天ぷらやかき揚げもOKの“そばダイエット”最強の食べ方を専門家が解説「できれば八割、十割そばを」
つらい、面倒、続かない「ダイエット三重苦」をツルりと解消する最強食は意外とすぐそばにある。
食後血糖値の上昇度を示す『GI値』が低く、食物繊維を豊富に含み、タンパク質やビタミンB6も含むそばは、ダイエットに適した食品だという。実際に、そばダイエットで減量に成功した有名人も少なくない。 食べるほどにスリムできれいになれる栄養満点のヘルシーフードだが、食卓に取り入れるにはコツがいる。管理栄養士の望月理恵子さんが言う。
「栄養満点でダイエットによいとはいえ、そばだけで体に必要な成分を賄うことはできません。たんぱく質や脂質、ミネラルなどは含有量が充分ではないため、ほかにどんな食材を組み合わせるかも重要になります」
月見そばは最強の「完全栄養食」
管理栄養士の松田真紀さんのいちおしは、生卵が入った月見そば。 「卵はビタミンCと食物繊維以外の栄養素がすべて含まれている『完全食』。食物繊維を含有するそばと合わせると最強です。さらに卵にたっぷり入っているたんぱく質には血糖値の上昇を緩やかにして、ストレスを抑え自律神経も整えてくれる効果もある。そば単品を食べるよりも満腹感が出るうえ、相乗効果で血糖値の上昇を抑えることもでき、メンタルも整いやすくなる。ランチに食べれば、午後の仕事に集中しやすくなります」(松田さん・以下同) スタミナをつけたいなら、肉を入れて食べるのもいい。 「お店で食べるなら、鴨南蛮や鴨せいろをおすすめします。鴨肉にはたんぱく質だけでなく、脂肪を燃焼させる成分の『L-カルニチン』が豊富。ダイエット向きのお肉です。
家で作る場合は、手軽に手に入り、糖質の代謝を促す『ビタミンB1』を多く含む豚肉を入れるのがいい。さらにねぎを加えれば、におい成分である『アリシン』がビタミンB1の吸収を助けてくれます」 管理栄養士の松田真紀さんが推奨するのは薬味や野菜、海藻などを「ちょい足し」すること。
「しょうがやねぎ、七味は体を温めて代謝を上げます。加えて胃腸を活性化させて消化吸収を助ける作用もあるため、夏バテしやすい人にいい。ただし刺激物なので、かけすぎないように注意してください。大根おろしやわかめ、なめこなど、低カロリーで食物繊維の多いものを加えるのもおすすめです。
私は実際に、ねぎたっぷりのわかめそばをよく食べていました」 太りやすいイメージのある揚げ物も、上手に組み合わせればダイエットの強い味方に。 「天ぷらやかき揚げなどの油物は消化に時間がかかるため、そばが含有する糖質の吸収が緩やかになり、血糖値の急上昇を抑える働きがあります。
もりそばやざるそばを食べるよりもダイエットの味方になり、油によって腹持ちがよくなるという利点もある。天ぷらの具材を選ぶときは、なすやきのこ類は吸油率が高いので避け、えび、いか、たけのこ、ししとうなどを選ぶのがベターです。
かき揚げよりは天ぷらの方が、油も糖質も抑えることができます。かき揚げを食べたいならば、素材が細切りではなく大ぶりに切ってあるものを選ぶようにしましょう」(望月さん)
■そば「最強の食べ方」解説
★薬味の助けを借りる…ねぎやしょうがは体温を上げ、代謝のいいやせやすい体を作る。
★つゆは飲みすぎない…冷たいそばの場合、しめにそば湯を飲んで体を温めるべし。ただし、つゆは塩分が多いため控えめに。
★揚げ物OK…油物はそばの糖質の吸収を緩やかにして血糖値が上がるのを防いでくれる。
★そば粉の割合が高いものを…パッケージをチェックして「七割」以上のものを選ぶべし。
■効果が増す組み合わせは?
●卵…ビタミンCと食物繊維以外の栄養素をすべて含む卵と、食物繊維を含有するそばとの組み合わせは最強。●鴨肉…脂肪を燃焼させる成分である「L-カルニチン」が豊富。
●豚肉…そばの糖質の代謝を促す「ビタミンB1」がたっぷり。さらにねぎも加えればにおい成分の「アリシン」がビタミンB1の吸収を助ける。
●大根おろし・わかめ・なめこ…食物繊維が豊富で低カロリー。便秘も解消できて一石二鳥。
●天ぷら・かき揚げ…適度な油は糖質の吸収を緩やかにするうえ、腹持ちもよくなる。大ぶりで吸油率の低い具材を選ぶことがポイントに。
食べるときは“揚げたて”がマスト。 「揚げてから時間が経った揚げ物は油が酸化しており、中性脂肪になりやすい。老化のもとにもなるため、避けてください」(松田さん)
冷たいそばには「茶」と「湯」がマスト
薬味から天ぷらまで、トッピングの組み合わせは無限大だが、悩みの種となるのが、「冷やし」をツルっといくか、「かけ」でホっと一息つくか。松田さんは、代謝の観点から「かけ」をすすめる。「温かいそばには温熱効果があるため、代謝が上がるし消化にもいい。特に朝食べることで一日、代謝がよく冷えにくい体で過ごすことができます。
私も朝、ランニングをした後、駅ナカの立ち食いそばで温そばを食べることを日課にしています」(松田さん) とはいえ、暑くなってくると、ツルっと喉ごしがいいせいろが食べたくなるもの。
石原さんは、冷たいそばにもメリットはあると話す。 「冷たいそばは、温かいそばに比べて、便通をよくして血糖値の上昇を抑える『レジスタントスターチ』という成分の含有率が高い。“冷やし”を食べたら、その後にそば湯やそば茶を飲みましょう。
そば湯はとろみがついていて胃の中でしばらく留まるため、内臓の保温効果が高い。そのうえ、ゆでるときにそばから水溶性のカリウムやビタミンB群が溶け出しているので、栄養の取りこぼしも防げます。もちろんそば茶にも、ルチンや食物繊維が多い。
そばに限らず普段の食事のときにも一緒に飲むだけで、血糖値の上昇を抑えることができます」(石原さん) つまり、温かい「かけ」でも冷たい「もり」でもダイエット効果は抜群ということ。ただし、冷たい「もり」を食べてそば湯でしめるときは、つゆの塩分に気をつけよう。また、肝心の“中身”で結果は大きく変わる。 「そば」と一口にいっても、そばの含有量の多いものもあれば、ほとんど小麦でできているものもあるからだ。池森さんが言う。 「商品パッケージにある栄養成分表示の冒頭に『そば粉』と書かれていたり、十割や八割など配合割合が書かれているものもおすすめ。
できれば七割以上が理想です」 望月さんは麺とともに「そばの実」を食卓に取り入れることを推奨する。 「混ざり物ゼロで、そばの効果を100%享受できるスーパーフードといっても過言ではない。
そば粉にする製粉過程で大幅に取り除かれてしまうミネラルも豊富です。お米と一緒に炊いたりサラダやみそ汁に加えるなど、アレンジも無限大です。ぜひ工夫して料理に“ちょい足し”してみてください」(望月さん) ツルっと食べて、スルっとやせよう!
教えてくれた人
松田真紀さん/管理栄養士
石原新菜さん/イシハラクリニック副院長
望月理恵子さん/管理栄養士
写真/本誌写真部、PIXTA
※女性セブン2023年6月8日号
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