「まさか、経営者の私が、“うつ”になるなんて!」~「うつ病」の地獄から復活した2年半の軌跡~その2 何故私は“うつ”という暗闇に迷い込んだのか?
一般的に経営者は心が強いと思われていますし周りに弱みは見せないように努力しがちです。
周りの力を借りて、考え抜くことで、経営上の難局を打開できていたとしても、どう考えても進むべき方向性すら見つけられずに堂々巡りを繰り返してしまうこともあります。結果として、考えることに疲れ、ついには、体まで動かなくなってしまう……というケースもあるのです。
最終的には、肉体的にも精神的にも限界に達し、自分が生きるために、現状から逃避するしかないと思い定めてしまうのです。こうやって、心が強いはずの経営者でも「うつ」になってしまうのです。
私は、自らがもがき苦しみ、そして回復できた過程を赤裸々にすることで、私と同じように精神的に苦しんでいる経営者やビジネスパーソンの方々を、「うつ病」の苦しみから救うきっかけを作りたいと思っています。
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◆経営者としての高いプライドが、「うつ病」の原因?
遡ること3年前の秋、その新規性、新たな価値の創造を評価され数々の賞に浴してきたビジネスモデルが、東日本大震災を契機に機能しなくなりました。当然、業績は急降下です。起死回生の一打を打つには、大きな資本を必要としました。
しかし、業績の急降下を見た金融機関はお金を出してはくれません。このジレンマの中、優秀なメンバーは一人、また、一人と会社を去っていきます。会社に元気がなくなり、負のスパイラルは際限なく続くように思えました。
会社のすぐそばの自宅に帰っても、答えが出ずに、早い時間にベッドに横たわり、考え続ける日々が3ヶ月続きました。ある経営者からは、現場で素振りを繰り返していれば、必ず答えは見えてくると言われました。
頭では理解できるものの、それすらする気力も体力も徐々に失せて行きました。そして、昼間、お客様を訪ねた帰りに、駅のホームに立っているときに、線路に飛び込みたいと考える程思い詰めるようになっていったのです。
「これで楽になる!」と言うものすごい衝動が襲ってくるのです。その衝動を、歯を喰いしばって押さえている自分がいつもいました。
自分には、経営者として、事業を立ちあげたものとしての高いプライドがありました。今考えると、このプライドこそが、自らを正真正銘の「うつ病」へと突き進ませた要因のように思えます。
プライドと「うつ病」の関係について、もう少し説明します。 このところ増加傾向にある、いわゆる、「新型うつ病」では、自らの心の病の原因を周囲に求めると聞いています。
しかし経営者や企業において重要な職責にあるものにとっては、負のスパイラルに巻き込まれ、どうしようもなくなると、選択肢が2つしか見えなくなるように思います(少なくとも私の場合はそうでした)。2つの選択肢とは、死ぬか、現状を放り出し、とりあえず現状から逃げるかです。
死ぬのは怖いです。しかし、逃げ出すと「経営者失格」の烙印を押される事になります。それは、これまで偉そうに夢を語り、指導し、指示を出してきた経営者としてのプライドが許さないのです。
そうなると、これ以上頑張れないことを証明する、正式な病名のある病になることでのみプライドが維持されるのです。「病気なら仕方がない。」と周囲にも、自分にも納得させる事が出来るように思えるのです。
全従業員を前に、「自律神経失調症」で働く限界にきたと伝え、その日から、ゴールの見えない逃避的な入院生活に入りました。
しかし、振り返ると、これこそが真の苦しみの始まりでした。治療を受ける中で、逆に「うつ病」は悪化していったのです。
次回からは、そのあたりの状況を詳しくお話していきたいと思っています。
<執筆>村井哲之
広島大学 政治経済学部 経済学科卒
法政大学環境マネジメント研究科修士課程中退
環境プランナー リクルート、第二電電(現KDDI)等を経て、
現在、日本初の廃棄のコンシェルジェ
称号商社(株)イブロン代表取締役
周りの力を借りて、考え抜くことで、経営上の難局を打開できていたとしても、どう考えても進むべき方向性すら見つけられずに堂々巡りを繰り返してしまうこともあります。結果として、考えることに疲れ、ついには、体まで動かなくなってしまう……というケースもあるのです。
最終的には、肉体的にも精神的にも限界に達し、自分が生きるために、現状から逃避するしかないと思い定めてしまうのです。こうやって、心が強いはずの経営者でも「うつ」になってしまうのです。
私は、自らがもがき苦しみ、そして回復できた過程を赤裸々にすることで、私と同じように精神的に苦しんでいる経営者やビジネスパーソンの方々を、「うつ病」の苦しみから救うきっかけを作りたいと思っています。
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◆経営者としての高いプライドが、「うつ病」の原因?
遡ること3年前の秋、その新規性、新たな価値の創造を評価され数々の賞に浴してきたビジネスモデルが、東日本大震災を契機に機能しなくなりました。当然、業績は急降下です。起死回生の一打を打つには、大きな資本を必要としました。
しかし、業績の急降下を見た金融機関はお金を出してはくれません。このジレンマの中、優秀なメンバーは一人、また、一人と会社を去っていきます。会社に元気がなくなり、負のスパイラルは際限なく続くように思えました。
会社のすぐそばの自宅に帰っても、答えが出ずに、早い時間にベッドに横たわり、考え続ける日々が3ヶ月続きました。ある経営者からは、現場で素振りを繰り返していれば、必ず答えは見えてくると言われました。
頭では理解できるものの、それすらする気力も体力も徐々に失せて行きました。そして、昼間、お客様を訪ねた帰りに、駅のホームに立っているときに、線路に飛び込みたいと考える程思い詰めるようになっていったのです。
「これで楽になる!」と言うものすごい衝動が襲ってくるのです。その衝動を、歯を喰いしばって押さえている自分がいつもいました。
自分には、経営者として、事業を立ちあげたものとしての高いプライドがありました。今考えると、このプライドこそが、自らを正真正銘の「うつ病」へと突き進ませた要因のように思えます。
プライドと「うつ病」の関係について、もう少し説明します。 このところ増加傾向にある、いわゆる、「新型うつ病」では、自らの心の病の原因を周囲に求めると聞いています。
しかし経営者や企業において重要な職責にあるものにとっては、負のスパイラルに巻き込まれ、どうしようもなくなると、選択肢が2つしか見えなくなるように思います(少なくとも私の場合はそうでした)。2つの選択肢とは、死ぬか、現状を放り出し、とりあえず現状から逃げるかです。
死ぬのは怖いです。しかし、逃げ出すと「経営者失格」の烙印を押される事になります。それは、これまで偉そうに夢を語り、指導し、指示を出してきた経営者としてのプライドが許さないのです。
そうなると、これ以上頑張れないことを証明する、正式な病名のある病になることでのみプライドが維持されるのです。「病気なら仕方がない。」と周囲にも、自分にも納得させる事が出来るように思えるのです。
全従業員を前に、「自律神経失調症」で働く限界にきたと伝え、その日から、ゴールの見えない逃避的な入院生活に入りました。
しかし、振り返ると、これこそが真の苦しみの始まりでした。治療を受ける中で、逆に「うつ病」は悪化していったのです。
次回からは、そのあたりの状況を詳しくお話していきたいと思っています。
<執筆>村井哲之
広島大学 政治経済学部 経済学科卒
法政大学環境マネジメント研究科修士課程中退
環境プランナー リクルート、第二電電(現KDDI)等を経て、
現在、日本初の廃棄のコンシェルジェ
称号商社(株)イブロン代表取締役
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