l.dtd"> あなたの健康はお金で買えますか・・・? 【最新「死に方」事典】あなたは路上で死ぬ!?医療費払えない患者増加?


【最新「死に方」事典】あなたは路上で死ぬ!?医療費払えない患者増加?

 4月1日から医療費が上がった。消費税増税と併せ大きな国民負担だ。主な値上がりは、初診料が120円、再診料が30円。あなたが初診で病院に行くと、これまで2700円だった初診料は2820円になった。

同じく、再診料は690円から30円引き上げられ720円に。歯科の初診料や再診料、調剤薬局が取る調剤基本料も同様に上がった。また、入院した際にかかる入院基本料は2%程度上がった。

 なぜ、こんなことになったのか。

 高齢化社会の急進展で医療費が年々増加し、もはや保険料収入と税金補填(ほてん)では耐えられなくなっているからだ。厚労省が発表している2012年度の国民医療費は、なんと38兆5850億円、国民1人あたりで30万1900円である。当然だが、現在は40兆円に達しているはずで、これは現在の政府の税収とほぼ同じ。

 さらに、前回書いたように、団塊世代が75歳以上になる2025年には62兆円になるとされる。これが「2025年問題」である。つまり、今後も国民の医療費負担は増え続けるわけだ。

 そこで、本連載のテーマである「死に方」も大きく変わることになる。今回の医療費改定では、診療報酬アップと併せて、病院の病床数の削減も打ち出された。重症患者向けの「急性期病床」、症状が落ち着いた患者を収容する「療養病床」を減らすのだ。

 療養病床のほとんどは、死期が近い高齢者の重症患者で占められている。言葉は悪いが、これは病院のドル箱だ。なぜなら、入院基本料Aなら最も高い1万7690円を取れるからだ。入院基本料は06年度の診療報酬改定で創設され、当初2万~3万床と見込んでいた。

 ところが、病院の申請が殺到し、療養病棟はなんと約36万床まで膨らんでしまった。要するに、重症でない高齢者まで受け入れ、そこでいちばんおカネが取れる終末治療が行われてきたのだ。

 しかし、これを続けると、病院はもうかっても、医療財政は破綻する。そこで、まず2年で今の4分の1相当の9万床を減らし、いずれは半分の18万床まで減らすことになった。

そのうえ身近な診療所や中小病院の医師が糖尿病などの治療や健康管理をする「主治医」制度が新設された。

 つまり、病院ではもう高齢の重症患者の面倒をみない。まして、症状が軽い患者は受け入れないということ。もっと端的に言うと、「自宅で死んでくれ」と国は言っているわけだ。

これをあるメディアは「高齢者医療の姿は『時々入院、ほぼ在宅』と書いた。患者が自宅や施設で暮らすのを基本とし、入院が必要でも極力短期間になるから、実にうまい表現だ。

 このように、政府の方針次第で、私たちの「死に方」は大きく変わる。現在、約8割の高齢者が病院で死んでいるが、今後はこのかたちが大きく変わる。そこで、大問題が起こる。

病院に見放された高齢者は、自宅が無理なら、介護付きの有料老人ホームか特別養護老人ホームに入るしかない。とすると、最低でも月に20万円はかかる。

 この費用負担ができない高齢者は、どうしたらいいのだろうか。数年前、マイケル・ムーア監督の『Sicko』という映画が話題になった。医療費が払えない入院患者が病院から見放され、路上で死んでいく姿を描いたドキュメンタリーだ。日本もそうなる日が来るかもしれない。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。
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