あなたの健康はお金で買えますか・・・? 【最新「死に方」事典】あなたは「地味葬」? 死亡者数は増えるも
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【最新「死に方」事典】あなたは「地味葬」? 死亡者数は増えるも

新聞やテレビの報道だけでは、世の中の本当の変化に気がつかないことがある。たとえば、今年の正月、街を歩いてみると、門松を飾る家がほとんどない。また、初詣に行っても晴れ着姿の女性がほとんどいない。

 アベノミクスで景気がよくなったといっても、実際のところ、日本人の生活は質素になっているのだ。つまり、冠婚葬祭は、年々、地味になっている。

 葬式も同じだ。最近、知人が母を90歳で亡くしたが、いわゆる葬儀はしなかった。彼の母は10年ほど前から認知症が進み、5年前に施設に入った。

そして、昨年から特別養護老人ホームに移り、そこである朝、ひっそりと息を引き取った。医師は死亡診断書に死因を「老衰」と書いた。

 そこで、お葬式ということになったが、彼の母は順天堂大学の白菊会という献体組織に登録していたため、一晩葬祭所の部屋を借り、家族で集まって花を手向けただけ。翌日、遺体は引き取りに来た大学の車で運ばれた。

 献体とは、本人の意思で、遺体を医学生たちの解剖授業、研究のために提供すること。いわば、最後の社会貢献である。

 知人によると、最近、献体が増えているという。「献体したといえば周囲も納得するので、葬儀をしなくて済むから」だそうだ。もちろん、それだけが理由でないが、葬儀にお金をかけない家が増えている。

 知人が葬儀社から聞いたところによると、お金をかけない葬儀を「地味葬」と呼び、その多くは家族だけで送る「家族葬」だという。

 日本はすでに老齢人口(65歳以上の人口)が全人口の20%以上の高齢社会になっている。その結果、葬儀の数は年々増加している。しかし、葬祭業の市場規模は反比例して減っている。2002年が市場のピークで、以来、毎年市場は横ばいか縮小しているのである。

 実は私は、最近までこの事実を知らなかった。単純に、葬祭産業は伸びているのだろうと思っていた。それが、もう10年以上にわたって縮小している。つまり、もうからなくなっている。

「家族葬」の場合、葬祭場を借りて行ったとしても、費用は葬祭場の部屋代、棺代、花代、お線香代など。数十万円で済む。

 日比谷花壇のデータによると、葬儀を行わず家族だけが火葬場でお別れをする「直葬」が19%、「家族葬」は57%。ひと昔前まで一般的だった50人を超える「一般葬」21%や200人を超える「大型葬」3%を大きく上回っている。

 1998年には年間死亡者数は94万人で、100万人に達しなかった。それが2000年代に入って100万人になり、今後さらに増えていく。そして、2040年ごろ166万人とピークを迎える。

だから、葬儀施行件数は、今後30年間増加が見込まれるが、葬祭産業の市場規模が拡大するとはかぎらないのだ。

 日本消費者協会が調査した「葬儀についてのアンケート調査」2010年度報告書によると、葬儀一式費用(葬儀社への支払い)の全国平均は約126.7万円。3年前の同調査と比較すると15.6万円減っている

。葬祭産業の市場規模は1兆円超とされるが、「ここ数年は横ばい」という。

 誰もが1度は、自分が死んだとき、どんな葬儀になるか想像したことがあると思う。しかし、家族が葬儀をしてくれるとはかぎらない。「地味葬」になるか? 「一般葬」になるか? いまから十分、話し合っておくべきだろう。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。

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