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胃腸が弱い人必見!胃薬にも配合される成分を豊富に含む野菜とは FC2 Analyzer



FC2 Analyzer寒い時期でも、仕事にダイエットに美容と忙しい女性。できることなら、安くて身体に優しくて、美肌もダイエット効果も一気に期待できる食べ物でもあったらいいなと思いませんか?

実は、辛い寒さを快適に乗り越えるために昔から親しまれている“あの野菜”を食べるだけで、女性はとくに嬉しい様々な効果が期待できると言うのですが……。

今回はそんな野菜の効果を改めてご紹介します。今まさに旬なので、どのスーパーでも手に入るあの食材ですよ。

■胃腸の弱い女性はとくにおすすめ

その野菜に多く含まれる消化酵素からご紹介します。その酵素の名前は「ジアスターゼ」。消化促進や胃酸の中和、胃もたれや胸焼けの解消など胃に嬉しい効果がたくさんの酵素です。

じつはジアスターゼとは胃腸薬にも配合されている成分になります。血行の悪くなる冬は胃腸に負担がかかりやすい時期。そんな時こそ「ジアスターゼ」を多く含む大根をおススメします!

■冬のダイエットをお手伝い

「ジアスターゼ」はとくに炭水化物の消化が得意! もちと大根おろしの組み合わせが有名ですよね。

まずきちんと消化されることによって便秘になりにくくなり、きちんとエネルギーとして消化されやすくなるので、ダイエットにも効果的ということがわかります。

■トマトより水分量の多い大根で潤いアップ&冷え性改善!

のどを潤すと言われている大根あめ。その理由の1つに大根の水分量が関わっています。大根は固いイメージがありますが、すりおろすと水分がたっぷりですよね?

じつは大根は約95%も水分なのです! 体内外ともに乾燥しがちな冬に温かい大根を食べれば、中から潤いながら、しっかり温まることもできます。

私はつわりなどで辛いとき、大根は自然と食べても大丈夫でした。

妊娠中は赤ちゃんの成長とともに、胃が圧迫され、胃もたれにもなりやすいのに、薬はあまり飲んではいけない辛い時期。そんな時こそ、天然の胃薬大根パワーで乗り切ることもできます。

もちろん妊娠中でなくても、大根の様々なパワーは女性の味方になってくれます。

また、皮の近くに栄養がたくさんつまっていますので、皮ごと使うレシピなどもおススメです。まずは1本買って、自分の目的に合わせたレシピを考えてみては如何でしょうか?

大腸ガンが急増している理由とは?


仕事もプライベートも何かと忙しい30代。しかし、「忙いから」と健康を疎かにしていると、気がついたときには「すでに時遅し」となりかねない病気にかかってしまうことも。

日常生活で見過ごしがちな“体の異変”を察知できるかが大事になるのだ。各分野の専門医の警告と、体が発する“サイン”に耳を傾けるべし!

◆便が細くなった、下痢が多い、血便が混じっている ⇒ 大腸ガンの可能性

 近年、ガンの中でも急増しているのが大腸ガン。その理由について、消化器病を専門とする麻布医院の院長・高橋弘医師はこう語る。

「昔、大腸ガンは外国人に多い病気で、日本人には少なかったのです。ところが、欧米型の肉中心の食事やジャンクフードが一般化し、野菜で繊維質を摂取しなくなったことが増加の大きな一因です」

 大腸ガンは部位によって、結腸ガンと直腸ガンに分けられる。

「大腸に異常があると、便が細くなる、下痢気味になる、血便が出るなどの症状が出ることがあります。

ただし血便に関しては、初期段階では目に見える血便ではなく、潜血といって目には見えない血便のケースがほとんど。そのため、基本的には検便をしないと見つけることは難しいのです」

 こういった体の異常を察知しながら放っておくと、将来は大腸ガンになってしまった、なんてことになりかねないから注意が必要だ。 

しかし、大腸ガンは初期段階で気づけばほぼ100%完治する病気なので、早期発見が大事だという。トイレでティッシュに血がついていたら「単なる痔かな」などと軽視して放置せず、きちんと検査を受けてみよう。

【高橋弘医師】
麻布医院院長。東京都肝臓専門医療機関である麻布医院の院長。消化器病、肝臓病、免疫治療、ガンの診療を専門とする。『ガンにならない3つの食習慣』(ソフトバンク新書)が発売中

知っておきたいピロリ菌 胃がんの原因になる!?治療法は?



FC2 Analyzerピロリ菌、という名前を聞いたことはありますか?何となく可愛らしいイメージのある名称とは裏腹に、胃の粘膜に住みついて悪影響を与えることで有名な細菌・ピロリ菌。胃や腸に関係した疾患の原因になるとして、良く知られるようになりました。

ここでは、胃がんの原因となるピロリ菌について、簡単に解説してみます。

◆ピロリ菌はどこで感染するの?

ピロリ菌は食べ物や水からの経口感染によるものとされていますが、未だ感染ルートがハッキリしておらず、感染予防に関してもまだ未確立のままですが、唯一ゴキブリがピロリ菌を運んできている可能性が高いとされているため、ゴキブリ駆除が予防法に挙げられています。

また、ピロリ菌が入り込んで感染するのは幼児期だけであるため、割合としては、上下水道などの衛生環境が十分に整っていなかった時代に生まれた50才以上の世代に感染者が多く、50才以上の約80%の人がピロリ菌に感染しているものと思われます。

逆に衛生環境の整った10~20代の若者たちに関しては、感染者は20%程度とされており、今後は更に感染率は下がっていくと考えられます。

◆ピロリ菌に感染するとどうなる?

しかしピロリ菌は、ただ胃に住み着いているだけであれば何の症状もありません。実際保有者の7割程度は無症状のまま何ら問題なく日常生活を送っています。

問題は、ピロリ菌によって何らかの疾患が発病した場合です。胃が炎症を起こすと激しい痛みを引き起こしますし、更に感染が進むと範囲が広がって慢性胃炎になることもあります。

慢性胃炎が進むと胃潰瘍や萎縮性胃炎、十二指腸潰瘍、更には胃がんまで引き起こす可能性があるのです。実際、胃がシクシクと痛む、あるいは慢性的に胃もたれを感じる、などの理由で検査を受けてはじめてピロリ菌に感染していることが発覚したというパターンは少なくありません。

◆ピロリ菌検査の費用はどれくらい?

このように他の疾患の併発によってピロリ菌検査や治療を行う場合には保険が適用されますが、無症状の場合では自己負担となります。検査方法には内視鏡を使って胃粘膜の一部を採取し、ピロリ菌の有無を調べる方法と、血液や尿、便、呼気などを採取して調べる方法とがあります。

検査だけなら全額自費でも3千円~5千円程度ですが、これに胃カメラなど他の検査が加われば高額になることもあります。治療法も同様に、3種類の薬を一週間飲み続けるだけと簡単で、保険が利かなくても1万円~1万5千円程度で済みます。

◆ピロリの除菌に効果的な食べ物って?

またピロリ菌の除菌にヨーグルトが効くと噂されていますが、全てのヨーグルトに除菌作用のある乳酸菌が含まれているわけではありません。効果が確かめられているのはLG21乳酸菌で、同名称のヨーグルトなら除菌効果が期待できるとされています。

LG21以外では、梅肉エキスやスプラウト、わさびの葉、海藻類などに含まれる成分にピロリ菌の抑制作用があるとされており、あるものはすでに健康食品として販売されているようです。

気分や自閉症における脳への働きの影響も話題! 「腸内環境」と心の関係


FC2 Analyzer先ごろ、ナショナル・ジオグラフィック誌に、自閉症における腸の脳への働きの影響を研究した米国・アリゾナ州立大学の研究レポートが掲載され、日本でも新聞やニュースで話題となりました。

これまでの研究でも、自閉症児の腸内環境は、健常児と比べて腸内細菌の種類や数が乏しいことがわかっています。自閉症からガンまで、心身の状態に深く影響するといわれる腸内環境。

その役割の重要性と、腸内環境を健やかに保つ方法について考えてみましょう。

◆腸が気分をコントロールする
腸には実に人体の70%の免疫システムが集中していると言われ、まさにヒトの健康をつかさどっている器官といっても過言ではありません。

免疫システムの働きがカラダの健康にとって大切なことは知られていますが、腸と心の健康にもとても深い関係があります。これには、「幸せホルモン」の別名を持つ神経伝達物質「セロトニン」の働きが大きく影響しています。

セロトニンは、心地よさや幸せな気分を感じさせて精神を安定させる作用で知られる物質ですが、セロトニンの95%はなんと腸で作られているとのこと。

そのため、腸の状態が悪くセロトニンがうまく分泌されないと、うつ状態やキレやすくなるなどの症状を起こすこともあるそうです。便秘がちのときにイライラするのは、お腹が苦しいせいばかりではないのかもしれませんね。

また、逆に腸の働きをコントロールしているといわれる自律神経の働きも見逃せません。
ストレスや緊張で自律神経が乱れると、腸は下痢や便秘といった症状を引き起こします。

このように、腸と心の健康はお互いに深く関わりあっているのです。

◆腸内環境を整えて、心も健やかに
腸と心の状態が深く関わりあっているのなら、腸内環境から心の健康にもアプローチすることもできるはずです。

腸内環境を整えるには食事・運動・睡眠の3つが特に大切といわれていますが、食事では消化しにくい肉食に偏った食事を避け、食物繊維が豊富な野菜(特に腸を温める根菜など)を摂るようにしましょう。

腸を整えることで知られるヨーグルトや納豆には、セロトニンの原料といわれるトリプトファンも多く含まれているのでオススメです。

また、食事が不規則になりがちな人は、乳酸菌やウコンなど、腸に良い働きをするサプリメントで食事の偏りを補う方法もあります。

運動では、腹式呼吸を伴うヨガや自律神経の調子を整えるといわれるウオーキングなどがよいでしょう。

また、全身をのばすストレッチも有効です。このストレッチをする際は、縮こまりがちな肋骨の一番下と腰骨のあいだをのばすように意識すると、腸の活性化にもよいでしょう。

女性に一番多い大腸がん!検査方法と治療方法を知っておこう!


現在の日本の死因の第1位は“がん”ですが、中でも大腸がんの死亡者数は、ここ数年とても増えてきています。タレントの向井亜紀さんが2013年8月に大腸がんの手術を受けていたという発表がありました。

向井さんは2000年に子宮頸がんを患っており、その後の定期的な検診で大腸がんを発見されたそうです。大腸がんは早期発見、早期治療が大変有効ながんです。ここでは、大腸がんとはどのような病気なのかについて、簡単に解説してみます。

◆大腸がんはどんな病気?
大腸とは、盲腸から肛門までのおよそ1.5~2mの管状の臓器で、小腸までの間で吸収されなかった水分を吸収し、便を作って体の外へ出す、という働きがあります。ここに“がん”が出来た状態を大腸がんといい、日本では肺がんとともに患者数が急増しています。

特に女性に限っては死因の第1位になっています。毎年、およそ10万人が発症しているといわれています。大腸がんには“結腸がん”と“直腸がん”がありますが、近年女性の中で急増しているのが“結腸がん”です。この理由はまだ分かっていません。

大腸がんになっても早期に発見されれば、ほぼ100%治るといわれています。しかし発見が遅れるほど5年生存率(何らかの治療をしてから5年間の間にどれだけ生存しているか)は急激に下がります。

◆大腸がんになりやすい人は?
大腸がんの発生要因としてまず挙げられるのは、食生活の欧米化です。日本人は元々、米と野菜や魚を中心とした食生活でした。ところが近代化が進むにつれて、欧米の食生活、例えば肉類や脂肪分の高い食事が増え、逆に食物繊維などが豊富な野菜の食事量が減る、という食文化に傾いてきました。

これは大腸がんだけではなく、生活習慣病の要因そのものですよね。また大腸がんに関わらず、“がん”は加齢とともにそのリスクが高くなる傾向がありますが、日本における大腸がんの患者さんは、60歳代から急増します。

この他の発生要因には、喫煙、遺伝的要因、運動不足などいくつかの説があり、現在はまだ研究段階のようです。

◆大腸がんの症状
代表的な症状として、血便(下血)、腹痛、便が細くなる、便通障害(便秘や下痢など)などが見られます。しかし大腸がんは出来ている部位によっては、この自覚症状がなかなか現れず、気付いた時にはかなり進行していることも多いのです。


これは大腸の形状と機能によります。例えば肛門に近いところに“がん”が出来た場合、血便や便が細くなる感じにも気付きやすいでしょう。

ところが小腸との境目に近い部分では、便自体がまだ液体状であるため、例えば血便が出てても便の中に紛れてしまって気づかなかったり、便として身体の外へ出るまでにはまだ距離がありますから、普通の便の太さになってしまい、自覚症状としては確認できません。

しかも近年では、この小腸との境目に近い“上行結腸”と呼ばれる部分にできるがんが急増しているといわれています。

◆大腸がんの調べ方
大腸がんの検査には色々ありますが、まずは問診・触診・便潜血検査(便の中に血液が混じっているかを調べる検査)が行われます。これはまだ何も自覚症状が無い状態でも行うことが可能で、特に便潜血検査はいわゆる健診の検査項目の1つでもあります。

ここで便の中に出血がある場合、より詳しく調べるために行われるのが、大腸内視鏡検査と、注腸造影検査です。大腸内視鏡検査とは、肛門から専用の細長いカメラを挿入し、大腸の中を直接確認し、肉眼で分かる変化(異常)があるかを検査します。胃カメラが大腸カメラになったと考えれば良いでしょう。

注腸造影検査では、肛門からバリウムと空気を注入してX線撮影を行い、直腸から盲腸(小腸との境目)までくまなく調べることが出来ます。このほかにも、血液検査・CTやMRIによる検査・エコー検査・PET検査なども必要に応じて行われます。

◆大腸がんの治療方法
大腸がんの治療には、手術療法、薬物療法(抗がん剤治療)、放射線治療などがあります。ごく早期で小さなものであれば、内視鏡検査の中で切除することもあります。ある程度大きくてもまだあまり進行していない場合は、手術療法が行われることもあります。

大腸がんが肛門近くに出来ている場合は、手術をすると肛門が機能しなくなるため、人工肛門(お腹の表面に腸管の出口が出来ている状態)になることもあります。また手術の補助療法として、放射線治療が行われることがあります。

最近ではさらに抗がん剤治療も併せて行い、手術前に“がん”を小さくして身体への負担を減らしたり、他の臓器への転移による痛みの軽減などを図ることもあります。

大腸がん悪化の「目印」特定 転移予測の実用化目指す



FC2 Analyzer大腸がん悪化の目印となる分子を京都大などのグループが見つけ、3日発表した。

この分子に特定の化学変化が起きていると、がん細胞が別の場所に移って転移しやすくなり生存率が低かった。大腸がんの転移を予測する診断法はまだ確立されておらず、数年後の実用化を目指している。

 大腸がんの死亡率は男性では肺、胃に次ぎ3番目、女性では最も高い。死亡するケースの大半は転移が原因だ。

 グループはマウスを使って転移を起こす大腸がんの細胞を研究。「Trio(トリオ)」というたんぱく質の特定の部位に化学変化が起きていると、がん細胞の運動を促す分子を活性化させることがわかった。

 京大病院が保存する中程度の大腸がん患者115人のがん細胞を調べると、70人でこの化学変化が見られ、2割が診断から5年以内に転移で亡くなっていた。一方、化学変化が見られなかった45人はこの間、全員が生存していた。

 グループの武藤(たけとう)誠名誉教授(実験腫瘍(しゅよう)学)は「患者の転移の起きやすさがわかれば、効果的に治療できる可能性がある」と話す。成果は米がん学会の学術誌電子版に掲載された。

「肉食」シーズン到来で不安な腸内環境 ビフィズス菌摂取で悪玉菌を抑える


急に気温が下がって秋めいた季節になってきた。これから年末年始にかけて、グループ旅行や歓送迎会、クリスマスパーティーのほか忘新年会など人と会って食事する機会が増えるが、注意したいのは暴飲暴食だ。食生活の乱れが続くと、体への影響も気になる。

特に鍋シーズンということもあって肉の摂取量も増える。ニフティが公開した「冬の美味についての本音・実態調査」によると、鍋料理のうち人気がもっともあったのは、「すき焼き」だった(有効回答数3891)。

腸内環境悪化に対する抑制作用

肉食生活が続くと体にどのような影響があるのか。腸内の細菌バランスが崩れて悪玉菌が発生させる有害物質が増え、免疫力低下や慢性炎症の原因になると言われる。便秘がひどくなり腸内環境が悪化すると最悪の場合、重篤な病気に発展する可能性も。

厚生労働省のウェブサイト「e--ヘルスネット」でも、「たんぱく質や脂質が中心の食事」が悪玉菌の増える原因としていて、善玉菌の割合を増やすためにビフィズス菌や乳酸菌を含む食品を直接摂取する方法が推奨されている。

森永乳業が食事を肉と卵に限定した「肉食期間」を設け、ヨーグルト摂取によって腸内環境がどう変化するか調査する実験を行い、その結果を2014年10月1日に発表した。

「肉食期間」5日間に続けて、バランスのとれた食事の「回復期間」14日間を設定。22~50歳の健常成人31人を「ヨーグルト摂取なし」「回復期間のみヨーグルト摂取」「肉食期間と回復期間にヨーグルト摂取」の3つのグループに分けて調査した。使用したのはビフィズス菌BB536を配合した「ビビダスBB536プレーンヨーグルト」だ。

その結果、「ビビダスBB536プレーンヨーグルト」が、肉食によって減少してしまうビフィズス菌の菌数を維持し、悪玉菌であるビロフィラ菌の増加を抑制することが明らかになった。

また、肉食で腸内環境バランスが崩れた後に同ヨーグルトを摂取することで、減少したビフィズス菌の回復に対する促進作用が期待できることが示唆されたという。ビフィズス菌BB536はヒト由来で、酸や酵素に強く、生きたまま腸まで届くなどの特徴で知られる。

これからの季節、体調管理のためにもバランスの良い食事を取る心がけをしたいものだ。

腸が汚いと美人も台無し!汚腸になってしまうNG習慣3つ FC2 Analyzer


美しい人は隅から隅まで美しい、なんてイメージがありますが、どうやらそれは幻想なのかもしれません。外見にこだわってる人でも、実は意識が届いていない腸事情と汚腸を招くNG習慣をご紹介します。

■身だしなみに気を使っていても腸にまで行き届いていない人が多い

小学館女性インサイト研究所の調査によると、「美的」「AneCan」「Oggi」の美容雑誌やファッション誌を愛読している20~30代の女性のうち、93%以上が「身だしなみに気を使っているほうだと思う」と回答。

その 一方で、普段の腸の状態を聞いてみると、「ときどき便秘」「主に便秘がち」「ひどく便秘」という回答が73.4%にものぼることが明らかになりました。

さらに便秘に悩む人を対象にした「便秘を解消し、腸をキレイに保つための対策をしていますか?」という質問に「常にしている」と答えた人は、わずか38%。62%の人が便通があったら満足してやめてしまったり、必要を感じていても対策ができていないという傾向に。

いくら身だしなみに気を使っていても、汚腸では、肌荒れを招き、スキンケアも台無しになってしまうからこそ、外見のみならず美腸も目指したいところ。

■汚腸を招くNG習慣3つ

(1)便意を感じてもすぐにトイレに行かない

オフィスや学校などで便意を催した時にトイレに行くのが恥ずかしいと感じて、ついつい我慢をしてしまっていませんか?

我慢を繰り返していると、腸の蠕動運動が鈍ったり、便意を感じる機能が衰えて、便意を感じなくなってしまいます。便意を我慢せず、むしろ便意を感じなくてもマメにトイレに行くことこそが美腸への第一歩です。

(2)冬場は水を飲む量が減る

冬場は暑さを感じたり汗をかくことが減り、水を飲まなくても平気な気がしてしまいがち。しかしながら、水分が不足すると、食物の水分を腸が吸収してしまい、便が固くなり、排便しにくくなってしまいます。

水分を十分に摂ることで、大腸に詰まった便が水分を含んで、移動しやすくなるので、冬場でも1日に2リットルを目安にした水分を摂るようにしましょう。

(3)便秘予防のために心がける食事はビフィズス菌や乳酸菌一辺倒

便秘予防といえば、ビフィズス菌や乳酸菌がとっても重要な気がして、もっぱらヨーグルトに頼るという声をよく聞きます。しかしながら、それらと同じくらいに大事でありながら、日本人のほとんどに不足しているのが食物繊維。

実は、特定保健用食品で「おなかの調子を整える食品」として認められている成分の多くも食物繊維なのです。

厚生労働省策定の食事摂取基準[2005年版]によれば、1日あたりの目安量は女性20gですが、平均摂取量は14g前後ですので、食事の際は、常に食物繊維が豊富な食材を意識するようにしましょう。

いくら見た目を綺麗にしていても、腸が汚れていては肌への悪影響にも発展しかねません。中身も外見もヘルシーでいたいものですね。

ガリ子と一緒に、秋の「汚腸」掃除大作戦!! FC2 Analyzer


最近太りやすい・・・ダイエットをしてもなかなか痩せないと悩んでいませんか?その原因は、「腸」にあるのかもせしれません。普段から、極端な食べ過ぎや過度なアルコールを摂取している人は、腸が荒れている可能性大!

この秋は、汚腸掃除で、スッキリ美人を目指しましょう。

■これすべて『汚腸』が原因だった

まずは、下記の項目で、汚腸かどうかを診断してみましょう。

□体がむくみやすい
(腸がうまく機能していないと、水分がスムーズに排出されないため、むくみが起こりやすくなります)

□冷え性になりやすい
(腸というのは、体温よりもやや高めをキープしています。腸の機能が低下すると、温度の低い血液が体をめぐるために冷えの原因となります)

□便秘気味
(腸が乱れると、副交神経がうまく働かず腸内の血流が低下します。腸内の循環は悪くなる一方で、さらに便秘の原因となります)

□肌荒れがひどい
(便秘が慢性化すること、腸内に便が長くとどまることになります。腸内で発生した有毒物質が腸から流れて、汚い血液が体中をめぐるため、肌荒れの原因にもなります)

いかがでしょうか。2つ以上チェックがついた人は要注意!腸が「おつかれサイン」を出している証拠かもしれません。

■今から始めて欲しい食生活の基本

美容や健康には腸の掃除が必要不可欠!というわけで、ここでは食生活の基本をご紹介します。

□どんなに忙しくても朝ごはんを食べる
□鞄には常に水を入れておく
□腹八分目を目標に
□1日1回はヨーグルトを食べる
□積極的に和食を食べる(雑穀マイ・納豆・味噌汁など)
□寝る3時間前の食事はやめる
□感触はナッツ・ドライフルーツに

皆さんはいくつ当てはまりましたか?ガリ子が当てはまったのは、3つだけ・・・。気をつかってはいたものの『汚腸』の原因を作っていました。これからはすべてチェックが入る生活を心がけましょう。

自律神経を意識した美習慣

腸をきれいに保つためにもう1つ大切なのは、自律神経を整えること。次は、そのための生活習慣をご紹介します。

□毎朝同じ時間に起床をする
□時間に余裕を持った生活を送ること
□仕事の中のデスクで腸をもむ
□どんなに疲れていても湯船につかる
□寝る前は、スマホの電源OFF

これだけの習慣を気にするだけで、美しい腸が整います。「痩せなくちゃ」と考えることが、ストレスとなり自律神経を乱し悪循環になります。まずは、この習慣を意識してみてください。

胃石(いせき、gastrolith)にはコーラが有効? コーラ溶解療法とは


胃石といっても聞きなれない方も多いと思いますので、まず胃石について説明しましょう。

胃石とは胃内異物の一つで、部分的に消化された物質や消化されなかった物質が固まったものです。胃石は胃潰瘍や腸閉塞の原因となるため、何らかの方法で除去しなければなりません。

 この胃石治療に対して、アテネ大学の研究者たちが、植物性胃石の治療としてのコカ・コーラの有用性を調べるために10年間にわたって出版された論文を調査した結果、有用であったという研究レポートが「Alimentary Pharmacology & Therapeutics誌」に掲載されました。

 わが国でもコーラによる胃石溶解療法が数多く行われており、有用であったという論文が多数報告されています。では、コーラ溶解療法とはどのようなものでしょうか?

■コーラ溶解療法とは

 コーラ溶解療法は、市販のコーラを買ってきて胃の中にいれる。ただこれだけです。ただし、大量のコーラ(3リットルほど)でないと効果がありません。

コーラは炭酸がきつく大量に飲むのは大変なので、鼻から胃の中にチューブを入れてゆっくり流し込みます。大量に入れる方法のほかにも、毎日1リットルほど飲み続ける方法や内視鏡を用いて胃石に直接散布する方法などがあります。

 ただし、コーラ単独だけでは溶けきれないこともあるため、コーラで軟らかくなったところを内視鏡から出したスネアと呼ばれるワイヤーで破砕する方法を併用することもあります。

 ちなみに、治療に用いるコーラは「コカ・コーラ」を使用して発表している論文がほとんどです。流通量やブランド力によるものかもしれません。他のコーラでも有用のようですが、ただの炭酸水では効果がないようです。

■胃石がコーラによって溶ける理由

 胃石がコーラにより溶解される詳しい機序は明らかではありませんが、コーラの酸がpH2.6と正常分泌状態にある胃酸のpHと近いためという説や、二酸化炭素の細かい気泡自体が胃石表面の微細な凹凸に浸透し繊維質の結合を軟化させているという説、コーラに含まれている未知の成分が溶解に作用している説などが考えられています。

■胃石の種類と胃石予防法

 胃石にはいくつかの種類があり、溶ける胃石と溶けない胃石があります。我が国では植物胃石が多く、特に柿胃石は植物胃石の8割以上と大半を占めています。

柿胃石はコーラ溶解療法が有用です。他の胃石としては、毛髪胃石や樹脂胃石、薬物胃石などがあります。欧米では異食症による毛髪胃石が半数以上となっています。

 柿のタンニン酸(シブオール)は胃酸と重合して果実繊維や食物繊維と結合する作用があり、量が多ければ胃石を作る可能性があります。もちろん、大量に食べなければ胃石を作ることはないので、通常量の柿なら心配はいりません。

糖尿病性自律神経障害や胃切除など胃内容物の排出障害がある場合は、柿胃石ができやすいとされているので、摂取量には注意が必要です。

ストレスには要注意? 胃もたれの本当の原因とツボによる改善法


■胃のもたれ、機能性ディスペプシアとは?

 食後に胃が重く感じる、胸焼けがするなどのいわゆる「胃もたれ」と呼ばれる症状にお悩みの方はとても多いのではないでしょうか。ここでは生理学的な観点と東洋医学の観点から胃もたれについて考え、症状の改善・予防法についてご紹介していきます。

 胃もたれの症状に悩む方が上部消化管内視鏡検査などを行っても内蔵自体の異常が発見されないことが多々あります。こうした場合、近年では「機能性ディスペプシア」という診断をされることが多くなっています。

 以前であれば神経性胃炎や慢性胃炎という診断名がつけられることが多かったのですが、胃炎があっても症状がないことや、逆に症状があるのに胃炎がないことなどがひんぱんに見られるなど、胃のもたれに対し統一した見解を得られていませんでした。

こうした問題を解決するために、症状があってもそれを説明できる異常がさまざまな検査において認められない場合、胃の炎症の有無に関わらず機能性ディスペプシアと診断するようになったのです。

■胃のもたれの原因は?

 この機能性ディスペプシアですが、心窩部痛・心窩部灼熱感・もたれ感・早期飽満感の4つの症状のうち1つ以上を慢性的に感じながら、消化器自体に異常が認められないものとされています。ではこれらの主な原因はなんなのでしょうか?

 まず消化管の運動機能が低下が考えられます。こうなると胃に入ってきたものが腸に送り込まれるまで時間がかかるようになり、胃のもたれや膨満感を強く感じるようになります。

さらには食物を受け入れる際に胃が拡張する機能が働かなくなり、胃の内圧が高くなりやすい状態になるため、食べてすぐに胃が張ってしまい上腹部痛や胃の不快感などの原因にもなります。

 さらに胃の内圧が上昇することで胃壁は引き伸ばされますが、こうした刺激が繰り返されることで機能性ディスペプシアを有する方は胃の痛みに対する知覚の閾値(いきち)が低下する傾向があることがわかっています。

 さらに忘れてはいけない因子がストレスです。近年ではあらゆる身体の異常をストレスのひと言で説明しようとする傾向があり、さらにそうした傾向に対し批判的な方も多いように感じますが、ストレスと内蔵の関わりは生理学的にきちんと説明できるものです。

 機能性ディスペプシアの患者の場合、パニック症候群と同程度の社会的ストレスを受けていたこと、そして心理的状態としてはうつ的要素あるいは不安的要素が強いことが報告されています。

 こうした心と身体の関わりはストレスホルモン(副腎皮質刺激ホルモンと副腎皮質刺激ホルモン放出因子)によって引き起こされていることがわかっています。

この2つのホルモンは、なんらかのストレスを心と身体が受けると放出され、胃の働きを抑制し大腸の働きを活性化させます。また、ストレスにさらされたときには副腎髄質からアドレナリンが放出されますが、このときには内蔵への血流が低下するため消化機能は抑制されます。

 こうしたことから考えると、胃のもたれの背景にはなんらかのストレスが潜んでいると考えられそうです。

仕事のプレッシャーなどによる精神的な負担ももちろんですが、食べ過ぎや偏食などによって起こる身体への負担、運動不足や寝不足など生活リズムの不全から発生するものなど、さまざまな原因がストレスとして考えられます。今一度ご自身の生活を振り返ってみることが大切だといえるでしょう。

■胃もたれの改善はストレスのスパイラルからの脱出がカギ

 前述のとおり、胃もたれにはストレスが深く関与していると考えられます。ストレスが身体に加わったとき、人間は身体を丸める動きをとりやすくなります。たとえば胃が痛いときには自然と身体を丸めますし、机の角に小指をぶつけたときも基本的には身体を丸めるでしょう。

 これは屈曲反射といって、何らかの身体を脅かすような事象に対して、身体を丸め防御しようとする原始的な反射によるものです。このときに強く働く筋肉を考えてみると、お腹の筋肉である腹直筋が挙げられます。

腹直筋は下部の肋骨から骨盤帯まで走行している幅広い筋肉であり、姿勢の保持や腹腔内圧の調整に深く関与しています。

 ここでひとつ試してみていただきたいのですが、何かストレスを感じる状況を想像してみてください。このとき、お腹を触ってみるとどうでしょう?

腹筋運動をしているわけではないのに勝手に力が入っていることを感じる方が多いのではないでしょうか? これは外からの刺激に対して屈曲反射が現れている状態と考えられますが、知らず知らずのうちにこうした筋緊張の高まりが身体に起きているわけです。

 この腹直筋は体幹を曲げる役割をしていますが、持続的に働くと身体を丸めた、いわゆる不良姿勢を呈するようになります。こうなると内蔵が圧迫され、血液循環が低下するなどの状態が身体に発生し、結果として胃腸にストレスを与える原因となるという、負のスパイラルが発生してしまうのです。

■胃もたれの改善に効果的なツボ

 こうした身体の状況を改善するためには、腹直筋をリラックスさせるツボが効果的と考えられます。

・建里(けんり)

 建里(けんり)は腹直筋上に位置し、へそとみぞおちのちょうど真ん中から親指の太さ1本分下にあります。東洋医学では胃腸の養生のために利用されています。痛みを感じない程度に優しくマッサージをしてみましょう。

・天枢(てんすう)

 へその外側、親指の太さ2本分のところにある天枢(てんすう)。こちらも腹直筋上にあり、同様に胃腸のあらゆる症状に効果的とされています。同じく痛みを感じない程度にマッサージしてみましょう。

 これらのツボを押した後に、ゆっくり鼻から息を吸い、口から吐き出してみると、呼吸がしやすくなっていることを感じられると思います。腹式呼吸がストレスを和らげる効果があることはよくいわれていますが、こうしたツボを使いお腹の筋肉を緩めることで、腹式呼吸が行いやすくなり、さらにその効果が増すと考えられます。

 もちろん医療機関で適切な診察を受けることも大切ですが、こうしたツボを利用して身体の状態を少しでもよくしてあげることも症状を改善するうえでは大切なのではないでしょうか。

飲み過ぎで下痢に… 腸にいい飲酒と悪い飲酒の境目は?


飲み過ぎると翌日お腹を壊しやすくなると感じている酒ジャーナリストの葉石かおりさん。同様の声は、ほかの酒好きからも上がっています。果たして、アルコールは腸にどのような影響を与えるのか。腸内環境を専門とする、神戸学院大学 栄養学部栄養学科 准教授の大平英夫さんにお話を伺いました。

◇   ◇   ◇

「断酒をしたら、あれだけひどかった下痢が治ったんだよ」

風邪で体調が悪くなったのを機に、断酒をした友人からこんなLINEが来た。「一晩に焼酎ハイボールを軽く4~5缶空けるのは朝飯前」と言っていた彼は相当な酒豪。自宅で飲んで記憶をなくすのは普通で、万年2日酔いのような状態だった。

その彼の悩みが下痢。いわゆる水下痢(水分の多い下痢)で、聞くと「ほぼ毎日下痢」だったそう。そんなひどい下痢が酒をやめた途端、治まったという。ついでに痔も改善し、絶好調のようだ。

彼に限ったことではなく、「お酒を飲むとお腹を壊す」という酒飲みは意外と多い。実のところ筆者もそうで、飲み過ぎた翌朝は必ずと言っていいほどお腹を壊す。ひどいときはトイレにこもりっきりになってしまう。

ただの水やお茶を飲み過ぎてもこうはならない。ということはやはりアルコールが腸に悪さを働いているのだろうか? もしや腸内細菌にも影響しているのでは……。腸内環境に詳しい神戸学院大学 栄養学部栄養学科 准教授の大平英夫さんにお話を伺った。

■アルコールが原因の下痢には2パターンある

先生、お酒を飲み過ぎた翌日にお腹を壊すのは、やはりアルコールが悪影響を与えているのでしょうか?

「その可能性は高いですね。アルコールを大量摂取すると、水分と電解質(ナトリウムなど)の腸管への吸収が不十分になり、浸透圧性の下痢が起きます。これが飲み過ぎた翌日にお腹を壊すことの正体でしょう」(大平さん)

大平さんによると、アルコールによる下痢にはもう1つパターンがあるという。

「もう1つのパターンは、長期にわたる過剰なアルコール摂取が原因で、消化機能が低下することによって起こる下痢です。このタイプの下痢は、便に過剰な脂肪が存在することから、別名『脂肪便』とも言われます。アルコールの長期摂取によって主に膵臓の機能が落ち、消化液や胆汁の分泌量が低下し、脂質やたんぱく質がうまく分解、吸収できないことで起こります。この場合、みぞおちが痛いなどの自覚症状が見られる場合もあります」(大平さん)

酒飲みであれば、浸透圧性の下痢は経験がある人が多いのではないだろうか。そして、できることなら脂肪便は経験しないでおきたいものだ。

ところで、飲み過ぎれば必ず浸透圧性の下痢になってしまうのだろうか。飲む量以外にも、何か関係してくるものはないのだろうか。腸にダメージをなるべく与えない、理想的な飲み方があれば知りたいところだ。

炭水化物はお米やそばに!患者増加する「SIBO」防ぐ生活習慣


日本人の10人に1人が、下痢や便秘を発症する「過敏性腸症候群」に悩んでいるが、その85%が小腸に原因アリだった! おなかの不調のみならず、がんや認知症まで進行させるSIBOとはーー?

「大腸の健康が脚光を浴びていますが、もっと大切なのは小腸を守ること。不調の原因は小腸なのです!」

そう宣言するのは、江田クリニックの江田証院長。小腸の病気「SIBO(小腸内細菌増殖症)」の存在を日本で初めて明らかにした『小腸を強くすれば病気にならない』(インプレス)を出版した、“腸活”の第一人者だ。

「いま、日本人の間でこのSIBOがひそかに増えています。SIBOになると、おなかの不調だけでなく肥満や貧血、視力障害やうつ症状のほか、がんの発症リスクも上昇。SIBOから身を守ることが病気予防につながるのです」(江田先生・以下同)

SIBOが医学会で認識されるようになったのはここ数年。小腸の中で腸内細菌が爆発的に増えてしまう病気だ。

「本来、大腸にあるべき細菌たちが小腸に停滞、繁殖してしまった状態です。これによって小腸内にガスが発生し、おなかの不調をはじめ、さまざまな病気の要因となるのです」

SIBO患者の小腸内の細菌数は、正常値の10倍に相当する10万個超。そして、患者は増加の一途をたどっている。

「下痢や便秘を引き起こす過敏性腸症候群患者の85%が、SIBOを発症していたのです。最大の原因は、現代の食生活。パンやパスタなどの小麦食品や甘いジュースに含まれる糖質は小腸で吸収されにくく、細菌を発生させやすい。これらの糖質を大量摂取することで、SIBOを引き起こしているのです」

SIBOが過敏性腸症候群より恐ろしい点は、ほかの大きな病気を引き起こしてしまうことだ。SIBOには下痢型と便秘型があり、そのものの症状は重篤ではない。しかし、ガスによって伸縮を繰り返えし、腸内膜がダメージを受け続けると、症状は深刻になる。

「小腸の腸壁は、栄養素を吸収し血管に送り出す役割があります。しかし、超粘膜が傷んでいると、細菌が作り出した毒素も一緒に送り込んでしまうのです。

こうした腸を『リーキーガット症候群』といいますが、こうなると毒素が腸の血管から全身をめぐってしまう。これが免疫力の低下を引き起こし、慢性関節リウマチなど自己免疫疾患や肝疾患の要因となるのです」

さらに、細菌が胆汁酸塩の働きを妨げ脂肪が吸収しにくくなるため、脂溶性ビタミンの欠乏症を招く。

「とくに体内で合成できないビタミンA、E、Dは欠乏しやすく、同じく免疫力の低下を引き起こすほか、がんの発症リスク等も上昇します」

必要な栄養素を細菌に横取りされ体調が悪化する場合も。

「たとえば、ビタミンB12の欠乏は貧血やうつ症状、疲労のほか、近年では認知症を早める危険性も指摘されています。亜鉛不足は肌荒れなど美容面での悪影響も。マグネシウムや鉄分が不足すれば、生理痛の悪化やむずむず脚症候群が起こります」

まさに万病のもと、SIBO。そこでSIBOにならない生活習慣を紹介。

【1】炭水化物はお米やそばに

小麦でできたもの(パン、うどん、パスタ、シリアルなど)はなるべく食べない。

【2】小腸にいいものを食べる

ブロッコリースプラウト(抗菌効果)、ココア(ピロリ菌を減らす効果)、青魚(EPA、DHAが粘膜を強化)、サケ(小腸の細胞を強化)など。

【3】食後3時間45分はあける

食べ物が小腸を抜けるには3時間45分ほどかかる。細菌増殖を抑えるため、少なくとも食後3時間45分は間食を避けることで腸がきれいになる

【4】息が切れるくらいの運動を

強度のある運動をすることで、小腸が食べ物を大腸へと送り込む「ぜん動運動」が活発に。ウオーキングなど軽度の運動では効果ナシ。ジョギングや腹筋などを、できれば毎日行おう。

【5】朝晩のSIBOマッサージ

大腸のバウヒン弁(細菌逆流防止弁)をマッサージし、細菌の逆流を防ごう。右の腰骨とおへそを結んだ直線の3分の1のところに右手を置き、左手で右手に向かってJを描くようにマッサージ。起床後、就寝前に5回ずつ。

SIBOにならない生活習慣を実践し、小腸の強化に努めよう!

小腸にせまる恐怖…おなかの不調もたらす「SIBO」とは?


そう宣言するのは、江田クリニックの江田証院長。小腸の病気「SIBO(小腸内細菌増殖症)」の存在を日本で初めて明らかにした『小腸を強くすれば病気にならない』(インプレス)を出版した、“腸活”の第一人者だ。

「いま、日本人の間でこのSIBOがひそかに増えています。SIBOになると、おなかの不調だけでなく肥満や貧血、視力障害やうつ症状のほか、がんの発症リスクも上昇。SIBOから身を守ることが病気予防につながるのです」(江田先生・以下同)

SIBOが医学会で認識されるようになったのはここ数年。小腸の中で腸内細菌が爆発的に増えてしまう病気だ。

「本来、大腸にあるべき細菌たちが小腸に停滞、繁殖してしまった状態です。これによって小腸内にガスが発生し、おなかの不調をはじめ、さまざまな病気の要因となるのです」

そもそも小腸は、食物の消化分解を担う場所。食事から得た栄養は小腸でほとんど吸収されるため、生命を支える非常に重要な器官だ。

「大腸には腸液1ミリリットルあたり100億〜1兆個もの腸内細菌が存在しているのに対し、小腸の腸内細菌の数は、正常で1万個程度です」

口から入った食物は食道、胃を通って小腸に入り、大腸を通じて肛門から排出される。腸内細菌は、本来、この過程でどんどん数が増殖していく。

「もともと大腸には多くの細菌が存在し、その細菌が作るガスによる伸縮にも耐えるようにできています。しかし、小腸の動きは通常すばやく、小腸壁に細菌が取りついて繁殖しないため、小腸内の細菌は少ない。そ

のため小腸はガスに耐えるようにはできていない。ところがSIBOになると、小腸で過剰増殖した細菌がガスを大量発生し、細長い小腸を風船のように膨らませます。食事をするたびにこれを繰り返すことで、小腸が傷ついてしまうのです」

SIBO患者の小腸内の細菌数は、正常値の10倍に相当する10万個超。そして、患者は増加の一途をたどっている。

「下痢や便秘を引き起こす過敏性腸症候群患者の85%が、SIBOを発症していたのです。最大の原因は、現代の食生活。パンやパスタなどの小麦食品や甘いジュースに含まれる糖質は小腸で吸収されにくく、細菌を発生させやすい。これらの糖質を大量摂取することで、SIBOを引き起こしているのです」

ほかにも、ストレスや抗生物質、胃薬、鎮痛剤の安易な服用もSIBOの発症原因になる。おなかの弱い人はすでにSIBOの可能性も大いにあるので、次のリストをチェックしてみよう。1つでも当てはまればSIBOの可能性アリ!

□少ししか食べなくてもおなかがポッコリと張る
□下痢気味
□便秘気味
□頻繁に腹痛がある
□おならがよく出る
□おなかがゴロゴロする
□腸剤やヨーグルトを摂取するとおなかの調子が悪くなる
□ピロリ菌に感染している
□空腹時におなかがグーッと鳴らない

「過敏性腸症候群と診断され、治療をしているのに改善しない場合は、SIBOである可能性があります。また、ピロリ菌感染者は胃酸が減少し、小腸の細菌を殺すことができません。空腹時におなかが鳴らない人は、小腸の運動力が低下しており、細菌が小腸で繁殖している場合があります」

大腸全摘出した元美容師、SNSやオフ会でつなぐ若い患者たちの絆「一人じゃないと伝えたい」


大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる炎症性疾患で、血便を伴う下痢や激しい腹痛などの症状が現れる「潰瘍性大腸炎」。内科的治療により症状が改善することもあるが、重篤になると大腸全摘出手術が行われることもある。元美容師の「りんごっち」さん(@ykmm3012)も、その一人だ。

彼女は20歳で発症し、30歳で大腸を全摘出。同じ病気の人たちとSNSでつながり、互いに励まし合いながら闘病生活を送ってきた。症状が緩和した現在は、自身のTwitterで「病気に関しての相談」も受け付けている。「SNSに助けられた」と話す彼女に、闘病生活と患者同士の新たな交流の形を聞いた。

■美容師になった初日に発症、副作用に悩まされた投薬治療の10年

――りんごっちさんは、もともと美容師をされていたのですね。

 「そうです。他には、カフェでバイトをしたり、フォトスタジオで七五三や成人式、ウエディングのヘアメイクもしていました。今は、腸閉塞で入院することもあるので、家で家事をやっています。いずれ落ち着いたら、お年寄りや障害者の方のいる施設に出向く訪問美容師になるための勉強を始めたいと思っています」

――潰瘍性大腸炎を発症したのは?

 「発症は20歳の時でした。美容師になった初日に、お腹に激痛が走ったんです。病院で検査をしたら『潰瘍性大腸炎』と診断されて、一旦美容師はお休みすることに。その後は病状が落ち着いたら美容師をやって、悪くなったらお休みして…の繰り返しでした。年4回くらい入退院を繰り返したりするので、仕事をするのも難しいですね」

――治療はどんなことをしてきたんですか?

 「発症後10年は、おもに投薬治療です。ほかにも、自分の血を一旦抜いて濾過して、悪い成分を取り除いて身体に戻す『Gキャップ』という治療も行いましたが、その時は吐き気がすごくて。免疫抑制剤を使った時は貧血が出たし、副作用には悩まされました」

■ついに大腸全摘出…、人工肛門につけた名前は「梅チェル」
――大腸摘出手術はどのような流れで?

 「『潰瘍性大腸炎の最終手段』と言われる薬で治療していたんですが、ついにそれも効かなくなって。『大腸を全摘出するしかない』と言われたのが、30歳の時です。大腸全摘は2回に分けて手術するんですが、1回目は11時間くらいかかりました。人にもよりますが、私の場合は薬のおかげでそんなに痛くなくって(笑)。大腸全摘に恐怖を感じている人には、『今は良い鎮痛薬があるよ』と伝えたいです」

――その後、人工肛門をつけられたとか?

 「1回目の手術で作ってもらったんですが、愛着が湧いて人口肛門に『梅チェル』と名付けました(笑)。名前を付けるのは“患者さんあるある”みたいです(笑)。術後、腸閉塞になったりもしたんですが、その治療をしながら2期のオペを受けて、3週間くらいで人工肛門を閉じました。人工肛門の期間は人によりますが、私はオペも4時間くらいで終わり、成功したのでラッキーでしたね」

――現在は普通に生活できているんですか?

 「はい。排便も普通にできるようになりました。排便の回数は1日13回くらい。少ない人は5~6回くらいだそうです。潰瘍性大腸炎は脂質制限があるのですが、今はマクドナルドやケンタッキーにも行けます(笑)。たまに腸閉塞で入院することもありますが、これは病院に行けば治りますからね。投薬治療中は副作用が出て大変だったけど、私は手術を受けて良かったと思います。これは、手術をしようか迷っている人たちにも強く言いたいです」

■ハードル高い『患者会』、Twitterやオフ会で励まし合う若い患者たち

――長い闘病期間だったと思いますが、どうやって気持ちを前向きに保っていたんですか?

 「同じ病気の人たちとTwitterでつながって、すごく励まされました。やっぱり、一番わかり合えますからね。手術の前にはLINEでたくさんのメッセージをいただいて…本当にありがたかったです」

――SNSでつながっている方々と、リアルで会うことは?

 「20~30代の若い患者たちが集まる、SNSのオフ会に参加しています。『患者会』だとご年配の方が多く、私にはハードルが高いのですが、このオフ会はすごくラフな感じなんですよ。みんなで同じホテルに泊まって、お互いの部屋を行き来して、ツイキャス(ネット上のライブ配信サービス)で配信したりし(笑)。会を行うお店選びも、「ここにトイレがある」とか、みんな気になることは一緒なので、とてもラクです」

――やはり、SNSのお陰で仲間が作りやすくなったと思いますか?

 「そう思います。20代前半の頃は当時流行っていたミクシーをやっていたんですが、そこでは同じ病気の人を見つけられなくて。25歳頃からTwitterを始めたら、一気に仲間ができるようになりました。そうなるまでは「どうせ病気だから仕事も続かない」と、一人でふさぎ込んでしまっていたんです。

でもTwitterで仲間ができてから、性格も明るくなりました。SNSは人を傷つけることもあるけど、逆に人を助けることもあります。私はこうしてSNSに助けられたことに、すごく感謝していますね」

■メイクやファッションも楽しむ「明るい患者」、病院にも「オシャレして行く」
――実際、りんごっちさんのTwitterでは、すごく明るい雰囲気ですね。

 「『明るい病人』です(笑)。病気になってしまったものは仕方ないから、明るく生きたい。いま闘病中の方も、一人で戦わないで私に相談してほしいと思います。『大腸全摘するくらいなら死にたい』と言う人もいますが、『そんなに怖くないよ』と言ってあげたいんです」

――メイクやオシャレも楽しんでいらっしゃるようですね。

 「はい。病院に行く前って、『嫌なことを言われるんじゃないか』と気持ちが沈みがちになるんですけど、オシャレをして行くと気分も変わるんですよ。病院だからと言って、地味じゃないといけないなんてことはないですから(笑)。『明日はオシャレして行こうかな』と考えるだけでも、元気が出ます」

――オフ会でも、メイクやファッションを諦めない人は多いですか?

 「多いですね。変な話、オフ会に来る患者の人たちはあまり多く食べられないせいか、スタイルの良い人が多くて。それをいいことに、患者のみんなはオシャレもメイクも楽しんでいますよ。元美容師だから、『りんごっち、メイクして!』と言われることもあります」

――やっぱり仲間がいると、力になるようですね。

 「はい。誰でも病気になると気持ちが閉じてしまいがちですが、SNS上には仲間がたくさんいるから、『みんな、一人じゃないよ』と伝えたいです。励みにもなるし、『潰瘍性大腸炎でも食べられる物』などの情報も回ってくるので、情報共有のツールとしても活用できます。大腸全摘についても経験者の立場で、どんどん相談に乗っていきたいと思っています」

【医師に聞く】経口内視鏡と経鼻内視鏡、どちらを選べばいいですか?


胃の内視鏡には、口から挿入するタイプと鼻から挿入するタイプの2種類がある。一般には経鼻内視鏡のほうが「苦しくない」とされているものの、実際はどうなのだろうか。内視鏡検査について豊富な経験を持つ里村クリニックの里村仁志先生に、現場の真の姿を伺った。「苦しさ」以外の観点についても触れてみたい。

[この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]

【この記事の監修医師】 里村仁志先生(里村クリニック 副院長)
2003年に獨協医科大学医学部卒業後、NHO災害医療センター、獨協医科大学、さいたま赤十字病院勤務を経て、2018年より父が院長を務める「里村クリニック」副院長。8歳よりさいたま市緑区にて育ち、地域の生活をより豊かにするための治療や生活指導、検診などに力を入れる。専門は消化器。日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医・消化器がん外科治療認定医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本消化管学会胃腸科専門医・指導医、医学博士。

検査なら「鼻」から、手術なら「口」から

編集部:
口から入れる経口内視鏡と鼻からの経鼻内視鏡、実際のところどちらが苦しくないでしょうか?

里村先生:
通常の経口内視鏡よりも経鼻内視鏡のほうが「苦しくない」とされていますが、経口でも鎮静剤を使うところが増えているようですので、「苦しさ」のみを比較するのであれば、あまり変わらなくなってきていると思います。もちろん、麻酔の有無と種類は、検査前に確認してみてください。患者さん側から要望を出してもいいでしょう。

編集部:
実質的な差はないということですか?

里村先生:
そうではありません。経鼻内視鏡の特徴は、検査中の会話が可能ということです。もともと経鼻内視鏡のほうが苦しくないので、鎮静剤や全身麻酔を用いなくても済みます。つまり、意識がはっきりしているということと、口に異物が入らないことから、普段通りの会話をおこなえるのです。

編集部:
そう聞くと、経鼻内視鏡を選びたくなってきます。

里村先生:
ところが経鼻内視鏡は、経口内視鏡に比べ、画像解像度が落ちるのです。鼻から通すため、管の直径は最大でも5mm程度と経口内視鏡の約半分。これだと経口と同じ解像度のカメラを搭載することができないのです。ただし、経鼻だと画像が粗くて見落としが出るということではなく、検査には十分耐えうる解像度は確保されています。ですが、精密な内視鏡手術を前提とした場合、経口内視鏡でおこなわざるをえません。「患者さんが選ぶ」という視点ではないので、参考情報に過ぎませんが。

編集部:
経鼻内視鏡では手術ができないのですか?

里村先生:
一般的なクリニックの経鼻内視鏡では、原則としてできません。技術というより、やはり管の細さから手術用の鉗子(かんし)を挿入できないためです。ただし、経鼻内視鏡でも、組織の一部を検査用に摘出することはできます。

あきらめていた胃もたれ、胸やけ…その意外な原因が明らかに!?


胃もたれや胸やけがあるのに、病院では「異常なし」、胃薬をのんでも効かない──そんな胃の不調をあきらめていた方に朗報です! 明らかになったその意外な原因を、専門医に聞きました。

三輪洋人(みわ・ひろと)
兵庫医科大学 主任教授
●1982年鹿児島大学医学部卒業。専門は消化器内科一般、上部消化管疾患
●兵庫医科大学病院消化管内科(兵庫県西宮市武庫川町1-1)

* * *

■原因は胃そのものではなく〝脳からの指令?の乱れだった!?
「胃がもたれる」「少し食べただけでおなかがいっぱいになってしまう」「胸やけがする」といった症状が現れる。

でも炎症などの異常は見つからず、胃薬をのんでも症状が改善しない――このような胃の不調に悩んできた方がたくさんいらっしゃると思います。

いったいどうすれば治るのか?胃の調子が悪いのだから、「原因は胃の中にあるはず」と、私たち医師も初めはそう考えて原因を探してきました。寄生虫か細菌か、がんなどの病気があるのでは……ところが最近の研究で、胃の不調の意外な事実がわかってきたんです。

なんと、原因は胃そのものではなく、〝脳からの指令?、つまり自律神経の乱れにあったんです。

胃の動きは自律神経にコントロールされているので、その乱れは胃の動きの異常や知覚過敏を引き起こします。そしてそれが、具体的な胃のつらい症状につながっていたんです。

■原因や仕組みがわかれば対処法も立てられる!
これまでは、胃に病変がないため、医師から「気のせいでは?」などと言われて、あきらめてきた方も多いと思います。でも、やはり胃の症状は実際に起こっていたんですね。

このような自律神経の乱れが引き起こす胃や食道の不調は、現在は「機能性ディスペプシア」や「非びらん性胃食道逆流症」という病気として、はっきり認められるようになりました。

そして、原因や仕組みが明らかになったということは、それに対処する方法も考えられるわけです。自律神経の乱れは、ストレスや生活習慣が大いに関わっていますから、ここに胃の不調を解消する最大のヒントがあると思います。

胃の不調の原因は、自律神経の乱れだった! その仕組みや具体的な改善方法、そのほかの胃の病気の最新情報などについて、『「胃もたれ・胸やけ」は治せる(別冊NHKきょうの健康)』NHK出版刊・2014年12月18日発売 で、三輪先生がより詳しく、わかりやすく解説しています。

今や胃がんは予防できる時代 「ピロリ菌」除菌でリスクを減らせ!


 厚生労働省の調査によると、'17年における日本人の死因のトップはがんであり、27・9%を占める。このうち男性で2番目、女性で4番目に多いのが「胃がん」だ。また、国立がん研究センターの調査では、'14年において2番目に罹患数の多いがんが胃がんだった。つまり、胃がんは日本人がかかりやすく、死亡リスクも高いがんだと言える。

 その一方で、「胃がんのほとんどは予防できる」と取材した消化器内科医は口々に話す。胃がんの原因はピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)という細菌が胃に感染することにあり、ピロリ菌の有無を確認して、感染していれば除菌することで、胃がんは防げるという。

「胃がんの9割以上がピロリ菌由来であることは、医師には定説として知られていることです。胃がんとピロリ菌の関係を突き止めたのは実は日本人で、上村直実医師。彼が、ピロリ菌感染者の2.9%に胃がんが起き、感染していない人は全く胃がんにならなかったという画期的な研究結果を'01年に発表し、胃がんの原因が世界的に知られるようになりました」

 こう説明してくれたのは、自身もピロリ菌による発がんメカニズムを研究していた「さきたに内科・内視鏡クリニック」(千葉県習志野市)の崎谷康佑院長だ。 では、ピロリ菌はどのように胃に感染し、がんの原因になるのか。過去に取材した複数の消化器内科医と崎谷院長の話をまとめると、答えはこうだ。

 ピロリ菌は4ミクロン(4/1000mm)のごく小さな細菌で、何らかの理由で5歳頃までに経口感染する。胃では食べ物を消化するため、金属をも溶かす胃酸が出されているわけだが、ピロリ菌はアルカリ性のアンモニアを作り出し、胃酸を中和して生き延びる。そして、胃の細胞や粘液を栄養源にして増殖する。

 ピロリ菌の体の表面には微細な注射針があり、ピロリ菌はこれを胃の細胞に刺して「CagA(キャグエー)」というたんぱく質を送り込む。これには胃の細胞を異常に増やしたり、細胞同士をバラバラにして炎症を起きやすくしたりする働きがある。炎症が繰り返されるとがんが起きやすくなる。

「ピロリ菌に感染するとまず胃炎が起きます。胃炎が慢性的に起こっているとやがて胃の粘膜が薄くなる萎縮性胃炎に移行し、それが進むと胃の粘膜が腸のそれと似る腸上皮化生という状態になります。このような経過を辿った後に胃がんは起こるのです」(崎谷院長)

★まずは内視鏡で胃炎の有無確認
 では、ピロリ菌はどうすれば見つけられるのか。方法だけに限れば、内視鏡検査や血液検査、尿や便、呼気を調べる検査と様々だが、健康保険を利用して検査と除菌治療を受けたい場合は、必ず内視鏡検査を受ける必要がある。 これには胃がんの早期発見を促したい厚労省の思惑が絡んでいるという。予防という観点を除けば、胃がんも多くの病気と同じように早期発見と早期治療が重要であり、全国がんセンター協議会の調査によると、ステージ1での5年生存率は97・4%と非常に高い。つまり、胃がんは早期治療で完治が見込めるがんなのだ。

「ピロリ菌を退治する目的は胃がんの予防にあり、胃がんであればピロリ菌を退治してもがんは治りません。ですから、厚労省はがんを見つけられる内視鏡検査だけに健康保険を適用させて、ピロリ菌の除菌を目的とする人にがんがあれば、見つかる仕組みを作ったのです。結果、早期胃がんの発見が大幅に増えました」(同)

 まずは内視鏡検査を行って胃炎の有無を調べる。胃炎があればピロリ菌に感染している可能性があるので、検査中に組織を取ったり、後で血液検査や呼気検査を行ったりしてピロリ菌がいるかどうかを調べる。いれば除菌治療に移行する。 除菌治療では、医師から処方された抗菌薬と胃酸の分泌を抑える薬を1週間にわたって飲み続ける。治療を終えて4週間以降に除菌できたかどうかを確認する。1次除菌の成功率は約90%で、除菌後もピロリ菌が確認された場合は抗菌薬の種類を変えて2次除菌を行う。

 胃の内視鏡検査は、3割負担の患者で約6000円。ピロリ菌の検査と除菌を含めると1万5000円~1万8000円の費用がかかる。

★感染率の高い中高年ほど注意
 そもそも日本人は、どれくらいピロリ菌に感染していて、検査の必要性はどれほど高いのだろうか。崎谷院長はこう語る。「ピロリ菌の感染経路は、まだ解明されていませんが、井戸水や親から子への口移しだと考えられています。しかし、上下水道の整備によって今の子どもへの感染率は低く、10代では10%未満。その一方で年代が上がるほど感染率は高くなり、60、70代では約半数に及びます。基本的には20、30代での検査と除菌を勧めていますが、感染率と胃がんの発症率が高くなる中高年の方ほど早めに検査を受けたほうがよいでしょう」

 ここで注意したいのは、「除菌をすれば安心」ではないことだ。なぜなら、除菌した後にも胃がんになった人がいるからだ。 崎谷院長が除菌者965人を5年間にわたり調査したところ、21人が胃がんになったという。100人に2人の割合だ。
 それでは、なぜ除菌後に胃がんになったのか。

「ピロリ菌を除菌すると胃炎は治っていきますが、いきなり赤ちゃんのようなきれいな胃になるわけではありません。状態は徐々によくなっていくわけで、まれにその最中に胃がんが起きてしまうことがあるのです。つまり、除菌した時点で胃炎が進んでいる人ほど除菌後のがんのリスクは高くなるわけで、私が30代までの除菌を推奨する理由でもあります。ですから、除菌をしても年に1度は内視鏡検査を受けて経過を観察することを勧めます」(同)

 ピロリ菌の有無を調べて、感染していれば除菌する。除菌後も定期的に内視鏡検査を受ける。こうすれば胃がんを予防でき、また仮に罹患したとしても早期に見つけられて完治を目指せる。 また、ピロリ菌は胃がんだけでなく胃潰瘍や十二指腸潰瘍の主因でもあるので、除菌によってこれらの病気を治療したり、予防したりすることもできる。 ピロリ菌を除菌するメリットを多くの人が知っていれば、胃がんだけでなく胃の病気全般における有病者が減っていくだろう。

お腹がいつもゆるい…「ゆる腹」体質な人のNG食品リスト


◆お腹を壊す原因はさまざま

お腹を壊しやすい人にとって、トイレの場所やトイレに行けるかのタイミングは気になるもの。私もお腹は強い方ではありません。アジア旅行中にお腹を壊したときは30秒も待てず、「公衆トイレはない」と言った店主に日本円で1000円分のお金を払ってトイレを使わせてもらったこともあります。

お腹を壊す原因には、ウイルス、バクテリア、寄生虫、抗生物質の使用、低カロリー甘味料、食物・飲料への不耐症、ストレスなどがあります。下痢は常に悪者扱いされがちですが、体の中の有害物質を体外へ出すための、体の防衛反応の場合もありますので、どんなときにもすぐに下痢止めを飲めばよいというものでもありません。食品や食器の衛生にも注意することも大切です。

ここでは、食事や飲み物によるお腹の不具合についてお話しします。下痢があるときは、スポーツドリンクなどで十分な水分補給を心がけ、不調が長引くときは、きちんとドクターに診てもらいしょう。それではお腹を壊す原因になりやすい食べ物をチェックしましょう。

◆まずはラクトースでお腹を壊しやすいかをチェック

牛乳などに含まれる乳糖(ラクトース)。分解酵素が不十分だと下痢を起こすことがあります。下痢にはならなくてもお腹が張ったり、おならが出ることがあります。赤ちゃんの頃は乳が栄養源ですので、十分な分解酵素がありますが、乳以外のものを食べられるようになると、この分解酵素の量が減っていきます。ラクトースというと牛乳というイメージが強いですが、牛乳以外の乳にもラクトースは含まれます。

ヨーグルトは一般的に乳から作られるのでラクトースが含まれますが、発酵菌がラクトースを分解するのでお腹にやさしいようです。チーズにも一般的に牛乳が使われますが、発酵・加工を経てラクトースの量は少なくなり、問題なく食べられることが多いようです。アイスクリームにもラクトースは含まれますので、たくさん食べるとお腹を壊す原因になる可能性があります。

改善方法としては、牛乳やアイスクリームなどを多く摂取するのを避けるか、逆に一般的な量を毎日摂取し続ければ(例えば牛乳200~250ml)、体が適応して酵素の活性がアップするとも考えられています。

◆低カロリー甘味料でお腹を壊しやすいかをチェック

低カロリー甘味料のひとつである糖アルコールは、その性質から完全に吸収されないので、摂取しすぎると下痢、お腹の張りやおならの原因になることがあります。糖アルコールには、ソルビトール、キシリトール、マルチトール(還元麦芽糖)などがあります。

低カロリー甘味料としてダイエット飲料や食品に使われている他にも、菓子・パン・煮豆・調味料類・佃煮・珍味・漬け物・水産練り製品などに含まれていることがあります。私の場合、マルチトールとソルビトールとの相性が悪いようで摂取するとすぐにお腹の調子が悪くなってしまうので、避けるように努力しています。

ラクトースなどと同じように、日常的に摂取すれば体が慣れるという報告もあります。慣れさせるか、避けるかは個人で判断したいところですね。
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◆お腹の環境が整っているかをチェック

ヨーグルトや納豆に含まれる菌であるプロバイオティクスは、腸内の環境を整えてくれますので、日頃から食べるとよいでしょう。特に抗生物質を服用している場合、良い菌も悪い菌もやっつけてしまうので、服用している人は意識してヨーグルトなどを食べてお腹の環境を整えてみましょう。

食物繊維には下痢と便秘の両方を改善する働きがありますが、日常的に食物繊維や水分量の摂取が少ない人が、突然食物繊維が多い食事をすると(例えば、野菜・根菜・きのこ・こんにゃく・海藻などがたっぷり入ったお鍋や煮物など)、お腹をこわしたり、お腹が張ったりする場合もあるようです。食物繊維は急に量を増やすとお腹の不調をもたらすことが知られています。日頃からたっぷりの野菜・果物・雑穀類等を食べたいものです。
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◆刺激が強いものは量をコントロールする

コーヒー、アルコール、辛いものなど刺激が強いもの、また脂肪が多いものは胃腸の負担になるので、お腹の調子が悪いときは避けましょう。お腹を壊しやすい人は、刺激物の摂取量を減らしたり増やしたりして自分の体の反応を確認するのもよいと思います。

現在私が住んでいるアメリカでは、“お腹にやさしいコーヒー”も売られるようになってきました。この会社によると、酸味、刺激物の量を調整するようにして胃にやさしいコーヒーを作っているそうです。カフェインがあってもなくても胃腸の調子が悪くなる人がいるようです。刺激物への反応は個人差が激しいので、自分で調整してみるしかなさそうですね。
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一政 晶子(管理栄養士・米国登録栄養士(RD) )

肉食女子は“腸内ブス”!?腸内環境を整えて、いい腸内細菌を増やそう


肉食中心、低炭水化物ダイエットは危険?

 「低炭水化物ダイエット」についてはご存知の方も多いと思います。炭水化物を抑えて、そのぶんタンパク質をしっかりとるダイエット法で、ご飯やパンなどの炭水化物さえ控えれば、お肉はたくさん食べてOK。

中には、焼肉もから揚げも好きなだけ食べていいですよ! と量やカロリーに制限なし!? という少々偏った問題のあるダイエット法(これをダイエット法とはいわないはずですが)として紹介されることもありました。肉好きの“肉食女子”にはうれしい情報だったことでしょう。

しかし、「高タンパク+低炭水化物」の食事に警鐘を鳴らす研究結果も報告されています。

 たとえば、2011年にイギリスで肥満気味の成人男性17名を3グループに分けて便の分析を行った研究によれば、高タンパク・低炭水化物の食事を続けたグループでは発がん性物質が増加したうえ、がんの発生を抑制する物質が減少していることがわかりました。研究チームは、このような食生活を長期的に続けると、大腸疾患のリスクを高めると指摘しています。

腸内細菌が病気のリスクを高める

 肉食中心の欧米では大腸がんが多く、日本でも食の欧米化とともに大腸がんが増えてきました。その原因として、腸内で悪玉菌が増殖して腸内環境を悪化させ、発がん性物質がつくられやすくなることは以前から指摘されてきました。

ですから、肉食を続けると、大腸がんなどの病気のリスクを高めるという研究結果は、意外なことではありません。

 僕たち人間の腸内には、100兆個もの腸内細菌が棲み着いています。腸内細菌にはビフィズス菌、乳酸菌、ウェルシュ菌、大腸菌などいくつもの種類があって、その数はなんと1000種類以上。

その中には健康によい善玉菌もあれば、増えすぎると悪い影響を与える悪玉菌と呼ばれるものもあり、ある種の菌は腸内で腐敗・発酵することによって有害物質を発生させたり、臭いのもとになる物質を発生させます。こうした有害物質により、腸内が炎症を起こしたり、大腸がんなどの病気を引き起こすことになります。

それも、がんだけではありません。腸で発生した有害物質は血液を通して全身を巡り、全身のさまざまな臓器に影響を与えることもわかってきました。

 さらに最近の研究で、食べ過ぎで太っていると、悪玉の腸内細菌が肝臓で胆汁酸の一部を増やし、年をとった細胞から悪いファクターの物質を出させるというメカニズムが明らかになっています。

魚も豆もバランスよく食べる

 では、腸から病気を引き起こさないためには、どうすればよいのでしょうか。高タンパクというのは、「体重1kgあたり1日に1.5g以上」を指します。つまり体重50kgなら75gの肉を毎日続けてとるような食事は危険です

 ただし、高タンパクといっても先の研究で取り上げられたのは肉で、植物性タンパク質は該当しません。だから毎日焼肉でどっさり肉を食べるような食生活でなければ、それほど神経質に気にしなくても大丈夫です。

「このところお肉が続いているな」と思ったら今日は魚や大豆製品にするなど、バランスよく食べることを心がければよいでしょう。

ちなみに、卵も高タンパク食品ですが、僕は1日6個食べていたらリンの値が上がってしまったので、今は1日3個までにしています。何でも食べ過ぎはよくないのでほどほどに。

腸内細菌のバランスを改善しよう

 腸の環境をよい状態に保つことは、がんの予防だけでなく、アンチエイジングの面でもとても大切です。腸内には体全体の6割以上の免疫細胞が集まっているといわれ、体の外から入ってくる病原菌などに対する抵抗力に大きく関係しています。

また、近年の研究では、腸内細菌と精神状態との関係を示す報告も複数発表されています。おなかが空くとイライラするように、僕たちの脳は腸内細菌にコントロールされていると指摘する研究者もいます。

腸は全身から脳まで、健康に密接に関わっていることがわかってきて、「人は腸から老いる」とまでいわれるほどなのです。

 腸内細菌の種類は人によって固有のもので、顔と同じようにみんな少しずつ違っています。これを変えることは難しいといわれていますが、「バランス」は変えることができます。悪玉菌を増やさないように、善玉菌が増えやすい環境に整えることは可能です。

そのためには、善玉菌のエサとなる食物繊維をしっかりとって、いい菌が育つ土壌をつくること。ちなみに、炭水化物は「食物繊維と糖質」でできています。ですから、糖質が少なく食物繊維の多い未精製の穀類はとても重要な栄養素です。

 また、アンチエイジングの柱である、カロリスや定期的な運動によっても、いい菌が棲みやすくなることがわかっています。腸内細菌のバランスを改善することもアンチエイジング対策の重要なテーマです。日頃から、腸の健康にも気を配ってみてください。

50歳以上の約80%が保菌している? ピロリ菌の原因・症状


ピロリ菌の正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ菌」。食べ物や飲み水から感染する経口感染がほとんどで、多くが幼少時に感染すると考えられています。

日本の場合は衛生環境が十分整っていなかった時代に生まれた人の感染率が高く、50歳以上の約80%の人はピロリ菌を保菌しているといわれています。

 現在は生活環境が改善され、生活習慣も衛生的に変化してきたため、ピロリ菌保菌者は減少傾向。現在は国民の約半数程度の感染に減少しているとされています。

現在の家庭内では、ゴキブリがピロリ菌を運んでいる可能性が指摘されているので、ピロリ菌予防のためにも駆除するようにしましょう。

 内視鏡を介した医原性感染が問題視された時期がありましたが、消毒方法の改良で現在ではほとんど心配がなくなりました。性的接触では感染しないと考えられていますが、ペットからの感染についてはまだはっきりとわかっていません。

■ピロリ菌の症状

 ピロリ菌がいるだけなら、症状が出ることはありません。症状が出るのはピロリ菌が原因で何らかの病気が発症したときのみで、これは保菌者の約3割程度。残りの7割の人はピロリ菌に感染した状態でも何の症状も現れず、「健康保菌者」「無症候キャリア」と呼ばれます。ピロリ菌に関連した症状は、

・胃潰瘍になれば、胃がしくしく痛む
・胃炎が起これば、胃がもたれる感じがする

 など、それぞれの病気によってさまざま。

 実際に病院に来られるのは、ピロリ菌に関連する症状が出ている人だけでなく、以下のような事情で来院する人が多いように思います。

・健診のバリウム検査で胃炎が見つかり、ピロリ菌等の検査を勧められた
・胃カメラによる検査で、ピロリ菌がいそうだと指摘された
・何となく胃腸が弱い自覚があり、ピロリ菌のせいではないかと心配になった
・無症状だが健診で胃潰瘍とピロリ菌が発見された
・親が胃がんなので、自分もピロリ菌を保菌していないか検査してほしい

 など。最近は具体的な症状があるというより、「ピロリ菌」が知られたことで自分にもピロリ菌がいるのではないかと検査を希望して来られる人が多いです。

■ピロリ菌が引き起こす病気

 それ自体では自覚症状のないピロリ菌も、さまざまな病気の発生や進行に関係しています。ピロリ菌が引き起こす主な病気は以下のとおりです。

□胃潰瘍、十二指腸潰瘍

 潰瘍患者のピロリ菌感染率は90%以上。ピロリ菌除菌が推奨され、唯一保険適用になっている病気です。

昔も今も潰瘍は一度よくなっても半数以上が再発し、薬をなかなかやめることができない病気。ピロリ菌が発見されるまでは私たち医師も潰瘍は再発するのが当たり前と考えてきましたが、ピロリ菌除菌に成功すると胃潰瘍、十二指腸潰瘍ともに再発率が明らかに減少しました。

 ピロリ菌がどのように潰瘍を起こすかはまだ完全に解明されていませんが、ピロリ菌がいなくなることで潰瘍の傷がしっかり治るようになることが1つの要因と思われます。怪我をしたときを考えてみても、菌がついて膿んだ汚い傷ときれいな傷では治りが違います。

ピロリ菌に感染していると炎症が起きやすく、潰瘍は膿んだ状態になりますが、ピロリ菌がいなくなると潰瘍は膿のないきれいな状態になり、きれいに治ることが多いです。潰瘍がきれいに治ることで、再発率が減少していると考えられます。

□胃がん

 ピロリ菌感染者の多い日本では、世界的に見ても胃がん患者が多いようです。早期胃がんでピロリ菌が見つかった場合は、内視鏡的治療後に除菌治療が推奨されます。

 1994年、世界保健機構(WHO)は疫学的調査から、ピロリ菌を確実な発がん物質と認定しました。除菌により胃がんの発生率が3分の1に抑制され、ピロリ菌除菌が胃がん予防効果があると証明されています。

□萎縮性胃炎

 粘膜層が非常に薄くなり胃炎と同様の症状を起こす萎縮性胃炎の大部分も、ピロリ菌感染が原因。萎縮性胃炎になった場合、その後の胃がん予防のためにピロリ菌除菌治療が薦められます。

ピロリ菌に感染するとまず急性胃炎が起き、長い年月をかけて萎縮性胃炎になり、胃がんになる危険性が4~10倍に増加すると考えられています。

 これまで萎縮性胃炎は加齢現象といわれてきましたが、ピロリ菌感染者のみが萎縮性胃炎になることと、除菌でそのリスクが改善することがわかっています。

ただし萎縮性胃炎以外のいわゆる慢性胃炎と呼ばれるものの原因には、ピロリ菌感染以外に加齢、塩分の過剰摂取、アルコール、タバコ、野菜の摂取不足など多くのものがあるので、ピロリ菌除菌をしたからといって油断してはいけません。

■ピロリ菌が胃の中でも生きられるのはなぜ?

 胃の中は胃酸が作られているため、非常に強い酸性で生物が生きていける環境ではありません。

普通の細菌はこの胃酸で死んでしまうため、ほんの20年前ほど前までは「胃に細菌は棲めない」という考えが常識でした。ところがピロリ菌は強い胃酸の中で生きることができるのです。

 ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を多量に持っていて、この酵素で胃内の尿素をアンモニアに変化させます。このアンモニアが胃酸を中和し菌の周囲のpHを変化させて、生存できる環境を作り上げているのです。

ピロリ菌は自分の周りだけにいわゆるバリアを張れる細菌だと考えてください。ピロリ菌は、このように非常に進化した細菌で、この働きが結果として胃に悪い影響を与え、思わぬ病気を引き起こすのです。


医師がホンネで勧める「胃の検査」を紹介!


◆「バリウム検査はキツい!」 バリウム検査に悩まされる人たち

健康診断が近づくと、バリウムがイヤだ、コワイ、どうしたらいい……。そう悩まされている方も少なくないようです。中には「ゲップをしてしまったために胃を膨らませる薬を何度も飲まされて苦しんだ人」、「飲んだばかりのバリウムをフルリバースした過去がある人」など苦い経験がある人も。バリウムを飲むと便秘になるので、もらった下剤を飲んでも後が心配という声も聞こえてきます。バリウム検査には被爆の問題もありますし、検査時に検査台が結構動くので、台から落ちて怪我をする可能性もないわけではありません。では胃の検査には、バリウム検査以外にどのような選択肢があるのでしょう?
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◆「バリウム検査」以外の選択肢は?

「バリウム検査」に代わる検査といえば「内視鏡検査」でしょう。内視鏡検査も、最近では受診者への体の負担が小さい経鼻内視鏡検査というのもあります。「エコー検査」や「CT検査」は、腸の腫瘍を見つけることは難しいので、代わりの検査とはなりません。「胃がんリスク検診(ABC健診)」は、血液検査から「ピロリ菌の存在」や「胃粘膜萎縮の程度」から胃がんのリスクがわかりますが、最終的な診断をするためにはバリウム検査か内視鏡検査で確認することが必要になります。

「カプセル内視鏡」も今後健診で使用できる時代が来るかもしれませんが、大腸内視鏡検査で飲む腸の洗浄液ですら多くてキツイとされている中、その2倍以上(4リットル程度)を飲む必要があります。また、胃や大腸などの管腔が大きい部位をくまなく撮影することが難しく、組織検査もできないなどの問題点があり、胃や大腸では内視鏡検査の優位点が高いのが現状です。検査が難しい小腸ではカプセル内視鏡検査が積極的に用いられています。
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◆「口からの内視鏡」と「鼻からの内視鏡」の違いは?

鼻から入れる内視鏡は、口からの内視鏡に比べて非常に細く、挿入時に舌を圧迫することが少ないので、「オエオエ」いう嘔吐反射の苦しさがあまりありません。鼻からの内視鏡を行った人は次回も鼻から希望される方が多いようです。欠点としては、口からの内視鏡に比べて画像の質が少し落ちること、鼻が狭い人は挿入が困難なことなどがあります。

◆麻酔をして内視鏡検査を受けることは可能? 料金は?

希望のある方には鎮静剤を用いて検査をすることも可能です。内視鏡検査での鎮静は、開腹手術などで用いる全身麻酔と違って、意識が完全に消失するのではなく、呼びかけに応えたり、体位変換時の声掛けに自分で動ける程度の中等度鎮静(意識下鎮静)になります。全身麻酔に比べて偶発症はそれほど多くなく比較的安全に検査ができますが、それでも鎮静により呼吸抑制や循環抑制などの偶発症は起こる可能性があるので、モニターなどで十分に管理しながら検査を行う必要があります。また、鎮静剤を使用した場合には、2時間程度休んでから帰ってもらう必要がありますし、原則として車の運転ができません。

また、鎮静剤を使って検査を行うには設備や人員等が必要になるので、すべての医療機関で行える訳ではありません。鎮静剤を希望する場合は、可能かどうか事前に確認しておいた方がいいでしょう。鎮静剤使用の料金は、医療機関により異なりますが数百円から千円程度の追加料金ですむところが多いようです。
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◆「胃がんリスク検診(ABC検診)」とはどんな検診?

胃がんリスク検診(ABC検診)は、血液検査だけで「ピロリ菌感染」と「胃の健康度(胃粘膜萎縮の程度)」がわかります。この組み合わせによって胃がんのリスクの判別が可能になります。胃がんのリスクによって、毎年胃の検査を受けたほうがいい人、数年に1回の検査でいい人と分けることができます。ピロリ菌感染がなく胃粘膜萎縮もない人は、5年に1回程度の胃の検査でもいいとされています。

◆ズバリ! 医師が勧める胃の検査は?

消化器専門の医師に「自分が受けるなら、バリウムと内視鏡のどちらを受けますか?」と聞くと、ほぼ全員「内視鏡検査」と答えるでしょう。内視鏡検査の方がクリアに胃の中を見ることができ、同時に組織検査も行えるので、バリウム検査よりも優れていると考えている医師が多いからです。ただし、内視鏡検査の設備も数が限られていますし、料金的にもやや内視鏡検査のほうが高いので、「健康診断は内視鏡検査でしましょう」とは声を大にしては言えません……。

◆不安が強い患者さんに勧める胃の検査は? 検査の頻度を下げるのは可能?

一番正確に見ることができる検査は、口からの内視鏡検査でしょう。しかし、私も何度か受けた経験がありますが、正直検査がキツくないとはいえません。鼻から行う内視鏡検査の方が嘔吐反射が少なく、検査のキツさが軽減できるので、健診ならば経鼻内視鏡で行ってもいいと思います。それでも不安が強い場合は、鎮静剤を使用してもらうのもいいでしょう。胃の検査を受ける頻度にしても、「胃がんリスク検診」で胃がんのリスクが低いと判定された人は、数年に1度と検査の間隔を延ばすことも可能です。
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◆ここだけの検査のハナシ

医師が自分自身の検査を受ける場合、どこの医療機関のどの医師に検査してもらうかを事前に確認することが少なくありません。というのも機材が同じでも、医師の腕前により検査のキツさや診断の正確さが異なる可能性があるからです。 以前、研修医の練習にと、自分自身を実験台に胃内視鏡検査をしてもらったことがあります。その際は、「医師の熟練度で検査のキツさがこうも違うものか」ということを身を持って痛感しました。研修医が健診を行うことはありませんが、熟練度で検査のキツさが変わることもあるので、担当医の情報があったほうが安心かもしれません。

「胆石」を放置するとこんなに怖い…胆のうがん発症の恐れも


胆のうがん発症も…

 成人の10人に1人は持っているといわれているのが胆石だ。健康診断や人間ドックで指摘されたことがある人も多いだろう。“持っている”だけでは特に症状がないので甘く見てしまいがちだが、放置したばかりに後悔先に立たず……ということがある。どう対処すべきか、杏雲堂病院肝臓内科・小尾俊太郎部長に聞いた。

 胆汁の成分が固まってできる胆石には、その成分によって、コレステロール結石とビリルビン結石に分けられる。

「コレステロール結石は、胆石の全体の8割を占めています。成分は名前の通りコレステロールで、高カロリー、高脂肪の食生活が要因になります。

ビリルビン結石は逆に、極端な低脂肪・低カロリーなど低栄養で胆のうが収縮せず、胆汁が停滞してできたもの。ビリルビンカルシウムが原料です。以前はビリルビン胆石が日本人に多かったのですが、食生活の欧米化で、今はコレステロール胆石が増えています」

胆のうがん発症も…

 胆のうは脂肪の消化を助ける胆汁を濃縮してためる臓器だ。脂肪を含む食事をすると、胆のうが収縮して、胆汁と食べ物が混ざる。冒頭の通り、胆石を持っていても、胆のうにとどまっているだけでは症状はない。

「ところが、胆のうが収縮した時に胆石が動き、胆のうの出入り口がふさがれると、胆のうが腫れあがり、場合によってはのたうち回るほど激しい腹痛や背部痛に襲われます。さらに胆のうで細菌が繁殖し、胆のう炎を引き起こします」

 急性胆のう炎を起こすと、入院して絶食をし、胆のうに針を刺して膿(うみ)を取る。さらに抗生剤を投与される。これで症状はいったん治まるが、ほとんどの場合、急性胆のう炎を一度起こすと、何度も繰り返す。そして、慢性胆のう炎に至る。

 胆のうの壁が厚くなり、胆のうで最も警戒しなくてはならない胆のうがんがもしあったとしても、発見されにくくなることもある。

胆のうがん発症も…

「胆のう炎の痛みは、胆石が胆のうの出入り口をふさいでいるのが起因ですから、ポロッと外れれば、痛みは消えます。だから、自然によくなったという人もいます。しかしこういう人も、やはり繰り返す恐れがあるので、病院での検査が必要です」

 さらに、胆のう炎を起こさず、無症状であっても胆石を持ったままでいると、胆のうがんのリスクが上がるという指摘もある。特に、40代以上の女性はリスクが高い。“痛みも何もないから大丈夫”などと思わないことだ。

 また、小さい石でも安心できない。小さい石は、胆のうから吐き出され、細い総胆管や膵管(すいかん)をふさぐことがある。特に総胆管や膵管が障害を受けると生死にかかわることがあるので注意が必要だ。

「胆のう炎の症状は、右上腹部痛、背部痛に加え、発熱、吐き気、黄疸(おうだん)などです。黄疸は尿が赤くなったことで気付くことが多いです。総胆管に石が落ちた場合や膵管が石でふさがれた場合、緊急で治療しないと手遅れになります」

胆のうがん発症も…

 もちろん、胆石を持っている全員が胆のう炎になるわけではない。多くは無症状で、胆のう炎を起こす確率は数%だ。

「治療法としてはまず、胆石を溶かす薬を飲む方法があります。半年から数年といった長期間にわたる治療で、効果も100%ではありません。胆のう炎を繰り返す場合や胆石が胆のうに充満しているような場合、手術が検討されます」
 あなたの胆石はどうだろう?

ちょっと気持ち悪い気がするけどすごい治療!健康な○○○を移植して病を治すことに成功!


聞いただけでは普通ひいてしまいますよね。でも健康な人の便を消化器官に入れ込むことで、大腸炎など、治らないとされていた病気をも治せるようになりました。

消化器官センターのトム ボロディー医師は25年もの間この治療法を研究してきました。そしてついにいわゆる便の微生物を移植する事で大腸炎、自律神経系疾患、神経疾患の治療が成功しました。この治療法の要は人間の消化器官に住むバクテリアを操作する事です。

人の遺伝子は310万個あると言われていますが、これらの大量の遺伝子は私たちの大腸に住んでいます。

この新しい治療法、専門家の中には危険なのではと懸念する人もおり、シドニーとメルボルンのセントビンセント病院ではこの治療法の有効性について臨床実験を行っている最中です。

しかし上記のボロディー医師は既に腸にドナーの便を注入する治療を実践しています。

そして私たちの体内に住むバクテリアは活発な抗微生物分子を製造する事を知っています。そこで新しいバクテリアを注入する事で抗生物質の工場を作り、特定不可能な有害微生物を除去してくれるのがこの治療法だ、と同医師は話します。

このボロディー医師に反し、オーストラリア胃腸学会のケイティー・エラード医師はこの治療法の成功を素直に喜ぶ事は出来ないと話します。それはある種の胃腸の病気はいったん良くなったと思ったらまた悪くなったりを繰り返す事があるからです、と言います。

この治療法の潜在する欠点や本当に全ての症状に有効なのかという事がまだ分からないためこの治療法を一斉導入するにはまだ早すぎる、と考えているようです。

ボローディーイ医師はこの治療法でリューマチやパーキンソン病患者も治した、と主張します。彼は腸は全ての毒素の入り口であり、これによりあらゆる病気は引き起こされると考えています。

まだ完全導入には早期すぎるかもしれないこの治療法ですが、非常に斬新な治療法である事は間違いないようですね。

繰り返す下痢・便秘・腹痛……過敏性腸症候群かも?


繰り返す下痢や便秘、腹痛によって、仕事や勉強などに支障が出て困る……それは過敏性腸症候群の可能性がある。どのような病気なのか、島根大学 教授の木下芳一(きのした・よしかず)さんにうかがった。

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■過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群は、原因の心当たりがなく、検査をしても異常が見つからないのに、下痢や便秘、腹痛を繰り返す病気です。

命に関わる病気ではありませんが、仕事や勉強など、社会生活に支障が出て、人知れず悩んでいる人が多くいます。

■症状
傷んだものを食べて下痢をしたり、旅先で環境が変わって便秘になるといったことは、誰にでも起こります。しかしこの病気では、下痢や便秘が、慢性的に繰り返して起きます。その際、腹痛や腹部の不快感を伴います。また、ストレスや不安・緊張など、精神的に負担がかかる状況で症状が悪化するのも、大きな特徴の一つです。

過敏性腸症候群では、これらの症状によって、社会生活に問題を生じてしまうことがあります。例えば、通勤電車の中で下痢になることがよくあるため、いつでもトイレに行けるように各駅停車にしか乗れなくなったり、たびたび遅刻をする人もいます。

症状が便秘の場合には、腹部に常に不快感があるため、仕事中にたびたびトイレに立ち、仕事に集中できないといったことも起きます。

特に下痢の場合は、外出先のトイレの場所をあらかじめ確認しておいたり、もしもの場合に備えて下着を常備するなど、精神的な負担も大きくなります。

■症状のタイプ
過敏性腸症候群には、下痢型と便秘型、下痢と便秘が交互に起きる混合型があります。

下痢型は若い男性によく見られます。便秘型は女性に多く、特に年配の女性によく見られます。タイプに男女差があるのは、腸の働きに性ホルモンが関係しているためではないかと、考えられています。

ただ、同じタイプがずっと続くとは限らず、下痢型が混合型に変わったり、混合型から下痢型に移行するなど、タイプが変わることもあります。

■病気だと気付かない人も多い
正確なデータはありませんが、一般的に、過敏性腸症候群の患者さんは、日本の人口の10%前後いるといわれています。しかし、下痢や便秘は健康な人でもよく起こる症状だけに、自分の病気に気付かない人も少なくありません。多くの人が“体質だろう”と諦めたり、市販薬で対処していると思われます。

下図の過敏性腸症候群の診断基準で、セルフチェックを行ってみてください。もし当てはまるようなら、一度消化器内科を受診するとよいでしょう。なお、チェック1は、医療現場で必ずしも厳密に捉えられているわけではありません。

回数にこだわらず、症状に困ったら受診するようにしましょう。

■『NHKきょうの健康』2014年6月号より

症状はあるのに異常なし…胃もたれ・胃痛“難民”はコレを疑え!


患者数は日本人の4人に1人ともいわれているのが、機能性ディスペプシアだ。

ところが正しく診断され、適切な治療を受けている人は少ない。機能性ディスペプシアの患者を数多く診ている鳥居内科クリニック・鳥居明院長(消化器病学会専門医)に話を聞いた。

 機能性ディスペプシアは、(1)胃もたれ、胃の膨満感、吐き気、胸やけ、胃痛などの上腹部を中心とした症状が少なくても3カ月以上続き、(2)内視鏡で検査しても、器質的疾患(胃潰瘍や胃がんなどのはっきりと目に見える病気)が見つからない場合をいう。

 なぜ診断が難しいのか? 理由は(2)にある。

「胃もたれや胃の膨満感などは、非常にありふれた症状です。胃の病気に限らず、うつ病など精神疾患でも生じます。胃の器質的疾患はなくても、膵臓(すいぞう)や肝臓などほかの臓器の病気で症状が出ていることもあります。

あらゆる可能性を念頭に置いて患者さんを診なければならない点が、診断を難しくしています」

機能性ディスペプシアと正しく診断されても、適切な治療となるとさらに難しい。器質的疾患がある場合と違い、機能性ディスペプシアは決まった治療法がないからだ。

「機能性ディスペプシアは、胃が正常に動いていない〈胃の運動機能の異常〉と、胃が敏感になっていて弱い刺激でも胃もたれや痛みとして認知する〈感覚機能の異常〉のどちらか、あるいは両方が起きていることが分かっています。

胃の運動機能の異常が強い患者さんには、胃の動きをよくする薬が効きますし、感覚機能の異常があるなら、刺激となる胃酸の分泌を抑える酸分泌抑制薬や、過敏になっている感覚を治す抗不安薬や抗うつ薬が適しています」

 ところが、機能性ディスペプシアに対して、胃の運動機能の異常か、感覚機能の異常かをチェックできる検査は健康保険が適用されていないので、一般外来では行われない。

米国では、最初から胃の動きをよくする薬などとともに抗不安薬や抗うつ薬を一緒に処方するというが、日本では抗うつ薬の投与は一般的には行われていない。

「だから医者はこれまでの経験をもとに、手探りで、患者さんに合う薬を見つけ出さなければならないのです。

通常、機能性ディスペプシアと判明したら、胃の動きをよくする薬、胃酸の分泌を抑える薬、抗不安薬、抗うつ薬など何種類かの薬を、症状に応じて段階的に組み合わせていきます」

<適切な治療を受けている人はまだ少ない>

 今年3月に機能性ディスペプシアに対する新薬が認可されたが、胃の運動機能の異常から生じるもたれ感などの症状には効果があまり見られないという。

「患者さんによっては、認知行動療法が効果的なこともあります。考え方を変え、日々の生活を見直すことで気持ちを楽にする精神療法の一種です。

機能性ディスペプシアの患者さんには、生真面目で物事を突き詰めて考える性格のため、仕事や家庭でストレスを強く感じている人が比較的多い。私は薬の処方とともに、〈75点主義でいきましょう〉とアドバイスしますが、それで随分症状が軽くなる人もいます」

 さらに、日常生活の改善点として、胃に負担をかける食事は控えめにし、よく歩くことも効果的だという。一番のポイントは、機能性ディスペプシアと真剣に向き合ってくれる専門医との出会いかもしれない。

放置厳禁 痛みの裏に「認知症」も隠れてる! 馬鹿にできない「胃炎」の脅威(1)


食事はしているのに体に力が入らない。胃がもたれる、ボーッとする。しかも痩せてきた--。胃の不調は、“よくあること”と放置されがちだが、軽く考えていると痛い目に遭うかもしれない。

 「症状が消えても、治ったとは限りません。気づかないうちに胃の粘膜がただれ、びらん状態(上皮が欠損した状態)になり、胃炎や手術が必要な重度の胃・十二指腸潰瘍に至るケースは多いのです」

 こう警告するのは、都内で医療総合クリニックを営む医学博士・久富茂樹院長だ。
 同院長によれば、ピロリ菌除菌治療やさまざまな胃薬の登場で、胃・十二指腸潰瘍はこの20数年で治りやすくなっているが、重症の患者がいまだに多いという。

 最近、検査した男性もそうだった。
 「定期検診で胃カメラ検査を行うと、十二指腸から出血が認められたのです。十二指腸潰瘍です。本人は以前何度か胃の不調がありましたが、検査はしたことがなく放っておいたと仰る。めまいや貧血もあったそうですが、潰瘍が原因とは、まったく思ってもみなかったようです」(久富院長)

 結局、その男性は手術を受けることになった。定期検診がなければ、さらに発見が遅れ、大きな手術になったかもしれないという。

 ストレス社会の今、胃のダメージがまったくないという人はいないだろう。

 「患者さんのほとんどは、ストレスによる自律神経の乱れが原因です。胃酸が過剰に分泌されるだけでなく、胃酸から胃の粘膜を守る胃粘液量が少なくなるので、粘膜の上皮が傷つきやすくなり、炎症、つまり、胃炎が起きてしまうのです」(同)

 しかし、初期症状はそれほど強くないことが多い。胃のムカムカ感、軽い胃痛などだ。しばらくすると症状は治まってしまうが、ストレスの原因が解消されない限り何度も同じサイクルを繰り返すという。

 久富院長によれば、胃炎を何度も起こすと、知覚神経の感受性が鈍くなるので痛みを感知しにくくなり、不調に慣れが生じてしまう。そのため、本人が症状をあまり重視しなくなり、胃・十二指腸潰瘍を悪化してしまうケースがあるという。

 しかし、こうした人を検査してみると、既に潰瘍を起こしている。ひどいケースでは、吐血して病院に救急搬送されるまで放置していたために、胃や十二指腸に穴が開いてしまった人もいるというから怖い。

 複雑なのは胃炎、そして胃・十二指腸潰瘍の原因のストレスが、精神的なものに限らない点。肉体的な原因、例えば「残業続き」「睡眠不足が続いている」「連日の飲み会」といった人も危ない。「俺は大丈夫」と思っていても、実態は違っているのだ。
 「胃炎の段階なら薬で治り、手術の必要もありません。ですから大切なことは、胃炎を繰り返さないこと。一度でも胃の不調があったら、病院で診てもらうか、適切な薬を薬剤師さんに選んでもらうことが大事になります」(前出・久富院長)

 特に、薬に対する素人判断は禁物だ。例えば、胃の膨張感一つをとっても、胃酸の分泌を促す薬と抑える薬がある。自分の原因がどちらなのか正しく判断しないで薬を選ぶと、かえって症状を悪化させてしまい、胃の小さな変化を見逃してしまうことになる。

ピロリ菌が消えても“安心”は禁物です


【Q】胃がんになりたくないので、ピロリ菌の検査をしたいのですが、どういう検査がありますか?(40代女性)

 【A】胃がんの原因とされるヘリコバクターピロリ菌(以下ピロリ菌)の検査は、さまざまあります。重要なことは、ピロリ菌の治療だけをしても安心してはいけないということです。

 例えば、ピロリ菌の検査をして陽性でした。その後、治療して除菌しました。だから、がんにならない、とは言えません。ピロリ菌が体内から消えたとしても、がんになる確率はゼロになる訳ではないのです。

 これは、治療するまでの長い年月で既に胃を痛めてしまっている可能性があるからです。除菌しても、それまでに悪化してしまった状態が劇的に改善するわけではないので、がんになる因子は残っているということです。再感染してしまうケースもあります。もちろん、ピロリ菌の検査、治療により、がんになる確率は3分の1から5分の1程度まで低下するのですが、やはり検査による早期発見、早期治療が重要になってくるのです。

 ご理解いただいた上で、冒頭の質問にお答えします。検査は迅速ウレアーゼ試験、鏡検法、培養法、抗体測定、尿素呼気試験、便中抗原測定の6種類があります。

 難しい話になりますが、最初の3種類の検査は、胃カメラをした際に、生検鉗子(かんし)を使用して胃粘膜を直接採取し、その組織を利用して、ピロリ菌の有無を調べる検査です。これには大きな欠点があります。菌のいない部分の胃粘膜を採取した場合に「いない」と判断されてしまうことです。

 残り3種類は、血液、呼気、便を使用して検査を行います。最も、推奨されている検査は尿素呼気試験ですが、それでも、ある薬を飲んでいるとピロリ菌がいるのに「いない」と判断されます。どの検査にも一長一短があるのです。

 現在、使用している内服薬、体の状態などすべてを考慮して、最もいい検査方法を主治医と相談することが大切です。最後にピロリ菌検査は、医師の診断を受け、胃カメラなどの検査をする上でないと保険が効かないことも覚えておいてください。

 ◆回答者プロフィール 谷光利昭(たにみつ・としあき)兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。デイリースポーツHPで医療コラム「町医者の独り言」を連載中。

病気せず長生きのために 胃を強くきれいにする5つの方法


 近年、「胃」が全身の健康に深く関わっている重要な臓器だということがわかってきた。胃が強くきれいな人は病気になりにくく、長生きできる。日本消化器病学会専門医の江田証氏(江田クリニック院長)に、胃を強くきれいにする5つの方法を聞いた。

「胃が老化して薄くペラペラになり、弱ってしまうと、がん、動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞、アルツハイマー型認知症、骨粗鬆症、鉄欠乏性貧血、糖尿病といったさまざまな病気にかかりやすくなります。胃が弱って不調を来す原因は、『動きが悪い』『膨らみが悪い』『炎症がある』という3つに大きく分けられます。この3つを改善するための対策を講じれば、強くてきれいな胃を手に入れることができます」

①寝る前に食べない→動き

 胃は「空腹時」に運動して、胃の中を大掃除している。摂取した食物の食べカスや剥がれ落ちた細胞を十二指腸へ一気に押し流すのだ。とりわけ、空腹が長時間続く就寝時に活発に掃除を行う。

 寝る前に食べると細かな食後の運動が続き、空腹時運動に移れない。胃の中にずっと食物がたまっている状態が続いてしまうのだ。

「食物が胃から十二指腸に送られるまで、およそ2~3時間かかります。ただ、栄養素によって違いがあり、同じカロリーであれば、タンパク質がいちばん早く送られ、次は炭水化物で、最も時間がかかるのが脂肪です」

 タンパク質の半熟卵は1時間30分、炭水化物である米は2時間、パンは2時間45分かかり、脂肪分が多いステーキは4時間15分、バター(50グラム)は12時間もかかる。

 夕食は脂肪分を控え、遅くとも2時間前までに済ませたい。

②朝食を食べる→動き

 朝食を1週間とらないと、空腹時の運動(胃の大掃除)が弱まるという報告がある。

 その後、朝食を再開しても、1週間は元の状態に戻らないこともわかっている。

③ストレスを解消する→膨らみ

 健康な胃は、食物が入ってくると天井部分が大きく膨らんで食物がたまるスペースをつくる。しかし、膨らみが悪い人はすぐに満腹になってしまい、悪化すると何も食べられなくなる摂食障害を起こすケースもある。また、摂取した食物が胃にためられないため急激に十二指腸に送られてしまう。すると、十二指腸は食物を逆流させる「十二指腸ブレーキ」をかけ、胃の中に食物が停滞していく。これが、「胃もたれ」や「胃が重い」という状態だ。

「胃の膨らみを悪化させる大きな原因がストレスです。ストレスがかかると、脳の視床下部から『CRF』というホルモンが分泌されます。CRFには胃の運動機能を抑え込む作用があります」

 寝る前に今日起こった「良かった出来事」を3つ見つけ、それを紙に書き出す。この習慣を続けるだけで、ストレスによって動きが悪化した胃の調子は改善するという。

④ピロリ菌を除菌する→炎症

 慢性胃炎にかかっている人は、ほぼ100%がヘリコバクター・ピロリ菌に感染している。除菌しない限り炎症は続き、そのうち粘膜がペラペラになってしまう萎縮性胃炎が進む。これが、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんや、動脈硬化など全身疾患の原因になる。

「除菌すると、半年ほどで慢性胃炎はなくなります。すでに萎縮性胃炎になっている人も、10年弱で胃の粘膜が再生して萎縮も改善します」

 最近は、除菌して炎症が治まったのに、胃の痛みなどの不調を訴える「機能性ディスペプシア」の患者も増えているという。知識のある専門医を受診したい。

⑤「T・U・F(タフ)」を摂取する→炎症

 イカ、タコ、ホタテ、カキ、マグロなどに含まれる「タウリン」(T)には、胃粘膜の障害を抑え、胃の細胞の寿命を延ばす作用がある。ビタミンCを加えると吸収率がアップする。

 キャベツに含まれる「ビタミンU」(U)は、胃酸を抑えて胃炎を軽減してくれる。加熱すると壊れてしまうため、千切りがいい。

 ワカメ、コンブなどの海藻のぬめり成分「フコイダン」(F)は、胃粘膜をサポートして、ピロリ菌が粘膜に付着するのを防ぐ働きがある。

 これで、胃を強くきれいにできる。

墓じまいトラブル 離檀料数百万円要求されるケースも


「本当に妥当な値段なのか」──それが最もわかりにくいのが葬儀や墓にまつわる費用だろう。寺院や住職への“感謝の気持ち”を金額で示すという曖昧さに加え、何度も経験するものではないので相場がわからない。そうした事情がある中で、近年急増傾向にある「墓の撤去・移転」の費用を“定額プラン化”する新サービスが登場し、業界に波紋を広げている。都内在住の65歳の会社役員の男性はこうこぼす。

「同窓会で毎回、話題になるのが『墓じまい』です。田舎の墓の手入れが面倒だから自分の代でたたんでしまおうとか、都心のほうに移そうとか、みんなそうしたことを考えている。ですが、実際にやった人に聞くと想像以上にカネも手間もかかったという話ばかり。田舎の菩提寺との交渉も一筋縄ではいかないみたいだし、どうしたらいいのかを考え出すと頭が痛いですよ」

 先祖代々の墓を閉じ、納められた骨壺を別の場所に移す「墓じまい(改葬)」のニーズは年々高まっている。厚生労働省のまとめた「衛生行政報告例」によれば、改葬件数は2004年度の6万8421件から2014年度には8万3574件へと急増した。

胃ろうを続けると水死体のように顔と体が膨れ上がる例も


衰弱が進み、口から食事を摂ることが難しくなった患者の腹部に穴を開け、チューブを通じて人工的に水分や薬、栄養剤を注入する「胃ろう」。麻酔が使われるため手術による痛みは少なく20分ほどで済むこともあり、日本で最も普及している延命治療である。

 患者数は全日本病院協会による推計で約26万人(2011年)だが、実数はもっと多く40万とも60万人とも言われる。しかし、患者の死後、胃ろうを選択したことを後悔する遺族は多い。

「胃ろうを長く続けると、こんなことになるなんて……亡くなる直前の主人の姿は、まるで水死体のように顔も体もふくれ上がっていました。息を引き取る数週間前からは肺の中に水が溜まって喉がゴロゴロと鳴るようになり、カニのように口から泡を噴くこともありました。見たことのないピンク色の痰まで出てきて……とにかく呼吸が苦しそうで、看取るのが辛かったです」

 昨年、臓器不全で亡くなった田辺敏夫さん(仮名・82)の妻はそう話した。認知症を患っていた田辺さんは今から4年前、風呂場で転倒し大腿骨を骨折。近くの大学病院に搬送されたものの、寝たきりになってしまった。

 衰弱とともに食事を摂ることがままならなくなったため、入院から2週間ほど経った頃、担当医師から勧められたのが「胃ろう」だった。終末期医療に詳しい長尾クリニック院長の長尾和宏氏の指摘だ。

「現在、多くの病院や介護施設では高齢の胃ろう患者に1日約2リットル、1600キロカロリー程度の栄養剤が注入されています。しかし死を目前にした人にそんな量が必要でしょうか。老衰の終末期ならその半分程度の量で必要十分と考えます。

 過剰な水分やエネルギーを最期まで注入され続けると、活性酸素が増え、寿命を縮めるとともに水ぶくれのような状態で早死にします。心不全から肺水腫となり口から泡を噴きます。ベッドの上で溺れ死ぬのです」

 もう一つ、胃ろう患者に多いのが、胃に注入される栄養剤や水分の逆流である。都内の療養型病院に勤務する医師が語る。

「注入された水分や栄養剤が喉まで逆流すると、それが気管に入る誤嚥が起こり、肺に細菌が侵入して肺炎となることがあります。誤嚥が原因で起こる誤嚥性肺炎は、胃ろう患者に目立っています。こうなると息苦しさと発熱を伴いながら絶命する患者も少なくありません。

 本来は誤嚥しないために胃ろうをつくる高齢患者において、誤嚥性肺炎が多発しているというのは、なんとも皮肉な現実です」

血便で救急搬送される人の約半数は痛みほぼない大腸憩室出血


お尻からの大量出血(血便)で、救急搬送される患者の約半数が大腸憩室(けいしつ)出血だ。憩室は腸内の圧が何らかの原因で高まることで、大腸の壁の一部が袋状に外へと飛び出す症状だ。

欧米人は出口に近い左側のS状結腸付近にできることが多いが、日本人を含むアジア人は右側にある上行結腸や横行結腸にできる頻度が高い。数個から数百個の憩室がある人もいるが、症状はほとんどない。

 近年、食生活の欧米化で食物繊維の摂取量が減っていることと、脳梗塞・心筋梗塞予防のため血液をサラサラにする抗血小板薬内服などの理由から、大腸憩室出血が増加している。患者数は10年前の2倍で、30代以上の男性が圧倒的だ。

 聖路加国際病院消化器内科の石井直樹医師に聞いた。

「血便で救急搬送される2人に1人が大腸憩室出血です。大腸内で便などの直接的な刺激で粘膜が傷つき出血します。憩室に入っている血管は動脈なので、切れると真っ赤な血が驚くほど出ます。中には2度3度と出血し、ショックを起こして救急搬送される方もいらっしゃいます」

 この病気は腹がぐるぐる動く不快感がある程度で、痛みなどもまったくなく突然出血する。大腸の右側の憩室は左より粘膜の壁が薄く、出血量も多い。日本人は右側の出血が多かったが、食生活の欧米化で左側憩室出血も増えている。また、高血圧や高脂血症も発症リスクを高める。

医師は見極めて 安心な「胃カメラ検査」に4つのポイント


この時期、人間ドックや健康診断で再検査を勧められ、改めて胃カメラ検査を受ける人が増えるという。しかし、「胃カメラなんてどこで受けても同じようなもの」なんて考えていると、取り返しのつかないことになりかねない。

 胃カメラというと、「苦しくてツライ検査」というイメージを持っている人は多いだろう。これは、技術不足のまま胃カメラ検査を行っている未熟な医師がたくさんいることが一因になっているという。日本消化器内視鏡学会専門医で、これまで7万件以上の内視鏡検査を行ってきた江田証氏(江田クリニック院長)が言う。

「現在の医療現場では、医師免許を持っていれば、消化器病学の知識がなくても、自由に胃カメラを使って検査することができてしまいます。大学病院や総合病院では、トレーニング中の研修医が胃カメラ検査を行うケースがありますし、研修医時代にサラッと経験しただけなのに、堂々と胃カメラ検査を行っている消化器内科医以外の開業医も少なくない。こうした知識が浅い未熟な医師たちによるトラブルは後を絶ちません」

 口から押し込んだ胃カメラで患者の咽頭に穴を開けてしまい、左肺と右肺の間の縦隔が細菌感染して縦隔炎を引き起こしたケースもあるという。安心して胃カメラ検査を受けるためには、患者は医師や病院を見極める必要があるのだ。

■大腸内視鏡がうまい施設を選ぶ

 最低ラインは、「消化器病学会専門医」「消化器内視鏡学会専門医」の資格を持っている医師のところで検査を受けること。胃カメラの経験をある程度積んでいる医師かどうかの目安になる。資格を持っている医師はそれぞれの学会のホームページに掲載されているから、受診する前に探しておきたい。

 さらに、中でも「大腸内視鏡がうまいといわれている施設を選ぶ」ことで確度が上がる。

「内視鏡検査は体内に細い管を挿入して行い、管は、手元の『アングル』を操作して微妙な角度を調節しながら、前後左右に動かしていきます。アングルをいかに効果的に器用に操作できるかが重要なのです。

実は胃カメラは、患者さんの苦痛を無視して管を喉からグイグイ押し込んでいけば食道まで到達します。しかし、大腸内視鏡はそうはいきません。ただ管を押し込んでも突き当たった部分の腸壁が伸びるだけで、患部には届きません。押して挿入していくというよりも、『引きながら入れていく』感覚が必要です」

 それだけ、大腸内視鏡は胃カメラよりも高度なスキルが求められる。患者を苦しめずに大腸内視鏡を行える医師なら、胃カメラも正確に扱えると判断できるのだ。

 ヘリコバクター・ピロリ菌に関する知識がある医師かどうかも大きな判断材料になる。

「胃や食道疾患についての治療方針は、ピロリ菌の知識が欠かせません。ピロリ菌の感染があるかどうかという視点で検査をしていない医師は、重大な見落としをするリスクがあります。当院でも、専門医以外がやった胃カメラで異常なしと診断されても症状が治まらず、検査を受け直しにくるケースがたくさんあります。一目見ただけで進行胃がんとわかる病変を『心配ない』と数年も見逃され続け、結局、胃を全摘せざるを得なかった患者さんもいます」

 前述した「消化器病学会専門医」や「日本ヘリコバクター学会認定ピロリ菌感染症認定医」などの資格を持っている医師を探したい。

 新しい機械を使用しているかどうかも重要だ。古い機械では小さな胃がんやポリープを見逃しやすくなるという。

「特に経鼻内視鏡は急速に進歩していて、暗い胃の中でも明るいうえに画質が鮮明で、見やすくなっています。胃がんが光って見える特殊光を使用できる機種もある。『NBI』や『FICE』(ファイス)といった機能がある機械を使っていれば、新しい機種だと判断できます。施設のホームページで機種を確認したり、電話でたずねてみるのもいいでしょう」

 せっかく受けるなら、正しい胃カメラ検査を受けたいものだ。

米専門機関、アスピリンを心疾患、大腸がん予防薬に推奨 「高い効果が期待できる」と評価


大腸がんや心疾患を予防するために、50代以上は解熱鎮痛剤の「アスピリン」を毎日服用すべき――そんな驚きの勧告を、米国予防医学専門委員会(USPSTF)が2016年4月12日発表した。

USPSTFは、米国の医療研究やサービスの品質評価を実施し、政府として「A」から「D」までの推奨グレードを作成する独立委員会。がん検診の有効性や、難病治療法の評価など、米国で提供される医療の方向性に大きな影響力を持つ。

今回、勧告の根拠となったのは、「心筋梗塞や脳卒中を発症していない状態で、低用量アスピリン(1日81~100ミリグラム)を継続して服用すると、その後の発症リスクが心筋梗塞で17%、脳卒中で14%低下する」、「10年以上の継続使用により、大腸癌のリスクが40%低下する」という、二つの最新研究結果。

この研究結果から、50~59歳の男女が10年間以上、大腸がんと心血管疾患予防薬として低用量アスピリンを毎日服用することが、「推奨グレードB(高い効果が期待できる)」であるとされている。

ただし、アスピリンの服用によって、消化管出血などを発症するリスクが上昇することもわかっており、USPSTFは予防のために服用する場合の条件を細かく指定。

「10年以内の心血管疾患発症リスクが10%以上」「アスピリンによる出血のリスクが低い」「少なくとも余命が推定10年以上」を満たす人とし、服用にあたっては医師の指示と、定期的な診察、検診を受けるよう求めている。

また、60代は「グレードC(効果は少ないが、専門家の判断と個人の選択に任せる)」、50代未満と70代以上は「グレードI(エビデンスが存在せず判断不能)」となった。

日本でも、2015年から、アスピリンによる大腸がんの発症やポリープの発生予防効果を確認する臨床研究が、国立がん研究センターと京都府立医科大学の共同研究チームによって進められている。

あの“激痛”を少しでも和らげたい 「尿路結石」4つの疑問


 これまで経験したことがないほどの激痛だった――。尿路結石の発作で病院に担ぎ込まれた患者の多くがそう口にする。健康診断で「腎臓に小さな石がある」ことを指摘され、経過観察中なんて人も多いはず。いたずらに怯えなくて済むように尿路結石をしっかり理解しておきたい。

 尿路結石とは、腎臓で作られた結石が、尿の通り道である「腎臓→尿管→膀胱→尿道」のどこかで詰まってしまう疾患だ。その多くは腎結石と尿管結石で、腹、背中、腰のあたりがなんだか痛いなと思っているうちにみるみる痛みが酷くなり、七転八倒して病院に運ばれる患者も多い。

そんな事態を避ける方法はあるのか。国際医療福祉大学三田病院泌尿器科/尿路結石破砕治療センターの荒川孝教授に聞いた。

Q1.なぜ、それほど激痛なのか

 結石は腎臓の奥にある乳頭という場所で作られる。それがある程度の大きさになると乳頭からはじき出され、尿管に落ちてくることで痛みを感じるようになる。

「結石が移動する際に尿管が直接刺激されて出る痛みもありますが、激しい痛みは腎臓の内圧が高まることで起こります。尿管の直径は広がっても5ミリ程度で、それよりも大きな結石は尿管のどこかに詰まってしまう。

尿管がふさがれているのに腎臓では尿が作られるため、尿管の上流に尿がたまっていく。そうなると腎臓の内圧が急上昇して腎臓の被膜が伸ばされ、激痛が起こるのです」

Q2.結石が小さい段階で処置できないのか

 結石が小さければ、移動しても痛みが少ないはず。そう考える患者も多く、小さいうちに外科治療でさらに細かく砕いてほしいという要望もあるという。

「しかし、腎臓の奥の乳頭で作られた結石は、ある程度の大きさにならないとはじき出されません。乳頭にある段階でいくら細かく破砕しても体外に排出されることはないので、意味がない」

 尿路結石を治療するには、ある程度の痛みは覚悟する必要があるということだ。

■治療のタイミングは見逃さない

Q3.痛みが少ない治療法はないのか

 尿管結石の治療は、結石の大きさが5~6ミリ程度なら利尿剤や尿管拡張剤を服用し、水分を多く取るなどして自然排石を促す。しかし、7ミリ以上の結石や、1カ月以上も排出されない場合は外科治療を行う。

 大きく分けて、(1)体外から衝撃波を当てて結石を破砕し、尿と一緒に排出させる体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、(2)尿道から直径2~3ミリの棒状の細い尿管鏡を挿入して、結石を破砕したり取り出したりする経尿道的尿管結石破砕術(TUL)、(3)背中に約1センチの穴を開け、腎臓に内視鏡を挿入して結石を砕く経皮的腎結石破砕術(PNL)の3種類がある。

「結石がある場所にもよるが、大まかにいうと10ミリ未満ならESWLが第1選択肢、10ミリ以上ならTULかPNLになります。ESWLは麻酔なし、外来でできるため患者さんの負担が少ない。

TULは尿道から尿管鏡を入れるので全身麻酔や腰椎麻酔が必要なうえ、入院が必要になる。また、破砕した結石を排出するため、尿管にステントを留置するなど負担が大きい。腎臓に管を挿入するPNLはさらに侵襲が大きくなります」

 近年、自由に曲がる軟性尿管鏡が登場し、奥にある腎結石にもTUL(f―TUL)が行えるようになった。しかし負担を考慮すると、ESWLが行える段階までに治療を始めるべきだという。ただし、ESWLを2回程度やっても結石を破砕できない場合は、TULに変更したい。

Q4.痛みを少なくするために重要なことは?

「人間ドックなどで小さな結石があると指摘され、『様子を見ましょう』といわれた時点で泌尿器の専門医に診てもらうことが大切です。自分の結石がどんな段階にあるのかを把握し、治療を始める適切なタイミングを逃さない。

結石が大きくなってきた、尿管に移動しているかもしれないといった段階で治療を始めれば、痛みが少なくて済むケースもあります。発作に備えて薬を処方してもらうこともできるし、自分の痛みの原因が分かっていれば、それだけで痛みは緩和されるものなのです」

粘膜下で転移する消化管間室腫瘍に低侵襲の単孔式内視鏡手術


胃がんは粘膜に発生するため、胃の痛みや不快感などの自覚症状がある。しかし、GIST(消化管間室腫瘍・しょうかかんかんしつしゅよう)は胃や小腸など消化器の粘膜の下にある筋肉層から発生するので、ほとんど自覚症状がなく、健康診断で発見される例が大半だ。

 働き盛りに多く見つかり、大きくなると肝臓などに転移し、命に関わる。治療は大きさと部位によって開腹手術が行なわれる。早期の胃がんでは口から内視鏡を入れて粘膜ごと、がんをそぎ取る方法が行なわれている。

ただ、胃のGISTは粘膜の下に潜っているために、口からの内視鏡では取りきれないことが多く、胃を大きく切除するケースもある。

 メディカルトピア草加病院の金平永二院長に話を聞いた。

「開腹手術で全摘すると、胃の機能が損なわれるだけでなく、腹に大きな傷が残ります。従来の腹腔鏡(ふくくうきょう)手術でもヘソを含めて4つの傷が残ります。なんとかヘソの穴一つで、内視鏡治療ができないかと考えたのが単孔式内視鏡手術です。

 私はヘソの穴に装着するエックスゲートという専用の器具を開発し、そこからカメラや電気メス、鉗子といった器具を入れて治療します。エックスゲートは、2012年に薬事法による審査に通り、多くの医師に使っていただけるようになりました」

 治療はヘソを約2.5センチ切り、エックスゲートのベースをその穴に装着する。フラップを4方向に引っ張ると、ヘソの穴が最大限に大きくなる。エックスゲートのベースに、カメラや電気メスなどの器具を入れる4つのチャンネル(入り口)がついた蓋を被せる。

炭酸ガスで腹部が十分に膨らんだところで、チャンネルからカメラや電気メスなどを挿入し、健康な胃をなるべく残してGISTを切除する。

 切除したGISTは、細胞が散らばらないように袋に入れて外に出す。胃に空いた穴を筋肉ごと縫って閉じ、すべての器具を外に出した後で、ヘソも縫って終了する。

「治療が難しいのが、食道と胃の境目にできたGISTです。近くを迷走神経という胃を働かせる神経が通っているので、通常は開腹して胃の全摘になりますが、私は内視鏡による胃内手術を行ないます」(金平院長)

 ヘソを約2.5センチ切り開き、胃を引っ張り上げ、ヘソの穴に縫いつけた後で胃も約2.5センチ切開する。

そこにエックスゲートを装着し、胃の中に直接、カメラや電気メスなどを入れて神経を切らないよう胃の外壁1枚残してGISTを筋肉ごと切除し、袋に入れて体外に出す。補助用に2ミリの極細の器具を入れ、切除や縫合などを行なうが補助具の傷はすぐに塞がる。

 所要時間は約2時間で、痛みも少なく、術後1週間で退院可能。この施設ではGIST治療の90%以上を単孔式内視鏡手術で行なっており、傷が残らないと患者に好評だ。

10人に2人が当てはまる胃の形 「瀑状胃(ばくじょうい)」の症状と対処法とは?


「胃袋を絵に描いてください」と言われたら、たいていの人は太ったバナナのような形を描くでしょう。でもじつは、胃袋の形状はみんな同じではありません。なかでも日本人に多いと言われているのが、「瀑状胃(ばくじょうい)」です。

いったいどんな形なのでしょうか。また、「瀑状胃(ばくじょうい)」の人に起こりやすい症状や対処法をご紹介しましょう。

◆胃の形態異常
瀑状胃(ばくじょうい)とは、胃の上部が大きく拡張していて、折れ曲がり頭を下げたような格好をしている胃をいいます。日本人の10人中2~3人にみられます。

胃の造影検査の際にバリウムを飲んで、立った姿勢でX線検査をすると、まず、胃の上部の拡張した部分にバリウムがたまり、次に滝のようにたまったバリウムが胃の中央部へと流れ落ちることから、この名称がついています。

生まれつきのものであり、不都合が起こることがなければ、治療の必要もありません。太鼓腹の肥満、神経質な人などに多くみられます。胸やけ、ゲップがでにくい、お腹が張る、嘔気があるなどの症状が出る場合があります。

◆胸やけってどういう状態?
一般的に健康な胃の場合、胃の中の食べものは2~3時間で消化されます。しかし、加齢や体調などの影響で、食べものを消化するのに必要な蠕動運動が弱ってしまうと、食べたものの消化が進まず、なかなか十二指腸へ送られません。

こうした場合、食べたものを消化するために胃液がいつまでも分泌されることになり、その結果、胸やけなどの不快症状が起こります。

胸やけは、英語では「heartburn」といいますが、胃液が胃から食道へ逆流したときにおきます。食道と胃の間には、逆流しないような仕組みがあるのですが、太ってきたり、加齢により、この働きは弱くなってきます。

また、食べ過ぎなどで胃の内部圧が上がることでも、食道への逆流は起こります。

とくに瀑状胃の場合は、食べ物が胃の上部に溜まり、胃の下部で分泌される胃液が利用できず、胃液分泌過剰になって胃炎を起こしやすくなります。人によっては、完全に消化されるまでに8時間以上かかることもあります。

◆瀑状胃の人が症状を抑えるための対処法
食後の姿勢として、身体の左側を下にして横向きに寝ます。身体を横にするだけで眠るのではありません。それから次にうつぶせになり、最終的には身体の右側を下にして横向きになると、胃の消化と消化物の移動を助けることができます。

また、日常からよく噛んで食べる、ストレスをためない、便秘をしないなどを心掛けましょう。早食いすると空気も一緒に飲み込みますので、腹部膨満(ぼうまん)感が出てしまいます。

また、長時間食事を摂らないと胃液が薄められず、胃粘膜に負担がかかるので、1日3食決まった時間に摂ることが理想です。

便秘がちな人は、便秘が原因でも胃もたれや胸やけがみられることがありますので、腸の働きを改善させるようにしてください。不快症状が続く場合は詳しい検査をする必要があるので、専門医である消化器内科で診てもらいましょう。

執筆者;南部洋子(看護師)
監修医:坂本 忍(医学博士)

うらやましい、なんてとんでもない!本当はコワい胃下垂の真実!


胃下垂、と聞くと、どんなイメージがありますか?

食べると胃の部分ではなくもっと下が膨らむイメージのほか、「たくさん食べても太りにくくてうらやましい!」と感じる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。ダ

イエット熱が高すぎて、「できることなら胃下垂になりたい!」なんて考える人も中にはいらっしゃるかもしれません。
しかし、胃下垂はメリットばかりではないのです。

今回は医師に胃下垂のメカニズムとデメリットについて解説していただきました!

■ 日本人の3割が胃下垂!?
胃下垂は読んで字のごとく、胃の位置が正常よりも下がっている状態を指します。
そして確かに、胃下垂があると、食べても太りにくいということもあります。

ただ、よく誤解されているのが生まれつき胃下垂だから痩せているのではなく、痩せてきたり、すでに痩せていることで腹筋が弱って胃下垂になってしまっている、という点です。

したがって、胃下垂になる原因としては胃を支える筋肉や脂肪が少ないことが挙げられます。
やせ形の人の多い日本人にはなんと3割も胃下垂の人がいるといわれています。

■ 胃下垂は正常な状態ではない!? 5つのデメリット!
胃下垂には問題が多くあります。

1.消化能力が低い
正常より胃が下に下がってしまっていることによって、重症の胃下垂では健康な胃に比べて食べ物の消化能力が約3分の1になってしまうといわれます。

2.食欲の低下
食欲も低下して美味しくものが食べられないこともあります。

3.胸やけや胃もたれ
食事の後も胸やけやいつまでも胃のあたりが重苦しい感じがしたりすることがあります。

4.げっぷ、便秘や下痢
頻回のげっぷが出たり、便秘や下痢などを起こしたりすることもあります。

5.栄養不足による弊害
栄養不足で抜け毛が出たり、胃炎や胃潰瘍も起こしやすくなることも知られています。

■ 胃下垂を治すことはできるの?
胃下垂を治す方法としては、まず、胃を支えてくれる下腹部の筋肉を鍛えることです。
また、背筋を伸ばして、正しい姿勢を心がけることで背中の筋肉、腹筋とも鍛えられます。

そして食事を少量ずつ、頻回にとるようにすることも胃もたれや消化不

良を防ぐためにも、とても有効です。

■ 医師からのアドバイス
胃下垂が羨ましいと思っていた方は、こう聞くと羨ましいどころの話ではなくなってしまいますね。

胃下垂は見た目にも痩せてはいるものの、お腹だけポッコリ出た幼児体型のような状態になることが多く、あまり魅力的とはいえないことも多いようです。

現在お悩みの方も、少しずつ改善しておいしく食事を摂れるようになるといいですね。

梅沢富美男さんも受けた大腸検査 ~大腸ポリープを切除する理由とは?~


俳優の梅沢富美男さんは大腸検査でポリープを切除したことを明らかにしました(6月2日、フジテレビ「ノンストップ!」)。梅沢さんは、大腸がんで亡くなられた俳優の今井雅之さんとプライベートでも親交が深く、生前の今井さんから大腸検査を強く勧められていたといいます。

今井さんの意を汲んで、梅沢さんは大腸検査を受けました。そして、検査で3つのポリープが見つかり切除に至ったのです(病理検査の結果は良性)。

ところで、大腸検査でポリープを切除したといわれても、そこにどのような意味があるのかピンと来ないという人もいるのではないでしょうか。ポリープ切除は大腸がんの発見や予防にどのように関わるのか、整理しておきましょう。

◆大腸ポリープが大腸がんになる

なかには初めから悪性という大腸がんもありますが、多くは、初めは小さく、良性だった大腸ポリープが大きくなり、遺伝子が傷つけられて悪性腫瘍(がん)になると考えられます。

したがって、良性の内に大腸ポリープを発見し、あらかじめ切除しておくことで、将来的に大腸がんが発生する可能性を低くすることができるのです。

大腸内視鏡検査は、内視鏡を腸内に挿入し、少しずつ引き抜きながら、カメラがとらえた腸内の様子を観察していくというものです。観察するだけでなく、大腸がんが疑われる組織を採取して病理検査を行ったり、ポリープを切除したりすることができます。

大腸内視鏡検査が大腸がんの発見を目的とした検査であると同時に、予防にも貢献するのはそのためです。

◆大腸ポリープを切除する場合

大腸ポリープを切除するかどうか、また、どのようなポリープを切除の対象にするのかは医療機関によって判断が分かれます。

一例を挙げると、良性腫瘍と思われる隆起型のポリープで、大きさは1cm以下、切除困難な位置にないこと、といった条件があります(国立がん研究センター)。

確率としては高くありませんが、大腸内視鏡検査にはリスクがともないます。腸に穴が開くといった重篤なケースは約0.04%、比較的頻繁に起きる出血については、観察のみなら0.04%、ポリープ切除をともなうとかなり高くなって0.5%以下とされています(同)。

◆早期発見に貢献する大腸内視鏡検査

簡便な検査である便潜血検査と比べた場合、大腸内視鏡検査はとりわけ早期がんの発見に優れています。大腸がんは早期に発見するほど負担の少ない治療を選択できる可能性が高まります。

まだ筋層にまで達しておらず、リンパ節転移のない早期のがんであれば、お腹を切らない内視鏡治療で治すことができます(内視鏡治療後の病理検査によってリンパ節転移の可能性を判断し、必要な場合は腹腔鏡手術や開腹手術を行うケースもあります)。

大腸ポリープの切除をともなう大腸検査には、大腸がんの早期発見とともに予防の意味合いがあります。

簡便な便潜血検査に比べて負担も大きく、リスクもゼロではありませんが、大腸がんの早期発見に有用であり、病理検査による精度の高い診断も可能になります。

便潜血検査を毎年受けるようにし、少なくともそこで陽性となった場合は大腸内視鏡検査を受けます。

また、罹患率が高くなる40代以降で、身内に大腸がんに罹った人がいる場合や、強い不安を感じている場合には便潜血検査の結果を問わず、大腸内視鏡検査の受診を検討しましょう。

1度行ったあとは毎年受ける必要はなく、便潜血検査を上手く組み合わせながら、2回目以降のタイミングについては医師と相談して決めるとよいでしょう。

監修:岡本良平医師(東京医科歯科大学名誉教授)

日本人の約半数が保菌!知っておきたい胃疾患の原因〝ピロリ菌〟対策


日本人の約半数の胃の中にいるといわれる、胃炎・胃潰瘍・胃がんなどの原因菌であるピロリ菌。今年2月に除菌治療の保険適用範囲が拡大され、ピロリ菌を取り巻く状況が大きく変化している。

◉ピロリ菌とは

学術名は「ヘリコバクター・ピロリ」。helicoはらせん形、bacterは菌、pyloriは胃の幽門部を意味する。胃粘液を栄養源として潜りこみ、胃酸の出る過酷な環境下でも棲息。ピロリ菌感染が胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの原因となることを証明した、バリー・マーシャル、ロビン・ウォレンの両氏は2005年にノーベル賞を受賞。

「ピロリ菌」はここ数年、よく見聞きする言葉だが、かわいらしい語感とは裏腹に、胃炎や胃潰瘍、胃がんなどの原因となる恐ろしい病原菌だ。

ピロリ菌は人の胃の中にすむ菌で、胃がん患者の98%はピロリ菌保菌者であり、日本では年間約5万人が胃がんで死亡している。ピロリ菌感染者は発展途上国に多くみられるが、日本は先進国の中ではピロリ菌感染者が著しく多い国で、中でも50代以上の世代では感染率が7割を超えている。

 これは上下水道が整備されていない時代に、飲み水や食べ物から感染したことが原因と考えられているが、若年層にも感染者がいるのは、両親や祖父母から感染しやすい幼児期に経口感染した可能性もある。

○ピロリ菌除菌治療は保険適用拡大の方向に

ピロリ菌感染には、除菌治療が有効だ。ピロリ菌除菌によって、胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍なども抑制できるようになる。日本では2000年にピロリ菌の除菌治療に健康保険が適用されたが、当時は適用範囲が、消化性潰瘍などと診断された患者に限定されていた。

その後、ピロリ菌の研究が進み、胃がんとの因果関係が解明され始めたことを契機に、徐々に保険適用範囲が広がり、2013年2月には、「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」が保険病名として認められ、内視鏡検査で慢性胃炎と診断されれば、健康保険で除菌治療ができるようになった。

これにより保険適用外では3万円前後かかっていた費用が、5000円程度で受けられると見込まれる。ピロリ菌をもっている人が除菌しやすい時代を迎えたわけだが、いくつかの問題点も残っている。

ピロリ菌の除菌治療では、7日間にわたり抗生剤などの3種類の薬剤を服用する「3剤除菌療法」が行なわれるが(左ページ表参照)、かつては除菌成功率が80~90%と言われてきたものが、現在では70%程度まで低下している。

除菌に失敗する約30%の理由として、抗生剤(特にクラリスロマイシン)への耐性を持つピロリ菌の増加(約20%)や、患者が正しく薬を摂取しない(約10%)などが挙げられる。

「3剤除菌療法」後に除菌判定試験を行ない除菌失敗と判断された場合は、抗生剤を変える「2次除菌」を実施。これでほぼ9割の除菌は成功するという。

一方でピロリ菌除菌失敗の大きな原因とされるのが、抗菌薬であるクラリスロマイシンの耐性菌の増加だが、1次除菌の「3剤除菌療法」の際、プロバイオティクスを併用することで除菌率がアップするという研究成果が、東海大学医学部の研究グループによって発表された。

○「LG21乳酸菌」との併用で除菌率がアップ

口から摂取して、体に好影響を与える微生物・プロバイオティクスの中でも東海大学医学部の古賀泰裕教授(感染症学)は、実験を繰り返し、特定の種類の乳酸菌がピロリ菌を抑えることを発見。

さらに企業の協力を仰ぎ、約2500種類の乳酸菌の中から、胃酸に強く、ピロリ菌抑制効果が高い「乳酸菌L.gasseri OLL2716」(通称・LG21乳酸菌)が選定された。

LG21乳酸菌を「3剤除菌療法」と併用すると除菌率がアップするという同医学部の髙木敦司教授(総合内科)らの臨床研究をまとめた論文もある。この報告では、臨床試験の結果、除菌の3週間前からLG21乳酸菌入りヨーグルトを1日2回、112gを4週間摂取すると、除菌成功率が約10%向上したという(データ(1))。

 LG21乳酸菌の特徴として、

●ピロリ菌の活性を抑える性質をもっている
●胃酸に弱い乳酸菌が多い中で、胃酸への抵抗性、胃内滞在性に優れており、活性を保ちやすい
●人体への安全性が確認されており、食品に向いている

 などが挙げられる。

 ピロリ菌保菌者が90gのLG21乳酸菌入りヨーグルトを1日2回、8週間摂取した試験では(データ(2)、(3))、ピロリ菌数に有意な低下がみられ、平均して約1/10に抑制していることが判明。さらに胃の炎症改善も確認された。これらのデータから、LG21乳酸菌入りヨーグルトを併用すると、除菌治療の時に成功率が高まり、それ以外の時に摂ってもピロリ菌の菌数が減るということが確認された。

 除菌で完全に胃がんを予防できるわけではないが、発症を減らしたり、遅くすることはできるし、30歳未満の若年層なら除菌によって胃がん予防も可能ともみられている。保険適用拡大を背景に、今後、胃がん予防の戦略も変わっていくと予想され、日本人の胃がん死亡率の大幅減も期待できるかもしれない。

髙木教授らのグループが行なった臨床試験。ピロリ菌保菌者229名を対象に3剤療法のみと3剤療法+LG21乳酸菌入りヨーグルトの2群で比較。除菌時にLG21乳酸菌を併用している人は除菌成功率が約10%向上した。

ピロリ菌保菌者31名が1日2回(1回90g)、LG21乳酸菌入りのヨーグルトを摂取して、その前後のピロリ菌数の変化を「尿素呼気試験」という検査法で確認。ほかのヨーグルトではピロリ菌数に変化が確認されなかったが、LG21乳酸菌のほうでは減少していた。

この試験で被験者から無作為に選んだ6名で、LG21乳酸菌入りヨーグルト摂取前と、摂取後のピロリ菌数の変化を示したもの。全員にピロリ菌数の減少が確認された。

「ピロリ菌抑制のヒントはマウス」

マウスはヒトと違いもともと胃に乳酸菌がすみついていて、それがピロリ菌に感染しても定着させないのだと突き止めました。胃酸耐性が高い、低ph条件下での増殖能が高い、胃由来培養細胞に対する付着能が高い、ピロリ菌に対する増殖抑制能が高い、これらの特性からLG21乳酸菌が選ばれました。
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