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落ち込みやすい人の発想パターンと克服のための5か条

◆暗闇の中で堂々めぐりをしていませんか?

落ち込みやすさから抜けられず、ため息ばかり…… 「落ち込みやすい自分をなんとかしたい!」と思う人は多いもので。落ち込む時間が続くと、「この先明るい未来なんてあるのだろうか……」とため息が増えてしまうかもしれません。しかし、「夜明け前がいちばん暗い」という言葉があるように、ため息にまみれているときこそ、意外に「夜明け」は近いのかもしれません。

とはいえ、ささいなことで落ち込んでばかりいると、夜明けに向かう道を見失ってしまうもの。暗闇を堂々巡りしながら「自分はどうせダメなんだ」と絶望し、自分の生かし方が分からないまま、右往左往している人は少なくないものです。そんな傾向に気づいたなら、「落ち込みやすい自分」を振り返り、夜明けに向かう道を、もう一度じっくり探してみるのも良い方法だと思います。

◆落ち込みやすい人の発想パターンとは?

落ち込みやすい人にとても多いのが、「人と比べてしまう人」です。「友だちと比べて、私は何のとりえもない」「周りはみんな活躍しているのに、私だけがパッとしない」というように、何かにつけ周囲の人と比較していないでしょうか?他者への憧れは、自分を高めるための大切な刺激です。しかし、人と比べて落ち込んでしまう場合、物事の受け止め方に独特のくせがあるのかもしれません。落ち込んだときには、「他の捉え方はできないだろうか?」と考え直してみてください。モデルケースを例示しましょう。

例)「友だちにはみんな彼氏がいるのに、私にはいない」と落ち込んだとき

■落ち込みやすい人の発想パターン(例)

彼氏のいる友だちがうらやましい→私も彼氏がほしい→彼氏ができないのは、私の容姿や性格が悪いから?→この容姿や性格では、これから先もできないに違いない→どうせできないなら、期待するだけムダ→私のこと、きっとみんなが哀れに思っているんだろうな……。

■発展的に発想転換した場合(例)

彼氏のいる友だちがうらやましい→私も彼氏がほしい→彼氏ができない原因は何だろう?→彼氏を見つけるには、どうしたらいいんだろう?→まずは具体的に動いてみよう!上の例も下の例も、「彼氏のいる友だちがうらやましい」「私も彼氏がほしい」という思いは共通です。しかし、落ち込みやすい人は、思考がそこから坂を転げ落ちるように、マイナス方向に進行してしまいます。そうした傾向に気づいたら、いったん思考にブレーキをかけましょう。そして、思考のギアを発展的な方向に入れ直すことです。こうして発想を転換させれば、現状を変えるための具体的な構想が見えてくるはずです。

◆落ち込まない自分になる5か条とは?

また、他人と自分を比較して落ち込みやすくなる人は、ぜひ以下の5か条も頭の片隅に置いておいてください。自分を変えるための大きな力になってくれると思います。

1) 「私はこの世でオンリーワン」と唱える

自分は、この世でたったひとつの存在。人と比べてしまうと、それが見えなくなります。落ち込んだときには、「私はこの世でオンリーワン」と心の中で唱えてください。

2) 「他人は他人、自分は自分」と唱える

人にはそれぞれ、独自の人生課題があります。他人の成功や幸せの形に囚われず、自分の人生を輝かせることを考えればいいのです。「他人は他人、自分は自分」と心の中で唱えましょう。

3) 「人生は修行」と唱える

落ち込んだ気分にはまったときには、「人生は修行」と唱えましょう。修行の場数を踏んだ人ほど、強くて美しい花を咲かせることができるはずです。

4) 「自分らしさ」をメモに書く

「何のとりえもない」と思っている人にも、自分らしさは必ずあります。それをメモに書いてみましょう。「きれい好き」「声がいい」など、どんな小さなことでもかまいません。書き出したものを何度も眺めているうちに、その魅力を意識できるようになります。友だちや家族に指摘してもらったことを書き留めるのも、良い方法です。

5) 発想を「発展的」に転換する

考え方がマイナスに傾いてしまうときには、その思考にストップをかけ、発展的な発想を心がけるようにしましょう。たとえば、「落ち込みやすい私」という考えを転換すれば「奥深い感性を持つ私」になります。このように、自分の嫌な面も見方を変えれば長所に転換できるものです。
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◆「自分を好きになる環境」を整えていますか?

おおらかで愛情にあふれた人と付き合っていますか? ささいなことで落ち込んでしまう人は、心が傷つきやすくなっています。心の中にたくさんの傷が重なると、自分に自信がもてなくなり、自分を愛せなくなってしまうものです。

落ち込みやすい傾向には、普段付き合っている人の影響も大きく関係しています。たとえばあなたの周りには、競争心が激しすぎる人、物事の表面しか見ない人、物事を斜めに捉えて批評する人、悲観的でマイナス思考な人が多いのではないでしょうか? こうした人たちとの付き合いが多いと、相手の物の見方に惑わされ「やっぱり自分はダメなのかも」「どうせこの先も良いことはない」という考え方にはまってしまうでしょう。できるだけ愛情にあふれ、おおらかで心の柔軟な人を探してみてください。そうした人との交流を始めれば、お互いの良いところを指摘しあい、自信を与えあう関係を体感することができます。

落ち込みやすい自分を変えるには、「自分を好きになる環境」を整えることが大切です。自信を持つための努力も、マイナス思考を修正する努力も、まずは「自分を好きになろう」という意識から始まるのです。

メンタルヘルスについて間違って信じ込んでいる5つの通説

鬱や不安、躁鬱など精神疾患を抱えていることを話す人が次第に増えてきた。それでも、今なお多くの誤解が広まっていて、こうした症状は恥ずかしいものという考えがなかなか消えない。以下のような誤解を解いて、本当のことを知っておこう。

1.「私は落ち込んでいる」は「私は悲しい」という意味だ。

鬱と悲しさの違いを明確にすることが大切。悲しいという感情は、誰もが経験する、よくある人生の一部で、そのうち過ぎていく。しかし、鬱になると、日常生活でやらなければいけないことをするのが常に困難になってしまう。鬱の人の中には、「悲しい」という感情をまったく感じない人さえいる、とイギリスのNational Institute of Mental Health(NIMH)。
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2.鬱は鬱という一種類でしかない。

NIMHによると、鬱には2つの主要なタイプがあるという。臨床的鬱病(MDD)と、慢性的鬱病(PDD)だ。しかし、この中にも、またこれ以外にも多くのタイプの鬱がある。たとえば、メランコリー型鬱病というMDDの一種は、強い悲しみや絶望感が続く症状。心因性鬱病は、主要なタイプに他の精神病が組み合わさった症状。また、冬に起こることが多い季節性情動障害(SAD)などがあり、これらはほんの数例に過ぎない。
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3.心配しすぎるから不安になる。

不安というのは、時々何かを心配したり、怖がったりすることと同じではない。臨床的症状になると、血圧が上がる、汗をかく、めまいがするといった身体的変化が現れ、ひどい緊張感や心配(考えが繰り返される)のため、ある特定の状況を避けることが多くなったりする。(American Psychological Association=APAのリサーチ)
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4.不安は生活の中でよく感じるものだ。

不安障害は臨床診断であるだけでなく、最もよくあるタイプの精神疾患でもある(Substance Abuse and Mental Health Services Administration=SAMHSA)。よくある不安には、パニック障害やパニック発作、広場恐怖、社会不安障害、選択的無言症、分離不安、特定恐怖症、全般的不安障害(GAD)などがある。
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5.精神疾患の患者数は誇張されている。

統計を見れば、完全な間違いだとわかる。世界保健機構(WHO)によると、2010年の統計では、精神疾患と薬物乱用障害が、世界中の身体障害の主要因になっており、鬱のような神経精神疾患や多動性障害(ADHD)、OCDなどがアメリカの身体的障害の原因として最も多い。

ジャンケンでわざと負けるだけで脳が鍛えられるってホント?

皆さん、「脳トレ」やっていますか?

 脳トレといっても、以前流行ったゲームの脳トレではありません。あの当時の脳トレとは、そのほとんどが衰えを自覚しやすい記憶力や発想力を”鍛え直す”といったものでした。

 しかし、医師であり、書籍『脳の強化書』の著者でもある加藤俊徳氏は、「なりたい自分」を手に入れるための脳トレを開発。従来の脳トレとは異なり、脳を積極的に”作り変えていく”トレーニングとなっているのです。

 加藤さんは、人間にはもともと、「勝ちたい」「相手の上に立ちたい」という本能があると語っています。

「過去を振り返っても、人類の歴史は競争の歴史ですし、現代においてもライバル企業同士のシェア争いから、電車内の空席探しに至るまで、私たちは常に誰かと競争せざるを得ない状況にさらされています」(書籍『脳の強化書』より)

 その上で、加藤さんは「ゲームでわざと負ける」こともひとつのトレーニングだと言います。同書で紹介されているテレビ番組での事例では、わざとじゃんけんで負けることに挑戦していました。実はこれ、かなり難しいのです。

 相手がグーを出したら、チョキを出さなくてはいけないのに、思わずパーが出てしまう。これは、普段から「勝ちたい」という思考が強くインプットされているせいだというのです。

加藤さんは、「たとえ後出しじゃんけんであっても『負ける』という思考が働かなくなっている」と同書で説明しています。

 また、将棋や囲碁でこれに挑戦しても難しいようです。相手の次の手とそれに対する対処法を考え、何手も先を読んで勝負する競技ですので、負けるように戦うのは、そう簡単ではないのです。

「このように、わざと負けるようにゲームをすると、自分が置かれている状況を異なる立場からとらえる力が身につきます。この明らかな視点の移動が、思考系脳番地を幅広く使うことになるのです」(書籍『脳の強化書』より)

 この思考系脳番地は、「こうなりたい」と強く望んだり、集中力を強くしたりする機能が集まっているところ。

新たな脳トレに挑戦してみて、「なりたい自分」に近づいてみませんか。まずは手軽なじゃんけんから試してみてはいかがでしょう。意外と難しいことがよくわかります。

新トレンド!コーヒーにバターを入れると脳が活性化―ただしカロリーも高い

あなたはコーヒーを飲む時はストレート派ですか?それともお砂糖とミルク派ですか?

お砂糖とミルク派の方は要注目!コーヒーにミルクとお砂糖を入れるよりもバターを入れた方が健康に良いということで話題を呼んでいます。

このコーヒーの名前Bulletproof Coffee。朝飲むコーヒーにバターをいれることにより、脳の動きを活性化させて脂肪分を健康的に摂取することができるというのです。

The New York Obesity Nutrition Research Centerの研究者も、「朝に適度の脂肪分を摂ることにより体と脳に丁度良いエネルギーがみなぎり、ホルモンバランスにもプラスになる」とBulletproof Coffeeを推奨しています。

バターも、牧草で育てられた牛のミルクから作られたバターの方が健康に良いと言っています。なぜならば、普通の牛のバターよりも、健康的な脂肪酸であるオメガ3とオメガ6の比率が良いからです。

バターは一見脂肪分が高そうで避ける女性は多いかもしれませんが、健康的に一日摂取すべき脂肪分を取るためには効果的なのです。

ただ、普段飲むコーヒーと比較すると、200から300キロカロリー高いコーヒーになります。なので、他でカロリー摂取を控えないと最終的にはただ太ってしまいせっかく健康的なコーヒーが台無しになってしまいます。

朝から必要なエネルギーを取り、ホルモンバランスにも効果的ならばバターコーヒーを試しても良いかもしれませんね。特に、クリームやキャラメルなど、カフェで甘ーいコーヒーを毎日飲むくらいなら、バターコーヒーがオススメです。

怒りっぽい人必見! 怒りをコントロールする6つのテクニック

夫が家事を手伝ってくれなくてイライラ。職場では上司に嫌味を言われイライラ。満員電車で押し潰されてイライラ......。これらの日常生活の中で感じる怒りの感情は、自分でコントロールすることが難しいですよね。ですがストレスが溜まり過ぎて暴飲暴食をしてしまったり、人間関係に悪影響が及んだりと怒りから生まれるものはマイナスなものばかり。日々を忙しく過ごす皆さんのなかには、すぐにイライラしてしまう自分をどうにか変えたい! と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

怒りのピークは6秒間

日本アンガーマネジメント協会の安藤俊介さんによると、怒りのホルモンであるアドレナリンの影響を最も受けると言われているのは、怒りを感じてから最初の6秒間。この6秒間の間に行動してしまうと、相手を攻撃したり、反論してしまったりと後悔することが多くなってしまうのだそう。

では、怒りがピークに達する6秒間を乗り切り、ストレスを減らすにはどうしたらよいのでしょうか。安藤さんに、怒りのメカニズムと実践的な対処法を学ぶアメリカ発祥のアンガーマネジメントのメソッドを基にした、怒りをコントロールする6つの基本テクニックを教えていただきました。

1)怒りにレベルをつける

「明日はものすごく寒くなる」より「今日より5度寒くなる」と言われたほうが、寒さを実感でき、服装を選びやすいもの。私たちは、数値に換算したほうがものごとを実感しやすくなるのです。怒りを感じたら「この怒りは、10段階でいえばどの程度?」とレベルをつけてみましょう。ひと呼吸おけて、怒りを客観視できます。

また、数値化を続けることで自分の“怒りの段階”を把握でき、「このレベルの怒りなら、この対応策を」と応用できます。

2)目の前のものをじーっと観察する

怒りを感じると、人は「こんなことがあった」と過去を考えるのと同時に「また同じ目にあったら、こうしてやろう」と、未来の仕返しを考えるため、「現在」がお留守になります。怒りの解消には、意識を「今いる場所」に戻すことが大切。

その手段として有効なのが、“もの”の観察です。スマホでもペンでもいいので、怒りが込み上げてきたら、それらをじっと観察してみましょう。形は? 色は? 傷の数は? じっくりと観察するうちに、怒りが静まっていきます。

3)その場をいったん離れる

頭がヒートアップする場面にあうと「なぜそんなことをするの?」と不満や反発でいっぱいになり、会話に集中できません。そんなときは思いきってその場を立ち去りましょう。

黙って立ち去らず「今、ちょっと落ち着いて話せないからトイレに行ってくる。戻ってきたらまた話そう」など、必ず戻ってくると伝えることが大切です。荒々しくドアを閉めたりすると、よけいにイライラするので注意。深呼吸や軽いストレッチで体をリラックスさせて。

4)思考をストップさせる

人は怒りを感じると、原因と解決策を同時に考えてしまいがち。イライラしているため、頭が嵐のように混乱して、思考がどんどん悪いほうに向かいます。

「そういえば、前にも同じことがあった」「私のこと、バカにしているのでは」などと、よけいなことを考え、怒りがどんどんふくらむことに。この悪循環を防ぐために、思考をいったんストップしましょう。怒りを感じた瞬間、頭の中で「ストップ!」と宣言。頭の中を真っ白にしてしまうイメージです。

5)自分に魔法の言葉をかける

ムカッとするできごとに遭遇したとき「その気持ち、わかる」「大丈夫よ」「怒るのも無理ないね」などと言われると、気持ちが落ち着くもの。心がおだやかになる言葉には、怒りの気持ちを和らげ、冷静さをとり戻す力があるのです。

自分で自分に声をかけても、同じような効果があります。ムカッとしたとき自分にかける言葉を5つ用意しておきましょう。大切な人の名前や好きな言葉もオススメ。声に出しても、心の中でつぶやくだけでもOKです。

6)楽しいことを思い浮かべる

「怒っているときに楽しいことなんて思い出せない!」というあなた、では怒っていないときには思い出せますか? 実は、感情のマネジメントの上達にとても大切なのが、楽しいことを記憶して、いつでも思い出せるようにしておくこと。

料理がおいしくできた、仕事で成功したなど、「よっしゃ!」というできごとを前もって用意しておくのがコツ。怒りでカッとしたら、怒りを深めたり忘れようとするのではなく、楽しいことに頭を切り替えて。

<そのときの体の状態も一緒に思い浮かべて!>
気持ちのコントロールは、体のコントロールに通じています。楽しかった記憶を、頭だけでなく五感を使って思い出しましょう。

何を見ていた? どんな香りがした? 顔の表情は? など、実感をともなうほど、心も体もポジティブな状態になります。

怒りの感情は自分が信じている“べき”から生まれる!

「6秒間を乗りきるテクニックと同時にとり組んでほしいのは、自分の中の〝べき〟を自覚すること。私たちは、自分が信じる『~するべき』『~するべきではない』という〝べき〟が裏切られたとき、怒りを感じます。自分が怒る原因は、自分の中にあるのです。

困ったことに、この〝べき〟は、人によって違います。自分の〝べき〟にしがみつくだけでなく『まぁ、例外もあるか』『この人の言い分もわかる』と、少しゆとりを持って周囲の人やできごとを受けとめるようにすると、イライラが減っていきます」(安藤さん)

いかがでしたか? どうでもいいことでもイライラしてしまい、心身ともに疲れてしまうなんて、なんだか勿体ないですよね。今回紹介した6つの基本テクニックを少しずつでもとりいれて、ストレスフリーな生活で怒りに悩まされる自分を解放してあげましょう!

安藤 俊介

一般社団法人 日本アンガーマネジメント 協会代表理事。日本のアンガーマネジメントの第一人者として、全国で講演や研修などを精力的に行う。メディアにも多数出演。著書に『叱り方の教科書』(総合科学出版)『はじめての「アンガーマネジメント」実践ブック』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など

人に嫌われるのが恐い…。「嫌われ恐怖症」の人が陥りがちな思考&行動集

「人に好かれたい」と思う気持ちは、誰しも少なからずあるはず。ところが、その気持ちの根源には「人に嫌われるのが恐い」というネガティブな感情も密接に関係しているものです。

みなさんの中にも、過剰に人に嫌われたくないと感じてしまう、「嫌われ恐怖症」の人っていませんか?

 じつは、筆者も自称「嫌われ恐怖症」の一人。他人に嫌われることを極端に恐れ、その結果、変に気を使ったり妙な行動をとったり…と、端から見ればムダなことばかりしてしまうんですよね。

今回は「もしかしたら、自分も嫌われ恐怖症かも…」と思い当たる節のある人に、日頃の思考や、嫌われたくないが故にとってしまいがちな行動を調査。嫌われ恐怖症ならではの「あるある」を教えてもらいました。

「誰かが特定の人の悪口を言っている現場に居合わせたとき、もしかしたら自分も普段悪口を言われているんじゃないかと不安になる」(埼玉・22歳男性)

「その日に会話した内容を、寝る前に思い出して自己嫌悪に陥ってしまう。あのとき、あんな事を言ってしまったけど変な風に思われなかったかな…嫌いにならなかったかな…とか、考えるとキリがない! 次に会ったとき、失敗しないように意識すると大抵キョドる」(和歌山・19歳男性)

「嫌われるのが恐くて、頼まれると嫌と言えないんです。予定があっても、仕事のシフトを代わって欲しいと言われるとオッケーしてしまう。サービス残業や、休日に急遽出勤することも度々。

勤務先からは都合のいいときに頼める人って思われてるかも」(北海道・23歳女性)

「親しい友達にすら、『私の嫌なところがあったら遠慮なく教えて』など気を遣ってしまう」(北海道・30歳女性)

「遊びの誘いを断ると、その人から二度と誘われなくなるんじゃないかと不安になって断れません。先日は、たいして行きたくもない地下アイドルのコンサートについて行きました」(東京・26歳男性)

「友人数人と移動教室のとき、みんなは横一列になって歩いてるのに、自分だけ一人後ろ。
めっちゃむなしくなるし、あぁ、嫌われたんだって悟る瞬間」(長野・18歳男性)

「コンビニで本を買うときですら気にする。『お前がこんなサッカー雑誌読んでんのww』とか思われてんじゃねーかって思うと、表紙をオモテにして出せない…」(東京・23歳男性)

「嫌われたくないから、いつも周りの意見にあわせて立ち振る舞うし、ケンカもできない。
ケンカのできる仲って、いい意味で腹の底を見せ合っている証拠ですよね。

ケンカしても仲直りして友情が深まったりするし。そんな友情に憧れますが、今の自分は、表面的な付き合いはできても、深い話まではできません」(神奈川・25歳女性)

「遊びに行く計画を立てていたときに、気を遣いすぎて自分の希望を伝えられなくて『何でもいいよ』を連発してしまった。逆に嫌われる要因になっていたかも…とあとになって気づいた」(新潟・26歳女性)

「新しいバイト先で。初日は『◯○くんて感じいいね』と褒められる。一週間後には『そろそろ慣れてきた?』と気にしてもらえる。しかし1ヶ月後『最近調子乗ってない?』と陰で悪口を言われる。

そろそろいいかな…と思って少しずつ自分の素を出した結果がコレ。もう二度と自分を出すのはやめますごめんなさい」(東京・20歳男性)

「喜んでほしくて、友達に誕生日メールを欠かさず送ってる。でも、自分の誕生日には0時ちょうどに送ってくれる友達が一人もいない」(兵庫・24歳女性)

「自分からは誰にも話しかけられないし、話しかけられても適切な言葉を選ぶのに時間がかかってうまく話せません。

人の輪に入ろうにも、僕はここにいてもいいのか、自分がいることで空気を悪くしてしまっていないか…と思ってしまい、業務連絡などの理由がない限り輪に入っていくことができません」(静岡・27歳男性)

 嫌われ恐怖症の人にとっては、こんな思考や行動が日常茶飯事。「自分もそれだ」とハッとした人もいるかもしれませんね。では、彼らの心の闇は一体どうして形成されてしまったのか!? 次回は、嫌われ恐怖症のメカニズムと対策に迫ります!

怒りのコントロールを学ぶ(2)怒りの強さによって対処法を変える

「怒り」という感情は自然なものです。しかし、怒りを制御しないままに言葉や態度で発散していると、大切な人との人間関係を壊してしまう可能性もあります。時には、職を失ってしまうことさえるでしょう。

この連載では、怒りのコントロールについて、ある女性の事例とともに考えていきます。
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◆親も怒りを制御できない毒親だった

貞子さん(40代/仮名)は、大学時代から自分が怒りをコントロールできないことを自覚し始めました。子供の頃には、思い通りにならないことがあるとキレたかのような剣幕で迫ってくる親に圧倒されていました。

高校時代には、親のことが嫌で仕方がなく、可能な限り距離をおこうとしていたと言います。それでも、親に対して怒りを向けるようなことはできませんでした。自分の親は、今風の言葉でいうと「毒親」だと思っています。
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◆4段階の怒りのコントロール

貞子さんは怒りのコントロールの取り組み(アンガー・マネジメント)において、下記の4つを学んでいきました。

(1)怒りを理解すること
(2)怒りに突き動かされて行動してしまわないこと
(3)怒りという感情を受け止められるようになること
(4)怒りを感じることを恐れて自分の行動を不適切なまでに制限しないで生活

それは最初、終わりのない旅に出たような気分であったと貞子さんは言います。しかし、担当のカウンセラーと一緒に取り組みを続けているうちに、そして仲間の取り組みを見ているうちに、少しずつ成長している自分に気がつきました。
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◆「怒りのキャッチボール」を練習する

担当カウンセラーが、野球好きな貞子さんによく言っていたことがあります。

「キャッチボールもしたことがないような人に、時速150kmの速球をミットも着けないで受けろっていうのは無理な話だよね。怒りという感情についてきちんと理解すること、それがミットを着けることになるんだよ。

ミットを着けたら、少しずつさまざまなスピードの球に慣れながら、ミットを使うことに慣れていく。

そんな風に、怒りを受け止めるための心の筋肉をつけていくこと。怒りの強さによってどのように対応するのかを決め、それに沿って日々を送り、実地練習することが心の筋肉を鍛えることになる」ということです。

◆怒りの強さを採点して可視化する

「怒りという感情が出てくるのは、どこからか球が自分に向かって飛んでくるということなんだ。だからそれに対応できるようにしよう。」貞子さんはそう考え、懸命に取り組みました。球のスピードが遅いときには、落ち着いて気分転換をする。

中くらいの時には、怒りの強さが現実的に妥当かどうかを検討する。速いボールが来た時は、とにかくその場から逃げ出そう──ということをざっくりとした方針として決めました。

怒りがまったくない状態を0点、怒りが頂点に達する状態を10点として、普段からその強さ(=球のスピード)を測定するように意識していきました。
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◆人のせいにしていても始まらない

もちろん、最初は簡単にはいきませんでした。途中、「何で私がこんなことをしなきゃいけないのか、私がこうなったのは親のせいじゃないか」と思うこともたびたびありました。

しかし、ある時、親が何とかしてくれるわけではないし、人に八つ当たりしていても仕方がないと気づきました。そのように考えて自らを励ますことで、取り組みを継続できたと言います。
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◆怒りの制御がコミュニケーション能力を育む

少しずつ、怒りの速球に合わせて、ちゃんとミットでつかめるようになったという貞子さん。苛立った時に、「やばい」と気がついて、エスカレートしないようにその場から離れることもしばしばありました。

「以前は、怒りをつかむどころか、怒りにつかまれていた」のだと感じています。山あり谷あり、取り組みは決してスムーズには進まなかったけれど、そのうち、キャッチボール自体が楽しくなっていきました。

よく、言葉によるコミュニケーションを指して「会話のキャッチボール」という表現をしますね。貞子さんの「怒りのキャッチボール」も、それ自体を楽しめるようになったということは、人とのコミュニケーションが上手になったのだと言えるでしょう。

(この事例は複数の実例を基に構成しています。また、プライバシー保護のため一部を脚色しています)

●玉井仁(たまい・ひとし)
東京メンタルヘルス・カウンセリングセンターカウンセリング部長。臨床心理士、精神保健福祉士、上級プロフェッショナル心理カウンセラー。著書に『著書:わかりやすい認知療法』(翻訳)など

怒りのコントロールを学ぶ(3)大切ははずのものを傷つけてしまう苦しみ

「怒り」は人間としての自然な感情でありながら、うまくコントロールできないと他人や自分を傷つけてしまいかねない危険性をはらんでいます。

これまで2回にわたり、貞子さん(40代/仮名)のアンガー・マネジメント(怒りのコントロール)への取り組みを紹介してきました。今回も、引続き貞子さんの事例を通して、怒りについて考えてみます。
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◆怒りに振り回されて夫を攻撃

貞子さんの怒りが激しく向いたのは、かつての夫に対してでした。怒りという感情が出ると、それを自分で受け止めることができなかった貞子さんは、怒りに突き動かされて夫を攻撃しました。

怒りという感情自体が持つエネルギーに振り回されていたのです。些細なことでも、また夫に原因がないことでも、生じた怒りが夫に向くことも珍しくありませんでした。
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◆家族をなくしたことで訪れた平穏と空虚感

年の離れた夫は、何とか貞子さんを理解し、受け止めようとしてくれました。

しかし、いま思えばとても無理だったと思う、と貞子さんは言います。当時の彼女は、ひたすらに怒りのエネルギーを発散させ、怒り疲れるまで怒り続けることでしか感情を静めることができませんでした。後になってそれがわかったと言う貞子さん。

結局、結婚生活は破綻し、夫も子供も失いました。でも、どこかほっとした部分もあったそうです。貞

子さん自身も、そのうち自分の怒りが子供に向くのではないかと恐れていて、実際にそうなりかけた経験があったからです。同時に、その時から、自分の中から何かがスッポリと抜け落ちてしまった感じがするとも言っています。
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◆家族に対して投げつける激しい感情

会社や友人などの外部の人間関係と比べて、家族は感情を共有することが多く、濃い人間関係を形成します。だからこそ、感情は家族に向きやすいのです。

感情という「球」を相手に投げて、相手に受け取ってもらうことで安心し、感情の調整が進むのは良いことです。しかし、相手はどうでしょう? 生の感情という激しく強い球が投げ込まれるほうはたまりません。
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◆怒りでは伝わらない本当の気持ち

その乱暴な投球は、「わかってほしい」という貞子さんの気持ちの現れだったのかもしれません。夫も基本的には「わかってあげたい」という気持ちで受けとめてくれていたことでしょう。しかし、いつも剛速球を受けとめられるとは限りません。

時に貞子さんは、相手がミットを構えられないタイミングをわざと狙って球を投げ込むという嫌がらせをしたこともありました。ここまでくると、「私が苦しんでいる、だからあなたも苦しめ」という八つ当たりでしかありません。

ライブ続行で荒療治…円広志さん「パニック障害」を語る

「パニック障害」と診断されるまでが苦しかったですね。診断されたときはホッとしました。「気持ちの問題じゃなくて病気なんだ」とわかって、とてもうれしかったんです。

 この病気は、脳の中の不安や危険を感じたりする神経が誤作動を起こし、不安や危険がないのに恐怖や回避行動を起こしてしまう病気です。今でもトイレが怖い日もあるのですが、薬で劇的に良くなりました。

 発症したのは、約20年前。そのころは、毎日の生放送を含め週10本以上の仕事があって、ものすごく忙しかったんです。にもかかわらず、金曜は学生時代の友人とほぼ毎週、夜遊びに興じていました。当時は二日酔いと寝不足を楽しんでいたんです。忙しいのがうれしかったし、仕事がどんなに忙しくても夜遊びもちゃんとするのが“ザ・芸能人”みたいなね(笑い)。「たぶん、関西で一番寝不足なのは俺ちゃうかな」なんて言っていた時期でした。

■スタジオが怖くて生放送では時計ばかり見ていた

 いつごろからか、クルマを運転していたらなんとなくトンネルが怖くなっていて、「嫌だな」と思っていたら、ある日異変が起こりました。渋滞でブレーキを踏んでいるのに景色の方が動いている感覚になったのです。「このままじゃぶつかる」とブレーキをさらに踏むけれど、止まっているからぶつかるわけがない。でも、景色はまた動きだす。そんな現象が帰宅するまで続いたのです。それをきっかけに、急にすべてのことが怖くなりだしました。

 症状としては、小さい音がやたら大きく聞こえてびくびくするとか、夕暮れになるとなぜか怖くて泣いてしまうという状態。仕事でもスタジオが怖いのです。1時間の生放送の前半はずっと怖くて、「倒れるんじゃないかな」「いつ終わるんだろう」と時計ばかり見ていました。最後の10分ぐらいになると落ち着くんですが、日に日に恐怖感が増していくばかり。

 そしてある日、番組終わりのテレビ局の駐車場で「俺を責めないでくれ!」と号泣してしまったんです。景色が動きだした症状が出てから、たぶん半年後ぐらいでしょうか。マネジャーもさすがにおかしいと思って、すぐにすべての番組を降板。病院へ行きました。

 でも、当時はパニック障害という病気はあまり知られていなくて、「精神的な病気」と言われました。確かに食欲もなくなるし、ゴハンの味もない。一番ひどいときは「死ぬんじゃないか」とか「本当に生きているんだろうか」と思ったりして、「鬱」のようにもなりました。

 脳の検査もしました。過呼吸や心臓が痛くなったりもしたので、心臓の検査もやりましたけど異常なし。トイレはドアを開けっぱなしにしても怖いし、散髪も怖い。行きつけの散髪屋ですら、店内が怖いので路上で切ってもらっていたほど。店内で大丈夫になったのは最近です。でも、10分ぐらいが限界ですよ。

 故郷の高知に帰った時期もありました。それでも、夕暮れになるとメソメソ泣く症状は治まりません。ただ、お酒を飲むと落ち着くのです。だから、この病気でアルコール依存症になる人もいるらしいですよ。

■番組降板後もライブは続行。“荒療治”が運よく功を奏した

 病名がわかったのは、番組降板から2~3カ月後のことで、とある病院の「めまい科」でした。ふらつきがあったので受診したら三半規管に異常はなく、「パニック障害」と診断されました。処方された薬は毎食後に飲む安定剤のような薬と、症状が出たときに飲む頓服薬。で、その頓服薬がすぐ効きました。神経を鈍らす薬なんでしょうかね。そこから少しずつ楽になりました。

 実は番組降板後も、ライブはキャンセルすると違約金が発生してしまうのでやるしかなくて、ステージ脇にベッドを置いたり、ピンスポットが怖いので客席が見えるように明かりをつけてもらったりしながら続けました。普通は外出なんてできず、今日は1歩だけ外へ、明日は2歩……といった経過をたどるわけですから、いわばかなりの荒療治です。でも、その荒療治が運よく功を奏したことと、頓服薬のおかげで今に至っています。運転も大丈夫になりました。

 ただ、寝不足になるとお約束のように体調が悪くなります。医師には「君の病気は死ななきゃ治らないよ」と言われました。つまり、病気は自分そのもの。顔と同じで「持って生まれたものなんだ」と病気を受け入れました。多くの人は今の社会のスピードや仕組みに追いついているけれど、それに馴染めない人もいる。私も若いころははね返せたけれど、年齢とともに無理ができなくなったのだと思います。

 今言えるのは、「がむしゃらに頑張るのもいいけれど、勇気を出して自分の生き方を探すことがあってもいい」ということ。私にとってのパニック障害は、今や体調のバロメーターです。

▽まどか・ひろし 1953年、高知県生まれ。78年、自身が作詞・作曲した「夢想花」でレコードデビュー。森昌子の「越冬つばめ」など数々の作曲を手掛ける。現在は関西テレビ「よ~いドン!」にレギュラー出演中。著書に「パニック障害、僕はこうして脱出した」がある。

メンタル不調原因2位に「性格」 どんな人が悪化するのか

 サラリーマンのメンタルヘルス不調の原因は「本人の性格」――。こんな調査結果が発表された。

 日本経営協会が企業1440社を対象にアンケート調査したところ、メンタルヘルス不調者が生まれる主な原因は1位が「職場の人間関係」で64.3%だった。

 サラリーマンが人間関係で苦労するのは当然のこととして、意外なのは2位が「本人の性格」だったこと。6位の「長時間労働」の23.9%を抑えて43.7%に達した。メンタルヘルスの不調は他人事ではない。

 どんな性格がメンタルヘルスを悪化させるのか。

「物事を柔軟に考えられない性格です」と解説するのは「医療法人社団すずき病院」理事長で精神科医の坂本博子氏だ。

「協調性がなく、物事を白と黒でしか考えないような人です。イヤな仕事はしたくない、嫌いな人と仲良くなるための努力もできない、他人の仕事に積極的に協力できない。こうしたことで同僚や取引先に敬遠される。しかも自分に問題があるのに“周囲の人たちが悪いのだ”と思い込み、悪口を言いふらします。そのため職場で浮いた存在になり、“会社に行きたくない”という気持ちが高じて、うつ症状に進んだりするのです」

 要するに、かたくなな性格が自分を追い込んでしまうのだ。

 当然ながら、こうした性格の人は自分を客観視できないため、悪い部分を改めようとしない。

 負のスパイラルに突入し、最悪の場合、自殺に走ったりするのだ。

「いきなり“心療内科を受診したほうがいい”というのは本人を傷つけてしまいます。同僚や上司は柔軟性の乏しい人を見守り、始終ボーッとしたり睡眠不足や食欲不振に悩むようになったら、医師に相談するようアドバイスしなければなりません。女性は化粧をしなくなるのも、うつ症状のシグナルです」(坂本博子氏)

 困ったちゃんこそ、見守りが必要だ。

心のエクササイズ『マインドフルネス』をやってみよう

仕事や人間関係など、ストレスを上げればキリがない時代。「マインドフルネス」は、「自分の心(気分)と体の状態に気づく力」を育てる「心のエクササイズトレーニング」。アメリカではすでに、ストレス対処法の1つとして医療・教育・ビジネス・プロスポーツといったさまざまな現場で実践されています。

「マインドフルネス」を実施していくと、ストレスを受けるような場面においてもマイナス思考な感情に飲み込まれることなく、自分を取り戻す事ができるようになりやすくなるといわれています。やり方は簡単! 誰にでもできるので、まずはトライしてみて。

■「マインドフルネス」のやり方
(1)背筋を伸ばし、座って目を閉じる。

座るときは、胡坐でも椅子でもかまいません。寝転がっても良いですが、慣れないとそのまま寝てしまう場合が多々あります。

(2)呼吸をコントロールしすぎないで、あるがままの状態を感じる。

出来れば、普段行っている呼吸よりも「深い呼吸」が良いのですが、まずは、息を吸った時にお腹や胸や背中が膨らんだり、息を吐いた時にはへこんだりする体の感覚をありのままに感じてみましょう。

(3)頭の中や心の中に湧いてくる雑念や感情に流されない。

もし頭の中に雑念が湧いてきたら、「雑念」「雑念」もしくは「それは後で……」とつぶやいて(つぶやかなくてもOK)、意識をもとに戻す様にする。

(4)体全体で呼吸するようにする。

呼吸をするたびに、「体がふくらみ、ふくらみ……」「体がちぢみ、ちぢみ……」と口や頭の中で言ってみてもかまいません。

(5)体の外にまで意識を向けてみる。

今度は自分の体と同じように、部屋の温度や広さ、空気の動きなど外に意識を向けてみましょう。

(6)終了

まぶたの裏に注意を向け、少しずつゆっくりと目を開けましょう。「ボー」としてしまったら、背伸びをしたり目をぱちぱちさせたり、深い深呼吸をして体をゆっくり起こしてあげるようにしましょう!

■まずは5〜10分くらいからはじめてみましょう!

いきなり長い時間行おうとせずに、まずは5~10分くらいから始めてみましょう! 慣れてくればどこでもできるようになりますよ。いわゆる「瞑想」になるのですが、あまり難しい事を考えず、心を落ち着かせるつもりで気軽に行ってみましょう。

ブルーライトを浴びると元気になる!? 「うつ病」になりがちな冬のメンタル対策

休日に外出もせず、部屋に閉じこもり“ぼっち”で過ごすことの多い冬は、うつになりがちな季節。

「脳内伝達物質が減っているのがうつ状態。ビタミンB6とCを大量に摂取するとそれが補える。ビタミンB6は、レバーや鳥のささみ、鰹、鮪に多く含まれますが、食べ物で大量摂取は無理なのでサプリメントのほうが早い。ビタミンB6は30mg、Cは1000mg、急な回復を望むなら2~3倍飲んでもいい。ビタミンCは水溶性ですが、牛乳や油と一緒に飲むと吸収率が上がります」(精神科医の西脇俊二氏)

 ただし、ドラッグストアなどの安いサプリメントはNG。

「効くサプリの基準は成分表示の正確さと、国産原料。粗悪品は比率に対し表示単位を変えてわかりにくくしているのが特徴です」(同)

◆SNSを見ない、反応しない

 孤独な寂しさに強烈な追撃を与えてきたのが、SNS上のリア充投稿。特に、年末年始の「ハワイで年越ししました」などの投稿は、卑屈さを増幅させてくる。

「’13年の米ヒューストン大学の研究では、他人の投稿と自分の現状を比べる回数が多いと、さらに不幸になっていくことが明らかになっています」と健康ブログ「パレオな男」管理人のYu Suzuki氏も言うように、見ないのが得策。

 ただ、同研究ではSNSを使う時間が長いほどうつ病の発症率が上がることも判明している。つまり、投稿者も閲覧者も心の不安定度は同じなのだ。

「本当は見ないことが一番なのですが、『いちいち自慢しないと気が済まない哀れなヤツだ』と見下してやりましょう」(Suzuki氏)

◆ブルーライトを浴びる

 休みの日は、PCから離れるのが長くなりがちだ。

 「目に良くない」、「体内時計が狂う」など悪評も聞くブルーライトであるが、季節性のメンタル悪化を矯正するには絶大な効果を発揮するという。

「一日30分浴びることで、うつ状態の改善に効果があります」(西脇氏)。そればかりでなく、男性の活力と性欲増強にも効果的という。

「シエナ大学の実験で、朝7時から8時の間にブルーライトを30分浴びた結果、テストステロン値が平均1.5ng/ml、性欲レベルは3倍になるという結果が出ています」(Suzuki氏)

 ただし、体内リズムが狂ってしまうので夜間に浴びるのは絶対に禁止だ。

【西脇俊二氏】

精神科医。ハタイクリニック院長。ホリスティック医療のほか、医療ドラマの監修も。近著に『人生は0.2秒で変わる – 精神医学的に正しい絶対的な力の使い方』(ワニブックス)

「クラッシャー上司」にならないために 心を育てる瞑想法

 こんにちは。精神科医の奥田弘美です。冷たい風が骨身にしみる毎日ですが、あなたの心と身体はお元気でしょうか? 前回「働く人に多い『過緊張』1分マインドフルネスが効果」では、日本のビジネスパーソンが陥りがちな過緊張(交感神経の過緊張状態)の症状と、その予防に役立つマインドフルネス瞑想(めいそう)の深呼吸瞑想についてお伝えしました。今回ご紹介するのは、マインドフルネス瞑想法の中の「ヴィパッサナー瞑想」と呼ばれる心を育てるタイプの瞑想法です。

■意外!マインドフルネス瞑想の本来の目的は……

 マインドフルネス瞑想は、グーグルなど欧米の一流企業で次々と導入されていることから、ビジネスパーソンの集中力を高め能力を向上する手法として日本でも近年注目を集めています。しかしマインドフルネス瞑想法の本来の目的は、「集中力を高めて仕事の成果を上げること」ではありません。それらはあくまでも副次的な効果として認められる現象であって、本来の目的は「心を育てること」にあるのです。

 本サイトをお読みのビジネスパーソンの皆さまは、仕事熱心で向上心の高い方がほとんどだと思います。そしておそらく、管理職として部下を持っている方も多いでしょうし、今後も職責が重くなるとともにマネジメント業務も任されていく方が少なくないと思います。職位が上がれば上がるほど、部下を持てば持つほどに必要となってくるのが、己自身の「心の成長」です。

多種多様な性格の部下をマネジメントしていくには、上司自身の「心の安定」や「懐の深さ・温かさ」が欠かせません。というのも私は産業医として様々な職種・職位の社員さんにカウンセリングを行いますが、「上司の心ない辛辣な言葉に傷つく」「上司の冷たい態度や横暴な要求に耐えられない」と訴える方がかなりいるからです。そのなかにはメンタル不調となり休職に至る社員も少なくありません。

■「クラッシャー上司」にならないために

 同じ上司の下で複数の部下がメンタル不調を起こしだすと、当然ながら人事から「あの上司は人格に何か問題があるのでは?」としてマークされます。いくらその上司本人が優秀で成果を上げていたとしても、部下を次々とメンタル不調にして潰されてしまったら会社はたまったものじゃありません。なぜならば、社員1人がメンタル不調になることで会社には大きな損失が発生するからです。

 産業医学の分野でよく活用される試算では、1人の社員がメンタル不調で1年間休職した場合にかかる会社の経費は、「その人の年収の約3倍」とされます。たとえば年収300万円の若手社員を1人休職させてしまうと、約900万円の損失を会社に与えたことになるのです。年収500万円の中堅社員だと1500万円という高額な損失に跳ね上がります。

 損失の内訳は、休職に関わるケア費用はもとより休職者がやっていた業務を他の社員が負担することによって発生する残業代、穴埋め人員の人件費、新規に投入した人の教育費などなど。メンタル不調が長引けば長引くほど、その社員が優秀であればあるほど、会社の損失は大きくなります。

 部下を次々とメンタル不調にする上司は、俗に「クラッシャー上司」と呼ばれ、会社からは「人格に問題のある上司」という烙印(らくいん)を押されてしまいます。明らかなパワハラ言動が証明された場合は懲戒処分の対象になる人もいますが、パワハラ認定までいかなくても「あの人に部下を持たせると潰されてしまう」と警戒され、部下のいない「一人部署」に異動となる場合もあります。

■マインドフルネス瞑想の源にあるブッダの教え

 マインドフルネス瞑想から脱線してしまったので話を元に戻しますが、とにかく職位が上がれば上がるほど「穏やかで安定した情緒」「温かで懐の深い人格」を兼ね備えた「マネジメント力」が求められるのは明らかです。そこで私は、ぜひ本記事の読者の皆様には「心の成長」という目的をもってマインドフルネス瞑想を実践していただきたいと思うわけです。

 実はマインドフルネス瞑想は、ブッダの教えから生まれた瞑想法であるということはご存じでしょうか?マインドフルネス(mindfulness)という言葉は、原始仏教の経典にあるパーリ語の「サティ(sati)」という言葉の英訳です。そしてサティとは2500年前にブッダが説いた「八正道」という理論の中の「正念」のことです。「八正道」は一言でいうと「人生の苦を滅して心安らかに生きる方法」です。ブッダは「自らの欲・怒り・執着に気づいて手放していくこと」が人生の苦を滅する、そして「慈しみの心を育てること」によって心安らかに生きることができると説きました。

 マインドフルネスの語源である「正念」は、「正しく気づくこと」という意味です。「瞑想によって、自分の心をありのままに見なさい」「そして欲や怒り、執着などにとらわれてしまった己の心に気づきなさい」「気づくことでそれらを少しずつ手放していくことができます」とブッダは説きました。この「今の自分の心に対する適切な気づきを得る」ための心のトレーニング法として、ブッダが創造した方法がマインドフルネス瞑想なのです。

 この瞑想法が欧米のスピリチュアリティー文化の発展とともにアメリカやイギリスで広まり、医療での心理療法やビジネス領域での能力開発法にアレンジされて現在に至るのですが、欧米流のやり方は宗教色が排除されており、本来のブッダの説いた「心を育てる」教えが抜け落ちてしまっています。私自身は、日本人は無宗教派が多いといわれながらも、人口の91.5%が仏式で葬式を行っているという事実(日本消費者協会「葬儀についてのアンケート調査2014年」)や、華道や茶道といった仏教文化の影響を強く受けている国民性から、欧米流のマインドフルネス瞑想のようにブッダの教えを過度に排除する必要はないと考えています。

 むしろ哲学・心理学としてブッダの教えを味わいつつ、マインドフルネス瞑想を行うことで、より慈愛の深い心を育てる効果が得られると思うため、著作やセミナーでは積極的にブッダの理論に触れながらマインドフルネス瞑想をご紹介しています。今回は、マインドフルネス瞑想の中から「ヴィパッサナー瞑想」という「心を観て育てる」タイプの瞑想法をご紹介します。

【ヴィパッサナー瞑想のやり方】(1)床に座布団や布を敷いてあぐらで座るか、椅子に背筋を伸ばして座ります。あぐらをかくのは骨盤から背筋をすっと伸ばす姿勢をつくりやすくするためと、足のしびれを予防し、安定して長時間座るためです。椅子に座る場合は足裏を地面にしっかりと付け、背もたれに寄りかからず、背筋を伸ばして座ってください。(2)手は下腹のあたりにそっと重ねておき、目を静かに閉じます。(3)心が落ち着かないときは、大きな腹式の深呼吸を数回行ってください。(4)次に静かな普通の呼吸に戻しながら鼻から息を吸い込みます。

このとき、あなたにとって空気の流れを最も感じやすい鼻先の一点を決めて、そこで空気が鼻腔に触れる「感覚」をしっかり感じます。また息が出ていくときも鼻先で「感覚」を感じます。(5)空気を入ってきたこと、そして出ていくことを鼻先の一点で「感じて」「知り」ながら、静かな呼吸を繰り返します。(6)瞑想を始めると1分もしないうちに思考や感情が生まれてくるでしょう。その思考や感情に気づいてください。

そして「来週の商談のことを心配している」「さっきの部下の報告に落胆しイラついている」「理解の悪い上司を思い出して怒りが湧いた」などと湧き上がってきた自分の思考や感情を眺めます。 

このとき思考や感情の内部に極力取り込まれず、「自分の感情や思考の塊を、少し上から眺めている」感じで客観視するのがコツです。(7)思考や感情に気づいて眺めたら、また静かに鼻先の呼吸に意識を戻します。強力な思考や感情には取り込まれてしまうこともありますが、「あ、取り込まれていた」と気づいたら、また静かに鼻先の呼吸に意識を戻してください。これを時間が許す限り繰り返してください。

■他者に対する怒りやイライラの根っこに気づく

 ヴィパッサナー瞑想は、思考や感情を「観る」タイプの瞑想です。「無になれない」と自分を責める必要は全くありません。自分の思考や感情をヴィパッサナー瞑想で観ていくと、次第に自分がとらわれている「欲」「怒り」「執着」に気がついてきます。他者に対する怒りやイライラの根っこには、多くの場合「自分の思うようにならないことに対する怒り」「自分が承認を得たいがための欲」「お金や名誉、愛情に対する執着」が横たわっています。

こうした心の根っこに気づくことで、次第に激しい怒りやイライラにのみ込まれにくくなり、情緒が安定しやすくなってきます。また「ああ、自分も他者と同様に未熟で弱い人間だなあ」と気づくことで、他人に対しても寛容さや慈しみの心を感じやすくなっていきます。
 かくいう私自身もまだまだ未熟で成長途中ではあるのですが、このヴィパッサナー瞑想を日々の習慣にしてからは、心が安定して人間関係も仕事も良くなってきたことを実感しています。ぜひ5分からでもいいので、ヴィパッサナー瞑想も日々の習慣に取り入れることをお勧めします。

※この記事は、特定の宗教や宗教団体を推奨するものではありません。 奥田弘美(おくだ・ひろみ) 精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家。1992年山口大学医学部卒。精神科臨床および都内18か所の産業医として日々多くの働く人のメンタルケア・ヘルスケアに関わっている。執筆活動にも力を入れており「1分間どこでもマインドフルネス」(日本能率協会マネジメントセンター)、「一流の人はなぜ眠りが深いのか」(三笠書房)など著書多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ日本人にあったマインドフルネス瞑想の普及も行っている。

足の甲をマッサージすると美肌と自律神経を整える事ができるんです

足の甲のマッサージしていますか?

足の裏やふくらはぎのマッサージを毎日のボディケアに取り入れている方も多いと思いますが、足の甲の部分をマッサージしている方は少ないのではないでしょうか?実は、足の甲には女性にとってとても大切なホルモンや美肌のツボ、そして自律神経を整えるツボがあるんです!足の甲は普段マッサージしない分、痛いと感じる方も多いようですが、痛いのは滞っている証拠です!痛いと感じた部分はより念入りにほぐしてくださいね。足が不思議と温まり、むくみも解消します。そして何より、自律神経の乱れにもとっても効果が期待できる一石二鳥いや三鳥くらい効果が期待できちゃいますよ。

足の甲にある『自律神経』と『美肌』のツボ

それでは、足の甲にあるツボのご紹介をしますね!

【太衝(たいしょう)】
足の親指と人差し指の間から足首方面の骨の手前に太衝というツボがあります。このツボは、シミやそばかすを防ぎ、さらに子宮疾患や尿道炎などの生殖器病などに効くそうです。毎月の生理痛が辛い方は特に毎日のマッサージに取り入れると良さそうですよね。

【解谿(かいけい)】
解谿は、足首を曲げるとシワのできる部分のちょうど真ん中あたりのツボです。解谿という足のツボは、こむら返りや、足の痺れ、足のねんざ、関節炎、ぎっくり腰、リウマチに効果があるとされていますが、他にも二日酔い、眼精疲労、視力低下、頭痛、顔のむくみ、便秘、胃痛、腹痛、咳、冷え性などにも効果があるようです。

【照海(しょうかい)】
照海は、内くるぶしのすぐ下のくぼみのツボです。このツボには、低血圧の緩和、生理不順や月経前症候群(PMS)のさまざまな症状に効果があります。また、このツボをマッサージすることで自律神経も整えられるそうです。

今回ご紹介したツボはごく一部ですが、足の骨や筋部分には老廃物がたまりやすいそうなので、日ごろから足の甲をマッサージしてほぐす事を意識してご自分の体調を整えてくださいね。マッサージの方法は他の部位と同じで、クリームやオイルをしっかりもみこんで、すべりを良くする事、基本的には下から上に流す事を意識する事が大切です。

こころの病(7) 認知症のリハビリテーション

超高齢化社会が進む中、65歳以上の高齢者のうち、認知症の人は2012年時点で462万人、認知症になる可能性のある軽度認知障害(MCI)の高齢者も約400万人いるといわれています。65歳以上の4人に1人が認知症もしくはその予備群ということになります。

 認知症になると日常生活を送る上で支障が出てきます。認知症の治療には、薬物療法と非薬物療法が行われますが、リハビリテーションは非薬物療法の中の一つです。

認知症の症状

 認知症の症状は、中核症状と行動・心理症状(BPSD)に分かれます。中核症状とは記憶障害、見当識障害、理解・判断力の障害、実行機能の障害などで、行動・心理症状は不安・焦燥、うつ状態、幻覚・妄想、徘徊(はいかい)、興奮・暴力、異食、睡眠障害などがあります。

 例えば、物忘れ(中核症状)がある人が、財布のしまい場所を忘れてしまい、不安が出現したり、物盗られ妄想などの行動・心理症状が出てきます。行動・心理症状は、性格や環境、心理状態などさまざまな要因が絡み合い、日常生活上で問題が起こってきます.

Aさんの場合

 90歳代男性Aさんは、元軍人で終戦後は役所で勤務をしていました。他の患者さんの言動や行動が気になり、大声で怒りいつも硬い表情をしているため、一人で過ごしていることが多い状態です。

 Aさんの誕生日会を開催した日、マイクを渡すと感謝とねぎらいの言葉を述べる姿がありました。自分の考えや気持ちをしっかりと伝えることのできるAさんには、催し物の場において挨拶(あいさつ)をしてもらう役割を担ってもらうことになりました。

Aさんは、自分らしさを感じる中から意欲も向上し、「~をしてみたい・行ってみたい」という言葉が聞かれ、それを実現していくことで生き生きとした生活が送れるようになりました。

リハビリテーション

 リハビリテーションでは、認知症そのものの治療というよりは、残された機能を最大限に発揮し生活能力を高め、認知症がありながらもその人らしく生活が送れるよう援助していくことでQOL(生活の質)の向上を目指していきます。

 「人の生活はその人にとって『意味のあるしたい作業(活動)』の連続から成り立っている」。人にとって意味のある作業を続け、その結果から満足感や充実感を得て、健康であると実感する。(“作業”の捉え方と評価・支援技術 監修 日本作業療法士協会より抜粋)

 これはすべての人に共通して言えることであり、自分にとって重要なこと・やってみたい作業を行い、またその作業を連続的に行うことで生き生きとした生活が送れるようになります。

その人らしく生きる

 生き生きとした生活を送るためには、認知症の症状や残存機能、生活環境、生活歴、やりたいこと(心が動くこと)などその人をよく知ることが重要となります。周囲の支援や環境調整を行いながら、その人らしく生活を送ることができれば、不安の軽減やうつ状態などの行動・心理行動の改善を図ることが可能となります。

 認知症の方の生活を支援するには、周囲の人が認知症という病気やケアの方法を知ることが大切です。認知症に対するメンタルケア=【表1参照】=にあるように、認知症の方の視点に立ち援助を行っていく必要があります。

これからの認知症ケア

 厚労省は、認知症施策推進5カ年計画(オレンジプラン)の中で「認知症初期集中支援チーム」を設置し、現在モデル事業を実施しています。早期より認知症の方を支援していくシステムです。認知症のケアにおいては、本人への支援はもちろんのこと家族への支援も重要です。

 認知症の方は地域・施設・病院などさまざまな環境で生活を送っていますが、いかなる環境や認知症のレベルであっても本人らしく生き生きと生活が送れる支援を行っていかなければなりません。

認知症の方は、残された能力を最大限に発揮し、“今”を懸命に生きています。今、認知症の方を地域や社会全体で支えていくことができる町づくりが求められています。(万成病院リハビリテーション課 作業療法士 藤川信)
 
 ふじかわ・まこと 佐賀県立武雄青陵高、川崎リハビリテーション学院卒、1994年から万成病院に勤務。現在同病院リハビリテーション課長、作業療法士、一般社団法人岡山県作業療法士会理事・事務局長。

中年期に訪れやすい心の危機への対処法

ここでは、エリクソンが提唱した人の心理社会的発達に関する著名な理論の中から、人はその人生の折々でいかなる発達課題をこなすことになっているのか、また、そこでいったんつまずくと、その後どのような心理的問題が生じやすくいのか、そして場合によっては、それが心の病気につながってしまう可能性もあることを詳しく解説いたします。

成人後期における心理社会的発達の意義今回取り上げる成人後期は、時期的には40歳くらいから60歳過ぎくらいまで。エリクソンが提唱した人の心理社会的発達における8つの発達段階のうち、第7段階になります。この時期に対応する2つの心理的側面は「生殖性(generativity)」と、それと対の関係をなす「停滞(stagnation)」となっていま

実際に周りを見渡してみても、それまで頑張ってきた仕事の後継者がはっきり決まっている方は、なかなか幸せそうな顔をされているもの。一方、仕事の跡継ぎが決まっていなかったり、自分の知識や技術を十分に伝えるような部下や子供がいないような場合、何かしらの淋しさを感じてしまうこともあるでしょう。

■中年期に気をつけたいうつ病
もしも成人後期の発達課題の達成に困難があれば、心の健康に赤信号がともりやすく、場合によっては心の病気の発症につながる可能性もあります。なかでもうつ病は中年期に特に注意が必要な心の病気のひとつ。うつ病の発症率は、中年期では他の年代、特に若年層と比べても高くなっています。

例えば社会的地位の高い人。本来であれば大変素晴らしいことですが、同時に仕事の責任も大きくなり、そのプレッシャーに胃がキリキリ痛むような時もあるでしょう。また、住宅ローンや子供の教育費など、様々な出費も重なりやすいうえ、何らかの深刻な健康上の問題を初めて自覚するのも、往々にしてこの中年期です。こうした要因がいくつも重なってしまえば、誰しも程度の差こそあれ気持ちが冴えなくなってしまうでしょう。

もしも死にたい気持ちが生じている場合、それは脳内環境がかなり病的になってしまったサインで、精神医学的な緊急事態です。既にうつ病が重症化している可能性もあるので、大至急の精神科受診が望ましいことは、どうか頭の隅にしっかり置いておいてください。

成人後期を充実させるためのヒント40歳くらいから60歳過ぎくらいまでが成人後期ですが、この時期が実り深ければ、素晴らしい人生だと言えるでしょう。そのためには心身の健康が欠かせません。エリクソンによれば、この時期心の健康を充分保つには、この時期の発達課題をしっかりこなすことが必要。従って、この時期にこなすべき発達課題があること自体を、ぜひ認識しておいてください。

また、成人後期に入れば、個人差は大きいものの、肉体はどうしても20代、30代の頃とは違ってきます。若い頃は徹夜しても平気だった人でも、中年になれば、徐々に無理が利かなくなってきます。体の生理機能も性ホルモンが徐々に低下し更年期症状が現れやすくなるなど、加齢の影響も現れてきます。一方で心身にかかるストレスが人生でマックスになるのが、この成人後期。ストレス対策は若い頃以上にしっかりしていきたいところです。

以上、今回はエリクソンが提唱した人の心理社会的発達の理論のなかから、40歳くらいから60歳過ぎくらいまでの成人後期にスポットを当てました。さて、時勢は将来の見通しがなかなか立ちにくい、実に厳しいものになっております。皆さま方には今回ご紹介させていただいたことを、どうか心の健康維持に役立てていただければ幸いです。

同じ環境でもメンタルを病みやすい人・病みにくい人の違い

心の調子が悪い時って、本当に嫌なもの。朝から気分が冴えず、ちょっとしたことにもイライラしやすくなっているところに、「あれをやってください。これもやってください」などと言われれば、痛い自分に、さらなるムチが打たれたような気がするもの。

そんな時、「よく、みんな、こんな環境で頑張ってられるな?」と思って、周りを見渡せば、ナゼかクールにそつなく仕事をこなしている人が、いたりします。普段は何とも思っていなかった、〇〇さんの、心の健康巧者ぶりに気付いた瞬間ですが、普段から〇〇さんは心の健康に良いことを実践していた可能性は充分あります。

ここでは、将来の見通しさえ、なかなか立たないような、この厳しい現代社会で、心の健康を保つヒントを精神医学的観点から詳しく解説します。

■まずは何事も脳内環境ですよ!
心の不調は、「イライラが止まらない」「気持ちが乗ってこない」「強い不安に煽られる」など、実に多様ですが、結局のところ、こうした症状は皆、脳内環境の悪化を反映したもので、もしも、その悪化が行き過ぎてしまい、もはや治療を受けねば、元に戻り難くなった状態が、心の病気だと見ることもできます。

この脳内環境は遺伝的要因によって定まる部分もありますが、何と言っても、悪化をきたす要因はストレス! ただ、ストレスは生きていくうえで、なかなか避けにくいもの。場合によっては、何かの拍子に、自分の劣等感を激しく刺激するような言葉が耳に入ってくるかもしれません。

例えば、「〇〇さん、ちょっと、あれは痛すぎるよね!」などと、思わず耳を疑うような声が耳に入れば、誰だって動揺しますが、もしも、その時、対処法を間違えてしまえば、冒頭にあげた〇〇さんのようなクールさは保てず、イライラが止まらなくなってしまう可能性もあります。

■心の不調は、それ以上、悪化させないことが大事!
上記にあげたようなことが起きれば、そのダメージによっては、普段の自分ではなくなってしまいます。例えば、その日は、それからずっと気分が冴えず、家に帰れば食事を作る気にもなれない。とりあえず冷蔵庫にあったアイスクリームを食べているうちに、その時のことが頭に浮かんで来てしまう。ふと気が付いたら、アイスクリームを箱ごと空けていた……と、なってしまったら、ちょっと心のダメージが大きかったものの、まだ、一時の罪悪感ぐらいで済むところだと思います。

でも、その後、深酒をあおってしまい、翌日は二日酔いで仕事が手に付かないようならば、要注意! 本人の遺伝的、心理的、社会環境的要因がネガティブに相互作用し始め、心の不調がますます悪化していく、ネガティブ・スパイラルに入ってしまう危険があります。心の不調時には、まずは、その不調をそれ以上悪化させないことをぜひ、意識したいものです。

■心の防衛機制はぜひ、工夫してみて!
上記の例のように、もしも陰口が耳に入ったりしたら、実は私たちは意識的あるいは無意識的に、心理学の用語で「心の防衛機制」と呼ばれるものを働かせて、心を守ろうとします。

例えば、ある人は「何よ、△△のくせに!」と、条件反射的に相手の悪口が頭に浮かんで来ます。また、ある人は誰かに八つ当たり。もしかしたら、「もう、〇△ちゃん、かわいそう!」と、自分の名前を「〇△ちゃん」と、心中、唱えてしまうほど幼児退行的になってしまう人もいるかも。もっとも、人によっては、「これこれ、こういう訳だから、あの人たちの言葉には問題があり、自分には落ち度がない」と、理詰めに状況を解釈する場合もあるでしょう。

それで、皆様、もしも陰口が耳に入ってしまったような場合、自分なら、どんな心の防衛機制を働かせていたか、ちょっと考えてみませんか? もしも、それが、現実対処能力を低下させるような、「もう、〇△ちゃん、かわいそう!」といった、幼児退行的な反応だった場合、他の手段として、「状況を理詰めに解釈してみる」といったようなことをぜひ、試してみましょう。そして、心が傷ついた原因である劣等感などの心理的問題に関しては、それを他人に言えるレベルまで、客観的に捉えることができるように、あえて正面から向き合っていくことが、その痛みを和らげる基本的対策です。

■ストレスはなるべく、その日のうちに発散!
上記の例で、ウチに帰ったあと、アイスクリームだけでは済まず、深酒までしてしまったらマズイですが、「それでは、どんな対処が望ましかったか?」と問えば、そこは、人それぞれ意見が別れるところでしょう。

「私なら、仕事帰りにジムへ寄って、有酸素運動で気持ち良く汗を流します」という人もいれば、「私はパートナーに思いっきりグチを聞いてもらいます」という人もいるはず。そのやり方が、その人に合っていれば、もちろん何の問題もないわけですが、ストレス発散法は習慣化しやすいもの。もしも、それに、のめりこんでしまった場合、深刻な問題が生じにくいものが望ましい、ということはぜひ、ご留意ください。

それでは最後に、人生には戦いという面が少なからずあるもの。相手から傷つく言葉を浴びるようなことは、いつでも起こり得ます。その際は、心の防衛機制でダメージを食い止め、そのストレスは、その日のうちに発散させることで、ぜひ、冒頭の〇〇さんのように、何かの折、そのクールな姿で周りから一目置かれるような存在になっていただきたいと思います。

「心が病的」になっていく意外な理由とは?

パーソナリティは人それぞれとはいえ、「猜疑心が強い」「感情が不安定」といった傾向は、あまり人から好まれないでしょう。

もっとも、こうした傾向はその人の属する社会や文化を物差しに測っていて、精神症状は基本的に相対評価ですが、こうした傾向が顕著になれば、精神医学的にはパーソナリティ障害の可能性も出てきます。

ここでは、その原因として特に心理的な要因と共に自分の性格を見直してみるためのヒントも詳しく解説します。

■嫌なことが起きた時にとる行動で、その人がよく分かる!
平穏無事な毎日はなかなかそうは続かず、思いがけず嫌なことだってあるかもしれません。例として、前から買いたいと思っていた洋服をやっと手に入れた時を考えてみます。

こうした時はなかなかうれしいものです。仮にですが、それを着て外出した際、通りすがりの小さな子供から「ダサい!」なんて言葉を投げかけられたらとします。ショックはかなり大きいかもしれませんが、その時の反応はその人をよく表わすものです。

ある人は家に帰ったあと、何もする気が起きず、そのまま部屋に閉じこもってしまう。ある人は「親のしつけがなってない!」と、親のせいにして何とか怒りをしずめる。でも、またある人は何かに八つ当たりしてしまうかもしれません。

こうした反応は、そのショックから心がそれ以上傷つかないよう、半ば無意識に行われる行動パターンです。心理学の用語で「心の防衛機制」と呼ばれます。この防衛機制に何か問題があれば、以下のようにパーソナリティに問題が生じる原因になります。

■心の防衛機制が病的になれば……
パーソナリティ的な要因で対人関係上、問題が生じやすくなることがあります。例えば、猜疑心が強すぎる場合です。ここでは具体的な例として、夫が浮気をしているのではないかと疑いやすい妻を考えてみます。

その背景にはさまざまな要因が考えられますが、場合によっては夫が浮気などをしていないにも関わらず、妻の疑念が不合理に強まる場合も考えられます。

こうした場合、妻は元々疑り深い性格なのかもしれませんが、思考に不合理性が高まる背景には、心の防衛機制が病的になっている可能性もあります。

思考の不合理性、特に妄想に関係する心の防衛機制としては「投影(projection)」が代表的です。この例でもその背景にあった出来事として、妻が週末のプランを夫に相談したら、夫は「仕事が入っているから無理!」とつれなかったとします。

その時、妻は内心の怒りが大きかったのか、心の奥底で「浮気でもしてやろう!」といった気持ちが生じたとします。でもそれをはっきり意識にのぼらせれば、自分は浮気をしたがる、言わば、いけない人間になってしまいます。自分の心を守るために、浮気をしたいのは自分ではなく、夫の方にしてしまう……。不合理な猜疑心は、「浮気をしたい」という自分の気持ちを相手に「投影」させたことが原因だったのです。

■感情が不安定になる意外な原因とは?
感情に不安定な傾向が強まれば、安定した対人関係を維持することは難しくなるでしょう。他者との間に円滑な対人関係を築いていくことは、社会生活を送る上での基本的な要素ですが、その土台にあるのが自分と親との関係です。

人は生まれてから、はじめて構築する人間関係が自分の世話をする親との関係です。乳幼児期のまだ物心がつく前の時期でも、自分が親から世話をしてもらえれば、笑顔になるもの。その時、子供の心の中では親は「良い」存在になっています。反対に自分が親の世話を欲している時、それがないと、親は「悪い」存在になってしまいます。

親は子供が泣くなどして、世話が必要なサインを示せば、適切に対処するでしょうが、時にはそれが子供にとっては十分ではないかもしれません。その場合、子供にとって親は時に「悪い」存在になりますが、時間と共に子供はそれを受け入れることを覚えていきます。しかし場合によってはそれに問題が生じる場合もあります。それが大人になってから物事を「良い」か「悪い」かの二者択一で見るルーツになることがあります。

他人には自分にはない良い面もあれば、悪い面も必ずあります。他人を「良い」か「悪い」かの二者択一で評価することはできませんが、他人には良い面だけでなく、悪い面があることを受け入れないと、その人に対する感情がなかなか安定しないはずです。この傾向が顕著になれば、パーソナリティ障害の中でも「境界性パーソナリティ障害」に該当する可能性も出てきます。

以上、パーソナリティの問題として、今回は特に「猜疑心が強すぎる」「感情が不安定すぎる」ケースを取り上げましたが、自分の「心の防衛機制」をはっきり意識することは、自分の性格をこれまでとは違った角度から認識するヒントになるかもしれません。

また、自分を育ててくれた親が自分の心の中でどのような位置を占めているかも時にしっかり考えてみたい命題かもしれません。心の中には親の「良い」面ばかりではなく「悪い」面も一緒にあるでしょうか? この二面性が心の中でしっかり統合されていることもパーソナリティを健全に保つポイントのひとつです。

「根性」じゃ育たない プレッシャーに勝つ心の鍛え方

仕事で成果を出したい。そんなときに選びがちなのが、厳しく自分を追い込み険しい表情で耐え続けるという鍛錬法。日本では長年、そうして試練を乗り越えることこそが正念場で実力を出すための正攻法だと考えられてきた。しかし、果たしてこの方法は有効なのだろうか。スポーツ選手やコーチを対象としたメンタルトレーニングを専門とする東海大学体育学部教授の高妻容一さんに教えていただいた。

■ピンチでも折れない心の強さはトレーニングで鍛えられる

 近年、スポーツ界で注目を集めている「メンタルトレーニング」。結果を出す選手たちの多くは、トレーニングで心を整えることによってプレッシャーを乗り越え、大舞台でもひるむことなく実力を発揮し続けているという。このメンタルトレーニング、実はスポーツのみならずビジネスの場面でも応用できる。例えば、「重要なプレゼンのときほど、プレッシャーを感じて思うように振る舞えない」「お客さんを前にすると緊張して、いつもの力が出せない」などと、持てる力をうまく生かせないビジネスパーソンにも、うってつけのメソッドだ。

 そもそも、実力とは何だろう。技術力や体力のことだろうか。しかし、たとえ技術力や体力に優れていても、メンタルの弱さゆえにプレッシャーに押しつぶされ、「ここぞ!」というときに力を発揮できなければ実力があるとは言いがたい。たとえ練習では活躍している努力家でも、本番で活躍できなければ力を認められにくいのが現実。つまり実力とは、「心・技・体」をバランスよく磨くことによって高まるものだといえるだろう。

 「日本のプロスポーツでは、コーチ・トレーナー・コンディショニングコーチといった専門家がついて“技”と“体”を鍛えていることは多い。しかし“心”の専門家がつくことはまだ少なく、メンタル面を強化することに関しては本人任せ、というのが実情です」と東海大学体育学部教授の高妻容一さん。だが、心の強さはトレーニングで鍛えられることが分かってきて、最近では冒頭で触れた通り、結果を出す一流選手たちの多くがメンタルトレーニングに取り組むようになっているという。

■もともとは宇宙飛行士の不安解消のために開発された

 メンタルトレーニングは本来、宇宙飛行士の不安やプレッシャーを解消するために1950年代の旧ソ連で始められたもの。その効果が認められ、以降、各国でオリンピック強化チームの競技力向上のために導入されたほか、ビジネスや教育、芸能などの分野でも応用されるようになっていった。今や欧米の国々では、「ここぞ!」というときにパフォーマンスを上げるための心のトレーニングとして、各方面で生かされている。

 「日本でも近年になって徐々にメンタルトレーニングの重要性が認識されるようになり、最近はさまざまな資格が登場、自称専門家も増えました。しかし、本格的なメンタルトレーニングの指導を行うにはスポーツ心理学やスポーツ科学などの幅広い学びが必須。ですから、日本スポーツ心理学会が認定する『スポーツメンタルトレーニング指導士』の資格を所有しているかどうかを最低基準として専門家を見極めればいいでしょう」(高妻さん)

 では、プレッシャーが高まったり窮地に陥ったときでも、気持ちが散漫になったり弱気になったりせずに済むようになるには、どうすればいいのだろうか。まず一つ言えるのは、「根性」でどうにかなるものではないということだ。
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■厳しく追い込むだけでは、本番に強い心は養えない

 重要な局面を前にして心が乱れているときに、周囲から「平常心で頑張れ!」「根性だ!」などと言われ、なすすべもなく困ったことがある人は少なくないだろう。そう言われて平常心を取り戻したり根性を出したりできるなら、苦労はしない。それができないから困るのだ。 「日本では長年、根性主義やスパルタ主義がはびこっており、口先だけで無茶に発破をかけるやり方が今も色濃く残っています。しかし、強い言葉で追い込まれたり厳しさの中で耐えたりしているだけでは、プレッシャーには打ち勝てない。逆境の中でも自分の心をコントロールする方法を習得しなければ、強さにはつながらないのです」(高妻さん)

 ただしその方法は、ピンチの時にだけ都合よく使える特効薬ではなく、毎日の鍛練があってこそ生きるもの。技術力や体力を高めるために日々のトレーニングが求められるのと同様に、メンタルの強さもまた継続的にトレーニングをしてこそ養うことができる、と高妻さんは言う。

■苦しいときほど「笑顔」を意識すべし

 この記事では、手始めに、トレーニングや本番で心がけたいポイントである「笑顔」について解説しよう。「結果を出したければ、全身でプレッシャーを感じながら真剣な表情で頑張るべき」。こう思っている人は多いかもしれない。仕事や試合などの場においても、鬼気迫る形相で取り組む人ほど、やる気が評価される傾向にあるのも事実だろう。しかし、「メンタル強化を目指すうえでこの頑張り方は逆効果となる」と高妻さんは断言する。プレッシャーによって緊張した心身のままでは、発揮できる力が制限されてしまう。逆に、笑顔でリラックスしているほうが、冷静さを保って立ち回ることができ体もスムーズに動くからだ。

 「私がアメリカで出会ったプロ選手の多くは、苦しいときほど笑顔になって気持ちを落ち着けていました。そうすれば体の力みが抜けて呼吸も安定してくる。真面目な顔で心身に緊張を感じているときよりも格段に、パフォーマンスが向上するのです」(高妻さん)その笑顔の力を証明した高校野球のエピソードがある。
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■高校球児が証明した「笑顔」の力

 2014年夏の高校野球で、9回裏に大逆転を成し遂げた石川県の星稜高校野球部を覚えているだろうか。強靭(きょうじん)な精神力をもって勝利を掴んだ彼らが掲げるスローガンは“必勝”ならぬ“必笑”。ピンチのときにも笑顔を見せる姿が印象的だった。選手たちは「笑うことでポジティブなイメージが湧くので、心身を落ち着けて前向きに戦える」と語っている。高妻さんは、あるTV番組の企画で笑顔の効能を示す実験を実施。笑顔のときと真剣な顔のとき、それぞれで100メートル走のタイムとピッチングの球速を記録した。

 結果として、100メートル走では笑顔のときに13人中7人のタイムが平均0.18秒縮まり、ピッチングでもやはり笑顔のときに9人の球速が平均12キロも速くなった。さらに選手たちからも、「笑顔のほうが力まずに動けるから走りやすい」「フォームがダイナミックになるのを感じた」などの声が挙がったという。普段から笑顔を心がけるのはもちろん、プレッシャーを感じる局面ほど意識的に笑顔を作ることで、知らず知らずのうちにパフォーマンスは向上する。ストレスで揺るがない強固なメンタルを養うためにも、まずは笑顔を意識してみよう。

■この人に聞きました

高妻容一(こうづま よういち)さん 東海大学体育学部教授。1955年宮崎県生まれ。福岡大学体育学部体育学科卒業、中京大学大学院修士課程体育学研究科修了後、1985年フロリダ州立大学博士課程運動学習・スポーツ心理学専攻に4年半留学。1993年州立フロリダ大学へ1年間の研究留学。近畿大学教養部を経て、2000年より東海大学体育学部へ。現在、教授。2015年にも半年間、米国へ研究留学(IMGアカデミー、オリンピックトレーニングセンター、フロリダ大学、大リーグのチーム等)。1985~2001年日本オリンピック委員会のメンタルマネジメント研究班員。1994年から日本メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会をスタートし、事務局・代表を務める。東海大学スポーツサポート研究会メンタルトレーニング部門担当。

誰にでも起こりうる「心の病」 集団スポーツに改善効果

統合失調症患者の「集団スポーツ参加によるメリット」について、万成病院(岡山市)の小林建太郎理事長・院長に寄稿してもらった。

 統合失調症は決してまれな病気ではありません。100人に1人が発病すると言われ、幻覚・妄想・無為自閉などが主な症状です。治療は抗精神病薬による薬物療法が中心ですが、薬は幻覚・妄想には効果的ですが意欲減退や感情の平板化には効きにくいのが現状です。

引きこもりのA君

 A君は20代の男性。高校生の時、「自分の悪口を言われている」「監視されている」といった幻覚妄想状態で発病、治療により幻聴は消失しましたが、10年近く家に引きこもっていました。人と会うのを嫌がり、昼夜逆転しゲームが中心の生活でした。元来スポーツには関心があり、保健師さんの誘いでソフトバレーのチームに参加しました。以来練習は一日も休まず、めきめきと上達しチームの中心選手として、全国障がい者スポーツ大会に出場して活躍しました。その後は一般企業に就職し、休みの日には練習に参加しています。家族も当初は本当につらい思いをされていましたが、今では息子の試合は必ず夫婦で応援に来られています。

誰にでも起こりうる

 統合失調症に限らず、心の病は四つの条件が重なれば誰にでも起こりうると思います。四つとは身体的疲労、不眠、不安、孤立です。適度な運動は睡眠に良い影響を与え、集団スポーツは孤立、不安の軽減に繋がります。具体的なメリットを挙げてみます。

(1)出会いの場、仲間の輪ができる

 スポーツには出会いと感動があります。プレーや応援を通した自然な会話が膨らみます。

(2)生活にメリハリ、規則正しい生活

 日頃の練習により生活にリズムが生まれ、生活の質が向上し再発の予防にも有効です。

(3)ストレス発散、肥満防止

 体を動かすことにより、ストレスの発散、肥満・糖尿病の予防となり、体力の向上に繋がります。

(4)状況対応力、集中力の向上

 ゲームへの集中だけでなく、チームメートへの気配り、臨機応変な対応など認知機能の改善も期待できます。

(5)自己実現、自信の回復

 チームとともに勝利をめざし、人に役立っている体験は大きな自信となり、自尊感情が高まります。

ドリームカップを開催して

 全国精神障がい者バレーボール大会が2001年より開催されています。ソフトバレーボールを使用し、女性選手が1人以上入る以外は6人制バレーボールのルールを原則としています。全国大会をめざし、県大会、ブロック大会で汗を流す選手が増えてきています。

 当院でも06年から障がい者のチームと一般地域のチームが枠を超えて優勝を競うドリームカップを開催しています。驚かされるのは障がい者チームのレベルアップとチームワークの良さです。岡山シーガルズの若手選手も地域のチームの中に入って参加し、白熱した試合が多くなりました。毎年シーガルズの選手は当初は余裕を持ったプレーですが、途中より本気モードに変わっていき、その姿を見られるのが私の楽しみです。

 岡山県選抜の監督として、精神障がい者バレーを14年間指導を続ける宮田芳野さんは「バレーを始めて元気になり、社会に巣立った選手がたくさんいます。その過程で心強い後押しは家族の応援が一番だと思います。頑張ってスポーツするのではなく、続けていく中で仲間を作り、体力・気力・自信がつき、団体行動の中で協調性、社会性を養って、心身ともに元気になって自立につなげていくことが目標です」と力強く学会で発表されました。

集団スポーツの効果

1、対人関係改善 出会いの場、仲間の輪ができる
2、再発予防 生活にメリハリ、規則正しい生活
3、身体管理 ストレス発散、肥満・糖尿病予防
4、認知機能向上 状況対応力、集中力、持続力の向上
5、自尊感情 自信の回復、仲間とともに自己実現

 万成病院(086―252―2261)

 こばやし・けんたろう 川崎医科大学大学院卒。同医大講師、万成病院副院長を経て、2001年から現職。岡山県病院協会議長・岡山支部会長、岡山県精神科病院協会副会長。専門は精神科。岡山市出身。62歳。

日常生活にも応用できる! スポーツ選手のメンタルトレーニングとは

 スポーツ、特にオリンピックのような大会において、そのプレッシャーやかかるストレスは想像を絶するものがあります。そのため、最近はスポーツ選手のメンタルトレーニングも注目され、かなりの発展をしてきました。そんな今のスポーツ選手のメンタルトレーニングとはどんなものでしょうか。

●スポーツ選手のメンタルトレーニングとは?

 いわゆるメンタルトレーニングの研究は、1950年代の旧ソ連の宇宙飛行士の養成カリキュラムから始まって、1960年代には米国などさまざまな国でもスタートしました。それ以来、さまざまな研究が世界各国で行われ、スポーツの世界でもメンタルのトレーニングは常識的な概念になりつつあります。

 海外ではすでにに、世界の最前線で活躍するアスリートにはメンタルコーチが同行するのが当たり前になっています。

 例えばゴルフの宮里藍さんやテニスの錦織圭さんがメンタルトレーニングを大事にして、世界の舞台で活躍していることはよく知られています。今回のリオオリンピックでも、卓球の水谷隼さんが銅メダルを獲得した際にも、メンタル面の大切さが語られたりしました。

 このように、メンタルトレーニングはスポーツの世界ではとても大事にされています。そしてその流れを追うように、スポーツ以外の世界でも、メンタルトレーニングの重要性が指摘されるようになってきました。

 ではスポーツ選手のメンタルトレーニングとはどのようなものなのでしょうか。

●本番の前に! 日常生活で使えるメンタルトレーニング

 スポーツ選手のメンタルトレーニングは、主にトレーニング効果を高め、よりよいコンディションで競技に臨めるように自分の心を整える方法です。いくつか例を挙げると、選手の自立性やモチベーションを向上させ、目標達成を意識する目標設定法や、成功と自信につながるイメージトレーニング、集中力を向上させる集中力トレーニングなどがあります。

 しかし、自分のメンタルをうまく整えられたとしても、本番の前には緊張しますし、ミスをすることもあります。そのため、メンタルトレーニングの中には、こういった本番前、そして本番中にミスをしまった時のために行うものもあります。

 この方法の中には、スポーツ選手ではない、普通の人でも使えるものがありますので、それをご紹介したいと思います。

1.本番前の不安や緊張を和らげる

 人間は、緊張する場面では力が発揮しづらくなるものです。会議やプレゼン、発表などに、緊張状態で臨んだ事はありませんか?現在では、こういうときにリラクゼーションが必要だと言われています。

 ある程度緊張をほぐし、リラックスすることによって心身を整え、競技に臨む方が良い結果が出るというのは想像しやすいですよね。それと同じように、スポーツに限らず緊張しそうな場面では、リラクゼーションが活用できます。日常の試験や発表などでも、リラクゼーションを心がけるといいと思います。

 リラクゼーションの一番簡単な方法はストレッチです。ストレッチは筋肉の緊張を和らげ、血流の悪さを改善します。緊張しそうな場面の前に、時間を見付けて首を回したり、少しでも動くようにすると効果的です。

 また、呼吸を整えるのも効果的と言われています。呼吸は人間の緊張や不安と密接な関係があって、不安や緊張状態のときは呼吸が乱れるものです。ですので、呼吸を整えるだけでも、不安や緊張状態は変わってきます。

2.ミスをしてしまったときに自分の気持ちを整える

 みなさんは仕事でミスをしたり、何気なく言われた一言が気になって、その後の仕事に集中できなかったり、ミスが連鎖してしまったりするような事はありませんか? スポーツの世界でも、ミスをしたときに、自分の気持ちをどう整えてリカバリーをするかはとても大事な問題です。

 サッカー ドイツ代表のメンタルトレーナー、ハンス・ディーター・ハーマンは、「ミスをしたとき、その事は頭の中の駐車場に一時停車しておいて、目の前に集中する。反省や修正は終わった後にする」というやり方を提唱しました。これは「パーキング」と呼ばれるメンタルトレーニングの方法です。

 仕事で、上司や取引先の叱責、思わぬ一言が頭に残ってしまったり、ミスをした事が気になって仕事に集中できなかったりするときには、そういった出来事を頭の中の駐車場へ入れてしまいましょう。

 このときのコツは、なるべく具体的に、駐車場のイメージを作って、ミス等を入れてしまうこと。駐車場がイメージしづらければ、引き出しや押し入れなどの、何かを収納できるものであれば何でもいいそうです。

 また、日常的にこういったイメージの練習をしておくと、効果も高くなります。

 仕事をしていて、自分の心が揺れる場面はどうしても出てきます。こんなときは、こういったメンタルトレーニングの方法を使ってうまく対応していきましょう。

●臨床心理士みらー プロフィール

 大学院終了後、専門学校の非常勤講師および、高校のスクールカウンセラーを勤め、同時期に教育機関での心理相談員および不登校対策事業の心理相談担当を歴任。

 現在は悩み相談掲示板サイト「ココオル」で相談員を務めるほか、活動領域を青年期支援に移し、地域若者サポートステーションにて若者支援も行い、年間のカウンセリングは1000件以上行い、相談支援に定評がある。

躁的防衛? ハイテンションな人に潜む心の危機

■わざと明るく、元気にふるまってしまう躁(そう)的防衛とは
いつも明るく元気でテンションの高い人というのはいるものです。忙しくてストレスの多いときでも「120%元気な自分」でいたがる人。落ち込んだりへこんだりすることが嫌いで「いつでも笑顔」を保とうと頑張る人……。

こうしたハイテンションな状態の人は、周りからは「ネアカ」で「エネルギッシュでポジティブな人」に見え、心の健康的に何の問題もない人だと思われがちです。しかしカウンセラーとしての立場からは、彼らの心に「危うさ」が潜んでいるのではないか?と考えずにいられません。

臨床心理学には「躁(そう)的防衛」という言葉があります。躁的防衛とは、わざと明るい自分や元気な自分を演じることによって、沈んだ気持ちに打ち克とうとする無意識的な防衛行動です。元々は精神分析の理論において、母親との関係をベースにした葛藤から生じる体験とされていますが、一般的には、集団生活やストレスフルな状況に適応しようとする際によく見られます。

たとえば、ストレスが増えるとやたらとテンションが高くなり、リフレッシュと称して仲間と騒いだり、飲み会を開いて暴飲暴食に走ったりする人。忙しくしていないと不安になり、やたらと仕事や用事を抱え込む人――。こうした人々は、躁的防衛によってハイテンションな状態をつくりだし、ストレスに対処している可能性があります。

■躁的防衛のリスク……頼りすぎるとあらゆる面で支障が生じる
躁的防衛は、ストレスを短期的に乗り越えていくには、有効に働きます。たとえば、新学期や新年度などの一時的なストレスの対処に役立つことも多いでしょう。

しかし、いつもその方法を用いていると、精神的に消耗してしまいます。たとえば、スケジュールが空くのが怖くていつも忙しくしてしまったり、嫌なことを考えたくないからとアルコールに頼って気分を盛り上げてしまったり、一人で夜を過ごしたくないと無理やり仲間たちと騒ぐ習慣ができてしまっていたり……。

こうした行動を繰り返していると、精神だけでなく、身体や人生設計、生活管理の面などにも支障が生じてしまいます。では、躁的防衛にはまりすぎてしまう自分をコントロールするためには、何が必要なのでしょうか?

■なぜ躁的防衛を用いてしまうのか……まずは自分を知ろう
躁的防衛にはまりすぎてしまう自分をコントロールするために必要なこと。その一つが、「自己理解」です。

「なぜ自分は無理に忙しくしてしまうのだろう?」「なぜ自分はいつもにぎやかでないといられないのだろう?」

このように、自分の認知と行動の傾向を振り返ることです。

誰でも新しい環境に適応する際には不安が生じますし、孤独を感じたり、自尊心が傷つけられたりしたときには、憂うつになるでしょう。そうしたとき、一時的に躁的防衛を用いるのは自然なことですし、それによって良い効果が生じることはたくさんあります。

しかし、常にテンションを上げて元気をふりまかずにはいられない場合、なぜそうなってしまうのだろうと、振り返ってみることが必要です。ある人は、特定の刺激に反応して、躁的防衛を用いてしまうのかもしれません。またある人は、ストレスに耐える力、対処する力が弱いため、躁的防衛に流れてしまうのかもしれません。

■自己理解を活かして、対処方法のレパートリーを広げる
自己理解によってこうした自分の認知と行動の傾向に気づいたら、「どうしたら改善できるか」を考えてみましょう。そして、できるところから改善を試みてみましょう。

特定の刺激に反応して躁的防衛に走っている場合、なるべく強い刺激に触れないようにしたり、あるいは刺激と向き合い、折り合いをつけていくことが必要になるでしょう。たとえば、合コンに行くたびにテンションを上げすぎてしまって、結果として異性とまっすぐに語り合えないような場合、まずは「友達づくり」から始めて異性に慣れていくのも一案です。

耐える力が弱いと感じた場合、ストレス発生後すぐに躁的防衛に逃げず、しばらくの間そのストレスと付き合ってみるといいでしょう。つまり、すぐに気晴らしなどで気分を上げようとせず、「ストレスと同居できる力」をつくっていくことです。

「対処する力」が弱いと感じた場合、上記のような力を伸ばすとともに、有効だと思われる対処法をあれこれ試してみるといいでしょう。たとえば、不快な気持ちをノートに書き出してみる、交渉術を試みるなどして、対処法のレパートリーを広げてみるといいでしょう。

長い人生の中では、さまざまなストレスに何度も遭遇します。そうしたときには、「躁的防衛」という一つの方略のみに頼るのではなく、その時々の自分に必要な方法を多角的に検討して、適切な対応ができるようにしていきましょう。

セレブたちが自身のメンタル・ヘルスについて語った言葉

チャリティー団体「マインド」によると、イギリス女性の4人に1人は心の健康に問題を抱えているという。それは、富や成功、美、有名無名を問わず抱える問題で、スターたちも例外ではない。セレブたちのコメントを読めば、少しは寂しさが癒えるかも。

不安について by テイラー・スウィフト

「いつも、何かが起こるんじゃないかって、怖いの。この仕事ができなくなるんじゃないか、いつかすべてが終わってしまうんじゃないかって。この仕事が好きすぎて、失いたくないから、恐怖を感じるという部分があるのかもしれない」
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パニック・アタックについて by エマ・ストーン

「初めてパニック・アタックに襲われたのは、友人の家でソファに座っている時だったの。家が火事になってしまうと思ったわ。母に電話して、家に連れ帰ってもらったのだけれど、それから3年間は繰り返し起こった」
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抑鬱症について by J・K・ローリング

「抑鬱症になったことがない人に、どういう状態なのか説明するのは難しい。悲しさではないから。悲しさなら、わかるわ。悲しさというのは泣くことであり、感じること。でも、(抑鬱症には)感情というものがまったくないのよ。本当にむなしい気分なの」
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不安と躁鬱病について by デミ・ロヴァート

「私はいつも素晴らしいことをしているわけじゃないけど、それは問題ないわ。だって、誰にも大変な時はあるし、欠陥があっても構わない。それが、私、私なんだから」

抑鬱症について by ビヨンセ

「有名人になってしまったから、私のことを愛してくれる人なんて二度と見つけられないんじゃないかと恐ろしくなったわ。新しい友だちをつくるのも怖かった。だけど、ある日、母が言ったの。『誰も愛してくれる人がいないなんて、どうして思うの? あなたは頭がいいし、優しいし、美しいでしょう?』って。その時私は決心したわ。私には選択肢が二つしかない。それは、諦めるか、このまま突き進むかだって」

働き盛りに増えるパニック障害 カウンセリング療法に効果

 職場のストレスチェックが義務化されてから、間もなく半年──。長時間労働や過大なプレッシャー、上司・部下の人間関係の煩わしさなどが重なり、慢性的な“高ストレス状態”に陥っている人は多いのではなかろうか。

 そんな働き盛りのビジネスマンに増えているのが、突如発症する「パニック障害」だ。患者数は1000万人を超え、程度の差こそあれ10人に1人が経験するといわれている。近年、歌手の円広志、大場久美子、お笑いコンビ「中川家」の中川剛、韓流スターのイ・ビョンホンら有名人もパニック障害に苦しんだ過去をカミングアウトしている。

 パニック障害とはどんな病気なのか。現在も不定期に発症するという2人のビジネスマンが告白する。

「私は出勤の支度をしながら自宅で朝食を食べる時間帯に、足先からスーっと感覚がなくなり、意識を失いそうになることが度々あります。それと同時に過呼吸になり、全身は冷や汗でビッショリ。

『脳や心臓にかかわる重大な病気かもしれない』、『このまま気を失って死んだらどうしよう……』と考えるとますます症状はひどくなる。発作が起きた日は朝食を一口も食べられないどころか、パニックになってもすぐに降りられるよう、各駅停車で会社まで通っています」(IT系/30代A氏)

「クルマで通勤途中、えも言われぬ恐怖感に突然襲われ、目まいと手足のしびれで運転が困難な状態に。何度もコンビニの駐車場で休憩しなければ会社に辿り着けない状態です。

 現場作業でクルマ移動が欠かせない仕事なのに、『ここで発作が起きたら大事故になる』と思うと一人では運転できない。今では妻に送り迎えをしてもらうようになりましたが、助手席に乗っていても、しめつけられるような胸の痛みと、ふらふらと目が回り、現場事務所で休まなければ仕事ができない日もあります」(建設関係/40代B氏)

 2人の話からも分かるように、パニック障害は突如襲ってくる不安感と同時に、激しい目まいや吐き気、動悸などの発作が主な症状だが、その他、頭痛や腹痛、頻尿などさまざまな症状を伴うこともある厄介な心の病だ。

 では、うつ病とはどこが違うのか。精神科医の和田秀樹氏が補足する。

「どちらも不安障害と呼ばれる病気の中に含まれ、ストレス状態に長く置かれて神経の伝達物質のバランスが悪くなると、人によってうつになったり、パニック障害を引き起こしたりします。

 パニック障害は発作が出るとそのことばかり考えてしまい、自律神経を崩してしまいます。ひどい人は呼吸困難に陥ったり、失神したりと派手な症状が出て仕事や日常生活に支障が出る場合もある。患者さんにとっては非常につらい病気なのです」

 完治するまでに10年以上かかる患者もいる中、劇的な治療法はないのだろうか。前出のA氏、B氏は、睡眠導入剤や精神安定剤、抗うつ薬などの投薬治療で様子を見ているという。B氏に至っては藁をもすがる思いで漢方専門医の門を叩いたが、「朝鮮人参配合のドリンクを飲まされ、夜眠れずに余計に不安感が増した」と苦笑する。

「投薬治療は、うつ病患者に使うような伝達物質セロトニンを増やす薬を処方するのが一般的です。パニックにならぬよう、安定剤を予防的に飲み続けている人もいますが、依存性が強いので、あまり望ましくありませんし、根本的な解決にはつながりません」(前出・和田氏)

 和田氏は投薬治療と並行してカウンセリング療法の重要性を説く。しかし、そこには大きな誤解もあるという。

「パニック障害になるような人は“心が弱いから”と偏見を持っている人が多いのです。精神科の中にもそういう考えを持ち、カウンセリング療法を否定している医師もいるほどです。

 実際には心が弱いのではなく、真面目で視野が少し狭いだけ。だから病気を治さない限り生きていけないと焦ってしまうのです。そういった患者さんには症状が出ても深刻にならずに受け入れ、気楽に生きていけるように促す『認知行動療法』と呼ばれるカウンセリングをしたほうが改善するケースが多い。

 人間の心には個人差がありますし、ストレスに弱い人は体質も影響しているでしょう。そうした個々人の心に対する周囲の理解がもっと進まなければ、パニック障害に苦しむ人は減っていかないでしょう」(和田氏)

 ストレス過多な現代社会。誰もが“心の破綻”をきたすリスクを抱えていることを認識したうえで、企業は患者をサポートする体制を整えていくべきだろう。

夕食のカレーは辛さ控えめで!体の不調を招く「自律神経が乱れるNG習慣」6つ

もうすぐ梅雨の季節。ジメジメとした天候が続くと気分も晴れず、体まで重だるいような感じがしませんか?

『ウーマンウェルネス研究会』の調査によれば、梅雨時には6割の女性が“身体の不調”を感じるとのこと。また、女性が天候によるストレスを感じやすい季節のワーストも梅雨時期(6~7月)という結果が明らかになりました。

それもそのはず。総合医療の専門医である川嶋朗先生によれば、梅雨時期は気圧が低い状態が続いて空気中の酸素が少なくなり、自律神経が乱れやすくなるといいます。

つまり、梅雨時はただでさえ健康によくない時期。さらに、日々の過ごし方によっては自律神経の乱れに拍車がかかり、どんどん絶不調モードに陥ることにもなりかねません!

そこで今回は、『WooRis』や姉妹サイト『美レンジャー』の過去記事を参考に、“自律神経が乱れるNG習慣”を6つお届けしたいと思います。

■1:朝起きてすぐにカーテンを開けない

あなたが朝起きて1番にすることといえば……? トイレに行く、顔を洗う……よりも、真っ先にカーテンを開けましょう!

太陽の光を浴びることで、体が1日のスタートだと認識し、自律神経が整いやすくなるとのことです。

逆に、カーテンを閉めきったままバタバタと朝の支度をしては、体が“おはよう”モードになってくれず、朝の憂鬱な気分をいつまでも引きずることにもなりかねません。

■2:怒りっぽい人のそばにいる

自律神経が乱れるとイライラする。イライラすると自律神経が乱れる。このように、“自律神経の乱れ”と“イライラ”は“ニワトリと卵”のような関係にあります。

負のスパイラルに陥らないようにするには、なるべく心穏やかに過ごしましょう。そのためには自分自身の気の持ちようも大切ですが、なるべく怒りっぽい人とは距離をおくことも欠かせません。

人の気分は意外と伝染力が強いもの。ハッピーな人と一緒にいると自分の気持ちも晴れますが、イライラしている人のそばにいるとどんどん心身が蝕まれていくおそれが……。

家庭や職場など、どうしても離れられない環境にイライラ人間がいる場合は、理不尽に怒りをぶつけられても、“自分のせい”だと思わないこと。また、トイレや自室などひとりになれる環境で気持ちの切り替えを上手におこないましょう。

■3:ランチの時間をずらす

予定がたてこんでいると、決まった時間に昼食がとりにくいこともあるでしょう。また、専業主婦だと、いわゆる“昼休み”がないため、ランチの時間がバラバラになりがちかもしれません。

ただ、自律神経を整えるためには、一定のリズムある生活を送ることが重要。不規則な食事は自律神経の乱れにつながります。なるべく同じ時間帯に昼食をとるようにしましょう。

また、午後からもアクティブに活動したいなら、ランチ後に濃い目のコーヒーや緑茶を飲んだり、食後30分頃に軽い運動をするなどして交感神経を優位にするのがおすすめです。

■4:夕食に激辛カレーを食べる

カレーライスといえば家庭料理の定番ですよね。ただ、夕食のメニューにするなら、なるべく辛さは控えめに!

スパイシーな料理は、交感神経のスイッチを入れやすくするとのことです。日中とは逆に夜間は副交感神経を優位にして、リラックスモードに入らなければいけないのに激辛カレーを食べると自律神経が乱れ、寝つきが悪くなるおそれがあります。

反対に、納豆・油揚げ・豆腐などの大豆製品、そして、きのこ・海藻・玄米・れんこんなど食物繊維が豊富な食品は副交感神経を優位にするはたらきがあるとのこと。夕食に積極的にとりいれましょう。

■5:シャワーだけで済ませる

気温が上がるにつれて、浴槽にはつからずにシャワーだけで済ませる日が増えるかもしれません。

ただ、お風呂につからないと交感神経が優位なままで、寝つきが悪くなるおそれがあります。

副交感神経をオンにするためには、就寝1時間前に38~40度のぬるめのお湯に10~20分つかるようにしましょう。炭酸入浴剤を使うと血流がよくなってより効果的とのことです。

■6:寝る直前までスマホをいじる

ベッドにスマホを持ち込んで、寝る直前までネットサーフィンしたりSNSをチェックしたりする人は少なくないことでしょう。

ところが、スマホ画面から発する青色LEDは体内時計や自律神経を乱したり、不眠症を引き起こしたりするおそれがあるとのことです。

スマホは夕食以降は家族そろってオフにするように心がけ、ベッドでは夫婦のコミュニケーションを楽しむようにしてみては?

いかがでしたか? これらNG習慣は年間を通じて避けたいものですが、自律神経の乱れやすい梅雨の時期にはとりわけ気をつけたいですよね。イライラや不調を予防したいなら、ぜひこれらの習慣は改めましょう。

適応障害に悩むイマドキ若手社員とのつきあい方

■メンタルを病む若手社員が増えている
近年、メンタルを病む若手社員が増えていると言われています。私自身、実際に心療内科の診察現場や、産業医として企業で面談をしている肌感覚として、その数の多さに驚かされます。

昔から心の病であるうつ病は存在していました。しかし、最近の若手社員でよく耳にするようになったのは「適応障害」という診断です。

適応障害とは、ある生活の変化や出来事がその人にとって重大で、普段の生活がおくれないほど抑うつ気分や不安・心配が強く、それが明らかに正常の範囲を逸脱している状態です。ICD-10(世界保健機構の診断ガイドライン)によると「ストレス因により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」と定義されています。

つまり、働くという環境にうまく適応できず過度のストレスを感じることで、ドキドキや発汗、めまいなどの体の症状や、無断欠勤やケンカなどの攻撃的な特性があらわれてしまうということです。

■適応障害の社員が増加した社会的背景
ベテラン社員の方には「昔は適応障害なんて聞いたことなかったのに」と感じた方も多いのではないでしょうか。これも、時代の流れの中で起こった社会構造の変化が背景にあると考えられます。

ひとつの要因には、力不足の社員を許容することが難しくなった企業側の環境変化があります。企業活動がグローバル化し、海外企業と熾烈な競争をしなければいけなくなった結果、即戦力以外の社員を受け入れる余裕が企業サイドになくなったのです。

一昔前は、新入社員は見習いと称して、さまざまな経験を積む環境がどこの企業にもありました。しかし今は、ビジネスのスピードも、扱う情報量も、仕事の質も劇的に高度化しています。その結果、若手社員には語学・プレゼン・企画・営業など、なんでもこなせるスキルがデフォルトのスペックとして要求され、入社直後から一線級の活躍が期待されます。求められるスキルセットや期待が高くなった結果、企業が求める要求と実際のギャップが、大きなストレスとなって若手社員を苦しめているのです。

もうひとつの要因には、若手社員が未熟なまま社会に出てしまっているという面もあります。メンタルを病んでしまう若手社員の傾向として、「他責的な思考」「社会的な未熟さ」があります。何らかの適応できない環境に遭遇した場合、「上司がやり方を教えてくれない」「企画の仕事がしたいのに、活躍できる環境を会社が与えてくれない」といった具合に、できない原因を自分ではなく他人にあると他責にするのです。

また、敬語が使えない・時間が守れない・挨拶ができないなど、社会人としての基本的な要素が身についていない人が多いのも特徴です。そのような人は、コミュニケーションが自分本位である傾向が強く、組織で求められる報連相(報告・連絡・相談)も苦手な傾向にあります。

こういった若手社員の未熟さの背景には、両親との関係性の変化があります。絶対的な主従の関係があった一昔前の親子関係がパートナーとして友達化すると、先述のような社会人としての心構えが身につかないこともあります。その結果、発達障害やパーソナリティ障害と診断される若手社員が増えてしまうのです。

■改善のためには、環境を変えるべきか? 自分を変えるべきか?
適応障害を改善するためには、「環境を変える」「自分を変える」のふたつの選択肢しかありません。

「環境を変える」はストレス要因を取り除くアプローチです。ストレスの原因となっているのが職場にあるのであれば、働く環境を変えることで症状が改善する可能性があります。人間関係が変わったり、希望の職種で働くことができたりと、“自分の外側”のストレス要因を取り除くことができるのです。

「自分を変える」は本人の適応力を高めるアプローチです。物ごとに対する自分の受け止め方や考え方、スキルそのものを見つめなおすことで、自分自身が変わり、環境への適応力を高めるという方法です。

旧来からあるうつ病のような、ハイパフォーマンスな社員が職場の過重性が高いことが原因で心が限界状態に達してしまうようなケースでは、環境が改善されれば問題が解消されることが多いです。このようなケースでは本人の意思を尊重し、環境を変えるという判断も妥当な選択肢だと思います。

一方で、現代型若手社員のメンタルの場合、まずは自分を変えるアプローチを選択することをおすすめしています。というのも、環境を変えることでうつ病になるなどの重症化は止められますが、本人の環境適応力が低いため、次の環境で同様に適応障害を再発するケースが極めて多いのです。若手社員のメンタル無限ループを打破するためにも、本人の適応力を高めるアプローチに取り組むことが肝要です。

■若手社員の適応力を高める方法
それでは、適応力を高める具体的な方法についてお伝えしたいと思います。

変えるべきは、仕事の「スキル」と「スタンス」です。メンタルを病んでしまう若手はそのどちらか、あるいは両方が不足しているケースがほとんどです。

スキルとはまさに仕事に直結するビジネススキルのことです。これが足りないことで、周囲からはローパフォーマーと認識されてしまいます。

一方スタンスとは仕事に対するマインドのことです。スタンスが悪い社員は、ルールを守りません。時間にルーズだったり、約束をやぶったり社会人として基本的なところができていません。

これらを少しずつ改善させてあげるようにフォローしてあげることが、周囲には求められています。そのための3つのステップをご紹介しましょう。

●1.本人に事実を認識させる
先ほど述べたように、メンタルを病んでしまう若手社員は他責的な思考をもちやすいため、自分の仕事のスキルが求められるレベルに達していないことをそもそも認識していないケースがほとんどです。周囲からローパフォーマーだと思われていても、本人の自己評価は異なります。これでは一向に改善がみられません。

このような場合の効果的な対処法としては、会社側が本人に対して求める期待値を明確に伝え、それを元に現在の自分の持ち合わせるスキルとのギャップを認識させる必要があります。自分のスキル不足に対して、気づきのきっかけを事実ベース(数値や行動)で伝えることは、改善に向けた大きな一歩となります。本人が事実に気づくということで、現状打破の必要性を自らが感じ取ることができ、行動変化へと結びつきやすくなります。

●2.具体的な行動目標を定める
次のステップとしては、「いかに期待値と現状のギャップを狭めていくか」です。達成までの過程の中で、まずは今からでも出来るような「小さく具体的な行動」を目標設定してみましょう。仕事で成果を出すといった抽象的な目標ではなく、「出社したら●●さんに挨拶する」といったぐらい具体的な目標に落とし込むことが大切です。目標をひとつひとつクリアしていくことで、徐々にステップアップを図っていきます。

人は常に認められたいという承認欲求を持っています。本人の改善や努力を認め、できたことを褒めるということを忘れてはなりません。

●3.期限を設ける
具体的な行動をいつまで続けるか?を決めておきましょう。ここまでに目標が達成できなかった場合は環境を変える、などと明確な期限を設定してみてください。まず2週間やってみて、どんな変化があるのか振り返ってみましょう。そしてそのまま3ヶ月この目標をやってみてください。期限があることで、ここまでだったらがんばれるとモチベーションになるケースもあります。期限を決めないと、本人もそして周囲もどんどん疲れていってしまいます。

時代とともに変化し続ける心の病。働くひとの社会問題として、今後も注目され続けることと思います。これらの問題解決には本人と社会の双方の理解と歩み寄りが必要です。心の病の背景、原因にも目を向けながら、効果的なアプローチを実践していきましょう。

●参考:みんなのメンタルヘルス/厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_adjustment.html)

不安神経症(全般性不安障害/GAD)の病院での治療方法

不安、落ち着きがない、心配事を抱えている、このような心理的状態で肩こりが酷い、震えがある、めまい、呼吸が苦しい、便秘、疲れやすい、十分に眠れないなどの身体に異常がある場合は、まず内科を受診します。

内科で検査を受けて、とくに異常が見つからないと診断されたら精神科か心療内科で診てもらいましょう。精神の疾患は内科では発見できないことも多いので、もしかしたら「全般性不安障害(GAD)」などの不安神経症を持っている可能性があります。

検査と診断方法

心や身体に異常があると自覚しつつ、検査(尿検査、血液検査、心電図、X線検査、聴音検査などの一般的な内科検査)で特別な異常がみられない場合に全般性不安障害(GAD)と診断されることがあります。

不安神経症と分かったら

規則正しい生活をする、バランスのよい食事を行う、適度な運動をするなど、すこやかな生活を心がけましょう。

病院では、薬物療法と精神療法をおこなって、全般性不安障害(GAD)を治療します。抗不安薬(ベンゾジアゼピン系抗不安薬やタンドスピロン)や抗うつ薬(SSRIや三環系抗うつ薬)を症状に合わせて使用します。薬は、少なからず副作用や依存性があるので使用は最小限に留めます。薬を服用している最中は、アルコールの摂取や車の運転操作を避けてください。

精神療法は、一般的にカウンセリングと呼ばれている「支持的精神療法」をもとに、思考と行動を修正する「認知行動療法」などを行います。

人間の不安などの感情や、疲れなどの身体の症状は通常であれば意識的にコントロールすることが困難です。しかし、精神療法を行うことで、意識的にコントロールできるように修正し、全般性不安障害(GAD)の症状を改善します。精神療法は、薬物療法と違い、副作用が少ないのが特徴です。

治療は大学病院や総合病院の精神科、さらには精神科クリニックなどで可能です。また、地域の保健所や精神保健福祉センターにも問い合わせ可能です。一人で悩まずに専門機関に相談するようにしましょう。

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内気過ぎる性格は、治療で治る?

人の性格は大まかに内向的か外向的かの2つに分けることができますが、悩みの種になりやすいのは内向的な方でしょう。もちろん、内向的な人の中には思慮深い印象を相手に与えて、なかなか魅力のある人や、そもそも他人との交流をあまり必要としない我が道を行く人もいます。

とは言え、内向性が進んでいくと社会との関わり合いにおいてネガティブな影響がいろいろと出てきます。もしも、相手の反応で自分が傷つくのを恐れてしまい、本当は他人と交流したくても仕方なく内向的になっているような時には対人恐怖症も生じていて、精神科的な治療を受けることが望ましくなっているかもしれません。

ここでは内気さが行き過ぎるとどうなってしまうのかをご紹介しましょう。

■内気な性格は環境のせい?
そもそも内気な人も外向的な人もどうしてそのような性格になってしまったのか思い当たる要因はありますか? もしかしたら、子供の頃の経験が思い出されるかもしれません。性格には生まれつきの要素もありますが、育った環境の影響も大きなものです。特に、幼少時に親から拒絶されたり、遊び仲間に入れてもらえなかったといった体験は心の傷となり、劣等感が植えつけられる原因になりやすいです。

自分に自信が持てない時は相手のちょっとしたしぐさや言葉をネガティブに受け止めることがありますが、自信をすっかりなくしてしまうと、相手からネガティブな反応が返る可能性のあることを避けてしまうほど内気になることがあります。

それが経験不足を招き、ますます自信をなくす悪循環にも陥りやすく、もしも、チャレンジ精神をすっかりなくしてしまい、引きごもりがちなライフスタイルになっている場合は内気さが回避性パーソナリティ障害のレベルまで達している可能性があります。

■回避性パーソナリティ障害の特徴
回避性パーソナリティ障害では自分に自信が持てず、他人からネガティブな反応が返ってくることへの不安や恐怖のため、思考や行動バターンに以下のようなネガティブな影響が出てきます。

・人と接することが多い職業を避けてしまう

・自分が受け入れられると確信できないと、人の輪に入るのを避けてしまう

・親密な間柄であっても、恥をかかないか、からかわれないかを意識してしまい、自分の言動にブレーキがかかりやすい

・人前に出たような時、自分に対するネガティブな反応が他人に生じていないかに心がとらわれてしまう

・初対面の人と話す時、ぎこちなくなってしまう

・劣等感が強い

・恥を欠くのを恐れて、何でもないようなことでも避けてしまう

回避性パーソナリティ障害の頻度は米国の統計では1~2%前後ですが、対人恐怖症がローマ字読みでそのまま英語の病名になっていることからも、日本ではもっと大きい数字かもしれません。

回避性パーソナリティ障害では自分が完全に受け入れられていると確信できる環境ではあまり問題が生じないかもしれませんが、ひとたび、自分を受け入れられていた環境が失われてしまうと、上記のような問題が顕在化してしまい、うつ病など心の病気のリスクもあります。

もしも、他人にとっては何でもないようなことに尻込みしやすい自分を自覚していて、自分本来の力を発揮できないようになっている時は心理療法などの治療が必要な回避性パーソナリティ障害の可能性もありますので、精神科や神経科で相談することも考慮してみましょう。

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「対人恐怖症」はシャイではすまない心の病気

人前に出るのが苦手な人は少なくないと思います。壇上に上がり、大勢の人の視線を受けて、スピーチをする羽目になった時は、どうでしたか? 緊張のあまり、足がすくんでしまうこともあると思います。

初対面の人に会った時、顔が紅潮し、心臓がドキドキしてしまうといったことは、私達、日本人の間では決して珍しくないですが、外国、特に、欧米ではまれなようです。

私達は場の空気を読み、周りに合わせて行動するのを大切にしていますので、相手を意識しやすいのでしょう。対人恐怖症は、欧米人から見ると、日本特有の現象らしいので、文化依存症候群の一つになっています。ここではこの対人恐怖症についてお話ししたいと思います。

■対人恐怖症の症状
対人恐怖症は通常、10代から始まり、人前に出た時に、以下のような不安症状が出現します。

・顔面が紅潮する
・心臓がドキドキする
・汗が噴き出てくる
・気持ち悪くなる
・呼吸が速くなる
・手が震える
・頭が真っ白になる

こうした不安症状と共に、相手から悪く思われているといった、認知の歪みが伴いやすく、また、他人との関わりを避けがちになり、引きこもってしまう場合もあります。

■対人恐怖症の本質:過剰な不安と恐怖感
対人恐怖症の本質は、その場の状況にふさわしくない、過剰な不安と恐怖感にあります。私達には動物としての本能があり、危険な状況に直面すると、体内にアドレナリンが分泌され、全身が緊張状態になり、危険に備えますが、対人恐怖症では、人と会うといった、特に危険でない状況でも、危険に備える反応が起きてしまうのです。

過剰な不安反応はさまざまな状況で起こります。飛行機やエレベーターのような狭い場所に恐怖を感じたり、また、特にこれといった状況でなくても、不安感に襲われることがあります。

人と会う時に不安症状が生じることは、欧米では少ないので、対人恐怖症は日本独特の病気のように考えられていましたが、その実態は不安障害です。

実は、欧米でも、人前でスピーチや、何かパフォーマンスをするといった状況で強い不安感を感じる人は少なくなく、近年、社会不安障害として、注目されてきています。対人恐怖症は社会不安障害の一種であるとみなすこともできます。

対人恐怖症の治療法としては、心理療法の一種である認知行動療法と薬物療法が代表的です。薬物療法では、脳内の神経伝達物質の内、特に、セロトニンのバランスを調整します。

薬物療法が対人恐怖症に有効であることは、その病気の発症には、脳内の神経伝達物質が関与していることを示唆しています。認知行動療法では、他人からネガティブに思われているといった認知の歪みを直し、同時に、緊張や不安を覚える場面に実際に身を置いて、対人恐怖を克服していきます。

10代の頃は内気で、異性から話しかけられただけで、顔が赤くなってしまったのに、大人になると、平気でオヤジギャグを飛ばしてしまうようになった人はいませんか? これにも経験を重ねるうちに慣れてしまうという、認知行動療法の原理が働いています。でも、ギャグを言う時には相手がどう思うか、注意した方が良いですよね。

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心が苦しい夜は「自分をハグ」! 医学博士の魔法的スキンシップ術

新しい人間関係や慣れない職場で上手くコミュニケーションが取れず、モヤモヤした経験は誰にでもあるはず。深夜になると、急に不安がこみ上げて「眠れない」なんて辛い思いをしていませんか?

先日、予防医学研究者・医学博士である石川善樹先生とポーラが「女性のHappyに影響を与える行動に関する研究」を行いました。この共同研究の発表会で、石川先生に、“簡単にHappyになる方法”を教えて頂きましたのでご紹介します!

■幸せな気持ちを高めるには「スキンシップ」が大事

石川先生の研究によれば、「自分は幸福だと感じている人の割合」は“スキンシップ”が増えれば増えるほど向上するそう。誰かと交わすスキンシップはもちろん、自分一人で行うものでも効果があるといいます。

それでは実際に、簡単に幸せな気持ちを高められるスキンシップの方法をご紹介しましょう。

■相手に「好印象を残す」別れ際のスキンシップ3つ

(1)握手

別れ際に「今日はありがとうございました」と感謝の言葉だけではなく、そこに“握手”というスキンシップが加わることで、相手により一層気持ちが伝わりやすくなります。

(2)肩ポン

同僚や友人が元気がない時など「お疲れ様」と言って、肩を優しくポンッと叩いてあげましょう。スキンシップは自分以外に、相手にもエネルギーを与えてくれます。

(3)笑顔

“笑顔”は最高のスキンシップです。石川先生が自然な笑顔として例に挙げていたのが「デュシーヌスマイル」という、笑った時に目元にシワが寄る状態の笑顔。確かにこの状態だと、自然と優しい印象の目になりますよね。

また、このようなスキンシップで好印象を残すには、別れ際など“最後”のタイミングにすることが効果的とのこと。

■自分一人でも出来る「バタフライハグ」のやり方

夜眠れなくなってしまった時、自分一人で簡単に出来るスキンシップがあれば心も落ち着きますよね。

“バタフライハグ”は胸の前で両手をクロスし、自分を抱きしめるような格好になります。そして左右の掌で、胸の辺りを「トントン」と右、左……交互に優しく叩きましょう。ゆっくり繰り返している内に穏やかな気持ちになるはず。

石川先生はウィリアムジェームスの言葉「私たちは幸せだから笑うのではない。笑うから幸せなのだ」を引用しながら、スキンシップについて説明しました。どんな時も、笑顔を忘れずにコミュニケーションを取りたいですね。

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心がつらくて苦しいとき。医師がすすめるメンタルケアの方法は?

メンタルケアに漢方薬をオススメする理由
メンタルケアに漢方薬がいいことを知らなかった人も多いと思います。「漢方医学の『気・血・水』で考えれば、非常にシンプル。おさらいしておきましょう。うつうつとした、気の異常には『半夏厚朴湯』(はんげこうぼくとう)や『香蘇散』(こうそさん)『桂枝湯』(けいしとう)。

イライラや不安感など感情の調節や不眠には『抑肝散』(よくかんさん)、体調不良も伴う心の不調には『五苓散』(ごれいさん)が効果的です。月経前症候群など女性特有のメンタルケアには『桂枝茯苓丸』(けいしぶくりょうがん)『当帰芍薬散』(とうきしゃくやくさん)『加味逍遥散』(かみしょうようさん)の3つがあります」

と話すのは、芝大門いまづクリニックの今津嘉宏先生。医師が処方する漢方薬だから、安全性が高いとも言えます。

「健康食品やサプリメントと比べたら圧倒的に安全です。また、精神科や心療内科で処方される睡眠薬や抗うつ薬の中には依存性の高いものも多く、一度飲み始めると止められなくなる人も多いです。漢方薬には依存性がなく、症状が改善したら服用を止めることができますから」

依存性がないからこそ心の不調に最適

確かに、睡眠薬や抗うつ薬を常用している人も多くなってきていますね。「それらは原因を解決するのではなく、症状を緩和する、あるいは抑えつける薬だと知っておいてください。その点、漢方薬は根本的な部分を治療するのが目的です。選択肢のひとつとして、漢方薬も覚えておいてほしいのです」

漢方薬の飲み方に関して、注意点はありますか?

「最近の研究で、漢方薬に入っている成分は食物繊維と一緒になると吸着されてしまうことがわかりました。食前なら20~30分空けて、食後なら1時間くらい空けて服用するといいでしょう。1日1回の服用でも効果を発揮しますから、手軽だと思いますよ」

ストレスで心が弱ったとき、自分ではどうしようもなくなったときに、漢方薬が強い味方になってくれるかも!

■Profile
今津嘉宏先生
芝大門いまづクリニック

應義塾大学医学部外科学教室助手、同大学漢方医学センター助教、麻布ミューズクリニック院長などを経て、開院。日本胸部外科学会認定医、日本外科学会認定医・専門医、日本東洋医学会専門医・指導医。著書に『89.8%の病気を防ぐ上体温のすすめ』などがある。

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○○の時間が重要! 「メンタルが健康な人」がしていること11

体の健康だけでなく、メンタル面の健康も重要視されるようになって久しいですよね。思うようにいかないことの多い生活の中で、どうやってメンタルをいい状態に保つかというのは誰にとっても大きなテーマのひとつ。そこで今回は「メンタルが健康な人がしていること」についてアンケートで調査してみました!

■メンタルが健康な人がしていること

●第1位/「趣味の時間をとるようにする」……13.2%
○第2位/「よく笑う」……11.5%
●第3位/「しっかりと睡眠をとる」……10.9%
○第4位/「残業をなるべくしない」……10.3%
●第5位/「運動やストレッチをする習慣をつける」……9.2%
○第6位/「ひとりで過ごす時間をちゃんと作る」……8.6%
●第7位/「完璧を目指さない」……6.3%
○第8位/「愚痴や弱音はなるべく言わない」……5.7%
●第8位/「いつもポジティブな発言をする」……5.7%
○第10位/「バランスのとれた食事をしっかりとる」……2.9%
●第10位/「人をほめる」……2.9%
※第12位以下は略。

■第1位/「趣味の時間をとるようにする」

第1位は13.2%で「趣味の時間をとるようにする」でした。仕事に追われるだけの生活ではあまりに味気ないですよね。趣味の時間をきちんととって、リフレッシュすることがストレス解消につながります。

■第2位/「よく笑う」

第2位は11.5%で「よく笑う」。いつも不満げにしているよりも、なんでもいいからとにかく笑っていたほうがポジティブな気持ちになれそうですよね。ただ笑う、というのは意外と難しいかもしれませんが、チャレンジしてみる価値はありそうです。

■第3位/「しっかりと睡眠をとる」

第3位は10.9%で「しっかりと睡眠をとる」。睡眠は生物としての基本中の基本。これが乱れると体の健康もメンタルの健康も損なってしまいます。いい質の睡眠をたくさんとりましょう。

■まとめ

今の時代、メンタルが安定しているというのはひとつの大きな武器です。うまく調整して、健康な心を持ちましょう!

生きづらさの原因は幼児期にあった? 人と接するのが難しい「愛着障害」とは

愛着は、人と人との絆を結ぶうえで欠かせない能力です。人は誰しもが特有の「愛着スタイル」をもち、仕事の仕方や人間関係の築き方など生きていくうえでの土台を形成していきます。

安定した「愛着スタイル」ができると、高い適応力や深い信頼関係を築くことができます。反対に、不安定な愛着スタイルが形成されると、人の顔色を気にし過ぎたり、不安で自分に自信がもてなかったりと表面的な対人関係しかもてない「愛着障害」を引き起こすようになります。

いわば「生きづらさ」の原因として注目されつつある愛着障害。いったいどんな障害なのでしょうか?
「愛着障害」って何?

愛着障害は、生後9か月以上で5歳以前の幼児期に劣悪な施設処遇を受けたり、長期にわたり虐待やネグレクトをうける、養育者が頻繁に変わったりするなど養育者との安定した愛情を深められなかったことが原因で引き起こされます。

衝動的、過敏好意、反抗的、破壊的などの行動特徴がみられ、情愛や表現能力、自尊心、相手への思いやりや責任感に欠如しているという特徴があります。これにより人間関係がうまく築けず、特定の人と死因蜜な関係が結べない、見知らぬ人ともベタベタするといった問題が生じます。愛着障害でもっとも重度なものが「反応性愛着障害」です。

反応性愛着障害は、誰にも愛着せず警戒心の強い抑制型のものと、誰に対しても見境なく愛着行動を起こす脱抑制型の2つに分けられます。脱抑制型の場合は、見慣れない大人に近づくことにためらいがなく、過度になれなれしくすることもあります。
愛着スタイルのチェックポイント

愛着スタイルの判定には、45項目の設問から構成されている「愛着スタイル診断テスト」などが用いられますが、大きくは次のような点が、愛着スタイルの偏りによる「生きづらさ」に影響してきます。愛着障害的な傾向ともいうことができるでしょう。
□ストレスがたまった時、過度に人に依存する
□つらい体験ばかりをよく思い出す
□愛する人の犠牲にはなれない
□仕事に積極的に取り組めず、満足もできない
□トラブルをよく起こしてしまう
□健康管理がおろそかになってしまう
□死をすごく怖れている
愛着障害は乗り越えられるの?

愛着障害は、養育環境などが変わることによって状態が改善可能であることが指摘されています。キーワードは、本人にとって安心して生きられる場としての「安全基地」ができるということです。ここを母港に、生きなおしてみようということでしょう。

参考:岡田 尊司『愛着障害』光文社新書、2011

執筆:山本 恵一
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長

一定テンポ、フレーズ繰り返し…音楽で自律神経を整える

自律神経について、名前は知っているがよく分からないという人が多いのではないか? 「ライフラインの基本」と指摘するのは、自律神経研究の第一人者、順天堂大学医学部の小林弘幸教授。自身も実践している自律神経調整法を聞いた。

■自律神経の乱れが不調につながる

「自律神経は、心臓、腸、胃、血管などの臓器をコントロールする大切な神経。だから、自律神経が乱れると動悸、下痢、胃痛、疲労感、不眠などさまざまな不調が生じます」

 病院で不調の原因が分からない時、「自律神経失調症」と診断されることがよくある。患者側からすると、正直、原因が分からないことを「自律神経失調症」という病名でごまかされているような不信感があるが、「あながち間違えていない。

現代人は不規則な生活習慣によって、強弱の差はあれ、自律神経が乱れている人がほとんど」だという。

 自律神経は、昼間など緊張状態で優位になる交感神経と、リラックス状態で優位になる副交感神経のバランスで成り立っている。心拍数や血圧は交感神経が優位の時に上がり、副交感神経が優位の時に下がる。

これら2つの神経は、本来はシーソーのように交互に働くが、現代は前述のとおり、どちらか一方が優位な時間が長くなっている。特に、交感神経が優位になる時間が長い「頑張りすぎるタイプ」が圧倒的に多い。

■音楽を聴いてリラックス

 ここから逃れるにはどうすればいいか? 小林教授がイチ押しするのは「音楽」だ。

「外部から受けた情報によって生じる喜怒哀楽の感情で、自律神経をつかさどる脳の視床下部が作用します。そして、体が働き続けていれば“休め”、休んでいれば“働け”というサインを送り、自律神経のバランスを整えます。

人間の脳は、音楽を本能的に『快』と感じるようにプログラムされています。つまり、音楽を聴けば、視床下部への刺激になり、自律神経の調整を促してくれるのです」

 小林教授は、CDで音楽を30分間聴いた後、自律神経の状態がどうなるかを測定した。すると、個人差はあるものの、交感神経と副交感神経の活動度が増し、バランスも改善。音楽を聴いた後、「リラックスした」「非常に心が落ち着いた」「元気が出た」という声が相次いだ。

「クラシックでもロックでもポップスでもジャンルは好みでいいですが、一定のリズムを保ち、同じフレーズを何度か繰り返す曲がベターです。音楽がなければ、メトロノームでもいい。

さらに、初めて聴く曲をおすすめします。よく知っている曲では、それにまつわる思い出がよみがえり、時に交感神経のバランスを整えるのを邪魔することがある」

 小林教授は、1日のうち1~2時間、パソコンも携帯電話もいじらず、面会などのアポイントなども入れない“何もしない時間”を設け、音楽を聴いてぼーっとして過ごすようにしているという。それによって、自律神経をうまくコントロールするように心掛けている。

 これは、30代半ばから10年ほど、多忙とストレスが重なり、体調不良を起こしたことがきっかけで始めた習慣だ。

「時間に追われる生活は不測の事態に遭遇することも増え、焦ったりドキドキすることにつながる。これは交感神経を優位にしてしまいます。それより、時間をコントロールする生活を心掛ければ、気持ちを平穏に保て、交感神経が過剰に優位になりません」

 2016年は、これでいこう。

自殺者の7割は男性…男の「メンタルリスク管理」3つのヒント

■「男はつらいよ?」ストレスを自覚しにくい男性たち
数年前、「お父さん、眠れてる?」というキャッチフレーズのもと、内閣府の自殺対策キャンペーンのCMが放映されました。疲れ果てて見えるお父さんに、高校生くらいの娘が心配そうに上の言葉をかけるシーン。

実際、人は眠れなくなるほど追いつめられると、ストレス状態を自覚できなくなるもの。そのため、疲れたお父さんたちに「眠れてる?」と、分かりやすい指標を提示するのは、とても効果的なのです。

このように、男性はなぜか体を害してまでやるべきことに突き進み、ストレス状態に気づきにくく、またそれを口にしにくい傾向があるようです。これは一体どうしてなのでしょうか?

■「男女脳」の違いでストレスの溜まり方が変わる?
男女の脳には、構造上大きな違いがあります。それは、左脳と右脳を結ぶ「脳梁」という橋のような役割を果たす部分が、女性は男性より20%太いことです。そのため、女性は男性より右脳と左脳の連絡がよく、右脳で「何となく感じたこと」がすぐに左脳で言葉に変わるため、それを口に出さずにいられなくなるのだと言われています。

たしかに、女性は会社でイヤなことがあったりすると、すぐに同僚や友だちに打ち明けずにいられないものです。女同士のランチや飲み会では、「あの上司、イライラするのよね!」「この仕事、私に合ってないような気がするの……」といったグチやつぶやきが飛び交います。

このように、女性は感じたことをすぐに言葉にできるため、比較的自分のストレス状態に気づきやすいのです。そのため、何らかの支援につながりやすく、「死ぬまで追い込まれる」リスクは、男性より低いのではないかと考えられます。実際に、近年の自殺統計(警察庁・内閣府)を見ても、男性の自殺者が約7割に対し、女性は3割程度です。

■悩みを溜めて仕事に集中……男性ならではのメンタルリスク
では、脳梁が細く、右脳と左脳の連絡の悪い男性には、どんなメリットがあるのでしょう? 両脳の連絡が悪いだけに、感情に振り回されずに、仕事にとことん没頭することができます。右脳、左脳それぞれの能力を最大限に生かし、ダイナミックな仕事をこなすこともできます。

一方、右脳で感じた「つらい」「苦しい」といった気持ちを、すぐに左脳で言語化しにくいのがデメリット。さらに、闘争性を高める男性ホルモンの働きも手伝い、寝る間も削って仕事に集中してしまうのです。

これが高じると、気づいたときには過労が行きすぎ、健康を崩してダウンしてしまいます。このように、ストレスに気づきにくく、自分を追い込み、対策が遅れがちになるのが、男性のメンタルリスクだと考えられます。

では、男性はどのようにメンタルリスクを管理していけばいいのでしょう?

■今すぐ実践! 3つの「男のメンタルリスク管理」
男女の脳の構造が異なるなら、男には「男のメンタルリスク管理術」が必要になります。そのヒントとして、3つのポイントを挙げてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。

□その1:生活習慣と身体症状でメンタルチェック
過労状態でも感情を自覚しにくい男性は、2週間に一度くらい、「生活習慣」や「身体症状」からストレス状態をチェックするのがお勧めです。

・睡眠
過労死を防ぐためには、1日6時間以上の睡眠が必要とされています。この1日6時間睡眠を割り込むのが、時間外労働80時間の「過労死ライン」を越えた働き方です。つまり「睡眠時間が1日6時間以下」「ぐっすり眠れず、朝の目覚めが悪い」という項目に心当たりがある人は、メンタルの危険信号。もちろん、「時間外労働が80時間を越えている」ことも、重大な危険要因です。

・食欲、飲酒
食欲の変化への注目も重要です。「朝食が食べられなくなった」「食事を残してしまう」「欠食することが多い」「やたらと食べてしまう」という事項もチェックしてみましょう。

また、ストレスが溜まってくると、不眠や憂うつをアルコールを飲んで晴らそうとする人も増えてきます。「酒量が増えている」「寝酒が習慣になっている」といった事項もチェックです。

・身体症状
精神症状を自覚しなくても、体に症状が現れるうつ病もあります。これを「仮面うつ病」と言います。「頭痛、肩コリ、腰痛など体の痛みが治らない」「便秘や下痢が続く」「胃に痛みや不快感がある」などがよく見られる症状です。

内科の治療で改善しないようなら、仮面うつ病の疑いもあります。心当たりがあるなら、精神症状を自覚していなくても、心療内科、精神科を受診しましょう。

□その2:休息・休養も「スケジュール」に組み込む
本来、休息・休養は「疲れを感じたら」とるもの。しかし、感情を自覚しにくい男性は疲れを感じにくいため、タイミングよく休めない傾向があります。そのため、休息・休養は「スケジュール」の中に組み込むことをお勧めします。

たとえば社内では、「1時間仕事に没頭したら、5分間のティーブレイク」。ただし、自分の席で休むのではなく、「コーヒーコーナーで一服」「廊下でストレッチ」「社内を歩く」といった自分なりの休息ルールを設定することです。

気がつけば残業をしてしまうなら、意識的に「ノー残業デー」をつくることも大切です。100%守れなくても、形だけでも「○曜日はノー残業デー」としておけば、「その日は、早く仕事を切り上げよう」という意識を持てます。

また、休日の1日は「骨休め」の日にすること。土曜日に遊びの予定を入れるなら、その翌日は家でゆっくり休養をとりましょう。男性には、誰にも邪魔されずに1人でゆっくり過ごす時間が必要なのです。

□その3:自由に話して「感情を意識化」できる場を持つ
「おしゃべりの達人」である女性は、給湯室でもロッカールームでも「今日のイヤなこと」を口にし、ストレスを自覚しやすいものです。一方、男性はなかなかそうもいかず、「話しやすい空間」に足を運ぶ必要があります。

リラックスできる環境でとりとめもない話をしていれば、感情はふっと湧き出るもの。大人の男性に「居心地の良いバー」や「気の合う店主のいる居酒屋」が人気なのは、このためでしょう。

落ち着ける空間に身をゆだね、気持ちを受容してくれる人と言葉を交わせば、「オレ、ちょっと参ってるのかな?」なんて、感情の言葉が口をついてくるもの。

こんなやりとりを彼女や妻とできればベストでしょうが、「近しい間柄だからこそ、言えない」という声が多いのが、悲しいところ。それに「おしゃべりの達人」である彼女たちに会話の主導権を奪われ、結局聞き役になってしまうのかもしれません……。

だからこそ、「自由に話して感情を意識化できる場」をどこかに一つは持つことが、メンタルリスクを管理するためにも大切です。

メンタルリスク管理は、他にもたくさんの方法がありますが、まずは以上の3つのヒントを参考にしてみてください。普段、なかなか気づいてあげられない「俺の気持ち」をケアしてあげることこそ、明日の元気をつくる秘訣です。

悲しいのに笑顔…? 精神科医が警告する「感情と気分がかみ合わない」心の病気

自分が思う自分と他人の目に映る自分は、時にあまり一致していないかもしれません。

例えば、いつも怒っているように見える人は、たとえ内心は気分が良くても、他人には不快そうに見えてしまっているかもしれません。

日常生活では混同されがちですが、精神医学的には、気分と感情が不一致な場合もあると認められています。この表現が理解するためには、精神医学的な用語としての違いをはっきり認識する必要があるでしょう。また、そうすることで心の病気だけでなく、日常の精神状態をよりシャープに認識するのにも役立つはずです。

今回は、気分と感情という2つの言葉の違いをテーマに、関連する精神症状や心の病気を詳しく解説します。

■自分が感じるのが「気分」、他人の目に映るのが「感情」
気分(ムード、mood)と感情(アフェクト、affect)という、2つの語は日常用語としては同じような言葉かもしれません。しかし、この2つの語が精神医学の用語として用いられる場合は、はっきりと分けられます。

気分(ムード)という語は、自身の気持ちの状態を自身が評価した時の言葉です。一方、感情(アフェクト)という語は、気持ちの状態を評価するのは自分ではなく他人、すなわち、他人の目に映る自分の気持ちの状態を表わします。

例えば、「今日の気分はどうですか?」と患者さんに尋ねたとき、もし「最高です!」という答えが返ってくれば、患者さんは自身の気分をとても良いと認識しています。患者さんの「気分」はとても良いことになります。そしてその時、もし、患者さんの答える声が、その答え通りに明るく、顔の表情も明るければ、他者の目に映る患者さんの「感情」もたいへん良好です。

なんだか単純な事をわざと複雑に述べているように思われるかもしれませんが、心の病気では患者さんの気分と感情とが噛み合わず、しばしば深刻な問題が現われることがあるのです。

■もし悲しいはずの時に、顔に笑みが浮かんでいたら?
友人同士集まって、みんなで映画を見ていたとき、最後に主人公が不幸な最期をとげたとします。なかには目に涙が浮かぶ人もいるかもしれませんが、もし1人だけ、顔ににこやかな笑みが浮かんでいたら、まわりからどう思われてしまうでしょう?

このように、その場のなかで自分だけまわりと反応が異なっていたら、なかなか気まずいものです。

もっとも、その人はテレビに顔は向いていたものの、何か他のことでも考えていたのかもしれません。もしかしたら、ちょうどその時、何か良いアイディアが頭に浮かんだのでしょう。そうであれば、まわりの目に映ったその人のにこやかな笑みには、精神医学的な問題はありません。

しかし、時に気分と感情は一致しないこともあります。この例で述べますと、その当人は主人公が不幸な最期をとげたとき、たいへん悲しかったにもかかわらず、その気分が顔の表情に反映されず、あたかも気分が良いかのように顔の表情は明るいまま……といったことも精神症状として起きることがあります。

そうした場合、もしまわりの人が、それは病気の症状だという認識を持っていなかったら、悪い方向に誤解されてしまうかもしれません。こうした気分と感情の不一致は、精神病様症状を呈する統合失調症などの心の病気で、時に現われる可能性があります。

■感情の量が変化した時は脳内に不調が生じている可能性も
喜怒哀楽がはっきり顔に出る人も、反対にいつもクールな人も、どちらも個性といって済むことですが、もしそれが標準的なレンジから外れれば誤解されることもあるでしょう。

もし感情の量が多過ぎれば大げさな人、少なすぎれば冷たい人になってしまうかもしれません。しかし、一見冷たそうな人でも、実はたいへん心の優しい人だったりします。

ただし、場合によっては何らかの精神医学的な要因で感情の量が減少する場合もあります。

例えば、頭が真っ白になるほど強いショックを受けた時には、能面をかぶったかのように顔から表情が消失してしまうかもしれません。通常は一時的ですが、もしこれが長期化するようならば、脳内に何か医学的な問題が現われている可能性もあります。

例えば、PTSD(心的外傷後ストレス障害)では、その原因になっているショック体験は脳内の神経生理学的な機能に深刻なダメージを与える可能性もあります。そのため感情の減少が長期化してしまうと同時に、本人が感じる気分も慢性的に冴えなくなってしまうことがあるのです。

統合失調症など精神病様症状を呈する疾患では、その症状のタイプとして、外面に現われる感情の量がかなり減少することもあります。もし顔に表情があまりなく、話す声は単調、身振り、手振りなどのジェスチャーもあまりない……となれば、「冷たそうな人」といった誤解をまわりに与えやすいかもしれません。

もし感情の減少がこうした心の病気の症状として現われた場合、まわりの人は、なかなか症状だとは分からないものですが、その原因が脳内の医学的な問題にあることは是非知っておきたいことです。

今回は気分と感情の違いをテーマにしましたが、日常でも、自分の気分は自分では良く分かると思いますが、他者の目に映る自身の感情は、あまり分からないものだと思います。

もし、鏡に映る自分をふと見た時、「この人だれ?」と驚くようなことがあれば、その時の気分と感情はあまり一致していないかもしれません。そうした時は他人に誤解を与えやすい時かもしれません。自分の感情(アフェクト)がいかなる状態にあるか、ぜひ時々意識してみておいて下さい。

【働く人のメンタルヘルス】昇進がきっかけで不調に陥る理由

この12月から職場のストレスチェックが実施されます。厚生労働省がこの制度を導入した背景には、働く人のメンタルヘルスの問題が深刻しつつある状況があります。本稿は、働く人がメンタルに不調をきたすきっかけとしてよく見られるパターンを紹介するシリーズの4回目です。今回は、「昇進」がメンタル不調の引き金になるケースを紹介します。
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◆いまや昇進は「悪いこと」?

近年は、昇進を必ずしも喜ばしいことと認識しない、昇進を希望しないという考えを持つ人が増えているようです。

昇進すると、残業代が出なくなる、責任は重くなるのに決定権は強くならない、中間管理職として上司からのプレッシャーと部下からの突き上げに挟まれる……などが理由として考えられます。あるいは、最初から人の上に立つことを避けたい人もいるのかもしれません。

そして実際に、昇進をきっかけにメンタル不調に陥る人も、決して少なくないのです。本来、昇進することは、報酬や社会的地位の上昇といった現実的な利益を得ることでもありますが、それは組織において豊かな経験を積んでいることを認められた証拠です。

後輩を指導することを期待され、また自分も後輩のモデルになるべく自分を高めるという、これまでになかった喜びを得られるチャンスでもあり、めでたいことであるはずです。
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◆「どういう上司になりたいか」が分かれ目

実際に昇進した時、どのような上司として新しい部下たちに接しようとするのか。多くの人のカウンセリングをしてきて感じることは、ここにその後の不調へとつながる大きな分かれ道がありそうだということです。

「上司は、部下の模範とならなければならない」という気持ちは、誰でも多少は持つことでしょう。

しかし、そこから、「上司は部下をうまく導かなければならない」「わからないことを部下に尋ねるなんてありえない」「上司は部下よりもタフで、知的にも経験にも部下を圧倒している」──といった具合に理想の上司像を尖鋭化していくのは危険です。いずれ、理想と現実のギャップに苦しむことになりかねません。

特に、最初の管理職への昇進、多くの公務員であれば係長クラスへの昇進、企業ではその規模によってさまざまですが、一般には課長クラスへの昇進のタイミングが、一般社員から管理職への大きな川を越えることになるようです。

◆仕事の負荷に対する対応力を広げる

メンタルの調子を崩す人ほど、より上司の期待に応え、良い部下として成果を出そうと奮闘してきた人であることが多いようです。だからこそ評価され、昇進するのでしょうが、限度を超えた頑張りは大きなリスクとなり得ます。

上司や部下の期待に応えることばかりを追求していると、いつかパンクします。中間管理職に昇進した人に必要なのは、それらの期待に対して時に「No」と言うことです。

特に、上司に対して「No」と言うのは簡単ではないでしょう。しかし、その理由を説明し、必要なら議論し、より良い結果を求めることは有意義です。お互いに納得できる落としどころを探ること、それは自分の対応の幅を広げてくれます。

大きな負荷に正面から耐える力ばかりを磨いていても、限界があります。負荷を受け流す、あるいは負荷そのものを軽くするための知恵が必要です。

昇進は、そうした自分の対応力を拡張するチャンスと言えます。柔軟に、時にしたたかに責任を果たせる立場を満喫してもらえたらと思います。管理職になってつらいと感じたら、自分の仕事の仕方を少し角度を変えて見てみてください。お願い上手、断り上手、断られ上手、調整上手になりましょう。

●玉井 仁(たまい・ひとし)
東京メンタルヘルス・カウンセリングセンター カウンセリング部長。臨床心理士、精神保健福祉士、上級プロフェッショナル心理カウンセラー。著書に『著書:わかりやすい認知療法』(翻訳)など

メンタルトレーナーが教える“あきらめる”ことの可能性とは?

落ち込んでいるときこそ、ポジティブに。そうやって自分を元気づけたり、人からアドバイスを受けた経験がある人は多いだろう。

しかし、元々ネガティブな人がポジティブ思考で頑張ろうとすると、とても気疲れしてしまう。これでは本末転倒だ。では、ネガティブな人はそんなときにどうすればうまくいくのだろうか。

 『ネガティブシンキングだからうまくいく35の法則』(森川陽太郎/著、かんき出版/刊)では、嫌なことがあったときに落ち込んだり、緊張して本番でうまく喋れなかったり、不安があってなかなか一歩を踏み出せないようなネガティブな人でも、ありのままの自分で成功できるヒント「ネガティブだからうまくいく法則」を紹介する。

 「絶対にうまくいく」とポジティブに前向きなことだけを考えようとして、いいイメージばかりしていると、緊張したり、ミスをしたりすることが「予想外のこと」になってしまう。

そして、予想外のことが起こると対処するのに時間がかかったり、それを引きずってしまうことも多い。

 また、「いいイメージだけで臨む」のは「悪いイメージのことが起こる可能性もある現実」から逃げようとする逃避行動にもなる。

しっかりと自分の実力を発揮するためには、現実と向き合い、どんなことが起こりうるのか、悪いイメージも含めて具体的に予測し、その場に立ったときにどんな感情を持つのかを考えておくことが必要なのだ。

 悪いイメージもあえて想像しておくことで、本当にその通りのことがあっても「予想外」ではなくなる。こうすることで、やみくもにポジティブに考えるよりも、臨機応変に対処できるようになる。

 「あきらめたら負けだ」「恰好が悪い」というこだわりを捨て、執着しない考え方に切り替えることも、時には必要だ。

 「絶対にできる」と信じ込もうとすることは「できない自分を認めないこと」でもある。「できないことを認める」ということは、今、自分が追いかけている道を断念することにもなるだろう。

しかし、いくら努力をしても結果が伴わなければ、その道を前に進んでいくことはできない。そんなときに、「あきらめること」を受け入れることで、状況が変わることもある。

 本書の著者である森川氏もサッカー選手としてスペインで成功するという夢を追いかけていたが、ケガにより断念。サッカーでは得られなかったものを、もっと自分にあった方法で得るための仕事は何なのかと考えた結果、メンタルトレーナーという職業を志すことになった。

メンタルトレーナーになると、それまで欲しくてたまらなかった自信を、以外にも簡単に得ることができたという。森川氏のように、あきらめることができたから、もっと自分にふさわしい行動やふるまい方が生まれる可能性もあるのだ。

 ポジティブ思考で頑張ってうまくいくならば、それに越したことはない。しかし、物事そう、うまくいくことは少ないだろう。肩肘張って頑張るのではなく、ネガティブな自分を受け入れてみるのもいいのかもしれない。

心の病を悪化させる家族のパターンとは?

■家族が感情的になると再発しやすくなる

 家族に心の病が生じると、冷静ではいられなくなるもの。「どうしたらいいの!?」「接し方が悪かったのかしら?」とオロオロしたり、「苦労ばかりかけて!」「どうして治らないの!?」といらだってしまうこともあるでしょう。

 しかし、家族が動揺し、感情的に接してしまうと、患者のプレッシャーとなり、病状の悪化につながってしまうのです。

 1960年代、イギリスのブラウンらが統合失調症の再発と家族の感情表出との関係を研究したところ、感情表出の高い家族と接する人ほど再発率が高くなっていることがわかりました。その感情表出には、次の3つのタイプがあるとされています。

□1. 批判タイプ

「いつまでも寝ていていいの!?」「“なまけ病”なんじゃない?」など、批判を露わにすること

□2. 敵意タイプ

「一緒になるんじゃなかった」「もう世話なんてしたくない!」など、敵意を露わにすること

□3. 巻き込まれタイプ

「私のせいかしら」「私だけが楽しんではいけない」など、相手の状態に情緒的に巻き込まれること

 いつも身近にいて、心から心配している家族だからこそ、このような激しい感情を抱えてしまうのでしょう。しかし、統合失調症に限らず、心の病を抱えた人にとっては、この家族の思いが非常に強いプレッシャーとなり、回復の妨げになってしまうのです。

■抑圧しすぎると感情は暴走しやすくなる

 とはいえ、素直な感情を抑圧し続けると、家族まで病気になってしまいます。では、常に複雑な感情を抱く家族は、どのようにその感情をコントロールしていくとよいのでしょうか?

 まず、患者に感情をぶつけやすいのは、家庭という「密室」の中だけで、家族の心の病の問題に向き合っていることが大きな要因になっていると考えられます。つまり、患者に対する不安や心配、いらだちを、自分の胸の内、あるいは家族間だけで抱えてしまい、外に向かって表出していないことが影響している場合が多いのです。

 家族としては、「誰かに話したいけど、興味本位で聞かれたくない」「プライバシーの問題だから、気軽に話せない」という気持ちがあるのかもしれません。あるいは、「私がしっかり支えなければ」「弱音を吐いてはいけない」という気負いで、自己を律しているのかもしれません。

 しかし、素直な気持ちを抑圧したままでいると、いずれは我慢が限界に達し、いらだちや不安を患者本人にぶつけるリスクが高くなります。また、自分だけ、家族だけで介護を背負うことで、その介護生活に過剰適応し、患者に対して過保護、過干渉になるリスクもあります。

 いずれにしても、そのままの状態を続けていると、患者には過剰なプレッシャーとなり、悪循環になってしまいます。

■「家族会」で気持ちを共有し助け合う

 そこで、家族にとって必要なのは、素直な気持ちを安心して話せる場所を確保することです。その一つとして定評のある場所が、同じ問題と悩みを抱える家族の自助グループである「家族会」です。

 家族会の最大のメリットは、同じ悩みを持つ家族同士が忌憚なく語り、相手の話を聞くことで、「悩んでいるのは自分だけではない」と共感できることにあります。また、治療や回復に必要な情報、家族としての関わりを聞くことで、自分の態度を客観的に振り返ることもできます。

 家族会は、病院や地域のさまざまな場所で開催されています。病院のソーシャルワーカー、精神保健福祉センター、保健センターなどに問い合わせると紹介してもらえるでしょう。

 聞くだけの参加でもいいのですが、体験や思いを話して、それが誰かの役に立てば、自分自身が救われることも多いものです。これを「ヘルパーセラピーの原則」と言います。誰かを助けることで、援助した人が大きな癒しを得るということです。

■地域にはたくさんの社会資源がある

 また、患者と接する家族は「私しかこの人を支えられないのではないか」と考えがちですが、けっしてそうではありません。

 地域には、心の病を抱える人と家族が利用できるたくさんの社会資源があります。そうした資源には、患者と家族をスタッフやボランティアが支え、また患者同士で支え合うしくみがあります。

 たとえば、市町村にある「地域活動支援センター」を利用すれば、患者は日中、仲間との交流や文化活動、運動などの活動を行いながら、社会とつながり、自立に向けて活動することができます。その間、家族は「自分の時間」を持つこともできるでしょう。

 ちなみに、地域活動支援センターは「障害者自立支援法」(2013年4月からは障害者総合支援法)によって制度化された施設で、通院中の精神疾患患者であれば、障害程度区分認定も必要なく利用でき、原則的に相談、利用は無料です。

その他、障害者自立支援法のサービスには、相談支援や日中活動、居住支援、就労支援、訪問サービスなどが充実しています。利用方法は、病院のソーシャルワーカーや、市町村の窓口に問い合わせると教えてもらえます。

 このように、家族会を通じて素直な気持ちを話したり、地域の社会資源とつながることで、患者に対する批判な感情や敵意を解消したり、「家族だけが頑張らなければ」「私ばかり楽しんではいけない」という思い込みを解放することができます。

 こうして家族自身が楽になることで、感情を患者にぶつけることもなくなり、症状の悪化や再発を防ぐことができるのです。

演歌歌手を襲った“パニック障害”の闇…AKB元前田も過呼吸ダウン

過呼吸やパニック障害に悩まされる芸能人が依然として後を絶たない。緊張感を強いられる場面が多い管理職サラリーマンにとっても決して無縁ではないこの病気と、どう向き合えばいいのか。

 長期療養中だった演歌歌手の大江裕(22)が、先ごろ約1年半ぶりに復帰会見を行った。北島三郎(75)の弟子で、ペコペコと頭を下げながら「さようでございますね~」などというキャラクターでお馴染みだった。

ところが、緊張しすぎたのか、一昨年11月のコンサート中に、「舞台の上でドキドキして過呼吸になって…。救急車で運ばれました」と告白している。

 過呼吸と言えば、AKB48の前田敦子(20)も、昨年夏の西武ドームライブに続き、先の被災地支援公演でも、過呼吸気味で一時楽屋に運ばれている。度重なる過呼吸は、パニック障害の予備軍ともいえ、注意が必要だ。

 過去には漫才コンビ、中川家の兄・剛(41)やタレントの大場久美子(52)ら、パニック障害を克服した芸能人は数多い。

 どんな病気かを杏林大学医学部精神神経科の古賀良彦教授が説明する。

 「一般的にパニック障害では、突然、強い不安感が膨らみ、激しい動悸や過呼吸による呼吸困難などの発作に襲われます。『死ぬかもしれない』という恐怖心がさらに症状をひどくしてしまうのです。

一度この発作を体験すると、『また発作が起こるのではないか』という予期不安が続き、日常生活に支障が生じやすいのです」

 強烈な不安を伴う発作は、強い恐怖心を植え付け、なかなか自分では消すことができないという。外出できず、仕事が手につかないなど以前のように日常生活を送れない人も珍しくはない。大江も、「最初は外もひとりで歩けないぐらいでした」と、発作後の状態を語っていた。

 では、どういう人がパニック障害に陥りやすいのか。

 「パニック障害の患者さんの傾向は、2つに分けることができます。1つは、繊細で緊張しやすく、自律神経が乱れやすい人。もうひとつは、30~40代の男性で、バリバリの営業マンなど、社会で元気に活躍している人に、何の前触れもなく起こるケース。どちらも、一度発作を体験すると、予期不安に襲われることには変わりがありません」(古賀教授)

 会社員も、社長の前でプレゼンするといった大舞台では、心臓はドキドキしやすい。自律神経が乱れて、心拍数が上がり動悸が激しくなると、過呼吸にも結びつく。

 つまり、発作には自律神経の乱れが関与しているのだ。繊細で緊張しやすい人は、なおさら自律神経は乱れがちだという。

 一方、車の運転中や通勤電車の中など、その場では大きなストレスを受けているとは考えにくい場所で、前触れなく発作が起こる人もいる。

 「自律神経が乱れやすい状態では、パニック障害は誰にでも起こりえます。前触れのない発作では、防ぎようはありません。あえて予防策をいうならば、自律神経のバランスを乱さないことが大切です」(古賀教授)

 睡眠不足や乱れた食事時間、過度なストレスは、本人が気づかぬうちに自律神経のバランスを崩す要因だ。

 「仕事のストレスは避けて通れないだけに、規則正しい食生活が重要になります。ただ、パニック障害は適切な治療を受けることで、短期間で改善する人は少なくありません。背景にうつ病が隠れている人もいますので、早めに専門医のいる医療機関を受診してください」と古賀教授はアドバイスする。

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