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かゆい部位をかくと気持ち良いのはなぜ? 絶妙な快感という楽しみ

かゆいと思った場所を引っかき傷ができるほどかくと、とても気持ちが良い。傷ができたのに、なぜ、そう感じるのだろうか。
□痛みがあるほうがかゆみが和らぐ

 イギリスのセントトーマス大学病院で、かゆみに対する実験が行われた。化学物質ヒスタミンを使って人にかゆみを起こさせ、いろいろな刺激を与えてかゆみが減るかどうかを調べた。

 無害な電気刺激や無害な熱を与えた場合は、20~30%程度しかかゆみは減らなかったが、マスタードオイルを使って痛みを与えた場合や害のあるレベルの熱を与えた場合は、最大で半分にもかゆみを抑えることができた(※1)。つまり痛みがある方がかゆみが抑えられたのだ。

 痛みを伴う刺激や熱いという感覚は、かゆみを抑える働きがある(※2)。かゆい場所をかくと気持ちが良いと感じるのはこのためだ。激しくかくことで生じる痛みによってかゆみが和らいでいるわけだ。
□害虫などによるかゆみの場合は「かく」行為で皮膚を守る

 かゆいところをかくと気持ちが良いと感じられるおかげで、皮膚を守るという役割まで果たすことができている。ダニやシラミが皮膚に付いているとかゆいと感じるが、かくことで、皮膚に付いた害虫を追い払っているのだ(※2)。
□かゆみは伝染する

 かゆみに関して、その仕組みが分かった今、興味深い事実をもう1つ。

 誰かがかいているのを見ると、自分もかゆくなった経験はないだろうか。これは偶然ではない。科学的に証明されていることだ。

 アメリカのウェイク・フォーレスト大学医学部のジル・ヨシポビッチ教授らの研究チームは、25人に協力してもらい、1つのグループには人が腕をかいている映像を、もう1つのグループには何もしていない人の映像を見てもらった。また、かゆみを引き起こさせるヒスタミンの液体が付いたパッチと無害の液体のパッチを皮膚に付けてもらった(※3)。
□かゆみの伝染は太古の時代からの身を守る習性

 その結果、腕をかいている人の映像を見たグループは、何もしていない人の映像を見たグループに比べて、自分の体をかく量が2倍にもなることが分かった。しかも、ヒスタミンのパッチを付けていない場所、つまり本来はかゆみが発生していない場所までもかいていた。

 人がかいているのを見ると、なぜかいてしまうのか。これは、サルにも見られる行動なのだが、グループの中の誰かにダニなどの寄生虫によってかゆみが発生した時、それを見た周りのサルもかくことで、ダニの被害が広がるのを防ぐことができるからと考えられている。

 誰かが気持ちよさそうにかいていたら、まねしたくなるのも分かる。ワシントン大学医学部の専門家も「激しくかくことは痛みを伴うことがあるが、最も絶妙な楽しみを経験することができる」と論文に記している(※2)。…うん、確かに。

 しかし、もちろん傷を負うほどかけば、気持ちが良いを通り越えて深刻なケースに陥ることもある。くれぐれもご注意を。

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