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最新「死に方」事典】「主治医」選ぼう…医者は贈り物好き

前に述べたように、厚労省は今年度から「主治医」制度を推進する方針を明確に打ち出した。日本では保険証1枚で、どの医療機関にも自由にかかることができる。

この結果、軽症者も重症者も地域の中核になる大病院に集中する。これをなくさないと、高齢化で年々増える高齢者と医療費の増加は抑えられないと、厚労省は考えたのだ。

 端的に言うと、「ちょっとした症状では、大病院の外来には来るな」ということ。さらに言えば、「主治医を自分でつくり、普段はそこで面倒見てもらえ」ということである。

 この主治医制度促進のため、病床数が200床未満の病院や診療所の医師が、高血圧、糖尿病、脂質異常症、認知症のうち2つ以上の病気を抱える患者を継続して診た場合は、この4月から地域包括診療料として診療報酬を月1回あたり1503点(1万5030円)もらえることになった。

これで、町医者も患者を積極的に診るだろうというのだ。ただし、主治医の条件は厳しい。主治医のいる医療機関は、患者には24時間対応、在宅医療も行うことが義務づけられ、介護保険に関する相談などに応じるよう求められた。

 しかし、このような制度ができたからといって、一般の人は「主治医」と言われてもよくわからない。近所にかかりつけの町医者がある場合、あるいは長患いをしていて専門医に通院を続けている場合をのぞき、主治医など、いきなりつくれるものではない。

 しかも、こういう例もある。ある糖尿病患者は、10年にわたり専門病院に通院して、そこで担当医に診てもらっていた。ところが、不調を訴えたにもかかわらず、その担当医はなにもしてくれなかったので、大病院で検査を受けたところ、

末期の胃がんとの診断。すぐに手術を受けたが、半年で死んでしまった。遺族は「ずっと同じ医者にかかり主治医だと思っていたのに納得がいかない」と言う。

 この例が示すのは、単にかかりつけだけでは、主治医とはいえないということだ。病気にかかったときに診察してくれるだけでなく、日頃から健康相談に乗ってくれたり、なにかあれば迅速に専門医を紹介してくれたりしてくれなければ、主治医とは言い難い。

 つまり、高齢者は今後のことを考えると、積極的に主治医づくりをしないと、安心できないわけだ。そこで、私はまず近所の町医者に行ったら、その医者の人間性をチェックする。

そして、ある程度信頼できるとなったら、きちんと「私と私の家族の医療問題について、相談に乗ってくれますか?」と申し出ることを勧めている。この申し出に「はい」と答える医師を持つのと持たないのでは、リタイア後の人生は大きく変わる。

 さらに、医者を味方につけるには、なんでもいいから褒めまくることである。服装でも身につけているものでいいから褒めることだ。医者はプライドが高いので、もっともおだてに弱い人種である。

また、付け届けも有効だが、これを奨励するのは問題があるので、詳しくは書けない。ただ、医者は贈り物が大好きだということは知っておいたほうがいい。

 いずれにせよ、安心して死後へ旅立つための第一歩は、主治医をできる限り早くつくることだ。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。

「死ぬのが怖い!」と思っている人に読んでみてほしい一冊

 人は誰でも、いつかは必ず死ぬ。「そんなの当たり前でしょ」と頭ではわかっていても、いざ自分が死ぬことを想像すると、怖くなってしまったり、胃のあたりがキューッと締め付けられるようなストレスを感じたりしませんか?

 なぜ、死が怖いと思うのでしょう。「いま死んだら後悔することばかりだから」「この世から自分の存在が消えることが怖い」「死ぬような病気になるのが怖い」「“死後の世界”を想像するだけで怖い」などなど、理由はさまざまでしょうが、ではこの恐怖から逃れる方法はないのでしょうか。

 『医者が教える 人が死ぬときに後悔する34のリスト』(アスコム刊)の著者・川嶋朗さんは統合医療の第一人者で、これまで5000人以上の患者さんを診てきた医師です。そんな川嶋さんは、本書のなかで、こんなことを言っています。

 「人間は、いずれ死んでいきます。でもそれを意識することは、結果的に、自分の人生を豊かにすることにつながるのです」

 逆説的な言い方にも聞こえますが、意味するところはこうです。

 人生における生活の質や心の充実度を「クオリティ・オブ・ライフ(QOL)」といいますが、川嶋さんは対となる「クオリティ・オブ・デス(QOD=死の質)」という言葉を作り、このふたつこそが、人が死への恐怖心を持たないですむためのカギであると言っています。

 死を恐れるのではなく、逆に、生や死について普段から考えることで、人生でのやりたいことや、目標がはっきりしてきます。それを実現させるために日々を大切に送ることができていれば、死に直面するような時にも何の後悔もなく、実に穏やかに終幕を迎えることができる。

日頃から「いま」を大事にするように努めれば、死の恐怖からはおのずと抜け出せる、というわけです。QOLを高めることが、QODの向上にもつながるのです。

 川嶋さんは、多くの患者さんと向き合うなかで「死について真剣に考えることが、結果として、いま生きていることへの感謝の気持ちにつながり、かえっていきいきと生きることができるのではないか」と考えるようになったそうです。

 死への恐怖から逃れるには、まずそれについての自分の考えをめぐらせること。本書には、そのためのヒントがたくさん書かれています。「死ぬのが怖い」ならば、日ごろからそれに真正面から向き合ってみませんか?

死亡年齢の平均ではない? 平均寿命のウソ・ホント

人口統計のひとつに、「生命表(life table)」というものがあります。年齢は基本的要素の1つです。

意外かもしれませんが、皆さんがよく耳にする「平均寿命」というものは、この生命表の中で基本となる数値(関数)ではありません。100人の死亡した年齢を足して100で割った数値、というような単純なものではないからです。

 なぜ人口統計の生命表から切り離されて、平均寿命という用語が独り歩きするようになってしまったのでしょうか?

 まず、直感的に判った気分になれる言葉だからだと思います。「平均」は小学校の算数でも習いますし、「寿命」も電池の寿命というように普通の会話でも使われ、長い方が良いものだとパッとイメージできる単語です。

要するに難しい数式や統計学的なことを知らなくても、「平均寿命」と聞いただけで誰でも理解できていると思える言葉だからでしょう。その上、国際比較が可能な数値(関数)なので、「日本の平均寿命は長い」という報道を聞くのも、何となく嬉しかったりするものかもしれません。

 しかし、実際に多くの人が考えている「平均寿命」には、いくつかの誤解が見られます。単純そうな平均寿命ですが、実は数式を使わずに算出法を解説するのは、なかなか難しい複雑なものなのです。

 そもそも「平均」と言っているものの、多くの人が算数などで習う平均とは、まったく意味が違います。こちらの図をご覧ください。年齢がX軸、生存数という関数をY軸とします。

年齢が増えると、自然と生存数は減っていき、右下がりの曲線となります。ある年齢で垂線を引くと、垂線の左上側と右下側に図形ができます。平均寿命というのは、この2つの図形の面積が等しくなる年齢に相当します。

 生存数を表現する砂時計があるとすると、上の砂と下の砂の重さが同じとなる年齢が平均寿命ということです。この砂時計の場合、砂の落ちる速さは一定ではなく、最初は少なく、後半に急に多くなります。単純に足して割る、という平均ではないのです。

 それでは次は、平均寿命についてのよくある疑問や間違いについて解説しましょう。

■「平均寿命-自分の年齢」で大まかな余命がわかる→ウソ

 これはとても多い誤り。よく聞くのが、「女性の平均寿命が約85歳で、いま、私40歳だから、平均寿命まであと45年生きられるわ」といった表現です。

 平均寿命は、あくまでも「発表されたその年に誕生した人」の平均余命のこと。そもそも計算すること自体が間違いなので、この考え方は正しくありません。ただし、現在アラフォーの女性の平均余命が45歳より長いのは確かです。

■平均寿命を毎年報道するのは意味がない→ホント

 こちらは正論。平均寿命は、「生命表」という統計の指標のひとつ。国勢調査に基づくものを「完全生命表」と呼んでいますが、国勢調査は5年ごとに実施しています。平均寿命だけ取り上げて毎年大きく報道されるのはやや不自然な感じがします。

 前回の国勢調査は平成22年の第21回国勢調査。国勢調査の間の生命表は、「簡易生命表」と呼んでいます。

■平均寿命まで生きるのは50%?→ウソ

 誤り。生きるという表現に関係したのは平均余命ではなくて生命表の中で生存数という別の指標です。上の言い方に直接関係した指標があります。ただし、日本では平均寿命まで生きる確率は50%より大きくなっています。

■平均寿命は女性が長い→ホント

 こちらは正解。日本を含めて、世界的に見ても女性の方が寿命が長い傾向になるのは事実です。遺伝因子と環境因子の両方が関係していると考えられます。

しかし大事なのは平均寿命ではありません。平均寿命から介護が必要となる期間を差し引いた、自立した生活ができる期間である「健康寿命」が大切です。健康寿命は個人の生活習慣しだいで伸ばすことが可能です。

ASKAだけじゃない! 薬物回復施設の壮絶現場ルポ (2)GARDEN編

覚せい剤取締法違反の罪(所持、使用)で起訴されたASKA(本名・宮崎重明)や、ほかの危険ドラッガーたちは、薬物回復施設でどのような治療を受けているのかーー。

■元女優が語る、芸能人がクスリに手を出す理由

欧米に比べて日本の薬物依存対策は25年遅れているといわれるが、薬物治療プログラムに長(た)けた米国から回復治療法を取り入れた施設もある。奈良、大阪、沖縄、セブ島(フィリピン)に拠点を持つ「GARDEN(ガーデン)」だ。

ここでは、アルコール依存症治療で使われている教材(リカバリー・ダイナミクス・プログラム)を応用し、12の手順で依存症からの脱出を目指す。薬物依存者を説得して治療施設に連れてくるのは大変なケースが多い。そんなときは、専門の訓練を受けたインタベンショニスト(介入士)を派遣することもできるという。

8月中旬に奈良県大和高田市の施設を訪れると、13人の入寮者が輪ゴムを使ったワークを行なっていた。

ふたりひと組で輪ゴムを引っ張り合い、どちらかが手放すまで続ける。放されたほうは当然痛い思いをするが、そこから司会者がふたりの感情を引き出し始める。

「それぞれどんな感情で引っ張っていたか?」「ゴムに対する感情は?」「相手に対する感情は?」などと質問を重ね、現実社会のどういった場面で同じ感情を体験したことがあるかまでを考えてもらう。そして、ふたりとも痛い思いをしない方法について問いかける。

そこから「正当性を主張し続けることは争いしか生まない」ことを伝え、ゴム遊びを通して、依存者に自分でも気づかない感情の動きに気づいてもらうのが狙いだ。

笑い声とともに進み、全員が最後にハグをしてワークは終わる。一見、深刻な依存症患者が集まっているようには見えない。だが、スタッフの酢谷映人さん(24歳)は、静かに自分の過去を打ち明けてくれた。

「学生時代に大麻、MDMA、覚せい剤などに手を出しました。大麻所持で留置所に入れられたのをきっかけにやめようと決心しましたが、釈放されたその日に出所祝いだと仲間に勧められたマリフアナをつい吸ってしまったのです。

そこからは売人の家に住み着き、寝る時間も惜しんで覚せい剤を使い、そのうちクスリが切れると食事もできない体になりました」

GARDENとつながったのは2年前だ。

「初めは『ヤク中が集まって何してんねん』ぐらいに思っていて、施設につながってからも覚せい剤を使っていたほどです。ですが、同じ悩みを抱える仲間が関わり続けてくれ、今では2年半クリーン(薬物を使わないこと)な状態が続いてます」

依存症は一生続く病気だ。酢谷さんも、自分の内面に問題が起きると今でも薬物を使いたい気持ちが起きる。そんなときは、リカバリープログラムで身につけた回復の道具を使うことで衝動を抑えているという。

GARDENは6月に、奈良県橿原(かしはら)市に女性専用の依存症回復施設も開設した。男女共同の施設だと共依存を生んでしまい、回復の足かせになる場合が多いためだ。

取材に訪れたときには、8人の女性依存症の入寮者が、パラダデカホン(感情の瞬間棚卸しストップ)と呼ばれるワークをしながら、依存症からの回復治療を進めていた。

GARDENの運営法人には、精神保健福祉士の資格を持つ元女優の高部知子さんがスタッフとして関わっている。高部さんは芸能人が薬物に手を染める心理をこんなふうに解説してくれた。

「芸能界は、自分が特別視されなければ生き残れない特殊な場所のためプレッシャーが大きい。周りがつくり上げた虚像が大きすぎて、実像の自分に自信が持てない人がほとんど。経済的にも余裕があるから、つい薬物に手を出しやすいのです」

薬物依存者が増える一方で、ダルクやGARDENのような回復施設は圧倒的に足りない。昨年、法制定された、刑期の一部を猶予して出所させ、早期の社会復帰を促す「一部執行猶予制度」が2年後に施行されれば、その対象となる薬物依存者の受け入れ先がもっと不足することも予想される。

さらに、依存症からの回復者が社会復帰するまでの手助けをする施設となると、ほとんどない。薬物乱用防止協会では、障害者自立支援法に基づいて、回復者にコーヒーの移動販売業務を委託している。だが、こうした就労組織は全国に3ヵ所程度しかないという。

今の日本は、薬物依存症の受け皿が小さいなかで、依存患者だけがどんどん増えていく危機的状況だ。もはや、取り締まりをしていれば薬物問題が解決する次元ではない。薬物使用による悲惨な事件をこれ以上引き起こさないためにも、早急な対策が必要な時期に来ている。

<孤独死>大家さん向け保険広がる 修復費・家賃減補う

周囲の住民との関わりが薄い賃貸住宅での「孤独死」が社会問題化する中、大家向けの損害保険が広がりを見せている。

部屋の原状回復費や家賃の減額分など大家の負担を賄うもので、加入する大家からは「独居の高齢者の入居が増えており、リスクを軽減できるのはありがたい」との声が上がる。同種の保険を扱う業者が増えている。

 福岡市内にアパート3棟を持つ男性(50)は昨年7月、入居者の孤独死や室内での自殺に備える損害保険に加入した。保険料は家賃5万円以上10万円未満で1戸あたり月300円。1年契約の掛け捨てで大家が負担する。

 きっかけは4年前に起きた高齢入居者の孤独死だった。壁紙や床板の張り替えなど清掃・改装費用は約200万円。入居者に身寄りはなく、費用の大半を負担した。「事故物件」として敬遠され、家賃収入にも響いた。

 そんな時、入居者が死亡した場合に生じる空室期間の家賃や部屋の修復費用を補償する保険の存在を知り、「渡りに船」と加入した。その後、30代の1人暮らしの入居者が突然死亡し、保険が適用された。

大家の男性は言う。「悲しい話だが、単身の入居希望者を受け入れる際には保険は必要と感じた」

 入居者の孤独死に対応する保険は2011年ごろから本格的に商品化された。孤独死が社会問題化したことに加え、空き部屋の増加によって大家がこれまで入居を断ってきた高齢者を受け入れ始めたことが背景にある。

 一般社団法人・日本少額短期保険協会(東京都中央区)によると、同種の保険を扱う業者は年々増加し、現在は約10社。協会の担当者は「掛け金が安く保険期間が短いのも好評の理由」と説明する。

 福岡市の男性が入った保険「無縁社会のお守り」は、アイアル少額短期保険(東京都中央区)が11年8月に発売した。

現在の契約戸数は約4000で前年から倍増。エース損害保険(目黒区)は、入居者の自殺・孤独死で管理業者が大家に支払う見舞金を補償する。

一方、メモリード・ライフ(文京区)は60歳を超えた生活保護受給者らが入居する場合、本人の同意を得て入居者に生命保険を掛けている。一定の保険金が大家や管理業者に支払われる仕組みだ。

 遺品整理を専門とするキーパーズ(大田区)の吉田太一社長(48)は「整理の依頼を年1600件受けているが8割は賃貸住宅。高齢化や非婚化で賃貸のニーズが高まり、大家の経営上の危機管理として保険が求められているのでは」と話している。

「生きる喜びを伝えたい」 がんで“余命半年”と宣告された女子大生の言葉に反響

30日に放送したNHK総合『ニュースウォッチ9』で、肝臓がんで余命宣告を受けた大阪の大学生・山下弘子さん(21)が紹介され、反響を呼んでいる。

 山下さんは、一昨年の10月に肝臓がんが見つかり、切除手術を行った。しかし、肺にも転移したことから、医師からは「打つ手がない」との言葉が伝えられた。

 そうしたなかで、「『余命半年』宣告されるも、今を生きる。」と題したブログを開設。闘病の苦しみではなく、「生きることへの意志」をつづっている。

 山下さんは現在、母校をはじめ全国各地の学校で講演活動も行っている。そこでは、「限りある時間の中で悔いを残してほしくない」というメッセージを必ず伝えており、講演を聞いた生徒たちからは、生きることの大切さに心が動かされたと、数多くの感想文が送られている。

 「もし、普通の人よりちょっとでも説得力があるのなら、もしそれで誰かを元気づけて救うことが出来るんだったら、こんなに幸せな生き方ないと思いますし、こんなに幸せなこともないし、こんなに生きてる実感もないので、すごく幸せです、

いまは。がんによって教えられたことが本当にたくさんある」と、力強く語った山下さん。今後は、講演活動に加えて、がんに苦しむ人をサポートする組織を作りたいという。

 これに対してネット上では、「21歳で余命半年宣告ってつらいな…。」「あらためて生きる意味の大切さを、感じさせられた」「凄くキラキラしてて綺麗だなって素直に思った。生命を燃焼するってこういう事なんだろうな。

懸命に前を向く姿にただただ尊敬します」「悔いなく精一杯生きていかなきゃ」など、様々なコメントが寄せられている。

「脱法ドラッグをやると運転したくなる説」は本当か?

警察庁が「危険ドラッグ」という新呼称を発表するなど、大きな社会問題となっている脱法ドラッグ。そのきっかけとなった6月の東京都・池袋駅付近で発生した交通事故のように、脱法ドラッグを服用した運転手による事故が近年、急増している。

 警察庁の発表によると、摘発数は’09~’11年まではゼロだったが、‘12年に19人、昨年は40人となっている。一説では「脱法ドラッグをやると運転がしたくなる」とも言われるが、真相はどうなのか?

 ある使用者は、「アッパー系なら気持ちが高ぶるのはわかりますが、とてもじゃないが、まともに運転できないのは皆がわかっているはずなんですけどね」と否定する。

だが実際に事故を起こしたことのある飯塚正文さん(仮名・28歳)は「脱法ドラッグをやると、車に乗ってどこまでも行けてしまう気がするんですよね。

2時間くらいアクセルを踏み続けて“無我の境地”で高速をブッ飛ばすんですが、自分じゃ止められないんですよ」と証言してくれた。

 各事件の報道によると、途中で意識を失うケースも多いが……。

「運転中、眠気が襲ってきたときに覚醒作用のあるドラッグをやることは多い。クスリが切れたら元の状態に戻るので、意識が落ちるんだと思います」(飯塚氏)。

 同じく脱法ドラッグ経験者の田中康人さん(仮名・38歳)も語る。

「一度だけ、クルマで脱法ドラッグを買いに行った帰りに吸ってしまったんですが、あまりに運転が捗る(気がした)ので、途中で怖くなって路肩に車を止めて休んでいたんです。

すると職務質問されて警察署に連行、何時間も尋問されたうえに下着の中まで見られてしまいまして……もう二度としないと誓いましたね。そのときの気分? ワケがわからなかったです」

 ワケがわからないのは、田中さんのほうである。

 彼らの無責任な行為によって、無関係の通行人が犠牲になることは許しがたい。今後は罪状確定と同時に運転免許も剥奪するなど、法改正も含めた厳しい処置を望みたい。

福島市のHP騒動、「放射線に負けない体を作りましょう」はどう考えるべき?

福島市が突然「放射線に負けない体を作りましょう」というWebサイトを公表し、ネットを中心に大きな話題となりました。

その後、福島市では、誤解を生じたとして、「放射線の影響を受けにくい生活をしましょう」というタイトルに変更したのですが、基本的な内容は変わっていません。放射線に負けない体とはいったいどういうことなのでしょうか?

 Webサイトに掲載されている情報をまとめると、放射線の被曝量と発がんの関係、放射性物質を体内に取り込まないための食品選びや調理方法、内部被爆を最小限に抑えるための代謝促進、ヨウ素や鉄分など、放射性物質の取り込みを減少させる物質の摂取方法などが解説されています。

 このWebサイトで注目すべきなのは、放射性物質をある程度摂取する可能性があることを前提にしているという点です。福島原発があのような大事故を起こし、自然環境中に大量の放射性物質が放出されたことは紛れもない事実です。

健康への被害がどの程度になるのかという部分については様々な意見がありますが、周辺の住民は、自然に存在する放射性物質や放射線に加えて、原発事故で放出された放射性物質から出される放射線の影響を受ける可能性が出てくるわけです。

これを前提に議論を進めることは、科学的には正しいスタンスといってよいでしょう。

 ただ、記載されている発がんのリスクと被曝量の関係については、いろいろと波紋を呼ぶ可能性があります。例えば喫煙者の発がんリスクはそうでない人の1.6倍で、被曝量に換算すると2000ミリシーベルトという大量被爆に相当するレベルとしています。

この数値がどの程度正しいのかはともかくとして、一般公衆の年間線量限度が1ミリシーベルトとかなり低く設定されていることを考えると、本当に安心してよいのか疑問を持つ人がいても不思議ではありません。

 また食品の選定や調理方法、代謝促進などは、やらないよりはやった方が効果はあると思われますが、これを実行していれば大丈夫なのかという点について、完全に保証されているわけではありません。

 しかしながら、こうした事故後の対応において、もっとも望ましくないのは、話題そのものをタブーにしてフタをしてしまうことです。周

辺住民が今後、どのような生活を送るべきなのかという議論の土台を提供したという点では、今回のWebサイトには一定の意味があると考えられます。

自動車事故から一年半の千野志麻 夫が「放射線治療」の試練

大型台風も過ぎ去った7月中旬の平日の朝10時過ぎ。都心の一等地に建ち、30近い診療科目を持つ総合大学病院に、ひとりの男性が通院してきた。受

付を済ませ、険しい表情で「放射線治療科」の中へと消えて行った彼は、元フジテレビアナウンサーのチノパンこと千野志麻(36才)の夫・Aさん(46才)だった…。

 千野といえば、昨年1月2日、静岡県沼津市内のホテルの駐車場で、38才の男性を車でひいて死亡させてしまうという事故を起こした。

書類送検された千野が罰金100万円を支払うことで事件は決着したものの、しばらくは事故のショックからふさぎ込み、外出もままならない状態だったという。

「実家の母親が東京まで来て、つきっきりで家事や育児を手伝っていました。とても仕事どころではなく、千野さんは個人事務所を畳み、一切の芸能活動を休止したんです」(芸能関係者)

 そして、またしても千野を“試練”が襲う。それが、Aさんの“重篤な病気の発覚”だった。Aさんは、福田赳夫元総理の孫という生粋の御曹司で、現在は、有名外資系企業に勤める年収5000万円といわれるエリート社員。千野と結婚後は、2男1女をもうけ、件の事故後も落ち込む千野を献身的に支えてきた人物だ。

そんな理想的な夫に体調の異変が起きたのは、今年春先のことだった。

「体調不良を訴えていたAさんを千野さんも心配して、“大きな病院で早めに検査してもらおう”ということになったそうです」(Aさんの知人)

 そして5月中旬、Aさんは冒頭の病院に検査入院する。

「診察の結果、Aさんは深刻な病気を患っていることが判明しました。ほぼ毎日の通院治療を要する大変な病気のようです。突然、夫の病気を突きつけられた千野さんはショックのあまり呆然となったそうです」(前出・Aさんの知人)

 同病院のHPにある放射線治療科の説明には、こう記されている。

《放射線治療科は、主にがん(悪性腫瘍)に対する放射線治療を専門に行う部門です。放射線治療は、手術・抗がん剤に並ぶがん治療の柱の一つです。他の臨床各科との連携のもとに各種の悪性腫瘍の放射線による治療を行っています》

 Aさんは治療を終えると、その後、驚くべき行動を見せる。その足で会社に出社したのだった。

「“しばらく休んだ方がいいんじゃないか”と心配する声が社内からは上がったそうですが、彼は一切、弱音を吐かず、これまでと同じように、ハードな仕事を続けています」(前出・Aさんの知人)

 なぜAさんは、これほど大病を患いながらも、休まずに働き続けるのか? そこにはこんな“家庭の事情”があるという。

「千野さんには双子の息子(6才)と長女(4才)がいますが、その長女が今、お受験準備に大忙しなんです。

夫婦は娘さんを夫の母校でもある最難関といわれる有名私立小学校に入れたいようで、お受験の名門として知られる幼稚園に通わせるだけでなく、英才教育の塾にも通わせていて、幼稚園も含めて、その費用は年間200万円ほどかかるそうです。

 さらに、高級マンションの数十万円の家賃に加え、別荘のローンも残っています。一家は今、何かとお金が入り用で、千野さんが仕事をしていない以上、稼ぎ頭である夫は働かざるを得ないんです…」(千野の知人)

 一難去って、また一難。やっと笑顔を取り戻し始めた千野一家に降りかかった、新たな試練…。本誌はAさんの病気について、千野を直撃したが、「すみません…」と、ひと言残すだけで、硬い表情のまま、うつむきながら去って行った。


孤独死の急増で“事故物件”が増えている!

近年、不動産業界では、殺人事件や自殺、火災などの事故死、孤独死などが発生してしまった“ワケあり”の部屋、いわゆる「事故物件」が増えているという。

その最大の理由は、「独居老人の孤独死」が増加傾向にあるからだ。特殊現場の清掃を請け負う業者のM氏に話を聞いた。

「孤独死は確実に増えている実感がありますね。発見に時間がかかる場合が多いのも事実です。

孤独死の第一発見者は、意外にも家族や友人、近所の人たちではなく、大家さんや不動産管理会社の場合が多いんです。

理由は家賃が滞納されて、何度連絡しても応答がないからマスターキーでドアを開けたら……ってパターンですね。従って家賃を前払いしていたり、自動引き落としの場合は発見が大幅に遅れます」

男性の未婚率に加え、熟年離婚も増加傾向。今後、独居老人が増え続けるのは確実で、都市部での近所づきあいの過疎化、親子関係の希薄化も加わり、いっそう孤独死の発生件数も増えていくことが予想される。

では、こうした事故物件の情報を、不動産業者はちゃんと借り手に告知しているのだろうか? 某大手不動産仲介業者の営業マン、T氏が明かす。

「不動産業界では、事故物件のことを『心理的瑕疵(かし)物件』と呼んでいます。『瑕疵』とは、品質や性能に欠陥や問題があることです。

『心理的瑕疵物件』とは、具体的な実害はないかもしれないけど、心理的な不安が予想される物件のこと。これには、暴力団事務所や悪名高い宗教団体、ゴミ屋敷が近隣にある場合なども含まれます。

ただ、例えば暴力団事務所の場合、表向きは普通の企業を装っている場合がほとんどですよね? そういう場合はお客さんに告知されないことも多いんです。

孤独死も同様です。確かにその部屋で人が死んだのは事実ですが、事件性がないとなると、死因自体はただの病死だったりするわけです。死後の状態がどんなに悲惨であろうと、告知するかどうかは微妙ですね。そこは業者によって、担当営業マンによって分かれると思います」

孤独死の場合、告知されるかどうかは担当営業マン次第ということ。では、殺人や自殺の場合は確実に告知されるのだろうか? T氏が続ける。

「基本的にはそうですが、法的な告知義務は直前に事件が発生した物件だけなので、ひとりでも誰かが借りたり買ったりしてくれれば、その次以降のお客さんに対しての告知義務はないんです。親切な業者は過去の情報も伝えるかもしれませんが、多くの場合は……。やはり契約を決めたいですから」

もちろん、「事故物件」であろうとまったく気にしない人もいるかもしれないが、住む前にその住宅に関する

覚せい剤の再犯率 20代は39%で乱用増加する50歳以上は79%

5月17日、「CHAGE and ASKA」のASKAが覚せい剤使用の容疑で逮捕された。今回、ASKA容疑者は、“愛人”と見られる女性とともに逮捕され、覚せい剤を使用したセックスに耽っていたのではないかとも報じられている。

今回のASKAに限らない。クスリとセックスの関係はあまりに密接である。現役の麻薬取締官が明かす。

「薬物乱用者のほとんどは覚せい剤を使ったセックスに溺れているといっていい。

芸能人であれば、いつ人気を失うかもしれないという恐怖感や、高いレベルのクリエイティブさを生み続けなければならないという苦しみから、ドラッグに手を出すことが多い。

 だが、それはきっかけに過ぎない。乱用者は次第に、“今さえよければいい”という刹那的な考えしかできなくなり、行き着く先は、ドラッグを用いたセックス。特に覚せい剤を用いた場合は感度が何十倍も上がるという。

取り調べをしていると“体の芯が痺れて動けなくなるほどの快感”と表現する被疑者もいた」

 男性にとっては、ドラッグの効果は快感を味わえるだけではない。性的興奮を高めてくれるのだ。

「硬さはそれほどでもないが、持続時間が長くなり、数時間以上、あるいは一晩中持続させることができる。

中年になり、男性器の機能が衰えてくると、まずはバイアグラのような勃起薬に頼り、それがエスカレートして覚せい剤に手を出すというケースも多い。実際、ASKAのように50代の乱用者が増えている」(同前)

 警察庁が発表した2013年度の覚せい剤事件の摘発件数を年代別で見ると、20~40代が前年に比べ減少する一方、50歳以上は約6%も増えている。中高年による覚せい剤汚染が広がりつつある実態がうかがえる。

また再犯率は20代が39%なのに対し、50歳以上は79%にものぼる。

 数年前、覚せい剤で逮捕された有名ミュージシャンAは、薬物に溺れた理由として、周囲に「表現者として、男女の性愛は絶対に必要だと考えていた。だから、男性としての性の能力の衰えに大きなショックを受けて耐えられなかった」と語っていた。

「美味しんぼ」“鼻血は被曝”を検証 漫画のような事実はあるのか

小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ』の漫画「美味(おい)しんぼ」で、東京電力福島第1原発事故による放射線被曝(ひばく)が原因で、福島で鼻血が出た人がたくさんいるなどの描写があった。

放射線の体への影響は既に多くのことが分かっており、漫画に描かれたような事実はあるのか。被災地の復興のためにも合理的な判断と冷静な対応が求められている。

 ◆1000ミリシーベルト超で急性障害

 鼻血は、放射線による急性障害の場合に出ることが知られている。被曝で骨髄の造血能力が著しく抑制され、白血球や血小板が減少することで出血しやすくなるためだ。ただ、急性障害は一度に1千ミリシーベルト以上の放射線被曝をした場合に起こるとされる。

 東電によると、今回の事故以降に現場作業に携わった人でも一度に1千ミリシーベルト超の被曝をした人はおらず、これまでの累積被曝線量でも1千ミリシーベルト超の人はいない。廃炉作業にかかわる作業者に鼻血が多発するような事例もないという。

 福島県の調査では、放射性物質の降下量が多かった飯舘(いいたて)村や浪江町を含む相双地域の住民が事故後、約4カ月で受けた推定の外部被曝線量は10ミリシーベルト未満が99・8%、10ミリシーベルト超は127人いたが、最大で25ミリシーベルトだった。

 漫画では、登場人物が第1原発構内の見学後に鼻血を出し、疲れやすくなったとする描写がある。記者も今年2月、同様の見学をしたが、同行者で鼻血を出した人はいなかった。記者自身、疲れやすくなったということもない。

見学では構内に入る前に個人線量計をつけ、構内でどれだけの線量を浴びたかを調べる。記者の場合は0・01ミリシーベルトで、航空機旅行「東京-ニューヨーク」(片道)の10分の1の線量だ。

 もちろん、事故後に福島県内で鼻血が出た人はいただろう。鼻血は高血圧や動脈硬化など循環器系の病気や腎臓・肝臓病などでも出やすくなる。ワーファリンなどの抗凝固薬を服用している人や女性では生理中に出やすい。

また、知らないうちに鼻をぶつけたり、風邪などで鼻に炎症ができても鼻血は出る。

 ◆影響小さい低線量

 漫画ではまた、低線量被曝の健康影響を心配し、前双葉町長の「今の福島に住んではいけない」との言葉を紹介している。福島に住んでいる人や福島への旅行を計画している人の中には不安に思った人がいるかもしれない。

 ただ、100ミリシーベルト以下の低線量被曝の健康への影響については100年近くも研究されており、極めて小さいことが分かっている。現在、福島県で暮らす人々が原発事故によって余分に受ける放射線量は年間1ミリシーベルト程度で、健康への影響が心配される数値ではない。

 リスクコミュニケーション(リスコミ)を研究する「リテラジャパン」代表で、原発事故後、飯舘村のアドバイザーを務めた西沢真理子さんは「事故後、リスクを正確に伝えるリスコミが適切になされなかったことで、放射線のリスクを正しく認識できない人が今も多いのは残念」と指摘。

そのうえで、「放射線に発がん性があるのは確かだが、健康への影響は量で考える必要がある。低線量被曝の場合、喫煙や野菜不足よりもがんになるリスクが低く、現在の福島が心配されるような状況ではないことを理解してほしい」と話している。

 ■放射性物質は通常の食品にも

 今回の件で、福島県の農水産物への風評被害が心配される。しかし、農水産物は生産・出荷などの実態に応じて計画的に行うモニタリング(監視)検査が実施され、安全を確認したうえで出荷される仕組みとなっている。

 原発事故と関係なく、放射線を出す放射性物質は通常の食品にも含まれる。中でもカリウムに含まれるカリウム40からの放射線が一番多い。

食品1キロ当たりに含まれるカリウム40は、ホウレンソウ200ベクレル▽魚100ベクレル▽コメ30ベクレル▽ポテトチップス400ベクレル。カリウムは人間にとって必要な栄養素で、かつ、いずれ排泄され、健康なら体内で一定量以上にはならない。

余命半年の女性 家族に365日分のビデオレター残した

「涙にはストレス解消の効果がある」と、メンタルヘルスケアの専門家は指摘。とはいえ、泣ける“ツボ”は人それぞれ。今回は、57才の女性が余命半年と宣告された娘との秘話を語ります。

 * * *

 娘がすい臓がんに侵されたのは、30才の時。手術をしたものの、余命半年との診断。娘の子供はまだ5才なのに、神様はなんて残酷なのかと、私たちは絶望しました。

 ところが娘は、「小学校の入学式まであと1年。それまでは絶対生きるから!」と断言し、治療に挑むことに。とはいえ、抗がん剤治療は過酷です。激痛で動けない日はもちろん、口の中がただれて、会話すらできない日も。

 それでも娘は、弱音ひとつ吐かずに耐え、念願の入学式に。その日は、特別に退院許可をもらい、車いすで式に参列しました。新しいランドセルを背負った孫のはしゃぎっぷりは相当なものでした。しかし、その夜から容体が急変。娘は1週間後に亡くなりました。

 死後、病室を整理していると、家族にあてた365回分のビデオレターが出てきたんです。ビデオの中の娘はいつも笑顔で冗談を言い、見ている私たちも笑ってしまうほど。毎日1回ずつ見ていると、まだ娘がそばにいてくれるような気がします。


ASKAに処方「アンナカ」とは

医薬品として劇薬指定。しかし、医師の処方箋があれば入手可能

人気歌手ASKAさんの逮捕。日本中に衝撃が走りました。この報道で、最近よく聞く薬物が「安息香酸(あんそくこうさん)ナトリウムカフェイン」。「アンナカ」とも言われている薬物です。

医薬品としては劇薬指定をされているもので、その歴史は非常に古いです。現在では使用されることが少なく、特に単独で使用されることはほとんどなくなっています。しかし、医師の処方箋があれば、処方薬として入手は可能です。

アンナカの作用・効能と副作用

アンナカは、頭痛薬の鎮痛効果を補助したり、脳の神経に興奮的に作用して疲労感や眠気をとったり、頭の重い感じをスッキリとさせたりします。効能としては、「眠気・倦怠感・血管拡張及び脳圧亢進性頭痛」があります。

アンナカは、医薬品としての用法をきちんと守って服用すれば、決して危険な薬ではありません。少量での使用であれば問題ない薬ですが、大量に使用すれば当然、副作用も現れます。

おもな副作用としては「手の震え・動悸・不眠・吐き気・瞳孔散大・頻脈・不整脈」などです。

どんな医薬品も使い方を間違えると大きな事故につながる

どんな医薬品にも共通して言えることですが、本来の目的以外で使用することは大変危険です。化学薬品は、使用する量や用法などによって、薬にもなりますが毒にもなります。

本来は頭痛などの緩和に使用されることが多いアンナカを、覚せい剤の代替のように使用することは大きな間違いです。また、そのような薬を処方した医師の倫理観にも問題があると思います。

アンナカは古くは覚せい剤に混ぜられたりすることもあったようですので、今回の報道を通じて誤った使用法が広がるのではないかといった懸念はありますが、裏返すと、医薬品の適正使用を呼びかけるには良い機会かもしれません。

今回の事件をきっかけに、改めて医薬品の適正使用の大切さを痛感しました。普段何気なく服用している薬も、使い方を間違えると大きな事故につながるということを認識しておきましょう。

受診したら逮捕? 「麻薬専門病棟」で行われる治療の中身

薬物に溺れている人は逮捕されたASKA容疑者に限らず、日本中にあふれている。警察庁によると13年の覚醒剤の検挙件数は1万5232件(検挙人数は1万909人)。

薬物依存者数の統計はないが、国立精神・神経医療研究センターの推計では大麻は人口の1.4%、覚醒剤が0.3%。つまり、大麻は約180万人、覚醒剤は約38万人が経験ありという計算だ。

 ASKAに続いて、「次は自分も…」と怯えている人も相当多そうだが、適切な治療でクスリを断ち切れるケースもある。国内の麻薬専門病院では、一体どんな治療が行われているのか。

1963年、日本で最初に麻薬治療を始めた神奈川県立精神医療センター「せりがや病院」(横浜市港南区)の川副泰成院長がこう言う。

「まず最初に伝えたいのは、指名手配犯を除き、薬物依存から脱したい患者を当院が警察に通報することは一切ないということです。それは他の専門病院も同様です。また、治療費は一般病院と同じで健康保険が適用できます。

入院する場合は、基本的に1カ月ほどかけて依存症治療プログラムを行いますが、その後は週1回程度の頻度で通院してもらい、集団認知行動療法などを行います」

■薬物依存症に特効薬はない

 妄想や幻聴などの症状がある重篤者の場合は、救急治療室(隔離病棟)もある。もちろん、このケースでも患者のプライバシー保護の観点から通報されることはない。

 また、「警察に見張られている」という妄想や、「神様の声が聞こえる」といった幻聴も、適切な治療を行えば、3カ月以内で80%は消し去ることができるという。

 だが、薬物依存症の治療はここからが本番だ。

「精神疾患治療に使われる薬が処方されますが、薬物依存症に特効薬はありません。また、意志が強いだけでは、クスリを断ち切れないのが薬物の怖さ。治療中に覚醒剤を使ってしまう人もいます。

それでも怒らず、〈今度はどうしますか〉と根気よく諭す。渇望をどう抑えるのか、そのコントロールが最も大切です」(川副院長)

 ASKAも、シャバに戻って来たら真っ先に受診してもらいたい。

【デキる人の健康学】中性脂肪を下げる生活習慣とは

 年に一度の健康診断でコレステロールは正常値なのに中性脂肪が異常値でチェックされている中高年男性も多いと思う。コレステロール値が低くても中性脂肪が単独で高いだけで心筋梗塞のリスクになることが最近明らかとなり、中性脂肪はメタボリック症候群の診断基準の1つに取り入れられた。

 中性脂肪が多いと善玉コレステロールが減って悪玉コレステロールが増えやすくなるため動脈硬化を間接的に促進することもなる。中性脂肪と聞くと食事での油の摂り過ぎと考えがちだが、お酒を飲む機会の多い人や間食でケーキや甘いもの、果物をよく食べる人は中性脂肪が増えやすい傾向にある。

 アルコールや清涼飲料水に含まれている果糖や精製された糖質を摂取すればするほど、肝臓で合成される中性脂肪が多くなるためだ。

コレステロール値は生活習慣を改善してもなかなか下がらないのに対して、中性脂肪値は生活習慣の改善により値を下げることができる。だから、ある意味では中性脂肪はライフスタイルのバイオマーカーと考えられる。

■中性脂肪を下げる生活習慣改善7か条

 最近、米国心臓協会が「中性脂肪と心臓病に関する報告」をまとめたが、その声明のなかでも「生活習慣の改善の重要性と有効性」が強調されている。報告書をまとめた米国心臓協会理事で米国ボルチモア市メリーランド大学のマイケル・ミラー教授によると以下の9項目のライフスタイルを改善することにより、中性脂肪の値を20~50パーセント下げることができると提言している。

 その9項目とは、
(1)5~10パーセントの体重の減少で中性脂肪の値が20パーセント低下する。
(2)食品や飲料に添加されている砂糖の一日摂取量を総カロリーの5~10パーセント未満(女性で約100kcal/日、男性で約150kcal/日)に抑える。
(3)清涼飲料水や加工食品、果物に含まれる果糖の一日摂取量を100グラム未満におさえること。
(4)摂取カロリー1000kcalあたり食物繊維を10グラム/日以上摂取すること。更に摂取カロリー1000kcalあたり食物繊維を20グラム/日以上摂取すると中性脂肪の値が8パーセント低下する。
(5)低グリセミック・インデックス(低GI)食品の摂取により中性脂肪の値が6パーセント低下する。(6)総カロリーにしめる脂質の割合を中等度に抑える(カロリー比32.5~50パーセントの中脂肪食)。中脂肪食は低脂肪食(カロリー比18~30パーセント)に比べて、中性脂肪の値が9.4mg/dL低下する。

また、飽和脂肪酸の摂取量を総カロリーの7%未満、トランス脂肪酸の摂取量を1%未満に抑える。(7)オメガ?3脂肪酸の摂取。オメガ?3脂肪酸(EPA/DHA)1グラム/日の摂取あたり中性脂肪が5~10パーセント低下する。

(8)アルコールの摂取制限。アルコール非摂取群に比べて1オンス/日のアルコール摂取あたり中性脂肪が5~10パーセント増加する。(9)定期的な運動。中性脂肪の値が150mg/dL以上の人で、中等度の有酸素運動で中性脂肪が15~20パーセント減少するが、もともと中性脂肪の低い人では有酸素運動による中性脂肪の低下は認められない。

■ライフスタイルの改善により中性脂肪は50%以上下がる

 ミラー教授は体重を5~10パーセント減量するだけで中性脂肪の値を20パーセント下げることができるので、まず肥満傾向で中性脂肪の高い人は減量が大切であることを強調する。

次に食事での砂糖と果糖、飽和脂肪酸を減らして不飽和脂肪酸を増やすことにより中性脂肪の値を更に10~20パーセント下げることが可能であると考察している。

 トランス脂肪酸や飽和脂肪酸の制限、オメガ?3脂肪酸の摂取と定期的な有酸素運動を組み合わせることにより最終的にはライフスタイルの改善により中性脂肪の値を50パーセント以上下げることが可能であるとしている。

中性脂肪は我々の体に取っては重要なエネルギー源で欠かせない脂質成分であるが、生活習慣が乱れて必要以上に血液中に存在すると寿命を縮めてしまう可能性がある。

■白澤卓二(しらさわ・たくじ) 1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て2007年より順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。日本テレビ系「世界一受けたい授業」など多数の番組に出演中。著書は「100歳までボケない101の方法」など100冊を超える。

最期を迎える人に「私」を取り戻してもらう方法

日本は今、人を看取る(みとる)ことが日常的な「多死社会」時代を迎えつつある。若い世代であっても、この社会の一員として、「看取り」を見つめ直すべきときに来ている。そこで、2800人以上の看取りを経験してきた医師・小沢竹俊さんに、最期を見据えた人とともに穏やかに生きていくためのヒントを聞いた。今回のテーマは、人生の最終段階を迎え、できないことが増えていく人にとっての自己肯定感の培い方。何もできない自分でも「これでよい」と思えたとき、人は自分を受け入れられるという。

■「何もできなくても自分は大切な存在だ」という自己肯定感の培い方

 人生の最終段階を迎え、できないことが増えていくのは苦しいものだろう。自分らしさを見失い、自身を大切に思えなくなったり、その存在価値を疑ったりすることもあるかもしれない。そんな苦しみの中にいるとき、どうすれば日々を穏やかに過ごせるのだろうか。ここではまず、自分の大切さを実感できる状況について考えてみよう。例えば、100点満点を取れたり人の役に立てたりしたとき。それから、「たいへんよくできました」と高評価をもらえたとき。自分で自分を認め、好きになれるのではないだろうか。

 しかし、外出できなくなったりトイレに行けなくなったりとできないことが増え、自分らしさが失われていく中で、100点満点をつけるのは難しいことだろう。周りの人と比較して自分の価値をはかり、高得点をつけられないこともあるはずだ。しかし果たして何点取れたなら、自分を好きになれるのだろう。どんな状況にあっても「たいへんよくできました」と自分を認め、大切にして生きていく方法はないのだろうか。

 「点数では価値を測れないそんなとき、自分を認めて穏やかに生きていくうえで、大切なキーワードがあります」と小沢さん。それは「これでよい(Good enough)」だ。「『これでよい』と思えるとき、自分の弱さや無力さも含めて認めることができます。これは、ありのままの自分を受け入れながらも前に進むために必要な気持ちであり、開き直りや責任放棄とは異なるものです」人は、誰かの役に立てるときには自己肯定感を持つことができる。「役に立つ、だから自分は大切な存在だ」というわけだ。しかし、「役に立てない、それでも自分は大切な存在だ」と思うには、どうすればいいのだろうか。

 自分だけではなく誰かが、点数にかかわらず「これでよい」と許してくれるなら……。ナンバーワンになれなくとも、オンリーワンとして認めてくれる人がいるのなら……。それは、苦しみの中にいる人にとって、きっと心強い支えとなるだろう。

■大切な支えの存在に気づく「ディグニティセラピー」

 そしてもう一つ、自分らしさが失われていく人生の最終段階において、有効なことがある。それは、尊厳を取り戻す「ディグニティセラピー」だ。「尊厳療法ともいわれるこの手法では、その人がこれまで大切にしてきたものを振り返りながら、周囲の人たちに伝えておきたいことを形にしていきます。具体的には、構造化されたいくつかの質問を中心にインタビューを行い、その内容を大切な人に宛てた手紙にします」と小沢さん。

 ディグニティセラピーでは、例えば、「あなたが人生で一番生き生きとしていたのは、いつですか?」というように尋ねる。自分自身の人生を写したアルバムを眺めていると仮定して、これまでの人生の中で、最も輝いていた時期について語ってもらうのだ。さらに、アルバムの中のその写真では、誰と何をしているのか。どのような表情をしているのか。どんな役割があって、どんなことを達成したのか。また、どんなことを誇りに感じているのか……を聞いていく。

 こうして記憶を引き出すうち、「自分にはもう何もない」と望みを失っていた人も、自分が持ち合わせている大切なものに気づき始める。過去を丁寧に振り返ることで、自分らしさを取り戻し、生きる意志が高まることも多い。 「ディグニティセラピーで行っているのは、“私”を取り戻し、後世に“私”を伝えるための準備。過去の振り返りを通して、大切な人に知っておいてほしいこと、覚えておいてほしいことなどを確認し、手紙という形で伝える。こうして“私”が生きた証しを世代を超えて伝えることは、尊厳を取り戻し、今後の人生を穏やかに過ごすうえで大きな支えとなり得るのです」(小沢さん).

■介護する側にも支えは必要

 そして最後に、介護を担う家族をはじめ、支える立場にある人こそが、支えを必要としているということも忘れてはならない。人生の最終段階は、美しく幸せなものとは限らない。本人のみならず周囲の人々も巻き込んで苦しみを味わうことも、無力感にさいなまれることもあるだろう。小沢さんは、このように話す。 「一生懸命に対応しても、うまくいかないこともある。そんなときに私たちにできるのは、誠実に関わり続けること。そのためにも、自分自身への支えも必要なのだと思います」

「今日が人生最後の日だと思って生きなさい」の著者に聞く第1回 看取りのプロが教える 人生の最期が近い人との対話術第2回 苦しむ人との接し方 相手が望む話の聞き方とは?

■この人に聞きました小沢竹俊(おざわ・たけとし)さん ホスピス医。めぐみ在宅クリニック院長。救命救急センター、農村医療に従事した後、横浜甦生病院内科・ホスピス勤務、ホスピス病棟長を経て、06年にめぐみ在宅クリニックを開院。「ホスピスで学んだことを伝えたい」と、学校を中心に「いのちの授業」を展開。多死時代に向けた人材育成に取り組み、15年にエンドオブライフ・ケア協会を設立。著書「今日が人生最後の日だと思って生きなさい」(アスコム)は、25万部を突破するベストセラーに。新著は「2800人を看取った医師が教える人生の意味が見つかるノート」(アスコム)。

【冬の突然死から身を守れ】ストレスの血管死を未然に防ぐ「レインボーダイエット

働き盛りの人に多い「突然死」は、血管の詰まりから起きる“血管死”だ。過度なストレスなどによって、血管が突然けいれんを起こし、強く収縮して詰まることが原因の多くを占める。どうすれば、未然に防ぐことができるのか。今回はその防止策を紹介する。

 すぎおかクリニック(千葉県船橋市)院長で循環器内科医の杉岡充爾医師は語る。「突然死が一番多いのは朝。睡眠時などストレスのかからない時間帯のリラックス度をいかに上げ、ストレスに負けない強い血管を作る健康習慣を取り入れるか、が肝です」

 今すぐできることのひとつに、「レインボーダイエット」という食事法がある。 トマトを食べたら、次の日はニンジン、その翌日はブロッコリー-という具合に、毎日違う色の野菜を順に食べるのだ。「若くても動脈硬化が起きるのは、身体が酸化するものを食べ続けているから。カラフルな野菜には“ファイトケミカル”といって、血管が酸化して錆びるのを防ぐ強い抗酸化作用があります」

 抗ストレスホルモンを作り、血管を強くするコラーゲンの材料にもなるビタミンCも、積極的に摂りたい栄養素のひとつ。 「レモン2分の1個分の果汁をコップ1杯分の水かお湯に入れて飲むだけでも、腸管のクレンジングができる」忘年会・新年会など、飲む機会が増える季節ならではの注意点もある。

 「大前提として、飲み過ぎは禁物。糖質の多いビールなどの醸造酒は1杯だけで切り上げ、焼酎やウイスキーの水割りかお湯割にシフトするといい。焼酎なら梅干しを入れると、これに含まれる有機酸が肝臓の解毒力を高めてくれます」あわせて試したいのが「ドローイング」という健康法。お腹をグーッと凹ませて30秒間キープして力を抜くだけの簡単な腹筋トレーニングだ。

 「内臓脂肪を減らす効果があり、それによって脂肪細胞の中から、血管にこびりついたプラークを直接掃除してくれる“アディポネクチン”という善玉ホルモンが放出されます」通勤中や横になってテレビを見ている時でも、手軽に取り入れられる習慣だ。次回も引き続き、突然死の防止策について紹介する。 

冬場に浴室で襲う突然死 「ヒートショック」を回避する心得(2)

 寒いからと急いで湯船に飛び込めば、今度は脈拍が高くなる。ましてや、湯の温度が42~43℃と熱い場合、心臓にかなりの負担がかかり、ますます事故を起こしやすくなるのだ。健常者でもそうなのだから、肥満、メタボリックシンドローム、高血圧や糖尿病、脂質異常などで動脈硬化が進んでいる人は、特に危険だ。

 「確かに、家の中に10℃以上の温度差のある部屋があると、心臓疾患や脳神経疾患を起こしやすい。人間の身体は急激に寒いところに行くと、針で肌を刺されたような感覚となり危険を知らせますが、ヒートショック対策といっても、家の中をすべて暖かくできる環境の人は限られている。

高齢者はまず、温度差が事故につながるということを認識して、トイレに行く際はダウンなどを1枚羽織るようにし、急に身体を冷やさないように心掛けることです」(医療ジャーナリスト)

 また、一番風呂や深夜に1人での入浴は避けた方がいい。風呂が一番目より二番目に入った方がいいのは、当然ながら浴室が温まっているからだ。また、かけ湯、半身浴をうまく掛け合わせて、少しずつ身体を温めていくこと。参考までに言えば、高い位置からのシャワーは15分間で浴室全体の温度を10℃上げることができる。

 「シャワーは、立って浴びるより座って浴びる方が、血圧の変動やめまいなどで倒れた時のリスクも減る。さらに入浴前、室温も大事ですが、コップ1杯の水を飲むことをお勧めします。湯船に浸かっているだけで血液は濃くなり、ドロドロ状になることもある。前もっての水分補給は、未然に脳疾患などの防止にもつながります」(同)

 さらに健康ライターは、ヒートショックの対策として“乾布摩擦”を推薦する。 「朝、全身を寒気にさらし、皮膚を擦ることで刺激を与えると、血行がよくなり自律神経の働きも活発になります。ドイツでは朝、窓を開けて身体に寒気を当てる習慣があり、身体を擦りあげる健康法が一般的だそうです」

 乾布摩擦の注意点は、天然素材(木綿)のタオルを使用すること。そして手足、胸、お腹、背中と、抹消神経から中枢神経を刺激しながら順番に10分くらい擦り上げる。ただし、アトピーの人は皮膚を傷つける恐れがあるので、やめた方がよい。また、体調の悪い場合も悪化させることがあるので控えよう。

 これらを踏まえ、毎日、乾布摩擦をしている人は、風邪を引きにくくなったというデータもある。 「日本では、山梨県内に上半身裸で子供を預かっている幼稚園もある。子供のうちからそうして鍛えておけば、自然に免疫力を高めることができる。結果、風邪を引く子はほとんどいないそうです」(同)

 ともあれ、すでに高齢者や高血圧、糖尿病などの病気を持っている人については、冬の入浴などが常に危険と隣り合わせであることを忘れてはならない。 「今は浴室の装置に“呼び出しボタン”がついている場合もありますが、本人が倒れた場合はどうにもならない。ご家族で、こうした人が同居している場合は、入浴中に『湯加減はどう?』といった定期的な“声掛け”をぜひ行ってください」(医療関係者)

 寒さはこれからが本番。ヒートショックには、くれぐれもご用心!

冬場に浴室で襲う突然死 「ヒートショック」を回避する心得(1)

 これからの季節、浴室やトイレなど、暖かい部屋から冷たい部屋に移動した際に、心臓突然死、脳神経疾患などを発生する人が急増する。いわゆる“ヒートショック”と呼ばれるものだ。 10月22日、俳優の平幹二朗さんが東京都内の自宅の浴槽で倒れているのを発見、死亡が確認された(享年82歳)。この死因も、ヒートショックによるものと見られている。

 冬になると、暖房が効いた居間と、脱衣所や浴室などの温度差が10℃以上になることはよくある。そんな中、鳥肌を立てながら浴槽へ急ぎ、さらに熱い湯船へと一気に浸かることもあるだろう。 

しかし、このごく短い移動、小さな動きで、急激な温度変化が身体を襲い、それが血圧の上昇や下降を引き起こす。それが“ヒートショック”だ。この症状は、人体に非常に大きな負担をかける。特に入浴中に起こる突然死の大きな要因だ。

 日本大学医学部附属板橋病院・脳神経科担当医は、こう注意を喚起する。 「熱い湯船に急に入ると、血圧が上昇した場合は脳出血や脳梗塞、心筋梗塞などで死亡する恐れがあります。

逆に、急激に血圧が低下した際は脳貧血を起こして浴槽でめまいを生じ、湯船で溺れる危険性もある。12月過ぎから1月は、1年のうちで入浴中の突然死が最も増えるので、特に注意が必要です」

 ヒートショックで亡くなる人は年間約1万人で、何と交通事故死の2倍にも上る。そのうち浴槽内での溺死者の8割は、65歳以上の高齢者。今年の冬はとりわけ厳しい寒さになるとされ、事故が増えそうな気配だ。 「ヒートショックという言葉は、医学事典を探しても載っていない用語。医療よりむしろ、建設業界で使われてきた言葉で、最近になって医療現場で使われるようになったのです。

ひと昔前の家の場合、暖かいのはコタツの中ぐらいで、部屋は均一に寒かった。つまり、温度差がないことからヒートショックなどというものは起きなかったのですが、やがて暖房器具の発達から、事故が話題になり始めたのです」

 冬場の一般的な住宅内の室温は13~18℃。しかし、ファンヒーターが入っている室内は23℃程度まで上昇する。そんな室内でくつろいでいた高齢者が、入浴やトイレに立って行くと、温度差に身体がついていけず“事故”を起こす。

 「最近の高気密の住宅はともかく、1980年以前に建てられた断熱性能の弱い木造家屋ほど、室温差が発生しやすいとされる。暖かい部屋では血圧、脈拍が安定していても、寒い浴室脱衣所で服を脱ぐと、急激に血管が収縮し、血圧が上昇する。さらに浴室も最初は温度が低いので、血圧は一層上がってしまう。加齢とともに血管がもろくなってくると尚更のことです」(医療ライター)

孤独死を起こしやすい“孤独死予備軍”の特徴

今、40代以降の孤独死が社会問題になっている。遺品整理をなりわいとする「あんしんネット」は数々の孤独死の現場を見てきたことから、孤独死の問題を深く受け止め、なんとかしようと啓蒙活動を続けている。

 東京都監察医務院によると、2015年に東京23区内で誰にも看取られずに自宅で死亡した一人暮らしの65歳以上の人は、前年よりも約230人多い3,116人となった。3,000人を超えたのは初めてで、統計を取り始めた2003年の2.1倍の人数に。男性は1,973人、女性は1,143人となり、孤独死する高齢者は女性よりも男性が多いこともわかる。

 では、孤独死を起こしやすい人の特徴はどういったものだろうか?

「もっとも多いのが糖尿病を代表とする成人病疾患を患っている人です。そこからの合併症で亡くなっている方が目立ちます。なぜならインスリン注射の残骸が残っているからです。このパターンが一番多いですね」(あんしんネットの従業員) 我々が老人になる時代は、もっと成人病疾患を患う人数は増えている可能性が高い。そのとき、何か対策を国はやっているのだろうか。

「今、なんとかするのが精一杯で、私たち民間にどうしたらいいかを聞いてくるくらいだから、十分に対策をしているとは言い難いと思います」

 そして、孤独死第二予備軍と言われる層がいる。

「次に多いのが独居で認知症を発症した高齢者。これはもう、自分で認識していないので、特徴的なのですが、ゴミ出ししなくなります。だから、ゴミ屋敷になってしまうことが多いんです。でもこれはコミュニティや親族がいれば解決できる問題です」 これは現代に特徴的なものだ。地域のコミュニティがなくなってしまった都会では、死んでも誰も気づかないということが実際によくある。

「もうひとつが生活保護自給者。200万人以上いますから、バカにできない数字です。年間8,000人孤独死していると言われていますが、男性が5,000人、女性が3,000人と推測されています。これはコミュニケーションが女性のほうがうまいからだと言われています」

 このまま放置すると、年金の不安や、独身の増加もあいまって、これから20代、30代が40代を迎え、老人になるころには、本格的な社会問題になっているだろう。

【上手な死に方を考える】どこで最期を迎えるか 緩和ケア病棟の現実

がんが進行、もしくは転移し、終末期を迎えた時、人生の最期をどこで迎えるか-という選択を迫られる。住み慣れた自宅か、設備の整った病院か。その判断には家庭の事情だけでなく、患者自身の死生観も大きく関係してくる。今回は「病院」を選んだ場合について考える。

 人生終焉の場を病院に求めた時に、受け皿となる「緩和ケア病棟」。ここには「がんを治すための治療」は存在しない。残された時間を苦痛なく、有意義に過ごすことに特化したケアが行われる。

 東京都品川区にある東芝病院緩和ケア部長の茅根義和医師が解説する。

 「自宅ではなく病院を選ぶ理由としては、家族に迷惑をかけたくないという“気遣い”と、何かあった時にすぐに医療スタッフが駆けつけられるという“安心感”が挙げられます。ただ、近年は在宅医療の技術が進化したことと、緩和ケア病棟もなるべく自宅に近い療養環境を整える努力していることもあり、その差は小さくなっています」

 一方、医療者の判断で入院を勧めることもある。その基準は次の3つだ。

 (1)足腰が弱り、歩いたり動いたりする体力がなくなったとき

 (2)嚥下(えんげ=飲み下す)機能が落ちて、食事や薬が飲み込めなくなったとき

 (3)痛みや呼吸苦、吐き気、意識障害などが強く出たとき

 このうち、(3)以外は十分な介護力があれば在宅療養も可能だが、患者だけでなく、家族の負担や不安を考慮して、入院を選ぶケースも少なくない。

 特に認知症患者などの場合、痛みや苦痛を正確に伝えることが難しいこともあり、そうした対応にも熟知したスタッフのそろう緩和ケア病棟なら安心感も大きい。

 「治療を目的とした病院を退院し、緩和ケアの外来に通院するようになってから亡くなるまでの期間は、平均すると半年ほど。もちろん個人差があるので、数年にわたって通院している方もいます。ただ、最後の入院では残された期間は1カ月ほど。苦痛のコントロール以外の医療行為は最小限にとどめ、看護と精神的ケアに力を入れます」(茅根医師)

 家族への支援も重要だ。

 「患者さんが亡くなっていく過程の情報をあらかじめきちんと伝え、気持ちの上で準備ができていれば、最後に『ありがとう』とあいさつができる。ただ、無理をして理性的に見送る必要もない。人生の最後に“パターン”はありませんから」

 終末期医療は死をもって終了する。しかし、死がゴールなのではない。「生ききること」がゴールなのだ。

 次回は「在宅での看取り」について考える。 

怖い細動、突然死… 不整脈ってどんな病気?

 運動もしていないのに脈が急に速くなったり、遅くなったり、一瞬飛んだようになったり――。こんな症状があれば「不整脈」かもしれない。多くは命に関わるものではないが、重症化すれば突然死や脳梗塞のリスクを高めるものもある。異常は感じていなくても、年に一度は心電図検査を受けて早期発見を心掛けたい。

 正常な心臓は安静時に1分間に60~100回拍動している。規則正しい拍動を生み出しているのは、心臓の上部にある「洞房結節」という部分から出る電気刺激だ。この刺激で心房や心室などの心臓の各部位がタイミングよく収縮し、全身に血液を送り出している。

 ところが「この回路に不具合が起きると不整脈が出る」と小田原循環器病院(神奈川県小田原市)の杉薫病院長。1分間に60~100回より速い場合を「頻脈性不整脈」、逆に拍動のリズムがゆっくりになったり、間隔が空いたりして、1分間に50回未満になるのが「徐脈性不整脈」だ。また、脈が飛んだように感じる「期外収縮」もある。

■大半は治療不要

 杉病院長は「検査で不整脈が見つかっても、ほとんどは特に治療しなくてもよい」と話す。例えば症状を訴える人が一番多い期外収縮。拍動が本来のタイミングより早く起こり、心室に十分な血液がたまる前に心臓が収縮してしまう。「脈が飛んだように感じて心臓が止まるのでは」と不安を覚えて受診する人も多い。実は健康な人でも、1日に年齢の数ぐらい起きているのだという。

 では、気をつけたい不整脈とはどのようなものか。特に注意したいのが脈が速くなる頻脈性不整脈が重症化した「心室細動」。心臓が細かく震えるようにけいれんし、突然死を起こすリスクのある不整脈だ。心臓のポンプ機能が働かず、全身に血液を送り出せなくなる状態が長く続けば命にかかわる。

 心室細動が起こりやすいのは、心筋梗塞や心筋症など、もともと心臓の病気がある人のことが多い。しかし、なかには心臓病がなくても突然起こることがある。これを特発性心室細動といい、30~40代の突然死の原因の一つだ。これまでの研究で、特発性心室細動を起こしやすい人では、ブルガダ症候群と呼ばれる特有の心電図を示す病気があることが分かってきた。心電図検査で心室細動のリスクが高まっていないか見極めるとともに、睡眠不足や過労、ストレスなどを避ける。心室細動のリスクが高いと判断された場合、自動的に電気ショックで細動を止める植え込み型除細動器を使って治療することもある。

■60歳以上に多く

 同じく脈が速くなる不整脈の一つに「心房細動」がある。加齢に伴い増える危険な不整脈の代表で60歳以上に多い。東邦大学医療センター大森病院(東京・大田)の循環器センター、池田隆徳教授は「心房内のあちこちで電気的興奮が発生し、心房が細かく震えるように動く状態」と話す。胸がモヤモヤするように感じることがあるという。

 心室細動のように心停止を起こすわけではないが、心臓に大きな負担がかかって疲弊し、心臓の機能が低下すれば心不全につながることもある。心房内の血液がよどめば血栓ができやすくなる。血栓が脳の血管に詰まり、脳梗塞(心原性脳塞栓症)の原因ともなる。心房細動の治療は、血栓ができにくくする抗凝固薬や抗不整脈薬を用いた薬物療法が中心。完全に治すには、カテーテルという細い管を血管から入れて、異常な電気的興奮の発生源を焼き切るという治療法もある。

 脈が遅くなる徐脈性不整脈で気をつけたいのが、拍動のリズムが遅くなったり、一時的に止まったりしたときに起こる失神だ。杉病院長は「3、4秒拍動が止まるとめまいを感じ、9秒以上では失神する」と話す。「後ろに引きずり込まれるように意識が遠くなる感じ」だという。

 不整脈そのもので突然死することはまれだが、失神が起こると転倒によるけがや事故の原因となる。車などの運転中の場合には、命にかかわる重大な事故を引き起こす危険もある。リスクの高い人では、体にペースメーカーを埋め込んで治療する。不整脈は、危険なものもあるが、適切な処置をすれば、命にかかわる事態を最小限に食い止めることができる。池田教授は「定期的に心電図検査を受けることが大事」と話す。脈に異常を感じたときのほか、症状はなくても、年に一度は検査を受けたい。

■心電図、24時間連続や数週間記録も

 心電図検査には、目的に応じていくつかのタイプがある。病院の外来で行うのは、横になって心電図を記録する安静時心電図検査だ。健康診断などでも広く使われている。検査時間は短くてすむが、検査中に不整脈の発作が出ないと記録できないという難点がある。
 
そんな場合に使われるのがホルター心電図。携帯型の心電計を装着、24時間連続して取る。医師はデータをコンピューターで解析し、不整脈が起こっている場所をチェックする。このほか運動時の心電図を調べる運動負荷心電図や、数日~数週間にわたって心電図を取るイベント心電計などもあり、症状に応じて使いわけられている。

「孤独死は独居老人より独身40代のほうが多い」特殊清掃人が断言

2035年には50歳男性の3人に1人が未婚者になると言われる「生涯未婚」時代。10/25発売の週刊SPA!に掲載されている特集『[40歳独身]の危機』でのアンケートでも独身男性の実に50.4%の人が「生涯独身」を受け入れている。しかし、自由気ままな生活は突如思わぬ弊害を発生させるのも事実。ここでは、40代独身者の最期の瞬間について取り上げたい。

◆人知れずに死んでいく……。独居老人よりも多い中年孤独死

 真夏のある日、東京都大田区にあるマンションの一室のドアを開けると、視界を完全に塞ぐほどの黒い虫の大群が襲いかかってきた。よく見ると、コバエだ。そして、部屋の奥から漂う強烈な死臭が防臭マスク越しの鼻をつんざく。

 部屋で亡くなっていたのは、某上場企業の中間管理職だった42歳の独身男性(写真参照)。すでに死後1か月が経過し、腐乱した遺体から流れ出た体液は、畳裏の板張りにまで達していた。死因は糖尿病による合併症。糖尿病や精神疾患を患った男性は、長期療養のため会社を休んでいた。そのため、死後1か月が経っても、誰にも発見されることはなかったという。

 孤独死の現場は凄惨だ。特殊清掃人として長年、孤独死現場を見てきた石見良教氏は、散乱するゴミの中から糖尿病の患者に配布されるマニュアルを拾い上げ「またか」と思ったという。

「孤独死=独居老人のイメージは、間違い。実は40~50代の独身中年にこそ多い。

糖尿病など病気による離職や休職、リストラをきっかけに、唯一の社会との接点だった会社での人間関係が断たれ、孤独死へと向かうのです」(石見氏)

 部屋の中は足の踏み場もないほど荒れ果て、おそらく亡くなっていたであろう黒ずんだシミの場所だけがぽっかり空いている。遺品整理の立ち会い人は、亡くなった男性の会社の同僚だ。高齢の両親は地方に住んでおり、付き合いのある親族や友人もいなかった。

 特殊清掃人として孤独死の最前線に立つ石見氏によれば、中年の孤独死には共通する特徴があるという。50代の独身男性が都内自宅で孤独死していたケースでは、遺体発見時には死後3か月が経過。メーカー系プログラマーとして活躍していたが、糖尿病で療養中だった。この男性の部屋も例に漏れず大量のゴミが床を埋め尽くしていたが、整理収納に関する書籍が複数発見されたという。自身の生活に危機意識を持ちながらも抜け出せなかったようだ。

「ほかにも『健康は精神の安定から』などといった自戒メモが大量に残されていることも、中壮年男性の孤独死現場にはよくあります。また、アニメのDVDやフィギュア、ワインなどの収集品が大量に残されていることが多いのも特徴。アウトドアな人よりは、インドアな人が孤独死に陥りやすい」

 厚生労働省が発表した平成27年版「厚生労働白書」によると、日本人男性の生涯未婚率(50歳までに一度も結婚したことがない人の割合)は22.8%。

さらに、’35年には約3人に1人の29%に上ると推計され、現役世代の孤独死予備軍は今後も増加の一途を辿る。淑徳大学教授で孤独死に詳しい結城康博氏もこう指摘する。

「ここ数年は現役世代の孤独死が増加傾向にあり、20~25%を40代、50代が占めています。そんななか、女性よりも社交性に乏しい男性は、さらに孤独死の可能性が高い。例えばマンションの廊下などで隣人と会っても挨拶もしないような独身男性は、立派な孤独死予備軍と言っていい。地方出身で周りに親族もいなければなおさら。また、独身男性は食生活が乱れやすく、脳梗塞などで突然死するリスクも高いでしょうね」

 同特集では、孤独死だけでなく、健康不安や地方左遷など「生涯未婚予備軍」を取り巻くヤバすぎる日常に密着。「仕事面」「健康面」「恋愛面」において、どんな危機的状況が彼らを待ち構えているのか徹底取材している。彼らのクライシスな日々を目撃し、独身者なら今後の人生を考え直すきっかけになるかもしれず、また既婚者ならば「結婚してるだけマシだった」と溜飲を下げられるかも!? <取材・文/週刊SPA!編集部 写真提供/あんしんネット>

【特殊清掃人・石見良教氏】

アールキューブあんしんネット事業部長。孤立死問題や高齢者のゴミ問題など講演も各地で実施 http://www.r-anshin.net

【社会福祉学者・結城康博氏】

地域包括支援センターでの社会福祉士勤務を経て、現在は淑徳大学教授。著書に『孤独死のリアル』(講談社現代新書)など

朝の突然死リスクを抑える! 日内変動の整え方

■突然死に至ることも……朝に発症しやすい病気とは
朝に発症しやすい病気として、心筋梗塞、脳卒中、不整脈などが挙げられます。これらはいずれも突然死につながることもある怖い病気です。これらの病気が朝に起きやすいのは、朝、自律神経が大きく変動することで、血管の状態が変化するためと考えられています。

朝になると一般的に血圧は上昇します。心臓への栄養血管である冠動脈の内腔は狭くなり、様々なホルモンが産生されます。血液凝固に関わる因子も変動し、血の塊である血栓も作られやすくなります。結果として、朝は高血圧による脳出血やくも膜下出血、血栓による心筋梗塞や脳梗塞、ホルモン異常による不整脈が起こりやすい時間帯になってしまうのです。

例として、2001年に阪神地区における急性心筋梗塞の患者の研究からされた報告によると、心筋梗塞の発症時間帯は、朝と夜の2つの時間帯にピークがみられました。朝の発症者には女性および65歳以上の高齢者が多く、夜の発症者には男性および65歳未満の人、飲酒者、喫煙者および就業者が多い傾向がみられました。夜に死亡リスクが上がる原因は、血圧等の変化だけでなく、アルコール、タバコ、労働などの影響があるのではないかと考えられています(Kinjo K 他 Jpn Circ J. 2001; 65: 617-620.)。

また、気温の変動や自律神経の変動は呼吸にも影響します。そのため気管支喘息がある場合は、明け方に喘息発作が起こりやすくなる傾向があります。

■自律神経はなぜ朝変動するのか
自律神経には、起きているときに活動する交感神経、リラックスしているときに活動する副交感神経の2種類があります。1日を通じて、朝、昼、夕、夜と一方が優位になっては、時間ととともに他方が優位になるリズムがあります。大雑把にみると、起きているときは交感神経優位、寝ているときは副交感神経優位です。早朝の起床時はちょうど、副交感神経優位から交感神経優位に変わる時間になることがイメージできると思います。

2つの自律神経の変動は「日内変動」といわれ、1日の活動に必要なタンパク質やホルモンなどが作られることにも関わります。作られたタンパク質やホルモンは体内で細胞と細胞、臓器と臓器の連絡に関与し、自律神経にも作用します。無意識のうちに起こっている「日内変動」ですが、これをコントロールしているのが「体内時計」です。

■体内時計の乱れを整えることが健康につながる?
一般的にも馴染みのある「体内時計」は、実は遺伝子によって制御されています。遺伝子によって作られるタンパク質が細胞同士の連絡に使われ、「日内変動」を起こしているのです。そのため、遺伝子の異常がある場合、体内時計が正しく働かなくなってしまうこともあります。

一方、私たちがある程度コントロールできる「環境」も、体内時計に影響を与えます。「規則正しい生活が大切」とよく言われますが、最も関係があるものが睡眠です。体内時計は、光の影響を受け、2500ルクス以上の光によってヒトの体内時計はリセットされます。脳にあり眠気を起こすメラトニンというホルモンは、網膜に強い光を浴びることで産生が抑えられ、メラトニンが低下すると眠気が取れます。そして、光を浴びてから14~16時間後に再びメラトニンが増えることで眠気が生じるわけです。毎日なるべくリズムを崩さずに睡眠をとり、朝目覚めて光を浴びるようにすることで、体内時計が整い、結果的に日内変動も正常に整えることができるのです。

■自律神経のバランスが悪いと体内変動も乱れる
自律神経の副交感神経から交感神経へのスムーズな橋渡しができないと、血圧が上昇したり、血栓が作られるようになり、心筋梗塞になるリスクが上がります。特に、休日のリラックスした状態から緊張感をもって仕事が始まる月曜日には、橋渡しが悪くなるためか、週全体で見ても心筋梗塞が起こりやすい傾向があると報告されています。これに冬や春の寒さや、気圧の変動、風の強い不安定な天気などが加わった場合、さらにリスクがあがるようです。

■命に関わる突然死リスクを抑えるために
「魔の月曜日」を含めて朝に起きやすい心筋梗塞などを防ぐためには、自律神経のバランスを整える生活が大切です。

朝の自律神経の変調をできるだけ小さくする理想的な方法は、自然光による起床で、ゆっくりと起きることで血圧の急な上昇が防ぐことが有効です。余裕をもって起きて、しっかりと朝食をとりましょう。心筋梗塞や脳梗塞、脳出血などを防ぐために、普段から高血圧や動脈を硬化を防ぎ、食事は、塩分を1日6g未満にして、酸化された脂質を減らしておきたいものです。

そしてできれば午後にかけて運動をして、心機能を高めておく習慣が作れるとベストです。散歩などの運動は筋力維持と骨を丈夫にする効果があり、転倒しにくくなり、骨折予防にもなります。

厚生労働省の健康日本21では、1日当たり1500歩(歩行距離にして1km、消費カロリーは100kcal)増加していき、1週間で3000~3500kcalを消費する運動が望ましいとされています。できれば、継続的な運動が大切になります。

帰宅時には、エレベーターやエスカレーターを使用せず、電車なら出口に遠い車両に乗ることで歩く距離が長くなります。

タバコは心血管系の病気及び呼吸器系の病気の危険因子ですから、もともと喫煙しないか、喫煙していたら、禁煙が望ましいです。アルコールは、高血圧、脂質異常、脳出血、乳がんに関しては消費量とともにリスクが上昇します。肝硬変はある程度の量が増えるとリスクが増えますので、適度な量、または飲みすぎない方がよさそうです。

自律神経などの日内変動や体内時計は、自分の意志でコントロールできるものではありませんが、その特性と変動の特徴を知ったうえで、上手につきあっていける身体づくりをしていきましょう。

あなたの“理想の死に方”は? 現役医師と考える終末期医療のあり方

「元気で長生きして、死ぬ時はコロッと逝きたい」「たくさんの孫に囲まれて、眠るように最期を迎えたい」――。そんな“理想の死に方”を考えたことはないだろうか。とはいえ、そう思い通りにならないのが現実。病気や老化により体の自由が利かなくなれば、入退院を繰り返すことになるだろう。認知症になれば、大切な人のことさえわからなくなってしまうかもしれない。誰にでも訪れる終末期をどう過ごすか、若い人にとっても文字通り他人事ではない問題だ。

 そんな終末期医療にフォーカスしたのが、連作長編『サイレント・ブレス』(南杏子/幻冬舎)だ。著者の南さんは現役の医師。多くの患者に向き合い、その生死を見つめてきたからこそ、デビュー作にして心を深く揺さぶる作品が書けたのだろう。

 主人公の水戸倫子は、大学病院から訪問診療クリニックへの“左遷”を命じられた37歳の医師。在宅で最期を迎える患者が穏やかな日々を送れるよう、彼らの家を訪ねて診察するのが彼女の仕事だ。命を助けるために医師になったにもかかわらず、死を待つだけの患者と向き合うことに最初は無力感を覚えた倫子。しかし、さまざまな患者に対峙するうち、終末期医療の意義、その大切さに気づいてゆく。

 倫子が向き合うのは、6人の患者たち。抗がん剤治療をあえて行わない45歳の知守綾子、「無理に生かされたくない」と胃瘻(腹部にチューブを入れて直接栄養を流し込む処置)を拒む84歳の古賀芙美江、時には言葉を話さない身元不明の少女を診ることもある。誰もが小さな謎を秘めており、彼らの診察を続けるうちに真実が紐解かれていく。終末期医療を描きつつも、ミステリー仕立てになっているのが面白い。

 こうした患者に触れるうち、倫子の心にも徐々に変化が生じていく。中でも、第5章「ロングターム・サバイバー」は、倫子の転機となるエピソードだ。この章の患者は、消化器がんの権威である権藤名誉教授。現役時代は「治る可能性があれば徹底的に治す」というポリシーで、治療に取り組んできた名医だ。しかし終末期を迎えた時、彼が選んだのは自然死。かたくなに治療を拒む姿は、自身がかつて行ってきた医療行為を否定してい

るようにも見える。確かに医師の役割は、患者を治療することだ。しかしその思いが昂じて、死を“負け”と捉える医師も少なくない。権藤も倫子も長らくこうした哲学で治療を行ってきたが、それは正しかったのか。信念を揺さぶられた倫子に対し、彼女の恩師・大河内教授は言う。「死ぬ患者も、愛してあげてよ」と。

 現代の医療をもってしても、治せない病気は存在する。老化による衰弱は、防ぐことはできない。だからこそ、治らないとわかってからの終末期医療にも、もっと目を向けるべきではないだろうか。残された人生をどう過ごすか、自分はどのような終末期を望むのか、家族とも話し合う必要があるだろう。

最終章を迎えた時、倫子は施設で寝たきり生活を送る父を看取るため、ある決断を下す。それは、読者によって賛否の分かれる決断かもしれない。しかし、「こういう終末期もあるのか」と目を開かせてくれる選択でもある。

 誰のもとにも死は等しく訪れる。この本をきっかけに、“理想の死”について今一度考えてみてはいかがだろうか。

「痛い死に方」と「穏やかな死に方」分ける要因は何か

最も痛くない、苦しまない死に方として、医療関係者がこぞって挙げたのが老衰死だ。老衰死とは、直接の死因となる病気を持たず、老いによる体の機能低下で死を迎える死を指す。4年前に95歳で母親を看取った前屋庄吉氏(70・仮名)の述懐だ。

「母は生前、大病を患ったことがありませんでした。亡くなる約1か月前から食事量が徐々に減っていき、日にお粥を1~2杯食べる程度。老衰死に至るまでの最後の数日は水を少し飲むくらいでした。最期は自宅の布団の上で微笑みを浮かべたまま眠るように亡くなりました。老衰死とはこんなに安らかに死ねるのかと家族全員、驚いたものです」

 老衰死はなぜ安らかに逝けるのか。その理由を江別すずらん病院認知症疾患医療センター長の宮本礼子氏が解説する。

「老衰になり死が近づくと、私たちは食欲がなくなり、飲み込む力も衰えます。体が栄養を必要としていないのです。飢えているわけではありません。その時、点滴や経管栄養を行なわず、食べられるだけ飲めるだけの自然な経過に任せることで老衰死を迎えられる。

 最近の研究では、動物を脱水や飢餓状態にすると脳内麻薬の一種である『β-エンドルフィン』や、肝臓で生成され脳の栄養源となる『ケトン体』という脂肪酸の代謝産物が増えることがわかっています。これらには鎮痛・鎮静作用があります。そのため、眠るように死に至ると考えられています」

 つまり痛みがないどころか、この脳内麻薬によって快楽さえ感じながら、絶命すると考えられているのだ。

 では、「痛い死に方」と、「穏やかな死に方」を分ける要因は何なのか。医学博士の中原英臣氏は、生活習慣や食生活を挙げる。

「くも膜下出血や心筋梗塞、大動脈解離は、高血圧や肥満などによって、血管に過度の負担が掛かることで発症します。高カロリーな食事を摂り続ける人は、生活習慣病になりやすく特に注意が必要です。

 痛い死に方をしたくなければ、日常生活にウォーキングなど15~30分程度の有酸素運動を取り入れ、塩分や脂っこいものは控える食生活に改めることが肝要です。未病を心掛ければ、必然的に安らかな死を迎えることができるでしょう」

 逆説的に言えば、苦しまないで死ぬためには、健康に生き続けなければならないということだ。

 実は近年、この老衰死で逝く人が増えているという。老衰死による死者数は、1938年の9万8450人をピークに減り続けていた。しかし、2000年に2万1213人で底を打ち、その後、大幅に増加している。2014年には7万5000人を超え、戦後最高を記録した(厚労省・人口動態調査より)。前出の中原氏はこう分析する。

「高齢者の絶対数が増え、老衰による死亡者数を押し上げたと言えます。さらに昨今は、延命治療を断わり、自然な形での死を求める人も、少しずつですが増えてきています。日本人の死に方に対する考えの変化が、老衰死の増加に表われているのかもしれません」

死後に財産を寄付、「遺贈」希望増加

公益団体などが窓口設置

 自分の死後、財産を公益団体などに寄付したいと考える人が増えている。少子高齢化や終活への関心の高まりを背景に、今後も増加が見込まれる。団体側も専門の相談窓口を設けるなど受け入れ態勢の整備に動き出した。

 神奈川県に住む元教師の男性(68)は、死んだ後に残る預金などの財産を、貧しくて大学に行けない子どもたちの学資にしてもらおうと決めている。

 しかし、きょうだいや子どもはおらず妻も亡くなっている。死後に寄付の手続きを託せる人がいない。日本財団の「遺贈寄付サポートセンター」に相談し、6月下旬、寄付の意思を盛り込んだ遺言書を作成した。

 遺言書により、財産を特定の人や団体に譲ることを遺贈という。

 男性は奨学金を得て大学に進学した経験から「大学で学べたことが私の人生を変えた。たいした金額は残せないかもしれないが、少しでも多くの子どもを進学させてあげたい」と話す。

 同センターでは遺言書作成のアドバイスや寄付先の紹介をしている。寄付先が日本財団の場合は、手続きをする「遺言執行者」も引き受ける。

 今年4月の開設から3か月余りで300件以上の相談が寄せられ、現在も約10人と遺贈に向けた具体的な話し合いを進めている。

 日本財団によると、ある女性からの遺贈約1億5000万円を元に昨年秋、ミャンマーに障害者のためのトレーニングセンターが完成した事例もある。

 相談者は、配偶者や子どもがいないケースが大半だ。相続人が全くいない場合、遺言書がなければ遺産は国庫に入る。同センターの長谷川隆治さんは「遺産の行き先を自分で決めたいと考える人が増えているようだ」と話す。日本ユニセフ協会や国境なき医師団日本などにも、遺贈に関する相談が増えているという。

 民法では、配偶者や子らに相続を受ける最低限の権利「遺留分」を認めている。遺言書に公益団体に寄付すると書き残しても、子や配偶者がそれを知らなかったり、納得していなかったりする場合があり、後になって、遺族から遺留分の返金を求められたケースがあるという。

 また、借金の担保になっている不動産や売れる見込みのない山林などを寄付すれば、その処理を巡って面倒を掛けることになる。ある団体の担当者は「遺贈を受け入れるのは、現金化したものに限定している」と話す。

 寄付文化の普及を目指す「日本ファンドレイジング協会」代表理事の鵜尾雅隆さんは「トラブルになるのを恐れ、遺贈そのものを受け付けていない団体もある」と明かす。遺贈を決断する際には、自分の財産状況がどうなっているのか、しっかりと把握しておく必要がありそうだ。

 団体側も、希望者に適切なアドバイスができる態勢を整えているケースはまだ一部で、弁護士や税理士でも遺贈による寄付の実務を扱った経験がある人は少ない。このため、同協会は3月に団体向けの「遺贈寄付ハンドブック」を作成。法務、税務の担当者らを対象にした研修を開き始めた。

 鵜尾さんは「約50兆円ともいわれる年間相続額のごく一部でも寄付に回れば、様々な社会問題の解決につながる。遺贈が人生の集大成となる新たな寄付文化として根付いてほしい」と話している。

公正証書遺言の作成を

■遺贈に詳しい弁護士の鈴木大輔さんの話

 遺言書を自筆作成する場合は日付、署名、印鑑が必要というように形式が決まっている。遺贈によって団体に寄付をする際も同様だ。間違えると遺言書として認められず、善意の寄付をしたくても無駄になってしまう。

 形式が整っていても、内容の意味するところが不明確なケースも見受けられる。親族らとのトラブルを避けるためにも、専門家に意見を求めながら作成した方がいい。

 時間とともに気持ちが変わることもあるので、内容は定期的に見直すようにしたい。最終的には、公正証書遺言を作ることをお薦めする。第三者の立ち会いのもと公証人が作成し、公証役場が原本を保管する。間違えたり紛失したりする心配がない。

 日本財団が今年3月、40歳以上の男女約2500人に行った調査によると「遺贈による寄付をしたい」が5%、「関心がある」と答えた人が26%いた。一方、親が財産を団体に寄付すると希望したら賛成できるか尋ねたところ、「賛成」が47%、「反対」が53%とほぼ半々に割れた。

■生きている間は無理でも

 ◎取材を終えて 被災地の窮状や貧困問題などに触れる度、寄付をしようと思いつつ、行動に移せないことも多かった。ついつい、日々の生活に必要なものや、子どもの教育費、将来の老後資金のことなどが頭をよぎってしまうのだ。先行き不透明な時代、生きている間にそう簡単に多額の寄付はできない。遺贈のことを知り、せめて自分の死後、まとまった額が寄付できるくらいのものが残せればいいなと思った。

突然死の6割超「心臓病」の予兆が表れる意外な部位

 著名人の死などをきっかけにこの数ヵ月「突然死」への注目度が高まった。その死因とされた「虚血性心疾患」といういささか聞き慣れない症状も関心を集めているようだ。

 突然死とは「予期していない突然の病死」のことで、医学的定義は「発症から24時間以内に死亡に至る」ものである。病院に運ばれ翌日に亡くなるといったケースも突然死ということになる。その原因は、急性心筋梗塞、狭心症、心不全など心臓病によるものが6割以上とされ、他の原因も脳血管障害、消化器疾患などというから、突然死のほとんどは循環器系のトラブルによるものと考えてよさそうだ。

 虚血性心疾患とは心臓に血液が供給されないことによって起こる疾患のこと。狭義では狭心症や心筋梗塞など、心臓の冠状動脈の硬化性変化による狭窄や閉塞で起こるものを指し、広義では致死性の不整脈や心肥大などを含む心筋に虚血を起こす疾患の総称だという。心臓病のほとんどが虚血性心疾患を引き起こすといっても過言ではない。

 症状は心臓の動きが悪くなると、それを防ぐために交感神経が作動して闘争的な生理状態となることから引き起こされる。具体的には胸痛や胸部の苦しさ、肩から上腕にかけての痛み、嘔吐、下顎痛、歯痛、腹痛や腹部不快感などがある。

 これらの症状は程度の差こそあれ心理的ストレスへの反応にも似ているし、ここ数日まさに「肩から上腕にかけてが痛む」うえに「気分もよくない」人はビジネスパーソンには珍しくないだろう。

おそらく単なる四十肩、五十肩や心身の疲労によるものだろが、心疾患の症状は「胸」にだけ表れるわけではないことは気に留めておいたほうがよいだろう。

 なお虚血性心疾患から突然死に至る場合は、仕事中、歩行中、乗車中、テレビを観ているときなどの平常時や、用便中あるいはその直後、就眠中に突然倒れて意識を失い、反応が無い状態となるという。まさに突然意識を失うわけだ。救急搬送が必要だが、短時間で心肺停止に陥った場合には蘇生は困難という。

5つの実例からみる納得の遺言書 思いが実現する遺言書とは?

 遺言書には遺言者の思いが込められています。週刊朝日ムック『はじめての遺言・葬式・お墓』(朝日新聞出版)に掲載された5つ実例から、自分の思いを確実に実現するために、遺言書にどんな配慮がなされているかを見ていきましょう。監修は行政書士の竹内豊さんです。

【CASE1】独身の二女が老後に困らないよう、財産を残したい

 82歳のAさんにとって最大の気がかりは、40代半ばを過ぎても独身でいる二女のことでした。二女は転職を繰り返していたため、定年まで勤め上げても退職金は期待できそうにありません。そこでAさんは、二女の老後資金の足しにしてほしいと、自分の財産をすべて二女に相続させる内容の遺言書を作成しました。

 この内容では、長女が自分の相続分がないことに不満を抱く可能性があります。そこでAさんは、長女には結婚の支度金など生前に贈与をしたことを説明し、遺留分の請求をしないよう付言事項でメッセージを加えました。

【CASE2】前婚でもうけた子と再婚相手に財産を円満に相続させたい

 元会社員のBさん(75歳・無職)は、前妻と死別後に再婚した。前妻との間に娘が1人いるが、後妻との間に子どもはいない。自分が死んだ後も妻と娘が円満に暮らしてほしいと願い、遺言書を作成。妻には老後資金として現金を多く残し、娘には妻が亡くなった際の二次相続の負担を軽くするため、妻と同居している自宅を相続させることにしました。ただし、娘には妻が亡くなるまで自宅を処分しないよう、付言事項に書き加えました。現預金は妻6割、娘4割の割合で相続させ、娘が先に死亡した場合は、孫に相続させるようにしました。

【CASE3】先に子どもが亡くなり(逆縁)、孫の中に音信不通者がいる

 Dさん(92歳・無職)は、夫に先立たれ、二世帯住宅(長男と共有)で長男夫婦と同居中です。長女は娘2人を残して亡くなりました。そのため、Dさんが死亡した場合は長男と孫2人(亡き長女の子)が相続人となりますが、孫の1人とは連絡が取れません。相続人全員で話し合う遺産分割協議が難航すると見て、Dさんは遺言を残しました。遺言書があれば、遺産分割協議をしなくても遺産分けができます。

【CASE4】自分の世話をしてくれた子にすべての財産を残したい

「家族の中でも特定の人に多く財産を残したい」、あるいは「この人にだけは財産を残したくない」と考えている人は少なくありません。元教員のEさん(72歳・無職)には妻と娘3人がいます。妻とは、妻の不貞が原因で別居中。二女夫婦と同居しています。「妻に財産を残したくない」「自分の身の回りの世話をしてくれている二女にすべての財産を残したい」と考え、遺言書を作成しました。

 付言事項に妻との関係、娘たちにかけた教育費の格差について記載しました。Eにさんは遺言作成の4ヶ月後に死亡。妻と長女から二女に対して遺留分減殺請求がなされましたが、Eさんの死亡から7カ月後に合意して解決しました。

【CASE5】夫の相続で仲違いした長男に財産を残したくない

 Fさん(67歳・無職)は夫に先立たれ、一人暮らし。子が2人(長男、長女)いますが、長男とは結婚を機に関係が悪化。夫が亡くなったとき、自分の遺産の取り分を強硬に主張する長男のせいで遺産分けの話し合いがつかず、苦労しました。以来、長男との関係が悪化し、絶縁状態になっています。自分の死後は長女にすべての財産を残したいが、子どもたちの間で相続争いが起こることが予想されるので、Fさんは「争続」防止のため遺言を残しました。遺言書には、遺留分減殺請求の対策も記載しました。

※週刊朝日ムック『はじめての遺言・葬式・お墓』より

竹内行政書士事務所代表
行政書士・竹内豊
たけうち・ゆたか/中央大学法学部卒業後、百貨店勤務を経て2001年から現職。遺言・相続を専門として活動する。著書に『親に気持ちよく遺言書を準備してもらう本』(日本実業出版社)、『親が亡くなったあとで困る相続・遺言50』(共著、総合法令出版)など多数

※『はじめての遺言・葬式・お墓』発売記念無料講演会、5/14(土)開催!
http://publications.asahi.com/news/602.shtml

遺言は書かせておくべき!? 親が存命中に子がすべきこと

意外と知らない通夜やお葬式でのマナー、業界の裏事情を綴った今、注目のサイト「考える葬儀屋さんのブログ」。「ライブドアブログOF THE YEAR 2015」にも選ばれた同サイトの管理人・考える葬儀屋さんに聞いた、恥をかかない今のうちに知っておきたいお葬式の常識とは――。

 葬儀屋さんブロガーの「考える葬儀屋さん」と申します。

「子供に迷惑をかけたくない」。最近、ご自身の葬儀の相談にいらっしゃる方が言うキーワードです。

 「迷惑」と言っては語弊がありますが、確かに親が亡くなったことで大変な思いをするお子さんは多いです。みなさんも「もし親が死んだら、自分はどうすればいい?」ということを一度は考えた経験があるのではないでしょうか。

◆親の葬儀で迷惑をかけられない方法

 子供が被る迷惑の度合いで、親が自分自身のお葬式に対して取るべき態度を評価するとこんな感じになります。

○:良く調べて自分のお葬式のやり方を決めておく
△:子供に全て任せてしまう
×:出来もしないお葬式のリクエストを言い残す

 子供にとって一番ありがたいのは親自身がお葬式の内容を「ちゃんと」決めているケースです。こういう親は自分自身のお葬式の内容をエンディングノートに書き記しており、依頼すると決めている葬儀屋さんの連絡先やお葬式の見積もりなどを残しています。

 そして、ここまでお葬式の事を決めている人は遺言書を作成して相続で子供たちが揉めないようにしている場合が多いです。いわゆる「終活」をちゃんとやっているわけですね。こういう親を持つと子供には迷惑がかかりません。

◆あの名優も「終活」!? 残された迷惑な遺言

 “△”の「子供に全て任せる」と聞いて、いやいやそれは困るよ、と思われる方も多いと思います。しかし“×”の「出来もしないお葬式のリクエストを言い残す」よりはずっとマシなのです。だいたいの“×”の人は、無頓着なのか縁起が悪いと思っているのか、お葬式の知識が絶対的に不足しており、よく調べずにイメージだけでお葬式を語りがちです。

 その結果、交友関係が広いにもかかわらず、「誰にも知らせるな」と言い残す、遺族の同意が取れていないのに「遺骨をまけ」と言い残すなど、残された遺族を困らせてしまうケースが多いのです。

 ちなみに上記の事例は俳優の故・三國連太郎さんが実際にやってしまったことです。

 できもしないことを言い残されると、遺族はお葬式の時に苦労するだけでなく、ずっと望みをかなえてあげられなかったという罪悪感を引きずることになります。

 では、”×”から”○”になってもらうにはどうすればいいでしょうか。

 親が亡くなったとき、迷惑をかけられないため、子供がまずできること。それは、親御さんに、葬儀屋さんの主催するお葬式のセミナーに参加してもらうことです。葬儀のリアルで、正しい知識を知ってもらいましょう。事実、最近は葬儀セミナーブームでほとんどの葬儀屋さんがお葬式のセミナーを行っています。

◆空前の葬儀セミナーブーム。親の上手な誘い出し方は?

 セミナーには健康不安を持つようになると行きづらくなるので、元気なうちに早めに参加してもらうべきです。そうは言ってもお葬式のセミナーを勧めるってハードル高いなぁと、感じた方も多いでしょう。

 確かに、ズバリお葬式というセミナーもありますが、最近は「相続」や「エンディングノート」をテーマにしてハードルを下げて参加しやすいように工夫しているセミナーも多いのです。ここでお葬式の知識を得てもらいましょう。それから、終活に対して男性は腰が重く、女性は積極的です。まず母親をそそのかして、父親を口説かせると成功率が高まります。

 さて、お葬式のセミナーに参加するもう一つのメリットは、セミナーを主催している葬儀屋さんの良し悪しを見分けることができるということです。なぜなら、消費者はお葬式の経験も知識もない方がほとんどです。

◆セミナーで見分ける良い葬儀屋、悪い葬儀屋

 そのため、「分かりやすく説明する能力」は葬儀屋さんにとって必須です。つまり、葬儀屋さんの良し悪しはセミナーのプレゼンテーション能力で判断できます。セミナーにはプレゼンテーション能力においてその葬儀屋さんのエース級のスタッフが投入されます。

 そこで、そのセミナーの内容がいまひとつわかりづらいと感じたらその葬儀屋さんを選んではいけません。お葬式のことを全く知らない人が聞いてもよくわかるセミナーなら、その葬儀屋さんは良い葬儀屋さんです。

 ちなみに葬儀屋さんのサイトに掲載されているセミナー風景写真だけで葬儀屋さんの良し悪しが分かる場合がありますので、最後に記しておきます。

・聴衆に年配者が多いのにもかかわらずスライドの文字が小さい
・マイクを使っていない(声が聴き取りづらい)
・セミナー講師の格好がラフ

 こういうところは避けましょう。

 考える葬儀屋さんでした。

【考える葬儀屋さん】
 葬儀社に15年以上勤務し、業界内部を知り尽くしたその道のプロ。業務内容はお葬式の担当と葬儀・葬儀業界の分析。Twitterアカウントは@kangaerusougiya。「ライブドアブログOF THE YEAR 2015」にも選ばれ、月間45万PVを突破した「考える葬儀屋さんのブログ」も日々更新中。

死亡年齢の平均ではない? 平均寿命のウソ・ホント

日本の平均寿命は高いと言われています。平均寿命とは、厚生労働省から発表され、報道などでもよく耳にする統計値ですが、一方でその意味についてはあまり知られておらず、微妙に間違った捉え方をしている人が多いようです。平均寿命についてのよくある疑問や間違いについて解説しましょう。

■「平均寿命-自分の年齢」で大まかな余命がわかる→ウソ
これはとても多い誤り。よく聞くのが、「女性の平均寿命が約85歳で、いま、私40歳だから、平均寿命まであと45年生きられるわ」といった表現です。

平均寿命は、あくまでも「発表されたその年に誕生した人」の平均余命のこと。そもそも計算すること自体が間違いなので、この考え方は正しくありません。ただし、現在アラフォーの女性の平均余命が45歳より長いのは確かです。

■平均寿命を毎年報道するのは意味がない→ホント
こちらは正論。平均寿命は、「生命表」という統計の指標のひとつ。国勢調査に基づくものを「完全生命表」と呼んでいますが、国勢調査は5年ごとに実施しています。平均寿命だけ取り上げて毎年大きく報道されるのはやや不自然な感じがします。

前回の国勢調査は平成22年の第21回国勢調査。国勢調査の間の生命表は、「簡易生命表」と呼んでいます。

■平均寿命まで生きるのは50%?→ウソ
誤り。生きるという表現に関係したのは平均余命ではなくて生命表の中で生存数という別の指標です。上の言い方に直接関係した指標があります。ただし、日本では平均寿命まで生きる確率は50%より大きくなっています。

■平均寿命は女性が長い→ホント
こちらは正解。日本を含めて、世界的に見ても女性の方が寿命が長い傾向になるのは事実です。遺伝因子と環境因子の両方が関係していると考えられます。しかし大事なのは平均寿命ではありません。平均寿命から介護が必要となる期間を差し引いた、自立した生活ができる期間である「健康寿命」が大切です。健康寿命は個人の生活習慣しだいで伸ばすことが可能です。

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突然死リスク高い運動は「ゴルフ」か「登山」か?

内科医で『突然死しないのはどっち?』(すばる舎刊)の著書がある池谷医院院長・池谷敏郎氏は、「突然死するかどうかは、日々の何気ない行動のほんの些細な差で決まる」と話す。「突然死」とは、直接の死因となる症状が現われてから24時間以内に死亡すること。突然死のリスクを避ける生活習慣を池谷氏に聞いた。

●通勤電車では足を「横に開いて立つ」か「縦に開いて立つ」か

「人間は1日のうちで座っている時間が長ければ長いほど、肥満や糖尿病になりやすく、脳や心臓の血管系の病気やがんの発症リスクまで高くなることが分かっています」(池谷氏)

 突然死のリスクを回避するためにも、電車通勤の際には座らずに立っているほうがいいそうだ。問題は、どうやって立つか。

「足は肩幅程度に開いた位置から、さらに前後に開いて立つといい。電車が揺れた時にふくらはぎの筋肉が収縮して血行が促進されます。足を動かすのと同じ効果が得られ、有酸素運動の働きをするのです。

ところが横に開いて立つと、揺れた時に体の側面に負荷がかかり、筋肉をあまり動かせません。踏ん張っても無酸素運動と同じ動作になる。これは血圧を上げることにつながってしまう」(池谷氏)

 足を縦に開き、できれば爪先で立つとより効果的だ。

●運動するなら「ゴルフ」か「登山」か

 この正解は、年代によって異なる。スポーツ中の突然死の相対危険率を示す統計によれば、40~59歳では登山、60歳以上ではゴルフのほうがより危険という結果が出ている。

「登山がかなり危険な運動であることには変わりありませんが、60歳以上でゴルフがより危険なのは、自律神経が不安定な早朝からコースに出ることや、気温が変化する中を長時間歩くことで血圧が上がりやすくなることなどが考えられます。夏場には脱水症状を起こす危険もある」(池谷氏)

 さらに「勝ち負け」にこだわったり、打つ時に精神的なプレッシャーがかかることの影響もありそうだ。

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突然死防ぐペットは「犬」か「猫」のどっちか?

 自分が死ぬなんてまだまだ先のことだと思っていたら、ある日突然あの世行き──死への準備ができないままに人生を断たれる「突然死」は、自分自身にとっても、残された家族にとっても悲惨な死に方だ。突然死のリスクを避ける生活習慣を専門医に聞いた。

●ランニングするなら「早朝」か「夕方」か

 健康のためにランニングを、と思っている人は、時間帯に気をつけたい。「朝起きてすぐに走る」か「仕事終わりの夕方に走る」かでは、突然死リスクに大きな差がある。小田原循環器病院院長の杉薫氏が解説する。

「心臓が原因の突然死の90%以上は不整脈を伴いますが、朝方は不整脈が起こりやすい。起床後1時間くらい置いてから体をほぐす程度の体操をするのはいいですが、すぐに走ることは狭心症や心筋梗塞、脳出血などを起こす危険があります。ランニングするなら夕方のほうがいい」

 ただし、ハードワークで疲れているような時は、夕方でも走るのは控えるべし。

●ペットを飼うなら「犬」か「猫」か

 ペットを飼うことは癒しにつながり、血圧の安定に役立つ可能性がある。ただし、「犬を散歩させているから健康にいい」と考えるのは早計だ。『脳卒中、心筋梗塞、突然死を防ぐ101のワザ』の共著者で東京都健康長寿医療センター副院長の原田和昌氏が語る。

「犬の散歩中に心筋梗塞を起こす人は多く、とくに朝の時間帯に多発しています。大きな犬の場合、散歩の際に引っ張られて走るはめになり、許容範囲を超えた運動になる恐れがあるからです」

 飼うなら小さめの犬か、猫にしたほうが無難だ。

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男性の用足し 突然死避けるには立ってするか座ってするか

直接の死因となる症状が現われてから24時間以内に死亡する「突然死」は、自分自身にとっても、残された家族にとっても悲惨な死に方だ。内科医で『突然死しないのはどっち?』(すばる舎刊)の著書がある池谷医院院長・池谷敏郎氏に、突然死のリスクを避ける生活習慣を聞いた。

●おしっこは「立って」するか「座って」するか

 近頃は座っておしっこをする男性が増えているが、その理由は「トイレを汚すな」という家族のプレッシャーによるところが大きい。だが、立ってするか座ってするかは、突然死にも大きく影響するという。

「排尿の時は血圧が下がるため、体調などによっては意識を失ってしまう場合もある。これを『排尿失神』と呼んでいます」(池谷氏) 排尿失神は立ってしていても座ってしていても起こるが、立った状態で失神するほうが、危険度が高いことはいうまでもない。

「立った姿勢から失神すると、頭部に100キロ以上の衝撃がかかることも十分にありえます。下手をすると脳内に出血が起こる危険性もある」(池谷氏)「俺は男らしく立ってする」なんていっている場合ではなさそうだ。

●毎日、「同じ時間に眠る」か「同じ時間に起きる」か

 平日の睡眠不足を週末に「寝だめ」して補う人は少なくないが、これは間違い。

「私たちの体内時計は、朝起きて朝日を浴びることでリセットされ、その約15時間後に眠気がくると決まっています。休日だからと朝起きる時間を遅くすると、体内時計のリズムが一定せず、よい睡眠がとれません。

ストレスの増加や高血圧、高血糖、免疫力の低下などを招き、長期的には突然死の危険性が上がります」(池谷氏)

 就寝時間や睡眠時間の長短にはあまり神経質にならず、毎朝一定の時間に起きればよい、と気楽に考えるのが大事なようだ。

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突然死防止 トンカツソースは「つける」?「かける」?

「突然死」とは、直接の死因となる症状が現われてから24時間以内に死亡することをいい、心筋梗塞や脳卒中などで突然死する人は年間10万人にも及ぶ。

「突然死するかどうかは、日々の何気ない行動のほんの些細な差で決まる」と内科医で『突然死しないのはどっち?』(すばる舎刊)の著書がある池谷医院院長・池谷敏郎氏は話す。運命を分ける二者択一。あなたはどっちの行動を取っている?

●ヨーグルトやフルーツを食べるのは食事の「最初」か「最後」か

 ヨーグルトやフルーツに含まれる糖分は、ご飯やパンから摂取する糖分と体内で基本的に同じ働きをする。

「お腹がいっぱいでも比較的食べられてしまうこれらを食事の最後にデザートとして食べると、主食で十分糖質を摂取した後に、追加で糖質を摂ってしまうことになる。逆に最初に食べておけば、主食を全部食べ終わる前に満腹感を得られる。ヨーグルトやフルーツを食べた分、ご飯を減らすことを意識してください」(池谷氏)

 過度な糖質制限は体によくないが、炭水化物などの糖質を抑えることは突然死の予防につながるのである。

●トンカツを食べる時、ソースは「つける」か「かける」か

 高血圧は動脈硬化を進める要因で、心筋梗塞や脳卒中などによる突然死につながりやすい。高血圧と密接な関係にあるのが塩分の摂取量だ。

「ソースやしょうゆなどの調味料は塩分が多く、かけて食べると摂取量が増えやすい。塩分過多による高血圧を防ぐためにも、ソースは小皿に出して、チョンチョンとつけて食べるほうがいい」(池谷氏)

 ただし、ソースに浸すようにして食べるのでは意味がないのでご注意を。

●「大勢とおしゃべりしながら食事」か「1人でテレビを見ながら食事」か

「ひとりで食べるのを『孤食』といいますが、孤食の人はどうしても早食いの傾向が強い。急いで食べると血糖値が速く上昇し、動脈硬化が進みやすい」

 そう話すのは久留米大学医学部教授・山岸昌一氏。早食いでは満腹感が得られる前に食べすぎてしまうため、糖質や脂肪の過剰摂取にもつながりやすい。肥満になれば心臓への負担が重くなり、当然、突然死のリスクが高まる。

 その点、大勢でおしゃべりしながら食事をすると「ゆっくり食べる」ことにつながる。結果、食べる量を減らし、血糖値の上昇も緩やかに抑えられるのだ。

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突然死予防 起き方にも秘密が

目覚ましが鳴ったら「すぐに起きる」か「ダラダラ起きる」か

 自分が死ぬなんてまだまだ先のことだと思っていたら、ある日突然あの世行き──死への準備ができないままに人生を断たれる「突然死」は、自分自身にとっても、残された家族にとっても悲惨な死に方だ。突然死のリスクを避ける生活習慣を専門医に聞いた。

●朝、目覚ましが鳴ったら「すぐに起きる」か「ダラダラ起きる」か

『脳卒中、心筋梗塞、突然死を防ぐ101のワザ』(主婦の友インフォス情報社刊)の共著者で東京都健康長寿医療センター副院長の原田和昌氏によれば、「ダラダラ起きる」のが正解だとか。

「朝は寝ている間に体内の水分が失われているので、血液がドロドロになりがち。さらにストレスホルモンのひとつであるコルチゾールの血中量が多くなっているため、血圧が上昇しやすくなっています。この状態で急に起き上がることは心臓への負担が大きい。寝そべった状態で手や足先などを動かし、ウォーミングアップしてから起き上がるほうがいいでしょう。ダラダラしているように見えるくらいがちょうどいい」(原田氏)

●朝の歯磨きは「起きてすぐ」か「朝食後」か

 起きてすぐに口の中をスッキリさせたい人は多いだろう。だが、原田氏は、起きてすぐの歯磨きには注意が必要だという。

「口に物を入れる時には副交感神経(体の疲れを回復させ、心をリラックスさせる自律神経)が優位になる。交感神経(緊張時やストレスを感じたときに心身を活発にする自律神経)が目覚めつつある朝に、いきなり歯ブラシを口に入れると自律神経がびっくりしてしまいます。自律神経の乱れは心臓への負担につながるのです」

 歯磨きするなら、朝食をとった後のほうが得策だ。

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突然死しないおにぎりの食べ方は温める?そのまま?

「突然死」とは、直接の死因となる症状が現われてから24時間以内に死亡することをいい、心筋梗塞や脳卒中などで突然死する人は年間10万人にも及ぶ。

内科医で『突然死しないのはどっち?』(すばる舎刊)の著書がある池谷医院院長・池谷敏郎氏は、「突然死するかどうかは、日々の何気ない行動のほんの些細な差で決まる」と話す。運命を分ける二者択一。あなたはどっちの行動を取っている?

●コンビニおにぎりは「温める」か「そのまま」か

 温めたほうが美味しいという人もいるだろうが、突然死したくなければ冷たくても「そのまま」食べるほうがいい。

「食後の血糖値の急激な上昇は、動脈硬化の進行を早め、脳卒中や心筋梗塞の原因になります。お米などに含まれるデンプンには消化されやすいものと消化されにくいものの2種類があり、消化されやすいほうのデンプンはすぐに吸収されて血糖値を急激に上げてしまう。

 一方、消化されにくいデンプンは『レジスタントスターチ』と呼ばれ、急激な血糖値の上昇を抑えるとともに、食物繊維と同じような働きをして腸内環境を整えます。このレジスタントスターチは、デンプンを加熱した後に冷やすと割合が増え、冷めていたものを温めると割合が減ってしまうのです」(池谷氏)

 おにぎりを温めることは、わざわざ健康に有益なレジスタントスターチを減らし、突然死リスクを高めることにつながるのだ。

●「三角食べ」か「ばっかり食べ」か

 昔は給食の時間にご飯と汁物とおかずを順繰りに食べる「三角食べ」を奨励され、親にも「食べたいおかずだけ先に食べるな」と注意されたもの。だが、これは大きな間違いだった。

「血糖値の急激な上昇を防ぐには、まず野菜やおかずを先に食べ、ご飯やパンなどの主食は最後にするほうがいい」(池谷氏)

 三角食べは結果的に炭水化物を摂り過ぎることにもつながり、血糖値を上げるほかメタボの原因にも。もちろん、ばっかり食べでも「ご飯を先に」はもってのほかだ。

●ご飯を盛るのは「茶碗」か「お皿」か

 ご飯茶碗があると、ひと口おかずを食べたら、次はご飯を口にしたくなる。自ずと「三角食べ」になり、ついついご飯を食べすぎてしまうことに。

「この習慣を変えるには、ご飯茶碗を手元から引き離す必要があります。洋食スタイルでご飯をお皿に盛って他のおかずと同列にし、手元から離して並べることをおすすめします」(池谷氏)

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続く疲労も前兆現象の1つ “突然死”の前触れと回避策(1)

 突然死と言えば、去る2月25日、大阪・梅田の繁華街で乗用車が暴走し11人が死傷した事故が思い出される。この暴走した男性運転手(51)の死因が、大動脈解離による心タンポナーデだったという。

 事故を目撃した50代女性は「(男性は)ハンドルを握っている感じではなく、気を失っていると思った」と証言している。つまり、運転中に突然心臓の大動脈が裂けて死亡した可能性が高いと見られているのだ。

 しかし、男性の家族は「持病はなかった」と語っており、近隣住民も「ウォーキングをするなど身体は鍛えている様子だった。健康には気を使っていたのでは」と証言している。そのような状態でも、突発性の病気が死を招き、大事故につながってしまった。

 突如激痛を感じ、そのまま帰らぬ人となる突然死。医学的には、「事故や自殺などの外因性の原因がなく、それまで全く病気がないか、あっても安定した状態で、すぐに悪化する気配がなかった。なのに、突然病気が発症、24時間以内に死んでしまう場合」を言う。
 「特に、発病から1時間以内に亡くなってしまったケースについては、『瞬間死』と呼ぶこともあります。今回の事故で運転していた男性が亡くなったのも、それに当たる可能性は高い」(医療関係者)

 突然死を起こす直接の原因の約半数は心臓にある。残りは、脳(くも膜下、脳梗塞など脳卒中)や呼吸器系だ。しかし、実際に突然死した人の実態を把握することは非常に難しいという。

 「ただし、この突然死を迎える人は意外に多く、亡くなる人の5人に1人が病気を発症して24時間以内に死んでしまうというデータもある。しかも年齢は40~50代が多く見られ、女性より男性の方が約2倍近く多い。

中高年の方なら、大動脈瘤や大動脈解離といった病名を一度は聞いたことがあるでしょう。家族や知人に、大動脈が破裂して緊急手術を受けた方もいるかもしれません。

決して珍しい病気ではないのですが、では『大動脈ってどこにあるの?』とか、『原因は?』と聞かれ、正確に答えられる人は少ないでしょう。それだけ大動脈の部位は知られていない箇所にあるわけですが、決して油断できない病気なのです」

 こう語るのは、日本大学医学部附属板橋病院の外科担当医。
 「大動脈は、心臓から出て胸部、腹部に至る、身体の中心を走る最も太い血管を指します。太さは胸部で直径約3センチ、腹部でも約2センチもある。その太い血管で動脈硬化が進むと、血管内壁の弾力性が低下し、様々な異常が起こりやすくなるのです。

もろくなった血管内壁に高血圧などの要因が加わり、血管がコブのように膨らんだ状態になるのが大動脈瘤。そして血管内壁の一部に亀裂が入り、剥離を起こした状態が大動脈剥離。どちらも放置すると、あるとき血管が破裂して大出血を起こし、命にかかわる重大な病気に発展します。

しかし、それほど危険な病気なのに、大事に至るまで自覚症状がなく、なかなか気づかない。そこに落とし穴があるのです。早期発見のためにも知識を得て、予防を心掛けましょう」(同)

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「恐怖の突然死」中高年が覚えておくべき“兆候と対策”

 車の運転中に突如発生した体調の急変で命を落とさないため、他人に迷惑をかけないため、コレは知っておきたい!

 先月25日、大阪・梅田の交差点で、会社経営者の男性(51)の乗用車が突然暴走し、11人の死傷者を出す大惨事が起きた。その後の調べで、暴走したのは男性の心臓発作が原因で、乗用車がビルの花壇にぶつかって停車したときには、男性が心肺停止の状態だったことが判明した。「実は、私も大学に行くとき、あの交差点はよく通っているんですよ。運転していた男性は、車が暴走したときはすでに意識がなく、体が突っ張った状態でアクセルを踏んでしまったのでしょうね」

 こう話すのは、内科・循環器科が専門の石蔵文信・大阪樟蔭女子大学教授。ちなみに、事故を起こした男性は、家を出るときも普段と変わらず元気で、文字通り突然死だったという。司法解剖の結果、判明した死因は≪大動脈解離による心タンポナーデ≫。石蔵教授が、まず大動脈解離を解説する。「血管は内側から内膜、中膜、外膜の三層構造になっています。内膜と中膜の間にはコレステロールや脂肪などが溜まり、プラーク(脂肪の塊)ができます。内膜は玉ねぎの皮のように薄いため、プラークが溜まりすぎるとピーッと裂けてしまいます。これが大動脈解離です」

 同疾患が発生すれば、胸や背中に激痛が走る。有名人では落語家でタレントの笑福亭笑瓶さん(59)も、昨年暮れ、この大動脈解離で危うく一命を落とすところだった。「ものまねタレントの神奈月さんたちと千葉県のゴルフ場に行ってプレーしているとき、笑瓶さんが急に“背中が痛い!”と苦しみだしたそうです。ドクターヘリで病院に搬送されて、どうにか事なきを得たのですが、もう少し搬送が遅れていたら、命の危険もあったそうです」(芸能記者)

 今回の事故を起こした会社経営者は、大動脈解離が心臓に近い場所で起こった可能性が高いという。「心臓に近いところで解離が起こると、心臓にまで亀裂が入ってしまうことがあります。すると、心臓の内膜と中膜の間に血液や体液が入り込み、ポンプ機能が大幅にダウンしてしまうのです。これが心タンポナーデです」(前出の石蔵教授)

 事故を起こした男性は交差点手前で一度停車して、その後、急発進している。まず大動脈解離が起こり、胸の痛みで車を停めた直後に亀裂が心臓まで達し、失神して体が硬直。そのまま足がアクセルを踏んだため、今回の大惨事になったと、石蔵教授は推測している。「車の運転中に胸や背中に急な激痛を感じたら、まずギアをニュートラルにする。または、路肩に車を寄せてサイドブレーキを引く。これが後続車に追突されたり、巻き添え事故を防ぐために大切です」(前同)

 レスリングの吉田沙保里さんの父親・栄勝さん(当時61歳)は2年前に高速道路を運転している際に、くも膜下出血を発症し、急死しているが、「きっと激痛の中、車を路肩に停めたんでしょう。おかげで、他の車を巻き添えにすることがありませんでした」(同)

 交通事故総合分析センター、日本自動車工業会の統計によると、2007年から12年までの5年間では、心臓による事故は1年間で20件前後、脳卒中などの脳が原因の事故が50件前後も発生している。特に、脳卒中による事故は中高年に多いという。もはや他人事とは言えないのだ。では、脳の場合はどんな前兆があるのか。

 脳のトラブルに詳しい秋葉原駅クリニックの大和田潔院長(東京医科歯科大学臨床教授)は、こう話す。「ただの頭痛だと思っていたら、脳卒中の前兆だったというケースが少なくありません。つい最近も、首が痛いと来院された患者さんをMRIで調べたところ、椎骨動脈解離を起こしてました」

 椎骨動脈は首の根元にある動脈で、解離した部位を下手にマッサージしたりすると、プラークが脳血管に流れ、くも膜下出血などを引き起こす恐れがある。そのまま、いつもの“首の痛み”と放っておけば大変なことになっていたという。大和田院長によると、突然死を引き起こす脳血管障害には、痛みや通常と異なる感覚になるといった特徴があるという。

「一つは、急に激しい頭痛があり、これがずっと続くケースです。こんなときは一刻も早く救急車を呼ぶ必要があります」 また、「運転中に対向車が二重に見える」「ハンドルを持つ手が急に力が入らなくなる」「車を降りたとき、足下がおぼつかなくなったり、めまいがする」などと、いつもと感覚が違う「神経脱症状」を感じるときも、脳に重大な異常が出ている前兆の可能性が高いという。

 なるべく早く、専門病院でMRI検査などを受けたほうがいい。突然死の2大死因は心臓と脳だが、突き詰めると、最大の原因は動脈硬化により血管が詰まったり、破れてしまうことだ。「高コレステロール、高血圧、喫煙者は特に注意が必要です」(石蔵教授)

 また、「肥満気味の人や睡眠時無呼吸症候群の人、血糖値が高い糖尿病患者も心臓や脳の血管事故を引き起こしやすい」(前出の大和田院長)という。動脈硬化が進む中高年は誰もが突然死の可能性がある――。こう考えて、節酒禁煙、脂っこい食事を控えるなどの節制を心がけよう。

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