l.dtd"> あなたの健康はお金で買えますか・・・? ■健康診断・コレステロール・人間ドック・遺伝子検査


【健診数値の生かし方】腎臓は知らぬ間に壊れる 糖尿病編(12

高血糖の状態を放置していると、最初にダメージを受けるのは毛細血管。血中にあふれたブドウ糖が、細胞や組織を傷害し、ジワジワと臓器に悪影響を及ぼす。

そのひとつが、糖尿病性腎症。早期の段階では自覚症状がないだけに、放置することで、知らぬ間に腎臓機能が壊れるという。

 【濾過(ろか)装置が硬くなる】

 腎臓は、血液を濾過して、体内の老廃物や余分な水分を排出する重要な臓器。1つの腎臓に100万個存在する細かい血管を集めた糸球体(しきゅうたい)が、その役割を担っている。では、高血糖の状態で糸球体に何が起こるのか。

 長年、腎症の治療と研究を行う千葉大学医学部附属病院糖尿病・代謝・内分泌内科の竹本稔准教授が説明する。

 「糸球体の組織は、濾過をするためにジッパーのような網の目構造を持っていますが、高血糖状態が長く続くとうまく濾過できなくなるのです。その結果、血液中のタンパク質が尿の中に出てきますが、最初のわずかな変化は自覚症状に結びつきません。

自覚症状がないからといって放置しておくと、やがて糸球体が硬くなってしまい、腎機能が低下していきます。早期に腎障害を発見するためには、タンパク質の一種、アルブミンが尿に出ていないか調べる検査が重要になります」

 糸球体の濾過機能がうまく働かないと、尿に微量のアルブミンが出るようになるという。しかし、一般的な健診では、尿中アルブミン検査は含まれていない。そのため、健診で「高血糖」といわれたら、改めて医療機関を受診し、尿のアルブミン値を測ってもらう必要がある。

 【血圧が高くなる】

 竹本准教授によれば、糖尿病性腎症の尿中のアルブミン値の目安は別表のとおり。

 第1期の正常アルブミン尿「30未満」は、正常の範囲で、当然のことながら無自覚。しかし、アルブミン量が増え始めた第2期の「早期腎症期」でも、症状は現れないそうだ。

 「第3期のように、アルブミンだけでなく、尿蛋白(たんぱく)が持続的に出てくると、腎機能の低下は著しく、むくみなどの症状が現れやすくなります。さらに、糖尿病患者さんは高血圧を合併しやすく、そういう方は腎障害がより早く進みます」(竹本准教授)

 糸球体は、圧力によって血液を押し出して濾過するため、ある一定の圧に保たれている。しかし、糖尿病で高血圧を合併すると、より強い圧力で血液が押し出されるため、尿タンパクが増え、腎障害が進みやすくなる。

 「もともと高血糖に高血圧をダブルで持っている人は、糖尿病性腎症を悪化させやすいともいえます。脂質異常症も加わると、動脈硬化の発症・進展を加速させ、腎機能はさらに低下しやすくなるのです。

もちろん、早期の段階で生活習慣病をコントロールすれば、腎機能を正常に引き戻すことは可能です。自覚症状がなくても、10年以上の年月をかけて腎機能は低下しますので、早めの改善を心掛けていただきたいと思います」と竹本准教授は話す。 

 ○糖尿病性腎症病気分類
 ・第1期(腎症前期)
  正常アルブミン尿(30未満)
 ・第2期(早期腎症期)
  微量アルブミン尿(30-299)
 ・第3期(顕性腎症期)
  明らかにアルブミン尿が多い(300以上)
  持続的に蛋白尿(0.5以上)が生じる
 ※正常アルブミン値の単位はmg/gCr
  尿蛋白値単位はg/gCr

【健診数値の生かし方】糖尿病編(11) 脚の壊疽気づいたときには

糖尿病の合併症のひとつ神経障害では、重症化すれば「足の壊疽(えそ)」に結びつくことは、一般的にも知られている。ただし、血糖値を正常にすれば防ぐことは可能。早い段階で高血糖を改善すればするほど、そのリスクは回避することができる。

 神経を守るためにも、食生活の見直しや医療機関での定期的な検査は欠かせない。

 【気づいたときは最悪】

 日本糖尿病学会の診断基準のひとつとして、過去1カ月の血糖値の平均値を示す「ヘモグロビンA1c」は、6・5%以上とされている。40代で糖尿病と診断されたAさんは、「仕事が忙しい」のを理由に、通院せずに糖尿病を放置していた。特に自覚症状もなく、スイーツが大好きなだけに、食生活の見直しも無視。

 ところが、50代を目前にしたある日、片方の足がちょっと痛いと感じて見ると、足先が黒ずんで組織が壊れていた。慌てて総合病院を受診すると、「足が壊疽を起こしています。

このままでは、ひざ下から脚を切断しなければなりません」と、医師から告げられて愕然とした。幸いなことにAさんは、治療が功を奏して脚の切断はまぬがれることに…。だがその後、心筋梗塞に見舞われるなど、命に危機が及ぶような事態に何度も見舞われた。Aさんは「糖尿病は怖い」と思っている。

 日本赤十字社医療センター創傷ケアセンター長を兼務する糖尿病内分泌科の日吉徹部長が警鐘を鳴らす。

 「糖尿病性神経障害は、無症状の『無症候期』から、手足がピリピリするような症状を伴う『症候期』、そして神経が死滅する『廃絶期』へと移行します。気づいたときに廃絶期という人もいます。

無症候期だから大丈夫ではなく、確実に廃絶期に向けた階段を上っているのです。高血糖を放置してはいけません」

【死亡率を高める】

 日吉部長によれば、「廃絶期」には別表のような症状が現れやすいという。この段階では、神経が死滅して痛みを感じなくなるため、身体の異常に気づきにくく、命に関わるような事態に結びつきやすい。しかも、治療で命をつないでも、新たな症状に結びつくことがあるそうだ。

 「私たちの創傷ケアセンターでは、なるべく足の切断を回避するように専門の医療チームで取り組んでいます。

その理由は、糖尿病性神経障害で脚を切断した人の5年生存率が、約3割と非常に低いからです。糖尿病の患者さんは、全身に症状が及ぶため、脚を切断して動けなくなると、身体状態が悪くなりやすいのです。だからこそ、早い段階での高血糖改善が必要といえます」(同)

 糖尿病の人はもとより、健診で「血糖値が高め」といわれている人も、高血糖の改善が不可欠。それには、食生活の見直しが欠かせない。

 「食べ過ぎの人だけでなく、不規則な食生活でも、糖尿病になりやすくなります。1日3食適量を心掛けて、高血糖の人は、定期的に医療機関を受診することも大切です」と日吉部長は話す。 

医師が健診をすすめるのは「あなたの命を救いたいから」

(写真と本文は関係ありません) 写真:Business Media 誠
 「どこも悪くないのに健診なんか受ける気がしない」と思う人は多いでしょう。しかし、何の症状もないからといって健康だとは限りません。病気が治るか治らないかは、早期発見が重要なのです。

 「病気が見つかったら怖い」
 「時間とお金がもったいない」

 健康診断やがん検診を受けるか迷う、または受ける気がないという人からよく聞く意見です。時間や手間、お金を使って受けるのは確かに大変です。会社からの義務として仕方なしに受けている人もいるでしょう。

 現在、日本のがん検診の受診率は20~30%ほどです。欧米の検診受診率が70%以上であることからすると、実はとても少ないのです。日本ではがん検診を50%の受診率にしようと、毎年キャンペーンを行っています。

 健診やがん検診を受ける意味はご存じの通り、「隠れた病気をみつける」ことです。

 自治体や国が健診やがん検診の受診を声高に勧めるのは、疾患による経済的喪失など、社会との関連の意味合いが強いでしょう。しかし、医師が健診やがん検診を勧めるときは、少し意味は異なります。

 今回は内科医、消化器内科医としての経験をもとに、「健康診断を受けてほしい」その理由をお伝えします。

●「今の医学ではほとんどの病気は治らない」

 これが健康診断やがん検診を受けてほしい理由です。より正確に言えば、進行した病気はほとんど治せないということです。

 「治る病気もあるだろう」という声もあるでしょう。もちろん、治る病気もありますが、現在の医学においてそれは「早い段階の病気」に限られているのです。健康診断やがん検診を受けてほしい理由を言いかえると、それは

 「治る段階で疾患をみつけて治したい」

 これに尽きます。治る段階の病気のほとんどは「症状がありません」。胃がんを例に説明しましょう。

 胃がんは日本人にとっては国民病とも言えます。先進国の中で胃がんがこれほど多い国はありません。

 みなさんが胃がんと聞いてイメージするのは、「胃の痛み」や「血を吐く」などではないでしょうか。これらは、いずれもかなり進行した状態での症状です。その状態の多くは、転移などがあり根治療法が難しい状況です。

 これに対し、早期胃がんは内視鏡治療で治ります。開腹せずに根治が望めます。病院勤務時代に経験した事例を示します。

<63歳男性の事例>

 2カ月前からなんとなく体調が悪い。胃のあたりが重い感じがする。
 食事は普通にしているのに、以前と比べ10kgほど体重が減った。
 60歳で定年を迎えるまでは会社で健診を受けており胃カメラも毎年行っていたが、定年後は行っていない。便に血は混じっていない。

 この話を聞いて消化器内科医は「胃がんだな」と思っています。血液検査、胃カメラ、CTの検査が指示されます。多くの病院では検査まで通常1カ月程度待つと思いますが、「すぐにやりましょう」と言われます。

 検査を終えて1週間後に外来を受診すると、胃がん、多発肝転移、リンパ節転移と診断され、抗がん剤の治療を勧められます。こういう人を多く診てきました。

●健診、がん検診で「治療可能」になる病気

 早期の状態で症状がなく、健診やがん検診で見つかることにより治療可能な疾患を列挙します。

・食道がん:死亡原因部位 男性6位 女性3位
・胃がん:死亡原因部位 男性2位 女性3位
・大腸がん:死亡原因部位 男性3位 女性1位
・乳がん:死亡原因部位 女性5位
・子宮がん:死亡原因部位 女性3位
・糖尿病:失明原因1位、透析導入原因1位
・高血圧:脂質代謝異常症
・肝炎(B型肝炎、C型肝炎)

(出典:厚生労働省「人口動態統計年報 死亡第8表」)

 40歳から89歳までの死亡率トップはがんです。他にも各領域で多々ありますが、すぐに思いつく治療可能な病気だけでも、一般的でかつ死亡原因として多い病気を広くカバーできています。

●症状が現れる前の早期発見が治療のポイント

 医師は「病気を治したい」という気持ちで診療しています。一方で「治らない」限界も知っています。研修医の中には「○○という疾患は治らないから、その病気を診る科にはいかない」と言う者も少なからずいます。この発想はどうかと思いますが、「治したい」という気持ちはとても強いのです。「治りますから一緒に頑張りましょう」と言いたいのです。

 「症状がないうちならば根治が望める可能性が高い。だからその間に見つけたい。それならば治るから、治せるから」

 これが、健診やがん検診を受けてほしい理由です。

 病気になると社会的損失につながる、ということも理解しています。ですから、医師はなによりも「あなたの命を救いたいから」早いうちに病気を見つけたい。限界を知っているからこそ、早期発見と治療を強く勧めるのです。

 健康診断やがん検診は、「何の症状もないのに健康診断なんか受ける気がしない」「病気が見つかったら怖い」と思われがちです。しかし、症状がないうちならば、たとえ病気が見つかっても治せる可能性が高いです。

 お金や時間については個人の価値観ですが、病気が進行してから見つかると、治療のために失うお金と時間は比較にならないほど大きいです。誕生日などに、自分の体のメンテナンスとして計画しておくとよいかと思います。

●仕事への影響

 現在は、企業によっては「ワークライフバランス」の一環としてドックや検診のための休日を設けたり、費用の補助を行うなどの取り組みもなされています。こういう取り組みの表彰も行われており、企業のイメージアップにもつながっています。

 昨今のデータヘルス計画事業などもあり、企業、健康保険組合は受診率アップを目指しています。企業にとっても、進行した状態で疾患が見つかれば大きな損失になります。現代の医学ではまず受診してもらい、早期発見と予防は社員の健康と企業を守る唯一の方法なのです。

 その昔、医師を呼ぶのは死ぬときと言われていました。

 医学は日進月歩です。私の恩師である東京歯科大学市川総合病院の西田次郎院長は「僕らが研修医だったころは本当に治らない病気が多かった。君たちの時代はずいぶん治るようになった」と言います。

 診断できるようになった時代を経て、今は、早期発見できれば治る時代です。

 医学は万能ではありません。分からないことだらけです。その中で蓄積した知識や経験の中、より良い方法を探っているに過ぎません。

 いずれは「症状が出てから病院へ行けばすぐ治る」という時代が来るでしょう。それまでは、健診やがん検診を受けるのがより良い選択だろうと思えるのです。

【健診数値の生かし方】糖尿病編(10) 突然現れるしびれ、マヒ

糖尿病の合併症のひとつである神経障害では、高血糖状態が半年程度続くだけでも、ピリピリやチクチクなど、特徴的な症状が現れやすいことを前回紹介した。

ただし、糖尿病の全てに、初期段階での神経障害が生じるわけではない。神経の異常に気づかずに放置してしまうと、自律神経障害など、さまざまな症状が現れるようになるからご用心。

 【神経障害は主に3つ】

 神経は、手足のみならず全身に張り巡らされている。高血糖の状態が続くと、神経のさやがむくんで異常が現れるが、それは1カ所だけでなく、身体の至るところに出るようになるという。

 日本赤十字社医療センター創傷ケアセンター長を兼務する糖尿病内分泌科の日吉徹部長が説明する。

 「手足などの末端の神経の症状が出やすいのですが、当院の患者さんのアンケートでは、『手足がジンジンしてしびれる』と感じたのは全体の31%でした。

しかし、自覚症状のない人の体内でも、神経障害は進んでいます。手足の感覚に関わるだけでなく、自律神経や顔面神経、聴覚神経など、全身の神経に関わるのです」

 日吉部長によれば、糖尿病性神経障害には、別表のように大きく分けて3つあるそうだ。表の中の自律神経は、臓器を動かす、あるいは発汗するなど、無意識の状態で身体をコントロールする神経。それも、高血糖の状態が続くと、知らぬ間にダメージを受ける。

 【モノが二重に見える】

 「糖尿病による自律神経障害も、人によって症状はさまざまです。立ちくらみや、暑いのに汗をかかない発汗異常、尿意を感じにくくなるなど、自律神経に関わる部分に症状が現れます。

神経に関わるいずれの症状も、別の病気が疑われることもありますが、高血糖でも起こりやすいのです」(日吉部長)

 多発性神経障害は、手足の末端の神経から身体の中心部へと広がっていく。自律神経障害も全身に関わる。そして、単一性神経障害は、顔面麻痺や眼球が動かなくなるなど、神経の一部に強い症状が現れるのが特徴。 

「動眼筋(どうがんきん)まひ」は、片方の黒目を動かすことができなくなる。両目で横を見ようとしても、片方の目が動かないので焦点が合わず、「モノが二重に見える」といった自覚症状が現れるという。眼科を受診して、初めて糖尿病性神経障害になっていることに気づく人もいるそうだ。

 「糖尿病性神経障害は、ある日突然、自覚症状として現れます。単一性神経障害の顔面神経まひでは、顔の片方だけ神経がマヒし、コップの水も飲めなくなってしまいます。

根本的な解決策は、血糖値のコントロールにありますが、神経障害の症状がなぜ出てしまったのか、理由を知らない人は多い。高血糖の体内では、すでに神経に異常が起こり始めていることを知っていただきたいと思います」と日吉部長は話す。 (安達純子)

 ■糖尿病性神経障害の分類と主な症状
 ・多発性神経障害…両手足のしびれ感、チクチクとする痛み、感覚が鈍くなるなど
 ・自律神経障害…立ちくらみ、発汗異常、便通異常、勃起障害など
 ・単一性神経障害…顔面神経まひ、片方の目が動かなくなる動眼神経まひなど

【健診数値の生かし方】糖尿病編(9) その「ピリピリ」合併症かも

厚労省の「平成24年国民健康・栄養調査報告」によれば、糖尿病が強く疑われる人のうち、薬を使用しているのは50・8%。約半数の人は、自力で改善努力をしているか、放置していることになる。

高血糖状態が長らく続くと、合併症のリスクが高まるものの、「早期の段階では無症状」ゆえに放っておかれがち。しかし、早期の段階でも症状が出る合併症があった。神経障害だ。初期症状を見逃さないことが大切といえる。

 【足の裏のベール】

 糖尿病の合併症では、「しめじの臓器が悪くなる」といわれる。「し」は神経障害、「め」は網膜症、「じ」は腎症。神経障害は、高血糖状態が平均で5年以上続くと、自覚症状が現れやすいのだが、早い段階でも「あれ?」と思うような症状があるそうだ。

 日本赤十字社医療センター創傷ケアセンター長を兼務する糖尿病内分泌科の日吉徹部長が説明する。

 「初期段階では、手足の指や足の裏が、何かベールで覆われているような感覚や、チクチク、あるいは、ピリピリとした感じになるのが特徴的です。

神経に関わる病気はいろいろありますが、糖尿病性神経障害は、両手や両足に、同時に症状が現れます。特に最初に足の裏の違和感を訴える人が多い。高血糖状態が半年程度続いていた方でも、発症する人はいます」

 たった半年でも、糖尿病性神経症の症状が現れることがある。もちろん、この段階でダメージを受けた神経は、血糖値をコントロールすることで、元に戻すことが可能。日吉部長によれば、別表の症状を見逃さないことが大切になる。

 【神経がむくむ】

 なぜ高血糖状態が続くと、神経に異常が見られるようになるのか。

 「体内に溢れて行き場を失ったブドウ糖は、ソルビトールという物質に変わって、神経の細胞にたまります。結果として神経がむくみ、神経に栄養を送る血流も悪くなるのです。

この状態が続くと神経は死んで、元に戻らなくなります。後戻りをするには、神経がむくんだ状態のときに、改善することが重要なのです」(日吉部長)

 神経には常に弱い電流が走っている。たとえば、電線を覆うビニールが傷むと、電流がうまく流れることができず、スパークすることがあるだろう。このような状態が、神経のさやがむくんで変性しても、起こりやすくなる。

何の刺激を受けていなくても、ピリピリやチクチクと感じるようになるそうだ。加えて、さやがむくむことで、刺激が神経に伝わりづらくなり、足の裏がベールで覆われたように感じるという。

 「血糖値を適切にコントロールすれば、むくみは取れます。早ければ早いほど、当然、改善しやすいといえます。

糖尿病性神経障害には、多彩な症状がありますので、ひどくなる前に食生活を見直すなど、適切に対処しましょう」と日吉部長は話す。

敵視されがちなコレステロールがもつ偉大なメリットとは?

健康診断の結果を見るたびに、コレステロールの値を気にしている人、いませんか?一度異常値を示すと、頭によぎるのは、血液ドロドロの悲惨な状態。動脈硬化、高血圧、糖尿病…といった病気の不安が頭をよぎるでしょう。

ただコレステロールもやみくもに減らせばいいわけではありません。ここでは脂質の一種、コレステロールの長所についてご紹介したいと思います。

◆役割その(1) 人間の細胞を支えている!?

人間はたくさんの細胞でできているのはご存知ですよね。その数はなんと60兆個とも言われています。その細胞1つ1つを支えているのが細胞膜です。コレステロールは、この細胞膜を生成するために必要な物質なのです。

ほかにたんぱく質やりん脂質などがこの細胞膜に含まれていて、細胞をしっかり形作る役割のほかに、細胞膜を通じて細胞外部との物質の出し入れを行っています。

また、体内の3割のコレステロールは、神経細胞が集中する脳にあります。脳から身体の各部へ情報が伝達されるときに、情報が錯そうしないように、神経細胞の軸索(神経線維)を覆って保護する役割をしているのがコレステロールです。人間がすばやく脳の指令を末梢へ送り出せるのは、コレステロールのおかげ、と言えるでしょう。
.
◆役割その(2) 男性らしさ、女性らしさを形づくる!?

コレステロールは、男性として、また女性としての機能に欠かせない、ホルモンを作る材料でもあります。副腎という臓器の皮質部分で作られる副腎皮質ホルモン、精巣で作られる男性ホルモン(アンドロゲン)、卵巣で作られる女性ホルモン(エストロゲン)、卵巣の黄体や胎盤で作られる黄体ホルモン(プロゲステロン)などの構成成分にもなっています。

年齢とともに女性特有、男性特有の不調が多くなるのは、体内のコレステロールのバランスが悪くなることも一因と考えられるのです。
.
役割その(3) 脂肪の消化吸収に役立つ!?

コレステロールは、食事からとり入れた脂肪の消化吸収を助ける、胆汁酸を作るもとになっています。

肝臓で作られた胆汁酸は、胆汁として胆のうに蓄えられ、小腸で脂肪を水に溶けやすい状態にしたり、すい臓から出る消化酵素「リパーゼ」を活性化して脂肪の消化吸収を助ける働きをしています。

人間ドック 毎年受けるほど健康リスクが上がると近藤誠医師

職場の健康診断で、人間ドックを受ける人も多いだろう。毎年きちんと受けていれば安心と思いたいところだが、人間ドックに行く人ほど寿命が縮む危険があるから要注意と言うのが、元慶應大学病院のがん治療医、近藤誠氏だ。どういうことだろうか?

「今は機械が精密になっているから、数ミリの小さな腫瘤も発見されてしまう。脳に腫瘤を見つけられて、いつ破裂するかわかりません、なんて言われれば、手術して切除しようと考えるのも無理ないでしょう。

 でも、脳腫瘍の場合、1センチ未満の腫瘤が1年以内に破裂する可能性は0.05%です。20年経っても1パーセント。

一方、脳腫瘍の手術を受けて、後遺症が残る確率は15パーセントです。どちらが危険でしょうか? 毎年きちんと人間ドックを受ける人ほど、小さな腫瘍を発見されてしまうから危険なんですよ。

 血圧やコレステロールなんかもそう。ちょっと基準値を外れるだけで異常とされ、薬を出されてしまいます。

血圧140mmHgで降圧剤なんてとんでもないですよ。適正な血圧は人によって違うのです。それを一律に下げようというのはおかしい。そもそも高血圧値の基準は根拠のはっきりしない恣意的なものです」
 
 人間ドックの受診者は年間300万人を超えるが(2012年)、受診者の9割方に、どこかしらに異常が発見される。そして何かしらの治療を勧められるのが現状だ。人間ドックに行かなければ降圧剤を常用する生活とは無縁だった──という人も少なくあるまい。

 しかし人間ドックは、がんの早期発見に必要ではないかと考える人は多いが、近藤氏はそれを否定する。

「検診でがんを早期発見すれば、治療しやすいというのは思い込みであって、科学的に証明できるデータはないんですね。それより問題は、検診で“がんもどき”を発見されて、受けなくてもいい治療に駆り立てられることです。

今すぐ手術しないと治らないとか脅されて臓器を切除されたり、抗がん剤の副作用で苦しめられる可能性があり、そのほうがよほど有害。不要な治療によって寿命が縮むこともありますから」

“がんもどき”というのは、近藤氏の命名で、放っておいても転移しないがん細胞のことである。「検診で見つかるがんは、ほとんどがんもどき」だと言う。

「一番いいのは人間ドックも検診も受けないことです。体調が悪いという自覚症状が出てきたら検査すればいいのです。無症状で受ける検査は百害あって一利なし」

【健診数値の生かし方】新薬適応には条件あり 糖尿病編(8)

体内が高血糖状態でも、糖尿病では細胞内にブドウ糖をうまく取り込めないため、脳が糖分をほしがり、強い食欲を感じることを前回紹介した。その状態を改善するために、糖尿病にはさまざまな薬が登場している。なるべくならば、食生活の見直しだけで高血糖を改善したいところだが、うまくいかないときに、薬とどうつき合えばよいのか。

 【飲み薬の最後の砦】

 糖尿病には、たくさんの種類の薬がある。中でも注目を集めているのが、今春登場した「SGLT2阻害薬」。尿に糖を排出する仕組みで、血糖値のコントロールだけでなく、体重減少も期待できる。

それだけに、脚光を集めて使用する医療機関も増えた。一方で、尿路・性器感染症や発疹、脱水症状などの副作用が報告されている。効果はあっても、副作用のリスクもあるわけだ。

この新薬について、日本糖尿病学会専門医の「しんクリニック」(東京都大田区)の辛浩基院長が説明する。

 「SGLT2阻害薬は、飲み薬の最後の砦の位置づけです。既存の薬を服用しても、ヘモグロビンA1c(HbA1c)が9%以上(正常値6・5%未満)の人がいて、食生活の見直しも難しい。

そういった患者さんには、インクレチン製剤やインスリン注射もあるわけですが、注射薬を使用する前の切り札として、SGLT2阻害薬の適切な使用が求められているところです」

 辛院長が、SGLT2阻害薬を51人の患者に投与したところ、HbA1c平均9%が3カ月後には7・2%まで改善し、体重も3キログラム程度は減少。現時点で、重篤な副作用も発生していないという。

 【人生初の90キログラム台へ】

 もちろん、誰もがSGLT2阻害薬の恩恵を受けられるわけではない。辛院長によれば、適応と不適応(別表参照)があり、体調や年齢など個別の状態を見極めながら、使用する必要があるそうだ。

 「HbA1cが7%程度の人には、SGLT2阻害薬の効果は期待できません。やせ型の人も不適応です。適応を見極めて適切に使用することで、従来の治療では成しえなかったことが可能になります」(辛院長)

 SGLT2阻害薬の治療を受けた人の中には、100キログラム以上だった体重が、成人後に初めて90キログラム台になった人がいる。身体が軽くなり、食生活の見直しにも積極的になれるようになったそうだ。

 「今のところ万能薬はありません。薬によって高血糖状態を改善すると、膵臓(すいぞう)の機能が回復し、インスリンを分泌する能力も高まりやすい。すると、食生活の見直しもしやすくなるのです。

生活習慣病による2型糖尿病は、食生活の見直しが基本です。しかし、それだけで改善が難しい場合は、専門医に相談した上で、適切な治療を受け、食生活の見直しのきっかけをつかんでいただきたいと思います」と辛院長は話す。

【健診数値の生かし方】糖尿病編(7) 高血糖が脳をだます

 生活習慣による2型糖尿病は、食生活の見直しが高血糖改善の第一歩となる。しかし、長らく高血糖状態が続いている人には、食事の改善そのものが難しい。

短期的には我慢ができても、しばらくすると甘いものに手が伸びてしまいがち。一体なぜそんなことが起こるのか。

 【脳では飢餓状態】

 日本糖尿病学会の診断基準は別表のとおり。空腹時血糖が130(単位mg/dl)程度で、ヘモグロビンA1c(HbA1c)が7%程度の高血糖では、食生活の見直しは比較的容易だ。

ところが、空腹時血糖が200を超え、HbA1cが8-9%に到達すると、食に対する欲求が強まりやすい。その理由について、日本糖尿病学会専門医の「しんクリニック」(東京都大田区)の辛浩基院長が説明する。

 「高血糖は、血液中にブドウ糖があふれた状態です。本来、血液中のブドウ糖は、細胞に取り込まれてエネルギー源となるのですが、インスリンの分泌量が少ない、あるいは、効きが悪いと、細胞内に取り込まれにくくなります。

すると、ブドウ糖を主な栄養源としている脳は、体内のブドウ糖が少ないと錯覚し、食欲を増進させてしまうのです」

 血中にブドウ糖はあふれているはずなのに、細胞に取り込まれないため、脳は足りないと感じる。飢餓状態で食欲を増す信号を出し、パンやご飯などの炭水化物や、チョコレートやケーキなど、甘いものへの欲求を強めるのだ。

この状態で、「食生活を見直しましょう」といわれても、脳の飢餓状態を解消しない限り難しい。そのため、食生活の改善がうまくいかない人が少なくないのである。

 【ます血糖値を下げる】

 脳の欲求に任せて、高血糖状態が続くと、当然のことながら糖尿病の3大合併症(網膜症、腎症、神経症障害)だけでなく、心筋梗塞や脳梗塞などの大血管病にも結びつく。血糖値が少し高い段階で、食生活の改善ができればよいが、すでに高血糖状態の人はどうすればいいのか。

 「食生活の見直しで、血糖値の改善が困難な人は、薬を適切に使用することが重要になります。薬による治療で血糖値が下がると、強い食欲を感じなくなり、食事療法も行いやすくなるのです」(辛院長)

 薬によってHbA1cが9%から8%に下がるだけでも、血液中のブドウ糖がうまく利用できるようになれば、強い食欲は感じにくくなるそうだ。この状態で食生活の見直しをすると効果的。薬には、血糖値だけでなく、脳の欲求も上手にコントロールする働きがある。

 「最初に薬による治療を行い、食事療法がうまくいけば、高血糖を正常値に近づけ、薬の量も減らすことが可能です。場合によっては、薬が必要ではなくなる人もいます。いずれにしても、高血糖状態を放置しないようにしていただきたいと思います」と辛院長は話す。

【健診数値の生かし方】糖尿病編(6) 五穀米が発症リスク減らす

太っていないのに生活習慣による2型糖尿病になるのは、マグネシウム不足が深く関係していることを前回紹介した。

マグネシウムは、飲食から取る必要のある必須・主要ミネラルのひとつだけに、食材をちょっと見直すと、効率良く体内に取り入れることができるそうだ。その方法を紹介する。

 【主食の含有量が少ない】

 厚労省の特定健診数値で「糖尿病の疑い」とされるのは、空腹時血糖100mg/dl以上、もしくはヘモグロビンA1c(NGSP値)5・6%以上。マグネシウムが不足すると、血糖値をコントロールするインスリンの効きが悪くなり、分泌量も減り、高血糖になりやすいという。

 そんなマグネシウムと病気の関連の啓発を行う「MAG21研究会」のメンバー、東京慈恵会医科大学の横田邦信教授が、日本人の食生活の変化について指摘する。

 「糖尿病の患者さんが増え始めたのは、1960年代以降です。ちょうど、その頃、ミネラル分を多く含む粗塩ではなく精製塩が出回り、雑穀なども食べなくなり、欧米食が多くなりました。

結果として、日本人はマグネシウム不足になり、糖尿病を後押ししているのです。意識して食材を見直し、マグネシウムを補うことで、糖尿病の改善や予防が可能です」

 横田教授によれば、日本人の成人男子(30-49歳)が1日に推奨されるマグネシウム量は370mg。しかし、厚労省の「平成24年国民健康・栄養調査報告」によれば、平均摂取量は236-248mgで足りていない。

 「白米やパン、肉類などは、マグネシウム含有量が少ないのです」(横田教授)

 ガッツリ牛丼やカツ丼などを頬張っても、マグネシウム不足は補えないそうだ。

 【糖尿病発症リスクが半減】

 マグネシウムの含有量が多い食材は、頭文字による造語「そばのひ孫と孫わ(は)優しい子かい?

 納得!」(別表参照)で覚えることを横田教授は勧める。どれもなじみ深い食材ばかりだが、さらに効率的にマグネシウムを補う方法があった。

 「白米を五穀にしてみてください。玄米や大麦、雑穀などの入ったものにするだけで、マグネシウムをたくさん取ることができます。

また、オートミール(エンバク)には、100g当たり100mgものマグネシウムが含まれています。朝食をオートミールに変えるだけでも、マグネシウムを増やすことができます」(同)

 コーヒーにもマグネシウムは含まれるそうで、オートミールとコーヒーの朝食は役立つという。ちょっとした工夫で、マグネシウムを多くとるようにすると、その恩恵は大きい。

 「マグネシウムを毎日しっかり取ると、2型糖尿病の発症リスクは最大47%減るとの報告があります。

また、日本では1日370mgが摂取基準ですが、WHO(世界保健機関)では1日420mgが推奨されています。意識してマグネシウム含有量の多い食材を食べていただきたいと思います」と横田教授は話す。

【要注意】中性脂肪値は上がらずコレステロール値だけが高くなる原因

●中性脂肪値は上がらずコレステロール値だけが高くなる原因

悪玉コレステロールが高くなる理由には、魚類や豆類、緑黄色野菜、海藻などの摂取が少ないことがあげられます。

よって摂取エネルギーが少なくても、コレステロール値を上げやすい肉類や乳製品、卵などを多く食べていると、悪玉コレステロール値が高くなることがあります。このような場合は、摂取エネルギーは少ないため、中性脂肪値は低い状態です。

またストレスや過労なども、コレステロール値を高める原因となります。これは、ストレスに対する人体の防御反応によるものです。コレステロールは体内でもっとも強い抗酸化、高エネルギー物質です。

よって、ストレスの増加により活性酸素が増えて生体の酸化が進むと、身体はそれを克服するために脂肪組織や肝臓から脂質を取り出して血中に流します。酸化して壊れた組織を修復しようと働くわけです。結果、特に食べ過ぎていなくとも、血中にコレステロールが増えてしまうわけです。

中性脂肪は消費されなかったエネルギーが体内にストックされている状態なので、この値が低いと身体は疲れやすくなりますが、特にストレスによりコレステロール値が高くなっている状態で中性脂肪値が低くなると、身体はますます疲弊してしまいます。

●中性脂肪が低い場合の危険性

中性脂肪が低いということは、体内にビタミンA、Eや-カロテンなどの脂溶性ビタミン類が少ないということです。例えば極端な少食、偏った食習慣などは脂溶性ビタミン類を不足させる原因となります。

脂溶性ビタミンが不足すると神経機能が低下するため、めまいなどが引き起こされます。

また、これにともない中性脂肪が低くなると、片頭痛などの症状も起こります。脂肪が不足すると血管壁ももろくなるため、最悪の場合は栄養欠乏による動脈硬化になり、血管が破れてしまうことがあります。

中性脂肪が高いのは問題ですが、低くてもやはり危険です。中性脂肪とコレステロールの値は適正を保てるよう、普段から食生活の見直しやストレスを溜めない工夫をするよう心がけましょう。

【要注意】中性脂肪値は上がらずコレステロール値だけが高くなる原因

●中性脂肪値は上がらずコレステロール値だけが高くなる原因

悪玉コレステロールが高くなる理由には、魚類や豆類、緑黄色野菜、海藻などの摂取が少ないことがあげられます。

よって摂取エネルギーが少なくても、コレステロール値を上げやすい肉類や乳製品、卵などを多く食べていると、悪玉コレステロール値が高くなることがあります。このような場合は、摂取エネルギーは少ないため、中性脂肪値は低い状態です。

またストレスや過労なども、コレステロール値を高める原因となります。これは、ストレスに対する人体の防御反応によるものです。コレステロールは体内でもっとも強い抗酸化、高エネルギー物質です。

よって、ストレスの増加により活性酸素が増えて生体の酸化が進むと、身体はそれを克服するために脂肪組織や肝臓から脂質を取り出して血中に流します。酸化して壊れた組織を修復しようと働くわけです。結果、特に食べ過ぎていなくとも、血中にコレステロールが増えてしまうわけです。

中性脂肪は消費されなかったエネルギーが体内にストックされている状態なので、この値が低いと身体は疲れやすくなりますが、特にストレスによりコレステロール値が高くなっている状態で中性脂肪値が低くなると、身体はますます疲弊してしまいます。

●中性脂肪が低い場合の危険性

中性脂肪が低いということは、体内にビタミンA、Eや-カロテンなどの脂溶性ビタミン類が少ないということです。例えば極端な少食、偏った食習慣などは脂溶性ビタミン類を不足させる原因となります。

脂溶性ビタミンが不足すると神経機能が低下するため、めまいなどが引き起こされます。

また、これにともない中性脂肪が低くなると、片頭痛などの症状も起こります。脂肪が不足すると血管壁ももろくなるため、最悪の場合は栄養欠乏による動脈硬化になり、血管が破れてしまうことがあります。

中性脂肪が高いのは問題ですが、低くてもやはり危険です。中性脂肪とコレステロールの値は適正を保てるよう、普段から食生活の見直しやストレスを溜めない工夫をするよう心がけましょう。

医療相談室 Q コレステロール値が高い

Q コレステロール値が高い

A 以前からコレステロール値が基準値(220以上)より少し高めでしたが、昨年314に上がり「高脂血症」と言われ、服薬を始めました。今は下がっていますが、薬は今後も必要ですか。(大阪府・64歳女性)

性別・年齢で異なるリスク

 コレステロールは脂質の一種で、数値が高いと心筋梗塞(こうそく)などを起こしやすいと言われていますが、これには男女差や年齢差が大きいことがわかってきました。

 最近のオーストリアでの研究では、女性の場合、20~49歳までは高コレステロールが心血管疾患による死亡のリスク(危険因子)になっていましたが、50歳以上ではリスクではなく、65歳以上になると、がんが少ないことが報告されました。

英国の研究では、女性に心筋梗塞が増えるのは、コレステロール値が277以上と高い場合であることが報告されています。米国の研究でも、高齢になると心筋梗塞に対するコレステロールのリスクは低下していました。

 1986年の厚生省(当時)研究班報告でも、女性は遺伝性のある家族性高脂血症の場合、コレステロールの高さと心筋梗塞に関連がありましたが、遺伝性でない場合は関連がなかったことがわかっています。

 ご質問の方の場合、年齢などから遺伝性であることは考えにくく、コレステロールのリスクは低いと思われます。昨年、数値が高くなったとのことですが、一時的に上昇するのは珍しいことではありません。

 女性の場合、総コレステロール値より、「善玉」と言われるHDLコレステロールが低いことや、中性脂肪が高いことが、リスクになることがわかってきました。これらの数値に問題がなければ、休薬を考えてもよいのではないでしょうか。

コレステロールの管理目標値は、発症リスクの高い欧米人、特に男性のデータを基に決められているので、そのまま女性に当てはめることはできません。

 田中裕幸・ニコークリニック理事長(循環器内科)

善玉コレステロール多い日本人…検査値国際比較

肥満になると急激に低下

 健康状態を知る目安となる血液検査の測定値の幅は国によって違いがあり、日本人は外国人に比べてHDL(善玉)コレステロールが高いなどの健康的な特徴があることが、山口大学教授の市原清志さん(生体情報検査学)らの国際共同研究でわかった。

 日本人は心臓病のリスクとなる血管の炎症の度合いを示すCRPの値も低かったが、肥満による悪影響を受けやすいことも明らかになった。

 調査は、日本や中国、インド、米国、英国、トルコ、南アフリカなど10か国の18歳以上で、肝臓や腎臓に慢性の疾患がない計1万2000人を対象に、中性脂肪や尿酸、血糖など36項目の血液検査値を比較。

2項目以上で検査値が大きく外れる人を除き、残りの95%の人が入る基準範囲と中央値(数値順に並べた真ん中の人の値)を求めた。その結果、36項目中13項目で明確な違いがあった。

 特徴的だったのは善玉コレステロールで、日本人の中央値は男性56、女性72で、肥満の影響を考慮しても10か国で最も高かった。逆にCRPは日本人の中央値が男性0・03、女性0・02で最も低かった。

 食事や衛生環境、体質の違いが影響するらしい。

 一方、日本人の場合、肥満になると、善玉コレステロールの数値が急激に下がるのに対して、インドなどでは肥満の影響をあまり受けなかった。

 肝機能の指標となるALTは、肥満の影響を受けやすいにもかかわらず、国による明確な違いはなかった。中性脂肪や血糖値などにも大きな差はなかった。

 市原さんは「日本人の健康長寿の秘密がデータからも裏付けられた。ただ、日本人は肥満の影響を受けやすいので、生活習慣に気を配ることが大切」と話す。

会社の健康診断、受けなきゃダメ?

 こんにちは、社会保険労務士の佐佐木由美子です。日頃は病気をされない元気な方も、「毎年の健康診断はきちんと受けている人」は多いと思います。

しかし先日、「健康診断を受けるように会社から何度も言われているが、受けなくても問題ないか?」というご相談を受けました。そこで、職場の健康診断について、一緒に考えてみましょう。

●健康診断を受けたくない本当の理由

 職場における健康診断は、労働者の総合的な健康状況を把握するために行われるもので、「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない」と法律で定められています(労働安全衛生法第66条1項)。

 企業側としては、労働者の健康状況を把握した上で、その作業に引き続き従事してもよいかなど適正配置を考え、医師等の意見を勘案して必要のあるときは、作業の転換や労働時間の短縮等の適切な措置を講じる義務があります(労働安全衛生法第66条の5)。

 ですから、会社としては労働者に健康診断を受けさせる義務があり、労働者も労務をきちんと提供するために受ける義務があるものなのです。個人の判断で、「今年は受けたくない」といった選り好みはできません。

 ご相談のあった女子社員の小百合さんに、なぜ健康診断を受けたくないのか、その理由を聞いてみました。

最初は、「放射能を受けるからレントゲンが嫌」とか「仕事が忙しくて時間がない」など言っていたのですが、よくよく聞いてみると、「会社の担当者に自分の体重を知られたくない」という隠れたお悩みがあったのです。

 人それぞれ、個人的な事情があるにしても、労働契約を結んでいる以上は健康診断を受けてその内容を報告する義務があります。

●健康診断の種類

 会社に実施が義務付けられている健康診断には、下記の表のものがあります。みなさんに特に関連するのは、「雇入時の健康診断」と、年に1回行われる「定期健康診断」になるでしょう。

 職場によっては、健康診断の専用車がやってきて業務中順番に受けている、という方もいるでしょうし、自分で病院を選んで健診を受けている方もいるでしょう。

労働安全衛生法では、事業者が指定する以外の医師による健診を受ける「医師選択の自由」を認めていますので、別の医師による健康診断を受けた場合には、その結果を会社に提出する必要があります。なお、受診対象者は正社員ばかりでなく、常時使用されるパートやアルバイトの方も含まれます。

●受診を拒んだら、どうなる?

 それでは、健康診断を受けるように、再三にわたり会社から注意を受けているにも関わらず、放置していたらいったいどうなるのでしょう?

 労働安全衛生法では、事業者の健康診断受診義務違反において50万円以下の罰金を科していますが、労働者の受診義務違反に対する罰則は設けていません。

 しかし、裁判例では事業者は労働者に対して法律上の健康診断の受診を職務命令として命じることができ、受診拒否に対しては、懲戒処分を行うことを認めています。

 つまり、健康診断を受けることを拒み続けていると、業務命令違反で懲戒処分を受ける可能性がある、ということです。

 懲戒処分ではなく、人事制度を見直した企業もあります。コンビニ大手の「ローソン」では、2013年度から、健康診断を受けない社員について、賞与を15%減額する制度が導入されており、直属の上司の賞与も10%削減されるという厳しいルールへと見直しが図られました。

 あなたの会社に、こうした厳しいペナルティがないからといって、健康診断を甘く見るのは要注意。職場の定期健康診断は、定められた時期に受けなければならない厳格なルールがあることを覚えておきましょう。

<プロフィール>
佐佐木由美子(ささき・ゆみこ)
社会保険労務士。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所等に勤務。平成17年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開設し、現在に至る。女性の雇用問題に力を注ぎ、【働く女性のためのグレース・プロジェクト】でサロンを主宰。著書に 「知らないともらえないお金の話」(実業之日本社)をはじめ、新聞・雑誌、ラジオ等多方面で活躍。

悪玉や善玉、高いコレステロール値…どれくらい気にしなきゃダメ?

血中に含まれるコレステロールにはLDL(悪玉)コレステロールとHDL(善玉)コレステロールとがあり、動脈硬化をもたらすのはこのうちLDLコレステロールの方です。LDLコレステロールが増えすぎると、動脈壁に溜って動脈の内径を狭く硬くしてしまうのです。

◆コレステロールの正常値とは?

一般に善玉(HDL)コレステロールの正常値は男性で40mg/dl~60mg/dl、女性で45mg/dl~65mg/dl、この数値未満の場合は低HDLコレステロール血症とみなされ、LDL(悪玉)コレステロールの正常値は男女共に70mg/dl~120mg/dl、140mg/dl以上の場合を高LDLコレステロール血症とみなされます。

検診の結果、コレステロールが高いと診断されたのであれば、何らかの治療や改善策を講じる必要があるのですが、どんな措置が適切かはコレステロール値以外の動脈硬化に繋がる危険因子がどれだけあるかに関係してきます。
.
◆高コレステロール血症の原因と治療にはどんなものがあるの?

まず遺伝が原因である家族性高コレステロール血症の場合ですが、この原因には生活習慣が関係していないため、すぐに薬物療法から入ります。血中脂質やLDLコレステロールを下げる薬やHDLを上げる薬など、医師が適切と判断した薬を服用しなければなりません。

一方、遺伝性でない高コレステロール血症で、危険因子が大きいとみなされた場合には、コレステロールの多い食品を避ける、食物繊維を沢山食べるなどの医師の指導に沿った食事療法を行います。また並行して薬物療法がとられることがあります。

例えば男性で高血圧や糖尿病なども併発しているときは動脈硬化の危険は高まりますから、ある程度薬によってコントロールすべきと判断されるでしょう。.

◆数字は決して万能ではない

しかし逆に高コレステロール値であってもそれ程気にする必要のない場合もあります。特に女性は、女性ホルモンであるエストロゲンのHDHコレステロール増量作用のおかげでLDLコレステロールを活発に代謝させることができるため、男性と比べるとコレステロール値や中性脂肪値が安定傾向にあります。

40代までの女性で他に生活習慣病などの危険因子がないのであれば、健康的な生活を心がけるだけで特にこれと言った対策をとる必要はないと言われています。ただしエストロゲンが減少する更年期時期に入ると、男性と同じように気をつけなければなりません。

専門医に聞け! Q&A 美肌とコレステロール調整

 Q:男も見た目が大事といわれますが、肌がツヤもないし、きれいではないように思え、とても気になります。コレステロールの数値が悪玉コレステロールが高めで、善玉が低めのようですが、そのことが関係しているのでしょうか。(36歳・家電量販店勤務)

 A:コレステロールには、善玉のHDLと悪玉のLDLがあります。LDLは、血管の内壁にへばりつき動脈硬化を起こす要因になります。厳密には、酸化したLDLが悪さをします。
 一方、HDLは酸化LDLを取り込んで、肝臓まで運ぶ働きをしています。動脈硬化を退縮させる若返りのコレステロールなのです。

●運動で女優肌に
 つまり、血液も血管も状態がよいことが、きれいな肌の秘訣です。ですから、ご質問の方も、LDLが高く、HDLが低いことが肌のツヤの悪さをもたらす要因となっているでしょう。

 総コレステロールについては、基準を巡って意見が分かれていますが、総コレステロール値が250ミリ以上の人でLDLコレステロール値が低い人はいません。

 私は診察の際、LDLの数値をみて、150ミリ以上である場合には、その患者さんが痩せていても運動不足を指摘します。
 LDLコレステロールが高い人の場合、その原因に運動不足が関係していることが少なくないからです。

そして、LDLが高いと脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすい旨を伝え、まずは歩くよう指導します。HDLが80ミリ以上と高い人は、ジョギングなど有酸素運動を週に3回以上行っている場合が多いです。

 女子大の駅伝部で朝夕1時間の走り込みをしている集団では皆、HDLが100ミリ以上であったという報告を聞いたことがあります。女優の綾瀬はるかさんは肌が非常にきれいですが、中国地区の駅伝大会に出場したこともあり、高校時代はかなりのスポーツウーマンであったようです。

 また、アスリート並みに運動する大女優もいるようですが、女優肌は運動でつくられるのでしょう。ちなみに、私は48歳からジョギング、水泳、自転車を始めましたが、52歳の今、HDLコレステロール92ミリ、LDLコレステロール122ミリと、良い数値をキープしています。

 運動は各コレステロールのバランスを良好に保ち、結果、若返り、美肌となります。

牧典彦氏(小山病院院長)
自律神経免疫療法(刺絡)や加圧トレーニング、温熱療法、オゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を実践。小山病院(大阪市東住吉区)院長。

【健診数値の生かし方】微妙に高い「空腹時血糖」は黄信号 糖尿病編(2)

微妙な検査数値の影には、「隠れ糖尿病」が潜むことを前回紹介した。おなかの空いた状態で調べる空腹時血糖は正常でも、1~2カ月の血糖の平均値を示すヘモグロビンA1c(HbA1c)は、ちょっと正常値をオーバー。

それは、食後の血糖値がアップしている可能性がある。逆に、HbA1cが正常値範囲で、空腹時血糖が少し高めの場合も、黄色信号が灯(とも)るそうだ。 

 【数値に現れにくい】

 別表のように、通称メタボ健診と呼ばれる特定健診の値は、日本糖尿病学会の診断基準よりも低く設定されている。

厚労省によれば、特定健診はリスクを持つ人を幅広くスクリーニングし、特定保健指導で病気を防ぐ狙いがあるそうだ。そのために、診断基準よりも低い値になっている。

 では、空腹時血糖値が130mg/dl上回っているものの、HbA1cが5・5%で、特定健診の正常範囲内という場合、体内では何が起こっているのか。

 糖尿病の合併症予防のために、総合的な医療を提供している千葉大学医学部附属病院糖尿病コンプリケーションセンター長の横手幸太郎教授が説明する。

 「糖尿病予備軍の人は、食後の血糖値が急激に上がり、血糖値を下げる作用のインスリンで、正常値に引き戻すことを繰り返しています。HbA1cは、あくまでも平均値なので、正常の範囲内であっても油断はできません。

空腹時血糖値が正常値よりも少し高いならば、医療機関で別の検査を受け、糖尿病になっていないか確認することが大切です」

 【早めのリスク回避】

 食後の高血糖の指標となる検査では、「75gブドウ糖負荷試験2時間値200mg/dl以上」と、食事に関係なく測定する「随時血糖値200mg/dl以上」で、糖尿病の可能性が高くなる。健診数値に現れにくいため、微妙な高値は放置されがち。しかし、この段階でのリスク回避が重要という。

 「高血糖状態が日常的に続くと、血管に大きなダメージを与え続けることになります。網膜症や心筋梗塞、脳梗塞など糖尿病の合併症は、10~20年かけて進行し、症状が現れたときには、手遅れになっていることが少なくありません。

微妙な異常値も、放置しないようにしてください」(横手教授)

 たとえば、リスクが高いのは、(1)20代と比べて10キロ以上体重が増えた(2)おなかがポッコリ出ている(3)両親や兄弟に生活習慣による糖尿病と診断された人がいるなど。(1)から(3)に当てはまる場合、一度は糖尿病になっていないかどうか、早い段階で確かめることが大切という。

 「予備群の段階であれば、生活習慣の改善だけで、糖尿病への道を断ちきることができます。暴飲暴食や偏った食生活を改め、週3回30分以上の運動を心掛けましょう。

特定保健指導も上手に活用すれば、決して難しいことではないと思います」と横手教授は話す。

検便で分かる、便潜血・血便・タール便を伴う病気のこと

一昔前は学校の健康診断などにも検便の項目があり、これによってギョウチュウ検査が行われていましたが、今ではそもそもギョウチュウの罹患率(りかんりつ)は大幅に減りましたし、行われる検査もお尻にシールを貼って調べる検査方法に変わりました。

しかし今でも健康診断や人間ドックでは検便が行われます。
ここでは検便で分かる便潜血・血便・タール便を伴う病気について解説します。

人間ドックの検便はなにが分かるの?

大腸や小腸などの消化器官の異常を発見することができます。例えば便の硬さや形からは腸の運動や消化吸収能力が分かりますし、色によって体内に不足している栄養素が分かる場合もあります。

しかし何より、検便によって知りたいのは便潜血の有無でしょう。便潜血とはその名の通り、便に血が潜んでいる状態のことで、血便とは異なり一目見ただけでは出血を伴っているようには見えません。このために検査が必要になるわけです。

便に血が混じる原因には様々なことが考えられます。

胃炎や胃潰瘍になると炎症部分から出血し、それが便に混じることがありますし、大腸の粘膜に潰瘍ができる潰瘍性大腸炎や、口腔から肛門までの全消化管に慢性肉芽腫性炎症が起きるというクローン病でもそれらの炎症部分からの出血によって血便になります。もちろん痔のせいでも便に血が混じります。
.
検便で分かる大腸がんや胃がんについて

検便で便潜血陽性と言われた場合に一番不安になるのは、大腸がんや胃がんでしょう。がん細胞はもろくて血管が豊富なため、ちょっとした衝撃で直ぐに出血し、便潜血や血便、タール便となって現われます。

タール便とは黒い便のことで、これは胃や小腸で出血した血が、排泄されるまでの過程でヘモグロビンが酸化することで起こります。血便の場合は肛門付近や直腸周辺から出血しているため、酸化することなく直接出血するために便が真っ赤になります。

このように、同じく出血を伴う便であっても、その色によって体のどの辺りから出血しているのかをある程度推察することができます。

便潜血・血便・タール便を伴う病気について

便潜血が陽性と出た場合でも、前述の通りそれが必ずしもがんであることを意味しているわけではありません。

「定性法」と呼ばれる簡易的な方法で血が混じっているかどうかをざっくりと調べた後、その疑いがあるものに対しては「定量法」と呼ばれる方法で、どれだけの量の血が混じっているかを調べます。

こうしてハッキリと出血が確認された場合には、バリウムを飲む注腸造影検査やカメラによる大腸内視鏡検査などで精密検査を行います。

この精密検査によって出血の原因ががんではなく小さなポリープだったということが分かることもあり、ポリープががん化してしまうことを防ぐためにそのまま大腸内視鏡で切除することも可能です。便潜血だったからといって、それだけで慌てる必要はないのです。

還暦を迎える60代の健康診断に含めたいメニューとチェックポイント

一昔前の60代のイメージとは大きく異なり、現代では60代は還暦とはいえまだまだ現役世代と考える人は少なくありません。

実際、退職して新たなフィールドに挑戦する人や、長年の経験を活かして引き続き職場で活躍する人、中にはその経験や技術を海外で活かして指導にあたる若々しい人までいて、その可能性はまだまだ大きく広がっています。

ここでは60代の健康診断に含めたいメニューとチェックポイントについて解説します。

60代は、がん・脳卒中・心臓病の発症率が飛躍的にアップする

女性も自分の子育てをひと段落させた後、その経験を活かして保育や地域の子育て支援などで活躍する人も少なくないでしょう。しかしそのどれもが健康であればこそ。

長年続く健康ブームで自分自身の健康に気を配っている60代は非常に多いようですが、それでも日本の三大疾病であり多くの死亡原因でもある、がん・脳卒中・心臓病の発症率は飛躍的にアップします。

気持ちは若いままでも体力や抵抗力は知らずにどんどん低下していますので、その他さまざまな疾患にもかかりやすくなります。このため健康診断はもちろん、人間ドックや、気になる特定の疾患があればきちんと検査を受けておく必要があるでしょう。
.
60代のがんの検査

日本人の3人に1人はがんで亡くなっていると言いますが、とくに多いのが大腸がんや胃がんといった消化器官系のがん、そしてタバコを吸う人であれば肺がんです。胸部レントゲンでは肺がんの有無をチェックすることができますし、最近では胸部CTも行われています。

CT検査とは体にX線を透過させて得た情報をコンピューターで解析することにより、身体の内部を映像化させるという検査方法で、これを胸部に施すことで肺に見られるほんの小さながん細胞でも発見することが可能です。

また検便では潜血検査によって大腸がんをチェックできますし、バリウムを飲む上部消化管造影検査によって胃がんを発見することもできます。
.
60代男性のがんと女性のがん

60代男性の場合、前立腺がんのリスクも高まるため、PSA検査も健康診断に含めると良いでしょう。PSAとは前立腺の上皮細胞から分泌されるタンパク質で、そのごく少量が血液中にも取り込まれるのですが、血液に含まれるPSA値が高いと

前立腺がんである可能性があるため、PSA検査と呼ばれる血液検査によってある程度前立腺がんの有無を調べることができるわけです。また女性であればマンモグラフィや乳腺エコーなどで乳がんの有無をチェックしておきましょう。
.
脳ドックを受けましょう

60代になると男女共に認知症のリスクも高まります。脳ドックでは脳のMRI検査による脳動脈瘤の発見と共に認知機能検査を受けることもできるので、この検査によって危険性を予め把握しておくことをお勧めします。

「実年世代」とも呼ばれる50代の健康診断とそのチェックポイント

50代は、20~30代にはない経験に裏打ちされた自信を基に仕事に取り組める世代であり、会社員であれば要職に就いていたり、主婦であれば子育てがひと段落して新たな趣味や習い事などを始めるという人もいます。

実際、いまの50代は昔と比べると非常に若々しくてまだまだ現役、といった感があります。しかし同時に50代はがん・脳卒中・心臓病の三大疾病の危険性が高まる時期であり、体力や抵抗力が低下していくために様々な病気にかかるリスクがあります。

ここでは50代の健康診断とそのチェックポイントについて解説します。

50代の健康診断はどういうもの?

病気とまでは言わなくても、五十肩や五十腕などの体の不調を感じるようになりますし、女性であれば更年期を迎えることから、様々な更年期障害の症状に悩まされる人も多いことでしょう。

ですから男女共に50代に入ったら、年に1回の健康診断と共に、時折人間ドックでの診断を受けることをおすすめします。50代の健康診断では、まず糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満、心臓病といった生活習慣病の有無をチェックしましょう。

発症率の高さから見て、40代の頃以上に気を配る必要があります。また、がんの発症率も高まりますから、胃や大腸といった消化器官のがんや肺がん、女性であれば乳がんや子宮がんなど婦人科系のがん検診も欠かせません。

もし親族にがんが多いのであれば、一度PET検査を受けてみるのも良いでしょう。PET検査とは検査薬を投与して全身の細胞のうち、がん細胞にだけ目印をつけるというもので、従来のがん検査よりずっと小さな早期がん細胞まで発見することができる検査方法です。
.
50代に注意!骨粗しょう症のリスク

もともと女性ホルモンには脂肪や骨の代謝を促す働きがあると同時に、HDHコレステロールを活性化させることで血中LDHコレステロールを抑えたり、また尿酸の排出を促したりする働きがあるのですが、更年期に入ると女性ホルモンが減少し始めることから、脂肪やコレステロール、尿酸が溜りやすくなり、肥満や脂質異常、痛風などを発症しやすくなりますし、

骨粗しょう症のリスクも高まります。今までは全く心配のなかったこれらの疾患に対しても、今後注意を払う必要があるでしょう。
.
50代に入ったら脳ドックを受けてみましょう

さらに男女共通して、50代に入ったら一度脳ドックを受けてみることもおすすめします。脳ドックは主に脳のMRI検査によって行われますが、これにより脳動脈瘤や脳梗塞の危険性をチェックすることができるでしょう。

前述のPET検査は、平成22年度より健康保険の適用内となり、3割負担となりますが、脳ドックは自由診療となるため、施設や検査項目によって違いがありますが、大体4~9万円前後になると考えておきましょう。

バリウム検査で分かる事と下剤が苦手なときは?

健康診断の一環として、バリウムを飲んで胃の状態を調べる「バリウム検査」を行うことがあります。このバリウム検査は正しくは上部消化管造影検査といい、レントゲンによって食道や胃、十二指腸の様子を見ることができます。

食道や胃は他の器官と同じように、単純にその部位をレントゲン撮影しても空洞であるため、その中にある空気の像が写るだけで、肝心の消化器官を映し出すことができません。そ

のため白い独特のとろみを持ったバリウムを飲んで、それが食道から胃、十二指腸へと流れていく様子を動画で見ることで、これら消化器官の状態をチェックするのです。
ここではバリウム検査と下剤について解説します。

バリウム検査では何がわかるの?

バリウムを飲むとき、消化器官に空気を入れて膨張させるために発泡剤も飲むことになります。こうすることで空洞部分が黒く、バリウムが白く移るため、このコントラストによって内部の様子が分かり易くなるのです。

バリウム検査では、口から食道、胃、十二指腸までのバリウムの流れを見るために、バリウムを飲んだ直後からレントゲン撮影を開始します。このときのバリウムの流れがそのまま食事した時の食べ物の流れということになり、その様子を知ることができます。
.
バリウム検査の主な目的は?

またバリウムは粘着性があるため、胃壁に薄く付着します。これを利用して胃壁に異常がないかを見ることができます。

例えば慢性胃炎の場合、通常の胃粘膜よりその表面が荒れている為に、バリウムがそこを通過した際に荒れてできた細かいシワにバリウムが溜って、ちりめん皺のような模様となって映し出されます。

またバリウム検査の主な目的である胃がんや食道がんの場合にも、その粘膜面に必ず変化があるため、バリウムが引っかかって通常より流れが悪くなります。

ちなみにバリウム検査の時には、検査台の上で左や右へと指示に従って姿勢を変えていかなければなりませんが、これは胃壁全体を組まなく調べてポリープや潰瘍がないかをチェックするためです。

病気は予防と早期発見が肝心!健康診断のすすめ

バリウム検査は胃カメラと比べると身体的な苦痛が少ないのがメリットです。

ただしバリウムは検査後に下剤を飲んで体外へ排出させなければならないのですが、これ自体が苦手という人もいますし、普段便秘症の人は下剤を飲んでもなかなか効かず、バリウムが腸で固まって便秘が悪化することがあるため、胃カメラを飲むほうがマシだという人もいます。

またバリウムで分かることは限られているため、もし異状があれば詳細を知るために結局、胃カメラを飲まなければなりません。いずれにしても快い体験とはならないわけですが、がんを含め病気は予防と早期発見が肝心です。自己診断では何の問題もないように思えるときこそ、健康診断を受けるようにしてください。

再検査でなくても生活習慣に気をつけよう!健康診断コレステロール値の見方

健康診断の目的は隠れた病気を発見するだけでなく、その結果から今後発症する可能性のある疾患を見つけて予防となる生活習慣に変えることです。

したがって直接再検査が必要と診断されなかったとしても、健康診断の結果をよく見て自分の今の健康状態や傾向を把握しなければなりません。まずは健診結果数値の見方から覚えましょう。

ここでは健康診断結果の見方や再検査について解説します。


◆健康診断結果、コレステロール値の見方

たとえば動脈硬化の主な原因となる高脂血症は、脂質検査によって血中の総コレステロールや中性脂肪、またHDLコレステロール、LDLコレステロールの数値を見ることで判断できます。

総コレステロールは130~219mg/dlが正常値、中性脂肪なら30~149mg/dl、HDLコレステロールなら40~99(女性なら50~109)mg/dl、LDLコレステロールなら60~119mg/dlが正常値とされています。

これらの数値を明らかに大幅に超えていれば当然再検査となりますが、たとえ数値内であったとしても、前回の結果と見比べていずれかの数値が高脂血症に傾いているようであれば、生活習慣の改善を見直してみる必要があるかもしれません。

またメタボ判定には中性脂肪値だけでなく、複数の項目から診断することができます。腹囲が男性で5cm8以上、女性で90cm以上、BMIが25以上、血糖値が110ml/dl以上、血圧が上130mmHg・下85mmHg以上、中性脂肪が150mg/dl以上、HDLコレステロールが40mg/dl未満、これらのうち、とくに血糖値、血圧、血中脂質で2項目以上が当てはまるのであればメタボ、1つでも該当するものがあれば予備軍と判断できます。
.
◆生活習慣で気をつけることとは?

健康診断で問題なしとされた場合でも、やはり健康的な生活習慣を意識することは今後も健康を維持していく上で欠かせません。生活習慣の良し悪しは、食事・運動・睡眠・お酒・タバコによって左右されます。

とくに食事は大きな影響を与えるもので、質と量の2つの観点から考える必要があります。質で言えば和食に代表されるような低脂肪高たんぱく・高繊維食がおすすめです。またビタミンやミネラルを意識して摂るようにしましょう。

量で言えばよく「腹八分目」と言われますが、感覚的に実行が難しいのであれば自分の1日あたりの適性カロリーを算出し、食事の大まかなカロリー計算をするのもよいでしょう。

運動は、できれば毎日30分程度の有酸素運動、睡眠は人によって異なりますが、一般的には11時までには就寝し、6~8時間の睡眠時間が望ましいとされています。お酒は適量を保って週1~2日の休肝日を設けること、タバコに関しては禁煙が鉄則です。

働きざかりアラサー世代の健康診断にはチェックポイントがある!

社会人となって約10年を迎える30代は、仕事にも脂がのって早い人なら中間管理職に就く頃です。

また結婚や出産といった人生の一大イベントを迎える時期でもあり、職場においても家庭においても様々な責任が課せられるため、自分の健康チェックはついつい後回しになってしまいがちです。

まだ20代の頃の感覚が残っているため健康に自信があって病気なんて自分にはまだまだ関係ない!と思っている人も少なくないでしょう。

ここでは30代の健康診断チェックポイントについて解説します。

◆アラサー30代の生活習慣病

健康診断によって生活習慣病その他の疾患が見つかり始めるのは40代を過ぎてからですが、近年そういった疾患にかかる率が若年化してきているのも事実です。

また20代の頃に夜更かしや飲み会、ジャンクフード、タバコなどの不摂生を繰り返していた場合、そのツケは30代にまわってくると言われています。

とくに病気ではないけれど、健康と言うわけでもない「未病」の状態、たとえば肌荒れや疲れやすい、胃腸が弱い、肩こり、冷えなどといった症状が現われるようになるのです。
.
◆健康診断だけでなく人間ドッグで詳細な検査を

まだまだ元気で自覚症状のない30代でも、定期的な健康診断は不可欠です。20代の頃の検診結果と見比べて、今後どんな病気になりうるかチェックしてみましょう。

また男性なら精巣腫瘍や肉腫といった、若い人の方がかかりやすい種類のがんもあるため、注意が必要です。同様に女性も乳がんや子宮頸がん、卵巣がんなど女性がかかりやすいがんの兆候が見られていないかをしっかりチェックしましょう。

日頃から胸のしこりや月経異常に気をつけることも大切ですが、できれば1度人間ドックを受けることをおすすめします。

一般の健康診断では身長・体重・体脂肪測定、肺・胃のレントゲン、血液・尿検査を受けることができますが、加えて人間ドックなら腹部エコーや検便、心電図、眼圧、気になるなら婦人科の検査やマーカー、脳のMRIなども受けることができ、健康診断だけでは調べきれない部分までカバーすることができます。人

間ドッグは補助金なしだと3万円ほどかかりますが、会社によっては30代から人間ドックのための補助金制度を設けているところもありますし、自治体でも国保加入者を対象に同様の補助をしてくれるところがあるようです。

健康診断を受けてみて、「異常なし」と診断されたら一安心。

けれどこの検査の基準は不特定多数の健康な人の検査値を総合し95%の人の数値をとったものですから、必ずしも100%誰にでも当てはまる基準とは言い切れません。今後も定期的に健診を受け、健康的な生活習慣を心がけて元気な40代を迎えましょう。

若い世代の健康診断の必要性とチェックポイントを知ろう!

労働安全衛生法によって、雇用者には従業員に対する定期的な健康診断が義務付けられているとはいえ、まだ20代の若い世代はどうしても自分の健康管理は後回しにがち。

まだまだ元気でエネルギーに満ち溢れているため、毎日の忙しさも手伝って義務付けられた健康診断を疎かにし、診断結果についてもあまり気に留めないことも少なくありません。

ここでは若い世代に絞って、その健康診断の必要性とチェックポイントをお伝えします。

◆若くても注意!生活習慣や環境の変化、ストレスなど

実際健康診断によって異常が発見されることは少ない年代ではあるのですが、それでも近年生活習慣や環境の変化、ストレスなどによって20代の若さでも中高年に多く見られるはずの疾患が見つかることが少なくありません。

また少なくとも、健診によって自分の生活習慣を見直し、将来の疾患予防に役立てる機会でもあるため、ぜひ健診を行い、その結果をきちんと把握するようにしましょう。
.
◆早期発見のための健診を!

男女共通して20代の健診で注目したいポイントの1つは、血液検査です。ある実験によると、20代の男女の健診で血液データをBMIと照らし合わせた結果、ともにBMIとの関係で肝機能異常が見られたと報告されており、肝機能を始めとした生活習慣病の片りんが、血液データの中に見られているとのことです。

肝機能低下も含め、生活習慣病の多くは自覚症状がないことからも、早期発見のためには健診を受けることが必要でしょう。20代ではまだ「異常なし」と判断されることが多いとはいえ、前回の健診結果と照らし合わせることで、今後どんな危険性を持っているのか、ある程度予測することもできます。
.
◆婦人科系のがんが若年化傾向にある!

20代の女性の場合、今後妊娠や出産を迎えることになるため、定期健診に加えて婦人科健診を受診することをおすすめします。婦人科健診では乳がんと子宮がん、子宮頸がんの早期発見を目的とした検査が行われます。

確かにこれらのがんの発生率も40代以降に多いとはいえ、乳がんは婦人科系のがんの中で最も多いがんですし、次いで多いとされる子宮頸がんの発症率はどんどん若年化傾向にあり、20代が発症する婦人科系がんとしてはトップにあげられています。

乳がんは進行すると、乳房切除など強い精神的なダメージを受ける疾患ですし、全てのがんについて言えることとして、早期発見が治療における重要なポイントになりますから、例え自覚症状はなくても定期的に検診を受ける方が賢明でしょう。

検診を怠ることで予防できたはずの疾患にかかってしまい、その病状が進んだりすると、たとえ命に別状はなくとも不妊症になってしまう恐れもありますから、ぜひ気をつけたいところです。

健康を維持するために欠かせない健康診断と定期健診について詳しく知りたい!

健康診断とは、とくに自覚症状のない人が現在の自分の健康状態を確認することで、生活習慣の改善すべき点を発見したり、隠れていた病気を見つけたりするために行われるものです。

ここでは健康診断の種類と定期健診との違いについて解説します。

◆健康診断の対象になる人は?

年に1回の健康診断は労働安全衛生法によって義務付けられており、正社員はもちろん、1年以上の雇用が見込まれる契約社員や、1週間の労働時間が正社員の4分の3以上であるアルバイトに対しても、健康診断実施義務の対象者として扱われます。

さらに自営業であっても、自治体が実施している健康診断を定額で受けることができる場合が少なくありません。このように日本においては病気の兆候を見つけて予防することや、病気の早期発見が重要視されています。

実際、心筋梗塞や脳卒中などの命にかかわる危険な病気に繋がる糖尿病や高血圧、高脂血症といった生活習慣病の多くは初期にはほぼ自覚症状がなく、気が付いた時には病状がだいぶ進行しているケースが多いため、たとえ自覚症状がないとしても定期的に健康診断を受けることが大切なのです。

また、今現在特定の疾患が見つからなかったとしても、健診によって自分の生活習慣を見直すきっかけになるでしょう。
.
◆健康診断の検査はどんなものがあるの?

一言で検査と言っても、その目的から大きく2つの種類に分けることができます。

1つは学校保険法や労働安全衛生法などによって義務付けられている定期的な健康診断や、人間ドッグのような誰に対しても同じ検査項目が、あらかじめ決められているもの、もう1つは特定の気になる疾患について、その有無を確かめるためにおこなう検診です。

これは臨床検査とも呼ばれ、大抵の場合何らかの症状のために一般外来を受けて医師の診察から原因となっている可能性のある疾患を推測し、その有無を確かめるために検査が行われます。

検診の場合は、まず医師によって問診・視診・触診などが行われ、その後尿検査や血液検査、心電図検査など、すぐに結果が分かるもので予測した複数の疾患の可能性をふるい分けていきます。

これらによっても特定の疾患を見つけることができなければ、より詳しい検査が行われることになるでしょう。
.
◆定期健康診断の検査について

定期健康診断は、厚生労働省によってその項目が定められており、これに年齢や特定の種類の職業などによって、さらに追加して検査が行われることもあります。

主なものとしては身長・体重・腹囲・視力の検査、血圧測定、血中脂質検査、血糖値検査、肝機能検査、尿検査、心電図検査などがあげられます。

しかしこのような一般検査で分かることには限界があるため、特定の疾患が気になる場合には、個人的に専門の外来で検診を受けるほうが良いでしょう。

【健診数値の生かし方】LDL値を甘く見るな 脂質異常症編(10)

コレステロールは、細胞膜などの材料になるため、近年、「LDLコレステロールは高値でも構わない」などといった意見がある。そのため、高血圧の薬は飲むけれど、脂質異常症を改善する薬を飲まないという人もいるだろう。

ところが、高血圧だけを改善しても、動脈硬化が加速するとの話があった。

 【薬を飲まずに悪化】

 50代のAさんは、健診で血圧が160/100以上もあり、中性脂肪も180以上と高かった。会社近くの病院へ行くと、LDLコレステロールも200以上あって、「高血圧と脂質異常症」と診断された。

首の頚(けい)動脈のエコー検査で、動脈硬化が進んでいることも判明。3カ月間の生活習慣の見直しでも数値は改善されず、薬の服用に踏み切った。

 しかし、世の中には「コレステロールは高値でもいい」といった情報があふれている。「血圧だけ管理すればいいや」と、Aさんは勝手に脂質異常症の薬を飲むのを止めてしまった。

医師が薬の処方を変えてコントロールしようとしても、飲まないAさんの脂質異常症は改善されない。そして、再度エコー検査を受けると、動脈硬化がはるかに進んでいた。

 東京女子医科大学病院高血圧・内分泌内科の市原淳弘主任教授が警鐘を鳴らす。

 「高血圧の人の半数以上は、脂質異常症も併発しています。脂質異常症の薬を勝手に止めて、生活習慣の見直しもできず、動脈硬化が進むケースは珍しいことではありません。動脈硬化には、コレステロールが関わっていることを改めて知っていただきたいと思います」

 【進行すると元に戻らない】

 頚動脈エコーでは、動脈硬化が生じたばかりの「低輝度(ていきど)」と、動脈硬化が進行した「高輝度(こうきど)」に分類して、動脈硬化の進行度を判定できるそうだ。

 「低輝度では、生活習慣の見直しや薬の服用で、動脈硬化は改善します。しかし、高輝度になると、進行は食い止められても、変性した血管は元に戻りません。だから、脂質異常症を放置しないでいただきたいのです」(市原教授)

 高輝度の動脈硬化は、血管壁にコレステロールがたまっただけでなく、古いゴムホースのように、血管が硬くてもろくなった状態。

硬くなった血管の表面に血液が触れて、血栓が生じると脳梗塞、もろくなった血管が壊れれば脳出血、心臓の要の冠動脈が血栓で詰まれば心筋梗塞と、どこの血管が崩壊するのか、わからない状態だという。

 「脳梗塞の原因の約9割は、頚動脈の動脈硬化です。脳卒中や心筋梗塞の患者さんは、再発もしやすい。そうなる前に、生活習慣の見直し(別表参照)を心掛けてください。

また、勝手に薬を止めるのではなく、専門医に相談するなど、薬も上手に利用していただきたいと思っています」と市原教授はアドバイスする。 

 ■生活習慣の上手な見直し方
 ・食塩は1日6グラム未満を目標に、高カロリーや高脂肪分の食事は控える
 ・寝る4時間前には夕食を食べ終える
 ・動脈硬化がすでに進んでいる人は、血流を良くするため、オニオンスライスやネバネバ食材(メカブ、オクラ、納豆、山芋など)を1日1品は食べるように心掛ける
 ・「絶対に○○○は食べない」といった極端なダイエット法は長続きしないので行わない
 ・ウオーキングなどの有酸素運動は毎日30分以上を目標にする。毎日が難しい場合は、2日おきに60分を目標にする
 ・酒はほどほどに、煙草を吸う人は禁煙を

【健診数値の生かし方】重なる“少し高値”で大血管病リスク高まる 脂質異常症編(9)

脂質異常症では、LDLコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)が、少し異常値という場合、まずは生活習慣の改善が医師から勧められる。高血圧や糖尿病でもしかり。

「チョイ高値ではどうってことない」といいたいところだが、値が重なると、心筋梗塞などの大血管病のリスクは高くなるという。なぜなのか。

 【1+1は4になる】

 以前、このコーナーで、LDLコレステロールの異常値と糖尿病が重なると、数値の管理目標が厳しくなると紹介した。

しかし一方で、血圧とコレステロールが少々高くても、「放っておいてよい」という人はいる。少しの高値ならば問題ないと、素人は考えやすい。そこに落とし穴が待っていた。

 東京女子医科大学病院高血圧・内分泌内科の市原淳弘主任教授が警鐘を鳴らす。

 「脂質異常症で、少々値が高い場合の血管病のリスクを『1』とします。高血圧の少々高値もリスクは『1』。2つを足した場合に、リスクは『2』ではなく、『3-4』に跳ね上がるのです。

一般的に微妙な値は放置されがちですが、2つ、3つと、生活習慣病が合わさると、リスクの山は一気に高くなるのです。放置してはいけません」

 脂質異常症、高血圧、糖尿病の値が、どれも少しずつ高い場合は、1つだけ高いときと比べて、心筋梗塞や脳梗塞といった大血管病のリスクは6-7倍にも跳ね上がるそうだ。

ただし、この段階で、食事や運動などの生活習慣を改善すれば、一気にどの値も下げることが可能。放置していると、いずれの値もやがて高くなり、薬に頼らざるを得なくなってしまう。

 【酸化LDLが増える】

 糖尿病は、LDLコレステロールを変性させ、高血糖と変性LDLで、血管に大きなダメージを与える。では、高血圧はどうか。

 「高血圧では、血管内皮にコレステロールの接着分子が増えて、血管壁にコレステロールを取り込みやすくします。LDLは、酸化変性すると血管壁に入りやすいのですが、高血圧による酸化ストレスで、酸化LDLも増えるのです」(市原教授)

 脂質異常症と高血圧が合わさると、変性したLDLが血管壁にたまりやくなり、そこに高血圧の圧力が加わることで、心筋梗塞や脳梗塞などが起こりやすくなる。

糖尿病が加わるとこの状態は加速。だから、1+1+1=3ではなく、リスクは6-7倍に跳ね上がるというわけだ。しかし、血管壁にコレステロールがたまり、動脈硬化が進んでも自覚症状に乏しい。

 「生活習慣病のいずれの値も、少し高値で数年間放置したという人は、首にある頚(けい)動脈の動脈硬化を測るエコー検査を受けてみてください。

高血圧の専門医や循環器内科などで、検査を受けることができます。動脈硬化の状態によっては、生活習慣の見直しだけで改善も可能です」と市原教授は話す。 

 ○危険知らせる診断基準でのチョイ高値(重なるとより危険)
 脂質異常症/LDLコレステロール140以上
       HDLコレステロール40未満
       トリグリセライド150以上
 高血圧/診察室での測定140(収縮期血圧)以上
     90(拡張期血圧)以上
 糖尿病/空腹時血糖値126以上
     HbA1c 6.5%以上
 *脂質異常症と糖尿病の単位はmg/dl、血圧の単位はmmHg

コレステロールや中性脂肪の基準値 欧米より桁違いに厳しい

「血圧147は健康なのか」──医学界を揺るがした「健康基準値論争」について待ったをかけたのが、『「血圧147」で薬は飲むな』(小学館刊)を緊急出版した大櫛陽一(おおぐし・よういち)・東海大学医学部名誉教授だ。

 自身の研究成果や欧米の最新論文、そして70万人の健康調査などをもとに導き出した「新『健康基準値』一覧表」は、大きな話題になっている。

 大櫛氏は血圧だけでなく、コレステロールや中性脂肪といった数値についても問題提起する。

 * * *
 現在の健康基準では、悪玉コレステロールとして知られるLDLコレステロールは『60~119』であり、これよりも高い場合は『異常』と判断されます。

 中性脂肪も『30~149』となっており、日本循環器病学会のガイドラインでは『150以上』が異常とされ、『300を超えたら投薬』と定められています。しかし血圧同様、世界的にはこのようなガイドラインこそが“異常”なのです。

 LDLコレステロール値に関していえば昨年、国際的基準が『190』にすべて統一されましたし、中性脂肪に関しても6年前に『1000』という日本とはケタ違いに緩い基準がもうけられています。

 そもそも欧米には日本でいわれている『悪玉コレステロール』などという概念はありません。

 様々な研究結果で、コレステロールや中性脂肪は数値が高い方が長生きをしているという結果が出ており、身体に必要なものとして認識されています。アメリカでは降下目標も廃止されました

70歳超の54%が服用の降圧剤 死亡リスク10倍に高まる結果も

「血圧147は健康なのか」──医学界を揺るがした「健康基準値論争」について、70万人を対象とした大規模調査を行なった医学者が新たな問題提起をした。その核心を解説する。

 きっかけは週刊ポストの特集記事だった。

「『血圧147は健康』で『病人1800万人減』のカラクリ」(5月2日号)

 人間ドック学会が4月4日、150万人の人間ドック受診者のうち、健康な状態にある約1万人のデータをもとにはじき出した新しい「健康基準値」を発表。

その新基準値について取り上げた本誌記事が大きな反響を呼び、他のメディアも特集を組むなど、健康基準をめぐる大論争に発展した。

「健康基準値」とは、血圧やコレステロール値などの数値が、ある一定の範囲内に収まっていれば「正常」、逸脱していれば「異常」と判定する際の基準となる数値のことだ。

人間ドック学会の新基準が話題を呼んだのは、それらの数値が既存の基準に比べ、大幅に緩和されたからだ。

 ところが、その新健康基準はその後、他の学会からの猛抗議を受けることになる。

<本当に「正常」といえるか不明であり(中略)一部には「要再検査、要治療」が含まれている>(高血圧学会)

<人間ドック学会の「基準範囲」は日本国民の健康に悪影響を及ぼしかねない危険なもの>(動脈硬化学会)

 などと、既存の基準値を定めてきた各学会の逆鱗に触れたのだ。

 そうした圧力の前に、人間ドック学会は「あくまで健康の目安であり、病気のリスクを示したものではない」と、すぐさま尻尾を巻いた。

 そのまま押し切られるかに見えた「健康基準値論争」に待ったをかけたのが、大櫛陽一(おおぐし・よういち)・東海大学医学部名誉教授である。

 大櫛教授は、いまから10年前の2004年、日本総合健診医学会シンポジウムのなかで、全国約70万人の健診結果から、日本ではじめて男女別・年齢別の「健康基準値」を発表した第一人者だ。

 今回の人間ドック学会の調査のまとめ役といえる研究小委員会学術委員長を務めた山門實(やまかど・みのる)・足利工業大学看護学部長とは、かつて共同研究を行なった間柄でもある。

【健診数値の生かし方】LDL値下げる「スタチン」★脂質異常症編

悪玉と呼ばれるLDLは、140(単位はmg/dl)以上になると、動脈硬化が進み心筋梗塞などを起こしやすいといわれる。食生活でLDLが200まで上がってしまう人もいて、生活習慣の改善は欠かせない。

しかし、必死に取り組んでも、LDL値が思うように下がらないことも珍しくはないそうだ。

 【食生活の改善だけでは難しい】

 LDL高値は、メタボとは必ずしもリンクしないことは、前回紹介した。標準体重で、両親や親族に脂質異常症の人はいなくても、LDLが140を超えてしまう人がいる。

コレステロールを含む動物性脂肪や卵の黄身など、食事に気をつかっていても、LDL200が180に下がる程度。目標の140以下までにはほど遠い。食生活で高くなったはずのLDLが、なぜ食生活の見直しで下がらないのか。

 帝京大学医学部の木下誠教授は「遺伝子変異とは関係なく、生活習慣でLDL値が上昇する仕組みは、100%解明されているわけではありません。

確かに徹底的にコレステロールを除いた食事管理を行うと、LDL値が下がるとの報告はあります。しかし、普通の食事に戻すとLDL値もまた上がってしまう。食事だけで、LDL値を長期間に渡ってコントロールするのは難しいのです」と話す。

 高血圧ならば、減塩、運動、体重減で、正常値に近づくのが可能だが、脂質異常症では、減量で値が減るのは中性脂肪のみ。LDLは体重に左右されず、コレステロールを含まない徹底した食事管理を長期間に渡って行うのは、素人には困難だ。

 【薬と上手につき合う】

 食生活の改善でコントロール不能なLDL高値は、糖尿病など動脈硬化のリスク要因が重なると、薬物療法の適用になる。1973年に発見されたLDL値を下げる薬「スタチン」は、治療を激変させた。

 「単にLDLを下げるだけでなく、服用した人とそうでない人と比べて、前者は心筋梗塞のリスクを軽減することが、長期的な研究で明らかとなっています」(木下教授)

 脂質異常症による動脈硬化、すなわち心筋梗塞といった大血管病までスタチンには封じ込める力があり、感染症撲滅に多大な貢献をした抗生物質のペニシリン発見に、そのインパクトは匹敵するとまでいわれている。

現在、日本の薬事法で承認されているスタチンは6種類。

ただし、専門医の間では、一般的に効果の高さから、むやみにスタチンが使用されているのではないかと、危惧する声もある。

 「スタチンはとても効果のある薬ですが、中には、血糖値が上がる人もいます。

薬には、メリット、デメリットがある。妊娠中や妊娠の可能性のある女性には、使用は禁忌ですし、病気だけでなく、患者さんの個別の背景を把握した上で、治療計画は立てるべきだと思っています。

もちろん、患者さんも、薬に頼り過ぎる、逆に、薬の服用を無視するのではなく、ご自身の健康にどう薬を役立てればよいのか、今一度考えていただきたいと思います」と木下教授は話す。 

 ■脂質異常症でよく使用される薬
・スタチン…肝臓でのコレステロール合成を阻害する。薬によって効果に強弱がある
・陰イオン交換樹脂…別名レジン。肝臓への胆汁酸(コレステロール主成分)の再流入を抑制
・小腸コレステロールトランスポーター阻害薬…コレステロールの吸収を阻害
・フィブラート系薬…中性脂肪の合成を抑制し、分解する働きがある
・ニコチン酸誘導体…中性脂肪の合成を抑制
・プロブロコール…抗酸化作用を持つ薬で、スタチン登場以前に多く使用
・多価不飽和脂肪酸…中性脂肪を下げる効果があり、スタチンとの併用が多い

女性は特に注意!さまざまな危険を及ぼす●●依存

お酒は百薬の長ともいわれますが、飲み過ぎれば、脂肪肝などの肝機能障害やアルコール依存症の危険が高まります。

タレントの志村けんさんもお酒の飲み過ぎによって、肝臓の機能が弱まって、検査となりましたが、お酒の飲み過ぎによって、肝臓に負担をかけるのは、女性の方が、リスクが高いのです。

■リスクが至る所にあるアルコール依存

依存症のリスクには、女性の方が男性より短い期間で依存症になる、未成年から飲酒を始めるとより依存症になりやすい、遺伝や家庭環境が危険性を高めるなど様々です。

家族や友人のお酒に対する態度や地域の環境も未成年者の飲酒問題の原因となりますし、さらには、うつ病や不安障害などの精神疾患も依存症の危険性を高めるといったことが知られているのです。

■社会に出ると増えるアルコール依存

かといって、男性も要注意。仕事の付き合いや、ストレス解消にと社会に出ている男性は、アルコール依存症になる率は女性の約4倍です。今は女性の社会進出も多いので、仕事している女性は特に危険です。

女性の飲酒率は40年前の4倍に上がっているのです。更に女性は、アルコールによる乳がんのリスクも高まります。

特に29歳以下の女性アルコール依存症者は、約7割が摂食障害を合併するという報告もあるのです。

■女性は男性よりも2倍高い死亡率

さらに、アルコール依存症となった女性の死亡率は依存症ではない女性に比べると4倍にも上るのですが、男性は同様に調査した場合に2倍に留まるとドイツの論文でも発表されているのです。

1日平均どの程度の量を飲むとアルコール依存症になるかは人によって異なりますが、少ない量でもアルコール依存症になることもあります。

女性は男性に比べて身体が小さく、脂肪が多いため、肝臓でのアルコール処理能力も半分と言われています。国が定めているお酒の適量も、アルコール量として、男性は20gですが、女性は10gと半分。

男性と張り合って飲むというのは大変危険な行為ですので、いくらお酒が飲めるといっても、いわゆる“女性らしい”飲み方をするのが良いですね。

あなたは大丈夫?珍しくも恐ろしい「●●依存症」7個

アルコール依存症、ニコチン依存症、ギャンブル依存症に代表されるように、"依存症"といえば、ある物事にやみつきになり、それがないとイライラしたり不安になったりするような症状のこと。

"●●依存症"には、実にさまざまな種類のものがありますが、広い世の中には「え、そんなものに!?」と驚くような不思議な依存症も少なくありません。

そんな珍しい依存症7個を、世界の不思議情報を集めたサイト『Oddee』からお届けしたいと思います。

■1:日焼け依存症

日焼けサロンでどんどん肌を焼きたがる"日焼け依存症"という症状があります。

この日焼け依存症については、まだ十分な研究がなされていません。ただ、人工的な日焼けをすると、幸福感をもたらすエンドルフィンという脳内ホルモンが分泌されるので、それが日焼けサロンにやみつきになる原因のようです。

たとえば、昨年、アメリカでは、6歳の娘を日焼けサロンで日焼けさせたのが児童虐待に当たるとして逮捕された女性がいますが、この女性は月に20回も日焼けサロンに通うほどの日焼け好き。彼女はおそらく日焼け依存症ではないかと考えられます。

■2:スマートフォン依存症

インターネット依存症やメール依存症と並んで、最近、深刻化しつつあるのはスマートフォン依存症。たとえば、実際には何も起こっていないのに、着信音やバイブレーターの通知があったような気がして、思わずメールをチェックしてしまうというのは、依存症の兆候です。

そのほか、『美レンジャー』の「あなたは大丈夫?スマホ依存症のかなり危険な症状7つ」という記事でもこの依存症の症状が紹介されています。気になる人はぜひチェックしてみてくださいね!

■3:美容整形依存症

以前、「エリカ様も驚愕!? 身の毛もよだつ美容整形10大事件」という記事でもお伝えしましたが、「もっともっと美しく」という強迫観念から美容整形を繰り返してしまう症状があります。

この症状で世界的に有名なのは、夫の浮気をきっかけに整形依存症に陥ったジョセリン・ウィルデンシュタインという女性。たび重なる美容整形に費やした金額はおよそ4億円にのぼり、見る人を震撼させる異様な風貌をもつに至っています。

■4:氷食症

口が寂しくなると、すぐ氷を口に放りこんでガリガリ......あなたも心当たりありませんか?

「氷だからノーカロリーでいいよね!」というのは甘い。氷をかじらないと落ち着かないのも依存症の一種です。この症状がある人は、実は血液中の鉄分が不足しているともいわれています。

■5:葬式依存症

ブラジル人男性のルイス・スクァリシさん(42歳)が患っているのは、世にも珍しい"葬式依存症"。父親の死をきっかけに発症し、その後20年にわたって、地元で行われる全ての葬式に出席しています。なんと参列のために仕事まで辞めてしまったそうです。

ルイスさんは毎日、起床するとまずはラジオをつけて、おくやみの通知がないかチェック。もし通知がなければ、病院や葬儀場に問い合わせです。

20年にもわたるルイスさんの症状は、今ではすっかり地元の理解を得ており、人々は葬儀に彼が現れるのを待ち望むほどになっています。

■6:土食症

食品ではないものを無性に食べたくなる"異食症"という症状があります。"土食症"もそのひとつ。文字通り、土を食べてしまう症状なのですが、亜鉛や鉄分の不足が原因といわれています。

■7:ホワイトニング依存症

真っ白な歯は、第一印象アップにも効果的ですよね。歯のホワイトニングは、メスを入れる整形手術とくらべて手軽なこともあり、美意識の高い人に人気です。

とはいえ、何事もやりすぎは禁物。「もっと白くなければ!」「まだ歯が黄ばんでいるような気がする......」という強迫観念で、ホワイトニングを過剰に繰り返していると、知覚過敏や歯茎の炎症を引き起こすことになります。

以上、世界の珍しい依存症7個をお届けしましたがいかがでしたか? 

ここで挙げた症状に限らず、「●●がないと死にそう!」となってしまうのは、依存症の兆候です。「好き」を通り越して、心身に傷を負ったり、生活に支障が出たりするような場合は、どうか一刻も早く専門医にご相談を!

【健診数値の生かし方】血管が壊れる「LDL140超」 脂質異常症編

生活習慣病のひとつ脂質異常症は、コレステロール値と中性脂肪(トリグリセライド)で診断基準が確立されている。

しかし、中には「コレステロール値は高くて良い」などという医師もいて、私たちには理解しづらい。そこで、今回は悪玉と称されるLDLコレステロール値140(単位・mg/dl)以上について考えてみる。

 【死亡率の上昇】

 コレステロールと中性脂肪は、脂質の仲間。中性脂肪がエネルギー源になるのに対し、コレステロールは細胞膜やホルモンなどの材料となる。LDLはコレステロールを運び、HDLは余分なコレステロールを除去する働きがあって、どちらも必要不可欠。

だから、「コレステロール値は高くてもいい」といった話も横行している。では、LDL140以上は何を意味するのか。

 日本動脈硬化学会「脂質異常症治療ガイド2013年版」の作成委員長を務めた「寺本内科歯科クリニック」(東京都文京区)の寺本民生内科院長が説明する。

 「LDLが体内で増えすぎると、変性して血管壁を破壊します。それが、心筋梗塞や脳梗塞などの病気に結びつくのです。

1980年にスタートした疫学調査『NIPPON DATA80』などの長期的な研究で、LDL値が140以上で、高ければ高いほど、心筋梗塞などで亡くなるリスクは上がることが明らかにされています。高血圧や糖尿病など別のリスクを加味すれば、さらに死亡率は高くなるのです」

 身体に必要なLDLだが、多過ぎれば悪影響を及ぼす。その目安が「140」以上というわけだ。

 【1カ月の食事見直し】

 体内で増えすぎたLDLは、変性して酸化され、それが血管にダメージを与える。

 この酸化されたLDLが、動脈硬化と深く関係しているのだ。では、LDL140以上でどの程度増えるのか。

 「LDL140以上に加えて、中性脂肪が150以上の場合、小さい粒子のLDLが増えて、より酸化されやすくなります。これを超悪玉コレステロールといいます。つまり、LDLと中性脂肪が高いと、血管がダメージを受けて、動脈硬化を起こしやすいのです」(寺本院長)

 全身に広がる血管は、どこで動脈硬化による血栓や狭窄を起こすかわからない。ただし、2つの値が高いからといって、すぐに薬の治療が始まるわけではないそうだ。

 「LDLは、動物性脂肪を多く含む食事の影響を受けやすいのです。患者さんには、1カ月間だけ、(1)牛肉と豚肉を控える(2)卵の黄身を食べない(3)海藻類をたくさん食べる-といった3つのポイントを実行してもらっています。

1カ月ほど試してもらってLDL値が下がる人は少なくありません。食事が原因であれば、1カ月間の見直しが、運動も含めた食生活改善のきっかけにもなるのです」と寺本院長は話す。 (安達純子)

 ■脂質異常症の診断基準(単位mg/dl 空腹時採血)
 LDLコレステロール 140以上 高コレステロール血症
            120~139 境界域高コレステロール血症
 HDLコレステロール 40未満 低HDLコレステロール血症
 トリグリセライド   150以上 高トリグリセライド血症
 *日本動脈硬化学会「脂質異常症治療ガイド2013年版」より抜粋

健康診断でがんの早期発見は可能か

■会社の定期健康診断でわかること

会社の健康診断の目的は、大きく分けて2つ。1つはそれぞれの業務内容に関連して注意すべき疾患の有無をチェックすること。もう1つは、生活習慣病の予防を行うことです。前者の例としては、騒音がひどい職場での聴力検診や、粉塵が舞うような職場での呼吸器系の検診などが挙げられますが、全ての職場の方がこのような検診を受けているわけではありません。

一方、後者の生活習慣病予防のための検診は、おそらくほとんどの方が受けているでしょう。現在では主にメタボリックシンドロームの有無をチェックすることが目的。具体的には、糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、高尿酸血症といった動脈硬化のリスクファクターが長期に渡って存在しないようにし、将来的な脳梗塞や心筋梗塞といった大変な病気の発生を抑えようというのが目的です。

■健康診断の目的は「がんの早期発見」ではない?

つまり、会社での健康診断は一般にがんを目的としたものではないのです。よって、会社の健康診断で問題ないという結果が出ているとしても、がんの心配がないわけではありません。中にはオプション検査として、CEAやAFPといったいわゆる「腫瘍マーカー」とよばれるがんになったときに上昇しやすい検査項目が設定されている健康診断もあります。しかし、腫瘍マーカーは、前立腺がんに関係が深いPSAを除けば、高いからといってがんがあるとは限らず、また、低いといってがんがないとは限らない指標です。この指標を用いてもがんの早期発見ができるとは限らないのです。

がんの有無をより確実に見るためには、子宮がん検診や乳がん検診、胃カメラや注腸造影検査など、血液検査以外に触診や細胞診、レントゲン検査といったもう少し詳しい検査を行う必要があります。また、特定部位のがんにこだわらないスクリーニング検査にはPET検診が威力を発揮します。

■健康診断の結果にあらわれるがんの兆候
ただ、健康診断でも注意すべき兆候が確認できることがあります。その代表例が徐々に進行している貧血。貧血は、いくつかの原因で起こりうる病態ですが、胃がんや大腸がん、子宮がんなどができたときに、その部位から少しずつ出血があり、貧血になる場合があります。通常貧血がおこると息切れやふらつきなどの自覚症状が出ますが、少しずつの出血だと体が順応してしまい、典型的な貧血症状が出ないことがあります。これを健康診断の結果で確認することができるのです。便やおりものの性状に注意すると共に、徐々に貧血が進行していないかどうかをチェックしていくことは重要と言えます。

いずれにしても、健康診断の結果のみならず、自覚症状等での不安があれば、お近くの医療機関を受診されることをお勧めします。

医師が健康診断の腫瘍マーカーを勧めない5つの理由

◆誤解されている! 「腫瘍マーカー」

腫瘍マーカー検査といえば、「血液検査で簡単にがんの可能性がわかる」といううたい文句で健康診断のオプションとして行われていることも多いようです。しかし、多くの医師が健康診断での腫瘍マーカー検査は推奨していないという事実はあまり知られていません。 医師が「腫瘍マーカー」を推奨しない理由を解説します。
.
◆理由1 「偽陰性」…早期がんでは上昇しない

ほとんどの腫瘍マーカーは早期がんでは上昇しません。逆に進行がんでも上昇しないこともあるので注意が必要です。通常よく用いられるのは、「抗がん剤治療や放射線治療での効果判定」や「腫瘍マーカーの高いがんの術後の経過観察」を目的とした場合です。

例外的に、肝がんリスクが高い肝炎ウイルス陽性の方には、臓器特異性が高いAFPやPIVKA-IIといった腫瘍マーカーを用いて肝がんの有無を確認することはあります。しかし、健康診断で有効といえる腫瘍マーカーはほぼ皆無で、あるとすれば、前立腺がんのPSA測定ぐらいといえるでしょう。

◆理由2 「疑陽性」…がん以外の良性の疾患でも上昇する

腫瘍マーカーはがん以外の原因でも上昇することがあります。例えば、大腸がんや肺がんなどで上昇するとされるCEAは、高齢者や喫煙、糖尿病、慢性肝炎などでも上昇することがあります。

膵がん、大腸がんなどで上昇するCA19-9は、胆管炎を併発した場合や急性・慢性膵炎、胃炎、急性・慢性肝炎、肝硬変、子宮内膜症や卵巣嚢腫などの良性婦人科疾患、気管支炎、気管支嚢胞、肺結核、10~20代の女性や妊婦、糖尿病などでも上昇することがあります。

腫瘍マーカーとは、がん細胞またはがんに対するからだの反応によって作られ、血液や尿、組織などで増加している物質のことです。しかし、がん細胞だけでなく、正常細胞でもつくられますので、健常な人の体内にもわずかに存在します。悪性腫瘍だけでなく、良性の疾患でも上昇することがあるのです。
.
◆理由3 「検査漬け」…腫瘍マーカーが関与する臓器は多種多様

例えば、よく用いられる腫瘍マーカーのCEAを例にとると、CEAが上昇するときに考えられるがんには、大腸がん、膵がん、胆管がん、肺がん、食道がん、胃がん、乳がん、子宮がん、卵巣がん、泌尿器がんがあります。

調べていくには、血液検査、レントゲン検査、超音波検査、上部消化管内視鏡検査、大腸内視鏡検査、CT検査とほぼフルコースで検査をしなければなりません。そして、「検査はひと通りしましたが、明らかながんはありませんでした」と医師から告げられることも少なくはないのです。

◆理由4 「がんの恐怖」…見えないがんの恐怖におびえる日々

全身の検査を受けても異常なし。「疑陽性」の可能性が高いけど、「もしかしたら」という気持ちをぬぐいきれない受診者も少なくはありません。「がんが隠れているかもしれないから定期的に検査をしてほしい」と数カ月ごとに検査を希望される方もいます。腫瘍マーカーを測定したがために、がんにおびえる不安な日々を送らざるを得ない人も存在します。
.
◆理由5 「おいしいのは医療機関」…一回の検査で二度おいしい

腫瘍マーカーは、病気以外で測定すると自費です。けっして安い検査ではありません。そして、異常値が出た場合は再度受診して、全身をくまなく検査させられ、高い医療費を払わないといけないはめになります。腫瘍マーカーが上昇してがんが見つかることもありますが、多くはすでに進行がんです。健康診断での腫瘍マーカー測定は、高い検査費用に対して効果はあまり望めません。健康診断でオプションの腫瘍マーカーを付けるぐらいなら、直接観察できる「内視鏡検査」や「超音波検査」など他の検査を追加した方がいいでしょう。

病気?再検査? 健康診断で肺に影があると言われたら

◆レントゲン、CTで「肺に影がある」=「肺がん」!?

何気なく受けた健康診断。受けたことも忘れていた頃に戻ってきた検査結果を見てみると、レントゲン検査やCT検査の結果として「右肺尖部に胸膜肥厚陰影」「左下肺野に結節影」といったコメントが……。「これってひょっとして肺がん?」いろいろなことが頭を巡ります。

私がボランティアで行っている医療相談のサイトでも、多く寄せられるご質問の多くが、これら「肺に影があるといわれたのだが……」というものです。 患者さんのメールを拝見していると、中には深刻に悩まれているケースもあるのですが、実は、健康診断の結果については、その背景を理解していおくことが大切です。今回は、健康診断で肺に陰があると言われた時の対処法についてご説明します。
.
◆「疑わしきは罰する」のが健康診断

健康診断での目標は、「早期発見・早期治療」を実現すること。となると、その基本姿勢は「疑わしきは罰する」ということになります。 健康診断の目的は、「がん」を早期に発見し、すぐさま治療を行うことで、「がん」の治療成績を向上させることにあります。 胸部レントゲン写真の場合も、やはり、肺がんや縦隔腫瘍などの胸部の悪性疾患を早く見つけることを目的にしています。

肺がんにしても縦隔腫瘍にしても、いわゆる「できもの」があると、通常は写らないような影が、胸部レントゲン写真には写ります。このような影が、観察されたときには、検診を行う医師は「要精検」、すなわち、もう少し詳しく検査してくださいというコメントを出します。

この際、健康診断の目的が「早期発見・早期治療」であることを考えると、少しでも気になるような影があれば、「とりあえず、再検査」という風に考えます。すなわち、健康診断の場合には「疑わしきは罰する」というのが基本的なスタンスである、と言えます。
.

◆「肺に影」で考えられる病気は? 意外に多い、肺に影ができる原因

肺に影ができるのは、悪性疾患の場合だけではありません。意外に、いろいろな状態があります。 患者さんのご相談を拝見していると、「肺に影がある」=「肺がんかも!?」と心配されているケースが多いのですが、実は、肺に影をつくる状態には、いろいろなものがあります。その代表的なものが、炎症によるものです。とくに、60代以上の年代の方は、昔の結核の後などが残ってしまっていることがあります。このような状態では、「肺尖部胸膜肥厚」とか、「肺尖部に斑状陰影」などと記載されている場合が多いです。

また、血管の蛇行や、肋骨の重なり、女性の場合には乳頭が腫瘤状陰影になって写ることもありますし、血管腫や過誤腫など、良性の腫瘍が写っている場合もあります。つまり、肺に影があるからといって、必ずしも肺がんとは限らない、むしろ、肺がんであることの方が少ないのが現実です。

◆再検査? 経過観察? 健康診断で肺に影があると言われたら……

では、健康診断で肺に影があると言われたらどうすれば良いのでしょうか。基本は、「健康診断の結果用紙に記載されている指示に従う」ということです。そんな、当たり前のこと……と言われるかも知れませんが、実際に異常所見があると書かれていると気が動転してしまって、ここを見落とされているケースが少なくありません。

医師のコメントが「1年後に再検査を」というものであれば、まずは、肺がんや縦隔腫瘍など心配すべき状態ではないと考えてください。これは、通常、昨年以前のレントゲンと、今年の分とを見比べ変化がないことを確認できた場合ですので、まずは、良性の変化か、生理的な陰影と考えて良いと思います。

また、「すぐに再検査を」と言う場合には、できるだけ速やかにその指示に従っていただきたいのですが、その際にも、心配しすぎることはありません。基本は、「疑わしきは罰する」というスタンスであることを思い出し、淡々と検査を進められることが大切です。

いずれにしても、もっとも避けていただきたいのが、「健康診断で異常を言われているが、がんや大きな病気が見つかると怖いので、検査は受けていない」という状態です。早期発見・早期治療が、がんの治療の基本です。あまり、心配しすぎることなく、検査を進めていくことが、あなたの大切な体を守る第一歩になることを、心に留めておいていただけたら、と思います。

【健診数値の生かし方】血管が壊れる「LDL140超」 脂質異常症編

生活習慣病のひとつ脂質異常症は、コレステロール値と中性脂肪(トリグリセライド)で診断基準が確立されている。

しかし、中には「コレステロール値は高くて良い」などという医師もいて、私たちには理解しづらい。そこで、今回は悪玉と称されるLDLコレステロール値140(単位・mg/dl)以上について考えてみる。

 【死亡率の上昇】

 コレステロールと中性脂肪は、脂質の仲間。中性脂肪がエネルギー源になるのに対し、コレステロールは細胞膜やホルモンなどの材料となる。LDLはコレステロールを運び、HDLは余分なコレステロールを除去する働きがあって、どちらも必要不可欠。

だから、「コレステロール値は高くてもいい」といった話も横行している。では、LDL140以上は何を意味するのか。

 日本動脈硬化学会「脂質異常症治療ガイド2013年版」の作成委員長を務めた「寺本内科歯科クリニック」(東京都文京区)の寺本民生内科院長が説明する。

 「LDLが体内で増えすぎると、変性して血管壁を破壊します。それが、心筋梗塞や脳梗塞などの病気に結びつくのです。

1980年にスタートした疫学調査『NIPPON DATA80』などの長期的な研究で、LDL値が140以上で、高ければ高いほど、心筋梗塞などで亡くなるリスクは上がることが明らかにされています。高血圧や糖尿病など別のリスクを加味すれば、さらに死亡率は高くなるのです」

 身体に必要なLDLだが、多過ぎれば悪影響を及ぼす。その目安が「140」以上というわけだ。

 【1カ月の食事見直し】

 体内で増えすぎたLDLは、変性して酸化され、それが血管にダメージを与える。

 この酸化されたLDLが、動脈硬化と深く関係しているのだ。では、LDL140以上でどの程度増えるのか。

 「LDL140以上に加えて、中性脂肪が150以上の場合、小さい粒子のLDLが増えて、より酸化されやすくなります。これを超悪玉コレステロールといいます。つまり、LDLと中性脂肪が高いと、血管がダメージを受けて、動脈硬化を起こしやすいのです」(寺本院長)

 全身に広がる血管は、どこで動脈硬化による血栓や狭窄を起こすかわからない。ただし、2つの値が高いからといって、すぐに薬の治療が始まるわけではないそうだ。

 「LDLは、動物性脂肪を多く含む食事の影響を受けやすいのです。患者さんには、1カ月間だけ、(1)牛肉と豚肉を控える(2)卵の黄身を食べない(3)海藻類をたくさん食べる-といった3つのポイントを実行してもらっています。

1カ月ほど試してもらってLDL値が下がる人は少なくありません。食事が原因であれば、1カ月間の見直しが、運動も含めた食生活改善のきっかけにもなるのです」と寺本院長は話す。 (安達純子)

 ■脂質異常症の診断基準(単位mg/dl 空腹時採血)
 LDLコレステロール 140以上 高コレステロール血症
            120~139 境界域高コレステロール血症
 HDLコレステロール 40未満 低HDLコレステロール血症
 トリグリセライド   150以上 高トリグリセライド血症
 *日本動脈硬化学会「脂質異常症治療ガイド2013年版」より抜粋

イマドキの内視鏡検査は本当に痛くないのか?

イマドキの内視鏡検査は本当に痛くないのか? 不健康なスパの記者が体験

7月14日は“ないし”で「内視鏡の日」。そこで昼夜逆転、コンビニ飯が多くなりがちで、不健康な生活を送る記者も一念発起、内視鏡検診を受けてみることにした。

というのも、社会に出てから一度も健康診断を受けずにここまで来てしまったからだ。来年は30歳。髪の毛や体力の衰えも心配だが、それ以上に体内部の衰えが、急に不安になってきたのだ。

 内視鏡検査といえば、「痛い」、「おえっとなる」など怖い話を聞かされてきたが、一方で「最近は全然痛くない」、「入っているのかわからないレベル」という話も聞く。本当に痛くないなんてことがあるのか? 30歳になる前に内視鏡検査に挑戦してみた。

 今回、記者が上部消化管(食道・胃・十二指腸)の内視鏡検査を体験したのは、代々木にある田坂記念クリニック。

 検査の手順は、まず胃の中を見やすくするためのシロップを飲み、続いて、のどの麻酔や鎮痛剤の注射。その後、内視鏡で検査をするという流れだ。麻酔の効果には個人差があるというが、記者はまったく痛みを感じないレベルだった。

検査中の様子を同行したカメラマンに聞くと、たまに眉間にシワ寄せるときがあったものの、終始穏やかだったという。

 40代の内視鏡経験者の先輩からは「おまえ絶対に泣くぞ」と言われていたので、正直こわかったのだが、意外にもあっさり終わってしまった。なぜ? 田坂記念クリニックの院長・加藤雅士医師に話を聞いてみた。

「クリニックで利用している内視鏡は、オリンパスの最新システムです。昔の内視鏡検査では、嘔吐反射が強くて検査できない人もいたのですが、最近ではそういった人はほぼいません」

 そもそも内視鏡自体はどんな構造になっているのか?

「胃の中を見る内視鏡は約9mmの細く柔らかいスコープで、かつ柔らかくても操作性を損なわない構造も特徴です」

 だから痛くないのだ。さらにカメラ自体の性能の向上も、スムーズな検査に大きく貢献しているとか。

「画質の向上だけでなく、毛細血管など細部までハッキリと見える拡大機能も近年の大きな進歩です。細部まで検査できるようになったことで、組織採取が不要な場合も増え、当日の食事やアルコール制限などの負担が軽減されています」

 内視鏡検査の進化について話を聞いたあと、いよいよ記者の検査結果を聞くことに。結果は「健康です」とのこと。内視鏡によって撮影された健康的なピンクの自分の体内の画像を見ると、素人目でも不健康な点はない様子。

イマドキの内視鏡検査は痛くもなく、とても安心した。今後も人間ドックなどで不安なく検査を受けられそうだ。今回、検査を受けてみて本当によかった。 <取材・文/林健太>

緩くなった健康診断新基準は「気づきのチャンス奪う」と医師

高血圧だといわれて降圧剤をのみ続けてきたのに、ある日突然、「今日から基準値の範囲内です」と言われたら、戸惑わない人はいないだろう──。4月に発表された健康診断の新基準が波紋を広げている。

 新たな健診の基本検査の「基準範囲」(以下、新基準)は、約150万人にも及ぶ人間ドック健診受診者の中から、一定の条件を満たした“超健康人”約1万~1万5000人を抽出し、その検査値から基準範囲を出したもの。

なぜ波紋を広げているかというと、日本人間ドック学会の現在の基準値に比べてかなり緩くなっているからだ。

 生活習慣病の予防に取り組む池谷医院院長の池谷敏郎さんは、基準値が緩くなることの危険性を指摘する。

「生活習慣病は10年、20年をかけて進行する病気なので、早めにリスクに気づいて対策をとることが重要です。健康診断の基準を甘くするのは、気づきのチャンスを奪うのと同じです」

 性差医療や加齢医学を専門とする関東中央病院健康管理科部長の宮尾益理子さんは、「膨大なデータから性別や年齢による検査値の違いが明らかになったのは、大きな意味がある」と発表を評価する一方で、警鐘も鳴らす。

「抽出した“超健康人”は現在健康に見えても、将来健康であると証明されてはいません。現時点の超健康人の数値の範囲内にあるからといって、当人の健康に問題がないとはいえません」

 学会の発表の仕方に問題があったと振り返るのは、女性医療ジャーナリストの増田美加さん。

「“新基準”という言葉が独り歩きし、基準値が変わるという誤解を招いてしまいました。これは、あくまでも自称健康な人から抽出した数値というだけ。この数値が何を意味するのかを、今後時間をかけて検証していく必要があります」

 新基準の範囲内だから、健康であると考えるのは危険だ。

月額890円・独自SSL証明書0円
カテゴリ
最新記事
★★互助会推薦★★