あなたの健康はお金で買えますか・・・? ■ロコモ・最新「死に方」・パーキンソン病
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【メタボより怖いロコモ】寿命80歳時代「運動器疾患は国民病」 日本整形外科学会記者説明会

秋に開かれた日本整形外科学会記者説明会をリポート。同学会はロコモ撲滅に取り組み、啓発のため記者の理解を深める会を開催した。まず、岩本幸英理事長(九州大学大学院教授)が、ロコモが問題となる背景を説明した。

 「当学会は1926年設立で会員2万3000人超。全員が運動器疾患のスペシャリストです。運動器が健康でなければ私たちは体を動かすことができないし、人間らしい生活を営むことはできません。

私たちの体を車に例えると、運動器は自動車のエンジンやタイヤのようなものです。運動器のどのパーツが壊れても体はうまく動きません」と、前置きしたうえで、高齢化社会でのロコモの増加についてさらに続けた。

 「約2000年前のローマ時代は平均寿命は22歳くらいと推定されています。それが約100年前のアメリカでも49歳ぐらいで50歳に達していませんでした。

その後感染症やがんなどの治療法が進み飛躍的に寿命が延びて、1996年の日本では80歳を超えました。最近100年間で30年も寿命が延びるという人類の歴史上驚くべきことが起こったのです。中でも、日本は世界一高齢化率が高く、急速に進行しております」

 急速な高齢化にともなって、急浮上してきたのがロコモである。

 「人間が直立二足歩行するようになってから、背骨や関節に大きな負荷がかかるようになりました。それが人生50年の時代にはそれほど大きな問題にはならなかったのですが、急速な高齢化に伴い顕在化してきました」

変形性膝関節症、変形性股関節症、変形性脊椎症、腰部脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)症などで苦しむようになった。「膝の痛み、腰の痛み、足の痛みやしびれとなって現れます」

 さらに問題となるのは骨粗鬆(こつそしょう)症による骨折だ。

 「背骨が曲がっている高齢者では本人が知らないうちに脊椎圧迫骨折が起こっている場合があり、さらに典型的なのは大腿(だいたい)骨近位部骨折が起こります。

高齢化により筋力に加えバランス能力を失い1センチの段差でもつまずき転倒して骨折します。激痛で動けませんから手術をすることになります」

 これらは代表的な運動器疾患だが、その数は驚異的だ。

 「2009年の調査では、変形性腰椎症は3790万人、変形性関節症は2530万人、骨粗鬆症1710万人、この3つのうち1つ以上は4700万人、2つ以上は2470万人、3つすべては540万人いることが分かっており、運動器疾患はまさに国民病といえるのです」

 岩本理事長の話は次回に続く。 

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

【最新「死に方」事典】健康寿命伸ばす「ロコトレ」

 厚生労働省が先ごろ「健康寿命」の新しいデータを発表した。それによると、男性が71.19歳、女性が74.21歳となっている。

 健康寿命というのは、「介護の必要がなく健康的に生活できる期間」のこと。もっと具体的に言うと、他人の助けを借りずに、自立して生活できることで、その上限の平均が、男性が71.19歳、女性が74.21歳というわけだ。

 厚労省では4年ごとにこの調査を行っており、今回は23万世帯余りを対象にしている。4年前は、男性が70.42歳で、女性は73.62歳だったので、男性が0.78歳、女性が0.59歳延びた。

 健康寿命がこのように少しでも延びたのはいいことである。ただ、問題もある。それは、日本人の平均寿命が、男性が80.21歳、女性が86.61歳であることだ。つまり、健康寿命は平均寿命よりも、男性は約9歳、女性は約12歳も短いのである。

 これは、私たちが死ぬまでの間、男性で約9年間、女性で約12年間、健康とはいえず、1人では生きられない期間があることを示している。

 「70歳を境に1人で生きるのが困難になる」というのは、衝撃である。もちろん、個人差はあるが、ここをめどに私たちは「死」をより身近に考える必要がある。

 現在、厚労省では健康寿命を少しでも延ばすことを目標にしている。厚労省の目標は、2022年度の平均寿命を男性が81.15歳、女性が87.87歳と推計し、健康寿命の延び幅が平均寿命の延び幅を上回ることだ。それで、いま盛んに「メタボの次はロコモ」と言われている。ロコモとは、“ロコモティブシンドローム”(運動器症候群)の略。

 運動器とは、骨や関節、筋肉などのことで、年齢を重ねるごとにその機能は衰える。そうして、ついに介護が必要になったときを「ロコモ」と呼び、日頃からロコモにならないように心がけましょうというのだ。

もちろん、ロコモには国民の健康・長寿を図る以上の目的もある。それは、医療や介護の費用の延びを抑えることだ。

 いずれにせよ、ロコモになるのは困るから、私たちはなにかをしなければならない。

 そこで、参考になるのは、日本整形外科学会が勧める「ロコトレ」である。これはじつに簡単なトレーニングで、自宅でできる。

 その1つは、目を開けたままでの片足立ち運動だ。これは、転倒しないように、たとえばテーブルなどつかまるものがあるところで行い、片方の足を床に着かない程度に上げる。次にもう片方を上げる。これを左右1分間ずつ繰り返し、1日3回行うというもの。

 これができていれば、「自力でトイレで用を足せる状態は保たれている」という。また、ロコモのチェックポイントも用意されている。例えば、「家の中でつまずいたり滑ったりする」「階段を上がるのに手すりが必要だ」「15分ぐらい続けて歩けない」「片足立ちで靴下がはけない」などの項目が並ぶ。

 まだ、50代、60代だと、まさかこんなことを自分がやるようになるとは想像できないだろうが、いずれ、そのときはやって来る。だから、健康で長生きを望むなら、できるだけ早くロコモ対策をするしかない。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。

【メタボより怖いロコモ】ディスカッション(下) 「なぜ運動が必要か」意識改革が大切

日本転倒予防学会第1回学術集会のシンポ「転倒予防のための運動介入の効果と課題」で立場が異なる5人のパネリストの基調講演が終わり、聴衆を交えたディスカッションの続報。地域での高齢者を集めた運動指導で出席者が異口同音に指摘する問題点があった。

 パネリストの1人、国立長寿医療研究センターの朴眩泰外来研究員は「集会に参加する人は割合健康な人が多い。むしろ、あまり積極的でなく、関心もない人が転倒する危険性が高いし、骨折にいたる人も多い。

そういう人たちに運動をすすめるのは難しいので、まずなぜ運動が必要かを意識改革することと、なるべく外に出て歩行などの身体活動を促すことが大事です」と話す。

 つまり、家に閉じこもりがちの高齢者をどうフォローするかだ。

先端機器で高齢者にバランストレーニングを提唱する田中敏明東大特任教授も「動機づけが難しい。私の転倒防止講座でも、出てこない人に在宅でもできるようにソフトを開発中です。そういう機器開発も含め総合的に取り組むのが大事ではないでしょうか」という。

 島根県雲南市の身体教育医学研究所うんなんの北湯口純主任研究員は「ハイリスクな人をどう支えるかは課題です。CATVなど情報ツールは普及していますのでそれを使って啓発していきたい」と話した。

会場からは、「リスクを回避できない認知症の方をどうするか」という質問があった。

 田中氏は「中等度以上の認知症の方に、転倒のリスクを回避しながら運動を促すデバイスも出てきています」と答えたが、会場からはさらに、比較的IT機器になれた団塊の世代が高齢者になる時代だとして、田中氏が進めるバランストレーニングのできるスマホなどのIT機器の開発に関する質問が相次いだ。

 朴氏からもオランダなどでスマホが認知症改善に使われているケースなども報告された。

介護施設で取り組む小松泰喜東京工科大教授は「認知症の方に対応するのが施設の役目とも思っています」とし、「運動機能向上より、生活機能向上を目指して取り組む中で成果をあげています。施設のそれぞれの環境に合った多様な対応でやっていくしかない」と話した。

 会場からは、2回目の転倒を防ぐチームカンファレンスを実践している、自治体・研究機関が連絡を取り合い、地域で取り組み効果を上げているなどとの報告もあった。

転倒に至る原因も多種多様なので、多種の専門家が一緒に考えながら、取り組むことがなにより大切であることが、浮き彫りになった討論だった。 =この項終わり 

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

【メタボより怖いロコモ】ディスカッション(上) 太極拳、なじんだ曲でゆっくりと

日本転倒予防学会第1回学術集会でのシンポ「転倒予防のための運動介入の効果と課題」を引き続き伝えたい。5人のパネリストの基調講演が終わり、聴衆を交えてのディスカッションに移った。

パネリストは、国立長寿医療研究センターの朴眩泰外来研究員、田中敏明東大特任教授、小松泰喜東京工科大教授、身体教育医学研究所の岡田真平所長、身体教育医学研究所うんなんの北湯口純主任研究員。要約リポートする。

 まず、長野県で高齢者の運動介入に取り組む岡田氏から「地域社会での運動介入には、運動に興味を持ってもらい、継続してもらうための工夫が大切」という発言があった。

それを受けて、島根県の北湯口氏は、そうした工夫の1つとして「太極拳を取り入れている」と報告。「川の流れのように」を歌いながら、ゆったりとした太極拳を実演してみせた。

 「地域の人になじんでもらうために、なじみのある曲に合わせて動いてもらっています」

 これに対して、運動効果を研究している朴氏は、「ゆったりとした動作ですからバランス訓練にもいいと思います」。バランストレーニングを提唱する田中氏も「静的な状態から動的な状態に、そしてまた静的な状態にという動作をゆっくりと繰り返す太極拳はバランス訓練になる」と話した。

 会場からも太極拳を取り入れている施設関係者から「90歳と中学生がいっしょにできる体操としてとてもいい。テレビ体操などは高齢者には難しい。短い時間でいいからもっと高齢者にできる体操を開発してほしい」という発言があった。

北湯口氏は「ケーブルテレビで最初はインストラクターが太極拳を指導していたのですが、一般の高齢の方に出てもらうと、それを家庭で観た高齢の方が自分にもできると思って始めたという声が寄せられたので、大事な指摘ではないか」と答えた。

 地域の集会などで運動指導をする場合のヒントになるのではないか。

 こうした運動の効果については、「何もやらないよりは何かやったほうがいい。意識を高め、何かをやるのは大事です」と朴氏。さらに岡田氏は「歯磨きと同じくらい、体操するのが当たり前で、それをすると気持ちいいと感じるというのが大事ですね」と発言があった。

 一方で、地域での集会にも参加しない、閉じ籠もりがちの高齢者をどうするかが課題という声も多く聞かれた。次回はその点のディスカッションの模様を報告する。 

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

【最新「死に方」事典】「死なせる治療」解けぬ矛盾

米国オレゴン州で、末期の脳腫瘍で余命半年と宣告されたブリタニー・メイナードさん(29)が、「自死宣言」通りに死亡したため、世界中で安楽死を巡る論争が巻き起こった。そこで今回は、医者の立場からこの問題に触れてみたい。

 まず、言っておきたいのが、今回のケースは厳密に言うと「自殺幇助(ほうじょ)」ということだ。多くの方が安楽死について誤解しているが、じつは安楽死には2通りある。

1つは積極的な安楽死というもので、今回のように医師が患者の意思を尊重して死ぬための薬などを与えるケースだ。もう1つは患者の意思を尊重するのは同じだが、薬などの死に至る処置はせずに延命治療をやめること(尊厳死)。

 前者は、米国では今回のオレゴン州のほか4州が、世界ではオランダ、ベルギー、スイスなどが合法化している。

しかし、日本ではこれを認める法律はない。なぜなら、死ぬための薬を与えることは、「自殺幇助」とされるからだ。そうなると、現在の刑法に触れる。

 実際、日本の医師の多くが、この積極的安楽死には反対している。それは合法化されていないという以前に、いくら患者さんの意思とはいっても、自らの手で他人の死期を決め、そのための処方をするのは、倫理観が許さないからだ。

 「安楽死と言うけど、それを実行する医者の立場になったら、とてもできるものではありません。倫理の問題もありますが、本来、医者とは命を救うのが使命で、その逆もまた使命というのは矛盾しています」

 こう、私の知人の医師の多くが言う。その中には、こうも言う医師もいる。

 「生きる権利があるなら死ぬ権利もあると主張する人もいますが、積極的安楽死の合法化は、患者の権利ではなく、医者に死なせる権利を与えることですから、そんなもの欲しくありません」

 この辺の問題は非常に難しく、私自身も迷う。果たして安楽死が医療行為なのかという、大きな疑問もある。ただし、安楽死支持者や団体は、「安楽死は医療」と捉え、患者を肉体的・精神的な苦痛から救うことだと主張している。

 もちろん、一個人としては、苦痛を伴う延命治療だけは受けたくはない。もし自分で死期を決めてそれが実行できるなら、そうしたい気持ちはある。

 今回のケースによる米国国内の世論を見ても、やはり大きく割れている。また、全米の67%の医療関係者が、医師による自殺幇助に反対しているという話も伝えられた。

 ただ、これはリアル過ぎて書きづらいが、医師による自殺幇助による安楽死が認められると、どうなるだろうか。

 おそらく、日本のような高齢化大国では、積極的安楽死はかなり増えるだろう。すると、現在、社会的な大問題となっている医療費の増加は抑えられることになる。

 医師の投薬などによる安楽死が合法化されたベルギーでは、2013年には1816人が安楽死を選んだ。ベルギーの人口は約1120万人。高齢化率も日本よりは低いが20%は超えている。そこで、人口比で考えると日本では毎年約2万人が自殺幇助を受けて死ぬことになる。

 このように、安楽死の合法化は、末期患者が長期治療を受けるよりも、死を選択してくれれば、国家財政が助かり、一般国民の負担が減るという側面もある。

 果たして、あなたはどう考えるか。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。

【メタボより怖いロコモ】病院で迎えた3年目の正月 母のドミノ骨折その後

骨折して救急車で病院に運ばれた母は、3年目の正月も病院で迎えた。以来、家族も正月を心から祝うことができないでいる。

 現在の病院はすでに2年目だが、正確には介護療養型医療施設という。院内で医療病棟と介護病棟に分かれ、母は最初は医療病棟に入ったが、やがて介護病棟に移された。最初は後期高齢者医療保険の対象だったが、現在は介護保険で入院費用をまかなっている。

 介護保険の施設サービスを受けられる介護施設は、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)とこの介護療養型医療施設の3つだ。

ご存じのように、東京などでは、特養の入所希望者が列をなし、入所は至難の業。老健は短期間しかいられない。医療が必要な場合にかぎり、介護療養型医療施設を利用できるのはありがたい。

だから、グラフのように、入所者は要介護4か5が大半だ。母も入院したときは5だったが、昨年4に変わった。

 医療施設であり、医療スタッフもちゃんとしているから安心なのだが、将来的には国は介護療養型医療施設を減らし、在宅介護に切り替えようとしているようだ。

超高齢社会となった日本で国民の医療費削減のための施策の一環らしい。病院の相談員から、「数年後はどうなるか分からない」と言われ、不安である。

 骨折→手術→リハビリ失敗…それからこの病院にたどり着くまでが大変だった。手術した救急病院からリハビリのために移った老健で尿路感染、その治療で入院した病院で多剤耐性緑膿(りょくのう)菌に感染し別の病院で隔離された。

大阪で集団感染で11人の死者が出たように、院内感染予防のためだった。こんなふうに母は半年間にわたり死線をさまよった。

 この病院に転院した頃には自分で食事もできず、経管栄養で命をつなぐ状態。廃用症候群(寝たきり)で、背中に大きな褥瘡(じょくそう=床ずれ)ができていた。

半年後に口から食事できるようになり、褥瘡も治り介護病棟に移った。この間の本人の苦痛はもとより、家族の負担、そして支払った医療費も高額だ。それを引き起こしたのがロコモである。次回から、その経緯と医療費負担などを詳しく書く。 (木村進)

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【メタボより怖いロコモ】地域介入の効果と課題 ボランティア指導員を育成

先週に続き日本転倒予防学会第1回学術集会でのシンポ「転倒予防のための運動介入の効果と課題」を紹介したい。今回のパネリストは身体教育医学研究所の岡田真平所長。演題は「転倒予防運動を軸とした地域介入の効果と課題」。

 岡田所長は転倒予防教室で培った運動機能評価と運動指導の手法で、長野県東御市で、2000年からのべ1万人の高齢者を中心に転倒予防運動を軸とした地域介入に取り組んできた。そこで明らかになってきたのは、2つの課題だという。

 「持続可能性と健康格差の問題です。いかに続けるかということと、情報提供しても問題意識を持たない人をどうするかということです。やっていくほどに運動だけで骨折リスクを下げるには限界があるのではないかと感じました」

 運動の必要性の啓発活動とともに、「動きやすい地域」「転びにくい地域」の環境整備にも取り組まなければならない。

 さらには、こうしたことで果たして転倒が予防できているのか、介入効果のモニタリングが大事だと強調した。

 次に立ったのは、島根県雲南市の「身体教育医学研究所うんなん」の北湯口純主任研究員。「地域運動指導員の育成を通した地域社会への対応」と題して語った。

 雲南市は人口約4万5000人が、広い地域に点在している。集会場にやってくるのも大変だ。

 「個々に歩こうとしても、道は舗装されていなかったり、ハチにさされそうになったり、車を使う人が多い」

 一方で、9割以上の家庭がケーブルテレビに加入し、行政の音声放送も各家庭まで行き渡り情報は届きやすい。また、人のつながりも強い。そして、体を動かしやすい環境もある。

 「地域の強みを生かすということで、ボランティアの地域運動指導員育成を軸としました」

 これまで4期で約100人ほど。平均62歳のリタイアしたボランティアが、地域の老人会などのサロンに出向いて運動支援をする。高齢者への声掛けは年間6000人以上に達するという。

 「信頼関係を構築しながら、キーパーソンを通して、地域で安全効果的な介入をめざしている」という。

 そうした中で高齢者でも無理なくできる運動として、ゆっくりした動作の「太極拳」に注目し導入していると、舞台で実演してくれた。

 次回はパネリストのディスカッション。 

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

【メタボより怖いロコモ】ポイントは動機付け&刺激、有酸素運動 施設で運動介入

 先週に続き日本転倒予防学会第1回学術集会でのシンポ「転倒予防のための運動介入の効果と課題」の続報だ。2人目のパネリスト・田中敏明東京大学先端科学技術研究センター特任教授が「転倒を防ぐバランストレーニング」という講演を行った。

 田中教授は20年ほど前から高齢者や障害者では、運動機能だけではなくバランス感覚機能も重要と考え、「足底・足趾(そくし)」、つまり足の裏面、足指の感覚にフォーカスを当て、若年者との反応速度の違いを計測した。

その結果、「数倍から十数倍」という明らかな機能低下が見られた。そ

の過程でバランスを測る重心計に検査だけでなく、トレーニングも併せて行う医療機器を製品化しリハビリ施設などに提供するとともに、札幌市、宮古市、北九州市などで、トレーニング講座を開催してきたという。

 「40-50人で2-4回の講座ですが、人員的な限界もあるので、現在はスマホやパソコンを使い、遠隔地でも自己トレーニングができるシステムを開発中です」

 続いて、「介護予防施設での転倒予防のための運動介入」として、東京工科大学医療保健学部の小松泰喜教授が講演した。

 介護施設は重篤な要介護者が入る特別養護老人ホームから健常者が終(つい)のすみかとする有料老人ホームまでさまざまだが、すべての施設で転倒は起きているという。

その結果、ピンピンコロリといわれる介護生活をせず亡くなるまで自立生活できる割合は男性で約1割、女性はもっと少ないのが現状だ。

 運動介入のポイントは(1)運動の動機付け(2)刺激の豊かな環境(3)有酸素運動-だという。「特に(3)はBDNF(脳由来神経栄養因子)が活発になり、脳の海馬を刺激し認知機能を高める効果がある」という。

 問題は運動の強度で、「疲労せずに長く続けられる効果的な有酸素運動は、最大酸素摂取量の40-80%、最大心拍数の55-85%が目安」という。

また、「介護現場では心臓機能低下が転倒に結びつくケースが多いので、重い心不全の人はキチンと管理しながら、心機能を上げることも意識してほしい」とした。

 このシンポは、多種多様な立場からの話があり、興味深い。次回のパネリストは、地域社会の運動介入について話す。 (木村進)

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【最新「死に方」事典】「遺伝子」が変えた最新老化研究

最近は長寿の研究が盛んである。つまり、人はなぜ老いるのか、なぜ死ぬのか、ということの研究だ。

不老不死は人間の昔からの願いだから、これが解明できれば、不死とはいかなくとも、寿命は延びるはずである。ただし、「老化(エイジング)」に関しては、いまだに諸説があり、どれも解明されていない。

 老化研究のアプローチとしては、実際の長寿者(100歳を超える「百寿者」=センテナリアン)に着目する方法、生命の基本単位である細胞に着目する方法がある。

 この細胞に着目した研究では、大別すると2つの説がある。1つは、ストレスや紫外線などの環境要因によって、細胞内に有害物質が発生し、機能低下が進んで老いるというもの。

たとえば、一般にもよく知られている活性酸素によって身体がダメージを受け、老化が発生するという「フリーラジカル説」がこれに当たる。

 もう1つが、遺伝子によって老化や寿命が規定されているとする説。たとえば「プログラム説」では、それぞれの細胞には分裂できる限界がはじめから決められていて、その回数を超えて分裂できないとされている。

最近は、遺伝子に最初から老化を促進させたり抑制させたりするものがあるという説、つまり「長寿遺伝子」の存在も知られるようになってきている。

 このような老化研究は、医者の立場から言うと、邪道である。なぜなら、医療というのは目の前の病気やけがを治すことが使命とされ、それで発達してきたからだ。老化は避け難い生命現象で病気ではないのだから、以前は関心が高くなかったのである。

 その流れを変えたのが、遺伝子研究である。2000年、マサチューセッツ工科大学教授のレオナルド・ガレンテ氏などのグループが、「サーチュイン」という遺伝子が活発に働くと寿命が延びるという報告を発表してから、老化研究の潮目が変ったのだ。

その後、日本でも日本抗加齢医学会ができ、20人から出発した会員がいまや8000人を超えた。

 サーチュイン遺伝子研究はいまも続いており、これを活性化させるにはカロリーを制限する、空腹をあえて続けたほうがいいなどということがわかってきている。

 とはいえ、このような長寿遺伝子が活発化しても、身体に悪いもの(たとえば発がん物質など)を食べていたら長生きはできないわけで、老化研究はいまの段階では長寿に結びついていない。

 ギネス認定の人類の最長寿者はジャンヌ・カルマンさんというフランス人女性で、122歳まで生きた。また、日本人では泉重千代さんが120歳まで生きた(現在は否定され105歳説が主流)。

また、今年の3月現在、世界最高齢と認定されている大川ミサヲさんは、116歳の誕生日を迎えている。こうしたことから、120歳前後が寿命の限界といわれているが、この先、130歳、140歳長寿者が出現するのだろうか。

 ちなみに、122歳まで生きたジャンヌ・カルマンさんの大好物は赤ワインとチョコレート。大川ミサヲさんは、たくさん食べて最低8時間は寝ており、サバすしが大好物という。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。

【メタボより怖いロコモ】早期発見へ7つのチェック ロコモサロン:ドミノ骨折を防げ メタボより怖いロコモ

「ロコモ チャレンジ!推進協議会」主催の「第2回ロコモサロン」(東京)では、地域に根ざしたロコモの認知向上と運動機能改善を目指す地方自治体向けのロコモ公式予防プログラムについて、同協議会メンバーで伊奈病院の石橋英明整形外科部長が話した。

 まず、「ロコモ対策は、早めに気づくことが大事」として、そのツールに「7つのロコチェック」と「ロコモ度テスト」を紹介した。

 7つのロコチェックは、(1)片脚立ちで靴下がはけない(2)家の中でつまずいたりすべったりする(3)階段を上がるのに手すりが必要(4)家のやや重い仕事が困難(5)2キロ程度の買い物をして持ち帰るのが困難(6)15分くらい続けて歩くことができない(7)横断歩道を青信号で渡りきれない-。1つでも該当すればロコモが心配。

 ロコモ度テストは、(1)立ち上がりテスト(2)2ステップテスト(3)ロコモ25の3つのテストで将来ロコモとなる可能性を判定する。
(1)は片脚か両脚で決まった高さから立ち上がり下肢の筋力を判定。
(2)は歩幅を測定することで下肢筋力、バランス能力、柔軟性など歩行能力を評価。
(3)は25項目の質問票で身体状態・生活状況をチェック。

いずれも年代別の平均値と比較して、年代相応の範囲かどうかを判定するもの。

 このテストで「将来ロコモになる可能性が高い」となったら、どうするか。まずは、ロコトレ(ロコモーショントレーニング)を行う。スクワット1日10~30回、片脚立ち1日2~3セット。

 さらに、ロコトレプラスとして、両足で立った状態でゆっくりかかとを上げてゆっくり下げる運動を1日20~40回してふくらはぎを鍛える。

さらに、腰に両手をついて脚をゆっくり大きく前に踏み出し太ももが水平になるくらいに腰を下げる。体を上げて踏み出した脚を元に戻す運動を1日10~20回繰り返す。

 石橋部長は、これらの姿勢を実演しながら「これが必要最小限のチェックと対策です」という。

 また、2013年に厚労省の健康推進事業実施要項が一部改正され、集団健康教育で、それまでの「骨粗鬆(こつそしょう)症(転倒予防)」という項目が「ロコモティブシンドローム健康教育」に変更。

内容は「骨粗鬆症・転倒予防を含めたロコモティブシンドロームに関する正しい知識、生活の留意点」と記載された。つまり、ロコモについての健康教育が必要ということだ。具体的な教育プログラムなどは次回に続く。 

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

手足のしびれはロコモかも 岡山大大学院の田中准教授に聞く

骨や関節、筋肉など体を動かす運動器の働きが衰え、暮らしの中の自由度が低下、要介護になる危険の高い状態を指す「ロコモティブシンドローム(通称・ロコモ、運動器症候群)」。高齢化の進展で患者は急増している。

中でも神経圧迫によるしびれで日常生活が困難になる事例が多く、専門家は注意を呼び掛ける。8日に「骨と関節の日」を控え、岡山大大学院医歯薬学総合研究科の田中雅人准教授(整形外科)に予防や治療法について聞いた。

 ―しびれが生じる主な病気は。

 手と足のしびれはロコモの代表的な症状の一つだ。手で最も多いのは「手根管(しゅこんかん)症候群」。

手首の手のひら側にあり、骨と靱帯(じんたい)に囲まれた手根管と呼ばれるトンネル内を通る正中(せいちゅう)神経が圧迫されて起こる。仕事やスポーツでの手の使いすぎが主な原因で、親指から薬指にしびれが生じる。

進行すると筋肉の動きが悪くなり、ボタンをするといったつまむ動作に支障が出る。さらに進むと、手のひら側にある靱帯を切り離す手術を行わなければならなくなる。

 ―中高年には足腰の痛みやしびれに悩む人は多い。

 歩いていると足のしびれや痛みが強くなって立ち止まり、休むと楽になるという症状は、腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症の疑いがある。背骨下部の腰椎には、脊柱管という小さな管が上下に連なり、脊髄と下半身を結ぶ神経の束が通っている。

この管が加齢で狭くなると、内部の神経が圧迫されて足にしびれや痛みが出て、歩行に支障を来すようになる。治療には薬物療法や神経ブロック注射があるが、手術で骨や靭帯などの圧迫部分を削り取ることもある。

 ―有効な予防法は。

 手根管症候群は、15~20分ごとに手や手首を曲げ伸ばしして休息をとる。パソコンのキーボードを打つ際に手首を強く曲げないよう、肘と同じか、少し低く保つことも大切。

腰部脊柱管狭窄症は、同じ姿勢を長時間続けず、なるべく腰を伸ばした姿勢を避けるといった工夫で症状を出にくくすることができる。過度に神経質にならず、適度に体を動かすことを忘れないでほしい。

 ―気を付けたいしびれは。

 先に触れた整形外科の領域以外の病気による症状は要注意。手や足のどちらか片方がしびれ、うまく話せない場合は脳梗塞の疑いがあるし、両手足の指先が左右対称にしびれると、糖尿病の悪化で神経細胞の壊死(えし)が起きているかもしれない。

体に異変を感じたときは、放置したり自己判断で問題ないと決めつけたりせず、早めにかかりつけ医や専門医に相談してほしい。

20代から「ロコモ」対策を! 将来“寝たきり”にならないための基礎知識と予防法まとめ

若い頃はそこまで健康に気を使わなくても、大丈夫だったのになぁ・・・

10代や20代前半の頃は、激しい運動をしたって、徹夜をしたって、少々無理をしたって、すぐに体調に影響が出ることがなかったかもしれません。逆にただ食べて寝てのダラダラ生活を続けたとしてもそんなに体の不調を感じなかったのではないでしょうか。

きっと、それはそれぞれの年代で感じることかもしれませんね。40代になれば30代の頃は・・・、60代になれば50代の頃は・・・といった風に。

当たり前ですが、悲しいかな、私たちの体は日々、確実に年を取っており、人間の体力は20代をピークに、日々、衰えていくと言われています。

この衰えは自然の摂理なので、どんなに頑張ってもずっと同じ状態をキープすることはできません。
でも、衰えをゆるやかにすることはできますし、また、体が思うように動かなくならないように対策をしたいと思いませんか。

今私たちが自分の体に気を配ることで、将来の自分の健康につなげることができる。
まだ早い? そんなことはありません。
今日から自分の健康について、ちょっと真剣に考えてみませんか。

■ロコモってなんだろう。

みなさんは「ロコモ」という言葉を耳にしたことはありますか。
「ロコモ」とは、骨、関節、筋肉、神経などから構成される”運動器”の障害のため、移動機能が低下した状態をさし、2007年に日本整形外科学会が提唱した概念です。正式名称は「ロコモティブシンドローム(略称:ロコモ、和名:運動器症候群)」といいます。

年齢を重ねると、筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板などの運動器のいずれか、もしくは複数に何らかの障害が起きることもあり、そうなると歩行や日常生活にも影響が出てきてしまうのです。その要因はさまざまですが、できることなら、いつまでも自分の足で歩き、健康を保ちたいですよね。

■ロコモになる原因は?

将来、ロコモになるかもしれない・・・それにはこんな原因が考えられています。みなさんは思い当たることはありませんか。

・運動習慣の無い生活
オフィスのデスクで長時間座ったまま、家事や育児はするけれど運動らしい運動はしていない・・・。もしかしたら、そんな生活を送っている人も多いかもしれません。運動をする習慣が無いと、運動器は徐々に衰えてしまいます。

・やせすぎと肥満
やせすぎると、 身体を支える骨や筋肉がどんどん弱くなります。 また、肥満は腰や膝の関節に大きな負担をかけます。関節軟骨は一度すり減ると、 修復が難しい部分です。つまり、やせすぎていても太りすぎていても体には負担をかけていることになります。「ちょうどよい」が体にも心地がいい状態なのですね。

・痛みとだるさの放置
「腰が痛い」 「膝が痛い」 。 その痛み、「年のせいだから」 「こんなもんだ」と放っていませんか? そうやって痛みを放っておくと、運動器の衰えはひそかに進行します。 中には、 重篤な病気が隠れている可能性もあるのだそうです。

・活動量の低下
世の中はどんどん便利になっていますね。文明の利器を利用するのもいいけれど、活動量を減少させる一因になるエレベーターや自動車の使い過ぎに注意! 駅やビルの低層階であれば、エレベーターやエレベーターは使わず、自分の足で歩きましょう。

・スポーツのやり過ぎや事故によるケガ
関節はとてもデリケートにできています。 スポーツで酷使したり正しいフォームで行わなかったり、 思いがけないケガをしたりすると、 大きなダメージを負ってしまうことがあります。

学生時代であれば部活動だったり、大人になってからはサークルや習い事などで、ちょっとケガをしてしまったとき、無理して続けてしまうとあとあと影響が出てきてしまうかもしれないのです。

■ロコモはどんな症状を発症するの?

・骨粗しょう症
こちらはよく耳にする症状だと思いますが、骨粗しょう症になると骨が弱くなり、 骨折しやすくなります。 ちょっと転んだだけで骨折をしたり、 気づかないうちに背骨がつぶれていることも。背中がまるくなったり、 身長が縮んできたりしたら、 骨粗しょう症が心配です。

・変形性関節症
関節軟骨のすり減りにより、 痛みや可動域制限 (曲げ伸ばしが十分できない) などを生じます。
膝関節や股関節に多く、かがんだりするのも痛みのために辛いなんて状態になってしまうかもしれません。 関節を動かすことと、 関節周囲の筋肉を丈夫にしておくことが大切です。

・変形性脊椎症
背骨にかかる負担の結果、 椎間板がすり減ったり、 骨の変形を生じたりします。神経が圧迫されると 「脊柱管狭窄症」という病気を引き起こし、 脚の痛みやシビレを生じてしまいます。

■簡単ロコチェック

さて、それでは、簡単にできるロコモに関する「ロコチェック」をご紹介しましょう。もし、今回のチェックでご自身に問題がなくても、家族やおじいちゃん、おばあちゃんにも是非、チェックしてもらってくださいね。

●片脚立ちで靴下が履けない
●家の中で滑ったりつまづいたりする
●階段をのぼるのに手すりが必要
●家のやや重い仕事(掃除機、布団の上げ下げ)が困難である
●2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難
●15分くらい続けて歩くことができない
●横断歩道を青信号で渡り切れない

1つでも当てはまるとロコモの心配があるそうです。年齢にかかわらず、お医者さんに相談してみると、自分の状況を把握することができ、また、治療等も始めることができます。

■ロコモ度テスト

ロコモ度テストは、年代平均値※と比べ、現在の自分の移動機能を確認するためのテスト。大きく分けて脚力を調べる立ち上がりテスト、歩幅を調べるツーステップテストがあります。実際に体を動かしてテストを行ってみましょう。

また、自覚する最近の状態を答えていくロコモ25にも併せて挑戦しましょう。それぞれのテストの結果が年代平均値に達していない場合、現在の状況が改善されないと、将来ロコモになる可能性が高いと考えられるのだそうです。20代から70代まで、自分の結果と比較ができるので、是非、確認してみてくださいね。

■専門家に予防法を聞いてみました!

骨や筋肉の量のピークは20~30代だということをご存知でしたか?骨や筋肉は適度な運動で刺激を与え、適切な栄養を摂ることで、強く丈夫に維持されます。弱った骨や筋肉では、40代・50代で身体の衰えを感じやすくなり、60代以降、思うように動けない身体になってしまう可能性があります。

それでは、20代や30代からできる予防法はあるのでしょうか。

ロコモ チャレンジ!推進協議会さんに今からできる予防法についてお話を伺ってみました。

1.若いうちからできる予防法はありますか。
女性ではBMIが19未満のやせが骨粗鬆症のリスクとなることが分かっているので、やせすぎないことが大切です。また、スポーツをする人では膝の靭帯や軟骨の損傷が変形性関節症のリスクとなることが分かっているので、万一そのようなけがをしたときは治療を受けておくこと

※BMI(ボディ・マス・インデックス)・・・体重と身長の関係から算出される体格指数で、肥満度の目安

2.どんな運動をどれくらいやるとロコモ予防になるでしょうか。
運動の強度や種類についてはロコモ予防という点からは一概に述べられません。20から30代では生涯続けられるスポーツをみつけること、40代ではそれを継続することが必要でしょう。それ以降ではスポーツを継続していない人ではロコトレなどで基礎体力をつけてから、次のステップへ進むこと、けがや障害に気を付けて行ってください。

3.ロコモを知らない、または身近に感じていない若い世代へのメッセージをお願いします。
便利な現代社会では運動器の衰えは知らぬ間に忍び寄ってきます。学校を卒業して以来、運動テストを受けたことの無い人も多いのではないでしょうか。そんなみなさんは、ロコモ度テストで自分の運動器の状態を知ることから始めましょう。

今回、ご紹介した内容につきましては、ロコモチャレンジ!に詳しく載っていますので、気になる方は、是非、チェックしてみてくださいね。

20代や30代のみなさんは、もしかしたら、今回ご紹介した「ロコモ」についてはまだ身近な話題としては感じにくいかもしれません。

でも、数十年後の未来の私たちの行く末が「今」の私たちの日々の生活や行動にかかっていると頭の片隅にでも置いて、運動などを心がけるようにしてみてください。

誰だって、寝たきりや要介護になるよりは、最後まで健康でいたい。 それなら、「今」が大切。 まだ早いから、ではなく、将来、ロコモや寝たきり、要介護にならないためにも、普段の生活を見直していきませんか。

取材協力・資料提供:ロコモ チャレンジ!推進協議会
■日本整形外科学会公認 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト
ロコモ チャレンジ!
https://locomo-joa.jp/

【最新「死に方」事典】「適度」が大事 「過度」の運動は寿命縮める

リタイア後、健康維持のために運動を始める人が増えている。最近のスポーツジムでは、現役世代より引退世代の方が多いというところもある。また、自治体が運営する施設では、歩行マシンで歩いている方がすべて老人などということが起こっている。

 医者もまた、年を取ってからの「適度な運動」を奨励している。最近は「ウオーキング」「ジョギング」が奨励され、「毎日、歩かれたほうがいいですよ」とお決まりのせりふを言う。

 もちろん、「適度な運動」が健康を保ち、老化を遅らせることに異論はない。

しかし、定年後、スポーツジムに毎日通ったり、毎朝必ずジョギングやウオーキングしたりと、いままでしていなかった運動を急に始めることには、問題が多い。運動することは確かにいいことかもしれないが、やり過ぎるとアダになるからだ。

 私の知人は、定年後、毎朝多摩川の土手を走るようになった。そうして「こんな気持ちのいいことはない。朝食がうまい」と言っていた。しかし、1カ月後、夫人が帰りが遅いので見に行くと、土手にうつぶせになって倒れていた。すぐに救急車で運んだが、心不全で帰らぬ人になった。

 また、公表はされないが、スポーツジムで過激な運動をしたために倒れ、救急車で運ばれたという話も、医者だからよく耳にする。

 私はプロレスなどのスポーツドクターの経験があるので、過度な運動が寿命を縮めることを経験的に知っている。鍛えられた肉体はまさに健康美そのものだが、それはハードなトレーニングの結果である。しかし、ハードにやればやるほど活性酸素が体内をむしばむ。プロのスポーツ選手は、一般的に長生きをしない傾向がある。

 先頃、龍虎さんが長い階段を登っている途中で倒れたが、一般に相撲取りはとくに早死にする例が見られる。スポーツ選手で長生きする人間は、どこかで手抜きをすることを知っていて、自己管理がしっかりしているという共通点がある。

 ところが、健康ブームに踊らされて、急にそれまでしていなかった運動を始め、それにのめり込んでしまう人がいる。運動だから、できるだけ頑張ってやったほうがいいと思うようだ。つまり「適度な運動」の「適度」が大事で、それが人によって異なることを知ってほしい。

 ともかく、過度な運動は、体に与える負担が大きい。始めるなら、たとえばジョギングでも、最初は1キロ、しばらくして2キロというふうに、だんだん長くしていくようにすべきで、いきなり何キロもやってはいけない。人間には20代なら20代の、60代なら60代の肉体があり、無理して若さを取り戻そうと運動するのは危険である。

 これは、現役の方にも言えることで、とくに仕事が忙しい人が、日頃の運動不足を取り戻そうとして、休日にまとめて運動をするのはやめたほうがいい。

 中高年の運動は、1回の量を少なくし回数を行う「少量頻回」が原則だ。多忙で30分程度のウオーキングも難しかったら、1回10分程度にして、たとえば会社内でいいから歩いてみるとか、ともかくこまめに身体を動かすことを心がけたい。

 過度な運動はよくない。ほどほどがいい。呼吸がきつくなる運動は絶対してはいけない。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。

【メタボより怖いロコモ】認知度向上させ健康寿命を延伸 ロコモサロン(2)

第2回ロコモサロンで、厚生労働省健康局がん対策・健康増進課たばこ対策専門官の野田博之氏が「ロコモティブシンドローム-新たなる健康課題への挑戦-」という基調講演をした。

氏は『健康21(第2次)』で、ロコモの認知度を2022年までに80%まで上げるという目標を掲げ、「メタボからロコモへと認知度向上を達成したい」とした。

 「健康21」の目標は「健康寿命の延伸」だ。日本は世界に誇る長寿国というが、それは平均寿命の話。日常生活に何らかの制限がありながら生きる期間を含む。

 一方、日常生活に制限のない期間を健康寿命と呼び、両者にはタイムラグがある。

2010年で、男性の健康寿命70・42歳で、平均寿命は79・55歳。その差9・13年。女性は、73・62歳と86・30歳で、その差はなんと12・68年。この約10年に、介護を受けたり、病気療養などをすることになる。

 ここで感染症などの疾病ではない生活習慣などによる死亡をみると、2007年では、喫煙がトップで2位が高血圧だが、3位はなんと運動不足で年間約5万人が亡くなっているという統計がある。

さらに、介護が必要となった原因では、2010年で1位は脳卒中など脳血管疾患21・5%、2位は認知症15・3%だが、関節疾患10・9%と骨折・転倒10・2%を合わせると1位に迫る。つまり、介護抑制にロコモの重要度が浮かび上がってきた。

 そこで、より具体的に検討し、まず、ロコモを「運動器の障害によって移動機能の低下をきたした状態」と定義、進行すると介護のリスクが高くなるとした。ロコモの要因は加齢、運動の過不足、不適切な生活習慣。

その結果、骨では骨粗鬆(こつそしょう)症、関節軟骨や椎間板では変形性関節症や変形性腰椎症、筋肉や神経系ではサルコペニア(筋肉量低下)や神経障害が起こり、要介護にいたる。

 対策は、簡単な判定法(ロコモ25質問票、2ステップテスト、立ち上がりテスト)でロコモ度を知り、ロコトレなどを自宅で行い、地域で介護予防などを行い、医療機関で治療することになる。

 ここで国の取り組みについて話が進んだ。2011年の「健康21(第1次)」の最終評価のA目標値に達した、B目標値に達していないが改善傾向、C変わらない、D悪化している、

E評価困難の5段階評価で、「日常生活における歩数の増加」が「糖尿病合併症の減少」とともにD評価を受けたのだ。日本人はなぜ歩かなくなったのか、次回に続く。 

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

【メタボより怖いロコモ】市町村レベルで50%の認知度 ロコモサロン(1)

東京で開かれた第2回ロコモサロンのリポート。主催する「ロコモチャレンジ!推進協議会」は、日本整形外科学会のもとで、ロコモの啓発活動に取り組んできた。

まず、同協議会の泉田良一委員長が、「活動を始めて4年、認知度がだいぶ高まってきました。これからの皆様の発表をよくお聞きになって、一層積極的にロコモ撲滅にご協力ください」とあいさつした。

 続いて日本整形外科学会の岩本幸英理事長が「日本では高齢化にともなって運動器疾患の方が急増、要介護・寝たきりになる方も増えております。

なんとかして、健康寿命を延ばしたいという気持ちから、2007年からロコモティブシンドロームを全国に認知してもらうために頑張り、地方自治体の皆様にもご協力いただきました。

本日はそのご講演もありますので、新たな飛躍の源になればと願っております」と、あいさつしたように、今回は自治体の取り組みが、主要テーマ。

 次に、日本臨床整形外科学会の田辺秀樹理事長が「われわれは開業医、個人医の団体ですが、自治体にアンケートをお願いしました。

その結果、県や主要都市でのロコモの認知度は6-8割くらいに達しておりますが、市町村レベルではまだ50%くらいです。全国で6000人ほどのわれわれ実動部隊がもっともっと全国で働きかけてロコモを広めて参りたいと思います」と決意を語った。

 この後、厚生労働省健康局がん対策・健康増進課たばこ対策専門官の野田博之氏が「ロコモティブシンドローム-新たなる健康課題への挑戦-」という基調講演をした。

 「昨年から『健康日本21(第2次)』が始まり、その新たな目標項目の中に、ロコモの認知度を2022年までに80%まで上げるということを掲げさせていただきました。

しかし、一昨年の調査で17・3%という数値があり、まだまだこれからです。

背景としては健康寿命の延伸を達成するためには、その前の介護を必要とする人を減らさねばならず、そのためには国民全体が運動器の健康を保つこと、個々人がロコモの重要性を認知することが必要だからです。

ちなみに『健康21(第1次)』ではメタボの認知度を80%に上げるという目標を掲げましたが、2009年度で92・7%まで認知度が高まったこともあり、今回の第2次では、メタボからロコモへと認知度向上を達成したいと考えます」

 まさにメタボより怖いロコモなのだが、認知度はまだまだなのだ。 

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

【メタボより怖いロコモ】80代の母から「動けないの、助けて」 “ロコモ”が引き起こした骨折

筆者は団塊の世代。もうすぐ年金生活…と思ったら、80代の母が寝たきりになった。介護の始まりだ。

母を襲ったのはドミノ骨折。それを引き起こしたのがロコモだ。高齢者の骨折→寝たきりは欧米では減少しているのに、日本では増え続けている。いずれ社会問題になると確信し、リポートする。

 2013年12月28日朝7時。わが家ではまだ全員寝ていたところに、電話の着信音が響き渡った。「またか」と飛び起きて受話器を取る。

 「動けないの。助けて」

 母親の声だった。「どうしたの? 今行くから待っていて」

 実は母は数年前にアルツハイマーと診断されていて、記憶が不確かなので何かと不安を覚え、朝早くに電話をかけてくる。この日もそうかと思ったが、声の調子から切迫したものを感じた。10分ほどの距離の母の住む公団住宅に向かった。

 預かっている合鍵を使ってドアを開けた。ガタンと鎖錠がひっかかって、5センチほどしか開かない。手を差し込んでも外からでは鎖を外せない。「母さんいる?

 鎖がかかっていて入れないよ」「早く外して入ってきて」「中からでないと外せないよ。はってこれないかな」「痛くて動けないよ」「待っててね。事務所に行って頼んでくるから」

 建物の外に掃除係のおばさんがいた。

 「部屋に病人が閉じ込められています。鎖を切る道具はありませんか」

 事務所に聞いてくれたが、道具はないという返事。救急車を呼ぶことをすすめてくれた。意を決して119番にかける。

 「どうしましたか? 救急ですか、火事ですか」

 年寄りが急病で身動きが取れない。鎖でドアが開かないと話し、住所を告げる。

 電話を切って部屋の外まで戻ると、電話番号は告げなかったのに、向かってくる救急車からの電話でさらに詳しい様子を聞いてくる。

 数分後、救急車と消防車が到着。消防隊員が大きなはさみのような道具で鎖を切った。一緒に中に入ると、奥の部屋のベッド脇の畳の上に母がうつぶせになっていた。

 「どうしましたか?」

 救急隊員が替わって、様子を聞く。「痛くて動けない」と母は訴えた。救急病院に運ぶことになった。私は救急車に同乗した。8時過ぎだった。

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

【メタボより怖いロコモ】ひざの痛み 32%が「我慢する」変形性膝関節症★変形性膝関節症(2)

生化学工業株式会社(東京)の行った、「日常生活で感じるひざの痛みと受診意識の実態について」という調査についての続報。ひざの痛みはロコモの原因の1つだ。

 前回は、変形性膝(ひざ)関節症の初期症状のある人で、受診した患者519人の調査結果だったが、今回は未受診患者518人の調査結果だ。

 「いつごろからひざの痛みを感じているか?」との質問に対して、3年以上前からが34・9%、3年以内が25・5%、1年以内が17・2%で、77・6%が1年以上前から長い間ひざの痛みに悩んでいたことが分かる。

 そのひざの痛みに何らかの対処をしたかを聞くと(複数回答可)、市販の湿布を貼る、塗り薬を塗るが34・7%、サポーターをする22・8%、サプリメントを飲む18・3%に対し、我慢するがなんと32・0%もあった。

 そして医療機関を受診しない理由(複数回答可)では、病院に行くほどでもない53・9%、年齢のせいだからしかたない34・2%と軽視していることが分かった。

 それではどんな痛みなら受診するか聞くと、痛みに耐えられなくなったときが40・7%で最も多く、前回受診者に同じ質問で最も多い回答だった痛み始めたらすぐが47・3%だったことを比較すると、意識の大きな違いが際立つ結果となった。

 さらに興味深いのは、両者に変形性膝関節症という病気を知っているか聞くと、受診者は名前もどんな病気かも知っているが54・9%、名前は知っている30・4%、知らない14・6%だった。

一方、未受診者では、名前もどんな病気かも知っているは23・6%、名前は知っている42・1%、知らない34・4%と、知らないことが受診しないことに結びついているようだ。

 以上、受診患者と未受診者の医療機関の受診に対する意識は大きく異なることが分かった。これらの結果から、半年以内に受診した症状改善を実感する人の割合が高かったことから、未受診者へのメッセージとして「ひざの痛みに耐えられなくなったときではなく、ひざの痛みを感じたらすぐ受診することをすすめる」としている。

 次回は、変形性膝関節症についてさらに続ける。 

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

 ■これが受診のサイン! (変形性膝関節症の初期症状)
(1)立ち上がるときにひざの痛みを感じる
(2)歩き始めるときにひざの痛みを感じる
(3)階段の上がり下りのときにひざの痛みを感じる
(4)正座するときにひざの痛みを感じる

【メタボより怖いロコモ】転倒事故阻止へネットワーク作り 日本転倒予防学会 武藤芳照理事長に聞く(上)

「転倒」は、日本社会にとって克服しなければならない課題の1つ。80代後半の私の母が、畳の上で転倒して、大腿(だいたい)骨頚部(けいぶ)骨折をして、寝たきりになった話を契機にこの連載は始まった。

より深刻なケースとして、転倒して頭部を打ち、死に至る例も後を絶たない。芸能人でみても、谷啓さん、細川俊之さんらは、自宅で転んで病院に搬送されて亡くなっている。

 厚生労働省人口動態統計によると、転倒・転落による死亡は2012年に7761人で、じわじわと増え続けている。一方で、かつては死者1万6000人を超え社会問題化した交通事故死は、12年は6414人と激減している。

転倒を減らすことは急務だ。そんな中、4月に日本転倒予防学会(事務局・東京)が発足した。理事長の武藤芳照日体大総合研究所長に聞いた。

 「日本が超高齢社会になり、高齢者が明るく実りある人生を送る上で転倒予防が大事だという認識で取り組んで20年ほどになります。学会の発足により社会的ステータスが上がり責任が重くなる半面、誇りと自信を持って取り組めるでしょう」

 学会の前身の転倒予防医学研究会の10年を超える活動の成果を踏まえての学会発足だが、名称から「医学」の文字が取れたのにはわけがある。

 「転倒に関係するのは、医療、看護、福祉の分野にとどまりません。鉄道の駅とかホテル、デパート、スーパーなど、社会のあらゆるところで転倒は起きています。その広範囲な分野を結びつけ、社会全体で転倒を阻止するネットワークを構築するために『医学』を取りました」

 武藤理事長は、活動は学術発表などにとどまらないことも強調した。

 「転倒予防の輪を広げるには「人材を育てるのが一番なので、『認定転倒予防指導士』の認定制度をスタートさせ、病院、介護施設を超えて活躍できる転倒予防のゼネラリストを養成します」

 一般に販売されている転倒予防に関わる商品から、学会基準をクリアしたものを推奨品として紹介する活動も行っている。つま先アップでつまずきにくい「転倒予防くつ下」、転倒時の衝撃を和らげるパッドつきパンツ、転倒を自動で検知しサポートセンターに通報するペンダントなどだ。

 学術活動に加えてこうしたさまざまな活動により転倒を予防し啓発を図っていくという。

 「ぬ・か・づけ」など具体的でユニークな転倒予防の提案など、これまでの具体的な取り組みなどは次回に続く。 (木村進)

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

頭痛で病院に行った時に気を付けるべき5つのこと―アメリカ頭痛学会

頭痛にはさまざまな要因があり、誤った診察や処置もしばしば起こります。米頭痛学会が、お医者さん向けに5カ条の注意を作成しました。患者である私たちも知っておく必要があります。発がんリスクを高めるCTをむやみに使わない、頭痛持ちの人にオピオイド系の頭痛薬を処方しない、など。

身体に異変が起きたら、専門のお医者さんにかかるのが一番。適切な治療をしてもらい、薬を受け取ると、安心できますよね。

でも、頭痛で病院にかかるときは要注意です。頭痛の原因は実にさまざまで、そのメカニズムも複雑。お医者さんによっては、リスクを伴う治療を選ぶこともあります。

アメリカ頭痛学会は、お医者さん向けに「頭痛を診察するときの5カ条の注意」を作成しました。これに当てはまる場合は、「なぜこの方法をとるのか」「本当に必要なのか」ということを、私たち患者からも確認して、できるだけ安全に治療を受けるようにしたいものです。

●偏頭痛の人に対して脳神経画像は使用しない
●緊急の場合を除き、CTではなく極力MRIを使う
これらは、放射線被ばくを避けるため。脳のスキャンは簡単にとれるようになりましたが、微量の被ばくでも発がん可能性があることを忘れてはいけません。

●ボトックス注射による偏頭痛の治療は勧めない
顔にボトックス注射をすると偏頭痛が和らぐという研究結果があります。しかし効果が100%実証されたとは言えないので、むやみに施術を受けない方がいいようです。

●オキシコドンなどオピオイド系の薬、ブタルビタールを含む薬(「フィオリセット」など)を慢性的な頭痛持ちの患者に処方しない
オピオイド系の薬には吐き気、便秘、呼吸困難などの副作用が報告されています。またブタルビタールは使い続けると癖になるという症例も報告されています。

●市販の頭痛薬の長期使用、頻繁な使用は勧めない
手軽に手に入る頭痛薬ですが、飲み続けると副作用の心配があったり、薬が効きにくくなる恐れがあります。

自分の身体を守るためにも、「どうしてこの方法をとるの?」という疑問は素直にお医者さんに伝えるようにしたいですね。

【最新「死に方」事典】自然な死を阻む胃ろう

最近よく、こんな相談を受ける。「(親の)胃ろうを勧められたのですが、どうしたらいいでしょうか」。

胃ろうというのは、口から食事が取れなくなった患者さんに、人工的に栄養を与える方法だ。内視鏡を使って腹部に小さな口を造る手術を行い、そこから「胃ろうカテーテル」(チューブ)を使って直接胃に栄養を送り込む。

 この手術は、慣れた医者なら30分もあればできる。胃ろうが勧められる患者さんというのは、たとえば高齢で痴呆が進み、食事を取ると食物が食道から気管支に入って誤嚥(ごえん)性肺炎を起こす可能性が高いと判断された患者さんである。

 たいていの場合、介護施設や病院から、家族にこのように説明される。

 「どうも嚥下(えんげ)がうまくいっていません。このままだと肺炎を起こし、それが原因で死ぬケースも多いので、予防のために胃ろうをつくりましょう」

 こう言われると、なるほどと思い受け入れてしまうが、私は、よくよく考えるべきだと言いたい。というのは、胃ろうは、医者や介護施設側の勝手な都合の場合が多いからだ。

 簡単に言うと、胃ろうをつくれば、患者の食事の手間が省ける。とくに、少ない人数で入居者を看ている場合、食事の世話は効率的に安全にできるようになる。さらに、患者の寿命は延びる。日本で胃ろうが普及したのは、これが最も大きな理由だ。

 もともと、胃ろうは高齢者の延命のために開発されたものではない。なんらかの理由で食事が取れなくなった若い重篤患者のために開発されたものだ。それが、いまや、簡単にでき、効率がいいという理由で、高齢者に使われるようになった。

 しかし、こうしたことは、医者や施設側からはあまり説明されない。胃ろうを付けた後どうなるかの説明も少ない。

 胃ろうの問題点は、付けた後にある。というのはいったん付けるとやめるのが極めて難しくなるからだ。これは治療の1つだから、やめるとなると、よほど回復して食事が口から取れるようになった場合を除いて、死期を早める。

場合によっては「殺人」になってしまう。アメリカの場合は、裁判を起こせば止められると聞くが、日本ではそうはいかない。

 これまで胃ろうを付けた方を見てきたが、長い間胃ろうを付けると、超高齢者の場合、最終的には寝たきりで意識も薄くなり、手足の関節も固まっていく。そうして、亡くなったときは、やせ細って人間とは思えない悲惨な姿に変わる。また、死後は手足の骨を折らないと棺おけに入らないというケースもある。

 胃ろうの是非を考えると行き着くのは、「そのまま自然の寿命にまかせるべきか、まだ生きられるのだから人工的にでも延命を図るべきか」という問題だ。

 しかし、私は75歳を超えたら、いくら胃ろうを勧められても拒否すべきだと考える。もちろん、認知症が進んでいない場合は、ご本人の意思によるが、その意思を伝えられない状態にあるときは、ご家族は積極的にやめることを選択すべきだ。

医者として言いたいのは、「自分の口で食べられなくなったら、それは人間としての自然の姿ではない。医者はそこで治療をやめ、その方の最期をどうするかをご家族と十分話し合うべきだ」ということである。

 胃ろうは人間として自然な死を迎えられなくする、行き過ぎた医療行為と思うが、どうだろうか?

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。

ストレスは無関係!? 薄毛のギモンを調査

R25

「最近ストレスがたまってるから、抜け毛が気になるわ~」「俺も、父親が薄毛だったからな~。今から頭皮ケアしないと」。こんな会話、最近増えていません? 30代を迎えると、男同士で話をする時に「抜け毛」や「薄毛」といったワードが出てきますよね。

それでは、ボクらはどれだけ頭皮や薄毛について正確に把握しているのだろう? 巷でよくいわれるウワサも含めて、お医者さんに聞いてみた!

●ストレスは関係ナシ。遺伝は多いに関係アリ!

話を聞いたのは、東京メモリアルクリニック・平山の佐藤明男院長。さっそく質問をぶつけてみた!

●薄毛のタイプでよく「M型」や「O型」っていうけど、なぜ人によって違うの?

「『男性型脱毛症』(AGA)の原因は悪玉男性ホルモン『ジヒドロテストロン』にありますが、この悪玉男性ホルモンへの感受性の強い毛乳頭の分布が、人によってバラバラだからです。だから額の生え際から後退していくタイプ、頭頂部から薄くなるタイプ、これらの混合タイプなど、様々な進行パターンがあるのです」


●薄毛にストレスや遺伝は関係ある?

「ストレスと悪玉男性ホルモンの因果関係は証明されておらず、はっきり言って抜け毛とは関係ありません。それよりも遺伝的な要因の方がはるかに大きいですね。私が今まで見てきた方々のなかでも、7割近くの人に遺伝がありました。なかには一卵性の双子もいましたが、お互い別々の仕事をして、生活環境がまったく違っても、同じようなタイプの薄毛になりました。特に母系の遺伝的要因が強く、母方のおじいちゃんも薄毛だったという人が多いですね」


●抜け毛が増える季節は?

「初夏から秋にかけて増えるという調査結果があります。一般的に、髪は1日で100本近く生え変わりますが、この時期には150本ほどに増え、抜け毛の量も増えます。 ただ、長くて太い抜け毛はまったく問題なく、短くて細い場合に注意が必要。髪が成長する前に抜けているので、男性型脱毛症を疑われる場合があります」


●頭皮ケアでやってはいけないことは?

「洗髪時にナイロンタオルでゴシゴシ洗ったり、風呂上りにブラシで頭皮を叩くなど、頭皮に過剰な刺激を与えるのは、頭皮を傷つけてしまうのでむしろ逆効果。シャンプーをする時は、指の腹で優しく洗うことをオススメします。また短期間でパーマや脱色、毛染めを繰り返すのも良くありません。毛穴から薬物が浸透して髪を作る工場である毛包を傷つけてしまう可能性があります。これらを行う時は、1カ月は間を空けましょう。整髪料は毛穴に詰まることはないのでOKです」

いかがだろう。初めて知ったことや、勘違いしていたこともあるのでは? 抜け毛にまつわるギモンはほかにも数あれど、負担をかけすぎないやさしいシャンプーなどのケアでしっかりと頭皮の環境を整えて、清潔を保っておくに越したことはない! となると、ケアアイテムにもこだわりたいところだが、最近は頭皮をしっかり洗えて、かつきちんとケアもしてくれるシャンプーも増えている。

たとえば、ユニリーバ・ジャパンの新ブランド「CLEAR FOR MEN(クリアフォーメン)」は、男性の頭皮に必要な補給成分(アミノ酸(バリン)、ビタミンE誘導体、タウリン:保湿・整肌成分)を配合。頭皮をしっかり洗えて、かつ保湿もできるわけだ。「シャンプー」「エクストラケアコンディショナー」「薬用 スカルプ&ヘア スパークリング トニック」(医薬部外品)の3アイテムで展開中だ。

特に夏は汗をかき、ニオイも出る。海や日焼けなどのダメージも心配だ。頭皮ケアをして、しっかり対策を講じよう!

専門医に聞け! Q&A 骨盤を重視したロコモ対策

 Q:年齢的なことから、ロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)が気になります。姿勢もよくないし、足腰も弱いようです。ロコモ対策について教えてください。(60歳・自営業)

 A:ロコモは、体を動かすのに必要な器官(骨や関節、筋肉などの運動器)に障害が起こり、動きや移動する能力が低下し、介護が必要になるリスクが高い状態のことです。

 運動器が衰えると、体を動かす能力が低下し、腰痛や膝痛などを引き起こしやすくなります。さらには、変形性関節症や骨粗鬆症を発症することもあります。加えて、運動器の故障が進んでしまうと寝たきりの状態になる恐れもあります。

 そこで、運動器の衰えを防ぐことが求められているわけですが、ロコモ対策としていちばん重要な器官は骨盤であると、私は考えています。

 骨盤は、全身の骨格において土台の役割を担っています。骨盤の上には脊柱がのり、下は下肢の骨につながっています。さらに立体構造をしており、全身の骨格の軸となっています。

 上肢や下肢がいろいろな動きができるのも、骨盤があるからですが、その分負担がかかり、歪みやすいのです。揚げ句、腰痛を引き起こし、上肢や下肢の整形外科的な痛みなどの症状の発症にも関係してきます。

●お尻にゴムバンドを巻いてリンボーダンスを
 骨盤は構造もさることながら、左右のズレ、上下、前後と、歪みも立体的です。

 ご質問の方は、年齢も考慮に入れると、骨盤は上下で傾きがあるのでしょう。お腹を前に出し、背筋を丸めた姿勢が身についていると思われます。背骨も湾曲していると思われます。

 また、骨盤が横に広がっているはずです。一般に、齢をとればとるほど、骨盤は横に広がってくるものです。それは老化の指標でもありますが、骨盤が広がると脊椎も曲がり、座骨神経痛などの症状も出やすくなります。

 そこで、骨盤の形を元の正常な形に戻すことが求められます。その一つは、骨盤を外から締めることです。また、お腹を突き出した姿勢を直すにはリンボーダンスが役立ちます。

 生ゴムのバンドをお尻に巻き、リンボーダンスのように腰を左右にゆすりましょう。この運動を毎日行うと、腰の歪みが改善し、足腰が強くなってきます。

山田晶氏(飯田橋内科歯科クリニック副院長)
骨盤療法(ペルピックセラピー)で著名。日本歯科大学卒業。歯科の領域から骨格に関心を持ち、そのゆがみに着目。骨盤のゆがみを自分で取る方法として、腰回しの普及に努めている。

【最新「死に方」事典】「わからない」医者が安心!?

最近、“病院に行くと殺される”というような内容の本も出ていて、老後の不安は尽きない。そこで、前回に続いて、どうやって主治医をつくるか。そのポイントをお伝えしたい。

厚労省は今年度から「主治医」制度を推進する方針を明確に打ち出しているので、主治医は、安心して死後へ旅立つためには欠かせない。

 私が最も重視しているのは、「わからない」とはっきり言ってくれる医者がいちばん安心できるということだ。

医者は万能ではなく、それぞれ専門分野が違う。にもかかわらず、町医者のなかには、患者を診療報酬の点数としか見ていない医者が多く、こうした医者はどんな症状を訴えても「とりあえずこれで様子を見ましょう」と、薬を出すだけだ。それも、薬の点数が多い。

 たとえば、ある内科医は腹痛を訴えてきた60代の女性患者に何種類かの調整剤や栄養剤を出すことだけを繰り返した。もちろん、エックス線検査、血液検査は毎回した。しかし、「異常がない」と言われるので、その女性患者は我慢し続けた。

 女性の場合、我慢強いのがあだになることが多い。この方もその典型だったが、いっこうに改善しないので、自分でツテを頼って婦人科に行き、精密検査を受けた。結果は、卵巣嚢腫。かなり肥大化していていたので、緊急手術となり、一命をとりとめた。

 町医者でも大病院でも、収入は医師が行う医療行為からしか得られない。事務員の給料も病院の賃貸料、光熱費、設備投資の費用も、全部そこから出ている。したがって、ある月に、来院患者数、薬の数、検査の数などが少なくなると、たちまち減収になる。

 つまり、患者さんが治らずにリピーターになってくれたほうが病院経営は安定するのだ。現代において「必要な医療以外はしない」は神話である。病名を突き止めて完治させることは、医者自身の首を絞めるのである。

 とすると、「わからない」と言って、専門医を紹介してくれる医者が、最もいい医者だということが、おわかりいただけると思う。

 世の中には素直に「わからない」と言える医者は多くない。とくに、最高学府の医学部を出ていたりすると、この言葉はなかなか言えない。だから、私は医者を選ぶときは、学歴よりも、経験数を重視すべきだと言っている。

自分の専門分野の臨床経験が豊富な医者が、いちばんである。医者は患者によって鍛えられるので、どれほど多くの患者と接してきたかによって、その価値を判断すべきだ。

 経験値が豊富な医者は、患者さんの目を見て話す。パソコンに向かいきりで、検査データばかりを見ている医者はやめたほうがいい。また、3種類を超える薬を出す医者も勧められない。

 自分の範囲を超えていたら、素直に「わからない」と言って、その場で専門医や大病院のしかるべき診療科に連絡を取ってくれる医者もいる。そういう医者こそ、あなたの主治医にすべきだ。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。

【メタボより怖いロコモ】「自分の親も」6割近くが不安 生活者意識調査

「ロコモ チャレンジ! 推進協議会」(泉田良一委員長)が全国の20代から70代以上の5029人にインターネット調査をした。

 注目すべきは、「あなたのお父様・お母様がロコモティブシンドロームになってしまうことへの不安は感じますか」の質問に、「すでに該当する」が11・1%、「現在は該当しないが不安をかなり/やや感じる」が44・8%、合計55・9%で、回答者の半数以上が父母のロコモに不安を感じているとわかったことだ。

 男性(48・3%)より女性(63・5%)のほうが不安度が高く、特に50代(75・3%)、60代(88・8%)は強く不安を感じている。

 父母がロコモに該当するか不安があると答えた人に、父母がロコモ改善・予防のために、実践していることを聞くと最も多いのは「食生活に気をつける」(22・3%)。次いで「医師や専門家の治療を受ける」(20・1%)。

一方、「わからない・何もしていない」も約5割を占めた。

 ロコモ改善・予防のために父母に薦めた行動では、全体では「食生活に気をつける」(15・7%)と「よく歩く、階段を使う」(15・6%)でほぼ同スコア。「わからない・何もしていない」が約6割を占める。

 ロコモを理解している人についてみると、「食生活に気をつける」(25・7%)、次いで「よく歩く、階段を使う」(28・3%)と、全体に比べ10ポイント以上高くなっており、やはりロコモ理解が大事だとわかる。

 ロコモという言葉や意味の認知度は36・1%で昨年度より約10ポイント上昇。

特に女性の50代から70代以上でほぼ半数が認知していた。国の認知目標8割にはほど遠いが、骨折などの危険が高い高齢女性の認知が上がっている点は評価できる。

 自分自身のロコモの不安を聞いた質問では、ロコモに「該当」「不安をかなり/やや感じる」を合算すると47・8%となり、全体の約半数がロコモに不安。男性より女性のほうが不安度が高く、特に30-50代女性は不安を強く感じている。

 都道府県別ロコモ認知度と不安度では、認知率が最も高いのは佐賀県(67・4%)、
次いで秋田県(51・1%)、石川県(50・0%)が50%超。

「該当する、不安」のスコアが最も高いのは秋田県(60・0%)、次いで岡山県(59・6%)、宮崎県(58・0%)だった。自治体の取り組み方によって差が出ているようだ。 

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

全国に4700万人いるロコモティブシンドロームの症状と対処

ロコモティブシンドローム、通称“ロコモ”をご存知だろうか? ポップなネーミングだが、実は足腰の衰えや障害によって要介護になる危険性が高い状態のこと。しかも、衰えは40代から始まっているので、その世代の人はすでに対策が必要だ。

「ロコモとは、筋肉や骨、関節という運動器に障害が生じたり運動機能が低下したりして、要介護や寝たきりになったり、その危険性が高まることをいいます」

 と解説するのは、東京ミッドタウンメディカルセンター平石貴久特別外来の平石貴久さん。

「糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症などが心筋梗塞を引き起こすメタボリックシンドロームは、多くの人に認知されていますが、ロコモもそれに並ぶ現代人の国民病。東京大学の研究チームによると、ロコモ予備軍は全国に4700万人もおり、これは40才以上の男性の84%、女性の79%に当たります。

つまり、40代以上の10人のうち8人がロコモ予備軍ということになります」(平石さん・以下同)

 また恐ろしいことに、ロコモは運動器だけに支障が出るわけではない。

「ロコモになると体を動かせなくなりますし、予備軍の状態でも運動量はかなり減ります。すると基礎代謝が低下するので、メタボになる可能性も高まる。さらに、引きこもりがちになったり、慢性的な痛みが続くことで鬱になり、認知症を引き起こすこともあるんです」

 このように、ロコモはさまざまな病気を引き起こす原因にもなる。そして、ロコモは男性よりも女性のほうがなりやすいというから要注意。

「女性の場合、閉経後に女性ホルモンが減少するため、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)が急速に進んで骨折しやすくなります。その結果、ロコモになりやすいんです」

 しかしこのロコモ、日ごろの心掛けで予防することができるという。

「90才を超えても元気な人は、しっかり筋肉がついているのが共通点。先日亡くなった森光子さんが80才を過ぎてもでんぐり返しができたのは、日々スクワットでトレーニングをしていたからです。

筋肉は使わないと衰えるので、長持ちさせるためには意識して動かすトレーニングが必要。また、骨もカルシウムやビタミンDなどの栄養を摂るだけでなく、運動で刺激を与えると骨量が増え、丈夫な骨が作られます」

 とはいえ、日常生活に必要な筋肉を鍛えるには、ハードなトレーニングは必要ない。ごく簡単なトレーニングを継続するだけでロコモは予防でき、なおかつ現在悩んでいる腰やひざの痛みも解消するという。

かかとをつけてしゃがめない子供が1割 ロコモ症候群の恐れ

「しゃがもうとしても膝が痛くて曲がりきらない」「両腕を同時に真っ直ぐ伸ばして上げることができない」──関節が硬くなり、足腰の弱った高齢者にはありがちな症状だが、近年こうした異常が子供に見られるようになっている。

 ロコモティブ・シンドローム(ロコモ症候群)とは、立つ、歩くなどの日常の基本的な動作が困難になり、要介護や寝たきりになった状態、あるいはそうなる危険性の高い状態を指す言葉だ。

運動器の機能障害のために移動能力が低下した状態である。加齢とともにそうしたリスクと向き合っていかなければならないのはある程度仕方ないことだが、驚くことに最新の研究では小中学生にも「子供ロコモ症候群」と呼べる症状が報告されている。

 警鐘を鳴らすのは、宮崎大学医学部整形外科の帖佐悦男(ちょうさえつお)・教授。

「宮崎県の小中学生を対象に運動器の機能をテストしました。『かかとをつけた状態でしゃがみ、静止することができるか』といったチェックを行なったところ、うまくできなかった子供が全体の約1割もいたのです。

しゃがんでいる途中で後ろに転げてしまう。ロコモ症候群につながることが懸念される状態であり、極めて深刻です」

 帖佐教授が行なった調査は、宮崎県内の小中学生8738人を対象としたもの(2012年)。前述の「しゃがみ込みテスト」などの結果、骨や筋肉、関節などの運動器に「異常あり」と判定された子供は1123人(全体の12.9%)にものぼった。

軽度の異常が認められた子供も含めれば、全体の2割以上が何らかの問題を抱えていたという。

イスから片足で立てますか?3人に1人の国民病「ロコモ」は“要介護“原因1位!

要介護の原因1位は…「ロコモ」!

タレントの山瀬まみさん(47)が、テレビ番組収録前に、セットの裏で転倒。右膝蓋骨(しつがいこつ)と左足第5中足骨の2か所を骨折。  山瀬さんは「上半身は元気なのに…下半身が一歩もついてきません(泣)。」とコメントを発表しました。人間の体には「呼吸器」「循環器」「消化器」等がありますが、筋肉、骨、関節等で構成され、体を自由に動かす働きをするのが「運動器」です。

骨の強度は性ホルモンと深く関わっているため、性ホルモンが減少する50歳前後から骨量が低下。特に女性は、閉経後に骨量が急激に低下します。また、足腰の筋肉は40歳を過ぎた頃から衰え始め、50歳を過ぎると急激に低下。筋肉量は、20歳から75歳までに約半分になるとも言われます。

実は、40代からの「運動器」の状態が、老後の日常生活を大きく左右します。そのキーワードが、日本整形外科学会が提唱している『運動器症候群』=『ロコモティブ・シンドローム』、略して「ロコモ」です。ロコモ」は、筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器のいずれか、あるいは複数に障害が起こり、「立つ」「歩く」といった機能が低下している状態をいいます。 聞きなれない言葉かもしれませんが、実は、要支援・要介護状態になってしまう要因の第1位は「運動器の障害」なんです。
つまり、将来「寝たきり」等になってしまう主要な原因が、「ロコモ」なのです!
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「あなたもロコモ」かも? 今すぐチェック!

「でも自分には関係ないでしょ」と思うかもしれませんが、とんでもありません。 「ロコモ」は予備群を含めて約4,700万人と推計され、何と日本の人口の3分の1に当たり、既に国民病です。40歳以上に限れば、何と5人に4人、80%が該当するのです!では具体的には、どのような運動機能が低下すると「ロコモ」とされるのでしょうか?日本整形外科学会では【自己チェック項目】を公表しています。1つでも当てはまると、「ロコモ」の可能性があります。特に2など、危なっかしい人もいるのでは…。

「ロコモ」チェック 

1. 家の中でつまずく・すべる
2. 片脚立ちで靴下がはけない
3. 階段を上るのに手すりが必要
4. 横断歩道を青信号で渡りきれない
5. 15分くらい続けて歩くことができない
6. 家事のやや重い仕事(掃除機の使用・布団の上げ下ろしなど)が困難
7. 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難

イスから片足で立てますか?この自己チェック項目に当てはまらなかったとしても、筋力は既に衰え始めているかもしれません。文科省による新体力テスト調査では、男女ともに40代後半から体力が低下することが判明しており、特に衰えやすいのが、大きな動きをする下半身の筋肉とされます。オフィスでも出来る、簡単な「筋肉の衰え度」自己チェック法があります。オフィスのイスに座った状態で両手を胸にあてたまま、片足で立ち上がってみて下さい。左右、両方で試してみて下さい。イスが低いほど筋力が必要になりますが、オフィスのイスはだいたい45cm程度。この高さから立ち上がれないようだと、脚の筋力がだいぶ落ちていることになります。
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今や子供たちも「ロコモ」に!

今回、両足を骨折した山瀬まみさんも、まさに「ロコモ警戒世代」。しかも、男性に比べて女性は筋肉量が少ないため、「ロコモ」になりやすいのです。さらに驚くべきことに、埼玉県医師会が昨年、県内の幼稚園から中学生までの子供1343人に運動器の検診を行った結果、何と約40%もの子どもにロコモの兆候がみられたというのです。将来、「ロコモ」にならないためには、40代から予防に取り組むことが必要です。まずは1日1回のスクワットと、エレベーターの使用を止めてみてはどうでしょうか。3週間程度で、筋肉の変化を感じ取れるかもしれません。

草場 岳先生 監修
国立国際医療センター、順天堂大学腎臓内科を経て2012年より松和会大泉学園クリニック院長
順天堂大学腎臓内科非常勤助教
Training Education Center of Medicine (TECOM)講師
医学博士。日本内科学会総合内科専門医。日本腎臓学会認定専門医。日本透析学会認定専門医

パーキンソン病には「ダンス」が効果的「ドーパミンが出る」

脳の神経伝達に支障をきたし、身体が動きにくくなる「パーキンソン病」。徐々に固まっていく身体に辛い思いをするお年寄りはたくさんいます。「ダンス」や「運動」は神経伝達物質「ドーパミン」の分泌を促し、リハビリに効果的なのだそうです。

脳内の神経伝達物質「ドーパミン」が減少し、身体を動かしにくくなる「パーキンソン病」。身体を動かすのに苦痛が伴い、徐々に固まっていく症状に苦しんでいるお年寄りは少なくありません。

そんなパーキンソン病に、「ダンス」が効果的なのだそうです。ニューヨーク、マーク・モリスダンスセンターでは、パーキンソン病の患者向けの教室を11年に渡り開催しています。「彼らには、自分を『患者』ではなく『ダンサー』だと思ってもらうよう気を付けています」とは講師のデイヴィッドさん。

実際に患者のチャールズさんは、「ここに来ると非常に気分がよくなるんだ」と話しています。

確かに、音楽に合わせて踊ることは、患者さんの気分を良くしてくれそうですね。でも、病気への改善効果はあるのでしょうか?

NYプレスビーテリアン病院・カーネル・メディカルセンターのパーキンソン病専門家、クレール・ヘンチクリフ博士は、身体的にも効果があると解説します。「パーキンソン病は、脳内の神経伝達がスムーズにいかないことで起こります。

音楽に合わせて身体を動かそうとすることで、この神経伝達を促す働きが起こります。もともとのドーパミン量が少ないとしても、ダンスをしようとすることで、それを作り出すことができるのです」

身体を動かすのが辛いと、動きたくなくなるのは想像できますね。そうするとますますドーパミンが減り、悪循環。ダンスは、「それでも踊りたい!動きたい!」という気持ちにさせることで、ドーパミン量を増やす絶好の手段と言えそうです。

心にも身体にも効くリハビリ、もしあなたの周りに患者さんがいるなら、ぜひおすすめしてみて下さいね。

【メタボより怖いロコモ】有効なテリパラチドの自己注射 「骨で人生は変わる!」(7)

医療セミナー「骨で人生は変わる! 忍び寄る“骨粗鬆(こつそしょう)症”の恐怖とその治療最前線」(日本イーライリリー主催)のリポート最終回。浜松南病院整形外科・リハビリテーション科梅原慶太副部長は、骨粗鬆症の治療に骨形成促進剤・テリパラチド(フォルテオ)が効果的という。

 この薬の効果は(1)骨密度増加(2)微細構造改善(3)骨石灰化分布適正化が挙げられる。簡単にいえば、骨密度が増えるだけじゃなく、頑丈で若々しい骨構造になるという。

 梅原氏は「低骨密度ですでに骨折もし、高齢で大腿(だいたい)骨頚部(けいぶ)骨折の家族歴もあるような骨折の危険性の高い人に使ってほしい」と、重症になる前に使い、重症化を防ぐ薬と強調した。

実際、腰椎骨密度が13・4%増加し、椎体骨折リスクが84%低下したという。ただし、難点が1つ。家庭での自己注射薬なのだ。

 梅原氏はK子さん(81)という患者の例を紹介した。大企業の元部長で世界を旅したキャリアウーマンで独身、嵐のファンという。

2006年胸椎圧迫骨折で、骨吸収抑制剤・アレンドロネートを内服するが、08年腰椎圧迫骨折、翌年には別の腰椎圧迫骨折と、典型的なドミノ骨折に見舞われた。だが、テリパラチドを2年間投与すると、現在まで骨折なし。

 「通りで転んで救急車で運ばれたのが最初で、その後も骨折を繰り返し、もう老人ホームに行くしかないと申し込みました。最初は怖くて自分で注射できるかしらと思いながら、2年間続けたら良くなってきました」(K子さん)

 梅原氏は「既に骨折をした人の骨折発生抑制効果がハッキリ見られます」という。自己注射についても、K子さんは「針が細くてシュッと入ってすぐ抜けるので意外に怖くなかった」と話す。

梅原氏は患者には「米粒ほどの長さで毛ほどの細さ」と説明するが、抵抗感は少ないようだ。患者アンケートでは「痛くない」の答えは68%、「痛いががまんできる」が30%だという。

 この薬を1年、2年と続けられた理由では、「検査データが上がり効果を感じる」が70~80%で第1位、「思ったよりも簡単な注射だった」が2位、「自分でできることが自信につながりうれしい」との声もあった。

 「投与の早い時期から骨代謝マーカーが上がり効果が見えるのでヤル気スイッチが入るのでは? 骨折は直せると実感できる例が出てきています」と梅原氏は言い、骨折の連鎖にストップをかけられる時代になったと強調した。

まさに骨で人生は変わる。健康長寿のカギといえよう。 (木村進) =この項終わり

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

【最新「死に方」事典】長生き「6、8、10の法則…

「長生きの秘訣(ひけつ)はなんですか?」ということがよく言われている。とくに高齢者の有名人には、決まってこういう質問がされる。すると、人によってはもっともらしい答えが出る。たとえば、「毎日、野菜をたくさん取っている」「必ず散歩している」「1日1回、大声で笑っている」などなど。

 しかし、万人に共通する長生き法などない。それに、病気で寝たきりになって長生きをしても、それは幸せとは言い難い。つまり、長生きは健康でなければ意味がない。

 では、いつまでも健康なまま長生きする方法はあるのだろうか。

 日本で長寿県といえば、誰もが知るように沖縄である。沖縄では、人口10万人あたりの100歳以上長寿者数は22人と、全国平均のなんと3.8倍にもなる。この理由は、やはり温暖な気候と、それがもたらす人々のおおらかな生き方にあるのではないだろうか。

 沖縄の人たちは、ともかくマイペースである。また、沖縄の人たちは野菜や海藻をよく食べ、お茶もよく飲む。つまり、食習慣も重要なポイントだ。

 食習慣といえば、100歳を超え、なお現役で医師を続ける聖路加国際病院名誉院長の日野原重明先生がいる。日野原先生の食習慣は、朝食はコーヒー、ジュース、ミルク、オリーブ油(スプーン1杯)。昼食はミルクとクッキー2個。

夕食は茶碗(ちゃわん)半分のご飯、たっぷりの野菜、それにヒレ肉か魚。これで1日1300キロカロリーに制限している。つまり、食べ過ぎておらず、いつも「腹八分目」である。

 現代では、数多くの健康法が存在する。最近では『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』という本が売れている。しかし、沖縄の人と日野原先生の例が、健康で長生きの秘訣を端的に表していると、私は考える。

 これまで医者として、数多くの長寿の例を見聞したが、この年になってようやく気づいたのが、「6、8、10の法則」である。

 「6」というのは、「運動六分」のこと。健康法の1つとして必ず挙げられるのが運動だが、やり過ぎは禁物。とくに若い時にスポーツをやっていた人は、ピーク時の六分の量にしないと、無理が生じて体調をくずす。

昔とった杵柄は忘れることだ。沖縄の人のマイペースの生き方を見ると、この思いは強くなる。

 「8」というのは、「腹は八分」のこと。これは日野原先生の例が証明している。食べる物にも長生きの秘訣はあるが、それよりも食べ過ぎないことである。

 「10」というのは「睡眠は十分に」ということ。年を取ると何時に寝ても早く目が覚める。私の場合は、いつも午前6時には目が覚める。これは、寝るのにも体力がいるので、体力が落ちると睡眠が短くなるからだ。

しかし、長生きしている人はじつによく寝ている。朝早く起きても、昼寝を取って睡眠不足を補っている。

 以上がもっともシンプルな長寿の秘訣である。健康で長寿は、心がければそれほど難しいことではない。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。

【メタボより怖いロコモ】骨粗鬆症には2タイプの治療薬

医療セミナー「骨で人生は変わる! 忍び寄る“骨粗鬆(こつそしょう)症”の恐怖とその治療最前線」(主催・日本イーライリリー)のリポート5回目。浜松南病院整形外科・リハビリテーション科、梅原慶太副部長の講演の続きだ。

 梅原医師は、なぜ骨粗鬆症になるのかを私たちにわかりやすく伝えるために、歌を歌い始めた。メロディーはヤン坊マー坊の天気予報である。

 「僕の名前は骨芽(こつが)君 僕の名前は破骨君 骨芽細胞骨作る~破骨細胞骨壊す 作る力と壊す力 壊すの速いとこつそしょう~」

 満座の拍手だった。

 「骨の表面では、骨を作る骨芽細胞と骨を壊す破骨細胞が、常に競い合いながら、古い骨を壊しては新しい骨を作り新陳代謝を行っています。この2つの細胞のバランスが崩れ、骨を壊す破骨君がまさってしまうと、骨粗鬆症になるわけです」

 骨芽細胞が骨を作るのは「骨形成」、破骨細胞が骨を壊すのを「骨吸収」という。このメカニズムをうまくコントロールすることが、骨粗鬆症の治療につながる。

 現在、日本で治療に使われている骨粗鬆症の薬は大きく分けて2つあるという。1つは骨形成促進剤で、もう1つは骨吸収抑制剤だ。

 骨吸収抑制剤は、飲み薬から注射薬、それも毎日から月1回など、用法がバラエティーに富んでいるので、患者のライフスタイルに合わせて選ぶことができる。代表的なのは「アレンドロネート」と呼ばれる種類の薬剤だ。

 一方、骨形成促進剤には2種類あり、1週間に1度病院で注射するものと毎日1回自宅で自己注射する薬剤がある。自宅で自己注射するものが病院で週1回の注射より約2倍骨密度を増やす働きがあるという。これらはテリパラチドと呼ばれる。

 梅原医師は、それらの薬剤の中で、毎日自己注射するテリパラチド(商品名「フォルテオ」)について、話を進めた。

 「アレンドロネートとテリパラチドの働きがどう違うか、例え話をすると、財布がピンチの時に給料がどんどん上がってお金が増える状態が骨形成促進剤で、お財布がピンチの時に節約し出費を抑えるのが骨吸収抑制剤です。

それによって収入は減っても少し持ちこたえられる。同じ骨密度を増やす薬でも、まったく違うわけです」

 梅原医師は、ここにきて、アレンドロネートに限界が指摘されるようになったという。詳しくは次回に続く。 (木村進)

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

【メタボより怖いロコモ】骨を若返らせる「テリパラチド」★「骨で人生は変わる!

医療セミナー「骨で人生は変わる! 忍び寄る“骨粗鬆(こつそしょう)症”の恐怖とその治療最前線」(日本イーライリリー主催)のリポート6回目。浜松南病院整形外科・リハビリテーション科、梅原慶太副部長の講演は、骨粗鬆症の治療の現状に話が進んだ。

 梅原氏は「骨の表面では、骨を作る骨芽細胞と骨を壊す破骨細胞が、常に競い合いながら、古い骨を壊しては新しい骨を作り新陳代謝を行っています。

この2つの細胞のバランスが崩れ、骨を壊す破骨細胞が勝ってしまうと、骨粗鬆症になる」と説明、その主な治療薬には、骨を壊す骨吸収を抑制する薬と骨を作る骨形成を促進する薬があるとした。

 そして、「財布がピンチの時に給料がどんどん上がってお金が増える状態が骨形成促進剤で、お財布がピンチの時に節約し出費を抑えるのが骨吸収抑制剤。それによって収入は減っても少し持ちこたえられる。

同じ骨を増やす薬でも、まったく違うわけです」という例え話で両者の違いを説明した。

 だが、骨吸収抑制剤の代表的な薬の「アレンドロネート」は広く使われているが、限界が指摘されるようになったという。

 「2012年に海外の権威ある医学誌に掲載された論文で、アレンドロネートを5-10年投与された患者の骨折抑制率が、投与を5年でやめた患者と同じだったのです。世界中の専門医がショックを受けました」

 さらに非定型骨折という別の懸念も指摘されるという。長期にアレンドロネートを投与された患者から、本来起こらないような大腿骨近位部骨折の例が見つかった。そのうえ、歯科医の世界で常識の顎骨壊死(がっこつえし)も指摘された。

 一方、骨形成促進剤はどうか。「テリパラチド(フォルテオ)」については、アレンドロネートと比べ、骨密度増加作用はほぼ2倍だという。

 「ただ骨密度が増えるだけでなく、微細構造が改善されて頑丈になります。テリパラチドには古い骨を壊して若返らせる働きがある」

 梅原医師は、(1)骨密度増加(2)微細構造改善(3)骨石灰化分布適正化という3本の矢で、大胆に骨を若返らせる“成長戦略”があるとした。

 だから、梅原医師はこの薬を骨折の危険性が高い患者にこそ使うことを勧めている。

 「低骨密度で、すでに骨折を起こしており、高齢で大腿骨頸部骨折の家族歴もある方にぜひ使ってもらいたい。お医者さんの中には重症の患者に使うと誤解している人もいますが、重症にさせないために使ってほしい」

 その治療効果などは、次回に続く。 

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。


体幹を鍛える「ロコモサイズ」で女性にうれしい効果

近年、フィットネス分野で注目されているのが「ファンクショナル(機能的)トレーニング」。おもにスポーツ分野で取り入れられていたが、ピラティス、ヨガなど「体幹」を鍛えるプログラムとして、一般的にも定着してきた。だが、健康にいいとわかっていても、「トレーニングはツラい」という人もいるのでは?

「トレーニングというのは、体に効いているという実感はあっても、楽しくないと、入り込むのが難しいのかもしれないね。だから体操にジャズの音楽をつけてみたんです」と話すのは綾戸智恵さん(56)。その体操こそが「ロコモサイズ」だ。

「ロコモサイズ」は、シンプルかつ楽しい動きで体幹を鍛えることができるという。6月3日にはDVD付き書籍『ロコモサイズ 美筋ダイエット』(光文社刊)が発売された。

そんな「ロコモサイズ」から、体幹を鍛えるトレーニングを紹介。体幹が安定するということは、姿勢が安定=改善されるということ。

骨盤など骨格のゆがみが矯正されるので、腰痛が緩和され、ぽっこりおなかも解消される。次の1~4の動きを1日1セット行おう。ペアで行うのがおすすめ。

オポジット・ドギー】
四つんばいになる。右足のひざを外に向けて開き、もとに戻す。10回行ったら、左足も同様に10回。上体は動かさず、お尻の横側の筋肉の動きを意識して。

【2.オポジット・キックバック】
四つんばいの姿勢から、右足を後方に蹴り出し、戻しながらひざを曲げる。ひざは床につけず、胸のほうへ。10回行ったら、左足も同様に10回。

【3.オポジット・アームレイズ&キックバック】
四つんばいの姿勢から、右手と左足を互いに引っ張り合うようにして伸ばし、今度は引き寄せるようにして曲げる。10回行ったら、反対側の手足も同様に10回。

【4.バイシクル】
床に仰向けになり、お互いの足裏を合わせる。両手は頭に。上体をやや起こし、体を左右にひねりながら、自転車をこぐように足を動かす。左右とも10回転させる。

姿勢が安定=改善された正しい姿勢のまま腕を振って歩行すると、二の腕や太もものたるみが自然に引き締まるそう。女性にとってはうれしい二次効果だ。

【最新「死に方」事典】医者にかかっても治らない病気は8割

最近ようやく「医者はほとんどの病気を治せない」という認識が一般の方にも浸透してきたようだ。こう書くと、「そんなバカな」と思われるなら、あなたは病気というものの本質がわかっていない。

 じつは私たち医者は、この本質にあるとき気づき慄然とし、その後、あからさまにはこのことを言わなくなる。医者という仕事が成り立たないからだ。

 医学は万能ではない。とくに西洋医学はほぼすべてが対症療法であり、薬は対症療法そのものだ。

病気を治すのは、本来人間が持っている「病気に打ち勝つ力」であり、自然治癒力だ。医者の腕や薬ではない。だから、私は病気を以下の3つに分けて考えている。

 1つ目は、医者にかかって治る病気。2つ目が医者にかかっても治らない病気。3つ目がかかってさらに悪くなる病気だ。医者にかかって治る病気は全体の2割で、あとの8割はかかっても治らないか、あるいはさらに悪くなる(副作用が大きい)病気だ。

 具体的に示してみよう。へんとう炎、気管支炎、肺炎などは、抗生物質があるので治る。細菌などの感染症なども治る。だが、風邪は体力の回復を待つ以外、薬だけでは治らない。

年を取ると高血圧症、リウマチ、糖尿病になる人が多いが、これは治らない。薬で高血圧や糖尿病の数値を改善はできるが、症状を抑えているだけ。リウマチも、薬では痛みを抑えるだけで完治しない。

 このように多くの病気は治らないが、もっとも治らないのが、がんと腎臓病である。

 『患者よ、がんと闘うな』で有名な近藤誠医師が言うように、「がん」と「がんもどき」は区別がつかず、治ったといえるのは「がんもどき」と考えられる。

細胞が異常をきたすホンモノのがんは治るわけでなく、手術で除去できても転移の可能性は残るので、ごまかしごまかし共存していくほかない。抗がん剤は治すために服用するのではなく、ごまかすためのもので、当然だが副作用がある。

 腎臓病となると、効く薬はない。10人に1人はほうっておいても大丈夫だが、9人は治療しないと悪化する。悪化すると、昔は尿毒症を発症して死に至ったが、現在では人工透析によって生きられる。人工透析で平均15年は生きられるようになった。ただし、これも治るという話ではない。

 また肝臓も治りにくい。肝炎とは、肝臓の細胞に炎症が起こり、肝細胞が壊される病態で、ウイルスが原因のものには一般的にA、B、C型とある。C型肝炎の場合、約20年で3、4割の人が肝硬変となり、うち年率約7%が肝がんへと進行する。つまり、治らないのだ。

 このように、病気は治らない。西洋医学は、肝臓なら肝臓、脳なら脳と、体の一部分を見ているだけで、病気の根本原因を探るアプローチを欠いている。

そのため、私は年を取ったら、どこかが悪くなるのは当然と考え、予防検診を受けながら、なんらかの病気が発症してもあせらないことを勧めている。

病院に行って医者にかかれば治るという思い込みがあるから、あせる。医者に頼る、薬に頼ることになる。もちろん頼ることは大事だが、本当に頼るべきなのは自分自身だ。

 とくに75歳以上の後期高齢者になったら、医者にかからない生き方を心がけたい。死は恐れることではない。死は平等にだれにでもくる。治ると思っているから、死を恐れる。治らないのだから、恐れる意味はない。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。


【最新「死に方」事典】あなたは路上で死ぬ!?医療費払えない患者増加?

4月1日から医療費が上がった。消費税増税と併せ大きな国民負担だ。主な値上がりは、初診料が120円、再診料が30円。あなたが初診で病院に行くと、これまで2700円だった初診料は2820円になった。

同じく、再診料は690円から30円引き上げられ720円に。歯科の初診料や再診料、調剤薬局が取る調剤基本料も同様に上がった。また、入院した際にかかる入院基本料は2%程度上がった。

 なぜ、こんなことになったのか。

 高齢化社会の急進展で医療費が年々増加し、もはや保険料収入と税金補填(ほてん)では耐えられなくなっているからだ。厚労省が発表している2012年度の国民医療費は、なんと38兆5850億円、国民1人あたりで30万1900円である。当然だが、現在は40兆円に達しているはずで、これは現在の政府の税収とほぼ同じ。

 さらに、前回書いたように、団塊世代が75歳以上になる2025年には62兆円になるとされる。これが「2025年問題」である。つまり、今後も国民の医療費負担は増え続けるわけだ。

 そこで、本連載のテーマである「死に方」も大きく変わることになる。今回の医療費改定では、診療報酬アップと併せて、病院の病床数の削減も打ち出された。重症患者向けの「急性期病床」、症状が落ち着いた患者を収容する「療養病床」を減らすのだ。

 療養病床のほとんどは、死期が近い高齢者の重症患者で占められている。言葉は悪いが、これは病院のドル箱だ。なぜなら、入院基本料Aなら最も高い1万7690円を取れるからだ。

入院基本料は06年度の診療報酬改定で創設され、当初2万~3万床と見込んでいた。

 ところが、病院の申請が殺到し、療養病棟はなんと約36万床まで膨らんでしまった。要するに、重症でない高齢者まで受け入れ、そこでいちばんおカネが取れる終末治療が行われてきたのだ。

 しかし、これを続けると、病院はもうかっても、医療財政は破綻する。そこで、まず2年で今の4分の1相当の9万床を減らし、いずれは半分の18万床まで減らすことになった。

そのうえ身近な診療所や中小病院の医師が糖尿病などの治療や健康管理をする「主治医」制度が新設された。

 つまり、病院ではもう高齢の重症患者の面倒をみない。まして、症状が軽い患者は受け入れないということ。もっと端的に言うと、「自宅で死んでくれ」と国は言っているわけだ。

これをあるメディアは「高齢者医療の姿は『時々入院、ほぼ在宅』と書いた。患者が自宅や施設で暮らすのを基本とし、入院が必要でも極力短期間になるから、実にうまい表現だ。

 このように、政府の方針次第で、私たちの「死に方」は大きく変わる。現在、約8割の高齢者が病院で死んでいるが、今後はこのかたちが大きく変わる。

そこで、大問題が起こる。病院に見放された高齢者は、自宅が無理なら、介護付きの有料老人ホームか特別養護老人ホームに入るしかない。とすると、最低でも月に20万円はかかる。

 この費用負担ができない高齢者は、どうしたらいいのだろうか。数年前、マイケル・ムーア監督の『Sicko』という映画が話題になった。医療費が払えない入院患者が病院から見放され、路上で死んでいく姿を描いたドキュメンタリーだ。日本もそうなる日が来るかもしれない。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。

【最新「死に方」事典】連鎖する「死の10年問題」

「死」について考えるとき、今後10年ごとにやって来る大問題を避けて通れない。「2015年問題」「2025年問題」「2035年問題」と、この問題は続く。

 まず、2015年問題は、団塊世代のほとんどが高齢者(65歳)となり、支給年金額が膨らむという問題だ。

すでに年金の受給バランスは崩れ、年金財政は大幅な赤字。税金から赤字を補填(ほてん)している状態だ。だから、消費税も増税され、その分社会保障費に回すとされた。

 しかし、消費税の増税程度では、この状態を解消できない。

今後もずっと年金を受け取る側の高齢者が増え、将来年金を支払う側になる子供が少子化でどんどん減っていくのだから、どうしようもない。いずれ、年金がもらえなくなることも覚悟して、私たちは「死期」をイメージしなければならない。

 問題はまだある。現在、年金は国民年金で月に約6万円、厚生年金で月に約24万円である。これで暮らしながら、年金受給世代は、高齢化した親の面倒を見続ける必要がある。

「老老介護」である。現在、介護政策は財政負担の大きい施設介護から在宅介護へと転換されつつあるので、これは相当な負担だ。

 次に、日本社会を揺るがす大問題「2025年問題」がやって来る。2025年を前後して親を看取った団塊世代は、今度は自分たちが死ぬ時期に入る。2025年、団塊世代の中核は75歳を超えた後期高齢者となり、男の平均寿命79歳から見て、次々に病院や介護施設に入る必要が出る。

 そこで、政府は今年度の診療報酬の改定(4月1日実施)と併せ、「入院を減らし在宅を重視する」方針を明確に打ち出した。簡単にいうと、「病院では看取れない。家族が自宅で看取れ」ということだ。

 こうなると当然だが、介護産業は、団塊世代がこの世から去った後の需要減も見越して、設備投資を減らすだろう。つまり、あなたが死期を迎えるころには、面倒を見てくれる病院も介護施設もないことになる。もちろん、富裕層はこの問題を乗り越えられる。年金で暮らす一般層は無理だ。

 つまり、団塊世代は病院からも介護施設からも見放され、頼れるのは家族だけというのが、2025年問題である。

 「死ぬときは自宅で」と願う団塊世代は多いが、実際は「自宅死」は金銭的にも家族にとっても最悪の選択だ。しかし、病床も介護施設も足りなければ他に選択がないわけだから、2025年を待たず自宅死は激増する。

 最後の「2035年問題」は、医療界では早くからささやかれていた問題だ。認知症患者がこの年に450万人に達するとみられているからだ。現在、全国の認知症患者は約230万人とされる。これが倍増するわけだ。

すると、先の老老介護から見て、もっとも困るのが、「親1人子1人」という世帯。こうした世帯は現在どんどん増えている。となると、親の認知症が進んだ場合、自宅介護となれば、子供の生活は成り立たなくなるだろう。

 このように見ると、私たちの老後は圧倒的に暗いのがわかる。もはや、リタイア後の悠々自適生活は一部の富裕層の話で、高齢庶民にとっての最大の社会貢献、家族貢献は、「早死」(平均寿命まで生きないこと)であると言うしかない。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。

【最新「死に方」事典】「肺炎3位」のカラクリ

『65歳過ぎたら、肺炎予防。』という西田敏行さんのテレビCMが話題になった。ご本人も「最近、肺炎で亡くなっている友人、仲間が多い」と言い、自身も予防接種を受けたという。

 このCMを見て「なぜ、いま肺炎?」と思った方も多いと思うが、日本人の死因の第3位に肺炎が入ったためと聞いて、納得したのではないか。日本人の死因は、よく知られているように第1位ががんで、第2位が心疾患である。ところが、最近、肺炎が急上昇してきた。

 たとえば、有名人の訃報で、死因が「肺炎」と発表されることが多くなっている。俳優の二谷英明さん、女優の森光子さん、歌舞伎役者の市川團十郎さんが、いずれも死因が「肺炎」と発表された。

 しかし、医者から言わせてもらうと、CMでキャンペーンしている「肺炎」と、高齢者の死因となる「肺炎」は違うものだ。

 一般の人間が思っている「肺炎」という病気のイメージは、風邪をこじらせたもの、風邪の重いものということだろうが、死因となる肺炎はこれとは違うのである。

 一口に肺炎といっても種類がある。1つは、イメージどおりの肺炎で、これは若い人もかかる。じつは、肺炎と風邪は違い、たとえば風邪は炎症個所がのどや鼻などの上気道だが、肺炎は気管支より奥にある。そのため、せき、たん、発熱などの症状は風邪よりはるかに重い。場合によっては呼吸困難で死に至る。その原因だが、風邪は主にウイルスだが、肺炎はウイルスの他に真菌という細菌に侵されるケースがある。ただし、肺炎を起こす菌は何種類も知られていて、原因となる菌によって効果があるクスリも違ってくる。

 肺炎は市中感染もあるが、病院や介護施設などで感染する例も多い。こういった場合、高齢の方がなりやすく、なると症状が重くなる。

 統計を見ると、肺炎による死亡者数のうち、約97%(約12万人)が65歳以上の高齢者によるものなのも、このためだ。

 ただし、高齢者の肺炎は、誤嚥(ごえん)による肺炎(誤嚥性肺炎)が圧倒的に多い。この誤嚥性肺炎というのは、本来、食道へ送られる食物や唾液中の細菌が誤って気管に入り、それが肺まで到達して起こる肺炎だ。この肺炎が重症だと、高齢者は死に至る。とくに、がんなどで末期治療を受けている患者は、この誤嚥性肺炎になるケースが多い。したがって、死因の第3位の肺炎というのは、このことを指すのである。

 高齢になるにしたがい、のどの食物を飲み込む機能が衰える。よく正月に、ご老人がのどにお餅を詰まらせて死ぬという事件があるが、大きく見ればこれと同じことだ。

 したがって、肺炎のテレビCMは、この事実を無視して、あえて「死因の第3位」を強調して、「予防接種」を勧めている。

 医療ビジネスは、じつに商魂たくましいと言わざるを得ない。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。

【最新「死に方」事典】あなたは路上で死ぬ!?医療費払えない患者増加?

 4月1日から医療費が上がった。消費税増税と併せ大きな国民負担だ。主な値上がりは、初診料が120円、再診料が30円。あなたが初診で病院に行くと、これまで2700円だった初診料は2820円になった。

同じく、再診料は690円から30円引き上げられ720円に。歯科の初診料や再診料、調剤薬局が取る調剤基本料も同様に上がった。また、入院した際にかかる入院基本料は2%程度上がった。

 なぜ、こんなことになったのか。

 高齢化社会の急進展で医療費が年々増加し、もはや保険料収入と税金補填(ほてん)では耐えられなくなっているからだ。厚労省が発表している2012年度の国民医療費は、なんと38兆5850億円、国民1人あたりで30万1900円である。当然だが、現在は40兆円に達しているはずで、これは現在の政府の税収とほぼ同じ。

 さらに、前回書いたように、団塊世代が75歳以上になる2025年には62兆円になるとされる。これが「2025年問題」である。つまり、今後も国民の医療費負担は増え続けるわけだ。

 そこで、本連載のテーマである「死に方」も大きく変わることになる。今回の医療費改定では、診療報酬アップと併せて、病院の病床数の削減も打ち出された。重症患者向けの「急性期病床」、症状が落ち着いた患者を収容する「療養病床」を減らすのだ。

 療養病床のほとんどは、死期が近い高齢者の重症患者で占められている。言葉は悪いが、これは病院のドル箱だ。なぜなら、入院基本料Aなら最も高い1万7690円を取れるからだ。入院基本料は06年度の診療報酬改定で創設され、当初2万~3万床と見込んでいた。

 ところが、病院の申請が殺到し、療養病棟はなんと約36万床まで膨らんでしまった。要するに、重症でない高齢者まで受け入れ、そこでいちばんおカネが取れる終末治療が行われてきたのだ。

 しかし、これを続けると、病院はもうかっても、医療財政は破綻する。そこで、まず2年で今の4分の1相当の9万床を減らし、いずれは半分の18万床まで減らすことになった。

そのうえ身近な診療所や中小病院の医師が糖尿病などの治療や健康管理をする「主治医」制度が新設された。

 つまり、病院ではもう高齢の重症患者の面倒をみない。まして、症状が軽い患者は受け入れないということ。もっと端的に言うと、「自宅で死んでくれ」と国は言っているわけだ。

これをあるメディアは「高齢者医療の姿は『時々入院、ほぼ在宅』と書いた。患者が自宅や施設で暮らすのを基本とし、入院が必要でも極力短期間になるから、実にうまい表現だ。

 このように、政府の方針次第で、私たちの「死に方」は大きく変わる。現在、約8割の高齢者が病院で死んでいるが、今後はこのかたちが大きく変わる。そこで、大問題が起こる。

病院に見放された高齢者は、自宅が無理なら、介護付きの有料老人ホームか特別養護老人ホームに入るしかない。とすると、最低でも月に20万円はかかる。

 この費用負担ができない高齢者は、どうしたらいいのだろうか。数年前、マイケル・ムーア監督の『Sicko』という映画が話題になった。医療費が払えない入院患者が病院から見放され、路上で死んでいく姿を描いたドキュメンタリーだ。日本もそうなる日が来るかもしれない。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。

【メタボより怖いロコモ】低すぎる骨粗鬆症の治療率 「骨で人生は変わる!」(4)

医療セミナー「骨で人生は変わる! 忍び寄る“骨粗鬆(こつそしょう)症”の恐怖とその治療最前線」(主催・日本イーライリリー)のリポート4回目。浜松南病院整形外科・リハビリテーション科、梅原慶太副部長の講演だ。

 前回、欧米では減少している大腿(だいたい)骨近位部骨折が日本では増加の一途をたどっていることを、梅原氏は指摘した。そのわけとして、骨粗鬆症が治療の対象になっていない現実を挙げた。

日本の骨粗鬆症の推定患者数は1300万人だが、治療を受けているのは200万人。

しかも、65歳以上で大腿骨近位部骨折をした人の1年間の治療状況を調べた調査では、治療率が20%にも満たなかったという。

この人たちは骨折を治療するために、整形外科のお世話になっているはずなのに、骨折の原因である骨粗鬆症の治療は受けていないわけだ。

 「これが日本の医療の現実です」と、梅原氏はため息をついた。

 「脳梗塞や心筋梗塞の患者さんに医者は高血圧や高脂血症、糖尿病などその原因を治そうとするでしょう。ところが、整形外科分野では骨折の治療はしても、その原因である骨粗鬆症の治療まではしないという現実があります」

 「Stop at One!」を合い言葉に、骨折の連鎖を断つことが大事だと梅原氏は強調した。

 骨粗鬆症の診断基準は2012年に改定された。ただ歩いていて転んだだけで骨折することを「脆弱(ぜいじゃく)性骨折」というが、その中で椎体骨骨折か大腿骨近位部骨折なら即骨粗鬆症と診断される。

その他の脆弱性骨折は骨粗鬆症の判断基準である骨密度を示す数値YAMが80%未満で、骨折なしの人でもYAM70%以下で、骨粗鬆症と診断されるという。

それまでは手首やかかとで骨密度を測る簡便な方法もあったが、大腿骨近位部か椎体骨で測ると改められたという。

 厚生労働省がまとめた「介護が必要になった原因」(2010年)によると、1位は「脳血管障害(脳卒中)」21・5%、2位が「骨折・転倒・関節疾患」21・1%、3位「認知症」15・3%など。骨折は要介護になる原因の僅差で2位。

その原因が骨粗鬆症なのである。それだけ骨粗鬆症は重大な病気と認識しなければならない。梅原氏の話を聞き、患者と医療者の意識が変わらないと、私の母のような骨折→寝たきりは減らせないのではないかと思った。

 次回に続く。 

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

靴下が片足で履けない、椅子から立ち上がれない... 若い女性に急増中の「ロコモ」っていったい何?

みなさんは「ロコモ」という言葉をご存知ですか? あまり聞きなれない、という人も多いかと思いますが、実はこの「ロコモ」、普段から運動習慣のない若い女性の間で急増しているそう。

ロコモっていったい何?

「ロコモ」というのは「ロコモティブシンドローム」のこと。日本語では「運動器症候群」とも呼びます。このロコモは、2007年に日本整形外科学会によって提唱された新概念。骨や筋肉、関節や神経で構成される「運動器」に障害が起こり、移動機能が低下した状態のことを指す言葉です。どうして最近になってこの新概念が提唱されたかというと、日本が高齢化社会に突入し、多くの人がこれまでよりも長い間「運動器」を使うようになったから。従来の運動器機能障害への対策では解決がつかなくなってきたため、この概念が生まれました。

「歩くとすぐに疲れる」「階段が上がりにくい」「つまづきやすい」「重いものを持つとすぐに疲れる」などが主なロコモの症状。進行すると、介護が必要になるリスクが高まってしまいます。一見すると若い人には関係のなさそうなロコモですが、若いうちからの運動習慣がロコモ対策には重要。20~30代が骨や筋肉量のピークなので、この時期に適度な運動で刺激を与えておかないと60代以降で思うように動けなくなってしまう可能性が。

20代、30代でもロコモに要注意!

若いうちからの予防が大切なロコモですが、実はすでにロコモの症状が始まっている女性も少なくないんだとか。5月15日に放送されたAbemaTVの「原宿アベニュー」では、東京・丸の内で働く20代と30代の女性352人に調査を実施。なんと30%もの女性にロコモが“始まっている傾向”が見られ、4%の人はすでに“障害が進行中”という結果になりました。街頭インタビューでは、多くの女性が片足立ちで靴下を履くことができず、「全然運動していない」と答える人もほとんど。
日常的に体を動かしていないと、ロコモに陥る大きな原因になってしまいます。

ロコモのチェック項目と対策は?

「どちらか一方の脚で40cmの高さから立ち上がれない」人はロコモが始まっている状態。
「両足で20cmの高さから立ち上がれない」人は既に移動機能の低下が進行している状態です。
他にも、大股で歩いた時の距離からロコモ度を出す方法など、日本整形外科学会の公式サイトには測定項目が提示されているのでぜひセルフチェックしてみてください。

ロコモを防ぐには、片足立ちやスクワットが効果的。つま先立ちをしてかかとを上げ下ろしする運動や柔軟体操もロコモの対策になります。「まだまだ先の話だから」と油断していると、いつの間にか思うように体が動かなくなるかもしれません。今のうちから運動習慣を身につけ、いつまでも元気に歩き回れる体をつくっていきましょう。

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