子の叱り方「次は頑張ろうね」 成人後の自立心などに好影響
チームによると、21年3月、ネット上で全国の20歳から70歳未満の男女を対象にアンケートを実施。約1300人の回答を分析した。
子どもの頃の叱られ方について「次は頑張ろうね」「どうしてできないの」「罰を与えられた」のグループに分類。進学先や就職先をどの程度自立的に決めたかなど四つを指標として比較した。「次は頑張ろうね」と励まされたグループは全ての指標で最高となった。
糖尿病・高血圧・血糖値・最新の癌治療・うつ病・認知症・アルツハイマー・更年期障害・乳がん・子宮頸がん・卵巣のう腫・子宮内膜症・「冷え」足のむくみ・ダイエット・美容・女性ホルモン・尿もれ・年金・相続・住宅ローンなど今すぐに役立つ情報を毎日配信します。
子育て世帯に向けて、国は多くの制度を準備しています。例えば、「児童手当」「幼児教育・保育の無償化」「育児休業給付金」などは、耳にする機会も多いのではないでしょうか。
「児童手当」は、対象となる子どもが中学校を卒業するまでもらえる手当金のことです。また、所得要件を満たす母子家庭か父子家庭に支給される「児童扶養手当」もあります。
「幼児教育・保育の無償化」は、幼稚園や保育園に通う3~5歳児クラスのすべての子どもたちと、住民税非課税世帯の0~2歳児クラスの子どもたちの利用料が無料になる制度です。
「育児休業給付金」は、一定の要件を満たした雇用保険の被保険者が1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した場合、1歳6ヶ月(再度の申請して承認されれば最長2歳)に達するまで受けられる給付金です。
これらの制度は日本全国で受けられるものですが、それ以外にも自治体独自で取り組んでいる制度もあります。
子育て世帯の方が受けられる助成制度は、大きく分けて「乳幼児医療費助成制度」と「義務教育就学児医療費の助成」の2つがあります。
名前は聞いたことがあっても、詳しい制度の内容が分からない方も多いのではないでしょうか。助成金は条件を満たせば受けられるお金なので、制度を利用していない方はぜひ、今一度支給要件をチェックしてみてください。
この項では、東京都の子育て世帯の助成制度である「乳幼児医療費助成制度」と「義務教育就学児医療費の助成」の2つを紹介します。
乳幼児医療費助成制度は、乳幼児が病院でかかった医療費のうち、保険診療の自己負担分を助成する制度です。都内各区市町村内に住む、義務教育就学前までの乳幼児を養育している方が対象です。
申請は各自治体の市区町村役場で行います。申請の際には、対象となる子どもの健康保険証、子どもと両親のマイナンバーが分かるもの、窓口に来た方の本人確認書類が必要です。
なお、医療証の有効期限は10月1日~翌年の9月30日までの1年間です。更新手続きは必要ありませんが、毎年有効期限が近づくと新しい医療証が送られてくるので、期限切れのものを病院に提出しないように気をつけましょう。
義務教育就学児医療費の助成は、小・中学生の子どもが病院でかかった医療費のうち、保険診療の自己負担分の一部を助成する制度です。乳幼児医療費助成制度は義務教育就学前までの乳幼児が対象ですが、小学生になると義務教育就学児医療費の助成が受けられます。
通院の場合は、保険診療の自己負担のうち200円を超える額が助成されます。したがって、病院で支払う金額は200円となる計算です。なお、入院や調剤の場合は全額助成となるため窓口負担はありません。
申請の際には、対象となる子どもの健康保険証と子どもと両親のマイナンバーが分かるもの、窓口に来た方の本人確認書類が必要です。また、乳幼児医療費助成制度と同じで、医療証には1年間の有効期限があります。新しい医療証が手元に届いたら、古い医療証は破棄して間違えないように気をつけてください。
「乳幼児医療費助成制度」と「義務教育就学児医療費の助成」は、中学生までの子どもがいる家庭なら、病院でかかる費用負担を大きく軽減できる東京都の助成制度です。子どもは特に病気にかかりやすく、ささいなことでも医師に相談したいと考える親も多いでしょう。
今回は、東京都を例に2つの助成制度を紹介しましたが、ぜひ一度お住まいの自治体にある助成制度を調べてみてください。条件に合う制度があれば、積極的に活用しましょう。
内閣府 児童手当制度のご案内
[厚生労働省 児童扶養手当について
](https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/osirase/100526-1.html)
[内閣府 幼児教育・保育の無償化
](https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/musyouka/index.html)
[東京都福祉保健局 乳幼児医療費助成制度(マル乳)
](https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/josei/marunyu.html)
[東京都福祉保健局 義務教育就学児医療費の助成(マル子)
](https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/josei/maruko.html)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
大切な子どもに、「苦労をしてほしくない」と思うのは親の性です。そんな子煩悩な方のために、「子どもをお金持ちにする方法」を紹介しましょう。
子どもは親の姿を見て育ちます。あなたが浪費家ならば、あなたの子どもも浪費家になるでしょう。お金持ちの子が散財し、遺産を使い果たしてしまった例は枚挙に暇がありません。
子は親を見て育つもの。まずはあなた自身が、倹約家になることを目指しましょう。
ちなみに、子どもに倹約をしつけるときは、「算数」の勉強を手伝うのが効果的です。ロスアンデス大学の研究によれば、「計算能力の高い人は、資産を貯めやすい」「計算能力の低い人は、資産を浪費しやすい」といった結果が得られています。
また、イタリアのヴェローナ大学の研究によると、子どもに貯金を教えるには、「お小遣いをあげるだけではなく、貯金のアドバイスや、お金の使いみちなどをコントロールしてあげるとよい」ことがわかっています。
「将来のために今ガマンする」ことができる人ほど、お金持ちになれます。逆に、自制心が崩壊するようなしつけをすれば、彼らは瞬く間に貧乏街道まっしぐらでしょう。
「たくさんお小遣いを与える」のは逆効果です。スタンリー氏の調査では、経済援助を受ければ受けるほど、子どもは貧乏になりやすいことが判明しました。お金持ちになれない人ほど、大人になってからも親からお金の面で甘やかされているのです。
「たくさん遺産を与えたい」
「車を買ってやりたい」
「家をプレゼントしたい」
親が子どもの経済状況を心配する気持ちはわかりますが、これらは完全にやり過ぎです。大学への学費などを除いて、甘やかすほど子どもは貧乏になりますから、お金の与え過ぎには注意しましょう。
たとえ、あなたが経済援助をしなくても、あなたの親戚が経済援助をしていれば、それがガンになります。甘やかす経路を全て断ち、お子さんの自制心を上手に育みましょう。
おそらく大半の方は、「おもちゃを買った」「欲しい服を買った」「ゲームを買った」「ローンの返済に充てた(そもそもお金持ちは、借金などしません)」といった使い方をしているのではないでしょうか。
親が子どもに与えるお金は、その大半が「浪費」されます。だから、お金を与えれば与えるほど、子どもは「浪費癖」が強まります。
子どもたちを本気で幸せにしたいと願うなら、彼らの自制心を育む手助けをしましょう。これが、彼らがお金持ちになる唯一の近道です。
参考資料:子どもをお金持ちにする方法が判明!?(https://allabout.co.jp/gm/gc/478947/)
文:中原 良太(個人投資家・トレーダー)
18歳に株を始め、25歳でYahoo!株価予想達人で「ベストパフォーマー賞」を受賞。主に株式投資とマネー(お金)についての情報をSNSやYouTube、メルマガなどで発信。IQ上位2%のMENSA会員。
子どもには自己肯定感を高く持っていてほしい――。そう思う人も多いはず。 でも、実際に親がどのように子どもと関われば自己肯定感を育むことができるのか、分かっているようで分からない。怒りたくなくてもつい怒ってしまって、子どもとどう接したらいいのか分からない。
そんな子どもとの適切なコミュニケーションの図り方に悩んでいる人に、『スウェーデンに学ぶ「幸せな子育て」子どもの考える力を伸ばす聴き方・伝え方』(三笠書房)の一冊が助けになりそうです。
著者は日本テレビで報道局記者、キャスター、解説委員を経て現在はジャーナリストとして活躍する岸田雪子さん。20年以上、教育や子育ての現場を取材してきた経験から親子のコミュニケーションについて、悩める親に向けた本書を執筆しました。
軸となっているのは、スウェーデンで培われた子育ての考え方と、世界36カ国以上に普及している養育者支援プログラム「ポジティブ・ディシプリン」です。自身の子育てにも用いているというこのメソッドに加え、発達心理学の知見、キャスターとしての経験、アンガーマネジメントまで取り入れて、丁寧に親子間のコミュニケーションに対する悩みへの答えを紐解いています。
良いコミュニケーションの基本は相手を知ることから。自分の子の気質を知るためのチェックシートで、自分と子どもが7つの気質のどれに当てはまるのかを知ることができます。 岸田さんは、子育ては「聴き方」が9割だと言います。
本の中ではその理由や聴き方のポイントとなる「無条件キャッチ」、「問いかけ」のコツ、さらに子どもの「SOSを見逃さない」聴き方を紹介。「お友だちとの悩み」や「習い事の悩み」「『学校に行きたくない』と言う時」など、具体的なケーススタディが参考になりそうです。
聴き方を習得したら、次は伝え方。子どもがテストで満点を取った時につい「えらい!」「賢い」とほめてしまった経験はありませんか? 実はこの「能力ほめ」はうまくいかない時には自己否定につながるため要注意なんだとか。
このように意外と落とし穴にはまりがちな「ほめ方」や、「叱り方」についても実践的に説明されており、読んだその日から子どもとのコミュニケーションに変化が生まれます。 毎日当たり前に交わす会話の中の心がけで、成長を促すことができそうです。
休校やリモート学習でおうち時間が増えた今こそ、子どもとのコミュニケーションを見直してみませんか。 スウェーデンに学ぶ「幸せな子育て」子どもの考える力を伸ばす聴き方・伝え方 (三笠書房)\1,650 キンドル版電子書籍\1,650
ジャーナリスト・キャスター・東海大学客員教授・日本発達心理学会員。早稲田大学法学部卒業、東京大学大学院情報学環教育部修了。日本テレビ報道局記者、キャスターとして「情報ライブ ミヤネ屋」「スッキリ」「深層NEWS」等に出演、報道局解説委員を務める。独立し現在はテレビ朝日系列「中居正広のニュースな会」など、テレビ・ラジオの報道・情報番組にコメンテーターとして出演中。20年以上にわたり教育課題や子育て政策を取材する中、カナダ人の臨床心理学者・ジョーン・E・デュラント博士が子ども支援専門の国際NGOセーブ・ザ・チルドレンと共に開発した、養育者を支援するプログラム「ポジティブ・ディシプリン」と出合い、感銘を受け学ぶ。 取材・文/馨都
日本屈指のインフルエンサーであるひろゆき氏。彼が鋭く切り込む問題で最近注目を集めるテーマが「教育」だ。初の教育&子育て論本『僕が親ならこう育てるね』も続々重版し、話題を呼ぶなか、今回、ひろゆき氏が「他人の子育てに口を出す」日本の子育て環境について語る。
◆「日本は同調圧力が強い」は正確ではない
日本は「同調圧力が強い」と言われますが、正確には「同調圧力に屈する人が多い」だと思います。
アメリカでもフランスでも、他人のやることに「あーだ、こーだ」と口を出す人は存在します。でも、そうした場合、「あなたには関係ないでしょ」と言い返すのが普通です。
ところが、日本だと「言い返すのは礼儀がなっていない」とかいう謎の文化が存在し、間違っていると思っていても、なかなか言えずに従うことがあります。
◆頭の悪い同調圧力は、無視するのが一番
日本にも言論の自由はあるので、自分が思ったことを表明するのは自由です。しかし、それ以前に“頭の悪い人に従う必要はない”という至極当たり前のことがわかってない人もいるみたいですね。
この前、話題になった子ども用ハーネスの是非論もそうです。ハーネスは、子どもがいきなり車道に飛びだして事故が起きることを防いだり、いきなり走り出して迷子になったりすることを防ぐ目的があります。
誰しもがわかりそうな目的なのに、日本では「子どもをペットみたいに扱うのはどうなのか?」といったネガティブな意見が出てきます。
◆子どもの安全のためにハーネスを使うのは世界的な常識
日本では、保育園児数人を大きな台車に乗せて公園に向かう光景を目にすると思います。フランスでは全員を1本のヒモにくっつけて公園へ歩いて行く風景が見られます。
「車道は危ない」と伝えても衝動に駆られて飛び出す子どもはいますし、手を握るのを嫌がる子どももいるでしょう。子どもの安全のためにハーネスを使うのは、世界各国で見かける、当たり前の風景なのですね。
しかし、頭の悪い人は「言い聞かせれば、どんな子どもでも車道に飛び出さない」「手を握っていればおとなしくしている」と信じ、他人に主張してきます。当然のことながら子どもはそれぞれ性格が違いますし、何を言っても飛び出す子どもは飛び出します。
◆本当に優先すべきは、子どもの安全
一人ならまだしも複数人の子どもを育てている親はどうすればいいのでしょうか。昭和の時代と違って地域で子育てをする時代でもないので、昼間一人で所用のために、外出しなければいけない親だっていると思います。
赤ちゃんならオムツを替えなきゃいけないとき、もう一人の子どもから手を離さなければならない瞬間だってあるわけです。さらに、コンビニのレジ会計時、スーパーで買った帰り道、両手が塞がる瞬間はいくつもあります。
そうした想像もできない、頭の悪い人が子どもから手や目を離すことに小言を言い、ハーネスに苦言を呈するのはいかが、かと。
◆頭の悪い人は責任を取ってはくれない
頭の悪い人が頭の悪いことを言うのは、仕方ないと割り切るしかないと思っています。でも、「ハーネスをつけるな」という頭の悪い意見に従って、子どもが危険な目に遭うことは“仕方ない”では済みません。頭の悪い人は責任を取ってはくれませんし、後悔するのは自分とその子どもです。
だから、僕が親なら同調圧力に負けることなく、間違った意見を説得することもなく、言わせたままにして無視します。
本当に大切なことは、子どもの安全ですから。
【ひろゆき】
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。『僕が親ならこう育てるね』という初の子育て論本が発売。著者印税は児童養護施設へのパソコン寄贈に充てられる
元イェール大学助教授で現在は英語塾の代表を務めている斉藤淳氏の著書『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』(ダイヤモンド社)は、保護者世代の「家庭で英語をどう教えればいいのか」、「どうすれば英語力が伸びるのか」という悩みを解決してくれる1冊だ。
本稿では本書より一部を抜粋・編集して、子どもが英語を勉強するモチベーションを失ってしまう「親の何気ないひと言」をご紹介する。
「やはり英語漬けがいちばんなんですね?」
こんな質問をときどき保護者の方からいただきます。たしかに、英語を「音」「かたまり」で摂取していくなら、英語を母語とする家族・教師・友人に囲まれながら、日常的に“英語のシャワー”を浴びるのがいちばんです。
実際、これを小さなころから継続すれば、ある程度は英語が話せるようになるでしょう。
ただ、ほとんどのお母さん・お父さんは、「英語ができるだけの子」になってほしいわけではないはずです。この世界をたくましく生きていくための一スキルとして、英語に可能性を感じていらっしゃるのだと思います。
だとすると、英語のためだけに英語を学ぶ学習スタイルは、本当にお子さんのためになっているのでしょうか?
子どもの時間は有限です。英語を学ばせる時間があれば、家族で旅行やキャンプに行けたかもしれませんし、おじいちゃんおばあちゃんに会えたかもしれません。友達と一生ものの思い出をつくれたかもしれませんし、大好きなスポーツや音楽に打ち込めたかもしれません。
長期間にわたって主体的に学び続けるモティベーションは、むしろこうしたきっかけから生まれます。そんなチャンスを捨ててまで、「単なる語学の勉強」に時間を費やす価値があるのか、という視点はつねに必要です。
第二言語習得(Second Language Acquisition、以下SLA)の研究からしても、「英語だけを学ぶこと」は次の2つの理由から推奨されません。
1)モティベーションが維持しづらい
2)学習効率が高まらない
SLAの学術研究では、「外国語をマスターするためには学習の“継続”が不可欠だ」ということがわかっています。
僕たちは通常、母語である日本語にさらされ続けていますから、いくら英語を勉強しても、すぐに「日本語の頭」に戻ってしまいます。本当に英語を身につけたければ、脳に対して継続的に英語の刺激を与え、自分なりに英語で何かを表現する作業を繰り返す必要があるのです。
そして、一定期間にわたって学習を続けるためには、モティベーションの維持がカギになります。いかに動機づけを工夫するかも、言語習得の重要なファクターなのです。
モティベーションに関して気をつけていただきたいのが、何気ないひと言で、子どものやる気を削いでしまうことです。
塾にやってくる子たちの能力には、当然のことながら差があります。しかし、その開きはみなさんが思うほど大きなものではありません。にもかかわらず、なぜグングンと伸びる子と途中で脱落してしまう子がいるのか?
これは本人の自信によって説明できる部分が大きいと思います。
自信がある子は、自分の英語力が伸びていくことに疑問を持っていません。彼らは「塾でこれだけ習っているのだから、僕が英語を話せるようになるのは当たり前だ!」とでも言いたげな顔をしています。
一方、そうでない子の場合、保護者の言葉や態度に特徴があります。端的に言えば、子どもを褒めないのです。場合によっては、子どもの目の前で「この子、私に似て英語が苦手で……」とか「うちの子は、すぐサボる性格だからダメなんです」などと僕におっしゃる方もいます。
お母さんやお父さんの言葉にはものすごい力があります。こうしたひと言がどれほど子どもを傷つけているかを考えると、とても辛い気持ちになります。
「(そうか、僕はお母さんに似ているから、英語ができないのか……)」
「(たしかに私って、すぐにサボるダメな子だな……英語はあきらめよう)」
一度こんなふうに子どもが思ってしまうと、それを取り戻すのには並大抵ではない労力と時間がかかります。
英語は適切な方法で学ぶ努力を続ければ、どんな子でも身につきます。間違った知識に基づいた間違ったひと言で、子どもの将来をつぶすことは絶対にやめましょう。お子さんをどんどん褒めて、英語を使うことの楽しさを実感させてあげてください。
(本稿は『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』より一部を抜粋・編集したものです)
「頭のいい子」に育てるにはどうすればいいのか。幼児向け科学絵本『ロケットかがく for babies』の翻訳を手掛けた、NASAジェット推進研究所技術者の小野雅裕さんは「科学的に証明された最も効果的な教育法がある。ポイントは、子供に向けて話しかけられた『言葉の量』だ」という――。
1989年にネイチャー誌に掲載された、親の経済力と子どもの知能の関係を示した興味深い研究がある[1]。
38人の養子として育った子どもを次の4グループに分類し、16歳になった時点でIQを比較した。被験者に養子を選んだ理由は生まれと育ちの影響を分離して検証できるからだ。
① 低い社会的・経済的ステータス(SES)の家庭に生まれ、低SES家庭の養子になった子(n=10:nはサンプル数)
② 低SES家庭に生まれ、高SES家庭の養子になった子(n=10)
③ 高SES家庭に生まれ、低SES家庭の養子になった子(n=8)
④ 高SES家庭に生まれ、高SES家庭の養子になった子(n=10)
その結果が図表1だ。
④高SES家庭生まれ・高SES家庭育ちの子は、①低SES家庭生まれ・低SES家庭育ちの子に比べてIQが平均して27高い。IQは標準偏差が15になるように調整されているから、この二つのグループ間では実に標準偏差の2倍もの差があったのである。
残酷な現実と言う他ない。俗に言う「親ガチャ」は実在するのだ。
この研究で注目すべきは②低SES家庭生まれ・高SES家庭育ちの子と③高SES家庭生まれ・低SES家庭育ちの子の結果だ。
両者はあまり差がなく、その平均IQはちょうど①と④の中間くらいである。
この研究からも「IQは先天的要因と後天的要因がおよそ半々」という結論が得られる。しかし、これは必ずしも悲観的な結果ではないかもしれない。
なぜなら半分は育て方次第で変えられるからだ。
では、どうして高収入家庭で育った子はI Qが高くなる傾向があるのだろうか? やはり、お金をかけた幼児英才教育の効果だろうか?
これについても朗報がある。家庭環境とIQの相関の少なくとも一部は間接的要因によるものらしい。そしてその中間要因は全くお金がかからないものだった。つまり、裕福でない家庭でも、その中間要因を改善すれば子供の知能にポジティブな影響を与えられる。
では、その中間要因とはなんだろうか。それを解明した研究を、次に紹介しよう。
家庭環境と知能発達(とりわけ言語能力)の相関の原因を突き止めるため、カンザス州のBetty HartとTodd Risleyは非常に地道な研究を行った[2]。
彼らはまず、7カ月から9カ月の赤ちゃんがいる42の家庭に長期間に及ぶ研究への協力を取り付けた。そして赤ちゃんが3歳になるまでの2年半、毎月すべての家庭を訪れて親子の会話を1時間録音し、一言一句を文字に起こしていった。
サンプルには13の高SES家庭(大学教授など)、23の一般労働者家庭、および6の生活保護を受ける家庭が含まれていた。
社会的・経済的状況に関わらず、対象となったすべての家庭で子は愛されていた。実に1318時間にも及ぶ会話記録を統計的に分析した結果、予想外の事実が浮かび上がった。
高SES家庭と低SES家庭で最も顕著な差は、親が子に話しかける「量」だったのだ。
調査期間中、高SES家庭の親は1時間に平均して487語の発話をしたが、低SES家庭は平均して176語にとどまった。じつに3倍の差である。
その結果は如実に現れた。
子が3歳になった時点で、高SES家庭の子は平均して1時間に310語の発話をしたが、低SES家庭の子は約半分の168語に。語彙力を測ると、前者の子は1116語、後者はやはり約半分の525語であった。
さらに研究者は子どもが小学3年生になった時点で追加の調査を行った。
すると3歳の時点での語彙力と、小学3年生の時点での言語能力テストのスコアの間に明確な相関(r=0.57-0.72)が見られたのである。
なぜ裕福な親のほうが赤ちゃんに話しかける量が圧倒的に多いかについては、この研究は答えていない。もしかしたらコミュニケーションに長けた人ほど高収入を得やすい、などの社会的背景もあるのかもしれない。
だが事実として、赤ちゃんが聞く言葉の量は家庭によって1時間に300語もの差がある。このデータから外挿すると、3歳までに三千万語もの差が生じることになる。HartとRisleyはこれを“30 million word gap”(三千万語の差)と呼んだ。
赤ちゃんがまだ喋れない頃から浴びる数千万語の言葉のシャワー。これこそが子どもの長期的な知能の発達に非常に重要なファクターだったのである。
逆に幼児のうちから塾に行かせ読み書きや数え方を詰め込むような、いわゆる「英才教育」が長期間にわたって有益であるという確たる証拠はない[3]。
つまり高いお金を払う英才教育だけが意味のある幼児教育ではないのだ。子どもと向き合い、たくさん話しかける。これだけで子どもの将来にポジティブな影響を与えられる。誰にでもできるし、1円もかからない。
そうはいっても現代の親は忙しいから、四六時中赤ちゃんに話しかけることなんてできないだろう。
もし単純に「言葉のシャワー」が重要なら、子どもにテレビやYouTubeを見せておけばいい。あるいは、赤ちゃんの横でZoomミーティングをして会話を聞かせていればいいと思うだろう。
しかし残念ながら、子どもの脳はそう便利にはできていないようだ。
ある時期、聴覚障害者の親はテレビをつけっぱなしにすることが推奨されていた。しかしその後の研究で、それは子どもの言語能力の発達に寄与していないことが分かった[4]。
また別の研究では、教育番組の「セサミ・ストリート」を18カ月以下の赤ちゃんに見せたところ知能発達にネガティブであることが示唆された[5]。番組が有害なのではなく、親が赤ちゃんに話しかける機会が減ったというのが一つの解釈である。
一方で、話しかける人は親ではなくてもいいようだ。保母さんや保育士でも同様の効果がある。
大事なのは、赤ちゃんの耳に入る言葉の量ではなく、生身の人間が赤ちゃんに向けて話しかけられる言葉の量なのである。
僕も忙しい時はテレビやゲームに子守りを任せてしまうことがあるが、それでは親子の会話が減るのみだ。子どもと一緒に会話をしながらテレビを見たりゲームで遊んだりすればいいのかもしれない。
ちなみにテレビやゲームが子どもの発育にどう影響するかは、多くの親が気にするところだろう。これについてもさまざまな面にスポットライトを当てた数限りない研究があるが、結果はまちまちだ。
ポジティブな効果もネガティブな効果も多数報告されている。要は一概に益か害かと言えるものではなく「良い面もあれば悪い面もある」のだろう。
一方、ほぼあらゆる研究で知能発達にポジティブな効果が立証されている「教材」がある。それはゲームよりもはるかに安く、場所を選ばず、誰にでも手に入る。絵本である。
例えばこんな研究結果がある。41組の2歳児と母親に対し、読み聞かせを始めた年齢、読み聞かせの頻度、1週間あたり読む冊数、図書館を訪れる頻度などを調査し、子供の言語能力をRevised Reynell Development Language Scaleと呼ばれる指標で測定した。
その結果、読み聞かせを始めた年齢が子どもの言語能力ともっとも強く相関していることが分かった[6]。さらにその効果は小学校に行く年齢まで持続することも示唆された[7]。
読み聞かせの効果をさらに高める方法もある。子どもに質問をしながら読むのだ。Yes, noや指さしで答えられる質問ではなく、子どもが言葉を使って答えなければいけない問いが良い。
たとえば「この自動車は何色?」「ウサギさんはこれからどうすると思う?」といった質問だ。このように会話しながら読み聞かせを行うことをdialogic reading(対話的読み聞かせ)と呼ぶ。
Dialogic readingの効果を測るため、次のような実験が行われた。
21カ月から35カ月の子供がいる29組の親子を2つのグループに分け、1グループは母親が普段やってきた通りの絵本の読み聞かせを、もう1グループにはdialogic readingを、4週間にわたって実践してもらった。
すると、ITPAと呼ばれる指標で測定された言語能力年齢に8.5カ月分もの差が出たのである[8]。
もちろん、このような研究が子どもの知能発達の秘密をすべて解き明かしたわけではない。分からないことはまだたくさんあるし、科学的に立証されていない子育て法を使ってはいけないわけでもない。もちろんお金をかけた英才教育もやり方次第では有益だろう。
だが、確かな科学的根拠があり、誰にでもお金をかけずに実践できる教育法があるのだから、それを用いない手はないと思うのだ。
まずは子守り中にテレビをみたり携帯をいじったりする時間を減らし、子どもにたくさん話しかけることから始めてはどうだろうか。
そして寝る前にベッドで何冊かの絵本を一緒に読む習慣をつけてみよう。あなたのお子さんと一緒に心から楽しめる絵本に出会えたら、きっとそれは何ものにも替えがたい財産になる。
参考文献
[1] Capron, Christiane, and Michel Duyme. "Assessment of effects of socio-economic status on IQ in a full cross-fostering study." Nature 340.6234 (1989): 552-554.
[2] Hart, Betty, and Todd R. Risley. "The early catastrophe: The 30 million word gap by age 3." American educator 27.1 (2003): 4-9. (僕は読んでいないが、彼らはこの研究について本も出版しており、そちらの方が多く引用されている:Hart, Betty, and Todd R. Risley. Meaningful differences in the everyday experience of young American children. Paul H Brookes Publishing, 1995.)
[3] Rescorla, Leslie, Marion C. Hyson, and Kathy Hirsh-Pasek. Academic instruction in early childhood. Jossey-Bass, 1991.
[4] Pinker, Steven. The language instinct: The new science of language and mind. Vol. 7529. Penguin UK, 1995.
[5] Mares, Marie-Louise, and Zhongdang Pan. "Effects of Sesame Street: A meta-analysis of children's learning in 15 countries." Journal of Applied Developmental Psychology 34.3 (2013): 140-151.
[6] Debaryshe, Barbara D. "Joint picture-book reading correlates of early oral language skill." Journal of child language 20.2 (1993): 455-461.
[7] Eliot, Lise. What's going on in there?: how the brain and mind develop in the first five years of life. Bantam, 2000. Chapter 14, pp390 本項で紹介した研究の多くはこの本を通して知った。教育本ではなく、胎児の頃からの脳と心の発達についての一般向け科学書である。子育てについては本書の14章から17章までが特に参考になる。英語が読める方は読んでみてほしい。
[8] Whitehurst, Grover J., et al. "Accelerating language development through picture book reading." Developmental psychology 24.4 (1988): 552.
---------- 小野 雅裕(おの・まさひろ) NASAジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)技術者 1982年大阪府生まれ。2005年東京大学工学部航空宇宙工学科卒業。2012年マサチューセッツ工科大学(MIT)航空宇宙工学科博士課程および同技術政策プログラム修士課程修了。2012年より慶應義塾大学理工学部助教。2013年より現職。火星ローバー・パーサヴィアランスの自動運転ソフトウエアの開発や地上管制に携わるほか、将来の宇宙探査機の自律化に向けたさまざまな研究を行っている。阪神ファン。好物はたくあん。著書に『宇宙を目指して海を渡る』(東洋経済新報社)、翻訳に『ロケットかがく for babies』(サンマーク出版)などがある。 -
「家事や仕事が忙しくて、育児に余裕がない」「遠方に住む両親を気づかいたいけど、全然連絡もできていない」。このように、家族に対して責任を感じる人もいるでしょう。「これは自己肯定感の低い人が陥りがちな罠です」と話すのは心理カウンセラーの山根洋士さん。自己肯定感の低さと家族の関係について、話を聞きました。
「“もっと頑張らないと”、“変わらないとダメ”と、今の自分を否定する。自己肯定感が低い人にありがちな考えです。だから、家族に対してもっと何かできるはずなのに、何もできていないと思い込んでしまう。本当は十分にやっていても、自分の行動に自信をもてないのです」
たくさんの責任を感じて押しつぶされそうになっている人は、それらに優先順位がつけられない状態になっています。やらなきゃいけないことがいっぱいで、どれから先に手をつければいいかわからないため、苦しくなるそうです。
「家族に対して苦しい想いを抱いているなら、できない自分を許してあげましょう。そこでおすすめしたい心のエクササイズが、『全肯定セルフツッコミ』 です」
「もっと頑張らなきゃいけないのに…、私ってダメだな」と思ったら、すぐに「そうとも、言いきれない!」と、ツッコミを入れてみることを山根さんは勧めます。
これを繰り返せば、つらい気持ちが次第に消えていき、落ち込んだ心を和らげる効果があります。そして、自分を否定するクセもなくなっていきます。
自分が自己肯定感の低さで生きづらさを感じているなら、自分の子どもには同じ思いをしてほしくはないですよね。
「親の自己肯定感の低さは、子どもの自己肯定感にも影響を及ぼします。なぜなら、親自身が『これができなければ、自分はダメだ』と思っている。子どもに対しても何かできたときだけほめるクセがつく。そうやって、子どもにも同じような考え方を植えつけてしまうからです」
どんな小さなことでも幼少期の体験は、ずっと心に残り続けます。自己肯定感が低い人のなかには、「“親が望む”自分でなければいけない」と考えて、そうでない自分をダメだと思い込む人もいます。それは、「親からこうしたらほめられた、認められた」記憶が潜在意識に深く刻み込まれているため。自分の子どもにおいても同じです。何かできたときにだけ褒めていると、子どもは「こうでなきゃいけない」という鎖で縛りつけられます。
「自己肯定感が低いと、評価されていない気がしたり、褒められても素直に受け取れなかったり、リーダーに選ばれても断わったりします。それは、特に親との関係性に原因があると言われており、かなり根深い問題なのです」
「つい後ろ向きな考えになってしまうような心のクセ、『メンタルノイズ』は6歳までに作られ、自己肯定感を低くする原因になります」
親に反抗すると生きていけない無力な年代の子どもほど、「親から気に入られないと生きていけない」と、遺伝子レベルで設定されています。だから、6歳までの子どもは親の教えを疑いもなく取り入れたり、そこから勝手な思い込みをしたりして、メンタルノイズが作られてしまうのです。
また、6歳よりも小さい子どもは会話力が不十分です。受け取った情報に対して言語で反論することができないため、そこでもメンタルノイズが作られます。
そこで、自分の子どもの自己肯定感を下げないためには、日常的に「好きだよ」「愛しているよ」と言って、その子の存在を肯定する言葉を降り注ぎましょう。また、山根さんは「子どもの『挑戦する機会』も大切にしてほしい」と言います。
「ここ20年間、少子化により、親が子どもに過度に手をかける傾向にあります。しかし、それは子どもの『自分でやろう』とするチャンスを奪い、自分は何もできない人間だと思いこませ、自己肯定感を下げているのです」
子どもが何かやりたいと言ったら、ある程度のリスクコントロールをしながらチャレンジする機会を与えて、難しければ代替案を持ちかけるのもひとつの手。愛情と信頼を持って子どもと接し、無条件にほめて、トライする機会を与えましょう。
家族のことで思いつめてしまったときは、心のエクササイズで余裕をもちましょう。また、自己肯定感は子育てにおいても大切なテーマです。子どもをのびのびと育てるには、たくさんの愛情を口にして、「あなたはそのままでいいんだよ」と伝えてあげましょう。PROFILE 山根洋士さん
一般社団法人メンタルノイズ心理学協会チェアマン(会長)/心理カウンセラー。8000人以上の悩みを解決。心理学だけではなく、経営者やスポーツ選手などへの取材経験、AIやロボット工学、脳科学などを取り入れたメンタルノイズメソッドを開発。Twitter(@yamane_hiroshi)をはじめ、YouTube「メンタルノイズ心理学 山根洋士【公式】」 でも自己肯定感などの情報を発信している。
文/廣瀬茉理
子どもの寝かしつけに悩む家庭は多い。我が家も2歳2か月になる息子の就寝時には非常に苦戦している。目標としては、夜9時までには寝かせたいが、1歳半頃から就寝時間がだんだん遅くなり、最近では平均して10時頃になってしまった。8時までに風呂に入って寝る体勢を整えても、ベッドの上にまでおもちゃを持ってきて遊んだりとびはねたり歌を歌ったり…親が寝たふりをしても粘り強く話しかけてきて遊ぼうとし、体力にビックリしている。
平日は保育園で2時間半の昼寝をするが、朝起きる時間は、親が起こさなければ朝8時を超えても寝ている。休日には、2歳少し前ぐらいから昼寝をしなくなった。そんな日はそのまま早めに夕飯を食べて寝られればいいが、夕飯を食べる前の夕方6時頃に寝てしまい、夜遅くにもう1度起きることもある。すでに生活リズムは狂っているように思う。こんなに寝る時間が遅くなってしまった原因として、外遊びの時間が十分にとれなかったことも関係あるのかもしれない、と思う。1歳から保育園に通い始め、ひんぱんに発熱や病気をした。新型コロナウイルス流行もあり、完全に治るまでは外へは行かず家の中で過ごした。結果、外遊びの時間が減り体力が余ったため夜眠れなくなったのかもしれない。
そんな我が家の状態を真剣に改めようという気持ちになるデータが舞い込んだ。江崎グリコ株式会社が0歳から2歳までの子を持つ親800人にアンケートを行い、家庭における睡眠に関する課題を調査した結果、日本の乳幼児はひどい睡眠不足であることが、このほど発表された。ニュージーランドや英国の赤ちゃんの1日の総睡眠時間は13時間を超えるのに比べ、日本は11時間というデータもあり、海外と比べ「著しく睡眠不足」だと言われている。
今回の調査によると、7割近くの親が夜9時までに子どもを寝かせることを理想と認識している一方、実際に9時までに寝かせることができているのは5割以下と低迷。また、9時以降に就寝している子どもは、朝7時以降に起床してしまっている割合が高く、「遅寝、遅起き」の睡眠リズムになりがちであることも判明した。
睡眠時間が少ない理由としては、就寝時刻の遅さと昼寝の短さが考えられるという。「子どもが眠りにつく時間が、日によってバラバラである」「子どもが夜中に目を覚ますことがある」という家庭は4割近く、夜9時以降に就寝する子どもの親は夜9時以前に就寝する子どもの親よりも、就寝時刻のバラつきを顕著に感じていることもわかった。しかし、子どもの睡眠について問題意識を感じている親は約2割と少ない。
今回の調査の監修者でもある熊本大名誉教授で小児科医の三池輝久氏は睡眠の重要性について「ヒトの体内時計は2歳までにほぼ完成する。2歳までに夜9時前に寝る習慣を」と呼びかける。乳幼児の睡眠は夜間の9~11時間と昼寝で構成されており、成長するにつれ昼寝の時間は短くなるが、夜間に必要な睡眠時間は変わらない。将来の学校・社会生活にむけて朝7時までに起きる習慣をつけることが重要だが、平均10時間の睡眠を確保することを考えると、遅くとも夜9時までに就寝することが理想となる。乳幼児の心と体がバランスよく健康に育つための眠りには3つの条件があるとわかっているといい、三池氏によると「1つ目が夜間基本睡眠時間として9~11時間(平均10時間)の持続した睡眠であること。2つ目が夜間睡眠は夜7時から朝7時までの間に取ること。3つ目が、毎日の入眠・起床時刻がそれぞれ前後30分以上ばらつかないこと」だという。
睡眠リズムを整えるために、具体的に何をしたらいいのか。三池氏は「2週間、寝た時間と起きた時間、昼寝時間、夜間覚醒や夜間授乳の有無を記録し、現状を確認してみることをおすすめします。そして、遅くとも夜9時までに寝られるように生活リズムを見直してみてください」とアドバイスを送った。
また、夜7時より前に寝る習慣がある場合は「その後の睡眠リズムにもよりますが、持続して眠れるようでしたら問題ありません。もし、早すぎる起床から二度寝が増えたり、遅めの夕寝と区別できなかったりするようなときは、少し後ろにずらした方がいいでしょう」とした。
「男性の結婚前の『子ども好き』は、仕事しながら家事育児両立して子供と一緒に生活していくことが可能な『好き』なのか、親戚の子供を1時間程預かり一緒に遊ぶくらいの感覚の『好き』なのかどうかを見極める必要があると思う。結婚前の私に伝えたい」とツイートしたのは、トイレのサレ子さん(@sarekochan)。このツイートには、同じような経験をした人からのリプライが殺到しました。
【漫画】ママたちの子どもにイライラする瞬間…大丈夫、あなただけではありません
「子どもとペットは他人事だから可愛いってなりますよね。自分の子どもだと365日24hが20歳まで育てなきゃならないですし」 「うちの旦那(バツイチ子持ち)は子ども好きと言っていました。けど、自分の子どもがなついてなくて違和感持っていました。
案の定育児は奥さんに任せきりだったそうです」 「この先20年近くたくさんの相談をしなきゃいけなくて、一緒に人を育てるパートナーだから、『一緒に出来る人』かどうかの見極め重要」 「子ども好きを公言している方をいまいち信用できないと思っています。そういうブランディングなのかなと」 投稿者であるトイレのサレ子さんに詳しく聞いてみました。
ーーご主人、ご結婚前は「子どもが好き」とおっしゃっていたのでしょうか。 「子どもが好きだと言っていました。子どもを見ると『可愛いね』と言っていたし、子どもと関わる時はニコニコしていたし、子どもの扱いはうまいなと思いました。でも、それは夫が長男だったからだと思います。結婚後に気付いたのですが、まさにツイートの後者の方でした」
ーーいざ自分の子どもの育児をしなければならないとなると、なかなか思うように手を貸してくれませんか。 「今現在子どもが3人になり、かなり主体となって子育てできるようになってきました。私がツイートのように感じたのは1人目が生まれて、共働きしているのに家事育児に何も協力してくれなかった頃のことです。我が家は今年の2月末までお互い正社員で共働きでした」 「専業主婦になってからこのように感じたわけではなく、
むしろ共働きしていた時に強く感じていました。お互い正社員、共働きなのに子どもの体調不良では必ず私が休み、保育園に入れなかったので子連れ出勤して、家事も1人でしていたんです。過労と睡眠不足で仕事中に倒れました。意識が朦朧とする中、職場に向かう途中で車の接触事故(保険で解決済み)を起こしたこともあります。お互いに怪我がなかったのが不幸中の幸いでした。2人目を妊娠中のことでした」
ーーご主人の仕事には休日があるけれど、主婦の育児や家事には休みがない。24時間365日体制ではストレスもたまるし、身が持たない。少しは手伝ってという気持ちでしょうか。 「今は専業主婦なので家事全般を私が主体となってやるのは当たり前だと考えています。子どもは2人の子供です。育児は2人でするのが当たり前だと思います。育児に関して、『手伝って』という言葉を使うこと自体おかしいと思います」
ーー元保育士さんということですが、仕事で子どもと接するのとご自身の育児はどう違いますか。 「仕事と育児の違いは、まず365日24時間命を守る責任があるということです。保育は人数も違います。仕事に終わりはあるけれど、育児に終わりはありません。休みたくても休めないのが育児です。なので1人で全てやっていたら、乳幼児期は特に体力的にも精神的にも限界がくると思います。育児には配偶者の協力は必須だと考えています」
ーー率直に「もっと育児に参加してほしい」と話し合うことはできなかったのでしょうか。 「もちろん、子どもが生まれてからさんざん言ってきました。上の子が6歳になり、やっと私の半分くらい育児ができるようになってきました。親の自覚が芽生えるのはとても時間がかかるなと思いました」
ーー今後、ご主人やお子さんとどのような家庭を築いていきたいですか。 「私のツイートは、現在の状態だけではなく、昔のことを振り返って書いていることもたくさんあって、このツイートもその一つです。なので、今はかなり改善されています。日々、夫も子どもと共に育っているなと思います。私の育った環境がひどかったので、子供達には明るく伸び伸びとした家庭で育ってほしいと願っています。子供の尊厳と権利を大切にしたいと思っています。これからも夫と一緒に協力してやっていきたいと思います」
取材後、投稿者は「夫に成長が見られなかったら、耐えきれず離婚していたと思う。育児は子供が産まれてからでないと分からないことが多いので大変」と語ってくれました。投稿者のように話し合いをしながらお互い理解し合えるといいですね。 (まいどなニュース特約・渡辺 陽)
ITの発達により様々な選択肢が生まれ、学びの場は多様化しています。
学校で学ぶ5教科以外にも学べる領域はたくさんあるし、学校以外にもコミュニティがあります。世界にはいろんな人がいて、いろんな生き方があります。このような視点は、朝から晩まで机にかじりついていては持てないものです。
「学校の外には、学校以外の大きな世界が広がっている」ことを教えてあげられるのは親しかいません。教育改革は親自身が考え、提供する必要性が高まっているように感じます。
※「無料オンライン学校」「無料オンライン大学」「オンライン教育サイト」などと訳されています。
アメリカの大学を中心に、無料のオンライン講義が公開されており、それに東大などが参加を決めたことで日本でも広く知られるようになりました。
大学の講義が聴講できる有名どころには、たとえばMIT(マサチューセッツ工科大学)が公開している「MIT Open Course Ware」、プリンストン大学とスタンフォード大学が協力して立ち上げた「Coursera」、アップルのiTunesを使った「iTunes U」などがあります。
ほかにも、中高生に向けた「Khan Academy」、個人が作ったコースも受講できる「Udemy」、Googleの現役プログラマからプログラミングを教わることができる「Udacity」、無料でプログラミングを学べる「Codecademy」などもあります。
また話題になっているのは、入試合格率1.7%という全米最難関といわれるミネルバ大学及びミネルバ大学院です。キャンパスを持たず、オンライン授業のほかは世界各地で探求的・実践的・協創的な教育を行っています。
世の中は学校だけではなく、知らない世界がまだまだたくさんあって、それを知ることに興味が持てれば、子どもが学校だけの中で閉じこもることはないし、勉強にしてもかえってやる気が出るのではないでしょうか。
また、子どもは子どもで周りの友達に影響を受けますから、「皆が受験する」「仲良しの友達が受験する」と聞けば、「自分も受験したい」と思うようになるかもしれません。
学校の先生も基本的に進学重視でしょうから、成績に応じた進学先を推薦するでしょう。
もちろん、子ども自身が明確な将来像に基づいて選んだ進路であればよいのですが、周囲からの同調や圧力、学校の先生が推薦したからそう希望したという場合、親も同意してよいものかどうか。
親自身が狭い世界しか知らないと、「この学校にしなさい」「このコースはダメ」となってしまいます。
しかし、多様な活躍の仕方があるということを知れば、それを子に伝えられ、子の選択にも幅が出るでしょう。
親の価値観は子に伝わります。一族や周囲にちょっと変わった起業家がいれば、それだけで影響がありますが、そういう情報を知らない家庭では、使われる人が再生産されるかもしれません。
そのため、親は成功へのルート、幸福へのルートがたくさんあることに気づき、30年後、40年後にも使える思考体系と行動体系とは何かを考えなければならないのです。
親自身が教育ポリシーを持っていなければ周りに流されるし、世界の情報や状況を知らなければ、進路に対する助言も「自分が知っている世界の範囲内」に限定されます。
そして、個別の学校の教育、海外での教育を知れば知るほど、子どもの教育・経済格差の大きな原因の1つは「親の情報格差」ではないかと思えてきます。
学校の先生はどうしても国内進学の方が詳しいし、同級生も世界レベルの情報までは持っていないでしょう。
だから親自身がたくさんの経験をして、家と学校の外側には広大な世界が広がっていて、いろんな職業や生き方があっていいんだ、ということを知る必要があると私は考えています。
【参考】「1億稼ぐ子どもの育て方」(著:午堂 登紀雄/主婦の友社刊)
文:午堂 登紀雄(マネーガイド)
子どもが「熱」を出した場合、ぐったりした表情を見せることが多いようですが、中には、かえって元気そうに見える子もいるようです。子どもが一見元気な場合、親は子どもが健康だと勘違いして発熱を見逃してしまう可能性もあり、「あまりに元気過ぎて様子がおかしいので、熱を測ったら、高熱を出していた」というケースもあります。
【表】元気そうに見えても…子どもの発熱に素早く気付くためのポイント
熱が出ても活発な子とぐったりする子は、何が違うのでしょうか。また、子どもの発熱のサインを見逃さないために、親はどのような点に気を付けるべきなのでしょうか。たけつな小児科クリニック(奈良県生駒市)の竹綱庸仁(たけつな・のぶひと)院長に聞きました。
Q.子どもが熱を出した場合、ぐったりした表情を見せる子もいれば、かえって元気そうに見える子もいます。熱が出るとぐったりする子と活発になる子は、何が違うのでしょうか。
竹綱さん「発熱時にぐったりしていて元気がない子どもと、元気そうに見える子どもの差については、幾つかの要因があると考えられます。
1つ目は、発熱している子どもの年齢です。『子どもは熱に強い』と言われており、仮に40度の発熱があったとしても、元気な子どもはよくいます。小児科では、37度5分以上ある場合は発熱と判断しますが、大人は誰でも経験しているように、37度を少し超えただけで気だるくなることも少なくありません。年齢が低いほど、熱に対する抵抗力が強く、比較的元気な場合が多いです。
2つ目は、感染する菌やウイルスの種類です。発熱を起こす原因菌は大きく分けて、細菌とウイルスの2つに分類されます。溶連菌や肺炎球菌を代表とする細菌は喉や肺など一部の臓器に感染し、仮に発熱したとしても、喉の痛みやせきなどの風邪症状を合併するのみで、比較的、子どもが元気な場合が多いです。一方、インフルエンザやノロウイルスを代表とするウイルスは感染すると血液を介して、多くの臓器に負担がかかるため、37度後半の微熱であったとしても、元気がなくなってしまう場合も多くみられます。
3つ目は、発熱時に十分な水分摂取が可能かどうかです。子どもは熱よりも脱水に非常に弱く、水分が取れなければ、微熱でもぐったりする場合はよくあります。中には喉が痛くなり、水が飲み込めないという子どももいますが、水分が取れなくなるケースの多くは、ノロウイルスやロタウイルスによる胃腸炎にかかり、嘔吐(おうと)や下痢を繰り返す場合です。水分が十分に摂取できなくなると、微熱の場合はもちろん、平熱でもぐったりするケースが多く見られます。
体の状態とは無関係な要因ですが、4つ目を挙げると、子どもの看病のために家族が家にいることです。保育園や幼稚園に通う子どもが発熱した場合、園を休んで、家族と一緒に過ごす時間が増えます。その場合、『家族と一緒に過ごせる』という安心感から、高い熱が出ていたとしても元気そうに見える子どももいます」
Q.発熱時に子どもが元気そうだった場合、親は子どもが健康だと勘違いをして、発熱のサインを見逃すと思います。そうならないためにも、子どもが発熱前に出すサインや、親が子どもの言動で気を付けるべき点について教えてください。
竹綱さん「子どもは突発的に発熱する場合も多く、発熱前のサインを見抜くことは困難です。ただし、せきや鼻水、下痢などの症状があった場合、数日後に熱が出ることもあり、少なくとも風邪の症状が出ているときは、発熱も視野に入れておく必要があると思います。
なお、非接触型の体温計や鼓膜で測定する体温計は測り方によって、本来よりも体温が低く出ることもあり、注意が必要です。では、どのように発熱があるか見極めるかというと、触ったときに熱く感じるかどうかです。特に、おなかに手を当てて、おなかの芯からじわっと熱が伝わってくる場合、平熱であっても、その後に発熱するケースが多くみられます。
子どもの言動について、『普段よりも元気がない』『普段よりも食欲がない』といった場合は、後に発熱することもあるので、注意してください。また、胃腸炎や溶連菌に感染した場合、感染者の約3割が発熱前に頭痛が認められるため、突然、頭痛を訴えた後、発熱する場合も多く、元気のあるときの頭痛に関しても注意が必要です」
Q.子どもが38度5分以上の熱を出したときは、すぐに解熱鎮痛剤を使うべきなのでしょうか。それとも、少し様子を見た方がよいのでしょうか。
竹綱さん「先述のように、子どもは比較的熱に強いため、仮に39度を超えた熱があったとしても元気な場合があります。熱は、ウイルスや細菌を体の中から排除しようとする免疫機能の一種なので、感染中の体にとっては必要なものといえます。従って、仮に38度5分を超えた場合でも、子どもが比較的元気であれば、すぐに解熱剤を使用する必要はありません。
ただし、仮に37度後半の熱であったとしても、水分がしっかり取れていないときや元気がない、ぐったりしているなど、普段とは異なる状態の場合、迷わず、解熱剤を使用すべきです。中には『38度を超えたら、すぐに解熱剤を使用する』といった認識で解熱剤を使う人、『解熱剤を使用すると、感染からの回復が遅れる』と考えて使用を避ける人もいますが、それらは誤りです。解熱剤は子どもの全身の状態を見ながら使用してください。
また、解熱剤は同時に鎮痛効果もあります。多くの場合、発熱時の解熱剤として使用するため、『発熱がないと、鎮痛剤として使用できない』と誤解する人もいますが、大人が頭痛時に飲む場合と同様、子どもが頭痛や関節痛、腹痛、喉の痛みを訴えた場合、たとえ熱がなくとも、解熱剤を鎮痛剤として使用して問題ありません」
Q.子どもの発熱で、すぐに医療機関での受診が必要な症状について教えてください。
竹綱さん「子どもの発熱時、すぐに医療機関を受診しないといけないケースは3つあります。1つ目は先述のように、胃腸炎による下痢や嘔吐を繰り返し、水分が十分に摂取できない場合や元気がない場合です。体温が37度後半であっても、血液検査や処置、時には入院での治療が必要な場合もあり、できる限り早急に小児科の受診をおすすめします。
2つ目は、生後3カ月未満の赤ちゃんが発熱した場合です。この場合、インフルエンザ桿(かん)菌(ヒブ)や肺炎球菌などの細菌などに感染している可能性があります。なぜ、細菌の感染が問題かというと、生まれたばかりの赤ちゃんは免疫だけでなく、体の構造自体も未熟なため、髄液に細菌が入り込むと、髄膜炎を起こしてしまう可能性があるからです。
細菌が原因で髄膜炎になった場合、てんかんなどの後遺症や、時には命を落としてしまう可能性もあります。3カ月未満の赤ちゃんが発熱した際はできるだけ早く、小児科を受診しましょう。
3つ目は、発熱に伴い、けいれんを起こした場合、つまり、熱性けいれんを引き起こした場合です。7歳未満の子どもの脳は未熟であり、熱というストレスがかかることで、発熱に対して脳の体温調節をする機能がうまく働かず、けいれんが起きる場合があります。
熱性けいれんは通常、数分で症状が改善しますが、時には、見た目ではけいれんは治まっているものの、実はけいれんが持続している場合もあります。特に、子どもが初めて、けいれんを起こした場合は要注意です。けいれんの場合、早急に救急要請をするか、小児科を受診した方がよいでしょう」
オトナンサー編集部
これは18年前、皇后・雅子さまと天皇皇后両陛下の長女・愛子さまの“合作”として公開された絵。タイトルは「一緒にお絵描き」。
雅子さまが様々な色のクレヨンで背景を塗られ、その上から、1歳になられたばかりの愛子さまが思うままに絵を描かれている。雅子さまの楽しい子育ての様子がうかがえる1枚。
2004年、「適応障害」と診断され、療養生活に入られた後でも、常に愛子さまのそばで笑顔を絶やすことはなかった。
こうした子育てについて、フジテレビ宮内庁担当・宮﨑千歳記者によると…
フジテレビ宮内庁担当 宮崎千歳記者:
愛子さまが物心ついた頃には、母の雅子さまは療養に入られていて、体調がなかなか辛い中でも少しでも愛子さまが笑顔になり、明るい楽しい時間をお過ごしになれるように、色々な機会、体験する場を作るように、一生懸命心掛けていらしたのではないかと思います
実は、愛子さまが満2歳になられる頃、両陛下は愛子さまとの向き合い方について“子育て4カ条”を明かされている。そこには、こんな項目があった。
「明るい雰囲気の中で日々を楽しく過ごせるようにすること」
2005年、当時3歳の愛子さまが初めてスキーに挑戦されたとき、雅子さまは愛子さまの体を支えて、楽しそうに滑られた。
当時、愛子さまにスキーの指導を行った杉山さんは・・・
杉山進氏:
楽しみにされているというか、期待をされているというか、(雅子さまの)もう嬉しそうな表情はお見受けできたと思います。
58歳の誕生日を迎えられた雅子さまは、愛子さまについてこう述べられた。
皇后陛下(誕生日に際してのご感想より):
愛子が生まれてからの20年間は長かったようにも、あっという間だったようにも感じられますが、様々な思い出が思い起こされて感慨深く思います
立派に成長された愛子さま。そこには、“子育て4カ条”を基本にした雅子さまとの20年間の歩みがうかがえる。
「良いことをしたとき、何かが上手にできたときにはよく褒めること、また、注意の必要があるときはわかるようによく言い聞かせること」
怒るのではなく、丁寧に言い聞かせたりすることが大事だとされていた。
しかし、子育てには試練の時も…
愛子さまは2010年、小学2年生の終わり頃、通学に不安を訴え、学校には行きたいが、児童が多く集まる行事や部屋に行けない状況となられた。そのため、療養中の雅子さまが通学に付き添われることに。
同じ年の8月、静養先の那須塩原駅では、愛子さまに笑顔は見えず、手を振られることもなかった。
フジテレビ宮内庁担当 宮崎千歳記者:
愛子さまが困難に直面した時には、必ずその後、自分で納得して乗り越える時期が来ると信じて、無理に説得するということではなくて、本当に背中をそっと支えるような形で、解決するのをゆっくり信じて待って来られたそうなんですね
“子育て4カ条”にも、こんな項目があった・・・
「自分が認められているという安心感をもてるよう、その時々の子供の気持ちをしっかり受け止めること」
安心感を与え、気持ちを受け止める・・・
雅子さまは、愛子さまが困難を乗り越えられることを信じ続けられ、付き添い通学は、1年9カ月に及んだ。すると・・・
2012年5月には、笑顔で手を振られる愛子さまの姿が…。この頃には、一人で通学できるようになられていた。
そして2013年10月、小学校生活最後の運動会では友達と一緒に、はつらつした組体操を披露。このとき雅子さまは、目を潤ませて見守られていた。実は愛子さまは、“通学不安”を乗り越えようとされていた一方で、取り組まれていたことがある。
通学不安を抱えていた小学3年生の頃から、蚕(かいこ)の飼育を始め、10年以上にわたり今でも続けられているのだ。
繭を収穫したあと、羽化した成虫から卵をとり、翌年、孵化(ふか)させるという非常に根気のいる作業を繰り返し続けてこられたという。
「ご養蚕(ようさん)」は、明治以降、歴代の皇后に受け継がれる大切なお仕事。2018年には母・雅子さまが、上皇后・美智子さまから引き継ぎを受けられた。雅子さまのお手伝いをしている代田さんによると、引き継ぎの際には愛子さまも立ち会われたという。
雅子さまのご養蚕を手伝う代田丈志氏:
(愛子さまから)『蚕に触っていいですか』っていうようなお話がありましたね。結構、愛子さまは(紅葉山御養蚕所で)自分の好きなところへ自分から行って、その場所で観察したり非常に楽しそうでしたね
“子育て4カ条”には、もうひとつ、こんな項目もある。
「自分でしようとする意欲を大切にし、危険なこと以外はなるべく見守るよう心がけること」
雅子さまと愛子さまが大きな困難を乗り越えられた背景にあったとみられる4つの「子育ての心得」。共に遊び、見守り、愛子さまの気持ちを尊重してこられた雅子さま。
フジテレビ宮内庁担当 宮崎千歳記者:
愛子さまの気持ちや意志を確認して尊重するという姿勢は、幼い頃もそうですし、今もそこは変わっていらっしゃらないそうなんです。なので、そうやって自ら考えて、自分の力で乗り越えてきたことが今、愛子さまにとっての自信にもなり、財産にもなっているのではないかと思います
(「Mr.サンデー」12月12日放送分より)
小学生のうちからスマホを持たせる家庭も増えてきたが、利用時間などの管理は難しいようだ。スマホを小学生の子どもに持たせている保護者を対象とした、Hameeの「小学生の親子におけるスマホ利用実態調査」(2021年11月)を見てみよう。
子どものスマホ利用について対策や制限の実施を聞いたところ、「家庭内でルールを作っている」(61.8%)「フィルタリングサービスやスマホ制限アプリを利用」(59.6%)などとなり、約6割が何らかの対策を講じていることがわかった。
では、ルールを守れなかった場合どうするのだろうか。ゲーム機の場合などでもよく聞くのが、「取り上げた」という話だ。
子どものスマホを取り上げたことがあるか聞くと、60.7%と6割以上が「ある」と回答。理由は、「約束の就寝時間を超えてスマホを利用していた」(52.0%)が最多であり、次いで「長時間利用」(47.4%)、「勉強しながらスマホを利用していた」(46.5%)などとなった。子どもがスマホの利用時間をコントロールすることはなかなか難しいのが実態なのだ。
さらに「取り上げスマホ」後の様子を聞くと、「子どもが取り上げられたことに納得せず、関係が険悪になった」(44.6%)が最多に。次いで「子どもがもう一度利用したいというので、ルールを決めた上で利用することを許可した」(43.7%)、「子どもが取り上げられたことに納得して利用しなくなった」(42.2%)などとなった。
大人でも、スマホはついつい利用時間が長くなってしまいがちだ。まして子どもはそうなってしまうのは当たり前と考えたほうがよいだろう。
前提として、一日のうちの利用時間の長さ、利用してよい時間帯などについてルールを決めることは必須と言えるだろう。しかしルールだけではなかなか守れないので、あわせてフィルタリングサービスやスマホ制限アプリなどを利用することで、子どもの側も守りやすくなるだろう。
「スマホを取り上げられたら、友だちと連絡ができなくなる。友だちから連絡がきたときに困る。取り上げられるのは許せない」とある中学生から聞いた。スマホやSNSは子どもにとって必須のツールとなりつつある。特に友だちが一番大切という年代にとっては欠かせないものだ。
突然取り上げる羽目にならないよう、ぺアレンタルコントロールなどでルールを守りやすくしてあげることも大切ではないだろうか。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki
いけないことだとわかっていても、大人だって嘘をつくこともある…。それでも子どもには、正直にいてほしい、と思ってしまうのも親心。子どもは、どんなとき、どのような理由で嘘をつくのでしょうか。
今回は「子どもの嘘」への関わり方について、保育士・きしもとたかひろさんが思いを綴ります。
壁に落書きがあった。
近くにいる子に事情を聞くと、ある子の名前が上がったので、その子に直接話を聞いてみる。「やっていない」と言うその顔を見て、「ああ、嘘をついているな」と察する。
もちろん、どれだけ証拠が揃っていても自分で話すまでは決めつけたりはしない。僕には全てお見通しだから早く白状しちゃいなよ、という具合に「正直に言ってくれたら怒らへんから」と言葉をかける。
それでも頑なに否認するので少し深刻なトーンで「嘘はキライやで」と言った。その自分の顔がすでに怒っていることに、その子の怖がる表情を見て気づく。
僕はその子が嘘をついたことに気づいて、「気づいたぞ」といい気になっていた。そして、それを暴いてやろうとした。
もちろん、その子のためを思って「嘘をつかないでほしい」とか「正直に間違えを認めて反省してほしい」とか教育的な思いもあっただろうけれど、そうじゃない。
「懲らしめよう」とか「暴いてやろう」とかいう気持ちも正直なところあったような気がする。
なぜその子は嘘をついたのか考えてみると、その子が悪い子だからではない。僕に怒られるからだよね。その子が嘘をつかなければいけない環境を僕が作っていたのだ。
悪いことをしたら怒られて当然だという考えもあるだろうけれど、それでその子が嘘をついてしまったり、自分を顧みることができなかったり、疑われて辛い思いをするのなら、それが正しいとは思えない。
嘘をついてしまう環境に置かれて、さらに「嘘は許さないよ」と追い詰めたら、その子に逃げ場はなくなってしまう。
いや、僕はあえてその子の逃げられないように追い詰めようと、“悪いその子”を直してやろうとしていたんじゃないか。
仮病を使う子を見て「サボりたいだけでしょう」とか、大袈裟に痛がる子を見て「かまってほしいだけでしょう」とか、その子の本心を見抜いたぞと悦に浸って、「甘いよ、騙されないよ」と突き放すのは違うよな。
「今日は気分が乗らないな」と正直に言える環境なら、「大丈夫?痛かったね」って僕がいつも声をかけているなら、その子はそんな嘘をつかないのかもしれないんだ。
改めて、その子に、壁の落書きは消せること、怒りはしないこと、正直に話さなくても構わないこと、あなたの言うことを信じること、疑って申し訳なかったことを伝えると、あっさりと自分がやったと話してくれた。
自供させたことを喜びそうになって、それじゃ本末転倒だと思いとどまる。
ホッとしてるその子の顔は、怒られなかったという安堵だけでないような気がした。正直に言えなくて苦しんでいたのかもしれない。
先日、ボードゲームで遊んでいた子どもたちが騒いでいるので近づいてみると、「あの子が怒って投げたから」と、壊れた部品を渡してきた。指さされた子の方に目をやると、「怒られる!」と身構えているのが分かる。
あえて笑いながら「あちゃー我慢できひんかったかあ」と声をかける。こわばっていた表情がゆるみ、「うん、我慢できひんかった」と笑って返してきた。
「いける」と思ったのか、そのままふざけて誤魔化そうとするのを見て、「逃がさないぞ」という気持ちと「まずは正直に話してくれたじゃないか」という気持ちがせめぎ合う。
「正直に言ったらからって許されるわけちゃうぞー」と冗談めかしていうと、「バレたか」という風にわざとらしく反省した顔を見せた。
まずはこれでいいよね、その子が嘘をつかなくてすんだんやから。
文・イラスト/きしもとたかひろ
マンガ:ono
AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、一日中泣き止まず抱っこも嫌がる子供に悩む、お母さんからのご相談です。
【今回のお悩み】 1ヶ月になる我が子ですが、全く寝ず、一日中泣いています。夜も寝つきが悪く、ミルク飲んだあとでも目がぱっちりでずっと起きています。1日のなかでいつ寝ているの?ってくらい起きている時間しかなく、そして起きている時間は常に泣いています。
そして、ぐずったら抱っこするのですが、抱っこを全力で嫌がります。顔を真っ赤にして仰け反り、足で蹴りまくり、抱っこできないです。ミルク飲んで機嫌のいい時でも、常に抱っこすると動いて抱っこを嫌がります。普通、赤ちゃんは抱っこされることを好みませんか? 調べると、抱っこ嫌いな子は自閉症傾向があると出てきて、
心配です。 1日のなかで、まとまって寝てくれることなんてなく、常に泣いているので何も出来ず、まだ抱っこで泣きやみ寝てくれるならいいのですが、抱っこも嫌がり、どうしたらいいのか分かりません。
ミルクよりの混合で育てていますが、いつもミルク100?飲んだあと、2時間くらい経つとお腹空いたと泣き出すので、母乳を含ませますがそんなに量も出てないからか、すぐ吸うのをやめて、抱っこするとまた口をパクパクしだして、次の授乳時間まで持ちません。
正直、本当に育てにくく、1番に抱っこを嫌がられることに心折れています。みなさん抱っこしたら泣き止むとかばかりなので、抱っこしても暴れまくって泣き続ける我が子にどう接していいのか分かりません。 やはりうちの子は何か障害があるのでしょうか?こんなに早くから判断できないことは承知していますが、なにかアドバイスが欲しいです。
【医師の回答】 泣き止まないのはとても心が折れそうになりますよね。それが一日中であれば無理もないと思います。自分も大変辛い思いをしました。赤ちゃんが泣き止まないのは生まれてから2~3週くらいからです。
特に理由がなくても泣き始めて、3~4ヶ月でピークを迎えその後は半年ほど続きます。医療が発達したこの現代でも、未だに泣き止まない原因がはっきり分かることはほとんどです。お腹が空いてないか、おむつが汚れてないかどうかはチェックする必要があります。
対処方法としては外に出てみたり、赤ちゃんから離れてみるのもいい方法です。 環境を変えてみると、赤ちゃんも気分転換になり泣き止む場合もあります。夫婦間で泣いた時のルールを決めておくのはとても大切です。
ここで大切なのは、泣き止まない時にあやすのはお母さんだけの役割ではないということです。愛情を持っている人ならお父さんでもおばあちゃんでもおじいちゃんでも誰でもいいです。 むしろ泣いていない時ほど要注意です。機嫌が悪くてぐったりしている時やぐったりして哺乳ができない時には、何か病気が隠れている可能性があります。
質問者の方が心配されるような、泣き止まないことと障害は全く関係がありません。自閉症はいまだに原因がはっきりとわかっていませんし、それをそうだと決めつけてビジネスにする人たちもいるので気をつけてください。普段自分は騙されないわと思っていても、産後や育児に悩んでメンタルが弱っている時だと耳を傾けてしまうのです。
人の不安や心配な気持ちに漬け込む形で啓発をしている人間とは距離を置くようにしましょう。 参考文献 #1.教えてドクター. 「赤ちゃんが泣き止まない」啓発用リーフレット
ママと専門家をつなげるプラットフォーム企業・ベビーカレンダーが、毎月行っている赤ちゃんの名づけ調査をもとに「2021年9月生まれベビーの名づけトレンド」を発表しました。
今回は、2021年9月生まれのお子さん1万3389人を対象にした調査の中から、女の子6610人の名前をもとにしたランキングを見ていきましょう。 (出典元:ベビーカレンダー「9月生まれベビーの名づけトレンド」)
第3位は「紬」で、主な読みは「つむぎ」でした。近年、各種名前ランキングで上位に入ることが多い人気の漢字です。紬は「繭(まゆ)から繊維を引き出して糸にする」という意味があり、そこから、物事の糸口を見つけてたぐりよせる、つなぎ合わせるという意味が込められるようになりました。 「紬」という名前には、努力して夢をかなえられるように、人の輪をつなぐ人になれるように、素朴で素直な心をもてるように、といった意味が込められているのでしょう。
第2位は「凛」で、主な読みは「りん」でした。もともとの意味は「寒い」「厳しい」「心が引き締まる様子」などで、「凛とした、凛々しい」など、きりっとしたたたずまいを思い起こさせる「凛」の文字。この文字が名前に使用できるようになったのは2004年からと、比較的最近のこと。それ以降、毎年のように人気名前ランキングにランクインする人気の漢字です。 気品があり、美しく賢い子に育ってほしい、芯のあるしっかりとした子になってほしい、といった意味が込められていると考えられます。
「何度叱っても同じことをする」「叱ってばかりで親もつらい」など、子どもを叱るのは難しいと感じるおうちの方も多いのではないでしょうか。アメリカやイギリス、オランダで心理学を学び、子育て心理学が専門の佐藤めぐみ先生に、「子どもの心に響く叱り方」についてお話を伺いました。
ー私が受ける相談でも、おうちの方が子どもの叱り方に悩み、育児ストレスを抱えてしまっているケースがよくあります。そもそも叱ることで悩む背景には、最近の風潮として、「子どもをまるごとすべて受け入れてあげなくてはいけない」、「子どもを叱ることで傷つけてしまうのではないか」といったことを、おうちの方がすごく気にしてしまい、本来叱るべきところでも叱らずに過ごし、その結果子どもが家庭の中で力を持ち、少し大きくなってからコントロールが効かなくなってしまうというケースが多いように思います。
「叱らない子育て」とは、響きがよく、親としても取り入れたいと思いますが、言葉通りただ叱らないだけでは、その子自身が、自分を自制する力が育めません。小学校に入学すると集団行動にともない、我慢する機会も増えますが、小さい頃に自分を自制する力を身につけてきた子とその経験の場数が少ない子とでは、ここで大きな差が出てきます。
我慢する経験が少ない子は、自分の思った通りにできないことでクラスになじめなかったり、先生に注意されてばかりだったりで、学校生活にやる気をなくしてしまうこともあります。
ー私は叱るべきことと、叱らずに学んで習得していくべきこととは、分けて考えた方がいいと思っています。叱るべきこととは、即介入した方がいいこと、例えば自分自身を傷つける、相手を傷つけるというのは、すぐに叱った方がいいです。
一方、すぐに叱らなくてもいいと思うのは、例えば小学生になって宿題をしないことなど。そういう時は、叱って無理やりやらせるよりも、5分やったらそのことをほめる。それが10分になったらもっともっとほめる。それを繰り返す方が結果的に早道です。
「すごくがんばったね、昨日と比べても5分も延びたね」という風に、今のことだけでなく過去のことも総動員して、あれもこれもほめて構いません。ほめることで、自己肯定感や自己効力感が高まり、結果的に子どももやる気になり、学ぶべき行動を学びやすくなるのです。また、叱るべきことが減るので、おうちの方の叱る回数もだいぶ減ると思います。
ー子どもは自分の好きなことをするのが大好きです。嫌いなことはやりたくありません。それは人間の本能なのですが、好き放題にしておいてよいのかと言われれば、どこかで自分で自制する力を身につけていかなくてはいけません。
子どもが叱られても何度も同じことをしてしまうのは、心理学的には満足遅延耐性が備わっていないこと、バウンダリー(境界線)がうまく提示できていないことが考えられます。
【満足遅延耐性を身につけるには、ちょっとした我慢が大事】
ー「満足遅延耐性」とは、例えばダイエットをする時に、2週間甘いものをやめることで、3キロ減量した自分を想像し、今は我慢する、といった力です。この力は成長すれば一律に身についているわけではなく、大人でも幅があると思います。
子どものうちは、どうしても「今」やりたいことを優先してしまいがちですが、ちょっと我慢するという経験の場数を踏むことで、身につけていくことができます。
【実現可能なバウンダリー(境界線)で、親の言葉が子どもに届く】
またバウンダリー(境界線)というのは、ここまではいいけれどここからはダメだという線のことです。例えば子どもが部屋を散らかしっぱなしにしていた時に、「いつもこんなに部屋を散らかして!おもちゃ全部捨てるからね!」と子どもを叱ったとします。
親は「言えばわかるだろう」と考えているので、それで片づけると思っていますが、子どもは片づけません。なぜかと言うと、子どもは自分の身に起こったことから学んでいるからです。「散らかしたままでもおもちゃは捨てられない」という経験があるので、「お母さんが言っていることは本当じゃない」と考えます。
ここで何がいけないかというと、できる範囲のことでバウンダリーが決められていないということです。例えば、おもちゃを散らかして片づけないのであれば、そのおもちゃは次の日まで一切使わせず預かるとか。そういった実現可能な線にすることで、親の言葉が子どもに通じるようになります。また、そういう線を設ける時は、子どもと一緒に決めることをお勧めします。
特に小学生以上になれば、例えば、ゲームは〇分、勉強は〇分など、子どもと一緒に決めていきます。親子で話し合いを設けて、両者がアグリーメント(合意)したバウンダリーを作っていくことで、叱る回数を減らしていけます。
ー子どもを叱る時には、次の3つのポイントに気をつけると、伝えたいメッセージが子どもにきちんと伝わるようになります。また叱ることで溜まってしまうおうちの方のストレスも、叱り方を変えるだけで減らすことができます。
【ポイント1 今のことだけを言う】
親は「昨日も片づけなかった」「いつもいつもゲームばかりして」など、これまでのことも持ち出して叱りがちですが、これは叱り方としてはあまりよくありません。なぜなら、内容がぼやけてしまい、子どもは何を叱られているかがよくわからなくなるからです。
【ポイント2 話を広げない】
叱りだすとあれもこれも言っておかなきゃとつい話を広げがちですが、それも先ほどと同じ理由で効果的ではありません。内容は1つに集中させた方が、子どもは理解がしやすいです。
【ポイント3 〇〇な子と言わない】
言葉は時に武器になってしまうこともあります。「そんな悪い子はうちの子じゃない」といった叱り方では、子どもがとても傷つきます。そういう場合は「言葉を調整する」ことが大事で、今ある行動をどうしたいかということだけ盛り込み、シンプルに叱ることを心掛けてみてください。
「そんな悪い子はうちの子じゃない」とその子自身を攻撃せずに、「それをやるのはダメ」と行動を指摘すれば、自己肯定感は低めません。直して欲しいのはその子の行動だということをいつも頭に置き、正しい行動が取れるような具体的な言葉で「何をすればいいのか」を伝えていくことを意識して欲しいと思います。
叱っても子どもの心に響かないのは、親の言葉と子どもの経験が一致していないことや、我慢する経験が少ないことなどが関係しているようです。また叱る時は「今」のことだけをシンプルに、ほめる時はあれもこれもと、どんどん広げていくことで、自己肯定感を高められるそうです。
プロフィール
佐藤めぐみ 公認心理師|オンライン育児相談室・ポジカフェを運営。専門は0~10歳のお子さんを持つご家庭向けの行動改善プログラム、育児ストレスのカウンセリング。英・レスター大学大学院修士号取得。書籍、メディアへの寄稿や監修も多数。
「働く保護者が幼い子どもを預ける場所」と思われがちな保育園。しかしこの就業している人「だけ」が利用できるという考え方が知らず知らずのうちに自分を追い詰めたり、相手を傷つけてしまうこともあるのです。Aさん(20代・専業主婦)から話を伺いました。 【
漫画】母親を救った保健師さんの言葉…全編を読む
■子どもを連れての再婚…
理想と違う新生活 Aさんと旦那さんはお互いバツイチ同士で、双方の子どもの保育園で知り合いました。当時Aさんの子ども(以下次男)は生後3カ月。一方旦那さんの子ども(以下長男)は5歳。ひとり親として子どもを育てる姿にお互い惹かれあい、出会ってから1年程でAさんは再婚。
再婚してから程なくして、2人の子どもである第3子(以下長女)を授かります。 出産のためAさんは現在の仕事を退職、子どもたちも保育園を退園することにしたそうです。家族5人になることをとても楽しみにしていたAさんでしたが、「現実は理想通りにはいかなくて」と話します。
長女を出産後、まだ2歳を過ぎたばかりの次男はイヤイヤ期に突入。長男は自分への愛情確認をするようにわざと怒られるようなことをしたり、反発することが増えていったのだといいます。 旦那さんに子どもたちのことを相談することはしなかったの?と尋ねると、「最初は相談してたんだけど、だんだんと仕事で疲れてるからと不機嫌そうな顔をされたり、暴言を言われたりするようになって。
でも普段はいいパパだし、子どもたちもパパのこと好きだから」と話すAさん。一度行政に相談をしてみたら?と促されたことがあったものの、「一段落したら幼稚園を利用するから大丈夫」とAさんは少し疲れた顔で笑っていたそうです。
しかし、この「ワンオペ状態」の育児は長く続かなかったのです。 「幼稚園に預けられるまで」と家事・育児によりいっそう力を入れて奮闘していたAさん。しかし、1人で家事・育児・教育のすべてを行うことは難しく、また長男の件で学校に行くことも増え、どんどん疲弊していったといいます。
家で炊事や洗濯を行うことも次第にできなくなってしまったそうですが、3人の子どもの育児は待ったなし。 この状態に気が付いてくれたのは旦那さんではなく、長女の乳幼児検診で出会った保健師さんでした。すっかりやつれてしまったAさんがぽつりぽつりと話す言葉をゆっくりと聞き出し、まずはAさんを休ませることから始めることにしたのです。
■保育園への入園…しかしまわりの保護者に「通報」され
保健師さんのサポートを受け、まずはAさんの体や心への影響を考慮して、次男・長女の保育園への入園が決定。その後、長男の心のサポートのためスクールカウンセラーなどによる支援体制も整いました。Aさん自身「これでもう1人で頑張らなくてもいいんだ」と安堵したそうです。Aさんの場合、保育園は体や心の健康を取り戻すための入園なので無職で2人の子を預けていました。
しかし、それをよく思わないのが「保育園は両親共働きでしか利用できない」という考えの保護者の方々です。Aさんが専業主婦であることを知ると、行政に通報したのです。Aさんは「やっぱり自分は利用してはいけないんだ。ズルしてると思われたんだ」と悩み、保健師さんに泣きながら相談したといいます。 保健師さんからは「両親の就業は必ずしも必要なわけじゃないよ。いま、子どもの成長にとって保育園が必要だと判断された人から入所決定になるものだから気にする必要ない」と優しく言われたそうです。 その後も定期的に保健師さんが訪問してくれたそうで、Aさんは悩み事を話すことで少しずつ前を向いていくことができたといいます。
■保育園の入所基準は就労だけではない
各自治体によって基準は異なりますが、保育園の入所基準は両親の就労だけではありません。体や心になんらかの疾病(例えばうつ病や身体障がいなど)があり、子どもを自宅で保育することが難しい場合は入所が可能になる場合があります。
また家族の介護や保護者の就学
・求職活動の他にも、配偶者からの虐待やDVなどを理由とした入所を受け付けている場合もあります。 かつてのAさんは、「私が不甲斐ないばかりに」と自分を責めていましたが、現在は心身ともに健康を取り戻しつつあり「子どもたちも友達ができて毎日楽しそうなの。私自身も会えない時間がある分、子どもたちの行動に対して心に余裕ができたのか、あまり苦しくなることもなくなってきたんだよね。
旦那のこともいろいろわかってきたし、もう少し落ち着いてきたら今度は仕事を探すつもりなの」と明るい声で話してくれました。 Aさんが前を向いてたくましくなっていたことに私自身もうれしくなり、これからも応援してきたいと思いました。 (まいどなニュース特約・長岡 杏果)
新型コロナの影響でなかなか家から出られなかった人も多いだろう、今年の夏。 とはいえ小さい子どもたちがいる家庭では、家の中にずっといるのも難しい。感染症対策はしっかりしつつ、近場に散歩などに出かけている人もいるだろう。
そんな中、ベビーカーに乗って足には靴下を履くなど“ばっちり装備”の赤ちゃんを見て、ふと「暑そう…」と心配になった経験はないだろうか。 インターネット上では、夏場の赤ちゃんの靴下について「夏は履かせないほうがいいみたい」とのお母さんたちの意見が数多く投稿されているものの、中には屋外・屋内問わず「赤ちゃんの靴下は?足が冷えるわよ!」と注意されるなどの“赤ちゃんに靴下履かせろ攻撃”を受けたという体験談もいくつか確認できた。
確かに、スーパーや家の中など、クーラーが効いている空間では「冷えてしまうのでは…」と心配になってしまう気持ちも分かるが、暑い日の屋外でも赤ちゃんに「靴下」は必要なのだろうか? 日本小児科医会 小児救急医療委員会の担当医師に「赤ちゃんの靴下問題」と熱中症リスクについて、お話を聞いてみた。
――気温が高い日に靴下…赤ちゃんには必要なの?
不要です。子どもは基本的に暑がりで、熱放散を使って体温を調節しています。靴下を脱いで気持ちよさそうなのは、その現れです。 ただし、強い冷房などで大人が寒いと感じる環境では、場合によって必要になる場合もあるでしょう。冷房の影響を大人よりも強く受けることにも注意して下さい。
――「赤ちゃんにはいつでも靴下を履かせるべき」…
このような意見についてはどう思う? 基本的に赤ちゃんに靴下は不要です。生後半年以内では、上記の強い冷房などで大人が寒いと感じる環境では靴下を履かせることもあり得ると思います。赤ちゃんの状態を良く見えるようにしておくことが重要で、掛け物をかけて赤ちゃんが見えにくくなるよりは、という意味です。 また、お座りから立位になる頃からは靴下は滑るので、むしろ危険なことがあります。
――赤ちゃんにどんなサインが見られたら熱中症の可能性あり?
元気がない、哺乳力低下、不機嫌、過敏など、子どもの体幹がすごく熱い、など一般的な症状です。その症状から熱中症を疑うには、子どもをよく観察して、想像力を働かせることが必要です。困ったら#8000(子ども医療電話相談)等に相談して下さい。 自分(保護者)の感覚を大事にし、かつ、子どもの環境を考慮してください。
――では外出時の赤ちゃんの服装は、どんなことに気をつけるべき?
赤ちゃんの状態を日頃からよく見ていて、ご自分の感覚を大事にして、衣服、靴下、掛け物などで、こまめに調節してあげること。汗をかいたら早めに着替えること、などをお願いします。 環境省の熱中症環境保健マニュアルによると、「熱放散(体内に溜まった熱を体外に逃す方法)」には、皮膚の表面から直接熱を外気に逃がしたり、かいた汗が気化するときに熱を奪っていく気化熱を利用するなどの方法があるそう。
だが、これらを使った体温調節能力がまだ十分に発達していない子どもたちが“ばっちり装備”をしてしまうと、体からうまく熱を放出することができなくなり、熱中症のリスクがある。 室内に長時間とどまる場合は、赤ちゃんは大人よりも冷房の影響を受けやすい面もあるため、「体が冷えてしまうかも…」と心配するのは間違ってはいないが、日本小児科医会によると、気温の高い屋外で赤ちゃんに靴下を履かせることは、基本的には不要だという。
ただし、赤ちゃん用靴下は、体温調節用のアイテムとしては有能なので、屋外から屋内へ移動する場合など、サッと調節できるようにバッグの中に一組、入れておくと安心だろう。
ある保育園で使われている「スプーンの持ち方」を覚えるためのライフハックがTwitterで紹介され、「目から鱗」「先生の知恵凄い」と話題になっています。
「保育園てすごいよなぁ スプーンの持ち方なるほど〜ってなった」という言葉とともに、ライフハックを紹介したのは3歳と1歳の息子を育てるなるせさん。 息子さんが通っている保育園では、スプーンの持ち手にクリップをはさみ、クリップの側面と上部に指を1本ずつ入れることできれいな持ちかたの形を教えているそうです。
なるせさんが投稿した写真を見ると、その分かりやすさは一目瞭然。これなら、小さい子どもでもすぐにきれいな持ちかたにチャレンジできそうです。
この投稿を観た人からは、「今度試してみよ」「やってみようと思います!」といった反応が。自宅にあるもので簡単にできるので、手軽にチャレンジしやすいのもうれしいですね。
また、「お箸の持ち方がちゃんとできるようにスプーンをこう持たせる事あるみたいですね」「このやり方で娘(5)は鉛筆の持ち方を練習してます」など、スプーン以外のものの持ち方を覚えるのにもクリップが活用できることを伝えるコメントも集まっていました。
知能はどこまで遺伝の影響を受け、どこまで環境の影響を受けるのか──。この問いを突き詰めていくと、「子育ての努力に意味があるのか」という問題に行き着く。はたしてその答えはどうなっているのか。最新刊『無理ゲー社会』で、「知識社会における経済格差は、知能の格差と同義だ」と指摘する作家・橘玲氏が、行動遺伝学の最新知見をもとに、パーソナリティにおける遺伝と環境の影響度合いについて紹介する。
【一覧表】やる気、集中力、記憶、計算、学歴… 33項目のパーソナリティにおける遺伝率の影響
行動遺伝学は一卵性双生児と二卵性双生児のちがいをもとに、身体的特徴から性格や認知能力、身体的・精神的疾患まで、ヒトのさまざまな性質の遺伝と環境の影響を調べる学問分野で、半世紀以上にわたって膨大な研究を積み上げてきた。行動遺伝学を語るときに欠かせないのが、2000年に行動遺伝学者エリック・タークハイマーが発表した「3原則」だ。
第1原則:ヒトの行動特性はすべて遺伝的である
第2原則:同じ家族で育てられた影響は遺伝子の影響より小さい
第3原則:複雑なヒトの行動特性のばらつきのかなりの部分が遺伝子や家族では説明できない
行動遺伝学がしばしば「遺伝決定論」だと誤解されるのは、第1原則(遺伝の影響は広範に及んでいる)と第2原則(子育ての影響とされているものの多くは親から子への遺伝である)しか見ていないからだ。より重要なのは第3原則で、「個性(わたしらしさ)には遺伝と子育て以外のなにかが強く影響している」とする。この“なにか(ファクターX)”が「非共有環境」だ。
行動遺伝学では、「こころ」を「遺伝率+共有環境+非共有環境」で説明する。
遺伝率は外見、性格、精神疾患などのさまざまなばらつき(分散)を遺伝要因でどれだけ説明できるかの指標で、身長や体重ではおよそ70~80%になる。共有環境は「きょうだいが同じ影響を受ける環境」のことで、一般には家庭環境(子育て)とされている。非共有環境は、当初は遺伝率と共有環境で説明できない「測定誤差」とされていたが、その値がきわめて大きいために「きょうだいが異なる影響を受ける環境」と定義し直された。
家庭内の非共有環境としては、「家族構成(生まれ順、性差)」「きょうだい関係(きょうだいへの嫉妬)」「子育て(子どもへの愛情のちがい)」などがあるが、きょうだいで親の接し方が異なるのは子どもの遺伝的特性によるかもしれない(手のかからない子どもにはやさしくし、手のかかる子どもはきびしくしつける)。
一方、家族外の非共有環境としては「学校や地元の友だち集団」「教師」「ソーシャルメディア」など一人ひとりが異なる体験をする環境が考えられる。そのなかでももっとも影響力の大きいのがピアグループ(友だち集団)で、発達心理学者のジュディス・リッチ・ハリスは、子どもの人格形成に決定的なのは「友だち集団内の地位争い(キャラづくり)」だと述べて、「子育ての努力に意味はないのか」との論争を巻き起こした(*)。
【*参考:ジュディス・リッチ・ハリス『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない〔新版〕』ハヤカワ文庫NF】
これは現在に至るまでもっとも説得力のある非共有環境の説明だが、それがずっと無視されてきたのは、ハリスが博士課程を病気で中退した在野の研究者であること以上に、発達心理学や教育心理学にとってきわめて不都合だからだろう。既存の心理学は「幼児期の子育てが子どもの性格をつくる」ことを当然の前提としてきたが、ハリスはそれを真っ向から否定したのだ。
どちらが正しいかは、(認めるかどうかは別として)現在ではほぼ決着がついている。図表4は、総計1455万8903人の双生児を対象とした1958年から2012年までの2748件の研究を2015年にメタ分析したもので、「パーソナリティ(性格)」「能力」「社会行動」「精神疾患」における遺伝率、共有環境、非共有環境の影響を推計したものだ(*)。
【*参考:Tinca J C Polderman, Beben Benyamin, Christiaan A de Leeuw, Patrick F Sullivan et.al (2015) Meta-analysis of the heritability of human traits based on fifty years of twin studies, Nature Genetics /ここではCharles Murray (2020)Human Diversity: The Biology of Gender, Race, and Class, Twelve掲載のデータを抜粋した】
メタ分析(メタアナリシス)は、過去に独立に行なわれた複数の研究を統合し、ひとつの研究であるかのように解析する手法で、個別研究よりもはるかに信頼性の高いエビデンスとされる。ひとつの研究結果は、それとは異なる別の研究結果で否定できるが、メタ分析を否定するには学問分野全体を覆さなくてはならない。ここで紹介するのは、行動遺伝学のなかでもっとも大規模なメタ分析のひとつだ。
ざっと眺めてわかるように、ほとんどの項目で遺伝と非共有環境の影響が圧倒的に大きく、共有環境の影響はほとんどないか、きわめて小さい。
心理学や精神医学は、うつや摂食障害、適応障害などの原因を幼少期の子育て(とりわけ母親との愛着関係)に求めるが、共有環境の影響は無視できるほどしかない。計算や認知、言語などの学習にはわずかに共有環境の影響があるが、やる気や集中力は子育てとはまったく関係ないようだ。「仕事と雇用」や「親密な関係」のように、人生に決定的な影響を及ぼす性格特性にも共有関係はまったく影響していない。
近年、知能の遺伝率は幼少期では相対的に低く、思春期に向かうほど遺伝的な影響が増していくことがわかってきた。アメリカで「就学前教育」に大きな注目が集まったのはこのためで、逆にいえば、「学力に関しては、小学校に上がってからはなにをしてもムダ」ということだ(*)。
【*参考:ジェームズ・J・ヘックマン『幼児教育の経済学』東洋経済新報社】
例外的に共有環境の影響が大きいのは、「インフォーマル(私的)な社会関係」「子育ての問題」「基礎的な人間関係」だが、これはポジティブな影響ではなく、幼児期の虐待などで友人関係や恋愛関係をうまくつくれなかったり、自分の子育てに問題が生じるからのようだ。子育てはたしかに子どもの人格に影響を及ぼすが、それは「極端な領域でネガティブな差異をつくりだす」のだ。
わたしたちは暗黙のうちに、いまの社会が知能(学力)によって序列化されていることを受け入れているが、その一方で、社会的・経済的成功を決めるのはIQや学歴だけではなく、「コミュ力(話し方)」や「やり抜く力(GRIT)」、「人間力」だと思ってもいる。
その背景には、「知能だけがすべてではない(すべてであってはならない)」という信念、あるいは願望がある。こうして、「成功に重要なのは知能よりも自己コントロール力だ」「教育で知能を伸ばすことができないとしても、やる気(堅実性パーソナリティ)を高めることはできる」などの主張が登場する。
「成功」に対する知能の影響が100だとして、性格のうち堅実性が60、共感力が20、協調性が20の影響をもつとすれば、これらの(成功につながる)パーソナリティの総計も100になる。だとしたら、知能と性格はほぼ同じ比重になり、知能のちがいだけをいたずらに言い立てるのは(控えめにいえば)科学的な正確さを欠くし、(率直にいえば)許されない差別なのだ。
成功にとって努力などの性格特性が重要なのは間違いない。だがここで無視されているのは行動遺伝学の第1原則で、知能だけでなく努力にも遺伝の影響がある。図表4でも、遺伝率は「やる気」が57%、「集中力」が44%で、努力できるかどうかのおよそ半分は遺伝で決まる。
児童精神科医の宮口幸治は、ベストセラーとなった『ケーキを切れない非行少年たち』の続編である『どうしても頑張れない人たち』で、「頑張るひとを応援する」という善意の残酷さについて書いている。宮口が医療少年院などで出会う少年たちは、頑張りたいと思っているかもしれないが、それでも頑張れないのだ。
その原因のすべてが生得的なものだとはいえないが、幼児期の虐待や育児放棄など、本人の意志ではどうしようもないものがほとんどだ。そして宮口は、ほんとうに支援が必要なのは、わたしたちが支援したくないと思うような「頑張れない子どもたち」だという。
知能の影響を否定しようとするひとたちは、意志力のような「成功に役立つ性格」を過大評価し、「頑張る」ことを成功の条件とする。これを逆にいうと、「頑張れない(努力しない)ひと」は支援される資格がないのだ。知能による選別を否定すると、その空白を、性格(頑張っているか、いないか)による選別が埋めることになる。テストの点数で序列化されるのと、性格(人間性)を否定されることの、どちらがより残酷だろうか。
わたしたちは無意識のうちに、親(子育て)や教師(教育)が子どもの将来に決定的な影響を与えるはずだと思っている。だがさまざまなデータは、この信念(というより願望)にさしたる根拠がないことを示している。
子ども時代のことを思い出せば誰もが同意するだろうが、親(家庭)の影響が大きいのは幼少期までで、小学校高学年になれば友だちとのつき合いの方が大事になり、思春期を過ぎれば親の説教などどうでもよくなる。重要なのは親や教師からほめられることではなく、友だち集団のなかで注目され、よりよい(より多くの)性愛を獲得することなのだ。
だが大人になると、なぜかこうした体験を忘れてしまうらしく、子育てや教育の影響を(とんでもなく)過大評価するようになる。
近年では教育現場でカウンセリング、チューター制度、学校外活動、ジョブトレーニングなどさまざまな試みが行なわれている。これらはどれも子どもたちの「非共有環境」に介入しようとするもので、行動遺伝学の知見では、子どもの選択・行動は遺伝だけでなく非共有環境が強く影響するのだから、考え方としては間違ってはいない。
ところが、こうした努力はどれも期待ほどの成果をあげていないようだ。その理由は、とても単純な理由で説明できる。子どもたちは「教育」以外のほとんどの時間を他の非共有環境、すなわち友だち集団のなかで過ごしているのだ。
10代の若者がカウンセラーと1時間話したとして、部屋から一歩出れば「友だちの世界」が待っている。だとしたら、ほんのわずかな「介入」にどれほどの効果があるだろうか。
子どもの選択・行動に外部から大きな影響を与えたいのなら、養子に出す、他の地域に引っ越す、転校するなど、非共有環境をまるごと変えるような介入が必要になる。
1990年代にアメリカで行なわれた社会実験では、裕福な地区への引っ越しをともなう経済援助を受けたグループでは、13歳以下だった子どもが20代半ばに達したときの収入が(なんの援助も受けなかった対照群の子どもより)約3分の1以上高くなり、8歳児が受けた利益は生涯収入で30万ドル(約3000万円)と見積もられた。子どもが大学に進む確率は6分の1高く、大学のランクは大幅に上がり、貧しい地域に住む割合やシングルマザーになる確率も低かった(*)。
【*参考:Raj Chetty, Nathaniel Hendren & Lawrence F. Katz (2015) The Effects of Exposure to Better Neighborhoods on Children: New Evidence from the Moving to Opportunity Experiment, The American Economic Review /マシュー・O・ジャクソン『ヒューマン・ネットワーク 人づきあいの経済学』早川書房】
子どもの人格形成に環境要因が大きな影響力をもつのは友だち関係の全面的な変化をともなうときで、“ビリギャル”のような事例は、もともと素養のある子どもを発掘する以上の意味はないのだろう。
行動遺伝学の知見によれば、遺伝率はよい方向でも悪い方向でも「極端」になるほど高くなる。並外れた才能も、世間を震撼させる凶悪犯罪も、いまでは遺伝的な要因が大きいことがわかっている。
だがこれは逆にいえば、平均付近のほとんどのひとにとっては、「氏(遺伝)が半分、育ち(非共有環境)が半分」ということだ。人生のあらゆる場面に遺伝の影が延びているから、自由意志に制約があることは間違いないとしても、だからといって生まれ落ちた瞬間にすべてが決まっているわけではなく、自分の手で運命を(ある程度)切り開いていくことはできるはずだ。
これからの時代に求められているのは、こうした不都合な事実(ファクト)を受け入れたうえで“よりよい社会”を構想する「進化論的リベラル」なのではないだろうか。
【プロフィール】
橘玲(たちばな・あきら)/1959年生まれ。作家。国際金融小説『マネーロンダリング』『タックスヘイヴン』などのほか、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『幸福の「資本」論』など金融・人生設計に関する著作も多数。『言ってはいけない 残酷すぎる真実』で2017新書大賞受賞。その他の著書に『上級国民/下級国民』『スピリチュアルズ「わたし」の謎』など。リベラル化する社会の光と影を描いた最新刊『無理ゲー社会』が話題に。
※橘玲・著『無理ゲー社会』(小学館新書)より抜粋して再構成