あなたの健康はお金で買えますか・・・? ■糖尿病・高血圧・血糖値・痛風・低血圧
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恐ろしい「糖尿病」を防ぎ悪化させない対策の基礎知識

糖尿病はどのようにして起こり、なぜ予防しなくてはいけないのでしょうか? 日常の診療において、医師から患者さんにこの答えを短時間で伝えるのは非常に難しいことです。ただ実際に糖尿病になってしまうと、種々の合併症を誘発し、患者さんの日常生活は著しく損なわれます。それだけでなく、糖尿病になると寿命が約10年も短くなることが知られています(※1)。

今回は、近年のライフスタイルの変化と高齢化社会の進展に伴って社会問題となりつつある「糖尿病」の恐ろしさと対策について、その基本を解説します。

■糖尿病の怖さの理由
糖尿病は遺伝や薬剤によって起こることもありますが、その90%は生活習慣が原因となる「2型糖尿病」と言われるものです(※2)。この場合、何かきっかけがあり糖尿病になるというよりも、日頃の生活習慣から徐々に血糖値が上昇し、糖尿病へと至るのです。

糖尿病になると病状は徐々に進み、目が見えなくなる、人工透析を強いられる、手足の細胞が死ぬため切断しなければならなくなる、といった生活が一変するような事態が起こります。自覚症状がないまま進行することが多いため、注意を怠ると手遅れとなることも多いというのが怖いところです(※3)。

■糖尿病はこうして起きる
食事などで糖分を摂ると、インスリンやグルカゴンといったホルモンの働きによって血糖値がコントロールされます。このうち、すい臓から分泌されるインスリンは血糖値を下げるようにさまざまな臓器に働きかけますが、インスリンが大量に必要な状態が続くと、すい臓が疲れてしまいインスリン分泌機能が低下するのです(インスリン分泌不全といいます)。

また、高血糖が持続した状態や、脂肪が蓄積された体の細胞は、細胞内伝達シグナルが障害され、インスリンが効きにくくなる(インスリン抵抗性といいます)。そうすると、さらに血糖値が下がらなくなり、高血糖な状態が持続されてしまうという悪循環に陥るのです。このように、インスリンの効きが悪くなった、もしくはインスリン量が高血糖を改善するのに不十分な状態が組み合わさり、糖尿病が引き起こされます(※4, ※5)。

■糖尿病になるとどうなるか
糖尿病は「血管の病気」と考えられていて、その症状は全身に及びます(※6)。

血管の内側は、血液が固まるのを防ぐ物質で覆われており、さらに血管の太さを調整する機能があって、それによって血液の固まりやすさや血管の広がり方を調整していることがわかっています。しかし、高血糖状態が続くと、これらの血管機能が低下してしまうこともわかっていて、血管を詰まりやすくしてしまうのです。

これが小さい血管で起こると、視力低下や腎臓の浄化能力低下、末梢神経の障害などを引き起こし、大きい血管で起こると動脈硬化を引き起こします(※1)。しかし、血管機能低下や動脈硬化の増悪に自覚症状はないため、糖尿病が重篤な合併症を引き起こすにも関わらず、患者の危機意識が低いことが糖尿病治療を難しくする要因の一つとなっています。

■糖尿病にならない/悪化させないための大原則
ヒトは、食後には血糖値が上がりますが、糖尿病予防・管理においてはこの血糖値の上昇を“緩やかにする”ことが重要です。ここで重要な指標となるのがGI値です。血糖値上昇のスピードを指標にしたものであり、GI値が高ければ高いほど血糖があがりやすく、低ければ血糖の上昇は緩やかとなります(※7)。例えば、白米よりは玄米、うどんよりはそばの方がGI値は低くなります。これは、食物繊維やタンパク質などが多く含まれる食品と考えればわかりやすいでしょう。

■運動はインスリン抵抗性を改善させる
一方、人は運動をすることで、筋肉内に存在する糖分取り込み装置(GLUT)の働きが活発になり、血中から筋肉へと糖分を取り込み、血糖値を下げることになります。それだけでなく、筋肉における脂肪燃焼も促進されます。それゆえ、運動による筋肉の役割は、血糖値を下げるだけでなく、中性脂肪が減少して、筋肉のインスリン抵抗性を改善させるのです。さらに、肝臓での中性脂肪蓄積を抑制し、肥満をも改善することで全身レベルでのインスリン抵抗性改善効果も期待できます(※8)。

*  *  *

以上、今回は糖尿病について解説しました。ほとんどの糖尿病は生活習慣が元に起こるため、予防も生活習慣の改善が基本となります。しかし、糖尿病は無症状で経過が長い病気であるため、それが怖い病気なのです。予防しなくてはいけない、と気づきアクションを起こすまでに時間がかかってしまいがちです。食事など、1日3度、毎日のことなので、急激に生活を切りかえるというのは難しいものです。1日の中で、白米を玄米に置き換えてみたり、野菜を一緒に摂ることでバランスをとるなど、小さい気配りを「始める」そして「続ける」ことが何より重要です。

【参考文献】
※1 Kobayashi T. YAKUGAKU ZASSHI 2008: 128; 1013-21.
※2 Diabetes Fact Sheet.
※3 日本糖尿病学会編: 糖尿病治療ガイド2014-2015. 文光堂, 東京, 2014.
※4 Slawson C, et al. J Cell Biochem 2006: 97; 71-83.
※5 McClain DA, et al. Proc Natl Acad Sci USA 1999 : 10695-9.
※6 厚生労働省.
※7 羽田 勝計. 日本内科学会雑誌 2014: 103; 2040-50.
高本 偉碩, 他. 糖尿病 2004: 47; 622-5

文/中村康宏
関西医科大学卒業。虎の門病院で勤務後New York University、St. John’s Universityへ留学。同公衆衛生修士課程(MPH:予防医学専攻)にて修学。同時にNORC New Yorkにて家庭医療、St. John’s Universityにて予防医学研究に従事。

※画像つきの記事全文は、下記関連記事リンクよりご覧になれます。

糖尿病の薬(11) インスリンバイオシミラー

■ インスリンはバイオ医薬品
 インスリンは膵(すい)臓から出されるホルモンであり、血糖値を下げるはたらきがあります。注射で投与するインスリンも体内で作り出されるホルモンと同じはたらきをします。インスリンのように、もともと体内で分泌されるものを、遺伝子組み換え技術や、細胞を使い培養する技術を用いて人工的に作り出した医薬品は、バイオ医薬品と呼ばれています。体内で分泌される成分だけではなく、がんやリウマチなどの治療に使われる抗体医薬品やワクチンなどもバイオ医薬品に該当します。日本では1985年にヒトインスリンが最初のバイオ医薬品として承認され、現在は130種類を超えるバイオ医薬品が国内で販売されています。

■ バイオシミラーはジェネリック医薬品?
 バイオ医薬品を作る技術(バイオテクノロジー)には高額な費用がかかるため、バイオ医薬品の価格はそうではない医薬品と比べて一般的に高額です。価格は高くても治療には欠かすことができない医薬品が多く、将来にわたって使用量は増えていくと予想されます。バイオシミラー(バイオ後続品)は、新薬として開発されたバイオ医薬品の特許期間が過ぎた後に、新薬よりも低い価格(約70%の価格)で販売される医薬品であり、バイオ医薬品によって増えていく医療費の伸びを抑制するものとして開発が期待されています。

 このようなバイオ医薬品ではない化学合成品の医薬品を、通常、ジェネリック医薬品(後発医薬品)と呼びますが、バイオ医薬品は構造や製造方法など多くの点で化学合成品とは異なる特徴があるため、ジェネリック医薬品とは区別され、バイオシミラーと呼ばれています。

■ インスリンのバイオシミラー
 2009年以降、国内では複数のバイオシミラーが販売されるようになり、インスリン製剤も、15年にインスリン グラルギンのバイオシミラーが販売されました。バイオシミラーのインスリン グラルギンは、新薬として販売された製品と同等・同質のものであり、同じように使用されます。同等・同質とは、バイオ医薬品に特徴的に使用される言葉であり、「まったく同一であるということを意味するものではなく、品質特性に何らかの差異があったとしても、最終製品の安全性や有効性に有害な影響を及ぼさないと科学的に判断できる」ことを指します。

安全性や有効性は確認されていますが、販売された後の一定期間は新薬と同じように、有害事象が起こっていないかなどが調査されます。また、ジェネリック医薬品は保険薬局で薬を変更することができますが、バイオシミラーはできません。インスリン製剤のバイオシミラーを使用したい場合は、主治医に伝えて処方してもらう必要があります。

日本大学 薬学部 教授 亀井美和子

※「月刊糖尿病ライフさかえ 2017年11月号」より

尿酸値は低すぎてもダメ!「痛風」を防ぐ生活上のポイント4つ

古来、痛風発作は「忙しく、責任感の強いひとに多く発症する」と言われてきました。例えば、ユリウス・シーザーやナポレオン、レオナルド・ダ・ヴィンチなどが痛風持ちであったことが知られています。

痛風に尿酸値が関係していることはよく知られており、尿酸値は低いほどよいと思われている方も多いでしょう。しかし近年の研究で、尿酸値は低すぎても体に良くないことがわかってきました。

そこで今回は体内における尿酸の役割と生活習慣との関係、そして尿酸値の上昇を抑えて痛風を防ぐ食生活のポイントについて解説いたします。

実はこの痛風というのは「高尿酸血症」がもたらす症状のひとつです。この高尿酸血症は痛風発作だけでなく、痛風結節、尿路結石などに代表される尿酸沈着症を引き起こすことで知られています。

そもそも尿酸とは、遺伝子やエネルギー消費で使われる「プリン体」と呼ばれる物質が代謝されてできる物質です。体内に存在する尿酸のうち、80%は体内にあるプリン体を原料にしてつくられ、残り20%は食べ物から取り込まれるプリン体からつくられます。このうち食品に含まれるプリン体とは、内臓や魚卵など細胞数が多い食材や、乾燥により細胞が凝縮されている干物などに多く含まれています(※1)。

この尿酸については、「敵」というイメージの人も多いでしょう。実際、細胞の内においては活性酸素を生成する「酸化物質」としての役割があり、体に害をもたらす効果があります。しかし一方で尿酸には、細胞の外では活性酸素を弱める強力な「抗酸化物質」としての役割を持つことがわかっています(※2)。

「抗酸化力が弱い」と考えられる血中尿酸値が低いグループでは心臓病や運動後急性腎不全が多いという報告がある一方で、「抗酸化力が強い」と考えられる血中尿酸値が高いグループではパーキンソン病の発症頻度が低いという報告があり、これが尿酸の抗酸化作用を示唆していると考えられています(※3)。 また実験でも、体内で活性酸素が多くなると尿酸が多く分泌され、活性酸素を下げることが報告されています(※4)

つまり尿酸には、生体で発生する酸化ストレスを消去する効果があります。ということは、尿酸値は高すぎても低すぎても良くないのです。

それではなぜ尿酸値が高くなってしまうのでしょうか? 尿酸値が高くなる原因の多くは体質によるものといえますが、ほかに生活習慣も関連することが分かっています。

尿酸値の上昇を防ぐ生活上の注意としては、以下の4つがあげられます。

■1:太らないように標準体重を維持する
肥満度が高い人ほど、高尿酸血症や痛風の発症頻度が上昇することが明らかになっています。逆に、肥満を合併している高尿酸血症は、減量のみで改善することが期待できます(※5)。

■2:プリン体の多い食事を控え、抗酸化物質をたくさんとる
プリン体は旨み成分なので、それを含まない食材はほとんど存在しません。とくに、肉類、魚の干物、甲殻類、ビール、魚卵などには尿酸が多く含まれています。

一方で、大豆、チーズ、卵などには少なく、ビタミンCやポリフェノールなどの抗酸化物質を多く含む食材は、尿酸値を下げる役割を果たします(※7)。できるだけこういった食品を摂るようにしてください。

■3:尿をアルカリ性にする
尿がアルカリ性になると、尿酸が解けやすくなり、体外に排泄されやすくなります。尿をアルカリ性にするには、海藻や緑黄色野菜といった食品を多く摂取してください。

■4:ストレスを溜めない
ストレスが多い人ほど、尿酸値が上がることが報告されています。だからこそ、痛風を防ぐためには上手なストレスマネージメントが大切です。

*  *  *

以上、体内における尿酸の役割と生活習慣との関係、そして痛風を防ぐ食生活のポイントを解説しました。尿酸には抗酸化物質としての働きもあるので、尿酸値についても高からず低からずの適正バランスを保つことが大切なのです。

尿酸値を適正にする生活習慣は、糖尿病、高血圧、がん、心血管疾患の予防のために推奨される食事と共通した点が多く、この方法を使えば生活習慣病の予防も併せて行えることになります。お伝えしたポイントを踏まえて、痛風に悩まされることのない健康な生活を手に入れて下さい。

【参考文献】
※1:Gout and Nucleic Acid Metabolism 2007; 31: 119-31.
※2;Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids. 2008; 27: 608-19.
※3:Gout and Nucleic Acid Metabolism 2014; 38: 145.
※4:Free Rad. Biol. Med 1997; 22: 169-74.
※5:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版
※6:Scientific Reports2017; 7. Article number: 1266.
※7:Arthr & Rheum 2007: 57: 816-21.
※8:Nutr J 2010; 9: 45.

文/中村康宏
関西医科大学卒業。虎の門病院で勤務後New York University、St. John’s Universityへ留学。同公衆衛生修士課程(MPH:予防医学専攻)にて修学。同時にNORC New Yorkにて家庭医療、St. John’s Universityにて予防医学研究に従事。

糖尿病で症状出ないことも/ハートで決まる健康長寿

<心臓のスーパードクターが語る:東邦大学大橋病院・尾崎重之教授(14)>

<狭心症・心筋梗塞(1)>

 日本人の死亡原因の第1位は「がん」で、2015年には約37万人が亡くなりました。次いで多いのが「心疾患」で、約19万6000人。その心疾患の中で「虚血性心疾患」の「急性心筋梗塞」では約3万7000人、「その他の虚血性心疾患」で約3万4000人が命を落としています。

 心疾患の中で死亡者数が最も多い虚血性心疾患とは-。心臓は冠動脈によって血液が届けられ、元気に拍動を続けています。その冠動脈が動脈硬化や血栓(血液が血管内で塊を作ったもの)などで狭くなり、血液の流れが悪くなったり、遮断されたりすると、心臓の筋肉に血液が不足し、酸欠状態になります。これが虚血で、「胸が締め付けられるような痛み」「肩や背中の痛み」「奥歯やのどの痛み」などの症状が生じます。代表疾患は血管が狭くなった「狭心症」と、遮断された「心筋梗塞」です。

 このように症状を挙げると、狭心症でも心筋梗塞でも必ず症状がある、と人は思います。それは間違い。症状は出る人と出ない人がいるのです。

 症状が出ない人では、特に糖尿病の患者さんが挙げられます。糖尿病の3大合併症で有名な疾患の1つ「糖尿病神経障害」が進行していると、手足の神経だけではなく、心臓の痛みも感じにくくなってしまうのです。実際、ある患者さんで心電図をとるチャンスがあり、とってみると、心筋梗塞の波形があって心筋梗塞がみつかった人もいます。

 病気は何でもそうですが、症状だけを気にしていてはいけません。年に1回は、定期チェックを受けることが重要だと思います。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)

本当は恐ろしい降圧剤がもたらす副作用

病院で高血圧と診断されたら、降圧剤を使ってでも下げるべきなのか。2人の医師は「ちょっと待ってほしい。それは製薬会社が儲けるためかもしれない」と注意をうながす。「血圧が高いと危険。血圧を下げれば病気にならない」。そうした説を鵜呑みにしてはいけない――。■「製薬会社は莫大な利益を得られます」

「現在の高血圧の基準値は異常に低く設定されています。私が学んでいた1969年ごろは、上が『年齢プラス90』以内ならば正常とされていた。たとえば50歳なら140、60歳なら150という具合。ところが高血圧の基準値は2000年以降、どんどん下がっています」

こう語るのは、サン松本クリニック院長の松本光正医師。年齢とともに血圧は高くなるものだが、なぜそれを低めに設定するのか。松本医師はいう。

「『これ以上は高血圧ですよ』という基準値を低めに設定するだけで、健康な人を『患者』にすることができるからです。しかも血圧を下げる降圧剤は一生飲み続けることが多い。製薬会社は莫大な利益を得られます」

日本高血圧学会のガイドラインで高血圧の基準が下がり始めたのは、2000年から。アメリカや日本で高血圧の新薬ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)が発売されたころと重なる。

「アメリカの製薬会社は高価なARBを売り出すために国際高血圧学会や世界保健機関(WHO)に働きかけて、高血圧の基準値を下げさせることに成功した。

日本高血圧学会もすぐそれに倣いました。おそらく製薬会社からの巨額な寄付金があったのでしょう」と語るのは医薬ビジランスセンター(薬のチェック)理事長の浜六郎医師である。

■本当のところ血圧はいくつまでなら安心か

現場の医師はこのガイドラインに従って患者を高血圧と診断し、降圧剤を処方している。ガイドラインが改訂されるたび、降圧剤を服用する人の数はそれに比例して増えていく。

「私が卒業した69年当時、降圧剤を服用している人はおよそ300万人でした。それがいまや1500万人とか2000万人といわれている。製薬会社は笑いが止まりませんよ」(松本医師)

医師の多くはガイドラインに従っている。多忙な医師にガイドラインが正しいかどうかを検証する時間はない。とりあえずこのガイドラインに従っておけば万が一のときも安心、という思いがあるのかもしれない。

「年齢とともに血圧が高くなるのは自然なこと」と松本医師はいう。「年をとれば血管は硬くなる(動脈硬化)。弾力を失った血管は拡張・収縮しにくくなるので、体のすみずみまで血液を送り込むのが難しくなります。そこで心臓は血圧を上げて、血流をよくします」

▼「上は180、下は110まで大丈夫」それでは本当のところ、血圧はいくつまでなら安心なのか。浜医師は、「上は180、下は110まで大丈夫。これは各種の疫学調査から明らかです」と断言する。松本医師は、「やはり上は年齢プラス90が目安。

しかしそれを大幅に超えた状態がずっと続くのでなければ気にしなくていい」という。

しかし高血圧を放置すると、脳卒中など生命に関わる病気になるという。その点は大丈夫なのだろうか。

「脳卒中には3種類あります。すなわち脳出血、脳梗塞、くも膜下出血です。50年前はほとんどが脳出血でしたが、いま脳出血は激減していて、脳梗塞が8割です。くも膜下出血はいまも昔も全体の3%程度」(松本医師)

■「(降圧剤で)がんになりやすくなる」

脳出血が減ったのは、人々の栄養状態がよくなったからだ。細胞を丈夫にするコレステロールの摂取量が増え、血管が破れにくくなっている。それなのに「血圧が高いと脳卒中になる」という思い込みだけは昔のまま。

「脳梗塞とは、血の塊が脳の血管に詰まる病気です。血の塊を吹き飛ばすには、血圧を高くして血が勢いよく流れたほうがいいはずです」(松本医師)

しかし薬で血圧を下げているので、かえって脳梗塞を患う人が増えているのだ。浜医師も次のように警告する。

「体は酸素と栄養素を血液から得ていますが、それを取り込むためには一定の血圧が必要です。それなのに降圧剤で血圧を下げすぎてしまうと、それが取り込めなくなる」

さらに怖いのが、薬そのものがもたらす副作用だ。降圧剤には種類がいくつかあり、現在の主流は前出のARBやカルシウム拮抗薬だ。これらの薬剤には炎症を抑える作用がある。

「免疫反応は、病原体や体内にできた異物から体を守るための防御システム。

炎症は、免疫反応の重要な要素で、体にできた傷を治す働きです。ARBやカルシウム拮抗薬は炎症を抑制するので、これを飲むと炎症が目立たなくなり、一時的に健康になったかのようにみえる。しかし傷を治すための反応が起きないということは、傷を放置しているということですから、いろいろと不都合なことが起きます」(浜医師)

その1つが「がん」である。

「がんとはいわば体内にできる異物。免疫が正常に働いていれば、仮にがん細胞が生まれても小さいうちに排除できる。しかしARBやカルシウム拮抗薬を飲んでいると免疫が抑制されてしまうので、がんになりやすい」(浜医師)

感染症が全身に広がって死に至る「敗血症」も、免疫不全によって起こる。さらには高齢者が血圧を薬で無理やり下げた場合、脳に栄養や酸素が行きわたらず、認知症になりやすいという説もあるのだ。

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浜 六郎(はま・ろくろう)
医師、医薬ビジランスセンター理事長
1945年生まれ。大阪大学医学部卒。大阪府衛生部を経て阪南中央病院に勤務。97年医薬ビジランスセンター設立。2000年NPO法人認証。著書に『高血圧は薬で下げるな!』など多数。 松本光正(まつもと・みつまさ)
医師、サン松本クリニック院長
1943年生まれ。北海道大学医学部卒。医療生協さいたま浦和民主診療所勤務、同所長などを経て現職。著書に『高血圧はほっとくのが一番』『検診・手術・抗がん剤の前に読む「癌」の本』など。

高血圧の人はカリウム摂取を トマト、バナナは豊富に含む

 現代医学では「カリウムを含む食品が血圧を下げる」ということが明らかになっている。そのメカニズムを東海大学名誉教授の大櫛陽一氏が解説する。

「カリウムは細胞内の塩分濃度を保つ働きがあり、体内の余分な塩分を排出します。高血圧の人は積極的に摂取したほうが良い」

 食品でいえば、トマト(210ミリグラム)、バナナ(360ミリグラム)、メロン(340ミリグラム)、りんご(110ミリグラム)などが多くのカリウムを含む(いずれも可食部100グラムあたり)。他になめこも230ミリグラムと豊富。みその成分にも血圧を下げる効果があるため、みそ汁の具として食すると効果は高まるはずだ。

「ただし、腎機能が低下している場合は、カリウムが体内に溜まりすぎて高カリウム血症を引き起こし、手足のしびれや不整脈の原因となることがあるので注意が必要です」(同前)

血糖上げずカロリー摂取 糖尿病高齢者はどう食べるべきか

超高齢社会で、糖尿病を抱える高齢者が多い。血糖値を上げず、フレイル(虚弱)やサルコペニア(筋肉量減少による身体能力低下)を避けられる食事法は? 糖尿病の栄養療法の第一人者である駒沢女子大学人間健康学部健康栄養学科の西村一弘教授に聞いた。

 西村教授は、東京・東村山の緑風荘病院で糖尿病患者や腎疾患患者の食事指導を行っている。病院で実際に取り入れているのが、「中鎖脂肪酸」「パラチノース」「乳和食」だ。

 食事をして短時間に血糖値が急上昇し、正常値に戻ることを「血糖値スパイク」という。この血糖値スパイクが繰り返されると動脈硬化が進行、心筋梗塞や脳卒中などの突然死を高める。血管が劣化している糖尿病の高齢者は、特に意識して血糖値スパイクを避ける食事をしなくてはならない。

 一方で高齢者の場合、フレイルやサルコペニアの問題もある。いずれも要介護状態を招きやすく、死亡リスクを高める。血糖値スパイクを避ける食事を意識し過ぎてフレイルなどを招けば、本末転倒だ。

「血糖をコントロールし、かつカロリーを摂取する食事として、この3つが非常に役立ちます。糖尿病では腎機能にも影響を及ぼしますが、タンパク質摂取に注意が必要な腎疾患患者さんにも、3つは有効です」

■中鎖脂肪酸、パラチノース、乳和食

 中鎖脂肪酸は、植物油の主成分である脂肪酸の一種。肥満対策、認知症予防、フレイル・サルコペニア対策などさまざまな可能性が期待される機能性成分だ。一般的な油より速やかに消化・吸収され、すぐにエネルギーになりやすい特徴がある。 

「中鎖脂肪酸はパウダー状のものが市販されています。無味無臭なので、味噌汁や料理に入れても違和感を覚えません。糖尿病でなくても、痩せている高齢者の方は、中鎖脂肪酸のパウダーをスープや味噌汁などに加えて日常的に取るようにするといいでしょう」

 パラチノースは砂糖から作られた甘味料だ。ハチミツに含まれる希少物質「イソマルツロース」の大量生産に成功した「三井製糖」の登録商標である。砂糖とは違う作用機序を持ち、消化吸収速度は砂糖の5分の1になる。 

「吸収がゆっくりなので血糖値の上昇も緩やかです。すると、インスリンが急激に血糖値を下げようとしないので、血糖値の急激な上昇・降下を避けられます。これによって膵臓への負荷が抑えられ、心血管障害などのリスクを抑えられます」

 甘味料にはパラチノース以外にもあるが、ほとんどがカロリーゼロ。フレイルやサルコペニア回避も考えなければいけない高齢者には向いていないケースもある。パラチノースは甘味度が低く、通常の砂糖の使用量より多く使えるところもポイントだ。

「乳和食」は、牛乳をはじめとする乳製品を用いた和食のこと。

「乳製品をご飯など糖質と一緒に取ると、血糖値の上昇がゆっくりになります。うま味の宝庫である牛乳はだし代わりになり、調味料を減らして減塩にもつながります」

 味噌との相性が良いので、味噌汁や豚汁に入れる。卯の花炒り、きんぴらゴボウ、カボチャのそぼろ煮、筑前煮などさまざまな和食に合う。牛乳が苦手な人にも「おいしい」と評判だ。

「中鎖脂肪酸、パラチノース、乳和食を3つ同時に行えば、高齢者の血糖コントロール、加えてフレイル・サルコペニア対策にかなりの効果が期待できます」

 西村教授が危惧しているのは、高齢者の糖質制限だ。

「糖質を控え、タンパク質を積極的に取るといいと考えている方もいます。しかし、タンパク質だけでは筋力合成がうまくいかず、かえって筋力減少につながることもあります。うまく糖質を取っていく必要があります」

効果のある糖尿病薬 副作用の心配は

【Q】健診で糖尿病と診断され、現在DPP-4阻害薬を飲んでいます。どんな副作用に注意したらいいでしょうか。(50代女性)

 【A】食事をして血糖値が上昇すると腸管からインクレチンと呼ばれるホルモンが分泌されます。インクレチンは、すい臓に作用してインスリン分泌を促し血糖値を低下させますが、このインクレチンの分解を阻害することでインスリン分泌を増やし、血糖値を低下させる薬がDPP-4阻害薬です。

 2009年12月に発売されて以来、肥満や低血糖などの副作用を起こしにくく、高血糖を改善するために、現在国内で最も使用されている糖尿病薬となっています。食事をしないときはインスリン分泌を促さないため、血糖値が下がり過ぎることによる低血糖は起こりにくい上、すい臓への負担も少ないといった特徴があります。

 また、インクレチンには食欲中枢に作用して食欲を抑える働きや、ナトリウムの排泄を促す作用があるため心臓の負担を和らげる効果もあります。最近では週1回の内服で効果が十分なDPP-4阻害薬も使用されており用途も広がっています。

 しかし、副作用が全くないわけではありません。DPP-4阻害薬は食事をしたときだけ効果が表れることから、単剤の服用では低血糖を起こしにくいのですが、直接すい臓に働きかけてインスリン分泌を促す薬であるSU薬との併用で低血糖が生じやすくなることが知られています。

 他にも頻度は少ないですが、便秘、腹部膨満、急性すい炎、腸閉塞などの副作用があります。また1型糖尿病や重症2型糖尿病の方のように、インスリン分泌がされていない方にはDPP-4阻害薬でインスリンの分泌を促そうとしても、インスリンの分泌がないことから効果がなく注意が必要です。

 DPP4阻害薬は効果が多く、副作用も少ないことから広く使われています。かかりつけ医師の指導のもと、食事・運動量療法をしっかり行いながら飲んで頂ければと思います。

 ◆回答者プロフィール 荒木 正(あらき・ただし)03年、東邦大学医学部卒。東邦大学医療センター大橋病院などに勤務後、16年に東京都江東区に亀戸内科クリニック開設。循環器・糖尿病内科医として地域に密着。総合内科専門医。循環器専門医。

痛風予備群1000万人以上!? ビールより酒量に注意

ミドル以上が集まる会社などの飲み会で、「とうとう痛風になった!」などという同僚の話を聞いたことがある人は多いだろう。痛風は左党が最も恐れる病気の1つ。いつ痛風になるかとビクビクしている人も少なくないだろう。痛風を気にして、ビールを控えたり、プリン体が多い食品を避けているという人もいる。しかし、ただビールを控えるだけでは意味がなく、飲酒そのものが問題になるという。これは本当だろうか。そこで酒ジャーナリストの葉石かおりが、飲酒と痛風・高尿酸血症の関係を、東京慈恵会医科大学名誉教授の細谷龍男さんに話を聞いた。
◇  ◇  ◇
 中高年を迎えた多くの左党にとって、気になるのは尿酸値。そう、尿酸値と言えば、風が吹いただけで痛むという痛風である。

 私の周囲の左党の中にも、既に痛風の症状が出てしまい、それでも薬を飲みながらビールを飲む「つわもの」がかなりいる。さらに、取引先との接待などで「ゴージャスディナー」が続き、治まっていた痛風の症状がいきなり出て、痛みに耐えながら仕事をしている人もいる。幸いなことに私は痛風とは無縁だが、痛風になった知人の話を聞くと、その痛みたるや最たるもので、「思わず男泣きしてしまう」と言うのだから半端ではなさそうだ。

 だから、痛風発作に襲われた経験がある人は、飲み会の場などで、つい話したくなるのだろう。ミドル以上の男性が参加する飲み会で、「痛風自虐自慢」の話を聞いたのは、これまで1度や2度ではない。実際、読者の方々の中にも、健診の結果で尿酸値が高くなっていて、いつ痛風発作が起きるかビクビクしている人も少なくないのではないだろうか。

■痛風の元凶「尿酸」はプリン体から作られる

 本題に入る前に、尿酸値と痛風の関係、またアルコール飲料などに表示されているプリン体との関係について先に整理しておこう。

 痛風は正確には「痛風関節炎」という。血液などに含まれる尿酸という物質が結晶化して、関節にたまって炎症を起こし、足の指、膝などに激しい痛みを引き起こす。血液中の尿酸の濃度(尿酸値)が高くなると、痛風発作が起こりやすくなる。健康な人の尿酸値は5.0~6.9mg/dL程度で、尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態は高尿酸血症と呼ばれる。7.0mg/dLを超えてくると、尿酸が結晶化しやすくなり、痛風の発作を起こす可能性が高まるのだ。なお、尿酸値が高い人はすべて、痛風発作を起こすわけではない。だが、尿酸値が高くなるほど痛風発作を起こすリスクは高まっていく。

 さて、その痛風の元凶ともいえる尿酸のもととなるのがプリン体。つまり、尿酸はプリン体から作られる。だから尿酸値が高い人は、プリン体を含む食品や飲料を控えたほうがいいといわれるわけだ。昨今、よく見かける「プリン体ゼロ」のアルコール飲料は、尿酸値を気にする左党にとっては助っ人的な存在といってもいいだろう。

 私も、プリン体を多く摂取すると痛風につながりやすい、くらいの知識はあった。このため、私は痛風になりたくなければ、プリン体を抑えればいいと単純に思っていた。具体的には、ビールはプリン体が多いといわれるから、とりあえずビールを控えればOKだと。

 だが、話はそんなに単純ではないらしい。ビールを控えるより、そもそも飲酒そのものがよくないという話も聞く。となると、私が愛してやまない日本酒や本格焼酎もよくないのだろうか。知り合いにも、痛風怖さに、ビールを控えて本格焼酎を選んでいる人もいるが、それは無駄な行動だったのだろうか。ここはきちんと確認しておかねばなるまい。そこで今回は、痛風や高尿酸血症に詳しい東京慈恵会医科大学名誉教授の細谷龍男さんに話を伺った。


■患者数はここ30年で4倍に!低年齢層や女性の患者も増加

 そもそも痛風は、私の周囲だけでなく、日本全体でも増えているのだろうか。まずは、痛風・高尿酸血症の現状について聞いてみた。

 細谷さんは、「増加傾向にあります。食生活が豊かになり始めた高度経済成長期(1960~70年代)を皮切りに急増し始めました。1986年には約25万人、そして2013年には約106万人と、ここ30年くらいの間に4倍に増えています」と話す。痛風予備群ともいえる高尿酸血症の人は1000万人以上ともいわれるという。

 さらに細谷さんは、罹患する世代の低年齢化傾向も見られるという。「以前はミドル世代の病気と見られていましたが、最近では30代など低年齢世代でも罹患するケースが増えています」(細谷さん)

 そして女性の左党にとって恐ろしいのは、女性の痛風も増えていること。細谷さんによると、女性ホルモンの働きなどにより女性はそもそも痛風・高尿酸血症にはかかりにくいのだという。しかし、「かつて痛風にかかるのは99%が男性といわれていましたが、現在は女性の患者さんも増えてきています」と細谷さん。

 昔は痛風と言えば「おじさんの病気だもーん」とふふんと鼻で笑っていたけれど、どうやら人ごとではなさそうだ……。
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■食べ物から取り込まれるプリン体は2~3割

 次に、いよいよ本題。細谷さんに痛風にかかりやすい食事や飲み方を聞いてみた。やっぱりビールはよくないのだろうか。先生、痛風は、ビールやイクラといった、プリン体の多いものを好む方がかかりやすいと思っていたのですが……。「尿酸はプリン体から作られますから、プリン体の摂取が尿酸値に影響するのは確かです。しかし、意外と知られていないのですが、プリン体の7~8割は体内で作られています。食べ物から取り込まれるプリン体は2~3割なんですよ。食品から取り込まれるプリン体が尿酸値に与える影響はそれほどではないことが分かってきました」(細谷さん)

 何と! 恥ずかしながら、私はこのことを今日まで知らなかった。「尿酸値が高い人はプリン体の含有量が多い食品を控えなさい」とよく耳にすることもあってか、食べ物にさえ気をつけていれば尿酸値は上がらないものと思い込んでいた。※一般に「魚卵はプリン体が多い」と思われているが、必ずしもそうではない。100g中のプリン体含有量はイクラ3.7mg、カズノコ21.9mg程度で、プリン体含有量が少ない食品に分類される。やや高めのものでも、タラコ120.7mg程度で、300mgを超える鶏レバーやマイワシの干物などより少ない。また、タラコなどは一度に食べる量が少ないことが多い。


■尿酸は新陳代謝の過程で自然に生成されるもの

 そもそもこの「プリン体」と「尿酸」の関係性は? また体内でどう生成されるのだろうか? そのメカニズムを細谷さんに聞いた。

 「プリン体は尿酸のもととなる物質です。プリン体は、核酸(DNA、RNA)を構成する物質の1つで、細胞の中に必ず含まれています。体内で作られるものと食品から取り込まれるものがありますが、その7~8割は体内で作られるのです。そして、尿酸は体内のプリン体が分解されるときに生じる老廃物です」(細谷さん)

 「プリン体が体内で尿酸に分解される経路は2つあって、1つは細胞の新陳代謝の際です。新陳代謝により、細胞が壊れると、細胞内の核酸は細胞の外に放出され、これが最終的に尿酸に分解されます」(細谷さん)

 「また、プリン体はカラダを動かす際に使われるATP(アデノシン3リン酸)という物質にも含まれています。ATPはエネルギー源として利用され、生命活動の維持に欠かせない重要な物質です。このATPは活動に利用されるとADP(アデノシン2リン酸)に代謝されますが、安静にしていれば再び元のATPに戻ります(再合成)。しかし激しい運動などでエネルギー源であるATPが大量に利用されると、再合成が追いつかず、プリン体、そして尿酸へと分解されてしまうのです」(細谷さん)

 「そして、プリン体を尿酸へと分解する役割を担うのが肝臓です。分解された尿酸の多くが腎臓に運ばれ、尿や便として体外へと排出されます」(細谷さん)

 プリン体や尿酸は悪者だとばかり思っていたが、カラダの生命維持のサイクルの中で自然に生成されるものだったとは。しかもその7~8割が体内で合成されているというのは驚きである。
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■ビールを避けたほうがいいのは間違いではないが……

 だが体内で多くが自動的に合成され、食品摂取からの比率が少ないというのであれば、素人考えの左党としては、プリン体を含む食品は気にせず食べてもいいのでは? と思ってしまう。

 実際、細谷さんによると、少し前の食事指導では、プリン体を含む食品を控えるように厳しく言われることが多かったそうだが、最近では、以前ほど強く言われることは減っているという。細谷さんは、「尿酸値が低い人は過度に気にする必要がありませんが、肥満の人、尿酸値が高い人は、食品からとるプリン体の影響を強く受けます。尿酸値が高い人はプリン体を多く含む食品の摂取を控えるべきです。ですから、プリン体が多いビールを避けたほうがいいというのは間違いではありません」と話す。

 「ビールは、ビール酵母の中にプリン体を含んでおり、飲めば尿酸値は上がります。ある実験では一般的なビールを飲んだ3~4時間後に尿酸値が最大で30%上がったという報告もあります」(細谷さん)

■アルコールそのものに尿酸値を上げる作用が

 ただし、細谷さんは、ビールだけを控えても意味がないという。「なぜなら、アルコールそのものが尿酸を上げる要因になるからです」(細谷さん)

 何と元凶は、アルコールそのものにあったとは! 前述のように、私は、「プリン体の多いビールさえ飲まなければOKで、他のお酒にすればいい」と思っていた。実際、私のまわりの痛風持ちのオジサマ方はその事実を知らず、「プリン体ゼロの本格焼酎なら大丈夫」と言って、ガンガン飲んでいる。

 「それは大きな勘違いです。ビールに限ったことではなく、アルコールそのものに尿酸値を上げる作用があります。アルコールはエネルギー物質であるATPを分解し、尿酸の産生を促進します。また、アルコールが肝臓で分解される際に生成される乳酸は、腎臓からの尿酸の排出を低下させてしまうのです。さらにアルコールには抗利尿ホルモンを抑制する作用があり、脱水も進みます。尿酸の7~8割は尿から排出されますが、脱水によって尿量が少なくなるため、尿酸の排出が低下し、体内の尿酸値が高くなるのです」(細谷さん)

 「えええー、ビールさえ我慢すればいいと思っていたのに」という左党の悲鳴が聞こえてきそうである。かく言う私も心でそう叫んでいる(泣)。

 実際、アルコールの摂取量が多いほど、痛風の発症リスクが高まるという研究結果も出ている(下グラフ)。これを見ると、アルコール摂取量が増えるほど、きれいに痛風発症の危険度が高まっていることが分かる。アルコール摂取量が30~49.9gでリスクは約2倍に高まっている。日本酒なら1合、ビールならロング缶1本で、純アルコールで20g程度になる。つまり、日本酒を2合飲めば、リスクは2倍になるという計算になる。左党ならこのくらいは最初の30分で軽くクリアしてしまいそうだ。

 なるほど、尿酸が高い人がビールを控えたり、プリン体ゼロのアルコール飲料を選ぶのは間違った選択ではないが、それ以前に、そもそもお酒そのものの摂取量を減らさなければならないのだ。

■高尿酸状態を放置すると、生活習慣病を招きやすい

 読者の中には、尿酸値が高く、高尿酸血症(7.0mg/dL)に該当している人もいらっしゃると思う。それでも痛風発作が起きていない人もいるだろう。このため、尿酸値が高くても放置している人も少なくないに違いない。

 実際、尿酸値が高くなっても、必ずしも痛風発作が起こるわけではない(もちろん尿酸値が高くなるほど、その確率は高まる)。では、尿酸値が高くなっても、必ずしも痛風にならないなら、放置しておいてもいいのだろうか。

 細谷さんは、「尿酸値が高い状態を放置すると、生活習慣病を招きやすいので、放置してはいけません。医師に相談してください」と話す。細谷さんによると、尿酸値が上昇するにつれて、メタボリックシンドロームの頻度が高くなり、逆にメタボリックシンドロームの人ほど尿酸値が上昇することも分かっているのだという。

 「高尿酸血症の人は、糖尿病、高血圧、脂質異常症などを合併するケースが多く、これらの結果、動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞などの障害を起こすリスクが高まります」(細谷さん)。さらに、高尿酸血症を放置すると、腎機能が低下したり、尿路結石ができやすくなったりするという。

 こう聞くと、尿酸値が高い状態(高尿酸血症)を放置しておくのが、いかに危険なことかよく分かる。読者の中には、「痛風の一時的な痛みくらいならしょうがないか……」などと甘く見ている人もいるかもしれないが、その考えは捨てたほうがよい。これから先の人生を、長く健康で楽しめるようにするためにも、飲酒を含めた生活習慣の改善に着手していただきたい。

 酒量はどのくらいにすればいいのか、休肝日を作ったほうがいいのか、あるいは節酒以外の対策はないのかなど、具体的な尿酸対策は、次回で詳しく紹介していく。

細谷龍男さん 東京慈恵会医科大学名誉教授/慢性腎臓病病態治療学教授。1972年東京慈恵会医科大学卒業。1997年同大第二内科(2000年内科学講座腎臓・高血圧内科と改組)教授。2013年4月から現職。日本痛風・核酸代謝学会理事長、日本腎臓学会・前理事、第110回日本内科学会総会・講演会会頭。
(エッセイスト・酒ジャーナリスト 葉石かおり)

森永卓郎が語る「糖尿病」経験 著名人が明かす克服法

「糖尿病」1000万人時代!  著名人が明かす「私はこうして国民病を克服した」(1)有病者1000万人、予備軍1000万人――。糖尿病は静かに進行し、様々な合併症や大病を招く国民病だ。それを克服した経済アナリスト、悪化させたお笑いタレント、コントロールに成功した大物芸能人。彼らの証言から見えてきた、“サバイバル術”とは。

 経済アナリストの森永卓郎氏(60)が糖尿病と診断されたのは、2009年の12月頃だった。

「ズボンが穿けないくらい右足がパンパンに腫れて、病院に行ったら、傷口から入った雑菌が原因であることが分かったのですが、医者から“足が化膿したのは、糖尿病にかかっていて免疫力が低下しているせいかもしれないから調べた方がいい”と言われましてね。で、調べたら案の定、糖尿病と診断されました。その時の血糖値は600mg/dl、ヘモグロビンA1c(HbA1c)は一番悪い時で11・7%でした」

 空腹時血糖値が126mg/dl以上、HbA1cが6・5%以上の場合、「糖尿病が強く疑われる」との診断が下される。ちなみに去る9月、新聞各紙に、

〈糖尿病1000万人〉(朝日新聞)

〈糖尿病 初の1000万人〉(読売新聞)

 といった大きな見出しが躍ったが、記事によると、厚生労働省の2016年の調査で、HbA1cが6・5%以上の「有病者」が初めて1000万人の大台を突破したという。まさに「国民病」なのである。

「さらに、最近問題になっているのが、検査時には血糖値が110mg/dl程度で“高めだけど基準値内”でも、食後には126mg/dlを超えてくる“境界型糖尿病”とか“隠れ糖尿病”と言われるものです」

 とは、品川イーストワンメディカルクリニックの板倉弘重理事長。

「HbA1cは検査時からさかのぼって1~2カ月の血糖値の平均を反映するので、“隠れ糖尿病”を見つけるのに有効です。そして、この“隠れ糖尿病”、すなわち糖尿病予備軍の人は、厚労省の試算で、糖尿病になってしまった人と同じ約1000万人いると推計されているのです」

 森永氏の場合、血糖値が基準の約5倍、HbA1cが基準の約2倍という「異常値」を示していたわけだが、その原因は明らかだった。

「あの頃は猛烈に忙しくて、睡眠時間は2~3時間。仕事のストレスで食べるというよりは、起きている時間は常に何か食べていないと体力が持たなかったんです。コーラとかサイダーとか、炭酸飲料が大好きで、1日に5リットルもガバガバ飲んでいたのも良くなかったんでしょう。計算すると、当時の摂取カロリーはざっと5000キロカロリーほどありました」


膵臓のダメージ

 では、人はいかにして糖尿病になるのか。そのメカニズムに触れておきたい。

 我々が食事でとった栄養のうち、炭水化物は消化吸収の過程でブドウ糖になる。そのブドウ糖を血液中から細胞に取り込む働きをするのが、膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリン。それが分泌されなくなったり、分泌量が減る、またはインスリンの働きが弱まることで、血中のブドウ糖の濃度が高まるのが、糖尿病だ。

 糖尿病には1型と2型があり、患者の大多数を占めるのは2型。1型は自己免疫疾患などが原因でインスリンを分泌する膵臓の細胞が壊されることで起こり、食生活とは関係がない。一方の2型は「生活習慣病」と言われる通り、食生活や肥満と密接な関係がある。

 2型糖尿病には、大きく分けて2つの原因がある。1つはインスリンの分泌量が減ることで、それには遺伝的体質や加齢が大いに関係している。ちなみに、そもそもアジア人は欧米人に比べてインスリンの分泌量が少なく、糖尿病になりやすいという。もう1つの原因がインスリンの働きが弱まることで、専門用語では「インスリン抵抗性が高まる」と表現する。その元凶こそ、脂肪なのだ。

「細胞にはインスリン受容体があって、それとインスリンが結合し、信号を細胞に伝えています」

 そう解説するのは、国立国際医療研究センター研究所糖尿病研究センター長の植木浩二郎氏である。

「しかし、内臓脂肪などの脂肪組織から出てくる悪玉のアディポカインやその他様々な代謝物質がインスリンの信号伝達を阻害するような働きをする。するとインスリンがいくら分泌されても、“糖を取り込め”“グリコーゲンに作り替えろ”といったシグナルが伝わらなくなってしまう。これが“インスリン抵抗性が高まっている”状態です」
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糖尿病は一生治らない? 

 ここで気になる疑問を1つ。糖尿病は一旦罹患すると一生治らないのだろうか。つまり不可逆的な病気なのか否かということだが、答えを先に明かしてしまえば、改善可能な場合とそうでない場合がある。その“線引き”に大きく関わるのが、膵臓のダメージと、重い合併症の有無である。

 インスリンは膵臓の中のランゲルハンス島という細胞群のβ細胞から分泌される。ちなみにドイツの学生・ランゲルハンスさんが発見し、「島」のように見えることからその名前がついたという。

「糖尿病の症状が軽い人やなったばかりの人は、まだβ細胞の数が健常者より少し減っている程度である場合も多い。しかし糖尿病が悪化するとβ細胞は減少していく。そして、現時点では、一旦減ってしまったβ細胞が増えることはないと考えられています」(先の植木氏)

 つまり、β細胞の状況によっては、病気を改善できる可能性もある、というわけだ。前出の森永氏が糖尿病を克服した方法については(3)で紹介するが、

「僕の場合、どの医者も共通して言うのは、まだ膵臓の機能が生きていたから何とかなったということ。もし膵臓がダメになっていたら、同じようには出来なかっただろう、と」(森永氏)

 元の状態に“戻れる”のかどうか。それを判断するためのもう1つの指標となるのが合併症で、銀座泰江内科クリニックの泰江慎太郎理事長によると、

「私のクリニックでは覚えやすいように、パンフレットなどには、合併症が発症する順番に“しめじ”と記しています。“し”は神経障害で、感覚が鈍くなり、麻痺が起こる。“め”は眼の網膜症で、眼の奥の細い血管が詰まることで、最悪の場合、失明することも。“じ”は腎障害で、進行すると人工透析を行うことになってしまいます」

【血圧を下げる新常識】今すぐ食生活の見直しを!高血圧と2型糖尿病の合併で高まるリスク

血圧が高いことに加えて血糖値が高いと、厳格な血圧コントロールを医師から指示されることがある。診察室で測る血圧は140/90(単位・mmHg以下同)以上が高血圧。145/95の人は、心筋梗塞といった心血管病リスクは「低リスク」と位置付けられている。ところが、同じ血圧数値でも、生活習慣病の2型糖尿病を合併していると「中リスク」になってしまう。2つが合わさるとどれほど危険なものなのか。

 糖尿病などの生活習慣病の治療や研究を長年行っている東京慈恵会医科大学附属病院糖尿病・代謝・内分泌内科の坂本昌也講師が説明する。

 「海外の研究報告で、心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患になるリスクは、健康な人と比べて、高血圧症だけならば3倍、2型糖尿病だけならば2~3倍、動脈硬化を進める高脂血症は4倍です。この3つが合併していると32倍に跳ね上がるのです。2型糖尿病の人は、高脂血症を合併していることが多いため、高血圧を伴う場合には、血圧を厳格にコントロールする必要があります」

 海外の別の研究報告では、2型糖尿病患者で血圧が正常な人に対し、高血圧症を合併している人の死亡率は高かった。2型糖尿病と高血圧症は、どちらかひとつでも悪いが、ダブルではさらに死亡リスクを押し上げるのだ。国内の高血圧症の人は約4300万人、糖尿病は予備群の人も加えると2000万人以上と推計されている。だが、「少しぐらい数値が高いだけだから」と食生活の見直しをせず、治療も受けていないという人もいるだろう。

 「国内の40歳以上の約7割の人は、メタボ健診で何かしらの異常が見つかるといわれます。あまりにも数が多く、しかも、生活習慣病による自覚症状は乏しいため、放置してしまう人がいるのです。しかし、その先に虚血性心疾患などのリスクが待ち受けていることを、より多くの方に知っていただきたいと思います」

 坂本講師によれば、高血圧症と2型糖尿病になっていると、50代や60代で心筋梗塞や脳卒中にならなくても、将来、認知症を発症するリスクが高まるという。国内では、寝たりきりにならずに自立した生活を過ごせる健康寿命は、平均寿命より約10年短いと報告されている。健康長寿を実現するならば、「ちょっと高い」数値の段階で、食生活の改善に取り組むことがなによりだ。

 「働き盛りの世代は、ストレスを抱えているため、食生活の改善が難しいのですが、今がんばったことは、10年後、20年後の健康につながると考えてみてください」

 あっという間の10年。今すぐ食生活を見直そう。 (安達純子)

【痛風発作】の痛みの原因は?

●痛風発作の痛みの原因は?

痛風は「風が吹いただけでも痛い」といわれるように、耐え難いほどの激痛をともなう発作が起きる病気です。この痛風発作の痛みには、「尿酸」と「白血球」が関係しています。

健康な人の体内では、1日に約600~700mgの尿酸がつくられますが、腎臓からほぼ同じ量が排泄されることで、体内の尿酸量は一定に保たれています。

しかし、尿酸がたくさんつくられ過ぎたり、うまく排泄されなくなったりすると、体内に尿酸が増え過ぎて、血液の中に溶けきれなくなってしまいます。余った尿酸は、徐々に結晶化して、関節の膜の部分に沈着していきますが、突然、はがれ落ちてしまうことがあります。

すると、免疫機能の1つである白血球が、これを異物とみなし、排除するために攻撃しに来るのです。その結果、関節に炎症が起き、激しい痛みが発生し、痛風発作になります。

●尿酸値を上げる要因とは?

尿酸値を上昇させ、痛風を招く要因には、次のようなものあります。

肥満尿酸値が高い人の大半は、肥満であることがわかっています。大食い、早食い、不規則な食事などの肥満を招くような食生活は、尿酸値を上げる要因になります。また、レバーや魚卵、干物など、プリン体の多い食品のとり過ぎも、尿酸値を上昇させます。

アルコール尿酸値が高くなる原因といえば、プリン体の多いビールをイメージする人が多いかもしれません。でも、ビールに限らず、アルコールが代謝されると、尿酸が合成されてしまうのです。またアルコールには、尿酸の排泄を低下させる働きもあります。

ストレスストレスを受け続けると、自律神経や免疫機能、ホルモンバランスが乱れてしまいます。その結果、腎臓から尿酸が排泄されにくくなり、尿酸値が上昇すると考えられています。また、ストレスによる暴飲暴食も、尿酸値を上昇させる要因になります。

激しい運動激しい運動をすると、疲労物質の乳酸が体内にたまり、尿酸の排泄機能を低下させるので、尿酸値の上昇につながります。

このほかにも、家族や親類に痛風患者がいるなどの遺伝的な要素、腎臓病や高血圧の薬の副作用なども尿酸値を上げる要因です。

糖尿病予備軍の糖質管理 カルビだけなら「200人前」までOK

予備群も含めれば2050万人いるとされる糖尿病は、日本の国民病と呼ばれて久しい。「糖尿病には糖質オフ」というのはよく知られた話だが、実際に何がどれくらい食べられるのか。それを見ていく前に、糖尿病のメカニズムを簡単におさらいしておく。

 糖質を摂ると血糖値が上がる。生きていくためにはある程度の血糖値が必要だが、上昇しすぎると余分な糖が血管や神経細胞、腎臓などに負担をかける。それを避けるために血糖値を下げる働きがある「インスリン」が膵臓から分泌されるが、糖質を摂り過ぎる状態が長く続いてインスリンを出す細胞の機能が低下すると、上昇した血糖値がなかなか下がらなくなる。これが「糖尿病」だ。

「空腹時血糖」が126ミリグラム(血液1デシリットルあたり、以下同)以上になると「糖尿病型」と判断される(110~125ミリグラムが境界型、109ミリグラム以下は正常型)。

 糖尿病には大きく分けて、免疫システムがうまく働かないことで発症するとされる「1型」と生活習慣などが原因とされる「2型」があり、日本人の糖尿病の95%以上は「2型」だ。だからこそ食事による「糖質管理」が重要であることは間違いない。

「『糖尿が気になる人』も含め、健康な人なら1食あたり糖質換算で『40グラム』まで食べても心配ないといえるでしょう。それくらいならば血糖値の上昇しすぎにはなりません。すでに発症した人の場合は『20グラム』以下。健康な人の半分の量となります」(高雄病院理事長・江部康二氏)

「糖質40グラム」といわれても、何をどれだけ食べられるかは分かりにくい。

 食事や食材に含まれる糖質の量に加え、どれくらい食べれば上限の「40グラム」に達するか。まずは焼き肉店の定番メニュー、カルビだ。1人前(約90グラム)あたりの糖質はわずか0.2グラム。つまりカルビだけ食べ続ければ200人前でようやく上限値に達することになる。

 ロースや牛タン、トントロなども糖質はカルビとほぼ同じ0.1~0.2グラム。ハラミやホルモンはなんとゼロ。糖尿病に関してはいくら食べても安心だ。

 肉の中で比較的数値が高いのが牛レバー。こちらは1人前の糖質が3.7グラムあるが、それでも10.8人前まで食べられる。どんなレバー好きでも10人前は食べられないだろう。ただしタレには1食分(20グラム)あたり4.9グラムの糖質が含まれる。気になる人は塩やレモンで食べるとよい。

東大医科研特任教授が日本の高血圧治療のデタラメ横行に苦言

製薬会社・ノバルティスファーマの降圧剤「バルサルタン」の臨床試験に関する疑惑でも明らかになった、製薬会社と医師の癒着構造を、専門家たちはどう捉えているのか。

日本の健康基準値の歪みを指摘することでその構造を喝破してきた大櫛陽一・東海大学医学部名誉教授と、医療ガバナンスの旗手として大学医療の中枢から内部告発を続ける上昌広・東京大学医科研特任教授が初対談した。

大櫛:今年4月、日本人間ドック学会が発表した「健康診断(健診)の新基準」は現行の基準から大きくかけ離れているということで日本高血圧学会などの臨床学会から「国民の健康に危険を及ぼしかねない」と袋だたきにあって潰されてしまいましたが、私は150万人を調査対象とした人間ドック学会の方が正しいと思っています。

 私自身が過去に行なった70万人を対象とした大規模調査の基準値とも合致する。たとえば現行基準では年齢も性別も関係なく「上」(収縮期血圧)は130から高血圧と診断されてしまいますが、人間ドック学会は147でも正常。

私たちの調査でも60~64歳の男性は164まで正常値の範囲です。高過ぎると思うかもしれませんが、我々の基準の方が欧米で用いられる最新のガイドラインにも合致しているのです。

上:私は高過ぎる高血圧についてはやはり薬を使用すべきと考えますが、確かに年齢や性別を無視した10数年前につくられた基準が現代に通用するわけがない。とにかく血圧を下げればいいなんてのはデタラメな治療であって、個々の事情を考慮すべきです。

激しい運動は不要 糖尿病改善には半年間の「速歩き」が効く

「今より多く歩けば、激しい運動をしなくても生活習慣病はよくなる」と言うのは、「ゼロから始める『医師が教える』ウォーキング」(KADOKAWA/メディアファクトリー)の監修者、東京山手メディカルセンター・西田潤子健康管理センター長だ。

西田医師はウオーキング医学研究の第一人者のもとでウオーキングによる医学的効果を研究。初心者も熟練者も、知ると得する情報を聞いた。

■生活習慣病予防・改善に「ライフスタイル・ウオーキング」

 ウオーキングには3つの種類があるという。

「運動として行うエクササイズ・ウオーキング、時間をかけて長距離を歩くロング・ウオーキング、そして日常生活の中で意識的に歩くライフスタイル・ウオーキングです。

“ライフスタイル”は仕事や家事の歩きも含め、強度は低くてもある程度の運動量を保つことができ、習慣化しやすい。だから、生活習慣病予防・改善にはベストです」

 歩くための時間を特別につくったり、速足で歩いたり……といったことは不要。昼食の店を会社からちょっと遠いところにするなどでOKだ。

■今よりプラス1000歩を目安にする

 それが難しければ、「1日あたりの平均歩数が5000歩未満の人は3カ月後に平均歩数が倍になるように、5000歩以上の人は1万歩になるようにすればいい」とのこと。チャンスをみつけ、ちょこちょこ歩くようにすれば、結構簡単に達成できる。

■効果を高めたければポイントは3つ

 ①体の中心軸をまっすぐ伸ばす②ひざをすっと伸ばして足を出す③ひざとつま先が正面を向くように着地――の3つだ。

■内臓脂肪型肥満対策は“ゆっくり歩き”から

 肥満は、内臓に脂肪がつく内臓脂肪型肥満が問題。動脈硬化を招いて脳卒中、心筋梗塞のリスクを上げる。

「食事制限だけでなく、ウオーキングで運動不足を解消することが必要。激しくするとひざや腰を痛める恐れがあるので、ゆっくり歩き、毎日少しずつ歩数を増やすように」

■糖尿病予防・改善には食後1~2時間がいい

「境界型糖尿病や軽症の糖尿病にウオーキングは効果を発揮します。インスリンの働きをコントロールできるようになるからで、血糖値が高くなる食後1~2時間の間に少し速めに歩くようにするといい。

最低半年続ければ、血糖を取り込む筋肉の働きが強くなり、インスリンの働きもよくなるはずです。ウオーキングによる血糖値の改善例を見ると、開始から1年後に歩数がアップしている人は、みんな血糖値が下がっています」

■高血圧の人は速く歩いてはいけない

「心臓に負担をかけてしまう。笑顔をつくれるくらいのペースがちょうどいい。事前に医師の健診を受けることも忘れずに」

■痛風なら水分補給を十分に

「痛風に効果的なのは、非常にラクなペースで歩くこと。血液循環がよくなり、尿酸の排泄効果が高まります。さらにクールダウンをしっかりすると、尿酸の排泄が促進されます。

激しく歩くと尿酸値が上がる。また、汗のかきすぎで脱水気味になると、血液中の尿酸値が上がるので、水分補給を怠らないように」

 ウオーキングをするのに適した季節。やってみよう。

デタラメ治療の結果 糖尿病で年間3000人以上が失明、足切断

予備軍を合わせ国内で糖尿病患者は2000万人を超えるといわれるが、その医療では、実に多くの「ウソ」がまかり通っている。そう指摘するのは、高雄病院理事長の江部康二医師だ。

自身が糖尿病の内科医が、日本の糖尿病治療の欺瞞を暴く。
 
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 そもそも糖尿病とは血糖値が高くなる病気のことだ。血糖値が高くなると体内の酸化バランスが崩れ、活性酸素が生じて血管が傷つきやすくなる。また、血糖値が上がると血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンが分泌される。

インスリンは中性脂肪の分解を妨げ、血糖を体脂肪に変えて体重を増やす「肥満ホルモン」であり、高インスリン状態は動脈硬化を招く。

 この病気で本当に怖いのは合併症だ。血糖値の乱高下で血管が老化し、細い血管が傷つくと「三大合併症」と呼ばれる網膜症、腎症、神経障害となり、太い血管が損傷すると脳梗塞や心筋梗塞に至る。

 元凶である血糖値の上昇を招く唯一の原因は、糖質(炭水化物)の摂取だ。

かつて米国糖尿病学会は3大栄養素(糖質、たんぱく質、脂質)のうち「たんぱく質や脂質も血糖に変わる」としていたが、研究が進み「糖質のみが血糖値を上げる」と2004年に見解を改めた。これが他の先進国も認める「国際基準」だ。

 唯一、血糖値を上げる糖質を制限すれば、血糖値上昇を抑えられる私の提唱する糖質制限食はこのシンプルな事実に基づく。

 ところが日本糖尿病学会はこの事実を隠し、2013年11月に発行の『糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版』で「血糖値に影響を及ぼす栄養素は主として炭水化物だが、脂質とたんぱく質も影響を及ぼす」などと記載した。

科学的根拠がなく、世界的な潮流とは真逆の非常識な見解だ。

 学会は現在も糖尿病治療として「炭水化物50~60%、たんぱく質20%以下、脂質の摂取上限25%」、「女性1日1200~1400kcal」、「男性1日1600~1800kcal」のカロリー制限食を推奨する。脂質とたんぱく質を控えれば、血糖値が上がる炭水化物を多く摂取しても構わないというのだ。

 論理矛盾も甚だしいが、この弊害は明らかだ。

2型糖尿病患者が60%の糖質を摂取すると食後の血糖値は必ず200mg/dlを超える。血糖値が180mg/dlを超えると動脈硬化や合併症のリスクが高まることは、世界の医学界でエビデンス(科学的な根拠)として認められている。

 デタラメな治療の結果、年間1万6000人以上が糖尿病腎症から透析を受け、その医療費は年間800億円に及ぶ。

さらに、年間3000人以上が糖尿病網膜症で失明し、同じく年間3000人以上が糖尿病足病変で足を切断している。これだけの患者数が物語るのは学会が主導する糖尿病治療の不首尾に他ならない。

【突然やってくる激痛】痛風発作が起きたときの対処法

●痛風発作の特徴

初めての痛風発作は、多くの場合、足の親指の付け根に、突然、激痛が起こることから始まります。その痛みは強烈で、「これまでに体験した中で最高の痛さ」「万力で締め付けられるような痛さ」などと表現されています。

痛みが起こりやすいのは、親指の付け根以外にも、かかと、くるぶし、足の甲、アキレス腱、膝などがあり、まれに手指の関節に起こる場合もあります。ただし、痛む部分は、通常一箇所だけです。

発作は、夜中から明け方にかけて起こることが多く、痛みが始まって2~3時間ほどすると、患部の関節が赤く腫れ上がり、熱を帯びるようになります。痛みのピークは、そのまま24時間ほど続いた後、数日をかけて徐々にやわらいでいき、10日もすればおさまります。

●痛風発作が起きたときの対処法

発作が起きたら、患部をビニール袋などに入れた氷や保冷剤などで冷やしながら、心臓よりも高くして、安静にします。あまりの痛さに、思わず患部のマッサージをしてしまう人もいるようですが、逆効果になるのでやめておきましょう。冷やす以外は、なるべく患部に触らないことが大切です。

痛みを抑えるために、市販の鎮痛剤を服用しても構いません。ただし、アスピリンなどのサリチル酸を含む薬は、症状を悪化させてしまうので、服用する前に、薬の成分をきちんと確認してください。

また、アルコールは、炎症をさらに悪化させ、発作を長引かせてしまうので、お酒を飲んで、痛みを紛らわせるのは厳禁です。

●早めに病院へ

応急処置をして、痛みが少し落ち着いたら、なるべく早く病院に行きましょう。痛風専門の外来など、専門医がいる病院で治療を受けることがベストですが、近くにそういった病院がない場合は、内科や整形外科に行きます。

痛風は発作が治まれば、痛みがなくなりますが、それで治ったわけではありません。自己判断で治療やめると、必ずまた発作が起きますし、再発作は一度目よりも痛みが強く、回復するのに時間もかかります。

そして、痛風が慢性化すると、激痛の発作を繰り返すようになり、やがて腎障害や尿路結石などの合併症を招いてしまうのです。そうならないためにも、医師の指示を守り、治療を続けていくことが大切です。

皮膚にコブが出来る場合も...【痛風】の我慢できない症状

●激痛を伴う発作

痛風は、「風が吹いただけでも痛い」といわれるように、激痛を伴う発作が起こる病気です。初めての痛風発作は、大抵の場合、足の親指の付け根などの関節に、突然、耐え難いほどの激痛が走ることから始まります。

やがて患部が赤く腫れ上がり、痛みがしばらく続きますが、だいだい10日ほどすれば、症状はなくなってしまいます。

しかし、尿酸値が高いまま治療を受けずに放っておくと、半年から1年ほどで、再び同じような発作が起きます。そして、発作を繰り返しているうちに、発作が起こる間隔が短くなり、足首やひざなど、ほかの関節にまで、腫れが広がってしまうのです。

●皮膚にコブができる

痛風発作が起きても、治療を受けずに放っておいて、数年から10年ほど経つと、痛風は慢性化し、増え続けた尿酸が、皮膚の下にもたまるようになります。

そして、皮下で尿酸の結晶化が進むと、コブのように膨らんで「痛風結節」になることがあるのです。痛風結節は触っても痛くはありませんが、放置していると徐々に大きくなり、関節が変形したり、脱臼してしまったりして、日常生活に支障をきたすようになります。

●痛風の合併症

発作やコブができるというだけでも、痛風は怖い病気ですが、じつは痛風の本当の怖さは、合併症にあります。

痛風によって、もっとも合併症が起こりやすいのは、尿酸の排泄を行っている腎臓です。腎臓に尿酸の結晶が沈着すると、腎機能が低下していきます。すると、尿酸を排泄する働きも低下するので、さらに尿酸の結晶が腎臓に沈着しやすくなるのです。

その結果、人工透析を必要とする「腎不全」などの深刻な病状につながることがあります。また、腎臓にできた尿酸結晶が大きくなると「結石」になり、それが尿管に流れ出て途中で引っかかると、「尿路結石」になり、激しい痛みや血尿が起こることもあります。

痛風は、食べ過ぎや飲み過ぎなど、乱れた生活習慣によって起こる「生活習慣病」の1つです。痛風の人は、「糖尿病」や「高血圧」、「脂質異常症」など、他の生活習慣病も併発しやすい傾向があります。

そのため、「動脈硬化」を招きやすく、これが脳の血管で起こると「脳血管障害(脳出血や脳梗塞)」に、心臓の血管に起こると「心血管障害(狭心症や心筋梗塞)」になり、命を落とすこともあります。

これらの病気は、痛風でない人にも起こる病気ですが、痛風患者や、尿酸値が高い人ほど起きやすいといわれています。

なぜ痛風はあんなに痛いのか

■足の親指の付け根の外側が好み

 日本語は痛みの表現が豊富です。痛風発作の激痛を「足の親指をペンチで締め上げられるような痛み」とか「風がちょっと足にかかっただけでも痛みが倍増する」とかその激しさを巧みにあらわすことができます。

 痛風の痛みの原因は体内で増加した尿酸です。尿酸は健康人でも常に1200mgくらい存在し、毎日700mg生産され、それと同じ量が排泄されています。この生産と排泄のバランスがとれている間は何の問題も起こりません。

しかし、生産過剰か排泄不足かその両方が起きると、いつもプールされている1200mgを超えることになりますので、過剰の尿酸は血液の中で飽和状態になります。

 血液に溶ける尿酸は血液1dl中に6.8mgまでで、それを超えると理論的にはいつ結晶になってもおかしくなく、7.0mg以上では高尿酸血症と診断され、7.5~8.5mgは要注意、8.5mg以上ではいつ痛風発作を起こしても不思議ではない状態と考えられます。痛風の痛みの原因はこの結晶化した尿酸なのです

 尿酸の結晶は特に足の親指の付け根の外側が好みのようです。他には耳たぶ、腎臓、その他全身の関節などどこにでも集まります。

■尿酸結晶退治に出たはずの白血球が…

 尿酸結晶は顕微鏡で見ると針状の形をしていて通常は身体には存在しない物質ですから、異物として排除する機構が働きます。

 まず出動するのは白血球です。白血球は異物の中でも細菌などの生き物を食べて処分することは得意ですが、尿酸結晶は化学構造式では尿酸ナトリウムという無機の化学物質ですから、白血球がいろいろの酵素を出して溶かそうとしてもうまくいかず、結局白血球自身が自滅する運命になってしまいます。

 そのとき白血球からいろいろの化学物質が出て、その場所が酸性の環境になりやすく、毛細血管が広がり血液量が増え、局所熱が上がり腫れあがり激痛につながっていきます。そして酸性に強い尿酸はますます結晶化しやすくなります。

 人間は忘れ易い動物です。あれほど痛い目にあったのに過度の美食が止められない人、せっかく処方した薬をしばしばのみ忘れる人がなんとも多いことか。痛風発作にはならなくても、尿酸が高い状態はコントロールしておいた方が無難と思われます。

■極端な食事制限は良くない

 尿酸の元の元は細胞の中の核酸とエネルギー代謝で生じるATPといわれる物質です。細胞が過度に分裂したり、エネルギー代謝が過度に活発になると尿酸が増加します。食品は動物性でも植物性でも細胞でできていますので、集中的に過食をすると短時間にたくさんの細胞を壊すことになりますし、過激な運動をするとエネルギー代謝が短時間に集中的に活発化してATPの分解が活発になり過ぎてしまいます。

 しかし、痛風発作が怖くて極端な食事制限をすることは良くありません。栄養不足になってしまいます。

 食事量は朝、昼、夕にできるだけ均等割りにすることがおすすめです。運動はマラソンやトライアスロンなどよりもウォーキングや軽いスイミングの方が無難です。最近は安全でよく効く薬がありますので、食事制限は軽めにして薬でコントロールしながら生活することの方が合理的という考え方もあります。

 過食と運動不足の日々が続かないよう、そして適宜水分摂取を心がけながら過ごして下さい。

男性がなりやすい痛風。それでも飲みたいときのお酒は?

高血圧や糖尿病と言った生活習慣病に男女差はほとんどないのに対し、痛風は圧倒的に男性が多いことは周知の事実です。そもそも痛風とは、ビールを代表とする食品に含まれるプリン体が代謝されて尿酸となり、その濃度が高すぎると結晶となって足の関節などに溜ってしまうことで起こります。

そう考えると確かに平均的に見て女性より男性の方がビールや肉類を多く摂取しているために痛風になってしまう、と考えられますが、単にプリン体の摂取量の差だけがこのような痛風罹患率の男女差をもたらしているわけではないようです。

◆なぜ痛風が男性に多いのか?

痛風が圧倒的に男性に多い理由の一つは、酸化ストレスの差です。酸化ストレスとは活性酸素による体の酸化反応と、それに抵抗する抗酸化反応とのバランスが崩れ、体の酸化反応が強く出てしまう状態のことで、抗酸化ストレスが大きいとそれに対抗するために尿酸濃度を上げて抗酸化能力を高めようとします。

男性は女性より筋肉が多い分、酸素を運ぶための血流の赤血球が多く、これが酸化ストレスを上昇させてしまいます。つまり男性は潜在的に酸化ストレスが大きい=尿酸濃度が高いわけで、女性より痛風になりやすいとされているのです。
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◆女性が痛風になりにくい理由は?

また他の理由として、女性は女性ホルモンのおかげで痛風になりにくいということが挙げられます。女性ホルモンには腎臓に働きかけて尿酸の排泄を促進させる作用があるため、月経が始まる頃から閉経までの間、尿酸値は低く保たれているのです。

また痛風の合併症である尿路結石も、男性ホルモンには結石の成分になるシュウ酸を増やす作用があるのに対し、女性ホルモンには結石ができにくくなるクエン酸を増やす作用があることも分かっています。
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◆痛風でも飲めるお酒はある?

上記により、男性は痛風に注意し、特にお酒はできるだけ控えた方が良いとされています。どうしてもという場合は、ビールではなくウィスキーやブランデー、焼酎などの蒸留酒を選ぶのがお薦めです。

ビールにはプリン体がタップリ含まれているのに対し、蒸留酒にはその蒸留過程によって余分な成分がそぎ落とされているために、プリン体があまり含まれていません。

特にウィスキーの場合は木樽で何年も熟成させるため、樽から痛風を予防するエラグ酸という物質が溶け出しているのです。ただし過ぎたお酒は万病のもと。あくまで適量を保ちましょう。

糖尿病が引き起こすさまざまな合併症

糖尿病には、治療せずに放置しておくと合併症を起こしやすいという特徴があります。生活習慣病である2型糖尿病は、糖尿病それ自体よりも、むしろ合併症のほうが恐ろしいといえます。

合併症は一度発症してしまうと完治することはほぼありません。糖尿病をできるだけ早期に発見して治療を始めなければいけないのは、合併症が発症する前の段階で食い止めるためでもあるのです。

◆発症したら完治が難しい三大合併症

糖尿病には、三大合併症があります。それは、進行すると失明する可能性がある糖尿病性網膜症、人工透析が必要な糖尿病性腎症、そして進行すると手足の切断が必要になる糖尿病性神経障害です。これら3つの疾患はいずれも進行すると死に至る可能性もあるため、できるだけ発症しないように予防策を講じることが大切です。
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◆特定の器官に合併症が生じる理由

では、なぜこれらの合併症が生じやすいのでしょうか? 体内のさまざまな臓器や器官は、ブドウ糖を取り込む際に、インスリンを必要とするものもあれば、そうでないものもあります。

例えば筋肉繊維などは、ブドウ糖を取り込む際にインスリンを必要とするため、どんなに血糖値が高くなっても、インスリンが不足している糖尿病の場合には影響を受けないのです。

一方、網膜や腎臓、末梢神経などはインスリンがなくてもブドウ糖を取り込んでしまうため、血液中の糖の濃度が高くなると、それをそのまま吸収してしまいます。難しい説明は省きますが、高濃度の糖は、これの器官にとって「毒」となってダメージを与えてしまうのです。
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◆ほかにもある糖尿病の合併症

三大合併症のほかにも、糖尿病の恐ろしい合併症はあります。例えば、血糖値が高い状態が続くことで、全身を流れる血管の壁が弱くもろくなる「血管合併症」と呼ばれるものがそうです。

動脈など強度のある血管がもろくなるほか、もともとデリケートで破れやすい毛細血管などは破れて出血を起こす危険性もあります。そうした血管のダメージが脳内の血管で起きれば脳梗塞や脳卒中になりますし、心臓の近くなら心筋梗塞や狭心症などにもなりかねません。また、不整脈になるリスクも考えられます。

さらに、命にかかわらないものを含めれば、合併症はほかにも多数あります。男性ならEDになってしまったり、自律神経のバランスが崩れて下痢や便秘になりやすくなったり、女性なら骨粗鬆症で骨折しやすくなったりします。

また、免疫力が低下するために風邪やインフルエンザなどにかかりやすくなることもあります。糖尿病は、あらゆる種類の疾患につながるとても厄介な病気なのです。

「風がふいても痛い」ってホント?痛風になる原因とは?

糖尿病や高血圧は、生活習慣病の代表格として度々取り扱われますが、痛風もそのような生活習慣病のひとつです。

糖尿病や高血圧は自覚症状が乏しいのに対し、痛風は「風がふいても痛い」という意味の通り、激痛を伴う症状があるためすぐに気づくでしょう。

かつて日本では痛風が見られることはあまりなかったのですが、高度経済成長期に食の欧米化が進み、アルコールの摂取量も増えたことで加速度的に患者数が増えていきました。

2011年の政府の「患者調査」による受療率では、1969(昭和62)年に9万8000人いた患者が1996(平成8)年には15万3000人とピークに達し、直近の調査結果である2011年までには緩やかに減少しているものの11万4000人を記録しています。

◆痛風の原因とは?

痛風を引き起こす直接の原因は、高尿酸血症です。尿酸とは食物に含まれるプリン体が体内で代謝されるときにできる物質で、血液に溶けた状態から尿となって排泄されます。

しかし血液中の尿酸の濃度が高くなると、血液に溶けきれず関節などに結晶として溜まるため炎症を起こし、激痛を引き起こすのです。
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◆どこが痛むの?

大抵の場合足の親指のつけ根に激しい痛みを感じるのですが、足首やくるぶし、膝の関節などに痛みを感じる場合もあり、「足の親指ではないから痛風じゃない」とは言い切れません。

痛みの強さにも個人差がありますから、異常を感じたなら自己判断せずに診察を受けましょう。血液中の尿酸値が7.0mg/dl以上だと高尿酸血症と判断されます。
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◆痛風になってしまったら

痛風も、前述の通り生活習慣病ですから、その予防も生活習慣を改善することで行えます。

特に食事によるプリン体の摂取には気をつけましょう。肉やレバーにはプリン体が多く含まれています。逆にプリン体の少ない食品には米やパン、ジャガイモなどの穀類、野菜、果物などが挙げられます。

しかしプリン体の摂取を控えることは痛風予防に良いこととはいえ、一定量までは体がきちんと尿酸として排泄してくれますから、あまり神経質になりすぎる必要もないでしょう。

ただ、ビールなどのアルコールにはプリン体が多く存在し、またアルコール摂取によって食欲が増進されて食べ過ぎてしまうので、できるだけ飲酒は控えるほうが賢明です。また水分をよく摂って排尿回数を増やし、プリン体を体内から逃がしましょう。
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◆日々の生活でできること

食事療法と共に運動療法も取り入れるとより効果的な予防となります。ただしダイエットと称して激しい運動をしてしまうと逆に尿酸値は一時的に上昇してしまいます。意識的によく歩くなどして、適度な有酸素運動を日常生活に取り入るとよいでしょう。

時間がたっても改善しない? 産後うつ病とマタニティブルーズについて知っておこう

不安で大変だった出産も無事に終わり一段落、待ちに待った赤ちゃんにも会えて、うれしくてたまらないはずなのに、心にぽっかり穴が開いたように、どこか悲しい気持ちに。えっ、これってもしかして……。

■症状は産後2~3日以内に現れる

 産後2~3日で、30~50%の方が、情緒不安定(笑ったかと思うと次には泣いている)になったり、不眠、抑うつ気分、不安感、注意散漫、イライラ感などの精神症状を経験します。

これらの症状ピークは産後の5日目頃で、10日目くらいまでには軽快してきます。

これがマタニティーブルーズ(マタニティーブルーと呼ばれることもあります)で、胎盤からの女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少するなど生理的要因が強くかかわっていると考えられています。

 マタニティーブルーズの特徴は、とにかく短期間で症状が現れて消えてゆく(一過性の)こと。だから、無理に前向きにと思う必要はありません。そのままでいいのです。

ただ、何となく悲しいことを信頼できる人に伝えられるといいでしょう。身近な人にはかえって話しにくいかもしれません。そんな場合は、信頼できる助産師さんか医師に話してみるといいでしょう。

■心が弱いから、なるのではない

 不眠などにより心身の消耗が著しい場合には、夜間は赤ちゃんを預かってもらい、ゆっくり休むだけで症状が軽快することが多いでしょう。薬剤を使うことは通常ありませんが、不眠などの症状が強い場合に睡眠薬や抗不安薬を処方することがまれにあります。

 分娩後1週間は、特に異常もないのに情緒不安定になる可能性があるということ。それは誰にでも起こりうること。もし自分がそうなったと感じても、思いつめず、そのままでいれば時間が解決してくれるということ。ぜひこれを知っておいてください。

 家族の方には、マタニティーブルーズは生理的な症状で、心が弱いからなるのではないということ、この時期は「しっかり!」と励ますのではなく、あたたかく見守って欲しいということを知ってもらいたい。

■時間がたっても改善しない場合は、産後うつ病の疑いも

 マタニティーブルーズは産後10日以内の一過性の症状であるのに対し、産後数週間から数ヵ月以内で気分が沈むようになり、周囲に対する興味や喜びが感じられない、不安、緊張、集中困難、不眠、必要以上に罪悪感を抱いて自分を責める、

自分はまったく価値のない人間だと感じるなどの心の症状がでてきて、2週間経っても改善しない場合や悪化傾向がみられる場合には、産後うつ病が疑われます。疲労、頭痛、食欲不振などの何らかの身体的な症状を伴うことも、通常のうつ病と同じです。

■赤ちゃんの健康や母乳に関する心配が多い

 産後うつ病の特徴は、「自分の赤ちゃんが泣きやまないのは、何か子どもに大きな病気があるからだ」という気持ちにとらわれたり、「私のような母親では赤ちゃんに申しわけない。死んでしまおうか」など、訴えの内容が母親本人についてではなく、赤ちゃんの健康や母乳に関する心配など、育児に関連した内容が多いことです。

■産後うつ病はれっきとした病気です

 産後うつ病の多くは、周囲の理解とサポートが有効な、育児には著しい障害をきたさない軽度から中等度のものです。精神科など医師の治療は必要のないことも多く、母親の気持ちを父親をはじめとした家族に打ち明けたり、自然に改善していくことも多いでしょう。

ただし、産後うつはれっきとした病気です。症状が改善しない場合は、決して無理をせず、頑張らずに、早めに医師に相談してください。軽度から重症までを含めると、約10%の産後ママが産後うつ病になると考えらています。

 症状が長引くときは、抗うつ剤や抗不安薬、睡眠剤などの処方やカウンセリングが必要です。適切な治療がなければ、症状は進行してゆき、重症になると入院加療となるでしょう。

 母親の産後うつ病は改善しても、将来の再発する可能性も高まるので、長期的なフォローも大切です。

また、母親がうつ病の場合は子どもの精神的発達に少なからずネガティブな影響を及ぼすことが知られています。お母さんの治療と同時に、子どものケアの配慮が必要となります。

「うつ病の自覚が14年間ないまま放浪」した女性が執筆した書

長年の体調不良が、ついに呼吸困難となって表れ、死の淵に追いやられたことを自覚したノンフィクション作家の工藤美代子さん(63才)。

それが思いもよらないうつ病だったことを知らされ、新たな治療と病院探しに奔走することになる。自らの闘病体験はもとより、他の体験もルポし、そこから見えてきた、現在のうつ病治療、うつ病ゆえの社会の偏見など、全国で100万人を超えるといううつ病の実態を多角的にあぶり出す書『うつ病放浪記』(講談社)を出版した。

 絶えない笑顔、工藤さんへのインタビューは楽しく、時間を忘れる。こんな著者がうつ病で、「今も治療薬をのんでいます」と言っても、驚くだけだが、

「私自身も、まさか自分がなるとは、という思いでしたね。思い当たることがないんですもの。仕事で締め切りに追われるようなストレスはないし、夫に愛人がいるとも思えない(笑い)。自己実現欲望もないですし、100円ショップに行っていれば充分に楽しい私なんですから」

 夫婦ふたりの暮らしゆえ、日々の家事は負担に感じるほどのものでもない。ところが、今からほぼ2年前の冬、突然呼吸困難に陥り、死の恐怖がよぎった。救急車で病院へ搬送されて、さまざまな検査を受けた。

 でも、どこにも異常はない。死の恐怖から解放されて、安堵の涙を流す著者に、精神科の医師が言った。「うつ病の薬をのんでみませんか」。

「次の瞬間、“私は違います。だって、自殺しようと思ったことも絶対にないですから”と私は大声で叫んでいたんです。私がうつ病になる理由なんかない、と。だから、抗うつ薬ものみたくない、と抵抗しました。薬は一度のんだらやめられなくなるのでは、という恐れもありました」

 医師は冷静に続けた。

「工藤さん、あなたの症状を伝えたら、どこの精神科でもうつ病と診断しますよ」

 著者は48才のとき子宮筋腫で子宮の全摘手術を受け、そのころからめまい、頭痛、手足のしびれなどに苦しんできた。いくつもの病院を渡り歩いたが、更年期障害、自律神経失調症と診断された。そんな苦しみの14年間が、実は「うつ病との自覚がないまま放浪」の日々だったことを初めて知るのだ。服用に抵抗があった抗うつ薬も、のんでみると、

「歩くとき足を上げるって、こんなに楽なことだったのね、という驚きだったんです。それまで足はいつも水に浸かっているような冷たさで、足取りは重い。かといって、お風呂に入ると心臓がどきどきして怖いし、入ろうという元気もなくなっていたんです」

 通っていた整体院で、「加齢臭がしますよ」と言われたことがあるが、「シャンプーも満足にできないのだから、当然だと思った」と今は笑って話せる。

血糖値管理、採血いらずに 糖尿病患者の「痛み解放」

糖尿病のためインスリンを自己注射している患者が、血糖レベルを常時確認できる装置が2017年に登場、9月からは保険適用になった。指から血を採って血糖値を測る従来の方法と比べ、身体の負担が少ない上、数値の上がり下がりを連続的に見られるため、危険な低血糖になるリスクを減らせる。糖尿病治療の姿を大きく変える可能性を秘めている。

 「血糖値が下がりすぎたりしていないか、気になったときにいつでもさっと確認できる。長年のストレスから解放された」。華道家の假屋崎省吾さんはこう語りながら、シャツの左袖をまくって見せた。左上腕には五百円玉大の白いセンサーが貼り付けてある。
 そこにスマホを一回り小さくしたような読み取り装置を近づけると、約1秒で皮下のグルコース(ブドウ糖)値が、無線で読み取られてディスプレーに表示される。服やコートの上からでも、データの読み取りができる。

 假屋崎さんが装着しているのは、アボットジャパン(東京・港)が今年から国内で医療機関を通じて供給している「フリースタイル リブレ」という装置だ。センサーは微小な針が、皮膚のすぐ下にある間質液中のグルコース濃度を常時測っている。センサーは2週間ごとに取り換える。装着中に入浴や水泳・ランニングなどの運動も可能だ。

 假屋崎さんは約15年前にストレスによる過食が原因で糖尿病を発症。食事療法などに加え、血糖値をコントロールするためのインスリン注射を行っている。血糖値や注射のタイミングなどを知るため、指先に針をさして少量の血を採って血糖値を測ることを続けてきた。インスリンを使っている患者が最も気にしているのが、インスリンの効きすぎや過剰な運動によって低血糖状態になってしまうことだ。低血糖は発見が遅れると意識障害や意識不明になるリスクがある。このため患者は食事の前後や就寝前後など多い人は1日7~8回も採血を伴う測定を行っている。

 假屋崎さんが「痛みを伴う採血が苦痛だった」というように、この方法は患者の負担が大きかった。今回の装置は、連続測定をしているため、変動のパターンをたどることができるほか、血糖値が上昇中なのか下降中なのかの判断もできるメリットも大きい。
 西村理明・東京慈恵会医科大学准教授は日本に先行して「フリースタイル リブレ」を使っている海外の検証例をもとに「1日当たりの血糖値のチェック回数が増えるほど、低血糖になるリスクが下がる傾向がある」という。血糖値の変動パターンを見て、インスリン注射の回数やタイミングを工夫できるためだ。

 同様の装着型センサーを使って、最長14日間の計測を行い、患者がこれを医師に持ち込んでデータを見てもらう方法もある。これは昨年12月から保険適用になった。これまでに100件近い実施例がある松浦クリニック(東京・渋谷)の松浦憲一院長は「長期の連続データをもとに患者の血糖の変動パターンを見える化できるので、治療方針の見直しなど的確な指示ができるようになる」という。

 患者の負担額は、自分でチェックする装置を使う場合、3割負担で月額5000円ほどになる。現在は、インスリンなどを使っている患者だけが対象だが、西村准教授は「健診で血糖値が高めだと言われた人が、こうした装置でチェックして進行を予防するといった利用法も有望だ」と話す。

■糖尿病の疑い 1000万人 インスリン使用は130万人

 糖尿病は血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が異常に高くなる病気。血糖値を正常に保つホルモンであるインスリンが膵臓(すいぞう)の障害で全く分泌されなくなる1型糖尿病と、肥満や運動不足、ストレスなどをきっかけにインスリンの分泌が減ったり、効きが悪くなったりする2型糖尿病に大別される。血糖値が高いと血管が傷つき、網膜症や腎症などの合併症のほか、脳梗塞や心筋梗塞の原因になる。血流障害によって足が壊疽(えそ)を起こして切断を余儀なくされることもある。治療は食事制限や運動療法、血糖値をコントロールするインスリン療法などがとられる。1型の場合はインスリン使用が必須となる。

 厚生労働省が4~5年ごとに行っている国民健康・栄養調査によると、2016年に糖尿病が強く疑われる人は、全国で約1000万人に上ると推計された。高齢化を背景に、前回推計の12年調査から約50万人増えて、初めて1000万人の大台に乗った。インスリンの使用患者は130万人を超えるとみられている。

太っている人だけじゃない! 高血圧症のリスク

高血圧とは、文字どおり血圧が正常よりも高くなっている状態を指します。では、そもそも血圧とは何でしょうか?

 私たちの全身に張りめぐらされた血管には、心臓のポンプ作業によって血液が送り出されています。この心臓のポンプから送り出される血液が、動脈に与える圧力が「血圧」です。

心臓は収縮と拡張を繰り返すことで血液を送り出していますが、収縮している時には血液が勢いよく送り出されているので血圧が高くなり、拡張している時には勢いがないので血圧は低くなります。

血圧を測定した際の「上の血圧」とは心臓が圧縮したときの、「下の血圧」とは拡張したときの圧力というわけです。
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◆上と下、どちらの血圧が高いのかを知る

この「上の血圧」と「下の血圧」のいずれかが正常値より高いと、高血圧に分類されます。ただし、どちらの血圧が正常値よりも高いかによって、そこから生じ得るリスクなども異なります。

したがって、ただ「血圧が高い」だけでなく、上と下、どちらの血圧が高いのかを知っておいたほうが、治療をしたり日常生活で気をつける点を考えたりするうえで重要となります。
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◆自覚症状が出にくい高血圧

血圧が高くなっても、ほとんどの場合には自覚症状はなく、血圧を測定して初めて自分が高血圧だったことを知るという人も多いようです。

頭がぼーっとするなどの自覚症状が出るケースもあるようですが、多くの場合、自覚症状が出るほど重度になると、その時点で脳卒中や心筋梗塞などの発作を起こすリスクが相当高くなっている状態だと言われています。
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◆血圧が高いとどうなる?

血圧が高くなる、つまり心臓から送り出される血液の圧力が高くなりすぎると、血管がその勢いに耐えられなくなってしまいます。太くて丈夫な動脈と違って、静脈や毛細血管などはもともと作りがデリケートなのです。

血圧が高くなると、血管のカーブしている部分などに特に強い圧力がかかるため、静脈や毛細血管が破れることも考えられます。血管のダメージが心臓近くで起きれば心筋梗塞や狭心症、心不全につながりますし、脳の近くなら脳卒中や脳梗塞などのリスクが生じます。
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◆高血圧に対する治療法

高血圧の治療としては、それほど重度ではない場合には、生活習慣や食生活を見直す方法が選択されます。重

度の場合には、それらに加えて薬物治療によって血圧を下げる方法が適用されます。食生活としては、塩分を控える、カフェインなど神経を刺激するものを避ける、飲酒や喫煙などを控える──といったことが大切となります。

高血圧は肥満などの体型とは関係なく発症するものなので、自分はスリムだからといって安心はできません。家庭用の血圧測定器を使って、普段から血圧をチェックする習慣をつけることも効果的です。

糖尿病と食事の関係【糖尿病患者が食べていいもの・ダメなもの】

糖尿病を発症してしまった場合、一般的には運動療法や食事療法といった治療法がとられます。その中でも食事療法は、それまで好んで食べていた食材がNGになってしまうことも多く、慣れるまでに根気と時間がかかります。

特にお米やパンなどの炭水化物が大好きという人にとっては、食事を楽しめなくなってしまうかもしれません。

◆食事療法の基本

では、なぜ糖尿病の治療に食事療法が必要なのでしょう? 糖尿病は、血糖値を正常に保つインスリンが十分に分泌されず、血糖値が異常に上がってしまう病気です。これが長期にわたると、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などの糖尿病慢性期合併症につながります。

そこで糖尿病の治療では、血糖値の上昇を防ぐためにバランスのとれた食事をし、さらに運動によって血液中の糖をエネルギーとして燃焼させるという方法をとります。
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◆血糖コントロール

糖尿病と診断されて食事療法を行う場合、どんな点に気をつければよいでしょうか? 食事療法の考え方にもいくつかありますが、肝心なのはまず、血糖のコントロールです。

糖質(炭水化物)を摂取する際も、血糖値の上がりやすい白米や食パン、うどんなどの精製された炭水化物ではなく、玄米や全粒粉の小麦粉などに代えることで血糖値の上昇を緩やかにすることができます。

また、タンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルといった各栄養素をバランスよく摂取することでも、血糖値の上昇を抑えられます。さらに、毎日きちんと3食、決まった時間に食事をすることも、血糖コントロールをするうえでは重要です。
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◆総カロリーにも注意

また、1日の摂取カロリーも制限します。1日の適正カロリーはその人の体格や日々の運動強度にもよるので一概には言えませんが、「腹七分目」がひとつの目安となります。より正確な適性カロリーは、お医者さまと相談して決めましょう。

カロリーを抑えることで、太り気味の人は肥満の解消にもつながります。最近では糖尿病の人向けの食事メニューが書籍やウェブサイトなどで多数公開されているので、それらを参考にするのも手です。

若いうちから知っておきたい糖尿病についての基礎知識

生活習慣病の代表的存在として知られる糖尿病。その名称から、甘いものをたくさん食べるとかかってしまう病気と考えている人もいるかもしれません。しかし、その認識はいささか的外れです。

糖尿病をひと言で表現するなら、「炭水化物の代謝障害によって血糖値が以上に高くなる病気」です。

◆血糖値が異常を示す病気

お米やパンなどの主成分である炭水化物は、体内に入るとブドウ糖へと分解されます。ブドウ糖は体を動かすのに必要なエネルギー源として、血液に含まれます。

血中のブドウ糖の濃度(血糖値)は、通常、インスリンをはじめとするホルモンによって血液内で一定範囲内の濃度に保たれます。糖尿病はこの調節機能が正常に働かなくなり、血中のブドウ糖の濃度(血糖値)が異常に高くなる病気です。その結果、糖が尿と一緒に排出されるなどの症状が出ます。
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◆糖尿病に見られる諸症状

糖尿病は、初期段階では自覚症状がほとんどない疾患としても知られています。生活習慣病を意識せずに生活していると、気がついた時には重度の糖尿病になっていた、ということも珍しくありません。

糖尿病が進行すると、尿の頻度が増える、目がかすみやすくなる、また、口内が異常に乾く、などの症状が出るようになります。また、カラダがいつもだるくて何もする気が起こらないという自覚症状も多く見られます。
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◆糖尿病が疑われる時は?

糖尿病の診断には血液検査が行われます。血液中の血糖値やブドウ糖負荷試験など複数の検査が行われ、1つでも基準値を超えると糖尿病と診断されます。

ハッキリとした自覚症状が出ている重度の場合には、1度の検査ですぐに診断できることもありますが、血糖値は空腹時や時間帯、体調などによって変化するため、何度か検査を行ってから診断されることもあります。

何回も検査が必要だと言われからといって、病気が重度だったり、他の深刻な疾病を併発しているととは限らないので、むやみに心配する必要はありません。
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◆糖尿病と診断されたら

糖尿病と診断された人は、軽度の場合は食事療法と運動療法による治療を行います。

一方、重度の場合、体内でブドウ糖を分解するインスリンが十分に分泌されていない場合には、薬物療法としてインスリン注射による治療が適用されます。糖尿病は、進行するとインスリンの分泌能力が低下する場合があります。

そのため、日常生活を送るうえでは不自由がないような場合でも、薬物療法が必要と判断されることもあります。糖尿病には即効性のある治療法がないため、治療には長い期間がかかります。食生活や生活習慣を見直しつつ、根気よく病気とつき合っていきましょう。

【自宅で簡単】高血圧をチェックする正しいやり方

●血圧の自己測定をする

高血圧を管理するためには、自分の血圧を正しく把握することが欠かせません。そのためには、毎日、血圧の自己測定をすることが大切です。なぜなら、病院で血圧を測ると、「白衣高血圧」といって、緊張して一時的に血圧が上がってしまい、正確に計れないケースがあるからです。

家庭で血圧を測ると、毎日同じ時間、同じ条件のもと、リラックスした状態で測定できるので、より正確な血圧を把握することができます。また、日々の血圧を記録しておけば、医師の診断にも役立ちます。

【測定するタイミング】
・朝晩それぞれ1回以上計ります。
・朝は、起床後1時間以内、排尿後、薬の服用や朝食の前に、いつも自分が座る姿勢で、1~2分間安静にした後。
・夜は、就寝前に、いつも自分が座る姿勢で、1~2分間安静にした後。
・飲食、入浴、運動、おしゃべり、喫煙をしたときは、30分以上経ってから測定します。
・測定する5分前までに、トイレは済ましておきます。

【測り方】
・家庭用血圧計にはいろいろな種類のものがありますが、上腕に巻くタイプがもっとも正確に計れます。
・腕は机などに乗せ、心臓と同じ高さで血圧を計るようにします。

●早寝早起きを心がける

朝、時間がなくてバタバタしていると、慌ただしい動作や気持ちの焦りで、血圧が上昇してしまいます。ゆっくりと余裕を持って、朝の時間を過ごせるように、早起きをする習慣を身につけましょう。

また、眠っているときは血圧が下がるので、高血圧の人でも、睡眠中は血圧が正常になっていることが多いのです。このため睡眠中は、昼間の高い血圧によって傷ついた血管を、修復できる貴重な時間帯です。夜はなるべく早めに寝て、しっかりと睡眠時間を確保しましょう。

●寒さにも注意

冷たい冷気に触れると、体温を逃さないように交感神経が働いて、血管を収縮させるので、血圧が上がってしまいます。冬場に外出するときは、手袋やマフラー、帽子、マスクなどを着用して、肌が外気に触れないようにしましょう。衣類は、厚手のものを1枚だけ着用するよりも、重ね着したほうが、空気の層ができて温かくなります。

また、暖房の効いた室内から冷えきったトイレに移動する、冷えた寝室で暖かい布団から出たりするなど、寒暖の差が激しいと、一気に血圧が上昇してしまいます。

部屋を出るときは、上着を羽織る、目覚める前に寝室が暖かくなるように、暖房のタイマー設定をしておくなど、温度差をなくすように工夫しましょう。

妊娠中だけじゃない?「葉酸」には高血圧を防ぐ効果がある?

血圧を予防するにはどうしたらいいでしょうか? 実は、同じ疾病に対する予防でも、その方法によって男性と女性で効果が異なるケースがあります。

男性には効果がある方法でも、女性に対してはあまり効果が期待できないということも珍しくありませんし、逆の場合も同様です。また、同じ女性でもホルモンバランスや妊娠・出産の回数など、さまざまな条件によって最適な方法が異なります。

したがって、万人にオススメできる予防策というのはなかなかないというのが実情なのです。しかし、そんな中で、多くの女性に一定の疾病予防効果が確認されている成分があります。それが「葉酸」

妊婦以外の女性にも効果あり

葉酸は、妊娠中の女性がサプリなどで摂取すると言われている成分の1つで、細胞の合成や修復を助ける、赤血球の合成を促すといった働きを持ちます。近年では胎児の正常な発育に必須の栄養素として、妊婦が摂取することが勧められている栄養素なので、ご存じの人も多いでしょう。

実は、この葉酸が有効なのは妊娠中に限ったことではなく、成人女性の高血圧に対する予防効果があることが確認されているのです。
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葉酸を多く含む食品とは?

葉酸は、レバーやウナギ、ウニ、モロヘイヤ、パセリなどの食物に多く含まれている成分ですが、普段の食生活で十分な量を摂取するのは簡単ではありません。

そのため、この成分を効率的に摂取したいときは、サプリメントを利用するといいでしょう。

サプリで葉酸を毎日摂取していると、高血圧になる確率を20%ほど抑えられると言われています。葉酸は人間の体には必須の成分の1つですが、高血圧の予防の面でも積極的に摂取したい栄養素と言えます。
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効率的な摂取にはサプリがオススメ

それでは、どのぐらいの量を摂取するのが理想的なのでしょうか? 

厚労省によれば、1日あたり0.4mgが目安とされています。一般的な食品でこの量を摂取するには、100%のオレンジジュースで1リットル。これを毎日続けるのは現実的ではありませんね。

また、レバーやウナギ、モロヘイヤといった上記の食品も、毎日食べ続けるのは困難です。

その意味でも、確実に必要な量を摂取するには長く続けやすいサプリを利用するのが効率的と言えます。価格的にもそれほど高価なサプリではないので、1か月あたり1000円以下で続けられるものを選ぶといいでしょう。

糖尿病にかかりやすい人ってどんな人?

俗に、大人になっても甘いものが大好きな人は糖尿病にかかりやすいと言われますが、この疾患は甘いものと直接的な関係があるわけではありません。実は、生活習慣病である糖尿病(2型)の発症する原因は、完全には明らかになっていません。

現在は、遺伝的に糖尿病になりやすい体質の人が、糖尿病になりやすいような生活習慣を送ることで発症するという見方が一般的です。

糖尿病にかかりやすい生活習慣とは

では、遺伝的に糖尿病にかかりやすい体質の人の場合、どんな生活を送っていると糖尿病を発症しやすいのでしょうか?

 ひとつは「肥満」です。肥満と糖尿病の直接的な関係は、まだ完全に解明されたわけではありませんが、血糖値を適切に保つためのホルモンであるインスリンの働きが、過剰な体脂肪によって妨げられるのではないかと考えられています。

つまり、肥満につながるような食生活を送っている人は要注意といえます。

ほかにも、運動不足や喫煙、ストレスなどがリスク要因として指摘されています。ただし、糖尿病はこれらのほかにも多くの要因が複合的に作用することで発症するものなので、これらをすべてクリアしたとしても発症する可能性はゼロではありません。

逆に、肥満だからといって必ず発症するわけでもありません。その前提をふまえたうえで、糖尿病になるリスクをできるだけ小さくするには、規則正しい生活やバランスのとれた食生活、適度なストレス発散といったことを心がけるとよいでしょう。
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糖尿病は自分で防げる?

糖尿病は世界中で見られる病気ですが、日本人の場合、9割以上は生活習慣が大きく影響する「2型糖尿病」と呼ばれるものです。つまり、日本人の糖尿病は、生活習慣や食生活に気をつけるだけで回避できる可能性が大いにあるのです。

糖尿病予備軍は「血糖値が低い」と安心するのは間違い

このところ過ごしやすい日が続いて体調がいいという人も多いはず。しかし、糖尿病予備群の人は油断してはいけない。たまたま測った血糖値が春の健康診断よりも良かったとしても、それで安心していると数カ月後に糖尿病を発症しているかもしれない。サラリーマンの病気に詳しい、「弘邦医院」(東京・葛西)の林雅之院長に聞いた。

■秋は低いのが当たり前

「血糖値の季節変動については国内外で複数の研究論文がありますが、いずれも一年中で夏から秋にかけて低く、冬から春にかけては高くなる傾向にあります」

 岐阜県高山市内の総合病院が2012年までの4年間に同院でHbA1cを測定した患者を調べたところ、年によって違いがあるもののHbA1cが最も高かったのは1月と3月で、最低月は8、10、11月だった。HbA1cの平均値が1年間で一番高かった月と低かった月の差は0.35~0.50%。富山、大分、福島などでも同様の報告が行われており、高低差はおおむね0.2%だった。

「こうした傾向の理由のひとつに運動不足が挙げられます。高山市は1、2月の平均気温が氷点下になる場所です。他の報告も同じように気候の厳しいところで行われていることから、夏は体を動かせるのに冬は寒くて運動不足になるのが原因ではないかと考えられているのです」

 冬はクリスマスやお正月などのイベントも多い。その際の過食もその理由のひとつという説もある。

「ならば、その時期に節制すればよいと考える人もいるかもしれません。しかし、HbA1cに対する食事の影響は1カ月前が50%、2カ月前は40%、3カ月前は10%程度に過ぎません。お正月やクリスマスの過食の影響だけが3月のHbA1cの高さの理由にはなりません」

 実はアラスカからフロリダまでを含めた米国の退役軍人を2年間追跡した結果でもHbA1cは冬から春に高く、夏から秋にかけて低いことが分かっている。

「つまり過食や運動不足以外の理由でいまはHbA1cが下がっている可能性があるのです」

■冬にかけて一気に上がる

 問題は、秋のこの時期にHbA1cが要経過観察・生活改善値となる6.0~6.4の人は、冬になると要治療となる6・5を簡単に超えてしまう可能性があること。

「それを知らずに、“オレは過食や運動不足を続けてもいずれ血糖値が元に戻る体質だ”などと思い込んでいる人は、寒くなると合併症予防の目標値の7.0も簡単に超えて、気がついたらインスリン注射のお世話になってしまいかねません」

 糖尿病の境界型の人はいま、どんなことに気をつければよいのか?

「内臓の脂肪の多い人はいまの体重から4~5%減らしましょう。糖尿病の発症率を抑えられるとの報告もあります」

 どうしても体重が減らない人は筋肉をつけることに専念するのも手だ。

「筋肉は糖分の保管場所で血糖値の調整も筋肉で行われます。筋肉量が減ると糖分の居場所がなくなり、血糖値が上昇するのです。加齢とともに太ももやお腹を中心に筋肉は減るので中高年は重点的に鍛えるのがよいでしょう。運動嫌いなら階段を下りる習慣をつけましょう。上りより下りの方が筋肉は鍛えられます」

 そのためにプロテインを朝食前に飲むのもいいかもしれない。

「プロテインは飲んで筋トレをすると筋肉がつきやすくなるだけではありません。牛乳成分からつくられ吸収が早いホエイプロテインを食前に飲むと血糖値を改善するといわれています。血糖値を下げるインスリンの分解を促進するホルモンを抑制する働きがあるからです」

 ただし、プロテインの過剰摂取は健康を損なう恐れがある。食事で取るタンパク質の量との調整をしつつ、腎臓や肝臓の悪い人は医師に相談する必要がある。

「果物は意外に血糖値を上げないといわれます。食物繊維のおかげで血糖値を抑える、腸管での吸収が遅いうえ多くはエネルギーに使われるからです。ただし、食べ過ぎれば血糖値は上がります」

 ちなみに糖尿病患者が1日で取ってよい果物の目安はりんごなら半分、みかんなら2個だ。

「お酒のアルコールは体内でブドウ糖にならないためにそれ自体が血糖値を上げることはありません。しかし、肝臓内のグリコーゲンをブドウ糖に変える働きを促進するため一時的に血糖値を上げます。おつまみの揚げ物は衣に使われている小麦粉が血糖を上げる一因となります。いずれも取り過ぎに注意が必要です」

ビールを美味しく飲むために… 知っておきたい痛風の仕組みと関連性(2)

 一方で、痛風の発症自体が必ずしも尿酸値の高い、低いで決定づけられるとは一概に言えないという説もある。そこで、痛風の発症メカニズムについて、もう少し詳しく触れておこう。「血液中の尿酸値が高い状態が続くと、関節などに尿酸が溜まって結晶化します。それが剥がれ落ちたとき、白血球が結晶を“異物”と認識して攻撃してしまい、その際に激しい痛みが発作として表れるのです」(同)

 一般的に尿酸の蓄積は健康診断でも示されるが、『日本痛風・核酸代謝学会』のガイドラインでは、血中尿酸濃度が7mg/dlを超えると、年齢・性別を問わず「高尿酸血症」と定義されている。つまり、痛風予備軍の仲間入りをするとしているのだ。「ただし、尿酸値が“7”を超えると尿酸が結晶化しやすいとはいえ、この数値はあくまで目安です。臨床の現場では、7未満でも痛風発作を起こす人がいる。そのため、“7”という数値で線引きするという考えは改めるべきです」(同学会関係者)

 また、東京都多摩総合医療センター内科担当医も、痛風の発作と尿酸値の関係について、こう説明する。「よく言われますが、尿酸値さえ下げれば痛風は起こらない、という考えは間違いです。複数の調査で、尿酸値が高い人は、もともと末期腎不全などの腎機能障害や心血管障害のリスクが高いことが分かっている。こうした患者は、痛風患者と違って命に関わる病気ですので、治療も人工透析が必要です。

しかし、『尿酸値が高いから腎機能障害や心血管障害が起きる』、あるいは『腎機能障害が起きているから尿酸値が高い』、『腎機能障害のせいで心血管障害を起こしやすい』については、まだはっきりと分からないところがあります。言えるのは、こうした機能障害を防ぐには、生活習慣を見直し、尿酸の“低値”を目標にすべきということです」つまり、痛風には未解明の部分があるものの、尿酸値が高いと言われたからといって、直ちに痛風に結び付けるのではなく、むしろ心血管障害などのリスクを負っていることも念頭に置くべきということだ。

 厚生労働省の国民生活基礎調査(2015年)では、痛風で通院している患者は全国で約96万人で、10年前に比べると4倍近く増加していることが分かる。そのうち男性が約9割を占め、発症は30代が最多で20代もまれではない。 生活習慣病の予防アドバイザーの健康管理士・長剛正氏は言う。

 「痛風の発症には、遺伝的な体質と食生活などの環境要因が絡んでいると思います。食事で注意すべきは、プリン体の摂り過ぎ。動物の内臓や魚の干し物、白子などに多く含まれます。もちろん、ビールもプリン体を含み、痛風の原因と言われますが、そもそもアルコールのすべてが、体内で尿酸を大量に作り、尿酸の排泄を妨げます。ビールに限らず飲み過ぎは避けることです」

 肝臓や腎臓は、尿酸を体外に排出する働きを持つが、ビールを毎日のように多量に飲んでいると疲弊し、尿酸の排出機能は低下する。ビールが痛風の“原因”と言われるのも、その状態で蓄積される上に排出が抑制されるという負の連鎖が起こりやすいためだ。豆腐や枝豆、鳥のささみなどのつまみを食べながら、適量でたしなむ…それが美味いビールを飲み続けられる秘訣だ。

ビールを美味しく飲むために… 知っておきたい痛風の仕組みと関連性(1)

 まだまだ続く猛暑。キンキンに冷えたビールを1杯やるのはまさに至福のひと時だ。しかしこのビール、健康面から見ると、かなり誤解されている点も多い。

 ビールを飲み過ぎると“太る”し、足の指がちぎれるほどの痛みに襲われる「痛風」の元凶と言われると、さすがに“ビール党”も黙ってしまう。中でも痛風に関しては、ビール自体が原因と思い込んでいる人が多く、そのために飲むことを避けようとする風潮さえある。

 しかし、医療関係者はこう言うのだ。
 「確かに、ビールにはプリン体という痛風を誘発する物質がありますが、それが痛風の発作を引き起こす“真犯人”のように決めつけてしまうことは誤解と言えます」

 ある大学の研究グループなどによれば、むしろビールは健康を促進する働きが多くあり、動脈硬化などを予防するといった研究結果がいくつも報告されているという。その一つに、ギリシャ・アテネのハロコピオ大学の研究チームが、20代後半から30代前半の非喫煙者17名を対象に行った実験結果がある。彼らに400ml(中ジョッキ1杯)のビールを飲んでもらい、2時間後に心臓や血管といった循環器系にどのような影響があるかを調べたのだ。

 「その結果、被験者たちのいずれも血流がよくなり、動脈の硬さもなくなっていることが分かった。また、ノンアルコールビールやウオッカでも実験したが、動脈の硬さに関してはどちらも一定の効果が見られたが、ビールほどの効果がないことも判明したというのです」(健康ライター)

 つまり、ビールは動脈硬化によって引き起こされる心筋梗塞や脳卒中などの予防にもつながるということだ。また、北海道大学大学院保健科学研究院でも、ビールの原料であるホップに含まれる「キサントフモール」に、動脈硬化を予防する効果があるという研究報告をしている。

 しかし、動脈硬化の予防や健康促進の働きがあることは理解できたとしても、肝心の痛風との関係はどうなのか 総合医療クリニックを運営する久富茂樹院長に聞いてみた。 「ビールにはプリン体が多く、尿酸値を上げるため、痛風の天敵と言われています。

他のお酒に比べてもプリン体が一番多く含まれていますが、実際の含有量を調べると、ビール1杯当たりのプリン体は、ご飯1膳分程度。ビール500ml程度までなら、痛風患者が飲んでも問題ありません。むしろステーキやエビ、納豆などの食品の方が遥かに多く、ビールはこれらに比べても数10分の1と、含有量は少ない。そんなに気にする必要はないのです」

 むしろビールには利尿効果があるし、適量でさえあれば尿酸値を下げる効果も期待できるという。

糖質制限すると糖尿病になる! 衝撃データを公開

糖質摂取量と糖尿病患者の関係について、衝撃のデータが存在する。2002年に1日平均で271.2グラムだった炭水化物(糖質+食物繊維)の摂取量は、2014年に255.8グラムまで減少した。その一方で糖尿病患者は同時期に228万人から317万人まで増加したというのだ。浜松医科大学名誉教授で内科医の高田明和氏が話す。

「この12年間における“糖質制限ブーム”や健康意識の高まりで、日本人の糖質摂取量が1日平均15グラム減ったにもかかわらず、糖尿病患者はおよそ100万人も増えました。もちろん高齢化の影響もあるのかもしれませんが、それにしても糖質制限との『負の相関』が際立っている。この矛盾は、“糖尿病のパラドックス”と呼ばれています」

 人間が摂取した糖質は血液中に溶け込んで「血糖」となり、全身に運ばれて生命活動を維持するエネルギー源となる。血糖の量を示す「血糖値」は食事をすると増加し、通常は食後1~2時間をピークに減少する。

 このとき、一定の時間を超えても血糖値が下がらない状態が「糖尿病」だ。糖尿病になると血糖が血管を傷め、脳梗塞や心筋梗塞など命にかかわる合併症を招くこともある。

 糖尿病対策として重要なのが「血糖値を低くコントロールすること」だ。「糖質制限」によって血糖値を上げる原因となる糖質を減らす。これが近年、主流となっている糖尿病への対策であり、そのための食事法も関心を集めている。

 だが、先に挙げたデータは、糖質制限が糖尿病の対策にならない可能性を示唆している。それどころか「糖質制限が糖尿病の原因となっている可能性がある」(前出・高田医師)というのだ。

「糖質を制限すれば、体内から糖が無くなるわけではありません。体内の糖質が不足すると、脳が活動を維持できなくなるなど命にかかわる障害が出てしまう。それを防ぐために、筋肉を分解して糖を生み出す『糖新生』という反応が起こります」(同前)

 糖新生は、空腹とともにストレスを感じた際に脳から分泌されるホルモン「コルチゾール」によって引き起こされる。だが、筋肉を溶かしてまで糖を生成する「コルチゾール」が分泌されるほどの低血糖状態は、人体にとってかなりイレギュラーなことだという。

「低血糖状態から体を守るために、コルチゾールは糖新生と同時に、上げた血糖値を維持するために『インスリン』の効きを悪くして血糖値が下がるのを防ごうとしてしまいます。そうなると、今度はインスリンが効かなくなってしまう。その結果、血糖値を下げられなくなって、糖尿病になるという可能性が指摘されているのです」(同前)

 高齢者はそのリスクがより大きくなるという。

「高齢者は加齢にともなって筋肉繊維が細くなり、筋肉が衰えている。その状態で糖質制限により『糖新生』が起きると、筋肉がさらに衰えてしまいます。

 筋肉が衰えすぎてしまうと、L-システインというアミノ酸の血中濃度が増し、さらにインスリンの効きが悪くなって血糖値を低くコントロールできなくなることが研究でわかっています」(同前)

 糖質を制限するとインスリンが効きにくくなるうえに足腰が衰え、それがさらなる糖尿病リスクを生じさせる。「糖尿病パラドックス」は「負のスパイラル」に発展しかねない、という指摘である。

◆インスリンを作れない!

 糖質摂取を減らすことが健康法として注目される半面、「糖質制限で糖尿病になる」という説は近年、世界の研究機関が懸念するテーマとなっていた。

 豪メルボルン大学のラモント教授が2016年に科学雑誌『nature』オンライン版に発表した論文によると、「低炭水化物食」(糖質制限食)を与えたマウスは、インスリンを生成する「β細胞」の機能が減少していた。

「糖質制限を始めるとインスリンの分泌が減り、生成元である『β細胞』の活動が低下する。使わないと衰える筋肉と同じように、ある程度の期間、糖質制限を継続すると、休み過ぎでβ細胞の機能低下を招きます。そうなると、糖質を摂取した際に、インスリンを分泌できなくなり、高血糖状態になってしまう」(前出・高田氏)

「ペットボトル症候群」で知らないうちに糖尿病に

 糖尿病治療は、ここ10年で飛躍的な進化を遂げている。国内には多くの罹患(りかん)者がいるといわれているが、治療に対する抵抗などから、早期段階で病院へ行き治療を受ける人は少ないようだ。病気の進行を防ぐためにも、正しい知識を身につけたい。

 東京都に住む会社員の山本宏志さん(仮名・51歳)は、健康診断で血糖値が高いことを指摘された。太り気味ではあったが自覚症状はなく、病歴もない。念のため東京医科大学病院へ足を運び検査をしたところ、血糖値は380ミリグラム/デシリットルだということが判明した。正常値は、空腹時血糖が70~110ミリグラム/デシリットル、食後でも血糖は140ミリグラム/デシリットル未満である。

 山本さんを担当した、同病院の糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授、小田原雅人(おだわら・まさと)医師は次のように語る。

「ここ数年で激増しているのが、ソフトドリンクの大量飲用による糖尿病の発症や悪化です。俗に『ペットボトル症候群』ともいわれています。清涼飲料水は大量の糖分が含まれていますが、冷たさのため甘みをあまり感じず、知らず知らずのうちに過剰摂取してしまいます。水分補給は大切ですが、糖分を含むものを必要以上に摂取しないことです。最近、高血糖による昏睡(こんすい)状態で病院へ運ばれる人も出てきているのです」

 診断時に聞いてみると、山本さんは清涼飲料水を好み、毎日欠かさず飲んでいたという。小田原医師は、この「ペットボトル症候群」の増加を憂えている。

 現在、国内の糖尿病患者は約890万人、予備軍を含めると約2210万人といわれている。

糖尿病の薬(3) 「GLP‐1受容体作動薬」

第4回 砂漠のトカゲから生まれたGLP‐1受容体作動薬

■ インクレチン作用のある注射薬
 前回は、インクレチン作用(食事をすると分泌されるインクレチンが、インスリンの分泌を促し、グルカゴンの分泌を抑えることで血糖値を下げる作用)を持続する飲み薬でしたが、今回はインクレチン作用のある注射薬のお話です。

 インクレチンには、GIPとGLP‐1の2種類があります。糖尿病がある場合、このうちのGLP-1によってインスリン分泌が促されることが研究で確認され、薬としての開発が始まりました。しかし、残念ながらGLP-1は体の中で速やかに分解されてしまうという問題がありました。

■ トカゲの唾液から
 1992年にアメリカドクトカゲの唾液からヒトのGLP‐1と50%以上同じ構造をした物質が発見されました。このトカゲは砂漠に生息し、食べ物に遭遇する確率が低いため、食べられるときに食べられるだけ食べ、体に蓄積します。そのため大量のインスリンを必要としますが、血糖値はほとんど上がることがないといいます。このことから、体内でインクレチンが多く作られているのではないかと考えられたようです。このトカゲの唾液から発見された物質によって人工的に合成、化合されたエキセナチドはGLP-1以上の効果があり、さらに体内で分解されにくく、持続性も兼ね備えていました。そして2005年にGLP‐1受容体作動薬として米国で認可され、使われ始めました。


■ 安全、効果的に使うために
 GLP‐1受容体作動薬はインクレチンを体外から補充するので、DPP-4阻害薬より、強いインクレチン作用が期待できます。また、インクレチン作用は血糖値が高くなりそうなときにだけ効くので、この薬を単独で使用した場合、低血糖が起こりにくいです。注意点としては使い始めに、気持ちわるさや嘔吐(おうと)などの消化器症状が出ることがありますが、継続して使うことで軽減されます。

 GLP-1受容体作動薬は10年に日本で認可され、現在5種類の注射薬があります。毎日注射をする必要がありましたが、近年GLP-1の持続性をさらに高める工夫がされ、週1回タイプも開発されました。週1回の注射器は、空打ちや針の着脱が不要な使いきりの注射です。便利ですがやり直しがきかないので、しっかり注射の手順をマスターし、決まった曜日に忘れずに注射してください。

最後に、GLP-1受容体作動薬はインスリン分泌作用がありますが、インスリンの代わりにはなりません。血糖コントロールにインスリンが必要な場合は中止することなく必ず続けましょう。

富山大学附属病院
薬剤部 格谷美奈子(かくたに・みなこ)

血圧を下げる方法

●ストレスを溜め込まない

血圧を下げるためには、食生活を改善したり、運動する習慣を持ったりすることも大切ですが、もう1つ忘れてはいけないのが、ストレスを溜め込まないようにすることです。

私たちの体はストレスを感じると、交感神経が刺激され、血管が収縮し、血圧が上昇してしまいます。

ストレスをまったく感じずに生活していくのは不可能ですが、マイナス思考に陥りそうになったら気分転換をする、不満があれば我慢しすぎずに相手に伝える、ときには無理せず休む、完璧でない自分を受け入れる、

没頭できる趣味を持つ、意識的に口角を上げて笑うようにする、ゆっくりと深呼吸する、リラックスタイムを持つなど、慢性的にストレスを溜め込まないような工夫をしましょう。

●ギャンブルはほどほどに

ストレスを発散するために、競馬や競艇、競輪、パチンコ、麻雀などをするという人も、少なくないかもしれません。

でも、こういった賭け事や勝負事は、やっている最中に白熱してくると血圧が上昇しますし、勝負に勝って大喜びしたとき、負けて悔しい思いをしたときなど、勝敗がついたときも血圧が上がるものです。賭け事や勝負事はほどほどにし、あまりのめり込まないようしましょう。

●車の運転にも注意

車の運転をすると、長時間緊張を強いられたり、興奮しやすくなったりするので、交感神経の働きが活発になり、血圧が上昇します。なんでも、血圧が正常な人が機嫌の良い状態で運転をしても、収縮期血圧が30~40 mmHgほど上昇するという研究報告があるそうです。

機嫌が良い人でも、これだけ血圧が上がるということは、渋滞に巻き込まれたときやマナーの悪い車、歩行者に出会ったときなどは、さらに血圧が上昇するということ。血圧の高い人は、マイカー通勤をやめて電車通勤にするなど、車の運転を控えめにしましょう。

ただし、満員電車に乗車するのも、血圧を上昇させる原因になります。通勤ラッシュの時間帯を避けたり、各駅停車を利用したりするなど、なるべく混雑を避けるようにしましょう。

高血圧のためのサプリ、トクホ食品

●特定保健用食品って何?

最近では、高血圧の予防・改善を期待できる「特定保健用食品」がたくさん市販されているので、こういったものを利用するのもオススメです。

特定保健用食品(トクホ)とは、体の生理学的機能などに影響を与える特定の成分を含んでいて、「血圧を正常に保つことを助ける」「お腹の調子を整える」なと、具体的な機能の表示が、消費者庁(以前は厚生労働省)によって認められた食品のことです。「トクホマーク」とも呼ばれる許可マークが記載されているのが目印になります。

錠剤や顆粒だけでなく、清涼飲料水や粉末スープ、菓子など、さまざまなタイプのものがあり、スーパーやコンビニやドラッグストア、インターネットの通信販売などで、誰でも手軽に購入することができます。

●高血圧に有効な関与成分は?

血圧を下げるのに有効とされる成分には、「ペプチド類」や「杜仲葉配糖体 (ゲニポシド酸)」などがあります。

ペプチド類高血圧への効果が期待できるペプチドには、かつお節オリゴペプチド、サーディンペプチド、カゼインドデカペプチド、わかめペプチドなどがあります。

これらのペプチド類には、血圧の上昇に関わっている「アンジオテンシンII 」というホルモンの生産に関わる「アンジオテンシン変換酵素」の作用を抑えることで、血圧を下げる効果があります。

杜仲葉配糖体 (ゲニポシド酸)杜仲の葉に含まれる天然成分です。副交感神経に働きかけて、動脈の筋肉(平滑筋)の緊張をやわらげ、血管を拡げて、血圧を下げる効果があります。

●特定保健用食品を利用するときの注意点

ただし、特定保健用食品は健康食品なので、「これさえとっておけば大丈夫」というものではありません。

高血圧の予防・改善は、「塩分摂取を控える」「コレステロールや脂肪の摂取を控える」「カリウムを多く含む野菜や果物を摂取する」「適正体重を維持する」「喫煙や過剰な飲酒をしない」「適度な運動をする」など、食生活や生活習慣を見直すことが基本です。こういったことを続けた上で、補助的に利用するようにしましょう。

また、たくさん摂取すれば効果が上がるというわけでもありません。パッケージに記載されている摂取量をきちんと守りましょう。

そして、降圧剤やほかの合併症の治療薬を利用している場合は、事前に担当医に相談してから、特定保健用食品を利用することが大切です。

目が見えなくなる!? 糖尿病の本当の怖さは合併症にある…!

糖尿病の合併症として発症する白内障を糖尿病白内障と言います。糖尿病白内障にも種類があり、それぞれ原因も異なります。

●糖尿病白内障ってどんな病気?

「糖尿病」は、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンが不足したり、作用が弱まったりすることで、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が慢性的に高くなる病気です。白内障の中には、この糖尿病の合併症として発症するものもあり、これを「糖尿病白内障」と言います。

糖尿病白内障には、高血糖そのものが原因で発症する「真性糖尿病白内障」と、老化現象のひとつである加齢性白内障が併発する「仮性糖尿病白内障」の2種類があり、大半の場合は、加齢性糖尿病白内障だと言われています。

糖尿病で水晶体が白濁するのは、血糖値のコントロールがうまくいかなくなることで「ソルビトール」という物質が水晶体の中に作られて蓄積することや、毒性が高く老化を促進する「終末糖化産物」が蓄積すること、酸化ストレスなどが原因ではないかと考えられています。

しかし、詳しいメカニズムは、まだはっきりとわかっていません。

●症状と対処法

糖尿病白内障になると、水晶体が白く濁ってくるので、視界がかすんで見えたり、濁った水晶体に光が散乱し、明るい場所でまぶしく感じたりするなどの初期症状があります。

この時点では、まだ異変に気づかない人も多いようですが、症状が進行すると、視力の低下も現れるので、視力障害を自覚するようになります。特に真性糖尿病白内障の場合は、症状の進行スピードが早いという特徴があります。

糖尿病白内障の発症・進行には、血糖コントロールや、糖尿病を患っている期間、年齢などが深く関係していると考えられます。特に血糖コントロールは、白内障の発症や進行スピードを遅らせる効果があると期待されています。

しかしいくら血糖コントロールがうまく作用していても、一旦白内障を発症してしまうと、進行を止めることはできません。日常生活に支障が出るほど白内障の症状が進行してしまった場合は、水晶体を人工の眼内レンズに交換する手術を検討した方が良いでしょう。

血糖値が高いなど、糖尿病の病状が安定しない状態で手術を受けると、他の合併症を引き起こす可能性があります。糖尿病のコントロールがうまくいっている状態で手術を受けることが大切です。
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