あなたの健康はお金で買えますか・・・? ■うつ病・認知症・アルツハイマー・男性更年期障害
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【レポート】うつ病とアルコール依存、"恐怖の関係"とは

憂き世を少しの間だけ忘れさせてくれるアルコール。うまく付き合っていけば人生を豊かにしてくれる一方で、酒によって身を滅ぼす人がいるのも事実だ。

最近、「うつ病」という言葉が社会に浸透してくるにつれ、うつとアルコール依存の関係が注目されるようになってきている。アルコールとうつの関連、そしてアルコール依存の治療の現状について、桐和会グループの精神科医・波多野良二先生に解説してもらった。

○うつ病とは

「意欲低下」や「憂うつな気分」といったいわゆる「うつ状態」がしばらく続くと、「うつ病」を疑いたくなるかもしれない。しかし、波多野先生は「2週間程度で終わる一時的な不調であれば特に問題はないでしょう」と話す。

だが、「目が覚めても何も手につかない」「眠れない」「生きていたくない」といった深刻な「うつ状態」が長期間にわたって続く場合は、うつ病の可能性があるため、精神科や心療内科といった医療機関を受診すべきだという。

○うつ病とアルコールは「卵とニワトリ」の関係

うつ病の患者さんの中にはアルコールを多く飲む人が多く、またアルコールを多量に飲む人にはうつ病の患者さんが多い。では、うつ病とアルコールにはどういった関連性があるのだろうか。波多野先生は解説する。

「うつ病の人は、『早く眠りたい』『不安感をなくしたい』などの理由から、治療薬を求めるようにお酒を飲んでしまうことがあります。しかしたくさんお酒を飲むと、眠りに入れたとしても眠りが浅くなりますし、一時的な気晴らしにはなってもうつ病は悪化します」。

アルコールはうつ病を誘発するだけではない。長期にわたって飲み続けることによって、比較的若い年齢で脳が萎縮するリスクが高くなるとの報告もあるという。

「アルコールとうつ病は、診療の現場では『ニワトリが先か卵が先か』と同じで、はっきりとしたことは分かりづらいことも多いです。しかし密接に関係があり、アルコールを多量に摂取すると抗うつ薬があまり効かなくなるという問題もあります」と、波多野先生は警鐘を鳴らす。

○アルコール依存治療の現状

万一アルコール依存になってしまったら、早期の社会復帰を目指すために専門の医療機関などで治療を受ける必要がある。実際の現場では、どのような更生プログラムが行われているのだろうか。

「まず、『生活様式を変えてアルコールを避けるようにする』『友人に誘われたときにうまく断る』といった『認知行動療法』が行われます。また、自助グループや断酒会への参加、ご家族への指導なども行われます」。

認知行動療法とは、自らの「思考の癖」を改善して、物事を多角的かつ柔軟に考えられるよう、認識を変えて行動に移していく治療法で、うつの対症療法としても活用されている。服用薬についてはどうだろうか。

「飲み薬にはシアナミドやアカンプロサートなどがあります。アルコールは体内の酵素により『アセトアルデヒド』、酢酸を経て『糖質』『中性脂肪』などに変化します。

シアナミドを服用すると、アセトアルデヒドの段階で代謝を止めることにより、『二日酔いで飲酒はこりごり』という状態になります。アカンプロサートは、興奮作用をもつ神経伝達物質である『グルタミン酸』を抑えることによって、アルコールを欲しないようになります」。

○食前酒1杯の飲酒は健康に良い?

「百薬の長」とも「百毒の長」とも称されるアルコールに、私たちはどのように向き合ったらよいのだろうか。

「医療現場では、日本酒に換算して一日3合以上飲む人を『常習飲酒家』、5合以上飲む人を『大酒家』といいます。

一日に3合までなら肝障害をきたさないという研究結果があり、『食前酒1杯程度の日々の飲酒は健康に良い』という研究者もいます。いずれにせよ、飲酒時は社会のモラルに反することのないよう、『適度な量』で楽しく飲むようにしましょう」。

○記事監修: 波多野良二(はたの りょうじ)
1965年、京都市生まれ。千葉大学医学部・同大学院卒業、医学博士。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、日本内科学会総合内科専門医。東京の城東地区に基盤を置く桐和会グループで、日夜多くの患者さんの診療にあたっている。

うつっぽいな…と思ったらコレ!「沈んだ気分を一掃する」5つの秘策

夏が終わり、もうすっかり秋。涼しく気持ちのよい日も多く、食べ物のおいしい季節ですが、ちょっとメランコリーな気分になることもありますよね。そんな気分になったまま家に閉じこもっていませんか?

 そのままだと、季節だけでなく心もすぐに冬を迎えてしまう可能性が……!

自分が何気なくしている行動は、脳の活動に毎日大きな影響を及ぼします。何となく気分が沈むときはゆっくり休むのも大事ですが、ほかに気分をアゲるいい方法もあるのです!

そこで今回は、英語圏の健康美容系雑誌『Health』ウェブ版の情報を参考に、“うつっぽいな”というとき、脳にいい影響を与える活動をご紹介します。思い切ってチャレンジしてみましょう!

■1:とにかく外に出る

家の中に閉じこもっていると、余計なことを考えすぎてうつっぽい気分がどんどん蓄積していくこともあります。こんなときは、思い切ってアウトドアへ!

外へ出て、太陽の光を浴びると体内でビタミンDが生成されます。ビタミンDは、うつから身を守る大事な成分です。それに、身近に自然を感じることで心や体が癒されることも多いのです。

■2:誰かと話す

「気分が沈むから、1人になりたい」という気持ちもわかりますが、孤独のままでいると、精神的な“負のスパイラル”に陥りがち。

愛情や友情は、私たちをうつから守る大事な要素です。もしどうしても人に会う気がしないならば、SNSやメールでコミュニケーションを取るだけでも、心が休まるかもしれません。

とにかく、自分を孤独に追い込まないことが大切!

■3:小さなゴールを設定する

気分が沈んでやる気がおきない? そんなときは、何も大きなことを成し遂げなくてもいいんです。

「本を読む」「洗濯をする」「犬の散歩をする」など、小さなゴールを設定したリストを作り、小さな達成感を味わいましょう。それが第一歩となる場合もあります。

■4:エクササイズする

走ったり、テニスをしたり、ジムで汗を流したり……。運動したあとの、あの爽快感を覚えてますか? そう、エクササイズをすると、脳内に快楽物質が分泌されてハッピーな気分になるのです。

研究によると、定期的にエクササイズをすることでうつや精神的に不安な症状を和らげることができるそうです。外へ出る気がしなかったら家でスクワットや階段の昇降などをするだけでも効果はあるはず!

■5:整理整頓をする

家の中が散らかって雑然としていたり、ゴミが溜まっていたり、いらない書類や服でクローゼットが溢れていたり……ということはありませんか? そんな状態だと、気分も暗くなってしまいますよね。

精神科医によると、散らかった家はうつや不安の原因になるばかりか、なんと肥満の原因につながることもあるそうです!

全部一気に片付けようとすると気が重いですよね。寝室、居間、キッチン、クローゼットなど、小さいカテゴリーにわけ、1つずつ終わらせていきましょう。

以上、うつっぽいムードを一掃して気分を改善する秘策をご紹介しましたが、いかがでしたか? 

コツは、あまり大きなゴールを設定せず少しずつ達成していくこと。今日を振り返って、昨日より少しいい気分だったらそれでOK! ハッピーな気分になれるときも、きっと近いはずです。

「わがまま」ではなく病 アラサーに多い「ディスチミア親和型うつ病」

「きまじめで努力を惜しまない性格の人」に多いといわれてきた「うつ病」。だが、近年は、趣味や遊びは楽しめるのに、仕事になると元気が出なくなる「新型うつ病」が増えているのだという。

 特徴としては、20~30代前半の若者に発症が多く、職場や公的活動では、うつ症状が悪化するが、自分の好きなことでは症状は軽くなり、比較的活動的になるという。

また、自責感に乏しく、他罰的で、うつ病と認めること、うつ病で休職することに抵抗が少なく、むしろ望む傾向にあるそうだ。

 こうした症状はさらに細分化することができるという。たとえば、20代前後に発症するとされる「非定型うつ病」は、職場や仕事ではうつ状態が強いが、そこから離れると解消する。

また病前の性格としては、拒絶に対して過敏で傷つきやすく、対人不安が強いのが特徴だという。

 30歳前後に発症するという「ディスチミア親和型うつ病」は、「まじめさ、熱心さが希薄でうつ症状にしがみつく」のが特徴。病前性格は自己愛が強く、規範・秩序に抵抗があり、自分が万能だと思い込みがちだそうだ。

 こうした新型うつ病の対処法について、駿河台日本大学病院精神神経科部長の渡辺登医師は次のように話す。

「特効薬はありません。従来のうつ病よりも、新型うつ病は慢性化して治りづらいものです。

『わがまま』『自分勝手』など突き放した言動を控えるなど、周りの人の協力は必要不可欠です。産業医や保健師、上司などは、本人の持ち味を生かせるよう『育て直し』を試みましょう。

そのために、患者さんだけではなく、職場の同僚も新型うつ病に対する理解を深めることが重要です」(渡辺医師)

うつ病予防 仕事量よりも重視すべきは◯◯ 専門家指摘

うつは、日本人の約15人に1人が生涯に一度は経験するといわれるほど、「よくある病気」になってきた。発症には素因や性格傾向が大きく関与する一方で、環境の影響も少なくない。

とくに30 代、40代は、責任が増し、何かと負担が重い年代だ。お金、健康の不安、夫婦の不和、子どもの進路、親の介護、自分の将来、職場では仕事や待遇への不満、人間関係など、うつにつながりやすいさまざまな要因を抱えて生きている。

厚労省の2007年の労働者健康状況調査によると、職業生活に対して強い悩み、不安、ストレスがあると答えた労働者は、約6割に上り、その原因のトップ3は「人間関係」「仕事の質」「仕事の量」だった。

仕事の量の問題、いわゆる「過重労働」は、うつに直結するイメージが強い。しかし、多くの企業で産業医を務めてきた北里大学大学院の田中克俊教授は、

「やりたい仕事に夢中で取り組んでいるときは、夜遅くなろうと休みがなかろうと、気力が充実して疲れはほとんど感じない人が多い。逆にどんなに楽でも、やりたくない仕事を押し付けられてモチベーションが下がれば、ストレスがかかり、うつにもなりやすくなる。

もちろん過重労働は避けるべきですが、心の病気対策で最も重視しなければならないのは、ワークモチベーションと言えるでしょう」

ワークモチベーションを維持するポイントは、「本人の努力」と、それに対する「報酬」のバランスだという。

「お金やキャリアの保証といった報酬でてっとり早くモチベーションを上げようとする企業は多いですが、効果は限定的。それよりも会社や周囲から必要な人材と認められること、つまり心理的報酬がモチベーションを高めるのです」(田中教授)

あれ?携帯どこ置いた…そんな人必見の「記憶力を助ける食品」6つ

さっきまで使っていたはずなのに「あれ? スマホどこ置いたっけ……?」とか、今朝バッグの中にいれたはずなのに「えーっ? 家のカギどこにしまったっけ?」なんて経験、ありませんか?

個人差はありますが、アラサー・アラフォーを過ぎたあたりから、加齢とともになんだか物忘れすることが増えてるな〜、と実感している方に朗報です。実は身近なアノ食品たちに、記憶力の低下を止める効果が期待できるというのです。

そこで今回は、アメリカの健康情報サイト『Top 10 Home Remedies』の記事を参考に、フードアナリストの筆者がセレクトした“記憶力向上のために積極的に摂取したい食品”を6つご紹介しますね!

■1:アーモンド

アーモンドの有するオメガ3脂肪酸や抗酸化作用によって記憶力の向上が期待できるそうです。

アーモンドをひと晩水にさらし、翌朝ふやけたアーモンドの皮をむいたら細かく砕きます。そしてグラス1杯の牛乳と一緒に鍋にかけて温めます。砂糖や蜂蜜でお好みに味付けしたら出来上がり。これを30〜40日飲み続けると、記憶力向上の効果が期待できるとのこと!

アーモンドには美容効果や仕事の効率アップも期待できるので、 女性のおやつとして習慣化したい食品のひとつです。

■2:ローズマリー

イギリスのノーサンブリア大学で行われた研究によると、ローズマリーには記憶力を補う効果があることが判明したそうです。

最近ではスーパーでも売られていて一般的になっているローズマリーですが、お茶のようにお湯に入れて5分間沸騰させ、蜂蜜などで味付けしたものを飲む方法は手軽ですね。ハーブがお好きな方は、ぜひ数週間続けてみてください。

飲むのはちょっと……という方は、手軽にアロマオイルでローズマリーを選んでもいいようですよ。

■3:フィッシュオイル

日本ではサプリメントとして売られていることが多いフィッシュオイルですが、オメガ3脂肪酸が多く含まれることから認知機能の低下を防ぐ働きがあるとのこと。

さらにフィッシュオイルにはDHAが含まれますので、コレステロールの改善効果も期待できます。

サプリは苦手という方は、魚類を豊富に取り入れましょう。サーモンやイワシ、ニシン、サバに含まれる成分が効果的とのことなので、ぜひ積極的に食べてみてください。

■4:シナモンと蜂蜜

この組み合わせは神経の緊張をほぐしてくれるので、記憶力の向上が期待できるといいます。

蜂蜜にひとつまみ程度のシナモンを混ぜたものを数ヶ月間、夜に摂取する習慣を取り入れてみてください。夕食後の習慣にするといいですね。

シナモンの香りがお好きな方は、同時にリラックス効果も期待できて安眠も期待できそうです。

■5:ココナッツオイル

日本でも美容健康の定番食品となってきたココナッツオイルは、脳の細胞を助ける働きがあり、記憶力を助けるとともに認知症を防ぐ効果も期待できるといいます。

バージンココナッツオイルを1日2回、スプーン1杯食べるだけでもいいですし、サラダやスムージーなどに加えてもいいでしょう。

ココナッツオイルは様々な種類が売られていますが、必ず“バージン”ココナッツオイルをチョイスするように気をつけてくださいね。

■6:イチョウ

イチョウの成分は血流を改善し脳の働きを助けることから、記憶障害に効果があるとされていて、認知症やアルツハイマー患者への治療として使われている国もあるそうです。

あまり馴染みがないかもしれませんが、実は日本でもイチョウ葉のサプリが販売されています。

ただし、常用薬がある人はイチョウ葉のサプリメントによってその効果を妨げることもあるようですので、摂取する前に必ず医師に相談してから飲み始てください。

以上、加齢とともに避けられない“記憶力の低下”を防ぐために習慣にしたい食品を6つご紹介しましたが、続けられそうな食品はありましたでしょうか?

今はまだ記憶力に自信あり! という人も将来の認知症などを防ぐために、これらの食品を習慣化しておくことで予防につながります。物忘れしない自分をキープするためにも、毎日の習慣のひとつとして取り入れてみてくださいね。

認知症予防に役立つ「鏡文字」 車庫入れも上手くなると識者

 私たちが普段、読み書きしているのが「正字」。対して、鏡に映すことで正しく読めるのが「鏡文字」。つまりは反転させた文字ということだ。その鏡文字を書くことで、脳の活動を高めることができると、諏訪東京理科大学教授・篠原菊紀さんはいう。

「鏡文字を書くには、頭の中で文字を反転させ、図形を回転させるメンタルローテーションという力が必要です。この力が弱いと、地図を読んだり、車庫入れがうまくできないのですが、鍛えられるとうまくできるようになるんです」(篠原さん・以下「」は同)

 書いてみると、鏡文字はなかなかすんなりと書けない。

「書くためには、自然と正字を書こうとする手の動きを抑制しなくてはいけません。それにはワーキングメモリ(記憶や情報を一時的に保持しながら知的作業を行う力)が必要なのですが、この力を鍛えることが、認知症の予防にも役立つのです」

【気になるこの症状】アルツハイマー病 早期発見と進行遅らせることが大切 生活習慣病の管理が効果的

9月21日は「世界アルツハイマーデー」。国内の認知症患者は約462万人と推計され、そのうち約7割を占めるのがアルツハイマー型認知症だ。今のところ症状を止めたり根治はできないが、早期発見で進行を遅らせることが大切になる。

 【発症を疑うポイント】

 アルツハイマーを発症すると、昔のことは記憶しているが、直前の出来事が記憶できなくなる。さいたま市の認知症疾患医療センターに指定されている社会福祉法人シナプス・埼玉精神神経センターの丸木雄一センター長が説明する。

 「アルツハイマー型認知症を最初に疑うポイントは2つ。もの忘れがあること。それから家事や買い物など、いままでできたことが何かできなくなったら受診させた方がいいでしょう」

 加齢によるもの忘れは「ご飯に何を食べたか思い出せない」だが、アルツハイマーのもの忘れは「ご飯を食べたこと自体を忘れる」のが特徴だ。

 【持病の管理が大切】

 原因は、脳にβ(ベータ)アミロイドという異常なタンパク質が蓄積し、神経細胞内にタウタンパクがたまり、神経細胞が死滅することで発症すると考えられている。だが、なぜ蓄積するかは分かっていない。進行すると脳が萎縮するので、MRI画像で見ると脳実質がスカスカになってくる。

 「アルツハイマーは主に65歳以上に発症するが、40代の頃から意識した方がいい。体質的にβアミロイドが蓄積しやすい人がいて、糖尿病や高血圧、脂質異常症があると、さらにたまりやすくなる。40代からの生活習慣病の管理は、後のアルツハイマーの発症を遅らせるのです」

 認知症の前段階といえる軽度認知機能障害の高齢者も約400万人いると推計されている。脳の血流を調べるスペクト(脳血流画像)や脳脊髄液検査でアルツハイマーに進展する可能性があれば治療対象になるという。

 【治療は脳の活性化】

 現時点では失われた記憶を回復させたり、根治させる薬はないので、治療は症状の進行を遅らせることが目的になる。薬物療法と非薬物療法があり、薬は経口薬の3種と貼り薬の1種が保険適用になっている。

 「脳に刺激を与えて、頭の働きを活発にすることが大切です。非薬物療法では、デイサービスに通ったり、グランドゴルフや囲碁、カラオケなどいろいろな活動を行い、第三者と接することが肝心なので、散歩などの運動習慣も夫婦でやるといい。それから生活習慣病のコントロールです。非薬物療法はきちんとやれば薬と同等の効果があります」

 通常のアルツハイマーの症状はゆっくり進行し、経過は3-4年から10数年と個人差が大きい。中等度以上にみられる徘徊(はいかい)を防ぐためにも早期発見が大切だ。

《アルツハイマー病の症状》
【中核症状】
・記憶障害(もの忘れ)
・判断力の低下
・話している言葉が理解できない
・時間や場所が分からない
【周辺症状】
イライラ、興奮、暴力行為、妄想、鬱状態など

【女医ドル】吉田聡美先生 よく噛むことで認知症予防を

食べ物を口腔(こうくう)内へ摂取し、それを飲み込むまでに口腔内で行われる一連の生理的過程を「そしゃく(咀嚼)」といいます。

この「そしゃく」が脳の働きを良くしたり、認知症の予防となるという関係性が、近年さまざまな研究から解明され、かむことにより脳が刺激されるという結果が注目されています。

 アルツハイマーの患者さんでは、神経伝達物質であるアセチルコリンの分泌濃度が低下することにより、記憶の状態が悪くなってしまっているという事実がわかっています。

そして、同様に、歯がなくなり、歯や周囲の神経組織が失われると、良くかむことで刺激される、脳の海馬(かいば)が刺激されなくなり、アセチルコリンの分泌濃度が低下するということが、動物実験などで明らかになっています。

 「そしゃく」という動作は、さまざまな器官や神経を使う高度な作業となっているため、脳にたくさんの刺激を与えるのです。

 適切なそしゃく運動を得るためには、まずはしっかりとしたかみ合わせ、咬合(こうごう)を安定させることが必要です。咬合を安定させる要因としては、

 (1)歯や歯並びの状態
 (2)歯周そしゃくの状態
 (3)口唇、頬、舌の筋力
 (4)そしゃく筋の筋力や咬合力

 などが深く関係してきます。

 ただぼーっと1日中座ったままで過ごしているという状態の認知症が進行してしまっていた患者さんが、新しく入れ歯を作り、かむトレーニングを続けた結果、何でも食べられるようになり、それと同時に認知症が改善し、数カ月後には、1人で外出できるほどにまで回復されたという報告もあります。

 また、良くかむことは、顔周りの筋肉や、骨を鍛えることができ、シワの予防や、お肌のハリを保ち、お顔全体の老化防止にもつながります。

 かみ合わせをしっかりとさせ、良くかむことが身体だけでなく、脳の健康を導く重要な役割の1つであるということを認識し、バランスの良い食生活を心がけ、より健康的な毎日を過ごしましょう。

 ■吉田聡美(よしだ・さとみ) 松本歯科大学歯学部卒業。神奈川歯科大学研修修了。医療法人メイロイヤル矢向歯科勤務。モアナ歯科クリニック開業。現在に至る。(株)カロスエンターテイメント所属。

うつ自殺率は女性の倍…壊れる男性、なぜ多い?「男らしさ」の呪縛と、愚痴という武器

「男の子なんだから」「男たるもの」「男のくせに」……。いつの時代も、男性は強くあることを求められる。

うつの罹患率の男女比は、女性のほうが1.6倍ほど多い(「厚生労働省 患者調査2011」より)が、自殺率では男性が約2倍(「警察庁統計2011」より)と圧倒的に上回る。社会に追い詰められ、窮地に立たされる男たち。

そんな彼らに『壊れない生き方』(メディアファクトリー)を提案するのが、精神科医のTomy氏だ。同氏は医学部時代に自身がゲイであることを自覚し、勤務先のクリニックやブログ(http://ameblo.jp/kazeyokoiyo/)上で、大勢の男女の悩み相談に乗ってきた。そこから見えてきたのは、男性たちにからみつく「男らしさ」の呪縛だった。

--「男らしさ」の呪縛について本を書かれたのは、どのようなきっかけだったのですか?

Tomy氏 普段の診療の中で、前々から男女の違いを感じていました。女性は、少しメンタルの調子を崩すと、自分から受診するけれど、男性は周囲に勧められて渋々といった様子です。

すぐに入院したほうがいいほど症状の重い人もけっこういます。男性は基本的に強がりで、自分のストレスに対して少し鈍感なため、ついつい頑張りすぎてしまう人が多いのです。

--なぜ、男性は頑張りすぎてしまうのでしょうか?

Tomy氏 男性の行動は、どちらかというと“他律的”ですよね。自律的が自分優先なら、他律的は他者に決められるということ。子どもの頃から「男の子だから、ぬいぐるみじゃなくボールでしょ」と育てられて、大人になれば会社からビジネスマンとしての振る舞いを求められ、家庭では一家の主でなければならない。

それが「男らしさ」の呪縛となって、パートナーにも愚痴を吐かず、弱みを見せられず、うつ状態に陥ってしまう男性は大勢います。一方で、女性は時代の変化で、さまざまな選択肢を手に入れてきました。

--女性はキャリアを積むもよし、主婦になるもよし、とも言えますね。

Tomy氏 そうです。しかし、社会が求める男性像は、意外と普遍的だと思いませんか? 草食男子やイクメンは話題になりましたが、現実には男性が育児休暇を取れる職場はほとんどありませんよね。

今でもビジネスの現場では、頑張りすぎるくらいの男性のほうが評価されやすいのが現実です。弱音なんか吐いたら自分の評価が下がるのではないかと不安で、男性自身も「男らしさの呪縛」を解除できずにいます。

今の20代前半であれば、本質的にのほほんとしたところがあって、「男らしさの呪縛」にとらわれる度合いは、幾分、低いかもしれません。一方、30~40代は大変そうですね。昔のイメージの「強い男性像」と、20代に見られる新しい男性像の間にいて、どっちつかずになっています。

--精神的に追い込まれやすいのは、どのようなタイプの男性ですか?

Tomy氏 まずは完璧を目指しすぎる男性ですね。上昇志向があるのはいいのですが、自分でつくったルール通りに事が運ばなければ、すべてダメだと思ってしまいます。考え方が、少し極端なんですね。

ほかには、独力ではい上がってきた成功者も、意外とメンタルの調子を崩しやすいです。苦労してきた分、他人からの批判に敏感で、ちょっとでも指摘されると、すぐにかっとなって大声を上げてしまう……。やがて周囲との間に溝が開いて、つらくなります。

ほかにも、あがり症で先々のことを考えすぎて不安になるタイプや、ついついお酒で憂さ晴らしをしてしまうタイプなんかが要注意ですね。

●しなり力や愚痴が、呪縛を解くカギ

--「男らしさの呪縛」を解くには、どうしたらいいのでしょうか?

Tomy氏 私は「しなり力」と言っているのですが、状況に応じて柔軟に対応する力をつけることです。例えるなら、奈良や京都の古い木造建築。何百年もの間、姿を変えずに形をとどめているのは、強い風や地震が来ても、しなって衝撃を和らげているからです。

鉄筋コンクリートの建物は、一見、頑丈そうですが、強い衝撃が加わると一気に壊れることがありますよね。しなり力が乏しいからです。

--「しなり力」を高めるための方法を教えてください。

Tomy氏 精神科医療の現場で行われる「認知行動療法」(CBT)を元にしたトレーニングをするといいでしょう。題して「しなり力ワーク」。CBTは、考え方のゆがみや偏りを洗い出して、実際に変えていくための行動を起こす治療法です。

本当は医療機関で医療スタッフがついて行うのですが、自宅でも簡単にできることがあります。自分がつらいと感じていることを、とにかく紙に書き出すのです。「なんだそんなことか」と思うかもしれませんが、実際にやっている人はそういません。

 ぼんやりと考えごとをして2時間経過、なんていう人はぜひやってみてください。書いた文字を後から見ることで自分にフィードバックされ、「自分はこんな考え方をするのか」と、客観視することにつながります。

あるいは、日記を書くだけでもいいですよ。日付と、感じたことと、できればそのシチュエーションも具体的に書くことがポイントです。

--つらいことを口に出すだけでもいいのでしょうか? 女性は割とそれですっきりしているようですが。

Tomy氏 言葉にすることには、書くこととはまた違う良さがあります。人に話して吐き出す行為は、人類にとって「魔法の武器」です。愚痴や弱音を言うと、ストレスをかわすことができます。実際に、女性は女子会でわいわい盛り上がる中で愚痴も言ってスッキリしていますね。男性だって、その武器を使わない手はありません。

 ただ、ちょっとコツがあって、大勢ではなくサシで話すこと。相手もよく選んだほうがいいでしょう。上司や同僚など、利害関係のある人に本音を言ってしまうのは、企業人としての評価が不安になります。

社外の友人だとしても、同世代であれば少なからずライバル心がありますから、弱み見せるのは抵抗がありますよね。お勧めは、行きつけのバーのマスターです。相手は愚痴を聞くプロですし、こちらは料金を払っているのですから、安心して話を聞いてもらってください。

--困った時には、ゲイの方に頼るのもアリでしょうか?

Tomy氏 もちろん。今はストレートの人でも入れるゲイバーもあるし、私のブログで相談してもらってもいいですよ。ゲイの方たちは、みんな少なからず修羅場を経験しているから、懐が深いことが多いですね。

普段頑張っている男性は、たまには甘えたっていいんですよ。それで人としての価値が下がるなんてことは、決してありません。つらい時は自分をさらけ出していい。そんな「壊れない生き方」を身につけてほしいですね。

季節の変わり目はとくに注意!意外なところに潜む「うつの原因」7つ

気候も涼しく、過ごしやすくなってきて食べ物も美味しい秋。それなのに、「気分が晴れない」と部屋に閉じこもっていませんか? もしかしたら、軽いうつなのかもしれません。

うつにもさまざまなレベルがあります。その理由も、家族の不幸や経済的困窮、失恋、体調が悪いことなど多種多様です。でも、とくに大きな理由がない場合、原因は意外なところに隠されているかも。

そこで今回は、英語健康雑誌『Health』の記事を参考に、“うつにつながる意外な原因”をご紹介しましょう。

■1:季節の変わり目

暑い夏から急に肌寒くなったり、また一転して暑くなったりすると、体が気候の変化に付いていけずに脳内の化学物質やホルモンのバランスが狂い、うつ気味になることがあるそうです。

体が気候に慣れるまで無理せず、つらくても日常習慣や食生活を整えて乗り切りましょう。

■2:タバコと禁煙

「タバコを吸う人は、もともとうつになりやすい傾向を持つ場合も多い」と同記事は伝えています。ニコチン摂取により、脳にドーパミンやセロトニンなど快楽物質が分泌され、中毒症状になってしまうとか。だから禁煙は難しいのですね。

タバコが体に悪いのは明らか。そして禁煙した場合にもうつっぽい症状が出ることがあるようです。はじめから手を出さないのが得策ですが、禁煙期間中は運動をするなどして脳内のバランスを保つ努力をしましょう。

■3:甲状腺の異常

首にある甲状腺は、脳内の“セロトニン”レベルを正しく保つ大事な器官です。ここからホルモンが正しく分泌されないと、脳内物質のバランスが崩れ、うつのような症状になる場合もあるそうです。

ほかの症状では便秘や疲労感などがあるそうですので、思い当たったら病院へ行きましょう。

■4:睡眠時間の乱れ

睡眠不足だと、1日中小さなことでムッとしたり、訳もなくイライラして怒鳴ったり、泣きたくなったりと、感情がローラーコースターのようにアップダウンしてしまいます。

睡眠は、脳内の細胞や化学物質のバランスを整えてくれる大切な行為。就寝と起床時間を一定に整え、6時間半から7時間は睡眠時間を確保したいものです。

■5:ネット中毒

SNSやチャットなど“バーチャル世界”に時間を費やしすぎる人は、現実逃避のクセがついてネット依存症になり、本来の人間関係が億劫になったり、うつっぽくなったりするそうです。

「ネットをしていないと不安」という人はとくに要注意! ネットのない場所に旅行したり、エクササイズをしたり、友達や恋人と会うときには携帯の電源を切るなどして、ネットから離れる時間を作りましょう。

■6:住んでいる場所

研究によると、田舎より都会に住んでいる人のほうが40%近くうつになる確率が高いそうです。理由は、満員電車などの人ごみや車の渋滞、生活費の高さや人間関係など都会のほうがストレス要素が多いからだそう。

自分の住んでいる場所が原因でうつっぽくなってしまい「どうしても我慢できない!」という場合、自分の好きな街への引越しや、故郷へ帰ることを視野に入れてもいいかもしれません。

■7:魚を食べない

フィンランドで行われた研究によると、女性に限っては、魚を食べない場合うつになる確率が高いという結果が出たそうです。

オメガ3脂肪酸は、脳の快楽物質“セロトニン”レベルを調整する役割を果たします。サケに代表される魚にはこの大事な成分が含まれる場合が多いのです。

魚が食べられない場合は、アボカドやクルミなど、果物や野菜、ナッツ類などから摂る工夫をしたいところです。

以上、“うつにつながる意外な原因”をご紹介しましたが、いかがでしたか? 思い当たる節がある方も多いのではないでしょうか。

ほかに、運動不足などもうつの原因になるそうです。生活習慣や食生活を見直し、改善するだけで、原因の多くは解決できそうですね。

認知症ケア「ユマニチュード」…患者目線で伝える優しさ

見る、話す、触れる、立つ…四つの技術

 認知症ケアの新技法として注目される「ユマニチュード」。先月、国立病院機構東京医療センターの研修会を訪ねた。ケアを受ける人と行う人の関係性を意識すれば、優しさは「技術」として伝えられる――新鮮な驚きがそこにあった。

 周囲に当たり散らしていたおじいさんが、急に穏やかになる。看護師に体を拭いてもらうのを嫌がっていたおばあさんが、一転して笑顔に変わる。

「ユマニチュード」の技術を使えば、相手の反応がこれだけ違うという実例が、次々に示された。まるで魔法だ。十数人の参加者からどよめきが起きた。多くが第一線の看護師たち。

 「車と人の洗い方の違いは何でしょう。そこに関係性があるかどうかです。それがなければ、物を洗うのと同じ」。ユマニチュードの考案者でフランス人のイブ・ジネストさん(61)が、大きなジェスチャーで語った。

 1979年、体育学の教師だったジネストさんは、病院や施設で高齢者の移動介助を手伝った際、認知症の患者に、かまれ、たたかれる経験をした。何か理由があるはずだった。

「人とは何か」。その哲学的探究とともに、高齢者ケアの技法を探った。見る、話す、触れる、立つ――の四つを基本行動とする150以上の具体的な技術を生み、体系化した。日本には、2012年に紹介された。

 「見る」も、ただ見るのではなく、患者の視点をつかみに行く。いったん患者を通り越して前方に回り、目があう位置を見つける。正面から笑顔を近づけ、見下ろさない。

 患者の体を拭いたり、介護浴槽でシャワーをしたりする時は、自分の行為をずっと実況中継で「話す」。車イスを押す時は、片手を患者の肩に「触れ」、重みを伝える。「立つ」では、相手の動こうとする意思を最大限に生かし、両ひじを下から支える。

 説明を聞きながら、記者は初めて、自身が重い認知症だったらと想像した。

 視界の中心にいる人しか認識できない。何をされているのか、聞いてもすぐに忘れてしまう。そんな状態で、後ろから突然、声をかけられる。マスクをした数人の看護師に囲まれ、「動かないで、動かないで」と言われて体を拭かれる。

これまで何とも思わなかった行為が、何か恐ろしいものに思えてきた。

 でも、残った感覚を通じてケアを行う人の存在を認識し、「自分を大切にしてくれている。優しい人だ」と感じることができれば、きっと安心だろう。

 ケアを行う側から考えるなら、コツさえつかめば誰でも、相手に「優しい」と思わせられる技術だ。

病院や施設のスタッフ、在宅で身内を世話する家族らが、一生懸命ケアをしても拒絶され、疲れ果てている姿が頭に浮かんだ。その優しさを技術で着実に伝えられれば、どんなに報われることか……。

 心と形から入る武道の世界のようだ、と思ったら、ジネストさんがこんなふうに言った。「そう、剣道や柔道と同じ。ユマニチュー道ですよ」

 ジネストさんらが記した今年6月発刊の「ユマニチュード入門」(医学書院)は、看護・介護関連では異例の6万部に達している。(鈴木敦秋)

秋うつは「窓際」で撃退 日の出時刻を脳に感知させる

アッという間に季節は秋に突入した。なんだか気分が落ち込んで、ちっともやる気が起きない……なんて人はご用心。“秋うつ”かもしれない。

 日照時間が少なくなる季節には「冬季うつ」と呼ばれるうつ症状が表れやすくなる。「気分が沈んで気力がなくなる」「とにかくイライラする」「いくら眠っても寝足りない」「食べても食べても物足りない」といった症状が表れる。

 一過性で精神的な問題を抱えているわけではなく、いわゆるうつ病とは違う。だが、毎年必ず秋から冬にかけてうつ症状を繰り返し、日常生活に支障をきたすケースもある。季節の変わり目となる秋は注意が必要だ。

“秋うつ”のトリガーになるのは「日照時間」だ。作業療法士の菅原洋平氏がこう解説する。

「秋になると、夏に比べて日の出時刻が遅くなります。人間の体は、光を感知することで環境に対応するための準備を始めるようにできている。日光を感知した時点で、〈このタイミングなら気温がこれぐらい下がりそうだから、この程度のホルモンを分泌して調整しよう〉といった具合に働き始めるのです。

日の出時刻が遅くなると、体が準備を始める時刻も遅くなりますが、起床時に日光を十分に感知できなかった場合、日の出時刻が早い夏のタイミングで準備を始めようとします。このズレが、さまざまなうつ症状を発症させる要因になるのです」

 環境の変化に合わせ、循環、呼吸、消化、体温調節、内分泌機能などの活動を調整しているのは自律神経だ。

夏から秋に変わる時期は、休息しているときに働く副交感神経が優位だった状態から、活動時に働く交感神経が優位な状態に切り替わる。朝の光を感知できないと、この切り替えもうまくいかなくなる。

「自律神経の調節の基準になるのは、もともと体に備わっている生体リズムで、それをリセットしたり、コントロールしているのは日の出なのです」(菅原氏)

 季節性うつを発症しやすい人は、日当たりの悪い部屋に住んでいるケースが多いという。それだけ、日の光が心身に与える影響は大きいのだ。

 秋になって日照時間が短くなることも、うつ症状の要因になる。精神科医の奥田弘美氏は言う。

「人間は、日光を浴びて神経伝達物質の『セロトニン』を生成しています。セロトニンは、気持ちを明るくしたり、やる気を高めるなどの作用があり、夜になるとセロトニンをもとに睡眠ホルモンである『メラトニン』をつくります。

夏の疲れが残っていると、日照時間の変化にホルモン調整が追いつかず、睡眠リズムが乱れてうつになりやすいのです」

■夏の疲労をとることも大事

 本格的な冬季うつになる前に、秋にしっかり手を打ちたい。まず、日に日に遅くなる日の出時刻をしっかり脳に感知させることが重要だ。

「夜の就寝は、カーテンを少し開けて窓際で寝るようにしましょう。日の光は網膜でしか感知できないので、窓に頭を向けて寝るのがベストです。

環境的に窓際で寝ることができない場合は、目覚めたらできるだけ早く窓際から1メートル以内に入り、脳に日照時間の変化を知らせてください。これを毎日繰り返すことが重要です」(菅原氏)

 不調を感じたら、副交感神経を優位にするのも効果的。秋は交感神経が高まって活発になるが、逆にリラックスできず、うまく休息できなくなる場合がある。副交感神経節は、首や尻の中央付近の仙骨にある。この部分をホットパックなどでじんわり温めるとバランスが整ってくるという。

「暑い夏の間にたまった疲労をしっかりとることも大切です。行楽シーズンだからといって、土日にあちこち出歩くことは避け、まずはしっかり休息してください」(奥田氏)

 これで、秋の物悲しさも乗り切れる。

子供もうつ病になるもの 睡眠障害・摂食障害には注意が必要

「うつ病」は大人の病気だと思われがちだが、そんなことはないという。東京都に住むKさん(42才・パート)の長女Aさんは、真面目な性格の中学2年生。

バスケ部の部長に選ばれてからは、誰よりも早く登校して練習の準備をするなど、張り切っていたはずだった。

 ところがある日、風邪をひいて学校を休んでから、次第に朝起きられなくなり、登校しようとすると激しい頭痛を訴えるように。そしてついに学校に行けなくなってしまう。

夜は怖い夢を見るのか、泣いてなかなか眠れない様子。2か月で体重は3kg落ちた。Kさんが娘を病院へ連れて行くと、うつ病の可能性があると言われた。

 話を聞くとAさんは、部長になった時、それを快く思わなかった部員たちから反発にあっていたというのだが…。

 どんな子供でも思春期になれば悩み、落ち込むことがあるのは当たり前。だが、それだけでは“うつ病”とは診断されない。どうしてAさんはうつ病と診断されたのだろうか。

児童精神科医で『子どものうつ病』(慶應義塾大学出版会)などの著書がある猪子香代さんは説明する。

「Aさんの場合、睡眠障害や摂食障害が長期にわたって確認されたことが診断結果につながったと考えられます」(猪子さん、以下「」同)

 友達との別れ、環境の変化、受験勉強…たくさんのストレスにさらされる子供たちだが、もちろん、すぐにうつ病になるというわけではない。友達と愚痴を言い合ったり、体を動かしたり、好きな趣味に没頭することで、多くの場合は悩みや落ち込みは和らいでいく。

 しかしストレスを解消することができずに、悲しい気分がひどくなっていくことで、体に不調が表れる場合がある。

・落ち着きなく動き回る
・あまり話をしなくなる
・何をするのも以前より遅くなる
・やらなければならないこともできなくなる
・集中力が続かない
・何事も面倒くさくなる
・次に何をすべきか自分では考えられない
・睡眠や摂食障害がある

 特にこのような状態は“抑うつ状態”と呼ばれ、うつ病に発展してしまう可能性があるという。

「まだ抑うつ状態の段階であれば、両親や先生、友達などに話すことで、気持ちや心が整理され、楽になっていくケースもあります。

しかし、Aさんのようにこうした状態が複数同時に確認でき、さらに長期間改善されない場合は“うつ病”の可能性が考えられます。特に、眠れないなどの睡眠障害、食べられないなどの摂食障害が長期的にみられる場合は注意が必要です」

「まるで魔法!」注目の認知症ケア技法「ユマニチュード」の秘密

「ユマニチュード」をご存知だろうか。なんとなく哲学的な響きをもつ言葉だが、これはフランスで生まれた認知症ケアの技法。最近、看護や介護などの現場で劇的な効果をあげ、「魔法のようだ」と注目を集めている。

 たとえば、保清・清拭は、ケア業務の半分を占めると言われるものだが、ある介護施設では、ユマニチュードによるケアの導入で、ベットで行う清拭が60%から0%になったという。

 また、どんなにベテランで有能な看護師が対処しても手に負えない、いわゆる「困った患者」が、ユマニチュードを学んだ看護師のケアでは、まったく別人のように穏やかにケアを受け、笑顔で「ありがとう」とお礼まで言ってくれた。さらに、ユマニチュードを導入した別の施設では、認知症患者の攻撃的で破壊的な行動を83%減らせたとの報告もある。

 そして、今年の2月には、NHKの番組「クローズアップ現代」でユマニチュードの創始者のひとり、イヴ・ジネストらのケアによって、歩行が困難とされていた患者が短期間で立てるようになる様子が紹介され、大きな反響を呼んだ。

 本当ならば、まさに「魔法」だが、いったい、具体的にはどんな技術を使っているのだろう。来たる大介護時代に役立てようと、そのジネストの著作『ユマニチュード入門』(共著者・本田美和子、ロゼット・マレスコッティ/医学書院)を読んでみた。

 まず、そこに書かれていたのは「見る」「話す」「触れる」「立つ」という、ごくありふれた、誰でも日常に行っている動作。この4つの援助がユマニチュードの基本の柱だという。

 え? それって魔法なの? シンプル極まりない内容に、一瞬、肩すかしをくらった感じがしたのだが、しかし、同書を読み進めていくと、いかにこの4つの行為が重要な意味を持っているかがわかってくる。しかも、自分が日常のコミュニケーションでこの簡単な行為をいかにこなせていないかも。

 技術の説明は具体的だ。例えば、「見る技術」。同じ目の高さから、顔を近づけて(0.4秒以上)見つめる。ただ見るのではなく、こちらから視線をつかみにいく。

ベッドで壁の方に横向きになったままの患者さんなら、ベッドを動かし、壁との間に入ってでも、視線を合わせにいく。ちょっとやり過ぎなのでは?と思うけれど、視線をとらえられないまま話しかけてもなかなか通じないのだという。そして、視線があったら2秒以内に話かける。その事でこちらに攻撃的な意図はない事を伝えられる。

 また「話す技術」では、反応のない患者さんに言葉をかけ続けるための、「オートフィードバック」という方法を教授してくれる。「これから腕を洗いますね」と予告し、そして腕を上げながら「腕を上げます。左腕です。

とてもよく伸びていますね」と実況中継することで、相手に反応がなくてもコミュニケーションを持続させるエネルギーを作り出すのだという。

「触れる技術」も丁寧でわかりやすい。触れる時は飛行機が着陸するイメージで、離す時は飛行機が離陸するイメージで行う。そして、「立たせる技術」では、「40秒間立つことができたら寝たきりは防げる」と、立つことの重要性を説いたうえで、まず握手することから始まる介助のテクニックを事細かに説明してくれる。

 ユマニチュードは、全部で150をこえるこういった実践技術に基づいて成り立っており、だからこそ誰にでも実行でき、魔法のような効果をあげているのだ。

 そして何度か読み返すうちに、この技術の魔法を解く鍵は、常に「人間とは何か?」という問いかけにあることに気づかされていく。ユマニチュードは、このとてつもなく漠然とした、根源的な問いかけの中から生み出された技術だからこそ、普遍的で強度があるのだ、と。

《ユマニチュードの理念は絆です。人間は相手がいなければ存在できません。あなたがわたしに対して人として尊重した態度をとり、人として尊重して話しかけてくれることによって、わたしは人間となるのです。

わたしがここにいるのは、あなたがここにいてくれるからです、逆にあなたがここにいるのも、わたしがここにいるからです。わたしが誰かをケアするとき、その中心にあるのは「その人」ではありません。ましてや、その人の「病気」ではありません。中心にあるのは、わたしとその人との「絆」です。》(同書)

 そう、まさに、ユマニチュードは哲学なのだ。しかし、誤解してはならないのは、これはあくまでも、哲学に基づく〈技術〉であって精神論とは異なるということ。だから、適性や優しさの問題にすり替えてはいけない。

極端にいえば、愛情を持てない相手にでも、この技術を使って人間としてきちんと向き合えば、相手を怖がらせる事もなく、威圧する事もなく、絆を築けるのだ。優しくなくても優しくなれる。ケアする側も育てられる技術ともいえる。

 この技術をうまく習得すれば、認知症ケアだけでなく、あらゆる局面のコミュニケーションに応用することができるかもしれない。

 しかし、何度も言うようだが、〈正面から目をみてやさしく話しかけるだけで〉〈力を入れずにそっと支えるだけで〉、認識能力が落ち、心閉ざした人がみるみる変わっていくなんて驚きではないか。同書はいう。

「この本には常識しか書かれていません。しかし、常識を徹底させると革命になります。」

 そう。私たちはしょっちゅう「常識」という言葉を口にしながら、実はその常識を本気で実践しようとしてこなかったのかもしれない。介護技術の入門書ながら、いつのまにかそんなことまで考えさせられていた。「ユマニチュード」はやっぱり哲学だ。

認知症予防!専門家が教える「脳を老化させない」食べ物10個【後編】

脳も身体の一部。食べ物によって、脳の健康が保たれることが明らかとなってきました。以前、くるみが脳の老化を予防するとお伝えしましたが、それ以外にも、最新の研究で明らかになった脳の老化を防ぐ食べ物があります。

それでは、前編に引き続き、医学ジャーナリストの山田雅久さんの著書『脳を老化させない食べ物』から、脳の老化を防ぐブレインフードをご紹介します。

■6:セロリ

身体と同じように、脳も免疫機能によって守られています。年齢を重ねると、外的を倒すはずの炎症性サイトカインが、必要以上に放出されるようになり、脳そのものが炎症を起こしやすくなります。

炎症は、学習能力や記憶力の低下をもたらしますが、イリノイ大学の研究によって、セロリに含まれるルテオリンという物質に、炎症性サイトカインを過剰に分泌しないように、コントロールする働きがあることが分かりました。

■7:ビーツ

ビーツを搾って作るジュースは、スポーツサイエンスの世界ではよく知られています。ビーツは硝酸塩が豊富で、硝酸塩は消化の段階で亜硝酸塩になります。亜硝酸塩は血管を開いて血流をよくし、酸素不足になっている組織へ酸素を供給します。

硝酸塩の少ない食事をした人と比較した研究では、ビーツを摂った人の方が、前頭葉への血流が著しく増加していました。

■8:ビタミンB類

葉酸、B6、B12は、脳の健康に欠かせないビタミン。不足すると脳の委縮や認知症につながるホモシステインという物質が増加してしまいます。

ビタミンB12の研究では、B12の血中濃度が高かった人は低かった人と比べて、脳の委縮が1/6に抑えられていました。米USDA(アメリカの農務省)では、高齢者にはサプリメントでB12を摂るように推奨しています。

対して、葉酸やB6はサプリから摂るのは注意が必要なので、食事で摂取するようにしましょう。

■9:ビタミンD

海馬を含めて中央神経系全体にビタミンDの受容体があり、ビタミンDは神経を成長させシナプスの密度を増します。そして神経伝達物質の合成に関わり、酸化ストレスから神経細胞を守っています。

ビタミンDの血中濃度と認知力の研究では、血中にビタミンDが十分あった人たちは、思考や発想に柔軟性があり、論理的思考にも優れていたのです。

■10:ぶどう(ワイン・グレープジュース)

赤ワインを2週間に4回以上飲む人では、まったく飲まない人に比べて、認知テストの結果がよくなることが分かっています。さらに、毎日1~2杯の赤ワインを飲む人は禁酒家と比べて、アルツハイマー病になる率は半分に減ることも分かっています。

しかし、ワインをたくさん飲む人は海馬が委縮しやすくなるという研究もあり、飲み過ぎは禁物です。

いかがでしたか? 脳によい食べ物は、ただたくさん食べればよいというわけではなく、習慣的に摂ることと何よりも分量が大切。脳によいからといって食べ過ぎ、飲み過ぎは、マイナスになることも多いです。

ぜひ若い頃から脳によい食生活を取り入れてくださいね。

認知症予防!専門家が教える「脳を老化させない」食べ物10個【前編】

認知力の低下は、ある日突然起こるものではなく、20代から少しずつ脳が衰え始めることが、最新の研究で明らかになっています。そして、もの忘れなどの自覚があるのが40代とされています。

しかし、いくつであっても、また、脳の衰えを感じていても悲観することはありません。

先進国の多くは高齢社会へと向かい、脳の病気であるアルツハイマー病への研究が進められています。その結果、身近にある食品を積極的に摂取することで、脳へのダメージを抑えることができると分かってきました。

それでは、医学ジャーナリストの山田雅久さんの著書『脳を老化させない食べ物』から、脳の老化を防止する食材を抜粋してお伝えします。科学的に証明されたブレインフード、毎日摂っていますか?

■1:オリーブオイル

和食と並ぶ健康食といえば、イタリア料理やスペイン料理に代表される地中海料理。地中海沿岸は、もともとアルツハイマー病になる人が少ない地域であることが知られています。

150万人を対象としたフィレンツェ大学の研究を通して、地中海料理がアルツハイマー病やパーキンソン病になるリスクを減らし、長寿をもたらすことが明らかとなりました。

その地中海料理では、オリーブオイルが多用されています。パスタなどは、良質なオリーブオイルで作るのがおすすめです。

■2:カカオ

チョコレートのもとになるカカオ。ハーバード大学の調査では、生カカオに近いフラバノールココアを毎日飲んだ時(450mgを1日に2杯)、1週間で8%、2週間で10%、脳への血流が著しくよくなることが分かりました。

フラバノールは苦みのもとなので、加工されたものではなく原料に近いものを選ぶと、効率的に摂取することができます。

■3:カレー(クルクミン)

インドやアジア料理で使われる、ターメリックを明るい黄色にしているのがクルクミン。

親油性であるクルクミンは、血液脳関門を越えて脳に入っていき脳内に過剰に蓄積すると、認知力を低下させるアミロイドβを脳から掃除し、同様にアルツハイマーに関わるたんぱく質の塊、オリゴマーから神経を守ってくれます。

最低でも月に1度はカレーを食べるよう、心掛けていれば効果が期待できます。

■4:コーヒー

コーヒーを習慣的に何杯飲んでいるかという、長期間に渡る調査では、中年期に毎日3~5杯のコーヒーを飲んでいた人は、コーヒーを飲まない、あるいは少ししか飲んでいなかった人と比べて、認知症やアルツハイマー病になるリスクが、65%少なくなることが分かっています。

カフェインには認知力を改善するだけでなく、認知症を予防する可能性があるということです。ただカフェインには中毒性があるので、飲み過ぎにはくれぐれも注意が必要です。

■5:ココナッツオイル

脳の主要なエネルギー源は、炭水化物からできるブドウ糖です。そのブドウ糖をエネルギーに変換しているインスリンは、加齢によって働きが低下しがちで、そのため脳が慢性的にエネルギー不足になってしまいかねません。

ブドウ糖の代わりに、唯一燃料として使うことができるのが、ケトン体と呼ばれる脂肪の代謝物。このケトン体を得る方法が、中鎖脂肪酸を含む食品を多く摂ることなのです。

アルツハイマー病薬の有効成分は中鎖脂肪酸であり、ココナッツオイルは自然界でもっとも中鎖脂肪酸を含む食品です。

いかがでしたか? 習慣的に何を食べるかで、脳の健康が保たれることがよく分かります。特に40代以降の方や脳の働きが悪くなってきたなと感じる方は、ぜひ毎日に取り入れてみてくださいね。

残り5つは、次回【後編】でご紹介します。

においをかいで認知症を検査? - 自宅で簡単にできる認知症検査キット発売

グローバルエンジニアリングは9月22日、認知症検査キット「はからめ」を発売する。

同社によると、認知症の症状は、老化による機能低下との見極めが難しく、発症を確認した時点ではすでに治療困難な状況に陥っているケースがほとんどであるという。

今回発売するキットは、本格的な医療領域の検査に踏み切れない場合に、リスクを回避する手段のひとつになるようにと開発したもの。同社では、嗅覚と脳機能低下に関する研究に3年前より着手。

においの種類と脳能力の相関性をまとめ、嗅覚障害の症状を検査することで、認知症発症リスクの判定が可能となるとのこと。

同商品の内容は、匂いカード(10枚)と取扱説明書、解答用紙、返信用封筒。価格は4,500円(税別)を予定している。

販売方法は、クリニック、介護施設、健康診断施設での検査実施を予定しているが、自宅での実施も可能のため、今後は「自宅でできる人間ドック」の一部分のような位置付けでの販売も目指すとのこと。

老化現象の一つ、物忘れのメカニズムと防止方法は?

まだまだ未知の分野が広がっている私たちの脳。脳は人間が生きるために思考や行動をコントロールする司令塔の役割をしている器官ですが、年齢とともに体内のあらゆる部分に老化現象が起き始めると、脳機能も働きが鈍くなって老化現象が起きてしまいます。

年齢を重ねると、普段生活している中で「あら、最近物忘れがひどくなったかな」と感じる機会が多くなりますが、これも老化現象の一つです。

ここでは物忘れのメカニズムと防止方法を解説していきます。

◆物忘れのメカニズムとは?

私たちの脳の中では、与えられた情報を元に的確な選択肢の中からベストのものを選ぶことができる情報処理能力があり、この機能はワーキングメモリーと呼ばれています。

例えば、東京から名古屋まで出張することになった場合、私たちは頭の中で「飛行機と新幹線どちらにしようか」「宿泊施設はどこにしようか」などを自分が持っている知識や経験に基づいて情報処理を行い、ベストの選択肢を選びます。

これが、ワーキングメモリー機能。年齢を重ねるとワーキングメモリーを司る細胞の細胞膜が硬くなってしまい、脳神経同士の情報伝達がうまく行われなくなってしまいます。これが、物忘れのメカニズムです。
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◆脳の簡単なトレーニング方法とは?

物忘れは老化現象なので遅かれ早かれ誰でも経験する症状ですが、放置すると症状はますますひどくなってしまうため、物忘れをストップするためには普段の生活の中で脳を活性化するためのトレーニングが必要です。

そのトレーニングの中でも特に有効と高く評価されているのが、マジック7というトレーニング方法です。[マジック7はとても簡単なトレーニング方法で、何でも良いのでテーマを決めたら答えを7個考えるというだけ。

例えば、「カレーに入れる具材」というテーマなら、「じゃがいも、ニンジン、玉ねぎ、肉、カレー粉、きのこ、ガーリック」などように、答えを7つ考えましょう。

クリアできたらテーマを変えて「カレーに合う肉ならどんな肉があるかな?」に該当する答えを7つ考えるなど、テーマを広げていくこともできます。
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◆マジック7で物忘れ防止の効果!

マジック7をすることによって、老化によって機能が鈍くなりやすい「考える力」を養うことができます。

脳の中で考える機能を司っているのは前頭葉ですが、その中でも前頭連合野や運動野という部分を活性化することによって物忘れの予防や経験につながります。

マジック7以外にも、塗り絵をしたり折り紙をするなど、指先を使う作業をすると前頭葉を鍛えることができるので、物忘れ防止の効果が期待できます。

若いうちから自宅でこうしたトレーニングを行う習慣をつければ、年齢を重ねても物忘れしにくい脳を維持することができます。

“介護リフォーム”が逆効果? 認知症の徘徊を防ぐ方法

家族を疲れさせ、追いつめる徘徊を、防ぐことはできないのだろうか。

「認知症の徘徊ほど難しい問題はないのです」

 そう話すのは、訪問医療を20年以上続ける精神科医(浅草ファミリークリニック理事長)の川﨑清嗣さんだ。一言で徘徊といっても、意識がクリアで外に出ていくものから、せん妄など軽い意識障害の問題行動として外に出ていくものなど、原因やパターンはさまざまだという。

「認知症で時間や場所がわからなくなると現実感も失われて徘徊が起きやすくなります。ただ止めるのではなく、本人は家族と違う意識空間にいることをまず知ってほしい。施設や病院によっては、安全に徘徊をさせるために回廊をつくっているところもあるのです」

 徘徊にもいくつかの傾向がある。とにかく家から出たがる場合は、本人の記憶の中の居心地のよかった場所や好きな環境を探し求めていることも少なくないという。

 川﨑医師は、

「外出させないよう鍵をつけたりする前に、室内環境も確認して」

 と話す。たとえば、介護やバリアフリーのために家をリフォームしたり、間取りを便利にしたりすることが、逆効果になることもあるという。自分の家と本人が認識できる「古いシミ」や「古い家具」などの目印が見えなくなり、不安に陥ることもあるというのだ。

 家よりもデイケアが居心地がよい場合、徘徊の「ゴール」がデイケアの場所だったということもあるとか。

 そんなときは、本人のなじみのある物を置くなど、家の居心地をよくすることで徘徊防止が期待できる。

 家族の表情や精神状態も大切だ。川﨑医師は介護する家族に、「鏡を見てほしい」と呼びかける。

「怒鳴る家族の姿が、認知症の方には『怖い。誰?』と映ることもある。介護者も“環境”の一つなので、家族が落ち着くと、徘徊が治まるケースを数々みてきました」

 習慣が徘徊につながることもある。たとえば、いつも夕食の買い物をしていた人は、認知症になって買い物の必要がなくても、夕方になると外出しようとすることがある。その場合は、配膳など別の仕事をしてもらうといい。

「別の役割により、参加意識を持ってもらうのがコツです」(川﨑さん)

 そもそも徘徊のためには「体力」が必要だが、それをうまく消費させることも徘徊を防ぐ方策だ。

「デイケアやデイサービスがない日に徘徊する方もいます。運動でも作業でも、日中に体を動かすのは夜の睡眠に影響するのでとても大事。休日に家族に時間があれば、一緒に汗をかくのもお勧めです」

 医師などに相談せず、抱え込むことで症状がひどくなることもある。ある家族は、徘徊に困り果て、父親の脚に太い鎖をじゃらじゃらとつないでいた。この父親の認知症はかなり進んでいたが、介護保険にも入っていなかった。

「家族内で抱え込まず、介護のプロや医師など第三者に介入してもらうことは重要なんです。方法はひとつではないのですから」

自分が「うつ」になるなんて!? OLたちのメンタルヘルス大調査

長時間労働、人員不足、パワハラ…職場に転がるウツの罠

うつ病は心の風邪、誰もがかかる可能性がある病気…。そう頭でわかっていても、なかなか口にはできないもの。実際に休職となればさらに…。今回は、OLたちにメンタルヘルスに関するアンケートを実施。同僚のメンタルヘルスや職場環境もあわせて聞いてみました。

仕事の内容や環境などが原因で、うつ(気味)かも…って思ったことある?

グラフデータ

ある…56%
ない…19%
実際にうつ病と診断されたことがある…13%
わからない、覚えていない…12%

※シティリビングWeb読者を対象としたWeb調査※有効回答数:143人※アンケート実施期間:2017/5/10~5/23

理解がない職場の片隅で…

「こんなことで会社休むとか、どんだけメンタル弱いねん!」って上司は言いますが、本人もわからないうちにためてるので、そっと休ませてあげてほしい(わいこ)「こんなことで休職しやがって」など、休職中の人に対する陰口がひどい。つらくても休職できない。辞めるしかない(tk)

会社の相談窓口は、機密とはなっているが、小さい会社なので、すぐばれる。病気になったほうが悪いという風潮が後ろ向きにさせる(たこゆか)「仕事が間に合わないのは、努力が足りないからだ」とか平気で言う上司がいるので、退職者が後を絶たない…(モーモー)便宜上、休職制度やリハビリ勤務制度などはあるが、実際は有給を消化させられ、 職場に復帰してもハレモノに触るような扱いをされる(YOKO)

実は私、うつ病でした…

治りかけて会社に復帰したとき、「復帰=完治」と思われてつらかった。 周りに「治ったのに、なんで調子悪いの?」と言われた(ゆたんぽ)現在進行形のうつ病で、体重が激減…。 毎日だるくてつらくて重いものがのっている感じ(てんちゃん)

本当につらかった。電車に乗れなかったから通勤できなかった(サーチャン)
真面目に頑張りすぎた結果、うつ病になってしまった。これ以上「頑張って!」と言わないで。本人は、どこをどう頑張ればいいのかわからない状態です(こむぎ)自分がうつ気味だったときは、恥ずかしくて他人に言えなかったし、気づかれないようにした。誰でもかかる病気だとわかっていても言えなかった (mimi)うつ病になると周りに迷惑をかけるけど、それすら興味がなくなる。それで関係性が悪くなる人もいるし、それでも側にいてくれる人もいる(M)

そのうつは、偽モノ? 本モノ?

最近はエセうつが多い。「うつだ」と申告すれば、楽な仕事に回されるから。でも、5年以上もうつ病で苦しんだ私には許せない!(神田の玉子)
同じ人が何度もお休みに入っています。仕事の進め方に非常にこだわりがあったり、コミュニケーションが苦手な人が多いかも(やっちゃん)
気安く「うつ病っぽい」とか言わないで。 話を盛る同僚が産後にウツを経験したと言っていたけど、うつ病の人は自分がうつの経験があるなんてなかなか言えない。特に仕事の仲間には言えない(マックス)
うつ病と自分に甘い人の見分けが難しい。元から甘い人なのに仕事のせいにされても、周りが迷惑(おお)

同僚たちのメンタル問題に…

今、同僚がうつ病で休職。その人は、休職前日まで周りにマウンティングして、上司にも盾付きまくっていたので、正直「うつで休む」と聞いたとき、病名詐称かと思ってしまった…。うつって診断方法が問診しかないから…自分がなったことがあるのに何だけれども…(みどり)
病気なので誰でもありうると思いますが、会社でうつ病になり何年にもなる方が、何かと「うつなので…」と免罪符のようにするのはどうかと…。どこからが病気でどこまでが健康なのか、何とも言えない気持ちです(さりさり)
私自身、産休を控えています。異動してきた同期に仕事の引き継ぎをしていた矢先、同期がミスを連発し、別部署に異動。その後、後任がなかなか決まらず、無理がたたって私は切迫早産で入院。結局、同期は精神的な理由で休職したようですが、モヤモヤだけが残ります(きのこのこのこ)
うつ病は、仮病だの、ゆとりだの言われるけど、 それで自殺することもある。 会社の同期がうつ病となり、身体的にも見た目も変わってしまった…。原因も聞かずに「甘やかすな」という人にはなりたくない(あゆみ)

あれ…これって、もしかして…?

自分は仕事できない、要領が悪い、上司に嫌われてると感じる。これは、自分の思い込み? 前向きになれない(ももりん)
朝起きて一言目が「会社に行きたくない」(みほきち)落ち込みが続くと何もやりたくなくなるし、人の言葉が雑音に聞こえる。周りの人にもっと理解してもらいたい。でも、言えない(ナベ)
人間関係に悩まされ、ずっと吐き気・頭痛があり、内科に行ったけど、胃薬を出されて終わった。心療内科に行くのがほかの人にバレたら、何か言われそうで行けない(Ntn)
休みたいが、上司との昔からの仲で切り出せない。とてもつらい(Mr.YK)

私の「うつ状態」脱却法

自分を卑下しないで、個性だと思うようにしています。 性格を変えたいと努力したときもありましたが、いい意味で諦めて、今の環境で最善を尽くすことに集中。そうすると、1日を大切に過ごしたいと思えるようになりました(あー)

「1日を振り返る」という習慣が、 うつになりそうな自分を気づかせてくれました。 そこで自分自身の異変を感じ、「このままでは病んでしまう。病みたくない」と気持ちを切り替えることができました(Zau)つらいのは自分が弱いからではない、と知ってから、頑張りすぎず、自分を責めず、自分に自信を持てるようになりました(nnnn)思い詰めると、余計気が滅入ります。人間関係なんてどこでもあるし、嫌いな人がいるのも当然。自分がすべて悪いなんて絶対に思っちゃダメ! 案外悪い奴ほど気にしていない! 逃げるが勝ちもアリです!(うさお)

私のウツなココロ

みんな当たり前のように生きてるけど、誰しも死にたいとかウツな気持ちはあるのかな? 病院に行ったら負けだと思って耐えてるけど、このまま誰にも相談できずにいる不安もある(ぴー)長時間労働をしていると、気持ちにどんどん余裕がなくなり、些細なことに悔やんだリ、傷ついたり…(さんちゃん)昔、うつ病かもしれないと思った時期があり、心療内科に電話したところ「自殺を図った経験はありますか?」と聞かれ、さすがにそこまでしたことはなかったので診察に行くのをやめました(さかな)

今、うつ病のあなたに

うつ病患者は他人から見るとただの怠け者にしか見えないが、わずらってみないとわからないつらい病。とにかく焦らず休みたいだけ休んでおくのが一番。そのうち動けるようになる日が来ます(もも)別に恥ずかしいことじゃないし、やり直しがきくから仕事なんて深く考えずに辞めればいい。実際に自分もそれで正解だった(みさにゃん)

真面目な人ほどかかりやすいというけど、明るい人もかかると思う。職場で明るい人って、気を使う人が多いから(マメ)
うつ病だけでなく精神的疾患は早めの対処で良くなります。通院について悩むことはありません。お薬は試しながら判断できます(MK)

うつ状態を感じたことがある人は56%、実際にうつ病の診断を受けた人は13%に!
メンタルヘルスに不調を感じたことがある人は合計69%! 実際にうつ病の診断を受けた人も少なくなく、現在、メンタルヘルスによる休職者が職場にいる人は47%に及びました。一方、実際に心療内科に通ったことがある人は34%。コメントにも多く見られましたが、やはり「心療内科に行く」というのはOLたちにとってかなりハードルが高いよう…。

「うつ状態」と「うつ病」は、似て非なるもの。しかし、うつ状態にはときに別の病気が隠されていることもあるため、ときには思い切って心療内科の扉を叩くことも大切なのかも…。なんにせよ、職場のメンタルヘルスに対する理解のなさがOLたちをさらに追い込んでいるのかもしれませんね。

認知症患者に期待高まる「複合型サービス」 要介護度が低くても利用化

認知症になったら、どんなふうに過ごし、どこで暮らせばいいのか。ちょっとした物忘れから、徘徊、そして寝たきりへと症状が進むなか、その時々に必要なケアを受けたい。自宅から通える施設の上手な利用法を考える。

 区内の自宅に住み、認知症で要介護1の鈴木サワさん(80)に「物盗られ妄想」や「徘徊」など中度の症状が現れるようになったのは2年半前。以後、夫の紀義さん(74)がつきっきりで支えるが、心身ともに疲労困憊が続く。

 以前、「週1回でも、どこかで預かってもらえないか」と悩み、意を決して居宅介護支援事業者と契約したことがある。

そこで、サワさんが週2回、近所のデイサービスに通う計画を立ててもらった。しかし、何日か通ったものの挫折し、途中で自宅に帰ってきてしまった。

 デイサービスでは高齢者20~30人がゲームなどのレクリエーションに興じるが、協調性を失うという認知症の特性で、場の雰囲気になじめなかったのだ。それからはデイサービスに行くのを嫌がった。

さらに「ケアマネジャーが作成したサービスを利用しなかった」として、居宅介護支援事業者との契約が解除されてしまった。

「時々、ものすごい剣幕で怒るときがある。手がつけられなくなるので、その場を離れ、怒りが収まるのを待つしかないんです」(紀義さん)

 サワさんは2年ほど前、一人で電車に乗り、千葉県船橋市の交番で保護された。転んで骨折していたが、船橋までどうやってたどり着いたのか、どこで転んだのか、一切覚えていなかった。

その後も外出しては転倒を繰り返した。始終、徘徊しては警察に保護され、時に激高する妻から紀義さんは目が離せなくなった。

次第に心がすり減り、そばにいられなくなった。なるべく顔を合わせないよう朝から近所の図書館などで時間をつぶし、昼と夕方だけ自宅に戻るようにして、同居生活に耐えた。

 このように老夫婦世帯でどちらか一方が認知症になると、介護サービスと切り離された途端、孤立しがちだ。だが、サワさんの場合は幸運だった。

 デイサービスを拒絶したなどの情報が、行政の出先機関である「地域包括支援センター」(墨田区は「なりひら高齢者支援総合センター」)の主任ケアマネジャーの志賀美穂子さんに伝わっていたのだ。頻繁に自宅を訪ね、二人の身を案じるようになった。

「紀義さんが相当疲れていたのでとても心配になりました。共倒れにならないためにもサワさんになんとか介護サービスを受けてもらいたかった」(志賀さん)

 志賀さんは8月上旬、夫妻と主治医、民生委員などを交えた「ケア会議」を招集し、サワさんに「複合型サービス」を提案した。認知症の人が地元に住み続けるための“切り札”と期待される、2012年に始まった介護保険のサービスだ。

サワさん夫妻が見学した施設「すこやかの家業平」で受けることができた。

 少し詳しく説明しよう。「複合型サービス」とは、「通い」を中心に、必要に応じて「泊まり」や「訪問介護」「訪問看護」を組み合わせて受けられるサービス。

06年の介護保険法改正により、その市区町村に住む人限定の「地域密着型サービス」の一つとして始まった「小規模多機能型居宅介護」に、医療がプラスされたものだ。

 サワさんのように認知症でも寝たきりでないと要介護度は低く判定され、使える介護サービスは限られる。

軽度ならデイサービスなどの「居宅サービス」を利用しつつ在宅生活も可能だが、「徘徊」「暴力」などの中度の症状が出てくると、家族は目が離せなくなり負担が増える。

そうした事態に対応する「地域密着型サービス」の中で、とりわけ「複合型サービス」に期待が高まっている。

 まず大きな利点は、要介護1以上から利用でき、医療のケアが受けられること。料金は定額制で、要介護1なら月額の自己負担が1万4千円ほど、要介護5でも3万5千円ほど。

 また、要介護1でも独居で認知症の場合は週5回までデイサービスに通える。定員25人以下、毎日デイサービスに受け入れる定員は15人以下と、少数で家庭的な雰囲気だ。

 ただし欠点もある。今年5月の時点で全国に131カ所しかない。まだ実施していない市区町村が多いのだ。

認知症告知に本人と家族の不安と恐怖…情報行き届かず、手薄な支援

医療技術の進歩で、認知症の早期診断が可能になっている。だが、告知を受けた本人や家族の不安への対応は貧しい。決定的な治療法はなく、進行する。理解力も判断力もある初期の不安と恐怖は並大抵でない。その負担を、どう軽減するかが問われている。

 夫の机の引き出しから出てきたのは、びっしりと文字の並んだ手帳だった。野菜の名前、果物の名前、身の回り品-。こぼれ落ちる記憶をつなぎ止めるかのように丁寧な文字が並んでいる。

2冊の手帳は、商社マンだった小林健太郎さん(70)=仮名=が若年性の前頭側頭型認知症と診断された後に書きつづった。

 ページをめくるにつれ、内容が必死になっていく。同僚の名前、自身の履歴、家族の名前。忘れまいとする気持ちとは裏腹に、文字は次第に怪しくなる。最後はカタカナで「スリッパ」「ムシメガネ」「ハミガキのコ」。後のページは真っ白だ。

 健太郎さんに兆候が出たのは50代の末。睡眠障害、怒り。妻の佐代子さん(65)=仮名=の浮気を疑い、暴言を吐く。佐代子さんは「仕事のストレスかと思いました。仕事一筋の人でしたから」。だが、新聞勧誘員を追い掛け、近所に怒鳴り込むなど行動はエスカレートした。

 鬱病と診断されたが、1年ほどで「言葉が出ない」と言い始めた。堪能だった英語が読めなくなり、秘書に指示する言葉が出ない。検査のため、都内の大学病院に入院。医師から「若年性の前頭側頭型認知症です。良くなることはありません」と告知された。

 佐代子さんは「これからどう生きていったらいいのか、病院は何も教えてくれなかった。薬をくれただけ」と言う。65歳前でも介護保険が使えること、障害者手帳を受け取れること、障害年金が受けられるかもしれないこと-。手探りで家族会を探し、自治体に電話して情報を得た。

 健太郎さんの不安は癒えなかった。受診のたびに「可能なら手術がしたい」「未承認薬の治験に参加したい」「何か薬を」「治療を」と訴えた。手帳はその頃のもの。佐代子さんは最近、見つけて涙した。「夫は分からなくなるまで苦しんでいました」

 職場には病名を言わず、2年を過ごした。最後は業務をこなせなかったから、同僚は分かっていたはずだ。だが、辞めろ、とは言われなかった。佐代子さんは涙をこぼす。「言わなければいけない、言わなければいけないと思っていました。でも、主人には仕事は人生そのものでした」

 退職後、2人は漢字ドリルを買い求めた。小学3年生用を始めたが、途中で書けなくなった。2年生用に替えたが、それもできなくなり、1年生用にした。最後のひらがなのドリルには一文字も書くことができなかった。

 あれから約10年。健太郎さんは話はできなくなったが、自宅で穏やかに暮らしている。デイサービスを「出勤」と思ってか、楽しみにする。1人分の菓子は佐代子さんに分け、童謡を口ずさめば涙をためる。「悲しさや苦しさ以上に感動がある」と佐代子さんは話している。

 ■情報伝え、励まし、寄り添い、支える

 認知症だと知らされたときの本人や家族への支援が不足していることは、家族の間では「常識」だという。

 「認知症の人と家族の会」の高見国生代表理事は「初期は特に本人も混乱するし、家族もどうしていいか分からない。医療機関が手を放さず、寄り添わないといけないのに、『1年後にまた来てください。進行の度合いを見ます』では、告知は早期絶望にしかならない」と批判する。

 早期診断が可能になっている一方で、決定的な治療法がないことが問題を複雑にしている。

だが、病気が分かった時点でソーシャルワーカーにつなぎ、家族会や認知症カフェの存在が分かるだけでも家族には足掛かりになる。介護保険や障害者手帳、人によっては障害年金などの情報も必須だ。

 高見代表理事は「医療機関は告知と一緒に、どんな支援があり、どう生きていったらいいかを伝えないといけない。それができれば告知もそんなに怖くなくなる。だが、それにふさわしいサービスが整っていない。初期や若年性への対応を進めないといけない」と指摘する。

 医療機関にも支援のない告知への危機感がある。熊本大学大学院・生命科学研究部の池田学教授は「本人と家族がうちひしがれて帰るような告知は考え直さないといけない。病名だけを伝えるのは告知ではない。医療そのものへの信頼も失う」。

 「若年性の場合、自覚症状があって受診する。働いていることも多く、正確な病名まで告知せざるを得ないこともある。だが、アルツハイマーにも前頭側頭型にも根本的な治療法はなく、病気は進行する。本人は怖いだろう。告

知すると、まず、間違いなく鬱状態になる。医師が責任を持ってフォローできるか。ソーシャルワーカーや臨床心理士が落ち着くまで寄り添う態勢をつくれるか。早期診断が意味を持つ態勢をつくらないといけない」(池田教授)

 池田教授は家族の依頼で、本人の職場の総務担当と話をすることもある。信頼できれば、本人の可能な仕事を一緒に考える。経営状態が悪い会社、危険物を扱う職場、運転が必須の職場もあるから容易でない。だが、配置転換してでも働き続けられれば病状にも良い影響がある。

 こうしたサポートは医師の判断に任されており、制度の裏付けはない。池田教授は「支援に正解はなく、知識と経験を総動員する。だが、信頼ができ、寄り添っていければ、患者は恐怖を乗り越えられる。

認知症疾患センターに予算をつけ、若年性の人と家族のサポートから開始し、対象を少しずつ広げていくしかない。介護する家族が不安だと、患者も不安になる。本来、本人と家族をどう支えるかは精神科医療の本質だ」と話している。

怒鳴ったらダメ 認知症の親との距離感、つき合い方

親や配偶者が認知症を発症した時、困った行動の連続に、思わず怒鳴りつけてしまうことがある。どう対応すればいいのか? 「認知症と共に輝く日々をめざして」(飛鳥新社)を出版した順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学の新井平伊教授は、次のポイントを挙げる。

■同じものばかり、 いくつも買ってくる

「食品なら冷蔵庫に入っているものを書き出しておく。財布に<〇〇は家にあります>などと書いたメモを入れておく。財布の中の金額を管理する。とにかく叱らない」

■気力がなく、テレビばかり見ている

「認知症では意欲、やる気が低下しますが、これが続くと正常な脳機能も衰えてしまう。家にいると、どうしてもテレビの前にいる時間が長くなるので、デイサービスやヘルパーを利用する。日中に散歩などで活動量を増やし、適度に体を疲れさせるといいでしょう」

■食事をしたのに、まだ食べていないと言い張る

「もうすぐ食べられるという安心感を与えることが一番。どうしても我慢ができない場合は、カロリーの低いおやつを少しずつ出したり、3回の食事を数回に分ける、寂しさや欲求不満を食べることで解消しようとしている場合もあるので、様子を見るのも大事です」

■夕方になると「家に帰る」と身支度を始める

「少し時間が経つと落ち着くことも多いので、お茶や夕食に誘うなどして、本人がここにいようと思えるように気を紛らわせてください」

■お金を盗まれたと、身近な人を疑う

「<私が盗むわけがない>と責めず、一緒に捜す。気持ちが落ち着き、興味がほかへ移りやすくなります。食事などを挟むと、お金のことを忘れてしまう場合もあります」

■入浴を嫌がる

「入浴は夜と時間を決めず、日中に誘う。同性の家族や孫となら入るという場合もありますし、風呂上がりのビールやジュースを楽しみにお風呂に入るようになった人も。無理強いはせず、入浴の気持ち良さを伝えてください」

■失禁してしまう

「規則正しい生活で排尿や排便のリズムを予測し、タイミングを見てトイレに誘うと、失敗が減ります。トイレの場所が分からないようなら、ドアを開けてトイレだと分かるようにする。着脱のしやすい下着にする」

■幸せな認知症介護

 新井平伊教授の外来には、認知症の患者さんの診察に臨床心理士も同席する。臨床心理士の戸田愛子氏に、認知症の患者さんと家族が上手に寄り添いながら生きている印象的なエピソードを聞いた――。

 認知症の中期の段階で、近所の植木を蹴飛ばしたり荒らしたりする患者さんがいらっしゃいました。
 当時子供たちは20歳前後。奥さんは反抗期だった子供たちに「お父さんは悪くない」と繰り返し諭し、仕事と介護と子育てで大変な苦労をされていたにもかかわらず、認知症の家族会で知り合ったご家族を自宅に招いて慰めるなどしていました。

 重度に進行してからは、暴れるなどの行為は治まりました。奥さんはショートステイやデイサービス、リハビリなどを活用しながら在宅介護を続け、一方で仕事を辞め、結婚前の趣味を生かした活動をされています。独立し結婚した子供たちは、孫を連れて頻繁に実家を訪れ、介護を手伝っています。

 認知症の患者さんの介護は、初期や中期など段階において問題が変わります。ひとりで抱え込まずに、社会や地域支援を活用することによって、ポジティブな連鎖が生まれると思っています。

怒鳴ったらダメ 認知症の親との距離感、つき合い方

親や配偶者が認知症を発症した時、困った行動の連続に、思わず怒鳴りつけてしまうことがある。どう対応すればいいのか? 「認知症と共に輝く日々をめざして」(飛鳥新社)を出版した順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学の新井平伊教授は、次のポイントを挙げる。

■同じものばかり、 いくつも買ってくる

「食品なら冷蔵庫に入っているものを書き出しておく。財布に<〇〇は家にあります>などと書いたメモを入れておく。財布の中の金額を管理する。とにかく叱らない」

■気力がなく、テレビばかり見ている

「認知症では意欲、やる気が低下しますが、これが続くと正常な脳機能も衰えてしまう。家にいると、どうしてもテレビの前にいる時間が長くなるので、デイサービスやヘルパーを利用する。日中に散歩などで活動量を増やし、適度に体を疲れさせるといいでしょう」

■食事をしたのに、まだ食べていないと言い張る

「もうすぐ食べられるという安心感を与えることが一番。どうしても我慢ができない場合は、カロリーの低いおやつを少しずつ出したり、3回の食事を数回に分ける、寂しさや欲求不満を食べることで解消しようとしている場合もあるので、様子を見るのも大事です」

■夕方になると「家に帰る」と身支度を始める

「少し時間が経つと落ち着くことも多いので、お茶や夕食に誘うなどして、本人がここにいようと思えるように気を紛らわせてください」

■お金を盗まれたと、身近な人を疑う

「<私が盗むわけがない>と責めず、一緒に捜す。気持ちが落ち着き、興味がほかへ移りやすくなります。食事などを挟むと、お金のことを忘れてしまう場合もあります」

■入浴を嫌がる

「入浴は夜と時間を決めず、日中に誘う。同性の家族や孫となら入るという場合もありますし、風呂上がりのビールやジュースを楽しみにお風呂に入るようになった人も。無理強いはせず、入浴の気持ち良さを伝えてください」

■失禁してしまう

「規則正しい生活で排尿や排便のリズムを予測し、タイミングを見てトイレに誘うと、失敗が減ります。トイレの場所が分からないようなら、ドアを開けてトイレだと分かるようにする。着脱のしやすい下着にする」

■幸せな認知症介護

 新井平伊教授の外来には、認知症の患者さんの診察に臨床心理士も同席する。臨床心理士の戸田愛子氏に、認知症の患者さんと家族が上手に寄り添いながら生きている印象的なエピソードを聞いた――。

 認知症の中期の段階で、近所の植木を蹴飛ばしたり荒らしたりする患者さんがいらっしゃいました。
 当時子供たちは20歳前後。奥さんは反抗期だった子供たちに「お父さんは悪くない」と繰り返し諭し、仕事と介護と子育てで大変な苦労をされていたにもかかわらず、認知症の家族会で知り合ったご家族を自宅に招いて慰めるなどしていました。

 重度に進行してからは、暴れるなどの行為は治まりました。奥さんはショートステイやデイサービス、リハビリなどを活用しながら在宅介護を続け、一方で仕事を辞め、結婚前の趣味を生かした活動をされています。独立し結婚した子供たちは、孫を連れて頻繁に実家を訪れ、介護を手伝っています。

 認知症の患者さんの介護は、初期や中期など段階において問題が変わります。ひとりで抱え込まずに、社会や地域支援を活用することによって、ポジティブな連鎖が生まれると思っています。

間に合うかも! 禁煙で認知症リスクを減少できる?

 認知症予防の鍵を握るのは、食や運動だけではない。病気や生活習慣、嗜好品なども認知症の発症リスクを高める可能性があり、それらの改善が予防につながることがわかってきている。

 喫煙は血管を収縮させて血液の流れを悪くし、動脈硬化を促進させる。このため、心筋梗塞や脳梗塞といった病気の原因だけでなく、認知症のリスクにもなる。

 喫煙が認知症発症の危険因子であることは、今年6月に報告された福岡県久山町の住民を50年以上にわたって調査している「久山町研究」の結果からも示されている。

 この調査は、1988年に健康診断を受けた高齢者約700人を「喫煙」「過去に喫煙」「非喫煙」の三つに分けて15年間にわたって追跡した結果をまとめたものだ。

この間、約200人が認知症になったが、喫煙者は非喫煙者に比べて、認知症の発症リスクが2倍になっていた。過去に喫煙していた人と、非喫煙者では差が出なかった。久山町研究を主導する、九州大学大学院環境医学の清原裕教授はこう話す。

「この調査では、40代、50代の中年期以降も喫煙を続けている人はリスクが高くなっていました。一方で、老年期で禁煙した人ではリスクが減っていました。今すぐにたばこをやめればまだ間に合うかもしれない、ということです」

酒は少量ならむしろ認知症にプラス 気になるその適正量は?

愛飲家にとって、飲酒と認知症の関係は気になるところだ。杏林大学医学部(東京都三鷹市)高齢医学の松井敏史准教授に尋ねた。

「アルコール依存症患者や大量に飲酒する習慣がある人には、脳の萎縮や脳血管障害が高い割合で起こり、認知機能の低下がみられます。大量の飲酒は、認知症の発症リスクを高める可能性があるといえます」

 松井准教授によると、アルコールには脱水作用があり、これで血液中の水分が奪われると、血管が詰まり脳梗塞などを発症。血管性認知症の原因になるという。

 約1800人の高齢者を対象にしたアメリカの住民調査では、長期の飲酒で累積の量が増えるほど、脳が萎縮していることが判明した。アルコールを分解するときにビタミンB1が大量に消費され、脳の神経細胞が破壊されるなどして、萎縮が進むもので、アルコール関連認知症の原因となる。

 だが、悪影響を与えるだけではない。少量のアルコールは認知症のリスクを低減するという研究もあると、松井准教授は言う。

「1日あたりアルコール10グラム程度の飲酒は、認知症のリスクを低減させる効果があることが報告されています。ビールなら250ミリリットル、日本酒なら0.5合です」

 この研究はアメリカに住む約5900人の高齢者を対象に、平均6年間追跡したものだ。飲酒をしない人の認知症発症リスクを1としたとき、1日あたりアルコール10グラムの飲酒で認知症になるリスクは0.5程度。つまり、まったく飲まない人の半分程度にリスクが下がっていた。

 少量の飲酒はなぜいいのか。松井准教授は解説する。

「アルコールには、善玉コレステロールを増やしたり、血管を拡張したり、血液をサラサラにしたりする働きがあります。少量だとこれらが効果的に作用するのではないでしょうか」

 もちろん、お酒に弱い人が無理に飲む必要はない。また、アルコールが1日20グラムを超えると、リスクは急増していくこともわかった。

「1日に飲んでいいのはビール500ミリリットルまでです。それ以上だとリスクが急激に上がります。十分な栄養をとりつつ、楽しくお酒と付き合ってください」(松井准教授)

「味噌汁に牛乳」「緑茶ごはん」…認知症予防の意外なレシピ

認知症発症の予防が期待できる栄養素や予防食を日々、効果的にとるにはどうすればいいか。栄養学の専門家や管理栄養士にポイントやレシピなどを聞いた。

 DHA、EPA、ポリフェノール、葉酸といった栄養素を、日々の食事にどう取り入れたらいいか――。認知症予防の食生活指導に取り組む管理栄養士の可野倫子(かののりこ)さんに、おすすめのメニューを考案してもらった。また、それぞれの栄養素の上手なとり方のポイントも聞いた。

「まずDHAやEPAですが、これらは魚のなかでも、とくに青魚に多く含まれています。鮮度とともに減ってしまうので、なるべく新鮮なものを買い求め、買ったらすぐに調理するのがポイントです」(可野さん)

 それがむずかしい場合は、生の魚ではなく水煮の缶詰を利用するとよいそうだ。新鮮な魚を水煮にしているため、栄養成分はあまり変わらない状態で缶に詰まっている。

「水煮の缶詰に入っているアブラは、魚自身のアブラ、つまりDHA、EPAなのです」(同)

 今回紹介している料理は、アジやサバ、サンマ、ウナギを使ったもの。アジは比較的手ごろな値段で手に入り、半身(約100グラム)で約1グラムのDHAが含まれる。最新の厚労省の報告によると、n??3系多価不飽和脂肪酸の摂取量の目安は1日約2グラムなので、半分の量を一度にとることができる。

「ウナギは、DHAやEPAだけでなく、たんぱく質や抗酸化作用のあるビタミンEが豊富。代謝に欠かせないビタミンB1、B2も豊富なので夏バテ予防も期待でき、暑い時期におすすめです」(同)

 ポリフェノールは、果物や野菜に含まれるが、多くが水溶性で、加熱で失われやすい。可野さんは、「加熱したものを丸ごととるスープや味噌汁などの汁物、煮物がよい」と話す。

 夏野菜の代表格であるナス。効率よくポリフェノールをとるには、調理の際、長時間水にさらさないようにするのがポイント。

「ナスは煮浸しや味噌汁などでも活躍する野菜ですが、皮を素揚げにし、身はさいの目に切り、抗酸化作用のあるオリーブオイルと塩、こしょうで調味すれば、それだけで赤ワインに合う一品になります。もちろん、飲みすぎには注意してくださいね(笑)」(同)

 夏にぴったりな献立「トマトの冷麺」も教えてもらった。トマトにもポリフェノールが豊富に含まれる。ゆでて流水で洗ったきしめんに、ゆでた枝豆と、適当な大きさに切ったトマト(缶詰でも可)、ナス、タマネギをのせ、オリーブオイルで炒めたニンニクととうがらしをかけ、塩、こしょうとケチャップで味を調える。食欲がなくても、これならツルッと食べられそうだ。

 チーズ、ヨーグルトなどの乳製品や牛乳は、料理しなくても食べたり飲んだりできるが、より積極的にとるためには、バタートーストをチーズトーストに、紅茶をミルクティーにするなどの応用も必要。

 牛乳ではこんなユニークな工夫もできる。味噌汁に入れるというのだ。意外な組み合わせだが、コクが出るので、そのぶん味噌を減らせる。減塩も期待できるので、一石二鳥だ。

 ポリフェノールと葉酸の両方を含む緑茶は、毎日欠かさず飲みたいが、ただ飲むだけではもったいない。料理に使えないだろうか。

「もちろん、使えますよ。緑茶を米と一緒に炊き、炊き上がったら茶葉をふりかけます。おいしい『緑茶ごはん』ができあがります。この方法だと、茶葉も食べるので、緑茶の栄養素がまるごととれます」(同)

「この食品がいいからと、同じものだけ食べるのではなく、偏らずいろいろな食材をとれば、栄養はしっかりとれます。これを機に、いろいろな料理にもチャレンジしてほしい。それが脳の活性化や認知症予防にもつながっていくでしょう」(同)

物忘れがヒドイ人必見!脳の老化を食い止めるには●●を7個食べて

「昨日の夕食何食べた?」「昨日会った方の名前は?」など、前の日に食べたものや行った場所を「何だったかな……」ということ、結構ありますよね。

もしかしたらそれは、脳の短期記憶の機能が、衰え始めている兆候かもしれません。

年齢を重ねても美しく知的でいたい女性にとっては、脳の若さも大切。そこで今回は、脳の活性化に役立つ“くるみ”の話をお届けします。

■脳は老化していくって本当?

脳は20歳代から衰え始め、認知力の低下に気づくのが40歳頃とされています。大人になると発達が止まり、少しずつ脳の神経細胞が死んでいくと、聞いたことがあるかもしれません。

しかし現在では、脳がネットワークとして機能していて、いくつになっても細胞が新生する点などから、加齢による自然な認知力の低下は、脳への刺激と食事によりカバーできるというように変わってきています。

■脳を老化させない食べ物って?

カリフォルニアくるみ協会によると、くるみの摂取によって、脳の力を高められる可能性があるとの研究が、米アンドリューズ大学の研究者らを筆頭に、さまざまな研究で明らかになっているとのこと。

食事にくるみを加えることで、心臓病や糖尿病などの身体の病気に加えて、脳の神経系統の衰えによる、疾病の始まりを遅らせることが可能であるとの内容が示唆されています。

医学ジャーナリストの山田雅之さんの話では、脳にとっては、良い脂肪酸を摂ることと、抗酸化物質で酸化を防ぐこと、血管の健康を保つことは、脳の老化を防ぐための3要素だといいます。

この3要素を満たすのが、くるみ。オメガ3脂肪酸が、ナッツ類で最も多く含まれています。オメガ3脂肪酸とは、細胞膜の構成要素の一つであり、身体の調整物質の一つ。

さらに抗酸化値が高く、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB6、葉酸、マグネシウム、銅、亜鉛などのビタミンやミネラルをはじめ、食物繊維、メラトニンなど人間の健康維持、増進に必要な成分が豊富に含まれます。

くるみは、バランス良く栄養素を補給するのに適した食材といえるのです。

■脳の質には脂肪酸が影響する

脳の60%は脂肪でできているので、脳内の脂肪酸の構成が、脳の質に大きな影響を与えます。その脂肪酸の構成は、食べ物によって決まり、脳に良い脂肪酸を摂っていれば、健康的な脳に変化させることが可能なのです。

脳に良い脂肪酸と悪い脂肪酸は、オメガ3>オメガ6>一価不飽和脂肪酸>不飽和脂肪酸>トランス脂肪酸の順となり、オメガ3は神経細胞間のコミュニケーションがスムーズに行える、健康的な脳を作ります。これらにはDHA、ALA、α‐リノレン酸があります。

その他くるみには、アルツハイマー病の主要な原因となるたんぱく質・アミロイドβの働きを阻害し、睡眠を調整するメラトニンを含むなど、多彩な働きで脳を活性化します。

バルセロナ病院のエミリオ・ロス博士らが行った、地中海料理に含まれる食材と認知機能の関連性の調査では、くるみにワーキングメモリを良くする働きがあることが分かっています。

他の研究でも批判的思考力、言語的な推理能力が、著しく向上することが実証されています。

いかがでしたか? 1日におよそ30gのくるみを摂ると、1日の推奨量を満たします。殻付きで7個、剥きくるみで14個ほど、毎日の生活に少しずつ取り入れてみませんか。

「味噌汁に牛乳」「緑茶ごはん」…認知症予防の意外なレシピ

認知症発症の予防が期待できる栄養素や予防食を日々、効果的にとるにはどうすればいいか。栄養学の専門家や管理栄養士にポイントやレシピなどを聞いた。

 DHA、EPA、ポリフェノール、葉酸といった栄養素を、日々の食事にどう取り入れたらいいか――。認知症予防の食生活指導に取り組む管理栄養士の可野倫子(かののりこ)さんに、おすすめのメニューを考案してもらった。また、それぞれの栄養素の上手なとり方のポイントも聞いた。

「まずDHAやEPAですが、これらは魚のなかでも、とくに青魚に多く含まれています。鮮度とともに減ってしまうので、なるべく新鮮なものを買い求め、買ったらすぐに調理するのがポイントです」(可野さん)

 それがむずかしい場合は、生の魚ではなく水煮の缶詰を利用するとよいそうだ。新鮮な魚を水煮にしているため、栄養成分はあまり変わらない状態で缶に詰まっている。

「水煮の缶詰に入っているアブラは、魚自身のアブラ、つまりDHA、EPAなのです」(同)

 今回紹介している料理は、アジやサバ、サンマ、ウナギを使ったもの。アジは比較的手ごろな値段で手に入り、半身(約100グラム)で約1グラムのDHAが含まれる。最新の厚労省の報告によると、n??3系多価不飽和脂肪酸の摂取量の目安は1日約2グラムなので、半分の量を一度にとることができる。

「ウナギは、DHAやEPAだけでなく、たんぱく質や抗酸化作用のあるビタミンEが豊富。代謝に欠かせないビタミンB1、B2も豊富なので夏バテ予防も期待でき、暑い時期におすすめです」(同)

 ポリフェノールは、果物や野菜に含まれるが、多くが水溶性で、加熱で失われやすい。可野さんは、「加熱したものを丸ごととるスープや味噌汁などの汁物、煮物がよい」と話す。

 夏野菜の代表格であるナス。効率よくポリフェノールをとるには、調理の際、長時間水にさらさないようにするのがポイント。

「ナスは煮浸しや味噌汁などでも活躍する野菜ですが、皮を素揚げにし、身はさいの目に切り、抗酸化作用のあるオリーブオイルと塩、こしょうで調味すれば、それだけで赤ワインに合う一品になります。もちろん、飲みすぎには注意してくださいね(笑)」(同)

 夏にぴったりな献立「トマトの冷麺」も教えてもらった。

トマトにもポリフェノールが豊富に含まれる。ゆでて流水で洗ったきしめんに、ゆでた枝豆と、適当な大きさに切ったトマト(缶詰でも可)、ナス、タマネギをのせ、オリーブオイルで炒めたニンニクととうがらしをかけ、塩、こしょうとケチャップで味を調える。食欲がなくても、これならツルッと食べられそうだ。

 チーズ、ヨーグルトなどの乳製品や牛乳は、料理しなくても食べたり飲んだりできるが、より積極的にとるためには、バタートーストをチーズトーストに、紅茶をミルクティーにするなどの応用も必要。

 牛乳ではこんなユニークな工夫もできる。味噌汁に入れるというのだ。意外な組み合わせだが、コクが出るので、そのぶん味噌を減らせる。減塩も期待できるので、一石二鳥だ。

 ポリフェノールと葉酸の両方を含む緑茶は、毎日欠かさず飲みたいが、ただ飲むだけではもったいない。料理に使えないだろうか。

「もちろん、使えますよ。緑茶を米と一緒に炊き、炊き上がったら茶葉をふりかけます。おいしい『緑茶ごはん』ができあがります。この方法だと、茶葉も食べるので、緑茶の栄養素がまるごととれます」(同)

「この食品がいいからと、同じものだけ食べるのではなく、偏らずいろいろな食材をとれば、栄養はしっかりとれます。これを機に、いろいろな料理にもチャレンジしてほしい。それが脳の活性化や認知症予防にもつながっていくでしょう」(同)

40代でも認知症 直面する介護問題にまずは何をすればいい?

本人はもちろん、介護する家族にも負担のかかる認知症。まだまだ介護なんて関係ないといっても40~50歳代と比較的若い段階で発症する人もいる。では、ケアが必要になったらどうすればいいのか。認知症介護研究・研修東京センター研究部部長の永田久美子氏に聞いた。

Q1 「認知症かもしれない」と思ったらどう行動を起こしたらいいのでしょうか。

 まず、ふだん診てもらっている「かかりつけ医」に受診し、心配な点を具体的に相談しましょう。認知症の検査や診断、投薬などの治療をしてくれる「かかりつけ医」が増えています。

 より詳しい検査が必要な場合は、かかりつけ医が専門の医療機関を紹介する流れになっています。かかりつけ医がいない場合は、各市区町村に必ずある「地域包括支援センター」に電話をして、「物忘れ外来」など認知症に詳しい地域の医療機関を教えてもらいましょう。

各都道府県には、より専門的な診断や治療を行うための「認知症疾患医療センター」が設置されて、かかりつけ医や地域包括支援センターと連携を図っています。こうした医療機関をホームページに掲載している都道府県や市区町村もあります。

 地域包括支援センターにはケアマネジャー、保健師、社会福祉士などが常駐し、介護のよろず相談を受けています。悩みを抱え込まないで、これからの生活について最初の段階でよく話し合い、支えてくれる地域のサービスや支え手の情報を知っておくことが肝心です。

Q2 嫌がる本人をどうやって連れていったらいいのでしょうか。

 早めに受診させようと周りが急ぐと、本人の不安や不満を募らせ、ますます頑なになり、悪循環に陥りがちです。本人が病院に行ってみようという気になる誘い文句の工夫が必要です。

「お互い元気でいられるように一緒に健診にいこうよ」「これからもあの好きなこと続けられるといいね」など、前向きな声をかけましょう。

お孫さんや友達から誘ってもらう手もあります。地域包括支援センターの職員に家庭訪問を依頼して、在宅訪問の医師を紹介してもらい、家に診にきてもらう方法もあります。

Q3 普段の生活で困ったことがあったらどこに相談すればいいのでしょうか。

 まずは地域包括支援センターです。そこで、家族の集いや最近できている「物忘れカフェ」など、気軽に相談できる場や人を紹介してもらいましょう。地域の民生委員の中には、認知症の相談に乗ってくれる人も増えています。

面と向かっては話しづらいという場合、電話相談が便利です。認知症の専門ダイヤルを設置する自治体が増えたので、役所で聞いたり、市区町村の広報やホームページで確認をしましょう。

 介護体験のある人が親身に相談を受ける「認知症の人と家族の会」の電話相談もあります。地域には必ずいい相談相手がいます。一人で抱え込まないことが大事です。

Q4 使える介護サービスはどのようなものがありますか。

 認知症の人はいきなり何もかもできなくなるわけではなく、介護サービスが必要になるのは、長い経過の中盤以降です。最初のころは介護よりも、本人が閉じこもらずに安心して外に出かけられるような場所や支援者が必要です。

最近では各市区町村で支援者や場所づくりが進んできているので、地域包括支援センターに問い合わせ、地元情報を集めてみましょう。

 一方、家族が疲弊しないように、早めに介護保険サービスを申請し、お任せではなく本人・家族の生活や素朴な希望を伝えながら活用しましょう。




うつ病で休職中に「傷病手当金」を上手に受け取るためのちょっとしたコツ

もしうつ病等で休職中に、傷病手当金をもらえるケースが発生したら、なるべく早くもらえたほうがいいですよね?

さて、傷病手当金の申請にあたり、“医師の意見”と“会社の証明”が必要であると「うつ病で働けない…

そんなとき“傷病手当金”を受け取るためのポイント」でご紹介しましたが、今回は実際に医師や会社に記入や証明をお願いするにあたってのちょっとしたコツについてご紹介します。

前回に引き続き、中小企業診断士、社会保険労務士、職場メンタルヘルスコンサルタントの上江誠さんにお話をうかがってきました。

■1:医師の意見を書いてもらう際の費用は?

「医師に“診断書”を書いてもらうと自費になり、病院によって値段は違いますが、数千円程度、請求されることもあるかと思います」

「“傷病手当金支給申請書”に意見を書いてもらったら高いのでは……?と思う方もいらっしゃるようですが、診療報酬点数表で“傷病手当金意見書交付料”が定められています。それによると“100点=1,000円”と決められています」

傷病手当金意見書交付料は、診断書を書いてもらう際に請求される文書料金とは異なるものですので、まずそこをふまえておきましょう。

■2:“医師の意見”を書いてもらうのに健康保険は適用できる?

「医師の意見を書いてもらうにあたり、健康保険を適用できる場合とできない場合がありますね。

うつ病の治療を健康保険で受けていたら、3割負担の方はそれに応じて“300円”となりますし、もし自由診療で治療を受けていたら10割負担なので“1,000円”となります」

健康保険で治療を受けるか、自由診療で治療を受けるかによって違うとのことですね。

■3:医師の意見の記入をお願いする時には“コミュニケーション”を大切に!

『2012年医療文書作成業務・文書料金実態調査』によれば、“医療文書の作成業務は、医師のいやがる仕事の筆頭格で、負担感の大きいものとして知られています”と書かれています。

本来の仕事である診察や手術等の業務を行っている上で、さらに医療文書の作成を行うことになるわけですので、意見の記入をしてくれるのが当たり前と思わず、お願いする時には「お手数をお掛けしますが、よろしくお願いします」といったようにお願いするのがベターな対応ではないでしょうか。

印象を良くしておくだけでも、主治医の先生も「なるべく早く書いてあげよう」と思ってくださるかもしれません。

また、精神科や心療内科は忙しいところが多いので、当日記入してもらえるとは限りません。その場合、次の診察の際に記入した書面をもらえるのか、いつごろかも含めて郵送などの対応を頂けるのか、事前に確認しておくといいでしょう。

■4:会社に証明をお願いする時にも、やはり“コミュニケーション”を大切に!

医師に記入をお願いするのと同じように、会社に証明をお願いする時にもやはりコミュニケーションが大切でしょう。

会社の担当者の方が申請手続きをしてくれるところがほとんどだと思いますが、書類の記入は大変ですし、添付書類の用意も必要で、意外と手間がかかるものです。

会社の担当者の方についても、普段の業務をしている上で申請書の記入を行うことになります。

「普段からコミュニケーションを良くしていたり、また、申請書を会社に送る時には、“お忙しい所、いつも素早い対応をして下さり、ありがとうございます”といったように書き添えるなどの心配りや気遣いがあったりすると、申請書を受け取った担当者の方の印象もちがいますよね」

以上、休職中に傷病手当金を上手に受け取るためのコツについてご紹介いたしましたが、いかがでしたか?

申請書の準備が遅れると、それに伴って傷病手当金の受給も遅くなってしまいます。ちょっとした心配りで、医師や会社の担当者が受ける印象もかわってくるものなので、記入などをお願いする時には“コミュニケーション”を大事にしましょうね。

当てはまったら気をつけて!「うつに陥りやすい性格」3つのパターンとは

眠れない、食欲がわかない、気分が落ち込む、何をしていても楽しくない……といったことを日々感じている人は、“うつ病”の可能性があるそうです。

病院でうつ病と診断されなくても、季節の変わり目、ホルモンバランスの変化など、ちょっとしたことで、うつ傾向になってしまうことを経験された方もいらっしゃるのではないでしょうか。

とくに女性は、男性よりもうつ病になりやすいといわれていますが、うつ病になりやすい性格の傾向があるそうです。それを知っておけば、いざ大きなストレスがかかったときにどう対応するかを事前に心構えておくことができるかもしれません。

そこで今回は、中小企業診断士、社会保険労務士、職場メンタルヘルスコンサルタントの上江誠さんに、“うつ病になりやすい人の性格傾向3つ”をうかがってきました。

■1:まじめな性格

まじめで几帳面、気配りもできてルールや約束もキッチリ守るという、一見完璧にみえる性格の人はうつ病になりやすい性格の1つであると、上江さんは言います。

「このような性格の方は、人間関係や物事の秩序を重んじるので、これらのバランスが崩れたときに大きなストレスを受けてしまいます。つまり、融通が利かない、変化に弱いタイプとも言えるでしょう」

お客様対応の担当者、期限やお金の管理を担当している事務職の方などは、お客様からのクレームや自分で対応しきれない業務やトラブルが起こったときに、自分の許容量以上に抱え込んでしまう場合が少なくないので要注意とのことです。

■2:粘着気質の性格

「うつ病になりやすい性格の2つ目は、エネルギーにあふれ、集中力があり、正義感や責任感が強いという、いわゆる“優等生タイプ”の性格です。凝り性な一面もあります。

ただ、仕事では理屈や正論だけではうまくいかないこともありますよね。このような方は、強すぎる正義感や責任感が裏目となり、大きなストレスを抱えてしまうことがあります」と上江さん。

バリバリ仕事ができるタイプの方などが、昇格し管理職や職場のリーダーとなって仕事内容が変わったときに、チームの成果や部下・後輩の育成で悩み、抱え込んでしまう場合があるので気をつけた方がいいそうです。

■3:失敗の原因を他人に求める性格

「3つ目の性格としては、“新型うつ病”と言われる方にみられる性格で、“他責傾向”がありますね。つまり、”仕事でミスをしたのは、上司や先輩が適切な指導をしなかったせいだ”など失敗やミスをしても、自分の責任ではなく他人に責任を押しつけるという傾向がみられます」

「なお、医療の現場で明確に定義された言葉ではありませんが、“従来のうつ病”の方は、仕事も日常生活でも気力がわかないという症状に対し、“新型うつ病”の方は、仕事をするのは困難だけど、普段の生活では旅行や飲み会などは行くことはできるといった症状のようです」

“新型うつ病”は新入社員に多く、社会人になるまで、困難や挫折を経験したことがないため、そういったものに直面したときにうまく対応できないという、“社会的に未熟な面”を持っている方がなりやすいと言われているそうです。

以上、うつ病になりやすい人の性格傾向3つをご紹介しましたが、いかがでしたか?

実は、うつ病の原因ははっきり分かっておらず、性格だけではなく様々な原因があると考えられています。ただ、過度なストレスはうつ病につながりやすいと言われております。

大事なことは、自分の性格が今回紹介したものに当てはまるかどうかではなく、何かの出来事の際に、自分が大きなストレスを受けやすいかどうかを知っておくことでしょう。事前に知っていれば、より適切な対応も可能となるのではないでしょうか。

気軽に飲む風潮強い胃薬 アルツハイマーの一因となる説存在

体調が優れなければ、まずは薬を飲んで体を休めるのが鉄則──こんな当たり前の常識に一石を投じる説が登場した。

「薬で病気がつくられる」と主張するのは、『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂新書)の著者で、このたび『薬が病気をつくる』(あさ出版刊)を上梓した、薬剤師で栄養学博士の宇多川久美子氏だ。

「健康診断で基準値からはみ出すと、たとえ自覚症状がなくても『患者』と見なされ薬が処方されます。

コレステロール値が基準より高いがために、抑制薬を慢性的に飲み続けたことで筋力が低下し、四肢が麻痺してしまった人もいる。薬は、体にとって異物であり、体内で“毒”として作用することもあるのです」(宇多川氏、以下同)

 宇多川氏は胃薬とアルツハイマーの関係性を指摘する。体内に入ってきたものが最初に到達する器官である胃には、有害と見なしたものは胃酸で殺菌するという働きがある。

「胃酸を抑えるタイプの胃薬を服用することで胃酸不足による消化不良や、本来胃で殺せるはずの雑菌が生き延びて起こる感染症のリスクが発生します。

有害物質が殺菌されないまま胃を通過することで、肝臓や腎臓にまで大きな負担がかかる。消化機能が落ちて太りやすくなる恐れもあります」

 また、多くの胃薬に含まれるアルミニウムは、過剰摂取すると思わぬ弊害が起こる。

「問題となっているのは脳への影響です。アルミニウムを摂取しすぎることがアルツハイマー型認知症の一因になっているという説もあります。お酒を飲む前や暴飲暴食した翌日に気軽に胃薬を飲む風潮は、体に負担を強いるばかりです」

緑茶に「認知機能の改善」や「がんのリスク低減」の可能性があることが判明

昨年ユネスコの「無形文化遺産」に登録された“和食”。その和食とともに欠かせない飲み物として古くから日本人に愛されている“緑茶”が国内外で注目を集めているという。

緑茶は、人間の健康に役立つさまざまな機能性成分が含まれていることでも知られる。

その代表格とされるのが緑茶カテキン。お茶の渋みの主成分にあたるポリフェノールの一種で、抗酸化作用、抗菌作用、抗インフルエンザ作用などさまざまな健康効果が報告されている。

また、2013年に「第54回 日本神経学会学術大会」で発表が行われた、伊藤園中央研究所・静岡県立大学薬学部の山田浩教授と社会福祉法人白十字ホームの共同研究によると、緑茶抹の摂取による認知機能低下の改善がヒトを対象とした臨床試験においても確認されている。

臨床試験を行った山田浩教授は「短期間に緑茶を大量に飲んで一気に緑茶カテキンを摂るのではなく、毎日こまめに緑茶を飲んで、より効率よく緑茶カテキンを摂ることによって、認知機能の改善効果が得られる可能性があることが期待される」と研究結果についてコメント。

また伊藤園中央研究所長の提坂裕子氏は「緑茶カテキンには、紫外線や化学物質による遺伝子の変異を抑え、細胞の異常な増殖を抑制する作用があり、さまざまな研究において、発がんやがん細胞の増殖および転移を抑えることが報告されている」と緑茶による健康効果への期待の高さを語っている。

たんぱく質が不足するとうつ病になる? 効果的なたんぱく質の取り方

私たちは糖質、脂質、たんぱく質の3大栄養素から、生命維持に必要なエネルギー源を得ています。

糖質とたんぱく質は4kcal/g、脂質は9kcal/gのエネルギーを発生させます。

ところが、たんぱく質はエネルギーとなる前に、筋肉や骨、ホルモンや神経 伝達物質など、心身の構成成分として利用されるという特徴があります。

英語でたんぱく質のことをプロテインと言います。

この語源はギリシャ語で「第一」という意味の言葉から生まれたもの。

それほど、たんぱく質は生命維持になくてはならない第一の栄養素なのです。

私たちは新陳代謝を繰り返し、生命を維持し続けていきます。

この細胞を形づくり、活動させる命の担い手がたんぱく質です。

食物を食べる目的のひとつは、たんぱく質の摂取と言っても過言ではありません。

たんぱく質は私たちの身体を構成する成分のうち、水分に次いでもっとも多くを占めています。

筋肉、臓器、脳など身体をつくり、ホルモン、酵素、神経伝達物質などの材料となるなど、その役割は多岐にわたります。

たんぱく質をしっかり摂取することで、脳細胞の壊死(えし)を防ぎ、思考力を高め、神経の働きをよくして精神的な安定をもたらします。

また、免疫機能を高め、病気やけがに対する抵抗力や治癒力を高めます。

逆にたんぱく質が不足すると、脳の働きが鈍り、記憶力や思考力が減退、うつ病や神経症になりやすくなる他、体力やスタミナが不足します。

たんぱく質はストレスによって消費量が増す栄養素でもあります。

現代人は体力よりストレスの消耗の方が多くなりがちです。

にもかかわらず、朝は食パン、昼はチャーハン、おやつにチョコレート、夜はラーメンなど、安価で手軽に食べられる糖質たっぷりの食に陥りやすい食環境にいます。

意識して良質なたんぱく質の摂取を心がけていきたいものです。

では、具体的にどうやってたんぱく質を摂取すればいいのでしょうか? たんぱく質を多く含む食品には、肉、魚介類、大豆・大豆製品、卵などがあります。

これらから効果的に栄養を摂取する方法を教えます。

肉は赤身肉を焼く・ゆでるなどシンプルに調理しましょう。

ハム、ソーセージなど肉の加工品は食品添加物が使用されるものもあります。

たまに楽しむ程度か、添加物のないものを選びましょう。

魚介も、切り身や開きを焼くだけや刺し身がオススメです。

かつお節やじゃこなどの干物や水煮缶もいいでしょう。

いか、たこ、ホタテのボイルなど素材を生かしたシンプルな料理をチョイスしましょう。

大豆製品も、豆腐や納豆、無調整豆乳など、素材そのものを味わう料理を選びたいところ。

卵は手軽なたんぱく質系食品ですが、コレステロールを心配される方も少なくありません。

しかしコレステロールは、私たちの生命現象の根幹を成す細胞膜の原料として必須の栄養素です。

そのため、身体の中のコレステロールはその80%前後が主に体内(肝臓)で作られています。

つまり、卵を1日1~2個食べたり食べなかったりすることに関わらず、コレステロールは必要に応じて生産量を調整しているというわけです。

家族性高コレステロール血症の方以外、むやみに卵を制限する必要はありません。

たんぱく質の大きな特徴として、食べ貯めができないことがあります。

つまり、常に摂取し続けなればなりません。

とは言え、手軽さを重視し、市販の揚げ物や総菜など加工品に頼り過ぎるのも好ましくありません。

添加物や保存料など化学物質の取り過ぎにならないよう、注意が必要です。

知っている? 認知症と物忘れの違い

■「物忘れがあるから認知症」は誤り

 私の外来には1日60~70人、多いときで100人を超える患者さんがいらっしゃいます。最近は老若男女を問わず、物忘れが気になると訴える患者さんが多くなってきました。

 「テレビで昨日見た俳優さんの名前を思い出せない。物忘れが多く不安」「大事なものをどこにしまったか忘れてしまう。若年性の認知症ではないか」「漢字が書けないことが多い。自分はボケてしまったのでは……」などなど。

 ご安心ください。このような症状は全てよくある「物忘れ」であり、認知症とは全く別のものとして区別されます。

よくある物忘れは、年齢を重ねていくとどうしても出現してくるもの。現代は情報量が非常に多く、記憶機能を持った機械の多い便利な世の中なので、脳機能を使わなくなったことによる物忘れも増えているようです。

一昔前なら自分の家の電話番号は誰もが覚えていたと思いますが、最近は自分の携帯番号を覚えていない人が増えているのも、その一例です。

■認知症特有の主な症状とは?

 それでは、「認知症」と「物忘れ」の違いはどこにあるでしょうか? 認知症特有の症状を解説します。

□出来事の全部を忘れる

 朝食の内容だけでなく、朝食を食べたという事実自体を忘れる。ただの物忘れでは起こらない。

□記憶障害だけでなく、判断力が低下する

 ごく基本的な情報を忘れて、正しい判断ができなくなる。味付けを甘くしたいから塩を入れなければと判断し、大量の塩を入れるなど、基本的な調味料の役割が分からなくなるなど。料理の作り方の手順や詳細を忘れるだけなら、ただの物忘れ。

□物忘れをしてしまったという自覚がない

 大きな物忘れをしても、自分が物忘れをした、判断ができていないという自覚がない。

□物をなくしたときに、思わぬ発想をするようになる

 物をしまった場所を忘れたり、どこかに置き忘れるのは正常の範囲。認知症の場合は、物が見つからない時になくしたと考えたり探したりせず、誰かが家にやってきて盗んだと強く思い込むなど、被害妄想を始めとする思いもよらない発想をすることが増える。

□季節の感覚がなくなる

 日付や曜日を1~2日くらい間違うのは正常。認知症の場合、全く違う季節と間違えることがある。夏なのに、冬物を着ようとするなど。

□作り話をする

 現実的にはありえない言い訳をしてでも、自分の判断が正しいとその場を取り繕うとすることが増える。

□日常生活が一人でできなくなる

 少々忘れっぽいからといって、一人暮らしをしても何とかなると思える範囲の人の場合、認知症の疑いはまずない。どんな理由であれ、一人暮らしをさせることに周りが強い不安を感じる症状がある場合、認知症の可能性が高まる。

■家族の認知症を早期発見するために

 もし自分が認知症でないか気になって、Webを検索してこの情報にたどり着いたのなら、まずあなたに認知症の心配はないのでご安心ください。認知症になるとあらゆる自覚症状が乏しくなるため、Webを検索したり、その中から適切な情報を選択するという高度な行動をとることはできません。

 ご家族やご友人に気になる症状があり、上記の症状がその人に当てはまると思った場合は、その方を専門医に受診させてください。実際、外来診察でも、自分で「物忘れが気になる」という症状を訴える患者さんは大丈夫なケースがほとんど。

「人から物忘れをよく指摘される」という患者さんの方が、認知症と診断されることが圧倒的に多いのです。認知症の場合は、自分のことであっても他人からの指摘の方が参考になることがあります。家族や身近な人の認知症を早期発見するためにも、正しい知識を持っておきましょう。

あなたは大丈夫?アルツハイマーに影響する危険因子7個

現在世界に3,500万人以上も患者がいるアルツハイマー。

高齢化に伴い、この患者数は2050年までに3倍以上に増えると予想されています。

日本でも推定100万人の患者がいますが、物忘れなどの症状はアルツハイマーの初期と思われがちですが、すでに末期の症状といわれています。実は、その10年程前からアルツハイマーは身体を脅かしているのです。

■若い世代からのアルツハイマー

65才以上の10人に1人は発症すると言われるほど、高齢者に多い病気ですが、最近は18歳~64歳の若年のアルツハイマーが増えているのです。

米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究結果から、アルツハイマーに影響する危険因子ワースト7位が発表されています。

(1)低学歴

(2)喫煙

(3)運動不足

(4)うつ病

(5)中年期の高血圧

(6)中年期の肥満

(7)糖尿病

特に低教育水準の影響が最も大きく、リスクも倍になると分かっています。頭を使う、勉強するというのは脳に刺激にもなり、健康被害も少なくできるのですね。

■軽度認知症の50%は将来アルツハイマーのリスクが!

一般に65歳くらいを過ぎると物忘れは増えてきますが、加齢の場合はヒントを出せば思い出す事が多いのです。まだ若いという安心は危険です。

アルツハイマーは、アミロイドβたんぱくという異常物質が脳に10~30年かけてたまり神経細胞が死滅することで、物忘れや怒りっぽいという症状が表れます。

ただ、軽度認知症の段階で本格的な治療を開始すれば、本物のアルツハイマー病への移行を阻止したり、遅らせたりする事が出来るようになるので、早めの対処が重要です。

高カロリー食を摂取していると、質素な食事郡より2.3倍も発症しやすいとのコロンビアでの研究もあります。

生活習慣というのは、生活習慣病は勿論、その他の病気にかかるリスクを増やします。まだ若いから大丈夫ではなく、若いからこそ今のうちに改善するのが得策なのですね。

認知症への効果が注目される漢方薬「抑肝散」

認知症の中でも行動や心理に表れる症状を「周辺症状」と呼び、最近では「認知症に伴う行動異常・精神症状」を意味する「BPSD」という言葉が使われる。BPSDにはさまざまな症状がある。

どんな症状が出るかは、認知症のタイプや進行度、患者の置かれている環境、人間関係、介護のされ方などによっても大きく異なる。

 愛知県に住む石井八重子さん(仮名・78歳)は、中等度のアルツハイマー型認知症。

半年ほど前から夕方になるとそわそわし、家のなかを徘徊するようになった、同居する息子の妻・陽子さんが介護していたが、転倒しないよう八重子さんにつきっきりになるため、夕食の準備や家事ができない日が続いた。悩

んだ陽子さんは八重子さんを連れ、国立長寿医療研究センターを受診した。八重子さんを診察した、もの忘れセンター老年内科医長の三浦久幸医師は言う。

「夕方になると、不安になって徘徊したり、自宅にいるのに『家に帰る』と言って外に出ようとしたりすることがあります」

 この症状は「夕暮れ症候群」と呼ばれる。まわりが暗くなることで、自分の居場所や状況が理解できなくなる症状(見当識障害)が悪化することや、一日のうちの活動と休息の周期がわからなくなることなどが原因といわれる。

 三浦医師は、症状を早く和らげるため、八重子さんに漢方薬である「抑肝散(よくかんさん)」を処方した。

 抑肝散は、BPSDの治療薬として近年注目されている。子どもの夜泣きや疳(かん)の薬として古くから使われていたが、認知症患者のいらいらや不安感、興奮などに一定の効果があることがわかってきたからだ。

「抑肝散は体への負担が少ないため、近年広く使われるようになりました。今回は陽子さんの疲弊がひどく、すぐに症状を緩和させる必要があると考えて処方しました」(三浦医師)

覚えておきたい「認知症の法則」 医師が解説

親が認知症になった場合、どのように対応するのがいいのだろうか。思わぬ症状や行動に戸惑ったり、時には苛立つこともあるかもしれない。そんな時に知っておきたい「法則」を、専門家に話を聞いた。

 認知症治療に詳しい杉山孝博医師(川崎幸クリニック院長)は、こう断言する。

「症状の表れ方にはパターンがあることを理解すれば、優しく接することができ、家族の負担も大幅に軽減します」

 まず押さえておきたいのは、「症状の出現強度に関する法則」だ。症状は、身近な相手に強く出る傾向がある。例えば、暴力的な行動は、介護をしてくれる家族に向かうことが多い。

「家族としては、せっかくお世話をしているのになぜ?と思うでしょうが、一番、心を許している相手でもあるのです」

「自己有利の法則」は、自分が不利なことを認めたがらない傾向を指す。失禁をしても「自
分ではない」と否定することは珍しくない。

 少し想像しにくいのは、「感情残像の法則」。嫌な出来事があった時、何が起きたかは忘れるが、「嫌な気持ち」だけ残像のように残る。なぜか声を掛けても無口で機嫌が悪く、あとから「デイサービスでほかの利用者とけんかをしていた」などと分かることがある。

「こだわりの法則」は、入浴時に足ばかりを洗ったり、夜中に洗濯物をたたみ続けたりと、一つのことにこだわる。

 杉山さんによると、家族の気持ちは、「戸惑い・否定」「混乱・怒り」「割り切り・諦め」そして「受容」の4ステップをたどる。このステップを早く進めるには、適切な情報を得て介護保険サービスを上手に使うことだ。

「全国に支部がある『認知症の人と家族の会』では、定期的に家族の集いを開いています。ここで気持ちを共有したり、情報を得たりするといいでしょう。時にはショートステイ(短期の施設入所)を利用して、家族が息抜きをするのも必要です」

最近物忘れがひどい…。もしや若年性アルツハイマー?

忘れ物が増えたり、よく知っているはずの単語が出てこなかったり、同じことを何度も話したり聞いたり・・・

近ごろ、なんだかおかしい?と感じたとき、もしかして、若年性アルツハイマーでは?と不安に思う人が増えているようです。

「アルツハイマー病」とは、物忘れが増える・日付や自分のいる場所がわからなくなる・感情表現など精神活動が低下するといった症状が見られる病気のこと。

一般的には65歳以上の高齢者に発症するものですが、64歳以下の人に発症するアルツハイマー病を「若年性アルツハイマー病」と呼んでいます。

アルツハイマー病・若年性アルツハイマー病ともに、発病の原因についてはっきりとは解明されておらず、さまざまな要因の重なりや、脳の異常によるなどいくつかの説があります。

その中でも一番有力とされているのが、「βアミロイド蛋白」と言われる蛋白質が脳の神経細胞に蓄積し、神経細胞が破壊され脳が萎縮することにより脳機能が低下することで起こるという説です。

また、遺伝により発症するとも考えられており、アルツハイマー病を引き起こす原因となる遺伝子も多数発見されています。

このため、親族でアルツハイマー病の人がいる場合は注意が必要です。

また、若年性アルツハイマー病は通常のアルツハイマー病より発症率は低いのですが、発症してしまうと進行が早く、気がついたときには深刻な病状になってしまっている、という場合も。

ただし、若年性アルツハイマー病は早期発見・早期治療によって進行を抑制することができるので、初期症状を見逃さないようにすることが大切です。

代表的な初期症状を挙げるので、気になったらすぐに病院を受診しましょう。

1.仕事の能率と量が低下してくる
2.夜なかなか寝付けないなどの不眠の症状がある
3.だるさや疲れを感じやすくなった
4.常に不安感があり、うつ状態になった
5.頻繁に頭痛やめまいがする
6.以前よりも自己中心的になったり、頑固になるなど性格に変化が出た

若年性アルツハイマー病の予防には、規則正しい生活や栄養バランスのとれた食生活、適度な運動が有効とされているわ。また、興味、好奇心を持ってイキイキと毎日を送ることも脳を活性化させることにつながります。
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