あなたの健康はお金で買えますか・・・? ■年金・医療保険医療控除等
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生活保護と年金のダブル受給ってできるの?もらえる金額は?

日本には所得補償という機能を持つ年金と、収入がない、少なくて生活できない場合のセーフティネットとして生活保護があります。年金と生活保護は、ダブルで受給できるのでしょうか。

生活保護をもらえる条件とは?

まずは、生活保護についてご案内します。生活保護は、何らかの事情で全く働けないか、働いていても収入が少なく、次のような努力をしてもなお生活できない場合に支給されます。

・働ける限りは働いて収入を得る

・雇用保険や年金などの社会保障による給付をすべて受ける

・預貯金や生命保険などの金融資産を生活費にあてる

・親、子や兄弟姉妹など、民法上の扶養義務者による援助を受ける

・自動車は原則保有できない

・居住用不動産や事業用不動産(農地や山林など)は保有が認められる場合があるが、受けた生活保護の中からローンを返済することは原則認められない

生活保護の金額はどう決まる?

生活保護の金額は、地域や世帯の人数、構成員の年齢などによって計算される最低生活費によって決まります。最低生活費は、厚生労働省ホームページの資料により計算したところ、たとえば東京都区部に住む65~69歳の夫婦2人世帯の場合には次のようになりました(令和4年7月時点)。

・生活扶助基準額:11万9920円……A

・住宅扶助基準額:地代、家賃の実費(最高で6万4000円)……B

・A+B=最高で18万3920円(端数処理を行っている)

このほかに、医療扶助、介護扶助、教育扶助等が支給される場合もあります。また、障害者や母子家庭などの場合は加算があります。このように計算した最低生活費に現在の収入が足りない分だけ、生活保護として支給されることになります。無収入の場合は最低生活費がまるまる出ることになります。

ちなみに、国民年金の満額は夫婦2人で13万円ほどですから、なるほど「逆転現象」と言われるのもうなずけます。

年金と生活保護は両方もらえるの?

最低生活費に収入が足りない分だけ生活保護が支給されるということをご説明しましたが、年金は収入に入るのでしょうか。結論から言いますと、年金も収入としてカウントされます。老齢年金だけでなく、障害年金、遺族年金も同じように収入として見られますから、他に収入がなかったとすると、生活保護支給額は、

「最低生活費-年金収入=生活保護支給額」

となります。先ほどの例の場合、最低生活費が約18万4000円、年金が夫婦2人で月額約10万円とすると、約8万4000円が生活保護として支給されるというわけです。

収入と最低生活費の差額が支給される
収入と最低生活費の差額が支給される© All About, Inc.

このように、年金と生活保護は両方もらえることはもらえますが、年金の分は収入として生活保護から減額されてしまいます。金額だけ考えれば、年金は払っても無駄だという意見があるのも事実ですが、生活保護を受けるのには資産の保有が原則認められないなど、生活にいろいろと制約が出てきます。

まずは公的年金を確保し、不足分は金融資産で補うという正攻法をとって、経済的に自立し、充実した老後を過ごしていきたいですね。

文:綱川 揚佐(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士、年金アドバイザー)

金融機関在職中に1級FP技能士を取得後、社会保険労務士や年金アドバイザーも取得。年金記録確認第三者委員会勤務を経て、社会保険労務士・FP事務所を開業。法人向けの労働相談や、多数の年金相談業務等を行う。

年金が振り込まれるのは誕生日の月からではない? いつからもらえる?

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。

Q:年金は誕生日の月に、振り込まれるのですか?

「年金は15日に受け取ることができると友人から聞きました。18日生まれなので、15日に年金を振り込んでもらえるのでしょうか?」(東京都・男性)

A:誕生日の前日以降に、年金事務所で手続きをしましょう

緑の封筒で年金請求書は届いていますか? 届いていれば、誕生日の前日17日から年金請求を受け付けてもらえるので、預金通帳や戸籍謄本(配偶者がいる場合)、雇用保険被保険者証(在職中の場合)など必要書類と年金請求書を持って、年金事務所で手続きしましょう。

年金は、もらう権利が生じた月の翌月から支給されます。

例えば、7月18日生まれの方は、7月17日に年金をもらう権利が生じますので、8月分と9月分と合わせて10月15日以降に年金が2カ月分支給されます。それ以降も原則、偶数月の15日に、前月と前々月2カ月分の年金が後払いで支給されます。

7月15日には、まだ年金をもらう権利が生じていないことになりますので、この日には年金を受けることはできません。

また年金請求を行った時期によっても、年金が支給されるときは異なりますので注意してください。誕生日の前日7月17日に手続きを行えば、8月分から9月分の年金が10月15日に支給される可能性が高いでしょう。

手続きが遅れた場合でも、もらう権利が生じた5年以内であれば、受給権発生の翌月(8月分)にさかのぼって年金が支給されることとなります。

もし、緑の封筒が届いていないようでしたら、近くの年金事務所へ行き、ご自分の年金記録と年金手続きの必要書類を確認しましょう。「ねんきんネット」でもご自分の職歴等を確認することができますよ。

文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)

銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行う。現在は年金事務所にて、年金相談員も担当している。

年金は65歳からもらわないほうがいいのでしょうか?


老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。

Q:年金は65歳からもらわないほうがお得?

「私は年金を65歳から受給しようと思いましたが、まだ夫は会社員で収入もあり、老後貯金も十分あり、生活費はまかなえています。家族から年金は繰下げ受給したほうがお得だといわれました。本当でしょうか?」(64歳・専業主婦)

A:「繰下げ受給」でもらえる年金が多くなります

65歳で年金を受給せずに、もらう年齢を遅らせると、受給できる年金が多くなります。これを「繰下げ受給」制度といいます。

現在、2022年(令和4年)4月1日以降に70歳に達する人(つまり昭和27年4月2日以降に生まれた人)は、最長で75歳(10年間・120カ月)まで繰下げすることができます(※)。ひと月単位で繰下げすることができ、1カ月あたり0.7%年金額を増やすことができます。

(※)昭和27年4月1日以前に生まれた人は70歳までしか繰り下げできません

たとえば、75歳まで繰り下げて年金受給すると、もらえる年金は84%多くなります。

繰り下げれば、増えた年金を一生涯もらうことができます。したがって、繰下げ受給制度は、年金受給開始までの生活費を賄えるだけの資産がある人や家計に余裕がある人にはとてもお得な制度です。検討してみてはいかがしょうか。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。


加給年金の「特別加算」って何?いくらもらえる?

加給年金とは?

加給年金は、配偶者や子どもがいる人につく、年金版家族手当のことです。

年金受給者で、家族がいれば誰でももらえるのではなく、配偶者に対する加給年金を受け取る条件は、下の1から5に当てはまることが必要です。

1. 年金を受給する人(夫または妻)が20年以上、厚生年金に加入している。

2. 年金を受給する人が、65歳時点で65歳未満の配偶者の生計維持をしている。

3. 配偶者が20年以上の厚生年金期間による特別支給の老齢厚生年金・老齢厚生年金を原則もらう権利がないこと。

4. 配偶者が障害年金を受けられていないとき。

5. 配偶者の年収が概ね850万円未満である。

子どもに対する加給年金を受け取る条件には以下のようなものがあります。

1. 年金を受給する人が65歳時点で、18歳の年度末(高校卒業)または20歳未満の障害1、2級の子どもの生計を維持している。

2. 年金を受給する人(子どもから見て父または母)が20年以上、厚生年金に加入している。

加給年金はいくらもらえるの?

加給年金は、年金をもらう本人が65歳になってから配偶者が原則65歳になるまで、子どもなら18歳の年度末(障害1、2級の子は20歳)まで支給されます。

加給年金額は、配偶者22万3800円(月額1万8650円)、第1子・第2子各22万3800円、第3子以降各7万4600円(月額6216円)です(令和4年度)。

配偶者の加給年金、年齢によって金額が違う?

実は年金をもらう人の生年月日によって、配偶者の加給年金額は異なるのです。「特別加算」の額が年金受給者の生年月日により決まっています。

特別加算も加えた加給年金額は表の通りです。

加給年金は、年金版家族手当のことです。年金受給者が若い方が特別加算がつき加給年金は増額されます
加給年金は、年金版家族手当のことです。年金受給者が若い方が特別加算がつき加給年金は増額されます© All About, Inc.

配偶者の加給年金に特別加算がつく理由

年金をもらう人の年齢が若くなるごとに、老齢厚生年金の単価や乗率が下がっています。つまり年金額が減額されているのです。しかし年金を受けられる年齢はどんどん上がっています。若い人ほど減額された年金を遅い年齢で受け取るような仕組みになっています。

そのため、せめて家族手当である加給年金は、年金をもらう人が若くなるほど手厚くし、夫婦とも65歳になったときに年金水準が上の世代と比べて著しく低額にならないように「特別加算」をつけているのです。

一部の公務員を除き、昭和41年4月2日生まれ以降の人は男女を問わず、年金が原則65歳支給になり、現在ある「振替加算」もなくなります。年上妻や働く妻が損をしがちだった年金も将来的には変わっていきます。

特別加算のついた加給年金、たくさんもらうには?

加給年金をたくさんもらうのは「年の差夫婦」です。それも、特に年上の方が厚生年金に20年以上加入し、65歳以降も夫婦が円満であれば、年上の方が65歳になってから年下の方が65歳になるまで加給年金額をもらい続けることができるのです。

文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)

銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行う。現在は年金事務所にて、年金相談員も担当している。

90%以上の高齢者が公的年金の「繰り下げ受給」を選択しない納得の理由5つ



公的年金の繰り下げ受給を利用すれば、公的年金を増額できます。しかし、ほとんど利用されていないのが実態です。


一見メリットが大きそうな繰り下げ受給ですが、なぜ利用されていないのでしょうか。

今回は、公的年金の繰り下げ受給が活用されていない理由についてご紹介します。

■繰り下げ受給を選択する人は2%に満たない

厚生労働省が発表した「令和2年度版厚生年金保険・国民年金事業年報」によると、令和2年度では約3,420万人が国民年金を受給する権利を持っていますが、そのうち繰り下げ受給を選択したのはわずか1.6%の約553万人だけということです。

以下では、考えられる繰り下げ受給が利用されない主な理由を5つ紹介します。

■もらえるものは早くもらっておきたい

公的年金を受給できる年齢は、原則65歳からです。65歳になると、若い頃と比べれば注意力や病気への抵抗力も低下するため、事故や病気で突然亡くなってしまうこともあります。

繰り下げ受給を選択した場合、公的年金を受け取らずに死亡してしまう可能性もあるのです。

これまで給与から年金保険料を天引きされたり、国民年金を収めたりしてきたことを考えると、受け取れないリスクが高まる前に早くもらっておこうと考える人が多いことが理由のひとつとして考えられます。

■繰り下げ受給をするまで老後の貯蓄が持たない

受給年齢を70歳まで遅らせようとすると、65歳から70歳までは公的年金以外の何らかの収入が必要です。

収入がない場合、老後の貯蓄の取り崩しが進んでしまうことから、やむを得ず繰り下げ受給を断念するケースもあるでしょう。

■税金や社会保険料が増加してしまうから

受給する公的年金にも税金や社会保険料がかかり、額面通りの金額がもらえないことがあります。

そのため繰り下げ受給によって公的年金額が増額すれば、税金や社会保険料がかかるため、手取りが増えたという実感がわかないことから繰り下げ受給を選択しないケースも考えられます。

■加給年金やその他給付金が受け取れなくなることがある

厚生年金保険に20年以上加入していた人が、65歳のときに年下の妻や子供がいると加給年金が加算される場合があります。

しかし、繰り下げ受給を選択すると加給年金は受給できません。

住民税非課税世帯など低所得者向けの給付金も、繰り下げ受給で所得が増えると利用できなくなる可能性があります。

■医療費の自己負担が増加する可能性がある

75歳から加入する後期高齢者医療制度や高額療養費制度などは、所得が多く「現役並み」の所得とみなされると自己負担額が増加する仕組みになっています。

つまり繰り下げ受給で公的年金額を増額した結果、所得が「現役並み」と判断され将来の医療費負担が増加する可能性があります。

■老後の資金を早いうちから考えておこう

繰り下げ受給はさまざまな理由から、まだ浸透しているとはいえない状況です。

人の平均寿命を考えると(特に平均寿命の短い男性は)、繰り下げ受給の上限である75歳まで遅らせるのは現実的とはいえません。しかし、繰り下げ受給で年金額を増やすのは、老後の公的年金額を増額する方法として合理的です。

自分の人生がいつ終わるのかは誰にもわかりません。しかし、ある程度繰り下げ受給を想定して定年退職後も引き続き働いて収入を得たり、iDeCoの積立金を活用したりするなど、繰り下げ受給を利用するまでの収入確保の方法を、早いうちに考えておくとよいでしょう。

文・金子賢司(ファイナンシャル・プランナー)

立教大学法学部卒業後、東証一部上場企業に入社。その後、保険業界に転身し、ファイナンシャル・プランナー(FP)として活動を開始。個人・法人のお金に関する相談を受けながら、北海道のテレビ番組のコメンテーターなどとしても活動している。

66歳で厚生年金保険料を支払ったら、将来受け取れる老齢厚生年金は増える?


老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。

Q:66歳で厚生年金保険料を支払ったら、将来受け取れる老齢厚生年金は増える?

「66歳ですが、給料から厚生年金保険料が引かれています。今後、私が受け取れる老齢厚生年金額は増えるのですか?」(玉ちゃん)

A:厚生年金保険料を支払った分、もらえる老齢厚生年金額は増えます

65歳になると、老齢年金を受給できます。厚生年金加入者は、65歳時点で、それまで納付した厚生年金保険料にもとづいて老齢厚生年金受給額が決定されます。


相談者のように、65歳以降も厚生年金加入者として、厚生年金保険料を納付している人は、65歳以降、厚生年金保険料を支払った分、増えた老齢厚生年金を受け取ることができます。

65歳以上70歳未満の人で、厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受け取っている場合、基準日9月1日時点までに納めた厚生年金保険料に基づいて、翌月10月分からの年金額が見直しされます。実際に見直しされた年金額を受け取れるのは、12月(10月・11月分)になります。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。


全員が年金の繰下げ受給ができるわけではない! 繰下げができない人とはどんな人?

年金の繰下げ受給とは何か

年金の繰下げ受給とは、老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給年齢を後ろ倒しにすることです。現在の年金制度では老齢年金は65歳から受給可能ですが、2023年1月現在、老齢基礎年金と老齢厚生年金は75歳まで繰下げられます。両方同時に繰下げていくこともできれば、どちらか片方だけ繰下げることも可能です。

年金を繰下げ受給した場合、1ヶ月につき0.7%ずつ受け取る年金は増額されていき、最大で84%増額されます。老齢年金の受給資格を得る65歳以降も、何らかの手段で収入を得ることができて生活に困らない人ならば、繰下げ受給を選択するメリットは大きいでしょう。

なお、繰下げ受給を行いたい場合は、66歳以降で繰下げ受給を希望する時期に「老齢基礎・厚生年金支給繰下げ請求書」を年金事務所か街角の年金相談センターへ提出してください。

年金の繰下げ受給ができない人の条件

年金の繰下げ受給は、すべての年金受給資格者にあるわけではありません。一定の条件を満たすと繰下げ受給資格を失います。ここでは、年金の繰下げ受給ができない人の条件を紹介します。

年金の繰下げ受給を検討している人は、自分がこの条件に当てはまっていないか参考にしてください。なお、条件を満たした場合、失うのは繰下げ受給の資格だけです。

年齢によっては繰下げができない

令和4年4月、老齢年金の繰下げが75歳まで引き上げられました。しかし、昭和27年4月1日以前に生まれた人は70歳に達した月までしか繰下げができません。例えば、昭和26年生まれの人が「せっかくだから75歳まで繰下げたい」と思っても、それ以上の繰下げはできないので注意してください。

遺族年金や障害者年金など老齢年金以外の年金を65歳以上で受給したときは繰下げ不可

65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日までの間に「障害給付」「遺族給付」を受け取る権利が生じた場合は、その時点で繰下げ受給の請求ができません。ただし、「障害基礎年金」「旧国民年金法による障害年金」だけを受け取る権利が生じた場合は「老齢厚生年金」の繰下げ受給が可能です。なお、その際は老齢基礎年金の繰下げ受給はできません。

また、66歳に達した日以降は、繰下げ待機期間中に「遺族年金」をはじめとする他の公的年金の受給資格が生じると、その時点で増額率が固定されます。以降、75歳まで繰下げても倍率が増えることはありません。なお、75歳まで繰下げ受給を選択していた場合でも、固定された倍額率の年金を他の年金が発生した月の翌月分から受け取れます。

繰下げ受給を選択した際の注意点

繰下げ受給を選択した場合、年金の受給額が増えます。しかし、年金が増えるということは収入も増えることになり、保険料や所得税なども上がります。繰下げ受給をして年金が増額したのに、その分を税金や保険料で引かれたらメリットがなくなることもあるので注意が必要です。

また、貯金が十分にあるので収入がなくても貯金を切り崩していけば問題ないと考えていると、急で多額な出費に対応できないこともあります。

繰下げ受給はよく考えて決定する

老齢年金の繰下げ受給は、もらえる年金が増えますが税金や保険料も増えます。また、夫婦で繰下げ受給を選択し、片方が早く亡くなった場合は年金の繰下げ受給がそれ以降できなくなります。

年金の繰下げ受給を検討している人は、自分や世帯の収入や貯蓄額、メリット・デメリットなどをよく考えて十分にシミュレーションをしたうえで決定しましょう。

出典

[日本年金機構 年金の繰下げ受給

](https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-02.html)

[日本年金機構 66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき

](https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/seikyu/20140421-31.html)

[日本年金機構 老齢年金ガイド 令和4年度版

](https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kyufu.files/LK03.pdf)

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

2023年以降に年金を繰下げ受給すると、負担増の罠にかかりやすくなる 理由と対策を解説

原則として65歳から受給できる年金としては、

国民年金から支給される老齢基礎年金と、
厚生年金保険から支給される老齢厚生年金の、
2種類があるのです。

また生年月日によっては60歳~64歳から、経過措置として支給されている「特別支給の老齢厚生年金」を受給できます。

それぞれの具体的な年金額や、それぞれの受給要件を満たしているのかが気になる方は、ねんきん定期便を見てみるのが良いと思います。

この中には、本来の年齢よりも受給開始を繰下げ(先延ばし)して、受給できる年金額を増やす「繰下げ受給」という制度が紹介されているのです。

繰下げによって年金額が増えるのは、原則として65歳から受給できる老齢基礎年金と老齢厚生年金になるため、特別支給の老齢厚生年金は受給開始を繰下げしても年金額は増えません。

また増額した老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給できるのは、早くても66歳になるため、最低でも1年間は受給開始を待つ必要があるのです。

この年齢に達した後は、繰下げの上限である75歳までの範囲内であれば、受給開始の時期を自由に選択できるのです。

そのうえ老齢基礎年金は70歳まで繰下げ、老齢厚生年金は75歳まで繰下げするというように、それぞれの受給開始の時期を分けられるのです。

受給開始を繰下げした場合の1か月あたりの増額率は0.7%のため、上限の75歳まで繰下げした場合、増額率は84%(0.7%×12か月×10年)になります。

なお1952年4月1日以前生まれの方については、2022年4月に法改正が実施される前の、旧制度が適用されます。

そのため繰下げの上限は70歳、最大の増額率は42%(0.7%×12か月×5年)になってしまう点に、注意する必要があります。

介護と医療の負担増の罠は気付きにくい
40歳以上の方が加入する介護保険の自己負担は、制度ができた当初は誰もが1割でした。

しかし現在は65歳以上の方に関しては、収入などが一定額以上ある場合、2割~3割の自己負担になります。

また75歳以上の方が加入する後期高齢者医療の自己負担は、2022年10月に2割負担が新設されました。

そのため基本的には1割になりますが、収入などが一定額以上ある場合、介護保険と同じように2割~3割の自己負担になります。

ただ1か月あたりの自己負担が高額になり、所定の自己負担限度額を超えた場合には、後期高齢者医療から高額療養費が支給されるため、自己負担限度額までを支払えば良いのです。

この自己負担限度額や入院時の食事代などについても、収入が上がるほど負担が増えます。

負担が増える基準については、市区町村のウェブサイトなどに記載されていますが、非常に内容が複雑なため、負担が重いことに気付くのは、実際に介護や医療を受けて、その料金を支払う時という場合が多いと思います。

このように収入の多い方に対する介護や医療の負担増は、料金を支払う時まで気付きにくいため、物陰に仕掛けられている罠のような印象を受けるのです。

また老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給開始を繰下げするほど、負担増の罠にかかりやすくなるのです。

2024年以降は負担増の罠が増える
2024年には3年に1度の介護保険の改正が実施されるため、厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会の介護保険部会では、介護保険の改正案に関する議論が行われています。

その改正案の中には、収入の多い方が負担増につながる、次のようなものがあるのです。

65歳以上に関しては、低所得者の保険料を引き下げ、その分を高所得者の負担増で穴埋めする
2割負担の対象者を従来よりも拡大する
また後期高齢者医療に関しては、高所得者が負担する保険料の年間あたりの上限(現在は66万円)を、2024年度に73万円、2025年度に80万円に引き上げする改正案があります。

もうひとつ気になったのは、健康保険の加入者などが出産した時に受給できる出産育児一時金を、42万円から50万円程度に引き上げする際に、その財源を後期高齢者医療の加入者に負担させるという改正案です。

新聞などの報道によると、

年収が211万円を超える方の保険料を2024年度から引き上げし、
また年収が153万円を超える方の保険料を2025年度から引き上げして、
出産育児一時金の財源に充てるようです。

このように収入が多い方に対する負担増の罠は、2024年以降になると種類が増えるのです。

また2023年に受給開始を繰下げした場合、1年が経過して増額した老齢基礎年金や老齢厚生年金を受給できるのが2024年のため、2023年以降に繰下げ受給すると、負担増の罠にかかりやすくなります。

住民税非課税世帯に該当する範囲内で繰下げ受給を利用する
障害基礎年金、障害厚生年金などの障害に関する年金や、遺族基礎年金、遺族厚生年金などの死亡に関する年金は、金額がいくらでも非課税になります。

一方で老齢基礎年金、老齢厚生年金などの老齢年金については、これらの合計額が一定の基準額を超えると、所得税や住民税が課税されるため、収入を基準額以下に抑えた方が良いのです。

例えば65歳以上の単身者で、収入が老齢年金だけの場合、その合計額(前年)が155万円以下であれば、住民税が課税されない場合が多いため、住民税非課税世帯になります。

また夫が妻を扶養する、65歳以上の夫婦のみの世帯で、収入が老齢年金だけの場合、次のような2つの要件を満たすと、夫婦共に住民税が課税されない場合が多いため、住民税非課税世帯になります。

夫:老齢年金の合計額(前年)が211万円以下である

妻:老齢年金の合計額(前年)が155万円以下である

国などが介護や医療などの自己負担を決める際は、住民税非課税世帯に該当するか否かを、基準にする場合が多いのです。

そのため住民税非課税世帯でなくなると、介護や医療などの自己負担が一気に上がる可能性があります。



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原則として65歳から受給できる年金としては、

国民年金から支給される老齢基礎年金と、
厚生年金保険から支給される老齢厚生年金の、
2種類があるのです。

また生年月日によっては60歳~64歳から、経過措置として支給されている「特別支給の老齢厚生年金」を受給できます。

それぞれの具体的な年金額や、それぞれの受給要件を満たしているのかが気になる方は、ねんきん定期便を見てみるのが良いと思います。

この中には、本来の年齢よりも受給開始を繰下げ(先延ばし)して、受給できる年金額を増やす「繰下げ受給」という制度が紹介されているのです。

繰下げによって年金額が増えるのは、原則として65歳から受給できる老齢基礎年金と老齢厚生年金になるため、特別支給の老齢厚生年金は受給開始を繰下げしても年金額は増えません。

また増額した老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給できるのは、早くても66歳になるため、最低でも1年間は受給開始を待つ必要があるのです。

この年齢に達した後は、繰下げの上限である75歳までの範囲内であれば、受給開始の時期を自由に選択できるのです。

そのうえ老齢基礎年金は70歳まで繰下げ、老齢厚生年金は75歳まで繰下げするというように、それぞれの受給開始の時期を分けられるのです。

受給開始を繰下げした場合の1か月あたりの増額率は0.7%のため、上限の75歳まで繰下げした場合、増額率は84%(0.7%×12か月×10年)になります。

なお1952年4月1日以前生まれの方については、2022年4月に法改正が実施される前の、旧制度が適用されます。

そのため繰下げの上限は70歳、最大の増額率は42%(0.7%×12か月×5年)になってしまう点に、注意する必要があります。

年金の繰下げ受給と介護の負担に注意
年金の繰下げ受給と介護の負担に注意
© マネーの達人 提供
介護と医療の負担増の罠は気付きにくい
40歳以上の方が加入する介護保険の自己負担は、制度ができた当初は誰もが1割でした。

しかし現在は65歳以上の方に関しては、収入などが一定額以上ある場合、2割~3割の自己負担になります。

また75歳以上の方が加入する後期高齢者医療の自己負担は、2022年10月に2割負担が新設されました。

そのため基本的には1割になりますが、収入などが一定額以上ある場合、介護保険と同じように2割~3割の自己負担になります。

ただ1か月あたりの自己負担が高額になり、所定の自己負担限度額を超えた場合には、後期高齢者医療から高額療養費が支給されるため、自己負担限度額までを支払えば良いのです。

この自己負担限度額や入院時の食事代などについても、収入が上がるほど負担が増えます。

負担が増える基準については、市区町村のウェブサイトなどに記載されていますが、非常に内容が複雑なため、負担が重いことに気付くのは、実際に介護や医療を受けて、その料金を支払う時という場合が多いと思います。

このように収入の多い方に対する介護や医療の負担増は、料金を支払う時まで気付きにくいため、物陰に仕掛けられている罠のような印象を受けるのです。

また老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給開始を繰下げするほど、負担増の罠にかかりやすくなるのです。

介護保険の自己負担は収入が高いほど重い
介護保険の自己負担は収入が高いほど重い
© マネーの達人 提供
2024年以降は負担増の罠が増える
2024年には3年に1度の介護保険の改正が実施されるため、厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会の介護保険部会では、介護保険の改正案に関する議論が行われています。

その改正案の中には、収入の多い方が負担増につながる、次のようなものがあるのです。

65歳以上に関しては、低所得者の保険料を引き下げ、その分を高所得者の負担増で穴埋めする
2割負担の対象者を従来よりも拡大する
また後期高齢者医療に関しては、高所得者が負担する保険料の年間あたりの上限(現在は66万円)を、2024年度に73万円、2025年度に80万円に引き上げする改正案があります。

もうひとつ気になったのは、健康保険の加入者などが出産した時に受給できる出産育児一時金を、42万円から50万円程度に引き上げする際に、その財源を後期高齢者医療の加入者に負担させるという改正案です。

新聞などの報道によると、

年収が211万円を超える方の保険料を2024年度から引き上げし、
また年収が153万円を超える方の保険料を2025年度から引き上げして、
出産育児一時金の財源に充てるようです。

このように収入が多い方に対する負担増の罠は、2024年以降になると種類が増えるのです。

また2023年に受給開始を繰下げした場合、1年が経過して増額した老齢基礎年金や老齢厚生年金を受給できるのが2024年のため、2023年以降に繰下げ受給すると、負担増の罠にかかりやすくなります。

住民税非課税世帯に該当する範囲内で繰下げ受給を利用する
障害基礎年金、障害厚生年金などの障害に関する年金や、遺族基礎年金、遺族厚生年金などの死亡に関する年金は、金額がいくらでも非課税になります。

一方で老齢基礎年金、老齢厚生年金などの老齢年金については、これらの合計額が一定の基準額を超えると、所得税や住民税が課税されるため、収入を基準額以下に抑えた方が良いのです。

例えば65歳以上の単身者で、収入が老齢年金だけの場合、その合計額(前年)が155万円以下であれば、住民税が課税されない場合が多いため、住民税非課税世帯になります。

また夫が妻を扶養する、65歳以上の夫婦のみの世帯で、収入が老齢年金だけの場合、次のような2つの要件を満たすと、夫婦共に住民税が課税されない場合が多いため、住民税非課税世帯になります。

夫:老齢年金の合計額(前年)が211万円以下である

妻:老齢年金の合計額(前年)が155万円以下である

国などが介護や医療などの自己負担を決める際は、住民税非課税世帯に該当するか否かを、基準にする場合が多いのです。

そのため住民税非課税世帯でなくなると、介護や医療などの自己負担が一気に上がる可能性があります。

住民税非課税世帯となるよう繰下げ受給を調整
住民税非課税世帯となるよう繰下げ受給を調整
© マネーの達人 提供
こういった事情があるため、繰下げ受給を利用して年金額を増やすなら、211万円や155万円という基準額を、超えない程度にとどめた方が良いのです。

また211万円や155万円という基準額は、自治体によって多少の違いがあるため、ぎりぎりまで年金額を増やすなら、基準額の詳細を調べておいた方が良いと思います。

なおパソコンやスマホから年金額などを調べられる、ねんきんネットにログインすると、繰下げ受給した場合の年金額を試算できるため、何歳までの繰下げなら基準額を超えないのかを、事前に確認できるのです。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)

「年金の受け取り口座」はどの銀行がお得? 優遇や特典がある金融機関を紹介!

年金受け取りに優遇や特典のある銀行を選ぶとお得

年金を受け取るためには、日本年金機構から送付される「年金請求書」に必要事項を記入し、提出する必要があります。年金請求書には年金を振り込んでもらうための金融機関を自身で決めて記載します。

年金受け取りの金融機関を指定するとき、現在利用している生活口座をそのまま指定する人が多いのではないでしょうか? しかし、金融機関によっては年金の受け取り口座に指定すると、ATMの手数料が無料になったり景品やポイントアップといった優遇や特典が受けられたりするため、受け取り口座を吟味することには意味があります。

今まで長い間保険料を納付してきた大切な年金を、少しでもお得に受け取りましょう。

図表1のとおり、さまざまな金融機関が優遇サービスや特典を用意しています。

図表1

「年金の受け取り口座」はどの銀行がお得? 優遇や特典がある金融機関を紹介!
「年金の受け取り口座」はどの銀行がお得? 優遇や特典がある金融機関を紹介!© ファイナンシャルフィールド

各金融機関HPより著者作成(2023年1月時点)

このように金融機関によってさまざまな優待サービスや特典がありますが、金融機関によってはサービスを受けるための条件を満たさなければならないところもあります。年金受け取りの口座を希望する金融機関の特典が受けられるのか、事前に確認してから設定しましょう。

年金受け取り口座を変更する方法

すでに年金をほかの金融機関で受け取っている人が、年金受け取り口座を変更したい場合は以下の手順で手続きが可能です。手続き変更は約1ヶ月で完了します。

__1\.日本年金機構のホームページより「年金受給権者 受取機関変更届」をダウンロード、または年金事務所か年金相談センターの窓口で変更届を受け取る

2.変更届に必要事項を記入

3.希望する金融機関で「金融機関の証明」欄に証明印(捺印)を受ける

※通帳やキャッシュカードの写し、ネットバンキング画面の印刷など添付する場合は金融機関の証明は不要

4.記入済み変更届を年金事務所または年金相談センターに提出__

まとめ

年金受け取り口座に指定すると金融機関によってさまざまな優待サービスや特典が受けられます。自身がよく行くお店や、通いやすい金融機関の中で優待サービスや特典があれば、年金受け取り口座の変更を検討してみてはいかがでしょうか?

出典

[日本年金機構 老齢年金の請求手続き

](https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/seikyu/gaiyou.html)

[日本年金機構 年金を受けている方が住所や年金の受取先金融機関を変えるとき

](https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140421-13.html)

[三菱UFJ銀行 メインバンク プラス 各種手数料優遇

](https://www.bk.mufg.jp/kouza/yugu/mb/yugu_naiyo/index.html)

[三井住友銀行 手数料優待

](https://www.smbc.co.jp/kojin/sougou/point-pack/fee-free/)

[ゆうちょ銀行 年金新規お受け取り特典

](https://www.jp-bank.japanpost.jp/kojin/kyuyonenkin/nenkin/kjkynnknenkincp.html)

[イオン銀行 年金受取サービス

](https://www.aeonbank.co.jp/sp/other_service/pension/)

[楽天銀行 ハッピープログラム(楽天ポイント・手数料優遇)

](https://www.rakuten-bank.co.jp/happyprogram/)

執筆者:鳥居佳織

FP3級

「遺族年金」と自分の「老齢基礎年金」、どっちを受け取った方がより多くの年金を受給できる?

そもそも遺族年金とは?

まずは遺族年金がどのようなものなのかを詳しく解説します。遺族年金とは、年金受給権者、あるいは年金受給資格のある被保険者と生計を同じくする配偶者や子が、受給権者、あるいは被保険者が死亡してしまったときに受け取れる年金です。

生計を同じくするとは、同居しているか、別居していても健康保険の扶養親族であるなどの条件を満たしていること、収入が850万円未満、あるいは所得が655万5000円未満であることという2つの条件を満たしている状態です。

遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、死亡した配偶者や親が国民年金と厚生年金の両方に加入していた場合には、両方の遺族年金を受け取れます。遺族基礎年金を受給できる要件は次の4つです。

__・配偶者、または親の死亡が国民年金の被保険者である期間中だった場合

・配偶者、または親が死亡時に国民年金の被保険者であり、60歳以上65歳未満で日本国内に住所を有していた場合

・配偶者、または親が死亡時に老齢基礎年金の受給権者だった場合

・配偶者、または親が死亡時に老齢基礎年金の受給権者としての資格を満たしていた場合__

また、遺族厚生年金を受給できる要件は次の5つになります。

__・配偶者、または親の死亡が厚生年金の被保険者である期間中だった場合

・死亡した配偶者、または親が厚生年金の被保険者である期間中に病気やけがの初診を受けており、初診から5年以内にその病気やけがが原因で死亡した場合

・配偶者、または親が死亡時に1級か2級の障害厚生(共済)年金の受給権者だった場合

・配偶者、または親が死亡時に老齢厚生年金の受給権者だった場合

・配偶者、または親が死亡時に老齢厚生年金の受給権者としての資格を満たしていた場合__

なお、受給対象者で最優先になるのは妻です。その後の優先順位は子、夫、父母、孫、祖父母と続きます。子と孫は18歳になった年度の3月31日までであること、夫と父母、祖父母は遺族となった時点で55歳以上であることなどが条件です。また、子のない妻の場合は5年間のみ、父母と祖父母は60歳からの受給になります。

遺族年金はいくらになるの?

遺族基礎年金額は令和4年の場合、年額で77万7800円です。それに加え、18歳未満の子どもがいる場合、2人目の子どもまではそれぞれ22万3800円、3人目以降の子どもは1人あたり7万4600円が加算されます。仮に18歳未満の子どもが2人いるのであれば、遺族基礎年金額は年間122万5400円です。

また、遺族厚生年金の年金額は死亡した配偶者や親の報酬比例部分の4分の3です。仮に死亡した配偶者、または親の報酬比例部分が100万円だった場合、受け取れる遺族厚生年金額は75万円になります。遺族基礎年金額と合わせて152万7800円です。

遺族年金の請求手続き方法

遺族年金の請求手続き方法は、遺族基礎年金と遺族厚生年金とで異なります。遺族基礎年金の場合、請求手続き先は住んでいる地域の市(区)役所か町村役場です。遺族厚生年金は近くの年金事務所か年金相談センターで受け付けています。

請求手続きの際の添付書類は戸籍謄本や死亡診断書などです。死亡原因や子の有無などによって異なるので、あらかじめ年金事務所や年金相談センターなどに問い合わせておきましょう。

遺族年金の方が受給額が多くなる可能性が高い!

遺族年金額と自身の年金額のどちらが多くなるのかは状況によって異なります。例えば、18歳未満の子どもがいない自営業者の夫婦の場合、自身の老齢基礎年金額が満額であれば、老齢基礎年金も年間77万7800円なので同じになります。

しかし、老齢基礎年金額が満額でない場合や18歳未満の子どもがいる場合には、遺族年金の方が高くなるでしょう。また、配偶者や親が厚生年金に加入していた場合には、自身の年収が死亡した配偶者、または親の年収の4分3以上であるかどうかが見極めのポイントとなります。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

「国民年金」がほぼ1ヶ月分の「1万5790円」割引きに!?「早割」や「前納」について解説

早割について
早割は、納付期限よりも1ヶ月早く引き落とすことで割引がある制度です。

具体的には、保険料の納付は翌月末に引き落とされるのですが、早割の場合は当月末に引き落とされます。しかし、現金払いで1ヶ月早く納付したとしても早割の適用はないので注意しましょう。また、申請してから口座振替が始まるまでには時間がかかり、2ヶ月程度は見ておく必要があります。

早割でいくら割引される?
早割の割引は月額50円です。年間では600円が割引されます。

割引金額は低く感じますが、国民年金の保険料は長い期間納付していくものなので、早くすればするほどお得になります。また、一括で納付するわけではなく毎月の納付を1ヶ月早くするだけなので、負担がかからないメリットがあります。同じように口座から引き落とすのであれば、早割も選択肢の1つとして考えてみましょう。

早割の手続き方法
早割をするには国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書を、保険料の引き落とし先金融機関もしくは年金事務所に提出する必要があります。また、その際は自身の基礎年金番号の記入と金融機関届出印を押していることも必要です。

前納について
国民年金前納割引制度によって、保険料を前納することもできます。保険料の前納は早割と異なり、引き落としだけでなく現金・クレジットカードでの納付も可能です。6ヶ月前納、1年前納、2年前納をそれぞれ選ぶことができ、年数が長いほうが前納の金額も大きくなるので、割引も大きくなっています。また、口座引き落としのほうが現金納付よりも割引率が高いです。

しかし、一括で保険料を支払うので、ある程度金銭的に余裕が必要です。一括で支払う余裕があれば、検討したい制度です。

前納するといくら割引される?
口座引き落としの場合は、割引は6ヶ月前納で1130円、1年前納で4170円、2年前納で1万5790円です。令和4年度の国民年金保険料は1万6590円なので、2年前納でほぼ1ヶ月分の保険料に相当する金額が割引になると考えられます。また現金・クレジットカード納付の場合は、割引は6ヶ月前納で810円、1年前納で3530円、2年前納で1万4540円となっています。

同じ前納でも口座引き落としの方が割引も大きく、納付の手間もないのでメリットは大きいです。

前納の手続き方法
前納についても、国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書を、保険料の引き落とし先金融機関もしくは年金事務所に提出する必要があります。

また、口座引き落としの前納だと、4月末日の振替を希望する場合は、申し込みの締め切りが2月末日までとなっているので、締切日に遅れないように手続きをしなければいけません。6ヶ月前納を希望し10月末日の振替をする場合は、8月末日までに手続きが必要となっています。

早割や前納などの割引制度を利用してお得に保険料を納付しましょう
本記事では、国民年金保険料の早割や前納といった割引制度について解説してきました。国民年金の保険料納付は毎月していくものなので、少しでも負担を抑えたいところです。そこで、支払い方法を変えるだけで済む早割や一括で先に納める前納で負担を減らすことも考えてみてください。どちらもお得な割引制度なので、自身に合った支払い方法で保険料を納付していきましょう。

出典
日本年金機構 国民年金前納割引制度(口座振替 早割)

日本年金機構 国民年金前納割引制度(口座振替 前納)

日本年金機構 国民年金前納割引制度(現金払い 前納)

日本年金機構 国民年金保険料の「2年前納」制度

日本年金機構 国民年金保険料

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

悪党の岸田年金改悪の実態 国民年金5年延長で100万円負担増、パート100万人超が手取り減❕

 岸田政権が進める年金制度の「大改悪」。どのように年金が減らされていくのか。私たちはどう対抗すればいいのか。年金博士こと社会保険労務士の北村庄吾氏がQ&A方式で解説していく。【全3回の第2回。第1回から読む

【年金改悪後】年金保険料「納付延長」「70歳受給開始」になると元を取れるのは83歳

 * * *

 2024年は5年に一度の「年金改正」があり、そこに向けた議論が具体化してきました。昨年10月25日に開かれた厚生労働省の社会保障審議会年金部会での議論や資料などを見ると、5つの論点が浮かび上がってきます。

【1】国民年金の加入期間を40年から45年に延ばす

【2】厚生年金の被保険者期間を「70歳まで」から「75歳まで」に延ばす

【3】パート労働者らに厚生年金加入を適用拡大する

【4】厚生年金のマクロ経済スライド期間を延長する

【5】年金支給開始年齢を引き上げる

 これらが岸田政権による「令和の年金改悪」だと考えられます。いくつかそのポイントを紹介しましょう。

減額を誤魔化したい政府

Q:支払う年金保険料が増えるのでしょうか。

A:国民年金は5年延長で約100万円の負担増です。

【1】の国民年金の加入期間を40年(20~60歳)から45年(20~65歳)に延ばすという話は、マクロ経済スライドによる実質減額を誤魔化そうとしているような話です。

 現在、40年加入して満額受給だと国民年金は年約80万円で、これだけではとても生活できない。それがさらに実質減額となると余計に苦しいから、5年長く加入させて年金額を年約10万円増やそうという話ですが、結局は支払う保険料が約20万円×5年間で約100万円も増えてしまいます。

Q:65歳という年金受給開始年齢も引き上げられるのですか。

A:最終的に75歳受給開始になる可能性があります。

【2】の厚生年金の被保険者期間が「70歳まで」から「75歳まで」に引き上げられるという話は、今のところ関係があるのは70歳を過ぎてもしっかり働き口がある会社の役員クラスくらいでしょう。

 ただ、政府が「歳をとっても働き続ける社会」の到来を前提にしているのは明らかです。そうなると、60歳定年の時代に65歳受給開始だった年金は、65歳定年なら70歳受給開始、70歳定年になれば75歳受給開始、となるのが非常に現実味のあるシナリオです。公務員の定年を65歳へと段階的に引き上げるなど、政府はいくつも布石を打ってきたので、あとは受給開始年齢引き上げの判断をするだけという状況です。

Q:パートも保険料を払うことになる?

A:払わなくてはいけない人が100万人単位で増えます。

【3】の厚生年金の適用拡大は、これまで年金保険料を払わなくてよかった人たちが払わされるようになるということです。

 すでに2022年10月から従業員数101人以上500人以下の企業が新たに厚生年金の適用となりましたが、2024年10月からは51人以上の企業に拡大されます。岸田改悪ではこの51人以上という条件も撤廃し、会社の規模に関係なく、週20時間以上働くパートに対して適用拡大するという案もある。それで新たに保険料を払う必要が出てくる人は約125万人とされます。

 さらには賃金が月額8万8000円以上という要件も撤廃するのではないかという話もある。そうなれば被保険者は約325万人増えるとされています。

Q:パートの手取りはどのくらい減りますか。

A:給料の約15%が保険料として引かれます。

 パート労働者の手取りは大きく減ります。厚生年金に加入すれば健康保険にも加入することになる。厚生年金の保険料率が18.3%、健康保険の保険料率が10%で合わせて28.3%。これを労使で折半するので15%弱が給料から天引きされる。月10万円のパートの人なら約1万5000円が天引きされ、さらに所得税と住民税が引かれます。

 これまでは保険料天引きを避けるために収入や労働時間を抑える考え方が成立したが、適用要件が厳しくなれば成り立たない。パートをするならたくさん働いてより多く稼ぐことを考えなくてはならなくなります。

(第3回につづく)

※週刊ポスト2023年1月27日号

母は無年金だと思い、生前、請求しませんでした。遺族がもらえる年金はありますか?


老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。

今回は、年金の請求をしなかった遺族がもらえる年金についてです。

Q:年金を請求しなかった母が亡くなりました。遺族がもらえるお金はありますか?

「母が亡くなりました。家計が苦しく年金の保険料を払えず全額免除にしてました。母と私は年金はないものだと思い、母が65歳になっても手続きをしませんでした。母は67歳で亡くなり、私は44歳ですが、何かもらえたりするのでしょうか?」(せっちゃんさん)

A:年金事務所に確認しましょう。未支給年金としてもらえる場合もあります

相談者のお母様が、年金の保険料の納付を全額免除にしてもらっていたのであれば、免除期間も年金の受給資格期間に算入されるため、年金がもらえる可能性があります。また相談者が知らない保険料を納付していた期間が実はあり、年金を受給できる条件を満たしているかもしれません。

本来もらえる年金を受け取らずに死亡された場合には「未支給年金」として遺族が受給できます。まずは、受け取れる年金がないかを、年金事務所に確認してみてはいかがでしょうか。

年金を受給している人の死亡時に、まだ受給していない年金や、亡くなった日より後に振込みされた年金のうち、死亡した月分までの年金については「未支給年金」として、死亡した人と生計を同じくしていた遺族(【1】配偶者【2】子【3】父母【4】孫【5】祖父母【6】兄弟姉妹……受け取れる人の順位もこの通り)が受け取ることができます。

未支給年金を受け取るためには「未支給年金・未支払給付金請求書および受給権者死亡届(報告書)」に次の書類を添付して、年金事務所または、年金相談センターに提出する必要があります。

(1)亡くなった人の年金証書

(2)亡くなった人と請求する人の続柄が確認できる書類(戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写し等)

(3)亡くなった人と請求する人が生計を同じくしていたことがわかる書類(死亡した受給権者の住民票(除票)および請求者の世帯全員の住民票等)

(4)受け取りを希望する金融機関の通帳

相談者は年金証書が手元にないと思いますので、まずは年金事務所に確認してみましょう。年金の受け取りの時効は5年です。過去5年にさかのぼって請求できますが、なぜそれまで年金を請求しなかったのかを確認されることがあります。

監修・文/深川弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。


年金受給者は「働き損」に要注意! 年金カットされずに働く方法を解説

「在職老齢年金」は給与と年金の月収が多ければカットされる

60歳以降に勤務先で厚生年金に加入しながら受け取る老齢厚生年金のことを、「在職老齢年金」といいます。在職老齢年金には月の収入に応じて支給停止となる仕組みが設けられており、給与が多い人は年金の一部が支給停止とされてしまいます。給与額によっては、年金の全額が支給停止になることもあるのです。

老後において計画していた収入がなくなるということは、生活を崩す大きな打撃になりかねないため、この仕組みには十分な注意が必要です。

給与+年金が47万円超で年金カット

それでは、月収がどれくらいあると年金カットの対象になってしまうのでしょうか。在職老齢年金が減額されるのは、給与と年金の月額が47万円を超える場合です。給与とは給与明細の基本給を指しているわけではなく、社会保険の標準報酬月額に賞与分を考慮した総報酬月額相当額になります。

総報酬月額相当額=(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12ヶ月

この「47万円」という金額ですが、2022年3月以前は65歳未満は28万円でした(65歳以上は47万円)。2022年4月以降は65歳という線引きが撤廃され、65歳以上と同じ水準まで引き上げられ、60歳以降も意欲的に働ける環境の整備が進んでいます。

カットされる年金額の計算方法

給与と年金の月額合計が47万円を超える場合には、その超える部分の金額の1/2が支給停止になります。

支給停止額=(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2

例えば、年金の基本月額20万円、総報酬月額相当額37万円の場合の支給停止額は、(20万円+37万円-47万円)÷2=5万円です。本来であれば20万円支給されるはずの年金が、15万円になるということです。

図表1

年金受給者は「働き損」に要注意! 年金カットされずに働く方法を解説
年金受給者は「働き損」に要注意! 年金カットされずに働く方法を解説© ファイナンシャルフィールド

出典:日本年金機構 在職老齢年金の計算方法

年金をカットされない働き方とは

老齢年金の支給停止を避けるためには、「給与と年金の月額合計を47万円以下にする」、「社会保険に加入しない」という2つの方法があります。

47万円以下になるように働く

年金の基本月額を調整することはできないため、給与を調整しながら月47万円以下になるように働きます。例えば、年金が20万円であれば給与は27万円以下にするなどです。ただし、過去1年分の賞与も考慮する必要があることなどから、自身での勤務調整には限界があるかもしれません。勤務先に相談しておくことをおすすめします。

社会保険に加入せずに働く

在職老齢年金は厚生年金に加入しながら受給する年金であることから、勤務先で厚生年金に加入しないのであれば年金カットの問題はなくなります。しかし、社会保険に加入せずに済む勤務となると、労働時間が週20時間未満、月額賃金8万8000円未満など大きな収入を生むことはできなくなる点に注意しましょう。

その他、社会保険に加入せずに働ける方法としては、個人事業主や社会保険に加入しない範囲での勤務が考えられます。

まとめ

勤務先で厚生年金に加入して給与をもらいながら年金を受け取る場合には、給与と年金の月収が47万円を超えると年金の一部または全部がカットされてしまいます。仕事に対する考え方は人それぞれではありますが、収入面だけから考えると、もらえる年金をカットされるまで働くよりも働き方を調整した方が、老後の時間を有意義に使うことができるのかもしれません。

出典

[日本年金機構 在職老齢年金の計算方法

](https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20150401-01.html)

[日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大

](https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html)

執筆者:佐々木咲

2級FP技能士

国民年金保険料は社会保険料控除の対象になる? 手続きはどうすればいい?

社会保険料控除の対象とは?

国民年金保険料は社会保険料控除の対象となり、国民年金保険料を納税した本人の所得から控除を受けることが可能です。また、生計を同じくする配偶者やその他の親族の国民年金保険料を代わりに納めた場合も所得から控除されます。そのため、税金対策として、所得が多い人が家族の国民年金保険料を支払うのもひとつの手です。

納めた国民年金保険料については「その年に納めた金額」または「給与などから差し引かれた金額」の全額が社会保険料控除の対象になります。このほか、「厚生年金保険の保険料」「国民年金基金の掛金」「国民健康保険の保険料」「雇用保険の労働保険料」「介護保険料」なども社会保険料控除の対象です。

社会保険料控除の手続きとは?

社会保険料控除を受けるためには、確定申告または年末調整の際に国民年金保険料を納めた証明書を提出する必要があります。国民年金保険料を納めた証明書としては日本年金機構から送付される「控除証明書」を使用することが可能です。

年末調整の場合は会社が行ってくれるため、特に何かする必要はありません。一方、確定申告の場合は納税者本人が税務署で手続きを行う必要があります。

確定申告に必要な書類は税務署に取りに行く、または国税庁のホームページからダウンロードすることができます。必要事項を記載した書類に控除証明書を添付して税務署に提出すれば、社会保険料控除が認められます。忙しい場合は、パソコンやスマートフォンを使えば、国税庁のホームページの「確定申告書等作成コーナー」から書類を作成して提出することも可能です。

ただし、電子送信にはマイナンバーカードが必要です。このほか、確定申告には期限があることにも注意しましょう。翌年の2月16日から同年3月15日までが提出期限になります。

控除証明書を紛失した場合は再交付することができます。「ねんきんネット」のIDを持っている人は、いつでもどこからでも「ねんきんネット」から再交付申請が可能です。

ただし、申請から発送までに1週間程度かかるため、確定申告または年末調整に間に合うように注意しましょう。控除証明書について何か分からないことがある場合は、「ねんきん加入者ダイヤル」から質問できます。

国民年金保険料は社会保険料控除に!控除証明書を提出しよう

国民年金保険料は社会保険料控除の対象となります。年末調整の場合は会社が行ってくれるため、特に何かする必要はありません。確定申告の場合は納税者本人が税務署に書類と控除証明書を提出する必要があります。社会保険料控除を受けると、税金が安くなります。ぜひ手続きを行ってみてはいかがでしょうか。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

年金暮らしの夫婦が「公営住宅」に転居できるって本当?条件は?

年金収入だけで生活することが困難になってきている時代。とりわけ生活コストの中で大きな支出の1つが住宅費用です。

年金収入だけで生活する際、賃貸住宅から公営住宅へ入居できれば大幅に住宅費用を削減できる可能性が高くなります。しかし、公営住宅には誰もが簡単に転居できるわけではありません。

では、公営住宅に入居するための条件をクリアしなくてはいけないのでしょうか。東京都の都営住宅を例にして、年収をはじめとする条件を詳しく見ていきましょう。

■都営住宅に入居する条件

東京都住宅政策本部によると、都営住宅の入居条件は次のように定められています。

・申込日現在、東京都内に居住していること。

・同居親族がいること(パートナーシップ関係にある方も対象)。

・住宅に困っていること。

・所得が定められた基準内であること(申込世帯の所得の合計が所得基準の範囲内であること)。

基本的に東京都内に居住し、同居親族がいて住居に困っている人であれば、「年収が一定以下」という条件をクリアすることで入居可能です。

■都営住宅に居住するための年収条件

都営住宅に入居するためには、世帯人数ごとに定められた次の世帯所得以下の年収である必要があります。

夫婦2人で年金収入しか所得がない場合には、2人の年金所得の合計が227万円以下であれば基準を満たすことになります。

■収入条件をクリアするための年金額とは?

では、一般的な年金収入で都営住宅には居住できるのでしょうか?

厚生労働省の厚生年金保険・国民年金事業の概況「厚生労働省厚生年金保険(第1号)によると、令和3年度の厚生年金保険(第1号)受給者平均年金月額は145,665円となっています。

また、令和3年度の国民年金の国民年金受給者の平均年金月額は56,479円です。双方の合計が202,144円ですので、年間所得は242万円程度になります。

つまり、平均的な年金収入を少し下回っている世帯であれば、都営住宅に居住できる条件を満たすことは可能です。

■公営住宅の使用料(家賃)はいくら?

公営住宅の使用料(家賃)は世帯の所得・住宅のある地域・住宅の広さ・建築年数等によって決められています。

例えば、2人世帯で練馬区の南田中アパートの使用料(家賃)は次のように決められています。

夫婦2人で2DKの住宅に入居するのであれば3万円以下の使用料(家賃)で入居できることもあります。

■老後に備えた資産形成も考えよう!

年金収入のみの夫婦で世帯所得が年間227万円以下であれば、公営住宅へ入居することは可能です。

しかし、公営住宅へ入居できれば、住居費を大幅に節約できる可能性があるものの、収入が一定以下でなければ入居できないということはやはり入居者の生活は楽ではないはず 。

老後、年金だけでは生活が苦しくなることをしっかりと認識し、若いうちから将来に備えた資産形成をしていきましょう。

文・手塚大輔(ファイナンシャル・プランナー)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員。地方銀行にて7年半勤務し個人営業と法人営業を経験。2014年に独立。保険や不動産、投資、税金などお金に関する幅広いジャンルの記事を執筆・監修している。

年金生活者支援給付金の金額が下がることもあるの?


老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。


今回は、年金生活者支援給付金の金額が下がる場合についてです。

Q:「年金生活者支援給付金」の金額が下がるのはどんな時?

「私は年金が少なく、年金生活者支援給付金を受け取っているのですが、今年度は給付金額が下がりました。どうしてでしょうか?」

A:前年の公的年金等の収入金額と、その他の所得との合計額が88万1200円を超えると減額されることになります

年金生活者支援給付金は、消費税率引き上げ分を活用し、公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準額以下の人に、生活の支援を図ることを目的として年金に上乗せして支給するものです。受給できる方は、以下の支給要件をすべて満たしている人が対象となります。

(1)65歳以上の老齢基礎年金の受給者

(2)同一世帯の全員が市町村民税非課税の人

(3)前年の公的年金等の収入金額とその他の所得(※)との合計額が88万1200円以下の人

※その他の所得に、障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。

このように年金生活者支援給付金は、市区町村から提出される、前年の公的年金等の収入額とその他の所得額との合計が、88万1200円以下の人に支給されますので、市区町村から報告された所得と年金収入が基準額を超えると減額されることになります。

監修・文/深川弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。

年金には時効がある、 自分で手続きが必要… 意外と知らない「年金の受け取り」

「働いていると年金は受けられないらしい……」「まだ年金を受け取るつもりがないから」といって年金受給の手続きをしていない人がいます。ただ、必要な手続きを忘れてしまうと思わぬ不利益を被りかねないことを知っている人は多くないように思います。

そもそも若い世代の人は、年金は “時が来たら国が振り込んでくれる”ものではなく、自身での手続きが必要なもの、ということを知らないかもしれません。

今回は、そんな「受給手続き」についての誤解を解いていきます。

年金が受けられるのに手続きをしていない人がいる!?
老齢年金は受給資格を満たし、支給開始年齢が来ると、その誕生日の前日から受給の手続きができるようになります(年金の受給請求といいます)。

しかし、先述の通り、年金を受けられる支給開始年齢になっているにもかかわらず、在職中であることや収入の多さを理由に手続きをしていない人もいます。

「収入が多ければ年金がカットされることもある」は確かに間違ってはいません。60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金が在職老齢年金制度(47万円基準)によって全額支給停止となる場合は、請求手続きして年金証書は発行されるものの、その間指定した口座に年金が振り込まれないことになるでしょう※1。

※1 在職老齢年金制度のしくみは第5回『60歳以降、働くと年金がカットされる!? 「年金のために給料を減らす」は得策か』をご参照。

ですが、たとえ働いていてもそこまで収入が多くないと、47万円基準で全額はカットされず一部は支給されることになります。65歳以降についても、老齢厚生年金の報酬比例部分は同様で、経過的加算額※2、老齢基礎年金はたとえ収入が多くてもカットされず全額受給することが可能です。

※2老齢基礎年金に相当する差額加算部分。

また、そもそもの話とはなりますが、在職老齢年金制度は厚生年金に加入している人(70歳未満が対象)や同じ勤務条件で70歳以降勤務して続けている人が対象ですので、その対象とならない自営業の人や不動産収入のみで生活している人などは、収入が高くても年金はカットされません。

60歳台前半の年金と、65歳以降の年金はそれぞれに手続きが必要
60歳台前半の年金と65歳以降の年金は、それぞれについて手続きがあり、両者を分けて考える必要があります。

65歳以降の年金
65歳以降終身で受けられる老齢基礎年金・老齢厚生年金については繰下げ受給制度があります。第6回(増えない年金もある!? “年金額最大84%アップ”で注目の「繰下げ受給」に潜むワナ)で取り上げたとおり、受給の開始を遅らせて年金を増額させることがますが、それぞれ受け取りを始めたい時になって手続きをすることになります。

例えば、67歳0カ月開始で老齢基礎年金・老齢厚生年金の繰下げを希望する場合は、67歳0カ月まで繰下げ待機します。繰下げ待機とは、年金の用語でいえば、年金請求をしない、ということですが、ここでは“あえて”何もしない、とご理解いただいて問題ありません。そして、67歳を迎える時になって手続きします。

ちなみに、あまり知られていませんが、繰下げとは異なる方法として、「65歳にさかのぼって受給する方法」も存在します。上記の67歳まで待機した場合でいうと、65・66歳の2年分の年金が一括で払って受け取れるように請求する、ということです。この方法の場合、単に65歳・66歳の分を後でまとめて受け取っているだけなので、当然ながら、繰下げの場合のような増額はありません。

60歳台前半の特別支給の厚生年金(生年月日など、要件を満たす一部の人が対象)
生年月日によって、60歳台前半で受けられることがある特別支給の老齢厚生年金は65歳までの有期年金です。

例えば、63歳が支給開始年齢の人の場合、63歳から65歳までの2年間支給されることになります。この特別支給の老齢厚生年金について繰下げ受給制度はありませんし、65歳以降の年金の繰下げ受給にも影響はありません。

特別支給の老齢厚生年金について「繰下げ制度で増額できる」「受け取らないほうが65歳からの年金額は増額できる」と思い、支給開始年齢になっても手続きをせず、かなり後になって初めて手続きをする人もいます。

しかし、例えば65歳になってから手続きをしても、当該年金については65歳から支給開始年齢にさかのぼって支給されるにすぎません。繰下げによる増額ということはなく、支給開始年齢が63歳であれば、過去2年さかのぼって、その2年分が一括で支給されるのみです。

そして、特別支給の年金を受け取っていたとしても、65歳以降の年金については、別途65歳開始で受給するか、繰下げ受給するかを考えることになります。65歳以降の年金について希望する受給方法(65歳開始、〇歳〇カ月繰下げ受給、など)に応じた手続きをすることになる点は、63歳で特別支給の老齢厚生年金の手続きをすでにしている場合と65歳になって初めてその手続きをする場合とで変わりありません。

5年の時効に要注意!
ここまで何回か登場している、「さかのぼって受給するパターン」には注意が必要です。過去にいくらでもさかのぼれるわけではなく、期限があります。その期間は5年、つまり年金には5年の時効が存在するのです。

受給する権利が発生してから、5年以内に手続きをすれば受給できる年金を“全て”さかのぼって受給することも可能です。しかし、5年を経過してしまうと、時効によって、5年を過ぎてしまった分の年金が受け取れないということが起きます。

先述のとおり、特別支給の老齢厚生年金は65歳までの有期年金です。例えば、63歳で支給開始年齢を迎える人が、69歳過ぎた頃に初めて手続きをすると、63歳からすでに6年が経過しています。そのため、63歳から最初の1年分程度の当該年金は時効によって受けられなくなってしまいます。

つまり、手続きが遅れたことによって、本来であれば受け取れたはずの年金が受け取れなくなったということが起きてしまいます。

年金を受けられるようになる前に確認を!
「働くと年金が受けられない」「収入があると年金が受けられない」など、周囲からの不正確な情報、あるいは自身の思い込みから手続きをしていない人も少なからずいるのが現実です。

他にも専業主婦等だった人の振替加算など、加算部分についての手続きがされていないため加算が漏れてしまっているケースもあり、それらも加算開始時期から5年を過ぎた分は時効消滅となってしまいます。

受け取れる年金はしっかり忘れず受け取りたいところです。実際に年金を受けられるかどうか、いくら受けられるかは個々人の年金加入記録や就労状況、家族構成によって異なり、一律的に説明するのは難しい部分もあります。年金の受け取りが始まる年齢が近づいて来たら年金事務所等へ確認のうえ、必要と言われた手続きは必要な時期が来たら済ませておくようにしましょう。

井内 義典/ファイナンシャルプランナー
よこはまライフプランニング代表取締役、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、特定社会保険労務士、日本年金学会会員。専門分野は公的年金で、3000件を超える年金相談業務を経験。さらに、年金事務担当者・FP向けの教育研修、ウェブメディアや専門誌への記事執筆も行っている。横浜市を中心に首都圏で活動中。

「国民年金保険料」や「国民健康保険料」におトクな支払い方法があるって本当?「キャッシュレス決済」は可能なの?

国民年金保険料をおトクに支払う方法とは?

国民年金保険料は口座振替での早割や前納制度を利用すればおトクです。口座振替での早割の場合、月間50円・年間600円安くなります。通常は翌月末に口座から振り替えられますが、早割の場合は当月末に口座から引き落とされます。

例えば、5月分から早割を適用する場合は4月分と5月分は2ヶ月まとめて5月末、6月分は6月末というように口座振替をすることになります。

ただし、現金納付の場合は当月末の支払いでも割引されることはありません。一方、口座振替での前納の場合、6ヶ月前納は1130円割引、1年前納の場合は4170円割引、2年前納の場合は1万5790円割引になります。ただし、前納の場合も口座振替のみ割引となり、現金支払いの場合は割引されることはありません。

また、支払った国民年金保険料は所得控除の対象です。自分自身の分だけでなく、生計を一にしている配偶者や親族の国民年金保険料も支払うことで所得控除の額が増えて、おトクになります。

このほか、国民年金保険料には免除や納付猶予制度があります。経済的に納付が難しい場合、住んでいる地域の国民年金担当窓口で申請することが可能です。免除や納付猶予の期間も年金の受給資格期間に算入されるためおトクです。しかし、将来の年金額については減ってしまう点には注意しておきましょう。

国民健康保険料をおトクに支払う方法とは?

国民健康保険料の場合、早期または前納で納めても割引になることはありません。ただし、災害をはじめ、何か特別の事情が理由で健康保険料を支払うのが難しい場合、減免または納付猶予の対象になるケースがあります。住んでいる地域の国民健康保険の窓口または国民健康保険組合で相談してみましょう。

国民年金保険料や国民健康保険料の納付にキャッシュレス決済は可能か?

国民年金保険料はクレジットカード払いができます。利用できるクレジットカードは「VISA」「MasterCard」「ダイナースクラブ」「JCB」「アメリカンエキスプレス(アメックス)」です。

ただし、クレジットカード払いをするには「国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書」を出す必要があります。申出書は日本年金機構の公式サイトからダウンロードが可能です。

一方、国民健康保険料はモバイルレジを使えば、クレジットカード払いができます。モバイルレジとは、請求書に記載されているバーコードをスマホで読み取れば、クレジットカードで支払うことができるサービスです。ただし、自治体によってはモバイルレジに対応していない場合があります。

国民年金保険料や国民健康保険料におトクな支払い方法あり! キャッシュレス決済は自治体ごとに確認を

国民年金保険料は早割や前納制度を利用すればおトクです。国民健康保険料は早割や前納による割引はありませんが、国民年金保険料と同じく経済的に支払うのが厳しい人を対象に減免または納付猶予制度があります。

また、国民年金保険料も国民健康保険料もクレジットカードで支払うことが可能です。ただし、国民健康保険料のクレジットカード払いには対応していない自治体もあるため、確認するようにしましょう。

出典

[日本年金機構 国民年金保険料の納付は口座振替での前納・早割が便利でお得です!

](https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/seido-shikumi.files/LN05.pdf)

[厚生労働省 国民健康保険の保険料・保険税について

](https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21517.html)

[国税庁 No\.1130 社会保険料控除

](https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1130.htm)

[モバイルレジ お支払い可能な請求書

](https://solution.cafis.jp/bc-pay/pc/corporation.html)

[日本年金機構 国民年金保険料の納付に利用できるクレジットカード

](https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/creditcard.html)

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

国民年金保険料の前納は「クレジットカード」だと「1万8367円」お得になるって本当? その理由を解説

国民年金保険料の前納はクレジットカード払いが得
国民年金保険料を前納する方法にはクレジットカード払いのほかに口座振替と現金払いがありますが、結論を先にいうとクレジットカードが最もお得な支払い方法です。

国民年金の前納とは、一定期間の保険料を前もって納めると保険料が割引になる制度です。割引率は、支払方法や支払期間によって異なります。その中でもなぜクレジットカード払いがお得といえるのか、詳しく解説していきます。

国民年金保険料の前納期間と支払い方法
国民年金保険料の前納の「支払方法」と「前納できる期間」には、それぞれ3つのパターンがあります。令和4年度の前納額は図表1、2のとおりです。また、日本年金機構「国民年金保険料の「2年前納」制度」によると、前納せずに毎月納めた場合の金額は「(令和4年度保険料1万6590円×12ヶ月)+(令和5年度保険料1万6520円×12ヶ月)=39万7320円」です。

図表1

【口座振替による保険料額と割引額】

( )は毎月納める場合と比較した割引額です。

出典:日本年金機構「国民年金保険料の『2年前納」制度』より著者作成

図表2

【現金およびクレジットカード納付による保険料額と割引額】

( )は毎月納める場合と比較した割引額です。

出典:日本年金機構「国民年金保険料の『2年前納」制度』より著者作成

割引額のみをみると、正確には図表1のとおり口座振替が最も割引額が高いのがわかります。ではなぜ、クレジットカード払いが最も得なのでしょうか。2年前納を例に1%還元のクレジットカードで支払うと、どの程度お得になるのか実際に計算してみましょう。

国民年金保険料の2年前納をクレジットカード払いしたときのシミュレーション
例えば2年分の保険料を1%還元のクレジットカードで前納した場合、以下のとおりとなります。

実質的な支払額

・38万2780円-3827P=37万8953円

実質的な総割引額

・割引額1万4540円+還元ポイント3827P=1万8367円

図表3

出典:日本年金機構「国民年金保険料の『2年前納』制度」より著者作成

このように口座振替の1万1579円割引と、クレジットカードのポイント還元を合わせた割引額の1万8367円では、クレジットカード払いの割引額が高いといえます。

国民年金の保険料をクレジットカードで前納する方法
国民年金保険料の前納方法をクレジットカード払いに変更する場合「国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書」を居住地の年金事務所に提出します。なお、郵送による手続きも可能です。また、「国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書」は年金事務所で受け取るか、インターネットでダウンロードもできます。

手続きに必要なもの
手続きに必要なものは以下のとおりです。

__●国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書

●基礎年金番号通知書または年金手帳などの基礎年金番号がわかる書類

●利用するクレジットカード

●(被保険者とクレジットカード名義人が異なる場合)国民年金保険料クレジットカード納付に関する同意書__

国民年金前納のクレジットカード払いの注意点
国民年金の前納をクレジットカード払いするとお得ですが、注意点もあります。よく理解してから国民年金を前納しましょう。

申込期限
国民年金前納のクレジットカード払いは申込期限があり、図表4のとおりです。

図表4

出典:日本年金機構「クレジットカードでのお支払い」より著者作成

期限を過ぎてしまうと次の年の分まで前納ができなくなってしまうため注意しましょう。また、手続きには2ヶ月程度かかるため、前納をすると決めたら早めに手続きを済ませると安心です。

国民年金払いが対象外になっているかどうか確認する
契約中のクレジットカードが国民年金の支払いに利用できるか確認しましょう。主な項目は以下のとおりです。

__●国民年金の支払いが対象外となっているカードではないか

●国民年金の支払いではポイント還元率が普段よりも下がってしまうカードではないか

●契約中のクレジットカードの利用限度額をオーバーしてしまわないか

●カードの有効期限は切れていないか__

国民年金の前納がクレジットカードでスムーズにできるように、事前にカード会社に確認しましょう。

まとめ
国民年金保険料の前納で最もお得な方法は、2年前納でのクレジットカード払いです。

なお、国民年金保険料を前納して割引を受けても、将来受け取る年金額に影響はないため、安心してください。手元の資金に余裕がある場合はクレジットカード払いで納付しておくと、払い忘れもなく、お得に納付できます。検討してみるのもよいのではないでしょうか。

出典
日本年金機構 国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書

日本年金機構 国民年金保険料クレジットカード納付に関する同意書

日本年金機構 国民年金保険料の「2年前納」制度

日本年金機構 国民年金保険料

執筆者:鳥居佳織

FP3級

「厚生年金」を月25万円もらう3つの方法

厚生年金の受取額には大きな差があります。平均は月14万円ですが、中には月25万円以上受け取る人も。厚生年金の受取額に差が生まれる理由と、受取額を増やす方法を見ていきましょう。

■月25万円以上年金を受け取っている人は1.9%

厚生年金(国民年金部分を含む)の年金月額の分布は次の通りです。

年金月額 全体 男性 女性
5万円未満 2.9% 1.4% 5.9%
5~10万円 20.8% 9.2% 44.0%
10~15万円 30.0% 24.5% 41.0%
15~20万円 29.9% 41.0% 7.8%
20~25万円 14.5% 21.1% 1.2%
25~30万円 1.8% 2.7% 0.1%
30万円以上 0.1% 0.2% 0.0%
(出典:厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報(2019年)」)

月25万円以上年金を受け取っている人は、わずか1.9%で50人に1人の割合です。月20万以上受け取っている人も16.4%で、6人に1人にすぎません。

■厚生年金の受取額を増やす3つの方法

厚生年金の受取額は、主に年収と加入月数で決まります。受取額を増やす3つの方法を見ていきましょう。

●年収を上げる

昇給すると、給与から天引きされる厚生年金保険料が増えます。しかしその分、将来受け取れる厚生年金の額も増えます。年金を増やしたいのなら、年収を上げるのが近道といえるでしょう。

ただし、注意点があります。

厚生年金保険料や厚生年金の受取額は、平均標準報酬額を元に決まります。平均標準報酬額とは、働いていた全期間を通じての平均月収(賞与を含む)です。平均標準報酬額は、月収63万5,000円、賞与150万円が上限です。

すでに上限に達している人は、年収を上げても年金額には反映されない可能性が高いといえます。

※賞与が含まれるのは平成15年4月以後の被保険者期間から。それ以前は平均標準報酬月額と呼称。

●60歳以降も働く

60歳以降も働いて厚生年金に加入し続けることで、加入月数が増え年金額も増加します。

ただし、60歳以降は給与水準も下がることが多く、働いた時間の割には年金額が増えないと感じるケースもあります。例えば、月収20万円で5年間働いたとしても、年金の増加額は月5,700円ほどです。

●繰り下げ受給をする

年金の受取は通常65歳からですが、受給を先延ばしにする「繰り下げ受給」によって、毎月の年金額を増やすことができます。受給を繰り下げた場合の増額率は次の通りです。

請求時の年齢 増額率
66歳~66歳11ヵ月 8.4%~16.1%
67歳~67歳11ヵ月 16.8%~24.5%
68歳~68歳11ヵ月 25.2%~32.9%
69歳~69歳11ヵ月 33.6%~41.3%
70歳~ 42.00%
(出典:日本年金機構)

70歳から受給すれば、42%も年金が増えます。ただし、受給を繰り下げるほど年金を受け取れる期間が短くなることに注意が必要です。

■年金月25万円は狭き門だが不可能ではない

給与の標準報酬月額の上限は、2020年に改定され、上限額が60万5,000円から63万5,000円に上がりました。上限が引き上げられると、年収アップによって年金を増やしやすくなります。今後も、標準報酬月額の上限が上がる可能性は十分にあります。

年金月25万円は狭き門ですが、不可能ではありません。現役時代に年収アップに励むことが、年金を増やす一番の近道といえそうです。あわせて、働く期間を延長することや、繰り下げ受給も検討しましょう。

文・木崎涼(ファイナンシャル・プランナー)

編集・dメニューマネー編集部

(2022年1月7日公開記事)

親が認知症になったため、「年金受取口座」を子の名義にすることって可能ですか?

認知症になると口座が凍結されてしまうことがある

銀行は認知能力のある状態の相手でなければ取引しないのが基本です。認知症を発症しており、状況を認知する能力を失っている方とは原則として取引しません。また、銀行はあくまでも現状の認知能力で取引をするか否かを判断します。そのため、医療機関で認知症と診断されていなくとも、銀行の判断で取引を停止される可能性があります。

このように、銀行から取引を断られて実質的に口座の利用ができなくなっている状況を、俗に「銀行口座が凍結される」ということがあります。

なお、銀行によっては一定の条件と手順の下、認知能力を失っている本人に代わって家族などの代理人が凍結された口座からお金を引き出せることもあります。詳細については口座の存在する金融機関へお問い合わせください。

凍結された口座は利用不可能になるわけではない

時折勘違いされることがありますが、口座は凍結されても完全に利用できなくなるわけではありません。自由にお金を引き出せないだけで、凍結された口座でも年金を受け取り続けることは可能です。口座に設定されている、各種支払いに関する自動引き落としについても有効なままです。

とはいえ、自由に引き出しができないため、口座内のお金を自由に使うことはできません。

親の年金の振込先を子の口座に変更できる?

年金の振込先口座は、本人名義の口座であれば自由に変更が可能です。しかし、あくまで本人名義の口座に限られており、たとえ子であろうと他人名義の口座に変更することはできません。仮に、子以外で本人から委任を受けた代理人であっても、他人名義の口座に変更することは不可能です。

後見制度の活用の検討を

年金の口座を子どもの口座にすることはできない、かといって本人名義の口座からお金を引き出すこともできず、年金を本人の生活費や老後資金として利用できない。そんなときは成年後見制度を活用してみてください。

成年後見制度とは、後見人となる人が本人の財産管理などを行う制度です。この制度を活用することで、原則本人しか行うことのできない預金口座からのお金の引き出しが、後見人によって可能になります。

金融機関においても、認知能力を失くした方の口座からお金を引き出す際は、基本的に成年後見制度の利用を推奨しています。

法定後見と任意後見

成年後見制度には法定後見と任意後見とがあります。法定後見とは、本人の判断能力が不十分となった後に家庭裁判所に申し立て、後見人を選任してもらう方法です。任意後見とは、本人の判断能力が十分な状態で、あらかじめ後見人を決めておく方法です。

認知症を発症して判断能力が不十分となった状態で後見制度を利用する場合、基本的には法定後見になります。

法定後見を申し立てできる人には本人や配偶者の他、4親等以内の親族も含まれるため、子が行うことも可能です。詳細については、本人が現在住んでいる場所を管轄する家庭裁判所へご相談ください。

年金の受取口座は本人の口座に限られる

年金の受取口座は本人名義の口座に限られており、子であっても他人名義の口座を受取先に設定することはできません。

認知症を発症していると銀行の口座が凍結されることもあります。そういった場合は成年後見制度を活用して口座内のお金を利用することが原則です。親が認知症となった後は無理にお金を引き出そうとしたり、口座を変更したりしようとするのではなく、成年後見制度を活用するようにしてください。

出典

一般社団法人 全国銀行協会 金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関等との連携強化に関する考え方(公表版)

執筆者:柘植輝

行政書士

「基礎年金番号確認のお願い」という調査票が日本年金機構から届きました…これは何に利用するのでしょうか?

そもそも「基礎年金番号」とは何か?

基礎年金番号とは、加入者の年金加入記録の管理を行うために使われる番号のことです。これまでの年金に関する記録は、基礎年金番号をキーとして管理されています。1人の加入者に対して1つの基礎年金番号が割り当てられるのが原則となっています。基礎年金番号が割り当てられたのは、平成9年(1997年)1月からです。

それまでは、国民年金、厚生年金保険、共済組合のそれぞれの制度で独自に加入者の年金番号が付けられていました。しかし、転職や退職によって加入する制度が変わると管理することが難しくなります。基礎年金番号があることでそういった混乱を避けることができ、年金に関する相談や受給などがスムーズにできるようになっています。

なお、令和4年(2022年)4月以降に新たに年金に加入する人には、これまでのように年金手帳が発行されることはありません。代わりに「基礎年金番号通知書」で基礎年金番号が通知されるので、大切に保管しておきましょう。従来の年金手帳も、基礎年金番号通知書と併せて引き続き保管が必要です。

「基礎年金番号確認のお願い」は何に使われるのか

「基礎年金番号確認のお願い」は誰にも届くわけではありません。では、どういった人に届くのか、一体何の目的で使われるのか説明していきます。

・「99」で始まる基礎年金番号を持っている加入者が対象

基礎年金番号の中には「99」ではじまる番号が存在します。この番号は、基礎年金番号が複数になる可能性がある加入者に対して割り振られた仮の番号(仮基礎年金番号)です。加入時に事業主へ年金手帳を提示しなかったなどの事情で加入者の基礎年金番号が確認できない場合、新規で基礎年金番号を割り当てることもできます。しかし、すでに他の基礎年金番号を持っていると番号が複数になってしまい。正確に管理することができません。そういったトラブルを避けるために、区別する目的で「99」ではじまる仮基礎年金番号で管理が行われています。

・利用の目的は番号の複数保有を防ぐため

「基礎年金番号確認のお願い」が届くのは「99」で始まる仮基礎年金番号を持っている人です。この調査票は、すでに別の基礎年金番号を持っていないかどうかを確認することを目的としています。調査票をもとに基礎年金番号が複数になることがないか確認し、適切な年金管理が行われるようになります。

「基礎年金番号確認のお願い」が届いたら速やかに返送を!

基礎年金番号の中には「99」で始まる仮の番号があります。「基礎年金番号確認のお願い」が届けられるのは仮基礎年金番号を持っている加入者だけで、複数の番号を割り当てないための確認が目的です。調査票が届いたら速やかな返送が求められます。「99」から始まる番号なのに届いていないときや紛失したときは、最寄りの年金事務所に相談しましょう。

出典

厚生労働省 基礎年金番号の基礎知識

日本年金機構 基礎年金番号・年金手帳について

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

年金受給者が毎年提出する「扶養親族等申告書」とは?

扶養親族等申告書の目的

公的年金は受給額(年金収入)から各種所得控除を差し引いた課税対象額に税率をかけて計算します。扶養親族等申告書を提出する目的は、年金収入から差し引ける「配偶者控除」「配偶者特別控除」「扶養控除」などを申告するためです。

__・配偶者控除:38万円~48万円(本人所得900万円以下)

・配偶者特別控除:配偶者の所得によって3万円~38万円(本人所得900万円以下)

・扶養控除:38万円~63万円__

扶養親族等申告書の提出によって、翌年度に年金から源泉徴収される税額が、各種所得控除などを反映して安くなります。

扶養親族等申告書が送付される人

老齢年金を受け取っている人の中で、扶養親族等申告書が送付されるのは年齢によって次の通りです。

__・65歳未満:老齢年金の受給額が108万円以上の人

・65歳以上:老齢年金の受給額が158万円以上の人__

上記に該当しない人は、年金収入から基礎控除や公的年金等控除を差し引くと年金所得が0円になる人です。各控除額は次の通りです。

__・基礎控除:48万円(所得2400万円以下)

・65歳未満の公的年金等控除:60万円(所得1000万円以下、年金額130万円未満)

・65歳以上の公的年金等控除:110万円(所得1000万円以下、年金額330万円未満)__

65歳以上の人の場合、基礎控除が48万円、公的年金等控除が110万円であるため、年金額が158万円未満ならば所得が0円で税金はかかりません。

扶養親族等申告書の提出が不要な人

扶養親族等申告書が送付された人でも、次に該当する人は申告書の提出は不要です。

__・会社員の人

・所得控除が受けられない人 など__

会社員の人は、年末調整のときに扶養親族等申告書を会社に提出するのが一般的であるため、所得控除を二重に受けないように、日本年金機構から送付される申告書は提出しないようにしましょう。

また、扶養親族がいないなどで所得控除を受けられない人は、提出してもメリットはありません。

扶養親族等申告書の提出を忘れたときの対処法

扶養親族等申告書は、翌年2月以降に支給される公的年金の源泉徴収額に反映(扶養控除などがあれば所得税が安くなる)されます。提出が遅れると提出前に支給される公的年金から余分な所得税が差し引かれてしまうため、早めに提出しましょう。

ただし、遅れて提出した場合、余分に支払った所得税は次の公的年金支払い時に戻ってきます。

扶養親族等申告書を提出せずに、確定申告で扶養控除等を申告することも可能です。扶養控除などが反映しないため源泉徴収額は大きくなりますが、確定申告すれば払いすぎた所得税が還付されます。

扶養親族等申告書の目的を理解し必要な人は必ず提出しよう

扶養親族等申告書を提出すると、配偶者控除や扶養控除が受けられるため源泉徴収される所得税額が安くなります。

本記事を参考に、扶養親族等申告書の提出が必要かどうかを確認し、所得控除が受けられる人は忘れずに申告書を提出しましょう。

出典

日本年金機構 「令和5年分公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の送付

国税庁 No.1100 所得控除のあらまし

国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係

執筆者:西岡秀泰

社会保険労務士・FP2級

共働きだと「年金」はいくらくらいもらえる?

老後や年金に不安を抱く人ほど、意外と基本を知らない!?

「老後は年金で安泰!」というのは一昔前のことで、今は「年金、本当にもらえるの?」といった、年金に対する不信感から老後の生活に不安を訴える人が多くなっています。最近の共働きカップルからの相談でも、年金や老後のための貯蓄や投資に関する質問が数多く寄せられます。

詳しく話を聞いてみると、「年金がいつからもらえるの?」「どのくらいもらえるの?」といった、ごく基本的な質問が多いのです。そこで、共働き夫婦の2人が将来もらえる年金額(あくまでも予想です)について、解説したいと思います。

まずは公的年金の基本を押さえよう

●サラリーマンや公務員は、「国民年金」と「厚生年金」に二重に加入

日本の公的年金には、2つの制度があります。

・国民年金

・厚生年金

平成27年10月より、公務員等が加入していた3つの共済年金制度は、被用者保険の一元化により、厚生年金に統一されました。

・国家公務員共済組合

・地方公務員等共済組合

・私立学校教職員共済制度

国民年金はこれらの公的年金の基礎となる制度で、日本に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入することになっています。

さらに、民間企業に勤務する人や公務員などの雇用されている人は、国民年金と厚生年金に「二重に加入」することになっています。そして、年金も国民年金と厚生年金から二重にもらえる仕組みになっています。

年金はいつ(何歳)からもらえるの?

国民年金から支給される「老齢基礎年金」は原則65歳からですが、厚生年金から支給される「老齢厚生年金」はちょっと複雑です。老齢厚生年金は従来60歳から支給されるものでしたが、平成6年の年金制度改正で、原則65歳からに変わりました。

ただし、急激に支給開始年齢が引き上げられたら、リタイア間際で年金を当てにしていた世代が困ってしまうので、段階的に引き上げられるようになりました。最終的に男性で昭和36年4月2日以降、女性で昭和41年4月2日以降生まれの人は、65歳が支給開始年齢になります。

働き方で違う、共働き夫婦の年金額

共働き夫婦といっても、夫と妻の働き方のパターンは、いろいろな組み合わせが考えられます。ここでは夫の条件を固定し、妻の働き方(3つのケース)によって2人の年金受給額の合計にどのくらい差が出るのか、比較してみました。

【夫】

大卒後、大手メーカー勤務。60歳定年、生涯平均年収約600万円

【妻】

●ケース1……Aさん:33歳(正社員、定年60歳、生涯平均年収600万円)

大学卒業後、大手化粧品メーカーに総合職として就職し、第一線で頑張っています。出張や残業は多いけれど、責任のある仕事も任せられて、やり甲斐があります。

●ケース2……Bさん:30歳(派遣社員、生涯平均年収300万円)

大学卒業後、商社に一般職として就職したものの、自分のやりたい仕事を任されず、雑用ばかりで張り合いがなく、3年間で退職。以降、資格取得のための勉強をしながら、派遣社員として金融機関で働いています。希望としては、60歳まで働きたいと考えています。

●ケース3……Cさん:35歳(パート社員、年収100万円)

学校卒業後、地元の市役所で週3日、1日3時間のアルバイトをしています。夫の会社から扶養手当が出るので、扶養の範囲内で働くことにしています。自分が働いた分は、自分のお小遣いです。

 
 © All About, Inc.

もらえる年金額の計算方法は、複雑です。大雑把に言ってしまうと、年金加入期間と加入していた期間の平均標準報酬額(ボーナスを含んだ年収÷12カ月)に一定の乗率をかけて算出します。ここでは計算式は割愛させていただきます。表の年金額は、おおよその金額です。あくまでも参考としてご覧ください。

ゆとりある老後を送るための生活費と比較すると?

生命保険文化センターが行った、夫婦2人の「老後の最低日常生活費」「ゆとりある老後生活費(老後の最低日常生活費+老後のゆとりのための上乗せ額)」に関する意識調査(令和元年度生活保障に関する調査)によると、最低日常生活費の平均は22万1000円、ゆとりある生活には36万1000円が必要となっています。

では、ここで取り上げた共働き夫婦の3つのケースと比較してみましょう。

▼ケース1:2人合わせれば、結構もらえる!? ダブル正社員の年金

夫婦2人の年金額の合計は、およそ406万円です。月額に直すと33万8000円ですから、ゆとりある老後の生活費36万1000円にほぼ近い年金が期待できます。この年金額を見て、「意外ともらえるな……」と感じる人も多いのではないでしょうか? ダブル正社員の共働き夫婦の老後は、比較的安泰といえるでしょう。

ただし、注意しなければならないのは、2人の年金の支給開始年齢が65歳からの場合です。定年後60歳から65歳になるまでの5年間は、年金がもらえませんので、その分は事前に貯蓄をするか、再雇用制度などを利用して収入を補う必要があります。

▼ケース2:そこそこだけれども、ゆとりある生活にはちょっと足りない!

夫婦2人の年金額の合計は、およそ343万5000円です。月額に直すと28万6000円ですから、最低日常生活費の22万円はクリアできるけれども、ゆとりある老後の生活費36万1000円にはちょっと足りません。ゆとりある老後の生活を望むのであれば、ある程度、計画的な貯蓄が必要でしょう。

注意点としては、派遣社員として60歳まで働き続けることができるかどうかです。現在、Bさんは資格取得を目指していますので、資格を活かして正社員への道を探る方法も考えられます。

▼ケース3:パート社員の年金は、専業主婦と同じ!?

夫婦2人の年金額の合計は、およそ281万円です。月額に直すと23万4000円ですから、最低日常生活費の22万円はなんとかクリアできそうです。ゆとりある老後の生活を望むのであれば、早い段階で、老後への備えとして貯蓄や投資を開始する必要がありそうです。

年収100万円のパート社員の場合、現行の年金制度では厚生年金に加入することはできません。専業主婦と同様に、夫の被扶養者として、国民年金の第3号被保険者になります。この場合、保険料を支払う必要はありませんが、専業主婦と同じ年金額になります。

▼パート社員の社会保険適用拡大で、年金の受給額はどうなる?

平成28年10月より、社会保険の適用範囲の拡大によって、年収106万円以上のパート社員で一定の要件を満たす人も、厚生年金に加入することになりました。仮に、年収106万円で22歳から60歳までの38年間、パート社員(厚生年金に加入)した場合の年金額は約100万円で、厚生年金に加入しない場合と比べて、約22万円増える計算になります。

年金に対する理解を深めて、老後の計画はしっかりと!

「年金は当てにならない」といっても、老後の資金計画を立てる際に基本となるのは年金です。ところが案外、年金の支給開始年齢や年金額について知らないことが多いのです。

ある共働き夫婦で、「年金は当てにならない!」「老後は心配!」ということで、年間500万円以上の貯蓄をしているケースがありました。もちろん、老後に備えたお金はあればあるほどよいには違いありません。

けれども、老後のお金のことを心配し過ぎて、現役時代の生活費を大幅に削り、やみくもに老後のための貯蓄をするのは、少しもったいない気がします。

もらえる年金額をしっかり計算に入れて、足りない分を貯金で賄えばよいということを知れば、少し気分は楽になるのではないでしょうか? 自分たちのもらえる年金についてしっかり理解を深め、老後の資金計画を行い、今も老後も2人で楽しく暮らすほうがベターだと思いませんか?

※この記事で取り上げた年金額は、あくまでも現在の年金制度に基づく予想値です。また年金額は、各個人の加入状況や今後の経済状況により決まるもので、正確な数値を表したものではありません。

文:平野 泰嗣(ファイナンシャルプランナー、中小企業診断士、行政書士)

慶応義塾大学法学部卒業後、公的金融機関勤務を経てFP資格を取得。FPの妻と共に「夫婦FP」としてFPオフィスを創立。顧客の自己実現をサポート。中小企業診断士の立場から経営者・従業員のライフプランも支援。

年金のことを確認できる「ねんきんネット」とは? 概要と何ができるかを解説

ねんきんネットとは?

ねんきんネットは、自身の年金の情報をインターネットを通じて誰でも簡単に確認することができるサービスです。パソコンだけでなく、スマートフォンでも利用可能なので、ネット環境があればいつでも、どこでも自身の年金の情報を確認することができます。

ねんきんネットでできること

ねんきんネットでできることは、年金記録の確認、年金見込額の確認、ねんきん定期便の確認、各種通知書の確認、追納等可能月数と金額の確認などがあります。

年金記録の確認

自身の最新の年金記録を確認することができます。確認ができる年金記録は、公的年金の加入履歴、1年間の保険料納付額やこれまでの保険料納付額、年金の見込み額、年金受給者の場合は受給中の年金額などです。

年金見込額の試算

将来受け取れる年金見込額の試算もすることができます。画面をクリックするだけで簡単に試算できるので、自分が将来いくらくらい年金を受け取れるのかを確認することが可能です。

ねんきん定期便の確認

毎年送付されるねんきん定期便ですが、紛失したり、捨ててしまったりする場合もあると思います。しかし、ねんきんネットを利用すれば、電子版のねんきん定期便を確認することができます。文書と違ってかさばらず、いつでも確認できるので便利なサービスです。

各種通知書の確認

年金の支払に関する通知書や国民年金保険料に関する通知書などの各種通知書を確認することができます。

追納等可能月数と金額の確認

猶予制度を利用した場合や免除、未納がある場合に今後追納する際の月数や金額について確認することができます。追納するには可能な期間が設けられているので、その期間や金額を確認できるサービスです。

ねんきんネットの登録方法

ねんきんネットを利用するためには、ねんきんネットに登録する必要があります。登録には、マイナポータルから登録する方法と、ねんきんネットのユーザIDを取得して登録する方法があります。

マイナポータルから登録する方法

マイナポータルは登録することでマイナンバーカードの各種サービスを利用できるサイトです。このマイナポータルに登録し、ねんきんネットと連携することでねんきんネットを利用することができるようになります。マイナポータルに登録するためには、マイナンバーカードメールアドレスが必要です。

ユーザIDから登録する方法

ねんきんネットのユーザIDを取得し、取得したユーザIDからねんきんネットに登録する方法もあります。この場合は、基礎年金番号とメールアドレスが必要です。また、登録の際にはアクセスキーを持っている人と持っていない人で登録方法が異なります。

まず、アクセスキーはねんきん定期便に記載されている17桁の番号です。ねんきん定期便を確認して、アクセスキーを持っているかを見てみましょう。アクセスキーを持っている場合は、そのままユーザIDの取得へと進みます。

アクセスキーを持っていない場合は、サイトに必要事項を入力しユーザIDの発行の申し込みを行うと、後日ユーザIDを知らせるはがきが郵送されるので、記載されたユーザIDを利用してログインしてください。

ねんきんネットに登録し、利用してみましょう

本記事では、ねんきんネットで何ができるのかについてと、ねんきんネットの登録の方法について解説してきました。ねんきんネットに登録すると各種サービスを利用できるので、自身の年金の情報を好きなときに確認することが可能です。登録すれば、利用しやすいサービスなので、積極的に利用していきましょう。

出典

[日本年金機構 「ねんきんネット」とは?

](https://www.nenkin.go.jp/n_net/introduction/summary.html)

[日本年金機構 「ねんきんネット」の登録方法

](https://www.nenkin.go.jp/n_net/registration/summary.html)

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

老齢厚生年金に上乗せされる「加給年金」は、どんな家庭が対象?

加給年金とはどんな制度?

老齢厚生年金を受給できる人(夫・妻)に生計を維持されている、65歳未満の配偶者や18歳未満(要件によっては20歳未満)の子などがいる場合に支給される加算額をさします。

対象となる家庭にはいくつかの必要要件があり、主に下記などが挙げられます。

__・加給年金の対象となる人の厚生年金加入期間が20年以上

・配偶者が65歳未満

・生計を維持されている配偶者・子と生計が同じで、年収850万未満

・18歳未満の子・20歳未満で1級・2級の障害のある子がいる__

加給年金を受け取るには、必要な書類に記入して年金事務所に届け出ることが必要です。

上乗せされる金額はどのくらい?

令和4年4月からの加給年金額は「年22万3800円」が基本で、配偶者・子の数によって加算されます。配偶者の場合は老齢厚生年金を受給している人の生年月日に応じて、3万3100円から16万5100円の「配偶者特別加算」がつきます。

対象となる配偶者が65歳になって老齢基礎年金をもらえるようになると加給年金は打ち切られ、その代わりに配偶者の老齢基礎年金に「振替加算」がつきます。振替加算は、配偶者が亡くなった後も受けられます(令和4年度の場合は、昭和41年4月1日以前に産まれた配偶者から)。

<厚生年金に加入している人の老齢厚生年金に加算される加給年金額の例>

・65歳未満の配偶者は

基本金額22万3800円+配偶者特別加算(最大値)16万5100円=年38万8900円

・子がいる場合は第2子まで年22万3800円(1人につき)、第3子から年7万4600円(1人につき)

<振替加算の金額例>

配偶者の生年月日によって、振替加算の金額が異なります。

昭和36年4月2日から昭和41年4月1日生まれは「年1万4995円」、昭和35年4月2日から昭和36年4月1日生まれは「年2万813円」です。

加給年金について注意しておきたいことは?

加給年金について、いくつかの注意点があります。

1.部分年金には加給年金が加算されない

年金支給開始年齢の引き上げにより、報酬比例部分のみとなった年金(部分年金)には加給年金が加算されません。例えば、男性で昭和24年4月2日以後、女性で昭和29年4月2日以後の生まれでは、65歳になるまで部分年金のみ・または無年金となることもあります。

2.夫婦ともに厚生年金の加入期間が20年以上の場合、加給年金が加算されないこともある

夫婦いずれも厚生年金に20年以上加入している場合、加給年金がつくのは配偶者の老齢厚生年金が受給開始されるまでです。

3.配偶者が年上の場合には、加給年金が加算されない

厚生年金に加入している人が加給年金を受けられる年齢になった時点で、生計を維持されている配偶者が65歳以上の場合には加給年金が加算されません。

例えば、厚生年金に20年以上加入しているAさんが65歳になった時に配偶者Bさんが66歳だった場合には、Aさんの年金に加給年金は加算されず、Bさんの老齢基礎年金に振替加算が加算されます(振替加算の請求手続きが必要です)。

まとめ

加給年金と振替加算は、給料に例えると家族手当のようなものです。

しかし、「ねんきん定期便」には加給年金と振替加算は記載されていないので、自分が老齢厚生年金を受給できる年齢になる時に、加給年金などを請求できるのか事前に年金事務所に問い合わせて調べておくことが重要です。

出典

日本年金機構 加給年金額と振替加算

日本年金機構 加給年金額を受けられるようになったとき

日本年金機構 振替加算を受けられるようになったとき

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

年金事務所から「赤い封筒」が届きました…無視して大丈夫ですか?

滞納から強制徴収までの流れ

国民年金保険料の滞納から強制徴収(差し押さえ)までの流れは次のとおりです。

・国民年金保険料を滞納すると

国民年金保険料を滞納すると「国民年金未納保険料納付勧奨通知書」というはがきが手元に届きます。このはがきは「催告状」と呼ばれ、国民年金保険料が未納であることや免除・猶予のための手続きが載っています。このはがきを無視していると、次に届くのが「特別催告状」と呼ばれる書類です。

「特別催告状」は封筒に入っていて、最初は青色ですが、無視していると封筒の色が黄色や赤(ピンク)色に変わり、警告の度合いが高くなったことが分かるようになっています。

「特別催告状」を無視していると、赤い封筒に入った「最終催告状」が届きます。これには、未納の状態が続くと強制徴収(財産の差し押さえ)となる可能性があることが書かれています。したがって、年金事務所から赤色の封書が届いた場合は、できるだけ早く滞納している国民年金保険料を納付するか、免除・猶予のための手続きをする必要があります。

・赤色の封書を無視していると年金事務所からの「最終催告状」を無視しているとどうなるのでしょうか。

「最終催告状」を無視すると次に届くのが「督促状」です。「督促状」は国民年金保険料を滞納している本人だけでなく、配偶者にも届きます。「督促状」には、指定の期日までに滞納している国民年金保険料を支払うことと、それまでに支払いや相談がない場合には延滞金が上乗せされることや、強制徴収の対象となることなどが書かれています。

なお、延滞金は、本来支払わなければならなかった期日の翌日にさかのぼって上乗せされることになっています。この「督促状」も無視していると、「差押え予告通知書」が届きます。そして、ある日突然財産が差し押さえられるという流れです。

強制徴収(財産の差し押さえ)の対象は?

2022年度、強制徴収の対象となるのは、課税所得が300万円以上あり、なおかつ未納月数が7ヶ月以上の人です。差し押さえの対象となるのは、預貯金や給料の一部、不動産、自動車などで、配偶者の財産が差し押さえられる場合もあります。

日本年金機構によると、2018年5月から9月までの間で、最終催告状を送った件数は9万4000件、督促状を送った件数が3万4000件、差し押さえに至った件数が7000件でした。それに対し、2019年5月から9月までの間で最終催告状を送った件数は10万2000件、督促状が4万2000件、差し押さえが9000件と、徴収のための取り組みを強化しています。

2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ強制徴収を停止し、2022年度も「強制徴収の実施については、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、適切に判断する」としています。

しかし、差し押さえが行われないわけではありません。実際、2022年10月にも、人気漫画家がある日突然、2000万円以上の預金を差し押さえられたとSNSに投稿して話題になりました。ちなみに、滞納期間は20年近くとのことです。長いこと滞納していたけれども強制徴収をされたことがないからといって、「差し押さえられることはないだろう」と安心することはできないのです。

赤い封筒は無視してはいけない! 早めに支払うか年金事務所に相談を

日本年金機構からの赤い封筒を無視していても、すぐに差し押さえが行われるわけではありません。その後も、「督促状」や「差押え予告通知書」などの書類が届いたあと、差し押さえという流れです。

しかし、日本年金機構は徴収に力を入れていて、これまで強制徴収されたことがなかった人が突然強制徴収の対象となる場合もあります。年金が払えないなどの事情がある場合は、速やかに年金事務所などに相談に行くのがおすすめです。

出典

日本年金機構 国民年金保険料

日本年金機構 日本年金機構の令和元年度の取組状況について

日本年金機構 日本年金機構の令和2年度の取組状況について

日本年金機構 令和4年度計画

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

厚生年金保険料は1カ月でも払えば、65歳から受給できるの?

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。

そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、1カ月だけでも厚生年金保険料を払えば、将来、老齢厚生年金をもらえるのかについてです。

Q:厚生年金保険料はどのぐらいの期間払ったら、65歳からもらえるの?

「ずっと国民年金を払ってきましたが、厚生年金に加入する働き方になるかもしれません。厚生年金保険料は1カ月でも払ったら、65歳からもらえるのでしょうか?」(40代アルバイト)

A:65歳から老齢厚生年金を受給できます

65歳から受け取る老齢厚生年金は、厚生年金の加入期間が1カ月以上あれば上乗せされます。

一部の人が受け取れる65歳になる前にもらえる特別支給の老齢厚生年金は、厚生年金の加入期間が1年以上必要ですが、そもそも相談者は40代なのでもらえません。

今回は相談者の標準報酬額が15万円(おおよその月収)だとして、1カ月間厚生年金に加入すると、どれくらいの老齢厚生年金がもらえるかを計算してみたいと思います。

老齢基礎年金は20歳以上60歳未満まで未納期間や免除期間が全くなく、40年間加入して満額の77万7800円(令和4年度)受け取れるとします。

老齢厚生年金の受給額は、平成15年3月までと平成15年4月以降では計算式が異なりますが、相談者はこれから厚生年金に加入しますので、平成15年4月以降の計算式で試算します。平成15年4月以降の計算式は以下の通りです。

●計算式

年金額(年額)=平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以後の加入期間

*乗率は昭和21年4月2日生まれ以降の人の新乗率を使用

この計算式に相談者のケースをあてはめると以下のようになります。

15万円×5.769/1000×1=865.35(年額)

したがって相談者が、月収15万円で厚生年金に1カ月加入すると、65歳から77万7800円(老齢基礎年金)+865円(老齢厚生年金)=年額77万8665円を受け取れる計算になります。

65歳から受給できる老齢厚生年金の金額は、収入が多くなるほど、また加入期間が長くなるほど、増えることになります。

なお、厚生年金に加入すると、保険料を負担しなければなりませんので、手取り金額が少なくなりますが、保険料は会社が半分負担してくれるというメリットがあります。

また、厚生年金に加入することで、障害年金や遺族年金の保障も充実されます。公的年金は万が一の時の保険という一面もあります。

現在相談者はアルバイトとのことですが、厚生年金保険料を負担することで生活が苦しくなるようなことでなければ、厚生年金に加入して保障を充実させることを検討してみるといいと思います。

監修・文/深川弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。

のお金老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。

や生活費が足りるのか不安老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。

年金を受給している人、繰り下げ受給をしてまだ年金を受給していない方が亡くなってしまった場合、未支給の年金はどうなるか?

公的年金は、2月、4月、6月、8月、10月、12月の偶数月に年6回受給できます。

例えば、2月に振り込まれる年金は、12月と1月の分のその前月までの2か月分の年金を受給する形です。

今回は、年金を受給中の方が亡くなってしまった場合に、まだ振り込まれていない年金はどうなってしまうのかについて、分かりやすく解説していきます。

また、老齢基礎(厚生)年金は、65歳で受給せずに、66歳以降75歳までの間で繰り下げて増額した年金を受給できます。

このように、年金の繰り下げ受給を申請している方が年金を受給する前に亡くなってしまった場合、本来65歳から受給するはずの年金はどうなってしまうのかについて、分かりやすく解説していきます。

未支給年金

年金を受給している方が亡くなった場合には、年金を受給する権利がなくなります

そのため、日本年金機構に「受給権者死亡届(報告書)」の提出が必要になります。

ただし、日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合は、原則「年金受給権者死亡届(報告書)」の提出は不要です。

この場合に、まだ受け取っていない年金や、亡くなった日以降に振り込まれた年金のうち、亡くなった月の分までの年金は、未支給年金になります。

未支給年金は、亡くなった方と生計を同じくしていた以下の遺族の方の請求により、以下の優先順位で受けとることができます。

(1)配偶者

(2)子

(3)父母

(4)孫

(5)祖父母

(6)兄弟姉妹

(7)(1)~(6)以外の3親等内の親族

繰り下げ受給を申請している場合の未支給年金

年金の繰り下げ受給を申請している方が、年金を受給する前の繰り下げ待機中に亡くなってしまった場合は、遺族の方からの請求により未支給年金として受けとることができます

この場合の未支給年金額は、繰り下げにより増額された年金額ではなく、65歳時点の年金額で亡くなった月の分までの年金額が一括で支払われます。

ただし、請求した時点を起算点として、5年以上前の年金額は、時効のため受け取ることができないため注意が必要です。

未支給年金の請求

未支給年金を請求するためには、以下の書類を添付して、未支給年金・未支払給付金請求書を年金事務所または街角の年金相談センターに提出する必要があります。

  • 亡くなった方の年金証書
  • 亡くなった方と請求する方の続柄が確認できる書類
  • 亡くなった方と請求する方が生計を同じくしていたことがわかる書類
  • 受け取りを希望する金融機関の通帳
  • 亡くなった方と請求する方が別世帯の場合は「生計同一関係に関する申立書」

    請求時期については注意が必要

    このように、未支給年金については、一定の遺族が請求することにより、受けとることができます。

    ただし、5年で時効を迎えますので、請求時期については注意が必要です。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)

「繰下げ受給」は本当に年金を「多くもらえる」?年金の繰下げ制度について解説

年金繰下げ制度とは?
公的年金は基本的には65歳になる月から受給が可能になります。しかし、65歳からは受け取らず、それ以降から受け取ることで年金額を増額させることもできます。これが年金の繰下げ制度です。

どれくらい加算される?
老齢基礎年金と老齢厚生年金について、65歳になった月から繰り下げを申請した月の前月までの月数×0.7%が加算されます。例えば、71歳0ヶ月で繰り下げの申し出をすると、増額率は50.4%です。増額した年金は一生涯続くので、老後の生活資金を増やすことができます。

繰下げの条件は?
繰下げには特別な条件はありません。年金の繰下げをしたい場合は、繰下げ請求書を年金事務所もしくは年金相談センターへ提出する必要があります。

繰下げ受給の上限年齢が引上げられた
令和4年4月から年金制度の改正があり、繰下げ制度についても変更点がありました。それが、上限年齢の引き上げです。これまでの制度では、繰下げできる年齢の上限が70歳までとなっていました。しかし、今回の改正で75歳までに上限が引き上げられています。75歳まで繰下げをした場合の増額率は84.0%です。

年金繰下げ受給のメリットと注意点
年金の繰下げは年金額の増額が見込めるというメリットがあります。しかし、同時に注意点もあり、一度繰下げの申請をすると取消しや修正ができないので注意が必要です。メリットと注意点を理解し、よく検討してから申請するようにしてください。

繰下げのメリット
繰下げのメリットは年金額が増額されることです。増額した年金額を一生涯受け取ることができます。

繰下げの注意点
年金を受け取る時期が遅くなるので長生きすれば多く受け取ることができますが、いざ年金を受け取るようになってから短い期間に亡くなってしまうと、65歳で受給した場合よりトータルで受け取る年金額は少なくなってしまいます。

老齢厚生年金を繰下げた場合の注意点
また、65歳以降は働ける年齢まで働き、働けなくなったら年金を繰下げ申請しようと考えている人もいると思いますが、こちらも注意が必要です。本来であれば、老齢基礎年金と老齢厚生年金は繰下げ申請をする時期によって増額することになりますが、働いて賃金が生じている場合の老齢厚生年金については少し違います。

65歳以降に働きながら年金を受け取る老齢厚生年金を在職老齢年金と言いますが、老齢厚生年金を繰下げた場合、在職老齢年金の支給停止部分については増額の対象にならないのです。

具体的には、繰下げせずに老齢厚生年金を受け取った場合の年金額と働いて得た賃金の合計が月額47万円を超えてしまうと支給が停止になるのですが、この支給停止部分については増額の対象になりません。そのため、年金額の満額が増額されない場合もあることを理解しておきましょう。

繰下げ申請は慎重に行いましょう
本記事では、年金の繰下げ制度の概要とメリットや注意点について解説してきました。年金の繰下げは、受け取る年金額を多くすることができる制度ですが、一度申請すると停止や修正ができません。そのため、申請は慎重に行ってください。うまく利用すれば年金を多く受け取ることもできるので、この機会に制度を理解しておきましょう。

出典
[日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について

](https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2022/202204/040103.html)

[日本年金機構 66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき

](https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/seikyu/20140421-31.html)

[日本年金機構 年金の繰下げ受給

](https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-02.html)

[日本年金機構 在職老齢年金の計算方法

](https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20150401-01.html)

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

88万人の年金が消失、最悪の事態…年金基金運用失敗で加入者に大打撃【12月16日はどんな日?】

世界の富裕層が殺到! 巨額の資産運用を託

世界の富裕層が殺到! 巨額の資産運用を託さ

先日、企業年金の運用について、企業にも責任を負わせる方針を金融庁が示しました。報道によると、企業年金の運用は委託する金融機関に依存していることが多く、基金の運用商品が販売側の都合で選定されていたケースが多かったようです。

企業年金の運用を任せきりにしていた背景には、委託する企業の関心の低さがあるでしょう。今後は法律を改正し、企業に受託責任を負わせることで、企業年金が適切に運用されるよう促す狙いがあります。

企業年金の運用を巡っては、企業には「AIJ投資顧問事件」という苦い経験があります。高利回りをうたうファンドに年金基金の運用を委託し、その大部分が失われた事件です。当時も、企業の年金基金の運用に対する無関心な姿勢を指摘する声もありました。

12月16日は、AIJ投資顧問が破綻してちょうど7年目にあたります(破綻時の社名は「MARU」)。企業年金について理解するためにも、事件を振り返りましょう。

運用実績を偽って資金を集めた

AIJ投資顧問の疑惑が表面化したのは2012年2月です。証券取引等監視委員会が同社を検査し、虚偽の実績をうたって運用を募っていたことが発覚しました。

実際にはAIJ投資顧問は運用に失敗しており、年金基金の大部分が失われていました。自転車操業に陥ったのか、2009年以降は新たに受託した資金をそのまま払戻金に充てていた実態も明らかになります。AIJ投資顧問の代表らは詐欺の容疑で逮捕され、のちに実刑が確定しました。

AIJ投資顧問は2015年12月16日に破産手続き開始の決定を受け、約1300億円の負債を残し破綻します。AIJ投資顧問に運用を委託していた年金基金の数は84に上り、およそ88万人の加入者および受給者に影響が出る最悪の事件となってしまいました。

【AIJ投資顧問が預かっていた年金資産の概要(2011年3月末)】

88万人の年金が消失、最悪の事態…年金基金運用失敗で加入者に大打撃【12月16日はどんな日?】
88万人の年金が消失、最悪の事態…年金基金運用失敗で加入者に大打撃【12月16日はどんな日?】© Finasee

出所:厚生労働省 AIJ投資顧問株式会社に投資残高のある基金について

企業年金の仕組みを整理

そもそも企業年金は福利厚生の1つで、退職金制度の1つです。退職金といえば一括で受け取るイメージが強いかもしれませんが、年金形式で支給するものも少なくありません。特に大企業ほど企業年金を導入している傾向にあります。

【企業規模(従業員の数)別、退職金制度の導入割合(2018年)】

88万人の年金が消失、最悪の事態…年金基金運用失敗で加入者に大打撃【12月16日はどんな日?】
88万人の年金が消失、最悪の事態…年金基金運用失敗で加入者に大打撃【12月16日はどんな日?】© Finasee

出所:厚生労働省 就労条件総合調査(2018年)

AIJ投資顧問は、当時の企業年金の1つだった「厚生年金基金」の運用を受託していました。厚生年金基金はバブル崩壊後の運用難で維持が難しくなっていたところ、AIJの事件を受け、実質的に廃止となります。現在、新たに厚生年金基金を設立することは許されていません。

現在の企業年金は大きく2つあります。将来受け取る金額が確定している「確定給付型(DB)」と、掛け金として拠出する金額が確定している「確定拠出型(DC)」です。

確定給付型は将来の受取額が確定しているため、従業員にとっては安心感のある制度といえるでしょう。しかし運用利回りの低下などで予定していた積立利率を下回った場合、不足分を企業が補填しなければなりません。運用状況によっては企業の負担が重くなることが懸念されます。

対して確定拠出型は、運用の責任を従業員が負う制度です。そのため積み立て不足が生じることがなく、企業の負担は発生しません。将来受け取れる金額は、従業員の指示の下で行われる運用で決まります。

年金が減る? 選択制DCの注意点

近年は確定拠出年金を導入する企業が増えています。導入する事業所の数は2022年3月末までの10年間で約2.6倍に増加しました。

【確定拠出年金を導入する事業所数】

・2012年3月末:1万6576件

・2017年3月末:2万5968件

・2022年3月末:4万2669件

出所:企業年金連合会 確定拠出年金統計資料(2022年3月末)

確定拠出年金を導入する際、「選択制DC」が採用されるケースが少なくありません。選択制DCとは、従業員が掛け金相当額について、確定拠出年金に拠出するか給与として受け取るか選べる制度です。

選択制DCは、老後の公的年金が減ってしまう点は覚えておきましょう。選択制DCを通じて拠出した金額は給与と見なされず、社会保険料が減少するためです。

老後に受け取れる公的年金のうち、会社員などが加入する「厚生年金」の部分は、基本的に加入期間中に支払う保険料に比例します。従って、社会保険料が減少すると、将来の年金額も減ってしまうのです。

将来の年金を維持したい場合、給与として受け取り、iDeCo(イデコ)に拠出してみてはいかがでしょうか。個人型の確定拠出年金のことで、いったん給与として受け取るため社会保険料が下がりません。さらにiDeCoの拠出金は全額が所得控除となるため、節税の効果も期待できます。

ただし、企業年金の制度がある会社員はiDeCoに加入できないケースがあること、iDeCoは所定の手数料がかかることに注意してください。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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「障害年金の請求」は社労士に依頼すべき?自分でできる場合と依頼すべき場合を解説

障害年金の請求に必要な手続き
障害年金を請求できるのは、障害の原因となった病気やけがなどで初めて病院に行った日(初診日)から1年6ヶ月を経過した日(障害認定日)、または現在所定の障害状態にある人です。

初診日を病院で確認してから、障害年金の受給要件を確認したり、障害認定日や現在の診断書を取り付けたりするのが一般的です。そのため、年金事務所や病院に何度も足を運ばないといけないこともあり、請求者にとっては負担です。

特に初診日に受診した病院と障害認定日に受診した病院、現在通院中の病院が異なる場合は、3つの病院で初診日の証明や診断書を取り付けないといけないケースもあります。また、請求内容によっては戸籍謄本や所得証明書が必要なケースもあり、本籍地が遠隔地の場合は手間がかかります。

障害年金の請求に必要な主な手続きは次の4つです。

__・病院で診断書などを取り付ける

・市役所で戸籍謄本などを取り付ける

・必要書類を確認するために年金事務所に複数回相談に行く

・自宅で提出に必要な書類に記入する__

社労士に依頼する内容
障害年金の請求内容によっては、請求書提出までに多くの時間と労力を要します。請求者が自分でできない(または、時間と労力を省きたい)場合、報酬を支払って社労士に申請を代行してもらう方法もあります。

社労士に依頼する内容は、社労士との契約によって決まります。病院や市役所、年金事務所での手続きや書類の記入一切を依頼するケースもありますし、手続きに関するアドバイスをもらうだけのケースもあります。

代理人には診断書を交付しない病院もあるため、診断書の取り付けは請求者が行い、その他の手続きを社労士に依頼することもあります。

社労士に支払う報酬
社労士に支払う報酬は社労士事務所によって異なるため、契約時にしっかり確認することが必要です。主な確認事項は次の通りです。

__・基本報酬は定額か、年金受給額の一定割合(1年間の年金額の15%など)か

・着手金が必要か不要か

・障害年金がもらえなかったとき、報酬が必要か不要か

・手続きに伴う諸経費は基本報酬に含まれるか、別途支払うのか など__

特に注意が必要なのが、基本報酬を「年金受給額の一定割合」とするケースです。年金受給額とは、「どの期間」の年金なのかをしっかりと確認しましょう。

「1年間の年金額の15%」や「年金の2ヶ月分」などは分かりやすいですが、「初回振込額の15%」などは要注意です。障害年金は過去にさかのぼって支給されるケースがあり、最大5年分の年金が初回振込時に支払われます。年金額が100万円で5年分が初回振り込みされる場合、「初回振込額の15%」ならば報酬は75万円(=500万円×15%)と高額になります。

また、請求者が依頼しやすいように、着手金を無料にしたり、障害年金に該当したりしなければ報酬は不要としている社労士事務所もあるので、事前、または初回相談時に確認しておきましょう。

社労士への依頼が不要なケース
障害年金の請求にあたっては、前述の「障害年金の請求に必要な手続き」が自分でできれば、社労士への依頼は不要です。

障害に関する基本情報(障害状態や通院・入院歴など)をまとめて年金事務所に相談に行けば、必要な手続きや書類を案内してもらえます。年金事務所には数回行かなければなりませんが、原則社労士に頼まなくても自分で手続きできます。

社労士に依頼した方がいいケース
社労士に手続きを依頼した方がいいのは、次のようなケースです。

__・歩行困難など自分で病院や年金事務所に行けない人で代理人がいないケース

・仕事が忙しい人など、報酬を支払ってでも手間や時間を省きたいケース

・障害の認定が難しい病気などで、専門知識のある社労士がいた方が認定されやすいケース__

特定の難病や精神障害などに詳しいことをアピールする社労士事務所などもあります。

状況に応じて社労士への依頼の可否を判断しよう
障害年金の請求は、原則請求者本人が自分でできます。年金事務所で相談すれば、必要な手続きを詳しく案内してもらえます。

ただし、障害のため手続き困難な場合や請求の手間や時間を省きたい場合など、社労士に依頼するという選択肢もあります。社労士への報酬も考慮して、状況に応じて社労士への依頼の可否を判断しましょう。

出典
日本年金機構 年金請求書提出までの流れ

執筆者:西岡秀泰

社会保険労務士・FP2級

父と母が死亡…「遺族年金」は父母2人の分を受け取れない理由を確認

遺族年金はどのような制度か?
遺族年金は公的年金の被保険者が死亡した際に遺族が受け取れる年金です。遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。

・遺族基礎年金
国民年金の被保険者が死亡した際に、その人に生計を維持されていた「子のある配偶者」と「子(18歳になった年度の3月31日まで、または20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級)」が受け取れる年金です。

ただし、遺族基礎年金を受け取るには、(1)国民年金の被保険者である間に死亡したとき(2)国民年金の被保険者だった60歳以上65歳未満の人で、日本国内に住所がある人が死亡したとき(3)老齢基礎年金の受給権がある人が死亡したとき(4)老齢基礎年金の受給資格を満たした人が死亡したとき、という4つの要件のうちの、「いずれか1つ」に該当する必要があります。

・遺族基礎年金の年金額
遺族基礎年金の年金額(令和4年4月から)は、「子のある配偶者」の場合が年額77万7800円と子の加算額(1人目と2人目が22万3800円、3人目以降が7万4600円)で、「子」の場合が77万7800円と2人目以降の子の加算額(2人目が22万3800円、3人目以降が7万4600円)です。

・遺族厚生年金
厚生年金の被保険者が死亡した際に、その人に生計を維持されていた遺族の中で優先順位の最も高い人が受け取れます。優先順位の最高位は「子のある妻」「子のある55歳以上の夫」「子(18歳になった年度の3月31日まで、または20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級)」です。

ただし、遺族厚生年金を受け取るには、(1)厚生年金保険の被保険者中に死亡したとき(2)厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やケガが原因で初診日から5年以内に死亡したとき(3)1級・2級の障害厚生(共済)年金を受給中の人が死亡したとき(4)老齢厚生年金の受給権者だった人が死亡したとき(5)老齢厚生年金の受給資格を満たした人が死亡したとき、という5つのうちの、いずれか1つの要件に該当する必要があります。

・遺族厚生年金の年金額
遺族厚生年金は、被保険者の老齢厚生年金における報酬比例部分の3/4の金額です。

父母2人分の遺族年金を受け取れない理由
支給事由(老齢・遺族・障害)が異なる公的年金の受給については、1人につき1つの年金が原則です。そのため、父母2人分の年金を受け取ることはできません。

これは、父母が同時に死亡した場合も、父(母)の遺族年金を受給中に母(父)が死亡した場合も同様です。そのため、父母両方の遺族年金を受け取れる資格がある場合は、どちらかの年金を選択した上で「年金受給選択申出書」を提出する必要があります。提出先は最寄りの年金事務所か年金相談センターです。

そのときのために遺族年金に関する知識を身に付けておこう
遺族年金は公的年金の被保険者が死亡した際に遺族が受け取れる年金です。遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があり、子が受給対象者である場合は親の年金を受け取ることができます。

ただし、遺族年金を受給するためには、それぞれの要件の中のいずれか1つに該当する必要があります。また、父母2人分の遺族年金を受け取ることはできません。

どちらかの年金を選択する立場になってから困らないためにも、遺族年金に関する知識を身に付けておきましょう。

出典
日本年金機構 年金の併給または選択

日本年金機構 遺族年金

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

年金受給者がなくなったとき、どのような手続きが必要?

まずは、年金事務所へ死亡届を提出

当然ですが、死亡後は年金を受給する権利がなくなりますので、「受給権者死亡届(報告書)」の提出が必要です。

ただし、日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が収録されている場合は、原則「年金受給権者死亡届(報告書)」を省略できます。これは、役所に死亡届が出され、年金機構でもマイナンバーで死亡が確認できれば、自動的に年金の支給を止めるという仕組みになっているからです。

未支給年金の請求もできる

年金は後払いです。年金は受給権が発生した翌月から支給が始まり、受給権を失った月(死亡月)まで支給されます。つまり6月17日に死亡した場合、死亡した6月分までの年金を受け取ることができます。

6月分の年金は、本来であれば8月15日に振り込まれることになりますが、実際のところ本人は死亡していますので、本人が受け取れることはできません。

そこで、本来なら本人が受け取ることができたはずの年金を、遺族が「未支給年金」として受け取ることができます。請求用紙は、死亡届と複写になっていますので、死亡届と当時に未支給年金の請求ができるようになっています。

未支給年金を受け取れる遺族は、年金受給者が死亡した当時、その人と生計を同じくしていた、(1)配偶者、(2)子、(3)父母、(4)孫、(5)祖父母、(6)兄弟姉妹、(7)その他の3親等内の親族です。また、未支給年金を受け取れる順位もこのとおりです。

未支給年金を請求ことによって、上記の例ですと、6月分の年金が請求者の口座へ振り込まれます。

請求時の注意点は?

書類の提出が遅れると年金を多く受け取りすぎることとなり、後で返金する必要がありますので、受給者が亡くなったときは、すみやかに届け出をしなければなりません。また、亡くなった受給者の口座が解約されていないと入金される場合があります。

亡くなった方の未支給年金は、その支給金を受け取った方の一時所得に該当し、確定申告が必要になる場合があります。不明点があれば、最寄りの税務署へ相談するようにしましょう。

遺族年金の対象となる場合も手続きが必要

遺族年金には、遺族基礎年金と厚生年金保険の被保険者、被保険者であった場合の遺族厚生年金があります。亡くなった方によって生計維持されていた「18歳到達年度の末日までにある子(障害の状態にある場合は20歳未満)のいる配偶者」または「子」がいる場合、遺族基礎年金を受けることができます。

また遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者中、または被保険者であった方が亡くなられたときで、その方によって生計維持されていた遺族は、遺族厚生年金を受けることができます。

両方の遺族年金も多くの場合は配偶者が対象だと思われますが、配偶者以外でも子、父母、孫、祖父母(配偶者以外は年齢要件があります)も対象となります。

遺族年金の請求時、戸籍が入っていない事実婚の夫婦のケースの場合でも、公的年金制度では法律婚と同様に事実婚も夫婦であるとしています。ただし、手続きは法律婚の夫婦と異なりますので注意が必要です。

そのほかにも手続きはある

年金以外には、埋葬料(埋葬費)の手続きがあります。また、医療保険証や介護保険証の返却、保険料の精算などがあります。これらはあくまで年金・社会保険関係の手続きで、そのほかの手続きもいろいろあります。

親族が亡くなった際に行う手続きはたくさんあります。一覧表を作って1つずつ行うのもよいですが、ご自身で行うのが難しい場合や時間がない場合は、専門家の手を借りるのも1つの方法ではないでしょうか。

出典

日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき/1. 未支給年金を受け取れる遺族

執筆者:田久保誠

田久保誠行政書士事務所代表

国民年金保険料はまとめ払いすればお得になる!前納割引額とは

国民年金前納割引制度とは

国民年金保険には、「国民年金前納割引制度」が設けられています。簡単にいうと、国民年金保険料を本来の支払期限より早く支払うことで、割引が受けられる制度を指します。国民年金保険料をどのような方法で支払うかによっても、割引額が違うため注意しましょう

口座振替で支払う場合の振替額

まず、口座振替で支払う場合の割引額は図表1の通りです。なお、表内の数字は令和4年度の国民年金保険料に基づいています。

図表1

日本年金機構 国民年金前納割引制度(口座振替 前納)に基づき筆者作成

なお、振替日当日が休日の場合、休み明けの最初の営業日に口座振替が行われます。

納付書を使って現金で支払う場合の振替額

次に、納付書を使って現金で払う場合の割引額は図表2の通りです。クレジットカード払いの場合も、この割引額が適用されます。

図表2

日本年金機構 国民年金前納割引制度(現金払い 前納)より筆者作成

手続きには期限があるため注意が必要

すでに触れた通り、2年前納(4月~翌々年3月分)、1年前納(4月~翌年3月分)、6ヶ月前納(4~9月分、10月~翌年3月分)をすれば、割引額も大きくなります。ただし、口座振替で払うための手続きや、現金前納での支払いには、期限が設けられているので気を付けてください。

令和5年分の場合の期限を図表3にまとめました。

図表3

国民年金保険料はまとめ払いすればお得になる!前納割引額とは
国民年金保険料はまとめ払いすればお得になる!前納割引額とは© ファイナンシャルフィールド

日本年金機構 国民年金前納割引制度(口座振替 前納)、国民年金前納割引制度(現金払い 前納)より筆者作成

今後、前納割引制度を使う場合は、いつまでに手続きもしくは支払いを済ませればよいか、日本年金機構のWebサイトで確認してください。

まとまったお金が確保できるなら試す価値あり

国民年金保険料を2年分前納する場合、割引額はかなり大きくなります。この先もフリーランスや自営で仕事を続けていくつもりで、ある程度まとまった金額が確保できるなら、前納割引制度を使う価値はありそうです。まとまったお金を用意するのが難しい場合でも当月末振替をすれば、ひと月あたり50円の割引になります。こちらならハードルがだいぶ下がるので、併せて検討しましょう。

出典

日本年金機構 国民年金前納割引制度(口座振替 前納)

日本年金機構 国民年金前納割引制度(現金払い 前納)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

年金分野で「マイナンバー」を活用するとどんなメリットがあるの? メリットを確認!

マイナンバーと年金分野の連携

2018年11月に「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律附則第三条の二の政令で定める日を定める政令(2016年政令第347号)」が公布・施行され、年金分野でもマイナンバーが活用されることになりました。

これにより、年金事務所での手続きに基礎年金番号がわからなくても、マイナンバーがあれば各種手続きや申請が可能となります。それでは具体的にどのようなことができるのか順番にみていきましょう。

相談・照会が可能に

これまでは、年金に関する相談や照会には「年金手帳」に記載されている「年金基礎番号」が必要でした。しかしマイナンバー制度の導入により、基礎年金番号がわからなくてもマイナンバーカードを提示するだけで相談が可能になります。年金事務所の窓口でマイナンバーによる相談・照会を行う際には、マイナンバーカードなど本人確認書類の原本が必要です。

また、電話でマイナンバーによる相談・照会を行う場合は、マイナンバーカードや通知カード等のマイナンバーが記載されている書類が必要になります。事前に準備してから電話をするとスムーズに相談ができるでしょう。

届け出が省略される

マイナンバー導入以前は基礎年金番号が必要であった各種届け出や申請も、2018年3月よりマイナンバーで行えるようになりました。さらに、これまで課税証明証等の添付書類が必要であった各種届け出や申請はマイナンバーとのひも付けにより2020年7月から不要となりました。

また、氏名変更や住所変更に関しては、マイナンバーと年金情報がひも付けされている場合はわざわざ年金事務所の窓口にて書面の変更届を出す必要がなくなるなど、被保険者の手続きが簡略化されています。なお、死亡届に関しても同様に届け出を省略することができます。

会社への届け出が不要に

企業にとってもマイナンバーの利用にはメリットがあります。これまでは従業員の採用時に年金手帳を確認する必要がありました。しかしマイナンバーとのひも付けにより、年金手帳を確認せずとも、マイナンバーで確認できることになりました。

また、従業員の氏名変更や住所変更も届け出が不要となっています。ただし、マイナンバーの取り扱いには注意が必要です。年金分野にマイナンバーを利用する場合には、従業員に対して年金分野に利用するという目的を通知、あるいは公表する必要があります。また、本当にそのマイナンバーが従業員本人のものであるか厳密な本人確認もしなければなりません。

年金分野がマイナンバーの活用で便利になる

マイナンバーの導入によって、年金分野でも個人の手続きや届け出が簡略化されたり、企業の事務手続きも簡素化されたりとメリットが多くあります。ただしマイナンバーは個人情報のため、取り扱いは慎重におこなう必要があります。

特に企業が従業員のマイナンバーを利用する場合は慎重な取り扱いが求められます。便利だからと安易に導入する前に、マイナンバーの取り扱いについて規定を設けるなど、企業としての体制を整えてから導入することが望ましいでしょう。

出典

日本年金機構 日本年金機構におけるマイナンバーの対応

日本年金機構 年金分野でのマイナンバー制度の利用について

執筆者:渡辺あい

ファイナンシャルプランナー2級

国民年金の納付期間が「45年」に延長? 負担が増える分「受給額」も増える?

納付期間が5年延長されて受給額に影響はあるのか

国民年金の納付期間は、現行で20歳から59歳まで40年間です。2025年に提出を予定している改正案では、20歳から64歳までの45年間に変更を検討しています。

図表1

出典:日本年金機構 国民年金より筆者が作成

国民年金の保険料は、毎月約1万6600円を支払っているので、納付期間が5年延長された場合、約100万円の負担になります。2022年度の保険料水準で、納付期間を40年間のケースと、45年間のケースで比べてみると、図表2の通りです。

図表2

筆者作成

納付期間が5年延長することで、トータルで納付する保険料の総額が約800万円から約900万円と、113%の負担増となります。国民年金の満額が、2022年度は約6万4800円です。負担が増えた分、受給額も増えるのでしょうか。

負担額と同じ割合で受給額が増えるケースで考えると、6万4800円の113%が約7万3200円なので、毎月で約9000円の増額、年間では約10万円の増額になります。とはいえ、同じ割合で受給額が増えるかは不透明です。

納付期間の延長を検討している理由は、少子高齢化の中で年金制度を今後も維持する財源を確保するためです。そのため、負担額が増えた分と同じ割合で、受給額を増やす可能性は低いといえるでしょう。

国民年金の納付期間が5年延長されることで、2022年度の保険料水準で計算すると5年で約100万円の負担増となります。少子高齢化が加速している中で、受給額にどう影響するのか注目が集まります。

国民年金の受給者と受給額の推移

厚生労働省年金局「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2020年度に発表された国民年金の受給者数は、約3600万人と発表されました。2016年度は約3400万人なので、受給者の総数は5年で約200万人増えています。

図表3

出典:厚生労働省年金局 令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況より筆者作成

受給者が増えたことによって、年金総額も増加し続けている状況です。2022年度の年金総額は約24兆3000億円でした。2016年度は約22兆7000億円なので、約1兆6000億円増加しました。

国民年金を受給している人の平均年金月額は、2022年度で約5万6000円でした。2016年度は約5万5000円で、ほとんど変わりがありません。過去の年金月額の傾向を見ると、国民年金が増額される期待はしづらいといえるでしょう。

国民年金の制度がどのように改正されるのか注目

国民年金の納付期間が5年延長する方向で検討されている点について解説しました。現在の国民年金は、20歳から59歳までの40年間が納付期間です。制度改正によって、納付期間が45年間に延長すると、保険料負担が約100万円増える可能性が高まります。

とはいえ、安定的に国民年金を継続するための財源に使われるため、年金受給額の増加にはつながらない可能性が高いです。2025年に改正案の提出を予定している中で、納付期間の延長以外でどのような制度の変更が行われるのか、今後も注目です。

出典

厚生労働省 第1回社会保障審議会年金部会

日本年金機構 国民年金

厚生労働省年金局 令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況

執筆者:川辺拓也

2級ファイナンシャルプランナー

国民年金の受給額を増やせる「付加年金」について分かりやすく解説

付加年金とは
「付加年金」とは国民年金第1号被保険者が、国民年金保険料に別途400円上乗せ納付することで、上乗せ納付月数に応じた割増年金額を受給できる年金制度のことです。

付加年金に加入することで基礎年金の受給期間中は、永久的に割増の年金額を受給し続けることができます。付加年金は老齢基礎年金の受給額だけでは老後の生活が心細いと考える国民年金第1号被保険者が、真っ先に加入を検討すべき年金制度といえるでしょう。

付加年金の加入対象者等の詳細
付加年金の加入条件等の詳細は図表1のとおりです。

図表1

出典 日本年金機構 付加年金より筆者作成

図表1でもわかるように、付加年金はとてもシンプルに制度設計されています。付加保険料も少額であることから、手軽に加入できる年金制度として人気があります。

付加年金額算出の計算例
国民年金の第1号被保険者が20歳から60歳まで付加年金に加入していた場合、将来の年金の受給額は次のようになります。

1.付加年金受給額を含んだ年金受給額

200円×480月(40年)=9万6000円(年額)

この付加年金額が、老齢基礎年金に上乗せされます。

77万7800円(老齢基礎年金)+9万6000円(付加年金)=87万3800円(年額)

87万3800円が、付加年金受給額を含んだ年金受給額となります。

2.付加年金保険料の払込総額

400円×480月(40年)=19万2000円(総額)

付加年金受給額9万6000円(年額)と付加年金の払込総額19万2000円を比較すると、付加年金を約2年受け取れば払込額を回収できることがわかります。現在の老齢基礎年金の受給開始年齢が65歳であることから、繰り下げをしなかった場合における損益分岐点は67歳になります。

付加年金の加入のメリット・デメリット
国民年金加入者にとって付加年金は、老齢基礎年金の拡充手段としての有力な選択肢の一つであることはいうまでもありません。しかし付加年金にもメリットとデメリットの両面があります。

付加年金のメリット
付加年金加入のメリットは主に3点あります。

__1.納付した付加保険料は比較的短期間で元が取れる

2.老齢基礎年金を繰下げ受給した場合、付加年金も同率で増額となる

3.付加年金保険料は社会保険料控除の対象となり、付加年金保険料全額が所得控除を受けられる__

付加年金のデメリット
デメリットとして次のような点があるので注意が必要です。

__1.65歳前に亡くなった場合、納付した付加保険料は戻らない

2.繰上げ支給を選択した場合、付加年金も同率で減額となる

3.国民年金基金との併用はできない

4.iDeCoの月額拠出上限額が1000円減り6万7000円となる__

老後生活資金の準備にiDeCoを併用する人が増えてきました。iDeCoとの併用の際は掛金上限額が若干減少することを覚えておきましょう。

まとめ
国民年金の第1号被保険者は、厚生年金の被保険者と比較して、公的年金受給額が少ないのが一般的です。公的年金の受給額を少しでも増やす手段として付加年金への加入は、一定程度の効果が見込めます。

しかし一方で、国民年金の第1号被保険者が付加年金に加入するだけで老後の生活資金の不安をすべて解決できるものにはなりえません。付加年金はあくまでも補助的な年金として位置付け、別途確定拠出型年金や個人年金保険加入などの検討をし、老後資金の準備をしていくことをおすすめします。

出典
日本年金機構 付加年金

日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額

公益財団法人 生命保険文化センター 老齢年金の繰上げ・繰下げ受給について知りたい

執筆者:茂野博起

AFP・2級ファイナンシャルプランニング技能士

障害年金を請求するときは「初診日」と「障害認定日」を理解しよう

障害年金とは
障害年金とは、病気やけがなどで障害が残り所定の条件を満たしたときに、公的年金から支給される給付金のことです。障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、次に説明する初診日に加入していた公的年金制度によって、どちらが支給されるか決まります。

障害基礎年金は障害等級1級と2級に該当する人、障害厚生年金は1級~3級に該当する人が支給対象です。また、障害厚生年金1級と2級の人には、障害基礎年金も同時に支給されます。

障害年金の初診日
障害年金における初診日とは、障害の原因となった病気やけがなどで初めて医師などの診療を受けた日のことです。転院した場合、最初に行った病院で初めて診療を受けた日が該当します。初診日を明確にするために、初めて診療した病院の証明が必要です。

ポイントは、「病名が判明しなかった場合」や、「診断に誤りがあり違う病名を告げられた場合」でも、初めて診療を受けた日が初診日になることです。ただし、健康診断で病気の指摘を受けた場合、健康診断の受診日は初診日にはなりません。

初診日に国民年金に加入していた人は障害基礎年金、厚生年金に加入していた人は障害厚生年金の対象です。20歳前に初診日があり公的年金に未加入の場合、対象となるのは障害基礎年金です。

障害認定日
障害認定日とは、初診日から1年6ヶ月経過した日のことです。障害認定日に所定の障害状態に該当すれば、障害年金が支給されます。障害状態を判断するために、障害認定日(認定日から3ヶ月以内)の診断書が必要です。

障害認定日の障害状態が軽度で障害年金に該当しなくても、その後状態が悪化した場合は障害年金の請求ができます。障害認定日の状態で請求する方法を「障害認定日請求」、認定日以降に状態が悪化して請求する方法を「事後重症請求」といいます。

障害年金の請求手順
障害年金の請求は、初診日について病院の証明を取り付けて初診日を確定し、その後に認定日(または事後重症の請求時点)の診断書を取り付けるのが一般的です。認定日の診断書を取り付けた後で初診日の間違いが判明した場合、診断書の取り直しが必要になるからです。

初診日は、年金事務所での初回相談時に渡される「受診状況等証明書」という書類を病院で記入してもらって証明します。

障害年金の認定日が繰り上がるケース
障害認定日は原則初診日から1年6ヶ月経過した日ですが、例外があります。初診日から1年6ヶ月以内でも、以下のような場合は症状が固定したものとして障害認定日になります。

__●人工透析を初めて受けた日から起算して3ヶ月を経過した日

●人工骨頭や人工関節をそう入置換した日

●心臓ペースメーカーや植え込み型除細動器(ICD)、人工弁を装着した日

●人工肛門を造設した日や尿路変更術を施術した日から6ヶ月を経過した日

●在宅酸素療法を開始した日 など__

障害年金を請求するときは初診日と障害認定日を理解しよう
障害年金を請求するときは、初診日と障害認定日について正しく理解することが大切です。

障害年金を請求するときのポイントは、障害認定日以降でないと障害年金の請求はできないことと、原則初診日が確定してから障害認定日の診断書を取り付けることです。

出典
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度 障害年金ガイド 令和4年度版

日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額

日本年金機構 さ行 障害認定日

執筆者:西岡秀泰

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