あなたの健康はお金で買えますか・・・? 【日本の病院の実力】「原発性免疫不全症」の早期発見に新生児マススクリーニングの普及★東京医科歯科大学医学部附属病院・小児科
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【日本の病院の実力】「原発性免疫不全症」の早期発見に新生児マススクリーニングの普及★東京医科歯科大学医学部附属病院・小児科

 ヒトの免疫は、感染症やがん、膠原病(こうげんびょう)やアレルギーなどに関わり、非常に複雑だ。生まれながらの遺伝子の異常によって、ひとつの免疫の仕組みがうまく働かないと、重度の肺炎などの症状を繰り返して命に関わる。それを「原発性免疫不全症」という。原因となる遺伝子は約300種類もあり、症状が多彩ゆえに診断は難しい。

 そんな原発性免疫不全症に対し、国内の砦(とりで)となっているのが、東京医科歯科大学医学部附属病院小児科だ。最先端の研究、診断、治療を行い、全国の医療機関からの相談も受けている。

 そして、先頃、原発性免疫不全症のひとつ「先天性肺胞蛋白(はいほうたんぱく)症」の1歳の患者に、造血細胞移植による治療を世界で初めて成功させた。免疫細胞は骨髄で作られるため、移植がうまくいくと、肺胞蛋白症も改善されるのだ。

 「原発性免疫不全症は重症化すると、予後が非常に悪いです。今回のケースでは、臍(さい)帯血で骨髄の機能を回復させる臍帯血移植では、残念ながら効果が得られませんでした。そこで、お父さんの骨髄を移植することにしたのです。結果として、先天性肺胞蛋白症に対し、造血細胞移植で治る可能性について、明らかにすることができました」

 こう話す同科の金兼弘和准教授(54)は、原発性免疫不全症を簡便に検査する方法を開発するなど、長年、研究と臨床を行うスペシャリストだ。

 「免疫不全症の患者さんは、感染症などに冒されやすく、造血細胞移植は容易なことではありません。しかし、当科は、長い歴史と実績があり、熟練した医師や優秀な若い医師など、スタッフが充実しているのが強みです」

 原発性免疫不全症は、一見、治りにくい肺炎のような症状など、原因が見えにくく専門医でないと早期診断は難しい。しかも、患者数は全体で年間2000人程度と数が少ないので、一般的な医師が経験を積むチャンスも乏しい。そのため、金兼准教授は、開業医などの医師に対する啓発活動にも力を入れている。

 「肺炎などが重症化すると、予後に悪影響を及ぼします。当然のことながら、早期発見と早期治療が、原発性免疫不全症においても、非常に重要なことなのです。早期発見と治療で救える命があることを、より多くの先生方に、知っていただきたいと思っています」

 原発性免疫不全症は、生まれた直後に症状が出ないことが多い。そこで、金兼准教授は、出産直後の赤ちゃんの血液検査により、原発性免疫不全症を見つける新生児マススクリーニングを普及させたいと考えている。

 「早期発見には、新生児マススクリーニングが大いに役立つと思っています。また、将来的には遺伝子治療も開発されるでしょう」と金兼准教授は話す。希少で重篤な病を克服すべく、スタッフとともに奮闘中だ。 (安達純子)

 <データ>
 2015年実績
 ・入院患者数 954人
 ・造血細胞移植 9例
 ・実稼働病院病床数 711床
 〔住所〕〒113-8519 東京都文京区湯島1の5の45 
電話/03・3813・6111

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