あなたの健康はお金で買えますか・・・? ■うつ病・認知症・アルツハイマー・男性更年期障害
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放置して重症化する例も 認知症高齢者の足トラブル


65歳以上の高齢者の7割は何らかの足のトラブルを抱えているといわれる。しかし、多くの人は小さな足病変(足に傷や腫れなどの病的な変化が見られる状態)を見逃してしまったり、自覚していても「大したことはない」と放置して、重症化させる可能性が高い。自分の問題点をうまく伝えることができない認知症の人は、さらに足トラブルを重症化させるリスクが高くなる。認知症になった高齢者の足のトラブルを家族や周りの人はどのように見つけ出し、ケアすればいいのだろうか。足のナースクリニック代表の西田壽代さんに話を聞いた。
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■痛みやかゆみを伝えられない

 高齢者に多い足のトラブルには、魚の目、たこ、爪のトラブルのほかに、皮膚の表面を覆う角質層が分厚くなり、様々な肌トラブルを起こす角質肥厚、足の指が変形するハンマートゥなどがある。

 一方、高齢者は感覚が鈍くなっていることに加え、足に何らかの違和感があっても、「年だから少しくらい仕方がない」とか、「たかが魚の目だから」などといって放置し、重症化させやすい傾向がある。

 例えば糖尿病や進行した動脈硬化などがある場合、足のトラブルが重症化すると、足指の壊死(えし)、壊疽(えそ、壊死に陥った組織が細菌の感染や乾燥などで二次的変化を受けた状態)が起こり、下肢の切断に至ることもある。さらに、こうした足のトラブルは立位のバランスを悪くするため、転倒リスクや歩行障害のリスクも高くする。

 そして、認知症がある高齢者になると、これらのリスクはさらに高くなる。なぜなら認知症の人は、自分の現状を適切に表現し、伝えることが難しいからだ。痛みが強い場合は表現できるが、ちょっとした痛みやかゆみといった違和感がなかなか正しく伝えられない。

 「例えば、認知症の人に理学療法士さんがリハビリで歩き方の指導をしていたが、いやだと言ってやってくれませんでした。理学療法士さんは自分の接し方に問題があると思い、いろいろ工夫したが、やはりうまくいきませんでした。そんな患者さんにフットケアを行ってみたところ、足の裏に大きな魚の目やたこがあることが分かりました。この人はこれが原因で歩く訓練をしたくなかったのです」と西田さん。

 高齢者の足のトラブルには、高齢者特有の次の5つの要因があるので、まずはそれを知っておこう。

(1)加齢による筋肉や骨の衰え

 高齢者は筋肉や骨が衰えるため、走る、蹴る、飛ぶなどの動きが鈍くなる。また、骨を支える筋肉も衰えるため、骨が変形したり、圧迫されたりして、姿勢が悪くなりがちだ。一般的に高齢者は前足部分に重心がかかり、前傾姿勢になりやすい。よって転びやすい。

(2)加齢による神経細胞の減少

 加齢に伴い脳の指令を伝達する神経細胞(ニューロン)と神経伝達物質が減少する。そのため神経伝達速度が低下する。その結果、視覚、聴覚、触覚など様々な感覚のインプットが鈍くなり、平衡感覚が不安定になりやすい。めまいが起こるのもそのためだ。動作が緩慢になり、瞬間的な運動が困難になるため、転倒しやすい状態になる。
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(3)加齢による皮膚の変化

 高齢者は、皮膚にハリを与えるコラーゲンが減少する。実は足底の土台となる足底腱膜と呼ばれる組織はコラーゲンが綱状構造となったもの。コラーゲンが減ると足底腱膜が弱くなり、歩行困難を起こしやすくなる。
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(4)加齢による動脈や静脈の劣化

 加齢に伴い動脈が肥厚し、動脈硬化を起こすと、下肢の血流が減少し、小さな傷から足の壊死や壊疽を起こす可能性が高くなる。また静脈系、リンパ系の機能が低下することで、むくみが起こりやすくなる。
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(5)慢性疾患による影響

 年をとると様々な持病を抱える人が多くなるが、慢性疾患は足病変、転倒などの原因になることも多い。特に影響の大きい合併疾患は、糖尿病、心疾患、末梢動脈疾患、関節リウマチである。糖尿病になると、骨量が減少することが知られているが、ほかにも糖尿病神経障害という感覚まひの障害が起こり、少しのケガに気付かないことも。また血流も悪くなることから、小さなケガから壊死や壊疽に進行しやすい。心疾患の患者は足の虚血(血液の流れが悪くなること)を併発するため、やはり壊死や壊疽が進行しやすい。関節リウマチは痛みを伴う原因不明の多発性関節炎を主体とする進行性の炎症疾患である。

 (1)~(5)の原因が複雑に絡み合うことにより、足病変は進行していくのである。

放置して重症化する例も 認知症高齢者の足トラブル

写真:NIKKEI STYLE

■足病変を予防し、転倒を予防するフットケア

 認知症になっても自分の足で立ち、できるだけ長く自立した生活を送れるようにするには、どうすればいいのか。認知症の進行を遅らせる生活を送ることはもちろん大切だが、同時に、見落としがちな足の健康を管理し、足病変や転倒の予防を行うことが大切である。

 具体的にはどのようなことに留意すればいいのだろうか。

 「自宅でできるフットケアで一番大切なのは、足の観察です。自分自身でできる場合は自分で行い、本人ができない場合は、家族などの介護者が行うといいでしょう」と西田さん。

 ただ、日本人は素足を人に見せることに抵抗を感じる人が多いため、家族であっても足を見せてもらうのはなかなか難しい。入浴前など時間を決めて行うと、抵抗が少なくなりやすいと西田さんは話す。

 では、どこをどのように観察すればいいのだろうか。「観察するのは、足全体。ふくらはぎから下、足の甲、足の裏、指の間、かかと、爪。むくんでいないか、傷はないか、乾燥していないか、じくじくしていないか、皮膚の色は変化していないかなど、手で触れて、よく観察します。手で触れるのは、痛みの有無を知る上でも大切です。爪については皮膚に爪が食い込んでいないかや、巻き爪になっていないかどうか、爪の色などもよく見るようにしましょう」と西田さん。

 観察して、何か異常があれば必ず医師に相談することが大事だ。糖尿病の治療をしている人は糖尿病の主治医に相談するといいだろう。

 足を観察した後は入浴。自分で足をきちんと洗えない場合は、介護者が丁寧に洗う。入浴後はよく水気を拭き取り、保湿剤で保湿して終了。顔や体にクリームを塗っても足には塗らない人が多いが、足も同様にスキンケアがとても大切である。保湿剤を塗るだけで、乾燥、ひび割れなどの足トラブルが改善する。保湿は簡単だが大切なフットケアである。

 高齢者の中には爪を自分で切れない人もいる。その場合、家族が爪を切ってあげるとよいが、人の爪を切るのが不安な場合は、フットケア外来を利用するのも一策だ。

 フットケア外来では、爪切りをはじめ、巻き爪の予防や処置、足浴、保湿など、自宅でできるフットケアを指導してくれる。また、自宅ではできない神経障害や血流障害の検査、白癬(水虫)、たこや魚の目の処置を行ってくれる。

 ところでフットケア外来はどのように探せばいいだろうか。「糖尿病の患者さんなら、糖尿病外来で開設しているところもあるので調べてみるといいでしょう。クリニックなどではフットケアを手掛ける病院を紹介してくれる場合もあるので、主治医に聞いてみましょう」と西田さん。そのほか、インターネットで「フットケア外来 ●●市」などと検索するのもよいだろう。病院以外にも、爪や角質のケアをするフットケアサロンや訪問フットケアなどもある。

 認知症の高齢者を介護することになったら、一度は介護者も一緒に受診して、自宅でできるケアについて指導を受けるといいだろう。

※参考文献:『はじめよう!フットケア(第3版)』(日本フットケア学会編/西田壽代監修)

西田壽代さん 足のナースクリニック代表、日本トータルフットマネジメント協会会長、日本フットケア学会理事。聖路加看護大学(現聖路加国際大学)看護学部看護学科卒業後、聖路加国際病院などを経て2010年より足のナースクリニック代表として、病院や高齢者施設と提携し、フットケアやその分野のスタッフ教育などを実施している。2013年、日本トータルフットマネジメント協会を設立。医療従事者専門のフットケアスクールを開講している。

顔が左右にゆがんでる!食事中に気を付けるべきゆがみの原因とは

あなたは自分自身の顔を鏡で見て「左右で違う!」と思ったことはありませんか? 美しいと人が思う女性は、左右のバランスがよい、整った顔をしています。

では、左右の顔のゆがみが生まれるのは、どんな原因なのでしょうか。原因を知れば予防もできるし、日々の生活で気を付けていくことで、バランスのとれた顔立ちになれる日もやってきますよ。

■利きあごに頼る片噛みのクセ

食事の際に食べ物を、右または左のどちらか一方でばかり噛んでしまうクセを持つ人がいます。何か動作を行うときに右手を使ったほうがやりやすい、力が入れやすいといった利き手は誰にでもあります。

これと同じように、右か左かどちらか一方が噛みやすい、“利きあご”が人にはあるということ。その利きあごにばかり、ついつい無意識のうちに頼ってしまっているということなのです。

■片噛みを続けていると全身がゆがむ

いつも左右どちらか一方だけの歯で食べ物を噛み続けていると、どんな影響があるのでしょうか。片側だけで噛んでいるということは、片側だけの筋肉を使っており、もう一方はあまり使われていないということ。

すると、使っていない方の顔の筋肉が衰えてきて、たるんできてしまいます。どちらかの口角だけが下がっている、あるいは片方の法令線が深くなっているといった現象も、片噛みが引き起こしている可能性があります。

それにあごと首の筋肉は連動しているため、だんだんと首まで使っているほうの側に傾きはじめ、しまいには肩や腰のゆがみにもつながっていきます。

■今日からできる予防法は?

やはり顔の筋肉を左右で均等に使うことが第一。筋肉のバランスがとれていれば、顔もゆがみません。口のまわりの筋肉をよく動かす、毎日の食事シーンで、できるだけ左右で均等に噛むように意識するようにしましょう。

口内炎があるとか、歯が痛いなどの非常事態でもなければ、右か左かどちらで食べ物を噛んでいることなど、意識しないことかもしれません。

でも食事中のちょっとした意識で、顔のたるみやバランスまで影響があるというのですから、今日からやらない手はありませんね。

「下着でよりきれいに」欧州で評価 ワコールに初の栄誉

毎年フランス・パリで開かれるランジェリー展の「デザイナー・オブ・ザ・イヤー2018」に、ワコールヨーロッパ(本社・イギリス)が手がけるブランド「Wacoal」が選ばれた。日本のブランドが選ばれたのは初。同ブランドを手がけるランジェリー・ディレクターの若代祥世さん(48)=大津市出身=に、欧州と日本における下着文化の違いなどを聞いた。

■機能性ランジェリー市場の確立
 ランジェリー展は「サロン・インターナショナル・ド・ランジェリー」。ランジェリーのほか、ホームウエアや水着など世界各国の約500ブランドが出展し、最大規模を誇る。ワコールホールディングスの子会社であるワコールヨーロッパは、主に欧州で事業を展開。今回、受賞した「Wacoal」は世界各国で発売しているブランドだ。若代さんは「下着は欧州が本場という認識が前提にあり、これまで受賞してきたのも欧州のブランドだったので、今回の受賞は本当にうれしい」と話す。評価理由の一つが、欧州で機能性ランジェリーという市場を確立したことだ。「ヨーロッパの下着文化にはない『体をコントロールする』をキーワードにしました」

 日本人女性にとって、谷間をきれいに作るブラジャーやヒップアップ効果のあるショーツ、体形を整えるボディスーツといった機能性ランジェリーは身近な存在だ。だが欧州では、胸全体をそっと覆う総レースのブラジャーなどが好まれる。若代さんは体形や肉の付き方、皮膚質の違いが影響すると考える。胸を例にこう話す。 「日本人の皮膚はきれいですごく柔らかいという良さがある一方で、下垂しやすい。欧州の場合、肉質や肌質が日本人よりもしっかりとしているので、一定の年齢まで丸みを保っている人が多い。体質だけではなく、食生活の影響もあります」

■「ボディー ポジティブ」でデータが生きる
 同展初参加となった08年に欧州ではなじみのなかった補正下着を発表。以後、付け心地は軽く、解放感もある新しい補正下着の提案を重ねてきた。この取り組みを後押ししたのが、数年前から欧米で芽生えた「ボディー ポジティブ」という考えだという。
 「自分自身の体を肯定したり、自然な胸の丸みを生かして美しさを表現したりするという意味。欧州のテレビニュースで『(バストを大きく見せる)プッシュアップブラはなくなるのか』という特集が流れたほど注目を集めています。SNS(会員制交流サイト)の普及で個々がメディアを持ち、自分の意見を出せるようになったことが背景にあります」

 一人一人異なる体を生かせる下着を作るにはどうすればよいか-。鍵を握ったのが、日本にあるワコール人間科学研究所だった。50年以上にわたって4~69歳までの女性約千人の体を毎年計測するなど、膨大なデータを所有する。それを活用して欧州向きの下着を新たに作った。18年秋冬商品のブラレットもその一つ。背中が大きく開いた服の下に着用できるようするため、運動時に背中の皮膚の伸びを計測するなどして独自のカッティングを施した。これらの取り組みも評価につながった。

 「欧州は、アトリエや工房を構える小さいブランドがたくさんあり、感覚を主にして作っている。欧州の市場で『ワコールの存在価値を出せるものは何か』と考えた時に、着目したのが長年培ってきた研究開発でした。着け心地やバスト形成などをデータ化しているのはワコールだけ。これからも、日本で蓄積された開発アイデアと欧州のトレンドや文化をミックスさせたランジェリーを提案していきたい」 授賞式は20日、パリで行われる。

独身は既婚より確率高い 認知症を防ぐ生活法を医学博士が伝授

独身者は認知症になる――。こんな研究結果が注目されている。

 ロンドン大学の研究チームが欧州人や日本人などを調査。配偶者と死に別れた人や生涯結婚しない人は、結婚している人より、アルツハイマーなどの認知症になる確率が42%も高かったという。

 認知症は独身だけでなく妻帯者にとっても怖い病気だ。どんな生活をすればボケずに生きていけるのか。

 まず大切なのが食生活。認知症予防には魚と緑黄色野菜が効果的ということが分かっている。魚は川魚よりもDHAとEPAが多く含まれるサバやイワシが、野菜はピーマンやキュウリ、葉物がお勧め。オリーブオイルも予防効果があるという。

 頭を使うことも重要だ。医学博士の米山公啓氏が解説する。

「読書もけっこうですが、料理に挑戦するのもお勧めです。料理は段取りをしながら調理する“同時処理”の作業なので脳の刺激になる。毎日同じものをつくるのでなく、独自の創作料理を考えるとさらに効果が高まります」

 米山氏によれば、絵画や彫刻などの美術系の趣味を持つと認知症になる危険性が7割減り、編み物や手芸だと5割減。このほか映画観賞やゲームなども効果があるという。

 ジムなどで筋トレをしている人はウオーキングをうまく組み合わせる。週に1、2回体を鍛えつつ毎日30~40分歩くのがベストだ。

「テレビを漫然と見るのでなく、見聞きした内容をあとで思い返す。あるいはネット検索して詳しく調べる。クイズ番組を見て答えを考えるのもいいでしょう」(米山公啓氏)

■ボランティアより定年延長

 一日に1時間以内の昼寝をして夜はぐっすり眠る。深い眠りは脳の活性化と記憶の整理をもたらしてくれるからだ。

 医学博士で作家の左門新氏は「熟年の恋愛」を推薦する。

「恋愛は楽しい食事とコミュニケーションをもたらします。ラブレターをメールで送るのは頭を使いますからね。セックスは適度の運動と睡眠につながる上に脳が刺激されます。起床後に日光を浴びると体内にビタミンDが分泌されて免疫力アップ。心身ともに健康になり、恋愛に前向きに取り組めるのです。定年後はボランティア活動よりも働いたほうがいい。責任ある仕事は給料をもらうので緊張感を生み、脳に適度なストレスをもたらすためボケずにすむのです」

 もう認知症は怖くない!

認知症の母とフォトグラファーの息子から学ぶ、「本当の絆」とは?

多くの場合、自分の性格や考え方、好みを誰よりも知っている両親。だけど、画家でもありフォトグラファーでもある、Tony Lucianiさんの母Eliaさんは、彼の名前すらも覚えていません。一緒に暮らしていたのにもかかわらず…。

認知症を患ったために多くのことを忘れてしまったEliaさん。名前を呼んでもらえる可能性も限りなく減ってしまったTonyさん。だけど、2人の絆は、この病気があったからこそ、より強いものとなっているのかもしれません。

薄れていく「記憶」を
ずっと残る「記録」に

歳を重ねるごとに、Eliaさんは自分ひとりで生活することが難しくなってしまいました。そのために、Tonyさんはアトリエ兼自宅に彼女を呼び、一緒に暮らすことを提案したのだとか。

認知症の症状が進行してきたのは、ちょうどその頃。ある日、彼がカメラを使っていたところ、Eliaさんがのぞき込むようにして、写真に写ってきたそう。

振り返ってみると、これがTonyさんのプロジェクト「Mamma: In the Meantime」の始まりでした。どんどん薄れていく母親の記憶をカタチにすることで、後でも振り返ることのできる記録にすることに。

Tonyさんの作品は、Eliaさんとの会話の内容を踏まえて、撮影されています。例えば、彼女は幼い頃の思い出は、よく覚えているそうです。

「10分前のことは忘れたとしても、お母さんは、70年、80年前のことはしっかりと覚えているんだ」

と、Tonyさんは「Upworthy」のインタビューに答えています。他にも、数カ国語を話すことができたにもかかわらず、彼女は旅行をしたことがなかったので、世界各地へと飛び立たせるような作品も制作しています。

今となっては、EliaさんはTonyさんの名前を忘れてしまうほど、認知症が進行してしまっているとのこと。でも、それでもです。2人の間には、“言葉”以上の深い絆が築かれているのではないでしょうか。

歌いながら体を動かす『カラフィット』が認知症予防に効果

 長年、プロダンサー、トレーナーとして活躍してきた周防進之介さんが、筋肉の動きや体のメカニズムを研究し、歌と融合させて生み出したエクササイズ『カラフィット』が今、若者のフィットネスとしてだけでなく、高齢者施設や自治体の介護予防イベントなどでも大人気だという。高齢者向けのプログラムでは、カラオケ画面に『お祭りマンボ』(美空ひばり/1952年)や、『高校三年生』(舟木一夫/1963年)などが流れ、これらを歌いながら体を動かす。

『カラフィット』は当初、若い女性向けの美容やダイエットのためのプログラムとして作られたが、超高齢化社会の今、シニアの健康に役立てるべく高齢者向けプログラムを開発。さまざまなよい効果が期待されているという。

「たとえば呼吸と歌のリズムを合わせることで、心を落ち着かせるホルモン、セロトニンを分泌する神経が活性化されることが検証されており、認知症やうつの予防、改善効果が期待されています。

 歌と運動のほかに、記憶計算の課題を盛り込むこともあり、懐かしい歌を楽しみながら、少し複雑なリズム運動と簡単な記憶計算を交互に行うと、大いに脳を刺激し、活性化につながると思われます」

 ただ高齢者の場合、筋肉が硬くなっていることが多く、運動効果の妨げになるという。

「中でも硬くなりやすいのが肩甲骨、腰、股関節まわりの筋肉。とくに肩まわりの筋肉が硬くなると呼吸量が減る。いわばエンジンの回らない車のようになってしまうのです。そのためプログラム中、多くの時間を割いて肩、腰、股関節を中心にストレッチを行います」

 また呼吸をするとき、吐ききれていないことも指摘する。これは高齢者に限らず、多くの現代人が陥っているという。

「多くの人が7割くらいしか吐ききれていません。吐く筋肉が弱いのです。プログラムの随所で行う深呼吸では、吸うときのカウントの3倍の長さをかけて吐き出すようにします。しっかり吐くとしっかり酸素が取り込まれ、血流がよくなります」

 そしてなにより『カラフィット』の大きな効果は“ときめき”だと言う周防さん。

「カラオケの力は大きいと思います。多くの研究・検証を重ね、科学的根拠のある健康効果が特徴の『カラフィット』ですが、参加される高齢者のかたがたは理屈抜きに楽しんでくださっています。

 なじみのある懐かしい歌にのせて行うと、運動も作業も楽しくなる。心がときめいているのがわかる。それ自体が健康にいいのです。これからの時代、高齢のかたがたには長く健康で元気で、下の世代を引っ張っていくような気持ちを持っていただければと思っています」

黒柳徹子の二度寝生活は健康に良いか「睡眠の深さ重要」と医師  

黒柳徹子(79才)が、最近出演したテレビ番組で「新しく始めたんです」と、ユニークな健康法を告白し、話題を集めている。

 これまでは帰宅後、やり残した仕事を片付けてから布団に入っていたので、就寝時間は朝の5時という生活だった。しかし、成長ホルモンは夜10時から深夜2時頃までに分泌されることを知り、

「自分で出るものを捨てちゃうのはもったいないじゃない。だから、帰ったら荷物を置いて、化粧を落としたらそのまま寝る!」

 という生活スタイルに変えたという。

 夜10時に就寝して、夜中の2時頃に一度起床。そしてひと仕事終えた朝5時頃再び寝て、11時頃に起きるのだという。2回とも「夢も見ないほど熟睡する」と黒柳は言うが、深夜起床で早朝の二度寝。これって○? それとも×?

 睡眠と健康の関係に詳しい、医師で雨晴クリニック副院長の坪田聡氏がこう解説する。

「これは分割睡眠といって、決して悪いことではありません。睡眠はトータルの時間と、1回がどれだけ深いかが重要なんです。平均的な80才だと、必要な睡眠時間は6時間ほどですが、黒柳さんは20~30代並みに働いておられるのでもっと多く必要でしょう。

4時間、6時間という睡眠時間で、なおかつ深い眠りについているのであれば、何も問題ありません」

「冬うつ」予防は年末年始から 医師が勧める4つの策

 こんにちは、精神科医で産業医の奥田弘美です。冬将軍が支配する寒さ厳しい季節です。あなたの心と体はお元気でしょうか? 今回は、極寒の季節に心がけていただきたいセルフケアについてお話ししたいと思います

■冬はうつになりやすい?

 最近、雑誌やウェブサイトなどで「冬うつ」という言葉を目にすることが増えました。「冬うつなんて病名、本当にあるの?」と怪しく思う方もいるでしょうが、これは医学的には季節性情動障害(Seasonal Affective Disorder; SAD)と呼ばれている、うつ病のサブタイプの一つです。冬季うつ病 (Winter Depression)、季節性気分障害(Seasonal Depression)、季節性感情障害などとも呼ばれます。

 秋から冬にかけて抑うつが始まり、春や夏になると治まるという特有のサイクルを繰り返します。このため「反復性冬季うつ病」と呼ばれることもあります。 症状としては、ほぼうつ病と同じで、「気分が落ち込む(特に午前中)」「気力や集中力が落ちる」「イライラや不安感がひどくなる」「物事を楽しめなくなる」「人と会いたくない」「性欲が落ちる」といった症状が出ます。食欲と睡眠に関しては、典型的なうつ病とは異なり、「炭水化物や甘い物が異様に欲しくなる」「いくら寝ても眠く、過眠傾向になる」といった症状が出やすいとされています。

 これらの抑うつ症状が、2年以上続けて秋~冬に出現しており、春になると軽快する。かつ、季節以外の明らかな原因が見当たらない場合に、季節性情動障害(冬季うつ病)と診断されることになります(正確な診断は精神科・心療内科の専門医から受けてください)。
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■日照時間の減少が関係?

 季節性情動障害の発症には、冬場の日照時間の減少が大きく関連していると考えられています。日照時間が減り、脳内のセロトニンの分泌が減ることで、気分の低下が起こったり、睡眠をつかさどるメラトニンの分泌がアンバランスになったりすることが原因と考えられていますが、まだ解明されていない部分も多い病気です。治療としては、基本的な抗うつ剤などを用いた薬物療法とともに、日光浴をしっかり行うことが推奨され、場合によっては光照射療法(5000~1万ルクス程度の光を30分~1時間程度照射)が行われることもあります。典型的な季節性情動障害は、男性より女性に圧倒的に多いといわれています。

■男女関係なく、ビジネスパーソンは注意を!

 しかし、「男性だから」「冬だけ落ち込むという経験はないから」と安心してはいけません。私の産業医としての経験から、冬の極寒期は男女ともに働く人は体調を崩しやすく、それを契機にうつなどの心の病気も発症しやすい傾向があると感じています。なぜかというと日本人の働く人の多くは、正月休みが入るために年末に仕事の日程が過密になりやすいうえ、忘年会シーズンも重なるために夜の付き合いも増えます。そのため正月前に睡眠不足や疲労をためる人が多いのです。

 そうした疲労状態のまま、わずか1週間弱の冬休みに人混みを縫って帰省したり、久しぶりに会う家族や旧友と夜遅くまで飲酒したり、寒空の下で初詣に出かけたりすることで「睡眠不足」や「疲れ」をさらに重ねてしまいます。

 年末年始の休みがもう少し長ければ、正月行事で乱れた生活リズムを戻し、疲労を回復する猶予が見込めるのですが、ごく一部を除き1月4日や5日が仕事初めという人がほとんどです。その結果、旧年の疲れを引きずったまま年始の仕事がスタートし、3月の決算期に向けて仕事がどんどん過密になっていく……というふうに、さらなる疲労を加速する流れに引き込まれてしまうのです。

 疲労が蓄積しきった状態のところに、インフルエンザやノロウイルスの感染が重なって体調を大きく崩したり(肉体的ストレス)、取引先や仕事上でのトラブルで大きな精神的ストレスがかかったりしたときが非常に危険です。本来ならばストレスをはね返すことができる人でも、体力が落ちて過労状態になっているとストレス耐性が落ちてしまっています。

 潜在的な過労状態にあるところに、肉体的または精神的ストレスがガツンとかかることを契機に、本格的に自律神経系バランスが崩れてしまい、不眠、胃腸障害(胃もたれ、腹痛、下痢、便秘)、めまい、食欲不振、ひどい倦怠(けんたい)感などが出現して、うつ状態に移行していくことが少なくありません(過労の怖さについては、第5回「「過労」はサイレントキラー 体力がある人ほど注意」もご覧ください)。

■冬は健康な人でも疲れやすいワケ

 そもそも12~2月の極寒期は、全ての人間にとって「寒さ」という環境ストレスがマックスにかかっている時期です。ただでさえ自律神経系は、外界の寒さに対して体温や血圧を一定に保つためにフル活動となり負担がかかっています。

 また人間は本来、昼行性の動物であり、日中に活動して夜間に睡眠をとるという活動の概日リズムを有しています。人間の活動の概日リズムは、季節の影響を受けることが知られており、日照時間が長く、気温が高い夏季には睡眠時間が短くなり、その逆の冬季には夜間睡眠時間が延長する傾向があります[注1]。つまり12~2月の極寒期は、健康な人であっても環境ストレスのため疲れやすく、生体リズム的にも睡眠時間がよりしっかり必要となり、睡眠が不足すると通常以上に疲れもひどくなりやすいのです。これらを考慮すると、冬季は十分に睡眠と休息をとり、普段より「ゆったりめの活動モード」に本来は切り替えるべきだといえるでしょう。
[注1]白川修一郎ら. 日本人の季節による気分および行動の変化.精神保健研究. 1993;39:81-93.

■冬うつ予防のための4つの工夫

 しかしながら日本のビジネス界では、年末年始から3月の決算期にかけては「ゆったりモード」とは真逆で、「ガンガン活動モード」に拍車がかかっていくという社会構造となっています。そんな本来の生体リズムに反した過酷な環境のなかで、働く人が心身の調子を崩すことなく、元気に乗り切るためには「とにかく疲れをためない」という自覚と工夫が必要です。私が産業医としてこの時期によく行っているアドバイスをご紹介しますので、ぜひ役立ててください。

【1】睡眠負債をためない

 冬場の睡眠不足は免疫を落とし、ウイルス感染や体調不良に直結します。最低でも6時間以上の睡眠を毎日確保しましょう。急ぎの仕事などで睡眠がどうしても不足してしまったら、できるだけ数日のうちに睡眠の借金を返すつもりで、しっかり睡眠をとりましょう。睡眠負債は早めに解消しないと、ため過ぎると返済できなくなり心身の不調を引き起こしてしまうので要注意です。

【2】バランスのとれた食事を実践する

 疲労回復効果が高い肉、魚、卵といった動物性たんぱく質と、風邪予防効果の高いビタミン・ミネラル豊富な緑黄色野菜・果物などを1日最低2食はしっかり摂取しましょう。炭水化物もほどよくとらないと体温がスムーズに産生されません。冬場に過激で極端なダイエットは体力を消耗するのでご法度です。ダイエットをするなら極端にバランスの欠いた食事法や激し過ぎる運動で急激に体重を落とすことは避け、体やメンタルに負担がかからない安全で無理のない方法を選んでください。
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【3】冬場の外出時には体力を温存する工夫を

 年末年始や冬場の土日は、体力的に負担のかかる激しいレジャーや遠出は控えめに。もしスキーやマラソンなど体力を使うレジャーや、遠方への旅行や帰省をするときは、休日の最終日ギリギリまで使わずに1日(最低でも半日)は自宅でゆっくり過ごせるように調整し、体力回復日を設けましょう。

4】日光浴をこまめに行う

 屋内で仕事をしている人はただでさえ日照不足になりがちで、冬にはさらに日照不足が加速してしまいます。休憩時間には屋外や窓辺で日光をしっかり浴びて体内時計の乱れを予防しましょう。その際にストレッチを行うと全身の血の巡りがよくなり、さらに自律神経を整える効果が期待できます。今注目されているマインドフルネス瞑想もぜひストレッチとともに活用してみてください(詳しくは第17回「オフィス疲れに 簡単マインドフルネス・ストレッチ」をご覧ください)。

 日本のビジネスパーソンの皆さまが極寒期もベストな体調と気力をキープして、新しい年もより実り多いご活躍をされますように、引き続き本連載でも応援させていただきたいと思います。

奥田弘美 精神科医(精神保健指定医)・産業医・労働衛生コンサルタント。1992年山口大学医学部卒。精神科医および都内20カ所の産業医として働く人を心と体の両面からサポートしている。著書には「1分間どこでもマインドフルネス」(日本能率協会マネジメントセンター)、「何をやっても痩せないのは脳の使い方をまちがえていたから」(扶桑社)など多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ日本人に合ったマインドフルネス瞑想の普及も行っている。

意外なきっかけで…幸せなのにうつ病になる!?

気分の落込みが特徴のうつ病には意外なきっかけがあります。こんな事はなかったですか? 出世した同僚を祝ってあげようと集まったのに、なぜか本人は元気がなく冴えない表情をしている……。実は、職場での昇進がきっかけとなり、うつ病が発症してしまう事は稀ではありません。うつ病に気を付けたい時は、辛い経験をした時ばかりではないのです。どうして昇進のような良い事が起きた時にも、うつ病に気を付けたいかをお話ししたいと思います。
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◆幸せな出来事もストレス要因……うつ病の原因に!?

ストレスの原因は辛い事ばかりではありません。良い事でも本人にとっては大きな心の負担となる事があります。例えば最初にあげたような「昇進」。職場で出世するという事は今までの努力や実績が認められたということですから、素晴らしいことです。しかし、昇進を告げられた時点で、「自分は当然、そうあるべきだ」と、落ち着いて受け止める人もいるでしょうが、十分に心の準備ができていない時はびっくりしてしまうかもしれません。特に、数段飛びの大抜擢のような時はなおさらです。

それに昇進後、権限は増しますが、同時に責任も重くなります。こなさなければならない仕事の量が増え、人間関係もより複雑になると思います。慣れない多くの事に直面しなくてはならない時は心の健康にとって試練の時になります。これは、昇進だけでなく、結婚や出産など他の嬉しい出来事にも共通していえることです。次に、嬉しい出来事でうつ病にならない心構えについて述べます。
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◆進行前にケアを! 気付きにくい「うつ」の初期症状

まず大切なのは、うつ病の始まりをちゃんと自覚することです。うつ病の始まりは日常、よくある心身の不調と同じような事が多く、なかなか気付きにくいものです。 疲れやすく、体がだるく感じられたり、不安や緊張を感じて、頭がいつもより働かなくなったりします。また、今まで楽しめていた事が楽しめなくなり、睡眠、食欲も普段通りではないことが多いのも特徴です。また、気分の落ち込みがはっきりせず、頭痛、胸痛、息苦しさなどの体の症状が目立つ場合もあります。

ちょっとした不調ですめばよいのですが、そのまま「うつ」が進んでいくと、会社へ行くのが辛くなって行けなくなってしまったり、ひどくなると、自信を失ってしまい、「死にたい」という気持ちが生じやすくなったりします。自殺のリスクはうつ病では決して忘れてはいけない事です。 「死にたい」という言葉が口に出るような時は、決して、軽く見てはいけません。他の病気で病院に行くように、きちんと精神科や神経科で相談するのが良いと思います。

◆「心の風邪」は早いうちに治療を!

うつ病から早く回復できるかどうかは、「うつ」の程度が軽いうちに治療を始められるかどうかがとても重要です。「私はうつ病になんかかかるはずはない」と思っている人もいるかもしれませんが、実は、うつ病は「心の風邪」と言われる程、誰でもかかり得る病気ですので油断は大敵です。 昇進した時のうつ病対策としては、たとえ、嬉しさのあまり舞い上がってしまっても、できるだけ早く平常心に戻るように意識するのが大切です。心から喜ぶことは大事ですが、もしも、眠れなくなってしまう程の興奮状態が続いてしまったら、心が緊張し過ぎている可能性があります。

仕事とは関係のないところでジムへ行って体を動かしたり、家族とリラックスした時間を過ごしたりといったように、それぞれのやり方で心の緊張のレベルを下げ、新しい環境になじむ準備に取りかかりましょう。備えあれば「うつ」無しです。

自殺率25倍!? 「躁うつ」の“うつ”に効く新薬が登場


躁とうつを繰り返す双極性障害(躁うつ病)は治療が困難とされてきた。その理由の一つは、うつのときに抗うつ薬を飲んでも満足に効かないことだ。しかし、今年10月、双極性障害のうつに効果が期待される新薬が登場した。

 双極性障害は、以前から「躁うつ病」という病名で知られていたが、最近では二つの極を揺れ動くという意味でこう呼ばれている。躁状態が顕著で激しい双極I型障害(I型)と軽躁状態しかない双極II型障害(II型)に分類される。一生のうちに罹患する割合はI型、II型合わせて1%弱とみられ、大きな男女差はない。

 原因はいまなお不明だが、理化学研究所の加藤忠史医師らは、2006年に脳の活動に必要なエネルギーをつくりだすミトコンドリアの機能障害と関連する可能性があると報告した。こうした遺伝的要因にストレス、生活リズムの乱れなどが加わると発症しやすくなると考えられている。加藤医師はいう。
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「I型の場合、激しい躁状態に入ると、周囲の人々が『まるで人が変わったようだ』と驚くほど性格や言動が変わってしまうのが特徴です。高揚感、万能感に満ちあふれ、ろくに寝ないで行動し、無謀な事業に手を出したり、投資やギャンブル、酒場での豪遊、買い物などに大金をつぎ込んだりします。また、高揚感を通り越して焦燥感にかられ、わけもなくイライラして当たり散らしたりすることもあります」

 周囲の人々がこうした異常な言動をいさめると、本人は「これが自分の本来の姿であり、正しいことをしている」と信じているため激高し、反論したり暴力をふるったりする。巻き込まれた家族や同僚はとても耐えきれず、家庭生活や社会生活が破たんしかねない。

 一方、うつ状態に転じると、躁状態のときに周囲の人々にかけた迷惑や不始末への後悔も相まって、自殺を図ることもある。実際、双極性障害の患者の自殺率は一般人口の25倍以上、うつ病の約2倍と高い。

 双極性障害では躁状態よりうつ状態の期間のほうが長く、患者が受診を考えるのも主にうつ状態のときだ。しかし、うつ病を疑って受診した患者の約6人に1人が双極性障害であったという報告もある。特に軽躁状態しかないII型の場合、うつ病と区別がつきにくい。

 治療上の問題点の一つは、既存の抗うつ薬を服用しても、うつ症状の十分な改善が望めないことだ。これは双極性障害が躁状態とうつ状態を繰り返すことを特徴とする病気であり、うつ病とは発症メカニズムが異なるためと考えられている。患者の約半数が、2年以内に再発するという再発率の高さも問題だ。

 今年10月、「双極性障害におけるうつ症状の改善」を適応(健康保険で使用が認められた病気・症状)とする治療薬「ビプレッソ」が発売された。これは、もともと統合失調症の薬として開発された「非定型抗精神病薬」の一種であり、双極性障害のうつ症状(双極うつ病)に効果が期待される。加藤医師は、ビプレッソが発売された経緯をこう指摘する。

「海外では、以前からビプレッソの成分であるクエチアピンを配合した薬が双極うつ病に使われていました。日本うつ病学会双極性障害委員会が12年に発表したガイドラインでも、この薬が双極うつ病に対する第一選択薬の一つに挙げられています。この薬は1日2~3回服用する必要がありましたが、ビプレッソは1日1回の服用ですむよう改良したものです。国内の治験により双極うつ病に対する有効性・安全性が確認され、健康保険で使えるようになりました」
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 薬の作用に身体をならすため、50ミリグラムから服用を開始し、2日以上間隔をあけて150ミリグラム、300ミリグラムと増量していく。主な副作用には血糖値の上昇があり、糖尿病患者には慎重に投与する。また、眠気の副作用があるため就寝前に服用し、車の運転は避ける。

 双極性障害の薬物療法の基本は、リチウム、ラモトリギンなどの気分安定薬を服用し、気分が大きく変動するのを抑えて再発を防ぐことにある。ビプレッソも、気分安定薬を服用したうえでうつ症状が改善しない場合の選択肢となる。

 NTT東日本関東病院の秋山剛医師は、「双極性障害は再発予防のための治療法が確立しつつあり、症状のコントロールや普通の社会生活を送ること、復職(リワーク)は十分に可能です」という。そのためには、社会リズム療法(SRT)の考えかたに基づき、活動記録表に毎日の起床時間、食事時間、服薬時間、活動内容と時間帯、その時々の気分、就寝時間などを記録することが大切だ。

 この活動記録表をもとに日単位、週単位、月単位、年単位で気分変動の傾向を把握して薬の処方計画を立て、必要に応じて見直していく。また、活動記録表は患者自身が気分変動のきっかけとなるサインに気づき、生活習慣を是正するうえでもきわめて有用だ。

「社会生活に大きな影響をおよぼす躁状態は、うつ状態より短い時間で進みます。患者さんは、うつ状態が改善されると予定を入れ、予定をこなすとその刺激で気分がさらに高まり、また新しい予定を入れるという繰り返しで躁状態が強まることがあります。これを避けるためには、活動記録表で普段より起床時間が早くなっている、日中の活動時間が増えているといった躁症状の始めのサインに早く気づくことが大切です」(秋山医師)

 薬がうまく効かない場合、脳の神経に電気刺激を与える通電療法も有効な選択肢となりうる。通電療法は、かつて「電気けいれん療法」と呼ばれ、安全性が懸念されたこともあるが、精神科のある総合病院で適切におこなえば安全に効果が期待できるという。
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 双極性障害は治療が難しく、再発しやすいとされてきたが、最近ではこのように治療の選択肢が増えてきた。それだけに、双極性障害を専門とする医師を受診することが望まれる。秋山医師はいう。

「長期間、抗うつ薬を服用しているにもかかわらず、症状が改善しないという患者さんは軽躁状態のみを伴うII型である可能性があります。その場合、ネットで日本うつ病学会双極性障害委員会のメンバーやうつ病リワーク研究会会員の医療機関、日本精神神経学会の専門医を調べ、受診されることをお勧めします」

 また、加藤医師は身近に激しい躁状態を起こした家族や同僚をもつ人々に次のようにアドバイスする。

「地域の精神保健福祉センターに適切な医療機関を紹介してもらい、ご本人のプライドを傷つけないよう、『あまり寝てないようで心配だから、一度専門の先生に診てもらいましょう』などと上手に受診を勧めるとよいでしょう」

「憂うつ」と「うつ病」はどこが違うの?

◆「私ってうつ病?」と心配しすぎていませんか?

現代人がかかりやすい心の病に、うつ病があります。うつ病は、強い憂うつが長引き、それまでのようにリズムのよい日常生活を送れなくなってしまう病気です。最近、さかんにマスコミでも取り上げられているので、みなさんもきっとご存知でしょう。

そもそも、ストレスが多い現代では、強い憂うつを感じたり、落ち込みからなかなか立ち直れない人も多いものです。そのため、「私ってうつ病なのかも?」と心配しすぎてしまうこともあるのではないでしょうか?

しかし、憂うつが続いていても、ほとんどの場合は病気といえるほど深刻なものではありません。それなのに、うつ病を心配しすぎて毎日を楽しく生きられないのは、とてももったいないことだと思います。

そこで、あまり心配のない「憂うつ」と心の病気である「うつ病」には、どんな違いがあるのか、あらかじめ知っておくことをお勧めします。
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◆日常生活に現れる憂うつとうつ病の違い

まず、「うつ病」と「憂うつ」の共通項は、“落ち込んでいる”ということ。ただし、休日に好きなことをしたり、人と会って憂さ晴らしをしたときに多少は気が晴れるようなら、さほど心配はありません。

一方、非常に強い落ち込みが2週間以上毎日続いている場合には、要注意。うつ病の可能性が高くなります。

うつ病の場合、いままで好きだった趣味にもまったく興味が湧きませんし、やってみても疲れるだけで、ちっとも楽しいと思えなかったりします。人に会うのも億劫になり、誰にも会わずに自分の部屋に閉じこもっていたい気持ちになってしまうことが多いのです。

さらに、日常生活でも大きな違いがあります。心配のない憂うつのレベルなら、おいしいものを思い切り食べれば、気持ちがほぐれるでしょう。しかし、うつ病になると体重が減るほど食欲が落ちてしまって大好物でもおいしく思えなくなったり、反対にやたらと過食に走ってしまう人もいます。

また、ただの憂うつなら疲れているときにぐっすり寝れば、また元気が回復することが多いでしょう。しかし、うつ病の人は何日も眠れない日が続いたり、またいったん寝るといつまでも寝てしまったりすることも少なくありません。

◆朝に現れる憂うつとうつ病の違いは?

憂うつとうつ病の大きな違いとして、“朝の気分”があります。ただの憂うつの場合でも、疲れがたまったり睡眠不足が続くと、朝は気分が悪いものですよね。しかし、うつ病の人の朝の気分は比べ物になりません。

うつ病の場合、ベッドからなかなか起きられず、やっと起きたとしてもしばらく頭がぼ~っとして何もやる気が起こりません。当然何も食べる気がせず、朝の準備にもかなり時間がかかります。

ただの憂うつのレベルなら朝に疲れが残っていても、頑張れば遅刻せずに出勤できますし、出社して20~30分もすれば仕事モードに切り替わるでしょう。しかし、うつ病の人は朝に体を動かすのがとてもしんどいので、どうしても遅刻や欠勤が目立ってきます。

出勤してもしばらくぼーっとしており、午前中はなかなか調子があがらず、仕事の能率も悪くなります。しかし、夕方になると少し楽になって普通に仕事ができるようになったりします。そのため、周りからは「あいつは怠け病だな」「生活管理ができていない」などと誤解されることもあります。
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◆憂うつとうつ病の人が考えることの違いって?

さらに、考えることにも大きな違いがあります。いちばん大きいのは、自殺願望です。

もちろん憂うつな人でも、ときには「死んでしまいたい」と思うこともあるでしょう。しかし、ふっと思いつく程度で、一日中自殺願望が頭に張り付いているということは少なく、気分転換をしたり、誰かに話を聴いてもらったりすればたいていは気分がよくなるのではないでしょうか。

ところが、うつ病の人は自殺について毎日繰り返し考え始め、気持ちを切り替える心のゆとりもなくなっていきます。そのため、実際に自殺を図ってしまうことも少なくないのです。

以上で見てきたように、憂うつとうつ病には落ち込みのレベルから日常生活、普段考えていることまで、大きな違いがあります。

あくまでも目安であり、すべて同じ症状になるというわけではありません。しかし、自分はうつ病のケースに当てはまるとほど憂うつが重くないと思ったら、過度に心配しすぎず休息と気分転換を増やして、ストレスをためない生活を心がけていきましょう。

一方、うつ病のケースに近いようなら、早めに心療内科や精神科で相談することが大切です。ただし、うつ病といってもさまざまで、ここで紹介したケースに当てはまらない症状が目立つものや、精神症状が目立たないものもあります。いずれにしても、休息や気分転換で改善しない場合には、やはり受診して相談してみることが大切です。

うつ病、薬やカウンセリング、生活指導による専門的な治療をすれば必ずよくなります。自分で探して受診するのが不安な場合には、かかりつけの内科医に相談して紹介してもらうのもよい方法です。

参考文献/『DSM-IV-TR 精神疾患の分類と診断の手引き』医学書院、『「うつ」を治す事典』大野裕(法研)、『専門医がやさしく教えるうつ病』水島広子(PHP研究所)

努力では治せない老年期「うつ病」は身体治療が必要です

2017年の世界保健デーのテーマは「うつ病」だったのですが、世界的にもうつ病の患者数は増加していて、自殺する人も多いため大きな問題になっています。そこで今回は、老年期うつ病について、中核的なうつ病である「身体性うつ」を中心に、もうひとつのうつ状態「心理性うつ」と比較しながら、東京医療学院大学の上田諭先生に語っていただきました。

■うつ病は本当に心の風邪なのか?

「うつは心の風邪」というキャッチフレーズをご存知でしょうか。アメリカからSSRIという抗うつ薬が日本に入ってきて、その時の盛大なキャンペーンによってこの言葉が広まりました。そして、精神科を受診する方が増えて、それまで40万人だったうつ病患者が、2000年代以降には100万人以上に膨れ上がったのです。

しかし、うつ病は本当に「心の風邪」なのでしょうか。運動して酒をやめて眠れば良くなると主張する医師もいますが、本当の中核的なうつ病はそんなに簡単なものではありません。

■うつ病には2種類ある

老年期だけではありませんが、うつ病には「身体性うつ」と「心理性うつ」があると考えます。合併することもありますが、本来きっかけも違えば症状も異なります。

「心理性うつ」の場合、人間関係のトラブルやショックな出来事などのストレスが主な原因です。高齢の方は、認知症の初期に周囲から指摘され叱られることで多く生じます。このような「心理性うつ」は、原因がなくなれば普通改善します。しかし、中核的なうつ病である「身体性うつ」の場合、明確な原因といえるものがありません。原因がないこともあります。原因らしきものがあってそれが好転しても、うつ状態は良くなりません。

たとえば、小さな生活の変化、周囲の気になる言葉、風邪をひいた、軽いけがをしたなどといった「ちょっとしたこと」が引き金になることが多くあります

■中高年に多い「身体性うつ」の症状と治療法

「心理性うつ」の場合は、気が紛れることをする、気持ちを切り替える、考え方や生き方を変えることも有効です。医師や臨床心理士あるいは親しい友人が話を聞いてあげたり、解決方法の相談に乗ったりすることで改善が期待できます。

一方で「身体性うつ」の場合、気分の落ち込みややる気のなさに加えて、食欲がない、眠れない、腰痛が取れないといった身体の症状が通常見られます。症状が持続すると、死にたい気持ちが強くなったり、「家が破産してしまう」とか「罰を受ける身だ」という妄想が出たりすることもあります。

脳に原因があることは推定されますが、原因は分かっていません。自然に治ることはまず見込めず、大事なのは休息(働いている場合は休職)と身体治療(薬物療法と電気けいれん療法)をすることです。薬は抗うつ薬を服用してもらいますが、早い方は2週間くらいで快方に向かうこともあれば、薬がうまく合わない場合には1年以上かかることもあり、飲んでみないと効果が分かりません。概ね6~7割の方は薬の治療で元気になれます。

また、難治の場合に行われる電気けいれん療法という脳に数秒間だけ電気を流す方法では、8~9割の方に効果が認められています。

■兆候に気付いたら必ず診察・検査を!

「身体性うつ」の場合、薬物療法や電気けいれん療法など何らかの身体治療をしないと治ることはありません。元気がない、食事ができない、眠れないなど本人が苦痛に感じる症状があれば、まずは診察を受けましょう。
老年期うつ病は女性に多いのですが、男性は頑固で我慢強く頑張ってしまう方が多いので、なかなか心療内科や精神科を受診しない傾向があります。しかし、うつ病(身体性うつ)は努力不足や怠けのせいでなるのではありません。本人のせいではないのです。身体の病気が努力で治らないのと同様、精神力で治すものではありません。ぜひ精神科の門をくぐってみて下さい。

あるうつ病の男性のお話をします。70代前半の方で、退職するまではバリバリ仕事をされていました。退職後数年間も散歩や趣味の読書をしていましたが、さしたるきっかけもないのに元気がなくなり、食事もあまりできなくなってしまいました。

内科を受診しても悪いところは見つからず、数ヶ月が過ぎました。やがて夜も眠れず、運動もできず、好きだった読書もできなくなってしまったのです。

そこで、心配になった奥様が説得して病院に来られたのですが、ご本人は「たいしたことはない」と言われます。しかし、「調子がとても悪いようにみえます」と声をかけると、「はい」とおっしゃったのです。既に、仕事で迷惑をかけてきた、罪なことをしてきたという「罪業妄想」も現れていて、自殺の危険性があったので入院してもらいました。服薬による治療後、2週目には元気が戻り始め、妄想も消えて1か月半で退院されました。現在は元通り元気にされています。

精神科疾患の多くはそうですが、うつ病も「完治」は難しく、薬を飲みながら元の健康な状態になることを目指します。「寛解」というこの状態が治療の目標です。

うつ病は重症になれば、命にかかわる身体病といっていいのです。しかし、世の中には精神的な弱さが原因だという類いの誤解がまだまだあります。以前、朝日新聞の一面コラムがうつ病の方の自殺を取り上げ、「死ぬ覚悟があればいくらでも出直せるはずだ」という内容を書きましたが、うつ病を理解していない偏見に満ちた言い方です。患者本人が一番出直したいと思っている、でもそれができないのが病気なのです。精神論では治せません。

「もしかして心の病気?」と思ったら、内科でもいいので必ず受診して下さい。

談/上田諭先生
1957年、京都府生まれ。1981年、関西学院大学社会学部卒。新聞社勤務(記者)を経て1990年に北海道大学医学部入学。東京都多摩老人医療センター内科のち精神科、東京都老人医療センター精神科などに勤務。2007年、米国デューク大学メディカルセンター“電気けいれん療法研修”を修了。2007年4月に日本医科大学精神神経科助教のち講師。2017年、東京医療学院大学リハビリテーション学科教授。北辰病院(埼玉県越谷市)にて高齢者専門外来(週1回)。専門医・指導医:日本精神神経学会、日本老年精神医学会、日本総合病院精神医学会。著書『治さなくてよい認知症』(2014、日本評論社)『不幸な認知症 幸せな認知症』(2014、マガジンハウス)、編書『認知症はこう診る』(2017、医学書院)など。

取材・文/わたなべあや
1964年10月生まれ、大阪府出身。大阪芸術大学文芸学科卒業。料理学校で講師をしていた母と医師の叔父に影響を受け、幼い頃より食べることと健康に高い関心を持つ。グルメ、
医療関係を中心に執筆中。

身近な人が過労でうつに どうサポートすればいい?

前回「仕事が原因のうつ病が増加傾向 自殺の9割以上は男性」では、うつなどの精神障害により自死(自殺)するケースが増えていることや、具体的にどんな出来事が背景にあることが多いかについて紹介した。では、もし自分自身や身近な人が同じような状態になったとき、私たちはどう行動すればいいのか。過労死の実態や要因などについて調査研究を進めている労働安全衛生総合研究所 過労死等調査研究センター 統括研究員の吉川徹さんに伺った。

■「死ぬくらいなら、仕事を辞める」ができない理由

――精神障害事案のうち、約2割が自ら命を絶つ選択をしています。自殺の報道を耳にすると、「死ぬくらいなら、仕事を辞めればよかったのに……」「誰かに相談すればよかったのに……」と思う人も多いと思いますが、なぜ、それができないのでしょう。

 いわゆるうつ状態が考え方の視野を狭め、正常な判断をできなくさせているからです。うつ病から回復した人たちは、「どうしてあのときは死にたいと考えていたのか分からない」と話すことがありますが、それほど精神的に追い詰められて、逃げることもできなくなってしまうんですね。そうした状態では、心配する周囲の声も耳に入らなくなり、ますます負のスパイラルに陥っていく。そこで適切なサポートが得られないと、自殺を考える人も出てきます。

――「適切なサポート」とは、具体的にはどんなことでしょう。また、どんな兆候が見られたときに、サポートが必要になるのでしょうか。

 うつ状態の兆候には、思考力や集中力の低下により仕事のケアレスミスが増える、重要な決断ができなくなる、気分の浮き沈みが激しい、慢性的な疲労や気力の減退がある、食欲の増減や睡眠に関する問題を抱えているなどがあります。そうした兆候に気づいたときには、本人の話をまず聞いてあげることが大切です。不眠が続いている、体調が悪い、いつもの仕事ができていない、表情や行動が以前と明らかに違うなどの場合は、「あなたのことが心配だから」「最近、こんなふうに変わったよ」と声をかけ、心療内科や精神科などの医療機関への受診を勧めます。

 もし、大切な人がうつ病と診断されたら、「温かな放置」の気持ちが大切です。つまり、あれこれと声をかけるよりも、そばにいる時間を増やして見守るのです。不安などを打ち明けてきたときは聞いてあげることが大切ですが、元気づけようと「頑張って」などと声をかけたり、無理に外へ連れ出そうとしたりすると、さらに追い詰めてしまうことがあります。うつで療養している人には、よかれと思って口にした本音も思っている以上に響くものなので、回復までは本音は控えたほうがよいでしょう。

 もし医療機関につながっていないときに、「死んでしまいたい」「どこかに消えてしまいたい」といった言葉を口にするようになったときは危険です。よく、「『死にたい』という人に限って死にはしない」などとうそぶく人がいますが、それは大きな間違いです。「死にたい」と口にするのは「助けてほしい」というメッセージですから、全力でサポートすべきです。その際には、真剣に本人の話を受け止め、本人の困っていることを具体的に聞き、自殺の危険が去るまで、本人を一人にしないことなどが重要です。

■うつ状態に陥る前のセルフケア、職場づくりが重要

――自分でうつ状態の心配があるかどうかを判断する方法はありますか。従業員が50人以上の事業所では「ストレスチェック制度」が導入されていますが、このストレスチェックも有効でしょうか。

 ストレスチェックを受けて自分自身の心の健康状態に気づき、セルフケアにつなげることが重要です。ストレスチェックは仕事についての負担、心身の自覚症状、周囲のサポートの3つの観点による57の質問に答えると、ストレスのレベルが分かります。そこで高ストレスが示された場合は、自身や職場ぐるみで対処していくことが大切です。

 ストレスチェックは1年に1回以上の実施が義務付けられていますが、そのときの仕事の状況によっても結果は変わります。また、従業員が50人未満の事業所では実施されていないこともあるでしょう。その場合は、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」()[注1]に設置されている「5分でできる職場のストレスセルフチェック」()で同様のストレスチェックが可能です。定期的に実施してみて、自分のストレスの傾向を把握しておくといいでしょう。

――ストレスが高まっている状態のときは、対処が必要だと分かっていても、休むに休めない状況であることが多いと思います。そうした中でも、何かできることはありますか。 [注1]平成29年度(2017年度)の厚生労働省委託事業として、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が開設。

 休めないときにどうしたらいいのかは難しい問題ですが、自分でできることと、職場でできることがあります。まず、自分でできることの一つには、睡眠をしっかり取ること。前々回記事「過労による突然死 40~50代男性がリスク大」でもお話ししましたが、睡眠時間の短縮や質の悪化は脳・心臓疾患のリスクを高めることが分かっていますし、不眠をはじめとする睡眠障害はうつ病の典型的な症状でもあります。ですから、すでに不眠などの睡眠障害を自覚している人は、うつ状態の可能性があるので、精神科や心療内科、睡眠外来などを受診して対処したほうがいいでしょう。

 睡眠時間が十分に確保できない時期には、睡眠の質を高める工夫をしてほしいと思います。例えば、目の網膜への光刺激は睡眠の質を下げるので、就寝前にはパソコンやスマートフォンの画面は見ない、覚醒作用のあるアルコールやカフェインの入った飲料はとらないなど。朝起きてすぐに太陽の光を浴びることも大切です。これは、太陽の光を浴びることで体内時計をリセットして、睡眠と覚醒のリズムをつかさどるメラトニンというホルモンの分泌を調整するためです。

 職場では、働く人同士が互いの様子を気にかけ、挨拶するなど声をかけ合うことが大事です。休めない状況が延々と続き、先の見通しがつかない状態では、ストレスも高まります。ただ、そこで「よく頑張っているね」とお互いをねぎらい、「この仕事が一段落したらおいしいものを食べに行こう」などと言い合えたりすれば、ストレスの度合いは違ってきます。また、普段から業務の情報を共有して仕事の進め方を調整したり、必要なときには上司や先輩、同僚に相談したり、支援を求めたりしやすい環境を整えることも重要です。

■働き方だけでなくコミュニケーションの改善が重要

 ストレスがまったくない状態では、人間は成長しません。仕事のやりがいや面白さは、ある程度のストレスがある中で、自分自身を成長させながら育てていくものです。最近、注目されているワークエンゲージメント(従業員の心の健康度を示す概念)の研究でも、仕事に対する熱意や充足感などが高い人は、労働時間が多少長くても、健康でいられることが分かってきています。

 だからといって長時間労働でも構わないという話ではありません。時と場合によって、自分自身や職場の人が働き方や心身の負荷をコントロールしやすい職場づくりを進めることが重要です。働き方改革の機運が高まっていることで、長時間労働の改善に取り組む企業が増えていますが、労働環境の整備だけでなく、仕事の生産性にも直結するコミュニケーションの改善にも目を向けてほしいと思います。

――ストレスチェックで高ストレスと診断されたときや、自分がうつ状態かもしれないという不安があるときには、職場の健康管理室などの産業医や保健師といった専門家に相談するのがベストだと思いますが、社内では相談しづらいという人も多いようです。

 確かに、「社内で相談して、もしうつ病だと分かったら、キャリアに影響するかもしれない」と不安に思う人はいるでしょう。しかし、長い人生のうちでひどく落ち込んだり、うつ状態に陥ったりすることは、異動や転籍で上司や仕事内容が変わる可能性があれば、誰にでもあり得ることです。うつ病と診断されたとしてもそれでキャリアが終わるわけではありませんし、職場もまた、受け入れる環境を整備しなければいけません。

 職場以外にも、相談できる窓口はたくさんあります。例えば、先ほどご紹介した働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」には、相談機関や窓口を紹介するページがあります。電話やメールで相談できるほか、精神科や心療内科のある全国の医療機関を検索することもできます。また、働く人、働く人を支える家族、事業者・上司・同僚のそれぞれに役立つ情報も多く掲載されているので、メンタルヘルスに関する悩みや困ったことがあるときは、サイトを訪れてみるといいでしょう。

【知っておきたい過労死の実態と防止策】

上:「過労による突然死 40~50代男性がリスク大」
中:「仕事が原因のうつ病が増加傾向 自殺の9割以上は男性」

吉川徹さん 労働安全衛生総合研究所 過労死等調査研究センター統括研究員。1996年産業医科大学医学部卒業。2015年4月から労働安全衛生総合研究所国際情報・研究振興センター上席研究員、労働災害調査分析センター センター長代理、過労死等調査研究センターを併任。2017年4月から現職。専門は国際保健学、産業安全保健学。過労死等事案の分析や、過労死等予防のための職場環境改善の研究などを行う。

幻覚キノコにうつ病治療効果、脳の「リセット作用」か

うつ病患者の症状を和らげるには幻覚剤が特効薬になるのではないか。そんな仮説を裏づける研究成果がこのところ相次いでいる。LSD やMDMAを含む幻覚剤は物議の的だが、研究者たちはこの分野に関心を深めている。

インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、マジックマッシュルームの幻覚成分「シロシビン」が持つ、慢性のうつ病の治療効果に関するレポートを10月に発表した。その結果、適切な分量を摂取した場合、シロシビンが脳内の関連部位をリセットし、数週間にわたってうつ病の症状を抑える作用を持つ可能性が見えてきた。

研究チームは従来の治療法では改善が見られなかった患者らに対して、シロシビン10mgと25mgを1週間の間隔をあけて投与した。そして、投与前後の脳をfMRI(磁気共鳴機能画像法)で解析し脳内部位の変化を計測した。

結果は驚くべきものだった。ストレスや恐怖、不安の反応を引き起こす扁桃体部位の血流が著しく低下したのだ。さらに、それ以外の脳内部位の血流にも安定が見られた。

「従来の治療では効果をあげられなかったうつ病患者に、シロシビンを投与すると脳の血流が明確に変化することが、今回の研究で初めて明らかになった」と、研究チームを率いるロビン・カーハート・ハリス博士は語った。

患者たちからは投与後5週間にわたり、気分の高揚やストレスの減少、症状全般の改善があったという報告が寄せられた。研究チームはそれらの発言を脳のスキャン結果と結びつけ、うつ病の症状を引き起こす脳内部位群がリセットされたと結論づけた。

「脳の『デフラグ』や『再起動』など、コンピュータ用語で効果を語る患者が何人かいた。シロシビンは彼らに、うつ病で落ち込んだ心理状態から抜け出すためのキックスタートのような効果を与えたのかもしれない」とハリス博士は述べた。

ただし、今回の研究は被験者の人数が少ない上に、対照群(投与群に似た背景を持ち、実薬を投与されない被験者)が存在しなかったことは指摘しておくべきだろう。今後、より多くの患者を対象に、さらなる研究が進むことを期待したい。それでも、幻覚剤がうつ病治療の特効薬となりうる可能性が示されたことは、大きな成果だ。

うつ病を磁気刺激で治す 「rTMS療法」薬事承認

 脳に外部から磁気による刺激を加えることでうつ病の症状を緩和する治療法が注目されている。反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)と呼ばれるもので、2017年9月に厚生労働省が医療機器として薬事承認し、18年中には保険で治療が受けられるようになる。抗うつ剤による薬物療法の効果がなく、長期間苦しむ患者の治療への適用が期待されている。

 都内に住む40代の会社員Aさん。約1年前にうつ病と診断され、近くの医院で抗うつ薬を処方された。症状が軽快したため、勤務先の復職支援制度を利用して最初は休職扱いのまま軽作業に従事し、その後、職場復帰した。だがAさんは復職後に仕事のミスが目立つようになり、複数の業務を並行して行うことも困難になった。そのことを悩むうちにうつ病が再発し、再び休職を余儀なくされた。

 Aさんは、大学病院を紹介され、薬物療法と併せてrTMS療法を受けることになった。約6週間の治療後、それまでの抑うつ気分や意欲低下などの症状は軽減した。2カ月後、Aさんは職場復帰を果たした。前回復帰時のような仕事のミスも少なくなり、順調に仕事を続けている。うつ病は、抑うつ気分や興味・関心の喪失が主な症状で、国内の患者数は100万人以上と推計されている。治療の中心は抗うつ剤による薬物療法だが「約30%の患者は薬物療法の効果がないというデータがある。こうした患者に有望なのがrTMSです」と東京慈恵会医科大学の鬼頭伸輔准教授はいう。

 鬼頭氏は00年代前半から、杏林大学や国立精神・神経医療研究センターで、うつ病患者へのrTMS療法を臨床研究として約150例手がけてきた。この治療法の日本での第一人者だ。うつ病患者へのrTMS療法は、磁場をパルス状に連続発生させるコイル装置を患者の頭部に近づける。磁場の働きで生じた渦電流が頭蓋骨の内部まで到達して脳神経細胞に働きかける。うつ病患者の多くは、脳の左前方領域の機能が低下し、神経細胞間で情報を伝えるドーパミンなどの神経伝達物質の分泌が弱くなっている。磁場によって脳を繰り返し刺激することで、こうした神経の働きが改善されるという。

 治療期間は通常4週間から6週間。1秒当たり10回の磁気パルス刺激を1日1回40分程度、週5日実施する。患者は入院または通院しながら治療を受ける。磁気刺激の過程で頭部の痛みや不快感を覚える人もいるが、治療を続ける中で痛みなどは軽くなっていくという。磁場を発生させるため、刺激部位付近に人工内耳やペースメーカーなどの金属がある場合は治療をさける。また、まれにけいれんを誘発する場合があるので、このリスクを考慮した治療計画を立てる。

 鬼頭氏によると、国内でのこれまでの臨床研究では、患者の36%がうつ病の症状がほぼ消える「寛解」となった。寛解患者の6割は治療効果が持続する一方、3割程度は症状が再発したという。患者の中には、Aさんが最初の職場復帰後に仕事のミスに悩んだように、認知機能の低下がうつ症状改善後も残り、これがうつ病再発のきっかけになることもある。認知機能障害を軽減することが、復職の成否にも影響する。

 鬼頭氏は「rTMS療法では注意障害や遂行機能障害などの副作用は生じず、むしろ認知機能が治療後に改善したという報告が多い」と説明する。17年9月、薬物療法が効かない症状が中等症以上のうつ病患者向けにrTMS機器が薬事承認された。ただこの治療を受けられる医療機関はまだ限られており、治療設備の導入と治療に習熟した医師を養成するのが課題だ。鬼頭氏は「治療ガイドライン作りや医師向けの研修を進め、rTMS療法の裾野を広げたい」と話す。

■rTMS療法 米では08年に認可 電気けいれんと補完的効果も

 脳を磁気によって刺激するrTMS療法は、脳卒中の後遺症で手足がまひした患者へのリハビリ効果を高めることにも利用されている。うつ病の治療には米国で2008年に認可され、13年には脳のより深部を刺激できる「ディープTMS」による治療も始まっている。 うつ病を対象とした脳刺激による治療としては「電気けいれん療法」が普及している。電気けいれんは、精神病症状を伴ううつ病には効果的で「rTMS療法と補完的に使える」(鬼頭氏)という。また、rTMSを応用してけいれんを誘発させる「磁気けいれん療法」は、通常の電気けいれん療法と比べ副作用が少ないという報告があり、新たな治療法として検討されている。
(編集委員 吉川和輝)

記憶障害から認知症と勘違いも 「高齢発症てんかん」とは?

てんかん患者の約3分の1は高齢者が占めている。発作時にけいれんがなく、ボーッとした状態が時には数日続くため認知症に間違われやすい。症状は薬でほぼコントロールできるので、早く見つけて治療を受けることが大事だ。

 てんかんは、「子ども」が突然意識をなくして全身が「けいれん」する珍しい病気──。こんなイメージを持っていないだろうか。

「てんかんは誰もがかかる可能性のある病気で、症状も一様ではありません。子どもの病気とか、発作=けいれんといった先入観は捨ててください」

 と、新宿神経クリニック院長の渡辺雅子医師は言う。

 日本のてんかん患者は約100万人、その3分の1が高齢者といわれる。男女差はない。65歳以上の有病率は1~2%とされており、決して珍しい病気ではない。

 患者には、小児期や成人期に発症し、それが継続している人もいれば、「高齢発症てんかん」の人もいる。てんかんの発症率は乳幼児で高く、10代になると低下するが、50代後半から上昇に転じる。これを高齢発症てんかんという。

 高齢発症てんかんはさらに、原因となる病気がある「症候性てんかん」と、原因不明の「潜因性(せんいんせい)てんかん」に分けられる。3分の1は後者だ。前者の原因疾患としては、脳血管障害を筆頭に、認知症などの神経変性疾患、頭部外傷、脳腫瘍などが多い。ここでは潜因性の高齢発症てんかんを中心に取り上げる。

 てんかんとは、大脳の神経細胞が過剰に興奮するために神経ネットワークに障害が起こり、発作を繰り返す脳の慢性疾患だ。

 発作には、神経細胞の興奮が大脳の一部に見られる「部分発作」と、大脳全体が興奮している「全般発作」がある。高齢発症てんかんの多くは部分発作で、なかでも意識障害を伴う「複雑部分発作」が多い。

「突然意識をなくすので、危険な状況になりやすい。料理中なら熱さを感じないのでやけどすることがありますし、自動車運転中なら事故の原因になります」

 と話すのは、朝霞台中央総合病院脳卒中・てんかんセンター・センター長の久保田有一医師。「だからこそ、早く高齢発症てんかんに気づいて治療を受けてほしい」と2人の医師は声をそろえて強調する。

 複雑部分発作は、けいれんがないのが特徴だ。目は開いたまま、急に動きを止めてボーッとしたり、口をモグモグ動かしたり舌をペチャペチャ鳴らしたり、貧乏揺すりのように足を小刻みに動かしたりといった具合で、知識がなければてんかんの発作には見えない。

 発作は数十秒から数分で終わる。ただ、その後も症状は続き、元の状態に戻るまで数時間から時には数日かかることもある。その間は話しかけられると「ああ」とか「うん」とか生返事をすることが多い。元の状態に戻ってからそのときのことを聞いても、本人は覚えていない。

「また、人生の大事な出来事を忘れてしまう記憶障害も起こります。それで、よく認知症に間違われるのです」(前出の渡辺医師)

 東京都に住む町田隆さん(仮名・67歳)は2年ほど前から短気になり、ささいなことで怒るようになった。半年後、家族で食事中に、初めての家族海外旅行だったハワイの話題になった。しかし町田さんは、その旅行にまつわるすべてのことを覚えていなかった。

 家族は認知症を疑い、町田さんを神経内科に連れていった。認知症の検査は正常で、MRI(磁気共鳴断層撮影)にも異常はなかった。「元気がないし、何か変」と思いながら町田さんの様子を注意深く見るようになった妻は、1カ月ほどで、町田さんの動きが急に止まること、口をモグモグさせることに気づいた。娘に話すとインターネットで調べてくれ、てんかんかもしれないことがわかった。

 てんかんの診断では、問診と脳波検査が重要だ。

「家族など身近にいる人が同行して普段の言動を教えてくれたり、発作中の様子を動画撮影してくれたりすると、よい情報になります。一人暮らしの方は、趣味の会やデイサービスなどに参加して、普段の自分をよく知る人を作っておきましょう」(久保田医師)

 脳波検査は、発作が起こっていないときにしても、てんかんが疑われる波形が描出されることが多い。それがあったら、長時間ビデオ脳波モニタリングの実施が望ましい。

 これは数日から1週間ほど入院してもらい、連続して患者の様子と脳波を同時に記録する検査だ。専用の装置が必要であり、患者の負担も大きいので、できる施設は限られる。なお、MRIなどの画像検査は原因疾患を特定するためにおこなわれるもので、てんかんかどうかの診断はできない。

 町田さんは妻と一緒に新宿神経クリニックを訪ねた。渡辺医師は問診、脳波検査、関連病院での長時間ビデオ脳波モニタリング、MRIを実施。町田さんを潜因性の高齢発症てんかんと診断し、薬物療法を開始した。

 てんかん治療は、発作を防いで日常生活が支障なく送れるようにするためにおこなわれるが、とくに高齢者に対しては、記憶障害を進行させないことも大きな目的になる。治療開始までに失われた記憶は戻ってこないが、それ以後は人生における大事な出来事を忘れないようにするのだ。

 治療には抗てんかん薬が用いられる。てんかんを根治するのではなく、発作を抑えるもので、20種類ほどある。発作のタイプによって効くものが違い、高齢発症てんかんには、部分発作に有効な種類を選ぶ。

 それらはさらに、従来薬と新規薬に分けられる。効果は同等だが、新規薬は副作用が少ない。これにはラモトリギン、レベチラセタムなど数種類あり、副作用の内容などを考慮して、患者に合ったものを用いる。

 また、高齢者の多くは持病があり、ほかの薬を飲んでいるので、相互作用にも注意が必要だ。

「大事なのは、少量から始めることです。高齢者は薬の効きがよいのですが、副作用も出やすいので、通常量の3分の1から始めます。効果と副作用を秤に掛けながら、必要があれば徐々に増量していきます」(渡辺医師)

 町田さんは、レベチラセタムを通常の3分の1量から始めた。2週間後、妻は「発作は出ていない。元気になって、イライラも少なくなった」と話した。それから1年以上、同じ量を維持しているが、発作は起きていない。

「医師の指示どおりに服用を続ければ、約9割の人は発作を起こさずにすみますが、飲むのをやめると発作が出ます。飲み忘れがないよう、薬をカレンダーに貼り付けるなど工夫するといいでしょう」(久保田医師)

 てんかんが疑われる場合は、精神科、神経内科、脳神経外科などが受診先になる。てんかん専門医は、日本てんかん学会のホームページに掲載されている。(ライター・竹本和代)

【超かんたん!図解で認知症予防】望ましい習慣のために!「やる気」のメカニズム

目標達成のための「望ましい習慣」を身につけるには、まずやる気を出してそれを継続することが必要です。ではその「やる気の素」とは…?

 ■やる気の素(=動機付け)

 動機付けとして最も強いのは、人間の根源的情動である恐怖や怒り。それに対し愛や目標など高次の感情はモチベーションの源としてはそれらより弱い。

 ■継続には質の高い集中力が必要

 やる気の維持・継続には恐怖や苦痛に訴えることが効果的ということを昔の人は知っていた。苦しめてこそやる気の集中力は持続する。

 ※臥薪嘗胆:薪(たきぎ)に臥(伏せて)嘗胆(苦い胆をなめる)

 ■「質より量」で勝負!

 集中力にも「質」と「量」がある。少しずつでも継続すれば量が質を凌駕(りょうが)して目標を達成(習慣化)することができる。

 ■監修・朝田隆 1955年生まれ。メモリークリニックお茶の水院長、東京医科歯科大学医学部特任教授、医学博士。数々の認知症実態調査に関わり、軽度認知障害(MCI)のうちに予防を始めることを強く推奨、デイケアプログラムの実施など第一線で活躍中。『効く!「脳トレ」ブック』(三笠書房)など編著書多数。

【サプリで認知症予防&健康長寿】認知症発症予防を始めよう 「コエンザイムQ10」でリスク低下

 認知症は特別な病気ではありません。医学的にみれば、極めて普通の病気。つまり「誰でもなりえる病気」なのです。

 しかし「一番なりたくない病気」であることも確かです。認知症は「治らない」との認識が一般的ですが、早期発見で発病を遅らせることは可能です。「予防」も非常に重要となります。そこにサプリメントの出番があるのです。

 可能性のあるサプリとして、以前にイチョウの葉、EPA・DHAなどのオメガ3脂肪酸とならび、コエンザイムQ10のこともお話ししましたね。また、意外なことに高カカオチョコレートの効果にも触れました。

 コエンザイムQ10から、新しいことを交えて復習をしましょう。2014年、コエンザイムQ10と、認知症リスクとの関連を調べた研究が筑波大学から報告されました。血中コエンザイムQ10が高いほど、認知症リスクが低いことが分かったのです。老化を防ぐ作用があり、体内でも産生されていますが、加齢とともに減少してしまいます。そこで「健康寿命」にかかせないサプリとの位置づけがされています。

実は、認知機能障害が出る20年前から、徐々にアミロイドβやタウといった異常タンパク質がたまっていき、脳の神経細胞が壊れ減っていくことで認知症は発症してしまいます。「最近の出来事を忘れてしまう」という症状から始まることが多いのですが、記憶をつかさどっている海馬(かいば)と呼ばれる部分に最初に病変が起こるためです。

 たまった異常タンパク質は溶けないと思われていましたが、ある程度は溶かせられ、異常タンパク質の脳細胞への沈着を遅らせる物質も分かってきました。コエンザイムQ10もその1つ。認知症は、約20年間という長い年月をかけて発病しますが、今からでも遅くないのです。認知症発症予防を今日から始めたいものです。

 ■栗原毅(くりはら・たけし) 医学博士。栗原クリニック東京・日本橋院長。前慶応大学特任教授。「血液サラサラ」という言葉を提唱し、著書やメディア出演などを通じて予防医療の大切さを訴えている。

健康診断、ギリギリセーフ実はアウト!糖尿、血圧この数値はヤバい

健康診断の基準値で、ギリギリというのはリスクゼロと解釈してよいものなのか。あるいは、少し基準値を超しただけでも、リスクが急激にアップするものなのか。専門医に話を聞いた。

 ■ギリギリ放置は×

 まずは、健診で気になる各項目のおさらい。

 「メタボ(メタボリックシンドローム)」は男性は腹囲85センチ以上で、高血糖・高血圧・脂質異常症のうち2つ以上を合併した状態。

 「高血糖」は空腹時血糖値が110mg/dl以上。

 「高血圧」は130/85mmHg以上。

 「脂質異常症」は中性脂肪150mg/dl以上もしくはHDLc(善玉コレステロール)40mg/dl未満。

 では、健診で腹囲が84センチで、他の数値もギリギリセーフという場合、安心しても良いのか。

 糖尿病外来を行っている「しんクリニック」(東京都大田区)の辛浩基院長=顔写真=が説明する。

 「ギリギリのラインは『正常高値』といって、決して安心できる値ではありません。しかし、多くの人は、ギリギリセーフと考えて生活習慣病を放置し、その後、症状を進行させて、薬による治療を受けるような状態になりやすいのです。ギリギリは『アウト』と心得えて、きちんと専門医による精密検査を受けていただきたい」

 ■隠れ糖尿病増加中

 ギリギリアウトの典型は、空腹時血糖値100~110mg/dlのグレーゾーンの人たちだという。

 「糖分を食べたときにどれほど血糖値が上がるのか、それを調べるブドウ糖負荷試験をしてみると、高血糖値の人が多いのです。食後に血糖値が一気に上がる状態をグルコース・スパイクといいます。

この状態を放置すれば、動脈硬化は進みやすく、メタボと診断を受けていなくても、心筋梗塞や脳梗塞のリスクは高まるので注意が必要です」と辛院長は指摘する。

 血圧にしても、健診時には正常値内だったはずの人が、明け方や急に寒いところへ行くなど環境の変化により、一気に高血圧になるようなことも珍しくはないそうだ。

 専門医による検査を受けていないと発見は遅れがち。そんなギリギリアウトを見つけるには、医療機関で精密検査を受けるしかないという。

 ■ギリギリ対策

 「再検査」「要治療」などの検査結果ならともかく、多忙な人は健診で「ギリギリOK」の数値なら、わざわざ医療機関を受診する気になれないだろう。しかし、ギリギリを放置すれば、来年の健診では「NG」に転じるかもしれない。

 「一度は医療機関で精密検査を受けて、アウトかセーフか、確かめるのは重要ですが、ギリギリアウトのラインにある人は、食生活を見直すことでセーフになりやすいともいえます。食生活の見直しをまず始めてみてください」(辛院長)

 暴飲暴食は×とはわかっていても、なかなか止められない。生野菜は好きではないし、運動も苦手。こんな場合はどうすればいいのか。

 「生野菜が苦手ならば、野菜炒めでもOKで、中華料理ならば野菜もたっぷり入ったメニューがあるでしょう。また、食物繊維が糖分や脂肪分の吸収を抑えるため、野菜から食べ始めるのがおススメです。

そして、駅や職場でもエレベーターやエスカレーターの使用を避けて、なるべく歩く。これを実行するだけでも、ずいぶん運動量は増えるはずです」と辛院長はアドバイスする。

 本当の意味でのギリギリセーフを実現するには、検査数値に翻弄されずに、食生活をまず見直すことが必要不可欠だ。

認知症は若い世代にも増えている

認知症は高齢者のものだけではありません。30代~50代の間で気付いていない人を含めて、何千人も認知症患者がいるであろうと言われています。

更年期障害やストレスと誤診されやすい、認知症に含まれる若年性アルツハイマー病の兆候(サイン)はどんなものなのでしょうか?

● 記憶障害
これは最も一般的な症状です。さらに認知症患者は、物事の理由付けや計画する能力も失っていきます。正しい単語を思い出せなくなったり、料理のレシピに従うことが難しくなったりします。

● 転倒しやすくなる
アルツハイマー病は、視界と空間認知能力に影響するため、何もないような所で躓いたり、転倒しやすくなります。

● 人格の変化
記憶の喪失は、アルツハイマー病患者を困惑させ、虚脱感や喪失感に陥らせます。自信過剰になったり攻撃的になる人もいます。

● 幻覚症状
認知症の約10%が幻覚と悪夢に悩まされているといいます。被害妄想が強くなり、例えば、家の中に自分を騙す人間がいるなどと考えるようになります。

● 鬱
気分が塞ぎこむのも、認知症の一般的な症状です。しかし、実際、鬱は認知症の初期段階にしか起こらない症状です。

忘れっぽくなるのは誰にでも起こる老化現象ですが、認知症を疑うポイントとしては、今まで毎日、当たり前のようにしていたことが出来なくなることだそうです。このような症状が見られた場合、早めに受診しましょう。

専門医に聞け! Q&A 秋のうつ状態

 Q:夏は元気一杯で活発に活動しましたが、秋になったら心がふさぎ、やる気が出なくなりました。

眠くないのに生あくびが何度も出ます。去年もこんな感じになったと思います。何か具体的に原因があるでしょうか。対策法と併せて教えてください。(28歳・広告代理店勤務)

 A:ご質問の方は夏は元気一杯だったことから、夏に活発に活動し、はしゃぎ過ぎた反動が秋になって出て、軽いうつ状態になって現れたものと思われます。とはいえ、過度に心配するには及びません。

本当のうつ病ではなく、はしゃぎ過ぎて疲れた心を回復させようとするための反応なのです。眠くないのに生あくびが起こるそうですが、これは心が疲れていることを表す典型的な反応です。

心が疲れて潤いを欲しがっているのです。今年は秋の訪れが急だったこともあり、その分なおさら心の疲れが表れやすかったと思われます。秋という季節の特徴は二つあります。一つは前半は暑く後半は寒くなること。

もう一つは、前半は湿度が高く後半は空気が乾燥することです。

 秋は稲の収穫時期であり、昔から、収穫を祝う秋祭りが行われます。そして、革命の季節です。つまり、体に変化が生まれるし、変化させないといけない時期なのです。この後は冬がやって来ますが、五行論では、冬は新しく生まれる季節です。

●休養し、心を休ませよう
 すから、来年(春)に備えるのは、冬ではなく前年の秋からなのです。具体的には、秋は十分に休養をとることが求められるし、そうすることが重要なのです。

 ご質問の方の場合、このような秋の季節の入り口で心の不調を来したわけですから、このあと、養生に努めるようにしたいものです。ただし、養生といっても特別なことをしなければならないわけではありません。

秋は行楽のシーズンでもあります。適度に遊ぶことはよいですが、活動し過ぎないようにしたいもの。自然の緑に接することは心を休められるので、オススメです。漢方薬では、「抑肝散」または「抑肝散加陳皮半夏」が適しています。

どちらも、緊張を取り、興奮を抑える作用があります。うつ気分が取れることによって、やる気も湧いてくるはずです。ご質問の方も、この二つの漢方薬のどちらかを服用してみるとよいでしょう。

三浦於菟氏(吉祥寺東方医院院長)
東邦大学医学部卒。国立東静病院内科勤務を経て、中国・南京中医学院、台湾・中国医薬学院に留学。東邦大学医学部東洋医学科教授を経て、同大学客員教授。著書『東洋医学を知っていますか』など多数。

24時間が激変!「充実の朝活」は季節性うつ防止にも美肌にもなる

会社に勤めていれば平日の大半を勤務時間にあてることになり、マンネリ化した日常につまらなさを感じることもありますよね。「でも社会人ってこんなものだよね」と無理に自分を納得させていませんか?

楽しむことををあきらめたような気持ちで何年も過ごしていたら、いつか一過性のうつになったとしても、不思議ではありません。特に秋は気候も関係して、季節性うつが発症しやすい時期。

そこで今回は、24時間の使い方を激変させ、早朝に活動することで、うつも撃退できる、今話題の”エクストリーム出社”をご紹介します。

■エクストリーム出社とは?

1分1秒を無駄にせず、ギリギリまで寝ているという朝の生活様式を一変する、それがエクストリーム出社です。

『日本エクストリーム出社協会』では、こうした出社方法をとる人を一般的な通勤者と区別して”出社ニスト”と呼び、なんと出社をひとつのスポーツにしてしまいました。

出社前の早朝からスポーツや登山などの楽しみを満喫したあと、始業開始の定刻に間に合うように出社します。

当然遅刻はルール違反です。協会ホームページの中では大会情報として出社ニストたちが集まるイベントも公表しているので、参加すれば新しい出会いにもつながるかも!?

協会の概要によれば、移動・アクティビティ・演出、この3つの採点基準に基づき競い合うそう。

競技に参加するなら、モバイルデバイスでアクティビティをアピールします。ツイッターでハッシュタグ『#エクストリーム出社』をつけて呟くなど、概要が出ているのでホームページを参考にしてみてくださいね。

■早朝に活動する利点

起きるだけでも大変なのに、早朝に何かするなんて考えられない! そう思っているうちはトライしなくても大丈夫。無理をしないことが出社ニストの条件です。

しかし早朝を活用するということは、必然的に入眠時間が数時間早まります。すると24時間が違って見えてくると思いませんか? 22時~2時に眠れば成長ホルモンの分泌が促され、美肌につながるとも言われています。

平日の早朝なら、どこの観光地でも空いています。前日から泊まりがけでカヌーや登山を楽しみ、そのまま出社するといったスタイルも、この活動ならでは。朝日を浴びて体を動かすことで幸せホルモンのセロトニンが多く分泌されれば、一日を楽しく過ごせる上、憂鬱な季節性うつも撃退できます。

■服装は自由でOK

出社時にいつも通りの格好なら、どんな服装でもかまいません。平服で出社できる職種でも、出社に臨場感を持たせるためスーツや革靴で早朝アクティビティをする人もいるそう! まずは自宅でヨガをするなど、取り入れやすい早朝アクティビティに挑戦してみませんか?

仲の良い友人に声をかけて公園での早朝ピクニックをしたり、朝ヨガを始めるなど、自分に合ったものを選んで楽しんでみるのもよさそうですね。

うつ病?と思った時のチェック方法

・はじめに

うつ病の症状は未経験の人にはわからないものです。そのため、自分がうつ病になっていることに気づかず、悪化してしまう人もいるようです。

うつ病かな?と自分自身で疑う方は非常にたくさんいるようです。このように自分自身でうつ病かもしれないと思った時点で診察を受けることをお勧めします。

しかし、精神科や心療内科などはなかなか敷居が高く、診療に行きづらいと思う人も多いようです。そこで、経験者だからこそわかるうつ病のチェックポイントをお伝えします。

チェックポイントと症状に重なる点があるようでしたら、勇気を出して診察を受けましょう。うつ病の症状は人それぞれですから、1つの参考にしてください。

・ポイントその1 頭痛など体の症状

うつ病になると体に何らかの症状がでる人もいるようです。頭痛や体のだるさなど人によって異なるようです。はじめは単なる体調不良と思っていたら、うつの症状だったと後でわかることがあるそうです。

まずは、同じような症状が長く続いていないかどうかチェックしてみてはいかがでしょうか。

・ポイントその2 睡眠の状況

疲れているのになかなか眠れない、眠ろうとすると色々と考えてしまって眠れないなどの症状が出てきたらうつ病の症状と疑ってください。

特に日頃強いストレスを感じている方で、思うように睡眠をとれなくなってしまった方は非常にうつ病である確率が高いです。

・ポイントその3 心理状況

うつの原因には色々とありますが、中でも過剰なストレスからうつ病になってしまう方が多いようです。あまりのストレスにいつも弱音を吐いたり、何事も悪い方向に考えるようになったら、危険信号です。

・おわりに

ほんの少しでもうつ病の気配があれば、精神科の受診をおすすめします。診察は医師との会話が中心となっていて、怖いことは何一つありません。

精神科に行くことがためらわれるのであれば、総合内科などで相談してみてもいいかもしれません。睡眠薬や軽い安定剤を処方してくれる場合があります。

“触れる”ケアで認知症を和らげる? スウェーデン発の「タクティールケア」とは

タクティールの語源は、ラテン語の“触れる”。タクティールケアは、その言葉どおり、手や足や背中を優しく包み込むように触れることで、認知症の人の不安や周辺症状などを和らげる効果がある。脳下垂体から出るオキシトシンの分泌を促進するからだ。

 スウェーデンで半世紀前に生まれた非言語コミュニケーション方法で、日本には2006年に導入された。

 このケアに関する教育や認定資格などの事業は、日本スウェーデン福祉研究所が担っている。

「認知症もがんなどと同じように治癒の難しい疾患であるなら、初期の段階から患者さんとご家族を癒やすケアが大切です。タクティールケアは認知症緩和ケアのひとつとして、日本の医療施設や高齢者施設で徐々に広まっています。

セミナーの受講者は約1万人、認定資格者は約2千人になりました」(同研究所代表取締役の中込敏寛さん)

 現場でどのように活用されているか、実際に訪れてみた。まずは特別養護老人ホームの南陽園(東京都杉並区)。5階建ての建物に約240人の高齢者が入居するが、8割以上が認知症を患う。タクティールケアを施せるケアワーカーは11人いて、各フロアでケアを提供している。

 自立歩行が難しい認知症の入居者が多いフロアで、98歳の女性が背中のケアを受けていた。昨年から週2回程度、手や背中のケアを受けているという。

「お背中触りますね」

 ケアワーカーの榎本典雅さんが机に伏せた状態の女性に声をかけ、両手を肩にそっとあてる。その手を滑らせるように背中の中央に移し、ゆっくり右に回していく。いわゆる揉む、押すなどのマッサージと違い、手を当てるという感じだ。そのまま放射線状に動かしたり、腰から背中の輪郭を触れていく。

「ケアは約10分間で、その間は基本的にこちらから話しかけません。一度始めたら最後まで手を離してはいけない決まりがあるのですが、いつの間にか寝てしまう方もいます」(榎本さん)

 98歳の女性も施術中はうとうとして、10分後に終了すると、「気持ちよかったわ」とほほ笑んだ。女性は7年前から入居しているという。同じことを繰り返し話したり落ち着かなくなったりするときもあるが、ケア後は上機嫌になるという。

「このケアは体温が上がったり血の巡りがよくなったりという反応がすぐに出ます。むくみもとれるので、きつかった指輪が楽になったという声も聞きます」

 体が柔らかくなったり、会話がスムーズになったりする効果もある。同じフロアで働くケアワーカー熊倉直子さんが事例を話してくれた。

「99歳の女性ご利用者が今年はじめに脳梗塞になり入院しました。治療を終えて戻ってきたら、発語が少なくなっていました。もともと話し好きの方だったので、タクティールケアを始めたら、言葉を前のように出されるようになったんです」

 認知症の人の中には、触られることを嫌がるケースもある。無理じいせず、時間をかけて関係を築くのも、ケアの大事な要素のようだ。

認知症予防に効果 人生を語る「回想法」とは?

一人の女性がおもむろに取り出した『尋常小学読本』。周りにいる数人の高齢者に見せながら、

「こんな教科書、お使いになっていましたか?」

 こうやさしい口調で尋ねると、教科書を手にとった男性は、

「懐かしいねぇ」

 と一言。

「昔はね、親には孝行、国には忠義を誓ってね……」

 と語り始める男性も。小学校時代の担任の名前や厳しかった指導のエピソードも飛び出し、話はつきない――。

 これは、ある施設で行われた「回想法」の一コマだ。

 回想法とは、過去の記憶を手がかりに、その人の人生を語ることによって、精神の安定化を図る心理療法の一つ。1960年代にアメリカの老年精神科医が、高齢者のうつ病治療として始めた。認知症に対する非薬物療法として日本で広まったのは、90年代だと言われている。

 都内の施設や病院などで回想法を実施する、慶成会老年学研究所(東京都港区)の宮本典子さん(臨床心理士)は、こう説明する。

「認知症は、最近の記憶が失われても、古い記憶は比較的最後まで保たれます。この認知症の記憶の障害のあり方を生かした心理療法が回想法なのです」

 参加者は、自分の人生に共感する聞き手に対して、これまで培ってきた知恵や経験を語る。回想することで、自分の人生の価値を再発見したり、当時の記憶がよみがえって情動が活性化したりする。これが孤独感や不安感を減少させたり、意欲を向上させたりする。

 そのため、「認知症と診断されて不安の中にいる高齢者の心のケアとして役立ち、記憶の障害が進行した方のコミュニケーションを助ける手段にもなる」(宮本さん)という。

 回想法の有効性を科学的に検証した国立長寿医療研究センターの遠藤英俊医師(長寿医療研修センター長)は、「話す、聞く、コミュニケーションをとるという行為が、記憶を維持したり、進行を遅らせたりすることにつながる」と話す。

「当時の経験を人に伝えるだけでなく、人の経験を聞いて刺激を受けたりもする。そういうコミュニケーションをとることで、脳の血液循環量が増え、活性化するのです」(遠藤医師)

 遠藤医師が北名古屋市で回想法スクール(月1~2回を計8回)を開催したときの参加者の認知機能の変化を示した。参加者の認知機能を参加前後と、終了して2年後の計3回にわたって評価し、スクールに参加していない人と比較した。

 すると、回想法実施群(66~84歳の13人)は、非実施群(65~86歳の11人)に比べて、認知機能が改善していた。

 また、対象者は認知症ではない一般の高齢者だが、回想法は2年後まで効果が持続する、あるいは認知機能が向上する可能性があることもわかった。

「活動的な精神状態を取り戻したことで、その後の人生にも影響を及ぼしたのではないかと推測されます。回想法は有酸素運動と同じくらい認知症予防や症状の進行抑制に効果があると思っています」(同)

 宮本さんは、「回想法で認知症を治すことはできない」としつつも、記憶力を測定できるテスト、MMSE(認知機能の評価法の一つ)の点数が、参加前より参加後のほうが上がるケースがあるという。

まずはココから変える!うつ病リスクを減らす食べもの3種

以前、「超危険!あの食べものがうつ病リスクを上昇させる」でもご紹介しましたが、最近やる気がなく、仕事に行く気がしない、誰にも会いたくないなどといった症状は、知らず知らずのうちに食べている、食べ物が原因かもしれません。

ハンバーガーにピザ、ポテトなどジャンクフードばかりの食生活をしていると、肌はボロボロ、髪はパサパサという表面的な問題のみならず、精神的不安定になったり、身体のいろいろな所に悪さをしてしまう恐ろしいものなのです。

というのも、ジャンクフードに使われることの多い硬化油、マーガリンやショートニングなどのトランス脂肪酸は細胞の機能を低下させ、うつになる危険性を高めると言われているのです。

では、一体どういった食べものを食べれば、やる気がみなぎり、うつ病リスクを回避することができるのでしょうか。

ホーリー・フィリップ博士が薦める、うつ病リスクを減らす食べものをもう少し詳しく解説してみたいと思います。

■1:うつのリスクを減らす抗酸化物質の高い食べもの

抗酸化物質の濃度が高いほど、うつのリスクを減らすと言われています。中でも、活性酸素を消去する力の強い食べものはこちらです。

・ブロッコリー、芽キャベツ、ケールなどアブラナ科の野菜

・パプリカ

・アシタバ

・プルーン

・レーズン

■2:脳、神経機能の促進に良いと言われるオメガ3脂肪酸

摂りすぎると病気の元となってしまう、オメガ6脂肪酸の過剰摂取が問題となっています。これらは、スナック菓子などの加工食品に多く含まれるものです。

しかし、同時にオメガ3脂肪酸を同量摂ることで、身体への悪影響は一掃されると言われています。脳、神経機能の促進に良いとされる、オメガ3脂肪酸を多く含む食べものはこちらです。

・サーモン

・くるみ

・フラックスオイル(亜麻仁油)

・魚油

・海藻類

■3:うつ病リスクを減らす効果があると言われるセレニウム

抗うつ治療の補助としても使われることのある、セレニウムを含むものはこちらです。

・大豆などの豆類

・アーモンドなどのナッツ類

いかがでしたでしょうか。うつ病は病気ではなく、身体のバランスが崩れた状態とも言います。どうもやる気がでない、気分が落ち込んでいるというのは、身体からのSOSサインかもしれません。

身体のバランスを整えるためにも、上記の食べものを参考に、いま食べているものから見直してみてはいかがでしょうか。

「生理うつ」を解消して快適に過ごすコツ5つ

生理前の憂鬱を、女子の「運命(さだめ)」と諦めたくないですよね。

ほんの少し、普段の生活を改善したり、ひと工夫することで、心も体も気持ちよく過ごせるかもしれません。

生理前の憂鬱を、女子の「運命(さだめ)」と諦めたくないですよね。

ほんの少し、普段の生活を改善したり、ひと工夫することで、心も体も気持ちよく過ごせるかもしれません。

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1.笑おう

生理前のカラダの不調は、激しい痛みなどではなく、「けだるさ」「イライラ」などの感情的な症状に出やすいという特徴があります。そんな時は友達とおしゃべりしたり、コメディ映画を観たりして、たくさん笑うことがおすすめ。

「そんなことで?」と疑う前に試してみてください。意外なほど憂鬱を忘れたひと時を過ごせるも。

2.出かけよう

家や部屋に閉じこもっていると、憂鬱な気持ちから抜け出しにくくなりますね。思い切って外に出ることで症状が改善される可能性は大。いい天気なら歩いて、運転が好きならドライブで、風が心地よければサイクリングでと、外の風にあたり、日の光を浴び、外の明るい風景を見ることでも、生理うつは改善されます。

3.大掃除しよう

適度に体を動かすことは、生理前の不調改善の大切なポイントです。そこで提案したいのが「大掃除」。いつも通りの軽く拭いたり掃いたりといった掃除ではなく、普段は手を出さないような、壁や家具などを真剣に磨くのがおすすめ。

食器棚の食器を全て乾拭きしたり、スプーンなどのカトラリーを磨くような作業に集中するのもいいですね。

4.模様替えしよう

気分転換にも軽いエクササイズにもなるのが「部屋の模様替え」です。生理前は本棚の本の並び順が違っているだけでも憂鬱な気分を引き起こすもの。だったらいっそ、本を全部出して並べ替えたり、壁紙の一部を変えたりといった「ミニ模様替え」をしてみましょう。最中の「集中」や終えた時の「満足感」でスッキリするはずです。

5.砂糖を断とう

砂糖の入った「甘いもの」を一切断ちます。甘党には苦しい工夫ですが、これだけでモヤモヤ感が改善されるなら安いものだと思いませんか?生理前はただでさえ感情が不安定になっていますが、実は「砂糖」はイライラをさらに煽ります。

甘いものを我慢する方がストレスだ、という女子は、「砂糖」以外の甘さで気を紛らせましょう。ダイエットにも効果的です。

いかがでしたでしょうか?

生理前の不調は、体の内側で起こっている現象でありながら、「心の不調」として現れることが多いのが特徴です。体を健康に保つことも大切ですが、心のケアにも気遣ってあげたいですね。

秋の異動シーズンに忍び寄る「昇進うつ」は“変化”を減らして防ぐ

秋の異動シーズンで昇進したサラリーマンもいるだろう。喜ばしいことだが、「昇進うつ」に気をつけたい。

 中堅商社に勤めるHさん(43)は、昨年10月に課長に昇進した。それまでは、目標の売り上げをクリアするためにがむしゃらに働き、常にトップクラスの成績を残してきた。そうした実績を認められて引き上げられたのだが、中間管理職はまったく勝手が違った。

 個人ではなくチーム全体の数字を求められ、部下の教育もしなければならない。しかし、指示を出してもうまく回らず、Hさんのやり方に反発する部下もいた。

仕事はすべて自分でチェックしなければ心配で、毎日、終電まで会社に残って仕事をこなした。目をかけてくれていた部長からは〈期待しているぞ〉と声をかけられるが、そのたびに大きなプレッシャーを感じるようになった。

 1カ月後、そんなHさんの体調に異変が表れ始めた。首と肩が異常に凝り、胃が重くてほとんど食欲がなくなった。夜は疲れているのに眠れない。

寝ついてもすぐに目が覚めてしまい、次から次へと不安感が湧いてくる。出勤のために最寄り駅へ近づくと全身から汗が噴き出し、強烈な吐き気に襲われるようになった。

 異変を察知した妻の勧めでメンタルヘルスクリニックを受診したところ「昇進うつ」だと診断され、Hさんは1カ月以上も休職することに…。

■緩やかな変化と6時間以上の睡眠

 産業医として企業22社のサラリーマンのストレスケアを担当している奥田弘美氏(精神科医)は言う。

「昇進や異動をきっかけに、うつ病になってしまうサラリーマンは珍しくありません。とりわけ、プレーヤーとして優秀でやりがいを感じていた人がマネジメントを任されるようになり、うまくいかないことに思い悩んで発症するケースが多い。

人間は<変化>に大きなストレスを受けます。昇進によって仕事の内容だけでなく、人間関係や勤務先といった環境がガラリと変わるケースもある。そうした変化がたくさん重なった人ほど、うつ病になるリスクもアップします」

 昇進うつの予防には、なるべく<変化>を増やさないことが基本的な対策になる。昇進に合わせて引っ越しをしたり、張り切ってビジネスセミナーに通ったりするのは危ない。

これまでほとんどやったことがないのに、新しい上司としていいところを見せようと、夜な夜な部下を引き連れて飲みに出かけるのも避けたほうがいい。

「昇進直後は気持ちが盛り上がっているので、スタートダッシュをしてしまいがちです。環境が変化したことだけで精神的にも身体的にも疲れるのに、それに気付かずにこれまで以上にがんばろうとダッシュを続けるから、どんどん疲弊してしまうのです。あ

る程度は部下に仕事を任せ、自分の仕事が終わったら早く帰宅する。しっかり食事をして、6時間以上の睡眠をとるように心がけてください。仕事は家に持ち帰らず、休日はしっかり休む。こうした基本的な対策だけでも効果的です」(奥田医師)

 また、なんでもかんでも自分ひとりで抱え込まないことも大切だ。

 書籍や雑誌を読んでマネジメントの基本を勉強するのもいいが、それ以上に管理職経験者に悩みを相談したり、アドバイスをもらうのがベスト。職種や会社の風土によってマネジメントの方法は千差万別。だからこそ、先輩上司の体験談が“救い”になる。

「昇進うつになる人は、完璧主義者で周囲に相談するのが苦手なタイプも多い。しかし、<最初はうまくいかないのが当たり前>という意識を持って素直に周囲のアドバイスを受けることが、昇進うつの予防につながります」(奥田医師)

 これで、昇進を喜べるようになる。

認知症の親が加害者となり約360万円の支払い命じられた例も

 いまや国民の最大関心事といってよい「認知症」。65歳以上の高齢者約3200万人のうち、認知症患者数は約462万人に達するとされる(厚生労働省調べ)。予備軍も合わせると862万人になるという。

認知症になると家事が崩壊し、性格が豹変、ご近所や家族とのトラブルに発展しやすくなる。そして、ボケた親が「加害者」となるのは最悪の事態だ。最近、ニュースを騒がせた「徘徊トラブル」は、決して対岸の火事ではない。

 2007年に近所を徘徊中に電車にはねられて死亡した認知症患者男性(当時91)の妻(同85)らに対し、一審判決は「見守りを怠った過失」があるとして、約720万円の損害賠償をJR東海などに支払うよう命じた。今年4月の控訴審でも妻の責任は認定され、約360万円の支払いが命じられた。

 千葉県に住むA氏(57)は、中等度のアルツハイマー型を患う父親(89)の「あわや」の事態を振り返る。

「ある時、浦安市の実家からいなくなった認知症の父が数日後に、15キロ離れた東京駅付近で発見されました。現金は持っておらず1人で歩いてそこまで行ったようです。報道で高額賠償の件を知っていたので、父が踏み切りなどで事故を起こしていたらと思うとゾッとしました」

 この一件を機に認知症について勉強したというA氏が続ける。

「徘徊には“ブラブラ歩き”のイメージがありますが実際には違う。本人には『△△さんが○○で待っている』など妄想であっても確たる理由があって家を出ていくんです。なので足取りは意外にしっかりして、移動するスピードも速い。

普段、家の中でやっと歩いているからと油断していると、父のようにとんでもない距離を歩いて発見されるそうです」

 今年5月には、行方不明となり、群馬県館林市の施設に保護されていた女性(67)が7年ぶりに夫と再会した。

 この女性の生活費は7年間で1000万円以上にのぼるという。館林市は女性や家族に生活費の請求はしない方針だが、今後、全国で同様のケースが起きた場合には家族への生活費請求も考えられる。

NHKの調査によれば、徘徊中に行方不明になった認知症の高齢者は2012年で約9600人に達する。

65歳以上4人に1人が認知症 アルツハイマー型や脳血管性など

「認知症」はいまや国民の最大関心事といってもいい。厚労省研究班の調査(2012年)では65歳以上の高齢者約3200万人のうち、認知症の患者数は推計15%、約462万人に達するとされる。

さらに認知症の「前駆段階」とされる軽度認知障害(MCI)の高齢者も約400万人いると推計されており、65歳以上の実に4人に1人が認知症に直面している。

 問題をさらに複雑にしているのが、「実家問題」だ。同居したり近所に住んでいたりすれば、子供や家族が認知症になった老親を日頃から見守ることができる。しかし故郷から離れて暮らしている場合、面倒を見るのは一苦労だ。

「施設に入居させればいい」という単純な話でもない。民間企業や医療法人などが運営する有料老人ホームは月額15万~30万円の費用がかかり、誰もがおいそれと手を出せる選択肢ではない。

月額5万~15万円ほどで済む特別養護老人ホームも要介護認定が必要であるうえ、待機者が列をなす「イス取りゲーム」状態だ。来年4月以降から入居者は原則要介護3以上となり、ハードルは今よりも高くなると見られている。

 認知症高齢者の約半数は自宅で暮らしている。「離れて暮らす親の面倒を見なければならない」と頭を悩ませる人が大勢いる事実が浮かび上がる。

 認知症といってもその内容は多岐にわたる。「アルツハイマー型」をはじめ、「脳血管性」、「レビー小体型」、「前頭側頭型」など様々なタイプがある。

『MCI(認知症予備軍)を知れば認知症にならない!』(主婦と生活社刊)の著者でおくむらクリニック院長の奥村歩医師がいう。

「アルツハイマー型は日本人の認知症の7割ともいわれ、脳血管性、レビー小体型と合わせた3大認知症で全体の9割を占めます。

軽度のアルツハイマーでは物忘れなどの記憶障害が目立ちますが、初期段階では“老化”と“認知症”の見分けがつきにくい。しかし進行すると服の着方など日常生活の段取りまでわからなくなってしまいます」

血圧サージに注目 血圧の変動幅大きい人は認知症リスク2倍

血液には健康診断や人間ドックでの測定結果に表われにくいリスクもある。それが「血圧サージ」だ。NHKスペシャル(10月29日放送)や本誌・週刊ポスト(10月30日発売)の特集でこの新概念が注目を集めている。

「血圧サージ」とは、血圧が高波のように急上昇・急降下する現象を指す。一般的に、高血圧の基準は上(収縮期)が140mmHg以上、下(拡張期)が90mmHg以上とされているが、血圧サージが厄介なのは、普段の血圧が正常値であっても起こりうるうえ、通常の高血圧以上のリスクをもたらす可能性があることだ。

 NHKスペシャルで「血圧サージ」の概念を提唱した自治医科大学教授の苅尾七臣氏らの調査によれば、健診時の血圧が150mmHg以上の高血圧患者の場合、心筋梗塞のリスクは正常者のおよそ1.4倍だった。しかし、日中の血圧が130mmHg未満であるにもかかわらず、起床後の血圧が145mmHg以上に上昇する“血圧サージ患者”の場合、心筋梗塞リスクは2.47倍にまで高まるという。

 また同教授らが行なった別の調査では、夜間の最低血圧と起床後2時間の最高血圧の差が55mmHg以上開いている場合、脳卒中発生率も2.7倍に高まったという。

◆「アルツハイマー型」が増える

 血圧サージが引き起こすのは心疾患や脳血管疾患だけに留まらない。認知症との関連性も指摘されているのだ。

認知症の1つ、アルツハイマー病には段階がある?

認知症は大きく分けて2つの種類があります。1つは「脳血管性認知症」で、動脈硬化などによって脳の血管が詰まり、血液によって必要な栄養素や酸素が摂取できなくなることで脳細胞が壊死してしまうものです。

そして、もう1つが「アルツハイマー型認知症」で、アルツハイマー病によって大脳皮質が損傷することで起こります。かつては脳血管性認知症の方が多かったのですが近年では逆転し、アルツハイマー型認知症が全認知症患者の60~80%を占めるようになりました。

ここではアルツハイマー病について簡単に解説します。

◆アルツハイマー病にはなぜなるの?

アルツハイマー病の直接の原因は神経細胞の表面に蓄積するβアミロイドという異常タンパク質で、これが神経情報伝達の働きを阻害して大脳に害を及ぼします。

こうなると脳の容積が極端に減少し、神経細胞が大量に変性してしまいます。何故βアミロイドが発生し蓄積するかということに関しては、まだその詳しい原因は分かっていません。

アルツハイマー病の発症率は高齢者に多いことから、加齢に伴う脳の変化に関係があるのではないか、また、稀であるとはいえ若年性アルツハイマー病の症例のほとんどが家族性であることから、遺伝にも関係があるのではないかなどと考えられています。
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◆アルツハイマー病の症状の段階とは?

アルツハイマー病は、基本的には発症前の初期段階を経て、「MCI」と略される軽度認知障害、さらに病状が進むと認知症と3段階があると言われています。

その症状は様々ですが、初期段階では長年楽しんできた趣味にまで影響を与えるような物忘れや、良く知っているはずの場所で道に迷う、しょっちゅう物を置き忘れるなどの記憶障害が顕著で、また、日常の作業を行うのに時間がかかったり、判断力が低下したりするのも特徴です。

これがMCI、つまり中度に進行すると記憶障害が悪化し、家族や友人を認識しにくくなる、ついさっき聞いたことでも覚えられない、料理や着替えなど複数の手順を踏む作業ができなくなる、新しい状況に対応できないなどの症状が現れます。

これが最終段階であるアルツハイマー型認知症に至ると自分自身でできることがほとんど無くなり、介護を必要とするようになります。

コミュニケーションを取ることが完全に不可能になる他、体重の減少や皮膚感染症、痙攣・発作、嚥下困難などが見られるようになり、ほとんど寝たきりの状態になることも少なくありません。そして、最終的には死に至ります。

ただし、アルツハイマー病の初期段階やMCIの段階にある人がそのまま最終段階である認知症にまで至るかと言うと必ずしもそうではないようで、現時点では今後の進行を正確に予測することはできないとされています。

がん・認知症、「患者家族」をどう支えるか

患者の介護や看病を担う家族は、身体的な負担や見通しが立たない不安を抱え、「第二の患者」と呼ばれる。そんな患者家族を支える最新教育システムの開発が、がんと認知症の国内2大医療研究拠点で進んでいる。(医療部 鈴木敦秋、佐々木栄)

病状やケア方法、細やかに 写真入りで返信

 千葉県柏市の国立がん研究センター東病院。月1回の通院で抗がん剤治療を受ける肺がん末期の男性患者(76)が、重い副作用に苦しんでいた。

 両足の親指がただれ、激痛が走る。背中は乾燥し、硬化して象の皮のようだ。皮膚科の薬も処方されたが、外来では対処しきれない。生きがいだった愛犬との散歩もできず、妻(73)との在宅生活は崩壊寸前だ。

 昨年6月、夫妻は、同病院が試行する外来治療支援システム「SAFE PAC」に参加した。

 まず、体や心の状態から移動や食事、経済面などの困り事まで、暮らしに関わる230項目の質問に答えた。治療や生活の複合的な問題点が整理され、関係部署で共有された。

 さらに、自宅や通院時の病院で週2回、渡されたタブレット端末を使い、痛みや皮膚の状態など10項目を1~5の数字で入力する。入力時間は5分ほどで、あとは送信するだけだ。

 端末にある連絡欄では、外来では気兼ねして聞けなかったことを担当看護師の大谷清子さん(48)に尋ねる。食欲や下痢、薬の飲み忘れなどに加え、足のケア方法を尋ねると、写真入りの丁寧な返信があり、夫の足は3か月で治った。

 高齢者の3割は何らかの合併症を持つ。薬の副作用や脱水などのリスクも高いが、通院と通院の間は医師らの目が届かない。患者や家族が自宅から支援システムに加われば、症状の変化に早めに適切に対応できる。何より家族への教育効果が大きかった。

 患者の妻は、「大谷さんとのやりとりで夫の病気を段階に応じて理解し、闘病の協力者になれた。夫の心身の状態をフォローしてもらっている安心感があり、ストレスが減って不眠症も治った」と語る。

 同病院では、来年2月までにこの支援システムに参加した患者45人のデータを分析し、家族の「支援力」を高めていく教育システムの全国展開を目指す。


模擬体験や図式化…認知症患者データ

 国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)のもの忘れセンターは、家族の差し迫った疑問に答えるため、家族学習会に約3000人の認知症患者データの最新研究を反映させ、カリキュラムを再構成した。

 今年4月、アルツハイマー型認知症の夫(72)と2人暮らしの妻(70)が、症状が中期の患者の家族を中心とした3か月の「基礎コース」(計8回、約40人)に参加した。

 夫の変化に気づいたのは3年前。言動がおかしくなり、物忘れは年を追って進んだ。歩き慣れた道も忘れていく。家でボーッとしているため、カルチャー教室や運動などに連れ回した。やがて無力感にとらわれ、疲れ果てた。

 驚いたことに、桜井孝・もの忘れセンター長(54)の講義は、いま知りたい疑問に丸ごと答えてくれるものだった。例えば認知症の中期に差し掛かる夫が、排尿障害になるにはまだ早いという。ならば、仮に今日失禁しても、それはたまたまということだ。

 認知症の初期段階から、正しく薬を飲むことや、料理や買い物にも失敗が見られる。1人でバスに乗ったり、着替えをしたりすることも次第に困難になるが、大まかな時期が分かっていれば準備もできる。

 看護師や医療ソーシャルワーカーの講義も有用だった。示された事例で対応方法の模擬体験をしたり、夫の介護に関わる人たちの関係を図式化したりするなど自己分析を試みるうち、自分を客観的に見つめることができるようになった。「夫に振り回されなくていい、肩の力を抜き、もっと自分を大事にしていいという自覚が胸に落ちてきました」と、妻は言う。

 このカリキュラムで、参加者の介護への対処技術や自信が高まり、燃え尽き症候群になるリスクは大幅に減った。同センターでは、家族教育や支援のモデルをつくり、2015年度の制度化を目指す。
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背景に高齢化、増える心身の負担

 「患者家族」に注目が集まる背景には、日本の高齢化がある。

 2020年には、がん患者の4分の3が65歳以上になる。高齢者の3割は何らかの合併症を持つ。一方、主に同居家族が介護を担う世帯の半数は、介護する側もされる側も65歳以上。家族の負担に目を配ることなしに、療養生活の質向上は望めない。

 今年4月、国のがん対策推進基本計画の評価項目に、患者と家族の生活の質を尋ねる19項目が初めて盛り込まれ、「家族に看護や介護の負担をかけていると感じるか」など家族に配慮した3項目も加わった。国立がん研究センターも、患者家族の支えをテーマの一つとする「がんサバイバーシップ」の支援研究部を設けた。いずれも我が国の未来に不可欠な視点であり、発展させなければならない。

 一方、認知症では、介護する側が、精神的にも肉体的にも患者より先に参ってしまうことが指摘されている。言葉でのコミュニケーションが成立せず、介護の終わりが見えない不安で負担感が倍増、生活を支える実際の介護負担も重い。

 治す医療から治し支える医療へ――。発想とシステムの転換が急務だ。

他人事ではない!認知症とは?その症状と兆候を知ろう

長く続く高齢化社会に伴って、認知症患者の数が増加しています。少し前のデータでは65才以上の高齢者10人に1人が認知症とされており、現在ではこれを上回っていると考えられます。ここでは認知症について簡単に解説します。

◆認知症とはどんな症状?

患者数の年齢層から見ても、認知症と言うと加齢による物忘れと混同されがちですが、認知症の直接の原因は脳の神経細胞が減ってしまうことで起こりますから、単なる加齢による物忘れとは全く別のものです。そして、その症状にも違いがあります。

例えば、加齢による物忘れでは朝ご飯を食べたこと自体は覚えていますが、何を食べたかを忘れることがあります。これに対し、認知症は朝ごはんを食べたこと自体を覚えていません。

つまり、体験したことの一部だけを忘れる物忘れに対し、認知症は体験したことそれ自体を忘れてしまうのです。また、加齢による物忘れの場合は自分が物忘れをするという自覚がありますが、認知症は自覚がありません。

◆認知症には「中核症状」と「行動・心理症状」がある

他にも、認知症には特有の症状があります。それは脳の細胞が失われることによる直接の症状である「中核症状」と、本人の性格や環境、人間関係などの要因が絡み合って生じる「行動・心理症状」です。

「中核症状」では、前述の通りついさっき体験したこと自体を覚えていなかったり、症状が進むと以前覚えていたことさえも忘れてしまう記憶障害の他、時間や季節の感覚・自分の年齢や家族の生死に関する記憶などが失われる

見当識障害、2種類の料理を並行して進められないなど自分で計画を立てられない・予想外の変化に対応できないなどの実行機能障害などが現われます。

一方、行動・心理症状にはそれぞれの性格や環境が関係するため一概には言えませんが、例えばうつ状態になったり「嫁が自分の財産を狙っている」といったような不安や妄想、そして徘徊などの症状が見られるようになります。

これらの症状が見られると、介護する家族にとっては心理的な負担がより重くなるでしょう。
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◆認知症の兆候とは?

しかし、認知症は早めに兆候に気づいて対処することで、その進行を遅らせたり、症状を改善させたりすることが可能です。まずは認知症の兆候がないかを観察しましょう。

例えば、同じことを何度も言ったり聞いたりする、物や人の名前が出てこない、探し物が多くなった、日付や曜日が分からない、勘違いや誤解が多くなった、被害妄想気味になる、身だしなみに気を遣わなくなる、ぼんやりしていることが多くなる、などといった兆候が見られたなら、認知症の初期段階かもしれません。

気づいた時点で早めに専門家に相談しましょう。

専門医に聞け! Q&A 認知症の予防法

 Q:両親が80代になったとたんに、2人とも初期の認知症と診断されました。自分も将来、認知症になるのではないかと、今から心配です。予防に何かよい方法はありますか。
(48歳・商社勤務)

 A:認知症の症状に徘徊があります。例えば、大阪の自宅を朝ふらっと出て、夜中に50キロ離れた京都で保護されるということも現実にあります。ものすごい健脚です。目的が分からなくなって、ただ歩くという行動のみ継続してしまい、自分で止められないわけです。新潟大学の故・安保徹教授が講演でよく、次のように言われていました。

 「散歩ばかりしてたら、徘徊老人になってしまう。腕を動かさないと…。私は空いた時間でバッティングセンターに行き、あえて普段と違う左打席で打っている。腕を使うと頸動脈(脳に血液を送る最も大切な首の血管)にも血流が増え、ボケにくくなる。左で打つと、頭を使ってフォームも考えるので、認知症の予防によい」

●腕を使う運動がよい
 私はスイミングで腕を使うようにしてます。オゾン療法もオススメ。90歳を超え、物忘れがひどく、昼まで寝ていたのが、週1回オゾン療法を受けるようになったら朝起きられるようなり、本も読むようになった例があります。なお、介護については、介護保険のサービスには制限があり、犬の世話はしてもらえず、コンビニの弁当を買ってきてもらうのも一苦労です。

 ご質問の方の両親の場合のように、認知症の程度が軽く、どうにか一人暮らしができている場合などに頼れるサポートがあります。大阪市にあるNPO法人『いきいきつながる会』(内閣府認証626号)では、介護保険外のサービスですが、月会費4000円で見守りサービスが受けられます。

 待ったなしの緊急時にサポートしてくれるし、身元引き受けも法人としてなってくれます。また、ここは関連施設として、『いきいきクリニック』(大阪市)があり、私も毎週金曜日の朝夕に診察しており、会員さんの医学的な相談にも随時対応しております。ご質問の方の両親も、このようなサポートを利用するとよいでしょう。

牧典彦氏(小山病院院長)
自律神経免疫療法(刺絡)や加圧トレーニング、温熱療法、オゾン療法など保険診療の枠にとらわれずベストな治療を実践。

認知症が悪化しても「家族の努力不足」と思わないで…

「認知症になると、理解力や判断力が低下します。脳では、理解したり判断したりするのに非常に多くのネットワークを駆使していて、その一部に不具合が生じると、考えるスピードが遅くなり、一度にたくさんのことが処理できなくなるのです。矢継ぎ早に答えを求めたり、長々と説明したりすると混乱し、何とかその場を取り繕うために、作り話が多くなったりします」

 せやクリニック副院長神経内科・認知症専門医川口千佳子さんはそう語る。これは記者(53才・女性)も経験あり。ぼんやりした母(80代)に理解してもらおうと何度も説明するのに、適当な作り話で返されてイライラしたこと数知れず…。

「でも裏を返せば時間をかけることで理解し、本人なりの答えを出せることもあります。 話すときは正面で目を合わせ、ゆっくりとできるだけシンプルに。答えもじっくり待ちましょう。また一度で理解されなかったことでも、タイミングを見計らいながらやさしく繰り返し伝えることで印象に残り、理解されることもあります」(川口さん、以下同)

 母の場合、自分で管理しきれない一般住宅から、身近にサポートがあり、手頃な広さのサ高住に転居したことで、ひどかった物盗られ妄想がピタリと収まった。記憶障害は変わらないが、気持ちが落ち着き、身だしなみや家事能力も回復したようにも思える。

「認知症になり、記憶や見当識(場所や時間、季節)、理解・判断力などに障害(中核症状)が出ると、それに伴う不安や焦りから、うつ症状や幻覚・妄想、徘徊、興奮、暴力などの周辺症状が表れます。周辺症状はその人の性格や環境、心理状態などに大きく影響されるため、周りのサポートや家族の工夫で、大幅に軽減されることがあります。

 ただしどんなに環境が整っていても、家族が心を砕いても、脳の器質的な問題で認知症が悪化し、周辺症状がひどくなることはあるのです。これをご家族の努力不足などとは思わないでください。認知症は少しずつ進行していく病気。医師と家族で協力し、薬も上手に使いながら寄り添っていきましょう」

空耳増えて面倒と言われた男性 認知症の初期症状だった

「家族はみんな、“お父さん、最近空耳が増えて面倒ね”と適当に流していました。それがまさか、認知症の初期症状だったなんて……」

 そう肩を落とすのは、千葉県在住の60歳の主婦だ。2歳年上の夫は、50代半ばで耳の聞こえが悪化した。

「テレビを観ていてもやたらと音量を上げるようになり、家族が何も話していないのに、『え、何か言った?』と聞くことが増えた。帰省した娘に“そこのお菓子取って”と言われ“お箸”を渡そうとするなど、その頃は笑い話で済んでいたのですが……」

 夫の聞き間違いはどんどん酷くなり、それとともに無口になっていった。定年後は自宅に引きこもるようになり、やがて物忘れが激しくなったという。

「結局、夫は認知症と診断されました。医師から『耳の異変が最初の兆候だったと思う』と告げられてショックでした」

 これは決して特殊な例ではない。今年7月、英国の医学誌『ランセット』に発表された論文は、「中年期(45~65歳)の聴力低下」を認知症の最も大きなリスク要因に挙げた。さらに「中年期に耳が悪くなると、9~17年後に認知症が増える」と警鐘を鳴らしている。

 このように、ちょっとした耳の異変が認知症の引き金になることは、専門家の間では常識になりつつある。

「米国の研究では、高度の難聴では認知症の発症リスクが5倍になるとの報告もあります。厚労省の『認知症施策推進総合戦略』でも、認知症の危険因子として難聴を挙げています」(藤沢御所見病院院長で耳鼻咽喉科医の山中昇医師)

【レポート】うつ病とアルコール依存、"恐怖の関係"とは

憂き世を少しの間だけ忘れさせてくれるアルコール。うまく付き合っていけば人生を豊かにしてくれる一方で、酒によって身を滅ぼす人がいるのも事実だ。

最近、「うつ病」という言葉が社会に浸透してくるにつれ、うつとアルコール依存の関係が注目されるようになってきている。アルコールとうつの関連、そしてアルコール依存の治療の現状について、桐和会グループの精神科医・波多野良二先生に解説してもらった。

○うつ病とは

「意欲低下」や「憂うつな気分」といったいわゆる「うつ状態」がしばらく続くと、「うつ病」を疑いたくなるかもしれない。しかし、波多野先生は「2週間程度で終わる一時的な不調であれば特に問題はないでしょう」と話す。

だが、「目が覚めても何も手につかない」「眠れない」「生きていたくない」といった深刻な「うつ状態」が長期間にわたって続く場合は、うつ病の可能性があるため、精神科や心療内科といった医療機関を受診すべきだという。

○うつ病とアルコールは「卵とニワトリ」の関係

うつ病の患者さんの中にはアルコールを多く飲む人が多く、またアルコールを多量に飲む人にはうつ病の患者さんが多い。では、うつ病とアルコールにはどういった関連性があるのだろうか。波多野先生は解説する。

「うつ病の人は、『早く眠りたい』『不安感をなくしたい』などの理由から、治療薬を求めるようにお酒を飲んでしまうことがあります。しかしたくさんお酒を飲むと、眠りに入れたとしても眠りが浅くなりますし、一時的な気晴らしにはなってもうつ病は悪化します」。

アルコールはうつ病を誘発するだけではない。長期にわたって飲み続けることによって、比較的若い年齢で脳が萎縮するリスクが高くなるとの報告もあるという。

「アルコールとうつ病は、診療の現場では『ニワトリが先か卵が先か』と同じで、はっきりとしたことは分かりづらいことも多いです。しかし密接に関係があり、アルコールを多量に摂取すると抗うつ薬があまり効かなくなるという問題もあります」と、波多野先生は警鐘を鳴らす。

○アルコール依存治療の現状

万一アルコール依存になってしまったら、早期の社会復帰を目指すために専門の医療機関などで治療を受ける必要がある。実際の現場では、どのような更生プログラムが行われているのだろうか。

「まず、『生活様式を変えてアルコールを避けるようにする』『友人に誘われたときにうまく断る』といった『認知行動療法』が行われます。また、自助グループや断酒会への参加、ご家族への指導なども行われます」。

認知行動療法とは、自らの「思考の癖」を改善して、物事を多角的かつ柔軟に考えられるよう、認識を変えて行動に移していく治療法で、うつの対症療法としても活用されている。服用薬についてはどうだろうか。

「飲み薬にはシアナミドやアカンプロサートなどがあります。アルコールは体内の酵素により『アセトアルデヒド』、酢酸を経て『糖質』『中性脂肪』などに変化します。

シアナミドを服用すると、アセトアルデヒドの段階で代謝を止めることにより、『二日酔いで飲酒はこりごり』という状態になります。アカンプロサートは、興奮作用をもつ神経伝達物質である『グルタミン酸』を抑えることによって、アルコールを欲しないようになります」。

○食前酒1杯の飲酒は健康に良い?

「百薬の長」とも「百毒の長」とも称されるアルコールに、私たちはどのように向き合ったらよいのだろうか。

「医療現場では、日本酒に換算して一日3合以上飲む人を『常習飲酒家』、5合以上飲む人を『大酒家』といいます。

一日に3合までなら肝障害をきたさないという研究結果があり、『食前酒1杯程度の日々の飲酒は健康に良い』という研究者もいます。いずれにせよ、飲酒時は社会のモラルに反することのないよう、『適度な量』で楽しく飲むようにしましょう」。

○記事監修: 波多野良二(はたの りょうじ)
1965年、京都市生まれ。千葉大学医学部・同大学院卒業、医学博士。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、日本内科学会総合内科専門医。東京の城東地区に基盤を置く桐和会グループで、日夜多くの患者さんの診療にあたっている。

うつっぽいな…と思ったらコレ!「沈んだ気分を一掃する」5つの秘策

夏が終わり、もうすっかり秋。涼しく気持ちのよい日も多く、食べ物のおいしい季節ですが、ちょっとメランコリーな気分になることもありますよね。そんな気分になったまま家に閉じこもっていませんか?

 そのままだと、季節だけでなく心もすぐに冬を迎えてしまう可能性が……!

自分が何気なくしている行動は、脳の活動に毎日大きな影響を及ぼします。何となく気分が沈むときはゆっくり休むのも大事ですが、ほかに気分をアゲるいい方法もあるのです!

そこで今回は、英語圏の健康美容系雑誌『Health』ウェブ版の情報を参考に、“うつっぽいな”というとき、脳にいい影響を与える活動をご紹介します。思い切ってチャレンジしてみましょう!

■1:とにかく外に出る

家の中に閉じこもっていると、余計なことを考えすぎてうつっぽい気分がどんどん蓄積していくこともあります。こんなときは、思い切ってアウトドアへ!

外へ出て、太陽の光を浴びると体内でビタミンDが生成されます。ビタミンDは、うつから身を守る大事な成分です。それに、身近に自然を感じることで心や体が癒されることも多いのです。

■2:誰かと話す

「気分が沈むから、1人になりたい」という気持ちもわかりますが、孤独のままでいると、精神的な“負のスパイラル”に陥りがち。

愛情や友情は、私たちをうつから守る大事な要素です。もしどうしても人に会う気がしないならば、SNSやメールでコミュニケーションを取るだけでも、心が休まるかもしれません。

とにかく、自分を孤独に追い込まないことが大切!

■3:小さなゴールを設定する

気分が沈んでやる気がおきない? そんなときは、何も大きなことを成し遂げなくてもいいんです。

「本を読む」「洗濯をする」「犬の散歩をする」など、小さなゴールを設定したリストを作り、小さな達成感を味わいましょう。それが第一歩となる場合もあります。

■4:エクササイズする

走ったり、テニスをしたり、ジムで汗を流したり……。運動したあとの、あの爽快感を覚えてますか? そう、エクササイズをすると、脳内に快楽物質が分泌されてハッピーな気分になるのです。

研究によると、定期的にエクササイズをすることでうつや精神的に不安な症状を和らげることができるそうです。外へ出る気がしなかったら家でスクワットや階段の昇降などをするだけでも効果はあるはず!

■5:整理整頓をする

家の中が散らかって雑然としていたり、ゴミが溜まっていたり、いらない書類や服でクローゼットが溢れていたり……ということはありませんか? そんな状態だと、気分も暗くなってしまいますよね。

精神科医によると、散らかった家はうつや不安の原因になるばかりか、なんと肥満の原因につながることもあるそうです!

全部一気に片付けようとすると気が重いですよね。寝室、居間、キッチン、クローゼットなど、小さいカテゴリーにわけ、1つずつ終わらせていきましょう。

以上、うつっぽいムードを一掃して気分を改善する秘策をご紹介しましたが、いかがでしたか? 

コツは、あまり大きなゴールを設定せず少しずつ達成していくこと。今日を振り返って、昨日より少しいい気分だったらそれでOK! ハッピーな気分になれるときも、きっと近いはずです。

「わがまま」ではなく病 アラサーに多い「ディスチミア親和型うつ病」

「きまじめで努力を惜しまない性格の人」に多いといわれてきた「うつ病」。だが、近年は、趣味や遊びは楽しめるのに、仕事になると元気が出なくなる「新型うつ病」が増えているのだという。

 特徴としては、20~30代前半の若者に発症が多く、職場や公的活動では、うつ症状が悪化するが、自分の好きなことでは症状は軽くなり、比較的活動的になるという。

また、自責感に乏しく、他罰的で、うつ病と認めること、うつ病で休職することに抵抗が少なく、むしろ望む傾向にあるそうだ。

 こうした症状はさらに細分化することができるという。たとえば、20代前後に発症するとされる「非定型うつ病」は、職場や仕事ではうつ状態が強いが、そこから離れると解消する。

また病前の性格としては、拒絶に対して過敏で傷つきやすく、対人不安が強いのが特徴だという。

 30歳前後に発症するという「ディスチミア親和型うつ病」は、「まじめさ、熱心さが希薄でうつ症状にしがみつく」のが特徴。病前性格は自己愛が強く、規範・秩序に抵抗があり、自分が万能だと思い込みがちだそうだ。

 こうした新型うつ病の対処法について、駿河台日本大学病院精神神経科部長の渡辺登医師は次のように話す。

「特効薬はありません。従来のうつ病よりも、新型うつ病は慢性化して治りづらいものです。

『わがまま』『自分勝手』など突き放した言動を控えるなど、周りの人の協力は必要不可欠です。産業医や保健師、上司などは、本人の持ち味を生かせるよう『育て直し』を試みましょう。

そのために、患者さんだけではなく、職場の同僚も新型うつ病に対する理解を深めることが重要です」(渡辺医師)
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