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カレーのスパイス、大腸がん治療に有効か


進行性の大腸がん治療で、カレーに用いられるスパイス成分クルクミンに効果があるかどうかを調べる研究が、英レスター大学(University of Leicester)で実施される。

 クルクミンは、数百年も前からインド料理やタイ料理に用いられてきたスパイス、ターメリックの成分。鮮やかな黄色をしており、カレーなどの色や香り付けに使われる。

 レスター大のがん医療研究センターECMC(Experimental Cancer Medicine Centre)の研究チームは、標準的な大腸がん治療にクルクミン錠剤の処方を安全に追加することが可能かどうかを調べる予定だ。

 英国立健康研究所(National Institute for Health Research)とともにECMCに共同出資している英NGO、英国がん研究所(Cancer Research UK)によると、これまでの研究で、クルクミンが、抗がん剤の持つ大腸がん細胞の殺傷力を高めることが実験室レベルで確認されている。

 ECMCのウィリアム・スチュワード(William Steward)所長によれば、大腸がんでは、副作用を伴う抗がん剤治療は患者への負担が大きく長期間は続けられないため、転移が広がった後では治療が難しいという。

「クルクミンにがん細胞を抗ガン剤に効きやすくさせる効果があるという見通しは刺激的だ」とスチュワード氏は語る。仮にそうであれば抗がん剤の量を減らすことができ、その結果、患者の副作用も減って治療を今までより長く続けることが可能となる。

 大腸がんは世界で3番目に多いがんで、2008年には124万人が大腸がんと診断されている。英国では2番目に多いがんで、2010年には1万6000人が大腸がんで死亡した。

木奈々さんの胃がんを見つけた「胃内視鏡検査」…「バリウム検査」との違いは?



FC2 Analyzerフリーアナウンサーの黒木奈々さんは9月19日、胃がんのため亡くなられました。胃がんが見つかったのは2014年7月末、治療を受けていた胃潰瘍の経過を見るために行った胃カメラ検査(以下、胃内視鏡検査)によってでした。

胃内視鏡検査に胃がんを発見する能力があったことは間違いありません。悔やまれるのはそのタイミングです。もし、もっと早くに別のきっかけで胃内視鏡検査を行うことができていたら…と思わずにはいられません。

胃内視鏡検査は、実際に胃の痛みや違和感といった症状が出てからだけでなく、検診で受けることができます。

胃がんを発見するための検査には、胃内視鏡検査のほかにバリウム検査(胃X線検査)があります。この2つにはどのような違いがあるのでしょうか?

◆バリウム検査はスクリーニング向き

検診は痛みや違和感などの症状がない人の病気を見つけるために行われます。検診の目的はスクリーニングです。

スクリーニングには「ふるい分け」の意味があります。まず、病気が疑われる人をスクリーニングによってある程度しぼり込み、その後に精密検査に進むのが一般的な流れです。

バリウム検査は胃の粘膜にバリウムを付着させ、レントゲンで観察するというものです。胃の動きや、胃の中を食べ物が通る様子を確認するのに適しています。ただし、凹凸の少ない病変や出血、粘膜の微細な変化を観察するのは苦手です。

検診の際に「精密検査を受けてください」という判定が出たことありませんか?

これは、スクリーニングによって「病気の疑いがある」と判定されたことを意味します。胃がんの場合は、バリウム検査によって疑いがあるかどうかを調べることができます。しかし、実際に胃がんかどうかの判断はこの時点では行うことはできません。

◆胃がん発見の精度を求めるなら胃内視鏡検査

胃内視鏡検査は、小型のカメラを装着した細い管を口または鼻から挿入し、食道、胃、十二指腸を直接観察することができます。

また、精密な画像を通じて病変の疑いがある組織が見つかった場合、その組織を採取して病理検査に進めることができます。病理検査で良性か悪性かを判断し、確定診断が行われます。

なお、厚生労働省は7月30日の「がん検診のあり方に関する検討会」において、胃がん検診で新たに内視鏡検査を追加する意向を示しました。

これにより、早ければ来年度から、市区町村が行う胃がん検診で、従来のバリウム検査に加え、胃内視鏡検査が選択できるようになります。

バリウム検査は比較的簡便なため、多くの人を検査する上で有効な検査ではあります。しかし、個々の検査の精度となると、胃内視鏡検査の方が優れています。

また、バリウム検査を受けて陽性となった場合には、結局、確定診断のために胃内視鏡検査を受けることになります。

以前は、カメラを飲み込む際の嘔吐反射などで苦痛を伴うことがありましたが、現在では医療機器の進歩で検査に伴う苦痛や不快感は軽減しています。胃がんの早期発見のために、胃内視鏡検査を検討することをお勧めします。

監修:坂本 忍(医学博士)

大腸、小腸に原因不明の炎症「IBD」 正しい理解と早期治療を


原因不明の腹痛や下痢、下血が続いたらIBD(炎症性腸疾患)を疑って病院に行ってほしい-。そう呼びかけ、アッヴィ合同会社とIBD患者団体などは疾患の認知を促進する「IBDを理解する日」を5月19日に制定し同日、啓発イベントを都内で開いた。

 IBDとは、大腸や小腸などに原因不明の炎症をおこす難治性疾患。「クローン病」と「潰瘍性大腸炎」からなり、ともに10~20代前半に発症するケースが多く、症状が良いとき(寛解期)と悪いとき(活動期)を慢性的に繰り返す。

根治療法はなく、ときに手術が必要になるという。

 要因は食の欧米化や衛生的すぎる環境などに求める仮説があるなか、ここ数年で患者数は総計17万人以上と増加。一方で、疾患への認知度が低いため、症状に悩んだり、周囲から理解されず仕事や学業に支障をきたすこともあるという。

 17歳でクローン病を発症し、これまで4回手術した福祉施設勤務でNPO法人IBDネットワークの中山泰男副理事長(49)は、こう話す。

「IBDは、いつトイレに駆け込まないといけないかという不安をいつも抱えている。私の場合、正社員とアルバイトを繰り返したが、トイレが近いことや通院のことを理解してもらえれば社会で活躍できる。定期的な通院で学業や職業を続ける患者も増えている」

 大切なのは早期診断と治療で寛解を維持すること。大船中央病院の上野文昭特別顧問は、「IBDは研究が進み、従来の治療はステロイドや手術などだけだったが、最近では生物学的製剤や経腸栄養剤など選択肢が増えているため、早めに医師に相談してほしい」と説明する。

 IBDネットワークの萩原英司理事長(53)は、「今後は国の制度として、IBD患者が理解され働ける仕組みができることを願う」とし、偏見の是正を訴えた。

胃がん検診に内視鏡推奨…厚労省方針、エックス線との選択に FC2 Analyzer


厚生労働省は、市区町村が行う胃がん検診に、鼻や口から入れる内視鏡による検査を推奨する方針を固めた。

 バリウムを飲むエックス線検査も引き続き推奨し、どちらかを選ぶ。乳がん検診は、乳房エックス線撮影(マンモグラフィー)を原則とし、併用を推奨している視触診は任意とする。

方針は30日の有識者検討会に示し、来年度からの実施を目指す。

 がん検診に関する国の方針では、死亡率を下げる効果が科学的に証明された方法のみを推奨している。

 胃がんの内視鏡検査については、国立がん研究センターが4月、国内や韓国の研究で効果が確認できたと発表したことを踏まえて推奨を決めた。

ただ、内視鏡専門医の偏在や検診の精度管理、エックス線検査より費用がかかることなど課題が多い。鼻からの出血や胃に穴が開くことなどもまれにあり、適切に対応できる体制整備も求められる。

 対象年齢と受診間隔は、同センターが「50歳以上、2年に1回」を推奨。現在のエックス線検査の「40歳以上、年1回」との調整なども検討会で議論する。

 乳がん検診は現在、マンモグラフィーと視触診の併用(40歳以上、2年に1回)が推奨されているが、厚労省によると、視触診は2013年度、市区町村の約3割で行われていなかった。

視触診の有無で死亡率に明確な差が出ないとする研究報告もあり、推奨から外すことにした。

胃がん検診に内視鏡推奨…厚労省方針、エックス線との選択に FC2 Analyzer


厚生労働省は、市区町村が行う胃がん検診に、鼻や口から入れる内視鏡による検査を推奨する方針を固めた。

 バリウムを飲むエックス線検査も引き続き推奨し、どちらかを選ぶ。乳がん検診は、乳房エックス線撮影(マンモグラフィー)を原則とし、併用を推奨している視触診は任意とする。

方針は30日の有識者検討会に示し、来年度からの実施を目指す。

 がん検診に関する国の方針では、死亡率を下げる効果が科学的に証明された方法のみを推奨している。

 胃がんの内視鏡検査については、国立がん研究センターが4月、国内や韓国の研究で効果が確認できたと発表したことを踏まえて推奨を決めた。

ただ、内視鏡専門医の偏在や検診の精度管理、エックス線検査より費用がかかることなど課題が多い。鼻からの出血や胃に穴が開くことなどもまれにあり、適切に対応できる体制整備も求められる。

 対象年齢と受診間隔は、同センターが「50歳以上、2年に1回」を推奨。現在のエックス線検査の「40歳以上、年1回」との調整なども検討会で議論する。

 乳がん検診は現在、マンモグラフィーと視触診の併用(40歳以上、2年に1回)が推奨されているが、厚労省によると、視触診は2013年度、市区町村の約3割で行われていなかった。

視触診の有無で死亡率に明確な差が出ないとする研究報告もあり、推奨から外すことにした。

中国で飲むタイプの「胃がんワクチン」の効果を確認。副作用も少ないってホント?


ピロリ菌(Helicobacter pylori)は胃がんの原因の9割以上を占めるとされており、日本では2013年に慢性胃炎の人の除菌でも健康保険が使えるようになった。とはいえ、胃がんを防ぐならば、ピロリ菌に感染しないことが最も重要だろう。

中国食品医薬品検定研究院(NIFDC)のジェン・ミン氏らは、6~15歳を対象に行った飲むタイプのピロリ菌ワクチンの研究で、1年後のピロリ菌感染予防効果が示されたと、6月30日発行の英医学誌「ランセット」(電子版)に報告した。

ピロリ菌ワクチンの効果が確認されたのは初めてのことで、オーストラリアの専門家は「胃がん予防ワクチン実用化に向けた大きな一歩」と評している(関連記事:ピロリ除菌、胃炎でも保険適用へ―「胃がん撲滅元年」に)。

◆子供の頃からの感染予防が重要

胃がんや胃潰瘍、胃炎などの原因となるピロリ菌は、日本では50歳以上の半数以上が感染しているほか、子供の5~10%が保菌している。主な感染経路は、乳幼児期に保菌している親や祖父母が食べ物をかみ砕いて食べさせることといわれている(関連記事:乳幼児のピロリ菌感染、食物の口移しが主な原因に)。

日本だけでなく、世界的に保菌者への除菌が行われているが、(1)耐性菌の出現、(2)除菌が無効な症例がある、(3)除菌しても胃がんリスクが高いまま―といった課題が残されている。

そのため、子供の頃からピロリ菌の感染自体を防ぐワクチンの開発が進行中だ。

ジェン氏らは2004~05年、中国江蘇省のカン楡(ゆ)区にある1施設で、ピロリ菌に感染したことのない6~15歳の子供を対象に臨床試験を実施。効果が全くないプラセボ(偽薬)ワクチンを3回飲むグループと、ピロリ菌ワクチンを3回飲むグループに分け、最終的に2グループ合計で4,403人が接種を完了した。

◆副作用も極めて少ない

解析の結果、1年以内にピロリ菌に感染した人数はワクチンのグループで少なく(プラセボグループ=2,089.6リスク人年当たり50件、ワクチングループ=2,074.3リスク人年当たり14件)、ワクチンの有効性は71.8%と算定された。

また副反応(副作用)は、プラセボグループで161人(7%)、ワクチングループ157人(7%)。重い有害事象(ワクチンとの因果関係が証明されていない副反応)の報告率は両グループとも1%未満で、ジェン氏らは「いずれもワクチンとの関連は考えられなかった」と報告している。

◆胃がん予防効果の確認にはさらなる調査必要

ジェン氏らは、今回の研究からピロリ菌に感染したことのない子供へワクチンを接種することの有効性と安全性、免疫原性(体に抗体を作らせる性質)が確認されたと結論。このワクチンを使うことでピロリ菌感染率が下がると期待されるものの、胃がんなどピロリ菌に関連する病気の予防効果を確認するには、長期間の追跡調査が必要としている。

オーストラリア・ロイヤル・チルドレンズ病院のフィリップ・サットン氏は、同誌の論評(電子版)で「ワクチンで人のピロリ菌感染が防げることを示した初の試験だろう」と評価した。

一方で、実用化に当たっての課題として、ワクチン接種前に2時間の絶食と緩衝液(水素イオン指数=pH=を安定させる液体)が必要なこと、アジュバント(添加物、LT-B)が承認審査の際に懸念材料となる可能性を挙げている。

【記事提供元】あなたの健康百科
http://kenko100.jp/

ギタリストの石田長生さん死去 食道がんのリスクを高める体質・習慣とは?


7月8日午前、阪神タイガースの球団公認応援歌「嵐は西から」の作詞・作曲・プロデユースを手がけたことでも知られる、ギタリストの石田長生(いしだ・おさむ)さんが亡くなられました。

石田さんは62歳、今年3月に食道がんの治療に専念するためライブ活動を休止することを公表していました。

食道がんは40代後半から罹患率が上昇し、最も多いのは60代とされています。ここでは、食道がんの特徴と予防について確認しておきましょう。

◆食道がんには「扁平上皮がん」と「腺がん」がある
食道は気管や大動脈といった重要な臓器と隣接しています。食道がんは食道の粘膜に発生しますが、進行すると食道の壁を越えて気管や大動脈に侵入し、死亡のリスクを高めます。

食道がんには2つのタイプがあります。ひとつは、飲酒と喫煙によってリスクが高くなる「扁平上皮がん」。もうひとつが、逆流性食道炎などの慢性的な炎症で生じるのが「腺がん」です。日本における食道がんの多くは「扁平上皮がん」となっています。

◆飲酒・喫煙習慣と食道がんの関係
食道がんに関して、40~69歳の男性約4万5000人を14年間追跡した調査があります。215名に食道がんが確認され、飲酒・喫煙習慣との関連が調べられました。

まず、飲酒については、1日当たり日本酒にして1合以上から食道がんのリスクが上がり、1合から2合のグループで2.6倍、2合以上のグループで4.6倍高くなることが分かりました。

次に喫煙については、非喫煙者に対して、過去に喫煙経験のある人で3.3倍、現在喫煙している人で3.7倍リスクが高くなることが分かりました。

◆食道がんの予防のために
お酒を飲んで顔が赤くなる人は有害物質であるアセトアルデヒドを分解する能力が低いため、がんを発症しやすいと考えられています。特にヘビースモーカーの人に関しては、顔が赤くなる体質と食道がんとの関連が指摘されています。

アセトアルデヒドを上手く分解できないときに働く別の酵素が、たばこに含まれる発がん物質の作用を促進するのではないかと考えられています。

胃酸が逆流し、強い酸性によって食道が炎症を起こす逆流性食道炎にも注意が必要です。逆流性食道炎が慢性化していると、食道が常に炎症を起こしている状態となり、がんを発症しやすくなるためです。

食道がんは高齢者に多いがんですが、飲酒・喫煙をはじめとする若い頃からの習慣が影響していると考えられます。とくにリスクの高い体質の人は生活習慣を見直してみるとよいでしょう。

<参考>
飲酒と食道がんの発生率との関係について(予防研究グループ)
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/338.html

執筆:斉藤雅幸(Mocosuku編集部)
監修:岡本良平医師(東京医科歯科大学名誉教授)

大腸がんのチーム医療(2)大腸の新しい検査法 「CTコロノグラフィー」


近年、大腸がんによる死亡者数および罹患(りかん)率が男女とも増加傾向にありますが、大腸がん検診受診率は低迷しています。受診率低迷にはさまざまな要因が考えられますが、その中でも「前処置が苦痛である」「怖い」などの心理的な理由で検査を敬遠される患者さんも少なからず見受けられます。

 今までの大腸がんの検査といえば大腸内視鏡や注腸エックス線検査が主流でしたが、当院では大腸がん検診の選択肢の一つとして、患者さんのニーズに応える目的で、苦痛が少なく客観的で再現性の高い検査としてCTコロノグラフィー(大腸CT検査)を導入しました。

 CTコロノグラフィーは大腸を炭酸ガスで拡張させてCT撮影を行い、画像処理することで、内視鏡を挿入しなくても内視鏡検査や注腸エックス線検査と同じような大腸の画像を作成し、観察・診断する検査方法です。

 検査の流れとしては、健診などで便潜血陽性の結果が出た場合、病院を一度受診していただき、検査の予約から前処置の説明を受けていただく必要があります。

前処置は患者さんにとって一番心配な部分でもあると思われますが、当院ではCTコロノグラフィー専用食と清涼飲料水(または水かお茶)、下剤、ガストログラフィンを前日から服用してもらいます。

検査を施行した患者さんからは検査食がおいしかったと評価をいただき、概ね前処置は楽だったと感想をいただいています。

 CTコロノグラフィーにおける前処置は、偽陽性や偽陰性の原因となる残便や残液の無い状態にするのが理想です。そのため便に色を付ける薬(ガストログラフィン)を飲んでいただきます。

これは残便や残液が残っていた場合でも画像処理で消すことができるため死角がなくなり、病変の見逃しが減少します。

 またCTで撮影を行うことにより、大腸だけでなく他の臓器も観察することができ、装置の進化により被ばく線量も注腸エックス線検査に比べ半分の線量で行うことができます。最新の機器ではさらに少ない線量の報告もあります。

ただし、メリットだけではありません。5ミリ以下のポリープは6ミリ以上のポリープに比べて検出率が落ちることや、病変が見つかった場合に、その場で切除などの処置を行うことができない点がデメリットとして挙げられます。

まだ全国的にも検査を行う施設が多くない現状で検査の標準化や精度向上など課題がありますが、少しでもCTコロノグラフィーで地域の人々に貢献でき、早期大腸がんの発見に寄与できるよう普及させていきたいと思っています。

 倉敷成人病センター((電)086―422―2111)

きのした・たくみ 倉敷南高、鈴鹿医療科学大卒。2001年倉敷成人病センター勤務。診療放射線技師。主にCTとシステム担当。X線CT認定技師。肺がんCT認定技師。

大腸がん立体画像検査…痛みなく 全方向から観察


発症者と死亡者が共に多い大腸がん。早期発見が重要だが、肛門から入れる内視鏡検査に抵抗がある人は多い。

そこで開発されたのが、画像検査機器を用いた大腸がん立体画像検査「CTコロノグラフィー」。大腸に便が残っていても検査できるなど利点が多い。

 国立がん研究センターの2015年がん統計予測によると、大腸がんの年間発症者数は約13万5000人。がんの中で最も多い。

 大腸がん検診は、便潜血検査が広く行われ、陽性になると内視鏡検査を勧められる。だが、内視鏡を肛門から入れる恥ずかしさや、検査中の痛みなどを恐れ、受診をためらう人が多い。

その結果、がんが進行し、発見時には肝臓や肺に転移している例が少なくない。

 課題解消のため、国立がん研究センター中央病院放射線診断科医長の飯沼元さんらは「CTコロノグラフィー(CTによる大腸の撮影法)」の研究を進めた。

 高精度のCTで、縦35センチの範囲の下腹部を撮影。0・5ミリ間隔の輪切り画像を約8秒間に700枚撮影し、重ね合わせて立体画像を作る。体勢により腸の見え方が変わるため、うつぶせとあおむけで2回撮り、2種類の立体画像を作成する。

 検査中、腸管を膨らませるため肛門から炭酸ガスを入れるが、注入量は、痛みが出ないように自動調整される。検査後、ガスはすぐに腸管に吸収される。

 立体画像は、あらゆる方向から様々な倍率で観察できる。腸管をウナギのかば焼きのように開いて見たり、腸内のヒダを左や右に倒したりすることもできる。

 立体画像検査は、検査前の準備も楽に済む。内視鏡検査では、前日から食物繊維を含む食品を控え、当日は2リットルの下剤を飲み干して排便する。

 これに対し、同センターで立体画像検査を受ける場合は、前日の食事として、液状になりやすい専用のレトルト親子丼などが用意される。多量の下剤は必要なく、前夜に少量の下剤を飲み、翌朝に排便する。

前日からの食事の際、便の部分を画像上、白く写せる薬を少量服用すれば、画像処理で、この部分を除去することができる。残便があっても検査が可能だ。

 同病院は昨年5月から大腸がん検診に導入。約1300人が検査を受け、約2%に大腸がんが見つかった。画像には肝臓や腎臓なども写るので、他の臓器の病気が見つかることもある。

 検診の場合、同病院では5万円かかるが、便潜血検査が陽性の人は健康保険を使える。既に100以上の医療機関がこの検査に必要な機器を備えている。

 課題もある。早期発見が期待できるのは、隆起したポリープ型の大腸がんで、平らな大腸がんは苦手だ。平らながんに対しても、検査精度を上げる研究が続いている。

 放射線の被曝(ひばく)も心配になるが、飯沼さんは「大腸の画像検査にはバリウムとエックス線を用いる方法もあるが、立体画像検査の最新機器は、その3分の1の被曝量に抑えられる」と説明。

「この検査は画像を正確に診断する技術も重要。講習会を充実させ、優秀な診断医を育成したい」と話す。

バリウム検査で妻失った男性「何をいってもあいつは戻らない」


「早期発見、早期治療で、いまや胃がんは治る」──そんな啓蒙のもと、毎年1000万人以上が健康診断や人間ドックで「バリウム検査」を受けている。

 だが、国立がん研究センターが推奨するこの検査には見逃しが多い上に、死亡事故まで起きていることをご存じだろうか。巨大な利権ビジネスとなった胃がん検診の実態を取材してきたジャーナリスト・岩澤倫彦氏が、バリウム検査に潜む問題を明らかにする。

ここでは、群馬県で発生した日系ブラジル人女性の死亡事故について、その状況を解説する。

 * * *

 東京大学腫瘍外科・元講師で、消化器内視鏡のスペシャリストである田淵正文医師はこんな指摘をする。

「バリウムX線検査は、はっきりいって30年前の理論です。凹凸の変化が出る(*注)のは、ある程度がんが進行している状態ですから、早期がんは見つからない。それで数多くの人が命を亡くしているわけです。

内視鏡で検査すれば確実に早期で発見できるのに、見殺しにしているようなものです」

【*注:粘膜内の凹凸をバリウム検査では調べるが、早期がんではこの凹凸が出ない。内視鏡で表面の色を見て発見することが最新のやり方だ】

 バリウム検査そのものにも危険がある。

 PMDA(厚労省所管の独立行政法人・医薬品医療機器総合機構)に報告されたバリウムの副作用のなかには、バリウムが体内で固まり、臓器に穴を開ける重大な事故(穿孔/せんこう)が多数含まれていることがわかった。

「大腸穿孔(憩室/けいしつ含)=33人」「直腸穿孔=4人」「消化管穿孔=6人」といった具合に、昨年度分の報告だけで実に50人(40代以上を対象)。

 腸管が破れると命に直結する。緊急手術によって腸を一部切除したり、人工肛門が設置されたりするケースが多い。その他、6人が腸閉塞になり、80代男性1人が死亡した。

 これらは氷山の一角でしかない。PMDAに報告されるのは、患者や家族が被害救済を求めていることが前提のため、制度を知らない人のケースは含まれていないからだ。

 バリウムによるアナフィラキシーショック(アレルギー症状の一種)も去年だけで3人、3年前には滋賀県の胃がん検診で50代女性が死亡している。

 5月には、群馬県で企業の胃がん検診中に撮影台と検診車内の壁に挟まれて50代の日系ブラジル人女性が死亡した。

 この事故を受けて日本消化器がん検診学会は、次のような注意喚起を出した。

〈外国人や高齢の受診者には通訳や家族などの同伴が望ましく、近接撮影を行うことも含めて安全性への配慮が特に重要である〉

 学会の注意喚起は、死亡女性のコミュニケーション能力に問題があるように匂わせているが、本当にそれが原因なのか。

 女性に先立たれ、一人で暮らす夫を群馬に訪ねた。来日して20年、女性は一般の日本人と変わらない会話をしていたと説明する夫によると、女性は頭が下を向くように撮影台が傾斜した際、きつい姿勢に耐えられず滑り落ちたという。

直接の原因は、本来設置されているはずの肩当て(滑り止め)が外されていたことにあると見ている。夫は、玄関先で寂しそうに語った。

「あいつは糖尿病の持病があったんですよ。何も食べないで検査しているから、低血糖になって力が入らなくなり、滑り落ちたんじゃないかと。ただ、何をいってもあいつが戻ってくるわけじゃないですから」

 中高年で糖尿病を患う人は少なくない。バリウム検査で同じような事故が再び起きる可能性を考えれば、詳細な検証が必要なはずだ。しかし、事故を起こした検診団体は、自ら設置した調査委員会の報告も待たずに、業務を再開している。

この件に関して、警察は業務上過失致死の容疑で捜査中だ。

ピロリ菌感染者が40代以上に多いのは何故!?


■ 20代以下にはほとんどいないって本当?
胃がんの原因としてピロリ菌の存在が明らかになってきました。

わが国では、上下水道が十分完備されていなかった戦後の時代に生まれ育った団塊の世代以前の人(40代以上)のピロリ感染率は約80%前後と高いのですが、衛生状態のよい環境で育った若い世代の感染率は年々低くなり、10代、20代では欧米とほどんどかわらなくなってきました。

■ 感染ルートは?ピロリ菌はキスで感染する?
ピロリ菌は、口から入れば感染することははっきりしています。

大部分は飲み水や食べ物を通じて、人の口から体内に入ると考えられています。上下水道の完備など生活環境が整備された現代日本では、生水を飲んでピロリ菌に感染することはありません。

また、キス、またコップの回し飲みなどの日常生活ではピロリ菌は感染しないと考えられています。

ピロリ菌は、ほとんどが5歳以下の幼児期に感染するといわれています。幼児期の胃の中は酸性が弱く、ピロリ菌が生きのびやすいためです。

しかし、小児を対象とした最近の研究によれば、口腔内に特有のピロリ菌が存在するものの、胃内のピロリ感染の重要な感染源ではないと報告されています。感染経路については、これからの研究を待たねばなりません。

■ ピロリ菌が原因で胃がんになる場合も……!!
ピロリ菌感染者全員が必ずなるわけではありませんが、ピロリ菌感染による慢性胃炎が長く続くと、

・萎縮性胃炎
・胃潰瘍
・十二指腸潰瘍
などの消化器疾患が発症する可能性が高まります。

さらに、一部の患者さんでは、萎縮性胃炎が続いた後、胃がんになることも報告されています。

胃がんの原因のほとんどがピロリ菌といわれています。では、ピロリ菌感染者の少ない20代以下の人たちは胃がんにはならないのかというと、そうではありません。

胃がんの発生原因は日本人の塩分摂取量といわれており、食文化の違いで欧米よりも胃がんの発生が多いという研究結果があります。従ってピロリ菌の感染がなくても胃がんが発生する可能性はあるので、必ず定期的な検診を受けましょう。

その少しの痛みが最悪の事態を招く 胃潰瘍の震源地・ピロリ菌の制圧対策(1)


10人に1人が罹るといわれるほど、ありふれた病の胃潰瘍。周囲でも患った人が多いのではないだろうか。

この病は、胃壁を保護している粘膜などの“防御因子”と、食べ物を消化する胃酸などの“攻撃因子”のバランスが崩れ、胃酸によって胃の粘膜が深くえぐられてしまい、痛みや不快感、吐血や血便といった症状が現れる。

 日本消化器病学会専門医の福田達哉医師は言う。

 「胃潰瘍を軽く見てしまう傾向があるようですが、それは間違い。かつては多くの人が命を落としてきた病気で、今でも自宅で血を吐いたまま亡くなっていたというケースもあります。

胃壁が深く傷つけられ太い血管が切れてしまうと、大量の血が噴水のように噴き出し、出血性ショックによって昏倒して、そのまま死亡してしまう。

高齢者になると痛みを感じにくくなるため、症状がそれほど出ていないのに、突然大量の血を吐く例もあるので注意が必要です」

 総合病院には、ほぼ毎日、胃潰瘍による吐血で患者が運ばれてくるという。

搬送された患者は、直ちに胃の中の切れた血管を止める内視鏡的手術を行う。その際、大量の血を浴びるため、医師は防護服のような手術着を着たうえ、ゴーグルをかけて処置にあたるほどだ。

 術後は1~2週間の入院を必要とし、潰瘍が塞がるまでは食事もできない。

 胃潰瘍になる原因は、大きく分けて二つある。それは「ヘリコバクター・ピロリ菌」によるものと、薬剤によるもの。

 ピロリ菌に感染していると、慢性胃炎を起こしている状態が続き、ちょっとしたストレスを受けただけで潰瘍ができてしまう。

 「それはなぜか。ストレスがかかると、胃酸を分泌するホルモンが増えることに加え、胃の血流が減り、胃壁を保護する粘液も減ってしまいます。つまり、攻撃因子が強まるうえに防御因子が減ってしまうので、潰瘍ができてしまうのです。

ただ、ストレスだけで潰瘍になるケースは非常にまれで、主因のピロリ菌を除菌すれば防げて簡単に潰瘍にはなりません」(前出の福田医師)

 胃潰瘍のもう一つの要因とされる薬剤の影響だが、これはピロリ菌に感染していなくても、痛み止めや“血液をサラサラにする薬”、風邪薬などが原因で、胃潰瘍になるケースだ。

 「動脈硬化などで血をサラサラにする薬(バイアスピリン、幼児用バファリンなどの低用量アスピリン製剤)を飲んでいる人、慢性的な腰痛、頭痛、関節痛などで痛め止めの薬(NSAIDS=非ステロイド性鎮痛薬)を常用している人は気を付けましょう。

これらの薬は、胃の粘膜を保護するプロスタグランジンというホルモンを抑制するため、潰瘍ができやすい状態になるからです」(専門医)

日本の死亡数2位!今いくよを襲った「胃がん」を予防する食べ物4つ


お笑い芸人の今いくよさんが、胃がんで亡くなったという悲報が入ってきました。大変残念なニュースですが、日本人は世界的に見ても胃がんの罹患者が多いといいます。たとえ若くても胃がんリスクの高い生活習慣を改め、予防に努めたいもの。

そこで今回は、国立がん研究センターがん対策情報センターの情報をもとに、胃がんを予防してくれる食べ物や飲み物をまとめてみました。ぜひともチェックしてみてください。

■1:塩分濃度の高い食品(漬物、魚の干物、みそ汁)は控える

胃がんのリスクを高める食べ物の一つ目は、塩分濃度の高い食品です。日本人の好きな漬物や魚の干物、みそ汁などは胃がんリスクを高めてしまいます。

実際、これらの食べ物を日常的によく食べている地域(東北や北陸など)の人は、沖縄や九州の人と比較して胃がんリスクが3倍も高いとか。

しかし、漬物や魚の干物、みそ汁は単なる悪者ではありません。適度な量を守れば健康的な食べ物です。食べ過ぎの自覚があれば、食べる回数を減らしたり、減塩タイプの漬物やみそ汁に替えたりしてみてはいかがでしょう。

■2:野菜や果物を十分に食べる

野菜(芋などの多量のでんぷんを含む野菜は除く)や果物は、胃がんを予防してくれる食べ物として知られています。野菜や果物の摂取は、胃がん予防以外にも健康上さまざまなメリットがあるので、いつも意識してたくさん食べたいですね。

■3:飲酒を控え、禁煙する

飲酒は“恐らく”、喫煙は“確実に”胃がんリスクを高めるという研究データがあります。特にタバコは、吸う人と吸わない人でおよそ16倍もリスクが違ってくるそう。喫煙者は禁煙する努力をして、飲酒も適量に抑えたいですね。

ちなみに女性の適度な飲酒とは、350mlの缶ビールで1日1本程度と言われています。目安にしてみてください。

■4:緑茶を飲む

確実にリスクを下げると証明されたわけではないそうですが、喫煙のような胃がんリスクの習慣を持たない女性が緑茶を日常的に飲むことで、そのリスクが緩やかに下がる可能性があるとか。

ただ、熱過ぎる緑茶をいつも飲んでいると、今度は食道がんのリスクをアップさせてしまう恐れがあります。適度な温度に冷まして飲みましょう。

以上、胃がんのリスクを下げてくれる食習慣をまとめましたが、いかがでしたか? 2013年のデータによれば、胃がんは女性の場合、死亡数が3番目(1位は大腸がん、2位は肺がん)に多く、男女合計だと2番目に多い悪性腫瘍だといいます。

若いうちは油断をしてしまいがちですが、胃がんは自覚症状が少なく、進行しても無症状の場合もあるそう。できれば今から注意しておきたいですね。

今井雅之さん死去 「日本人男性の11人に1人」大腸がん…初期は自覚症状なし、検診で早期発見が大切


俳優の今井雅之さん(54)が末期の大腸がんであることを告白してから、わずか1カ月。復帰に意欲を見せていただけに、今井さんの訃報の衝撃は大きい。

大腸がんは、日本人男性の11人に1人がかかるといわれる身近ながん。初期はほとんど症状が出ないだけに、医師からは早期発見の大切さを訴える声が上がっている。

 ■自覚症状出ず

 大腸がんは、大腸の内側の表面にある粘膜に発生する。食の欧米化などにより近年増加傾向にある。国立がん研究センターの平成23年のがん登録データから推計すると、生涯で大腸がんに罹患(りかん)する確率は男性が11人に1人、女性が14人に1人だ。

 がん研有明病院消化器センター大腸外科部長の上野雅資医師は「年齢が高いほど罹患しやすい」と指摘する。40代後半から増加し、がん研有明病院で手術を受ける人の平均年齢は60代前半だという。

 大腸がんになると、便に血がついたり便秘になったりするほか、腹痛などの症状が表れるが、初期にはほとんど自覚症状が出ない。症状の表れ方はがんができた場所によって異なる。肛門から遠い場所にできると、症状が表れづらい。

 大腸がんの進行度は、がんが大腸の壁に入り込んでいる程度と、リンパ節や肝臓などほかの臓器の転移などから判断する。ステージIからIVまでの4段階ある。症状が出るのは、ステージII以降が多い。

 今井さんは昨年の11月に病院で、検査を受けたところ、ステージIVの大腸がんだと診断されたという。切除手術を受けた後、抗がん剤治療を受けていると会見で明かしていた。

 ほかの臓器への転移が見られるステージIVだと、同病院での5年生存率は、3割程度とされているが、転移の数が限られている場合などは、治癒する可能性はあるという。

 転移する場合には、肝臓や肺が多い。大腸がんは進行が遅く、早期から転移が進むことはないため、上野医師は「早期に発見できればほとんどの場合、治癒できる」話す。

 ■40歳以上は定期的に

 大腸がんが疑われる場合には、消化器科を受診する。診断には、内視鏡を入れて大腸内を観察する「内視鏡検査」が行われる。がんと疑われる場合には、病変の一部を採取し、病理検査で組織を調べる。

 早期発見に有効なのは、大腸がん健診の「便潜血検査」だ。便のなかに混ざっている血液を検出する。無料で受けられる自治体もある。上野医師は「早期発見のためにも40歳以上は潜血検査を受けてほしい」と話す。

 ■再度、受診を

 今井さんの場合は、異変を感じた昨年夏頃に、都内の病院を受診し「腸の風邪と」と言われたという。

 大腸がんなど、消化器疾患に詳しい神奈川県横須賀市の診療所「マールクリニック横須賀」院長の水野靖大医師は「『おなかが痛い』などと受診する患者の多くは、風邪などによる急性胃腸炎で数日でよくなる。

その中には一部には、がんが含まれるが全員に、内視鏡やバリウムを使ったがんの検査を勧めることは難しいのが実情」と明かす。

 「薬を飲んで4~5日しても治らない場合は、検査のために必ず再度、受診してほしい。痛みが出ている大腸がんでも、治療により克服できるケースも多い」と水野医師。

 今井さんについては「がんの痛みは強い。4月の会見もつらそうだった。最期の最期まで、ぎりぎりまで頑張られたのだと思う」と推測した。

専門医に聞け! Q&A がんの医科歯科連携治療 FC2 Analyzer


 Q:食道がんと診断され、間もなく治療が始まる予定です。最近、病院によっては、がんの治療と並行して歯科で口腔ケアを行っていると聞きました。どういうメリットがあるのでしょうか。

口腔ケアを行っている病院で治療を受けたほうがよいのでしょうか。アドバイスをお願いします。(56歳・自動車整備士)

 A:医科と歯科が連携して治療を行うことを医科歯科連携といいます。体の病気には、歯周病など口腔内のことが関係している場合が少なくありません。

 医科と歯科が連携して治療にあたることで、病気治療の効果を高めることができます。医科歯科連携治療の中でも、がん治療での連携が広まってきました。

 がん治療で手術や放射線、がん剤などを行ったり、抗生物質を使用したりすると、免疫力が低下し口内炎ができることがあります。

 免疫力が低下すると、口腔内に真菌が多くなり、それによって口内炎を発症します。

 口内炎の改善には漢方薬が役立ちます。十全大補湯や半夏瀉心湯などの漢方薬は、口内炎の症状を取るだけでなく、口腔内を口内炎ができにくい状態に改善する働きがあります。

●口腔ケアでQOLが向上
 口内炎ができると、痛いし、刺激のある食べ物がよく噛めません。
 そのことがQOL(日常生活の質)が低下することにつながります。
 
それが漢方薬を服用するとともに、歯科衛生士に口腔ケアをしてもらうことによって口内炎が改善し、再発も防げるわけです。

 QOLが下がると、そのことががんの再発や転移のリスクになりますが、口腔ケアをすることで再発のリスク減少にもつながるでしょう。

 口腔ケアによって、口内炎が解消すると、患者さんは精神的にも落ち着いてきます。その効用も大きいと思われます。

 漢方薬には、免疫細胞を活性し、免疫力を上げる作用があるものがあります。十全大補湯にはB細胞を活性化する働きが、補中益気湯にはマクロファージを活性化する働きがあります。

 歯周病を引き起こす細菌は全身の病気と関係があります。食道がんの細胞から歯周病菌の1種が高い割合で検出されたとの報告があります。このことからも、医科歯科連携を行っている病院で治療を受けるとよいでしょう。

渡辺秀司氏(とつかグリーン歯科医院院長、漢方歯科医学研究所所長)
 神奈川歯科大学卒。同大学研修医を経て、横浜市でとつかグリーン歯科医院を開設。歯学博士。歯科領域に漢方を取り入れ、天然素材を配合したうがい薬や歯磨き剤を開発。独自な歯周病治療で名高い。

再発食道がん、88%で消失


食道がんが再発した患者26人に専用の薬剤とレーザー照射による治療法(光線力学療法)を実施したところ、88%に当たる23人のがんが消失したと、京都大病院や名古屋市立大病院、兵庫県立がんセンターなどのチームが26日発表した。

 チームの武藤学京大教授は「食道がんが再発した場合、手術や抗がん剤治療をしても長期生存は難しかった。今後、大きく貢献できる手法だ」と話す。

今夏にも医療機関で本格的な治療を始める方針。

 治療では患者に薬剤を注射した後、レーザー機器を口から入れる。がんの部分にレーザー光を当てると薬剤が反応し、がん組織が消失する。

2週間で効果あり? 大腸がんのリスクを減らす食事とは



FC2 Analyzer 食、医療など“健康”にまつわる情報は日々更新され、あふれています。

この連載では、現在米国ボストン在住の大西睦子氏が、ハーバード大学における食事や遺伝子と病気に関する基礎研究の経験、論文や米国での状況などを交えながら、健康や医療に関するさまざまな疑問や話題を、グローバルな視点で解説していきます。

 世界的に増加傾向がある大腸がん。実は日本では増加してきており、問題視されています。今回はその対策に、食物繊維たっぷりの低脂肪食が効果的というレポートを解説していきます。

●大腸がんは世界で3番目に多いがん

 世界的に大腸がんの増加が問題になっています。

 世界保健機関(WHO)の付属機関である国際がん研究機関(IARC)が、2008年に世界182カ国で行ったがんの発生・死亡率の調査によると、27種類のがんのうち、大腸がんは男性では3番目(66万3000人、全体の10%)に、女性では2番目(57万人、全体の9.4%)に多いがんでした。

罹患率(一定期間に新たにがんと診断された症例の人口あたりの割合)は、男女比1.4:1で、男性が高かったことも分かっています。また世界における大腸がんによる死亡者は、1年で60万8000人と推定されており、全てのがん死亡者の8%を占めます。

これはがん死亡者中、4番目に高い数字です。罹患率と同じように、死亡率はカリブ海地域を除き、女性より男性が高くなっています。

■参考文献 US National Library of Medicine National Institutes of Health「Estimates of worldwide burden of cancer in 2008: GLOBOCAN 2008.」

●ハワイとカリフォルニアの日本人移民、大腸がん罹患率が世界1位!?

 1999年、ハワイ大学のロイック・ル・マルシャン教授は、米国の日本人移民の大腸がんの罹患率が、移民先の住民の罹患率を超えていること、ハワイとカリフォルニアの日本人移民の大腸がん罹患率が世界で最も高いこと、日本においても食生活の欧米化に伴い大腸がんの罹患率が増加していることを示しました。

■参考文献 US National Library of Medicine National Institutes of Health「Combined influence of genetic and dietary factors on colorectal cancer incidence in Japanese Americans.」

 ハワイへの日本人移民だけではなく、日本においても、大腸がんは増加して続けています。

厚生労働省のデータによると、日本人男性が大腸がんで死亡する率は上昇し続け、2007年に肝がんを抜き第3位となり、2013年の時点でもさらに上昇傾向にあります。

日本人女性についても同じように大腸がんでの死亡率は上がる一方で、2003年に胃がんを抜き、以降第1位となっています。

■参考文献 厚生労働省「平成27年我が国の人口動態」

 こうしたデータから、大腸がんのリスクが、ライフスタイルの欧米化により高まることが懸念されています。

●大腸がんのリスクは、食生活だけが高めるのかを調査

 大腸がんの発症には食生活の影響が強いと考えられていますが、例えばタバコ、化学物質、感染症や抗生物質なども、同じように大腸がんのリスクに影響している可能性が指摘されています。

 そこでピッツバーグ大学(University of Pittsburgh)の研究者らが調査したのが、食生活が大腸がんのリスクに与える影響です。研究者らは、2015年4月28日付けの英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)」にその結果を報告しました。

■参考文献 NATURE COMMUNICATIONS「Fat, fibre and cancer risk in African Americans and rural Africans」

 彼らが調査対象に選んだのは、米国ピッツバーグに住む健康なアフリカ系米国人20人と、南アフリカの農村部のクワズール・ナタール(KwaZulu-Natal)地域に住む健康なアフリカ人20人(50~65歳)で、調査対象者はランダムに選びました。

大腸がんの罹患率は、農村部に住む南アフリカ人(10万人中5人未満)に比べて、米国に住むアフリカ系米国人(10万人中65人)のほうが非常に高いことが分かっています。

●アフリカ系米国人の食事は南アフリカ人の2~3倍、動物性タンパク質や脂肪が多い

 研究者らは、両グループの食事は準備や調理および配膳方法まで基本的に異なっていることを踏まえたうえで、まず日ごろの食事内容と成分を調査。

 動物性タンパク質や脂肪の摂取量は、アフリカ系米国人が南アフリカ人より2~3倍高くなりました。

一方、南アフリカ人は、主に難消化性デキストリン(レジスタントスターチ/Resistant Starch:水に溶けにくいでんぷんの1種)の形で、炭水化物と食物繊維を多く摂取していました。

難消化性デキストリンは、水に溶けにくいでんぷんの1種で、小腸では消化や吸収がされにくく、大腸で腸内細菌に利用されます。難消化性デキストリンは最近、大腸がんや糖尿病の治療、予防に対する効果が期待されている成分です。

■参考文献 US National Library of Medicine National Institutes of Health「Resistant starch: a promising dietary agent for the prevention/treatment of inflammatory bowel disease and bowel cancer.」

●アフリカ系米国人の方ががんリスクが高い

 次に研究者らは、参加者の大腸内視鏡検査を行い、大腸がんのリスクを示すバイオマーカーの測定や腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)を解析しました。

 大腸内視鏡検査では、参加したアフリカ系米国人20人中9人に大腸の腺腫性ポリープが発見されましたが、南アフリカ人は1人もありませんでした。大腸の腺腫性ポリープは、放置すると少しずつ大きくなり、がん化すると考えられています。

がんリスクとなるバイオマーカーは、アフリカ系米国人のグループでより高くなりました。

 また、2つのグループの腸内細菌叢の種類と、その量の構成パターンは非常に異なっていました。

南アフリカ人はでんぷんを分解する細菌、炭水化物を発酵する細菌と酪酸を作る細菌が多く、アフリカ系米国人は胆汁酸を分解する細菌が多く存在していました。

これまでの研究で、酪酸には抗炎症作用や抗腫瘍作用があることが分かっており、胆汁酸の代謝産物には発がん性があると示されています。

●食物繊維の多い低脂肪食が大腸がんのリスクの減少

 次に、参加者はそれぞれの地域で調査施設に滞在し、2週間、厳密にコントロールされた条件のもと、食事内容を互いにスイッチしました。

 具体的には、南アフリカ人は、ふだんのアフリカ式の食事から欧米式の食事(総摂取カロリーのうちの脂質の割合は16%から52%に増加、食物繊維は1日66gから12gに減少)に、アフリカ系米国人は、ふだんの欧米式の食事からアフリカ式の食事(総摂取カロリーのうちの脂質の割合は35%から16%に減少、食物繊維は1日14gから55gに増加)にして、それぞれ2週間摂取したのです。

 するとアフリカ系米国人は、2週間後に大腸の炎症、および、がんのリスクとなるバイオマーカーが減少。逆に南アフリカ人は、がんのリスクを示すバイオマーカーが上昇しました。

また腸内細菌も、両グループで劇的に変化し、アフリカ系米国人は酪酸を作る細菌の数が増加し、逆にアフリカ人は胆汁酸を分解する細菌が多くなったのです。

 この研究は2週間のみの経過観察なので、長期的な影響は分かっていません。ただし、食物繊維の多い低脂肪食は、短期間で腸内細菌のパターンに影響することが明らかになり、大腸がんのリスクの減少させることが示唆されました。

●最近の日本人は脂肪過多?

 では私たち日本人は、どのくらい脂質や食物繊維を摂取しているのでしょうか?

 「日本人の食事摂取基準(2010年版)」(厚生労働省)は、総摂取カロリーのうちの脂質の割合の目標量を18~29歳までの男性・女性では20%以上30%未満、30歳以上までの男性・女性では20%以上25%未満としています。

 しかし2007年の「国民健康・栄養調査結果」(厚生労働省)によると、20歳以上の日本人男性の20.6%、女性の28.1%は、総摂取カロリーに占める脂質の割合が30%以上だったといいます。

特にバターやラードなど、肉類や乳製品の動物性脂肪に多く含まれている飽和脂肪酸の摂取の増加が問題となっています。

 動物性食品のとり過ぎには注意が必要です。

■参考文献 農林水産省「脂肪のとりすぎに注意」

●1日約5~6gも食物繊維が足りない!

 一方で、「日本人の食事摂取基準(2010年版)」で定められた1日あたりの食物繊維摂取目標量は、18歳以上の男性で19g以上、女性17g以上となっています。

1950年代の日本人は、平均食物繊維摂取量が1日20gを超えていました。ところが最近は食生活の欧米化などに伴い、食物繊維の摂取量が減り、1日約5~6gも足りないと言われています。特に10~40代で、摂取がかなり少ないことが問題視されています。

 私たちは食物繊維をもっと積極的に摂取しなければなりません。

 食物繊維の多い低脂肪食を2週間摂取しただけでも、変化が認められるわけですから、健康的な食事に変えることが、遅すぎるということはありません。今日からでも、動物性食品を控えめにして、食物繊維たっぷりのヘルシーな食事をとるようにしてみてくださいね。

日本人のがん1位「大腸がん」を予防する4つの生活習慣【2020年BEST5】


2020年(1~12月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。健康部門の第5位は——。(初公開日:2020年2月10日)暴飲暴食で腸に負担がかかり、炎症を起こすことを「腸のむくみ」という。医師の大久保政雄氏は、「腸のむくみは大腸がんのリスクになるが、痛みを感じにくく、ひどくなるまでなかなか気づかない」という——。


※本稿は、大久保政雄『大腸がんで死にたくなければ腸のむくみをとりなさい!』(すばる舎)の一部を再編集したものです。

大腸がんは増え続けている

現在、日本人が最も多くかかっているがんをご存知でしょうか? 答えは、「大腸がん」です。がん検診が推奨され、前がん段階での早期発見が可能になっているにもかかわらず、日本人の「大腸がん」の罹患率は、下のグラフのように右肩上がりで増え続けています。

※編集部註:本文に合わせ、図表1を追加しました。(2月13日12時46分追記)

大腸がんは、生活習慣と深くかかわっている病気です。腸は私たちが食べたり飲んだりした物すべての残渣(ざんさ)(残りカス)が便になる過程で、最後に必ず通過していく通り道ですから、食生活の影響を特に受けやすい臓器なのです。暴飲暴食を続けていると、大腸も悲鳴を上げますが、腸の最も内側の粘膜には神経がないため、炎症が起きていても痛みを感じにくく、ひどくなるまではなかなか気づきません。

これこそが、「腸がむくんでいる」状態なのです。

炎症初期は「お腹に違和感がある」程度の症状

大腸がむくんでしまうことは、消化器の診療を専門にしている医師であれば誰でも知っていることですが、一般の人たちにはほとんど知られていないようです。筆者も、お腹の不調を訴える患者さんの腸の内部を大腸内視鏡(肛門から挿入してカメラで内部を調べる医療機器)で観察して、「腸の中が大分むくんでいますね。お酒を飲み過ぎたり、脂っこいものを食べたりしていませんか」と問いかけると、患者さんはびっくりするらしく、「腸もむくむことがあるんですか!?」と聞き返されます。

内視鏡で見た健康な大腸の粘膜は、腸管のヒダがしっかり立ち上がり、毛細血管もはっきり見えます。対して、むくんでいる大腸の粘膜は、慢性的な炎症によって、細胞に水分が誘導されて腫れぼったくなり、表面のヒダや血流がはっきり見えません。

炎症が内側の粘膜層に留まっている段階なら、強い痛みはなく、「お腹に違和感がある」「押すと痛いところがある」「酒を飲むと下痢が続く」などの症状が見られる程度です。しかし、炎症が粘膜より外側の層や、腸のすぐ外にある腹膜など神経のある組織にまで及べば、強い痛みを感じるようになります。

腸がむくむメカニズムをさらにわかりやすくするため、イラスト化してみました。

日頃から食事に気をつけていると、上の図のように、腸内細菌の善玉菌と悪玉菌のバランスが良好に保たれて、粘膜の表面もきれいです。血液中の免疫細胞は、何ごとも起こらないときも見張ってくれています。

大腸がんの重大なリスク

ところが、毎日お酒を飲み、油物を好んで食べるような不摂生を続けていると、腸内細菌のバランスが崩れて悪玉菌が増えてしまいます。そして、腸の粘膜に炎症が起きると、免疫細胞は戦闘態勢になって炎症細胞の数が増え、粘膜の細胞に水分が誘導されて、右図のように膨らんで見えます。これが「腸のむくみ」の正体です。

さらに、腸がむくんだ状態が続くと、大腸の壁に「憩室(けいしつ)」という凹みができてそこから出血したり、エノキのような「大腸ポリープ」ができたりすることもあります。大腸がんは、この大腸ポリープの一部が悪性化したものです。「腸のむくみ」は大腸がんの重大なリスクとなるのです。

腸のむくみの原因は、不摂生な生活──具体的には、①大量飲酒②牛・豚肉やバター、ラード、乳脂肪を含む牛乳や乳製品などの動物性脂肪(オメガ6系脂肪酸)の多い食事③水分不足による慢性便秘など腸内環境の悪化④運動不足などです。

①と②は、大腸がんの発症リスク要因とも共通しています。疫学的な調査研究からも、「1日に30グラムを超える動物性脂肪を摂っていると、腸の炎症を引き起こしやすい」ことや「ハム、ソーセージなど加工肉を食べることは大腸がんの発症につながる」ことなどが報告されています。つまり、「腸のむくみ」を予防する生活習慣は、そのまま大腸がんを予防することにつながるのです。

むくみを予防する4つの習慣

では、どうすれば「腸のむくみ」を予防できるのか?

ここでは、その対策として、4つの習慣を挙げたいと思います。

まず大量のアルコールによる腸のダメージを最小限に抑えるために、患者さんには週2日以上の「完全休腸日」を提案しています。一般的に、お酒好きの人がアルコールを抜く日を設けるときに「今日は休肝日だ」といいますが、そもそも、節酒したアルコールを吸収、分解、解毒するために働いているのは肝臓だけではないのです。

「食べものは胃腸、お酒は肝臓」と、消化の役割分担があるように誤解されていますが、消化器官はすべてつながっており、常に関わりあって働いているので、肝臓の負担になるものは他の消化器官にも負担をかけています。たとえば、膵臓もアルコール摂取の影響を強く受ける臓器であり、「急性膵炎」の約半数、「慢性膵炎」では約8割は、お酒の飲み過ぎによるものです。

少なくとも週に2日は、完全にお酒を抜いて、休肝日ならぬ「休腸日」を作ってあげてください。長く働いてもらうためには、内臓にも働き方改革が必要なのです。

水溶性の食物繊維や水分摂取も大切

次に、腸内環境を整えるための食事です。大腸がんは、食生活の欧米化に伴って増えてきた病気です。「腸のむくみ」の原因になりやすい動物性脂肪を控えるとともに、発酵食品と食物繊維を意識して摂るようにしましょう。納豆、味噌、ぬか漬け、キムチなどの発酵食品には、腸内の腐敗物質の生成を抑える乳酸菌がたくさん含まれています。そして、食物繊維は、腸内の善玉菌のエサになるだけでなく、消化されないまま大腸まで届いて便のカサを増すという効果もあります。

特に、便通を整えるためには、昆布やワカメなどの海藻類や大豆、大麦、イモ類、キノコ類などに多く含まれる「水溶性食物繊維」を積極的に摂るようにしましょう。

さらに、便秘を予防して腸に負担をかけないためには、十分な水分を摂取することが重要です。小腸で栄養分が吸収されたあとの食べものの残渣は、大腸のトンネルの中を運ばれる過程で水分が少しずつ吸収され、便の形になっていきます。水分の摂取量が不足していると、便の塊が硬くなって排便しにくくなるだけでなく、大腸の内壁を傷つけて炎症を引き起こします。

ふつうの体格の成人であれば、「1日2リットルの水を飲む」ことを目安にしてください。水は、喉が渇いていなくてもしっかり飲むものだと考えましょう。

運動不足も腸の健康に影響する

最後に運動です。スマホなどの普及と交通機関の発達、エレベーターやエスカレーターの普及などに伴って、私たち現代人は日常の活動量が激減しています。それに伴って、姿勢が崩れ、大腸などの内臓を支える骨盤底筋群をはじめとする下半身の筋肉が衰えて、内臓を本来の正しい位置にキープすることが難しくなっています。

健康状態に問題のない人であれば、まず1日30分程度のウォーキングを日課にすることから始めてみてください。背筋を伸ばして、大股で腕を大きく振って歩きましょう。腕を振ることによって、お腹の上下運動にひねり運動が加わり、腸の動きがよくなります。膝や腰が痛い人は、プールの中で行う「水中ウォーキング」も効果的でしょう。

日本人の二人に一人が、がんにかかる時代になりました。そのトップである「大腸がん」の重大リスクには、大腸の粘膜に軽い炎症が続くことによって起きる「腸のむくみ」があるのです。不摂生を避けて腸内環境を整えることができれば、むくみは必ず治まります。そして、便通の異常やおなかの違和感、軽い痛みなどを感じたら、軽視せずに消化器内科専門医を受診することをお奨めします。

---------- 大久保 政雄(おおくぼ・まさお) 山王病院 内科副部長 1974年、京都府生まれ。日本大学医学部卒。東京逓信病院消化器内科医長を経て、2018年より山王病院(東京都港区)内科副部長。専門は消化器疾患全般、特に内視鏡での診断と治療に尽力し、“正確で安全かつ苦痛のない内視鏡診断”を実践する。地域医療に尽くした内科医の父の志に倣い、「研究より臨床」をモットーに日々、患者と向き合う。日本内科学会認定内科医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本肝臓学会専門医。

がん電話相談 大腸がんⅡ期「ハイリスク」なのに化学療法なし?


© 産経新聞

Q 48歳女性です。今年7月、検診でS状結腸がんと診断され、翌月、腹腔鏡下大腸切除術を受けました。切除した部位の病理検査によると、病期はステージⅡa(がんが大腸壁の固有筋層より深く入り込んでいる状態)で、再発危険因子を持つ「ハイリスク」と診断されました。医師からは「腫瘍マーカーは高くないので抗がん剤による治療はしなくてもよい」と言われました。抗がん剤はできれば使いたくないのですが、使わないと再発のリスクが高まるのではないかと不安が募り、食べ物ものどを通りません。

A 一般的にステージⅡでは、術後の補助化学療法(手術で残った可能性のある微小ながんによる再発を防ぐ抗がん剤治療)は必要ないといわれています。大腸がん治療のガイドラインで術後に抗がん剤治療が推奨されているのはステージⅢです。

Q ステージⅡ以下なら抗がん剤による治療は必要ないのですか。

A ステージⅡだから抗がん剤治療をやらなくてよいと言われたとしても、がんが将来再発しないというわけではありません。これは再発をめぐる確率の問題なのです。例えば大腸がんステージⅡの患者のうち手術だけで治る人がどれくらいいるかご存じですか。

Q 約85%と聞きました。

A その通りです。ステージⅡの患者100人のグループのうち85人は治って再発せず、残りの15人は再発するということになります。一方、ステージⅡの患者100人の別のグループがあり、このグループにだけ補助化学療法を行った場合はどうでしょうか。実は再発率はあまり変わらず、補助化学療法の効果で再発しないのはせいぜい1~2人という程度です。これくらい効果が小さいとなると、あえて副作用もある抗がん剤治療を行う必要はないという判断になるわけです。

Q ステージⅡでも、私のようなハイリスクの場合はどうなるのでしょう。

A ステージⅡのうち、がんが大腸壁を破って外まで浸潤している場合やがんの分化度が低い(悪性度が高い)場合などは補助化学療法を考慮するとされています。リンパ管などにわずかにがんが入り込んでいるとの所見があったそうですが、このリスク因子だけなら一般的なステージⅡのグループに入るといってもいいでしょう。

仮にハイリスクであっても、ステージⅡであれば抗がん剤治療が強く推奨されているわけではありません。1~2%という一般的なステージⅡ患者に対する効果が少し大きくなる程度で、顕著な効果が期待できるとはいえないからです。

一方、ステージⅢでは手術後何もせずに再発しない人の割合が例えば約75%だとすれば、補助化学療法を行った場合は80%以上となり、恩恵を受ける人の割合が大きいため、補助化学療法の意義があるということになるのです。

Q ご説明はよく分かりましたが、まだ不安でいっぱいです。

A がんになれば、だれでもそうなりますが、再発の可能性が極めて高いというわけではありません。万一、再発した場合に積極的に治療を受けることにして、今は手術を受けたことでがんは治ったんだと割り切り、心配しすぎず過ごすのがよいでしょう。

回答は、がん研有明病院消化器センター長・大腸外科部長の福長洋介医師が担当しました。

「がん電話相談」(がん研究会、アフラック、産経新聞社の協力)は毎週月~木曜日(祝日は除く)午前11時~午後3時に受け付けます。電話は03・5531・0110、無料。相談は在宅勤務でカウンセラーが受け付けます。相談内容を医師が検討し、産経紙面やデジタル版に匿名で掲載されることがあります。個人情報は厳守します。

ステージIVのママも生前、警鐘 「女性の大腸がん」を避けるためにできること


「早期発見のために動くことが大事」。そう生前に発信していたのが、21才で大腸がんステージIVを宣告された遠藤和(のどか)さん(享年24)だ。彼女が娘のために遺した日記をまとめた書籍『ママがもうこの世界にいなくても』が12月1日に上梓された。

 和さんは18才頃から、たびたび激しい腹痛に襲われていた。

《いつも、みぞおちの左側のところ。前ぶれなく、いきなりガツンと強い痛み。時間が経つと、徐々に治まっていく。》(同書からの引用)

 しかし、病院での診断結果は、はっきりしたものではなく、和さんがステージIVの大腸がんだと診断されたのは、21才のときだった。最初に違和感を覚えたときから3年が経っていた。

 最新の国立がん研究センターのデータによると、女性の大腸がんの年間罹患数は、乳がんに続く第2位で、6万5840人。死亡数では1位で、2万4004人だった。また、同センターの最新予測によれば、2021年に大腸がんで命を落とす人は2.5万人を超えるとされ、第2位の肺がんとは3000人以上も差がある。

 そんな大腸がんをを少しでも遠ざけるためにできることはあるのだろうか。聖マリアンナ医科大学臨床腫瘍学講座教授の砂川優さんはこう話す。

「便潜血検査やCTでは、確定的な診断ができないことが多い。少しでも疑わしいと思ったら、必ず内視鏡検査を受けてください。大腸がんは、内視鏡検査で採取した組織を生体検査に回して診断を確定するので、やるしかない。

 大量の下剤をのむ必要があり、肛門からカメラを入れるので忌避する女性もたしかに多いですが、最近は検査機械のスコープも改良が進み、麻酔で寝ている間に行えるようになったので、苦痛に耐えながらやる検査ではなくなりました」

 福岡大学医学部消化器外科教授の長谷川傑さんも続ける。

「アメリカでは検診として大腸内視鏡検査が推奨されています。その結果、近年は大腸がんの発見率が高まり、死亡率も下がりました。しかし、日本ではまだ死亡率が高止まりしたままです」

 内視鏡で発見したがんが初期であれば、その場で切除することも可能だ。

「初期の自覚症状としてわかりやすいのは、前はそうでもなかったのに便秘や下痢をするようになるなどの排便習慣の変化です。残便感や、便が出きらないなどもあります。さらに、明らかに便が出にくくなる、腹痛を伴うなどの症状が出てくると、がんは進行しているケースが多い。その前に検査で見つけることが重要です」(砂川さん)

 生前の和さんも、インスタグラムでこう発信していた。

「ちょっとでもおかしいと思ったらすぐ病院に行くとか、健康診断、人間ドックは定期的に受けるとか、早期発見のために動くことが大事だなあと……。みなさんもちゃんと病院に行ってください。他人事じゃないので! 若いからとかがん家系じゃないからとか油断したらダメですよ! 自分の体を守れるのは自分しかいないので!」

 ほかには、食生活に注意するという手もある。

「赤肉(牛肉や豚肉)やハム、ソーセージなど、加工肉に代表される高たんぱく食は摂取しすぎない方がいいでしょう。切り干し大根、かぼちゃ、ごぼう、たけのこ、ブロッコリーなどの食物繊維は積極的に摂取する量を増やすといい」(砂川さん)

 初期であれば9割以上が克服できるとされる大腸がん。体にまつわる不安は1つでも多く解消しておきたい。

※女性セブン2022年1月1日号

大腸がん、唾液検査で早期発見に期待…口の中の細菌が関わる可能性


 鹿児島大医歯学総合研究科の研究チームは21日、口の中の特定の細菌が大腸がんの発生に関わっている可能性があることを発見したと発表した。将来的には唾液検査で大腸がんの早期発見が期待されるという。

 研究は同大と同大病院、大阪大の共同研究で、7月に国際学術誌に掲載された。大腸がん患者と健康な人計約100人から唾液と便のサンプルを採取した結果、大腸がん患者の唾液と便からは共通して4種類の細菌が検出されたことが判明。一方で、健康な人のサンプルからはこの細菌がそろって見つかることはなかった。

 発表では、今回の研究により、この細菌が大腸がんの発生に関与している可能性があることが分かり、「今後、唾液の検査による大腸がんの発見やリスクを検知することができるようになるかもしれない」とする。同科の杉浦剛教授は「口の中の細菌を管理することによる大腸がん予防についても研究を進めたい」と話した。

男女共々知らなきゃダメ!大腸がんの兆候、見逃さないで


2017年のがん罹患(りかん)数予測でトップの大腸がん。初期は自覚症状が乏しく見逃しやすい。聖マリアンナ医科大学(川崎市)臨床腫瘍学の砂川優准教授は「大腸がんを早期発見するには、便通の変化などの初期症状に気付くことと、検査を受けることが大切です」と強調する。

 ▽腰痛の原因にも

 日本に大腸がんが多いのは、食生活の欧米化に加え、高齢化も影響していると考えられている。砂川准教授は「大腸がんは早い段階で治療をすれば、90%以上の確率で治ります」と早期発見の重要性を訴える。

 大腸がんの典型的な症状は血便だ。痔(じ)による出血は真っ赤な血が混じる場合が多いが、大腸がんでは黒っぽく見える。便が細切れになる、便の表面にゼリー状の粘液が付く、便秘と下痢を繰り返す、残便感、下血といった症状が見られることもある。便が大腸を通る際、がんそのものや狭くなった腸管が圧迫され、腰からお尻にかけて痛みが出る場合もある。

 砂川准教授は「血便を痔と勘違いして受診が遅れるケースがあります。いつもと違う便の状態が続いたら、早めに医療機関を受診してください」と促す。

 ▽症状が出づらい右側

 大腸がんには、腹部の左側に位置する直腸やS状結腸、下行結腸にできるがんと、右側に位置する横行結腸や上行結腸、盲腸にできるがんがあるが、右側のがんは症状が出にくい。砂川准教授は「便が盲腸や上行結腸を通過する時点ではまだ軟らかく、狭まった腸管を通過できてしまうため腹痛が起きにくいのです。また、肛門まで距離があり、途中でかき混ぜられ血液も判別しにくくなります」と話す。

 早期発見には便潜血検査が不可欠。便中のわずかな血液も検出できる。40歳以上になったら特に症状がなくても、年1回は検査を受けることが推奨されている。

 砂川准教授は大腸がんの予防法について「運動がリスクを減らすことは実証されています。肥満は大腸がんの要因の一つで、体重コントロールも重要です。加工肉や赤身肉の食べ過ぎ、お酒の飲み過ぎに注意し、喫煙も控えてください」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

「ピロリ菌」検査で陰性… 胃がん検診は受けなくてOK?


この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!

【問題】胃がんの原因として知られるヘリコバクター・ピロリ菌。この菌と胃がんの関係について、正しい説明は次のうちどれでしょう?
(1)ピロリ菌が陰性なら胃がん検診は受けなくてもいい

(2)除菌をすると胃がんリスクはほぼゼロになる

(3)生まれたときから一度もピロリ菌に感染したことがない人の胃がんリスクはかなり低い

■答えと解説

正解は、(3)生まれたときから一度もピロリ菌に感染したことがない人の胃がんリスクはかなり低い です。

知っておきたい健康や医療の知識Q&A、ほかにも…
○血圧高めの人要注意 予兆なく発症「急性大動脈解離」

○内臓脂肪に要注意 体重が少なくても危険な太り方とは

○睡眠中の「いびき」「無呼吸」 どうすれば改善する?

○命に関わる脳卒中の予兆 どんな「しびれ」が要注意?

○虫歯や歯周病の原因「プラーク」 落とすポイントは?

○「足の血栓」死に至ることも 飛行機搭乗より多いのは

多くの胃がんはヘリコバクター・ピロリ菌(以下ピロリ菌)の感染が原因で起こることが、今や医学の世界では常識となっています。胃に棲みついたピロリ菌が胃粘膜に炎症を起こし、発がんしやすい状態(萎縮性胃炎)に変化させてしまうのです。そこで、ピロリ菌の存在を調べて、陽性の場合は複数の抗菌薬を使って除菌すると、炎症の進行が止まって胃がんにかかるリスクが下がることが分かっています。

ただし、ピロリ菌の除菌でどの程度まで胃がんのリスクを下げられるかは、実はまだはっきり分かっていません。除菌した時点の萎縮性胃炎の進行度によって、その後の胃がんリスクが変わってくるため、正確な調査をするのが難しいのです。

「除菌による胃がんリスクの低下は、だいたい30%から40%くらいだろうと言われています。リスクは下がるが、ゼロにはならないのです。この点を誤解している人が、医師の中にもかなりいるようです。『ピロリ菌を除菌したら胃がんのリスクはゼロになると言われました』という患者さんがとても多く、そのつど誤解を解くのが大変です」。がん検診に詳しい、近藤しんたろうクリニック院長の近藤慎太郎さんはそう話します。

■最初から陰性でも胃粘膜の状態は確認したほうがいい

一方、ピロリ菌検査の結果が最初から陰性の場合も、生まれてからずっと感染していないのか、ある時点までは感染していて途中で自然除菌されたのかは分かりません(注:自然除菌とは、風邪で抗菌薬を飲んだときなどに、意図せずに除菌されてしまうことをいいます)。「陰性だからといって胃がんにかからないわけではないので、胃がん検診で胃内視鏡検査を定期的に受けて、胃の粘膜の状態を確認したほうがいいでしょう」と近藤さんは勧めます。

もっとも、生まれたときから一度もピロリ菌に感染したことがないことがはっきりしている場合は、胃がんになるリスクはかなり低いとされています。ピロリ菌の感染ルートは水と考えられており、上下水道が完備していなかった時代に生まれた人、つまり年齢が高い世代ほどピロリ菌の感染が多いことが分かっています。「衛生状態が良くなったこともあり、若者のピロリ菌感染率は減っています。今の10代の感染率は10%程度と言われているので、この世代が中高年になったときには胃がんは激減するでしょう」(近藤さん)

現在、ピロリ菌の検査と除菌は、保険適用になっていますが、保険診療で検査を受けるには、先に胃内視鏡検査で胃の炎症(胃炎)があることが確認されていなければなりません。保険外でもかまわなければ人間ドックなどのオプションメニューでピロリ菌の検査を受けることもできますが、その際、「ピロリ菌検査を単独で受けることはお勧めしません」と近藤さんは話します。

「ピロリ菌が陽性でも、内視鏡で胃炎などの異常所見が確認されていなければ、保険で除菌治療が受けられません。一方、ピロリ菌が陰性と分かっても、その人が生まれてから一度も感染していないのか、それとも実は感染後に自然除菌されたのかは分かりません。現在ピロリ菌がいなくても、もし以前感染していたら、胃の炎症が進んでいる可能性もあります。その場合、胃がんのリスクは高くなります。胃内視鏡検査を受けなければ、胃の炎症の有無を確認できないので、胃がんのリスクも推測できないのです」(近藤さん)

ピロリ菌が最初から陰性でも、除菌によって陰性になった場合も、胃の状態は定期的にチェックしていくことが、胃がんの早期発見のためには大切だと言えるでしょう。

この記事は、「胃がん検診、『バリウムより内視鏡』の最大の理由とは」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/21/012200002/012900003/(梅方久仁子=ライター)を基に作成しました。
[日経Gooday2021年7月26日付記事を再構成]

みぞおちの不快感や痛み…それって「胃がん」かも? 見過ごしてはいけない初期症状【医師が解説】


胃がんの初期症状で多いみぞおちの不快感や痛み
以前は、日本人のがん死因第一位を占めていた胃がん。がん検診や胃カメラによる検査の普及により、早期発見できれば十分完治が目指せるがんになってきました。
胃がんの初期症状として気をつけていただきたいことは、以下の2つです。

▼1. みぞおちの不快感や痛み胃もたれ、むかつき、膨満感といったみぞおちの不快感、そして、しくしく、きりきり、ずーんといった痛みが長引く場合には、要注意です。

もちろん、これらの症状は、胃酸過多による胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍でも見られる症状で、市販の胃薬で改善するケースも少なくありません。しかし、薬を飲まないと必ず痛む、食欲不振が長く続く、症状が以前より悪化している、といった時には、是非、内科の先生にご相談ください。

▼2. 真っ黒なタール便が出るトイレでタールのような真っ黒な便が出た時には、自覚症状が全くない時でも、必ず、内科の先生に速やかにご相談ください。もちろん、イカスミなどの食物や鉄剤などの薬の影響で黒い便が出ることはありますが、黒い便が続くような時には、放置は禁物です。

この黒い色のもとは、血液のヘモグロビン中に含まれる鉄分が酸化したものです。主には、胃や十二指腸といった上部消化管の出血によって見られる症状です。胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの可能性もありますが、胃がんも念頭に置かなくてはなりません。

進行胃がんで起こる症状
胃がんの進行に伴って見られる症状には、局所の進展によるものと、他の臓器への転移によるものに分けることができます。
▼1. 胃がんの局所の進展による症状胃がんができる部位によっても異なりますが、噴門部や幽門部といった胃の入り口や出口付近にできた胃がんは、進行によって狭窄・閉塞症状を来します。つまり、召し上がった食べ物が通過できずに、嘔吐してしまいます。この嘔吐は、二日酔いや乗り物酔いの時とは異なり、吐き気は特段ないのに、ある時、急にどっと嘔吐してしまうということが特徴です。

また、胃がんの進行によって、出血量が増加することで、貧血が急速に進行したり、場合によっては血圧の低下などを招いたりすることもあります。

さらに、胃がんが胃の壁を食い破ってしまった場合、膵臓や胆嚢など周辺の臓器に浸潤したり、腹膜全体に広がってしまう(播種)こともあります。腹膜播種の場合には、痛みとともに便秘や下痢などの便通異常も出てきます。

▼2. 胃から他臓器への転移による症状胃がんも、他のがん同様、血流の多い肝臓、肺、脳、骨への転移が見られますが、胃からの血液の流れを考えると肝臓への転移が多いです。肝臓への転移が大きくなったり、その場所が肝臓からの消化液である胆汁の流れを滞留させるような部位であれば、胆汁が血液内に逆流し黄疸(皮膚や白目の部分が黄色くなる)が見られるようになります。

また、がんに共通のことですが、特に要因なく体重が減少したり、帯状疱疹(ヘルペス)を発症する場合には、何らかの悪性疾患の存在も疑われます。万一、このような兆候が出た場合には医療機関を受診するようにしてください。

治癒率をあげるためには、早期発見・早期治療が大切です。早期発見のためには、初期症状に注意するとともに、やはり、年に1回の定期的な健康診断を受けられることをおすすめします。

▼狭間 研至プロフィール大阪大学医学部卒。日本外科学会 認定登録医。大阪大学医学部付属病院、大阪府立病院などで外科・呼吸器外科診療に従事した後、現在は地域医療の現場で医師として診療を行う。ファルメディコ株式会社 代表取締役社長。医療法人嘉健会思温病院理事長。外科医、地域医療、薬局運営の豊富な経験から、医療と患者さんの橋渡しとなる分かりやすい医学情報発信を行っている。

大腸がんを予防! 秋の旬食材“サンマ”の驚くべき健康効果


こんにちは。心理食育インストラクターのSAYURIです。

昔から旬の食材はおいしいだけでなく、その季節の人間の体調に合った栄養素がたくさん含まれていて、とても体に良いと言われています。ママが買い物に行ったときに、旬の果物は比較的手に取りやすいもの。しかし、魚はどうでしょう?

残念なことに、“魚食クライシス ”という言葉があるほど、日本人の魚離れは進んでいます。「調理が面倒」「ニオイが嫌」「骨があるから食べにくい」その理由はさまざまですが、もし魚を食べる習慣が大腸がんの予防に繋がるとしたらどうでしょう?

今回はイギリスの医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』の消化器病学専門誌『Gut』に発表された研究報告をもとに、魚を食べるメリットをご紹介したいと思います。

●日本人女性の死亡原因トップは大腸がん

報道では女性タレントや有名人の乳がんのニュースが多いため、つい乳がんばかりに意識が向きがちですが、実は女性の死亡原因のトップは大腸がん 。患者数こそ1位の乳がん(73,997人)に次いで2位(57,210人)となっていますが、それだけ死亡率が高いとも言えます。

●大腸がんの死亡リスクが41%も低い!

アメリカ人17万人以上のデータをもとに、大腸がんの発症について研究したところ、鮭やまぐろなどの魚に含まれるオメガ3脂肪酸を1日0.3g以上摂ると、1日の摂取量が0.1g未満の人と比べて死亡リスクが41%も低くなる ことが分かったと言うのです。この研究はアメリカで行われたため、さんまについては明記がありませんでした。

調べてみると、大腸がんの発症を抑えると言われるオメガ3脂肪酸の含有量は、鮭では100gあたり0.92g、まぐろ赤身で0.17g、まぐろ脂身で5.81g、さんまで3.78g。さんまはまぐろの脂身に次いで非常に多い含有量を誇っています。まぐろの大トロはお財布にちょっと厳しいかもしれませんが、旬のさんまはお財布にも優しい上に、栄養価も高いため積極的に摂って欲しいと思います。

もし、小骨が気になるなら圧力鍋で煮魚にすれば骨ごと食べられるので、カルシウムまでしっかり摂ることができます。値段が高いと言っても、1匹200円ほど。コンビニスイーツのことを思えばそんなに高くはないのではないでしょうか。オメガ3脂肪酸には大腸がんの予防だけでなく、女性に嬉しい脂肪燃焼促進効果 もあると言われているので、ぜひ積極的に食べてくださいね。

病気のサイン 「原因不明の肌荒れ」は大腸がんの可能性も


全身に現れる「体調不良のサイン」

全身に現れる「体調不良のサイン」


 ただでさえ億劫な通院、院内感染への不安もあってためらう人が多いという。だが、『放っておくとこわい症状大全』(ダイヤモンド社)の著者で循環器内科の名医・秋津壽男氏は、「些細な体調不良が、死に至る病のサインであることは少なくない」と話す。


「異変に気づくには、普段から『自分の正常』がどういう状態かを知っておく必要があります。日ごろから体温や体重、血圧などを測定して、便や尿の状態も確認しておく。そうすれば異変に素早く気づくことができます」(秋津医師)


 コロナ禍で、院内感染を怖れて通院を避ける高齢者が多いという。厚生労働省が発表した「全国の医療機関の患者数の変化」(8月19日)によると、5月の外来患者は前年同月比で2割減少した。


だが、秋津医師はこう警鐘を鳴らす。

「日本人の新型コロナ感染者の死亡率は1%未満ですが、体のサインで見つかる病気には20~30%の確率で死に至る大病もあり、コロナよりはるかに怖い。最初は総合的に診てくれる町のクリニックを受診すれば、専門の病院を紹介してもらえるので、コロナを過剰に怖れるのではなく、体のSOSにきちんと耳を傾けて、早めに受診してほしい」

首から上の「体調不良サイン」

首から上の「体調不良サイン」

上半身に出る体調不良のサイン

上半身に出る体調不良のサイン

下半身に出る体調不良のサイン

下半身に出る体調不良のサイン

大腸がんを確実に予防する 科学的に証明された2つのポイント


日本で大腸がんは増えており、臓器別の患者数では男性で3番目に、女性では2番目に多い(2017年)。死亡数では男性3位、女性では1位(19年)だ。「18年の死亡数予測は男女ともに米国を抜いています。日本人の大腸がん死亡率は世界トップレベルであり、その対策は十分ではありません」――こう指摘する京都府立医科大学生体免疫栄養学講座教授の内藤裕二医師に大腸がん予防と早期発見のために知っておくべきことを聞いた。

大腸がん予防のポイントは2つだ。

「日本人を対象とした8研究に基づいて『大腸がんのリスクを下げることが、ほぼ確実』と評価されているのが運動です」

運動で骨格筋から分泌される生理活性物質マイオカインは、脳神経系や代謝系などにさまざまな影響を及ぼす。

マイオカインのひとつで、運動によって分泌量が増え、加齢や不活動で量が低下するものに「SPARC」と呼ばれるものがある。SPARCは「ACF(Aberrant crypt foci)」(異常陰窩巣)のアポトーシス(細胞の自殺)を誘導し、大腸がんの発現を抑制することが分かっている。ACFとは、肉眼的には正常に見える大腸粘膜だが、大腸がんの前がん病変と考えられているものだ。

13年に内藤医師らによって発表された研究内容では、発がん物質を与えたマウスに、高強度・短時間・間欠的運動を実施したところ、大腸がんの前病変ACFの数が、運動をしていない群の半分以下になった。健康な若年男性を対象とした研究でも、高強度・短時間・間欠的運動を実施したところ、SPARCが増加した。

「これ以外にも、運動習慣が大腸がんに与える影響について研究した論文は複数あります。どのような運動をすべきかは、その人のそれまでの運動経験によって異なるので1種類には決められません。自分の体力に合った継続できる運動を選ぶようにしてください」

もう1つのポイントが食事だ。

国立がん研究センターなどの研究グループによる「科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」では、大腸がんに関して、飲酒が「確実に」、肥満が「ほぼ確実に」、リスクを上昇させるとなっている。赤肉(牛、豚、羊)はリスクを上昇させる可能性ありだ。

一方、食物繊維、カルシウム、魚由来の不飽和脂肪酸はリスクを下げる可能性がある。

「肉の中でも、加工肉は腸の中の硫黄代謝細菌に関係し、硫化水素を増加させ、炎症や遺伝毒性を引き起こして大腸がんのリスクを上げます。最近、注目を集めているのがブロッコリーやキャベツ、カラシナなどアブラナ科の野菜に含まれる成分グルコシノレートで、生物活性を持つイソチオシアネートといった化合物を形成し、その抗炎症作用で大腸がんを抑制します」

ブロッコリーやキャベツは比較的リーズナブルで、一年を通して手軽に手に入る。大腸がん予防に大いに役立てたい。

■早期発見のためには検査が不可欠

大腸がんは、予後が良いがんだ。早期発見、早期治療で95%以上が「完治」する。

「大腸がんは進行するまで自覚症状がないので、早期発見のためには大腸がん検診の受診が不可欠です。便潜血反応では早期がんは発見率が落ちるので、大腸内視鏡検査を強くお勧めします。40歳以上で、異常がこれまで見つかったことがない人であれば、5年に1度が理想的です」

現在は検査技術が向上し、「大腸内視鏡=痛い」ではなくなってきている。

「人工知能(AI)で内視鏡の画像を解析し、検査中にリアルタイムでがんを高精度に判別するソフトも登場。がんの認識率は格段に上がっています」

女性では、大腸がんはがん死亡率1位だが、大腸内視鏡検査を受ける人が増えれば、この数字は簡単に塗り替えられるだろう。早期発見・早期治療の術があるのだから、その恩恵が受けられる機会を逃すのは損だ。

顔面神経麻痺、大腸がん、胃がん、目の異常…不調の要因は夫へのストレス


時間に追われる毎日を送っていたあの頃。無理することが当たり前という生活に、気がつけば体が悲鳴を上げて──(「読者体験手記」より)

◆あてがない以上、自分で稼がなくては

ああ、よく働いた。時々思い出しては自分をほめたり後悔したり。70歳になり、来し方を振り返ると、いつも誰かのために働いてばかりだった。それが知らず知らずストレスと病のもとをためていたのかもしれない。

25歳で結婚し、子どもを3人産み家事育児に専念した20代。夫は薄給の上、夫の親はすでに亡く、私の親も事情があり一切頼ることはできなかった。末っ子の次女が幼稚園に入るのを機に内職を始めた。少しでもスキマ時間を利用してお金を稼ぎたかったのだ。1万円足らずのために納期に間に合わせようと徹夜もした。

その後、子どもの成長に合わせ、配達などの仕事も始めダブルワークに。子らは3人とも別々のスポーツに夢中になり、なにかと物入りで、週末は試合の世話に駆け回る。睡眠時間も短く、いつもコマネズミのように動いていたと思う。

5人きょうだいで唯一の男である夫は、田舎の冠婚葬祭の費用を一手に担っている。嫁の私は顔も知らない親戚の台所の手伝いに駆り出された。体力も気も使い、帰宅しても疲れ果てて寝つけず、睡眠導入剤を飲んだことも。

やり切れぬ思いをぶつける場もなくストレスは蓄積される。だが、無理をすることに体も少しずつ慣れていったのだろう。

◆極度のストレスから顔面神経麻痺に

口下手な夫は、不満があると突然、家具に当たり散らした。原因がわからず家族はおびえ、私は40歳を過ぎた頃、極度のストレスによる自律神経の乱れから顔面神経麻痺になった。

顔半分の麻痺は表情を奪い、日常の家事はできたが食事はこぼし、歯磨きも会話も不自由で情けなかった。仕事も断念するしかなかったが、しかしこんな形で神様が休みをくれたと開き直るのも、我ながら早かった。

一度、子どもの進学で費用がかさむことを夫に相談したら、私の親に借りればと一言。期待はしていなかったが愕然とし、この時、心の中で夫を見限った。もう、自分が何とかするしかない。

顔面神経麻痺は1年かけて快復、その後私は、働き方改革を実行することに。ダブルワークをやめ、それまでの収入より少しでもプラスになる営業職へと転職した。

新しい営業の仕事はやりがいがあり、時間もある程度は融通がきく。自宅に立ち寄り夕食を作れた日は、残業もできた。自分のペースでこなし、何より結果を出せば収入に跳ね返ってくる達成感があった。

やがて子どもたちも進学し、気持ちに余裕ができた。恋の予感にドキドキしたのもこの頃である。しかし悲しいかな、稼がねばの思いは脳に強くインプットされていて、仕事優先の日々は変えられない。貧乏性になっていたのだ。

◆「病気知らずの元気な母さん」のはずが

60代半ばのことだった。健康診断で初期の大腸がんが見つかる。青天の霹靂だった。さいわい内視鏡手術で入院もしないで済み、転移もなかったので家族には告げなかった。

そして2年後、健康診断を担当したかかりつけ医からすぐ来るようにとの連絡が入る。胃の内視鏡の結果が悪かったにちがいない。案の定、ポリープを調べたらがん細胞が見つかり、ただちに大学病院へ行くようにとのことだった。

1ヵ月後に入院・手術となった。内視鏡で大丈夫といわれたが、術後の検査でリンパへの転移が懸念され、退院2週間後に再入院し、開腹手術を受けた。この2度の入院手術は心身へのダメージが強く、手術後も痛みや不具合があり、管につながれたベッドの上で落ち込んだ。

胃の術後ゆえ食事制限もあり、痩せ気味の私の体重はさらに激減し、あっという間に体力はなくなった。酒も飲まず偏食もせず、運動もして健康的な生活をしていたつもりの自分が、ステージIIの胃がんとは。いつ日常を取り戻せるのか、不安で不眠に悩まされた。

成長し、家を出た子どもたちが遠方から駆けつけ、付き添ってくれたのは心強かった。これまで病気知らずの「元気な母さん」だったので、子どもたちもショックを受けたようだ。

発熱や痛みでしばらく体調が悪く、体にメスを入れるしんどさは、これほどつらいものかと思った。克服したというにはほど遠く、定期的に検査を受け、結果を聞きに行くたびにドキドキである。少しの体の不調にも再発の2文字が浮かんでしまう。

◆またもや試練が訪れる

やっと日常を取り戻した1年後、またもや試練が訪れた。今度は眼科。定期検診で眼球の異常を告げられたのである。硝子体(しょうしたい)に穴が開き手術が必要とのこと。コロナでピリピリしている猛暑のなかでの入院だった。

部分麻酔での手術は怖く、術後は10日間の安静。痛みこそないが、うつぶせ寝の闇の中で過ごすのは不安だった。さらに視力が完全に回復するまでひと月近くかかったのである。

大腸がんから5年経過して安心したのもつかの間、2度の胃がん手術、そして1年後の目の手術と、病気のオンパレードのこの数年。病は音もたてず静かに忍び寄ってくることを実感した。

人生100年とは言うが、70歳まで生きて、この先は誰かの世話になる日もくるのだろうか。人に迷惑をかけずにこの世を去りたいが、寿命ばかりは決められない。何かと生きにくいこの頃だが、命あることに感謝して、ただ日常を生きていくしかないのである。

※婦人公論では「読者体験手記」を随時募集しています。

AI活用し大腸がんの見逃しを防止 診断システムが医療機器承認、がんセンターとNECが開発


診断システム「WISE VISION 内視鏡画像解析AI」の概略図(国立がん研究センター提供)

病気のサイン 「原因不明の肌荒れ」は大腸がんの可能性も


全身に現れる「体調不良のサイン」

全身に現れる「体調不良のサイン」

写真4枚

 ただでさえ億劫な通院、院内感染への不安もあってためらう人が多いという。だが、『放っておくとこわい症状大全』(ダイヤモンド社)の著者で循環器内科の名医・秋津壽男氏は、「些細な体調不良が、死に至る病のサインであることは少なくない」と話す。


「異変に気づくには、普段から『自分の正常』がどういう状態かを知っておく必要があります。日ごろから体温や体重、血圧などを測定して、便や尿の状態も確認しておく。そうすれば異変に素早く気づくことができます」(秋津医師)


 コロナ禍で、院内感染を怖れて通院を避ける高齢者が多いという。厚生労働省が発表した「全国の医療機関の患者数の変化」(8月19日)によると、5月の外来患者は前年同月比で2割減少した。

 だが、秋津医師はこう警鐘を鳴らす。


「日本人の新型コロナ感染者の死亡率は1%未満ですが、体のサインで見つかる病気には20~30%の確率で死に至る大病もあり、コロナよりはるかに怖い。


 最初は総合的に診てくれる町のクリニックを受診すれば、専門の病院を紹介してもらえるので、コロナを過剰に怖れるのではなく、体のSOSにきちんと耳を傾けて、早めに受診してほしい」

病気のサイン 「原因不明の肌荒れ」は大腸がんの可能性も


全身に現れる「体調不良のサイン」

全身に現れる「体調不良のサイン」

写真4枚

 ただでさえ億劫な通院、院内感染への不安もあってためらう人が多いという。だが、『放っておくとこわい症状大全』(ダイヤモンド社)の著者で循環器内科の名医・秋津壽男氏は、「些細な体調不良が、死に至る病のサインであることは少なくない」と話す。


「異変に気づくには、普段から『自分の正常』がどういう状態かを知っておく必要があります。日ごろから体温や体重、血圧などを測定して、便や尿の状態も確認しておく。そうすれば異変に素早く気づくことができます」(秋津医師)


 コロナ禍で、院内感染を怖れて通院を避ける高齢者が多いという。厚生労働省が発表した「全国の医療機関の患者数の変化」(8月19日)によると、5月の外来患者は前年同月比で2割減少した。

 だが、秋津医師はこう警鐘を鳴らす。


「日本人の新型コロナ感染者の死亡率は1%未満ですが、体のサインで見つかる病気には20~30%の確率で死に至る大病もあり、コロナよりはるかに怖い。


 最初は総合的に診てくれる町のクリニックを受診すれば、専門の病院を紹介してもらえるので、コロナを過剰に怖れるのではなく、体のSOSにきちんと耳を傾けて、早めに受診してほしい」

「塩辛い食べ物」が大好きな人は胃がんになりやすい


塩辛い食べ物が好きな人は注意が必要                                                 

 塩辛い食べ物、つまり塩分が多く含まれている食品の摂取が多いほど「胃がんになりやすい」という研究はこれまでに複数報告されています。ただ、実際の塩分摂取量ではなく、塩辛い食べ物に対する「好みの強さ」と胃がん発症リスクの関連についてはあまり検討されていませんでした。日本疫学会誌2016年2月号に、「塩辛い食べ物に対する好みが胃がん発症と関連するのか」を検討した前向き観察研究が掲載されています。

 この研究では、がんや心臓病のない40~79歳の日本人4万729人を対象に、アンケート調査を行っています。塩辛い食べ物の好みに関して「全く好まない」「どちらかといえば好まない」「どちらとも言えない」「どちらかといえば好む」「強く好む」の5つのグループに分け、14・3年間(中央値)追跡調査しています。

「アルコールの摂取」「喫煙状況」「胃がんの家族歴」「野菜や果物の摂取頻度」「塩分の摂取量」など結果に影響を与えうる因子で調整し、胃がんの発症リスクを検討しました。

 その結果、胃がんの発症は「どちらとも言えない」と答えた人たちに比べて、「強く好む」と答えた人たちで31%、統計的にも有意に増加しました。しかし、「どちらかといえば好む」「どちらかといえば好まない」「全く好まない」と答えた人たちでは、「どちらとも言えない」と答えた人たちとほぼ同等で、統計的に有意な差もありませんでした。

 この研究から「塩辛い食べ物への好みが胃がんのリスクと関連する」とまでは言い切れない部分もありますが、「塩辛い食べ物が大好物である」というのは、胃がんの危険因子のひとつと考えてもいいかもしれません。



ピロリ菌除菌の5年後に「胃がんで死亡」の患者に学ぶこと


胃がんに対しては予防・早期発見・再発防止の三段構えで対策する必要があります。今回は、胃がん対策として有効な「ピロリ菌の除菌」と「定期的な内視鏡検査」について紹介します。本記事では、藤田胃腸科病院理事長・院長の本郷仁志氏が、胃腸の健康に関する正しい知識や、氏が普段の診療の中でアドバイスしている健康維持の秘訣等を紹介します。
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ピロリ菌感染者が全て胃がんになるわけではないが…

【心得その1】

ピロリ菌感染、恐れるに足らず

いざ検査をしてピロリ菌に感染していることが分かってもショックを受ける必要はありません。ピロリ菌感染者が全て胃がんになるわけではないことはすでにお話したとおり。胃に症状がある方は、除菌することで症状が改善することもありますし、若い人ほど、除菌することで将来胃がんになる危険性を減らすことができます。しかし、将来がんができる可能性があるといっても今日、明日という話ではありません。その際に除菌するかどうかは、医師にアドバイスを求めるといいでしょう。

除菌療法では、胃酸の分泌を抑える薬を1種類、抗菌薬を2種類、合計3つの薬を1日2回、7日間にわたって服用します。要は薬を毎日飲むだけ。とても簡単な治療です。手術を受ける必要がなければ、通院の必要もありませんから、負担はとても少ないといえます。ただし、注意点はいくつかあります。まず、服用はよほどのことがない限り中止しないこと。自分の判断で服用をやめてしまうと、ピロリ菌が耐性を持つ(薬に対して抵抗力を付ける)ことがあります。これでは元も子もありません。

自分の判断で服用を中止するケースとしては、副作用に驚くことが多いようです。便が軟らかくなったり、下痢気味になったり、味覚異常になったり。こうした症状にビックリするわけです。また、服用をやめないまでも薬の量や飲む回数を減らす人もいます。しかし、ここは初志貫徹でお願いしたいところです。当院では、現在までに1万人以上の方に除菌治療を行っていますが、後遺症を残すような副作用が出た人は一人もいません。

ただ、症状がひどくなったときは医師に相談してください。発熱・腹痛を伴う下痢になったとき、下痢に血液が混じっているとき、そして発疹があったときなどは、薬を中止することがあります。

「本当にピロリ菌が除菌できたのか」を確認する

【心得その2】

ピロリ菌除菌と検査で胃がんを99%防ぐ

ピロリ菌除菌と検査で胃がんを99%防ぐ

ピロリ菌の除菌療法を全て終えたからといって安心はできません。今度は「本当にピロリ菌が除菌できたのか」をしっかり確認してもらう必要があります。ここは何度でも強調しておきたいポイントです。なぜこの部分を強調するのかといえば「薬を全部飲んだからもう大丈夫」と早飲み込みする患者さんが多いからです。「除菌=安心」と思いたい気持ちは分かりますが、最後の詰めを甘くすれば、それでつらい目に遭うのは本人(とそのご家族)です。

除菌療法をしてもピロリ菌を全滅できないことに驚くかもしれませんが、何事も100%は難しいものです。一次除菌療法の成功率は75~90%。かなり高い成功率ですが、それでも除菌しきれないケースがあることは知っておくべきでしょう。 実際に、ピロリ菌の除菌療法を受けたにもかかわらず、最終的な検査をしなかったがために、5年後に胃がんで亡くなった患者さんもいます。もし最終的な検査を受けていたら、ピロリ菌が完全に除菌できていなかったことが分かり、次の手を打てたはずです。

除菌が残念ながら失敗に終わったときには、二次除菌療法が用意されています。一次除菌療法と同様の薬を飲むだけですが、2種類使っていた抗菌薬のうち一つを別のものに変更します。毎日3つの薬(胃酸の分泌を抑える薬1種類・抗菌薬2種類)を2回、7日間にわたって飲み続け、その後4週間以上経ってから再び検査を行います。

二次除菌療法を行えば、一次と併せ99%の人が除菌に成功するといわれていますから、ここまでくれば、第一段階終了。先ほどの「がんの発生そのものを防ぐこと」の一部はクリアできるわけです。しかし、残念ながら、除菌に成功した方にもがんができる可能性は十分残されています。この時期のがん細胞は顕微鏡でしか見えず、胃カメラで見ても分かりません。除菌により慢性胃炎の活動性を抑えることはできたとしても、細胞レベルで発生しているがんを殺すことはできないのです。

そこで「胃がんは早く見つければ助かる病気」と私が強調していたことを思い出してください。胃がんは早期のうちに適切な処置を行えば、5年生存率は94.9%でした。となれば、早期のうちに見つければいいだけのこと。すなわち「検診」(定期検査)です。当病院で発見された胃がん患者を対象としたデータがあります。発見時からさかのぼって、いつ内視鏡検査を受けたかを調べたものです。それによると、胃がん発見の1年および2年以内に胃カメラ検査を受けた記録のある方では100%近く「早期がん」の状態で見つかっています。3~4年で85%が「早期がん」でした。

ところが、これが5年以上検査をしていなかった場合となると、半数近くの方が「進行がん」の状態で見つかっています。つまり、1年または2年ごとに内視鏡検査を受けておけば早期の段階でがんを発見できるということです。参考までに最近5年間の当院の数字を挙げると、内視鏡検査から1年以内に胃がんが見つかった30例のうち外科手術に至ったケースはわずか2例。内視鏡切除率は約97%となっています。

また、内視鏡検査から2年以内に見つかった87例に関しては外科手術に至ったケースが22例。内視鏡切除率は約75%です。早期がんが見つかったとき、体への負担が少ない内視鏡で切除したいのであれば「1年に1回の胃カメラ」がベストということです。早期胃がんは恐れるような存在ではありませんので、適切な処置をすれば、命を落とす可能性はほぼゼロといえます。ピロリ菌の除菌と定期的な内視鏡検査。このコンビネーションはまさに「鬼に金棒」なのです。

ですから、特にピロリ菌感染の疑いのある中高年の方には、早急に検査を受けていただきたいのですが、一方で私が推奨するピロリ菌検査の「適齢期」は20歳まで。全体に徹底しやすいのは中学生のころです。免疫力も大人と同じくらい発達していますし、検査や治療も正しく行える年齢です。10代のピロリ菌保持者は5%(以下)程度ですから、このタイミングで除菌できれば、この世代の胃がん検診は必要でなくなり、胃がんを撲滅できる日も遠くはないと考えています。

「胃がん対策先進都市」として行政ぐるみで取り組む

<高槻市は「胃がん対策先進都市」>

当院のある大阪府高槻市では市民に提供する胃がん対策として、中学2年生を対象としたピロリ菌検査と成人を対象としたピロリ菌検査、さらに内視鏡検診の3つを用意しています。これは全国の自治体でも高槻市だけで、胃がん対策では先進的な取り組みを行っていると言えます。しかし、実はそれも最近のこと。かつての高槻市は「後進国」だったのです。2005年の数字ですが、胃がん検診の受診率は全国平均で12.4%。大阪府全体では6.8%でした。高槻市単体で見ると、わずか3.4%。大阪府の43市町村のうちで39位という状況でした。

この状況を何とかしようと市内の医療関係者が連携を取り、2007年から個別検診の導入やがん検診精度管理委員会の発足および行政への働きかけ等をスタート。これには濱田市長をはじめ行政の協力が必要でしたが、私もその働きかけに中心的に関わりました。その後、行政や大阪医科大学の理解・協力のもと、今の充実した胃がん対策の確立に至りました。私自身もそのメンバーの一人として微力を尽くしたつもりです。

胃がんによる死亡者数は2010年以降、全国的に減ってはいるものの、40代以下の若年層に限っては横ばい状態が続いています。若年層に対しては早い時期のピロリ除菌が効果的ですが、2018年時点では、中高生を対象としたピロリ除菌を実施している市町村は35にしか過ぎません。この数をさらに増やしていくことが重要です。 高槻市の取り組みが着実な実績を積み上げることで、同じような取り組みが全国に広がっていくと確信しています。

胃がんになりやすい食事 イクラや漬け物が指摘される調査


「がん予防」を謳った食材や料理の話は、テレビや雑誌で目にしない日がないほど。しかしその一方で、あまり語られることはないが「がんになりやすい食事」も存在するという。実は今、がん発症と食事の関係について研究が進んでいる。

◆イクラと胃がん

 国立がん研究センターは2004年、岩手、秋田、長野、沖縄の各地域に住む約4万人の男女を10年にわたって追跡調査し、塩分濃度が高い食品の摂取頻度と胃がん発生率の関係を発表した。

 その結果、どの食品でも摂取頻度が高くなるほど胃がんリスクが増した。特に顕著だったのが「イクラ」で、「ほとんど食べない」人と比べて「ほぼ毎日食べる人」の胃がん発症リスクは男性で2.44倍、女性で3.50倍だった。

「高濃度の塩分は胃粘膜を保護する粘液を破壊し、胃酸による胃粘膜の炎症や、胃がんの原因となるヘリコバクターピロリ菌の感染を引き起こすためと考えられます。食品によって差が出た理由は明らかになっていません」(医師で医療ジャーナリストの富家孝氏)

◆漬け物と胃がん

 日本の伝統食である漬け物も、胃がんリスクが指摘される。漬け物の塩分濃度は一般的にイクラより低いが、国際がん研究機関の調査では、日本、中国、韓国の漬け物からニトロソアミンという物質が検出された。

 元ハーバード大学研究員で、ボストン在住の内科医・大西睦子氏が解説する。

「製造上使用されることがある『亜硝酸ナトリウム』が、漬けられる過程で『ニトロソアミン』に変化することで発がん性を生じると考えられています。

 ただし、野菜や酵母、調味料の種類によって発がん物質が生じる量は変化します。塩漬けは微生物の繁殖を抑えて保存性を高める一方、塩分過多のリスクもあります」

大腸はベーコン3枚で2割増 がんリスクは生活習慣で上がる


あの笑顔に勇気づけられる方もいるでしょう。タレントの堀ちえみさん(52)のことです。

 今年2月に舌がんで手術を受けたのに続き、先月には食道がんが判明。取り除いた細胞を病理検査したところ、GW中の2日には「結果はステージ0。追加の治療も外科手術も必要ない」とブログにつづっています。

 その後は、親子丼を作って家族で食べたり、リハビリを受けてから風呂釜の掃除をしたり。病気にめげることなく、前向きに生活されている様子が見て取れます。その調子でぜひがんを克服してほしい。心底、そう思います。

 さて、今回はがんと生活習慣の関係について。食道がんは、飲酒と喫煙に加えて、熱い飲食物がよくありません。イランで5万人を追跡したところ、1日に60度以上の「とても熱い茶」を飲む人は、「冷たい・ぬるい茶」を飲む人に比べて食道がんを発症するリスクが2・4倍高いことが明らかに。

 国立がん研究センターの調査でも、熱い飲食物が食道がんリスクを上げることは「ほぼ確実」。国際がん研究機関は3年前、熱い飲食物を発がん物質に分類しています。大腸がんについては、加工肉です。

 英オックスフォード大などのグループが英国人50万人を6年ほど追跡。毎日ベーコンを3切れ食べる人は、1切れの人より大腸がんリスクが20%増加すると報告。国際的に加工肉が大腸がんリスクになることは注目されていますが、日本はそれほどでもないでしょう。

 英国の保健制度によると、ベーコン1枚は加工肉23グラム相当。76グラムの加工肉は赤身のステーキ230グラムに相当するといいます。果たして、日本にステーキを上回るほどの量のベーコンを毎日食べる人がいるでしょうか。

 それより注目は、肥満と運動不足。これが大腸がんのリスクを上げることが分かっています。大腸がんはメタボの延長線上にあり、減量と運動がリスクを下げます。

 その点でいうと、糖質や甘いものを好んで糖尿病になると、膵臓がんと肝臓がんのリスクが、糖尿病でない人に比べて2倍に。糖尿病の人は、全体のがんを2割増やします。ですから、糖質制限は、がん予防にも重要です。

 先ほど熱いものがよくないといいましたが、コーヒーはほぼ確実に肝臓がんを防ぎ、緑茶は胃がん予防になる可能性があります。イランの研究では、6分待ってから飲むと、リスク低下になりますから、冷まして飲むといいでしょう。

 最後はセックスです。セックスでHPVというウイルスが女性の膣に感染すると子宮頚がんに、咽頭に感染すると咽頭がんになります。特に、咽頭の中央部の中咽頭がんは、半分がHPVが原因とされますから、男性も要注意です。

中川恵一:東大医学部附属病院放射線科准教授
1960年生まれ。東大医学部医学科卒業。同院緩和ケア診療部長を兼務。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

大腸切除でお腹を壊しやすくなり体重も増えやすくなった【「がん家系」に生まれて】朝香さん(モデル・美肌温泉家)


リンチ症候群は、比較的若い年代で大腸がんが発症することが多く、それ以外のがんのリスクも高くなることが報告されています。子宮内膜がん、胃がん、卵巣がん、膵臓がんなどですが、日本人の研究が進んでいないので、基本的には欧米人の調査結果です。

 母は子宮体がんを最初に発症し、大腸がん、胃がん、膵臓がんも見つかった。私は、リスクが高いとされるがんについては、半年に1回、検査を受けています。毎年1月は“検査祭り”なので、結構忙しいですね。また、今後の研究のために、治験への細胞提供をしています。

 大腸がんの手術による影響はいくつかあります。まず、切除した部分が長かったせいか、お腹を壊しやすくなりました。「よく噛みましょう」と言われますが、私の場合、本当によく噛まないとお腹を壊してしまいます。美肌温泉家の取材で各地の温泉に出向いている私には、これが結構厄介なんです。特にプレスツアーなどの場合は、時間がありませんから、早く食事をしなくてはならない。よく噛むことがなかなか難しくなるんです。

 早くに大腸がんが見つかっていたら、そもそも大腸を切らなくてもよかったわけで、そうすると、お腹を壊しやすくならなかったのになと、時々思います。

 次に、体調を崩しやすくなりました。これは、手術の影響かどうかは正確には分からないんですが、時に起き上がれなくなることも。生理前後は特に頻度が高い。ただ、仕事は休めませんから、体調を崩しても死ぬ思いで頑張っています。なお、食事制限は今は別にありません。

 さらに、太りやすくなりました。手術の前から「大腸を切ると太りやすくなりますよ」とは言われていたんです。私、それまでいくら食べても太らない体質だったんですが、主治医に言われた通りになりましたね。同じ食生活、同じ運動量のままだと太るとのことでしたが、今以上運動する時間を増やすのは難しい。体調や年齢の問題から、ランウエーショーに出るモデルは難しいかなとも感じていたので、体をがっつり使うモデルではなく、企業広告のモデルに仕事をシフトしていこうとしていました。

 太ったといっても、3キロ程度。ファッション系は無理かもしれないけど、企業広告やCMならまだまだいける、という見通しがあったんです。実際その通りだったのですが、がんの手術後に交通事故に遭ってしまうのです。それが影響して運動をできなくなり、ヒールも履けなくなり、体重が15キロ増えてしまった。さすがにこれでは企業広告のモデルもできないとなり、以前から書いていた温泉コラムの仕事により力を入れるようになったのです。

▽1974年8月生まれ。44歳。北海道出身。モデルとしてCMなどに多数出演。現在は温泉観光実践士協会理事、温泉ソムリエアンバサダーも務める。

胃酸を抑えるPPIで胃がんリスクが増してしまう落とし穴


 どんな薬にも、必ず効能などの「メリット」と、副作用などの「デメリット」がある。その両方を天秤に掛け、患者にとってメリットのほうが大きいと判断されたときに薬が処方される。だが、その判断が必ず信頼できるとは限らない。

 そこで、病気の専門家である医師に「もし患者になったら、どの薬を飲まないか」とぶつけた──。マールクリニック横須賀院長の水野靖大医師(消化器内科)がいう。

「もし私が胃痛で医療機関を受診したとしたら、いきなりプロトンポンプ阻害薬(PPI)を処方されても飲みたくないですね」

 処方薬であるPPIは、胃酸を抑える効能がある。胃酸が逆流することで食道に炎症を引き起こす「逆流性食道炎」に処方されるケースが多い。逆流性食道炎は、炎症による胃の痛みや胸やけだけでなく、喉の痛みや長引く咳を引き起こすこともある。

 胃酸を抑えることはその治療につながるはずだが、水野医師はなぜ“いきなり処方されても飲みたくない”というのか。

「もし胃の中にピロリ菌が存在した場合、胃酸が減少した環境下では菌が活動しやすくなり、増殖を促してしまう。すると、萎縮性胃炎が進行し、胃がんのリスクが増えてしまうのです」

専門医であれば処方前にピロリ菌検査をする。だが、専門外の医師の場合はそれを省くことがあるという。

「市販薬にPPIは存在しないので、知らずにドラッグストアで買ってしまう心配はありません。医師から長期処方を受ける場合には、ピロリ菌検査を求めるか、H2ブロッカーなど別の薬にできないか相談してみるのがよいでしょう」(水野医師)

■ 大腸がん 「切る」以外の選択肢


大腸がん治療 ひと昔前は「腹を切る」選択しかなかったが…

 日本人の死因第1位であるがん。これまで長く、「見つけたら切る」が治療の常識だった。外科手術でがんをすべて切除すれば再発の可能性が減るという前提に立ち、「早期発見、早期切除」が大目標とされてきた。

 だが近年、その常識が変わってきている。歳を重ねるほどに「手術を受けない」という選択も有力になってくるのだ。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が解説する。

「加齢とともに、手術自体に体が耐えられないリスク、さらには手術の合併症で後遺症が残ったり命にかかわるリスクは高くなります。がんを治すための『切る』という行為が、かえって余命を縮めることもあるのです」(室井氏)

 例えば、男女合わせた新規患者数が最も多く、男性の罹患者数では2番目となる大腸がん。ひと昔前は“腹を切る”という選択しかなかったが、より患者の負担が少ない治療が一般的になってきた。

 東京都立駒込病院大腸外科部長の高橋慶一医師(56)はこう話す。

「現在、大腸がんの患者が『開腹手術』をするのは、腫瘍が10cmを超えるなどごく一部のケースに限られます。昨年の当病院は9割が『腹腔鏡手術』と、専用のカメラとロボットアームを使う『ロボット支援手術』でした。ステージ0の超早期の患者は、お尻から入れた内視鏡で除去することもあります」

歳を重ねていれば、治療を取りやめるという判断も有力になってくる。

 2017年に国立がん研究センターが全国のがん拠点病院の症例を集計したデータでは、大腸がんのステージIVで「治療なし」の割合は65~74歳では6.7%だが、75歳以上では14.7%と倍増し、85歳以上では36.1%と3人に1人に達する。

「肛門に近い部分の大腸がんを切除すると排尿障害や性機能障害などの後遺症や、人工肛門になるケースがあります。

 ロボット支援手術や腹腔鏡手術だと神経や肛門を温存しやすく、これらのリスクを減らすことができる。その場合でも、抗がん剤治療や放射線治療は可能です」(高橋医師)

大腸がんの兆候 便の異変と「便秘と下痢の繰り返し」


 3464万円。これは東京都杉並区が「がん検診精度管理強化費」として計上した来年度予算だ。それもそのはず、杉並区のがん検診は“ザル”だった。肺がん検診で「見落とし」ミスが相次ぎ、昨年、40代女性が亡くなった。

 同様の見落としは全国で起きている。2017年11月には兵庫県の県立柏原病院においてわきの下にできたがん腫瘍が、2016年3月には福岡県の北九州市立医療センターにおいて肺がんがそれぞれ見落とされていたことが明らかになった。きちんと検診を受けて「異常なし」のお墨付きをもらっても、「絶対に大丈夫」とは言い切れない。

 がん患者の数は増加傾向にあり、年間37万人が命を落とす。だからこそ、漫然と検診を受けるだけでなく、できるだけ自分で不調に気がつき、早期に見つける必要がある。医療ジャーナリストの村上和巳さんが言う。

「そのためには、体が発する“小さなサイン”を敏感に感じ取り、自分自身で防衛しなければなりません。些細な症状や異変が、がんの兆候であるケースは、決して珍しくありません」

 たしかにがんは恐いが、一朝一夕で大きくなることはなく、すぐに死に至るわけではない。時間をかけて進行するからこそ、いかに初期に気がつき、“芽”を摘むかが重要なのだ。専門家の知識と経験をもとに、「がんのはじまり」を見つけにいこう。

◆【大腸がん】繰り返される便秘と下痢

 大腸がんは、がんにおける女性の死因第1位。だが、決して治りにくい病気ではない。東京ミッドタウンクリニックの森山紀之医師が説明する。

「基本的に大腸がんの進行は遅く、ある程度大きくなってから見つかったとしても、治る可能性が高い。同じステージで3cmのがんだったとして、すい臓がんなら予後が難しいけれど、大腸がんは充分治療できます。死亡率が高いのは、検診を受けないばかりか、異変があっても気がつかず放置してしまい、進行した状態で見つかる人が多いからです。

 気がつかない、いちばんの理由は痛みがないこと。大腸の粘膜は痛みを感じる神経がないため、初期の段階ではがんによる腹痛を感じることがないのです」

 そんな大腸がんでわかりやすい兆候は、「便秘と下痢の繰り返し」。森山さんが続ける。

「大腸にがんができると、腫瘍が盛り上がって硬くなり、腸自体が細くなります。すると細くなった腸の上に便がたまり、通過しづらくなるため、便秘になる。

 その状態がある程度続くと、今度はたまった便を排出するために腸が水分を取り込んで便を溶かし、下痢になる。

 便秘と下痢のサイクルは3日に1回、1週間に1回など個人差があるが、繰り返されるようならば、大腸がんを疑った方がいいでしょう」

 もっと早期の段階では、腹痛を覚えることもあるという。

ピロリ菌を除去しても胃がんに絶対ならないとは限らない


毎年多くの人が、癌(がん)で亡くなられ、闘病をされています。成人の約3分の1が癌になるのですから、結構な確率です。ここ最近増えているのが肺癌です。喫煙が重要因子ではありますが、それ以外にも大気汚染など様々な外的因子が関係しているようです。その中で、以前は胃癌大国であった日本で、胃癌の死亡率が減少しています。以前にも紹介した胃カメラ(上部消化管内視鏡)による健診が増えたのが理由の一つです。もう一つの大きな要因は、ヘリコバクターピロリ菌(以下ピロリ菌)の除去が広く行われるようになったからです。

 かつてピロリ菌の除菌は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍のある人にしか保険適応とされていませんでしたが、現在は慢性胃炎などの人にも保険治療が適応されます。様々なデータがありますが、除菌前と除菌後では、胃癌になる確率が3分の1程度まで下がるといわれています。ですから、ピロリ菌に感染している人は、必ず除菌をしてほしいのです。現在は、生涯で2回のみ保険適応となっています。

 気をつけてほしいのは、胃癌になる可能性が“3分の1”になっただけで、除菌=可能性ゼロになるわけではないということ。ここを勘違いしている人がたくさんいます。例えば、幼少期に感染したピロリ菌は、数十年かけて胃粘膜を委縮させ、さらには前癌状態とも言われている腸上皮化生という状態にまで正常胃粘膜を悪化させている可能性が高いのです。除菌しても、それまでに悪化した状態が劇的に改善するわけではないので、癌になる因子は残っているということです。また、ピロリ菌に再感染してしまうケースもあります。

 ピロリ菌に感染している人は、胃カメラを受ける年齢が遅ければ遅いほど、既に悪くなっているリスクは高まります。ですから、若い人ほど胃カメラを受け、感染を認めれば、直ちに除菌をしてほしいのです。それにより、胃癌発症のリスクはかなり軽減します。もちろん、その場合でも胃癌になるリスクが“3分の1”以下になっただけという認識は持つべきです。除菌後でも年に一度は胃カメラを受けて、癌の早期発見を心がけてほしいです。早期胃癌であれば、かなりの確率で内視鏡治療を施すことで完全に治癒することが可能です。今は癌と言っても死刑宣告ではないのですから。

 また、胃癌の中にも、上記とは違った形で出現する怖い癌があります。ピロリ菌の感染などと関係なく、出現してくる癌です。このタイプの癌も早期に見つけることは難しいのですが、胃カメラを受けて早期発見できれば、治癒する確率は高まります。胃癌になる因子としてピロリ菌の感染以外に、塩分の過剰摂取、喫煙なども挙げられています。遺伝的な要因はないとされていますが、親族内で胃癌が多発しているケースも時々みます。これはピロリ菌の感染であったり、生活習慣が引き起こしたのかもしれません。

 癌の予防は難しいのですが、防ぎようがないと諦めるのではなく、積極的な治療でリスクの軽減を図れるということを知っていただきたいのです。多くの患者さんが癌と戦いながら、日常生活を送っています。回復に向かうことを心から祈っております。健診は意味がない、癌と戦うなという医師もいますが、私の経験から納得できる一般的な意見を述べさせてもらいました。

 ◆筆者プロフィール

 谷光利昭(たにみつ・としあき)たにみつ内科院長。1969年、大阪府生まれ。93年大阪医科大卒、外科医として三井記念病院、栃木県立がんセンターなどで勤務。06年に兵庫県伊丹市で「たにみつ内科」を開院。地域のホームドクターとして奮闘中。
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