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【がんへの備え】大腸がん編「直腸がん手術」 局所再発抑制へ2つの治療法

結腸がんと同じく直腸がんも粘膜にとどまるがんは内視鏡治療で、それより深く進めば手術になる。開腹手術と腹腔鏡下手術が行われているが、いずれも直腸がん手術は技術的難度が高い。どんな手術が行われるのか、北里大学医学部外科の渡邊昌彦教授に聞いた。

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 「結腸がんに比べて手術が難しくなるのは、直腸は肛門に近いだけでなく、骨盤の奥の方にあるからです。周囲に排尿や性機能をつかさどる神経が張り巡らされていて、それをできる限り損傷しないように手術する。技術レベルの差によって、術後の患者さんのQOL(生活の質)に影響してきます」

 さらに、進行した直腸がんでは、結腸がんには見られない「局所再発」が問題になるという。

 「再発のうち13-15%に、切除した直腸の近くに転移する局所再発が起こる。直腸がん手術では、これを抑えることが非常に重要です」

 しかし、進行直腸がんの治療や特に局所再発の制御には、世界的な標準治療がなく、治療法が2つに分かれる。

 「日本では、側方リンパ節を取り除く拡大郭清が大腸癌研究会によって推奨されています。一方、欧米や韓国では拡大郭清はしない。手術前に抗がん剤を投与し、がんとその周囲のリンパ節に対し放射線を照射した後に手術を行う術前化学放射線療法が主流です」

 どちらの治療法でも局所再発率を10%以下に抑えられるが、一長一短がある。拡大郭清は排尿や性機能の障害が起こりやすい。神経を触らない術前化学放射線療法は障害が出にくいが、手術までの治療期間が3カ月以上必要で抗がん剤や放射線の副作用を伴う。

 「標準治療の結論が出ないのは、いずれの治療法も生存率が変わらないからです。ただ、術前化学放射線療法をやっている当院のケースでは、術前治療で2-3割の人のがんが消えています」

 直腸がん手術は開腹か腹腔鏡かだけでなく、拡大郭清か術前療法かでも施設によって選択肢がマチマチ。説明をよく聞いた上で治療法を選ぶ必要があるので注意しよう。

 直腸がんと言えば、人工肛門のイメージもあるが、現在では、ほとんどの施設で肛門括約筋を切除しない温存手術が行われている。

 「肛門を残せるかどうかは、がんの位置、大きさ、深さ、特に肛門括約筋との関連性などから検討します。通常、深さが筋層にとどまり肛門の縁から4センチ以上奥にあるがんであれば、ほぼ100%、肛門が残せます」 

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