あなたの健康はお金で買えますか・・・? ■日本の名医・いい病院
fc2ブログ

【日本の名医】胸腔鏡手術で高い実績!体へのダメージ軽く★群馬大学医学部附属病院呼吸器外科講師・清水公裕さん(43)

前橋市にある群馬大学医学部附属病院呼吸器外科の清水公裕医師は、肺の手術、とりわけ胸腔鏡という内視鏡を使った低侵襲・機能温存手術で高い実績を持つ外科医だ。

 「開胸術と開腹術を体の受けるダメージで比べると、前者で体が受けるダメージは後者の5倍にも及ぶ、という動物実験の結果がある。それだけ肺の手術において、開胸せずに小さな傷で行う低侵襲手術を行う意味は大きい」

 肺がん、縦隔腫瘍、転移性肺腫瘍など、呼吸器に発生する重大疾患を一手に引き受ける。大きく開胸することなく、胸腔鏡で行う手術は、全体の8割に及ぶ。

 こうした“攻めの手術”を実現する背景には、「3D-CT」という画像解析装置が存在する。

 「CTの画像データを3D処理して立体的かつ多角的に見ることができる装置で、病変の位置や大きさ、血管のバリエーションが正確に把握できる。限られた視野で行う胸腔鏡手術の場合 “正確な全体像”が得られる3D-CTの存在は大きな強みです。

進行肺がんの進み具合も正確に評価でき、手術計画にも役立つ。3D-CTが今後の呼吸器手術を大きく変える可能性があります」

 正確性と安全性に優れ、しかも患者個別の微細な違いにも対応できる、まさに究極のテーラーメード手術が行えるのだ。

 確かな手術テクニックと、それを支える高度な医療技術-。この最強のコンビネーションは、従来の手術の適用範囲を拡大した。他院で「胸腔鏡手術は不可」または「開胸手術でも難しい」と言われた症例でも、清水医師による胸腔鏡と3D-CTを用いたテーラーメード手術で救われるケースは数多い。

 「高校まで認知症の祖母と暮らしていたので、本当はアルツハイマーの研究をしたかったんですよ」と笑顔を見せる。その優しさが今、低侵襲の肺がん手術への熱意となって、救いを求める肺がん患者に向けられている。 (長田昭二)

 ■清水公裕(しみず・きみひろ) 1968年山梨県生まれ。93年群馬大学医学部卒業。同大関連病院に勤務後、97年より国立がんセンター研究所で肺がんの研究に携わる。2000年国立がんセンター東病院。02年群馬大学に戻り現職。趣味は読書とスポーツクラブ通い。

【日本の名医】“白内障治療”で世界を飛び回る!親子3代の眼科医★金沢医科大学眼科学主任教授の佐々木洋さん(49)

金沢駅から車で15分。日本海を見下ろす高台にある金沢医科大学病院の眼科科長を務める佐々木洋主任教授は、祖父の代から三代続いた眼科医家系。「白内障治療」と「紫外線と目の病気」の二つの専門性を柱に据えて、臨床と研究で世界中を飛び回る毎日だ。

 本来の研究テーマは白内障だった。現在、国内だけで年間120万件の手術が行われている白内障だが、その中でも佐々木医師は通算2万5000件の執刀実績を持つ。

 「白内障は詳しく見ていけば80以上のタイプがあり、それぞれ原因や見え方も違う。正しい診断、適切な進行予防の指導や治療が必要だが、現状では必ずしも正しい診断がされていない。そのため必要がない人が手術を受けたり、治療が必要な人が放置されたりしているケースも見られる」と語る佐々木医師は現在、白内障の新しい診断基準作りに力を入れている。

 「日本だけでなく海外の眼科医も使えるガイドラインを作ることで、世界的な治療水準の底上げに貢献するのが夢です」

 もう一方のテーマである「紫外線と目の病気」は、世界的にも研究者の少ない領域だ。

 「子供の頃から目が紫外線を長時間浴び続けると、瞼裂斑(けんれつはん)という白目にシミができる病気になり、進行すると翼状片という結膜組織が角膜に入り、これが瞳を覆うと失明に至ることもある。

また、紫外線により早く老眼になったり、50代で進行した白内障になることがあり、それを防ぐためには、適切な紫外線対策が重要なのです」

 治療法や予防法など、メディアを通じた啓蒙活動に力を注ぐ佐々木医師。2009年にはWHO(世界保健機関)が、紫外線や喫煙と失明との関係解明の必要性を指摘している。この分野の研究者として国際的知名度を持つ佐々木医師の取り組みに、世界中の“目”が集まっている。(長田昭二)

 ■ささき・ひろし 1962年宮城県塩釜市生まれ。87年金沢大学医学部を卒業し、自治医科大学眼科入局。91年、米オークランド大学眼科研究所フェロー。2005年より金沢医科大学眼科教授。現在、中国医科大学、東北文化学園大学で客員教授を兼任。趣味はワインとジャズ鑑賞。

【日本の名医】患者と生涯にわたりお付き合いしたい!★小林医院(大阪市鶴見区)院長 小林経宏さん(44)

大阪市営地下鉄・長堀鶴見緑地線「今福鶴見」駅から徒歩5分の場所に、真新しいシャレた建物がある。2011年春に開院した小林医院(大阪市鶴見区)だ。院長の小林経宏医師は消化器外科出身。満を持しての開業の背景を、こう語る。

 「病院の外科医は、手術の場面では患者さんに深く関われるけれども、そこだけで関係が終わってしまう。それよりも、患者さんの生涯全般にわたってお付き合いができる医者になりたかったんです」

 その思いを強く持って設立した同院では「何でも診る」のがモットー。カゼ、頭痛、高血圧や糖尿病はもちろん、腰痛などの整形外科的疾患や小児科や皮膚科領域もカバーする。

 「基本的な医療対応はここで請け負い、必要があればより専門性の高い医療機関に紹介する。『どこに行けばいいのかわからない』という患者さんの窓口でありたい」。時には病気とは関係のない悩みごと相談に耳を傾けることもある。

 22年前に開催された「国際花と緑の博覧会」を境に宅地化が進んだこの地区。古くから住む高齢者と、新しく流入してきた若い家族が混在し、医療ニーズも多様だ。鶴見区出身の小林医師は、そうした地域特性を熟知している。そこで外来診療と並行して力を入れるのが、在宅診療だ。

 「在宅診療というとがんの末期の患者さんを思い浮かべる人が少なくないが、実際には色々なケースがある。積極的治療が可能な段階でも、足腰が悪くて通院できないお年寄りもいる。超高齢社会に突入した今、在宅診療なしで地域医療の充実はあり得ない」と、その必要性を説く。

 専門家でありながら、あえて「ジェネラリスト」であることにこだわるその姿勢が、時代と地域のニーズに支持されている。(長田昭二)

 ■こばやし・つねひろ 1968年大阪市鶴見区生まれ。奈良県立医科大学卒業後、同大消化器総合外科に所属。奈良県立奈良病院救命救急センター、済生会中和病院、加・アルバータ州立大学、松原市立松原病院、貴島病院本院などを経て2011年小林医院を開業し院長。日本消化器病学会専門医、日本外科学会指導医ほか。趣味は「子供と遊ぶこと」

【日本の名医】“元気で長生き”予防医学の第一人者!テレビでも有名★順天堂大学大学院加齢制御医学講座(東京都文京区)教授 白澤卓二さん(54)

<「100歳までボケない101の方法~実践編」という本(文春新書)が話題だ。

中曽根康弘元首相をはじめ、作家の瀬戸内寂聴氏、漫画家のやなせたかし氏、女優の森光子ら9人の著名人を取材し、それぞれの食生活や生きがい、ストレス発散法などを詳細に検証し、そこで導き出された「元気で長生きのための方法」を解き明かしている。

 著者の白澤卓二医師は、日本におけるアンチエイジング、予防医学の第一人者として知られ、テレビや雑誌などで、この笑顔を見ないことがないほどの著名人。しかし、その忙しい中、日々の外来診療にも余念がない。

 「現在、大学では研究のみを行い、外来診療は東京西徳洲会病院、下北沢病院、前橋温泉クリニック、長野県立須坂病院、飯山赤十字病院で行っています。病院によって“糖尿病外来”や“ダイエット外来”など専門外来の名前は異なるけれど、アンチエイジングにつなげる診療という意味では共通しています」

 そもそも呼吸器内科医としてデビューした白澤医師が、アンチエイジングに興味を持ったのは、アルツハイマーの研究に携わったことがきっかけだった。脳の老化を見つめる中で、その対象が全身の老化に拡大し、アンチエイジングの世界にのめり込んでいく。

 「医者としての僕の変遷を辿れば『長い道のりだった』と思うけれども、それは時代の流れ。もっと言えば社会学的時代背景がそうさせたと思うんです。そして僕が、いろんな人と会って話をするのが好きだった-ということじゃないですか?(笑)」

 忙しい中でも情報発信は続けたいという。

 「仕事が好きなんです。だから忙しくてもストレスにならない。今でも月に1、2回は当直だってこなしてますよ」

 屈託のないその笑顔から、多くの長寿者が生まれていくのだろう。(長田昭二)

 ■しらさわ・たくじ 1958年横浜市生まれ。千葉大学医学部卒業。同大学院修了。90年東京都老人総合研究所研究員。2006年同研究部長。07年より現職。医学博士。趣味は仕事。特技はフルート演奏。

【日本の名医】レーザー治療のスペシャリスト 痛みなくあざ・しみを除去★医療法人社団天祐会理事長 伊丹彰さん(53

顔の一部に青いあざのような色素沈着が広がる「太田母斑」。比較的日本人に多い皮膚疾患とされるが、患者本人はもちろん、特に子供に発症した場合、親にとっての悩みは計り知れない。

 この太田母斑だけでなく、あざやしみなどの除去治療のスペシャリストとして知られるのが、皮膚科医の伊丹彰医師。現在は札幌市内に3つの皮膚科・形成外科クリニックを擁する医療法人社団天祐会皮膚科形成外科グループの代表として、忙しい毎日を送っている。

 あざやしみの除去治療にはいくつかの方法があるが、伊丹医師が特に得意とするのがレーザー治療。黒や赤など、対象の色に選択的に反応する波長のレーザーを当てると、光線が組織に吸収されて熱に変わる。この熱でダメージを受けた組織は剥がれ落ち、その後には新しい正常な組織が再生してくる-というもの。

 「沈着した色素を除去するには、最初の診断が重要。正確な診断に対して最も適した治療法を選択できるか否かで、治療効果は大きく違ってきます」

 その伊丹医師がこだわるのが「痛みのないレーザー治療」だ。

 レーザー治療には、個人差はあるものの“痛み”を伴う。しかし近年、この痛みを消す麻酔効果のあるクリームが保険適用されたことで、レーザー治療の汎用(はんよう)性が広がった。リドカイン・プロピトカイン配合薬という塗り薬を使うことで、レーザー照射に伴う痛みを大幅に軽減することができるのだ。

 「太田母斑のようにレーザー治療が保険適用されている疾患の治療には、この薬も保険がききます。また自由診療でも、タトゥー除去のような治療にレーザーは効果が大きいので、今後“痛みのない皮膚治療”の幅は広がるはず」と自信を見せる。

 レーザー治療は痛いもの、と思い込んでいる人は多い。伊丹医師による治療効果の高い、そして痛みのより小さいレーザー治療に向けた挑戦は続く。 

■伊丹彰(いたみ・あきら) 1960年、東京都生まれ。東京医科大学卒業。帝京大学溝口病院で皮膚悪性腫瘍、アトピー性皮膚炎などの臨床経験を重ね、2000年、医療法人社団天祐会を開設し理事長。現在、札幌東皮膚科形成外科院長、琴似タワー皮膚科形成外科総院長を兼務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。趣味はスキーとフライフィッシング。

【日本の名医】ペイン、スポーツ、漢方を取り入れ診療★寺田クリニック(東京都豊島区)院長 寺田壮治さん(55)

池袋から西武池袋線各駅停車に乗って一駅。椎名町駅から徒歩3分の、昔ながらの商店街の先にある寺田クリニックは、「町の診療所」といった風情が漂う地域密着型診療所。一般内科のクリニックとして、周辺住民の健康管理に貢献する一方で、ペインクリニック、スポーツクリニック、そして東洋医学の側面からも複合的に医療展開するという特徴をもった医療機関だ。

 「自分の興味のある分野を追求していったらこうなったんです。勉強はあまり好きではないんですが、自分の興味のあることなら継続して勉強しますからね」と笑いながら話す寺田壮治院長。

 医学部でも「全身管理と救急蘇生を身に付けたかった」と麻酔科を専攻し、大学病院の勤務医時代には手術麻酔の他にあらゆる診療科で経験を積んだ。もともと開業するつもりだった寺田医師にとって、その「広く浅く」の経験は今も大いに役立っている。

 寺田医師が展開するスポーツクリニックは、アスリートだけを対象とするものではなく、受診者に占める割合は「一般の人のほうがはるかに多い」という。

 寺田医師の診察に基づいて作成される「運動処方箋」から、運動の強度、種類、時間、頻度を患者個別のニーズに合わせて設定し、運動療法士の指導の下でエクササイズをしていく。

 「例えば、さまざまな要因で関節の可動域が狭まってしまったケースなどは、個人差はあるものの、ご本人が驚くほど可動域を広げることも可能。日常生活で感じていた不便が一気に解消することも珍しくありません」

 そう語る寺田医師のもう一つの売りが、東洋医学からのアプローチだ。症状を“気”の状態から分析し、その人に合った漢方薬を併用することで、治療やエクササイズの効果を高める取り組みを実践する。

 「一人の医師がペインクリニック、スポーツクリニック、漢方の3つを複合的に取り入れているケースは少ないようです」と語る通り、その診療を求めて遠くは北海道や北陸、関西からも患者がやって来る。寺田院長の“興味”が多くの患者の医療ニーズと重なることは間違いない。

■てらだ・しょうじ 1957年東京都豊島区生まれ。83年獨協医科大学を卒業。日本大学医学部附属板橋病院麻酔科勤務後、94年に寺田クリニックを開設。日本医師会認定健康スポーツ医、日本体育協会公認スポーツドクター、日本エアロビック協会公認スポーツドクター。医学博士。趣味はフラメンコ、タンゴ、モータースポーツ。

日本の名医】“夢の治療法”サイバーナイフの第一人者★日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区)サイバーナイフセンター医師 野村竜太郎さん(35)

サイバーナイフとは、最新型の定位放射線治療(目標とする病巣のみに放射線を集中照射する治療法)装置の一つ。1990年代前半にアメリカで開発され、97年に日本に初上陸。現在日本各地で導入が進んでいる。

 高度なコンピューター制御によって、周辺の正常組織にはほとんど影響を及ぼさないまま、脳腫瘍などの病変部だけに高線量のエックス線を集中照射できることから、「夢の治療法」として期待される、きわめて画期的な医療技術だ。

 日赤医療センターの野村竜太郎医師は、同院のサイバーナイフ治療における中心的存在。以前は大学病院で血管障害や下垂体腫瘍など、脳外科の手術全般で実績を積んできたが、現在の病院に移ってからは、サイバーナイフ一本で勝負している。

 「脳外科医が放射線治療を行うことを不思議に思う人もいるが、サイバーナイフは従来の放射線治療と違って、極めて手術に近いアプローチで行われる治療。病変を取り巻く周囲の解剖を熟知し、それに応じた繊細な作業が求められ、そこに脳外科での経験が役立つことが少なくない」

 対象としては転移性脳腫瘍が最も多い。歩けなかった人が歩けるようになる、使えなかった利き腕が使えるようになる-など、神経学的な症状をなくして、生活の質を劇的に改善することに、野村医師は少なからぬ自信を見せる。

 そもそも痛みを伴うことなく、短期間の入院(通院)でできるサイバーナイフへの医療ニーズは、超高齢化を背景に急速に高まっている。

 「今後は脳腫瘍だけでなく、頭頚部や全身の腫瘍にも適応範囲を広げていく予定で、すでにその動きは始まっています」

 身体に及ぼすダメージの小さい治療を「低侵襲治療」とよぶが、サイバーナイフはまさに「究極の低侵襲治療」。その普及は医療消費者共通の願いであり、野村医師の挑戦にかかる期待はきわめて大きい。

■のむら・りゅうたろう 1976年東京都生まれ。
2003年日本医科大学を卒業後、同大脳神経外科に入局し、関連病院に勤務。10年より現職。脳神経外科専門医、がん治療認定医。医学博士。普段は日赤医療センターにて、毎週土曜日のみ山梨県笛吹市の春日居リハビリテーション病院でサイバーナイフ治療を担当。趣味は「子供と遊ぶこと」。

【日本の名医】美しく自然な“乳房”再建にこだわる★順天堂大医学部(東京都文京区)形成外科教授 水野博司さん(47)

日本では比較的新しい分野とされる形成外科だが、順天堂大学の形成外科は、日本で3番目の歴史を持つ老舗。水野博司医師は、その第3代教授として2年前に赴任した。

 形成外科が対象とするのは全身の皮膚と筋肉、そして骨。水野医師も、頭から足の先まで、さまざまな病態の治療に取り組んでいるが、中でも得意とするのが「乳房再建術」だ。乳がん治療は近年、医療技術の進歩で乳房温存手術が普及したが、それでもがんの進行状態によっては、乳房の一部、または全部を切除せざるを得ないケースはある。美しく自然な乳房の再建は、患者にとって切実な望みなのだ。

 「当院ではご自身のお腹や背中からの組織の移植、もしくはインプラント(人工埋設物)を使って乳房を再建しますが、手術中は寝た状態だけでなく、麻酔をかけたまま患者の体を起こして、少し離れた所から見比べて微調整をしていく。縫合にしても、ほんの僅かな糸のかけ方の違いで仕上がりは大きく変わってくる。形成外科医のこだわりが、患者の満足度を左右するのです」

 アメリカでは、幹細胞移植による再生医療の研究をしていた水野医師。患者自身の脂肪から採取した幹細胞を基に、さまざまな組織を再生するこの治療は、乳房再建だけでなく、慢性の傷の治療や歯周病治療などに応用される可能性を秘めた期待の最新医療だ。

 確かな技術を武器にしつつ、視線は近未来を見据える。次代の形成外科への期待が水野医師の肩にかかっている。

■水野博司(みずの・ひろし) 1964年愛知県尾張旭市生まれ。
90年防衛医科大学卒業と同時に海上自衛隊任官。防衛医大病院、硫黄島医務官、横須賀海自医務室、呉司令部医務衛生幕僚、米UCLA形成外科、自衛隊舞鶴病院に勤務の後に退官。日本医科大学形成外科を経て2010年より現職。趣味はB級グルメと旅行。

【日本の名医】“膝”治療を得意とする若き整形外科医★総合新川橋病院(川崎市川崎区)整形外科 平出敦夫さん(37)

高齢社会の進展とともに、日本人の病気も多様化が進んでいる。中でも整形外科領域で増加傾向にあるのが“膝”の疾患だ。総合新川橋病院整形外科の平出敦夫医師は「変形性膝関節症」に代表される膝の病気の診断と治療を得意とする若き整形外科医。

大学院では「軟骨再生」をテーマに研究し、その研究成果が国際学会で高く評価されるなど研究者としても高い実績を持つ臨床医だ。

 変形性膝関節症は、加齢などで膝の関節の軟骨がすり減り、骨同士が直接接触するなどして、痛みが出たり、関節機能を低下させる病態。

投薬や手術などいくつかのアプローチがあるが、平出医師は患者の年齢やライフスタイルを十分に考慮したうえで治療方針を立てることの重要性を説く。

 「人工関節には耐用年数があり、あまり若い人に手術をすると、後に再手術の可能性も出てくる。といって手術を回避ばかりしているとQOL(生活の質)にも影響が出てくる。

関節の状態だけで一律に治療法を決められないという点で、オーダーメードの治療が求められる分野です」

 薬物療法にあたっても、海外の論文を詳細に検証し、単に痛みを止めるだけではなく、積極的な治療効果の期待できる薬を選択するなど、患者本位の診療姿勢を貫く。

 小中高と英国で過ごし、ネイティブな英会話能力を持つ。「整形外科領域の症状で苦しんでいる外国人の診療にも力を入れたい」と抱負を語る平出医師。

 高齢化と国際化が進む日本において、貴重な存在の整形外科医が川崎にいることを、まず覚えておきたい。(長田昭二)

■ひらいで・あつお 1974年横浜市生まれ。2001年徳島大学医学部卒業。04年横浜市立大学大学院修了。浦賀病院、大和市立病院、横須賀市立うわまち病院、横浜船員保険病院等勤務を経て、11年より現職。趣味はダイビング。1月30日午後3時より同院1階ライブラリーで平出医師による公開講座「骨折予防教室」が開催される。予約不要、参加無料

日本の名医】手術は優しく“胃がん一筋”の外科医 職人的な技術で「全国4位」の治療実績★新潟県立がんセンター新潟病院副院長 梨本篤さん(64)

新潟市中央区にある新潟県立がんセンター新潟病院は、52年前に全国で初めて「がんセンター」を名乗った、日本海側を代表するがん拠点病院。

急性期病院の治療実績を紹介するサイト「病院情報局」(http://hospia.jp/)によると、同院は胃がんの治療実績で堂々の「全国4位」の実績を誇る。

 そんな同院副院長を務める梨本篤医師は、まさに胃がん手術領域で全国的に知られる外科医だ。

 新潟生まれ、新潟高校、新潟大学と地元の名門ルートを進んだ生粋の新潟人。「代々が医師の家系だったので」と、当然のように医学を志す。

当初は乳腺と消化器を担当していたが、現在の病院に来てからの四半世紀は“胃一筋”。その職人的な高い技術で、多くのがん患者を救ってきた。

 早期がんに対する腹腔鏡手術は若い医師に任せて、自らは比較的、病気の進行度が高い症例に対する開腹手術を担当する。

 「“丁寧で、体に優しい手術”にはこだわってきました」と語る梨本医師の技術は、手術時間の短さ、出血量の少なさ、生存率の高さというデータとなってあらわれる。他の病院で「手術は不可能」と宣告された患者が、梨本医師の治療によって生還を果たす例は珍しくない。

 本来の医療圏をはるかに超えたエリアから患者が集まる。それが「全国4位」という評価を生み出す。

 東京への憧れは-。「たまに遊びに行くならいいけれど(笑)」と、興味を示す素振りもない。新潟のがんは新潟で治す-という強い信念と郷土愛が、全国水準の治療成績の土台にある。

 新潟のブラックジャックは、中央集権的な色彩の濃い日本の医療界に、日本海側から大きな一石を投じる。 

■梨本篤(なしもと・あつし) 1949年、新潟県生まれ。
75年、新潟大学医学部卒業。同大医学部第一外科入局。81年、米ロズウェル・パーク癌研究所留学などを経て87年、県立がんセンター新潟病院外科医長。同外科部長、臨床部長、手術部長を経て2012年から現職。日本消化器外科学会評議員、日本胃癌学会監事・評議員、新潟消化器病研究会会長ほか。医学博士。趣味はサッカー観戦。

職場の“ストレス”が糖尿病のリスクを高める! 「働きすぎ」は病気になりやすくなると研究で明らかに

「仕事をし過ぎると、疲労、イライラ、ストレスを引き起こす上、たとえ太りすぎでなくても、2型糖尿病のリスクを高める可能性がある」ことが、ミュンヘンの疫学研究所の研究で明らかになったと、英国のメディアが報じました。

ストレスホルモンの上昇が、体内のブドウ糖のバランスを崩す

この研究は、フルタイムの仕事についている29~66歳の男女5,337人を対象に行われました。職場で最も重い負担を抱えている人は、心臓病、脳卒中、失明や切断のリスクの高い病気になりやすく、その値は45%も上昇するという結果が出ています。

研究者は、ボランティアたちの肥満指数(BMI)と家族の病歴を測定すると同時に、職場でのストレスレベルを調べたところ、比較的健全なBMI値を示している労働者にとっても、職場でのストレスが依然として重要な危険因子であるという結果が出たそうです。

担当した研究者は次のように述べています。

「私たちのデータによると、およそ5人中1人は職場で高いレベルのストレスの影響を受けています。どのくらいのレベルのストレスが糖尿病を引き起こすかははっきりしませんが、一定のストレスホルモンの上昇が、体内のブドウ糖のバランスを崩していると考えられます。血中のブドウ糖が高いレベルになると、身体の循環および主要な器官を損傷する可能性があります」

バランスの良い食事、適度な運動、そしてストレスの管理

2型糖尿病は、疲労、口の渇き、頻尿および治癒が遅い傷など、症状を認識しないまま、知らず知らずのうちにかかっている場合が少なくないのが特徴。かつては、中年以降にかかる「遅発性」糖尿病として知られていましたが、今では十代や二十代の人にも増えています。

英国糖尿病学会のリサーチディレクター、アラスデア・ランキン博士によると、科学者たちは、ストレスや長時間労働が病気の進行に及ぼす役割を調査し始めているそうです。

ランキン博士は「職場でのストレスを管理することは、賢明かつ重要です。2型糖尿病のリスクを軽減する最善の方法は、バランスの取れた健康的な食事をとり、定期的な運動を行い、体重を管理することです」と述べています。

日本では、糖尿病患者は全国に2,210万人いると推定されています(平成19年国民健康・栄養調査)。そのうち95%以上が2型糖尿病。自覚症状がないため、いつ発症したのか、わからないまま、健康診断などで発見されることがよくあるそうです。

ランキン博士の話のように、食事に気をつけ、適度な運動を心がけ、ストレスを溜めない生活ができれば、糖尿病に限らず、他の病気の予防にもなりそうですね。

【日本の名医】訪問診療で大学病院並み医療を提供したい!★「えびす英クリニック」(東京都渋谷区)院長 松尾英男さん(44)

現在の医療提供体制の中に「在宅医療」「訪問診療」という分野がある。寝たきりなどのため外来通院が困難な患者のため、医師が患者の自宅を訪れて診察を行うもので、高齢社会の進展を背景にそのニーズは高まっている。

 JR恵比寿駅からほど近い住宅街にある「えびす英(ひで)クリニック」は、訪問診療専門の医療機関。院長の松尾英男医師は医学部を卒業後、消化器内科医として大学病院などに勤務していたが、「患者の目線で応じられる医療を提供したい」と考え、都内の訪問診療専門クリニックでの修業を経て開業した。

 「大学病院でやっていることは医学としては間違いではない。でも、医学的に正しいことがすべて患者に受け入れられるかといえば、必ずしもそうとは限らない。そんなことを考え悩む中で、この分野に興味を持つようになったんです」

 現在受け持つ在宅患者は110人ほど。渋谷、目黒、港、世田谷などのエリアを巡り、1日の訪問先は平均16軒に及ぶ。急変時は深夜でも駆け付ける、気の抜けない毎日だ。

 「今も鹿児島で開業医を続ける父の姿を見て育ったので、医者という職業はそういうものだと思い込んでいる部分はあるんでしょうね。とはいえ、大変ですよ(笑)」

 病院でも診療所でもない、「患者の自宅」という限られた医療環境で、大学病院並みの医療を提供したい-と考え、在宅医療に熱心な開業医に呼びかけた勉強会を開催するなど向上心はやまない。その診療を待つ患者にとって松尾医師の存在は“命と心の拠り所”なのだ。 

 ■まつお・ひでお 1967年鹿児島市生まれ。94年杏林大学医学部卒業。関東中央病院、杏林大学附属病院を経て2001年より現職。

【日本の名医】えそした足を完全に切断せず機能残す!★佐賀大医学部附属病院(佐賀県佐賀市)形成外科診療教授 上村哲司さん(50)  

「足救済外科(足病外科)」という診療科目を耳にしたことがあるだろうか。糖尿病の合併症などでおきる足の壊疽(えそ)。これを完全に切断するのではなく、組織と機能を温存することを目的とした形成外科領域の一分野だ。

 佐賀大学形成外科の上村哲司医師は、日本における足救済外科の第一人者として知られる人物。

 一口に「足の病」といっても、対象は皮膚、筋肉、骨、神経、血管、そして元にある糖尿病などの基礎疾患、さらには靴の問題など広範囲にわたる。

そこで「キズの治療を専門とする形成外科医が中心になるべき」と考えた上村医師が旗を振り、内科、血管外科、循環器科、あるいは看護師や装具士らに呼びかけ、壊疽した足を切断せず機能を極力残すにはどうしたらいいのか-を話し合う勉強会が始まった。

 糖尿病から壊疽を招いて下腿切断に移行するのは約1%。推定患者数900万人、予備軍を入れると2000万人を超えるとされる糖尿病患者の数を考えると、そのリスクは決して小さくない。

 「日本では足の治療を総合的に教える学問がなく、臨床現場でも形成外科や整形外科、皮膚科などが個別に対応している。“足病専門医”の存在するアメリカとは大違いです」(上村医師)

 状況的に“切断やむなし”のケースもある。

 「それでも切断面積を最小限にし、機能温存のための皮膚移植などを行うには、形成外科医が中心でマネジメントをするのが理想的」と語る上村医師。

 “足救済”という共通の目的に向けた組織横断的な治療を始めて5年。その成果は徐々に浸透し、全国の医療者から注目されている。(長田昭二)

 ■上村哲司(うえむら・てつじ) 1962年福岡県飯塚市生まれ。87年久留米大学医学部卒業。日本赤十字社医療センターで外科研修。89年昭和大学形成外科に入局し、本院並びに関連病院に勤務。途中2年間、豪ロイヤルアデレードホスピタルに留学。2000年より佐賀大学外科学(整形外科)に勤務。04年同大形成外科新設に伴い現職。趣味は生け花。

【日本の名医】美しく自然な“乳房”再建にこだわる★順天堂大医学部(東京都文京区)形成外科教授 水野博司さん(47)

日本では比較的新しい分野とされる形成外科だが、順天堂大学の形成外科は、日本で3番目の歴史を持つ老舗。水野博司医師は、その第3代教授として2年前に赴任した。

 形成外科が対象とするのは全身の皮膚と筋肉、そして骨。水野医師も、頭から足の先まで、さまざまな病態の治療に取り組んでいるが、中でも得意とするのが「乳房再建術」だ。

乳がん治療は近年、医療技術の進歩で乳房温存手術が普及したが、それでもがんの進行状態によっては、乳房の一部、または全部を切除せざるを得ないケースはある。美しく自然な乳房の再建は、患者にとって切実な望みなのだ。

 「当院ではご自身のお腹や背中からの組織の移植、もしくはインプラント(人工埋設物)を使って乳房を再建しますが、手術中は寝た状態だけでなく、麻酔をかけたまま患者の体を起こして、少し離れた所から見比べて微調整をしていく。

縫合にしても、ほんの僅かな糸のかけ方の違いで仕上がりは大きく変わってくる。形成外科医のこだわりが、患者の満足度を左右するのです」

 アメリカでは、幹細胞移植による再生医療の研究をしていた水野医師。患者自身の脂肪から採取した幹細胞を基に、さまざまな組織を再生するこの治療は、乳房再建だけでなく、慢性の傷の治療や歯周病治療などに応用される可能性を秘めた期待の最新医療だ。

 確かな技術を武器にしつつ、視線は近未来を見据える。次代の形成外科への期待が水野医師の肩にかかっている。

 ■水野博司(みずの・ひろし) 1964年愛知県尾張旭市生まれ。90年防衛医科大学卒業と同時に海上自衛隊任官。防衛医大病院、硫黄島医務官、横須賀海自医務室、呉司令部医務衛生幕僚、米UCLA形成外科、自衛隊舞鶴病院に勤務の後に退官。日本医科大学形成外科を経て2010年より現職。趣味はB級グルメと旅行。


【日本の名医】“統合失調症”で高品質医療を提供!★吉祥寺病院院長の塚本一さん(52

JR中央線の三鷹駅から車で10分。調布市と三鷹市の市境近くにある吉祥寺病院。ヨーロッパ風の瀟洒(しょうしゃ)な佇まいが周辺の環境になじんでいる。

 院長の塚本一医師は、父親の設立した同院の運営を任されて14年。さまざまな改革を繰り返し実践することで、現代の患者ニーズに合った精神科病院の在り方を模索してきた。

 ひと口に精神科といっても認知症や薬物依存、アルコール依存症など診療対象は広範囲に及ぶ。そんな中で同院では「統合失調症に特化した病院」という特色を鮮明に打ち出している。

 「例えば統合失調症と認知症の患者が同じ病棟にいると、トラブルが起きやすい。ならば統合失調症に専門特化することで、より高度な医療を提供したいと考えました」と塚本医師。

 発症形態や治療方針の立て方にも個別性が大きいこの疾患には、医師だけでなく病院全体としての取り組みが何より重要になる。そこで塚本医師は、「看護師や薬剤師はもちろん事務職員に至るまで、すべての職員が統合失調症治療のプロとしての自覚と誇りを持てる環境づくり」が必要と考え、改革を進めてきた。

 「退院後の患者さんが地域で暮らしていくには、ゴミ出し一つにもトレーニングが必要です。そんな時、必要に応じて病院職員が患者さんの自宅に出向いて、一緒にゴミ出しをすることで自信を持たせることもある。そのプロ意識には本当に頭が下がりますよ」

 患者だけでなく、家族との関わりも重要視し、診察室や病棟以外でのサポート体制を充実させることで、理想的な治療環境を整備してきた。その結果として、同院が目指す「早期の社会復帰」が実現する割合も高まっているという。

 患者と家族、そして地域に支持される精神科病院の一つの姿として、塚本医師の取り組みが注目されている。

■つかもと・はじめ 1959年東京都生まれ。84年帝京大学医学部を卒業。同大内科に入局し、社会保険中央総合病院に勤務。後に帝京大精神科学教室を経て87年より吉祥寺病院勤

日本の名医】忘れえぬ母への想い…やさしい医療を★京厚生年金病院(東京都新宿区)緩和ケア科部長 川畑正博さん(58)

JR総武線と地下鉄4線が交差する飯田橋駅から徒歩3分の東京厚生年金病院。ここの緩和ケア科部長を務めるのが川畑正博医師だ。

 取材の前に、川畑医師を知る病院内外の数人に「どんな先生?」と訊ねたら、全員が口をそろえて「穏やかでやさしい先生」という答えを返してきた。会ってみると、なるほどその通り。「人格者」という言葉がそのまま当てはまる、人生の最期を託すにふさわしい雰囲気を持つ内科医だ。

 東大工学部から大学院に進んだが、「人と接する仕事がしたい」と考え、医学部に入り直す。医師になってからは主として肝臓疾患の分野で実績を重ねていく。

 そんな中、勤務する現在の病院に緩和ケア病棟が新設されることを知り、自ら手を挙げてこのポジションに就いた。

 「以前、私の母をがんで亡くしたのですが、その時は私自身に緩和ケアの知識がなかったことから、結果として苦痛を伴う検査などもさせてしまった。そのこともあって、患者さんが人生の最期を、可能な限り安楽に過ごすお手伝いをしたいと思うようになって…」

 現在、同院の緩和ケア病棟は17床。しかし、山手線の内側で同病棟があるのは、ここを含めて4施設だけ。圧倒的に受け皿が不足する中、川畑医師にかかる重圧は半端ではない。

休日返上で病院に詰めることも多いが、「苦しむことなく、ご家族に囲まれて安らかに人生を全うされる患者さんを看取ることができると、この仕事を選んでよかったとしみじみ思います」と笑顔を見せる。

 医学は、がんが引き起こす身体的な痛みや苦しみをほぼ確実に取り除けるまでに進歩した。そんな現代だからこそ、治すだけでなく「理想的な最期」をサポートする医師の存在はきわめて重要だ。

 母にしてあげられなかった“やさしい医療”を目の前の患者に-。川畑医師の思いが、これからのがん医療に与える影響は、決して小さくない。 (長田昭二)

 ■かわばた・まさひろ 1953年鹿児島県生まれ。東京大学工学部から同大学院電子工学専攻修士課程、同医学部を経て同大学病院第一内科入局。米ヴァンダービルト大学に留学した他、癌研究会附属癌研究所、東京厚生年金病院内科に勤務し、2003年から現職。医学博士。日本緩和医療学会暫定指導医。趣味は映画と美術鑑賞。


【日本の名医】患者情報の共有で手厚い医療!“尾道方式”生みの親★片山医院院長の片山壽さん(63)

瀬戸内海に面した「しまなみ海道」の起点として知られる広島県尾道市は、医療界では別の面で高い知名度を持つ。

 病院、開業医、在宅医療が濃密に連携することで、患者が主治医を持たない瞬間のない、「切れ目のない医療」を実践する町としての知名度だ。

 「尾道方式」と呼ばれるこのシステムを考案し、定着させたのが、新幹線・新尾道駅近くにある片山医院の院長・片山壽医師。在宅緩和ケアの第一人者としても知られる片山医師が、この方式を導入したのは、同市医師会の会長時代のこと。

 「医師ではなく、患者の視点で考えていった結果、出来上がったのがこのシステム」と片山医師が言う「尾道方式」とは次のようなもの。

 それまで診療所に通院していた患者が、手術など入院を伴う医療が必要になった時、その後診療所での外来通院が可能になった時、さらには通院不可能になり在宅での医療を希望した時-などに、「それまで」と「その後」の医療に関わる全スタッフが一堂に会してカンファレンスを行い、患者に関する情報を完全に共有化し、極めて高度で濃密な医療を自然な形で継続していく仕組みだ。

 「初めは本当にできるのか-という声もありましたが、工夫を重ねることで定着しました。カンファレンスには患者やその家族にも参加してもらうので、お互いにコミュニケーションを深める上でも役立っています」

 片山医師の言う、数ある“工夫”の中でも「カンファレンスは15分で終わらせる」という強固なルールは逆に参加者の意識を高め、常に緊張感のある会合の実現に寄与している。

 「尾道市は全国水準と比較して高齢化率が高い。それだけに、日本の近未来の医療の姿を示す必要を感じていたので…」

 地域医療のモデル都市を牽引する片山医師の挑戦が、日本の医療の将来像に大きな影響を与えるのは間違いない。(長田昭二)

■片山壽(かたやま・ひさし) 1949年広島県尾道市生まれ。東京医科大学を卒業後、同大第三内科入局。済生会川口総合病院勤務を経て、84年より現職。尾道市医師会前会長。岡山大学医学部大学院臨床教授。医学博士。趣味はサックス演奏。

【日本の名医】最高水準の内視鏡治療を後進に 「ESD」の名手★東京医科大学消化器内科准教授・後藤田卓志さん(47)

「もし私が外科手術を受けるなら、自分の病院で受けるだろう。しかし、内視鏡治療を受けるなら、後藤田先生にお願いする」と語るのは、さる一流病院の著名外科医。同業者からこれほど高い信頼を持つ東京医科大学消化器内科の後藤田卓志医師は、日本を代表する内視鏡治療医の一人だ。

 従来、不可能とされた“比較的大きな早期胃がん”を、特殊な電気メスを用いて、分割することなく一括切除する「ESD」とよばれる術式の開発から普及に携わり、その名手としても世界的に知られる。

 国内最高水準のがん治療施設で身に付けた先端技術を引っ提げて母校に凱旋(がいせん)。今度は後輩たちを、より高いステージに上げるための指導と環境作りに力を入れている。

 「僕の期待が彼らに伝われば、それに応えようとして努力する。初めは上司や組織のためであっても、最終的には自分に戻ってきて、自然に伸びるもの」

 その理念の背景には、J・F・ケネディ氏が大統領就任演説で述べた言葉がある。

 「祖国があなたに何をしてくれるのかを訊ねてはならない。あなたが祖国のために何ができるのかを考えてほしい」

 一方で今、大きな興味を持っているのが、医療制度だ。子供たちの世代にツケを払わさないためにも、皆に公平で、無駄のない、そして時代ごとに妥当性のある医療のために、制度上の改善点を臨床医の立場から洗い出していきたいと語る。

 「胃がん検診ひとつとっても無駄が多い。受診者全員にバリウムを飲ませるより、ピロリ菌感染率が低い現代では、血液検査でピロリ菌の有無を調べ、保菌者だけに集中的に胃がん検診を提供したほうが効率的。

現在の日本の医療制度は、祖父母が孫のクレジットカードを無断で使いまくっているのに等しい状態。財政の健全化や次世代にツケをまわさないためにも、医療の費用対効果も避けずに議論していくべき時期にきている」

 高度な医療技術に加えて、研ぎ澄まされたバランス感覚と、国の将来を思う強い気持ちが、日本の医療を、技術と制度の両面から改革していく。(長田昭二)

■後藤田卓志(ごとうだ・たくじ) 1965年東京都生まれ。
92年東京医科大学を卒業し、同内科学第三講座入局。東京慈恵会医科大学消化器内視鏡科研修医を経て、国立がんセンター中央病院消化器内科に勤務。2010年国立国際医療研究センター消化器科医長・内視鏡科長。12年より現職。日本消化器病学会や日本胃癌学会など評議員。医学博士。趣味はテニス。

【同業者が選ぶゴッドハンド医師:心臓編】難手術600回経験

自分が病いを患っても、あるいは家族が病気にかかっても、最高の医師にめぐり会いたいというのが誰しもの本音だ。しかし、医療の素人には誰が名医であるかの情報は極めて乏しい。

「神の手(ゴッドハンド)」を持つ天才外科医は誰なのか。それを知るのは、同業者である外科医だけなのである。今回は【心臓外科医】について聞いた。

 執刀医の手術の技量が最も問われるのが心臓外科医だ。代表的な冠動脈バイパス手術は、心臓の表面にある冠状動脈の根本の血管に別の血管をつなげて血流を改善する手術だが、直径2ミリの血管をつなぐ技術は職人技といわれる。

「どんな細かい血管でもバイパスを繋げる技術の持ち主と評判なのが東京ハートセンターの南淵明宏先生です。天皇陛下の心臓手術の執刀をした天野篤先生も“流れるように美しい手術をする”と絶賛しているほど」(都内大学病院の心臓外科医)

 バイパス手術は中高年男性の突然死の多くを占める狭心症や心筋梗塞の治療として行なわれるが、南淵医師の独壇場といわれているのが、「小切開冠状動脈バイパス手術=midCABG(ミッドキャブ)」。

 わずか8センチ程度の切開により、冠状動脈で一番重要な左前下行枝という部分にバイパスを縫い付ける低侵襲(痛みや出血などが少ない)手術だ。

小さな傷口から心臓が動いたまま行なうため、難しい手術とされる。南淵医師は、この難手術を16年間で600件近く行なっている。

「手術は2時間程度で終了します。患者さんにとっては安全で輸血も必要ない手術ですが、外科医にとってはリスクのある難しい手術で、やっている人は少ないと思います」(南淵医師)

 その南淵医師が尊敬する名医の一人が岡山大学医学部血管外科の佐野俊二教授だ。小児心臓外科医として世界的に知られ、他の病院で見放された患者を数多く救ってきた。

若い時から国内外で修業を積み、特にメルボルン小児病院では世界的に名高い心臓外科医について師事し、毎日4例の心臓手術を3~4時間で次々とこなしていたという。

【日本の名医】“心臓守る”若きエース  大動脈弁狭窄症の“新技術”普及に邁進★慶應義塾大学病院 循環器内科特任講師 林田健太郎さん(37)

「大動脈弁狭窄(きょうさく)症」という病気がある。心臓には4つの部屋があり、この中を血液が通って全身に送り出されるが、その際に逆流しないように「弁」が設けられている。

ところが、動脈硬化などにより、この弁が石灰化し、機能不全に陥ることがある。これが大動脈狭窄症だ。

 慶應義塾大学医学部循環器内科特任講師の林田健太郎医師は、日本における大動脈弁狭窄症に対する「血管内治療」の分野の第一人者。

 本来この疾患は、外科的手術によって弁置換術が行われるのだが、高齢や過去に胸部の手術を経験したなどの理由から、手術ができないケースもある。

その場合、これまでは手の出しようがなかったが、このほど新しい医療技術が健康保険で承認された。血管内からカテーテルを使って人工弁を挿入し、機能不全の弁の内側から装着する技術だ。

 「経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)」とよばれるこの治療は、きわめて高度な技術が求められる。そのため人工弁を開発した企業が制定する指導医によるトレーニングが義務付けられているが、林田医師は日本でただ一人、この「指導医」の資格を持つ。

 「手術が不可能という理由で、命を落としていく人を何人も見てきただけに、うれしいですね」と笑顔で語る林田医師。

 今後は自ら行う血管内治療と、指導医としてのトレーニングの両面での活躍が期待されることになるが、その自覚はある。

 「せっかく承認された技術が、未熟な医療技術のために闇に葬られることだけはしたくない。単に技術を広めるのではなく、安全性を担保した普及に力を注ぎたい」

 37歳の若きエースに、日本人の心臓の未来がかかっている。

■林田健太郎(はやしだ・けんたろう) 1975年、東京都生まれ。2000年、
慶應義塾大学医学部卒業。同大学院進学。04年、足利赤十字病院循環器内科。07年、慶大医学部循環器内科助教。09年、杏林大学医学部第二内科助教。仏・ICPS(パリ南心臓血管研究所)留学。12年、慶大医学部循環器内科特任講師。日本心血管インターベンション治療学会専門医。医学博士。

【日本の名医】“夢の治療法”サイバーナイフの第一人者 ★日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区)サイバーナイフセンター医師 野村竜太郎さん(35)

サイバーナイフとは、最新型の定位放射線治療(目標とする病巣のみに放射線を集中照射する治療法)装置の一つ。1990年代前半にアメリカで開発され、97年に日本に初上陸。現在日本各地で導入が進んでいる。

 高度なコンピューター制御によって、周辺の正常組織にはほとんど影響を及ぼさないまま、脳腫瘍などの病変部だけに高線量のエックス線を集中照射できることから、「夢の治療法」として期待される、きわめて画期的な医療技術だ。

 日赤医療センターの野村竜太郎医師は、同院のサイバーナイフ治療における中心的存在。以前は大学病院で血管障害や下垂体腫瘍など、脳外科の手術全般で実績を積んできたが、現在の病院に移ってからは、サイバーナイフ一本で勝負している。

 「脳外科医が放射線治療を行うことを不思議に思う人もいるが、サイバーナイフは従来の放射線治療と違って、極めて手術に近いアプローチで行われる治療。病変を取り巻く周囲の解剖を熟知し、それに応じた繊細な作業が求められ、そこに脳外科での経験が役立つことが少なくない」

 対象としては転移性脳腫瘍が最も多い。歩けなかった人が歩けるようになる、使えなかった利き腕が使えるようになる-など、神経学的な症状をなくして、生活の質を劇的に改善することに、野村医師は少なからぬ自信を見せる。

 そもそも痛みを伴うことなく、短期間の入院(通院)でできるサイバーナイフへの医療ニーズは、超高齢化を背景に急速に高まっている。

 「今後は脳腫瘍だけでなく、頭頚部や全身の腫瘍にも適応範囲を広げていく予定で、すでにその動きは始まっています」

 身体に及ぼすダメージの小さい治療を「低侵襲治療」とよぶが、サイバーナイフはまさに「究極の低侵襲治療」。その普及は医療消費者共通の願いであり、野村医師の挑戦にかかる期待はきわめて大きい。(長田昭二)

 ■のむら・りゅうたろう 1976年東京都生まれ。2003年日本医科大学を卒業後、同大脳神経外科に入局し、関連病院に勤務。10年より現職。脳神経外科専門医、がん治療認定医。医学博士。普段は日赤医療センターにて、毎週土曜日のみ山梨県笛吹市の春日居リハビリテーション病院でサイバーナイフ治療を担当。趣味は「子供と遊ぶこと」。

【日本の名医】うつ病も診られる外科医 吉田勝明さん

がんと認知症。まったく別の疾患だし、診療科も異なるが、この二つの病気をともに背負い込んでいる患者は多い。

 「がんの患者でも認知症があるとがんの治療医から面倒がられる。また認知症を専門に診る精神科病院では高度ながん治療はできない。

そんな行き場所のない患者の受け皿を作りたかった」と語る吉田勝明医師は、元は胸部外科が専門。博士号も胸部外科で取得している。それがなぜ、認知症治療に興味を持ったのか。

 「地方勤務がきっかけ。都心と違って田舎の病院では、何でも診られなければなら

ない。特にがん患者で精神的な悩みを持つ人のウエートは高く、“ジェネラリスト”の必要性を感じたんです」

 あらためて精神科の勉強を始め、“うつ病も診られる外科医”が誕生した。

 「外科と精神科は意外に似ている。外科医はウデで治すが、精神科医は口(言葉)で治す。どちらも医師の体で治す診療科。決して薬がメーンではないんです」

 がんなどの外科治療を終えた認知症患者の受け入れ体制を整える一方、吉田医師がもう一つ力を入れるのがビジネスマンや学生のうつ病治療だ。産業医や学校医として出張カウンセリングを行い、休養が必要な患者は入院治療までカバーする。

 「うつと診断されてしばらく休んでも、復職、復学の状況次第では再発の危険性もある。医師が会社との連携を密にしなければ、理想的な治療はできない」(吉田医師)

 産業医として出向く企業では、単に吉田医師の顔を見るだけで安心するという“元患者”も多い。

 高齢社会とストレス社会-。現代を取り巻く二つの問題点が求める医師像を、吉田医師の柔和な笑顔に見ることができる。(長田昭二)

■よしだ・かつあき 1956年福岡県筑後市生まれ。82年金沢医科大学卒業。88年東京医科大学大学院修了。ナカジマ病院(長野県)、国立がんセンター研究所、会田病院(福島県)、上尾中央総合病院等を経て93年、横浜相原病院を設立し院長。趣味はスポーツ全般と俳句。

【日本の名医】西洋と東洋の融合…患者を苦痛から解放★たくみ内科(東京都板橋区)院長 太組由貴さん(46)  

西洋医学と東洋医学の両面から「症状」を見つめ、どうすれば患者が苦痛から解放されるのかを考えていく-。

 そんな患者本位のプライマリケア(初期診療)をテーマに昨年オープンしたのが、東京・板橋区にある「たくみ内科」。

院長の太組由貴医師は、「医療の窓口役になりたくて、漢方、鍼灸、アロマテラピーなど、人の体に関係のあるあらゆることを学んできました」と語る。“総合医”としての自らの立場を鮮明に打ち出す。

 「医療には色々な部門や役割がある中で、私が担当するのは入り口の部分。診療科のカベを取り払い、患者さんがいま苦しんでいる症状から診断を進め、必要に応じて専門家に紹介するという役割です」

 アメリカでは一般的なホームドクターとしての位置付けだが、日本でこの分野が注目され始めたのは最近のこと。しかし太組医師は学生時代から一貫して総合医をめざして取り組んできた。

 診療の柱になっている漢方もそのひとつ。

 「西洋医学が“病気”から入るのに対して、漢方は“体を見る”ことから診断につなげていく。これは初期診療において、とても役立つアプローチなんです」

 しかし、すべてを漢方で片づけるわけではなく、西洋医学のほうが適していると判断すれば、ちゅうちょせずそちらを選ぶ。要は「西洋と東洋のいいとこ取り」を日々の診療の中で実践しているのだ。

 「生活習慣病の患者には、かなり口うるさく指導しますよ」と笑う太組医師。「頼りになるかかりつけ医」として、その存在感はいま確実に、地域に浸透し始めている。

 ■たくみ・ゆき 1965年東京都世田谷区生まれ。90年日本医科大学卒業。同大付属第一病院(当時)、昭和大学医学部病理学教室、横浜新緑総合病院、横浜市立大学附属市民総合医療センター総合診療科勤務を経て、2011年より現職。現在も毎週水曜日は横浜市大での外来を継続。医学博士。趣味は「年に1度のダイビング」。

【日本の名医】“顔と頭部”修復術のスペシャリスト!★日本医科大学千葉北総病院(千葉県印西市)形成外科部長・教授 秋元正宇さん(50)

事故やケガで病院に運び込まれ、幸いにも一命は取り留めた。当人も周囲もまずは一安心だが、安心は次の欲求を生む。「見た目」だ。

 形成外科とは、ケガや手術によってできた外観上の“異常”を極限まで元の状態に戻すための治療を行う診療科。日本医科大学千葉北総病院の秋元正宇教授は、全身の中でも特に「顔と頭部領域」の修復術で高い実績を持つ形成外科医だ。

 「人の顔は、シワ一本できただけで見た目の表情が違ってくる。そこに生じる苦悩は、時に当人を社会生活から隔絶させることさえある。せっかく命が助かっても、見た目を気にして引きこもったのではもったいないですからね」

 皮膚と骨の複雑な構造を熟知し、その特性を最大限に生かした、きわめて専門性の高い形成外科手術を追求する。

たとえば「切開」ひとつとっても、単にまっすぐに切るのではなく、あえてジグザグに切除してから縫い合わせ方を工夫することで、引きつれのない美しい仕上がりが完成する。秋元医師の指先が織り成すその技は、医療における芸術だ。

 「形成外科医には、『俺がやればひと味もふた味もキレイに仕上げられる』という自負があるものなんです(笑)。だから他科の医師から『助けてくれないか?』なんて頼まれると、頑張っちゃいますね」

 すべての治療が終わった時に、「いい先生に会えてよかったな」と思ってもらえれば満足だという。医師と芸術家の2つの顔を持つ形成外科医は、人一倍の“人情家”でもあるのだ。 

 ■あきもと・まさたか 1961年水戸市生まれ。87年日本医科大学卒業。豪ロイヤルアデレードホスピタル留学を経て、95年日本医大形成外科講師。96年同大千葉北総病院形成外科部長、99年同大形成外科助教授、2002年同教授。03年より同院医療情報室長を兼務し現在に至る。趣味は電気工作とサックス。

【日本の名医】効果的で安全性高い“てんかん”治療に心血★日本医科大学武蔵小杉病院(川崎市中原区)脳神経外科講師 太組一朗さん(46)

「てんかん」の国内患者数は約100万人。対して、てんかん専門医の数は全国で400人ほど。医療提供体制の充実が急務だ。その中で、脳神経外科医の立場から積極的なてんかん治療に力を入れるのが、日本医大武蔵小杉病院の太組一朗医師。

 「効果と安全性に優れた治療法はあるのに、日本では専門知識を持つ医師の少なさから、本来の成果が出しきれていないのが実情。手術で治るてんかんがあることさえ知られていない。

これを改善すれば、てんかん患者を巡る環境は大きく改善するはず」と語気を強める。

 特に太組医師がいま力を入れているのが、「てんかん医療過疎地」における医療技術向上に向けた取り組みだ。2カ月に1度、沖縄赤十字病院で行う「てんかん専門医外来」では、同院の脳神経外科医と神経内科医に、川崎から出張する太組医師が加わり、3人の医師が合同で1人の患者を診察。各自の専門性を生かした問診を行い、3人の意見交換の上で治療計画を立てる。

 「沖縄はてんかん専門医が特に少なく、かといって簡単に患者を本土に呼ぶわけにもいかない。この取り組みで、沖縄県内の患者の利便性向上だけでなく、沖縄の地域医療に従事する国内すべての医師にてんかん治療に興味を持ってもらうきっかけになれば」と抱負を語る。

 本拠地の武蔵小杉でも、難治てんかんに対する外科本業の手術で実績を上げる一方、てんかん診断用の24時間ビデオ脳波計付き病室など設備の充実を図り、首都圏におけるてんかん治療の中核病院としての整備を進める。

 てんかんについての正しい啓蒙活動と、医療者に向けた治療技術の普及をめざして心血を注ぐ太組医師。患者と家族にとって、これほど心強い存在はいない。 (長田昭二)

 ■たくみ・いちろう 1965年東京都武蔵野市生まれ。92年日本医科大学を卒業し、同大脳神経外科入局。同大付属病院、海老名総合病院、松江病院(東京・江戸川区)、米メイヨークリニック、同シーダーズサイナイメディカルセンター等を経て2009年より現職。脳神経外科専門医、てんかん専門医。医学博士。趣味はウッドベース演奏と水泳。

【日本の名医】豊富な症例と高度技術もつ心臓血管外科医★JR東京総合病院(東京都渋谷区)心臓血管外科部長 鎌田聡さん(53)  

JR新宿駅と代々木駅のほぼ中間にあるJR東京総合病院。ここの心臓血管外科部長としてこの1月から赴任した鎌田聡医師は、冠動脈バイパス手術だけでも1000例以上という豊富な症例を持つ心臓血管外科医だ。

 内科医を父に持ち、自身も循環器内科医を志望していた。しかし医学部卒業前に「一番厳しいところを経験しておいたほうが将来役に立つだろう」と考え、心臓血管外科の門を叩いた。

 「想像はしていましたが、あまりの厳しさに眠れない日が何日も続きました。10年間は戦争のような日々でしたね」と当時を振り返るが、その10年でしっかりと基礎を叩き込んでいた。

 心臓外科の名門として知られる榊原記念病院から声をかけられ、ここで症例数を一気に増やした。

 年功序列を旨とする大学では、若手にはなかなか執刀するチャンスが回ってこないが、鎌田医師は外に出て修行したことで、一番の伸び盛りに経験を増やすことができた。

 「1年間の手術件数は一般的な病院の10-20倍。ここで7年間、術者として手術を経験できたことが自信になったのは間違いないですね」

 もう1つ、鎌田医師のスペシャリティがある。大学院では、人工心肺の手術前に抗凝固剤を使うことで術後の血栓発生を防ぐ研究で学位を取った。そのため、日頃から抗凝固剤を使っている患者の緊急手術などでも、比較的出血量を少なく済ますテクニックが身に付いているのだ。

 現在の病院では、心臓血管外科のスタッフがそろう3月頃から、本格的に手術を始める予定。第一線で鍛えた高度な技術が、この春、代々木で花開く。(長田昭二)

 ■かまた・さとし 1958年北海道生まれ。84年聖マリアンナ医科大学を卒業し、同大第三外科入局。86年同大学院に進み90年修了。同大学病院、国立小児病院(現・国立成育医療研究センター)、湘南中央病院、横浜市西部病院、榊原記念病院、関東中央病院等に勤務し、2012年より現職。医学博士。趣味はゴルフ(シングル)。

【日本の名医】呼吸器疾患に立ち向かう岩田医師 胸腔鏡で地方に最先端医療を★岐阜大学医学部附属病院呼吸器外科・臨床教授岩田尚さん(47)

「なぜ呼吸器外科を選んだかと聞かれても、カッコイイ答えはないんです。ただ地方の医療のレベルアップに、少しでも貢献したい気持ちはありました」

 と語るのは、岐阜大学大学院医学系研究科高度先進外科学分野准教授で同大附属病院呼吸器外科・臨床教授の岩田尚医師。

 肺がんに代表される呼吸器疾患に、侵襲(患者の受ける身体的ダメージ)が小さく、効果と安全性の高い医療技術で立ち向かう外科医だ。

 生まれてから現在まで、大阪とアメリカに留学していた数年間を除き、すべての時間を故郷の岐阜で過ごしてきた。

 「病院の数が多い大都市であれば、それぞれが専門性や特性を打ち出せる。しかし、地方は病院が少ない。だからといって、医療水準が低くていいという理由にはならない。その地域で暮らす人たちが安心して受けられる最先端医療を、地域内で提供するのが本来の地域医療。地方大学はその役割を果たさなくてはならない」

 学会などを通じて知り合った他大学の医師との情報交換を密に、最新情報の収集を怠らない。

 そんな岩田医師が取り組むのは、胸腔鏡や手術支援ロボットを使った低侵襲の外科手術。胸に開けた数カ所の小さな穴からカメラと手術器具を挿入し、カメラが映し出す映像を見ながら行うため、開胸手術と比べてダメージが小さく、術後の回復も格段に早い。

 ホームグラウンドの大学病院だけでなく、要請があれば県内各地の病院に出向き、出張手術も行う。まさに”ブラックジャック”だ。ただ、こうも言う。

 「胸腔鏡手術が目的になってはいけない。医師が無理をして、デメリットを被るのは患者。そう考えれば決して背伸びはできないし、すべきではない」

 岩田医師の患者に、91歳で肺がんの手術をした男性がいる。元気に回復して現在97歳。近く岩田医師の外来を訪れる予定だ。

 「久しぶりに顔を見るのが楽しみなんです(笑)」

 心の通う高度医療。その真の姿が岐阜にある。

■岩田尚(いわた・ひさし) 1964年岐阜県生まれ。89年岐阜大学医学部を卒業し、同第一外科入局。
93年同大学院修了後、岐阜赤十字病院に勤務。94年岐阜大学医学部第一外科帰局。同年米・南カリフォルニア大学留学。97年岐阜大に戻り、2009年より現職。日本胸部外科学会、日本呼吸器外科学会評議員。日本外科学会代議員。医学博士。趣味は水泳とダイビング。

【日本の名医】「痛風」治療法を国内外に発信 尿酸代謝を管理し発作予防

健診を受けるたび、あるいは酒飲みの間では、たびたび話題にあがる病気「痛風」。血中尿酸値が高いまま放置された、成れの果ての病態だ。その名の通り「風が吹いただけでも関節が痛む」ことは知っていても、どこに行けば、どんな治療が行われるかを詳しく知る人は意外に少ない。

 藤田保健衛生大学医学部講師の田中郁子医師は、この痛風をはじめ、リウマチや骨粗鬆(こつそしょう)症など、膠原(こうげん)病や“骨・関節”に関係する疾患治療に取り組む医師として、国内外に知られる存在だ。

 「痛風を放置した結果、痛風腎となり人工透析が必要になることもあります。しかし痛風・高尿酸血症の治療の進め方を、患者サイドが知らないだけでなく、医療側にも熟知した医師が少ないんです」と田中医師。

 医学部を卒業後、複数の大規模病院で内科医として臨床経験を積み、満を持して大学院に進んだ。かねてから興味のあった“骨・関節疾患”を中心に研究を開始。多くの業績を残し、診療の基準とされる学会のガイドライン策定などにも関わった。近年では痛風治療に対する思いも強い。

 「健診で尿酸値が高いと指摘されても、多くの方が無症状を理由に放置しているのが実情です」

 加えて、関節痛などの発作時だけの対処法に終わっているケースも少なくないと指摘する。

 「尿酸が沈着して起きる痛風発作は、日頃から尿酸代謝を管理し、発作予防をしながら治療していきます。近年、新薬も開発されており、正しい治療を続ければ、十分コントロールできます」

 現在は、大学で後進の指導にあたる一方、名古屋市内の専門クリニックで臨床医として活躍。国内外の学会にも出席し、最新情報の発信と収集に余念がない。

 臨床医、研究者、教育者の3つの顔を効果的に融合し、痛風治療の新しい風を、名古屋から全国に送り込む。 (長田昭二)

■田中郁子(たなか・いくこ) 1963年、愛知県生まれ。藤田保健衛生大学医学部を卒業。東京済生会中央病院などに勤務後、藤田保健衛生大学大学院修了。医学博士。現在、同大医学部臨床検査科講師の一方、名古屋市中村区の「名古屋膠原病リウマチ痛風クリニック」(http://nr-clinic.com)顧問として外来診療にあたっている(要予約)。趣味はバイオリン演奏。


【日本の名医】顔面けいれん専門の希少な脳神経外科医★日本医科大学千葉北総病院脳神経外科の講師、梅岡克哉さん(42)

顔面に突如として電気を流されたような激痛が走る「三叉(さんさ)神経痛」。顔の表面が自分の意思とは無関係にピクンピクンと動き出す「顔面けいれん」。

千葉県印西市にある日本医科大学千葉北総病院の梅岡克哉医師は、この二つの疾患治療を専門とする、国内でも数少ない脳神経外科医だ。

 「顔面けいれんや三叉神経痛は生命に関わる病気でないため、外来などでも意外と軽視されやすいんです。でも患者さんの症状はとてもつらい。それを理解し、治療してあげたい。生活の質を改善させてあげたいと思うようになって…」

 人間の脳は、構造こそ同じでも、微妙な個人差がある。本来離れているはずの血管と神経が当たっていると、それだけで神経が刺激を受けてしまうことがある。これが三叉神経痛や顔面けいれんを引き起こす原因だ。梅岡医師の得意とする手術は、その位置を外科的に修正するもの。

 「このあたりは重要な神経が集中しているので、わずかなミスで聴力を失うなどの重大な合併症を招きかねない。脳外科医の本音としては、命に関わる病気でないため、積極的に手を付けたいとは思わない場所なんです」

 それだけに、この病気を専門とする梅岡医師にかかる患者の期待は大きい。最も遠方の通院患者は沖縄から来る。

 この病気を専門とする医師が少ないことは、正確な診断を困難にもする。群発頭痛や額関節症と誤診されて苦しんでいる人も少なくない。たとえ正しい診断がされても、数ある治療法の中から最適の治療を選択するためには、高度な医療判断が求められる。

 「自分自身の勉強と並行して、後進の指導にも力を入れたいんです」

 梅岡医師の言葉は、この病気で苦しむ全国の患者の願いでもあるのだ。(長田昭二)

 ■梅岡克哉(うめおか・かつや) 1970年山口県周南市生まれ。96年日本医科大学を卒業し、同大脳神経外科入局。同大附属病院、虎の門病院、三井記念病院などを経て2000年より現職。脳神経外科専門医、脳卒中専門医、医学博士。趣味は海釣りと草野球。

【日本の名医】救急銀座を支える“コンビニ医療” 日本人向けインプラント基盤作りも★筑波メディカルセンター病院リハビリテーション科診療科長 上杉雅文さん(48)

筑波研究学園都市のほぼ中央に位置する筑波メディカルセンター病院は病床数413、25の診療科と24時間対応型の救命救急センターを備え、県南部を代表する基幹病院として地域医療に貢献している。

ここのリハビリテーション科長を務める上杉雅文医師は、「患者の求めに応じて何でも診る」をモットーに掲げる整形外科医。

 専門性重視の日本の医療界では、同じ整形外科の中でも細分化が進んでいる。

しかし、患者は医師の専門に合わせてケガするわけではない。上杉医師はそこでの柔軟性を重視し、脊髄損傷、骨盤骨折、血行再建という、救急に求められる領域をカバーすべく実績を重ねてきた。

 「これらの外傷は、短時間で医師が決断し、手を下さないと命に関わるもの。僕のような“何でも屋”が必要な場面は確実にあるし、特にここはそうした症例が多く集まる病院なんです」

 そう語るように、同院は年間5000件を超える救急車を受け入れ、ドクターヘリも週平均3~4回は飛来する救急銀座。上杉医師の存在感は当然、大きくなる。

 そんな超多忙な一方で、学究肌の一面もある。整形外科領域で用いられる医療材料は欧米人の骨格を元にして作られており、日本人をはじめとするアジア人の体格とは微妙に異なる。

そこで上杉医師は、日本人向けのインプラント作りに向けて、基盤開発に向けたデータ収集にも取り組んでいる。

 自らの医療を“コンビニ医療”と謙遜する上杉医師。しかし、医療に対する患者の需要も、一般消費者同様、百貨店からコンビニへとシフトしているのも事実なのだ。 (長田昭二)

■上杉雅文(うえすぎ・まさふみ) 1965年、千葉県生まれ。
92年、筑波大学卒業。同大整形外科に入局。筑波大学大学院、米・ブリガムアンドウイメンズ病院、高萩協同病院を経て、2002年から現職。日本整形外科学会整形外科専門医、同脊椎脊髄病医、日本体育協会スポーツ医。医学博士。趣味はトライアスロン。

三つ星精神科はどこ? 「見える化計画」医師選びに指標

 精神科医療機関の中には、患者をきちんと治すところもあれば、かえって悪化させるところもある。治療技術が劣る精神科を受診してしまったがために、不適切な治療で病状が悪化し、自殺に至ったと思われるケースさえある。

 確かな検査法があり、診断や治療の指針が整った外科、内科などの一般診療科と比べ、精神科は明らかに医師の技術差が大きい。受診する医療機関によって、回復度が大きく変わってしまうのだ。

では、どこを受診すればいいのか。NPO法人地域精神保健福祉機構が進める「精神科医療機関の見える化計画」は、医師選びに悩む患者、家族にとって有益な指標になるかもしれない。

◇患者が精神科を評価する

 この計画は、精神科に通院する患者たちが、各医療機関(対象約3500施設)の診療内容を25項目(医師の態度、治療の見通しや副作用の説明、薬の種類など)にわたって評価し、結果を一覧表にしてインターネットサイトに掲示する取り組みが中心となっている。

星の数で評価を示し、多くの項目で平均点よりも高い評価を得た医療機関は、病院名の横に三つ星が付く。大規模な患者アンケート調査と集計作業を経て、2015年11月に公開に至った。

取り組みの経緯などは、8月25日の朝刊連載・医療ルネサンス「心の健康を守る」などでいち早く記事にしているのでご覧いただきたい。

 私は、患者アンケート作成前から、評価項目などについての意見を求められ、「精神医療を良くしたい」という関係者の熱意と努力を直(じか)に感じることができた。今後は患者アンケート調査を継続するほか、評価に対する意見などもサイトに掲載し、情報を充実させていくという。

 2015年12月以降、各医療機関の項目ごとの詳しい評価を見るには、有料会員登録(賛助会員年会費5000円。月刊誌「こころの元気+」も郵送される)が必要になったのは残念だが、データ集計や管理にかかる費用を考えると、仕方がないのだろう。

アンケートの回答やサイトへの書き込みも、身元が分かる会員に限る(個人情報は公開されない)ことで、医療機関の自作自演など、ヤラセ情報を防ぐ狙いもある。ただ、現状では困難でも、将来は閲覧のみの月額会員などを設け、より多くの人が詳細な結果を見られる仕組みを期待したい。

◇再診の3割が診察5分未満?

 アンケート調査の回答から、精神科診療の問題点も明瞭になった。例えば診察時間。11月上旬までに集まった1214人分の回答集計で、再診患者の29%は、平均5分未満の診察しか受けていないと感じていることが分かった。

診察時間をその都度、正確に計る患者が多いとは考えにくく、あくまで感覚的な時間ではあるが、5分未満と答えた患者の多くは、その短さに不満を抱いている可能性がある。

 精神科の外来診察(通院精神療法)は精神科治療の基本で、対話によって患者の症状や生活上の問題を探り、回復に導く。通院精神療法の診療報酬は、30分未満3300円、30分以上4000円。条件による加算もある。

精神科医療機関のほとんどが請求しているとみられるが、あまりにも短い診察では患者の現状すら把握できないので、費やした時間が5分未満だと算定できない。ところが、3割もの患者が「5分未満」と回答しているのはどうしたことか。5分未満の診察で、通院精神療法の診療報酬を請求している医療機関がかなりあるのだろうか。

 この調査では、1か所の医療機関で薬を4種類以上処方される患者が54%に上ることも分かった。また、精神科の診断は、抑うつなどの症状を引き起こす体の病気がないことを確認した上で行うのが原則だが、初診時に、そうした身体疾患に関する質問をされていない患者が84%に上ることも分かった。

 地域精神保健福祉機構専務理事の島田豊彰さんは「極端に短い診察は、過剰投薬や誤診を招きやすい。不正な請求の可能性もあるため、厚生労働省にデータを持参し、調査を求めたい」としている。

 以前から指摘されつつも、放置され続けた精神科外来の様々な問題が、患者視点の「見える化計画」によって具体的な数値として浮かび上がってきた。患者の声が、精神医療を変える日は近いのかもしれない。

三つ星精神科はどこ? 「見える化計画」医師選びに指標

 精神科医療機関の中には、患者をきちんと治すところもあれば、かえって悪化させるところもある。治療技術が劣る精神科を受診してしまったがために、不適切な治療で病状が悪化し、自殺に至ったと思われるケースさえある。

 確かな検査法があり、診断や治療の指針が整った外科、内科などの一般診療科と比べ、精神科は明らかに医師の技術差が大きい。受診する医療機関によって、回復度が大きく変わってしまうのだ。

では、どこを受診すればいいのか。NPO法人地域精神保健福祉機構が進める「精神科医療機関の見える化計画」は、医師選びに悩む患者、家族にとって有益な指標になるかもしれない。

◇患者が精神科を評価する

 この計画は、精神科に通院する患者たちが、各医療機関(対象約3500施設)の診療内容を25項目(医師の態度、治療の見通しや副作用の説明、薬の種類など)にわたって評価し、結果を一覧表にしてインターネットサイトに掲示する取り組みが中心となっている。

星の数で評価を示し、多くの項目で平均点よりも高い評価を得た医療機関は、病院名の横に三つ星が付く。大規模な患者アンケート調査と集計作業を経て、2015年11月に公開に至った。

取り組みの経緯などは、8月25日の朝刊連載・医療ルネサンス「心の健康を守る」などでいち早く記事にしているのでご覧いただきたい。

 私は、患者アンケート作成前から、評価項目などについての意見を求められ、「精神医療を良くしたい」という関係者の熱意と努力を直(じか)に感じることができた。今後は患者アンケート調査を継続するほか、評価に対する意見などもサイトに掲載し、情報を充実させていくという。

 2015年12月以降、各医療機関の項目ごとの詳しい評価を見るには、有料会員登録(賛助会員年会費5000円。月刊誌「こころの元気+」も郵送される)が必要になったのは残念だが、データ集計や管理にかかる費用を考えると、仕方がないのだろう。

アンケートの回答やサイトへの書き込みも、身元が分かる会員に限る(個人情報は公開されない)ことで、医療機関の自作自演など、ヤラセ情報を防ぐ狙いもある。ただ、現状では困難でも、将来は閲覧のみの月額会員などを設け、より多くの人が詳細な結果を見られる仕組みを期待したい。

◇再診の3割が診察5分未満?

 アンケート調査の回答から、精神科診療の問題点も明瞭になった。例えば診察時間。11月上旬までに集まった1214人分の回答集計で、再診患者の29%は、平均5分未満の診察しか受けていないと感じていることが分かった。

診察時間をその都度、正確に計る患者が多いとは考えにくく、あくまで感覚的な時間ではあるが、5分未満と答えた患者の多くは、その短さに不満を抱いている可能性がある。

 精神科の外来診察(通院精神療法)は精神科治療の基本で、対話によって患者の症状や生活上の問題を探り、回復に導く。通院精神療法の診療報酬は、30分未満3300円、30分以上4000円。条件による加算もある。

精神科医療機関のほとんどが請求しているとみられるが、あまりにも短い診察では患者の現状すら把握できないので、費やした時間が5分未満だと算定できない。ところが、3割もの患者が「5分未満」と回答しているのはどうしたことか。5分未満の診察で、通院精神療法の診療報酬を請求している医療機関がかなりあるのだろうか。

 この調査では、1か所の医療機関で薬を4種類以上処方される患者が54%に上ることも分かった。また、精神科の診断は、抑うつなどの症状を引き起こす体の病気がないことを確認した上で行うのが原則だが、初診時に、そうした身体疾患に関する質問をされていない患者が84%に上ることも分かった。

 地域精神保健福祉機構専務理事の島田豊彰さんは「極端に短い診察は、過剰投薬や誤診を招きやすい。不正な請求の可能性もあるため、厚生労働省にデータを持参し、調査を求めたい」としている。

 以前から指摘されつつも、放置され続けた精神科外来の様々な問題が、患者視点の「見える化計画」によって具体的な数値として浮かび上がってきた。患者の声が、精神医療を変える日は近いのかもしれない。

女性が好きな水はこれだ!1位「ボルヴィック」―軟水の方が人気

ミネラルウオーターもずいぶん普及して、最近ではウオーターサーバーを自宅に設置している人も増えているとか。水の好みもいろいろありますよね。今回は、女性523人に好きなミネラルウオーターについて聞きました。

■女性が好きなミネラルウオーターブランドTop5

第1位 ボルヴィック 73人(14.0%)
第2位 い・ろ・は・す 65人(12.4%)
第3位 エビアン 64人(12.2%)
第4位 南アルプスの天然水 25人(4.8%)
第5位 クリスタルガイザー 23人(4.4%)
同5位 アサヒ おいしい水 六甲 23人(4.4%)
以下順位略

1位はヨーロッパ産のボルヴィックでした。6ブランドのうち、3本が海外産です。

ところで、水のタイプには「硬水」と「軟水」がありますね。

●硬水
カルシウムイオンやマグネシウムイオンが多量に含まれている、硬度の高い水です。ミネラル分が多いため、癖のある味になるといわれます。

●軟水
硬水とは逆に、カルシウムイオンやマグネシウムイオンがあまり含まれていません。まろやかな味なのが特徴とされます。

それぞれ上記のような特徴がありますが、女性は硬水と軟水、どちらが好きなのでしょうか?

■Q.女性に質問です。あなたは「硬水」「軟水」のどちらが好きですか?

硬水 38人(7.3%)
軟水 205人(39.2%)
どちらでも良い 280人(53.5%)

硬水が好きな人はとても少なく約7%しかいません。比べて軟水は約4割の人が支持しています。まろやかな味が女性にアピールするのでしょうか。ちなみに、人気第1位のボルヴィックは、ヨーロッパ産の水にしては珍しい軟水です。人気の理由は軟水のためかもしれません。

硬水、軟水、それぞれを支持する理由を聞きましたので、回答をご紹介します。

●硬水を飲む理由は「ダイエット」
飲みやすいのは軟水だけど、ダイエットしているので硬水を多く飲むようにしています。(東京都/女性/40歳)

硬水はダイエットに効果がある、といわれますものね。

●硬水を飲む理由は「ミネラル」
ミネラルなどが軟水より多く含まれているから。(東京都/女性/29歳)

ミネラル分を豊富に含んでいるのが魅力です。

●軟水を飲む理由は「飲みやすさ」
硬水は飲みにくい。体にはいいかもしれないが、続かない。(大阪府/女性/31歳)

まろやかな飲み口が軟水を支持する理由という人は他にも多数でした。

●軟水を飲む理由は「調理のしやすさ」
やっぱり日本人の口に合うと思うから。あと、料理に使いやすい。(埼玉県/女性/25歳)

軟水の方が調理に向いているといわれます。

ミネラルウオーターにもそれそれ好きな味があることが分かりました。あなたは、どんなミネラルウオーターが好きですか? 「硬水」「軟水」では、どちらを飲みますか?

【日本の名医】健康&ビジネスに美しい口元を 全身症状との関連視野に診療★トルナーレデンタルクリニック歯科・矯正歯科院長 龍信之助さん(43)

東京メトロ・半蔵門線水天宮前駅から徒歩5分。超高層ビル「トルナーレ日本橋浜町」の2階にある「トルナーレデンタルクリニック」は、欧米型の最新の歯科技術を導入し、徹底した患者目線の診療にこだわる歯科クリニック。

 龍信之助院長は、歯学部を出る前に法学部を卒業したという異色の歯科医師。それだけに、従来の歯科医にはない“消費者感覚”に強いこだわりを見せる。

 「例えば“審美歯科”というと、多くの人は見た目だけをキレイにする治療というイメージを持ちがちですが、これは全くの誤り。歯並びを整えることで歯の清掃効率を高めることができる。総合的な口腔(こうくう)衛生の向上を目指した治療なんです」

 このような“歯科”に対する日本人の誤解は少なくない。それを解き、歯科に対する正しい認識を持ってもらうことが、開業の最大の目的だという。

 特に小紙読者の大半を占めるサラリーマンには、強い思いがある。

 「口元が汚いだけでビジネスの範囲が大幅に狭められる欧米人は、歯のメンテナンスを欠かしません。一方、日本人はここが非常に無頓着。“歯医者は痛くなってから行くところ”というイメージでしかない点で、国際的に大きく遅れていると言わざるを得ない。

“歯医者を上手に使う”意識を持てれば、80歳で20本どころか、すべての歯を健康に保たせることだって可能なのです」

 口腔外科、麻酔科で実績を重ねてきたことから、歯科診療だけでなく、その先にある全身症状との関連を視野に入れた診療に力を入れる龍院長。

 2020年五輪を開催する国際都市に暮らす者として、恥ずかしくない口元を持ちたいものだ。 (長田昭二)

■龍信之助(りゅう・しんのすけ) 1970年、東京都生まれ。
日本大学法学部を卒業後、同大歯学部に入学。2001年、卒業。慶應義塾大学医学部歯科口腔外科研修を経て同大医学部麻酔科学大学院。06年、医療法人社団RMDCCトルナーレデンタルクリニック歯科・矯正歯科(http://www.rmdcc.com/)を開設し院長に就任。現在、神奈川歯科大学非常勤講師などを兼務。趣味はゴルフ、旅行、ダイビング。

【日本の名医】膀胱がん治療のスーパードクター 鳶巣賢一先生

鳶巣賢一先生のプロフィール・実績等の紹介

(プロフィール)
1982年京都大学医学部卒
1982年京都大学医学部付属病院泌尿器科研修医
1983年滋賀成人病センター泌尿器科医員
1985年国立がんセンター病院泌尿器科医員
1988年国立がんセンター病院泌尿器科医長
1999年国立がんセンター中央病院総合病棟部長
2002年静岡県立静岡がんセンター院長

(所属学会)
日本泌尿器科学会
日本癌治療学会
日本癌学会 
日本内視鏡外科学会

(実績その他)
がんのエキスパートと言われる、国立がんセンター名誉院長「海老原敏」氏をして、‘患者と徹底的に話をし、納得のいく治療を提供する。手術がうまく、人格的にも優れた立派な医者’と言わしめた、泌尿器がん治療のスペシャリストです。

QOLを考慮した代用膀胱(尿道を残すことができた人に行える方法で、腸の一部で代用(新)膀胱を作り、ここに尿管と尿道をつなぐ)の開発で注目されています。早期発見・早期治療がかなわず、根治が不可能な場合でも、病気をただの疾患として捉えるのではなく、病気を患ったその人の人生の問題と捉えて診療を行っています。

(治療に関する考え方・ポリシー)
~共同通信社「健康ワンポイント」ホームページより抜粋~
前立腺がんには、さまざまな治療法があります。特に最近増えたといわれる、病巣がまだ小さい、早期の前立腺がんの場合にはさまざまな治療法があり得るんですね。
 
例えば、全部前立腺を取り出してしまう全摘手術ですね。
これが第一に普通はお医者さんが提案してくると思うんです。しかしそれ以外に、最近は放射線治療といって切らずに直す。そういう治療法がかなり進歩してきています。

それから昔からあるホルモン療法というんですが、お薬を使って前立腺がんを抑えていく。さらにですね、もしも病巣が非常に小さくて、そういう場合にはしばらくは何もしないで様子を見てみましょうかという選択肢すら出てくるんですね。

また、ホルモン療法の場合、もし、お薬でうまく人生を渡り切ろうと思って考えていても、お薬を飲み続けるということは体のホルモンバランスを完全に崩してしまった状態を何年も続けるということですから、それが原因で別の例えば、心筋梗塞(こうそく)とか脳梗塞のような、そういう病気が増えるという傾向もありますから、治療するということは常に何らかのリスクをしょい込むということになるんですね。

かたや、がんは、もしかしたら非常にゆっくり進行してなかなかそのがんでは亡くならないかもしれないという状況でもしあるとしたら、何もしないというのは、もしかしたらそれが一番得をする選択枝かもしれないということもあり得るわけですね。

ただし、その場合には、先日もお話ししたPSAの数値を定期的に追い掛けて病状の変化を確認しておくことが非常に重要です。

(科学理論に基づいて開発された抗がん漢方薬について)
がんの治療技術は日進月歩の勢いで進歩していますが、それでも引き続き、がんは命にかかわる重大な病気であり続けています。

がんと闘う多くの方々は、手術治療・放射線治療・抗がん剤治療の3大療法の他、第4の治療法とも言われる免疫療法など、完治に向けた様々な努力を行っています。こうした中、世界の医学界が「新しいがん治療」と注目しているのが「中西医結合医療」です。

「中西医結合医療」とは、西洋医学の診断や手法、治療も取り入れ、中医学(漢方医学)の治療を中心として施すという新しい医療モデルです。「中西医結合医療」は、特効薬を見出せないでいるがん治療の分野において、近年新しい治療戦略として、中国のみならず、 欧米や日本でも注目されています。


【日本の名医】腎臓がん治療のスーパードクター 木原和徳先生

木原和徳先生のプロフィール・実績等の紹介

(プロフィール)
1977年年東京医科歯科大学医学部卒

(専門)
泌尿器科、特に泌尿器がん、ミニマム創内視鏡下手術

(実績その他)
腎臓がんの手術術式は「開放手術(開腹手術)」「腹腔(ふくくう)鏡手術」「ミニマム創内視鏡下手術」の3通りありますが、この中のミニマム創手術を開発したのが東京医科歯科大学医学部付属病院(東京・文京区)泌尿器科の木原和徳教授です。

ミニマム創手術は、腹部を5~6センチ程度、1カ所切開し、摘出した臓器を取り出す切開創のみで、ガスを使わない体に優しい手術です。

切開創から内視鏡を患部に挿入し、モニターと肉眼を併用しながら安全に手術を行います。患者への負担を最小限におさえるための画期的な手術法を開発した木原先生は、、国内外から高い評価を得ています。

(腎臓がん治療に関する考え方・ポリシー)
~「東京医科歯科大学医学部付属病院」ホームページより抜粋~東京医科歯科大学泌尿器科学教室では、泌尿器科の世界的な重要課題に対して、「目の前の患者さんと社会に、直接役立つ、実践的な新医療を開発すること」を目指しています。

泌尿器科の各領域において世界標準の泌尿器科診療を、患者さん中心に行ないつつ、世界に貢献できる新医療の開発・改良に向けて努力しています。

(科学理論に基づいて開発された抗がん漢方薬について)
がんの治療技術は日進月歩の勢いで進歩していますが、それでも引き続き、がんは命にかかわる重大な病気であり続けています。

がんと闘う多くの方々は、手術治療・放射線治療・抗がん剤治療の3大療法の他、第4の治療法とも言われる免疫療法など、完治に向けた様々な努力を行っています。

こうした中、世界の医学界が「新しいがん治療」と注目しているのが「中西医結合医療」です。「中西医結合医療」とは、西洋医学の診断や手法、治療も取り入れ、中医学(漢方医学)の治療を中心として施すという新しい医療モデルです。

「中西医結合医療」は、特効薬を見出せないでいるがん治療の分野において、近年新しい治療戦略として、中国のみならず、 欧米や日本でも注目されています。

【日本の名医】舌癌(舌がん)治療のスーパードクター 鎌田信悦先生

鎌田信悦先生のプロフィール・実績等の紹介

(プロフィール)
1970年北海道大学医学部卒
北海道大学非常勤講師
東邦大学医学部客員教授
韓国高麗大学客員教授
2005年国際医療福祉大学三田病院副院長

(実績その他)
鎌田信悦先生は早くから頭蓋底手術に取り組み、鼻副鼻腔癌の頭蓋底浸潤症例や嗅神経芽細胞腫などの進行がんに対し、頭蓋底手術を積極的に行っています。1982年以来、多数の頭蓋底手術を経験する中で、手術手技に様々な工夫をこらし、安全な術式に育て上げてきました。

顔面・頭部の最も深い部分を扱う頭蓋底手術は、当然ながら大変難しく、脳・神経を保護しつつ頭蓋底骨に食い込んだ頭頸部がんを切除するには繊細な手術技術が求められます。

鎌田先生によれば、「舌がんは2センチ以下だと治療可能なことが多いが、患者の7割はそれ以上に大きくなって来院する。咽頭がんはのどの異物感、喉頭がんは声のかすれなど兆候がある場合も多く、早く気付いて診察を受けてほしい」ということのようです。

この数年進めているのは、サイバーナイフによる治療で、さまざまな方向から放射線を腫瘍に集中させ、従来より大量の放射線を当てる一方、正常な部分への副作用は少なくできます。

舌がん等の頭頸部がんは、抗がん剤による治療も増えていますが「最終的には患者の約半数は手術が必要になる」と言います。

鎌田教授は癌研究会の病院などで治療に当たり、手術による機能低下や外見の変化を補うため、手足の皮膚やあばら骨などを使い切除した部分を代替する再建手術を取り入れています。

例えば舌癌で舌の半分を切除した場合、おなかや腕の組織を持ってきて血管をつなぎ、切除した舌の代わりに移植(再建)しています。

(治療に関する考え方・ポリシー)
~「私ががんなら、この医者に行く 」(小学館)より抜粋~私たちは、患者さんが“社会復帰”あるいは“職場復帰”できることを目的とすべきだと思っています。

機能障害を持ったことで、患者さんの社会生活が制限されたり、そえまでの環境が変わったりすることがないように、私たち医者は最善を尽くし、機能を残す努力をすべきです。

(科学理論に基づいて開発された抗がん漢方薬について)
がんの治療技術は日進月歩の勢いで進歩していますが、それでも引き続き、がんは命にかかわる重大な病気であり続けています。

がんと闘う多くの方々は、手術治療・放射線治療・抗がん剤治療の3大療法の他、第4の治療法とも言われる免疫療法など、完治に向けた様々な努力を行っています。

こうした中、世界の医学界が「新しいがん治療」と注目しているのが「中西医結合医療」です。「中西医結合医療」とは、西洋医学の診断や手法、治療も取り入れ、中医学(漢方医学)の治療を中心として施すという新しい医療モデルです。

「中西医結合医療」は、特効薬を見出せないでいるがん治療の分野において、近年新しい治療戦略として、中国のみならず、 欧米や日本でも注目されています。

【日本の名医】難しい脊柱側彎症治療で最小限の切開手術を確立 湘南藤沢徳洲会病院 副院長・江原宗平さん

 脊柱、つまり背骨がねじれたり曲がったりする「脊柱側彎(そくわん)症」。見た目の問題もさることながら、背骨が極端に曲がったまま成長することで、内臓の位置取りに影響がおよび、機能不全を引き起こすこともある。

 この脊柱側彎症に対して、最小限の切開で、体にダメージの小さな手術を行っているのが、湘南藤沢徳洲会病院副院長で、同院に設置された「脊椎センター・脊柱側彎症センター」のセンター長を務める江原宗平医師。

 アメリカの医療ドラマ「ベン・ケーシー」の主人公に触発されて医学の道に進んだ。整形外科医としての実績を重ねる中、「リスクのある分野」「人がやりたがらない分野」で技術を磨きたい、と考えるようになった。

 「側彎症の手術がまさにそう。直接的に命に関わる病気ではないけれど、手術で神経を傷つければ大きな麻痺を引き起こす危険性がある。しかも、内臓と違って手術の成否を、患者さん自身が見て判断できる。ある意味リスクの高い分野です」

 ただでさえ難度の高い手術を、低侵襲手術(患者の体におよぶダメージの小さい手術)で挑む江原医師。世界初の多軸型CT様装置を据え付けた専用の手術室を構え、内視鏡を使った小切開手術の手法を確立した。そうした情報をメディアなどで得た患者が全国から集まってくる。

 「多軸型CT様装置を心臓や脳の血管内治療に利用する病院はいくつかあるが、脊柱側彎症の手術専用として設置しているのは世界でもここだけ。おかげで月曜から土曜までびっしり手術が入っています。ただ、疲れることはあってもいやになることはない。ベン・ケーシーに憧れてるから(笑)」

 小児に多いとされていた側彎症だが、近年高齢者の患者が増えている。高齢になるほど骨も弱く、手術には高い精度が求められるが、江原医師の積極姿勢は変わらない。

 危険と隣り合わせの難手術に挑み続ける江原医師に、休息が訪れるのはしばらく先になりそうだ。 

 ■江原宗平(えばら・そうへい) 大阪府生まれ。1978年、大阪大学医学部を卒業。92年、米・コロンビア大学留学。94年に帰国し、大阪大学医学部整形外科講師、信州大学医学部整形外科助教授などを経て、2004年より現職。日本内視鏡低侵襲脊椎外科学会幹事、日本脊椎脊髄病学会指導医・評議員他。医学博士。趣味は読書。

【日本の名医】難聴から認知症進展もピタッと合う補聴器精査 山川耳鼻咽喉科医院院長・山川卓也さん

視力や記憶力の低下など、小紙読者の中にも、年齢的な衰えを感じている人は少なくないと思われる。「耳」もそうだ。以前なら何の問題もなく聞き取れていた人の声がよく聞こえずに聞き返す、あるいは適当に相づちを打ってごまかすことが増えていないだろうか。

 東京メトロ・銀座線の外苑前駅から徒歩1分のビルにある「山川耳鼻咽喉科医院」の院長・山川卓也医師は、そんな難聴の診断と治療に力を入れている。

 耳、鼻、のど-の耳鼻科一般を広範囲に診ており、これからの季節はスギ花粉のアレルギー患者で混雑するが、その中で今、山川医師が取り組んでいるのが「難聴治療」なのだ。

 「高齢者の難聴が増えています。65歳以上の多くは老人性難聴とよばれる加齢性の聞こえの悪さを持っています。昔と違って今の65歳は労働年齢。なのに聴力の衰えを理由に仕事を辞める人もいれば、難聴からコミュニケーション能力が低下して、鬱病や認知症へと進展していく人もいる」と警鐘を鳴らす。

 聴力を補うには、補聴器の装着が基本だが、山川医師はこうアドバイスする。

 「眼鏡と違って、補聴器は付けた瞬間からピタッと合う-という性質のものではありません。また、高価な補聴器が必ずしもその人に合っているというわけでもない。当院では聴力検査で難聴のレベルを精査し、その結果を元に補聴器認定技能者が常勤する販売店と連携して、“試聴体験”を経てからの購入を推奨しています」

 難聴と思い込んで受診したら、耳垢がたまっていただけ-というケースもあるとのこと。

 片耳10万円以上の買い物だけに、山川医師の高度な診断とアドバイスで、快適な聴力を取り戻したい。 (長田昭二)

 ■山川卓也(やまかわ・たくや) 1960年、東京都生まれ。86年、順天堂大学医学部を卒業し、同大医学部耳鼻咽喉科入局。96年、同講師。2000年、山川耳鼻咽喉科医院を開設し院長。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医・代議員・東京都補聴器キーパーソン。医学博士。趣味はゴルフと車。

【日本の名医】腰椎疾患の内視鏡手術で高い知名度 稲波脊椎・関節病院理事長・院長 稲波弘彦さん

腰や背骨の痛みに悩む人は多い。一口に「腰痛」といっても、どうにか折り合いのつけられる痛みもあれば、一歩も動けないほど深刻な痛みもある。その症状はさまざまだ。

 そんな「背骨と腰と関節」の高度で専門性の高い治療を目的として2015年に開院したのが、稲波脊椎・関節病院(東京都品川区)。理事長の稲波弘彦医師は、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアに対する内視鏡手術の分野で高い知名度を持つ整形外科医だ。

 2001年から稲波医師が手掛ける腰椎疾患の内視鏡手術は、稲波医師自身の改良を加えて進化を続け、現在は「内視鏡下腰椎椎体間固定術(ME-PLIF)」という最先端の術式を開発するに至った。

 「痛みや出血量の少なさで非常に優れた術式。ある大学病院が行った調査でも、従来の術式と比べて術後の腰痛の少なさや社会復帰率の高さなど、あらゆる面で高い優位性が示されています」と稲波医師。

 しかし、彼のこだわりは「手術の件数」ではない。高度な技術を持つ専門医の目で見て、その患者にとって最適な治療を選択し、安全、確実に提供すること-に尽きる。

 「治療法を選ぶときに、唯一の判断基準とするのが“自分が患者なら受けたい治療”という点」と断言する。痛みや出血の少ない治療にこだわるのもそのあらわれ。それどころか、手術を覚悟してきた患者に、「手術をしない」という選択肢を提示することも珍しいことではない。

 「手術は患者のためにするもの。医師が経験を積むために行うものではありませんよ(笑)」

 患者本位の診療姿勢は、診療データの取り扱いにもあらわれる。手術映像などの資料を「社会的共通資本」と捉える稲波医師は、それを教則として利用することで、同じ症例の治療に取り組むすべての整形外科医のスキルアップにつなげる仕組みづくりに力を入れている。

 「一部の“名医”の勘に頼る医療から、正しい診断と治療の手順を可視化することが重要」と語る稲波医師。その取り組みに、内外から熱い視線が集まっている。 (長田昭二)

 ■稲波弘彦(いななみ・ひろひこ) 79年、東京大学医学部を卒業し、同大医学部整形外科学教室入局。東京都立墨東病院、三井記念病院、虎の門病院などに勤務。90年、岩井医療財団岩井整形外科内科病院院長。2015年より現職。日本整形外科学会専門医、同認定脊椎脊髄病医、同認定脊椎内視鏡下外科技術認定医。趣味はゴルフ。

おススメサイト!
最新記事
★★互助会推薦★★
QRコード
QR
admax
="">
カテゴリ
ランキング
ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ