あなたの健康はお金で買えますか・・・? ■皮膚・やけど・ホクロ・イボ・傷口・タトゥー
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「皮膚呼吸ができなくて具合が悪くなる」ことってあるの? 皮膚科医が医学的に説明

 人間は皮膚呼吸をしているので、全身の皮膚を何かで覆ってしまったら皮膚呼吸ができなくなって危険……。そう思っている人は多いはず。しかし、近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師は、それに医学的根拠はないと言います。皮膚呼吸について解説します。

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 その昔、テレビ番組で全身を金色に塗られた芸人が「皮膚呼吸ができなくて死にそうになった」と面白おかしく訴えたことが話題となりました。

 まだ若かった私は笑いながらも「皮膚呼吸ができないのは怖い」と感じたものです。

 その後、皮膚科医として20年近くキャリアを積むようになり、皮膚呼吸という言葉をいっさい聞くことなく仕事をしてきました。

 確かに、全身の皮膚を覆うようにべっとりと金色の塗料を塗られるのは体に悪そうです。

 でも、それだけで具合が悪くなるのだろうか?

 そもそも人間に皮膚呼吸はあるのだろうか?

 病院で患者さんを診続け、皮膚呼吸ができなくて病気になった人なんて聞いたことがありません。

 そこで皮膚呼吸について今回は調べてみました。

 みなさんも学生時代に習ったとは思いますが、皮膚呼吸をする生き物は確かにいます。

 ミミズやヒルなどの小型の生物は、皮膚を通して酸素と二酸化炭素を交換するだけで生命維持が可能です。

 一方、大型の生物は皮膚呼吸では不十分であり、ほとんどの血液の酸素化を肺で行っています。

 人間はというと、皮膚呼吸をわずかにしていると考える学説もあるようです。しかし、呼吸と言えるほどのガス交換ではなく、たまたま皮膚で酸素と二酸化炭素を交換しているだけと考えるのが自然でしょう。

 つまり、先の芸人のように皮膚がべっとりと覆われてしまっても窒息死することはありません。基本的には肺呼吸が妨げられない限り人間は問題なく生きていけます。全身やけどが命に関わるのは皮膚呼吸の問題ではなく、やけどにより皮膚のバリアーが破綻し体内の水分や栄養がとめどなく漏れ出てしまうためです。

 というわけで、皮膚呼吸についてはそれほど深刻に気をつけて生活していく必要はなさそうです。

 では、どうして全身に金色の塗料を塗られて芸人は気分が悪くなってしまったのでしょうか? 考えられる理由は、塗料の成分が大量に皮膚から吸収されたためです。

 一般的に、塗り薬などは皮膚からの吸収によって病気を治療するわけですが、広い範囲に薬を塗ると血中内の薬の成分濃度が高くなることがあります。

 私たち皮膚科医がよく診るケースとして、ビタミンD3が有効成分の塗り薬を広い範囲で使い続けると血中濃度が上がり、高カルシウム血症になる危険性があります。塗り薬を使う際は、塗る範囲や量に気をつけて、全身への副作用が起きないように注意しながら処方をしています。

 そもそも体に塗っても害がないものかどうか、塗った場合に血中濃度が上がるかどうか、体内に吸収されても健康被害が起きないかどうか、事前に検査されたものしか皮膚に塗ってはいけません。

 SNSなどでは、化粧をする際に皮膚呼吸を気にする人もいるようです。

 血液の酸素化という本来の呼吸の意味を考えると、化粧をいくらしても問題はありません。化粧のせいで呼吸が苦しくなる心配はいらないでしょう。

 また、化粧の成分が血中に入って体に害を与える可能性も極めて低いと思います。化粧は一般的に顔だけにすることが多く、それくらいの面積であれば大きな問題は起きないでしょう。

 まれに、皮膚から吸収された成分が子宮にたまって不妊を起こす、いわゆる「経皮毒」と呼ばれるものを説明されている人もいますが、これはデマなので気をつけてください。

 では、化粧をずっとつけっぱなしで大丈夫か、というと話が変わります。

 私は患者さんに、家に帰ったらなるべく化粧を落としたほうが良いと指導しています。

 理由は二つです。

 肌への刺激と、かぶれが起きやすくなるからです。

 化粧品の開発が進みいくら肌に優しいものが増えたとはいえ、一日じゅう毛穴を塞ぐのはよくありません。ニキビや湿疹の原因となります。さらに、油性成分のファンデーションはニキビを引き起こしやすいため、ノンコメドジェニック(ニキビになりにくい)テストを済ませている商品を選ぶと良いでしょう。

 また、長時間化粧品が肌についている状態がつづくと化粧品に対するかぶれが起きる可能性も増えます。なるべく早めに化粧は落としてあげるのが正解です。

 以上のことから、化粧のつけっぱなしはその後の皮膚トラブルにつながるため良くないのです。

 皮膚が呼吸をして酸素と二酸化炭素を交換する機能はあったとしてもごくわずかです。「皮膚呼吸ができなくて具合が悪くなる」というのは都市伝説に近いものの、皮膚そのものを守るために、皮膚に塗るものはちゃんとしたものを選ぶのが大切でしょう。

どう違う?魚の目とタコ・イボの特徴と見分け方

足裏に起こりやすい皮膚の病変というと、「魚の目」「タコ」「イボ」があります。どれも同じようなものだと思っている人もいるかもしれませんが、それぞれ違うもので、間違った対処をすると、かえって悪化することもあります。以下では、きちんと見分けられるように、それぞれの特徴をご紹介していきます。

魚の目

魚の目は、長期間にわたって、皮膚の一点に圧迫、摩擦などといった刺激が繰り返し加わることで、皮膚表面にある角質層が厚く硬くなることでできます。

また、魚の目の場合は、角質が皮膚の内部に向かって、先の尖ったくさび状に肥厚していくので、中心に硬い芯ができるのが大きな特徴で、その名の通り、まるで魚の眼のような見た目をしています。

魚の目は、芯が皮膚の奥の神経のある層(真皮層)にまで達すると、歩くたびに神経が刺激され、強い痛みを感じることがあります。

一般的に魚の目ができやすいのは、小指や足指の上側(甲側)、足裏の指のつけ根の間などといわれています。

タコ

タコも、魚の目とできるメカニズムは同じですが、魚の目が一点に集中して、圧迫、摩擦などが加わったことできるのに対して、タコの場合は、比較的に広い範囲に、刺激が加わったことでできます。またタコの場合は、角質が外側に向かって、厚く、硬くなり、黄色みを帯びて盛り上がった状態になり、魚の目のような芯はできません。

タコは、表面の皮膚が硬くなるだけなので、あまり痛みを感じず、どちらかというと感覚が鈍くなったような感じになります。

一般的にタコができやすいのは、足裏や関節部分などの骨の上ですが、「座りダコ」や「ペンダコ」など、足に限らず、全身のどこにでもできます。

イボ

イボには、いろいろな種類のものがありますが、足にできやすいのは「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」です。これは、ヒトパピローマウイルスというウイルスが、皮膚の小さなか傷口から侵入し、感染すると考えられているウイルス性のイボです。

尋常性疣贅は、表面が盛り上がっていて、茶色の粒状にボコボコしています。手足にできることが圧倒的に多いものの、ひじやひざなど、外傷を受けやすい部分なら、どこにでもできます。

尋常性疣贅には、痛みもかゆみもありませんが、ウイルス性なので、削ったりすると、ほかの部位にも感染が広がってしまう可能性があります。このため、むやみに触らないようにしましょう。

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悩んでいる人が多い! 背中のブツブツの原因と対策

■悩む人が多い! 二の腕よりも出現率の高い「背中のブツブツ」
お風呂上がりに背中を鏡に映し見たら、背中にブツブツができている……なんて経験がある人もいるのではないでしょうか。顔のスキンケアも重要ですが、特に肌の露出の多い季節は、ボディケアも手を抜くわけにはいきません。

あまり知られていませんが、実は背中のブツブツは、二の腕のブツブツよりも出現率が高く、悩んでいる人が多いと言います。

しかし、対策としては念入りに洗う、薬用せっけんを使うなどしか行われていないのが現状なのだとか。そのため、あまり改善しないという人も多いのです。背中のブツブツは色々な種類の原因菌が入り混じっているため、適切な処置を行わなければ対応できないのです。

■背中にブツブツができるメカニズムとは?
背中のブツブツは、ニキビが大半と言われています。そして、体にできるニキビの多くは、マラセチア菌というカビの一種が皮脂を分解し、遊離脂肪酸という刺激物質を生成することで炎症を起こしてしまうのです。

背中は、皮脂の分泌量が多く、マラセチア菌の増殖が起こりやすい場所でもあるため、背中のニキビで悩む人が多いのです。

ちなみにこのブツブツの正式名称は、マラセチア菌が原因菌であることから、「マラセチア毛包炎」と呼ばれています。ほかにも、アクネ菌が原因の赤く腫れ、白から黄色の膿が溜まるニキビや、黄色ブドウ球菌が原因の表面に膿の溜まったくぼみができるニキビなどもあります。

背中にブツブツができている人の大半は、それをニキビと自覚していないのだとか。放っておくと、悪化してしまう場合も多く、とにかくできるだけ初期段階で適切な処置をとるというのが大切なのです。

■背中のブツブツ原因と対策
できてしまう原因は人それぞれ。原因に合った対策を行うことが大切です。

●1.寝汗
人は汗をかくとき、蒸発する汗から乾燥を防ごうと、一緒に皮脂も分泌されているのです。汗はいずれ蒸発しますが、皮脂はそのまま残ってしまうので、アクネ菌やマラセチア菌の恰好のエサになってしまいます。特に寝るときは要注意。

まずは、パジャマや下着、肌に触れるものを吸水性のよいものに変えてみましょう。汗をかいたら、下着や肌着はこまめに取り替えることも忘れずに。

●2.洗濯洗剤、柔軟剤
合成界面活性剤の入った洗剤や、柔軟剤の成分が肌に合わなかった場合、服に触れている部分の皮膚が肌荒れを起こし、ニキビになる場合があります。

成分表などをよくチェックして、できるだけ合成界面活性剤を使用していないものを選ぶようにしましょう。また、すすぎを念入りに行うなども対策の1つ。

●3.シャンプー、整髪料
シャンプーも、合成界面活性剤などが含まれているものがあるので、しっかりすすげていなかったりすると、背中にも付着して影響を与えてしまいます。髪の長い人は常に髪の毛が背中についているので、影響を受けやすいのも事実。

よくすすいだつもりでも、どうしても成分が残ってしまう場合があるので、必ず、シャンプーをしてから体を洗うようにしましょう。夏は暑いので、髪をアップにして背中を覆わないヘアスタイルにするのも良い方法。

●4.日焼け
皮脂は紫外線に当たると過酸化脂質が発生し、ドロドロの古い油のようになってしまいます。すると、皮膚に詰まりやすくなってしまいニキビの原因に。

なるべく、通年で日焼け対策を心がけましょう。背中は日焼け止めクリームが塗りにくいので、帽子や日傘を忘れずに。

●5.乾燥
肌が乾燥しているとバリア機能が低下してしまいます。すると、外部からの刺激を受けやすく、古い角質や皮脂が溜まりやすくなるため、ニキビの原因になってしまいます。

また、乾燥すると肌を守ろうと皮脂を多く分泌。普段から背中も顔と同じようにケアするのが大切です。

最近では、できてしまった背中ニキビ専用の商品が色々と出ています。そこで、背中のブツブツケアに最適な3品をご紹介します。

■背中のブツブツケアにオススメの3品

●小林製薬 セナキュア(医薬品) 100ml/1200円(税抜)
背中のブツブツの原因であるマラセチア菌やアクネ菌、黄色ブドウ球菌を殺菌。加えて、有効成分「アラントイン」が、赤みを改善し組織を修復してくれます。

弱酸性で低刺激。肌に優しい処方になっているのもうれしいポイント。また広範囲に塗布できるスプレーを採用しているので、手が届きにくい背中も簡単にケアできます。

●メンソレータム アクネス25 メディカルミスト(医薬品) 100ml/1200円(税抜)
大人ニキビにフォーカスしたミストタイプの治療薬。角質軟化作用(サリチル酸)が古い角質を取り除き、また、殺菌成分(エタノール)がニキビの原因菌を殺菌してくれます。

さらに、抗炎症成分ができてしまったニキビの炎症を抑える効果もあり、逆さにしても使えるので、どんな場所にもシュッとひと吹きでケアできて便利です。

●ユースキン ルドー 薬用アクネローション(医薬部外品) 150ml/1200円(税抜)
赤みのあるニキビの原因であるアクネ菌の生成を抑え、ニキビのできにくい環境を作ってくれるアクネローション。こちらもスプレータイプなので、デコルテ部分はもちろん、手の届きにくい背中にも使いやすいのが特徴です。

また、ニキビケアは保湿も重要と考え、潤い成分である「ダイズエキス(イソフラボン含有)」を配合しているので、水分量と皮脂量のバランスを整えて、すべすべ肌に導いてくれます。知らない間にできている背中のブツブツ。専門アイテムでしっかりケアして、夏のオシャレを思いっきり楽しんでみませんか?

“帯状疱疹”の原因は、幼少時代の“水ぼうそう”!?

帯状疱疹の原因

体の片側に起こる強い痛み、その部分にできる帯状の赤み、ブツブツ、水ぶくれが特徴の病気です。子どものころに水ぼうそうにかかったことのある人は、誰もがかかる可能性があります。

それは、症状が治癒してもそのウイルスが体内の神経節に潜んでいるから。これが、過労、加齢、病気などで免疫力が低下すると再び活動を始め、神経やヒフを攻撃し、帯状疱疹を発症させるのです。

放置すると、痛みが長引いてしまうことも……

症状が出たら、できるだけ早く治療を開始する、ということです。水ぼうそうのウイルスは、活発に活動し始めると、神経とヒフを攻撃し、それが長引くと、当然ダメージも大きくなります。

さらに、神経に傷が残ると長期間にわたり、痛みが消えなくなってしまうことも……。対処が遅くなってしまうと、このように患部の症状は消えても痛みが続く「帯状疱疹後神経痛」に進行してしまう場合があるのです。

早期治療は、この帯状疱疹後神経痛予防にも役立ちます。

発症後72時間以内の治療が、最大のポイント
治療のベースは、抗ヘルペスウイルス薬の内服です。理想は、ブツブツした水ぶくれの発症後、72時間以内に十分な量の薬を服用すること。重症になると、入院による点滴治療が必要なケースもあります。

痛みや炎症が酷い場合には、消炎鎮痛薬やステロイドを併せて服用したり、激しい痛みには、神経周辺を直接局所的に麻酔する、神経ブロックを行うこともあります。

帯状疱疹の治療は、早めに行うことが大切です。痛みや、違和感があればすぐに皮膚科を受診しましょう。

“USAタトゥー疑惑”で話題「キネシオテープ」驚きの効果

日本のメダル獲得数が冬季オリンピックの最多となり、大盛況のうちに終わった平昌オリンピック。

多くの選手が活躍した一方で、こんなエピソードもあった。フィギュアスケート女子の長洲未来(24・米国)は、五輪女子史上3人目となるトリプルアクセルを成功させ、団体銅メダルに輝いたが、そのジャンプ以上に、内股に見えたタトゥーのようなものに、「あれはいったい何?」と、注目が集まったのだ。

それはキネシオテーピング療法で使われる「キネシオテープ」のことだ。アスリートの間での人気は高く、リオ五輪で、女子団体銅メダルに輝いた卓球・福原愛(29)も、ピンクのテープを足に貼っていたことがあった。

筋肉に直接テープを貼ることで、疲労した筋肉をサポートしつつ、最大限のパフォーマンスを引き出すように開発されているが、実はこのキネシオテープ、スポーツ選手だけでなく、一般の人にとっても非常に有効なテープなのだ。

キネシオテーピング協会の会長でキネシオ接骨院(東京都中野区)の院長である加瀬剛先生は、こう話す。

「キネシオテープは、私の父である加瀬建造が“キネシオロジー”(運動機能学)に基づき、筋肉の動きを研究して開発したものです。父がアメリカでカイロプラクティックを学び、実践していた当時、先天性股関節脱臼で苦しんでいた患者さんのために考案したのが、キネシオテーピング療法です。

それまでは捻挫の治療でも、患部を固定するのが一般的でしたが、キネシオテーピング療法で、患部の可動域がぐっと広がりました。また、痛みも改善されます」(以下・加瀬先生)

キネシオテープの効果は4つある。

【1】筋肉の機能を正す

筋肉に沿ってテープを貼ることで、筋肉の動きを正常な状態に戻す役割がある。

【2】痛みを軽減する

皮膚の表面には痛みを感じるセンサーのようなものがあるが、テープを貼ることにより、皮膚表面を持ち上げ、センサーを刺激しないことで、痛みを軽減する。

【3】血液、リンパ液の流れを促進する

テープを貼ることで皮膚表面が持ち上がり、血液、リンパ液の流れが促進される。

【4】関節の動きをなめらかにする

関節部分にテープを貼ることで、関節の動きをよくする。

つまり、肩こり、腰痛、関節痛など、ふだん私たちが感じる、日常的な痛みにも使えるわけだ。テープも、薬局やスポーツ店などで手軽に買え、コツを覚えれば、自分で簡単に貼れるのがうれしい。協会で講習会も開催している。

今回、取材に同行したカメラマンは、3日前に自転車で右肩を負傷し、右腕が上がらない状態だった。が、加瀬先生にテーピングをしてもらったところ、バンザイができるまでに右腕が上がるようになり、驚いていた。

ほくろの増えた数で皮膚がんのリスクが推測できる―研究結果

地球温暖化が進んで、オゾン層が破壊されるとさまざまなリスクが人間に降りかかってくるという話はそんなに新しい話ではありませんよね。

その一つが、オゾン層を通り抜けてしまう強い紫外線の影響です。紫外線をオゾン層を通さずに直に浴びすぎてしまうと、メラノーマというほくろの癌や皮膚がんになってしまうという事はさまざまな研究で証明されている事実です。

太陽がこの紫外線の原因の大きなものなのですが、日焼けサロンのライト、皮膚科治療の際のライト、ブラックライトや最近はやりのLEDライトからも紫外線を浴びてしまうのです。

つまり、紫外線は私たちの生活のあらゆるところに散在しているという事。しかし、紫外線によって起こる皮膚がんは統計でいえば、1分間に1人は皮膚がんで亡くなっているほど、誰にでもリスクのある癌なのです。

20年間をかけて行われたオランダの研究で、子供から大人になるにかけてほくろがいくつ増えたかという事で、その人が皮膚がんになる確率を推測できるという事が発表されました。

この研究では133人の子供を20年にかけて研究し、お尻や下半身にほくろの数が増えた子供は、皮膚がんになる可能性が非常に高いという事がわかっています。133人のうち、15人が皮膚がんになってしまい、一番若い人では26歳でがんになり、そのうちの1人は38歳という若さで亡くなっています。

この研究は、両親が子供のほくろの増加を観察することが皮膚がんのリスクを低下させることにつながるだろうと伝えています。そして、新しいほくろが子供のお尻や下半身に多くできた場合は、早めに病院にかかることが大切だと言っています。

身近な癌だからこそ、早期発見をできるだけ促進して一人でも多くの人を救えると良いですね。

帯状疱疹が各世代で増加中 基礎疾患のある人と高齢者に重症化リスク

 乳児への水疱瘡ワクチンが定期接種となったことで、広い世代に帯状疱疹が増加中だ。帯状疱疹は神経節に潜伏している水痘・帯状疱疹ウイルスが免疫の低下により、活発化して発症する。激しい痛みと身体の左右どちらかに赤い斑点や水ぶくれが帯状に現われる。抗ウイルス薬で治療を行なうが基礎疾患のある人や高齢者は重症化リスクが高く、帯状疱疹後神経痛を患うこともある。

 帯状疱疹は80歳までに7人に1人が発症するといわれ、身体の左右どちらかの皮膚にピリピリした痛みを感じ、その後数日して赤い斑点や水ぶくれが帯状になって現われる。水ぶくれは、やがてかさぶたになり、痛みも消える。ただし、水ぶくれが破れると他人に感染させることもある。

 原因は子供の頃に罹る水疱瘡だ。水痘・帯状疱疹ウイルスは神経節に潜伏し続けるが加齢や過労、糖尿病やがんなどの慢性疾患により、免疫が低下するとウイルスは活動を活発化させて発症する。

 ちなみに水疱瘡と帯状疱疹の流行は逆相関にある。2014年に水疱瘡ワクチンが乳児に定期接種されるようになると水疱瘡に罹る子供は激減したが、同時に各世代に帯状疱疹が増え出したのだ。

 NTT東日本関東病院皮膚科の五十嵐敦之部長に聞く。

「水痘・帯状疱疹ウイルスは脊髄神経に潜んでいますが、宿主であるヒトの免疫が低下すると再び活動を始めます。そして、宿主がダメになるとウイルスも死に絶えるので、他人に感染し、新しい宿主を獲得しようと動き出します。水疱瘡に一度罹った大人は水疱瘡の子供と接触することにより、免疫力は上がりますが、ワクチン接種で子供の水疱瘡が激減したため、免疫力の再活性化が起こらず、帯状疱疹が増えているのです」

 帯状疱疹は重症化すると帯状疱疹後神経痛の原因となる。糖尿病などの基礎疾患のある人や高齢者は重症化リスクが高い。他にも顔面に赤い斑点が生じた場合は視力や聴力、味覚などの感覚に影響が出たり、表情筋にマヒが起こるなどの症状が出る。

 帯状疱疹の全身治療薬は現在、5種類の抗ウイルス剤が承認され点滴か内服で用いる。痛みが出ただけでは帯状疱疹の確定診断は難しいが、それでも赤い斑点が出てから48時間以内に服用すれば高い治療効果を得られる。強い痛みがある場合は神経ブロックを併用する。発症したら安静を保ち、水ぶくれは柔らかいガーゼなどを当て、他人にうつさぬように予防する。

「2016年に帯状疱疹予防に水疱瘡ワクチンが使えるようになりました。弱毒化したウイルスを用いた生ワクチンで、50代以降に1回接種すれば最低5年は帯状疱疹を予防できます。さらに2020年には不活化ワクチンが登場し、がんや膠原病で免疫が低下した、生ワクチンを使用できない方にも接種可能となりました」(五十嵐部長)

 不活化ワクチンとはウイルスの感染能力を失わせたものを原料に作成したワクチンのこと。2か月間隔で2回筋肉注射すると予防効果は50~69歳で97.2%、70歳以上でも89.8%と高く、帯状疱疹後神経痛の予防効果も88.8%だ。ワクチン接種は自費だが、自治体によっては助成制度が敷かれている。

取材・構成/岩城レイ子

青いホクロ、ニオイがする……この「できもの」の正体は? 皮膚科の先生教えて!

■皮膚の「できもの」……これ何!?

 皮膚の「できもの」には実に様々なものがあり、ほくろのようによくあるものから、世界でも数例しか報告のないような「できもの」もあります。今回は、よく見かける「できもの」の一部をご紹介します。

■ほくろ(母斑細胞性母斑)

 いわゆる「ほくろ」は「母斑細胞性母斑」という名前のできもので、身体を探せば数カ所はあると思います。

 褐色~黒色、時に正常皮膚色の色素斑または腫瘤で、平たいものから盛り上がったもの、毛の生えたものなどがあります。大きさも様々で、ほくろと呼ばれる小さなものから、黒あざと呼ばれる大きいものもあります。

■青色母斑―青いホクロ―
 「青色母斑」は直径1センチメートル以下の小さな結節で、病名の通り青色または青黒色をしています。真皮と呼ばれる皮膚表面より少し深いところにメラノサイト(色素細胞)が集まっているため、黒色や茶色ではなく、青く見えます。

 手足の甲や顔などにできることが多く、悪性化することもあるので切除することが多いです。

■粉瘤―脂肪の塊―

 「粉瘤」はとても頻度の高い良性皮膚腫瘍です。表皮嚢腫と呼ばれる袋状のできもので、中は白くドロドロとしたお粥状の物質で満たされており、臭いがあります。徐々に大きくなり、しばしば化膿するため早めの治療をお勧めします。頭の先から足の裏までどこにでもできます。

■脂肪腫―いわゆる脂肪のかたまり―

 「脂肪腫」は脂肪細胞からできる良性のできもので、1センチメートル程度の小さなものから、10センチメートル以上ある大きなものまでサイズは様々です。皮下組織にあり、柔らかいできものです。

 首・肩・背中などにできやすく、小さなうちは自覚症状もありませんが、徐々に大きくなるので手術を行います。

■稗粒腫―白いポツポツ―

 「稗粒腫」(はいりゅうしゅ)は直径1~2ミリメートル程の小さく硬いできもので、白から黄白色。表皮のすぐ下にあるので皮膚から透けて見えます。内容物は真珠のように丸くコロッとした角質です。

 目の周りにポツポツとできることが多く、次いで頬部、陰茎・陰部などです。赤ちゃんは自然に消えることもありますが、成人は自然にとれることはありません。

■血管腫・血管奇形

 「血管腫」というと幼児期において最も多い腫瘍である乳児血管腫(苺状血管腫)を思い浮かべる方が多いでしょうか。

 従来、血管腫や血管奇形は慣用的に混合されて呼ばれることが多かったのですが、現在国際学会では、血管性腫瘍である「乳児血管腫」と「血管奇形」(静脈奇形、動静脈奇形、毛細血管奇形、リンパ管奇形)を別の疾患として分類しています。

 乳児血管腫の多くは小児期に自然に消退していく一方で、血管奇形は自然に消退することはなく、痛み、潰瘍、患肢の 成長異常、機能障害、整容上の問題等を来します。

■石灰化上皮腫―硬いおでき―

 幼少児の顔、首、上肢にできやすく、皮膚の下に硬く触れます。大きさは通常3~4センチメートルまでのものが多く、皮膚表面は常色または、青白く見えます。時に押すと痛みがあります。治療は手術です。

■皮様嚢腫―生まれつきのふくらみ―

 顔の骨はたくさんのパーツからでき上がっているのですが、お母さんのお腹の中で、赤ちゃんの顔の骨が組み合わさる時に皮膚が入り込んでできるとされるできもので、柔らかく1~4センチメートル程度の大きさです。

眉毛の外側にできることが多く、先ほどの理由で生まれたときから存在します。

タトゥー大流行のいま「ヤクザはどんな刺青を入れているのか?」〈暴力団幹部が解説

「自分が背中に刺青を入れたのは20代の中ごろだった。ヤクザにとって刺青は、切り離せないほど重要。自分の体に『墨を入れる』ということは、それまでとは違う人生に進むということだ」

 ヤクザにとっての刺青の意味について、このように強調するのは、首都圏で活動している指定暴力団幹部だ。

暴力団員にとって「刺青」とは?
タトゥーとも呼ばれ、ファッションの一部と考える若者もいる刺青だが、暴力団員などの反社会的勢力を連想する人も多い。実際に、暴力団幹部の多くは背中に刺青を入れており、暴力団社会で生きていく上では重要視されている慣習となっている。

 冒頭の指定暴力団幹部が続ける。

「ヤクザとして刺青を入れるのは、この道で生きていく決意を固めたということ。カタギ(一般人)の社会には、もうこれで戻らないという気持ちで入れた。最近は、親分や兄貴分の名前を自分の体に入れる人もいる」

親分の名を広めるという目的も
 暴力団では強制的に刺青を入れさせられるわけではなく、多くは自主的に入れているとされる。

 その中でも前出の指定暴力団幹部が指摘するように、いまは若い暴力団員を中心に、人名を刺青で入れるのが流行っているという。

 実際に親分の名前を体に入れている別の指定暴力団幹部が、詳しい事情を説明する。

「自分の場合は胸の中央、少し下の部分に組長の名前を入れている。これは子分としてこの道で生きていくことを示すもの。例えば、刑務所の風呂で裸になった時に、身体に名前が入っていると、周囲から『この人はあの親分のところの若い衆か』と認識されることになる。それと同時に、親分の名を広めるという目的もある」

痛みに耐えることにも意味がある
 刺青は、針で肌を傷つけながら着色料で描いていくことになる。その処置は激痛を伴うようだ。

「刺青を入れるのはとにかく痛い。耐えられない限界の痛みのちょっと手前。かなりの激痛だ。彫師に入れてもらうのは1回につき2時間から3時間くらい。それを1週間に2日やるのが限界だ。人によっては、翌日に発熱して寝込んでしまうとか、腫れあがってしまうということもあると聞いている。この痛みに耐えることが『ヤクザになる』ということにつながってくる」(前出・冒頭の指定暴力団幹部)

 そもそも刺青は、江戸時代には鳶職や火消し、博徒などの間で流行した。デザインは竜や鯉、鬼、生まれ年の干支にちなんだもののほか、流行していた芝居の登場人物も人気があったという。一方で、顔や腕にワンポイントで入れた刺青は当時の刑罰の一種でもあった。

 現代の暴力団員が好むデザインは、竜、鯉、観音像などさまざま。竜や鯉については「昇り竜」や「鯉の滝登り」など、出世するとのイメージにつながることから人気があるという。観音菩薩像や動植物などを彫ることもある。これらは、一般的には「和彫り」と呼ばれている。上半身全体に入れたり腕だけなど様々だ。倶利迦羅紋々(くりからもんもん)という俗称もある。

「彫師は結構な忙しさだ」
 彫師の元で、デザイン帳のようなものが提示されて選ぶこともあるという。料金は1時間につき、1万~2万円が相場のようだ。

 若者に人気のタトゥーも、刺青と基本的に同じもので、針で肌に傷をつけて着色料を入れていく。一般的にはファッションの一種で「洋彫り」と称される。アルファベットやローマ数字を並べたものや、動植物、幾何学模様などこちらもデザインは様々だ。欧米の一部の人気ロックミュージシャンや俳優らがタトゥーを入れていることなどから、国内でも若者の間で流行している。

「いまは若者がファッション感覚でタトゥーを入れる。その人気のおかげで彫師は結構な忙しさだ。祭りで神輿を担ぐ際に格好良く見せたいという素人さんもいて、和彫りも人気があるらしい」(同前)

 近年、行政や企業、一般社会でのコンプライアンス(法令順守、モラル順守)の強化などによって暴力団などの反社会的勢力の排除が進められる。温泉やサウナなどの施設では、「暴力団員はお断り」の注意書きとともに「刺青のある方は入浴不可」と書かれた看板もよく見かける。それでも、刺青は一般人にも広がりつつある。

「最後まで入れたかったが、カネがなくて」
 長年にわたり暴力団を相手にした捜査を続けてきた警察当局のベテラン刑事は、刺青について「体には負担が大きい」と指摘する。

「刺青を入れると皮膚の機能が大きく低下し、内臓に負担がかかるとされる。ただでさえ、親分クラスになると毎晩、朝まで酒を飲んだりと病気がち。だから、事件を起こして刑務所に入ることで健康を取り戻す、というパターンの暴力団員も多い」

 暴力団犯罪の捜査を指揮してきた警察幹部OBが体験を語る。

「かなり前のことだが、あるヤクザを逮捕したら背中の刺青が未完成だった。それで聞いてみたら、『最後まで入れたかったが、カネがなくて』と言い訳していた。恐らく痛みに耐えられなかったのではないか。『刺青を入れる時の激痛に耐えてこそヤクザ』と公言する者もいたが、そういうことだろう」

 体への負担から健康を害する可能性もある刺青。それでも、刺青にこだわりを持つ暴力団員は多いのが実情だ。

「山中に埋められた腐乱死体でも刺青だけはキレイに…」警察幹部が明かした“ヤクザと刺青”の本当の関係 へ続く

アートメイク…入れ墨の一種、健康被害相次ぐ

針で皮膚に色素を注入して眉などを描く「アートメイク」で、無資格業者による健康被害が相次いでいる。化粧の手間が省けると女性に人気だが、「医療行為」に当たる。

 昨年は無資格業者の摘発が最多となった。医師免許の有無を確認するなどの注意が必要だ。

 アートメイクは、専用の針で皮膚のごく浅いところに色素を注入する。眉やアイライン、唇が主な施術部位で、3、4年保てるのが一般的という。

日本では、1990年代から広がり始めた。厚生労働省は、2001年にアートメイクが医療行為に当たるという見解を示している。

 無資格業者の施術による健康被害は深刻だ。国民生活センターには相談が相次いでいる。

「自宅に業者を呼んで施術を受けたが、両まぶた、両頬の腫れがひかない」(50代女性、今年2月)、「眉の施術をしたが、1週間腫れ上がった状態が続いた」(30代女性、昨年11月)などだ。

 センターによると、06年度~11年度に計121件の相談があり、皮膚の腫れや化膿かのうだけでなく、角膜の損傷といった深刻な被害もあった。95%がエステ店など無資格業者による施術だったと推測されるという。

 警察庁によると、14年にアートメイク施術に関して医師法違反の疑いで摘発した事件は、前年比24件増の40件で、統計の残る10年以降最多だった。摘発したのは、いずれもエステ店でそのうち3店舗は「出張」形式で営業していた。

中には、10年ほど前から開業希望者向けの「スクール」を開き、計約550人に施術方法を教えていた店もあった。

 東京都の女性会社員(34)は7年前に近所のサロンでアイラインのアートメイクの施術を受けた。経営者は「痛みはほとんどない」「アートメイクの資格を持っている」と説明したという。

しかし、施術を受けると痛みと腫れに苦しみ、アイラインも不自然な線を入れられてしまった。サロンに電話をしても対応がなされず、返金もされなかったため、病院に行きレーザー治療で線を消した。

「アートメイクが医療行為ということは知らなかった。お金もかかったし、嫌な思いもした。きちんと調べなかったことを今でも後悔している」と女性は話す。

 医療機関で作る「日本メディカルアートメイク協会」の理事でシロノクリニック(東京)総院長の城野親徳さんは、「水で落ちないし、化粧も楽になると気軽に考えがちだが、アートメイクは入れ墨の一種。よく考えてから施術を決断してほしい」と話す。

 同院にも無資格業者の施術で被害を受けた女性が訪れるが、ほとんどの人がアートメイクが医療行為ということを知らないという。協会では、施術を受ける前に医師免許を有しているか確認するように呼びかけている。

城野さんは「施術の際は麻酔をするし、施術後のケアも必要。知識のある医師から適切な施術を受けるようにしてほしい」と注意を促す。

カラダにできたイボってどうケアすれば良いの?―イボは130種類のウイルスが原因

ニキビができちゃった、新しくかったメイクが肌に合わなくて荒れてしまったなどという一般的な皮膚の問題は女子会の話題になることはあるでしょう。

しかし、背中などにイボができてしまったことってなかなか人には相談できない悩みではないでしょうか?

そこでWomen’s Health Magazineが、あまり友達には相談し辛いイボについてお医者さんの意見を元に原因と対策方法を教えてくれています。

●100種類以上
ニューヨークの皮膚科の先生によると、イボは130種類ものHPVウイルスが原因でできるみたいです。HPVが性器の周りにイボを作る原因となることは知っているかもしれません。

しかし、足裏、顔、手、指にできるイボもHPVが原因のことが多いみたいです。

●体の部位によってイボの原因は違う
1つ目で説明した通り、イボには100種類以上の原因菌があります。

なので、体の他の部位にあるイボが転移するということはほとんどないみたいです。だから、彼の指や体にあるイボが女性の性器のイボの原因になるということは心配しなくて良いみたいです。

●イボはうつりにくい
子供は免疫力が低いためイボができやすいみたいです。しかし、大人になれば他人のイボがうつるということは稀みたいです。なので、皮膚に傷がない場合は何かを触ったからイボができるという心配はそこまでしないで良いみたいです。

●イボは簡単に治せる
イボができると嫌かもしれませんが、イボは何週間か何ヶ月かすれば勝手に治ってしまうみたいです。

もしも恥ずかしい場所にできている場合は何週間も待てないと思うかもしれませんが、イボ用の塗り薬を毎晩塗ることでイボが治るのを早められます。

●イボが消えない場合は皮膚科へ
イボは自然治癒が可能ですが、なかなか消えない場合や同じ様なイボが複数で切るようであったら皮膚科にかかった方が良いみたいです。皮膚科では、イボを凍結させて成長を止まらせたり、他の薬を使って治療することが可能です。

どちらにせよ、イボができたらなるべく触らずにそっとしておくのが1番見たいです。正しいイボの知識を持てばイボができた時に焦らなくてもすむはず!

ホクロが年々増えていく……これは何か怖い病気のせい?

場所によっては気になる存在のホクロ。増えるのはよくない、と聞きますが、いつの間にかあちこちに増えていたとしたら……。

首や腕、背中など、自分では見えづらい場所にも増えているとしたら、何か病気も心配されるのでしょうか?

年々増えるホクロについて、病気の可能性や原因を、私のクリニック目白の平田雅子先生にお聞きしました。(以下、平田先生)

子供のころから年々増えてきているホクロということですと、単純黒子、もしくは後天性色素性母斑であろうと考えられます。

単純黒子は幼児期ごろより発症する直径数ミリの斑のこと。

後天性色素性母斑は直径1cm以下の斑になります。単純黒子は色素性母斑の初期段階のものと言われています。

たいていは黒色または黒褐色をしていて、盛り上がりのない平らなものです。

いずれにしても、メラニン色素を作る色素細胞の良性の腫瘍(しゅよう)です。あまり心配しなくて大丈夫でしょう。

私たちが成長するにつれて、それらは少しずつ大きさや色の濃さ、数が増えていきますが、60歳ごろより自然に数が減り、色も薄くなってくるはずです。

良性のものであれば治療の必要は無いのですが、もしも精神的にストレスを抱えていたり、気持ちの上で負担になるようなら、皮膚科や美容外科などに相談し、レーザー治療や切除手術などを受けることも可能です。

その場合、レーザー治療は保険適用外なので、費用的なことも含めて事前に医師とよく相談してくださいね。

本来、ホクロは背中や胸など体のどこにでも出るもので、紫外線とは関係が無いと言われていましたが、実際には日光が当たりやすい皮膚に生じることが多いのです。

それに、ホクロの出やすい人は紫外線にも弱い傾向があるので、なるべく紫外線対策をしておいた方が良いでしょう。

また、最近では、ホクロは遺伝的なものや紫外線の影響以外に、女性ホルモンの影響を指摘する声もあります。

ホルモンバランスが崩れると、メラニンを生成するメラノサイトが刺激され過剰に働いてしまうことがあるのです。

女性ホルモンは不規則な生活やストレスで簡単に乱れてしまうものなので、睡眠不足や冷えなどに気をつけ、ストレスをためないように工夫しましょう。

ただし、ホクロのなかには、ごくまれに悪性黒色腫(ホクロのガン)があります。

少しずつ大きさが増して直径7mm以上になるものや、色が濃くなったり、色に黒、茶、青、白などのムラが生じているもの、出血しやすいもの、あるいはホクロの形が不均衡である場合などは、念のために皮膚科で検査を受けておくことをおすすめします。

放置はNG!「しもやけ」の原因・症状・治し方・治療法

●しもやけの原因

しもやけは寒さや冷えによって血流が悪くなることで起こります。冬になると1日の気温の変化が激しくなり、昼と夜の温度差が大きくなるので、この時期に症状が現れます。

また、しもやけは冷え性の方に起こりやすいため、体質や遺伝も関係していると考えられています。もしも近親に冷え性や身体が冷えやすい方がいる場合には注意が必要です。

さらに手足の湿度も大きく影響しています。手足を濡れたままにしていると、乾く段階でしだいに皮膚の温度が低下し、しもやけを引き起こす場合があります。いずれにしても冷えが最大の原因です。

また、かゆみや痛みをともないます。その原因は、冷えで血流が悪くなっている血管が、急速に温度が上がることで血流が一気によくなり、神経が刺激を受けるためです。冷たい外気に触れていたのに、急に暖房の効いた部屋やこたつに入った場合などに生じます

●しもやけの症状

しもやけには手の指先や足先、耳たぶや鼻といった末端部分に生じる場合と、手足全体が腫れを起すような場合の2種類あります。

末端部分におこる症状は、赤紫の発疹が現れかゆみや痛みをともない、幼少期の子どもによく発症します。

手足全体が腫れる場合は、青年期から成人にかけた女性によく発症します。いずれも手足、耳たぶ、鼻に多くみられますが、時に太ももや臀部に発症することもあります。痛みやかゆみがひどい場合は、就寝できなくなることもあります。

重症化すると大変な事になる場合もあるので、適切な処置を早めに行いましょう。

●しもやけの予防

しもやけにかかると、痛みやかゆみでとても辛いので、予防するに越したことはありません。しもやけの予防は、長時間身体を冷やさないことが最も大切です。

冷えは血流を悪くさせてしまいます。寒さが厳しくなる季節には、厚手のソックスや手袋、マスクなどで冷えから身体を守りましょう。特に末端部分は露出しないように心掛けましょう。

また食生活も冷えに影響しています。身体が冷えやすい方はビタミンEが不足している場合があります。心臓から血液を循環させるためには欠かせない栄養素のひとつです。

食事で補えない場合はサプリメントで補給するように心掛けましょう。また併行してビタミンCを摂取すると吸収がよくなるのでオススメです。

●しもやけの治療

しもやけの治療にはさまざまな民間療法がありますが、それでもなかなか治らない場合は専門のクリニックを受診し、ドクターに診てもらうことが重要です。

たかがしもやけですが、放置していて重症化すると凍傷になり、最悪の場合手足を切断することにもなりかねません。あまくみず、早めに治療するように心掛けましょう。

(この記事の監修: 広尾プライム皮膚科 医師 / 谷口由紀 先生)

小児科医が教える“はがれにくい絆創膏の貼り方”が便利! 「助かりました」「早速実践します」と話題に

小児科医がTwitterで紹介した「はがれにくい絆創膏の貼り方」が大きな反響を呼んでいます。実際に編集部でも試してみました。

「関節部に貼る絆創膏がすぐ剥がれる場合はテープの一部をカット、もしくは切れ込みを入れると剥がれにくいですよ」とツイートしたのは、小児科医のDr.リノ(@awaguni_deko8)さん。  「よく知られた方法ですが、子どもや冬場にひび割れしちゃう人へオススメです」と、イラストを交えて紹介したところ、多くの“いいね”を集めています。

ねとらぼ編集部でもやってみた

 やり方はテープ部の短辺にガーゼの淵まで左右にV字の切り込みを入れてから、関節部分を除くようにテープを貼るだけと非常に簡単。 ねとらぼ編集部でも実際に親指の関節を使ってこのやり方を試してみたところ、そのまま絆創膏を貼ったときと比べて、指の曲げ伸ばしがしやすく、曲げたり伸ばしたりを連続してもはがれにくい感じがしました。  

またDr.リノさんは指関節以外にも、指先の絆創膏の貼り方、足の膝関節などに貼るときに活躍する大判タイプの絆創膏の貼り方、切り傷を早くきれいに治すための絆創膏の貼り方などを紹介。  季節柄指のひび割れに悩んでいる人や、子どもを持つ人などから「知りたかった」「助かりました」「早速実践しまーす」といった声が上がっています。【画像:はがれにくい絆創膏の貼り方】 画像提供:Dr.リノ(@awaguni_deko8)さん

後悔しないために!初めてタトゥーを入れる前に知っておくべきこと

初めてタトゥーを入れるとなれば、不安や疑問があるのは当然。痛みはどれくらいあるのか? 安全なタトゥースタジオをどう見分けたらいいのか? 料金はいくらかかるのか? など、後悔しないためにも必ず確認しておくべきことがいくつかあります。そこで、一生モノの「タトゥーを入れる前に知っておくべき23のこと」を<セブンティーン>からピックアップ。ビギナーはもちろん、すでにタトゥーが入っている人にも役立つケア方法を紹介します。

料金はさまざま

タトゥースタジオは、クライアントが選ぶタトゥーのサイズやデザインに基づいて、料金を設定する場合がほとんど。けれど、あなたが初心者だとわかると、中には値段をつり上げてこようとするスタジオも。入れてしまったあとでは交渉は難しいので、スタジオへ行く前に、電話で料金を見積もってもらうといいでしょう。事前にタトゥーの相場に詳しい人に話を聞いたり、不安な場合はスタジオの下見について来てもらったりするなど、前もってリサーチしておくことをおすすめします。

“激安”を求めないこと

たいてい、スタジオが料金表に提示しているのは「最低価格」。たとえば、小さなハートのタトゥーをひとつだけ入れるのであれば、その程度の値段と考えていいでしょう。ただ、いくつかのスタジオを比較して、あまりにも安い料金設定をしているところがあれば要注意。いい加減なところでタトゥーを入れれば、仕上がりに満足できなかったり、感染症を起こす可能性も否定できません。タトゥーは一生身体に残るもの。健康を考えれば、それなりの投資はするべきです。

特別なキャンペーンなどで、「決められたデザイン」を安く入れられる場合もあるかもしれませんが、すべてを格安でやってもらえるわけではないので、評判の良いスタジオやタトゥーアーティストにお願いできるように、お金を貯めることを考えましょう。

カイリー・ジェンナー、ジャスティン・ビーバー、マイリー・サイラス、セレーナ・ゴメス、デミ・ロヴァート、カーラ・デルヴィーニュ、ケイティ・ペリーなど、名だたるセレブにタトゥーを入れてきたスタジオ「Bang Bang」のアーティスト、キース・マッカーディさんも「好きなアーティストにタトゥーを入れてもらうお金がないなら、“ファストフード”で妥協するのではなく、入れてもらえるまで待つべき。待ったことを後悔することはないけれど、待たなかったことは絶対に後悔することになるでしょう」と言っています。

年齢制限

日本では各都道府県の青少年育成条例などに基づき、18歳(高校生不可)または自治体によって20歳未満へのタトゥーの施術が禁止されています。タイミングに備えてリサーチに専念しましょう。

スタジオを下見する

気になるスタジオを見つけたら、実際に依頼する前にネットの評判をチェックしたり、直接下見に行きましょう。自治体が定めたガイドラインを遵守しているかも必ず確認を。「クライアントにとって居心地のよいスタジオであるためには、清潔であることがとても重要」とマッカーディさん。「施術台をどのくらいの頻度で掃除しているか、施術と施術の間にはどんな掃除をしているか、身体のどんな場所にタトゥーを入れているのかなど、アーティストに聞いてみましょう」。

衛生的なスタジオで入れてもらう

タトゥーを入れることが、“髪色を変えるのと同じ”というわけにはいきません。まさに皮膚に傷を刻むわけですから、きちんとした予防策を取っていない店では、感染症にかかる可能性も。安全を考え、見た目も匂いも、病院並みに清潔なスタジオを選びましょう。

自分の目で確認する

タトゥー針の再利用はさまざまな感染の原因となり、HIVやB型肝炎などの深刻な病気に感染する危険性があります。「使われるタトゥー針が未使用・未開封であること」「新品の使い捨てカップにインクが入れられていること」「(アーティストが)施術中は常に手袋をつけていること」を、自分の目でしっかり確認しましょう。

ざらざらしていない台の上でタトゥーを入れてもらう!

木材などは多孔性の物質で完全に消毒するのは難しいため、タトゥーを入れるときの台としてはふさわしい素材とは言えないよう。「石や大理石のような多孔性物質も、タトゥー台の素材としてふさわしくありません。ステンレス、もしくはステンレスと同じくらい消毒しやすい物質であるべきでしょう」とマッカーディさん。

お目当てのアーティストやスタジオのSNSをフォローする

どこのスタジオにするかが決まったら、そのスタジオやそこで働くアーティストのインスタグラムをチェックして、どの人に施術を頼むかを決めましょう。実際タトゥーを入れてもらった人たちの口コミにも目を通して。

デザインのチェックは念入りに!

タトゥーを入れる前に、デザインの確認は念入りに行いましょう。普通、施術をする前にアーティストは実際の図案を起こして、クライアントと調整を行いますが、特に気をつけてほしいのは言葉のスペル(スペルミスのあるタトゥーを入れてしまう人は珍しくありません。十分ありえる失敗)。変更したいところや気になる点があれば、遠慮せずに伝えましょう。くれぐれも、それが一生残ることを忘れずに!

インクアレルギーに注意!

人によっては、タトゥーのインクでアレルギーが出ることも。そして、アレルギーが出るとひどいことになる場合も…。どうやって、事前に確認すればいいのでしょうか?

美容皮膚科医でタトゥー除去の施術を行なっているキャメロン・ロクサー博士によると、インクアレルギーは珍しいものではなく「インクの成分に対するアレルギー反応で、ひどい炎症を起こした患者さんを何人も見てきました」とのこと。心配な人はあらかじめパッチテストをするといいそう。「実際インクを『皮膚の下』に入れる場所でテストしてもらい、2~3週間ほど様子をみてみましょう」。

アレルギーがひどい人は、上記の写真のようにタトゥー周辺に痛みをともなう赤い炎症を発症する可能性が。ただし、医師に処方してもらうステロイド剤や、ヒドロコルチゾン配合の効きめの強い軟膏で治療はできるそう。ちなみに、写真の炎症もそれらの薬できれいに治ったとか。

「居心地が悪い」と感じたらスタジオを変える

たとえば、「デザインのここを変えてほしい」と頼んだのに、上から目線で言い返してくるようなアーティストなら、その人に頼むことはやめましょう。あなたが考えたタトゥーのアイデアを小バカにするようなスタジオで、わざわざ施術をする必要はありません。即、帰りましょう。

そもそも初めてタトゥーを入れるというのは怖いもの。その上さらに神経にさわったり、嫌な思いをさせられるなんて御免です。

「若い女性がタトゥーを入れたくて相談に行って、アーティストに横柄な態度を取られてしまうことは、この業界によくあることかもしれません。まるで、『若い女のアホなタトゥーになんかに、付き合っていられない』と言わんばかりにね。そういうのはフェアじゃないし、クライアントに『そのくらいがまんしろ』なんて僕は言いません。誰か別の『ぜひやりましょう』と言ってくれる人を探したほうがいいと思いますよ」とマッカーディさんはアドバイス。

大きなタトゥーの場合、一度では終わらないことも

大きなデザインやたくさん色を使うものの場合、完成までに何度か施術が必要になり、一度の訪問では終わらない場合も。フルスリーブ(腕全体)であれば、完成までに数ヵ月ほどかかるといいます。一方、シンプルなタトゥー、たとえば小さな黒い星印などはほんの5分で済むとか。完成までにどのくらいの時間がかかるのかもきちんと確認しましょう。

寒さで現れる皮膚障害 本人も気付いていない病気が原因のことも

想定外の台風被害に多くの人々が被害をこうむり、いまだに復興が進まない状況が続いています。台風襲来時は激しく気流が変化する影響で、ぜんそく、鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患が悪化してしまうことが多いようです。東京では10月になっても2度の真夏日が観測されるなど暑い秋の始まりとなりましたが、さすがに朝晩の冷えは少しずつ進んで、冬の訪れの準備が必要な季節になってきました。

自己免疫疾患や糖尿病、脳血管障害などの基礎疾患があると寒冷により四肢末端の神経や血管の障害が起こりやすく、適切なケアをしていないと重篤な症状まで進行してしまうことも。患者さんご本人がそうした基礎疾患に気づいておらず、寒冷暴露による皮膚の症状から我々皮膚科医が診断し、治療が適切でないと指摘することもあります。【東邦大学医療センター大森病院皮膚科臨床教授・関東裕美/メディカルノートNEWS & JOURNAL】

◇「手の指が白く」…驚いて受診した女性の病名は

ある寒い朝、手の指がまだら状に白くなっていた、と40代の女性が驚いて受診に来ました。発症してから数時間がたっているそうですが、指は白いままでチクチクした感じがすると訴えています。これは「レイノー現象」と呼ばれ、寒さにさらされ指の細い動脈が急速に収縮することで起こります。温めると正常な皮膚の色と感覚が回復します。レイノー現象は膠原病(こうげんびょう)の患者さんでよく見られるため、この女性も原因となる基礎疾患を疑い、検査をしました。その結果、皮膚や内蔵が硬くなる「全身性強皮症」の初期症状だったことが分かり、治療につなげることができました。

◇「しもやけ」の原因は膠原病?

登山の遭難報道で時に聞かれることがある凍傷は、皮膚の直接冷却によって組織が凍結することによる末梢循環不全で起こります。血流が途絶すれば組織は腐ってしまいますから、救命されても壊死(えし)した部位を失うことになってしまうのです。 似た言葉に「凍瘡(とうそう)」があります。これはいわゆる「しもやけ」のことで、凍傷の一種とされています。寒暖の差がある初冬と春先に起こりやすく、血管が狭くなる狭窄(きょうさく)やふさがってしまう閉塞などの器質的障害はありません。小児期や女性に多くみられ、遺伝が関与することが多いようです。

しもやけは、時に「エリテマトーデス」や「強皮症」、「シーェグレン症候群」など自己免疫疾患(膠原病)の症状の可能性もあり、積極的な検査が必要な場合もあります。しもやけ予防には防寒と早期からの治療が大切で、局所の血流改善マッサージや炎症を取る目的でステロイド外用薬を使用すると軽快します。

◇糖尿病足病変…寒さで悪化することも

豊かな食生活に伴い脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞などの血管障害、糖尿病患者が増えてしまいました。現在は、これら生活習慣病の予防を多くの方が心がけていると思います。それでもなお糖尿病の足病変患者、いわゆる「足壊疽(えそ)」に陥って足を失うことになってしまう方が年間を通じ、当院皮膚科で入院加療されています。血糖管理がうまくいかないと末端の血管神経障害が日々悪化し、糖尿病足病変は次第に重症化してゆきます。

靴を長時間履く生活では荷重で「たこ」や「うおのめ」ができやすくなり、真菌(水虫)や細菌(黄色ブドウ球菌などの化膿菌)の感染も心配です。血糖管理が悪いと容易に感染を引き起こすようになり、小さな傷の修復も難しくなります。また、神経障害により足の感覚が低下することも多く、傷の悪化に気付かないまま放置し、足が腐ってしまう糖尿病性壊疽へと進行してしまうのです。寒冷時期には血管が収縮して末梢循環障害はより悪化しますから、小血管の血栓を生じるリスクもあります。ケアが不十分な患者さんには「適切な治療、自身の食事・運動療法で血糖管理に励み、四肢末端のマッサージと毎日の足洗浄、観察が必要」と指導しています。
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◇じんましんの原因にもなる寒風

「じんましん」というと、アレルギーなどが原因で起こるものというイメージがあるかと思います。しかし、それ以外にも日光や温熱、水との接触などで引き起こされる「物理性じんましん」というものもあります。冷たい風などが物理的刺激となって発疹やかゆみが現れる「寒冷じんましん」もその1つです。まれに常染色体の変異が優性遺伝することで家族性に発症するケースもあります。通常、じんましんなどのかゆみは患部を冷却すると和らぐことがありますが、こと、この寒冷じんましんには逆効果です。寒冷じんましんは、急激な冷却で重症化し、ショック症状をきたすことがあります。抗ヒスタミン剤の内服により、生活の質改善をすることができますので、適切な検査と指導を受けてください。

◇暖房器具の使い方にはご用心

寒い季節には安眠のため眠るときに暖房器具を使うこともあると思います。低温やけどは、あんかや湯たんぽ、こたつなどの比較的低温の暖房器具などで、時間をかけてゆっくりとやけどが進行した状態です。皮膚表面から真皮下方まで徐々に組織障害が進み、細胞が死滅するので潰瘍化してしまいます。血行が悪いと傷の治癒にはより多くの時間がかかり、治っても痕が残ります。小児や温度感覚が鈍くなってしまうことがある糖尿病患者さん、高齢者は、以下のような暖房器具対策が必要です。

・電気あんか、電気カーペット、電気敷毛布、湯たんぽなどは、直接体に接触しないように使用する
・電気あんか、湯たんぽなどは布などを巻いて伝わる熱を少なくして使用する
・長時間同じ部位に当てて使用しない
・就寝時に使用する場合は特に注意する
・痛みや違和感があるときは直ちに使用をやめる
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◇温湿度低下に合わせて保湿対策を

健康な皮膚の方でも、気温や湿度などの変化が激しい時期には加齢とともに皮膚バリア機能も正常に対応できなくなって、皮膚トラブルが多くなります。年間を通じて保湿と遮光を心がけることが最も大切なアンチエイジング。男女ともに日々のスキンケアを心がけたいものです。温度と湿度の低下にあわせて洗顔料や回数の調整、保湿対策に励みましょう。

カラダにできたイボってどうケアすれば良いの?―イボは130種類のウイルスが原因

ニキビができちゃった、新しくかったメイクが肌に合わなくて荒れてしまったなどという一般的な皮膚の問題は女子会の話題になることはあるでしょう。

しかし、背中などにイボができてしまったことってなかなか人には相談できない悩みではないでしょうか?

そこでWomen’s Health Magazineが、あまり友達には相談し辛いイボについてお医者さんの意見を元に原因と対策方法を教えてくれています。

●100種類以上
ニューヨークの皮膚科の先生によると、イボは130種類ものHPVウイルスが原因でできるみたいです。HPVが性器の周りにイボを作る原因となることは知っているかもしれません。

しかし、足裏、顔、手、指にできるイボもHPVが原因のことが多いみたいです。

●体の部位によってイボの原因は違う
1つ目で説明した通り、イボには100種類以上の原因菌があります。

なので、体の他の部位にあるイボが転移するということはほとんどないみたいです。だから、彼の指や体にあるイボが女性の性器のイボの原因になるということは心配しなくて良いみたいです。

●イボはうつりにくい
子供は免疫力が低いためイボができやすいみたいです。しかし、大人になれば他人のイボがうつるということは稀みたいです。なので、皮膚に傷がない場合は何かを触ったからイボができるという心配はそこまでしないで良いみたいです。

●イボは簡単に治せる
イボができると嫌かもしれませんが、イボは何週間か何ヶ月かすれば勝手に治ってしまうみたいです。

もしも恥ずかしい場所にできている場合は何週間も待てないと思うかもしれませんが、イボ用の塗り薬を毎晩塗ることでイボが治るのを早められます。

●イボが消えない場合は皮膚科へ
イボは自然治癒が可能ですが、なかなか消えない場合や同じ様なイボが複数で切るようであったら皮膚科にかかった方が良いみたいです。皮膚科では、イボを凍結させて成長を止まらせたり、他の薬を使って治療することが可能です。

どちらにせよ、イボができたらなるべく触らずにそっとしておくのが1番見たいです。正しいイボの知識を持てばイボができた時に焦らなくてもすむはず!

実は怖いイボがんになる場合も

ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因で手や足などに起こるウイルス性のいぼ。通常は自然に治るが、治りにくいものや、がんの原因になるものもある。東京慈恵会医科大学付属病院(東京都港区)皮膚科客員診療医長の江川清文医師に話を聞いた。

 ▽見えない傷から侵入
いぼの医学名は「疣贅(ゆうぜい)」で、ウイルス性と非ウイルス性のものがある。非ウイルス性のいぼの代表的なものが皮膚の老化に伴ってできる「脂漏性角化症」で「老人性疣贅(年寄りいぼ)」とも呼ばれる。これらは良性で、他の人にはうつらない。 一方、ウイルス性のいぼを引き起こすHPVは正常な皮膚や粘膜に感染することはないが、手や足、外陰部などにできた目に見えない傷から侵入する。感染した場所から離れた場所に飛び火したり、他人にうつしたりする可能性もある。

 HPVに感染してから皮膚に症状が出るまで数週間から数年かかるとされている。しかし、江川医師は「インフルエンザなどのように明らかな症状がないため、本人も家族も気付きにくいこともあるのではないか」と指摘する。

 手足に多い「尋常性疣贅」や顔を中心に発症する「扁平(へんぺい)疣贅」などがあり、足の裏にできやすいうおのめに似た「ミルメシア」は子どもに多い。外陰部にできるいぼの代表が、性行為などで感染する「尖圭(せんけい)コンジローマ」や「ボーエン様丘疹症」だ。特にボーエン様丘疹症は子宮頸(けい)がんを引き起こすHPV16型や18型などが原因だけに注意が必要だ。

 ▽自己判断せず受診を

 ウイルス性のいぼは硬くなった皮膚を軟らかくする「サリチル酸ばんそうこう」や「ヨクイニンエキス剤」で治療する。この他、いぼを液体窒素で凍結して壊死(えし)させたり、電気メスなどで焼いてしまったりする方法も行われる。 江川医師は「治療は3カ月をめどに効果が見込めなければ、別の方法に切り替えるか二つ以上の方法を併用してみます。1回の治療で改善するケースもありますが、長くかかることも珍しくありません」と話す。

 いぼは目立つだけではなく、足の裏にできると痛みで歩きにくくなり、生活の質(QOL)を大きく下げてしまう。江川医師は「いぼはがんのリスクもあります。決して自己判断せず、皮膚科で診断、治療を受けてほしい」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

早朝ジョグや入浴後は注意 「寒冷じんましん」正しい対処

これから春先にかけて見られる皮膚病の一つが「寒冷じんましん」だ。女優の剛力彩芽もテレビ番組で「お風呂上がりに、体全体がかゆくなって赤くなるんです」と、自身の寒冷じんましんを告白したことでちょっとした話題になった。思い当たる人も多いはずだ。どんな人がなりやすいのか? どんな対処法があるのか? 「めぐろ皮膚科クリニック」(東京・目黒)の深野祐子院長に聞いた。

「じんましんの原因は多岐にわたり、中には原因不明のものも少なくありません。要因がはっきりしているものでも精神的緊張、感染、発汗、食べ物などさまざまなものが原因となります。寒冷じんましんはその名前の通り、冷たい水や風などに触れた刺激により起きます。その刺激により、皮膚の真皮と呼ばれる部分の血管周囲にある肥満脂肪からヒスタミンが放出され、ひどいかゆみや赤く腫れた発疹をきたします」

 寒冷じんましんが特に出やすいのは冬場で、外出していて急に気温が低くなった時、お風呂上がりや運動後、急激に体が冷えた時など。冷たい飲み物を入れたコップを手に持ったり、飲んだりするのも原因で、夏場でもプールや海水浴の後やクーラーで体が冷えた時に発症することもある。

 ただし、寒冷じんましんだと自分自身では気がついていないことも多く、冬場では凍瘡(しもやけ)と思い込んでいる人も少なくない。

 寒冷じんましんも凍瘡も、寒い時季に症状が表れやすく、肌がかゆくなる、冷えると悪化するという点では同じだ。しかし、寒冷じんましんは急激な皮膚の温度の低下による刺激で起こるのに対して、凍瘡は寒さによる血行不良が原因で起こる。

「寒冷じんましんには局所に出るものと全身に出るものがあり、全身に出た場合には鳥肌のようなぶつぶつとした小さな発疹が出て肌が赤くなり、かゆみが出ます。一方、凍瘡は全身に出ることはなく、血行不良を起こしやすい末端の部分に出ることが特徴です。症状としては①手足全体が赤く腫れ上がる②手足の指や足裏、耳たぶ、鼻に赤紫の発疹ができるといったものがあります。寒冷じんましんは数時間で症状が治まること、寒さによる刺激がなくなると軽快することに対して、凍瘡は末端の血流が改善しない限り症状が続きます」

 じんましんでは血液成分が血管から漏れ出ているため、重症のケースでは血圧が下がってめまいやふらつきを起こすこともあるため注意が必要だ。

■対処法に3つの注意点

 対処法は体を温めることだが、なかには誤った対処法を取る人もいる。

「寒冷じんましんを通常のじんましんと間違えている人も多いのです。通常のじんましんは冷やすとかゆみが治まりますが、寒冷じんましんは逆効果です。かゆみが増し、かきむしって皮膚が傷つくと、冬場は皮膚が乾燥し、バリアー機能が弱まることも手伝って、湿疹を起こしやすくなります。寒冷じんましんが何度も起きるようなら、じんましんの症状を抑える抗ヒスタミン薬を病院で処方してもらうのも手です」

 寒冷じんましんを予防するには外出する際は体を冷やさないように、手袋をつけ、厚手の靴下をはくなど完全防寒着で対策を取るのはもちろん、以下の点にも注意したい。

①運動などをした後は、汗をこまめに拭く。汗で体が冷えないようにする。
②お風呂の脱衣所自体をしっかりと温め、すぐに服を着る。
③ネックウオーマーやマフラーなどを着用して温度調節をしやすくする。

 なお、暖かくなってもじんましんが続く場合は、寒冷じんましんではない可能性がある。皮膚科の受診が必要だ。

目立たせたくない!顔にできるいぼの特徴と治療方法

クリニックには、いぼの種類に応じて様々な治療法があります。

いぼの原因は“ヒトパピローマウィルス”というウィルスです。このウィルスが傷口に入り込んで感染することで、肌にいぼができるのです。このウィルスはなんと100種類以上もあります。

また、一言でいぼといっても種類は様々で、できる部位、年齢、症状によって分けられています。ここでは主に顔にできやすいいぼの特徴や治療方法について解説します。

■顔にできやすいいぼの特徴
顔にできるいぼは“青年性扁平疣贅(せいねんせいへんぺいゆうぜい)”と呼ばれるものがほとんどです。やや隆起しており、大きさは米粒よりも少し小さい程度。肌の色と同じか淡い茶色をしています。

20歳前後の女性に多く見られるもので、中年以降の発症はほとんどないと言われています。

このいぼは、1~2週間で自然と消えてしまう場合もありますが、放置しておくのは厳禁です。ひどい場合は、どんどんと増殖してしまうため、見つけたらすぐに医師に相談しましょう。

上記とは別に“老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)”といういぼもあります。加齢に伴って出現するいぼで“脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)”や“年寄りいぼ”とも呼ばれます。

始めは1~2mm程度ですが、放っておくと少しずつ大きくなります。色は肌の色よりも濃い色や黒に近いこともありで、形も一定ではないので目立ちます。ほとんどが良性のものですが、悪性の場合もあるので、見つけたら専門家や医師に相談してください。

■顔にできるいぼの治療方法
市販のいぼの治療薬も多く販売されていますが、病院へ行くよりも手軽で安いからと安易に手を出すことはオススメできません。上記でも述べたように、いぼの原因となるウィルスは多種多様で、いぼの種類自体も様々。

気になる場合は自己判断でのケアをする前に、早めに皮膚科や美容クリニックへ行きましょう。

クリニックでの治療には、液体窒素やレーザー、ステロイドや漢方薬など、症状や程度によってもさまざまな治療法があります。薬のみで治療することは少なく、多くの場合液体窒素やレーザーと併用します。また専用のハサミでひとつひとつ切除する医院もあります。

治療方法や受ける人の体質によって効果も異なりますから、保険が適用されるかどうかも合わせて、専門医に相談するのが良いでしょう。

■いぼができないための予防
いぼができやすいのは、免疫力が下がったときや、皮膚が薄いパーツです。肌は清潔に保ち、規則正しい生活を心がけましょう。ケガや紫外線によるダメージで肌は弱ってしまうので、なるべく刺激を与えないようにしたり、日焼け止めで紫外線対策をするようにしましょう。

とびひが重症化して敗血症や腎障害に…適切な治療や薬は?

細菌による皮膚の感染症であるとびひは、まれに重症化することも。適切な治療や薬についてご紹介します。

原因菌のブドウ球菌は夏場に増殖しやすい

小さな傷から細菌に感染するとびひ。原因菌により2種類に分けられますが、なかでも「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」は、小さい子供がかかりやすく夏に感染しやすい病気として有名です。伝染性膿痂疹の原因菌は、人の鼻や耳のなかにいる常在細菌のブドウ球菌。そのため、鼻をほじったりして細菌がついた手で、虫さされやあせもの部分をさわると感染してしまいます。このブドウ球菌が夏場に増殖しやすいことから、7~9月にかけて子供に流行しやすくなるのです。

伝染性膿痂疹は、感染すると細菌が作り出す毒素によって皮膚に水ぶくれができます。かゆみをともなうので、この水ぶくれをひっかくことで、中の細菌を含む液体がほかの皮膚にも付着し、水ぶくれが広がります。

悪化すると敗血症や腎臓の障害が

この伝染性膿痂疹が悪化すると、ブドウ球菌が作り出す毒素によって、全身が侵され、やけどのよう皮がむけてしまいます。これを「ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(通称SSSS)」といいます。乳児や小児によく起こる病気でしたが、近年では効果的な抗生物質が登場し下火になりました。早期に発見し、治療を開始すれば重症にはなりません。ただ、アトピー性皮膚炎の人に、溶血性連鎖球菌による水疱性膿痂疹が発生した場合、菌が血液中に入って高熱が起こり、重症になることがあります。これを、敗血症(菌血症)といい、まれにブドウ球菌によっても起こることがあります。

また、溶血性連鎖球菌が作る腎毒素によって、腎障害を併発することもあります。むくみや尿の量の減少、たんぱく尿などが起こりますが、自分では症状に気づきにくいので、皮膚の症状が治ってからも数週間は皮膚科で尿中のタンパク質を調べましょう。腎障害の有無がわかります。

とびひは、一度感染したからといって免疫ができる病気ではありません。身近にいる菌が原因菌のため、なんども感染したり、毎年同じ時期に流行する可能性があります。特に、自分で衛生管理ができない乳児や幼児は、家族が手洗いや体の清潔に気を配るように心がけましょう。

集団生活を送る幼稚園や保育園では、同じクラスの子から菌をもらったりする可能性もあります。免疫力が弱っている体調不良の時は、無理して登園させないようにしましょう。また、感染した場合も、まわりのお友達にうつさないよう、皮膚の症状がある時はもちろん、治ってからも登園は医師と相談して判断しましょう。家族にも感染が広がらないよう、症状が出たら、タオルは共有しない、お風呂は最後に入れるなどの配慮をしてください。

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと

【医師が監修】絆創膏によるかぶれの原因と予防法

絆創膏でかぶれるのはなぜ?

絆創膏を使っていると、肌がかぶれて、かゆくなることがあります。かぶれは、正式には「接触性皮膚炎」といい、強い刺激や毒性のあるものに触れることで起こる「一時的刺激性接触皮膚炎」と、アレルギー反応によって起こる「アレルギー性接触皮膚炎」があります。

絆創膏は、傷を治すための衛生材料なので、毒性物質が含まれていることは基本的にありません。また、使用される粘着剤なども、皮膚を刺激しないように、研究が重ねられているので、アレルギー反応を起こすことも、ほとんどないようです。では、なぜ絆創膏で、かぶれることがあるのでしょうか?今回は、その原因と予防法をご紹介していきます。

絆創膏かぶれの原因

絆創膏でかぶれが起きる原因は、細菌の繁殖によるものだと言われています。透湿性や通気性の悪い絆創膏を使っていると、汗をかいたりしたときに蒸れることがあります。すると、そこに細菌が繁殖し、その代謝物によって皮膚が刺激され、かぶれてしまうのです。また、絆創膏を剥がすときに生じる物理的な刺激も、かぶれの原因になるといわれています。

絆創膏かぶれの予防法

細菌の刺激によって起こる絆創膏かぶれを予防するには、細菌が繁殖しないようにすることが大切です。そのためには、まず肌を清潔にすること。絆創膏を貼る前に、患部はもちろん、絆創膏が接着する部分の皮膚も、石鹸で洗ったり、消毒したりするようにしましょう。そして、汗をかいたり、水で濡れたりしたときは、すぐに絆創膏を剥がし、肌の水分を拭き取って清潔にしてから、新しい絆創膏を貼り直しましょう。また、蒸れにくい「ウレタン不織布」や「ウレタンフィルム」などの素材が使われているものを使うのもオススメです。

絆創膏を剥がすときの物理的な刺激によるかぶれを予防するためには、絆創膏を貼るときに、絆創膏を引っ張って伸ばさず、自然な長さのままで貼るようにしましょう。伸ばして貼ると、肌に負担をかけ、かぶれの原因になります。また、剥がすときは、絆創膏が接着している方の皮膚を指で軽く押さえ、皮膚が引っ張られないように注意しながら、ゆっくりと剥がしましょう。

ぴったりと貼りついて剥がしにくい場合は、蒸しタオルなどで少し蒸らすと、剥がしやすくなります。また、剥がしたあとの肌は、お湯などでやさしく洗い、ベビーパウダーをつけておくと、かぶれにくくなります。

低価格の秘密は違法な施術!?タトゥー除去治療の実態

違法なタトゥー(刺青・入墨)の除去治療や脱毛などを行ったとして、大阪市の某クリニックの院長とその妻が逮捕されました。報道によると、被害者のうち、レーザーを使った両腕のタトゥー除去の施術を約4万円の費用で受けた女性は、患部がケロイド状になるやけどを負ったということです。

なぜこのようなことが発生するのでしょうか。また、どうすれば、このような被害に遭わずに済むのでしょうか。今回は、タトゥー除去治療の実態と、失敗せずに治療を受けるための注意点について、六本木境クリニック院長、境隆博先生にお話を伺います。境先生は、年間のべ300症例を超えるタトゥー除去の治療を行っており、タトゥー除去治療について深い知識と豊富なご経験をお持ちです。

なぜ違法な治療を行うクリニックが存在するのか

Q:上述の通り、違法なレーザーによるタトゥー除去治療を行っていたクリニックの院長と、実際に施術を行っていた妻(准看護師)が逮捕されました。なぜこのようことが起こるのでしょうか。境先生:美容医療を行うクリニックや医師の数が増え、過当競争・価格競争になっていることが背景にあります。値段を下げるには、数多くの患者さんの診療や施術を行わなければなりません。

しかし、全ての施術を医師がしていたら、時間には限りがあるので、当然一定以上の治療は行えず、値段を下げたり、より利益を出すことはできません。そのため、今回逮捕されたクリニックのように、看護師などに施術をさせるところもあるようです。また、レーザーを使った施術は、サロンなどでも行われていることから、患者さんも医師ではない人が施術をしても受け入れてしまいがちです。これがメスで切るような治療であれば、看護師など医師免許を持っていない人が行うと聞けば、患者さんも黙ってはいないでしょう。

レーザー治療でも気軽に受けてはいけない

Q:確かに、レーザーを使った施術に対して、「医師でなくても大丈夫なのでは」という認識を持っている人は多いように思います。しかし、やはり危険なのでしょうか。境先生:どのようなレーザー系の治療でも、やけどを起こす可能性はあり、完全に医療行為です。特に、皮膚内部の色素にレーザーを反応させるタトゥー除去治療では、程度の差はあれ、100%やけどを生じます。

違法な施術の被害者となった患者さんは、逮捕された看護師のレーザー照射により、腕にケロイド状のやけどができたようですが、レーザー治療といえども、医師免許を持たない人がやるのは明らかに間違いです。法律の解釈うんぬんと言った問題ではありません。ご理解いただきたいのが、レーザー治療に限らず、医療行為とは、何かしらの危険を伴うものです。失敗すれば重大な後遺症を引き起こし、下手をすれば一生苦しむ可能性もあります。

※タトゥーのレーザー治療について詳しくは、『タトゥーのレーザー治療の効果・痛み・後遺症 (http://www.skincare-univ.com/article/010075/)』をご覧ください。

医師であれば安心なのか

Q:これまで、タトゥーの除去治療について、レーザー (/article/010075/)に限らず、切除手術 (/article/010088/)や皮膚移植(植皮) (/article/010202/)、削皮(アブレーション) (http://www.skincare-univ.com/article/010218/)についてお話をお伺いしましたが、医師免許を持った医師が治療を行った場合においても、トラブルは少なくないようです。それは何故なのでしょうか。境先生:医師でもない素人が医療行為を行うのは論外ですが、医師だからと言って、その分野の経験が浅ければ、長い経験のある専門医と同様の治療を行うことは当然できません。

1つの分野でさえ、一人前の医師になるには、それなりの期間が必要です。私も研修医の頃、上司に付いているだけで何も分からない時代もありました。私は元々、形成外科、特に熱傷(やけど、やけど跡)が専門ですが、命が危ぶまれる患者さんも少なくない非常に厳しい医療現場で上司と一緒に様々な症例を診療しました。更に、そのような現場でキャリアを積み、責任者となって…と、合計10年以上の経験を積みました。そして、その時に身に着けた技術や知識を基に美容外科に転身し、美容外科医としてもキャリアを積んで、今に至ります。

医師免許や、医師の専門性というのは、そのくらい重いものです。しかし、前述の通り、現在は美容医療を行う医師が増え、近年では歯科医ですら、ボトックスやヒアルロン酸注入などによる顔のシワ取りの治療に参入する人もいると聞きます。手術などと異なり、レーザーなどの照射系の治療や、ボトックスやヒアルロン酸などの注射系の治療は、経験が浅い医師や、場合によっては看護師などでも比較的容易に行うことができる治療です。医師免許のない人が医療行為を行うのは論外ですが、十分な経験や技術がない分野に安易に手を出す医師も少なくないことが、トラブルが多い大きな原因の1つだと思います。

適切な治療を受けるために

Q:それでは、どうしたら失敗せずに自分に合った適切な治療を受けることができるのでしょうか。境先生:最も重要なことは、例えばタトゥー除去治療であれば「きれいに消せる」「傷跡が残らない」「低価格」など、耳触りの良いものに安易に飛びつかないことです。適切な判断ができるよう、ご自身のアンテナを高くして、よく情報収集してから決めるようにしましょう。

例えば、私のクリニックにタトゥー除去について相談にいらっしゃった患者さんで、「色々なクリニックでカウンセリングを受けましたが、医師の意見が極端に違い、何を信じて良いのか分からなくなりました。」と言っていた方がいました。医師の中には、本当に適した治療は経験や技術不足によって行えないため、自分ができる範囲の治療方法を勧める人もいます。また、逮捕された医師のように利益を重視し、看護師にやらせることができるレーザーを推奨することだってありえるのです。

そのため、「5人の医師のうち、3人がこの施術を勧めたから」のように、多数決で治療方法を決めてはいけません。上述のような医師の意見は、当然ですが除外しなくてはいけません。「誰が真実を言っていて、誰がウソをついているのか」の判断ができないと、不適切な治療を受けてしまうことになりかねません。刺青やタトゥーの除去治療に限って言えば、不適切な治療を受けると、目立つ傷跡や後遺症など、取り返しが付かないことになりがちです。

タトゥー除去をはじめ、美容医療の施術は、「治療をしないと命にかかわる」というものではありません。適切な判断ができない間は、「判断しない(治療を受けない)」という選択をし、十分時間をかけてリサーチしたり、よく考えるようにしましょう。そして、最終的に「治療しない」という選択枝もあるということを、心のどこかに必ず残しておいてください。

イボの代表的な3つの原因とは?効果的な予防対策でイボ知らず!

「イボ」とは皮膚から盛り上がっている小さなできものを意味する俗語です。どうしてイボができてしまうのか不思議ですよね。

なかなか治らないものや、目立つ場所にできてしまうと困ってしまいます。気になるイボの様々な原因を紹介します。

要チェック項目

□ウイルスが外傷から侵入し、そこからイボができる
□肥満体質の人は一般の人に比べるとイボができやすい
□イボに麦茶が効く

イボの原因1:ウイルス

ウイルスが原因でできるイボ。「ウイルスが感染してできるイボ」で、専門用語でウイルス性疣贅(ゆうぜい)と呼ばれるものです。

ウイルスが外傷から侵入し、そこからイボができる。外傷を受けやすい肌の露出した部分にできやすいようです。皮膚の一番底の部分までウイルスが侵入することによって発症します。

ウイルスに感染した細胞は、過剰に細胞分裂を繰り返し、他の細胞を押しのけ表皮の部分まで細胞分裂を繰り返すので、イボとして現れてしまいます。

このウイルス名は「ヒトパピローマ」と言います。その種類は驚愕の100種類以上。見た目の違う多くの種類があり、原因になるイボのウイルスに少しずつ違いがあることでイボのできる大きさや場所も違ってきます。

傷を負った手で他人のイボを触ると稀に移ってしまう事があるので注意が必要です。その他には水イボというポックスウイルスに感染して発症するイボもあります。

ウイルス性のイボの種類

増殖型のイボ

ヒトパピローマウイルス2型・27型・57型の感染で生じます。放っておいても増殖するのですが、気になって引っ掻いたり、いじることでも増殖します。

まずはいじらないことを心がけましょう。気になる場合は自分で治療しようと考えずにまず皮膚科を訪れることを推奨いたします。

水イボ

水イボとは、伝染性軟属腫ウイルスから皮膚に感染することでできてしまうイボです。ポックスウイルスに感染することで発症します。

子供に多く発生しやすく、乾燥肌やアトピー性皮膚炎の患者に多く見られます。イボの部分がツルツルとした光沢があり、頂点の部分がやや陥没しています。

また、かゆみは軽いのですが、掻いてしまうことで悪化や増殖をしてしまうことがあります。伝染性軟属腫の場合には、自然治療でも治癒するまで半年~1年程かかるので、治療をすることをお勧めします。

爪周囲疣贅(ゆうぜい)イボ

ヒトパピローマウイルスによる爪周囲に生じることを言います。見た目はカリフラワー状で、爪の甘皮がなくなります。爪を噛む方に多く見られるイボです。

糸状イボ

細長くて小さい突起で、まぶた、顔面、首、唇などにできます。

扁平イボ

子供や若い成人によくできるイボ。集団で生じやすいのが特徴です。表面はなめらかで、黄色がかった茶色やピンク色をしてますが中には周囲の皮膚と同じ色の場合もあります。

顔面や手の甲によくできます。男性ではひげの生える部位、女性では脚にもよくみられ、ひげや脚の毛をそることで広がる場合があります。

イボの原因2:肥満

肥満体質の人は一般の人に比べるとイボができやすい傾向にあります。皮膚のたるみによる摩擦で皮膚に負担がかかりイボができてしまうケースがあります。

また、脇なども湿度が高くなるのでイボができやすくなっています。老廃物を上手く排出できないなど、肥満はイボができやすい原因の一つとして考えられます。

イボの原因3:紫外線

首元にポツポツと小さいイボができます。20代30代の方でも発生する老人性のイボ。紫外線を浴びると通常メラニン色素が分泌されますが、ターンオーバーによって体外に排出されます。

多量の紫外線を浴びることによって新陳代謝や輩出が悪くなりシミになります。これが膨らんでアクロコルドンというイボになってしまいます。アクロコルドンは小さいのであまり気にされない方がほとんどのようです。

イボに麦茶が効くって本当?

おばあちゃんの知恵で麦茶を飲み続けると「イボ」が消えるという話があります。

飲み続ける間に自然に治ってしまったのでは? と疑問に思う方もいるかと思いますが、治療法の中に薏苡仁(ヨクイニン)という漢方薬(ハトムギのエキス)の服用があります。

ヨクイニンは肌にいい成分がたくさん入っています。即効性はないので毎日取り続けることで効果があります。皮膚の表面に余った水分や老廃物を取り除いてくれる効果があります。

また、新陳代謝をよくする効果・美肌効果もあり、体の中からのイボ治療が期待できます。ウイルス性のイボに効果が期待できます。おばあちゃんの、イボには麦茶が効くというのは本当だったのです。

イボは自然に治ることもある

自然に治ることがある疾患とされる「イボ」ですが、自然治癒せず長期間に渡る場合も数多くあり、様々な治療法があります。

ですが、現在のところ根治的な飲み薬や塗り薬は示されていません。様々なイボがありましたが中には悪性の物もあるのでイボを見つけ、気になるようでしたら病院を受診されることをおすすめします。

【感染症ニュース】風しん 感染研が首都圏における風しん急増に関する緊急情報を公開 妊娠20週頃までの女性やその家族は特に注意

8月21日、緊急情報として国立感染症研究所 感染症疫学センターは、「首都圏における風しん急増に関する緊急情報:2018年8月15日現在」を公開し、風しん及び先天性風しん症候群に対する注意を呼びかけています。これまで、「風しん」の患者報告数が関東地方を中心に大幅に増加していることがわかり、厚生労働省は8月14日、各都道府県をはじめとする自治体へ向け注意喚起を出しました。

 更に、日本産婦人科医会及び、"風しん"ゼロプロジェクトは、8月17日、風しん流行の兆しあり!!として、風しん流行の兆しが首都圏中心にみられているとの警告が厚生労働省より発出されたことを受けて、2013年の大流行の前兆に類似した状況になっていることから、緊急に警告を発していました。

◆患者発生動向
 2018年風しんの患者報告数は、2018/8/6~8/12(第32週)までに139人。2015~2017年の同時期における報告数を超え、さらに2016年及び2017年の年間累積報告数を超えました。

 過去には2012年に2,386人、2013年に14、344人の患者が報告され、この流行に関連した先天性風しん症候群が45人確認されています。

 IDWRの速報データによると
 2018/7/23~7/29(第30週)は報告数が19人。
 2018/7/30~8/5(第31週)は報告数が22人。
 2018/8/6~8/12(第32週)は報告数が39人。

 ※前週(第31週累積患者報告数)と比較して、第32週の累積患者報告数は43人の増加となっています。

 「風しんに関する特定感染症予防指針(厚生労働省告示第百二十二号:平成26年3月28日)」では、「早期に先天性風しん症候群の発生をなくすとともに、2020年度(平成32年度)までに風しんの排除を達成すること」を目標としています。

◆先天性風しん症候群とは
 妊娠20週頃までの女性が風しんウイルスに感染すると、胎児にも風しんウイルスが感染して、眼、耳、心臓に障害をもつ先天性風しん症候群の児が生まれる可能性があります。妊娠中は風しん含有ワクチンの接種は受けられず、受けた後は2か月間妊娠を避ける必要があることから、女性は妊娠前に2回の風しん含有ワクチンを受けておくこと及び妊婦の周囲の者に対するワクチン接種を行うことが重要です。また、30~50代の男性で風しんに罹ったことがなく、風しん含有ワクチンを受けていないか、あるいは接種歴が不明の場合は、早めにMRワクチンを受けておくことが奨められます。風しんはワクチンで予防可能な感染症です。

◆先天性風しん症候群の発生を防ぐためには
 妊婦への感染を防止することが重要であり、妊娠出産年齢の女性及び妊婦の周囲の者のうち感受性者を減少させる必要があります。また、風しんの感染拡大を防止するためには、30~50代の男性に蓄積した感受性者を減少させる必要があります。

◆患者報告数 年別
 2013年の流行以降は、2014年319人、2015年163人、2016年126人、2017年93人と減少傾向で、2018年は第20週(5月14日~20日)の11人を除き、第29週までは1週間あたり0~6人の範囲で報告されていました。しかし、第30週(7月23日~29日)に19人、第31週(7月30日~8月5日)に22人と増加し、第32週(8月6日~12日)には39人と急増しました。

◆患者報告数 地域別情報
 千葉県及び東京都からの報告が多く、第32週(8月12日)までの累積報告数はそれぞれ41人及び39人と、全体の58%がこの2都県からの報告でした。その他の道府県からは10人未満の報告数でした。

◆患者報告数 都道府県別多い順
 2018/8/15時点の速報データによる都道府県別累積患者報告数
 ・千葉県(41人)
 ・東京都(39人)
 ・埼玉県(9人)
 ・福岡道(7人)
 ・北海道(6人)
 ・神奈川県(5人)、愛知県(5人)
 ・兵庫県(4人)、広島県(4人)

◆患者報告数 年齢別
 報告患者の91%(127人)が成人で、男性が女性の約3倍多く報告されています (男性107人、女性32人)。特に30~40代の男性に多く(63%)、女性は20代に多い(41%)です。予防接種歴は無し(21人:15%)、あるいは不明(97人:70%)が大半を占めます。

 国外での感染が推定される症例は10人(7%)と少なく、既に、首都圏を中心に国内流行が発生し始めている可能性が高いと考えられます。

◆風しん患者の傾向
 風しんは、ワクチンによって予防可能な疾患です。今回報告を受けている風しん患者の中心は、過去にワクチンを受けておらず、風しんウイルスに感染したことがない抗体を保有していない集団です。予防接種法に基づいて、約5,000人規模で毎年調査が行われている感染症流行予測事業の2017年度の結果を見ると、成人男性は30代後半(抗体保有率(HI抗体価1:8以上):84%)、40代(同:77~82%)、50代(同:76~88%)で抗体保有率が低くなっています。今回報告を受けている風しん患者の中心も成人男性であることから、この集団に対する対策が必要です。

◆日本における風しん含有ワクチン定期接種制度
 1977年8月~1995年3月までは中学生の女子のみが定期接種の対象でした。1989年4月~1993年4月までは、麻しんワクチンの定期接種の際に、麻しんおたふくかぜ風しん混合(MMR)ワクチンを選択しても良いことになりました。当時の定期接種対象年齢は、生後12か月以上72か月未満の男女でした。1995年4月からは生後12か月以上90か月未満の男女(標準は生後12か月~36か月以下)に変更になり、経過措置として12歳以上~16歳未満の中学生男女についても定期接種の対象とされました。2001年11月7日~2003年9月30日までの期間に限って、1979年4月2日~1987年10月1日生まれの男女はいつでも定期接種(経過措置分)として受けられる制度に変更になりましたが、接種率上昇には繋がりませんでした。2006年度から麻しん風しん混合(MR)ワクチンが定期接種に導入され、1歳と小学校入学前1年間の幼児(6歳になる年度)の2回接種となり、2008~2012年度の時限措置として、中学1年生(13歳になる年度)あるいは高校3年生相当年齢(18歳になる年度)の者を対象に、2回目の定期接種が原則MRワクチンで行われました。

 これらのワクチン政策の結果、近年の風しん患者の中心は小児から成人へと変化しています。

◆妊娠初期(20週頃まで)の女性が風しんウイルスに感染した後、出生児が先天性風しん症候群になる確率
 妊娠初期の女性が風しんにかかると、生まれてくる赤ちゃんが「先天性風しん症候群」になる確率は、妊娠1か月で50%以上です。赤ちゃんが生まれながら持つ病気「先天性風しん症候群」。この病気から未来の赤ちゃんを守るために、妊娠を望む女性はもちろん、みんなでその症状や原因を理解し、風しんを予防していくことが大切です。

 厚生労働省からの注意喚起にも「特に妊婦を守る観点から、診療に関わる医療関係者、これまで風しんにかかっていない者、風しんの予防接種を受けていない者及び妊娠を希望する女性等への注意喚起等、風しんに対する一層の対策の実施をお願いします」とあり、特に、患者報告数の多い30代から50代の男性は、風しんにかかったことがあることが検査で確認されている、風しんの予防接種を受けたことが1歳以上で2回ある又は風しんに対する抗体が陽性であると確認ができている者を除いた者に対して、任意で風しんの予防接種(原則、麻しん風しん混合(MR)ワクチンが奨められています)を受けることについて検討を呼び掛けています。

◆風しんの症状
 風しんは、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性発疹症です。症状が現れない不顕性感染から、重篤な合併症(脳炎や血小板減少性紫斑病)併発まで幅広く、臨床症状のみで風しんと診断することは困難な疾患です。男女ともにワクチンを受けて、まず風しんの流行を抑制し、女性は感染予防に必要な免疫を妊娠前に獲得しておくことが重要です。そのためには1歳以上で2回の予防接種を受けておくことが求められています。

▼風しんについて詳しく見る
http://kansensho.jp/loc/location.html?page=if_intermediate.html%3Fid%3D30

▼風しんの抗体検査について(一問一答)|感染症・予防接種ナビ
http://kansensho.jp/loc/article.html?id=AT14111404

▼MR(麻しん・風しんワクチン)|感染症・予防接種ナビ
http://kansensho.jp/loc/article.html?id=VC00000011

引用:
・厚生労働省HP「風しんの届出数の増加に伴う注意喚起について(8月14日)」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/dl/180814_1.pdf

・IDWR2014年第12号 先天性風しん症候群-2012年~2014年第12週現在-
https://www.niid.go.jp/niid/ja/rubella-m-111/rubella-idwrc.html

・IASR2018年3月号(金井瑞恵、他)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2428-iasr/related-articles/related-articles-457/7906-457r02.html

・日本産婦人科医会HP「風しん流行の兆しあり!!」
http://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2018/08/201808rubella-1.pdf

・国立感染症研究所感染症疫学センターHP「首都圏における風疹急増に関する緊急情報(2018年8月15日現在)」(掲載日:2018年8月21日)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/rubella-m-111/rubella-top/2145-rubella-related/8266-rubella180821.html

取材協力:国立感染症研究所感染症疫学センター第三室室長 多屋馨子

だんだん大きくなる「赤いイボ」の取り方は?

◆だんだん大きくなる赤いイボの取り方は?

赤いイボが顔、首や胸、背中、腕にできたので気になっている、という方がクリニックをよく訪れます。この場合の診断は、たいていが「老人性血管腫」と呼ばれるものです。

30代以降に少しずつ増えてくることが多い良性のできもので、細かい血管が赤いできものの中に多数入っています。1~3ミリほどの平ら、もしくは少しだけ盛り上がって、表面はツルッとしています。でき始めは平らですが、時間が経つと少しずつ大きくなり、盛り上がることが多く、基本的には無治療で大丈夫ですが、赤みも目立つので見た目が気になり除去したいと考える方も少なくありません。対処法、取り方等について詳しく解説します。

◆老人性血管腫は治療の必要はなし

老人性血管腫の場合、ひっかくと出血する程度で症状がないことが多いです。見た目が気になる場合以外には、積極的に治療を行わなくても大丈夫です。

◆老人性血管腫の取り方……ヨクイニンは効果なし

老人性血管腫は顔、首、胸、腕といった服の外に露出する場所にもよくできるので、見た目が気になるので取ってしまいたいという方も多いです。通常のイボに使うことのあるサリチル酸のパッチやヨクイニンの飲み薬は、残念ながら無効です。
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◆病院・クリニックで受けられる老人性血管腫の治療法

老人性血管腫を治療する場合はレーザーや手術で物理的に血管が増殖した部分を破壊する必要があり、大きく分けて以下の3つの治療法があります。

■パルスダイレーザー
血管の赤みに反応するレーザーで、老人性血管腫にもよく効きます。Vbeam(ブイビーム)もしくはCynergy(シナジー)というレーザーの名称でも知られています。保険適応で治療を行えることもありますので、皮膚科クリニックを受診するとよいでしょう。

■ラジオ波メス、炭酸ガスレーザー
この2つのいずれも皮膚の表面を削ることで皮膚のできものを除去します。老人性血管腫のある部分の皮膚をいずれかの方法で焼灼します。浅いキズにはなりますが、一週間もあればふさがり、きれいに治ることが多いです。

■手術
手術の場合、老人血管腫は小型なので、パンチという3ミリ程度でくり抜く道具を使って、麻酔をかけたあとにとることが多いです。とったあとには1~2針ほど縫います。手術で取る場合の利点は、診断を顕微鏡の詳細な検査で調べられる点です。もしほかのできものと紛らわしい場合は手術を選択します。キズがわずかに残る可能性はあります。

◆老人性血管腫以外の赤いイボができる病気

大人で体や腕、脚に小さな赤い点ができる場合には老人性血管腫の可能性が高いですが、場所や年令によってはほかの可能性を疑う必要があります。

■くも状血管腫
中央が赤く少し盛り上がり、周りにチリチリと開いた血管が見えるできものです。お子さんにできることもありますが、お子さんの場合は自然に消える場合もあるので、特に治療しなくても大丈夫です。大人でくも状血管腫が多数見られる場合は肝臓の病気が潜んでいることがあるので、注意が必要です。

■血管拡張性肉芽腫
手足に多く、キズができたあとに血管が異常に増殖してしまいできる、赤いできものです。大きさは数ミリ~1センチ程度のことが多く、血管が多いので簡単に出血します。かさぶたが付着していることが多いです。こちらも良性のできものですが出血を繰り返すので、老人性血管腫同様、パルスダイレーザー、ラジオ波メス・炭酸ガスレーザー、手術のいずれかの方法で除去することが多いです。液体窒素で凍らせ、何度か治療を続けることで血管の組織を除去するという方法をとることもあります。

■静脈湖
唇にできる青~黒色の少し盛り上がったできものです。日光による唇へのダメージで血管が変形しやすくなるので、静脈湖は50代以降と年齢が上がるとできやすくなります。症状はありませんが、見た目に色と盛り上がりが気になりますので、治療することが多いです。こちらも治療は他の血管腫と同じで、老人性血管腫同様、レーザー(ロングパルスヤグ、パルスダイ)、ラジオ波メス・炭酸ガスレーザー、手術のいずれかの方法で除去することが多いです。
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◆まとめ

赤いイボは血管のできもので、その多くが老人性血管腫です。レーザーや手術によりきれいに取ることができますので、皮膚科クリニックを受診してご相談ください。
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野田 真史(皮膚科医)

イボ治療に有効とされている紫雲膏とは

イボに効くと噂の紫雲膏ってなに?

ネットで情報収集をしていると「紫雲膏でイボが治った!」というブログ記事が多くヒットします。紫雲膏とは、一体何なのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。

紫雲膏(しうんこう)とは、古くから皮膚病に効果があるとされている漢方薬です。江戸時代に、世界で初めて全身麻酔による手術を成功させたことで有名な華岡青洲が考案したとされています。あくまで民間療法としてですが、古くから愛されている塗り薬です。

主成分のシコニンが有効成分だと考えられており、抗炎症作用、肉芽促進作用、抗菌作用、抗腫瘍作用などが報告されています。これらの作用により、ひび・あかぎれ・しもやけ・イボ・魚の目・あせも・ただれ・外傷・火傷・かぶれ・痔などに効果があるとされています。

ただし、シコニンの薬理作用のメカニズムの研究は十分行われておらず、なぜこれらの皮膚病に効くのかわかっていない部分も多いのが現状です。

紫雲膏の成分

紫雲膏は主に、ゴマユ(ごま油)、シコン(ムラサキの根)、トウキ(セリ科の多年草)、オウロウ(ミツバチの巣の蝋を精製したもの)、トンシ(ラード)を混ぜあわせることによりつくられます。染色にも使われるムラサキの根が使われていることにより、美しい薄紫色をしていることと、ラードが入っていることによる独特の匂いが特徴です。

現在、ムラサキは絶滅危惧種に指定されているので、シコンの生産量は非常に少なくなっています。そのため、同じムラサキ科のセイヨウムラサキの根を代用しているものが多いようです。

通常の紫雲膏の成分は、いずれも口に入れても問題ないものなので、口の中の口内炎などにも使うことができます。ただし、紫雲膏の中には口に入れてはいけない成分をプラスしている商品があるかもしれませんので、口の中に使う場合には成分表示をよく見てからにしましょう。

このように、紫雲膏に使われている成分は安全なものなので、敏感肌やアレルギーのある方にはピッタリな薬なのです。

紫雲膏のイボへの使い方

さて、ではこの紫雲膏、イボにはどのように使えばよいのでしょうか。

まず、イボに紫雲膏を塗ります。塗るタイミングは、イボが柔らかくなっているお風呂あがりがオススメです。塗ったらその上から絆創膏などで固定します。より効果を高めたい場合は、ラップで多い、その上から絆創膏で固定するとよいでしょう。

次の日、お風呂に入る前に絆創膏を剥がし、またお風呂あがりに紫雲膏を塗り直し、固定します。とにかく、これを毎日続けてください。少しずつイボが剥がれてきますので、1週間ごとにピンセットで取り除いていきます。

これを3ヶ月ほど続けると、イボが完全に取り除けます。紫雲膏は安全な分、効果も他の薬と比べるとマイルドです。根気よく治療を続けることが重要になります。

被害続出!“やけど虫”の特徴や対処法は?

夏に発生する虫の健康被害といえば、蚊やハチが真っ先に思い浮かぶと思います。じっさいに、蚊やハチの被害は多いですが、ほかの虫にも要注意。最近話題の“やけど虫”を知っていますか? じつは、全国各地で被害が続出しているのです。

●“やけど虫”ってどんな虫?

あまり聞き慣れない名前ではありますが、やけど虫の正式名称は「アオバアリガタハネカクシ」というもの。体長は1cmに満たず、およそ7mmほどの、黒とオレンジのしま模様が特徴の昆虫です。日本では、北は北海道から南は沖縄まで、全国どこでも生息しています。湿気を好む性質があり、田んぼや川岸の周辺など、湿気が多いところに多く見られるといいます。

4~10月までの活動期間のなかで、とくに6~8月にかけて活発になります。湿気を好むとはいいますが、光に寄ってくる性質もあるので、街灯や家の玄関、ベランダにもよく姿を現すそうです。

●アリにそっくり!?

やけど虫は、まるでアリのような姿をしています。知名度もそこまで高くないので、アリと勘違いされることは少なくありません。そのため、子どもが興味本位で触ったり、家から追い出すために手で掴んでしまったり。これが、やけど虫の被害が続出する理由のひとつかもしれません。

やけど虫の体液には、「ぺデリン」という物質が含まれています。やけど虫に触れると、水泡ができ、やけどの痕のようになるのは、これが原因。さらに厄介なのは、卵・幼虫・蛹(さなぎ)・成虫のいずれにも、この「ぺデリン」があるということ。これが、やけど虫と呼ばれる所以だそうです。

●もし触ってしまったら…

やけど虫に触ってしまったら、まずはすぐに水道水で洗い流してください。数時間経つと、徐々に赤く腫れてくるので、皮膚科を受診しましょう。もうひとつ注意すべきなのは、体液のついた手で目を触ってしまうこと。子どもはビックリして泣いてしまうこともあるので、そのままの手で目をこすってしまう可能性大。炎症や激しい痛み、最悪の場合は失明することもあるそうなので、ご注意を!

夏場はとくに被害が増えます。厄介なことに、やけど虫はどこにでも現れる昆虫です。前述のような特徴の昆虫をみつけたら、素手では触らずに、割り箸やスコップを使って外に出しましょう。

水イボは放置せず皮膚科へ行くべき “努力”している先生を探そう

 「水イボ」は正式には伝染性軟属腫といい、ポックス・ウイルスの一種が原因の、れっきとした皮膚ウイルス感染症です。皮膚のバリア機能が完成していない幼少児に好発し、痒みがあるので子供は掻(か)きむしり、ウイルスまみれの指で他の部分を触るため、あっという間に全身に広がります。

 世間のお母さんは水イボに関して2つの知識を持っています。(1)自然に治癒することがある(2)皮膚科に連れて行くとピンセットでむしり取られるので、子供は号泣して暴れまわる-なのでお母さんたちは、わが子の水イボを見つけても放置するのです。

 (1)は間違いです。自然治癒例はだいたい30人に1人。残り29人は自然治癒どころか、1日経てば2倍に増える「倍々ゲーム」です。でも、(2)は正解。生で引き千切られるのですから、大人だって泣きわめきます。

 でも、水イボは1個でも見つけたら皮膚科に連れて行かなければなりません。そしてここからが重要。皮膚科の先生も鬼ではありません。あらかじめ麻酔のテープを貼ってから摘除してくれる先生や、ウオノメなどに使うサリチル酸テープを2日前に貼って、白くフヤけさせてからガーゼでこすって、引きちぎらずに摘除してくれる先生もいます。

 水イボを生で引き千切られたら、その先生を大嫌いになって当たり前。でも、お子さんを医者嫌いにさせたくないから、先生だって工夫するのです。

 どちらも経営的には赤字の治療です。時間もかかります。でも痛い思いをさせないよう努力している先生を探して、水イボを見つけたら、そんな先生の元に連れて行ってあげてください。全身で200個ぐらい水イボができた子が来たら、うちはその子にかかりっきり。一時休診になります。

 ◆筆者プロフィール 松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

【感染症予報】7月に注意してほしい感染症 No1・RSウイルス感染症 No2・手足口病 No3・腸管出血性大腸菌感染症 No4・咽頭結膜熱 No5・溶連菌感染症

7月に注意してほしい感染症

【No1】RSウイルス感染症…昨年は、例年よりも早い流行となり7月に患者報告数が増加しました。今年は、昨年よりも早く流行する可能性があり、特に乳幼児の育児に関わる方は、注意が必要です。

【No2】手足口病…九州地方及び山口県で患者報告数が多い状態が続いています。例年7月に流行のピークを迎える感染症です。今後の流行に注意をしておきましょう。

【No3】腸管出血性大腸菌感染症…患者報告数の増加が続いています。例年、8月が流行のピークとなっています。今月は、患者報告数の増加に注意が必要です。

【No4】咽頭結膜熱…6月に流行のピークを迎えたとみられますが、患者報告数が多い状態が続くと予想しています。今後も継続的に注意しましょう。

【No5】溶連菌感染症…6月に流行のピークを迎え、患者数報告数の減少が予想されますが、引き続き注意が必要です。

 感染症ごとに、更に詳しくみていきましょう。

◆RSウイルス感染症
 RSウイルス感染症は、病原体であるRSウイルスが伝播することによっておこる呼吸器感染症です。潜伏期間は2~8日、一般的には4~6日で発症します。多くの場合は軽い症状ですみますが、重い場合には咳がひどくなったり、呼吸が苦しくなるなどの症状が出ることがあります。

 特に気をつけなければならないのが、生後数週間から数か月の赤ちゃんがRSウイルスに感染することです。感染すると、気管支炎、肺炎などを起こすことがあり、1~3%が重症化すると言われています。RSウイルス感染症の感染経路はインフルエンザと同様、飛沫感染や接触感染です。RSウイルス感染症のワクチンはまだ実用化されていません。予防法は、手洗い、咳エチケットなどが有効です。RSウイルス感染症には特効薬はありません。治療は症状を和らげる対症療法になります。

◆手足口病
 手足口病は、主に夏季に流行する感染症で、例年7月頃に流行のピークを迎えています。年齢別にみると5歳以下が流行の中心であり、感染症発生動向調査の小児科定点医療機関からの報告によると、2歳以下からの報告数が全体の約半数を占めています。

 従来のCA16およびEV71による手足口では、3~5日間の潜伏期間の後に、口腔粘膜、手掌、足底や足背などの四肢末端に2~3mmの水疱性発疹が出現してきます。発熱は約3分の1に認められますが軽度であり、高熱が続くことは通常はありません。通常は3~7日の経過で軽快し、水疱の跡が痂皮(かさぶた)となることもありません。

 一方、近年みられるようになったCA6による手足口病では、水疱が5mm程度と大きく、四肢末端に限局せずに前腕部から上腕部、大腿部から殿部と広範囲に認められ、発熱も39℃を上回ることも珍しくなく、水痘との鑑別が困難な例もあります。また、手足口病を発症して治癒した後に、数週間を経て上下肢の爪が脱落する爪甲脱落症をきたす場合があり、CA6を原因とする手足口病の特徴となっています。感染経路は、飛沫感染、接触感染、糞口感染があげられます。保育園や幼稚園などの乳幼児施設においての流行時の感染予防は手洗いの励行と排泄物の適正な処理が基本となります。

◆腸管出血性大腸菌感染症
 腸管出血性大腸菌感染症は、感染後3~5日間の潜伏期間を経て、激しい腹痛を伴う頻回の水様性の下痢が起こり、その後で血便となります(出血性大腸炎)。発熱は軽度です。血便は、初期段階では、少量の血液の混入で始まりますが、次第に血液の量が増加し、典型例では血液そのもののような状態となります。発病者の6~9%では、下痢などの最初の症状が出てから5~13日後に溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などの重篤な合併症をきたすことが知られています。HUSを合併した場合の致死率は3~5%といわれています。

<感染経路と対策1>主な感染経路は、腸管出血性大腸菌によって汚染された食材や水分を経口摂取することによる経口感染です。例年、腸管出血性大腸菌の感染者の報告数は、0~4歳児が最多です。5~9歳がこれに次いで多い状況です。感染後の発症率も9歳以下は80%前後と高くなっています。牛の生肉や生レバーなどの内臓は、腸管出血性大腸菌の感染の可能性があるので食べるべきではありませんが、特に保育所に通っている年齢群の乳幼児では厳禁です。特に高齢者や乳幼児と日常的に接触する職業や立場の人(家庭も含めて)、あるいは免疫力の低下した人と接触する職業・立場の人は厳に慎むべきです。

<感染経路と対策2>腸管出血性大腸菌は75℃で1分間加熱で死滅するので、園児への食事はしっかりと加熱したものを供することが基本です。また焼肉などでは、生肉を扱った箸やトングなどは生食用のものと使い分けましょう。以前より野菜類(生野菜はもとより浅漬けなど)やそれ以外の加工食品(最近ではお団子の食中毒)での集団発生がみられることがあります。

◆咽頭結膜熱(プール熱)
 例年4月から患者数が増加し、6~7月に流行のピークを迎えます。咽頭結膜熱は、別名プール熱とも呼ばれています。例年、流行のピークは6月です。発熱、咽頭炎(咽頭発赤、咽頭痛)、結膜炎(結膜充血、眼痛、流涙、眼脂)の3つが主な症状です。通常感染してからの潜伏期間は5~7日。症状がある期間は3~5日といわれています。咽頭結膜熱の感染経路は、主に接触感染です。また、飛沫感染もあります。

 原因ウイルスは、アデノウイルスで、感染力は強力です。直接接触だけではなくタオル、ドアの取っ手、階段やエスカレーターの手すり、エレベーターのボタン等の不特定多数の人が触る物品を介した間接接触でも感染が広がります。

 アデノウイルスは、環境中で数日間活性を保っているため、施設やご家庭などで患者が発生している場合は、皆がよく手を触れるものを中心に消毒を行うことも重要な感染対策となります。

 なお、プール熱という名前の方が一般的に知られるようになり、プールに入ったら感染してしまうなどというイメージを持っている方もいらっしゃいますが、残留塩素濃度の基準を満たしているプールの水を介して感染することはほとんどありません。

◆溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎)
 例年4月から患者数が増加傾向となり、6月頃にピークを迎えています。6月~7月末の流行は、1年で患者数が最も多くなります。溶連菌感染症は、子どもがかかりやすく、発疹が出る感染症です。主な感染経路は、発症者もしくは保菌者(特に鼻咽頭部に保菌している者)由来の飛沫による飛沫感染と濃厚な直接接触による接触感染です。物品を介した間接接触による感染はまれですが、患者、保菌者由来の口腔、もしくは鼻腔由来の体液が明らかに付着している物品では注意が必要です。予防のためのワクチンはまだ実用化されていません。予防には、手洗い、咳エチケットなどが有効です。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

イボの治療は根気強く 選択肢は多数あり

 【Q】足の裏に硬いできものができて、ウオノメかと思い皮膚科を受診したら、イボと言われ液体窒素治療をされました。何回くらい通えばいいのでしょうか?(50代男性)

 【A】イボは、「尋常性疣贅(ゆうぜい)」という、ヒトパピローマウイルスによる感染症です。このウイルス自体は環境中に存在していて、微小な傷から皮膚の基底細胞に感染すると考えられており、実際、手足やカミソリ負けなどの部位によく見られます。

 自然に消退してしまうこともありますが、他の部位に感染し多発していくことが多い、顔や手では整容面で問題となることが多い、足底では歩行に差し支えることがある、などの理由から、ほとんどのケースで治療を行います。

 それでは治療法はどのようにするか。基本的には液体窒素療法が本邦では第一選択とされています。スプレーないしは綿棒を用いてマイナス196度の液体窒素によりイボを冷凍凝固させる、という簡便な方法ですが、強い疼痛(とうつう)を伴い、1回で治癒することは滅多になく多数の治療が必要です。実際、1年以上治療しているが治りきらないケースも多く経験します。

 そのため、さまざまな治療も考案されており、50%サリチル酸ワセリン軟膏外用(海外では第一選択ですが、国内未承認)、活性型ビタミンD3軟膏外用、グルタールアルデヒド外用、モノクロロ酢酸外用、ブレオマイシン局所注射、炭酸ガスレーザー照射、色素レーザー照射、ヨクイニン内服、シメチジン内服、エトレチナート内服、局所免疫療法、手術など選択肢は多数ありますが、いずれも、確実に治る、という治療ではなく、実際のところ適宜組み合わせて行うことが多いです。

 エキスパートオピニオンでは、3カ月ごとに治療の見直しを行うとありますが、以上の理由で難治例においてはコンビネーション治療を行っても長期間を要することがほとんどです。一方で不思議なことに、多発例がある時一斉に消えてしまうこともあります。根気強く治療することが必要です。

 ◆回答者プロフィール 櫻井直樹(さくらい・なおき)02年、東大医学部卒。東大付属病院、関連病院に勤務後、美容外科クリニック勤務を経て千葉県松戸市にシャルムクリニック開設、他院皮膚科顧問も歴任。皮膚科専門医、レーザー専門医。

海外旅行が台無しになる「時差ボケ」を劇的に解消する入浴テク

この年末年始休暇中に、海外旅行の予定がある人も多いのではないでしょうか。

多いに楽しみたいところですが、現地時間と体内時間の差で、日中に眠気やだるさ、不眠、胃腸障害、肩こり、腰痛などいわゆる時差ボケになってしまう人も。

旅行日数が短い時こそ早めに時差ボケを解消して、思いっきり海外旅行を楽しみたいですね。

睡眠時差ボケを解消するには良質な睡眠が欠かせません。深く眠れると目覚めはすっきりしますよね。この睡眠をコントロールするのに様々な方法がありますが、誰でも簡単に取り入れられるのが入浴。

そこで、先日刊行された“お風呂博士”こと石川泰弘さんの著書『バスクリン社員がそっと教える 腸も肌も健康美人になる入浴術26』から、時差ボケに効果的な入浴法をご紹介します。

■睡眠と入浴の関係

「私たちのカラダには体温が下がるときに眠気を感じ、スムーズに体温を下げながら入眠すると、深い良質な睡眠が得られるようにできています。お

風呂から出ると自ずと熱放散して緩やかに体温が下がり、自然に眠りが誘発されます」と石川さん。

入浴することでよく眠れるのは、こういったメカニズムが働いているからなんですね。

■到着時間により入浴法を変える

午前と夜と到着時間別によって、2つの入浴方法を教えてもらいました。

(1)夕方から夜に到着

39~40℃のぬるめのお湯に15~20分かけてゆっくり全身浴します。しっかりとバスタブに浸かってリラックスすること。これによって自然と深い眠りへ誘われます。

(2)午前中に到着

午前中に着いてそのまま観光などをする場合は、5分のリフレッシュ入浴が効果的。眠気を感じている時は、42℃程度の熱めのお湯にサッと短めに入浴し、カラダを目覚めさせます。

これによって交感神経が活動的になり、日中の活動を楽しむことができます。

海外旅行の入浴状況についての調査では、旅行中に浴槽で入浴したという人の割合はわずか15%程度に留まっていて、旅先では湯船に浸からない人のほうが多数派のよう。

これまで時差ボケがきつかったという方は、これからは上記のような入浴をしてみてくださいね。きっと今まで以上に素敵な旅行になるはずです。

【よしもと芸人・井下好井】の好井まさおが医師にガチ相談。「ホクロがどんどん大きくなってきて怖いです…」

漫才だけでなく、怪談トークでもおなじみの好井まさおさん(井下好井)がいまもっとも怖がっているものが自分の「ホクロ」。好井さんのトレードマーク(?)でもあるホクロは、実はコンプレックスだったようです。そこで、スキンケア大学に参画する美容外科医・片岡二郎先生にホクロ除去について相談しました。

ホクロがでっかくなってきた!

好井:先生、早速なんですけど悩みを相談していいですか?鼻の横あたりのところに大きなホクロがあるんですよ。これが年々大きくなってきてる!もう怖くて怖くて……(苦笑)僕は大丈夫なんでしょうか?

片岡:パッと見た印象ではありますが、悪性ではないようですね。病理組織を顕微鏡で調べないと確定診断はできませんが、好井さんの場合は、おそらく隆起性の母斑(ぼはん)と呼ばれるホクロだと思います。

好井:もしも悪性のホクロだったとしたら、どんな病気が考えられるんですか?

片岡:皮膚がんが挙げられます。でも、悪性のホクロはめったにありませんし、その疑いがあればすぐに皮膚外科をご紹介しています。

好井:とりあえず大丈夫そうなんですね、よかった〜。でも、放っておくとまだ大きくなるんですか?どこまで大きくなるのか怖いんですけど……。

片岡:徐々に大きくなっていくでしょうね。ただ、ほとんどの場合1cmくらいまで大きくなって落ち着きます。とはいえ、隆起しているとひっかかりやすくて血がでることもあるし、邪魔になるのでホクロをとりたいって相談にいらっしゃる方は多いですよ。

ホクロに根っこがある? 傷跡を残さない取り方とは

好井:ちなみに、手術でホクロを取っても跡は残らないんですか?それ気になります……。

片岡:ホクロの盛り上がっている部分の状態と、皮膚の中にどれくらいの根っこが生えているかによって変わってきますが、たいていの場合は、目立たなくなりますよ。

好井:根っこ?怖っ!

片岡:はい、根っこのようなものがあります。肌の内側に真皮と呼ばれる層があるのですが、ホクロの根っこがその真皮にどれだけ入り込んでいるかで傷の残り具合が変わってきます。つまり、根っこの深さの問題なんです。たとえば、普通にすりむいただけだと肌に傷跡は残りませんよね。でも、やけどをして真皮層まで損傷してしまうと跡が残ってしまいます。それと似たような感じだと思ってください。ただし、再生治療できれいにすることもできます。最初に表面を3分の1くらい削ってから何回かにわけて少しずつ削っていくと、あまり目立たないようにできますよ。

好井:ケロイド(皮膚が赤く盛り上がった傷跡)にはならないですか?

片岡:ケロイドは、できやすい体質のほか、できやすい部位があります。前胸部や肩、関節がそれです。このような部位だとニキビをつぶしただけで大きな傷が残ることもあるほどです。顔は血流がいいですから、ケロイドを起こさずにきれいに治りやすいので大丈夫ですよ。顔の皮膚は再生力があるので、削っても意外ときれいになるものなんです。ただ、さきほども言いましたが、場所によりますし、再生するまでに時間はかかります。

好井:なるほど、皮膚の表面を削っても跡が残りにくいんですね。ちなみにブスッと切ることはしないんですか?痛いの苦手なんですよね。

片岡:もちろん、切ることもありますよ。その場合は、ホクロの中をくり抜くという方法が一般的です。中を一回くり抜いて大きさを半分くらいにしてから、半年後くらいに再び同じようにくり抜いて3分の1くらいの大きさにします。こうするとホクロの中にだけ傷ができるので跡が残りにくいとされていますよ。
また、形成外科では血流のある皮膚や皮膚組織などを移植する「皮弁(ひべん)」という手術で皮膚を入れ替えることもあります。最初の皮膚を削るパターンもそうですが、麻酔のクリームを使って冷やしてあげれば、そんなに痛みは感じないと思います。

好井:痛みも気にならないのか……。う〜ん。なんだかホクロを取りたい気持ちが高まってきました。

ホクロ除去でコンプレックス解消

好井:ホクロがあることで、お笑いとしていじってもらえるというメリットも捨てがたいんですけど、小さい頃から結構なコンプレックスだったんですよね。このホクロがなければ、もっとモテていたかもしれないし(笑)実は僕、芥川賞をとったピースの又吉さんの小説『火花』のドラマ化でついに役者デビューもしちゃいましたからね〜。このギャラでホクロを取ろうかと(笑)

片岡:いい機会じゃないですか。ホクロの施術は自由診療でクリニックごとに料金が違いますから、事前にいくつかのクリニックに問い合わせてみるといいですよ。内容によっては安価に済むこともあります。

好井:僕、生後8か月の双子の娘がいるんですけど、最近「これ、なんやろ」ってホクロをじーっと見つめて恐る恐る手を伸ばしてくるんですよ!本当のところを言うと、ホクロをとりたい一番の理由がこれなんです(苦笑)ホクロがとにかく気になるみたいで逃げられない。「追いボクロ」状態ですよ(笑)傷跡の心配も痛みの心配もなさそうですし、もしまたホクロが出てきたとしても削ってもらえるんですよね。『火花』の火が沈下しないうちに早めに取りにいきますわ!

好井まさお(井下好井)
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑いコンビ「井下好井」のボケ担当。漫才のほか、心霊スポットのロケや怪談話などでも人気。ピース又吉原作の『火花』を映像化した作品で主人公の相方役を演じて好評を得ている。井下好井の詳しいプロフィールはこちら (http://search.yoshimoto.co.jp/talent_prf/?id=2787)

片岡二郎
医師・医学博士。1996年金沢医科大学卒業。臨床医療と両立しながら、金沢医科大学脳神経外科大学院にて研究に従事。脳外科医を経て、2005年より美容外科の道へ。2008年に聖心美容クリニックの医師として活躍。翌年には横浜院院長に就任。片岡先生の詳しいプロフィールはこちら (http://www.biyougeka.com/doctor/kataoka/)

白斑の治療にはどんなものがあるの?

白斑の症状を改善する治療法には、さまざまな方法が存在しています。

白斑の治療法と効果

皮膚が一部白くなる白斑(はくはん)は、はっきりとした原因が特定できないため、治療法にも確立しているものはありません。ただ、今現在行われている治療の中には、症状に効果があるものがいくつかあります。以下では、代表的な治療法と効果を紹介します。

外用療法

患部に軟膏などの外用薬を塗ってケアする方法です。

ステロイド外用薬

ステロイド外用薬を患部に塗ります。全身の皮膚の1〜2割程度に白斑の症状が出ている場合の治療法としては有効で、治療の推奨度も高いとされています。

活性型ビタミンD3外用薬

活性型ビタミンD3を含む外用薬を患部に塗る療法です。ただし、この療法単独の効果は確かではないため、「光線療法」に含まれる、ナロードバンドUVB療法、PUVA療法などと併用した治療が行われています。

タクロリムス軟膏

局所免疫調整薬とも呼ばれる軟膏です。高い効果が期待できる一方、長期にわたって安全に利用できるかどうかは定かではないため、3〜4か月を目途に定期的に効果判定を行いながら治療します。

光線療法

紫外線などを照射して治療する方法です。効果は高いですが、過剰な照射は皮膚癌などの発がんリスクも高まると考えられており、治療の際は医師への確認を必ず行いましょう。

PUVA療法(ソラレン紫外線療法)

日本の白斑治療で一般的に用いられている光線療法の一つで、保険が適用されます。効果はあるものの再発する可能性も高いため、最近では、ナローバンドUVB照射療法に移り変わりつつあります。

PUVA療法の具体的な方法としては、ソラレン(Psoralen)という紫外線に対する皮膚の感受性を高める薬を塗る、服用する、またはソラレンを溶かしたお湯に入浴した後で長波長紫外線(UVA)を照射します。治療を受けた日は、皮膚が紫外線に対して敏感になっているため、紫外線を避ける必要があります。

ナローバンドUVB照射療法(狭い域への中波長紫外線照射療法)

PUVA療法と同じく保険適用がされる治療法で、PUVA療法より効果的で治療後の遮光も必要が無いとされているため、紫外線療法の中では最も推奨されている治療法です。照射は、週に1〜3回の照射を半年間行う。または計60回の照射となります。

10歳以上の子どもや妊婦でも使用可能といわれ、ビタミンD外用薬との併用では相乗効果もあるとされています。ただし、体の部位によっては効果が異なり、手足の場合は効果が低いといわれています。

エキシマレーザー/ライト照射法

ターゲット型ナローバンドUVBともいわれます。照射範囲が小さいため、正常な皮膚を避けて白斑部分にのみ照射ができます。しかし、こちらも部位によって効果が変わり、手足の効果が出にくいとされています。

ステロイド内服

ステロイド剤を飲用する治療法です。進行中の症状だけに使われていますが、効果についての研究結果がいまだ少ない療法です。

免疫抑制剤内服

免疫抑制剤の服用については研究途上なため、効果についは今のところあまり明らかになっていません。

皮膚移植などの外科的治療

1年以上、新たな白斑ができていない、病気の進行がない場合、患者本人の「見た目が気になる」などの思いがある部位に対して行います。処置の方法には、皮膚の表皮と真皮の一部を移殖する手術(分層植皮術)や表皮のみを移殖する手術(表皮移植術)、白斑ができている部分に小さな穴をあけ、そこに正常な皮膚から採取した植皮片を植える手術(ミニグラフト)などがあります。

カモフラージュメイク療法

白斑部分をメイクでカバーする方法です。白斑の根本的治療ではありませんが、見た目が気になって快適な生活を送れない、といった患者さんの気持をサポートし、生活の質(QOL:Quality of Life)を上げることを目的とします。

なぜ顔にイボができるのか

イボはウイルス性のものと加齢によるものがある

イボは、正式には「疣贅(ゆうぜい)」と言います。顔にできるイボには、ウイルス感染によるイボと、加齢によるイボの2種類があります。

イボの原因になるウイルスは「ヒトパピローマウイルス(ヒト乳頭腫ウイルス)」と呼ばれ、100種類以上の型が存在することが確認されています。

イボは手や足にできやすいものですが、顔にもできてしまうイボもあります。顔にできるイボには主に3種類あり、ウイルス性の「尋常性疣贅」と「扁平疣贅」、加齢による「老人性疣贅」があります。

尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)

ヒトパピローマウイルスの2型・27型・57型の感染で起こる、最も一般的なイボです。外部からの物理的な刺激でできた外傷から、ウイルスが皮膚内に入り込むことにより発症します。このことから、外傷を受けやすい手や足、顔にできやすいイボです。

気になるからといって自分でいじったり、削ったりするとウイルスが広がり、イボがどんどん増殖します。かと言って、放っておいても自然治癒はせず、むしろ増殖します。ウイルスを他人に移してしまう危険性もありますので、早期の治療が必要になります。

扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)

顔や手にできやすく、青年期に見られることが多いため「青年性扁平疣贅」とも呼ばれます。しかし、子どもや中年でも発症します。こちらも小さな傷からウイルスが入り込むことにより起こるウイルス性で、ヒトパピローマウイルスの3型・10型の感染で起こります。

見た目は肌色〜褐色で、名前の通り扁平に隆起し、一度にたくさんできるのが特徴です。皮膚を爪で引っ掻いた後に、線状に並んでできることもあります。

赤みやかゆみなどの炎症反応が起きることがあり、ニキビと間違えやすいイボです。この炎症反応は治る前兆で、症状が出てから1〜2週間で治ることが多いようです。

老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)

医学的には「老人性角化腫」とも呼ばれ、加齢による皮膚の老化によりできる茶褐色〜黒色のイボです。顔以外にも全身にでき、放っておくと年々大きくなり、数も増殖します。ただし、あくまで皮膚の老化であり、悪性ではないので、無理に除去する必要はありません。

老人性疣贅は、遺伝的要因や日光による皮膚の老化などが原因ではないか、と言われています。顔は日光の当たりやすい場所なのでできやすく、高齢者に多いイボですが、若い人にできることもあります。

また、老人性疣贅と見た目が似たような疾患の中には「悪性黒色腫」、「基底細胞癌」などの悪性腫瘍や癌もあります。心配なら皮膚科の検診を受けたほうがよいでしょう。

かゆい部位をかくと気持ち良いのはなぜ? 絶妙な快感という楽しみ

かゆいと思った場所を引っかき傷ができるほどかくと、とても気持ちが良い。傷ができたのに、なぜ、そう感じるのだろうか。
□痛みがあるほうがかゆみが和らぐ

 イギリスのセントトーマス大学病院で、かゆみに対する実験が行われた。化学物質ヒスタミンを使って人にかゆみを起こさせ、いろいろな刺激を与えてかゆみが減るかどうかを調べた。

 無害な電気刺激や無害な熱を与えた場合は、20~30%程度しかかゆみは減らなかったが、マスタードオイルを使って痛みを与えた場合や害のあるレベルの熱を与えた場合は、最大で半分にもかゆみを抑えることができた(※1)。つまり痛みがある方がかゆみが抑えられたのだ。

 痛みを伴う刺激や熱いという感覚は、かゆみを抑える働きがある(※2)。かゆい場所をかくと気持ちが良いと感じるのはこのためだ。激しくかくことで生じる痛みによってかゆみが和らいでいるわけだ。
□害虫などによるかゆみの場合は「かく」行為で皮膚を守る

 かゆいところをかくと気持ちが良いと感じられるおかげで、皮膚を守るという役割まで果たすことができている。ダニやシラミが皮膚に付いているとかゆいと感じるが、かくことで、皮膚に付いた害虫を追い払っているのだ(※2)。
□かゆみは伝染する

 かゆみに関して、その仕組みが分かった今、興味深い事実をもう1つ。

 誰かがかいているのを見ると、自分もかゆくなった経験はないだろうか。これは偶然ではない。科学的に証明されていることだ。

 アメリカのウェイク・フォーレスト大学医学部のジル・ヨシポビッチ教授らの研究チームは、25人に協力してもらい、1つのグループには人が腕をかいている映像を、もう1つのグループには何もしていない人の映像を見てもらった。また、かゆみを引き起こさせるヒスタミンの液体が付いたパッチと無害の液体のパッチを皮膚に付けてもらった(※3)。
□かゆみの伝染は太古の時代からの身を守る習性

 その結果、腕をかいている人の映像を見たグループは、何もしていない人の映像を見たグループに比べて、自分の体をかく量が2倍にもなることが分かった。しかも、ヒスタミンのパッチを付けていない場所、つまり本来はかゆみが発生していない場所までもかいていた。

 人がかいているのを見ると、なぜかいてしまうのか。これは、サルにも見られる行動なのだが、グループの中の誰かにダニなどの寄生虫によってかゆみが発生した時、それを見た周りのサルもかくことで、ダニの被害が広がるのを防ぐことができるからと考えられている。

 誰かが気持ちよさそうにかいていたら、まねしたくなるのも分かる。ワシントン大学医学部の専門家も「激しくかくことは痛みを伴うことがあるが、最も絶妙な楽しみを経験することができる」と論文に記している(※2)。…うん、確かに。

 しかし、もちろん傷を負うほどかけば、気持ちが良いを通り越えて深刻なケースに陥ることもある。くれぐれもご注意を。

怪我をしたら絆創膏よりラップを!傷口にも明らかな変化が…

転んでしまって擦り傷や切り傷なのどの怪我をしたら、消毒をして絆創膏を貼る。子供の頃から、そう親に教わってきた人が多いだろう。 しかし近年では、「湿潤療法」といわれる絆創膏の代わりにラップを巻く治療方法が主流になってきている。

■湿潤療法がいいワケ

その理由は、消毒液を使用すると正常な細胞も殺すことになること。また、絆創膏を貼ると、滲出液(しんしゅつえき)という体から出る成分が吸収され乾燥してしまうのだ。

だが湿潤療法では、水で傷口を洗い流した後に消毒液と絆創膏を使わずにラップを巻くことで、人間が持っている自然な治癒能力を活かして治療するわけだ。

■治り方の比較

しらべぇ編集部では、転んで傷ができてしまった記者をモデルに、2箇所の傷の直り方を絆創膏と湿潤療法で比較してみることに。

(1)足の傷にはラップを巻く

湿っているために血が滲む。その見た目には少し不安感もある。

(2)指の傷はカットバンを貼ってみる

長年の治療法という安心感がある。しっかりガードされて、守られている感覚が強い。

■傷の治りの感覚に違いが!

後日、絆創膏を貼った方は予想通りカサブタができた。

一方で、ラップを巻いているほうは透明な皮がむけたのだ。

カサブタができたほうは皮膚が引っ張られる感覚があるが、ラップを巻いたほうは皮膚になんの違和感もなかった。双方の傷口の深さが違うものの、ラップを巻いたほうが早く治っていくのを実感することができたのだ。

■湿潤療法は、その後の傷口がキレイ

ラップを巻く湿潤療法はカサブタができないので、カサブタが剥がれた後にケロイドになってしまう心配がない。早く怪我を治したい人だけではなく、傷跡をできるだけ残したくない人や、ケロイドになりやすい体質の人にはおすすめしたい。

また、浅い傷の場合はラップを巻いただけで十分だということが判明した。しかし、深い傷や感染症の心配があるような怪我は、細菌が増殖してしまう可能性があるので注意が必要である。

痛かゆ~い!あせも対策、2位「シャワーをこまめに浴びる」よりも大事な1位は

春になり、汗ばむ日もでてきましたね。こうなってくると夏に向けて、いろいろとお肌のトラブルが気になってきませんか?

なかでも汗をかく時期になると、あのツラい“あせも”に悩まされるようになります。命に別条もなく、緊急を要する病気ではありませんが、本当にツラい症状ですよね……。

そこで今回は、ユースキン製薬や国立医学図書館(米国)、英国の公的な健康情報サイト『NHS choices』などの情報を参考に、あせもの原因や予防・対策・治療法などをまとめます。

今シーズンこそ、あのツラい“あせも”に悩まされないように、いろいろと工夫をしてみてくださいね。

■1:そもそも“あせも”とは? 

あせもの原因や対策・予防法を紹介する前に、あせもとはどういった病気なのか、振り返ってみましょう。『デジタル大辞泉』によると、


<夏季や発熱時に、汗が十分排出されず、表皮内に残ったときに皮膚にできる小さな赤い丘疹 (きゅうしん) 。汗瘡 (かんそう) 。かんしん。あせぼ>

とのことです。丘疹とは、女性の医学事典『ウィメンズ・メディカ』よると、直径5mmくらいまでのブツブツのことを呼ぶそうです。

あせものブツブツにも種類があり、

・赤いブツブツが肌にできる・・・紅色汗疹(こうしょくかんしん)

・白や透明なぶつぶつが肌にできる・・・水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)

といった分類も。

表皮の角層(角質細胞)より下に汗がたまった場合は赤く炎症を起こす“紅色汗疹”に、角層よりも上の肌表面に近い場所に汗がたまると、白っぽい透明なブツブツができる“水晶様汗疹”になるそう。

特に赤いブツブツができるあせもは厄介で、激しいかゆみが出てくる上に、ちょっとでもかくと耐えがたい苦しみがやってきます。

通常は数日間で治りますので、特に緊急を要するわけではないのですが、見た目にもあまり美しいとは言えません。それでは一体このあせも、どうして出てきてしまうのでしょうか?

■2:あせもの原因

あせもといったら、1年でいつの時期を思い浮かべますか? やはり夏ですよね。夏といえば汗をかきます。実はこの汗があせもの原因になっています。

汗をかきすぎると、そのうち汚れなどと混ざって皮膚の上にある汗の出口がふさがってしまいます。それでも汗は出ようとしますので、汗腺が詰まって、ブツブツと膨らんでしまうのです。

その意味では、汗をかきやすい環境下こそが、最大のリスクだといえます。冬場であっても、厚着をした状態で暖房を激しく効かせていると、あせもはできてしまいます。

ちなみに子どもや赤ちゃんがあせもになりやすい理由は、汗腺が発達しきっていないために詰まりやすかったり、体が小さいのに汗腺の数が大人と同じだったりして、出やすいのだとか。

■3:あせもの予防と対策、対処法のまとめ

ではこのあせもを予防する、あるいは最小限に食い止めるためには、どうすればいいのでしょうか? 基本的には汗をかく状況をできるだけ作らないようにしたいです。具体的には、

・1年を通して服を小まめに着脱して、温度調節をする

・冬場は室内を温めすぎない

・夏場は冷房を効かせ、除湿をする

・夏場の外出中はなるべく日陰で過ごす

・夏場の外出中はうちわなどを常に持参する

・夏場はタイトすぎる洋服を着ないで、木綿のちょっと緩い服を着る

といった点に注意して、予防をしてみてください。また、あせもは汗の出口が詰まると出てきます。お肌を常に清潔にするといった工夫も大切ですね。

ユースキン製薬が2011年に行った調査の中で、「汗による肌トラブル対策として心がけていることは?」と質問したところ、203人の回答は下記の通りでした。

1位・・・肌に優しいタオルやハンカチなどで小まめにふく

2位・・・シャワーをこまめに浴びる

3位・・・下着や洋服をこまめに替える

多くの方が実践しているように、汗が肌に残らないようにこまめにふいたり、シャワーを浴びたりするとやはり効果的なのですね。

また、3位に「下着や洋服をこまめに替える」とありますが、実際に衣類に隠れている部分はあせもが悪化しやすいといいます。衣類と肌の摩擦が起きやすい上に、汗を吸った衣類が肌に触れ続けるからです。その意味では可能な範囲で、衣類や下着の交換も心掛けてみてください。

■4:あせもの治療法

上述した予防法を心掛けても、夏はどうしてもあせもができてしまいます。その場合はどうすればいいのでしょうか? 主なセルフケアとして、

・市販のローションやミストスプレーなどを使う

・市販のパウダーやクリーム、軟こうを使う

といった方法が一般的です。今はドラッグストアに行けば、各製薬会社からリリースされた商品が手に入ります。

あせもの場所や範囲を考えつつ、薬剤師が常駐するドラッグストアであれば、相談して選んでみてください。どのタイプの商品であっても、使う前は塗りたい部分を清潔にすると効果的です。

ただ、国立医学図書館(米国)の指摘によると、クリームや軟こうによっては、塗った直後の使用感が強くなり肌に熱がこもりがちに。結果、すぐにかゆみが治まらず、かえって一時的にかゆみがぶり返す場合もあるとか。

色残りも商品によっては気になります。外出先で「今すぐ使いたい!」といった場合には、クリームタイプではなくローションやミストなど、すっと伸びてすぐ乾き、ひんやりとした使い心地の商品を選ぶとよいかもしれませんね。

そして次に、薬で症状を抑えたら、

・規則正しい生活を心掛ける

・バランスの良い食事でビタミンやタンパク質を豊富に取り込む

・お風呂では肌をゴシゴシとこすらない

など、肌の健康にいい生活習慣を守り、肌を奇麗に保ってください。

ちなみにあせものセルフケアの1つとして、ベビーパウダーが知られていますが、国立医学図書館(米国)によれば、“お勧めできない”のだとか。

パウダーにはあせもの症状を改善したり、予防したりする効果は確認されていないと言います。かえって汗の出口が詰まってしまう場合も……。頭に入れておきたいですね。

■5:あせもに似た病気まとめ

最後になりますが、あせもに見えて実はあせもではない病気もあります。例えば、

・アトピー性皮膚炎

・ニキビ

・汗疹性湿疹(かんしんせいしっしん)

・汗疱(かんぽう)

など。あせもだと思って対処をしても治らない場合は、他の病気の可能性もあります。あせもであっても炎症がひどい場合も含めて、皮膚科に相談をしたいですね。

以上、あせもについて原因や予防策、治療法などをまとめましたが、いかがでしたか? できてしまうと大変な“あせも”。

今年の夏こそ悩まされないように、今からあせもの仕組みについて理解を深めておきたいですね。

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