あなたの健康はお金で買えますか・・・? ■依存症(スマホ・薬物依・ギャンブル)
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1日250人以上が死亡…コロナ禍でも増加したアメリカ薬物問題の現状【薬物依存症の専門家が解説】

薬物乱用とは……麻薬・覚醒剤だけでなく医薬品への依存症も深刻

薬物乱用とは、薬を正しく使わないことで、大きく次の2種類に分けられます。

・法律で使うことを許されていない薬を不正に使うこと

・本来は病気の治療に使用する医薬品を医療目的以外に使用することや、許されていない用法・用量で勝手に使用すること

いずれも、たとえ1回でも乱用になります。

麻薬や覚醒剤のような法律で規制されている薬物だけではなく、医師からもらった医薬品がきっかけで、依存症に陥ってしまうこともあります。特に麻薬性の鎮痛薬は、がんの痛みに一定の効果があるので緩和医療には欠かせない薬ですが、日常的な痛みに用いると依存症を生じやすいので注意が必要です。

毎日250人以上が死亡するアメリカの深刻な薬物問題

全世界で麻薬などの過剰摂取による直接的な影響によって死亡した人の数は、2015年で約17万人というデータがあります。そのうち最も多い死者を出しているのがアメリカです。

その数は年々増え続け、2017年には7万人を超えました。2018~19年にわずかながら減少傾向に転じたものの、2020年にはコロナ禍の影響で約30%増加し、過去最多の9万3331人となりました。

念のため繰り返しておきますが、上にあげた数字は、死亡した人の数です。1年で9万人以上ということは、1日あたりに換算すると、およそ256人です。想像してみてください。「本日薬物乱用で死んだ方は256人です」というニュースが毎日流れているという状態です。

にわかには信じられないかもしれませんが、これが今のアメリカの現実なのです。今はまだ対岸の火事かもしれませんが、いつ日本が同じ状況になるかわかりません。

日本の未来を守るために、日本ではほとんど伝えられていないアメリカの薬物乱用の惨状を皆さんにも知っておいていただきたく、薬物依存症の専門家として筆をとることにしました。

薬物乱用の惨状の推移……処方増加からコロナ禍による影響まで

下の図は、アメリカの疾病対策センター(CDC)が発表している「薬物過剰摂取による死亡者数」の統計データに基づいて、筆者が作成したものです。この図を見ながら、今のアメリカの惨状がいつから始まったのかを見てみましょう。
アメリカの薬物乱用による死亡者数の年次推移(アメリカ疾病対策センターの統計データに基づき筆者が作成)
© All About, Inc.アメリカの薬物乱用による死亡者数の年次推移(アメリカ疾病対策センターの統計データに基づき筆者が作成)

1970~80年代、麻薬等の過剰摂取による死者数は、年間5000~7000人程度であまり変化なく推移していました。ところが1990年代に入り1万人を超え、2000年代に入り2万人を超えました。

1999年(図の1)で「第一波」ともいえる変化が起きたのは、主にモルヒネやコデインなど従来より使用されてきたオピオイド系鎮痛薬の処方増加を反映したものと考えられています。

皆さんの中には「麻薬」や「オピオイド系鎮痛薬」が何なのかをよく知らないという方もいらっしゃるでしょう。この点については、後続の記事で詳しくご説明したいと思いますが、どちらも病気の治療に用いられている正当な医薬品です。しかしこれらが必要以上に過剰に使用されるようになり、依存症に陥る人たちが増えていったのです。

2010年(図の2)で「第二波」の変化が起きたのは、主にヘロインの使用増加を反映していると考えられています。ヘロインというのは、合成麻薬の一つで、あまりにも有害なので、世界中で医療用としても使うことが禁止されている薬です。それを不正に入手した人々が勝手に乱用するようになったのです。

2013年(図の3)ごろから生じた急激な総死者数の増加は、図中の赤線で示されたフェンタニル及び合成オピオイドの過剰摂取による死亡者数の推移とほぼ一致しており、フェンタニル及び合成オピオイドが関係していることが明白です。

フェンタニルというのは、昔から使われてきたモルヒネを改良した薬で、モルヒネより副作用が少なく強い鎮痛作用が得られるという評判が広がり、近年急激に使用数が増えた薬です。

2020年(図の4)に起きた急激な増加は、コロナ禍を反映したものです。都市封鎖措置や景気後退を受けて、多くの労働者が職を失い、救いを求めるかのように薬物の過剰摂取が増えたと考えられます。

また、隔離措置による孤独をきっかけとしてメンタルヘルスの問題を抱える人が増えたのにもかかわらず、クリニックやカウンセリングといった支援サービスは営業停止あるいはオンライン対応のみとなってしまったため、救われなかった人がたくさんいたものと思われます。事実、自殺未遂の件数も増えたと伝えられています。

薬物過剰摂取による数々のスーパースターたちの訃報

医療の進歩によって、多くの国で人の平均寿命は少しずつ延びています。アメリカもそうでした。ところが、2014年の78.9歳をピークに、アメリカ人の平均寿命は短縮に転じ、2018年には78.6歳となりました。その一因と指摘されるのが、働き盛りの20~40代を中心とした薬物中毒や自殺による死亡件数の増加なのです。

医療の先進国であるはずのアメリカで、「薬の乱用によって寿命を縮めている」ともいえる事態が起きていたなんて知らなかったという方が多いでしょう。しかし、アメリカにおける薬物汚染の惨状を伝えるニュースは、すでに10年以上前から日本にも入ってきていました。

よく記憶をたどってもらうと、数々のスーパースターたちが薬物の過剰摂取が原因で亡くなったという訃報を聞いたことがあるはずです。

例えば、2009年6月には、歌手のマイケル・ジャクソンさんが自宅で心肺停止状態に陥り救急搬送されたものの、間もなく急死しました。原因は諸説あるようですが、不眠を訴えるジャクソンさんに対して、プロポフォールという麻酔薬を医師が6週間にわたり毎晩投与していたそうです。

また、スーパースターゆえのストレスと戦いながら、過酷な仕事をこなすために、鎮痛剤を習慣的に服用していたとも伝えられています。

2012年2月には、歌手のホイットニー・ヒューストンさんが急死しました。自宅でコカイン使用後に心臓発作を起こして浴室の浴槽で溺死したことが直接の死因とされていますが、すでに1990年代から麻薬、処方薬、市販薬、アルコールなど、あらゆる薬物を習慣的に用い、過剰摂取していたとも伝えられています。

2016年4月には、歌手のプリンスさんが急死し、死亡当時の体内から異常に高濃度のフェンタニルが検出されたことから、フェンタニルの過剰摂取が死因と考えられました。2017年10月に急死したロック・ミュージシャンのトム・ペティさんも、同じフェンタニルの過剰摂取が死因とされています。

2015年6月には、トヨタ自動車のアメリカ人女性常務役員が、国際郵便で麻薬を日本国内に持ち込もうとした疑いで逮捕されました。

ケンタッキー州の空港から発送された国際郵便の荷物の中の袋に、半合成の麻薬性鎮痛薬(オピオイドともいう)であるオキシコドンを含む錠剤57錠が隠されているのが、成田空港の東京税関で見つかったのです。

たとえ個人で使用するためだけだったとしても無許可で麻薬を輸入することは禁じられていることは知っていたはずですが、罪の意識が薄れるくらい、麻薬を日常的に使用することが当たり前になってしまっていたのかもしれません。

「薬物問題は怖いから知らなくていい」という考えは危険

日本でも、薬物問題は時々話題になりますが、欧米に比べると日本では安易に違法薬物に手を出す人は少ない方です。しかし、その裏で、薬に対して無知な人も多いです。

皆さんの中にも「自分の周りに麻薬や覚醒剤なんて存在しないので関係ない」とか「怖いものは知らなくていい」という考えの人もいることでしょう。しかし、何も知らないまま、突然自分が被害者になる可能性もあります。

アメリカと同じようなことが日本でも起こらないように、そして自分で自分の身を守るためにも、正しい知識を身につけておくことはとても大切です。

▼阿部 和穂プロフィール薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。

シニアのスマホ依存 不眠や体調不良の原因に…使い方の見直しを

 新型コロナウイルスの感染拡大後、スマートフォンの使いすぎが原因で体調を崩す高齢者らが増えている。心あたりがある人は要注意。最初は軽い症状でも、放っておくと大きな病気につながることもある。使い方を見直してみる必要がある。

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「スマホが気になって眠れない」

 東京都内に住む70代女性は最近、スマホが手放せなくなり、不眠や体調不良に悩まされるようになった。

 使い始めたのは数年前。夫を亡くし、一人暮らしになったのを機に、離れて暮らす娘が心配して契約してくれた。当初は操作にてこずり、使うのは1日あたり2~3時間程度だった。だが夫の死後は趣味の社交ダンスもやめ、家で過ごす時間が多くなっていた。もともと内向的で、友人や知人も少ない。娘ら家族とのやり取りから始まり、ニュースや料理法の検索まで、スマホを使う時間は尻上がりに増えた。

 ついには、夜の間もスマホを枕元に置き、メールやSNSの連絡が来ないか気が気でない状態に。着信がないのに、バイブで振動しているかと錯覚することも、たびたびだったという。

 浅川クリニック(東京都江東区)の院長で、『「スマホ」という病』などの著書がある精神科医の浅川雅晴さんはこう話す。

「スマホの長時間使用が原因で体調を崩す人は増えています。とくに高齢者は要注意。退職して、友人や知人と会う機会も減ると生活のリズムは単調になりやすく、スマホを使う時間が増えやすくなる。コロナでその傾向はより目立つようになりました」

 浅川さんによれば、スマホは短時間で多くの情報を仕入れることになり、脳にかかる負担は大きいという。

「脳はもともと、体験にもとづく情報や物語性のある出来事は記憶しやすい一方、短期間で集中的に覚えるのは苦手な構造です。スマホを使いすぎると一部の機能にばかり負担がかかり、『脳過労』の状態になることがある。加えて、交感神経が優位に働く時間が増え、下痢や便秘、動悸や倦怠感といった症状の原因になります」

 おくむらメモリークリニック(岐阜県岐南町)の「もの忘れ外来」にも、最近、スマホの使いすぎが原因とみられるシニアの相談が増えている。理事長で脳神経外科医の奥村歩さんは、スマホの使いすぎで脳過労が進み、認知機能が低下する症状を「スマホ認知症」と呼んで注意を呼びかける。

「症状が進むと、もの忘れや一時的な記憶障害といった症状が出る場合があります。シニアの場合、そのまま放っておくと認知症のリスクを高める可能性もある」

 奥村さんによると、脳の記憶のメカニズムは、大きく三つの段階に分けられる。(1)目や耳などから得た情報を脳に入力する、(2)入力した情報を整理する、(3)整理した情報を取り出して言葉にする──の三つだ。

 ところが脳過労の状態になると、情報をうまく整理したり、取り出したりすることができなくなる。奥村さんは続ける。

「この三つの段階は、同時並行的にはできません。情報をきちんと整理するためには、入力したり、取り出したりする作業を休ませることも大事。ぼうっとしたり、眠ったりする時間も必要です。スマホを通じて絶えず多くの情報を浴びていると、脳の中は“ゴミ屋敷”のような状態になってしまいます。肝心なときに必要な情報を取り出せず、もの忘れや勘違いが起こりやすくなる。会話やコミュニケーションが上手にできなくなることもあります」

 スマホの使いすぎは目にも悪い。二本松眼科病院(東京都江戸川区)副院長で眼科医の平松類さんはこう言う。

「スマホを見ている間は、通常時に比べ、まばたきの回数が3分の1~4分の1に減り、目が乾く『ドライアイ』になりやすい。コロナでスマホなどのデジタル機器を扱う時間が急に増え、シニアの患者も目立つようになりました。ドライアイが進むと眼精疲労になり、モノが見えにくくなる。放っておけば、肩こりや全身疲労といった症状が出やすくなります」

 スマホの使いすぎで、失明の原因にもなる黄斑変性や緑内障の症状が進む可能性も指摘されている。平松さんは言う。

「われわれは普段、太陽光や照明の光が反射したものを画像として認識しています。目はもともとの構造上、光っているものを直接見るようにはできていません。スマホやテレビのように自ら光を発しているものや、点滅しているものを見ることが根本的によくない。とくにスマホは近距離で画面を見る。それだけ負担は大きい」

 もともと老眼だった人が、進行を速めるケースもある。平松さんは、スマホの使いすぎが原因の老眼を「スマホ老眼」と呼んでいる。

 では、目や脳、体の不調を防ぐにはどうすればよいか。前出の3氏が口をそろえるのは、使う時間を自分で管理すること。とくに寝る前の使用は禁物だという。眼科医の平松さんは言う。

「寝る前にスマホが発するブルーライトを浴びると、体内時計のリズムが狂い、十分な睡眠が取れなくなります。就寝前の30分間は、歯磨きやストレッチなど、スマホ以外のことをする習慣を身につけましょう」

 目を休ませるには、画面から目を離したり、意識的にまばたきを増やしたり、湿らせた温かいタオルをまぶたにのせて疲れをとったりすることも有効だという。

 脳神経外科医の奥村さんも言う。

「何の目的もなく、惰性でスマホを見るのが一番よくない。情報も『暴飲暴食』をすると脳や心の健康を損なう。何より、スマホを使いすぎて貴重な時間を失うのはもったいない。情報も自分で消化、吸収できる量だけ取るように心がけましょう」

 冒頭の女性は、スマホを使う時間を1日2時間程度に抑えて、散歩や買い物に出かけたり、浅川クリニックで行っている集団療法に参加したりすることで、スマホに依存する生活から抜け出すことができた。

 浅川さんは言う。

「体調不良は加齢のせいではないかと考えて、放っておく人は少なくありません。しかし、長く患うと慢性化し、それだけ治りにくくなる。心配なら、我慢せず気軽に相談してほしい」

 どんなモノでも、メリットとデメリットの両面がある。「たかがスマホ」と思わず、自分なりの使い方を改めて考えてみよう。(本誌・池田正史)

※週刊朝日  2021年11月26日号

スマホアダルト動画依存症からの脱却 医師は「モノクロ」「消音」を推奨

 近年、スマホでアダルト動画を延々と見てしまい、仕事や日常生活に支障をきたす人が絶えない。そんな現実を摘出した書籍『インターネットポルノ中毒』(DU BOOKS刊)が注目を集めている。著者は病理学・解剖学・生理学の専門家のゲーリー・ウィルソン氏。


 同書は、スマホの普及をはじめとするネットの発達に伴って「ポルノ中毒者」が増えたと指摘する。昨年、スマホ依存について分析した『スマホ脳』(新潮新書)が50万部を超えるベストセラーになったが、ゲーリー氏の著書は過激で大量のネットポルノが人の脳を麻痺させて依存を起こさせるメカニズムに迫るもので、いわば「エロスマホ脳」を研究したものと言える。


 ポルノ動画への依存が加速すると、睡眠障害やED、うつ病、認知症につながるリスクも指摘されている。そうした依存から脱却するにはどうすればいいのか。


 ゆうメンタルクリニック院長のゆうきゆう医師は「行動記録」をつけるのが効果的だと説明する。

「スマホを見る時間に加えて、ポルノを見たくなったが我慢したタイミングを記録してください。“我慢できた回数”が励みになり、より自制する方向に思考が向いていく。こうして日常生活が安定してくると、自然と動画への依存は弱まります」


『もの忘れとウツがなくなる「脳」健康法』(静山社文庫)の著者で、依存症に詳しいおくむらメモリークリニック院長の奥村歩医師は「射精」が重要だと語る。


「男性の場合、一度射精すれば、興奮状態が収まる傾向にある。射精後に睡魔が襲ってくるという人も多いでしょう。ポルノ動画を見るときは、“30分以内に終わらせる”というふうに時間を決めておくことが大事です。こうすれば長時間ダラダラと見続けることは避けられる」


 スマホの「設定」も大切だ。

「画面を『モノクロ』にしたり、『消音』にして見るのも有効な方法です。刺激が弱まるので、より自制が働きやすくなるはずです。刺激の弱さという点では、動画の代わりに雑誌や漫画など紙面でポルノに触れることを習慣づけることも有効です。動画よりも想像力が働くため、脳の運動にもなります」(奥村医師)


「エロスマホ脳」チェックリスト

「スマホ依存・アダルト動画依存」チェックリスト

 こうした対策を取ったうえでスマホでアダルトコンテンツを見ること自体は、精力を保つという面で決して悪いことではないと奥村医師は続ける。


「中高年男性にとって、定期的に射精することは心身の健康につながります。とくに高齢男性の場合、“もう一度恋愛をしたい”“セックスをしたい”という気持ちを持ち続けることが活力につながる。

 一週間に一度など、適度にポルノ動画を見てそういう気持ちを持ち続けることが大切です。そうした前向きな姿勢がうつ病や認知症の予防にもなります」


『インターネットポルノ中毒』でも、禁欲のために自分を追い込む必要はないと説明される。〈セックスは根本的な衝動だし、日常ポルノ利用という強烈な刺激をあきらめるのは、脳にとって大きな変化だ。なるべく楽にこの変化を乗り切ろう。しくじっても自分を許そう〉何事も過ぎたるは及ばざるがごとし。程よい距離感で付き合っていく必要がある。

スマホアダルト動画依存、睡眠障害・ED・うつ病・認知症につながるリスクも

「エロスマホ脳」チェックリスト

「スマホ依存・アダルト動画依存」チェックリスト

 

近年、スマホでアダルト動画を延々と見てしまい、仕事や日常生活に支障をきたす人が絶えない。そんな現実を摘出した書籍『インターネットポルノ中毒』(DU BOOKS刊)が注目を集めている。著者は病理学・解剖学・生理学の専門家のゲーリー・ウィルソン氏。


 同書は、スマホの普及をはじめとするネットの発達に伴って「ポルノ中毒者」が増えたと指摘する。昨年、スマホ依存について分析した『スマホ脳』(新潮新書)が50万部を超えるベストセラーになったが、ゲーリー氏の著書は過激で大量のネットポルノが人の脳を麻痺させて依存を起こさせるメカニズムに迫るもので、いわば「エロスマホ脳」を研究したものと言える。


 そこには、〈仕事に行くのもいや、友達や家族とのつきあいも、特にポルノ儀式(アダルト動画を見ること)と比べたらどうでもいいように思えた〉〈ときには完璧なネタを求めて一日中探し回る。決して満足することはない。「もっとくれ」と脳がいつも言い続ける〉といった、実際にアダルト動画に依存してしまった人たちの生々しい声も多数紹介されている。


“エロスマホ脳”の体への影響は多岐にわたる。そのひとつが睡眠障害だ。埼玉県在住のA氏(57)は、「夜家族が寝静まってから、毎日のように1時間以上も動画鑑賞。おかげでいつも寝不足で、日中もボーッとしてしまう」と語る。


「ポルノを見ると、その刺激的な内容に反応して脳内の快楽物質であるドーパミンが分泌されます」と話すのは、『もの忘れとウツがなくなる「脳」健康法』(静山社文庫)の著者で、依存症に詳しいおくむらメモリークリニック院長の奥村歩医師。。


「ドーパミンは脳を覚醒状態にするので、スマホでポルノ動画を見ている限り、睡眠欲が遠ざかっていきます。また通常夜になるとメラトニンという睡眠ホルモンが分泌されますが、スマホの強い光がメラトニンの分泌を抑えてしまう。二重の意味で睡眠障害が起きやすいんです」(奥村医師)


 男性にとってさらに恐ろしいのが、エロスマホ脳がEDを招くことだ。この3年ほど“男性力”が悪くなったと悩んでいる北海道在住のB氏(45・自営業)が語る。


「EDといっても、アダルト動画を見ながら自分ではできるんです。ただ、いざ妻とするとなると、まったく反応してくれない。最初の頃は“ちょっと疲れてるから”などと言い訳をしていましたが、いまは完全にレス状態。夫婦関係も気まずくなっています」


 B氏がスマホでポルノ動画を見るようになったのは、4年ほど前のことだったという。「最初はお気に入りの女優の無料動画を見つけて、それをオカズにしていました。ところが、だんだん見たことのある動画だと満足できなくなってきて……。“これならいいか”という新しい動画を見つけるまでは納得できないんですよね。


 動画の内容も、次第に普通のものでは興奮できなくなってきて、過激な動画ばかりを求めてしまう。そんな自分が嫌になります」(B氏)B氏のようなケースについて、ゆうメンタルクリニック院長のゆうきゆう医師が説明する。「ネットポルノから得られる過度の刺激に慣れてしまって、実際の性行為でドーパミンが分泌しづらくなるケースは多い。実際の性行為ではしないような過激な映像ばかりを見ていると、これはより顕著になってきます」


 冒頭で紹介した書籍『インターネットポルノ中毒』では、自然の性行為よりもポルノ動画にハマってしまうのは、人間の生物としての本能にも原因があると説明している。人間を含む哺乳類のオスは、種の保存のためにできるだけ多くのメスと性行為をしようとする。そのためまだ性行為をしたことのないメスに対してより興奮するようにできている。


 ネットポルノには、「まだ性行為をしたことのない異性」が誇張された性的アピールを持って無数に出てくるため、オスとしての本能が刺激され、気づかぬうちに依存状態になってしまうと結論を導いている。


脳がフリーズする

 前出・奥村医師によれば、うつ病を患うケースもあるという。「脳は静止画より動画に対して敏感に反応します。その代償として、カロリーを大量に消費して“脳疲労”に陥ってしまう。いわゆる処理能力を超えてパソコンがフリーズしてしまうような状態です。


 こうなると脳の神経伝達物質が正しく分泌されず、心身の調整機能も低下する。怒りっぽくなったり、ふさぎ込みやすくなったりと感情が不安定になるんですね。その先にあるのがうつ病です。スマホの動画は色彩と光の刺激が強いため、脳の疲労度が上がりやすく、うつ病のリスクもグンと高まります」


 うつ状態が続くと、将来的な認知症のリスクも増大する。「とくに高齢者の場合、うつ病は記憶力や集中力の低下に直結する。他人との会話がうまくできなくなる“仮性認知症”になったり、そのまま症状が悪化してアルツハイマー病と診断されるケースも多い」(奥村医師)

徳光和夫 妻の認知症告白もギャンブル熱が加速…専門家は依存症を指摘

「(競馬のために)まず定期預金の解約ですね。これを3回いたしまして。定期預金がなくなって、自分にもし蓄えがあるとすれば何だろうと思って気がついたのが、生命保険です。これの今、解約に入っておりまして……」

8月10日放送の『徹子の部屋』(テレビ朝日系)へ出演した際に仰天告白をしたのは、フリーアナウンサーの徳光和夫(80)だ。これには司会の黒柳徹子(88)も心配していた――。

もともと賭け事好きで有名な徳光。定期預金を解約するほどの熱の入れようについてテレビ局関係者はこう語る。

「コロナ禍で、仕事が次々とキャンセルとなり時間ができたため、オンラインでの馬券の購入方法をマネージャーさんに教えてもらったそうです。地方競馬の馬券も買いやすくなって、楽しみが増えたみたいです。

地方競馬のほうが予想しやすく、勝てることが多くなったんだとか。いままで以上に競馬沼にハマって、浪費が加速したようですよ」

徳光がギャンブルをするのはお金を稼ぐためだけではないと、テレビ局関係者は続ける。

「当てることが楽しいから競馬をしているそうです。以前、馬主になるように勧められたそうですが、『レースを分析したり、競走馬の情報を集めたりするのが楽しいから』と断っていましたね」

そんな徳光はこれまでにギャンブルで多くの逸話を残してきた。著書『徳光流行き当たりばったり』には、競艇で勝った大金を3日ですった話が紹介されている。

《元手の900万円を握りしめ、二日間は大村競艇場で勝負、翌日からは福岡に3カ所ある競艇場を転戦。だが、しかし、羽田に戻ったときに手元のお金はなぜか3万円しかなかった……》

■負けは総額13億円

ギャンブルに賭けた総額について、’15年の『ダウンタウンDX』(読売テレビ)に出演した際、徳光本人は「(競艇で)6億円くらい負けている」と述べていた。

また’15年の『有吉ゼミ』(日本テレビ系)では、息子・徳光正行(49)が、「(競艇の額に)競馬を入れると12億~13億円は負けている」と証言。

大金を費やしてきた徳光だが、前出の『徹子の部屋』で、「(妻が)同じことを何度も、今言ったことを1分後には同じことを言う。その日の行動より思い出話が多いわけですね」と、55年連れ添ってきた妻が初期の認知症であることも告白したのだ。

徳光の妻の様子について彼女の知人はこう明かしてくれた。

「何カ月も前に徳光さんのご自宅で芙蓉の花が咲きまして、見に行きました。そのとき、奥さんは『花がきれいでしょう』と何度も繰り返されていて……。ほかの話題に移った後も前の話に戻って、同じことを言ってらっしゃって。『認知症の私の母と同じだな』と思いました。

本人も自覚されているようで、『車の運転は危ないからやめた』とおっしゃっていましたね。徳光さんは奥さんのためにか、以前より自宅にいることが増えたみたいですよ」

妻の認知症と定期預金を解約してまでギャンブルにハマることの関連性について、心理カウンセラーの横山真香さんはこう推察する。

「男性にとって、妻の初期の認知症は大きなショックとなりえます。いままで一緒に生活してきた人が、変わってしまうという不安。また、自分をいちばん理解してくれているパートナーが変わっていく恐怖も感じます。人間は逃げ場所を探す生き物。徳光さんの場合は、大好きなギャンブルの世界に、さらにのめり込むようになったのかもしれません」

■専門家はギャンブル依存症を指摘

徳光は以前、雑誌のインタビューで愛妻について、

《あればあるだけ使ってしまうタイプだったんです。それをカミさんは知らない間に家を建て、息子たちの面倒をみ、わたくしが生活のことを考えずに毎日が送れて安心して仕事ができるというのも、思えばカミさんのおかげなんですよ》(『月刊Hanada』’16年7月号)

と、家計の管理を全て任せてきた頼りになる存在だと明かした。

前出の『徹子の部屋』ではそんな賢妻が、「『あなたは馬券を買っているから今があるんだ』みたいなことを言ってくれますんで、いいかみさんですよね」と、ギャンブルを容認してくれていると語っていたが――。

依存症治療を専門とするライフサポートクリニックの山下悠毅院長は、彼の現状をこう分析。

「妻が認知症になったことで、『悲しませずに預金や保険を解約できる』と徳光さんが、気づいたことが今回の話の始まりであるという印象です。徳光さんはいつだって“競馬をしたい自分”と“妻を悲しませたくない自分”のはざまにいたのでしょう。

また自ら解約の話をしたそうですが、これはあえて人に伝えることで、『自分はまだ大丈夫だ』と安心したいという心理が働いたのでしょう。徳光さんの負けた総額は10億円規模との話もありますので、依存症といえるかもしれません」

専門家も危惧する徳光のギャンブル依存――。

前出の『徹子の部屋』では、「私が稼いだ金だから、勝手に使ったって構わないのでは」と、持論を展開し歯止めが利かなくなっているようにも思えるが、一線を踏み越えてはいないようだ。

「徳光さんは、自分の年金をギャンブルにつぎ込んでいる一方で、奥さんの年金には一切手をつけてはいないそうです。奥さまと一緒にいたいという気持ちも強いそうですが、将来的には介護施設に入れることも検討しているそうです。認知症が進行して老老介護になる。だから介護費用だけはきちんと確保して共倒れを防ぐように考えているといいます」(徳光の知人)

長年支えてくれている賢妻の笑顔を保ち続けてほしい――。

清原和博氏「覚せい剤は怪物」「耐える心が破壊」薬物依存の後遺症、うつ病に苦しむ

 元プロ野球選手の清原和博氏が15日、自身のYouTubeチャンネル「清ちゃんスポーツ」に動画を新規投稿。ツイッターで明かした覚せい剤の後遺症について、具体的な症状を説明した。

 清原氏はYouTubeやテレビ出演などで活躍しているが、「本当のリアルは後遺症がひどくて、手の震えが止まらない。耳鳴りがずっとしている。眠れない。うつ病を患って5年目です」と告白。周囲の励ましの声に支えられていると明かしたが「皆さんが思っている以上に、苦しいし元気じゃない」、「耐える心が破壊されていく訳です。一番楽なのは使うことなんです。それかアルコールに逃げることなんです」と語った。それでも、「負けたくない」と現在は4カ月禁酒しているという。

 清原氏は2016年に覚せい剤取締法違反で逮捕され、昨年執行猶予が明けた。ただ、現状について「覚せい剤はとんでもない怪物で、5年たってもなお、僕を襲い続けている。後遺症として」と語るなど、約18分の動画で覚せい剤の恐ろしさを訴えている。

 6日に投稿したツイッターでは薬物依存についてのインタビューを受けた際、フラッシュバックしたことを明かした。「少しでも薬物で苦しんでいる方に力になれればと思い受けたが自分の思い上がりだった。インタビューの最中にフラッシュバック、自己否定でどんどん苦しくなった、自分はまだまだ薬物依存に苦しんでいる」などとつづっていた。

夜中のスマホはダメ!春夏に体調を崩しやすい人の傾向

南風が吹いて20度近いポカポカ陽気の日があるかと思えば、翌日は冬に逆戻りするというように、寒暖の差が激しくなる。特に一日の最高気温と最低気温の差が10度ほどになる日は、体温調整が難しくなり、冷え性の人は、肩こり、腰痛、食欲不振、めまい、頭痛といった症状を起こしやすくなる。

また、2月中旬ごろからスギ花粉が飛び始め、花粉症に悩む人は多いが、このタイミングで中国大陸からPM2.5などの有害物質を含んだ黄砂が飛んでくると、アレルギー症状を悪化させることがある。黄砂の粒子は花粉より細かいので、外出するときにはマスクなどをつけて、なるべく吸い込まないようにしたい。

「心臓疾患、脳血管障害など命にかかわる症状を起こしやすい冬に比べて、春は重篤な症状を起こす病気は多くありません。しかし、新しい生活が始まり、生活リズムが変わることで、ストレスを受けやすくなる。頭痛やめまいなど、『仕事を休むほどではないけれど、調子が悪い』といった、体調不良に見舞われることが多いのです。

また、高齢者は外出先で足を取られて転倒することもあるので、桜がきれいだからといってよそ見しないで(笑)、足元にも気をつけましょう」そう語るのは、『「正しい時間の使い方」が、あなたの健康をすべて左右する』(東洋経済新報社)の著者で、石黒クリニック(岐阜県岐阜市)の石澤源之院長。

ゴールデンウイークを過ぎるころになると、さらに気温が上がり、それに伴って、熱中症や食中毒などにかかりやすくなる。また、紫外線量が増えると免疫力が低下して麻疹(はしか)や風疹といった感染症にかかることもあるので、要注意だ。

こうした体の変調は、体力や生活習慣、ふだんからの体調管理により“差”が生じてくるという。そこで、春と夏に「体調を崩しやすい人」の傾向を石黒院長に聞いた。

■夜寝る前についついスマホをいじってしまう

夜寝る前にパソコンやスマホなど強い光を見ると、睡眠のリズムが阻害される。「疲労を回復させる成長ホルモンが分泌されるのは睡眠中です。睡眠の質が悪い場合や睡眠時間が短いと、十分に成長ホルモンが分泌されないので、翌日起きても疲れが取れず、スッキリしないのです。テレビやスマホは遅くまで見ないで、夜12時には布団に入るクセをつけましょう」(石黒院長・以下同)

■異動、転勤、子どもの進学などのイベントがある

新しい職場、クラスなど、新年度はふだん接する人間関係がガラッと変わる。慣れようと緊張するあまり、ストレスとなって緊張性頭痛や片頭痛の原因になることも。

「緊張性頭痛は3月から4月にかけてよく起きます。この時期には、一日の寒暖差が激しいので、筋肉が緊張するのです。また、新年度で職場が変わるなど、ストレスが原因で起きる人もいます」

その反対に、土日などリラックスしたとき、血管が拡張することで片頭痛が起きる場合も。痛みの出方に違いがあるので、予兆をキャッチして予防に役立てよう。

■歓送迎会が多く控えている

お酒を飲みすぎると、翌朝、足の親指の付け根に激痛が走るという人が増える。

「痛風の発作が最も多くなるのは春。歓送迎会やお花見など飲酒をする機会が増えることが、その一因といわれています。お酒をよく飲む人は、ビールや発泡酒など尿酸値が高くなるアルコール飲料は控えましょう」

中高年の「スマホ脳」チェック 最初からナビ機能に頼るのは危険

近年、若者世代の「スマホ依存」が囁かれており、『スマホ脳』(新潮新書)がベストセラーとなったが、真に注意すべきは50~60代が陥りやすい中高年の「スマホ脳」である。

 総務省・情報通信政策研究所が昨年発表した調査によれば、50代のスマホ利用率は88.1%、60代でも77.2%に及んでいる。その後も通信各社は次々とスマホの格安プランを提示。中高年のスマホ依存は進む一方だ。

 スマホ依存が進行すると、感情のコントロールが難しくなったり、眼の不調に直結したり、脳の機能低下を引き起こす恐れがあるとして、医師らも注意を呼びかけている。

 では、様々なリスクを孕む中高年の“スマホ脳”を防ぐにはどうすればいいか。脳神経外科医で『その「もの忘れ」はスマホ認知症だった』(青春新書)の著書がある、おくむらメモリークリニック院長の奥村歩医師は、「スマホに脳の代わりをさせすぎないこと」が重要だという。

 たとえば、以下のようなスマホの使い方には要注意だ。

●有名人の名前や映画のタイトルが思い出せないと、すかさずスマホで検索する。

●初めての場所に行くときはスマホのナビに最初から頼る。

●仕事や街角で興味を示したものを、観察せずにスマホで写真を撮って保存しておく。

「便利な機能をすべて否定するわけではありませんが、記憶をすべてスマホのメモ機能などに任せてしまうのは危険です。“思い出せないこと”や“覚えておきたいこと”にぶつかるたびにスマホに頼っていたら、人間の記憶力はどんどん錆び付いてしまいます。

 最近は“スマホで検索すれば分かりそうなことは覚えなくてもいい”という風潮がありますが、このようなスマホ任せの態度は脳が本来持つ“考える機能”の低下を招く」

『スマホ廃人』(文春新書)の著書があるジャーナリストの石川結貴氏は、「使う場所と時間を決めること」が大事だと主張する。

「本やテレビなら“このページまで読んだら”“この番組が終わったら”と区切りを付けやすいが、スマホはどこへでも持ち込めてしまうため、離れるタイミングを決めるのが非常に難しい。だからこそ、意識的に使う時と場所をコントロールする必要があります。

 最近のスマホには1日の使用状況を教えてくれる機能がついているので、それを利用する手段もあるでしょう。“食事中は見ない”“ベッドの上では使わない”と自分にルールを課すのも大事です」

 スマホはすでに我々の日常に欠かせないものになっている。だからこそ、付き合い方には工夫と節度が必要だ。

※週刊ポスト2021年4月30日号

“スマホ依存”“パンと牛乳の食べ過ぎ”が若年性がんの要因に

食の変化、スマホ、ストレス……日常生活の変化により、若者ががんのリスクにさらされている。リスクを少しでも減らすために知っておきたいこと――。

「11人に1人が乳がんになる時代で、患者数はこの30年で3倍以上に増加。それにともない、若い女性の乳がんの患者さんも増えています。実際、私のクリニックでも、20~30代の働く女性の患者さんが急増しています」

そう話すのは「新宿ブレストセンター クサマクリニック」の日馬幹弘院長。若年性乳がんが増えた背景を解説してくれた。

「乳がんの原因は、妊娠に必要な女性ホルモン『エストロゲン』の過剰分泌です。現代の女性は昔と比べて、小学校高学年からと初潮が早くなっていて、月経期間が長いのです。

月経前は女性ホルモンが多く分泌され、乳腺が『エストロゲン』にさらされます。妊娠・出産することで、一時的に『エストロゲン』の分泌は止まりますが、少子化の時代、若い女性の出産回数の減少も乳がんの増加に関係しているのです」

気がかりなのが、乳がんだけにとどまらず、子宮頸がんなど、若い女性にがんが増えていることだ。国立がん研究センターによる、がん患者数の統計がある。それによると、’86年から’13年までの間に、20歳から34歳までの年代で、がん患者数は1.4倍になっているのだ。

若年性がんの増加について、外科医として4,000例以上のがん手術を行ってきた「西台クリニック」院長の済陽高穂先生がこう語る。

「がんは特別な病気と思われがちですが、実は若い人でもがん細胞は毎日できています。しかし、がんにならないのは免疫システムががん細胞を日々排除してくれるからです。ところが、若い人のなかには“免疫力”が低下している人が少なくない。その原因の1つがスマホ依存です」

がんとスマホ――。どんな関係があるのだろうか?

「がん細胞の排除に貢献するのが白血球の『リンパ球』です。この『リンパ球』は、自律神経の1つで心身を休ませる副交感神経の働きが高くなると、数が増加します。ところが、夜になってもブルーライトの強い光を発するスマホを使い続けることで、体は昼だと思い込み、体内時計が狂ってしまいます。その結果、副交感神経の働きも低下します」

SNSやメールには、ストレスになるものも多い。スマホを手放せないことで、つねに副交感神経の働きが低下してしまうのだ。“スマホ依存”には、ほかにも若年性がんを誘発する原因がある。

「ベッドでスマホを使うと、睡眠不足になります。そうすると“睡眠ホルモン”といわれる、抗酸化作用が高く、抗がん効果が期待できる『メラトニン』の分泌量も激減するのです」

若年性がんの増加にはライフスタイルの変化も大きく影響している。とりわけ乳がんの増加に関しては、食生活も深く関わりがあるようだ。「乳がんの発症には遺伝的な要因もありますが、食事も関係します。乳がんの患者さんには、パンや乳製品、甘いものが好きな人が多いのです」

そう話すのは『パンと牛乳は今すぐやめなさい!』(マキノ出版)の著者で「葉子クリニック」の内山葉子先生。

「日本で市販されている“モチモチ”のパンは、品種改良された小麦を使っていて、腸などにダメージを与える『グルテン』を多く含みます。そのうえ、砂糖や欧米では使用が規制されている『トランス脂肪酸』が多いショートニングやマーガリンなどの添加物が使われています。

そんなパンは消化しきれない“未消化物”を増やし、グルテン自体が免疫をつかさどる腸で、炎症を起こりやすくします。免疫力も下がってしまうのです」

また健康にいいと思っていた牛乳にも問題があるという。

「牛乳には本来、牛の赤ちゃんが体重を1日1キロ増やすために必要な、成長ホルモンの『IGF-1』が含まれています。この成長ホルモンと乳がんとの関連が多くの論文で報告されています。さらに、現在、多くの乳牛には、がんとの関係が深いとされているホルモン剤や抗生剤などが投与され、その成分が牛乳にも含まれているのです」

スマホ中毒50代男性 「会話はLINEで」と妻にメッセージ送る

日本国中、老若男女がスマートフォンを操っている現代。スマホなしでは生きていけないという人も多いが、なかには「スマホ中毒」と呼ぶべき状態に陥っている人もいるようだ。

大阪府に住むパート勤務の女性Fさん(51才)は、警備会社に務める夫(52才)と2人の息子と4人暮らし。この夫がかなりのスマホ中毒だという…。

 * * *

「携帯なんて、通話さえできたらいいんだよ」と、10年以上使っていたガラケーがとうとう壊れて、スマホデビューを果たした夫。

 どうせ通話くらいしか使わないだろうと思っていたんだけど誤算だったわね。朝起きたら、すぐに枕元のスマホに手を伸ばし、食事中も左手でスマホをいじり、トイレの中まで。

 そのうち、話しかけても顔はスマホを見たままで、「ああ、そうだな」とか「おお」とか。

この前は「お風呂、入ってよ」と言ったのに「うん、そ

れでいいんじゃないか」って言うから「いい加減にしてっ!」と、テーブルをドンと叩いたわよ。

 すると5秒後に私のスマホが鳴り、何かと思えば夫からLINEで「ごめんね」とぺこりと謝っているスタンプに続き、半分開いたドアからそっと覗き込んでいるスタンプが。

「あのさ~」と怒るとまたまた着信音で、「会話はLINEでお願いします」と、おじぎしているスタンプが。

 ガラケーなら間違いなく半分にへし折ってたけど、スマホじゃそれもできやしない!

外出自粛でゲーム依存の相談急増「成績下がり、学校に行けなくなった」

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛の影響で、パソコンなどのゲームにのめり込む子供らが増えてゲーム依存症が拡大する懸念が高まっている。依存症患者の支援組織には親からの相談も相次ぐ。

 大阪市の主婦(43)は、昨春の一斉休校を機に小学1年の次男(6)がゲームをする時間が増えたと心配する。兄が使わなくなった携帯ゲーム機で遊ぶようになり、学校再開後も毎日1~3時間ほど必ず手にとる。

 外で遊ばせるのが心配な上、現在は学校や習い事に行く前にゲームをやめ、宿題も真面目にこなすため、静かに見守るが、「将来スマートフォンを持ち始めると親のコントロールができなくなるかも、と考えてしまう」と不安を漏らす。

 ゲーム依存症からの回復支援などに取り組む「MIRA―i(ミライ)」(東京都)ではコロナ禍の影響で昨夏以降、子供のゲーム依存に悩む親の相談が2倍ほどに急増した。「ゲームから離れられず、生活リズムが戻らない」「成績が下がり、学校に行けなくなった」などの声が寄せられる。

 国民生活センターによると、オンラインゲームの課金絡みのトラブルも増加。2020年4~12月の関連相談は4544件と前年同期比で1・3倍に増えた。

 ゲームやネット依存の専門外来がある国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県)が昨年5~6月、通院患者80人(12~44歳)を対象に実施した調査によると、感染拡大前の昨年2月に3・9時間だった1日平均のゲーム時間(オンライン)が5・4時間になり、半数前後は「ひきこもり」や「睡眠障害」などが悪化したという。

 厚生労働省研究班の17年度の調査では、ゲームやネットに依存しているとみられる中高生は93万人と推計される。センターの樋口進院長は「依存症患者の実態は不明だが、外出自粛で在宅時間の増加が続けば、患者数はさらに増える可能性がある」と指摘する。

 世界保健機関(WHO)は19年5月、ゲームにのめり込んで生活や健康に深刻な影響が出た状態を「ゲーム障害」と名付け、ゲーム依存を、アルコールやギャンブルなどの依存症と同じ精神疾患と位置づけた。▽時間や頻度を制御できない▽他の生活上の関心事よりゲームを優先する――などが主な症状の特徴だ。

 「MIRA―i」でカウンセラーを務める臨床心理士の森山沙耶さんは「子供の頑張りに目を向け、コミュニケーションをとりながらゲームの時間を決めるなど、一緒にルールを作ることが大切」と助言する。

依存症の怖さはやめられないことではない

覚せい剤や違法薬物で4回も逮捕されたタレントの田代まさし氏、アルコール依存症であることを告白した元TOKIOの山口達也氏など、世の中には依存症に苦しむ人のなんと多いことか。

ちなみに平成16年版犯罪白書によると、平成15年年末において,受刑者の24.8%が覚せい剤受刑者。再犯者も多い。

覚せい剤は確かに恐ろしい薬物だが、多くの依存症医療者がそれ以上に恐ろしいのはアルコール飲料だという。

覚せい剤と違って、アルコールは24時間コンビニで買えるからだ。しかも本来アルコールが苦手という人でも、甘く味付けされたものはジュース感覚で飲めてしまう。値段もジュースより安いものがあるくらいだから、気軽に手が出せる。

ちなみに「毎日お酒を飲んでいる=アルコール依存症」というわけではないそうだ。臨床心理士の信田さよ子著『依存症』によると問題は【何が起こっているか】であり【家族で楽しく晩酌しながら会話ができ、疲れが取れてよく眠れていれば、それはアルコール依存であってもアルコール依存症ではない】という。

依存症には多くの種類がある。例えば買い物依存症というものがあるが、普通毎日買い物をしても買い物依存症にはならない。つまり依存症とは「自分と周囲に迷惑をかけるかどうか」なのだ。

ベトナム戦争のとき、米兵の20%が覚せい剤より強い依存性があるヘロイン依存症であったが、帰国してもヘロイン依存症だったのはわずかに5%。95%は、依存症にはならなかった。なぜか?

95%の帰還兵には、薬物以上に幸せをくれる温かい家族や友人、仕事があり孤独にならずにすんだからだ。

依存症の本当の怖さは、本人における底なしの孤独感にある。この孤独感を埋めない限り、一つの依存症を克服しても、他の依存症になったり、何度も同じ依存症を繰り返すことになるのだ。

プロフィール

おぐらおさむ
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、社会問題全般に関心が高く、歴史、時代劇、宗教、食文化などをテーマに執筆をしている。2004年、富山大学教養学部非常勤講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。空手五段。

ダメなのはわかっているのに… 「寝る前スマホ」の呪縛から逃れられない人たち

 寝る前の“ナイトルーティーン”は人それぞれ。気をつけておきたいのは、寝る前にスマホばかり見ていると、脳が覚醒してしまい、睡眠の質が脅かされてしまうということだ。このように「寝る前スマホ」がよくないことは、多くの人が知っているが、それでも「スマホがないと眠れない」という人たちがいる。

 IT企業で働く30代の男性会社員・Aさんは、“スマホ寝落ち”する日々を送っている。在宅勤務に移行してから起床時間が遅くなったこともあり、以前よりも夜ふかしするようになり、スマホをベッドに持ち込んでずっといじっているのだという。

「ソシャゲ(ソーシャルゲーム)を周回、スマホでまとめサイトをぐるぐる、Twitterをチェック、それから音楽も聴いています。だいたいそんな感じで、気づくと寝ています。眠りが浅かったり何度も目が覚めたり、睡眠の質が悪い自覚はあるのですが、やめられません」(Aさん)

 睡眠にとってマイナスだということは、重々承知しているAさんだが、スマホをいじって寝落ちしないと、不安やイライラが募ってしまうのだという。

「画面の明るさを一番暗い設定にしているとはいえ、目や睡眠に悪いことはわかっています。でも僕にとってストレス発散の手段でもあり、スマホをいじらないとかえって寝付けなくなってしまうんです。一度ベッドから遠いところに置いてみたことはあるのですが、なんだか不安になって、結局取りに行ってしまいました」(Aさん)

 アパレル関係企業に勤める30代の女性会社員・Bさんは、スマホでラジオやYouTubeを流しながら寝落ちする。

「スマホがないと眠れません。SNSやネットを見ることはあまりないのですが、ラジオやYouTubeを流すと、一発で眠れるんですよね。一応興味がある番組や動画を選びますが、その内容はほとんど覚えていません(笑)」(Bさん)

 Bさんは、もともとテレビや音楽をつけっぱなしにして寝るタイプだった。「音がないと不安なのかも」と自己分析する。

 小売業で働く20代の女性会社員・Cさんは、就寝前から起床時まで彼氏や友人とLINE通話をつなぎっぱなしにする「寝落ち通話」がお気に入りだ。

「イヤフォンをつけて相手の声を聞いていると、まるで隣でささやかれている感じがして、なんとなく落ち着くんです。会話もするので、ついつい夜遅くに寝落ちしがちなことが難点ですが……。付き合ってくれる人がいなくなったら、寝付けるのかなと心配です」(Cさん)

 わかっちゃいるけど、やめられない。「寝る前スマホ」の問題に悩まされている人は、少なくないようだ。

いつもスマホが招く脳過労 物忘れが増えたら要注意

パソコンやスマートフォンの使い過ぎで、脳が過度に疲弊している人が増えているという。「脳過労」になると、認知症やうつに近い症状がでることもある。リスクを知り、デジタル機器の使い方を見直したい。


 「ここ10年ほどで働き盛りの30~50代が『もの忘れ外来』を受診するケースが増えている」。こう語るのは脳神経外科医で各地から患者が訪ねる、おくむらメモリークリニック(岐阜県岐南町)院長の奥村歩氏だ。パソコンやスマホの使用頻度が高まり、文字や写真、動画などの情報過多によって脳が疲弊し、「脳過労」の状態になっていることが大きな要因と考えられる。


 私たちの脳は視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感を通じて情報を「入力」し、前頭葉と呼ばれる場所で情報を取捨選択して「整理」を行い、言葉や行動として「出力」している。「入力される情報量が多くなると、処理しきれずに氾濫し、脳がゴミ屋敷のような状態になる」(奥村氏)。そのまま情報を入力し続けると脳過労を引き起こす。


 脳神経科学が専門の早稲田大学教授の枝川義邦氏によると、情報の整理を行う前頭葉のなかにある前頭前野という場所が、思考や意思決定、記憶や感情のコントロールなどをつかさどっている。脳過労になると前頭前野の機能が低下し、「単純なミスが増える、物覚えが悪くなる、イライラして怒りっぽくなる、意欲や興味がわかないなどの問題が生じてくる」(枝川氏)。これらは初期の認知症や抑うつ状態の症状に似ている。


 仕事でパソコンを使って複数の作業をこなしたり、家事を同時並行で行ったりしている上に、息抜きにスマホでSNS(交流サイト)を見たり、ゲームをしたりしているという人は要注意だ。スマホは文字に加え写真や動画を通じて色、光など情報量が多く、ただでさえ疲れた脳にさらに負荷をかける。


特に「テレビを見ながらスマホを使うといった『ながらスマホ』は、脳に過度のストレスを与える」(奥村氏)。わずかな空き時間でもスマホをいつも操作している、仕事や家事の段取りが悪くなった、物忘れが増えたといった兆候が複数見られる場合は、脳過労になっている可能性がある。


 脳過労を改善・予防するためには、前頭葉での情報処理がスムーズに行われる状態をつくることが大切になる。カギとなるのが「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」という脳の回路だ。DMNは思考など意識的な活動をしていないときに活発に働く。枝川氏は「ぼんやりしているときや眠っているときに顕在化し、情報や記憶を整理する役割を果たしている」と解説。DMNの働きで脳がメンテナンスされる。


 仕事でパソコンに向かい、プライベートでも四六時中、スマホを手にするような生活では、DMNが機能する機会が奪われる。スマホは便利だが、使用目的や時間を限って活用するのが賢明だ。「トイレや浴室、寝室にはスマホを持ち込まない、食事中や会話中にはスマホを出さないといった工夫で、手放す時間を増やすといい」(枝川氏)奥村氏は「皿洗いや拭き掃除などの単純作業や、ゴルフの素振り、散歩など単調なリズム運動を行うと、自然とぼんやりした状態になれる」と助言する。


夜の睡眠を十分にとるほか、昼休みなどに15分程度の昼寝をするのも有効だ。昼寝が難しい場合は「イスに腰掛けたまま、目を閉じて姿勢を正し、5分ほど呼吸に意識を向けるだけでもDMNの効果がある」(枝川氏)。奥村氏は「スマホをいつ、何に、どれくらい使っているかを記録してみて、本当に必要な場面を見直すことから始めてみては」と勧めている。
(ライター 田村知子)[NIKKEIプラス1 2020年2月22日付]


大麻やMDMAを入口に、さらに危険な薬物にハマる悪循環

 薬物に詳しいと自称する人には、なぜか「●●なら害はない」「●●はコントロールしやすい」といったクスリの優劣をつける人が少なからずいる。しかし、その発言は無責任に過ぎると危険ドラッグの取材を続けてきたライターの森鷹久氏はいう。大麻などのゲートウェイドラッグを軽い気持ちで使用したことをきっかけに、より依存性や副作用が強い薬物への扉を開いてしまった者の後悔と、薬物との関わりを絶つ唯一の方法についてレポートする。

 薬物使用、所持による芸能人、有名人の摘発が相次いでいる。大きく報道されたものだけでも、今年3月にコカインを使用したとして逮捕されたミュージシャンで俳優のピエール瀧(52)に端を発し、5月には元・KAT-TUNの田口淳之介(33)が大麻所持で、11月6日には同じく大麻所持でスノーボード元日本代表の国母和宏(31)、覚せい剤所持で元タレントの田代まさし(63)が検挙、そして今回、合成麻薬所持の疑いで女優の沢尻エリカ(33)が逮捕された。

 さて、一般人にとってみれば、大麻にコカイン、合成麻薬や覚せい剤、そして筆者が長らく取材を続けてきた「危険ドラッグ」との違いなど知る由もないだろう。全てが手を出してはいけない危険な薬物である、ということに変わりはないと、まず断言しておきたい。しかしここにきて若干の、いや、一部の若者にとっては「当たり前」になってしまった危険な感覚が蔓延しつつある。冒頭に羅列した芸能人の中でいえば、覚せい剤の田代のみがアウトで、他の芸能人は大麻やコカインだから”大したことがない”という風潮だ。

 もちろん我が国では、前述した薬物の所持はいずれも各法律によって厳罰に処される。しかし、前述の“大したことがない”という考えに染まっている人たちは、薬物の中で大麻は比較的ライトなドラッグとして捉えられている。彼らがよく例に出すのは、ヨーロッパの一部では所持も使用も合法であり、欧米でも嗜好用大麻の解禁が相次ぐなどしているという事実だ。そういった事情が、若者と大麻の距離を近づけていることは間違いない。さらにミュージシャンの中には、大麻だけでなくコカイン、合成麻薬の所持や使用で逮捕されても、復帰して人気を博している人だっていることから、覚せい剤以外の薬物犯罪は他の犯罪と違って軽いという奇妙な考えに至る人もいる。

 一方で、これらの薬物が「我が国では所持や売買が違法」とされている理由について、果たしてどれだけの人が理解しているだろうか。そこには、根拠と呼ぶには心許ない現実がある。深淵を覗く時、深淵もまた…、ということである。関東地方にある薬物依存者更生施設関係者の弁。

「大麻がタバコより依存性が低いなどといった研究結果があることは承知している。なぜ大麻を解禁しないのか、という声があるのもわかりますが、そもそも大麻の研究が、海外に比べて日本ではほとんど行われていません。医療用でも研究はこれからというレベルなのに、ましてや嗜好目的での解禁という議論などできるわけがない。だからといって薬物使用者が、そういった理屈、例えば自身が抱える難病の治療、症状緩和ために止むを得ず使っているのかというと、ほとんどが違います。国内での所有もダメなのに”法律がおかしい”といって購入して使用してしまう人たちには、そもそも遵法意識がない。法治国家において信用がない人ということ。遵法意識のなさは、暴力団など反社組織が付け入る格好の隙になります」

 大麻に関して「法律を変えろ」と訴えながら、コッソリ大麻を使用(使用するからには所持しなければならないので法律違反)してしまえば、その説得力はゼロになる。某元女優は全く同じ道筋を辿り逮捕され、社会的な信用を失墜させた。国母が大麻取締法違反で逮捕された同日「大麻が違法なのはおかしい」とする記者会見を開いたが、彼女の主張が仮に正しかったとしても、法律を破りながらの訴えでは、まともに聞き入れようとした人はごくごく僅かだっただろう。

 そして何よりも、大麻という違法薬物を入手するためには、暴力団などの法律を守るつもりがない人々と接点を持たなければならないという点も忘れられがちだ。

「クサ(大麻)は気持ちよくなるだけやし、罪悪感はなかったですね。クサを引きよった(購入していた)のは地元の暴力団で、そのうちタマ(合成麻薬・MDMA)もあるけん買わんや、ってすすめられて。断ったら大麻のことバラされるかも知れんでしょ、仕方なく買うたけど捨てました。シャブ(覚せい剤)勧められたのはそれからすぐですよ。クサ買いに行ったらその場で“お試し”って言われて、吸わされて。シャブだけは絶対にせん(しない)、と思ってましたけど、一回やったらダメでした」

 こう回顧するのは、他でもない、九州に在住する筆者の後輩である。もともとお調子者ではあり、十代の頃から繁華街のクラブに出入りしては酒を飲み、喫煙していた。しかし、父とは死別し女手一つで育てられた彼は、母親だけは絶対に困らせまいと仕事にも大いに打ち込み、家賃や生活費などは全て負担した。しかし二十歳の成人式を迎える前に、覚せい剤の所持と使用の疑いで逮捕されたのだった。

「大麻は影響が少ないていうでしょ、俺もそう感じてました。シャブなんかより全然大丈夫って思ってました。でも今考えるとですね、クサに手を出した時点でこうなることは決まっとったんです。クサも初めて吸ってみて気持ちよくなってやめられなくなった。シャブもそうです、一回やったらもう手放せんように…」

 幼少期に親や年長者に言われた「悪い人と一緒にいてはいけない」ということ。それは、子供である私が「悪くなっては困る」ではなく「悪い人に取り込まれてしまう」という心配、そして純然たる親心なのだ。後輩は結局覚せい剤の使用などで三度逮捕されたが、三十路で子供ができて心を入れ替えた。それでも「いつかまたやってしまうかも知れないという葛藤」と日々戦い続けている。

 現在、MDMAなどの合成麻薬、コカインは一般的には「ファッションの延長」で使用する人が多いと言われる薬物だ。前者は大麻より末端価格が安く、2000年代前半には渋谷センター街の露店でも気軽に買えるほどのシロモノで、筆者が通った渋谷のクラブでも愛用者は多かった。一粒摂取すれば高揚感が増し、音楽がよく聞こえたり、異性と関係を持つときなどに利用された。しかし、のちに死者が続出した危険ドラッグ同様、違法な人たちが違法に売りさばく”ブツ”には何が入っているかわかったものではなく、利用者は次第に減っていった。そしてコカインの末端価格は大麻の1.5倍から2倍程度、摂取すればすぐに効果が現れるが、すぐに幻覚作用が消えてしまうために、一部では富裕層のための「セレブドラッグ」などとも呼称される。

 筆者の取材によれば、約10年前に危険ドラッグが流行し始めたのは「大麻の取り締まりが厳しくなったため」であった。中には、合成麻薬や覚せい剤よりも安価で“キマる”と危険ドラッグを手にするユーザーもいた。危険ドラッグの規制が強化されると、再度大麻の流通量が増え、摘発件数も急増した。これが何を物語っているのか。

「薬物を取り巻く現状は、おそらくずっと変わっていないし、これからも変わらないでしょう」

 以前筆者の取材に応じてくれた元暴力団幹部は、三十年以上前から違法薬物の売買に関わってきた“元売人”である。

「大麻から合成麻薬、そしてシャブという順序で客を落としていけば(引き込んでいけば)金になります。大麻や合成麻薬がなければ、昔はシンナーだったりトルエンを捌いた。最近はそれが危険ドラッグに変わった。売人は客を見て捌き方を変えますから、相手が金持ってて長く付き合えそうならコカイン、たまにシャブ。ガキ相手なら大麻かなんかで釣って、最後はシャブで落とす。落とすといっても、廃人にしちゃ儲かりませんのでうまくやろうとするんですけどね、客がその間に勝手に壊れる。クスリにも流行があるから、今、芸能人が大麻だコカインだってやれば、若い連中にも絶対に流行る。それで規制されて、訳のわからないクスリが出回る。その間にも、シャブに手を出す奴らも必ずいる。このサイクルです」

 好奇心が強く付き合いがよい人ほど、深みへと引きずり込まれやすい薬物の問題。どうすれば防げるのか。

「例えば車を運転していて”もっとスピードを出してスカッとしよう”と、助手席に座る友人から言われたらどう思いますか? 危ないし、捕まるのは自分だから嫌だと思いませんか? 結局、薬物に誰かを誘うと言う人は、自己の快楽のために相手を利用してやろうという感覚しかない。そういう人を友達と言えるのか、考えればわかること。薬物の利用者に、生まれた時から薬物が好き、興味があったという人はいない。皆、こうやって取り込まれていくのです」(元売人)

 知人友人を無くそうとも、その場の空気を読まなくてもよい。もし自身の近くに”薬物”が現れたら、とにかくその場から離れ、関係をきっぱり絶つことだけが唯一無二の防衛策なのである。

なぜ「ゲーム障害」の患者にADHDの人が多いのか 医師が解説【発達障害とゲーム依存】

【発達障害とゲーム依存】

 世界保健機関(WHO)から正式に疾患と認定された「ゲーム障害」。その患者には、発達障害の人が多い傾向がある。特に「注意欠如・多動性障害(ADHD)は、ゲーム依存となる上での大きなリスク要因だ」と、久里浜医療センター院長の樋口進医師は言う。なぜゲーム依存にADHDの人が多いのか、樋口医師に解説してもらった。

「ADHDはAD(注意欠如障害)と、HD(多動性障害)に分かれますが、特にゲーム依存と合併しやすいのはADですね。まず傾向として、AD患者は退屈さを嫌う傾向がありますが、オンラインゲームは片時もプレーヤーを退屈させないように、さまざまな仕掛けを凝らしています。それに加えて、これはADとHD双方に言えるのですが、強化要因にすぐなれる傾向があります。つまり、スポーツや普通の趣味だと、面白いと一時思っても、すぐそれになれてつまらなくなってしまう。しかし、ゲームは絶えず新しい強化要因、つまり面白さを提供してくるので、飽きることなく続けられるのです」

■目の前の利益に飛びつきやすい

 かつてゲーム機でプレーしていたRPGなどといったゲームには、クリアというゴールがあったが、いまのオンラインゲームには明確なゴールがなく、いつまでも続けられる。さらに、運営側は定期的にゲーム内容をアップデートして、新しいキャラクターや舞台、アイテムなどを提供し、いつまでもプレーヤーを飽きさせないように絶え間なく刺激を与え続ける。

「また、ADHDの人は遅延報酬を嫌うということも、ゲーム依存と合併しやすい要因のひとつです。これはたとえばいますぐ100円もらうのと、1日後に1000円もらうのでは、いますぐ100円をもらうほうを選んでしまうように、目の前の利益に飛びつきやすい性質をさします。ゲームに熱中しすぎて学校に行かなくなると、将来的に困ることになることまで頭が働かず、目の前の刺激を優先してしまう。いまほしいアイテムを入手するために高額の課金をしてしまうのも、これが原因です」

 さらに衝動のコントロールが苦手なことや、こだわりがあることも、ゲームにはまりやすく、抜け出しにくい傾向を強化していると、樋口氏は言う。

「あとは、発達障害の人全般に見られる、現実社会に対する不適応ですね。対人関係がうまくいかなかったり、不注意などが多くて注意されることに彼らは日頃多くの違和感を持っていますが、ゲームの世界では仲間をつくったり、レベルを上げて成長したりということがすんなりできてしまう。そのことが、発達障害の人のゲームへのとらわれを強化し、結果的にさらに現実社会への適応を悪くしてしまう傾向は確かにあると思います」

(フリージャーナリスト・里中高志) 

スマートフォン症候群って? 肩こりや腱鞘炎引き起こす

「頸部痛と腰痛―スマートフォン症候群って?」について、岡山ろうさい病院(岡山市)の田中雅人副院長・整形外科部長が寄稿した。 今回は頸部(けいぶ)痛と腰痛についてお話しさせていただきます。

 頸部痛は働き盛りの年齢で2番目に多い症状とされています。その原因の一つに挙げられるのが、コンピューターやスマホの画面を常に見ながらキーボードを打つ作業が増えてきていることです。スマホの長時間使用によって、肩こりを中心として、腱鞘炎(けんしょうえん)、眼精疲労、視力低下などの多くの症状を来す病気は「スマートフォン症候群」と呼ばれます。

 日本のスマホ普及率はなんと50%を超え、2人に1人はスマホを持っていることになります。近年、スマートフォン症候群は社会現象にもなっているようです。

 主に女性の方ですが、掃除や洗濯などの家事で手を使うことが多く、なで肩に代表される頸部から肩回りの筋力がないことも、肩こりを起こす原因の一つです。五十肩に代表される肩関節の痛みは、肩の動きが痛みのために制限され、夜間に痛みが強くなるという特徴を持っています。

スマートフォン症候群の予防法としては、スマホを30分ぐらい使用したら一度は休憩を挟み、頸部や肩のストレッチ体操をすることです。また、モニター画面をのぞき込む時にうつむきにならないよう、高い位置にモニターを持ってくることが望ましいです。

 肩や首の痛みが長引いたり、手に電気が走るような痛みが出てきたりした場合には、近くの整形外科の医師に相談することをお勧めします。

 次は働き盛りの年齢に最も多いとされる腰痛です。太古、私たちの祖先が2本足で直立した時から、腰痛は避けられない運命となっています。立つためには腰回りは細くなる必要があり、さらには重力にあらがうため、椎間板と呼ばれる背骨の軟骨は、他の動物よりも早く傷んでしまうことになりました。

 腰痛を来す代表的な疾患とされている腰椎椎間板ヘルニアは、背骨の骨と骨の間にあるクッションの椎間板が後方に飛び出し、神経を圧迫することによって生じます。

 腰痛の対処法の第一は、腰痛体操や散歩などで腰回りの筋肉を鍛えることです。もし適切な運動をしないまま極端な減量をしてしまうと、主として筋肉の量が減ってしまい、かえって腰痛が悪化してしまうことがあります。

 第二は、日常生活での姿勢に注意することです。中腰で重いものを持つことが腰に非常に大きな負担をかけます。第三は、残業や大掃除などにより腰に負担をかけたことが明らかな場合は、痛みが和らぐまで無理をしないようにすることです。

 病院での治療は、腰を温める温熱療法、腰椎牽引(けんいん)療法、腹筋や背筋を鍛える腰痛体操などがあります。さらに腰痛が長引く場合は、痛みを和らげる薬、腰を保護するコルセット、ブロック注射などがあります。最近ではヘルニコアという薬を注射し、腰椎椎間板ヘルニアを吸収して圧迫を取り除く治療が可能となっています。

 また、局所麻酔下で内視鏡を使用し、最小侵襲の方法(PED)でヘルニアを切除することも可能です。皮膚の傷は6ミリ程度で、数日の入院期間で済みます。

 さらには、Oアームという最新の機械で手術中にCT撮影し、コンピューターで制御された手術台や脊椎ナビゲーションを駆使することにより、傷んだ背骨をしっかりと固定する手術法もあります。傷はほんの数センチです。当院をはじめ限られた病院で行われています。

 岡山ろうさい病院(086―262―0131)。

<危険ドラッグ>「史上最悪」…悪質化 成分複雑で治療困難

危険ドラッグの広がりを受け、治療にあたる医師やリハビリ支援団体が対応に苦慮している。覚醒剤など既知の薬物と違い、正体不明の薬物や不純物が含まれていて治療法の見極めが難しいうえ、使用者に違法との認識が低く、治療に消極的だからだ。

専門家は「史上最悪の薬物」「従来の薬物より危険」と口をそろえる。危険ドラッグの販売、広告の規制強化を主眼とした改正薬事法が17日、施行されるが、リハビリは長期間にわたり、横行防止は急務だ。

禁止薬物は覚醒剤のような興奮作用を持つ「アッパー系」と、大麻のような陶酔感を引き起こす「ダウナー系」に大別できる。従来の薬物では常習者がより強い作用を求めて両方を同時に使う例があった。

しかし、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所(東京都小平市)の松本俊彦医師によると、多くの危険ドラッグはこの二つに加え、幻覚作用のある「サイケデリック系」まで「調合」されているという。

 販売や使用が禁止される指定薬物の範囲が広がるのに伴い、危険ドラッグは成分が変わり悪質になっている。

製品ごとに成分が違ったり不純物が混じっていたりするため、どの治療法が有効か判断するのが難しく、幻覚や妄想などの症状が似ている覚醒剤の治療を応用しているのが現状だ。依存性も非常に強く「覚醒剤の方が治療がはるかに楽」(松本医師)とまでいう。

 薬物依存症患者を支援する日本ダルク本部(東京都新宿区)によると、2年前から危険ドラッグの相談件数が覚醒剤や抗うつ剤などの件数と並び始めた。入寮生活で回復を目指す大津市のびわこダルクでは、危険ドラッグの相談がこの1年、覚醒剤を上回っている。

 びわこダルクの猪瀬健夫施設長(50)によると、危険ドラッグ使用者は他の薬物使用者に比べ支援が難しいという。「これまでダルクでは薬物依存症の『先輩』の回復する姿が『後輩』に影響を与えてきた。

ただ、危険ドラッグの使用者は『違法行為はしていない』という思いがあり、真剣に回復しようと考える人が少ない」と話す。

危険ドラッグ 死亡例が相次いでいるのにやめられない理由は

連日のように危険ドラッグが原因とみられる事件や事故が報道されている。なぜ、危険だとわかっていても、彼らはやめられないのか。

それは、パートナーがいるかいないかに関わらず、使用したうえでの性行為をやめられなくなっているからだと『脱法ドラッグの罠』(イーストプレス)の著者、森鷹久さんは断言する。

「数十人の危険ドラッグ使用者に取材していますが、全員が危険ドラッグを使用した性行為をしており、それがやめられなくなっていました。パートナーがいない人でも、使用した上でネットのアダルトサイトを見て楽しんでいました。

そういう目的で危険ドラッグを使い始め、依存が強くなると性行為とは関係なく買ったらすぐ使いたくなり、移動の車の中でハーブをすって事故を起こしているのです」

 危険ドラッグを始めたきっかけは一時の快楽のためだったはずなのに、最近ではそんな生易しいものではなくなり、快楽とはほど遠い感覚しか得られない。

「ハートショット」や「green made Legend」といった最新の危険ドラッグは、使用が原因で死亡したとみられる事件が何件も確認され、警察も成分の鑑定をすすめながら警戒していると報じられている。

「危険ドラッグは、今では快楽を味わうために使うことすらできない、とにかく危険なものになってしまいました。新興ドラッグとして『合法ハーブ』『脱法ハーブ』などと呼ばれるものが日本へ入ってきたのが2007年ごろ。

その後、法規制をすり抜けるために変化するうちに、約2年前は第5世代だったものが現在では第16、17世代まで進化したといわれています。

 他の薬物の使用経験がある人も取材していますが、危険ドラッグは依存度が著しく高いという印象が以前からあります。また、最新の危険ドラッグは前触れなく突然、落ちるように気を失うのも特徴です。

製造業者は以前より効きが悪いものはつくらないので、今後もますます危ないものになっていくでしょう。今でも使用するだけで即死するかもしれないのに、これからますます得体がしれない危険物になっていくと思います」(前出・森さん)

 最近では、危険ドラッグを使用して交通事故を起こした人物が全身を不自然に震わせながら奇声を発する様子が報道されるなど、その恐ろしさを知る人も増えた。

ところが、いったん危険ドラッグの使用を始めて依存した人は、なかなかやめない。新しいものであれば法律に違反しないで手軽に買えること、価格が安いことが、やめるきっかけを奪ってもいるという。

「危険ドラッグは大麻の3倍安くてお得なんです。最新のものは法律で禁じられていないから、気軽に変えます。条例が制定されても、関係がない都道府県にお店を置いて通信販売で売るんです。

今はお金がないから大麻ではなく危険ドラッグを買ったという人もいましたし、十代の子どもが何人かでお金を出し合って回しのみしている様子も見ました。

 いまだに規制はザル状態です。こんな状態では、犠牲者が増えるばかりです。危険ドラッグは使うだけで即死するような危ないものだと、警察や行政も本気で知らせるべきです」(前出・森さん)

 貧困ビジネス化の側面もある危険ドラッグのまん延は、日本社会の変化を正直に映しているといえそうだ。

加齢による膣の潤いの低下...あなたのデリケートゾーン臭ってるかも!?

30代以降の女性の中には、以前はそれほど気にならなかったのに、最近デリケートゾーンの臭いがきついような気がする…という方はいらっしゃいませんか?今回は、この気になるデリケートゾーンの臭い、特に加齢とともに強くなってくるように感じられる臭いについて、医師に解説していただきました。

デリケートゾーンって普通どんな臭いがする…?

まず、初めに女性のデリケートゾーンは、どんな臭いがするのが正常か、ということについて言っておくのがよいでしょう。近年の清潔志向によるものか、正常な女性のデリケートゾーンは無臭、あるいは限りなく無臭に近い、と考えておられる方を見かけますが、実はそうではなく、軽く酸っぱいような臭いがするのが普通です。

この時点で、胸をなでおろした方々は、おそらく少し気にしすぎの傾向があったのかもしれません。

ただそれ以外の、
・強い臭い
・腐敗臭のような臭い
・以前とは明らかに異なる臭い
がする場合は注意が必要です。

ショック!きついにおいの原因が加齢!?

年齢を重ねることで、デリケートゾーンが臭うようになったと感じられるのは「加齢による膣の乾燥」が考えられます。
女性ホルモンの変化により、膣の自浄作用が、腟の潤いの低下によって少なくなってしまうものです。

ただ他にも色々な原因が考えられます。

■体質的なもの
いわゆるワキガの原因となるアポクリン腺はデリケートゾーンにも存在するため、俗に「すそワキガ」と呼ばれる、独特の臭いが体質的にある場合もあります。

■生理サイクル
生理のサイクルによって、膣内の潤いや細菌の状態が変わり、周期的に臭いが強くなるケースもあります。

■雑菌の繁殖
ナイロンのパンティーストッキングなど通気性の悪い衣類を長時間身に着けたり、きついジーンズなどを日常的に履いたりすることによる蒸れも、陰部の雑菌の繁殖に繋がり、臭いの原因となることがあります。

デリケートゾーンを洗いすぎるのもNG!

最近比較的増えているのが、臭いの気にしすぎから、洗浄力のつよい石鹸で頻繁にデリケートゾーンを洗うことによって、自然な膣の常在細菌叢までも洗い流してしまい、かえって炎症や感染を起こしやすくなるというもの。デリケートゾーンに洗いすぎは禁物。一日一回程度、できればデリケートゾーン専用の洗浄剤で洗う程度で十分です。

【医師からのアドバイス】

臭いの話題は何かとデリケートな部分もありますが、異常なのか正常なのか判断に迷ったらやはり医療機関で、偏らない立場で診断してもらうことが大切ですね。ずっと悩んでいた問題にも解決策が見えてくるかもしれませんよ。

覚せい剤・大麻・シンナー…薬物依存症、どう治療したらいい?

「依存症」とは、ある特定の物質の摂取や行為によってもたらされる刺激を、くり返し強く求めるようになり、それがないと精神的にも身体的にも不快な症状を引き起こす状態のことです。その代表的なものの1つが薬物依存症です。

現在日本で流行している薬物には覚せい剤・大麻・シンナーといったものがあります。これらを乱用すると、脳や脊髄などの中枢神経に作用して精神を興奮させたり抑制したりするため、この刺激を得ることが快感となってしまいます。

薬物よっては精神だけでなく身体にも障害をきたします。こうなると社会的な問題をたびたび引き起こしながら、自己の意思では止めることができなくなってしまうのです。

◆どんな症状をおこすの?

薬物依存症の症状としては、興奮状態、気分爽快、幻覚や幻聴などの薬による作用に加え、日常的には食事をほとんどとらない、無気力、睡眠リズムの乱れ、多動、イライラ、不安感、気分が変わりやすいといった症状が見られるようになります。

また、使い続けるほどに体が耐性を持つため、徐々に使用量が増えてゆき、その必要量を手に入れようと犯罪に手を染めて社会的に孤立してしまいます。
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◆未成年がなるとどんな影響があるか

特に近年は薬物依存症の若年化が懸念されており、好奇心やストレスの解消に、あるいは特定の集団に仲間入りしたいという気持ちから薬物に手を出してしまうパターンが多く、特に喫煙や飲酒の経験がある未成年は、その延長上として薬物乱用に至る可能性が高いとされています。

未成年に限らず、薬物依存者はその生活を支えるために家族にも依存することになるのですが、「今度こそやめる」などと家族を説得し、医療機関を受診することなくそのままずるずると依存行ためを続けるため、その間家族は患者の薬物中心の生活に巻き込まれてしまうことになります。

薬物依存によって引き起こされる事件や事故、借金などの問題を、家族が肩代わりするなどして尻拭いをしている限り、依存症患者がその生活を改めることは期待できません。
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◆有効な治療法は?

では、どうすれば依存症を治療できるのかというと、まずは薬物依存症に詳しい精神科病院へ行くことが大前提となります。依存症は、脳内の神経科学的変化に心理的・環境的要因が複雑に絡んでいるため、専門家の治療なしに回復はまずあり得ません。

特に未成年の中枢神経系はまだ発達途中です。中毒性精神病を発病している場合や身体状態が悪化している場合には、24時間監視して必要な時にすぐに対処しなければならないため入院する必要があります。

一方通院での治療は、心理療法をメインにし、必要に応じて薬物療法がとられます。また、断薬継続のために自助グループのミーティングに参加することも大きな助けになるでしょう。

驚愕!最新調査でわかった「ネット依存」の超ヤバイ禁断症状5つ

休みの日、ふと気づけば、丸一日インターネットをしていて、誰ともまともにしゃべっていなかった……なんて経験ありませんか?

実はそれ、ネット依存の症状のひとつなんです。

情報収集のみならず、音楽を聴くのも、人と交流するのも、ネットに便りきっている私たち。気づかないうちにネット依存になっている人、多いかもしれません。

事実、30代の男女300人にネット依存のアンケート調査をしてみたところ、なんと26%が経験していたことが判明! 4人に1人って、多いですよね。仲良しグループの中に1人はいるということです。

それでは、ネット依存って、どういうものなのでしょうか。寄せられたエピソードをもとに、5つの症状を詳しく見ていきましょう。

■1:親が死んでもネットサーフィン

依存対象は、SNS、オンラインゲーム、ブログやチャット、オークションなどさまざま。

しかし、いずれにしても、「一日中ゲームをしていた」「休みの日は丸一日パソコンの前で過ごす」など、ネット依存の人はどっぷり長時間ネットを続けるのが基本です。

「一日中ネットサーフィンをしていてもまだ物足りなく感じる」くらい中毒化するケースも珍しくはありません。

「寝るときとお風呂に入っているとき以外、ずっとパソコンをしている」「食事やトイレのときもスマホは離さない」という回答も寄せられました。まるで親が死んでもスマホは離さない勢いですね。

実は、一日の大半をネットに費やすというのは、かなりヘビーな依存症状。放っておくと、もっともっとネットがしたくなり、さらには幻聴・幻覚といった症状を招くこともあるのです。

■2:ネットを失ってパニック症状

ネット依存はアルコール依存症などと同じで、「対象物(ネット)のことをいつも考えてしまう」という症状が見られます。

それでネット依存の人は当然のように、「ネットが使えない生活なんて考えられません」と回答。

「パソコンが壊れたときにパニックになった」「ネットができないと情緒不安定になる」「自宅のネット回線の工事中は毎日ネットカフェに通った」というように、ネットから遮断されると途端に禁断症状があらわれます。

「仕事から帰ってくると、服を着替える前にパソコンを起動し、その間に服を着替えて、急いでパソコンの前に座る」など、1分1秒でもネットに接していたいと激しく渇望し、離れがたくなってしまうのも、ネット依存の特徴です。

■3:仕事よりネットを選んで破滅

中には、「子どもと遊ばすずっとネットをしていた」「勉強もせずにネット中毒になっている」など、ネット依存の人は本来すべきことがらよりネットを優先させます。

さらに、「会社で仕事を放りだしてネットを見ている」という声も聞かれました。それだけでもかなりな重症ですが、「ネットにハマって会社に行かず、解雇された」という驚きの回答も!

そもそも依存というのは、仕事や家庭生活などに支障をきたすほどハマってしまい、自己コントロールができない状態をいいます。

会社に行けなくなるほどハマるというのは、かなりの重篤。さらに依存がすすむとうつ病などを引き起こすこともあるので、早めに現実世界の楽しみを探しましょう。

■4:現実逃避のネットで生活困難

なぜそんなにもネットに依存してしまうのかというと、「気になって仕方がない」からというがひとつの要因です。

今回の調査でも、「オークションの経過が気になって、仕事中でもチェックしてしまう」「チャットやほかの人のブログが気になって仕方がない」という回答が複数寄せられました。

言わば、ネットに憑りつかれている状態。気になるからか夢中になってしまい、「ご飯を食べたあとはずーっとネット。気づいたら深夜2時になっていた」なんてこともザラに起きるわけです。

また、現実逃避が原因で、ネット依存になる人もいます。重症化すると治療には何年もかかるといいますから、たかがネットといえどもあなどれません。

■5:移動中のネットが危険サイン

あと、気になるからこそ「移動中は必ずスマホをチェック」「ちょっとでも時間があるとすぐに携帯を見てしまう」という行動を取ってしまうのも、ネット依存の特徴です。

でも、移動中のスマホチェックって、普通にやっていませんか? もし心当たりがあるなら、あなたも依存傾向にあるのかも!?

ネット依存の人にしても、はじめからどっぷりハマっているわけではありません。

「少しだけのつもりが何時間もネットをしていた」「気づいたら長時間経っていた」という経過を経て、次第にネットと接する時間が増え、日課になっていきます。

すると、「ネットをしていないと落ち着かない」という依存状態に陥っていきます。そして、どんどん悪化すると、恐ろしいことに自殺や殺人の衝動に駆られるといった最悪のレベルにまで達してしまうのです……。

こうして見てみると、ネット依存って立派な病気だということがわかりますよね。ただし、依存症状に陥ってしまった場合でも、早期に気づけば、比較的簡単に現実に引き戻すことができます。

ネットを楽しむのはいいのですが、人生を狂わせるほどの弊害もある。そのことをしっかり踏まえ、自己コントロールしながら上手につきあっていきましょう。

依存症になっている大人多数!?今こそスマホの使い方を見直そう

スマホをついつい触ってしまう人って多いですよね。電車や街中でも、たくさんの人がスマホをいじっている光景が日常になりつつあります。あなたも、スマホ依存になっていませんか?今回は、依存にならないための、もしくは依存から抜け出すためのスマホの使い方を解説します。

「スマホ依存」の大人になっていませんか?

スマホ依存と関連して、実はここ数年、若者の「ネット依存」が注目されてきました。2013年に厚生労働省が公表した調査結果によると、インターネットに病的に依存していると思われる中高生は全体の約8%、数にすると約52万人に及ぶと推計されました。しかし、街中を見渡すと、子供よりもむしろ大人の方がネット依存しているように見受けられます。気付いたらスマホを触ってしまっているあなたも、もしかしたら既に「スマホ依存」かもしれませんよ。

原因って?

「スマホ依存」と呼ばれるほど大人がスマホにハマってしまう原因は、以下のものがあります。

・SNS

・スマホゲーム

・本が読めたり、情報サイトの文章が読めたりする

スマホはインターネットを持ち運んでいるようなものなので、良くも悪くも、いつでもどこでもネットにつながってしまいますよね。そのためスマホをいじることが、最高の暇つぶしになっているといえます。

スマホに依存すると、どんなことが起きるの?

「スマホ依存」がもたらす悪影響には、次のようなことが挙げられます。

・友達や知人と四六時中つながってしまう
・目の前の世界に関心がなくなる
・事故の危険性
・不眠の原因

一つずつ具体的にみていきましょう。

・友達や知人と四六時中つながってしまう

スマホでSNSを利用することにより、いつでも、どこにいても、誰とでも簡単につながれるようになりました。それは良い面もあれば、やはり悪い面もあります。リアルでも、ネットでも、自分の生活をずっと見られているような息苦しさを感じながらも、人間関係が壊れることを気にして抜け出せなくなってしまうのです。

・目の前の世界に関心がなくなる

スマホに依存すると、たとえば誰かと食事をしている時でも、手元では他の人とメッセージのやり取りをしている、という状況が生まれてしまいます。ネットの世界に容易にアクセス出来るがゆえに、リアルの世界だけに集中することができないのです。

・事故の危険性

スマホの操作に夢中になって、前方不注意になってしまうことも多いです。去年も、運転中のスマホゲームが原因となった自動車事故のニュースがありましたね。スマホに依存することは、時に、取り返しのつかない出来事を引き起こしてしまうのです。

・不眠の原因

スマホの画面から出ているブルーライトという光は、人体にとって非常に刺激が強い光です。そのため、ブルーライトを浴びているうちは脳が休むことができず、スマホ依存が原因で不眠になってしまう人もいます。

改善策は5つ
1.スマホを持たない時間を作る

スマホを持たない時間を意識して作ることが大切です。たとえば、「午後18時以降は持たない」などのルールを決めて、周りの人にも協力してもらいながら、少しずつスマホから離れる努力をしましょう。

2.誰かと一緒にいるときはスマホを見ない

友達とのランチタイムや、家族とリビングでくつろいでいるとき。そういう誰かと一緒に過ごしている時間は、スマホを触らないように心がけましょう。スマホから顔を上げて、相手の目を見て話をすることで、気づけることがあるはずです。

3.寝る1時間前になったらスマホを見ない

眠りにつく1時間前になったら、スマホを触るのを止めるようにしましょう。これはもちろん、ブルーライトから目を離し、脳を休ませるためです。できたら部屋を暗くするか、もしくは間接照明をつけるなどして、体に睡眠の準備させてあげるともっと良いですね。

4.SNSを退会する

最終手段はスマホの解約です。電話機能を残したい場合は、ガラケーの携帯電話に乗り替えるか、自宅に固定電話を引っ張るという手もありますよ。スマホはよく「電話ができるパソコン」といわれたりもしますが、依存するのは主に「パソコン」の方が原因ですよね。その機能を切り落とすことも、スマホ依存から抜け出す最後の方法として有効だといえるでしょう。

いかがでしたか?自分のスマホの使い方を見直せたでしょうか。便利な道具だからこそ、依存することなく程よい距離感で使っていきたいものですね。

「カジノ解禁法」施行で他人事ではなくなる!? 「ギャンブル好き」と「ギャンブル依存症」の違いとは?

カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備を政府に促す「カジノ解禁法」が、自民、日本維新の会などの賛成多数で成立。12月26日に公布され、即日施行されました。これを受けて「国民の理解が得られていない」などとして、地方議会から廃止や慎重な制度設計を求める意見書が出ています。

慎重な議論を求めるひとつの理由に、ギャンブル依存症患者が増加する懸念があります。厚生労働省の研究班は、2014年8月、ギャンブルをしたい気持ちが抑えられない「ギャンブル依存」の人が536万人に上るという推計を発表しました。これは、成人人口の約5%にあたり、世界の多くの国の割合(1%前後)を大きく上回っており、パチンコやパチスロが身近な場所に普及していることの影響が指摘されています。

ちなみに、日本のパチンコ産業の売上規模は年間20兆円を超えており、東京都の予算やスウェーデンの国家予算を上回ります。ギャンブル依存症とはどのような病気なのでしょうか。「ギャンブル好き」とは、どこがどう違うのでしょうか。

■そもそも「依存症」って?

依存症は、対象となるものや行為に異常に執着し、自分の意志ではやめられなくなる病気です。ギャンブルや買い物、インターネット、万引き、セックスなどの、行為に依存する「プロセス依存」のほか、アルコール、薬物(覚せい剤、処方薬等)、ニコチンなどに依存する「物質依存」や、ストーカー、DV、共依存など、相手を支配したりしがみついたりするなどして人から必要とされることに不健康に執着する「関係依存」があります。

始まりは「ストレス解消」のひとつの手段だったものが、次第にエスカレートし、それがなければイライラや不安が強くなり精神的に不安定になったり、物質依存の場合は離脱症状が出たりします。しかし、依存症は「否認の病」とも言われ、自分が病気だとは思っておらず「いつでもやめられる」と思っています。しかし、問題行動を引き起こし、何度も失敗を繰り返して「もう二度とやらない!」と決意するのも束の間、また同じことを繰り返してしまうのも依存症の特徴です。

以前は「アルコール中毒(アル中)」といったように「中毒」という言葉が使われてきましたが、「依存症」「嗜癖(アディクション)」という言い方が一般的になり、精神科の診断基準(DSM-5)では「ギャンブル障害」「アルコール使用障害」といった診断名に変わっています。

■ギャンブルはなぜ依存症になりやすいのか

物質や行為に依存するのは、そこに「快感」があるからです。依存行動により脳が「快感ホルモン」であるドーパミンを放出し、それが一種の「条件づけ」となっていると考えられています。条件づけには、ある行為を行うと、毎回同じ条件で報酬が与えられる「連続強化」と、気まぐれに報酬が与えられる「間欠強化」があり、間欠的強化の方が、行為への執着が高まります。ま

じめに仕事をしていれば給料が上がっていくといった「連続強化」に対し、ランダムに勝ったり負けたりするギャンブルは「間欠強化」で、勝ち負けという強い興奮状態を伴うこともあり、依存になりやすいと言われています。アルコール依存の場合は、肝機能に問題が出てくるなど、健康状態の悪化が「底つき」になり、回復のきっかけになることがありますが、ギャンブル依存の場合、自分の健康を損なうわけではなく、周囲にもバレにくいため依存が進行しやすいといった深刻さがあります。

■依存症患者を抱える家族の問題

ギャンブル依存に限らず、依存症をエスカレートさせる要因のひとつに、家族の「共依存」の問題があります。「お酒さえ飲まなければ、ギャンブルさえしなければ、暴力さえ振るわなければ、いい人なのよ」と、本人を庇う人に出会ったことがあるかもしれません。たとえば、夫が依存症で妻が専業主婦の場合、妻は夫の収入に頼るしかないため、夫の問題行動が会社に発覚する前にどうにかしてやめさせようとします。持ち歩くお金を制限したり、帰宅時間を管理したり、誓約書を書かせたりと、涙ぐましい努力を続けます。

しかし、大の大人の行動を四六時中見張っておくわけにもいかず、お金を持たされていない夫は周囲の人に借金を重ねて信頼関係を損なったり、会社のお金に手をつけてしまったりします。そして、結局、子どもの教育資金として大事に貯めてきたお金を手渡したり、自分の実家に借金をしたりして、夫の尻ぬぐいをしてしまうのです。「これが最後よ」と言いながら、何度も何度も。

でも、それは依存症の夫にとっては「借金しても、妻が何とかしてくれる」という成功体験になってしまいます。借金を返さないと、会社のお金に手をつけたことがバレて懲戒免職になってしまう。退職金ももらえなくなり、生活が破綻してしまう。「そうなると、お前たちも困るだろ」と開き直るようになり、ギャンブルを止めるという決意にはなかなか繋がらないのです。

そして妻たちは思っています。「いつか夫が自分のしていることに気づいて、謝ってくれるのではないか」。彼女たちは依存症の夫と同じように、改心するかどうかわからない夫に対し、大金を賭け続けているのです。家族の生活を人質に取られて。

■ギャンブル依存症からの回復とは

依存症から回復するには、まずは「自分ではやめられないのだ」と自覚し、治療に繋がることが大切です。依存症の治療は、自分の行動パターンを整理し、望ましい行動に変えていく「認知行動療法」という心理療法や、同じ問題を抱える人たちで定期的に集まって話し合う「自助グループ」が有効だと言われています。

自助グループには、回復の色々な段階の人たちがいるため、自分がこれから回復していくイメージを抱きやすくなります。何より、同じ問題を抱えた人たちと思いを話し合うことが治療的だといわれています。また、ギャンブルにハマる人は、刺激を求める側面があるため、趣味を見つけたり、生活に変化を持たせることも有効です。なにかにどっぷりと依存してしまう人は、依存の対象が「それしかない」ため、病的な依存になってしまうのです。

周囲の家族ができることで、一番重要なのは「借金を肩代わりしない」ということです。「周囲にバレると恥ずかしい」と、家族で尻ぬぐいを繰り返すことが、依存症をエスカレートさせていきますので、なるべく早めに病院や都道府県の精神保健福祉センターなどに相談し「色々な人を巻き込む」ことが大切です。本人がなかなか治療に繋がらない場合、困っている家族が、病院などで開かれている「家族会」に参加しましょう。

どのように治療に繋げたのか、法的な問題はどのように解決すればいいのかなど、当事者ならではの色々な話が聞けると思います。依存症は本人の問題です。しかし、本人の問題と家族の問題の境界がグチャグチャになっている場合が多いので、問題に気づいた家族がカウンセリングを利用して問題を整理するのもいいでしょう。「もしかしてギャンブル依存では?」と、自分自身や家族に心当たりがある人は、ギャンブル依存症の自助グループ(GA)のHPにチェックリストがありますので、チェックしてみましょう。

有名人のドラッグ摘発が頻発する裏事情

2016年は、有名人による「大麻」「覚せい剤」「ドラッグ」が関わるニュースが切れ目なく報じられた一年だった。危険ドラッグをはじめ、大麻や覚せい剤など違法薬物をとりまく事情に詳しいライターの森鷹久氏が、なぜ有名人の検挙や報道が続くのか、薬物の自給自足や新商品開発が始まっている様子をリポートする。

「今年の芸能界はまさに”ドラッグラッシュ”でした。この流れは来年も続くようですが……」

 全国紙の警視庁担当記者は、苦笑いで今年一年が”ドラッグラッシュ”であったと総括する。

「ラッシュ」とは突進する、殺到するなどの現象を指す言葉で、もともとは英語だが日本でも「通勤ラッシュ」「帰省ラッシュ」などと使われる。つまり、2016年は多くの薬物(ドラッグ)事件が殺到した一年だったという意味で前出の記者は言っているのだ。

 元プロ野球選手の清原和博が覚せい剤の所持や使用の疑いで逮捕され、元俳優の高知東生や歌手のASKAこと宮崎重明(後に不起訴)も同様に、覚せい剤がらみで検挙された。元女優の高樹沙耶こと益戸育江は大麻で、元NHKアナウンサーの塚本堅一、酒井法子の元夫・高相祐一は危険ドラッグの所持でそれぞれ逮捕。

 つい先日には、俳優の成宮寛貴にコカイン使用疑惑も発覚。報じられて間もなく引退を表明した。まさに”ドラッグラッシュ”といっても過言ではない一年だったが、この流れは、来年にも引き継がれるだろうと前出の記者は言う。

 できれば起きてほしくない”流れ”を身を持って感じているのは、某芸能事務所で数名のタレントマネジメントに関わるX氏だ。

「芸能ライターや週刊誌記者から”おたくのタレントは大丈夫か?”などといった問い合わせが頻繁に入るようになったのは今年(2016年)の夏前頃からです。記者がタレントの自宅や関係先で張り込みをし、部屋を覗かれたり、ポストの中身を荒らされたこともありました。噂が噂を呼び、タレントの仕事にも影響が出てきています」

 X氏は落胆するが、ではその疑惑のタレントは、本当に潔白と言えるのか。

「以前、MDMA(合成麻薬)や大麻をしていたことは本人も認めていますが……。我々にとっても死活問題なので、監視の目を光らせ、現在はやっていないはずです」

米国で死者続出…ヘロインの1万倍“象用の麻薬”流行の恐怖

以前もお伝えしたように、全米でヘロインとオピオイド系麻薬の過剰摂取による死亡事故は増え続け、2010~14年の5年間で3倍に増加。1日平均79人もの人が亡くなっています。

 その多くは、最初、手術後などの痛み止めとして医師に処方された鎮痛剤の依存症となり、処方が受けられなくなった後、より安価で強いヘロインに走るといわれています。そして彼らを次に待っているのが合成オピオイドのフェンタニルとカフェンタニル(Carfentanil)です。

 フェンタニルはモルヒネの50倍から100倍もの強さを持つ鎮痛剤で、ヘロインやオピオイドに耐性ができた人が次に手を出していると考えられている麻薬です。

 さらに恐ろしいのがカフェンタニルで、ヘロインの5000倍から1万倍もの強さを持っているといわれています。通常は象などの大型動物のトランキライザーとして使用され、人間にとっては素手で触るだけで危険な毒物です。

 どちらもヘロインに耐性がある人でさえ、ほんの微量で過剰摂取を起こすほどの強さで、昨今の死亡事故の原因の多くを占めています。アメリカでは製剤されていないため、メキシコのドラッグ・カルテルなどにより違法に持ち込まれています。

 最も危険なのは、ヘロインとして売られているものに、値段が安いカフェンタニルが混入しているケースです。

 16年オハイオ州でわずか6日間に174件ものヘロイン過剰摂取事故が発生しましたが、これがヘロインにカフェンタニルが混入しているのを知らずに摂取したのが原因だったとみられています。

 このようなカフェンタニルが原因の過剰摂取事故は全米、さらにカナダにも急速に広がる気配を見せ始めていますが、人種や貧富の差なども超えてあらゆる人を巻き込んだ非常に深刻な社会問題となっています。 (シェリーめぐみ/ニューヨーク在住ジャーナリスト)

本当に怖いネット依存症~10代で心肺機能は50代、歩きスマホで事故死......

 「歩きスマホ」で若い命が失われた。7月19日の午後4時過ぎ、14歳の男子中学生が列車とホームの間に挟まれて死亡。歩きスマホが原因と見られている。歩きスマホの危険性は再三警告され、過去にも女子高生が列車と接触して事故が起こったという報道があった。それでも、なぜ歩きスマホをやめられないのか?

 「ネット依存症」という言葉を、皆さんはすでに目にしたことはあるだろう。スマホなどが使えなくなり、ネットにつながれない状態になると、イライラしたり、パニックに陥ったりして、社会生活が送れなくなる症状だ。ネット依存症では、「ネットにつながりたい」という衝動が止まらない、食事や睡眠よりもネットを優先する、実生活の人間関係が面倒になってシャットアウトする、心身に問題が起きてもネットを使い続けるといった行動を取ってしまう――。これが歩きスマホの一因になっている可能性は高い。

 10代のネット依存症患者は、深刻のようだ。親がスマホを取り上げたために、大暴れした子どもが刃物で親を刺す事件にまで発展したケースもある。ネット依存症の疑いがある中高生は、全国で約52万人に上るといわれている。歩きスマホがやめられない子どもは、気づかぬうちにネット依存症に陥っている可能性がある。もちろん、それは大人にも当てはまる。 どうしてネット依存症になるのか? どうやったら防げるのか? それを今回は考えてみたい。

ネット依存症がうつや発達障害と関連

 ネット依存症には、「スマホ依存」や「SNS依存」「ゲーム障害(ゲーム依存、ネトゲ依存)」も含まれる。スマホの普及で、手軽にどこでもネットを使えるようになったこと、子どももスマホを持つようになったことが、ネット依存症の患者を増やしているようだ。IT(情報技術)の進歩でもたらされた闇ともいえる。欧米や韓国などの研究で、うつ病といった気分障害や、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、自閉症スペクトラムなどはネット依存症と関連性があるという報告がある。

○うつ病
気分の持続的な落ち込みを主体とした精神的・肉体的症状が現れる。

○ADHD
不注意・衝動性・多動性が特徴。感情が爆発しやすく、社会的な活動や学業に支障を来す。

○自閉症スペクトラム
社会性やコミュニケーション能力の障害。

 上記の障害を持っていることで、ネット依存症が起こっている可能性もあるだろう。コミュニケーションを取るのが苦手で、人と接する際に感情的なトラブルを起こしたり、強い不安や緊張を抱いたりすることから、直接人と向き合わずに済むオンラインゲームやSNSにのめり込んでしまうのだ。ネット依存症は、精神面だけでなく肉体もむしばんでいく。ネットを1日中使い続けているために、家の中に閉じこもってしまう。当然、運動量が激減し、10代でも心肺機能は30~50代レベルにまで落ちてしまうのだ。

「そのうち飽きる」というのは大きな誤解。やればやるほど悪化

 『ネット依存症』(PHP新書)の著者である樋口進医師は、2011年に日本で初めてネット依存症の治療を開始した久里浜医療センターの院長である。この本によると、ネット依存症に陥る原因の一つは、現実生活での人間関係のトラブル。職場や学校での人間関係がギクシャクしたり、いじめや仲間外れに遭ったりしたことから、そのストレスを解消するためにオンラインゲームにはまる。

 夜中までプレーして朝寝坊をする。遅刻が嫌だから職場や学校に行かない。家でオンラインゲームをする......。こうした悪循環に陥るようだ。樋口医師によると、子どもはネット依存症になりやすく、だいたい1カ月、早いケースでは1週間前後で"依存"と言える状態になる。オンラインゲームのほかインスタグラムなどのSNS、動画といったさまざまなもので依存が生じるらしい。

 「そのうち飽きる」というのは大きな誤解で、やればやるほどハマっていき、ネット依存症は悪化していく。ネット依存症は、スマホなどを取り上げても治らない。先に述べたように、子どもの場合は親に暴力を振るう傾向も見られる。初期の状態なら、家族でネット依存症の危険性を共有し、適切な利用方法を話し合って、利用時間などに制限を設ける。同時に、原因となった人間関係のトラブルなどに親子で向き合うことも大事ではないだろうか。重度になったら、医療機関などへの相談を強くお勧めする。

 オンラインゲームなどに熱中し生活に支障を来す「ゲーム障害」を、WHO(世界保健機関)は病気として分類すると発表した。ネット依存症も病気だととらえ、見守ったり見過ごしたりせず、早期発見・早期治療が重要だ。
(取材・文=森真希)

森真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている。

めまいや頭痛、香りが原因? 柔軟剤など苦手な人も

 寒い季節、暖房が効いた室内や車内で気になるのは衣類の柔軟剤や消臭剤などの香りだ。これらに含まれるごく微量の化学物質の影響で、体調を崩す人がいる。原因を知り、症状の緩和や発症の予防を心がけよう。現代社会は人工の香りであふれている。多くは体臭や衣類の生乾き臭などを和らげるためのものだが、身の回りの香りに反応して不調を訴える人がいる。

 実態を明らかにするため、NPO法人日本消費者連盟(東京・新宿)は2017年7月と8月、「香害110番」を実施。2日間で213件の訴えが寄せられた。多かったのは「隣家の洗濯物の香りで息苦しくなる」など柔軟剤関連だった。「駅で制汗剤を使う人がいて、めまいがした」など多様な原因や症状が挙がった。

 訴えを寄せた人の約半数が、医療機関で「化学物質過敏症」と診断されていることも分かった。この病気に詳しい東海大学の坂部貢医学部長は「一般の人にはほとんど問題のない微量の化学物質を浴びて、体調不良を繰り返す病気」と解説する。56年前に初めて報告されたが、発症の仕組みなどが不明で、当初は病気の存在に否定的な研究者も多かった。研究が進んで、微量物質の毒性やアレルギー、嗅覚過敏が関与した脳の機能異常などが患者に起きていると解明された。

 「2015年の大規模疫学調査で、人口の7.5%が化学物質に対して何らかの過敏症状を持つという結果も出ている」と坂部部長。決して珍しい病気とはいえない。そよ風クリニック(東京・杉並)の宮田幹夫院長は「化学物質を長期間摂取すると、体に加わるストレスの総量が患者の適応能力を超えてしまい、極めて微量かつ多様な化学物質に接触しただけで症状が出るようになる」と話す。
 診断の際は、周囲にある化学物質や、症状が出る場面などを問診票に沿って聞き取る。さらに国の研究班が作成した自律神経機能や脳神経機能、平衡機能の検査や血液検査などで調べる。

 化学物質過敏症に有効な治療薬は少なく、治療の中心は生活改善だ。まずは原因の化学物質をできるだけ浴びないこと。我慢できないと感じたときは、早めにその場所や発生源から遠ざかろう。こまめな換気も重要だ。坂部部長は「外気を恐れて部屋の窓を閉めきる人が多いが、化学物質は屋外より室内に多い」と指摘する。窓を開けたり、換気扇を使ったりして部屋を換気したい。空気清浄機は主に粒子状物質を取り除くため、すべての化学物質を除去するわけではないという。

 自律神経の機能を高めるためにお薦めなのが運動。軽く汗ばむ程度のウオーキングなどを定期的に取り入れよう。宮田院長は「副交感神経を優位にしてリラックスできるように、ぬるめの湯にゆっくりつかるのもいい」と勧める。食事ではビタミンやミネラルを十分に取りたい。「特に重要なのはマグネシウム。患者の17.5%にマグネシウム欠乏が見られる」(宮田院長)。マグネシウムはソバなどの穀類、落花生やアーモンド、海藻類に豊富に含まれており、神経や筋肉の過剰な緊張を和らげる効果が期待できるという。こうした生活改善によって「患者の7割で症状が改善する」(宮田院長)。

 原因物質を過剰にまき散らさないために、患者でない人も洗剤や柔軟剤などの適正な使用量を守ることが重要だ。多くの人が集まる場所では特に、自分は快適でも他人が不快に感じる可能性を念頭に、香りの使い方に配慮したい。坂部部長は「現代は誰もが化学物質過敏症を発症する可能性がある。化学物質との正しいつきあい方を模索したい」と話している。

薬物治療は“テーラーメード” 病状や体力に応じ薬選択

体に備わる免疫機能を活性化する免疫チェックポイント阻害剤(ICI)、がん細胞が持つ特定の遺伝子を狙う分子標的薬―。近年、進行期の肺がん(IV期)の薬物療法には従来の抗がん剤に加えてさまざまな治療薬が登場している。

 だが、アラカルトで好きな薬を選べるわけではない。一人一人の病状や体力に合わせて仕立てる“テーラーメード”の治療が組まれる。

 「その人に最も効果が期待できる“個別化医療”が求められる時代」。倉敷中央病院呼吸器内科の横山俊秀医長は強調する。「これまでは『この病気にはこの薬』だったが、分子レベルでがんのタイプを把握し『この患者さんにはこの薬』という考え方に変わってきた」と言う。

 初回の薬物治療でどの薬を使うか、一般的には次のような検査で決める。

 肺がんの8割余りを占める「非小細胞肺がん」(腺がん、扁平(へんぺい)上皮がん、大細胞がんなど)の場合、まずはがん細胞の遺伝子検査と、免疫のスイッチの妨害に関係するタンパク質PD―L1の検査を行う。

 遺伝子検査では、がん細胞を増やす遺伝子異常(変異)があるかどうかを確かめる。これまでにEGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子などが特定されており、それぞれの遺伝子異常があれば、イレッサ、アレセンサ、ザーコリといった対応する分子標的薬が使える。

 これらの遺伝子変異がなく、かつPD―L1が多く認められれば(出現率50%以上)、ICIのキイトルーダを検討する。遺伝子異常がなく、PD―L1もほとんどない患者は、抗がん剤による治療を行う。

 初回治療で効果が見られない、または再発した場合の2次治療で使える薬もある。EGFR遺伝子に特定の異常があればタグリッソなどの分子標的薬、遺伝子異常がなければICIのオプジーボなどが使える。抗がん剤も選択肢が以前より増えている。

 一方、転移の早い「小細胞肺がん」に対しては、ICIや分子標的薬はまだ効果が十分確認されておらず、抗がん剤中心の治療が行われている。

 倉敷中央病院では、初回の薬物療法時、病状や経過の確認とともに、患者自身に病気や治療について知ってもらうため、1~2週間の入院を求めている。

 一番心配なのは重大な副作用。医師や看護師、薬剤師が薬の特徴や副作用の症状、起こった際の病院側の対応などをあらかじめ説明し、心構えを促す。通院治療になれば患者が自分で体調を管理し、副作用に備えなければならない。

 外来化学療法センターで診察する際も、副作用が現れていないかを丁寧に確認する。横山医長は「注意すべき副作用が疑われれば、私たち呼吸器内科だけでなく、救命救急センターや各診療科でも対応するなど、院内の連携が進んでいる」と話す。

 副作用は脱毛や肌の変色、爪の変形など、容姿や外見の変化にも現れる。悩みを抱える患者のために「脱毛ケア相談会」や「アピアランスケア相談会」を定期的に開き、患者の精神面や生活のサポートにも力を入れている。

高い薬価 負担軽減制度活用を 相談支援センター助言

 免疫薬ICIや分子標的薬は、従来の抗がん剤に比べて高額なケースがほとんど。治療に対し、経済的な不安を抱える患者は少なくない。そんなときに無料で相談に乗ってくれるのが、全国のがん診療連携拠点病院などにある「がん相談支援センター」だ。

 ICIのオプジーボが登場した際、その効果とともに注目を集めたのが、「1年間使い続ければ1人当たり3500万円かかる」とされた高い薬価だった。その後、大幅に引き下げられたものの、倉敷中央病院がん相談支援センターの松嶋史絵室長は「がん治療にはお金がかかるというイメージは根強く、治療費に関する相談は後を絶たない。高額療養費制度を活用すれば、自己負担をかなり抑えられることを知ってほしい」と話す。

 高額療養費制度を使えば、1カ月ごとに病院や薬局で支払った金額が上限額を超えた際、超過額を払い戻してもらえる。上限額は所得や年齢で異なり、例えば年収約370~770万円の69歳以下の人で総医療費が100万かかった場合、8万7430円。病院や薬局でいったん3割負担分の30万円を支払うが、申請により超過分21万2570円が戻ってくる。同一世帯の医療費を合計する「世帯合算」も認められる。

 また、治療が長期化し、1年以内に3回上限額に達していた場合、4回目以降はさらに自己負担額が引き下げられる特例(多数該当)もある。前述の年収・年齢の人で約半額の4万4400円になる。事前に「限度額適用認定証」を取得しておけば、3割の窓口負担をすることなく上限額の支払いだけで済む。

 会社員らは療養中の給料の一部を補償する「傷病手当金」を受け取れるケースもある。病状によって労働や日常生活が制限される場合、審査を経て「障害年金」を受給できる可能性もある。

 松嶋室長は「これらの制度は基本的に加入している保険機関や年金事務所で申請手続きをしなければ支給を受けられない。治療と仕事をどう両立させるかを含め、経済的事情で治療を断念することを防ぐため、まずは相談してください」と呼びかける。(三宅教之)

 ■倉敷中央病院(倉敷市美和、086―422―0210) がん相談支援センターは来院または電話による相談に無料で応じる。相談時間は平日午前9時~午後5時と土曜日午前9時~午後1時。日曜、休日は休み。直通電話は086―422―5063。

薬物依存は脳に異常が起きている病気

アルコール依存、薬物依存などの依存症は、生活習慣などではなく、病気だ。個人の意志や心がけなどで対応できるものではなく、治療が必要なもの。近年、医療現場ではさまざまな試みが行われている。AERA 2017年1月30日号では、依存症治療の最前線を大特集。近年、大きく取り上げられる薬物問題。一度、手をつけると、やめることは難しいのが現状だ。しかし、なぜ、なかなかやめられなくなるのだろうか。今回は、薬物を使用することで起こる脳の異常について紹介する。

 覚醒剤事犯で検挙された人の再犯率は64.8%(2015年)。なかなかやめられないのが、依存症の特徴だが、いったん依存症になると、抜け出すのが難しいのはなぜなのだろうか? 覚醒剤などの薬物やアルコールなどの物質は、脳のメカニズムそのものを変えてしまうためだと、埼玉県立精神医療センター依存症治療研究部の和田清部長は話す。

「薬物の乱用やアルコールの摂取を繰り返すと、脳に作用し、欲求にかかわる脳内報酬系と呼ばれる神経系が異常になり、どうしても欲しいという渇望が出てきます。乱用が続いて、いったん脳内報酬系が異常になると、元には戻りません」 脳内報酬系の神経間で、神経伝達物質のドーパミン濃度が高くなり続けるような異常が起こるのだという。そのため、薬物やアルコールがどうしても欲しい、という渇望が出てくる。

「本人がやめようと思っても、渇望が出てくるので、本人の意志だけでやめることはできなくなるのです」(和田部長)ただし、こうした脳内報酬系への異常が起こることがわかっているのは、薬物依存症やアルコール依存症といった、依存対象の物質が脳に直接働きかけるもののみだ。「ギャンブル依存症」や「ネット依存症」といった、特定の行動を繰り返し求める「行動嗜癖」と呼ぶタイプでは、脳の異常はいまだ明らかにされていないのだという。

 では、脳内報酬系の異常というメカニズムがわかっている薬物依存症やアルコール依存症では、薬でこの脳の異常を抑えることはできないのだろうか? 「ニコチン依存症では、タバコを吸いたいという渇望を抑える薬が研究されてきましたが、動物実験では効果があっても、実際には治療効果はほとんど出ませんでした。欲しいという欲求を多少抑えられても、本人が喫煙という行動自体を抑えないと、たいていの人は喫煙してしまうからです」(和田部長)

 アルコール依存症では、脳に作用して欲求を抑えるアカンプロサートカルシウムという治療薬が13年に登場した。ただ、薬を飲み続ける必要があり、決定打にはならないという。そのため、依存症の治療は、認知行動療法などの精神療法が中心だ。アルコール依存症やニコチン依存症だけでなく、薬物依存症の治療体制も最近は整いつつある。 「薬物乱用は犯罪ですが、薬物依存症は脳に異常が起きている病気。専門の病院で治療を受けてほしい」 と和田部長は話す。

米で激増する「ドラッグ過剰摂取死」が臓器移植に貢献

アメリカではここ数年、薬物過剰摂取で死亡するケースが激増しています。ところがそのおかげで、「臓器移植を待つ患者が恩恵を受けている」というニュースが驚きをもって迎えられています。 ヘロインなどのドラッグ過剰摂取で死亡した人は年間約4万7000人(2014年CDC=米国疾病対策センター=発表)。2000年以降、2倍に増えています。

 中でも、以前お伝えしたことのある強い鎮痛処方薬「オピオイド系」(アヘン系)で死亡した人は3倍の約2万9000人となり、全体の6割以上を占めるまでになりました。 一方、過去5年間に薬物過剰摂取で死亡した臓器提供者は、1.5倍となり、臓器提供者全体からみると、11人に1人が薬物過剰摂取で亡くなった人になります。その結果、臓器提供全体の数も去年より5%増えたといいます。

 ただ、薬物使用によって死亡した患者の臓器移植にはリスクがつきまといます。特にヘロイン中毒患者は注射針からHIVやC型肝炎に感染していたり、長年の薬物使用で臓器が弱っているケースもあるからです。 それでも移植が一刻を争う場合は、リスクを知りながらも手術を受けるケースもあるといいます。また、「処方薬依存症の患者は全般的に若く健康であることが多い」と専門家はコメントしています。

 アメリカでは運転免許証取得の際に、書類に臓器移植の意思の有無を記す欄があります。ワシントン・ポストの記事では、薬物依存症で死亡した若い男性の母親が「息子はドラッグという悪い選択をしてしまったが、臓器移植という選択は正しかった」と語っていました。その男性の腎臓と肝臓は3人の患者に移植され、肺は研究機関に寄付されたそうです。

 薬物依存症死という悲劇が、臓器移植を待つ12万人の患者にとっての希望になっている。なんともやるせない現実があります。▽シェリーめぐみ ジャーナリスト、テレビ・ラジオディレクター 横浜育ち。早稲田大学政経 学部卒業後、1991年からニューヨーク在住。

薬物依存症に「なる人」と「ならない人」の違い

◆誤解されている病気

 今年の5月、ある著名人が覚せい剤取締法違反で逮捕されました。その際、その人が逮捕される際に麻薬取締官に言った、「ありがとうございます」という発言が、マスメディアのあいだでちょっとした話題になったのを覚えているでしょうか? 

 私は、この一件を一生忘れないでしょう。というのも、この一件に関して、あるワイドショー番組でタレントやコメンテーターがしたコメントに、私は心底腹が立ったからです。そのコメントとは、「ありがとうなんて軽いね。反省が足りない」というものでした。

 これまで私は、何人もの覚せい剤依存症患者が、「逮捕された瞬間、思わず『ありがとう』って言ってしまった」と苦笑まじりに語るのを聞いてきました。そしてその理由を聞くと、みな一様にこう言いました。「これでやっとクスリがやめられる、もう 嘘(うそ)をつかないでいい。そう思ったら、何だかホッとしてしまって」と。

 要するに、あの「ありがとう」という言葉は、その人がそれだけ悩んでいた、苦しんでいたということを意味するものなのです。「軽い」「反省が足りない」などという批判は見当違いもはなはだしいというべきでしょう。

 それにしても、つくづく薬物依存症者は誤解されていると思います。たとえば、ある薬物依存症者が「やめられない」と告白した状況を想像してください。その状況、専門家であれば、「よく言えたね。回復の第一歩だよ」と褒めるところです。しかし、世間一般の反応はどのようなものでしょうか? おそらく「反省が足りない」と非難され、さらに、「ダメな 奴(やつ) 」「完全に終わった奴」と切り捨てられ、社会から排除されるのがオチです。

◆なぜ一部の人だけが依存症になるのか

 ところで、人はなぜ薬物依存症になるのでしょうか?

 もしもあなたが多少とも見識のある方ならば、こう答えるはずです。「依存症の原因は、性格や意志の弱さなんかじゃない。薬物に手を出したからだ。その結果、薬物の強烈な快感が脳に刻印付けられてしまい、脳が支配されてしまっているからだ」と。

 なるほど、その通りです。確かに依存症になりやすい性格傾向など存在しませんし、薬物を使ったことがない人はどうあがいても薬物依存症にはなれません。そして、脳に刻印づけられた欲求に対して、意志はあまりに無力です。なにしろ、依存症になった脳は、隙あらばその人の耳元で甘言を弄し、誘惑します。

 「たまの1回なら大丈夫」「これが最後の一発」「バレなきゃ平気」……。

 これに打ち勝つのは容易ではありません。

 しかし、さきほどの回答はまだ完璧とはいえません。なぜなら、薬物に手を出しても、依存症になる人とならない人がいる、という事実を説明できていないからです。

 たとえば、アルコールはれっきとした依存性薬物ですが、それでも依存症になるのは習慣的飲酒者のごく一部です。また、睡眠薬や鎮痛薬、あるいは市販のかぜ薬でも依存症になる人がいますが、それも使用経験者の一部に限られます。

 意外に思うかもしれませんが、覚せい剤の場合も同じなのです。覚せい剤依存症患者の大半は、最初のうちは仲間と一緒に覚せい剤を使っていたのに、気づくとひとり取り残されてしまった人たちです。彼らはよくこう愚痴ります。「昔、一緒にクスリをやっていた奴は、今じゃ、みんな家庭を持ってちゃんと家族を養っている。いまだクスリから抜け出せないのは自分だけ。どうして自分はダメなのか……」と。

 依存症になる人とならない人、その違いはどこにあるのでしょうか?

◆「ネズミの楽園」が教えてくれること

 興味深い実験があります。1980年にサイモン・フレーザー大学のブルース・アレクサンダー博士らが行った、「ネズミの楽園Rat park」と呼ばれる有名な実験です。

 この実験では、ネズミは、居住環境の異なる二つのグループに分けられました。一方のネズミは、1匹ずつ金網でできた 檻(おり)の中に(「植民地ネズミ」)、そしてもう一方のネズミは、広々とした場所に雌雄十数匹が一緒に入れられました(「楽園ネズミ」)。

 ちなみに、楽園ネズミに提供された広場は、まさに「ネズミの楽園」でした。床には、巣を作りやすいように常緑樹のウッドチップが敷き詰められ、いつでも好きなときに食べられるように十分なエサも用意されました。また、所々にネズミが隠れたり遊んだりできる箱や缶が置かれ、ネズミ同士の接触や交流を妨げない環境になっていました。

 アレクサンダー博士らは、この両方のネズミに対し、普通の水とモルヒネ入りの水を用意して与え、57日間観察したわけです。その結果は実に興味深いものでした。植民地ネズミの多くが、孤独な檻の中で頻繁にモルヒネ水を摂取しては、日がな一日 酩酊めいてい していたのに対し、楽園ネズミの多くは、他のネズミと遊んだり、じゃれ合ったり、交尾したりして、なかなかモルヒネ水を飲もうとしなかったのです。

 この実験結果こそが、「なぜ一部の人だけが薬物依存症になるのか」という問いの答えではないでしょうか? それは、自分が置かれた状況を「狭苦しい檻」と感じている人の方が、「楽園」と感じている人よりも薬物依存症になりやすいということ、つまり、しんどい状況にある人ほど依存症になりやすいということです。

 もちろん、「人間をネズミと一緒にするな」という反論もあるでしょう。しかし、国家レベルで見れば、薬物汚染が深刻な国は、きまって貧困や経済格差に 喘あえ ぐ、「暮らしにくい国」なのです。同じことが、個人レベルでも認められたとしても不思議ではない――私はそう考えています。

◆安心して「やめられない」といえる社会

 「ネズミの楽園」実験には続きがあります。

 アレクサンダー博士らは、檻の中でモルヒネ水ばかりを飲んでは酔っ払っていた植民地ネズミを、今度は、楽園ネズミのいる広場へと移したのです。すると、彼らは、広場の中で楽園ネズミたちとじゃれ合い、遊び、交流するようになりました。

 それだけではありません。驚いたことに、檻の中ですっかりモルヒネ漬けになっていた彼らが、けいれんなど、モルヒネの離脱症状を呈しながらも、いつしかモルヒネ水ではなく、普通の水を飲むようになったのです。

 この実験結果が暗示しているものは、一体何なのでしょうか?  

 私はこう考えています。それは、薬物依存症から回復しやすい環境とは、「薬物がやめられない」と発言しても、排除もされなければ孤立を強いられることもない社会、むしろその発言を回復の第一歩と見なし、応援してもらえる社会であるということです。

 一言でいいましょう。

 それは、安心して「やめられない」と言える社会なのです。(松本俊彦=国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部部長)

サイト閲覧、ゲーム課金…ネット依存症の症状と治し方

■インターネットに日常生活が侵食されていませんか?
インターネットは私たちの社会を大きく変えたテクノロジーと言えるでしょう。筆者がまだ子供だった頃は、そもそも「パソコン」という言葉すらなく、このような未来がくることはまったく想像していませんでした。

現代では、多くの人が一日のかなりの時間をインターネットに費やしていると思います。もちろん仕事上必要な方も少なくないでしょうが、特に必要もなく多大な時間をネットやネットゲームに費やしているヘビーユーザーは、依存症の状態に陥っていないか、気をつける必要があります。以下でインターネット依存症について詳しく解説します。

■正式な病名になるかもしれない「インターネットゲーム障害」
インターネットが普及して20年近く経過しましたが、アルコールやギャンブルなどへの依存症と同様、ネットユーザーの一部に深刻な問題が生じていることには、すでに多くの方が気付かれていると思います。

アメリカでの統計では、インターネット依存症の頻度は人口の0.3~0.7%。該当する方が週にインターネットに費やす時間は平均38.5時間。結果として40%の方の睡眠時間が4時間以下になっていると報告されています。

2013年に改訂されたアメリカ精神医学会の診断基準『DSM-5』では、現段階ではまだ正式な診断名ではありませんが、研究段階の診断名として「インターネットゲーム障害」という病名が新しく加えられました。

「インターネットゲーム障害」という病名にもある「ゲーム」はネット依存になる大きな原因の一つですが、過度のオンラインでの衝動買いや性的な内容の閲覧なども、インターネット依存症に含まれます。

■インターネット依存症の症状
インターネット依存症の具体的な症状は以下の通りです。

・いつもインターネットの事が頭を占めている
・最初に決めた以上の時間をどうしても費やしてしまう
・インターネットにつながっていないと気分が不安定になりやすい
・インターネットが冴えない気分を晴らす手段になっている
・インターネットに依存している実際の状況を周囲に隠している
・インターネットを利用する時間が長すぎるため、生活の大事な部分に深刻な支障が生じている

■インターネット依存症になると脳に変化が起きる?
インターネットに依存すると、アルコールなど薬物に依存した場合と類似の変化が脳内に現われるという研究報告が数年前にありました。

それは中国科学院のHao Lei氏らが、『Plos One』誌に発表したもので、14歳から21歳までの35人の男女に対してインターネット使用の状況を調査した結果、約半数の17名がインターネット依存症に該当しました。

この17名の脳を画像診断で調べたところ、ネット依存がみられない集団に比べ、統計学的に有意に、脳内の眼窩前頭皮質と呼ばれる領域の「白質」に異常が認められたとのことです。

「白質」とは簡単に言えば、脳内の神経細胞から神経細胞へ情報が伝達していく通り道のこと。インターネット依存症のグループで異常が見られた領域は感情の生成や意思決定、認知の制御などに関連する領域です。この異常はアルコール依存症などでも見られることが知られています。

Hao Lie氏の報告は、インターネットを利用するという「行為」への依存症でも、アルコールなど物質への依存症と類似の変異が脳内に見られることを見出した点で画期的です。なお、この白質の変異はネット依存状態の結果なのか、それとも逆に、元々白質に変異があった人がインターネット依存症になりやすいのかという点に関しては、まだ明らかになっていません。

■ネットゲームへの高額課金……ギャンブル依存症にもご注意を
また、オンラインゲーム(ネットゲーム、ソーシャルゲームなど)に高額課金をしてしまい大きな問題を抱えてしまう人もいるようです。ゲームへの課金経験がある人は少なくないようですが、何度もう止めようと思っても課金を止められず、経済的に苦しい状態になっている人の中には「ギャンブル依存」に近い状態の人もいるのではと思います。

ギャンブル特有の心理状態には、脳内の神経伝達物質が関係しています。人はストレスを感じると、ストレスの元となる何らかの危険な状況に備えるために、脳内に「ノルアドレナリン」が分泌されます。そして同時に、リスクを取りたいという気分も生じます。ギャンブルをしてスリルや快感を感じている時には、「ドーパミン」という脳内物質が分泌されています。

このドーパミンは、おいしい食事をしたり、パートナーと楽しく過ごしている時にも分泌されるものです。オンラインゲームに熱烈に恋をしているかのように熱中してしまう場合、こうした脳内物質が影響した快感により、依存症の状態になっている可能性があります。

■依存から抜け出すには専門家の力を借りることも大切
インターネット依存症は大部分の方は無縁でしょうが、米国の統計によると、1000人中3~7人が該当するようです。繰り返しますが、ネットのヘビーユーザーの方は注意を払っていただきたいです。

もしインターネット依存症になってしまった場合、解決する手段はただ1つ。それは依存症一般に共通しますが、依存の原因に2度と手を出さないことです。

依存症の本質は、その原因に対するコントロールが自分の力ではほぼ不可能になっていることにあります。それは決して本人の意志の問題ではなく、上記の研究報告も示唆していますが、脳機能に何らかの変容が生じた結果、その原因に接することで、それに対するコントロールを失ってしまうのです。

仕事でもプライベートでも、ネットをまったく利用しない生活を送るのは現実的に難しい時代ですが、依存症の状態になってしまうと、自力での解決は非常に難しくなります。自分自身や家族がネットに夢中になるあまり、現実の生活に支障が出ていることに気付かれた場合、精神科(神経科)を受診され、専門家の力を借りるべきであることを、皆さまどうか頭に置いておいてください。

新しい“腸活”として話題の「シンバイオティクス」!美腸と美肌を守る食材の組み合わせとは?

美容好きなら「美腸=美肌」ということはもうご存知だと思いますが、やみくもに食べているだけで効果が実感できないと感じる女子も多いのではないでしょうか?

新しい“腸活”として話題になりはじめている「シンバイオティクス」なら誰もが日常に取り入れている食材のかけあわせで効果が期待できるかも!? 詳細を見てみましょう。

■「シンバイオティクス」とは

腸に良い食材と言えば、食物繊維摂取と乳酸菌摂取。便秘に悩む女子なら、だれもがこの2つを試していることでしょう。

もしかしたら、どちらかだけの摂取だから、効果が現れないのかも? 乳酸菌やビフィズス菌などヨーグルトや発酵食品に含まれる微生物(善玉菌)のことで生きた状態で腸に移動して腸内改善と助ける役目。

これを「プロバイオティクス」と言うそうです。そして、一文字違いの「プレバイオティクス」は食物繊維など、腸内細菌の働きを助ける物質のこと。この両方を含んで相乗効果を生む食事や製剤のことを「シンバイオティクス」と呼ぶそうです。(日本ビフィズス菌センター調べ)

要は、善玉菌食品と食物繊維入り食品を一緒に食べるとよいということですね。

■「シンバイオティクス」効果が期待できるオススメ美腸食品とは?

●食物繊維

・大麦食物繊維が100g中9.6gと、玄米の約3倍あり、中でも善玉菌のエサとなる水溶性食物繊維の「β-グルカン」が豊富です。

・大豆豆類の中でも糖質が少なく、食物繊維が豊富で善玉菌の働きを助ける効果が期待。

●乳酸菌

・ヨーグルトメーカーによって、様々な善玉菌が開発されていますが、市販品の多くはビフィズス菌や乳酸菌が含まれています。なるべく砂糖が入ってないプレーンのものを取り入れましょう。甘味料は善玉菌のエサとなるオリゴ糖、甜菜(てんさい)糖などを少量程度に。

他にも食物繊維は雑穀類やシリアル、野菜や果物からも摂取できますし、乳酸菌もヨーグルトだけではなく、漬物やキムチにも入っているので、毎日の食事に取り入れてみましょう。

■食物繊維+善玉菌「シンバイオティクス」実行食例

●自炊編

・もち麦入り大豆(市販品)をサラダと共にヨーグルトドレッシングで頂く

・カレー1人分(レトルトでOK)に豆乳とヨーグルト、蒸した大麦を各大さじ1ずつ入れて

・漬物やキムチは、そのものが食物繊維と乳酸菌、両方を含むので大麦入りご飯と一緒に食べて!

●市販品編

・ヨーグルトクリームがサンドしてある、雑穀や小麦胚芽のビスケット(ビスコ、クリーム玄米ブランなど)

・オールブランやグラノーラをお好きなヨーグルトと共に頂く

特別なものを食べるわけではなく、組み合わせ次第で美肌やダイエットにつながる“腸活”が実行できそうですね。

薬物依存は刑罰では治らない 専門医が語る「唯一の手段」とは

 元プロ野球選手・清原和博被告の判決が言い渡された。しかし、彼にとっていま最も必要とされるのは、刑罰以上に薬物依存への適切な治療だ。

 日本では、薬物依存を治療対象として見ていない――。こう指摘するのは、薬物依存治療の第一人者である国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部部長の松本俊彦医師だ。

 覚醒剤などの薬物は、使用するにつれ脳が変成され、強い欲求をコントロールできない薬物依存に陥る。薬物依存は、刑罰や入院で薬物から切り離しても、どれだけ薬物の害を説いても、薬物使用を責めても、「治る」ものではない。

 慢性疾患である2型糖尿病に置き換えるとわかりやすい。入院時は高カロリー・高脂肪食と強制的に手を切れる。しかし退院後は、知恵を絞って高カロリー・高脂肪食を手に取らないようにしなくてはならない。

 まわりが「高カロリー・高脂肪食を食べたあなたが悪い」と責めればかえって逆効果で、患者は高カロリー食を食べてしまっても医師や周囲に隠し、あるいは治療をドロップアウトし、病状は進行する。薬物依存も同様だ。

「薬物依存から回復するためには継続的な治療しかありません。最初は薬物を使用していても、治療を継続し、欲求コントロールの方法を学んでいく以外に手はない」

 薬物に限らず依存症は、治療を受けていても、安定してやめられるようになるまで「大失敗(再使用を繰り返して大きなトラブルなどを起こす)」を7~8回繰り返すという。大失敗は挫折ではなく、「断薬」へのプロセスの一環だ。

「だから薬物依存の患者が欲求に負けて薬物を使用しても、決して責めない。治療継続を褒め、対策を考える。こういった治療サポートプログラムの確立で、治療の継続率が上がるのです」

■最も口にしてはいけない言葉とは?

 松本医師は、2006年に「せりがや覚せい剤依存再発防止プログラム=SMARPP(スマープ)」を開発。治療と並行し、週1回、精神科医などのスタッフと患者が薬物への欲求対策などを学ぶ。毎回の尿検査で薬物使用と出ても、通報せず、自首を勧めない。欠席した患者には「来てくださいね」などとメールする。

 スマープの導入で、国立精神・神経医療研究センターでは、初診後3カ月時点での治療継続率は9割以上に上る。スマープ不参加の患者群では6割以下。松本医師の前勤務先の病院では3割程度だったので、飛躍的に伸びた。

 全国の精神保健福祉センターでスマープの導入が決定されており、現在24カ所で実施。加えて21カ所の医療機関でもスマープが導入されている。少しずつ薬物依存の治療のサポート体制が広がりつつあるが、しかし欧米に比べるとまだまだ足りないという。

「日本では薬物依存は『治療』より『刑罰』が先にくる傾向がある。治療専門の医療機関や専門医は不足しており、薬物依存患者の受け皿は少ない」

 清原被告に対して、裁判官は「自助努力による更生がふさわしく……」と述べた。しかし、適切な治療と、今後起こるかもしれない「大失敗」も受け入れる治療継続のためのサポート体制は用意されているのか。

 松本医師によれば、「今度もしやったら……」は、薬物依存の患者に対して医師も周囲も最も口にしてはいけない言葉だという。患者が治療を中断してしまっても、家族や周囲が「依存症者家族のための相談」につながり続けることで、患者が治療を再開するケースは少なくない。親友の佐々木主浩氏をはじめ、清原の周囲の人々が理解していればいいのだが。

なぜ人は依存症になるのか<10歳若返る!鎌田流健康塾(27)>

 医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

 ◇ ◇

 日本は依存症大国といわれている。厚生労働省の発表によると、パチンコや競馬などギャンブルに依存している人が成人の約4・8%、536万人に上る。アメリカは1・58%、韓国は0・8%であるから、日本は際立って高い数字であることがわかる。

 ほかにもいろいろある。インターネット依存症421万人、アルコール依存症は年々増え続けて109万人に達している。

 依存症は3種類に大別される。1つ目はたばこやアルコールなど物質への依存。たばこもアルコールも依存症になってしまえば、断ち切ることは難しい。清原元選手の薬物依存もそうだ。それでも切れる。

 2つ目はプロセスへの依存といわれる。ギャンブルや買い物、セックス、インターネットなどの依存である。

 3つ目は人間関係の依存。恋愛やカルト宗教、DVなどへの依存が存在する。

 なぜ依存症になるのか。それは、快楽ホルモンと呼ばれるドーパミンがカギを握っている。

 たとえば、パチンコで大当たりしたとしよう。脳内にドーパミンが分泌され、人は気持ちよさを経験してしまう。そして、次もこの快楽を得ようと、パチンコ台に向かっていく。報酬系という。

 人間はこの報酬系によって、行動が強化されていく。人にほめられたり、ごほうびをもらえたりすると、がんばるようにできているのだ。

 依存症は、快楽ホルモンの暴走である。暴走を食い止めるには、自分ひとりの快楽からちょっと離れてみる必要がある。他者の喜びが自分の喜びと感じられるようにシフトすれば、快楽ホルモンは仕事や社会貢献のエネルギーとなるだろう。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。

清原被告を覚醒剤に走らせた「心の隙間」、どう埋めるのか…支援体制の実情

覚醒剤取締法違反(使用など)に問われた元プロ野球選手の清原和博被告の判決公判が5月31日、東京地裁であり、懲役2年6月、執行猶予4年が言い渡された。

 高校生にして全国区のスター選手となり、プロでは記録より記憶の歴史を積み上げ、引退後も金に困ることはなかったはずの超大物が、なぜ薬物に走ったのか。清原被告は5月17日の初公判で、動機をこう語った。「いずれどこかのチームのコーチや監督になりたいと思っていましたが、依頼してくるチームはありませんでした。心の隙間を埋めるようにして覚醒剤を使うようになりました」。山のように大きな体に宿る、繊細で傷つきやすい心。体に刻んだ入れ墨は、打たれ弱い心を守る 鎧(よろい)だったのだろうか。

◆依存症患者の共通の特徴

覚醒剤などの薬物に走る人は、共通の傾向があると専門家は言う。埼玉県立精神医療センターは、薬物依存症患者の治療に使うテキストで、以下の六つの傾向を挙げている。

 ・自己評価が低く自分に自信を持てない
 ・人を信じられない
 ・本音を言えない
 ・見捨てられる不安が強い
 ・孤独で寂しい
 ・自分を大切にできない

 喝采を浴びていた全盛期の清原被告は、そのような思いで苦しむことはなかったはずだ。だが、けがなどの影響で成績が下降し始めた頃から、隠れていた生来の 脆もろ い心が顔を出し、自分を追い込んで行ったのかもしれない。清原被告のケースとは異なるが、覚醒剤で身を持ち崩す人の中には、幼少期にゆがんだ環境で育ち、不当に低い自己評価しか持てなくなってしまった人も多い。

 覚醒剤の使用や所持で逮捕されると、仕事を失うなど社会的な制裁を受け、再犯を繰り返すと長い実刑が待っている。清原被告は初犯だが、「反省を促すため厳しい実刑を」とする意見も多かった。

 再犯者を実刑に処するのは、社会秩序を守るためにも当然と考えられる。だが、制裁ばかりを重視すると大切な視点が抜け落ちてしまう。「薬物依存症は脳の病気である」という視点だ。

 覚醒剤犯罪者の出所後5年以内の刑務所再入率は、約50%と高い。長く収監して「反省」や「改心」をさせても、出所するとまた薬物に頼り、刑務所に戻ってくる。第三者が「何度やった気が済むのか!」「一生入っていろ!」と非難するのはたやすい。だが、再使用をやめられないのは、本当に「反省が足りないから」なのだろうか。薬物依存症という「病気だから」ではないのか。

 刑期を終えた薬物依存症患者を、自己評価が低いまま社会に放り出しても、生き馬の目を抜く社会でうまく立ち回れるはずもない。ストレスで心の隙間が再び広がり、薬物への病的な欲求がぶり返して、再使用に至る。その繰り返しで再犯を重ねていくのだ。

 では、どうしたら再犯を防げるのか。民間リハビリ施設への入所や自助グループへの参加に加え、有効と考えられているのが、専門医療機関が認知行動療法をベースに行うカウンセリング治療だ(2016年4月6日の夕刊からだ面「薬物依存症の専門治療」で詳報)。医師や看護師、臨床心理士ら医療スタッフと、複数の患者で行う外来の集団カウンセリング治療は、今年4月から公的医療保険が使えるようになった。

◆医師の親身な対応で外来通院5倍に

 埼玉県立精神医療センターなどが行った興味深い研究がある。覚醒剤や危険ドラッグなどを使用して混乱し、精神科救急病棟に入院した薬物依存症患者に、主治医が簡単なテキストを用いた1日10分程の関わりを5日間行うと、退院後に外来通院を一定期間続ける患者の割合が5倍になったというのだ。外来通院を継続すると、断薬率が飛躍的に高まることが知られている。

 この調査の対象は、2013年9月から14年8月までの1年間に、同センターなど2病院の精神科救急病棟に入院した薬物依存症患者31人。逮捕などで退院後に通院できない患者は除いた。テキストは全19ページで、同センターが作成。依存症の基礎知識や、再使用を防ぐ方法、今後の生活の具体的な計画の立て方、などを5回に分けて学ぶ。患者の入院中に主治医が病室を度々訪れ、このテキストをもとに薬物依存症について話し合った。1回10分程で学習でき、主治医は要点部分を声に出して読み合うなどして、患者との関係を築いた。

 この方法の導入前1年間は、2病院の患者の退院後の外来受診率は30%だったが、導入後1年間は81%に上昇。外来通院を3か月継続した患者は、11%から58%へと顕著に増えた。同センター副病院長の成瀬暢也さんは「患者は自信がなく孤立した人が多い。テキストの内容よりも、医師が親身になって回復を考える姿勢が、患者を変えたのだと思う」と話す。

◆刑の一部執行猶予に医師不足の暗雲

 明日6月1日から、薬物犯罪者らに対する刑の一部執行猶予が始まる。長い実刑は再犯を防ぐ決め手にはならないので、実刑の一部期間を執行猶予にして、保護観察下で医療的な支援などにつなげる画期的な取り組みだ。

 だが課題は多い。日本国内では、覚醒剤などの薬物依存症患者に適切に対応できる医師は極めて少ない。アルコール依存を診る精神科医は比較的多いが、覚醒剤依存になると「十数人しか思い浮かばない」と嘆く専門家もいる。

 精神科医の多くは、薬物依存症患者が抱える「生きにくさ」に目を向けず、一般人と同じようなマイナス感情を抱いて治療に関わろうとしない。自分を毛嫌いする精神科医のもとに、傷つきやすい心を内包した患者が通い続けるはずはない。

 成瀬さんは「患者を受け入れる医療機関を早急に増やすためには、精神科医が患者への忌避感情を改める必要がある」と訴えている。(読売新聞東京本社医療部記者・佐藤光展)

サイト閲覧、ゲーム課金……ネット依存症の症状と治し方

◆インターネットに日常生活が侵食されていませんか?

インターネットは私たちの社会を大きく変えたテクノロジーと言えるでしょう。筆者がまだ子供だった頃は、そもそも「パソコン」という言葉すらなく、このような未来がくることはまったく想像していませんでした。現代では、多くの人が一日のかなりの時間をインターネットに費やしていると思います。もちろん仕事上必要な方も少なくないでしょうが、特に必要もなく多大な時間をネットやネットゲームに費やしているヘビーユーザーは、依存症の状態に陥っていないか、気をつける必要があります。以下でインターネット依存症について詳しく解説します。
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◆正式な病名になるかもしれない「インターネットゲーム障害」

インターネットが普及して20年近く経過しましたが、アルコールやギャンブルなどへの依存症と同様、ネットユーザーの一部に深刻な問題が生じていることには、すでに多くの方が気付かれていると思います。アメリカでの統計では、インターネット依存症の頻度は人口の0.3~0.7%。該当する方が週にインターネットに費やす時間は平均38.5時間。結果として40%の方の睡眠時間が4時間以下になっていると報告されています。

2013年に改訂されたアメリカ精神医学会の診断基準『DSM-5』では、現段階ではまだ正式な診断名ではありませんが、研究段階の診断名として「インターネットゲーム障害」という病名が新しく加えられました。「インターネットゲーム障害」という病名にもある「ゲーム」はネット依存になる大きな原因の一つですが、過度のオンラインでの衝動買いや性的な内容の閲覧なども、インターネット依存症に含まれます。

◆インターネット依存症の症状

インターネット依存症の具体的な症状は以下の通りです。

・いつもインターネットの事が頭を占めている
・最初に決めた以上の時間をどうしても費やしてしまう
・インターネットにつながっていないと気分が不安定になりやすい
・インターネットが冴えない気分を晴らす手段になっている
・インターネットに依存している実際の状況を周囲に隠している
・インターネットを利用する時間が長すぎるため、生活の大事な部分に深刻な支障が生じている


◆インターネット依存症になると脳に変化が起きる?

インターネットに依存すると、アルコールなど薬物に依存した場合と類似の変化が脳内に現われるという研究報告が数年前にありました。それは中国科学院のHao Lei氏らが、『Plos One』誌に発表したもので、14歳から21歳までの35人の男女に対してインターネット使用の状況を調査した結果、約半数の17名がインターネット依存症に該当しました。

この17名の脳を画像診断で調べたところ、ネット依存がみられない集団に比べ、統計学的に有意に、脳内の眼窩前頭皮質と呼ばれる領域の「白質」に異常が認められたとのことです。 「白質」とは簡単に言えば、脳内の神経細胞から神経細胞へ情報が伝達していく通り道のこと。インターネット依存症のグループで異常が見られた領域は感情の生成や意思決定、認知の制御などに関連する領域です。この異常はアルコール依存症などでも見られることが知られています。

Hao Lie氏の報告は、インターネットを利用するという「行為」への依存症でも、アルコールなど物質への依存症と類似の変異が脳内に見られることを見出した点で画期的です。なお、この白質の変異はネット依存状態の結果なのか、それとも逆に、元々白質に変異があった人がインターネット依存症になりやすいのかという点に関しては、まだ明らかになっていません。
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◆ネットゲームへの高額課金……ギャンブル依存症にもご注意を

また、オンラインゲーム(ネットゲーム、ソーシャルゲームなど)に高額課金をしてしまい大きな問題を抱えてしまう人もいるようです。ゲームへの課金経験がある人は少なくないようですが、何度もう止めようと思っても課金を止められず、経済的に苦しい状態になっている人の中には「ギャンブル依存」に近い状態の人もいるのではと思います。

ギャンブル特有の心理状態には、脳内の神経伝達物質が関係しています。人はストレスを感じると、ストレスの元となる何らかの危険な状況に備えるために、脳内に「ノルアドレナリン」が分泌されます。そして同時に、リスクを取りたいという気分も生じます。ギャンブルをしてスリルや快感を感じている時には、「ドーパミン」という脳内物質が分泌されています。

このドーパミンは、おいしい食事をしたり、パートナーと楽しく過ごしている時にも分泌されるものです。オンラインゲームに熱烈に恋をしているかのように熱中してしまう場合、こうした脳内物質が影響した快感により、依存症の状態になっている可能性があります。

◆依存から抜け出すには専門家の力を借りることも大切

インターネット依存症は大部分の方は無縁でしょうが、米国の統計によると、1000人中3~7人が該当するようです。繰り返しますが、ネットのヘビーユーザーの方は注意を払っていただきたいです。もしインターネット依存症になってしまった場合、解決する手段はただ1つ。それは依存症一般に共通しますが、依存の原因に2度と手を出さないことです。

依存症の本質は、その原因に対するコントロールが自分の力ではほぼ不可能になっていることにあります。それは決して本人の意志の問題ではなく、上記の研究報告も示唆していますが、脳機能に何らかの変容が生じた結果、その原因に接することで、それに対するコントロールを失ってしまうのです。

仕事でもプライベートでも、ネットをまったく利用しない生活を送るのは現実的に難しい時代ですが、依存症の状態になってしまうと、自力での解決は非常に難しくなります。自分自身や家族がネットに夢中になるあまり、現実の生活に支障が出ていることに気付かれた場合、精神科(神経科)を受診され、専門家の力を借りるべきであることを、皆さまどうか頭に置いておいてください。

ゲーム障害 疾病認定を機に対策を

 オンラインゲームやテレビゲームのやり過ぎで日常生活を送るのが困難となる問題が、世界中に広がっている。世界保健機関(WHO)は、これを「ゲーム障害」との名称で新たな疾病に認定し、「国際疾病分類」の最新版に加えると発表した。来年の総会で採択する予定だ。これまでゲームのやり過ぎに正式な病名はなかったが、依存症の一つとして同分類に盛り込むことで診断例が増え、研究も進む。認定を機に、治療法や予防策の確立につながることを期待したい。

 ゲーム障害の患者は、未成年者に多い。時間の浪費にとどまらず、睡眠障害などの身体的なダメージを受ける。最新版の定義では、ゲームをしたい衝動が抑えられなくなり、日常生活より優先し、健康を損なうなどの問題が起きてもやめないといった症状が12カ月以上続いた場合に、同障害と診断される。インターネット依存治療専門外来が設けられた国立医療機関の調査では、患者は「昼夜逆転」「欠席・欠勤」「物の破壊」「食事をとらない」「家族に暴力を振るう」などの問題行動をする。家族や学業、仕事、地域社会に重大な支障が生じるのは明らかだ。

 深刻な事態は、日本だけで起きているのではない。「IT大国」とされる韓国では、ほとんど寝ずにゲームを続けた20代男性が死亡した。中国のメディアによると、ゲーム人口の低年齢化が進行しており、子どものオンラインゲームを禁止することが議論されている。WHOの担当者は「概算でゲームをしている人の2~3%がゲーム障害とみられる」と指摘しており、すでに相当数の患者が存在するのだろう。各国が連携に努め、障害の起きるメカニズムを解明したうえで、対策の強化を急ぐべきだ。

 問題が広がる背景には、スマートフォンやタブレット端末が急激に普及し、誰でも、どこでも、いつでもゲームのできる環境が整っていることがある。ところが、米国のコンピューターゲームの業界団体は、ゲームに依存性はなく、WHOに疾病認定をやめるよう訴えていたという。対症療法には、限界がある。原因やメカニズムに踏み込んだ治療が必要なのに、これでは、問題の根本的な解決には、つながりそうもない。今後は、ゲームを供給する側の責任と対策も、厳しく問われることになりそうだ。

ソシャゲ依存症に特効薬なし、スマホ使う時間を減らすしかない

 ゲームにのめりこみ、課金に多額のお金をつぎ込んでしまう“ソシャゲ依存”の人が増えている。やめたくてもやめられないソシャゲ依存。対策はないか。

 スマホ依存に詳しい大阪市立大学病院精神神経科の精神科医・片上素久さんが語る。

「ソシャゲ依存はアルコールやギャンブルと同様、依存症です。学校や会社に行けず、すべてのお金を課金に費やしてしまうこともある。食事もとらず歯も磨かずお風呂にも入らないといった症状もみられ、生活面への影響も大きい。

 しかし、自力で改善できないのに、本人も周りもゲームで病院に行くという意識が薄い。そのため放置されて重症化してしまう」

 自分や家族にそうした兆候を感じたら、まずは悩まずに医療機関を頼る選択が必要だ。

「当院では、カウンセリングのほか、グループミーティングによる治療を行っています。6人ほどで輪になり『何が原因でゲームに依存したか』『どうしたらゲームから抜け出せるか』といった議題に対し、参加者が自分の意見を述べながら全員で話し合います。

 特に女性の場合、夫婦仲が悪い、セックスレス、親の介護問題など、ゲーム依存となった背景に家庭内の問題を抱えているケースが多い。ゲームというよりどころを見つけると、そこから生活が崩壊していくのです。その根本的な原因を見つめ直す作業が回復の第一歩となります」(片上さん)

 その他、生活日誌をつけ、日常生活をモニタリングする治療もある。日誌をつけると、自分の生活がいかにゲームばかりで、家族をどれだけ放っていたかに気づくという。

「そうして自分を見つめ、優先順位を決めてもらいます。1番が家族なら、子供と一緒にお絵描きをしたり、夫と食事に行くなど、家族と楽しむ時間を増やすうちに、少しずつゲーム依存から脱却できる人は多いです」(片上さん)

 ゲームやスマホ依存の治療に力を入れる久里浜医療センターのネット依存治療部門・中山秀紀医師が語る。

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