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心の病 休職中の生活守る

うつ病などの精神疾患で働けず、長期間の休職を余儀なくされると、経済的な不安も増す。メンタルヘルスの不調にはどんな生活保障や支援制度があるだろうか。

出費は続く

 精神疾患で勤務先を休むことになっても、急に生活費を抑えることは難しい。また、生命保険や厚生年金の保険料、住民税などは給料が出なくても支払いが必要。ローンや子供の教育費を抱えていればさらに負担は大きい。

 かといって、無理に出社するのは禁物だ。社会保険労務士の池田直子さんは「出ては休むを繰り返すのは本人も勤務先にも良くない。しっかりと治してから復職するのが基本」と話す。

 会社員や公務員などの勤め人が、仕事を休んだ期間の保障として、池田さんは〈1〉会社独自のサポート〈2〉健康保険の傷病手当金〈3〉団体向け所得補償保険の活用〈4〉公的支援制度――を挙げる。順を追って確認しよう。

給料の3分の2出る

 会社を休み始めると、まず有給休暇を消化するのが一般的。日数は企業や勤続年数で異なるが、法律で、勤続半年以上で10日、6年半以上で20日などと最低限の日数は決まっている。有休を使い切っても、期限を過ぎた有休を積み立てて使える積立年休や、欠勤期間の賃金保障制度を設けている会社なら、所定の期間内は給料が出る。

 欠勤が続いて給料が出なくなった場合、健康保険から支給されるのが〈2〉の傷病手当金だ。病気やけがで働けない時の保障制度で、精神疾患も対象。おおむね給料の3分の2相当額が最長1年6か月間、非課税で受け取れる。

 症状が改善せず退職した場合でも、在職中に健康保険に1年以上加入していた人は、手当金の受給を継続できる。

 病気やけがの減収リスクに備える民間の所得補償保険はどうか。実は、個人向けの商品は精神疾患を対象外とするものがほとんど。

 ただ、企業単位で加入する「団体長期障害所得補償保険」(GLTD)は、精神疾患をカバーしているものが多い。日立キャピタル損害保険の商品は、特約で「健康な時の月収の60%」「月額20万円」など設定に応じた額を最長2年間受け取れる。

 同様の保険は大手損保も扱い、会社が窓口となり、従業員の任意加入としている場合もある。勤務先が加入しているか確認してみるといい。

公的支援も

 うつ病などで精神科医から所定の診断を受けた人は、通院医療費や薬代の自己負担が3割から1割に軽減される公的制度がある。また、精神障害の重さによっては、障害基礎年金や障害厚生年金が受け取れる場合もある。

 詳しい支援制度や申請窓口については、厚生労働省の「みんなのメンタルヘルス総合サイト」や、NPO法人地域精神保健福祉機構が制作した小冊子「メンタルヘルス12の福祉サービス」(税込み124円)も参考になる。同機構の桶谷肇事務局長は「支援制度などに関する様々な情報を、患者や家族は知識として持ってもらいたい」としている。

患者95万人15年で2.2倍

 厚生労働省の2011年の患者調査によると、うつ病などの気分障害の患者数は約95万8000人と15年前の2・2倍に増加した。

 同省の別の調査では、11年11月から1年間でメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業、または退職した労働者がいる企業の割合は、規模1000人以上で92%、同500人以上で77%、同300人以上で65%となっている。

 日本生産性本部メンタル・ヘルス研究所のアンケート(12年)では、「心の病」が最も多い年齢層として40代(36%)、30代(35%)を挙げる上場企業が多く、働き盛りのメンタル疾患が社会問題化。政府は、企業が原則年1回、全従業員に対してストレスチェックを行うことを義務化する方針だ。

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