骨盤が歪むっていうけど、本当に歪むの?「正確には骨盤の角度が変化する」
腰痛を改善させたり、ダイエット効果を期待できるものとして「歪んだ骨盤を矯正する」という方法は、メディアでもよく取りあげられています。
骨盤矯正の方法も多種あり、実践されている方も多いかと思います。しかしその一方で、「そもそも骨盤が歪むというのはウソではないか?」という声もあります。
骨盤の構造上、歪むなんてありえないので、骨盤矯正をしたところで、特に体の状態を変化させることはできないのでは?といった疑問の声です。
これには、骨盤の歪みという言葉の捉え方の違いが関係している場合があります。骨盤は、腸骨・坐骨・恥骨で構成されている寛骨と、背骨との連結部分となる仙骨、尾骨とで構成されています。
骨盤内にも結合部分や関節があるのですが、骨盤を誰にでもわかるように歪めようとすると、事故による衝撃のように相当な外力が必要になります。
ですから、「骨盤の歪み」と言った時は、骨盤そのものが歪むのではなく、骨盤の角度が変化すると考えるとイメージしやすいかと思います。
オヘソを前に突き出す姿勢をとったり、前かがみになったりするだけでも、骨盤の角度は変化します。
骨盤に付着している複数の筋肉のいづれかが疲労して機能低下を起こしていたり、こり固まっていたりするだけも、骨盤の傾きが正常から遠ざかってしまう可能性があります。
骨盤には体幹を支える筋肉や下肢を動かす筋肉も付着しています。
そのため、これらの筋肉をほぐすなどして緊張を取り除くような骨盤矯正がなされると、骨盤の角度が体にとって負担の少ない状態に近づき、腰痛が緩和されることもあります。
また、体が動かしやすくなり、その分、運動もしっかり行うことができるようになると、エネルギー消費も増えてダイエットに繋がる人もいるのです。
よって、骨盤の歪みをどのような状態であるか…というとらえ方によって、骨盤矯正の意味合いも違ってくるのではないかということになります。
■著者プロフィール
檜垣 暁子(ひがき あきこ)。オールアバウト 肩こり・腰痛ガイド http://allabout.co.jp/gm/gp/51/ カイロプラクティック理学士・日本カイロプラクターズ協会(JAC)正会員。現在は、横浜市に治療室を開院し、日々、肩こりや腰痛を始めとする不調を訴える患者さんの診療に当たっている。