あなたの健康はお金で買えますか・・・? ■最新がん情報(肺がん・白血病他)
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どんな「がん」にも共通する“危険信号”とは?

◆世に様々な「がん」はあれど……

がんは、体の中の様々な臓器にできる可能性があります。

「ということは、早期発見のために注意すべき初期症状も多種多様になるということ?」と疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、がんの特性を考えれば、多くのがんにとって共通の初期症状の特徴があります。

ここでは、がんの早期発見に役立つ「がんに共通の危険信号」について、お話ししたいと思います。
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◆出血、もしくは血が混じる

がん細胞は急速に増殖するので血管が非常に豊富です。これらの血管は、「新生血管」と呼ばれ、がんの増殖には欠かせない大量の酸素と栄養素をがん細胞に届ける役割をします。

この新生血管は、通常の血管と少し構造が異なり血管壁がもろく、ちょっとした物理的刺激で破綻し出血します。食道や胃、大腸などの消化管では、食べ物や便が通過するときの刺激で、がんの表面から出血してしまいますし、気管や気管支では、怒責による血圧の上昇でも出血します。

そうなると、当然のことながら、便や痰に血が混じってきますし、症状が進行した場合には、血液そのものが、下血や喀血となって出てくることがあります。腎臓がんの症状のひとつは、「無症候性血尿」と呼ばれ、特に痛みもないのに、尿に血が混じるというものですし、女性の場合には、不正出血といって月経周期とは関係なく出血がある場合、子宮がんの可能性も考えなくてはなりません。

いずれも、体から血液そのものや血液が混じったものが出てくるということは、通常では見られない現象です。もちろん、何の心配もない場合もありますが、がんの初期症状の可能性も少なからずあると考えておいた方がよいでしょう。
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◆管が詰まることによる症状

がんは、その増殖によって固いできものを形成していきます。このできものが大きくなるにしたがって、通過障害をきたす場合があります。たとえば、大腸では、がんによって管が細くなり、便が詰まってしまうことがあります。また、少しわかりにくいかもしれませんが、肝臓や膵臓からの消化液の流れが、膵臓にできたがんによって閉塞してしまうこともあります。尿の流れが妨げられるような位置にがんができると、腎臓から尿がうまく流れない状態になってしまいます。

その結果、腸閉塞や、皮膚が黄色くなる黄疸、腎臓が腫れてしまう水腎症と呼ばれる状態を引き起こすことがあります。これらはいずれも、ある程度の進展によって起こってくることが多いですが、できた場所と状態によっては、初期症状のひとつとして見られることがあります。

◆がんの早期発見のために

今回ご説明したように、出血や閉塞といった症状は、がんの部位によらず共通のものですので、ぜひそのような症状が出た場合には、医療機関を受診し、先生に相談してみられることをお勧めします。それとともに、もうひとつ、気をつけていただきたいことがあります。

極めて非科学的なのですが、私自身が患者さんとお話ししていて感じるのは、「何となく、いつもと違う感じがした」とか、「今回はまずい、と思った」といった風に、患者さんご自身が、「何か」を感じられていることも多いということです。もちろん、心配しすぎる必要はありませんが、こういった第六感も、時と場合によっては、早期発見の隠れた特徴かもしれません。症状にしても、直感にしても、もし、気になることがあれば、ぜひお近くの医療機関にご相談くださいね。

血液1滴でがん13種類診断 死亡率を劇的に減らす次世代の早期発見検査

 まさに驚異的な技術である。1滴の血液から何と、13種類のがんの有無が同時に診断できる検査法を、国立がん研究センターなどの医療チームが開発したのだ。 この検査法は、がんが分泌する微小な物質を検出する方法で、「腫瘍マーカー」を使う現在の血液検査と比べ発見率が極めて高く、ごく初期のがんも見つけられるというのが特長だという。その13種類は、胃がん、食道がん、肺がん、肝臓がん、胆道がん、膵臓がん、大腸がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、乳がん、肉腫、神経膠腫だ。

 同チームは今後、がん患者らを対象とした臨床研究を進め、数年以内に国の承認を得る方針だといい、センターの落谷孝広・分子細胞治療研究分野長は「患者の体への負担が少ない比較的安価な検査になる。早期発見できれば、より効果的な治療ができ、医療費削減にもつながる」と話している。気になるその検査費用は、2万円程度になる見込みだ。

 日本人の2人に1人がかかり、3人に1人が死亡するというがんは、早く発見すればするほど、その後の生存率が高くなることは周知の通り。胃がんの場合、ステージIで発見できれば5年相対生存率は97.8%。IIになると66.7%、IIIでは半分以下の49.1%にまで落ち込んでしまう。今回開発された方法は、検査という壁を低くし、早期発見により死亡率を劇的に減らす可能性を秘めているのだ。

 「従来からの腫瘍マーカー検査は、主にがん細胞が死ぬ時に出るタンパク質を検出するもので、ある程度がんが進行しないと発見が難しいのです。しかも、正確性にも問題がある。ところが、次世代型とも言えるこの検査法は、初期のがんでも分かるため、その後の治療方法の選択肢も格段に広がる。もし実用化されれば、もはやがんは死の病ではなくなりますよ」(都内大学病院内科医)

 山梨大学医学部名誉教授の田村康二氏も、こう驚きを隠せない。 「そもそも、がんの発生原因もいまだ不明なんです。それなのに、1滴の血液で13種類のがんが分かるなんて夢物語じゃないですか。もし本当だったら、私だって診て欲しい。ただし、この手の話は、まず学会で正式に認められてからですね」開発したチームは、がんが血中に分泌する「マイクロRNA」と呼ばれる物質に着目した。国立がん研究センターや国立長寿医療研究センターなどに冷凍保存されていた約4万3000人の血液を使い、前述の13種類のがんに特徴的なマイクロRNAを調べたところ、それぞれのがんに2~10種類の特有のマイクロRNAがあることが判明した。

 「この分泌量の変化を調べることで、どのがんも95%程度の確率で発見できたという。たとえば人工知能を分泌量の分析に利用すれば、精度をさらに高められる可能性もあります」(医療関係者)調査で使用された長期間保存の血液は、マイクロRNAが変質している恐れもある。そのため今後、新たにがんと診断された3000人以上の新鮮な血液を採取し、有効かどうかを調べる臨床研究を進めるという。

 「チームは、まず乳がんの検査法としての承認を目指したいとしている。検査によって、がんの有無、さらには“どのがんを患っているのか”までがほぼ確実に診断できるようになれば、患者への負担は相当減る」(医療関係者) がんの場合、自覚症状がなくても病気が進行しているケースは稀ではない。発見できたはいいものの、診断した医師に「もっと早い段階で来てほしかった」と言われ、ショックを受ける患者も多い。かと言って、一般的な健康診断レベルでさえ、発見するためには大腸がんなら便潜血検査、乳がんならマンモグラフィーなど、部位ごとの検査が必要となり、手間も時間もかかるのが現状だ。

 「そのため、がん検診ともなれば受診する人の割合は3割程度と低いまま。もちろん、その検診も、がんの種類ごとに受けなくてはならず、自費で受けるとかなりの額になる。結果、治療も後手に回ってしまうのです。そのため、もっと手軽に、できれば1度に複数のがん検診ができる技術が求められていたのです」(医療関係者)

 ただし、いざがんと診断された場合、治療についてはまだまだ進歩が求められているのも事実。内科医で関東医療クリニック院長の松本光正氏も、現状に対してこうした厳しい見方を示す。「確かに今回の開発は、科学の進歩でしょう。がん恐怖症の人には朗報ですが、では、見つかった後、治療法があるのでしょうか? がんの治療法はいまだ皆無の状態。診断技術は進歩しましたが、治療がないわけです」

 加えて、世田谷井上病院の井上毅一理事長はこう言う。「がんセンターの検査法に確実さがあるかどうかが問題です。部位にもよるが、がんであるかどうかは触診で分かる。いまはまず、医者としての能力も求められている。それに、がんセンターのような大きな病院はともかく、最初はどこでもやれるわけではない。おそらく実用化するには5年はかかるでしょうね」

 いずれにせよ、がん治療法の進歩とともに、新たな段階に入りそうな早期発見の診断法に期待したい。

【1分で判明!病気チェック】長時間のPC作業で心や体に異状 VDT症候群

★手のしびれやイライラ感などの症状が現れたら即受診を

「IT眼症」ともいわれ、長時間のディスプレイ作業によって目を中心に体や精神にも症状が現れる病態の総称。とくに老視がはじまる40代は要注意。仕事に欠かせないディスプレイ作業だからこそ、十分な対策が必要だ。

【6時間以上は要注意】

 VDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)とは、コンピュータを使用するための表示装置のこと。PC、携帯電話、ゲーム機、iPadをはじめとする情報端末など、誰もがVDTに囲まれた生活をしている。

 厚労省が2年前に行った実態調査によると、VDT作業をする人が訴える症状では、目の疲れ・痛み(62・3%)、首や肩のこり・痛み(51・3%)、腰痛(18・5%)、頭痛(16%)と目の症状が最も多い。

 VDT症候群に詳しい神奈川歯科大学附属横浜クリニック・眼科の原直人教授は「VDT作業を平日に6時間以上している人の訴えが圧倒的に多い。大事なのは、そのまま放置して症状を悪化させないこと」と警告する。

【うつ状態にも】

 はじめは目の疲れや首・肩のこりだけでも、慢性的になると次第に“手のしびれ”などの神経症状が現れてくる。また、イライラ感などの精神症状が進展すれば“うつ状態”となる恐れもあるから要注意だ。

 原教授は「作業中の1時間に10分程度の休憩を挟むなど、VDT作業中の対策をすすめる。いつまでもPCになじめない人の精神的ストレスは大きい」と指摘する。

 症状は視覚系、筋骨格系、精神系と多岐にわたる。抑うつ症状が強いようなら早めに心療内科の受診も必要だ。

【PC用メガネを用意】

 長時間の連続作業の他に、原因で見落としやすいのは眼鏡の不適合だ。 「その中でも過矯正にはとくに要注意。日常生活の視力に合わせたメガネでVDT作業をすると、ディスプレイまでの距離が短いので目がピント合わせをしようと過度の緊張が続き、非常に疲れる。

 また、老視のはじまる40代は脳が指令を出しても目のピント合わせが追いつかず負担が大きくなる。症状が強く出やすい世代です」(原教授)

 老視の人の対策は、VDT作業時には「近々両用」や「中近両用」のPC用のメガネにかけ直すこと。コンタクトレンズの場合も同じで、コンタクトの上からメガネをかけて屈折調整してもいいという。

 「ドライアイは目の疲れにつながるのでヒアルロン酸入りの点眼薬をこまめに付けたり、目の周囲を温めると疲労やドライアイを防止できる」と原教授。

 仕事中の目のケアは忘れずに。

★「VDT症候群」チェックリスト

□目が非常に疲れる、痛い

□目が乾く、または涙が出る

□目がかすむ、ぼやける

□首から肩・腕がだるい

□首や肩のコリがひどい

□背中がだるい、痛い

□手指がしびれる

□頭痛、めまいがする

□いらいら感、不安感がある

※VDT作業をしていて、上記のような症状が慢性的に現れるようなら疑いがある。

神奈川歯科大学附属横浜クリニック・眼科/原直人教授作成

食べ物だけじゃない あの習慣が「がんのリスク」を高める

食道がんの手術後に難病を患い、中村勘三郎さんが急逝した(享年57)。また、お笑い芸人や俳優として活躍していた宮迫博之さん(42)が胃がんであることを公表している。がん治療が進んできたとはいえ、働きざかりを急襲する「がん」はやはり恐ろしい。がんの一因に食生活があると言われているが、食べ物だけではない。働きざかりにありがちな「不規則な生活」や「過労」も体の免疫力を失わせ、がんのリスクが高まるという。

 自律神経失調症などを引き起こすような「ストレス」も、がんへの道筋となることもある。働きざかり世代の生活習慣は、がんのリスクだらけなのだ。

 一方、がんは、早期発見、早期治療が重要だ。宮迫さんは今回、6年ぶりに検診を受けたことで、胃がんが発見されたという。国立がん研究センターの森山紀之がん予防・検診研究センター長はこう指摘する。

「日本人はなかなか検診を受けません。例えば乳がんの死亡率は、検診を7、8割が受けるアメリカやイギリスでは下がり、2割しか受けない日本人では上昇しているのです」

 森山センター長は、自身の机の横に小銭を入れる箱を用意している。気がついたときに小銭を放り込んでいると、1年で検診代がたまるという。

「パチンコや競馬代の一部でもいい。少しずつためて楽しみながら検診を受けてはいかがでしょうか」

 早期発見が、大切な家庭や職場を守ることにもつながるのだから。

その痛み大丈夫? 腰痛にがん、感染症の可能性も

「国民生活基礎調査」で、自覚症状がある病気やケガのうち、腰痛を訴える人は男性でトップ、女性では肩こりに続き2位。そのなかには、意外なところに原因があるケースも。

 ポピュラーな病気だが、東京慈恵会医科大学整形外科の曽雌(そし)茂准教授は、「慢性化している腰痛の8割は原因不明」と話す。

「残りの2割は筋肉や骨、椎間板、神経のどこかに原因が見つかりますが、検査をしても原因が見つからないことが多い」

 とはいえ、腰痛の中にも気をつけたい痛みはある。安静にしていても、どのような姿勢でも痛みが続く場合だ。がんや感染症の可能性も考えられる。

 腰や背骨から発生するがんは多くないが、内臓のがんが背骨に転移することはまれではない。特にがんが背骨へ転移し、腰が痛むときは、病状が深刻化していることが多い。

「がん以外の病気では、腎臓病や尿管結石なども考えられます。内臓の中でも背中に近い位置にある臓器に異常があると腰が痛むことがあるのです」

 整形外科の病気以外で起こる腰痛は、痛みだけでなく微熱や体重の減少、全身がだるいなど、他の症状も伴うことが多い。自覚しやすい症状なので、いつもと違う腰痛のときは内科で調べてもらうことが大切だ。

遺伝子検査で「ステージ-1」のがんを発見――最先端医療で見えた日本の医療鎖国


スティーブ・ジョブズを死に至らしめた病、「膵臓がん」。発病後の生存率が低く、再発リスクが高い、極めて困難なこの病気を克服した人物がいる。それは、ハイパーメディアプロデューサーこと、高城剛氏である。
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 なぜ高城氏は、がんで命を落とすことがなかったのか。その秘密は、いい意味でのミーハー心にあった。今、医療の現場は、ゲノム解析やAIの普及により、根本的に変わりつつある。そんな変化に興味を持ち、一冊の本にまとめると決めた矢先のことだった。自らが検体となり様々な検査を受けていたところ、超初期のがんが見つかったのだ。
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 リサーチを重ねる過程で、高城氏は偶然にも膵臓がんを発見し、発病リスクを極めて低く抑えることができた。その顛末を詳しく記したのが『不老超寿』(高城剛/講談社)である。不老“超”寿との表記は、「ハイパーエイジング」と高城氏が名付けたところからきている。ITを駆使した先端技術の医療のことを指す。今、医療の現場は「ハイパー」な進化を遂げているのだ。
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■遺伝子検査でステージ-1のがんを発見

 高城氏が診断された膵臓がんのステージは「-1」。普通、がんの進行具合はステージ1~4で表す。それがマイナスとはどういうことか? 高城氏が受けたがん検査は「ミアテスト」というものである。この検査は今までにない遺伝子の状態を調べるものだ。
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 カギとなるのは、血液中や唾液などに含まれる遺伝子の塩基情報である「マイクロRNA」(mi-RNA)である。このマイクロRNAは、「他の遺伝子の発現を調整するという役割」がある。つまり、がんなどの病気が発症すると、血液中のマイクロRNAの種類が変化する。この検査では、今まで見つけられなかった、ごく微少ながん細胞や転移の芽を発見することが可能だという。
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 このミアテストの結果は、高城氏が数ヶ月以内に膵臓がんを発症する可能性を示唆していた。膵臓がんといえば、進行速度が極めて速く、見つかった時点では手遅れになることが多い。幸いにも「マイナス」が付くほどステージは低くごく微少ながんであった。

■安価なビタミンCでも治療ができる

 ではこの微少ながんをどう治療したのか。医療行為という意味ではほぼ、ひとつだけ、「高濃度ビタミンC点滴」である。これは今や世界のがん治療では定着しつつある、治療法。抗酸化物質であるビタミンCを大量に静脈に投与すると、強い抗酸化作用を誘発し、がん細胞のみを死滅させることができるのだ。しかも正常な細胞は傷つけず、副作用などはほぼない。
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 その他にも、放射線曝露を抑えるため、飛行機での移動をなくす。仕事を減らすなど、体内外のストレスを減らす努力。そして健康的な食事。治療と同時にこれらを心がけた。 そして3ヶ月後…。再び、ミアテストでマイクロRNAの値を調べると、高城氏の膵臓がんの発症リスクは大きくレベルが下がっていたのだという。
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 一般的にがん治療といえば「抗がん剤」で、毛髪が抜けるなど副作用のリスクもある。しかし高濃度ビタミンC点滴なら、このような副作用に苦しむことはない。ではなぜ一般に普及していないのか。高城氏は次のように推測する。
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L-アスコルビン酸(ビタミンC)は、製造のパテント(特許権)がすでに切れている古い薬で、単価も非常に安い。それゆえいくら研究を重ねて治験データを集めたところで、それが利益に結び付くとは考えにくく、また本当に効果的であっても、あまり儲からないのであれば、ビジネスとして力を入れる理由がない。(中略)
いまや製薬会社が儲からないからと放っておいているものの中になにか光があるのではないか
 抗がん剤は世界中で年間数兆円も売り上げる。製薬会社にとってはいわば「金のなる木」である。安価なビタミンCががんに効くとなれば一大事である。そのため研究には熱心ではない。むしろネガティブキャンペーンを繰り広げているのではないかと、医療関係者は勘ぐっているという。
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■自分に最適な手段をさがそう

 高齢化の一途をたどる日本では、医療費は拡大し続け国家の財政を圧迫している。高城氏が受けたミアテストなどのように、「未病」段階で病気を防げれば医療費は大幅に削減できる。また治療法も、「日本の常識」ではなく「世界の常識」を取り入れれば、もっと費用を抑えることもできる。けれどもそれは、製薬会社の売り上げを減らすことも、また医療従事者の数を減らすことにもなりかねない。日本の医療業界の体質を変えなければ、数年ののちに社会保険は破綻する可能性があるにもかかわらず。

 本書ではITの力を医療に用いた最先端の医療を紹介している。けれども結果として目に付くのは、日本の医療業界が既得権益をかたくなに守ろうとする姿だ。その結果として国民の負担が増えるのが目に見えている。こんな時代に医療とどう向き合えばいいのか。高城氏は次のようにも語っている。
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「国際的な見地」と「個別化」
 厚生労働省に製薬業界や医療業界との癒着が絶対にないとは言い切れない。それなら他国へ目を向けるべきだ。海外の論文や治療法に目を広げてみること。そして「遺伝子検査」など最新のテクノロジーが導き出す、「体質」に合った治療を行うこと。この2点に注目すべきだと。
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 本書では、国内外で受けられる「最新三つ星検査」を網羅している。また細胞レベルで若返りに成功した人物を紹介することや、未来の医療の予測も記されている。これらは今、病に悩んでいる人には一縷の望みとなり、いずれ病に罹る人も知って損はない情報だ。テクノロジーと同時に進化した医療を本書から学ぶことは、転ばぬ先の杖となることであろう。

喫煙男性の肺がんリスク、ビタミンBサプリの多量摂取で上昇か

ビタミンB6とビタミンB12のサプリメントを長期にわたって多量に摂取した場合、男性の肺がんリスクが高まる傾向があることが分かった。特に喫煙習慣のある男性の場合、発症リスクはビタミン剤を取っていなかった人たちに比べ、2~4倍ほど上昇していたという。

米科学雑誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー(Journal of Clinical Oncology)」に先ごろ掲載された論文は、米国に住む年齢56~70歳の7万7000人以上の過去10年のビタミンBサプリメント摂取についてのデータを収集、分析結果をまとめたもの。

調査対象は、米国立衛生研究所(NIH)が実施しているサプリメントに関するコホート調査(長期にわたる観察研究)、「ビタミン・アンド・ライフスタイル(Vitamins and Lifestyle、VITAL)」の参加者だ。VITALは、ビタミンとミネラルのサプリメント摂取とがん発症リスクの関連性を明らかにする目的で行われている。

分析の結果、肺がん発症リスクが最も高かったのは、10年にわたりビタミンB6を1日当たり20mg以上、またはビタミンB12を同55マイクログラム摂取していた男性喫煙者だったということが分かった。喫煙習慣がある男性の発症リスクはビタミンのサプリメントを取っていなかった人たちに比べ、ビタミンB6を摂取していた場合は3倍、ビタミンB12を摂取していた場合は4倍に高まっていた。

また、非喫煙の男性が肺がんを発症する危険性は、これらのサプリメントを取っていなかった人の2倍だった。女性の肺がんリスクとこれらのサプリメント摂取の関連性は、確認されなかった。

調査では、対象者の年齢や人種、学歴、アルコール摂取量、体格指数、肺がんの家族歴など、結果に影響を与える可能性があるさまざまな要因についても考慮した。それらの要因を含めた分析結果でも、全体の傾向として見られる結果に変化はなかった。

結果をまとめた論文の主著者は発表文で、「データが示すのは、喫煙習慣がある男性が長期間にわたって多量のビタミンB6とB12を摂取し続けた場合、肺がん発症率が高まるということだ。懸念すべき結果であり、今後さらなる調査が必要だ」と述べている。

NIHが推奨するビタミンB6の摂取量は、19~50歳の場合は男女ともに1日当たり1.3ミリグラム。51歳以上の場合、男性は同1.7ミリグラム、女性は同1.3ミリグラムとされている。また、ビタミンB12の推奨摂取量は、14歳以上の男女ともに同2.4マイクログラムとされている。今回の調査で明らかになった肺がん発症の危険性を高める摂取量は、NIHの推奨量を大幅に上回っていた。

過去にはビタミンBサプリメントと肺がん発症の関連性について、喫煙習慣の有無にかかわらずリスクを低下させる可能性があるとの研究結果が報告されていた。だが、今回の調査よりも相当に小規模の調査だった。

一方、今回発表された結果については、観察研究の結果であり(この手法を用いた全ての結果と同様)、判明したのは因果関係を証明するものではなく、相関関係を示すものだという点に注意が必要だ。より多くの参加者を対象とした大規模な調査が現在、引き続き行われている。

座っているのはがん(癌)の原因!?

今、座っている貴方は、すぐに立ち上がった方がいいかもしれない……。アメリカがん研究所の会議で、座っている時間が長ければ長いほど、がん発症率・死亡率が上がるという説が発表された。

毎日体を動かすことががん予防に効果的ではあるが、例え毎日エクササイズしている人であっても、座りっぱなしの状態が長いと、癌発症率が上がるというから興味深い。

研究者ネヴィル・オーウェン氏によると、成人は平均9.3時間を座った状態で過ごし、6.5時間を軽い運動をして過ごしているそう。だが、この6.5時間をどんなにアクティブに過ごしたとしても、9.3時間が座ったままだと、がんになりやすいという。

意識して運動していても、大丈夫だとは言い切れないのである。がん予防の鍵は、1時間に1、2分、席を立つなり体を動かすこと。日々、長時間フライトの合間に席を立つのと同じ感覚で過ごせば良い。

アメリカでは、年間4万9000件の乳がん症例と4万3000件の大腸がん症例が、この運動不足に寄与するものだという。人々が座っている時間を短くするだけで、年間10万人近いがん患者数を減らすことができ、医療費も抑えられるとあれば、国民も国も万々歳である。

ガンにならずに済んだのに...という発症例は意外に多いと判明

やはり早めの治療がカギなのですね...

いまや先進国の死因トップを占め、多くの人の命を奪って人類最大の敵となっているガンに関する新研究論文で、意外にもガンにならずに済むケースは少なくないという指摘が出されていますよ。

若い人ほど、早期に手を打つことでガン患者となってしまうことを避けられる確率が高まるみたいですね。

International Agency for Research on Cancerが184か国で幅広く実施した調査によると、2008年にガンで死亡してしまった世界の750万人のうち、その実に150万人は、ガンに発展する前の段階の感染症を適切に治療しておけばガンにならずに済んだ可能性が高いとされています。

とりわけ四大要因に挙がっているのは、B型肝炎、C型肝炎、ヒトパピローマ(乳頭腫)ウイルス感染症、ヘリコバクターピロリ菌胃炎で、早期の治療を怠ることで、肝臓ガン、胃ガン、子宮頸ガンなどへと発展してしまったケースが数多く確認されているみたいですよ。

ガン治療に関しては次々と新発見も続いており、まだまだこれから画期的な治療法の登場も期待できそうですが、やはり早い段階で手を打っておくのに越したことはなさそうです。

自分は若いから大丈夫さ~なんて決めてかからず、面倒くさがらずに検診もきちんと受けるようにしないといけませんね。

下咽頭がんは飲酒が原因 進行早いので違和感ならすぐ医者へ  

人間の咽頭は鼻に近いところから上中下に分類され、下咽頭は喉仏の後ろ側にあたる。食物は中咽頭から下咽頭を経て食道、胃へと流れていき、鼻腔からの空気は上咽頭、中咽頭、喉頭を経て気管から肺に入る。

ノドの奥の食道と気管の分岐に近いところにできるのが、下咽頭がんだ。下咽頭がんの危険因子は喫煙と飲酒で、特にアルコールが体内で分解されて生じるアルデヒドが強力な発がん物質となる。

 酒に弱いのに鍛えて強くなった人は、本来アルデヒドの分解能力が低く体内にアルデヒドを蓄積しやすいため下咽頭がんを発症しやすい。発症は50~60代の男性が60%を占め、女性より男性が圧倒的に多い。

 国家公務員共済組合連合会立川病院耳鼻咽喉科の佐藤靖夫部長に話を聞いた。

「咽頭のがんは、粘膜にできる“扁平上皮がん”がほとんどです。近くには喉頭や頸部リンパ節があり、進行するとそれらへの浸展も多く見られます。自覚症状が少なく、下咽頭がんの60%以上は、初診時にはすでに周囲組織への浸潤や頸部リンパ節に転移している進行がんです」

 下咽頭がんは早期ではほとんど症状がない。少し進行するとノドに違和感がある。違和感は錠剤や唾液を呑み込む時よりも、食事の時に強く感じることが多い。数か月経過してさらに進行すると、食事が呑み込めない(嚥下困難)や嚥下痛、声がれ、リンパ節転移による頸部の腫れなどが起こる。

 下咽頭がんは進行が早いので、発症リスクの高い常習飲酒・喫煙の中高年男性は、ノドの違和感を少しでも感じたら、面倒くさがらずに早めの耳鼻咽喉科の受診が不可欠である。

胃がんを自腹で予防する成功率が高いピロリ除菌療法は?

胃がん発症要因の一つと見なされているヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)。最近は一般にも認識が広まり、除菌療法を受ける人が増えてきた。ところが、ピロリ菌も並行して抗菌薬に対する「耐性」を獲得。除菌失敗例が増えつつある。

 保険診療での除菌療法は胃・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫などの治療に限られている。現在、製薬企業9社が共同で適応拡大を申請中だが、今のところ「感染」という事実だけで胃がん予防の除菌をするには自腹を切るしかないわけ。となれば確実に除菌できるに越したことはない。

 先日、世界五大医学雑誌の一つ「ランセット」にピロリ除菌の標準療法と他法との比較が報告された。台湾在住のピロリ菌感染者900人が参加した試験の結果、胃酸分泌を抑える薬(PPI)+抗菌薬2剤を同時に14日間飲む標準療法よりも、まず7日間、PPI+抗菌薬1剤を飲み、さらに7日間PPIと、それまでとは違う抗菌薬2剤を飲む「4剤順次投与法」の除菌率が勝っていたのである(82.3%と90.7%)。

また、4剤順次投与法の期間を5日間+5日間の合計10日間に短縮しても、除菌率は87.0%と標準療法を上回った。参考までに日本での標準的な除菌療法は、3剤併用、7日間の服用である。

 今回の報告は、2008年に欧州から報告されたメタ解析(複数試験の総合解析)の追試。4剤順次投与法が標準療法を上回ると東アジア圏で確認した意味は大きい。というのは、胃がんを引き起こすほど毒性が強いピロリ菌は東アジアに集中しているからだ。

そのせいか、世界の胃がん患者の実に3分の2が日本、韓国、中国の3カ国で占められている。ちなみに使用薬剤は若干異なるが、2012年11月には韓国からも、4剤順次投与法(5日間+5日間)を支持する試験結果が報告された。

 台湾の研究者は「4剤順次投与法が除菌治療の第1選択になる」としているが、日本では「保険適応の壁」があり簡単にはいかない。それなら自由診療を逆手にとって、医師の助言を受けながら効果的な方法を選ぶのがいい。

胃がん検診方法を見直すタイミングに-北大・浅香教授「胃がんを撲滅しよう」

北大大学院がん予防内科学講座の浅香正博・特任教授は13日、東京都内で開催された日本成人病(生活習慣病)学会学術集会で講演し、胃がんの原因のほとんどが、ヘリコバクター・ピロリ(Hp)菌感染であることから、現在のバリウムを使った胃部エックス線検査といった二次検診の方法を見直すタイミングに来ていると訴えた。

その上で、このままの検診体制を続ければ、「団塊世代が還暦を迎え、胃がん世代に突入した今、胃がん患者数は増加し、医療費増大は取り返しがつかなくなる」と警鐘を鳴らした。

 浅香教授は、「生活習慣病由来のがん予防は困難な半面、感染症由来のがんはワクチンや抗生剤投与などで予防が十分に可能である」と指摘。感染症由来のがんと言える胃がんの予防は当然ながら、一次予防が優先されなければならないとした。

さらに、国の今年度からのがん対策推進基本計画のがん予防の項目に、「Hpについて、除菌の有用性について内外の知見をもとに検討する」と明記されたことを重要視すべきだとした。

 また、現在の胃がん検診の方法を見直す理由として浅香教授は、胃がんによる年間の死亡者数が40年以上にわたり、約5万人と全く変わっていないことを指摘した。その上で、胃がん対策ではHp除菌を軸に、ペプシノゲン(PG)法やHp抗体検査を活用したリスク検診体制に移行すべきだと強調。

「Hp陽性の場合は除菌を行い、その後は内視鏡による経過観察を続けることにより、わが国の胃がん死は劇的に減少していくと考えられる。国策による胃がん撲滅プロジェクトを立ち上げる必要がある」とした。

『白い巨塔』モデル医師 「がん放置療法」めぐり近藤誠医師と大激論

がんには「本物のがん」と「がんもどき」があるという独自の「がんもどき理論」を展開する慶応大学放射線科講師の近藤誠医師。

この理論に対し小説『白い巨塔』の主人公・財前五郎のモデルとなったとされる日本外科界の権威、大阪大学第二外科元教授神前(こうさき)五郎医師が反論。撤回を求めるため、二人の直接対決が実現した。2時間半にもおよぶ大激論はどのような結末を迎えたのか。

 近藤医師の「対談承諾」を受けた時点で、神前医師は三つの条件を提示した。

(1)健康上の不安があるので、なるべく早く対談すること。

(2)対談結果に対してお互い、勝利宣言も敗北宣言もしないこと。

(3)科学的なすり合わせにより統一見解を出し、両者はその統一見解に従って、今後行動すること。

 とくに(3)について、神前医師は、「がんもどき理論を撤回してもらうために、統一見解を出すよう対談する。対談して、がんもどき理論の誤りを示せたとしでも、これまで同様にがんもどき理論を主張されては意味がない。

それは科学者として良心に反する、正しくないとわかっていることを主張する行為だ」と、絶対に承諾してもらわねばならない条件と固執した。

その背景には、94歳という高齢の今、自分が生きているうちに、「今後」の行動を近藤医師に約束してもらいたい、という思いがあるのだという。

当方ががその条件を近藤医師に伝えると、近藤医師は、(1)(2)は快諾し、(3)については、「そもそも統一見解を出すことが難しいだろうし、将来の行動を拘束するような約束はできない。人の見解や行動は変わる可能性がある」と反発。

当方が複数回、条件交渉を仲介し、(3)の条件は「もし見解が一致した部分があれば、その見解にもとづいて行動する」という妥協案でようやく対談の日取りが決まったのだった。

 そのため、容易に統一見解には行き着かない。丁々発止の議論は平行線のままかと思いきや、途中、近藤医師が神前医師の意見に唯一賛成する場面があった。

「私なら手術のとき、腹膜播種(はしゅ)の斑点を見つけたら、その時点で手術をやめる。がんに手を加えると増殖してしまう。そのままおなかを閉めると、割合がんはおとなしい。当時、変人扱いされたけど、僕はそういうアグレッシブな手術はしなかった。それは患者のためにならない」

 この神前医師の発言に、近藤医師は、「それは慧眼(けいがん)ですね。私も賛成です。腹膜播種があるのに手術してはいけない」と言って、自ら神前医師の手を取り、握手した。

まさに歴史的和解の瞬間かと思えたが、神前医師が「ただ、おなかを開けないとわからない」と付け加えると、「それには反対だ」と近藤医師は返した。見解が一致したのは、対談全体を通してこの1点のみだった。

 議論は、近藤医師の時間の都合もあり、2時間半をもって打ち切りとなった。

 神前医師はまだ続けたい様子だったが、無念さをにじませながらこう締めくくった。

「いろいろ話してみても、やはりがんもどき理論は架空の考え方であると思う。証拠が不確かで認めることはできない。ぜひとも科学論文として出して反論してほしい」

 一方、近藤医師は、「予想されたところではあるが、早期胃がんを手術する根拠、放っておけば転移して死んでしまうということは実証されなかった。がんのなかで、成長速度が違う証拠もない。

それをもっと謙虚に認めるべきだと思う。ただ、転移があるがんをむやみに手術してはいけないという点については一致できた。そこは有意義な話ができたと思う」と感想を述べた。

 最後まで見解をすり合わせることはできなかったものの、近藤医師は逃げることなく、神前医師の「果たし状」に受けて立ち、2時間半の議論を尽くした。

神前医師も自らの限られた時間を見据えながら、医師として使命を果たさんとしていた。まだまだ未解決なことは残っているとし、これからも近藤理論への反論を続けていくという。

「歯垢が多いと、がんで死亡するリスクが79%も上がる」―歯磨きのススメ

「食事の後は、歯を磨きましょう」子どものときからよく言われるこのフレーズ。でも、朝寝坊したり、ついつい面倒くさかったり……。社会人になっても、歯磨きの習慣がきちんと身に付いていない人は、意外に多いもの。

そこで、フランスの健康情報サイト『TopSante』のジャーナリスト、マリーロール・マクーク氏が、歯磨きの大切さを説明!さまざまな研究から、歯磨きの重要さが証明されています。

歯と歯茎の間に歯肉炎が起こりやすいのは知られていますが、アメリカのコロンビア大学の研究から、歯周病の原因となる細菌が歯肉の炎症から体内に侵入し、動脈壁で炎症を起こす原因となることが証明されおり、歯周病になると心血管疾患のリスクも上がることが分かっています。

また、スウェーデンのヘルシンキ大学とカロリンスカ研究所が行った研究からは、口の衛生状態が悪く歯垢(しこう)が多いと、がんで死亡するリスクが79%も上がることが明らかになっています。

さらに、カナダの糖尿病協会からは、歯茎が重大な炎症を起こしていると、糖尿病になるリスクが上がるという研究結果もあり、口内を衛生に保つことは、病気予防に役立つことが、各研究から分かっています。

他にも、歯磨きを怠ると、病気だけではなく口臭の原因にもなってしまいます。健康でおいしく食事を食べるためにも、歯磨きはとても大切!定期的な歯科検診はもちろん、検診時に正しい歯磨きの仕方を医師に聞くなどして、正しい歯磨き方法を身につけたいですね!

幼少時のCTスキャンで発がんリスク上昇、英国で18万人を追跡調査

CTスキャンを多数回にわたって受けた子どもは、後に血液がん、脳腫瘍、骨髄がんを発症するリスクが最大3倍になる可能性があるとする調査論文が、7日の英医学専門誌「ランセット(The Lancet)」に掲載された。

 調査を行ったカナダ、英国、米国の合同チームは、絶対的な発がんリスクは小さいとしつつ、CTスキャンによる放射線の照射量を最小限に留め、可能であれば代替の検査方法を用いる必要があるとしている。

 研究チームは、幼少時に受けたCTスキャンの放射線量が成長後の発がんリスク増加につながるという直接的な証拠を、この調査で初めて示すことができたと述べている。

 論文の主執筆者、英ニューカッスル大学(Newcastle University)健康・社会研究所(Institute of Health and Society)のマーク・ピアース(Mark Pearce)氏は、「最も重要なのは、臨床的見地から完全に正当化されうる場合にのみCTを使うことだ」と述べている。

 研究チームによれば、CTスキャンはここ10年、特に米国での利用が急増している。だがCTスキャンの電離放射線が引き起こす潜在的な発がんリスクは、特に放射線の影響を受けやすい子どもに多くみられるという。

 研究チームは、英国の1985年から2002年までの診療記録から、幼少期から青年期(22歳未満)までの間にCTスキャンを受けた経験がある人を選び出し調査を行った。

 対象者18万人弱のうち、1985年から2008年の間に白血病(血液や骨髄のがん)を発症した人数は74人、脳腫瘍は135人だった。

 研究チームの計算によると、累計30ミリグレイ(mGy)の放射線を照射された人は、5ミリグレイ未満の人と比べて後に白血病を発症するリスクが3倍高かった。脳腫瘍のリスクは、累計50~74ミリグレイの放射線を浴びた人で3倍になった。

 調査では、CTスキャンを受けたことがない子どもたちが持つ発がんリスクとの比較は行っていない。

 ピアース氏は「機器を改善して、CTの放射線量を減らすことが最優先の課題。放射線学会だけではなく、機器の製造メーカーも共に取り組むべきだ」と述べている。「電離放射線を使用しない超音波やMRI(磁気共鳴映像法)などの代替診断法を採用することも、状況によっては適切な場合がある」

肺がん治療薬イレッサ 2週間でがん細胞がほぼ消滅した例も  

日本人のがん死亡原因の第1位は肺がんで、毎年7万人近くが亡くなっている。肺がんには小細胞がん、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんの4種類があるが、2000年代に入っても小細胞がんと、それ以外の非小細胞がんの2つに分類することだけで治療法が決定されていた。

1980年代以降、分子生物学が発達し、がん細胞の増殖や転移に関係する遺伝子の解明が進み、その働きを抑制する新しいタイプの抗がん剤である分子標的薬が開発されてきた。

肺がんに関しては2002年にゲフィチニブ(イレッサ)、2007年にエルロチニブ(タルセバ)が保険承認されている。

 愛知県がんセンター中央病院副院長で呼吸器外科部長の光冨徹哉医師に話を聞いた。

「従来の抗がん剤はがん細胞だけでなく正常細胞も攻撃するので、治療による副作用が強く、がん細胞に対する効果も不十分でした。

分子標的薬はがん細胞で活性化している特定の分子をターゲットにするため、がんに特異的に作用し、効果が高く副作用が少ないのが特徴です。イレッサやタルセバはEGFR(上皮成長因子受容体)という遺伝子の変異に対する薬です」

当初からイレッサは肺がんのうちでも、日本を含むアジア人、女性、非喫煙者、腺がんに効きやすいことがわかっていた。中には2週間でがん細胞がほぼ消滅した例もある。

 光冨副院長が語る。

「2004年に、このような劇的な効果をもたらす肺がんには、ほぼ全例にEGFR遺伝子突然変異があることが明らかになりました。日本では肺がんの70%が腺がんですが、この半数近くにEGFR変異が認められ、変異は女性や非喫煙者に頻度が高くなっています」

がん治療 実は知らない「再発」・・・「再発がん」との向き合い方

「がん」は今や、日本人の死因として最も多いとされている。それだけに、この病気に関しては闘病記や食餌療法、病気との付き合い方についてのものまでありとあらゆる本が出版されてきたが、これまであまり取り上げられてこなかったテーマもある。

 その一つが、がんの「再発」だ。

がん再発の告知は、患者本人にも家族にも初発の告知よりも大きな衝撃や不安が伴うものだが、「再発がん」との向き合い方や治療法などについての本は少ない。

 『もしも、がんが再発したら』(国立がん研究センターがん対策情報センター/編著、英治出版/刊)は、がんの再発をどのように捉え、どのように治療していけばいいのかということについて書かれた本である。タイトルに「もしも」とあるように、実際の再発がん患者だけでなく、再発を不安に感じる患者に対しても参考になる体験談が盛り込まれている。

がんの専門家と体験者が2年もの検討を重ねた末に刊行されたということもあり、発売当初から関係者の間で反響を呼んでいる。今回は本書のなかから、「再発がん」の治療において重要になる点を一部紹介する。

■治療の目的は「初発がん」と「再発がん」で異なる
 多くの場合、転移・再発したがんの治療は、初回の治療とは異なる。
 初回の治療では、多くはがんが臓器の中にとどまっているため、根治を目標にして治療を行うが、再発がんの場合、局所再発などのケースを除きそれが困難となる場合が多く、がんの進行を抑えたり、がんによる症状を和らげたりすることが目標となる。

 がん治療には主に「抗がん剤治療」「放射線治療」「手術」「緩和ケア」があり、それぞれの特徴を踏まえたうえで、適切なものを単独か、あるいは組み合わせて行う。特に再発がんの場合、患者によって症状がかなり異なるため、どのようにがんと向き合いたいか、そのように生きたいか、といった「治療の目的」を担当医としっかりとすり合わせておくことが重要だといえる。

■「効く」「有効」「治る」医師の言葉のほんとうの意味は?
 がん治療において、医師と患者やその家族の間で治療に対する理解を深めることが大切になる。しかし、同じ言葉でも医師と患者が異なったニュアンスで受け取っているケースが多々あるのだ。

 たとえば医師から「効く」と言われると、患者や家族はがんがなくなったり、寿命が延びたりといった直接的な効果を想像しがちだが、医師は「がんが小さくなる」「がんの進行が抑えられる」といった意味で使っていることがある。こういった齟齬は「有効」「治る」などといった言葉でも生じる可能性あり、治療に関する会話がかみ合わなくなってしまう原因ともなる。

 そういったことをなくすためにも、医師が使っている言葉がわからなかったり、会話がかみ合っていないと思ったりしたら、遠慮せずに確認することが必要なのだ。

 本書には「治療法の選択」や「痛みや苦痛・不安との向き合い方」「未承認薬の使用」「補完代替医療」など再発がん患者やその家族が抱えがちな悩みのそれぞれに、再発がん患者の体験談が添えられ、解説されている。

 「これまでの治療は何だったのか」
 「あれほど苦しい思いをしたのに、また同じ治療をしないといけないのか」再発がんには無力感と絶望がつきまとい、苦しみを分かち合えない孤独感も強い。本書で語られている再発がん経験者の言葉はそんな孤独を少しだけ和らげてくれるかもしれない。また、患者本人だけでなく、その家族や友人など、患者を支える人々にとっても大いに役立つはずだ。

最新のがん治療 感染するとがん細胞を破壊するウイルス利用

がんの主な治療は手術、放射線、化学療法(抗がん剤)だが、画期的な治療法として世界で研究開発が進んでいるのがウイルス療法だ。

 がん細胞は正常細胞に比べてウイルス感染に弱く、感染するとウイルスが増殖してがん細胞を破壊することが知られていた。しかし、ウイルスの作用をコントロールすることが難しかった。

近年、遺伝子組み換え技術が発達し、がん細胞だけで増殖するウイルスを人工的に作ることが可能になった。

 1991年にアメリカで毒性を失くした遺伝子組み換えウイルスをがん治療に応用する概念が提唱され、日本でも2009年から最新型ウイルスで臨床試験が行なわれている。

 東京大学医科学研究所先端医療研究センター・先端がん治療分野(脳腫瘍外科)の藤堂具紀教授に話を聞いた。

「私が使用しているのは口唇に水疱を作る単純ヘルペスウイルスI型です。ウイルスから3つの遺伝子を取り除き、がん細胞だけでウイルスを盛んに増殖し、がんに対する免疫も引き起こす性質を持ったG47Δ(デルタ)というウイルスを作りました。

これはアメリカで開発された第2世代を改良した第3世代で、大量に使用しても毒性が低く安全性と効果を向上させたものです」

 将来はウイルスに様々な機能を持った遺伝子を組み込むことで、がんの特性に応じた治療ができるようになるかもしれない。

例えば、免疫を刺激する遺伝子を組み込み、がん細胞に対するワクチン作用を強力に引き起こしたり、血管新生を阻止する遺伝子を組み込み、腫瘍血管が豊富ながんに使用したりするなど、活用が広がる可能性がある。

 アメリカでは悪性黒色腫に対して、第2世代のヘルペスウイルス薬が来年にも薬として承認される見込みだ。日本も欧米に遅れることなく、がんのウイルス療法開発が進むことが期待される。

頻尿もわずらわしいけど「ガン」も怖い! 50代男性2人に1人が陥る「前立腺肥大」徹底解明(1)

猛暑続きだと、ビールの量も進みがち。しかし、夜中に尿意を感じ何度もトイレに起きる。勢いがない、残尿感がある…。こんな体験をお持ちの熟年者は少なくないはずだ。前立腺肥大症でも、そんな夜間尿意は起こりやすい。

 また、前立腺肥大がベースにあって、尿の溜まった量とは関係なく筋肉の収縮で尿を排出する『過活動膀胱』の頻尿もある。いずれも最近、中高年に増えている病気で、しっかりしたチェックと注意が必要だ。

 米国の医療機関の調査結果では、40代の約20%、50代では約40%、60代の約70%に前立腺肥大症が見られたという。加齢とともに増加する病気だが、40代の中年者でも「まだ若いから大丈夫」と安心はできない。

 厚生労働省の『国民生活基礎調査』(平成20年患者調査)では、'87年に13.4万人だった前立腺肥大症が約20年後の'08年に44.2万人。受診しない潜在患者を含めると200万~300万人と推測される。50代男性の場合、2人に1人は前立腺が肥大していることになり、中には人知れず排尿障害に悩んでいる人もかなりいるとみられている。

 前立腺は男性特有の臓器である。精子に栄養を与える前立腺液を分泌して精子の生命活動の源泉になっている。膀胱のすぐ下に位置し、中心部を尿道が通っているので、肥大すると尿道が圧迫され、尿が出にくくなる。

 しかし、なぜ肥大するのか。そのメカニズムについてはっきりしない面はあるが、男性ホルモンが発症の引き金になっているとの考え方が支配的だ。尿が出にくい閉尿状態が続くと「腎臓」の働きにも悪影が出る。早期発見、早期治療が肝要だと、と医療関係者は話す。

 都内に住む小林さん(49)は、夜の頻尿に悩んでいたひとり。
 泌尿器科を受診すると、結果は予想された通り前立腺の肥大だった。

 「とにかくトイレが近い。しかも残尿感があるし、尿の切れが悪く、トイレの後に尿道に残っていた尿が水滴のように出て、下着を濡らしちゃうんです。尿の出も悪くなったみたいで、勢いがない。

それでも先生に交感神経の働きを抑える薬を処方され、真面目に飲んでいるお陰で、前みたいな頻尿の回数が無くなって、夜も眠れるようになりました。ただ、QOR(生活の質)を変えるように言われ、今は取り組み中です」(小林さん)

 また、自営業Aさん(55)も同じような症状に悩まされ、医療機関を受診した。ただ、小林さんとは違う病名の診断が出された。『過活動膀胱』である。

 Aさんは、昼夜を問わずトイレに行く回数が多かった。それも突然、強い尿意を感じ、トイレに駆け込むという“尿意切迫感”に襲われる。頻尿、切迫性尿失禁症(我慢が出来ず尿を漏らす)も伴っていた。

 この病気は蓄尿障害の一種で、尿を溜めているときに膀胱の筋肉(排尿筋)が勝手に収縮することで起こると考えられている。

 この原因については神経系の病気など、諸説があるようだが、前立腺肥大症を主因とする見方が強い。理由は、前立腺の肥大化によって尿が出にくくなるため、排尿の度に何とか尿を出そうとする膀胱への負担が繰り返しかかり、膀胱の筋肉に異常が起きてしまうからである。

 つまりAさんの場合も、膀胱が肥大し、前立腺の刺激に過敏反応をするようになり、「また行きたい」を繰り返し、過活動膀胱になってしまったようなのだ。

 「医師には、一般的な前立腺肥大症の治療薬(α1遮断薬)を第一選択薬として処方されました。排尿障害や蓄尿障害も改善するということで飲み続けており、確実に良くなりましたよ。何より会社で打ち合わせ中に抜け出さなくて済むようになった事が嬉しい。夜の頻尿も見違えるように減りました」(Aさん)

異常タンパクからシグナル抑える/肺がん治療最前線

<オプジーボだけじゃない(26)大江裕一郎>

 肺がん治療30年のスペシャリスト、国立がん研究センター中央病院の大江裕一郎先生(57)が、最新の肺がん治療を教えてくれます。

【分子標的薬って何?】

 がん細胞など、標的となる細胞にある特定の分子に作用して効果を発揮する薬が、分子標的薬と呼ばれています。分子標的薬には経口投与される小分子化合物と点滴で投与される抗体薬があります。日本で肺がんに使える分子標的薬を表にまとめました。

 肺がんに使われる分子標的薬は、がんの原因となっている遺伝子異常によりできる異常なタンパクからでる増殖信号(シグナル)を抑える薬、血管新生阻害薬、免疫チェックポイント阻害薬に大きく分類することができます。

 血管新生阻害薬の標的はがん細胞ではなく、血管に作用する増殖因子や血管に発現している分子です。免疫チェックポイント阻害薬の標的であるPD-1もがん細胞ではなくリンパ球に発現している分子です。

 このなかで、特にがんの原因となっているEGFRやALKなどの遺伝子異常によりできる異常なタンパクからのシグナルを抑える薬が、肺がんの治療では特に高い効果を発揮しています。

 EGFR遺伝子変異は肺腺がんの40~50%、ALK融合遺伝子は肺腺がんの約5%の患者さんにみられる遺伝子異常です。それぞれの遺伝子異常により、異常なタンパクが生産され、そのタンパクから増殖信号が出続けるために細胞ががん化すると考えられています。

 この異常なタンパクの働きを抑える薬であるEGFR阻害薬やALK阻害薬をそのような患者さんに投与すると極めて高い抗腫瘍効果が得られ、60~90%程度の患者さんで腫瘍が劇的に縮小します。

 腺がんの患者さんの場合には、EGFR、ALKの異常があるかどうかの検査が非常に重要です。

 ◆大江裕一郎(おおえ・ゆういちろう)1959年(昭34)12月28日生まれ、東京都出身。57歳。東京慈恵会医科大学卒。89年から国立がんセンター病院に勤務。2014年、国立がん研究センター中央病院副院長・呼吸器内科長に就任。柔道6段。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本体育協会公認スポーツドクターでもある。

抗がん剤治療がおすすめ/肺がん治療最前線

<オプジーボだけじゃない(29)大江裕一郎>

 肺がん治療30年のスペシャリスト、国立がん研究センター中央病院の大江裕一郎先生(57)が、最新の肺がん治療を教えてくれます。

【EGFR阻害薬が効かなくなったらどうするの?】

 EGFR遺伝子変異がある患者さんに、イレッサ、タルセバ、ジオトリフのいずれかのEGFR阻害薬を1次治療として使用した場合、60~70%程度の患者さんで腫瘍の大きさが劇的に縮小します。しかし、約半数の患者さんは1年以内に、ほとんどの患者さんが2~3年以内に効果がなくなるのが現状です。

 このようにEGFR阻害薬が効かなくなった患者さんのがん細胞を調べると、約半数の患者さんでT790Mというこれまでとは別のEGFR遺伝子変異が出現していることが報告されています。このT790M変異が出現することにより、イレッサなどが効かなくなると考えられています。

 このT790Mを持っている患者さんにも効果がある新しいEGFR阻害薬がタグリッソです。タグリッソはイレッサなどが効かなくなったT790M陽性の患者さんの60~70%に劇的な腫瘍縮小効果を発揮し、平均すると1年程度効果が持続します。

 イレッサなどが効かなくなった場合には、再度、肺がんの組織を採取してT790Mの検査をすることが必要になります。患者さんによっては再度生検を行うことが難しい場合があります。このような場合には、血液からでもT790Mの検査ができます。

 T790Mが検出されなかった場合やタグリッソも効かなくなった場合は、体力や合併症に問題がなければ抗がん剤治療を受けることをお勧めします。EGFR阻害薬だけの治療では必ずしも十分な延命効果を得ることができません。EGFR遺伝子変異のある患者さんには、免疫チェックポイント阻害薬は少し効きにくい傾向があります。免疫チェックポイント阻害薬は、抗がん剤治療の次に検討するのが良いと思います。

 ◆大江裕一郎(おおえ・ゆういちろう)1959年(昭34)12月28日生まれ、東京都出身。57歳。東京慈恵会医科大学卒。89年から国立がんセンター病院に勤務。2014年、国立がん研究センター中央病院副院長・呼吸器内科長に就任。柔道6段。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本体育協会公認スポーツドクターでもある。

【1分で判明!病気チェック】睡眠時無呼吸症候群 ヤセ形の人も注意

たっぷり睡眠を取ったつもりでも全然、休息にならない辛い病気。意外と気づきにくいのはヤセ形の人。知らずに放置していると心疾患や脳卒中を合併しやすく生命に危険が及ぶ。日中、いつも強い眠気に悩まされている人は要チェックだ。

【危ない「あご」】

 睡眠中、喉の筋肉は緩む。このとき、首周りの脂肪や扁桃腺肥大などで気道が狭くなっていると重力で舌根やのどちんこなどが沈み込み、喉の空気の通り道をふさいでしまうのが、この病気の発症メカニズム。

寝ている間に無呼吸状態が何度も繰り返されるのだ。

 太り過ぎ(肥満)が最大の要因だ。が、国内有病率は人口の5-10%といわれ、超肥満大国の米国と変わらない。

 「もうひとつの要因はあごの骨格。日本人は欧米人に比べて気道のスペースが狭く、たとえヤセ形の人でもあごが落ち込み発症しやすい」と説明するのは、スリープ&ストレスクリニック(東京・大崎)の林田健一院長。

 要注意なのは、あごが小さく内側に引っ込んでいるような人だ。

【“うつ”の原因にも】

 最も分かりやすい症状は、毎晩、大音量のいびきとともに突然止まる呼吸。だが、本人は寝ているので妻や家族に指摘されなければ気づかない。

 独身や寝室に入れてもらえない家庭内別居の状態なら、日中の自覚症状に注目すべき。毎日、7時間以上寝ているのに、朝起きて頭が重い、疲れが取れない、仕事中に強烈な眠気に襲われるようなら十分疑いありだ。

 「抑うつ気分が現れることもある。うつ病と診断されている人の16-17%が睡眠時無呼吸症候群を合併していると指摘されています」

 この場合、無呼吸の治療で抑うつが治る人もいる。とくにヤセ形の人では、医師に症状をハッキリ正確に伝えないとうつ病に間違われるケースがあるので要注意だ。

【忍び寄る突然死】

 発見の遅れが問題になるのは、すぐに現れる症状だけじゃない。睡眠時の無呼吸は血圧変動や自律神経の働きに大きな影響を与える。知らずに放置したままだと、高血圧や糖尿病など生活習慣病全般にわたり発症率を高め、悪化させる。

 さらに怖いのは、「若い世代から脳卒中や心不全など脳心血管疾患を起こしやすく、亡くなる人も多い」。40-50代の突然死の原因になるのだ。

 病気の確定には、夜間1泊して脳波計で測る夜間睡眠ポリグラフ検査が必要。主な治療には、睡眠時に鼻マスクを付け空気を送るCPAP療法やあごの落ち込みを防ぐマウスピースが使われる。

 「肥満の人は体重を1割落とせば無呼吸が3割よくなる」と林田院長。 メタボと密接な関係にある睡眠時の呼吸、寝ている間も油断できない。

【「睡眠時無呼吸症候群」チェックリスト】

□「いびきがうるさい」と指摘されたことがある

□睡眠中、「呼吸が止まっている」と指摘されたことがある

□十分睡眠時間をとっても疲れが取れない

□朝起きて頭がスッキリしない、頭痛がする

□寝ていると口や喉が渇く

□睡眠中、何度もトイレに起きる

□肥満がある

□昼間、強烈な眠気に襲われる

・2つ以上該当するようなら診察を受けましょう

※スリープ&ストレスクリニック(東京・大崎)/林田健一院長作成

【1分で判明!病気チェック】早期受診で原因を特定「五十肩」  

四十肩」とも呼ばれるように、早ければアラフォー辺りから出現する肩痛の病気。

放置しても自然治癒するが、勝手な思い込みは禁物。肩痛は心疾患など別の病気によっても引き起こされるケースがある。早期の受診で原因をハッキリさせることが重要だ。

【簡易テストで分かる】

 正式な医学名は「肩関節周囲炎」もしくは「凍結肩」。発症から3段階の病期を経て治癒に至る。チェックリストの項目は、発症当初の最も肩の痛みが強い「急性期」にみられる主な症状だ。

 「診察時にも行われていて五十肩を調べるのに最もいいのはエルボープッシュテスト(図)。ほぼ一発で分かります」と話すのは、山田記念病院(東京・両国)整形外科の長谷川伸医師。

 痛みは、肩関節の中の腱板や関節包、じん帯に炎症が起こるためだ。が、どうして炎症が起こるのか原因が分かっていない。

 加齢とともに体が固くなると起こりやすいので、運動不足は要注意だ。

【左肩激痛は心疾患も】

 決して怖い病気ではないが、早期受診が大切。他の肩痛が出る病気を見落とさないためだ。

 「中には狭心症や心筋梗塞を発症して『左肩が痛い』といって整形外科を受診する人がいる。急に左肩が痛み出し、脂汗が出るほどの痛みだったら要注意です」

 耐えられない激痛は石灰沈着性腱板炎でも起こる。また腱板断裂の場合、痛みは五十肩と似て耐えられるが、治療をしないと放置したままでは回復しない。「五十肩のうち40%は腱板断裂を伴っている」という。

【早期治療で回復早く】

 急性期を過ぎると痛みが軽くなり、今度は肩が動かしにくい症状が強くなる「慢性期」に突入。その後は痛みが消え、肩の動きが回復し始める「回復期」を迎える。

 3つの病期の期間は人によって異なり、治癒するまで早くて3カ月、遅いと3年もかかる。

 治療内容も病期によって異なってくる。安静時の痛みが強い急性期の中期までは安静にして、痛み止めの内服や注射治療を行う。痛みが軽くなり始める急性期の後期になったら一転、運動療法を積極的に行って可動域を広げていくのだ。

 「治療を続ければ、それだけ回復も早くなる。痛みが軽くても腱板断裂の可能性もあるので検査だけは早めに受けましょう」と長谷川医師。

 50歳以上の5人に1人は経験する身近な病気。40歳を過ぎたら誰に起きてもおかしくない。

★「五十肩」チェックリスト

□肩を中心に首や腕にも痛みがある

□肩を動かすと痛みが増す

□痛みで肩の動きが制限される

□夜中に肩の痛みで目が覚める

□痛い方の肩を下にして寝られない

□椅子に座った状態で、両方の手首を重ね合わせて握り、目の高さまで持っていく。向かいに座った協力者に片方のひじに手を添えてもらい、その手を押してみる。肩の痛い方のひじは力が入らない

※2つ以上該当したら可能性が高い

※山田記念病院・整形外科(東京・両国)/長谷川伸医師作成

【1分で判明!病気チェック】汗かくと痛がゆく「コリン性じんましん」

よく知られたじんましんの一種だが、汗をかくことで発疹が現れるという面倒な特徴をもつ。年齢とともに次第に体質が変わっていけば自然に治癒するが、それまでは内服薬をうまく使った発疹のコントロールが大切だ。

【原因不明の体質変化】

 ひと言でじんましんといってもタイプは多い。

 食物や薬剤などで起こるアレルギー性もあるが、大部分を占めるのは非アレルギー性。実際、最も多い(約7割)のは原因・誘因が特定できない「急性じんましん」や「慢性じんましん」。

 次いで、寒冷、日光、圧迫などで誘発される「物理性じんましん」。そして、発汗刺激で生じる「コリン性じんましん」の順だ。

 「コリン性はじんましん全体の5%ぐらいで、多くはないが珍しくない。年齢的には若い世代に多いが、30代、40代でも見られます」と話すのは、社会保険中央総合病院・皮膚科の鳥居秀嗣部長。

 何が理由でこのような体質に変わるのかは不明だ。が、発汗時、神経末端から出るコリン作動物質に敏感に反応するようになるため発疹が現れると考えられている。

【ピリピリ】

 一般的にじんましんの病態は、赤くかゆみの伴う軽い皮膚の膨らみが地図状に広がる。が、コリン性の場合、見た目が少し違う。小さな細かい赤いブツブツが多発して、全体がつながることはない。 また、かゆいというより、ピリピリした痛がゆいという感じだ。

 「発汗が誘因になっても、汗疹(あせも)のように汗がたまる場所にできるわけではありません。腕などの上半身にできるケースが多い」

 他の皮膚病と違うのは特有の発疹が長くても数時間以内に消え、また発汗があれば出現を繰り返すことだ。

【ストレスでも発症】

 普段の生活では運動や入浴によって発疹が現れるのが典型的だが、精神的な緊張やストレスによる発汗(冷や汗)でも現れるので、サラリーマンにとっては厄介だ。

 コリン性じんましんでは、咽頭や喉頭に浮腫を起こして呼吸困難を招くような恐れはなく、治療せずに放置していても5-6年もして徐々に体質が変われば自然と治癒する。 

だが、じっとしていても汗が噴出すような夏季の期間は、気をつけていても発疹が出やすい。発疹を抑える対症療法として抗ヒスタミン薬が効くので、予防的に内服を継続することが賢明だ。

 「発病の原因が分からない以上、誰にでも起こる可能性はある。臨床的には神経質でストレスをため込みやすい性格の人に起こりやすい傾向があります」と鳥居部長。

 2-3人に1人は経験するといわれる“じんましん”。

 共通する予防策は、やはり仕事の疲れやストレスの解消だ。

★「コリン性じんましん」チェックリスト

□運動や入浴などで少しでも汗をかくと赤い発疹が出る

□精神的な緊張やストレスで赤い発疹が出る

□発疹は上半身に出やすい

□大きさ数ミリ-1センチ以下の小さい発疹が細かく多発する

□かゆみよりもピリピリ感、チクチク感がする

□発疹が現れている時間は通常、数分から30分以内

□まれに頭痛、めまい、悪心を伴うことがある

 3つ以上該当すれば可能性が高い

※社会保険中央総合病院・皮膚科/鳥居秀嗣部長作成

【1分で判明!病気チェック】基本治療は胆のう全摘出…「胆石症」でショック死も

成人の10人に1人が持つといわれる“胆石”。通称「サイレントストーン」と呼ばれ、発見されても半数以上は一生おとなしくしている。が、ひと度暴れ出すと七転八倒の激痛を繰り返す。炎症を起こすと命にかかわる恐れもある。要チェックだ。

【胃ケイレンも疑え】

 最も典型的な症状は、みぞおちや右脇腹、右背部に波打つように痛みが押し寄せる“疝痛(せんつう)発作”。体をエビのように折り曲げてしまうほど、とにかく痛い。

 「天ぷらや焼き肉、中華料理など脂っぽい物を食べたとき、2時間ぐらいの間に痛み出す。数時間内で治まるが、半数以上は1年以内にまた再発を繰り返す」と発作の特徴を説明するのは、町田市民病院(東京)・外科で肝・胆・膵を担当する薄葉輝之医長。

 ただ、人によっては激痛ではなく、“鈍痛”で現れるケースもある。自分では「胃ケイレン」の痛みだと思い込んでいる人も少なくない。胃の弱い人は胆石がないか、確認しておくことが大切だ。

【石が詰まって激痛】

 胆石は、肝臓と十二指腸をつなぐ管の途中にある長さ10センチほどの洋ナシ状の袋「胆のう」の中にできる石。胆のうは、肝臓で作られ、腸内の脂肪分の消化吸収を助ける“胆汁”を濃縮・貯蔵している。石の正体は、その胆汁に溶け込んでいる成分(9割は水分)のバランスが崩れて結晶化して固まったものだ。

 胆のう内にできる石の約7割はコレステロールが主成分になっている。

 「胆のうは食後約1時間後に胆汁を絞り出すように排出をはじめ、約2時間後にピークに達する。その時に石も一緒に押し流されるように管の出口や途中で引っ掛かって疝痛発作を引き起こす」

 石が外れたり、腸へうまく排出されれば痛みは自然と治まる。が、胆のうに石がある限り、発作は何度でも繰り返す。

【ショック死の恐れも】

 また、怖いのは発作だけではない。胆石があると、胆のうや胆管に大腸菌などの細菌が感染して炎症を起こす「胆のう炎」を合併しやすい。39度近い高熱が出て、悪化すると細菌が血中に入り込み敗血症を起こしてショック死を招きかねない。発熱があったら要注意だ。

 胆石は一時的に薬で溶かしたり、体外衝撃波で砕く方法もあるが、もともと石を作りやすい体質なので、治療の基本は胆のうの全摘出。いまでは腹腔鏡を使って傷口の少ない手術が可能だ。

 薄葉医長は「胆のうは胆汁をためておくだけの臓器なので、なくても生活に支障はない盲腸のようなもの。発作を繰り返す人や胆のう炎を起したら早めにサヨナラした方がいい」と忠告する。

 食当たりと間違いやすい食後の腹痛、見逃すな。

【「胆石症」チェックリスト】

 □みぞおちから右脇腹にかけて痛む

 □背中の真ん中から右側に鈍痛がする

 □右肩にかけて放散痛がする

 □冷汗が出るほどの腹痛

 □脂っぽい物を食べた後、1-2時間で腹痛が起こることが多い

 □上腹部痛は数時間以内に治まる

 □上腹部痛を1年以内に繰り返す

 □悪寒、吐き気を伴う

 □高熱を伴う(胆のう炎症状)

 該当項目が多いほど疑いが強い

 *町田市民病院(東京)・外科/薄葉輝之医長作

【1分で判明!病気チェック】遺伝の確立50%とも…高血圧、8割以上が未治療  

毎年5月17日は『高血圧の日』。国内推定患者約4000万人、最も多い慢性疾患にもかかわらず実際、治療を受けている人は2割にも満たない(2005年患者調査)。怖いのは自覚症状もなくジワジワ動脈硬化を進行させていき、心臓病や脳卒中などの致命的な疾患を引き起こすことだ。

【“外ズラ”に注意】

 高血圧と呼ばれる基準値は一般に「140/90以上」、糖尿病がある場合は「130/80以上」だ。

 が、この数値は会社の健診などで測る診察時の基準。血圧は場所や時間帯でも大きく変動するので、たとえセーフでも安心するのはまだ早い。

 見逃しやすいのは、家庭で測ったときの数値。「135/85未満」、糖尿病があれば「125/75未満」でなければ高血圧の仲間入り。できれば起床時と寝る前の2回測って確認すべきだ。

 「夜間持続的に血圧が高いのが最もよくない。だから、夜間血圧を比較的よく反映する起床直後の血圧を測ることがとくに重要です」と話すのは、「はとり内科循環器科クリニック」の羽鳥裕院長。人は目覚めに備えて自然と朝方に血圧を上昇させる。脳卒中の発症で断トツに多いのも、午前7-8時台の時間帯だ。

【上180は「最悪」】

 「サイレントキラー」と呼ばれるように、高血圧の特徴は自覚症状がないところ。自分は血圧が高めなのか、早朝、仕事中、夜間いつ高いのか、実際に血圧計で測って把握するしか手がない。

 「頭痛、肩コリ、耳鳴り、動悸などの症状も指摘されるが、もし血圧が原因なら相当悪い。上180(下110)超えるようなら最悪の“ステージ3”。ただちに治療を開始しないと危険です」

 また、糖尿病があるなら輪をかけて要注意。腎症、網膜症、神経障害といった合併症予防のためにも「血糖管理と同じくらいに血圧コントロールが重要」になる。

【両親からの遺伝50%!?】

 高血圧の90%以上は原因不明の「本態性高血圧」だが、塩分の取り過ぎや肥満など危険因子は明らか。とくに目安として確認しておきたいのは遺伝的な要因。両親が高血圧なら素因を受け継ぐ確率は50%、片親にいれば30%、親にいなければ5%というデータがある。

塩分の摂取目安は1日10グラム(高血圧の人は6グラム)以下といわれるが、食パン1枚にすら2グラム含まれるので厳守は難しい。

 肝に銘じておくべきは、「薄味の食事」に加えて、余分な塩分を体外へ排泄する作用のある「カリウム」を多く含む食品を積極的に取ること(目安は1日3-4グラム)。たとえばホウレンソウ、春菊、ジャガイモ、大豆、海藻類、アボカド、バナナなどだ。

 羽鳥院長は「血圧管理があらゆる血管障害の病気の予防になることを忘れずに」と強調する。

 この機会に腕をまくって自分の血圧状態をキッチリ調べておこう。

【「高血圧症」チェックリスト】
 □親兄弟に高血圧の人がいる
 □親兄弟に脳卒中、心筋梗塞に罹った人がいる
 □たばこを吸う
 □毎日のように酒をたくさん飲む
 □しょっぱい濃い味の食べ物が好き
 □肥満度指数BMI(体重kg÷身長mの2乗)が25以上(正常は22)
 □野菜や果物をあまり食べない
 □いつもストレスを感じている
 □きちょうめんな性格で感情の起伏が激しい
 3つ以上該当するようなら要注意。血圧を朝晩2回測って確認してみよう
 *はとり内科循環器科クリニック(川崎市)/羽鳥裕院長

原発巣の種類により違う治療方法 転移性肺がん

転移性肺がんの治療について、岡山済生会総合病院(岡山市)の片岡正文診療部長・呼吸器病センター長に寄稿してもらった。

     ◇

 転移性肺がん(肺転移)は、大腸がんや乳がんのように他の部位に発生したがん細胞が、血管やリンパ管を通って肺に到達し増殖した病巣のことを言います。全身の臓器からの血液は、静脈を介し肺の微小血管を通るため、他の臓器にできたがんが肺に転移をおこしやすくなります。

 肺に転移がおきた場合、流れてきたがん細胞は通常1個だけではなく複数の細胞だと考えられます。したがって肺に転移が多発したり、脳や骨など全身の臓器に転移をおこしたりする可能性が高くなるため、治療はまず全身化学療法が中心となります。最近、がん細胞の遺伝子や免疫に関連する新しい抗がん剤が続々と開発、承認され、以前より化学療法の選択肢が広がり、より良い効果が期待でき、副作用も少なくなってきています。

 一方、転移性肺がんでも病巣を切除することでより良い結果が得られる場合もあります。転移性肺がんの手術適応を決めるうえでThomfordの基準がよく用いられます=表。このうち3の「肺以外に再発・転移がないこと」に関してですが、最近ではPET/CT、腫瘍MRIなど全身転移のスクリーニング検査が発達し、CTやMRIなどの精度も上がり、小さな転移の発見が可能となってきました。これらの検査は逆に他には転移はないであろうという診断にも役立ち、転移性肺がんの手術を決める上で重要な検査となっています。

肺への転移様式は原発巣のがんの種類によっても違いがあります。例えば胃がんや乳がんなどは肺転移が多発し、肺炎様に広がる特徴があるので切除の適応にならないことが多いのに対し、大腸がんでは肺転移の個数が少なく切除の適応を満たすことが多くなりますが、肝転移を伴う患者さんも多く、そのコントロールも重要な因子となります。当院で2002年から15年に行った転移性肺がん手術は196例で、そのうち大腸がんの患者さんが122人と62%を占めていました=グラフ。

 肺転移病巣の切除で原発性肺がんと異なるところは、切除範囲をできるだけ少なくすることです。これは肺転移が他の場所にも出てくる可能性があるため、切除範囲を少なくすることにより、再発時も再切除が行える可能性が高くなるからです。当院の経験では、大腸がん肺転移の手術を複数回(2回以上)行えた患者さんの5年生存率が80%と高く、再々発があっても再切除ができればよい結果に結びついています。

 また基準には当てはまりませんが、当院で大腸がんの両側の肺転移を切除した患者さんの60%以上の方が5年以上生存されており、両側でも転移の個数が少なければ切除の適応となると考えています。

 肺転移巣の切除の適応は患者さんごとに、全体の治療経過の中で有効かどうか、技術的、体力的に可能かどうかをそれぞれの臓器の専門家である主治医のチームと私たち呼吸器外科チームが十分相談し、患者さんや家族の希望を踏まえて方針を決めていきます。これには専門臓器や領域をこえた速やかで細やかな連携と、病院全体のがん診療に対する総合力や応用力が必要となります。私たちも常に進歩する他分野の治療を考えながら、転移性肺がんに対する手術の適応や方法を今後も継続的に進歩させていきたいと思います。

 岡山済生会総合病院(086―252―2211)

重篤な副作用で死亡例も/肺がん治療最前線

<オプジーボだけじゃない(13)大江裕一郎>

 肺がん治療30年のスペシャリスト、国立がん研究センター中央病院の大江裕一郎先生(57)が、最新の肺がん治療を教えてくれます。

【免疫チェックポイント阻害薬は他の治療と併用しても大丈夫?】

 治療効果を高めるために免疫チェックポイント阻害薬と、抗がん剤、分子標的薬、放射線治療との併用、他の免疫療法との併用や免疫チェックポイント阻害薬同士の併用などさまざまな研究が現在実施中です。しかし、これらはすべて研究中の治療であり、併用することの有効性、安全性はまったく分かっていません。

 抗がん剤と免疫チェックポイント阻害薬オプジーボ、キイトルーダの併用、抗CTLA-4抗体であるヤーボイとオプジーボの併用などは、現在大規模な臨床試験が実施中ですが、その結果はまだ分かっていません。効果が高まると期待して臨床試験を実施しても、副作用が予想以上に増強したり、効果が思ったほど高くないということは時々経験するので、試験の結果が出るまでは安易に行うべき治療ではありません。

 抗PD-L1抗体と分子標的薬を併用すると間質性肺炎や肝障害などの副作用が増強するとの報告もあるので、分子標的薬との併用も注意が必要です。オプジーボ、キイトルーダとも半減期が長く、投与を中止しても数週間は体内に残ります。オプジーボ、キイトルーダを中止した後に、タグリッソなどの分子標的薬を使うときにも注意が必要です。

 オプジーボを併用しながらリンパ球などを投与する細胞免疫療法を行って、重篤な副作用が出現した患者さんも少なくありません。中には重篤な副作用で死亡した患者さんも報告されています。このように安全性、有効性の確立していない治療を行うことは非常に危険です。また、オプジーボやキイトルーダを受けているときに、担当医に無断で他の病院で免疫治療などを受けることも絶対にやめてください。

 ◆分子標的薬 がんに関連する特定の分子(主にタンパク質)を標的に攻撃する。がん細胞にターゲットを絞って狙うことが可能になる。

 ◆大江裕一郎(おおえ・ゆういちろう)1959年(昭34)12月28日生まれ、東京都出身。57歳。東京慈恵会医科大学卒。89年から国立がんセンター病院に勤務。2014年、国立がん研究センター中央病院副院長・呼吸器内科長に就任。柔道6段。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本体育協会公認スポーツドクターでもある。

高額療養費制度で月25万円に/肺がん治療最前線

<オプジーボだけじゃない(9)大江裕一郎>

 肺がん治療30年のスペシャリスト、国立がん研究センター中央病院の大江裕一郎先生(57)が、最新の肺がん治療を教えてくれます。

【高騰する肺がん治療薬】

 2017年2月に、オプジーボの薬価が半分になりました。

 オプジーボは患者さんの体重1キロあたり、3ミリグラムを2週間に1回投与します。1年間で26回投与することになります。これまでは体重60キロの患者さんの1回の薬剤費が約130万円で、1年間では約3500万円になりました。半額になっても年間1800万円近い薬剤費がかかります。

 では、オプジーボだけが高額なのでしょうか? オプジーボと同じ免疫チェックポイント阻害薬であるキイトルーダも1年間使用すると約1400万円かかります。ALK阻害薬であるアレセンサーは1カプセル約6600円です。1日に4カプセル服用するので、年間約960万円かかります。新しいEGFR阻害薬であるタグリッソは1錠約2万4000円で、年間約880万円かかります。

 このように近年発売された肺がん治療薬はいずれも非常に高額になっていることは事実です。これは薬の研究開発に莫大(ばくだい)な費用がかかるためともいわれています。しかし年間約1000万円も自己負担できる患者さんは少ないでしょう。

 これらの薬は肺がんに対しては、健康保険の枠内で使用されます。オプジーボを使用した場合の患者さんの自己負担が3割だとすると年間500万円以上もの自己負担が生じることになります。実際の患者さんの負担額は、年齢、収入により異なりますが、高額療養費制度により月に8000円から25万円程度の負担になります。患者さんの自己負担は少なくなりますが、多額の公的資金が必要であることに変わりはありません。

 肺がんに対する有効な薬がたくさん開発されていますが、どれも高額な薬です。有効な薬があることは大変喜ばしいことですが、まずは受動喫煙を含めた喫煙対策をしっかりやって、肺がんそのものを減らすことがより重要です。

 ◆高額療養費制度 医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1カ月で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度。上限額は、年齢や所得に応じて定められる。いくつかの条件を満たすことにより負担をさらに軽減する仕組みもある。

 ◆大江裕一郎(おおえ・ゆういちろう)1959年(昭34)12月28日生まれ、東京都出身。57歳。東京慈恵会医科大学卒。89年から国立がんセンター病院に勤務。

化学療法より寿命延びる新薬/肺がん治療最前線

<オプジーボだけじゃない(8)大江裕一郎>

 肺がん治療30年のスペシャリスト、国立がん研究センター中央病院の大江裕一郎先生(57)が、最新の肺がん治療を教えてくれます。

【新しい免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダ】

 オプジーボに続き、第2の抗PD-1抗体であるキイトルーダが2017年2月に日本でも発売になりました。オプジーボがPD-L1の発現の有無にかかわらず非小細胞肺がんの患者さんに使用できるのに対して、キイトルーダはがん細胞にPD-L1が発現している非小細胞肺がんの患者さんに限って使用することができます。

 がん細胞にあるPD-L1とは免疫細胞に発現しているPD-1と結合する分子であり、PD-L1が強く発現している患者さんほど、オプジーボやキイトルーダが効きやすいといわれています。PD-L1の発現を調べるためには、気管支鏡などで肺がんの組織を採らなければなりません。

 オプジーボが化学療法の効かなくなった患者さんに対する2次治療以降でしか使えないのに対して、キイトルーダはPD-L1が50%以上の細胞で発現している患者さんに限っては化学療法の前に1次治療として使用することができます。キイトルーダが1次治療で使える患者さんは非小細胞肺がんの約30%といわれていますが、この患者さんに限ると化学療法で治療するよりも、最初からキイトルーダで治療した方が明らかに患者さんの寿命が長いことが示されています。

 オプジーボとキイトルーダの違いを表にまとめました。両者では使用できる患者さんの違いに加え、投与量の決め方、投与間隔が異なります。オプジーボの薬価は17年2月から、それまでの半額になりましたが、それでも年間1000万円以上かかります。体重あたりで投与量を決めるオプジーボより投与量が200ミリグラムに固定されているキイトルーダの方が、体重が重い患者さんには経済的ではあります。

 ◆PD-1、PD-L1 免疫細胞にあるPD-1という物質と、がん細胞にあるPD-L1という物質が結合すると免疫機能にブレーキがかかる。免疫機能のブレーキを解除しがん細胞への攻撃を高める抗体薬が注目されている。

 ◆大江裕一郎(おおえ・ゆういちろう)1959年(昭34)12月28日生まれ、東京都出身。57歳。東京慈恵会医科大学卒。89年から国立がんセンター病院に勤務。

小さくなった肺がん/肺がん治療最前線

<オプジーボだけじゃない(1)大江裕一郎>

 肺がんは、がんの部位別死亡率で男性の1位、女性で2位、年間約7万5000人が亡くなっています。転移しやすく、治りにくいがんといわれてきました。ところが最近、劇的な効果を発揮する免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」などが登場し、治療方法が飛躍的に進歩しています。肺がん治療30年のスペシャリスト、国立がん研究センター中央病院の大江裕一郎先生(57)が、最新の肺がん治療を教えてくれます。

【著効したオプジーボによる免疫療法】

 3年前、60歳代の男性Aさんは検診のエックス線で、肺に異常を指摘されました。翌月には左足の動きが悪くなり、CT(コンピューター断層撮影)や気管支鏡検査で詳しく調べたところ、肺の非小細胞がんで脳に転移があることが分かりました。

 Aさんは、脳の転移に対するサイバーナイフ(放射線)の治療を受けた後に、抗がん剤治療を開始しました。幸いサイバーナイフ治療、抗がん剤治療ともによく効き、短期入院と外来で1年以上、抗がん剤治療を継続して、仕事もしながら元気に通院していました。しかし、1年前に残念ながら抗がん剤治療が効かなくなって、肺がんが大きくなってしまいました(図1)。

 そこで免疫チェックポイント阻害薬であるオプジーボに治療を切り替えることになりました。2週間に1回のオプジーボの点滴で、大きくなっていた肺のがんは見事に縮小し、オプジーボの投与前にあった足のむくみもすっかり良くなりました(図2)。心配されたオプジーボの副作用もほとんどなく、2週間に1回、元気に外来に通っています。オプジーボの効果は現在も継続しており、外来通院以外は全く健康人と変わらない生活をしています。

 オプジーボは全ての患者さんに効果を発揮するわけではありません。また、いろいろな副作用が出現することも、まれではありません。しかし、肺がんの約20%の患者さんには、Aさんのような劇的な効果を発揮します。さらにその効果が、患者さんによっては年余にわたり継続することが分かっており、中には治癒する人がいるのではないかと期待されています。

 ◆免疫チェックポイント阻害薬 人間には体内に入った細菌やウイルスを排除する免疫の機能がある。排除後も免疫の力が高まったままだと、正常な細胞まで攻撃することがあるため、免疫を抑制する機能があり、これを免疫チェックポイントという。この免疫チェックポイントに作用して免疫抑制を解除し、免疫を活性化させる薬を免疫チェックポイント阻害薬という。

 ◆大江裕一郎(おおえ・ゆういちろう)1959年(昭34)12月28日生まれ、東京都出身。57歳。東京慈恵会医科大学卒。89年から国立がんセンター病院に勤務。2014年、国立がん研究センター中央病院副院長・呼吸器内科長に就任。柔道6段。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本体育協会公認スポーツドクターでもある。

腎がん 全摘手術ではなく部分切除で機能温存治療が第一選択に

腎がんは女性よりも男性に多く発症し、初期では自覚症状がほとんどなく、進行すると血尿や食欲不振などの症状が現われる。腎臓は9センチ程の臓器で左右2つあるが、1980年代までは初期のがんでも全摘手術が行なわれていた。

 その後、がんが4センチ以下であれば、部分切除でも全摘と変わらない治療結果が得られることがわかり、小さいがんは部分切除で機能を温存する治療が第一選択になっている。 東京慈恵会医科大学附属柏病院泌尿器科診療部長で副院長の岸本幸一教授に聞いた。

「腎がんの部分切除は腹鏡と開腹手術があります。腎臓は血管が多いため、手術は一時的に血流を遮断し、腎機能保全のために30分以内に手術する必要があり、難しい治療です。

若い方に対しては部分切除を行ないますが、合併症があったり、高齢の場合は、腎機能を温存させる凍結療法を行なっています」

 患者は治療前日に入院し、治療は局所麻酔で1時間半程度で終わる。翌日から食事も普通に摂ることができ、3泊4日で退院できる。2011年に保険承認され、現在までに31人が治療を受けているが、出血の合併症は1人だけで、カテーテルで治癒した。

10年前に実施した治験の患者では3例で、再発があったが手術や追加の凍結療法で対応し、現在も全例が生存している。負担が軽く再発頻度も低い治療と期待されている

胃がん大腸がんより気づきにくい! 注意したい「頭頸部がん」

頭部の鼻から喉にかけて発生するがんは頭頸部(とうけいぶ)がんと総称される。進行した頭頸部がんは5年以内に7割以上が死に至る。治療薬の進歩が乏しかったが、今年3月に免疫療法薬「オプジーボ」が承認され、注目を集めている。

 頭頸部がんは、口の中に発生する口腔がん、舌がん、鼻周辺に発生する鼻腔・副鼻腔がん、喉の周辺に発生する上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん、喉頭がんに分けられる。年間患者数は約4万7千人(厚生労働省患者調査・2014年)と言われ、過去30年で患者数は約3倍に増加している。

 主な原因は飲酒と喫煙。最近では子宮頸がんの原因でもあるヒトパピローマウイルスの感染による中咽頭がんの発生が増加している。初期の症状は声のかすれや飲食時の口や喉の違和感などありふれた症状だ。国立がん研究センター東病院頭頸部内科長の田原信医師はこう話す。

「胃がん、大腸がんのような定期検診もなく、初期症状に気づいても放置している患者さんが少なくありません。結果として初診時には半数以上の患者さんが日常生活に支障をきたす進行がんで見つかるのが実情です」早期では治癒を目指して手術か放射線治療が選択されるが、手術後にしゃべる、食べるという日常生活に不可欠な機能を喪失することもあるほか、患部が顔面付近であるため容貌が著しく変化することもある。

 手術を避けたい、あるいは不能な場合は、プラチナ製剤と呼ばれる抗がん薬・シスプラチンの投与と放射線照射を併用する化学放射線療法がおこなわれる。しかし、約半数が再発し、化学放射線療法では激しい副作用で後に約1割が死亡するとの報告もある。再発時は再度がんを切除することもあるが、それでも約半数は再々発。初期治療で抗がん薬を使わなかった症例では、シスプラチン、フルオロウラシルの2種類の抗がん薬に、抗がん薬の一種である分子標的薬のセツキシマブを加えた3剤併用療法もおこなわれる。

 ただ、シスプラチンなどのプラチナ製剤を含む治療が無効になると、他の抗がん薬を代わるがわる投与しても生存期間は6カ月未満だ。こうしたプラチナ製剤が無効の再発・転移性の頭頸部がんに対して今年3月に承認されたのが、免疫に作用する新たな治療薬のニボルマブ(商品名オプジーボ)である。

 以前からがん細胞に対しては体内の異物を排除する免疫が徐々に無効になることがわかっている。これはがん細胞自身が新たな分子を作り出し、免疫細胞表面の分子と結合して免疫作用を止めてしまうからだ。ニボルマブはこの結合を阻止し、免疫ががん細胞を常時攻撃できる状況を作る。 「再発頭頸部がんを対象におこなった国際臨床試験での1年生存率は、既存治療の16.6%に対し、ニボルマブでは2倍以上の36.0%という結果が得られています」(田原医師)

 千葉県在住で公務員の加藤俊子さん(仮名・31歳)は7年前に上咽頭がんと診断された。初診時は一目で頸部の腫れがわかるほどで、肺への遠隔転移も見つかった。病期は、最も進行しているステージIVだった。

 田原医師の下で化学放射線療法をおこない、いったんは肺転移も含めがんが消失するも約1年後に再発、肺転移も徐々に増大した。その後はフルオロウラシル、シスプラチン、タキソテールなどのさまざまな抗がん薬で代わるがわる治療したが、全て無効になり打つ手なしの状態だった。3月の承認直後にニボルマブを投与すると、肺転移の影響で生じていた息苦しさを感じるほどの咳が止まり、常用していた咳止め薬が不要になった。

「加藤さんの場合、1カ月後の画像診断で肺転移の明確な縮小は認められていませんが、咳の消失からニボルマブが有効である可能性が高いと考えられます」(同) ニボルマブは従来の抗がん薬と違い、がん細胞に直接作用しないため、画像診断でがん縮小が認められるまでに1~2カ月は要するが、いったん効果を発揮すればそれが長く持続する。ただし、注意も必要だ。

「確かに従来の抗がん薬に比べて有効性・安全性に優れ、進行した頭頸部がんが治癒する可能性すらあります。ただし、実際にがんが縮小するのは約10人に1人。過剰な期待は禁物です」(同)従来の抗がん薬はがん細胞だけでなく正常細胞にも作用し、吐き気や気持ち悪さ(悪心)を感じたり、脱毛といった不快な副作用が生じたりすることも多く、治療に不安を感じる患者もいる。ニボルマブではこうした副作用が少なく、これまで抗がん薬による治療を経験してきた患者が副作用の少なさを訝しがることもある。

 神戸大学病院腫瘍センター特命准教授の清田尚臣医師はこう語る。「患者さんが自覚できる副作用としては皮膚のかゆみ、倦怠感、悪心・下痢などの消化管障害などで、これらは概ね投与から3カ月以内に発生することが多いです。また、以前におこなった放射線治療の影響も受けているためか、頭頸部がんでは甲状腺機能低下症が目立ちます。ただし問題は、発生頻度が1%前後ですが、これまでの抗がん薬では経験しないような重篤な副作用が起こることであり、後手に回ると極めて対応が困難になる点です」

 とりわけニボルマブで注意が必要な副作用は、重症筋無力症、劇症1型糖尿病などの自己免疫性疾患である。活性化した免疫細胞が逆に正常細胞を攻撃することで発症するといわれている。自己免疫性疾患も含め、これまで知られている重篤な副作用としては、肝機能障害、大腸炎、複数の末梢神経が障害される「ギラン・バレー症候群」、空咳や息切れを伴い時に命にかかわる危険もある「間質性肺疾患」、視力障害を引き起こす「ぶどう膜炎」など多岐にわたる。

「自己免疫性の副作用は、投与開始から1~2年以降に突如発症することもあります。しかも従来の抗がん薬と違い、主治医だけで対応しきれない副作用も多く、われわれも各診療科の専門医師に相談が必要な場合も少なくありません。つまり医療機関の総合力が求められる治療であり、患者さんも総合病院でこの治療を受けることが望ましいです」(清田医師)

 非常に進行したがんを長期間安定させるというこれまでにない可能性を秘めている半面、未知の危険性もはらんだ治療であり、患者自身も投与中に何気ない症状に気を配り、かかっている病院とよく相談しながら受ける必要がある繊細な治療というのが実態のようだ。

がん看護専門の看護師がいるって知っていますか?

入院しているとき、頼りになるのは医師よりも看護師かもしれない。病気を治療するのは医師だが、ベッドサイドに常にいてくれるのは看護師で、いい看護師が担当になれば患者たちは時に癒され、時に勇気をもらうことができるからだ。幸い、私は健康で、入院経験といったら39歳のとき高齢出産のため帝王切開を受けた1回。公立の総合病院だったが、そこでとても素敵なひとりの看護師と出会うことができた。

看護師には何でも話せる

もう20年も前のことだが、何でも100%知りたがりの私は、自分の体の変化や胎児の様子についての質問が多く、産婦人科の担当医をかなり困らせていた。検査や処置に対し、いちいち聞く私に医師は「あんまり聞かないでよ」と呟いたこともあった。その傍らでいつもニコニコしていたのが看護師の直子さんだった。彼女は私の性格を見抜いて、入院中はベッドサイドでいろんな話をしてくれ、また私が知りたいと思っている情報は可能な限り伝えてくれた。さらに退院前には「友だちとして」と自宅の連絡先まで教えてくれたので、慣れない育児で困ったとき、私は直子さんに連絡してアドバイスをもらうことができたのだ。

時にはがん患者といっしょに泣く

直子さんは、学生時代にがんで他界した親友のナースになるという夢を叶えるべく看護師になったと話してくれた。親友のベッドサイドで「私があなたの代わりにナースの帽子を被るから」と約束したのだそう。そして、そういう辛い経験があったからこそ彼女は患者とその家族に寄り添う看護師になれたのだとも思う。末期がんの患者と夜の病室で、時にはいっしょに涙を流すときもあるそうだ。「ひとりひとりの患者が、どんなときも、これがいい人生だと思えるように、そして、最期はとにかく安らかであるように寄り添うのが私の仕事」と直子さんは言っている。

がん看護の夜明け

『看護職プロフェッションの誕生』(関口恵子・著/学研プラス・刊)は、国立がんセンターの創成期の看護師たちが語った現場の話をまとめた貴重な一冊だ。国立がんセンターは1962年に創設され、そのとき同時に“がん看護”という概念も初めて示されたという。

初代総婦長の石本茂さんはこう言っていたそうだ。

「がんは伝染病ではなく、がん細胞が転移する病気であり、絶対安静とする結核患者の看護とは違う。したがって病態をしっかりと知って、そして患者の活動能力、容態看護に重点をおくことが必要である。患者さんの『患』は医師、『者』は看護婦がみる」

(『看護職プロフェッションの誕生』から引用)

石本さんは主体的な看護実践と患者の身体的、精神的苦痛の軽減という看護理念を掲げ、ベッドサイドケアを重視した。その後、国立がんセンターの婦長たちは、全国的な研修会の講師となり「がん看護」を広めていったのだそうだ。こういった先駆者たちの努力があり、1996年にはがん看護専門看護師が誕生した。さらに、1999年からは、がん化学療法看護、緩和ケア、がん性疼痛看護、乳がん看護、がん放射線療法看護などの認定看護師たちが続々と誕生してきている。

看護とは何かを問い続け

著者の関口さんは看護学校を卒業後の1969年から1975年まで国立がんセンターに看護師として勤務。その現場は苦しむ患者や死亡する患者も多く、辛いことが多かったそうだ。しかし、側にいる人間のもつ力の意味を意識し、体験し、味わうという看護の仕事の充実感も実感できたいう。この本では関口さんが国立がんセンター創成期に活躍した看護師たち、そして看護職を取り巻く医師や事務職員からも、それぞれの体験談を聞き出し、それらを克明に綴っている。

看護職が体験したことを語り、記述することは、客観視でき自分を見つめることである。また様々な気づきが生じ、それが患者を見る眼、患者への接し方、ひいては人間を見る眼を成熟させる。がん患者・家族は特に感性が鋭くなっている。がん看護において看護師自身の内面の成長、成熟度が、患者・家族との信頼関係に直結する。

(『看護職プロフェッションの誕生』から引用)

患者の思いを知り、援助する

がんは日本人の死因の第1位で、その割合は年々増している。が、早期発見で治療を受ければ、その8割は完治できる言われている。とはいえ、「がんは怖い病気」という患者の思いは変わらない。その時、苦しみ、恐怖、孤独、寂しさなどを感じ取ってくれるのはベッドサイドにいる看護師たちだ。もしも、がんになってしまったら、その思いをプロフェッショナルであるがん看護師たちにぶつけてみよう。彼らはきっと、ひとりひとりに適したケアをしてくれるはずだ。

肝がん ラジオ波治療は3センチ以下、3個以内の場合

肝がんの約9割は、B型、またはC型の肝炎ウイルスを持っているために発症する。日本大学板橋病院・消化器外科教授の高山忠利医師はこう話す。

「10年くらい前までは肝炎ウイルスに対する効果的な治療法はありませんでしたが、現在では患者の7割近くはインターフェロンという注射薬で体からウイルスを駆除できるようになりました。

臓器別のがん死亡率では、肺がんや大腸がんなどほとんどのがんが右肩上がりで増えているのに対して、肝がんだけがやや減少傾向にある。これもウイルスが排除できるようになった予防効果が大きいと思います」

 肝がんの主な治療法は「手術(肝切除術)」「ラジオ波燃灼療法」「肝動脈塞栓療法」の三つだ。病巣を切り取る手術に対し、ラジオ波は、腫瘍に直接電極針を刺し、針の先から発生する熱によってがんを死滅させる。

肝動脈塞栓療法は、がんに栄養を運んでいる血管を人工的に塞いで“兵糧攻め”にする方法だ。

 治療方針は「がんの数と大きさ」「肝機能」「年齢」を参考に決定する。

「手術とラジオ波は治療効果に差がないと誤解されることもありますが、がんを最も根治しやすい、つまり生存率が高い治療は手術です。しかし肝炎ウイルスを持つ患者さんは、そもそも肝機能が良くないことが多い。

肝機能が悪かったり、あるいは高齢などで手術に耐えられなかったりする場合には、体への負担が少ないラジオ波を推薦します」(高山医師)

 ただしラジオ波で治療ができるのは、腫瘍が3センチ以下、数が3個以内の場合だ。一方、手術も3個までだが、大きさに制限はない。

「患者さんから『ラジオ波で治療できないか』と言われても、受診してきた段階で3センチを超えていることが多い。また、ラジオ波を適用できるケースでも、治療成績が手術と同等ということはなく、手術が上です。最初に検討すべきは、あくまでも高い生存率を達成できる手術です」と高山医師は話す。

 がんが4個以上の場合は、肝動脈塞栓療法を実施する。患者が初回治療として受ける治療法の割合は「手術30%、ラジオ波30%、肝動脈塞栓療法40%」だという。

 また、肝がんのほとんどはウイルスが原因で肝臓全体ががんになりやすい状態になっているため、同じ肝臓でも、治療をした部位とは別のところに再発する「多中心性発がん」も多い。「取り残しで再発するケースは5%程度。9割以上は多中心性発がんです」(同)

 再発でも、がんが3個までなら再度手術かラジオ波で治療し、4個以上であれば肝動脈塞栓療法をする。

「再手術が難しい場合でも、肝動脈塞栓療法のおかげでかなり長生きができます。また分子標的薬を中心とした化学療法も大きく進歩しています」(高山医師)

 なお最近、腹腔鏡下(ふくくうきょうか)手術を肝がんにも実施しようという動きがある。しかし高山医師はこう話す。

「肝臓は血管が豊富な臓器なので出血の危険があり、腹腔鏡下手術は難しいとされてきました。新しく出てきたものが必ずしもいいわけではありません。これまでの手術法との客観的な比較をし、いい成績が出たときは取り入れていけばいい。『患者さんにとって真に利益になる治療であること』が最も重要なのです」

尿を調べればがんがわかる?

日立製作所と住友商事グループは、尿を使って乳がんや大腸がんの患者を識別する技術を開発し、

今年6月に発表した。健康な人、乳がん患者、大腸がん患者、各15人の尿中から糖や脂質など1300以上の代謝物を取り出して比較。患者かどうかで含有量が大きく異なる物質を200以上見つけ出した。

さらにその中からがんと関連が深いと思われる約10種類を指標(バイオマーカー)として絞り込むことでがんの有無に加え、乳がん・大腸がんの種類の識別にも成功したという。

 日立で開発に当たった基礎研究センタの坂入実チーフサイエンティストはこう話す。

「尿なら簡単に苦痛なく採取できる。検査による被曝もありません」

●簡易な実用化目指す

 現段階では、どの程度の進行具合のがんから見つけられるのかなどはわかっていない。

今後は臨床データの件数を増やし、精度の向上を図る。また、若い女性に多い乳がんと大腸がんから研究をスタートさせたが、特定できるがんの種類も増やしていきたいという。

「将来は、検査キットなど簡易な方法で実用化を進めていく方針です。

受診者が自宅で採った尿を検査機関に送付するだけで正確に診断できる仕組みを確立し、がんの早期診断や早期治療につなげたい。がんを治療したあとの再発の早期発見にも使えるのでは、と考えています」(坂入さん)

がんになりたくないなら 塩分・熱いものはNG やせすぎもリスク大

国立がん研究センターが6月29日に発表したがん罹患率は、都道府県によって大きな差があった。食生活や運動の仕方、ライフスタイルなどでリスクが違う。がんにならないためにはどうすればいいのか。

*  *  *

 がんは、予防できる。

 国立がん研究センターによれば男性のがんの53.3%、女性のがんの27.8%が、努力次第でがんの予防が可能だという。男女差がこれだけ大きいのは、喫煙や飲酒などがんのリスクとなる生活習慣が、男性のほうに多いからと思われる。

 同センター「社会と健康研究センター」の津金昌一郎センター長はこう話す。

「がんは20~30年かけて発生し、最終的には命を奪うこともあります。若いうちから、がんに罹らない生活習慣を身につけることが大切です」

 がんは遺伝が関係するものは5%程度。ほとんどが食生活や運動などの生活習慣が大きくかかわる。では、どのような生活習慣ががんを防ぐのか。身近な食生活から見ていきたい。

 まずは、塩分。

「日本食は魚介類や野菜を中心とするなど世界的に見ても素晴らしい食生活ですが、唯一の欠点は、高塩分ということ」(津金氏)

 塩分を摂りすぎると、胃酸から胃を保護する粘液を溶かし胃粘膜が炎症を起こしたりするため、胃がんが発生しやすくなる。

 6月29日、国立がん研究センターは全国47都道府県のがんの罹患状況を初めて公表した。2012年のデータを解析し、25種類のがんの罹患率などを、男女別に算出した。

 胃がんは秋田県が最多で、続いて石川県、山形県、富山県など日本海側の地域で高い値が出た。これは日本海側に特徴的な、漬物や干物など塩分の多い食生活が深くかかわっていると考えられる。秋田県の1日あたりの食塩摂取量は11.1グラムと全国平均(10.4グラム)を0.7グラム上回り、全国トップクラス。秋田県では食生活の減塩を奨励しているが、食生活習慣は簡単には改まらない。

 そうした中、県を挙げて「減塩運動」に取り組んできたのが、今や「長寿日本一」で知られる長野県だ。もともと長野は雪国ゆえ塩分摂取量の多い土地柄で、1960年代には脳卒中の死亡率が全国上位だった。そこで官民一体で減塩運動に取り組んだ。

 中心となったのが「食生活改善推進員」、通称「食改さん」だ。松本市に住む三好美恵さん(66)もその一人。食改さん歴約20年。月に1回ほどボランティアで料理教室を開き、塩分を控える食事などの指導をしている。

「理想の食塩摂取量は、何グラムと重さで言ってもわかりません。食べて濃いと思ったら、薄味にしてくださいね」(三好さん)

 こうして長野県の1日の食塩摂取量は、80年は15.9グラムだったのが、13年には10.6グラムと3分の2に減った。食改さんは長野県全体で約3500人。時には家に上がり込んで、味噌汁の塩分濃度を測ることもあるそうだ。

「地道な活動ががんの発生を抑えたりして、長寿の要因となっているのではないでしょうか」(松本市健康づくり課)

 食塩を控える以外に、がん予防に効果がある食生活は何か。同センターはどんな生活習慣ががんのリスクを上げ下げするのかを評価している。

「ほぼ確実」に肝がんのリスクを下げるのはコーヒー。ほとんど毎日飲むと発生率が約50%、1日5杯以上で約70%リスクが減るというデータもある。

 ただ、熱い飲食物は、食道の粘膜を傷つけるので食道がんのリスクを「ほぼ確実」に上げる。熱いお茶やコーヒーが好きな人は、なるべく冷まして飲んだほうががんリスクを下げることになる。熱い茶粥を食べる習慣のある奈良県や和歌山県で、かつて食道がんの罹患率が高かったのはこのためと考えられている。

 ほかにも野菜は胃がんのリスクを下げる「可能性あり」、果物は胃がんと肺がんのリスクを下げる「可能性あり」と評価されている。魚は子宮頸がん、女性が緑茶を飲むと胃がんのリスクを下げる可能性もある。

 ただ、いくら魚はいいとはいってもこげはよくない。こげた部分にはヘテロサイクリックアミンという発がん物質が含まれ、これを化学的に合成して実験動物に与えたところ、発がん性が確認されている。だが、この実験を人間に当てはめると、毎日茶碗1杯もの焼けこげを食べ続けるようなものなので、極端に心配することはなさそうだ。

 それよりも「バランスのいい食事が大事」と津金氏。

「塩分を控え、例えば、魚を食べた翌日は鶏肉にして、その翌日は牛肉にする。こうしてバランスのよい食生活を送ることが、結果的にがんの予防や健康長寿につながります」

■1日1時間の歩行が理想やせすぎもリスクは大

北海道帯広市で今、がん予防で注目されている体操がある。その名は「オビロビ」。「おびひろエアロビクス」の略称で、市が独自に考案した。

 基本は足踏みだが、片足立ちやスクワットなど、音楽に合わせ10分ほど体を動かしつづける。

「一度で50キロカロリー近くを消費できます」

 と、オビロビを考案した、健康運動指導士で市健康推進課主査の長谷川昌二さん(45)。がん死亡率の高い同市は13年から、健康増進計画の重点課題の一つに「がん対策」を掲げた。適正体重を保つ手段として、健康運動指導士を配置しオビロビでがん予防を目指している。

 運動は、がん予防の決め手の一つだ。大腸がんのリスクを「ほぼ確実」に下げ、乳がんリスクも下げる「可能性あり」だ。

 津金氏によれば、体を動かすことで腫瘍増殖を促進する作用があるインスリンの分泌が抑えられるためだという。また、運動で便通を整え、発がん物質が腸管粘膜に触れる時間が短くなる効果などもあると考えられている。

 かと言って、激しい運動はNG。体内に活性酸素などのフリーラジカルを発生させ、逆に細胞を傷つけてしまう可能性がある。理想的な運動は、1日計1時間程度の歩行と、週1回の汗をかく程度の運動だ。

 では、理想的な体形とはどのようなものか。

「肥満は万病の元」などといわれるが、ならば、やせればいいかと思いきや、

「やせすぎている人こそ注意が必要です」(津金氏)

 栄養不足による基礎代謝や免疫機能の低下などが、がんの発生に関与してくるそうだ。とくに男性は、BMI(肥満指数)21未満は、同23~24.9のグループに比べ、がんの死亡リスクは17%高い。女性も若い頃やせているとその後、乳がんの発生リスクが高くなるというデータが報告されている。津金氏が推奨する体形は、中高年では、男性はBMI21~27、女性は同21~25の維持だ。

「普段から体をよく動かし、太りすぎずやせすぎないことが、がんを防ぐために大切なのです」

がんを狙い撃ちするスナイパー登場

放射線治療も進化している。肺がんと診断された男性(78)は、主治医から「手術でも放射線でも治療できる」と言われ、驚いた。放射線治療は手術ができない人が対象だと思っていたからだ。

 放射線治療は切除手術と同じ局所療法だが、臓器の形態や機能を温存でき、体への負担も軽い。高齢や持病で手術はできなくても、放射線治療ならできることも多い。

 しかし放射線ががん周辺の正常組織に当たることによっておきる、炎症などの合併症がネックだった。神奈川県立がんセンター放射線治療科の中山優子医師はこう話す。

「ここ十数年の間に、照射装置が高機能化し、さらに照射範囲を決めるための画像技術も向上したおかげで、正確にがんをしぼりこむことができるようになりました。ひと昔前とは違う、根治を目指すことができる有力な治療手段になっています」

●がんの形に合わせ照射

 以前は四角いビームを1~4方向からがんに照射していたので、周囲の組織にも同じ線量がかかっていたが、ビームをがんの形に合わせて成形し、照射する「三次元原体照射」という技術が開発された。

 それをさらに進化させ、照射範囲の中で線量の強弱をつける「強度変調放射線治療(IMRT)」も登場した。複雑な形の腫瘍にも合わせて照射できるようになり、前立腺がんや頭頸部がんなどの根治治療に利用されている。
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 また、小さい腫瘍の根治に抜群の効果を上げているのが、「定位放射線治療(SRT)」だ。

 ピンポイント照射とも言われ、多方向(6~10方向)から高線量の放射線を数ミリ以内の精度で病巣に集中させて、狙い撃ちする。

 1回の線量が高い分、治療期間も短い。通常の放射線治療では2グレイを30回程度照射しなければならないが、1回12グレイを照射できる定位放射線治療は4回程度で終わるので、患者の通院負担は格段に軽く済む。

 脳腫瘍専用治療装置のガンマナイフがよく知られているが、早期の肺がんや肝臓がんもこの治療単独で根治が期待できる。

 なお、肺や腹部は、照射中に呼吸によって臓器が動き、正確に治療することが難しかったのだが、がんが呼吸によって動く動きにあわせて照射したり、ある範囲に腫瘍が入ってきたタイミングのときのみ照射する技術のおかげで、治療がしやすくなった。

「今後さらに高齢化が進む中で、放射線治療で救われる患者さんは増えていくと予想しています」(中山医師)

ちょっと気になる「がんとコーヒーの関係

■コーヒーとがんの意外な関係
私は、タバコは吸わないのですが、コーヒーは大好きです。朝の目覚めの一杯に始まり、職場でちょっと一息というときに頂く一杯、そして、夕食後に家族で楽しむ一杯と、日によって変化はありますが、1日に3-4杯はコーヒーを頂いています。

私のお気に入りは、大きめのカップに豆乳をたっぷり入れて飲むバージョン。子供たちからすると、「真っ黒くて苦い飲み物に、豆乳を入れるなんて!」というところなのでしょうが、私にとっては、楽しみな習慣になっています。もう、20年以上飲んでいるコーヒーとがんとの関係となると、私もちょっと気になります。ここでは、コーヒーとがんの意外な関係について、データを交えてご説明したいと思います。

■1日3杯以上コーヒーを飲む女性は……
厚労省の研究班(主任研究者:津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)は、40-60歳代の女性約5万9000人に対して、15年間追跡調査を行い、コーヒーを飲むのが週に2日以下というグループに対して、毎日3杯以上のむというグループでは、子宮体がんになるリスクが約6割減少していたという結果が得られたことを発表しました。

ちなみに、毎日1-2杯というグループでも子宮体がんのリスクが、約4割減少していました。

この研究班は、喫煙や食生活とがんの発生との関連を大規模な調査で研究しているグループですが、今までにも、コーヒーを3杯以上飲む女性のグループは、週に2日以下のグループと比較して、浸潤結腸癌になるリスクが約4割になるという研究結果を報告しています。

同じ研究班の調査結果で、肝臓がんとコーヒーとの関係に関するものがあります。この結果では、男女を問わず、コーヒーを飲む習慣がない方に比べ、肝臓がんのリスクは毎日1-2杯のむ方では、約半分に、毎日5杯の方では約1/4に減少することが報告されています。

いずれも、信頼できる機関から発表されているデータですので、コーヒー党でない方にとっても、気になるデータかもしれませんね。

■まずは冷静に考えましょう
実は、話をひっくり返すようですが、前述のような調査結果のほかに、「コーヒーが膀胱がんのリスクを上げた」という結果や、「血圧が上がる」「胃が荒れる」という健康への悪影響を示唆する結果が報告されているのも事実です。

たとえば、肝臓がんの原因であるC型肝炎に罹患しておられる方は、肝機能の影響もあり、コーヒーの飲用を控えている可能性があるということや、喫煙の有無についての影響が完全に排除できているのかということなど、調査の対象となる母集団に様々なひずみがないのか、ということもよく考えなくてはなりません。

それに、コーヒーの銘柄が関係あるのか、ブラックで飲む場合と、砂糖やミルクをどっさり入れる場合の違いは、とか、缶コーヒーとインスタントコーヒーと、ドリップで入れるものとの違いは、などなど、色々な条件が関係するのかどうかも考慮する必要があります。

よって、結果を早急に鵜呑みにせずに、まずは、そういうこともあるのか、というスタンスで、頭の片隅に入れておくというのが、コーヒーに限らず、食べ物とがんとの関連のニュースを見たときには大切だと思います。

■コーヒーを楽しもう!
今後、色々な研究が進むにつれて、コーヒーに含まれている成分ががんの発生や予防に影響を与えることが明らかになっていく可能性は十二分にあります。でも、健康増進のために、コーヒーをがんばって飲むぞ!というのは、ちょっと違うかなぁ、とも思います。

重要なミーティングが終わり、スタッフとともに、カフェで頂くコーヒー。人気のお店で、極上のスイーツといただくエスプレッソ。1日が終わり、ほっとして、ドリッパーにお湯を注いで家族と楽しむソイラテ。コーヒー好きの私にとっては、どれも、生活に彩りを与えてくれる、大切な一杯です。

大切な仲間や家族と笑い、語らいながら頂く一杯。その時間を楽しむことが、実は、最高のがん予防では、と密かに思います。みなさんも、あまり色々と考えずに、楽しいコーヒータイムを!

危ないのはコーヒーじゃなかった! 「温かい飲み物」「マテ茶」に発がんリスク

世界保健機関(WHO)の研究部門である国際がん研究機関(IARC)は、これまで発がんリスクがあるとされていた「コーヒー」にはリスクはほとんどなく、代わりに「マテ茶」や「65℃以上の飲み物」にリスクがあったと発表した。

IARCは人のがん発症リスクを高める環境要因を特定、評価するために、WHOが各国のがん研究専門機関と共同でフランスに設置しているワーキンググループ。

人を対象に、発がん物質の暴露の影響を研究した論文を調査し、リスクの高さに応じて「グループ1(発がん性あり)」から「グループ4(発がん性なし)」に分類しているが、これが発がん性や発症率の高さを意味しているわけではない。

コーヒーは、1991年にIARCが「グループ2B(おそらく発がん性あり)」であると分類したが、その後の疫学研究や追跡調査から、リスクを認めるほどのエビデンスが確認されず、当時の調査結果には矛盾やバイアスがあったとし、グループ4に分類された。

新たにリスクありとされたのは、南米でよく飲まれている「マテ茶」と「65℃以上の温かい飲み物」で、IARCの発表では、どちらもマウスやラットを使った限定的な実験で、食道がんとの関係が示唆されている。

コーヒーのリスクも、温度によって異なっていたことを見落としていたとしており、温かい飲み物は、温度が上がるほどリスクが上昇するとされている。マテ茶は温度に関係なく、リスクが上昇するという。

ただし、一連の発表に対し、米国立衛生研究所などの研究機関は「火傷をさけるためにホットドリンクを冷ますのはともかく、食道がん発症リスクを下げたいのであれば、喫煙や飲酒をやめるべき」とコメントしている。

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