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糖尿病治療薬よもやま話 第11回 ―糖尿病治療薬 GLP-1受容体作動薬―


今回ご紹介するGLP‐1受容体作動薬は、これまでの飲み薬とは違い、注射製剤です。糖尿病の注射薬といえば、すぐにインスリン製剤を連想されると思いますが、インスリンではありません。

GLP‐1はホルモンの一種(インクレチン)で、受容体に結合して作用を発揮しますが、GLP‐1そのものはDPP-4という分解酵素によって容易に分解され、速やかに活性を失います。

第九話で紹介したDPP-4阻害薬は、GLP‐1を分解から守り、GLP‐1のはたらきを介して血糖低下作用を示します。一方、GLP‐1受容体作動薬はDPP-4で分解されにくく、かつ受容体に結合しやすいアミノ酸構造を持つペプチドホルモンとして開発されました。

 GLP‐1受容体作動薬は生理的濃度を超えたGLP‐1のはたらきを模倣するため、治療薬としての作用はDPP-4阻害薬よりも強くなります。

インスリン分泌を促し、グルカゴン分泌を抑えて、血糖値を下げるだけではなく、食欲抑制効果から体重減少も期待できます。

食欲抑制の機序としては消化管のぜん動運動(内容物を移動させるための収縮運動)を抑える作用が主で、吐き気などの消化器症状が治療初期にみられることが、しばしばあります。

 また、脳の食欲中枢を直接的に調節するはたらきもあると考えられています。他にもGLP‐1には多面的な作用(膵β〈すいベータ〉細胞保護作用、動脈硬化抑制作用、認知機能改善作用など)があることが、動物実験では証明されています。

 血糖値に応じて適宜増減して使われるインスリン製剤とは違い、GLP‐1受容体作動薬は一定量を皮下注射します。血糖値が高いときだけインスリンを増やすため、低血糖の心配はありません。

現在、アメリカオオトカゲの唾液腺から抽出された「エキセナチド(一般名)」、あるいはヒトGLP‐1の誘導体である「リラグルチド(一般名)」などが商品化されています。

1日1回ないし2回注射が基本ですが、製剤化の進歩は目覚ましく、最近では1週間に1回の注射製剤も登場しました。食事に関係なく、都合の良い時間帯に注射できるのも大きな利点といえます。

 実際の使用に当たっては、消化器症状の副作用を軽減する目的で投与量の漸増法が用いられ、数日ごとに量を増やしてゆき、2~3段階(2週間~4週間)で通常用量に到達させます。

GLP‐1受容体作動薬の治療対象は2型糖尿病患者さんであり、インスリンを作れない1型糖尿病患者さんは適応になりません。

 肥満抑制が期待できるGLP‐1受容体作動薬は、海外では相当に評価が高いようです。わが国においても糖尿病患者さんの肥満化が問題になっており、今後は使用頻度が高まってゆくと思われます。

加来浩平(かく・こうへい)
川崎医科大学 特任教授

※『月刊糖尿病ライフさかえ 2015年9月号』より
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