1

【メタボより怖いロコモ】胃ろうで母の栄養状態改善、療養病棟へ

母が転院した療養型病院の担当医は、経鼻栄養を続けるという。栄養がとれないと背中が穴のようにえぐれている褥瘡(じょくそう=床ずれ)が治らない。母はたびたび鼻のチューブを抜いてしまうので、指が使えないようにミトンをはめられた。

 骨折で入院以来、半年ぶりに髪を切ると、すっかりやせた顔が現れ、祖母にそっくりだった。やがて、医者から胃ろうをすすめられた。さすがに抵抗感があり、知り合いの社会福祉士に相談すると、「簡単な手術だから心配ない。術後は元気になりますよ」といわれ、思い切った。

 胃ろう造設はPEGともいう。胃に入れた胃カメラの先の針を胃壁と腹部の外に突き刺し、出たところを切開して管を入れる口を作る。

そこにチューブを通して直接胃に栄養食を入れる仕組み。胃ろうについては最近安易に造設する傾向があるとして、延命治療との批判があるのは知っていた。だが、母の認知症を考えると、経鼻栄養より安定するかもしれない。

 胃ろうの造設手術は40分くらいで終わるので、付き添わなくても大丈夫ということだった。夕方仕事を終えて行ってみると、昼に手術は無事終わったという。ちょうど始まったロンドン五輪の開会式をテレビで見せる。

何をやっているのか分からないようだった。手術した院長から「順調ですよ。ストレスがないのか、胃はきれいでしたよ」ともいわれた。

 担当医は「胃ろうは作ったけど、できれば口から食べられるようにしたい」と言ってくれた。口から食べられると、生きる意欲がわくから、それで寝たきりから脱する場合もあるという。医者の言葉を信じたかった。

 胃ろうによる栄養摂取は徐々に母を元気にした。だが、母は口から食事をとれないことが自分では理解できないようで、いつも口をもぐもぐさせている。時々は、「今食べたばかり」などと言うから、口で食事をしているつもりになっているのかもしれない。

なんとか水だけでも飲ませたいが、口腔(こうくう)内は黴菌(ばいきん)だらけで、その水が誤飲して気管に入ると肺炎を併発するというから怖い。口から食事する場合、誤飲性肺炎は最も用心しなければならない。

 幸い、昨年1月から昼食の半分は口から食べられるようになった。「よかったね」と言うと「あまりおいしくないけどね」。やがて、3食口からとれるようになり栄養状態もよくなったので、褥瘡も完治。一般病棟から療養病棟に移ることができた。 (木村進)

■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。

関連記事
スポンサーリンク メイン3
カテゴリ
★★互助会推薦★★
最新記事