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【男性たちが抱える“本音を吐けない”生きづらさ】解消のヒントとなる「感情との向き合い方」とは

「ジェンダー」の議論では女性に関するテーマが注目を集めやすいですが、昨今は「男性の生きづらさ」も世間の関心が高まりつつあるテーマです。

2019年に「一般社団法人Lean In Tokyo」が実施した調査(※1)によると、8割近くの男性が「男だから」という固定観念やプレッシャーにより生きづらさやプレッシャーを感じたことがあると回答しています。

内容としては「力仕事や危険な仕事は男の仕事という考え」「デートで、男性がお金を多く負担したり女性をリードすべきという風潮」「男性は定年までフルタイムで正社員で働くべきという考え」「『一家の大黒柱』でいなければならないというプレッシャー」「男性が弱音を吐いたり、悩みを打ち明けたりすることは恥ずかしいという考え」といったものが票を集めました。

※1:男性が職場や学校、家庭で感じる「生きづらさ」に関する意識調査(https://leanintokyo.org/20191106press-release/)

これまでも男性性に関する書籍を生み出してきた清田隆之さんは、2021年12月『自慢話でも武勇伝でもない「一般男性」の話から見えた生きづらさと男らしさのこと』(扶桑社)にて、一般男性10人から仕事や生活、恋愛やコンプレックスなどのプライベートな話を聞きまとめたインタビュー集を上梓しました。本作では今まであまり明らかにされることがなかった一般男性の考えや思考、本音が露わになっており、男性たちが感じている生きづらさの傾向が見られます。

なぜ男性たちはそのような「生きづらさ」を感じるのか、そして生きづらさの解消のためにできることとは。著者の清田さんにお話を伺いました。

「一般男性」たちに共通する感情や欲望の抑圧

——清田さんは「男性の生きづらさ」をどう定義していますか。

正直に言うと、自分自身それをどう定義していいのかよくわからないんです。ただ、今回「一般男性」たちの話を聞いているなかで、集団の中での他者との競争……例えば「あいつよりは頭が良い・面白い」「自分は上位グループにいる」など常に優位性を考えさせられながら生きているなかで、劣等感を拗らせたり、自分のやりたいことよりもやるべきことを優先したりして、結果的に欲望や感情を抑圧してしまう点や、怒られたり比べられたりしたとき過剰に傷ついて自己否定してしまうといった側面が共通しており、これらは私自身にも身に覚えのある感覚です。

ですが、女性がこういった生きづらさを全く感じないわけではないと思いますし、私自身も女性として生きる経験をしていないので、「男性の生きづらさ」と呼ぶことには迷いもあります。男性に多く見られるものの、「男性の」と明確に線引きしきれない部分がある。けれども、男性が感じる生きづらさの要因になっているだろうとは捉えています。

実は今回タイトルに「生きづらさ」という言葉を入れるかは悩みました。男性が感じやすい生きづらさはあるものの、男性優位社会の中で、男性ゆえに与えられている特権は間違いなく存在すると思いますし、それによって「女性」が被害や損失を被っている構造を無視していないか。本作のテーマのひとつだし、また伝わりやすい言葉でもあるため採用したのですが、男女の二項対立で「どちらの方が生きづらい」と言いたいわけではありません。

——本作で「おしゃべりができる相手が欲しい」と語っている方がいたことが印象的でした。もちろん男性同士で会話や雑談をしている場面は見かけますが「おしゃべり」とは違うのでしょうか。

前提として2つの言葉「human being(以下、being)」「human doing(以下、doing)」の話をします。beingとは「存在」を意味し、自分が感じたことや思ったこと、自分の歴史など、否定しがたく存在する“今ここにいる自分”そのもののことを示します。

doingとは「行為」のことで、年収や学歴、肩書きや資格、他者から見たブランディングのための自分といった、行為や行動の結果として構築してきた自分自身のことというイメージです。もちろんそんなきれいに分類されるわけではありませんが、誰しもこの2つの側面があるはずで、いったんこの区分で考えるみることが大事だと考えています。というのも、現代社会は経歴や肩書き、成果を重視し、感情など内面にあるものを後回しにしてしまう傾向があると感じるためです。

本作に書いているような感情的な部分や整理のついていない話、他人に話してこなかったパーソナルな記憶や経験はいわばbeingにまつわる部分で、「おしゃべり」とはそういうものを語り合う行為だと考えています。私自身の経験や、男性たちの話を聞いてきて、男性間のコミュニケーションは圧倒的に「おしゃべり」が少ない。裏を返せば男性同士はイジり・マウント・ボケツッコミ・経歴や成功談などの話、“ネタ化”された失敗談など、「おしゃべり」でない内容が会話のほとんどを占めている印象です。

もう少し「おしゃべり」について深掘りしてみると、自分でもよくわからないけれども、おぼろげながらに見えてくる、起承転結がなく整理されていない感情を気兼ねなく話すことだと考えています。男性同士で趣味や仕事の話を長時間することはありますし、当人に「おしゃべりをしたことがない」という意識はないと思うのですが、自分自身が感じたことそのものを茶化さずに男性同士で話をする機会というのは滅多にないと思います。

なぜ対男性に話すことのハードルが高いかというと、男性同士のコミュニティの中にはイジったり冷やかしたりが多く、コミュニケーションの持ち時間がとても少ないからだと感じます。茶化しやツッコミなどで他人の話を中断させてしまった経験のある男性も少なくないはず。ゆえに自分も「笑われるのではないか」と圧力を感じ、じっくり話をしづらいという背景があるのではないかと思います。

——「おしゃべり」にはどんな力があると感じていますか。

友人や恋愛など親密な関係でも、思ったことをそのまましゃべるというより、ノリや役割に沿ってコミュニケーションしたり、相手を不快にさせないよう言葉を選んでしまったり、不利な言質を取られないよう隙のないよう話してしまったりといったことはあると思うのですが、自分の正直な感情や思っていることを口にして受け止めてもらえたときは、説明できない心地良さや安心感があります。

本作では心療内科に通う中で、先生に対して自分が感じていることを言語化して伝えられるようになり「どんな内容であっても自分が感じていることを正直に言語化するのが気持ちいい」と語ってくださった方もいました。

ただ、「内面の言語化」「正直な気持ち」と言われてもそれ何かイマイチわからない人も少なくないと思います。感情とは先行する身体反応に適切な言葉をラベリングすることで言語化されるものだそうです。例えば「ゾワッとする」「お腹がキューっとなる」「動悸がする」みたいな反応に対し、「怖い」「緊張」「ドキドキ」みたいなラベルを与える、というイメージですね。

目の前の現象に対して身体はなんらかの反応を示しているはずですが、それを言葉で拾う訓練をしていないと埋もれてしまう。現代社会では特に仕事の場では正直な気持ちは求められないどころか、押し殺さないといけない場面もありますよね。そして昔ながらの価値観を変えていく動きも生じていますが、仕事の場では依然として根っこにあるのは男社会。「自分の本音がわからなくなること」と「男性ジェンダーの問題」が何かが繋がっているような気がするんです。

——「イジったり茶化したりせず、しっかりと相手の話を聞く」という前提が共有されていたら、もう少し男性同士でも「おしゃべり」をしやすいと思いますか。

そうですね。本作でも自助グループやカウンセリングを通じ、自身の内面を語って救われたという体験を話してくれた男性が数名いました。何を話してもよく、周囲が否定も邪魔もしないという安心して話せるルールのある場で自分語りをする経験、それと同時に相手や周囲に受け止められる経験を経て、少しずつ自身の内面の言語化が進んだり癒しを得たりという体験談がありました。

もっとも、これにはそれなりの知識や訓練が必要で、友人同士でもそういう空間を作ることは可能だと思うけれども、簡単にできることではないかもしれません。ゆえに、皆かかりつけのカウンセラーがいて気軽にカウンセリングを受ける社会になったらいいなとは思いますが、現状カウンセリングを受けること自体もなかなかハードルの高い行為ですもんね……。

——本作で実施されているインタビューはまさにありのままの気持ちを聴いてもらう状況だと思うのですが、協力者のみなさんの反応はいかがでしたか。

みなさん本のコンセプトを理解した上でインタビューに応じてくださったのですが、それでも序盤は積極的に話を聴いてほしいという感じではなく、むしろ「何を話せばいいですかね……」「こんな話で大丈夫ですか?」と戸惑っている様子でした。ただ、話ながらどんどん饒舌になっていく感じはあって、インタビュー後も「おもしろかった」「初めてこんな話をしたけどいい振り返りになった」「考えが整理された」など、概ねポジティブな反応が返ってきました。

一方、原稿確認をしていただく際には「こうして文章化されると僕って嫌な奴ですね」「過去の傷を直視するのって怖いですね」といった声もあって。もちろん最終的には掲載許可をいただいていますが、自分を客観視したときの困惑のようなものを感じました。

「正直な感情」と向き合うのは地道な作業

——今までのお話を伺っていて、多くの男性にとって「自分の内面を正直に言語化する」ことはハードルが高いのかもしれないと感じました。清田さんはどのような過程で言語化していますか。

確かに簡単なことではないですよね。自分も常にそうしているわけでは決してないのですが、思いついたことや感じたことはできるだけ言語化するよう意識しています。今、自分がどういう気持ちなのか、なぜそういう気持ちになったのか、そこにはどんな背景があるのかなど、ひとつひとつ振り返りながらしっくりくる言葉を探し、違和感があれば違う言葉を探す……といったことの繰り返しです。プロセスとしては本当に地道ですが、そうすることでしか感情の言語化ってできないと思うので。

——整理する方法として、人と話しながら整理したり、ひたすら一人で考えたりなど色々とあると思うのですが、清田さんはどのような方法をとっていますか。

自分自身の中で整理することもありますし、妻や友人との「おしゃべり」のなかで見えてくることもあります。本を読んだりTwitterを見たりするインプットの過程で「最近自分が感じたことと近い」と思うこともありますし、「しっくりくる表現を探す」というのは書く仕事そのものでもあって。

思ったことの断片を紙に書き出し、パズルのように繋げて言語化を試みることもありますし、Twitterに断片を書くなどして頭の片隅に置いておくとのちのち輪郭が見えてくる、なんてこともあります。方法はさまざまですが、最初から文章化するというよりは、欠片を繋ぎ合わせる中で整理していき、言葉としてまとまっていく過程で自己理解が深まったり新たな発見があったりという流れでしょうか。

——本作はメイン読者層として男性を意識されていると思うのですが、読者さんからの反響はいかがですか。

男性に手に取ってもらっている実感は思ったよりもありまして、先日開催したイベントでは参加者の約6割が男性でした。これまでジェンダー関連のイベントというと、女性の参加者が圧倒的に多かったので、過半数を男性が占めていたことに確かな変化を感じました。

イベントではサインの時間に直接読者さんと話す機会もあり、「ジェンダーの問題を考えたい」「男同士の関係に息苦しさを感じていたけれども(本作を読んだことで)改めて認識できた」「学生の頃、イジりやマウントといった“男子ノリ”が苦手だと思っていたことを思い出しました」といった感想を伺いました。一方、「目を背けていた自分が見えてくるようで読むのが辛かった」といった反応も。

また、男性たちの話は一人称の語り下ろしでまとめており、途中で私が質問や意見を差し挟むことはしていません。これは語りのリアリティをなるべく損なわず、また自分自身の偏見やジャッジをできるだけ排除するために採用したスタイルなのですが、この形式について「いったんそこにある感情や考えを良し悪しは別として認め、存在を確認する作業になっている。それが言語化の一形態であり、読みながら共感することで忖度ないありのままの存在を実感することになっていて、不思議な癒しとなっている」といった分析をしてくださった方もいました。

——読者の感想やイベントでの反応を見ていて、男性のジェンダー問題への関心が高まっている実感はありますか。

「男性にフェミニズムが広まっている」とまで言えるかはわかりませんが、ジェンダーバイアスへの違和感や問題意識の広がりは確実に感じます。「おじさん社会」的なものや男性同士の張り合い、イジりや罵りといったコミュニケーションに違和感を覚えたり疲れたりしている人が「無理しなくていいんだ」と思ったり、自分も「男性社会のノリ」に無理して合わせてきた結果、女性に嫌な思いをさせてしまったことを見つめ直したり……

そういったものを男性から感じることが増えました。そこには「男性優位社会に加担している部分」と「男性優位社会から抑圧されている部分」の両側面があって、それが難しいところでもあるのですが、揺れ動きながらもジェンダーを見つめ直していこうという気運は広がっているように感じます。

——最後に清田さんが本作を通じて伝えたいメッセージをお話いただけますか。

抽象的な表現で恐縮ですが、男性が自分で自分を抱きしめられるようになったらいいなって思っています。本作に登場する男性の多くには、「他者から見える自分=doingとしての自分」を優先するあまり、自分の感情(=being)を無視してきたようなところが見受けられ、それがしんどさの遠因になっていた。それは自分にも身に覚えのあるものです。

本作を通じて男性の中にある様々な感情に触れ、刺激された感情があればそれを言葉にして取り出し、自分自身と仲良くするためのきっかけにしていただければと思いますし、願わくば男性同士での心理的安全性を確保しながらのコミュニケーションに繋がったらいいなとも思います。相手に自己開示でき、かつ自分も相手が安心して自己開示できるような聞き手となれたら理想だなって。

ただ、そもそも性別関係なく現代社会にはコミュニケーションの持ち時間が短すぎるという問題があると感じています。時間に余裕がないため、混沌とした部分をそのまま口に出せず、「伝わりやすさ」「共有しやすさ」「ウケやすさ」が優先される。元々自分自身そのものだった言葉や感情が、人に伝えるための加工を施す中で、共感しやすい部分や面白いと思ってもらえそうな部分を強調し、それ以外を切り捨ててしまう傾向があるように思うんです。

ですが「一般男性」たちの話を読んでいただければわかるように、人間誰しも内面の扉を開けてみると複雑な事情や感情があり(といっても本作でもその人のほんの一部ではありますが……)、それを言語化して理解するのは、決して“効率良く”できるようなものではないはず。

性別問わず、家族や友人など近しい人ほど相手を理解している気になり、話を聞いているときについ口を挟んでしまったり、「あなたはこういうところもあるよね」など勝手に解釈してしまったりということもあると思うのですが、他者の身の上話を聞くというのは時間も労力もかかることですよね。コミュニケーションの速度を落とし、「おしゃべり」を通じて内面を豊かに語り合えるような方向にこの本が役立ったらいいなと思います。

プロフィール

清田隆之(きよた・たかゆき)

1980年、東京都生まれ。文筆業、恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。これまで1200人以上の恋バナを聞き集め、「恋愛とジェンダー」をテーマにコラムやラジオで発信している。幅広いメディアに寄稿するほか、朝日新聞beの人生相談「悩みのるつぼ」では回答者を務める。桃山商事名義の著書に『二軍男子が恋バナはじめました。』(原書房)、『生き抜くための恋愛相談』(イースト・プレス)、『モテとか愛され以外の恋愛のすべて』(イースト・プレス)、トミヤマユキコさんとの共著に『大学1年生の歩き方』(左右社)、個人名義では『よかれと思ってやったのに──男たちの「失敗学」入門』(晶文社)、『さよなら、俺たち』(スタンド・ブックス)、『自慢話でも武勇伝でもない「一般男性」の話から見えた生きづらさと男らしさのこと』(扶桑社)がある。

雪代すみれ フリーライター。企画・取材・執筆をしています。関心のあるジャンルは、ジェンダー/フェミニズム/女性のキャリアなど。趣味はヘルシオホットクックでの自炊。

精神科医が教える心の執着に振り回されない方法

感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』の著者が、voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」から、とっておきのアドバイス。

心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で気分はスッキリ、今日がラクになる!

執着を手放してラクになる

きょうのひとことは、

「心の荷物の手放し方」

アテクシのTwitterでいちばんバズったのが、「手放す」ということをテーマにした言葉でした。

物事に執着すればするほど、頭に雑念が生じ、その雑念を管理するために、ゴチャゴチャとしたストレスを抱えてしまいます。

執着したままだとストレスは消えないし、幸福感がもたらされないのです。

だから、「ポジティブに諦める」ことが大切なポイントになります。

自分にとって本当に大切な物事というのは、1つや2つだと思います。

それだけを手元に残して、ほかは、諦める、忘れる。

そうやって、執着を手放していくのです。

そして、手元に残った本当に大切な物事だけに意識を集中させます。

すると、生きがいが感じられて、幸福感が高まるのです。

限られた時間を自分が本当に大切なことに集中するため、つねに「執着を手放す」ということを意識しておくことです。

執着の手放し方はいろいろとあるのですが、共通することは、まず「執着を手放すんだ」ということを意識することが大切です。

次に、これまで無意識に考えてしまっていた執着を認識して、それを手放そうと意識すること。

執着していることは、どうしても頭に浮かびがちで、考えないようにすることは、なかなか難しいと思います。

ならば、こう考えてみることです。

たとえばAとBがあって、Aのほうが大事なのであれば、Aのことだけ考えるように意識する。

そうすると、自然とBのほうは考えないようになって、忘れられるようになります。

こういうことの繰り返しで、本当に大切なことを考える時間を増やしてあげるのです。

ふだんの生活から、執着がどんどん追い出されていくようになります。

「執着を手放す」という意識があれば、十分にできることだと思います。

きょうのひとことは、

「心の荷物の手放し方」

でした。

参考になったかしら?

恨み・怒りは「持つだけ無駄」と言える納得の理由 不満をぶちまけるのは「一種の快感」だが…

衣食住には困らず、娯楽もあふれている現代の世の中で、なぜかいつも心が満たされない。まじめに頑張っているのに、なぜかうまくいかない。なんだか疲れるばかりで、前に進めない……。

そう感じているなら、まずは、自分自身を解放するために“ネガティブな感情”を手放すべきだというのは、アップル、グーグルほか名だたる企業のコンサルティングを行うグレッグ・マキューン氏です。「不足思考」から「充足思考」へと変えるべき理由や心のあり方についてお伝えします。

※本稿は『エフォートレス思考』より一部抜粋・再編集してお届けします。

フランス文学でも描写される「不足思考」

 フランスの作家モーパッサンの作品に「紐(ひも)」という短編がある。

 まじめな実業家がひょんなことから、無実の罪を着せられる。道ばたで紐を拾っただけなのに、誰かの財布を盗んだという噂が立ってしまったのだ。なんとか無実を証明しようとしたが、噂はとどまるところを知らず、誰もが彼を泥棒だと信じ込んでしまう。町中の人が彼から距離を置き、村八分の状態になる。

 放っておけば、そのうちみんな忘れたかもしれない。噂が立つのは仕方のないことだし、気にせずいつもどおりに過ごしていれば、人々も普通に接してくれるようになったかもしれない。

 だが、彼はあきらめられなかった。意地でも真実を認めさせようと奮闘し、誰にも聞き入れられないせいで心身を病んでしまった。体はどんどん衰弱するが、彼はどうしても町の人が許せない。

 死ぬ直前まで「紐だ。ただの紐だ」と、うわ言のようにつぶやいていた。

 不運な出来事が起こったとき、それをあきらめて受け流すのは難しい。どうしても不満や怒りが湧いてくる。

 不満を言うのは簡単だ。あまりに簡単なので、多くの人は不平不満を言うのが日常になっている。誰かが待ち合わせに遅れた、隣人がうるさい、急いでいるときに限って駐車スペースが空いていない。

 不満をぶちまけるのは、一種の快感だ。

 ソーシャルメディアを見れば、ありとあらゆる不満が並んでいる。みんなが攻撃的になっている。巻き込まれまいとしても、知らず知らずに影響を受けてしまう。

 他人の愚痴を見るうちに、心が少しずつむしばまれ、世の中の悪いところばかりが目につくようになる。

 不満というものが、脳にどっかりと居座ってしまうのだ。

 不平不満を口にするうちに、あるいは他人の不平不満を見聞きするうちに、どんどん不満が増えてきた経験はないだろうか。

 一方、感謝しようと努めるうちに、感謝すべきことが以前よりたくさん見えてきた経験はないだろうか?

 不平不満は、簡単で価値のないものごとの典型だ。

 不満を言うだけなら誰にでもできる。そして不満に身をまかせるうちに、頭の中に無価値なゴミがたまり、自由に使えるスペースがどんどん減っていく。

一方、感謝に目を向けると…

 不満ではなく、感謝に注意を向ければ、世界の見え方はがらりと変わる。

 「不足思考」(後悔、ねたみ、将来への不安)がいっぺんに消え、「充足思考」(順調だ、恵まれている、将来が楽しみだ)へとシフトする。自分がすでに持っているリソースや資産やスキルを正しく評価し、存分に活用できるようになる。

 この図を見てほしい。

 足りないものに目を向けると、足りないことばかりが増えていく。逆に、すでにあるものに目を向ければ、心はどんどん満ち足りていく。

 感謝は強力な触媒だ。感謝の心は、ネガティブな感情から力を奪う。そして、ポジティブな感情が広がりやすい環境をつくってくれる。

 「拡張─形成理論」という心理学の理論によれば、ポジティブな感情はよい影響をどんどん広げる性質がある。

 ポジティブな気分が高まると、視野が広がり、新たな可能性に目を向けやすくなる。心が開放的になり、創造性が高まり、社会性が増す。

 すると私たちの心身は成長し、知的にも肉体的にもより高いパフォーマンスが出せるようになる。「正のスパイラル」が生まれ、ものごとがうまくいく確率が高まる。

 恩恵を受けるのは自分だけではない。

 感謝の心は他者に向かい、周りの人たちの心を明るくする。心の重荷が軽くなり、新たな可能性が見えてくる。ポジティブなサイクルが、自分をも他人をも成長させるのだ。

 一方、不平不満をため込むと、「負のスパイラル」が生まれる。

 ものごとがうまくいくのではなく、どんどん困難になっていく。ネガティブな気分が高まると、視野が狭まり、新たなアイデアや他者に対して心を開くことができなくなる。心身が縮こまり、使えるリソースがどんどん少なくなる。

 その結果、そもそも不満の原因だった状況を変える力さえなくなってしまう。そしてまた不満が増えていく。

 このように、動きだしたら止まらない現象を、ジム・コリンズは、「弾み車の法則」と呼ぶ。

 「一度回転がつくと、それ以上力を入れなくても、弾み車はどんどん速く回りだす」とコリンズは言う。「2回転、4回転、8回転。弾み車に勢いがつく。16回転、32回転。どんどん動きが速くなる。1000回転、1万回転、10万回転。そして、ブレイクスルーがやってくる。もう止められない速さで、弾み車は勝手に回りつづける」。

 要するに、ポジティブな態度はどんどんポジティブな効果を生む。最初の勢いさえつけてしまえば、成果を出すのはどんどん簡単になり、やがてはエフォートレスになるのだ。

交通事故で家族を失ったある人の話

 クリス・ウィリアムズは、人生の最優先事項を知っていた。家族だ。彼にとって家族とは、何ものにも代えがたい価値のあるものだった。

 ところが2007年のある冬の日、悲劇が起こった。家族を乗せて車を運転していたときに、若者の運転する車が全速力で横から突っ込んできたのだ。ウィリアムズの妻と、お腹にいた赤ちゃんと、9歳の娘と、11歳の息子が亡くなった。

 6歳の息子はかろうじて生き延びた。14歳の息子は、そのとき友人の家にいて事故には遭わなかったが、ショックでふさぎ込んでしまった。

 そんなことがあったら、打ちのめされるのも無理はない。理不尽な出来事への怒りと悲しみに、普通は圧倒されるだろう。事故の加害者への恨みを何十年も抱きつづけたとしても仕方ない。ところが、ウィリアムズはそうしなかった。

 事故の数分後、大破した車の中で、彼の意識は奇妙に明瞭だった。その瞬間、悲劇のど真ん中で、彼は2種類の未来をまざまざと想像した。

 ひとつは、その瞬間に生まれた怒りと苦しみを背負いつづける未来だ。その未来を選べば、一生のあいだ、ネガティブな感情にさいなまれるだろう。苦しみは生き残った息子たちにも伝わり、心に癒えない傷を残すことだろう。

 もうひとつは、そうした重荷から解き放たれた未来だ。生き残った息子たちの心身の傷が治ったとき、彼らに向き合い、そばにいてやれる父親になる未来だ。そこにあるのは後悔や恨みではなく、意味と目的に満ちた人生だ。

 この道を選びとるのは簡単ではない。それでも、選びとる価値のある未来だと思えた。

 その瞬間に、彼は許すことを決意した。

 怒りや苦しみがなかったわけではない。だが、その苦しみに流されて、加害者への恨みを抱えつづけるべきではないと思った。

 エネルギーを過去に向けるのではなく、未来のために、手放すことを選んだのだ。

怒りを持ちつづけることにメリットはない

 人に傷つけられて、怒りを抱えつづけた経験はないだろうか。心の貴重なエネルギーを、恨みや不満に費やしてしまったことはないだろうか。その傷はどれだけの期間つづいただろう。数週間、数カ月、数年、それとも数十年?

 ウィリアムズの話は、別の可能性を示してくれる。

 彼のような悲劇の中でさえ、怒りや恨みを手放すことは可能なのだ。本当に大切なもののために、困難な道を選びとることができるのだ。

 そのために、ちょっと変わった質問をしてみよう。

 「この怒りを、なんの仕事のために雇用したのか?」

 これはハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授の考え方だ。マネジメント論の権威であるクリステンセンによれば、人は商品やサービスをただ購入するのではない。特定のジョブを達成するために「雇用」しているのだ。

 感情についても、同様に考えることができる。

 怒りの感情を雇用する目的は、たとえば満たされないニーズを満たすためだ。すっきりしない気持ちを、怒りが解決してくれるのではないかと期待する。

 ところが、業績を評価してみると、怒りはあまりいい仕事をしていないことに気づく。リソースを食うばかりで、投資に見合った効果が得られないのだ。その場合、怒りを解雇したほうがいい。

 自分が優位に立ちたいために、怒りを雇用することもある。自分が正しく、間違っているのは他人だと思うためだ。他人に責任をなすりつければ、自分はまっとうで強い人間だと感じるかもしれない。

 だがそれは、かりそめの満足感だ。怒りはまるで『ロード・オブ・ザ・リング』の登場人物グリマ(蛇の舌)のように、あたかも忠実な部下のごとく振る舞いながら、主人の座を奪うことを虎視眈々と狙っている。怒りに支配されてしまえば、私たちはずっと他責と自己正当化と自己嫌悪から逃れられない。

 他人の関心を引きたくて、怒りを雇用することもある。自分が不当な目に遭った話をすれば、周りの人は同情し、慰めてくれるだろう。やさしくされるのは気持ちがいいから、私たちは何度も何度もその話をしてしまう。

 だがそうするうちに、聞くほうも疲れてきて、以前のように同情してくれなくなる。あなたは周りの人に失望し、話を聞いてくれる人を求めてさまよう羽目になる。

 自分を守るために、怒りを雇用することもある。自分を傷つけたことのある人に敵意を抱き、距離を置けば、もう傷つけられなくてすむからだ。怒りを持ちつづけることで、心をガードする戦略だ。

 だがこれも、結局はうまくいかない。自分を守っているつもりでも、実際は傷つきやすく、不安だらけになってしまう。人を信じることができなくなり、孤立する。

「雨の日にできる最善のこと」とは

 詩人のヘンリー・ワーズワース・ロングフェローも言っている。

 「雨の日にできる最善のことは、雨を降らせておくことだ」

 自分を傷つけた人に対するネガティブな感情を、手放してみよう。

 相手を自由にするためではない。自分自身を解放するためだ。

 怒りや不満を、感謝と思いやりに変えてみよう。

 それはただの交換ではない。革命的な変化だ。

 これを1つひとつ積み重ねるたびに、私たちは少しずつ、エフォートレスな精神に近づくことができる。

精神科医が教える「誤解する人」の扱い方

人気シリーズ『精神科医Tomyが教える 1秒で悩みが吹き飛ぶ言葉』の著者が、voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」から、とっておきのアドバイス。心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で気分はスッキリ、今日がラクになる!

誤解する人は、何度も誤解する

きょうのひとことは、

「誤解は無理に解かなくていい」

人はいろいろと誤解するものであり、誤解されるものです。

そして、自分が誤解されると、本能的に「それは違う!」と誤解を解きたくなります。

近ごろはSNSやブログの投稿でも、誤解も混じって”炎上騒ぎ”になるケースも増えています。

しかし、そもそも「誤解する人」というのは、物事の読解力が低い人だったりします。

ですから、誤解を解こうと説明したとしても、それもちゃんと伝わらずに誤解される恐れもあります。

さらに、また別件で誤解されたりして、そういうことが繰り返される可能性が高いんですね。

誤解を解こうとすると疲弊するわりに、事態が改善するどころか、逆に悪化することさえあります。

だから、誤解されても、基本的にはそのままでいいんです。

本当に必要のある相手に、「この事実をちゃんと理解してもらわないと困る」というときだけ、誤解を解こうとする。

だいたい誤解した側は、誤解したこと自体に興味を持ってないことが多いです。

興味のないことは、みんな時間とともに忘れていきますから、誤解されたまま放ったらかしにしても、結果的にほとんど支障がないことが多いと思います。

基本的には、誤解させておけばいいのです。

そのために備えておきたい考え方として、「誤解するのも相手の自由」ということです。

そう思っておくと、誤解されても受け流しやすくなると思います。

きょうのひとことは、

「誤解は無理に解かなくていい」

でした。

参考になったかしら?

ゴルフには心の病がつきもの? マシュー・ウルフが暗闇から脱出した方法

女性アスリート長者番付ナンバー1の大坂なおみが打ち明けた心の問題。うつ症状のカミングアウトは世界に衝撃を与えた。ゴルフ界では21年マシュー・ウルフがメンタルヘルス問題を抱えていたことを告白。メンタルのスポーツといわれるゴルフで心の病があってある意味当然だが、ウルフは見えない敵とどう向き合ったのか?


女性アスリート長者番付ナンバー1の大坂なおみが打ち明けた心の問題。うつ症状のカミングアウトは世界に衝撃を与えた。ゴルフ界では21年マシュー・ウルフがメンタルヘルス問題を抱えていたことを告白。メンタルのスポーツといわれるゴルフで心の病があってある意味当然だが、ウルフは見えない敵とどう向き合ったのか?


ウルフは19年の秋、コリン・モリカワやビクター・ホブランらと華やかにプロデビューを飾った。モリカワとホブランは大学を卒業してからのプロ転向だったが2歳年下のウルフはオクラホマ州立大学を2年で中退してプロの世界に飛び込んだ。

すると例がないほどのスタートダッシュでデビュー4戦目にして3M選手権に優勝。20歳の新星はシードを獲れない苦しみや戦う場がない辛さも味わうことなく向こう2年、無条件でツアーに参戦する権利を得たのだ。

比較的小柄で独特の腰をクイッと入れてからテークバックをはじめる変則スウィングながら球を遠くに飛ばすことに長けており、その年のドライビングディスタンスは321ヤードで同部門5位にランクイン。


20年には全米プロや全米オープンのメジャーで優勝争いを演じ勝てなかったものの全米オープンでは3日目首位に立ち大会史上54ホールの最年少リーダーにもなった。絵に描いたような順風満帆な滑り出し。前途には洋々たる未来が広がっているように見えた。

しかし21年に入ると異変が起きる。2月のWGC-ワークデイ選手権で初日11オーバー83を叩いて途中棄権。4月のマスターズではスコア誤記で失格になった。

何かがおかしい。ウルフの身に何かが起きている、と周囲が感じ始めた頃、彼は予告なくツアーを欠場し始めた。彼の不在が5月の全米プロ欠場で公になり一部で騒ぎになったが6月の全米オープンで電撃復帰。大会初日70をマークし11位タイにつけたウルフは2日目さらにスコアを伸ばし3位タイに浮上。決勝ラウンドで伸ばせず結果は15位タイだったが生まれ変わったように躍動するウルフにツアー仲間も目を見張った。

コロナによって自由に人と交流できなくなり孤立感を深めメンタルが不安定に。それがゴルフのパフォーマンスに影響し負のスパイラルに陥って「精神をやられてしまった」とウルフはツアーを休んでいた理由を説明。「成績が悪いと自分を責め、自分の価値をゴルフの良し悪しで測ってしまった。その反省から今はとにかくゴルフを楽しむこと、ハッピーでいることだけを考えている」

同じようにうつに苦しんだ経験があるバッバ・ワトソンは大坂なおみがメンタルヘルスの問題を抱えていると公表したとき、自らサポートを申し出ているが、ウルフにも同様に救いの手を伸ばしている。

ゴルフ界でうつに苦しんでいるのはウルフやワトソンだけではない。21年に2勝を挙げたマックス・ホマも期待に押しつぶされそうになった経験を持つし、うつ病からアルコール依存症になっのクリス・カークのような選手もいる。ゴルフは時に人の心を切り刻む刃(やいば)になる。しかし最近人々(ゴルファー)は少しずつ気づきはじめている。

「大丈夫じゃなくても大丈夫なのだ」ということに。

ウルフは自分を追い詰める前に「成績に関係なくハッピーでいよう。それが一番大切なことだから」と気がつき暗闇から脱出することができた。

メンタルヘルスの問題は人ごとではない。隠さずさらけ出すことで開ける道もある。

マシュー・ウルフ ドライバー正面連続写真 - みんなのゴルフダイジェスト

ウルフは19年の秋、コリン・モリカワやビクター・ホブランらと華やかにプロデビューを飾った。モリカワとホブランは大学を卒業してからのプロ転向だったが2歳年下のウルフはオクラホマ州立大学を2年で中退してプロの世界に飛び込んだ。

すると例がないほどのスタートダッシュでデビュー4戦目にして3M選手権に優勝。20歳の新星はシードを獲れない苦しみや戦う場がない辛さも味わうことなく向こう2年、無条件でツアーに参戦する権利を得たのだ。

比較的小柄で独特の腰をクイッと入れてからテークバックをはじめる変則スウィングながら球を遠くに飛ばすことに長けており、その年のドライビングディスタンスは321ヤードで同部門5位にランクイン。


20年には全米プロや全米オープンのメジャーで優勝争いを演じ勝てなかったものの全米オープンでは3日目首位に立ち大会史上54ホールの最年少リーダーにもなった。絵に描いたような順風満帆な滑り出し。前途には洋々たる未来が広がっているように見えた。

しかし21年に入ると異変が起きる。2月のWGC-ワークデイ選手権で初日11オーバー83を叩いて途中棄権。4月のマスターズではスコア誤記で失格になった。

何かがおかしい。ウルフの身に何かが起きている、と周囲が感じ始めた頃、彼は予告なくツアーを欠場し始めた。彼の不在が5月の全米プロ欠場で公になり一部で騒ぎになったが6月の全米オープンで電撃復帰。大会初日70をマークし11位タイにつけたウルフは2日目さらにスコアを伸ばし3位タイに浮上。決勝ラウンドで伸ばせず結果は15位タイだったが生まれ変わったように躍動するウルフにツアー仲間も目を見張った。

コロナによって自由に人と交流できなくなり孤立感を深めメンタルが不安定に。それがゴルフのパフォーマンスに影響し負のスパイラルに陥って「精神をやられてしまった」とウルフはツアーを休んでいた理由を説明。「成績が悪いと自分を責め、自分の価値をゴルフの良し悪しで測ってしまった。その反省から今はとにかくゴルフを楽しむこと、ハッピーでいることだけを考えている」

同じようにうつに苦しんだ経験があるバッバ・ワトソンは大坂なおみがメンタルヘルスの問題を抱えていると公表したとき、自らサポートを申し出ているが、ウルフにも同様に救いの手を伸ばしている。

ゴルフ界でうつに苦しんでいるのはウルフやワトソンだけではない。21年に2勝を挙げたマックス・ホマも期待に押しつぶされそうになった経験を持つし、うつ病からアルコール依存症になっのクリス・カークのような選手もいる。ゴルフは時に人の心を切り刻む刃(やいば)になる。しかし最近人々(ゴルファー)は少しずつ気づきはじめている。

「大丈夫じゃなくても大丈夫なのだ」ということに。

ウルフは自分を追い詰める前に「成績に関係なくハッピーでいよう。それが一番大切なことだから」と気がつき暗闇から脱出することができた。

メンタルヘルスの問題は人ごとではない。隠さずさらけ出すことで開ける道もある。

マシュー・ウルフ ドライバー正面連続写真 - みんなのゴルフダイジェスト

よくからまれる精神科医が実践「ネットでからんでくる相手」が、みるみる意欲減退する必殺技

秋篠宮家長女の眞子さんの結婚をめぐっては、ネット上の中傷が問題になった。ネットの世界には、ちょっとした意見の相違でからんできたり、非をあげつらって攻撃してくる人がたくさんいるが、それはなぜなのか。自身もネット上で「よくからまれる」という精神科医、井上智介さんが、加害者の心理を解説する――。

「悪者が制裁されているのを見たい」という欲求

私はYahoo!ニュースの公式コメンテーターなのですが、コメントするとよくからまれています。ニュースの内容についてコメントすればいいのに、なぜか私のコメントにコメントしてくる。「井上は頭がおかしいから入院したら?」とか、わざわざ書いてくる人もいます。

ネット上で誰かを中傷したくなる気持ちはだれの中にもあります。というのは、そもそも人間には、「社会的ルールを破った人や、何かずるいことをしている人が、制裁を受けている姿を見たい」という欲求があるから。だからこそ、警察の密着番組やワイドショーの番組などが長く続いているんですね。悪者がつかまっているところを見たい、悪人が成敗されているのを見たい、そういった興味や関心があるのです。

もちろんそれ自体は誰にでもあるものですし、悪いものではありません。ただ問題は、それが行き過ぎて、他者を攻撃してしまうことです。

最初は誰かに対し「なんだかちょっと気に入らないな」と思う程度であっても、ネット上だと、どうやらその人について、自分と同じように気に入らないと思っていた人がたくさんいることがわかってきます。「みんなもそう思っているんだ」と思うと、自分の「気に入らない」という気持ちがどんどん強くなり、「許せない」となってしまう。まさにSNSの効果です。そこから自分も投稿という形で、制裁に加わり攻撃してしまうのです。

「正義感型」と「炎上参加型」

攻撃的な投稿をする人には、「正義感の強い人」と「炎上参加型の人」の2つのタイプの人がいます。くわしく説明しましょう。

まず正義感の強いタイプから。たとえば芸能人の不倫というニュースは多くありますが、もともと自分の生活には全く影響はなく、関係のないことのはず。それなのに正義感の強い人は、その正義感ゆえに「何か制裁を加えたい」という欲求が生まれてしまいます。こういう人の根底には“公正世界仮説”を信じる気持ちが強くあります。

公正世界仮説とは、何かいいことをすれば、いいことが返ってきて、悪いことをすれば罰せられるという考え方。だから正義感の強い人は、悪いことをしている人を見ると罰されて当たりまえと思うようになる。

では、なぜこの考え方が強くなるのか。その背景には、「自分はこれまで頑張ってきてうまくいった」という成功体験の積み重ねがあるのです。それが「頑張ればいいことが起こり、悪いことをしたら罰せられる」という考えに輪をかけていくのです。

こういう正義感をもって攻撃するタイプの人は、一定の高い役職に就いていたり、収入が高かったりと、いわゆる社会的に成功している人が多いという調査データがあります。世間的には、ネット中傷に加担しなさそうに見える人が多いのです。

そういう人が他人を攻撃せずにいられないのは、やはり悪を批判しないと自分を肯定できないからでしょう。社会的に成功しているように見えて、実は周りに自分を認めてくれる人がおらず、孤独感や孤立感を感じているのです。だからこそ、自分の正しさを認めてほしいという欲求が強い。そういう人の「あなたは正しいと認めてほしい」という欲求が強くなると、ネット上で誹謗(ひぼう)中傷に近いことを書いてしまうのです。

攻撃しないと認めてもらえない

一方、炎上参加型の人は、正義感も世直し欲も特にありません。ただ「何か不快なことやいやなことを生み出す人間は、とりあえず攻撃していい」と認識して攻撃してしまうのです。

このタイプの人は、現実社会では、いわゆる社会的弱者が多い。不満があるのにちゃんと言えない、言いたいことがあっても常に我慢しなければいけないと思わされる立場にある。でもネット上なら匿名だから、我慢せずに言いたいことも言えるし、悪いことをしている人に「悪い奴だ!」と攻撃しても、自分が否定されることもない。そこで相手を倒せば、ふだん得られない快感や興奮を得ることができる。ある意味、憂さ晴らしを目的に炎上に参加するわけです。

結局、どちらのタイプも攻撃的な内容を投稿して、“いいね”が押されたり、リツイートされたりすると、「やはり自分は正しいんだ」と承認された気になります。それこそが自分の存在の証明になるので、攻撃しないと誰からも承認されないし、自分の存在もなくなってしまう。だからどんどん投稿がエスカレートしていくわけです。まさに中毒です。

無反応がいちばんの“仕返し”

では、もし自分がネット上で攻撃を受けたら、どう対処したらよいのでしょうか。

絶対にしてはいけないのが、「言い返す」ことです。

相手の攻撃に反応して言い返すと、相手はもっと攻撃したくなってしまう。相手の存在を認めて、相手の承認欲求を満たすことになってしまうからです。言い返すことは、相手の「攻撃したい欲求」を刺激する信号になるので、どんどんエスカレートします。でも相手にしなければ、相手は寂しくなるばかりです。それこそが一番の防御であり攻撃です。

もしネット上でからまれた場合は、先ほどご説明した、正義感タイプ、炎上参加型といった「ネットで攻撃してくる人の人物像」を想像してみてください。そして、「承認欲求が強いんだろうな」と考えながら相手の書き込みを読み直してください。心を落ち着けて、どうすべきか考えやすくなると思います。

こうなると、どちらが正しい、正しくないという問題ではないのです。とにかく何も言わないことです。「君子危うきに近寄らず」です。ブロックやミュートなどSNSの機能を使って、無反応に徹するのがいちばんの対策となります。

とはいえ、今はそれで自殺する人もいる世の中です。「プロバイダ責任制限法」という法律ができて、加害者を取り締まることに国も前向きな姿勢を示していますから、あまりにひどいときは、弁護士など法律の専門家に相談するという選択肢を持っておきましょう。泣き寝入りする必要はありません。

「息を吸って吐くように」ブロックする

私自身は医療界ナンバーワンの「ブロッカー」を自称しています。ツイッターでも、理不尽にからんでくる人に対しては、息をするかのごとくブロックしています。相手にしないようにしています。

もともとSNSでからんでくる人は、一生会うこともない人なので、相手にするだけ損。精神的に疲れるばかりで、いいことは何もありません。

ブロックすること、無視することが相手への何よりの攻撃になります。だから、どんどんブロックしていけばいいのです。

ネットでは、つながりを断つ練習を

とはいえブロックすること自体に抵抗感がある人はすごく多いですね。まったく面識もない相手で、もともと関係などないのに、それでもつながりを切るのには抵抗がある。

人がつながりやすいのはSNSの利点でもありますが、問題点でもあります。ネットの世界では、人と人がつながりやすくなりすぎている面がありますので、心身の健康を保つためには、ある程度つながりを断つ練習が必要です。リアルの人間関係とはまったく違いますから、慣れや練習が必要でしょう。

フェイスブックなどで、まったく知らない人から友達申請やコンタクト申請が来たときなどは、よい練習になります。「何となく悪い気がする」という人もいますが、少しでも違和感を感じたら、迷わず削除/ブロックすればいい。もちろん、自分に攻撃をしかけてくる人などもってのほかです。

心地いい環境は自分でつくる

私たち人間は、大昔から「心地いい環境をつくる」ためにさまざまな工夫をしてきました。それは当然、SNSでも同じです。自分の心地いい環境をつくることは当たり前のこと。合わない人とは、無理に合わせる必要はありません。

現実社会では、どうしても合わない人と合わせないといけない場面もありますから、そのエネルギーはとっておいたほうがいい。SNSでいちいち悩むのはもったいない。

SNSには人とつながりを持てる、個人の力を感じられるという大きな利点があります。家でも職場でもない第三の居場所になる可能性もあります。だからこそ、それを一部の人に乱されるのは本当に残念なこと。いやな人には取り合わず、自分の居心地いい空間づくりを大切にしてほしいと思います。

---------- 井上 智介(いのうえ・ともすけ) 産業医・精神科医 島根大学医学部を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急科・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び、2年間の臨床研修を修了。その後は、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医として毎月約30社を訪問。精神科医・健診医としての経験も活かし、健康障害や労災を未然に防ぐべく活動している。また、精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務 -

メンタルの強い子どもに育てたいなら、今すぐ止めるべき7つの子育て習慣

※本記事は、2020年3月28日に掲載した記事の再掲です。

© 10'000 Hours/Getty Images

メンタルの強さをどうやって手に入れるか、子どもに教えるということは、泣かないようにするとか常に自分を極限まで追い込むよう求めることではない。

それは、責任ある大人になるために必要な社会性と情動のスキルを備えた人間に育てることだ。

精神的な強さを身につけようとする子どもの役に立つ最良の方法の1つは、子どもが自分なりに考え、感じ、パフォーマンスするために必要な精神力を奪うような不健全な育児習慣を止めることだ。

メンタルの強い子どもに育てたいなら今すぐ止めるべき7つの育児習慣を見ていこう。

1. 子どもの感情を抑えようとする


「心配しないで、大したことじゃないよ」といったことを親が子どもに言うと、それは子どもの感情が間違っている、または重要でないというニュアンスを与えることになる。

子どもは、さまざまな感情を抱いて大丈夫なのだと知る必要がある。そして、最良の人生を生きるカギは、感情をコントロールすることであって、感情を抑え込むことではない。

代わりに言うべき、より健全なメッセージの例は「今、怖いと感じているんだね。でも、あなたが自分の恐怖心に立ち向かうのに十分な強さを持っていることもわたしは知ってるよ」だ。

2. 子どもの誤った振る舞いに屈する


子どもがめそめそしたり、駄々をこねていると、ついそれに屈したくなるものだ。時間がない時や余力のない時なら、なおさらだろう。

しかし、子どもの望みを叶えるたびに、あなたは子どもにその誤った振る舞いが自分のニーズを満たす効果的な方法だと教えていることになる。メンタルの強い子どもに育てたいなら、原則は守ろう。そして、子どもには自分の感情をコントロールするより健全な方法を学ばせよう。

3. 子どもを甘やかし過ぎない


子どものためにお金をかけるのは、微笑ましいことだとあなたは思っているかもしれない。もしくは、自分が子どもの頃、手に入らなかったあらゆるものを子どもに与えられることに、あなたは気分を良くしているかもしれない。

だが、子どもにとって、甘やかし過ぎがいかに不健全かを示す研究は数多くある。欲しいものを常に何でも手に入れていると、子どもは自制心といった重要なライフスキルを学ぶ機会を逃すことになる。

より物質主義に育つ可能性もある。これは大人になった時の幸福度の低下につながる。

子どもに与えるものには限度を設けよう。子どもには、がっかりする経験をさせよう。そして、自分が求めるもののために努力することを教えよう。

4. 子どもに完璧を求める


大きな期待をかけることは子どもにとって良いことだが、高すぎるハードルは裏目に出る。スポーツや勉強でとてつもない期待をかけ過ぎると、自分が成功できると思えない子どもは、挑戦することを止めてしまうだろう。

自己肯定感という意味でも、自分はダメだと感じ、苦労しやすい。

子どもが大きな目標を目指せるよう、支援しよう。だが、その目標は現実的なものでなければならない。そして、ミスや失敗、挫折を通して、重要なライフスキルを教えよう。

5. 子どもに親と同じ意思決定の力を与える


今から2~30年前までは、大半の親が「子どもは見られるべきだが、聞かれるべきでない」の姿勢を貫いていた。つまり、従順であることが重視されていた。

その後、子どもの意見を親が大事にしていると示すことが重要だと分かってきたが、その一方で、やり過ぎる親も出てきて、家庭内の序列があいまいになった。

多くの子どもたちに、引っ越しをするかどうか、親が転職をすべきかどうかといった家庭内の重要な問題について、親と平等の意思決定の力が与えられるようになった。

子どもの意見を大事にしていると示すのは健全なことだが、親がリーダーであることを明確にするのも重要だ。

そうでないと、子どもは不安を感じながら成長することになる —— 子どもたちは責任など負いたくないのだ。親は、自分が良きリーダー…… みんなの意見を聞くリーダーであるための知識とスキルを持っていることを示し、最終的には分別と専門知識に基づいて決定を下そう。

6. 自然の成り行きを邪魔する


子どもが失敗するのを見るのは辛い。だが、子どもとその行動の自然の成り行きの間に立つことは子どもに害をなす。

子どもが持っていくのを忘れたスポーツ用品を何度も何度も届けたり、子どもに宿題をやるよう口酸っぱく言って失敗させないようにするのは、価値ある教訓を学ぶ機会を子どもから奪うことになる。

時に、メンタルの強い子どもに育てるために親ができる最良のことは、立ち入らないことだ。子どもに自分の精神力を発揮するチャンスを、そしてうまくいかなかった時の後処理に向き合うチャンスを与えよう。

7. 子どものネガティブなひとりごとに反論する


算数のテストで赤点を取ったり、スポーツの選抜チームに入れなくても大丈夫だと子どもを安心させることは、間違いではない。

だが、自分のネガティブなひとりごとに反論するのに、子どもを親に依存させたくはないだろうし、常に「●●ちゃん、あなたは大丈夫よ」と言うことは、より健全な"心の中のひとりごと"を育てる助けにはならない。

子どもにとって、自分の力で自己不信にどう対応するか学ぶことは重要だ。そして、自分の頭に浮かんだ全てのことを信じる必要はないと学ぶことが必要だ。

子どもがネガティブな考えにとらわれ過ぎている時は、「正反対の主張」をしてみるよう教えよう。「バスケットボールのチームの中で、ぼくは最悪のプレーヤーになる」と子どもが考えているなら、「自分が最悪のプレーヤーにならないかもしれない証拠は? 」と聞いてみよう。証拠を集めることで、より現実的な、バランスの取れた見通しを立てる助けになるだろう。

※エイミー・モーリン氏は、心理療法士で世界的なベストセラー『メンタルが強い人がやめた13の習慣』や『メンタルが強い親がやめた13の習慣』の著者。モーリン氏の著書は37か国語に翻訳されている。ノースイースタン大学の講師でもある。

[原文:7 things you shouldn't do if you want to raise mentally strong kids]

(翻訳、編集:山口佳美)

メンタルの弱さをカバーする「技術」

2020年、新型コロナウィルスの感染拡大によって、世界中の経済が打撃を受けた。

特に、飲食、宿泊、旅行、運輸、興行、レジャーなどの分野はその影響をもろに受けた。

スキューバダイビングやラフティングなどのアウトドアレジャーや、遊園地や動物園、水族館などのレジャー施設への予約をネット上で取り扱う会社・アソビューもその一つである。

アソビューは当時創業9年目、社員130名のベンチャー企業。日の出の勢いで成長している会社でもあった。37歳だったCEO山野智久氏は、未曾有の危機に追い込まれ、悩み、苦しんだ。

「会社をなくしたくはない、しかし、社員をクビにするのはいやだ」

売上は日に日に激減し、ついにはほとんどゼロになった。

さて、どうする? 山野氏が繰り出した「秘策」を、『弱者の戦術 会社存亡の危機を乗り越えるために組織のリーダーは何をしたか』(ダイヤモンド社)から引用し、紹介する。

ランニング、Netflix、料理

僕は幼少期から決してメンタルが強いほうではないと自己認識しています。自信満々に見える、態度がでかいなどとよく言われますが、実は周囲の反応を気にする「気にしぃ」で結構傷つきやすい、見た目の印象とは違う面倒な男です。豪胆な経営者が持ち合わせているような図太い神経もない。

だからその分、技術でメンタルをカバーしてきました。

そんな僕ですから、コロナ禍で「メンタルが折れるかもしれない」と思った瞬間、対応策をひねり出しました。

その答えは「何も考えない時間を作る」です。

なぜメンタルがやられてしまうのかと言えば、懸念事項が四六時中頭を支配し続けるからです。ずっと“そのこと”について考えてしまうから、心が疲労して折れてしまう。実際、窮地に陥った当時の僕は「このまま経営悪化について考え続けていたら、いずれ鬱状態になる」と予感しました。

これはフィジカル(肉体)も同じですよね。激しい運動で筋肉を酷使し続けると、ヘトヘトになって思い通りに動かせなくなり、それでも続けるとやがて大怪我をします。筋肉の疲労を回復させるには、筋肉を休ませるしかありません。

ですからメンタルも、回復させるには休ませるしかない。つまり、“そのこと”について考えない時間をできるだけ多く作ればいい。

とはいえ、酷使するのをやめればいい筋肉と違い、「考えないようにしよう」と決意したところで、悪い考えはどうしても頭をもたげてしまいます。

そこで僕のとった方法が、ランニング、Netflix、料理でした。

「考えない時間」を確保

ランニングといっても、ゆっくり走っていてはむしろ色々なことを考えてしまいます。

なので、思考を巡らす余裕がなくなるように全力で走りました。代々木公園の周辺を毎日10キロ。同じ道をアスリートのように走り込みました。

大切なのは完全に同じコースを走ること。コースを変えると「ここはどんな道だろう」という思考が生まれ、脳が起動してしまうのでよくありません。ただただ同じ道を無心で走る。淡々と、ルーティンで、限界まで速く走る。

当然ながらしんどいのですが、その時間だけは会社の窮状に思いを馳せなくて済みます。

フィジカルは酷使されますが、その代わりにメンタルに一時の休息を与えられました。

次がNetflixです。鬱々としていた時期、僕は『梨泰院クラス』と『愛の不時着』をずっと観ていました。いずれも韓国のドラマ、全16話。日本では2作とも2020年から配信が始まり話題になったのでご存じの方も多いでしょう。あの時期、この2作に救われました。

なぜ救われたのか? 両作とも現実離れしたストーリーで、小難しい伏線などを考える必要もなく、ただひたすら現実逃避に集中できたからです。

『梨泰院クラス』は主人公が壮大な復讐のために飲食店を起業し、そこから成り上がっていく話。同じ経営者として既視感があったことが興味を持ったきっかけではありますが、とにかくジェットコースターのように激しい展開が魅力でした。大胆なストーリーにかじりついて陶酔できました。

『愛の不時着』は、パラグライダーで北朝鮮に落下してしまった韓国の財閥令嬢が北朝鮮の軍人に救助されるラブストーリー。こちらも竜巻に遭って墜落するとか、初期設定からして現実離れしていて、逃避するにはうってつけの内容です。この2本を観ている間、僕は物語のこと以外に何も考えないで済みました。

ありがとう、Netflix。

そして3つめ、集中することで頭を無にできる手段として、料理は最高でした。

コロナ禍で外食ができないこともあり、僕はこの期間中にスパイスから作るカレーと麻婆豆腐をたくさん作りました。大量のスパイスを買い込み、キッチンで酒を飲みながら、無心でひたすら調合し煮込むのです。ただひたすらかき回し、優しく煮込み倒す!

ことさらカレーと麻婆豆腐にこだわりがあったわけではありません。ただもう無になる時間が欲しかっただけ。集中瞑想のような禅の世界と似ていたのかもしれません。一定の作業プロセスがあり、無心になれるものであれば何でも良かった。

長時間煮込み続けていると気持ちが平和になり、やがて余計なことを考えなくなります。

そこにアルコールが入るとフワッとしてきて楽な気持ちになる。

そんな方法で、折れそうな心を守ることができました。

山野智久(やまの・ともひさ)

1983年、千葉県生まれ。明治大学法学部在学中にフリーペーパーを創刊。卒業後、株式会社リクルート入社。2011年アソビュー株式会社創業。レジャー×DXをテーマに、遊びの予約サイト「アソビュー!」、アウトドア予約サイト「そとあそび」、体験をプレゼントする「アソビュー! ギフト」などWEBサービスを運営。観光庁アドバイザリーボードなど中央省庁・自治体の各種委員を歴任。アソビューは期待のベンチャー企業として順調に成長していたが、2020年にコロナ禍で一時売上がほぼゼロに。しかしその窮地から「一人も社員をクビにしない」で見事にV字回復を果たしたことが話題になり、NHK「逆転人生」に出演。著書に『弱者の戦術 会社存亡の危機を乗り越えるために組織のリーダーは何をしたか』(ダイヤモンド社)がある。

「すぐサボろうとする人」と「ずっと努力できる人」の根本的な違い

リモートワーク、残業規制、パワハラ、多様性…リーダーの悩みは尽きない。多くのマネジャーが「従来のリーダーシップでは、もうやっていけない…」と実感しているのではないだろうか。

そんな新時代のリーダーたちに向けて、認知科学の知見をベースに「“無理なく”人を動かす方法」を語ったのが、最注目のリーダー本『チームが自然に生まれ変わる』だ。

部下を厳しく「管理」することなく、それでも「圧倒的な成果」を上げ続けるには、どんな「発想転換」がリーダーに求められているのだろうか? 同書の内容を一部再構成してお届けする。

チームの「平熱」を変えるには?

 世の中には「なるべく意識して○○するようにしましょう」とか「もっと○○するように気をつけましょう」といった「隠れ根性論」のメッセージが溢れている。

 表現こそマイルドではあるが、これらがやっているのは「心理的ホメオスタシス(恒常性)」という本能の否定だ。

 こういう助言を真に受けて、自分のホメオスタシスとがむしゃらに戦い続けていると、心のほうが壊れてしまいかねない。

 強調しすぎても強調しすぎることはないが、どんなにがんばっても人はホメオスタシスには勝てない。

 いくら戦っても、負け戦になるのは最初から目に見えている。

 心理的ホメオスタシスを、個人の「意思」とか、外部からの「フィードバック」とかでどうにかしようとしない──それこそが心理的ホメオスタシスを克服するうえでの第一歩である。

 つまり、その作用の裏をかくような、ある種の工夫が必要なのだ。

 チームのパフォーマンスが上がらないときに、目標数値に対する進捗レポートを毎日提出するよう、メンバーたちに義務づけたとしよう。

 進捗レポートが順調であれば上司から褒められるし、そうでなければ叱責や評価下落が待っている以上、各メンバーはしっかりと結果を出そうとする。

 そのため、こうした外側からの働きかけは、短期的には効果を発揮するだろう。

 しかし、各メンバーやチームのコンフォートゾーンは、もっと低いところにある。

 マネジャーが目を光らせているうちは、義務づけられたアクションを取ろうとするが、そうしたプレッシャーがなくなると、「元に戻ろうとする力」が一気に働く。

「リモートワークになった途端にパフォーマンスが落ちた」というチームのメンバーたちは、決して悪意があってサボっているわけではない。

 外因的な刺激がなくなったことで、元どおりのコンフォートゾーンに立ち返ったにすぎないのだ。

 ここからもわかるとおり、外因的なリーダーシップは、心理的ホメオスタシスを克服するうえでもうまく機能しない。

 ではいったい、どうすればいいのか? 結論を先に言おう。

 そのためにはホメオスタシスの「基準点」となるコンフォートゾーンそのものを動かしてしまうしかない。

 つまり、「現状」とは異なる世界に臨場感の軸をずらし、脳が本能的に引き返そうとする基準点を変えてしまうのだ。

 生理学的なホメオスタシスで言えば、これは「平熱」を変えることに等しい。

 いつも平熱36.5度を保っていた人が、いきなり宇宙人に身体を改造され、平熱55.5度のサイボーグに変身したとしよう。

 どれだけ高温のサウナで過ごそうとも、どれだけ極寒地を歩こうとも、しばらくすれば体温は55.5度に戻ろうとする。

 その新しい身体が生存していくうえでは、「体温55.5度」こそが最も自然で心地よい状態だからだ。

 もちろん、これは単なるSF的な思考実験であり、現実にはまずあり得ない。

 だが、心理的なホメオスタシスについて言うならば、こうした「平熱」の書き換えは可能だ。

 それこそが「内部モデルの変革」である。

 世界の認知の仕方が変われば、当然ながら、心理的ホメオスタシスが参照する基準点も変わる。

 その人の脳にとって自然で心地よい場所が「現状とは別のリアリティ」に移ってしまえば、「これまでの現状」のほうがかえって居心地の悪い、どちらかというと不快なものに感じられるようになるはずだ。

 無意識は「これまでの現状」から抜け出し、より臨場感のある「新しいコンフォートゾーン」に戻ろうともがくため、おのずと行動が生み出される。

 誰かに命令されたからとか、金銭的な報酬がほしいから動くわけではない。

 内因的な原理によって「自発的にやるべきことをやる状態」が実現するのだ。

他人からマイナスの言葉を吐かれたときに、すぐやると効果的なあることとは

他人とうまくコミュニケーションできないことからくる孤独感や閉塞感、自己肯定感の欠如、SNSによる誹謗中傷やバッシングなど、私たちは、いま多くの生きづらさを感じさせる事柄に取り囲まれています。そんな中にあって、毎日を心安らかに、できるだけ快適に生きていくためには、どうすればいいのでしょうか? 発達障害(ADHD)、うつ病など、生きづらさを抱えながらも精神科医として活躍するバク先生は、ツイッターでのつぶやきが共感・絶賛され、今、人気急上昇中。そんなバク先生の初の著書『発達障害、うつサバイバーのバク@精神科医が明かす生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』(ダイヤモンド社)が発売されました。同書の中には、生きづらさを解消するための実践的なヒントが詰め込まれています。本連載では、同書の発刊を記念してそのエッセンスをお届けします。心がスーッと軽くなる珠玉のアドバイスにお付き合いください。好評のバックナンバーはこちらからどうぞ。

もしも他人からひどい言葉を言われたとき、どうする?

 他人からいやなことなどを言われたときに、さらりと受け流すのに有効なテクニックが「一人脳内会議」という方法です。

 たとえば他人から、次のような心ないひどい言葉を言われたとしましょう。

「使えないヤツだな」とか、「これだからあなたはダメね……」とか。

 もしもこんなことを言われたら激しいショックを受けるし、メラメラと怒りも覚えるでしょう。

 そんなときは、自分の頭の中で少しだけ「脳内会議」を開きましょう。議題は「この発言をどこまで鵜呑みにする必要があるか?」です。

「一人脳内会議」をやって、さっと頭を切り替えよう!

 脳内会議ですから、頭の中でいろんな自分に発言させて、いろいろな議論を交わしてみます。たとえば、こんな具合です。以下では、4人の人格で脳内会議をします。

 私A「使えないヤツ、という発言は間違っていると思います! だって、ふだんはきちんと成果を出しているし、この前は褒められる機会もあったはずです!」

 私B「でも、それなら上司は、なぜあんなことを言ったんだろう?」

 私C「いつも短気な人だからさ、カッとしてつい、パワハラ発言が出たんじゃないの。いつもだって、他の人に結構言ってるじゃん。自分だけ言われてるわけじゃないよ…」

 私D「そんなことより、今日のランチ何を食べます?」

 私B「なるほど。では、先ほどの発言は、丸ごと鵜呑みにする必要はない、ということで結論を出してよろしいですか?」

 私A「いいと思う!」

 私C「でも、怒られた理由と思われる点はチェックして、次からしないようにしよう。怒られないに越したことはないからね」

 たとえば、こんな具合です。

 いやなことを言われた瞬間にやることですから、ここまで細かくできるかどうかはわかりません。ただ、「そんな言葉を真に受けて気にする必要はない」ということで、自分の中で納得できたら、それでよしとしましょう。

 あとは気にせず、できるだけ意識をせずに、ふだん通りのことをしていればいいのです。

 意識すればするほど、相手が近くにいるだけで似たようなミスをしてしまいかねませんし、ストレスもかかります。

 萎縮した状態で「これをやったら終わりだ」と思いながらやっていると、再度同じミスをしやすくなるので、早急に頭を切り替えたほうがいいです。

POINT:

 「一人脳内会議」で頭を切り替えましょう。

「職場の人間関係に疲れる人には、共通点があった!」精神科医が教えるコツとは?

コロナ禍や自粛生活などの「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じている。ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまう。


そんな中、このコロナ禍に22万部を突破したベストセラー『ストレスフリー超大全』では、著者の精神科医・樺沢紫苑氏は、ストレスフリーに生きる方法を「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」で紹介している。「アドバイスを聞いてラクになった!」「今すべきことがわかった!」と、YouTubeでも大反響を集める樺沢氏。そのストレスフリーの本質に迫る。

「本音」は親しい人だけにしよう

 本音は言ったほうがいいのか、それとも本音を言わずに我慢したほうがいいのか。それについての考え方を紹介しましょう。

 本音とは、その人の「本心」です。本心は口に出さない限り、自分以外は誰も知り得ない内容です。ですから、「本音を話す」というのは、「最も深い自己開示をする」ということに相当します。

 関係性の浅い人に本音を話しても、否定されたり、拒絶されたりするのは当然です。それは、信頼関係のステップを飛ばしているからです。関係性の浅い人は、「あなたの本音なんか聞きたくない」というのが相手側の本音です

「思い切って本音を言ったら、険悪な雰囲気になった」「本音を言ったら、受け止めてもらえず傷ついた」という人は、そもそも本音を打ち明ける相手やタイミングを間違っています。

対人関係の三重円とは?

「対人関係療法」において、「対人関係の三重円」という考え方があります。

 3つの円を的のように描きます。

 円の一番内側は、「重要な他者」です。家族や恋人、親友など、あなたにとってかけがえのない存在の人です。

 二番目の円は、友人や親戚など、日常生活で大切な人たちが入ります。

 さらにその外側の三番目の円に、職業上の人間関係が入ります。

 多くの人は、最も外側の人とも親密な人間関係を築こうとしてしまい、多くの精神的エネルギーを浪費し、精神的に疲れ果ててしまいます。ときにはうつ病に陥ることもあるでしょう。

 三番目の人間関係は、ボチボチでよいのです。あなたの「本音」「本心」をわざわざ話す必要などありません。本音を話すことで、逆に誤解をされたり、傷ついたり、傷つけたりする問題が生じてしまうのです。

職場での本音は「迷惑」である

 あなたは、職場のAさん(たまに雑談する程度の関係)から、「ちょっと相談がある」と呼び出されたとしましょう。

 Aさんは、「母親が認知症になり、その介護でものすごくたいへんな話」を、あなたに2時間も延々と話し続けました。あなたは、どう思いますか。

「私に相談してくれて本当に嬉しい」と思いますか。絶対に思わないでしょう。「なんで、そんなに親しくもないAさんの重たい話を2時間も聞かなきゃいけないのだろう……」と思うはずです。

 親しくもない人に、本音で相談されても相手は「迷惑」です。「聞きたくもないあなたの本音」を聞かされる相手の気持ちも考えるべきです。

「親密度」がズレた相手に本音を話すべきではありません。

「対人関係の三重円」に照らし合わせて、それに応じた話題を選ぶようにしましょう。中心にいる「真に親しい人」「重要な他者」にのみ、本音を打ち明けるべきなのです。

 職場の人間関係に疲れる人は、一番目の「重要な他者」と三番目の「職場の人間関係」を混同しているのです。だから、疲れ果てる。もっとドライに付き合うようにしてみましょう。

樺沢紫苑(かばさわ・しおん)

精神科医、作家

1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動している。

コロナ禍に22万部のベストセラーとなった著書『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)のほか、シリーズ80万部の大ベストセラーとなった著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』『学び効率が最大化するインプット大全』(サンクチュアリ出版)など30冊以上の著書がある。

メンタル整える「3つの習慣」でバーンアウト予防 順天堂大の小林弘幸教授に聞く

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、心身共に疲れ果ててバーンアウト(燃え尽き症候群)やうつ状態に陥るビジネスパーソンが増えている。メンタル面の不調は、がんなどの大病につながる懸念もある。自律神経研究の第一人者である小林弘幸・順天堂大学医学部教授に、コロナ禍のストレス状況やその対処法について聞いた。

■不調に気付かず放置してはダメ

「最近、病院内にコロナ後遺症外来が設けられたが、予約が殺到した。コロナでメンタル的に病んでいる人の多さを改めて痛感した」。小林教授はこう明かす。順天堂大学医学部付属順天堂医院は10月、総合診療科内にコロナ後遺症で苦しむ患者向けの漢方外来を開設したが、たちまち100人以上の予約で埋まったという。

9月末以降、全国のコロナの感染者数は小康状態になり、大学病院も落ち着きを取り戻している。しかしコロナ後遺症の影響は、いまだに大きい。さらに小林教授によると、感染者以外の多くの人にもメンタル面の負の影響が出始めているという。

「コロナ禍で不安な状態が、もう2年近くも続いている。不調を感じていない人の方が少数派でしょう。自分は大丈夫だと心が乱れないようにしようと思っても、それは無理。それよりも、どうやってカラダを整えるか。よく心技体と言うが、『体技心』を心がけた方がいいですね」と話す。

コロナ禍の中、倦怠(けんたい)感やめまい、頭痛、食欲不振、下痢・便秘など、いわゆる自律神経失調症の症状がある人は少なくない。小林教授は「一番怖いのは自分が不調だと気づかず、放置することです」と指摘する。

よく眠れない、カラダがだるいなど、体調は良くないが大した症状でもないという状態と放置しておくと「次第に慢性化して、様々な大病の引き金になる恐れがある」という。軽い症状からバーンアウトやうつ状態に陥り、深刻な疾病につながる懸念がある。では、どう対処すればいいのか。そして予防法はあるのか。小林教授に、メンタルを整える上で基本となる3つの習慣を教えてもらった。

■朝食・軽い運動・1:2の呼吸法

まずは「必ず朝食」だ。「当たり前のようだが、毎朝きちんと食事をとることが一番大切。朝、目が覚めて、太陽の光をしっかり浴び、朝食をとることで体内時計は動き始めるからです」と説明する。日本人は4人に1人が朝食をとらないといわれるが、「それでは体内時計のスイッチが入らず、カラダの機能がうまく働かない」という。

次に「軽い運動」。朝はウオーキングやスクワットなど、20分程度でいいのでカラダを軽く動かすことが重要だという。コロナ前は、都市圏では公共交通機関による通勤が主流だった。駅の階段を上り下りしたり、満員電車内で立って通勤したりするなどして、自然と運動をしていたわけだ。

しかし在宅勤務で通勤がなくなり、いつの間にか朝の軽い運動がなおざりになってしまったビジネスパーソンもいるだろう。小林教授は「ポイントは体内の血の巡りをよくすること。カラダを動かして血流を活発化しないと、カラダには良くありません」と強調する。

最後は「1:2の呼吸法」だ。自律神経をコントロールしているのが呼吸。大半の人は無意識に呼吸をしているわけだが、「呼吸には1:2の法則がある。鼻から3秒間吸って6秒で口から吐く、この呼吸のリズムがとてもいい」。そして、実はため息が非常に有効だ。「人はガクッと疲れたりしたときはため息をつくが、これは無意識のうちに呼吸のリカバリーショットをしてカラダを整えているのです」と解説する。

仕事も家事も、無理が効かない50代。気持ちがスッと軽くなる考え方

『うまいこと老いる生き方』(すばる舎)という本が今、話題になっています。著者は、92歳の精神科医・中村恒子さんと、54歳の精神科医・奥田弘美さん。同書には、老いを意識し始める50代の女性に響く言葉がつまっています。今回は、奥田さんに仕事で悩む同年代の女性に向けて、心強いアドバイスをいただきました。

思うように仕事ができなくなる50代。気持ちを軽くするヒント

奥田さんは、精神科医として一般診療を行うほか、産業医としてビジネスパーソンの心身のケアも行っています。50代の働く女性が抱えがちな悩みとは、一体どういったものなのでしょうか? 気持ちを軽くするヒントとあわせて教えてもらいました。

●50代は「思うように仕事ができなくなるお年頃」だと受け入れる

「50代の女性は、ただでさえ体力が落ち、無理がきかなくなります。そこに、更年期がらみの体調不良や精神不安、さらには職場のストレスまで加わると、仕事をする女性とっては“トリプルパンチ”で不調がのしかかってくることに。

一般的に更年期症状とは45歳から55歳頃までに現れ、動悸、めまい、発汗、耳鳴り、イライラ、不眠など多彩な心身の不調が発生します。人間関係で悩んだり、仕事の量や質がその人のキャパを超えたりした結果、体調やメンタルに不調を感じるようになった、なんてことも。

『若い頃は新しい知識や技術をどんどん吸収できたのに、50代なるとそこまでの意欲も体力もわいてこない』という声もよく聞きます」(奥田さん・以下同)

つまり、以前と比べて思うように仕事ができなくなったとしても、それは自分のせいではなく、50代特有の生理現象が原因ということも。こう考えるだけで、気持ちは若干ラクになるかもしれません。

その上で、心身に不調をきたしているならば、適切な治療を受けることを奥田さんはすすめています。

「更年期の身体症状が見受けられる方は婦人科を、イライラや落ち込みが続くときは、場合によっては心療内科の受診もすすめています。

同時に、体調不良も出ている場合、それはもうがんばれないというサイン。回復するまでは、仕事でも家事でもできるだけ負荷を減らしていき、体と心を休める時間をつくっていただくようにアドバイスしています」

●「仕事はお金を稼ぐため」と割り切る

とはいえ、なかには負荷を減らすことに対して、どうしても抵抗を感じる人もいるでしょう。そんな人は、次のように発想の転換を。

「自営業やアーティストなどと違い、会社員のように雇われてお給料をもらうタイプの仕事をしている方は、自己実現や自分のキャリアのことばかりを考えてしまうと、つらくなってしまいます。

ここはひとつ、『仕事は食べていくためのもの』だと割り切りましょう。自分の体調が追いつかず、理想とするキャリアが目指せなくなったら、それはもう仕方ない。多少仕事のグレードが下がったとしても、食べていくための手段と考えれば、少しは気持ちがラクになるかもしれません」

今は休んでもいい時期なんだと現状を受け入れつつ、仕事は食べていくためのものと割り切って淡々とこなす。その分、プライベートをゆとりをもって楽しむなどして心身のリラックスを増やす。こうするだけで、心身が回復傾向になった人を多く見てきた、と奥田さんは話します。

●それでも仕事に納得がいかないなら転職活動を

一方、やる気もあるし体力も衰えていないのに、なぜか部下の方が役職につき、自分がそのサポートに回らせられたら…。仕事にやりがいを感じていた人ほど落ち込むかもしれません。

「特別に秀でたスキルを持っているといった一部の方を除いて、50代ともなれば“シニア社員”として、若い人のサポート役を頼まれるケースも珍しくありません。会社は、より若い人に投資をしたがりますから。

それに納得がいかないなら、自分のスキルを理想的に活用してくれる会社を求めて、転職先を探してみても良いでしょう。ただし本決定するまでは、現職は手放さないようにしてくださいね。もし理想の職場が見つからなければ、残りの約10年間、老後の“セカンドライフ”に向けて淡々とお金を稼いでいこう、と考えるのはどうでしょうか」

●周りから重宝される人間になる

とはいえ、割り切るあまり、投げやりになってしまうと、会社で重宝されず、居心地よく働くことができない…なんてことも。

「共著者の中村先生は80代まで現役の勤務医でしたが、『周りに長く重宝してもらいたいなら、自分は脇に退いて、中心になって働く30代、40代の仕事をサポートする』という態度を常に徹底されていました。具体的には、職場で頼まれれば、『こんな雑務を頼んでくるなんて!』などとガッカリせず、できるだけハイハイと言って快く引き受けるなど。

そして、50代からの武器は、なんといっても人生経験の豊富さ。第一線で戦う若い人が落ち込んだり、迷ったりしたときには話を聞いてあげて、彼らのがんばりを受け止めてあげる。求められることがあれば、おせっかいにならない程度にアドバイスをする。中村先生のように若手をサポートする立ち位置にシフトしていくと、シニア世代になっても職場や地域社会にうまく溶け込むことができてハッピーに過ごせると思います」

●10年先も楽しめるように、自分らしい生き方を模索する

さらに、奥田先生は、10年先を見据えて今から心穏やかに過ごすことをすすめます。

「古代インドの思想では、50代は『林住期』(りんじゅうき)といいます。人生を幾つかの時期に分けると、25歳から50歳くらいまでは社会の中心になってバリバリ働き、家庭では大黒柱となる家住期。そして50歳くらいからは、その役目を終えて徐々に世俗から離れて自分の人生に向き合い、自分らしい生き方を追求していく林住期に入ります。

日本の場合は、定年となる60歳くらいが林住期かもしれませんね。ただ、50代ともなれば多くの人が、働く先の人生も徐々に見えてくるはず。『本当の自分らしい生き方をする林住期の準備をしよう』と視点を変えていくと、ポジティブに過ごせるのではないでしょうか」

自分のこれからの生き方を考える時期でもある50代。職場の第一線で働く時期を過ぎたとしても、考え方次第で楽しく生きていけるのではないでしょうか。

真面目な人ほど心をすり減らす…「職場で心を病む人」に共通する"ある思考法"

職場でメンタル不調になりやすい人にはどんな特徴があるのか。心療内科医の鈴木裕介さんは「完璧を目指す人ほど自分をギリギリまで追い詰めてしまう。自分のポンコツさを認め、他人との競争から距離を置いたほうがいい」という――。

※本稿は、鈴木裕介『我慢して生きるほど人生は長くない』(アスコム)の一部を再編集したものです。

「本当の生きやすさ」は競争や実力とは無関係

私たちは生まれたときから、常に競争にさらされ、他者から評価されています。

家庭では、兄弟と出来の良さを比べられ、学校では、同級生と勉強やスポーツの成績を競い合い、少しでもいい学校や会社に入るため、試験でほかの受験生と競い合い、会社に入れば出世競争や上司からの評価が待っています。

特に最近は、「実力主義」を謳う企業も少なくありません。

実力主義と聞くと、一見平等な気もしますが、それは「たえず競争し続けなければならない」ということでもあります。

常に競争と評価にさらされているうちに、人の心の中には自然と「競争に勝たなければダメ」「トップでなければ価値がない」といった価値観が植えつけられます。

競争に勝ち、高い評価が得られたときには、自尊心や承認欲求、名誉欲が満たされますが、世の中には必ず「上には上がいる」し、心身の状態だって、いいときばかりとは限りません。

どんな超一流選手でも、永遠に勝ち続けることはできませんし、どれほど強く見える人でも、人生のどこかで必ず「弱者」になります。

そして、競争に負け、評価が下がると、「自分はダメな人間だ」「自分には価値がない」などと思うようになります。

「完璧」を目指す人ほど自分を追い詰める

実際には、競争に負けようが他人からの評価が低かろうが、その人が存在することそのものの価値とはまったく関係がありませんが、つい混同してしまうのです。

こうした話をすると、「他人は好き勝手言うものだ」「他人の評価なんか気にせず、自分の評価は自分で下せばいい」と思う人がいるかもしれませんが、自分自身に対する評価の基準が高すぎたら、やはり同じことです。

特に、周りの大人たちから「出来のいい」兄弟と比べられたり、不当に低く評価されたりしてきた人、あるいは常に完璧であること、優秀であることを求められてきた人は、ありのままの自分、頑張っていない自分を肯定することができず、ギリギリまで自分を追いつめてしまうことが非常に多いのです。

競争に勝って得られる幸福感・安心感は「一過性」

自己肯定感というのは、「完璧でなくても優秀でなくても競争に負けても、自分はこれでいい」「自分は自分であって大丈夫」という感覚のことです。

自己肯定感が持てない人は、とても優しかったり、頑張り屋だったり、賢かったり、仕事ができたり、優れたところがたくさんあるにもかかわらず、周りからの評価も高いのに、「自分なんて」が口癖だったりします。

ほかの人からすると「もう十分じゃない?」「それ以上、何を求めるの?」と思ってしまいますが、本人は至って真面目。

そして、自分で自分のことを「OK」と思うことができない分、「優秀である」「成績がよい」といった評価を得て、他人から「OK」と言ってもらうことで、「自分に価値がある」ことを証明しようとするため、勉強や仕事にものすごくのめり込みやすいのです。

それこそ、狂乱的なまでの努力をします。

ところが、そんな人は、どれほどいい学校や会社に入り、重要なポストに抜擢され、成果を上げても、「嬉しい」「認められた」と喜ぶより、「なんとかノルマを達成できてほっとした」と思っていたりします。

喜びよりも、安心。それも、束の間の安心にすぎず、すぐに「次はうまくやれるだろうか」「もっと優秀な人が現れて、自分の存在価値がなくなるんじゃないだろうか」といった不安にさいなまれてしまうのです。

競争の世界の中で、評価のプレッシャーに常にさらされている間は、いつまでたっても「これでいいや」と思えないのです。

「競争」との関わり方を見直そう

ちなみに、お金や名誉、肩書き、家や車などの所有物のように、他人との比較によって満足感が得られるものを「地位財」、自由や健康、愛情など、他人と比べなくても満足感が得られるものを「非地位財」といいます。

このうち、競争によって手に入れられるのは地位財だけであり、非地位財は、競争や評価とは無縁のところで得ることができるものです。

そして、「豪邸を建てた」「高級車を買った」といった地位財による幸福感は、非地位財による幸福感と比べて長続きしないことが明らかになっています。

地位財と非地位財は車の両輪みたいなもので、地位財によって手に入る短期的な幸せも、もちろん否定はしません。

ただ、人を長期にわたって本当に幸せにしてくれるのは、非地位財によって手に入る満足感です。私は、「競争の世界との関わりを一度見直し、自分にとって適切な距離で関わること」は、幸せに生きるための、かなり重要な要件だと思っています。

競争をどれだけ楽しめるかは人によります。「たとえ負け続けても、勝負ごとが楽しくて仕方がない」という人は、好きなだけ関わればいいでしょう。

しかし、あなたがそういうタイプでないならば、ときには競争を楽しんだり、他人からの評価に喜んだり悲しんだりすることはあっても、それらはあくまでも「人生のスパイス」程度だと考え、自分自身の価値を判断する基準にしないほうが賢明です。

「自分の中のポンコツさ」を愛する

そのうえで、競争や評価とは無縁な人または世界とのつながりを大事にすること。

さらに、自分の中の「欠損している部分」をそのまま受け入れ、愛してくれる人と出会えたら最高です。「欠損している部分」というのは、「ポンコツな部分」「いびつな部分」のことであり、「美しさ」や「優秀さ」なんかと違って、他人との競争の対象になりにくい部分でもあります。

競争の世界から適度に距離を置き、自分の中のポンコツさ、いびつさを面白がり、愛してくれる人と出会い、自分でも、自分の中のポンコツさ、いびつさを認めることができるようになったとき、人はようやく「完璧でなくても優秀でなくても競争に負けても、自分はこれでいい」「自分は自分であって大丈夫」という感覚を持つことができ、自分の物語を生きることができるようになります。

なお、私自身もある時期から、競争的な世界観からは距離を置くようになったかと思います。それは私自身が「中年」に差しかかったことと無縁ではありません。

一度勝っても、競争は終わることなく永遠に続き、きりがない。勝ち続けなければ維持できないような価値や居場所は、とても高コストで疲れてしまいます。そういうところを自分のメインの居場所とすることが、心許ないなと感じるようになったのです。

今は、医師としても、いわゆる「王道キャリア」からは相当かけ離れたところをコロコロしていますが、そのことであまり困っていませんし、昔よりもだいぶ生きやすくなっているなあとしみじみ感じます。

山頂を目指す道は「寄り道」に過ぎない

これは友人が教えてくれたことなのですが、ニュージーランドやオーストラリアでの山登りのコースには、メインルートに山頂が含まれていないことも多いそうです。山頂を目指す道は、あくまでも「数ある寄り道のひとつ」という扱いだそうです。

頂点を目指すのが唯一の目標ではなく、「寄り道」の一つにすぎないという考え方は、なんとも優雅で、本質を突いているように思います。

拙著『我慢して生きるほど人生は長くない』では、競争との関わり方を見直し、自分の心を取り戻すにはどうすればいいかなど、心療内科医の立場から得た気づきをシェアしています。

拙著があなたの人生において「安心」の土壌を育むことに少しでも役に立ち、本来の可能性を発揮する一助となることを強く願っています。

---------- 鈴木 裕介(すずき・ゆうすけ) 内科医・心療内科医・産業医 2008年高知大学卒。内科医として高知県内の病院に勤務後、一般社団法人高知医療再生機構にて医療広報や若手医療職のメンタルヘルス支援などに従事。2015年よりハイズ株式会社に参画、コンサルタントとして経営視点から医療現場の環境改善に従事。2018年、「セーブポイント(安心の拠点)」をコンセプトとした秋葉原内科saveクリニックを高知時代の仲間と共に開業、院長に就任。著書に『我慢して生きるほど人生は長くない』(アスコム)などがある。 --

「何気なく選ぶ色」から探る深層心理…あなたの心の状態がわかる基本の6色

普段、何気なく選んでいる色。例えば、買い物に行くと、青ばかり目について、好みの青を探し求めてしまうという方もいれば、とにかくピンクが好き!お部屋にはピンクが溢れている方もいます。その一方で、カラフルな色はどうも苦手で、気が付くと黒ばかりという方もいます。

なぜ、色の選び方が偏ってしまうのでしょうか?

年齢、性別、職業、住んでいる地域など、さまざまな要因がありますが、そのときどきの心の状態によって、求める色は違ってくるようです。

あなたが選んだ色から、あなたの心の状態を探ってみましょう。

青、黄、赤、緑、白、黒の6つは、人間が色を感じとる生理的な仕組みと結びついている基本色です。

眼の網膜は、明暗(白黒)を感知する「桿体(かんたい)」と、青、緑、赤の波長の光を感知する3つの「錐体(すいたい)」に大別されます(ヤングーヘルムホルツの三色説)。

視神経では、青ー黄、赤ー緑、白ー黒というように、対をなす6つの基本的な視物質が働き合っていると考えられています(ヘリングの反対色説)。

深層心理を教えてくれる6つ

6つの色について紹介します。

▼ブルー(青)ブルーは、知的で思慮深いイメージがあります。ブルーを選ぶ人は、「立派に見られたい」という気持ちが強く、失敗しないよう、慎重に行動する傾向があるようです。自分の判断や行動が「正しいかどうか」を気にかけるため、心配の種を抱えやすいようです。

正しさへのこだわりは、不安心理と隣り合わせ。最悪の事態やシナリオを想像して、準備を怠らない努力家でもあります。不安を和らげようとするせいか、身だしなみもきちんとしている方が多いようです。

▼イエロー(黄色)イエローは、希望に満ちた明るく楽しい色。子どものような自由な気持ちを呼び覚ましてくれるでしょう。イエローを選ぶ人は、「楽しいこと」や「自由」を求める気持ちが強く、希望に満ち溢れています。

みんなと一緒に楽しみたいと考える一方で、細かいルールは苦手。孤独を感じることがあっても、自分は自分と開き直り、希望を失わない強さがみなぎってきます。アイデアがひらめくと、コミュニケーションも加速し、またたく間に実行してしまうのです。

▼レッド(赤)レッドは、エネルギーに満ち溢れ、力強いイメージがあります。レッドを選ぶ人は、「強い自分でありたい」という気持ちが強く、気力も体力も充実した方が多いようです。

レッドは、おおらかな気前のよさを後押ししてくれる色。エネルギッシュなパワーがみなぎり、決断力や実行力を高めます。勝ちたいという欲求が、「自分のため」から「みんなのため」へと広がっていくと、周囲の人たちからも頼られるようになるでしょう。

▼グリーン(緑)グリーンは、安らぎを与えてくれる穏やかな色。グリーンを選ぶ人は、人の心に敏感で、知らず知らずのうちに、相手に気をつかってしまう傾向があるようです。優しく穏やかな心の持ち主であるがゆえに、ノーと言えずに背負いこんでしまうことも。

バランス感覚を整えてくれるグリーンは、困難な状況や相手に対する怒りを解き放ちます。心の傷を癒し、腹を立てることでたまっていく毒を中和し、視野を広げてくれるでしょう。

▼ホワイト(白)ホワイトは、不要なものや嫌なことを洗い流し、心身を浄化してくれる色。心を明るく前向きにし、新たな気持ちでスタートしたいと考えているとき、白が心地よく感じられるようです。

ホワイトを選ぶ人は、とても素直ですが、自分の価値観に照らし合わせて、白黒つけてから行動する傾向があります。「完璧にやり遂げたい」という思いが強く、自分に厳しい人でもあります。心身をリセットしてくれるホワイトの効果で、考えがはっきりしてくるでしょう。

▼ブラック(黒)光を象徴するホワイトとは対照的に、ブラックは闇を表します。ブラックを選ぶ人は、怒りや恐怖、反抗心など、本当の気持ちを隠したり、何かに耐えていることが多いようです。

「誰もわかってくれない」と孤独感に苛まれていたり、「ひとりでも負けない」と強がってみたり、人に言えない不満や不安を抱えていることもあるようです。しかし、繊細な感受性を受け止め、心の豊かさとバランスをとることができる、重厚な色でもあります。

深層心理がわかる基本色の組み合わせ

6つの組み合わせによって、さまざまな色が生まれます。パープル、オレンジ、ピンク、ブラウン、グレーの5色、さまざまな言語に共通する、基本色彩語として知られています。

▼パープル(紫:青と赤)パープルは、知的なブルーと情熱的なレッド、相反する性格を合わせ持つ色。美的感覚に優れ、心身を癒す色でもあります。パープルを選ぶ人は、どちらかといえばデリケートな性格で、心の傷や肉体的な疲労を抱えていることが多いようです。

静養したいと思うとき、パープルが心地よく感じられます。ストレスの原因となっている人間関係や仕事を整理するよううながし、感性の働きを増幅してくれるでしょう。

▼オレンジ(橙:黄色と赤)オレンジは、希望を象徴するイエローと情熱的なレッド、暖色のパワーをかけ合わせた色。太陽のような輝きを放つ、存在感のある色です。

オレンジを選ぶ人は、これまで頑張ってきたことに成果が生まれ、うれしい気持ちが芽生え、もっとたくさんいいことが起こるだろうと、前向きな気持ちになっていることが多いようです。

明るくフレンドリーな雰囲気を醸し出し、社交的な言動をうながし、身のこなしも積極的にしてくれるでしょう。

▼ピンク(桃色:赤と白)ピンクは、生命力を象徴するレッドと光を象徴するホワイト、2つのパワーを兼ね備えた色。ピンクを選ぶ人は、愛する気持ちが強く、人を癒す能力に優れています。

しかし、愛情のバランスをとるのは、少し苦手かもしれません。モテるタイプなのに、失恋経験も多く、幸せの絶頂に向かうことに躊躇する傾向があるようです。

感情の浮き沈みを抑え、本来の優しさや良心的な面が表に出るようになり、相手を喜ばせようとする気持ちが溢れてきます。

▼ブラウン(茶色:黄色と黒)ブラウンは、落ち着いた、ぬくもりと安定感のある穏やかな色。希望を象徴するイエローと暗闇を象徴するブラック、夢と絶望の狭間を揺れ動く不安や不満に寄り沿ってくれる色です。

ブラウンを選ぶ人は、「人から尊敬されたい」気持ちが強く、努力を積み重ねることができるようです。「今に見ていろ」という満たされない気持ちを沈め、慎重な行動をするようにしてくれます。暖かさと重厚さで、心を落ち着かせてくれるでしょう。

▼グレー(灰色:白と黒)光を象徴する白と暗闇を象徴する黒、正反対の性格をかけ合わせたグレーは、中庸や妥協、無難さを示します。グレーを選ぶ人は、周囲の人と自分を比較して、コンプレックスを感じていたり、よかれと思ってやったことが周囲の人に受け入れられず、がっかりしているようです。

「気にならない優しい人」というイメージで、人一倍傷つきやすい心を覆い隠し、戦わずにすむようにサポートします。喜びがもらされるまで、保護色のような役割を果たしてくれるでしょう。

解説してきた11色の他にも、ニュアンスに富んださまざまな色があります。

▼明るく澄んだ色と暗く濁った色怒りや憎しみ、嫉妬、悲しみなど、ネガティブな感情にとらわれると、暗い色、濁った色を求めるようになります。

暗く濁った色は、落ち込んだ気持ちに寄り添い、ストレスに気付かせてくれますが、ネガティブなパワーとつながりやすいのが難点です。自分の中のネガティブな感情に気付いたら、暗く濁った色を手放しましょう。

色と心と体のつながりを意識して、明るく澄んだ色を取り入れると、心身が浄化され、ポジティブな感情がみなぎってくるでしょう。

参考:心をつかむ色とデザイン~商品力・サービス力を磨くためのスキルアップ講座

▼松本 英恵プロフィール東商カラーコーディネーター検定1級、文部科学省認定色彩検定1級取得。パーソナルカラー、カラーマーケティング、色彩心理、カラーセラピー、ラッキーカラー(色占い)などの知見を活用し、カラーコンサルティングを行う。

持っている運まで破壊する!ひがみ、ねたみ、嫉妬など、マイナスの感情の手放し方

「どんな人でも運がよくなれる」、それが風水の持つ力です。

そういうと、まるで魔法のようだと思われるかもしれませんが、風水とは、自分の力で運気を引き寄せるための法則を解き明かした学問であり、その法則をしっかりと守れば、どんな人にも自分の思い描く幸せが訪れるものです。

この連載では、風水とは何かを解き明かし、日常生活での「衣」「食」「住」「動」すべてを使って運を上げる方法を紹介しています。風水を知り、実践して、これまであきらめていた夢や目標を実現してみませんか?

嫉妬やねたみは

手放しましょう

久しぶりに会った友人が自分よりキラキラ輝いた生活をしているように見えて落ち込んだり、SNSで見かける知り合いの投稿が楽しそうでねたましくなったり……そんな経験はありませんか? 誰かをうらやましいと思い、自分もそうなりたい、そうだったらいいな、と思うのは自然なこと。でも、それがひがみやねたみといったマイナスの感情に変わってしまったら要注意です。

人はもともと「陽」より「陰」に惹かれがち。ですから、ひがみ、ねたみ、嫉妬などのマイナスの感情をもつと、それがどんどん過剰になり、持っている運を破壊してしまうのです。

もし今、あなたの中に嫉妬やねたみの感情があるなら、今すぐ手放して。嫉妬は悪い「水」、ねたみは悪い「火」。これらを心の中に抱えている限り、運気が向上することはありえません

そもそも、幸せは人と比べるものではありません。あなたの幸せはあなただけのものであり、人がどうあろうと本来は関係ないはずです。それなのに、人の幸せそうな様子がねたましくなるのは、あなた自身に「欠けている」ものがあるから。まずはそのことを自覚しましょう。

そのうえで、どうすればその「欠け」を埋められるのか考えてみて。自分の「欠け」が埋まれば、人の幸せをねたんだり嫉妬したりする気持ちは消えていきます。

本原稿は、李家幽竹著『どんな運も、思いのまま! 李家幽竹の風水大全』からの抜粋です。この本では、風水とは何かを解き明かし、日常生活での「衣」「食」「住」「動」すべてを使って運を上げる方法を紹介しています。風水を知り、実践して、これまであきらめていた夢や目標を実現してみませんか?(次回へ続く)

李家幽竹(りのいえ・ゆうちく)

韓国・李朝の流れをくむ、ただ一人の風水師。「風水とは、環境を整えて運を呼ぶ環境学」という考え方のもと、衣・食・住、行動全般にわたるさまざまな分野でアドバイスを行っている。女性らしい独自のセンスで展開する風水論は幅広い層に支持されている。現在、テレビ・ラジオ・雑誌・セミナーなどで幅広く活躍。風水を仕事にする人材を育成するため、「一般社団法人 李家幽竹空間風水学会」を設立し、理事長をつとめる。

主な著書に、『ナンバー1風水師が教える運のいい人の仕事の習慣』『改訂新版 絶対、運が良くなる旅行風水』『絶対、運が良くなるパワースポット』『絶対、お金に好かれる! 金運風水』(以上、ダイヤモンド社)、『おそうじ風水』『運がよくなる 風水収納&整理術』(以上、PHP文庫)、『最強 パワーストーン風水』(秀和システム)、『李家幽竹の開運風水』『九星別365日の幸せ風水』シリーズ(以上、世界文化社)など多数。

オフィシャルウェブサイトでは会員限定の風水コンテンツを配信中。

「孤独」がマイナスからプラスに転じるきっかけとは

他人と物理的・心理的な距離が広がり、「1億総孤独」といえる現代。他者に依存せず、「個」として自立するには、どうすればいいのでしょうか。寺田倉庫の経営改革などを果たし、「伝説の経営者」と呼ばれる中野善壽氏は、「孤独を生きることで、自分の感性を信じ、磨き抜くことができる」と語ります。本連載では、中野氏の著書『孤独からはじめよう』から抜粋し、「一人で生きる時代の道標」となる考え方を紹介します。

「さみしさ」は常に隣にあった

孤独は僕にとって幼い頃から身近なものでした。

いろいろな人との関わりや転居といった経験によって、精神は鍛えられたと思います。

そうはいっても、「さみしさ」は常に隣にありました。

孤独もなかなかいいじゃない、なんて思えるようになったのは大人になってからのことです。

社会に出るまではずっと心細さがあったし、そもそも孤独をプラスに考えようとする発想さえなかった。

孤独はマイナスのものであり、「死」に向かう意味としてとらえてきました。

その意味がプラスに転じたのは、大学生の頃でした。

僕のことを心から期待してくれる人に初めて出会えたのです。

その人は、僕より十くらい年上で、社会とはなんたるかを教えてくれた人でした。

何者でもなかった僕の可能性を信じてくれて、「あなたならできるよ」と期待をかけてくれた。

僕は「個」として生きていいのだと思えたし、思い切って社会に踏み出すことができた。今思い出しても感謝しています。

終わりを認めるから、始まりが見つかる

大人になってからも思い出す、祖父の教えがあります。

祖父は幼い僕に繰り返し、「言い訳をするな」と教育していました。

「学校の先生がこう言ったから」

「監督にこうしろと教わったから」

「友達の〇〇君が悪いから」

そんな言い訳をしようものなら、祖父は僕を厳しく叱りました。

「うまくいかないときばかり人のせいにして。自分が責任をもって行動しなかったから悪いんだ。絶対に人のせいにするな」

今の結果は、すべて自分の意思と行動によるもの。

お釈迦様は「因果応報」とおっしゃった、と刷り込まれました。

僕は今、この教えにとても感謝をしています。

(本原稿は、中野善壽著 『孤独からはじめよう』から一部抜粋・改変したものです)

「孤独になる勇気」を持てる人と持てない人の大差 偽りの結びつきによる和は保たなくていい

行きたくない飲み会に参加する。時間の無駄な会議にも出席する。上司のパワハラを見て見ぬ振りをする──。これは、全員が納得し、満足している共同体と言えるでしょうか。

自分が異を唱えれば、孤立してしまうと恐れる人もいるかもしれません。しかし、本当に信頼できる関係は、倫理的意義を見極め、知性的な判断を続けた先に結ぶことができるはずです。数の多さに流されず、孤独を恐れない勇気が必要なのです。

大ベストセラー『嫌われる勇気』の著者、岸見一郎氏の新刊『怒る勇気』より一部抜粋・再構成してお届けします。

知性的な怒りは伝播する

 三木清は「流行」について、次のようにいっている。

 「習慣が自然的なものであるのに対して、流行は知性的なものであるとさえ考えることができるであろう」(『人生論ノート』)

 ここで三木がいう流行とは新しいことを学ぶことである。

 例えば、パワハラに対して抗議の声を上げることは、「知性的な怒り」であるといえるだろう。

 かつては職場で上司が部下を叱りつけることは当たり前のように行われていた。上司が部下の失敗を指摘して指導するのではなく、一方的に怒鳴ったり、土下座をさせたりしたのだ。

 今はこのようなことが表沙汰になれば、パワハラだと社会的な非難を浴びることになるが、今でもパワハラは認めないとしても大きな声を出して指導することは必要だと思う人はいる。かつて自分が若かった時は上司から叱られたが、叱られることで伸びたという人はいる。ある相撲の力士が大関に昇進した時、私が今日あるのは竹刀で叩いて鍛えてくれた親方のおかげだといった。

 しかし、その親方は知らないのだ。他の同期の力士はそのような指導を受けることで勇気をくじかれ、早々に現役を引退したことを。もともと力があったからこそ、多少叩かれ、ひどいことをいわれても力を伸ばすことができた。もしも力がなかったらたちまち相撲を続けることはできなくなっていただろう。反対に、適切な指導を受けていたら、もっと早くに力を発揮できただろう。

 あるスポーツコーチは、選手に嫌われても言うべきことは言わなければならなかったとパワハラ以外の何物でもない暴言を吐いて指導していた。なぜそのような目に遭っても選手が抗議しなかったかというと、コーチに従って練習すればいい結果を出せるからである。だから、コーチのパワハラを甘んじて受け続けたのだ。

 しかし、結果を出しさえすればコーチが何をしても許されるのかというとそうではない。人間の尊厳を傷つけられるようなことには断固抗議するべきである。

 パワハラは駄目だという考え方は伝統的な習慣ではなかった。しかし、パワハラという言葉が流行することによって、それが駄目だという考え方も広まったのである。それが上司は部下を叱るものだという習慣を打ち破った。

 職場以外での付き合いについても、流行が習慣を変えることができる。転勤や単身赴任についても問題にされ始めている。子どもが生まれたばかりなのに、また新居を建てたばかりなのに転勤を命じるのはおかしい。

 三木が言うような知性的な流行の始まりは自然発生的なものではなく、誰かがおかしいのではないかと声を上げることで伝わっていくのである。

孤独を恐れるな

 孤独を恐れる人は、多数者の考えに流されず他者の期待に反して行動する勇気を持てない。

 他の人が皆上司に従順なのに、自分だけが違う行動をすれば孤独になるのではないかと恐れるのである。皆が楽しみにしている行事に自分だけが参加をしないといえば、上司の覚えがよくなくなるとか、仲間から外されるのではないかと恐れる。

 今日は仕事を早く切り上げて帰ろうと思っても、他の人が仕事をしているとなかなか先に帰るとは言い出せないということもあるだろう。

 上司が部下に対して理不尽な要求をしたり、上司の言動が不正であることが発覚したような時にも、それを上司に訴え改善を求めると職場で自分の立場が悪くなって孤立すると考えて黙ってしまうことがある。

 このような意味で孤独になることを恐れるので、もしも自分が声を上げると職場の和を乱すのではないかというようなことを考えて黙ってしまうのである。しかし、声を上げた時、実際どうなるのかはわからない。

 どのような共同体であれ、誰も何の疑問も抱くことなく同じ考えを共有していれば、その共同体には一体感、連帯感が生じるかもしれない。子どもが親に反抗せず、親に理想的に従順であれば、親子の間に軋轢が生じることなく、親子関係は安定するようにである。

 しかし、表面上は皆が仲のよい共同体は、偽りの結びつきでしかない。時に、この結びつきが人為的に作り出されることもある。他の国家に対してであれ、ウイルスに対してであれ憎しみを煽ることで、国民の間に一体感を作り出す。地震などの災害が生じた後でも国民が一丸になって国難を乗り切らないといけないと勇ましく叫ぶ政治家がいる。

 スポーツもまた同じ目的のために使われる。オリンピック憲章に反することを知らない政治家たちが国威発揚のためにオリンピックを利用する。

 三木は『語られざる哲学』の中で、イエスの言葉を引いている。

 「われ地に平和を投ぜんために来れりと思うな、平和にあらず、反って剣を投ぜんために来れり。それ我が来れるは人をその父より、娘をその母より、嫁をその姑嫜より分たんためなり」

 これは『マタイによる福音書』から引かれたものである。「平和」ではなく「剣」を投じるため、親子、嫁姑を分かつため、この地にやってきたとは何と激しい言葉か。

 子どもが何の疑問もなく親に従っていれば、表面的には何の問題もないよい親子に見える。しかし、子どもが親から、親が子どもからどう思われるかを気にして、言うべきことがあっても言えなければ、よい関係が築かれているように見えても、この親子は真に結びついているとはいえない。

 反対に、自分の考えを率直に、親の気持ちを忖度せずに言えば、関係がギクシャクするかもしれない。それがイエスのいう「剣を投じる」ことであり、親と子どもとの結びつきを「分かつ」ということの意味である。

 表面的には仲がよくても、結びつきが真のものになるためには、このような過程を経なければならない。

孤独を恐れ黙ってしまうと悪も蔓延る

 親子関係だけでなく共同体の中にあって、たった1人でもそれは違うのではないかという人がいれば、その人によって剣を投ぜられた共同体は一体感、連帯感を失う。しかし、孤独を恐れ黙ってしまうと、職場の悪も社会の悪も蔓延ることになる。

 このような時、社会化された感情に動かされているのである。しかし、その場の空気に左右されないことが必要である。

 「孤独は感情でなく知性に属するのでなければならぬ」(『人生論ノート』)

 先にも見たように、知性は感情のように煽ることはできない。なぜなら、知性は個人の人格に属するものだからである。

 たとえ自分だけが周囲と考えを異にしても、社会化された感情に動かされることなく、自分の人格、知性、内面の独立を守り孤独に耐えなければならない。

 「すべての人間の悪は孤独であることができないところから生じる」(前掲書)

 真に怒ることについて、三木は次のようにいっている。

 「孤独の何であるかを知っている者のみが真に怒ることを知っている」(前掲書)

 孤独を恐れる人は、職場の不正があるのを知っていても、それを指摘しない。そうすることで職場で孤立することを恐れるからである。

 上司の不正を暴こうとすれば、職場の和を乱すと批判されるかもしれない。不正を告発すれば誰からも支持されないかもしれない。孤独になることを恐れて何もしないで、自己保身に走り不正を見逃したり、不正に加担したりすれば孤独にはならないが、真に怒るために孤独にならなければならない。

 このような意味の孤独は、先にも見たように、人の中にあって注目されたいのに注目されないという孤独感や、1人でいる時に感じる寂しさとは違う。多分に感傷的で、時に、三木の言葉を使うならば、「美的な誘惑」「味(あじわ)い」がある孤独ではない。三木がいうように「孤独のより高い倫理的意義に達することが問題であるのだ」(前掲書)。

孤独になる勇気が他者との結びつきを生む

 真の怒りは、感情というよりも、むしろ知性に属するのである。たとえ自分を支持する人が誰1人おらず孤独になったとしても、そのように孤独になることに「倫理的意義」があると知的に理解できる人であれば孤独を恐れることはない。

 職場においても、家族と同じく、真の結びつきができるためには、誰も何も言わなければ表面的には波風が立たないかもしれないが、そのような結びつきに一石が投ぜられなければならない。

 自己保身に走り不正に目を瞑ることで最終的に昇進することを願っているような人は、自分のことにしか関心がない。そのような人は信頼を失うだろう。自己保身に走り不正に目を瞑ることを支持する人も中にはいるかもしれないが、すべての人が支持するとは思えない。

 人はこのような状況の中で本当に孤独になるのだろうか。

 共同体のことを考え、たとえ自分にとって不利益になることが予想されても言うべきことを言えること、するべきことができる人を、たとえ自分自身ではできなくても、あるいは、自分ではできないからこそ支持する人はいるはずである。

 そのような人がいると信頼することは容易なことではない。人と人とが結びついていることが「仲間」(Mitmenschen)であるということの意味だが、誰をも最初からそう思えるわけではない。

 自分が上司や職場の不正を告発することを他の人が支持してくれないどころか、不正を告発しようとしていることを上司に告げ口する人がいるかもしれない。

 そのように疑心暗鬼になっている人たちは他者を「敵」と見なしている。他者は誰も信じられない。そう思った人は孤独になる勇気を持てない。

 それでも、この段階を経て、自分を支持する人がいるかもしれないと思った時、他者と結びつくのである。

「メンタルが弱いからではない」心療内科医が指摘する"職場で心を病む人"の共通点

職場でメンタル不調になりやすい人にはどんな特徴があるのか。心療内科医の鈴木裕介氏は「真面目で善良な人ほど心身を病みやすい。一人で抱え込まず、自分に不快を与える人をうまく遠ざけることが大切だ」という――。

鈴木裕介『我慢して生きるほど人生は長くない』(アスコム)

■社会にはあなたの真面目さや善良さにつけ込む人がいる

 最初にみなさんにお伝えしたいのは、「社会には不公平なトレードがあふれている」ということです。

 私たちは日々、いろいろなものを他人とトレードしながら生きています。家族や恋人、友人とは愛情や思いやりをトレードし、お店では商品やサービスと代金をトレードし、職場では労働時間や労働力、能力、アイデアなどと給料をトレードし……。

 この世の中は、そうしたおびただしい数のトレードによって成り立っています。

 ただ、トレードは必ずしもフェアに行われているとは限りません。代金に見合わない商品やサービスは山のようにありますし、愛情や思いやりに関しても、「一方ばかりが愛情を注ぎ、もう一方はそれに応えるどころか、愛情や恩を仇で返すようなことをする」というのは、よくあることではないでしょうか。

 もちろん、会社においても同様です。

 というより、会社こそ、不公平なトレードに満ちているといえるかもしれません。

■会社にあふれた“不公平”なトレード

 たとえばあなたは、職場でこんな状況を味わったことはありませんか? 

 ・いわゆる「ブラック企業」で、パワハラが横行し、上司や経営者によって厳しいノルマを課され、サービス残業の連続で、睡眠時間もろくにとれない。
・形骸化した意味のない会議や打ち合わせ、手続きに、やたらと時間をとられる。
・「一番年下である」「女性である」などを理由に、ほかの人がやりたがらない雑用を押しつけられる。
・上司や同僚に仕事の邪魔をされたり、手柄を横取りされたりする。
・良かれと思って同僚の手伝いを申し出たら、どんどん仕事を押しつけられ、ミスの責任まで負わされる。
・やる気のない部下の教育を任され、仕事の足を引っ張られ、ストレスばかりがたまっていく。
・クライアントが、代金に見合わない無茶な注文ばかりしてくる。

 本来、あなたと経営者、あなたとクライアントは、給料や代金と引き換えに、あなたがそれにふさわしい時間や労働力、能力、あるいは商品やサービスなどを提供するという、フェアなトレード関係にあるべきです。

 また、あなたと上司、あなたと同僚も、互いの利益、互いの幸福のために、フェアに時間や労働力、能力、アイデアなどをトレードし合う関係にあるべきです。それこそが健全で公平な人間関係だと、私は思います。

 ですが、社員や仕事を受注する側は、しばしば経営者やクライアントから、不公平なトレードを要求され、我慢を強いられます。

■あなたを苦しめている“不公平さ”に気づいてほしい

 世の職場には、「自分だけが得をしたい」「自分の存在感を示したい」「少しでもラクをしたい」「自分の身の安全さえはかれればいい」「自分より目立つ人間は許せない」といった思いを抱え、あなたの真面目さや善良さ、罪悪感、立場の弱さなどにつけ込み、利用しようとする人間が少なからずいます。

 彼らは「社会人とは~であるべきだ」「管理職とは(部下とは)~するべきだ」「お客さま(お金を払う側)は神様だ」といった一方的なルールを押しつけ、あなたの領域を平気で侵害し、あなたの時間や労働力、能力を、さらにはあなたの価値観やルール、幸せで穏やかな生活、人生そのものさえ奪っていきます。

 今までのあなたは、もしかしたら、そうした他人のルールを疑うことなく受け入れ、「社会人とはそういうもの」「自分は管理職だから(もしくは部下だから)仕方がない」「自分は仕事をもらう立場だから仕方がない」と、不公平なトレードをおとなしく許していたかもしれません。

 「頼りにされているうちが花」と、自分に言い聞かせてきた人もいることでしょう。

 しかし残念ながら、あなたとの関係が不公平であること気づきもしない人に丁寧に接していたしても、その関係がフェアになることは少ないでしょう。関係をつくるべき「フェアな人」と、そうでない人を峻別する力を養う必要があると思います。

■不快な人を上手に遠ざける3ステップ

 不快な人を上手に遠ざけるには、次の3つのステップが有効です。つい自分が我慢をしてしまうタイプの人は、ぜひ試してみましょう。

 【STEP1】第三者に相談する
【STEP2】気持ちを伝える努力をする
【STEP3】相手を「NO」の棚に分類する

 つい我慢をしてしまういい人は、人間関係の中でなにかいやな気持ちにさせられることがあっても、自分の感覚を信じきれず、「自分が気にしすぎているのではないか」などと考えてしまう傾向にあると思います。

 もしあなたが「自分の感覚を信じきれない」と思うのであれば、一度、自分がもやもやしたり不快に感じたりした事柄について、率直かつ客観的な意見を言ってくれそうな、信頼できる第三者に相談してみましょう。

 自分に対しての扱いが不当かどうかを、判定してもらうのです。そのようにして、あなたが信頼できる人の判断軸を、少しずつインストールしていきましょう。

 次に相手に悪気がなく、話せばわかってもらえそうな場合や、あなたがその相手と、できれば良い関係を続けたいと思っている場合は、まず、自分の気持ちを率直に伝えてみましょう。

 その際、大事なのは、「そういうことをされると、私はつらいです」「そういうことを言われると、私は悲しいです」といったように、「アイ・メッセージ」で話すことです。

■気持ちを伝える「アイ・メッセージ」

 アイ・メッセージとは、アメリカの臨床心理学者トマス・ゴードンが、『親業』という本の中で提唱したコミュニケーションの方法であり、「『私』を主語にして、自分がどう感じたかを伝える」というものです。

 不快感を覚えたとき、「(あなたは)なぜそういうことをするのですか」「(あなたの)その言い方は良くないです」など、ユー・メッセージで話すと、相手は自分が攻撃されたと感じ、防衛的なコミュニケーションになってしまいます。

 せっかく勇気を出して指摘したのに、あなたの思いが伝わりにくくなるのはもったいないので、できるだけユー・メッセージは避けましょう。

 もし、うまくいかなかったとしても、あなたには「伝えるためのベストを尽くした」という経験が残ります。その経験の積み重ねは、あなたの「本音を話そうとする勇気」と「伝える技術」を成長させます。それは、よき人間関係を構築するための「筋力」として、相手が変わってもあなた自身に蓄積されていくものです。

■それでも関係が改善できない場合は……

 最後にあなたが誠実に気持ちを伝えても、相手に聞く気がなかったり、状況が改善しない場合、その相手は「あなたを大切にしない人」であることを認めましょう。

 あなたを大切にしない人を、あなたが大切にする必要はありません。

 たとえ親や友人、同僚であっても、相手を躊躇なく、あなたの心の中の「NO」の棚に入れ、距離を置くことを強くおすすめします。

 「NO」の棚に入れた相手に対しては、接触機会を最低限に抑えて心の安定をはかるのが基本です。そうすることで自分の心身の調子がどう変化するかをモニターしましょう。

 「関係を改善しよう」などと考える必要はありません。

 「話しかけられても、一言、二言でそっけなく返す」「話しながら、ちょこちょこと時計を見るそぶりをする」「誘いにはいっさい乗らない」「返信の頻度を徐々に減らす」など、コミュニケーションを積極的にとる意思がないことを態度で示し、しっかりと境界線をつくっていきましょう。

 相手からのメールを「迷惑メール」フォルダに振り分け、目につかないようにするのも一つの方法です。

 以上が、私なりに考えた「不快な人を上手に遠ざけるための3ステップ」です。

 今回の方法では相手から恨まれたりするのではないか、他人に意見をいうのが怖いという場合は、もう少し細かいステップで境界線を育てていく方法もあります。拙著『我慢して生きるほど人生は長くない』では、職場での我慢、リラックスできない環境、疲れる人間関係をどうすればいいのかについて、診療内科医の立場から気づいたことを記しています。

 社会のなかでの「よい」「わるい」という基準に合わせすぎず、自分の内側から感じられる「ここちよい」「ここちよくない」といったあなた自身の情動や主観にのっとって人生を選択できるような一助となることを心から願っています。

パニック発作はなぜ、起こる? 谷村美月さんが発症して舞台を降板、誰でもなりうる病気

持病の呼吸器疾患を起因とするパニック発作の発症により舞台を降板することになった俳優の谷村美月さん。体に異常がないのに突然、予想だにもしない激しい動悸やめまいなどの症状に見舞われるのが「パニック発作」です。誰でもなる可能性がある病気なので、ご注意ください。

■体に異常がなく起こる「パニック発作」

 ある日突然、起こる動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震え…。

 こういう発作が起これば、大半の人が心臓や胃、肺などの病気を疑うと思います。発作の状況によっては、救急車を呼ぶ人も少なくありません。ところが、検査しても異常が見つからない人がいます。そういう場合は、もしかして「パニック発作」かもしれないのです。

 異常がないにもかかわらず、激しい発作に襲われ「このまま死んでしまうのでは」と追い詰められ、恐怖や生命の危機感まで感じる人もいます。パニック発作が怖いのは他の病気から起こっているわけでなく、検査で体の異常が何もなくても起こるところです。それだけに発作への不安が増します。

■パニック発作はなぜ、起こるのか?

 大きな地震や火災、自然災害などに直面すると、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震え…など同様の発作に見舞われることがあります。

 厚生労働省の「メンタルヘルス」のサイトには「こうした反応はいずれも、敵や災害から逃げるために有利なもので、身体に備わった生き延びるためのプログラムです」と書かれています。つまり、パニック発作は死の危険から生き延びるために準備されている反応だというのです。

 また、パニック発作は不安症の症状にもみられることがあるようです。たとえば、お化けが恐いと思っていると、暗闇で何かを見てお化けと勘違いし、強い恐怖感でパニック発作を起こす人がいるかもしれません。

 予期しないパニック発作が繰り返し起こり、日常生活にまで支障が出てくる状態が「パニック障害」です。しかし、高所恐怖症の人が高いところに行くとパニック発作を起こすことがありますが、これは最初から起こる可能性があると考えられるので、パニック障害ではないのです。

■パニック発作を起こさないことが一番

 パニック障害と医師から診断されれば薬物療法(抗うつ薬、抗不安薬、または併用など)や精神療法などを受けます。薬物療法などの目的は「パニック発作をおこさないこと」に尽きます。「また、発作が起きるのでは」と予期不安を感じている患者さんの不安を取り除くことが何より大切です。

 パニック発作を経験した多くの人が「死ぬような思いをした」と語るケースが少なくありません。この発作は10分くらいから長くても1時間以内で治まり、ほとんどの人が20分~30分ほどです。長く感じられることでしょうが、命にかかわる病気ではありません。そこで「パニック発作で死ぬことはありません」と、その不安を少しでも解消してあげるのも一つですね。

 まずは食生活や日常生活を改善し、心を整えることが大事ですが、お悩みの方は近くの自律神経専門医院に相談することをおすすめします。

◆尾原 徹司 東京医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センターを経て、神戸鐘紡病院消化器科に赴任。昭和57(1982)年に独立し、医療法人社団つかさ会「尾原病院」(神戸市須磨区妙法寺荒打/神戸市営地下鉄西神山手線妙法寺駅徒歩3分)院長に。

自己中は心の病気の可能性も…自己中心性とADHD

【医師が解説】子供の頃は、誰でも自己中心的な面が多いもの。しかし大人になってからも自己中心性が変わらない場合、程度によっては心の病気の可能性もあります。自己中心性に関連する心の病気について、詳しく解説します。


「自己中」は性格の問題? 自己中心主義が強くなる心の病気も

 自己中心は病気の可能性も

我が強くてワガママで、自己中心的。そんな傾向が見られても、子どものうちは、周りの大人もある程度大目に見てくれるかもしれません。しかし大人になってからは、人間関係がうまくいかなくなることもあるでしょう。

ただのワガママでは済まされにくい「自己中心主義」(いわゆる「自己中」)には、実は心の病気が関連していることもあります。今回は、「自己中な性格」と誤解されてしまうこともある症状を伴う病気として、「ADHD」と「パーソナリティ障害」の2つを挙げて解説します。
 

性格ではなく脳内の医学的問題か……ADHDの特徴・原因

もしも自分が話している時に、相手があまり話を聞いていなかったり、自分の話が終わらぬうちに何か別のことをし始めたら、あまり良い気持ちはしないでしょう。そうした注意散漫や落ち着きのなさは、人間関係において問題を作りやすいものです。対人的な問題以外の自分個人の仕事などでも、その注意散漫や落ち着きのなさから、作業効率が本来のレベルよりかなり低下している可能性もあります。こうした問題は実は幼少時から始まることが少なくありません。

小さな子供が落ち着きなく、いつも動き回っていても、それは半ば当たり前のことです。しかしそれがもし親の手に余るようなレベルになっていれば、少し注意してみる必要があるでしょう。そういった特性が原因で、家や学校で問題が深刻化している場合、注意欠陥/多動性障害(ADHD)の可能性もあります。

ADHDは決して稀な疾患ではありません。実は子供の数%がこの診断が付く可能性があるとも言われています。ADHDで現れる問題には、大きく3つのタイプがあります。注意不足、多動性、そして衝動性です。以下に、ADHDで現われやすい問題を、それぞれのタイプごとに、箇条書きします。

■ 注意不足に関わる問題

  • 細かい注意に欠けやすく、ミスをしやすい
  • 気が散りやすく、物事に注意が続かない
  • 会話中、相手の話をよく聞いていないように見える
  • 何かをする前の、その説明をよく聞いていないことで、それができない
  • 手際が悪いので宿題などが苦手で、それゆれにさぼりやすい
  • 勉強しようにも机に鉛筆がないなど、あらかじめの用意が足りない
  • 待ち合わせの時間など、大事な用事をよく忘れる


■ 多動性に関わる問題

  • 座っている時に手足を頻繁に動かしやすい
  • しっかり座っているように言われても、なかなかそれを守れない
  • 落ち着きがなく、いつも動いているように見える


■ 衝動性に関わる問題

  • 相手の話が終わる前に何か言ってしまいやすい
  • 周りの何かを見たときに、ついそれに、ちょっかいを出してしまう
  • なかなか順番を待てない

ADHDのこうした問題は、多くの場合は大人になるとあまり目立たなくなります。しかし一部の方は、上記のような問題の何かが、成人後もある程度続く可能性があります。そのために、日常生活でトラブルを抱えてしまうこともあります。この特性のために、職場での人間関係がうまくいかず、仕事を変えざるを得なくなるような状態になっていれば、深刻な問題が生じていると言えるでしょう。

ADHDの原因はまだわかっていませんが、親のしつけなどの環境は発症にはあまり関係ないと考えられています。胎児期の脳の発達段階に何らかのリスク要因があること、具体的には、妊娠中のアルコールの過量摂取やウイルス感染など、胎児の脳の発達にネガティブな影響を与え得る問題などがリスク要因として推定されていますが、まだはっきりとは明らかになっていません。
 

周囲との人間関係が難しい……自己愛性パーソナリティ障害の症状・特徴

 

自己中心性は場合によっては、パーソナリティ障害の診断が可能なレベルになっている可能性も

程度の差はあれ、誰の心のうちにも自己中心的な面があるものです。自己中心性は言わば人間性の一面とも言えますが、やはり一定のレベルを超えれば、問題心理です。自己中心的な考え方は、他人を尊敬できずにに軽んじる気持ちや、自分の能力を過信するような気持ちも起こしやすい面があります。そのため自己中心的な心理が強すぎると、周囲との人間関係も悪くなりがちです。

こうした傾向には、自己愛性パーソナリティ障害が関係している可能性もあります。このパーソナリティ障害では、以下のようなことが問題になりやすいです。


  • 人の批判に耐えられない
  • 自分の夢にとりつかれているように、周りの目には映る
  • 自分は特別な人間だという気持ちが強い
  • 他人からの賞賛や特別扱いを常に望んでいる
  • 人の気持ちを気にかけない、場の空気を読まない人間のように周りには見える
  • 他人の何かに嫉妬する。と同時に、他人は自分の何かを妬んでいるようにも見える
  • 周りの人間を見下すような態度がかなりある


自己愛性パーソナリティ障害の原因はまだはっきりとはわかっていません。考えられる要因の一つとして、幼少期の親のしつけなどが挙げられることもあります。例えば、子供と親との関係が必要以上に近く、いわゆる過保護な状態で溺愛されていた場合、パーソナリティ障害のリスクが高まるのではないかとも考えられています。過保護に育てれば、子供は親から愛されていると安心感を持てると考える人もいるかもしれませんが、少しでも親からの注意が失われると不安を感じ、もっと親から愛情を向けられるよう、もっと完全な自分でいたいという気持ちが強まることもあります。

 最後に繰り返しになりますが、今回、自己中心主義と関連するものとして取り上げたADHDと自己愛性パーソナリティ障害は、似ているようで異なる心の病気です。どちらもしつけや育てられ方が原因であるかのように言われることがありますが、後天的な環境の関連があるかもしれないのは、自己愛性パーソナリティ障害のみです。ADHDは親のしつけなどは関係がなく、脳内に何かしらの医学的な問題が起きていることが原因だと考えられています。そのため、特にADHDの治療薬は、脳内のその問題に対処し得る治療薬でもあるということを、ぜひ覚えておいてください。

人はなぜ“言わなくてもいいこと”を言ってしまうのか 

 「メンタリスト」として、人の深層心理に基づいたさまざまなイリュージョンを見せてくれるDaiGo氏が、YouTubeで生活保護受給者や路上生活者(ホームレス)に対する差別発言をしたとして、波紋が広がっている。13日には一度謝罪動画を公開し、翌日には謝罪内容を訂正、改めて謝罪を発表している。

 ネットでは今もなお、言わなくてもいいことをわざわざ言って炎上するケースが山ほどある。特に政治家などは、ライブパフォーマンス、いわゆる「現場のウケ狙い」で発言し、言質を取られることが多い。国会議員は憲法51条により、両議院内で行った発言は院外で責任を問われないという免責特権があるが、院外での発言は当然責任が問われる。

 昔は院外の演説や講演会での話をいちいち記者が立ち会ってチェックなどしていなかったので、リップサービスやパフォーマンスとして際どいことを言って場を盛り上げる政治家は数多くいた。だが誰でも動画や録音ができて、すぐにネットにさらされる時代に、政治家も「オフレコ」が通用しないことを学んだ人も多い。まあ学ばない人も多いのが問題ではあるのだが。

 まず大前提として、憲法19条では、思想及び良心の自由を保障している。これは、人は頭の中で何を考えたとしても罪に問われないということである。ある一定の事柄を考えることすら国家が禁止するとなれば、洗脳も可能となってしまい、自由主義国家の根幹に関わるからである。

 従って、生活保護受給者や路上生活者に対して差別的な感情を持ったり、差別的な意見を頭の中で考えたりするだけでは罪には問われない。心の中は完全にフリーダムである。そもそも表明していないので、外からは誰も分からないわけだが。DaiGo氏が言うようなことを頭の中で思った人がいても、それは罪にはならない。

 その考えを外に出してしまうと、それは「思想」ではなく、「表現」となる。そこから先は憲法21条における「表現の自由」の問題に切り替わる。何かの考えを発表する前に国家が差し止めることが「検閲」であり、これも同じく21条で禁止されている。つまり何かの考えを「表現として表に出すこと」は、事前に差し止めはできないし、「表現すること自体」が法的な罪に問われることはない。

 だが「表現の自由」は、その表現内容が社会通念上から非難されないことや、社会的制裁を受けないことまでは保障していない。そもそもどんな考えでもいったん表現として表に出してみないことには、みんなで議論して正しい結論にたどり着けないからである。「表現すること自体」を罪に問うべきではないが、表現された内容はまた別の話である。

 だから、DaiGo氏の考え方に多くの人や団体が異を唱える行為は、その表現されたものに対して一種の社会的評価がなされたということである。そのような考えは「これこれこういう理由でよろしくないでしょう」ということで、訂正なり撤回を求めたり、正しくはこうであったとの表明を求めるのはアリだ。だが過剰に謝罪を求めていく姿勢は、問題の本質を危うくする。さらにその親族にまで「謝れ」というのは、完全に筋が違うだろう。

 多くの場合、謝罪と訂正・撤回はセットである。謝罪は「気が済む」ことがメインであり、根本的な解決は訂正や撤回の方にある。「言い方が悪かったようで、不愉快に思われた方がいれば謝罪する」という言い回しは政治家から何度も聞いているが、これは発言の内容については何一つ訂正・撤回しておらず、「感情的に傷ついた人がいるなら悪かったね。でも言ってることは変わらないからそのままGoでよろしくね」という意味だ。

 過剰に謝罪を求めていくと、謝罪こそが目的になってしまう。表現の訂正・撤回もない謝罪を、「よし、打ち負かしてやった。今日も正義が勝った」と留飲(りゅういん)を下げるだけで、問題は積み残したままだと気付けない人やメディアは多い。

「正しい」とは何か
 今ネットを探せば、過去の行為や発言は何らかの形で記録や痕跡が見つかる。これはさかのぼって何でも調べることができる「透明な時代」だといえるのではないか。

 その昔、一般個人が表現手段やコミュニケーション手段を持たなかった頃は、どこで誰かが何かを言ったというのは、うわさ話でしかなかった。話の根拠を探しても見つからず、誰もメモや録音を残していない、「そういう話だったそうな」以上のことが分からなかった時代があった。「不透明な時代」である。

 統計数理研究所は「日本人の国民性調査」を継続実施している。1953年以来、執拗に同じ質問を繰り返しているという、非常に価値の高い調査である。

 調査項目の中に、「あなたは、自分が正しいと思えば世のしきたりに反しても、それを押し通すべきだと思いますか、それとも世間のしきたりに、従った方が間違いないと思いますか?」という設問がある。

 「自分が正しいと思ったことを押し通すべき」と答えた人が主流だったのは、調査開始の1953年から1973年まで。ちょうど日本の高度経済成長期と重なる。

 不確かな時代では、正しさを示すデータが見つからないか、そもそも何が正しいのかも曖昧であった。何も先が見通せない不透明な中、少ない根拠を元に、それぞれが勘を働かせて正しいと思われる方向に進んでいくしかなかった時代である。自分が正しいと思うことを表明し、その通りに行動する人は、先見の明があるリーダーとして尊重された。もちろん失敗例もたくさんあっただろうが、自分には見えない何かが見えている人が輝いていた時代といえるだろう。

 続く10年、1988年までは、「世間のしきたりに従った方が間違いない」とする人が多数を占めた。その当時のしきたりとは何かといえば、高度経済成長期の混沌の中で培われたセオリーである。つまり新しいことを始めるよりも、成功体験をトレースした方が得だった時代だ。

 この時代、正しいことを言うのは容易だった。勝者がたくさんいて、勝者の論理が正しいものとなる。その人の言うことを鵜呑(うの)みにしていればよかったからだ。

 しかしこの傾向は、1993年以降から2003年の10年間、また変化を見せる。「場合による」が多数を占め始めるようになったのだ。ちょうどバブル経済が崩壊し、長い経済低迷期に突入した時期と重なるのは興味深い。再び、何が正しいか見えなくなった時代ともいえる。

 いや、「圧倒的な勝者の正しさが通用しなくなった時代」といえるのかもしれない。かつての勝者も分が悪くなり、拮抗する勢力があれば勝てそうな方に乗る。そういう時代である。

 ネットの世界を振り返ってみると、この時期パソコン通信が行き詰まりを見せ、1995年のWindows 95、1998年のWindows 98登場を契機にインターネットが普及し始めた。2ちゃんねるをはじめとする匿名掲示板が隆盛を極め、良いこともたくさん起こったが、同時に悪いことも多かった時代である。

 そして特徴的だったのは、正しいことが必ずしも支持されなくなったことだ。逆にいえば、倫理的に問題のある意見が支持され、大きな共感を呼ぶこともあった。あらゆる表現が噴出し、試された時代でもある。

 その中で多くの人たちが「場合による」という態度でいたことは、自分の身を守るために必要な処世術であった。

「逆マジックミラー号」の中で踊る
 そして2008年以降、この「場合による」は、「世間のしきたりに従った方が間違いない」と拮抗状態になる。リーダー不在でも回る状態になったということだろう。過去に決めたことで問題がなければそのままだし、何か変化があるなら勝てそうな方に乗りたいという、曖昧な状態である。

 この傾向から見れば、上記DaiGo氏の発言に反対した人たちには、2パターンあるように思う。一つは、差別発言は許されないという「世間のしきたり」に従った人たち。もう一つは、この場合は倫理的に正しい方が議論に勝てるはずと判断した人たちである。純粋な気持ちで差別問題と戦っている人たちもいるはずだが。

 先の調査で、「物事の『スジを通すこと』に重点をおく人と、物事を『丸く収めること』に重点をおく人では、どちらがあなたの好きな“人柄”ですか?」という設問がある。全体を見ると、各年代を通じてあまり比率が変わらないように見えるが、年齢別に見ると印象が大きく変わってくる。

 スジを通す人を好む傾向は、年齢層が若くなるに従ってきれいに上がっていく。スジとはすなわち「正しさ」だろうから、若い人ほどスジにこだわるのは、分かる気がする。若くてもスジが正しいのであれば、勝てるからだ。

 DaiGo氏の差別発言も、発信した当初は「正しい」と思っていたのだろう。それは、同じような考えを持つ人が周りにもいて、その中では正しかったのかもしれない。あるいはイエスマンばかりで、DaiGo氏に意見できる人が周りにいなかったのかもしれない。

 これを「フィルターバブル」と表現するのは簡単だが、その考えをもう少し進めると、「逆マジックミラー号の中で踊る」のと同じだといえる(若い方はご存じないかもしれないが、マジックミラー号とは中からは外が見える、外からは見えないというハーフミラー貼りの車両で、一時期アダルトビデオでヒットしたシリーズである)。

 人気YouTuberはこの逆、外からは丸見えだが中からは自分たちしか見えないという、逆マジックミラー号で踊っているのと変わりがないのではないか。DaiGo氏は弁明の中で「自分の無知」を反省していたが、これは情報産業の開拓者ともいえるYouTuberが意外に「透明な時代」であることに気付けない「無知」でもあるだろう。

 小さな集団では、とがった意見でも通用することがある。それは、小さな集団が社会全体の利益、公共の福祉を考える必要がないからである。その集団が外から丸見えになっているのが、「透明な時代」だ。1人の人間の発言でも広く社会に伝われば、その時点で公共の福祉に照らし合わせ、出るクイは打たれる。

 しかし、この先行きが暗い時代に意見を一本化し丸められると、イノベーションは生まれにくくなる。今度はそのことが、社会全体としてはデメリットとなる。問題の解決方法を探すなら、どこかに閉じた空間で自由闊達な意見の場はあっていいはずだ。

 インターネットにも一部そうしたサービスが流行した時期もあったが、われわれは「広く周知する力」の虜になってしまった。それならば、ネットのどこかにまた場所を作るか、「インターネットの次」を探さなければなるまい。「インターネットの次」が何かは分からないが、時代の行き詰まりは、インターネットの行き詰まりでもあるようだ。

「精神科医が受診を勧める『心の状態』とは」

こんにちは、精神科医の林です。

近よく眠れない、頭痛がとれない、疲れている、お腹が下っている…そんなお困りはないでしょうか? 普段診療を行なっていると、「こんな症状で来て良いのかわからなくて…」「受診するほどひどくないと思っていました」とおっしゃる方が多くて、まだまだ啓蒙活動が足りないなと反省させられます。

良くならないと諦めているその症状、もしかすると改善の余地があるかもしれません。いつ受診をするべきなのか、どうして受診をした方が良いのかを解説します。

1.受診の目安は「困ったな…」と思った時
まず、どんな症状が出た時に受診をするべきでしょうか?気分が落ち込んで朝ベッドから起き上がれなくなってしまった時、食べても吐いてしまい、どんどん痩せていく時、夢の中でも仕事をするほど追い詰められている時。多くの方が想像なさるのは、このような最悪の状態かもしれません。

限界まで耐え忍ばれて病院に来てくださる皆様にお伝えしたいのは、「困ったな」と思った時点で、是非ご相談くださいということです。我々精神科医が治療の必要があると判断をするにあたり、「生活に支障があるか否か」という視点が非常に大切です。受診をする基準を、ほかの人と比べる必要はありません。

意外に思われるかもしれませんが、うつ病などの精神疾患は、体の症状もごくごく一般的に引き起こします。
頭痛、腰痛といった痛み、肩こり、めまい、ふらつき、吐き気、倦怠感、食欲不振、不眠、月経不順といった多種多様な症状が起こります。このため、どこか身体が悪くなったのではないかと思われて、半数以上の方がまず内科を受診すると言われています。

身体の病気が原因となって心の症状が出ることもありますが、いくら検査をしても異常がなければ、精神科や心療内科を受診していただくのも一つの選択です。ほかに、上手く眠れない、疲れがとれない、何となく気分が晴れない、喉に物が挟まったような感じがする、外出が怖い、動悸がする、物忘れをしやすい、戸締まりを何度も確認する、汚れが付いたのではないかと気になってしまう。

こういったお困り事がある場合には、是非、精神科や心療内科にご相談ください。

2.精神科の「診察の流れ」
精神科や心療内科を受診するとどんな診察が行われるのか、不安な方も多いかと思います。診察の流れを確認してみましょう。

1.受付
一般的な内科などと全く同じです。予約をとっておくとスムーズです。

2.問診票、心理検査への記載
初めて受診すると、どこの診療科でも問診票を記入することが多いと思います。精神科や心療内科でも同じで、どんな症状がいつ頃から出ているのか記載します。ご自分で症状の程度に丸を付ける簡単な心理検査も含まれていることもあります。

3.予診
本格的な診察の前に、これまでどのような人生を送ってこられたのかをお聞きする時間です。精神保健福祉士、看護師もしくは、大きな病院では若手の医師が担当することもあります。小さなクリニックでは、問診票に書いていただいた内容で代用されることもあるでしょう。

どこで生まれて、どういったご家族の中で育ったのか、学歴や職歴、これまでにかかった病気や飲んでいる薬なども含めて詳細にお聞きします。

何のためにそこまでプライベートなことを尋ねるのか? と疑問に思われるかもしれませんが、どのような背景があるかが物事の捉え方に大きく関わるため、診断や治療のためにどうしても外せない大切な質問となります。

4.診察
ここまでの情報をもとに、お困りの症状についてより掘り下げた問診をしていきます。

精神科や心療内科は「お話を聞いてくれる科だ」と誤解されますが、実はやみくもにお話をお聞きしているのではありません。現在の医療では、何かの検査をすれば病名がわかるという方法は確立されていません。お話の中から診断の根拠になるような要素を拾い集めて、これを検査の代わりにしています。

その他にも、来院された時の歩き方、装い、表情、声音、返答の速さ、お話の内容といった様々な要素をあわせて病状を判断しています。

可能であれば、血液検査や画像検査なども行って、身体の病気等の影響も考えます。
以上の情報をもとに診断し、治療していきます。

3. 精神科ではどんな治療をしている?
精神科の治療は、生活習慣の改善や物事の捉え方などへの助言のほか、症状や病状に応じて飲み薬が処方されることが多いです。西洋薬だけでなく、漢方薬が活用されることもあります。

精神科というと、一生山ほど薬を飲み続けないといけないのではないか……という恐怖から受診を控える方もいらっしゃるかと思いますが、そんなこともありません。

確かに、統合失調症や双極性障害といった長く薬を飲み続けた方が良い病気もありますが、うつ病や不眠症など、お困りの症状が解消すれば薬も外来も卒業できる病気も多くあります。必要な時には十分量の薬を飲んでいただくことをお勧めしますが、やみくもに薬を出す医師は昨今では少数派ですのでご安心ください。

心配なのは、薬が必要なくらい心配な状態であると医師から判断されたにもかかわらず、「まだ頑張れるから必要ない」と頑として治療を受け入れない方です。治療を受けないことで症状がどんどん悪くなってしまい、結果として治りづらくなったり、治療期間が長引いたりすることもままあります。

もし、薬を飲む期間を極力短くされたいのであれば、早めに十分な量の薬でしっかりと治療をすることを推奨します。

さて、長くなりましたが、少しでも受診の参考になったでしょうか?
我々精神科医は、本来の状態よりも元気にするような魔法は使えませんが、もともとの実力が発揮できる状態に回復するお手伝いはできます。お困りがあれば、是非一度ご相談ください。

林 安奈(はやし・あんな)/精神科医・産業医
VISION PARTNERメンタルクリニック四谷 パートナー医師
東京女子医科大学医学部医学科卒業。東京女子医科大学病院にて臨床初期研修修了後、東京女子医科大学精神医学講座に所属し、同大学の緩和ケアチームや吉祥寺病院等で精神科医として研鑽を積みつつ、医学博士号取得。現在は多くの企業で産業医としても活動している。

卵3個で“心の病気”予防に…鉄不足を解消する食事方法

最近、妙に気分が落ち込む、イライラする……そんな人は、もしかしたら鉄分が足りていないのかも−−。

「うつやパニックの症状を訴えて私のクリニックに退院した女性の血液検査の結果をみると、ほとんどの患者さんは血液中の鉄分量が不足している状態だということがわかりました。

そこで、うつやパニック障害の症状を訴えてきた患者さんに、投薬治療とともに、鉄分を補う栄養療法を行いました。すると4カ月目あたりから鉄不足が解消され、少しずつ元気を取り戻して、薬を手放すことができるように。その後、日常生活を快活に送ることができているという報告が相次いでいるのです」

そう語るのは、「ふじかわ心療内科クリニック」院長の藤川徳美先生。この鉄分を補う栄養療法により、’12年4月から、約2,000人の患者の症状を改善させたという。その臨床結果をまとめた著書『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』(光文社新書)が、7月に発売され、話題になっている。

藤川先生によれば、うつやパニック障害などの精神疾患と鉄不足とは、実は密接に関係しているのだという。心を安定させるときは「セロトニン」、やる気を促すときは「ノルアドレナリン」、快楽や多幸感を得るときには「ドーパミン」などの神経伝達物質が脳内に分泌される。

鉄は、これらの神経伝達物質を作る際に必要な酵素を助ける働きをしている。そのために、鉄が不足すると、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンが必要なときに作られなくなってしまい、うつやパニック障害の症状を引き起こしやすくなるという。

「一般的に、赤血球の中にある『ヘモグロビン値』が不足している状態を貧血といいます。ヘモグロビンを作る材料は鉄とタンパク質なので、鉄とタンパク質が不足すると、血液中のヘモグロビン値が低下し、酸素を体の隅々まで運んで二酸化炭素を吸収するという赤血球の役割が弱くなるのです。

そうすると、酸素不足となり、貧血が起こりやすくなります。ところが、ヘモグロビンの数値は正常でも体調不良を訴える人がいました。そこで、私は“フェリチン値”に注目しました」

フェリチンとは、体の内部に鉄を蓄えるタンパク質で、幹細胞などを中心に分布している。血液中の鉄分が不足すると、フェリチンに蓄えていた鉄分が放出されて、血液中の鉄分量を調節する。ふだん使う財布のお金を「ヘモグロビン」、貯金分を「フェリチン」とお金にたとえて考えるとわかりやすいだろう。

「ヘモグロビン値が正常でも、このフェリチン値が低下していれば、鉄の貯金が減っていることになり、気分が落ち込む、イライラする、動機やめまいがする、目覚めが悪い、冷え性である、といった症状が出ます。

ヘモグロビン値が低くなる貧血を『鉄分欠乏性貧血』というのに対して、フェリチン値が低くなることを『潜在性鉄欠乏症』といいます。健康診断の数値を見ただけでは鉄不足を見逃してしまうことも多く、この“貧血ではないのに鉄不足”の人がうつやパニック障害の人にとても多いのです」

’14年に来院した15〜50歳女性患者217人のデータによると、初診時でのフェリチン値は、10ng/ml以下が87人(40.1%)、11〜30ng/mlが79人(36.4%)、31ng/ml以上が51人(23.5%)という結果だった。フェリチン値が30ng/ml未満の患者は76.5%にのぼり、約8割の患者が鉄不足であることが判明したのである。

そこで、藤川先生も実践しているという、〈藤川流「鉄不足解消食事法」〉を紹介!

■1日に卵を3個食べる

たとえば、朝はサラダに目玉焼きで1個、夜は卵焼きで2個など。卵は生ではなく、加熱すると食べやすい。量を取るためには、食べ方を工夫するとよい。

「毎日、同じ卵焼きを食べていると飽きてしまいます。そんなときはトッピングを工夫するのがコツ。生クリーム、じゃこ、明太子、チーズなど、日替わりで中身を変えて食べると飽きません」(藤川先生・以下同)

■ヘム鉄が多く含まれる肉・魚を1日200g食べる

1食70gを目安に牛肉、豚肉、鶏肉、魚をローテーションにする。例・「鶏肉」焼き鳥のレバー、親子丼/「牛肉」野菜炒め、ステーキ、しゃぶしゃぶ、タン塩焼き/「豚肉」しょうが焼き/「魚」カツオやマグロの刺身、サンマの塩焼き、サケのムニエル。

「お金をかけたくない人は、豚のこま切れを使った野菜炒めもおすすめです」

■甘いおやつは控える

ふだんからお菓子やスナック菓子、糖分が入った清涼飲料水は控えること。小魚(いりこ)をおやつ代わりにしたり、味噌汁の具にして食べよう。1日3個の卵を食事で食べきれないときは、ゆで卵をおやつに。スナック菓子の代わりに、チーズや魚肉ソーセージを食べてもよいでしょう。

「どうしても甘いものを食べたいという人は、バターコーヒーがおすすめ。朝、バターコーヒーを飲むと、『甘いものを食べたい』という気持ちを抑えてくれます」

これを参考に、正しい食生活で鉄不足を解消し、健康をキープしよう。

パニック障害経験のIKKO、深田恭子の判断「素晴らしい」ポイントは環境

美容家でタレントのIKKOが30日、TBS系「アッコにおまかせ!」に出演し、適応障害と診断され、治療のために芸能活動を休止するという女優・深田恭子がにエールを送った。

 30代の頃にパニック障害を患ったことがあるIKKO。自身が、不安や緊張などの精神的ストレスから、体内の二酸化炭素値が低下し、さまざまな症状を引き起こす「過換気症候群」だったと告白。そこから、「不安・パニック(障害)に移り変わっていった」と明かした。

 さらに「ある程度改善してからは、『なんでこんな言葉で、動悸(どうき)がするほと、めまいがするほど、倒れるほどだめだったのかな』っていうことが、その人しか分からないことっていっぱいあるんですよ」と説明。症状は個人によって、違うものであると強調した。

 深田の活動休止については「判断はとても素晴らしかったと思う。今まで十分、一生懸命やってきたから」と見解を示した。「ちょっと環境を変えるだけっていうのがポイントなんで、タイミングだったと思いますよね。それでまた頑張ってくれれば」とエールとともに休養の大切さを説いた。

お金持ちが教える!イライラを一瞬で消す3つの方法

お金持ちは「怒り」の解消法を持っている

富裕層は些細なことでいちいち怒ったりはしません。とはいえ、そうすぐに割り切れるものでもないという意見もあるでしょう。しかし、怒りの感情は、私たちの時間(つまり人生の一部)を奪ってしまうこともあるのです。

たとえば思い出すたびに腹が立つ、夜ベッドの中に入っても怒りがおさまらず、悶々としてなかなか寝付けない、といった経験をしたことがある人もいると思います。

そんな時間は何も生み出さないどころか、イライラしてストレスまみれになる行為です。そこで、怒りを感じたとしても、それをスッと消す方法論を自分の中に持っておくと便利です。

方法1. 思考からシャットアウトする
たとえば「考えてはいけない人のブラックリストを持つ」という方法。どこの世界にも自己中心的で不愉快な人間はいて、何度思い出しても腹が立つのですが、そんな人は自分の成長や成功にまったく貢献しない人です。そんな人物のせいでイライラするのはバカバカしい。だから、「考えてはいけない人」のブラックリストを頭の中で指定しておくのです。

そしてふとした瞬間、その人を思い出してしまったら、即座に「コイツはブラックリストだ。考えてはいけない!」と、思考からシャットアウトするという方法です。

方法2. 文字にして怒りを吐き出す
あるいは、「議論で言い負かされてしまった」「上司の意見に反論できなかった」「交渉でやり込められた」「自分の意見を通せなかった」「自分は悪くないのに、自分のせいにされた」というとき。

後々までムシャクシャが尾を引き、「あのとき、こう反論すればよかった」「なぜ、ああ言えなかったんだろう」と、頭の中で反論がぐるぐると駆け回ります。壊れたレコードのように架空の会話が繰り返され、ほかのことがなかなか手につかなくなってしまいます。

そこで、腹が立つ相手に訴状を書くのです。といっても、実際に相手に送りつけるわけではなく、あくまで相手を訴えるという想定で反論文書を書く、という意味です。

たとえば、「あなたはそう言いましたが、私はそうは思いません。なぜなら○○だからです。それに、本来はこうあるべきですから、あなたの○○という発言は理解に苦しみます」といったように、自分が言えなかったこと、言い足りなかったこと、今考えうるベストな反論を訴えるかのごとく、全部吐き出してしまうのです。

ブログでもノートでもメモアプリでも何でもいいので、自分の思いのたけをぶちまけてしまえば、気持ちがすっきりして落ち着き、頭を切り替えてほかのことができるようになります。つまり脳内に溜まった「負の感情」というアカを吐き出す方法です。

方法3. 相手に過度な期待をしない
次に、「他人は自分の思い通りに行動してくれるとは限らない。むしろ思い通りにはならないことのほうが多い」という認識を持っておくことです。怒りの感情とは、自分の期待とは違う言動をする誰かによって、引き起こされることがほとんどです。上司や部下、家族や友人に対しても、「自分はこういう期待をしていたのに、それとは違う反応・結果だから腹が立つ」というわけです。

そこで、「相手は所詮は他人。期待通りになるはずはない。だから自分の動き方を変えて、他人に依存しすぎない状況を作ろう」という姿勢で取り組むのです。

あるいは他人に何かをするときは、見返りを期待せずに、自分のためにやることです。「してあげる」という意識を捨てて、自分が嬉しいから、楽しいから、得をするから、という理由で行動すればいいのです。

そうしておけば、仮に期待とは違うことになっても、怒りでブルーな気分を引きずるという時間を減らすことができるでしょう。それは結果として、ストレスの少ない平穏な日々を過ごせることを意味します。
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日本人に多い「過剰適応」とは?精神科医・名越康文先生が解説

人気女性アナウンサーや女優たちが、自身の“黒い感情”を次々とさらけだすと、「闇キャラ」と称され話題になった。容姿にも恵まれ、地位や収入面でも成功したと思われる立場にあっても、自分の存在意義が見いだせない、人生にむなしさを覚える、などと感じる彼女たちの心の内に驚かされると同時に、ネット上でその発言を支持する声の多さから、「心の闇」を抱える人たちが多く存在することも浮き彫りとなった。

「“心の闇”は、もはや特殊なケースを指す言葉ではなくなっています。しかし、けっして軽傷というわけではない。うまく表現ができないだけで、そうとうな苦しみを抱える人の数は増えていると思います」

そう語るのは、精神科医の名越康文先生。「心の闇」という言葉は、’97年(平成9年)の神戸連続児童殺傷事件を機に世に広まったが、20年以上たった現在はその意味合いも変わり、普通の人が“普通に”心に抱える“生きづらさ”を指すことが多いという。

「自分では気に留めていないつもりの小さな苦しさが積み重なり、いつの間にかパンク寸前まできて、自分でも抑えられなくなってしまった、という状態が近いかもしれません。要因はひとつではありませんが、日本人の2~3割が該当する“過剰適応(症候群)”の人は、心に闇を抱えやすい傾向にあります。

過剰適応とは、まわりの顔色(環境)が気になり、まわりに合わせようとするあまり、自分を押し殺してしまうことをいいます。日本人ならではの気配り気質とは異なるもので、幼少期に親と無条件の信頼関係が築けなかった、思春期に受けた大きなトラウマから立ち直れないでいるなど、別の理由が存在することが多いのです」(名越先生・以下同)

この過剰適応は比較的、女性に多くみられるという。「一般的に女性のほうがコミュニティーへの参加数が多いうえ、社会的な制約もあるぶん、より人の目を気にしてしまうのかもしれません」と、名越先生も、女性が特に心に闇を抱えやすいことを危惧する。

「まわりをつねに意識し、まわりに同調しようと気を張った状態は、当然、消耗しやすいといえます。これが長く続くと、自律神経のうちのリラックスをつかさどる副交感神経のパワーがなくなり、心身が緊張した状態から解放されなくなります。すると今度は、質のよい睡眠がとれず睡眠不足になり、心身の疲れもとれなくなるわけです。

集中力が落ちて仕事や人付き合いが軽やかにこなせなくなり、自信がなくなり、自分自身を含め、人を信じられなくなってしまう。それでも自分では原因がわからないから“まわりの人のようにうまくやりたいのにできない”というジレンマに陥り、自分自身をより追い詰めてしまうのです」

名越先生によると、このような状態は現代医学ではほとんど病名がつかず、東洋医学では「未病」と呼ばれる段階だという。

「しかし、心と体は密接につながっているので、いずれは身体や心の病気となって表れる危険があります。だからこそ、未病の段階でターンをかけることが大切なのです。頑張れる力が大きい人ほど、一度病気になると修復に多くの時間がかかります。だから“私は大丈夫”と決めつけず、息苦しいと感じたら、自分を気にかけ、ケアをはじめてください」

卵3個で“心の病気”予防に…鉄不足を解消する食事方法

最近、妙に気分が落ち込む、イライラする……そんな人は、もしかしたら鉄分が足りていないのかも−−。

「うつやパニックの症状を訴えて私のクリニックに退院した女性の血液検査の結果をみると、ほとんどの患者さんは血液中の鉄分量が不足している状態だということがわかりました。

そこで、うつやパニック障害の症状を訴えてきた患者さんに、投薬治療とともに、鉄分を補う栄養療法を行いました。すると4カ月目あたりから鉄不足が解消され、少しずつ元気を取り戻して、薬を手放すことができるように。その後、日常生活を快活に送ることができているという報告が相次いでいるのです」

そう語るのは、「ふじかわ心療内科クリニック」院長の藤川徳美先生。この鉄分を補う栄養療法により、’12年4月から、約2,000人の患者の症状を改善させたという。その臨床結果をまとめた著書『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』(光文社新書)が、7月に発売され、話題になっている。

藤川先生によれば、うつやパニック障害などの精神疾患と鉄不足とは、実は密接に関係しているのだという。心を安定させるときは「セロトニン」、やる気を促すときは「ノルアドレナリン」、快楽や多幸感を得るときには「ドーパミン」などの神経伝達物質が脳内に分泌される。

鉄は、これらの神経伝達物質を作る際に必要な酵素を助ける働きをしている。そのために、鉄が不足すると、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンが必要なときに作られなくなってしまい、うつやパニック障害の症状を引き起こしやすくなるという。

「一般的に、赤血球の中にある『ヘモグロビン値』が不足している状態を貧血といいます。ヘモグロビンを作る材料は鉄とタンパク質なので、鉄とタンパク質が不足すると、血液中のヘモグロビン値が低下し、酸素を体の隅々まで運んで二酸化炭素を吸収するという赤血球の役割が弱くなるのです。

そうすると、酸素不足となり、貧血が起こりやすくなります。ところが、ヘモグロビンの数値は正常でも体調不良を訴える人がいました。そこで、私は“フェリチン値”に注目しました」

フェリチンとは、体の内部に鉄を蓄えるタンパク質で、幹細胞などを中心に分布している。血液中の鉄分が不足すると、フェリチンに蓄えていた鉄分が放出されて、血液中の鉄分量を調節する。ふだん使う財布のお金を「ヘモグロビン」、貯金分を「フェリチン」とお金にたとえて考えるとわかりやすいだろう。

「ヘモグロビン値が正常でも、このフェリチン値が低下していれば、鉄の貯金が減っていることになり、気分が落ち込む、イライラする、動機やめまいがする、目覚めが悪い、冷え性である、といった症状が出ます。

ヘモグロビン値が低くなる貧血を『鉄分欠乏性貧血』というのに対して、フェリチン値が低くなることを『潜在性鉄欠乏症』といいます。健康診断の数値を見ただけでは鉄不足を見逃してしまうことも多く、この“貧血ではないのに鉄不足”の人がうつやパニック障害の人にとても多いのです」

’14年に来院した15〜50歳女性患者217人のデータによると、初診時でのフェリチン値は、10ng/ml以下が87人(40.1%)、11〜30ng/mlが79人(36.4%)、31ng/ml以上が51人(23.5%)という結果だった。フェリチン値が30ng/ml未満の患者は76.5%にのぼり、約8割の患者が鉄不足であることが判明したのである。

そこで、藤川先生も実践しているという、〈藤川流「鉄不足解消食事法」〉を紹介!

■1日に卵を3個食べる

たとえば、朝はサラダに目玉焼きで1個、夜は卵焼きで2個など。卵は生ではなく、加熱すると食べやすい。量を取るためには、食べ方を工夫するとよい。

「毎日、同じ卵焼きを食べていると飽きてしまいます。そんなときはトッピングを工夫するのがコツ。生クリーム、じゃこ、明太子、チーズなど、日替わりで中身を変えて食べると飽きません」(藤川先生・以下同)

■ヘム鉄が多く含まれる肉・魚を1日200g食べる

1食70gを目安に牛肉、豚肉、鶏肉、魚をローテーションにする。例・「鶏肉」焼き鳥のレバー、親子丼/「牛肉」野菜炒め、ステーキ、しゃぶしゃぶ、タン塩焼き/「豚肉」しょうが焼き/「魚」カツオやマグロの刺身、サンマの塩焼き、サケのムニエル。

「お金をかけたくない人は、豚のこま切れを使った野菜炒めもおすすめです」

■甘いおやつは控える

ふだんからお菓子やスナック菓子、糖分が入った清涼飲料水は控えること。小魚(いりこ)をおやつ代わりにしたり、味噌汁の具にして食べよう。1日3個の卵を食事で食べきれないときは、ゆで卵をおやつに。スナック菓子の代わりに、チーズや魚肉ソーセージを食べてもよいでしょう。

「どうしても甘いものを食べたいという人は、バターコーヒーがおすすめ。朝、バターコーヒーを飲むと、『甘いものを食べたい』という気持ちを抑えてくれます」

これを参考に、正しい食生活で鉄不足を解消し、健康をキープしよう。

日本の国民性が女性の自殺を増やしている

新型コロナの影響で、女性の自殺が増えている。もちろん男性の自殺も増えているのだが、これまでだと自殺する人の7割が男性、3割が女性と、圧倒的に男性が多かったのだが、今年の夏の統計では、男女差がないという。

これまで女性の自殺が少ない理由として、女性は悩みなどで心が苦しくなると、友だち等に打ち明ける人が多く、男性は悩みや苦しみをプライド等から打ち明ける人が少ないからだといわれてきた。精神科医によると、他人に相談をするだけで、半分くらいの自殺は予防できるらしい。

しかしいま、女性の自殺が男性と同じくらいになっている。なぜか? 一つにはこれまで多くの女性の生活を支えてきた派遣や契約社員、パートが、コロナ不況でまっさきに切られてしまっていることにあるという。

さらにもう一つは日本人の『恥の文化』がある。親族に知られたくない。お上の世話になるのは恥だという心理だ。

また世界125ヵ国を調べた『世界人助けランキング』での「見知らぬ人、あるいは、助けを必要としている見知らぬ人を助けたか」という問いで、日本は125位と世界最下位。

また他の調査で「失業者がそれなりの生活水準を維持できるようにすることが政府の責任」だと考える割合も日本は低い。

菅総理は総理就任時に目指す国の姿として『自助、共助、公助』を掲げたが、日本人は共助・公助もあまり好きではないらしい。

しかしもし、自殺を考えたり、生活等に苦しくなったら、遠慮なく誰かに相談するべきだ。最後に、厚労省の相談機関のメールアドレスを記しておきます。

悩み相談‐厚生労働省 自殺対策 https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/

生活保護問題対策全国会議 http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-154.html

プロフィール おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

心の安定・幸せホルモン「セロトニン」を簡単に増やす2つの習慣【心に効く!美腸レシピ付】

幸せホルモン「セロトニン」を増やすための2つの方法とは
男女問わず「いつも心が穏やかで自然体でいられる人」「心身が安定していてブレない人」に憧れを持つ方は、多いのではないでしょうか。普段私たちの脳は、様々な臓器からの信号を受け、感情を生み出しています。セロトニンとは、別名「幸せホルモン」とも呼ばれる脳内神経伝達物質であり、「嬉しい」「楽しい」「心地よい」などの幸福感を生み出すことで、心身の安定の手助けをしてくれます。

結論からお伝えすると…

①午前中の太陽の光を浴びる
②腸内環境を整える
この2つを実行することで、私たちの体内の「セロトニン(幸せホルモン)」が増えていきます。つまり、①②は、私たちの心身の安定に必要不可欠とも言えます。では、私たちの身体で何が起こっているか、順番に見ていきましょう。

そもそも「セロトニン」とは?
・心と体の安定

・癒し/安らぎをもたらす

・自己肯定感を高める

・気分の浮き沈みを穏やかに

・自律神経副交感神経とのバランスをの調整する

・ドーパミン(注1)やノルアドレナリン(注2)を調整する

注1)幸せ・集中力UP・ポジティブなど「快」の感情

注2)緊張感や危機感など血圧をあげる作用

セロトニンは上記のような役割を果たしてくれる脳内伝達物質です。セロトニンが不足すると、イライラしたり、不安になったり、やる気が起きなかったり…。パニック障害やうつ病などの精神疾患に繋がる恐れもあります。特に女性は月経前症候群(PMS)や更年期障害など、ホルモンバランスが動く時期には感情も揺れやすくなります。

心の安定にセロトニンは必要不可欠なんですね。

「セロトニン」は腸で9割が作られている
そんなセロトニンは、最近の様々な研究や実験により、実は9割が「腸」で作られていることがわかっています。食べ物から摂取した必須アミノ酸の1つ(トリプトファン)が腸内細菌のはたらきによりセロトニンの基を生成し、そのセロトニンの基が脳へと伝達されます。その基が脳内でセロトニン(幸せホルモン)へと変化したのち、体内に分泌され、心身に癒しやや安定をもたらします。また脳と腸がお互い影響を及ぼし合う「脳腸相関」も明らかになってきています。

忙しくて疲労がたまると便秘になる、不安や緊張が続くとお腹が痛くなる・緩くなるなどもその現象のひとつと言われています。

結論に戻りましょう。セロトニンを増やす2つの方法のメカニズムとは?

①午前中の太陽の光を浴びる

セロトニンを増やす一番の方法の1つは「太陽の光を浴びること」。太陽の光は腸内のセロトニンの基(トリプトファン)の生成分泌を増やし、脳内のへのセロトニン分泌を促してくれる効果があります。セロトニンが増えるには2,500-3,000ルクスの光が必要です。蛍光灯の光は500-1000ルクス、窓越しの太陽の光は3,000ルクス、屋外の太陽光は50,000~100,000ルクスであり、。曇りでも10,000ルクス程度を浴びることができます。

※セロトニンを増やすにはは15~30分程度の日光浴が推奨されています(セロトニンは無限には増えません)長時間の日光浴はセロトニンで生成されます。30分以上は逆にセロトニン神経が疲れて分泌が悪くなるので気を付けましょう。

午後の光ではだめなの?
「セロトニン」は夜になると「メラトニン」と言う快眠をもたらす睡眠ホルモンに変化します。「メラトニン」は光を浴びて約15時間前後で最も増加し、「メラトニン」という睡眠を促す物質へと変化します。8時に作られたセロトニンの場合、23時前後にメラトニンへと変化。メラトニンは濃度が増加すると深部体温が下がりはじめ、深い睡眠に入るための準備を始めてくれます。スムーズにメラトニンへと変化できるよう、体内時計を整え、良い睡眠を得るためにも、午前中に太陽の光を浴びることを意識してみましょう。に太陽の光を浴びることをを意識してみましょう。メラトニンは体内時計のリセットにも一躍買ってくれる素晴らしい物質です。「眠気が出ない」「寝つきが悪い」「睡眠薬が必要」という方はまずは午前中の太陽の光を浴びることをおすすめします。

ビタミンDの生成にも効果的
ビタミンDは、太陽の光(紫外線)や食事などから摂取しますが、日本人は不足しがちと言われています。また、ビタミンDはセロトニンの生成に関係することがわかってきています。日光浴や食事摂取からの摂取が欠乏しやすい栄養素のひとつで、日本人の8割近くが不足気味、内4割は不足しているとも言われています。必要量の半分は自分で生成できるできますが、その他は太陽の光を浴びるとことで、一番活発な「活性型ビタミンD3」が生成されます。活性化します。冬季の日照時間がの少ない雪国やヨーロッパなどは、太陽の光から得られるセロトニン生成やビタミンDの分泌が少ないため、冬期うつ病との関連がが問題視されています。太陽の光にはとても重要な役割があるんですね。

また、ビタミンDは骨の健康を保つのに必要不可欠な「カルシウム」とも関係があります。カルシウムが不足すると骨粗しょう症の原因になり、なったり、猫背などになったり…、姿勢にも影響してきます。ビタミンDはそのカルシウムのバランスを調整しますとってくれるのが「ビタミンD」。このビタミンDの生成も太陽の光(紫外線)を浴びることがで作られる大切です。な栄養素なんです。

太陽の光にはとても重要な役割があるんですね。

いつまでも美しい姿勢でいたい方、また気分が落ち込みやすい方は、年齢を重ねても美しい姿勢を保ちたい方は、まずは朝の日光浴からはじめてみましょう。

②腸内環境を整える(美腸茶レシピ)
太陽を浴び、生成した分泌したセロトニンの基(トリプトファン)を上手に吸収し、脳や体内に送るのが腸の役目です。いくら太陽の光を浴びても、腸内の環境が乱れていて中が汚れていてはセロトニンの基トリプトファンの吸収が低下してしまいます。も半減してしまいます。腸内環境を整えることが、心穏やかでいられる近道になるなんですね。

腸内環境を整えるには善玉菌のエサとなる発酵食品や食物繊維を摂る、悪玉菌が増えないように脂や添加物を控える、腸マッサージをする…など色々ありますが、ここでは女性の見方「黒豆」を使ったレシピをご紹介します。

黒豆がもたらす作用
黒豆は身体に嬉しい栄養がたっぷり。特に善玉菌のエサとなる食物繊維が豊富な食べ物です。他にも高い抗酸化作用のあるポリフェノールのひとつである「アントシアニン」はが血圧をのコントロールをし、血流の流れを良くする働きがもあり、ます。また「カリウム」はが塩分を排出する働きにより、むくみや冷え性の軽減にもつながり、ます。「大豆サポニン」の作用は脂質の代謝を促して内臓脂肪をつきにくくします。、さらに「鉄分」も含まれているため貧血気味の方にもおすすめのお豆です。

ノンカフェインなので、カフェインが苦手な方や妊婦さんにもおすすめです。

太陽の光を浴びて腸内環境を活性化しを綺麗し、ブレない心身を手に入れてマインドで心地よい毎日を送りましょう!

医師監修/冨田理紗子先生

医療法人 静和会浅井病院 精神科部長救急部門担当。川崎医科大学を卒業後、日本医科大学精神神経科入局。平成23年から静和会浅井病院に非常勤、平成25年から常勤として勤務し、現在精神科部長救急部門担当。

半田葉子
vegan菓子 《素果子|sugashi》 店主/バウエル腸セラピスト/KUSHI macrobiotics Level2修了地方veganカフェの立ち上げやメニュー提供、海外のオーガニック事情調査、くるみの木東京店店長などを経て、【OnlineStore:素果子|sugashi】 を始動。15年のマクロビオティック生活と自身の経験と知識を活かし、「入れる選択と出す力~季節(自然)に寄り添ったここちよい暮らし~」を個人・企業向けに提案しています。素果子 | sugashiOnline Store:https://sugashi-shop.stores.jp/Instagram:https://www.instagram.com/handayoko/

※大豆アレルギーの方はご注意ください。

心が折れやすい人が感じる「無力感」との向き合い方

昨年は新型コロナによる感染症の流行により、多くの人にとって試練の一年となりました。これからのウィズ・コロナ時代を生きていく現代人には、より「折れない心」が求められるでしょう。とはいえ、実際に明るい未来が見えない状況で生きていくのは簡単ではありません。そこで今回は、心理カウンセラー・植西聰さんの新刊『前を向く力を取り戻す 「折れない心」をつくる たった1つの習慣』(青春出版社)から、苦しい状況の中で生きていくときに、気持ちが少しラクになる考え方を紹介します。

「無力感」を感じたときに大事なのは「自分を責めない」こと
 心が折れやすい人は、そうでない人よりも「無力感」にさいなまれることが多いようです。無力感というのは、簡単にいうと、「自分は何もできない」、「自分には力がない」というふうに、気力が保てなくなってしまうような心の状態のことを言います。

 例えば、ある日突然、会社の上司から「業績が悪化したので、来月の給与は半分カットすることになった」と告げられたとしましょう。最初は「そんなこと急に言われても、困る」と怒りの感情が湧いてくるかもしれません。しかし、しばらくすると、「来月からどうやって生活していこうか」、「家賃の支払いはできるだろうか」と、今後が心配になって絶望的な気持ちになるでしょう。そして、「こんな状況になっても、自分は何もできない」と無力感にさいなまれるのです。

 人間関係においても、無力感にさいなまれる場面があります。例えば、長年の友人が家族とのトラブルで大変な状況に追い込まれていると知りました。「自分も何かサポートをしたい」と思っても、実際のところは何の役にも立てないことがわかって、「大事な人が困っているのに」と無力感に襲われてしまうのです。

 心の中が無力感でいっぱいになると、日々の生活に活力がなくなります。悪化すると、気持ちがずっと沈んだまま体が動かなくなって、本当に病気になってしまうこともあるので注意が必要です。

 無力感にさいなまれたときは、自分を責めないことが、とても大切です。そして、どんな小さなことでもいいので、その日、自分ができたことを数えてみるといいでしょう。

「今日も朝起きて会社に行った」

「一日分の家事を終えることができた」

 そして、「つらいけど、何とか頑張れたね」、「人を助けようとしたのは立派なこと」というふうに、自分を励ましてあげることを心がけてほしいと思います。

他人への批判や怒りは結果的に自分を苦しめる
 私たちの生活には、生きていく上で課せられたルールがあらゆるところにあります。その最たる例が法律です。

 例えば、社会人になったら、税金を納める義務があります。たいていの人はそのルールを守って、きちんと税金を納めていますが、中には何らかの理由で何年も納めていない人もいます。そういう人がニュースで取り上げられたりすると、「悪い人だ」、「収入は多いはずなのに」などと批判が繰り広げられます。「ルールを破る人がいると、きちんと守っている人には迷惑だ」という正義感から批判する人が多いのでしょう。

 しかし、心の中では「自分はきちんとルールを守っているのに、あの人は平気でルールを破っている」というのが許せなくて、イライラしてしまうという心理もあると思います。誰かを見るたびにイライラしてしまいがちな人は、無意識に「あの人は悪い」、「あれは間違っている」とジャッジしてしまう傾向が強いといえます。

「悪いことをする人が許せない」という思いは理解できますし、悪いことをする人よりもいいことをする人のほうが正しいのも確かです。しかし、ジャッジばかりしていると、心の中に「怒り」や「恨み」といったマイナスの感情がたまっていき、結果的に自分を苦しめることにつながります。

 人間に感情がある限り、人や物事をジャッジせずに生きていくのは簡単ではありません。しかし、「ジャッジは、ほどほどにしよう」という意識を持つことはできるはずです。

 第一、他人のことでいちいち自分の感情を乱すなんて、感情の無駄使いです。世の中は、いいことと悪いことが混ざり合っているものです。イライラやモヤモヤがふくらんだときは、「いい」「悪い」でジャッジしていないか、チェックしてみましょう。

変化していく世の中を受け入れていくために
「世の中はどんどん悪くなっている」と思い込んで、心が折れそうになっている人がいます。そういう人にとって、変化は悪い意味を持ちます。

 実際に、変化には予想できないリスクが伴います。「変わる前より状況が悪くなってしまった」という可能性もゼロではありません。そして、人間には「失敗や後悔をしたくない」という気持ちから自分を守る心理が働くため、どうしても変化することを怖く感じるのです。

 しかし、世の中を見渡すと、一見、よくない変化のように感じたものが、実際にやってみるといい結果をもたらしたということがよくあります。例えば、感染症の影響で外出ができなくなり、社会全体が大きく変わったことについても、色々な見方ができます。

「会社に毎日出社しなくてすむようになったら、通勤時間の分を好きなことに使えるので新しい趣味が増えた」

「人が外出を控えたことで、街中の空気がきれいになり、海や川の水質もよくなった」

「ランチ代や、仕事の後の飲み会に使っていた分の出費が減って、貯金が増えた」

「苦手な上司と顔を合わせることがなくなり、しっかり睡眠が取れるようになった。そうしたら、体調までよくなった」

 こんなふうに変化のプラス面に注目することで、心の状態もよくなります。「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることができるのは、変化できる者である」。これは19世紀を代表する科学者であるチャールズ・ダーウィンが残したとされる言葉です。

 私たちの日常も、これと同じだと思います。時代はどんどん変わっています。この事実を受け入れて、自分の生活をよりよく変化させていけばいいのです。したがって、「この変化は未来の幸せにつながっている」と受け止めることが大切になります。

【実録・メンタルヘルス:その3】薬の服用を中止し妄想にとりつかれたKさんが起こした奇妙な行動

妄想や幻覚といった症状を伴うこともあることから社会生活が困難になってしまうことも多い「統合失調症」。このシリーズでは、実際にオフィスで起こった出来事をもとに、統合失調症の症例とケアについて記述していきたいと思います。

(前回からの続き)

オフィスで起こしてしまった暴力行為がきっかけで精神科を受診し、「統合失調症」と診断されたKさん。しかし、病院で処方された薬を飲むと眠気に襲われることから服用を自己判断で中止し、症状が悪化してしまうのでした。

◆みんなが連絡を取りあって自分を攻撃している

他人からの「攻撃」をガードするため、耳栓やヘッドフォン、マスクを常に着用し、「証拠」をおさえるために小型のビデオカメラを持ち歩くようになったKさんでしたが、それでも悩みがつきることはありません。

次にKさんを悩ませたのは「メール」でした。Kさんが気にしている顔が痙攣する症状(チック)のことを、オフィスの人々が社内メールを使ってウワサしている、という妄想が出てきたのです。

みんながメールで連絡を取りあってひそかに自分の悪口を言っている、という思いにとりつかれたKさんは、悪口メールの「送受信の証拠」を探すために、同僚が席を外しているあいだに勝手に他人のパソコンを操作する行為をして、またしても社内で問題になりました。

そんなこともあって、会社側のKさんへの監視の目が厳しくなるなかで、またも決定的な事件が起こってしまったのです。

◆両手を挙げて「降参」した人形
その事件は、終業時間をかなり過ぎた夜のオフィスで起こりました。もう午後10時を過ぎていたので、オフィス内にはKさんと、派遣社員である女性デザイナーのYさん(仮名・31歳)、そしてフロア責任者の課長しか残っていませんでした。

課長が他部署との打ちあわせでオフィスを出た数分後、Kさんがおもむろに立ちあがりました。

Kさんの手には全長20センチほどの兵隊の人形が握られています。この人形は、Kさんがいつもデスクの片隅に置いてあるもので、関節が自在に動かせるようになっています。

Kさんは、デザイナーのYさんのデスクまで歩いていくと、その人形の両手を「バンザイ」の形にして、無言でYさんに向かって何度も突きだしました。

驚いたYさんは、「なんですか?」とKさんに向かって言ったのですが、マスクで顔の半分を隠し、耳には耳栓とヘッドフォンをしたKさんはマスクのなかで「許してください。もうカンベンしてください」と、つぶやくばかりで、会話になりません。

Yさんは、おなじ部署とはいえ挨拶ぐらいしかしたことのないKさんの意味不明の行動に驚き、こわくなってオフィスから逃げ出しました。そして、別のフロアにいる課長のところへ行き、この事件を報告したのです。

◆家族は「一緒に住みたくない」
このKさんの奇妙な行動は社内で大問題となりました。Kさんが上司たちに語ったところによると、KさんはなぜかデザイナーのYさんを「悪口メール」の主犯だと思っており、降参の意味をこめて「両手を挙げた」人形を持っていったとのことでした。

しかし、そのような説明が会社の上層部に通用するはずもありません。今度は、「家族の協力のもと、治療に専念すること」が会社命令として言い渡され、Kさんは当分のあいだ残業も禁止されました。

当時、Kさんには奥さんと小学生の娘さんがいました。上層部からの命令を受けて、Kさんの直属の上司であるNディレクターが、Kさんの奥さんに会社の意向を伝える電話をしました。

しかし、会社での話を聞いたKさんの奥さんは、Nディレクターにこう言ったのでした。

「あんな気持ち悪い人とはもう一緒に住めません。子どものためにも離婚したいと思います」

(続く)

※本文は事実をもとに構成されたフィクションであり、実在の人物・団体とはいっさい関係がありません。

「コロナ観」のズレで別れも? 友人、恋人、夫婦…人間関係の分断を防ぐ “心の持ち方” とは…

元日本テレビ解説委員で、現在は各メディアでコメンテーターを務める岸田雪子氏が、子育ての身近な悩みや課題を取り上げる新連載「岸田雪子のBloom Room(ブルームルーム)」。親子の笑顔の "つぼみ" を花開かせる小部屋です。今回は、話題のツイートから "コロナ観" について考えます。

わたしの友人Aの話です。上司と同僚2人に食事に誘われた時のこと。Aは高齢の両親と同居しているため、新型コロナウイルスに感染しないように人一倍注意を払い、会食を避けていましたが、お世話になった先輩の誘いを断るわけにもいかず、少人数ならと出かけたそうです。ところが、同僚が予約した店に着いてみると、通された席はテーブルが小さく、隣との距離が近く、窓もない。Aは食事中も話す時はマスクで口を覆っていたそうですが、同席する上司たちはマスクを外し、コロナ前と変わらない様子で酒が進んでいたそうです。

後日Aは「久しぶりに会ったのに、全然楽しくなかった。もう一緒に食事に行きたくない」とため息をついていました。Aと上司たちの間に、コロナ観のズレがあったことが、食事会をきっかけに明らかになってしまったようです。

■マスク外す?出かける?コロナ観のズレが生まれる理由

「コロナ観」のズレは、2つのポイントで生まれることが多いようです。1つは、「環境の差」。もう1つが「意識の差」です。

環境の差は、例えば「高齢の家族がいる」「ひとりで子育て中なので、自分が病気になったら子どもの預け先がない」といった、家庭環境に起因するもの。あるいは、「介護施設で働いている」「病院で働いている」「自分の代わりがいないので、休むと周囲に多大な迷惑をかけてしまう」などの職場環境によっても、「感染リスクを強く感じる」コロナ観が生まれやすくなるでしょう。

こうした環境の差も影響して「意識の差」は大きくなる場合があります。例えば、マスクの重要性への意識です。「マスクは自分を守るためにも、相手を守るためにも必要」と考えている人にとって、「マスクをせずに大声でおしゃべりする人」は理解しがたく、遠ざけたい心理が働きます。あるいは、相手が介護関係の仕事をしているのを知っていながら、「カラオケパーティーに行こう」と言えば、その誘いそのものが、人間関係の断絶を生んでしまうかもしれません。政府が「GO TO」と呼びかけるようになってからは、この「意識の差」は、より顕在化しているように感じます。

■断絶か、歩み寄れるか、の境界線

そもそも、価値観はみんな違うものです。ですが、感染症を相手にすると、「もしかしたら命の危険に直結するかもしれない」から、やっかいです。

しかし、よくよく考えてみれば、「コロナ観が違う=断絶」というのも、やっぱり寂しい。断絶の一歩手前に「歩み寄る」道はないか、考えたいものです。

「歩み寄り」の一歩目は、「相手への理解」です。コロナ観のズレを感じたら、先述した相手の「環境」と「意識」に目を向けてみてください。「医療に携わっているわけでもない、高齢者と同居しているわけでもない相手」であれば、さほど「リスク意識」が高くなくても、仕方ない、と思えるかもしれません。健康意識は、高い人ほどより新しい情報を仕入れて意識が高くなりやすい一方、関心のない人は情報に触れることすら少ない、というギャップがそもそも生じやすいのです。

相手への理解の次は、「自分をわかってもらう」ステップです。冒頭の友人Aの場合なら、「私は高齢の母と同居しているので、感染対策がしっかりした店とテーブルを私が選びますね」と先に提案してみてもよいかもしれません。

「自分のリスク意識を理解してもらえない時に気まずいから、言いたくない」という人は、個人情報を言わないまま、お店選びを率先してみたり、「〇〇さんが言っていたことなんだけれど…」と、第三者の情報を借りると、理解してもらいやすいこともあります。

それでもズレが解消できない時は、「おあずけ期間」を設けるのも一案です。コロナ禍のトンネルは永遠ではありませんから、ズレに直面しそうなことは、先延ばしにしてみてもいいのです。

大事なことは、無理をしてストレスをためないことです。あなたの価値観は、あなたのものとして大事にしながら、無理なく「歩み寄れるところ」を探してみてください。

sowelu、パニック障害公表「本当に良かった

パニック障害を抱えていることを公表した歌手のsowelu(38)が、反響を受け「公表して本当に良かった」と思いをつづった。

soweluは24日、「ありのまま告白して良かった」のタイトルでブログを更新した。「同じパニック障害に悩まれている方や、乗り越えた方、ありのままを打ち明けてくれて、励ましてくれて、たくさんのメッセージみんな本当にありがとう」と感謝し、「まさかこんなにたくさんの方が同じように悩まれているとは思っていなかったので、パニック障害になった事を公表して本当に良かったなと思いました」とつづった。

「私は今発作が起きてない時は普通に過ごせていて、発作が起きると息が苦しくなったりフラフラしてしまったり何にも出来なくなってしまうといった状況です。だから良い時と悪い時の落差がすごく激しいの。発作もいつ起きるかわからないから余計不安になっちゃう時もあるんだよね。

1番酷かった3ヶ月前に比べたら少しづつ発作が起きる頻度が減ってきたので、良くなっていってるとは思います」と、現在の症状を説明。「どうかみんなも無理はしないで焦らずゆっくりいきましょう こうゆうご時世だからこそ自分を大切に まずは自分を愛そう」と呼びかけた。

物事をやるきるための意志力の鍛え方とは

意志力とは目標や計画を決め、それを実現しようとする力です。何かをしよう、もしくはしないでおこうと考えて、やり抜くために発揮されます。自分をコントロールして身の回りにある誘惑に負けず、やるべきことをやり続けることが求められます。強い意志力を身につけたいと思う人も少なくないと思います。

そこでこの記事では意志力が弱まる要因や鍛えるためのポイント、回復方法について紹介します。

意志力が弱まる要因

物事を決定したり達成したりするのに意志力が必要なことを頭では理解していても、物事を最後までやり遂げられるわけではありません。モチベーション高く取りを組み始めても、途中で投げ出してしまうことも多いでしょう。意志力が弱まってしまうのには理由があるので、まずはその原因を明らかにしておきましょう。

○■ストレスにさらされる

好きなことを我慢している、嫌なことを渋々しているなどの抑圧したストレスは、モチベーションを下げ意志力を弱めます。我慢していることやできないことにばかりに意識を向けるとストレスがたまります。目標に向かっているときは、ポジティブな側面に意識を向けるようにしましょう。

○■体調が悪い

身体が弱っているときは、意志力を保つエネルギーも不足しています。意志力を保つには身体にも脳にも多くのエネルギーが必要ですので、不健康な生活には気をつけた方がよいでしょう。

また、気力で増えるというものではありませんので、体調が悪いときはしっかり休養をとってエネルギーを補充する必要があります。

○■複数のタスクを抱える

選択肢が多ければ多いほど、意志力の消耗は激しくなります。あれもこれもと多くのことを自分に課して、常にやらなければならないことを複数抱えていると、いくつかのタスクに対する意志が薄れ、結局はいずれかを犠牲にしてしまう結果になるでしょう。

体力も時間も無限に湧いてくるものではありません。選択肢をなるべく少なくして負荷を減らしましょう。

○■他人の目を気にしている

周りからの評価や自分の印象をよくしたいと考えていると、外側にばかり意識が向いてしまうので自分に集中できません。例えば、目標達成のために必要な努力なのに「地味な作業はかっこよくないと思われるのでは」などと気が逸れ、継続する意志を保ちにくくなるでしょう。

意志力を発揮するには、他人や周りの環境のせいにするのではなく、自分で考えて決定する思考が重要です。

意志力を鍛えるためのポイント

意志力は一人ひとりの気質によってそのレベルに差がありますが、その程度を高めることは可能です。筋力トレーニングと同じように自分で鍛えるためのポイントをご紹介します。

○■記録する

こまめに記録をつけて自分の努力や成果を「見える化」すると、モチベーションが上がり目標達成に向けて継続する意志を保ちやすくなります。記録をつけることで自分を客観的に見られるのがポイントです。数値やグラフ、日記など、自分に合う方法を見つけるとよいでしょう。

また、予め目標や決意した内容を記録してけば、ゴールを忘れずにやるべきことに集中しやすくなります。

○■習慣化する

自分にとって当たり前の行為になるまで習慣化すると、意志力を使う際のエネルギー消耗が少なくなります。習慣化にあたっては、負担が少ない簡単なことから取り組むのがポイントです。継続しやすいことを習慣化することが、結果として意志力を鍛えることになります。

一日のスケジュールに自分なりのルールやルーティンを組み込むのも効果的でしょう。予め定めておくことで他のことに気をとられず集中しやすい環境がつくれます。

○■小さな目標を設定する

最初から大きなゴールへの到達を目指すのではなく、現時点で達成可能な小さな目標を設定して、ひとつずつクリアし徐々に大きな目標へとステップアップしていくとスムーズです。

今まで自分がやり遂げたことのない目標を設定すると、なかなかうまくいかず気持ちがくじけてしまいます。「ちょっと簡単すぎるかな」というレベルから始めて継続し少しずつ意志力を鍛えていきましょう。

○■一つのことに集中する

一つのことに集中して取り組むことで、意志力を発揮できるようになります。やるべきことが複数あったとしても、一度に取り組むのは一つに絞りましょう。

今やるべきことを明確にするには、やろうとしていることをリストアップし優先順位をつけることが効果的です。リストをつくる際には、欲張らず自分の状況に合わせたボリュームに絞っておくと焦らず取り組めるでしょう。

意志力を回復するためにできること

意志力は使うことで消耗するだけでなく、環境の影響などによって一時的に弱まってしまうこともあります。置かれた状況を判断して対策をとることで回復が可能です。

○■睡眠をしっかりとる

意志力は、質のよい睡眠をとって体調を整えることで回復します。睡眠が不足すると、脳が意志力を維持するのに必要なエネルギー源を取り込めなくなります。脳のさまざまな欲望をコントロールする部位が働かなくなると、誘惑に負けやすい状態になってしまうでしょう。

○■適度な運動やストレッチをする

身体と心をほぐす適度な運動やストレッチは、必要な集中と意志力を保つのに役立ちます。意志力は、身体と脳がリラックスした状態のときほどうまく発揮されると言われています。

根を詰めていると首や肩、手首・足首などの血流が悪くなり、こり固まってしまいがちです。内容に特に制限はないので、自分が心地よいと感じる運動やストレッチを取り入れることをおすすめします。

○■自分へのご褒美をあげる

消耗した意志力を回復させるために、自分が嬉しくなることやリラックスできることをご褒美として用意しておくのが有効です。目標に向かうことは何かしらの我慢を伴うため、ストレスがたまって意志力を消耗します。頑張り続けた結果、リバウンドが起こるのも意志力が大きく消耗された結果でしょう。

「折に触れて好きなものを食べる」「好きな映画を映画館で観る」など、自分が心地よいと感じることを取り入れましょう。

○意志力を鍛えて目標を成し遂げよう

意志力は目標を達成するために必要なスキルです。積極的に鍛えることで、誰でも高められる可能性があります。強い意志力を持つと、自分が本当に望むことや手に入れたいものを効率よく手に入れられるようになるはずです。

意志力を鍛えて思考や感情を上手にコントロールし、目標を達成しやすくさせましょう。

ハラスメントに悲痛な声「部下を泣くまで説教」 会社への不満は「上司」と「人間関係」が最多

働いていると、誰しもが大なり小なりの不満や問題を抱えてしまうもの。中でも、一緒に働く同僚や上司との人間関係には難しいものがあります。仕事上どうしても関わらざるを得ない相手との関係性が悪くなると、仕事に影響が及んでしまうケースも。また、近年ではハラスメントが社会問題にもなっています。実際のところ、会社員の人たちはどう感じているのでしょうか。

会社への不満は人間関係が1位 テレワークだからこその不満も
 労働者と弁護士のマッチングサイト「労働問題弁護士ナビ」を運営する株式会社アシロは2020年9月、同サイトを訪問した20~50代の男女1227人を対象にアンケート調査を実施しました。まずは、会社に対する評価を項目別に5段階評価。「非常に不満(5)」と答えた人が最多となったのは「上司に対して」という項目で、半数近い46.8%が選択しています。

 さらに「会社への不満」を問う設問(複数回答可)では、1位が「人間関係(887票)」、次いで「労働時間の長さ(727票)」「社風が合わない(662票)」が続きました。「給与が少ない」は581票で4位、「残業代が出ない」は547票で5位となり、お金よりも“相性”と労働条件を重要する傾向が見て取れます。

 会社への不満の理由としては「テレワークになったのに労働時間が逆に長くなった」「遠隔であるが故に、上司から頻繁に電話がかかってきて自分の作業が進まない」などの声が聞かれ、コロナ禍でテレワークになったからこそ抱く不満も存在するようです。顔が見えない状況でのコミュニケーションはなかなか難しいもの。上司も部下も、何らかの工夫が必要かもしれませんね。

ハラスメントの存在と被害 7割超が認める衝撃の結果
 次に「会社内でハラスメントはありますか?」と尋ねたところ、「ハラスメントがある」は39.3%、「ハラスメント被害を受けている」は38%に上りました。実に77.3%の人が、ハラスメントがある、もしくは自身が被害を受けていると答えており、ハラスメントも会社への不満を抱く大きな一因となっていると思われます。具体的な回答は以下の通りです。

「鬱病で休みを取りたかったが社長に怒鳴られた。結局苦しみとともに働いている」
「恫喝され退職することすら許されない」
「裏で悪口を言われている。特定の人物が私にだけ対応を変える。笑顔を絶やすなと言われる」
「理不尽な態度、威圧的な態度、サービス残業の強要」
「来られない時間にわざと出勤しろと言う、部下を泣くまで説教している」
「揚げ足を取る。辞めさせるように仕向ける。事実と違う上申。取り巻きと一緒に悪口、悪評を広める」

 上司であることを利用した「パワーハラスメント」が多く、身体に影響を及ぼすなど、かなり深刻なケースも見受けられます。

ハラスメントで社内の自浄は期待せず 外部に相談するなら?
 では、ハラスメント行為を無くすにはどうすれば良いのでしょうか。「ハラスメント行為を止めさせるために有効だと思う取り組み」について聞いてみると、「直接本人に話す」は「無意味だと思う」と答えた人が874人と圧倒的に多く、「無いよりはマシ程度」が243票、「多少効果は期待できる」が85票、「大きな効果を期待できる」は25票にとどまりました。

 また、「改正労働施策総合推進法(通称:ハラスメント防止法)」の施行が始まるなど、企業がハラスメント行為を防止するための措置を義務付ける法律もできました。その一環である「ハラスメント研修の実施」についても「無意味だと思う」と答えた人が604人に上るなど、その効果には懐疑的な声が多いようです。同様に「管理部から指導を受けさせる」も「無意味だと思う」が482票で、社内での自浄は難しいと考える傾向が浮き彫りになっています。

 一方で「大きな効果を期待できる」という声を最も多く集めたのが「労働局(労働基準監督署)に通報する(519票)」と「弁護士に相談する(484票)」でした。本人同士、あるいは会社内での解決には期待が持てないけれど、第三者機関などに話を持っていくことで、公平に問題を取り扱ってもらえるという期待があることがうかがえます。

 なお、株式会社アシロによると、労働基準監督署自体はハラスメントのように明確な労働基準法違反がない案件を解決する機関ではないそう。労働基準監督署の建物内にある「総合労働相談コーナー」を利用した方が、ハラスメントなどの職場でのトラブルについての相談に乗ってもらえるとのことです。

 一般的には多くの人が、人生の時間を仕事に費やします。生きるためには必要な行動だけに、少しでも良い環境で、心穏やかに過ごせるようにしたいものです。上司も部下も、お互いの立場や心境を尊重し合うことが理想ですよね。

キレるのはNG!「怒りを感じてからの6秒」を乗り切る方法

ビジネスの場や家庭内で、我慢しきれなくなってつい「怒り」を人にぶつけてしまった経験はないだろうか。後になって後悔することは少なくないが、一度爆発した怒りはなかなか制御しにくいもの。感情に任せた怒りが何倍にもなって自分に跳ね返ってくる……などということを避けるためにも、できる限り怒りを表に出さない方がいい。アンガーマネジメントコンサルタントの川上淳子さんは、怒りを感じてからの「6秒」が重要だと語る。

「怒りが生じてから理性の介入までは約6秒かかります。どんなに怒りを感じても6秒待ってほしいのです。言い返す、やり返すといった反射をしないこと。衝動をコントロールできれば瞬間的に“キレる”のを防ぐことができます」(川上さん・以下同)

「6秒」を乗り切るための秘策として、まず「感じた怒りに点数をつける」ことが有効だという。絶対に許せない強い怒りを「10」、穏やかな状態を「0」として、自分が感じている怒りは何点なのか記録を取るようにする。「怒りを数値化することで、自分がどんなときに怒るか、客観視できるようになります。怒りの傾向がわかれば、対処法も見えてきます」ペンやスマホなど目の前のものを観察する、深呼吸するといったことも、6秒を乗り切る効果的な手段だという。

では、「6秒」を乗り越えても、どうしても怒る必要があるときはどうしたらいいのか。そこで考えるべきは“相手に怒りをどう伝えるか”だ。川上さんは「自分や他人を傷つけない、物を壊さない」というルールのもとに、怒りを伝えるとよいと話す。「ルールに則った上で『私』を主語にして伝えると、自分の権利も相手の権利も尊重しながら、相手に言いたいことを伝えられます」

例えば、在宅勤務の夫が家事をしないときは、「どうしてあなたは家事をしてくれないの」と言うのではなく「家事をしてくれると、私は助かります」と伝える。毎晩リモート飲み会をする夫には、「毎日だと私が困ります。せめて金曜日だけにしてもらえるとうれしいわ」と話す。「『あなた』を主語にすると、相手は“責められている”とだけ感じ、肝心な『相手にしてほしいこと』が伝わりません。『私』を主語にすることで、自分がどう感じ、どうしてほしいかが、相手に伝わりやすくなるんです」

自己肯定感の低い人のための、ネガティブになりすぎないセルフコントロール術

周囲と比べて圧倒的に劣っているわけでもないのに、なぜか自分に自信の持てない人っていますよね。もしかしたらそれは、自己肯定感の低さによるものなのかもしれません。あなたは自分に適切な自尊心を持っていますか? そこで今回は、「自己肯定感の低い人がうまく自分をコントロールする方法」をご紹介いたします。

■高すぎる目標設定を避け可能なミッションを課す
もしもあなたが自己肯定感が低いのだとすれば、それは目標の設定のしかたに問題があるかもしれません。サウスウェストステート大学のパボット氏によると、理想の自分と現実の自分のイメージが離れている人ほど自己肯定感が低く、幸福を感じられないことがわかりました。

つまり、目標が高すぎて現実の自分との間にギャップがあるほど、ネガティブになってしまうのです。そんなときは、目標設定を見直してみましょう。努力すれば達成可能な程度の目標がベストです。ミッションをこなしていくうちに、自信がついていき自己肯定感が高まるでしょう。大きな目標を細切れにしてクリアしていくのも◎です。

■無理なく継続可能な運動を続ける
自己肯定感を高めるのに最適なアクションは、運動を継続すること。運動をすると、脳内からアドレナリンが分泌され、ネガティブな気持ちがだんだんとポジティブに変わっていきます。そして定期的に続けることで、達成感も得られます。でも、実際に運動を継続するのはなかなか難しいもの。そこで、1日に腹筋を3回もしくはスクワットを5回、または足踏みウォーキングを5分など、ハードルを低くして、かつ選択肢を増やして取り組んでみましょう。

とにかく続けることに主眼を置いてやってみるのです。そうすれば、自然と今日は腹筋を10回やってみるか、といったように自分に負荷をかけずに向上心を高められるのです。その結果、自己肯定感も高まっていくはずです。

■他人をほめることの驚くべき効果とは!?
人にはそれぞれ、自分とはこういうものだという思い込みをもっています。自己肯定感の低い人は、このセルフイメージが低いことが多いと言えます。そのため、自分をほめるのが苦手だったり、ほめるに値する材料を見つけられないことも少なくありません。そんなときは、他者を意識してほめるように心がけましょう。

人間の脳には、主語を認識せずに処理するという機能があるため、自分でなく相手をほめた場合も、自分をほめたことと同じ効果があるのです。そのため、他人をほめる習慣をつけることで、どんどん自信がつき自己肯定感が高まるのです。しかも、周囲の人たちから好感を持たれるという嬉しい副産物もあります。

■うまくいったときには自分へのご褒美を
自己肯定感が低い人の特徴には、自分にうぬぼれられない、自身に厳しすぎるという点が挙げられます。そんな人はもっと自分を甘やかせてあげたり、認めてあげることが必要なのです。そこで、自分の中にある承認欲求をうまく利用してみましょう。重要なのは報酬、すなわちご褒美です。

心理学者スキナーの実験によると、人は報酬を用意することで意欲を高められるという結果が出ました。これをエンハンシング効果と言います。やる気を起こさせる→報酬を受け取る→自己肯定感が高まる、といった一連の流れをつくってみましょう。きっと自然とポジティブになれるはずです。

高過ぎる自己肯定感は周囲との衝突を招いてしまいがちですが、低すぎる自己肯定感は社会生活を送るのを難しくしてしまいます。常に人の心の中には天国と地獄があり、自尊心が低いといつも自分をいじめて苦しい思いをしてしまうと言えます。
仮に誰が見ても申し分がなかったとしても、自分で満足できなければ納得がいかないのと同じです。ある程度は自分を認めて、多少自信過剰なくらいのほうが世の中は生きやすいのかもしれませんね。(脇田尚揮)

脇田尚揮/認定心理士。Ameba公式No.1占い師として雑誌やTVなどに取り上げられ、現在テレビ東京「なないろ日和」にてレギュラーコーナー担当。また、自身が監修したアプリ 「マル見え心理テスト」はTBS 「王様のブランチ」 などでも紹介され、120万DL。著書『生まれた日はすべてを知っている。』(河出 書房新社)。

爆発寸前! あなたが「キレる」5つの予兆と対策

キレやすい人にもいろいろなタイプがあります。元々キレやすい傾向がある人もいれば、最近それが出てきてしまっている人もいるでしょう。いずれにせよキレてしまえば、その間本来の自分を見失ってしまいます。場合によっては何らかのトラブルの原因になってしまうかもしれません。

実際、多くの方が「キレたらいけない。なるべくその場は我慢して無用の波風を立てないようにしよう」といったことが念頭にあると思います。

でも、このご時世ですからストレスのレベルは、かなりのものではないでしょうか? 誰しもそれがあるレベルを超えれば、普段とは違う自分になる可能性があるでしょう。

そこで最近キレやすい傾向がある人に向けて、日常生活上、深刻な問題が生じないように精神医学的なアドバイスを詳しく述べたいと思います。

◆最近、声を荒げてしまったことはないですか?

いつも平常心でいることができれば、それはまさに理想の姿ですが、達成するのは時になかなか難しいものです。もし以下のようなことに心当たりがあれば、普段の自分を失いやすい状態にさらされているかもしれません。

□イライラが強い、あるいは気が散りやすく、やるべきことに充分集中できない
□他人の言動に敏感に反応しやすくなっている
□何かネガティブなことが起こると、それに気がとらわれやすく、なかなか気持ちの切り替えができない
□予期せぬことが起こるたびに普段ならしない失敗をしてしまいがち
□あせりや焦燥感が強くなっている

こうした折、例えば、誰かに何かの拍子で足を踏まれてしまったとしましょう。たとえ相手がワザとではないとわかっていても、場合によっては、つい怒りの声をあげてしまうかもしれません。とりあえずその場はトラブルなしで済んでも、皆口には出さないだけで、周りの目はなかなか厳しいものです。

本人は、自分のイライラが周りにネガティブな印象を与えたことに意外と気付いていません。しかしその場で生じた問題を拡大させないためにも、自身の衝動をしっかり認識する必要があります。もしこうしたことに心当たりがあれば、今の自分に危機感を持つきっかけにしていきましょう。

◆イライラし過ぎる場合、負のスパイラルには要注意!

ご自分がイライラしやすくなっていることにもし気付いたら、まずその現状をはっきり把握しておきましょう。具体的にはそれはいつ頃から始まったのか? どんな状況でイライラが強まるのか? そして、そのことが原因で日常生活に何か問題が起きていないか、しっかり見分けたいものです。

仕事や勉学の能率はそれまで通りで、対人関係においても特に問題が生じていない場合は、イライラ気味になっていたとしても日常生活の範囲内でしょう。しかし、ちょっとしたことで声を荒げてしまうようになっていたら、イライラのレベルはかなり深刻です。何らかの対処をすぐ考えたいところです。

イライラがこのように深刻化する原因としては、まずストレスが考えられます。例えば仕事の量が多すぎる、あるいは仕事のプレッシャーが強すぎる、休養が充分取れていない、あるいはプライベートでつらいことがあった、そして場合によっては体調がすぐれないこともイライラしやすい原因になっているでしょう。

こうしたことは1つひとつがかなりのストレスになり得るもので、複合化すれば大変なレベルになってしまいます。イライラしやすい人はそれが負のスパイラルを生み出す可能性があるのです。

例えば上記のように人前で声を荒げてしまえば、その場の人間関係はギスギスしてくるでしょう。それ自体も、大きなストレスになる可能性があります。そして冴えない気持ちを晴らす手段として、ギャンブルなどが普段以上にやりたくなってしまうかもしれません。こうしたことは自分が抱えている問題を解決しませんし、依存症につながるリスクもあります。負のスパイラルを生み出しやすい……といったことには充分注意が必要です。
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◆事態を認識したら危機感を持つこと、それが最重要です!

イライラしやすい、あるいはキレやすい傾向は人のパーソナリティの一面でもあります。他人の目からは問題があることが一目瞭然でも、自分ではなかなかそれを認識しにくい場合もあるでしょう。

そして場合によっては、キレること自体がその人のストレス解消の手段になっていることもありますし、簡単に変わることはできないかもしれません。しかし、対処の第一歩はそれをしっかり認識することです。

また、ご自分の周りには、平常心を維持することに優れている方がきっといらっしゃるのではないでしょうか? そうした方をお手本にするのもいいと思います。

最後に、最近普段の自分ではないようにイライラしてしまう……といった場合は、うつ病など心の病気の可能性にも注意したいところです。

イライラしやすい、キレやすいといったこともそうですが、一般に何らかの精神症状が一週間以上持続していて、なおかつ、こうした症状が原因で日常生活に深刻な悪影響が現われている場合、心の病気の可能性も考えられるということは皆さま、どうか頭に置いておいてください。
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中嶋 泰憲(精神科医)

心の病気の初期に現れやすい「話し方」の異変/メンタルヘルス

心の問題や不調は日常の会話にも影響します。今回は心の病気の基礎知識として、心の不調や心の病気に関連する、会話時の違和感や問題を詳しく解説します。

会話から知る心の病気の初期症状・病気の状態
物には色々な言い方がありますが、実際に伝えたい内容が、話し方のせいでうまく伝わらないこともよくあることです。 心の病気は、しばしば本人にしかその精神症状や精神体験がわからないため、当人から話を直接聞かないことには、どんな問題が出ているのかはっきり分かりません。精神症状を知るためには、当人の話の内容がとても重要なのです。当人がどのように話を伝えてくるかにも、病気の症状が反映されることがあります。

今回は心の病気の基礎知識として、どのような話し方や会話の際の特徴が心の病気や心の不調に関わる可能性があるのか、会話を通じて知ることのできる問題を詳しく解説します。

話すスピードが異常に速くなった……論理的思考の低下や躁状態の可能性も
会話をする際、話す内容以上に話し方には気が向くものです。声の大きさ、小ささ、話し方の速さなどは人それぞれですが、普段と違う場合には注意が必要です。

例えば、話し方が速いというレベルではなく、あたかも機関銃のように次から次へと言葉が出てくるような場合です。普段からそのような話し方の人であれば、それも個性として済むことですが、その人の普段をよく知る人から見て、人が変わったかのような違和感を感じる場合は、精神医学的に問題性を考える必要があります。

話すスピードが上がるということは、見方を変えれば、話したいことが次から次へと頭に浮かんできている状態でもあります。頭の回転が通常よりもかなり上がっている状態とも言えるでしょう。頭の回転が速いのは結構なことですが、重要なのはそれらの話の内容が論理的につながっているかどうかです。もし話がわき道へ逸れ続けるような場合、論理的な思考能力の低下の可能性も考えるべきでしょう。あるいは一つのことに注意を向け続けるのが困難になっているのかもしれません。

話したいことが次から次へと頭に浮かぶような時は、一般に気分がハイになっていることが多いものです。何かしら大きな良い出来事があった後などは饒舌になる人が多いと思います。しかしそのような背景もない場合は、躁(そう)状態に近くなっている可能性も考えたいです。

返答があまりに遅くなった……認知機能の問題の可能性も
相手との会話中、問いかけをすると返答が遅すぎるような場合も、注意が必要です。うっかり違うことを考えてしまったり、ぼんやりしたりすることは誰にでもあるものですが、精神医学的に問題になる場合もあります。

まずは、こちらの問いかけを相手がしっかり理解できていたのか確認する必要があります。認知機能の低下から、問いかけを理解できなくなっていたら問題です。とはいえ、これが認知症の症状だとは、あらかじめその可能性を意識していないと周りの人もなかなか気付きづらいかもしれません。

例えば統合失調症の場合も、その経過のある時点で、認知能力がかなり低下することがあります。そうした問題が現れるかどうか、現われた場合の深刻さにはかなりの個人差があります。統合失調症は10~20代の年齢での初発が多い疾患ですので、もしそうした問題が起こっても、周りの方はまさか認知機能の低下が起こっているとは思いにくいものです。しばしば、本人が周りに興味を失っているため、自分の問いかけにも答えない……といった誤解をしてしまいます。

会話中の表情や声の調子がいつもと違っている……
会話をする際は話の内容だけでなく、相手の表情や声の調子からも相手の内面がよく分かるものです。真剣な話をしているとき、面白い話をしているとき、悲しい話をしているときで、表情や声の調子は変わるでしょう。感情が表情に出やすい人もいれば、ポーカーフェイスの人もいるでしょうが、こうした声の調子や表情は、精神医学の用語で「アフェクト(affect: 感情)」と呼ばれます。当人が声の調子や顔色によって外面に現す、感情の内容やレベルを表す言葉です。会話をする際にもしこのアフェクトに問題があると、周りは違和感を覚えやすくなります。

たとえば何の話をしていても声が単調すぎて、思わず顔を見てみると、まるで表情が浮かんでいない……といった時は、アフェクトに問題がある時です。多くの場合は一時的な問題ですが、もしこのようなアフェクトの問題が継続するような場合、そして以前の当人の様子とは明らかに違うような時は精神医学的に注意したいときです。

まずは、自分自身でその状態をコントロールできるのか、できなくなっているのかが問題です。実際にアフェクトの問題は、「もっとにこやかに話せるはず」だといった印象を周りの人は持ちがちです。実際、その通りのこともあるでしょうが、場合によっては当人自身にはどうすることもできない問題になっていることがあります。特に脳内の何らかの問題が原因になっている場合、精神科的な対処が望ましいこともあります。周りの方は無用の誤解をしないためにも、そして事態を改善していくためにも、このことをぜひ知っておいていただきたいです。

以上、今回は会話を通じて分かる心の不調や心の病気に関わり得る問題を詳しく解説しました。一般にこうした問題がもし起きていれば、相手には分かりやすいものですが、自分ではなかなか気付きにくいものであることもどうかご注意ください。
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