10月から「年金の手取り額」が減るケース3つ。年金振込通知書で振込額の確認を
10月13日は厚生年金や国民年金の支給日
10月13日は厚生年金や国民年金の支給日です。
年金は原則として偶数月の15日に振り込まれますが、土日祝日は金融機関の休業日であるため直前の平日に振り込まれます。
10月は15日が日曜日なので、13日に振込となります。忘れずに確認しましょう。
年金からは天引きされるものがあるため、実際に振り込まれる金額は年金支払額(額面金額)より少なくなるのが一般的です。
また、10月からは保険料などが変更になるため、8月と比べて減額になる方も出てきます。
そこでこの記事では、年金から天引きされるものにはどのようなものがあるのかを改めて確認するとともに、10月から手取り額が減少する理由について解説していきます。
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10月支給の年金からも天引きされるもの4つ
厚生年金や国民年金がいくら受給できるのかは、原則として毎年6月に送付される「年金振込通知書」に記載されています。
年金振込通知書の中の「年金支払額(額面金額)」と「控除後振込額(手取り金額)」を比べると、控除後振込額の方が少なくなっているのが一般的です。
というのも、条件に該当する場合、年金から介護保険料や国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、住民税、所得税などが天引きされるためです。
なお、天引きされることを「特別徴収」といいます。
では、具体的にどのような項目が天引きされるのかとともに、天引きされる条件などについて確認していきましょう。
1.介護保険料
厚生年金や国民年金から介護保険料が天引きされるのは、65歳以上の老齢年金や退職年金、障害年金、遺族年金を受給している方で、受給額が年間18万円を超える方です。
介護保険料を年金から天引きすることをやめたいと考える方もいるかもしれませんが、原則として受給者の希望により天引きをやめることはできません。
2.国民健康保険料
国民健康保険料が年金から天引きされるのは、以下の要件をすべて満たしている場合です。
・世帯主が国民健康保険に加入している
・世帯の国民健康保険の被保険者全員が65歳以上75歳未満
・世帯主の年金額が年額18万円以上
・世帯主の介護保険料が年金から天引きされている
・国民健康保険料と介護保険料の合算額が年金額の2分の1を超えていない
なお、複数の種類の年金を受給している場合は、天引きされる順番が決められています。
優先順位は、1番目が国民年金(老齢基礎年金)、2番目が老齢・退職年金、3番目が障害年金や遺族年金などの順です。
また、介護保険料が天引きされている場合は、国民健康保険料の天引きも同じ年金から天引きが行われます。
国民健康保険料も年金からの天引きが原則ですが、自治体によっては、保険料納付の延滞がないなど、一定の要件を満たしていれば口座振替に変更できるところもあります。
変更を希望する方は、お住まいの自治体に問い合わせてみましょう。
3.後期高齢者医療保険料
後期高齢者医療保険料が年金から天引きになるのは、以下の条件すべてに該当する方です。
・後期高齢者医療保険の被保険者である(75歳以上の方もしくは65歳以上75歳未満で該当する方)
・国民年金(老齢基礎年金)、退職年金、障害年金、遺族年金を受給中で年間の受給額が18万円以上
・後期高齢者医療保険料と介護保険料の合算額が年金額の2分の1を超えていない
なお、複数の年金を受給している場合は天引きされる優先順位が決められており、優先順位は国民健康保険料と同じです。
また、自治体によっては年金からの天引きに該当する方でも、口座振替に変更できるところもあります。
4.住民税
住民税が年金から天引きされるのは、住民税が課税される方のうち、4月1日現在で65歳以上で年金を受給しており、年間の年金額が18万円以上の方です。
介護保険料が年金から天引きされていない方や、住民税額が年金額を超える場合などは天引きされません。
天引きの対象者には、毎年6月に市区町村から税額決定・納税通知書が送付されます。お手元に届いた際は忘れずに確認しましょう。
10月から手取り額が減るケース3つ
冒頭でも触れたように、年金は偶数月に振り込まれますが、10月に受け取る年金額が8月まで受給していた金額よりも減るケースがあります。急に減額されると驚いてしまう方もいるでしょう。
手取り額が減る理由として次の3つのケースが考えられますので、ひとつずつ確認していきましょう。
前年の所得が前々年の所得よりも増えた方
国民健康保険料や住民税は前年の所得に基づいて計算されるため、所得が増えると納付する保険料や税金も高くなります。
また、介護保険料は住民税が計算されてから決まるため、所得の増減の影響を受けるといえます。
所得が増えるケースとして、年金を受給しながら働いて収入を得た場合や、投資信託や不動産売買で臨時収入を得た場合などが挙げられます。
所得が増えた後の保険料や税金が反映されるのは10月支給分からとなるため、8月支給分と10月支給分とで手取り額が異なるケースが出てくるのです。
年金の受取開始1年目の方
年金受給を開始した1年目の方の保険料や税金は、10月から天引きが開始されます。それまでは天引きでなく、普通徴収(納付書によって納める方法)により保険料や税金を納めます。
これまで納付書を利用して市区町村役所や金融機関の窓口で支払っていたものが年金から天引きされることになるため、年金の手取り額が減少することになるのです。
「仮徴収」から「本徴収」に切り替わるため
年金から天引きされる金額は、8月までは「仮徴収」ですが10月分からは「本徴収」に切り替わるため、金額が異なる原因になります。
国民健康保険料や住民税、介護保険料は年度ごとに金額が計算され、前年度から継続して年金受給している方は、原則として当年度の4月・6月・8月分は前年度の2月分と同じ金額を納めます(「仮徴収」といいます)。
そして、10月・12月・翌年2月分は、前年の所得などをもとに今年度の年間の保険料や税額を計算し、そこから仮徴収で納めた分を差し引いて、10月・12月・翌年2月分の3回に分けて納めます(「本徴収」といいます)。
この、仮徴収から本徴収に切り替わるタイミングが10月支給分からなので、8月支給分までと金額が異なるケースが出てくるのです。
10月から「年金振込通知書」が送付される
保険料や税金などが変更になるため年金の振込額が10月から変更される方に対し、「年金振込通知書」が送付されます。
なお、「ねんきんネット」の画面でも振込通知書の内容が確認できます。
年金から天引きされる保険料や税金に関してわからないことがある場合は、お住まいの市区町村に問い合わせましょう。
年金振込通知書やねんきんネットで10月からの振込額の確認を
厚生年金や国民年金からは、介護保険料や国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、住民税などが天引きされます。そのため、手取り金額は額面よりも少なくなることが一般的です。
ただし、天引きはすべての方が対象になるわけではなく、要件を満たしている方のみが対象となります。
10月からは保険料の金額が変更になるケースがあるため、8月分までの金額よりも減額される可能性が出てきます。
金額が変更になる方には「年金振込通知書」が送付されますので、届いた際には忘れずに確認しましょう。