効果が最大になるからです。一方、フルミストは毎年インフルエンザワクチンを利用していない8歳以下は2回接種となりますが、それ以外は一度の噴霧で1シーズンを過ごせるとされています」

 フルミストは2003年に米国で初めて発売され、11年以降、欧州で承認されている。対象は2歳から49歳で、特に2歳から8歳によく効くとされている。 「インフルエンザウイルスは気道の粘膜に感染して増殖、全身に広がる病気です。通常のインフルエンザワクチンは不活化ワクチンと呼ばれるもので、バラバラにしたインフルエンザウイルスの断片を血液中に注射することで、血液中のインフルエンザに対するIgG抗体(免疫物質)をつくります。

それでインフルエンザが全身に広がるのを防ぎます。しかし、IgG抗体は気道粘膜には存在しないため、気道への感染そのものを防ぐことはできません。つまり、感染を防ぐというより、重症化を抑えるワクチンなのです。ところが、生ワクチンのフルミストは、弱毒化されているとはいえ生きた病原微生物なので、鼻の粘膜で弱毒化されたウイルスが繁殖します。結果、気道粘膜上にインフルエンザワクチンに対するIgA抗体が、血液中にはIgG抗体がつくられます。つまり、感染そのものを抑えることができるのです」

 通常のインフルエンザワクチンとフルミストの違いはそれだけじゃない。ウイルスが気道粘膜で増殖することにより、細胞性免疫も刺激される。「細胞性免疫とは特定の病原体を攻撃する免疫細胞を作って攻撃する仕組みのことです。具体的には生ワクチンにより体内で特定の免疫細胞が増え、生ワクチンがターゲットにしている4種類のインフルエンザウイルスを攻撃するのです。不活化ワクチンは血液中に抗体を作るだけで、そうした機能はありません」

■英国、カナダ、米国で推奨

 ここまで聞くと、いいことずくめのように思えるフルミストだが、注意点もある。①国が認めたワクチンでないため、万一、事故が起こったときには医薬品副作用被害救済制度の対象とならず、自己責任になる②接種後、鼻水や咳など軽い風邪症状が起きることがある③輸入ワクチンなので、予防できるインフルエンザワクチンの型が、日本で作られる不活化ワクチンの型と一部種類が違っていること④費用が医療機関により違っていて、おおむね8000円以上と高額なこと――などだ。

 何より気になるのは、16年6月に米疾病予防管理センター(CDC)が推奨を取りやめたことだ。

「取り消し理由は、ワクチンの温度管理が適切ではなかったなどの要因により、2013/14シーズンからワクチン効果の低下を指摘され、予想された効果が得られなかったためとされています。ただ、昨シーズンは一定の効果が確認されたこと、英国やカナダなどでは、ずっと子供には有効と推奨の姿勢を崩していないことなどから、今年に入り米国のCDCは再度フルミストを推奨したのです」

 ちなみに、このワクチンが使えない人は、「対象年齢以外の人」「5歳未満で喘息を患った経験がある」「1年以内に喘息発作があった」「心疾患・肺疾患・糖尿病・喘息・貧血・肝疾患など慢性疾患がある」「妊娠中、もしくはその可能性がある」「アスピリンを内服している」「重度の卵アレルギーがある」「4週間以内に生ワクチンを打った」「その他、医師が適切と認められない人」などだ。

 今シーズンのワクチン製造量は約7万本多く、「適正使用すれば不足は生じない」(厚労省)という。しかし、都内では出荷にムラがあり患者が希望通り接種できない医療機関も出ていて、昨年の「争奪戦」の二の舞いを警戒する声もある。子供がどうしても注射型インフルエンザワクチンを嫌がるが、インフルエンザワクチンを打つ必要がある人は、そのリスクも十分理解したうえで検討するのもいいかもしれない。

中国由来よりも恐ろしいPM2.5の発生源はタバコだった


 気候が暖かくなると、いろんなものが日本にやってくる。

 特に4月から5月にかけて飛散量がピークを迎えるのがPM2.5だ。

 中国大陸から日本海を渡って飛んでくる微小粒子状物質は、気付かぬうちに肺や血管に入り込み、健康長寿を競い合う日本人の寿命にブレーキをかけようとする。

 しかし、実は我々の敵は国内にもいる。

 国内産のPM2.5は、日本政府が愛してやまない「喫煙室」から湧いて出てくるのだ。

■個人レベルでのPM2.5排出は続いている

「PM2.5」という名前の物質があると思っている人もいるようだが、そんなものはない。直径が2.5マイクロミリメートル(ミリメートルの1000分の1)以下の粒子を総称して「PM2.5」とよぶ。

 PM2.5といえば中国産に限る――と、目黒のさんまのように考えている人もいるが、中国にそれ専門の工場があるわけでもない。安くて質の悪い石炭や練炭、ガソリンなどを使うことで生じる煤が大気中に大量に放出されて、はるばる日本まで飛んでくるのだ。

 これが体内に入ると、色々と面倒なことになる。口や鼻から入り込んだPM2.5は、気管支や肺の奥まで侵入し、甚大な被害を及ぼす。肺がんや喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など呼吸系の病気を引き起こすばかりか、毛細血管から血流に紛れ込むと、循環器系にもダメージを与えることが分かっている。

 日本では大気汚染防止法などの厳しい環境規制もあって、産業としてPM2.5を撒き散らすケースは減ったが、個人レベルでの排出は続いている。「タバコ」だ。

■禁煙席でも「外出を自粛するレベル」

 すでに触れた通り、PM2.5の正体はモノを燃やした時に出る煤。タバコの煙も煤であり、立派なPM2.5なのだ。

「タバコの煙を構成する微粒子は、PM2.5どころか0.1~1.5マイクロメートルと、さらに小さい。特に副流煙は、形ばかりの分煙では被害を防げないことが分かっています」

 と語るのは、池袋大谷クリニック院長で呼吸器内科が専門の大谷義夫医師。続けて解説する。

「欧米の研究報告によると、喫茶店の喫煙席の1立方メートルあたりのPM2.5の濃度は最高で約800マイクログラムで、これは北京で最も濃度の高い日と同じレベルです。一方、隣接する禁煙席でも70マイクログラムの数値が検出されました。喫煙席の10分の1程度とはいえ、これでも環境基準の2倍にあたる高濃度。日本の環境省が『外出を自粛するレベル』なのです」

■「三次喫煙」の潜在的リスクも

 大谷医師によると、喫煙席と禁煙席が隣り合っていると、ドアの開け閉めや人の往来でPM2.5も一緒に漏れ出てくるという。しかも、単に空気に乗って流れてくるだけでなく、喫煙室にいた人の呼気や、衣服に付着して禁煙席に流出する「三次喫煙」の潜在的リスクを引き起こす。

 今年3月、奈良県生駒市役所では、喫煙者はタバコを吸った後45分間はエレベータ利用自粛の呼びかけを始めたが、これも科学的根拠があってのことなのだ。

「マンションのベランダでタバコを吸う人もいますが、サッシの隙間からPM2.5は室内に入り込んできます。当然、両隣や上の階で洗濯物や布団などが干してあったりしたら、健康被害の温床になっている可能性は捨てきれない」(大谷医師)

 タバコを売る会社があるから吸う人がいるのか、吸う人がいるから売る会社があるのかは知らないが、あいだに入って健康被害に遭うほど馬鹿馬鹿しい話もない。

 そもそも禁煙だ、分煙だ、と未だに騒いでいること自体、日本は世界に大きく遅れをとっている、と大谷医師はあきれる。

「欧米では10年前に終わった議論。飲食店で堂々とタバコが吸える国なんて、先進国では日本くらいでしょう」

■呼吸機能の維持に効果的なのは、りんごと魚

 そんな、欧米から10年遅れた日本に暮らす我々に、できる手立てはないものだろうか。藁にもすがる思いで大谷医師に訊ねると、こんな話を聞かせてくれた。

「東京医科歯科大学の研究報告で、新鮮な果物を食べることが、呼吸機能の維持に関与するという結果が出ています。特にりんごにおいて相関の度合いが高く、ジュースなどの加工品になると効果は薄れるというもので、ビタミンCやEなどの抗酸化物質の作用が影響しているものと見られます。同様に、魚の摂取量が多い人は、COPDの死亡率が低いというコホート研究もある。

 反対に、ベーコン、ソーセージ、ハムなどの加工肉の摂取量が多い人は、COPDの発症リスクが高いというアメリカでの研究報告があるので、なるべく控えめにしたほうがいいでしょう」

 副流煙やPM2.5の脅威にさらされている人は、喫煙者にはやさしい政府が、断固たる受動喫煙対策を講じるのを、りんごと魚を食べながら待つしかなさそうだ。

高血圧、高血糖も要注意! インフルエンザと心疾患の危ない関係


 インフルエンザが猛威を振るっている。厚生労働省などによれば、1月22日からの1週間で全国の医療機関で診断した人は約274万人、今シーズンの累積受診者数はこの時点で1100万人を超えた。さらに、この同じ週に報告された一医療機関当たりの患者数は52.35人で、これは、統計を取り始めた1999年以降、最多となった前週をさらに上回ったという。

 また、今年最も拡大しているウイルスはB型で、4割を占め、A型、A香港型の順に流行っている。「例年のパターンでは、まずA型が流行して、それがやや落ち着く2~3月くらいにB型が流行り出す。しかし、今年は年明け直後当たりからB型が一気に増え始めたのです」(健康ライター)

 都内内科病院の医師は、こう説明する。 「インフルエンザは、体力や免疫力がある健康な人が感染した場合、安静にしていれば時間とともに回復していきますが、最も注意しなければならないのは、心臓に疾患を抱えている人です。感染すると肺炎を併発し、重症化するリスクが高く、時に命に関わる事態となる場合があるからです」

 さらに、心臓発作の誘発率を倍増させるというデータもあるという。 「インフルエンザのようなウイルス性疾患は、血圧や心拍数を上げさせるため、心臓に大きな負担がかかる。また、感染によって起こる炎症が、心臓疾患の発症に関わっているとも考えられています。加えて、ウイルスが心臓の筋肉に感染して炎症を起こす、突発性の心筋症を起こすケースもあるのです」(同)

 インフルエンザと心臓疾患の関連の危険はまだある。 例えば、インフルエンザに感染して38℃以上の高熱が出た場合に起こる脱水状態は、心臓に大きなダメージを与える。粘度が上がって流れにくくなった血液を送り出す必要があるからだ。もともと心臓疾患を抱える人は、そこから心房細動が発症しやすくなり、大動脈弁狭窄症の症状が強く出て、意識を失ってしまうことさえあるという。

 また、インフルエンザに感染すると、心臓疾患を抱えている患者が服用している薬にも様々な影響が出る。 「処方されている薬を普段通りに飲んでも効かなくなってしまったり、逆に効きすぎてしまうことがあるのです。高熱や脱水は降圧剤が効きすぎてしまいますし、抗凝固剤も、ある種の解熱剤や抗生物質と一緒に飲むと効果が出すぎてしまうケースがある。インフルエンザは、心臓疾患そのものに対してだけでなく、治療に対しても悪影響を与えるのです」(心臓内科医)

 心臓疾患など循環器系の研究をする医学博士の内浦尚之氏は、こう言う。 「心臓の手術を受けたことがある人や、治療を続けている患者さんがインフルエンザに感染した場合、まずはインフルエンザの治療を最優先させるのが一般的です。しかし、その前にやはり感染しないように徹底的に予防することが大切です。手洗い、うがい、マスクの着用はもちろん、加湿器などを使って空気が乾燥しすぎないようにするなど、できる限りの対策を心掛けましょう」

 インフルエンザは、一度感染すると免疫反応による抗体ができて、一般的にはその後1年程度は、同じ型には感染しなくなる。予防接種もこの免疫の働きを利用しており、ウイルスから取り出して作られた不活化ワクチンを体内に入れ込むことで、同じウイルスが侵入しても感染しにくい状態にする。「ただし、異なる型のインフルエンザには感染してしまうため、同じシーズンに何度もインフルエンザを発症するケースもあります。今回での流行では、特に最初にA型に感染した人が、今度はB型にうつってしまったといった例を聞きます。A型では高熱が出やすく、B型は腹痛が出やすいといった傾向などに違いがあるため、自己判断でインフルエンザかどうかを判断することはできません」(前出・健康ライター)

 前出の内浦氏は、さらにこう付け加える。「今年のA型は、特に激しい症状が出るケースが多く、38℃を超える高熱が続いて関節痛や筋肉痛、頭痛、ひどい寒気など、全身にわたって強い症状が表れます。インフルエンザというと、これらの症状をイメージする人がほとんどでしょう。それに比べB型は、症状が穏やかな場合が多い。個人差はありますが、高熱が出続けるのではなく、上がるのは夜だけで昼間は下がったり、37℃程度の発熱で終わる人もいます。また咳、嘔吐、下痢、腹痛と言った症状を訴える人も多く、 風邪の症状に似ています。そのため単なる風邪だと思っていたら、実はB型だったという人も少なくありません」

 今回のインフルエンザについては、発生直後からワクチンの生産量が少なく、混乱も予想されたが、今年に入ってからは何とか追いついたという。「いずれにせよ、インフルエンザの予防接種は受けた方がいい。体内でウイルスの増殖を抑えるため、感染しても症状を軽減したり、期間を短縮する効果もあります」(内科医)米国医師会雑誌『JAMA』には、心臓疾患の発症リスクが高い人を対象にしたインフルエンザの予防接種と心血管系との関連を再解析した報告がある。

それによると、インフルエンザの予防接種を受けたグループは、受けなかったグループに比べ、心臓疾患の発症が36%も低いという結果が出たという。 「米国心臓協会と米国心臓病学会も、心臓疾患を抱えている患者には再発予防のためにインフルエンザの予防接種を推奨している。やはり、インフルエンザへの感染は、それだけ心臓にダメージを与えるということです。ただ、無自覚のまま心臓疾患のリスク因子を抱えている人も多いという実態もあります」(心臓外科医)

 心疾患には、心筋梗塞や狭心症をはじめ、虚血性心疾患、脈が乱れる不整脈、先天性の心臓病、心筋や心膜の病気など様々なものがある。これらを抱えている人と同様、高血圧や高血糖、高コレステロールなどを指摘されている人も、実は心臓の病を持っていることがある。該当する場合は、特にインフルエンザに注意しよう。

死亡や後遺症が残る確率も高い…インフルエンザ脳症とは


◆インフルエンザ脳症とは……5歳以下の子供に多い合併症

インフルエンザ脳症は、インフルエンザによって起こる免疫異常。インフルエンザウイルスそのものが脳に入り込むわけではなく、ウイルスに対抗しようとした体内の免疫がオーバーワークし、脳の組織を破壊してしまう病気です。

主に5歳以下に発症します(2009年に流行した豚由来の新型インフルエンザでは、5~9歳の発症が多かったです)。発症例は、2009年、2010年には319例ありましたが、2011年以降は、64~101例で推移しています。

インフルエンザに罹ったときに、急速に進行するのが特徴で、適切な治療で約70%は問題なく回復しますが、死亡率も後遺症が残る確率も高い病気。

インフルエンザ脳症の死亡率は年々下がっており、1998~1999年では31%だったものが、ガイドラインができて、2001~2002年で17%に減少し、2005~2006年では9.8%まで減少しました。

しかし、この10年ぐらいの発生数は、2009~2010年に319例でしたが、2010~2015年の発生数では、64~101例と減少したり、増加している状況です。インフルエンザの流行に左右されていて、インフルエンザ罹患数が増えると脳症が増える可能性があります。

脳症を起こすと、15%にてんかんや発達障害などの後遺症が残ることもあり、まだまだ怖い病気であることには変わりません。インフルエンザ自体の予防と、脳症になってしまった場合の初期治療が大切です。
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◆インフルエンザ脳症の症状

インフルエンザ脳症では、脳の障害とインフルエンザ特有の様々な症状が起こります。

・高熱(多くは38℃以上)
・咳、鼻水、全身倦怠感、ノドの痛み、筋肉痛などのインフルエンザの症状
・けいれん
・意識がなくなる意識障害
・おびえ、恐怖、幻覚、幻視、突然大声を出したり、うわごとを言ったり突然怒り出したりする異常行動

インフルエンザ脳症は、発熱してから48時間以内に起こります。通常のインフルエンザでは見られない症状がないか注意する必要がありますが、異常行動が必ずしも脳症が起きている証拠とは限りません。

タミフル投与後の異常行動の報告で、インフルエンザ治療時の異常行動が問題になったことがあります。異常行動の多くは、発熱後24時間以内に見られ、特に高熱時に多いようです。しかし低温時に見られることもあります。

一方で、タミフルを投与していない無治療のインフルエンザでも異常行動が見られることがあるため、異常行動自体がインフルエンザによる合併症とも考えられています。いずれにしても、異常行動によって事故につながることもあるので、インフルエンザの時には注意深く観察する必要があります。

◆インフルエンザ脳症を起こしやすいインフルエンザの型

インフルエンザウイルスはRNAという遺伝子を持つ、直径が100nmという小さな粒子です。

インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型があり、ヒトに感染しやすいのはA型、B型。ウイルスの表面にある小さな粒子によって、さらに、Aソ連型、以前流行した豚由来のH1N1型、A香港型(H3N2型)に分かれます。

今は見られませんが、アジアかぜの原因であるH2N2が流行した時代もありました。B型も何年かに一度は流行しています。どの型のインフルエンザでもインフルエンザ脳症が起こる可能性はありますが、A型に多いと言われています。
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◆インフルエンザ脳症の検査法・診断法

まずはインフルエンザにかかっていることが確定診断できていなくてはなりません。インフルエンザの診断は、症状を中心に「迅速検査」で行うことが多いです。

迅速検査では、多くの場合鼻に綿棒を入れて擦り、鼻の粘膜を採取して、キットに入れて反応を見ます。15分もあれば診断ができます。また、鼻水を検査するキットもあります。ノドでの検査では唾液のために実際には陽性であっても陰性になってしまうことがあります。

インフルエンザウイルスの遺伝子を機械で増やして判断する「PCR検査」、インフルエンザに対する抗体が上がっているかどうかをみる「血液検査」などもありますが、実際は、ほとんどが迅速検査で分かります。

ただし、発熱から検査までの時間が短いと、インフルエンザであっても検査で陽性にならない可能性があるので、検査が早すぎて陰性と出ている可能性がある場合、12時間から24時間後に、再検査を必要とする場合があります。

A型の中で、ソ連型と香港型を区別するキットもありますが、まだ普及していません。2009年に流行した豚由来のインフルエンザの診断には、少し時間がかかる「PCR検査」を行います。

上記の検査でインフルエンザと確定した上で意識障害がある場合、「インフルエンザ脳症」を疑います。続けて、脳波検査(検査時間約30分程度)、頭部CT検査(検査時間約15分)、頭部MRI検査(検査時間約30分)、血液検査(結果まで約1時間)、尿検査(結果まで約30分)を行います。

■脳波検査
脳炎が起きている場合、脳波の形が大きく揺れて表示される「高振幅徐波」という異常が出ます。波がない「平坦脳波」になることもあります。

■頭部CT検査、MRI検査
脳炎が起きている場合、脳全体が黒く写ったり、脳が腫れて脳のシワ(脳溝)が見えなくなったりします。撮影条件で異常を見つけることができます。

■血液検査
血を止めてくれる血小板の減少が見られることが多いです。細胞が壊れると、体に含まれている物質が血液中に流れてしまうため、AST、ALT、CPKなどの物質が上昇します。

■尿検査
尿にタンパク質(蛋白尿)や血液(血尿)が出ます。

◆インフルエンザ脳症の治療法

インフルエンザ脳症の治療法は、インフルエンザウイルスに対する治療と、脳症を起こす免疫異常を抑える治療の2つに分けられます。

■インフルエンザウイルスに対する治療
まず、インフルエンザウイルスに対しては、抗インフルエンザ薬を早期に使用して治療します。インフルエンザウイルスそのものを減らすための薬を使用します。

・タミフル(オセルタビル):中外製薬
内服薬。意識がない場合は、鼻から管を入れて注入することもあります。

・ラピアクタ(ペラミビル):塩野義製薬
点滴。1回で効果を発揮しますが、効果の速さはタミフルと同等で解熱までの時間に差がないので、タミフルの内服ができないような呼吸不全があるときや、脳症、脳炎が見られるときに使用されることが想定されています。

子供の場合は体重当たり10mgを15分以上かけて点滴。タミフルが効きにくいインフルエンザの場合、同じように効果が悪いと言われています。

■けいれんを抑える治療や全身管理
抗けいれん薬や点滴、体温管理などの全身管理を行います。脳の腫れを抑える薬も使います。

■インフルエンザ脳症を引き起こす免疫異常を抑える治療
インフルエンザ脳症は、インフルエンザによって起こる免疫の異常ですので、免疫の異常を抑える治療も行います。

・メチルプレドニゾロンパルス療法
治療期間:3日間
費用:15kgの子供で薬だけで約1万2000円

免疫を抑制するステロイドを大量に投与する方法。脳症の1日目に投与した方が効果が高いと言われており、2日目の投与では約50%近くの重度の後遺症や死亡リスクを避けられないと言われています。これはインフルエンザ脳症が急速に進行するためです。

・γグロブリン療法
治療期間:1日間
費用:15kgの子供で薬だけで約18万円

血液の中で、ウイルスなどに抵抗力を示すタンパク質がγグロブリンです。ステロイドよりは免疫を抑える作用は少ないのですが、インフルエンザウイルスを減らしたりする効果もあります。さらに症例によっては効果があると言われている治療として、以下のものがあります。

・脳低体温療法
治療期間:7日以内

脳内に発生した活性酸素を抑え、体温を下げることで脳を保護する治療法。施行時間が長いと、免疫を低下させてしまいます。

・血漿交換療法
治療期間:3日

血液中の脳などの臓器を破壊する物質を除くために、血液を一部を交換する治療法。

・シクロスポリン療法
治療期間:7日
費用:約3万円

移植などに使う免疫抑制剤を使用し、免疫異常を抑える方法。

・アンチトロンビンIII大量療法
治療期間:5日
費用:20kgの子供で薬だけで約45万円

インフルエンザ脳症では、血液が止まりにくくなるので、その状態を改善するために血液を固めるために必要な成分を点滴します。

このように、インフルエンザ脳症の場合は、全身管理をした上で、全身の治療が必要になります。オーバーヒートして脳を攻撃してしまう免疫自体を抑制する治療なので、その間に他のウイルスに攻撃されないよう、感染症の管理も必要になります。

◆インフルエンザ脳症の後遺症に対するリハビリテーション

チームとしてインフルエンザ脳症の後遺症の子供をケアをしていきます。

・医師:てんかんの治療など
・理学療法士:歩行練習、運動訓練、日常生活への訓練、関節が硬くならないようにマッサージなど
・言語療法士:言葉の訓練
・臨床心理士:子供の発達への支援と両親のケア
・ケースワーカー:学校への復学など

軽度な障害から重い障害まで様々ですので、一概に言えませんが、破壊されていない脳が訓練などによって機能を少しずつ戻すこともあります。つらいリハビリテーションかもしれませんが、高い専門性を持ったチームが回復を助けてくれるはずです。家族とチームと頑張っていきましょう。
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◆インフルエンザ脳症の予防法・対策法

■(当たり前ですが)インフルエンザを予防すること
手洗い、うがい、人混みを避けることはインフルエンザ三原則です。

そして、インフルエンザの予防としてワクチンの予防接種があります。生ワクチンと不活化ワクチンがあり、鼻から投与する生ワクチンは効果が高いと言われていますが、日本ではまだ認可されていません。

一方、不活化ワクチンには副作用が少ないという魅力があります。現在の不活化ワクチンには、Aソ連型、A香港型、B型の3種類のインフルエンザウイルスが含まれています。2010年には、Aソ連型の代わりに2009年に流行した豚由来のインフルエンザが選定されました。

ワクチンの型は、毎年、少しずつ変わります。流行するタイプに近い型を予想してワクチンが製造されますが、その予想が最近、非常によくあたっているようです。予防接種は効果が高い予防法であると言えます。

子供の場合は、発症予防という点では効果が低いのですが、肺炎、脳症などの合併症を防ぐ意味では、1歳以上になれば、ワクチンをした方がいいでしょう。

■インフルエンザ感染時の解熱剤に注意すること
これは、医療者側が十分に認識しているため、患者さん側の心配は不要ですが、ボルタレン(ジクロフェナク)、ポンタール(メフェム)はインフルエンザ脳症の発症が増えたり、死亡率が高いことが報告されています。これらはインフルエンザの時には使用しないよう、注意が必要です。

アスピリンも、「ライ症候群」という、肝臓が機能しなくなったインフルエンザ脳症になってしまいますので、使用しません。基本はアセトアミノフェンが使われます。

サリチル酸を含む市販の解熱剤はインフルエンザの時に使用しないでください。普段からできる範囲でインフルエンザ対策をして、大きな合併症も含めて予防していきましょう。

費用は約1万円 予防でインフル治療薬投与はどこまで有効なのか


 ピークは過ぎたとはいえ、油断できないインフルエンザ。先週16日時点での学級閉鎖数(高校まで)は全国で3万1367。先週だけでも6121(昨年同期は3749)と多い。しかも、A(H1N1)型、B型のほかに香港A型(H3N2)の感染も見られ、複数回かかる人もいる。大事な商談や受験を控えて「感染は避けたい」と思いながらも「マスクもうがいも決定的な効果は得られない」と聞き、あきらめ顔の人も多いだろう。しかし、抗インフルエンザウイルス薬の予防投与という手もある。効果はどの程度期待できるのか。「北品川藤クリニック」(東京・北品川)の石原藤樹院長に聞いた。

 現在国内で認可されている抗インフルエンザ治療薬は主に4種類。予防投与に使えるのは、飲み薬の「タミフル」と吸引薬の「リレンザ」「イナビル」だ。いずれも治療で使う量の半分を倍の期間かけて使用する。

「成人はタミフルなら75ミリグラムを1日1回7~10日間、リレンザは10ミリグラムを1日1回10日間、イナビルは20ミリグラムを2日間使います。注意したいのは、自費で高いという点。副作用が出ても医薬品副作用被害救済制度からの補償はありません」

 10日間の薬の代金はタミフルで1981~2830円、リレンザ3470円、イナビルは4280円(20ミリグラムを2日間)。薬局では必要に応じて内服薬調剤料、外用の調剤料、基本料、薬剤服用歴管理指導料などが加算される。病院では、初診の場合は初診料、再診の場合は再診料、処方箋料などが必要。1万円近くかかる場合もある。

 予防投与の対象は、一緒に住んでいる人がインフルエンザにかかっていて感染のリスクが高く、感染した場合は重症になりそうな人だ。

「具体的には65歳以上、気管支ぜんそくなど慢性の呼吸器疾患がある、心不全などの慢性心臓病がある、糖尿病などの代謝性疾患がある、腎臓病がある人などです」

■使うタイミングは?

 とはいえ、これはあくまでも原則。予防投与をする、しないは医師の判断による。

「薬剤耐性や中枢神経への懸念があり、積極的に勧める医療機関は少ないようです。ただ、どうしてもインフルエンザによる被害を抑えたいなどの要望があれば、原則は対象者に限りますが、予防投与のリスクをよく説明して処方を検討します」

 問題はその効果だ。薬の添付文書によると、タミフルは健康成人に42日間毎日75ミリグラムカプセルを飲んでもらう国内試験を実施。タミフル群は155人中2人、偽薬群は153人中13人がインフルエンザを発症した。リレンザは18歳以上が対象。28日間投与後にインフルエンザ様症状および感染が確認された人はリレンザ群が160人中3人、偽薬群は156人中6人。20ミリグラムのイナビルを2日間吸引後に10日間のインフルエンザ発症を調べた国内治験では、イナビル群が487人中19人、偽薬群は478人中81人だった。

「海外でも同様な結果が複数得られています。ただし、予防投与は感染を防ぐわけでも、ウイルスを直接殺すわけでもありません。感染した場合、ウイルスの増殖を抑えてくれるだけ。効果が望めるのは薬を飲んでいる10日間(イナビルは2日使用で10日間)ほどです。薬を使うタイミングは感染している患者さんに接触して36時間以内。48時間を過ぎると効果は薄まるといわれています」

 その理由はインフルエンザウイルスの感染・増殖の仕方にある。インフルエンザウイルスはそのままの状態では細胞にくっつけない。呼吸器と腸管などにあるプロテアーゼと呼ばれるタンパク質分解酵素に、ウイルス表面にあるヘマグルチニン(赤血球凝集素)が触れることで活性化。細胞表面のシアル酸レセプターと結合し感染力を持つ。

 その後は細胞の飲食作用により細胞内に取り込まれて大量のウイルスを作成。新たなウイルスが細胞を離れるときは、ウイルス表面にあるノイラミニダーゼでシアル酸レセプターを切り離さなければならない。

「タミフル、リレンザ、イナビルはこのノイラミニダーゼの働きを阻止して、細胞からウイルスが放出されるのを阻止します。ただ、ウイルスは発症から48~72時間で増殖のピークを迎えるため、48時間以内に薬を使わないと効果が得にくいのです。ちなみに、インフルエンザワクチンはあらかじめ体内にインフルエンザウイルスの抗体をつくることで感染を防ぎます」

 とはいえ、予防投与しても発症するケースがあるのは当然。さて、あなたならどうする?

ノロ・インフル予防に免疫力を高めるメニュー 管理栄養士に聞いた


ノロウイルスやインフルエンザなど重症化すると怖い感染症がはやる季節になった。この時期になると「教えて!goo」に「ノロやインフルの対策について、教えてください!」などの相談が寄せられるが、本格的な冬が到来する前に抵抗力をつけておきたいところだ。管理栄養士に免疫力を高める食材とメニューを教えてもらった。

■鶏肉と小松菜の味噌ヨーグルト炒め

ソフィアプロモーション所属の管理栄養士、笹川真緒さんが勧める食材は「鶏肉」。良質なタンパク質や、皮膚や粘膜を丈夫にするビタミンAが含まれているそうだ。

続いて「ヨーグルト」。「乳酸菌などの善玉菌が免疫力を高めてくれる」と笹川さん。腸内環境を整えて免疫細胞を活性化するとのこと。ヨーグルト以外にも納豆など発酵食品もオススメという。

そして「にんにく」。含まれているアリシンは強い殺菌作用があるといわれ、体も温まり免疫力も高まる。

さらに「小松菜」。ビタミンA、C、Eが豊富で、特にビタミンAはのどや鼻の粘膜を強くし。カロテノイドという成分は免疫細胞の働きを良くする効果もあるとのことだ。

これらの食材を含む笹川さんのオススメのメニューが「鶏肉と小松菜の味噌ヨーグルト炒め」だ。分量はお好みで。

【材料】
鶏肉モモ肉▽小松菜▽タレ=プレーンヨーグルト、味噌、にんにく(すりおろし)、オイスターソース、だしの素

【作り方】
1.鶏肉を一口大にカット、小松菜の2㎝幅にカット。
2.フライパンで鶏肉を炒めて、火が通ったら小松菜を加える。
3.合わせておいたタレを加え、中火で少し煮詰める。
4.タレが馴染んだら完成!

■かぼちゃのヨーグルトサラダ

同じくソフィアプロモーションの管理栄養士、佐野愛梨さんが勧める食材は「かぼちゃ」。β-カロテンや、ビタミンB1、B2、Cやカルシウムや鉄などを含み栄養面で優れ、特に多く含まれているβ-カロテンは粘膜などの細胞を強化し免疫力を高めるそうだ。

かぼちゃに含まれるビタミンCは熱に強いのもポイント。ビタミンCも粘膜細胞を正常に保つ効果があるので免疫力の強化に効果的。食物繊維も多く含まれており、腸内改善から免疫力を高める効果も期待できるとのこと。

続いて「玉ねぎ」。含まれる硫化アリルは免疫細胞を活性化させるが、加熱により消失してしまうという。よって今回は生で使用する。

そして「りんご」。含まれるりんごポリフェノールには免疫細胞を活性化してくれる役割があるそうだ。佐野さんは「食物繊維やビタミンCもとれ、お子様にもたべやすい食材です」と話す。

これらに先ほども使用したヨーグルトを加えたメニューが「かぼちゃのヨーグルトサラダ」になる。

【材料(3人前)】
かぼちゃ 約1/8個(150gぐらい)▽玉ねぎ 1/4個▽りんご 1/4個▽きゅうり 1本▽ヨーグルト 大3▽マヨネーズ 大1▽塩胡椒 適量

1.かぼちゃは一口大にカットして、耐熱容器に入れレンジで温めて柔らかくする。
2.玉ねぎは薄くスライス、きゅうりは薄い輪切り。りんごは薄いいちょう切りにして塩水に浸しておく。
3.上記の材料にヨーグルトとマヨネーズを合わせ、塩胡椒で味を整える。

免疫力を高め、この冬を乗り切ろう。

●専門家プロフィール:佐野愛梨、笹川真緒
ソフィアプロモーション所属の管理栄養士。ソフィアプロモーションは全国毎月1万店舗
で「おいしい~食育」を広めている。公式Webサイト、ソフィアニュースも。

38℃以上の高熱が特徴…インフルエンザの主な症状


◆急激な体温上昇が特徴! 38℃以上の高熱はインフルエンザ?

インフルエンザの症状は、いわゆる「風邪」の症状とほとんど変わりません。咳、喉の痛み、発熱などです。最も特徴的なのは、体温上昇の程度でしょう。

インフルエンザの場合、発熱するとすぐに38℃を越えます。人の体温は目覚めたときより夕方の方が高くなりますが、インフルエンザの場合は朝から38℃以上あることが珍しくありません。朝から高熱の場合は要注意です。
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◆インフルエンザの主な症状

インフルエンザの主な症状は次の通りです。

・時間帯を問わず、38℃を越える高熱がある
・寒気・震え(特に発熱する直前)
・倦怠感
・頭痛
・関節痛・筋肉痛
・喉の痛み
・咳(ない場合もある)
・鼻水(ウイルスが含まれるので感染性あり)
・くしゃみ(ウイルスが含まれるので感染性あり)
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◆インフルエンザの感染力・潜伏期間

インフルエンザは潜伏期間が短いので、朝に発熱したまま学校や会社に行くと、集団感染してしまうことも十分あります。また、発熱前から感染力があるので、学校では学級閉鎖をしても集団感染を完全には予防できません。

インフルエンザは法律で定められている「感染症」です。普通の風邪と違い、感染した人は集団感染を予防するために出勤や登校をしてはいけない等と定められています。小児や高齢者の場合は、重症になることもあるからです。
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◆インフルエンザの高熱症状、小児の場合は解熱剤使用は慎重に

インフルエンザの主な症状は発熱です。小児の場合、熱性痙攣(ねつせいけいれん)といって、発熱に伴って痙攣発作を起こすことがあります。

一方で、発熱に対して解熱剤を使うことで、かえって「インフルエンザ脳症」という最も重い合併症のきっかけになる可能性も指摘されています。

インフルエンザ脳症では、脳に重い障害を伴う後遺症が残ることがあります。小児には成人と同じ薬剤を使うことは避けた方が賢明です。小児科領域では強い解熱剤は使わない方向となっています。(アセトアミノフェンという解熱剤は安全性が高いとされています)。また、氷やアイスパック(保冷剤)を用いて物理的に体温を下げることはつらい症状の緩和になります。

◆高齢者のインフルエンザ感染時は肺炎に注意

高齢者がインフルエンザにかかった場合、怖いのは肺炎球菌による肺炎の合併です。

ペニシリンなどの抗生物質で治ると思われていますが、抗生物質は肺炎の病期を短縮するものの、肺炎の死亡率自体を下げる結果は出せていません。高齢者に対するインフルエンザワクチン接種が推奨される理由の一つです。
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