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【がんへの備え】大腸がん編(4)「腹腔鏡下手術」 早い回復、合併症リスクも低く

内視鏡治療が可能なポリープや極めて早期の場合を除き、大部分の大腸がんの治療は手術になる。近年、開腹手術よりも身体への負担が少ない腹腔鏡下手術が急速に普及しつつある。メリットとデメリット、どんな大腸がんに適応されるのか。日本の大腸内視鏡下手術のパイオニア、北里大学医学部外科の渡邊昌彦教授に聞いた。

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 大腸がんは、肛門に近い直腸にできる「直腸がん」と、それより奥の結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)や盲腸にできる「結腸がん」に大別される。

 「今や腹腔鏡下手術は、結腸がんの治療では標準治療として認められつつあり、日本や韓国の医療機関の普及率は50%くらい。多くの施設で行われています」

 腹腔鏡下手術は、おなかに小さな孔(あな)を数カ所開け、そこから腹腔鏡や手術器具を挿入して、モニター画像を見ながら手術を行う。

 「傷口が小さく、痛みが少ない。腸ぜん動の回復が早いので手術の翌日から食事ができ、1週間ほどで退院できます。さらに術後の合併症である腸閉塞(へいそく)が起こりにくいのも大きなメリットです」

 結腸がんに対する腹腔鏡下手術が先に普及した理由は、直腸は肛門に近く、ぼうこうや性機能の自律神経に囲まれているので手術が難しいからだ。

 しかし、技術に習熟した外科医のいる病院では、すでに進行結腸がんはもとより、直腸がんにも適応しているのが現状だ。

 「国内の最新データでは、大腸がんの腹腔鏡による手術件数はざっくり年間3万件。そのうち1万4000件は直腸がん手術です。当院では、他臓器に広範囲に浸潤した進行・再発大腸がん以外の結腸がんや直腸がんは腹腔鏡でやっています。開腹も腹腔鏡も治療成績に違いはありません」

 腹腔鏡下手術のデメリットは、開腹手術よりも時間がかかる場合があることや治療費が高くなること。最も気になるのは、施設によって技術に差があることだ。病院を選ぶとしたら何を目安にするといいのか。

 「日本内視鏡外科学会では、腹腔鏡を用いた手術を安全に普及するために指導医を認定する『技術認定制度』を設けています。ホームページに認定取得者一覧があるので、どの施設が内視鏡外科に力を入れて取り組んでいるのか、ひとつの目安になると思います」

 ちなみに腹腔鏡下大腸切除の技術認定医の審査には、毎年200人近くの医師が認定取得を目指して応募するが、合格率は約20%という。


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