あなたの健康はお金で買えますか・・・? 前立腺がんの生存期間を延長! 骨転移治療薬「ラジウム223」の力

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前立腺がんの生存期間を延長! 骨転移治療薬「ラジウム223」の力 

どのがんでも起こり得る骨への転移。特に前立腺がんは骨に転移しやすく、進行すると痛みや骨折などを起こし生活の質が著しく損なわれる。近年は骨の健康への対策が進み、画期的な新薬も登場している。

 前立腺がんの国内の推定患者数は約9万2千人で、2015年の予測では男性のがんでトップになった。

 前立腺がんと診断された人のうち、転移も見つかる人は約1割いる。そのうちの大半が、背骨や肋骨、骨盤といった骨に転移している。

 骨は通常、古い細胞の破壊と再生(代謝)を繰り返しながら元気な骨を保っている。代謝のバランスは「RANKL(ランクル)」という物質などが維持しているが、骨転移などがあると均衡が取れなくなってしまう。

 前立腺がんが進行している場合、がん細胞を増殖させる男性ホルモンの働きを抑える「ホルモン療法」がおこなわれる。

「男性ホルモンには骨を強化する役割があります。それを抑制するホルモン療法を1~2年以上おこなうと、骨密度が低下して骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になりやすくなります」

 こう話すのは、東邦大学医療センター佐倉病院泌尿器科教授の鈴木啓悦医師だ。骨粗鬆症になると、背骨の圧迫骨折や股関節の骨折が起こりやすくなる。これらが原因で車椅子の生活や寝たきりになれば、今度は肺炎にかかりやすくなり、命を落とすこともある。

「薬の進化により、前立腺がんで骨転移のある患者さんの生存期間は以前の約3年から約4年に延びています。しかし、骨折して歩けなくなってしまっては生活の質を保てません。骨転移と骨粗鬆症の両面から『Bone Health(骨の健康)』対策をすることが重要になります」(鈴木医師)

 千葉県在住の石井健三さん(仮名・67歳)は、13年の春ごろから軽い腰痛に悩まされるようになったが、放置していた。

 同年秋に市町村が実施する健康診断を受診。前立腺がんになっているかどうかを調べるPSA検査を受けると、正常値が0~4ng/mlのところ340ng/mlと異常に高い値が出た。石井さんはすぐに東邦大学医療センター佐倉病院の泌尿器科を受診した。

 担当した鈴木医師は次のように話す。

「前立腺を詳しく検査したところ、がんが見つかりました。そしてCT(コンピューター断層撮影)検査と骨シンチグラフィで、骨に転移していることもわかりました」

 骨シンチグラフィとは、がんが骨に転移しているかどうかを確認できる検査だ。石井さんは背骨と骨盤に合わせて10カ所ほどの転移があった。

 がんの増殖を抑えるため、すぐにホルモン療法を開始。次いで、骨転移や骨粗鬆症の治療に使われるデノスマブの治療を始めた。

 デノスマブは12年、製品名「ランマーク」で骨転移の治療薬に、13年には「プラリア」という製品名で骨粗鬆症薬として使えるようになった。いずれも皮下に注射する。“ヒト型抗RANKL抗体”というジャンルの薬で、ランクルにピンポイントで結合して作用を止める。そのため骨の破壊を抑え、痛みや骨折といった症状を軽くする効果がある。鈴木医師はこう話す。

「石井さんは治療開始から約3年が経過し、一時はPSA値が0.2ng/mlまで下がりました。最近は1.1ng/mlまで上昇しているため経過観察中ですが、前立腺がんは小康状態を保っています。骨転移も悪化することなくコントロールできています」

 そしてこう付け加えた。

「前立腺がんは内臓への転移が少ないがんです。ただし、薬が効かなくなると骨に転移し、その後、内臓に転移します。とにかく骨転移を抑えることが第一です。骨転移を制御できれば、のちの体調を改善することにもつながります。痛みが出る前から治療することが大切です」

 骨転移への対策には、デノスマブのほかにゾレドロン酸や、放射性医薬品のストロンチウム89という薬があった。しかし、痛みの軽減や骨折などの発症を抑制・遅延させる効果しかなかった。

 そうしたなか、今年6月に前立腺がんに対する骨転移治療薬として、初めて生存期間を延ばす薬が登場した。放射性医薬品の「ラジウム223」だ。ホルモン療法が効かなくなった前立腺がん(CRPC)患者の9割に最終的には骨転移がみられ、同剤はこうした患者が適応になる。

「前立腺がんの骨転移の治療は、従来は痛みなどの緩和が目的でした。ラジウム223は骨のがん細胞そのものにダメージを与えるため、生存期間の延長が望めます」

 そう話すのは北里大学医学部泌尿器科教室の佐藤威文医師だ。

 同剤は放射線のなかでもα線を放出する国内初の薬だ。静脈から体内に入ると、骨代謝が活発ながん細胞部分に取り込まれる。β線を照射するストロンチウム89に似ているが、α線はβ線より強力な高エネルギーを照射し、がん細胞のDNAの二重らせん構造を切断する。DNAが複製できないようにして、がん細胞も作らせないようにする仕組みだ。

 これまでの放射性医薬品では生存期間が延びることはなかったが、臨床試験では平均で3.6カ月延長すると示されている。

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( 2016/11/30 08:56 ) Category ■前立腺ガン・前立腺肥大・すい臓ガン・胆管がん | トラックバック(-) | コメント(-)
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