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【これで私は助かった!】ぎっくり腰と思ったら…解離性大動脈瘤

「腰痛で死ぬところだった…」。といってもぎっくり腰でショック死しかけたというのではない。腰痛と思っていたら、じつは動脈が裂けて瘤ができていたのだ。これが破裂したら本当に命取りになる。寸でのところで食い止めた人の報告だ。

 ■茂本勝昭さん(56歳=仮名)のケース

 夜中に突然背中の下のあたりに激痛が走ったんです。最初はぎっくり腰かと思ったのですが、寝ている最中にぎっくり腰になるとは思わなかったので、不思議でした。

妻が車で救急病院に連れて行くというのですが、とても車の座席に座れる痛みではない。近所の手前、躊躇(ちゅうちょ)はしたものの、救急車をお願いしました。

 市民病院で整形外科の医師が当直だったので、そこに担ぎ込まれたのですが、どんな姿勢をとっても痛みが引かない。加えて次第に血圧も下がってきたので、造影CTを撮ったら、下行大動脈の内膜が剥がれて“瘤”ができていたんです。

 すぐに循環器科の医師が呼ばれて緊急入院。集中治療室で面会謝絶、絶対安静を言い渡されました。トイレもベッド上で行う生活が1カ月近くも続きました。

その後の安静状態を確保した上での薬物治療が功を奏して緊急開腹手術は免れることができましたが、医師から「知らずに放置していたら、動脈瘤が破裂して病院にたどり着く前に死んでいた」と言われてゾッとしました。

 後日、血管内にステントグラフトと呼ばれる金網で血管壁を内側から保護し、裂けた血管の中や瘤の中に血液が流れ込まないようにする血管内手術を受け、いまは通常の生活を送っています。

 それにしても、ぎっくり腰のつもりで病院に行って、動脈の治療を受けるとは驚きました。そして何より、「腰痛」という症状から解離性大動脈瘤を見つけ出して循環器の専門医を呼び出してくれた整形外科医の眼力には本当に敬服しています。

 ■専門医はこう見る

 総合新川橋病院(川崎市川崎区)整形外科・平出敦夫医師

 大動脈のうち「下行大動脈」とよばれる血管は、背中から腰の近くを走っているので、そこに解離がおきると「背部痛」や「腰痛」という症状が出ることがあります。

 一般的な腰痛発作とは質の異なる激痛となることが多く、茂本さんのように「どんな姿勢をとっても痛みが引かない」という点が最大の特徴です。

逆にぎっくり腰や椎間板ヘルニアのような腰痛には、「痛みが和らぐ姿勢」があるので、受診時の医師にはその違いを見極める診断力が求められることになるのです。

 もう一つ解離性大動脈瘤の症状の特徴として、「痛む個所が移動していく」というものがあります。

これは血管の解離(裂け目)が進んでいることを示しており、より緊急性が高い状態といえます。こうした状態に血圧の低下などが重なって見られるときには、躊躇せずに救急車を呼ぶべきです。

 一方、椎間板ヘルニアに代表される慢性の腰痛は、身体の動きに伴った鈍い痛みが特徴です。このように、原因がハッキリしているときは、救急ではなく通常の外来を受診してください。もちろん救急車は使わずに…。

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