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子の叱り方「次は頑張ろうね」 成人後の自立心などに好影響

 子どもを叱る際「次は頑張ろうね」と励ました方が、原因を追及したり罰を科したりするよりも成人後の自立心や計画実行能力に良い影響を与えるとの研究結果を神戸大と同志社大のチームが26日、発表した。

 チームによると、21年3月、ネット上で全国の20歳から70歳未満の男女を対象にアンケートを実施。約1300人の回答を分析した。

 子どもの頃の叱られ方について「次は頑張ろうね」「どうしてできないの」「罰を与えられた」のグループに分類。進学先や就職先をどの程度自立的に決めたかなど四つを指標として比較した。「次は頑張ろうね」と励まされたグループは全ての指標で最高となった。

知っておかないと損! 子育て世帯が利用できる助成金

子育て世帯が受けられる制度とは

子育て世帯に向けて、国は多くの制度を準備しています。例えば、「児童手当」「幼児教育・保育の無償化」「育児休業給付金」などは、耳にする機会も多いのではないでしょうか。

「児童手当」は、対象となる子どもが中学校を卒業するまでもらえる手当金のことです。また、所得要件を満たす母子家庭か父子家庭に支給される「児童扶養手当」もあります。

「幼児教育・保育の無償化」は、幼稚園や保育園に通う3~5歳児クラスのすべての子どもたちと、住民税非課税世帯の0~2歳児クラスの子どもたちの利用料が無料になる制度です。

「育児休業給付金」は、一定の要件を満たした雇用保険の被保険者が1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した場合、1歳6ヶ月(再度の申請して承認されれば最長2歳)に達するまで受けられる給付金です。

これらの制度は日本全国で受けられるものですが、それ以外にも自治体独自で取り組んでいる制度もあります。

子育て世帯の助成制度

子育て世帯の方が受けられる助成制度は、大きく分けて「乳幼児医療費助成制度」と「義務教育就学児医療費の助成」の2つがあります。

名前は聞いたことがあっても、詳しい制度の内容が分からない方も多いのではないでしょうか。助成金は条件を満たせば受けられるお金なので、制度を利用していない方はぜひ、今一度支給要件をチェックしてみてください。

この項では、東京都の子育て世帯の助成制度である「乳幼児医療費助成制度」と「義務教育就学児医療費の助成」の2つを紹介します。

乳幼児医療費助成制度

乳幼児医療費助成制度は、乳幼児が病院でかかった医療費のうち、保険診療の自己負担分を助成する制度です。都内各区市町村内に住む、義務教育就学前までの乳幼児を養育している方が対象です。

申請は各自治体の市区町村役場で行います。申請の際には、対象となる子どもの健康保険証、子どもと両親のマイナンバーが分かるもの、窓口に来た方の本人確認書類が必要です。

なお、医療証の有効期限は10月1日~翌年の9月30日までの1年間です。更新手続きは必要ありませんが、毎年有効期限が近づくと新しい医療証が送られてくるので、期限切れのものを病院に提出しないように気をつけましょう。

義務教育就学児医療費の助成

義務教育就学児医療費の助成は、小・中学生の子どもが病院でかかった医療費のうち、保険診療の自己負担分の一部を助成する制度です。乳幼児医療費助成制度は義務教育就学前までの乳幼児が対象ですが、小学生になると義務教育就学児医療費の助成が受けられます。

通院の場合は、保険診療の自己負担のうち200円を超える額が助成されます。したがって、病院で支払う金額は200円となる計算です。なお、入院や調剤の場合は全額助成となるため窓口負担はありません。

申請の際には、対象となる子どもの健康保険証と子どもと両親のマイナンバーが分かるもの、窓口に来た方の本人確認書類が必要です。また、乳幼児医療費助成制度と同じで、医療証には1年間の有効期限があります。新しい医療証が手元に届いたら、古い医療証は破棄して間違えないように気をつけてください。

国や自治体の制度はしっかりとチェックしよう

「乳幼児医療費助成制度」と「義務教育就学児医療費の助成」は、中学生までの子どもがいる家庭なら、病院でかかる費用負担を大きく軽減できる東京都の助成制度です。子どもは特に病気にかかりやすく、ささいなことでも医師に相談したいと考える親も多いでしょう。

今回は、東京都を例に2つの助成制度を紹介しましたが、ぜひ一度お住まいの自治体にある助成制度を調べてみてください。条件に合う制度があれば、積極的に活用しましょう。

出典

内閣府 児童手当制度のご案内

[厚生労働省 児童扶養手当について

](https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/osirase/100526-1.html)

[内閣府 幼児教育・保育の無償化

](https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/musyouka/index.html)

[東京都福祉保健局 乳幼児医療費助成制度(マル乳)

](https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/josei/marunyu.html)

[東京都福祉保健局 義務教育就学児医療費の助成(マル子)

](https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/josei/maruko.html)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

子どもを「お金持ち」にする方法が判明!?

大切な子どもに、「苦労をしてほしくない」と思うのは親の性です。そんな子煩悩な方のために、「子どもをお金持ちにする方法」を紹介しましょう。

子どもをお金持ちにする方法とは?

子どもをお金持ちにする最も確実な方法は、あなた自身が倹約家になることです。1万人以上の富裕層を調査したトマス・J・スタンリー氏は、著書の中で、「億万長者の両親の多くが倹約家である」ことを発見しました。

子どもは親の姿を見て育ちます。あなたが浪費家ならば、あなたの子どもも浪費家になるでしょう。お金持ちの子が散財し、遺産を使い果たしてしまった例は枚挙に暇がありません。

子は親を見て育つもの。まずはあなた自身が、倹約家になることを目指しましょう。

ちなみに、子どもに倹約をしつけるときは、「算数」の勉強を手伝うのが効果的です。ロスアンデス大学の研究によれば、「計算能力の高い人は、資産を貯めやすい」「計算能力の低い人は、資産を浪費しやすい」といった結果が得られています。

また、イタリアのヴェローナ大学の研究によると、子どもに貯金を教えるには、「お小遣いをあげるだけではなく、貯金のアドバイスや、お金の使いみちなどをコントロールしてあげるとよい」ことがわかっています。

子どもをお金持ちにする最重要ポイントは……

最重要ポイントは、「子どもの自制心を育む」ことです。

「将来のために今ガマンする」ことができる人ほど、お金持ちになれます。逆に、自制心が崩壊するようなしつけをすれば、彼らは瞬く間に貧乏街道まっしぐらでしょう。

「たくさんお小遣いを与える」のは逆効果です。スタンリー氏の調査では、経済援助を受ければ受けるほど、子どもは貧乏になりやすいことが判明しました。お金持ちになれない人ほど、大人になってからも親からお金の面で甘やかされているのです。

「たくさん遺産を与えたい」

「車を買ってやりたい」

「家をプレゼントしたい」

親が子どもの経済状況を心配する気持ちはわかりますが、これらは完全にやり過ぎです。大学への学費などを除いて、甘やかすほど子どもは貧乏になりますから、お金の与え過ぎには注意しましょう。

たとえ、あなたが経済援助をしなくても、あなたの親戚が経済援助をしていれば、それがガンになります。甘やかす経路を全て断ち、お子さんの自制心を上手に育みましょう。

自制心を育てることが、お金持ちへの最短ルート!

「そんなことを言っても、やっぱり甘やかしたい!」と思う方もいるでしょう。では、そんな方に質問です。あなたは、親からもらったお金、あるいは親戚からもらったお金のうち、いくらを生産的に使いましたか?

おそらく大半の方は、「おもちゃを買った」「欲しい服を買った」「ゲームを買った」「ローンの返済に充てた(そもそもお金持ちは、借金などしません)」といった使い方をしているのではないでしょうか。

親が子どもに与えるお金は、その大半が「浪費」されます。だから、お金を与えれば与えるほど、子どもは「浪費癖」が強まります。

子どもたちを本気で幸せにしたいと願うなら、彼らの自制心を育む手助けをしましょう。これが、彼らがお金持ちになる唯一の近道です。

参考資料:子どもをお金持ちにする方法が判明!?(https://allabout.co.jp/gm/gc/478947/)

文:中原 良太(個人投資家・トレーダー)

18歳に株を始め、25歳でYahoo!株価予想達人で「ベストパフォーマー賞」を受賞。主に株式投資とマネー(お金)についての情報をSNSやYouTube、メルマガなどで発信。IQ上位2%のMENSA会員。

子育ては「聴き方」が9割? スウェーデンに学ぶ自己肯定感の育て方|VERY

親の声かけ次第で子どもの可能性は広がる

●岸田雪子(キシダユキコ)

ひろゆきが教える「人の子育てに口を出す」人の対処法ベスト1

 日本屈指のインフルエンサーであるひろゆき氏。彼が鋭く切り込む問題で最近注目を集めるテーマが「教育」だ。初の教育&子育て論本『僕が親ならこう育てるね』も続々重版し、話題を呼ぶなか、今回、ひろゆき氏が「他人の子育てに口を出す」日本の子育て環境について語る。

◆「日本は同調圧力が強い」は正確ではない

 日本は「同調圧力が強い」と言われますが、正確には「同調圧力に屈する人が多い」だと思います。

 アメリカでもフランスでも、他人のやることに「あーだ、こーだ」と口を出す人は存在します。でも、そうした場合、「あなたには関係ないでしょ」と言い返すのが普通です。

 ところが、日本だと「言い返すのは礼儀がなっていない」とかいう謎の文化が存在し、間違っていると思っていても、なかなか言えずに従うことがあります。

◆頭の悪い同調圧力は、無視するのが一番

 日本にも言論の自由はあるので、自分が思ったことを表明するのは自由です。しかし、それ以前に“頭の悪い人に従う必要はない”という至極当たり前のことがわかってない人もいるみたいですね。

 この前、話題になった子ども用ハーネスの是非論もそうです。ハーネスは、子どもがいきなり車道に飛びだして事故が起きることを防いだり、いきなり走り出して迷子になったりすることを防ぐ目的があります。

 誰しもがわかりそうな目的なのに、日本では「子どもをペットみたいに扱うのはどうなのか?」といったネガティブな意見が出てきます。

◆子どもの安全のためにハーネスを使うのは世界的な常識


 日本では、保育園児数人を大きな台車に乗せて公園に向かう光景を目にすると思います。フランスでは全員を1本のヒモにくっつけて公園へ歩いて行く風景が見られます。

「車道は危ない」と伝えても衝動に駆られて飛び出す子どもはいますし、手を握るのを嫌がる子どももいるでしょう。子どもの安全のためにハーネスを使うのは、世界各国で見かける、当たり前の風景なのですね。

 しかし、頭の悪い人は「言い聞かせれば、どんな子どもでも車道に飛び出さない」「手を握っていればおとなしくしている」と信じ、他人に主張してきます。当然のことながら子どもはそれぞれ性格が違いますし、何を言っても飛び出す子どもは飛び出します。

◆本当に優先すべきは、子どもの安全

 一人ならまだしも複数人の子どもを育てている親はどうすればいいのでしょうか。昭和の時代と違って地域で子育てをする時代でもないので、昼間一人で所用のために、外出しなければいけない親だっていると思います。

 赤ちゃんならオムツを替えなきゃいけないとき、もう一人の子どもから手を離さなければならない瞬間だってあるわけです。さらに、コンビニのレジ会計時、スーパーで買った帰り道、両手が塞がる瞬間はいくつもあります。

 そうした想像もできない、頭の悪い人が子どもから手や目を離すことに小言を言い、ハーネスに苦言を呈するのはいかが、かと。

◆頭の悪い人は責任を取ってはくれない

 頭の悪い人が頭の悪いことを言うのは、仕方ないと割り切るしかないと思っています。でも、「ハーネスをつけるな」という頭の悪い意見に従って、子どもが危険な目に遭うことは“仕方ない”では済みません。頭の悪い人は責任を取ってはくれませんし、後悔するのは自分とその子どもです。

 だから、僕が親なら同調圧力に負けることなく、間違った意見を説得することもなく、言わせたままにして無視します。

 本当に大切なことは、子どもの安全ですから。

【ひろゆき】

西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。『僕が親ならこう育てるね』という初の子育て論本が発売。著者印税は児童養護施設へのパソコン寄贈に充てられる


専門医に聞け! Q&A 誤りがちな運動と食欲の関係

元イェール大学助教授で現在は英語塾の代表を務めている斉藤淳氏の著書『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』(ダイヤモンド社)は、保護者世代の「家庭で英語をどう教えればいいのか」、「どうすれば英語力が伸びるのか」という悩みを解決してくれる1冊だ。

本稿では本書より一部を抜粋・編集して、子どもが英語を勉強するモチベーションを失ってしまう「親の何気ないひと言」をご紹介する。

「英語ができるだけの子」にはなってほしくない

「やはり英語漬けがいちばんなんですね?」

 こんな質問をときどき保護者の方からいただきます。たしかに、英語を「音」「かたまり」で摂取していくなら、英語を母語とする家族・教師・友人に囲まれながら、日常的に“英語のシャワー”を浴びるのがいちばんです。

 実際、これを小さなころから継続すれば、ある程度は英語が話せるようになるでしょう。

 ただ、ほとんどのお母さん・お父さんは、「英語ができるだけの子」になってほしいわけではないはずです。この世界をたくましく生きていくための一スキルとして、英語に可能性を感じていらっしゃるのだと思います。

「英語漬け」は子どものためになるのか?

 だとすると、英語のためだけに英語を学ぶ学習スタイルは、本当にお子さんのためになっているのでしょうか?

 子どもの時間は有限です。英語を学ばせる時間があれば、家族で旅行やキャンプに行けたかもしれませんし、おじいちゃんおばあちゃんに会えたかもしれません。友達と一生ものの思い出をつくれたかもしれませんし、大好きなスポーツや音楽に打ち込めたかもしれません。

 長期間にわたって主体的に学び続けるモティベーションは、むしろこうしたきっかけから生まれます。そんなチャンスを捨ててまで、「単なる語学の勉強」に時間を費やす価値があるのか、という視点はつねに必要です。

 第二言語習得(Second Language Acquisition、以下SLA)の研究からしても、「英語だけを学ぶこと」は次の2つの理由から推奨されません。

1)モティベーションが維持しづらい

2)学習効率が高まらない

学習し続けるにはモティベーション維持がカギ

 SLAの学術研究では、「外国語をマスターするためには学習の“継続”が不可欠だ」ということがわかっています。

 僕たちは通常、母語である日本語にさらされ続けていますから、いくら英語を勉強しても、すぐに「日本語の頭」に戻ってしまいます。本当に英語を身につけたければ、脳に対して継続的に英語の刺激を与え、自分なりに英語で何かを表現する作業を繰り返す必要があるのです。

 そして、一定期間にわたって学習を続けるためには、モティベーションの維持がカギになります。いかに動機づけを工夫するかも、言語習得の重要なファクターなのです。

子どものやる気を奪う「親の何気ないひと言」とは?

 モティベーションに関して気をつけていただきたいのが、何気ないひと言で、子どものやる気を削いでしまうことです。

 塾にやってくる子たちの能力には、当然のことながら差があります。しかし、その開きはみなさんが思うほど大きなものではありません。にもかかわらず、なぜグングンと伸びる子と途中で脱落してしまう子がいるのか?

 これは本人の自信によって説明できる部分が大きいと思います。

 自信がある子は、自分の英語力が伸びていくことに疑問を持っていません。彼らは「塾でこれだけ習っているのだから、僕が英語を話せるようになるのは当たり前だ!」とでも言いたげな顔をしています。

 一方、そうでない子の場合、保護者の言葉や態度に特徴があります。端的に言えば、子どもを褒めないのです。場合によっては、子どもの目の前で「この子、私に似て英語が苦手で……」とか「うちの子は、すぐサボる性格だからダメなんです」などと僕におっしゃる方もいます。

親のひと言が子どもの将来をつぶしかねない

 お母さんやお父さんの言葉にはものすごい力があります。こうしたひと言がどれほど子どもを傷つけているかを考えると、とても辛い気持ちになります。

「(そうか、僕はお母さんに似ているから、英語ができないのか……)」

「(たしかに私って、すぐにサボるダメな子だな……英語はあきらめよう)」

 一度こんなふうに子どもが思ってしまうと、それを取り戻すのには並大抵ではない労力と時間がかかります。

 英語は適切な方法で学ぶ努力を続ければ、どんな子でも身につきます。間違った知識に基づいた間違ったひと言で、子どもの将来をつぶすことは絶対にやめましょう。お子さんをどんどん褒めて、英語を使うことの楽しさを実感させてあげてください。

(本稿は『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』より一部を抜粋・編集したものです)

「お金持ちだからではない」頭のいい子が育つ家庭に共通する"幼児期のある習慣"

「頭のいい子」に育てるにはどうすればいいのか。幼児向け科学絵本『ロケットかがく for babies』の翻訳を手掛けた、NASAジェット推進研究所技術者の小野雅裕さんは「科学的に証明された最も効果的な教育法がある。ポイントは、子供に向けて話しかけられた『言葉の量』だ」という――。

子どもの頭の良さは「親の経済力」だけで決まるのか

1989年にネイチャー誌に掲載された、親の経済力と子どもの知能の関係を示した興味深い研究がある[1]。

38人の養子として育った子どもを次の4グループに分類し、16歳になった時点でIQを比較した。被験者に養子を選んだ理由は生まれと育ちの影響を分離して検証できるからだ。

① 低い社会的・経済的ステータス(SES)の家庭に生まれ、低SES家庭の養子になった子(n=10:nはサンプル数)

② 低SES家庭に生まれ、高SES家庭の養子になった子(n=10)

③ 高SES家庭に生まれ、低SES家庭の養子になった子(n=8)

④ 高SES家庭に生まれ、高SES家庭の養子になった子(n=10)

その結果が図表1だ。

④高SES家庭生まれ・高SES家庭育ちの子は、①低SES家庭生まれ・低SES家庭育ちの子に比べてIQが平均して27高い。IQは標準偏差が15になるように調整されているから、この二つのグループ間では実に標準偏差の2倍もの差があったのである。

残酷な現実と言う他ない。俗に言う「親ガチャ」は実在するのだ。

先天的要因と後天的要因がおよそ半々

この研究で注目すべきは②低SES家庭生まれ・高SES家庭育ちの子と③高SES家庭生まれ・低SES家庭育ちの子の結果だ。

両者はあまり差がなく、その平均IQはちょうど①と④の中間くらいである。

この研究からも「IQは先天的要因と後天的要因がおよそ半々」という結論が得られる。しかし、これは必ずしも悲観的な結果ではないかもしれない。

なぜなら半分は育て方次第で変えられるからだ。

では、どうして高収入家庭で育った子はI Qが高くなる傾向があるのだろうか? やはり、お金をかけた幼児英才教育の効果だろうか?

これについても朗報がある。家庭環境とIQの相関の少なくとも一部は間接的要因によるものらしい。そしてその中間要因は全くお金がかからないものだった。つまり、裕福でない家庭でも、その中間要因を改善すれば子供の知能にポジティブな影響を与えられる。

では、その中間要因とはなんだろうか。それを解明した研究を、次に紹介しよう。

家庭環境と子どもの知能の“意外な関係”

家庭環境と知能発達(とりわけ言語能力)の相関の原因を突き止めるため、カンザス州のBetty HartとTodd Risleyは非常に地道な研究を行った[2]。

彼らはまず、7カ月から9カ月の赤ちゃんがいる42の家庭に長期間に及ぶ研究への協力を取り付けた。そして赤ちゃんが3歳になるまでの2年半、毎月すべての家庭を訪れて親子の会話を1時間録音し、一言一句を文字に起こしていった。

サンプルには13の高SES家庭(大学教授など)、23の一般労働者家庭、および6の生活保護を受ける家庭が含まれていた。

社会的・経済的状況に関わらず、対象となったすべての家庭で子は愛されていた。実に1318時間にも及ぶ会話記録を統計的に分析した結果、予想外の事実が浮かび上がった。

高SES家庭と低SES家庭で最も顕著な差は、親が子に話しかける「量」だったのだ。

調査期間中、高SES家庭の親は1時間に平均して487語の発話をしたが、低SES家庭は平均して176語にとどまった。じつに3倍の差である。

その結果は如実に現れた。

子が3歳になった時点で、高SES家庭の子は平均して1時間に310語の発話をしたが、低SES家庭の子は約半分の168語に。語彙力を測ると、前者の子は1116語、後者はやはり約半分の525語であった。

子どもの知能に大きな影響を与える「三千万語の壁」

さらに研究者は子どもが小学3年生になった時点で追加の調査を行った。

すると3歳の時点での語彙力と、小学3年生の時点での言語能力テストのスコアの間に明確な相関(r=0.57-0.72)が見られたのである。

なぜ裕福な親のほうが赤ちゃんに話しかける量が圧倒的に多いかについては、この研究は答えていない。もしかしたらコミュニケーションに長けた人ほど高収入を得やすい、などの社会的背景もあるのかもしれない。

だが事実として、赤ちゃんが聞く言葉の量は家庭によって1時間に300語もの差がある。このデータから外挿すると、3歳までに三千万語もの差が生じることになる。HartとRisleyはこれを“30 million word gap”(三千万語の差)と呼んだ。

赤ちゃんがまだ喋れない頃から浴びる数千万語の言葉のシャワー。これこそが子どもの長期的な知能の発達に非常に重要なファクターだったのである。

逆に幼児のうちから塾に行かせ読み書きや数え方を詰め込むような、いわゆる「英才教育」が長期間にわたって有益であるという確たる証拠はない[3]。

つまり高いお金を払う英才教育だけが意味のある幼児教育ではないのだ。子どもと向き合い、たくさん話しかける。これだけで子どもの将来にポジティブな影響を与えられる。誰にでもできるし、1円もかからない。

テレビやYouTubeは親の代わりにはなれない

そうはいっても現代の親は忙しいから、四六時中赤ちゃんに話しかけることなんてできないだろう。

もし単純に「言葉のシャワー」が重要なら、子どもにテレビやYouTubeを見せておけばいい。あるいは、赤ちゃんの横でZoomミーティングをして会話を聞かせていればいいと思うだろう。

しかし残念ながら、子どもの脳はそう便利にはできていないようだ。

ある時期、聴覚障害者の親はテレビをつけっぱなしにすることが推奨されていた。しかしその後の研究で、それは子どもの言語能力の発達に寄与していないことが分かった[4]。

また別の研究では、教育番組の「セサミ・ストリート」を18カ月以下の赤ちゃんに見せたところ知能発達にネガティブであることが示唆された[5]。番組が有害なのではなく、親が赤ちゃんに話しかける機会が減ったというのが一つの解釈である。

一方で、話しかける人は親ではなくてもいいようだ。保母さんや保育士でも同様の効果がある。

大事なのは、赤ちゃんの耳に入る言葉の量ではなく、生身の人間が赤ちゃんに向けて話しかけられる言葉の量なのである。

僕も忙しい時はテレビやゲームに子守りを任せてしまうことがあるが、それでは親子の会話が減るのみだ。子どもと一緒に会話をしながらテレビを見たりゲームで遊んだりすればいいのかもしれない。

ちなみにテレビやゲームが子どもの発育にどう影響するかは、多くの親が気にするところだろう。これについてもさまざまな面にスポットライトを当てた数限りない研究があるが、結果はまちまちだ。

ポジティブな効果もネガティブな効果も多数報告されている。要は一概に益か害かと言えるものではなく「良い面もあれば悪い面もある」のだろう。

「最強の幼児教育教材」は絵本の読み聞かせ

一方、ほぼあらゆる研究で知能発達にポジティブな効果が立証されている「教材」がある。それはゲームよりもはるかに安く、場所を選ばず、誰にでも手に入る。絵本である。

例えばこんな研究結果がある。41組の2歳児と母親に対し、読み聞かせを始めた年齢、読み聞かせの頻度、1週間あたり読む冊数、図書館を訪れる頻度などを調査し、子供の言語能力をRevised Reynell Development Language Scaleと呼ばれる指標で測定した。

その結果、読み聞かせを始めた年齢が子どもの言語能力ともっとも強く相関していることが分かった[6]。さらにその効果は小学校に行く年齢まで持続することも示唆された[7]。

読み聞かせの効果をさらに高める方法もある。子どもに質問をしながら読むのだ。Yes, noや指さしで答えられる質問ではなく、子どもが言葉を使って答えなければいけない問いが良い。

たとえば「この自動車は何色?」「ウサギさんはこれからどうすると思う?」といった質問だ。このように会話しながら読み聞かせを行うことをdialogic reading(対話的読み聞かせ)と呼ぶ。

Dialogic readingの効果を測るため、次のような実験が行われた。

21カ月から35カ月の子供がいる29組の親子を2つのグループに分け、1グループは母親が普段やってきた通りの絵本の読み聞かせを、もう1グループにはdialogic readingを、4週間にわたって実践してもらった。

すると、ITPAと呼ばれる指標で測定された言語能力年齢に8.5カ月分もの差が出たのである[8]。

わが子にたくさん話しかけてみよう

もちろん、このような研究が子どもの知能発達の秘密をすべて解き明かしたわけではない。分からないことはまだたくさんあるし、科学的に立証されていない子育て法を使ってはいけないわけでもない。もちろんお金をかけた英才教育もやり方次第では有益だろう。

だが、確かな科学的根拠があり、誰にでもお金をかけずに実践できる教育法があるのだから、それを用いない手はないと思うのだ。

まずは子守り中にテレビをみたり携帯をいじったりする時間を減らし、子どもにたくさん話しかけることから始めてはどうだろうか。

そして寝る前にベッドで何冊かの絵本を一緒に読む習慣をつけてみよう。あなたのお子さんと一緒に心から楽しめる絵本に出会えたら、きっとそれは何ものにも替えがたい財産になる。

参考文献

[1] Capron, Christiane, and Michel Duyme. "Assessment of effects of socio-economic status on IQ in a full cross-fostering study." Nature 340.6234 (1989): 552-554.

[2] Hart, Betty, and Todd R. Risley. "The early catastrophe: The 30 million word gap by age 3." American educator 27.1 (2003): 4-9. (僕は読んでいないが、彼らはこの研究について本も出版しており、そちらの方が多く引用されている:Hart, Betty, and Todd R. Risley. Meaningful differences in the everyday experience of young American children. Paul H Brookes Publishing, 1995.)

[3] Rescorla, Leslie, Marion C. Hyson, and Kathy Hirsh-Pasek. Academic instruction in early childhood. Jossey-Bass, 1991.

[4] Pinker, Steven. The language instinct: The new science of language and mind. Vol. 7529. Penguin UK, 1995.

[5] Mares, Marie-Louise, and Zhongdang Pan. "Effects of Sesame Street: A meta-analysis of children's learning in 15 countries." Journal of Applied Developmental Psychology 34.3 (2013): 140-151.

[6] Debaryshe, Barbara D. "Joint picture-book reading correlates of early oral language skill." Journal of child language 20.2 (1993): 455-461.

[7] Eliot, Lise. What's going on in there?: how the brain and mind develop in the first five years of life. Bantam, 2000. Chapter 14, pp390 本項で紹介した研究の多くはこの本を通して知った。教育本ではなく、胎児の頃からの脳と心の発達についての一般向け科学書である。子育てについては本書の14章から17章までが特に参考になる。英語が読める方は読んでみてほしい。

[8] Whitehurst, Grover J., et al. "Accelerating language development through picture book reading." Developmental psychology 24.4 (1988): 552.

---------- 小野 雅裕(おの・まさひろ) NASAジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)技術者 1982年大阪府生まれ。2005年東京大学工学部航空宇宙工学科卒業。2012年マサチューセッツ工科大学(MIT)航空宇宙工学科博士課程および同技術政策プログラム修士課程修了。2012年より慶應義塾大学理工学部助教。2013年より現職。火星ローバー・パーサヴィアランスの自動運転ソフトウエアの開発や地上管制に携わるほか、将来の宇宙探査機の自律化に向けたさまざまな研究を行っている。阪神ファン。好物はたくあん。著書に『宇宙を目指して海を渡る』(東洋経済新報社)、翻訳に『ロケットかがく for babies』(サンマーク出版)などがある。 -

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子どもの「自己肯定感」が6歳までの育て方次第で決まる訳

「家事や仕事が忙しくて、育児に余裕がない」「遠方に住む両親を気づかいたいけど、全然連絡もできていない」。このように、家族に対して責任を感じる人もいるでしょう。「これは自己肯定感の低い人が陥りがちな罠です」と話すのは心理カウンセラーの山根洋士さん。自己肯定感の低さと家族の関係について、話を聞きました。

家族に責任を負いすぎる人に必要な「口グセ」がある

「“もっと頑張らないと”、“変わらないとダメ”と、今の自分を否定する。自己肯定感が低い人にありがちな考えです。だから、家族に対してもっと何かできるはずなのに、何もできていないと思い込んでしまう。本当は十分にやっていても、自分の行動に自信をもてないのです」

たくさんの責任を感じて押しつぶされそうになっている人は、それらに優先順位がつけられない状態になっています。やらなきゃいけないことがいっぱいで、どれから先に手をつければいいかわからないため、苦しくなるそうです。

「家族に対して苦しい想いを抱いているなら、できない自分を許してあげましょう。そこでおすすめしたい心のエクササイズが、『全肯定セルフツッコミ』 です」

「もっと頑張らなきゃいけないのに…、私ってダメだな」と思ったら、すぐに「そうとも、言いきれない!」と、ツッコミを入れてみることを山根さんは勧めます。

これを繰り返せば、つらい気持ちが次第に消えていき、落ち込んだ心を和らげる効果があります。そして、自分を否定するクセもなくなっていきます。

親がほめ下手だと自己肯定感の低い子どもに育ってしまうかも

自分が自己肯定感の低さで生きづらさを感じているなら、自分の子どもには同じ思いをしてほしくはないですよね。

「親の自己肯定感の低さは、子どもの自己肯定感にも影響を及ぼします。なぜなら、親自身が『これができなければ、自分はダメだ』と思っている。子どもに対しても何かできたときだけほめるクセがつく。そうやって、子どもにも同じような考え方を植えつけてしまうからです」

 どんな小さなことでも幼少期の体験は、ずっと心に残り続けます。自己肯定感が低い人のなかには、「“親が望む”自分でなければいけない」と考えて、そうでない自分をダメだと思い込む人もいます。それは、「親からこうしたらほめられた、認められた」記憶が潜在意識に深く刻み込まれているため。 

自分の子どもにおいても同じです。何かできたときにだけ褒めていると、子どもは「こうでなきゃいけない」という鎖で縛りつけられます。

「自己肯定感が低いと、評価されていない気がしたり、褒められても素直に受け取れなかったり、リーダーに選ばれても断わったりします。それは、特に親との関係性に原因があると言われており、かなり根深い問題なのです」

子どもが「6歳」になるまでに親が伝えていきたいフレーズと考え

「つい後ろ向きな考えになってしまうような心のクセ、『メンタルノイズ』は6歳までに作られ、自己肯定感を低くする原因になります」

親に反抗すると生きていけない無力な年代の子どもほど、「親から気に入られないと生きていけない」と、遺伝子レベルで設定されています。だから、6歳までの子どもは親の教えを疑いもなく取り入れたり、そこから勝手な思い込みをしたりして、メンタルノイズが作られてしまうのです。

また、6歳よりも小さい子どもは会話力が不十分です。受け取った情報に対して言語で反論することができないため、そこでもメンタルノイズが作られます。

そこで、自分の子どもの自己肯定感を下げないためには、日常的に「好きだよ」「愛しているよ」と言って、その子の存在を肯定する言葉を降り注ぎましょう。また、山根さんは「子どもの『挑戦する機会』も大切にしてほしい」と言います。

「ここ20年間、少子化により、親が子どもに過度に手をかける傾向にあります。しかし、それは子どもの『自分でやろう』とするチャンスを奪い、自分は何もできない人間だと思いこませ、自己肯定感を下げているのです」

子どもが何かやりたいと言ったら、ある程度のリスクコントロールをしながらチャレンジする機会を与えて、難しければ代替案を持ちかけるのもひとつの手。愛情と信頼を持って子どもと接し、無条件にほめて、トライする機会を与えましょう。

 家族のことで思いつめてしまったときは、心のエクササイズで余裕をもちましょう。また、自己肯定感は子育てにおいても大切なテーマです。子どもをのびのびと育てるには、たくさんの愛情を口にして、「あなたはそのままでいいんだよ」と伝えてあげましょう。

PROFILE 山根洋士さん

一般社団法人メンタルノイズ心理学協会チェアマン(会長)/心理カウンセラー。8000人以上の悩みを解決。心理学だけではなく、経営者やスポーツ選手などへの取材経験、AIやロボット工学、脳科学などを取り入れたメンタルノイズメソッドを開発。Twitter(@yamane_hiroshi)をはじめ、YouTube「メンタルノイズ心理学 山根洋士【公式】」 でも自己肯定感などの情報を発信している。

文/廣瀬茉理 

日本の乳幼児はひどい睡眠不足と判明! 夜9時までに寝る子は5割以下…体内時計は2歳までに完成

 子どもの寝かしつけに悩む家庭は多い。我が家も2歳2か月になる息子の就寝時には非常に苦戦している。目標としては、夜9時までには寝かせたいが、1歳半頃から就寝時間がだんだん遅くなり、最近では平均して10時頃になってしまった。8時までに風呂に入って寝る体勢を整えても、ベッドの上にまでおもちゃを持ってきて遊んだりとびはねたり歌を歌ったり…親が寝たふりをしても粘り強く話しかけてきて遊ぼうとし、体力にビックリしている。

 平日は保育園で2時間半の昼寝をするが、朝起きる時間は、親が起こさなければ朝8時を超えても寝ている。休日には、2歳少し前ぐらいから昼寝をしなくなった。そんな日はそのまま早めに夕飯を食べて寝られればいいが、夕飯を食べる前の夕方6時頃に寝てしまい、夜遅くにもう1度起きることもある。すでに生活リズムは狂っているように思う。こんなに寝る時間が遅くなってしまった原因として、外遊びの時間が十分にとれなかったことも関係あるのかもしれない、と思う。1歳から保育園に通い始め、ひんぱんに発熱や病気をした。新型コロナウイルス流行もあり、完全に治るまでは外へは行かず家の中で過ごした。結果、外遊びの時間が減り体力が余ったため夜眠れなくなったのかもしれない。

 そんな我が家の状態を真剣に改めようという気持ちになるデータが舞い込んだ。江崎グリコ株式会社が0歳から2歳までの子を持つ親800人にアンケートを行い、家庭における睡眠に関する課題を調査した結果、日本の乳幼児はひどい睡眠不足であることが、このほど発表された。ニュージーランドや英国の赤ちゃんの1日の総睡眠時間は13時間を超えるのに比べ、日本は11時間というデータもあり、海外と比べ「著しく睡眠不足」だと言われている。

 今回の調査によると、7割近くの親が夜9時までに子どもを寝かせることを理想と認識している一方、実際に9時までに寝かせることができているのは5割以下と低迷。また、9時以降に就寝している子どもは、朝7時以降に起床してしまっている割合が高く、「遅寝、遅起き」の睡眠リズムになりがちであることも判明した。

 睡眠時間が少ない理由としては、就寝時刻の遅さと昼寝の短さが考えられるという。「子どもが眠りにつく時間が、日によってバラバラである」「子どもが夜中に目を覚ますことがある」という家庭は4割近く、夜9時以降に就寝する子どもの親は夜9時以前に就寝する子どもの親よりも、就寝時刻のバラつきを顕著に感じていることもわかった。しかし、子どもの睡眠について問題意識を感じている親は約2割と少ない。

 今回の調査の監修者でもある熊本大名誉教授で小児科医の三池輝久氏は睡眠の重要性について「ヒトの体内時計は2歳までにほぼ完成する。2歳までに夜9時前に寝る習慣を」と呼びかける。乳幼児の睡眠は夜間の9~11時間と昼寝で構成されており、成長するにつれ昼寝の時間は短くなるが、夜間に必要な睡眠時間は変わらない。将来の学校・社会生活にむけて朝7時までに起きる習慣をつけることが重要だが、平均10時間の睡眠を確保することを考えると、遅くとも夜9時までに就寝することが理想となる。乳幼児の心と体がバランスよく健康に育つための眠りには3つの条件があるとわかっているといい、三池氏によると「1つ目が夜間基本睡眠時間として9~11時間(平均10時間)の持続した睡眠であること。2つ目が夜間睡眠は夜7時から朝7時までの間に取ること。3つ目が、毎日の入眠・起床時刻がそれぞれ前後30分以上ばらつかないこと」だという。

 睡眠リズムを整えるために、具体的に何をしたらいいのか。三池氏は「2週間、寝た時間と起きた時間、昼寝時間、夜間覚醒や夜間授乳の有無を記録し、現状を確認してみることをおすすめします。そして、遅くとも夜9時までに寝られるように生活リズムを見直してみてください」とアドバイスを送った。

 また、夜7時より前に寝る習慣がある場合は「その後の睡眠リズムにもよりますが、持続して眠れるようでしたら問題ありません。もし、早すぎる起床から二度寝が増えたり、遅めの夕寝と区別できなかったりするようなときは、少し後ろにずらした方がいいでしょう」とした。

育休の延長手続きってどうやるの?ギリギリでも申請できる?

育休は、「1歳に満たない子を養育する男女労働者」に与えられている権利で、通常は期間が決められていますが、条件を満たした場合は育休の延長手続きを行う事が出来ます。しかし、育休の延長手続きには、様々な決まりがあり、しっかりと理解しておく事が大切です。ここでは、育休の延長手続きについて詳しく解説します。

育休の延長手続きで利用できる制度とは?

それでは早速、育休の延長手続きで利用できる制度について見ていきましょう。育休の延長手続きを行うと、期間を延長できるだけではなく、育休手当なども受け取る事が可能です。

育休は最長2年まで延長する事が出来る

育休の延長手続きを行うと、最長で2年まで延長する事が出来ますが、これは「特別な事情があった場合」のみです。
また、育休の延長手続きは、「パパ・ママ育休プラス制度」と「特別な事情があった場合」に適用されます。

「パパ・ママ育休プラス制度」は、以下の条件を満たしている場合に、利用できる制度です。

配偶者が子どもの1歳到達日以前に育休している。

本人の育休開始予定日が子どもの1歳到達日以前である。

本人の育休開始日が配偶者の育休期間の初日以後である。

こちらの制度は、親1人につき1年間までの育休期間となっています。
一方、「特別な事情があった場合」は、保育園に入所できない、配偶者の病気などが当てはまり、こちらは1年6カ月あるいは最長2年まで育休を延長できるという制度になります。

育休手当の受給期間も延長する事が可能

育休中はハローワークに申請を行う事で、育休手当を受け取る事が出来ます。そのため、育休の延長手続きを行う事で育休手当の延長も可能となるのです。
しかし、育休延長時には、改めて育休手当の申請を行う必要があり、育休延長と共に自動的に延長されるものではないので、注意しましょう。

育休延長申請が認められなかったケースとは?

育休の延長手続きでは、申請すれば全て認められるわけではなく、認められなかったケースもあります。育休延長が認められなかったケースとしては、次のようなものが挙げられます。

保育所に空きがなかったため、入所を申し込んでいなかった事から、受給期間延長が認められなかった。

子どもが1歳に達するまでの間に、保育所の入所申し込みを行ったが、入所希望の日付を子どもが1歳に達した後の日付としたため、受給期間延長が認められなかった。

子どもが1歳に達するまでの間に、保育所の入所申し込みを行ったが、すでに子どもが1歳に達する前の時点で、入所申し込みの締め切りが過ぎてしまっていた。

育休の延長手続きでおさえておきたい注意点

次に、育休の延長手続きを行う上で、おさえておきたい注意点をご紹介します。育休の延長手続きでは、子どもの年齢が重要になります。
そのため、子どもの年齢に関わる部分に関しては、手続きを行う際に注意が必要です。

早生まれの場合は育休延長手続きの際に注意

子どもが早生まれの場合は、手続きに注意しましょう。
例えば、3月生まれの子どもがいる場合、育休の延長手続きをする際は、3月の入園で保育所の申し込みを行い、不承諾通知を受け取る事が必要なのです。
また、早生まれで最初から1年以上の育休を取得する場合も、子どもが1歳になる時に再び育休の延長手続きを行う事になります。

育休の延長手続きの際は、育休手当の延長申請も必要

育休手当は、自動的に延長にはならないので、その都度改めて申請が必要になります。育休手当の延長申請には以下のものをそろえましょう。

育児休業給付金支給申請書

入園の申し込み書

保育園の入園不承諾通知書

延長自由に該当する事を確認できる書類

母子健康手帳

住民票

しかし、これらの全ての書類が必要なわけではなく、育休を延長する理由によって書類が異なるので、事前に会社に確認するようにしてくださいね。

育休の延長手続きの際に、社会保険料免除の手続きも必要

育休中は、社会保険料が免除になりますが、免除するためには申請書を提出する必要があります。
社会保険料の免除は、育休の延長手続きを行えば自動的になるわけではないので、忘れずに申請するようにしましょう。申請の方法は、会社に申請書を提出して、事業主より年金事務所に提出されます。

育休の延長手続き期限と申請方法とは?

最後に、育休の延長手続きの期限と申請方法についてお伝えします。育休の延長手続きには、延長する年齢によって申請期限が異なります。期限を過ぎてしまうと、育休の延長手続きが出来なくなってしまうので、覚えておくようにしましょう。

育休を1歳6カ月まで延長したい場合

育休を1歳6カ月まで延長したい場合は、1歳の誕生日の2週間前までに育休の延長手続きをする必要があります。
子どもが1歳を迎える時点で、保育園に預けることが出来ずに待機児童になると、1歳6カ月まで育休を延長する事が出来ます。

2歳まで育休を延長したい場合

2歳まで育休を延長したい場合は、1歳6カ月になる日の2週間前までに、育休の延長手続きを行わなければなりません。
1歳6カ月の時点で、保育園に入れない場合や養育が困難な場合は、2歳まで延長する事が出来ます。期限までに延長手続きを行えば、希望通り育休を延長する事が出来ますが、1歳6カ月まで延長した事で安心してしまい、2歳までの延長手続きを忘れてしまう人がたまにいるので、気をつけましょう。

育休の延長手続き方法や必要な書類

育休の延長手続きは、基本的には勤務先が行ってくれます。勤務先に育休を延長したい意向を伝えて、送られてきた書類を提出すれば完了です。勤務先への育休延長の申し出は、延長開始の2週間前までに行ってください。

また、勤務先から送られてくる書類の他に、育休の延長手続きには、「育児休業延長申請書」の提出が必要になります。さらに、特別な事情で延長する場合は、延長理由を証明するための書類(医師の診断書など)が必要になるので、覚えておきましょう。

おわりに

育休を延長したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。ご了承ください。

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1位は王道!最新版「子どもに習わせてよかった習い事」最新ランキング

子どもの才能を伸ばしたり、成長を促したりする習い事。スポーツ系、芸術系、学習系など、実にさまざまな種類がありますが、2022年のいま、どんなものが人気なのでしょうか。

『kufura』では、5歳~12歳のお子さんがいる女性127人を対象に、“子どもに習わせてよかった習い事”をテーマにアンケート調査を実施しました。お母さんたちのリアルな声を早速チェックしていきましょう!

第5位:体操・・・8票
「体操。チャレンジする力がついたし、体力や忍耐力がついた。親や教師以外の大人と触れ合えるチャンスが出来た」(40歳/主婦/子ども8歳・10歳)

「体操教室。逆立ちや鉄棒ができるようになって楽しそうだから」(47歳/主婦/子ども8歳)

マット運動のほか、さまざまな器械体操の技術を身につけられる体操教室。逆立ちや鉄棒が得意だと、学校の体育の授業でも自信がもてそうですよね。

第4位:習字・・・12票
「習字。本人が希望して始めたが、思いのほか続いているし字がきれいになり、友達からも褒められたりしてすごく嬉しそうだから」(41歳/主婦/子ども12歳)

「お習字。進級や昇段をして楽しく通い、学校でのお習字の授業も、書き初めの宿題も苦戦しない。硬筆もやっているので、字もキレイになる」(52歳/主婦/子ども12歳)

筆者もそうですが、大人になってから悪筆、クセ字を直そうとしてもなかなかうまくいきません。まさしく美文字は一生もののスキル!

習字は他の習い事とくらべて費用もかかりにくいですし、かなりコスパがいいといえるかもしれません。

第3位:英語、英会話・・・14票
「英語。今は小学生から英語の授業があるらしいから」(34歳/主婦/子ども7歳)

「英会話。外国の方との会話を楽しめるようになってきたから」(41歳/主婦/子ども9歳・12歳)

「英会話。楽しく外国の言葉に触れてほしかったので、遊びながら覚えられる教室に入れている」(47歳/主婦/子ども9歳)

上記のコメント以外に、英語を習わせたお母さんからは、「発音がよくなった」「聞く力がついた」との声が複数寄せられています。楽しく学ぶうちに、ネイティブのように流暢に話せたり、英語特有の発音やリズムを聞き取れたりできるようになれば素晴らしいですよね。

第2位:ピアノ・・・18票
「ピアノ。一生懸命練習すると成果が見えやすいから」(35歳/主婦/子ども5歳)

「ピアノ。両手で弾くことや、楽譜を読む、リズムに乗るなど、頭を働かせる能力が身に付くから」(39歳/主婦/子ども7歳・9歳)

「ピアノ。何より楽しんで出来ること。ピアノだけでなく歌うことも好きになったこと。リズム感がよくなったこと」(46歳/その他/子ども10歳)

「ピアノ。集中力がついた。自分でどうにかしようとする癖がついた」(41歳/主婦/子ども9歳)

ピアノは音感を磨いたり、脳によい刺激を与えたりなど、さまざまな効果が期待されています。また、毎日コツコツ練習する習慣は、ピアノ以外の分野にもきっと生かされることでしょう。

第1位:水泳・・・38票
「水泳。小学校に入ってから本格的に水泳の授業が始まったときに、何の躊躇もなく取り組むことができ、成績も良かったので、スクールに通って良かったです」(35歳/主婦/子ども8歳)

「スイミング。身体作りにはとても効果的だった。天候の影響がないので、良い」(39歳/その他/子ども10歳)

「水泳。学校でもあるし1人で頭が洗えるようになった」(42歳/主婦/子ども6歳・10歳)

「水泳。コロナで小学校の授業で扱わない年が続いたから」(38歳/主婦/子ども8歳)

『kufura』が過去に実施した習い事アンケートで常にトップに君臨し続ける水泳。全身運動で体力をつけるのにもってこいですし、また、細かく進級分けがされているスクールが多いので、目標に向かって努力する姿勢も身につけられそうです。

その他、こんな習い事もよかった!
「野球。礼儀や人とのコミュニケーションが取れて本人のストレス発散にもなってると実感した」(32歳/コンピュータ関連以外の技術職/子ども12歳)

「空手。あいさつ、姿勢をおしえてもらえている。帯わけされているためやる気につながり楽しんでいる」(35歳/主婦/子ども6歳・8歳)

「ミニバスケットボール。体力がついて、それまで毎年恒例かかっていた、インフルエンザにならなくなった。もちろん風邪も引かなくなった」(45歳/その他/子ども7歳・9歳)

「そろばん。計算が得意になった」(44歳/その他/子ども10歳)

「工作教室。モノを作る楽しさを教えてくれる。いろんな興味のたねを蒔いてくれる」(41歳/その他/子ども11歳)

「ドラム。音楽を楽しむことで、人生の楽しみがもう一つ増えたから」(45歳/総務・人事・事務/子ども8歳)

運動系の習い事に関しては、コミュニケーション能力や協調性を育むという声も聞かれました。また、芸術系、学習系は、実技が身につくのもさることながら、子どもの知的好奇心や感性に刺激を与えるという点でもメリットが大きいといえそうです。

以上、最新の“子どもに習わせてよかった習い事”ランキングをご紹介しましたがいかがでしたか? 習い事は子どもが楽しく通い続けるのが一番ですが、実際に通ってみないと子どもに合っているかどうかわからない面もあります。

今回のアンケート結果をご参考にしつつ、体験教室にも参加するなどして、お子さんにとってベストな習い事をじっくり検討してみてくださいね

親の「情報格差」が子の「経済格差」を生む!

親の視野の広さが、子どもの将来を左右する

学力とは人間の能力のごくごく一部に過ぎないですし、勉強は人生をよりよく生きるための手段に過ぎないのですから、親は学校とはまた違った発想・視点で子どもに接していく必要があります。

ITの発達により様々な選択肢が生まれ、学びの場は多様化しています。

学校で学ぶ5教科以外にも学べる領域はたくさんあるし、学校以外にもコミュニティがあります。世界にはいろんな人がいて、いろんな生き方があります。このような視点は、朝から晩まで机にかじりついていては持てないものです。

「学校の外には、学校以外の大きな世界が広がっている」ことを教えてあげられるのは親しかいません。教育改革は親自身が考え、提供する必要性が高まっているように感じます。

ITによって多様化する学びの場

現代は学校に行かなくても、大学の修了証なんてなくても、学びたい人には最高の環境が整っています。たとえば昨今、MOOC(Massive Open Online Course※、大規模無料オンライン授業)が拡大しています。

※「無料オンライン学校」「無料オンライン大学」「オンライン教育サイト」などと訳されています。

アメリカの大学を中心に、無料のオンライン講義が公開されており、それに東大などが参加を決めたことで日本でも広く知られるようになりました。

大学の講義が聴講できる有名どころには、たとえばMIT(マサチューセッツ工科大学)が公開している「MIT Open Course Ware」、プリンストン大学とスタンフォード大学が協力して立ち上げた「Coursera」、アップルのiTunesを使った「iTunes U」などがあります。

ほかにも、中高生に向けた「Khan Academy」、個人が作ったコースも受講できる「Udemy」、Googleの現役プログラマからプログラミングを教わることができる「Udacity」、無料でプログラミングを学べる「Codecademy」などもあります。

また話題になっているのは、入試合格率1.7%という全米最難関といわれるミネルバ大学及びミネルバ大学院です。キャンパスを持たず、オンライン授業のほかは世界各地で探求的・実践的・協創的な教育を行っています。

世の中は学校だけではなく、知らない世界がまだまだたくさんあって、それを知ることに興味が持てれば、子どもが学校だけの中で閉じこもることはないし、勉強にしてもかえってやる気が出るのではないでしょうか。

親は未来を想像し、わが子の学習指導要領を作る

子どものお受験に関するブログなどを読んでいると、「とにかく有名大学に進学させること」が目的になっている人は少なくないようです。

また、子どもは子どもで周りの友達に影響を受けますから、「皆が受験する」「仲良しの友達が受験する」と聞けば、「自分も受験したい」と思うようになるかもしれません。

学校の先生も基本的に進学重視でしょうから、成績に応じた進学先を推薦するでしょう。

もちろん、子ども自身が明確な将来像に基づいて選んだ進路であればよいのですが、周囲からの同調や圧力、学校の先生が推薦したからそう希望したという場合、親も同意してよいものかどうか。

親自身が狭い世界しか知らないと、「この学校にしなさい」「このコースはダメ」となってしまいます。

しかし、多様な活躍の仕方があるということを知れば、それを子に伝えられ、子の選択にも幅が出るでしょう。

親の価値観は子に伝わります。一族や周囲にちょっと変わった起業家がいれば、それだけで影響がありますが、そういう情報を知らない家庭では、使われる人が再生産されるかもしれません。

そのため、親は成功へのルート、幸福へのルートがたくさんあることに気づき、30年後、40年後にも使える思考体系と行動体系とは何かを考えなければならないのです。

親が様々な選択肢や生き方を「知る」ことで、子どもの可能性は広がる

大人でも知らなければ目指すことはできません。しかし、「こんな教育もある」「こんな職業もある」「こんな稼ぎ方もある」「こんな生き方もある」と知ることができれば、目指すことができます。

親自身が教育ポリシーを持っていなければ周りに流されるし、世界の情報や状況を知らなければ、進路に対する助言も「自分が知っている世界の範囲内」に限定されます。

そして、個別の学校の教育、海外での教育を知れば知るほど、子どもの教育・経済格差の大きな原因の1つは「親の情報格差」ではないかと思えてきます。

学校の先生はどうしても国内進学の方が詳しいし、同級生も世界レベルの情報までは持っていないでしょう。

だから親自身がたくさんの経験をして、家と学校の外側には広大な世界が広がっていて、いろんな職業や生き方があっていいんだ、ということを知る必要があると私は考えています。

【参考】「1億稼ぐ子どもの育て方」(著:午堂 登紀雄/主婦の友社刊)

文:午堂 登紀雄(マネーガイド)

「熱」が出ても元気そうな子とぐったりしてしまう子、違いは? 親の注意点も解説

 子どもが「熱」を出した場合、ぐったりした表情を見せることが多いようですが、中には、かえって元気そうに見える子もいるようです。子どもが一見元気な場合、親は子どもが健康だと勘違いして発熱を見逃してしまう可能性もあり、「あまりに元気過ぎて様子がおかしいので、熱を測ったら、高熱を出していた」というケースもあります。

【表】元気そうに見えても…子どもの発熱に素早く気付くためのポイント

 熱が出ても活発な子とぐったりする子は、何が違うのでしょうか。また、子どもの発熱のサインを見逃さないために、親はどのような点に気を付けるべきなのでしょうか。たけつな小児科クリニック(奈良県生駒市)の竹綱庸仁(たけつな・のぶひと)院長に聞きました。

年齢や菌・ウイルスの違いが要因

Q.子どもが熱を出した場合、ぐったりした表情を見せる子もいれば、かえって元気そうに見える子もいます。熱が出るとぐったりする子と活発になる子は、何が違うのでしょうか。

竹綱さん「発熱時にぐったりしていて元気がない子どもと、元気そうに見える子どもの差については、幾つかの要因があると考えられます。

1つ目は、発熱している子どもの年齢です。『子どもは熱に強い』と言われており、仮に40度の発熱があったとしても、元気な子どもはよくいます。小児科では、37度5分以上ある場合は発熱と判断しますが、大人は誰でも経験しているように、37度を少し超えただけで気だるくなることも少なくありません。年齢が低いほど、熱に対する抵抗力が強く、比較的元気な場合が多いです。

2つ目は、感染する菌やウイルスの種類です。発熱を起こす原因菌は大きく分けて、細菌とウイルスの2つに分類されます。溶連菌や肺炎球菌を代表とする細菌は喉や肺など一部の臓器に感染し、仮に発熱したとしても、喉の痛みやせきなどの風邪症状を合併するのみで、比較的、子どもが元気な場合が多いです。一方、インフルエンザやノロウイルスを代表とするウイルスは感染すると血液を介して、多くの臓器に負担がかかるため、37度後半の微熱であったとしても、元気がなくなってしまう場合も多くみられます。

3つ目は、発熱時に十分な水分摂取が可能かどうかです。子どもは熱よりも脱水に非常に弱く、水分が取れなければ、微熱でもぐったりする場合はよくあります。中には喉が痛くなり、水が飲み込めないという子どももいますが、水分が取れなくなるケースの多くは、ノロウイルスやロタウイルスによる胃腸炎にかかり、嘔吐(おうと)や下痢を繰り返す場合です。水分が十分に摂取できなくなると、微熱の場合はもちろん、平熱でもぐったりするケースが多く見られます。

体の状態とは無関係な要因ですが、4つ目を挙げると、子どもの看病のために家族が家にいることです。保育園や幼稚園に通う子どもが発熱した場合、園を休んで、家族と一緒に過ごす時間が増えます。その場合、『家族と一緒に過ごせる』という安心感から、高い熱が出ていたとしても元気そうに見える子どももいます」

Q.発熱時に子どもが元気そうだった場合、親は子どもが健康だと勘違いをして、発熱のサインを見逃すと思います。そうならないためにも、子どもが発熱前に出すサインや、親が子どもの言動で気を付けるべき点について教えてください。

竹綱さん「子どもは突発的に発熱する場合も多く、発熱前のサインを見抜くことは困難です。ただし、せきや鼻水、下痢などの症状があった場合、数日後に熱が出ることもあり、少なくとも風邪の症状が出ているときは、発熱も視野に入れておく必要があると思います。

なお、非接触型の体温計や鼓膜で測定する体温計は測り方によって、本来よりも体温が低く出ることもあり、注意が必要です。では、どのように発熱があるか見極めるかというと、触ったときに熱く感じるかどうかです。特に、おなかに手を当てて、おなかの芯からじわっと熱が伝わってくる場合、平熱であっても、その後に発熱するケースが多くみられます。

子どもの言動について、『普段よりも元気がない』『普段よりも食欲がない』といった場合は、後に発熱することもあるので、注意してください。また、胃腸炎や溶連菌に感染した場合、感染者の約3割が発熱前に頭痛が認められるため、突然、頭痛を訴えた後、発熱する場合も多く、元気のあるときの頭痛に関しても注意が必要です」

Q.子どもが38度5分以上の熱を出したときは、すぐに解熱鎮痛剤を使うべきなのでしょうか。それとも、少し様子を見た方がよいのでしょうか。

竹綱さん「先述のように、子どもは比較的熱に強いため、仮に39度を超えた熱があったとしても元気な場合があります。熱は、ウイルスや細菌を体の中から排除しようとする免疫機能の一種なので、感染中の体にとっては必要なものといえます。従って、仮に38度5分を超えた場合でも、子どもが比較的元気であれば、すぐに解熱剤を使用する必要はありません。

ただし、仮に37度後半の熱であったとしても、水分がしっかり取れていないときや元気がない、ぐったりしているなど、普段とは異なる状態の場合、迷わず、解熱剤を使用すべきです。中には『38度を超えたら、すぐに解熱剤を使用する』といった認識で解熱剤を使う人、『解熱剤を使用すると、感染からの回復が遅れる』と考えて使用を避ける人もいますが、それらは誤りです。解熱剤は子どもの全身の状態を見ながら使用してください。

また、解熱剤は同時に鎮痛効果もあります。多くの場合、発熱時の解熱剤として使用するため、『発熱がないと、鎮痛剤として使用できない』と誤解する人もいますが、大人が頭痛時に飲む場合と同様、子どもが頭痛や関節痛、腹痛、喉の痛みを訴えた場合、たとえ熱がなくとも、解熱剤を鎮痛剤として使用して問題ありません」

受診が必要なケースは?

Q.子どもの発熱で、すぐに医療機関での受診が必要な症状について教えてください。

竹綱さん「子どもの発熱時、すぐに医療機関を受診しないといけないケースは3つあります。1つ目は先述のように、胃腸炎による下痢や嘔吐を繰り返し、水分が十分に摂取できない場合や元気がない場合です。体温が37度後半であっても、血液検査や処置、時には入院での治療が必要な場合もあり、できる限り早急に小児科の受診をおすすめします。

2つ目は、生後3カ月未満の赤ちゃんが発熱した場合です。この場合、インフルエンザ桿(かん)菌(ヒブ)や肺炎球菌などの細菌などに感染している可能性があります。なぜ、細菌の感染が問題かというと、生まれたばかりの赤ちゃんは免疫だけでなく、体の構造自体も未熟なため、髄液に細菌が入り込むと、髄膜炎を起こしてしまう可能性があるからです。

細菌が原因で髄膜炎になった場合、てんかんなどの後遺症や、時には命を落としてしまう可能性もあります。3カ月未満の赤ちゃんが発熱した際はできるだけ早く、小児科を受診しましょう。

3つ目は、発熱に伴い、けいれんを起こした場合、つまり、熱性けいれんを引き起こした場合です。7歳未満の子どもの脳は未熟であり、熱というストレスがかかることで、発熱に対して脳の体温調節をする機能がうまく働かず、けいれんが起きる場合があります。

熱性けいれんは通常、数分で症状が改善しますが、時には、見た目ではけいれんは治まっているものの、実はけいれんが持続している場合もあります。特に、子どもが初めて、けいれんを起こした場合は要注意です。けいれんの場合、早急に救急要請をするか、小児科を受診した方がよいでしょう」

オトナンサー編集部

"子育て4ヵ条" 雅子さま58歳に…愛子さまと歩まれた20年「母娘の絆」

これは18年前、皇后・雅子さまと天皇皇后両陛下の長女・愛子さまの“合作”として公開された絵。タイトルは「一緒にお絵描き」。

雅子さまが様々な色のクレヨンで背景を塗られ、その上から、1歳になられたばかりの愛子さまが思うままに絵を描かれている。雅子さまの楽しい子育ての様子がうかがえる1枚。

2004年、「適応障害」と診断され、療養生活に入られた後でも、常に愛子さまのそばで笑顔を絶やすことはなかった。

こうした子育てについて、フジテレビ宮内庁担当・宮﨑千歳記者によると…

フジテレビ宮内庁担当 宮崎千歳記者:

愛子さまが物心ついた頃には、母の雅子さまは療養に入られていて、体調がなかなか辛い中でも少しでも愛子さまが笑顔になり、明るい楽しい時間をお過ごしになれるように、色々な機会、体験する場を作るように、一生懸命心掛けていらしたのではないかと思います

両陛下の“子育て4カ条”

実は、愛子さまが満2歳になられる頃、両陛下は愛子さまとの向き合い方について“子育て4カ条”を明かされている。そこには、こんな項目があった。

「明るい雰囲気の中で日々を楽しく…」

「明るい雰囲気の中で日々を楽しく過ごせるようにすること」

2005年、当時3歳の愛子さまが初めてスキーに挑戦されたとき、雅子さまは愛子さまの体を支えて、楽しそうに滑られた。

当時、愛子さまにスキーの指導を行った杉山さんは・・・

杉山進氏:

楽しみにされているというか、期待をされているというか、(雅子さまの)もう嬉しそうな表情はお見受けできたと思います。

58歳の誕生日を迎えられた雅子さまは、愛子さまについてこう述べられた。

皇后陛下(誕生日に際してのご感想より):

愛子が生まれてからの20年間は長かったようにも、あっという間だったようにも感じられますが、様々な思い出が思い起こされて感慨深く思います

立派に成長された愛子さま。そこには、“子育て4カ条”を基本にした雅子さまとの20年間の歩みがうかがえる。

「良いことをしたとき、何かが上手にできたときにはよく褒めること、また、注意の必要があるときはわかるようによく言い聞かせること」

怒るのではなく、丁寧に言い聞かせたりすることが大事だとされていた。

母と娘で乗り越えられた”試練”

しかし、子育てには試練の時も…

愛子さまは2010年、小学2年生の終わり頃、通学に不安を訴え、学校には行きたいが、児童が多く集まる行事や部屋に行けない状況となられた。そのため、療養中の雅子さまが通学に付き添われることに。

同じ年の8月、静養先の那須塩原駅では、愛子さまに笑顔は見えず、手を振られることもなかった。

フジテレビ宮内庁担当 宮崎千歳記者:

愛子さまが困難に直面した時には、必ずその後、自分で納得して乗り越える時期が来ると信じて、無理に説得するということではなくて、本当に背中をそっと支えるような形で、解決するのをゆっくり信じて待って来られたそうなんですね

“子育て4カ条”にも、こんな項目があった・・・

「自分が認められているという安心感をもてるよう…」

「自分が認められているという安心感をもてるよう、その時々の子供の気持ちをしっかり受け止めること」

安心感を与え、気持ちを受け止める・・・

雅子さまは、愛子さまが困難を乗り越えられることを信じ続けられ、付き添い通学は、1年9カ月に及んだ。すると・・・

2012年5月には、笑顔で手を振られる愛子さまの姿が…。この頃には、一人で通学できるようになられていた。

そして2013年10月、小学校生活最後の運動会では友達と一緒に、はつらつした組体操を披露。このとき雅子さまは、目を潤ませて見守られていた。実は愛子さまは、“通学不安”を乗り越えようとされていた一方で、取り組まれていたことがある。

通学不安を抱えていた小学3年生の頃から、蚕(かいこ)の飼育を始め、10年以上にわたり今でも続けられているのだ。

繭を収穫したあと、羽化した成虫から卵をとり、翌年、孵化(ふか)させるという非常に根気のいる作業を繰り返し続けてこられたという。

「ご養蚕(ようさん)」は、明治以降、歴代の皇后に受け継がれる大切なお仕事。2018年には母・雅子さまが、上皇后・美智子さまから引き継ぎを受けられた。雅子さまのお手伝いをしている代田さんによると、引き継ぎの際には愛子さまも立ち会われたという。

雅子さまのご養蚕を手伝う代田丈志氏:

(愛子さまから)『蚕に触っていいですか』っていうようなお話がありましたね。結構、愛子さまは(紅葉山御養蚕所で)自分の好きなところへ自分から行って、その場所で観察したり非常に楽しそうでしたね

“子育て4カ条”には、もうひとつ、こんな項目もある。

「自分でしようとする意欲を大切に…」

「自分でしようとする意欲を大切にし、危険なこと以外はなるべく見守るよう心がけること」

雅子さまと愛子さまが大きな困難を乗り越えられた背景にあったとみられる4つの「子育ての心得」。共に遊び、見守り、愛子さまの気持ちを尊重してこられた雅子さま。

フジテレビ宮内庁担当 宮崎千歳記者:

愛子さまの気持ちや意志を確認して尊重するという姿勢は、幼い頃もそうですし、今もそこは変わっていらっしゃらないそうなんです。なので、そうやって自ら考えて、自分の力で乗り越えてきたことが今、愛子さまにとっての自信にもなり、財産にもなっているのではないかと思います

(「Mr.サンデー」12月12日放送分より)

子どものスマホを取り上げる前に親がすべきこと

6割の家庭がスマホルールを決めているが……

 小学生のうちからスマホを持たせる家庭も増えてきたが、利用時間などの管理は難しいようだ。スマホを小学生の子どもに持たせている保護者を対象とした、Hameeの「小学生の親子におけるスマホ利用実態調査」(2021年11月)を見てみよう。

 子どものスマホ利用について対策や制限の実施を聞いたところ、「家庭内でルールを作っている」(61.8%)「フィルタリングサービスやスマホ制限アプリを利用」(59.6%)などとなり、約6割が何らかの対策を講じていることがわかった。

「取り上げスマホ」で親子関係が悪化も

 では、ルールを守れなかった場合どうするのだろうか。ゲーム機の場合などでもよく聞くのが、「取り上げた」という話だ。

 子どものスマホを取り上げたことがあるか聞くと、60.7%と6割以上が「ある」と回答。理由は、「約束の就寝時間を超えてスマホを利用していた」(52.0%)が最多であり、次いで「長時間利用」(47.4%)、「勉強しながらスマホを利用していた」(46.5%)などとなった。子どもがスマホの利用時間をコントロールすることはなかなか難しいのが実態なのだ。

 さらに「取り上げスマホ」後の様子を聞くと、「子どもが取り上げられたことに納得せず、関係が険悪になった」(44.6%)が最多に。次いで「子どもがもう一度利用したいというので、ルールを決めた上で利用することを許可した」(43.7%)、「子どもが取り上げられたことに納得して利用しなくなった」(42.2%)などとなった。

 大人でも、スマホはついつい利用時間が長くなってしまいがちだ。まして子どもはそうなってしまうのは当たり前と考えたほうがよいだろう。

 前提として、一日のうちの利用時間の長さ、利用してよい時間帯などについてルールを決めることは必須と言えるだろう。しかしルールだけではなかなか守れないので、あわせてフィルタリングサービスやスマホ制限アプリなどを利用することで、子どもの側も守りやすくなるだろう。

 「スマホを取り上げられたら、友だちと連絡ができなくなる。友だちから連絡がきたときに困る。取り上げられるのは許せない」とある中学生から聞いた。スマホやSNSは子どもにとって必須のツールとなりつつある。特に友だちが一番大切という年代にとっては欠かせないものだ。

 突然取り上げる羽目にならないよう、ぺアレンタルコントロールなどでルールを守りやすくしてあげることも大切ではないだろうか。

著者紹介:高橋暁子

 ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki

「子どもの嘘」見抜く前、責める前にできることは?

いけないことだとわかっていても、大人だって嘘をつくこともある…。それでも子どもには、正直にいてほしい、と思ってしまうのも親心。子どもは、どんなとき、どのような理由で嘘をつくのでしょうか。

 

今回は「子どもの嘘」への関わり方について、保育士・きしもとたかひろさんが思いを綴ります。

子どもが嘘をつくのを責める前に…

壁に落書きがあった。

 

近くにいる子に事情を聞くと、ある子の名前が上がったので、その子に直接話を聞いてみる。「やっていない」と言うその顔を見て、「ああ、嘘をついているな」と察する。

 

もちろん、どれだけ証拠が揃っていても自分で話すまでは決めつけたりはしない。僕には全てお見通しだから早く白状しちゃいなよ、という具合に「正直に言ってくれたら怒らへんから」と言葉をかける。

 

それでも頑なに否認するので少し深刻なトーンで「嘘はキライやで」と言った。その自分の顔がすでに怒っていることに、その子の怖がる表情を見て気づく。

僕はその子が嘘をついたことに気づいて、「気づいたぞ」といい気になっていた。そして、それを暴いてやろうとした。

 

もちろん、その子のためを思って「嘘をつかないでほしい」とか「正直に間違えを認めて反省してほしい」とか教育的な思いもあっただろうけれど、そうじゃない。

 

「懲らしめよう」とか「暴いてやろう」とかいう気持ちも正直なところあったような気がする。

 

なぜその子は嘘をついたのか考えてみると、その子が悪い子だからではない。僕に怒られるからだよね。その子が嘘をつかなければいけない環境を僕が作っていたのだ。

 

悪いことをしたら怒られて当然だという考えもあるだろうけれど、それでその子が嘘をついてしまったり、自分を顧みることができなかったり、疑われて辛い思いをするのなら、それが正しいとは思えない。

「暴くこと」「見抜くこと」を目的にしない

嘘をついてしまう環境に置かれて、さらに「嘘は許さないよ」と追い詰めたら、その子に逃げ場はなくなってしまう。

 

いや、僕はあえてその子の逃げられないように追い詰めようと、“悪いその子”を直してやろうとしていたんじゃないか。

 

仮病を使う子を見て「サボりたいだけでしょう」とか、大袈裟に痛がる子を見て「かまってほしいだけでしょう」とか、その子の本心を見抜いたぞと悦に浸って、「甘いよ、騙されないよ」と突き放すのは違うよな。

 

「今日は気分が乗らないな」と正直に言える環境なら、「大丈夫?痛かったね」って僕がいつも声をかけているなら、その子はそんな嘘をつかないのかもしれないんだ。

 

改めて、その子に、壁の落書きは消せること、怒りはしないこと、正直に話さなくても構わないこと、あなたの言うことを信じること、疑って申し訳なかったことを伝えると、あっさりと自分がやったと話してくれた。

 

自供させたことを喜びそうになって、それじゃ本末転倒だと思いとどまる。

 

ホッとしてるその子の顔は、怒られなかったという安堵だけでないような気がした。正直に言えなくて苦しんでいたのかもしれない。

嘘をつかなくていいコミュニケーションだってある

先日、ボードゲームで遊んでいた子どもたちが騒いでいるので近づいてみると、「あの子が怒って投げたから」と、壊れた部品を渡してきた。指さされた子の方に目をやると、「怒られる!」と身構えているのが分かる。

 

あえて笑いながら「あちゃー我慢できひんかったかあ」と声をかける。こわばっていた表情がゆるみ、「うん、我慢できひんかった」と笑って返してきた。

 

「いける」と思ったのか、そのままふざけて誤魔化そうとするのを見て、「逃がさないぞ」という気持ちと「まずは正直に話してくれたじゃないか」という気持ちがせめぎ合う。

 

「正直に言ったらからって許されるわけちゃうぞー」と冗談めかしていうと、「バレたか」という風にわざとらしく反省した顔を見せた。

 

まずはこれでいいよね、その子が嘘をつかなくてすんだんやから。

 

文・イラスト/きしもとたかひろ

子どもを叱っても効果なし!? 言うことを聞いてほしいときに親がすべき4つのアクション

Amazon創業者のジェフ・ベゾスさんやFacebook創業者のマーク・ザッカーバーグさん、さらには棋士の藤井聡太さんなど、各界をリードする著名人が受けたとして注目を集めている「モンテッソーリ教育」。

このそうそうたる顔ぶれを見るとスパルタな英才教育を連想しがちですが、実際はその逆で、子どもの自主性を尊重した比較的自由な雰囲気の教育メソッドになっています。

そんなモンテッソーリ教育を用いた自宅での子育て方法を、SNSや動画サイトで発信して注目を集めているのが「モンテッソーリ教師あきえ」さんです。彼女の著書『モンテッソーリ教育が教えてくれた「信じる」子育て』には、子育て中の親御さんに向けてさまざまな問題の解決法が紹介されています。

今回ピックアップするのは、子どもの行動にイライラした時の対処法。何度注意しても聞いてくれない時はつい声を荒げて叱ってしまいがちですが、それでは効果がないようです。そこで、モンテッソーリ教育が教える効果的な注意の仕方を見ていきたいと思います。

ちなみに、あきえさんはモンテッソーリ教育を知ることは大人にとっても有意義だと説いています。というのも、「子どもを尊重して信じる」というその基本姿勢が他人との関わり方にも影響し、良好な人間関係を築けるようになるからです。

そういう意味では、本記事は子育てと関係のない生活を送っている方にも有益な情報となるはず。ぜひご一読ください!

言葉で注意するだけでは伝わらない
「おもちゃ散らかさないで!」といつも言っているのに、全然片付けられない。

道路では「走らないの!」と注意しているのに全く聞いていない。

ご飯中に「席立たないで!」と叱っているのに一向に変化がない──。

毎日同じことを注意しているはずなのに子どもの姿が変わらず、イライラしたり、「何回言ったらわかるの!?」「一体、いつになったらわかってくれるんだろう……」と不安になったりすることはありませんか?

では、そのようなとき、どのようにかかわれば、大人の思いが子どもに伝わるのでしょうか? かかわりのポイントは次の四つです。

(1) やってほしい行動を具体的に伝え、やって見せる
(2) 子どもの目を見て伝える
(3) 感情を切り離して伝える
(4) 繰り返しやって見せる
 
一つひとつ見ていきましょう。

【ポイント1】やってほしい行動を具体的に伝え、やって見せる
まず一つ目のポイントですが、これは、四つの中でも一番重要です。先述しましたが、乳幼児期の子どもは、まだ抽象的に物事を考えることができません。

「やめなさい!」「ダメ!」などと、やめてほしいことを禁止するだけでは、肝心な、やってほしい行動が何なのかが伝わりません。禁止だけだと子どもは、「じゃあ、どうすればいいの?」となってしまい、行動を変えることが難しくなります。

そのため、具体的にすべきことを教えてもらったり、実際に目の前でやって見せてもらったりすることで、自分のやるべきことがわかり、行動に移しやすくなります。たとえば、次のようなかかわりです。

・「走っちゃダメ!」→「ここは危ないから歩こうね。お母さんと手をつないでね」

・(図書館で)「うるさい! いい子にしていて」→「みんな本を読んでいるから、これくらいの声でお話ししようね」

・「靴、脱ぎ散らかさないで」→「今から靴脱いでみるから見ていてくれる?」と言って、玄関で靴を脱ぎ、揃えて置く動作をゆっくりとやって見せる。

このように具体的にすべきことを伝えたり、実際にやって見せたりすることで、「注意する」というかかわりが、「伝える」というかかわりに変化していきます。

【ポイント2】子どもの目を見て伝える
次に二つ目のポイントです。これは、毎回すべての声かけを、子どもの目を見て伝えなければならないということではありません。子どもの聞く準備が整ってから話そうという意味です。

子どもの関心がこちらに向いていない状態で伝えたいことを話しても、実は全然聞いていなかったということが起きます。そうすると、私たち大人としては「何回も言っているのに全然聞いてない!」と、労力を使っている割に変化が見られず、余計にイライラしてしまうことに繋がります。

それを避けるためには、本題を伝える前にワンクッション挟んでから話し始めるというかかわりがおすすめです。たとえば次のような感じです。

・「〇〇くん! あのね」と子どもの名前を呼んでから話し始める。

・「ちょっといい?」「やっている途中にごめんね」と断りを入れてから話し始める。

また、朝や夕方の忙しいときは、離れた場所から子どもの姿を見ずに注意したり、声をかけたりすることもあるのではないかと思います。そのようなときも、「聞く態勢が整っているかな」と確認をしてから話すだけで、子どもへの伝わり方は変わっていきます。話しかける前に、ちょっと立ち止まって、お子さんの様子を確認してから話してみてください。

【ポイント3】感情を切り離して伝える
感情のままに「いい加減にしなさい!」「何回言ったらわかるの!」と怒っても、残念ながら子どもに伝わる情報は、「お母さん怒っている」「お父さんに怒られた」ということだけです。そのため、怒りのままに言葉を発してしまわないよう、大人の感情をコントロールすることが大切です。

自立に向かって育んでいきたい力は、“大人に注意されるからやる力”ではなく、“自分で考えて行動する力”です。子どもが主体的に行動する力を身に付けられるようにするためには、注意して子どもを動かそうとするのではなく、感情を切り離して、やってほしい行動を冷静に具体的に伝えることが必要です。

子どもの行動に反応してすぐに言い返したり、何か言いたくなってしまったりする場合は、言葉を発する前に一度、深呼吸してみましょう。あるいは、いったんその場を離れるのもおすすめです。

注意したい子どもの姿を目の前にしながら冷静になることは、とても難しいことです。まずはその場から離れて、一度気持ちを落ち着かせたり、違うことを考えたりして、ふっと湧いた感情のままに言葉を発してしまわないよう、クールダウンしましょう。

【ポイント4】繰り返しやって見せる
乳幼児期の子どもは、自分の欲求をコントロールして、善悪を判断して行動する力を育んでいる最中です。

この時期は、まだ抽象的な思考はできませんが「吸収する力」はあります。その力のおかげで真似をすることがとても得意な時期なので、大人がモデルとなってやって見せることで、子どもはその姿をどんどん吸収していきます。

しかし、それはたった一回では、できるようになりません。だからこそ何度も繰り返し伝え、やって見せるかかわりが必要になるのです。これが最後のポイントです。大人にとっては少し忍耐のいるかかわりかもしれませんが、大人のそのかかわりが子どもの成長を助け、子どもが自分の足で歩んでいくことに繋がります。

【まとめ】
● やってほしいことを具体的に伝えたり、やって見せたりする。
● 子どもが聞く準備ができるように、ワンクッション挟んでから話しかける。
● 怒りのままに伝えず、冷静に落ち着いて伝えることを意識する。
● 何度でも同じことを繰り返しやって見せるかかわりが大切。
著者プロフィール
モンテッソーリ教師あきえさん:幼稚園教諭、保育士、小学校教諭。モンテッソーリ教師(国際モンテッソーリ協会ディプロマ)。一児の母。幼い頃から夢見た保育職に期待が溢れる思いとは裏腹に、現実は「大人主導」の環境で、行事に追われる日々。

そのような教育現場に、「もっと一人ひとりを尊重し、『個』を大切にする教育が必要なのではないか」とショックと疑問を感じる。その後、自身の出産を機に「日本の教育は本当にこのままで良いのか」というさらなる強い疑問を感じ、退職してモンテッソーリ教育を学び、モンテッソーリ教師となる。

現在は「モンテッソーリ教師あきえ」として、Instagram、Voicy、Twitter、YouTubeなどでモンテッソーリ教育を子育てに落とし込んだ情報を配信中。Instagramでは、開始4カ月で1万フォロワーを達成し、現在のフォロワー数は7万人。

Voicyではこれまでに130万回以上再生されている「モンテッソーリ子育てラジオ」を放送中。Instagram、Voicyでは、今までに延べ1500件以上の子育て相談に答えてきた。また、子育てセミナーを開催し、モンテッソーリ教育に沿って「子ども」について解説している。

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夢を叶えるには?子どもが本気になる本田圭佑さんのアドバイス

子どもの頃は様々な職業に憧れますが、実際に夢を叶えるのは難しいですよね。以前サッカー選手の本田圭佑さんが、小学生に夢を実現させる方法を教える動画を公開。サッカー界で活躍してきた本田さんはどのように頑張ってきたのでしょうか?

大切なのは自分で考え抜くこと!
まず本田さんは動画冒頭で、サッカー選手を目指している子どもたちに週何日練習しているか聞きます。2日という答えに対し、“週2回の練習で日本代表になれると思いますか?”と尋ねました。

「なれない」と返答する子どもたちに、本田さんは「それ(週2日の練習では代表にはなれない)を自分で考えないと」と、アドバイス。そして練習がたりないのは子どもの知識でもわかるのだから、あとは自分でどう練習するか考えようと説きます。

別の場面では子どもにトップ(FW)のコツを聞かれ、“トップとは何か”を逆に質問。まず子どもの答えを引き出そうとする本田さんの指導に、子を持つママたちからは「他人からやれって言われるよりも、自分で考えた方が続けられるよね」と絶賛の声が尽きません。

自分で考えさせる方法は、サッカーに限らず子どものやる気を引き出すのに役立ちそうですね。

どこまで頑張ればいい?
自主的な練習が重要だと教える一方で、本田さんはどれくらい頑張ればいいかもアドバイス。話を聞いて週7日練習するという子どもに、休むのも大事だと切り出します。

人間は練習をいっぱい頑張ると強くなる前にケガをしてしまうと説明。ケガをするレベルの練習はやりすぎなので、まずは自分の限界を探ってどのタイミングで休むべきかを学んでほしいと伝えていました。

また、サッカー以外の遊びについても言及。ちゃんとサッカーの練習をするなら、空いた時間でゲームなどをしてもOKだと語っています。実際、本田さん自身も子どもの頃はゲーム好きだったそう。

バランスよく練習を続けてきた本田さんの言葉に、視聴者からは「スポーツ選手ってずっと練習漬けなイメージだったのでびっくり」と驚きの声が。「しっかり息抜きしてるからこそ頑張れるのかも」「大人でも勉強になった!」など称賛する人が相次いでいます。

意識を高く保つのが重要!
本田さんは2019年に公開した動画でも、どうやってサッカーの練習をしてきたかを伝授。例えば“指導者が悪くても自分で何をすべきか考えてメニューを構築”“レベルの高い環境をイメージしたトレーニング”をおこなうことで、周囲の環境に左右されない練習をしていたようです。

ほかにも常に意識を高く持ち、「『周りにいるお前らとは違う』って言い聞かせてた」と話す本田さん。そしてこれら3つの練習方法をできたのは、根性や才能があったわけではなく、父や祖父母が人生の行き先を教えてくれたからだと言います。

本田さんの説明に感心する人は多く、「子どもが夢を諦めないように親はサポートしないとな」「夢を挫折しかけていたけど励まされた」といった声も。

子どもの夢を応援したい人はもちろん、自分の目標がある人も本田さんの教えを参考にしてみてはいかがでしょうか。

文/内田裕子

参照/本田圭佑公式YouTube「小学生に本田圭佑が語る『夢』を叶えるには...」https://www.youtube.com/watch?v=Ty9GbJ2iMD4

本田圭佑公式YouTube「《 VISION 》10代で簡単に夢を諦めてはいけない」https://www.youtube.com/watch?v=zCss5WcHkeM

東大卒ママが実感する「駄菓子屋が減って子どもたちが失ったもの」とは?

 うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格した杉山奈津子さんも、今や小学生の男の子の母。日々子育てに奮闘する中でとり入れている心理テクニックや教育方法をお届けします。

 杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』も絶賛発売中です。ぜひご覧ください。

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「因数分解や微分積分なんて生きていくうえで必要ない」という言葉を聞くことがあります。

 これは、数学のおかげで科学技術が進歩していること、私たちがその恩恵を受けていることを意識しないからこそ、出てくる言葉でしょう。

 ただ、研究者や専門職でなければ、私たちが日常で使うとなると、足し算と引き算、掛け算と割り算あたりが主になるのも事実です。

■算数の問題文にはリアリティーがない

 けれども、塾で小学生に算数を教えていると、足し算や引き算でさえ、どこかリアルに感じていない児童がいると感じることがあります。

 そもそもですが、学校の教科書や問題集でよく見る、「50円のりんごを3個と30円のみかんを5個買ったとき」「5メートルの間隔で木を植えたとき」というような問題は、いまいち現実的とはいえません。

 小学生が1人でりんごとみかんを買いに行く機会なんて少ないでしょう。みかんも現実のスーパーなどではバラ売りではなくセットの袋で売っていることが多いです。小学生が5メートル間隔で木を植えるなんて、言わずもがな。

 つまり、学校で教える問題自体も、ややリアリティーがないのです。

 さらに数学は、学年が上がるにつれ、ベクトルや複素数のように普段は使わない内容が多くなっていく学問です。

 ですから、小学生のときに身近に感じられないならば、中学生になればなおさら、ますます「日常とはかけはなれた存在」になる一方なのです。

 だからこそ、「小学生のときに算数を日常でリアルに感じること」が大切です。

■「駄菓子屋さん」で真剣に計算した経験

 そこで、「私が小学生のころは、どんなシーンで足し算や引き算をリアルに使っていたか?」と考えてみました。

 そこで真っ先に思い浮かんだのは、「駄菓子屋さん」です。

 お小遣いの100円玉を握りしめ、10円から40円くらいの(当時は5円のものもありました)並んだお菓子を目の前に、あれにしようか、それともこれを買おうかと真剣に悩みました。

 そして何度も何度も「合計100円になるベストな選択」の計算をしたものです。

 10円のガムを三つ、20円のお菓子を一つ、30円のお菓子を二つ選ぶと、100円を超えてしまいます。

 そこで、一番はずせないお菓子を決めて、その後、20円のものをやめるか、30円のものを一つにするか……そんなことを、繰り返し考えました。

 欲しいものを選ぶという過程はとても楽しく、そんな中で「真剣に足したり引いたりする」というシチュエーションは、きっと脳を存分に刺激してくれたことでしょう。

 そして、当時は意識していたわけではありませんが、この行為により、算数を現実の中に落とし込んでいたわけです。

■実際の買い物経験が「生きた勉強」になる

 以前、何かの記事で、「日本の数学は、2+3がいくつになるかを計算させるだけで、答えはたった一つという教え方をするから頭が固くなる」「ある国の数学では、5にするには何と何を足すかを考えさせるため、思考力が伸びる」という内容のものを読んだことがあります。

 たしかに一理ある記事ですか、私は、「5にするには何と何を足すかを考える」よりも、「実際のお店で、合計で100円にするには何円の物を何個買えるかを考える」という買い物の経験のほうが、もっとためになる、数学を身近に感じられる「生きた勉強法」だなと思いました。

 時代を考えると当然かもしれませんが、残念なことに最近ではあまり駄菓子屋さんを見かけなくなってしまいました。子どもたちがそうした「生きた勉強」をする機会をなかなか得られにくくなったなと感じています。

 先日、デパートで懐かしの駄菓子を売るイベントが催されていたのですが、いざのぞいてみると、当時の売り方とはだいぶ異なっていてガッカリしました。

 過去に10円だったお菓子が袋詰めにされ1セットで100円になっていたり、50円だったものが100円に値上がりしていたり。

 味は昔と同じかもしれませんが、100円玉一つでは、選べるのは1種類だけか、せいぜい2種類を買うのがやっとです。

 今の子どもたちの買い物は、「数十円の安いお菓子を何種類か組み合わせる」ではなく、「どれか一つ100円程度の欲しいものを選ぶ」という選択の仕方が主流になっているように思います。

 決められた金額内で商品を選ばせ計算をさせたいと思っても、小さな子どもにそうそう高額なお金は渡せません。

 つまり、算数を最も身近に感じられる内容を教わる小学校低学年の時期に、リアルな足し算や引き算の出番が減っているわけです。

 小学校では現在、「さんすうぼっくす」などの教材を購入し、おはじきを用いて足し算を勉強しているそうです。

 紙の上での計算よりは断然リアルに感じられるでしょうが、日常と結びつけるには、やはり実際の買い物には及ばないところがあるでしょう。

■楽しく遊んだことが算数の勉強になる

 先日、息子が通う放課後の学童保育で、「1000円分の好きなものを選ぼう」という、お祭りを模した企画が行われたという話を聞きました。もちろん使うお金は紙で作ったおもちゃですし、商品の値段は、現実とは異なります。

 そこで息子は、私へのお土産として消しゴム、あとは自分の好きなお菓子、小さな鉛筆セットを選び、スーパーボールすくいで二つボールをゲットしました。

「もっとボールが欲しかった」と未練たっぷりに言っていたので、きっと私へのお土産を購入しなかった場合などを想定し、何個ボールをゲットできるかというシミュレーションを何度もしてみたことでしょう。

 息子にしてみたら楽しく遊んだだけにすぎませんが、数学的な観点からみれば、足し算や引き算を、現実にも落とし込める形で勉強をしてきたともいえるわけなのです。

 この話を聞いて、私も、「たまに家でプチ駄菓子屋さんを開いて、細かい買い物をする場所を息子に作ってみようかな」と思いました。

「機会が減ったなら、つくればいい」の精神です。

 100円ショップに行くと、リアルに作られたお金のおもちゃもあったので、本格的に企画すれば、意外と本物の買い物と同じ効果が期待できるかもしれません。

毒親は子どもに捨てられる。そんな時代はもう来ている

むかし、未成年は生活を見てくれる親がいる場合、生活保護を受給できないと言われていた。
「そんなの当たり前じゃん」
と思う人もいるかもしれない。しかしいまは、未成年であっても、条件が合えば生活保護をもらえるのだ。

「そんなのおかしい。税金の無駄遣いだ」というなかれ。世の中にはどうしようもない毒親というものがいる。暴力、暴言といった虐待。育児放棄する。めったに帰ってこないといった毒親は、昔からいる。いま、児童養護施設に入ってくるのは、虐待された子どもや、親の放任・怠惰が多いという。

そういう子どもも施設を卒業するときがくる。男の子の場合、ほとんど親は迎えに来ない。女の子だと、かなりの割合で迎えに来るという。理由は「女の子は金になる」からだそうだ。

こういう子どもが親元に帰りたくなく、住む場所や就職先もなかった場合、生活保護でしばらく生活を支えるのは税金の無駄遣いだろうか?

未成年だけではない。日本ではこれまで、儒教の「子は親を敬い従い支えなければならない」という道徳概念の影響か、運悪く毒親に育てられた子どもも、一生毒親にまとわりつかれてきた。

それにプラス、最近では子どもの頃から虐待を受け、搾取され続けてきた子どもに、親の介護という問題も出てきた。特に困窮している親は執拗だという。

毒親が嫌で家を飛び出し、縁を切ったつもりでも、「それでも親は親」「家族のことで他人や世間に迷惑をかけてはいけない」という日本社会の”常識”が、追いかけてくる。いまだに「老いた親の面倒を見るのは子ども」というのが【世の中の当たり前】とされてきた。

先進国の多くでは、親子親族であっても他人であり、そういう老いた親を支援するのは政府行政の仕事だ。日本も、やがてそれが常識になってくるだろう。

毒親は子どもに普通に捨てられる。そんな時代はもう来ていると言ってもいい。

プロフィール
おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

児童期・思春期の子どもにどう伝える? 親子で話しておきたい「生理」のQ&A

自分が教えてもらえなかったことを、子どもに教えようとするのは、なかなか難しいことですよね。たとえそれが、女性にとっては身近な「生理」に関することであっても、どんな言葉で、どんな風に子どもに伝えるべきか、迷っている方も少なくないかもしれません。

筆者も子どもの頃、「生理」について家族に相談することはほとんどなかったと記憶しています。家庭で「生理」や「月経」という言葉を聞くこと自体がなく、「これは口にしてはいけないことなのでは」という勝手な先入観があったのだと思います。

【写真】子どもの生理用品は一緒に選ぶのがおすすめ

ですが、筆者のような現在の親世代が育った頃と比べても、生理をとりまく環境は大きく変化。生理用品の種類は増え、痛みへの対処法も「鎮痛剤」一択から様々な方法が広く知られるようになりました。子どもが自分の生理に疑問を持った時、「これを試してみたいな」「生理痛をなんとかしたい」と気軽に相談してもらうためにも、普段からなるべく親子で「生理」についてオープンにできたらいいですよね。

性教育サイト「命育(めいいく)」の代表を務める宮原由紀さんは、著書『子どもと性の話、はじめませんか? からだ・性・防犯・ネットリテラシーの「伝え方」』の中で、親から子へ「生理」をどのように共有すればいいかを具体的に教えてくれます。

そこで今回は本書から、初経を迎える“児童期”と、生理の不調が生まれやすい“思春期”の子を持つ保護者から寄せられた、生理にまつわるQ&Aを抜粋してご紹介。親子で「生理のはなし」をする際に、ぜひ参考にしてみてください。

お子さんや身近な子どもたちから「赤ちゃんって、どこからくるの?」と聞かれたら、うまく答える自信はありますか?

保護者向けの性教育サイト「命育(めいいく)」の制作を始めた2018年以来、私はさまざまな場面でこの質問をしてきました。そして多くの人たちが、この質問をしたときに気まずそうな表情をします。

実際、私たちが定期的に実施している性教育に関するアンケート調査では、「性教育に自信がありますか?」という質問に対して、毎回80%程度の人が「性教育に自信がない/あまり自信がない」と答えています(ほかの設問は「どちらともいえない/おそらく問題ない/自信がある」)。

保護者自身が十分な性教育を受けてこなかったために、性に関する知識が乏しく、子どもに「何をどう伝えたらいいのかわからない」という人が多いのでしょう。また、「性教育は学校で教わるもの」であり、「家庭で教えるものではない」と思っている人も少なくありません。

しかし、いまの日本では、ほんの数時間しか性教育に時間を割いていない学校が多いのが現状です。

「学習指導要領」(平成29・30年改訂)によると、初経(はじめての生理)や精通(はじめての射精)など、思春期に男女の体に生じる変化について学ぶのは小学校4年生。このときは、男女一緒に学びます。その後、5年生になると、男女で分かれて生理用品の使い方や体の変化に基づく悩みについて、より丁寧な指導が行われます。

しかし、日本産婦人科医会によると、初経を迎える年齢は10歳~14歳ごろのため、学校任せにしていると、何も知らないまま初経を迎えてしまうことも。また、初経について教わっていたとしても、自分ごとと受け止めていない場合は、突然の経血や生理に伴う諸症状などに、子どもがパニックになってしまうケースも実際、耳にします。

子どもの前で、専門家である必要はありません。「しっかりやらないと!」と肩ひじ張らずに、みなさんの家庭に合う性教育のヒントを見つけてください。
ここからは、児童期・思春期、それぞれのお子さんを持つ保護者から「命育」に寄せられた「生理」にまつわる具体的な悩みや、よくある質問をQ&A形式でご紹介します。

親子で話す「生理」、子どもの発育段階別ケーススタディ
~児童期(小学校低学年~中学年ごろ)~
Q:生理について、いつごろ、どんなふうに伝えればいい?

A:性器の周りやわきの下に毛が生えたり、胸がふくらみ始めたりしたら、そろそろ初経がくるころかもしれません。自分の体の中でどのような変化が起きるのかを知るためにも、まだ初経をむかえていないうちから、早めに家庭で生理の仕組みについて説明しておくといいでしょう。赤ちゃんができる仕組みとあわせて教えると、わかりやすいですよ。

妊娠や生理については、次のようにわかりやすい言葉で伝えることができます。性に関する絵本を見せながら話すと、よりわかりやすいですよ。

「女性の内性器には、左右に『卵巣』と呼ばれる卵子を作るところがあるよ。月に一度、卵子のうちのひとつがどちらかの卵巣から飛び出し、卵管に入るよ。このとき、卵子と精子が出合うと、赤ちゃんのもととなる受精卵ができるんだ。

この時期は、子宮の内側の膜(子宮内膜)がふかふかしたベッドのような状態になり、受精卵が子宮にたどり着いて、このベッドにくっつくことを『妊娠』というの。このときに卵子と精子が出合わなければベッドは必要なくなるから、子宮内膜がはがれて腟から体の外へと排出される。これが『生理』なんだよ」

「卵子と精子がどうやって出合うのか」伝えたことがある方は、セックス(性交)をして卵子と精子が出合うと説明をしてあげることもできます。性器のことやセックスのことなど、伝えていないことがある方は、そのことについて話しをするきっかけにもなりますね。(詳しい伝え方は、書籍内にて紹介)

また、生理のときは「生理痛」といっておなかが痛くなるほか、眠くなる、イライラする、貧血気味になるなどの症状があらわれることもあると話しましょう。

これらの症状は、人によってさまざま。ただし、うずくまるほど痛みがある、具合が悪く寝込んでしまう、経血量が多いと感じたときは、産婦人科を受診したほうがいいと伝えるといいですね。

保護者が生理のときに伝えるなど、普段から家庭で生理の話をしやすい環境を整えておくと、子どもも成長過程で訪れる自然なことだと受け止められるはず。また、これを機にパートナーとも生理について話すことをおすすめします。

たとえば、母親が不在時に子どもに初経が来たときの対応や、生理期間の心や体の変化などをすり合わせておくと、いざというときに対応できるでしょう。

~児童期(小学校低学年~中学年ごろ)~
Q:子どもに、はじめての生理(初経)の準備をどうさせる?

A:子どもが初経を迎える前に、生理用ショーツやナプキンなどのグッズを一緒に用意しましょう。最近は生理用アイテムの選択肢も増えています。

●生理用ナプキン
ドラッグストアやコンビニなどで手に入り、気軽に使えます。生理用ショーツの股の部分に貼りつけて、腟から流れる経血を受け止めます。
大きさや厚さのバリエーション、横漏れしにくいように羽ありのものなどさまざまなタイプがあるため、使い心地や経血量に応じて使いわけてください。腰までガードしてくれるショーツ型のナプキンもあるので、夜も安心して寝ることができます。

同じナプキンを長時間使い続けると、経血が漏れてしまったり、清潔でなくなったりしてしまうため、2~3時間おきに取り換えましょう。洗って繰り返し使える布ナプキンもあります。

●タンポン
細長い棒のような形をしたもので、腟の中に入れて経血を吸収します。太さや吸水量の異なるもの、タンポンを正しい位置に入れるためのアプリケーター付きのものや手で入れるものまで、さまざまなタイプがあります。

最初は、アプリケーター付きの細いタイプを使うのがおすすめです。メーカーの使い方動画もあるため、見ながら使ってみるといいでしょう。ナプキンよりも長時間使える上に、使用中は経血が漏れないのでプールにも入ることができます。

経血量によって、4~8時間以内に交換してください。使用後は、生理用ナプキンと同じようにサニタリーボックスに捨てましょう。

●吸水ショーツ
吸水生地を使用しているため、ショーツをはくだけで経血を吸収してくれます。経血のついたショーツを、重曹を溶かした水につけおきします。そのあとは、ほかの洗濯物と一緒に洗濯機で洗いましょう。小学生高学年くらいから使えるサイズ展開のメーカーもあります。

●月経カップ
シリコンなどでできたカップを腟内に直接入れて経血を受け止めます。慣れないうちは、パンティーライナーと一緒に使うと安心です。洗って繰り返し使えますが、衛生を保つために消毒が必要です。

いまの時代、生理用品の選択肢はとても広がりました。保護者でも使ったことがないグッズがあるかもしれませんが、「使ったことがないから子どもにも使わせない」のではなく、使い方を一緒に確認しながら、合うものを探してみてくださいね。

生理用品について説明する際に、ぜひパンツの洗い方もセットで教えてください。「生理の血がパンツについたときは、自分で軽く洗ってね。血はお湯で洗うと固まってしまうから、水やぬるま湯で洗うといいよ。

軽く洗ったあとは、いつも通り洗濯カゴに入れてね。パジャマに血がついてしまったときも、同じようにすれば大丈夫だよ」と伝えるといいですよ。女の子の場合、おりものがパンツにつくこともあるので、日ごろから自分でパンツを洗う習慣をつけておくのもおすすめです。

~思春期(小学校高学年~高校生ごろ)~
Q:子どもでも産婦人科に連れていっていいの?

A:もちろんOKです! 思春期は、自分の心や体がどんどん変わっていくことへの不安や苛立ちを抱える時期でもあります。何かあったときに医療機関を受診すると、状況が改善されたり、不安が解消されたりするメリットもあります。

女の子は、思春期になると皮脂の分泌が増えて汗もかきやすくなることから、デリケートゾーンのムレやかゆみを感じやすくなります。このほか、下着の生地によるアレルギーやおりものシートの長時間の使用もムレやかゆみの原因に。おりものに関しては、正常な状態を伝えておくと異常に気づきやすくなりますよ。

このほか、生理に関することや精神的な不調、感染症の不安、妊娠、避妊などの悩みに関しても、かかりつけの小児科医のほか、思春期外来、産婦人科に行くことができます。

病院に行くことは、自分の体のことを自分で医師に説明できるようになる練習にもなり、大事なことです。そのため、保護者同伴で行ったとしても、診察室でのやりとりは子どもに任せてみてはどうでしょうか。

保護者に聞かれたくない話もあると思うので、診察室まで行くか、待合室で待つかなど、子どもの意見を尊重するのがいいですね。自分で説明し、医師からアドバイスを受けることで、自分の体と向き合ういい機会にもなります。医師との信頼関係ができれば、何かあったときに病院を受診する心理的なハードルも下がりそうです。

女の子には、生理周期の管理や「心配ごと」の目安について伝えよう
自分自身で生理周期を管理できるようになると、自分の体調や体に起こる変化について気を配れるようになります。生理の始まりや終わりを気軽に登録できるアプリや手帳への記入など、子どもが管理しやすい方法を一緒に考えてみてください。

子どもが悩みをひとりで抱え込まないためにも「体調が悪いときや何か心配ごとがあるときなどは相談してね」と加えることも忘れずに。以下を参考に「心配ごと」の目安を具体的に伝えるといいですよ。

●相談してほしい「心配ごと」例
・痛みがひどいとき(横になっていないと耐えられない、鎮痛剤が効かない、生理痛がつらくて吐いてしまうなど)
・多い日用のナプキンを使用しても、2~3時間ほどであふれてしまうくらい経血の量が多い
・経血がレバーのようにかたまっている(受診の目安:親指の大きさ程度のかたまり)
・生理が2ヶ月以上こない(受診の目安:生理が3ヶ月以上こないとき)
・生理が頻繁にくる/または止まらなくなる(受診の目安:1ヶ月に3回出血がある/出血が3ヶ月以上続く)
・外陰部がかゆい
・おりものの異常がある(魚の腐ったような匂いがするとき。色が赤、茶、黒、緑などのとき)

これらの状態が続く場合は、婦人科を受診してください。子どもが婦人科を受診することに、抵抗を持つ保護者もいるかもしれません。しかし、かかりつけ医を持っておくと、体調の変化や心配ごとがあるときに子どもが相談できるようになります。さらに、女性特有の病気を早期発見できるなどのメリットもあります。

受診の際には、アプリや手帳などの生理周期を記録したものを持っていくと、便利です。体調面に加え、「いま使っている生理用ナプキンが合わないので変えたい」「タンポンを使ってみたい」などのちょっとした疑問についても、気軽に聞けるような関係性を築いておくといいですよ。

著者プロフィール
宮原由紀(みやはら・ゆき)さん
性教育サイト「命育(めいいく)」代表。大学卒業後、リクルート、アマゾンなどメディアやインターネット企業を約15年経験し、現職。子どもへの性教育に課題意識を持つクリエイターたちと、医師専門家協力のもと、命育を立ち上げる。サイト運営のほか、園や学校、PTA、地域などと連携して、多方面から家庭での性教育をサポートする活動に取り組む。3児の母。

子どもの叱り方大丈夫?心理学から考える子どもの心に響く叱り方で、叱る回数を減らそう

叱られる経験は自制心を育む

叱ることと叱らなくてもいいことは明確に区別する

子どもは「言われたこと」より「自分の身に起こったこと」から学ぶ

子どもの心に響く叱り方 3つのポイント

まとめ & 実践 TIPS

思春期の情緒不安定! 原因は脳の構造の変化?

思春期は、本当に難しいですよね。ちょうどこの年頃のお子さんをお持ちの方は、日々のお子さんと攻防に、ついため息が出てしまう方も多いのではないかと思います。

では、この思春期、もとい反抗期の時期には、人間の発達途上の脳の中ではどのような変化が起きているのでしょうか。

今回は医師に、脳の発達と思春期の関係を解説していただきました。
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思春期は誰もが通る道…?

思春期といえば、気分が変わりやすく、いつもイライラしていたり、どこに怒りのスイッチがあるかわからなかったり、えらく情緒不安定だったり、自意識過剰だったり…。もちろん、例外もありますが、多くは可愛らしかった子供の頃とはうって変わって、とても扱いにくい存在になるものです。

しかし、大人になって自身の思春期の頃を考えると、やはり同じようにイライラしていて、自意識過剰で、情緒不安定で…穴があったら入りたいような恥ずかしい記憶を持つことが最も多いのも、この時期ではないかと思います。

いわゆる青春と重なる時期でもあり、振り返ってみるとピチピチしていてなかなか魅力的な自分でもあったのに、なんであんなにふてくされたり、腹が立ったりしていたんだろう、と不思議に感じる方もいるかもしれませんね。

しかし実は、それらは脳の成長による影響だったのです。
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脳の働きと思春期との密接な関係とは?

人間の脳は、生まれてからも様々な部分が発達していきますが、人に対する共感や、社会性(周囲を見てそれに合わせて行動する能力)、自分の意思をしっかり決定する能力というのは、思春期から20代の半ばまでかかって作られるといわれています。

ご自身の経験から深くうなずかれる方も多いのではないでしょうか。そしてこれらの部分は、それぞれ、以下の部分がつかさどっていると考えられています。

1. 眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)
ほかの人の立場になって考える、つまり共感や相手を思いやることを主につかさどる領域です。この部分が未発達である人、例えば小さな子は相手の状態を考えずにストレートに人が傷つくことを言ったり、したりすることがありますよね。

2. 上側頭部
いわゆる社会性を支配する分野と考えられます。以前、KY(空気が読めない)などという言葉が流行ったことがありましたが、この部分が未発達であると、ぎこちない行動や、不必要に攻撃的な行動が出る可能性があります。

3. 背外側部
計算高さ、というと聞こえは悪いですが、物事の合理性をつかさどる部位です。30代を超え、大人になると情熱よりも損得勘定で動く人が多くなる気がするのは、ある意味この部位の発達が原因と考えられます。残念なことでもありますね。
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医師からのアドバイス

いかがでしょうか。これらの部位が思春期から20代半ばまで、目まぐるしく発達、変化しているので、自分の意見がコロコロ変わったり、不適切な行動や感情の表出が目だったりすると考えられています。

これならば、思春期の感情の不安定さにも納得がいく気がしませんか? 私たちがこの年齢の子供にできることは、まず、自らもその時期を経てきた大人としての冷静さを保つこと。また、食事のバランスや生活リズムに気を配ることも、脳や身体の発達を促すために必要で大切なことですね。

子どもの“うつ病”、見逃しがちな理由とは?

「気分がひどく落ち込む、憂うつ」「やる気が出ない」、このような状態が続く気分障害のひとつとされている“うつ病”。現代社会では、心の風邪と言われるほど多く見られ、大人に限らず子どものうつ病患者も珍しくないといいます。

では、子どものうつ病にはどのような特長があるのでしょうか? 児童の精神問題に詳しい、めぐみクリニック院長の皆川恵子さんに話を聞きました。

●子どものうつ病は10歳前後から増える
うつ病は、脳内にある心のバランスを保つ“セロトニン”という物質の分泌が不安定になることで生じると言われています。実際に年齢は関係なく、うつ病になるものなのでしょうか?

「幼少期の頃にはあまり見られず、最近では10歳前後から見られるようになりました。大人は“憂うつ”とか“意欲がわかない”という表現などで症状を説明するのですが、子どもの場合そのように説明できないことがほとんど。

ただ、漠然とイライラしていたり怒りっぽくなる、なんとなく不安がってお母さんの後を追いかけたりするといった行動が目立つようになると要注意です」(皆川先生、以下同)

それだけだと、子どものちょっとした感情の変化かと思い見逃してしまいそう。そんなときに、見極めるべきは感情が移り変わる変化の速度だとか。

「数か月とか半年とかで変わるのではなく、これらの行動は2週間くらいで急激に変化するのが特長です。普段は活発に遊びに行っていた子が外に出たがらず、家にいてもぼんやりしている、

好きなゲームもしないとか、食事の量が減ったり、眠れなくなるなど、特別な原因があるわけではないのに、短期間でこのようなことがどんどん増えてきます。進行すると笑うこともなく、表情に変化もなくなるため親であれば何かおかしいなと気がつくと思います」

●うつ病の治療は投薬が基本
もし、うつ病を疑った場合、どのように対処すればいいのでしょうか?

「まずは児童精神科に連れて行って、速やかに治療を受けさせることをおすすめします。以前、身内が亡くなったショックから、うつ病になってしまったお子さんがいました。

そのようなショックな出来事を受けると、普通はしばらく落ち込むものの、時間とともに活力を取り戻します。

ですが、そのお子さんの場合は、しばらくうつ状態に気付かれず、数か月して症状に気付かれました。症状は重くなっていたものの、抗うつ剤等を処方して治療を行った結果、半年ほどで元気になりました」

ちなみに、子どもだからといって治りが早いということはないそう。セロトニンの分泌が不安定になるのは体質的な影響もあるので、適切な治療で早めの回復をうながすことが肝要のようです。

専業主婦だけどワンオペ育児で疲弊…「お子さんを預けてみませんか?」働いていなくても利用できた保育園

夫の家事“やったぜアピール”が妻をイラッとさせる 衝突回避のポイントを専門家が解説

コロナ禍の自粛生活で良くも悪くも自宅で過ごす時間が増えた。そんな傾向を反映してか、男性が家事や育児に費やす時間が延びたそうだ。額面通りなら喜ばしいことだが、街で話を聞いた女性は男性の協力を喜ぶどころか、男性をこき下ろす人が大半で……。

在宅勤務で家事分担バランスに変化…トラブル回避のコツは

 ■コロナ禍で週13時間に増加したが…

 積水ハウスは小学生以下の子供がいる20代から50代の男女9400人に調査。男性の家事や育児がどうなっているかを調べ、「男性育休白書2021」にまとめている。男性が1週間に家事や育児にかける時間は、全国平均で13・3時間。コロナ前の2019年に比べて2.2時間増えている。

 この集計がスゴイのは女性が認める時間であること。女性から見て、男性の行動が家事や育児の時間としてカウントできると判断した上での数字だ。

 日常生活の中から家事と育児について、食事作りやゴミ出し、掃除、洗濯、子供と遊ぶなど28項目を抽出。そのうち男性が何項目行っているかについても女性目線でチェック。コロナ前は、全国平均で5.4個だったのが、今年は6.3個にアップしている。

 どちらの数字も、男性の自己申告ではなく、男性側の勝手な水増しが含まれていないから信頼できるはずだが、街の女性の意見はそんなに芳しくない。東京・上野で女性10人に話を聞くと、3人は「コロナ前より家事に協力的になった」と調査結果に近い回答だったが、6人は大ブーイング(1人は無回答)。50代女性はこう言った。

「ウチのダンナにゴミ出しを頼むと、指示したところのゴミだけ集めて、トイレや洗面所などはノーチェック。テーブルの上には、アイツが飲んだビールの缶が残ってたりします。中途半端なくせに、“オレやったぜアピール”丸出しで、正直、イラッとするんですよ。洗濯物は取り込んでも、片づけない。仕事の資料はソファに出しっ放し。ウチ、子供いないんですけどねぇ……」

 昨年の内閣府の調査によれば、緊急事態宣言中に家事育児の時間が延びた女性は3割で、男性は2割にとどまる。緊急事態宣言の定着で、家事負担の偏りが改善されたのかもしれないが、今なお負担の重さを感じている女性が少なくないのは事実だろう。そこに男性の“やったぜアピール”が重なると、上野の女性6人のように手厳しい評価を招く。

 では、家事を巡る夫と妻のギャップは、どこにあるのか。男女問題研究家の山崎世美子氏に聞いた。

片づけ苦手なら一畳書斎に資料も収納する

 たとえば、妻に「仕事の資料を片づけて」と指示されたとする。夫は資料をまとめてテーブルの上へ。自慢げに「片づいたから、ご飯にしよう」と報告すると……。

「散らかった資料をまとめるのはOKです。しかし、妻にとって片づけとは、仕事の資料をカバンや棚にしまうことまでして完了で、テーブルの上は何もないのがベスト。それなのに夫がテーブルの上に資料を置いてよしとすることに中途半端さを感じてイラッとする。

悪いのが、『ご飯にしよう』という一言で、そこには『ご飯を用意して』というニュアンスが含まれます。妻は『なんでオマエは片づけもできないのに、食事を用意してもらう前提なんだ』と内心キレるのです」

【改善策】

 片づけは、徹底的に。仕事の資料や趣味の道具など自分のものを共有スペースに置かない。これが基本だ。

「リビングや寝室の隅に間仕切りをして簡易的な書斎を設ける一畳書斎が人気です。PCや仕事の資料などすべてそこに収納するのもいい。それで夫婦ゲンカがなくなったケースもあります」

■家事の中身を細かく仕分け セットでルール化

 上野の40代女性は、「ゴミ出しも洗濯物の取り込みも中途半端なのが嫌だ」とグチっていた。山崎氏も、「女性が男性の家事にイライラするのはすべて中途半端が共通します」としてこう言う。

「女性にとって洗濯は、洗濯カゴに集まった衣類を『洗濯機に投入』し、洗い終えたものを『干し』、乾いたら『取り込み』、畳んで『タンスにしまう』までがセット。料理なら、『献立を考え』、それに合う食材が『冷蔵庫にあるかチェック』し、不足する分を『買い足し』、『調理する』。重要なのはここからで、食べ終えた食器やフライパンなどを『洗う』ことまでして完了。

女性の家事は、カッコ(『』)でくくられたすべての仕事を含むのですが、男性にとってはたとえば『洗濯機に投入』と『調理』だけだったりする。こうしてみると、男性の中途半端ぶりは歴然。こういうギャップが家事のあらゆるところにある。夫婦に認識のギャップがあると、イライラは尽きません」

 部屋の掃除もそうだ。夫は、粘着式クリーナーで床のホコリや髪の毛を拾ってカンペキとばかりにソファにゴロン。妻なら、さらに掃除機をかけ、テーブルやソファまでキレイにする。夫の家事は一事が万事、この調子で、妻からみれば、とにかく中途半端なのだという。

【改善策】

 家事も、職場の仕事と同じように細かくタスクを分ける。中途半端な夫は、大分類の項目にしか目が届かず、その中の小分類がノーチェック。それを意識した上でルールを明確にして実行することだという。

「仕事術の教科書的にはタスクを分類し、メンバーでそれを分担することなのですが、こと家事の仕事の仕分けについては分担し過ぎない方がいいでしょう。たとえば、料理です。よく、調理と皿洗いを分担する家庭がありますが、それで中途半端な夫が調理を担当すると、冷蔵庫のチェックがおろそかで、何より皿洗いに意識が向かわないため台所が散らかし放題になります。もし夫が『料理する』と言うなら、皿洗いまで意識すべきです」

 料理の苦手な人は、冷蔵庫チェックにピンとこないだろう。それをせずに買い物に出掛けると、冷蔵庫にある野菜や調味料を二重に買ってしまう。

「このダブリは妻のイライラ度が大きい。ナンプラーやバルサミコ酢など使用頻度の低い調味料は冷蔵庫の肥やしになるので、なおさらです」

■家電の購入は置き場所を確保してから

 中途半端な夫も、ちょっと家事に精を出すと、大変さに気づくこともある。それで家電を欲しがると、得てして妻と衝突しやすいという。

「相談者の女性は、食洗器と全自動洗濯乾燥機を欲しがっていましたが、夫に『いらない』と拒否され続けていました。ところが、コロナ禍の在宅勤務で料理をかじった夫は、妻の承諾もなく、勝手にノンフライヤーをネットで購入したそうです。料理上手な女性には、無用の長物。夫は夫で数回使っただけ。相談なく購入したのに加え、その置き場所を事前に確保していないことも、女性には火に油。女性にとって、邪魔でしかありませんから」

【改善策】

 家電の購入はまず相談。妻のOKを得るには、置き場所を工面することだ。

 ☆ ☆ 

 こうしてみると、家事が苦手な夫ほど、妻とぶつかりやすいことが分かる。衝突を回避するには仕事をこなすつもりで動くといいという。

「妻が夫の家事にイラッとするのは、中途半端とグズグズしているのが主な要因。衝突を防ぐにはその逆を心掛ければいいのです。言われる前に動いて、キッチリと、そして想定外のことまでやることです。上司の指示を待った揚げ句、中途半端な仕上がりだったら、査定はどうですか? よくありません。仕事で上司に気を配り、先回りしてよりよい成果を上げようとするように、家事も妻に気を配って、よりベターなことをイメージして行えばいいのです」

 妻に気を配るなんて……。そう思った人は、やがて妻に捨てられるかもしれない。

赤ちゃんへの“靴下履かせろ攻撃”…暑い日の屋外でも本当に必要? 日本小児科医会に聞いた

「基本的に不要です」

「目から鱗」「先生の知恵凄い」 保育園の子どもに“スプーンの持ち方”をわかりやすく伝える方法に驚きの声

ある保育園で使われている「スプーンの持ち方」を覚えるためのライフハックTwitterで紹介され、「目から鱗」「先生の知恵凄い」と話題になっています。


【画像】スプーン以外のものにも応用できるライフハック  


「保育園てすごいよなぁ スプーンの持ち方なるほど〜ってなった」という言葉とともに、ライフハックを紹介したのは3歳と1歳の息子を育てるなるせさん。  息子さんが通っている保育園では、スプーンの持ち手にクリップをはさみ、クリップの側面と上部に指を1本ずつ入れることできれいな持ちかたの形を教えているそうです。


なるせさんが投稿した写真を見ると、その分かりやすさは一目瞭然。これなら、小さい子どもでもすぐにきれいな持ちかたにチャレンジできそうです。


 この投稿を観た人からは、「今度試してみよ」「やってみようと思います!」といった反応が。自宅にあるもので簡単にできるので、手軽にチャレンジしやすいのもうれしいですね。  


また、「お箸の持ち方がちゃんとできるようにスプーンをこう持たせる事あるみたいですね」「このやり方で娘(5)は鉛筆の持ち方を練習してます」など、スプーン以外のものの持ち方を覚えるのにもクリップが活用できることを伝えるコメントも集まっていました。

子どもの課題発見力がぐんと伸びる 親のNGワードとOKワードは?

課題解決力の大切さはずっと言われてきました。でも実はもっと大切な力がありました。それは「課題発見力」つまり課題を“発見する”力です。「あれ? おかしいな」と現状の矛盾に気付いたり「本当にこれでいいの?」と改めて問い直す力は、もしかしたら、今の日本人に一番欠けているものなのかもしれません。子どもの「課題発見力」を伸ばすにはどうしたらいいのでしょうか。

大人の話に口をはさんでくる子どもに対して……
NGワード:「子どもは黙っていなさい」

大人同士で話しているのに子どもが「お母さん、僕はこう思うよ」「私はこうしたほうがいいと思う」なんて口をはさんでくることがありますよね。

たまにならかわいげがありますが、しょっちゅうだとイライラして「子どもは黙っていなさい!」なんて言いたくなります。

でも、あまり言わないほうがいいですよね。

大人の話に口をはさんでくるのは、そこに子どもが何か気付いて発信したいと思っているから。それこそ「課題発見力」が育っている証拠です。

状況が許すかぎり、話を聞いてあげて
それを「子どもは黙っていなさい!」なんて言葉で押しつぶしてしまうと、子どもは「自分なりの意見を言うのはよくない」「自分の意見を持ってはいけない」というメッセージになります。

これでは、せっかくの課題発見力の芽が伸びないまま、しおれてしまいます。

そうならないように、多少は融通を利かせて、子どもが口をはさむのを許してはどうでしょうか。

OKワード:「あなたの意見は?」

しかし、相手と話題によっては大人同士の話に子どもが口をはさんでくるのはちょっと……ということもありますよね。そういう場合は「あとで」でよいと思います。

OKワード:「あとで聞かせてね」

当然ですが、「あとで」という約束をちゃんと守ることが大前提です。

普段から「あとで」が守られていれば子どもは待てますが、親に「あとで」を忘れられることが多い子にとっては「今」しかありません。待つことが難しくなってしまいます。

しつこく「なぜ?」「どうして?」を聞いてくるとき、ついイラッとして……
NGワード:「そういうものなの」

「なぜ?」「どうして?」は子どもの課題発見力そのものです。大切にしたい……。

でも、何度も同じことを聞いてきたり、答えようのないことを聞いてきたり、子どもの「なぜ?」「どうして?」攻撃にイライラしてしまうことありますよね。

あまりしつこいと「そういうものなの!」とバシッと切り捨てたくなってしまうのも、わかります。

言ってしまったあとに「あーキツい言い方しちゃった」と落ち込んでしまったこと、私も何度かありました。

「そういうものなの!」なんて冷たく切り捨てたくない、子どもの疑問には丁寧に向き合ってあげたいのに……。

イライラするのはちゃんと応えてあげたいから
でもね、こう考えられないでしょうか。

分からない、答えられないことを聞かれてイライラするというのは、ちゃんと答えを返してあげたいという誠実な気持ちの表れなんだ、と。

「ああもう、この子ったら、何度も同じことを聞いてきてしつこいな」とイラッとしたとき、一瞬でいいのでこう考えてみてください。

「私はこの子に誠実に向き合ってあげたいけど、うまくできなくてイラついているんだな」。

できればさらに「誠実に向き合ってあげたいと思う私ってなんて素晴らしい親なんだろう」と心の中で自分をほめてあげてください(無理にほめなくてもいいですが、実際、素晴らしいことだと思います)。

自分をイライラさせているのが自分自身の心の持ちようだと気付けば、少しはイライラが収まるのではないでしょうか。

質問返し&調べる、で他の力を伸ばすきっかけに
気持ちが収まったところで、子どもの課題発見力を伸ばすために、こんな「返し」をしてみましょう。

OKワード:「なんでだろうね?」「どうしてだと思う?」

質問に質問返しすることで、子どもは「親が全ての答えを知っているわけではない」ということに気がつきます。

安易に「なんで?」「どうして?」と答えを求めるのではなく「自分の頭で考えてみる」という方向にシフトさせることができれば、子どもの課題発見力だけでなく、思考力、課題解決力などの力も伸ばしていくことができます。

しかし、子どもは「分かんないから聞いてるんじゃん」と答えるかも知れません。そんなときは、こんな言葉もいいでしょう。

OKワード:「いっしょに調べてみようか」

今の時代、何を調べるのにも、インターネットで検索する、図書館で本を見る、現地に行く、など、さまざまな方法がありますが、どんな方法で調べるにしても、最初は大人が「調べ方」を教えてあげる必要があります。

小学校3、4年生くらいまでは大人と一緒に調べることで、調べ方を学びます。

また、調べたら分かった、という体験が「もっと知りたい」という学習意欲につながります。

高学年になったら「お母(父)さんも分からないから、調べて教えてくれる?」と調査を丸投げするのもおすすめです。

このとき投げっぱなしにするのではなく、子どもが調べてきた結果は、興味を持って聞かなければなりません(無理する必要はありませんが、やはりある程度は)。

親に対して説明することで、調べた知識が定着するだけでなく、要点をつかんで要約する力や表現する力のトレーニングになります。

知能だけでなくやる気や集中力にも遺伝が影響 子育ての努力に意味はあるか

 知能はどこまで遺伝の影響を受け、どこまで環境の影響を受けるのか──。この問いを突き詰めていくと、「子育ての努力に意味があるのか」という問題に行き着く。はたしてその答えはどうなっているのか。最新刊『無理ゲー社会』で、「知識社会における経済格差は、知能の格差と同義だ」と指摘する作家・橘玲氏が、行動遺伝学の最新知見をもとに、パーソナリティにおける遺伝と環境の影響度合いについて紹介する。


【一覧表】やる気、集中力、記憶、計算、学歴… 33項目のパーソナリティにおける遺伝率の影響


  行動遺伝学は一卵性双生児と二卵性双生児のちがいをもとに、身体的特徴から性格や認知能力、身体的・精神的疾患まで、ヒトのさまざまな性質の遺伝と環境の影響を調べる学問分野で、半世紀以上にわたって膨大な研究を積み上げてきた。行動遺伝学を語るときに欠かせないのが、2000年に行動遺伝学者エリック・タークハイマーが発表した「3原則」だ。


第1原則:ヒトの行動特性はすべて遺伝的である
第2原則:同じ家族で育てられた影響は遺伝子の影響より小さい
第3原則:複雑なヒトの行動特性のばらつきのかなりの部分が遺伝子や家族では説明できない


 行動遺伝学がしばしば「遺伝決定論」だと誤解されるのは、第1原則(遺伝の影響は広範に及んでいる)と第2原則(子育ての影響とされているものの多くは親から子への遺伝である)しか見ていないからだ。より重要なのは第3原則で、「個性(わたしらしさ)には遺伝と子育て以外のなにかが強く影響している」とする。この“なにか(ファクターX)”が「非共有環境」だ。


 行動遺伝学では、「こころ」を「遺伝率+共有環境+非共有環境」で説明する。


 遺伝率は外見、性格、精神疾患などのさまざまなばらつき(分散)を遺伝要因でどれだけ説明できるかの指標で、身長や体重ではおよそ70~80%になる。共有環境は「きょうだいが同じ影響を受ける環境」のことで、一般には家庭環境(子育て)とされている。非共有環境は、当初は遺伝率と共有環境で説明できない「測定誤差」とされていたが、その値がきわめて大きいために「きょうだいが異なる影響を受ける環境」と定義し直された。


 家庭内の非共有環境としては、「家族構成(生まれ順、性差)」「きょうだい関係(きょうだいへの嫉妬)」「子育て(子どもへの愛情のちがい)」などがあるが、きょうだいで親の接し方が異なるのは子どもの遺伝的特性によるかもしれない(手のかからない子どもにはやさしくし、手のかかる子どもはきびしくしつける)。


 一方、家族外の非共有環境としては「学校や地元の友だち集団」「教師」「ソーシャルメディア」など一人ひとりが異なる体験をする環境が考えられる。そのなかでももっとも影響力の大きいのがピアグループ(友だち集団)で、発達心理学者のジュディス・リッチ・ハリスは、子どもの人格形成に決定的なのは「友だち集団内の地位争い(キャラづくり)」だと述べて、「子育ての努力に意味はないのか」との論争を巻き起こした(*)。


【*参考:ジュディス・リッチ・ハリス『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない〔新版〕』ハヤカワ文庫NF】


 これは現在に至るまでもっとも説得力のある非共有環境の説明だが、それがずっと無視されてきたのは、ハリスが博士課程を病気で中退した在野の研究者であること以上に、発達心理学や教育心理学にとってきわめて不都合だからだろう。既存の心理学は「幼児期の子育てが子どもの性格をつくる」ことを当然の前提としてきたが、ハリスはそれを真っ向から否定したのだ。


遺伝なのか、環境なのか

 どちらが正しいかは、(認めるかどうかは別として)現在ではほぼ決着がついている。図表4は、総計1455万8903人の双生児を対象とした1958年から2012年までの2748件の研究を2015年にメタ分析したもので、「パーソナリティ(性格)」「能力」「社会行動」「精神疾患」における遺伝率、共有環境、非共有環境の影響を推計したものだ(*)。


【*参考:Tinca J C Polderman, Beben Benyamin, Christiaan A de Leeuw, Patrick F Sullivan et.al (2015) Meta-analysis of the heritability of human traits based on fifty years of twin studies, Nature Genetics /ここではCharles Murray (2020)Human Diversity: The Biology of Gender, Race, and Class, Twelve掲載のデータを抜粋した】


 メタ分析(メタアナリシス)は、過去に独立に行なわれた複数の研究を統合し、ひとつの研究であるかのように解析する手法で、個別研究よりもはるかに信頼性の高いエビデンスとされる。ひとつの研究結果は、それとは異なる別の研究結果で否定できるが、メタ分析を否定するには学問分野全体を覆さなくてはならない。ここで紹介するのは、行動遺伝学のなかでもっとも大規模なメタ分析のひとつだ。


 ざっと眺めてわかるように、ほとんどの項目で遺伝と非共有環境の影響が圧倒的に大きく、共有環境の影響はほとんどないか、きわめて小さい。


 心理学や精神医学は、うつや摂食障害、適応障害などの原因を幼少期の子育て(とりわけ母親との愛着関係)に求めるが、共有環境の影響は無視できるほどしかない。計算や認知、言語などの学習にはわずかに共有環境の影響があるが、やる気や集中力は子育てとはまったく関係ないようだ。「仕事と雇用」や「親密な関係」のように、人生に決定的な影響を及ぼす性格特性にも共有関係はまったく影響していない。


 近年、知能の遺伝率は幼少期では相対的に低く、思春期に向かうほど遺伝的な影響が増していくことがわかってきた。アメリカで「就学前教育」に大きな注目が集まったのはこのためで、逆にいえば、「学力に関しては、小学校に上がってからはなにをしてもムダ」ということだ(*)。


【*参考:ジェームズ・J・ヘックマン『幼児教育の経済学』東洋経済新報社】

 例外的に共有環境の影響が大きいのは、「インフォーマル(私的)な社会関係」「子育ての問題」「基礎的な人間関係」だが、これはポジティブな影響ではなく、幼児期の虐待などで友人関係や恋愛関係をうまくつくれなかったり、自分の子育てに問題が生じるからのようだ。子育てはたしかに子どもの人格に影響を及ぼすが、それは「極端な領域でネガティブな差異をつくりだす」のだ。


「頑張れない」を許さない残酷な社会

 わたしたちは暗黙のうちに、いまの社会が知能(学力)によって序列化されていることを受け入れているが、その一方で、社会的・経済的成功を決めるのはIQや学歴だけではなく、「コミュ力(話し方)」や「やり抜く力(GRIT)」、「人間力」だと思ってもいる。


 その背景には、「知能だけがすべてではない(すべてであってはならない)」という信念、あるいは願望がある。こうして、「成功に重要なのは知能よりも自己コントロール力だ」「教育で知能を伸ばすことができないとしても、やる気(堅実性パーソナリティ)を高めることはできる」などの主張が登場する。


「成功」に対する知能の影響が100だとして、性格のうち堅実性が60、共感力が20、協調性が20の影響をもつとすれば、これらの(成功につながる)パーソナリティの総計も100になる。だとしたら、知能と性格はほぼ同じ比重になり、知能のちがいだけをいたずらに言い立てるのは(控えめにいえば)科学的な正確さを欠くし、(率直にいえば)許されない差別なのだ。


 成功にとって努力などの性格特性が重要なのは間違いない。だがここで無視されているのは行動遺伝学の第1原則で、知能だけでなく努力にも遺伝の影響がある。図表4でも、遺伝率は「やる気」が57%、「集中力」が44%で、努力できるかどうかのおよそ半分は遺伝で決まる。


 児童精神科医の宮口幸治は、ベストセラーとなった『ケーキを切れない非行少年たち』の続編である『どうしても頑張れない人たち』で、「頑張るひとを応援する」という善意の残酷さについて書いている。宮口が医療少年院などで出会う少年たちは、頑張りたいと思っているかもしれないが、それでも頑張れないのだ。


 その原因のすべてが生得的なものだとはいえないが、幼児期の虐待や育児放棄など、本人の意志ではどうしようもないものがほとんどだ。そして宮口は、ほんとうに支援が必要なのは、わたしたちが支援したくないと思うような「頑張れない子どもたち」だという。


 知能の影響を否定しようとするひとたちは、意志力のような「成功に役立つ性格」を過大評価し、「頑張る」ことを成功の条件とする。これを逆にいうと、「頑張れない(努力しない)ひと」は支援される資格がないのだ。知能による選別を否定すると、その空白を、性格(頑張っているか、いないか)による選別が埋めることになる。テストの点数で序列化されるのと、性格(人間性)を否定されることの、どちらがより残酷だろうか。


「進化論的リベラル」へ

 わたしたちは無意識のうちに、親(子育て)や教師(教育)が子どもの将来に決定的な影響を与えるはずだと思っている。だがさまざまなデータは、この信念(というより願望)にさしたる根拠がないことを示している。


 子ども時代のことを思い出せば誰もが同意するだろうが、親(家庭)の影響が大きいのは幼少期までで、小学校高学年になれば友だちとのつき合いの方が大事になり、思春期を過ぎれば親の説教などどうでもよくなる。重要なのは親や教師からほめられることではなく、友だち集団のなかで注目され、よりよい(より多くの)性愛を獲得することなのだ。


 だが大人になると、なぜかこうした体験を忘れてしまうらしく、子育てや教育の影響を(とんでもなく)過大評価するようになる。


 近年では教育現場でカウンセリング、チューター制度、学校外活動、ジョブトレーニングなどさまざまな試みが行なわれている。これらはどれも子どもたちの「非共有環境」に介入しようとするもので、行動遺伝学の知見では、子どもの選択・行動は遺伝だけでなく非共有環境が強く影響するのだから、考え方としては間違ってはいない。


 ところが、こうした努力はどれも期待ほどの成果をあげていないようだ。その理由は、とても単純な理由で説明できる。子どもたちは「教育」以外のほとんどの時間を他の非共有環境、すなわち友だち集団のなかで過ごしているのだ。


 10代の若者がカウンセラーと1時間話したとして、部屋から一歩出れば「友だちの世界」が待っている。だとしたら、ほんのわずかな「介入」にどれほどの効果があるだろうか。


 子どもの選択・行動に外部から大きな影響を与えたいのなら、養子に出す、他の地域に引っ越す、転校するなど、非共有環境をまるごと変えるような介入が必要になる。


 1990年代にアメリカで行なわれた社会実験では、裕福な地区への引っ越しをともなう経済援助を受けたグループでは、13歳以下だった子どもが20代半ばに達したときの収入が(なんの援助も受けなかった対照群の子どもより)約3分の1以上高くなり、8歳児が受けた利益は生涯収入で30万ドル(約3000万円)と見積もられた。子どもが大学に進む確率は6分の1高く、大学のランクは大幅に上がり、貧しい地域に住む割合やシングルマザーになる確率も低かった(*)。


【*参考:Raj Chetty, Nathaniel Hendren & Lawrence F. Katz (2015) The Effects of Exposure to Better Neighborhoods on Children: New Evidence from the Moving to Opportunity Experiment, The American Economic Review /マシュー・O・ジャクソン『ヒューマン・ネットワーク 人づきあいの経済学』早川書房】


 子どもの人格形成に環境要因が大きな影響力をもつのは友だち関係の全面的な変化をともなうときで、“ビリギャル”のような事例は、もともと素養のある子どもを発掘する以上の意味はないのだろう。

 行動遺伝学の知見によれば、遺伝率はよい方向でも悪い方向でも「極端」になるほど高くなる。並外れた才能も、世間を震撼させる凶悪犯罪も、いまでは遺伝的な要因が大きいことがわかっている。


 だがこれは逆にいえば、平均付近のほとんどのひとにとっては、「氏(遺伝)が半分、育ち(非共有環境)が半分」ということだ。人生のあらゆる場面に遺伝の影が延びているから、自由意志に制約があることは間違いないとしても、だからといって生まれ落ちた瞬間にすべてが決まっているわけではなく、自分の手で運命を(ある程度)切り開いていくことはできるはずだ。


 これからの時代に求められているのは、こうした不都合な事実(ファクト)を受け入れたうえで“よりよい社会”を構想する「進化論的リベラル」なのではないだろうか。


【プロフィール】
橘玲(たちばな・あきら)/1959年生まれ。作家。国際金融小説『マネーロンダリング』『タックスヘイヴン』などのほか、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『幸福の「資本」論』など金融・人生設計に関する著作も多数。『言ってはいけない 残酷すぎる真実』で2017新書大賞受賞。その他の著書に『上級国民/下級国民』『スピリチュアルズ「わたし」の謎』など。リベラル化する社会の光と影を描いた最新刊『無理ゲー社会』が話題に。

※橘玲・著『無理ゲー社会』(小学館新書)より抜粋して再構成

子どもが寝言を言うのはなぜ?寝言を言う理由と正しい対処法

お子さまが寝ているときに、突然「ワーッ」と声を出したり、明瞭に何かをしゃべったり……。寝言を言うだけならともかく、何か苦しそうにもがいたりしていると、保護者のかたとしては、「眠る環境が悪いのでは?」「嫌な夢を見る理由があるのでは?」などと気になるものですよね。そこで今回は、寝言を言う理由と対処法をご紹介します。

寝言とは?具体例で見る寝言の正体
【寝言を言うのは体と脳のスイッチがうまく切り替わっていないから】
そもそも「寝言」とは何なのでしょうか? 簡単に説明すると、眠っている状態と起きている状態とで「体と脳の休息のスイッチ」がうまく切り替わっていないとき、人は寝言を言います。

たとえば、お子さまが夢の中で大根を切っていたとしますよね。このとき普通、体は動きません。脳は「レム睡眠」という夢を見る眠りの状態にあって、記憶を整理するなどいろんな働きをしています。ただ、筋肉は休んでいるため、脳から「腕を動かせ」という指令が出ても、実際に腕が動くことはないのです。

しかし、こんなこともありますよね。たとえば、夢の続きで包丁の扱いを間違えてどこかを切ってしまいました。するとお子さまは「キャッ」と寝言を言ってしまった……。

このとき、お子さまの筋肉のスイッチはちゃんと切り替わっていない状態です。ノドの筋肉が動く状態にあるため、脳が興奮状態になって強い指令を出したのを受けて、「キャッ」という声を出してしまった……というわけです。

これが寝言の正体です。

【子どもに多い「夢遊病」の可能性も】
声帯くらいならともかく、全身の筋肉のスイッチがうまく切り替わらないと「夢遊病」になります。

夢でピンチに陥って「ワー」「キャー」などと言うことが多いのは、脳が興奮状態になって強い指令を送るからです。寝言にもかかわらず、ある程度会話が成り立つこともあります。これは、脳が夢うつつの状態で反応し、脳の指令を受けた声帯も反応していて……という状況で起こることです。

子どもと高齢者は寝言が多い
特に知っておいてほしいのは、子どもと高齢者は寝言が多いということ。子どもは脳のスイッチが発達過程にあり、高齢者はスイッチが老化してしまうことがあるため、青年・壮年期に比べると寝言が多いのです。

子どもの寝言への対処法と気を付けた方がよいこと
寝言を言うと、何かマズイことがあるのでしょうか? 結論から言います。あまり神経質になる必要はありません。大人でも脳のスイッチの切り替えがうまくいかないことがあるものです。発達段階にある子どもが多少、寝ながら何か言ったとしても、特にどこか良くない、ということはないのです。

……ただ、二つ注意してほしいことがあります。

【急に寝言が増えるのはストレスサインかも】
急に寝言が増えたとしたら、あなたのお子さまは何か強いストレスを抱えているのかもしれません。

ストレスが強い状態のとき、人は「レム睡眠」……つまり浅い睡眠を長くとるようになります。そして夢は、この「レム睡眠」のときに見るのですね。寝言が多いということは夢をたくさん見ている、ともいえます。それが悪夢であれ、楽しそうな夢であれ、寝言が急に増えたら、何かツライことがなかったか聞いてあげるとよいと思います。

【寝言を言っても起こさない】
寝言を言っても、寝かせたままにしておきましょう。

明らかに悪い夢を見ているときはどうしても起こしてあげたくなりますが、実は寝かせておいてあげたほうがよいのです。「レム睡眠」のとき、人は夢を見ます。そして「レム睡眠」は一晩に4、5回は訪れます。しかし、覚えている夢って、たいてい最後に見たものだけですよね?
悪夢のときに起こしてしまうと、その悪夢の記憶がインプットされてしまい、お子さまの気分が暗く沈んだものになります。怖い夢のせいで起きてしまったならともかく、あえて起こす必要はないのです。

まとめ & 実践 TIPS
最後に……「寝言に返事をしてもよいのか?」という質問が来たのでお答えしますね。たしかに「寝言に返事をしてしまうと、寝言を言った人が寝たまま帰って来られなくなる」などという話、聞いたことがありますよね。でも、これを心配なさっていたお母さん! 医学的にはまったくの迷信ですので、ご心配なく……(笑)。

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子どもの地頭力は鍛えられる!具体的な方法と「地頭がいい」子どもの特徴

「地頭力」という言葉を聞いたことはありますか? 地頭力は勉強だけでなく、生きていくうえで役に立つ能力です。子どもの頃から鍛えておけば、ビジネスなどさまざまな場面で発揮できるはず。そんな地頭力について、詳しく見ていきましょう。

地頭力とは?
【地頭力がある=地頭がいい】
地頭力とは、問題解決のために自分の持っている知識や情報を組み立てていく力のことです。論理的な思考法ともいえます。簡単にいうと、「自分の頭で考える力」です。

「地頭がいい」という言葉はよく使われますよね。「地頭力がある」というのは、それと同じ意味。昔から人間の中にある能力で、勉強によって培われるものではないのです。

【成績の良さとは違うもの】
「地頭力がある」は、「頭がいい」「テストの点数が高い」と必ずしもイコールにはなりません。たとえば、決まったやり方以外で問題が解けなかったり、基礎はできるのに応用問題が苦手だったりする子どもは、地頭力が弱い可能性が高いといえます。

答えにたどり着こうとするまでの過程で発揮されるのが地頭力です。子どもの場合はまだ知識や情報が少ないため、それが点数や成績に反映されないこともあるでしょう。もちろん、成績が良くて地頭力もある子どももいます。地頭力は、はっきりと数字で表せない能力なのです。

地頭力のある子どもの特徴
点数で表せない地頭力。それでは、どのような特徴があると「地頭がいい」といえるのでしょうか。

【好奇心旺盛で観察力が高い】
「なんで?」「どうして?」が多いお子さまもいますよね。このように、いろんなことに興味を持ったり、周りをよく見ていたりする子どもは、地頭力があるといえます。

好奇心や観察力があると、「なぜ?」と疑問を持ち、考えるきっかけになります。仮説を立て、結論を導き出し、また考える……。その頻度が高ければ、それだけ地頭力が鍛えられているということです。

【相手の気持ちを理解できる】
相手の気持ちや意見を「なるほど」「そうなんだね」と受け入れられる子どもも、地頭力があるといえます。反対に、ある程度年齢が上がっていても、周りの意見を無視して自我を押し通そうとする子どもは、地頭力が弱いのかもしれません。

地頭力があると、さまざまな方向や立場から物事を考えられます。そのため、自分と違う意見でも「そういう考えもあるのか」と受け入れることができるのです。

【表現力が豊か】
地頭力があると、表現力が豊かになることもあります。面白い発想や言葉、柔軟な考え方を持っているため、それが表現の場でも活かせるのです。もちろん、地頭力がなくても表現力は発揮できるものなので、一概にはいえません。ただ、「センスがある」「技術がある」の他に、「地頭力がある」という可能性を考えてみるのもよいのかもしれませんね。

【イレギュラーな状況に強い】
いつもと違う場面やトラブルに強い子どもも、地頭力があるといえます。決まったパターンや公式に当てはめなくても、その場の状況に応じて自分の頭で考えて解決できるからです。

応用問題に強い子ども、公式を習っていない段階でも答えを導き出せる子どもも、地頭力があるといえます。反対に、基礎はすぐ覚えられるのに応用になるとつまづく子どもは、地頭力が弱いのかもしれません。

【全部説明しなくても理解できる】
地頭力があると、少ない情報からその先を推測できます。1つ言えば、3つのことをしてくれえるようなタイプです。子どもの場合は、知識や情報がまだ少ないため難しいこともありますが、経験したことがあればその力が発揮できるはずです。

たとえば、「洗濯物を取り込んでくれる?」とお願いしただけで、畳んで片付けまでできてしまうようなお子さまは、地頭力がある可能性があります。

地頭力はどんなときに役立つ?
【壁にぶつかったときにも乗り越えられる】
地頭力は、勉強だけでなく生活全般で役に立ちます。友だちとケンカをしたとき、部活や習い事で成果が出なくなったとき、受験や就活などで力を出したいときなど、さまざまな場面で発揮されるものです。

「ダメだ」「できない」と投げ出さず、どうにかして解決しようと考えられるのが地頭力です。うまくいかなかったとしても、考えた過程が次に活かされていきます。

【コミュニケーションが円滑になる】
相手の意見や気持ちを理解できるため、コミュニケーションが円滑になります。自己主張は大事ですが、それが間違っているときもあるはず。地頭力があれば論理的に物事を考えられるため、いろんな人の意見を取り入れ、情報をまとめていくことができます。
友だちや家族との関わりだけでなく、学校での話し合いや、社会に出た後の会議などでも役に立つはずです。

【これからの社会を生き抜く力になる】
「AIが人の仕事を奪う」と心配される現代。今の子どもたちが大人になる頃に、どのような時代になっているのかはわかりません。ただ、マニュアル通り行動するよりも、新しい発想や論理的な思考を求められることが多くなってくると思われます。

そのために必要なのは、頭の良さではなく地頭力です。地頭力があれば、仕事や生活で自分らしく活躍できる可能性があります。

地頭力を鍛える方法5選
「地頭力は生まれ持ったもの」と思っていませんか? 実は、そうではありません。もちろん生まれ持ったものもありますが、後から鍛えることも可能。逆に、いくら良い地頭を持っていても、それが発揮できない環境では意味がありません。つまり地頭力は、日常生活が大きく影響しており、周りの大人の関わり方や環境次第でマイナスにもプラスにもできるものなのです。

【子どもの「やりたい!」を尊重する】
まずは、子どもの好奇心を否定せず、好きなことや興味のあることをとことんやらせてあげましょう。「ダメ」「こっちにしよう」など、親の価値観を押し付けてしまうと、子どもの思考力や表現力が育ちにくくなります。これは、わがままもすべて聞いてあげるということではありません。「そういう考えもあるんだね」「そういう気持ちなんだね」と、理解してあげるということです。

【子どもに選ばせて決めさせる】
「選ぶ」「決める」という行動には、「考える」が詰まっています。ですから、日常の中で子どもが選んで決める機会をたくさん作ってあげてください。先回りして何でも保護者のかたが決めてしまうと、子どもの考える機会が奪われてしまいます。

経験が少なく決められないお子さまには、「AとBどっちにする?」と選択肢を提示してもOK。小さなことでもよいですから、選んで決める経験をたくさんさせてあげましょう。

【すぐに答えを出さずに一緒に考える】
子どもが「どうして?」「なんで?」と言ってきたときには、すぐに答えを出さずに一緒に考えてみましょう。「どうしてかな?」「あなたはどう思う?」と質問返しをしてみるのもよいでしょう。

子どもの考えや答えが合っていなくても問題ありません。それよりも、考えた過程が大事です。「わからない」というお子さまには、少しずつヒントをあげたり、「ママ・パパはこう思うけど、あなたはどう?」と自分の考えを先に伝えてあげたりするとよいでしょう。

【結果よりも過程を大事にしてあげる】
地頭力がある子どもは、公式を使わずに問題が解けたり、教科書通りではない方法で答えを導き出したりします。その結果、成績に反映されないこともあるでしょう。テスト以外の場面でも、正しい答えにたどり着かない場合もあります。

地頭力を鍛えるうえで大切なのは、考えることです。子どもの頃は、知識や情報が少なく、まだ力を発揮しきれないことも多々あるでしょう。ただ、経験をたくさん積むことでその精度は上がっていくはずです。まずは過程を大事にし、「この考えは面白いね」「こういうやり方もあるよね」と認めてあげてください。

【いろんな体験をさせてあげる】
遊びや生活での経験は、子どもの知的好奇心を刺激します。嫌がることを無理矢理やらせるのはNGですが、子どもが楽しめるものならどんどん体験させてあげてください。親目線で見ると、危ないことや汚れること、難しいことは避けたくなるでしょう。しかし、そういった経験の中からこそ学べるものもたくさんあります。大きなケガや事故には気を付けながら、家の中でも外でも、さまざまな経験をしていきましょう。

まとめ & 実践 TIPS
子どもの頃から地頭力を鍛えておけば、人生のさまざまな場面で役に立ちます。どんなに勉強ができても、頭が良くても、それを必要な場面で活かせなければ意味がありません。学校で勉強したことを生活や仕事で発揮できるように、子どもが「自分の頭で考える」機会をたくさん作っていきましょう。

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イジメが起こりやすい学校・平和な学校の条件ってあるの? 高校生・大学生に小学校時代を振り返ってもらった

「あの小学校ってイジメが多いんだってね」「隣の小学校はイジメの話よく聞くよね」といった噂話は、よく母親たちの間で話題にのぼります。もしかしてイジメが起きる学校に、なにか共通点のようなものはあるのでしょうか? 

そして、実際に学校に通っていた子どもたちはどのように感じていたでしょうか。

「イジメが起きやすい学校、逆に平和な学校の条件みたいのってあるかな?」…そんな質問を、高校生や大学生、社会人1~2年生の子たちにしてみました。実際に数年前に小学校に在籍していた子どもたちの声には、親の見方とは違った答えもありました。

■イジメがあった体験談から

▽イジメが起こりやすい“クラス”があった

シカトするというような「仲間はずれ」を複数でやる、ということならイジメはあった。ただクラス替えしたら、雰囲気も変わり、イジメがなくなったという経験があります。

今思うと、学校単位ではなく「クラス単位」=「担任の先生の力」だと思う。なんていうか、小学校高学年にもなると、先生をバカにしたり、言うことを聞かなくなったりする。バシッとコントロールできている先生のクラスはそれほどヒドイいじめはない。

子どもってよく見てるから、先生が怒らないとわかるとナメてかかるし、「親の目が怖いんだよね、うちの担任ってさ」「イジメあるの、なんとなくわかってるけど知らないフリしてんじゃん」みたいなことも言い合ってる。それで、どんどんクラス全体がすさんできて、そうなればイジメもエスカレートするって感じだと思います。(Nさん/21歳)

▽大人は気づかないイジメはある

女子で小5の頃にイジメがありました。その子はよく当時流行していたブランド品とか持っていて、別荘があるなんて話を自慢げにしていたのがきっかけで、数人が「あいつ、イヤな感じ」みたいになって、そこから女子全員が無視し始めました。あとはリーダーみたいな女子がその子に向かって、かなり暴言を吐いていたのは覚えているけれど、私も当時は「傍観者」だったので、思い出すと後味が悪い感じがします。

先生にバレないようにやっていたし、特に小学校高学年でクラスの女子が一丸となってイジメをする時は、正直、周囲の大人は気づきづらいと思います。

イジメをする側がかなり賢い(という言い方はヘンですが)と、先生も見抜けないし、学校がいじめに積極的に取り組んでいたとしても、わからない子どもだけの世界というのはあると思います。だからイジメを受けた本人が声をあげないと、イジメは止まりません。(Hさん/16歳)

▽怖い先生がいるとイジメがおさまることはあった

小学校じゃなくて中学だけど、女子数人が標的の子をトイレに連れ込んで写メして、それを知り合いにばらまいた、という大事件が起きたことがある。男子なら蹴っ飛ばすとか、机倒したり、モノ隠したりといった感じだったけど、女子のが「こえーな」と思ったのを覚えてる。学校ではイジメ対策とか言って、その為の授業があったり、教頭先生とか見回りしていたみたいだけど、正直あまり効果があったとは思わない。それよりクラスの担任が怖かったり、生活指導の先生がいて、その先生が出てくると「やべ~」って感じでちょっとイジメがおさまる部分はあったかもしれない。(Yさん/22歳)

■ニュースと違い平和な学校で過ごした子どもたちも

▽先生の目が行き届く小さな学校は平和でした

ニュースとか見ると、平和な学校だったなぁと思う。小学校時代はイジメなんてほとんどなかった。まぁ田舎の学校で人数も少なかったし、先生の目も行き届いていたのかなとは思う。(Tさん/17歳)

▽「忙しすぎてイジメするヒマがなかった!?」

公立小学校だけど受験組が多くて、高学年になるとみんな忙しくて他人に興味なかった感じはあります。ただ、いっぽうでストレスもあって、些細なことでイヤな感じのケンカ(にらみつけたり、バカを相手にするとバカがうつる!とか言っていた)は頻繁にありました。でも誰かに関わると面倒、というような空気感のほうが強かったと思います。ひどいイジメはなかったと思うけど、いいクラスだったなという思い出ではないですね。

小学校3~4年の時、担任の先生ちょっと変わってて授業中にギターとか弾いててw。 でもたまに怒るとすごく怖かった。勉強中もすぐ違う話題とか先生が話して盛り上がっていて、あの先生は良かったなぁとよく思い出すし、あのクラスではイジメはなかったなと断言できます。(Mさん/22歳)

▽イジメになる前に親にバレて怒られてた

たまたまかもしれないけど、私の小学校6年間で、今ネットで見るようなイジメはなかったと思います。シカトしたり、交換日記で悪口書かれたりとかあったけど、一定の時間で沈静化する感じ。交換日記とかも親にバレてたし、中見せろとか言われてイヤだったけど、それで悪口書いててスゴイ怒られた。ふてくされてたけど、実はウチの親、本気で怒ると怖い!とビビって、それ以降は「ヤバいかな」とちょっとなんか、自分を抑える部分ができたと思う。

母親同士も連絡取り合ってて、ウチの親も交換日記やってた他の親に「うちの子が悪口とか書いていたから怒ったよ」と話してて、アレもすごく当時はムカついたけど、まぁそれで「やめとこっか」みたいになった。

今になって思うと、お節介な親がいっぱいいたから、こういうことがあっても「あんたが言いつけた」っていうより(そういう事はよくあったから)「あんたのせいでバレちゃったじゃーん」みたいな感じで、それが原因で仲悪くなったりしなかったし。みんな似たような感じだったかなと思う。だから、ちょっとした意地悪はいっぱいあっても、それ以上のイジメにならなかったのかなと思う。

今の小学生はスマホとか持ってるし、親が見えないところのイジメがスゴそう。親が気づけない状況になってて、ヒドイいじめになって初めて気づくから大変なんだろうと思う。本当の意味でイジメになる前に、本気で怒られたり、イジメられた子も相談できる状況なら、ニュースで見るような悲しいほどヒドイ状態にはならないような気がする(Sさん/21歳)

■「子ども時代の経験者」の声からわかること

実際に数年前に小学校に在籍していた子どもたちの声から、以下のようなことが分かりました。

・学校単位でイジメが起きやすい/そうでないという区別はない
・クラスの雰囲気が大きい
・担任の先生がクラスをコントロールできるかどうかが影響する
・だんだんとイジメが巧妙な手口になっていて周囲も気づきづらい

そういえば、よく私たち親も「このクラスは荒れている」とか「あの学年はヤバい感じだよね」と話したりしていませんか? 確かに、ひとり、ふたりとキレやすいとか、すぐ乱暴をするといった目立つ子がいて、その子に引っ張られるようにクラス全体がイジメをする方向に行くことは実際にあります。

ただ、この場合もイジメが深刻化する前に先生が気づき、いじめた本人や保護者に対応している場合には、多くの場合、そこで留まります。それでも例外もあって、呼び出したもののいじめた側の保護者が無関心で学校にも来ないとか、先生も他に様々にやることがあり、そこまでフォローしきれない場合もあるでしょう。

いずれにしても、イジメは学校の中の「クラス」という一番小さな社会集団で起こるものゆえに、クラスの担任という先生が大きな役割を担っていると、子ども達の声からは感じますね。

■いろいろな方向から「イジメをなくすために」行動するのが大事

イジメの問題は学校で起きている以上、先生に対応を迫ることになるでしょう。子ども達の意見を見ても「本気で怒ると怖い先生」という存在自体が、いじめの温床を防ぐ効果はあるように思えます。

ところが保護者の中には「ウチの子を怒鳴りつけた」と理由も聞かないまま問題視するケースもあるわけで、先生はひと昔前よりもずっと「子どもを怒りづらくなっている」現実もあります。怒りたくても怒れない先生が増えていること、あるいは逆に怒り方を知らない先生がいること、こうしたこともイジメが増える原因のひとつなのかな、と感じました。

また親が本気で怒ったことで「自分を抑えた」という子もいたように、子どもが悪いことをした時にどれだけ真剣に親がわが子と向き合えるかも重要なんですね。

イジメが起きる環境として学校に問題があるのと同時に、イジメをする子どもがいる以上はその保護者、傍観者である子ども達の保護者、イジメの標的とされている子の親が声をあげること、様々な方向から「イジメをなくすために」対応していかなければ、これだけ複雑化しているイジメの問題は改善されないのではないか、と思った次第です。

イジメの問題を繰り返し取り上げてきていますが、本当に難しい問題だなと改めて思いました。

    ◇   ◇

【企画協力】株式会社マモル/いじめの早期発見・解決を目指す、いじめ報告相談プラットフォーム「マモレポ」を開発運営している

(まいどなニュース/BRAVA編集部)

これが世界水準の「いじめ対策」!?…ドイツの幼稚園に息子を通わせていたママがびっくりした対応

息子が4歳のころ、ドイツの幼稚園に通わせていた時の思い出です。ドイツ語が満足にできずアジア人は彼ひとりという環境にもかかわらず、毎日楽そうに通園していました。ところがある日、「幼稚園に行きたくない!」と泣いて拒否。何事かと思って理由を聞くと、L君という男の子が叩いたりせっかく作ったパズルを壊したりするのが嫌だと涙ながらに訴えてきました。

ドイツの幼稚園でまさかのいじめ?
「もしかしていじめられているのでは……」

心配になって朝一番で先生に相談すると、こんな回答がかえってきました。

「実はL君は他の子にも暴力を振るっていて、クラスでも問題になっています。今度、ご両親を呼んで話し合いをする予定です」

…日本だったら、ここまでハッキリ言うでしょうか。

悪意ある表現を使えば「あの子は問題児だから、今度両親を園に呼び出します」と他の保護者に伝えているわけですから。でも現状を説明してもらったことで、色々な意味で安心しました。

まず、息子が「いじめの標的」になっているわけではないということ。

幼稚園で組織的ないじめはほとんどないでしょうが、人種差別的な扱いがあるのではないかと心配していました。

さらに、「息子がいじめる側ではない」とわかったこと。先に息子が暴力を振るい、反撃されている可能性もあったからです。言葉が通じない環境のストレスを暴力で解決していたらどうしようかと思っていましたが、杞憂に終わりました。

そしてなにより、「園が問題を把握し、解決に向けて動いている」と教えてもらったこと。

息子はL君の暴力を先生にたびたび訴えていたようですが、L君は「やっていない」と言い張っていたそうです。誰にもわかってもらえない悔しさも、息子にはストレスになっていたのかもしれません。

だから息子には伝えました。「先生は、L君がみんなを叩いているのを知っているよ。L君がやっていないとウソをついているのもね。だから、もし嫌なことをされたらすぐに先生に言いなさい。先生は、あなたが悪くないとわかっているから!」と。

息子の話を聞く限り、L君の暴力は簡単に収まることはありませんでした。でも安心したのか、登園拒否をすることはなくなりました。

「成長過程に必要なこと」なんて都合よく解釈しないで
ドイツでの体験をSNSに投稿したところ、いじめ被害者だった方からコメントをいただきました。

先生、いじめ加害者、いじめ被害者(コメントをくれた方)で話し合ったところ、実はいじめ加害者のひとりは別の生徒にいじめを受けており、そのストレス発散のためにいじめをしていたと告白したそうです。その他の加害者も、中学受験のストレスや家庭内不和などを抱えていたといいます。子どもが暴力的になるのには必ず原因があるのでしょう。

いじめに関する最近の報道を見ている限り、日本ではいじめを軽く捉えていると感じます。

「子どものやることだから仕方がない」「成長過程に必要なこと」などと都合よく解釈せず、学校・園、子ども、保護者の全員が問題に向き合い、根本的な原因を解決する姿勢が必要ではないでしょうか。

(まいどなニュース/BRAVA編集部)

甘えてくる子どもの心理と対処法を知っていますか?子どものサインを見逃さないで

お子さまが保護者のかたに甘えるのは当たり前ですが、甘えすぎもちょっと考えものと思いますよね。

ただ、幼稚園や保育園に通う3~5歳のお子さまは、外での集団生活で頑張っているぶん、たまにはおうちでは保護者のかたに甘えたくなるときもあるはずです。では、どういった心理のときにお子さまは甘えるのでしょうか?

甘えさせるメリット、「甘やかすこと」との違いについてもご紹介します。

子どもの「甘え」の種類
お子さまの甘え方はさまざまです。あの手この手で、保護者のかたの気を引こうと甘えてきます。それでは、甘え方にはどのようなものがあるのか、いくつか紹介しましょう。甘えの理由と対処法は、次の章で解説します。

【甘えの種類】
1)抱っこなどのスキンシップ
2)「なんで?」としつこく話しかけてくる
3)ワガママを言ってくる
4)思い通りにならないと暴れる
5)できることをわざと「できない」と言う
6)弟や妹をいじめる

「甘え」ケース別 理由と対処法
1)歩けるのにすぐ「抱っこ」という場合
もう自分で歩けるのに、すぐに「抱っこ」と言う甘えや、近くにいてほしいと言ってスキンシップを求める甘えは、安心感を得たいからです。理由はお子さまによってさまざま。たとえば、下にきょうだいができた場合や、保護者のかたが忙しくなったことで一緒にいる時間が減ってしまった場合などが考えられます。

肌と肌が触れ合うスキンシップは、お子さまにとっては最高の安定剤です。その時間を少しでも長く持つことで、保護者のかたがそばにいてくれる安心感を得ようとしているのでしょう。時間の許す限り、甘えさせてあげることが大切です。

2)「なんで?」と質問攻めをしてくる場合
保護者のかたの都合など考えず、質問攻めをしてくるお子さまもいるでしょう。何度も続くと面倒臭くなる場合もありますよね。
しかし、そのようなときお子さまは、自分の気持ちに「きちんと」応えてくれないと感じ、さみしくなっているのかもしれません。その気持ちから、きちんと応えてくれるまで何度も言ってしまうことがあるのです。

信頼できる親だからこそ、お子さまは自分の知りたい気持ちを満足させてほしいと思っています。保護者のかたはできる限り、きちんと質問に付き合い、答えてあげることが大切です。そうすることで満足し、質問攻めも落ち着くようになるでしょう。

3)ワガママを言ってくる場合
お子さま自身もいけないことだと分かっているのに、ワガママを言ってしまうことがあります。たとえば、妹や弟である赤ちゃんにおっぱいをあげているときに抱っこをせがみ、「今はできない」と言われると泣き出すことはありませんか? これは、「自分のワガママをどこまで受け入れてくれるのだろうか」と愛情の確認をしているからでしょう。

お子さまの気持ちを理解し、叱らずに、ときにはしばらく抱っこしたりひざの上で一緒に遊んだりして、お子さまとの時間を作ってあげてください。

4)思い通りにいかないと暴れる場合
自分の思った通りに事が運ばないと、暴れてしまうお子さまもいます。心を許した保護者のかたの前だからこそ、そのような形で気持ちの整理をしようとするのでしょう。どこにどう気持ちをぶつければよいのか分からないのかもしれません。

この場合はひとまず、スキンシップをしながら落ち着くまで待ちましょう。それから、気持ちに共感し、慰めたり、励ましたりといった形で接してみてください。

5)できるのに「できない」と言ってやらない場合
今まで自分でできていたのに「できない」と言って甘えるのは、幼稚園や保育園などの集団生活で頑張っているからかもしれません。家に帰ると、お子さまもほっと一息つく時間になります。保護者のかただからこそ、甘えようとしているため、できるだけ甘えさせてあげましょう。

6)下の子を攻撃する場合
下の子が産まれると、妹や弟を攻撃してしまうお子さまもいます。そのようなお子さまは、ヤキモチをやいているのでしょう。今まで自分のことだけを見て、自分一人のためだけにお世話をしてくれていた保護者のかたが、下の子ばかりに目を向けるようになれば、単純に嫌ですよね。

ましてや下の子が赤ちゃんならば、どこへ行っても「かわいいね」と言われるでしょう。そうすると、上のお子さまは「わたしを見て」という気持ちが強くなります。保護者のかたは、上のお子さまとの時間も大切にし、「きちんと見ているよ」という気持ちを伝えてあげましょう。

甘えさせることのメリット
【安心感が得られる】
お子さまが保護者のかたに甘えるのは、信頼し、安心できる相手だからです。甘えることにはきちんと理由があります。保護者のかたがしっかりとお子さまの意思をくみ取って甘えさせてあげることで、お子さまは安心感を持つことができるでしょう。

【自己肯定感がアップする】
保護者のかたに受け入れられたことで、「自分を認めてもらえた」と感じ、自己肯定感のアップにつながります。

逆に、甘えさせないでいると、「自分は受け入れてもらえない」と感じ、自己肯定感が下がったり攻撃的になったり、不安感が強くなったりすることにもつながるでしょう。お子さまの気持ちを理解し、甘えさせてあげることは、お子さまの成長のためにも必要なのです。

「甘やかす」と「甘えさせる」は違う
「甘えさせる」ことは必要だと言いましたが、「甘やかす」こととは違います。では甘やかすとはどういったものなのでしょうか?
たとえば、お子さまが自分でできることを大人がすぐに助ける、我慢させないといけないのに我慢させないなどは、甘やかすことです。

おもちゃやお菓子が欲しいと言われたときに、すぐにお子さまの要求に応えて与えてしまうという行為も甘やかしになります。
お子さまを甘やかしてばかりいると、自己肯定感が育たずに自立できなかったり、ワガママが止まらなくなったりしてしまう可能性もあります。

対して甘えさせるというのは、お子さまの気持ちを理解し、スキンシップを図るなどして、お子さまの心理的な要求を受け入れることです。似ている言葉ですが意味が違うので、間違えないようにしましょう

甘えてこない子どもがいるのはどうして?
【親が厳しすぎると甘えられない可能性が】
甘えるお子さまばかりではなく、なかには甘えてこないお子さまもいます。甘えてこないお子さまは、とても厳しくしつけられたり、叱られたりして育ってきた場合が多いです。

そのようなお子さまにとって、保護者のかたは怖い人でしかありません。保護者のかたが自分の味方ではないと感じると、お子さまは甘えることができなくなってしまいます。

【子どもの気持ちに寄り添うことが大切】
「どうして、うちの子は甘えてこないのだろうか」と思っている保護者のかたもいるでしょう。その場合は、保護者のかたからスキンシップを図るなど、お子さまの気持ちに寄り添ってあげてみてください。

また、叱りたくなったときには、一度落ち着くことが大切です。そして、お子さまの気持ちや理由を理解してあげてください。叱るほどではないときは、見守ることや前向きな言葉掛けをすることを心がけましょう。

叱る必要があると判断したときは、感情的に大きな声を出すのではなく、落ち着いたトーンで話してみてください。お子さまが理解したならば、「これから気をつけようね」と頭をなでたり、ギュっと抱きしめたりしてあげましょう。

サインを見逃さないように
「できれば甘えさせてあげたい」と思っていても、甘えさせるのはなかなか難しいと感じる保護者のかたもいらっしゃるかと思います。まずは、お子さまの「甘えたい」想いに気付けるように、表情や行動のサインがないか意識することから始めてましょう。

そのためにはまず、お子さまの好きなこと、嫌いなこと、喜ぶこと、楽しんでいること、嫌がることなど、お子さま自身を深く知ろうとすることが大切です。そうすれば、お子さまのサインに気付くこともできるようになるでしょう。

プロフィール監修:市川由美子
保育士として15年以上にわたり、福祉施設、託児所、保育園などさまざまな場面での保育業務に携わる。
食育実践プランナー資格も有している。

外科医と発達障害の3人姉弟――長女の発達障害を疑ったきっかけ

読者の皆さん、こんにちは。外科医ちっちです。我が家は発達障害(疑い含め)5人家族です。発達障害は、脳の障害と呼ばれ、個別性が大きいです。ですので、「その子に合うオーダーメードの支援と対応」が必要です。

我が家の特性とその工夫について、皆様の参考になるよう、お伝えします。 この記事のテーマは自閉症家族のビックリ&試行錯誤の子育てです。こんな家族もいるのだ、とどうぞ温かい目でお付き合いください。

〈我が家のメンバー〉
・父 30代 外科勤務医 のんびりマイペース。
・母 30代 元看護師 短気。昔よりはまし。
・長女 小6 自閉スペクトラム症 ADHD アスペルガー のんびり
・長男 小4 自閉症スペクトラム症 高機能自閉症 ADHD 短気
・次男 年長 自閉スペクトラム症疑い のんびり

「うちの長女って、ちょっと変?」と確信した出来事。
長女いっちは幼稚園に入園した頃から、周りに合わせて行動するのが苦手で、席に座らない、やりたくないことがあると寝転がる、整理整頓ができない、ということが度々ありました。

ただ発語や知能に問題はなく、分かりやすい問題行動という訳でもなかったので検診でも異常は指摘されませんでした。
ところが3歳の時の園での初めての運動会で、皆が整列しているのに突然泣きながら走り出し、競技を一時中断させるほどの大脱走を繰り広げたことがありました。

それまでも、意思疎通が図りづらいと感じていましたが、「この子」しか育てていないので、「こんなものかな」とも思っていました。しかし、集団でのいっちの様子を見て「これは平均とのずれ方が変だぞ」と確信せざるを得ませんでした。

発達障害なのかな?長女の様子で気になったこと。

<心の発育>

赤ちゃんの頃から目が合わない
気が向かないときには、どんなに周囲が言ってもやらない(ex幼稚園に行く時間だと声をかけても、大好きな本を読んでいると途中でやめることができない)。

会話をしていてとんちんかんな返しをする。
クラスの友人と意見が違うと必ず譲り、自分の意見を主張しない。

小学生になっても、授業中に急に泣き出す(本人にも理由が分からない)。
急に床に転がる(本人にも理由が分からない、急に転がりたくなるらしい)。

授業中に先生が説明しているときに、いっちの気になることを大声で先生に聞いてしまう。スケジュールを分刻みでルーズリーフに書き出し、 その通りに行動する。スケジュールと実際がずれると機嫌が悪い。

……この辺りの学校での様子は授業を中断させてしまうこともしばしばありました。

<こだわり>

かぼちゃだけを食べる(2歳まで)→食事が牛乳だけ(3歳まで)→次第にまんべんなく食べるようになった。
ヒートテックの素材、内側がもこもこした服(裏起毛)が着られない。

<身体の発達>

毎日転ぶ
食べこぼしがひどい(毎食、椅子の下に新聞紙を敷いていた)。
整理整頓ができない。
落し物・忘れ物が多い。
次にやることだけに目が向いているので、今やっていたことを忘れて次に行ってしまう。

<他の子どもと少し違うなと感じたこと>

文字への理解がとても早く、正確。
1歳半には大人のようにペラペラお話ししていた。(道で通りがかりのおじいさんにいくつ?と聞かれて「1さい8かげつです」と1歳8か月の時に答えていた)。

3歳になる前に文字を習得、鏡文字などなく正確に書けるようになった。
年中の頃には絵本だけでなく、小学生が読む本を一人で読みだした。

大人の会話を100%理解している。
母親が困ることをしない。我慢する。

同世代の子の気持ちを推測し、自分が我慢しても、相手が喜ぶことをする
(→これは後に、自信のなさの表れだと児童精神科医に指摘されました)。

読んだ本の内容を正確にページまで覚えている。
例えば「〇〇ってなんだっけ~?」と聞くと「ちょっとまってね」と本棚に行き、迷うことなく1冊選び、迷うことなく「ここに書いてあるよ」と開いて教えてくれる。

夜明けが分かる(気づいたのは1歳半ごろ)
遮光カーテンで部屋は真っ暗でも、日の出とともに外がうっすら明るくなると、パチッと目覚める。前の晩に夜更かししても、日の出とともに起床。機嫌よく一人でおもちゃ、本で遊ぶ。

なので、夏は5時頃、冬は7時頃に起きる。どういうセンサーなのだろうと不思議です。
1つひとつは、大したことないのです。積み重なると、生活はしづらいです。

まとめと次回予告
初めての子育てで、「この子」しか親として接していないので、普通から少し外れているのかどうか分からず、「こんなものかな」と数年は思っていました。しかし、集団生活が始まると、うちの子の逸脱ぶりがはっきりしてきました。第2回は、「2年後に生まれた長男にっちも発達障害?」です。

外科医ちっち
外科医師。妻(看護師はっは)と発達障害3児の育児中。記事中のイラストは、看護師はっはが担当。
・運営ブログ:https://ameblo.jp/titti2020/
・Twitter:@surgeontitti
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