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「羊毛とおはな」のはなさん死去、36歳。若い世代にも増えている「乳がん」とは?


4月8日、アコースティックデュオ「羊毛とおはな」のボーカル、千葉はなさんが厚生連高岡病院にてご逝去されました。

2004年インターネットのバンド募集で出会ったギターの市川和則氏と共に「羊毛とおはな」を結成され、2007年にデビュー。女性らしい柔らかな歌声で人気を集め、CMや映画音楽を手がけるなど幅広い活動をされていました。

報道によると死因は「内臓疾患」とのことですが、公式ブログによるとはなさんは平成24年の7月に「乳がん」と診断され、歌手活動を休養されながら闘病生活を送られていたそうです。

36歳という若さでこの世を去られたはなさん。最近では、若い世代の人にも急増している乳がんについて簡単に説明します。

◆12人に1人の割合!女性で一番多いがんは「乳がん」
乳がんとは、乳房の組織である「乳腺」から発生するがんです。乳腺は母乳をつくる「小葉」と母乳が通る「乳管」から構成されており、およそ9割が乳管で発生します。

乳がんは大きく「浸潤がん」と「非浸潤がん」に分かれ、浸潤がんになってしまうとがん細胞が乳房内の血管やリンパ管に流れてしまい、乳房以外の他の臓器に転移してしまいます。

国立がん研究センターの調査によると、乳がんは女性で12人に1人の割合で罹患するリスクがあり、女性が一番かかりやすいがんなのです。

◆乳がんになりやすい人とは?
乳がんになりやすい年齢は、ピークとしては40歳代なのですが、現在では30歳代での発症も増えてきています。

乳がんの原因としては、初経が早かった人、妊娠・出産・授乳した経験がない人、出産回数が少ない人は、結果的に月経の経験回数が多く乳腺への刺激が多いため、乳がんになりやすいといわれています。

また、脂肪分の高い食事はエストロゲンの分泌を増やすので、食生活の欧米化やアルコール摂取量が増えたことなども、乳がんになりやすい要因です。

さらに、母親や姉妹などの家族に乳がんだった人がいる人は、遺伝的に乳がんになるリスクが高くなります。

この他、過去にホルモン療法を行った経験がある人(現在治療中の人)、閉経後に太った人も、乳がんになりやすいといわれています。

◆早期治療が有効!検診とセルフチェックで異常を発見できる
がんは早期に発見して治療すれば、治癒する可能性が高いことも分かっています。

早期発見ならば、乳房を温存するなど自分が希望する手術や治療法を医師と相談することもできます。

乳がん検診は少なくとも2年に1度は受けるようにしましょう。職場での健康診断でもできるほか、多くの自治体では住民健診として実施されています。

また、乳がんは自分で見つけられる数少ないがんのひとつです。鏡の前で両方の乳房に異常がないかを観察しましょう。

その後、仰向けに寝て腕を挙げた状態で指の腹で乳房と脇の下をまんべんなく触って、しこりなどの違和感がないか、乳頭をつまんで血のような分泌液が出ないか確かめてください。

セルフチェックは生理が終わって1週間前後に行うのがよいでしょう。月に1度セルフチェックを行えば、乳がんの早期発見につながります。乳がんは早期発見、早期治療が非常に有効ながんだと言われています。

また、近年では若年化がすすみ、20代、30代で発症も増えているがんです。「まだ私は大丈夫」なんて思わずに、改めて自分のカラダを振り返ってみてはいかがでしょうか?

参考:
「羊毛とおはな」オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/youmoutoohana/

高度な治療むなしく 子供たちのために声帯摘出したつんく♂


つんく♂(46才)の喉頭がんが発覚したのは、昨年2月のことだった。当初は手術を回避し、放射線治療で「寛解」(がん細胞が消失すること)を目指す道を選んだ。

「奥さんが何軒も病院に聞いて回り治療法について調べたそうです。そして彼は通常の放射線だけでなく、『陽子線治療』といって、より高度な施術も受けることになった。

この施術を受けられるのは、日本国内で10か所しかなく、しかも保険外診療なので、2か月の治療で300万円ほどかかるんです。

それでもつんく♂さんは、“声帯手術だけはどうしても避けたい”と、陽子線治療設備のある千葉県の病院に通って、治療に専念していたんです」(つんく♂の知人)

 セカンドオピニオン、サードオピニオンを経て辿り着いた医師と、妻と二人三脚で治療を進めたつんく♂。同年9月には担当医から「完全寛解」を宣言されたとブログに喜びを綴っていた。

「先生からの太鼓判をいただいた今、今後は今まで以上に『愛のある唯一無二なる仕事』をしていきたいです」

 しかし、悪夢はそのわずか10日後にやってきた。がんが再発見されたのだ。知らせを受けたのは、モーニング娘。

2014のコンサートに立ち会うべく家族とともに向かったニューヨークでのこと。コンサートを見届けた一家はUターンするように帰国した。

「画像検査等で腫瘍が消えていれば、通常は寛解と診断されます。

その後、周辺細胞を採取して検査しますが、実際にはがん細胞が残っているのに、採取した部分にたまたまがん細胞がなかったという場合でも、完全寛解と診断されてしまうことがあるんです。

つんく♂さんもこのケースだった可能性があります」(医学博士の狭間研至氏)

 喉頭がんは5年生存率が70%で、再発の場合はさらに下がる。予断を許さぬ事態だった。声をとるか、命をとるか──究極の選択を前に、つんく♂の心は乱れた。

 歌手の忌野清志郎さん(享年58な)のように、同じく喉頭がんに侵されながら、声帯除去を拒否して、芸に殉じた者もいた。

「歌手が声を失うということは“生きるな”と言われることに等しい。先輩たちの生き様を見ていたからこそつんく♂さんも悩み続けていたんだと思います。

おれから歌をとったら何が残るんだ、寿命よりも大切なものがあるんじゃないかって。

でも彼は最後に声を失うことを決断した。何よりも大切な存在のためにです」(前出・つんく♂の知人)

 6才の双子の長男と長女、そして3才(当時)の次女の姿を目にしたとき、つんく♂は泣いた。

心理療法家はつんく♂の「声を失って歩き始めたばかりの1回生」宣言をどう見るのか?-障害を受け止めるまでのパニックと絶望


シャ乱Qのボーカリストで「モーニング娘。」などのプロディースで知られるつんく♂さんが、生きるために声帯を取るというニュースが流れました。

プロにまでなられるわけですから、本当に歌が好きだったはず…素人が聞いてもわかるくらいつんく♂さんの歌は工夫されていて、表現力抜群でした。もう歌えなくなるというのは苦渋の決断であったと思います。

しかし、つんく♂さんは母校近畿大学の入学式で自分自身を「(歌えない人生の)1回生」と位置づけた祝辞を手紙で送ったと報じられています。つんく♂さんなりに、歌える人生に決別して、新しい人生を受け止めた決意が伝わってきます。

◆つんく♂さんは「もう生きられない自分」を受け止めた?

大切な何かを失うことは、心理学では喪失体験と呼ばれて研究されています。喪失体験をきっかけにうつ病になる方もいます。大切な何かを失うことは、もうそれまでの自分を生きられないということです。

 たとえば、恋人を失った人はもうその恋人との甘い時間は生きられません。親を失った人は、もう親との自分を生きられません。声を失ったつんく♂さんは、もう歌手としての自分を生きられないのです。

つまり、今までの自分は死んだ…ということなのです。つんく♂さんが、こんな苦境を受け止めることができたのはなぜでしょうか。

「やっぱり一時代を気づいた人のメンタルはタフなんだ」と片付けられることでしょうか。それとも「声がなくなってもお金も地位もあるんだから、十分幸せなんじゃない」と考えていいのでしょうか。

◆今までの自分へのお別れのプロセスとは何か?

心理学的に見ると、お答えは「いいえ」です。
きっと、つんく♂さんなりに「今までの自分」へのお別れを、時間をかけて丁寧に行ったのではないでしょうか。もしかしたら、今もお別れの途中かもしれませんが、人には語らない苦悩をたどっているのではないでしょうか。

心理学では自分の重大な病気や障害があることを受け入れるプロセスは次の4つのステージをたどることが知られています。

それは、現実から目を背ける(否認)、パニックになって本人なりの対策を探る(混乱)、「もうどうにもならない」絶望と向き合う(抑うつ)、おなじく諦めることで逆に心に余裕が生まれる(受容)です。

このプロセスは一方通行で進むものではなく、3歩進んで2歩下がるような展開をします。

◆パニックと絶望の彼方に何が見えるのか?

言葉にすると軽くなってしまいますが、パニックと絶望を行き来している間は本当に辛いのです。「もうこれまでの自分はいないんだ…」と受け止めようとすればするほど、これまでの自分への思いが脳裏をよぎります。

それを失うことへの悲しみと苦しみが溢れてきます。そして、なんとか阻止できないかと果てしなく考えこむ…。

時には「どうしてこうなった」と後悔にさいなまれる。後悔のプロセスでは誰かを恨んだり、自分自身の行いや生き方を呪ったりもあるでしょう。

もちろん、このプロセスの深さや重さには個人差があります。しかし、いずれにしてもこのような苦しいプロセスを経て本当の意味で病気や障害を受け止めて、次の人生のステージを迎えるのです。

つんく♂さんの至った「(歌えない人生の)1回生」という境地は、このような苦しみの上に生まれた尊いもののように思えます。尊敬の気持ちを抑えられません。

心理療法やカウンセリングの現場でも、このプロセスをご一緒に歩むことがあります。「これまでの自分へのお別れ」は次の自分への出発点でもありますが、深い産みの苦しみもあります。

そして、人生は大なり小なりこの繰り返し…苦悩の向こうには必ず次の自分があるのですが、一人で乗り越えるのは大変な時もあります。その苦悩とプロセスを分かち合うことも心理学者/心理療法家の務めでもあります。

杉山 崇<執筆者プロフィール>
神奈川大学人間科学部/大学院人間科学研究科教授。教育支援センター副所長、心理相談センター所長(15年4月から)。臨床心理士、公益社団法人日本心理学会代議員、キャリアコンサルティング技能士。今年4月に『入門!産業社会心理学-仕事も人間関係もうまくいく秘訣(北樹出版)』が発売予定。

悪化すると日常生活にも支障が!桝添都知事が手術した「変形性股関節症」とは



FC2 Analyzer東京都の舛添要一知事(66)が、股関節の手術のために緊急入院したというニュースが報じられています。

「腰痛だと思っていた」痛みが、精密検査の結果、「変形性股関節症」によるものであることが判明したため、急遽入院して手術を受けることになったそうです。この変形性股関節症とはいったいどんな病気なのでしょうか?

◆女性に多く見られる疾患
「変形股関節症」は、何年も繰り返される股関節への負担やケガで股関節の軟骨がすり減ってしまい、骨が変形してしまう疾患です。

大きく分けて、加齢による「一次性」のものと、疾病や外傷によって関節の構造に破綻をきたす「二次性」のものに分けられます。

患者の80%以上が二次性と言われており、その原因となる「変形性股関節脱臼」などが女性に多いため、変形股関節症も女性に多く見られます。

ただし、高齢化に伴って一次性の割合が今後増えていくことが予想されます。桝添知事がどちらなのかは明らかになっていませんが、いずれにせよ、年を取れば誰にでも起こり得る病気と言えるでしょう。

◆進行度合によって変わる変形股関節症の症状
変形股関節症の主な症状は、股関節の痛みや可動域の制限、歩行障害です。発症すると加齢とともに徐々に悪化していきます。しかも、一度変形した股関節は元の状態には戻りません。

変形の程度によって症状が異なり、初期には脚の付け根や臀部、膝の上部に、こわばりや重い感じがあります。また、立ち上がり、歩き始め、長時間の歩行、階段の昇降などの際に痛みが起こります。

進行期から末期になると、痛みが強くなって動きが制限されるため、股関節まわりの筋力も低下します。場合によっては、常に痛みのある状態となり、夜間に寝ているときも痛むようになることがあります。

◆股関節に違和感を持ったら早めの受診を
日常生活では、足の爪が切りにくい、靴下が履きにくい、和式トイレの利用や正座が困難といった状態になります。長時間立ったり歩いたりすることもつらくなるので、炊事などにも支障をきたします。

一定期間にわたって股関節に違和感や痛みが生じるようなら、整形外科を受診しましょう。診断は、歩行状態、痛みの部位、可動域の診察とX線写真によって確定します。必要に応じて、CTやMRIなどの検査が行われる場合もあります。

さらに、関節リウマチなどほかの病気との区別のために、血液検査を行う場合もあります。生死に直結する病気ではありませんが、進行すると日常生活を送ることも難しくなるので、怖い病気であることは確かです。

変形股関節症と診断されたら、定期的に専門医に受診して、経過を観察しながら、適切な時期に手術を受けることも大切です。

◆変形股関節症の治療1:保存療法
症状が比較的軽い場合は、手術によらない保存療法として、体重コントロールや安静、杖の使用、温熱療法など理学療法、湿布、塗り薬、痛み止め薬などを用います。

股関節周囲の筋力トレーニングも関節の安定性を高めるのに有効です。どのような使い方をすると痛みが強くなるのか、自分の関節をよく観察して、「悪化させない方法」を探します。

痛み止め薬は日常的に使うのではなく、調子の悪い時や、負担をかけなければならない時に限って使う方がいいでしょう。痛みがあると歩かなくなって筋肉が衰えてしまうので、水中ウォーキングや水泳を週に2~3回行うことも推奨されます。

◆変形股関節症の治療2:手術療法
保存療法で症状が取れない場合は、手術療法を考えます。病態が初期ならば、変形した骨を切除する施術で済みます。

関節の変形が進んでいる場合は、股関節を金属や樹脂、セラミックなどでできた人工関節(インプラント)に置き換える手術が適用されます。

最近では、緩みや破損などを予防する特殊な技術でコーティングされた人工関節が開発されています。人工股関節置換術では、200万~250万円かかりますが、高額医療費負担制度が利用できます。

この制度では収入によって負担額が違ってきますが、だいたい10~20万円程度で受けられると考えていいでしょう。

◆変形股関節症の予防
できれば、変形股関節症にならず、健康な股関節を維持したいものです。それには、股関節にかかる負担を減らす工夫が重要。正座ではなくイスに座る、和式ではなく洋式トイレを使うなど、洋式の生活のほうが負担が小さくて済みます。

靴はかかとにクッション性のあるものを選びましょう。また、適正な体重を保つことも股関節の負担を軽くします。

運動のし過ぎもよくありません。15分以上の連続運動をすると筋肉の疲労で直接負担がかかるので、こまめに休憩をとりながら行うことが大切です。

●南部洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師、株式会社とらうべ社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべを設立

世界の歌姫アヴリル・ラヴィーンさん、「ライム病」を告白今の病状は?


カナダのロック歌手、アヴリル・ラヴィーンさん(30)が、ライム病のため5か月間寝たきりの状態が続き、「死ぬかもしれない」と思った時もあったと打ち明けて話題になっています。

長期間、公の場に姿を見せていなかったラヴィーンさんについては、体調についてのさまざまな憶測が飛び交っており、今回の発表は、それらに対応するためのものと見られています。

世界の歌姫を襲った「ライム病」とはどんなものなのでしょうか?

◆米芸能誌『ピープル』に告白した現在の病状とは?
ラヴィーンさんは、先月31日にアメリカ芸能誌『ピープル』が掲載したインタビューで、自身の病気についてのさまざまな噂について言及。事実と認めたうえで、病状は良くなってきていると明かしています。

ラヴィーンさんが患った「ライム病」とはどんなものなのか、詳しく説明しておきましょう。

◆「ライム病」の原因は病原体を媒介するマダニ
ライム病は、スピロヘータの一種であるボレリアの感染に起因する細菌感染症で、全身性の多様な症状が現れる病です。

病原体を保菌しているマダニに刺されることによって感染。ヒトからヒトへの感染、動物からの直接感染はありませんが、病原体を媒介するマダニは、日本の本州中部以北に分布するシュルツェマダニのほか、米国ではスカプラリスマダニ、ヨーロッパではリシヌスマダニなどが知られています。

世界ではライム病ボレリアとして5種類が知られていますが、日本ではボレリア・ガリニが主な病原体となっています。

海外の、とくに米国やヨーロッパでは、ライム病は慢性の全身性の疾患として知られています。

これら渡航先で感染した場合、病状の進行に伴い、遊走性紅斑(ゆうそうせいこうはん)や萎縮性肢端(いしゅくせいしたん)皮膚炎などの皮膚症状、髄膜炎(ずいまくえん)や神経根炎(しんけいこんえん)などといった神経症状、関節炎などがみられる可能性があります。

感染してしまった場合は、抗生剤で治療していくのが一般的だと考えられています。

◆「ライム病」その予防法とは?
ライム病の予防には野山でマダニに刺されないことが最も重要です。マダニの活動期主に春から初夏と秋です。野山へ出かける時の予防法をいくつかご紹介しましょう。
むやみに薮などに分け入らないこと

 ・マダニの衣服への付着が確認できる白っぽい服装をすること
 ・衣服のすそは靴下のなかに入れ、虫よけをしっかりすること

これらの対策で、マダニを体に近寄らせないことが大切です。また、帽子着用も有効です。また、万一刺された場合には、自分でマダニを引きはがさず病院の皮膚科で外科的切除を受けるようにしましょう。

昨年、「ライム病」と診断されたラヴィーンさん。その後5か月間寝たきりの状態で「息ができないと感じた。

話すことも、動くこともできなかった」「死ぬかもしれないと思った」「立っているのもやっとだったから、まる1週間、シャワーを浴びられない時もあった」とい辛かった闘病生活を振り返っています。

現在の病状は親族の看病により80%回復しているようです。

【デキる人の健康学】筋力アップで記憶力アップできる!?


筋力と骨密度と認知機能には密接な関係がある。この3つの要素が連動して高齢期の生活の質を支えていることが知られている。

 筋力が落ちると骨密度が低下し、転倒骨折から認知機能低下を来たし認知症を発症する。認知機能が低下すると筋力が低下しその結果、骨密度が低下し歩行が困難になる。

 このような筋力低下は一般に介護が必要になる70歳以降の問題だと考えられがちだが、最近の調査で筋力低下が既に40歳代で始まっていることが分かった。

マドリッドのラモン・イ・カハル大学病院・老年科のアルフォンソ・クルツ・ヘントフト博士はこれまでに公表された高齢期の筋肉量低下に関する論文18編を包括的にレビューした結果、一般的に40歳以降10年毎に約8%筋肉量が減少し、70歳を過ぎると筋肉量の減少は10年毎に15%にも達すると指摘する。

 この筋肉量の減少を少しでも遅らせる方法として、レジスタンス・トレーニング(筋トレ)や良質のタンパク質の摂取、アミノ酸の摂取が有効であることが多くの研究で示されている。

しかし、これまで認知機能を保つために最低どの程度の運動が必要かに関しては良く知られていなかった。

 最近、米国アトランタのジョージア工科大学の心理学科のリサ・ワインバーグ博士らの研究チームはたった1回の20分の筋トレで記憶力が10%アップすることを明らかにして話題を呼んでいる。

20分の筋トレの48時間後に2日前に見た90枚の写真をどの程度記憶できているかどうか23名の被験者で検討した。

 その結果、負荷なしの運動群が50%の写真を思い出せたのに対して筋トレ群の被験者は60%の写真を思い出すことができた。20分の筋トレ1回で2日間認知機能が増強するので、隔日の筋トレでも記憶力を増強できるかも知れない。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】筋力アップで記憶力アップできる!? FC2 Analyzer



FC2 Analyzer筋力と骨密度と認知機能には密接な関係がある。この3つの要素が連動して高齢期の生活の質を支えていることが知られている。

 筋力が落ちると骨密度が低下し、転倒骨折から認知機能低下を来たし認知症を発症する。認知機能が低下すると筋力が低下しその結果、骨密度が低下し歩行が困難になる。

 このような筋力低下は一般に介護が必要になる70歳以降の問題だと考えられがちだが、最近の調査で筋力低下が既に40歳代で始まっていることが分かった。

マドリッドのラモン・イ・カハル大学病院・老年科のアルフォンソ・クルツ・ヘントフト博士はこれまでに公表された高齢期の筋肉量低下に関する論文18編を包括的にレビューした結果、一般的に40歳以降10年毎に約8%筋肉量が減少し、70歳を過ぎると筋肉量の減少は10年毎に15%にも達すると指摘する。

 この筋肉量の減少を少しでも遅らせる方法として、レジスタンス・トレーニング(筋トレ)や良質のタンパク質の摂取、アミノ酸の摂取が有効であることが多くの研究で示されている。

しかし、これまで認知機能を保つために最低どの程度の運動が必要かに関しては良く知られていなかった。

 最近、米国アトランタのジョージア工科大学の心理学科のリサ・ワインバーグ博士らの研究チームはたった1回の20分の筋トレで記憶力が10%アップすることを明らかにして話題を呼んでいる。

20分の筋トレの48時間後に2日前に見た90枚の写真をどの程度記憶できているかどうか23名の被験者で検討した。

 その結果、負荷なしの運動群が50%の写真を思い出せたのに対して筋トレ群の被験者は60%の写真を思い出すことができた。20分の筋トレ1回で2日間認知機能が増強するので、隔日の筋トレでも記憶力を増強できるかも知れない。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】ボケないカレーの食べ方 ココナッツオイルときな粉


最近ココナッツオイルでアルツハイマー病の認知機能が改善することが分かり、私の外来でもココナッツオイル摂取を勧めている。ココナッツオイルは独特の香りがあり、毎日摂取していると香りが鼻について続かない人も多い。

 カレーにもアルツハイマー病を予防する効果が報告されているので、摂取法の一つとしてココナツカレーを勧めている。

カレーのスパイスに使われるウコンにはクルクミンというフィトケミカルが含まれていて、アルツハイマー病のモデルマウスに投与したところアルツハイマー病の発症を予防する効果があることが分かった。

カレーを日常的に食べているインドの田舎での疫学調査でもアルツハイマー病の発症率が低いことが報告されている。

 クルクミンはウコンの有効成分としてアーユルヴェーダの時代からインド医学では様々な疾患の治療に用いられてきた。

強い抗炎症作用だけでなく、癌細胞に対する増殖抑制効果もありアルツハイマー病の予防のみならず、大腸がんの予防や骨関節炎の治療への応用が期待されている。

クルクミンはスパイスとして調理に使えるが、一方で治療目的のためには消化管からの吸収が悪く、一旦吸収されても速やかに代謝されてしまうという問題がある。

 オハイオ州立大学ウェクスナー・メディカルセンターのニコラス・ヤング博士らの研究チームはアーユルヴェーダで使われているひまし油に注目した。

研究チームはクルクミン粉とひまし油とポリエチレングリコールを混ぜてナノエマルジョン(懸濁液)を作ることに成功した。

この懸濁液を腹膜炎を起こしたマウスに投与するとクルクミンは速やかに吸収され免疫細胞に働き腹膜炎が治ることが確認できた。きな粉に含まれているレシチンもクルクミンの吸収を促進する働きが報告されている。

 ボケを予防するためには、カレーに油やきな粉を加えるなどの食べ方の工夫が必要だ。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。
1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

アエラ編集長「怒り」が体に?「心の人間ドック」体験


 頭痛、肩こり、胃もたれ……。原因不明の体の不調はなぜ起きるのか。アエラ編集長が受けて分かった原因とは?

 アエラ編集長の浜田敬子は、いつになく弱気だった。実は8年ほど前から胃腸の調子がすぐれず、ことに月曜の朝がつらい。2年前にはひどい頭痛に悩まされたこともある。胃カメラやMRIの検査を受けても、異常は見つからなかった。40代後半になれば、そろそろ更年期?それとも仕事上のストレスが原因だろうか……。

 浜田が駆け込んだのは、東京・千駄木の日本医科大学健診医療センター。昨年10月、同大特任教授で心療内科医の海原純子さんが開設した「ストレス予防ドック」だ。大学病院初の“心の人間ドック”として話題になり、数カ月先まで予約で埋まるほど注目されている。

 当日、同センターの健診外来へ行くと、かなり大量の問診票を手渡された。続いて、5種類の心理テストがある。人間関係や環境から、日常生活や人生についての満足度、家族や友人・同僚に対する感じ方まで、設問は幅広い。記入後、診察室に呼ばれると、海原さんから説明を受けた。

「最初に記入していただいたのは心の疲労度を知る検査で、16点以上になると心に疲れがたまってうつっぽくなります。でも、それが5点なので、うつには陥っていないですね」

 ええ?では、この不調はいったいなぜなのか……。続けて海原さんは「感情」の状態について説明してくれた。

 心の中には緊張や不安、抑うつ、怒り、活気、疲労、混乱などの感情があり、いずれも危険ゾーンに達すると要注意。浜田の場合はこんな診断が下された。

「活気が十分あって、不安やゆううつ感などはないけれど、怒りがかなりたまっています」

 神妙な表情でうなずく当人も怒りの感情をうまくコントロールできないことを自覚していた。電話が鳴ってもだれもとらなかったり、やる気の感じられない部員を見たりすると、ついカッとなってしまう。

 海原さんによると、怒りの感情には理由があり、それは「性格傾向」の分析から見えてくる。

 浜田の特徴は、理想を追求し、責任感が強い傾向をもち、優しくて面倒見もいい。つまり、成果の上がらない部下がいると何とかしてやろうと思うのだが、理想と現実とのギャップの中で葛藤が起き、怒りが込み上げるようなのだ。

「怒りがこれだけ強いと、体に出てくる可能性もありますね」

「ぎっくり腰」は7割が診断不能!?松岡修造さんを襲った「魔女の一撃」はどうしたら防げるか


いつも元気で熱血漢のタレント、松岡修造さん。「痛み」とは無縁なイメージがありますが、昨年秋、錦織圭選手の試合観戦中に「ぎっくり腰」になったことで話題になりました。

ぎっくり腰は、その突発的で激しい痛み方から、欧米では「魔女の一撃」とも呼ばれる疾患です。ここでは、ぎっくり腰の詳細とその対処法について紹介します。

◆激しく痛むもレントゲンなどでは異常が見られない
日本では、目立った所見や器質的変化がないにもかかわらず腰痛があるケース全般を「ぎっくり腰」と呼びます。

専門的には、「急性腰痛」とか「椎間捻挫」などと言い、腰椎が瞬間的にずれて、腰の筋肉が耐え切れずに炎症を起こしてしまう状態を指します。

原因はさまざまで、レントゲンなどで検査をしても、椎間板や骨格には特に異常が認められません。

症状が起こるきっかけは、重いものを持ち上げた時のように明確な場合もありますが、普段の何気ない動作、不意の動作、ひねりの動作などで急に起こる場合もしばしばあります。

間接的な原因としては、腰椎周囲の筋力が弱く、きちんとした姿勢が保てないことで、腰椎周囲の筋肉に過度の負担がかかることが考えられます。

◆自分が楽な姿勢を見つける
ぎっくり腰の痛みは、当日から翌朝くらいにかけてピークに達します。寝返りが打てず、立ったり座ったりの動作でも激痛が走るので、日常生活にも支障が出ます。一度立ってしまえば、どうにか歩くことはできますが、無理はいけません。

強い痛みが強く続くのは1~3日程度で、その後は徐々に回復していきます。ぎっくり腰の治療の基本は「安静」です。

病院で痛み止めやシップ剤などが処方されることもありますが、症状そのものの回復は自然治癒を待つしかありません。痛みが強い時は横向きに寝て背中を丸め、ヒザを曲げると比較的楽になります。

それをベースにして、自分で楽になる体位や姿勢を見つるといいでしょう。痛い部位に手を当てておくのも有効です。誰か手を当ててくれる人がいるなら、お願いするといいでしょう。

◆動けるところから動かす
痛みが治まってきたら、次は動かせるところから動かしてみます。足首を前後や左右に動かしたり、回したりしても大丈夫なようであれば、ヒザを立てて左右に動かしてみましょう。そ

れができたならば、次は赤ちゃんのハイハイの姿勢になります。そして実際にゆっくりとハイハイしてみましょう。ここで痛みが出るようならば、すぐ中止します。

あとは様子を見ながら、座る→足を伸ばす→立つ→歩くといった具合に、徐々に普段の生活に戻っていくといいでしょう。ただし、無理をするとぎっくり腰が長引くだけなので、慎重に。

◆日常生活での注意点
そのほか、ぎっくり腰から回復する、ぎっくり腰の再発を防ぐうえで、以下のことに注意しましょう。

特に、オフィスで長時間のデスクワークをしている人、タクシードライバーや長距離運転手など、同じ姿勢で、しかも少し前屈みで仕事をしている方は、再発させないための身体づくりが大切です。

それには、体重コントロール、筋力トレーニングなどを行う必要があります。筋力トレーニングとしては、太ももの裏側の筋肉(ハムストリング)のストレッチが有効です。

 ●身体を冷やさないこと。そのためには食事、睡眠、ストレスなどの管理も重要
 ●重い物を持ち上げるときは、できるだけ身体に引きつけてから持ち上げる。腹部と持ち上げる物との距離を短くして、腰背部の筋肉にかかる負担を小さくする
 ●どうしても長時間立つ必要がある場合は、高さ10cm程度の台に片脚を交互に乗せて、筋肉の疲労を軽減する
 ●椅子に座る時は、膝の高さが臀部の高さより、やや高くなるようにする
 ●どの場合でも、同じ姿勢を長時間とり続けないようにすることが大切

<監修>
整形外科医樋口二三男
(東京医科歯科大学整形外科理事、日本医師会認定産業医)

【デキる人の健康学】ココナッツカレーがオススメ ウコンで脳幹細胞刺激 FC2 Analyzer


最近、アルツハイマー病の患者さんにココナッツカレーを勧めているが、ココナッツオイルに認知症の改善効果があることが報告され、一方でカレー粉に使われているウコンにはアルツハイマー病の予防効果のあるクルクミンが含まれているためだ。しかし、アルツハイマー病の患者さんに積極的にカレーを勧める理由がもう一つ増えたようだ。

 ドイツのジューリッヒ大学の神経科学研究所のホエルグ・フックレンブロイヒ博士らの研究チームはウコンに含まれるもう一つの活性成分である芳香性ターメロンの奇妙な作用に注目した。

 芳香性ターメロンはいくつかのがん細胞に対して細胞の増殖を抑制する作用が報告されていたのに、神経幹細胞と呼ばれる神経再生で重要な役割を果たす細胞に対しては逆に分裂を促し神経細胞を増やす作用があることに着目した。

 アルツハイマー病や脳卒中などの神経疾患では、神経細胞が障害された結果、認知機能の低下や運動麻痺、失語などの症状が出現する。

しかし、もし神経幹細胞が新たな神経細胞を再生することができれば、認知症などの神経疾患の治療や予防は大きく前進するだろう。

 研究チームが神経幹細胞を試験管内で培養して芳香性ターメロンを添加すると最大80%の神経幹細胞が分裂・増殖を開始した。次に研究チームはラットに芳香性ターメロンを注射してその作用を検証した。

 PETスキャンでラット脳の増殖細胞を検出したところ、神経幹細胞が存在する脳室周囲や海馬の容量が増加していた。海馬は記憶を司る部位でアルツハイマー病では最も神経障害が強く観察される部位。

 もし、ウコンに含まれる芳香性ターメロンが神経幹細胞を分裂・増殖させることが可能であれば、食事療法によりアルツハイマー病の病状を緩和したり予防したりすることが可能かもしれない。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。
1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

「人生はなるようになる」戸田奈津子さん、戻りつつある左目の視力に感謝


 【病と生きる】映画字幕翻訳者・戸田奈津子さん

 映画字幕翻訳者の戸田奈津子さん(78)の左目は約20年前、目の網膜の機能が低下する「黄斑変性」と診断された。当時は根本的な治療法がなく、長期にわたり視界の悪さに苦しんできた。

最近、新たな治療法が開発され、昨年末に手術を受けた。視力は回復しつつあるといい、「目が見える喜びはすばらしい。治療法があることを多くの人に知ってほしい」と話す。(文・油原聡子)

 もともと強度の近視で、中学1年の頃からメガネをかけていました。両親も近視だったので遺伝でしょうね。私は映画や読書、芝居の観劇など目を使うことが好き。年間50本以上の字幕翻訳を手掛けていた時期もあります。目を酷使してきた人生でした。

 最初に異変に気付いたのは20年ほど前。障子の桟やグラフ用紙の線がゆがんで見えたんです。おかしいと思って、都内の病院を受診しました。強度の近視が原因の黄斑変性と診断されました。

 〈黄斑は網膜にあり、物の形や色など視覚情報の大半を脳に伝達している。黄斑変性は加齢や強度の近視などの理由で黄斑に障害が生じ、視界が欠損したり、ゆがんだりして見える病気。戸田さんは強度の近視が原因〉

 「治療法がない」と医師から告げられ、「もう一生だめなんだ」とがくぜんとしました。ショックを和らげるため、母と2人で熱海(静岡県)の温泉に行きました。

すると、心が落ち着いてきて、「目が2つあってよかった。右目が残ってラッキーだ」って思えるようになりました。もともとクヨクヨしない性格なんです。

 セカンドオピニオンを求めていたときに、目の手術を受けたことのある、友人でタレントのピーコから芸能人や政治家が通うことで有名な神奈川県小田原市の佐伯眼科クリニックを紹介してもらいました。

平成8年に受診し、月に1度通院するようになりました。「右目まで見えなくなったらどうしよう」。そんな思いでした。

 幸い右目の症状は進まなかったのですが、左目は徐々に視界の真ん中が見えなくなってきました。例えば、誰かと話しているときに、周囲の景色は見えているけれども、相手の顔が見えないのです。

 常に左目に眼帯をかけているような状態で、原稿を書くのも、テレビを見るのも、本を読むのも不自由でした。距離感が測れず、階段の段差が怖くなりました。

 当時は、映画字幕の翻訳の仕事のほか、ハリウッドスターが来日した際の通訳を務めるなど多忙でした。病気については、ごく親しい人に打ち明けただけでした。心配をさせるだけですからね。

 病気と長い間、つきあってきましたが、昨秋、佐伯眼科クリニックの佐伯宏三院長から、黄斑前膜をはがし、網膜分離症を治す手術の話をいただきました。新しい治療法が開発されたとのことでした。

 昨年12月1日に佐伯院長と横浜市立大学医学部の門之園一明教授による手術を受けました。「駄目でもともと」という気持ちでした。

 〈戸田さんが受けたのは、低侵襲硝子体手術。細い器具を眼球に入れ、黄斑上にできた増殖膜を切除する手術を受けた〉

 術後の経過は良好で、「視力が戻りつつあるな」と感じます。見えていた頃の7割まで回復したと思います。治ったら大好きなドライブ旅行に行きたいですね。

 現在、加齢黄斑変性の患者に人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って網膜を再生させる臨床研究が行われており、注目を集めています。しかし、この病気について知っている人はまだまだ少ないと思います。

私は、左目を捨てたつもりで右目に感謝して過ごしていたら、新しい治療法に出合いました。

 病気になったときは、気持ちで負けたらだめです。目が悪いという理由で、これまであきらめたことはスキューバダイビング以外にはありませんでしたね。「人生はなるようになる」。戻ってきた左目の視力に感謝しつつ、これからも楽しく、人生を過ごしていこうと思います。

【プロフィル】戸田奈津子
とだ・なつこ 昭和11年、東京都生まれ。津田塾大卒業後、生命保険会社の秘書を経て映画字幕翻訳者の清水俊二氏に師事。通訳や翻訳の仕事に携わる。米映画監督、フランシス・フォード・コッポラの推薦で映画「地獄の黙示録」(1979年)の翻訳を手がけたのを機に映画字幕翻訳者として本格的に活動。1500本以上を翻訳している。

読書時間が長い人のほうが長生きする その根拠は?


 意外なことが長寿につながるという──。読書の習慣が寿命を延ばすとは誰も思わないのではないだろうか。

 米イエール大学の研究では、読書時間が「週3時間半以下」だった人たちは17%、「3時間半以上」だった人は23%死亡リスクが低下するという。

 読書好きには高学歴で経済的に豊かな人が多いはずで、健康や医療にお金をかけられるからではないかと思いきや、そうした条件は調整済みの研究結果だ。なぜ体を動かしてもいないのに寿命が延びるのか。イシハラクリニック副院長で医師の石原新菜さんが話す。

「厚生労働省が発表した都道府県別健康寿命で、山梨県は長寿1位でした。山梨県の図書館数は、人口100万人あたり65.9館で全国1位。世帯あたりの年間書籍支出額も、1万2491円で全国1位です。これだけを見ても、やはり読書は、健康寿命と関係しているとみてよいでしょう。

 読書をしていろんな知識を得ようとする前向きな気持ちが、がん細胞を殺す『NK細胞』を活性化させるのではないかとみています」

 この見解には、千葉大学予防医学センター教授の近藤克則さんも同意する。

「本を読んでいた人の方が3年後の認知機能が高く、それが死亡率を抑えていたそうです。読書する人は、図書館や書店に行ったり、社会への興味や関心があり、いろんな場所へ足を運ぶ傾向があるなど、身体活動量も多いのではないでしょうか」

疲れ目と通勤時間に関連/ドクター塩田剛太郎の健康法


<読んで効く!ストレスオフ処方箋(17)>

先日、当コラムで取り上げた、働く女性の五感ストレス。挙げられたストレス項目30項目のうち、上位10項目が「視覚」にまつわるものだったが、今回はそんな視覚ストレスによって引き起こされる症状の「疲れ目・ドライアイ」について言及してみたい。

調査(※)によれば、全対象者14万人のうち、実に男性51%、女性63%が疲れ目・ドライアイを感じていると回答。共に半数を超え、女性が男性を上回る結果となった。中でも重症と思われるのは、「お金をかけて対処している人」の割合(以下、疲れ目重症者)。通院や市販の目薬、マッサージによるアイケアなどで対処している人は、男性10%、女性15%と、全体の1割強いることがわかった。

▼疲れ目・ドライアイの原因は、生活習慣や趣味など、さまざまな要因と組み合わせて考える必要がある。そこで「通勤時間」「残業時間」との関連を分析したところ、意外な事実が明らかになった。全体と疲れ目重症者を比較すると、残業時間が長いほど疲れ目重症者が増加するかと思いきや、男女とも大きな差は見られない。しかし通勤時間の長さが「1時間以上」の場合から疲れ目重症者が全体平均値を上回りはじめ、「通勤時間2時間以上」の人では、全体平均値の2倍以上の割合で疲れ目・ドライアイであると回答している。

▼ここから推測される原因は、ズバリ、通勤時間を利用したデジタル端末利用の増加だ。「ウェブサイト閲覧」「動画視聴(テレビ、スマホなど)」の利用時間の分析では、利用時間が「3~4時間」以上から、疲れ目重症者の割合が全体平均を大きく上回ってくる。先の「通勤時間」との関連性を考えると、この長時間の使用には通勤時間が影響している可能性が考えられるわけだ。

疲れ目・ドライアイの症状を訴える人は、低ストレス者の場合、男性23%、女性34%と、症状者全体平均よりぐっと少ない傾向に。目の酷使の点からもストレスオフの点でも、通勤時間は液晶画面を見つめる以外に費やすほうが健康に良いということだ。

※男女各7万人を対象に行った「ココロの体力測定2018」調査(メディプラス研究所)。

贈り物でストレスオフ/ドクター塩田剛太郎の健康法


<読んで効く!ストレスオフ処方箋(16)>

年末年始が近づいてくると、ふと頭をよぎるのが「お歳暮」や「お年始」の準備。この習慣、得意な人とそうでない人に分かれるのではないだろうか。実は贈り物に関する意識とストレスの関連性をまとめたデータ(※)をみてみると、なかなか興味深い調査結果が。

低ストレス者の「贈り物」意識の上位10位には、「知人宅へは手土産を持参する」「クリスマスプレゼントを贈る」、「年賀状を送る」という習慣がランクイン。さらに「ありがとうの言葉もプレゼントである」「プレゼントは手渡しする」という情緒的な傾向も特徴だ。

▼男女間で差がある項目が面白い。例えば女性の約40%が「母親の誕生日には必ずプレゼントをする」(なお、父親への誕生日プレゼントは上位10位圏外という結果)ということで、家族関係を重視しているのがわかる。また、「友達の誕生日は覚えている」「プレゼントを選ぶことが好き」など、進んで贈り物をすることを楽しく感じている人が多いようだ。

一方、男性は「お世話になった方へ毎年お中元・お歳暮を贈る」「職場・友人には旅行のお土産を買う」などの項目がランクイン。男性のほうが社会的コミュニティーへの気遣いが見られる。

▼低ストレス者の贈り物習慣には、共通して「相手を思いやる」という行動が見てとれる。実は、これがストレスオフのキーワード。以前、ストレスを抑える働きがあるとして紹介したオキシトシンは、多くは親しい人とのスキンシップや親密なコミュニケーションによって分泌される。近年では愛情ホルモンとも呼ばれるこのオキシトシン、実は、直接触れ合うことに限らず、誰かを思いやる気持ちでも増加することが分かっている。誰かの喜ぶ顔を想像し、プレゼントを選び、贈るという行動だけで自分もストレスオフできるというわけだ。

イベントが続く年末年始は贈り物を選ぶちょうどよい機会。「相手の笑顔が見られるように」と思うだけで比較的簡単に実践できるこの習慣をぜひ試していただきたい。

※男女各7万人を対象に行った「ココロの体力測定2018」調査(メディプラス研究所)より。

喫煙は肌を5歳老化させる/ドクター塩田剛太郎の健康法


<読んで効く!ストレスオフ処方箋(15)>

私は化粧品や皮膚用医薬品の開発もしている立場上、喫煙者にはすぐに気づく。においもさることながら、「肌」にもその特徴が出るからだ。皮膚はもっともストレスが現れる場所、臓器であり、そのストレス要因の1つがたばこなのだ。日本禁煙学会での宮崎博隆先生の発表によると、20~50代、約18万人の皮膚を調査し、喫煙者と非喫煙者で比較したところ、喫煙者のほうが角層細胞のメラニン量、かさつき、かゆみ、毛穴、にきびなどの肌トラブルが多いことがわかった。また、ポーラが女性約30万人を対象に調査したところ、全体の23%である喫煙者とそれ以外の人で、やはりメラニン量に大きな差が出たという。

20代では差が小さいが、それ以降の全年代で、喫煙者のメラニン量は1~2割多く、それぞれ5歳上の非喫煙者のメラニン量に相当するそうだ。つまり、メラニン量については「喫煙者の肌は5歳老けた状態」というエビデンスが存在しているということだ。いくら日焼け止めを塗っていても、喫煙によってメラニン量が増加すればくすみやシミの元となる。加えて、喫煙者は顔全体がくすみ、血流が悪くうっ血しているような顔色に感じられることが多い。「スモーカーズ・フェイス」という言葉があるくらい、喫煙者の顔には顕著な変化が起きているのである。

ではなぜたばこは人を老けさせてしまうのだろう? その代表的な原因が「血流の悪化」だ。たばこ成分中のニコチンには血管を収縮させる作用があり、脳や皮膚の血流を悪化させてしまう。皮膚の血流が悪くなると、栄養も行き届かず、皮膚組織の細胞の活動が弱まる。その結果、健やかな皮膚であれば自然に生み出されるはずのコラーゲンやヒアルロン酸などが生成されなくなり、シワ・たるみの原因になるというわけだ。しかもその害は受動喫煙でも同様に起きてしまうため、身近に喫煙者がいる場合も要注意。世界中で禁煙の流れが加速しているが、これは美容の面からいっても歓迎すべきことだ。肌は内臓の鏡と言われ、肌に悪影響が出るものは体全体の健康被害にもつながると言われる。健やかな肌から健康を目指していきたいものだ。

働く女性の五感ストレス/ドクター塩田剛太郎の健康法


<読んで効く!ストレスオフ処方箋(14)>

「すべての女性が輝く社会づくり」。そんなスローガンが掲げられて久しいが、なにかと忙しい現代女性が「輝く」のに、大きく立ちはだかるのが「ストレス」だ。さまざまなストレス要因のうち、今回は“五感”に関係するストレスに注目してみた内容を。

▼五感にまつわるストレス調査の結果から、高ストレス女性を抽出して分析した結果(※)を見ると、五感ストレス30項目のうち、上位10項目が「視覚」にまつわるものだった。例えば「ついスマホを見てしまう」「遠くを見たり緑などの自然を見たりする機会が少ない」「目が常に乾いている」など。中でも「スマホ」「PC」に関しては、高ストレス者の間のデジタルへの依存傾向も明らかになった。つまり、高ストレスであればあるほどデジタル依存が強く、その影響をもろに受けるのが「視覚」というわけだ。また、目を休めることへの意識、行動の不足も高ストレス女性の特徴で、これでは視覚ストレスはたまる一方だろう。

▼さらに、高ストレス女性と低ストレス女性が感じている五感ストレスを比較して、特に差が大きかった項目を見ると、「職場のにおいが好きではない」「騒音のある環境で仕事をしている」など、働く女性は職場での「におい」「音」ストレスにも敏感であることが分かった。通勤途中のバスや電車、密室状態となるエレベーター内も含め、特に女性は男性に比べて、とかく「におい」を気にする傾向も。女性の多い職場で高ストレス者を減らすためには、このような「におい」「音」環境に関しても気遣いをする必要がある。

▼国の定める労働安全衛生法にも、五感を基に定められたものがある。環境に適した明るさの基準値などはその代表だが、明るさを満たすだけでなく、日中、太陽の出ている時間は自然光が入るような工夫をしたり、リラックスするための休憩スペースなどは間接照明にしたりと、ストレスに着目した工夫の余地はいくらでもあるのではないだろうか。

※男女各7万人を対象に行った「ココロの体力測定2018」調査(メディプラス研究所)。厚労省のストレスチェック基準による高ストレス者(77点以上)と低ストレス者(39点以下)で比較して分析。

適度な運動で免疫バランスを/ドクター塩田剛太郎の健康法


<読んで効く!ストレスオフ処方箋(13)>

昔から「過ぎたるは及ばざるがごとし」、何事も適度な量が良いと言われる。われわれの体にも「適度」と「過剰」のバランスによって保たれている機能が数多くある。その1つが「運動」。激しすぎる運動は体内に活性酸素を増やしてしまい、筋肉などの疲労の一因になる。

▼活性酸素は本来、同じく体内で合成される抗酸化酵素などの「抗酸化力」によって抑制されている。このバランスが崩れ、酸化に偏って体に有害な作用を及ぼす状態が「酸化ストレス状態」である。「活性酸素」と「抗酸化力」は、いわば免疫機能のシーソーのようなものだが、それを支える重要な要素が「Nrf2」という物質であることが、東北大学の山本雅之先生らの研究で明らかになった。

「Nrf2」は細胞内で抗酸化物質などの合成を促す物質。運動などによって体内が酸化ストレスにさらされると初めて発現するが、この運動は初めにも述べた通り「適度」である必要がある。近年の研究では、なんと「Nrf2」は過剰な酸化ストレスでは発現せず、マイルドな酸化ストレスでこそさまざまな「抗酸化力」を高めることが分かったからだ。つまり適度な運動こそが「Nrf2」を活性化させ、免疫のバランスを保つ助けとなるのである。

▼東京都健康長寿医療センター研究所の青柳幸利先生の研究によれば、「1日4000歩/中強度運動5分」を続けると、うつ病の発症率が10分の1になるという。「1日8000歩/中強度運動20分」だと認知症や脳卒中の予防にも効果があるそうだ。

中強度の運動は、会話ができる程度の速歩きや階段の上り下り、風呂掃除や床掃除などでも可能だ。私もエスカレーターを使わず階段を駆け上がるなど、普段の生活の中でも心臓の鼓動が聞こえ、血流が促進されているのを実感できる程度の運動を行うよう心掛けている。じんわり汗をかくくらいの適度な運動で自分の体の免疫バランスが保てるのなら、ぜひ積極的に行っていきたいものだ。

ペット飼えば免疫力アップ?/ドクター塩田剛太郎の健康法


<読んで効く!ストレスオフ処方箋(11)>

現在、日本人の3人に1人が何らかのアレルギーを持ち、16歳未満の3人に1人が花粉症だと言われている。また以前は、アトピー性皮膚炎は「大人になれば治る」と言われていたが、最近では大人になっても症状が続くなどその患者数は増えている。

▼われわれの体の中で、一体何が起きているのか。ある外国人は、「子供が生まれて半年程度たったら牧場へ連れて行って動物と戯れるのさ。動物と仲良くさせたいというのもあるけれど、動物と接することで免疫力をつけるのが目的なんだ」と言う。生まれてしばらくの間、赤ちゃんは母親から母乳などを通じて免疫成分を受け継いでいるが、生後半年~1歳前後からは離乳食がはじまり、自己免疫を備え始める。また、別の外国人からはこんなことを聞いた。「日本人は部屋で靴を履かないだろ。毎日お風呂にも入るし、清潔すぎて免疫が育たないんじゃないか?」。そう、日本は、あらゆる施設にアルコール消毒剤を備えてあるほどの清潔好きである一方、アレルギー大国でもあるのだ。

▼動物と接すると免疫力がつくという説を裏付ける研究結果を紹介しよう。英ウォリック大学のマクニコラス博士は「ペットを飼っている子供はぜんそくにかかりにくい」との研究結果を発表している。また、米ジョージア医科大学のデニス博士は、1歳までにペットを2匹以上飼っているとアトピーにかかる割合が半数であると報告している。もちろん、アレルギーについては安易に考えると生命にかかわる危険があるので、アレルギー素因のある人がペットを飼えばいいという短絡的なものではない。しかし大規模な統計から見出だされる傾向としてはとても参考になる。

▼極端な例で言えば、無菌室で育てられた動物は一般の外部環境では生きられない、ということ。われわれ生物は、目には見えないがさまざまな細菌と共生している。最近の研究では体内に数百兆個いると言われる腸内細菌が体質にも影響を与えていることが分かっている。体にもともと備わっている機能である免疫を知り、そして免疫にとって細菌が重要な役割を担っていることへの理解が広まれば、このアレルギー大国・日本の現状は変えられるかもしれない。

触れ合いでオキシトシン促す/ドクター塩田剛太郎の健康法


<読んで効く!ストレスオフ処方箋(10)>

老若男女を問わず、今や現代人の暮らしに欠かせないものとなっているデジタル環境。電子メールは電話や手紙のやりとりに取って代わり、いつでも好きな時に欲しいものが手に入るオンラインショッピングは、実店舗をしのぐ勢い。人類に大いなる利便性をもたらしたが、その一方で急速に失われつつあるもの、それは人と人とのつながりや触れ合いだ。

高ストレス女性にはデジタル系依存症者が多いというニュースを耳にしたが、逆に考えると、デジタル環境に依存し、現実でのスキンシップや顔を合わせて話をするなどのコミュニケーションが減少すると、ストレス値が大きくなっているとも考えられる。興味深いのは、その理由が脳内物質「オキシトシン」の分泌の減少によるものではないかというのだ。

愛情ホルモンとも呼ばれるオキシトシンは、ストレス中枢を沈静化し、ストレス物質のコルチゾールの分泌を抑制する働きがある脳内物質。つまり、オキシトシンが分泌されると、ストレスを抑えられる働きがあるということだ。オキシトシンは、かつては母乳の分泌を促す女性特有のホルモンであるとされていたが、近年の測定技術の進歩により、子どもを持たない女性や、男性の脳でも分泌されることが明らかになった。そして、オキシトシンが分泌されるタイミングこそが、親しい人とのスキンシップや親密なコミュニケーションなのだ。

デジタル環境に触れる時間が増え、顔を見合わせてのコミュニケーションが希薄になっている今、オキシトシンの分泌はスムーズに行われなくなっている。これがストレス性疲労を感じ、高ストレスといわれる人が増加している原因でもある。親しい人との触れ合いがストレスオフの鍵になるのであれば、積極的に促す必要があるだろう。今こそ、家族や友人など、親しい人との触れ合いの大切さを見直す時代がやってきているのではないか。

ストレスオフな毎日を送るために、親しい人との触れ合いの時間を意識的に大切にしてみよう。それがストレスを上手に抑えつつ、便利で効率的なデジタル生活の快適さをキープすることができる方法ではないかと考える。

睡眠「質」変える生活習慣/ドクター塩田剛太郎の健康法<読んで効く!ストレスオフ処方箋>


睡眠とストレスには、とても深い関係があることをご存じだろうか。睡眠の「質」を左右する生活習慣の違いについて分析すると、ストレスレベル別に興味深いデータ(※)が出ている。

▼まず、低ストレス女性のうち、夜中に目が覚める人の割合は高ストレス女性の半数以下。ストレス値が低い人は、眠りの深い、質のいい睡眠がとれていると推測される。また、高ストレス女性は休日の睡眠に期待をして、平日の睡眠がおろそかになる割合がやや高い傾向に。曜日ごとの日常行動調査では、水曜日に睡眠を7時間以上とると回答した低ストレス女性が、高ストレス女性を3倍近く上回るという結果も出ている。就寝する時間への配慮や睡眠時間の確保はもちろん、ウイークデーの半ばで睡眠に対する意識を高めることが、ストレスオフにつながっている可能性がある。

▼湯船につかる、体を温める、血流改善をする、水分を多くとるなどの習慣も、低ストレスの女性に多くみられる特徴である。体内の新陳代謝を高め、積極的に体内リズムを整える行動を取り入れていることが分かる。一方、高ストレス女性には、寝る前にベッドの中でパソコンやスマートフォンをいじる、アラーム音で起き、目を覚ますためにカフェインを摂取するなど心身に刺激を与える傾向がみられる。この習慣には0時過ぎまで残業をしていたり、夜勤業務をしていたりという働き方の影響もあるといえる。

▼低ストレス女性には、就寝前はリラックスできるようゆったりと過ごす人が多く、朝は太陽の光を浴びることで、自然に心身を目覚めさせる習慣があるようだ。太陽光を浴びることは、抗ストレス物質のセロトニン活性にもつながる。さらに、夕食は寝る2時間前までにとる、朝食はしっかり食べるなど食生活への意識の高さも特徴的だ。

このように睡眠に関する生活習慣は、ストレスの高低に大きく関わっていることが分かる。簡単に取り入れられるものも多いので、ストレスオフのきっかけにしていきたい。

※メディプラス研究所調べ。全国、20~69歳の男女各7万人を対象に実施した「ココロの体力測定」による。

自分の受容力を知ろう/ドクター塩田剛太郎の健康法


<読んで効く!ストレスオフ処方箋(7)>

このコラムのタイトルにもなっている「ストレスオフ」という言葉。近年目にする機会も増えてきたので、ご存じの方も多いのではないだろうか。

現代では複雑な社会システムの構造も相まってストレス量が増加し、簡単に解消できないようなストレスも多くなっている。よく「ストレス発散」といって、他の欲求でごまかす方法や、ストレスが極力ない環境に身を置く「ストレスフリー」という対処方法が見受けられるが、実はそれらと一線を画するアプローチが「ストレスオフ」の考え方である。

▼そもそもストレスとは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張を指す。精神的なものに限らず、薬品や排出ガスなどの化学的刺激や温度や湿度、果ては重力さえもストレスの1つ。これらのストレスを悪者だとして、全くのゼロにすることなどできない。

むしろストレスは、適量であれば人がやる気を出したり体を動かしたりするために役に立つこともある。この「適量」は個人によって差があるため、量を管理し、自らコントロールして自分のペースを保つことが重要になってくる。そのための方法や、管理できている状態が「ストレスオフ」なのである。

▼人にはそれぞれのストレスの受容力があり、これを自覚し知識を持った上で管理できれば、持てる力を十分に発揮することも可能だ。逆にそれができず、個人の処理能力を超えたストレスがかかると、心身への影響が顕著にあらわれ、免疫力が落ちたり、うつ病や不安障害など心の病気になったりすることもある。この状態をストレスが蓄積した心身の疲労状態、「ストレス性疲労」と言い、特に自律神経の乱れと慢性疲労はこの最たるものと位置づけられる。

▼この「ストレス性疲労」は、日々の生活習慣などからストレスを管理していれば日常的・持続的にオフしていくことができる。ストレスオフとは、あらかじめストレスに備えて“予防”する考えを取り入れた、新しい発想なのである。「ストレスオフ」を心掛け、自分のペースを保つのに適した生活習慣を身に付けることが、心身共に健やかに過ごすコツと言える。

疲労回復妨げる睡眠負債/ドクター塩田剛太郎の健康法


<読んで効く!ストレスオフ処方箋(6)>

近頃、睡眠に関する多くの書籍が出版されており、世間の関心の高さがうかがえる。そのきっかけの1つは昨年流行語ともなり、テレビ番組などで取り上げられた「睡眠負債」ではないだろうか。働き蜂とやゆされる我々日本人の睡眠時間はとても短く、6時間未満の睡眠時間の割合が全体の4割近いとの調査結果も。その睡眠不足の積み重ねが、いわゆる「睡眠負債」だ。これは寝だめでは解消できず、根本的な生活習慣の改善が必要といわれている。睡眠不足は生産性の低下だけでなく、事故の誘因など多くのリスクを含んでいる。2014年には厚労省も「健康づくりのための睡眠指針」を発表した。しかし、このスピード化された現代において、睡眠不足の解消は簡単なことではない。

▼そもそも、人はなぜ眠るのだろうか? これには、エネルギー生成の仕組みが関わっていると私は考えている。我々は呼吸によって酸素を取り込み、それを燃料として、細胞内のミトコンドリアで「ATP」を生産する。ATPとは人が生きるためのエネルギー源だ。一日中働き続けた細胞が疲れてくると、ミトコンドリアはATPを作れなくなってくる。睡眠とは、横になり目を閉じて、全身、脳の活動を減らし疲労を回復するための行為。それは細胞にとっては自らを修復するための貴重な時間でもある。

つまり細胞が疲れてATPを作れなくなると、その回復のために眠気が起こるのではないか、と考えられる。一日中活動を続ける細胞、およびミトコンドリアが睡眠時にしっかりと修復されることによって、翌日のエネルギーを再び生産できるようになるのだ。

▼しかし、睡眠時間が極端に短かったり、睡眠前の飲食などにより第2の脳といわれる消化管に負担をかけたりしている状態では、睡眠による疲労回復が十分には行われない。細胞の“疲労回復”と翌日以降の“エネルギー生成”という、生きるために重要な繰り返しがスムーズに行われるためには、一定時間、質の良い睡眠をとることが何よりの手だてなのである。

イライラが肌の乾燥招く/ドクター塩田剛太郎の健康法


<読んで効く!ストレスオフ処方箋(5)>

女性特有の悩みの1つが肌の不調。特にこの時期多くの女性が悩まされる「肌の乾燥」は、実は「ストレス」と密接な関係がある。

▼ストレスには大きく分けて<1>外的(環境)ストレスと<2>内的(精神的)ストレスがある。気候変化、大気汚染、オフィス内のエアコンなど、外的ストレスが肌に及ぼす影響についてはよく知られているが、内的ストレスが肌の状態に影響することを臨床で実証することは難しく、これまであまり研究されることはなかった。

しかし近年、女性の社会進出が活発になり、またライフスタイル、ライフステージの変化によるストレスに注目が集まる中で、女性の肌意識とストレスの関係について、調査・研究が始まっている。そこで注目されているのが「ストレス性乾燥肌」である。

▼外的ストレスと内的ストレスのどちらも、感知するのは脳。例えば過度な空調や紫外線などは直接肌にも影響を与えるが、「肌にあたる風が不快」「日焼けして肌が痛い」などの不快感は、脳が感じるストレスになる。

脳がストレスを感じると、ストレスをコントロールする視床下部が興奮する。さらに副腎皮質が刺激され、免疫や代謝に関係する「コルチゾール」(別名ストレスホルモン)の分泌が促される。

最新の研究では、このコルチゾールの過剰分泌が、肌に重要なうるおい因子「セラミド」を分解してしまうことが分かっている。

セラミドが不足すると角層は十分に水分を保てず、肌は乾燥気味に。これが「ストレス性乾燥肌」のメカニズム。複雑な人間関係や時間に余裕がないなど、日々感じるその精神的なストレスでも、気づかぬうちに肌の乾燥は進行する傾向にある。

▼ストレスとは心に影響するもの、と思いがちだが、実は肌という分かりやすい部分でも敏感に影響が出るものなのだ。自覚がなくても、頬に触れて過度な乾燥を感じたら、もしかしたらそれは高ストレス状態のサインかもしれない。

「近所付き合い」に長寿の秘訣 介護や死亡のリスクが低下


健康寿命を延ばしたいなら、「ご近所付き合い」を積極的にしたほうがいい。

 筑波大などの研究チームが滋賀県米原市と協力し、市内の65歳以上の高齢者6603人を対象に行動の活発さと要介護度の関連を調査。6年間にわたって追跡したところ、ご近所さんなど他者とのつながりのある人は、社会とのつながりが薄い人に比べ、介護が必要になったり、死亡するリスクが低かった。

 ①ひとり暮らし、②近所付き合いがない、③地域の行事などに参加しない、④経済的に困窮、4項目のうち、2項目以上に該当する人は、すべてに該当しない人に比べて介護及び死亡リスクが1・7倍だったという。

 精神科医で企業の嘱託産業医も務める奥田弘美氏が言う。

「ご近所付き合いなど他者とのつながりがある人は、日頃から脳が刺激を受けます。会話をするだけでも脳の神経ネットワークが使われて脳が活性化し、血流も増えて認知症などさまざまな病気の予防に効果があることも報告されています。また、他者と会話する機会が多ければ、健康への意識も高まります。高齢になると病気や薬などの話題が増えるので、どこか体調が悪いとなれば、『あの先生に診てもらった方がいい』とか『この薬を試してみたら』といったような情報に触れる機会が多くなるのです」

 また、ご近所付き合いや地域の行事へ参加するとなると、日常的な運動量が増える。これも、健康効果が大きい。

「高齢者に激しい運動は必要ありません。日頃からウオーキング程度の軽い運動を続けることは、ロコモや認知症の予防に効果があり、寝たきりのリスクが下がるのです」 米国の研究でも「人とのつながり」が少ない人は死亡率が2倍になるというデータが報告されている。

 長生きするために、まずはご近所付き合いから始めたい。

呼吸器名医が伝授 健康寿命を延ばす「飲み込む力」鍛錬法


 ゲホゲホゲホッと食事をしている時にむせて咳込むことが増えた…。これは、飲み込む力(=嚥下機能)の低下が原因だ。池袋大谷クリニック・大谷義夫院長(日本呼吸器学会専門医・指導医)が言う。

「嚥下は、食べ物や飲み物だけでなく、唾液の無意識の飲み込みも含みます。ところが40歳代くらいから喉周りの筋力が低下し始めます。さらに、50~60歳代でラクナ梗塞を起こす人が増えます。この喉周りの筋力の低下とラクナ梗塞によって、うまく飲み込めないことが増えるのです」

 食べ物や飲み物を飲み込めないのも問題だが、もっと問題なのは、夜間睡眠中に起こるケース。

「不顕性誤嚥といって、本人が気づかないまま、口腔内の細菌を含む唾液や胃酸が気道に流れ込む。これが、高齢者の死因の多くを占める誤嚥性肺炎のリスクを上げるのです」(大谷院長)

 不顕性肺炎は、前述のラクナ梗塞が最大の要因だ。動脈硬化によって起こる小さな脳梗塞で、高齢者のMRI検査ではかなりの確率で見つかる。自覚症状はなく、日常生活に影響は及ばさないが、誤嚥性肺炎回避には多大な影響を及ぼす。

 誤嚥性肺炎の予防策として、大谷院長は次を勧める。

①肺炎球菌ワクチンの接種と口腔内ケア
「口腔内ケアをすることで、不顕性誤嚥で気道に流れ込む唾液の細菌が減ります」(大谷院長)

②動脈硬化対策
 言うまでもなく、ラクナ梗塞回避のため。高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などがあれば、その改善を。

③葉酸の補給。
「葉酸が誤嚥性肺炎のリスクを下げることが明らかになっています。葉酸が欠乏すると大脳基底核でのドーパミンの産生が低下。それによって咳反射機能や嚥下反射機能が低下して、誤嚥性肺炎を起こしやすくします」(大谷院長)

 葉酸はビタミンB群の一種。レバー、緑黄色野菜、豆類などに多い。日常的に摂取すべきだ。

睡眠の質=昼間の活動/ドクターしんどうとも健康法


<それってうつ病?メンタルヘルスの現場から(37)>

「目覚め方改革プロジェクト」リーダーで、久留米大学医学部神経精神医学講座の内村直尚(なおひさ)主任教授はこう話す。

「昼寝を長くし過ぎることで、夜の睡眠の質が悪くなります。夜に寝る前の生活として大事なことは、たとえば夕食後にテレビを見ながら、うつらうつらすることはよくない。アルコールは寝つきを良くするけれど睡眠の質は浅く、短くなってしまう。それはアルコールを飲んで4時間ほどたつとアルデヒドという物質が代謝されて、それが覚醒物質となるからです。カフェインを含む紅茶、日本茶、コーヒー、炭酸飲料などの飲み過ぎにも注意しましょう」

そのほか、喫煙や寝る前の明かりにも要注意。これらはよい睡眠を阻害する原因となる。

「寝る前に明るい光を浴びることは睡眠の質を悪くします。そのため寝る1時間ほど前から照明を落とすなどの工夫をしましょう。また、ゲームやスマホなどは寝る前にはできるだけ使わないことが大事です」

普段の生活の中で睡眠の質を悪くしない一方、逆に質を高めるためには何をすればいいか。

「睡眠の質には、昼間どれだけ体を動かしているかが影響します。日中の活動性が高い人ほど夜は深く眠れます。つまり散歩に出かけたり、運動で活動性を高めることで睡眠の質を良くすることができるのです。部屋でゴロゴロと横になっているだけでは深い睡眠を得ることはできないのです」

規則正しい生活が睡眠に適度なリズムを与えることはすでにふれたが、そのためにはコツがある。

「朝起きる時間を一定にするこということがとても大切なのです。そうすることで夜よく眠ることができるのです」

次回は、朝すっきり目覚める方法をお伝えしよう。

年齢とともに衰える睡眠の質/ドクターしんどうとも健康法


<それってうつ病?メンタルヘルスの現場から(36)>

睡眠不足はうつ病のリスクとなり得る。久留米大学・副学長で医学部神経精神医学講座の内村直尚(なおひさ)主任教授はこう話す。

「睡眠をとることはエネルギーの消費量を抑えること。寝ている間が一番消費量を少なくできる。その結果、エネルギーを使わないことで脳と体を修復しているのです。いわば脳と体にたまっていく老廃物による悪影響を防ぐことになるのです」

では、良い睡眠とは何か。

「睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠の2つからなる。レム睡眠は寝ている間、脳は活発に動いています。そのため、だいたい夢を見ています。それに対してノンレム睡眠は、脳や体を休ませる睡眠だといわれています」

実はノンレム睡眠には、1から3までの段階がある。始めは浅く、次第に深くなっていく。

「90分間隔でレム睡眠とノンレム睡眠が繰り返し出現するという『リズム』が大切なのです。つまり、90分が1セット。質のいい睡眠というのは、この規則正しいリズムを保つことだといえます。それが不規則な生活で、リズムが乱れるといけない。そしてノンレム睡眠の3段階をいかに増やしていくかが、大きなカギだということです」

3段階のうちの深い睡眠が現れてこそ、質のいい睡眠がとれたということになる。しかし、年齢とともに睡眠の質は衰えていく。

「若いとエネルギー消費が大きいので、深い睡眠が必要です。その時、成長ホルモンが分泌され、成長発達を促し、免疫力を高めます。しかし40歳を過ぎてくると、睡眠はだんだん浅く短くなっていくのです」

例えば10代なら、休日に昼間までぐっすり眠ることができる。しかし中高年になると、そうしたことはできなくなる。

「朝早く目が覚めたり、夜中に起きたり。年とともに眠りが浅くなるということは、睡眠の質もやはり加齢現象だということ。年齢によっても違ってくるというわけです」

睡眠不足がうつ病の引き金に/ドクターしんどうとも健康法


<それってうつ病?メンタルヘルスの現場から(35)>

睡眠は、うつ病予防の要の1つである。福岡県にある久留米大学の副学長で医学部神経精神医学講座の内村直尚(なおひさ)主任教授に聞いた。8月に発足した「目覚め方改革プロジェクト」リーダーである内村教授がこう警告する。

「睡眠不足の状態は、交感神経が優位な状態。いわばエンジンをかけっぱなしの闘争状態にある。こうしたことが続くと、うつ病の発症につながるのです」

そもそも睡眠不足には、大きく2つの原因がある。1つは、眠ろうと思っていてもなかなか眠れない場合。これは「不眠」といわれる。もうひとつは、「睡眠不足症候群」である。

「前者は、いろいろと努力してみても寝つけない、あるいは夜中に何度も目が覚めてしまうといった場合です。一方で、眠ろうと思えば眠れるのだけど、眠らない人。例えば仕事や受験勉強のためであるとか、夜中にネットやスマホを使っている、夜通し遊ぶ、といったことで睡眠が不足している場合です。後者はいわゆる睡眠不足症候群であり、24時間社会や夜型の生活とともに増えているのです。いずれにしても、結果的には睡眠時間が足りないことにつながってしまうわけです」

交感神経が優位になるとエネルギッシュとなり、脳は活発に働き、体も動く。逆に寝ている間は、副交感神経が優位となり、脳や体を休ませる。

「ヒトは無意識のうちに、自律神経の交感神経と副交感神経のバランスで生活しているのですが、睡眠がとれないと過緊張状態となる。寝ている時間だけが、ストレスを感じない。寝ることでストレスから逃れられるわけです。副交感神経が優位になると、エンジンを切って休んだ状態となる。エンジンをかけるために休めておく。ヒトはロボットじゃないので、どこかでエネルギーを蓄えなければいけません」

オン、オフがないと、ずっと走りっぱなし。これらがうつ病発症につながることは、多くの研究から分かっている。

「仕事や遊びのし過ぎで睡眠時間を削ると、うつ病のリスクとなり、引き金になり得るということを知ってほしい」

常に環境にアクセスする/ドクターしんどうとも健康法


<それってうつ病?メンタルヘルスの現場から(34)>

東京家政大学人文学部心理カウンセリング学科の岡島義(いさ)准教授(臨床心理士・専門行動療法士・産業カウンセラー)は、こう話す。「カウンセラーもお笑い芸人と同じで、相手の反応を見ながら話をしている。相手とちょっと距離を取るには、『常に環境にアクセスする』がキーワードです」。

例えば交換した相手の名刺をみながら、「この紙の材質は変わっていて、ツルツルしているな」というふうに五感を味わう。これが「環境にアクセスする」こと。自分にだけ目がいくのを、外の環境に向けることにつながるという。いずれにせよ、自分ひとりでもんもんとしていることは良くない。

「うつになった時はなぜ自分が、と不幸せに感じることが多いが、後にあの経験が良かったと思うことができれば、それは『幸せ感』だ。落ち込んだ経験でその気持ちが理解でき、あの経験は良かったという評価に変わる。うつになったことも決してダメじゃないって考えられる」

前向きにとらえることが、生きづらさを軽くする。

「気持ちが落ち込むということは、基本的にSOSが出ていると考える。そのまま頑張り続けると体がもたない、危険だという意味です。この時点で止まれたことが、逆に良かったと思いましょう。いったん立ち止まって、今度はSOSが出ない程度のやり方を自分でつくっていくことが大切です」

このプロセスは、アスリートが立ち直る姿に重ねられるという。「ケガをして絶望視された五輪選手が、ふたたびひのき舞台に立とうとする時、昔のようなパフォーマンスを求めることは捨てて、今の能力を最大限生かそうとする。心の健康を害した人もそれと同じように、昔のように戻ることは難しく、『あの時はこうだった』と考えがち。でも、今は別の人間になった、これから最適な人生を送るためにどう人生を組み立てていくか、が大事です」

SOSを受け止め、次はどうするかをカウンセラーと一緒に考えることが大切だ。

悩みは「外」へ/ドクターしんどうとも健康法


<それってうつ病?メンタルヘルスの現場から(33)>

悩みや苦しみをカウンセラーに話すことは、心の健康におすすめだ。東京家政大学人文学部心理カウンセリング学科の岡島義(いさ)准教授(臨床心理士・専門行動療法士・産業カウンセラー)は、こう話す。

「自分の中で抱え込んでしまうのではなく、『外』へ出すということが大事なのです。その理由はよく分かっていないのですが、他人に自分の気持ちを説明するためには、それを自分でまとめないと相手に伝わりません。頭の中で考えているだけでは、なんとなく分かった気持ちになってしまうので、その作業がとても大切です」

考えごとを自分の「外」へ出すことで、聞いてくれている相手からの質問によって変化が起きる。

「思ってもみない質問だったりすると、そこで考える。つまり『井の中の蛙(かわず)』が、大海へ出ていくきっかけになるかもしれません。自分の中だけで考えていると、『井の中の人生』でしかないわけで、1度は外に出た自分が戻ってきた時、『ここにいるからいけないのかな』という気づきになる。そして、臨床心理士など訓練されたカウンセラーであれば、その人の悩みがきちんと整理できるでしょう。また、専門家に話すということ自体が、その人の心を軽くすることにつながるんだと思います」

身内や知人に打ち明けることもあるだろうが、心の専門家に話すことが、心の重荷を軽くするのに役立つことを知っておこう。

「高いところから見下ろす『俯瞰(ふかん)』に近いんだろうと思います。『なぜあの時、あんなことを言ったのだろう』『どうしてあの人からあんなことを言われてしまったのか』。そんなふうにクヨクヨと後悔している自分を、1歩距離を取って見ることになるのではないでしょうか。実は、こうした行動は、『考えながら話す』に似ているのです」

「考えながら話す」とは、例えばお笑い芸人が、自分の話をしながら、どのようにウケているのか、ちょっと引いた位置で見ている状態に近いと、岡島准教授は指摘している。

睡眠は「確保する」認識を/ドクターしんどうとも健康法


<それってうつ病?メンタルヘルスの現場から(31)>

8月に発足した「目覚め方改革プロジェクト」(http://mezame-project.jp/)によると、製薬会社がこの春実施した30~60代男女2400人対象のネット調査で「朝すっきり目覚めた日はどう感じるか」を聞いたところ、「体の調子が良い」という人が約4割で最多。次いで「気持ちが安定する」と答えた人が3割以上いることが分かった。反対に目覚めが悪いことで日中のパフォーマンス(活動性)が低いと感じる人も多くおり、日常の生活に睡眠が及ぼす影響の大きさが明らかになった。一方、すっきりと目覚めるため工夫をしている人は、1割にとどまっていた。

プロジェクトメンバーの1人、東京家政大学人文学部心理カウンセリング学科の岡島義(いさ)准教授はこう話す。

「睡眠科学では『眠るからこそパフォーマンスが上がる』という研究結果があり、睡眠の役割は能動的だと考えられている。睡眠不足になると風邪をひきやすくなったり、高血圧や肥満の割合が増え、2型糖尿病にもなりやすい。また、抑うつ感を高める危険もある。一方で、レム睡眠が出現すると幸福感が高まり、不安感が減少するという研究結果がある。つまり、睡眠は『削るもの』ではなく『確保するもの』という認識が必要です」

岡島准教授によると、17時間連続で覚醒した状態は、ビール中ビン1~2本を飲んだ状態と同じ。酒気帯び運転に相当するパフォーマンスしか発揮できないという。

「睡眠不足による日本経済の損失は、年間約15兆円といわれている。たばこの害によるものが約2兆円と推計されているので、睡眠不足の影響はいかに大きいか。この問題は顕在化しにくく、能動的な睡眠が経済損失の抑制につながることを認識する必要がある。徹夜の仕事などはなるべく避けて、よい睡眠をとるようにしてほしい」

落ち込んでも後悔しない/ドクターしんどうとも健康法


<それってうつ病?メンタルヘルスの現場から(32)>

東京家政大学人文学部心理カウンセリング学科の岡島義准教授(臨床心理士・専門行動療法士・産業カウンセラー)に、落ち込んだ気持ちや、へこんだときに立ち直るコツを教えてもらおう。

「臨床心理学の立場からいえば、考えを反芻(はんすう)することはあまりよくありません。反芻というのは、牛が食べ物を反芻するのと同じで、頭の中の考えを繰り返すということです。たとえば、過去に起こったことを思い返すと、『なんであんなことを言われたのだろう、ほんとはこうなんじゃないか』などという考えが浮かんできますが、そのうち忘れてしまって元に戻って考えてしまいます。すると、結局また同じ考えが頭の中で繰り返されることになり、そこから抜け出せなくなってしまうのです」

こうした思考の反芻行動で心のエネルギーは自分の中の対話に向けられる。

「そこでのコツは『反省はしたほうがいいけれど、後悔はしなくていい』ということなんです。どういうことかといえば、後悔するということは、『なぜあのときこうだったのか』といった反芻に近い考え方で、一方、反省するということは、後悔よりもちょっと前向きだということです。後悔はいつまでもクヨクヨしていて役に立たない。でも反省は、『今回はこういうことがよくなかったから次は改善しよう』という意味があって振り返るにはとても大事でよい方法なのです」

後悔では「あのとき」から時間が止まったまま動けなくなっている。失敗をそのままにはせず、2度と繰り返さないためにもきちんと振り返ることが大切だ。反省をすることで心の健康を保つことができるのである。

睡眠の乱れが影響/ドクターしんどうとも健康法


<それってうつ病?メンタルヘルスの現場から(30)>

睡眠は心の健康に影響する。「4週間でぐっすり眠れる本」(さくら舎)の著者で、睡眠の改善で心身の健康をめざす「目覚め方改革プロジェクト」のメンバー、東京家政大学人文学部心理カウンセリング学科の岡島義(いさ)准教授(臨床心理士・専門行動療法士・産業カウンセラー)は、こう話す。

「最近の研究では、うつと一緒に不眠が前駆症状として出てくるといわれています。うつ病になった人の9割には不眠があることや、うつ病が治った人でも不眠の症状は残りやすいといわれています。そのため再発しやすいというわけで、不眠とうつ病は切っても切れない関係なのです」

不眠を治すカウンセリングで、うつもよくなるという。

「不眠に対するアプローチをすると、うつまで治ってしまうということを考えると、睡眠の乱れが気分の不安定性に非常に大きな影響を与えているのではないかと思います。反対に、睡眠が良好に整うことで、気分の落ち込みをかなり軽くできるのではないでしょうか。それでもまだ悩みがあれば、そこにアプローチすれば、より効果が出やすくなるでしょう」

睡眠時間はネガティブ感情にも関係がありそうだ。

「睡眠時間が短いと、抑うつの気分が強くなる。一方、睡眠時間を長く取ればいいというわけではなく、体が必要としている時間を規則正しくとることが大事なのです。例えば、夜11時に寝て朝6時に起きるという人ならば、しっかりと寝ればいいのですが、不規則になってしまうと、同じ平均睡眠時間であっても、体調が悪くなるといわれています。つまり同じ睡眠時間を規則正しく取ることがコツです」

寝ている間に夢を見るのが、レム睡眠。

「レム睡眠が出た後に起こされた人の感情がどうか調べると、レム睡眠を経た人のほうがハッピーな感情が出やすい。恐怖感情が減るといわれているのです。人間は眠ると必ずレム睡眠が出てくるので、しっかり眠ることがとても大切だと思います」

怒り出せぬ「アンガーイン」/ドクターしんどうとも健康法


<それってうつ病?メンタルヘルスの現場から(29)>

対人関係の悪化から、うつ状態に陥ることは少なくない。例えば、「なぜあんなことを言ってしまったのか」といった感情にとらわれることで、そこから抜け出せず、結局は気分が落ち込んでしまう。つまり、うつ状態ではエネルギーは外へではなく、内側にばかり注がれるのだ。

東京家政大学人文学部心理カウンセリング学科の岡島義(いさ)准教授(臨床心理士・専門行動療法士・産業カウンセラー)は、こう話す。岡島准教授は、「4週間でぐっすり眠れる本」(さくら舎)の著者で、睡眠の改善で心身の健康を取り戻す「目覚め方改革プロジェクト」のメンバーである。

「要は怒りを出せない。『アンガーイン』という状態。気丈に怒りをためこんでしまうので、突然爆発すると、周囲は理解できない。それで対人関係がさらに悪化するという事態も起こります。いわゆるストレスに対する対処能力が弱い場合に、このようなことが起こりやすいといわれています」

自分では対応できないストレスが覆いかぶさってきた時に、それが起こる。

「サルの世界でこういう例があります。ボス猿がその座を追われていく時、あえて落ち込んでエネルギーを使わない状態になる。自分は負けたとしても、子孫は生き残れる。そうならずに闘争が起きると、群れ全体が滅びてしまうから。そのため、抑うつ的になることには、進化的な意味があるといわれていますが、人間もそうかもしれない」

「ここで頑張りすぎると体がダメになる」という自らが発するSOSサイン。いわゆるオーバーワークが、心をむしばむ一因になりかねない。

「あえてエネルギーを使わせないようにしているのが抑うつ状態ではないか。社会にこれだけうつ病が増えていることにはきっと意味があるのでしょう」

抑うつは、誰にでも起こり得る気分の落ち込みだ。そのことから、人間が生きるために必要なものではないかと、岡島准教授はとらえている。

すべてが自分の内側に/ドクターしんどうとも健康法


<それってうつ病?メンタルヘルスの現場から(28)>

心の健康が脅かされ、不調になると、心身にさまざまな影響を及ぼすようになる。うつ状態に多くみられる強い気分の落ち込みは、具体的にどのような状態をもたらすのか。

「4週間でぐっすり眠れる本」(さくら舎)の著者で、睡眠改善で健康を取り戻す活動「目覚め方改革プロジェクト」のメンバーである東京家政大学人文学部心理カウンセリング学科の岡島義(いさ)准教授(臨床心理士・専門行動療法士・産業カウンセラー)はこう話す。

「まずは衣食が損なわれやすい。食事が取れない、ファッションが気にならない。パジャマでも平気になってしまうこともあるでしょう。このように、それまではやれていたことができなくなることが一番の問題なのです」

食事に限らず、うつ状態というのは、すべてのエネルギーが減少し、無気力な状態に陥っていることが多い。

「すべてのものに注意が払えなくなり、全部が自分の内側に向いてしまいます。つまり外へエネルギーを使うことができなくなる。『なんで自分はこんなことをしちゃったんだろう』『どうしてあの人からそんなことを言われなくてはいけないのだ』といった考えにばかり、エネルギーを注ぐことになってしまいます」

うつ状態では、「エネルギーが内側に向いている」ということが一番の特徴である。岡島准教授はこう指摘する。

「外に向いている可能性はあるけれど、実際には自分の中で完結している状態です。自分の中で闘っているような。攻撃というと、相手に対してのものですが、それすらしない。つまり自分の中での対話にエネルギーを使っている。自分の中で仮想の人物をつくり、それに対して『なんであんなことを』といったことを延々とやってしまうわけ。要は怒りを出せない『アンガーイン』という状態です」

気分が落ち込むきっかけになったことを頭の中で繰り返しているような状態がずっと続くとしたら、さぞ耐え難いことに違いない。

「楽しくない時」は要注意/しんドクターどうとも健康法


<それってうつ病?メンタルヘルスの現場から(27)>

さまざまなストレスに囲まれて、うつ病をはじめとするメンタルヘルスの不調を訴える人が増えている。誰もが無関係とはいえない中、精神的な健康を保つにはどうすればよいのか。

考え方や生き方について、東京家政大学人文学部心理カウンセリング学科の岡島義(いさ)准教授(臨床心理士・専門行動療法士・産業カウンセラー)を訪ねた。岡島准教授は、「4週間でぐっすり眠れる本」(さくら舎)の著者。このほど発足した、睡眠改善で健康を取り戻す「目覚め方改革プロジェクト」のメンバーである。まずは、心の健康とは何かを明らかにしてみる。

「心の健康から異常を分けるという考え方は、普通はあまりしないものです。例えば、友達とケンカをして落ち込んだ、あるいは彼女、彼氏に振られて憂鬱(ゆううつ)になったというような場合、心の健康としては通常より悪い状態です。それがどんどん悪くなっていくと、そうした気持ちの落ち込みから食事ができない、ふだんやっていることができなくなった、そこまでいくと、落ち込み度として強すぎるという見方ができると思います。つまり重症だということですね」

いわゆる心の健康を損なうとは、日々、さまざまな出来事がふりかかることで、それまでは送れていた平凡な生活が何らかの理由によって送れなくなった時、と考えていいという。とはいえ、その程度や頻度は1人1人によって異なるのではないか。

岡島准教授はこう指摘する。「そうですね、例えば恋人と別れたとしても、それがその人にとって非常に大きな出来事であれば、心の健康は重く害されてしまいます。もしかすると、うつ病という診断になるかもしれません。抑うつ気分も同じで、憂鬱だ、抑うつだというような気分を抱えたままでも、日常生活がいつも通り送れていれば、特に問題はない。しかし、そうした気分を抱えたことで、楽しい生活が送れなくなったという時には、やはり要注意だと思います」。

大きな病気がストレスに/しドクターんどうとも健康法


<それってうつ病?メンタルヘルスの現場から(26)>

会社員Fさん(49)は妻と共働きで、子どもはおらず、自身は1部上場の有名企業に勤めていた。ある朝、妻を送り出した後、Fさんが玄関で靴を履こうと前かがみになったところ、強烈な頭痛がしたと思ったら、体の自由がきかなくなり、意識を失い倒れてしまった。夕方、妻が帰宅したところ、玄関で倒れているFさんを発見。救急車で運ばれたFさんは、運良く命を取り留めたものの、左半身まひが残り、言葉も出づらい後遺症を負った。診断は脳梗塞で自宅療養となったが、それがストレスとなり、うつ病を発症した。

うつ病は、体の病気と関係することも多い。例えば心筋梗塞を起こすと、再び発作が起きるのではないかといった不安にさいなまれ、ストレスが元で気分が落ち込み、ひどい場合はうつ病を併発しやすいといわれている。他にも糖尿病や甲状腺の病気、パーキンソン病、あるいは、がんといった命にかかわる大きな病気は、要注意だ。

一方で高齢者の場合は、認知症に気をつけたい。認知症では物忘れなどの記憶障害を始め、思考力、判断力、それに意欲の低下などを伴いやすく、うつ病と似た症状と混同しやすい。認知症とうつ病が同時に併発している場合もある。認知症にはアルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型などがあり、その診断も容易ではない。

そもそも高齢になればなるほど、配偶者や親しい人との死別や子どもの独立(喪失感)、退職、病気など、うつ病を発症しやすいリスクが増える。家族や親族、知人など、周囲の見守りや関わりが、気分の落ち込みや立ち直りに役立つこともある。かかりつけ医と連携するなど、周囲は社会から本人を孤立させないようにすることが大切だ。

なお、精神科やメンタルクリニックへの受診は、本人が拒否しないよう、健康診断の名目で連れていくなどの配慮を心掛けよう。

他の病気同時に起こることも/ドクターしんどうとも健康法


<それってうつ病?メンタルヘルスの現場から(25)>

Cさん(38)は都心の女子大を卒業後、アパレルメーカーに就職。顧客営業で頭角を現し、同期の中でも一番の出世頭となり、30代前半で複数の営業所をまとめる管理職に抜てきされた。もともと人好きで、やりたかった服飾の仕事だったので、すべてが順風満帆かと思われた。ところが数年前あたりから、社内に次々と本業とは異なった新しい事業が立ち上がり、若い世代が台頭してきた。そのためCさんのような中間層がついていけず、もはや会社の“お局”状態となってしまった。

焦れば焦るほどうまくいかなくなるもので、Cさんの部門は成績が落ち、もはやリストラ対象寸前にまで追い込まれてしまった。ある日のこと、Cさんに異変が起きた。「このままの状態では将来がない。どうしたらいいのかしら」。突然、心臓の動悸(どうき)が激しくなり、体の震えが止まらなくなった。その後休職したCさんは家に閉じこもるばかり。心配した家族が病院に連れていき「うつ病」と診断された。

うつ病と同時に、ほかの病が起こることは少なくない。中でも強い不安感やめまいなどのパニック症状を伴う「パニック症」は、発作を繰り返すうちうつ病を発症しやすいといわれている。引きこもりなどから人に会わなくなり、気分が落ち込んでうつ病を引き起こすこともある。そのほか、「パーソナリティー障害」や「統合失調症」はうつ病と関係が深い病気といわれている。パーソナリティー障害は考え方や行動の偏りが激しく、対人関係でトラブルを起こしやすい障害で、それがもとでうつ病を発症しやすい。

また、幻覚や幻聴、妄想などにとらわれる「統合失調症」もその初期はうつ病と似た症状を呈する。たとえば強い気分の落ち込みや不安がみられる。さらにうつ状態と、気分が高揚する躁状態を繰り返す「双極性障害」にも要注意。病気の原因には体質やストレスが関係する。

いずれも正確に判別することは専門医でも難しいとされ、適切な治療に結びつかないことも少なくない。

不安大きくなると記憶落ちる/ドクターしんどうとも健康法


<それってうつ病?メンタルヘルスの現場から(24)>

うつ病になると判断力が落ちミスが多くなる。「うつが治る食べ方、考え方、すごし方」(CCCメディアハウス)の著者で「新宿OP廣瀬クリニック」の廣瀬久益(ひさよし)理事長はこう話す。「注意力が落ちる。脳内のワーキングメモリーが障害され、記憶が落ちてくるのです」。

廣瀬理事長によると、ストレスがかかることでコルチゾールというホルモン物質が分泌される。コルチゾールは、炎症を抑えるなどの防御作用で体を守ってくれる半面、増えすぎると神経細胞の毒となり、障害となる。

「脳の海馬という記憶にかかわるところは、不安や気分を保つところに影響を及ぼす。そのため慢性ストレスの状態により、不安が大きくなることでうつ気分となり、記憶も落ちる。うつ病のほとんどは記憶力が落ち、人に言われたことが残っていないのです」

記憶が落ちてきたということは、脳にダメージが出始めている証拠である。ほかにも脳の前頭前野と呼ばれる、注意や情報処理にかかわる部分が低下し、結果として仕事ができない状態に陥るというわけだ。

「物忘れがひどいという症状は一般的にも分かりやすい。うつの実態としては、ミスが増えた、疲れやすい、朝の目覚めが悪い、といったことになると思います」

廣瀬理事長は、ネットの動画サイト「ユーチューブ」でこうした情報を発信し、動画はすでに180本を超えた。廣瀬理事長はこう警鐘を鳴らす。

「考え方や生き方、そして社会のあり方というものが、うつ病を始めとするメンタルヘルスを脅かしているということに気づいてほしいと思っています。そもそもうつ病の患者さんたちは、競争社会の中で生きてきた人がほとんど。誰もがなりうる可能性があるのです」

患者の多くは「素直な人」たちだという。うつ病は社会全体の問題としてとらえることで、その治りにくい実態に迫ることになり、より良い治療につながると提言している。そうした視点は、うつ病が単なる個人の問題にとどまらないことへの理解につながるはずだ。
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