あなたの健康はお金で買えますか・・・? ■歯周病・口内炎・口腔ケア・知覚過敏
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チョコレートより虫歯になりやすい、危険な○○とは!?

◆虫歯予防の進化

■従来の虫歯予防の考え方
虫歯になるまでのプロセスとは、虫歯菌などの塊であるプラークが歯の表面に付着し、歯の表面に穴を開けるというものです。

このまま放置すると歯に穴を開けて虫歯になるため、プラークをなるべく早く歯ブラシでブラッシングして機械的に除去(できれば食事の後3分以内)というものです。歯の表面に付着したプラークをどれだけ取り除けるのかに重点をおいた虫歯予防法です。

■新しい虫歯予防の考え方
従来のプラーク除去法に加えて、口腔環境の時間的経過や変化をふまえて行なう虫歯予防法です。食事をすると口の中や歯の表面のpHが変化するため、このpH変化を虫歯予防に役立てるというものです。歯磨きも食事の後すぐではなく、1時間程度してからのほうがベターといわれています。
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◆口腔内のpH環境をシンプルにまとめると……

口の中は唾液の中和成分の働きで、常に中性付近を保とうとしますが、単純にいうとpHが酸性になると歯の表面からミネラル分が溶け出して歯を溶かし、アルカリ性になるとミネラル分が沈着して歯石が増えるようになります。どちらかに一方的に傾いてしまうと問題が起こりますが、時間とともに唾液が自然に中和してくれます。さらに酸性状態から中性に戻ろうとする場合には溶けた歯の再生が行なわれます。ちなみにエナメル質が溶けるのは、pH5.5以下がおおよその目安といわれています。

酸性で歯が溶けるといっても1日単位では歯の表面がわずかに脱灰される程度。全く心配はいりません。しかし長期間に渡って中性に戻れないような状態が続くと、歯の表面が酸で徐々に溶かされてしまう酸蝕症になります。酸蝕症はプラークが付着していなくても歯が溶けてしまう状態なのです。
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◆食後は酸性のダブルパンチ

酸性の食品を口にすることによって、直接的に歯が溶かされる酸蝕症。でも大事なことを忘れていませんか? それは虫歯の原因プラークです。実はプラークも栄養源となる糖などを元に酸を産生します。この酸で歯に穴を開けて虫歯を作っていくのです。このため食事の後は食品自体のpHと糖などを分解してプラークが作り出す酸によって、歯には過酷な酸性環境に陥りやすくなります。すぐに唾液が中和を開始しますが、一度酸性に傾いた状態を中性まで回復するには数時間必要と考えられています。特にプラーク内部は中和成分である唾液がなかなか入り込むことができないため、酸性状態が続きやすく、プラークが歯に付着していると虫歯になりやすいといわれるのはこのためです。

◆チョコレートより危険な「だらだら食べ」

「唾液」の力によっておこなう再石灰化とは、酸性環境で歯の表面から溶け出してしまったミネラルが補充されて、歯が再生されることです。それは食事と食事の間隔が長いほどしっかりと行なわれますが、再生にかかる具体的な時間は、まだしっかりとしたエビデンスがありません。チョコレートを食べても再生までの時間をしっかり与えれば、問題は起こりませんが、食後の酸性ダブルパンチがいつまでも続くような、ジュースや甘い物、スナックなどの「だらだら食べ」は、歯に酸のダメージが蓄積されてしまいます。しかもだらだら食べた後に歯磨きをすると、酸によって柔らかくなっている歯を歯ブラシの毛先で傷をつけるトリプルパンチとなります。

これからの歯のケアは、目で確認できるプラークのほかに酸の影響もイメージすることをオススメします。

いますぐチェック!忍び寄る魔の「歯周病」自己チェック9項目

口内環境が健康寿命を左右する、ということをご存じだろうか。口は、食べ物の入口であるが、病気の入口にもなりうる。全身の健康をも左右する「歯周病」の原因と予防法を知り、健康維持のために日常生活を見直したい。

かつて歯槽膿漏と呼ばれていたせいか、歯周病は高齢者特有の病気と捉える人がいる。しかし、歯周病は10代にも見られ、加齢とともに増加の一途をたどる。50代後半ともなると罹患者は5割近くになり、日本人の約7割が罹っているとする統計もある。

80歳になっても自分の歯を20本保とうという運動をする8020推進財団の調査によると、日本人が歯を失う原因の第一が歯周病だ。軽度の症状は、歯ぐき(歯肉)が腫れたり、歯を磨くと血が出たりする程度だが、重度になると歯がぐらぐらして、やがて抜け落ちる。

歯科医師の野本秀材さんは、抜けるまで放置される要因として早期発見の難しさを挙げる。

「虫歯と違い、歯周病には痛みがありません。ゆるやかに進行する“静かなる病気”で、歯が揺れてきたと気づくころには、土台の骨は相当溶けてしまっているのです」

歯周病の原因となるのは、数種類の歯周病菌だ。

「口の中には約400種類の常在菌がいて、その中に歯周病菌がいます。歯を磨かないと、歯の表面に歯周病菌が付着、瞬く間に増殖。プラーク(菌の塊)となって歯ぐきとの境目や歯周ポケット(歯と歯ぐきの溝)の中に落ちていく。歯ブラシの毛先が届きにくくなり磨けず、炎症を起こして歯周病になるのです」

虫歯は、菌の毒素や酸によって歯が溶けるもの。一方、歯周病は、菌が歯や骨を溶かすのではない。歯周病菌を排除しようとする体の免疫反応が高まり、結果的に自分の組織を壊す。初期のうちに原因となるプラークやバイオフィルム(菌の膜)を取り除けば、歯周ポケットもなくなり、改善される。

*  *  *

さらに歯周病は、全身の健康にも深く関わっていることが明らかになっている(図参照)。

「歯周病は“糖尿病の合併症”のひとつともいわれます。糖尿病になると、免疫細胞の働きが低下して感染症に罹りやすくなるためです。また、歯周病の人は糖尿病を悪化させやすい」

さらに、心疾患や脳疾患など、循環器系の病気との関連もある。

「それは、口の中にいる歯周病菌が全身を巡るためです。たとえば、歯周病の人が歯磨きをすると歯ぐきから血が出ることがあります。歯周病菌が血流にのって心臓まで行くと、心臓の内膜にプラークとして付着する。それが心内膜炎です。また、誤嚥性肺炎のリスクも高まります。高齢になると、誤嚥をしやすくなるものですが、そこに歯周病菌がいなければ、たとえ肺炎になっても死亡するリスクは少ないといわれています」

野本さんはさらに、健康上の問題がない状態で日常生活を送れる「健康寿命」と口の健康との密接な関係を指摘する。

「健康であることの大前提は、栄養を口から摂れるということ。口の機能がきちんとしていないと、食べることができません。たとえ病気になって入院しても、口から食べられるかどうかで、回復力が違ってきます。近年、健康寿命が注目されています。歯周病のリスクを減らせば、他の生活習慣病の予防にもつながるでしょう」

さあ、さっそく下の【歯周病チェックシート】で、セルフチェックしてみよう。

●歯周病チェックシート
□ 歯ぐきに赤く腫れた部分がある
□ 口臭がなんとなく気になる。
□ 歯ぐきがやせてきたみたいだ。
□ 歯と歯の間にものがつまりやすい。
□ 歯を磨いた後、歯ブラシに血がついたり、すすいだ水に血が混じることがある。
□ 歯と歯の間の歯ぐきが鋭角的な三角形ではなく、うっ血していてブヨブヨしている。
□ ときどき歯が浮いたような感じがする。
□ 指でさわってみて、少しグラつく歯がある。
□ 歯ぐきから膿が出たことがある。

以上、いかがだろうか。判定基準は下記のとおり。

●[チェックが1~2個]の方は、歯周病の可能性があります。歯磨きの仕方を見直し、歯科医院で診てもらいましょう。

●[チェックが3~5個]の方は、初期あるいは中等度歯周炎以上に歯周病が進行しているおそれがあります。早めに歯科医師に相談しましょう。

【今回の案内人】野本秀材さん サクラパーク野本歯科院長。昭和31年、東京生まれ。日本口腔インプラント学会専門医。歯と口腔全体をひとつの器官として捉え、統括的な診療活動に努める。予防歯科学分野にも造詣が深い。

※この記事は『サライ』本誌2016年11月号の「大人の歯磨き基本のき」より転載しました。記事内の肩書き等は取材時のものです(取材・文/大津恭子)

歯周病・虫歯に効果ナシ “歯磨き剤”使用の逆効果(2)

 実は、歯磨き剤には2種類ある。歯石の沈着や口臭などを防ぐための基本成分のみが入っている“化粧品”と、歯と歯茎の健康を保つための薬効成分が含まれている医薬部外品(薬用歯磨き剤)だ。 歯科医師業界の事情に詳しい、健康ジャーナリストの田口豊氏は言う。

 「薬用歯磨き剤には、漢方や消炎剤、ビタミンやプラークを溶解する薬剤が入っているものがありますが、有効成分が吸収できるかどうかの疑問があったり、効果があってもその場限りとしか考えられないものがほとんどなのです」

 そんな中、あえて効果を認めるとすれば、“フッ素入り”と“知覚過敏用”だという。 「フッ素入りは子供や歯ぐきが下がって象牙質が剥き出しになった箇所が虫歯になっている中高年には有効で、プラークの中での細菌の活動を抑制し、歯の質を強化して、再石灰化を促す働きがあります。

一方、冷たい水などが歯にしみる知覚過敏用歯磨き剤は、刺激が通る象牙質の細管の入り口を塞ぎ、痛みを止める効果が得られる。ただし、いずれも根本的な治療にはなりません。あくまでも歯科医に行く前の処置として有効だということです」(同)

 ところで、日本人の40歳以上の80%以上が歯周病を患っているとされる。歯の磨き方や歯磨き剤の選び方も大事だが、歯周病は歯肉の炎症や歯を支える歯槽骨を破壊するだけでなく、全身疾患の誘因にもなる。その怖さも知っておきたいところだ。歯周病は、細菌感染によって起こる炎症性疾患の一つ。その慢性炎症は歯肉だけにとどまらず、菌や炎症物質が血液中に入り込み、たどり着いた先で炎症を引き起こす。
 
「この病の原因菌は、歯周病を発症しなくても、歯磨きや、糸ようじ、つまようじの使用、また、咀嚼などの日常的な行為で常に歯肉粘膜下に侵入しています。ただ、それによって炎症が起こるか起こらないかは、免疫力の差で異なる。そのため、歯肉が腫れてき場合は、免疫力に変化があったことを示しているといいます」(同)

 ともあれ、自分の細胞によって作られた炎症物質も血液に乗って全身に伝わる。女性の場合、子宮に行けば早産や低体重出産が起こることが証明されているという。 「炎症物質は、血中のインスリンの働きも悪くします。その結果、膵臓が疲弊して糖尿病を悪化させるのです。歯周病を治すと、糖尿病がある程度改善することも分かっていますが、全身の動脈硬化も同じようにして起こります」(歯科医師)

 また、歯周病は大動脈瘤で炎症を起こしている部分があると、サイトカイン(細胞から分泌されるタンパク質)の影響によってさらに炎症が進み、動脈瘤が急激に膨れて突然死を招くケースもあると言われる怖い病気だ。「虫歯や歯周病といった口腔内のトラブルは、心臓疾患の大きなリスク要因といえます。

実際、手術を受けるくらいまで心臓が悪くなってしまった患者さんは、口腔内の健康状態が悪いケースが少なくない。そうした患者さんは、そもそも栄養状態が悪く、口腔内の衛生にまで気が回らない人が多いこともあります」(内科医) 重大病にもつながる歯のトラブルを避けるためにも、いま一度、歯磨きを見直そう。

歯周病・虫歯に効果ナシ “歯磨き剤”使用の逆効果(1)

 歯磨きをする際、当たり前のように使っている歯磨き剤。不思議なのは、歯磨きの仕方や歯ブラシの選び方をアドバイスされることはあっても、歯磨き剤について話す歯科医はほとんどいないことだ。 ある歯科医師は、意外にもこんな言い方をする。
 
「歯磨きで一番大切なことは、歯ブラシの使い方です。歯磨き剤は必要ではなく、人によってはデメリットの方が多いかもしれません。少なくとも私は使いませんし、歯科衛生士も使わない人が多いのではないでしょうか」

 そもそも、歯磨きをなぜするのか。歯のトラブルの主な原因は、食べカスなどが歯と歯の間などに残り、放置するとそこに細菌が付着して歯垢(プラーク)を形成するからだ。それを取り除くには、歯ブラシによる除去をしっかり行うことが不可欠。 しかし、その際に歯磨き剤を使うと、磨けていないのに磨けたつもりになり、結果的に虫歯や歯周病のリスクを高めることになるというのだ。

 都内のサラリーマンで歯周病の治療を3年にわたり続けている木下修さん(仮名=56)も、自らの体験をこう語る。 「医師に歯磨きの仕方を改めて指導されて以来、歯磨き剤にも凝るようになったんです。でも、自分ではしっかりと磨き込んだつもりだったのですが、実際には磨けてないと指摘されました。あるいは、『磨き過ぎ』と言われたこともあります。

そこで初めて、歯磨き剤の使用が決して歯周病に効果的ではないことを知ったんです」
 それでも、この間、歯科医師から歯磨き剤についての良し悪しの具体的な説明はなかったという。

 昭和大学歯科病院歯周科担当医は、「歯科医師が歯磨き剤を敬遠する理由の一つに、研磨剤が含まれる点がある」と、次のように説明する。「ホワイトニング専用、ヤニ取りなどを謳っている歯磨き剤には、研磨剤が含まれています。最近、目立って増えているのが、歯ぎしりや食いしばりでくさび状に削れた歯の付け根を、硬い毛の歯ブラシや電動歯ブラシで力任せに横磨きをし、歯をダメにする患者さん。そんな人が研磨剤入りの歯磨き剤を使うと、磨き過ぎに拍車がかかってしまうのです」

 歯磨きは、洗剤で皿洗いをするように、歯の表面の汚れを根こそぎ落とす、というイメージを描きがちだが、細菌は歯ブラシでしっかり磨けば十分除去できる。そこでわざわざ歯磨き剤を使う必要はなく、加えて歯磨き剤は口臭予防の効果についても期待できないという。

 「口臭については、その原因は、口、鼻、内臓由来の呼気に大別できます。このうち、口が原因の口臭は、虫歯や歯周病、舌苔、唾液量の減少によるドライマウスなどで起こる。歯磨き剤を使っても口臭自体が消えるわけではなく、歯磨きで消えたとしても一時的で、それは香水をかけているようなものなのです」(歯科医師)

歯周病・虫歯に効果ナシ “歯磨き剤”使用の逆効果(2)

実は、歯磨き剤には2種類ある。歯石の沈着や口臭などを防ぐための基本成分のみが入っている“化粧品”と、歯と歯茎の健康を保つための薬効成分が含まれている医薬部外品(薬用歯磨き剤)だ。歯科医師業界の事情に詳しい、健康ジャーナリストの田口豊氏は言う。 「薬用歯磨き剤には、漢方や消炎剤、ビタミンやプラークを溶解する薬剤が入っているものがありますが、有効成分が吸収できるかどうかの疑問があったり、効果があってもその場限りとしか考えられないものがほとんどなのです」

 そんな中、あえて効果を認めるとすれば、“フッ素入り”と“知覚過敏用”だという。 「フッ素入りは子供や歯ぐきが下がって象牙質が剥き出しになった箇所が虫歯になっている中高年には有効で、プラークの中での細菌の活動を抑制し、歯の質を強化して、再石灰化を促す働きがあります。一方、冷たい水などが歯にしみる知覚過敏用歯磨き剤は、刺激が通る象牙質の細管の入り口を塞ぎ、痛みを止める効果が得られる。ただし、いずれも根本的な治療にはなりません。あくまでも歯科医に行く前の処置として有効だということです」(同)

 ところで、日本人の40歳以上の80%以上が歯周病を患っているとされる。歯の磨き方や歯磨き剤の選び方も大事だが、歯周病は歯肉の炎症や歯を支える歯槽骨を破壊するだけでなく、全身疾患の誘因にもなる。その怖さも知っておきたいところだ。 歯周病は、細菌感染によって起こる炎症性疾患の一つ。その慢性炎症は歯肉だけにとどまらず、菌や炎症物質が血液中に入り込み、たどり着いた先で炎症を引き起こす。「この病の原因菌は、歯周病を発症しなくても、歯磨きや、糸ようじ、つまようじの使用、また、咀嚼などの日常的な行為で常に歯肉粘膜下に侵入しています。ただ、それによって炎症が起こるか起こらないかは、免疫力の差で異なる。そのため、歯肉が腫れてき場合は、免疫力に変化があったことを示しているといいます」(同)

 ともあれ、自分の細胞によって作られた炎症物質も血液に乗って全身に伝わる。女性の場合、子宮に行けば早産や低体重出産が起こることが証明されているという。 「炎症物質は、血中のインスリンの働きも悪くします。その結果、膵臓が疲弊して糖尿病を悪化させるのです。歯周病を治すと、糖尿病がある程度改善することも分かっていますが、全身の動脈硬化も同じようにして起こります」(歯科医師)

 また、歯周病は大動脈瘤で炎症を起こしている部分があると、サイトカイン(細胞から分泌されるタンパク質)の影響によってさらに炎症が進み、動脈瘤が急激に膨れて突然死を招くケースもあると言われる怖い病気だ。 「虫歯や歯周病といった口腔内のトラブルは、心臓疾患の大きなリスク要因といえます。実際、手術を受けるくらいまで心臓が悪くなってしまった患者さんは、口腔内の健康状態が悪いケースが少なくない。そうした患者さんは、そもそも栄養状態が悪く、口腔内の衛生にまで気が回らない人が多いこともあります」(内科医)

 重大病にもつながる歯のトラブルを避けるためにも、いま一度、歯磨きを見直そう。

歯周病・虫歯に効果ナシ “歯磨き剤”使用の逆効果(1)

 歯磨きをする際、当たり前のように使っている歯磨き剤。不思議なのは、歯磨きの仕方や歯ブラシの選び方をアドバイスされることはあっても、歯磨き剤について話す歯科医はほとんどいないことだ。 ある歯科医師は、意外にもこんな言い方をする。 「歯磨きで一番大切なことは、歯ブラシの使い方です。歯磨き剤は必要ではなく、人によってはデメリットの方が多いかもしれません。少なくとも私は使いませんし、歯科衛生士も使わない人が多いのではないでしょうか」

 そもそも、歯磨きをなぜするのか。歯のトラブルの主な原因は、食べカスなどが歯と歯の間などに残り、放置するとそこに細菌が付着して歯垢(プラーク)を形成するからだ。それを取り除くには、歯ブラシによる除去をしっかり行うことが不可欠。しかし、その際に歯磨き剤を使うと、磨けていないのに磨けたつもりになり、結果的に虫歯や歯周病のリスクを高めることになるというのだ。

 都内のサラリーマンで歯周病の治療を3年にわたり続けている木下修さん(仮名=56)も、自らの体験をこう語る。 「医師に歯磨きの仕方を改めて指導されて以来、歯磨き剤にも凝るようになったんです。でも、自分ではしっかりと磨き込んだつもりだったのですが、実際には磨けてないと指摘されました。あるいは、『磨き過ぎ』と言われたこともあります。そこで初めて、歯磨き剤の使用が決して歯周病に効果的ではないことを知ったんです」 それでも、この間、歯科医師から歯磨き剤についての良し悪しの具体的な説明はなかったという。

 昭和大学歯科病院歯周科担当医は、「歯科医師が歯磨き剤を敬遠する理由の一つに、研磨剤が含まれる点がある」と、次のように説明する。 「ホワイトニング専用、ヤニ取りなどを謳っている歯磨き剤には、研磨剤が含まれています。最近、目立って増えているのが、歯ぎしりや食いしばりでくさび状に削れた歯の付け根を、硬い毛の歯ブラシや電動歯ブラシで力任せに横磨きをし、歯をダメにする患者さん。そんな人が研磨剤入りの歯磨き剤を使うと、磨き過ぎに拍車がかかってしまうのです」

 歯磨きは、洗剤で皿洗いをするように、歯の表面の汚れを根こそぎ落とす、というイメージを描きがちだが、細菌は歯ブラシでしっかり磨けば十分除去できる。そこでわざわざ歯磨き剤を使う必要はなく、加えて歯磨き剤は口臭予防の効果についても期待できないという。「口臭については、その原因は、口、鼻、内臓由来の呼気に大別できます。このうち、口が原因の口臭は、虫歯や歯周病、舌苔、唾液量の減少によるドライマウスなどで起こる。歯磨き剤を使っても口臭自体が消えるわけではなく、歯磨きで消えたとしても一時的で、それは香水をかけているようなものなのです」(歯科医師)

8割が悩む歯周病 予防するお手軽便利グッズとスゴ技

厚生労働省の調査によると、日本の成人男女の約8割が歯周病にかかっているとか。これは一大事。

歯ブラシで歯の表面をこするだけの歯磨きでは不十分なのだ。今回は、虫歯や歯周病の予防に役立つ便利グッズを集めた。歯磨きに使う道具を工夫するだけで予防効果は大幅にアップする。

 虫歯・歯周病予防の基本は毎日の歯磨き。そこで便利なのが、歯の裏用歯ブラシ「トゥースリバースプロ」(サイプラス、実売2052円)。柄がカーブしており、歯の裏側にもブラシがフィットする仕組み。歯の表側も磨けるので、歯磨きはこれ1本あればOK。

 回転式ブラシを使った歯ブラシもある。「クルン回転歯ブラシ」(クルン、475円)がそれ。柄の先についた回転式ブラシを通常の歯ブラシの30%程度の力で歯に当てながら、自力でブラシを転がすだけ。

2万本以上の超極細毛が歯の汚れをかき出す。歯の裏側にも当てやすく、歯茎マッサージにも使える。

■歯ブラシ以外にもバラエティー

 外食をしたときなどは、「歯みがきシート」(花王、432円)を。ウエットティッシュ状のシートを指に巻きつけ、歯の汚れを拭き取る。

 歯ブラシ以外にもある。たとえば口内専用ブラシ「雪繭」(永豊堂、1944円)は、歯茎、舌、頬の裏側をマッサージして汚れやヌメリを取る。

「口内の雑菌は、虫歯や歯周病だけではなく、口内炎や内臓疾患の原因にもなります。雪繭は、群馬県富岡産の生糸を使っており、絹の殺菌作用を利用しています」(永豊堂の担当者)

「エアーフロス」(フィリップス、1万5000円前後)は、時速70キロで水滴を噴射する歯間洗浄の専用器具だ。

「歯ブラシがうまく当たらない歯と歯の間に、取り切れなかった食べ物のカスがたまって炎症が起き、歯周病などに発展するケースも見られます。歯間を洗浄することで、虫歯や歯周病、口臭の予防を助けます」(フィリップスの担当者)

 歯磨きの後に使えば完璧だ。

 歯磨きが不十分だったり、歯周病が発症すると、口臭がひどくなる。そこで「ブレスチェッカー」(タニタ、4320円)。

 息を吹きかけることで、0~5の6段階表示で口臭の強さをチェックできる。

 歯磨きや口内洗浄をしても、歯周病菌や雑菌がついたままの歯ブラシを使っていては意味がない。

「MAXSON歯ブラシ除菌器」(テクレッドジャパン、4500円前後)は、ブラシを逆さまにして差し込みスイッチを入れれば、紫外線を照射して自動的に5分で電源が切れる。歯ブラシ最大4本、舌ブラシ最大2本、合計で4本まで同時に除菌できる。

「歯ブラシなどは水洗いでは除菌できず、歯周病菌や雑菌が繁殖してしまいます。ブラシの使用後に除菌することで、次に使う際、ブラシから口内に雑菌が入るのを防ぎます」(テクレッドジャパンの担当者)

 旅行などに持ち歩きやすい、歯ブラシ1本用の携帯用タイプ(2500円前後)もある。

 各商品は、東急ハンズやロフト、ドラッグストアなどで。「MAXSON歯ブラシ除菌器」は「ケンコーコム」(http://www.kenko.com/)などネット通販で。

長引く口内炎に注意!2週間以上治らない場合「口腔がんの恐れ」も

仕事の疲れや睡眠不足などで、気が付けば口内炎ができていたという経験、心当たりはありませんか? そして、“すぐに治るから”と、特別な治療をせず放置している人も少なくないはず。 

しかし、通常は2週間程度で治るはずの口内炎が、ずっと口の中に残っていたら要注意です。最悪の場合は“口腔(こうくう)がん”だったというケースもあるようです。

そこで今回は江戸川区歯科医師会の運営するホームページ情報を参考に、見過ごしてはいけない“口内炎”の特徴と、その対処法をまとめました。

■口内炎と早期の口腔がんは似ている?

口内炎の経験は誰にでもありますよね。ですが、誰にでもあるからこそ慣れっこになってしまい、治るまで放置していませんか?

しかし、早期の口腔がんと口内炎は似た症状が出る場合も多く、目に見える病気なのにもかかわらず口腔がんの早期発見率は2割を切っているというデータもあるそうです。

このような症状に当てはまったら今すぐ病院へ行ったほうがよいチェック項目を7つ、以下にご紹介します。

(1) 口内炎が“2週間”以上たっても治らない

(2) 口の中に治りにくい傷がある

(3) ほおの内側などに赤や白い斑点がある

(4) 物をかみづらい

(5) 舌にしびれがある

(6) ほおや舌を動かしづらい

(7) 首のリンパ節に腫れがある

とくに、口の中の粘膜が一般的に入れ替わる“2週間”が経過してもなお治らない口内炎は、要注意とのこと。何か口の中に気になる問題があれば、すぐに近くの歯科クリニックや病院で診てもらってください。

■気になる症状がある場合は早めに医師の診察を

早期の口腔がんは口内炎と違って痛みが出ない場合もあるとのことなので、意識的なチェックも大切です。明るい場所で手鏡を用意して、舌の左右の裏側や唇の内側、上あご、前歯・奥歯の歯肉、左右のほおの内側などを確かめてみてください。

何か気になる症状があれば、早めに近くの歯科クリニックや病院へ急いでください。東京都江戸川区や千葉市のように、地元の歯科医師会や自治体が集団検診を行っている場合もあります。お住まい周辺での検診状況を調べて、足を運んでみてもいいかもしれません。

以上、“注意したい長引く口内炎”についてまとめましたが、いかがでしたでしょうか?

口腔がんは発見が遅れれば、舌を半分以上切除したり、首や顔に大きな傷が残ったり、最悪の場合は死に至ったりするといいます。怖い病気なのにもかかわらず認知度はまだ低いので、十分に注意してください。

今すぐ歯周病チェック!●●が口内環境を悪化させている危険

厚生労働省が行なった調査では、成人(30~64歳)の約8割が歯周病にかかっているという結果があるくらい、現代病となっている歯周病。

これは歯磨きが不十分ということだけではないのです。実は、近年の生活環境が歯肉炎を増やしているのです。

■チェックが多いと歯周病の危険!?

厚生労働省が情報提供している『e-ヘルスネット』では、歯周病のセルフチェックができます。

是非、一度チェックしてみてください。

<次のような症状があったら、歯周病の可能性があります。歯科医療機関で検査を受けてみる必要があります。

(1)朝起きたときに、口の中がネバネバする

(2)歯みがきのときに出血する

(3)硬いものが噛みにくい

(4)口臭が気になる

(5)歯肉がときどき腫れる

(6)歯肉が下がって、歯と歯の間にすきまができてきた

(7)歯がグラグラする。

また、次のような方には、歯周病が起こりやすいことが知られています。

(8)45歳以上の方

(9)喫煙者

(10)妊娠中

(11)糖尿病にかかっている方

(12)歯みがきの悪い方

これらにあてはまる方は、歯周病のリスクが高いといわれています。>

あなたはいくつ当てはまりましたか?

■食べ物が歯肉炎・歯周病を増加させている

食生活の変化も若年層での歯肉炎や歯周病を増やしています。昔に比べて固いものを噛む機会が減った、ラーメンやハンバーガー、オムライスなど、あまり噛まないものや、お肉も柔らかくて油が多いいわゆる“ジューシー”なものが好まれ、手軽に食べられるようになってきています。

柔らかいものは、歯の隙間に入りやすく、また、噛まないことで唾液の量が減り、口の殺菌効果が落ちているのです。

■口内環境を整えるのは普段の食生活から

普段の食事で固いもの例えば精白米を雑穀米にしたり、根菜類を食べるようにして良く噛むようにしたりするのもお勧め。また、抗酸化ビタミンであるビタミンCは、炎症を抑えたり、コラーゲンの生成を助けたりする働きがあるから、皮膚を丈夫に保ち、歯茎からの出血を防ぐ働きがあるので、歯茎から出血しやすい方は食事やサプリメントで摂ってみて下さい。

歯肉炎は早いうちに治療することが、将来の自分の歯の本数に繋がります。

歯というのは食べ物を噛むことだけでなく、食事を美味しく味わえるようにしたり、食事以外でも骨格を形成、顎の発達、会話をしやすくなったり、姿勢をよくしたりするなど、様々な健康に関わっているのです。是非、食生活を見直して、より良い口内環境にすると良いですね。

なんと!口内炎を3日で治す方法があった!?

●口内炎用の市販薬がある

口内炎は、10日~2週間ほどで自然に治る場合が多いので、できてしまっても何もせずに放っておく人が多いかもしれません。でも、口内炎用の市販の薬もあるので、痛みがひどいときや、なかなか治らないというときは、使ってみるのも良いでしょう。

市販薬には、塗り薬や貼り薬(シールタイプ)などのように患部に直接働きかけるものと、体の内側からケアしていく内服薬があります。

●口内炎の塗り薬や貼り薬

口内炎用の塗り薬や貼り薬には、大きく分けるとステロイド系のものと、殺菌・消炎成分入りのものとがあります。

ステロイド系は、炎症を沈静化し、痛みを和らげる働きがあるので、口内炎が痛くて食事ができないようなときに適しています。ただしステロイド系の薬には、殺菌作用がないだけではなく、細菌、ウィルス、カビなどが増殖してしまうことがあり、医師の指導のもとで使用するほうがよいはありません。また、ステロイドは深くなってしまった口内炎には無効です

口内炎は、口の中にできた傷に、細菌やウィルスが繁殖して炎症を起こすことで発生するので、先に殺菌成分入りのうがい薬やマウスウォッシュでうがいして、その後で薬を塗布した方が良いでしょう。

また、ステロイド系の薬は、長期間使い続けると、人によっては副作用が生じることがあります。炎症が治まったと感じたら使用するのを止めて、慢性的な使用は避けましょう。

殺菌・消炎成分入りの薬は、炎症の原因となるウィルスを殺菌し、増殖を抑制する効果がありますが、痛みを抑える効果はありません。塗布した部分だけの局所的な効果になりがちなので、こちらのタイプもやはり先に、うがい薬やマウスウォッシュでうがいして、口の中を全体的に殺菌してから使用したほうが効果的です。

人によっては刺激が強く、帰って口内炎を悪化させてしまうこともあります。

●塗るタイプと貼るタイプの違いは?

ステロイド系や殺菌・消炎成分入りの薬には、液体タイプ・軟膏タイプ・シールタイプなど、形状にも種類があります。液体タイプは刺激が少なく、塗った後に口の中に違和感が残りにくいのが魅力で、乳幼児や症状が軽いときに使うのが適しています。

軟膏タイプは油分を含んでいるので、液体タイプよりも唾液や水分に強く、長時間効果が持続するというメリットがあります。シールタイプは、患部をしっかり保護できるので、薬の成分が唾液に流されたりせず、患部に長く留まることができます。

ただし、貼る場所によっては、違和感を感じたり、話しにくくなったりすることもあるようです。これらの特徴を考慮して、自分の使いやすい形状のものを利用するようにしましょう。

●口内炎の内服薬

口内炎用の内服薬は、皮膚や粘膜を健康に保つビタミンB群を主成分としたビタミン剤なので、ビタミン不足が原因の口内炎に効果的です。ただし、体の内側から働きかけるものなので、外用薬よりは直接的な効果が薄いと言えるでしょう。

喉の痛みと高熱が特徴 「溶連菌感染症」とは?

溶連菌とは、「溶血性連鎖球菌」の略です。この溶血性連鎖球菌による感染が「溶連菌感染症」です。

抗生物質が現在ほど発達していないころには「猩紅(しょうこう)熱」と呼ばれて伝染病扱いされていましたが、現在では抗生物質によって治るのでそのような扱いはされなくなっています。

 そうはいっても、抗生物質を使ってしっかり対処しないと、腎炎やリウマチ熱・紫斑病といった合併症を引き起こす危険性もあります。

■症状は?

 喉の痛みと高熱(38度以上)が主な症状で、咳や鼻水・くしゃみといった普通の風邪のような症状はあまりありません。

舌が「いちご」のように赤く腫れあがり、身体や手足に発疹(ブツブツ)が出ます。この熱や発疹が特徴ですが、診断のためには喉の検査で溶連菌の感染を確認します。

■治療は?

 抗生物質を使えば数日で症状は軽くなります。しかし、症状が軽くなったからといって油断は禁物です。合併症を予防するためにも、2週間程度、抗生物質を飲み続ける必要があります。途中で勝手にやめてはいけません。

 抗生物質は医師の診察を受けないと処方されませんので、お子さんに上記のような症状があった場合は、すぐに医療機関を受診するようにしてください。

■注意点は?

 水分補給を欠かさないことと、処方薬を最後まできちんと飲ませることが大事です。また、感染力が強いので、兄弟や両親などが同じような症状になったら、すぐに医療機関にかかりましょう。

 腎炎などが合併していないかどうかを調べるために、医療機関では尿検査を行います。

必ず受けるようにしましょう。また、普段から尿の色や量をチェックし、尿が濃くなったり、量が少ないときにはもう一度受診を。他にも水分が摂れなかったり、むくんできたりしたときには受診するようにしましょう。

歯周病が疑われるのはこんな人

「歯周病」の予防のためには、正しい歯磨きを行い、「歯周病菌」の繁殖を抑えることが大切である。日本歯科大学 准教授の小川智久(おがわ・ともひさ)さんに、歯周病の原因と進行、そして自分が歯周病か否かをチェックする指標を教示いただいた。

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歯周病は、歯肉(歯茎)に炎症が起こる病気で、進行すると歯を支えている歯槽骨(しそうこつ)も破壊されてしまいます。日本人の場合、成人の8割以上に歯周病があるといわれています。また、歯を失う原因はいろいろありますが、その中で第1位を占めているのは、虫歯ではなく、歯周病なのです(※)。

■歯周病の原因とは
歯周病は、歯や歯肉にプラーク(歯垢〈しこう〉)が付着することが原因で起こります。プラークは細菌の塊で、中でいろいろな種類の細菌が繁殖しています。歯周病の原因となる何種類かの細菌もこの中にいて、それらは歯周病菌と呼ばれています。

歯磨きが十分に行われず、プラークが残っていると、そこで歯周病菌も増えてしまいます。歯周病菌は酸素のない環境を好む細菌なので、歯と歯肉の隙間(ポケット)が深くなるとよく繁殖します。

■進行
健康な歯肉は薄いピンク色で、コラーゲンの働きでよく引き締まっています。しかし、プラークが付着し、歯周病菌が繁殖した状態が続くと、歯肉に炎症が起きて腫れてきます。この状態が歯肉炎(歯周病の初期の段階)です。

歯肉炎は、歯磨きできちんとプラークを除去しておくと、それだけで治ります。しかし、歯磨きが不十分だと、歯と歯肉の隙間で歯周病菌が繁殖を続けます。そのため、隙間はどんどん深くなり、歯磨きではプラークを取り除けなくなります。

この状態が歯周炎(歯周病の進行した段階)です。歯周病菌はコラーゲンを分解する酵素を出すため、歯肉は腫れてぶよぶよした状態になります。

また、歯周病菌によって産出される毒素や炎症物質などにより、骨を溶かす働きが高まり、歯槽骨が徐々に破壊されていきます。そのため、歯を支えきれなくなり、最終的に歯が抜けてしまうこともあるのです。

■歯周病が疑われる人
次の項目に一つでも当てはまる人は、歯周病になっている疑いがあります。

◎起床時に口の中が粘つく――プラークがある証拠です。そこで細菌が繁殖していて、細菌が出す物質が口の中にたまると、ネバネバした感じになります。

◎抜けたままにしている歯がある――抜けた歯がある人や、歯並びの悪い人は、歯を磨きにくい部位があるため、プラークが残りやすい傾向があります。歯が抜けた原因が歯周病の場合には、ほかの歯も歯周病になっているリスクが高いので注意が必要です。

◎歯ブラシに血が付く――歯肉に炎症が起きている証拠なので、少しでも血が付いたら歯周病だと考えられます。

◎歯が長くなったように見える――歯周病が進行して歯槽骨が破壊されると、歯肉が下がります。歯が長くなったように見えるのはそのためです。また、今は健康でも、過去に歯周病になっていた可能性もあります。

自己チェックをして、当てはまる項目がある人は対策が必要です。

※財団法人 8020推進財団「永久歯の抜歯原因調査報告書」平成17年

■『NHKきょうの健康』2014年6月号より

中高年が歯を失う原因No.1の歯周病 歯磨きだけでは防止困難

「永久歯」といっても、この人生80年時代に、死ぬまで歯が生えそろっていてくれるわけではない。年を重ねるごとに歯を失い、咀嚼に支障をきたすようになれば、食事もままならなくなってしまう。

一生「噛める」喜びを味わうには、シニア世代が行なう手入れは不可欠だ。歯の悩みを解消する最新医療技術を紹介する。

 シニア世代の歯の悩みの筆頭にあげられるのが歯周病だ。歯の生活習慣病といわれ、40~50代で急増し、50代の83%、60代の85%以上が歯周病と推定されている(平成23年厚労省歯科疾患実態調査)。

同調査によると50代での喪失歯は約4本だが、60代では約7本、70代では約11本と、10年ごとに3~4本ずつ歯を失っていくことがわかる。

「この世代が歯を失う原因のほとんどは歯周病です。細菌や微生物の感染により歯の周囲の組織が炎症を起こし、放置すると最終的には歯が抜け落ちてしまいます」

 こう話すのは、国際歯周内科学研究会創設者である生田図南・生田歯科医院院長だ。

 歯周病の原因は、歯にこびり着いた歯垢(プラーク)に棲息する歯周病菌だ。虫歯の主な原因となるミュータンス菌とは種類が異なる。

 感染を放置すると、歯肉(歯茎)に炎症が起きて腫れや痛み、出血が起きる。やがては、歯肉の炎症だけでなく歯を支える歯槽骨にまで影響が及んで骨が溶け、歯を失うことになる。

「歯周病治療の基本は、原因菌を除去し、炎症を止めることです。

歯周病菌に感染すると、毎日のブラッシングだけでは、なかなか除菌できません。喫煙、糖尿病、噛み合わせなど色々な要素が複雑に絡み合います。歯科医院での検査や適切な治療が必要です」(生田氏)

歯周病 食道、胃、血液などガンの危険因子になる可能性もあり

シニア世代の歯の悩みの筆頭にあげられるのが歯周病だ。歯の生活習慣病といわれ、40~50代で急増し、50代の83%、60代の85%以上が歯周病と推定されている(平成23年厚労省歯科疾患実態調査)。

 感染を放置すると、歯肉(歯茎)に炎症が起きて腫れや痛み、出血が起きる。やがては、歯肉の炎症だけでなく歯を支える歯槽骨にまで影響が及んで骨が溶け、歯を失うことになるが、歯周病の怖さは口腔内に限った話ではない。

歯周病が全身の病気に深くかかわっていることを裏付ける研究やデータが近年、数多く報告されている。

「歯周病が口腔がんだけでなく、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、膵臓がん、胃がん、血液のがんに対して危険因子になり得るという論文が世界的に権威あるイギリスの医学誌『ランセット』などに発表されました」(明海大学歯学部臨床教授の河津寛・河津歯科医院院長)

 高齢者の死亡原因のトップである誤嚥性肺炎との因果関係も指摘される。誤嚥性肺炎は口腔内の細菌が肺に侵入して起こるが、口腔内を清潔にすることでリスクが激減する。

 また、口腔内の歯周病菌が心臓の内膜に付着して細菌性心内膜炎を起こしたり、糖尿病を悪化させたりすることもある。歯周病を治療すると血糖値が低下するという結果も臨床現場から多数報告されている。


歯周病 心筋梗塞・動脈硬化・糖尿病の引き金になる恐れも

加齢とともに避けられない歯周病。歯と歯茎だけの問題だと考えがちだが「歯周病の炎症によって生じた毒素や歯周病菌そのものが、血液を介して体内を巡ると、全身疾患の引き金になる可能性も!」と警告を鳴らすのはクラジ歯科医院院長の倉治ななえさん。

 なんと、心筋梗塞・動脈硬化を起こす可能性があるというのだ。

「歯周病菌には血液中の血小板を固める作用があり、動脈に血栓を作ります。そのため、心筋梗塞などの心疾患を引き起こしやすく、そのリスクは歯周病にかかっていない人の2~3.6倍にもなります」(倉治さん・以下「」内同)

 また、「妊娠中に歯周病にかかると早産や、低体重児が産まれる確率が高まることも」あり、さらには「血糖値を下げるインスリンの働きを歯周病菌が出す毒素が阻害し、糖尿病を悪化させます」というから、歯だけの問題だと甘くみない方がよさそうだ。

歯周病の人 成人病リスク4.5倍、妊婦の早産リスク7倍になる

歯並びや噛み合わせの良し悪しが人の寿命に影響する──にわかには信じがたいが、これは歯科医療現場では半ば常識となっている事実なのだ。

 歯科医師や歯科衛生士、歯科技工士の学術団体である日本顎咬合学会の新刊『噛み合わせが人生を変える』(小学館101新書)では、歯科医療現場の最新報告と実例が数多く紹介されている。同書から、「歯と人生」の知られざる関係を公開する。

 成人の8割が罹患している歯周病は、歯を失い噛めなくなる主な原因だ。それだけではなく、全身の病気を悪化させる一因ということが近年わかってきた。

 中でも糖尿病と歯周病の密接な関係は、歯科医師の間では常識だ。歯周病を治療すると血糖値が正常になり、糖尿病が悪化すると歯周病も悪化する。歯周病の人の糖尿病リスクは2倍といわれている。

 また、歯周病は咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃がん、膵臓がんなどの危険因子になりうるという研究が世界的に権威のある医学誌『ランセット』で報告されている。

 英国の長期にわたる研究では、歯周病に罹患していたり、過去に罹患していた人は、そうでない人より14%も発がんリスクが高まるとのデータが報告されている。

 米国歯周病学会などの研究では、重い歯周病の人は心臓病リスクが4.5倍となり、脳梗塞にもなりやすいという。

 さらに、歯周病に罹患している妊婦の早産のリスクは7倍という米国の研究もあり、口の健康が全身の健康に及ぼす影響は、これまでの常識を超えるほど大きいことがわかってきた。

歯周病治療で肝機能改善 NASH患者の数値が3か月で正常に

歯並びや噛み合わせの良し悪しが人の寿命に影響する──にわかには信じがたいが、これは歯科医療現場では半ば常識となっている事実なのだ。

 横浜市立大学などの研究チームによる肝炎と歯周病治療の関係を調べた研究がある。

 最近増加している非アルコール性脂肪肝炎(NASH)患者に対して、歯周病治療を行なった結果、3か月後に肝機能の検査数値が正常になったという。

 このことから、歯周病の予防は、生活習慣病予防にもつながることがわかる。

 そのためには口腔内の歯周病菌を減らす必要があるが、自分で行なう歯磨きだけでは限界があるため、歯科医院で歯科衛生士などによる専門的口腔ケアを受けるのが効果的だ。

 取れにくい汚れを専門器具などで除去するPMTCという方法もあり、保険診療で1回約3000円で受診できる。

生活習慣病の一つである歯周病

「健口」、すなわち歯と口を健やかに保つことは、糖尿病治療にも大きく関係します。歯科医師の先生に、大切な健口に関するお話をしていただきました。

■ 生活習慣からみた歯周病予防
 前回、歯周病は歯垢(しこう=プラーク)中の細菌によって引き起こされる感染症であることをお話ししました。しかし、歯周病の原因となる細菌は、歯垢が歯に付着した途端に歯垢の中で増えて、病原性を発揮するわけではありません。歯垢が形成されて、その歯垢が歯肉溝の中に付いたまま数日間経過することによって、歯周病の原因となる細菌が増えてくるのです。ですから、毎日しっかりと歯垢を除去することの習慣付け、プラークコントロールの習慣化が大切になってきます。

これは、歯周病だけではなく、むし歯予防のためにも重要な習慣です。また、歯周病予防のためのプラークコントロールの習慣化は、生活習慣病予防のために、わたしたちが規則正しい生活習慣や食習慣、運動習慣などを身に付けるために行動変容を起こすのと同じカテゴリーにあるといわれています。ということは、歯周病は感染症であると同時に、生活習慣病という一面も持っていることになります。

■ 生活習慣とお口の健康状態のセルフチェック
 皆さんには、生活習慣からみた歯周病およびむし歯の危険度をチェックしていただこうと思います。表の「セルフチェックシート1生活習慣状況」の(1)から(10)の質問項目で、当てはまる項目に○を付けてください。これらのチェック項目には、次のような意味があります。

(1) 規則正しい生活をしている
 むし歯や歯周病は、生活習慣と大きく関係しています。しっかりよく噛(か)んで、きちんと食事をとることが、お口の健康につながります。

(2) 間食をあまりしない
 むし歯予防には、甘いお菓子や飲み物をとりすぎないことが不可欠です。間食の回数が多ければ多いほど、むし歯ができやすい環境になります。

(3) ストレスをうまく解消している
 過度のストレスは歯肉や顎の関節にも影響を与えます。常に大きなストレスを受けていると、歯周病や顎関節症になってしまうことがあります。

(4) 糖尿病や高血圧ではない
 糖尿病で歯周病が悪化することがあります。また、高血圧の治療のための薬には、歯肉が盛り上がる、唾液分泌が少なくなるなどの副作用を持つものがあります。

(5) たばこを吸わない
 喫煙は、歯にタールなどの汚れが付いたり、口臭の原因となるだけではなく、たばこに含まれる成分が歯肉の血流をわるくし、歯周病を悪化させます。

(6) 深酒をしていない
 お酒が直接歯・口の病気につながるわけではありません。しかし、晩酌後に歯磨きが面倒でいい加減になったりすると、お口の中に悪影響を及ぼすことがあります。

(7) 週に1回以上、口の中を観察している
 磨き残しのチェックをしましょう。また、年齢とともにお口の中も変化していきます。自分の歯肉や歯と歯の間などを週1回観察することは、お口の健康に役立ちます。

(8) 1日1回は時間をかけて歯磨きをしている
 少なくとも1日1回は、歯ブラシだけでなく歯間ブラシやフロスなどを使用して十分時間をかけて(10分程度)歯磨きをしてください。

(9) フッ素入りの歯磨き剤を使っている
 フッ素は歯を強くし、むし歯を予防します。歯周病などで歯肉が下がって露出してきた歯の根の部分のむし歯の予防にも役立ちます。

(10) 歯磨きの指導を定期的に受けている
 お口の健康のためには、自分できちんと健康管理をすることが大切です。自分に合った歯磨きの方法を身に付けましょう。さて、皆さんは何項目に○が付きましたか? 判定してみましょう。全部のチェック項目に○が付くことが望まれます。

 ○の数が10~8個の人は、これからも良い生活習慣で過ごしましょう。7~5個の人は、一つでも○が増えるように頑張りましょう。4個以下の人は、生活習慣を見直してください。そして、一つでも○が増えるように努力しましょう。

 次に、「セルフチェックシート2お口の健康状態」で、お口のチェックをしてください。歯肉の観察のポイントは前号を参考にしてください。全ての項目に○が付かなかったら、お口の中に何か問題がありますので、かかりつけ歯科医など専門家にお口の中の健康状態をチェックしてもらい、歯磨きの指導も受けましょう。これらのセルフチェックは1回だけではなく、定期的に実施して生活習慣とお口の健康状態を確認してください。

日本歯科大学生命歯学部衛生学講座
福田雅臣(ふくだ・まさおみ)

歯科医が解説!歯の神経を抜くとどうなるのか

◆歯の神経ってどこにあるの?

背骨の内部に脊髄があるように、歯の中心部には、歯髄(しずい)と呼ばれる細かい血管や神経が入り込んでいる場所があります。一般的に神経を抜くということはこの中心部の歯髄を取り除くことです。歯の外側から穴を開け、内部の組織を取り除きます。一般的には細い針金のような道具を歯の中に差し込んで行ないます。

◆歯髄の役目は?

歯髄は、神経だけではなく血管などもあり、その血管を利用して、歯に栄養を送る働きをしています。その他にも、虫歯の細菌が歯の内部に侵入しようとするのを、防御しようとする働きなどもあります。
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◆神経(歯髄)を取るメリット

■歯の知覚がまったく無くなる
虫歯で痛くなったり、冷たい水がしみたりなど、神経が無くなればまったく感じなくなります。

■病気の進行を食い止められる
神経がある部分は歯の内部の通路の役割もするため、虫歯の細菌が歯の内部に進行するとその先の根の先の骨まで侵してしまうのを防ぐことができます。
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◆神経(歯髄)を取るデメリット

■歯が脆くなる
神経を取るとその周辺の細かい血管まで取ることになるので、当然栄養分が歯に行き届かなくなり脆くなります。そのため歯の寿命も短くなりがちです。

■歯の色が変色する
神経を取った歯は、白ではなく褐色が目立つようになります。この場合、特殊は方法を用いて、神経を取った歯のホワイトニングが出来ることもあります。

■数年先に痛くなることもある
神経を取ってしまえば一生涯、歯の痛みを感じないで済むなんてことは無く、神経を取ったあとの空間が感染を起こすと、数年を経過してから、痛みや腫れが出る可能性がリスクとして残ります。

■治療期間が長くなり、費用もかかる
神経を抜く治療には、治療期間も長く、元の歯と同じような色や形にするために費用がたくさんかかります。 一般的に歯の寿命を考えるとメリットよりもデメリットの方が多くなります。しかし歯の痛みがひどければ、痛みを取る方がメリットがあると判断するため神経を取ります。
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◆歯医者さんは神経を取るのが好き?

歯科医院では毎日のように神経を取る治療が行なわれています。そのため神経を取ることに何かメリットがあるんじゃないか? と思われがちですが、そんなことは無いようです。

神経を取る治療は、高度な技術が必要で時間や期間もかかりますが、治療の単価は低く抑えられているため、一般的に(神経を含めた)根の治療は治療回数が増えるほど、歯医者さんの収入には、つながらない傾向があります。このため根の形が複雑で、長期にわたって根の治療を行なっている場合は、実はすごく良心的だといえます。

“こんもり型”口内炎は要注意/照山裕子お口の悩み

<歯科医照山裕子が答えるお口の悩み(30)>

 元モデルの歯学博士・照山裕子さんが、口臭が気になる、歯周病が進んできた…歯と口の悩みなど、皆さんの悩みに回答します。

 Q 口内炎だと思うのですが、なかなか治りません。

 A 口内炎とは口の中や舌の粘膜に生じる炎症を指します。細菌やウイルスの感染で起きることもありますが、睡眠不足やストレス、ビタミンや鉄分の不足、かみ合わせや歯ブラシの擦過傷なども原因として挙げられます。唾液の分泌量が少なく口の中が乾燥しやすかったり、アレルギー体質だったりと口内炎ができやすい方もいますが、全身疾患のサインのひとつとして現れることもありますから、自己判断は禁物です。通常4~5日で快方に向かうことが多く、長引いたとしても2週間程度あれば治ります。

医療機関では、軟こうやシールのような貼り薬を処方する場合が多いです。塗り薬やシールがはげる、痛くて我慢ができないという時は、レーザーを照射する治療法もあります。レーザーを当てることでタンパク質を凝固させ、痛みを和らげます。患部に膜を張るイメージです。

歯並びが悪く、同じ場所を何回もかんでしまうという人もいます。例えば八重歯でいつも唇の内側をかむ。そういうケースでは歯の形態を整えて傷がつきにくくします。

口の中が不潔だと治りが遅かったり再発したりするので、ケアはきちんと行いましょう。

口内炎との鑑別が必要なのが、膨らんでくるタイプや出血を伴う粘膜の病気です。口内炎がややへこむイメージなのに対し、粘膜の表面が白っぽくざらついているとか、こんもりと盛り上がってきた場合は口腔(こうくう)がんの可能性もあります。少しでもおかしいなと思った場合は歯科医院を受診しましょう。精密な検査が必要であると判断された場合は大きな病院の口腔外科での処置になります。

私は歯科医師になってからの8年間、口腔がん治療に伴うリハビリを目的とした専門外来に勤務していましたが、疾患自体の認知度が低く、自分で気付かずに家族や友人の指摘で病院に来るという患者さんにたくさんお会いしました。ほとんどの方は口内炎だと思って放置していたとおっしゃいました。口腔がんによって「食べる」「飲む」「呼吸する」「話す」といった、これまでごく当たり前のことが困難になってしまった患者さんと向き合う中で、情報発信の必要性を強く感じ今日に至ります。

皆さんも(特に喫煙、飲酒の習慣がある方は)歯肉、舌、口唇に異常が起きていないか、鏡で口の中を見ることを習慣づけてください。他臓器と異なり、口腔がんは直接自分の目で見て触ることができる病気だと、ひとりでも多くの方に知ってもらえたら幸いです。

 ◆照山裕子(てるやま・ゆうこ) 歯学博士。厚労省歯科医師臨床研修指導医。歯と全身の関わりについて幅広く学んだ経験を基に、機能面だけでなく審美的要素にもこだわった丁寧な治療がモットー。分かりやすい解説でテレビ、ラジオにも多数出演している。学生時代はモデル事務所に所属。近著に「歯科医が考案 毒出しうがい」(アスコム)。

つまようじは歯茎を傷めやすい/照山裕子お口の悩み

<歯科医照山裕子が答えるお口の悩み(22)>

 元モデルの歯学博士・照山裕子さんが、口臭が気になる、歯周病が進んできた…歯と口の悩みなど、皆さんの悩みに回答します。

 Q 昼はつまようじで済ませています。やむを得ないですよね。

 A ビジネスマンを対象にしたアンケートを見ると、「職場で歯磨きをしますか」という質問に「歯磨きはしない」と回答した人は59・3%。約6割でした。

 食べかすはほっておくと、8時間でプラーク(歯垢)になります。学生のとき、歯を磨かないとどうなるかという実験があって、歯垢がたまる様子を染め出しして学生同士、観察し合ったのですが、24時間そのままにしておくと地獄絵図でした。目に見えるくらいのかたまりになり、最低でも1日1回は磨かないと口の中は悲惨なことになるなという経験をしました。

 理想的なのは毎食後だけでなく、間食した際も毎度歯磨きセットを携帯してさっと磨くことです。しかし持ち歩いていない人がほとんどでしょうし、現実的ではありません。プラークになるまでには時間があります。夕食後にちゃんと磨く習慣があれば水やお茶でグチュグチュと口をゆすいでもらうだけでも十分効果がありますので試してみてください。

 歯科医の観点から、最も避けてほしいのはつまようじです。鏡を見て、前歯に付いた青のりを取る程度なら良いのですが、鏡も見ずに、詰まった食べかすを取ろうとつまようじをぐいぐい差し込む方が多いようです。歯肉を傷めてしまう可能性がありますし、自分で取れない場所までさらに押し込んでいる可能性もあります。私が今勤めているのはオフィスビル内のクリニックなので「歯肉が腫れて痛みが取れない」と駆け込んでいらっしゃる方を頻繁に拝見しますが、たいていはつまようじの間違った使い方が原因です。

 歯と歯の隙間の清掃に適しているのはデンタルフロス(糸ようじ)です。お口全体に使うには糸巻状が好ましいですし、何より経済的でお財布に優しいのですが、慣れるまでは時間がかかります。外出先で便利なのは柄付きのタイプ。詰まりやすい場所があるなら、柄付きフロスを持ってトイレに行く。一度使ってみると、スッキリ感がやみつきになると皆さんおっしゃいます。

 ◆照山裕子(てるやま・ゆうこ) 歯学博士。厚労省歯科医師臨床研修指導医。歯と全身の関わりについて幅広く学んだ経験を基に、機能面だけでなく審美的要素にもこだわった丁寧な治療がモットー。分かりやすい解説でテレビ、ラジオにも多数出演している。学生時代はモデル事務所に所属。近著に「歯科医が考案 毒出しうがい」(アスコム)。

 意外に知らない口内炎【女医ドル】吉田聡美先生

口内炎は皆様も一度は経験し、食事したり、話したりするのがつらい思いをしたことがあるのではないでしょうか。経験したことはあるものの、意外に知らない口内炎のいろいろについて、話したいと思います。

 口内炎は、口の中や周辺の粘膜、舌に起こる炎症の総称のひとつです。

 口内炎には、ヘルペスや梅毒などのウイルス感染が原因によるウイルス性口内炎、カンジダ菌や真菌などの細菌感染が原因による細菌性口内炎、食べ物や薬物、金属などが刺激となりアレルギーを引き起こすことが原因による

アレルギー性口内炎、入れ歯や矯正器具、歯ブラシなどの粘膜への物理的刺激が原因によるカタル性口内炎、喫煙により口腔(こうくう)内が乾燥し、長時間、熱や化学物質にさらされることが原因によるニコチン性口内炎など、いくつか種類があります。

 中で最も多くを占めるのが、「アフタ性口内炎」です。

 アフタ性口内炎は、直径2ミリ~10ミリ程度の小円形、小類円形の潰瘍周囲を紅斑で取り囲まれたものが、頬、唇の内側、舌、歯肉などに発生し接触痛が見られます。

 発生のメカニズムとしては、偏食による鉄分やビタミンB群などの栄養不足、ストレス疲労や睡眠不足による免疫力の低下、口腔内の不衛生や口腔内常在菌の関与などがいわれていますが、現在のところ正確な原因は不明で

、自己免疫による免疫学的異常が関わっているのではないかと考えられています。

 通常は、1週間程度で完全に治癒しますが、なかなか治らず、痛みのあまり摂食困難を起こしたり、周期的に再発を繰り返したりするときは、ステロイド軟膏の塗布や、ビタミンB12の内服、レーザー治療などが必要となってきます。

 その他、複数カ所に広範囲に口内炎が発症する場合は、ベーチェット病などの全身疾患の疑いもありますので、早めの受診をお勧めします。

 ■吉田聡美(よしだ・さとみ) 松本歯科大学歯学部卒業。神奈川歯科大学研修終了。医療法人メイロイヤル矢向歯科勤務。モアナ歯科クリニック開業。現在に至る。(株)カロスエンターテイメント所属。

生活習慣を見直そう!歯磨きしているのに虫歯ができる理由は?

虫歯の原因はさまざま
きちんと歯磨きをしているのに虫歯ができてしまう……と悩んでいる人は少なくないはずです。

虫歯を防ぐには、よく歯を磨き汚れや菌を落とすことが第一ですが、生活習慣が虫歯になりやすい環境を作ってしまっていることもあります。ここでは、虫歯になりにくい生活習慣について考えてみましょう。

虫歯になりにくい生活習慣とは?

1. 食べ物に気をつかう
甘い食べ物は菌の栄養分になります。キャラメルのような粘つくものも歯の表面に残りやすいので気をつけましょう。一方、野菜などの繊維性の食品は、歯の表面の汚れを取り除く効果があります。

ガムを噛むことは唾の流れをよくし、自浄作用で口腔内がきれいになります。

しかし甘いガムではなくキシリトール入りを選びましょう。キシリトールは歯の表面を強くする作用があるため、摂取することで虫歯予防にも役立ちます。しかし砂糖のかわりに甘味料が使われていることが多いので過剰摂取は控えてください。

2. 就寝前の歯磨きを徹底する
日中は会話や食事で唾の流れがよいのですが、就寝中は口の中の細菌が増えやすい状態にあります。そのため就寝前に汚れを落とすことがとても大切です。

また就寝前に甘いものや粘り気のあるものを食べると、磨き残してしまった際に夜中の菌の繁殖につながります。磨き残しを防ぐためにも、1日3回歯を磨くことをオススメします。

3. 歯の表面を傷つけない
酸が強い炭酸飲料や柑橘類などを頻繁に摂取していると、歯の表面が溶けやすい状態になります。歯の表面はエナメル質という硬い成分でできていますが、表面が溶けると内部へ虫歯が進行しやすくなります。

そのため歯の表面を傷つけないことが大切です。同じように、歯を強く磨きすぎたり歯磨き粉の成分がざらざらしていると、歯の表面を傷つけることがあります。

4. 口の中を常に保湿させる
唾液が少ないと口の中の流れが悪くなり虫歯や口臭の原因になります。

無意識に口を開けていたり、口を開けたまま寝てしまう人はマスクなどによる保湿をオススメします。また口を動かすことで刺激され唾が出やすくなるので、マッサージが役立つこともあります。

まとめ
虫歯になる原因は、わたしたちの生活のさまざまな場面に潜んでいます。まずはきちんと歯磨きすることを心がけ、常に口内環境をきれいに保ちましょう。

歯周病が悪化した人は口からドブ川のような腐敗臭がする

毎日の生活習慣で欠かせない「歯磨き」だが、これまで当たり前だと信じていた歯磨き法には、大きな誤解もある。昨年、週刊ポストの「やってはいけない歯科治療」シリーズで業界のタブーを暴き、大反響を呼んだジャーナリスト・岩澤倫彦氏がレポートする。

◆食べ残しを取るのが、歯磨きの目的?

「食事をしたら、すぐに歯を磨きなさい」──学校でそう教えられてきたし、実行している人もいるはずだ。しかし、その考え方は、大きな誤解だったようだ。

「食事の食べカスをずっと口の中に置いておくのは、決していいことではない。しかし、一番大切なのはバイオフィルム(※注)の除去。フロスなどを使用してバイオフィルムを除去するという意識が、まだ日本では普及していません」(歯周病専門医・吉川英樹氏)

【※注/朝起きて歯を触り、ネバネバした膜が覆っていたら、それがバイオフィルム。以前はプラーク(歯垢)と呼ばれていたものと同じと考えていい。その中には歯周病や虫歯などの原因菌が、1g中に約1000億も存在している】

 認定歯科衛生士・太田由美氏からは、衝撃的な話を聞いた。歯周病が悪化した人は、口からドブ川のような凄まじい腐敗臭がするというのだ。中高年の男性に少なくないという。

「バイオフィルムの菌によって歯周組織が破壊されると、硫化水素のガスが出るんです。それに白血球の死骸が膿となって出てくるので、かなり強烈な臭いがします。ご本人は気づいていないようですが」

 食べ残しの掃除も必要だが、バイオフィルムにこそ意識を払うべきだ。

◆食後の歯磨きが一番大事?

 厚労省の調査では、大半の人が一日2回は歯磨きをするようになった。おそらく、朝食後と就寝前だろう。

 だが、歯周病専門医・吉川英樹氏は、バイオフィルム繁殖の原理を考えると、朝食後ではなく起床直後のタイミングが重要だという。

「バイオフィルムが口の中で最も繁殖するのが、就寝中だと考えられています。理由は、殺菌作用のある唾液の分泌が、就寝中に少なくなるからです。だから患者さんには、起床時と寝る前、しっかり歯を磨くことを勧めています」(前出・吉川氏)

 食事の直後は、口の中が酸性になっている。研磨剤入りのハミガキ剤を付けて、念入りに歯磨きすると、かえって歯を傷めてしまう可能性がある。そのため、軽く洗い流す感覚で済ませた方がいいという。

 さらに吉川氏は、食前の歯磨きを勧めている。バイオフィルムを除去することで、歯周病などのリスクを下げることができるからだ。

 実は、正しい歯の磨き方について専門家たちの答えは微妙に異なった。ただし、共通しているのは、バイオフィルムを意識した取り組みであり、歯ブラシ1本だけで歯を磨くのはナンセンスということ。

 歯の先進国といわれるスウェーデンは1970年代から、定期的に歯科医院でのメンテナンスを受ける体制ができた。

 もし、歯を残したいと考えるなら、経験を積んだ歯科衛生士に自分の口に最適な歯磨き指導を受け、フロスなどを使うことを覚えた方がいいだろう。それがスウェーデンで40年前から実践されている「予防歯科」なのだ。

歯ブラシ「硬め」に歯周病リスク 医師は「やわらかめ」推奨

コンビニやドラッグストアで何気なく手にし、毎日使っている歯ブラシ。その選び方、使い方の“常識”は、実は間違いだらけだった──。自分の歯を守るために、何が必要なのか。昨年、週刊ポストの「やってはいけない歯科治療」シリーズで業界のタブーを暴き、大反響を呼んだジャーナリスト・岩澤倫彦氏がレポートする。

◆硬め、大きめの歯ブラシがいい?

「初めての患者さんを担当する場合、普段使っている歯ブラシを持ってきてもらいます。男性は『硬め』の歯ブラシが多いですね。

 それだと、歯の表面や歯茎を傷めて、歯周病や虫歯のリスクを高めてしまうので、『ふつう』か『やわらかめ』に変更してもらいます」

 こう話すのは、日本歯周病学会・認定歯科衛生士の長岐祐子氏。柔らかい歯ブラシは、しっかり汚れが落ちない気もするが……。

「歯ブラシの硬さは、市販品と歯科医院用で基準が違います。ブラシの当て方や弾力を生かした磨き方をすると、柔らかめでもバイオフィルム(※注)を除去することは可能です」

【※注/朝起きて歯を触り、ネバネバした膜が覆っていたら、それがバイオフィルム。以前はプラーク(歯垢)と呼ばれていたものと同じと考えていい。その中には歯周病や虫歯などの原因菌が、1g中に約1000億も存在している】

 また、男性に多い誤解は、大きなサイズの歯ブラシを選んでいる点だという。

「歯ブラシのサイズ(幅)は、ご自分の前歯2本分に合わせて選ぶのが基本です。歯の大きさは、かなり個人差があって、大き過ぎる歯ブラシを使うと奥歯等に磨き残しが出てしまいます」

◆極細毛なら歯周ポケットの奥まで届く?

 最近の歯ブラシは、歯周病対策として「極細毛」タイプが多い。各社の説明では、歯周ポケットの隙間に極細毛が入りプラークを掻き出せるというのだが、専門家の意見は少し異なるようだ。

「私自身も超極細毛タイプを使っていますが、毛先が優しいタッチだからです。患者さんには、リスクが高い部分の歯周ポケットにブラシを入れて磨く指導をします」(認定歯科衛生士・太田由美氏)

「極細毛タイプは弾力性が弱いので、患者には普通の歯ブラシを薦めます。歯ブラシの毛は、歯周ポケットの深さ3ミリ程度までしか入りませんので、頑固に付着したバイオフィルムを掻き出すのは難しいです。

 歯周病を治すには、専用器具でバイオフィルムを機械的に除去する方法しかありません」(歯周病専門医・吉川英樹氏)

正しい歯磨きと唾液がポイント 正月明けの「口腔ケア術」

いよいよ今日から新たな年の始まりだが、正月休み中のお酒とごちそうで、胃腸が疲れ切っているという人も多いのではないか。しかし、ダメージは歯にも及んでいることを忘れてはいけない。自由診療歯科医で八重洲歯科クリニック(東京・京橋)の木村陽介院長に聞いた。

■暴飲暴食のダメージは胃腸だけではない

「正月明けに、歯を磨くと『歯茎が腫れて出血している』『歯がしみる』『歯が痛い』と、歯科医院に駆け込んでくる中高年は少なくありません」

 その多くは正月休み中の暴飲暴食が原因。「急性歯肉炎」や「知覚過敏」「虫歯」などを引き起こしているという。

「普段忙しい中高年の中には、『正月くらいはゆっくりしたい』とお酒と料理でお腹を満たし、ゴロゴロ寝ているだけという人は少なくありません。休み中で他人とも会わないので、歯磨きもおろそかになりがちです。そうなると急性歯肉炎になるだけでなく、歯の表面に細菌が付着して歯垢を形成し、食べ物に含まれる糖質で酸を作り出すようになります。この酸が、歯の表面のカルシウムやリンを溶かします。これが脱灰です」

 脱灰は虫歯の初期段階といえる状態で、歯が弱りつつある中高年に起きやすい。脱灰によりむき出しになった象牙質を、歯ブラシや冷たい水などが刺激すると知覚過敏を起こす。

「しかし、通常は脱灰が進行しても唾液が、細菌の作り出した酸を中和して洗い流し、溶け出したカルシウムやリンを歯の表面に戻す働きをします。それが『再石灰化』と呼ばれる現象です」

■睡眠不足で唾液の質が低下

 ところが、一日中だらだらと飲食を続けていると、ただでさえ劣化している中高年の唾液の質はさらに悪くなり、分泌量も減っていく。結果、再石灰化が行われず、脱灰が進み、知覚過敏となる。やがては本格的な虫歯になってしまうのだ。

 しかも、正月休み中は夜遅くまで友達や家族などと話したり、テレビを見るなどして睡眠不足になりがちだ。

「口腔ケアの“守護神”である唾液は自律神経などに支配されていますが、睡眠不足だとそのバランスが崩れ、唾液はベタベタとして量も減ります。こうなると再石灰化はさらに難しくなり、口臭もきつくなります」

 この状態を改善するには規則正しい生活に戻して、歯磨きなど口腔ケアをしっかりすることなのだが、そもそも正しい口腔ケアを知らない中高年も多いという。

「夜寝る前に洗口液などで口腔内を殺菌し、朝起きたら水で軽くうがいをしましょう。寝ている間に口腔内に繁殖する細菌を減らすためです。歯磨きは毎食後するのは当然ですが、できたら電動歯ブラシを使いましょう。『磨き過ぎになるので電動歯ブラシは良くない』という意見もありますが、手で磨くとどうしても磨き残しが出ます。その方が問題です。ただし、研磨剤入りの歯磨き粉を使ってはいけません」

 コーヒー好きは歯の表面にコーヒーが沈着している。その場合は研磨剤入りの歯磨き粉を使って手で磨くといい。フッ素入りの歯磨き粉を使う人は、歯磨き後のゆすぎは少なめの水で1回だけにとどめる。せっかく歯の表面についたフッ素を洗い流さないためだ。

「最悪なのは急性歯肉炎や知覚過敏をキッカケに歯磨きに及び腰になり、歯をどんどんダメにすること。歯が悪いと糖尿病や心疾患にもなりやすい。ある意味、歯は健康の基本です。何もしていないのに痛みが出たり、歯茎から出血している場合は、すぐに歯科医院を受診すべきですが、そうでなければしっかり歯磨きをすることです。急性の歯肉炎や知覚過敏の多くは2~3日で元に戻ります」

 ちなみに唾液を増やすためには、「よく噛んで食べる」「舌を意識的に動かす」「ポリフェノールの一種である『ケルセチン』が多く含まれるタマネギを意識的に取る」「耳からあごにかけての唾液腺をマッサージする」といいという。

長引く口内炎は舌がんかも!? 専門医が教えるセルフチェック法

小さくても痛~い口内炎。ところが、痛くなく、2週間程度過ぎてもよくならない口内炎は、舌がんの可能性があるという。舌がんを含む口腔(こうくう)がんの撲滅委員会発起人で、この12月17日には「オーラルケア・フォーラム2016」にも登壇する東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座の柴原孝彦教授に、早期発見のためのセルフチェック法を取材した。

*  *  *
 都内のホテルに勤務するリホさん(当時37歳・仮名)は、セレブな客と接する機会も多く、美意識が高い。歯科医院に数カ月ごとに通って、定期的にクリーニングやメンテナンスを受けてきた。

 2014年の5月頃、かかりつけの歯科医師がリホさんの舌の裏側に赤と白のポツポツとした斑点を発見。痛みなどの自覚症状はなく、歯科医師に指摘されるまで気づかなかった。2週間後の再診時でもポツポツは消えず、歯科医師は口腔外科のある東京歯科大学千葉病院を紹介。同院の柴原教授が検査した結果、初期の舌がんと診断された。

「舌がんをはじめとする初期の口腔がんは口内炎と見間違われやすいのですが、口内炎のように痛い、しみるなどの症状がないことが多いのです」と柴原教授はいう。

 そうなると、頼みの綱は歯科検診だが、口腔内をくまなくチェックしてくれる歯科医師は少ないのが現状だそうだ。というのも、虫歯や歯周病の治療と違い、口腔粘膜を隅々までチェックをしても診療報酬の対象にならないことが、原因のひとつとみられる。
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 さらに、胃がんや子宮頸(けい)がんのように検診制度が整っていないという現状もある。口腔がん検診は東京都内でも江戸川区、世田谷区などの一部の自治体でしか実施されていない。検診の対象年齢は江戸川区で40歳以上、世田谷区は61歳からだ。

 若年層は検診の対象外だが、柴原教授は「近年、50歳未満の、特に女性に、口腔がんが増えています」と話す。

 口腔がんを早期発見するには、歯科医院で見つけてもらうことが一番だが、日頃のセルフチェックも重要になる。目で見えるところにできる口腔がんは、自分で見つけられる珍しいタイプのがんだ。柴原教授は、まずは週に1回でも、口の中を観察することを勧めている。

 チェックポイントは赤と白。リホさんのように、赤と白の斑点やびらんが口腔がんの初期サインなのだ。口腔がん撲滅委員会のシンボル「レッド&ホワイトリボン」で覚えておこう。

 口腔がんの発生場所でもっとも多いのは舌だ。特に舌の横側や、先端、裏側にできやすい。次に歯肉。舌の下にある口腔底、頬の裏側の頬粘膜、上あご、唇にもできる。

 今すぐ、鏡の前で口を大きく開けて、舌、歯肉、頬などをよく見てみよう。赤や白の斑点がないか、盛り上がったしこりはないか。乳がんのセルフチェックのように舌や頬をやさしく触ってみることもおすすめだという。

「2週間以上治らない口内炎がある場合は、歯科医院へ急いでください」と柴原教授。より詳しいセルフチェック法は、口腔がん撲滅委員会のホームページで紹介されている。

口内炎が早く治る!? 口内炎パッチを使わないと損してるかも

口内炎ができてしまうと食事も喋るのも憂鬱になってしまいますよね。そんな口内炎を保護しながら治してくれる、口内炎パッチはご存じでしょうか。意外と知らない口内炎パッチのメリット、ご紹介します。

要チェック項目

□痛くて憂鬱な口内炎に、患部を治療薬でカバーできる口内炎パッチが効果的
□口内炎パッチは簡単にはがれません。つけたままの食事も大丈夫
□口内炎の予防には食事の改善から。豚レバーは特に優れもの

口内炎ができてしまう原因

口内炎ができやすい人とできにくい人の違いってなんだと思いますか。実は、口内炎ができるのにはさまざまな理由があるんです。自分に当てはまっている項目がないか確認しておきましょう。

栄養不足

食生活が乱れていると、ビタミンが不足して口内炎ができやすい体になってしまいます。毎食、意識して野菜やフルーツをとるようにして栄養バランスが偏らないように考慮することも必要です。

ストレス

最近、仕事で嫌なことがあったり、忙しくてリフレッシュする時間をとれてない、など心当たりがある人は要注意。ストレスは口内炎を発症する大敵です。ストレスを放っておくと自律神経の乱れにつながって免疫力を下げてしまいます。休みの日には適度な運動をしたり、温泉に出かけるなど、工夫して自分をいたわってあげましょう。

口の中の怪我

食事中にほっぺを噛んでしまったりした後、口内炎になった経験はありませんか。これは、口腔内の傷にばい菌が入ることによって炎症を起こし口内炎になってしまうケースです。頻繁にほっぺを噛んでしまう人は、もしかすると噛み合わせに原因があるかもしれません。ひどいときには歯医者で噛み合わせのチェックをしてもらうことをおすすめします。

早く直したいときに有効な口内炎パッチの使い方

口内炎ができてしまったら、とにかく早く直したいですよね。そんなとき、市販の口内炎パッチでも十分効果があるんです。口内炎パッチを使うときには次のことに気をつけて使いましょう。

まずは歯磨き

口内炎パッチを貼る前には、口の中を清潔に保つ事が大切です。パッチを開ける前に歯磨きを済ませておけば、スムーズに貼ることができます。

手を洗う

口内炎パッチをシートからはがすとき、自分の手が汚れていたらばい菌がついてしまいます。口内炎の傷にばい菌を入れてしまっては元も子もありません。手をきれいに洗い、清潔なタオルで拭いてからパッチをはがしましょう。

口内炎パッチを貼る

パッチをはがしたら、あとは貼るだけです。患部のまわりの水分をなるべく拭き取っておくと貼りやすくなります。炎症を起こさないよう、優しくのせるように貼ってあげてください。

痛みをやわらげる口内炎パッチの気になる使用感

意外と知らなかった万能な口内炎パッチ。使ってみると安心できるメリットがたくさんあります。

口内炎パッチを貼っている間の痛み

口内炎の薬には、ジェルやクリーム状の塗るタイプもありますが、パッチといわれているものはシールのように貼ることができるフィルムタイプになります。口内炎パッチの場合、治療薬がついたシールが患部を覆って保護してくれるので痛みが少なく、早く治療薬が染み渡る、というメリットがあるのです。

口内炎パッチの持続時間

製品にもよりますが、口内炎パッチはすぐにはがれたりすることはありません。むしろ、一度貼ると自分で引き剥がそうとしても簡単にはとれないようになっています。

治療薬が浸透し、効果が薄くなると自然とはがれるようになっているようです。その後の飲食の状況によってもはがれる時間は違いますが、何もしていない場合、4時間程度ははがれません。

口内炎パッチでできること、できないこと

便利な口内炎パッチですが、食事中や寝てる間も使えるのか気になるところですよね。できることとできないことをチェックしておきましょう。

飲食

貼る部位にもよりますが、基本的には貼った直後であればパッチが患部に密着していますので飲食しても影響はありません。あまり舌でいじったりしなければ、痛みを気にせず食事ができるので重宝します。

舌にできた口内炎に貼る

これも問題ありません。舌の表面であれば簡単にパッチを貼ることができます。ただし、あまり奥のほうであったり舌の裏に患部がある場合は、そもそもパッチを貼ることが難しいかもしれません。そんなときはジェル状の治療薬を使用するのがおすすめです。

睡眠

寝る前にパッチを貼って寝ると、朝起きたときに口の中にはがれたシールが残っています。5〜6時間の睡眠であればはがれずについていることも多いです。

しかし、これも口腔内の奥にある口内炎の場合、誤飲する恐れもあります。謝って飲んでしまっても大きな問題にならない製品になっているようですが、患部の位置によってはジェル状の治療薬との使い分けをしましょう。

口内炎は普段の食生活から予防できる

ここまで、口内炎パッチの魅力をお伝えしましたが、やはり口内炎にならないことが1番です。口内炎の原因のひとつは栄養不足。栄養バランスを整え、ビタミン摂取できる食材を選ぶことで口内炎は予防することができます。

免疫力を高める食材

体の免疫システムを強化するには、ビタミンB2、ビタミンB6の摂取が重要です。
・豚レバー(ビタミンB2)
・うなぎ(ビタミンB2)
・にんにく(ビタミンB6)

コラーゲンのもとになる食材

口の中の組織をつくるにはコラーゲンが必須です。コラーゲンをつくりだすもとになる食材を積極的に取り入れるとよいでしょう。とくにビタミンC、鉄分、たんぱく質が大切になります。
・赤ピーマン(ビタミンC)
・アセロラジュース(ビタミンC)
・いわし(たんぱく質)
・豚レバー(鉄分)

豚レバーは鉄分もビタミンもとれる優れものです。これらの食品摂取を意識して、バランスよく毎日の食事を彩りましょう。

口内炎になってしまったら

痛くて憂鬱な口内炎。できないのが1番ですが、万が一できてしまったら口内炎パッチに頼ってみるのもいいかもしれません。

痛みのせいで食事がとれなければ、さらに栄養が偏って治るまでに時間がかかってしまいます。

市販薬にもさまざまな薬がありますので、うまく使い分けをして少しでも早く治していける方法を見つけましょう。

貧困が招く子供の「口腔崩壊」 虫歯で白米も噛めない児童も

2016年10月11日(火)に公開されたニュースにて、子供の虫歯の有病率が全国で最も高い水準にあるといわれている沖縄県において、虫歯が大量にあったり、歯根しか残っていないといった状態の子供の存在が問題となっておりました。

食生活の改善や、歯磨き指導などで大幅に改善した例もあり、今後の改善が望まれますが、貧困が背景となっております。 今回は問題視されている「子供の口腔崩壊」について、医師に解説をしていただきました。

口腔崩壊状態とは

虫歯が10本以上など多数あり、未処置のままになっていたり、歯根しか残っていない状態の歯が何本もあるものを口腔崩壊と呼びます。こういった状態になると、ごはん程度の硬さのものも噛めなくなったり、虫歯のためにものが呑み込みにくくなったりする場合もあります。

ものを噛めないため、栄養を効率よく取り込むことが困難であり、脳の発達や顎の発達などにも悪い影響を及ぼすことも考えられます。

口腔崩壊による体への悪影響
■永久歯の歯並びが悪くなる

■歯周病を引き起こす

■ひどくなるとその部位から感染を起こす

■しっかり噛めないために食べるものが限られ、栄養のバランスが乱れる

■顎がしっかり発達しない
口腔崩壊が引き起こす日常生活のリスク

■栄養のあるものでもある程度硬いものが噛めなくなるため、食事内容が偏る

■お菓子やジュースなど軟らかいもの中心の食生活になりやすい

■虫歯の痛みなどで物事に集中できなくなる

■口臭や歯がないことなどでいじめの原因などにもなりうる

■見た目を気にして自分から他人とコミュニケーションをとることがなくなる
貧困によってなぜ口腔崩壊が引き起こるのか

生活に経済的に余裕がなく、口腔内の衛生などに気を配る気持ちの余裕や時間の余裕がなくなる場合があるということがあげられます。また、虫歯などを発見しても、医療機関にかかる費用などを気にして、なかなかかかりにくいということもあると思います。

口腔崩壊の子供たちが受けられる医療サービス

学校が必要と判断した虫歯治療に関しては、低所得世帯(要保護、準要保護の世帯)の小中学生は 原則無料ということになっています。また地方自治体によって独自の制度を設けて支援していることもあります。

医師からのアドバイス

口腔内の清潔は、生活習慣によるものが大部分なので小さなころからきちんと習慣づけを行うことが非常に大切です。

【口内炎】は飲み薬で治すことができる!

口内炎の飲み薬はビタミン剤

口内炎を治す薬には、いくつか種類がありますが、飲み薬の場合は、ビタミンB2やB6を配合した「ビタミン剤」が用いられることが多いようです。ビタミンB2やB6は、どちらも皮膚や粘膜の健康維持に欠かせないビタミンで、不足すると、口内炎ができやすくなります。

ただしビタミン剤は、体に取り込まれてから、全身に作用するので、口内炎に直接作用するわけではありません。また、ビタミン剤で効果があるのは、ビタミン不足が原因の口内炎だけです。ビタミン剤を飲んでも、口内炎が改善しないという人は、ほかの原因で口内炎になっている可能性が高いので、治療法を変えてみましょう。

ビタミン剤で効果がないなら

口内炎は、何らかの原因で口腔内に細菌やウイルスが増殖し、炎症を起こすことで発症します。このため、口内炎を治すためにいちばん大切なのは、口の中を清潔に保つことです。

口内炎を早く治したいのなら、食後の歯磨きを徹底し、雑菌が繁殖するのを防ぎましょう。また、殺菌効果があるうがい薬やアルコールフリーのマウスウォッシュなどを使って、口の中を定期的に殺菌するのも効果的です。うがいは、毎食後だけでなく、起床直後や帰宅後、寝る前などにもすると良いでしょう。

そして、うがいをするときは、喉でうがいをするのではなく、口内炎の患部を洗浄するような感じで、ブクブクうがいをすること。1回につき、20秒ほどのブクブクうがいを、3回繰り返し行うのがオススメです。

ただし、口の中に傷がある場合は、殺菌成分が細胞にダメージを与えてしまい、傷の修復を遅らせる可能性があります。うがい薬やアルコールフリーのマウスウォッシュでうがいした後は、水でもう一度うがいをし直したほうが良いでしょう。

セルフケアを行っても、口内炎がなかなか改善しないという場合は、ほかの病気の可能性もあります。一度、耳鼻咽喉科などの病院に行って、医師に相談してみましょう。

いい加減な治療する歯科医ほど予約が取りにくい怪

1980年代に6万人程度だった歯科医が、10万人を超え、歯科クリニックの数は約6万8000軒と、コンビニ(約5万1000軒)よりも多くなった。一方で、国民一人当たりの虫歯本数は、3.2本と約3分の1に激減している(2011年、15~19歳のデータ)

 増えすぎた歯医者をどう選べばいいのか。稲毛エルム歯科クリニックの長尾周格院長は、「繁盛している人気の歯医者のほうが安心」という考え方は必ずしも正しくないと指摘する。

「いい加減な治療をする歯医者ほど、何度も患者が繰り返しやって来るから、気付けば待合室に人が溜まり、予約がなかなか取れない。人気があっていい歯医者だと多くの人は思うわけですが、僕は違うと思います。虫歯がきちんと治せていれば、患者は短期間のうちに何度も通わなくて済みます。だから、ガランとしている歯医者が良心的な治療をしている場合もある。

 日本の保険診療は診療報酬が低く、患者にとって良い治療を真面目にすればするほど、“リピーター”がいなくなり、歯医者の経営が苦しくなる。いい加減な治療をすることにインセンティブがはたらくようになっているのです」

 長尾院長は、東京のクリニックを辞めた後、千葉市内で開業したが、昨年から保険診療を一切やめて、予防専門クリニックをスタートさせている。

 患者が何度も繰り返し通わされるのは、歯科医のいい加減な治療だけが理由ではない。厚労省の「指導医療官」による、診療報酬(レセプト)の不正請求取り締まりの影響もある。

 指導医療官は歯科医師の資格を持つ人物が任命され、歯科クリニックが提出したレセプトをチェックする。彼らが最も目を光らせているのが、患者一人あたりの請求額が高額になっているケースだ。

「患者は短期間で虫歯治療を終わらせたい。ただ、それに応えようと一回で手厚く丁寧な治療をすると、レセプトの点数が上がり、指導医療官に目をつけられてしまいます。保険医取り消しという最悪の事態を避けるために、レセプトの点数(請求額)を抑える。そうすると一人あたりの治療時間が短くなり、何度も通院してもらう状況が生まれる」(歯科医・60代)

 厚労省内では、レセプトの取り締まり件数にノルマを課しているという。2007年には、指導医療官による取り締まりを苦にした歯科医が自殺した。歯医者は、まさに冬の時代にあり、そのしわ寄せは患者にやってくる。

歯周病のリスク たばこを吸う人は吸わない人に比べて5倍にも

 先進国でダントツに歯に対する意識が低いといわれる日本。想像以上に怖いのが歯周病だ。歯周病で一気に歯を失うケースも少なくない。心筋梗塞を引き起こすケースもある。

 たばこを吸うと、歯周病のリスクは高まる。ニコチンによって血管を縮ませるので、体が酸欠・栄養不足状態になり、体の抵抗力が低下する。よって、歯周病になりやすく、治りにくくなる。また、完治しても再発しやすいため、たばこを吸わない人に比べ、歯周病のリスクはなんと5倍!

 富沢歯科医院医院長・富澤直基さんが語る。

「喫煙すると歯肉の腫れや出血が見た目上抑えられ、患者さん自身が歯周病に気づきにくくもなります。歯周病を予防するためにも禁煙をお勧めします」

科学的根拠否定した歯周病治療で高額費用取る医院も存在する

 患者数330万人異常、成人の85%が感染している歯周病は、虫歯と並ぶ、歯を失う2大要因で、肺炎や心疾患などの原因ともなる。が、その治療の実態は杜撰なものが少なくない。

 保険診療の歯周病治療で、一部手抜きがあるからといって、自由診療なら確実な治療が行なわれている訳でもない。中には科学的根拠が否定された治療法で、高額な費用を取る自由診療のクリニックも存在している。

「パーフェクトペリオ」は、次亜塩素酸を主体とした歯科用の水溶液を生成する装置である。2009年に製法特許をとり、当時はテレビ番組等で口腔内の虫歯菌や、歯周病菌を殺菌できる商品として紹介され話題となった。

 しかし、「パーフェクトペリオ」は、医療機器として正式な認可を受けたものではなく、安全性や効用について検証が不十分な商品だったのである。

 日本歯周病学会は、2010年にパーフェクトペリオについて次の声明を公表した。

〈歯周治療への応用については、研究途上の段階で科学的根拠が十分であるとはいえず、日本歯周病学会としては安全性や有効性について学術的な場で充分な討議が行われた後に、臨床に応用されるべきであると考える〉

 その後、この製品は歯科医の間でもほとんど話題に上らなくなったが、今も堂々と一部のクリニックでは使用されている。自由診療としてクリニックが独自に価格を設定して患者に請求しているのだ。

 都内のあるクリニックは、ホームページに「パーフェクトペリオを併用した歯周病治療では、歯周病菌をほぼ完全殺菌できるため、軽度歯周病は1回、中等度は2回、重度の方はほぼ3回で症状が改善されます」との旨の記載がある。

 料金は1回60分で1万1880円という設定だ。保険診療でSRPを行なうよりも格段に利益は上がる。

 このクリニックに対して、日本歯周病学会が科学的根拠を否定していることを筆者が指摘すると、次のような回答が返ってきた。

「歯科医によって意見が異なる。当院としては効果がある。(歯周病の)進行を止める効果を期待してやらせていただいている」

 同クリニックには、元大学歯学部教授が勤務している。歯科治療として科学的根拠に欠ける製品を、堂々と使用するのは、モラル以前の問題だろう。患者の安全性よりも、利益を優先する姿勢こそが歯科業界の闇を象徴している。

歯周病治療 業界には「タコヤキ治療」なる隠語も存在

患者数330万人異常、成人の85%が感染している歯周病は、虫歯と並ぶ、歯を失う2大要因で、肺炎や心疾患などの原因ともなる。が、その治療の実態は杜撰なものが少なくない。大阪で予防歯科のクリニックを運営する、歯科医の米畑有理氏は次のような体験を語る。

「他院から来た患者さんの中には、正しい歯周病検査を受けないまま治療されている方や、スケーリングを受けたばかりなのに歯石が残っていることもあります」

 米畑氏は、手抜き治療を行なっている歯科医は、ごく一部であり、大半は誠実に患者と接しているはずだとも付け加えた。

 ただし、その一方で歯科業界では歯周病治療について「タコヤキ治療」なる隠語がある。

 これは、タコヤキをひっくり返す程度に歯をいじっただけの「やったフリ治療」を指すと同時に、診察台をずらりと並べて同時進行で患者を治療していく様が、まるでタコヤキを次々とひっくり返していくようであることを揶揄している。

 歯科医の大半が個人でクリニックを経営しており、治療技術を客観的に評価される機会はほとんどない。

 これまで取材してきた実感として、独りよがりな治療を行なう歯科医が実に多い。確実な歯周病治療を受けるためには、日本歯周病学会の認定医や指導医の資格は一つの目安になるだろう。

 また、鶴見大学歯学部附属病院の五味一博教授は、歯周病の治療をせずインプラントに誘導する一部の歯科医について憂慮していた。

「インプラントの症例を見ると、なぜこの歯を抜いたのかと驚いてしまう場合もあります。歯周病は治せないというイメージを抱いてしまっている先生も結構多いんですよね。しかし、歯周病が少し進んでいて治せないので抜いてインプラント、という考え方は歯周病治療の専門家としては必要ないと思います」

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歯周病は出産にも悪影響? 歯を失うだけじゃない、歯周病の怖さとは

歯周病は、中年以降の日本人では80%がかかっている病気です。初期は目立った症状がなく、ゆっくり進行するため、「静かな病気(サイレント・ディジーズ)」とも呼ばれ、日本人が歯を失う最も大きな原因となっています。

 しかし安心してください。歯周病は正しい知識さえあれば防ぐことができる病気なのです。それなのに、世の中には歯周病の専門家から見て、首をかしげたくなるような不正確な情報が蔓延(まんえん)しているといいます。

 そこで、歯周病の原因・治療・予防についての研究や歯科医師の教育を行っている日本歯周病学会と、日本臨床歯周病学会が全面的に協力し、歯周病に関する“正しい”知識の普及を目的とした初の書籍、『日本人はこうして歯を失っていく 専門医が教える歯周病の怖さと正しい治し方』(朝日新聞出版)を発売。今回は特別に本書から、近年、さまざまな研究結果から明らかになった、歯周病が全身に及ぼす影響について紹介します。

*  *  *
 歯周病は、歯周病菌による感染症です。軽いうちであれば歯周病菌は歯肉の周辺にとどまっていますが、進行して深い歯周ポケットが形成されるようになると、その中で炎症を強めるタンパク質(サイトカイン)などがどんどん増え、歯肉の血管から血液中へと流れ出していきます。血流にのって臓器や血管壁にたどり着いた歯周病菌やサイトカインは、毒性を発揮し、糖尿病や心臓病を悪化させるなど全身にさまざまな悪影響を及ぼすのです。

 また「気道」も、歯周病菌が体内に入り込む経路の一つ。口の中にいる歯周病菌が食べものや唾液に混ざり、誤って気道から肺へ流れ込むと、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)などを引き起こします。

■歯周病が引き起こす全身病

 近年、さまざまな研究結果から、歯周病が全身にどのような影響を及ぼすのかが明らかになってきました。

【糖尿病】
 糖尿病では、網膜症、腎症、神経障害、末梢血管障害、大血管障害といった合併症を引き起こしやすいことが知られています。歯周病はこれらに続く「第6の合併症」といわれているほど、糖尿病と密接にかかわっています。

 まず糖尿病になると、体を感染から守る免疫細胞の働きが落ち、歯周病などの感染症にかかりやすくなります。さらに糖尿病の人は、血糖値を下げる作用があるインスリンというホルモンの分泌が減少したり働きが低下したりすることによって血糖値が上がり、高血糖になっています。高血糖の影響で炎症が強まるために、歯周病の症状も悪化しやすくなるのです。

 また、歯周病の炎症によって作り出される物質(サイトカイン)のいくつかには、インスリンの効きを阻む「インスリン抵抗性」があるために、歯周病患者は、血糖コントロールがしにくくなり、糖尿病を悪化させてしまいます。糖尿病は歯周病を悪化させ、歯周病も糖尿病を悪化させる――というように、双方向で悪影響を及ぼしているということです。

 しかしこれを逆手にとって、歯周病をしっかり治療すれば、血糖コントロールを改善できますし、薬や食事、運動などで血糖値が安定すれば歯周病の症状も良くなります。

【循環器の病気】
 これまで1000人以上を対象におこなわれた研究によって、歯周病が重症化した人はそうでない人に比べて脳卒中や狭心症・心筋梗塞などの循環器病の発生率が1.5~2.8倍も高いことが明らかになっています。さらに、循環器病の原因となっているアテローム性動脈硬化症(コレステロールなどの脂質が動脈内膜におかゆ状に沈着した動脈硬化)の程度が、歯周病と関連していることもわかってきました。「アテローム性動脈硬化を起こしている部分を手術したら、そこから歯周病菌が検出された」という報告もたくさんあります。

 循環器病には歯周病菌が直接血管に障害を与えるだけでなく、炎症の起きた歯周組織で作られる「炎症性サイトカイン」が血流を通じて心臓や血管に移動することによって血管内皮細胞やアテローム性動脈硬化部分の免疫細胞が活性化され、心臓血管系の異常を引き起こすのではないかと考えられています。

 また心臓の病気の一つ「感染性心内膜炎」の場合、口の中の歯周病菌が原因になっていることもあります。抜歯や出血をともなう歯肉の治療時に歯周病菌が血液中に入り込み、心臓の内壁を覆う「心内膜」に感染して炎症を起こし、心臓の働きが低下します。

とくに心臓病の手術や検査を受けるなどして感染症に対する抵抗力が落ちている人や、弁膜症など心臓の病気がある人は注意が必要です。

【骨粗しょう症】
 骨量が減少して骨がスカスカでもろく折れやすくなった状態を「骨粗しょう症」といいます。加齢とともに誰でも骨量は減少するものですが、とくに閉経以降の女性は女性ホルモンの分泌が減少するとともに骨量もぐっと少なくなるので、骨粗しょう症が多く見られるようになります。また、歯周病に侵された歯肉の中で産生される炎症性サイトカインには、骨代謝に影響を及ぼすものがあるということもわかってきました。

 逆に骨粗しょう症の人が歯周病になると、他の骨と同じように歯槽骨がもろくなり、吸収されるスピードも速まるので、歯周病が悪化しやすいといわれています。

【リウマチ】
 関節リウマチは免疫の異常などが原因で、手や足の関節に痛みや腫れをともなう炎症が起きる病気です。関節リウマチと歯周病には同じ炎症性サイトカインが関連しているなど共通点も多く、関節リウマチの患者は歯周病にかかりやすいことがわかっています。とくに口の中を不潔にしていると、歯周病が重症化しやすくなります。関節リウマチの患者さんは手指の動きが悪いので、歯ブラシを思うように動かせないことも重症化の一因でしょう。

 逆に歯周病があると関節リウマチの病状に影響を及ぼすなど、双方向で関連しています。

【誤嚥性肺炎】
 歯周病菌が気道経由で感染を広げる病気の代表が、「誤嚥性肺炎」です。口の中の歯周病菌が唾液や食べ物に混じって気道に入り込み、肺に感染を起こします。通常は唾液や食べ物が気道側に入ることはありませんが、高齢者は飲みこむ力が弱く、さらに感染に対する抵抗力も低下しているために誤嚥性肺炎を起こしやすいのです。

 肺炎は80歳以上の高齢者では死亡原因の3位であり、予防を心がけなければならない病気です。高齢者に口腔ケアをおこない、歯周病菌などの口内細菌が減少すると、肺炎の発症率を低下することが報告されています。

【早産・低体重児出産】
 歯周病は、出産に悪影響を与えることもわかってきました。1996年に初めて「早産の危険因子の一つ」という研究報告が発表されて以降、各国でおこなわれてきた多くの研究を解析した結果、重い歯周病にかかった女性は早産や低体重児を産むリスクが、かかっていない人の3.57倍になることが示されたのです。

 早産や低体重児出産のリスクとして喫煙や高齢妊娠がよく知られていますが、細菌性膣炎などの細菌感染もリスクの一つ。歯周病も感染症なので、歯周病にかかった歯周組織が作り出す炎症物質が血液中に入り込み、子宮頸管を柔らかくし子宮を収縮させて早産しやすくさせると考えられています。また、歯周ポケットから血液中に入り込んだ歯周病菌の毒素が子宮などに流れ着き、直接悪さをしている可能性もあります。ただし、歯周病を治療すると早産や低体重児出産のリスクを減らすことができるかどうかは意見が分かれており、まだ明らかな結果が出ていません。

 なお、妊娠中はつわりで食事が不規則になったりブラッシングが不十分になったりする上に、胎盤で作られるホルモンの影響で歯周病菌が増殖するため、歯周病が悪化しやすくなります。妊娠する前に歯周病をしっかり治しておきましょう。

【その他】
 そのほかにも、歯周病が肥満に関連している、腎臓病を悪化させる、HIVに感染した後AIDS(エイズ)の発症を早めるといった報告があります。ただし、まだしっかりと因果関係が証明されていません。

■歯周病の治療とともに全身の健康管理を

 歯周病は多くの全身病と関連しています。すなわち歯周病を治せば、他の病気も良くなりますし、持病を治療して改善すれば歯周病にも好ましい影響を与えます。どちらか一方の治療ではなく一気に両方治療すると、抜群の治療効果が期待できるということです。

 歯科を受診したら、糖尿病など持病があることを歯科医師に伝えてください。歯科医師は、持病でかかっている医師と連携を取りながら治療を進めていきます。

歯周病セルフチェック! 簡単にわかる5つのポイント


歯周病は、中年以降の日本人では80%がかかっている病気です。初期は目立った症状がなく、ゆっくり進行するため、「静かな病気(サイレント・ディジーズ)」とも呼ばれ、日本人が歯を失う最も大きな原因となっています。

 しかし安心してください。歯周病は正しい知識さえあれば防ぐことができる病気なのです。それなのに、世の中には歯周病の専門家から見て、首をかしげたくなるような不正確な情報が蔓延(まんえん)しているといいます。

 そこで、歯周病の原因・治療・予防についての研究や歯科医師の教育を行っている日本歯周病学会と、日本臨床歯周病学会が全面的に協力し、歯周病に関する“正しい”知識の普及を目的とした初の書籍、『日本人はこうして歯を失っていく 専門医が教える歯周病の怖さと正しい治し方』(朝日新聞出版)を発売。本書から特別に、歯周病の簡単なセルフチェックを紹介します。

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 歯周病の初期は外側から歯の状態を見ただけではわからないことが多く、痛みなどの自覚症状も乏しいため、発見が遅れがちになります。症状に気がついて受診したときには、すでにかなり進行していることも少なくありません。早期発見のために歯周病の症状を理解し、定期的にセルフチェックする習慣をつけましょう。

 自分でチェックする際のポイントを図表にしました。ここに挙げた症状のうち、歯肉の軽い腫れやむずがゆさ、ブラッシング時の出血などは、初期から起こりやすい症状です。進行するにつれて、口臭や口の中の粘つき、歯肉を押すと膿や血が出るといった症状が見られるようになります。

 3つ以上の項目が当てはまる人は、予防、治療のために早めに歯科医院を受診しましょう。文末に★が付いている項目がすべて当てはまった人は、すでに重度の歯周病になっている可能性があります。すぐに治療を始めてください。
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■簡単にわかる症状のポイント

【ポイント1 歯肉の色】
 鏡を見ながら、そっと下唇をめくり返してみましょう。このとき無理に唇をひっぱらないようにしてください。唇の裏側の淡いピンク色と、歯肉の色を比べてみて、歯肉の色が唇の裏側よりも一段薄ければ合格。唇の裏側と同じくらいだったり、やや濃い、濃淡があるという場合は要注意です。
 同じように上側の歯肉も、上唇の裏側と比較してみましょう。

【ポイント2 歯肉の腫れ】
 「歯の間の歯肉が目立って赤い」「歯を取り巻く歯肉に1ミリほどの幅の赤い縁どりがある」場合は、初期の歯肉炎の疑いがあります。
 進行すると「赤い色が濃くなる」「厚ぼったくなる」「ぷくっとした丸みが出る」「歯肉が柔らかくたるむ」といった症状が現れます。

【ポイント3 出血】
 ブラッシングのとき、歯と歯肉の境い目から血がにじんだり、歯ブラシが赤く染まるのは、歯周病の兆候です。りんごをかじると血が出る場合は、進行している可能性があります。

【ポイント4 口臭】
 歯周病が進行すると、歯肉から排出される膿のために、独特のイヤなにおいが発生します。かなりのにおいですが、自分では慣れてしまってなかなかわかりません。また周囲の人が口臭に気づいたとしてもなかなか本人には言いづらいものです。家族などごく親しい人に「私の口、におわない?」と聞いてみましょう。
 パートナーやお子さん、お孫さんに口臭を指摘されて歯科医院を受診したことが、歯周病発見のきっかけになるケースは少なくありません。口臭外来のあるクリニックから歯周病専門医に紹介されてくるケースもあります。

【ポイント5 歯並び】
 歯周病がかなり進行すると、歯槽骨が吸収され、歯がグラつくようになります。このような不安定な状態で噛み続けていると、歯が動き、歯並びが悪くなっていきます。きちんと噛めなくなりますし、容貌まで変わってしまうこともあるのです。

歯周病 5つの衝撃的新事実! 実はペットと歯周病をうつし合っていた?

歯周病は、中年以降の日本人では80%がかかっている病気だ。初期は目立った症状がなく、ゆっくり進行するため、「静かな病気(サイレント・ディジーズ)」とも呼ばれ、日本人が歯を失う最も大きな原因となっている。

 しかし安心してほしい。歯周病は正しい知識さえあれば防ぐことができる病気なのだ。それなのに、世の中には歯周病の専門家から見て、首をかしげたくなるような不正確な情報が蔓延(まんえん)しているという。

 そこで、歯周病の原因・治療・予防についての研究や歯科医師の教育を行っている日本歯周病学会と、日本臨床歯周病学会が全面的に協力し、歯周病に関する“正しい”知識の普及を目的とした初の書籍、『日本人はこうして歯を失っていく 専門医が教える歯周病の怖さと正しい治し方』(朝日新聞出版)を発売。本書から特別に、歯周病の衝撃的新事実5つを紹介する。

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【新事実1 とくに「男性」の喫煙者は重度の歯周病にかかりやすい】

 「喫煙」は、歯周病を悪化させるリスク因子の一つ。国立がん研究センターが1164人(男性552人、女性612人)を対象におこなった疫学調査で、「男性」は自らタバコを吸う人はもちろんのこと、人の煙を吸う「受動喫煙」でも歯周病のリスクが高まることが明らかになりました。

 「男性」で「受動喫煙経験のない非喫煙者」をベースに比較したところ、「喫煙者」は約3.3倍、「家庭のみで受動喫煙経験のある非喫煙者」では約3.1倍、「家庭および家庭以外の場所で受動喫煙経験のある非喫煙者」では約3.6倍、重度の歯周病になるリスクが高くなりました。

 タバコのニコチンは歯周病をひき起こす歯周病菌の発育を促し、その病原性を高めます。受動喫煙でも同様のメカニズムで歯周病の悪化に拍車をかけることが推察されます。

 この研究では、女性の場合は受動喫煙と歯周病との間に関連がみられず、その理由は不明とされています。ただし受動喫煙は、心筋梗塞やぜんそく、早産など健康にさまざまな悪影響を及ぼすことは明らかです。男性女性問わず、タバコには注意をしてください。

<まとめ>
・喫煙者でなくても「受動喫煙」で、歯周病のリスクが高まることが明らかに
・男性で「喫煙者」は約3.3倍、「家庭および家庭以外の場所で受動喫煙経験のある非喫煙者」は約3.6倍

【新事実2 歯周病の治療をすると、糖尿病も改善する】

 歯周病と糖尿病には密接なかかわりがあることは明らか。歯周病の人は糖尿病を併発していることが多く、また、糖尿病患者は歯周病が重症化しやすいこともわかっています。歯周病が悪化すると糖尿病も悪化する、それならば歯周病を治療すれば糖尿病が改善するのではないか――。それを明らかにした研究結果が、いくつか発表されています。

 岡山大学大学院でおこなわれた研究(岩本義博氏ら)もその一つ。歯周病と2型糖尿病を併発している患者に、歯周病の治療(スケーリング+歯周ポケットへ抗菌薬を注入)を実施し、治療前と後でHbA1c(血糖値の指標)を比較しました。

 その結果、治療後にはHbA1cが明らかに改善していたのです。また血糖値を下げるインスリン(ホルモンの一種)を作りにくくするTNF─α(腫瘍壊死因子)の血中濃度も、減少していました。
 糖尿病を治療中の人は、すぐに歯周病の治療も始めましょう。

<まとめ>
・歯周病の人は糖尿病を併発していることが多く、糖尿病患者は歯周病が重症化しやすい
・歯周病と糖尿病を併発している患者が歯周病の治療をすると、糖尿病が改善する

【新事実3 歯周病はアルツハイマー病を悪化させる!】

 2025年には全国で認知症を患う人の数は700万人を超えると予想され、国内外でさまざまな研究が進んでいます。そんな中、名古屋市立大大学院、国立長寿医療研究センター、愛知学院大学によるマウスの実験で「歯周病はアルツハイマー病を悪化させる」ことが明らかになりました。アルツハイマー病は、認知症のタイプの中で最も患者数が多く、6割以上を占めています。

 実験では、人工的にアルツハイマー病にかからせたマウスを用意。2つのグループに分けて一方を歯周病菌に感染させ、「アルツハイマー病のみ」のグループと、「アルツハイマー病+歯周病」のグループを作りました。両グループのマウスにまず球と三角錐を見せ、うち一つを違う形のものに置き換えて反応を調べたところ、「アルツハイマー病のみ」のグループは新しく置いた物体へ頻繁に近づく行動を見せたのに対し、「アルツハイマー病+歯周病」のグループの反応は変わりませんでした。「歯周病を合併したことでさらに認知機能が低下し、最初に見た物体の形を忘れ、新しい物体に興味を示さなかった」と考えられます。

<まとめ>
・マウスの実験で歯周病はアルツハイマー病を悪化させることが明らかに
・アルツハイマー病に歯周病を合併すると、さらに認知機能が低下する

【新事実4 早期に歯周病を治療すれば、医療費を大幅に削減できる】

 急速に高齢化が進む日本では、増大する医療費が問題になっています。各家庭においても、老後に向けて医療費支出をどう抑制するかが課題と言えるでしょう。

 自動車部品メーカー・デンソーの健康保険組合が被保険者の医療費を分析したところ、歯周病にかかっている人はかかっていない人よりも、歯科だけでなく医科(歯科以外の病気)の一人あたりの医療費も年間平均1万5800円多くかかっていることがわかりました。60歳以上になるとこの差は、3万円前後まで広がります。歯周病は全身に影響を及ぼします。実際、歯周病で治療を受けている人の多くが糖尿病にかかっていました。

 では、どうすれば医療費を抑えられるのでしょうか。デンソーの場合、定期的な歯科健診を実施している事業所では医療費が5年間で最大23%も減少したのに対し、実施しなかった事業所では24%増加していたとのこと。

 歯周病の予防や早期発見・治療は、生涯にわたる医療費を抑えるポイントと言えそうです。

<まとめ>
・歯周病の人は一人あたりの医療費が年間平均1万5800円多かった
・定期的な歯科健診を実施している事業所では医療費が5年間で最大23%も減少

【新事実5 犬の8割近くは歯周病予備軍。飼い主とうつし合っている可能性も!】

 歯周病は人間だけではなく動物にも発症する病気。とくに犬には歯周病が多いことが明らかになっています。780匹の犬の「歯科健診」の結果を分析したところ、76.3%に歯垢や歯石の沈着といった「歯周病予備軍」といえる症状が見つかりました(アニコム損害保険会社調べ)。ペットも高齢化が進み、歯周病の発生率が増えているのです。

 では、犬猫の歯周病は人間の歯周病とは別物なのでしょうか。実は人間の歯周病菌と同一の菌が犬の口から検出されたという報告もされています。ペットと飼い主で歯周病菌を相互にうつし合っている可能性も考えられるということなのです。人間が食べものを噛みちぎってペットに与えたり、ペットが人間の口を舐めたりといった行為が、歯周病菌の感染ルートになっているかもしれません。なおペットは、「歯垢が歯石に変化するスピードが速い」「ブラッシングが難しい」「痛みや違和感を自分で訴えられない」といった理由から、人間よりも歯周病が重症化する傾向にあります(取材協力:鹿児島大学・東京医科歯科大学 高橋香氏)。

<まとめ>
・犬の「歯科健診」で、76.3%に歯垢や歯石の沈着といった「歯周病予備軍」といえる症状が見られた
・人間の歯周病菌と同一の菌が犬の口から検出されたという報告も

実は怖い歯周病5つの誤解とその正解 むし歯がなくても、小学生でもなるって本当?

歯周病は、中年以降の日本人では80%がかかっている病気だ。初期は目立った症状がなく、ゆっくり進行するため、「静かな病気(サイレント・ディジーズ)」とも呼ばれ、日本人が歯を失う最も大きな原因となっている。

 しかし安心してほしい。歯周病は正しい知識さえあれば防ぐことができる病気なのだ。それなのに、世の中には歯周病の専門家から見て、首をかしげたくなるような不正確な情報が蔓延(まんえん)しているという。

 そこで、歯周病の原因・治療・予防についての研究や歯科医師の教育を行っている日本歯周病学会と、日本臨床歯周病学会が全面的に協力し、歯周病に関する“正しい”知識の普及を目的とした初の書籍、『日本人はこうして歯を失っていく 専門医が教える歯周病の怖さと正しい治し方』(朝日新聞出版)を発売。本書から特別に、歯のケアに対する5つの誤解と正解を紹介する。

*  *  *
【誤解その1】「歯槽膿漏」と「歯周病」は違う病気だ
<正解 歯槽膿漏=進行した歯周病>

 高齢の方にはなじみのある「歯槽膿漏(しそうのうろう)」は、実は重度の歯周病のこと。歯周病は、歯を支える骨(歯槽骨/しそうこつ)や歯肉(歯ぐき)などの「歯周組織」が歯周病菌に侵される感染症です。

 歯周病は、「歯肉炎」と、歯周組織まで進行した「歯周炎」の2段階に大きく分けられます。歯肉に炎症を起こす「歯肉炎」から始まり、「歯周炎」に進行すると歯肉(歯ぐき)がぷよぷよしたり、膿が出たりするようになります。さらに重症化すれば歯を支える歯槽骨も溶け、やがて歯は抜けてしまいます。進行した歯周病、つまり、歯周炎は、一昔前までは歯槽膿漏と呼ばれていましたが、今では「歯周病」という名称が一般的になっています。

【誤解その2】歯周病は歯肉から膿が出る病気だ
<正解 自覚症状が出る頃には歯周病はかなり進行している>

 歯周病はかつて歯槽膿漏と呼ばれていたせいか、漢字どおり「歯肉がぷよぷよして『膿』が出る」といった状態をイメージしている人が多いようです。膿が出るのは確かに歯周病の症状の一つです。ただ、このような症状に気づく頃には、歯周病はかなり進行してしまっています。

 初期には、歯肉の腫れやむずがゆさ、歯を磨いたときの出血といった症状が現れますが、いずれも自分では気づきにくいもの。しかし、この段階で治療を始めれば歯を失うことはなく、早く良くなります。

 歯周病初期はなかなか自分では気がつくことができないということを知っておきましょう。

【誤解その3】歯肉からの出血はよくあること。放っておけば治る
<正解 歯肉の炎症が原因で歯周病の可能性大。すぐ歯科医院へ!>

「ブラッシングのたびに歯肉から出血するが、放っておけば治るから大丈夫」と軽視している人は多いのではないでしょうか? しかし歯肉からの出血は、歯周病の初期症状である可能性が高いのです。

 初期には歯肉が少し腫れる、何となくむずがゆいといった症状が出ていることも多いのですが、出血のようにはっきりした症状ではないので、ほとんどの人は気づきません。歯周病は「サイレント・ディジーズ」と言われ、気づかないうちに歯肉の内側の見えないところで歯を支える骨などがジワジワと破壊される病気です。

 患者さん自身が気がつきやすい歯肉からの出血は、歯周病を早期発見・治療するチャンスなのです。

【誤解その4】歯周病予防は中高年になってからやればいい
<正解 小学生でも歯周病になる。早くから歯科医院に通いケアを>

 歯周病はかつて歯槽膿漏と呼ばれていた頃のイメージで、「高齢者の病気」と捉えられることも多いようです。

 しかし、若者が歯周病にならないわけではありません。厚生労働省が2011年におこなった「歯科疾患実態調査」によると、すでに15.9歳で4.5%、20代は約14%、30代になると5人に1人が歯周病になっています。また歯周病の中でもとくに重症化しやすいタイプの「侵襲性歯周炎」は「若年性歯周炎」ともいわれ、10代20代で発症します。

 将来、歯がボロボロになって後悔しないように、若いうちからむし歯予防だけでなく歯周病予防も始めましょう。

【誤解その5】むし歯がないのに歯周病になるわけがない
<正解 むし歯がなくても発症する。むしろむし歯がない人ほど注意を>

 世の中には、むし歯がほとんどないという人がいます。Aさん(46歳)もその一人。昔からむし歯がないことが自慢でしたが、あるとき「下の前歯が1本、突然抜けてしまった」と、受診してきました。丈夫そうな歯が並び、一見問題なさそうなのですが、土台部分の骨はかなり溶けていて、抜けた原因が歯周病であることは明らかでした。むし歯も歯周病も、もともとの原因は細菌感染ですが、細菌の種類は異なるため、むし歯になりにくいからといって歯周病にもなりにくいなどということはありません。

 若い頃からむし歯に悩む人は比較的自分の歯を気にかける傾向が高いため、歯科医院に定期的に通院し、意外と歯周病になりにくい場合が多いのです。

あなたの歯の状態、大丈夫?「虫歯」になってるか1分でかんたんチェック!

冷たいものがしみるけど痛いというほどではないし…仕事が忙しくてなかなかクリニックにいく暇がないんだよな…そんな風に思って、歯科検診を怠っていませんか? 虫歯になりやすい生活を送ってしまっていませんか?

歯は食事をするだけのものではなく、あなたの笑顔や印象にも大きく影響する大事なものです。白くて綺麗な歯を維持して虫歯に悩みたくない方は、早速虫歯リスクをチェックしてみましょう!以下の【注意すべき症状パート(全3問)】と【虫歯リスクパート(全13問)】から、当てはまるものをチェックしていきましょう。

チェックスタート!
【注意すべき症状パート(全3問)】


□ 冷たいものや甘いものを食べるとしみる
□ 現在何もしなくても痛みのある歯がある
□ 現在変色のある歯がある

3つのうちでも当てはまったら結果の「1. 【注意すべき症状パート】に当てはまるものがあった方」へお進みください。

当てはまらなかった場合は、続けて下の【虫歯リスクパート(全12問)】へ進んでください。

【虫歯リスクパート(全12問)】
□ 1日に4回以上食事をする
□ 甘いものを好んでよく食べる
□ キシリトール配合のシュガーレスガムはあまり噛まない
□ フッ素配合のはみがき粉を使用していない
□ 食後に歯磨きをしないことがある
□ デンタルフロスや歯間ブラシは使っていない
□ 歯ブラシを1ヶ月以上交換していない
□ 虫歯の治療経験がある
□ 口の中がネバネバしたり、舌がひびわれたりしている
□ 歯科での定期検診は受けていない
□ 歯科でのクリーニングを受けたことがないか、たまにしか受けない
□ 歯並びが悪い
□ 歯科で検査を受けて、虫歯の原因菌が多いといわれたことがある

13問のうち、当てはまるものが4つ以上あった場合は結果の「2. 【虫歯リスクパート】で当てはまるものが4個以上だった方」へ、

それ以外の方は「3. 【虫歯リスクパート】で当てはまるものが3個以下だった方」へ進んでください。

1. 【注意すべき症状パート】に当てはまるものがあった方
【要注意】虫歯が疑われる症状があります。あなたは現在虫歯の可能性があると考えられます。早めに歯医者さんを受診することをお勧めします。早期に虫歯を発見し、治療することが大事です。定期的に歯科検診を受けたり、クリーニングを受けることは虫歯の予防や早期発見に効果的です。

2. 【虫歯リスクパート】で当てはまるものが4個以上だった方
【注意】虫歯の可能性あります。あなたは虫歯リスクが高いと考えられます。もしもお痛みや変色などの症状がでましたら、早めに歯科を受診して治療を受けましょう。普段の生活では、ダラダラと甘いものを間食したりするのを控えてください。歯磨きだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使用するとプラーク(歯垢)が残らず、虫歯予防に役立ちます。

3. 【虫歯リスクパート】で当てはまるものが3個以下だった方
虫歯の可能性は低いです。あなたは現在、虫歯リスクは低い状態と考えられます。現在の生活習慣を続けられるよう、これからも頑張りましょう。

一言アドバイス
いかがですか?

健康な白い歯を長く維持してゆくためには、日々のケアが欠かせません。
現在虫歯の疑いがある方や、虫歯リスクが高かった方は【虫歯リスクパート】にある内容から少しずつ改善してゆけるとよいですね。

歯磨きだけじゃ不十分?「歯周病になりやすい習慣」あなたは何個当てはまる?

歯ブラシや歯みがき粉のCMなどで「歯周病(歯槽膿漏)」という病名をよく目にすると思います。歯周病とは、歯を支えている骨を溶かしてしまい、歯が抜ける原因にもなってしまうといわれる怖い病気です。

痛みなどの自覚がなくても、あなたの生活習慣の中に歯周病になりやすい要素が隠れているかもしれません。
リスクを把握するために、まずはセルフチェックしてみましょう。

チェックスタート!
□ 歯みがきを忘れることがある
□ 口の中が乾きやすい
□ 毎日デンタルフロスを使っていない
□ 定期的に歯科に行って歯石をとったり、歯のチェックを受けたりはしていない
□ 親知らずが生えている
□ 虫歯の治療のため歯にかぶせものがある
□ 歯ぎしりする癖がある
□ 歯にフッ素塗布はしていない
□ 知らず知らずのうちに口呼吸になっていることが多い
□ 水分をあまりとらない
□ 歯の磨き方に今一つ自信がない
□ 生活が不規則である
□ ストレスがたまっている
□ 口臭が気になる
□ 最近、疲れやすい

いくつ当てはまったでしょうか?

結果は…
当てはまった数が「0~3個」の人


【特に問題なし】歯周病になりにくい生活習慣でしょう。

口腔内の健康や清潔に対する意識が高く、歯周病に比較的なりにくい方といえます。

すでに良い習慣を持っておられるようですから、継続するとよいでしょう。お酒を飲んだり、夜更かししたりする機会の多い方も、きれいな歯とさわやかな息で乗り切っていきたいですね。
当てはまった数が「4~7個」の人

【注意】歯周病になりやすいでしょう。

歯周病になりやすさとしては中くらいの方であるといえるでしょう。

30代以降で歯周病にかかっている割合は半数を超える傾向にあるため、将来も自分の歯でおいしく食べ物を味わえるように、今から歯の健康を考えていきたいですね。
当てはまった数が「8個以上」の人

【要注意】歯周病になりやすいでしょう。

そもそも歯周病は30代以降の方なら多くの方がかかっているという非常に多い病気です。

日本ではあまり普及していない印象がありますが、普段の歯みがきに加えて歯と歯の隙間に溜まった汚れを取り除くデンタルフロスを毎日使用することは、歯周病の予防に非常に効果があるといわれていますので、ぜひ習慣にしてくださいね。
一言アドバイス

歯周病は進行すると歯が抜け落ちてしまうだけでなく、歯周病菌が血流に乗り全身へ巡ることで心臓や肺へ流れ全身に疾患を引き起こすこともある恐ろしい病気です。

予防には口の中を清潔にすることが非常に重要になってくるほか、生活習慣に気をつけることも予防につながります。もし歯周病のリスクがあるという結果が出てしまった場合は、チェック内容にあったことから改善できるとよいですね。
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