ランニングはブームの時期を過ぎ、すっかり日常の中に定着した。各地でマラソン大会やランニングのイベントが開かれ、街中を走る人たちも年々増えている。
だが、まだ多くの人は「わざわざ苦しい思いをして、よく走るなあ」とランナーたちの姿を冷ややかに見ているのではないだろうか。そういう人たちの脳裏にはたぶん、中学・高校時代のマラソン大会の苦しい思い出がよぎっているのだろう。
走る=苦しい、と考えている人は多い。加えて、中高年の人たちの多くは「このトシで、いまさら走るなんて無理」と、はなから諦めている。
そういう人たちに、ぜひ取り組んでもらいたいのが、最近話題の「スロージョギング」だ。超ゆっくりの、早足で歩く程度の速度で走ることで「ラクに」「楽しく」継続できる有酸素運動。
日本スロージョギング協会認定コーチの讃井(さぬい)智子さんは「自分で立って歩ける方なら誰でもできます。運動嫌いな人ほど向いています」と説明する。
その言葉通り、スロージョギングは運動経験の少ない人、これまで運動にチャレンジしたものの足腰が痛んで継続できなかった人、いまさら運動するのは無理と敬遠している高齢の人などに、とくにオススメだ。
その理由は、疲れの原因となる「乳酸」が筋肉中に増えない程度のゆっくりした速度で走る点にある。速度はウオーキングとほぼ同じだが、スロージョギングはあくまでも走る筋肉を使うため、消費カロリーはウオーキングの2倍になる。
これを続けることでダイエット効果はもちろん、血糖値や血圧、尿酸値などの数値を下げる効果もあるという。
コナミスポーツクラブ(フリーダイヤル0120・919・573)で、ロコモ(=ロコモティブシンドローム)予防のスクール「OyZ(オイズ)」などのプロジェクトプロデューサーをつとめる白戸拓也さんから、
ロコモ予防に効果の高いトレーニング方法を教えてもらっている。今回はその2回目。下半身の運動を2つ紹介しよう。
「1日何歩を歩いたかを気にしている人は多いですが、歩数だけでは健康につながりません。歩数よりも歩幅です。加齢で歩くペースが遅くなるのは歩幅が狭くなるから。歩幅で消費カロリーも大きく変わります。
1時間ゆっくり歩くより、15分を速いペースで大股歩きするほうが効果的なんです」と白戸さんは言う。
そのためのトレーニングは「バックキック」。太ももの裏とお尻を鍛える。
「椅子の背を支えに、立った状態から足を後ろに上げます=写真〔1〕。このときカカト、ひざ、肩を一直線にするのがポイント。腰を反ると腰を痛めるので注意しましょう」
そして「カーフレイズ」。カーフとは、ふくらはぎのことで、歩くときに蹴る力を強くするトレーニングだ。ふくらはぎが弱いと歩幅が狭くなり、つまずいて転ぶリスクも出てくる。
「同じく椅子の背を支えに、かかとを上げ下げします=同〔2〕。このとき頭はまっすぐに上げます。ただし、かかとを無理にたくさん上げると斜め前に倒れてバランスが悪くなりますよ」
いずれも10-15回で1セットを2-3セットが目標。椅子から立ち上がったときや座る前の「ついで」に行うのがいいだろう。
★スロージョギング(6)
老若男女、どんな人でも走ることができる「スロージョギング」を、日本スロージョギング協会アドバイザーの讃井(さぬい)里佳子さんから教わっている。讃井さんは、今年4月に『らくらくスロージョギング運動』(講談社)を出版し、「NHK学園オープンスクール」でスロージョギングの講座も受け持っている。今回は、その講座に参加している人たちにスロージョギングの良さを語ってもらった。
写真撮影が趣味の齋藤豊さん(84)は、学生時代は陸上部に所属していたスポーツマン。現在もたまに撮影旅行に出かけているが、スロージョギングが役立っているという。
「走っていた経験があるので、ランニングをすると体調がいいということは知っています。スロージョギングなら今の年齢でも無理せずにできるのがいいですね。撮影旅行では、仏教が伝来した国の生活を撮影していますが、カメラ本体とレンズ、三脚などで約7キログラムにもなります。スロージョギングで、そのカメラ一式を運ぶ体力を付けています」
マラソンの経験があるランナーの中村和男さん(68)は、走り過ぎて故障して以来、スロージョギングでリハビリ中だという。
「スロージョギングは腰や膝、足に負担をかけない走り方なので、これなら故障せずにマラソンを続けられるのではないかと思います。体に負担はかからないけれど、呼吸器や心肺は鍛えられる。なにより、走っていて楽しいのがいいですね」 50代の女性4人組は今年3月、東京で開催された女性だけの10キロマラソン大会「渋谷・表参道 Women’S Run」に出場した。
こうした大会で多いのが、スタート直後にスピードを出しすぎて後半失速する失敗パターン。だが、「スロージョギング用の音楽を聴きながら走るとペースが崩れないので、ゴールまで気持ちよく走れました」と声をそろえる。スロージョギングは、マラソン大会でも通用する走り方のようだ。(松本佳代子)
帝京平成大学専任講師の加藤浩人氏は、著書『寝たきりにならない生涯現役のための筋トレ』(育鵬社)の中で、65歳以上の「寝たきり」の原因となる「転倒による骨折」を予防するためのトレーニングを提唱している。
「高齢者でもトレーニングを積むことで筋力量の減少や体力の低下を防げます。筋トレで筋力は向上し、歩行速度も上がります」と言う。
歩行は、高齢者が自立した生活を送るためにも不可欠。死ぬまで自分らしい生活を送るために、今から筋トレを始めたい。
一方で加藤氏は「転倒を防ぐうえでは、筋トレのほかにもバランストレーニングが非常に大事」と言う。そこで今回は、「体ひねり」を教えてもらった。
「今回は筋トレではありませんが、バランスが良くなると、持っている筋力を効率よく使えるようになる。そんなに筋肉は必要なくなるのです」と加藤氏。
(1)片足を前に踏み出して、前後開いた姿勢になり、両手を伸ばして前で組む(2)体をできるだけ右にひねり(3)次にできるだけ左にひねる。これを10回行い、左右の足を入れ替えて10回行う。呼吸は自然に。
「股関節の内転筋を刺激して、体幹を回旋させる筋肉を動かします。これで、片足立ちでもグラグラしないで立てます」(加藤氏)。筋トレは、筋肉を休ませる必要があるので毎日は行えないが、バランストレーニングは毎日やっても大丈夫だという。
65歳以上の「寝たきり」原因の2位は「転倒による骨折」。一度寝たきりになると、全身の筋力と体力が低下して、そのまま寝たきりになることが多いという。
それを予防するためのトレーニングを、帝京平成大学専任講師の加藤浩人氏は著書『寝たきりにならない生涯現役のための筋トレ』(育鵬社)にまとめた。
加藤氏は「特別な運動をしないで普通に日常生活を送ると、老化により毎年1%の筋肉量を失います」と警告する。だが、「筋トレ」というと辛いイメージが強い。普段運動をしていない人はもちろん、高齢者にはハードルが高い。
これに対し、加藤氏は「弱い力でも一定の水準の力を出し続ければ効果があります。また、オーソドックスな筋トレも、負荷やどのように体を使うかを考えることで高齢者にもできます」と言う。
同じ筋トレでも角度を深くすれば辛いが、浅くすれば楽にできる。
今回は「下腹部の運動」を教えてもらった。主に腹筋の下部や、もも上げに使う筋肉を鍛えられる。きびきびとした歩行ができ、階段や敷居などの段差につまずかなくなる。腹筋と太ももの前は落ちやすい筋肉なので、年齢を問わずオススメの筋トレだ。
イラスト〔1〕クッションなどを背中に敷いて少し起きている状態で、膝を直角に曲げて足を床に付ける同〔2〕両手を体の前で組み、息を吐きながら足を床から15-30センチ上げる。そして息を吸いながら足を床に戻す。これを10-15回繰り返す。
「テレビを見ながらでもやれます。腹筋を鍛えると腰痛防止にもなります」(加藤氏)
◆統合失調症の再発リスク……場合によっては数回再発するケースも
精神疾患は一般に再発が少なくありません。代表的な精神疾患の一つである統合失調症の場合も、20代、30代での初発の後、1回あるいは複数回再発をしてしまうことが少なくありません。
今回は統合失調症を例に、精神疾患の再発に備える上で大切な、再発の予兆のチェックポイントを解説します。患者さんご本人だけでなく、ご家族など周りの方も、再発の初期症状に気付くことはとても大切です。
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◆陽性症状から寛解期に入った統合失調症が再発したら
統合失調症は、急性期には妄想や幻覚などのいわゆる「陽性症状」があらわれ、時に症状がかなり深刻化することがあります。それでも通常は数カ月ほど集中的に治療すれば問題症状はほぼ落ちつくものです。
治療の後、症状が落ち着いた状態を、医学用語では「寛解期」と呼びます。この寛解期をいつまでも維持していくことが治療の大きなゴールですが、実はその経過中に一時的に症状が戻ってきたり、明らかに再発の状態になってしまうことは少なくありません。
統合失調症の再発につながる要因は、決められた服薬を守らなかった場合などにも起こりがちですが、原因は一つではありません。再発につながる要因に一つずつしっかり対処していくことで、再発のリスクはかなり下げることができます。しかしそれでも再発のリスクをゼロにする方法は残念ながらないのが現状です。
しかし、いざ再発して入院が必要になった場合は入院期間を短縮するために、あるいは入院する必要そのものを回避するために、病気の再発前の段階で対処することが望ましいと言えるでしょう。そのためには、まずこの病気が再発する可能性があること、そして、再発前の前兆とも言える症状の特徴を、患者さんもご家族もよく知っておく必要があります。
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◆統合失調症の再発症状の出方は個人差が大きい
統合失調症は数日のうちにみるみる悪くなるような再発も時にありますが、一般的には数週間位のうちに段階的に悪くなっていくような再発になりやすいです。本格的な妄想、幻覚など陽性症状が始まるまで少し時間がある、この前段階で対処できれば理想的です。
どのような症状が再発の前段階として現れるかは、患者さんによってかなりの個人差があります。いずれの場合も「統合失調症に特有の症状」が穏やかな形で現れ始めることが多いですが、その他にも注意して見ておきたいと感じるポイントは多く、全てを列挙するとかなりの数になります。
しかし実際に再発の前段階として現れる問題の中でも周りの人にはっきりわかるレベルとなると、そのうちの2つ、3つぐらいかもしれません。そのため、現実的な対処法としては、現れ得るすべての問題を頭に叩き込んで行動に目を光らせるのではなく、その方に最も現れそうな問題や変化を2つ、3つ想定しておき、患者さんだけでなく、周りの方も重点的に注意をしていくことがよいのではないかと思います。
◆統合失調症再発の前兆・再発の前触れに出やすい症状
統合失調症が再発する直前に患者さんに現れてくる変化や問題には多様性があります。
具体的には、例えば睡眠や気分の変化として、再発の1~2週間ほど前から、夜ベッドに入ってからもなかなか眠れなくなり、気持ちが苛立ちやすく、些細なことで家族と言い争うようになることもあります。あるいは、再発前になると顔に表情がなくなり、まわりの人間に猜疑心を強める言動が出始めるということもあります。再発の前触れがもしこれらの現れ方をしたら、本人はなかなか自覚するのが難しいかもしれません。
顔に表情がないような状態になることは誰にでもありますが、この状態が悪くなると、精神医学の用語で「感情鈍磨」と呼ばれる状態になります。これは統合失調症特有の「陰性症状」の一つです。感情鈍磨の状態になると、周りの人には一目瞭然で再発の前触れが見て取れるかもしれませんが、当人が全くそれに気付いていない可能性もあります。このように前触れとして現れる症状には、当人より周りが気付きやすいものが少なくないのも事実です。
また、再発の前に知覚異常が現れるケースもあります。知覚異常も統合失調症特有の陽性症状の一つです。あたかも一瞬魔法にでもかけられたかのように、不思議で奇妙な知覚体験をすることがあります。具体例としては、鏡に映る自分の顔が一瞬別人の顔になっていた、といった幻覚に近い体験です。場合によってはそれは一瞬ではなく、数秒から数十秒間持続する可能性もあります。もしこのような幻覚体験が一時的にも現れてきたら、本格的な幻覚体験がすぐに始まる可能性もあります。できればこの時点ですぐ病院に連絡するか、受診をするかしていただきたいところです。
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◆統合失調症再発前にはその人特有の変化が見られることも
統合失調症の再発の前触れにいち早く気付くことは、再発後の経過を良くするために重要です。具体的には、入院を回避したり、入院が必要になった場合でも入院期間を短縮したりするために大切です。ここまで述べてきたように、再発の前触れとして気をつけるべきなのは、統合失調症特有の症状が現れ始めた時です。
しかし、こうした問題以外にも注意したいポイントがあります。それは病院から退院されたばかりのすっかり良くなった状態と比べて、気持ちの浮き沈み、考える内容、外に表す言動などがそれまでとははっきり違ってきた時です。それは一言でいえば、「その人らしくなくなってきた時」とも言えるでしょう。
具体的には、一定の規則正しさが急に乱れて昼夜逆転の生活を送るようになる、服装の選択がおかしくなり仮装パーティーに出るような格好をする、在宅中に配達のインターフォンが鳴っても出ないなど、普段のその人ならば考え難い行動をする時も、再発の前触れの可能性は否定できません。
以上、今回は統合失調症を例に再発の前触れとして注意したい問題を取り上げました。繰り返しになりますが、前兆となる症状の現れ方には個人差があります。一般的な統合失調症の症状とは違うこともありますし、本人が自覚しにくいこともあります。周りの方もしっかりと再発リスクがあることを理解して、注意しておくことが望ましいです。
精神疾患は統合失調症に限らず、再発することは少なくありません。再発に備えて安定した状態を保つ上でも、周りの方の力も重要であることは、心の病気の基礎知識として覚えておいてください。
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中嶋 泰憲(精神科医)
◆100人に1人……もし身近な人が統合失調症と診断されたら
統合失調症は代表的な心の病気のひとつですが、日常的にはあまりなじみがないかもしれません。
しかし、この病気の発症率は人口の約1%。100人に1人は統合失調症を発症すると考えられるので、思っているよりも身近にこの病気を持つ方がいらっしゃる人は少なくないかもしれません。そしてこの病気は誤解されがちな面もあるのも事実です。この病気をしっかり理解している人もそれほど多くはないのではないでしょうか。
そのため、統合失調症を発症された方が身近にいる際、どのように接したらいいかわからない場合もあるでしょう。場合によっては知らず知らずに、相手の気持ちを傷つけてしまうこともあるかもしれません。そこで統合失調症を持つ方に対する接し方のポイントを、その理由とともに分かりやすく解説します。
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◆そもそも統合失調症とは? まずは病気を正しく知ることが大切!
統合失調症に限らず、一般に何かの病気を持つ方に接する際に戸惑うようなことがあるとすれば、その病気がどんな病気なのか、よく理解できていないことが多いと思います。また、その病気の何となくのイメージに戸惑う場合もあるかもしれません。
特に「心の病気」というとつかみどころがない病気のように感じられる人がいるのかもしれませんが、心といっても、一般には脳内の医学的問題が原因となる病気です。
統合失調症はその発症時には幻覚や妄想が現れ、現実と非現実の境を見失ったような状態になります。まわりの人は、こうした精神症状を当人の生活態度や人間性と結び付けてしまうかもしれません。しかし、統合失調症もまた、他の心の病気と同じく、脳内の問題が原因となって起こっているに過ぎません。具体的には脳内神経伝達物質が適切に機能していないといったことが原因です。
言い換えれば、それまでどんな生活をしてきた人でも、あるいはどんな人間性の方であっても、脳内神経伝達物質が適切に機能しなくなれば、この病気を発症する可能性がある、ということです。これは一般的な身体疾患、たとえば糖尿病が血糖値をコントロールする内分泌ホルモンに関連する問題が原因で発症するのと同じことと言えると思います。
したがって、統合失調症の患者さんに対する接し方は基本的に他の身体の病気の患者さんに対する時と同様です。相手に優しい気持ちや同情が伝われば充分OKです。また、この病気に関しては、患者さん自身、まわりの人のなかには、自分の病気をよく分かっていない人もいることは、よく分かるものです。実際の状況では、相手の病気をよく理解していることが相手にはっきり伝わるような接し方も相手をより励ますことになるでしょう。
◆どんな言葉や態度が相手の心を傷つけてしまうのか?
統合失調症を発症された方に接する際、言葉や態度が知らず知らずのうちに相手の心を傷つけている可能性があります。そうなってしまう原因の多くは、病気に対する誤解にあるのではないかと思います。実際、統合失調症の症状にはまわりの人が誤解しやすい内容もあります。特にその傾向が強くなるのが、陰性症状と呼ばれる症状のときです。
「陰性症状」とは、簡単に言うと、日常生活を構成する通常の精神活動や身体活動の一部が失われてしまう状態。具体的な状態にはかなりの個人差がありますが、例えばひとつひとつの動作がスローになってしまうことなども陰性症状の1つです。
こうした症状はまわりの人だけでなく、患者さん自身も病気の症状だと認識できていないことが少なくありません。そして、こうした症状に対して患者さん自身が対処できる余地はほとんどありません。しかし、まわりの人から見ると、本人の気持ちで対処できる問題だと思われてしまうようです。動作がスローなのを見て、「のろのろしないで」といった言葉が出てしまうと、相手の心を傷つけてしまう可能性もあります。
また、この病気をからかうような言葉も絶対に避けるべきです。患者さん自身も、身近な人の口からもしそのような言葉が出て傷ついてしまったのなら、相手の誤解を正すためにも、そうした言葉がどんなに心が傷つくのか、相手にはっきり言っておいた方が良い場合も多いと思います。
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◆「死にたい」という言葉が出たら要注意
統合失調症において、死にたい気持ちはさまざまな要因からしばしば現われる可能性があります。
統合失調症は妄想や幻覚といった精神病様症状だけでなく、気分や感情にも問題が現われることがあります。現われる時期は個人差がかなりあり、病気の発症前に予兆のように現れることもあれば、病気の最中に現われることもあります。あるいは治療によって、妄想や幻覚が落ち着いたあとに気分や感情の問題が目立ってくることもあります。その際は、うつ病のレベルになることも少なくなく、死にたい気持ちも生じやすくなります。
場合によっては精神病様症状が直接的に自殺の引き金になってしまう可能性もあります。たとえば自殺をうながす幻聴が現われて、それが自殺につながることも、病状によっては起こり得ることです。
また、この病気から回復するということは、見失っていた現実と非現実の区別を取り戻すことになります。この病気の発症は一般に10代後半から20代のいわゆる青春時代です。治療を通じて現実検討力を取り戻していくと、この時期に、この病気になってしまった自分には、それまで思い描いていたような人生を送れないのではいか……といった絶望感が過剰に強まってしいまうことがあり、それが自殺願望につながるリスクもあります。
このように統合失調症の患者さんはさまざまな要因から、死にたい気持ちが生じる可能性があるのです。この病気における自殺のリスクはおよそ10%近くもあります。もしこの病気を持つ方の口から、「死にたい」といった言葉が出れば、それは深刻な事態です。決して軽く聞き流さず、迅速に適切な対処を取りたいところです。
以上、心の病気を持つ方への接し方として、統合失調症の方の場合を取り上げました。もしまわりにこの病気を持つ方がいらっしゃる方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
Q:サラサラしたきれいな血液が流れることが健康の基本だと聞きました。食生活によっても、血液はサラサラになったりドロドロになったりするとか。どういう内容の食事を心がけるとよいでしょうか。アドバイスをお願いします。
(38歳・動物園勤務)
A:サラサラ血液、ドロドロ血液という言い方は、一般の人にすっかり定着していますが、要は、サラサラ血液は固まりにくい(血栓ができにくい)血液で、ドロドロ血液は固まりやすい(血栓ができやすい)血液ということです。ご質問の方がおっしゃっているとおり、血液のサラサラ、ドロドロには食事の内容が強く影響します。糖や脂質が多い血液はドロドロしており、固まりやすくなります。血液には、血液を固まらせる凝固因子も、血液を固まりにくくする凝固抑制因子も存在しています。栄養や食品にも、血小板凝集作用があるものや、逆にそれを抑制する作用があるものがあります。
●魚、野菜、大豆製品などをバランスよく摂取
血小板凝集抑制作用の活性が高い食品は、血液をサラサラにします。その代表的な食品は野菜と魚です。 野菜のうち、血小板凝集抑制の活性が強いグループのものに、ニンニク、タマネギ、カブ、セロリ、アスパラガス、ニラ、パセリ、トマト、シソ、シシトウ、アシタバなどがあります。果物にも、抗血小板凝集活性が強いものがいろいろとあります。また、味噌や醤油、大豆やその加工食品などにも血栓防止作用があります。動物性の食品では、背の青い魚に多く含まれる脂肪酸のEPA、DHAに血小板凝集を抑制する作用があります。EPAは病院薬としても認可され、抗血小板薬として心臓病や脳梗塞などに用いられています。
ただし、野菜だけ、魚だけを食べればよいというのではなく、野菜、魚、果物、大豆製品などをバランスよく食べることが、血液をサラサラにする秘訣です。もちろん、動物の肉を食べてはいけないわけではありません。肉を食べたら、野菜や魚を意識してよく食べるようにしましょう。
岡田研吉氏(研医会診療所漢方科医師)
東邦大学医学部卒。ドイツ留学中に東洋医学に関心を持ち、帰国後、国立東静病院で漢方を学ぶ。独自の漢方処方で生活習慣病等に成果を上げている。著書『さらさら血液が長生きの秘訣』など多数。
健康や美容に関心の高い人の話題では、果物や野菜を使ったスムージーやフレッシュジュースが、よく取り上げられています。果物もさまざまな品種が新たにどんどん市場に出回り、消費量は増えているようです。
日本の21世紀における国民健康づくり運動「健康日本21」が見直され、平成25年度から第2次が開始しています。この中で、野菜とともに「果物の摂取量の増加」を食生活・栄養の大きな目標にしています。
□目標項目:野菜と果物の摂取量の増加
・現状:野菜摂取量の平均値:282g
- 果物摂取量100g 未満の者の割合:61.4%(平成22年)
・目標:野菜摂取量の平均値:350g
- 果物摂取量100g 未満の者の割合:30%(平成34年度)
※厚生労働省「国民健康・栄養調査」
日本人の1人あたりの果実摂取量は108.5g/日(国民健康栄養調査平成24年)。野菜は、一日350gの摂取が推奨され、割といろいろなメディアでも取り上げられていますが、果物のことは野菜ほど知られていない気がします。果物の1日の摂取量は200gを目標とされ(果物のある食生活推進全国協議会)、あと約100gたりていません。
また日本人1人1日当たりの果物消費量は、先進国の中では、なんと最低レベルなのです。
海外のさまざまな国では、果物を野菜感覚で料理に使用したり、加工品などのバリエーションも豊富です。日本では、古くは果物を「水菓子」と呼び、食事とは分けられた存在だったことが、消費量の少なさにつながっていた背景があるのかもしれません。
■栄養面では果物と野菜は、どう違う?
果物はビタミンやミネラル、食物繊維を含みますが、かといって野菜と同じというわけではありません。それぞれに多く含む栄養素も異なります。
もちろん果物でも、野菜でも、含まれる栄養素は食品やまた品種などによっても個々に違うのですが、大まかにいって、果物は野菜に比べ糖質やビタミンC、カリウム、有機酸(クエン酸・酒石酸・リンゴ酸等)が多くなります。
一方野菜は、葉菜類は葉酸などのビタミンB群を含むものもありますし、ミネラルではカリウムの他に緑黄色野菜ではカルシウムや鉄分なども含みます。
野菜も果物も食物繊維は含みますが、果物の多くはペクチンで、野菜にはペクチンの他にセミロースなども含まれます。また果物は、糖質や有機酸などは豊富ですが、ビタミンやミネラルにおいては、野菜ほど多様な栄養素は含まれていないことは理解して、偏らない摂り方をするようにしましょう。
■果物に含まれる栄養成分の機能性
「健康日本21」では、野菜同様に果物を積極的に食べることを推奨する科学的根拠として、次のことを上げています。
・体重コントロールに重要な役割があること
・循環器疾患、2型糖尿病の1次予防に効果があること
・野菜・果物は消化器系のがん、果物は肺がんに予防的に働くこと
果物は甘いため、太ると思われがちです。果物は、確かに糖質が含まれ、その主な糖質は果糖で、砂糖(ショ糖)より強く甘さを感じます。しかし、エネルギーは1gで約4kcalで、他の糖と変わりません。
果物は水分が多く、ケーキのように脂質などは含まれていませんから、100g当たりのエネルギーは、スイーツと比べると低いです。また果物に豊富に含まれる食物繊維は満腹感にもつながり、うまく利用すれば、他の高カロリーのものと比べて、食べ過ぎ・カロリー過多を抑えるサポート役にもなるでしょう。
また果物は、さまざまな栄養素や食物繊維を含みます。この食物繊維は、血糖値の上昇を抑制する作用があります。エネルギーが低い割に、ビタミンCやカリウム、食物繊維の含量が高く、さまざまな栄養素がとれる果物は、日本糖尿病学会では1日1単位(80kcal)摂るようにと提案しています。
また食物繊維によって、脂質や糖質の吸収を抑えたり、吸収のスピードをゆっくりするため、血中脂肪やコレステロールが上がりにくくなります。また他に、血中コレステロールを下げる効果のあるビタミンC、抗酸化作用のあるフィトケミカルなども、果物には含まれています。
カリウムが豊富に含まれることで、血圧の上昇要因であるナトリウムの排泄を促進し、果物が血圧を下げる働きがあるという研究報告が、日本や海外の研究でも報告され、果物を食生活の中にうまく取り入れることは高血圧予防にも有効であるといえます。
他にも、個々の果物や含まれる成分によっても異なりますが、がん予防に効果があることや、皮膚の老化を引き起こす老化活性酸素を除去する、スポーツ後の疲労回復、骨粗鬆症予防、便秘予防や改善などにも役立つ可能性があるといった研究報告が見られます。
ただし、果物として食べた場合の有効性は、まだ十分ではありません。薬のような効果を過度に期待せずに、あくまでおいしくいただくことが基本でしょう。これさえ飲めば、健康になれる、病気知らず、ダイエットできる……というような魔法の食べ物はありません。
■果物の果糖が不安?
果糖は、血糖値に影響しませんが、過剰摂取は中性脂肪の蓄積を招き、コレステロールの合成を促進すると見られています(「健康食品の安全性・有効性情報/国立健康・栄養研究所」)。
この果糖は果物に多く含まれますが、果物には、果糖の他にもぶどう糖やショ糖、また二糖類、多糖類なども含まれ、他にビタミンやミネラル、食物繊維、抗酸化作用のあるポリフェノールやフラボノイドなどの有効成分も含み、果物として適量を食べるならばデメリットはないと言えそうです。
しかし、果実と果汁では異なり、食物繊維などの有効成分が除かれているものもあります。女性のみの分析報告ですが、果汁摂取は糖尿病のリスクを上げる、しかし生の果物は逆のリスクを下げる結果になったという報告もあります。
こうした面を見ると果汁は悪者に思われるかもしれません。しかし、それは一面にすぎません。糖尿病等が気になる人には果汁は気をつけなければならないでしょうが、健康な人であれば適量飲むのは問題はないでしょう。
スポーツ後の栄養補給などには、糖分とビタミンCやフィトケミカルを補う一つの選択です。
■果物を食べるときの注意点
果物を摂る場合、気をつけたいこともあります。一つは、薬との食べ合わせです。特にグレープフルーツなどは、薬の作用を強くしてしまう場合があります。また果物はカリウムも多いので、腎機能が低下している場合等、摂取に注意が必要な場合もあります。
■幅広い料理にも使って、楽しもう
果物の甘味や酸味、そして華やかな香りは、ちょっと加えるだけで、料理をレベルアップしてくれます。
オレンジやイチジク、キウイフルーツなどをサラダに加えて、塩、こしょう、エキストラ・ヴァージンオイルを和えるだけでもおいしくなります。またカレーやパスタなどはもちろん干し苺や柿を白和えに、小夏などの柑橘をお造りなどに合わせても、とてもおいしくなります。
さまざまな有効成分を含んだ果物を、偏らずに食べるには、いろいろな食材と合わせる事も、リスクを小さくすることにつながります。さまざまな料理も活用し、その豊かな味わいを楽しみましょう。
睡眠に不満を持っている人は全体の3、4割ともいわれる。この不満をどう解消するか? 企業向けにオーダーメードの睡眠ソリューション「健康経営睡眠改善プログラム」を提供しているニューロスペースの小林孝徳社長は、「睡眠は技術です。誰でも上達させることができます」という。そこで今回は休日の睡眠の取り方を技術的に説明しよう。
平日に睡眠時間が足りないと、その分を休日に「寝だめ」したり、「夜更かし」をしてしまう。しかし、これが睡眠のリズムを崩すことになる。例えば土日の2日間が休みならば、土曜日は昼まで寝ないことだ。
「いつもより多少ゆっくり寝るのはいいですが、それでも起床時間はいつもとあまり変えないことが大切です」(小林さん)
休日の起床時間を変えると、そこで睡眠サイクルが崩れ、平日の朝が辛くなる。とはいえ、休日ぐらいゆっくり体の疲れを取りたいという人もいるだろう。そこで小林さんが提案するのが適切な仮眠だ。
「寝足りない人は昼間に仮眠をとりましょう。人は起床から7~8時間後に眠気を感じるので、その眠気のピークになる前に仮眠を取るといいでしょう」
ただし、この仮眠が夜の睡眠に影響しては元も子もない。仮眠が本格的な睡眠にならないようにソファや椅子で休んだり、カフェインを取ってから仮眠する。
「カフェインには、睡眠誘発成分であるアデノシンの作用をブロックする働きがあります。コーヒーなどカフェインを含む成分を取ってから仮眠すると、睡眠の誘発をブロックしつつも眠気をスッキリさせるという効果が期待できます」
そして最後のポイントは、休日はいつもより早めに寝ること。
「休日の夜くらいは遅くまで起きていたいかもしれませんが、ここで睡眠サイクルを崩すと平日の夜に眠れなくなり、昼間の眠気につながります。仕事ができる人は、睡眠のテクニックを持っている人です」
小林さん自身、睡眠不足で記憶力が低下する経験をしたことがあるが、「今は、睡眠のテクニックを駆使してパフォーマンスのいい生活をしています」という。 (松本佳代子)
「ひとり暮らしの老親の食が細くなり、気力も体力も衰えてきたようだ。悲しいけれど、年だから仕方がないか」…そうあきらめるのは、ちょっと待った! もしかしたらそれは、亜鉛不足による味覚障害かもしれない。
低亜鉛血症の治療薬を販売するノーベルファーマは、2017年10月4日に亜鉛不足と味覚障害についてのメディアセミナーを開催。アンチエイジングの観点から亜鉛不足に注目するマイシティクリニック院長の平澤精一氏と、全国でも珍しい味覚外来を担当する兵庫医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科講師の任智美氏が講演を行った。その中から、亜鉛不足と味覚障害についてキーポイントを紹介しよう。
●味覚障害からフレイル、そして要介護へと続く悪循環
味がしない、何を食べても苦く感じる、塩味がきついといった味覚障害に悩む人は、かなり多い。2003年の統計では、全国で24万人が味覚障害を訴えた(*1)。そして、味覚障害を訴える人には、高齢者が多い。任氏の味覚外来の受診者を年齢別に分けると、多くの高齢者が味覚障害に悩んでいることがわかる(【図】参照)。
亜鉛はミネラルの一種で、人体にとって必須の栄養素だ。体内にある300種類以上の酵素の働きを助け、新陳代謝の活性化やたんぱく合成に関わっている。そのため亜鉛が不足すると、さまざまな全身症状が現れる。
亜鉛不足の症状には、味覚障害、臭覚障害などの知覚障害、湿疹、皮膚炎、脱毛といった皮膚症状、貧血、食欲不振、骨粗しょう症、免疫力低下、慢性肝疾患、糖代謝異常などがある。さらに、情緒不安定、記憶力低下、うつ傾向といった精神症状、不妊症や男性更年期障害といった性機能障害も亜鉛不足で起こってくる(表1)。
表1 亜鉛不足によって引き起こされる主な症状
1 知覚異常(味覚・嗅覚の異常、視力低下、白内障)
2 成長障害(低身長、体重増加不良、性腺発達障害)
3 湿疹、皮膚炎、口内炎、脱毛、褥瘡(なりやすく治りにくい)
4 貧血、食欲不振
5 骨粗しょう症
6 免疫力の低下
7 慢性肝疾患、肝硬変の悪化
8 糖代謝異常
9 情緒不安定、記憶力低下、うつ傾向
10 性機能障害、不妊症、性ホルモンの減少
男性:精子数減少、ED、前立腺障害、男性更年期障害 女性:卵巣機能不全
(提供:平澤精一氏)
中でも真っ先に自覚しやすいのが、味覚障害だ。亜鉛が不足することによって舌にある味細胞の細胞分裂が止まり、新しい細胞ができなくなると、味を感じられなくなる。
厚生労働省の調査によると、いまや日本人のおよそ3人に1人は高血圧なのだそう。その最大の原因は「塩分の摂り過ぎ」だといわれている。
確かに、外食や出来合いのものを食べる機会が増えた現代の食生活では、あっという間に塩分の過剰摂取になりかねない。
筆者は幸い血圧が低い方だが、母なんかは高血圧を気にしつつも特に対策はしていないようだ。いわゆる「減塩レシピ」は、分量計算が手間だ、とか薄味であまりおいしくない、とだだをこねている。
このままでは家族の将来が心配…と見つけたのが、「高血圧がみるみる改善する!牛乳たすだけ減塩レシピ」。普段のレシピに牛乳を加えるだけで、塩分がグッと抑えられるという目からウロコの減塩対策だ。
さらに、牛乳の旨みやコクを利用して料理も“おいしく”作れるのだとか!
なお筆者は子供の頃から牛乳が大好きなので、給食に牛乳が出ても気にならないし、料理に使うのも大歓迎。
だがパラパラとめくってみると鯖の味噌煮や麻婆豆腐といったメニューもあり、健康のためとはいえ「牛乳入れておいしいの?」という不安も…。ということで、レシピを参考にまずは自分でいくつか試してみることにした。
・毎日食べたい!基本のミルク納豆
著者で料理家・栄養管理士の小山浩子さんが「牛乳減塩生活のスタートにオススメ」としているのが、ミルク納豆。納豆のタレを半分にする代わりに、牛乳を小さじ2杯入れてよく混ぜたものだ。
白い納豆に違和感を隠し切れないが、ひとくち食べてみるといつもよりコクのある味わいに驚いた。牛乳と納豆がお互いの匂いを相殺し合い、納豆臭さが軽減され、豆の味がしっかりと感じられる気がする。やるな、牛乳!
・常備おかずにぴったり!鯖の味噌煮缶でミルク佃煮
そのままでは味が濃いめの鯖の味噌煮缶も、牛乳を足して炊くことで、少量でも満足の佃煮に変身! 作り方は、缶詰を煮汁ごと牛乳・しょうがとともに煮詰めるだけ。
塩気が和らいでよりまろやかな味わいになり、しょうががさわやかなアクセントになってごはんのお供にピッタリ。また、梅干しやたらこなど塩分の高い具材の代わりにおにぎりの具としても重宝しそうだ。
・上級者向け?即席めんも牛乳で!
最後は、簡単なのでつい食べてしまう即席中華めん。そのままではスープ・麺ともにかなりの塩分量だ。そこで、牛乳。麺をゆでた茹で汁と牛乳を温めてスープに使うことで、スープの素は半分だけで済むとか。
即席めんは何でも OK とのことなので、家に常備してある「サッポロ一番塩らーめん」に。独特の香味が効いたスープは果たして牛乳に合うのだろうか…?
さて、見たこともない白いラーメンが出来上がった。
食べてみると、いつもとほぼ変わらないあの味だ。むしろ牛乳が加わったことで、ポタージュスープとも豚骨スープともつかないまろやかさが生まれたような気がする。
また、通常より満腹感が得られる上、食べ終わった後の喉の渇きも軽減する。なお冷めてきたスープには牛乳の存在感が出てくるので、牛乳が苦手な人はこれは避けた方が良いかもしれない。
どれも(目隠ししたら)牛乳が入っていると全然分からないし、ましてや塩味が足りないと思うこともなかった。
これでいつもより減塩できるなんて、牛乳はなんて立派な調味料なんだ。牛さんありがとう…!大人になって牛乳を飲む機会が減っていた筆者も、今後は冷蔵庫に入れておこうと思う。
日本のヨガ界の第一人者であるケン・ハラクマさんが考案した「ラジヨガ体操」は、老若男女の誰もが簡単にできる13ポーズ4分間の体操。足が痛む人は、座ったまま上半身だけの動きでも十分だという。仕事の合間やテレビを見ながらなど、いつでもできる体操だが、ヨガの基本である呼吸を意識して行えば自律神経を整えられる。
今回は、4番目から6番目までのポーズを紹介する。どのポーズも、始まりと終わりには必ず「合掌」のポーズが付く。「気をつけ」の姿勢で、両手のひらを胸の前で合わせるのが合掌のポーズだ。
〔4〕両腕を横に伸ばした英雄のポーズ
合掌から右足を外に開いて両手を横に伸ばし、右膝を曲げた状態で3回呼吸。合掌に戻り、左側も同様に行う。
〔5〕上を向いた英雄のポーズ
合掌から右足を外に開き、両手を頭上に上げて体を右向きにする。右膝を曲げた状態で3回呼吸。合掌に戻り、左側も同様に行う。「首、肩、腰のコリに効きます」(ケン・ハラクマさん)
〔6〕体側を伸ばすポーズ
合掌から大きく右足を開いて手を横に伸ばす。右の肘は右の腿、左手を左腰に置いて3回呼吸。合掌に戻り、左側も同様に行う。「足のむくみを楽にして、ウエストやお尻を細くする効果もあります」。
次回は7-10番目を紹介。全ポーズを動画で見たい人はDVDが販売されているほか、YouTubeで「ケン・ハラクマのラジヨガ体操」動画が公開されている。 (松本佳代子)
■ケン・ハラクマ 日本人初のアシュタンガヨガ正式指導資格者。ヨガスタジオのIYCインターナショナルヨガセンター主宰。
テレビ、ネットでは、新しい健康知識が次から次へと提唱される。結局、何が本当にカラダにいいことなのか、分からなくなることはないだろうか?
『カラダの悩みは食べ方で99%解決する クスリに頼らない食事術』(川端理香/ゴルフダイジェスト社)は、管理栄養士であり、スポーツ栄養学の第一人者として、様々なアスリートの食事指導を行う著者の「ブームに流されることなく、自分のカラダに合った食べ方を見つけるため」「正しい栄養知識」を持ってほしいという熱い想いから生まれた一冊だ。
栄養ドリンクの飲み過ぎは逆効果!?
「疲れた時は栄養ドリンク」が習慣化している方にも、注意してもらいたいことがある。栄養ドリンクに含まれているカフェインは、とり過ぎると肝臓に負担がかかり、疲労回復どころか、よりカラダを疲れさせてしまう場合があるのだ。原因不明のだるさ、慢性疲労にお困りの方は、栄養ドリンクよりも食事で改善した方がベスト。
食べ過ぎをやめ、脂っこいものを多く食べないようにし、「タンパク質」「ビタミンB1」(豚肉、ウナギ、レバー、ゴマ)、「ビタミンB2」(納豆、牛乳)、「タウリン」(イカ、タコ)これらの栄養を積極的に取り入れていくとよい。
「一度にたくさん」より「こまめに」
料理で言えば八宝菜、杏仁豆腐、クリームシチューなどがおススメ。ただし、これらの栄養素は尿から排泄されてしまうので、「一度にたくさん」ではなく「こまめに」とる方が効果的だ。
このように、本書は「症状別の食べ方」をいくつも掲載している。例えば「膝痛・腰痛・ひじ痛」には、よく言われる「コンドロイチン、グルコサミン」のほかに「ビタミンC」も一緒にとると効果がアップし、免疫力も高まるそう。そのためにお勧めのメニューは「メカブ納豆」「手羽先の煮物」などがいい……と言ったように、具体的な「身体の悩み」とそれを改善するために必要な「栄養」と「メニュー」を教えてくれているので、自分の悩みに合わせて料理を作ることができるようになっている。
個人的に一番気になっている「肩こり」には「水分」と「ビタミンE」を取るといいらしいので、お勧めメニューとして紹介されている「マグロとアボカドのサラダ」をさっそく作ろうと思う。一番驚いたのは「油」への認識だ。油は種類を問わずどんな物でも身体に悪く、あまり摂取しない方がいいと思っていたのだが、必ずしも油は「不健康」なものではないそうだ。詳細は本書を手に取って、ぜひ読んでみてほしいと思う。.
本書で正しい栄養知識を身に付ければ、「自分には何が本当に必要なのか」を判断できるようになる。そして、日ごろのちょっとした食べ方の「見直し」で「クスリ要らず」のカラダになれる。一時の健康ブームに踊らされるより、正しい栄養知識を身に付けることが、本当の「健康」に近づく第一歩になることを、本書で実感してみてはいかがだろうか?
今回は、先日行われたミズノのウオーキングイベントで参加者から出た質問をQ&A形式で紹介する。いずれも、ウオーキングを始めようという初心者にありがちな悩みだ。イベントに登場した早稲田大学スポーツ科学科の川上泰雄教授が回答してくれた。
Q1:昨年まで着ていたスーツが着られなくなった。運動しなくては、と思うのだが、マンション2階の自宅までエレベーターを使っている。
A1:疲れているときも、なるべく階段を使うようにしましょう。階段の上りはエネルギー消費が大きいからです。例えば、電車の乗り換えで階段を50段上ると脂肪1グラムを消費します。これを積み重ねれば、バカにできないほどの運動になります。自宅、駅、会社など、毎日過ごす場所ではなるべく階段を利用しましょう。
Q2:酒の後のラーメンが止められません。
A2:その分、ウオーキングで消費しましょう。ポイントは普段よりプラス5センチの歩幅の大股で歩くことです。大股で歩くと、普通の歩き方では使わない腰回りや足回りの筋肉を使うようになります。腕を振るようにすると足も付いてきます。スピードも、普段歩くときよりは早めを意識します。
Q3:ダイエットのため、普段は自転車を使って移動しています。
A3:自転車はウオーキングよりもエネルギー消費が少ないので、自転車に乗っている時間をウオーキングに変えてみましょう。1日の中で一番長い運動は、歩く時間です。その時間を積極的に使いましょう。5分間でも空き時間を見つけて、それを繰り返し、ウオーキングの時間を蓄積します。1日のトータルで長い時間を確保できればOKです。マメに行うのがポイントです。
不思議なことに、運動をすれば食欲もある程度抑えられます。食事はゆっくり、よく噛んで食べると少量でも満腹感が得られます。野菜を積極的に食べるなど栄養のバランスを取って、内側もキレイにしましょう。
川上さんは「世の中はとても便利ですが、なるべく歩いて、階段も使うようにしましょう」と語る。日常生活にウオーキングを取り入れることで生活習慣が改善し、健康な体を手に入れることができるのだ。
朗読やボイストレーニングを実践する老若男女向けカルチャースクール「むさしの芝居塾」塾長で女優の針谷理繪子さんから、若々しい印象で人と会話するための「発声トレーニング」法を教わってきた。8回目の今回が最終回。前回の「滑舌」で出てきた「だぞざどどざぞだ」の難易度を上げた練習だ。
やり方は、以前紹介した「正しい立ち方」をしたうえで、「だぞざどどざぞだ」と言いながら手の振りをつけるというもの。
まずは、片手ずつ行う。「だぞ」(=手は上)、「ざど」(=水平に)、「どざ」(=下に)、「ぞだ」(=肩に)の4つの動きを3連続で行う。そして右手だけ、または左手だけができるようになったら、両手で行う=写真(1)。体を動かしながらの発声なので、言葉に集中した前回よりグンと難しいはずだ。
両手ができるようになったら、今度は左右の手の動きを1拍ずつずらす。まずは左手を「上→水平→下→肩→」、右手を1拍遅らせて「肩→上→水平→下→」とする=同(2)。これが3連続でできたら、今度は右手を先にして、左手を1拍遅らせる。最初はゆっくりでいいが、手の動きを覚えたら徐々にアップテンポにしていこう。
「とても難しいので『チャレンジメニュー』としての位置付けですが、脳トレゲームとしても効果があります。成功すると達成感が得られ、気分もあがりますよ」と針谷さん。
頭も声も衰え知らずで、ずっと若々しい印象を保とう。
朗読やボイストレーニングを実践する老若男女向けカルチャースクール「むさしの芝居塾」塾長で女優の針谷理繪子さんから、若さや元気さを印象づけられる話し方を教わっている。今回は、「滑舌」の練習だ。
発声する言葉は(1)「ぱらぴりぷるぺれぽろ」(2)「でぜでぜでぜ」「どぞどぞどぞ」(3)「だらどろでれ」「れでろどらだ」(4)「だぞざどどざぞだ」。それぞれを一息で、できるだけハッキリ、早口で3回連続発音する。(1)で表記すると「ぱらぴりぷるぺれぽろぱらぴりぷるぺれぽろぱらぴりぷるぺれぽろ」となる。
「これまでの練習は、みんなができることでしたが、今回からはすぐにできない人もいる『頑張りメニュー』になります。(1)『ラ行』と『破裂音』の練習(2)『濁音』(3)『ラ行』と『濁音』の練習(4)『濁音』の中でも難易度が高い音の並びです。日本人はラ行が苦手な人が多く、ラ行は濁音とセットで苦手なことが多いので、その練習です」
(2)の「でぜでぜでぜ」「どぞどぞどぞ」はよく見ると「でぜ」や「どぞ」が3個ずつつながっている。これを3回ずつ連続するので、「でぜ」や「どぞ」を9個ずつ発音するのかと思いきや、これが違う。
「『でぜで・ぜでぜ』『どぞど・ぞどぞ』と3音ずつの塊だと思いながら発音します。そのほうが難しいので頑張りましょう。苦手な文字列は最初の1回を言うので精一杯でしょうが、練習すれば3個つなげられるようになり、次には3連続を3回できるようになります。
毎日3回ずつやれば、5日くらいで言えるようになります。声帯と横隔膜は筋肉なので、この練習をすることで筋トレになり、結果として滑舌がよくなるだけでなく、声も大きくなります」
次回はいよいよ最終回。(4)の文字に振り付けをする。
■100人に1人……もし身近な人が統合失調症と診断されたら
統合失調症は代表的な心の病気のひとつですが、日常的にはあまりなじみがないかもしれません。
しかし、この病気の発症率は人口の約1%。100人に1人は統合失調症を発症すると考えられるので、思っているよりも身近にこの病気を持つ方がいらっしゃる人は少なくないかもしれません。そしてこの病気は誤解されがちな面もあるのも事実です。この病気をしっかり理解している人もそれほど多くはないのではないでしょうか。
そのため、統合失調症を発症された方が身近にいる際、どのように接したらいいかわからない場合もあるでしょう。場合によっては知らず知らずに、相手の気持ちを傷つけてしまうこともあるかもしれません。そこで統合失調症を持つ方に対する接し方のポイントを、その理由とともに分かりやすく解説します。
■そもそも統合失調症とは? まずは病気を正しく知ることが大切!
統合失調症に限らず、一般に何かの病気を持つ方に接する際に戸惑うようなことがあるとすれば、その病気がどんな病気なのか、よく理解できていないことが多いと思います。また、その病気の何となくのイメージに戸惑う場合もあるかもしれません。
特に「心の病気」というとつかみどころがない病気のように感じられる人がいるのかもしれませんが、心といっても、一般には脳内の医学的問題が原因となる病気です。
統合失調症はその発症時には幻覚や妄想が現れ、現実と非現実の境を見失ったような状態になります。まわりの人は、こうした精神症状を当人の生活態度や人間性と結び付けてしまうかもしれません。しかし、統合失調症もまた、他の心の病気と同じく、脳内の問題が原因となって起こっているに過ぎません。具体的には脳内神経伝達物質が適切に機能していないといったことが原因です。
言い換えれば、それまでどんな生活をしてきた人でも、あるいはどんな人間性の方であっても、脳内神経伝達物質が適切に機能しなくなれば、この病気を発症する可能性がある、ということです。これは一般的な身体疾患、たとえば糖尿病が血糖値をコントロールする内分泌ホルモンに関連する問題が原因で発症するのと同じことと言えると思います。
したがって、統合失調症の患者さんに対する接し方は基本的に他の身体の病気の患者さんに対する時と同様です。相手に優しい気持ちや同情が伝われば充分OKです。また、この病気に関しては、患者さん自身、まわりの人のなかには、自分の病気をよく分かっていない人もいることは、よく分かるものです。実際の状況では、相手の病気をよく理解していることが相手にはっきり伝わるような接し方も相手をより励ますことになるでしょう。
■どんな言葉や態度が相手の心を傷つけてしまうのか?
統合失調症を発症された方に接する際、言葉や態度が知らず知らずのうちに相手の心を傷つけている可能性があります。そうなってしまう原因の多くは、病気に対する誤解にあるのではないかと思います。
実際、統合失調症の症状にはまわりの人が誤解しやすい内容もあります。特にその傾向が強くなるのが、陰性症状と呼ばれる症状のときです。
「陰性症状」とは、簡単に言うと、日常生活を構成する通常の精神活動や身体活動の一部が失われてしまう状態。具体的な状態にはかなりの個人差がありますが、例えばひとつひとつの動作がスローになってしまうことなども陰性症状の1つです。
こうした症状はまわりの人だけでなく、患者さん自身も病気の症状だと認識できていないことが少なくありません。そして、こうした症状に対して患者さん自身が対処できる余地はほとんどありません。しかし、まわりの人から見ると、本人の気持ちで対処できる問題だと思われてしまうようです。動作がスローなのを見て、「のろのろしないで」といった言葉が出てしまうと、相手の心を傷つけてしまう可能性もあります。
また、この病気をからかうような言葉も絶対に避けるべきです。患者さん自身も、身近な人の口からもしそのような言葉が出て傷ついてしまったのなら、相手の誤解を正すためにも、そうした言葉がどんなに心が傷つくのか、相手にはっきり言っておいた方が良い場合も多いと思います。
■「死にたい」という言葉が出たら要注意
統合失調症において、死にたい気持ちはさまざまな要因からしばしば現われる可能性があります。
統合失調症は妄想や幻覚といった精神病様症状だけでなく、気分や感情にも問題が現われることがあります。現われる時期は個人差がかなりあり、病気の発症前に予兆のように現れることもあれば、病気の最中に現われることもあります。あるいは治療によって、妄想や幻覚が落ち着いたあとに気分や感情の問題が目立ってくることもあります。その際は、うつ病のレベルになることも少なくなく、死にたい気持ちも生じやすくなります。
場合によっては精神病様症状が直接的に自殺の引き金になってしまう可能性もあります。たとえば自殺をうながす幻聴が現われて、それが自殺につながることも、病状によっては起こり得ることです。
また、この病気から回復するということは、見失っていた現実と非現実の区別を取り戻すことになります。この病気の発症は一般に10代後半から20代のいわゆる青春時代です。治療を通じて現実検討力を取り戻していくと、この時期に、この病気になってしまった自分には、それまで思い描いていたような人生を送れないのではいか……といった絶望感が過剰に強まってしいまうことがあり、それが自殺願望につながるリスクもあります。
このように統合失調症の患者さんはさまざまな要因から、死にたい気持ちが生じる可能性があるのです。この病気における自殺のリスクはおよそ10%近くもあります。もしこの病気を持つ方の口から、「死にたい」といった言葉が出れば、それは深刻な事態です。決して軽く聞き流さず、迅速に適切な対処を取りたいところです。
以上、心の病気を持つ方への接し方として、統合失調症の方の場合を取り上げました。もしまわりにこの病気を持つ方がいらっしゃる方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
たとえば、風邪の場合、のどの痛みや鼻水などの初期症状から、発熱などのピークを迎えて、症状が落ちつきます。統合失調症の場合も同様に、期間によって現れる症状に特徴があります。期間の分類方法に明確な基準はありませんが、ここでは前兆期、急性期、休息期、回復期、安定期と5つに分けて、それぞれの期間にどのような症状が見られるか解説します。
なんとなく変だなと感じる前兆期
前兆期は、不眠、食欲不振、不安感、焦燥感、集中力の低下など、うつ病や不安障害に似た症状が見られます。統合失調症の治療は、発症から治療までが早いほど、よりよく回復することが分かっています。この時期に、早めに精神科医に相談することをおすすめします。
妄想や幻覚などが現れる急性期
急性期は、統合失調症の中でも陽性症状に分類される幻覚や妄想などの症状が現れます。患者さん本人にとっては、幻覚や妄想が真実のように感じられ、それに従った行動を見せることもあります。十分な投薬治療を行うことが大切です。あわせて、家族を含めて治療に専念できる環境づくりをしましょう。幻覚や妄想の症状がひどく、他人や自分を傷つける恐れがある場合は入院による治療も検討します。
エネルギーが低下する休息期
休息期は、幻覚や妄想の症状は落ち着きますが、意欲の低下が見られます。引きこもりがちになったり、一日中寝てばかりになることもあります。引き続き適切な投薬治療を行うことで、急性期に戻ることを防ぎます。
少しずつ元気を取り戻す回復期
回復期は、今まで出ていた症状が落ち着き、元気を取り戻し始めます。再発防止のためにも、引き続き投薬治療を行います。周囲から見ると、病気が治ったように見えますが、元の生活に戻ることを焦らず、社会復帰のための準備などを進めましょう。この時期に入っても引き続き十分な休息と心の平穏を保つことが重要です。
症状が安定し始める安定期
安定期、比較的症状が安定している状態ですが、この状態になっても投薬治療は続けます。統合失調症を発症する前のような状態に戻る方もいれば、一部症状が残ることもあります。その際には症状が完全に無くなることを目指すのではなく、症状のさらなる悪化を予防して、日常生活能力を保持していくことに治療の主眼をおく場合もあります。
統合失調症の予後
統合失調症の症状の現れ方は個人差があり、ここで解説したとおりの経過をたどらないこともあります。そのため、予後(病気を発症した後、どのような経過をたどるかの見通し)も人によって異なります。共通して言えることは、様子を見ようと放置せずに早期に治療を開始することが、予後を良好に保つうえで非常に大切なポイントです。
統合失調症は再発しやすい病気です。回復期や安定期に入って症状が落ち着いたからといって、自身で判断し、薬をやめてしまうと再発リスクが上がります。抗精神病薬は再発防止の点からも、ドクターの指示に従って余裕をもった服用期間が必要です。
統合失調症の方が、病気を発症してから病気の経過を長期にわたって調べた結果によれば、半数の方が社会生活に支障のない程度まで回復しています。新薬の開発や医療プログラムの充実によって、今後はこの数が増えていくと考えられています。
このコーナーでは、超初心者向けにランニングの基礎をお伝えしている。前回の「5キロを走れるようになる」までを実践したら、ひと通り走れるようになるだろう。そこで今回は、ずっと快適に走り続けるために、「ケガしないためのストレッチ」を紹介する。
教えてくれるのは元世界選手権出場選手で、現在はランニングアドバイザーとして活躍する市河麻由美さん。ストレッチ法は以下の4種類だ。
まずは「ももの裏、ふくらはぎ」のストレッチ。(1)椅子など高さのある台に、かかとを乗せる(2)膝を曲げてもいいので、背筋を伸ばして前屈する=写真〔1〕。
「前屈の際、背中を丸めたり、頭を倒さないように注意しましょう。膝をしっかりと伸ばして、つま先を体の方に倒すと、ふくらはぎと膝裏も伸ばせます」
2つめは「足の付け根、前もも」のストレッチ。(1)手足をそろえ、「気を付け」の状態から片脚を前に出し、膝と股関節を90度に保つ(2)頭は真上に引っ張られるように、お尻は真下に押し付けるようにする=同〔2〕。
「腰を反らさず、おなかの力も抜かないように気をつけます。また、膝がつま先より前に出ないように注意しましょう」
3つめは「背中」のストレッチ。(1)肩幅に足を開き、肘を曲げた状態で両手を組む。このとき、手のひらは内側に向ける(2)膝を曲げながら背中を丸めて、自分のヘソを見る=同〔3〕。
「このとき、右手と左手を引っ張り合うように外に開くと、肩甲骨が開きます」
最後は「肩」のストレッチ。(1)壁の近くに立ち、肘を上げて90度の角度にして、手のひらから肘を壁に付ける(2)肘を壁に押し付けるようにして体重を前へ移動すると、胸が開く=同〔4〕。
「いずれも息を吐きながら、20秒間くらい行います。痛くなるまでムリをせず、気持ちがいいと思える程度でとどめます」
これらをランニングの前後に行うことで、ケガを予防できるはずだ。
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ランニング初心者向けに「基礎の基礎」をお伝えしている。今回は「5キロを走れるようになる方法」だ。
教えてくれるのは元世界選手権出場選手で、現在ランニングアドバイザーとして活躍する市河麻由美さん。今回のトレーニング法を実践すれば、誰でも5キロ走れるようになるという。
「まずは距離に関係なく30分間動き続けることから始めます。人と話ができるくらいのゆっくりのジョギングで、そのペースなら脂肪燃焼効果も高く、無理せずに続けられます。万が一、苦しくなったら歩きます。
しばらく歩いて元気が戻ったら、ゆっくりのジョギングを再開。これを30分間続けます。25分間ウオーキングして最後の5分間だけ走るのでも十分です。走る時間を徐々に増やしていけば、いずれ30分間走り続けられるようになります」(市河さん)
30分間走ることができたら、時間を少しずつ増やし、40分、50分と走れるようにしていく。
「5キロという距離は、歩いても1時間から1時間10分です。ゆっくり走ったとしたら、50分で済むでしょう。つまり、走る時間を50分に増やしたら、5キロを走れてしまうのです」
これをさらに継続して時間を長くしていけば、10キロマラソンやハーフマラソンの大会に出場することも夢ではなくなる。
「マラソンに必要な持久力は、すぐに備えられるものではありません。練習をコツコツ続けることが大切です。ランニングは週に2-3回が理想といわれますが、難しければ週に1回でもかまいません。続ければ走れるようになります」
長く続けるにはモチベーションも大切。市河さんのおすすめは「練習日誌」を書くことだ。「日時と走った時間、体調や気分、体重などを記録するだけで、続ける気力がわいてきますよ」
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これからランニングをしたい人、なんとなく思い立ったときにランニングをしてはいるけれど、そんなに走れない人に、基礎の基礎からランニングを学んでもらう。今
回は、前回の「腰の高い走り」に続いて“理想的なランニングのフォーム”2つめのポイント。ランニングの手引書によく出てくる「腕ふり」について。引き続き、元世界選手権出場選手で現在はランニングアドバイザーとして活躍する市河麻由美さんに教えてもらおう。
「『腕ふり』は、力みが入ったり、脇が開いたり、ランナーの癖が出やすい動作です。腕を振ろうと意識すると、つい目に見える体の前の方に向かって一生懸命に振りたくなりますが、実は前方への腕ふりは体力をロスするだけ。正しい腕の振り方は、肩甲骨を意識しながら後ろへ引くだけです」
やり方は簡単だ。肘の角度は90度くらいに開き、脇はできるだけ締めた状態で、後ろへグッと引く。そうすると腕は自然に前に戻ってくる。前に振ろうと意識する必要はない。
「手のひらは力を入れて握らず、生卵を持つようなイメージで軽く握りましょう。そうすると、上半身がリラックスして肩に力が入るのを防げます」(市河さん)
正しく腕を振れば、安定したフォームで走れるようになり、下半身と連動して体全体を使った効率的な走り方ができるという。次回は、「前傾姿勢」について。
初心者向けランニング練習法の2回目は「正しいフォーム」について。元世界選手権出場選手で、現在はランニングアドバイザーとして活躍する市河麻由美さんから教わる。
正しいフォームとはずばり、「腰の高い走り」のこと。「腰の高い」という表現は、ランニングの入門書にもよく使われる言葉だ。
初心者のランナーに一番多いのは、腰が落ちて背中が丸まって走っている姿。この走り方は、単にカッコ悪いだけではない。
「この走り方は足への負担が大きく、スピードも出ません。正しいフォームをマスターすれば、ケガも少なく、運動効率もよくなり、走力がアップします。理想的なフォームの『腰の高い走り』になるには、ちょっとしたコツを意識するだけ。せっかく走り始めるのなら、ぜひ正しいフォームを覚えてから始めてください」(市河さん)
そのコツとは「おなかを意識すること」だ。
やり方は「ズボンのチャックを閉じるようなイメージで、おへその位置を少し上げてみてください。下腹部から胸の下までキュッと力が入ります。こうすることで自然と骨盤の位置が安定し、腰の高い走りができるようになります」(市河さん)。
やってみると、無意識のまま走っているときに比べて、体が前後左右にブレずにシャキッと走れているのが実感できるはず。これが安定した走り方の始まりだ。
自分でフォームをチェックするのは難しく思えるが、街中にあるビルやマンション入り口のガラスに写った姿を見れば一目瞭然。満足のいく正しいフォームになるまで、トライしてみよう。
次回は、「うでふり」の方法を学ぶ。
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▽子育て中で勤務時間のご希望があるお医者さま
28日には「東京マラソン」が開催される。この大イベントに刺激を受けて、いずれは出場してみたい、せめて申し込んでみたいと思う人も多いだろう。そこで、超初心者から始めるランニングのトレーニングをこれから数回にわたって紹介しよう。
今回のコーチは元世界選手権出場選手で、現在はランニングアドバイザーとして活躍する市河麻由美さん。昨年秋の当欄で、ランニングのためのピラティスを教えてくれた人だ。
市河さんは「最初は400メートルも走れなかった人が、練習するうちにランニングにハマってしまい、フルマラソンを走るほどに成長することも少なくありません。『体力がないから走れるか不安』とか『走り方が分からない』という人も、正しい知識を持てば誰でも走れるようになります」と力強くアドバイスしてくれた。
というわけで、まずはトレーニングに必要なものを紹介。そろえておきたいのは、以下のアイテムだ。
(1)シューズ(2)ランニング用の時計(心拍計やGPS付きのものもいい)(3)帽子(防寒・日焼け防止)(4)サングラス(紫外線からの保護や集中力アップに)(5)ウエストポーチ(ドリンクを入れて、こまめに水分補給する)(6)防寒具(手袋、ネックウォーマー、レッグウォーマーなど)。
「シューズは自分の足に合ったものを選ばないと、ケガにつながります。初心者は底が厚めでクッション性の高いシューズがおすすめです。着地による衝撃をやわらげてくれます。お店では、購入前に試し履きをしましょう。履くときには、つま先ではなく、かかとを床にトントンとたたいて、指が動かせるくらいのスペースが必要です。しっかり靴紐を結び、数メートル歩いたり、ジャンプしたりして、フィット感のある靴を選んでください」(市河さん)
シューズはランニングのカナメだ。慎重に時間をかけて選ぼう。
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※Dr.転職なび 医師の転職情報サイト
▽子育て中で勤務時間のご希望があるお医者さま
「Gボール」を使ったトレーニング方法を日本Gボール協会(http://www.g-ball.jp/)の認定インストラクター、吉田望さん(http://www.nozomiyoshida.com)から教えてもらっている。今回から2週にわたって紹介するのはストレッチの方法だ。
今週は、椅子に長時間座り続けたときに効くストレッチを2つ。まずは「胸のストレッチ」だ。
Gボールの真ん中に座り、手をボールの後ろについて足を前に出し、尻から背中にボールを当てながら少しずつ転がしていく。首をボールに委ねる位置まできたら、手を大きく横に広げる=写真(1)。
あらかじめヨガマットを敷いておくと、滑るのを防げる。マットの半分の位置よりも後ろにボールを置いてストレッチを始めるのがコツだ。
「この運動だけでも胸が広がって気持ちよくなります。さらに、背中でボールに頼ったまま、膝と腰を曲げた姿勢から膝と腰を伸ばす姿勢に変え、足を曲げたり伸ばしたりすると気持ちよさが増します=同(2)。膝と腰を曲げているときは立っている状態に近く、膝を伸ばすと逆立ちに近くなるので、頭に血が巡って気持ちよくなるのです」
日常生活ではなかなか頭を下向きにはできないが、ボールに頼れば安心して下向きになれる。
次は「肩まわし」。うつぶせの状態から右手を斜め前につき、ボールを横方向に転がしながら右の体側でボールを支える。足は前後に開いて体を支え、左手を下から顔の前を通って上、後ろに大きくゆっくり円を描くように回す=同(3)。
「腕の重さが感じられるくらいゆっくりと回します。関節が引っかかるところは、傷めないようにゆっくり丁寧に回しましょう」(吉田さん)
統合失調症は、かつて精神分裂病と呼ばれていました。 大まかにいって人口の100人に一人程度は発病すると考えられています。計算上、学校の2~3クラスほどに1人はかかる病気です。
最近では統合失調症を抱える人の特徴がわかったり、特定のタンパク質との関係している発表があるなど、今もなお解明中です。
今回はこの統合失調症についてお伝えします。
統合失調症をおさらい!
統合失調症は、精神科疾患の一つの症状です。幻覚や妄想、あるいは自閉傾向や認知の障害などが挙げられます。
具体的には、以下のようなことを感じます。
・誰かに見張られている
・周囲の人に嫌がらせをされる、全く知らない人にまで自分の個人的な情報が知られている、といった被害妄想
・本来はそこに存在しない人の声が聞こえる
また、身体の一部に違和感を感じることから「誰かから見えない電波などで攻撃されている」と妄想することもあります。
統合失調症の原因やきっかけは…?
統合失調症は、抱えている本人にとって非常につらい症状もあります。しかし、原因や発症の仕組みは今のところはっきりしていません。そもそも一つの病気ではなく症候群として扱うべきではないか、という意見もあるほどです。
遺伝情報が同じ一卵性の双子でも一人は発症し、もう一人は発症しないケースも半分程度あります。このことから遺伝のみで発症するものではないと知られています。さらに、お母さんが統合失調症を持っている場合でも、子どもが統合失調症を発症する可能性は1割に過ぎないこともわかっています。
統合失調症の多くは30代までに発症します。
発症するときには何らかの心理的な負担がかかっている場合も多いようですが、必ずしもその限りではありません。
また、統合失調症と診断されている方々の中でも、病気の軽い・重いはもちろん、症状や経過も千差万別で一概に「これが原因」と言えない点が多いです。
解明されはじめた統合失調症
最近では、統合失調症を解明する発表がニュースでも取り上げられています。
発症の原因ははっきりしてはいないものの「脳内のホルモンバランスがこれらの多彩な症状の原因ではないか」という説が有力視されています。それに基づいて脳内ホルモンを調節する薬が次々に開発され、目覚ましい効果を上げています。
また、大阪大学のチームが「統合失調症患者では左脳深部における淡蒼球(たんそうきゅう)、と呼ばれる部分の体積が右脳側より大きい」という研究結果を発表して、注目を集めています。
淡蒼球は運動機能のほか、統合失調症の方が障害されやすいとされる『意欲』にもかかわっている領域です。
以前から統合失調症の患者さんでは淡蒼球が大きくなっているということは言われていたことから、この部分の病気への関与に一層期待が持てますね。この発表は今後、非常に謎の多い統合失調症の原因解明やより画期的な治療法の開発の一助となるのではないでしょうか。
【医師からのアドバイス】
これからも、新しいお薬や治療法の開発によりその割合はますます増えていくでしょう。 色々な病気が医学の力によって過去のものとなりつつある今、統合失調症に悩む方々やご家族にも明るいニュースが届いてほしいものです。
脱・生活習慣病のために厚生労働省が定めた「1週間に23メッツ(メッツは運動の単位)」の「身体活動」を、全部スポーツでこなすとすると、いかにもスポーツ一辺倒の生活になりそうだ。
そこで、同じ活動を日常生活の中でこなしてしまおうというのが「コソトレ(こっそりトレーニング)」。普通の速度で1時間歩くと3メッツ、早歩きならば3・8メッツ。通勤や営業の外回りなどをそれにあてると、意外に簡単に23メッツをこなせそうだ。
「ただし…」と注意を促すのは、ミズノのグローバルフットウエアプロダクト本部、山本仁さん。
「健康に良いのは継続すること。1回だけたくさんやるのではなく、週に2-3回のコソトレを2-3カ月続けてみてください」
急激な運動は体の負担も大きい。たとえば足にかかる衝撃は、ランニングは体重の3倍、ウオーキングでも1・3倍から1・5倍という。
硬いアスファルトの上を歩くと衝撃が100%返ってくるので、衝撃を吸収しない靴は足首や膝、腰を直撃する。健康のために歩き始めたはずなのに、逆に健康を阻害しないように、耐衝撃性のある靴を選びたい。
「ウオーキングをすると、心臓から出た血液は膝くらいまで届きます。さらに、歩きながら靴の中で地面をつかむような感じで足の指を“グーパー”すると、指先まで血が届きます」(山本さん)
全身の血行不良も改善するというから、ウオーキング時のグーパーは実践したい。そのためには、靴の中できちんと指を動かせるようなサイズのウオーキングシューズを選ぶのがポイントだ。
山本さんは「足のサイズは体調などでも変わるので、機会があるごとに測ってください」と、こまめな計測を勧めている。
一般的に、私たちは「健康を維持する」イコール「運動する」と考えがちだ。だが、わざわざ運動せずとも日常の活動量を増やせば、1日の消費カロリーは増える。
周りを見回して、とくに何をやっているわけでもないのにスレンダーな人をよく観察してみると、いい意味で腰が軽く、こまめに動いている人が多い。
厚生労働省では、エネルギーを消費するすべての動作を「身体活動」と呼んでいるが、これはいわゆる「運動」と、日常生活における労働、家事、通勤・通学等の「生活活動」の2つに分けられる。
そして、「身体活動量」を増やせば、生活習慣病の発症やそれらが原因で死亡するリスクを下げられ、高齢者の生活機能低下のリスクも低減し、自立した生活をより長く送ることができるという。
つまり、生活習慣病を防ぐには、運動だけでなく生活活動を増やせばいいのだ。では、どのくらい増やせばいいのだろうか。
厚労省では「強度が3メッツ以上の身体活動を1週間あたり23メッツ時、行う」ことを推奨している。
「メッツ」というのは、運動の強さを表す単位で「METabolic equivalents(代謝当量)」の略。たとえば3メッツなら1週間で7・6時間分、4メッツなら5・8時間分が厚労省の推奨運動時間だ。
3メッツの活動は、普通の速さの歩行、職場で物を回収しながら歩く、犬の散歩、一般的な釣り、洗車や窓ふき、打ちっぱなしゴルフ、ややきつい掃除機がけなど。
ちなみに、犬のシャンプーや階段の昇降は3・5メッツ、浴室磨き、早歩きは3・8メッツ、草むしり、自転車に乗る、屋根の雪下ろしは4メッツという。休日の家事手伝いを、健康につなげられそうだ。
2020年の東京五輪の開催が決定した。7年後、東京に聖火が灯されるのを自分の目で直接見たいという希望を胸に抱いた人も多いはず。それには、7年後まで健康で生き続けることが大前提だ。
街の反応はどうだろう。年配客も多く訪れる東京・上野の老舗スポーツ店の社長は「まだ五輪効果が出ているとは思えないけれど、今年は去年に比べてお客さんが多い」と言う。最近のスポーツ志向の高まりに五輪効果が加わり、今後、健康・長寿を意識する人が増えることは間違いない。
では、どうすれば元気に五輪を迎えられるだろうか。
厚生労働省の発表では日本人の平均寿命は男性で79・9歳、女性で86・4歳。だが、日常的に介護を必要とせず、自立した生活ができる期間-いわゆる「健康寿命」は男性で70・4歳、女性で73・6歳となっている。
男女とも、死ぬ前の約10年もの間、支援や介護が必要ということだ。
同じく厚労省の調査で、日常生活に介護が必要な人の直接の原因となった病気は、多い順に脳卒中が24・1%、認知症20・5%、高齢による衰弱・老衰13・1%、骨折・転倒9・3%、関節疾患7・4%。以下、パーキンソン病、心臓病、糖尿病、呼吸器疾患、がんと続く。
脳卒中の原因の多くは、高血圧、高脂血症、糖尿病、心臓病、高尿酸血症と言われる。いわゆる生活習慣病だ。また、4位の骨折・転倒は、交通事故など外部的な要因もあるだろうが、多くは日常生活で転ぶことなどによる。
これは明らかな筋力不足だ。いずれも、自分の意思と努力で防止できるはず。そのためのトレーニングについて、これから考えていきたい。
「成人は約60兆個の細胞でできていて、日々入れ替わります。それが『代謝』で、加齢とともに代謝の速度は落ちます。速度を持続できると健康体でいられます」
「日本ダイエットコーチング協会」((電)03・5422・7628)代表理事の佐藤笑梨菜(えりな)さんからこれまで聞いてきた話は、すべて代謝を上げることが目的だ。
自分の生活の中で、こまめに時間を見つけて呼吸法やストレッチを続けることを佐藤さんは勧める。「お風呂に入る前、歯磨き中、仕事の合間、朝起きる前など、できる時間は意外にあります」
中でも佐藤さんのオススメは、トイレの時間。以下の手順で「腕や大胸筋を鍛えるストレッチ」を行うとよいという。
(1)胸を開いて両手のひらを合わせる。
(2)肘を張って手のひらを押し合う。
(3)呼吸は止めず、ゆっくりと行う。
「やせると胸から筋肉が落ちてしまうので、胸元の力は必要です」
代謝を下げる悪循環のループを作らないことも大切。その1つが夜遅い食事。食事を消化しないうちに就寝すると、朝も胃が重たい。胃に何かが入っている状態では熟睡もできないので頭もすっきりしない。
「残業で遅くなるときは早めに食べるか、消化の良い物を軽く食べて寝るようにしてください」
消化にかかる時間は、肉や魚などのタンパク質や炭水化物は4~5時間。たとえば豆腐は口当たりがいいが、成分はタンパク質なので消化に時間がかかる。肉を噛まずに丸飲みすると消化には8時間もかかるという。一方、果物は20分で消化され、野菜も胃に負担をかけない。
「寝るときに少し空腹感があっても、朝に何を食べようかと考えながら寝てしまえば、スッキリと目覚めもいいはずです」(佐藤さん)
「健康的に理想体型になる生活習慣があります」
日本ダイエットコーチング協会((電)03・5422・7628)代表理事の佐藤笑梨菜(えりな)さんは耳寄りな話を教えてくれた。以下の生活習慣が代謝を上げ、健康的なダイエットにつながるという。
(1)夜型は代謝が下がるので、午後11時までには寝て朝型に変える
「時間通りに寝るには、寝ると決めた30分前から寝る支度を始めます。今まで夜中の2時に寝ていた人がいきなり11時就寝は無理なので、30分早く寝るようにします。寝られたらさらに30分繰り上げ、11時にまで早めます」
(2)水を1日2リットル飲む
「20~30分おきに2~3口ずつ飲みます。こうすると水が体を回って老廃物を出します。一度にグビグビと大量に飲むと、体を回らずにすぐに排出されてしまいます」。
足がむくむから水を控えている人もいるが、むしろ逆。代謝が悪くてため込んだものがむくみなので、水で洗い流そう。
(3)インナーマッスルを鍛える呼吸法を1日30秒ずつ3セット行う
「きついパンツをはいた時のようにおなかをへこませたまま鼻から息を思いっきり吸い、お尻をキュっと締める。その状態をキープしたまま鼻から息を吐きます。最初はおなかが戻ってしまうので、両腕でおなかを押さえます」
息を吐くときに、おなかの奥の方がプルプルしてきたら腹筋を使っている証拠。最初は苦しいが、信号待ちや電車待ちの時にも行える手軽な運動だ。回数を重ねるうちに、手で押さえなくてもおなかがへこむようになる。
先週紹介した毎日の食事記録に、今回の3つを足してみよう。
野菜は旬のものが一番!これはよく聞くけれど、なんで旬のものがいいのか深く考えたことありますか?
旬はその食材が一番多く収穫できる時期で、かつ、もっともおいしくなる時期と考えられているけれど、ホントのところはどうなのでしょう。
実は、旬の野菜と季節外れの野菜の栄養価についての調査が行われていたんです。
関東地方のスーパーマーケットやデパートの店頭に並ぶ野菜のなかから、毎月同じ野菜を一年間購入し続け、栄養分の含有量を測ったそう。
野菜は男爵イモ、カボチャ、キャベツ、サヤインゲン、セロリ、トマト、ニンジン、ピーマン、ブロッコリー、ホウレン草の10種類。
●変化のなかった栄養
全体を通して、ミネラルや水分量はあまり変動がなかったとか。ただし、冬が旬の野菜は、夏物になると水分が増える傾向にあったそう。
●変化した栄養
カロテンとビタミンCは大きな変動が見られたとか。例えば、ニンジンとトマトのカロテン含有量は、最も低い月が最も高い月の半分以下。ブロッコリーでは、約3分の1まで減少。
また、ジャガイモのビタミンC含有量は、最高月が38mg/100g、最低月が8mg/100gと激減。冬が旬のホウレン草も夏物では3分の1に、ブロッコリーでは約半分に減ったとのこと。
ちなみに、ハウス栽培の多いピーマンは露地物と比較して、輸入品が多いカボチャは国産と比較して、ミネラルもビタミン類もあまり変動が無かったんです。
研究者らは、旬か季節外れかどうかだけじゃなく、ハウス野菜と露地野菜、国産野菜と輸入野菜の栄養価の違いについても、引き続き調査を拡大していきたいと意欲的。
とはいえ、体にとっては、夏が旬の野菜は体を冷やす傾向に、冬が旬の野菜は体を温める傾向にあります。旬の野菜を食べることは、理にかなっているということですね。
これまでストレッチ、ウオーキング、ランニング、富士登山といったテーマで、専門家からやり方を教えてもらったが、その前に大切なのが「動ける体」をつくること。
これから迎える食欲の秋を前に、専門家からダイエットの話を聞く。
日本ダイエットコーチング協会((電)03・3622・7020)代表理事の佐藤笑梨菜(えりな)さんは、「人はみんな、その体になった習慣を持っています。
自分の今の体に満足できないなら、習慣を正さなければなりません」と言う。
「『昼食はカロリー栄養食やゼリー飲料しか食べていないのに太る』という方がいます。でも、その分、夕飯にがっつり食べていたりします。
もし痩せたいのなら昼はたくさん食べてもいいから、代わりに夕飯は少し、夜はランニングをするなどのほうが効果的です」
また、健康にいいとされる野菜ジュースは糖分が高く、熱中症予防に奨励されているスポーツ飲料も意外に高カロリーという盲点がある。
そこで、まずやることは毎日食べたものをノートにメモして、体重と体脂肪を記録することだ。
「毎日書いているうちに、気付きや発見があります。アプリや食べた物の写真で済ますのではなく、きちんとノートに書く時間がダイエットを考える時間になります」
最初に、何のために痩せたくて、どうなりたいのかを具体的に考えることが大事だ。「短期的な目標と、その先の大きな目標を持つといいですね」(佐藤さん)。
短期的な目標としては、秋の子供の運動会や3カ月ぐらい先のランニング大会、職場の温泉旅行など具体的なものがいい。次回からは、具体的な「痩せるための習慣」を教えてもらう。
元世界選手権出場選手で、現在はランニングアドバイザーとして活躍する市河麻由美さんから、マラソンのためのエクササイズ「ピラティス」を教えてもらう。
今回で最終回。ランニングに大切な、中殿(ちゅうでん)筋を鍛える「アブダクション」だ。やり方は以下の通り。
(1)うつぶせになり、両手は重ねておでこの下に置き、両足を閉じる
(2)息を吸って吐きながら両脚をアップする=写真〔1〕
(3)かかとを押すようにしっかりと足首を曲げて、ひざを外向きにする=同〔2〕〔3〕
(3)息を吸って、吐きながら両脚を開き=同〔4〕〔5〕、吸いながら閉じる。これを3-5セット行い、両足を床に戻す。このとき腰を反らさないように注意。腰を痛める原因になる。また、下腹部の力は抜かず、おなかはへこませたままキープすることも大切だ。
「足の裏を真後ろに見せるように足首を曲げると、お尻の横に効いてきます。ここが中殿筋で、前回のもも裏を鍛えるレッグエクステンションとセットでやるとよいでしょう。
ランニングで、ふくらはぎやももの前がいつも疲れるという人はエクステンションを多めに、ひざが内側に入ってしまう人はアブダクションを多めに行うのが理想です」(市河さん)
レッグエクステンションとアブダクションを両方やる場合は、各3セットくらいが目安だ。
アブダクションの後は、腰をゆるめるストレッチを行う。写真〔6〕のように、床の上に座った状態で前に上半身を伸ばして背中側を伸ばす。
初回からの運動は走った後のプラスαとして、または走れない日の筋力トレーニングとして行い、より力強いランニングの体づくりを目指そう。
元世界選手権出場選手で、現在はランニングアドバイザーとして活躍している市河麻由美さんから、マラソンのためのエクササイズ「ピラティス」を習う5回目。今回は「レッグエクステンション」。もも裏や中臀筋を強化する運動だ。手順は以下の通り。
(1)うつぶせになる。両手は重ねて、おでこの下に置き、両足の幅は握りこぶし1個半ほど開ける。
(2)息を吸って準備=写真〔1〕、吐きながら右足を上げて=同〔2〕、吸いながら戻す。これを3-5セット行い、左足も同様に行う。
「足を高く上げるのが目的ではなく、遠くに引っ張られるように、膝やつま先をまっすぐ伸ばして上げるのがポイントです。腰が反らないように、おなかはついたままキープしてください」(市河さん)
寝たときも、初回で教わった「正しい姿勢」で横になることが大切だ。
「ここを鍛えると、走るときにきちんと地面を後ろに蹴って、さらにその反動を前に進む力として使うことができるようになります。きれいで効率の良いフォームで走るために大切な運動です」
このエクササイズが終わったら、腰をゆるめるストレッチを行う。同〔3〕のように正座した状態で前に上半身を伸ばして背中側を伸ばす。正座ができなくても背中が伸ばせれば大丈夫だ。
ストレッチをすることで筋肉の疲労を取り除けるので面倒くさがらずに、ストレッチまでを1セットと考えて続けよう。
世の中には、実に色々な人がいる。僕のような平凡な人間にとってみれば、自分の理解の範疇を超えるほどの病に苦しむ人々の存在は、時に大きな衝撃となる。
自分の無知を恥じるとともに、住む世界は同じはずなのに、目にしている景色が全く違うように感じられる人々と、これまで数人ほど出会ってきた。
10月21日放送の「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ系)で、「誰かが自分をバカにしている…恐怖の幻聴と闘う!」と題した特集が放送された。キャリコネニュースの編集さんに「おう、サンダーバードの再放送ばっか観てねえで、たまにはこういうのも観ろ」と言われ、この放送を観ることにした。(文:松本ミゾレ)
原因は中学時代のいじめ、19歳のころから幻聴に悩まされる
山梨県在住の佐久本庸介さんは現在31歳。一見するとどこにでも居そうなルックスの佐久本さんは、もう10年以上もある病と闘い続けている。その病名は、統合失調症。
統合失調症とは、日本では100人に1人が発症するといわれる精神疾患の一種だ。発症のきっかけは人それぞれ。家庭環境に原因があるというケースもあれば、それ以外の人間関係が起因して発症するケースもあるという。
佐久本さんの場合は、中学時代のいじめが原因となった。元々肌が弱かった佐久本さんはフケが目立つということでいじめの対象となり、クラスメイトの目を気にするようになった。
次第に友達から孤立するようになり、高校生になってからも一人ぼっち。大学に進学後も周囲と上手くなじめず、いわゆる大学デビューにも失敗した。
その後、周りの人がなにか噂話をしているだけで、「自分の悪口を言われているのでは?」と思い込むようになっていった。そして19歳の夏の夜、決定的な出来事が起きる。
一人暮らしをしているアパートで肌のケアをするためのクリームを塗っていると、「今日も塗ってるね」「塗ってる塗ってる」という話し声が聞こえてきた。驚いて中断すると「やめるの?」という声が。もちろん、部屋の中には自分以外誰もいない。
監視の恐怖から引越しをするも幻聴が止まず、やがて入院
佐久本さんはその話し声に聞き覚えがあった。隣の部屋の住人のものとそっくりだったそうだ。この日以降、似たような現象が頻発するようになり、隣の住人の、自分をあざ笑うような声がはっきりと聞こえるようになっていった。
自分はどこかで監視されている思い込んだ佐久本さんは、玄関の覗き窓をテープで塞いだり、盗撮されているのではないかと、部屋中をひっくり返したりするようになった。しかし、幻聴はいつでも、どんなことをしていても聞こえるようになった。
やがて恐怖心から、佐久本さんは引越しを決意した。これで隣の住人から逃れられる……そう思ったのも束の間。今度は家の外や大学の教室にいても声が聞こえるようになった。もちろん、実際には誰も彼を監視していないし、悪口も言っていなかった。
番組によると、日本には現在、統合失調症で通院している患者は79.5万人。入院患者は10万人いるとされる。100人に1人が発症するというだけあって、非常に膨大な数に上っているというのが率直な感想だ。
発症メカニズムは解明していないが、一説には脳内の情報を伝達する神経伝達物質のバランスが崩れることで様々な症状が出ると考えられている。妄想、幻聴、幻覚が発生するのがこの疾患の特長だ。しかし、当人にとってそれは妄想でもなんでもなく、現実のことと認識してしまうのが、この病気の恐ろしいところだ。
佐久本さんの場合、酷い状況になるとひっきりなしに幻聴が聞こえて、とうとう幻覚も見えるようになった。幻聴に反応して独り言もいうようになり、異変に気づいた同級生が両親に連絡。両親の勧めで病院に行き、しばらく入院することとなる。
小説を読んでいる間は幻聴が聞こえないことに気づく
統合失調症の基本的な治療方法は、心理的治療と投薬の2種類がある。投薬治療では向精神薬などで過剰分泌される脳内物質の量を調整し、幻覚や幻聴などの症状を改善していく。
入院時、佐久本さんは絶えず無気力感に襲われていた。これも統合失調症の陰性症状であった。さらに投薬の副作用で手が震えるようになる。しばらくして病状が少し落ち着いたので一旦退院することとなったが、相変わらず幻聴は聞こえ続けた。
再度病院に戻り、今度は2か月の入院生活を送ることとなった。そんな彼に医師が、薬の量を減らすことを提案する。
向精神薬の効き目には個人差があり、量を患者ごとに細かく調節しないと効果が上手く発揮できないというのである。さらに佐久本さんは入院時に、小説を読むという習慣に出会う。これも症状の改善に効果があった。小説を読んでいる間は、不仕事と幻聴に悩まされることもなかったそうだ。そして、今度は医師のすすめでリハビリ施設にも足を運ぶようになる。
ここで出会った職員との交流によって、少しずつ病気だけではない、自分自身も見つめなおすようになった。そして、読み続けてきた小説にインスパイアされ、自分でも小説を書くようになった。
完成した小説をインターネットに投稿すると、読者から好評化をもらった。佐久本さんは少しずつ自分に自信を持つようになる。そして、昨年ある文芸賞で新人賞を受賞。今年6月にデビュー作「青春ロボット」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を発売している。
統合失調症からの回復には周囲のサポートが必須
ところで、僕には少し以前、統合失調症に苦しむ交際相手がいた。付き合ってみて分かったことは、ともかくこの病気は、本人だけの努力ではどうしようもないということだ。家族と恋人の献身的なサポートが、かなり重要になってくる。
こうして文字にするのは簡単だけど、僕はこれができなかった。統合失調症は、きっと実際に自分がその症状を味わわないと、本当の意味で親身になって一緒に完治を目指すことは難しい。
それから、統合失調症についての造詣の深い医師の存在も同じぐらい重要だ。多くの症例を見てきた医師の助けが何より重要なのに、安心できる医師はなかなか多くない。
見えないもの、聞こえないものに混乱する者を、統合失調症ではない人間が救うことは、一朝一夕にできることじゃない。病状に悩む当人も苦しいが、周囲で支える人間も相当に苦しい日々を送っている。
統合失調症という病のメカニズムが解明され、完璧な治療法も確立されれば、日本で100人に1人いるとされる全ての患者と、その家族や恋人、友人が、どんなにか救われるだろう。そんな日が、明日にでも訪れることを、涙を流しながら待っている人々が、私たちの周りに存在している。
夏休みに入り、富士登山の予定を立てた人もいるだろう。だが、ふだん登山をほとんどしていない人は、無理は禁物だ。
「最近多いのが、7、8合目の高い場所にある山小屋に宿泊して、夜中に登るという登山です。これは高山病にかかりやすく危険です」というのは登山家で登山ガイドでもある大蔵喜福(よしとみ)さん。
高山病にかかる山のラインは2500メートルと言われる。富士山7、8合目の山小屋では、7合目の一番下の「花小屋」が2700メートル、一番上の「トモエ館」は3400メートルにもなるので、このあたりの山小屋に宿泊すると十分に高山病になりうる。
高山病の症状は、指先がしびれる程度から頭が痛んだり息が苦しいなど、人によって差があるが、このような状態では熟睡はできない。7、8合目からは岩場も多いので、寝ていない体での岩場登山は危険この上ない。
大蔵さんが初心者に勧めるのは、2500メートル以下の山小屋に宿泊し、明け方に起きて登頂する方法だ。5合目の2230メートルには「佐藤小屋」、そのすぐ上には6合目の「里見平★星観荘」がある。
「ここから出発すると、日の出は途中の6、7合目付近で迎えることになりますが、ご来光の見え方は頂上でも6合目でも同じ。昼間の明るい中で登山できるので景色も良いし、安全で、しかも空いています」
前日はよく寝て、朝ごはんをしっかり食べて、話ができるくらいのゆっくりしたペースで登れば高山病にはなりにくい。それでも頭がガンガン痛み、吐き気がするくらいであれば無理をせず少し降りること。
降りれば体調は嘘のように良くなるので、しばらく休んで元気になれば登山に復帰すればいい。
例年7、8月の富士山の登山者数は約30万人だったが、今年はその1・5倍の人出が見込まれている。テレビの映像では、登山客の中に高齢者や子供の姿も見かけるが、どの程度の体力と装備が必要なのだろうか。
富士登山の方法と心得について紹介しよう。
登山家で登山ガイドでもある大蔵喜福(よしとみ)さんは「日本人は山好きです。2000~3000メートルの山に登るのは日本人くらいで、欧米の人は遠くから見たり、または滑り降りたりして楽しむのが普通です」と言う。これは日本人の山岳信仰とも関係があるそうだ。
富士山の登山時期は7月1日から9月1週目まで。山頂の平均最高気温は7月が4・7度、8月が6度だが、9月になると2・7度と、ぐっと下がるためだ。
「山では100メートル登るごとに気温は0・6度下がり、風速1メートルごとに1度下がります。山頂の平均風速は秒速11メートルで、最大91メートルという記録も残っています。
これは富士山が単独峰で、さえぎるものが何もないからです」(大蔵さん)
たとえば3700メートル地点は、平地に比べて3700÷100×0・6=22・2度も気温は低い。
平地で35度の猛暑日でも、山頂の気温は12・8度。さらに風速10メートルとすると、体感温度は10度下がって2・8度となる。東京の真冬の最低気温並みの寒さ。ダウンジャケットやフリースが必要な気温だ。
次回からは、その対策や装備について具体的に説明していこう。
ランニングシューズを手に入れたら、さっそく外を走ってみたい。だが、ニューバランスの直営店「ニューバランス東京」のシューフィッター、佐々木大志さんは、はやる気持ちにストップをかける。
「初心者は走るための筋力がついていないので、できれば筋トレをやってからがいいでしょう」というのだ。
取り組みたいのは(1)スクワット(2)腹筋(3)背筋(4)ふくらはぎ-の4種類のトレーニング。スクワットと背筋は一般的な方法でいいが、腹筋は仰向けの状態から腹部をつぶすような気持ちで行う。
自分のヘソを見たらOKで、力を抜いていい。ふくらはぎは、段差のあるところに足の先を乗せて足首を上下させる。足首の柔軟性を高め、ランニングのときに地面を蹴りやすくなる。
佐々木さんは「それぞれ30回×3セット」が理想というが、それぞれの都合に応じて取り組んでほしい。
筋トレを終えても、走り出すのはまだだ。まずは30分の早歩き。自分のペースに合わせて速く歩く。その際、こまめに心拍数をチェックし、負荷を計る。220-年齢=予測最大心拍数だ。
運動強度や体脂肪燃焼を考慮すると、45歳のランニング初心者なら目標心拍数は129、50歳なら126、55歳は123になる。
早歩きに慣れたら、同じ心拍数で30分間のランニングを行う。
「ずっと走り続けるのではなく、10分走ったら5分歩いて休憩、再び10分走るようにしましょう」(佐々木さん)
ランニングを始めるにはまず、シューズ選びが大切。初心者は「伸びしろ」があるので、長く続けるためにもちゃんとしたシューズを選びたい。
ニューバランスの直営店「ニューバランス東京」のシューフィッター、佐々木大志さんは「専門スタッフのいる店で、自分のレベルと走る頻度を伝えてください。『初心者で、これから週2回くらい走ろうと思っている』という程度の情報でもかまいません」と言う。
その情報と購入者の足のサイズをもとに、スタッフはレベルにあった最適なシューズを出してくれるはずだ。
足の計測用に、さまざま測定器を用意しているシューズ専門店もあるが、基本は足の長さと足囲。足囲は足の親指の付け根と小指の付け根を結んだラインを一周させたサイズのことだ。
「出してもらったシューズは必ず試し履きをしてください。足のサイズに合っていても、指の形によっては、靴の模様の部分とぶつかって痛いこともあります」(佐々木さん)
ランニングシューズにはブランド名をかたどった「模様」や、種類によっていろいろな「柄」が付いているが、「実はこれがサポート機能を果たしている」(佐々木さん)。サポート用に強度があるので、これが骨の出っ張りや爪とぶつかると痛みの原因となる。
シューズの「履き方」も重要だ。佐々木さんは以下のようにアドバイスする。
(1)シューズに足を入れたら、カカトをトントンと合わせたうえで、ひもを締める。カカトを固定させる履き方が大切。
(2)ひもを結ぶときには、ひもの先をつま先側に引っ張ってから結ぶと緩まずに締まりやすい。
(3)シューズを脱ぐときには、そのつど、ひもをほどく。
「結んだまま着脱すると、緩んだ状態で走ることになり、せっかくのサポート力が発揮されません。シューズも傷みやすくなります」
時間をかけて選んだシューズは、購入後も大切に使いたいものだ。