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高血圧の食事療法は減塩食とDASH食で

【Q】健康診断で血圧が高いと指摘されました。食事と運動に気を付けるように言われましたが、食事はどのようなことに気をつければ、よいのでしょうか?(40代男性)

【A】高血圧は日本で最も多い生活習慣病で、患者数は4300万人に達するともいわれています。多くの場合で無症状ですが、進行すると脳卒中、心臓病、腎臓病などを招く恐れがあり、予防ならびに治療が重要です。治療は食事療法、運動療法、薬物療法に大別されますが、とりわけ食事療法では減塩食とDASH食(※)をうまく組み合わせることが効果的と思われます。

 日本人の食塩摂取量は年々低下傾向にあるものの、1日平均10・4グラムと、諸外国と比べても多いとされています。厚生労働省や日本高血圧学会では、健康な方の一日の食塩摂取量について男性8グラム未満、女性7グラム未満、高血圧の方で6グラム未満を推奨しています。

減塩の方法としては食事量全体を減らして塩分を減らす方法と、塩や醤油などの調味料の使用を控える方法の2つに大別されます。調味料を料理に直接かけるのではなく、お皿に取ってつけることや、ラーメン・そば・味噌汁の汁を飲まないことなどの工夫が有効です。

 続いてDASH食ですが、これはアメリカで提唱された高血圧患者に対する食事方法です。野菜、果物、低脂肪の乳製品、魚、大豆製品、海藻を増やし、肉や脂肪を減らすことが勧められています。また、食事の量を減らすことよりも食事の中身を野菜や果物、豆類に変えることで血圧の上昇を抑えることに重きを置いております。

 これら、減塩食とDASH食を組み合わせることが高血圧の食事療法として有効ですので、ご自分の食習慣に合わせて工夫してみてください。

 (※)DASH食 Dietary Approaches to Stop Hypertension(高血圧を防ぐ食事方法)の略語で、体内から塩分の排泄を促す食材を摂取することで、高血圧を防ごうとする食事方法

 ◆回答者プロフィール 荒木 正(あらき・ただし)03年、東邦大学医学部卒。東邦大学医療センター大橋病院などに勤務後、16年に東京都江東区に亀戸内科クリニック開設。循環器・糖尿病内科医として地域に密着。総合内科専門医。循環器専門医。

糖尿病の下肢切断を回避 注目の「PRP療法」を詳しく知る

血糖コントロールが悪い糖尿病は、足の皮膚の潰瘍を再発しやすく、7~20%が下肢切断になる。これを避ける治療として注目を集めているのが、PRP(多血小板血漿)療法だ。

 下肢切断は生命予後が悪い。術後の死亡率は、1年で約30%、3年で50%、5年で70%といわれている。

「いかに切断を回避するかが重要。PRP療法がとても良い治療成績を出しています」と言うのは、聖マリアンナ医科大学病院形成外科学の相原正記病院教授らだ。

 皮膚潰瘍の治療は通常、「軟膏→皮膚潰瘍の治療薬トラフェルミン(商品名フィブラストスプレー)あるいは陰圧閉鎖療法→皮膚の移植」と進む。軟膏は軽症の皮膚潰瘍に対する治療で、糖尿病による皮膚潰瘍ではトラフェルミンや陰圧閉鎖療法を試みる。

 トラフェルミンは、細胞増殖因子(bFGF)が細胞に作用して、肉芽形成、血管新生、上皮化を促進する。陰圧閉鎖療法は、潰瘍部分を専用素材で覆って陰圧に保ち、治癒を促す治療法だ。

 皮膚の移植は患者の全身状態の悪さから行えないことも多く、トラフェルミンや陰圧閉鎖療法でうまくいかない場合、多くは下肢切断しか手がなかった。

■痛みやつらさがない治療

 PRP療法は、下肢切断の前、つまりトラフェルミン・陰圧閉鎖療法を行っても効果が見られない患者が対象。PRPとは患者の血液を遠心分離して得られた血漿で、その中に含まれる細胞増殖因子の働きを利用して潰瘍の治癒率を上げる。

 前述の通り、トラフェルミンも細胞増殖因子の働きを利用している。しかし、含まれているのは1種類だけ。一方、PRPには複数の細胞増殖因子が含まれている。

 PRPを作る井上肇幹細胞再生医学講座特任教授は言う。

「人によって細胞増殖因子の含有率、含有量は違います。PRPは患者自身の血液をもとにしており、その人に合った構成の細胞増殖因子が含まれているのです」

 40~60ミリリットルの血液(献血の7~10分の1程度)を採取し、遠心分離機でPRPを作成。4回に分け、1週間に1度の外来で潰瘍部分に塗布する。1クール(週1×4回)で痛みが消えたり、皮膚の形成が見えてくるなど効果が表れれば、2クール目に進む。

 下肢切断しかない、いわば万策尽きた患者が対象だが、PRP療法を実施した22症例のうち、16症例が治癒。これはかなりの好成績だという。潰瘍の範囲が広ければ、健康な皮膚を小さく切り、潰瘍部分に適度に置く「ピンチグラフト」という治療と組み合わせる。

「ただし、PRPを塗れば治る魔法の治療と考えるのは間違い」と、治療を担当する菅谷文人主任医長は指摘する。

「皮膚潰瘍は糖尿病だけではなく、静脈うっ帯や膠原病などさまざまな原因が重なって起こる。これらの原因改善を併せて行わなければ不十分です」

「たばこをやめたくないが、切断は嫌」とPRP療法を求めるのは本末転倒。さらに「150平方センチ以上の広範囲の症例」など、いくつかの項目に該当する場合はPRP療法でも治癒が難しいと研究でわかっているため、治療を希望する前にチェックが必要だ。

「PRP療法の希望者には、皮膚潰瘍の治療がそもそも正しく行われていないケースも少なくありません。まず傷の専門家である形成外科を受診し、現在の治療が適切かを確認することを勧めます」(菅谷主任医長)

 PRP療法は先進医療の承認を受けており、同大での治療費は約10万円(2クール)かかる。

■注意するべきことは

 美容目的を筆頭にPRP療法を行うクリニックもあるが、PRP作成や使用の間違いなどによるトラブルの報告もある。難治性の皮膚潰瘍においては先進医療の承認を受けている医療機関で受診すべき。今後、全国数カ所の大学病院などで実施予定だ。

★高血圧編/家庭での「135」毎朝続けば注意

健康管理の目安とすべき数字がいくつもあると、どれを目標とすべきか戸惑いやすい。高血圧の基準もそのひとつ。

 日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」では、診察室で測定した場合は「140/90(単位・mmHg)」以上が高血圧だが、家庭で測定する家庭血圧では「135/85」以上としている。なぜ数値に違いが出るのだろう。

 【将来リスク2・5倍】

 血圧はちょっとしたことでも変動する。正常値血圧の40代後半記者が、ひいきのスポーツチームが負けて激高したときに、血圧を測ってみると「167」。深呼吸を3回した後に再測定すると「126」まで下がっていた。

このように乱高下するために、「厳格化しなくてもよい」との見方もあるが、日本高血圧学会では、診察室の基準よりも家庭血圧を厳しくしている。

 「ズボラでも血圧がみるみる下がる49の方法」(アスコム)の著者、東京女子医科大学東医療センター内科の渡辺尚彦准教授は、「変動があるからこそ家庭血圧が大切」と明言する。

 「診察室で緊張して血圧が上がる人もいます。これを“白衣高血圧”と呼びますが、家庭では正常値。家庭ではリラックスして測定できるので、血圧は下がりやすいのです。ところが、診察室では正常値なのに、家庭血圧は高い人がいる。

こちらは“仮面高血圧”と呼ばれます。正常値や白衣高血圧の人と比べて、仮面高血圧は、心・脳血管疾患の将来的なリスクが2・5~3倍。その指標となるのが、『135/85』以上なのです」

 【夏場も血圧上昇】

 渡辺准教授は、1987年から毎日24時間測定器をつけて、日々の血圧変動を研究している。一般的に、日中の血圧は上昇傾向で、夜寝ているときには10~20程度下降し、朝起きて出勤する頃には血圧は再び上昇するのがパターン。

 ところが、仮面高血圧では、夜間から早朝に血圧が上昇しやすい。

 「前の晩に塩分の多い食事や飲酒をした場合などにも、朝の血圧は上ります。朝晩2回ずつ血圧を測り、それぞれの平均値を見てください。朝は起きてトイレに行った後に測定し、毎朝、『135/85』以上が続くようならば、高血圧の可能性があります」

 一過性の血圧上昇ならば、翌日には下がっているはず。下がらないのには、何かわけがある。それを知る一助となるのが、家庭での毎日の血圧測定。自ら定期的に測ることで、季節によって血圧が上昇することもわかるそうだ。

 一般的には、冬場は血管が収縮して高血圧になりやすいが、夏場に上昇傾向の人もいるという。

 「温度差は身体に大きな悪影響を及ぼします。真夏に外出先から、急にエアコンで冷やされた電車や室内の中に入ると、一気に血圧は上昇し、血管にダメージを与える恐れがある。風呂上がりの扇風機も、しかりです。

ご自身の日々の血圧変動のパターンを知り、食生活を見直して、身体を冷やしすぎないなどひと工夫するだけでも、血圧を正常に導くことは可能です」と渡辺准教授は話す。 

危ないのは高血糖ばかりではない 震え、動悸、目まい・発狂を引き起こす「低血糖」回避術(1)

糖尿病患者は、予備軍を含めると2200万人に達するという。その影響かどうか、自らの血糖の数値に関心が高まりつつある。しかし、専門家によると数値の高さ(高血糖)に関心が集まり、低い数値(低血糖)への理解度がおろそかになりがちだという。

 低血糖を軽く見てはいけない。血糖値が70mg/dlになると、異常な空腹感や動悸・震え。50mg/dlだと中枢神経の働きが低下。さらに30mg/dl以下は意識レベルが低下し、こん睡状態から死に至ることもある。

速やかに対処しないと、重大な事故に繋がるのだ。

 東京都長寿健康医療センター糖尿病・代謝・内分泌内科の担当医は言う。 「低血糖を起こす疾患・原因には、さまざまなものがあります。

最も多いのが糖尿病の罹患者が薬を飲み過ぎたり、インスリンを多く打ち過ぎた時。あるいは、食事を抜いたり激しい運動をすると、薬が効き過ぎて血糖値が下がり過ぎてしまう。

50mgを下回ると、大脳のエネルギー代謝が維持できなくなり、精神症状を起こし始めてしまい、さらに意識消失を引き起こすと重篤な場合は死に至ることがあります。

しかし、人体には低血糖に対し数値を上げるホルモンの放出やコルチゾールの分泌が亢進するなど、数段階の回避システムがあります。

ただし、その代わりにアドレナリンが大量放出されるため、交感神経刺激症による震えや、大量の冷や汗のほか、夜中に突然、大きな声で叫ぶといった異常な行動など、さまざまな症状が表れます」

 低血糖で苦しんだ体験を持つ自営業Kさん(53)は、そんな一人だ。

 Kさんが自分が1型糖尿病と知ったのは36歳のときだった。1型の場合、膵臓がほとんどインスリンを分泌できないので、常時、自分でインスリンの注射を打つことが必要となる。

ところが、時にそれが効き過ぎてしまい、低血糖状態に陥ることがあった。すると、震えや動悸、めまい、視界不良などが主な症状として表れた。

 そんな時は速やかに血糖値を上げる必要があるため、Kさんは病院で処方された固形のブドウ糖を常備していた。

しかし、この低血糖というのは侮れないクセ者。気づかないうちに起きていることがあるし、処置が遅いと最悪の場合は死に至ることもある。Kさんも何度も苦しい体験をしている。

一つは、注射を打った後、予定していた時間に何らかの事情で食事を始められなかった場合。もうひとつは、想定していなかったタイミングで血糖値が下がり過ぎていた場合だ。

 ある日、Kさんは仕事の打ち合わせが終わり、空腹感があったので帰途、行きつけのレストランで食事を摂ろうとした。まず手洗い所でインスリン注射を打つ。効いてくるまで約30分。顔見知りの店長に事情を話し、注文を遅らせながら世間話に興じた。

 ところが、調理するコックさんが気を利かせて注文の品をさらに遅らせたため、注射から45分も経っていた。まずいな、と思った時には意識が朦朧(もうろう)とし、水を口に含み注文を催促したが、すでに視野は暗く狭くなっていた。

持参のブドウ糖をバリバリかじり、ようやく出てきたハンバーガーステーキをむしゃぶりつき何とか落ち着く。まさに九死に一生を得たとKさんは苦笑いする。

ブラジルの原住民ヤノマモ族を手本に? 減塩で血圧は確実に下がる

高血圧によりすでに薬を飲んでいる人でも、生活習慣を変えれば薬がやめられる可能性があるという。では、具体的にどうすればよいか。血圧コントロールと切っても切れないのが、塩分。専門家に対処法を聞いた。

 塩分の過剰摂取と血圧の関係については、いくつかのしくみが明らかになっている。例えば、塩分を摂取すると循環血液量の増加によって血圧が上がる、腎臓が余分な塩分を排出しようとして血圧が上がる、といったものだ。

 逆にいえば、塩分を減らせばそれだけ血圧は下がるということだ。実際、1日の塩分の摂取量が1グラム前後(日本人の平均摂取量は10~12グラム、目標は6グラム未満)というブラジルの原住民ヤノマモ族は、年をとっても血圧が上がらないことが知られている。

 横浜市立大学病院腎臓・高血圧内科教授の梅村敏医師は最近公表されたイギリスの事例を紹介する。

「イギリスは約10年間にわたる減量プログラムにより、国民の1日の塩分摂取量を1.4グラム減らすことに成功しました。

その結果、上の血圧の平均が3mmHg下がり、脳卒中や心筋梗塞などによる死亡率も42%減りました。まさに塩分摂取量の減少が重大な役割を果たしたと考えていいでしょう」

 海外の話ばかりではない。福岡県久山町でも、1960年代から70年代にかけて脳卒中の発生率は半減した。その背景にあるのが、保健師による減塩と服薬指導だったという。

 しかし、実際に試みたことのある人ならおわかりだろうが、減塩は口で言うほど簡単なことではない。料理が物足りなく、おいしく感じないため、ついしょうゆや塩をかけてしまうという人も多いだろう。

「減塩に成功しないのは、それなりに理由がある」と、梅村医師は説明する。

「実は、塩分をおいしいと感じる脳の部位の遺伝子群は、麻薬中毒に関わる遺伝子群と類似しているという報告があるのです。多くの生物にとって、塩分に含まれるナトリウムは生命の維持に欠かせません。

昔の人間は塩分摂取が容易ではなかったため、塩分を欲する遺伝子を持つ必要があった。皮肉なことに、それが塩分をいくらでもとれる現代人の高血圧の原因の一つと考えられます」

 自力で減塩を試みるのがたいへんであれば、専門家の助言に頼るしかない。

 例えば、坂東ハートクリニックは、管理栄養士が患者の背景などに合わせた減塩法をアドバイスし、効果を上げている。坂東正章医師は言う。

「管理栄養士は、患者さんの話を聞いただけで、一日にだいたいどのくらいの塩分をとっているかを推定し、どこに塩分摂取の問題が隠れているかを見つけ、助言することができます。それを繰り返すと、患者さんの塩分摂取量が減っていくのです」

 坂東医師によると、管理栄養士が個別に患者を指導できるような医療機関は、とくにクリニックでは多くないというが、薬に頼らない治療を目指すなら、そういう医療機関にかかりたい。

狭心症や心筋梗塞を誘発 血圧を下げすぎると命が危ない

年を取ると、血圧を気にする人が多い。血圧が高すぎると血管が破れ、脳内出血やくも膜下出血などの原因になるから、注意するのは大切だ。しかし、下げることばかりに必死になっていると逆に危ない。

 これまで、日本では高血圧の基準値が厳しかった。しかも、「最高180mmHg/最低100mmHg」(87年)→「140/90」(00年)→「130/85(健診レベル)」(04年)と、どんどん引き下げられ、高血圧と診断される人が増加。70歳以上の52.5%が血圧を下げるクスリを飲んでいるという調査もある(厚労省調べ)。

 今年、発表された「高血圧治療ガイドライン2014」では、病院で「140/90」、家庭なら「135/85」で、高齢者は「150/90まで考慮可能」という数値に緩められたが、それでも、〈血圧はとにかく下げた方がいい〉というイメージを抱いている人が多いに違いない。

■さまざまな要因で変動する

 しかし、血圧を下げすぎると、深刻な事態を引き起こしかねない。東邦大学医療センター佐倉病院循環器科の東丸貴信教授はこう言う。

「血圧はさまざまな要因で変動しやすいものです。朝は上がって、夜は下がりますし、暑いと下がり、寒いと上がります。深呼吸した程度でも変わるほどで、自分の正確な血圧を把握できている人は少ない。

一般的に、病院で計測した血圧より、家庭血圧の方が低めですが、クスリの量は診察時の血圧によって決められることが多い。

血圧が高いからと降圧剤を服用していたら、下がりすぎてしまい、命に関わる病気や事故を引き起こすケースもあります。とりわけ、血圧が不安定な高齢者は注意が必要です」

 高齢になると加齢による動脈硬化が進んで、血管が硬い状態になっている。心臓が血液を送り出す時にはそれだけ力が必要になるため、収縮期血圧=最高血圧は上がる。

逆に心臓に血液を戻す時は、膨らんだ動脈が元に戻ろうとする力が弱いため、拡張期血圧=最低血圧は下がる。さらに、血管内に血液をためておく容量も減っているので血圧を維持できない。

 高齢者の血圧は上が高くても下は低いから、下手に降圧剤を飲むと下がりすぎてしまうのだ。

■大ケガするリスクが30~40%増

「血圧を下げすぎると、冠動脈血流が低下して、狭心症や心筋梗塞を誘発するリスクがあります。腎臓の血流低下によって腎機能が悪化したり、長期的には、かえって心臓血管病のリスクが増加するという報告もあります」(都内の循環器専門医)

 起立性低血圧によるめまいや立ちくらみ、ふらつきによる転倒も、高齢者には危険だ。

 米国の研究では、降圧薬を服用している高齢者は、服用しない高齢者に比べ、転倒後に股関節や頭部を骨折するなど、大きなケガをする可能性が30~40%高いという。

高血圧で病気になるリスクより、血圧を下げたことによって起こる病気や事故のリスクの方が高くなってしまったら、本末転倒だ。

 血圧を下げすぎないようにするには、定期的に家庭血圧を測って、変動しやすい自分の血圧を把握することが基本になる。朝と夜、1日2回計測するのが理想的だ。

「計測した最高血圧が常時120以下の場合、どこかで一時的に100以下まで下がっている可能性があります。クスリを減らしたり、飲まない方がいいでしょう。クスリを飲んで、めまい、立ちくらみ、動悸(どうき)、胸痛がある場合も、血圧を下げすぎているサインだと考えてください」(東丸教授)

 血圧はただ下げればいいというものではないのだ。

心当たりのある人は注意…だから、あなたの血圧は下がらない

薬をきちんと飲み、減塩にも気をつけている。なのに、血圧が140/90mmHg以下に下がらない。

「もし3種類以上の薬を飲んでいるのに効果が見られないなら、3つの理由に当てはまらないかをチェックしてもらった方がいい」と言うのは、東京都健康長寿医療センター・桑島巌顧問(高血圧外来)だ。高血圧の状態が続くと、心筋梗塞、脳卒中、心臓肥大など取り返しのつかない事態を招く。

【手術で治る高血圧】

 高血圧には「手術で治る高血圧」がある。原発性アルドステロン症だ。左右の腎臓の上には、帽子のように乗っかっている副腎という3センチほどの臓器があり、体の水分や血圧を調整するアルドステロンというホルモンを分泌している。

「その副腎におできのような良性の腫瘍ができるために、アルドステロンが過剰に出すぎて血管の中のナトリウムが増え、血圧が上昇するのが原発性アルドステロンという病気です。高血圧が治りにくいほか、血液中のカリウムが低くなるのが特徴です」

原発性アルドステロンは、降圧剤では血圧は下がらない。
「手術で腫瘍を切除すると、頑固な高血圧が治ります」

【適切な薬ではない】

 桑島医師によれば、高血圧には「パンパン型」と「ギュウギュウ型」がある。
「血中の塩分(ナトリウム)が増えると、それを薄めようとして水分が血管に入り込む。すると心臓は、その過剰な水分を腎臓から尿として押し出そうとして、血管がパンパンに腫れることで血圧が上がります。これが、パンパン型です」

 一方、ギュウギュウ型は、血管を締め付ける物質が増えたために、血液が勢いよく血管の中を流れて血圧が上がる。

「いずれも高血圧を招くのですが、適する薬が違います。パンパン型は利尿薬やCa拮抗薬で、血中の水分量を減らす。ギュウギュウ型は締め付けた血管を広げる血管拡張薬が適しています」

 パンパン型は60代以降に、ギュウギュウ型は40~50代に比較的多く見られる。最初はギュウギュウ型でも、加齢とともにパンパン型に変わることもある。薬が効きづらくなってきたら、自分の「型」と薬の相性を調べるべきだ。

【ストレスが強い】

「白衣高血圧」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないだろうか。
「白衣の医師の前になると、緊張で血圧が高くなる。ほかに緊張で血圧が上がるものに、職場高血圧というのもあります。診察室や職場で緊張して、本来の血圧より数値が高くなります」

 緊張、すなわちストレスは血圧に大きな影響を与える。
「つまり、薬を飲んでいてもストレスが強い状態が続けば、血圧は下がりにくい」

 職場(家庭)を替えるのは、今の時代、非現実的だ。
「まずは職場や家庭での血圧がどうなっているかを知ること。普段の血圧と比べて差がどれほどあるかを調べてください。それを高血圧の担当医に伝え、薬で調整します」

“自衛”としては、かっかと頭にくるようなことがあれば、少し深呼吸をしてみる。思い切って、職場の外に出て気分転換するなどもいい。

美肌効果や血糖値を下げる効果まで⁉︎ 本格焼酎・泡盛の魅力が凄い

焼酎の3つのタイプと、本格焼酎・泡盛の楽しみ方

焼酎には3つのタイプがある事をご存知でしたか?

【本格焼酎・泡盛】
麹を使い、麦、米、芋などの原料を発酵させて造った単式蒸留酒(1回だけ蒸留)。原料の風味が生かされている。「本格」や「泡盛」と表記できるのはこの種類だけなんです。

【焼酎甲類】
サトウキビやトウモロコシやなどの搾りかすを再利用した、連続式蒸留酒(何度も蒸留する)。ほぼ純粋のアルコールで、無味無臭なので何かで割ったり、梅に漬けたりします。

【混和焼酎】
「本格焼酎」と「焼酎甲類」を混ぜ合わせたもの。麦や芋などの表記がありますが、本格表記がないのでラベルで要確認を。

欧米における蒸留酒(ブランデー、ウイスキー等)は料理と味わう習慣がなく単独で飲まれることが多いですが、本格焼酎と泡盛は単独でも料理と合わせても楽しめるお酒と言えます。甘さがなくスッキリとしているので、料理のジャンル(和食・洋食・中華)を問わず合い、特に、辛い・酸っぱい・脂っこいといった濃厚な料理との相性が抜群です。

美容や健康に嬉しい効果が沢山!本格焼酎・泡盛の魅力

【低カロリー・糖分ゼロ】
ビールやワインなどの醸造酒と違い、原料を発酵させた後に蒸留して造るため。

【血栓予防効果】
本格焼酎と泡盛には血栓溶解酵素と言われる「ウロキナーゼ」が多く含まれているため、血栓を溶かしたり、出来にくくする効果が高いことが確認されているそうです。その効果はなんと、赤ワインのポリフェノールの血液サラサラ効果に比べ1.5倍と言われています。

【血行促進】
冷え性や、肩こり、美肌に効果が期待できます。

【酔いざめがさわやかで翌日に残らない】
全員に当てはまるわけではありませんが、翌日に残りにくいと感じる人が多いようです。

【血糖値を下げる】
まだ医学的に解明されていないそうですが、芋焼酎が、水を飲んだ時よりも血糖値が下がったという結果が実験で明らかになったそうです。これは今後期待が高まりそうですね!

【テラピー効果】
原料の風味が生かされているため、ほんのりとした香りによってストレスが緩和される効果が期待できます。

【色々な飲み方ができる】
ロックや水割り、お湯割り、お燗など、好みや季節によって様々な飲み方で楽しめます。

【濃度が選べる】
ロックにしたり、割ったり、アルコール濃度を調節できるので、お酒に強い人はもちろん、弱い人でも楽しめます。

【どんな料理にも合う】
和食はもちろん、麻婆豆腐やピザなど、ジャンルを問わず合わせられます。

【世界貿易機構(WTO)による地理的表示認定】
・長崎県は「壱岐焼酎」
・熊本県は「球磨焼酎」
・鹿児島県は「薩摩焼酎」
・沖縄県は「琉球焼酎」

いかがでしたか?日本酒と並び、日本の伝統的なお酒ですが、知らなかった魅力が沢山ありますね!ダイエット中でも安心して飲める本格焼酎・泡盛。割り物も工夫して、お気に入りの飲み方を見つけてみてはいかがでしょうか?

両親が高血圧だと、子どもが高血圧になる確率は?

 この記事では、今知っておきたい健康や医療のネタをQ&A形式で紹介します。ぜひ、今日からのセルフケアにお役立てください。

【問題】高血圧の発症には、遺伝と生活習慣の両方が関与しています。両親が高血圧の場合、子どもが成人後に高血圧を発症する確率はどれくらいだと考えられているでしょうか。(1)20%(2)50%(3)80%

 正解は、(2)50% です。

 高血圧は、特定の原因に絞り込めない「1次性高血圧(本態性高血圧)」と、臓器の病気などの明らかな原因が分かっている「2次性高血圧」とに大きく分類されます。1次性高血圧は原因の特定はできませんが、遺伝的なものと生活環境的なものが要因となっています。

 1次性高血圧の発症には、遺伝に加え生活環境も関与しているため、親が高血圧だからといって子どもが確実に高血圧になるわけではありません。「両親ともに高血圧の場合は50%、どちらか一方の場合だと30%ぐらいの確率で、その子どもも高血圧になる傾向にあります」と、東京都健康長寿医療センター(東京都)顧問で高血圧のエキスパートである桑島巌医師は話します。

■遺伝の場合も、対策の基本は「生活習慣の改善」

 遺伝と生活環境のどちらが原因であっても、対策の基本は生活習慣の改善。親が高血圧の場合は特に、若い頃から薄味の習慣に慣れて、肥満を防ぐなど将来的に血圧を上げないような生活を心がけておくことを桑島医師は勧めています。

 なお、臓器の病気といった明らかな原因がある「2次性高血圧」には、腎臓の上にある小さな臓器に腫瘍ができて、アルドステロンという血圧を上げるホルモンが過剰に分泌される「原発性アルドステロン症」や、副腎などの腫瘍からアドレナリンが過剰に分泌される「褐色細胞腫」、腎臓の動脈が動脈硬化のため狭くなり、レニンという物質が過剰に分泌される「腎血管性高血圧」などがあります。

 重症の高血圧や薬ではうまくコントロールできない高血圧、若い人が急に高血圧になった場合などは、2次性高血圧の確率が高いといわれています。原因となる病気を治療すれば血圧も下がる可能性があるので、気になる場合は専門外来で相談してみてはいかがでしょうか。

高血圧の薬は一生飲み続けなくていいって本当?

日本人間ドック学会などが発表した「新たな健診の基本検査の基準範囲」。血圧については、基準範囲の上の値が147mmHgとされた。

「高血圧治療ガイドライン2014」では、140 mmHg以上が高血圧の診断基準なのだが、今回の発表で7mmHg高くても問題ないと勘違いした患者が治療をやめるという事態になった。

この騒動でわかったのは、治療中の患者を含め、われわれの多くが高血圧を理解していない、ということ。専門家に高血圧の「常識」について聞いてみた。

 一般的に、降圧薬というと「飲み始めたら、一生飲み続けなければならない薬」という印象がある。

 ところが、今回取材した医師のほとんどが、「薬は飲み続けなくてもいい」と答え、また、実際に「薬をやめられた患者もいる」と話した。いずれも、減塩や減量、運動など生活習慣の改善で降圧がうまくいったケースだという。

 いったいどれくらいの患者がやめられるのか。この問いかけに自治医科大学病院循環器内科主任教授の苅尾七臣(かずおみ)医師は、「これまでの経験からすると、患者さんの20人に1人ぐらい」と答える。

「決して多いわけではありませんが、きちんと取り組むと薬がいらなくなるケースがあることは事実です」

 ささえるクリニック岩見沢(北海道)院長の村上智彦医師は、減量の重要性を指摘する。

「肥満に伴って高血圧になった場合は、“体重を3キロ減らすと上の血圧は8mmHg下がる”と言われています。適正体重に戻すのが理想ですが、そこまで至らなくても減量は大事なのです。

私が診ている患者さんのなかにも、減量で血圧が下がり、薬をやめた方がいます」

 東京都健康長寿医療センター顧問で臨床研究適正評価教育機構理事長の桑島巌医師は、「血圧の薬をやめられた患者さん? たくさんいるよ」ときっぱり。

「薬は一生飲まなければならないというのは、誤った考え方。例えば、夏と冬だと平均の血圧が10mmHgぐらい違う。暖かい時期に減塩したり、減量したりすれば、血圧はどんどん下がる。

それで試しに薬をやめてみると、その後も上がらないことが少なくないのです」(桑島医師)

認知症になるかどうか 60歳までの生活習慣重要と専門家指摘

日本で認知症高齢者とその予備軍は合わせて862万人、高齢者の4人に1人は認知症になるという。

 では、効果的な認知症予防にはどのような方法があるのか。巷間、様々な食品や行動が「ボケ予防」に効く、と謳われてきた。だが、果たしてそれらは本当なのか。松川フレディ・湘南シルバーサポート湘南長寿園病院院長はこう指摘する。

「巷に流布するボケ予防のなかで、本当に科学的に効果があると立証されているものがどれなのかを見極める必要があります。

週に3日以上の適度な運動を行なっていれば、認知症の原因となる記憶を司る海馬の縮小を防止できるとメリーランド大学の研究チームが今年4月に発表するなど、軽い運動がボケ防止にいいというのは世界的な統計でも明らかになっている。

 かたや一時期流行した脳活性化トレーニングに関しては、オーストラリアでの研究で、脳活性化のための『認知活動』を5週間やっても、認知テストの点数は統計学的に意味のある改善にはつながらなかったなど、否定的な研究結果が相次いでいます」

 食べ物についても、科学的な効果が認められたものは限られる。最近では、緑茶が注目を集めた。

この5月、金沢大の山田正仁教授らの研究グループが、毎日緑茶を飲む習慣のある人は、認知症の発症率が全く飲まない人の3分の1にとどまるという研究結果を発表した。

コーヒーや紅茶では効果はなく、緑茶にだけ認知症の予防効果がみられたという。

 医療経済ジャーナリストの室井一辰氏の注目は、鮭と青魚だ。

「最近の研究では、今年の1月、ビタミンEがアルツハイマー病を遅らせるということをアメリカのミネソタ・ミネアポリスの研究グループが明らかにしました。1年でビタミンEを取っていた19%がアルツハイマーの進行が遅れたという。

 ビタミンEはオリーブオイルやアーモンド、ごま油のほか、鮭、青魚などに含まれています。

同様に、鮭や青魚にはオメガ3脂肪酸が豊富に含まれているが、そのオメガ3脂肪酸を血液中に倍以上持ったグループはそうでないグループより脳が0.7%大きかったという米サウスダコタ大学の研究結果がある。

鮭や青魚はビタミンEも含まれているので相乗効果が期待できます」

糖尿病の血糖値を下げる!? 最新の研究でさらなるショウガの驚くべきパワーが明らかに!

ショウガが風邪や冷えに効くことはよく言われますが、イランのShahid Sadoughi医科大学の研究によると、2型糖尿病患者の血糖値を下げる効果があることが明らかになった。

海外サイト「Prevention」によると、リサーチチームは10年以上2型糖尿病を患っている88人を対象に、普段服用している治療薬と共に1日3回ショウガパウダーの入ったカプセルと入っていないカプセルを飲むグループに分けたところ、8週間後にショウガカプセルを飲んだグループに劇的な変化が起きたそう。

研究の対象になった患者は中年でやや太り気味だったものの、病的な肥満ではなかった。

「調査の前、ショウガを服用するグループの空腹時血糖値の平均は171mg/dl、ショウガを服用しないグループの平均は136 mg/dlだったが、8週間後には両グループ共に150mg/dlになった。

これは非常に興味深い研究だ」とWellness Associates of Chicago(シカゴ健康協会) のマーサ・ハワード博士は話している。アメリカ糖尿病学会によると、糖尿病患者の空腹時血糖値の平均は70~130 mg/dl。

研究者らは具体的にどうショウガが血糖値を下げたか明確に突き止められなかったが、「肝臓のホスホリラーゼ(グリコーゲンを糖リン酸塩へ加水分解する際の触媒作用をする酵素の一群)のはたらきを抑制するのに効果がある。

グリコーゲンが分解されるときに血糖値が上がるので、この酵素の抑制は理論的に2型糖尿病患者の血糖値を下げる」と説明している。

ハワード博士によると、2型糖尿病を患っていて、医師の指示に従っているが血糖値が正常ではない場合、血糖値を安定させるためにショウガを試してみる価値はあるそう。

「ショウガは血液を固まらせない効果もあるので、すでにそのような抗凝血薬を服用している場合はショウガを摂ってはいけない」とのこと。投薬にショウガを足す場合は必ず担当の医師に相談し、定期的に血糖値を測ることが重要だそう。

治療も薬もやめたい…「血圧147正常」で混乱する医療現場

日本人間ドック学会などが発表した「血圧147」が波紋を呼んでいる。この騒動の内容から疑問の解決まで、現役の高血圧治療医らへ取材した。

*  *  *

「『自分は上が147以下だから治療をやめたい』と言う高血圧の患者さんが今日も診察に来ました。高血圧に伴う脳梗塞もある方です。あなたは治療しないと危ないと言ってどうにか納得してもらいましたが、数値が独り歩きしていて、非常に危ない状況です」

 高血圧治療を専門にするある医師はこう嘆く。いま、医療現場では高血圧の数値をめぐって大きな混乱が起きている。

 きっかけは、4月4日に日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が発表した「新たな健診の基本検査の基準範囲」だ。

過去に人間ドックを受診した約150万人のなかから、肥満や持病がなく、たばこを吸わないなどの条件を満たした「スーパーノーマル(超健康)」な人、約1万~1万5千人を抽出。血圧、血糖値、コレステロール値など計27項目を調べたものだ。

 その結果、血圧については、基準範囲の上限が、147/94(初めの数値が上の血圧、次の数値が下の血圧、単位はmmHg、以下同)。「高血圧治療ガイドライン2014」では、140/90以上が高血圧の診断基準なので、上の血圧はそれより7mmHg高いことになる。

さらに血圧以外の項目でも、これまで「治療の必要がある」とされてきた診断基準の数値と比べ、総じて“ゆるい”数値が示されたのだ。

 人間ドック学会の数値が報道されると、「正常の範囲が広がった」と受け止められた。「自分は高血圧ではない」と考え治療をやめたいと言いだす患者や、薬を勝手にやめてしまう患者も出てきた。

 人間ドック学会には医師からの問い合わせが殺到した。その後、「今すぐ学会判定基準を変更するものではない」「『健康』とされる範囲を緩和した新基準を発表したかのような一部報道は事実誤認」とホームページで表明するなど、騒動の火消しに追われた。

 診療側の学会も相次いで声明を出した。日本高血圧学会は、「人間ドック学会の『正常』の一部には、『要再検査、要治療』が含まれていると理解するのが正解」と指摘。

同学会学術委員長で大阪大学大学院老年・腎臓内科学教授の楽木宏実医師は、「血圧を下げるべき人への生活習慣修正の指導もされなくなってしまい、血圧のさらなる上昇と将来の心血管病発症の危険が増加する可能性がある」と心配する。

 ついに5月21日には、日本医師会が「多くの国民に誤解を与え、医療現場の混乱を招いている実態に鑑みても、『拙速』と言わざるを得ない」と、人間ドック学会の対応を厳しく批判する事態にまで発展した。

「147」という数値をどう理解したらいいのか。臨床研究適正評価教育機構の理事長で、東京都健康長寿医療センター顧問の桑島巌医師は、「正常範囲が広がったと理解するのは正解ではない」と指摘し、人間ドック学会、高血圧学会の数値の違いをこう解説する。

「人間ドック学会の数値は、現時点で健康と考えられている人の血圧の分布範囲。つまり将来、脳卒中や心筋梗塞を発症する可能性には言及していません。

一方、高血圧学会の基準値は、脳卒中や心筋梗塞を予防するうえで、どのレベル以上だと危険かということを示した数値なのです」

 高血圧の恐ろしさは、放置すると動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞といった命にかかわる病気を引き起こすことにある。高血圧学会の数値は、将来これらの病気が起こる危険性を考慮している、というわけだ。 

認知症初期の診断 「10時10分」の時計を絵に描けぬこと多い

テレビを見ていて「あの女優の名前なんだっけ?」、夕飯の話をしていて「朝飯なに食べたっけ?」……最近、とみに激しくなる物忘れに、「もしかして認知症になってしまうのかも?」と不安になってしまう人は少なくないだろう。

「認知症の場合、単なる物忘れにとどまらず、日常生活に支障を来す。場所や道に迷う、財布や通帳などしまったものが見つからない、ものの名前がいえなくなり、会話も理解できなくなる。

そのような兆候が少しでも見られたら医師に診てもらったほうが良いと思います」(認知症予防財団事務局)

 医師はどのように認知症を診断するのか。中西昭憲・クリニックの釈羅院長はこういう。

「私は診察のときに『10時10分』を示している時計を紙に絵として描いてもらいます。認知症の初期の人は意外とこれが描けない。頭の中でイメージはできているんだけれど、頭と手の連動がうまくいかないんです。

 このテストで側頭葉、前頭葉、頭頂葉の衰えが確認できます。側頭葉は言葉の理解や記憶、前頭葉は注意力や計画性、統括力、頭頂葉は空間認識を司る。

円がいびつな楕円形になってしまったり、短針と長針が極端に違ったり、数字の順番や場所が違ったりしてしまうのは、それらの衰えによるものです。

これをやると、どうして描けないんだろうかと本人が非常に戸惑います。そうすれば認知の状態を伝えやすくなる」

 その後、問診による認知知能検査や、CT、MRIなどの精密検査を経て、認知症の診断をするという。

予備軍含め2200万人 放置が命取りになる「糖尿病」の怖さを徹底解明(1)

 糖尿病の人は、予備軍を含めると2200万人といわれている。中には「俺は大丈夫」と根拠なき自信を抱いている人も多いが、治療を放棄しているうちに、少しずつ体がむしばまれていくだけに、油断は大敵。

 糖尿病は、最短3年で神経障害、腎症、網膜症などの合併症を引き起こす。さらに、5~10年放っておけば、インスリンを作る膵臓(すいぞう)のβ細胞が破壊され、失明や心筋梗塞、脳梗塞などの合併症で命の危機にさらされ、壊疽による足の切断もある。

 また、一度破壊されたβ細胞は元に戻らないため、怖さは計り知れない。検査数値が基準値のオーバーを指摘され、イエローカードが出されたら、すぐに適切な治療を受け、運動や生活改善などの努力が必要となる怖い病気だ。

 川崎市のサラリーマン・小林芳光さん(=仮名・49)は、10年ほど前から空腹時の血糖値が110mg/dl前後をウロウロ。ここ3年は、120近くに上昇していた。空腹時の血糖値は110未満が正常とされているため、数値が悪いといってもそれほど気にすることもなかった。

 小林さんは、設計事務所に勤め、納期前は徹夜仕事が続く。毎年受けていた春の健康診断シーズンは、なぜか納期と重なることが多く、健康診断はもとより、わざわざ精密検査を受ける余裕もなかった。

体格は174センチ、68キロと細身。「お腹が出ているわけじゃないし、メタボではないから大丈夫」という安心感も、精密検査をサボる理由になっていた。

 「仕事が追い込み時になると、食べずに仕事を続けている。だが、だんだん齢を取ってくるとそうはいかず、最低でも2食は摂るようにしました。食べるのはコンビニ弁当かカップラーメンでしたね」(小林さん)

 おまけに体を動かすことといえば、通勤で家から駅(15分)、最寄駅から会社までの10分程度の歩行のみ--。そんな小林さんに突如、異変が現れた。

 寝る前になると脚が痺れるようになり、正座の後のピリピリ感のようなものに襲われる。
 「無数の虫が脚をはっているようで、何とも言いようがない嫌な感じがしたんです」

 と小林さん。それでも最初のうちは我慢して寝ていたが、だんだん眠れなくなり、睡眠外来を受診したところ、その痺れの原因は糖尿病の合併症、「神経障害」と診断された。

 外食に頼り切って運動をほとんどしないサラリーマンにとっては他人事と片付けられない話だが、楽天家の小林さんも内科で精密検査を受け、病気の深刻さに初めて気付かされた。

 小林さんを診察した総合医療クリニックの院長がこう警告する。

 「小林さんの血糖値は、一目瞭然で糖尿病と診断できるくらいに上昇。腎臓の検査数値も悪いし、合併症の腎症も発症していました。診察がもっと遅れれば、さらにひどい病態に至ったでしょうね。他の腰痛や骨折などの手術にも影響が出るほどで、決して甘く考えないでほしい」

 糖尿病を放置したり、治療をしても不十分だったりすると、手足の神経や自律神経などがやられる神経障害、腎機能が低下する腎症や視力低下を余儀なくされる網膜症の順で合併症を引き起こすとされる。

 最初に発症する神経障害の発症までのタイムリミットは、最短で3年といわれ、無治療が長ければ長いほど合併症が進行するわけだ。

血圧新基準「147」は大ウソか? 専門家からは医療費削減策との指摘も…

健康診断で、健康かどうかの目安にされている高血圧や中性脂肪。日本人間ドック学会が発表したその「新基準」が大きな波紋を広げている。基準値が大幅に緩和され、専門学会が猛反発するなど大論争になっているのだ。

基準値が緩和されると“病気予備軍”は減ることになり、高血圧などと診断された側にとっては朗報といえそうだが、専門家は「数値だけを頼りにしていると危ない」と警告する。どういうことなのか。

 今までの基準は一体、何だったのか-。

 健康診断の結果が出るたびに一喜一憂していた人は、いまこんな心境かもしれない。日本人間ドック学会が先月4日に公表した「新基準値」のことだ。

 「学会が人間ドック検診受診者約150万人から超健康人約1万~1万5000人を対象に調査し、導き出した新たな健康基準で、研究対象は尿酸値など27項目。なかでも『生活習慣病』の主要因といわれる血圧、LDLコレステロール、中性脂肪の基準が緩くなったことが注目を集めている」(都内の医療関係者)

 高血圧症は致死率の高い脳卒中や心筋梗塞(こうそく)などの重大疾病を招く危険性が高い。そのため、自分の血圧に注意をはらっている人は多いが、公表された新基準は従来の認識を覆すものだった。

 「これまでは上(収縮期血圧)が140以上、下(拡張期血圧)が90以上で高血圧とされてきた。ところが、新基準では上は147まで、下は94まで正常値とされた。医師に『病気予備軍』と診断されてきた人の多くが対象から外れることになる」(同)

脂質異常症から動脈硬化を引き起こす危険因子、中性脂肪の値もグンと緩和された。男女とも150以上が“危険域”だったが、新基準では男性が「39~198」で、女性は「32~134」。男性は従来の上限値を大きく上回った。

 別名「悪玉コレステロール」といわれるLDLコレステロールも同様だ。一律140以上で脂質異常症と診断されてきたが、新基準は男女別に分かれ、男性は「72~178」、女性は30歳から80歳まで3段階に細分され、例えば45~64歳は「73~183」の範囲が正常値とされた。

 ただ、この新基準を歓迎しない人たちもいる。

 高血圧には「日本高血圧学会」、中性脂肪とLDLコレステロールには「日本動脈硬化学会」の専門学会があり、従来の基準値はそれぞれの学会が決めてきた。今回の調査はその“常識”を突き崩すものだったため、反対の声は少なくない。

 医療現場も賛否で割れている。

 首都圏の大規模病院心臓血管外科医は「時間の経過とともに基準も見直すべきだ。時代に即した新基準を打ち出すことは必要」とし、関西の大規模病院消化器外科医は「従来の基準が厳しすぎた」。「軽度の高血圧や脂質代謝異常の人の薬への依存が緩和されることはいいこと」(首都圏の民間病院消化器外科医)との声もある。

 だが、関東の大学病院循環器内科医は「今回の基準は“断面調査”であり、調査対象となった人たちが20年後にどうなっているかをみた“前向き調査”ではない」と話し、首都圏の大学病院脳神経外科医は「厳しい基準で取り組んできたからこそ、日本人の脳出血患者は激減できた」と断言する。

「従来の基準は確かに厳しかったが、今回の新基準は、国民のためというよりは『医療費削減』を狙う思惑が強く感じられる」(関西の開業医)という意見もある。

 2000年度に30・1兆円だった医療費は、11年度には38・5兆円にまで増大した。5年連続で過去最高を更新するなど国の財政を逼迫(ひっぱく)させているため、行政側の思惑を指摘する関係者は確かにいる。

 近畿大学講師で医師の榎木英介氏も「基準緩和で患者が減ると、当然医療費も減る。それに対して、医師と製薬業界は患者がいないと商売にならない。患者を減らしたい行政と権益を死守したい医療業界とのせめぎ合いになっている側面がある」と解説する。

 厚生労働省によると、高血圧症の患者数は11年に906万7000人に達し、高脂血症も188万6000人を記録した。製薬会社にとっては、高血圧症に処方される降圧剤や高脂血症薬はドル箱。業界が、利益を失う可能性のある新基準を脅威に感じても不思議ではない。

 物議を醸す新基準。ただ、われわれサラリーマンにとって最も気になるのは、諸業界の事情ではなく、この新基準を受けて、高血圧や中性脂肪などを抑制する薬を止めたり、摂生していた生活習慣を元に戻したりしてもいいのかという点だ。

 医療ジャーナリストの長田昭二氏は「今回の新基準は、あくまで健康な人を対象にした調査であって、すでに血管や脂質代謝に異常を持つ患者は対象外。それを認識せず、いま基礎疾患を持っている人が『血圧147未満だから健康なんだ』と勘違いする事態は避けなければいけない。

降圧剤を処方されている人が自分の判断で突然やめたりするのは危ない。健康への意識を高く持って、常日頃から摂生に努める姿勢を怠らないことが大事だ」と話す。

 安易に朗報と判断してはいけないようだ。

いまや認知症は特別な病ではない 予防できる? その治療法は? 最新の研究と知見を紹介!



いまや65歳以上の10人に1人が認知症になると言われ、〈認知症800万人時代〉というフレーズが新聞・週刊誌の誌面に躍っている。

認知症は治るのか、アルツハイマー病の原因は、遺伝子治療の研究は進んでいるのか、早期発見・治療は可能か。治療薬・ワクチンは効くのか、また予防のための食事療法・サプリメントは有効なのか――。

情報洪水のなかで、いたずらに怯えたり、間違った情報を鵜呑みせず、正しい知識をもって適切に対処することが必要だろう。

『これだけは知っておきたい 認知症Q&A55』(小社刊)の著者で、アルツハイマー病研究の第一線にある丸山敬氏に、昨今の研究動向、認知症を取り巻く現状について伺った。

――厚生労働省研究班の推計によれば、「認知症」の患者数は2012年時点で、予備軍とされる「軽度認知(機能)障害」(MCI)まで含めると、800万人を超えるとも言われています。

認知症に関する情報も氾濫していますが、その適正な知識となると、意外に知られていないように思えます。

丸山敬氏(以下、丸山氏):実は「認知症とは何か」を定義するとなると、非常に難しいのです。例えば、ある専門書では「脳器質性疾患によって慢性的に生じた認知機能障害状態の総称」という、わかったような、わからないような定義になっています。

 では、ここでいう「認知機能障害」とは何か。おおざっぱに言えば「何となく知的能力が衰えた状態、記憶が衰えた状態で、本人がそれを自覚していない状態」といったところでしょうか。

さらに、その知的能力の低下はなぜ起こるかとなると、詳細は不明というのが現状です。認知症は脳の機能不全なのですが、人間の脳の機能はいまだ全くと言っていいほど解明されていません。したがって定義が難しいのは当然なのです。

 認知症の代表格であるアルツハイマー病に関しては、「脳の中に老人斑とタングル(神経原線維変化)という構造が異常に増加した認知症」という厳密な定義があります。ただし、知的能力の低下を引き起こしている原因については、やはり曖昧としているのが実情です。

――アルツハイマー病のほかにも、認知症にはいろいろな種類があるそうですね?

丸山氏:かつては、認知症と言えば脳血管障害によるものとされていました。ところが20年ほど前から、分子生物学の進歩でアルツハイマー病の研究が進むと、突然アルツハイマー病の頻度が上昇しました。

 実際にアルツハイマー病が増えた面もあるかもしれませんが、それ以前は、ほとんどは脳血管障害、あるいは単なる高齢化として済まされてきたものが、アルツハイマー病と診断されるようになったという側面もあると思います。

 近年は「レビー小体型認知症」に注目が集まっています。報告されはじめた当初は、極めて稀な疾患例とされていましたが、その本体がわかって来たとたんにアルツハイマー病と同様に頻度が急上昇し、今やアルツハイマー病に次ぐ存在となっています。

 このほかにもいくつか別種の認知症がありますし、今後もっとさまざまな認知症の原因疾患が明らかになって、その頻度も変化してくるでしょう。

――アルツハイマー病の世界的な研究はどこまで進んでいるのでしょうか。

丸山氏:若い正常な人には前述の老人斑、もしくはタングルがほとんどみられないため、たぶんそれが原因ではないか。なかでも、老人斑の主成分であるアミロイド(Aβ=βアミロイド蛋白質)が一番の原因ではないかという説が現在の主流になってきています。

 アミロイドをつくる蛋白質の遺伝子に異常があると、まちがいなくアルツハイマー病になるという家系がわずかですが存在する。それが、このアミロイド説の最大の根拠となっているのです。また、このアミロイドをつくる酵素もすべてわかっているので、その阻害薬(Aβをつくりにくくする薬物)も、すでに開発されています。

 ところが、その薬物は10年ほど前から実際に人に投与されているものの、今のところすべて無効という結果に終わっています。その原因として最も有力視されているのは、すでに認知症になった人に投与しているので、それでは手遅れで効果が得られないのではないかということです。 

 そうしたなかで、今年から、アルツハイマー病を発症する前の健康な人に投与するという研究が、アメリカで始まる予定です。3~5年後にその結果が出れば、本当にアミロイドがアルツハイマー病の原因であるかどうか、はっきりと決着がつくというような状況です。

――丸山先生ご自身は、どのような研究を進めておられるのでしょうか?

丸山氏:私はちょうどそのアミロイド蛋白質の見つかった頃に研究を開始しました。まずは培養細胞のモデル系をつくろうということで、培養細胞にアミロイドの遺伝子を入れてアミロイドをつくり、アミロイド生成を阻害する薬物をスクリーニングするという研究をずっとやってきています。 

 ちなみに、5年ほど前に、すでに臨床使用されているものですが、副作用があまりなく、アミロイドを大量に減らすことができる薬物を見つけました。ただ、それを学会で発表をして、特許が取れなかった。これは残念でした(笑)。

 このほか、私を含むグループ研究としては、いわゆるiPS細胞での研究もしており、昨年患者様から提供された細胞から作成されたiPS細胞を作成し、神経に分化させるとアミロイドが増えているといった研究発表もしています。

――認知症はいずれすぐに治せるというような報道も見られますが、なかなかそう簡単にはいかないのが現実なのですね。

丸山氏:最近は、メリハリの利いた配分とか成果主義という一見合理的な基準のもとで、特定の分野に多額の研究費が費やされます。本来、そのようなある種偏った配分をするためには、どの研究が将来有望であるかという評価が的確にできなければいけない。しかし、将来どうなるかは誰もわからないわけですね。

 にもかかわらず評価をするということになると、何となく流行っているところに潤沢な研究費が提供されることになります。すると研究者は、すぐ新聞に載るようなわかりやすい研究成果を求めることになる。

 だからこそ、ねつ造(あるいは試験データの不適切流用)も起こるわけです。研究に悪い意味での圧力がかかって、そのために明日にも病気が治るというような発表を誘発すると言えます。

 したがってアルツハイマー病に関しても、様々な報告が出ていて、その通りなら今ごろは完全にアルツハイマー病は制圧されているはずなのですけれども、現実はそうではない。

 実際には認知症の治療はまだまだ難しいし、明日にでも病気が治りそうだというような新聞報道が出たとしても、ことはそれほど単純ではないのです。こうした実情も、一般の読者の方にぜひ知っておいていただきたい。それが、この本を執筆した理由の一つです。

――脳トレゲームなども盛んに喧伝されていますが、認知症の予防に関しても、これが効果的と断言できるものはない、ということなのでしょうか?

丸山氏:残念ながらその通りです。例えば脳トレゲームに関しては、どちらかと言えば否定的で無効という報告もあります。基本的に体全体に健康的なことをやっていれば悪くはないだろうとは言えますけれども、それ以上は言いようがないですね。

 今後、認知症の解明についての研究がさらに進んで行くでしょう。その一方で、これからは、単に長寿であればいいというのではなく、いかに自らの死を成し遂げるかを真剣に考えることも大切ではないでしょうか。

 今から20年くらい前までは、とにかく患者さんを生かし続ける、ということが医学の大命題でした。それが次第に、いわゆるQuality of Life、つまり生活の質を重視するという考え方になってきました。個人的には、そろそろQuality of Dying and Death、すなわち、いかに豊かな死を迎えるかについても議論すべきだろうと考えています。

――どうもありがとうございました。

<著者プロフィール>
丸山 敬(まるやま・けい)  
埼玉医科大学医学部薬理学教室教授。1957年生まれ。東京大学医学部医学科卒業後、東大医学系大学院で研究を開始。医学博士。カナダ・トロント大学医学部へ留学後、臨床研修を開始する。その後、東京都精神医学総合研究所、国立生理学研究所などを経て現職。

研究テーマはアルツハイマー病・アミロイドタンパク質の代謝、神経特異的遺伝子など。著書に『最新カラー図解 はじめての薬理学』(ナツメ社、 2013年)、『休み時間の薬理学』(講談社、2008年)、訳書に『イラストレイテッド薬理学』(監修・翻訳、丸善出版、2012年)、『アメリカ版大学生物学の教科書』全3巻(監修・翻訳、講談社ブルーバックス、2010年)など多数。

薬局でカンタン糖尿病検査 指先チクッ、6分で結果

東京都足立区と徳島県内の薬局20店で、糖尿病の簡易検査を無料で受けられるのを知っていますか――。指先から血をごく微量採り、短時間で済む。2050万人と言われる糖尿病患者とその予備群。病気に気づかない人が多いなか、早期発見・治療につなげようという取り組みだ。

■自分で針刺し採血

 今月、足立区のJR綾瀬駅前の「あやせ薬局本店」。社会人2年目の医療機器メーカー社員福本貴大さん(23)は飛び込みで営業に訪れた。薬剤師の長井彰子さんに糖尿病の簡易検査を受けるよう勧められ、「実家を離れてから暴飲暴食気味なんです」。

 福本さんは長井さんの説明に従って、自分で左手の中指の先に小さな針を刺した。記者も試したが、チクッとする程度だ。

 必要な血液はわずか千分の1ミリリットル。血を細い管で吸い取り、検査装置(幅23センチ、奥行き・高さ27センチ)に入れる。待つこと6分。血液中の「ヘモグロビン(Hb)A1c(エーワンシー)」の値が出る。

 HbA1cは赤血球のたんぱくであるヘモグロビンとブドウ糖が結合したもの。食事などの影響を受けないため、直近1~2カ月間の平均的な血糖値を推定できる。

血糖値をあげず脂肪を吸収しない食べ方 「糖質4割」が理想

ダイエット経験について調査をしたところ、回答者全体の85%以上が「ダイエットしたことがある」と答え、女性に限ってみるとおよそ90%もの人が「あり」となった。

今までに試したことがあるダイエットをみると、最も多い回答は「食事制限」(リンゴのみ、炭水化物抜きなど)、続いて「ウォーキングやランニング」「サプリメントの摂取」となっており、日常生活の延長でやせたい願望がみえる(ブランディア総研調べ)。

 多くの人が経験しているダイエットだが、失敗やリバウンドを繰り返し、今度こそは正しいダイエットをしたいと知識を求めてさまようケースが多い。

 それでは、正しいダイエットとはどのようなものなのか。日本抗加齢学会専門医の森田祐二さんに聞いた。

「皆さんよく勘違いされていますが、ダイエットとは“体重を落とす”ことではなく、“体脂肪を落とす”こと。そもそも肥満は、糖質(炭水化物など)と脂質の摂取量が、消費量を上回ることなどによります。

 糖質や脂質は余ると中性脂肪という体脂肪になって蓄積されるので、体脂肪を落とすには、単純に糖質と脂質の摂取量を抑えればいいということになります。特に糖質制限は、糖尿病治療にも効果的であると、医学的にも認められています」

 とはいえ、極端な制限には注意点も。

「脂質は、エネルギー源であるほか、細胞膜や脳組織などを作る役目もあります。とくに体内では作れない必須脂肪酸は、食事から摂るしかありません。ですから、極端な制限は体調不良の原因に。

 また、糖質制限を5年以上続けると死亡率が高まるという研究結果もあります。とくに更年期以降の女性は、代謝や筋肉量が低下し、女性ホルモンの減少とともに、脳の衰えや、骨粗鬆症などさまざまな不調が出てくるようになります。

こういった時に、食べるべきものを食べ、体力をつけていないと、大病を患う恐れもあります」(森田さん)

 では、糖質と脂質は、どう摂るのが理想的なのか。ここでは、血糖値をあげない&脂肪を吸収しない3つの食べ方を紹介しよう。

【1】野菜・海藻類→たんぱく質・脂質→炭水化物の順で食べる

【2】脂や油を減らしすぎない。質を選んできちんと摂ること

【3】血糖値上昇や脂肪吸収を抑えるトクホ食品などを活用

「ダイエットのためには、糖質は、総摂取カロリーの4割が理想です。1日2000キロカロリー摂るとすれば、糖質は800キロカロリー程度。

また、食事の際、食物繊維の多い野菜などを先に食べると、糖の吸収が抑えられることもわかっています。ですから、食事の順序を意識するだけでも、ダイエットにつながります。

最近では、食事の前に摂ることで、脂肪や糖の吸収を穏やかにするトクホの食品なども出ているので、そういったものを活用するのもいいでしょう」(森田さん)

 今春には『からだすこやか茶W』(日本コカ・コーラ)など、1本で脂肪と糖の両方に作用するものも登場。ダイエットの強い味方になりそうだ。

「脂質ですが、肉抜きはNG! 肉や乳製品はたんぱく質が豊富なので、ほどほどに食べることも大切。また、料理に使う油をオリーブオイルやえごま油、キャノーラ油など、体によく、必須脂肪酸が豊富なものに変えるだけでも、ダイエット効果は期待できます。

 肥満は、糖質・脂質の過剰摂取のほか、運動不足、睡眠不足、ストレスも原因に。食事はもちろん、運動やメンタルのケアもダイエット成功には欠かせない要素です」(森田さん)

 薄着になる夏は、一年で最も体形が気になる季節。真夏に備えて効率的にやせよう。

糖尿病壊疽の足切断を回避 「メカノセラピー」って何だ?

宇宙飛行士の若田光一さんが188日ぶりに地球に帰還。無重力の世界で過ごしていたため、骨密度や筋力は20歳も年を取った状態だという。

「体には重力や気圧などさまざまな物理的刺激がかかっています。それがあるから、細胞は正常な機能を維持できるのです」

 こう話すのは、日本医科大学付属病院形成外科・美容外科の小川令准教授だ。この「細胞は物理的刺激の影響を受けて機能を維持している」という考え方がメカノバイオロジーで、「メカノセラピー」として医療に応用され、注目を集めている。小川准教授に聞いた。

 メカノセラピーの応用は多岐にわたっている。そのひとつが、糖尿病の足の壊疽(えそ)に対する治療だ。

「傷ができると、細胞は自然の物理的刺激に反応して皮膚を再生していきます。ところが糖尿病では、皮膚の細胞が物理的刺激に鈍感になることが分かってきました。

皮膚が再生されずに足が壊疽し、進行を抑えるために切断するのが従来の治療。そこで自然の物理的刺激以上の刺激を与え、鈍感な皮膚の細胞が正常に働くように促すのです」

 具体的には、壊疽した傷口にスポンジを詰め込んでフィルムで密閉し、専用器具で吸引する。

「人工的な物理的刺激を細胞が感じて増殖し、血管が新生され、皮膚の線維ができる。切断しかなかった患者さんの傷が、数週間できれいにふさがる場合があります。陰圧閉鎖療法と呼んでいます」

■ケガの傷跡も残らない

 一方、細胞が物理的刺激に対して敏感になり過ぎている場合もある。肥厚性瘢痕(はんこん)やケロイドだ。

「外傷や手術でできた傷痕の再生がちょうどよいところで終わらず、線維が過剰に産生され、皮膚が赤く盛り上がり、みみず腫れのようになります。

特にケロイドは肥厚性瘢痕とはっきり区別することは困難ですが、傷を越えて正常範囲まで病変が広がり、痛みやかゆみを伴う。理由が分からず、治療効果もこれまで期待できませんでした」

 この肥厚性瘢痕やケロイドにもメカノセラピーが応用されている。

「強い物理的刺激を与える糖尿病の陰圧閉鎖療法と異なり、傷にかかる物理的刺激を分散し、過剰にかかる力を逃がします」

 外傷や手術の傷は、皮膚の下層の真皮を縫う。しかし、これでは縫い口で真皮が上下左右に引っ張られ、真皮からできる肥厚性瘢痕やケロイドを引き起こす原因となる。

「そこで真皮よりもっと下層の皮下組織や筋膜を縫う。すると自然に皮膚が盛り上がって、傷口がぴったり合い、肥厚性瘢痕やケロイドができるリスクが減る。傷口が上下左右に引っ張られる力を分断したり弱めたりするために、切開の方法や向きも体の場所によって変えます」

 事故で鼻の下に大ケガを負った女性は、「結婚式を迎える10カ月後までに傷口が残らないように治して欲しい」と小川准教授の外来を受診。鼻の下は唇などの動きで物理的刺激がかかりやすく、どうしても肥厚性瘢痕ができやすい。

「彼女も、外傷の治療後3カ月後に肥厚性瘢痕ができた。しかし、レーザー治療も併用しましたが、メカノセラピーで傷口への細胞の力を逃がすようにすることで、結婚式の1カ月前には傷痕は目立たなくなりました」

 メカノセラピーの基本は、(1)物理的刺激に鈍感になった細胞に、強い刺激を与える(2)物理的刺激に敏感になった細胞に、力の分散を図る。陰圧閉鎖療法や肥厚性瘢痕・ケロイドの治療以外に、巻き爪や、短い骨を伸ばす骨延長術に利用されたり、変形性膝関節症、薄毛、美容などの研究が行われている。

糖尿病の食事療法は「地中海型食生活」が理想的

糖尿病と診断されて最初に学ぶのは、たくさん食べると血糖値が高くなるということです。何を食べても血糖が高くなるので途方に暮れた人もいるでしょう。

しかし、食後高血糖の直接の原因は、ほとんどが糖質(消化吸収できる炭水化物)によるものです。そのため、食事の糖質をグラム単位でカウントして、糖質をあらかじめ決めた量に守る「カーブカウンティング(糖質管理食)」の手法が用いられています。

 では、どの糖質食品でも同じように食べた量に比例して血糖が上がるのでしょうか? 実はそうではありませんでした。これを科学的に調べようとして発見されたのが、「グリセミック指数(GI)」なのです。

■GIの低い食品はすべて高食物繊維?

 以前から、食物繊維の効果とGIを混同している医療従事者がかなりいたので気になりました。この2つの効果は厳密には区別できませんが、同じではありません。

 食事の糖質の量と、体が分泌できるインスリン、あるいは注射するインスリンのバランスが、食後血糖値に最も影響を与えるのは明らかなのですが、糖質食品の種類や加工度、調理法、食べ方も食後血糖値に関係します。この糖質食品の「質」を科学するGIとは何なのか、そしてその賛否両論を紹介しましょう。

■GIの発見

 米国でも1980年までは、糖尿病患者の炭水化物食品の摂取管理は食品交換表を使っていました。つまり、「量」の管理です。トロント大学の科学者、David Jenkinsは、さまざまな炭水化物食品を食べた後の体の血糖値変化に興味を持ち、1981年、ごくありふれた食品62品の血糖反応を「Glycemic Index(グリセミック指数)」として、米国の臨床栄養学の専門誌AJCNに発表しました。栄養学者も医師も患者も、初めて耳にする言葉でした。

 糖質、つまり消化吸収できる炭水化物を50g含む食品を健常者に食べてもらって、2時間の血糖値の変化を折れ線グラフにして、同量のブドウ糖を摂取したときのグラフと照らし合わせました。

各食品の折れ線グラフの面積を、吸収が最も速い、つまり血糖ピークが最も高くなるブドウ糖の面積と比較したのです。こうするとブドウ糖を100とする、各食品の血糖上昇の割合、つまりGIが0~100で表わせます。

 50gのブドウ糖を100とすると、平均的な健常者の場合、精製小麦粉で作った白いバゲット(フランスパン)のGIは95、リンゴは39でした。日常生活で米飯とリンゴの糖質を同じ20gにそろえても、食後の血糖上昇の曲線は異なるのです。

 低GIの食品が食後2時間の血糖値上昇を抑えるのなら、必要とするインスリンも比例して減るので、インスリン不足の2型糖尿病患者には願ってもない話です。当初は大いに期待されました。

しかし、GI発見から30年以上たった今日でも、低GI食はそれほど熱心には糖尿病患者に勧められていないのです。なぜでしょうか?

■グリセミックロード(血糖負荷)の考え方

 多くのGI研究者はGIの利用だけでは、それほど糖尿病のコントロールに役に立たないことを知っています。低GI食品でも食べ過ぎれば高血糖になります。やはり糖質の総量規制が必要なのです。

 そこで料理に使用する各食品の糖質量にGIを掛け算した数値を、「グリセミックロード(血糖負荷)」とする方法が考えられました。グリセミックロードは、食事の糖質の質と量を加味した、負荷を表わす数値です。

これはハーバード大学公衆衛生大学院などで応用され、精白穀物の白いパンなどを好んで食べることが血糖負荷を高めて、肥満や2型糖尿病のリスクを高くすることが証明されました。

 GIの高いマッシュポテトとメロンを1カップずつ食べると、当然ながらマッシュポテトの方が血糖値が高くなります。

マッシュポテトにはより多くの糖質(グラム単位)が含まれているからです。ただし、このグリセミックロードを実際に糖尿病食事療法に導入できるかどうかは不明です。疫学としては有用でも、糖尿病患者の日常のコントロール目標には役に立ちません。

■GI擁護派の主張

 低GI食品を選んでその糖質をカウントすることで、血糖上昇を抑えられるとGI信奉者は力説します。25gの糖質を含むベークドポテトとスパゲッティでは、食後血糖に与える影響は3倍も違う! とシドニー大学のJennie Brand-Miller教授は主張します。このGI論者のカリスマ教授は彼女自身の体でこれを実験したそうです。

 もうひとつのメリットは、おおむね低GI食品がヘルシーだという主張です。低GI食品はフルーツや野菜、全粒穀物、パスタ、乳製品などですから、一見説得力がありますが、加工食品で低GIをうたうチョコレートやスナックはとてもヘルシーとはいえません。GIが低いのは高脂肪だからです。

■GI懐疑派の主張

 GIの懐疑派は根本的に欠陥があると考えています。食事はいろいろな材料でできていますから、例えば私達は単品のニンジンだけを食べることは、まずありません。また、GIは個人差が大きいのです。

健常者は、激しい運動で肝臓のグリコーゲンが消費されていれば、何を食べてもその補充に回りますから、血糖値は上がりません。そもそも健常者の場合、高GI食でもほんの少し血糖値が上がるだけです。また、百人百様の糖尿病患者の血糖反応からGIを計測するのは不可能です。

 どうもGIはあいまいさが残るので、サイエンスとは言い切れない部分があります。そう言えば、確かに食品成分表を使った糖質制限食だって実際の糖質量ではありませんから、正確なサイエンスではありませんね。

■GIも使い方次第では……

 食品別のGIリストは数え切れないほどありますが、各国各様の、もともと品質も季節も味も違う同じ名前の食材で、体格も料理の好みも異なる人達がざまざまな条件で測ったものなので、とても紹介できるものではありません。

ですからGIの細かい数値は無視して、高・中・低ぐらいの判断でいいと思います。日本では白米ご飯の血糖上昇を100として、83以上を高GI、65~82を中GI、64以下を低GIとしています。

 ひとつの考え方ですが、食事に低GI食品を少なくとも一品加える努力をするといいでしょう。代表的なのは野菜です。茹でたてのポテトのGIは75ですが、冷めると55に下がります。

ポテトサラダは冷めたいポテトと酢、オイル、他の野菜を加えて作りますから、ポテトが好きな人にはおすすめです。酢やオイルを加えると腸の動きが抑えられて、さらにGIが低くなるのです。

 たっぷりの野菜(デンプン食品は除いて)とフルーツ、全粒穀物、低脂肪乳製品、豆類、魚、脂肪の少ない肉を計画的に摂る「地中海型食生活」を実践すれば、ヘルシーですし、とりもなおさず低GI食なのでおすすめです。

コレステロール基準値「実は低い値のほうが要注意」と専門家

欧米の数々の研究では、血圧や血糖値について薬で無理やり下げすぎると、かえって健康を害したり死亡率が増加したりするといった驚愕のデータが発表されている。昨年にはコレステロールの新しいガイドラインも策定されていた。

 これも驚くべき内容で、「動脈硬化を促すとされ、“悪玉”と呼ばれているLDLコレステロールを下げても、心筋梗塞などの心血管疾患が治療・改善される根拠はない」として、基準値そのものが撤廃された。

 現在、日本では60~119mg/dlがLDLコレステロールの正常値だ。しかし、アメリカのガイドラインでは、コレステロールを一定の数値に誘導する治療法そのものに疑問が投げかけられているのだ。

「コレステロールは細胞膜や神経、ホルモンなどの材料で人体には必要不可欠なものです。コレステロール値は高値よりも、実は低い値のほうが要注意なのです」

 こう話すのは東海大学医学部名誉教授の大櫛陽一・大櫛医学情報研究所長だ。

 大櫛氏らが2009年に発表した、日本人2万6121人を平均8.1年間追跡した調査によれば、男性において、LDLコレステロールが100mg/dl未満の集団で肺炎などによる死亡が増加し、総死亡率が最も悪化したという。

「男性ではLDLコレステロールが160mg/dl以上の集団で総死亡率の上昇は認められましたが、これは高コレステロール血症という遺伝病が原因です。しかも、上昇率は100mg/dl未満のグループに比べると小さなものでした。

 また、女性では、LDLコレステロールが高い集団であっても総死亡率の上昇は見られませんでした。それよりも、危険なのはコレステロールを下げすぎること。

 先の調査結果の通り、細胞の免疫力が落ちて感染症などにかかりやすくなってしまう。日本ほどデタラメな非常識が“常識”としてまかり通って、患者の健康を損ねている国は他にありません」(大櫛氏)

糖尿病の新薬は1日1回のむだけ 副作用で太る心配も低下



糖尿病患者の生活を大きく変えると期待されているのが、2009年に発売された新薬“DPP-4阻害薬”だ。多摩センタークリニックみらいの糖尿病専門医・宮川高一さんは、その有効性について、こう話す。

「いままで、さまざまな糖尿病薬が登場してきました。そのため、以前はHbA1c値を下げるために、10の努力が必要だったのが、半分になり、

さらに、10年ぶりの新薬としてDPP-4阻害薬が登場したことで、3~4くらいの努力をすれば、改善が期待できるようになったのです」

 DPP-4阻害薬とは、消化管から分泌されるホルモンの量を増やし、血糖値の上昇を抑えるのみ薬のこと。発売後1年を経て、この1月から長期処方が可能となった。

「DPP-4阻害薬は、1日1回のめばよい点もメリットです。DPP-4阻害薬の『ジャヌビア錠』を処方した女性患者のひとりは、『服薬が楽になり、気持ちの負担が減った』といっています」(宮川さん)

 これまでの糖尿病治療薬には、“太る”という副作用がつきものだった。一方で、DPP-4阻害薬は“体重を増やさない”という点も特徴。

「女性は年齢とともに太りやすくなりますから、服薬のストレスだけでなく、肥満の心配から解放されるのも、大きなメリットです」(宮川さん)

 DPP-4阻害薬は、1か月で自己負担が1500~2000円と、やや割高だが、「糖尿病の状態や経済性も考慮しながら、使う価値は大いにある。将来的には、糖尿病薬のうち、DPP-4阻害薬が35~40%を占めると予想されます」と、宮川さんはいう。

 今後も患者数の増加が見込まれる糖尿病。患者であってもなくても、食事と運動、体重の調整が解決策の要であることには変わりない。

ただし、もし発症してしまった場合、いい薬を使うことで、過大なストレスから解放される可能性があるということが、いまの日本人にとって、朗報であることは間違いない。

体重減効果も 4月発売「糖尿病新薬」飲んでいい人、悪い人

新しい糖尿病新薬「SGLT2阻害薬(ナトリウム・グルコース共輸送体2阻害薬)」が4月に発売された。さらに類似の3成分4製剤が厚生労働省に承認されており、間もなく発売予定だ。

SGLT2阻害薬は従来の糖尿病薬とは全く違うメカニズムで、画期的な薬として専門医から注目を集めている。どういった薬なのか? 糖尿病専門医である加藤内科クリニック(東京・葛飾)の加藤光敏院長に聞いた。

★従来の薬とどう違う?

「この薬は少し難しい薬ですので、医師だけでなく患者も特徴をよく知って使うべき薬であることを強調したいと思います。作用としては、腎臓の糸球体で濾過(ろか)されたブドウ糖は尿細管でSGLT2とSGLT1によって再吸収され体内に戻りますが、この薬は糖を体に再吸収させず、積極的に尿中に排出させ、血糖値を下げる全く新しいものです」

★糖を尿中に排出させて体にダメージはないのか?

 健康診断で「尿糖が出ている」と指摘された人もいるだろう。人間の体には「体内で糖が増えると、尿中に糖を捨てる」という自然な働きが備わっている。

「高血糖が続くと、それが毒となって血管や臓器を傷めるので、体は大事なエネルギーを外に捨てます。今回の薬はそれを逆手に取ったもので、食後で160~180mg/dlといった高血糖になる前の、もっと血糖が低い段階から糖を尿中に出すのです」

★「SGLT2」とは?

「腎臓の近位尿細管という部分で、糖を再吸収する輸送体です。SGLT1とSGLT2があり、主に働いているのはSGLT2で、新薬ではこちらの働きを阻害して糖の再吸収を阻止します。SGLT1も阻害する薬も研究されていますが、消化管障害などが起きやすいため、SGLT2にターゲットを絞った新薬が開発されました」

★SGLT2阻害薬のメリットは?

「この薬は、単独使用では血糖が過剰に下がる低血糖が起きにくい薬です。脂肪が分解されやすくなり、体重も2~3キロ落ちる方が多いのもメリットです。また、従来の薬と全く作用が異なるので、今までの薬で不十分な場合に、併用でも効果が期待されます」

★デメリットは?

「(1)糖が尿に出る時に体の水も引かれて出るため、こまめに水分を取らないと脱水になる危険があり、真夏は要注意(2)尿路・性器感染症が女性で特に起きやすい(3)やせ形の方や高齢者ではエネルギー不足で、脂肪を燃焼させるのでは足らず筋肉を減らす恐れ(4)腎臓の悪い方は効果が少ない(5)尿量が増える(6)薬をやめると体重が元に戻りやすい――の6つです。減量だけを目的に飛びつくのは危険です」
 慎重に使わなくてはならないことは確かだ。

★糖質制限食の人も使用できる?

 糖を尿に排出するので、糖質制限食などで、もともと糖の摂取が少ない人はどうなのか?
「単独使用では低血糖のリスクが少ないが、糖質制限食の人は、低血糖や、筋肉がエネルギーに利用されて減る可能性があります。この薬を飲むなら糖質制限を続けない方がいいでしょう。なお、大酒を飲んだ時も低血糖に要注意です」

★お勧めの人、お勧めでない人は?

「まず安全に使用出来ると思われるのは、60歳以下の肥満体形で2型糖尿病の方でしょう。〈今日は猛暑日の予報だ〉〈マラソンに出る日なので服用を休む〉など、場面によって患者自身が対処することが必要な薬です。この薬が糖尿病患者さんの福音となるように慎重に使用していきましょう」

「糖尿病」の恐怖…悔しがる森永卓郎さん 合併症で多大な医療費負担

健康診断で「糖尿病の疑いがある」と指摘されても「体調が良いから大丈夫」と放置したままの人もいるのではないだろうか。糖尿病が怖いのは、高血糖が続くことで血管障害の合併症が起こりやすくなるためだ。

合併症が出てからでは健康な状態に戻すのが難しいのはもちろん、経済的な負担も大きい。発症抑制に最も効果が高いのは生活習慣の見直しだ。医療費の節約と考え、実行してみてはどうだろう。(平沢裕子)

 ◆節約できない

 経済アナリストで独協大学教授、森永卓郎さん(56)は3年前、足にできた傷がなかなか治らなかった。病院を受診すると、糖尿病と診断された。現在、合併症予防のためにインスリン療法を行っており、毎月の医療費は1万~1万5千円という。

 『年収300万円時代を生き抜く経済学』などの著書があり、お金の節約やお得情報に敏感な森永さんは「自分が糖尿病になるなんて考えたこともなかった。医療費は毎月の固定費で節約できない。もっと早く病気の怖さや経済的負担が大きいことに気づけばよかった」と悔やしがる。

糖尿病は血糖値が高くなる病気。しかし、血糖値が多少高いくらいでは全く症状がない人がほとんどだ。

糖尿病が悪化し、血糖値がかなり高くなってくると、喉が渇きやすい、だるい、トイレが近い、傷が治りにくいなどの症状が現れる。森永さんも足の傷が治りにくかっただけでなく、喉が渇くなどの症状も自覚していたという。

 血糖値が高い状態が続くと、細い血管が詰まり、網膜症や腎症、神経障害の合併症が起きやすくなる。太い血管が動脈硬化を起こし、脳卒中や心筋梗塞などの合併症となるリスクも高い。

 東邦大学医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌学分野の弘世貴久教授は「網膜症は失明、腎症は透析、神経障害は足の切断などにつながる。糖尿病を指摘されても『体調が良いから大丈夫』と思っている人は多いが、症状が出るのはかなり危機的状況になっていることを知ってほしい」と指摘する。

 ◆食事・運動が基本

 森永さんのように中年以降になって発症することが多い2型糖尿病は、過食、肥満、運動不足、ストレスなどが主な原因。治療は食事療法と運動療法が基本だ。食事・運動でうまく血糖値がコントロールできなければ、飲み薬やインスリン注射による治療を併用することも多い。

 糖尿病ネットワークの医療費試算によると、糖尿病の年間の自己負担(3割負担)は、通院しても投薬なし(食事・運動療法のみ)なら約4・3万円で済むが、薬1種類を服用すれば約9万円、インスリン注射と投薬を併用した場合は約13・2万円となる。

一方、腎症から人工透析となった場合、高額療養費制度があるため自己負担は年間12万円だが、実際には500万円以上の医療費がかかっている。

 森永さんは「合併症になれば桁違いに医療費が増え、国民全体の負担になる。僕もそうだったが、糖尿病がどんな病気か知らない人は少なくない。血糖値が高いと言われた人は医師に相談して治療を始めた方がいい」と話している。

■インスリン、効果同じなら9割が安価な製剤を希望

 製薬会社の日本イーライリリー(神戸市中央区)が、糖尿病のインスリン療法を受けている患者2650人に医療費についてアンケートを実施したところ、4割が「医療費負担のために抑えている費用がある」と回答している。

抑えている費用(複数回答)は、趣味・娯楽費82%▽服飾費60%▽交際費49%▽食費・生活費45%-の順だった。

 インスリン療法開始の際、主治医の勧めるインスリン製剤に決めた患者は9割。インスリンは製剤によって価格は違うが、7割がこのことを知らず、9割の患者が同等の効果が期待できるなら安価なインスリン製剤を利用したいと思っていた。

 弘世教授は「日々たくさんの糖尿病患者さんを診察しているが、治療費について相談されることはそれほど多くない。納得して治療を受けてもらうためにも医療費の問題なども医師にどんどん相談してもらえれば」と話している。

この春承認 “糖尿病新薬”はどのくらい画期的なのか!?

これまでとメカニズムが全く違うというが…

糖尿病の新薬が今春承認される見込みとなった。これまでとメカニズムが全く違うため、「糖尿病治療において画期的なことになるだろう」という専門医の声も多い。どういう薬なのか? 糖尿病専門医である加藤内科クリニック(東京・葛飾)の加藤光敏院長に話を聞いた。

、「SGLT2阻害薬。

「心臓から送られた血液は、腎臓の糸球体で濾過(ろか)されて、“原尿(尿のもと)”が作られます。

1日あたりで作られる原尿は、150リットル余りと風呂おけ(浴槽)分ほどあり、この中からナトリウムやグルコース(糖)といった体に必要な成分が尿細管から再吸収され、1.5リットルほどの尿が排出されます。つまり、原尿の99%は、体に再吸収されるわけです」

血糖値上昇に関係するのは、糖だ。本来は人間が生きていく上で必要なものとして再吸収される糖だが、体内の糖が過剰になると、インスリンが十分に機能しないようになり、血糖値が高い状態が続く。

 高血糖は、毒となって血管を傷める。それを阻止するために、糖を再吸収せず、尿中に排出しようと体は働く。健康診断などで「尿糖が出ている」と言われるのは、この状態を指す。なお、空腹で尿糖が出たら放置できない大変な高血糖である。

「高血糖だと尿糖が出るので、これまで尿糖は糖尿病の悪化を示す指標のひとつでした。しかし、今回の新薬はこの発想を違う面から捉えて開発されたものです。

普通は血糖が160~180mg/dlを超えると尿糖が出るようになりますが、血糖がもっと低いうちから薬で再吸収を抑え、尿糖として捨ててしまおうという新発想の薬なのです」

 腎臓には、糖を再吸収する輸送体としてSGLT1とSGLT2がある。

輸送体は、必要に応じて開く穴のようなものと考えると分かりやすい。このうち、主に働いているのがSGLT2。新薬は、SGLT2の働きを阻害することで、糖の再吸収を防ぎ、そのまま尿として出すようにするわけだ。

過去には実験用の薬でSGLTの1と2の両方を阻害するものもあった。

しかし、SGLT1を阻害すると、小腸での糖の吸収に作用して、消化管障害が起こるリスクが高くなることが分かったので、新薬ではSGLT2だけに作用するようになっている。

「この薬のメリットは、腎臓からの糖の再吸収を阻害するだけなので、血糖値が下がりすぎない。

従来の糖尿病治療薬の中には、低血糖の副作用がありましたが、その心配の少ない薬です。体内の糖が減少するので、体重もある程度減少します」

 ただ、一方で、血糖値を下げすぎないということは、効果がそれほど強くないということ。血糖コントロールが非常に悪い人には、少なくともSGLT2阻害薬を1種類だけ使用、というのは難しいだろう。

「全く新しい薬なので慎重に使用していくことが大切です。特に女性で膀胱(ぼうこう)炎を繰り返している方はやめておいた方がいいでしょう。

現在の薬で治療がうまくいっている人は、今のままでいいと思います。糖尿病に加え、肥満、脂質異常症、低血糖を何度も起こすといった人は、担当医に相談するのも手でしょう」

 覚えておこう。

周富徳氏、佐野実氏を蝕んだ糖尿病 食べる順番で予防する

先週、誤嚥(ごえん)性肺炎のため死去した「炎の料理人」こと中華料理シェフの周富徳さん(享年71)。くしくも、同時期に亡くなった「ラーメンの鬼」こと佐野実さん(享年63)と共通するのは、最期まで糖尿病と闘っていたことだ。

 糖尿病はラーメンなど糖質を含んだ食品の取り過ぎが引き金になるが、ちょっとした工夫でリスクが軽減できるという。それは「食べ方」だ。管理栄養士の伊達友美氏がこう言う。

「糖尿病は血糖値の急上昇と急降下を繰り返すことですい臓が疲労し、インスリンの分泌力が低下して発症を招きます。しかし、食べる順番を変えたり、ちょっとした工夫をすることで血糖値をコントロールし、糖尿病を予防できます。この方法はダイエットにも効果があるのです」

 では、どうすれば血糖値を急上昇させずにすむのか。伊達氏に聞いた。

■「ビールで乾杯」の前に

「おいしくても、すきっ腹でビールの乾杯は避けましょう。胃で分解されたブドウ糖が血液中にどんどん送り込まれ、血糖値を急激に上げます。それを防ぐには胃に“バリアー”を張り、ブドウ糖の吸収を緩やかにすること。

具体的には、乾杯前に食物繊維や脂質を含む食品を取っておく。枝豆や切り干し大根みたいなお通しがあれば乾杯前に食べる。接待で難しい場合は、乾杯の5分前にアーモンドなどナッツ類を数粒食べておくだけでも効果的です」

■ラーメンの食べ方にもコツ

「麺から食べると血糖値を上げやすいので、最初にスープを2口以上飲みます。次にワカメ、メンマ、チャーシューなど具材を食べる。麺は一番最後です。酢、コショウ、ラー油など調味料も糖の吸収を緩やかにしますから、積極的に使いましょう」

■牛丼、定食は?

「どんな食事もサラダなどの野菜、汁物、おかずの順番に食べ、最後に炭水化物を食べること。コンビニの弁当を食べる時も味噌汁をつけ、おかずから食べるだけで効果が見込めます」

 糖分を含んだジュース、アメ、ガム類も血糖値を上げるからなるべく避ける。食べたければ食後に食べるのがベターだ。

あなたを襲う高血圧の恐怖… 油断が“後悔”に 脳梗塞と後遺症★あなたを襲う高血圧の恐怖(1)

■脳梗塞と後遺症

 市民病院の救命救急センターに到着した救急車。搬送されてきたのは男性Kさん(55)。右手に力が入らず、言葉もおぼつかない様子に異変を察した妻の要請での救急搬送。たらい回しの揚げ句、ようやく受け入れてくれたのが自宅から30キロ以上離れたこの病院だった。

 MRIなど検査の結果は脳梗塞。発症から時間も経過しており、血栓溶解剤は使えない。脳浮腫を改善する薬で脳圧を下げる治療が行われた。つまり、血流再開はあきらめ、“救命”を優先せざるを得ない状況だったのだ。

 1カ月後、リハビリ病院に転院。そこで10カ月にわたる厳しい機能回復訓練を経て、自宅に戻ったときには、90キロ近くあった体重は60キロ台まで減少。

ダイエットにはなったものの、右腕は肘で曲がったまま固まり、右脚は突っ張ったまま膝が動くことはない。

 Kさんは大手情報処理企業の部長職。毎年、企業健診も受けていた。45歳の時に血圧が高めだと指摘されたが、忙しさも手伝って無視を決め込んでいた。

毎年、健診のたびに血圧の異常を指摘される。初めは「高め」という表現だったが、数年後には「高血圧」という病名に変わった。

 それでもKさんが無視し続けた背景には、「高血圧なんて大した病気じゃない」「すぐに命に関わることもないだろう」という油断があったのだ。

 「治療を面倒がる、薬を飲むことに抵抗感を持つ、何より“病気を甘く見る人”は非常に多い。『太く短く生きるんだ』と言い切る人も少なくない」と語るのは東京都港区にある三好内科クリニック院長で循環器内科が専門の三好俊一郎医師。

 しかし、そんな人も数年かけて現実に病気が進行し、重篤な症状を発症したときには後悔することが多いという。

 Kさんもそうだった。退職にこそならなかったが、役職は外された。与えられた席で、何するでもなく終業時刻を待つだけの日々。鬱積は家族に向けられ、妻や子供との関係は悪化するばかり。

 「10年前、血圧の異常を指摘されたところからやり直すことができれば、この状況は回避できたはず」と語る三好医師。食生活を改め、日常の中で意識的に“血圧”に目を向けるだけでも、生活習慣は大きく違ってくる。

 「減塩の食事はおいしくない-と思いがちですが、だまされたと思って1カ月続ければ舌が敏感になり、味覚の世界が広がります。

また、血圧は病院で測る数値よりも、家庭で、リラックスしているときの数値が医師にとっては役立つもの。日頃から家庭で血圧を測る習慣を身につけることで、自然に健康管理への意識も高まります」(三好医師)

 次回以降、Kさんの後悔を未然に防ぐための取り組みを検証する。

血圧を自宅で測る習慣を 測定値が治療の目安に★あなたを襲う高血圧の恐怖(2)

がん、心臓病、肺炎、脳卒中-。言わずと知れた、日本人の死因トップ4だ。中でも心臓病(心筋梗塞や狭心症など)と脳卒中(脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など)は、ある日突然大発作を起こし、そのまま帰らぬ人となる危険性がある。

たとえ命は救えても、深刻なまひが残ったり、長期のリハビリや治療を余儀なくされるなど、生活の質(QOL)の大幅な低下は免れない。

 この心臓病と脳卒中の最大のリスクファクターとなるのが“高血圧”だ。

 「肥満や塩分の取り過ぎなどが高血圧の代表的な要因。これらは単体でも発症頻度を大きく高めますが、糖尿病、高コレステロール血症、さらには喫煙などの危険因子を複合的に持っている人の場合、そのリスクはけた違いに高まる。

リスクを持たない人の30倍や40倍にもなるという試算さえあるほど」と語るのは、みずほフィナンシャル・グループ内幸町健康開発センター長で、東京都港区にある「番町診療所表参道」で循環器外来を担当する谷正人医師。

 特にサラリーマンで気を付けたいのが30代半ば以降の“メタボ族”だ。谷医師が続ける。

 「ある調査によると、大学を出て会社に入った新入社員の多くが、30代半ばまでに15キロ程度体重が増えるといわれています。

つまり30代半ばでメタボの素地が出来上がり、これに朝食抜き、昼のはや食い、夕食ドカ食いと飲酒-の三拍子そろった食生活を続けることで、肥満は完成していきます。サラリーマンはこれに睡眠不足とストレスも加わるので、高血圧にならないほうが不思議なほど」

 こうなると血圧を下げる治療が必要となるが、多くの人が勘違いをしていると谷医師は指摘する。

 「降圧薬は1度飲み始めると一生やめられない、と思い込んでいる人がいますが、それは誤解。食事療法などで体重を下げ、適切な運動を続けることで血圧が下がってくれば、投薬を中止することは可能です」

 そんな高血圧の治療を進めていくうえで、最も重要な取り組みは何なのか。谷医師は、日頃から“平常時の血圧”を測定することを推奨する。

 「医療機関で測る血圧は緊張状態の数値のため、総じて高めになる。それよりも、自宅でゆったりと“平常時”に測った数値こそが治療の目安になるのです。私の外来を訪れる高血圧患者には、必ず自宅で測定した血圧の数値を記録してもらっています」

 谷医師によると、家庭で測った血圧の測定値が治療に役立つのはもちろんだが、これを習慣にすることで、「どんな時に血圧が動くのか」という傾向を患者自身が知ることができ、血圧管理に積極的になるというメリットもあるという。

 家庭で血圧を測る、という簡単な取り組みが、意外にも死因トップ4のうち2つを消去することにつながるのだ。

夜間高血圧に注意 脳や心臓疾患の要因に 就寝中測定機能を使おう★あなたを襲う高血圧の恐怖(3)

「夜間高血圧」という病名をご存じだろうか。本来人間は昼間に活動し、夜は睡眠を取ることで休息し、体力を回復する。そのため日中は血圧が高まり、夜間は落ち着くのが普通だ。

 ところが夜間、しかも就寝中にも関わらず、血圧が下がらないどころか、人によっては昼間より上がってしまう人もいる。これが「夜間高血圧」とよばれる病態で、脳や心臓の重大な病気を引き起こす要因となるのだ。

 「原因はいくつか考えられますが、何かの臓器で障害が起きていることが考えられます。

障害によって起きている虚血状態を補うため心臓では多くの血流を送り込もうとするので、血圧が高まるのです」と語るのは、自治医科大学循環器内科准教授の星出聡医師。

 もう1つ、星出医師が注意を呼びかけるのが「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の存在だ。

 「SASで断続的に呼吸が止まることで自律神経のバランスが崩れるのです。本来であれば睡眠中は副交感神経が優位になっているはずですが、SASの影響で交感神経が活性化してしまい、血圧が上がることになるのです」

 いずれにしても、放置すれば生命に関わる危険性が高く、きちんとした対策を講じる必要がある。しかし多くの場合、当人は眠っているので、なかなか気づきにくいのが難点だ。

 「1980年代後半に24時間自由行動下血圧計という機器が開発されたことでこの病態の存在が明らかになってきました。現在も診断にはこの測定器を使用します」(星出医師)

 読者の中には、一昼夜にわたって心電図を撮り続ける“ホルター心電計”を使ったことがある人がいるかもしれないが、これはその“血圧測定器版”といったところ。

これで測定した結果、収縮期(上)の血圧が120mmHg、拡張期(下)が70mmHgを上回ると、「夜間高血圧」と診断されることになるのだ。

 ところがこの24時間自由行動下血圧計という機器は、どこの医療機関でも持っているわけではない。そうなると、簡単には診断が下せないということになるのだが…。

 「じつは家庭用の血圧測定器の中に、夜間就寝中の血圧を記録する機能を搭載したものがあるのです。これを使って夜間高血圧の危険性を探り、その疑いが強いようなら循環器科の専門医に相談するのが理想的な流れです」と星出医師。

 ちなみに星出医師によれば、夜間高血圧の人には、不眠や寝てもすぐに目が覚める-といった特徴的な傾向が見られることが多いとのこと。この手の症状を持つお父さんは、「前立腺肥大症だろう」と決めつけるのではなく、血圧の心配をしてみる必要がありそうだ。

糖尿病リスク3割減!? 高倉健も実践する「シリアル食」

糖尿病の予防には食物繊維が効果的だといわれている。中でも、<穀物のシリアルによる摂取がもっとも糖尿病リスクを下げる>という研究報告がある。

 昨年12月に開催された世界糖尿病会議で中国の研究グループが発表したもので、<1日10グラムの摂取で発症リスクが30%も減少する>という。同じ食物繊維でも、野菜、果物、豆類によるものは、逆にリスクが増加している研究もあり、発症リスクとの関連性は低いとしている。

 米国の研究でも、<穀類から摂取する食物繊維が1日2.8グラム未満の人は、1日5.8グラム以上の人よりも2倍、糖尿病になりやすい><1日8.1グラム以上、穀類から食物繊維を摂取する人は、1日3.2グラム未満の人よりも、糖尿病の発症率を30%減らせる>といった報告がある。

 食物繊維は「水溶性」と「不溶性」に大別される。水溶性は、こんにゃく、海藻類、果物などに多く含まれ、腸内で水分を取り込んでゲル化し、脂肪や糖質の吸収を抑える働きがある。消化吸収のスピードを遅くするので、食後の血糖上昇が緩やかになる。

一方の不溶性は、穀類、野菜、豆類などに多い。腸内で水分を取り込んで数倍に膨れて体積を増やし、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促すので、便秘や痔(じ)の予防にも効果がある。

トウモロコシ、小麦、オーツ麦、玄米などから作られている穀物のシリアルに含まれているのも、多くは不溶性だ。

 横浜創英大名誉教授の則岡孝子氏(栄養学)が言う。
「不溶性食物繊維は、消化吸収することができないので、胃の中の滞在時間が長くなり、腸壁が刺激されることで腸を通過する時間が短くなります。

便通を促す効果が高いので、糖質などのエネルギー吸収を少なくさせ、有害物質を素早く体外に排出する働きもある。繊維質の食品は咀嚼回数が増え、満腹感も持続するので、糖尿病と関わりが深い肥満も予防します」

 厚労省が推奨している成人男性の食物繊維の摂取量は1日あたり19グラム。日本では男性の摂取量が平均14.3グラムと不足しがちな上、穀物からの摂取が減ってきている。糖尿などの生活習慣病が気になる人は、穀物のシリアルを試してみる価値はありそうだ。

■高倉健も毎朝食べている

 糖尿病専門医で「しんクリニック」の辛浩基院長は言う。
「糖尿病患者の食事指導において食物繊維は欠かせないものです。腸管でブドウ糖の吸収をブロックして血糖値の上昇を緩やかにするため、食後に分泌されるインスリン量が少なくて済み、血糖コントロールに効果的なのです。

他の食事と一緒に取ることにより、全体のGI値を下げ、血糖値を穏やかにする効果があるのではないでしょうか」

 GI値とは、グリセミック指数ともいわれ、炭水化物が消化されて糖に変化する速さを相対的に表す数値のこと。GI値が低い食品は、血糖上昇が穏やかなためインスリンが少なくて済む。

逆にGI値が高い食品は、急激に血糖値が上昇してインスリンがたくさん必要になるため、糖尿病には大敵だ。

 オートミールや小麦ふすまなどを使ったノンシュガーのシリアルは、GI値が45~55と低い。やはり糖尿病予防の効果はありそうだ。

シリアルの中には、大麦などの水溶性食物繊維を多く含んだ穀物を使ったタイプもある。
「牛乳やヨーグルトなどをかけて食べると、腸内細菌の働きを高めて免疫力をアップさせたり、糖の吸収を穏やかにする効果も期待できます。

食物繊維を取りすぎるとミネラルが排出されてしまう恐れもあるので、ビタミンやミネラルが豊富な野菜を一緒に食べると理想的です」(則岡氏)

 最近は俳優の高倉健(82)が健康のためシリアルを食べているとテレビで明かして話題になった。毎朝「グラノーラ」(麦、玄米、トウモロコシなどの穀物を焼き、ドライフルーツやナッツなどをミックスしたもの)を食べているという。

従来方法は古い 糖尿病と診断されたら受けるべき最新検査



「残念ながら糖尿病です」

 主治医にそう告げられたら、あなたはどうするだろうか?

 血糖値をコントロールするための薬を飲み始める?

 食事制限をする?あるいは運動を始める? むろん、これらも必要なことだが、まずやるべきことは、死に至る合併症から身を守る、最新検査だ!

 佐藤直子さん(仮名、74歳)が糖尿病と診断されたのは5年前。以降、腎臓の検査や目の検査などと共に胸部・腹部のCT検査、脳のMRI検査、心臓CTなど、少しお金のかかる検査を定期的に受けるよう心がけているという。

糖尿病専門医で佐藤さんの主治医でもある、AGE牧田クリニックの牧田善二院長が言う。

「糖尿病の男性は10年、女性は13年も短命です。それだけ、糖尿病は命に関わる病気なのです」

 糖尿病というと、手足の壊死(えし)につながる神経障害、失明につながる網膜症、腎症といった3大合併障害が有名だ。しかし、いずれも薬や手術技術の進歩により、血糖値に関係なく、治る道筋が開かれつつある。

佐野実氏だけじゃない…中高年が蝕まれる“複合汚染”

有名ラーメン店「支那そばや」の店主で、“ラーメンの鬼”としてテレビ番組にも出演していた佐野実氏が11日、多臓器不全で亡くなった。享年63歳。糖尿病を患っていて、2月中旬から入院していたが、病室でも「支那そばや」のラーメンを口にしていたという。

 ラーメンは子どもからお年寄りまで愛される国民食だが、健康的なイメージはない。6年前には、新横浜ラーメン博物館の広報だった武内伸氏も肝硬変で亡くなっている。「3食ラーメン」生活を送っていたラーメン王。48歳の若さだった。

 医学博士の米山公啓氏は「ラーメンの特徴はカロリーの高さと塩分の多さ。塩分の過剰摂取とがんの関係は医学的に証明されています。やはり、控えめに食べるのがいいでしょうね」と言う。

■「41歳寿命説」に現実味

 最近は佐野氏と同じぐらいの年齢で亡くなる有名人が多い。女優の安西マリアさん(享年60)がそうだし、蟹江敬三さん(同69)、大滝詠一さん(同65)もまだ若かった。みんなの党の藤巻幸夫参院議員(同54)はさらに年下だ。問題は塩分だけじゃないだろう。

 1990年には、1959年生まれ(今年の誕生日が来て55歳)以降の人の平均寿命は41歳だとする書籍「41歳寿命説」が話題になった。子どものころに防腐剤、着色料、保存料などの添加物や農薬を摂取し始めた世代は早死にすると説いた本だ。

 実際、戦後の1948年に60品目だった添加物は、60年代には約350品目になり、今や1500品目ぐらいまで増えている。それだけに気になってしまう。「危険食品読本」の著書がある食品ジャーナリストの椎名玲氏が言う。

「今の40~60代は、子どものころに高度経済成長期を迎えています。主婦も働きに出るようになった世代。家庭では食生活に手間を掛けられなくなり、そこにレトルトカレーやインスタント麺が出てきた。

しかも、今ほど製造者が食品の安全性に意識がなかったから、危険な食品添加物がいくつも使われていた。そんな食品を摂取すれば、体は複合的に汚染され病気を引き起こしかねません。また、化学物質は経皮吸収もします。

化粧品やシャンプーに含まれる成分でも病気につながるケースがある。乳がんが増えたのも経皮吸収によるものだとの指摘があるくらいです」

 長生きしにくい時代である。

糖尿病 なりやすい人のタイプと予防のための「3つの実践」

「糖尿病」は、一度発症すると一生つきあっていく病気である。「糖尿病予防 3つの実践」を 京都医療センター 予防医学研究室長の坂根直樹(さかね・なおき)さんにご紹介いただいた。

* * *

■糖尿病のリスク

■糖尿病を起こしやすい人

次のような人は、糖尿病を起こしやすいと考えられています。

◎家でゴロゴロすることが多い――横になってテレビを見続けたり、座っていることが多い人は、活動的な人に比べて、糖尿病のリスクが約2倍に上がるといわれています(※1)。

◎朝は食べず、夜は“ドカ食い”――夜遅くにたくさん食べると、朝食が食べられなくなるだけでなく、内臓脂肪が付きやすくなり、肥満を招きます。

◎若いときのズボンがきつくなった――それほど太っていなくても、若いころのズボンがきつくなった人は、腹部に内臓脂肪が付いているおそれがあります。現在の体重が、20歳のときから5?以上増えていると、糖尿病のリスクが高くなるといわれています(※2)。

これらは、言い換えれば、「運動不足」「よくない食事習慣」「肥満」が、糖尿病のリスクであることを示しています。

このほか、次のような人も注意が必要です。

◎家族に糖尿病のある人がいる――インスリンの分泌が遅れたり、量が不十分だったりする体質(インスリン分泌不全)が遺伝する場合があります。

◎妊娠糖尿病だった――妊娠中につくられるホルモンにインスリンを抑える働きがあるため、妊娠をきっかけに血糖が異常に上昇します。出産後は、多くの場合、血糖値が正常に戻りますが、将来、加齢に伴い、糖尿病を発症する危険性が高いと考えられています。

◎糖尿病予備群――糖尿病は、血糖値を基に診断されます。空腹時の血糖値で見ると、126mg/dL以上の場合には糖尿病が疑われ、100mg/dL未満の場合なら正常です。

100~125mg/dLの場合は、将来、糖尿病になるリスクが高く、糖尿病予備群と呼ばれています。予備群は、正常な場合に比べると、約6倍も糖尿病を起こしやすいといわれています(※3)。

■合併症

糖尿病は、高血糖により血管が傷害されるため、「血管の病気」ともいわれます。そのため、病気が進行すると、血管が張り巡らされている、体内のさまざまな部位に合併症が起こるおそれがあります。なかでも、細い血管が多い神経、目、腎臓が障害されやすく、3大合併症といわれています。

◎神経――手足のしびれやこむら返りなどが起こります。

◎目――眼底出血が起こり、失明することがあります。

◎腎臓――腎不全などが起こる場合があります。

また、血糖値が高いと、太い血管に動脈硬化を起こしやすいことも知られています。動脈硬化は予備群のころから進行し、脳梗塞や心筋梗塞になるリスクが高まるとされています

■糖尿病予防 3つの実践

今回は、「糖尿病予防 3つの実践」を紹介します。

1 週に150分運動

2 腹八分目

3 3か月で3?減

糖尿病予備群でも、これらを目標に実践すると糖尿病になるリスクがほぼ半減することが、最近わかってきました(※4)。

■1週間に150分間運動を行う

運動は、1週間単位で目標を立てて行うとよいでしょう。例えば、ウオーキングなどを1回30分間、1週間に5回、あるいは1回50分間、1週間に3回行えば、合計で150分間になります。

運動の種類には、軽く汗をかく程度のウオーキングのほか、「好きなスポーツをする」「ジムで筋力トレーニングをする」「家でスクワット、腹筋運動、腕立て伏せなどをする」などがあります。

■食べ過ぎの人は、腹八分目にする

過体重(※5)や肥満のある人は、摂取エネルギーを平均して1日当たり約200kcal減らすことが、糖尿病予防につながることがわかっています(※6)。例えば、「ご飯を2口」「小さな菓子パンを1個」「せんべいを1枚」の3つを合計すると約200kcalになります。つまり、余分なものを食べないよう心がけることが大切です。

■肥満のある人は、3か月で3?減量

肥満のある人は、3か月をめどに3?の減量を目指しましょう。これは60?の体重の人なら5%に当たります。それを達成したら維持することが大切です。3か月と期間を区切ることで、減量の成功率が高まります。標準体重(※7)や20歳ごろの体重を目標にする必要はありません。

※1 Hu FB, et al. Arch Intern Med. 2001など

※2 Nanri A, J Epidemiol Community Health. 2011

※3 Heianza Y, et al. Lancet. 2011

※4 日本糖尿病予防プログラム(研究リーダー葛谷英嗣)など

※5 BMI(体格指数)値が23以上の人。

※6 Sakane N, et al. BMC Public Health 2011など

※7 BMI値が18.5以上、25未満。

■『NHKきょうの健康』2014年4月号より

糖尿病の末梢動脈疾患……危険な足の冷え・痛み・しびれ

糖尿病の足病変の原因は、足潰瘍患者のうち約50%が末梢神経障害によるもの、約20%が血流障害、残りの約30%が末梢神経障害と血流障害を併せ持っていると考えられています。

 動脈硬化は糖尿病でなくても起こりますから、私達の関心はとかく神経障害に向きがちですが、実は糖尿病患者は特に膝下のアテローム性動脈硬化が多くなるという傾向があるのです。血流がとだえると足の組織が死に、感染症で足の切断につながりかねません。あらためて糖尿病性血管障害に注目しましょう。

■末梢動脈疾患(PAD)の症状

 糖尿病患者の足の小さな傷が治らなくなる糖尿病足潰瘍の原因は3つあります。

1. 末梢神経障害(自律神経、運動神経、知覚神経)
2. 末梢血管障害(PVD)
3. 感染症に弱い

 これらは相互に因果関係があり、1の末梢神経障害があると2の末梢血管障害の訴えがあいまいになることがあります。これによって担当医の判断が遅れる可能性がありますから注意しましょう。

■末梢動脈疾患の症状の進行

 フォンテイン(Fontaine)分類によると、次のとおりです。

1度:足が冷めたい、しびれる、蒼白(色調)
2度:少し歩くと痛みのため歩けなくなるが、休むと痛みが消える(間欠性跛行:かんけつせいはこう)
3度:安静時、就寝時にも痛い
4度:足の傷が治らない(潰瘍)、組織欠損、炎症が骨にも達すると足の切断へ

 足の動脈が狭くなったり詰まったりすると支障が出る「間欠性跛行」が大きな特徴で、200m以上の歩行で跛行が起こると2a、200m未満の歩行で跛行が起こると2bとなり、これは中等度~重度とされていますから、精密な血管検査が必要です。

痛みは上り坂や階段、速いペースで歩くと早まります。糖尿病神経障害のある人は、強い筋肉痛の訴えではなく、しびれや無感覚、足が重くて歩けない、などと表現をすることがあります。

高齢で日ごろあまり歩かなくなったりすれば年のせいだと誰でも思いますし、糖尿病による視力低下や神経障害があると、ますます歩かなくなって早期発見が困難になるため、治らない傷ができて初めて発覚し、切断リスクに突然直面することになります。

 しかしながら、間欠性跛行は直ちに下肢を失うことを意味していません。早期発見して治療に取り組めば、米国のデータでは診断治療の進歩で10~15%の患者のみが切断のような重症化に進むとされています。

 ただし、糖尿病なのにタバコを止められない人は特に進行が速いのでご注意を。

また、安静時や就寝時の足の痛みは糖尿病神経障害でも末梢動脈疾患でも起こりますが、ベッドから足を下ろしたり、激痛を我慢して立ち上がる、少し歩くと痛みが軽くなるようなときは、この末梢動脈疾患の可能性が高くなります。担当医に相談しましょう。

■何が糖尿病患者を末梢動脈疾患の高リスクにするのか

 糖尿病は全身の血管がダメージを受ける病気ですから、当然動脈疾患のリスクが高くなります。米国のデータでは糖尿病患者は一般の人と比べると末梢動脈疾患のリスクが20倍も高くなります。

□末梢動脈疾患の危険因子

・男性(糖尿病の女性は同等のリスク)
・高齢(必ずしも高齢とは限らない)
・糖尿病(特に血糖コントロール)
・喫煙
・高血圧
・脂質異常症
・高ホモシステイン血症
・高CRP(アテローム性動脈硬化症の炎症マーカー)
・腎不全(糖尿病の有無にかかわらず)
・運動不足
・悪い栄養状態

■糖尿病患者における末梢動脈疾患の特長

 糖尿病患者はアテローム性(粥状)動脈硬化が膝から足までの動脈(前脛骨・後脛骨・腓骨)にできやすい傾向があります。ですから、医師の膝窩動脈の脈拍検知だけでは不十分です。患者自身もそのことを知っておきましょう。

 第2の特徴は血管石灰化(カルシウム沈着)が多いことです。これは血流をブロックすることはありませんが、血管が硬くなって柔軟さがなくなるため、ABI検査(足関節・上腕血圧比)で血管を十分に圧迫できません。

そのため、誤って計測値が高く(正常値に)表示される可能性があります。足背動脈の拍動触診をして脈が触れても安心はできません。疑問があれば糖尿病担当医に相談してください。

 動脈が詰まっても痛みに耐えて運動を続けることで、努力すればブロックをう回するバイパス血管ができて歩けるものですが、糖尿病患者はこれが難しく、足の動脈が狭くなったり詰まったりすることが劇的に起こる傾向があるようです。

また、足の動静脈シャント(短絡)が起きて末梢血流減少が起きます。急に足の甲が温かくなって赤くなったら、とても危険な状態です。すぐ病院に行き、受診してください。

糖尿病にもいい「お酢」を美味しくゴクゴク飲む方法5つ

ダイエットや疲労回復によいとされるお酢は、近年の研究で健康への効果が高いと実証され、さらに注目が高まっています。

色々な効果があると言われていますが、実は、食後の血糖値の急激な上昇を抑えるため、糖尿病予防にも効果的なのだとか!

『たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学』で、糖尿病少ない都道府県1位が高知県なのは普段からよくお酢を摂取するから、と伝えていました。

糖尿病は今や国民病とも言われているため、日々の生活で予防していくことが大切ですよね。そのため、普段からお酢を摂るようにしたいところ。

しかし、酸っぱすぎてゴクゴク飲めないのが最大の難点……。

そこでお酢を美味しく飲めるレシピを、料理研究家のオガワチエコさんに教えてもらいました。お酢が苦手な人は、必見ですよ!

■1:オレンジジュース+お酢

オレンジジュース200cc+お酢小さじ1で、オレンジジュースの酸味が増し、より爽やかさを味わえます。

■2:トマトジュース+お酢

有塩トマトジュース200cc+お酢小さじ1。トマトジュースが苦手な人でも、お酢の酸味で飲みやすくなります。酸っぱいのが好きな人は、お酢をもっと多くしても大丈夫です。

■3:カルピス+お酢

5倍の水で薄めたカルピス200cc+お酢小さじ1。お酢が入っていることがほとんどわからないので、苦手な人にもオススメできます。

■4:アップルティー+お酢

温かい紅茶にりんごの皮を浮かべると、香りのよい即席アップルティーができあがります。そこにお酢を加えると、その酸味でよりフルーツ感が増します。お酢の量はお好みを入れてください。

■5:ココア+お酢

ココアに少量のお酢をいれるのもいいでしょう。カカオにはもともと酸味があるので、意外とお酢の酸っぱさは気にならないものですよ。

いかがでしたか? 意外な飲み物とも相性が良いことが分かりましたね。それに、これならわざわざ高い健康食品を買わなくて済みます。お酢が苦手な人は少しずつ足して、味を見ながら調節してみてください。

ちなみに、食後の血糖値の上昇を抑えるには、食前や食事と一緒に飲むのがいいそうです。ぜひお試しくださいね!

寒暖差が激しい2月は高血圧に要注意! 運動不足も原因の1つ -オムロン

オムロン ヘルスケアはこのほど、2013年1月~12月の血圧と気温や歩数との相関関係を分析し、「にっぽん健康データ 2013」として発表した。

今回は、ウェルネスリンク会員のうち、通信機能を搭載した血圧計、歩数計、活動量計のいずれか、または複数を使用して、測定データを転送管理している会員約15万人(2012年12月末時点)のデータが対象。

集計期間は2013年1月~12月。

同データによると、1年間のうち最も血圧が高くなったのは1月。

これは気温が年間で最も低いことに加え、暴飲暴食になりがちな年末年始の生活習慣が一因となっていると考えられる。

2月も最高血圧が12月、1月と並び年間最高水準を記録。

気温が下がるほど血圧が上がる傾向が見られた。

また、季節が夏から秋へと変わる9月~10月は、急激な最高血圧値の上昇(全国平均 128.8が131.9)が見られた。

急激な血圧上昇に注意が必要な季節と言える。

1月は1日あたりの歩数(全国平均)が7月に比べて約800歩減り、年間で最も少ない。

同時に血圧値は最高となっていることから、運動不足も血圧上昇の原因のひとつであることが考えられる。

日本高血圧学会前理事長の島田 和幸先生は、「急激な気温変化は血圧上昇のリスクを高めるため、特に寒暖差の大きい今年の2月は注意が必要」とコメント。

さらに「温度調節のしやすい服装を心がける、起きてすぐの運動は避けるなど、日常生活での心がけが重要」と呼びかけた。

家庭では血圧を毎日測定し、日々の変化を見逃さないことも大切だと言う。

【血圧を下げる新常識】花粉症にもご用心! 鼻詰まりで血圧上昇、日常生活の気温差は最小限に

 血圧は、怒りでカーッとしたときなど、日頃のちょっとした動作で上がりやすい。高血圧と診断されている人はなおさらだ。たとえば、今の時期に生じやすい花粉症でも、血圧変動は起こるという。

 「不思議なことに、片方の鼻が詰まると血圧が上がり、さらにもう片方の鼻が詰まると、さらに血圧は上がります。私自身も花粉症ですが、脱脂綿を鼻に詰めて実験してみたところ、やはり血圧は上昇しました」

 こう話すのは、東京女子医科大学東医療センター内科の渡辺尚彦教授。高血圧治療のエキスパートであり、約30年前から24時間血圧を測定する機器を着け、日常生活での血圧変動などについての研究を行っている。

 「鼻に詰めた脱脂綿を取ると、血圧は下がりました。鼻詰まりを放置していると、血圧が上がりやすくなり、改善すると血圧は正常になるのです。鼻詰まりを引き起こす花粉症は、ご自身の症状に合わせた薬などで改善していただきたいと思います」

 急激な血圧変動は、血管に負荷をかけるため、動脈硬化が進行していると血栓が生じて心筋梗塞や脳梗塞、あるいは、血管が破れて脳出血のリスクは高まる。そんな血圧変動に、鼻詰まりが関わるのだ。さらに、季節の変わり目は、日ごとの気温差も生じやすくなる。

 「気温差によっても、血圧変動は起こりやすくなります。鼻詰まりだけでなく、起床時などの温度差にも注意が必要です」

たとえば、前日が比較的暖かいと自宅の暖房は控えがちだ。だが翌朝、起床して布団から出たときには、ブルッと身体が震えるようなことが起こる。「寒いな~」と思いながら、いつものように家庭血圧を測定すると、収縮期血圧が150mmHg以上に。

 「降圧薬を服用していても、寝室とリビングの温度差で急激な血圧上昇につながることがあるのです。それは、帰宅したときも同じです」

 共働きや一人暮らしで室内が寒くても、帰宅時には玄関でコートを脱ぐことを習慣化していると、寒さで血圧が急上昇する。結果として、脳出血を起こした人もいるから油断は禁物だ。

 「起床時は、暖房機のタイマーで、あらかじめ部屋を暖めておくなどのひと工夫が大切になります。帰宅時は、コートを着たまま暖房機具をつけて、部屋が暖まってからコートを脱ぐようにしましょう。日常生活で気温差をなるべく少なくすることが、心疾患や脳卒中のリスクを軽減するために重要なのです」と渡辺教授は話す。

 季節の変わり目は、体調を崩しやすいだけに、体調管理と温度調節を忘れずに。 

春は上がりやすい血糖値 原因と対策法を専門医が解説

 3月に入り、日に日に春を感じる季節になってきた。気分が盛り上がっている人も多いだろうが、春先は血糖値が上がりやすい季節でもある。糖尿病を治療中の人はもちろん、自覚症状がない糖尿病予備群も注意が必要だ。

 糖尿病の診断基準のひとつである「HbA1c」(正常値6・2%未満)は、2~3月が最も上がりやすくなる。HbA1cは、直近1~2カ月の血糖値の平均を反映する。年末年始は運動量が減って、暴飲暴食を繰り返す生活パターンになりがちな人が多いため、2~3月にその影響がモロに表れるのだ。

 糖尿病専門医で「しんクリニック」院長の辛浩基氏は言う。

「血糖値はいったん上がると戻すのに時間がかかります。年末年始のツケが回り、高血糖状態を3月、4月まで引きずってしまうケースも珍しくありません。ここでしっかり対策しないと、血糖コントロールの悪い状態がズルズルと続いてしまいます。それをきっかけに、予備群だった人が糖尿病を発症するケースもあります。春先は血糖値が上がりやすいことを自覚して、生活習慣を見直すことが大切です」

 春先に血糖値が高くなるのは、年末年始の影響だけが要因ではない。これからの季節はイベントや宴会が多くなり、お酒を飲む機会が増える。歓送迎会、卒業や入学祝い、花見など、連日連夜、飲み会が続くなんて人もいるだろう。

「アルコールそのものには、血糖値を上昇させる直接的な作用はありません。しかし、肝臓内に蓄えられているグリコーゲンの分解を促進させる作用があるため、飲酒後は一時的に血糖値を上昇させます。それ以上に、お酒を飲むと食欲が増進され、ついついつまみを食べ過ぎてしまいます。これがカロリー過多を招き、血糖コントロールを乱す大きな原因になるのです」

 アルコールには利尿作用もあるため、トイレに行く回数が増えて脱水状態になりやすい。これが、さらに血糖を上昇させやすくする。お酒を飲む機会が増える春先は、飲んでも2~3杯でやめておく。つまみも揚げ物などの高カロリーなものは控え、枝豆やトマトなど食物繊維が豊富に含まれているものを意識して取りたい。

■花粉症でも上がりやすく

 また、春の異動や引っ越しなどで生活環境が変わることによって受けるストレスも、血糖を上昇させる。

「慢性的なストレスが糖尿病の発症に関わっているのではないかという研究が発表されています。ストレスを受けると交感神経が優位になり、アドレナリンが分泌されるなどしてインスリンの拮抗物質が出てきます。そのためインスリンの効きが悪くなり、血糖値を上昇させてしまうのです」

 一過性の急性ストレスであればそれほど心配ないが、慢性的に引きずってしまう場合は要注意。何も用事がないときは、さっさと帰宅して早く寝るようにするなど、自分なりのストレス解消法を考えよう。

 花粉症も血糖値を上げやすくする。花粉症によるアレルギー症状によってストレスホルモンが分泌され、炎症性サイトカインが増えると血糖値が上がりやすくなるのだ。

「さらに、花粉症の症状を抑えるための抗アレルギー薬の多くには、血糖値を上げる成分が入っています。たとえば、鼻詰まりを抑える薬に含まれている塩酸プソイドエフェドリン、硫酸プソイドエフェドリンなどは、交感神経刺激作用があるためインスリンの効きが悪くなり、血糖値を上げてしまうのです」

 春先は血糖値を上昇させる環境や要因が揃っている。自分でも気づかないうちに高血糖状態が続いていたなんてケースもある。しっかり意識して、対策を講じたい。

“自覚症状”なしが怖い 腎臓疾患と心臓・糖尿病の関係(2)

 その人工透析が必要になる直前まで、自覚症状がまったくない人もいるという。むくみ、息切れなどの症状が出てきたときは、すでに腎機能が相当落ちていると考えた方がいい。

 「また、糸球体は一度壊れると元には戻りません。それが、慢性腎臓病を完治させる方法がないと言われる所以です。人工透析となれば、週3回通院して行う血液透析や、在宅で行う腹膜透析を一生続けるか、健康な腎臓を移植する腎移植しかない。人工透析で腎臓が健康になって、元通りの生活に戻れることはないのです」(同)

 もう一つ、腎臓には重要な働きがある。“薬の代謝”だ。 「医者に処方された薬が効果を発揮するには、腎臓の働きが不可欠なのです。高血圧の患者さんは降圧剤を服用したり、塩分制限で血圧をコントロールすることがほとんど。しかし、腎機能が低下すると薬の効き目が悪くなったり、塩分の排出がうまくいかなくなったりで、血圧をコントロールしにくくなってしまう。

そうなると、血圧の高い状態が続くことになり、ますます腎臓がダメージを受けるという悪循環に陥ってしまいます」(前出・健康ライター)

 したがって、腎臓がダメージを受け、さらに動脈硬化が進めば、今度は心臓の筋肉が厚くなり、心臓そのものが弱っていく。
 「心臓が弱ることで起こる心筋や冠動脈、弁膜などの疾患は、心臓以外の合併疾患があると重症化しやすいことも分かっている。また、高血糖や高コレストロールもそうですが、同じように腎機能の低下もこれに当てはまります。高血圧、腎臓疾患、心臓疾患はすべて密接につながっていて、どこかのバランスが崩れるとドミノ倒しのようにすべてが悪化してしまうのです」(前出・専門医)

 加えて、ある専門家はこうも言う。 「糖尿病や高血圧で通院する人は、主治医が腎機能に注意するからまだいい。見逃されているのは、定期健診を受けない人や、異常があっても2次検査に行かない人です。治療可能なIgA腎症を見つけるには、尿の異常の早期発見が必要で、腎臓内科医が診ないと見逃されるケースもある。

CKDは早期発見、早期治療で寛解(進行せず安定した状態)する疾患もあります。ある程度腎臓の破壊が進んだ時の復元は難しいが、治療の継続で透析を避けられる可能性もある」

 腎機能が正常の15%未満になると末期腎不全と診断され、10%以下になると透析や腎移植を行うのが基準となっている。ちなみに人工透析になると、週3回、1回4~5時間かかるので大変だ。

 腎機能を測る推算eGFRは、インターネットで検索すれば計算式が出ている。医者に任せきりにせず、自分で腎機能を調べて知っておくことも大事だ。 また心臓が悪い人も、まずは腎臓の管理が最優先であることを知っておこう。

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