あなたの健康はお金で買えますか・・・? 【日本の病院の実力】ユニーク経営で先進医療を守る「群馬大学医学部付属病院」

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【日本の病院の実力】ユニーク経営で先進医療を守る「群馬大学医学部付属病院」

国立大学の建物の跡地を民間に貸して地代をもらい、テナントの入る新たな建物を建ててもらおうという財政再建策に乗り出したのが、群馬大学医学部付属病院。建物の2階に設置される会議室を借りる場合、大学側も“家主”に使用料を支払うというユニークなシステムだ。

 もともと、耐震強度が足りないために取り壊すことになった建物で、文科省は、その跡地を単なる廊下にする計画だった。

 「それだけの敷地があるのに、通路にするだけではもったいない。米国の病院では、ショッピングモールなどの環境があって、快適に療養生活や働くことができる。群馬大の中にも作りたいというのが、そもそもの発想でした」と語るのは、同大学理事の石川治病院長。

 「建物を建てるのに、4、5億円かかる。さらに、テナントを集めて運営するのは、われわれの能力を超える。この方式なら、相当な経費節減が見込めます」

 民間の財団法人が主体となり出店希望者は一般競争入札に参加、学生、職員らのアンケート調査なども基にして決定される。すでにフードコート、コンビニ、理容室などの入居が決まり、レンタルDVDなどの店舗も検討している。来年6月頃、オープンの予定だ。

 「医療材料、医薬品メーカーを競争させ、より安いものを選ぶ。もちろん、品質はチェックします。これまでは同じメーカーから言い値で仕入れていたのが実情。今まで医師、事務方が当たり前だと思っていたようなものも、より安く購入する努力を懸命にしているのです」

 こうして2年で約2億円の節減に成功した。同大学が懸命に経営努力を続ける背景にはもちろん理由がある。

 2004年に国立大が法人化されたことに伴い、それ以前に大学病院が持っていた借金はそのまま引き継ぐ形に。結果、国立大の医学部、病院全体で1兆円、群馬大学でも約320億円の負債を抱えてしまったのだ。同大学の借金返済は年間約32億円。1日1000万円近くに上る。

 「でも、職員は、赤字を出してもいいとは思わないから、診療に一生懸命、時間をとる。その結果、やせ細るのは研究、次に教育です。この状態が続けば、日本から先進医療は生まれないですよ」

 徹底したコスト削減は、先進医療を守るため。その医療面だが、約1分間照射を行う重粒子によるがん治療に力を入れているのが同病院の特長だ。

 前立腺がんや頭頚部腫瘍、肺がん、肝がん、骨肉腫などに有効な重粒子は、がん患部をピンポイントで攻撃できるため、副作用の心配もあまりない。この重粒子施設に加え、すべての科で専門分野の医師がそろい、合併症にも安心して対応できるのは、国内ではここだけだ。

 がん治療のあらゆる手段を備え、それぞれに適した治療を選択することができるのが、同病院の強みでもある。(池上正樹)

【データ】2008年度

★入院患者1日平均 617.6人

★外来患者1日平均 1866.7人

★手術数 9369件

★病床数 715床

〒371-8511

前橋市昭和町3の39の15 (電)027・220・7111

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