あなたの健康はお金で買えますか・・・? ■ロコモ・最新「死に方」・パーキンソン病
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イスから片足で立てますか?3人に1人の国民病「ロコモ」は“要介護“原因1位!

要介護の原因1位は…「ロコモ」!

タレントの山瀬まみさん(47)が、テレビ番組収録前に、セットの裏で転倒。右膝蓋骨(しつがいこつ)と左足第5中足骨の2か所を骨折。  山瀬さんは「上半身は元気なのに…下半身が一歩もついてきません(泣)。」とコメントを発表しました。人間の体には「呼吸器」「循環器」「消化器」等がありますが、筋肉、骨、関節等で構成され、体を自由に動かす働きをするのが「運動器」です。

骨の強度は性ホルモンと深く関わっているため、性ホルモンが減少する50歳前後から骨量が低下。特に女性は、閉経後に骨量が急激に低下します。また、足腰の筋肉は40歳を過ぎた頃から衰え始め、50歳を過ぎると急激に低下。筋肉量は、20歳から75歳までに約半分になるとも言われます。

実は、40代からの「運動器」の状態が、老後の日常生活を大きく左右します。そのキーワードが、日本整形外科学会が提唱している『運動器症候群』=『ロコモティブ・シンドローム』、略して「ロコモ」です。ロコモ」は、筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器のいずれか、あるいは複数に障害が起こり、「立つ」「歩く」といった機能が低下している状態をいいます。 聞きなれない言葉かもしれませんが、実は、要支援・要介護状態になってしまう要因の第1位は「運動器の障害」なんです。
つまり、将来「寝たきり」等になってしまう主要な原因が、「ロコモ」なのです!
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「あなたもロコモ」かも? 今すぐチェック!

「でも自分には関係ないでしょ」と思うかもしれませんが、とんでもありません。 「ロコモ」は予備群を含めて約4,700万人と推計され、何と日本の人口の3分の1に当たり、既に国民病です。40歳以上に限れば、何と5人に4人、80%が該当するのです!では具体的には、どのような運動機能が低下すると「ロコモ」とされるのでしょうか?日本整形外科学会では【自己チェック項目】を公表しています。1つでも当てはまると、「ロコモ」の可能性があります。特に2など、危なっかしい人もいるのでは…。

「ロコモ」チェック 

1. 家の中でつまずく・すべる
2. 片脚立ちで靴下がはけない
3. 階段を上るのに手すりが必要
4. 横断歩道を青信号で渡りきれない
5. 15分くらい続けて歩くことができない
6. 家事のやや重い仕事(掃除機の使用・布団の上げ下ろしなど)が困難
7. 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難

イスから片足で立てますか?この自己チェック項目に当てはまらなかったとしても、筋力は既に衰え始めているかもしれません。文科省による新体力テスト調査では、男女ともに40代後半から体力が低下することが判明しており、特に衰えやすいのが、大きな動きをする下半身の筋肉とされます。オフィスでも出来る、簡単な「筋肉の衰え度」自己チェック法があります。オフィスのイスに座った状態で両手を胸にあてたまま、片足で立ち上がってみて下さい。左右、両方で試してみて下さい。イスが低いほど筋力が必要になりますが、オフィスのイスはだいたい45cm程度。この高さから立ち上がれないようだと、脚の筋力がだいぶ落ちていることになります。
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今や子供たちも「ロコモ」に!

今回、両足を骨折した山瀬まみさんも、まさに「ロコモ警戒世代」。しかも、男性に比べて女性は筋肉量が少ないため、「ロコモ」になりやすいのです。さらに驚くべきことに、埼玉県医師会が昨年、県内の幼稚園から中学生までの子供1343人に運動器の検診を行った結果、何と約40%もの子どもにロコモの兆候がみられたというのです。将来、「ロコモ」にならないためには、40代から予防に取り組むことが必要です。まずは1日1回のスクワットと、エレベーターの使用を止めてみてはどうでしょうか。3週間程度で、筋肉の変化を感じ取れるかもしれません。

草場 岳先生 監修
国立国際医療センター、順天堂大学腎臓内科を経て2012年より松和会大泉学園クリニック院長
順天堂大学腎臓内科非常勤助教
Training Education Center of Medicine (TECOM)講師
医学博士。日本内科学会総合内科専門医。日本腎臓学会認定専門医。日本透析学会認定専門医

パーキンソン病には「ダンス」が効果的「ドーパミンが出る」

脳の神経伝達に支障をきたし、身体が動きにくくなる「パーキンソン病」。徐々に固まっていく身体に辛い思いをするお年寄りはたくさんいます。「ダンス」や「運動」は神経伝達物質「ドーパミン」の分泌を促し、リハビリに効果的なのだそうです。

脳内の神経伝達物質「ドーパミン」が減少し、身体を動かしにくくなる「パーキンソン病」。身体を動かすのに苦痛が伴い、徐々に固まっていく症状に苦しんでいるお年寄りは少なくありません。

そんなパーキンソン病に、「ダンス」が効果的なのだそうです。ニューヨーク、マーク・モリスダンスセンターでは、パーキンソン病の患者向けの教室を11年に渡り開催しています。「彼らには、自分を『患者』ではなく『ダンサー』だと思ってもらうよう気を付けています」とは講師のデイヴィッドさん。

実際に患者のチャールズさんは、「ここに来ると非常に気分がよくなるんだ」と話しています。

確かに、音楽に合わせて踊ることは、患者さんの気分を良くしてくれそうですね。でも、病気への改善効果はあるのでしょうか?

NYプレスビーテリアン病院・カーネル・メディカルセンターのパーキンソン病専門家、クレール・ヘンチクリフ博士は、身体的にも効果があると解説します。「パーキンソン病は、脳内の神経伝達がスムーズにいかないことで起こります。

音楽に合わせて身体を動かそうとすることで、この神経伝達を促す働きが起こります。もともとのドーパミン量が少ないとしても、ダンスをしようとすることで、それを作り出すことができるのです」

身体を動かすのが辛いと、動きたくなくなるのは想像できますね。そうするとますますドーパミンが減り、悪循環。ダンスは、「それでも踊りたい!動きたい!」という気持ちにさせることで、ドーパミン量を増やす絶好の手段と言えそうです。

心にも身体にも効くリハビリ、もしあなたの周りに患者さんがいるなら、ぜひおすすめしてみて下さいね。

【メタボより怖いロコモ】有効なテリパラチドの自己注射 「骨で人生は変わる!」(7)

医療セミナー「骨で人生は変わる! 忍び寄る“骨粗鬆(こつそしょう)症”の恐怖とその治療最前線」(日本イーライリリー主催)のリポート最終回。浜松南病院整形外科・リハビリテーション科梅原慶太副部長は、骨粗鬆症の治療に骨形成促進剤・テリパラチド(フォルテオ)が効果的という。

 この薬の効果は(1)骨密度増加(2)微細構造改善(3)骨石灰化分布適正化が挙げられる。簡単にいえば、骨密度が増えるだけじゃなく、頑丈で若々しい骨構造になるという。

 梅原氏は「低骨密度ですでに骨折もし、高齢で大腿(だいたい)骨頚部(けいぶ)骨折の家族歴もあるような骨折の危険性の高い人に使ってほしい」と、重症になる前に使い、重症化を防ぐ薬と強調した。

実際、腰椎骨密度が13・4%増加し、椎体骨折リスクが84%低下したという。ただし、難点が1つ。家庭での自己注射薬なのだ。

 梅原氏はK子さん(81)という患者の例を紹介した。大企業の元部長で世界を旅したキャリアウーマンで独身、嵐のファンという。

2006年胸椎圧迫骨折で、骨吸収抑制剤・アレンドロネートを内服するが、08年腰椎圧迫骨折、翌年には別の腰椎圧迫骨折と、典型的なドミノ骨折に見舞われた。だが、テリパラチドを2年間投与すると、現在まで骨折なし。

 「通りで転んで救急車で運ばれたのが最初で、その後も骨折を繰り返し、もう老人ホームに行くしかないと申し込みました。最初は怖くて自分で注射できるかしらと思いながら、2年間続けたら良くなってきました」(K子さん)

 梅原氏は「既に骨折をした人の骨折発生抑制効果がハッキリ見られます」という。自己注射についても、K子さんは「針が細くてシュッと入ってすぐ抜けるので意外に怖くなかった」と話す。

梅原氏は患者には「米粒ほどの長さで毛ほどの細さ」と説明するが、抵抗感は少ないようだ。患者アンケートでは「痛くない」の答えは68%、「痛いががまんできる」が30%だという。

 この薬を1年、2年と続けられた理由では、「検査データが上がり効果を感じる」が70~80%で第1位、「思ったよりも簡単な注射だった」が2位、「自分でできることが自信につながりうれしい」との声もあった。

 「投与の早い時期から骨代謝マーカーが上がり効果が見えるのでヤル気スイッチが入るのでは? 骨折は直せると実感できる例が出てきています」と梅原氏は言い、骨折の連鎖にストップをかけられる時代になったと強調した。

まさに骨で人生は変わる。健康長寿のカギといえよう。 (木村進) =この項終わり

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

【最新「死に方」事典】長生き「6、8、10の法則…

「長生きの秘訣(ひけつ)はなんですか?」ということがよく言われている。とくに高齢者の有名人には、決まってこういう質問がされる。すると、人によってはもっともらしい答えが出る。たとえば、「毎日、野菜をたくさん取っている」「必ず散歩している」「1日1回、大声で笑っている」などなど。

 しかし、万人に共通する長生き法などない。それに、病気で寝たきりになって長生きをしても、それは幸せとは言い難い。つまり、長生きは健康でなければ意味がない。

 では、いつまでも健康なまま長生きする方法はあるのだろうか。

 日本で長寿県といえば、誰もが知るように沖縄である。沖縄では、人口10万人あたりの100歳以上長寿者数は22人と、全国平均のなんと3.8倍にもなる。この理由は、やはり温暖な気候と、それがもたらす人々のおおらかな生き方にあるのではないだろうか。

 沖縄の人たちは、ともかくマイペースである。また、沖縄の人たちは野菜や海藻をよく食べ、お茶もよく飲む。つまり、食習慣も重要なポイントだ。

 食習慣といえば、100歳を超え、なお現役で医師を続ける聖路加国際病院名誉院長の日野原重明先生がいる。日野原先生の食習慣は、朝食はコーヒー、ジュース、ミルク、オリーブ油(スプーン1杯)。昼食はミルクとクッキー2個。

夕食は茶碗(ちゃわん)半分のご飯、たっぷりの野菜、それにヒレ肉か魚。これで1日1300キロカロリーに制限している。つまり、食べ過ぎておらず、いつも「腹八分目」である。

 現代では、数多くの健康法が存在する。最近では『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』という本が売れている。しかし、沖縄の人と日野原先生の例が、健康で長生きの秘訣を端的に表していると、私は考える。

 これまで医者として、数多くの長寿の例を見聞したが、この年になってようやく気づいたのが、「6、8、10の法則」である。

 「6」というのは、「運動六分」のこと。健康法の1つとして必ず挙げられるのが運動だが、やり過ぎは禁物。とくに若い時にスポーツをやっていた人は、ピーク時の六分の量にしないと、無理が生じて体調をくずす。

昔とった杵柄は忘れることだ。沖縄の人のマイペースの生き方を見ると、この思いは強くなる。

 「8」というのは、「腹は八分」のこと。これは日野原先生の例が証明している。食べる物にも長生きの秘訣はあるが、それよりも食べ過ぎないことである。

 「10」というのは「睡眠は十分に」ということ。年を取ると何時に寝ても早く目が覚める。私の場合は、いつも午前6時には目が覚める。これは、寝るのにも体力がいるので、体力が落ちると睡眠が短くなるからだ。

しかし、長生きしている人はじつによく寝ている。朝早く起きても、昼寝を取って睡眠不足を補っている。

 以上がもっともシンプルな長寿の秘訣である。健康で長寿は、心がければそれほど難しいことではない。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。

【メタボより怖いロコモ】骨粗鬆症には2タイプの治療薬

医療セミナー「骨で人生は変わる! 忍び寄る“骨粗鬆(こつそしょう)症”の恐怖とその治療最前線」(主催・日本イーライリリー)のリポート5回目。浜松南病院整形外科・リハビリテーション科、梅原慶太副部長の講演の続きだ。

 梅原医師は、なぜ骨粗鬆症になるのかを私たちにわかりやすく伝えるために、歌を歌い始めた。メロディーはヤン坊マー坊の天気予報である。

 「僕の名前は骨芽(こつが)君 僕の名前は破骨君 骨芽細胞骨作る~破骨細胞骨壊す 作る力と壊す力 壊すの速いとこつそしょう~」

 満座の拍手だった。

 「骨の表面では、骨を作る骨芽細胞と骨を壊す破骨細胞が、常に競い合いながら、古い骨を壊しては新しい骨を作り新陳代謝を行っています。この2つの細胞のバランスが崩れ、骨を壊す破骨君がまさってしまうと、骨粗鬆症になるわけです」

 骨芽細胞が骨を作るのは「骨形成」、破骨細胞が骨を壊すのを「骨吸収」という。このメカニズムをうまくコントロールすることが、骨粗鬆症の治療につながる。

 現在、日本で治療に使われている骨粗鬆症の薬は大きく分けて2つあるという。1つは骨形成促進剤で、もう1つは骨吸収抑制剤だ。

 骨吸収抑制剤は、飲み薬から注射薬、それも毎日から月1回など、用法がバラエティーに富んでいるので、患者のライフスタイルに合わせて選ぶことができる。代表的なのは「アレンドロネート」と呼ばれる種類の薬剤だ。

 一方、骨形成促進剤には2種類あり、1週間に1度病院で注射するものと毎日1回自宅で自己注射する薬剤がある。自宅で自己注射するものが病院で週1回の注射より約2倍骨密度を増やす働きがあるという。これらはテリパラチドと呼ばれる。

 梅原医師は、それらの薬剤の中で、毎日自己注射するテリパラチド(商品名「フォルテオ」)について、話を進めた。

 「アレンドロネートとテリパラチドの働きがどう違うか、例え話をすると、財布がピンチの時に給料がどんどん上がってお金が増える状態が骨形成促進剤で、お財布がピンチの時に節約し出費を抑えるのが骨吸収抑制剤です。

それによって収入は減っても少し持ちこたえられる。同じ骨密度を増やす薬でも、まったく違うわけです」

 梅原医師は、ここにきて、アレンドロネートに限界が指摘されるようになったという。詳しくは次回に続く。 (木村進)

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

【メタボより怖いロコモ】骨を若返らせる「テリパラチド」★「骨で人生は変わる!

医療セミナー「骨で人生は変わる! 忍び寄る“骨粗鬆(こつそしょう)症”の恐怖とその治療最前線」(日本イーライリリー主催)のリポート6回目。浜松南病院整形外科・リハビリテーション科、梅原慶太副部長の講演は、骨粗鬆症の治療の現状に話が進んだ。

 梅原氏は「骨の表面では、骨を作る骨芽細胞と骨を壊す破骨細胞が、常に競い合いながら、古い骨を壊しては新しい骨を作り新陳代謝を行っています。

この2つの細胞のバランスが崩れ、骨を壊す破骨細胞が勝ってしまうと、骨粗鬆症になる」と説明、その主な治療薬には、骨を壊す骨吸収を抑制する薬と骨を作る骨形成を促進する薬があるとした。

 そして、「財布がピンチの時に給料がどんどん上がってお金が増える状態が骨形成促進剤で、お財布がピンチの時に節約し出費を抑えるのが骨吸収抑制剤。それによって収入は減っても少し持ちこたえられる。

同じ骨を増やす薬でも、まったく違うわけです」という例え話で両者の違いを説明した。

 だが、骨吸収抑制剤の代表的な薬の「アレンドロネート」は広く使われているが、限界が指摘されるようになったという。

 「2012年に海外の権威ある医学誌に掲載された論文で、アレンドロネートを5-10年投与された患者の骨折抑制率が、投与を5年でやめた患者と同じだったのです。世界中の専門医がショックを受けました」

 さらに非定型骨折という別の懸念も指摘されるという。長期にアレンドロネートを投与された患者から、本来起こらないような大腿骨近位部骨折の例が見つかった。そのうえ、歯科医の世界で常識の顎骨壊死(がっこつえし)も指摘された。

 一方、骨形成促進剤はどうか。「テリパラチド(フォルテオ)」については、アレンドロネートと比べ、骨密度増加作用はほぼ2倍だという。

 「ただ骨密度が増えるだけでなく、微細構造が改善されて頑丈になります。テリパラチドには古い骨を壊して若返らせる働きがある」

 梅原医師は、(1)骨密度増加(2)微細構造改善(3)骨石灰化分布適正化という3本の矢で、大胆に骨を若返らせる“成長戦略”があるとした。

 だから、梅原医師はこの薬を骨折の危険性が高い患者にこそ使うことを勧めている。

 「低骨密度で、すでに骨折を起こしており、高齢で大腿骨頸部骨折の家族歴もある方にぜひ使ってもらいたい。お医者さんの中には重症の患者に使うと誤解している人もいますが、重症にさせないために使ってほしい」

 その治療効果などは、次回に続く。 

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。


体幹を鍛える「ロコモサイズ」で女性にうれしい効果

近年、フィットネス分野で注目されているのが「ファンクショナル(機能的)トレーニング」。おもにスポーツ分野で取り入れられていたが、ピラティス、ヨガなど「体幹」を鍛えるプログラムとして、一般的にも定着してきた。だが、健康にいいとわかっていても、「トレーニングはツラい」という人もいるのでは?

「トレーニングというのは、体に効いているという実感はあっても、楽しくないと、入り込むのが難しいのかもしれないね。だから体操にジャズの音楽をつけてみたんです」と話すのは綾戸智恵さん(56)。その体操こそが「ロコモサイズ」だ。

「ロコモサイズ」は、シンプルかつ楽しい動きで体幹を鍛えることができるという。6月3日にはDVD付き書籍『ロコモサイズ 美筋ダイエット』(光文社刊)が発売された。

そんな「ロコモサイズ」から、体幹を鍛えるトレーニングを紹介。体幹が安定するということは、姿勢が安定=改善されるということ。

骨盤など骨格のゆがみが矯正されるので、腰痛が緩和され、ぽっこりおなかも解消される。次の1~4の動きを1日1セット行おう。ペアで行うのがおすすめ。

オポジット・ドギー】
四つんばいになる。右足のひざを外に向けて開き、もとに戻す。10回行ったら、左足も同様に10回。上体は動かさず、お尻の横側の筋肉の動きを意識して。

【2.オポジット・キックバック】
四つんばいの姿勢から、右足を後方に蹴り出し、戻しながらひざを曲げる。ひざは床につけず、胸のほうへ。10回行ったら、左足も同様に10回。

【3.オポジット・アームレイズ&キックバック】
四つんばいの姿勢から、右手と左足を互いに引っ張り合うようにして伸ばし、今度は引き寄せるようにして曲げる。10回行ったら、反対側の手足も同様に10回。

【4.バイシクル】
床に仰向けになり、お互いの足裏を合わせる。両手は頭に。上体をやや起こし、体を左右にひねりながら、自転車をこぐように足を動かす。左右とも10回転させる。

姿勢が安定=改善された正しい姿勢のまま腕を振って歩行すると、二の腕や太もものたるみが自然に引き締まるそう。女性にとってはうれしい二次効果だ。

【最新「死に方」事典】医者にかかっても治らない病気は8割

最近ようやく「医者はほとんどの病気を治せない」という認識が一般の方にも浸透してきたようだ。こう書くと、「そんなバカな」と思われるなら、あなたは病気というものの本質がわかっていない。

 じつは私たち医者は、この本質にあるとき気づき慄然とし、その後、あからさまにはこのことを言わなくなる。医者という仕事が成り立たないからだ。

 医学は万能ではない。とくに西洋医学はほぼすべてが対症療法であり、薬は対症療法そのものだ。

病気を治すのは、本来人間が持っている「病気に打ち勝つ力」であり、自然治癒力だ。医者の腕や薬ではない。だから、私は病気を以下の3つに分けて考えている。

 1つ目は、医者にかかって治る病気。2つ目が医者にかかっても治らない病気。3つ目がかかってさらに悪くなる病気だ。医者にかかって治る病気は全体の2割で、あとの8割はかかっても治らないか、あるいはさらに悪くなる(副作用が大きい)病気だ。

 具体的に示してみよう。へんとう炎、気管支炎、肺炎などは、抗生物質があるので治る。細菌などの感染症なども治る。だが、風邪は体力の回復を待つ以外、薬だけでは治らない。

年を取ると高血圧症、リウマチ、糖尿病になる人が多いが、これは治らない。薬で高血圧や糖尿病の数値を改善はできるが、症状を抑えているだけ。リウマチも、薬では痛みを抑えるだけで完治しない。

 このように多くの病気は治らないが、もっとも治らないのが、がんと腎臓病である。

 『患者よ、がんと闘うな』で有名な近藤誠医師が言うように、「がん」と「がんもどき」は区別がつかず、治ったといえるのは「がんもどき」と考えられる。

細胞が異常をきたすホンモノのがんは治るわけでなく、手術で除去できても転移の可能性は残るので、ごまかしごまかし共存していくほかない。抗がん剤は治すために服用するのではなく、ごまかすためのもので、当然だが副作用がある。

 腎臓病となると、効く薬はない。10人に1人はほうっておいても大丈夫だが、9人は治療しないと悪化する。悪化すると、昔は尿毒症を発症して死に至ったが、現在では人工透析によって生きられる。人工透析で平均15年は生きられるようになった。ただし、これも治るという話ではない。

 また肝臓も治りにくい。肝炎とは、肝臓の細胞に炎症が起こり、肝細胞が壊される病態で、ウイルスが原因のものには一般的にA、B、C型とある。C型肝炎の場合、約20年で3、4割の人が肝硬変となり、うち年率約7%が肝がんへと進行する。つまり、治らないのだ。

 このように、病気は治らない。西洋医学は、肝臓なら肝臓、脳なら脳と、体の一部分を見ているだけで、病気の根本原因を探るアプローチを欠いている。

そのため、私は年を取ったら、どこかが悪くなるのは当然と考え、予防検診を受けながら、なんらかの病気が発症してもあせらないことを勧めている。

病院に行って医者にかかれば治るという思い込みがあるから、あせる。医者に頼る、薬に頼ることになる。もちろん頼ることは大事だが、本当に頼るべきなのは自分自身だ。

 とくに75歳以上の後期高齢者になったら、医者にかからない生き方を心がけたい。死は恐れることではない。死は平等にだれにでもくる。治ると思っているから、死を恐れる。治らないのだから、恐れる意味はない。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。


【最新「死に方」事典】あなたは路上で死ぬ!?医療費払えない患者増加?

4月1日から医療費が上がった。消費税増税と併せ大きな国民負担だ。主な値上がりは、初診料が120円、再診料が30円。あなたが初診で病院に行くと、これまで2700円だった初診料は2820円になった。

同じく、再診料は690円から30円引き上げられ720円に。歯科の初診料や再診料、調剤薬局が取る調剤基本料も同様に上がった。また、入院した際にかかる入院基本料は2%程度上がった。

 なぜ、こんなことになったのか。

 高齢化社会の急進展で医療費が年々増加し、もはや保険料収入と税金補填(ほてん)では耐えられなくなっているからだ。厚労省が発表している2012年度の国民医療費は、なんと38兆5850億円、国民1人あたりで30万1900円である。当然だが、現在は40兆円に達しているはずで、これは現在の政府の税収とほぼ同じ。

 さらに、前回書いたように、団塊世代が75歳以上になる2025年には62兆円になるとされる。これが「2025年問題」である。つまり、今後も国民の医療費負担は増え続けるわけだ。

 そこで、本連載のテーマである「死に方」も大きく変わることになる。今回の医療費改定では、診療報酬アップと併せて、病院の病床数の削減も打ち出された。重症患者向けの「急性期病床」、症状が落ち着いた患者を収容する「療養病床」を減らすのだ。

 療養病床のほとんどは、死期が近い高齢者の重症患者で占められている。言葉は悪いが、これは病院のドル箱だ。なぜなら、入院基本料Aなら最も高い1万7690円を取れるからだ。

入院基本料は06年度の診療報酬改定で創設され、当初2万~3万床と見込んでいた。

 ところが、病院の申請が殺到し、療養病棟はなんと約36万床まで膨らんでしまった。要するに、重症でない高齢者まで受け入れ、そこでいちばんおカネが取れる終末治療が行われてきたのだ。

 しかし、これを続けると、病院はもうかっても、医療財政は破綻する。そこで、まず2年で今の4分の1相当の9万床を減らし、いずれは半分の18万床まで減らすことになった。

そのうえ身近な診療所や中小病院の医師が糖尿病などの治療や健康管理をする「主治医」制度が新設された。

 つまり、病院ではもう高齢の重症患者の面倒をみない。まして、症状が軽い患者は受け入れないということ。もっと端的に言うと、「自宅で死んでくれ」と国は言っているわけだ。

これをあるメディアは「高齢者医療の姿は『時々入院、ほぼ在宅』と書いた。患者が自宅や施設で暮らすのを基本とし、入院が必要でも極力短期間になるから、実にうまい表現だ。

 このように、政府の方針次第で、私たちの「死に方」は大きく変わる。現在、約8割の高齢者が病院で死んでいるが、今後はこのかたちが大きく変わる。

そこで、大問題が起こる。病院に見放された高齢者は、自宅が無理なら、介護付きの有料老人ホームか特別養護老人ホームに入るしかない。とすると、最低でも月に20万円はかかる。

 この費用負担ができない高齢者は、どうしたらいいのだろうか。数年前、マイケル・ムーア監督の『Sicko』という映画が話題になった。医療費が払えない入院患者が病院から見放され、路上で死んでいく姿を描いたドキュメンタリーだ。日本もそうなる日が来るかもしれない。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。

【最新「死に方」事典】連鎖する「死の10年問題」

「死」について考えるとき、今後10年ごとにやって来る大問題を避けて通れない。「2015年問題」「2025年問題」「2035年問題」と、この問題は続く。

 まず、2015年問題は、団塊世代のほとんどが高齢者(65歳)となり、支給年金額が膨らむという問題だ。

すでに年金の受給バランスは崩れ、年金財政は大幅な赤字。税金から赤字を補填(ほてん)している状態だ。だから、消費税も増税され、その分社会保障費に回すとされた。

 しかし、消費税の増税程度では、この状態を解消できない。

今後もずっと年金を受け取る側の高齢者が増え、将来年金を支払う側になる子供が少子化でどんどん減っていくのだから、どうしようもない。いずれ、年金がもらえなくなることも覚悟して、私たちは「死期」をイメージしなければならない。

 問題はまだある。現在、年金は国民年金で月に約6万円、厚生年金で月に約24万円である。これで暮らしながら、年金受給世代は、高齢化した親の面倒を見続ける必要がある。

「老老介護」である。現在、介護政策は財政負担の大きい施設介護から在宅介護へと転換されつつあるので、これは相当な負担だ。

 次に、日本社会を揺るがす大問題「2025年問題」がやって来る。2025年を前後して親を看取った団塊世代は、今度は自分たちが死ぬ時期に入る。2025年、団塊世代の中核は75歳を超えた後期高齢者となり、男の平均寿命79歳から見て、次々に病院や介護施設に入る必要が出る。

 そこで、政府は今年度の診療報酬の改定(4月1日実施)と併せ、「入院を減らし在宅を重視する」方針を明確に打ち出した。簡単にいうと、「病院では看取れない。家族が自宅で看取れ」ということだ。

 こうなると当然だが、介護産業は、団塊世代がこの世から去った後の需要減も見越して、設備投資を減らすだろう。つまり、あなたが死期を迎えるころには、面倒を見てくれる病院も介護施設もないことになる。もちろん、富裕層はこの問題を乗り越えられる。年金で暮らす一般層は無理だ。

 つまり、団塊世代は病院からも介護施設からも見放され、頼れるのは家族だけというのが、2025年問題である。

 「死ぬときは自宅で」と願う団塊世代は多いが、実際は「自宅死」は金銭的にも家族にとっても最悪の選択だ。しかし、病床も介護施設も足りなければ他に選択がないわけだから、2025年を待たず自宅死は激増する。

 最後の「2035年問題」は、医療界では早くからささやかれていた問題だ。認知症患者がこの年に450万人に達するとみられているからだ。現在、全国の認知症患者は約230万人とされる。これが倍増するわけだ。

すると、先の老老介護から見て、もっとも困るのが、「親1人子1人」という世帯。こうした世帯は現在どんどん増えている。となると、親の認知症が進んだ場合、自宅介護となれば、子供の生活は成り立たなくなるだろう。

 このように見ると、私たちの老後は圧倒的に暗いのがわかる。もはや、リタイア後の悠々自適生活は一部の富裕層の話で、高齢庶民にとっての最大の社会貢献、家族貢献は、「早死」(平均寿命まで生きないこと)であると言うしかない。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。

【最新「死に方」事典】「肺炎3位」のカラクリ

『65歳過ぎたら、肺炎予防。』という西田敏行さんのテレビCMが話題になった。ご本人も「最近、肺炎で亡くなっている友人、仲間が多い」と言い、自身も予防接種を受けたという。

 このCMを見て「なぜ、いま肺炎?」と思った方も多いと思うが、日本人の死因の第3位に肺炎が入ったためと聞いて、納得したのではないか。日本人の死因は、よく知られているように第1位ががんで、第2位が心疾患である。ところが、最近、肺炎が急上昇してきた。

 たとえば、有名人の訃報で、死因が「肺炎」と発表されることが多くなっている。俳優の二谷英明さん、女優の森光子さん、歌舞伎役者の市川團十郎さんが、いずれも死因が「肺炎」と発表された。

 しかし、医者から言わせてもらうと、CMでキャンペーンしている「肺炎」と、高齢者の死因となる「肺炎」は違うものだ。

 一般の人間が思っている「肺炎」という病気のイメージは、風邪をこじらせたもの、風邪の重いものということだろうが、死因となる肺炎はこれとは違うのである。

 一口に肺炎といっても種類がある。1つは、イメージどおりの肺炎で、これは若い人もかかる。じつは、肺炎と風邪は違い、たとえば風邪は炎症個所がのどや鼻などの上気道だが、肺炎は気管支より奥にある。そのため、せき、たん、発熱などの症状は風邪よりはるかに重い。場合によっては呼吸困難で死に至る。その原因だが、風邪は主にウイルスだが、肺炎はウイルスの他に真菌という細菌に侵されるケースがある。ただし、肺炎を起こす菌は何種類も知られていて、原因となる菌によって効果があるクスリも違ってくる。

 肺炎は市中感染もあるが、病院や介護施設などで感染する例も多い。こういった場合、高齢の方がなりやすく、なると症状が重くなる。

 統計を見ると、肺炎による死亡者数のうち、約97%(約12万人)が65歳以上の高齢者によるものなのも、このためだ。

 ただし、高齢者の肺炎は、誤嚥(ごえん)による肺炎(誤嚥性肺炎)が圧倒的に多い。この誤嚥性肺炎というのは、本来、食道へ送られる食物や唾液中の細菌が誤って気管に入り、それが肺まで到達して起こる肺炎だ。この肺炎が重症だと、高齢者は死に至る。とくに、がんなどで末期治療を受けている患者は、この誤嚥性肺炎になるケースが多い。したがって、死因の第3位の肺炎というのは、このことを指すのである。

 高齢になるにしたがい、のどの食物を飲み込む機能が衰える。よく正月に、ご老人がのどにお餅を詰まらせて死ぬという事件があるが、大きく見ればこれと同じことだ。

 したがって、肺炎のテレビCMは、この事実を無視して、あえて「死因の第3位」を強調して、「予防接種」を勧めている。

 医療ビジネスは、じつに商魂たくましいと言わざるを得ない。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。

【最新「死に方」事典】あなたは路上で死ぬ!?医療費払えない患者増加?

 4月1日から医療費が上がった。消費税増税と併せ大きな国民負担だ。主な値上がりは、初診料が120円、再診料が30円。あなたが初診で病院に行くと、これまで2700円だった初診料は2820円になった。

同じく、再診料は690円から30円引き上げられ720円に。歯科の初診料や再診料、調剤薬局が取る調剤基本料も同様に上がった。また、入院した際にかかる入院基本料は2%程度上がった。

 なぜ、こんなことになったのか。

 高齢化社会の急進展で医療費が年々増加し、もはや保険料収入と税金補填(ほてん)では耐えられなくなっているからだ。厚労省が発表している2012年度の国民医療費は、なんと38兆5850億円、国民1人あたりで30万1900円である。当然だが、現在は40兆円に達しているはずで、これは現在の政府の税収とほぼ同じ。

 さらに、前回書いたように、団塊世代が75歳以上になる2025年には62兆円になるとされる。これが「2025年問題」である。つまり、今後も国民の医療費負担は増え続けるわけだ。

 そこで、本連載のテーマである「死に方」も大きく変わることになる。今回の医療費改定では、診療報酬アップと併せて、病院の病床数の削減も打ち出された。重症患者向けの「急性期病床」、症状が落ち着いた患者を収容する「療養病床」を減らすのだ。

 療養病床のほとんどは、死期が近い高齢者の重症患者で占められている。言葉は悪いが、これは病院のドル箱だ。なぜなら、入院基本料Aなら最も高い1万7690円を取れるからだ。入院基本料は06年度の診療報酬改定で創設され、当初2万~3万床と見込んでいた。

 ところが、病院の申請が殺到し、療養病棟はなんと約36万床まで膨らんでしまった。要するに、重症でない高齢者まで受け入れ、そこでいちばんおカネが取れる終末治療が行われてきたのだ。

 しかし、これを続けると、病院はもうかっても、医療財政は破綻する。そこで、まず2年で今の4分の1相当の9万床を減らし、いずれは半分の18万床まで減らすことになった。

そのうえ身近な診療所や中小病院の医師が糖尿病などの治療や健康管理をする「主治医」制度が新設された。

 つまり、病院ではもう高齢の重症患者の面倒をみない。まして、症状が軽い患者は受け入れないということ。もっと端的に言うと、「自宅で死んでくれ」と国は言っているわけだ。

これをあるメディアは「高齢者医療の姿は『時々入院、ほぼ在宅』と書いた。患者が自宅や施設で暮らすのを基本とし、入院が必要でも極力短期間になるから、実にうまい表現だ。

 このように、政府の方針次第で、私たちの「死に方」は大きく変わる。現在、約8割の高齢者が病院で死んでいるが、今後はこのかたちが大きく変わる。そこで、大問題が起こる。

病院に見放された高齢者は、自宅が無理なら、介護付きの有料老人ホームか特別養護老人ホームに入るしかない。とすると、最低でも月に20万円はかかる。

 この費用負担ができない高齢者は、どうしたらいいのだろうか。数年前、マイケル・ムーア監督の『Sicko』という映画が話題になった。医療費が払えない入院患者が病院から見放され、路上で死んでいく姿を描いたドキュメンタリーだ。日本もそうなる日が来るかもしれない。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。

【メタボより怖いロコモ】低すぎる骨粗鬆症の治療率 「骨で人生は変わる!」(4)

医療セミナー「骨で人生は変わる! 忍び寄る“骨粗鬆(こつそしょう)症”の恐怖とその治療最前線」(主催・日本イーライリリー)のリポート4回目。浜松南病院整形外科・リハビリテーション科、梅原慶太副部長の講演だ。

 前回、欧米では減少している大腿(だいたい)骨近位部骨折が日本では増加の一途をたどっていることを、梅原氏は指摘した。そのわけとして、骨粗鬆症が治療の対象になっていない現実を挙げた。

日本の骨粗鬆症の推定患者数は1300万人だが、治療を受けているのは200万人。

しかも、65歳以上で大腿骨近位部骨折をした人の1年間の治療状況を調べた調査では、治療率が20%にも満たなかったという。

この人たちは骨折を治療するために、整形外科のお世話になっているはずなのに、骨折の原因である骨粗鬆症の治療は受けていないわけだ。

 「これが日本の医療の現実です」と、梅原氏はため息をついた。

 「脳梗塞や心筋梗塞の患者さんに医者は高血圧や高脂血症、糖尿病などその原因を治そうとするでしょう。ところが、整形外科分野では骨折の治療はしても、その原因である骨粗鬆症の治療まではしないという現実があります」

 「Stop at One!」を合い言葉に、骨折の連鎖を断つことが大事だと梅原氏は強調した。

 骨粗鬆症の診断基準は2012年に改定された。ただ歩いていて転んだだけで骨折することを「脆弱(ぜいじゃく)性骨折」というが、その中で椎体骨骨折か大腿骨近位部骨折なら即骨粗鬆症と診断される。

その他の脆弱性骨折は骨粗鬆症の判断基準である骨密度を示す数値YAMが80%未満で、骨折なしの人でもYAM70%以下で、骨粗鬆症と診断されるという。

それまでは手首やかかとで骨密度を測る簡便な方法もあったが、大腿骨近位部か椎体骨で測ると改められたという。

 厚生労働省がまとめた「介護が必要になった原因」(2010年)によると、1位は「脳血管障害(脳卒中)」21・5%、2位が「骨折・転倒・関節疾患」21・1%、3位「認知症」15・3%など。骨折は要介護になる原因の僅差で2位。

その原因が骨粗鬆症なのである。それだけ骨粗鬆症は重大な病気と認識しなければならない。梅原氏の話を聞き、患者と医療者の意識が変わらないと、私の母のような骨折→寝たきりは減らせないのではないかと思った。

 次回に続く。 

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

靴下が片足で履けない、椅子から立ち上がれない... 若い女性に急増中の「ロコモ」っていったい何?

みなさんは「ロコモ」という言葉をご存知ですか? あまり聞きなれない、という人も多いかと思いますが、実はこの「ロコモ」、普段から運動習慣のない若い女性の間で急増しているそう。

ロコモっていったい何?

「ロコモ」というのは「ロコモティブシンドローム」のこと。日本語では「運動器症候群」とも呼びます。このロコモは、2007年に日本整形外科学会によって提唱された新概念。骨や筋肉、関節や神経で構成される「運動器」に障害が起こり、移動機能が低下した状態のことを指す言葉です。どうして最近になってこの新概念が提唱されたかというと、日本が高齢化社会に突入し、多くの人がこれまでよりも長い間「運動器」を使うようになったから。従来の運動器機能障害への対策では解決がつかなくなってきたため、この概念が生まれました。

「歩くとすぐに疲れる」「階段が上がりにくい」「つまづきやすい」「重いものを持つとすぐに疲れる」などが主なロコモの症状。進行すると、介護が必要になるリスクが高まってしまいます。一見すると若い人には関係のなさそうなロコモですが、若いうちからの運動習慣がロコモ対策には重要。20~30代が骨や筋肉量のピークなので、この時期に適度な運動で刺激を与えておかないと60代以降で思うように動けなくなってしまう可能性が。

20代、30代でもロコモに要注意!

若いうちからの予防が大切なロコモですが、実はすでにロコモの症状が始まっている女性も少なくないんだとか。5月15日に放送されたAbemaTVの「原宿アベニュー」では、東京・丸の内で働く20代と30代の女性352人に調査を実施。なんと30%もの女性にロコモが“始まっている傾向”が見られ、4%の人はすでに“障害が進行中”という結果になりました。街頭インタビューでは、多くの女性が片足立ちで靴下を履くことができず、「全然運動していない」と答える人もほとんど。
日常的に体を動かしていないと、ロコモに陥る大きな原因になってしまいます。

ロコモのチェック項目と対策は?

「どちらか一方の脚で40cmの高さから立ち上がれない」人はロコモが始まっている状態。
「両足で20cmの高さから立ち上がれない」人は既に移動機能の低下が進行している状態です。
他にも、大股で歩いた時の距離からロコモ度を出す方法など、日本整形外科学会の公式サイトには測定項目が提示されているのでぜひセルフチェックしてみてください。

ロコモを防ぐには、片足立ちやスクワットが効果的。つま先立ちをしてかかとを上げ下ろしする運動や柔軟体操もロコモの対策になります。「まだまだ先の話だから」と油断していると、いつの間にか思うように体が動かなくなるかもしれません。今のうちから運動習慣を身につけ、いつまでも元気に歩き回れる体をつくっていきましょう。

【メタボより怖いロコモ】“姿勢エイジング”を改善しよう サルコペニアの克服

 味の素主催の健康セミナー、国立長寿医療研究センターの鈴木隆雄所長の「高齢期の筋肉減少症とロコモ予防」リポート最終回。

 前回報告したように、鈴木所長は運動とアミノ酸ロイシン摂取とを同時に行うことによって、サルコペニア(筋肉減少症)を克服する効果があることが、実際の試験によって明らかになったと述べた。

 つまり、(1)運動習慣の重要性(2)食・栄養ケアの重要性-を強調した。鈴木所長の話を引き継ぐ形で、(1)について整形外科医・医学博士でスポーツドクターの中村格子氏が「美姿勢のすすめ」、

(2)について管理栄養士でフードコーディネーターの柴田真希氏が「バランスのよい食事とロコモ予防」という講演をした。

 中村氏は、日本人の老いも若きもライフスタイルの変化により“姿勢エイジング”のリスクに見舞われていると指摘する。小学生の7割が悪い学習姿勢だし、スマホやPCなどIT機器の普及で若い人も姿勢が悪くなっている。

加齢により背中が曲がり前屈みになるのが、“姿勢エイジング”だが、それは姿勢を保つ姿勢筋(脊柱起立筋、腸腰筋、大腿四頭筋など)が衰えることで起きる。

 中村氏は日常の所作から姿勢筋を鍛える「美姿勢メソッド」を考案。味の素社員12人に2週間、簡単な運動と栄養を心がける実験を行った結果、8人の姿勢が改善された。

このメソッドは呼吸法に始まり、基礎編、上級編、さらにはいすから立ち上がったり、ビジネスバッグを持つなどの日常所作編まである。

このメソッドで外側から、アミノ酸摂取で内側からケアすることで、姿勢筋を保つことが大事。それも、できるだけ若いうちから始めるべきだという。

 次に登壇した柴田氏は栄養学の見地から、現代の日本人が抱えている問題点として、低栄養と過剰栄養の二重の負荷を同時に抱えていることを指摘した。

若い女性の過度のダイエットや高齢者のロコモにより食が細ることでの低栄養状態と、ファストフードなどの高カロリーでミネラル、ビタミン不足の食事によりメタボになる過剰栄養状態だ。

 望ましい「ロコモを予防する食事」は筋肉を丈夫にする栄養素タンパク質(アミノ酸)を含む肉・魚・タマゴ・大豆製品・牛乳・乳製品などをバランスよく食べ、タンパク質合成を促進し、骨を丈夫にする栄養素ビタミンD、B6、K、カルシウムなどを摂取する必要があるというものだ。具体的なレシピや調理法は、「からだごはんラボ」を検索してほしい。

 また、味の素では、生涯自立した生活を送りたいアクティブ・シニアのために、鈴木所長が実験結果を発表したロコモ予防に効果があるロイシン高配合必須アミノ酸混合物「Amino L40」配合サプリ「アミノエール」を新発売した。 =この項終わり 

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

脳科学者に聞く、男性の脳が女性の外見「バスト、ヒップ」に反応する理由

男性が支持するグラビアアイドルは、女性ファンが多いアイドルと比べて巨乳な確率が高いですよね。でも、そもそもどうして男性は巨乳が好きなのでしょうか?

「男性が女性を見た目で選ぶのは、男性が、『見た目で人を好きになる生き物だから』です」

そう説明するのは、『脳はなんで気持ちいいことをやめられないの?』(アスコム刊)の著者であり、医学博士、脳科学者としても活躍している中野信子先生。

■男性は、見た目で人を好きになる生き物
中野先生によると、男性の脳は、恋愛をするときには特に、視覚にかかわる「島皮質」が活性化するそうです。その理由はずばり、「健康で優秀な赤ちゃんを産める女性を見極めるため」。

というのも、バストやヒップが大きく、ウエストとの差が大きい女性から生まれた子どもと、そうでない女性の子どもを比較したところ、前者のほうがいい成績だという結果が出ているというのです。

「特に、お尻と太ももの脂肪は、脳の配線部分の原料となるEPAやDHAなどの脂肪酸を元に作られているので、お尻が大きいと、そうした栄養素を多量に持っているとみなされるのではないかと考えられているんです」(中野先生)

そうと知れば、すぐにでも「ボン・キュ・ボン」の理想的体型に近づくために、バストやヒップは維持しつつウエストを絞りたいものですが、冬の間に蓄えてしまった脂肪を落とすことはそうそう簡単ではありません。

■脳をだましてダイエット
しかし、「ダイエットこそ、脳の仕組みを知っておけばうまくいくものですよ」と中野先生。一体どういうことなのでしょう?

「その方法はとっても簡単。ずばり、脳をだませばいいんです。具体的には、食事している自分を想像するだけ。鮮明にイメージすることができれば、イメージしなかった場合と比べて、食べる量が20%ほど減ったという研究結果も出てるんですよ」(中野先生)

また、そのほかに「満腹中枢を刺激する物質を分泌させる」というのも有効な手段。

「恋愛などのドキドキによって分泌が高まる『ノルアドレナリン』は、満腹中枢を刺激してくれるんです。さらに、ノルアドレナリンは脂肪分解や脂肪燃焼を促進させる働きも有しているので、美を追求したい人にとってはうれしい存在ですよね。

ちなみに、ノルアドレナリンは、恋愛に限らずドキドキしたり闘争心を燃やしたりすることによって分泌されるものなので、夢中になれる趣味を見つけることもおすすめです」と中野先生。

とはいえ、趣味に夢中になりすぎて食事をおろそかにしてしまうことは禁物。脳の健康を維持するためにも、毎日の食事で十分な量の必須アミノ酸を摂取することは大切です。

「良質な必須アミノ酸は、赤身のお肉や大豆製品などのたんぱく質から取るようにしましょう。

たんぱく質が不足すると、攻撃的になったりイライラしたりとよくないことだらけ。もちろん、肌荒れの原因にもなるので、バランスのよい食事は心がけて、心身ともにヘルシーで魅力的な女性を目指してくださいね」

【メタボより怖いロコモ】骨粗鬆症潜在患者に治療啓発を 「骨で人生は変わる!」(3)

日本イーライリリーの医療セミナー「骨で人生は変わる! 忍び寄る“骨粗鬆(こつそしょう)症”の恐怖とその治療最前線」(東京)のリポート3回目。講演者は浜松南病院整形外科・リハビリテーション科の梅原慶太副部長だ。

 梅原医師は、転倒して手首を骨折する橈骨(とうこつ)骨折を「お知らせ骨折」と呼ぶ。治療が必要なほど骨粗鬆症が進んでいると知らせているからだ。

その知らせで現実に治療しているN子さん(71)のインタビュービデオが会場で流された。N子さんは手首の骨折の既往あり。その後、脊椎圧迫骨折もした。連鎖骨折だ。

 〈骨折したときは痛くて、何もできない。なんで私がと思いましたよ。仕事一筋でやってきて、唯一の楽しみのダンスも続けたいし、必ず治したいと思いました〉

 N子さんの話から、女性は何歳になっても若く美しくありたいと考えているのがよくわかる。

 「それだけ純粋に前向きに病気の治療と取り組まれる方が多い」と梅原医師。そして、日本人女性が骨粗鬆症である確率について、「50代は10人に1人、60代は3人に1人、70代は2人に1人」と明らかにした。

ほとんどの女性はいざ骨折して「なんで私が」と思うが、実は70代では2人に1人が骨折予備群の骨粗鬆症なのである。

 「他人ごとではありません」と梅原医師。

 また、欧米諸外国では大腿骨近位部骨折が減少しているのに、日本では増加の一途をたどっていることも指摘した。

 「氷山の一角です。日本の骨粗鬆症の推定患者数は1300万人といわれます。総人口の約1割、東京都の全員くらいが患者数だが、実際に治療を受けているのは約200万人。潜在する患者の多くが、治療を受けていないのが、骨折の増加につながっています」

 潜在患者が治療するよう啓発が大事だと強調した。しかし、女性特有の考え方が検査の邪魔をしているのかもしれない。

 「美しく若くありたい女性にとって、病院で骨密度の検査を受けることは老いを認めることになるということで、ついつい検診を受けるタイミングを失いがちです」

 ここで鳥取大学、萩野浩教授のデータを引用した。「大腿骨近位部骨折後1年間の骨粗鬆症治療状況(65歳以上2328人)」で「治療している」がわずか19%という。

 骨折の原因は骨粗鬆症で、ほとんどの人が手術を受け、整形外科医が関与しながら、この数字は何を意味しているのか。

 「お恥ずかしいけどこれが今の日本の医療の現実です」と梅原医師。

 次回に続く。 

【メタボより怖いロコモ】「骨で人生は変わる!」(2) 身長が縮んだら要注意!!

日本イーライリリー株式会社の医療セミナー「骨で人生は変わる! 忍び寄る“骨粗鬆(こつそしょう)症”の恐怖とその治療最前線」(2月、東京)のリポート2回目。講演者は浜松南病院整形外科・リハビリテーション科副部長の梅原慶太医師だ。

 骨粗鬆症は4大骨折を引き起こし、その人の人生を劇的に変えてしまう深刻な病気だ。

よくあるのは脊椎圧迫骨折だが、骨折した当人も気がつかない場合が多い。「3人に2人は自覚症状がない」とも。私の母もそうだった。ただの腰痛と思っていた。

 さらに恐ろしいのは、骨折は将棋倒しのように2度3度と連鎖して続けて起きる。私の母も最初の骨折から半年後、大腿骨頸部骨折で、寝たきりになってしまった。

早いうちに骨粗鬆症が明確な病気という意識を持って治療することが大事だと、梅原医師は強調する。

 「初期症状は、身長の低下です。でも、普通、身長はそんなに測ったりしませんよね。女性は体重計にはよく乗りますが、身長はあまり測らない(笑)」と梅原医師。

 骨粗鬆症患者に身長を聞いて、その後実際に測ると、平均して3-4センチの差があったという。実生活で「物干しざおが高くなった」などと感じたら、自分の身長が縮んだのではと疑ってみた方がいいかもしれない。

 骨粗鬆症で引き起こされる骨折の中で深刻なのが、大腿骨近位部骨折だ。私の母は室内で転んで、身動きできなくなり救急車で搬送された。

 「非常な痛みを伴いますので、みなさん救急車で運ばれ、80、90歳になってこんな痛いを思いをするとは思わなかったとおっしゃいます。人生最後の大けがといっていい。それが3分間に1人と増えているのです。

2-3日中に手術をしないと亡くなってしまう場合もあり、1年後に生きていられる確率は10-30%といわれております」

 よくある骨折の中で橈骨(とうこつ)遠位端骨折は、簡単にいえば転んで手をついたときに手首が折れる骨折で、比較的早い60代から起きる。梅原医師は「お知らせ骨折」と呼ぶ。

「転んだくらいで骨折するということは骨粗鬆症が進んでいるからです」

 残る1つは上腕骨近位部骨折。腕の付け根付近の骨折だ。

 「大事なことは転んだから折れたのではない。本来骨は非常に丈夫な組織です。それが転んだくらいで折れた原因には骨粗鬆症が隠れていることにぜひ気づいてほしい」

 骨折はまさに治療開始のお知らせなのだ。詳しくは次回に。 

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

メタボの次はロコモに注意【将来の要介護度チェック】

「ロコモティブシンドローム」、通称“ロコモ”という言葉をご存じだろうか。ロコモと言われると、なにかポップな言葉のイメージがあるかもしれないが、実は今年大注目の要注意健康キーワードなのである。

 今やすっかりお馴染みとなった健康用語に「メタボリックシンドローム」があるが、10年前はほとんど誰も知らなかったメタボの認知率がここまで上がったのは、厚生労働省が「健康日本21」という計画の中で、様々な広報活動を展開してきたからなのだ。

そしてこの3月から始まった健康日本21の第2次計画において、今度はロコモの認知率の向上が目標とされている。つまり、ロコモはメタボと同じくらい注意すべき言葉ということである。

 ではロコモとはいったい何か。卓球の福原愛選手のトレーナーとして有名な中野ジェームズ修一氏の著書『姿勢を変えてロコモ対策超入門』(扶桑社刊)によると、ロコモとは「運動器症候群」のことだそうだ。

筋肉、骨、関節などの体を動かすための器官=運動器の機能が低下することにより、将来、要介護になるリスクが高まってしまっている状態をロコモティブシンドロームと呼ぶのである。

「でも筋肉が衰えるなんて、ずっと先の話?」なんて侮ることなかれ。実は筋肉量は40代から目立って減少していき、特に交通網やエレベーター・エスカレーターなどが発達し、歩くことや階段を上ることが少なくなった現代人は、その衰えが著しいそうである。

 ある調査では、現在ロコモ及びロコモ予備軍と推測されるのは、全国で約4700万人。なんと40歳以上の5人に4人が将来、要介護になるリスクが高まっている状態なのだという。

 そこで、前出の中野氏の著書の中にある「中野式ロコモ危険度チェック」で、自分のロコモ度をチェックしてみよう。

【椅子の片脚立ち】

(1)高さ40cm程度の椅子に座って腕を胸の前で組み、片脚を伸ばして前傾姿勢をとる

(2)その状態で反動を使わず立ち上がり、そのまま3秒間キープ

この動作でぐらついてしまったり、上げた脚をついてしまった人は、筋力やバランス能力が低下しているロコモ予備軍!

※40cmという椅子の高さは40~50代の目安。20代は20cm、30代は30cmでチェック

 ただし、片脚立ちができなかったからと言って将来の要介護が確定したわけではないのでご安心を。

中野氏によると、40代であれば日常の生活活動強度を上げる、例えば階段を使ったり姿勢を整えるなどすれば、これ以上の筋肉の減少を抑えることができるそうだ。

逆に言えば、椅子の片脚立ちができたからといってエスカレーターばかりを使ってラクな生活をしていると、どんどん筋肉量が減少していき、いつロコモ予備軍になってもおかしくないということである。

このロコモ危険度チェックを機会に、自然と衰え行く自分の運動器と向き合ってみてはいかがだろうか。

【メタボより怖いロコモ】女性だけの健康体操教室会員60万人に 第1回ロコモサロン

ロコモ チャレンジ!推進協議会主催「第1回ロコモサロン」(東京、昨年11月)リポート。今回は、全国にフィットネスを展開するカーブスジャパンの「ロコモ啓発に関する取り組み」を、同社執行役員の齋藤光戦略企画部長が話した。

 同社では、「女性だけの30分健康体操教室」を全国で展開している。「筋力トレーニング+有酸素運動+ストレッチ」を組み合わせた30分ほどのプログラム。筋力トレーニングを30秒やり、有酸素運動を30秒というように交互に繰り返し、全身の筋肉を順次鍛えていく。

米国発祥で2005年にライセンス契約した同社が、翌年から全国展開。昨年10月には1365店舗、会員約60万人になったという。

 特徴は、(1)今まで運動とは無縁の40歳以上の女性が会員であること(40歳以上が90%で50~60代が中心)(2)始めやすい、続けやすい(女性だけ、短い30分プログラム、ターミナル駅でなくご近所に立地)(3)有効なプログラム(日米の専門機関でエビデンス)。

 医療費・介護費増の3大要因に次のようなアプローチをしているという。

 (1)メタボ対策(生活習慣病・血管疾患リスク低減)=国立健康・栄養研究所と共同研究
 (2)ロコモ対策(筋力・筋肉量・体力指標などの改善)=同
 (3)認知症対策(認知機能改善=東北大学加齢医学研究所と共同研究)。

 中でも、ロコモについては、トレーニングの結果、下肢筋肉が20%向上し、脚力と柔軟性の向上で転倒リスクが軽減するなどの介護予防効果が証明されたという。

 ロコモ対策はさらに、健康長寿医療センターや筑波大学久野研究室(システム脳科学)との研究を継続しているという。

 これらを踏まえた同社のロコモ啓発活動は、まずは会員向け。さらにその友人・地域社会、そして一般向けに行っている。

会員に対しては、部数60万~70万部の会員誌で専門医が「ロコモは体の動くうちから対策をしなければいけない」などとアドバイスしている。さらに、会員から友人にロコモ認知のための冊子を30万部配布した。

 この結果、会員へのロコモ認知度調査で、2010年8月の21%が13年5月には75%になった。

 また、同社は27都道府県150店舗で介護予防事業を展開しているが、そこでも啓発活動を行っている。そして最後に、「ロコモやメタボ、認知症への効果に関する確かなエビデンスをとり、皆様に広めていきたいと思います」と、齋藤氏は締めくくった。 (木村進)

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

【メタボより怖いロコモ】味の素はアミノ酸技術で貢献

昨年11月の「ロコモ チャレンジ! 推進協議会」主催「第1回ロコモサロン」リポート。経産省ヘルスケア産業課・鈴木隼人課長補佐の講演「日本再興戦略を踏まえた健康サービス創出に向けて」に続き、ロコモ啓発に取り組む4社が紹介された。

まず、味の素・健康ケア事業本部長の鈴木信二執行役員が同社の「アクティブシニア・プロジェクト」について報告した。

 同社は食品事業100年、バイオ事業50年、医薬事業30年、その中から健康ケア事業が立ち上がり、10年ほどという。

 「初めは、五輪のアスリートも応援するスポーツサプリメントを手がけ、やがて中高年の健康基盤食品の通販へ。

そして、介護・医療食、さらには採血だけで8つのがんの可能性をスクリーニングする“アミノインデックス”を開発。これを使いメタボやロコモの将来リスクの判定につなげる研究を続けています」

 こう前置きして、鈴木氏は超高齢社会になった日本は、高齢者がいかにアクティブに生きていけるかを考えるトップランナーであるとし、同社が健康寿命延伸に貢献するためにアクティブシニアプロジェクトを発足させたと説明した。

 「最重要課題はロコモの克服ですが、当社は食を通じた栄養状態の改善によって取り組んでいこうと考えています。近年、老化のカギを握る栄養としてタンパク質(アミノ酸)が注目されていますので、当社のアミノ酸技術で貢献したい」

 高齢者は筋肉量が減少し、運動機能低下、つまりロコモになる可能性が高くなる。そこで、同社のロイシン40%配合必須アミノ酸組成物(AminoL40)が、筋肉合成に有効という研究データを示した。

75歳以上の筋肉量の低い高齢女性にAminoL40を3カ月摂取してもらい、同時に運動トレーニングを続けた結果、筋量、筋力は約5倍に増加したという。

 同社のアクティブシニアプロジェクトの基本構想は3つ。

 (1)測定で現状把握(姿勢・歩行診断、将来はアミノインデックスなどでロコモ・リスク診断)

 (2)食・栄養の改善(ロコモ予防メニューWEBサイト「からだごはんラボ」で食事作り支援、AminoL40などで栄養ケア支援など)

 (3)良い姿勢(運動)の実施(ロコモ予防体操、姿勢体操など)

 この構想のもと、メディアや栄養士、ユーザー対象にセミナーを開催。日本体力医学会、日本アミノ酸学会で研究発表するなど具体的な啓発活動事例も明らかにしたうえで、鈴木氏は「健康づくりを味の素グループ全力で応援して参ります」と締めくくった。

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

「介護による家庭崩壊の危機は日本以外にない」と大前研一氏

高齢化が進む日本では、介護が今以上に深刻な問題となることは明白である。先進国に共通する介護問題だが、日本のように介護を理由に離職したり、家庭が崩壊する危機に直面させられる国はないと大前研一氏は言う。

 * * *

 親の介護のために仕事を辞めざるを得なくなる「介護離職」の増加が懸念されている。

 総務省の「就業構造基本調査」によると、2002年10月~2012年9月の10年間に前職を「介護・看護のため」に離職した人は105万4600人に達している。

また、厚生労働省の調査では、65歳以上の高齢者のうち認知症の人は推計15%で、2012年時点で約462万人に上り、認知症になる可能性がある軽度認知障害(MCI)の高齢者も約400万人いると推計されている。

 つまり、65歳以上(約3079万人)の4人に1人が認知症およびその“予備軍”となる計算なので、今後は介護離職を余儀なくされる人が急増するとみられているのだ。

 とくに共働き世帯の場合は、奥さんが義父母や自分の両親の介護や看護のために離職、もしくは正社員から契約社員やパートタイマーになって生活に窮したり、精神的・肉体的に疲弊したりして、家庭崩壊の危機に直面するケースも少なくない。だが、こんな国は世界で日本以外に見たことがない。

 たとえばアメリカでは、親が要介護状態になったら躊躇なく施設を利用するだろう。自宅で介護することはほとんどない。

自宅で介護するにしても離職はあり得ず、働き続けて給料の半分くらいでヒスパニック系の介護士などを雇う。デンマークやスウェーデンなど北欧諸国の場合は、寝たきり老人や認知症の老人をケアする公的な施設やサービスが充実している。

 中国のようにまだ大家族世帯が多い国では、家族の中の誰かが高齢者の面倒を見る。つまり、介護離職というのは、かなり日本独特の問題なのである。

【メタボより怖いロコモ】健康投資の重要性企業側に訴え 第1回ロコモサロン(3)

引き続き昨年11月の「ロコモ チャレンジ! 推進協議」会主催の「第1回ロコモサロン」のリポート。経済産業省ヘルスケア産業課の鈴木隼人課長補佐の「日本再興戦略を踏まえた健康サービス創出に向けて」という講演の続き。

 前回までは、アベノミクスの日本再興戦略の最重要政策の1つとして、高齢者のロコモなどを克服し健康寿命を延ばすため、健康関連産業育成に取り組んでいるという話だった。

そのうえで経産省としては、法律など制度面での整備、サービスの品質の見える化、企業と健保組合など保険者に対して予防活動の投資対効果を明らかにして広めることなどを進めるとした。

 「健康に関する新規事業を起こす場合、個々の事業計画を経産省に申請していただけば、私どもで厚労省に問い合わせて何かリスクがあるのかないのか、あらかじめ法律の適用の有無などを明らかにします」

 また、予防活動の効果を広める取り組みについてもいくつかの実例を挙げた。例えば広島県呉市の健保組合が糖尿病患者に対して行った予防活動の効果について-。

 「糖尿病が進むと透析のリスクもあるわけですが、そうしたハイリスクの方に保健師が定期的に面談や電話などで指導し、数年間で透析に移行した方はゼロだったという実績を上げています」

 有名になったタニタのケースにも触れ、社員食堂の充実やさまざまな社員の健康作りに取り組んだ結果、1人当たりの医療費が9%削減された事例として紹介した。

海外でも、ハーバード大学の研究で、企業が従業員の予防活動に1ドル投資することで、平均して約3ドル分の医療費削減効果が得られたというデータも紹介した。

 そして、鈴木課長補佐は「ロコモでもこのような投資効果を上げたデータを出していただきたいと思います」と呼びかけた。そういうデータを持って、経済団体などへも健康投資の重要性を訴えていくというのだ。

 「ロコモ対策の重要性についてもPRのお手伝いをさせていただきたいと考えております」

 また、新たな健康関連サービスを始める事業者に、支援の予算措置も考えていることも明らかにした(講演した昨年11月時点で10億円規模)。

 「ヘルスケア産業課が窓口になりますので、そのような事業計画をお持ちの方はぜひご連絡ください」と、鈴木課長補佐は締めくくった。

 政府の新しい健康サービス創出へのなみなみならぬ姿勢を感じる話だった。この後、いくつかの企業が取り組むロコモ関連事業について報告があったので、次回からリポートする。 

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

【メタボより怖いロコモ】「楽しく予防」健康関連、年間4兆円の新産業育成へ

引き続き「ロコモ チャレンジ!推進協議会」主催の「第1回ロコモサロン」のリポート。経済産業省ヘルスケア産業課の鈴木隼人課長補佐の「日本再興戦略を踏まえた健康サービス創出に向けて」という講演の続きだ。

政府の健康産業育成の方向性がよく分かる。

 鈴木氏は、約38兆円の国民医療費の約半分が70歳以上の高齢者によって消費されている現状に触れ、ますます高齢化が進む中、医療費の支出を予防分野に振り向けることで総医療費を抑制し、各人のQOL(生活の質)も高めたいとした。その1例として糖尿病のケースを挙げてこう続けた。

 「重症化すると週3回の透析と年間500万円の医療費が必要になります。その対象者は約10万人。その前段階で通院している方も約200万人で1人当たり年間数十万円の医療費がかかります。

このようにロコモも含まれますが、経年で重くなっていく疾病に関して、早め早めにその進行を止める予防が必要です。ですが、自らに食事制限などを課すやり方ではドロップアウトする方も多い。

そこで、楽しみながら予防活動ができるサービスがたくさん出てくるといい。そうした形で健康関連の新たな産業が創出されると考えております」

 創出される市場規模は年間4兆円に上り、1兆円の医療費削減効果が見込まれ、ロコモ関連では、さらに介護費用の削減も見込めるという。

これは安倍晋三首相が進める第三の矢としての新たな成長戦略・日本再興戦略の「戦略市場創造プラン」の1つ「国民の『健康寿命』延伸」に該当する。

 具体的には〈効果的な予防サービスや健康管理の充実により、健やかに生活し、老いることができる社会に向け、健康寿命伸長産業の育成〉と書かれている。

 「これは安倍内閣の重要政策ということです」と、鈴木氏は強調した。

 政府の戦略市場創造プランには、このほかすでに始まっている一般用医薬品のインターネット販売やロボット介護機器開発なども挙げられており、全体の市場規模では現在の16兆円が2020年で26兆円、2030年で37兆円。

雇用規模としては、現在73万人が2020年で160万人、2030年223万人という試算も明らかにされた。

 この後、鈴木氏は具体的にどのような取り組みをしているかについて話を進めた。それについては次回に報告する。 (木村進)

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

【メタボより怖いロコモ】医療費を抑制しQOLを上げるには 若いうちから健康に投資

いまやメタボに次いで“国民病”として認知されつつあるロコモ。その啓発に取り組む「ロコモ チャレンジ! 推進協議会」主催の「第1回ロコモサロン」が昨年11月に東京で開かれた。ロコモ関連の省庁や企業の動きをリポートする。

 同協議会は日本整形外科学会のもとに2010年に発足した。泉田良一委員長がまず登壇、宗教や歴史をひもときながらあいさつした。

 「宗教では、魂を重視し肉体を軽く見てきましたが、ルネサンス以来、肉体の復権が起こり、富国強兵時代にはドイツやスウェーデン、さらに日本でも体操などで国民の体を鍛え、兵隊さん、戦争の時代となりました」

 こう振り返った後、現代に話は移り、「人間が体を動かす動機は2つあります。

1つは遊び、1つは生活のためです。子供たちは自然の衝動でさまざまな遊びで体を動かしますが、最近では大人も東京マラソンなどのように体を動かす衝動に駆られています。

生活のための肉体労働は1960年代までは見られましたが、今は生活のため体を動かすことはなく飽食の時代になりました。そこでもう1つの体を動かす衝動が生まれました。それが健康を維持するための運動です」と続けた。

 「放っておけば太ってしまう体を運動で維持するというのは、西欧先進国の文化です。健康を維持するために運動することから、ロコモという考えも生まれました。メタボの次はロコモですので、しっかり情報を頭に入れてください」

 この後、経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課、鈴木隼人課長補佐が、「日本再興戦略を踏まえた健康サービス創出に向けて」と題した講演を行った。健康産業育成の政府の方向性と具体的な取り組みについて話したいという。

 「現在、国民医療費の総額は38兆円台ですが、2025年度には60兆円を超える勢いです。中身を細かく見ますと、70歳以上の高齢者の方が医療費の約半分を消費されている。

さらに高齢化が進むなか、このような構造自体を変えていかねばならないわけです。

それはロコモをはじめ生活習慣病などに由来する慢性期医療にかかる高額医療費を、若いうちから健康に投資することで健康な状態を長く維持し抑制する。

つまり健康寿命を平均寿命に近づける取り組みが必要と考えます。そのために医療外のサービスを活用できるようにすることで総医療費を抑制、一人一人のQOL(生活の質)も向上できると考えております」

 具体的な取り組みについては次回に続く。

■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

【メタボより怖いロコモ】母のドミノ骨折その後(10) 身長が縮んだら注意信号

母のロコモによるドミノ骨折は、その後、本人のQOL(生活の質)を激変させた。そればかりでなく介護する立場になった私たちの生活も変わった。何より、前回述べた経済的負担が大きい。

 昨年、所得税の医療費控除のため、計算したところ、母が骨折の手術をした一昨年の医療費の総額は約180万円。昨年の分はまだ計算していないが、1年間療養型病院に入院していたので、その入院費の自己負担だけで、1カ月約12万円かかっている。

 若いときの骨折は、私も覚えがあるが、リハビリをすれば元に戻る。しかし、高齢者の骨折は、ある意味命取りになる。

そして、母が骨折してから、いくつかの医療セミナーを取材したところ、高齢者の骨折は欧米諸国では減っているのに、日本では増えているという。超高齢社会となったいま、早急に対処しなければならないと考え、連載を始めた。

 そこでどんな対策が考えられるか。一言でいえば、骨折させないことが大事だ。まず、高齢者の骨折には前兆があることを理解しよう。私の母の場合は、腰の痛みだった。病院に連れて行ったら、脊椎(腰椎)圧迫骨折といわれ、びっくりした。

 半年後、ドミノ骨折、つまり連鎖骨折で大腿(だいたい)骨骨折して大ごととなった。この痛みに気づくことが大切だ。痛みが治まって骨折に気づかないケースも多いからだ。

 次にドミノ骨折の原因である骨粗鬆(こつそしょう)症に気づくことも大切だ。

女性は閉経後ホルモンバランスが変わり、骨粗鬆症の危険が増える。だから、自治体が骨粗鬆症検診を行っているが、受診率は全国平均でわずか5%だという。これをもっと高めなければならない。母の場合、骨折して初めて骨粗鬆症検査を行った。

 さらに簡単な兆候は、姿勢と身長の変化である。よく、「年寄り臭い」といわれる背中を丸めて前屈みの姿勢は前兆の1つ。また、身長が縮んで「小さくなった」と感じたら、それも前兆の1つである。かげに骨粗鬆症やロコモが隠れているかもしれないからだ。

 それでももし、骨折してしまったら、1日も早いリハビリが大事だ。整形外科の専門医は救急で運ばれた病院から「杖をついて退院できるか」が、寝たきりにならない1つの目安と言った。また、転院するリハビリ施設を選ぶのも重要だ。私の母はいずれもうまくいかなかった。

 母のケースはこれでひとまず終わり、次回からはロコモ推進協議会の最近の動きや骨粗鬆症治療の最新事情などをリポートする。

■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

【メタボより怖いロコモ】胃ろうで母の栄養状態改善、療養病棟へ

母が転院した療養型病院の担当医は、経鼻栄養を続けるという。栄養がとれないと背中が穴のようにえぐれている褥瘡(じょくそう=床ずれ)が治らない。母はたびたび鼻のチューブを抜いてしまうので、指が使えないようにミトンをはめられた。

 骨折で入院以来、半年ぶりに髪を切ると、すっかりやせた顔が現れ、祖母にそっくりだった。やがて、医者から胃ろうをすすめられた。さすがに抵抗感があり、知り合いの社会福祉士に相談すると、「簡単な手術だから心配ない。術後は元気になりますよ」といわれ、思い切った。

 胃ろう造設はPEGともいう。胃に入れた胃カメラの先の針を胃壁と腹部の外に突き刺し、出たところを切開して管を入れる口を作る。

そこにチューブを通して直接胃に栄養食を入れる仕組み。胃ろうについては最近安易に造設する傾向があるとして、延命治療との批判があるのは知っていた。だが、母の認知症を考えると、経鼻栄養より安定するかもしれない。

 胃ろうの造設手術は40分くらいで終わるので、付き添わなくても大丈夫ということだった。夕方仕事を終えて行ってみると、昼に手術は無事終わったという。ちょうど始まったロンドン五輪の開会式をテレビで見せる。

何をやっているのか分からないようだった。手術した院長から「順調ですよ。ストレスがないのか、胃はきれいでしたよ」ともいわれた。

 担当医は「胃ろうは作ったけど、できれば口から食べられるようにしたい」と言ってくれた。口から食べられると、生きる意欲がわくから、それで寝たきりから脱する場合もあるという。医者の言葉を信じたかった。

 胃ろうによる栄養摂取は徐々に母を元気にした。だが、母は口から食事をとれないことが自分では理解できないようで、いつも口をもぐもぐさせている。時々は、「今食べたばかり」などと言うから、口で食事をしているつもりになっているのかもしれない。

なんとか水だけでも飲ませたいが、口腔(こうくう)内は黴菌(ばいきん)だらけで、その水が誤飲して気管に入ると肺炎を併発するというから怖い。口から食事する場合、誤飲性肺炎は最も用心しなければならない。

 幸い、昨年1月から昼食の半分は口から食べられるようになった。「よかったね」と言うと「あまりおいしくないけどね」。やがて、3食口からとれるようになり栄養状態もよくなったので、褥瘡も完治。一般病棟から療養病棟に移ることができた。 (木村進)

■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

若い女性に「ロコモ症候群」が急増 2つのテストで「ロコモ度」診断

今、若い女性の体にある異変が起きている。「ロコモ」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。  「ロコモ」とは、ロコモティブ・シンドローム(運動器症候群)の略で、関節や筋肉が弱くなり、「座る」「立つ」「歩く」などの日常的に必要な動作ができなくなってしまう状態だ。これが今、若い女性に急増している。

 その「ロコモ」の疑いがあるかどうか、実際に街の女性でチェックしてみると、驚きの結果が出た。ほとんどの女性が、片脚立ちで靴下を履くことができない。さらに「全く運動をしてない」という女性の声も寄せられた。

 ロコモの主な症状は、「歩くとすぐに疲れる」「階段が登りにくい」「つまずきやすい、転びやすい」「椅子から立ち上がりにくい」「重いものを持つとすぐに疲れる」といったものがある。この原因としては、「筋力の低下」「バランス能力の低下」「骨、関節、筋肉の病気」「使わないことによる身体機能の衰え」などが挙げられる。

ロコモアドバイスドクターで東京大学医学部付属病院整形外科・脊椎外科の山田恵子医師によると「もともとロコモというのが、日本語で運動器症候群といって、骨や関節、筋肉、神経などの体を動かす部分、こういったものの障害が原因で、立ったり座ったり、階段を上ったり、簡単な日常生活に必要な移動ができなくなる、もしくは低下している状態」だという。

 丸の内で働く20代・30代女性352人にテストを実施した結果、30%の女性に移動機能障害がすでに始まっている傾向が見られ、さらに4%に「障害が進行中」という調査結果が出た。 ロコモの大きな原因は、慢性的な運動不足と言われている。 現代社会では、車による「ドア to ドア」の移動が増えていたり、エレベーターやエスカレーターを使ったりなど、日常的に体を動かす機会が減ってきていることが理由の1つだ。

 また、社会人になると運動する機会は極端に減り、男性に比べて女性は筋肉量が少ないため、「ロコモティブ症候群」になりやすいという。さらに、偏った食生活で筋肉や骨、軟骨が適正に作られない、神経細胞の機能が落ちるといったことも大きな要因であると言われている。

 山田医師は「ロコモが目に見えるような形になるのが50代~60代以降になるが、当たり前だが、50代~60代になってから急激に運動機能が低下するわけではなく、個人差が大きくなるのが50代~60代以降ということ。それまでは少しずつ運動機能が低下していく。例えばバランス機能は30代ぐらいから明らかに低下していくので、少しずつでも体を動かす習慣をつけたほうがいい」と対処法を語った。

「ロコモ度」は2つのテストで簡単に分かる。  1つ目は「立ち上がりテスト」だ。これは、脚の筋力を測ってロコモ度をチェックする。 方法はまず、高さ40cmの台に両腕を組んで腰掛ける。そして、両脚は肩幅くらいに広げ、床に対して膝が70度になるようにし、片脚のみで反動をつけずに台から立ち上がって、そのまま3秒間キープする。

 成功した場合はロコモ度1をクリアとなるが、失敗した場合は、20cmの台から両脚で立ち上がるというロコモ度2のチェックへ進むことになる。2つ目は、「2ステップテスト」。このテストでは歩幅を測定するが、同時に足の筋力、バランス能力、柔軟性などを含めた歩行能力を総合的に判定する。

 テスト方法はまず、スタートラインを決めて両足のつま先を合わせる。そこから、できる限り大股で2歩歩き、最後に両足を揃える。この2歩分の歩幅を測定するが、2回やって歩幅数が良かった記録を「2歩幅(cm)÷身長(cm)=2ステップ値」という計算式で算出する。

 この2つのテスト結果で、ロコモ度が分かるという。

 「どちらか一方の片脚で40cmの高さから立ち上がれない」「2ステップ値が1.3未満」の、いずれか1つでもあてはまる場合は「ロコモ度1」。「両脚で20cmの高さから立ち上がれない」「2ステップ値が1.1未満」いずれかひとつでもあてはまる場合は「ロコモ度2」となる。

 この診断で引っかかった人は、どのような対策をすればいいのか。

 ロコモ度1は、移動機能の低下が始まっている状態で、筋力やバランス力が落ちてきているという。そのため、日常生活の中で運動する習慣をつけて、たんぱく質とカルシウムを十分に含んだバランスの良い食事を摂るよう気をつける必要がある。ロコモ度2は、移動機能の低下が進行している状態なので、自立した生活ができなくなるリスクが高まっているという。何らかの運動器疾患が発症している可能性もあり、整形外科専門医の受診をおすすめする。

今からでもできる“体幹”鍛錬 ロコモ対策で目指せ健康長寿(2)

 こうしたロコモ防止の運動の裏には、健康長寿に対する認識を深める狙いもあるが、他の目的も。 「医療費や介護費用の伸びを抑えることです。高齢化社会の今、医療や介護に必要な国家予算も大きく膨れ上がっています。国民もそれ相応の負担増に悩まされている。そこで、骨折などをしないよう、介護不要の健康づくりの啓蒙活動が求められるようになってきたのです。中高年者は、そのような状況にならないためのロコモ対策を、早いうちから意識することが重要です」(整形外科医)

 そのめには、「七つのロコモチェック」と、「ロコモ度テスト」をしっかりとやっておく必要があるという。
 まず、「ロコモチェック」は次のようなものだ。

 (1)片足立ちで靴下が履けずにヨロケてしまう。
 (2)家の中でつまずいたり滑ったりする。
 (3)階段を上がるのに手擦りが必要。
 (4)家でのやや重い仕事が困難。
 (5)2キロ程度の買い物をして持ち帰るのが困難。
 (6)15分くらい続けて歩くことができない。
 (7)横断歩道を青信号で渡りきれない。早歩きが困難。
 「この七つ中で一つでも該当すれば、ロコモが心配されます」(同)

 次に「ロコモ度テスト」だが、こちらも以下の三つのテストの結果が、将来、ロコモとなる可能性を判定する材料となる。
 (1)片脚か両脚で決まった高さから立ち上がり、下肢の筋力を判定。
 (2)歩幅を測定することで下肢筋力、バランス能力、柔軟性など歩行能力を評価。
 (3)25項目の質問票で身体状態、生活状況をチェック。
 これらの詳細は、日本整形外科学会公認のホームページ『ロコモ チャレンジ』などに載っているので、挑戦しみてはどうだろうか。

 では、このテストで「将来、ロコモになる可能性が高い」となった場合はどうするのか。北里大学研究所病院理学療法士・新井雄司氏はこう説明する。「まず、スクワットを1日10~30回、片脚立ちを1日2~3セットを行うこと。また、両足で立った状態で、ゆっくりとかかとを上げて、ゆっくり下げる運動を1日20~40回(徐々に回数を増やす)を繰り返し、ふくらはぎを鍛える。

さらに腰に両手を押し当て、脚をゆっくり大きく前に踏み出し、太ももが水平になるくらいに腰を下げる。そして、体を上げて踏み出した足を元に戻す運動を、1日10~20回繰り返す。いずれも最初はきついものですが、体が柔らかく馴染んでくれば、そう難しい運動ではありません」

 さらに、新井氏はこう付け加える。
 「言い換えると、体の基礎部分の“体幹”と言われるところを鍛え、足腰の強化を図ることがロコモトレーニングでは重要になります。こうした鍛錬で、転んで骨折するような事故を防ぎ、交通事故などの重大障害を防ぐことにもつながるのです」現在、ロコモによって筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障をきたす要介護者やその予備軍は、4700万人いると言われる。今からでも遅くはない。健康長寿を目指し、対策に取り組もう。

今からでもできる“体幹”鍛錬 ロコモ対策で目指せ健康長寿(1)

 最近は、スポーツジムでも中高年者を多く見掛けるようになり、「ケガや病を持たない健やかな人生を送りたい」と願う人たちが多くなっているようだ。「“健康長寿”を長いスパンで捉え、将来的にも、入院・介護を受けずにいられる体づくりをしようと考え始めている人が多くなっているのではないでしょうか」こう語るのは、健康ライターの深見純一郎氏だ。

 厚労省が2013年に発表した日本人の健康寿命は、男性が71.19歳、女性は74.12歳。ここで言う健康寿命とは「介護の必要がなく健康的に生活できる期間」のことで、つまり、他人の助けを借りずに自立して生活できる年齢だ。同省では4年ごとにこうした調査を行っているが、'13年の4年前は男性が70.42歳、女性が73.62歳だったので、それぞれ0.77歳、0.5歳延びたことになる。おそらく、今年発表される健康寿命も延びていることだろう。

 しかし、健康に生活できる年齢が長くなることは喜ばしいことだが、前出の深見氏はこう指摘する。「'13年で言えば、日本人の平均寿命は、男性80.21歳で、女性は86.61歳。つまり、健康寿命との開きが男性は9歳、女性は約12歳もあるということ。この間、死ぬまでは健康とは言えず、寝たきりや介護を必要とし、1人では生きられない状態ということです。もちろん個人差はありますが、やはり健康寿命の平均をメドに、“生涯”、あるいは“死”というものをより身近に考える必要があるのではないでしょうか」

 現在、厚労省では、この健康寿命を少しでも延ばすことを目標に掲げ、'22年の平均寿命を男性81.15歳、女性が87.87歳と推計。健康寿命の延び幅が平均寿命の伸び幅を上回ることを目指している。

 そこで今、言われ始めているのが「メタボの次はロコモ」。メダボリック症候群は、肥満や高脂血症、糖尿病、高血圧などの二つ以上が同時に出る状態で、寿命にも関わるものとして指弾されてきた。しかし近年では、それよりもロコモティブ症候群(運動器症候群)のほうが問題視されているのだ。「“運動器”とは、骨や関節、筋肉などのことで、ロコモティブ症候群は、年齢を重ねるごとにこれらの機能が衰えてくるというもの。その結果、転倒して骨折するなどして、介護が必要になってしまう。そうしたことを防ぐ意味でも、日頃から体力をつけるトレーニングを積んでおけば、予防にもつながるのです」(医療関係者)

 東京都内には、ロコモの認知向上と運動機能改善を目指す『ロコモチャレンジ!推進協議会』がある。ここは整形外科専門医が参加し、サポート企業との連携で、ロコモの正しい知識と予防意識の啓発のための広報活動を推進している。また、埼玉県松山市で行われるウオーキングイベント『日本スリーデーマーチ』や、厚労省主催の『スマート・ライフ・プロジェクトフェア』などに同協議会も参加。“ロコモトレーニング”などの指導を行っている。

メタボより怖いロコモ】“骨粗鬆症”は老化ではなく治療すべき疾患

母が大腿(だいたい)骨頸部骨折をして以来、骨折関係の医療セミナーをいくつか取材した。なぜ、こんなことになったのか知りたかったからだ。

 昨年10月、東京・大手町で藤田保健衛生大学医学部の田中郁子講師が「骨粗鬆(こつそしょう)症治療の現状と対策」(主催・アステラス製薬)という講演を行った。田中講師は名古屋膠原(こうげん)病リウマチ痛風クリニックで骨粗鬆症患者の診療にあたっている。

 折しも「10月10日」は転倒の日。高齢者は転倒すると骨折しやすい。最初の骨折を起こすと骨折の連鎖といって次々に骨折していく。田中講師は「だから最初の骨折を起こさないことが大事です」と強調する。

 「骨折をするとまず整形外科にかかって手術で直しますが、あくまで骨折してからのことで、骨折の予防という意味では遅きに失したといえます」

 また、日本の人口ピラミッドについても触れ、富士山型からつりがね型を経てつぼ型になり、若い人が少なく、高齢者が多い頭でっかちの型になったと指摘。総人口に占める65歳以上の人口の割合が7%を超えると高齢化社会、14%超は高齢社会、21%超は超高齢社会だが、1995年には15%超で高齢社会、2007年には21%を超え超高齢社会に突入したと指摘する。

 「今後は高齢者に起こりやすい疾患を考えなければいけません。それが骨粗鬆症です。骨粗鬆症は老化の問題ではなく治療すべき疾患であることを捉えていただきたい。

わが国の年間発生者数は1280万人。それも閉経後の女性に多い。女性の50代で10人に1人、60代で3人に1人、70代で2人に1人と考えられます」

 女性はだんだん身長が低くなり、椎体骨骨折の結果、姿勢の異常がみられるようになる。転倒したり尻餅をついてグシャとつぶれたような椎体骨折の場合は整形外科にかかるが、じわじわとつぶれる場合は痛みも感じないので、医者にかからないケースもあるという。

 「骨は骨代謝を行うことで新陳代謝をしています。骨代謝にはエストロゲンが重要な役割を担っています。閉経によってエストロゲンの分泌が減り、骨代謝バランスがくずれてしまう。高齢社会になればなるほど女性の骨粗鬆症のリスクが増えるのです。

もう1つ大事なことは、成長期の子どもたちにはちゃんと栄養を取らせ、十分な運動をさせ、骨形成が十分行われるようにしなくてはいけません。これは将来わが国の骨粗鬆症を増やさない上では重要な課題です。

同様に妊娠出産期の若い女性に多い無理なダイエットも考えものです。そして子供の骨を形成するという意味で妊娠中の栄養も大事です」

 田中講師はダイエットや子どもたちの偏食にも警鐘を鳴らす。 

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

コタツで寝るとなぜ風邪をひく?

温かいコタツにすっぽりと身を収め、テレビでも観ながらまどろむのは、日本人ならではの真冬の悦楽。この冬休み、久しぶりの実家で思う存分“コタツでゴロゴロ”を満喫した人も多いのではないか。

ところで、昔よく母親から「コタツで寝ると風邪をひくわよ!」と怒られたものだが、これって何か根拠があったのだろうか? 新宿ライフクリニックの須田隆興先生に聞いてみた。

「一般的に風邪をひく原因には、単純に部屋が冷えているという環境的な要因のほか、脱水や疲労といった肉体的な要因が挙げられます。

コタツに長時間入っている状態では、局所的に加温され続けるため、知らず知らずのうちに体が疲労し、また、汗をかいて脱水症状を引き起こしやすくなります。そのまま眠ってしまったのであれば、何時間も水分補給が行えないわけですから、なおさらですよね」

体温よりも高く加温され続けることは、僕たちが自覚している以上に体に負荷を強いている。うっかりコタツで寝てしまった翌朝、全身に疲労や倦怠感を覚えるのはそのためだと須田先生は解説する。肉体疲労の結果免疫力が低下すれば、風邪を引きやすくなる可能性は大いにあるだろう。

「また、家族など複数でコタツに入っている状態というのは、人と人が非常に密着します。もしも、家族の誰かが風邪のウイルスを持っていたとしたなら、感染のリスクは高いといわざるを得ません」

そうでなくても、そもそもコタツを活用する時期というのは、一年のなかで最も風邪が猛威をふるうシーズンと一致している。風邪が感染性の病気である以上、これもまた軽視できない要因だろう。

コタツは冬の風物詩ともいうべき日本独特の文化だが、せっかくのオフをまるまる風邪でつぶしてしまうようなことがあってはもったいない。皆さん、どうか適切なコタツ・ライフを!

治療の難題をクリア 「進行パーキンソン病」新薬の実力

9月1日にパーキンソン病の新しいタイプの治療薬の発売が開始された。これにより、進行パーキンソン病患者の治療の選択肢が増えた。

 パーキンソン病は、多くは原因不明で、脳の黒質という部分の神経細胞が減少し、運動の仕組みを調節する働きを担う物質「ドーパミン」が減る疾患だ。

 主症状は「動きが緩慢になる・動けなくなる=無動」「手足が震える=振戦」「筋肉が硬くなる=固縮」「体のバランスが悪くなる=姿勢反射障害」の運動症状。加えて、非運動症状といわれる自律神経症状、睡眠障害、精神症状、認知機能障害、痛みなども見られる。これらの症状が出る前に、便秘、嗅覚障害といった前駆症状も分かっている。

 残念ながら完治する手段はなく、薬で症状を抑えるしかない。しかし、発症して間もない時期には薬はよく効くが、発症後、5~6年経過する頃には、効果にばらつきが出てくる。次第に効きづらくなり、さまざまな症状が表れる。

「ウエアリングオフ現象やジスキネジア現象が見られるようになり、より進行すると運動・非運動症状の増悪、認知症、転倒などが起こりやすくなります」(順天堂大学医学部神経学講座・服部信孝教授=以下同)

■症状に応じて投与量を微調整可能

 ウエアリングオフ現象は、スイッチをオン・オフするように、服薬後、数時間で薬の効果が切れて動けなくなる(オフ状態)。ジスキネジア現象は、自分の意思とは関係なく、体の一部が自然に動く。

 今回の新薬は、既存の薬物治療では十分な効果を得られず、ウエアリングオフ現象などが起こるようになった患者を対象としたもの。

 経口投与だった既存薬と違い、今回登場した新治療薬は、専用のチューブを通して空腸(小腸の一部)へ直接薬を投与する。しかも、16時間持続して、だ。チューブは、腹部に開けた穴(胃ろう)から空腸へつなぐ。

 なぜ、パーキンソン病は進行すると薬物治療で症状をコントロールすることが困難になるのか? 服部教授は次の2点を挙げる。

 まず、「有効治療域の狭小化」だ。

「パーキンソン病が進行すると患者さんが動きやすいと感じる薬物の血中濃度の幅(有効治療域)が狭くなります。これに対して、断続的な経口薬では対処ができない」

 次に、「胃内容物排出遅延」がある。

「パーキンソン病では胃など消化管の働きが悪くなり、胃内容物の排出に遅れが生じます。すると、薬剤が小腸で吸収されるタイミングにばらつきが生じ、薬物血中濃度を安定して維持するのが難しくなるのです」

 空腸へ直接、16時間持続して投与する新治療薬なら、この2点の問題がクリアできる。

 臨床試験では、重度の運動症状が見られる進行期パーキンソン病患者が、新治療薬に切り替えた。すると、投与12週間後には、1日当たりの平均オフ時間(薬の効果が切れて動けなくなる時間)が、既存薬より大幅に減少した。その後、52週以降の評価でも、明らかな差ができた。

 これまでのパーキンソン病の薬は、数年すれば効きづらくなっていたが、今回の新治療薬は世界でも2年間のデータしかないので、その点は分からない。

「しかしこの薬の利点は、患者さんに応じて投与の量を調整できるところ。経口薬では、副作用を心配して十分量使用できない傾向があったが、それが、効き目を見ながら微調整できるのは大きいです」

 新治療薬で「希望が生まれた」と話す専門医もいるという。

運動不足は寝たきり予備軍? 元気な老後は”“ロコモ”が鍵

最近、目にすることが多くなった「ロコモティブシンドローム(運動器症候群、通称ロコモ)」。運動不足…という人は、要注意です。

◆元気に年を重ねるために重要。「ロコモ」の予防を考えよう

要介護や寝たきりになる原因の多くを占めるのが、実は、腰痛や膝痛など関節の痛みや、転倒による骨折といった、骨・関節・筋肉等運動器の障害。そのため、運動器の障害を“予防”するために近年提唱され始めたのが「ロコモ」です。

「ロコモ」とは、骨・関節・筋肉などの運動器の機能が衰え、歩行や立ったり座ったりなどの日常生活に支障をきたし、寝たきりや要介護になるリスクが高まった状態のこと。直接命に関わるものではありませんが、自立して暮らすためには若いうちから意識しておくべき。

高齢者だけではなく、体力や筋力が衰え始める50代から注意が必要です。年齢にかかわらず左記の「ロコチェック」に該当するものがあれば、整形外科専門医に相談することをおすすめします。

【ロコチェック】
□片脚立ちで靴下がはけない
□家の中でつまずいたり滑ったりする
□階段を上るのに手すりが必要
□家のやや重い仕事が困難
□2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難
□15分くらい続けて歩けない
□横断歩道を青信号で渡りきれない
(ロコモ チャレンジ!推進協議会WEBサイトより)

現在は症状が無くても、定期的な運動は重要。「ロコモ」の予防、改善のために考案されたトレーニング「片脚立ち」で、無理なく日頃から骨と筋肉を鍛えましょう。

【片脚立ち】
背筋をまっすぐにして、床につかない程度に片脚をあげ1分間キープ。左右1日3セット行います。
※転ばないように、何かにすぐにつかまることができる状態で行う。支えが必要な人は、机やイスにつかまって行う

取材協力
福岡和白病院 関節症センター長
林 和生 先生

パーキンソン病、リハビリは「散歩」 岡山旭東病院の柏原神経内科部長に聞く

パーキンソン病をテーマにした市民健康講座が20日、岡山市北区駅元町の岡山コンベンションセンターで開かれる。患者は国内に約15万人と推計され、高齢化に伴い増加の一途をたどっている。講座を企画した岡山旭東病院(岡山市中区倉田)の柏原健一神経内科部長に、パーキンソン病の治療法や家庭で取り組めるリハビリ、市民健康講座の内容などを聞いた。

 ―パーキンソン病を発症する原因は。

 手の震えなどの運動障害は中枢神経に作用する神経伝達物質・ドーパミンの減少によることは分かっていますが、なぜ減るかという根本的な原因は分かっていません。また、全体の5~10%は遺伝性です。α―シヌクレインという物質が中枢神経系や末梢(まっしょう)の自律神経系に病的に蓄積され、神経細胞を障害して発症するのです。

 ―どういう症状が出ますか。

 手足が震えたり歩幅が小さくなったり、動作が緩慢になったりするのが最も知られた症状ですが、そこまで進行する以前に便秘や頻尿、寝言、うつといった症状が現れます。発症後20年ほどすると、約8割の人に認知症の症状が現れます。とはいえ、健康な人でも加齢とともに認知機能は衰えていきます。パーキンソン病だから認知症の症状が早く出たり、程度がひどくなるとは限らないので、悲観しないでください。

 ―治療方法を教えてください。

 脳内で不足するドーパミンを増やすレボドパと、ドーパミンの受容体を直接刺激するドーパミンアゴニストのいずれか、あるいは両方を処方するのが一般的です。レボドパは非常によく効く半面、長い年月にわたり飲み続けると、副作用として意思とは関係なく体が動く不随意運動が起きやすくなります。ドーパミンアゴニストはその副作用のリスクは小さいが、レボドパほどの薬効はありません。初期はどちらを使っても効果はあまり変わりませんが、少ない副作用で良い効果が得られるよう、年齢や症状を勘案して薬を選択します。

 ―日常生活で取り組めるリハビリは。

 日常生活の全てがリハビリといえます。まずは散歩をしてください。手を大きく振り、足をしっかり上げることが大事です。趣味のサークル活動やカラオケも良いです。大事なのは家族のサポート。家族はチーム医療の一員です。しっかり患者さんを支えてください。

 ―市民公開講座は年2回開き、今回で27回目を迎えます。長年続ける理由は。

 パーキンソン病は運動、精神、認知、自律神経などさまざまな問題症状が出て、しかもその症状は患者さんごとに異なります。治療も、薬、手術、リハビリなどがあります。そのため、治療の考え方が専門医によって若干異なることがあります。だからこそ、全国で活躍している専門医に協力を求め、それぞれの知見を分かりやすく話してもらっています。家族を含め、幅広く正しい知識を持ってもらうことが良き治療と豊かな生活につながります。前向きに病気と向き合ってください。

 ◇

 市民健康講座では、千葉大病院神経内科の平野成樹講師が「パーキンソン病との付き合い方」のテーマで講演。音楽療法士で倉敷北病院リハビリテーション科の松鹿滋子さんと、岡山旭東病院リハビリテーション課の藤田直也さんが「リズムに乗って歌ってみよう」と題し、音楽に合わせた体操を実演する。

「パーキンソン病」 上手に付き合うポイントと最新治療法

パーキンソン病は、脳の黒質でドーパミン神経細胞が減少する病気。これまでは「脳だけの病気」と考えられてきたが、近年、「全身の病気」だと分かってきた。

 症状は、手足の震え、筋肉のこわばり、全身の動作が遅くなる、倒れやすいといった「運動症状」。さらに、便秘、レム睡眠行動異常症、嗅覚低下、立ちくらみなどのさまざまな「非運動症状」が出る。

 東京慈恵会医大葛飾医療センター神経内科・鈴木正彦診療部長は、パーキンソン病と上手に付き合っていくための要点を次のように挙げる。

(1)治療は「症状に応じて」「きめ細やかに」

 パーキンソン病治療薬は、発症して間もない時期にはよく効くが、発症後5~6年経過するころには、効果にバラツキが生じてくる。

「服薬後、数時間で薬の効果が切れて動けなくなる『ウエアリングオフ』と、自分の意思とは無関係に体が自然に動く『ジスキネジア』を生じるようになり、どう対処するかが重要です」

 患者が最も困っている症状に対し、服薬量や服薬回数を適宜調整する。最近では貼り薬や自己注射薬なども登場しているので、生活環境を勘案しながら適正に使用する。

「薬の量が増えれば副作用も増します。いかに薬効は高く、副作用は少なくするか。専門医とのコミュニケーションが重要となりますので、普段、困ったことは受診時にすぐ伝えられるよう書き出しておくとよい」

 症状や進行度は十人十色。パーキンソン病は進行性の病気であるため、症状に応じて、細かく薬剤を調整していかなくてはならない。病気に精通した専門医と上手に付き合う姿勢も必要だ。

(2)便秘のコントロールとリハビリ

 今、治療のポイントになっているのが便秘のコントロールだ。便秘は高度になると薬の吸収率が下がり、症状の悪化につながることもある。

「薬の効果を十分発揮させるためにも、四肢・体幹のストレッチなど毎日の自己リハビリは欠かせません。積極的に、食事の前に1日3回はぜひ実践していただきたい」

 徹底して行えば、パーキンソン病の進行期、すなわち薬の効き目が悪くなる発症10年目以降も、健常者と同じまではいかないにしろ、杖なしでハイキングに行ったり、ゴルフを楽しんだりすることは十分可能だ。

「パーキンソン病薬は飛躍的に向上しています。それだけに、自己判断で服薬調整しないようにしましょう。かかりつけ医と専門医を上手に利用して、病気への良好な対応を継続することが非常に大切。パーキンソン病以外の病気を抱えている方も少なくなく、そういう意味でも、患者、かかりつけ医、専門医のトライアングルを意識すべき」

■「脳深部刺激療法」と「ビタミンD投与」に大きな可能性

 現在、パーキンソン病の最新治療で注目をされているものが2つある。

 ひとつは「脳深部刺激療法」。局所麻酔を用いた簡単な手術で脳の運動に関わる部分に電極を留置し、弱い電流で刺激を与える。これで薬の量を減らせる患者も多い。

 もうひとつは、ビタミンDの投与だ。

 パーキンソン病患者は健康な人に比べてビタミンDの血中濃度が著しく低く、その濃度が低いほど重症度が高いことが指摘されている。鈴木部長は同院の患者の協力を得て臨床研究を実施。二重盲検ランダム化比較試験の結果、1年後に症状の進行が抑制された患者の割合は、ビタミンD服用群で6割に達した。

 ただし、ビタミンDがパーキンソン病の進行を抑制できる可能性は示唆されたものの、「今後の国内外の研究結果が待たれる状況」と鈴木部長。安易に手を出していい治療では「まだ」ない。

30代から罹患も予防に光明! 研究進むパーキンソン病

団塊の世代が80歳以上となる2030年、パーキンソン病患者は28万人を超えるとみられている。患者の年齢も30代から80代と幅広いが、悲観するにはあたらない。薬物療法が大きく見直されるとともに、進行を抑える研究も進んでいる。

 パーキンソン病などの神経変性疾患を専門とする東海大学病院神経内科准教授の馬場康彦医師は、パーキンソン病の薬物療法を奏功させるためのポイントについて、次のように指摘する。

「患者さんにつけていただいた症状日誌に基づき、主治医が一日のうちでいつ、どのような症状が起こるかを把握したうえできめ細かく処方調整することが重要です。私たちは、たとえば効果の持続時間が短くなる『ウェアリング・オフ』が起きる直前に内服していた薬剤を増量する、自らの意思に関わりなく身体が動いてしまう『不随意運動(ジスキネジア)』が起きる直前に内服していた薬剤を減量する、補助薬を併用するなどの工夫をすることで、患者さんに支障なく日常生活を送っていただけるよう努めています」

 薬物療法の問題点は、進行とともに薬剤の種類や用量が増え、用法が煩雑になると、指示どおりに服薬する患者が少なくなることだ。主治医は患者が指示どおりに服薬していることを前提に処方調整をおこなっているため、自己流の誤った服薬は厳に慎みたい。

「薬物療法の効果が頭打ちとなっても、次の一手として手術療法の脳深部刺激療法の有用性が確立していますし、今夏には十二指腸に入れたチューブからジェル状のレボドパを小型ポンプで持続的に注入する治療が実用化する見込みです」(馬場医師)

 脳内でドパミンの効果を発揮させるため、ドパミンの前駆物質とドパミンの効果を保つ薬剤の合剤であるレボドパを投与する「レボドパファースト」の治療を開始して5年、神奈川県在住の主婦(54歳)は症状の進行とともにレボドパの用量・用法を見直し、補助薬を加えることで、病気を苦にすることなく充実した日々を送っている。

 日常生活の改善により、パーキンソン病の発症や進行を防ぐことはできないだろうか。

 東京慈恵会医科大学葛飾医療センター神経内科診療部長・准教授の鈴木正彦医師はこう語る。

「当科を受診された患者さんにご協力いただいて臨床研究をおこなった結果、ビタミンDのサプリメントを摂取することによりパーキンソン病の進行を抑制できる可能性が示されました」

 ビタミンDは、魚介類、きのこ類などに多く含まれ、日光を浴びることにより体内でつくられる栄養素であり、ドパミン神経がドパミンを生合成する過程にも大きく関与する。

 パーキンソン病は非運動症状として便秘やうつ状態などをきたすことが多く、食事量が減ったり日中の外出を控えたりするとビタミンD不足に陥りやすい。

 これまで国内外の研究により、パーキンソン病患者は健常人に比べ血中のビタミンD濃度が著しく低く、またビタミンD濃度が低いほど重症度が高まることが明らかにされてきた。

 鈴木医師らは、パーキンソン病と診断され、書面で同意を得た患者を対象に、ビタミンDのサプリメントを1日1回12カ月間投与した群56例、同様にプラセボ(偽薬)を投与した群58例において二重盲検ランダム化比較試験をおこなった。

 その結果、ビタミンD群では症状が改善した患者の割合が6割に上り、プラセボ群に比べ有意に高かった。遺伝子検査では、ビタミンD受容体のタイプによって効果に差があることがわかり、ビタミンDの摂取が有効な患者を推定できる可能性も示された。

 一方、ビタミンDはとりすぎると高カルシウム血症をきたして腎不全や尿路結石などのリスクが高まるが、血中カルシウム濃度が異常値を示した例はなかった。この研究は13年に米国医学誌に発表され、これまで多くの文献に引用されている。

 鈴木医師は、「私たちの研究結果が実臨床で生かせるようになるには、多施設でより多くの患者さんを対象に追試が行われ、有効性、安全性が検討される必要があります」という。

 あわせて、パーキンソン病とビタミンDの関連が詳細に明らかになれば、予防にも有効な手段が見いだせるかもしれない。

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全国に4700万人いるロコモティブシンドロームの症状と対処

ロコモティブシンドローム、通称“ロコモ”をご存知だろうか? ポップなネーミングだが、実は足腰の衰えや障害によって要介護になる危険性が高い状態のこと。しかも、衰えは40代から始まっているので、その世代の人はすでに対策が必要だ。

「ロコモとは、筋肉や骨、関節という運動器に障害が生じたり運動機能が低下したりして、要介護や寝たきりになったり、その危険性が高まることをいいます」

 と解説するのは、東京ミッドタウンメディカルセンター平石貴久特別外来の平石貴久さん。

「糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症などが心筋梗塞を引き起こすメタボリックシンドロームは、多くの人に認知されていますが、ロコモもそれに並ぶ現代人の国民病。

東京大学の研究チームによると、ロコモ予備軍は全国に4700万人もおり、これは40才以上の男性の84%、女性の79%に当たります。

つまり、40代以上の10人のうち8人がロコモ予備軍ということになります」(平石さん・以下同)

 また恐ろしいことに、ロコモは運動器だけに支障が出るわけではない。

「ロコモになると体を動かせなくなりますし、予備軍の状態でも運動量はかなり減ります。すると基礎代謝が低下するので、メタボになる可能性も高まる。さらに、引きこもりがちになったり、慢性的な痛みが続くことで鬱になり、認知症を引き起こすこともあるんです」

 このように、ロコモはさまざまな病気を引き起こす原因にもなる。そして、ロコモは男性よりも女性のほうがなりやすいというから要注意。

「女性の場合、閉経後に女性ホルモンが減少するため、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)が急速に進んで骨折しやすくなります。その結果、ロコモになりやすいんです」

 しかしこのロコモ、日ごろの心掛けで予防することができるという。

「90才を超えても元気な人は、しっかり筋肉がついているのが共通点。先日亡くなった森光子さんが80才を過ぎてもでんぐり返しができたのは、日々スクワットでトレーニングをしていたからです。

筋肉は使わないと衰えるので、長持ちさせるためには意識して動かすトレーニングが必要。また、骨もカルシウムやビタミンDなどの栄養を摂るだけでなく、運動で刺激を与えると骨量が増え、丈夫な骨が作られます」

 とはいえ、日常生活に必要な筋肉を鍛えるには、ハードなトレーニングは必要ない。ごく簡単なトレーニングを継続するだけでロコモは予防でき、なおかつ現在悩んでいる腰やひざの痛みも解消するという。

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【メタボより怖いロコモ】後期高齢者医療費30兆円に ロコモの2025年問題

今回も9月の日本整形外科学会記者説明会で取り上げられた「ロコモの2025年問題」について(「ロコモチャレンジ!推進協議会」副委員長で名戸ヶ谷病院院長の大江隆史氏の講演から)。

 私も団塊の世代だが、2025年には後期高齢者になる。今の後期高齢者医療制度では、自己負担は1割。所得によっては高額療養費の自己負担限度額があり、払った医療費からかなり戻ってくる。

 つまり、25年問題とは団塊の世代が後期高齢者になり社会保障費の高騰を招くと懸念されるものだ。医療費急増のグラフをみてほしい。25年には05年の約3倍、15年の約2倍の約30兆円に達する。

 問題はこの医療費を押し上げる要因としてロコモが挙げられることだ。「ロコモチャレンジ!推進協議会」の行った「2013年度ロコモ生活者意識全国調査」では、協議会が定める7つのロコチェックの1つでも当てはまればロコモの可能性があるが、調査では70代男性の6割、女性の7割が該当するという結果が出た。

 この世代は25年には後期高齢者になっている。05年時点で、ロコモ予備軍は4700万人といわれ、総人口の3分の1を占めていた。25年にはこの割合は一層高まるに違いない。さらに重要な指摘があった。

 「社会の利便性向上により運動機会が減少し、ロコモの危険性に拍車をかけている」というのである。例えば国内のエスカレーター保有台数は右肩上がりで伸びているのだが、1日当たりの歩数は逆に減る一方なのだ。

 それでも、まだ都市部の方が歩いている。県別に見ると、歩数のトップ3は兵庫県(男7964、女7063)、東京都、神奈川県。最下位は男が鳥取県、女が山梨県でトップより2000歩ほど少ない。地方は車社会なので運動機会がさらに減るのではないかとみられている。

 つまり、このままでは日本は確実に「ロコモ大国」となる。そこで、早期にロコモの危険性を知り、各自が対策に取り組むことが大事だとしている。まだ若いうちに自らのロコモ度を把握し、ロコトレ+ウオーキングでロコモ克服を目指そうと提唱している(ロコモ度テストやロコトレなど詳しくは「ロコモチャレンジ」で検索)。

 団塊の世代よ、歩け。

 次回は運動機能強化に効果があるアミノ酸の話。 

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

【メタボより怖いロコモ】社会保障費の高騰に懸念… ロコモの2025年問題

日本整形外科学会の記者説明会では、「ロコモの2025年問題」が取り上げられた。「ロコモチャレンジ! 

推進協議会」副委員長で名戸ヶ谷病院院長の大江隆史氏の講演を要約して、「2025年問題」とは何かを記す。

 グラフのように、2025年には、1947-49年生まれのすべての団塊世代が、75歳以上の後期高齢者になる。それより前の20年には、75歳以上の後期高齢者が65-74歳の高齢者人口を追い抜いているが、その差がグンと広がっている。

当然ながら、医療費も増加し、25年には、28兆円と予想される。その10年前の約2倍である。つまり「2025年問題」とは、社会保障費の高騰が懸念されるわけだ。

 ところで、新聞などの表記でも、マチマチなのだが、いまだに日本は高齢化社会などと表記している場合があるが、間違いで07年から日本は超高齢社会に突入しているのだ。高齢化は先進国の中でも、群を抜いている。

 ここで、興味深いのが、協議会の行った「2013年度ロコモ生活者意識全国調査」だ。協議会では、「片脚立ちで靴下がはけない」など簡単な7つのロコチェックを設定している。

その1つでも当てはまればロコモの可能性がある。この調査では、70代では男性の6割、女性の7割がロコチェックに該当するという結果が出た。

 05年時点で、ロコモ予備軍は4700万人といわれ、総人口の3分の1を占めていた。25年に団塊の世代が後期高齢者になると、この割合は一層高まるに違いない。

 さらに興味深いのは、10年と25年での都道府県別高齢者増加数を見ると、トップ5は東京、神奈川、埼玉、大阪、千葉の順で、都市部の高齢化が指摘される。


同時に、住民の高齢化だけでなく、建物の高齢化も心配される。ベッドタウンによくある低層集団住宅では、階段しかない建物も多い。

 都市部の高齢化では、(1)マンションからの外出困難(2)近隣住民との関わり希薄(3)引きこもり(4)買い物難民などの結果、移動能力が低下し、1人で外出できない人が増え、孤立化していくと指摘されている。

 実は、私も団塊の世代だ。次回も本当に人ごとではない2025年問題について続ける。 (木村進)

 ■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。
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