片頭痛は「痛い」と感じてから薬を飲むのでは遅い【だからあなたの頭痛は治らない】
【だからあなたの頭痛は治らない】#5
片頭痛と緊張型頭痛は、長年まったく「別物」の頭痛であると考えられてきました。しかし、最近は2つの頭痛の境界線はあいまいになりつつあります。緊張型頭痛で見られるふらつきやめまいが、片頭痛でも起こることが研究で解明されてきたためです。
これらの頭痛の共通の原因に「脳が敏感になっている」ことが挙げられます。つまり、慢性的な頭痛の原因は大なり小なり、「脳が異常な興奮状態になることが原因」であるということです。
「脳が敏感」にならないようにするには、どうすればいいのか。対処法としては、この連載でもすでにお伝えしているように、日常生活で「なるべく脳を刺激しない」こと。特に、強い光、音、香りを極力避けるようにしてください。
とはいえ、気をつけていても頭痛がやってくることはある。頭痛がひどくなると吐き気を伴うこともあり、すぐに医療機関を受診するのも難しい場合もあるでしょう。
そんな時には我慢をせずに市販の頭痛薬を服用するのが現実的ですし、実際、私のクリニックにも「どんな薬を飲めばいいでしょうか」と患者さんが多く相談に来られます。
市販薬を服用する場合、まず覚えておいていただきたいのは薬を飲むタイミングです。
緊張型頭痛の場合は「頭が痛いな」と感じたら、その時すぐに薬を服用してください。そうすることで、頭痛は治まります。
一方、タイミングが非常に重要になってくるのが、片頭痛です。頭の痛みを感じてから服用すると、前述したように吐き気を伴う場合もあるので薬を飲んでも吐いてしまいかねない。そこで覚えていただきたいのは「予兆を感じたらすぐに飲む」です。
「予兆」は人によって異なりますが、長く頭痛と付き合っている人なら「なんとなく頭が痛くなりそうな気がする」という、自分だけにわかる感覚がありませんか?
私の患者さんである40代の女性は「異様なまぶしさの後に、突然、目の前にチカチカ光が出る」のが自分の頭痛の前兆だと話されていました。
ほかに「突然、生あくびが何度も繰り返し出る」「吐き気を感じるほどのひどい肩こり」「異常なぐらいに空腹を感じる」「体がむくんでいると感じる」などを片頭痛の予兆だと話す患者さんもいらっしゃいます。
市販の頭痛薬を飲むのは、緊張型頭痛は頭痛を感じたらすぐに。片頭痛は「頭が痛くなるかもしれない」と予兆を感じたその時点で。今回、覚えていただきたいのはこの2つです。来週はもう少し詳しく市販の頭痛薬についてお話ししていきたいと思います。
(清水俊彦/東京女子医大脳神経外科客員教授)
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