あなたの健康はお金で買えますか・・・? ■デキる人の健康学・著名人の病気
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【デキる人の健康学】楽しみながら運動するのが健康増進のコツ

先日、『食べるのを我慢できないのは、あなたの意志が弱いからではありません。』(角川マガジンズ)というタイトルの本を出版した。

 よく食後のデザートは別腹というが、デザートはカロリーも高いので、この別腹の食欲をいかにコントロールするかがダイエットの鍵を握っている。

 そんな中、運動のやり方がこの食後のデザートの質と量に影響を与えているという研究が話題になっている。

米国コーネル大学食品ブランド研究所のブライアン・ワンシンク博士らの研究チームは運動を楽しみながら行うのと、エクササイズなどの課題として運動するのでは、食後のデザートの選択嗜好と摂取カロリーに大きな違いがでることを明らかとした。

研究チームは米国ノースイースタン大学に勤務する56名の女性管理職を「楽しく散歩する」群と「課題を与えて歩く」群に分け、いずれの群も同一の1マイル(1.6Km)の散歩コースを歩いた。

 楽しく散歩するグループは景色など楽しみながら散歩するように言われたが、課題を与えられた方のグループはMP3プレーヤーを渡され、歩きながら音楽を聴くように指示され、コース途中の6カ所で聴いた曲に対する評価を求められた。

 いずれの群も散歩の後に同じランチを与えられたが、食後のデザートには健康的なデザートとしてアップル・ソース、快楽的なデザートしてチョコレートプリン、健康的飲み物として水、快楽的飲み物としてコーラが選択できるように試験がデザインされた。

 試験の結果、課題を与えられて歩いた群の女性はチョコレートプリンやコーラを選択する傾向が強く、デザートで35%も余計にカロリーを摂取することが明らかとなった。

研究チームは運動に課題やノルマを与えるとその報酬として過食に走る傾向が証明されたと考察。健康のためにはリラックスして運動を楽しんだ方がよさそうだ。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。
1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】カカオでボケ予防…チョコレートに認知機能維持の秘密

人口の高齢化に伴い認知症が急増している。誰もが、いつ発症しても不思議ではない病気で、「もし、自分がなったら」と考えたことのある人も多いことだろう。

 厚生労働省の報告によれば、2012年時点の認知症患者は、軽度者を含め約462万人に上る。予備軍とされる「軽度認知障害」の約400万人を加えれば、65歳以上の4人に1人が該当する計算だ。

 認知症の中でもアルツハイマー病は原因不明の神経変性疾患で治療法が確立されていない。最後は寝たきりで介護が必要になるので、大きな社会問題になっている。

 ココナツオイルが認知症の症状を改善させる効果があることを本コラムでも紹介したが、アルツハイマー病を予防する食材が話題を呼んでいる。

そんな中、カカオ豆から抽出したココアにアルツハイマー病を予防する効果があることがネズミを用いた実験で証明され話題を呼んでいる。

 米国ニューヨーク市のマウントサイナイ医科大学アイカーン医学部のジュリオ・マリア・パシネッティ教授はカカオ豆にはポリフェノールが豊富に含まれることに注目した。

 ラバードという製法でカカオ豆を精製して得られるココアパウダーはプロシアニジンというポリフェノールが豊富に含まれ強力な抗酸化能を示す。

 アルツハイマー病ではアミロイドaタンパク質が異常蓄積しシナプス機能を障害することにより記憶力が低下することが知られているが、博士がネズミの脳のスライス標本にココアパウダーを添加すると、シナプス障害が緩和されることが分かった。

 実際、ココアパウダーには試験管の中でアミロイドaタンパク質の異常凝集を抑制する効果が認められた。

世界で最も長生きしたフランス人、カルマンさんも120歳まで認知機能が保たれていたが、カルマンさんの好物だったチョコレートに認知機能維持の秘密があったのかも知れない。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。
1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】愛情ホルモンが高齢期の体力維持に有効

オキシトシンは別名、愛情ホルモンとも呼ばれ、これまでの研究で母親の赤ちゃんへの愛情、親子の絆、夫婦の絆の形成に重要な生物学的役割が明らかにされてきた。今回、この愛情ホルモンが高齢期の筋力の維持に必要であることが分かり話題を呼んでいる。

 高齢期には、サルコペニア(加齢にともなう筋肉減少)のために筋力が低下し、日常生活を維持する体力を保持できなくなる。

米国カリフォニア大学バークレー校のウエンディ・カズン博士らの研究チームはネズミの実験で、高齢期の体力維持にオキシトシンが必要であること、さらにオキシトシンを高齢期のネズミに投与すると筋肉を若々しく維持できることを明らかとした。

 博士らが、オキシトシンを欠損させたネズミを観察すると子育ての愛情が減弱しているだけでなく、高齢期の筋肉減少が顕著に観察された。

 そこで、オキシトシンをネズミに定期的に注射すると高齢期の筋肉の減少を抑えることができた。オキシトシンが投与され筋力が回復したネズミの筋肉組織を博士らが詳しく調べると、筋肉中に存在する幹細胞が活発に分裂していることが分かった。

 筋肉に存在する幹細胞は筋肉が傷ついた時などに分裂し、新しい筋肉を再生する重要な役割を果たしている。オキシトシンはこの幹細胞に作用し、筋肉を若々しく保つ役割を果たしていたのだ。

 オキシトシンを自閉症などの病気に治療目的で使う時にははスプレーなどで投与するが、高齢期の筋力の維持だったら、自分自身のオキシトシンを分泌刺激したい。

 夫婦間のスキンシップやタッチなどでオキシトシンの分泌が促進することが知られているので、スキンシッップやタッチを積極的に日常生活に取り入れることで、夫婦関係も円満になり高齢期の筋力や体力を維持することができるだろう。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。

1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】一日一個で医者いらず…自然農法が生んだ奇跡のリンゴ

最近、健康と食のあり方を考える社団法人「アンチエイジングフード協会」を設立した。

 健康を創るのも食ならば、病気を治すのも食に在りと予防医学の原点を食と位置づけ、「食と健康」の在り方を予防医療、食、農業、地球環境の立場から考える活動を始めた。

 2年前にハワイのパーマカルチャー農園での農業体験からスタートして、病気の根源を排除していく食の在り方や認知症、生活習慣病やガンを予防する食の在り方を目指したプロジェクトは、地球環境と予防医療を1つの延長線上に位置づける協会の活動に発展した。

 5月には協会の発足記念の講演会で「奇跡のりんご」の木村秋則さんをお招きして自然農法と食と健康について貴重な農業体験を伺うことができた。農薬や化学肥料を使わずにリンゴを育てることを目指した木村さんが到達した農法が自然農法だ。

 肥料も農薬も使わないリンゴ農園で雑草や土のなかのバクテリアがリンゴの成長に必要な栄養素を造っていることに気がついた木村さん。

 実際、雪深い青森で木村さんのリンゴの木を守っていたのはリンゴの木の下に生い茂った雑草だったのだ。

一方、化学肥料や有機肥料は土のバクテリアを殺してしまうだけでなく、大量に使用された窒素肥料が地球を汚染し地球の温暖化をもたらしていると農業と地球環境の在り方を熱く語った。

 実際、農薬を最も大量に使用している国が日本であると警鐘を鳴らす。餅米との交配で品種改良されたコシヒカリも糖尿病を助長、自然農法のササシグレで糖尿病が改善した人もいると自然農法と健康の関連性を強調する。

 木村さんの提唱する農薬や化学肥料、有機肥料を使わずに土の栄養だけで育てる自然農法はお米の栽培、サトウキビの栽培、野菜の栽培など日本全国に広がりを見せている。

「一日一個のリンゴで医者いらず」とイギリスの古い諺にもあるが、健康長寿を達成するためにはリンゴの質も問われそうだ。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】ニューヨークでブーム、パレオダイエットとは

最近、学会でニューヨークを訪問する機会があった。米国では小麦が大きな問題になっているが、肥満率はなんと米国人口の35%を超えOECD諸国の中では最悪の状況である。

 3人に一人が肥満なので、街の中あちこちにどうにもならない様なメタボ体型を見かけるようになった。ところが、ニューヨークだけは事情が違うようだ。

 健康意識の高いニューヨーカーは自転車に乗り、ジュースバーでスムージーを飲んで、寿司バーで夕食といった健康的な生活を送っているのだ。ユニオンスクエアの近くの「パレオダイエット(旧石器時代ダイエット)」を標榜するヒュー・キッチンというレストランを訪問した。

 入り口に「人間に戻ろう!」、「食産業が食べ物をダメにする前の食べ方に還る時が来たのだ!」と書いてある。レストランの中に入るとジュースバーがあり、その奥には肉、魚、野菜、果物、ナッツ、スーパーフードなどを使った料理からランチメニューを選択できるようになっている。

 農耕文化が始まる前の食スタイルを目指しているので、小麦、米、大豆、遺伝子組み換え作物、加工食品などは極力使用しないように心がけているが、全粒粉の穀物は多少使っているようだ。カロリーではなく自然食材が持つ栄養素や機能性成分を重要視している。

 レストランは若者で満席だったが、このレストランの常連は皆スリムな体型を保っていることが印象的だった。つまり、ダイエットの選択が体型の選択につながっていることを物語っているのだ。

 実際、旧石器時代には肥満の人はいなかっただろうが、現代のニューヨークでちょっと変わった食文化が台頭して新たに健康的な選択肢が出現したのだ。生活習慣病の根本治療は生活を改善することだが、食生活を旧石器時代に戻すことは究極の選択肢かも知れない。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。

東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】ジャンクフードで「やる気」消失!?

太っている人にはジャンクフード好きで、身体の動きが鈍く、性格は怠けがちな人が多い。

 しかし、怠けがちな性格が肥満を招いたのか、肥満になったから怠けがちな生活に陥ったのか区別がつかないのが現状だ。最近の研究でジャンクフードを食べると身体が疲れやすく怠けがちな生活になることを示唆する研究成果が報告され話題を呼んでいる。

 米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校・心理学のアーロン・ブレイスデル博士らの研究グループはネズミに大量の砂糖を含む加工度の高い低品質餌(ジャンクフード餌)を6ヶ月間与えた後、ネズミの「やる気」と作業効率を健康的な餌(砂糖を含まない標準餌)を食べた群のネズミと比較した。

 ネズミが自分でレバーを押さなければ餌や水が獲得できないように飼育ケージを設定したところ、ジャンクフードを摂取した群のネズミは体重が増え、明らかにレバーを押す力が弱く、作業時間の中断も2倍長いことが分かった。つまりネズミは集中力が続かずに怠けがちになったのだ。

 さらにジャンクフード摂取6ヶ月間後に今度は健康的な餌に切り替え9日間後に同様の検査をした。興味深いことに、ジャンクフード群のネズミの「やる気」や作業効率は回復しなかった。

一方、健康的な餌を6ヶ月間摂取したネズミは9日間ジャンクフードを食べても「やる気」と作業効率は低下せず、体重も増えることはなかった。

 これまでの肥満研究では高カロリー食は高脂肪食を実験に用いるのが一般的だったが、今回の研究では砂糖や食品の加工度に注目した点がポイントで、ネズミは高脂肪食ではなく砂糖と加工食で体重が増え「やる気」と作業効率が低下したと博士は強調する。

「やる気」を回復するためにも砂糖や加工食品を控え、野菜、果物、肉や魚介類を積極的に摂るようにしたい。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。

東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】ライフスタイルと腸内細菌の関係

最近、パレオ・ダイエット(原始人ダイエット)が注目されているが、工場で生産されたフード、ケミカルや遺伝子組み換え技術を用いたフードとは無縁の自然界から手に入るものだけを食べることが、人間の身体に望ましいという理論に基づいている。

 その食生活を実践することによって、石器時代の人々のように健康で強く、皮下脂肪の少ないボディを手に入れることができるというキャッチで米国で流行している。

 それでは、本当に原始人ダイエットで健康を手に入れる事が出来るのだろうか?独ライプチッヒのマックス・プランク研究所のアマンダ・ヘンリー博士らの研究チームはアフリカの狩猟採取民族ハッツァ族の腸内細菌を調査し、ハッツァ族が自己免疫疾患などの現代病を発病しない理由の一端を明らかとした。

 中央アフリカのタンザニアに居住するハッザ族は、現在でも狩猟と根茎の採取で生活している。主に男性は狩猟と密の収集をおこない、女性は根茎類などの植物を採取している狩猟採取民族である。

 ヘンリー博士らがハッツァ族とイタリア都市部居住者の腸内細菌叢を比較すると、ハッツァ族の腸内細菌叢は多様性が高く、先進国の人間にとっては病原菌であるトレポネーマ属の細菌が高レベルで検出され、逆に先進国では高いレベルにあるビフィズス菌のレベルは低かった。

 先進諸国で増加傾向にある過敏性大腸炎、結腸がん、肥満、2型糖尿病、クローン病などでは、腸内細菌の多様性が低下することが知られているが、ハッツァ族では腸内細菌のバランスの崩れによって発症するとされる自己免疫疾患はほとんど観察されない。

 明らかに先進国に住む人の腸内細菌は環境に適応して変化したと考えられるが、今回の研究で化学物質を沢山含んだ食事を消化するべく変化した結果、様々な疾患を発症するようになった可能性が示唆された。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】インターネットで高齢者のうつ予防!?

人口の高齢化に伴い、高齢者のうつが社会問題となっている。うつに陥る高齢者は一人暮らしで外出頻度が少なく日常生活の活動量が極端に低い傾向が報告されている。

 最近ではソーシャルネットワークの手段としてインターネットが活用される様になったが、インターネットで育った若い世代に比べ、コンピューターやiPADはまだ高齢者には敷居の高いコミュニケーション手段だ。

しかし、インターネットを利用している高齢者はうつ病の発症を30%以上減らすことができるとの報告が話題を呼んでいる。

 ミシガン州立大学のテレコミュニケーション学科のシェリア・コットン教授らの研究グループは2002年から2008年にかけて50歳以上の高齢者の健康情報を隔年で調査した「健康と退職調査」に登録された2万2000名の名簿から3075人の参加者を抽出し、インターネット利用とうつ病の関連性を検討した。

 インターネット利用はインターネットを定期的に利用しているかどうかを参加者に質問表で調査した。

調査の対象になった3075名の高齢者におけるうつ病の頻度は14%であったが、インターネットを定期的に使っている高齢者群ではうつ病の頻度が9.1%と低く、インターネットを使用していない高齢者群ではうつ病の頻度が16%と高いことが判明した。

 この調査結果より、コットン教授はインターネットを使う事により、一人暮らしの高齢者のうつ病を30%減少できる可能性を示唆した。しかし、一日コンピューターの前に座って歩かなくなれば、逆に健康に対してはマイナスの影響が強くなるだろうとも警鐘を鳴らしている。

一昔前は町内会の集会や井戸端会議などで高齢者は孤独を克服していたが、時代の変遷とともに高齢者の孤独の克服法は現代風に進化したようだ。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。

1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】食事の摂取量は住んでいる地域次第!?

前回のコラムで食事の摂取量は友達次第という話題を紹介した。しかし一方で住んでいる地域やコミュニティーのあり方も食事の摂取量を決めているようだ。

 英国ノルフォールのイーストアングリア大学医学部のアンディ・ジョーンズ教授らの研究グループは英国の100万人以上の子供の身長と体重を測定する「国立児童測定プログラム」のデータと居住地におけるフィッシュアンドチップ、ハンバーガー、ピザ、お菓子屋などの不健康な食品を提供している店舗の数を比較・検討した。

 調査の結果、不健康な食品を売る店が密集している地域に住んでいる児童はより過体重である傾向が認められた。

また、この傾向はファストフード店が密集している地区に住んでいる小学校の高学年の児童では低学年の児童より顕著に認められた。高学年の児童はより購買力があり自分の食べ物を選択できる環境に置かれている。

 一方で健康的な食品を販売する店舗がより多い地域に住んでいる児童は過体重の割合が有意に低かった。健康的な食品の選択肢が居住地域にあることが、児童の食生活に好影響を及ぼすことを示していると教授は主張する。

 世界最大のファストフード店マクドナルドの日本の総店舗数は3600店舗を超え米国に次いで世界第2位、人口10万人あたりの店舗数も米国、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアに次いで世界で5位でほとんど飽和状態に達している。

しかし都会ではファストフード店が密集している一方で伝統食が食文化として根付いている地方、例えば長野県などではファストフード店より伝統食店の蕎麦屋などの方が街中に目立つ。健康的な地域づくりやコミュニティーのあり方が肥満や糖尿病を予防するにあたってより重要な課題になるだろう。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】食事の摂取量は友達次第!?

米国の退役軍人の寿命を調べた研究では、現役時代にどの戦地に従軍していたか、あるいはどの部署に配属していたかより、退役後に属したサークルの方が寿命に与える影響が大きかったという結果が得られている。

 つまり、飲み会が多い退役軍人のサークルに入った退役軍人は生活習慣病を発症する危険が高く、逆に健康的なサークルに退役軍人は健康的な人と友人になる確率が高く、生活習慣病のリスクが低く長生きの傾向があるらしい。

確かに太っている人を観察してみると太っている友人が多く、逆に痩せている人は痩せている友人が多いことは米国だけの傾向ではないだろう。

 英国リバプール大学の心理学研究所のエリック・ロビンソン博士らの研究グループは、食事摂取に関する社会規範がどのように食品の消費や食事の摂取量に影響を与えるかに関するこれまでの15の研究を包括的にレビューして、社会規範が食事の摂取量や何を食べるかに与える影響を検討した。

 その結果、実験の参加者に他人が高カロリーの食物を選択したという情報を与えると、参加者も同様の高カロリーの食物を選択をする可能性が高くなる傾向が示された。

 つまり社会規範が食べ物の選択や摂取量に影響を及ぼすことが分かったのである。大学生の飲み会で「一気飲み」が流行ったことがあったが、お酒に弱い学生も社会規範に従いビールを沢山飲むという習慣も飲食の摂取量が社会規範に従う良い一例である。

 ロビンソン博士は「ある状況では、食の規範に従うことが社会集団のアイデンティティを強化する方法になっている」点を指摘する。まさしくビールの「一気飲み」は社会集団のアイデンティティを強化する方法として大学のクラブやサークルで使われていると考察される。食事の摂取量は友達次第のようだ。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。
1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】座っていてもできる運動で「健康増進」だ

米国の閉経後の女性9万3000人を対象にしたコーネル大学の調査で座業時間が1日11時間を超える非活動的な人では、座業が4時間未満の活動的な人に比べ総死亡率が12%増加、循環器疾患の死亡率が13%増加、

冠動脈疾患の死亡率が27%増加、がんによる死亡率が21%増加。座る生活スタイルは肥満や心臓病の原因になるが、この調査で座業時間と死亡率の関係が明らかとなった。

 そんな中、座業中でもすわりながら運動できる「エリプティカル・トレーナー」という運動器具を導入することにより肥満症や2型糖尿病、メタボリック症候群を予防できる効果が示され話題を呼んでいる。

 エリプティカルマシンとは楕円軌道マシンとも呼ばれ、フィットネスジムでも人気のマシン。ペダルが楕円運動をするためにランニングマシンのように着地による衝撃がなく、上肢や下肢に一定の負荷がかかるという特徴がある。

 今回の調査では座位でも使える小型のエリプティカル器具が試作された。

ペンシルヴァニア州立医科大学のリサ・ロフニアク博士らの研究チームは、32名の被験者にオフィスや自宅でテレビを見ながら、あるいはパソコンをしながらエリプティカル器具を使用してもらいその効果を検証した。

 その結果、被験者は毎時間あたり平均約180kcalのエネルギーを消費した。

この消費量は座業での消費カロリーの2倍以上のカロリー消費量に相当。被験者の86%で体重増加を抑えるのに十分なエネルギーを1時間のエリプティカル・トレーナー使用で消費できることが確認された。

 多くのオフィスワーカーにとって座業時間を減らすことは現実的に難しいので、エリプティカル・トレーナーを使った「ながら運動」が有効な運動処方箋になるかも知れない。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。
1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】高齢期の身体活動量の低下と抑うつ症状と関連

最近のハーバード大学の研究調査で、高齢期になると家の中で座って過ごす時間が長くなることが大規模調査で示された。

 ハーバード大学公衆衛生学教室のエリック・シロマ博士らの研究チームは7247人の米国人の高齢女性(平均年齢71歳)に7日間、加速度計を体に装着してもらい日常生活の身体活動パターンを測定した。

 加速度計は座っている時間、ゆっくり歩いた時間、家事や掃除をしている時間や早歩きをした時間を解析できる装置で身体が消費している活動量(消費カロリー)が詳細に計算できる。

 シロマ博士らが座位の時間を解析すると、加速度計を装着していた平均14.8時間の内の平均9.7時間は座って過ごしていることが分かった。年齢や肥満度が上昇すればするほど座っている総時間が増加した。

 博士は高齢期には座ることが多くなりあまり立ち上がらない生活で、部屋でテレビを座ってみるなどの行動が増えている現状を指摘する。

 高齢期の身体活動量の低下と抑うつ症状との関連性を示した大規模調査研究もある。

スウェーデンのゴーテンブルグ大学のリンドウオール博士らの研究チームはEUに住む平均年齢64歳の高齢者1万7500人を2年半追跡調査し、身体活動量と苦しみの感情や意欲との関連性を検討した。

 その結果、調査開始時点および終了時点でいずれも活動量が高かった高齢者群は苦しみの感情が少なく意欲が高い傾向が示された。

 一方、調査開始時点で活動量が低かった高齢者群は調査終了時に苦しみの感情が高く意欲が低い傾向が認められた。

リンドウオール博士は高齢者が日常的な身体活動を維持することで、将来の抑うつ症状を発症する危険を低下させる一方で、抑うつ感情が身体活動を活発に続けることの妨げになっている点を指摘していた。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】ミトコンドリアが“老化”に影響してる!?

40歳を過ぎてからの同窓会に出席すると、学生の頃と全く変わらない同級生と同級生ですらどこの誰だか分からないほど老けてしまった同級生までさまざまで愕然とした経験はないだろうか。

 老け方、つまり身体の老化のスピードの差が老け方の差を生み出しているのだ。南デンマーク大学のクリステンセン教授の双生児研究では老化のスピードの制御は遺伝要因だけでなく、環境要因が重要であることを示している。

環境要因の中でもとくに、喫煙、食事、運動、アルコール摂取などの生活要因が老化のスピードを大きく作用することが知られているが、最近の研究でミトコンドリアが環境要因と細胞老化のスピード制御を結びつけている橋渡しの役割を果たしているメカニズムが解明され話題を呼んでいる。

 ミトコンドリアは全ての細胞に備わっている細胞小器官でバッテリーの機能を持っている。

ハーバード大学のデービッド・シンクレア教授はミトコンドリアと細胞の遺伝情報を格納している核の間に密接なコミュニケーションが存在し、そのコミュニケーションが疎遠になることが、老化を引き起こすことを突き止めた。

 シンクレア教授はコミュニケーションを担っている分子NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)に注目した。

教授がモデル動物のマウスを注意深く観察すると、マウスが年をとると細胞内のNADの濃度が低下して核とミトコンドリアの間にコミュニケーション不足が生じることが分かった。

 驚くべきことに老齢マウスにNADの前駆物質を投与した結果、老化した筋肉が1週間で若さを取り戻した。

90歳で筋トレを始めても筋肉は若返るがが、まさしく運動により核とミトコンドリアのコミュニケーションが回復したために若さを取り戻したと考えられる。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】肥満症の原因は甘みに対し鈍感になり…

肥満症の原因はさまざまで遺伝的な要因もあれば環境要因もある。環境要因のなかでは、食生活と運動不足などの生活様式が重要な発症基盤となっている。

 2003年のWHO(世界保険機関)の報告書では、肥満を増加させる食生活として、高カロリー食品、動物性脂肪に多く含まれている飽和脂肪酸、ファーストフード、砂糖が添加された飲料水の過剰摂取が挙げられ、減少させる要因として食物繊維の多い食事や野菜や果物の摂取が挙げられている。

 現代人はカロリー制限が難しい環境の中で生活しているが、その様な環境の中でも健康的な体型を保てる人は沢山いる。それでは、痩せ身の人と肥満の人では食生活の行動制御にどのような相違点があるのだろうか。

最近、ネズミの実験で肥満のネズミでは甘みを感じ取る味覚細胞が減少していることが報告され話題を呼んでいる。

 米国ニューヨーク州立大学バファロー校の生物科学科のアマンダ・マリフォル博士らの研究チームは25匹の正常マウスと高脂肪食を10週間摂取させ肥満にした25匹のマウスを対象に末梢味覚受容体細胞の神経伝達の効率を検討し、肥満が味覚に及ぼす影響を調べた。

味覚細胞には甘み、旨味、苦み、酸味を感じる細胞があり、それぞれ違った受容体を持っていることが知られている。

 実験の結果、肥満マウス群の味覚細胞は正常マウス群に比べて甘みだけでなく苦みに対しても反応性が低下していることが分かった。

 しかし、旨味に対する両群のマウスの味覚細胞の反応には差を見いだせなかった。マリフォル博士らは肥満マウスでは甘みを感じる最初のステップでの反応性が低下することにより、甘みに対して鈍感になり、スイーツや甘い飲料水を過剰に摂取してしまう可能性を指摘している。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】どの程度の運動が一番カラダに良い?

適正体重の維持、バランスのよい食事、定期的な運動、禁煙、適正なアルコール摂取の5つの生活習慣が健康長寿に重要であるが、これらの習慣の中で最も重要な要因は運動であると指摘されている。

しかし、どの程度の強度と頻度の運動が健康長寿の達成に必要なのかに関しては見解は一致していない。

 そんな中、日曜大工やガーデニングなどの日常生活のなかでの身体活動を増強するだけで心臓発作や脳卒中の発症率を下げ、健康長寿に効果があるとの報告が話題をよんでいる。

スウェーデン・カロリンスカ大学医学部環境医学のエリン・エクブロム・バク博士らの研究チームはストックホルム郡に在住の4232人の60歳代のスウェーデン人を12.5年間追跡調査し、日常生活の活動量と生存率の関連性を調べた。

 12.5年の調査期間中に476人が心臓病を発症、383人が様々な原因によって死亡した。身体活動性が最も高かった群では最も低かった群に比べ心臓病もしくは脳卒中による死亡率が27% も低かった。

さらに全ての原因による死亡リスクも30% 低いことが分かった。意外なことに運動習慣があっても日常生活の活動量が低い場合は健康長寿効果が相殺されること、逆に日常生活の活動量が高い場合には相乗効果により健康長寿効果は増強することが明らかとなった。

 ランニングやスポーツジムでのトレーニングなどを定期的に行えば健康効果があることは誰でも分かっているが、今回の調査で明らかになったように、日曜大工や庭いじり、車のメンテナンスや果物の収穫(北欧の調査でブラックベリー摘みが例に上げられている)などで健康長寿効果が期待できるのであれば、運動が出来ない多くの高齢者に重要な意味があるだろう。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】生活様式と糖尿病、脳卒中、がん、認知症の関連性

英国カーディフ大学公衆衛生学のピーター・エルウッド博士らの研究チームは南ウェールズ・カーフィリー在住の45~59歳の男性2,235人の生活様式を35年間にわたり追跡調査し、生活様式と糖尿病、脳卒中、がん、認知症の発症率や認知機能の維持との関連性を検討した。

調査の対象となった健康を保つための5つの生活様式は以下の質問内容により調査された。

(1)BMI(体重/身長x身長)を18~25 Kg/m2に保つこと、
(2)1日に3皿以上の野菜・果物を摂取して脂質の摂取を総カロリーの30%以内に抑えること、
(3)一日に2マイル(3.2km)以上歩くこと、または1日に10マイル以上自転車に乗ること、あるいは定期的にスポーツ(強度の運動)をしていること、
(4)喫煙していないこと(禁煙した人を含む)、
(5)アルコールは1日3杯以下で週に1日は休肝日をもうけることが調査された。

 調査の結果、これらの5つの生活様式のうち、4個以上が継続的に実践できていた男性は糖尿病の発症率が50%に減少、脳卒中が50%に減少、脳卒中の発症が約12年間遅いことが明らかとなった。

 総死亡率は60%も減少していたが、がんに関しては喫煙以外の因子と関連性を見いだせなかった。また、認知症の発症率は36%に減少、認知機能の低下も36%に減少していて、心血管系の疾患と認知症が関連することが示された。

しかし、追跡した35年間に上記の5つの生活様式を維持できた人は全体の1%、4つ以上維持できた人は全体の5%に過ぎなかった。

 認知機能を保ち健康長寿を達成するためには、上記の5つの行動因子が重要であることはこれまでにも分かっていたが、この5つのライフスタイルを維持できている人は全体の1%に満たないことが35年におよぶ生活習慣の追跡調査から分かった。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。

東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。

日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】血糖値高いと認知症リスク増大

米国ワシントン大学医学部のポール・クレイン博士らの研究グループは、1994~96年および00~02年に被験者として登録した、認知症でない65歳以上の高齢者2067人を平均6.8年にわたって追跡し、糖尿病と認知症の発症の関連について調べた。

 登録時に糖尿病と診断されていた人は232人、糖尿病でない人は1835人だった。このうち、調査期間中に認知症を発症したケースは、糖尿病群で74人(母数に対し21.6%)、非糖尿病群で450人(同26.1%)だった。

つまりクレイン博士らの調査では、糖尿病でない人の方が、若干ではあるが認知症を発症しやすいという意外な結果が出たのだ。

 更にクレイン博士らが血糖値と認知症の発症リスクについて検証すると、興味深いことに血糖値が高ければ高いほど認知症の発症リクスが高まり、低ければ低いほど認知症の発症リスクが低下することがわかった。

 つまり、糖尿病を発症していない人について認知症の発症リスクを調べると、一日の平均血糖値が100 mg/dlの人の認知症の発症リスクに対して、105 mg/dlの人の発症リスクは10%増加、110 mg/dlの人の発症リスクは15%増加、115 mg/dlの人の発症リスクは18%増加していることが分かった。

逆に、一日の平均血糖値が95 mg/dlの人の認知症の発症リスクは14%低下、95 mg/dl以下の血糖値では更に認知症の発症リスクは低下していた。

 一方、糖尿病を発症している人について一日の平均血糖値と認知症の発症リスクの関係を調べると、一日の平均血糖値が160-170 mg/dlの場合の認知症の発症リスクが最も低く、それより高くても低くても認知症の発症リスクは増加していることが判明した。

高血糖値が認知症の発症リスクを増大させるメカニズムは糖尿病とは別と博士は考察、今後の研究課題だといえそうだ。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。
1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】小児期の虐待が寿命に影響

小児期に受けた虐待によるストレスが大人になってからの病気の発症や死亡率、寿命に影響を及ぼすことが知られているが、その発症機序や寿命短縮機序に関しては良く理解されていない。

 子供がストレスをうけると体の中の細胞が老化してしまうことが以前から知られていたが、細胞の核の中にある染色体の末端にあるテロメアという「繰り返し構造」がすり減って細胞が老化するメカニズムが次第に明らかにされてきた。

 テロメアは、染色体の末端で我々の遺伝子を守ってくれている特殊な構造。テロメアが長い人は寿命が長い傾向が認められることから、長寿のバイオマーカーと考えられている。

 そのテロメアの構造とテロメアを延ばす酵素であるテロメラーゼの発見で2009年のノーベル医学・生理学賞を受賞した米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校のエリザベス・ブラックバーン教授によると、「テロメアは靴ひもの端のキャップの様な存在で、染色体が解けたり交差したり融合したりすることを防ぎ、染色体の上に乗っている多くの遺伝子を保護している」。

■テロメア研究の「光と影」

 発見された当初はテロメアを延ばすことにより「人が永遠の命を手に入れることができる可能性」が期待されたが、後の研究でがん細胞がテロメアを伸長する酵素「テロメラーゼ」を活性化することにより「がん細胞が不死化する」機序が明らかになった。

 テロメアには「ジキルとハイド」のように、良い側面と悪い側面が共存しているとテロメア研究の「光と影」をブラックバーン教授は指摘する。

 テロメラーゼを活性化することにより細胞がガン化する可能性が否定できなくても、いつまでもテロメアを長く保つためにテロメアが削れないようにする戦略が残っている。つまり、テロメアを短くする要因や物質を生活の中からできるだけ排除して、生まれたときのテロメアをいつまでも長く保つ戦略だ。

ロンドンの聖トーマス病院のバルデス博士らは、ロンドンに在住の1122人の女性のテロメア長を測定し、肥満の女性や喫煙する女性でテロメアが短いことから、生活習慣を改善することによりテロメアを長く保てる可能性を指摘する。

 さらにブラックバーン教授は精神的ストレスがテロメアを短縮する可能性を報告している。どのような精神的ストレスがテロメアを短くしているのだろうか?

■小児期の虐待でテロメアが短縮する

 米国デューク大学心理神経科学のシャレブ博士らの研究チームは236人の小児に対して家庭内暴力、学校でのいじめ、身体的虐待の有無を調査し、5歳時と10歳時におけるテロメアの長さの関係を比較・検討した。

調査の対象になった小児は1994~1995年に英国で生まれた環境リスク調査研究のコホートメンバー2232人から抽出された男児120名、女児116名の計236名の児童。

 暴力への暴露は家庭内暴力の有無、学校でのいじめの有無、身体的虐待の有無の3種類の暴力への暴露で評価された。

 5歳の時点で236人中128人(54%)が「暴力の暴露」が全くなく、69人(29%)が1種類の暴力へ暴露、39人(17%)の児童が2種類以上の暴力への暴露が認められた。

興味深いことに1種類以上の暴力の暴露があった児童のテロメアは暴力の暴露がなかった児童に比べて5歳の時点で既にテロメアが短くなっていることが明らかとなった。

 更に10歳時の検査では2種類以上の暴力の暴露があった児童は暴露のない児童や暴露が1種類であった児童に比べテロメアの短縮が明らかに加速していることが明らかとなった。

子供のころの精神的トラウマは一生引きずることが知られていたが、実際に細胞が傷つき子供の頃から細胞が老化している実態が明らかとなった。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

前立腺がん告白の角盈男さんが行う「重粒子線治療」って?

プロ野球の元巨人の抑えの切り札・角盈男氏(57)が、テレビ番組で前立腺がんを患っていることを告白、話題になった。今年2月、長年やっていなかった健康診断を受診、全身に転移してもおかしくない状態でがんが発見されたそうだ。

 前立腺がんには、手術、放射線、ホルモンなどの治療法がある。角氏はホルモン療法でがんの増殖を抑えつつ、秋から放射線療法のひとつである「重粒子線治療」を行うという。一体どんな治療なのか?

「混合診療が認められている先進医療のひとつで、日本国内では放射線医学総合研究所(千葉県)、群馬大学、兵庫県立粒子線医療センター、九州重粒子線がん治療センター(佐賀)の4カ所で行われています。

重粒子(炭素イオン)を光の速度の70%まで加速させ、体の奥にあるがんを攻撃する治療法です」(都内の放射線治療専門医)

■前立腺がんにはさまざまな治療法が登場

 エックス線を使った、従来の放射線治療では体の奥に行けば行くほど、がんに与える衝撃が下がるが、重粒子線はそれがない。しかも、粒子が重いため、生物的破壊力が強い、といわれている。

「ただし、前立腺がん治療に本当に重粒子線治療が必要か? といわれるとなんとも言えません。

実は前立腺がんは急激に患者数を増やしている分野。『ダヴィンチ』と呼ばれるロボットを使った手術や、放射線源を埋め込み、内部から治療する小線源療法、重粒子より軽いが電子より重い陽子線治療など、さまざまな治療法が登場。

それぞれ得意とする医師が“オレのやり方が一番いい”と力説していて、専門家といえども何がいいのか、断言できないのです」(前出の放射線治療専門医)

 実際、専用コンピューターとエックス線を使う「強度変調放射線治療」(IMRT)と呼ばれる放射線療法は10年以上前から普及しているが、重粒子線治療と結果に大きな差はない、ともいわれている。

「子供相手に横綱が相撲を取るようなもので、大げさ過ぎます。ピンポイントで照射することで重要臓器を損なわないといいますが、それは重粒子線でなくてもできる。むしろ、巨額な費用を使って作ったからどんどん使おうという部分もある」(都内の泌尿器科医師)

 重粒子線治療の費用は照射だけでおよそ300万円。他に保険適用される入院費用や薬代、診察料などがかかる。プロ野球選手として20億円稼いだといわれる角氏にすれば、安いかもしれないが、普通の人にはなかなか手が出ない治療だ。

南野陽子 左指骨腫瘍切除と左肘骨移植手術を発表

女優・南野陽子(46)が左手中指の骨腫瘍切除手術と左肘からの骨移植手術を受けていたことを21日、所属事務所がマスコミ各社にファクスで公表した。手術は1時間で終わり、2日間の入院をへて、すでに退院している。腫瘍は良性だった。

 事務所は「(手術の)3日後には仕事もしており、普段通り元気に生活しておりますのでご安心ください」と説明している。

 南野は20日、自身のフェイスブック(FB)で手術を公表。かなり前から痛みを感じていたが、仕事のスケジュールの調整などで、この時期の手術となったと説明していた。

 南野は20日夜、FBを更新。「実は今週、左手の指の骨腫瘍切除、左肘からの骨移植手術で入院してました。(中略)手術は気がついたら終わってましたが、発熱、吐き気、痛みで、ちょっとヘバってました。」と明かした。

 その後、ファンから心配のコメントが多数寄せられたことなどを受け、南野は左手の肘や指に包帯を巻いた写真が載った20日夜の投稿を削除。かわりに21日午前0時前、新たにファンに向けてのコメントを投稿した。

 南野は「皆さんにご心配をおかけして、ほんと、ごめんなさい。そしてお言葉までいただき、ほんと、ありがとうございます」と心配をかけたことを謝罪。「心配しないでね。ごめんなさいね。」と説明した。

糖尿病」の恐怖…悔しがる森永卓郎さん 合併症で多大な医療費負担

健康診断で「糖尿病の疑いがある」と指摘されても「体調が良いから大丈夫」と放置したままの人もいるのではないだろうか。糖尿病が怖いのは、高血糖が続くことで血管障害の合併症が起こりやすくなるためだ。

合併症が出てからでは健康な状態に戻すのが難しいのはもちろん、経済的な負担も大きい。発症抑制に最も効果が高いのは生活習慣の見直しだ。医療費の節約と考え、実行してみてはどうだろう。

 ◆節約できない

 経済アナリストで独協大学教授、森永卓郎さん(56)は3年前、足にできた傷がなかなか治らなかった。病院を受診すると、糖尿病と診断された。現在、合併症予防のためにインスリン療法を行っており、毎月の医療費は1万~1万5千円という。

 『年収300万円時代を生き抜く経済学』などの著書があり、お金の節約やお得情報に敏感な森永さんは「自分が糖尿病になるなんて考えたこともなかった。医療費は毎月の固定費で節約できない。もっと早く病気の怖さや経済的負担が大きいことに気づけばよかった」と悔やしがる。

糖尿病は血糖値が高くなる病気。しかし、血糖値が多少高いくらいでは全く症状がない人がほとんどだ。糖尿病が悪化し、血糖値がかなり高くなってくると、喉が渇きやすい、だるい、トイレが近い、傷が治りにくいなどの症状が現れる。森永さんも足の傷が治りにくかっただけでなく、喉が渇くなどの症状も自覚していたという。

 血糖値が高い状態が続くと、細い血管が詰まり、網膜症や腎症、神経障害の合併症が起きやすくなる。太い血管が動脈硬化を起こし、脳卒中や心筋梗塞などの合併症となるリスクも高い。

 東邦大学医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌学分野の弘世貴久教授は「網膜症は失明、腎症は透析、神経障害は足の切断などにつながる。糖尿病を指摘されても『体調が良いから大丈夫』と思っている人は多いが、症状が出るのはかなり危機的状況になっていることを知ってほしい」と指摘する。

◆食事・運動が基本

 森永さんのように中年以降になって発症することが多い2型糖尿病は、過食、肥満、運動不足、ストレスなどが主な原因。治療は食事療法と運動療法が基本だ。食事・運動でうまく血糖値がコントロールできなければ、飲み薬やインスリン注射による治療を併用することも多い。

 糖尿病ネットワークの医療費試算によると、糖尿病の年間の自己負担(3割負担)は、通院しても投薬なし(食事・運動療法のみ)なら約4・3万円で済むが、薬1種類を服用すれば約9万円、インスリン注射と投薬を併用した場合は約13・2万円となる。

一方、腎症から人工透析となった場合、高額療養費制度があるため自己負担は年間12万円だが、実際には500万円以上の医療費がかかっている。

 森永さんは「合併症になれば桁違いに医療費が増え、国民全体の負担になる。僕もそうだったが、糖尿病がどんな病気か知らない人は少なくない。血糖値が高いと言われた人は医師に相談して治療を始めた方がいい」と話している。

■インスリン、効果同じなら9割が安価な製剤を希望

 製薬会社の日本イーライリリー(神戸市中央区)が、糖尿病のインスリン療法を受けている患者2650人に医療費についてアンケートを実施したところ、4割が「医療費負担のために抑えている費用がある」と回答している。抑えている費用(複数回答)は、趣味・娯楽費82%▽服飾費60%▽交際費49%▽食費・生活費45%-の順だった。

 インスリン療法開始の際、主治医の勧めるインスリン製剤に決めた患者は9割。インスリンは製剤によって価格は違うが、7割がこのことを知らず、9割の患者が同等の効果が期待できるなら安価なインスリン製剤を利用したいと思っていた。

 弘世教授は「日々たくさんの糖尿病患者さんを診察しているが、治療費について相談されることはそれほど多くない。納得して治療を受けてもらうためにも医療費の問題なども医師にどんどん相談してもらえれば」と話している。

難病と闘う男 巨人・越智 同じ病気で苦しむ人のためにも「1軍に」

楽天・星野監督が「胸椎黄色じん帯骨化症」との診断を受け、休養に入って3週間近くがたつ。闘将以外にもプロ野球界には、この国指定の難病と闘う男たちがいる。

08、09年に巨人のリーグ連覇の立役者となった越智大祐投手(30)と、昨春のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で侍ジャパンに選出されたソフトバンク・大隣憲司投手(29)だ。目指すは1軍のマウンド。そして「復帰」の先には「復活」がある。

 穏やかな口調で話していた越智の語気が、その瞬間だけ強くなった。

 「車椅子での生活を強いられる可能性もあった。そんな僕が巨人で、しかも1軍のマウンドに立つ――。それがどれほど難しいことなのかは理解しています。でも…、支えてくれた家族や、同じ病気で苦しんでいる人のためにも、なんとしてもそこに立ちたいんです」

 最初に違和感を感じたのは11年夏。「たまに、しびれるようになった」。最初は右足、それも膝から下に限られた。頻度も数日に一回だった。前年まで3年連続50試合以上に登板。

この年も6月までに18試合に投げていた。だから、初めての経験にも「疲れかな?」。わずかな疑問に立ち止まることなく、目の前の試合に向かった。

 約9カ月後…。もう自分の体ではなくなっていた。「マウンドに立っている感覚すらなかった」――。そう振り返ったのは12年4月18日の中日戦(ナゴヤドーム)。6回から救援登板。

1死一、二塁から和田に本塁打を浴びて降板した。ボールにもうまく力が伝わらない。「今思うと、よくベンチまで歩いて帰れたと思う。

両足とも感覚がなかった。相手に悟られないように、転ばないように、一歩ずつ、しっかり下を見て歩きました」。これが現時点で最後の1軍登板となった。

 当時、日常生活も支障だらけだった。住んでいた自宅はメゾネットタイプ。階段を上り下りすれば、何度も転ぶ。ところが「感覚がないから痛くないんですよ」。翌日にできた大きなアザを見て、驚くこともあった。

赤ちゃんがハイハイするように両手を使って階段を上ったこともある。風呂でも、湯のたまった浴槽に足から入ると「おへそのあたりまでつかってきたら、急に“熱っ!”って」。下半身は温度までも感じなくなっていた。

 中日戦の翌日に出場選手登録を外れ、数カ所の病院で精密検査を受けた。都内のある病院では越智を気遣い、医師が症状の説明をためらった。

「大丈夫ですから、はっきり言ってください」と促す越智に、「では…」と切り出されたのが「黄色じん帯骨化症」という聞き慣れない病名。「野球を続けても長くて2年くらい。車椅子の生活になる可能性もある。

今すぐに手術を受けても、元(プロ野球の選手に)に戻れるのは50%の確率でしょう」と宣告された。

 「びっくりしたけど、やっぱり、という思いもあった。そのくらい、体の状態は普通じゃなかった」。球団や家族と何度も相談。当初は「手術を受ける気はなかった。

受けてもどうなるか分からないし、このまま長くて2年間をやり切ればいいと思った」。その考えを変えたのは、10年オフに結婚した最愛の妻の言葉だった。

 「手術を受けて。子供もいるし、元気なパパでいてほしい」。野球選手だけでなく一家の大黒柱として。手術を受けたのは6月28日だった。約3時間に及んだ手術。全身麻酔から目覚め、体を横に傾けると、背中に激痛が走った。せきをすれば、電流のような痛みが体全体を伝った。

 術後、1週間で歩行練習を始めた。退院後には川崎市のジャイアンツ球場でリハビリに入った。9月には術後初めてブルペン投球も試みたが「子供みたいなボールしか投げられなかった」。翌年3月には2軍で実戦復帰。

今季はファームで20試合に登板している。手術により、しびれはなくなった。それでも「元気だったときとは少しだけ違う」。これが正直な感想だ。

 それでも、越智が突き進むのは恩返しと使命感からだ。「声を掛けてくれたり、同じ病気の人から励ましの手紙をもらったこともある」。今季は背番号も22から67へと変わった。

「ここで僕が駄目になったら“やっぱりこの病気になるときついんだ”と思われてしまう。だから何としても1軍のマウンドに…」。サポートしてくれた球団、支えてくれた家族、応援してくれるファン。そして、同じ病気で苦しむ人のために――。逃げ場のない覚悟を口にした。

 ▽黄色じん帯骨化症 脊髄の後ろにある椎弓と呼ばれる部分を上下につなぐ黄色じん帯が骨化して、脊柱管内の脊髄を圧迫する病気。初期症状として主に下肢の脱力やしびれがみられる。

悪化すると両下肢まひをきたすこともあり、日常生活に支障が生じる可能性もある。国の特定疾患に指定されている難病で、原因は不明。ブロック注射などで痛みを和らげる方法もあるが、症状が進行している場合、手術が必要になる。

 ◆越智 大祐(おち・だいすけ)1983年(昭58)6月30日、愛媛県生まれの30歳。新田では3年春の愛媛大会優勝も甲子園出場なし。早大に進み、1年春から2年秋まで無傷の11連勝でリーグ4連覇に貢献。4年秋は防御率1.01で最優秀防御率に輝いた。05年大学生・社会人ドラフト4巡目で巨人入団。通算240試合で18勝13敗15セーブ、防御率3.05。1メートル85、88キロ。右投げ右打ち。

西城秀樹 2度の脳梗塞で「死にたい」 苦しいリハビリを歌で克服

2度の脳梗塞(のうこうそく)を患った歌手の西城秀樹。現在はリハビリを続けながら、仕事を再開しているが、当時の苦悩や、その苦しみを乗り越えたきっかけを明かした。

「1度目は、『脳梗塞』だと言われても、僕からすれば『東名高速?』ぐらいの感じで、治りも早く、障害もなかったんです。ショックだったのは2度目でした。

1度目の後、食事も運動も気をつけてきたのに、『どうして僕がなるの!?』っていうのが正直な感想。右手右足にしびれが出てきて、脳梗塞の知識があったぶん怖かった。殴られた後のような感じが続いて、そのまま半年間は立ち直れなかった」

“ワイルドな17歳”として1972年にデビューし、圧倒的な歌唱力と激しいアクションでトップアイドルに。第一線で活動中の2003年に脳梗塞を発症。その後、見事に復帰して11年に芸能生活40周年を迎えるも、同年、再び脳梗塞に倒れた。

「歩く気力が出ないし、努力する気が起こらない。1度目の脳梗塞の後、努力したのに再発したんだから、もう何もしたくないなって。落ち込むとか、そういう程度のもんじゃない。『あ、死んじゃいたい』って思うほどですね。

 そんなある日、このままじゃただ死んじゃうだけ、“息づく”ために自分にできることからもう一回やってみよう、と思える出来事があったんです。

僕が公園で、歩くリハビリをしていたときのことでした。僕と同じ脳梗塞の70歳くらいのおばあさんが、足をひきずりながら歩いていました。

公園をせいぜい一周しか回れないんだけど、『大変なのにがんばってるんだな』って、僕もできることを見つけなきゃいけないと思ったんです。

 体の状態は良くなくて、足をひきずっている状態。でも朝7時半に起き、最低1時間は公園を歩き回る。そんなリズムをつけることから始めました。ハードルは高くしたらだめ。低くていいから、何年も持続しなくちゃいけない。

脳梗塞は、今日何かをやって明日良くなる病気じゃありませんから。年単位で、ちょっと良くなったなっていう程度です。そういう気持ちを受け入れるまでには時間がかかったなぁ。

 リハビリは全部つらいですよ。やさしいものは何一つない。体が鉛のように重いから歩くだけでもつらい。足もおもりをつけているようで、痛いし硬いし、どうしようって感じ。

『そんなことできないの?』っていう、子どもがやるようなことも、脳梗塞の患者にとってはすごい大変。肉体的にも精神的にもつらいんです。

だからリハビリ中は根気しかない。こんだけ根気あって、こんだけ努力するんだったら、東大でもどこでも受かっちゃうよ。(笑い)」

 そんな苦しいリハビリ生活のなかでも、歌は身近にあった。病気の影響からか、ゆっくりした口調で記者の質問に答えていた西城さんが、歌のメロディーをふと口ずさむと、滑らかで通る声が響き渡った。

「声を出すってことはすごくいいですね。歌には4分音符、8分音符……と、音符がある。

それがあることが僕の救いになりましたね。どういうことかというと、普通に話すときはコントロールが大変で、ゆっくり話さないといけない。だけど歌は最初から音符があるためか、ひっかからないんですよ。

そこで僕のデビュー曲(『恋する季節』)はアップテンポだけど、バラードで歌うとどうだろうって練習してみたりして、改めてデビュー曲の良さを感じたりもしましたね」

 以前は、冬はスキー、夏はサマースポーツと、自称「四季を全部感じる人」だった。身長181センチだが、現在の体重は病気の前から9キロほど減って71キロになった。

病で思うようにいかない部分も受け入れると、これまで見えなかったものが見えてきた気がするのだという。

「病気の前と後とでは、百八十度違うということを認識する。今は何ができるのかを見つける。それしかないです。以前と比べたら落ち込むだけだから、比べちゃいけない。かつてはスポーツマンだったから何でもできました。

僕の子どもは言いますよ。昔のビデオを見て『パパ、このときはまだ足、大丈夫だったね』って。『お前、見るなそんなもん』とは言えなくて、見るんですよ、

一緒に。しっかり目に焼き付けて、『あのときは健康だったな。よし早く良くなろう』って気持ちを前向きに持つようにするんです。

 今は虫ひとつ見ても『生きてるんだな』と感じたり、花を見て『のびのび育っているな』と感じたりします。

そして、幸せなことはどこにでも転がっているということにも気付きました。『病は気から』というように、気は大事。やる気、病気、ヒデキー! 全部キが付くでしょ。(笑い)」

 今後は歌手活動に加え、ひとりの患者として、脳梗塞の体験談などを伝える取り組みも続けるという。

「調子が良くないときもありますが、ステップアップの兆しは自分でもわかっています。病気前は、かっこよく見せたいっていうのが常に先にあって、走っていた気がします。でも今は、僕のありのままを見せてやっていこうと思っています」

【デキる人の健康学】「座り続ける生活」は寿命を縮めている

オフィスで何時間もパソコンに座って過ごし、家に帰ると今度はソファーに寝そべって漫然とテレビを見ている人も沢山いるかと思う。

 しかし、そんなサラリーマンにとって、ぞっとするような研究成果が最近報告された。

 「座り続ける生活」は寿命を縮めている可能性が米国の調査研究で指摘されたのだ。ルイジアナ州立大学ペニントン生物医学研究センターのピーター・カツマルジク博士はこれまで、「座る時間」や「テレビを見ている時間」と寿命との関係を報告している5報の論文を総合的にレビューし、「座る時間」や「テレビを見る時間」が寿命に与える影響を包括的に解析した。

調査の結果、平均的な米国人はテレビを見る時間も含めて1日に平均7.7時間も「座って過ごしている」ことが明らかになった。

解析の結果、座る時間を1日3時間未満に抑えれば、平均寿命は2年伸びる可能性を示唆した。テレビを見る時間を1日2時間未満に抑えれば、平均寿命が更に1.38年伸びる可能性も示唆した。

■運動不足はがんの発症リスクを増やす

 カツマルジク博士は、「座っている時間が長いと、2型糖尿病や心臓病の発症リスクが増える」のみならず、「運動不足はがんの発症リスクも増やしていること」を強調する。

現代人のデスクワーク主体のライフスタイルを加味すると、「1日3時間未満の目標達成は多くの米国人に取って困難」とカツマルジク博士は指摘する。さらにテレビを見る時間が長いほど、悪い食習慣が身に付いているという関連性を指摘する調査研究もある。

■テレビを見ながら菓子を食べる習慣が寿命を縮めている

 シュライバー米国立小児保健・ヒト発育研究所のリー・リプスキー博士らの研究グループは、全米を代表するように抽出した小学校高学年~高校生1万2462人の青少年を対象にテレビ視聴時間と食習慣との関連性を調査した。

食習慣に関しては果物、野菜、キャンディーやチョコレートなどの菓子、果糖飲料の摂取頻度、朝食抜きの頻度、ファストフードレストランでの食事の頻度に関して聞き取り調査をした。

 その結果、テレビの視聴時間が長いほど、果物と野菜の摂取率が低く、菓子と果糖飲料の摂取率が高く、朝食抜きやファストフードレストランでの食事の頻度が高かった。

さらにテレビを見ながら菓子を食べる習慣は、果物や菓子、果糖飲料の摂取率を上げファストフードレストランで食事をすることが多い事が明らかとなった。

リプスキー博士は「テレビを見る時間が長いと悪い食習慣が身に付くので寿命が短くなっている」可能を指摘する。

■エクササイズボールの上に座って仕事をする

 座る時間を減らす方法として、立ち机やルームランナーデスクの使用、歩きながらの会議、電子メールを使わずに同僚の席まで直に話にいくなどのオフィスでの工夫が必要だ。

一方、日中動けないのなら、「仕事の前に少しでも運動する習慣をつけるべき」とカツマルジク博士。まずは朝早くか夜に「ウオーキング」することから始め、さらに仕事中にできる1つ以上のエクササイズを推奨している。

オフィスで「座る」習慣を「エクササイズ」に変換する有効な方法として、エクササイズボールと仕事椅子を「交換」する方法がある。

 私もオフィスではパソコンに向かう時間や取材の時間が多いので、常時エクササイズボールに座りながら仕事をしている。

エクササイズボールの上に座っていると、背筋をのばして座骨や背骨、頭をボールの直上に位置させないと椅子から転けてしまう。

パソコンに向っている時でも、自然と背筋をのばした姿勢で仕事をするようになる。エクササイズボールは、まさしくオフィスワークをしながらエクササイズができる「優秀なながらエクササイズ」なのである。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

「明雄さん」死因は「急性骨髄性白血病」との報道 「放射能のせいだ!」ネットで脱原発派?が騒ぐ

「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ系)の「DASH村」でおなじみだった三瓶明雄さんが亡くなったことで、人々に大きな驚きと悲しみが広がっている。

 そんな中、明雄さんの死因が「急性骨髄性白血病」と報じられ、騒ぎになっている。脱原発派と見られるネットユーザーらから「放射能の影響では」との指摘が上がり始めたのだ。

■福島民報のおくやみ欄に死因が載る

 明雄さんの訃報を掲載した2014年6月7日付の朝日新聞、読売新聞、毎日新聞朝刊では死因は書かれていなかったが、福島民報朝刊のおくやみ欄に、「急性骨髄性白血病のため、伊達市の病院で死去」と書かれていた。

 このおくやみ欄を撮影した写真がツイッターで拡散されると、「ご冥福をお祈りします」など追悼のつぶやきに交じって、「福島で、白血病だからアレの影響もあるよね、たぶん」「放射能が猛威を振るい始めたのかもしれません。

こわい、こわい」「これでも食べて応援ですか?」など、「放射能の影響」を疑うような声が上がり始めた。大手紙には死因が書かれていなかったことも憶測に拍車をかけたようだ。

■60歳以上の高齢者に多い病気

 一方、放射能で騒いでいる人々に対して「放射能のせいでとかそんなことで、明雄さんの死を騒ぎ立てるの嫌だな」「人の死にかこつけて大暴れするのやめーや」「頼むからこの悲しみを何かの批判に使わないでくれ」と、苦言も書き込まれている。

 エビデンス社が運営するサイト「がんサポート」によると、急性骨髄性白血病とは、「骨髄の中で造られる造血幹細胞から白血球に分化する途中の細胞ががん化し、正常な白血球ができなくなる」病気と書かれている。

他のがんと同様、60歳以上の高齢者に多いという。

 また、国立がん研究センター がん対策情報センターが運営するサイト「がん情報サービス」によると、後天的な白血病は、放射線をはじめ、ベンゼン、トルエンなどの化学物質、抗がん剤などの薬剤、HTLV-IやEBウイルスといったウイルス感染による遺伝子異常が原因になりうるという。

ただ、原因はまだ完全に解明されたわけではないとも書かれている。

読売新聞グループ会長渡辺恒雄氏最新状況「数10mの距離でも歩かせるのは難しい」

6月5日、東京地裁706号法廷。この日、原告側の証人として現われた読売新聞グループ本社会長兼主筆の渡辺恒雄氏(88歳)の姿を見た傍聴人に少なからぬ動揺が拡がった。

開廷後、数分遅れて杖をつきながら入廷した渡辺氏は、法廷の入口でよろめき、あやうく転倒しそうになるほど足元がおぼつかない。こけた頬が目立つ不機嫌そうな面持ちで、関係者に椅子を引いてもらってやっと証人席に腰を下ろした。

 その後の渡辺氏の挙動に傍聴人は息を飲んだ。法廷の会話が聞き取れないのか、両耳に補聴器を付けようとする。

だが、手が震え、何度も機器を床に落としてしまう。そのたびに自分では拾わず、関係者に拾わせる。証人尋問も噛み合わないやりとりが続く。

「清武君は私との日常的な会話まですべて録音し、反逆の材料にした。清武君は卑怯」
「二重人格だ」

 弁護人の質問を無視し、“暴走”して被告を非難し続ける渡辺氏を、たびたび弁護士が「余計な話をしないで」「質問に答えてください」と諭す場面も見られた。

しかも、「記憶にない」「場合による」を連発する渡辺氏の声音にかつてのような迫力はなかった──。

 2011年、プロ野球巨人軍の清武英利・元球団代表が渡辺氏の球団人事への「不当介入」を告発したことに端を発した「清武の乱」。騒動の責任を問われ、渡辺氏から球団代表を解任された清武氏は、球団と渡辺氏に対して計6000万円の賠償請求を提訴。

それに対し、巨人側も清武氏に1億円を請求する訴訟の応酬になった。この日の公判は清武氏と渡辺氏の「直接対決」として注目された。

「ナベツネさんのことだから、東京地裁の表門前で車を降り、報道陣の前を意気揚々と通るパフォーマンスを見せて法廷に乗り込むものと思われていた。だが、実際は建物内の駐車場まで送られ、ほとんど歩かなかった。

“よろけて転倒し、骨でも折りかねない。数十メートルの距離でも歩かせるのは難しい”という読売の判断だったようだ」(司法担当記者)

ドン小西 財産や友人などすべて失い死ぬことすら考えた過去

辛口ファッションチェックで人気のドン小西さんが、『ドン小西のファッション哲学講義ノート』(にんげん出版)を上梓した。さまざまな人生経験を経た小西さんだからこそ伝えられる『ファッション哲学』を独自の切り口で綴っている。

 実家の呉服屋が経営する洋装店のアトリエで幼少期を過ごした小西さん。それゆえ、ファッションは常に身近な存在であった。

「大学は工学部に進んだものの、当時、足しげく通った喫茶店やディスコで出会ったファッション業界や音楽業界の人に刺激を受け、将来はデザイナーかミュージシャンになりたいと思っていました。

祖父に頼み込んで、10万円を手にし、ロンドンに数か月滞在しました。

そこで毎日のようにグラムロックに触れていたんですが、ぼくがやりたいのは音楽よりファッションだと思い、帰国後、本格的に服作りを学ぶようになりました」(小西さん以下「」内同)

 以後、ファッション業界の異端児として、奇抜とも捉えられるような鮮やかな色合いのニットやシャツをデザインし続けた。始めたばかりの頃の売れ行きはいまひとつだったが、

1985年に上映された映画『哀しい気分でジョーク』の中でビートたけし(67才)がドン小西デザインのニットを着たことで、一気にブレーク。社会現象にまでなった。

 しかしその後、日本ではシンプルなものが流行し、いつしか人気は頭打ちに。借金も膨れ上がり、どん底にまで陥ったこともあった。

「財産や親しいと思っていた友人などすべてを失い、地獄ともいえる状況で死ぬことすら考えたこともありました。でもその時、腹の底から“ぼくにしかできないことがある”と確信が湧き上がってきたんです」

 唯一無二の存在であること。ファッションとはそういうものだと著者は断言する。

「人がどうであろうと、自分が好きなものを着るのがいちばんいいんです。ぼくも“なんだ、ドン小西、あんなかっこうしやがって”ってネットなんかで叩かれることもありますが、全然気にしない。

 日本人は“周りから変に思われちゃいけない”という思いが強く、みんな同じような服を着るでしょう。でもそれじゃつまらない。同じような服を着ている人って、話している内容も似たり寄ったり。個性がない」

入院中のタレント・SHELLY「すぐに治して復活します」 病院から現状報告

虫垂炎のため現在入院中のタレント・SHELLY(30)が5日、自身のツイッターで現状について「手術も終わって、今は病院で安静にしてます」と明かし、「すぐに治して復活しますから!!」と呼びかけている。

 「みなさんご心配おかけしてすみません!!」と釈明したSHELLYは、現状について「私は手術も終わって、今は病院で安静にしてます。落ち着きのない私には安静が一番辛いですが、ゆっくりさせていただいてます」と報告。

 さらに、「いろんな方にご迷惑おかけしてしまって本当に申し訳ありません!すぐに治して復活しますから!!」と早期復帰を誓っている。また、8日に岩手県三陸駅前で行われる『第4回Laugh&Loveラフラブ in 越喜来』には、「予定通り開催します!!ぜひ来て下さい!!」とコメントしている。

 SHELLYは、3日に体調不良を訴え入院し、同日に手術。今後は大事をとって1週間ほど番組出演や収録を欠席する予定で、レギュラー出演する日本テレビ系『今夜くらべてみました』(毎週火 後11:59)の4日収録は欠席した。

虫垂炎(ちゅうすいえん)
症状:
右下腹部痛がよく知られているが、典型的にはまず心窩部(みぞおち付近)に痛みが出て、時間の経過とともに右下腹部へと移動していくことが多い。その他の主な症状としては、食思不振、嘔気、発熱などがある。

診断学の世界では、虫垂炎の病態生理は次のように理解されている。まず虫垂に異物などが貯留し、細菌が繁殖することで管腔内圧が上昇し、心窩部の鈍痛という形で関連痛が発生する。

さらに腸管粘膜に炎症が起こると、右下腹部の鈍痛という形で内臓痛が発生する。さらに進行すると炎症が管腔の内側から外側、すなわち臓側腹膜に波及する。腸管の動きなどで臓側腹膜が壁側腹膜と接触し、炎症が壁側腹膜に波及すると右下腹部の鋭い痛みとして体性痛が発生する。

この頃には、反跳痛といった腹膜刺激症状が出現する。これは概念上の話であり、炎症が激しくなり組織障害が強くなれば、関連痛、内臓痛、体性痛という順に進行していく。

菅井きんが認知症で「要介護3」 特別養護老人ホームに入所

女優・菅井きん(88才)が、認知症で「要介護3」の認定を受け、特別養護老人ホームに入っていることがわかった。

 名脇役として知られる菅井が暮らし始めて50年以上が経つという、東京・杉並の閑静な住宅街に建つ一戸建て。近くには緑に囲まれた大きな公園もあり、老後を過ごすにはぴったりな環境といえる。菅井は1996年に夫を亡くして以降、この家で娘夫婦家族とともに生活してきた。

「菅井さんは、もう2、3年は姿を見ていないですね。以前は近所のスーパーでお買い物したり、ひ孫さんとバルコニーで遊んだりする姿をよく見かけたんですけど…」(近所の住民)

 菅井は、2010年に北川景子主演の映画『瞬 またたき』に出演して以来、4年間、公の場にも姿を見せていない。菅井の知人がこう話す。

「菅井さんは2年ほど前に認知症で『要介護3』の認定を受けているそうです

。認知症の影響からか、夜中に外に出て、閉まっている建物のシャッターを叩いて“配給米をください”と叫んだり、左右違う履き物姿で、ふらふらと駅まで行き、改札を通ろうとして駅員に止められたりと、思いもよらない行動を取るようになったそうです」

 一歩間違えば命の危険も伴う行動の数々。その他にも自分の居場所が認識できなかったり、娘と孫を間違えたりするなど、その症状は日に日に悪くなっていったという。

「同居する娘さん夫婦は、菅井さんの介護をかなり頑張っていましたよ。菅井さんは徘徊したりするので目を離すこともできませんし、問題を起こせば、その度に謝りにも行っていました。眠れない夜も続いたそうです」(前出・菅井の知人)

 そんな介護の日々に限界が来たのか、昨年、娘は菅井を自宅からほど近い施設へ入所させることを決断した。

「菅井さんが入ったのは、要介護度が高い認知症の人が多くいる特別養護老人ホームです。施設内には認知症高齢者の専用フロアもあり、また日本でも有数の高齢者医療・認知症の権威である病院が隣接しているため、自宅での介護が難しい人や、常時介護を必要とする人が入居しています」(前出・菅井の知人)

 菅井の所属事務所に話を聞くと、「リハビリをしていて、体力が戻れば、仕事復帰も考えています」とのことだ。

銅メダリストの竹内択選手が難病を告白 チャーグ・ストラウス症候群とは

チャーグ・ストラウス症候群とは、1955年にチャーグ(Churg)先生とストラウス(Strauss)先生が提唱した病気です。血管炎であると同時に、喘息やアレルギー性鼻炎などの アレルギーの病気の症状を起こします。

皮膚動脈に免疫細胞である好中球と好酸球が多く侵入して、血管に炎症がおこり、血管が破壊されてしまいます(医 学的、「壊死(えし)性」と呼んでいます)。さらに、血管の中がフィブリンという血を固めるタンパク質で満たされ、血管が血液を運ぶ機能を失ってしまいます。

免疫細胞が集まった血管の周囲の部分は、固まりになります。これを「肉芽(にくげ)」と呼びます。つまり、肉芽性血管炎です。

■チャーグ・ストラウス症候群の原因

  気管支喘息、アレルギー性鼻炎、血液中の好酸球という白血球が多い好酸球増多症のある人が発症しやすいと言われています。そのため、アレルギー素因が原因 の1つとして考えられています。

抗ロイコトリエン薬を使用している気管支喘息の方で、抗ロイコトリエン薬を中止すると発症した報告もあります。白血球の1 種である好中球に対する自己抗体が関与しているとも言われていますので、何らかのアレルギー、自己免疫疾患と考えられています。

 そのためか、30~60歳の女性に多いと言われていますが、男性でも見られ、男女比は4:6で女性にやや多いです。難治性疾患克服研究事業 臨床調査研究分野対象疾患であり、約1800名の患者が医療機関に受診していると報告されています。非常にまれな難病と言えます。

■チャーグ・ストラウス症候群の症状

 アレルギーの症状と血管炎の症状があります。

□アレルギーの症状

・咳、喘鳴、呼吸困難である気管支喘息
・くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー性鼻炎

□血管炎の症状

 全身の臓器に至る中小の血管に炎症が生じるために、どの臓器にも機能が低下する可能性があります。

・発熱
・体重減少
・末梢神経炎による手のしびれや感覚麻痺、動きが悪い
・筋肉痛、関節痛
・内出血のような紫斑
・胃や腸からの出血による吐血や下血
・肺への血管の炎症による呼吸困難
・心筋梗塞や心臓を覆っている心外膜の炎症である心外膜炎による胸痛
・脳梗塞・脳出血による麻痺、頭痛

■チャーグ・ストラウス症候群の検査

  血液検査で好酸球という白血球が多くなります。血液1μlの中で1500個以上か白血球全体の中で10%以上多いと、好酸球増多と言います。アレルギーで 上昇するIgEというタンパク質の増加、好中球に対する抗体であるMPO-ANCA(p-ANCA)陽性を示します。

皮膚の組織を一部採取して、血管の状 態を顕微鏡で確認して、血管炎があれば確定します。気管支喘息やアレルギー性鼻炎の人が、発熱などの血管炎の症状があれば、この病気の可能性が高いです。

■チャーグ・ストラウス症候群の治療

  気管支喘息もアレルギー性鼻炎もアレルギーによる炎症であり、血管炎も炎症ですから、炎症を抑える治療が中心になります。プレドニゾロンというステロイド を内服します。重症の人には、ステロイドを多く使用するステロイドパルス療法を行い、さらに、免疫抑制薬を使用します。

 これらの治療で も神経の症状が残ってしまう場合は、ガンマグロブリンを大量に投与する治療が行われます。

好酸球という白血球は、ステロイドに対して、抑制されますので、 約90%の方が症状がなくなり、落ち着いた寛解という状態になります。しかし、神経の症状がなかなか治らない場合や血管炎を再発することもあり、要注意で す。

 約10%はステロイドや免疫抑制薬が無効、または、良くなったり悪くなったり繰り返します。最重症では、心筋梗塞、脳出血、脳梗塞などによって、後遺症が残ったり、死にいたることもあります。

 ステロイドや免疫抑制薬を使用している間は、体の抵抗力が下がっているので、風邪でも重症になる場合がありますから、感染予防が非常に重要になります。

 最後に、チャーグ・ストラウス症候群を告白して、銅メダルを獲得した竹内択選手に勇気をもらいました。

【デキる人の健康学】糖質オフダイエットは乳がんの再発予防にも効果あり

糖質オフダイエットは、簡単に食事の中の炭水化物を減らすことで減量できるので、肥満傾向にある人やメタボで悩んでいる人の間で最近、話題のダイエット法だ。

もともと癲癇の治療食として90年以上前から臨床応用されて来た糖質オフダイエットは、体重減少の効果みならず、乳がんの治療にも効果が在りそうだ。

 米国カリフォルニア大学サンディエゴ校モーレス癌センター・ガン予防プログラムの研究リーダーのルース・パターソン博士らは256名の乳がん患者における炭水化物(糖質)の摂取量と乳がんの再発率の関連性を検討した。

調査の結果、炭水化物の摂取量が多のい乳がん患者は少ない乳がん患者に比較して乳がん再発危険率が2.0倍に上昇していることが分かった。

乳がんは細胞の増殖因子であるIGF-1(インスリン様増殖因子-1)の受容体の有無で、IGF-1受容体陽性の乳がんとIGF-1受容体陰性の乳がんに分類できるが、約半分をしめるIGF-1受容体陽性の乳がん患者では炭水化物の摂取量が多い患者の再発危険率が何と5.5倍にも上昇していることが今回の調査で明らかとなった。

一方でIGF-1受容体陰性の乳がん患者では炭水化物の摂取量と再発率の関連性を見いだすことは出来なかった。

 IGF-1受容体はインスリン受容体に密接に関連していることから、パターソン博士は過剰摂取した糖質がインスリンの分泌を増強し、分泌されたインスリンが更にIGF-1受容体を介してガン細胞の増殖シグナルを増強した可能性を指摘する。

乳がんの再発予防のために糖質オフダイエットを指導する必要性が今回の研究で確認されたが、若い頃から精製穀物や果糖食品などの糖質を控え、繊維が豊富な野菜・豆類・果物を沢山摂取する食事で乳がんを一次予防することも重要だ。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。
1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】「座り続ける生活」は寿命を縮めている

オフィスで何時間もパソコンに座って過ごし、家に帰ると今度はソファーに寝そべって漫然とテレビを見ている人も沢山いるかと思う。

 しかし、そんなサラリーマンにとって、ぞっとするような研究成果が最近報告された。

 「座り続ける生活」は寿命を縮めている可能性が米国の調査研究で指摘されたのだ。ルイジアナ州立大学ペニントン生物医学研究センターのピーター・カツマルジク博士はこれまで、「座る時間」や「テレビを見ている時間」と寿命との関係を報告している5報の論文を総合的にレビューし、「座る時間」や「テレビを見る時間」が寿命に与える影響を包括的に解析した。

調査の結果、平均的な米国人はテレビを見る時間も含めて1日に平均7.7時間も「座って過ごしている」ことが明らかになった。

解析の結果、座る時間を1日3時間未満に抑えれば、平均寿命は2年伸びる可能性を示唆した。テレビを見る時間を1日2時間未満に抑えれば、平均寿命が更に1.38年伸びる可能性も示唆した。

■運動不足はがんの発症リスクを増やす

 カツマルジク博士は、「座っている時間が長いと、2型糖尿病や心臓病の発症リスクが増える」のみならず、「運動不足はがんの発症リスクも増やしていること」を強調する。

現代人のデスクワーク主体のライフスタイルを加味すると、「1日3時間未満の目標達成は多くの米国人に取って困難」とカツマルジク博士は指摘する。さらにテレビを見る時間が長いほど、悪い食習慣が身に付いているという関連性を指摘する調査研究もある。

■テレビを見ながら菓子を食べる習慣が寿命を縮めている

 シュライバー米国立小児保健・ヒト発育研究所のリー・リプスキー博士らの研究グループは、全米を代表するように抽出した小学校高学年~高校生1万2462人の青少年を対象にテレビ視聴時間と食習慣との関連性を調査した。

食習慣に関しては果物、野菜、キャンディーやチョコレートなどの菓子、果糖飲料の摂取頻度、朝食抜きの頻度、ファストフードレストランでの食事の頻度に関して聞き取り調査をした。

 その結果、テレビの視聴時間が長いほど、果物と野菜の摂取率が低く、菓子と果糖飲料の摂取率が高く、朝食抜きやファストフードレストランでの食事の頻度が高かった。

さらにテレビを見ながら菓子を食べる習慣は、果物や菓子、果糖飲料の摂取率を上げファストフードレストランで食事をすることが多い事が明らかとなった。

リプスキー博士は「テレビを見る時間が長いと悪い食習慣が身に付くので寿命が短くなっている」可能を指摘する。

■エクササイズボールの上に座って仕事をする

 座る時間を減らす方法として、立ち机やルームランナーデスクの使用、歩きながらの会議、電子メールを使わずに同僚の席まで直に話にいくなどのオフィスでの工夫が必要だ。

一方、日中動けないのなら、「仕事の前に少しでも運動する習慣をつけるべき」とカツマルジク博士。まずは朝早くか夜に「ウオーキング」することから始め、さらに仕事中にできる1つ以上のエクササイズを推奨している。

オフィスで「座る」習慣を「エクササイズ」に変換する有効な方法として、エクササイズボールと仕事椅子を「交換」する方法がある。

 私もオフィスではパソコンに向かう時間や取材の時間が多いので、常時エクササイズボールに座りながら仕事をしている。

エクササイズボールの上に座っていると、背筋をのばして座骨や背骨、頭をボールの直上に位置させないと椅子から転けてしまう。

パソコンに向っている時でも、自然と背筋をのばした姿勢で仕事をするようになる。エクササイズボールは、まさしくオフィスワークをしながらエクササイズができる「優秀なながらエクササイズ」なのである。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

週明け&寝起きは要注意…放駒前理事長を襲った心筋梗塞

八百長問題を追及した放駒・日本相撲協会前理事長(元大関・魁傑=西森輝門さん、享年66)の命を奪ったのは心筋梗塞だった。

西森さんは18日、息子と孫の3人で、ゴルフ練習場に行ったところ、突然、「気分が悪い」と救急搬送された。病院に着いたときには息を引き取っていたため、遺体は田無署へ。検視の結果、19日、死因は虚血性心疾患と発表された。

虚血性心疾患は心筋梗塞と狭心症を合わせた病名。心筋梗塞による死亡者は年間約19万人。およそ2人に1人は発症から数時間で亡くなるといわれるから、西森さんのケースは決して他人事ではない。どんなときに発症しやすいのか。

「心筋梗塞は、血圧が急上昇するときに発症しやすい。1週間のサイクルだと月曜日、1日の流れでみると起床後1~2時間が要注意です。休んでいた状態から体を動かす状態に変わると、だれでも血圧が上がる。

持病として高血圧がある方は、なおさらです。加えて、朝のトイレでいきんだり、遅刻を挽回しようと小走りになったりすると、さらに血圧が上がる。

それに通勤ラッシュや社内トラブルなどのストレスが重なると…。朝は、血圧上昇の要素がたくさんあり、月曜日の午前中は特に危ない。通勤中や出社直後に発症することが多いのです」(東京都健康長寿医療センター・桑島巌顧問=高血圧外来)

■糖尿病の影響も

 西森さんが発症したのは日曜だったが、ゴルフはスイングの瞬間に力むため、血圧が上がりやすい。約30年前から患っていた糖尿病の影響もあったようだ。検視結果も、その点を指摘している。

 糖尿病専門医で、加藤内科クリニック院長の加藤光敏氏が言う。

「糖尿病は、ほかの病気以上に動脈硬化が重くなりやすい。そういう方が運動などで脱水すると、重症の心筋梗塞を起こしやすいのです。東京は5月でも夏日が続いていますから、ゴルフによる脱水の影響があったのかもしれません。

脱水というと、運動ばかり注意しますが、温泉も危ない。運動や入浴の前は水分補給が大切です」

 出社もレジャーも命懸けだ。

朝丘雪路が老人性うつ病で休養に 夫・津川雅彦とは別居中

今からちょうど1か月前のこと。東京芸術劇場で4月9日から13日まで行われた舞台『花や…蝶や…』は久しぶりの家族共演だった。

別居中の夫・津川雅彦(74才)がナレーションを務め、娘・真由子(40才)とともに舞台に上がる朝丘雪路(78才)。しかし、舞台裏の彼女にいつもの笑顔はなかった。

「いつになく元気がなくて、階段の上り下りもスタッフの手を借りるほどでした。でも、それだけじゃなくて、台本を覚えるのにもだいぶ苦労なさったみたいで、“これが最後の舞台ね”と打ち合わせの段階でこぼしていたそうです」(芸能関係者)

 そして舞台を終えると、彼女はひっそりと休養に入った。今年で79才。周囲のほとんどが、高齢が理由と考えていたが、実際はより深刻な状態だという。

「実は朝丘さんは老人性うつ病なんです。昨年の秋頃からその症状は出ていて、よくなったり、悪くなったりという状態だったのですが、ここ最近はぼーっとうつむくことが多くなってしまったそうで…」(朝丘の知人)

 彼女のそばにいるのは、娘の真由子ただひとり。夫・津川の姿はない──。

「津川さんのおもちゃ屋さんが大変だったので、みんなで協力しただけです」

 2008年末、それまで一家で暮らしていた東京・世田谷の一戸建てを朝丘は売り払う。理由は津川が経営していた会社が抱えていた6億円もの借金返済だった。だが、以来夫婦は一度も同じ家に暮らすことはなかった。

「ふたりは円満を強調していましたが、夫婦の溝は修復できないほどに深まっていたんです。当時の津川さんは映画監督業に力を入れていたのですが、これに朝丘さんは大反対していました。

映画製作となるとまた莫大なお金がかかりますからね。しかも津川さんはモテますから、長年一緒に暮らしてある程度は理解しているとはいえ、思うところがあったんでしょう」(テレビ局関係者)

 朝丘、津川、そして真由子はそれぞれ新しい生活をスタート。朝丘はここ数年、バラエティー番組にも出演、“天然な素顔”がお茶の間にうけていた。が、異変は突然訪れた。始まりは、昨年秋頃だった。前出の朝丘の知人が言う。

「真由子さんから足元がおぼつかなくなったと聞いていたんですが、実際会うと、しっかりとまっすぐ歩いていたんです。ただ、歩く様子が少し変で、足元だけをじっと見つめて一心に歩いていて、周囲には目もくれないという感じでした。

セリフに関しても、覚えられないというよりも、なんだか覚えるのが億劫な感じで。どこか気力がないように見えたんです。でも、そうかと思うと、元気にひとりで買い物に出かけていたこともあって…」

 当初は認知症かと思われていた朝丘だったが、検査の結果下されたのは前述の通り、“老人性うつ病”という診断だった。『文京根津クリニック』の任博(にん・ひろし)院長は言う。

「子供や働きざかりの大人と同じように高齢者もうつ病にかかります。老人性うつ病と認知症は物忘れが激しくなったり、落ち着きがなくなったり、ぼんやりしていたりと共通する症状があるので非常に見分けるのが難しい。

しかし、治療法は違います。老齢期のうつ病は自殺にも注意が必要で、家族は認知症だと思い込まずに医師による診断を受けることが大切です。症状が好転しない時にはセカンドオピニオンを求めることも必要です」

【デキる人の健康学】認知機能低下は40代で始まっている

認知症の中でも物忘れを主要症状とするアルツハイマー病は70歳前後で物忘れの症状で発症する。 しかし脳の病変は臨床症状が出現する20年も前から脳の中で進行していることが分かっていた。

 また、認知機能の低下が本当は何歳から始まるかに関してはよく知られていなかった。

 フランス国立衛生医学研究所の疫学・公衆衛生研究センターのアルシャナ・シンマヌー博士らは「認知機能の低下が始まる時期を特定することは、医療介入をどの年齢で開始するかを決定する上で極めて重要」と考え、

45歳~70歳の公務員で85年にホワイトホールIIコホート試験(1985年より英国人公務員を対象に実施された臨床研究)に登録した男性5198例と女性2192例を1997年から10年間観察する研究をロンドン大学との共同研究で実施した。

■認知機能の低下が男女ともに45~49歳で始まる

 観察期間中に認知機能を3回測定して認知機能の低下を評価した。認知機能は(1)推論能力、(2)記憶力、(3)音声の流暢性(Sから始まる単語を可能な限り書き出す能力)、(4)語義の流暢性(動物の名前を可能な限り多く書き出す能力)、(5)ボキャブラリーの5項目につきそれぞれ評価した。

 その結果、5歳刻みの各年齢層(45~49歳、50~54歳、55~59歳、60~64歳、65~69歳)でボキャブラリーを除いた全ての認知機能スコアが観察期間の10年間に有意に低下していることを明らかとした。 特に女性の推論能力の低下は45~49歳と50~54歳の年齢層でより顕著になり、男性では60~64歳と65~69歳でより顕著に低下した。

 女性の推論能力の低下が顕著だった時期は更年期と一致することから女性ホルモンの分泌低下が認知機能に影響を与えたと考えられる。今回の研究で認知機能の低下が男女ともに45~49歳で始まることが初めて明らかにされた。

シンマヌー博士は、「心血管系に良い生活習慣を目指すことは認知機能維持にも重要」と心疾患の危険因子である肥満、高血圧、高コレステロール血症などの危険因子を中年期から少しでも減らすことが後年の認知症予防にもつながると予防効果の連続性を強調する。

■「歩く速度」と握力で認知症の発症リスクを知ることが可能

 認知機能検査ばかりでなく、「歩く速度」や「握力」といった誰でも簡単に測定できる検査で認知症の発症リスクを知ることが可能なことが最近明らかとなった。

 ボストン医療センターのエリカ・カマルゴ博士らの研究チームはフラミンガム・ハート・スタディ(FHS)に参加した平均年齢62歳の2400名の男女に対して「歩く速度」、「握力」、「認知機能」を測定し、その後11年間認知症の発症に関して追跡調査を行った。

 結果は2012年4月にニューオリンズで開催された第64回米国神経学会の年次総会で発表された。調査期間中に34名が認知症を発症し70名が脳卒中を発症した。

解析の結果、「歩く速度」が同年代の男女より1.5倍遅い人は認知症を発症しやすく、握力がより高い人は42%も脳卒中や一過性の脳虚血発作を発症するリスクが低いことが明らかとなった。

 予防は中年期から開始することが重要で、「ゆっくり」歩くより「速歩」で歩く方が心臓病や将来の認知症の予防には有効なようだ。70歳以降になって物忘れで症状が始まる認知症は既に40歳半ばから脳に初期変化が起きていることがシンマヌー博士らの研究で明らかになった。

 神経細胞は可塑性という柔軟性をもっているので、40歳代に認知症の初期病変が脳で進行しても物忘れなどの症状がマスクされてしまい、認知機能の低下は自覚しにくい状態にある。

しかし歩く速度や握力など脳の機能と一見無関係に見える機能が認知症などの脳の初期病変を評価するのに有用なので、中年期から速く歩くように心がけてメタボを予防できれば、認知症も同時に予防できると期待できそうだ。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】最新ダイエット方法…筋肉量の低下も防ぐ

ダイエットに関しては巷にさまざまなダイエット法が氾濫していて、どのダイエット法が自分に適しているのか迷ってしまうほど沢山の「ダイエット本」を本屋さんの店頭で見かける。

 そんな中で「糖質オフダイエット」は最近のトレンドである。

 アトキンス博士により推奨され米国で流行したこのダイエット法は、炭水化物を減らせば良いだけの単純な方法で誰でも簡単に導入できる点が利点である。

しかし、一方で炭水化物を制限することは炭水化物好きにとっては、「食欲との厳しい闘い」でもあり長続きしない場合が多い。

一時的に減量できても最終的にリバウンドしてしまえば、糖尿病や肥満などの生活習慣病の改善や様々な予防医学的な効果は結果的には帳消しになってしまう。

 以前にも本コラムで解説したが、糖質オフダイエットは別名「ケトン体ダイエット」とも呼ばれ、糖質の変わりに「ケトン体」をエネルギー源に使っている。

 脂肪細胞に蓄えられている中性脂肪が分解されて肝臓でケトン体が合成されるのでダイエット期間中は確実に脂肪が燃焼して体重が減少していく。

 しかし、ケトン体は内科の教科書に「糖尿病が悪化したときに産生され、糖尿病性ケトアシドーシスをもたらす」と記載されているため、これまでは「悪者」のレッテルが貼られていた。

 しかし、そんなケトン体が実は酸化ストレスを減弱させるアンチエイジング効果がある「善玉物質」であると報告され話題を呼んでいる。

 米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校のエリック・ヴァーディン教授はケトン体の中でも血中で最も大量に産生されるβヒドロキシ酪酸に注目した。

βヒドロキシ酪酸はカロリー制限や飢餓状態で健康な人の血中にも検出できるが、その役割はブドウ糖にかわるエネルギー源と単純に考えられていた。

 一方で、動物にカロリー制限すると酸化ストレスから身を守る酵素の遺伝子発現が増強することによりアンチエイジング効果がもたらされることが知られていたが、ヴァーディン教授がβヒドロキシ酪酸をゆっくり放出するポンプをネズミの皮下に植え込んだところ、ネズミは抗酸化酵素の遺伝子発現が増強して酸化ストレスに対して強くなっていた。

 実際、ネズミにパラコートという酸化剤を投与して細胞の老化を促進させたところ、驚くべきことにポンプが埋め込まれたネズミは体が酸化せずに若々しく保つことができたのだ。

 これまでカロリー制限やプチ断食でのアンチエイジング効果が知られていたが、ケトン体にその効果があることがわかった。糖質オフダイエットは減量のみでなくアンチエイジング効果も期待できそうだ。

 さらに最近、ダイエット時に避けられないと考えられていた筋肉量の低下を防ぐ有効な方法も発表された。

米国陸軍省環境医学研究所のスティーブン・パシアコス博士らの研究グループは39人のボランティアを3群に分け、カロリー制限と運動による21日間のダイエットを指導した。

第1群には推奨量のタンパク質量(0.8g/Kg)、第2群には推奨量の2倍量、第3群には3倍量のタンパク質を摂取するように栄養指導をした。

その結果、第1群は最も減量効果が大きかったが減量分の58パーセントは筋肉の減量だったのに対し、第2群は減量効果は若干少なかったが筋肉減少は30パーセントにとどまり70パーセントは脂肪分の減少だった。

一方、第3群はタンパク質摂取にも関わらず減量分の36%は筋肉減少だった。パシアコス博士はダイエット中の筋肉減少を抑えるためには推奨量の2倍量のタンパク質を摂取することが必要と結論した。

白澤卓二
しらさわ・たくじ 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】テレビゲームでボケ予防

75歳以上の高齢者が運転免許を更新するときには、講習予備検査という認知機能のテストを受けなければならない。このテストは時間の見当識、手がかり再生、時計描画という3つの検査項目から構成されるが、記憶力や判断力を評価する簡易検査である。

 認知機能が低下すると、交差点での事故が増えることが知られているが、交差点で右折するときには直進する車を待つか右折するかの判断が要求される。

この時には対向車線を直進してくる車のスピードから交差点に到達する時間を予測するという高次脳機能が要求される。実際、交差点で事故を起こした人の脳を調べると、高頻度にアルツハイマー病の脳病変をみとめたという報国もあり、高齢期の認知機能の低下が交差点の事故につながる可能性が指摘されている。

このような交差点での判断能力の低下を予防することは出来ないのだろうか?

 米国カリフォルニア大学生理学講座のアングエラ博士らの研究チームは3Dのテレビゲームを使ったトレーニングにより高齢期の認知機能の低下を防げる可能性を報告し話題を呼んでいる。

 アングエラ博士らが用いたテレビゲームはニューロレーサーという3Dシミュレーションで曲がりくねった道路を車で走っているときに現れるさまざまな道路標識の中から特定の標識の時にボタンを押すというゲームで、複数の作業を同時に遂行するマルチタスク処理能力を評価できる。

 研究チームがニューロレーサーを使って若者と高齢者のマルチタスク処理能力を調べると、複数の作業を同時に遂行するマルチタスク処理能力は加齢とともに除々に低下することが分かった。

 しかし、60~85歳の被験者がニューロレーサーの訓練モードで1ヶ月間トレーニングするとマルチタスク処理能力を若者のレベルに回復させることが出来ることが分かった。

 また、訓練終了後6ヶ月後にマルチタスクの処理能力を再評価すると、その作用記憶や注意力の維持などの能力は6ヶ月後も持続されていることが分かった。

研究チームがさらに脳波計を使って脳への影響を調べたところ、ニューロレーサーの訓練により認知機能に関与する神経回路の脳波パターンが若者で観察される脳波パターンに類似していることが判明した。博士は高齢期の認知機能の低下が最新の3Dテレビゲーム訓練を導入することにより予防可能であると考察している。

テレビゲームは認知機能低下の予防だけでなく、ダイエットの手助けにもなるかも知れない。

 ジョージワシントン大学公衆衛生学のナポリターノ準教授は過体重の女性を対象に、アバターが登場する仮想現実ゲームを使ってダイエットプログラムを開発した。

 参加者は週に一度クリニックで健康的な減量行動を実践するアバターが登場する15分のDVDを見るように指示された。DVDには沢山盛られた食事ではなく、ちょうど良い量の食事を選択するアバターや適度な強度でウオーキングマシーンを操作するアバターを見ることにより、適切なカロリーや運動量が勉強できるようなレッスンが含まれていた。

 プログラムに参加した女性は4週後には平均で約1.6Kgの減量に成功した。DVDで参加者の外観に合わせた肌の色や体型のアバターを登場させることにより仮想現実をカスタマイズできたことが成功の理由とナポリターノ準教授は考察する。ITの進化とともに医療の分野でも様々なツールがこれからも開発されるだろう。

白澤卓二
しらさわ・たくじ 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】野菜ジュースでアルツハイマー病を予防する

「100歳までボケない」ための講演会でアルツハイマー病予防のためには、野菜・果物ジュースを週に3回以上摂取するように中高年の聴衆にむけ力説している。

1990年代にシアトル在住の日系米国人1836人の食生活を10年間追跡調査した結果、野菜・果物ジュースを週に3回以上摂取している人は、週に1回未満の人に比べアルツハイマー病の発症リスクが76パーセントも低いことが判明した。

一方、野菜・果物ジュースを週に1~2回摂取している人のアルツハイマー病の発症リスクは16パーセントしか減少していなかった。つまり野菜・果物ジュースの摂取は週に2回では不十分であることが調査で明らかとなった。

■50歳から野菜ジュースを始めるとよい

 一般的にアルツハイマー病は70~75歳くらいで物忘れで発症するタイプの認知症であるが、脳の中で神経細胞が変性していく病理所見は50~55歳で確認されると報告されている。つまり、物忘れの症状が顕著になる70歳の頃には脳の病変はかなり進行した状態になっているのだ。

しかし、今のところ物忘れの症状が出る前にアルツハイマー病を早期診断する手段は確立されてないので、講演会では50歳になったら全員に毎日野菜・果物ジュースを飲むように奨めているのである。

なぜ、発症危険度が高い人だけでなく全員に野菜・果物ジュースを奨めているかというと、私が以前に勤めていた東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)の神経病理部門の調査によると、80~85歳で解剖された高齢者の脳では3人に1人の割合でアルツハイマー病の病理所見が観察されるからである。

つまり、日本人は何も予防しなければ3人に1人がアルツハイマー病を発症する危険因子を内在していると考えられる。最近、糖尿病や肥満、高血圧、運動不足、喫煙、うつ病、低教育水準などの要因がアルツハイマー病の発症リスクとなることが報告されているが、仮にこれらの危険因子を全く保有していなくともアルツハイマー病の発症予防を確約できる人はいないのが現状である。

■野菜ジュースは自宅でミキサーで作ること

 私の「100歳までボケない」講演会では、特に野菜・果物ジュースは市販のジュースではなく、自宅でミキサーを使って生の野菜と果物でジュースを作ることを奨めている。特にリンゴやブドウ、レモンなどはなるべく皮付きで使うこと、ジューサーではなくミキサーを使うことを奨めている。

果物の皮には病気を予防するフィトケミカル成分が豊富に含まれること、野菜に含まれる食物繊維がアルツハイマー病や糖尿病、ガンの予防に効果があり、ジューサーを使うと食物繊維が取り除かれてしまうためである。

■果物は生で食べると糖尿病を予防できる

 果物そのものを食べると2型の糖尿病の発症を予防するが、市販の果物ジュースは逆に糖尿病の発症リスクを上げることが、最近の米国ハーバード大学栄養学教室の調査で明らかとなった。

研究を統括したキ・サン博士によると果物、特にブルーベリー、ブドウ、リンゴを週に2皿(約400グラム)以上食べていた人は月に1皿(約200グラム)未満の人に比べ糖尿病の発症リスクが23パーセント減少していた。

一方、果物ジュースを毎日1本(約240ml)以上飲む人は糖尿病を発症するリスクが21%も増加していた。また、1週間に飲む果物ジュースのうちの3本分(約720ml)を果物そのものに変えることで、糖尿病のリスクが7%減少することも明らかとなった。

一般に糖尿病の発症予防効果の高かった果物はブルーベリーやブドウ、プルーン、リンゴなどフィトケミカルや食物繊維が豊富な果物で、市販のジュースではこれらの栄養成分が十分に確保されていないとサン博士は指摘している。

白澤卓二
しらさわ・たくじ 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】ナッツは免疫力を高め、減量効果もある

米国でベストセラーになったジョエル・ファーマン医師の著書『スーパー免疫力』の中でファーマン博士は免疫力を高めるために、ナッツを1日に28グラム食べるように推奨している。

ファーマン医師はナッツは体によい脂肪酸が含まれているだけでなく、栄養素が豊富で高脂肪の割に太りにくい食材と推奨の理由を強調している。

これまで複数の疫学研究からナッツを食べる人ほど痩せている傾向が報告されているが、生ナッツには食欲を抑える効果があり糖尿病の改善や減量に役に立っているためと主張する。

食事療法中の人がナッツを少量食べると満足感が得られ、おかげでくじけないで続けられるため体重を維持できるという研究結果も複数報告されている。

ただし、焦げ目がつくまで炒ったナッツは発がん性のアクリルアミドが発生し、タンパク質が減少、カルシウム、鉄、セレンなどのミネラル成分が減少し、灰分の増加が起きるので、ナッツは生で食べるか、ほんの軽く炒って野菜料理と一緒に食べるのがベストと健康的な摂取法を推奨している。

一方、テレビの前に座ってレジャー目的でナッツをビールのおつまみに何袋も食べることはカロリーや塩分の過剰摂取になるので控えるべきと警鐘をならす。

■ナッツに健康長寿効果あり

 そんな中、ピーナッツ、アーモンド、クルミなどのナッツ類を沢山摂取する人はがんや心臓病などを含めた総死亡率が低いという結果がニューイングランド医学誌に報告され話題を呼んでいる。

ハーバード大学医学部のイン・バオ博士らは米国看護師健康調査に参加した健康女性76,464人、米国医療従事者追跡調査に参加した健康男性4万2498人に関してナッツ類の摂取量と様々な病気による死亡率の関連性を調査した。

その結果、ナッツ類を食べない人に比べ、ナッツ類を食べる人の総死亡率は週に1回未満の人は7パーセント、週に1回の人が11パーセント、週に2~4回の人が13バーセント、週に5~6回の人が15パーセント、週に7回以上の人が20パーセントも低いことが分かった。

死因別に死亡率を検討すると、心臓病、がん、呼吸器疾患、感染症、腎臓病、糖尿病での死亡率に有意の低下が認められた。バオ博士はナッツに含まれる不飽和脂肪酸、良質のタンパク質、食物繊維、葉酸やビタミンEなどのビタミン類、カリウムやカルシウムなどのミネラル分、カロテン類やフラボノイドなどのフィトケミカルが死亡率の低下に寄与したと考察する。

■アーモンドはダイエット時のスナックとして有効

 一方、ナッツの中でもアーモンドにスナックとして摂取すると食欲を抑制して食後の血糖の上昇を抑える働きがあることが分かり話題を呼んでいる。

南オーストラリア大学医学部のスゼ・イェン・タン博士らの研究チームは肥満気味で糖尿病のリスクの高い成人男女137名を、アーモンドを摂取しなかった群、朝食に摂取した群、午前中にスナックとして摂取した群、昼食に摂取した群、午後にスナックとして摂取した群の5群に分け、1日43グラムのアーモンドを4週間摂取させ、その前後で食欲抑制効果、食後高血糖や体重に及ぼす影響を調べた。

アーモンドはいずれの群でも食欲を抑え食後血糖を下げる効果が認められたが、その効果はスナックとして摂取した時が最も顕著に認められた。

いずれのアーモンド摂取群でも体重の増加が認められなかったことから、血糖を下げ、糖尿病の発症を抑えるためにもアーモンドはスナック摂取時の健康的なオプションになるとタン博士は考察する。

間食にはケーキや煎餅などのスナック菓子ではなく、アーモンドなどナッツ類がお勧めだが、食塩無添加で素焼きか生のナッツ類を選択したい。

白澤卓二
しらさわ・たくじ 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

【デキる人の健康学】サイクリングEDが増えている!?

1997年に米国雑誌サイクリングマガジンが「自転車に乗ることでED(勃起障害)を発症する危険性」を最初にスクープした。翌1998年、米国ABCニュースがこの問題を特報番組20/20で報道したことをきっかけに「サイクリングED」問題が大きくメディアで注目されるようになった。

もともとサイクリングはアウトドアスポーツのなかでも健康的なスポーツの定番で、警察官などは仕事として移動手段に自転車を使っている。米国だけでも5457万人のサイクリング愛好家がいるとされ、競技としてサイクリングに参加している5万6千人の愛好家の中、68パーセントの愛好家が年間200日以上も自転車に乗っているとされる。

近年、ツール・ド・フランスなどの人気サイクリングイベントで認知度が上がるにつれ愛好家が増えて、米国のサイクリング愛好家による自転車関連消費の経済効果は年間1億ドル以上とされいる。しかし、せっかく健康を増進するために始めたサイクリングでEDを発症したら話にならない。

■サドルによる血行障害が引き金になっている

 米国コネティカット保健センターのジョン・テイラー博士は18~77歳のサイクリング愛好家男性688名にインターネットを用いてEDに関する聞き取り調査を行った。

その結果115名、17パーセントのサイクリング愛好家にEDがあることが判明した。しかし、このED頻度は1994年度に報告されたマサチューセッツ州男性加齢調査研究の中で明らかにされた米国のED有病率とほぼ同じ頻度。

テイラー博士は「サイクリング愛好家に特にEDが多い訳ではない」と、サイクリング愛好家の不安を払拭する。それでも一部の研究者は自転車の走行距離、走行時間、サドルの位置が「サイクリングED」の危険因子であることを強調、サドルの首を下げサイクリング中は瀕回に腰を浮かせて会陰部の血流を改善させることを推奨している。

またサイクリングによる障害は男性だけと思われがちだが、女性サイクリング愛好家も安心してはいられない。長時間自転車に乗る女性には会陰部の圧迫から「不感症になりやすい」「尿路感染などの症状が出現しやすい」傾向が認められる。サドルが会陰部を圧迫すると会陰動脈が圧迫され陰部の酸素濃度が低下する事が知られている。

ドイツケルン大学医学部泌尿器科のナヤル博士らの研究結果によると、腰を浮かせている時の会陰部の酸素濃度が61.4mmHgであるのに対し、サドルに座るとたったの3分で会陰部の酸素濃度は19.4mmHgに低下、再び腰を浮かせると酸素濃度は速やかに元にもどった。腰を浮かすことの有効性が性器の酸素濃度のモニターで示された。

■三日月型の「首なしサドル」が予防に有効

 このような研究成果をもとに会陰部があたるサドルの首の部分がカットされた三日月型の「首なしサドル」も開発されている。

米国オハイオ州の米国労働衛生研究所のスティーブン・シュレーダー博士は「首なしのサドル」の効果を90名の警察官を対象に日常業務で「首なしのサドル」を6ヶ月間使用してもらい「勃起に与える影響」や「性器の敏感性」などの効果を判定した。

その結果、会陰部にかかる圧力は「首なしサドル」では「通常サドル」でかかる圧力より66%も減弱し、6ヶ月後の調査では「性器がより敏感になり」、「より勃起しやすくなる」ことが分かった。

「首なしのサドル」に変えることにより、自転車勤務で会陰部や性器のしびれや痛みを訴える警察官の数は73パーセントから18パーセントに減少した。興

味深いことに半年の研究期間が終了した後、通常のサドルにもどった警察官はたったの3名に過ぎず、大半の警察官はその後も「首なしサドル」を使用し続けた。ランニングはやり過ぎると膝を痛めるが、サイクリングはやり過ぎると性器を痛める可能性がありそうだ。

白澤卓二
しらさわ・たくじ 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

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