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【がんへの備え】発見しにくく進行が速い 大腸がん編(2)「陥凹型がん」

早期大腸がんには、病変が隆起したり平坦(へいたん)など、さまざまな形のタイプがある。中でも悪性度が高く怖いのが、病変がへこんだ陥凹(かんおう)型がん。

大腸内視鏡検査20万例以上の実績をもつ昭和大学横浜市北部病院・消化器センター長の工藤進英教授に、特徴を聞いた。 

 陥凹型大腸がんは、1977年に日本人医師によって発見されたが、当時の内視鏡の性能ではへこんだ病変を見つけるのが難しく、「幻のがん」と言われていた。

工藤教授は、その陥凹型の多くのがんを世界で初めて発見・治療し、高性能内視鏡の開発にも力を注いできた。

 「陥凹型の早期がんは、便潜血検査、直腸造影検査、CT検査でも見分けることはできません。腸壁のわずかな色調の変化だけなので、色素を散布して拡大内視鏡で調べないと分からないのです」

 がん病変が隆起しているタイプであれば、便が通過する時に触れるので出血する。しかし、へこんでいる陥凹型は便に血が混ざることはない。

自治体の大腸がん検診で行われている便潜血検査では陰性(正常)の結果が出てしまう。大腸がんの典型的な初期症状の「血便」も起こらない。

 しかも、陥凹型が怖いのは、ポリープががん化するような隆起型とは違い、小さくても進行が速い点だ。

 「陥凹型が見つかる確率は200例中に1例程度と少ないですが、進行がんに行くメーンルートであると同時に、転移する可能性が非常に高いことも分かってきました。

粘膜の下に浸潤するスピードが速いので、たとえ毎年、内視鏡検査を受けても陥凹型では、発見された時点ですでに進行がんの場合があります」

 陥凹型がんの見落としを減らし正確に診断するため、工藤教授と内視鏡メーカーが共同開発したのが「拡大内視鏡」。現在、100倍率の内視鏡が普及している。

 「以前は病変の大きさや形、色調などでがんの疑いを判断し、病変組織を取ってきて顕微鏡で病理診断していました。それが今は拡大内視鏡を使えば、内視鏡検査中にがんの鑑別や深達度などの診断が正確に行うことができます。陥凹型の早期発見には、拡大内視鏡が欠かせません」

 ちなみに昭和大学横浜市北部病院では、世界に先駆けて450倍率の超拡大内視鏡が使われている。今や大腸がん対策の課題は「陥凹型がんの早期発見」に的が絞られているという。

 次回は、つらくない大腸内視鏡検査の施設選びのポイントを取り上げる。

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