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大腸の精密検査は内視鏡がお勧めです

 【Q】健康診断で大腸の精密検査を受けないといけないと言われたのですが、どんなものになるのでしょう?

 【A】大腸の精密検査は1種類ではありません。肛門から大腸内にバリウムと空気を注入する注腸検査、肛門から炭酸ガスを注入してCTを利用して大腸を全体的に描出するCT コロノグラフィー、口から特殊なカプセルの飲んで腸管内を観察するカプセル内視鏡(多くの場合、保険適応にならない)、肛門から内視鏡を挿入して大腸全体を観察する大腸内視鏡検査の4種類です。

 ただ、カプセル内視鏡は、内視鏡検査ですべての観察ができなかった患者さんや、小腸に病変が疑われる場合に行う特殊検査なので、ここではそれ以上は触れません。

 さて、残った3種類の検査ですが、一長一短はあります。注腸検査とCTコロノグラフィーは、内視鏡検査と比較すると“楽”ではあります。大腸のヒダの裏に隠れているポリープの描出も内視鏡より優れています。しかし、術前に飲む下剤で腸管内の便がきれいに排出されていないと検査に支障が出る上に、ポリープなどがあった場合の切除は無理です。さらに被爆という問題があります。

 内視鏡検査は、それら2つの検査より苦痛を伴い、約2リットルもの下剤を飲まないといけないというデメリットがあります。苦手にされる人もいます。しかし、最近では大腸を膨らませるのに炭酸ガスを使用して術後の腹部膨満感のつらさを軽減するという施設も増えています。体内への吸収率も空気の130倍ほど速やかなんです。

 また、軽い鎮静剤(眠り薬)を使用すれば、ほとんど苦痛なく検査が受けられ、検査自体も早く終了します。当院では、肛門から大腸の終点に到達するまで多くの患者さんでだいたい5分以内。早ければ1分台で到達することもあります。

 早く終わるだけなく、内視鏡検査はポリープがあった場合、可能なら、その場で切除できますので、入院する必要もほぼありません。もちろん、患者さんの症状次第ではあるのですが、総合的に判断し、私は大腸の精密検査には、内視鏡をお勧めしています。

 ◆回答者プロフィール 谷光利昭(たにみつ・としあき)兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。デイリースポーツHPで医療コラム「町医者の独り言」を連載中。

早期胃がん5年生存率95%以上だからこその問題点とは?

胃がんは日本人に発生しやすい代表的ながん。早期ならば負担が少なく、「完治」を前提とした手術が行われる。週刊朝日MOOK「新名医の最新治療2017」から詳しく紹介する。

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 胃は食道からきた食べ物を消化し、十二指腸に送る重要な臓器だ。がんの発生には食習慣やピロリ菌がかかわるとされ、胃の下半分にできやすい。

 がんは胃袋の内側の粘膜から発生し、徐々に粘膜下層、筋層、漿膜へと深く入り込んでいく。初期の段階では典型的な症状はほとんどない。

「粘膜、粘膜下層にとどまっているものが早期がん、筋層より深く達したものが進行がんです。内視鏡検査の進歩で、日本で見つかる胃がんの約半数は早期がんです」

 こう話す金沢大学病院胃腸外科診療科長の伏田幸夫医師は続ける。

「がん治療で厄介なのは転移です。ただし、早期胃がんならば胃周囲のリンパ節に転移する割合も低く、他臓器への転移もまれです」

 がんが胃粘膜にとどまり、がん細胞が成長しきった分化型ならば、大きさに関係なく内視鏡治療で対応できる。胃切除の必要はない。

 しかし、早期がんでも粘膜下層に達している場合は外科手術が行われる。

「粘膜下層にはリンパ管がいくつもあり、がんが広がっていく危険性があります。そのため胃周囲のリンパ節を含め胃の3分の2を切除します。進行がんの場合は胃から少し離れたリンパ節まで切除します(D2胃切除)」(伏田医師)

 早期がんの5年生存率は95%以上と、ほぼ完治させることができる。ただし、「治るがん」だからこその問題点もある。手術後は胃が小さくなり、食事量が減る、胸やけがするなどの「胃切除後後遺症」に悩む患者が少なくないのだ。

 実は手術で切除したリンパ節を顕微鏡で詳しく調べると、転移があった割合は2割ほどに過ぎない。約8割の人のリンパ節は、万一の懸念から切除していることになる。

 中部地方に住む神田道子さん(仮名・58歳)は2012年、腹痛を訴えて近所の病院で内視鏡検査を受けた。胃の中央部分である体中部大弯の粘膜に陥凹している腫瘍があり、早期胃がんと診断された。粘膜下層にもがんは広がっていたが、早期がんとして内視鏡を使った粘膜下層剥離術(ESD)で治療。切除した組織の断端にはがん細胞は認められなかった。

 しかしリンパ管にはがん細胞の浸潤が認められ、手術が必要となり、金沢大学病院に移された。腹部に数カ所の穴を開け、腹腔鏡や鉗子を挿入する腹腔鏡下で胃とリンパ節を切除した。

 切除したリンパ節に転移はなかったが、がん細胞が漿膜まで達する進行がんであったことが、切除した胃の病理診断で明らかとなった。幸い神田さんは現在も再発はなく、元気だ。

 胃がんの手術では近年、切除後の胃機能の温存を考慮した縮小手術が行われるようになっている。

「発生部位や進行度に合わせて、術後に残る胃にできるだけ悪影響が出ない手術を行います。くわえて、高齢者や肥満の人に多い胃食道逆流症が併存する場合には、ルーワイ法など術後の障害を軽減する胃の再建を行います」(同)

 また同病院など一部の施設では、がん転移が最も起こりやすいセンチネルリンパ節への転移の有無を手術中に詳しく調べ、切除範囲を最小かつ適正にする取り組みが行われている。

 乳がんや悪性黒色腫の治療として定着しているこの手法は、胃がんにも有効と考えられている。腹腔鏡を利用した術中検査でセンチネルリンパ節への転移が陰性ならば、胃を温存して内視鏡でがんのみをとるという方法も将来的には可能となる。

「胃がんは早期ならば確実に治り、治療後も快適な生活が送れるようになっています。ピロリ菌除菌や定期的な内視鏡検査で予防、早期発見することも大切です」(同)

手術不可能な進行胃がん 抗がん剤の進化がもたらす希望

胃がんが死亡者数の上位を占める原因は進行がんの存在だ。進行がんの根治率は依然として低いが、抗がん剤の進化で延命が期待できるようになってきた。

 東京都の三田昭子さん(仮名・53歳)は、肝転移もある進行胃がんで、地元の病院の「手術の適応もない」という検査結果にふさぎこんでいた。

 三田さんの治療を担当することになった国立がん研究センター中央病院消化管内科科長の朴成和医師は当時を振り返る。

「手術ができないと知った際の落ち込みはひどく、これから始まる化学療法に精神的に耐えられるか、心配しながらのスタートでした」

 選ばれた治療はSP療法。毎日、朝夕食後にTS-1という経口の抗がん剤を服薬する。さらに5週間に一度入院し、シスプラチンという抗がん剤を点滴で投与する。

 入院治療後に食欲が落ちるという副作用もあるが、三田さんは数日で治まった。治療から1年以上たった今も、日常生活を送れている。

「がんが小さくなっているためでしょう。最近では体調もよくなり、笑顔もみられます」(朴医師)

 三田さんのようなケースは決して珍しくない。薬物療法が効きにくいとされていた胃がんの領域も、TS-1の開発を契機に状況は変わった。三田さんに実施されたSP療法は延命効果が期待できる一次化学療法の標準治療として、切除不能ながんに使われている。

 また14年9月にはオキサリプラチンも保険の対象となり、シスプラチンの代わりにオキサリプラチンを投与するSOX療法も標準治療の一つとなった。

 SPとSOXの治療効果はほぼ同等だが、シスプラチンに比べてオキサリプラチンは入院を要するような副作用が少ないため、外来通院が可能となる。高頻度に起こる、手足のしびれの副作用に気を付けながら使える薬剤だ。

「私の患者さんがデザイナーで、手がしびれては図面を描けないからと入院を要するSPを選択しました。効果は同等ですから、シスプラチンの入院とオキサリプラチンのしびれと、どちらが受け入れやすいかが選択の基準になります」(同)

 さらに切除不能な患者の一部に対しては、分子標的薬のトラスツズマブを投与すると副作用もほとんどなく、がんの増殖・進展を抑えることもできる。

 これらの一次治療を行ったにもかかわらず、(1)がんが大きくなった(2)明らかに副作用による不利益のほうが大きい(3)患者に治療を継続したくないという気持ちがある、のいずれかが該当した場合、一次治療を終了し、二次治療に移行することになる。ここに新規の薬剤が昨年承認された。

「ラムシルマブという血管新生阻害薬です。これを抗がん剤のパクリタキセルという薬と点滴投与することで、腫瘍の縮小効果は上がります。薬剤の性質上、脳梗塞などの既往がある人には使えません」(同)

 ラムシルマブはがん細胞の増殖に必要な栄養を断つ作用を持ち、切除不能の胃がん患者の延命効果をさらに延ばすことが期待されている。

 このような薬剤の選択肢が増えてきたことで、生存期間は確実に向上している。また、抗がん剤を使用した結果、がんが縮小し、手術で切除にいたった患者も少なくない。現在、リンパ節転移がある患者に術前抗がん剤治療を行う効果についても検討されている。

「抗がん剤の使用により何らかの副作用は起きるため、短期的にはQOL(生活の質)が落ちます。ただし、QOLを悪化させる最大の原因はがんの進行です。副作用の多くは一時的なもので、徐々に慣れる人も少なくありません。診察室で患者さんに縮小したがんを見せると、とても喜ばれます。希望を持ち続けてほしいです」(同)

腎臓がんでも保険適用となったロボット手術 その意義を600件を超える手術を執刀してきた名医が語る

腹腔鏡手術よりも、精密で安定した手術を可能にしたロボット手術──。前立腺がんに加えて、2016年4月には腎臓がんでも保険適用になった。患者にとってのメリットは大きい。(週刊朝日MOOK「新名医の最新治療2017」より)

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 治療によって得られる効果を落とすことなく、からだへのダメージを極力小さくすることが、いまの医療の大きな方向性となっている。外科手術の領域でもその傾向は顕著だ。従来のように皮膚を大きく切開する開腹手術から、腹腔鏡などの内視鏡を用いて、小さな傷で済む手術へとニーズは移行している。

 腹腔鏡手術とは、胸やおなかの皮膚に5~6カ所程度の小さな穴を開け、その一つに腹腔鏡と呼ばれるカメラを挿入。モニターに映し出されるおなかの中の映像を見ながら、別の穴から挿入した鉗子などの手術器具を操作しておこなう手術のこと。開腹手術に比べて術後の皮膚の痛みは小さく、回復も早い。

 術者にとっても、おなかの奥深くや臓器の裏側など、従来の手術では直接見ることが困難だった部位も、カメラさえ到達すればクリアに見られるメリットは大きい。現在、がんでは胃がん、大腸がんなどの消化器系や婦人科系、泌尿器系などを対象とした手術で利用されている。

 しかし、そんな腹腔鏡手術にも弱点はある。体内に挿入するカメラや鉗子などの手術器具はすべてまっすぐな「棒」のため、おなかの中での可動性はおのずと制限される。しかも、視野がカメラの映し出す範囲に限られるため、術者とカメラワークの高度な連携が求められるのだ。限界を感じた時には速やかに開腹手術に切り替える必要があるが、無理をして腹腔鏡手術にこだわりすぎると重大な医療事故につながりかねない。

■どんなに細かい作業でも安定した動きができる

 そんな中、近年、存在感を増しているのが「ロボット手術」だ。

 腹腔鏡手術を高度に進化させた手術支援システムで、操作をするのはあくまで外科医。ロボットは手術している部分を3D映像化し、それを見て執刀する外科医の手や足の動きを正確に手術器具に伝えてアシストをする──という技術だ。

 現在日本で導入されているロボット手術は「ダヴィンチ」と呼ばれる装置。前立腺がんと腎臓がんの手術で健康保険が承認されている。

 順天堂大学順天堂医院泌尿器科教授の堀江重郎医師は、これまで600件を超える手術をダヴィンチで執刀してきた。

「ダヴィンチは、開腹手術や従来の腹腔鏡手術と異なり、術者は患者の脇には立ちません。手術台から少し離れたコンソールと呼ばれるコックピットのような席に座り、目の前のモニターを見ながら遠隔操作で手術を進めます」

 手でコントローラを、足でフットスイッチを操作すると、その操作通りに患者の体内に挿入されたロボットの腕が動く。しかも、接続されたカメラや鉗子には「関節」があり、自由な角度に曲げられる。つまり、おなかの中で手首や指を自由に動かすような操作が可能なのだ。従来の「棒」の器具とは比較にならない柔軟な動きによって、「開腹手術に近い腹腔鏡手術」が実現したことになる。

 もう一つ、ダヴィンチの大きな特性として「拡大操作機能」がある。非常に繊細な作業をする時、術者の手の動きを縮尺してロボットに伝える機能のことで、ロボットの動きと術者の手の動きの比率を変えることができる。たとえば術者の指は野球のボールをつかむような動きでも、患者の体内にある器具の先端は「砂粒をつまむような」微妙な動きに変えられる。しかも「手ぶれ防止機能」によって、どんなに細かい作業でも、安定した動きで精密に進めることができるのだ。

■出血を最小限にとどめ開腹手術より安全性高い

「前立腺の表面にはサントリーニ静脈叢があり、ここを傷つけると数リットル単位の大出血を招くことになる。しかし、ダヴィンチでは静脈叢を安全に切り離すような難しい操作が確実にできるので、開腹手術よりもはるかに安全性が高まった。これまで当院でおこなった前立腺がんのロボット手術では、出血量は50~100ccと少量です」(堀江医師)

すでに触れた通り、ロボット手術は、これまで前立腺がんのみに健康保険が適用されてきたが、2016年4月、腎臓がんにも承認された。その意義を堀江医師はこう語る。

「全身の血液の5分の1にあたる大量の血液が集まる腎臓の手術は、ほんのわずかなミスが大出血につながる。これまでも腎臓の端にできたがんに腹腔鏡手術がおこなわれることはあったが、中心部や深部のがんには開腹手術しか手がなかった。しかし、そうした繊細な手術こそダヴィンチの得意とするところ。当院では、以前から自由診療で腎臓がんの手術にもダヴィンチを使用し、その効果と安全性の高さを証明してきただけに、今回の保険承認はうれしい」

 健康保険の適用により、3割負担の場合の自己負担額は、前立腺がんで約27万円、腎臓がんは21万円となる。ただし、いずれも高額療養費制度があるので、収入によって差はあるものの、窓口での支払金額はおおむね10万円程度になるという。

 すでに海外では、婦人科や呼吸器外科、心臓血管外科など、泌尿器科以外の診療科でもダヴィンチの導入が進んでおり、この波はいずれ日本にも伝播するだろう。

 ロボット手術は術者だけでなく、助手や看護師、技師などのストレスを大幅に減らした。手術スタッフのストレス軽減は医療ミスのリスクを下げ、患者にとっての安全性向上に直結する。こうした医療技術の進化は、手術をする側と、それを受ける患者の双方にとって、大きなメリットとなるのだ。

患者負担も軽減 大腸がん検査は“内視鏡よりCT先”の時代

「大腸がんは気になるが、事前に大量の下剤を飲むのが嫌」「お尻に内視鏡を突っ込まれたまま、検査を受けるなんて屈辱」。そんな理由から大腸内視鏡を敬遠する中高年は少なくない。しかし、大腸がんの死亡者数は男性3位、女性1位と高率。便潜血検査で陽性を告げられた人は詳細な検査を避けては通れない。ならば、負担の少ないCT検査を先に受けてはどうか? 100例以上の大腸がんCT検査を手掛ける「三井タワークリニック」(東京・日本橋)の斎藤達也院長に聞いた。

「大腸CT検査は内視鏡を使わない新しい大腸がん検査です。大腸を炭酸ガスによって膨らませて新型のマルチスライスCTを用いて撮影することで、大腸の3次元画像を得ることができます。別名、仮想(バーチャル)大腸内視鏡検査と呼ばれています」斎藤院長によると、CT検査は内視鏡検査に比べて、患者への負担がはるかに少ないという。

「検査当日は細いチューブを肛門から数センチ入れて炭酸ガスを注入し、大腸を膨らませます。その後、うつぶせとあおむけでCT撮影。チューブを抜いて終了です。検査室に入ってからおよそ10~15分程度で終了です」大腸内視鏡検査の最大の難点は検査前に2リットル近い液体の下剤や腸管洗浄剤を数時間かけて飲み、胃腸に残っている内容物を洗い流す必要があること。つらくて途中で吐く人もいて、下剤を飲めずに検査自体をあきらめてしまう人も少なくない。

「CT検査でも下剤は使いますが、その量はわずか。検査前日にレトルトパックの検査食を食べ、少量の造影剤と下剤を飲んでいただきますが、検査当日は下剤や造影剤は必要ありません」

■高齢者・障害者でもラクに受けられる

 しかも、大腸内視鏡検査に欠かせない鎮痛剤や鎮静剤の注射は必要ない。お尻に炭酸ガス用のチューブを入れるが、大腸内視鏡検査のように大腸に穴が開くような事故もまずない。「腸が長くて内視鏡検査が向かない人、下剤や腸管洗浄剤を大量に服用できない高齢者や女性、知的障害者の方でもCT検査なら問題なく受けられます。なにより、内視鏡では観察しづらい大腸のひだや曲がり角の裏などの観察に優れていますし、腹部のCT画像を撮るので、肝臓がん、胆嚢がんなど、その他の臓器の病変も分かります」

 ちなみに、三井タワークリニックでは、これまでに大腸CTを100例以上行ってきたが、4例の大腸がんを見つけ、皆手術を終えたという。 「むろん、大腸CT検査には内視鏡より劣る点もあります。がんの疑いがあるときに、すぐに組織を採取したり、ポリープの切除ができず、改めて大腸内視鏡が必要になる点です。通常のCTより線量が少ないとはいえ、医療被曝も受ける。5ミリ以下のポリープや平らな病変を見つける能力は、内視鏡に比べてやや劣ります」

 とはいえ、被曝量は多くないし、大腸ポリープの8割は腺腫で、5ミリ以下の大腸ポリープはがんになる確率は極めて低い。大腸CT後に内視鏡検査が必要になるケースも1割に満たない。逆にいえば、多くの人はツラい内視鏡検査を受けずに済むのだ。 「造影剤でアレルギー症状が出る人、腎臓が弱っていて造影剤などを代謝できない人にCT検査はムリですが、そうでなければ先にCT検査を行い、それでも大腸がんの疑いが残れば、内視鏡検査を受けるのが良いでしょう」

 大腸がんCT検査は血便・便通異常などの自覚症状がある時は保険診療が適用され、約8000円程度(別途検査食代3000円)が必要となる。一方、健康な人が受ける健康診断や人間ドックでは、自由診療扱いだ。

末期大腸がんをいかに負担なく治療するか? その方法とは

原発の切除困難な大腸がんの腸狭窄には、従来人工肛門の造設が行なわれる。しかし、全身麻酔による開腹手術が必要なため、特に末期がんの患者には心身の負担が大きい。そこで狭窄部分を通すために、大腸にステントを留置する治療が導入された。開腹手術をしないので患者の負担が少なく、数日で食事ができるなど、QOL(生活の質)も改善できる緩和ケアの一つとして期待されている。
 
 大腸がんやその他のがんのため、大腸が圧迫され狭窄が起こると腹痛や圧迫感などで、身体的、精神的苦痛を感じる。狭窄の切除が不可能な場合、従来は人工肛門を造設することが多い。しかし、人工肛門は全身麻酔による開腹手術をする上に、使用に慣れる必要があるなど、特に末期がん患者にとっては心身ともに負担が大きい。そこで近年、大腸の中にステントを留置することで狭窄を改善する治療が実施されるようになっている。

 2005年から2010年までに大腸ステントを留置した治療結果を発表した、市立豊中病院(大阪府豊中市)下部消化管外科の畑泰司医師に話を聞いた。

「今回は根治術が不可能な、大腸に閉塞をきたしたがん患者(胃がんや子宮がんが原因の場合も含む)19名に対して、大腸ステントを留置しました。ステントは異物なので長期間置くと弊害もあるため、余命半年で狭窄解除の手術が困難、もしくは人工肛門よりステントを強く希望する患者を対象としています。留置すると狭窄が改善され、楽になるだけでなく、食事もできるようになり、退院して家で過ごせるようになった人もいます」

お酒で赤くなる? 鍛えて強くなった人に食道がんのリスク

「オレも昔は飲めなかったが、鍛えて強くなった。おまえも頑張れ!」

 赤ら顔の先輩が後輩の杯に、酒をなみなみとつぎ、大声を張り上げる。忘年会シーズンではよく見かける光景だが、近い将来、見られなくなるかもしれない。医学的に「下戸が無理してお酒を飲むと食道がんのリスクがアップする」ことがハッキリしてきたからだ。酒の無理強いはパワハラどころでは済まなくなる!?

■“飲める”日本人は半分

 商社に勤める中村健太郎さん(仮名・52歳)が胸に違和感を持ったのは2年前のこと。食べ物をのみこんだときに、胸が焼けるような感覚があった。「胃の酸が食道に逆流する逆流性食道炎ではないか」と疑ったが、医師の診断は初期の食道がんだった。

 日本消化器学会専門医で、鳥居内科クリニック(東京・成城)の鳥居明院長が言う。

「食道は太さ2~3センチ、長さ25センチほどの筒状の管で、厚さ3~4ミリの壁にできる悪性腫瘍が食道がんです。飲食時に胸に違和感を感じるのは、がんが食道の壁を浸潤するからです。進行すると通過障害を起こし、突然、食べ物がのどを通らなくなり、痩せていきます」

 幸い、中村さんは早期がんで内視鏡による治療だけで済んだが、食道がんは周囲のリンパ節に転移しやすい。発見が遅れたら、命すら失ったかもしれない。

 実際、日本では年間2万人が新たに食道がんと診断され、1.2万人が死亡する。50~60代に多く、がんと診断されてから5年後にどのくらいの人が生きているかを示す5年相対生存率は、胃がん6割強、大腸がん7割前後に対して、食道がんは男性3割、女性4割と悪性度が高いのだ。

 食道がんは飲酒・喫煙がリスク要因といわれるが、中村さんはたばこを吸わない。お酒も昔はまったく飲めなかったが、鍛えて飲めるようになった。それでもビール1杯で顔が赤くなるのは変わらず、自宅で晩酌するほどの酒好きではない。

「実は中村さんのような人が食道がんになりやすいのです。もともと日本人でお酒の強い人は半分しかいません。5%はまったく飲めない下戸で、残りは努力して飲めるようになるものの、飲まない時期があると再び飲めなくなる、お酒の弱い人です」(鳥居院長)

 お酒を飲むとアルコールが肝臓で代謝され、中間代謝産物として、アセトアルデヒドができる。その後、速やかに分解されて無害な酢酸になる。このシステムが正常に働かない人は、少量のお酒で顔が赤くなったり、悪酔いしたり、二日酔いがひどくなったりするのだ。

■危険なのは「飲めるが弱い人」

「結局、お酒が飲める、飲めないはアルコール脱水素酵素とアセトアルデヒド脱水素酵素がしっかり働くか否かにかかっています。この酵素を活性化する遺伝子と活性化しないものがあり、それは両親からひとつずつ受け継ぎます。(1)2つ共に活性化するタイプなら飲める人(2)ひとつだけなら飲めるが弱い人(3)両方とも活性化しないタイプなら下戸――となるのです」

 問題は、アルコールもアセトアルデヒドも毒性があり、がんになりやすいこと。とくにアセトアルデヒドはアルコールの10倍も毒性があり、体内にとどまる時間が長いとがん化しやすい。

「その意味では、(2)の飲めるが弱い人は一番危ないタイプと言えます。自分がどのタイプかは、お酒を飲み始めの時に『顔が赤くなったか』どうかで分かります」

 では、(2)のタイプの人はどうすればいいのか? まずは、禁酒・禁煙し、緑黄色野菜を積極的に摂取することだ。

「日本人の食道がんの9割を占める食道扁平上皮がんは、前がん病変とされる異型上皮から発生されると考えられています。京大医学部の武藤学教授の研究グループが、内視鏡治療した早期食道がん患者330人を調査したところ、異型上皮の発生には飲酒、喫煙、緑黄色野菜の不足、痩せが関係することが分かったからです。とくに食道に多発性の異型上皮がある患者さんは、治療後に禁酒すると食道内の別の場所にできるがんを77%減らせることが判明しました」(鳥居院長)

 お酒はあくまで無理せず、楽しめる範囲にとどめることが大切だ。

女性は死亡率1位 大腸がんで死なない「5つのポイント」

 男性がかかるがんのトップが大腸がんだ。「新宿内視鏡クリニック」の谷口将太郎院長に大腸がんで命を落とさないためのポイントを聞いた。

 大腸がんは早期発見できれば80%以上の高い確率で治るといわれている。しかし、死亡率を見ると全がんの2位。男性では3位、女性では1位だ。

 では、「治る」グループに入るには、何に注意すればいいのか?

 まず気になるのは自覚症状だ。

「残念ながら、大腸がんは早期では自覚症状に乏しい。なんらかの症状が出てきた時には、ステージ4まで進行していたり、遠隔転移があったりする場合が多いのです」

 それでも自覚症状を参考にするなら、「いつもと違う」に敏感になること。

 いつもと違ってお腹が張る。いつもと違って便が細い。いつもと違って便が残った感じがして何度もトイレに行きたくなる……。

 こうした段階で検査を受けたら、早期発見につながるかもしれない。

 谷口院長によれば、大腸がんの早期発見を本気で望むなら、検診以外にないという。ベストは大腸内視鏡検査で、40歳以上ならすべての人が受けるべきだ。谷口院長自身も、31歳の時から1~3年に1回は受けているという。

「痛いイメージが強いでしょうが、無痛の検査法もあります。大腸内視鏡は1回受ければ終わりではなく、数年ごとに受けたほうがいい。恐怖心から遠ざけようと思わないように、無痛の検査をしてくれる医療機関を探すことを勧めます」

 便潜血反応や、自費診療になるが検査の苦痛が少ないカプセル内視鏡、または大腸を調べるCTを利用するのも手だ。

■見つからなくても検診スパンには例外が

 検診で大腸がんが見つからなかった場合、その後の検査のスパンはどうすればいいか?

「ポリープが一つも見つからなければ、3年に1回でいいでしょう。ただし、例外があります」

 大腸が屈曲していたり、便が大腸内に少量でも残っていると、大腸内視鏡でくまなく調べられず、見逃しの確率が高まる。2年くらいで大腸内視鏡を再度受けたほうがいい。

 また、「大腸がんがなかった」という結果でも、「ポリープがいくつもある」「“顔つき”の悪いポリープがある」「ポリープができやすい因子を持っている」など、患者の状態に応じてスパンは「半年に1回」や「1年に1回」などに変わってくる。

「一番最初の大腸内視鏡の結果は非常に重要。その後の検査のスパンをはじめ、大腸がんのリスクが高いか低いかが分かります」

 だから、大腸内視鏡の結果を大いに生かし、的確な指導をしてくれる医師のもとで受けることが大切になる。判断材料になるのが、「腺腫発見率(ADR)」だ。

 腺腫は、良性だが将来的に大腸がんになる可能性が高いポリープのこと。

 腺腫発見率が高い大腸内視鏡医の方が、そうでない医師より大腸内視鏡の検査技術も高く、その後の指導もしっかりしていると考えられる。

 ADRの公表は義務ではないが、ホームページで紹介している医療機関もあるので受診前にチェックを。

 ポリープが見つかった後の対応も、医師によって違いがある。

「ガイドラインでは5ミリ以上が切除となっていますが、その根拠はありませんでした。米国では5ミリ未満でも腺腫であればすべて切除としており、日本でも追随する医師が出てきています」

 谷口院長も、腺腫なら5ミリ未満でも切除するべき、との考えだ。

 予後がいいがんだからこそ、助かるチャンスをみすみす逃さないようにしたい。

松岡良明賞 赤在義浩氏に聞く 大腸がん手術の第一人者

 大腸がん手術の第一人者として多くの患者を救ってきた岡山済生会総合病院(岡山市北区国体町)統括部長・消化器外科部長の赤在義浩氏が、がん撲滅に貢献した個人、団体を顕彰する山陽新聞社会事業団の第21回「松岡良明賞」を受賞した。「生涯外科医であり続けたい」と情熱を燃やす赤在氏は、「しっかりとした治療計画を立てれば、困難な症例にも立ち向かえる」とメスを手にする思いを口にした。

 ―大腸がんの患者数は増加傾向にあり、罹患(りかん)するのは年間約14万人と推計されている。医療技術の進歩に伴い、治療方針も変わってきているのか。

 「2000年ごろを境に変化があったように思う。根治を目指し、切除を重視していた時代から、化学療法や放射線治療を併用しながら手術するなど、患者一人一人に適した治療を選択する時代になっている」

 ―治療の際には何を最優先させるのか。

 「再発させない治療だ。研修医時代の上司に『大腸がんは素直な病気。その性質をよく勉強すれば、いい治療が行える』と言われた。心掛けているのは、医師と患者の双方が病気をよく理解した上で治療計画を立てること。1度の手術で難しいと判断すれば、抗がん剤や放射線治療を併用しながら数回に分けて手術することもある」

 ―1993年に岡山済生会総合病院へ赴任後、2千例を超える手術を行ってきた。

 「赴任して取り掛かったのは、過去23年分のカルテと病理解剖の記録に全て目を通すこと。医学的知識を得ただけでなく、看護記録に残された患者や家族の思いにも触れられ、貴重な経験となった。さらに自分自身が行った手術と照らし合わせることで、カルテの分析は実感に変わった。自分のやるべきことが決まったように思う」

 ―大腸がんの中でも難易度が高いとされる直腸がんの手術を多く手掛けている。

 「直腸は骨盤の深いところに位置し、前立腺やぼうこうといった臓器のほか神経も多くあり、それらを傷つけない手術は技術力が求められる。難しい手術とよく言われるが、私自身は『少し時間のかかる手術』としか考えていない。手術する上で性機能などを温存できれば、生活の質は格段に向上するが、一方で機能温存ばかりに目を向けないことも大切だ。術後の生活を考えると、人工肛門にした方が良いケースもあり、患者の生活スタイルや年齢などを考慮し、じっくりと話し合っている」

 ―今後の抱負は。

 「外科医としてこつこつと活動しながら、予防教育にも取り組みたい。大腸がんの要因としては食事の欧米化や喫煙、運動不足などが指摘される。病気にならないための正しい知識を若い頃から身に付けることが大切。子育て世代の母親や中学、高校生らを対象にした講演活動を通じて、そのお手伝いをしていきたいと思っている」

 あかざい・よしひろ 1983年岡山大医学部卒。同大第1外科入局後、研修医として岡山済生会総合病院へ赴任。医局での研究生活を経て府中市の民間病院に2年間勤務した後、93年再び岡山済生会総合病院へ。主任医長、診療部長を歴任し2011年から消化器外科部長、14年から現職。岡山大医学部臨床教授。日本外科学会専門医。岡山市北区幸町。60歳。

がん死亡率で2位に浮上! 突如の腹痛・めまいが襲う大腸の危険信号(2)

 人間の身体の仕組みとして、仮に肝硬変で血液の生産が抑制された場合、血液不足はゆっくり進行するので、めまいには結び付きにくい。ところが、大腸で起こるような出血はそれより早く、脳はめまいとして反応しやすい。しかし、痛みとしては感じにくく、気付かないことも多いという。

 東邦大学医療センター大森病院・消化器センターの外来担当医は言う。 「1980年代には、大腸がんで亡くなる男性は、米国の方がはるかに多かった。ところが2001年には、日本が米国を抜いてしまったのです。理由は、日本の食の欧米化と、米国での大腸内視鏡検査の普及が関係しています。

日本でも大腸内視鏡検査は行われていますが、米国では70年代から始まった、がん撲滅運動が浸透し、大腸がん検診の受検率が高くなっている。それが早期の発見、治療にもつながり、死亡率が日本と逆転したのです」

 日本では、便潜血検査で陽性反応が出ても、約半数の人は大腸がんを進行させてしまう。それが死亡率を高める要因になっていると考えられる。 「便潜血検査も万能ではありません。専門家たちも言うのですが、血が混じっていない部分を採取すれば、陰性になるからです。

そのため、40歳を過ぎたら一度は便潜血検査以外の大腸検査を受けることをお勧めします。やはり“めまい”などの貧血症状や、便通異常を感じている人は注意して欲しい」(医療ジャーナリスト)では、こうした大腸の病を防ぐには、どのような食生活を送ればいいのか。

 大手病院の栄養管理士で料理研究家・林康子氏に聞いた。「一般的に、便秘には植物繊維の多い野菜が効くと言われますが、それはNG。食物繊維は消化液で十分に消化されないからです。そのため便秘の人が食物繊維を多く摂ると、他の食品の成分の消化を妨げられ、結果、未消化内容物が増えて逆効果になってしまう。繊維質は、排便がスムーズになってから摂取してください」

 ただし、もちろん長期に渡って野菜を摂らないこともダメ。マンゴージュースやパパイアに含まれる糖は、消化されにくく軽い下剤作用があるため、お勧めだという。「成人女性が1日に必要なカロリーは1500~2000キロカロリーといわれていますが、それより極端に少ない人が非常に増えている。

一定の食事量がなければ便意を催さず、便秘になるのは当然です。いずれにしても、大腸の病気やがんの要因を取り除くには、腸の蠕動運動を促し、交感神経と副交感神経の活動バランスを整えながら、腸の働きを活発化させる必要があります」(同)定期的な検査と、食生活の改善で、大腸を労わる生活を心掛けよう。

がん死亡率で2位に浮上! 突如の腹痛・めまいが襲う大腸の危険信号(1)

 仕事のストレスで胃に穴が開きそう…。サラリーマンなどは、そう思うことが一度や二度はある。ところが最近は、この胃に穴が開く「穿孔」自体が減る傾向にあるという。それは、ピロリ菌除菌の普及や、不況で会食の機会が減って暴飲暴食が少なくなったことも影響している。

 しかし、代わって今注目を集めているのが、大腸の穿孔だ。食生活や生活スタイルが変わり便秘が激増していることや、大腸内視鏡検査の普及などによって、目立つようになったのだ。

 日本消化器病学会の評議員を務める、世田谷医療クリニックの村林康三院長はこう言う。 「消化管で穿孔が多いところといえば、胃や十二指腸。ただし、胃や十二指腸は、胃液の消毒作用もあって細菌が繁殖しづらく、穴が開いて内容物が漏れても、すぐには重症の腹膜炎を起こしにくい。ところが、大腸の穿孔は大変危険です。

大腸は下水道と同じで、体内の排せつ物が移動する。病原性の細菌も繁殖しやすいため、中のものが漏れ出すと、すぐに重症の腹膜炎を起こしかねないのです」 腹膜炎を起こすと、敗血症(感染症)からエンドトキシンショックとなり、死に至ることもある。では、大腸穿孔の原因となる病には、どのようなものがあるのか。

 前出の村林院長が続ける。 「潰瘍性大腸炎や虫垂炎(盲腸炎)など、腸に起こった炎症が悪化したケースが多いのですが、最近増えているのが動脈硬化の進んだ高齢者の大腸穿孔。動脈硬化が進むと大腸の血液循環が悪くなり、必要な酸素や栄養素が通わないため、大腸の粘膜に潰瘍ができる虚血性大腸炎になります。また、血管が詰まる腸間膜動脈閉塞性という病もある。そうなると、血液が通わなくなった腸が破れやすくなるのです」

 これに便秘が加わると、大腸穿孔のリスクはさらに高くなるという。「例えば突然の腹痛や下痢、血便、さらに発熱、腹部膨満があったら要注意です。ただでさえ高齢者は大腸の働きが悪いうえ、水分を取らない生活をしていると、便が出ないばかりか、石のようにカチカチになる。これが大腸を圧迫して傷つけ、穴が開くことがあるのです」

 とはいえ、こうした高齢者に浣腸をすることは注意が必要だ。たまたま大腸が弱っている部分が肛門に近い場合、浣腸で圧力が高まり、簡単に穴が開いてしまう恐れがあるためだ。また、大腸を襲う病としてやはり恐ろしいのは、がんだ。厚労省の『平成26年人口動態統計』のがん死因では、胃がんを抜いて大腸がんが2位となった。

 大腸がんで注意すべきは、突然襲う「めまい」。その要因に、腸の異変が関係している場合があるためだ。 「めまいの原因はいろいろあるが、腸に関係しているのは、突然クラッとする立ちくらみのような症状を言う。消化管で持続的に出血して貧血に陥ると、脳への血流不足となり、突如めまいを伴う症状が出ることがあるのです。人間ドックを受診された男性で、『貧血気味』と感じている人、便潜血検査が“陽性”と出た場合は要注意です」(血液関係に詳しい専門家)

ピロリ菌を除去したら胃がんに絶対ならない…そんな“誤解”に注意を

 ピロリ菌を除去したから、もう胃がんの心配はない。そのような会話をしたり、聞いたことありませんか?確かにピロリ菌の除去は大きな効果があるようですが…。兵庫県伊丹市の「たにみつ内科」で日々診察にあたっている谷光利昭医師はそんな“誤解”に注意を促しました。

 毎年多くの人が、癌(がん)で亡くなられ、闘病をされています。成人の約3分の1が癌になるのですから、結構な確率です。近年、増えているのが肺癌です。喫煙が重要因子ではありますが、それ以外にも大気汚染など様々な外的因子が関係しているようです。その中で、以前は胃癌大国であった日本で、胃癌の死亡率が低下しています。胃カメラ(上部消化管内視鏡)による健診が増えたのが理由の一つです。それに連動して、ヘリコバクターピロリ菌(以下ピロリ菌)の発見、そして除菌も広く行われるようになりました。

 ピロリ菌は胃がんと密接に関係しているとされています。かつて、その除菌は胃潰瘍、十二指腸潰瘍のある人にしか保険適応とされていませんでしたが、現在は慢性胃炎などの人にも保険治療が適応されます。様々なデータがありますが、除菌前と除菌後では、胃癌になる確率が3分の1程度まで下がるといわれています。ですから、ピロリ菌に感染している人は、必ず除菌をしてほしいのです。現在は、生涯で2回のみ保険適応となっています。

 気をつけてほしいのは、胃癌になる可能性が“3分の1”になっただけで、除菌=可能性ゼロになるわけではないということ。ここを勘違いしている人がたくさんいます。例えば、幼少期に感染したピロリ菌は、数十年かけて胃粘膜を委縮させ、さらには前癌状態とも言われている腸上皮化生という状態にまで正常胃粘膜を悪化させている可能性が高いのです。除菌しても、それまでに悪化した状態が劇的に改善するわけではないので、癌になる因子は残っているということです。また、ピロリ菌に再感染してしまうケースだってあります。

 ピロリ菌に感染している人は、胃カメラを受ける年齢が遅ければ遅いほど、既に状態が悪くなっているリスクは高まります。ですから、若いうちに胃カメラを受け、感染を認めれば、直ちに除菌をしてほしいのです。それにより、胃癌発症のリスクは一層軽減します。もちろん、その場合でも胃癌になるリスクが“3分の1以下”になっただけという認識は持つべきです。除菌後でも年に一度は胃カメラを受けて、癌の早期発見を心がけてほしいです。早期胃癌であれば、かなりの確率で内視鏡治療を施すことにより完全に治癒することが可能です。今は癌と言っても死刑宣告ではないのですから。

 胃癌の中にも、ピロリ菌の感染と関係なく、出現してくる怖い種類のものもあります。このタイプの癌も早期に見つけることは難しいのですが、胃カメラを受けて早期発見できれば、治癒する確率は高まります。胃癌になる因子としては、塩分の過剰摂取、喫煙なども挙げられています。遺伝的な要因はないとされていますが、親族内で胃癌が多発しているケースも時々みます。これについてはピロリ菌の感染が原因であったり、共通した望ましくない生活習慣が引き起こしたのかもしれません。

 いずれにしても癌の予防は簡単ではありません。けれど、防ぎようがないと考えてしまうではなく、積極的な検査受診や治療によりリスクの軽減を図れるということを知ってほしいと思います。

大腸がんを予防! 秋の旬食材“サンマ”の驚くべき健康効果

こんにちは。心理食育インストラクターのSAYURIです。

昔から旬の食材はおいしいだけでなく、その季節の人間の体調に合った栄養素がたくさん含まれていて、とても体に良いと言われています。ママが買い物に行ったときに、旬の果物は比較的手に取りやすいもの。しかし、魚はどうでしょう?

残念なことに、“魚食クライシス ”という言葉があるほど、日本人の魚離れは進んでいます。「調理が面倒」「ニオイが嫌」「骨があるから食べにくい」その理由はさまざまですが、もし魚を食べる習慣が大腸がんの予防に繋がるとしたらどうでしょう?

今回はイギリスの医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』の消化器病学専門誌『Gut』に発表された研究報告をもとに、魚を食べるメリットをご紹介したいと思います。

●日本人女性の死亡原因トップは大腸がん

報道では女性タレントや有名人の乳がんのニュースが多いため、つい乳がんばかりに意識が向きがちですが、実は女性の死亡原因のトップは大腸がん 。患者数こそ1位の乳がん(73,997人)に次いで2位(57,210人)となっていますが、それだけ死亡率が高いとも言えます。

●大腸がんの死亡リスクが41%も低い!

アメリカ人17万人以上のデータをもとに、大腸がんの発症について研究したところ、鮭やまぐろなどの魚に含まれるオメガ3脂肪酸を1日0.3g以上摂ると、1日の摂取量が0.1g未満の人と比べて死亡リスクが41%も低くなる ことが分かったと言うのです。この研究はアメリカで行われたため、さんまについては明記がありませんでした。

調べてみると、大腸がんの発症を抑えると言われるオメガ3脂肪酸の含有量は、鮭では100gあたり0.92g、まぐろ赤身で0.17g、まぐろ脂身で5.81g、さんまで3.78g。さんまはまぐろの脂身に次いで非常に多い含有量を誇っています。まぐろの大トロはお財布にちょっと厳しいかもしれませんが、旬のさんまはお財布にも優しい上に、栄養価も高いため積極的に摂って欲しいと思います。

もし、小骨が気になるなら圧力鍋で煮魚にすれば骨ごと食べられるので、カルシウムまでしっかり摂ることができます。値段が高いと言っても、1匹200円ほど。コンビニスイーツのことを思えばそんなに高くはないのではないでしょうか。オメガ3脂肪酸には大腸がんの予防だけでなく、女性に嬉しい脂肪燃焼促進効果 もあると言われているので、ぜひ積極的に食べてくださいね。

<大腸がん>左側にできた患者、右より長く生存…日・米研究

大腸の左側にがんができた患者の方が、右側にできた患者よりも生存期間が長いとの研究結果が、日米で出ている。

特に米国のデータは、左右差を調べたこれまでの研究の中でも最大規模となる計約1000人を対象にしており、左右で抗がん剤の効き方が異なる可能性も示された。今後、がんの位置による治療法の選択や開発に役立つ可能性がある。

 米カリフォルニア大などの研究チームは、手術できない大腸がんの患者を対象にした抗がん剤の臨床試験のデータを使い、右側にがんができた患者293人と、左側にがんができた患者732人を比較。その結果、平均的な生存期間は左側が33.3カ月、右側は19.4カ月で、左側が長かった。

 国内では、昭和大横浜市北部病院の砂川優講師(腫瘍内科)らが大腸がん患者110人を解析した結果、左側の患者の生存期間は36.2カ月で、右側の患者(12.6カ月)よりも約2年長かった。

 砂川講師によると、大腸の左側と右側は器官が作られる過程が異なるほか、発がんにかかわる遺伝子にも違いがあり、悪性度が高いがん関連遺伝子は右側に多いという。

目覚ましい進化! 大腸がんの薬物治療法とは

大腸がんのうち、とくに直腸がんの手術は難しい。日本の標準手術では、転移の可能性があるリンパ節も切除するが、この方法で再発するリスクを減らせることが米国の学会で発表された。

 大腸がんにかかる人は年間約13万人いる。大腸は、大きく「結腸」と「直腸」に分けられ、直腸がんは手術が難しく、結腸がんに比べ治療成績が悪い。

 大腸がんは、進行度により0~IVまでの5段階の病期に分けられる。病期0はがんが粘膜にあって大腸内視鏡で切除できる。病期Iは大腸の壁(固有筋層)までにとどまり、手術などでがんの切除がおこなわれる。

 病期IIはがんが大腸の壁の外にまで広がり、病期IIIはリンパ節にも転移がある。手術によるがん切除に加えて、転移の危険性があるリンパ節の切除(郭清[かくせい])も必要になる。病期IVは、肝臓や肺、腹膜などに遠隔転移があり、手術が困難な場合には抗がん剤などで治療がおこなわれる。

 直腸がんの手術が難しいのは、肛門のすぐ上、骨盤の奥に直腸が位置し、膀胱・前立腺・子宮などの臓器や重要な自律神経が隣接しているためだ。

 さらに、肛門からおよそ10センチ以内にがんがある下部直腸がんは、そのほかの大腸がんと違って、直腸から離れた骨盤の側壁にあるリンパ節(側方リンパ節)にもがんが転移しやすい。また、骨盤内に再発(局所再発)が起こりやすい。そのため、下部直腸がんは治療成績が悪い。

 欧米では局所再発を防止するため、がん切除に加えて放射線治療をおこなうのが主流だが、日本では側方リンパ節を切除する「自律神経温存側方郭清」が標準手術として実施されている。

 今年6月に、日本臨床腫瘍研究グループが実施した大規模な臨床研究(JCOG0212)の結果が米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表された。病期II、IIIの下部直腸がん手術において、側方郭清をおこなうと局所に再発せずに5年生存する割合が87.7%であったのに対し、側方郭清をおこなわない場合には82.4%と治療成績が悪かった。

 大阪府在住の会社員、田中重雄さん(仮名・54歳)は9年前、排便するたびに出血するようになった。だが、「重大な病気だと言われたら怖い」と、病院に行かずに放置していたところ、腸に便が詰まってパンパンになり、大阪府立成人病センターの消化器外科に駆け込んだ。

 大植雅之医師が診察すると、直腸の下部、肛門から6.5センチ離れたところに、8.4センチの大きながんが見つかった。がんは腸管をふさぎ、もう少しで破裂するところだった。リンパ節に59個もの転移が見つかったが(直腸周囲31個、大動脈周囲24個、側方4個)、他の臓器への転移はみられなかった(病期III)。

 大植医師は開腹手術により、排尿機能や性機能をつかさどる神経をできる限り温存しながら、がんがある部位の腸管と転移リンパ節をすべて切除した。手術後には、転移・再発を防ぐための抗がん剤治療(術後補助化学療法)をおこなった。

 田中さんは術後、排便回数の増加、下痢時に便が漏れやすいといった排便障害や、薬で治療できる程度の勃起機能低下が起こった。しかし、日常生活に大きな問題はなく、仕事を続けられた。手術した年の夏には子どもと泳ぎに行って真っ黒に日焼けし、現在も再発なく元気に過ごしている。

「田中さんはリンパ節転移の数が非常に多かったのですが、がんと一緒にそれらを完全に切除して一命を取り留めました。下部直腸がんの過半数が局所再発を起こすことから、しっかりとした手術で側方リンパ節を切除することが非常に重要です」(大植医師)

 術前の診断では精度の問題により正確にリンパ節転移を確認できないことも多いが、病期II、IIIの直腸がんのおよそ20%に側方リンパ節への転移が見つかることがわかっている。

「側方郭清には外科医の高い技術が必要とされるうえ、一つひとつのリンパ節をていねいに切除するには手間と時間がかかります。リンパ節転移の危険性が高い下部直腸がんの患者さんには、徹底した側方郭清をおこなっている専門病院で手術を受けることをおすすめします」(同)

 一方、最近ではがんの薬物治療の進歩も目覚ましい。大腸がんの抗がん剤による一次治療は、細胞の増殖を阻止して死滅させる(殺細胞性)薬物であるフッ化ピリミジン系薬、オキサリプラチン、イリノテカンを単剤または2剤組み合わせ、そこに近年登場したがん細胞の増殖に関わる因子だけを狙い撃ちする分子標的薬を追加することで、治療効果が著しく向上した。

 2014年には、フッ化ピリミジン系薬+オキサリプラチン+イリノテカンの3剤(FOLFOXIRI)に分子標的薬(ベバシズマブ)を加えた治療法の有効性が報告され、新たに標準治療の一つとなった。分子標的薬には、がん細胞に栄養を送る血管の新生を抑制するベバシズマブやラムシルマブ、がん細胞の成長を抑制する抗EGFR抗体(セツキシマブ、パニツムマブ)などがある。

 静岡市在住の主婦・岡田豊子さん(仮名・62歳)は、夫と2人暮らし。旅行が大好きで明るい性格だが、14年6月に急に食欲が落ち、みぞおちが痛くなったため、近くの病院を受診した。

 検査すると貧血がひどく、大腸内視鏡検査で結腸にがんが見つかった。がんはすでに肝臓にも5カ所転移していた(病期IV)。結腸がんは、腹腔鏡下手術で切除したが、肝臓の転移巣は大きいうえに数が多くて切除不能だったため、抗がん剤治療をすすめられて県立静岡がんセンター消化器内科・山崎健太郎医師を紹介された。抗がん剤で小さくなれば肝臓の転移も手術できると言われていた岡田さんは、治療にとても前向きだった。

 最近では、患者のがん組織の遺伝子やたんぱく質、血液中の遺伝子を調べると、抗がん剤の効果や副作用などを予測できるようになってきている(バイオマーカー)。

 治療開始前の検査により岡田さんは、細胞増殖に関わるたんぱく質の一つであるRASの遺伝子に変異があるため、抗EGFR抗体の効果が期待できないことがわかった。そのほか、イリノテカンの代謝に関連するUGT1A1遺伝子には異常がないためイリノテカンの副作用リスクが高くないことも判明していた。

 山崎医師は、岡田さんがもともと持病もなく元気であることも考慮し、この状況で最も効果が期待できるFOLFOXIRI+ベバシズマブによる治療を提案した。

 治療開始2週間後、副作用による血液中の好中球減少がみられたため、投与量を減量して治療を継続した。4週後に脱毛が起きたが、山崎医師のアドバイスで院内の美容室に相談し、かつらを用意していたので、変わらず活動的な日常生活を送ることができた。

 2カ月後、がんが縮小し、3カ月半後に手術可能と診断された。その後、岡田さんは無事肝臓の転移を手術ですべて切除することができた。現在は経過観察中で、ご主人との旅行を楽しんでいる。

医師も緊張する大腸カメラ受診 終わってみたら…早期発見&治療の大きな助けに

「要検査」と言われても、大腸カメラを受けるのを避けたいという人は多いのではないでしょうか。兵庫県伊丹市で地域のホームドクターとして日々治療にあたっている「たにみつ内科」の谷光利昭院長は、自身の経験も踏まえて内視鏡検査を勧めている。

 ◇   ◇

 近年、食の欧米化とともに大腸がんが増加して、女性のがん死亡原因の1位が大腸がんになりました。そのため検診などで便潜血を受けられる人も増加しています。大腸がんは比較的悪性度が低いがんと言われています。ですから、早期発見、早期治療で完治する可能性は高いのです。

 大腸の壁は、粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜下層、漿膜と5層構造になっています。がんは必ず大腸壁の内側の粘膜から発生し、進行とともに深く浸潤していきリンパ節、多臓器転移などをきたすのです。発生には腺腫から次第にがん化するタイプと、いきなりがん化するタイプがあります。腺腫から発生するタイプは、内視鏡的ポリープを切除した際によく認められます。大腸がんでも粘膜内にとどまるがんに転移は認めず、内視鏡的切除で治療は終了です。

 粘膜下層に浸潤するとリンパ節転移は10%前後(浸潤の深さによる)で、内視鏡的切除で終了する場合と、追加で腸管切除とリンパ節郭清を施行する場合に分けられます。筋層以深の浸潤が疑われた場合は、最初から手術になります。近年、腹腔鏡の手術が進歩していて多くの場合、腹腔鏡で行われています。抗がん剤治療も著しく進歩しており、以前は諦めざるをえなかった症例でも完治することもあります。

 早期発見、早期治療の大きな助けとなるのは、大腸カメラです。一般的には「大変」というイメージがありますね。当院で検査を受けられた患者さんは多くの場合「楽だった」と言って帰宅されます。しかし、受ける側からすると実際にしてみないと…ですよね。当院では、3日前から軽い食事制限をして当日に下剤を1・8リットル内服していただき、大腸内の便を完全になくしてから検査してもらいます。前処置の仕方は、医院、病院により違いはありますが、できるだけ大腸内を空っぽにして検査に臨んでもらった方が、検査を受ける患者さんの負担は少なくなるので、当院での前処置は他院よりも少し厳しく感じられる人もおられるようです。

 実際の検査時間は、肛門からカメラを挿入して大腸の一番奥(盲腸)に到達するまで5分以内で済むことが多いです。他院ではそれより長くかかることが多いとよく聞きます。もちろん、ケースバイではあるのでカメラを挿入しやすい人なら1分くらいで奥まで到達することもありますし、まれに挿入困難な患者さんなら10分以上かかることもあります。以前、大病院の看護師さんがうちで検査を受けました。ご自身の病院よりかなり短い時間で、楽に検査が終わったので「本当に最後まで見たのか?」とあらぬ誤解をされたこともあります。もちろん、ちゃんと説明して納得していただきましたが(笑)。

 当院では、胃カメラと同様に鎮静剤を使用して検査を行います。「楽だった」と言ってもらえる要因です。また可及的に切除出来るポリープは日帰りで切除するようにしています。多くの病院では、まず検査をしてポリープが見つかれば、別の日に入院してから切除をします。つまり短期入院です。これでは、患者さんの経済的かつ時間的負担が大きいので、私はできるだけその場で切除するようにしています。もちろん、症状により危険と判断すれば入院後の切除をお勧めすることもあります。

 このように患者さんに大腸カメラや胃カメラを勧めている私ですが、実は今年2月に初めて大腸カメラを受けたんです。日帰りでポリープ切除までしてもらいました。大好きなお酒が1週間飲めない辛さはありましたが、しっかり治療して安心した次第です。来年以降も代診をたてて受けようと決めました。大腸ポリープ切除を受けた患者さんには、患部の大きさ、形状、性状や年齢など様々なことを勘案して、次回に大腸カメラを受けるべき時期をお伝えしていますが、それが完全に正確なの?と言われてしまうと、正直言って“正解”がないのが実情です。例えばこちらが数年後でいいと判断しても、少しでも不安を感じる人は毎年受けられることをお勧めします。

 お尻からカメラを入れるわけですから、初めての患者さんは、不安で一杯だと思います。私も検査台に寝たときはかなり緊張しましたが(苦笑)、終わってしまうと受けて良かったと思ったし、晴れ晴れとした気持ちで帰路につきました。みなさんも臆せずに大腸カメラを受けてください。

日本人の2人に1人が感染?胃がんの原因にも…あなたのお腹の「ピロリ菌」をチェック

胃の中に棲みつき、悪影響を及ぼす「ピロリ菌」。胃十二指腸潰瘍の原因となるだけでなく、胃がんの原因となることがわかってきました。感染経路ははっきりしていませんが、症状からある程度はピロリ菌に感染しているかどうかがわかります。

そこで、Doctors Me編集部がピロリ菌の感染度をチェックできるコンテンツをご用意しました。診断の結果ピロリ菌感染が疑われる場合は、病院を受診して検査を受けるようにしてくださいね。

チェックスタート!
□ 今までに胃潰瘍や十二指腸潰瘍になったことがありますか?
□ 今までに慢性胃炎と言われたことがありますか?
□ 胃のバリウム検査や胃カメラ検査で胃が委縮していると言われたことがありますか?
□ 最近空腹時にみぞおちがシクシク痛んだことがありますか?
□ 食事をするとすぐにお腹が一杯になってしまいますか?
□ 食後に胃がもたれますか?
□ お腹が張ったり、胃が重かったりしますか?
□ お腹がすくと気持ちが悪くなることがありますか?
□ お腹がすくと気持ちが悪くなることがありますか?
□ 胃薬を飲んでも効果が一時的ですか?
□ よく胸がつまったり、胸やけをしますか?
□ ご家族に胃潰瘍や十二指腸潰瘍の人はいますか?
□ ご家族に胃癌の人はいますか?
□ ご家族にピロリ菌を持っている人はいますか?
□ 食事を取る時間は不規則ですか?
□ 毎日ストレスを感じていますか?

いくつ当てはまったでしょうか?
結果は…
当てはまった数が「0~4個」の人

ピロリ菌に感染している可能性は低いです。

ピロリ菌がいる可能性は低いと思います。
もし胃腸に不調な症状がある場合は、胃腸の動きがうまくいっていないためだと思われますので、規則正しい生活をして様子を見て下さい。
当てはまった数が「5~7個」の人

【注意】ピロリ菌に感染している可能性があります。

ピロリ菌がいる可能性はありますが、はっきりとは言えません。
胃腸の不調は食生活などをはじめとした生活習慣によるものである可能性もあります。まずは食生活を改善し、2~3週間後に再度同じ設問を行ってみて下さい。

当てはまった数が「8個以上」の人

【要注意】ピロリ菌に感染している可能性が高いです。

ピロリ菌がいる可能性が極めて高いです。早めに病院を受診してピロリ菌の検査と胃カメラ検査を受けて下さい。

ピロリ菌がいると、潰瘍や胃癌が起こり易くなることがわかっていますので、疑わしい場合はぜひ検査を受けるようにして下さい。
ピロリ菌の検査には血液検査、内視鏡を使った検査、呼気検査、便の検査がありますが、今までピロリ菌の治療を受けていなければ、血液検査で調べることができます。

この検査の結果が陽性で、胃カメラ検査で慢性胃炎が認められれば、1週間の内服治療によりピロリ菌を除くことができます。

胃がん特集<上>主犯のピロリ菌を見逃すな!

日本人がかかるがんで最も比率の高い胃がんは、死亡する確率が低いことでも知られる。俳優の渡辺謙さんが早期の胃がんを切除したというニュースも記憶に新しい。消化器系のがんの治療に40年以上携わる北海道医療大学学長の浅香正博さんがBS日テレ「深層NEWS」に出演し、胃がんのメカニズムを解説するとともに、胃がんで命を落とさないためにピロリ感染胃炎を疑って専門医療機関を受診する必要性を訴えた。

◆5年生存率が60%超の日本

 日本人の胃がんは、罹患(りかん)数は第1位であるのに対し、これによって死亡した人の数だと3位になります。日本での胃がんは「助かる病気」で、5年生存率は60%を超えています。つまり、かかりやすいけれども、治りやすいがんであると言えます。

 ただ、胃がんでも、とにかく早く見つけないと助かりません。日本以外の国ですと、5年生存率は10~20%であるということを見ても、早期診断が非常に大切だということが分かると思います。

 早期の胃がんとは、胃の粘膜と粘膜下層の間でがんの浸潤が止まっている状態です。このうち、内視鏡手術でがんを取ることができるのは、粘膜にとどまっているがんまでで、粘膜下層まで行ったがんに関しては、やはり手術をしなければなりません。内視鏡で取ってしまうことができれば、わずか数日で退院することも可能です。

 粘膜にとどまっている早期胃がんの場合、5年生存率は97.8%です。しかし、粘膜、粘膜下層を貫いて、固有筋層まで行ってしまった進行がんになると、この数字は50~70%に下がってしまいます。さらに漿膜(しょうまく)を越えてがんが浸潤してしまうと、周りに大網(たいもう)、大腸、膵臓(すいぞう)などがありますので、ステージ4となり、予後がきわめて悪くなってきます。

 日本は胃がん手術の技術も進んでいますから、進行胃がんでも他の国より予後はよいのですが、早期がんのように5年生存率が90%を優に超えるというわけにはいきません。

◆粘膜にとどまる段階は症状なし

 一方、スキルス性胃がんは、がんが表面に飛び出さず、粘膜内部に浸潤していくがんです。だから、外から見ても分かりにくく、気付いた時には固有筋層、漿膜を越えていて、手遅れになるという場合が多いのです。スキルス性胃がんは早期の段階では症状が非常に少なく、発見はとても難しいと言われています。

 がんが粘膜内にとどまっている早期がんでは、85%以上症状がないことに留意すべきです。吐き気、胃の痛みなどが早期の胃がんによって引き起こされることもありますが、こうした症状は、胃炎や胃潰瘍にも共通に出現しますので胃がんを診断する決め手にはなりません。進行胃がんになれば、痩せてくる、吐血をするなど特徴的な症状が出てきますが、早期胃がんには見られないのです。

 自覚症状のみで胃の病気を診断することは、ほとんど不可能と思って下さい。ですから、症状がなくても、定期的に胃がん検診を受けることが胃がんで亡くならないために必要なのです。

◆最大のリスク要因はピロリ菌

 WHO(世界保健機関)は、世界の胃がん患者の80%でピロリ菌が陽性だと推計しています。これは胃がん全体の数字で、さらに詳細に見ると、胃の入り口以外にできる「非噴門(ひふんもん)胃がん」の場合は、90%がピロリ菌によるものだと指摘しています。日本人は胃の入り口にできるがんが非常に少なく、大半が非噴門胃がんですから、胃がんの最大のリスク要因がピロリ菌であるということが、WHOによっても認められているのです。

 わが国では広島大学や北海道大学などが、ピロリ菌の抗体のほかに呼気試験などの検査もまじえて詳細に検討したところ、日本人の胃がん患者のほぼ99%がピロリ菌陽性なのです。ですから現在、ピロリ菌がいない日本人は、将来、胃がんになる可能性は限りなく小さいということが言えるのです。

 誤解していただきたくないのは、ピロリ菌を持っている人の99%が胃がんになるわけではないということです。ピロリ菌を持っている人に、別の要因が加わることによって、胃がんが発生しやすくなるのです。

 例えば、ピロリ菌を持っている人が塩分を取り過ぎると、胃がんになりやすくなります。ピロリ菌陽性者では、摂取塩分の濃度依存的にがんが発生してくるのですが、ピロリ菌がいないと、食塩をどれだけ摂取しても胃がんは発生しないで胃炎しか起こってこないのです。

 野菜や果物を摂取すると、胃がんになりにくいと言われています。これも、ピロリ菌と関連づけて考えることができます。緑黄色野菜や果物に含まれるビタミンCは、がんの発生を抑制する働きがありますが、ピロリ菌に感染していると、ビタミンCが胃の中に分泌されないのです。つまり、ピロリ菌があると、野菜や果物をとってもがんを防ぐ効果がなくなってしまうことが科学的に証明されています。

◆粘膜にとどまる段階は症状なし

 一方、スキルス性胃がんは、がんが表面に飛び出さず、粘膜内部に浸潤していくがんです。だから、外から見ても分かりにくく、気付いた時には固有筋層、漿膜を越えていて、手遅れになるという場合が多いのです。スキルス性胃がんは早期の段階では症状が非常に少なく、発見はとても難しいと言われています。

 がんが粘膜内にとどまっている早期がんでは、85%以上症状がないことに留意すべきです。吐き気、胃の痛みなどが早期の胃がんによって引き起こされることもありますが、こうした症状は、胃炎や胃潰瘍にも共通に出現しますので胃がんを診断する決め手にはなりません。進行胃がんになれば、痩せてくる、吐血をするなど特徴的な症状が出てきますが、早期胃がんには見られないのです。

 自覚症状のみで胃の病気を診断することは、ほとんど不可能と思って下さい。ですから、症状がなくても、定期的に胃がん検診を受けることが胃がんで亡くならないために必要なのです。

◆最大のリスク要因はピロリ菌

 WHO(世界保健機関)は、世界の胃がん患者の80%でピロリ菌が陽性だと推計しています。これは胃がん全体の数字で、さらに詳細に見ると、胃の入り口以外にできる「非噴門(ひふんもん)胃がん」の場合は、90%がピロリ菌によるものだと指摘しています。日本人は胃の入り口にできるがんが非常に少なく、大半が非噴門胃がんですから、胃がんの最大のリスク要因がピロリ菌であるということが、WHOによっても認められているのです。

 わが国では広島大学や北海道大学などが、ピロリ菌の抗体のほかに呼気試験などの検査もまじえて詳細に検討したところ、日本人の胃がん患者のほぼ99%がピロリ菌陽性なのです。ですから現在、ピロリ菌がいない日本人は、将来、胃がんになる可能性は限りなく小さいということが言えるのです。

 誤解していただきたくないのは、ピロリ菌を持っている人の99%が胃がんになるわけではないということです。ピロリ菌を持っている人に、別の要因が加わることによって、胃がんが発生しやすくなるのです。

 例えば、ピロリ菌を持っている人が塩分を取り過ぎると、胃がんになりやすくなります。ピロリ菌陽性者では、摂取塩分の濃度依存的にがんが発生してくるのですが、ピロリ菌がいないと、食塩をどれだけ摂取しても胃がんは発生しないで胃炎しか起こってこないのです。

 野菜や果物を摂取すると、胃がんになりにくいと言われています。これも、ピロリ菌と関連づけて考えることができます。緑黄色野菜や果物に含まれるビタミンCは、がんの発生を抑制する働きがありますが、ピロリ菌に感染していると、ビタミンCが胃の中に分泌されないのです。つまり、ピロリ菌があると、野菜や果物をとってもがんを防ぐ効果がなくなってしまうことが科学的に証明されています。

◆たばこ、お茶、飲酒との関係

 その他の生活習慣と胃がんの関係も、いろいろと誤解があるので、いくつか具体的に見ておきましょう。

 たばこは、WHOが「単一で最大の発がん物質」と規定し、たばこに関連するがんとして14種類を発表しています。そこには肺がんなどのほかに、胃がん、大腸がんも含まれています。ピロリ菌に感染していている人がたばこを吸えば、胃がんのリスクがより大きくなるということは、理解しやすいと思います。

 お茶を飲むと胃がん予防に効果があると言われています。これは、お茶の成分であるタンニンがピロリ菌に効果があるという理由のようです。しかし、お茶の産地である静岡県で胃がんが少ないわけでもありませんし、日本人がこれだけ お茶を飲んでいながら、世界で最も胃がんの多い国であることを考えると、お茶には胃がんを確実に抑制する作用はないことは事実と思われます。

 辛い食事と胃がんには、ほとんど関係はありません。辛い物の取り過ぎさえなければ、胃を荒らすことはほとんどありません。少量の摂取では適当に胃の粘膜を刺激して、カプサイシンという胃を守る物質を出しますので、むしろ胃の粘膜を保護すると言われています。

 飲酒と胃がんの因果関係もありません。もちろん、飲み過ぎは良くありません。ストレスも胃がんとは無関係です。動物実験で繰り返しストレスを加えても、胃炎しかできません。

 胃の病気の大半はピロリ菌に関連していますから、ピロリ菌が最初からいない人や、ピロリ菌を除菌した人は、胃の病気になる確立は著しく少ないと考えられます。(続く)

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日本人の2人に1人が感染?胃がんの原因にも…あなたのお腹の「ピロリ菌」をチェック

胃の中に棲みつき、悪影響を及ぼす「ピロリ菌」。胃十二指腸潰瘍の原因となるだけでなく、胃がんの原因となることがわかってきました。感染経路ははっきりしていませんが、症状からある程度はピロリ菌に感染しているかどうかがわかります。

そこで、Doctors Me編集部がピロリ菌の感染度をチェックできるコンテンツをご用意しました。診断の結果ピロリ菌感染が疑われる場合は、病院を受診して検査を受けるようにしてくださいね。

チェックスタート!

□ 今までに胃潰瘍や十二指腸潰瘍になったことがありますか?
□ 今までに慢性胃炎と言われたことがありますか?
□ 胃のバリウム検査や胃カメラ検査で胃が委縮していると言われたことがありますか?
□ 最近空腹時にみぞおちがシクシク痛んだことがありますか?
□ 食事をするとすぐにお腹が一杯になってしまいますか?
□ 食後に胃がもたれますか?
□ お腹が張ったり、胃が重かったりしますか?
□ お腹がすくと気持ちが悪くなることがありますか?
□ お腹がすくと気持ちが悪くなることがありますか?
□ 胃薬を飲んでも効果が一時的ですか?
□ よく胸がつまったり、胸やけをしますか?
□ ご家族に胃潰瘍や十二指腸潰瘍の人はいますか?
□ ご家族に胃癌の人はいますか?
□ ご家族にピロリ菌を持っている人はいますか?
□ 食事を取る時間は不規則ですか?
□ 毎日ストレスを感じていますか?

いくつ当てはまったでしょうか?
結果は…

当てはまった数が「0~4個」の人

ピロリ菌に感染している可能性は低いです。

ピロリ菌がいる可能性は低いと思います。
もし胃腸に不調な症状がある場合は、胃腸の動きがうまくいっていないためだと思われますので、規則正しい生活をして様子を見て下さい。

当てはまった数が「5~7個」の人

【注意】ピロリ菌に感染している可能性があります。

ピロリ菌がいる可能性はありますが、はっきりとは言えません。
胃腸の不調は食生活などをはじめとした生活習慣によるものである可能性もあります。まずは食生活を改善し、2〜3週間後に再度同じ設問を行ってみて下さい。

当てはまった数が「8個以上」の人

【要注意】ピロリ菌に感染している可能性が高いです。

ピロリ菌がいる可能性が極めて高いです。早めに病院を受診してピロリ菌の検査と胃カメラ検査を受けて下さい。

ピロリ菌がいると、潰瘍や胃癌が起こり易くなることがわかっていますので、疑わしい場合はぜひ検査を受けるようにして下さい。
ピロリ菌の検査には血液検査、内視鏡を使った検査、呼気検査、便の検査がありますが、今までピロリ菌の治療を受けていなければ、血液検査で調べることができます。

この検査の結果が陽性で、胃カメラ検査で慢性胃炎が認められれば、1週間の内服治療によりピロリ菌を除くことができます。

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大腸ポリープは男性のほうがかかりやすいって本当!?

よく「〇〇は男性(女性)のほうがなりやい」などといわれますが、果たして本当なのか、気になりますよね。

ところでみなさんは大腸ポリープは男性のほうがかかりやすいという話を聞いたことはないでしょうか?今回は男性が大腸ポリープになりやすいというのは本当なのか、医師に解説していただきました。

大腸ポリープが多いのは検査を受ける頻度だ高いから?

大腸ポリープは男性の方が女性より多いといわれていますが、実は医学的に根拠があるわけではありません。大腸がん、特に直腸がんは食事やストレス等との関係が示唆されていますので、男性の方が女性より多いといわれていますが、大腸ポリープは原因がわかっていませんので、なぜ男性の方が女性より多いのかの確かな理由ははっきりしていません。

あえていえば、男性の方が女性よりも大腸内視鏡検査を受ける頻度が高いので、その結果大腸ポリープを認める場合が多いことが理由ですが、男女とも同じ数の大腸内視鏡検査を行えば、大腸ポリープの男女差はなくなると推察されます。

女性のほうが発見されにくい大腸ポリープ!

また他の理由としては男性より女性の方が大腸が伸びやすく屈曲が多いので、小さな大腸ポリープを見逃す可能性があると考えられます。大腸内視鏡検査で大腸ポリープを100%見つけることができるわけではありませんし、どんなに上手に見落としがないように内視鏡を操作しても、2割前後のポリープを見落とす可能性があります。

ですから男性より女性の方が腸が伸びやすくて屈曲が多いから、男性の方が大腸ポリープを見つけやすく、大腸ポリープの頻度に男女差があるということが推察されますが、このことも医学的根拠が証明されているわけではないのです。

大腸ポリープになると大腸がんになりやすい!?

大腸ポリープと大腸がんとの関係は色々と報告されていますが、特殊なポリープを除いて、必ずしも大腸ポリープがあれば大腸がんができ易いというわけではありません。

しかし大腸ポリープが1つあると、2つ目のポリープができやすい可能性が示唆されていますし、大腸内視鏡検査で大腸ポリープを認めると、通常は1、2年毎の再検査をお勧めしていますので、当然大腸がんや次の大腸ポリープが見つかる頻度は上がります。この点も大腸ポリープの頻度に男女差がある理由になるかもしれません。

大腸ポリープができるとどんな症状が出る!?

大腸がんができて「がん」が大きくなると、がんと便が擦れて出血したり、便秘になったり下痢になったりする便通異常が起こることがありますが、大腸ポリープではよほど大きくならないと大腸がんのような症状は起きません。

大腸がん検診で繁用されている便の潜血検査も、大腸がんが大きくなって便が擦れて陽性となりますので、大腸ポリープがよほど大きくならないと陽性にはなりません。

以上から、大腸がんや大腸ポリープを手術しないで内視鏡的な治療だけで済ませたいと考えるのであれば、定期的に大腸内視鏡検査を受けるのが効果的です。

検査にはどんな種類がある?

近年カプセル内視鏡が使われるようになりましたが、まだ大腸には適応が広がっていません。またCTを使った大腸検査もあり、大腸が極端に長い場合は苦痛の軽減という点では有効ですが、前処置は大腸内視鏡検査とほぼ同じで、大腸ポリープの発見率は大腸内視鏡検査よりは低いです。

今後医学が進歩してさらに新しい内視鏡が開発されてきますが、便を取り除く前処置はこれ以上のものはなかなか出てきませんし、便が残ったままで大腸内視鏡検査を受けても検査が不完全になる可能性があります。

医師からのアドバイス

1回の検査で小さいポリープなどを100%みつけることは技術的に不可能なので、手間と費用はかかりますが、定期的に検査を受ける方が安全です。

ケース別・大検証!主婦でも「生命保険・医療保険」に入るべき?

決して安くはない“生命保険”や“医療保険”の保険料。だからこそ、「主婦の自分まで必要なのかな?」と悩んでいる人が多いはず。そこで今回は、ズバリ「主婦でも生命保険・医療保険に入るべきか?」について、家族構成のケースごとに検証していきたいと思います!

●ケース1:子どもなし、共働きの夫婦の家庭の場合
夫・妻両方に収入があるため、無理に「生命保険」に加入する必要はないでしょう。

よく「生命保険金をお葬式代に」と言いますが、一般的なお葬式はだいたい200万円前後、家族葬なら数十万円くらいで済むことが多いため、この程度の貯金があれば生命保険は要らないということになるからです。
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また、「医療保険」についてですが、入院する際に“個室~4人部屋”ではなく大部屋(たいていは5~6人部屋)を選べば、差額ベッド代はかからず健康保険でカバーできます。

そして、健康保険には高額な医療費を払った場合、一定の自己負担額限度額を超えた分があとで払い戻される「高額療養費」という制度があります。

一般的な収入(標準報酬月額28~50万円)の人なら自己負担は80100円+アルファで済みますし、病気やケガで4日以上会社を休み、かつ、お給料が出ない場合には、健康保険組合から「傷病手当金」(標準報酬日額の3分の2)が4日目から最高1年6ヶ月まで支給されます。このように、会社の健康保険が手厚いため医療保険も必要ないといえます。

●ケース2:子どもなし、会社員の夫と専業主婦(あるいはパート勤務の妻)の家庭の場合
このケースでも、ケース1と同様に、お葬式代くらいの貯蓄があれば妻に「生命保険」は必要ないでしょう。

また、夫の会社の健康保険に妻も加入しているため、「医療保険」も無理に加入することはありません。ただし、妻がパート勤めをしている場合は、妻が働けなくなったときにパート収入がとだえることになります。

病気やケガで働けなくなった場合に収入を保障する「所得補償保険」という保険はありますが、最初の何日間は保険金が出ない免責期間があることから、あまりオススメしません。医療保険や所得補償保険に払う保険料があるのなら、その分を貯金にまわし、予測外の支出に備えるべきです。

●ケース3:手がかかる小さな子どもがいる共働きの夫婦の家庭の場合
妻が入院したり、亡くなったりした場合、問題になるのは小さな子どもの世話ですよね。

けれど、妻がフルタイムで働いている場合には、子どもは保育園や学童保育に通っていたり、いざというときには両親(子どもにとっては祖父母)に世話をお願いしたりなどの基本的なサポート体制ができていることが多く、ケース1と同様に高額療養費制度があるため、医療費の心配はあまりありません。

さらに、妻が働けなくなり、お給料が出なくなっても「傷病手当金」が支給されるので、保育園への送迎や夫が帰宅するまでのベビーシッター代(または保育園の延長保育代)、学童保育時間後の子守り代などは「傷病手当金」などの社会保険でカバー可能です。なので、差額ベッド代がかからない大部屋に入院する場合、「医療保険」は必要ないといえます。
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もし妻が亡くなった場合、子どもがいる夫には、子どもが18歳になる年度末まで「遺族基礎年金」が支給されます。遺族基礎年金は、子ども1人の場合は年間約100万円、子ども2人の場合は年間約123万円、子ども3人の場合は年間約130万円です。

これらを見ると、子どもの数や年齢によっては、子どもの世話にかかる費用から「遺族基礎年金」を引いた金額分の生命保険に入る必要があるかもしれません。

ただし、子どもが育つにつれて世話にかかる費用も減っていくため、徐々に保険金の補償が下がる遁減型の生命保険や、1年ごとに保障金額を見直せる生命保険がいいでしょう。子どもに手がかからなくなるまでの保育費用が目的ですから、掛け捨ての保険でかまいません。

●ケース4:手がかかる小さな子どもがいる会社員の夫と専業主婦(あるいはパート勤務の妻)の家庭の場合
一番大変なのは、このケースです。妻が小さな子どもの世話をしているため、妻が亡くなったり、病気やケガで入院したりした場合、子どもの世話の手配をしなくてはなりません。

いざというときに子どもの世話をしてくれる両親などがいる場合は問題ありませんが、誰にも頼ることができない場合は、子どもを延長保育が可能な保育園に入れたり、学童保育に入れたり、学童保育時間後の子守りを頼んだりする必要があり、大変です。

また、「保育サービスを手配できなかった」「時間短縮勤務ができなかった」などの理由で父親が退職することになったり、時間短縮
勤務が可能な会社に転職したりすることがあります。そして収入が大幅ダウンし、生活苦に陥るケースが少なくありません。

ですので、父親が何とかして現在の勤務を続けられるようにすることが重要です。
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妻が自宅治療の場合は夫が介護休暇や介護休業(最長93日)を取ることが可能ですが、入院の場合は基本的には介護休暇や介護休業の対象外です。医療費は高額療養費制度でカバーできても、妻が入院中に子どもの世話にかかる費用はカバーできません。

子どもの世話にかかる費用を貯金でカバーできない場合は、「医療保険」に入っておくとよいでしょう。保障金額の目安は子どもの保育費用です!
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万が一、妻が亡くなった場合、子どもが18歳になる年度末まで「遺族基礎年金」が夫に支給されます。これは専業主婦であっても、パート勤務の主婦であっても同じです。なので、妻が死亡したときはケース3と同様です。

●ケース5:手がかからない大きな子どもがいる共働きの夫婦の家庭の場合/ケース6:手がかからない大きな子どもがいる会社員の夫と専業主婦(あるいはパート勤務の妻)の家庭の場合

特別な世話を必要としない子どもの場合(おおむね中学生以上)は、基本的に保育費用はかかりません。
ですので、ケース3やケース4のような保育費用を目的とした「生命保険」や「医療保険」は必要ないでしょう。
なお、このケースでも妻の死亡時には、子どもが18歳になる年度末まで「遺族基礎年金」が支給されます。

<プロフィール>
おおいみほ
ファイナンシャルプランナー(AFP)/二級ファイナンシャル・プランニング技能士
銀行にて、預金商品やローン商品、クレジットカード商品のマネジメント業務を経て、現在はウェブサイトなどのマネー関連記事の執筆、個人投資家として活動中。

北の湖理事長の死因となった「直腸がん」の再発について考える

11月20日、日本相撲協会・北の湖理事長が亡くなられました。「直腸がんによる多臓器不全のため」と報じられています。北の潮理事長は2012年に直腸がんの手術を受けています。死因が直腸がんであるということは、手術後に再発があったということでしょうか。ここでは、直腸がんを含む大腸がんの再発について見てみましょう。

◆「大腸がん」の再発リスク

大腸は長さ2mほどの臓器です。日本人の場合は肛門に近い直腸と、肛門から離れたS状結腸にがんができやすい傾向にあります。直腸にできるがんを直腸がんといいます。

大腸がんの再発率はステージによって異なります。

・ステージ1:再発率3.7%
・ステージ2:再発率12.5%
・ステージ3a:再発率24.1%
・ステージ3b:再発率40.8%

ステージ1はがんが大腸の内側の壁の浅い部分(筋肉の層)にとどまっている段階です。この段階で治療をしたときの再発率はかなり低いことがわかります。ステージ2は筋肉の層を超えてがんが広がっている段階で、再発率は1割以上となります。

さらに、3個以下のリンパ節に転移のあるステージ3aになると2割以上、4個以上のリンパ節に転移のあるステージ3bになると再発率は4割を超えてきます。

北の潮理事長は、直腸がんの手術を「内視鏡手術」で行ったと報道されています。内視鏡手術が適応となるのは、がんが大腸の壁の粘膜にとどまっているステージ0か、筋肉の層にとどまっているステージ1に限られます。

従って、最初に直腸がんが診断された時点では、まだ初期のがんであり、再発率も低かったはずです。手術後の3年間における体調の変化が大きかったのではないかと推測されます。

◆「大腸がん」の3つの再発

大腸がんの再発は次の3つに分類されます。

・局所再発:
もともとがんがあった場所に再びがんができることを局所再発といいます。広い範囲を切除する結腸がんに比べ、骨盤に取り囲まれた直腸がんに局所再発が起こりやすい傾向があります。

・遠隔移転:
大腸で発生したがんが、大腸以外の肺や骨、脳、肝臓などに飛び火してしまう再発です。他の臓器にがんができることを遠隔転移といいます。

・腹膜播種:
腸にできたがん細胞が腹膜にこぼれて、腹部のあらゆる場所へと広がっていくことを「腹膜播種」といいます。大腸がんの進行が進んでいるステージ3の場合は、再発率も高くなるので術後に化学療法が行われています。

再発率はあくまでも集団として見たときの確率です。個人の再発リスクを正確に予測するものではありません。特に個人差のある免疫力は、再発するかしないかを左右する要因になります。

免疫力を低下させないためには、食事や睡眠時間を見直し、生活習慣を改善することが大切です。ストレスが増えるハードな仕事は免疫力を低下させる心配があります。

また、冷え性や虚弱、血の巡りが悪い場合は、血液の流れを活性化させて代謝をよくすることも再発防止につながります。北の湖理事長は個人の利益よりも、公に尽くすことを大切にするお人柄だったと伝えられています。

無理を押して職務を優先されたことも多かったのでしょう。長年、大相撲のために尽力された北の湖理事長のご冥福をお祈りいたします。

監修:坂本忍(医師)

胃がんの8割は「ピロリ菌」の感染が原因 保険使える除菌療法とは?

2014年9月、国際がん研究機関は、「胃がんの8割はピロリ菌の感染が原因」と発表。胃がんの予防としてピロリ菌(正式名称は、ヘリコバクター・ピロリ)の除菌治療を検討するように勧告した。長年取りざたされてきたピロリ菌と胃がんの因果関係が、ついに「ある」と認められたわけだ。

 四谷メディカルキューブ内科診療部長の伊藤愼芳医師は言う。

「日本は世界的に見てもピロリ菌感染率が高いだけでなく、胃がんとの関係も強い地域です。日本人の胃がんのほとんどにピロリ菌感染があり、全く感染していないのは1%程度という報告もあります」

 治療法の詳細は後述することにし、まずピロリ菌について説明しよう。

 ピロリ菌は、胃粘膜の表面や粘膜の中にすむ細菌だ。胃の中は胃酸によって強い酸性になっているので、通常の菌は生きていけない。しかしピロリ菌は、ウレアーゼという酵素を出して自分の周囲だけ酸を中和し、すめる環境にしてしまう。

 感染経路ははっきりわかっていないが、口を介すと考えられている。

「長く、川の水や井戸水を飲んで感染するとされてきましたが、近年は母子感染が中心ではないかと言われています。離乳食が一般的でなかったころは、離乳期の子に親が食べ物をかみ砕いて与えていました。こうした口移しが原因である可能性は高いと思います」

 と東京医科大学病院内視鏡センター部長・教授の河合隆医師は言う。

 ピロリ菌の感染は6歳ごろまでに成立し、以後、その状態が続く。大人になってからは、下水道が完備していない国に行ったなどの場合を除き、感染することはほとんどないと考えてよい。

 ピロリ菌に感染してから胃がんの発症までには数十年かかる。その間に胃は次のように変化していく。

 ピロリ菌に感染すると、程度はさまざまだが「慢性胃炎」になる。すると、胃粘膜が薄くなる「萎縮性胃炎」に進む。さらには、胃の細胞が腸の形に似た細胞に置き換わる「腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)」を起こすことが多く、こういった変化が胃がんを発症させると考えられている。

ピロリ菌感染がずっと続いた場合、生涯のうち10~15%の人が胃がんと診断されるという推定もある。

 日本のピロリ菌感染者は、推定3千万人以上。年齢が高いほど感染率が高い。

「15年に日本で新たに胃がんと診断される患者は約13万人で、約5万人が胃がんで死亡すると推定されています。胃がんを減らす確実な方法は、ピロリ菌感染者を減らすことです。ぜひ一度、ピロリ菌がいるかどうか調べてください。もしいるなら内視鏡などで胃をよく調べ、除菌することをお勧めします」

 と伊藤医師は話す。

 日本では13年に、ピロリ菌に感染した慢性胃炎を「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」とし、除菌療法に健康保険が使えるようになった。除菌療法は、酸の分泌を抑える薬と、2種類の抗菌薬(アモキシシリンとクラリスロマイシン)の合計3剤を、1日2回、7日間飲む(一次除菌)というものだ。おもな副作用には軟便や下痢がある。

薬を飲み終えて4週間以上経ったら、「尿素呼気試験」や「便中抗原測定」を実施して効果を判定する。このとき菌が退治されていなかったら、クラリスロマイシンをメトロニダゾールという抗菌薬に変えて二次除菌をおこなう。ここまでは健康保険が利く。

早期発見で100%近く完治する大腸がん 良い病院見分ける方法

胃がん同様、大腸がんも早期であれば、内視鏡による治療で100%近く完治するので、やはり注目する項目は「内視鏡」の割合だ。「内視鏡」の割合が高い病院は、早期発見のために検診体制を整え、内視鏡の専門医が充実している病院といえるからだ。

 初回治療症例数の7割近くを内視鏡が占める島根県立中央病院の医療局次長・今岡友紀医師はこういう。

「島根県は自治体やJAも連携して検診体制がしっかりと確立しているので、早期で見つかる患者さんが非常に多いのです。当院の特徴としては、1回目の内視鏡治療でポリープを切除すること。たいていの病院は1回目に検査をし、2回目で切る。

うちは1回で切除してしまうので、非常に多くの患者さんを診ることができる。患者さんにとっても、体の負担はもちろん、経済的な負担も軽くなります。

2007年に内視鏡を性能の高いものに総入れ替えして効率が上がったことも2008年の件数の多さに表われたと思います」

 福島県の慈山会医学研究所付属坪井病院も、同様にこういう。

「大腸がんの内視鏡の件数が多いのは、そもそも検査の数が多いから。早期がんは自覚症状がないので検査は重要です。当院には内視鏡室が6部屋あり、医師も内視鏡技術に優れています」(同院外科部長・湖山信篤医師)

胃がんに強い病院 内視鏡治療数の割合に着目すると分かる

胃がんは早期であれば、100%近く完治が可能である。だからこそ、病院選びが重要になる。では、統計データのどこに注意すべきか。国立がん研究センターの西本室長は、「着目すべきは『内視鏡』の割合」だという。

 内視鏡治療とは、電気メス付きの内視鏡で胃の内壁のがんを切除するもの。腹部を切らないので、体への負担は非常に小さい。早期がんだからできる治療法なのだが、逆にいえば内視鏡治療が多い病院は、検診体制に力を入れ、早期発見に努めているともいえる。また、専門技術を要する治療法なので、専門医が揃っていなければ数をこなせない。

 がん治療計256例中133例と、内視鏡治療が半数以上を占める山形県・酒田市病院機構日本海総合病院には、他の病院にはない『治療内視鏡科』がある。

「院外的には、「内視鏡内科」と表記していますが、院内では内視鏡治療の専属の科として独立しています。昨年は胃がんと大腸がん合わせて300件以上施術しました。

医療器具メーカーや20名もの医師と一緒に『SBナイフ』というハサミ型レーザーナイフを開発し、効率的に治療できるようになったことが大きいですね」(同院内視鏡内科・本間清明医師)

 優秀な専門医を揃えていることを誇るのは埼玉医科大学国際医療センターだ。

「治療に携わっている医師は7名で、内訳は内視鏡学会の指導医が3名、専門医が4名。全員が内視鏡のトレーニングを受けた医師で、ビギナーはいません」(同院消化器内科・喜多宏人教授)

 日本一多く、胃の内視鏡検査をやっているというのは長野県厚生農業協同組合連合会佐久総合病院だ。

「内視鏡医は14名で、年2万6000件の内視鏡(検査と治療)をやっています。ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は10数年前に日本で開発された技術で、がんを切除する『フックナイフ』は私が開発しました。技術を学ぶため全国から医師が集まってきています」(同院胃腸科部長・小山恒男医師)

 大阪府立病院機構大阪府立成人病センターの消化管内科副部長・上堂文也医師も、「正常粘膜と病変を異なる色で表示し、病変を発見しやすくさせるAFI(蛍光内視鏡)という機器をオリンパスさんと共同開発するなど、先進機器の開発にも積極的に取り組んでいます」と胸を張る。

 このように、早期がんの場合は、内視鏡治療が効果的なケースが多いが、一方、進行がんになると手術や抗がん剤などの化学療法が必要となる。

早期大腸がんは電気メスの「内視鏡的粘膜切除術」で根治できる

粘膜固有層に留まっている大腸がんは転移の危険性はないため、内視鏡による治療が可能だ。粘膜からキノコのように隆起している場合は、根元に輪になった電気メスを巻きつけて通電し、切除する。

平坦、あるいは陥凹形状の早期がんについては、がんの下に生理食塩水を注入後、電気メスでがん病巣のみを薄くはぎとる、粘膜切除術で治療が可能だ。

 早期の大腸がんはその形によって隆起型、平坦型、陥凹型(一部が凹んでいる)に分類される。

 がんが大腸表面の粘膜固有層に留まっている場合は転移する危険性は少ないが、その下の粘膜下層に深く浸潤すると転移の可能性が生じるため手術で周囲のリンパ節なども含め切除する必要がある。

 その下の固有筋層に達すると進行がんとなり、肺や肝臓などに転移するリスクが格段に高まる。また、陥凹型のがんは5~7ミリの大きさで粘膜下層に浸潤する傾向にあり、悪性度が高いといわれる。

 国立国際医療研究センター国府台病院消化器光学診療部の為我井芳郎部長の話。

「早期がんは内視鏡で根治できます。キノコのように隆起しているポリープは、根元にスネアという輪になった電気メスをかけて通電し、切除します。

平坦型や陥凹型の病変では、粘膜下層に生理食塩水を注入して隆起させ、スネアで切除する内視鏡的粘膜切除術(EMR)で対応が可能です。多くは外来通院で治療が可能で、安全性もほぼ確立されています」

大腸ポリープは男性のほうがかかりやすいって本当!?

よく「〇〇は男性(女性)のほうがなりやい」などといわれますが、果たして本当なのか、気になりますよね。ところでみなさんは大腸ポリープは男性のほうがかかりやすいという話を聞いたことはないでしょうか?今回は男性が大腸ポリープになりやすいというのは本当なのか、医師に解説していただきました。

大腸ポリープが多いのは検査を受ける頻度だ高いから?

大腸ポリープは男性の方が女性より多いといわれていますが、実は医学的に根拠があるわけではありません。大腸がん、特に直腸がんは食事やストレス等との関係が示唆されていますので、男性の方が女性より多いといわれていますが、大腸ポリープは原因がわかっていませんので、なぜ男性の方が女性より多いのかの確かな理由ははっきりしていません。

あえていえば、男性の方が女性よりも大腸内視鏡検査を受ける頻度が高いので、その結果大腸ポリープを認める場合が多いことが理由ですが、男女とも同じ数の大腸内視鏡検査を行えば、大腸ポリープの男女差はなくなると推察されます。

女性のほうが発見されにくい大腸ポリープ!

また他の理由としては男性より女性の方が大腸が伸びやすく屈曲が多いので、小さな大腸ポリープを見逃す可能性があると考えられます。大腸内視鏡検査で大腸ポリープを100%見つけることができるわけではありませんし、どんなに上手に見落としがないように内視鏡を操作しても、2割前後のポリープを見落とす可能性があります。

ですから男性より女性の方が腸が伸びやすくて屈曲が多いから、男性の方が大腸ポリープを見つけやすく、大腸ポリープの頻度に男女差があるということが推察されますが、このことも医学的根拠が証明されているわけではないのです。

大腸ポリープになると大腸がんになりやすい!?

大腸ポリープと大腸がんとの関係は色々と報告されていますが、特殊なポリープを除いて、必ずしも大腸ポリープがあれば大腸がんができ易いというわけではありません。

しかし大腸ポリープが1つあると、2つ目のポリープができやすい可能性が示唆されていますし、大腸内視鏡検査で大腸ポリープを認めると、通常は1、2年毎の再検査をお勧めしていますので、当然大腸がんや次の大腸ポリープが見つかる頻度は上がります。この点も大腸ポリープの頻度に男女差がある理由になるかもしれません。

大腸ポリープができるとどんな症状が出る!?

大腸がんができて「がん」が大きくなると、がんと便が擦れて出血したり、便秘になったり下痢になったりする便通異常が起こることがありますが、大腸ポリープではよほど大きくならないと大腸がんのような症状は起きません。

大腸がん検診で繁用されている便の潜血検査も、大腸がんが大きくなって便が擦れて陽性となりますので、大腸ポリープがよほど大きくならないと陽性にはなりません。

以上から、大腸がんや大腸ポリープを手術しないで内視鏡的な治療だけで済ませたいと考えるのであれば、定期的に大腸内視鏡検査を受けるのが効果的です。

検査にはどんな種類がある?

近年カプセル内視鏡が使われるようになりましたが、まだ大腸には適応が広がっていません。またCTを使った大腸検査もあり、大腸が極端に長い場合は苦痛の軽減という点では有効ですが、前処置は大腸内視鏡検査とほぼ同じで、大腸ポリープの発見率は大腸内視鏡検査よりは低いです。

今後医学が進歩してさらに新しい内視鏡が開発されてきますが、便を取り除く前処置はこれ以上のものはなかなか出てきませんし、便が残ったままで大腸内視鏡検査を受けても検査が不完全になる可能性があります。

医師からのアドバイス
1回の検査で小さいポリープなどを100%みつけることは技術的に不可能なので、手間と費用はかかりますが、定期的に検査を受ける方が安全です。

A型の人は胃がんに、B型は食道がんになりやすいと脳科学者

血液型はいくつかの病気に関係しているというのは、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)でもおなじみの脳科学者・澤口俊之氏。いったいどういうことなのか? 澤口氏が解説する。

 * * *

 血液型は、いくつかの病気に関係しているという研究もあります。その代表が「がん」です。これまで、「血液型」と「がん」の関係は、かなり調査されてきました。

その結果(現時点では)、血液型の違いによって、がんになる場所の確率に差があることがわかってきています。

 例えば、A型の人は、すい臓がんと胃がんになりやすいという報告があります。また、B型の人は、食道がんや胆道がん、卵巣がんになりやすいようです。

 ただこれはあくまで他の血液型との比較ですから、「A型だから、すい臓がんになる」というものではありません。他の血液型に比べてA型の人は、すい臓がんにかかるリスクが統計的に高いという意味です(論文によりますが、1.5~2倍程度)。

 O型の人は、こうしたがんになりにくく、またがん以外でも、例えば、心臓疾患(特に冠動脈心疾患)のリスクが最も低いという報告があります。

 血液型は、死亡率とも関係しています。この種のデータは、あくまでも「傾向」として捉えていただきたいのですが、B型の人ほど早く死にやすいというデータがあります。

この研究は、生存率を調べたもので、B型の人の生存率カーブが集団として見て最も悪いというものです。

カレーのスパイス、大腸がん治療に有効か

進行性の大腸がん治療で、カレーに用いられるスパイス成分クルクミンに効果があるかどうかを調べる研究が、英レスター大学(University of Leicester)で実施される。

 クルクミンは、数百年も前からインド料理やタイ料理に用いられてきたスパイス、ターメリックの成分。鮮やかな黄色をしており、カレーなどの色や香り付けに使われる。

 レスター大のがん医療研究センターECMC(Experimental Cancer Medicine Centre)の研究チームは、標準的な大腸がん治療にクルクミン錠剤の処方を安全に追加することが可能かどうかを調べる予定だ。

 英国立健康研究所(National Institute for Health Research)とともにECMCに共同出資している英NGO、英国がん研究所(Cancer Research UK)によると、これまでの研究で、クルクミンが、抗がん剤の持つ大腸がん細胞の殺傷力を高めることが実験室レベルで確認されている。

 ECMCのウィリアム・スチュワード(William Steward)所長によれば、大腸がんでは、副作用を伴う抗がん剤治療は患者への負担が大きく長期間は続けられないため、転移が広がった後では治療が難しいという。

「クルクミンにがん細胞を抗ガン剤に効きやすくさせる効果があるという見通しは刺激的だ」とスチュワード氏は語る。仮にそうであれば抗がん剤の量を減らすことができ、その結果、患者の副作用も減って治療を今までより長く続けることが可能となる。

 大腸がんは世界で3番目に多いがんで、2008年には124万人が大腸がんと診断されている。英国では2番目に多いがんで、2010年には1万6000人が大腸がんで死亡した。

黒木奈々さんの胃がんを見つけた「胃内視鏡検査」…「バリウム検査」との違いは?

フリーアナウンサーの黒木奈々さんは9月19日、胃がんのため亡くなられました。胃がんが見つかったのは2014年7月末、治療を受けていた胃潰瘍の経過を見るために行った胃カメラ検査(以下、胃内視鏡検査)によってでした。

胃内視鏡検査に胃がんを発見する能力があったことは間違いありません。悔やまれるのはそのタイミングです。もし、もっと早くに別のきっかけで胃内視鏡検査を行うことができていたら…と思わずにはいられません。

胃内視鏡検査は、実際に胃の痛みや違和感といった症状が出てからだけでなく、検診で受けることができます。

胃がんを発見するための検査には、胃内視鏡検査のほかにバリウム検査(胃X線検査)があります。この2つにはどのような違いがあるのでしょうか?

◆バリウム検査はスクリーニング向き

検診は痛みや違和感などの症状がない人の病気を見つけるために行われます。検診の目的はスクリーニングです。

スクリーニングには「ふるい分け」の意味があります。まず、病気が疑われる人をスクリーニングによってある程度しぼり込み、その後に精密検査に進むのが一般的な流れです。

バリウム検査は胃の粘膜にバリウムを付着させ、レントゲンで観察するというものです。胃の動きや、胃の中を食べ物が通る様子を確認するのに適しています。ただし、凹凸の少ない病変や出血、粘膜の微細な変化を観察するのは苦手です。

検診の際に「精密検査を受けてください」という判定が出たことありませんか?

これは、スクリーニングによって「病気の疑いがある」と判定されたことを意味します。胃がんの場合は、バリウム検査によって疑いがあるかどうかを調べることができます。しかし、実際に胃がんかどうかの判断はこの時点では行うことはできません。

◆胃がん発見の精度を求めるなら胃内視鏡検査

胃内視鏡検査は、小型のカメラを装着した細い管を口または鼻から挿入し、食道、胃、十二指腸を直接観察することができます。

また、精密な画像を通じて病変の疑いがある組織が見つかった場合、その組織を採取して病理検査に進めることができます。病理検査で良性か悪性かを判断し、確定診断が行われます。

なお、厚生労働省は7月30日の「がん検診のあり方に関する検討会」において、胃がん検診で新たに内視鏡検査を追加する意向を示しました。

これにより、早ければ来年度から、市区町村が行う胃がん検診で、従来のバリウム検査に加え、胃内視鏡検査が選択できるようになります。

バリウム検査は比較的簡便なため、多くの人を検査する上で有効な検査ではあります。しかし、個々の検査の精度となると、胃内視鏡検査の方が優れています。

また、バリウム検査を受けて陽性となった場合には、結局、確定診断のために胃内視鏡検査を受けることになります。

以前は、カメラを飲み込む際の嘔吐反射などで苦痛を伴うことがありましたが、現在では医療機器の進歩で検査に伴う苦痛や不快感は軽減しています。胃がんの早期発見のために、胃内視鏡検査を検討することをお勧めします。

監修:坂本 忍(医学博士)

大腸、小腸に原因不明の炎症「IBD」 正しい理解と早期治療を

原因不明の腹痛や下痢、下血が続いたらIBD(炎症性腸疾患)を疑って病院に行ってほしい-。そう呼びかけ、アッヴィ合同会社とIBD患者団体などは疾患の認知を促進する「IBDを理解する日」を5月19日に制定し同日、啓発イベントを都内で開いた。

 IBDとは、大腸や小腸などに原因不明の炎症をおこす難治性疾患。「クローン病」と「潰瘍性大腸炎」からなり、ともに10~20代前半に発症するケースが多く、症状が良いとき(寛解期)と悪いとき(活動期)を慢性的に繰り返す。

根治療法はなく、ときに手術が必要になるという。

 要因は食の欧米化や衛生的すぎる環境などに求める仮説があるなか、ここ数年で患者数は総計17万人以上と増加。一方で、疾患への認知度が低いため、症状に悩んだり、周囲から理解されず仕事や学業に支障をきたすこともあるという。

 17歳でクローン病を発症し、これまで4回手術した福祉施設勤務でNPO法人IBDネットワークの中山泰男副理事長(49)は、こう話す。

「IBDは、いつトイレに駆け込まないといけないかという不安をいつも抱えている。私の場合、正社員とアルバイトを繰り返したが、トイレが近いことや通院のことを理解してもらえれば社会で活躍できる。定期的な通院で学業や職業を続ける患者も増えている」

 大切なのは早期診断と治療で寛解を維持すること。大船中央病院の上野文昭特別顧問は、「IBDは研究が進み、従来の治療はステロイドや手術などだけだったが、最近では生物学的製剤や経腸栄養剤など選択肢が増えているため、早めに医師に相談してほしい」と説明する。

 IBDネットワークの萩原英司理事長(53)は、「今後は国の制度として、IBD患者が理解され働ける仕組みができることを願う」とし、偏見の是正を訴えた。

胃がん検診に内視鏡推奨…厚労省方針、エックス線との選択に

厚生労働省は、市区町村が行う胃がん検診に、鼻や口から入れる内視鏡による検査を推奨する方針を固めた。

 バリウムを飲むエックス線検査も引き続き推奨し、どちらかを選ぶ。乳がん検診は、乳房エックス線撮影(マンモグラフィー)を原則とし、併用を推奨している視触診は任意とする。

方針は30日の有識者検討会に示し、来年度からの実施を目指す。

 がん検診に関する国の方針では、死亡率を下げる効果が科学的に証明された方法のみを推奨している。

 胃がんの内視鏡検査については、国立がん研究センターが4月、国内や韓国の研究で効果が確認できたと発表したことを踏まえて推奨を決めた。

ただ、内視鏡専門医の偏在や検診の精度管理、エックス線検査より費用がかかることなど課題が多い。鼻からの出血や胃に穴が開くことなどもまれにあり、適切に対応できる体制整備も求められる。

 対象年齢と受診間隔は、同センターが「50歳以上、2年に1回」を推奨。現在のエックス線検査の「40歳以上、年1回」との調整なども検討会で議論する。

 乳がん検診は現在、マンモグラフィーと視触診の併用(40歳以上、2年に1回)が推奨されているが、厚労省によると、視触診は2013年度、市区町村の約3割で行われていなかった。

視触診の有無で死亡率に明確な差が出ないとする研究報告もあり、推奨から外すことにした。

中国で飲むタイプの「胃がんワクチン」の効果を確認。副作用も少ないってホント?

ピロリ菌(Helicobacter pylori)は胃がんの原因の9割以上を占めるとされており、日本では2013年に慢性胃炎の人の除菌でも健康保険が使えるようになった。とはいえ、胃がんを防ぐならば、ピロリ菌に感染しないことが最も重要だろう。

中国食品医薬品検定研究院(NIFDC)のジェン・ミン氏らは、6~15歳を対象に行った飲むタイプのピロリ菌ワクチンの研究で、1年後のピロリ菌感染予防効果が示されたと、6月30日発行の英医学誌「ランセット」(電子版)に報告した。

ピロリ菌ワクチンの効果が確認されたのは初めてのことで、オーストラリアの専門家は「胃がん予防ワクチン実用化に向けた大きな一歩」と評している(関連記事:ピロリ除菌、胃炎でも保険適用へ―「胃がん撲滅元年」に)。

◆子供の頃からの感染予防が重要

胃がんや胃潰瘍、胃炎などの原因となるピロリ菌は、日本では50歳以上の半数以上が感染しているほか、子供の5~10%が保菌している。主な感染経路は、乳幼児期に保菌している親や祖父母が食べ物をかみ砕いて食べさせることといわれている(関連記事:乳幼児のピロリ菌感染、食物の口移しが主な原因に)。

日本だけでなく、世界的に保菌者への除菌が行われているが、(1)耐性菌の出現、(2)除菌が無効な症例がある、(3)除菌しても胃がんリスクが高いまま―といった課題が残されている。

そのため、子供の頃からピロリ菌の感染自体を防ぐワクチンの開発が進行中だ。

ジェン氏らは2004~05年、中国江蘇省のカン楡(ゆ)区にある1施設で、ピロリ菌に感染したことのない6~15歳の子供を対象に臨床試験を実施。効果が全くないプラセボ(偽薬)ワクチンを3回飲むグループと、ピロリ菌ワクチンを3回飲むグループに分け、最終的に2グループ合計で4,403人が接種を完了した。

◆副作用も極めて少ない

解析の結果、1年以内にピロリ菌に感染した人数はワクチンのグループで少なく(プラセボグループ=2,089.6リスク人年当たり50件、ワクチングループ=2,074.3リスク人年当たり14件)、ワクチンの有効性は71.8%と算定された。

また副反応(副作用)は、プラセボグループで161人(7%)、ワクチングループ157人(7%)。重い有害事象(ワクチンとの因果関係が証明されていない副反応)の報告率は両グループとも1%未満で、ジェン氏らは「いずれもワクチンとの関連は考えられなかった」と報告している。

◆胃がん予防効果の確認にはさらなる調査必要

ジェン氏らは、今回の研究からピロリ菌に感染したことのない子供へワクチンを接種することの有効性と安全性、免疫原性(体に抗体を作らせる性質)が確認されたと結論。このワクチンを使うことでピロリ菌感染率が下がると期待されるものの、胃がんなどピロリ菌に関連する病気の予防効果を確認するには、長期間の追跡調査が必要としている。

オーストラリア・ロイヤル・チルドレンズ病院のフィリップ・サットン氏は、同誌の論評(電子版)で「ワクチンで人のピロリ菌感染が防げることを示した初の試験だろう」と評価した。

一方で、実用化に当たっての課題として、ワクチン接種前に2時間の絶食と緩衝液(水素イオン指数=pH=を安定させる液体)が必要なこと、アジュバント(添加物、LT-B)が承認審査の際に懸念材料となる可能性を挙げている。

【記事提供元】あなたの健康百科
http://kenko100.jp/

ギタリストの石田長生さん死去 食道がんのリスクを高める体質・習慣とは?

7月8日午前、阪神タイガースの球団公認応援歌「嵐は西から」の作詞・作曲・プロデユースを手がけたことでも知られる、ギタリストの石田長生(いしだ・おさむ)さんが亡くなられました。

石田さんは62歳、今年3月に食道がんの治療に専念するためライブ活動を休止することを公表していました。

食道がんは40代後半から罹患率が上昇し、最も多いのは60代とされています。ここでは、食道がんの特徴と予防について確認しておきましょう。

◆食道がんには「扁平上皮がん」と「腺がん」がある
食道は気管や大動脈といった重要な臓器と隣接しています。食道がんは食道の粘膜に発生しますが、進行すると食道の壁を越えて気管や大動脈に侵入し、死亡のリスクを高めます。

食道がんには2つのタイプがあります。ひとつは、飲酒と喫煙によってリスクが高くなる「扁平上皮がん」。もうひとつが、逆流性食道炎などの慢性的な炎症で生じるのが「腺がん」です。日本における食道がんの多くは「扁平上皮がん」となっています。

◆飲酒・喫煙習慣と食道がんの関係
食道がんに関して、40~69歳の男性約4万5000人を14年間追跡した調査があります。215名に食道がんが確認され、飲酒・喫煙習慣との関連が調べられました。

まず、飲酒については、1日当たり日本酒にして1合以上から食道がんのリスクが上がり、1合から2合のグループで2.6倍、2合以上のグループで4.6倍高くなることが分かりました。

次に喫煙については、非喫煙者に対して、過去に喫煙経験のある人で3.3倍、現在喫煙している人で3.7倍リスクが高くなることが分かりました。

◆食道がんの予防のために
お酒を飲んで顔が赤くなる人は有害物質であるアセトアルデヒドを分解する能力が低いため、がんを発症しやすいと考えられています。特にヘビースモーカーの人に関しては、顔が赤くなる体質と食道がんとの関連が指摘されています。

アセトアルデヒドを上手く分解できないときに働く別の酵素が、たばこに含まれる発がん物質の作用を促進するのではないかと考えられています。

胃酸が逆流し、強い酸性によって食道が炎症を起こす逆流性食道炎にも注意が必要です。逆流性食道炎が慢性化していると、食道が常に炎症を起こしている状態となり、がんを発症しやすくなるためです。

食道がんは高齢者に多いがんですが、飲酒・喫煙をはじめとする若い頃からの習慣が影響していると考えられます。とくにリスクの高い体質の人は生活習慣を見直してみるとよいでしょう。

<参考>
飲酒と食道がんの発生率との関係について(予防研究グループ)
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/338.html

執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:岡本良平医師(東京医科歯科大学名誉教授)

大腸がんのチーム医療(2)大腸の新しい検査法 「CTコロノグラフィー」

近年、大腸がんによる死亡者数および罹患(りかん)率が男女とも増加傾向にありますが、大腸がん検診受診率は低迷しています。受診率低迷にはさまざまな要因が考えられますが、その中でも「前処置が苦痛である」「怖い」などの心理的な理由で検査を敬遠される患者さんも少なからず見受けられます。

 今までの大腸がんの検査といえば大腸内視鏡や注腸エックス線検査が主流でしたが、当院では大腸がん検診の選択肢の一つとして、患者さんのニーズに応える目的で、苦痛が少なく客観的で再現性の高い検査としてCTコロノグラフィー(大腸CT検査)を導入しました。

 CTコロノグラフィーは大腸を炭酸ガスで拡張させてCT撮影を行い、画像処理することで、内視鏡を挿入しなくても内視鏡検査や注腸エックス線検査と同じような大腸の画像を作成し、観察・診断する検査方法です。

 検査の流れとしては、健診などで便潜血陽性の結果が出た場合、病院を一度受診していただき、検査の予約から前処置の説明を受けていただく必要があります。

前処置は患者さんにとって一番心配な部分でもあると思われますが、当院ではCTコロノグラフィー専用食と清涼飲料水(または水かお茶)、下剤、ガストログラフィンを前日から服用してもらいます。

検査を施行した患者さんからは検査食がおいしかったと評価をいただき、概ね前処置は楽だったと感想をいただいています。

 CTコロノグラフィーにおける前処置は、偽陽性や偽陰性の原因となる残便や残液の無い状態にするのが理想です。そのため便に色を付ける薬(ガストログラフィン)を飲んでいただきます。

これは残便や残液が残っていた場合でも画像処理で消すことができるため死角がなくなり、病変の見逃しが減少します。

 またCTで撮影を行うことにより、大腸だけでなく他の臓器も観察することができ、装置の進化により被ばく線量も注腸エックス線検査に比べ半分の線量で行うことができます。最新の機器ではさらに少ない線量の報告もあります。

ただし、メリットだけではありません。5ミリ以下のポリープは6ミリ以上のポリープに比べて検出率が落ちることや、病変が見つかった場合に、その場で切除などの処置を行うことができない点がデメリットとして挙げられます。

まだ全国的にも検査を行う施設が多くない現状で検査の標準化や精度向上など課題がありますが、少しでもCTコロノグラフィーで地域の人々に貢献でき、早期大腸がんの発見に寄与できるよう普及させていきたいと思っています。

 倉敷成人病センター((電)086―422―2111)

きのした・たくみ 倉敷南高、鈴鹿医療科学大卒。2001年倉敷成人病センター勤務。診療放射線技師。主にCTとシステム担当。X線CT認定技師。肺がんCT認定技師。

大腸がん立体画像検査…痛みなく 全方向から観察

発症者と死亡者が共に多い大腸がん。早期発見が重要だが、肛門から入れる内視鏡検査に抵抗がある人は多い。

そこで開発されたのが、画像検査機器を用いた大腸がん立体画像検査「CTコロノグラフィー」。大腸に便が残っていても検査できるなど利点が多い。

 国立がん研究センターの2015年がん統計予測によると、大腸がんの年間発症者数は約13万5000人。がんの中で最も多い。

 大腸がん検診は、便潜血検査が広く行われ、陽性になると内視鏡検査を勧められる。だが、内視鏡を肛門から入れる恥ずかしさや、検査中の痛みなどを恐れ、受診をためらう人が多い。

その結果、がんが進行し、発見時には肝臓や肺に転移している例が少なくない。

 課題解消のため、国立がん研究センター中央病院放射線診断科医長の飯沼元さんらは「CTコロノグラフィー(CTによる大腸の撮影法)」の研究を進めた。

 高精度のCTで、縦35センチの範囲の下腹部を撮影。0・5ミリ間隔の輪切り画像を約8秒間に700枚撮影し、重ね合わせて立体画像を作る。体勢により腸の見え方が変わるため、うつぶせとあおむけで2回撮り、2種類の立体画像を作成する。

 検査中、腸管を膨らませるため肛門から炭酸ガスを入れるが、注入量は、痛みが出ないように自動調整される。検査後、ガスはすぐに腸管に吸収される。

 立体画像は、あらゆる方向から様々な倍率で観察できる。腸管をウナギのかば焼きのように開いて見たり、腸内のヒダを左や右に倒したりすることもできる。

 立体画像検査は、検査前の準備も楽に済む。内視鏡検査では、前日から食物繊維を含む食品を控え、当日は2リットルの下剤を飲み干して排便する。

 これに対し、同センターで立体画像検査を受ける場合は、前日の食事として、液状になりやすい専用のレトルト親子丼などが用意される。多量の下剤は必要なく、前夜に少量の下剤を飲み、翌朝に排便する。

前日からの食事の際、便の部分を画像上、白く写せる薬を少量服用すれば、画像処理で、この部分を除去することができる。残便があっても検査が可能だ。

 同病院は昨年5月から大腸がん検診に導入。約1300人が検査を受け、約2%に大腸がんが見つかった。画像には肝臓や腎臓なども写るので、他の臓器の病気が見つかることもある。

 検診の場合、同病院では5万円かかるが、便潜血検査が陽性の人は健康保険を使える。既に100以上の医療機関がこの検査に必要な機器を備えている。

 課題もある。早期発見が期待できるのは、隆起したポリープ型の大腸がんで、平らな大腸がんは苦手だ。平らながんに対しても、検査精度を上げる研究が続いている。

 放射線の被曝(ひばく)も心配になるが、飯沼さんは「大腸の画像検査にはバリウムとエックス線を用いる方法もあるが、立体画像検査の最新機器は、その3分の1の被曝量に抑えられる」と説明。

「この検査は画像を正確に診断する技術も重要。講習会を充実させ、優秀な診断医を育成したい」と話す。

バリウム検査で妻失った男性「何をいってもあいつは戻らない」

「早期発見、早期治療で、いまや胃がんは治る」──そんな啓蒙のもと、毎年1000万人以上が健康診断や人間ドックで「バリウム検査」を受けている。

 だが、国立がん研究センターが推奨するこの検査には見逃しが多い上に、死亡事故まで起きていることをご存じだろうか。巨大な利権ビジネスとなった胃がん検診の実態を取材してきたジャーナリスト・岩澤倫彦氏が、バリウム検査に潜む問題を明らかにする。

ここでは、群馬県で発生した日系ブラジル人女性の死亡事故について、その状況を解説する。

 * * *

 東京大学腫瘍外科・元講師で、消化器内視鏡のスペシャリストである田淵正文医師はこんな指摘をする。

「バリウムX線検査は、はっきりいって30年前の理論です。凹凸の変化が出る(*注)のは、ある程度がんが進行している状態ですから、早期がんは見つからない。それで数多くの人が命を亡くしているわけです。

内視鏡で検査すれば確実に早期で発見できるのに、見殺しにしているようなものです」

【*注:粘膜内の凹凸をバリウム検査では調べるが、早期がんではこの凹凸が出ない。内視鏡で表面の色を見て発見することが最新のやり方だ】

 バリウム検査そのものにも危険がある。

 PMDA(厚労省所管の独立行政法人・医薬品医療機器総合機構)に報告されたバリウムの副作用のなかには、バリウムが体内で固まり、臓器に穴を開ける重大な事故(穿孔/せんこう)が多数含まれていることがわかった。

「大腸穿孔(憩室/けいしつ含)=33人」「直腸穿孔=4人」「消化管穿孔=6人」といった具合に、昨年度分の報告だけで実に50人(40代以上を対象)。

 腸管が破れると命に直結する。緊急手術によって腸を一部切除したり、人工肛門が設置されたりするケースが多い。その他、6人が腸閉塞になり、80代男性1人が死亡した。

 これらは氷山の一角でしかない。PMDAに報告されるのは、患者や家族が被害救済を求めていることが前提のため、制度を知らない人のケースは含まれていないからだ。

 バリウムによるアナフィラキシーショック(アレルギー症状の一種)も去年だけで3人、3年前には滋賀県の胃がん検診で50代女性が死亡している。

 5月には、群馬県で企業の胃がん検診中に撮影台と検診車内の壁に挟まれて50代の日系ブラジル人女性が死亡した。

 この事故を受けて日本消化器がん検診学会は、次のような注意喚起を出した。

〈外国人や高齢の受診者には通訳や家族などの同伴が望ましく、近接撮影を行うことも含めて安全性への配慮が特に重要である〉

 学会の注意喚起は、死亡女性のコミュニケーション能力に問題があるように匂わせているが、本当にそれが原因なのか。

 女性に先立たれ、一人で暮らす夫を群馬に訪ねた。来日して20年、女性は一般の日本人と変わらない会話をしていたと説明する夫によると、女性は頭が下を向くように撮影台が傾斜した際、きつい姿勢に耐えられず滑り落ちたという。

直接の原因は、本来設置されているはずの肩当て(滑り止め)が外されていたことにあると見ている。夫は、玄関先で寂しそうに語った。

「あいつは糖尿病の持病があったんですよ。何も食べないで検査しているから、低血糖になって力が入らなくなり、滑り落ちたんじゃないかと。ただ、何をいってもあいつが戻ってくるわけじゃないですから」

 中高年で糖尿病を患う人は少なくない。バリウム検査で同じような事故が再び起きる可能性を考えれば、詳細な検証が必要なはずだ。しかし、事故を起こした検診団体は、自ら設置した調査委員会の報告も待たずに、業務を再開している。

この件に関して、警察は業務上過失致死の容疑で捜査中だ。

ピロリ菌感染者が40代以上に多いのは何故!?

■ 20代以下にはほとんどいないって本当?
胃がんの原因としてピロリ菌の存在が明らかになってきました。

わが国では、上下水道が十分完備されていなかった戦後の時代に生まれ育った団塊の世代以前の人(40代以上)のピロリ感染率は約80%前後と高いのですが、衛生状態のよい環境で育った若い世代の感染率は年々低くなり、10代、20代では欧米とほどんどかわらなくなってきました。

■ 感染ルートは?ピロリ菌はキスで感染する?
ピロリ菌は、口から入れば感染することははっきりしています。

大部分は飲み水や食べ物を通じて、人の口から体内に入ると考えられています。上下水道の完備など生活環境が整備された現代日本では、生水を飲んでピロリ菌に感染することはありません。

また、キス、またコップの回し飲みなどの日常生活ではピロリ菌は感染しないと考えられています。

ピロリ菌は、ほとんどが5歳以下の幼児期に感染するといわれています。幼児期の胃の中は酸性が弱く、ピロリ菌が生きのびやすいためです。

しかし、小児を対象とした最近の研究によれば、口腔内に特有のピロリ菌が存在するものの、胃内のピロリ感染の重要な感染源ではないと報告されています。感染経路については、これからの研究を待たねばなりません。

■ ピロリ菌が原因で胃がんになる場合も……!!
ピロリ菌感染者全員が必ずなるわけではありませんが、ピロリ菌感染による慢性胃炎が長く続くと、

・萎縮性胃炎
・胃潰瘍
・十二指腸潰瘍
などの消化器疾患が発症する可能性が高まります。

さらに、一部の患者さんでは、萎縮性胃炎が続いた後、胃がんになることも報告されています。

胃がんの原因のほとんどがピロリ菌といわれています。では、ピロリ菌感染者の少ない20代以下の人たちは胃がんにはならないのかというと、そうではありません。

胃がんの発生原因は日本人の塩分摂取量といわれており、食文化の違いで欧米よりも胃がんの発生が多いという研究結果があります。従ってピロリ菌の感染がなくても胃がんが発生する可能性はあるので、必ず定期的な検診を受けましょう。

その少しの痛みが最悪の事態を招く 胃潰瘍の震源地・ピロリ菌の制圧対策(1)

10人に1人が罹るといわれるほど、ありふれた病の胃潰瘍。周囲でも患った人が多いのではないだろうか。

この病は、胃壁を保護している粘膜などの“防御因子”と、食べ物を消化する胃酸などの“攻撃因子”のバランスが崩れ、胃酸によって胃の粘膜が深くえぐられてしまい、痛みや不快感、吐血や血便といった症状が現れる。

 日本消化器病学会専門医の福田達哉医師は言う。

 「胃潰瘍を軽く見てしまう傾向があるようですが、それは間違い。かつては多くの人が命を落としてきた病気で、今でも自宅で血を吐いたまま亡くなっていたというケースもあります。

胃壁が深く傷つけられ太い血管が切れてしまうと、大量の血が噴水のように噴き出し、出血性ショックによって昏倒して、そのまま死亡してしまう。

高齢者になると痛みを感じにくくなるため、症状がそれほど出ていないのに、突然大量の血を吐く例もあるので注意が必要です」

 総合病院には、ほぼ毎日、胃潰瘍による吐血で患者が運ばれてくるという。

搬送された患者は、直ちに胃の中の切れた血管を止める内視鏡的手術を行う。その際、大量の血を浴びるため、医師は防護服のような手術着を着たうえ、ゴーグルをかけて処置にあたるほどだ。

 術後は1~2週間の入院を必要とし、潰瘍が塞がるまでは食事もできない。

 胃潰瘍になる原因は、大きく分けて二つある。それは「ヘリコバクター・ピロリ菌」によるものと、薬剤によるもの。

 ピロリ菌に感染していると、慢性胃炎を起こしている状態が続き、ちょっとしたストレスを受けただけで潰瘍ができてしまう。

 「それはなぜか。ストレスがかかると、胃酸を分泌するホルモンが増えることに加え、胃の血流が減り、胃壁を保護する粘液も減ってしまいます。つまり、攻撃因子が強まるうえに防御因子が減ってしまうので、潰瘍ができてしまうのです。

ただ、ストレスだけで潰瘍になるケースは非常にまれで、主因のピロリ菌を除菌すれば防げて簡単に潰瘍にはなりません」(前出の福田医師)

 胃潰瘍のもう一つの要因とされる薬剤の影響だが、これはピロリ菌に感染していなくても、痛み止めや“血液をサラサラにする薬”、風邪薬などが原因で、胃潰瘍になるケースだ。

 「動脈硬化などで血をサラサラにする薬(バイアスピリン、幼児用バファリンなどの低用量アスピリン製剤)を飲んでいる人、慢性的な腰痛、頭痛、関節痛などで痛め止めの薬(NSAIDS=非ステロイド性鎮痛薬)を常用している人は気を付けましょう。

これらの薬は、胃の粘膜を保護するプロスタグランジンというホルモンを抑制するため、潰瘍ができやすい状態になるからです」(専門医)

日本の死亡数2位!今いくよを襲った「胃がん」を予防する食べ物4つ

お笑い芸人の今いくよさんが、胃がんで亡くなったという悲報が入ってきました。大変残念なニュースですが、日本人は世界的に見ても胃がんの罹患者が多いといいます。たとえ若くても胃がんリスクの高い生活習慣を改め、予防に努めたいもの。

そこで今回は、国立がん研究センターがん対策情報センターの情報をもとに、胃がんを予防してくれる食べ物や飲み物をまとめてみました。ぜひともチェックしてみてください。

■1:塩分濃度の高い食品(漬物、魚の干物、みそ汁)は控える

胃がんのリスクを高める食べ物の一つ目は、塩分濃度の高い食品です。日本人の好きな漬物や魚の干物、みそ汁などは胃がんリスクを高めてしまいます。

実際、これらの食べ物を日常的によく食べている地域(東北や北陸など)の人は、沖縄や九州の人と比較して胃がんリスクが3倍も高いとか。

しかし、漬物や魚の干物、みそ汁は単なる悪者ではありません。適度な量を守れば健康的な食べ物です。食べ過ぎの自覚があれば、食べる回数を減らしたり、減塩タイプの漬物やみそ汁に替えたりしてみてはいかがでしょう。

■2:野菜や果物を十分に食べる

野菜(芋などの多量のでんぷんを含む野菜は除く)や果物は、胃がんを予防してくれる食べ物として知られています。野菜や果物の摂取は、胃がん予防以外にも健康上さまざまなメリットがあるので、いつも意識してたくさん食べたいですね。

■3:飲酒を控え、禁煙する

飲酒は“恐らく”、喫煙は“確実に”胃がんリスクを高めるという研究データがあります。特にタバコは、吸う人と吸わない人でおよそ16倍もリスクが違ってくるそう。喫煙者は禁煙する努力をして、飲酒も適量に抑えたいですね。

ちなみに女性の適度な飲酒とは、350mlの缶ビールで1日1本程度と言われています。目安にしてみてください。

■4:緑茶を飲む

確実にリスクを下げると証明されたわけではないそうですが、喫煙のような胃がんリスクの習慣を持たない女性が緑茶を日常的に飲むことで、そのリスクが緩やかに下がる可能性があるとか。

ただ、熱過ぎる緑茶をいつも飲んでいると、今度は食道がんのリスクをアップさせてしまう恐れがあります。適度な温度に冷まして飲みましょう。

以上、胃がんのリスクを下げてくれる食習慣をまとめましたが、いかがでしたか? 2013年のデータによれば、胃がんは女性の場合、死亡数が3番目(1位は大腸がん、2位は肺がん)に多く、男女合計だと2番目に多い悪性腫瘍だといいます。

若いうちは油断をしてしまいがちですが、胃がんは自覚症状が少なく、進行しても無症状の場合もあるそう。できれば今から注意しておきたいですね。

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